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特表2024-523374患者の状況を決定するためのデバイス、方法およびコンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-28
(54)【発明の名称】患者の状況を決定するためのデバイス、方法およびコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   G16H 20/00 20180101AFI20240621BHJP
   A61N 1/36 20060101ALI20240621BHJP
【FI】
G16H20/00
A61N1/36
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023577707
(86)(22)【出願日】2022-02-28
(85)【翻訳文提出日】2023-12-15
(86)【国際出願番号】 DE2022100160
(87)【国際公開番号】W WO2022262887
(87)【国際公開日】2022-12-22
(31)【優先権主張番号】102021115866.4
(32)【優先日】2021-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】102021115865.6
(32)【優先日】2021-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】102021115867.2
(32)【優先日】2021-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】308011030
【氏名又は名称】ドレーゲルヴェルク アクチェンゲゼルシャフト ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト アウフ アクチェン
【氏名又は名称原語表記】Draegerwerk AG & Co.KGaA
【住所又は居所原語表記】Moislinger Allee 53-55,Luebeck,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】マークス エーガー
(72)【発明者】
【氏名】フランク フランツ
【テーマコード(参考)】
4C053
5L099
【Fターム(参考)】
4C053JJ02
4C053JJ15
4C053JJ21
4C053JJ34
5L099AA15
(57)【要約】
呼吸または換気中の状況の決定に関するデバイス、方法、コンピュータプログラムについて説明する。情報を取得、検知または決定するというコンセプトについて説明する。例えば、患者の呼吸筋に関する情報、患者の負荷能力に関する情報、患者の呼吸補助の必要性に関する情報、それに患者の呼吸を適切に刺激して補助する手段に関する情報も、生物または患者の処置および治療において非常に重要である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の呼吸筋の状態を決定するためのデバイス(10)であって、患者信号を検知するように構成された1つまたは複数のインタフェース(12)と、
刺激信号で前記患者の呼吸筋を刺激し、
前記刺激することに対する応答として活動信号を検知し、
前記刺激信号と前記活動信号とに基づいて、前記呼吸筋の1つまたは複数の状態パラメータを決定する
ように構成された制御ユニット(14)と
を備える、
デバイス(10)。
【請求項2】
前記制御ユニット(14)が、1つまたは複数の刺激インパルスで刺激信号を生成するように構成されている、
請求項1記載のデバイス(10)。
【請求項3】
前記制御ユニット(14)が、インパルス応答として前記活動信号を検知するように構成されている、
請求項1または2記載のデバイス(10)。
【請求項4】
前記制御ユニット(14)が、前記1つまたは複数の状態パラメータを決定することにより、前記患者の呼吸筋の活動能力を決定するように構成されている、
請求項1から3までのいずれか1項記載のデバイス(10)。
【請求項5】
前記制御ユニット(14)が、前記活動能力を決定する際に、前記刺激信号の下側の活動閾値を考慮するように構成されており、前記呼吸筋が前記活動閾値を上回って刺激されると、前記呼吸筋の活動が起こり、前記呼吸筋が前記活動閾値を下回って刺激されると、前記活動は少なくとも減少するかまたは起こらなくなる、
請求項4記載のデバイス(10)。
【請求項6】
前記制御ユニット(14)は、
・ 刺激によって発生し得る呼吸筋圧Pstim
・ 刺激によって発生し得る呼吸換気量Volstim、および/または
・ 刺激によって発生し得る患者の呼吸仕事量
を決定するように構成されている、
請求項5記載のデバイス(10)。
【請求項7】
前記制御ユニット(14)が、空気圧診断操作を実施して空気圧換気パラメータをさらに決定し、前記空気圧換気パラメータにさらに基づいて前記1つまたは複数の状態パラメータを決定するように構成されている、
請求項1から6までのいずれか1項記載のデバイス(10)。
【請求項8】
前記空気圧診断操作が、
閉塞、
呼吸流量制限、
個々の呼吸動作の補助の省略、または
前記患者の呼吸補助の変動性
を含む、
請求項7記載のデバイス(10)。
【請求項9】
前記制御ユニット(14)が、患者の実行可能な最大呼吸努力の指標をさらに決定するように構成されている、
請求項1から8までのいずれか1項記載のデバイス(10)。
【請求項10】
前記患者の実行可能な最大呼吸努力の指標が、前記呼吸筋の最大活動時の口閉鎖圧を含む、
請求項9記載のデバイス(10)。
【請求項11】
前記制御ユニット(14)が、
前記患者の呼吸筋の負荷能力の指標
および/または
前記患者の呼吸筋の効率の指標を測定するように構成されている、
請求項1から10までのいずれか1項記載のデバイス(10)。
【請求項12】
前記負荷能力の指標が、基本負荷PmusBaseと前記患者の実行可能な最大呼吸努力PmusMaxとの間の関係に基づいており、
かつ/または
前記効率の指標が、刺激によって発生し得る呼吸換気量または呼吸筋圧と前記活動信号との比を含む、
請求項11記載のデバイス(10)。
【請求項13】
前記制御ユニット(14)が、
前記1つまたは複数のインタフェースを介して前記1つまたは複数の状態パラメータに関する情報を出力するように構成されている、
請求項1から12までのいずれか1項記載のデバイス(10)。
【請求項14】
患者を換気するためのデバイス(10)であって、
換気ユニット、刺激ユニットまたはセンサユニットと情報を交換するように構成された1つまたは複数のインタフェース(12)と、
前記患者自身によって行われる換気の割合の指標を検知し、
前記患者の負荷能力の指標を決定し、
前記患者自身によって行われる換気の割合に影響を与え、
前記患者自身によって行われる換気の割合の指標と、前記患者の負荷能力の指標とに基づいて、前記換気中に前記患者を補助する
ように構成された制御ユニット(14)と
を備える、
デバイス(10)。
【請求項15】
前記制御ユニット(14)が、補助するために、圧制御もしくは容量制御された換気のための信号、または前記患者の呼吸筋を刺激するための信号を出力するように構成されている、
請求項14記載のデバイス(10)。
【請求項16】
前記患者自身によって行われる仕事量の指標が、
全呼吸圧Pawまたは全駆動圧Pdrに対して絶対的または相対的な筋圧Pmus;
前記患者の筋肉によって引き起こされる、全呼吸ガス流量Flowに対して絶対的または相対的な呼吸ガス流量Flowmus;
前記患者の筋肉によって引き起こされる、全呼吸換気量Volに対して絶対的または相対的な呼吸換気量Volmus;および
前記患者自身によって行われる、全呼吸仕事量WOBに対して相対的または相対的な呼吸仕事量WOBmus
の群からの少なくとも1つの要素を含む、
請求項14または15記載のデバイス(10)。
【請求項17】
前記患者自身によって行われる割合の指標を検知することが、筋電図法による信号、電気的インピーダンス筋運動記録法からの信号、筋音図法による信号、超音波信号、歪みセンサの信号、または食道圧センサの信号に基づいて実行される、
請求項13から16までのいずれか1項記載のデバイス(10)。
【請求項18】
前記制御ユニット(14)が、前記患者自身によって行われる割合に影響を与えるために、前記患者の呼吸筋を刺激するための信号または薬物投与量に影響を与えるための信号を出力するように構成されている、
請求項14から17までのいずれか1項記載のデバイス(10)。
【請求項19】
前記制御ユニット(14)が、一次目標として予め設定された換気パラメータに関して前記患者の換気を調節するように構成されており、前記制御ユニット(14)が、二次目標として予め設定された換気の割合に基づいて、前記患者自身によって行われる割合を調節するように構成されている、
請求項14から18までのいずれか1項記載のデバイス(10)。
【請求項20】
前記制御ユニット(14)が、全呼吸換気量および前記患者自身によって実行される呼吸換気量を監視および調節し、前記患者自身によって実行される呼吸仕事量を調節および監視し、かつ/または前記患者の酸素供給を監視および調節するように構成されている、
請求項14から19までのいずれか1項記載のデバイス(10)。
【請求項21】
前記制御ユニット(14)が、前記影響を与えることと、前記補助することと(28)を、前記患者によって予め設定された呼吸リズムまたは予め設定された呼吸リズムに合わせるように構成されている、
請求項14から20までのいずれか1項記載のデバイス(10)。
【請求項22】
前記制御ユニット(14)が、前記影響を与えることと、前記補助することとを、前記患者の自発活動が存在しかつ無害であれば、前記患者によって予め設定された呼吸リズムに合わせ、そうでなければ、前記補助することを、前記患者の自発活動が存在しないかまたは有害であれば、刺激によって予め設定された呼吸リズムに合わせ、刺激効果がない場合、前記補助することを、空気圧換気によって予め設定された呼吸リズムに合わせるように構成されている、
請求項14から21までのいずれか1項記載のデバイス(10)。
【請求項23】
前記制御ユニット(14)が、前記患者の呼吸筋の効率を決定するように構成されており、前記補助することは、前記効率に基づいており、前記制御ユニット(14)が、前記患者の呼吸筋の活動能力を決定するように構成されており、前記補助することは、前記活動能力に基づいており、かつ/または制御ユニット(14)が、前記患者の呼吸筋の疲労を決定するように構成されており、前記補助することは、前記疲労に基づいている、
請求項14から22までのいずれか1項記載のデバイス(10)。
【請求項24】
前記制御ユニット(14)が、前記負荷能力を決定するために呼吸力学的な基本負荷を決定し、前記患者の可能な最大呼吸努力を決定するように構成されている、
請求項14から23までのいずれか1項記載のデバイス(10)。
【請求項25】
前記制御ユニット(14)が、単収縮刺激を実行することによって前記可能な最大呼吸努力を決定するように構成されている、
請求項24記載のデバイス(10)。
【請求項26】
請求項1から25までのいずれか1項記載のデバイス(10)を用いて前記換気中に患者を補助するための換気システム(120)。
【請求項27】
患者の呼吸補助のための換気システム(120)のコンポーネント(100)のためのデバイス(10)であって、前記換気システムのコンポーネント(100)と通信するための1つまたは複数のインタフェース(12)と制御ユニット(14)とを備え、前記制御ユニット(14)は、
前記患者の目標呼吸筋活動量に関する第1の情報を検知し、
前記患者の実際呼吸筋活動量に関する第2の情報を検知し、
前記第1の情報と前記第2の情報とに基づいて、前記患者の呼吸補助の指標を決定する
ように構成されている、
デバイス(10)。
【請求項28】
前記患者の気道内流量を測定するための機器および気道内圧を測定するための機器を含み、前記制御ユニット(14)が、気道内流量の測定および気道内圧の測定に基づいて、前記第1の情報および前記第2の情報を検知するように構成されている、
請求項27記載のデバイス(10)。
【請求項29】
空気圧呼吸補助のための機器であって、前記呼吸補助の指標が、前記空気圧呼吸補助の指標を含む、機器、前記呼吸補助の指標に基づいて前記患者を鎮静化するための機器、および/または前記呼吸補助の指標に基づいて前記患者の呼吸筋を刺激するための機器を含む、
請求項27または28記載のデバイス(10)。
【請求項30】
前記1つまたは複数のインタフェース(12)を介して、前記患者の気道内流量測定または気道内圧測定に関する測定情報を受け取るように構成されており、前記制御ユニット(14)が、前記測定情報に基づいて前記呼吸補助の指標を決定するように構成されている、
請求項27から29までのいずれか1項記載のデバイス(10)。
【請求項31】
実際呼吸筋活動量に依存する信号をセンサにより検知するための機器を含み、前記制御ユニット(14)が、前記センサにより検知された信号に基づいて前記呼吸補助の指標を決定するように構成されている、
請求項27から30までのいずれか1項記載のデバイス(10)。
【請求項32】
前記センサにより検知するための機器が、電気筋運動図、機械的筋運動図、または電気的インピーダンス筋運動図を検知するように構成されており、かつ/または前記センサにより検知するための機器が、歪みセンサ、超音波センサまたは食道圧センサを含む、
請求項31記載のデバイス(10)。
【請求項33】
前記制御ユニット(14)が、制御を介して、前記呼吸補助の指標に関する前記第1の情報と前記第2の情報との間の差異を低減するように構成されている、
請求項27から32までのいずれか1項記載のデバイス(10)。
【請求項34】
前記第1の情報および前記第2の情報が、それぞれ患者側の刺激された呼吸筋活動量もしくは全呼吸筋活動量、または患者側の刺激された呼吸筋流量もしくは全呼吸筋流量または患者側の刺激された呼吸筋圧もしくは全呼吸筋圧の指標を含む、
請求項27から33までのいずれか1項記載のデバイス(10)。
【請求項35】
前記制御ユニット(14)が、前記患者の自発的な呼吸活動によって引き起こされる呼吸筋活動量、前記患者の自発的な呼吸活動によって引き起こされる呼吸筋流量、または前記患者の自発的な呼吸活動によって引き起こされる呼吸筋圧に関する情報を決定および提供するように構成されており、前記制御ユニット(14)が、前記患者の自発的な呼吸活動量に関する情報に基づいて前記呼吸補助の指標を決定するように構成されており、
前記呼吸補助の指標は、前記患者の自発的な呼吸活動量に関する情報が前記目標呼吸筋活動量を超える呼吸筋活動量を示す場合、前記患者のより強い鎮静の指標を示す、
請求項27から34までのいずれか1項記載のデバイス(10)。
【請求項36】
前記制御ユニット(14)が、前記呼吸補助の指標に応答して、前記第2の情報に基づいて前記患者の刺激インパルス応答に対する推定を実行するように構成されている、
請求項27から35までのいずれか1項記載のデバイス(10)。
【請求項37】
前記制御ユニット(14)が、刺激操作に基づいて推定値を決定するように構成されていている、
請求項36記載のデバイス(10)。
【請求項38】
前記制御ユニット(14)が、前記第1の情報および前記第2の情報のそれぞれについて信頼性を決定し、前記信頼性が所定の閾値を下回る場合に示すように構成されている、
請求項27から37までのいずれか1項記載のデバイス(10)。
【請求項39】
請求項27から38までのいずれか1項記載のデバイス(10)を備える、換気装置(470)、刺激器(460)、および/またはセンサユニット。
【請求項40】
患者の刺激的な換気補助のためのデバイス(10)であって、換気ユニットおよびセンサユニットと情報を交換するように構成された1つまたは複数のインタフェース(12)と、制御ユニット(14)とを備え、前記制御ユニット(14)は、
前記患者の呼吸筋の活動信号の時間的な推移に関する情報を検知し、
前記患者の筋肉による換気補助のために前記活動信号と時間的に整合させて前記呼吸筋を刺激する
ように構成されている、
デバイス(10)。
【請求項41】
前記制御ユニット(14)が、前記活動信号の時間的な推移に関する情報を検知するために、
前記患者自身によって行われる呼吸仕事量の割合の時間的な推移に関する情報を検知することと、
前記患者自身によって行われる呼吸仕事量の割合の時間的な推移に関する情報に基づいて前記患者の呼吸筋の活動信号を決定することと
を実行するように構成されている、
請求項40記載のデバイス(10)。
【請求項42】
前記制御ユニット(14)が、前記刺激するための下側の活動閾値を決定および考慮するように構成されており、前記呼吸筋が前記活動閾値を上回って刺激されると、前記呼吸筋の活動が起こり、前記呼吸筋が前記活動閾値を下回って刺激されると、前記活動は少なくとも減少するかまたは起こらなくなる、
請求項40または41記載のデバイス(10)。
【請求項43】
前記制御ユニット(14)が、前記刺激することを、前記活動信号とフィードフォワードで、かつ/または前記活動信号に比例して実行するように構成されている、
請求項40から42までのいずれか1項記載のデバイス(10)。
【請求項44】
前記制御ユニット(14)が、
刺激効果を決定するように構成されている、
請求項40から43までのいずれか1項記載のデバイス(10)。
【請求項45】
前記制御ユニット(14)が、前記患者の呼吸筋の前記活動信号の時間的な推移に関する情報として、
筋圧Pmus、
自発的な筋圧Pspon、
前記患者の筋肉によって引き起こされる呼吸ガス流量Flowmus、
前記患者の筋肉によって自発的に引き起こされる呼吸ガス流量Flowspon、
前記患者自身によって行われる呼吸仕事量WOB、および
前記患者自身によって行われる自発的な呼吸仕事量WOBspon
の群からの少なくとも1つの要素に関する情報を決定するように構成されている、
請求項40から44までのいずれか1項記載のデバイス(10)。
【請求項46】
前記制御ユニット(14)が、比例換気として前記患者に並列空気圧換気を行うように構成されている、
請求項40から45までのいずれか1項記載のデバイス(10)。
【請求項47】
前記制御ユニット(14)が、所定のレベルに基づいて前記刺激することの強度を設定するように構成されている、
請求項40から46までのいずれか1項記載のデバイス(10)。
【請求項48】
前記制御ユニット(14)が、前記所定のレベルを、前記刺激強度と前記活動信号とからの比または刺激強度と推定呼吸努力Pmusとからの比を介して決定するように構成されている、
請求項47記載のデバイス(10)。
【請求項49】
前記レベルが、刺激された呼吸活動量と前記患者の自発的な呼吸活動量との間の関係を規定し、前記制御ユニット(14)が、前記患者の呼吸筋の前記活動信号の時間的な推移に関する情報に基づいて前記患者の自発的な呼吸活動量を決定するように構成されている、
請求項48記載のデバイス(10)。
【請求項50】
前記制御ユニット(14)が、前記刺激された呼吸活動量と前記患者の自発的な呼吸活動量との間の関係と、前記患者の筋肉の活動インパルス応答とに基づいて刺激信号を検知するように構成されている、
請求項49記載のデバイス(10)。
【請求項51】
前記制御ユニット(14)が、前記刺激信号を、刺激によって引き起こされる所望の活動信号EMGstimの前記活動インパルス応答による逆畳み込みによって検知するように構成されている、
請求項50記載のデバイス(10)。
【請求項52】
前記制御ユニット(14)が、
前記自発的な呼吸活動量を、前記患者から自発的に発生した呼吸筋圧Psponとして検知し、
前記刺激された呼吸活動量を、刺激によって発生した呼吸筋圧Pstimとして検知し、
前記自発的な呼吸活動量を、前記患者から自発的に発生した呼吸ガス流量Flowsponとして検知し、
前記刺激された呼吸活動量を、刺激によって発生した呼吸ガス流量Flowstimとして検知し、かつ/または
前記自発的な呼吸活動量を、前記患者から自発的に発生した呼吸仕事量WOBspon
またはその時間導関数dWOBspon/dtとして検知し、
前記刺激された呼吸活動量を、刺激によって発生した呼吸仕事量WOBstim
またはその時間導関数dWOBstim/dtとして検知する
ように構成されている、
請求項49から51までのいずれか1項記載のデバイス(10)。
【請求項53】
患者の呼吸筋の状態を決定するための方法(20)であって、
刺激信号で前記患者の呼吸筋を刺激すること、
前記刺激することに対する応答として活動信号を検知すること、
前記刺激信号と前記活動信号とに基づいて、前記呼吸筋の1つまたは複数の状態パラメータを決定すること
を有する、
方法(20)。
【請求項54】
患者を換気するための方法(20)であって、
前記患者自身によって行われる換気の割合の指標を検知すること、
前記患者の負荷能力の指標を決定すること、
前記患者自身によって行われる換気の割合に影響を与えること、
前記患者自身によって行われる換気の割合の指標と、前記患者の負荷能力の指標とに基づいて、前記換気中に患者を補助すること
を有する、
方法(20)。
【請求項55】
患者の呼吸補助のための換気システムのコンポーネント(100)のための方法(20)であって、
前記患者の目標呼吸筋活動量に関する第1の情報を検知すること、
前記患者の実際呼吸筋活動量に関する第2の情報を検知すること、
前記第1の情報と前記第2の情報とに基づいて、前記患者の呼吸補助の指標を決定すること
を有する、
方法(20)。
【請求項56】
患者の刺激的な換気補助のための方法(20)であって、
前記患者の呼吸筋の活動信号の時間的な推移に関する情報を検知すること、
前記患者の筋肉による換気補助のために前記活動信号と時間的に整合させて前記呼吸筋を刺激すること
を有する、
方法(20)。
【請求項57】
請求項53から56までのいずれか1項記載の方法(20)の1つを実行するためのプログラムコードを含むコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
患者の状況、特に、患者の換気中、または患者の換気もしくは呼吸の補助中の状況には、患者に関する情報、例えば、患者の呼吸筋に関する情報、患者の負荷能力に関する情報、患者の呼吸補助の必要性に関する情報、それに患者の呼吸を適切に刺激して補助する手段に関する情報も必要である。
【0002】
呼吸および/または換気の環境における患者の状態を決定するというコンセプトでこのような情報に関する情報を取得することは、以下の説明で示される課題およびそれらの解決手段の根底を成す。
【0003】
本発明は、患者の呼吸筋の状態を決定するためのデバイス、方法およびコンピュータプログラムに関し、特に、限定されないが、呼吸筋の刺激に対する応答として活動信号の評価に基づいて患者の呼吸筋の少なくとも1つの状態パラメータを決定するというコンセプトに関する。
【0004】
本発明はまた、患者自身によって行われる換気の部分の負荷能力および指標を決定し、換気の補助中に負荷能力および指標を考慮するというコンセプトに関する。別の態様では、本発明は、患者の換気のための換気システム、デバイス、方法、およびコンピュータプログラムに関する。
【0005】
本発明はまた、目標呼吸筋活動量および実際呼吸筋活動量に基づいて患者の呼吸補助の指標を決定するというコンセプトに関する。別の態様では、本発明は、患者の呼吸補助のための換気システムのコンポーネントのためのデバイス、方法およびコンピュータプログラム、換気装置、刺激器、センサユニット、換気装置、刺激器およびセンサユニットのための方法およびコンピュータプログラム、換気システム、換気システムのための方法およびコンピュータプログラムに関する。
【0006】
本発明はまた、患者の自発的に発生した呼吸筋活動量に同期して、患者の刺激的な換気補助というコンセプトに関する。別の態様では、本発明は、患者の刺激的な換気補助のための換気システム、デバイス、方法およびコンピュータプログラムに関する。
【0007】
これらすべての上記のコンセプトおよび/または発明の態様は、換気中に患者の状況を改善するという努力の下で、患者の負荷、負荷能力および患者の呼吸補助の必要性について実際の状況に適合したものが提供されることによって一つにされる。この提供は、自動化された換気の実施および/または患者の呼吸努力を活動させるための刺激の実行に関連するコンセプトおよび措置の形態をとることができる。自動化された換気の実施は、強制換気、トリガー式強制換気、補助的換気の形態で行われてよい。
【0008】
集中治療医学において、自発呼吸の維持および回復は、長い間、優先課題が高かった。患者にとって自発呼吸が不可能な場合、肺組織の損傷を最小限に抑えることを目的とした肺保護換気が適用される。呼吸筋、特に横隔膜の保護が注目されるようになったのは、ごく最近のことである。本発明の先行技術は、例えば、以下の文献に見出すことができる:
米国特許第5,820,560号明細書、米国特許第7,021,310号明細書、国際公開第2019154834号、国際公開第2019154837号、国際公開第2019154839号、国際公開第2020079266号、国際公開第2020188069号、独国特許出願公開第102019006480号明細書、米国特許出願公開第20170252558号明細書、独国特許出願公開第102019006480号明細書、米国特許出願公開第20150366480号明細書、米国特許出願公開第20120103334号明細書、米国特許出願公開第20170252558号明細書、独国特許発明第102019007717号明細書、独国特許出願公開第102020000014号明細書、独国特許発明第102007062214号明細書、国際公開第2018143844号、独国特許出願公開第102015011390号明細書、独国特許出願公開第102015011390号明細書、独国特許出願公開第102021115865号明細書、独国特許出願公開第102020123138号明細書、独国特許発明第102007052897号明細書。
【0009】
以下に挙げられている情報源は、技術的、医療技術的、医学的な背景の他に、臨床的な背景に関する追加情報も提供する。以下のリストには、人体内/人体上のさまざまな測定信号または信号の検知および処理、ならびに換気、換気制御の他に、呼吸-刺激による換気の環境にもおけるその利用に関する文献および出版物の例示的な選択が含まれている。
Walker, D. J.: “Praediktion des Oesophagusdruckes durch den Mundverschlussdruck nach Magnetstimulation des Nervus Phrenicus”, Dissertation Universitaet Freiburg: 2006.
Kahl, L. et. Al.: “Comparison of algorithms to quantify muscle fatigue in upper limb muscles based on sEMG signals”, Medical Engineering & Physics: 2016.
Jansen D. et. al.: “Estimation of the diaphragm neuromuscular efficiency index in mechanically ventilated critically ill patients”, Critical Care: 2018.
Liu L. et. al.: “Neuroventilatory efficiency and extubation readiness in critically ill patients”, Critical Care: 2012.
Cattapan, S. E. et. al: “Can diaphragmatic contractility be assessed by airway twitch pressure in mechanically ventilated patients?”, Thorax: 2003.
Younes, M. et. al. “A method for monitoring and improving patient ventilator interaction”, Intensive Care Med: 2007.
Blanch Lluis et. al. “Measurement of Air Trapping, Intrinsic Positive End-Expiratory Pressure, and Dynamic Hyperinflation in Mechanically Ventilated Patients”, Respiratory Care: 2005.
Purro A. et. al. “Static Intrinsic PEEP in COPD Patients during Spontaneous Breathing”, AJRCCM: 1988.
Bernardi E. et. al. “A New Ultrasound Method for Estimating Dynamic Intrinsic Positive Airway Pressure: A Prospective Clinical Trial”, AJRCCM: 2018.
Pisani L. et. al. “Noninvasive detection of positive end-expiratory pressure in COPD patients recovering from acute respiratory failure”, European Respiratory Journal: 2016.
Bellani, G. et. al. “Clinical Assessment of Auto-positive End-expiratory Pressure by Diaphragmatic Electrical Activity during Pressure Support and Neurally Adjusted Ventilatory Assist”, Anesthesiology: 2014.
Younes, M. “Dynamic Intrinsic PEEP (PEEPi,dyn) Is It Worth Saving?”, AJRCCM: 2000.
Shalaby, R. E.-S.: “Development of an Electromyography Detection System for the Control of Functional Electrical Stimulation in Neurological Rehabilitation”, Dissertation, 2011.
Younes, M. et. al. “A method for monitoring and improving patient ventilator interaction”, Intensive Care Med (2007).
Putensen C. et. al. “Long‐term effects of spontaneous breathing during ventilatory support in patients with acute lung injury”, AM Journal Respir Crit Care Med 2001.
Otis, A. B. et. al.: “Mechanics of Breathing in Man”, J Appl Physiol. 1950.
Osuagwu, B. A. C. et. al. “Active proportional electromyogram controlled functional electrical stimulation system”, Nature 2020.
Virtanen, J. et. al. “Instrumentation for the measurement of electric brain responses to transcranial magnetic stimulation”, Med. Biol. Eng. Comput., 1999.
【0010】
これらおよび更なる文献は、それぞれ本発明の特定の態様について、説明の過程で参照されることがある。広範な引用の代わりに、それぞれ図の説明の後に含まれる表4への参照[E1]~[E38]が使用されることもある。
【0011】
言語的な表現による曖昧さを避けるため、本出願の冒頭に、理解に関する注意事項および用語の使用にも関する幾つかの説明を記載している。明細書および/または特許請求の範囲において、本発明の文脈では、方法において、もしくはデバイスの構成における制御ユニットの構成によっても、例えば、特に、「決定する」、「ハイパスフィルタリングする」、「確認する」、「刺激する」、「実行する」、「変換する」、「出力する」、「検知する」、「設定する」などの動詞の形態、実詞化された動詞の形態は、例えば、特に、「決定」、「ハイパスフィルタリング」、「確認」、「実施」、「変換」、「出力」、「検知」、「設定」、「刺激」などの実詞化された形態の名詞類による表現と同じ意味で使用される。本発明の開示に関して、名詞、名詞類、実詞化された動詞および動詞による表現には、同等かつ同様の意味があり、そのため、開示に関する動詞の形態と実詞化された形態との間の特徴および詳細についても、常に相互に参照されるか、もしくは参照され得る。「決定の実施、ハイパスフィルタリング、刺激、刺激作用、確認、検知、入力、出力、変換など」による表現も、同等かつ同様の意味に含まれるものとみなされる。デバイスおよびデバイスの実施形態に関連して本発明の文脈で説明されている特徴および詳細は、当然、本発明の文脈で説明された方法およびそれらの実施形態に関連して適用される他に、それぞれその逆もまた同様であり、そのため、本発明の個々の態様の開示に関して、常に相互に参照されるか、もしくは参照され得る。さらに、デバイス内もしくはシステム内またはデバイス上もしくはシステム上の部品、ユニット、要素またはモジュールの指定および割り当てに役立つ表現は、それぞれ互いに同義に使用されてよく、「制御ユニット」および「制御モジュール」などのように、技術的詳細において互いに対応し得る。同様に、例えば、「刺激器」という用語にも当てはまり、刺激器は、刺激デバイスまたは刺激するためのデバイスと呼ぶこともできる。同様に、例えば、「換気装置」という用語は、換気デバイスまたは換気のためのデバイスと呼ぶこともできる。
【0012】
独国特許出願公開第102019006480号明細書[E14]は、呼吸筋の筋電図検査法によって呼吸仕事量の割合の推定を可能にする方法を記載している。筋電図検査法(EMG)は、筋肉の自然な電気活動が測定される、生物に対する神経学的検査である。筋電図検査法は、筋肉が緊張したときの力を決定することを可能にする。表在筋の測定はsEMGとも呼ばれる。電気的インピーダンス筋電図検査法(EIM)は、筋肉の健康状態を評価するための非侵襲的な技術で、電気的インピーダンス測定によって、個々の筋肉または筋肉群の特性、それに筋肉の構成およびそれらの微細な構造も調べることができる。筋音図法(MMG)は、筋肉の弾性、粘性および塑性の性質を検知する技術である。パラメータPmusは、検知されたEMG信号(電気的筋運動図)、sEMG信号(表面電気的筋運動図)、EIM信号(電気的インピーダンス筋運動図)またはMMG信号(機械的筋運動図)から導出された変数を表す。パラメータPmusは、患者の筋肉による呼吸努力により引き起こされた圧レベルを示す。筋肉による呼吸努力の原因は、自発呼吸活動の形で患者自身によって開始され、かつ/または外部の、例えば、電気刺激、磁気刺激もしくは電磁気刺激によって引き起こされる可能性がある。一方で、筋肉による呼吸努力は、電気信号、電磁気信号または磁気信号から間接的に導出することができる。
【0013】
筋肉による呼吸努力は、例えば、患者の胸郭の圧を測定することによって、基準圧と比較した圧差として直接計測して検知することもできる。基準圧は、周囲圧または換気装置により提供される圧レベルとして選択することができる。換気装置により一般的に提供される圧レベルは、例えば、通常、吸気圧または吸気圧Pinspと呼ばれる吸気圧レベルの他に、例えば、通常、呼気圧または呼気圧Pexpと呼ばれる呼気圧レベルでもあり、呼気圧レベルの特殊な場合として、いわゆるPEEP(呼気終末陽圧)があり、これは周囲圧と比較した圧差として患者の気道の呼気終末で計測して検知できる圧レベルを表す。吸気圧Pinspおよび呼気圧Pexpの両方とも、周囲圧と比較した圧差として検知され、通常、単位mBarで与えられる。このようなパラメータPmusは、呼吸筋圧Pmusと呼ぶこともできる。
【0014】
明細書および/または特許請求の範囲において、本発明の文脈では、「筋肉による気道内圧」、「呼吸筋圧」という用語は、「パラメータPmus」、「圧パラメータPmus」、「患者の筋肉による呼吸努力によって引き起こされた圧を示す圧パラメータまたはパラメータP,Pmus」、「患者の筋肉によってもたらされる呼吸圧Pmus」といった表現とともに同義かつ同様に使用され、そのため、当該用語に関して相互に参照され得る。パラメータFlowmusは、パラメータPmusから導出された変数を表す。パラメータPmusの信号波形におけるより高い周波数は、気道内流量の筋肉関連成分、流れ方向および流れ方向の反転の指標を提供することができる。パラメータPmusのハイパスフィルタリングは、パラメータFlowmusを確認するために使用することができる。気道内流量という用語は、吸気相の間に患者に流入する、すなわち吸い込まれる、または呼気相の間に患者から流出する、すなわち吐き出される流量を指す。パラメータFlowmusは、流れ方向を伴う流量を示し、流れの原因は、患者の筋肉による呼吸努力に基づいている。筋肉による呼吸努力の原因は、自発呼吸活動の形で患者自身によって開始され、かつ/または外部の、例えば、電気刺激、磁気刺激もしくは電磁気刺激によって引き起こされる可能性がある。このようなパラメータFlowmusは、筋肉による気道内流量または呼吸筋流量Flowmusと呼ぶこともできる。パラメータPmusの信号波形のハイパス信号フィルタリングによる信号処理により、筋肉関連の呼吸相変化と、パラメータFlowmusの符号の反転があるパラメータFlowmusの時点とを決定することが可能になる。パラメータFlowmusの符号の反転は、患者の筋肉による呼吸努力に基づく吸気相(吸気)と呼気相(呼気)との間で呼吸相変化がある時点を示す。
【0015】
明細書および/または特許請求の範囲の記載において、本発明の文脈では、「筋肉による気道内流量」、「呼吸筋流量」という用語は、「パラメータFlowmus」、「流量パラメータFlowmus」、「患者の筋肉による呼吸努力によって引き起こされた圧を示す流量パラメータまたはパラメータFlow,Flowmus」、「患者の筋肉によって供給された流量Flowmus」といった表現とともに同義かつ同様に使用され、そのため、当該用語に関して相互に参照され得る。以下のリストは、本願の文脈で使用される用語の幾つかを明確にするのに役立つ:
・ 本発明の意味において、気道内圧は、生物の気道、肺、気管(Trachea)における圧または圧レベル-通常および典型的には周囲圧を上回る-と理解される。
・ 本発明の意味において、筋肉による気道内圧または呼吸筋圧は、特に、生物の呼吸筋の筋活動量および/または呼吸補助筋の-自発的または刺激された-筋活動量に基づく、気道内圧の割合として筋肉によってもたらされる呼吸圧と理解される。
・ 本発明の意味において、気道内流量または呼吸ガス流量は、呼吸ガスの量が吸気ガスの量として生物に向かったり生物内に入ったりする移動の他に、呼気ガスの量として生物から出たり生物を通して出たりするそれぞれの移動とも理解される。
・ 本発明の意味において、筋肉による気道内流量(または呼吸筋流量)は、生物の呼吸筋の筋活動量および/または呼吸補助筋の-自発的または刺激された-筋活動量に基づく、呼吸ガスの量が吸気ガスの量として生物に向かったり生物内に入ったりする移動の他に、呼気ガスの量として生物から出たり生物を通して出たりするそれぞれの移動とも理解される。
【0016】
本発明の文脈では、筋肉による気道内圧および呼吸筋圧という用語は同義に使用される。本発明の文脈では、筋肉による気道内流量および呼吸筋流量という用語は同義に使用される。
【0017】
呼吸筋は、吸気作用のある主要筋肉、横隔膜、および補助筋から成る。これらには、とりわけ外肋間筋(吸気作用)および内肋間筋(呼気作用)ならびに呼気作用のある腹筋が含まれる。例えば、長い換気時間や自発呼吸の補助が強すぎると横隔膜が萎縮し、煩雑なウィーニングが必要になることが判明した。他方で、呼吸器負荷の増加(閉塞、制限)により、呼吸筋が疲弊し、損傷(疲労)する可能性がある。多くの患者において、特定の状況で自身の呼吸努力が大きくなりすぎる傾向にあり、そのことがまた肺に損傷を与える可能性がある。先行技術には、呼吸筋をどのように刺激できるかについて説明されている。すべての筋肉は、筋繊維または摂食性遠心性神経を活動させることによって直接刺激することができる。例えば、横隔膜の筋繊維は、経皮的に直接刺激することができる。代替的に、横隔膜の収縮を司る横隔膜神経を刺激することもできる。いずれの場合も、筋肉が活動させられ、収縮が起こる。これらの方法の目的は、ウィーニングを改善し、分泌物の除去を促進し、必要に応じて換気または呼吸補助を回避することである。ここで換気または補助的自発呼吸のときとは異なり、呼吸ガスの投与は必要ない。
【0018】
米国特許出願公開第20170252558号明細書の他に、Cattapan, S. E. et. al: “Can diaphragmatic contractility be assessed by airway twitch pressure in mechanically ventilated patients?”, Thorax: 2003にも、流量センサおよび圧センサを使用して、患者の呼吸仕事量を決定し、目標回廊を達成するように刺激を調整することが行われている。しかしながら、換気装置との情報技術的な接続はない。呼吸力学のパラメータは、人工呼吸器のグラフィカルユーザインタフェースから取得し、別の刺激器に手動で入力しなければならない。さらに、従来の換気装置の場合、患者が自発的に強く呼吸している限り、空気圧信号から計算された呼吸力学の表示値に頼ることはできない。すなわち、確認された呼吸仕事量の指標はおおよその推定値にすぎない。
【0019】
それゆえに、特に行うべき呼吸仕事量に関して、換気および刺激を適切に調節および調整することができる方法は、これまでのところ知られていない。刺激および換気がその基本的なメカニズムにおいて調整されなければならないことは、例えば、国際公開第2019154834号、国際公開第2019154837号、国際公開第19154839号、国際公開第2020079266号、米国特許出願公開第2017/0252558号明細書から自明かつ既知である。しかしながら、例えば治療目標に応じて、補助および刺激のレベルを予め設定できる方法は、これまでのところない。典型的には、患者にとって必要な分時換気量ならびに機械の圧補助の閾値および限界値(トリガー、圧、周波数)が設定される。呼吸仕事量を機械と患者との間で分けるための十分に正確な手段がこれまでのところないため、患者が行うべき割合を決めることはほとんどできない。使用される換気装置の呼吸力学パラメータを手動で転送し、次に刺激器で利用する方法は、現実的には実行可能でない:パラメータは、例えば、患者の体位を変えた後に変化する。つまり、パラメータは繰り返し入力しなければならなかった。加えて、換気装置では空気圧信号のみを使用してパラメータが決定されたものである限り、それは非常に不正確である。つまり、患者が実際にどの程度行っているかはほとんど知られていない。なぜなら、駆動圧(Pmus)または呼吸ガス流量(FlowMus)に対する患者の寄与に関する知識が必要になるためである。独国特許出願公開第102019006480号明細書は、呼吸筋の筋電図検査法によるこれらの呼吸仕事量の割合の推定を記載している。
【0020】
「神経調節補助換気」(NAVA)を用いた方法では、例えば、Sinderby et al. “Is one fixed level of assist sufficient to mechanically ventilate spontaneously breathing patients?”, Yearbook of intensive care and emergency medicine, 2007の他に、Sinderby et al.: ”Neural ontrol of mechanically ventilation in respiratory failure”, Nature Medicine 1999に記載されているように、横隔膜の電気活動(EAdi)が、この電気活動に比例して人工呼吸器の圧補助を調節するために、電極を備えた改良胃ゾンデにより登録される。
【0021】
米国特許第7,021,310号明細書からは、横隔膜の電気活動の信号を使用した特定の比例補助NAVA法が知られており、その特徴は、特定の呼吸換気量に必要な横隔膜の電気活動(いわゆる神経換気効率)を「閉ループ」制御によって一定に保つことにある。
【0022】
米国特許出願公開第2009159082号明細書または独国特許発明第102007062214号明細書-本出願の明細書におけるそれらの説明は、「筋肉」、「呼吸筋」、「筋肉による気道内圧」、「呼吸筋圧」、「パラメータPmus」、「圧パラメータPmus」、「患者の筋肉の呼吸努力によって引き起こされた圧を示す圧パラメータまたはパラメータPmus」といった用語の開示に関しても明確に参照されるべきである-からは、圧パラメータPmusまたは「筋肉による気道内圧」もしくは呼吸筋圧Pmus,pmus(t)を確認することができる変形例が得られる。呼吸筋圧pmus(t)は、例えば、次のようにして決定することができる:
a)気道内圧、換気量流量Flow(t)の測定値から計算し、そこから積分によって呼吸換気量Vol(t)、ならびに肺機能パラメータR(レジスタンス)およびE(エラスタンス)を出す。
b)閉塞時に測定された気道負圧Pokkl(t)と同等に扱うことによって決定し、肺機能パラメータRおよびEも計算するか、または予め設定する。
c)胸腔内圧Pes(t)を測定するための圧センサを備え付けた食道カテーテルによる決定。食道カテーテルは、任意に、腹圧Pabd(t)を測定するために備え付けられていてよく、かつ使用することができる。
d)胸郭上に配置され、適切な割り当て規則、テーブル、関数または変換パラメータ、例えば、いわゆる「神経機械効率」もしくは「神経筋効率」(NME)によって呼吸筋圧Pmus(t)に関連付けることができるか、またはいわゆる「神経換気効率」(NVE)によって、相応して容量Vmus(t)にも関連付けることができる筋電図法もしくは筋音図法による電気信号を提供する表面電極またはセンサの配置による決定。
e)電極を備え、適切な割り当て規則、テーブル、関数または変換パラメータによって呼吸筋圧Pmus(t)に関連付けることができる電気信号を提供する胃ゾンデによる決定。
【0023】
a)~e)に挙げたPmus(t)またはPmusの決定の変形例と、デバイス、システムまたは方法におけるそれらの実現に必要な更なるコンポーネント、例えばセンサ、電極、表面電極、圧センサ、流量センサ、胃ゾンデ、食道カテーテルとが、それぞれ変形例に応じた結果をもたらす。呼吸活動信号Uemg(t)は、所定の変換規則によって圧信号pemg(Uemg(t))への変換に供され得る。変換規則は、Uemg(t)とpmus(t)との間の線形もしくは非線形回帰によって、または例えばニューラルネットワーク、機械学習もしくは単純なスケーリング+などの他の方法でも確認され得る。一例として、次の線形回帰式
mus(t)=a+a*Uemg(t)+a*uemg(t)+a3*u emg(t)+(t)
を用いて、求められた変換規則の回帰係数を決定することができ、それにより、例えば換気制御および/または刺激のための更なる使用のために変換されたpemg(t)信号を最終的に提供する。
【0024】
このことを前提として、課題が生まれ、当該課題に対して、本発明の態様による解決手段およびコンセプトが提供される。
【0025】
このことを前提として、本発明の課題は、治療法における診断のための改善されたコンセプトを提供することである。
【0026】
更なる課題は、換気中に患者を補助するための改善されたコンセプトを提供することである。
【0027】
更なる課題は、患者の呼吸補助のための改善されたコンセプトを提供することである。
【0028】
更なる課題は、患者の刺激換気補助のための改善されたコンセプトを提供することである。
【0029】
これらおよび更なる課題は、係属中の独立請求項の主題に従って解決される。
【0030】
この課題は、特に、特許請求項1の特徴を有するデバイスによって解決される。
【0031】
これらの課題はさらに、特許請求項14、27、40の特徴を有するデバイスによって解決される。
【0032】
これらの課題はさらに、特許請求項53、54、55、56の特徴を有する方法によって解決される。
【0033】
これらの課題はさらに、特許請求項57の特徴を有するコンピュータプログラムによって解決される。
【0034】
本発明の有利な実施形態は、下位請求項から得られ、図を部分的に参照しながら以下の説明でより詳細に説明される。
【0035】
以下では、以下の表1に示すように、次の用語が使用され、以下の可変部は経時的に変化する:
【表1】
【0036】
本明細書では、次の用語および用語の定義が使用される:
【0037】
(筋肉による)呼吸努力:
この用語は一般的な意味で使用される。これは、気道内流量を達成するために呼吸筋圧を生成する患者の筋肉による努力を指す。呼吸努力中に閉塞されたとき、すなわち気道内流量が遮断によって妨げられたとき、呼吸筋圧が発生するが(これは気道が開いているときに「口腔内圧」(口領域の圧)として測定できる)、気道内流量は生じない。これは呼吸筋の等尺性収縮である。呼吸努力は常に生理的仕事量に対応しているが、これは直接測定できない。一方、測定可能な身体的仕事は、収縮が等尺性でないとき、すなわち気道内流量が生成されたときにのみ行われる。
【0038】
呼吸補助:
呼吸補助は、筋肉による呼吸努力に対応する換気である。換気装置は、患者の(トリガーによって)検出された呼吸努力を補助ストロークと同期して補助する。つまり、患者により呼吸リズムが決められる。これは、圧制御補助(気道内圧が設定される)または-頻度は低いが-換気量制御補助(呼吸換気量が設定される)の場合がある。いずれの場合でも、身体的仕事は換気装置によって行われ、すなわち、患者の行うべき呼吸の全仕事量の一部が取り除かれる。
【0039】
(強制)換気:
強制換気では、患者の呼吸仕事量がすべて取り除かれる。呼吸リズムは機械により決定される。通常、強制換気中には患者は受動的であり、そのため人間/患者と機械との間で矛盾が生じないようにされる。患者の受動性は、多くの場合、鎮静剤または弛緩剤の投与によって達成される。
【0040】
WOB-呼吸仕事量:
これは、呼吸または/および換気のために行われる生理学的または身体的な仕事量である。等尺性収縮の場合、以下で説明するように、運動方程式の意味における身体的仕事は行われない。しかしながら、仕事量の他の定義、例えば、いわゆる圧-時間積(時間積分)を使用することができる。
【0041】
WOBtot-全呼吸仕事量:
これは、呼吸または/および換気のために行われる生理学的または身体的な全仕事量である。
【0042】
WOBvent-機械/人工呼吸器側の呼吸仕事量:
これは、換気装置によって行われる呼吸仕事量の割合である。
【0043】
WOBmus-患者側の(筋肉による)呼吸仕事量:
これは、筋肉の刺激の有無にかかわらず、患者のみによって行われる呼吸仕事量の割合である。
【0044】
WOBspon-自発的な(患者側の)呼吸仕事量:
これは、患者自身の自発的な呼吸によって行われる呼吸仕事である。この場合、筋肉は刺激されない。
【0045】
WOBstim-刺激された(患者側の)呼吸仕事量:
これは、患者の呼吸筋の刺激によって行われる呼吸仕事量である。
【0046】
Pdrv-駆動圧:
Pdrvは、換気装置および患者によってもたらされる圧の合計である。
【0047】
Pvent-換気圧:
Pventは、換気装置によってもたらされる圧である。
【0048】
Pmus-筋圧:
Pmusは、筋肉の刺激の有無にかかわらず、患者の筋肉のみによってもたらされる圧である。
【0049】
Pspon-自発的な筋圧:
Psponは、患者によって自発的に、すなわち刺激なしにもたらされる筋圧の割合である。
【0050】
Pstim-刺激された筋圧:
Pstimは、筋肉の刺激のみにより患者によってもたらされる筋圧の割合である。
【0051】
WOBbaseまたはPmusBase-基本呼吸負荷:
基本呼吸負荷は、呼吸仕事量、または抵抗性、弾性および場合によっては他の抵抗を克服し、健康な呼吸パターンで十分な量(例えば、臨床スタッフによって設定された分時換気量)を達成するために必要な駆動圧と同等に扱うことができる。呼吸パターンとして、有利には、エネルギー最適化されたパターンが想定される。
【0052】
呼吸仕事量もしくは駆動圧は、患者側または/および機械側でもたらされることができる。後者は(強制)換気の場合である。
【0053】
呼吸負荷:
呼吸負荷は、呼吸仕事量または換気のために実際に発生した駆動圧を検知することによって決定することができる。呼吸負荷は、通常、基本呼吸負荷よりも高くなる。なぜなら、患者の呼吸リズムがエネルギー最適化されていなかったり、患者が、例えば空気飢餓感を訴えて必要以上の量を求めていたり、患者と換気装置との間に非同期性があったりするためである。呼吸補助の場合、呼吸負荷の一部を換気装置が担う。
【0054】
活動信号:
これは、(刺激または自発的な呼吸努力によって引き起こされるどうかにかかわらず)筋肉のニューロンの活動を検知する信号で、例えば、sEMG信号(表面電気的筋運動図)、EIM信号(電気的インピーダンス筋運動図)、MMG信号(機械的筋運動図)である。代替的に、新しいタイプの光学技術または音響(例えば超音波)技術によって検知される信号も考慮される。以下では、他の信号を排除することなく、EMGのエンベロープが活動信号として使用される(簡単のために「EMG」と呼ぶ)。これは、それぞれ独自の活動信号を提供する種々の筋肉群(例えば、横隔膜および肋間筋)からの異なる活動信号があることを排除するものではない。(例えば、横隔神経の磁気刺激による)横隔膜の刺激の枠組みの中では、横隔膜の活動信号が注目される。
【0055】
活動能力:
これは、例えば、電気刺激または磁気刺激によって筋肉を電気的に興奮(活動)させる能力である。活動は、有利には、いわゆる磁気単収縮刺激、すなわち、刺激された筋肉の最大収縮をもたらす高強度の一過性の刺激インパルスによって引き起こされる[E11]。他の刺激パターンも考えられる。活動量は、活動信号によって、有利にはEMGによって検知され得る。
【0056】
有効性:
有効性とは、筋活動量によって達成される空気圧の目的変数(Zielgroesse)(圧または換気量)である。「神経機械効率」(または「神経筋効率」)NMEは、供給された筋圧と関連性があり[E18,E21]、神経換気効率NVEは、供給された換気量をEMGに関連付ける[E22]。有効性の決定には、多くの場合、操作、例えば閉塞または呼吸補助の変更が必要である。[E22]で説明されているように、この値は、例えば、換気装置からの離脱の進捗状況を評価する際に、診断上の意味を有する。
【0057】
実行可能な最大呼吸努力:
これは、呼吸筋の最大努力によって達成可能な呼吸仕事量WOBmusMax、換気量VolMusMaxまたは筋圧PmusMaxに対応する。PmusMaxは、標準化された方法で測定される可能性が最も高い。例えば、文献では、PImax値が、達成可能な最大筋圧、つまり口を閉じたときの吸気中に発生した最大圧の指標としてよく利用されている。横隔膜の随意収縮は信頼性の低い結果につながるため、最近では、いわゆる(典型的には磁気)単収縮刺激が、多くの場合、収縮を誘発するために使用されており、これは患者の協調能力に関係なく実施可能である。通常、PmusMaxは食道圧カテーテルを介して検知されるが、より簡単に測定可能な口閉鎖圧も同様に有意義であることが証明されている[E23]。刺激のトリガーが有利である[E11]。
【0058】
LI-負荷(Load Index):
これは、実行可能な最大呼吸仕事に対する実行された呼吸仕事量からの比の関数としての指標であり、「作業」の代わりに筋圧または他の指標を使用することもできる。筋圧の場合、負荷は次のように定義することができる:
LI=Pmus/PmusMax
【0059】
LBC-負荷能力(Load Bearing Capacity):
これは、筋肉が収縮によって特定の力または-呼吸筋の場合は-圧を発生させ、ひいては仕事を行うことができる能力である。負荷能力を定量化するために、筋肉によって発生させられた筋圧/呼吸仕事量は、実行可能な最大筋圧/呼吸仕事量によく関連付けられる。このようにして、負荷能力は、実行可能な最大呼吸努力に対する基本呼吸負荷の比の関数として定量的に決定することができる。基本呼吸負荷が実行可能な最大呼吸努力の一定部分を超えると、排他的な自然呼吸の負荷能力が与えられなくなり、換気が必須となる。
【0060】
筋圧の場合、負荷能力は次のように定義することができる:
LBC=1-PmusBase/PmuxMax
【0061】
疲労:
これは、呼吸筋の負荷能力が非常に低くなり、患者によって実行される呼吸負荷の割合が、実行可能な最大呼吸努力の一定部分、例えば50%を超えるようになると、しばらくしてから現れる。
【0062】
疲労レベル:
疲労のレベルは、負荷能力、呼吸努力およびその持続時間に関係するが、これらのみから直接計算することはできない。しかしながら、例えば筋肉の筋電図から計算でき、疲労度のサロゲートとすることができる指標がある[E19,E20]。
【0063】
関連する変数間の相関関係は、数式を用いて記述することもでき、その一部を以下に示す。呼吸仕事量は、対応する圧を換気量で積分したものとして計算でき、例えば、全呼吸仕事量については:
WOBtot=∫Pdrv(t)dV=∫Pdrv(t)・Flow(t)dt
である。
【0064】
代替的に(特に等尺性負荷の場合)、圧-時間積を使用することができる:
WOBtot~=∫Pdrv(t)dt
【0065】
駆動圧は-呼吸仕事量に類似して-さまざまな成分に分けられる:
Pdrv=Pvent+Pmus=Pvent+Pspon+Pstim
WOBtot=WOBvent+WOBmus=WOBvent+WOBspon+WOBstim
呼吸仕事量に類似して、流量または換気量も数理的にさまざまな成分に分けることができる:
Flow=FlowVent+FlowMus=FlowVent+FlowSpon+FlowStim
または:
Vol=VolVent+VolMus=VolVent+VolSpon+VolStim
【0066】
呼吸回路における基本的な運動方程式については、以下のように適用される:
Pdrv=Pvent+Pmus=R・Flow+E・Vol+const
式中、RおよびE=1/Cは、患者の呼吸力学パラメータであるレジスタンスおよびエラスタンス(コンプライアンスの逆数)を指す。この式は、患者の呼吸器系が単純なRC要素として記述できるという仮定の下で適用される。流量または換気量(前述のとおり)をそれぞれ換気装置および患者の部分の合計として定義すると、PventおよびPmusは次式で与えられる:
Pvent=R・FlowVent+E・VolVent+const
および
Pmus=R・FlowMus+E・VolMus+const
【0067】
換気装置の呼吸仕事量および患者の呼吸仕事量は、次のように計算することができる:
WOBvent=∫Pvent・Flow dt=∫Pdrv・FlowVent dt
WOBmus=∫Pmus・Flow dt=∫Pdrv・FlowMus dt。
【0068】
それぞれ2つの手段があることは、運動方程式(上述)から導き出され、積分に代入することによって証明することができる。簡略化された仮定では、PmusはEMG信号に比例する:
Pmus=NME・EMG
または、例えば、2つの筋群のEMG信号の線形結合として:
Pmus=NME1・EMG1+NME2・EMG2
仮定することができ、
式中、NME、NME1およびNME2は、それぞれの筋群の神経力学効率を表す。これにより、運動方程式が次のように変化する:
Pvent+Pmus=R・流量+E・換気量+const
から
Pvent=R・流量+E・換気量+const-NME EMG。
【0069】
NMEがどのように決定され得るかは、例えば、独国特許発明第102007062214号明細書、国際公開第2018143844号、独国特許出願公開第102019006480号明細書、独国特許出願公開第102020000014号明細書[E17,E18,E14,E15,E16]で既に説明されている。筋活動量とは、自発的な活動量と、刺激によって誘発される活動量とからの合計:
EMG=EMGspon+EMGstim
であり、
式中、刺激によって誘発される活動の振幅は、活動能力kと刺激強度の振幅Istim^とが乗法的に関係していると仮定される:
EMGstim^=k・Istim^
【0070】
スカラー関係は、刺激強度および活動量の指標がより大きな時間範囲、例えば全呼吸動作に適用される場合に使用可能である。しかしながら、刺激は通常、10~50Hzに対応する20~100ミリ秒(有利には20~25Hzに対応する40~50ミリ秒)間隔の加重インパルスのシーケンスとして生じる。個々のインパルス(単収縮)は単独の活動を誘発するが、活動信号の呼吸のような形が得られるのは、インパルス-シーケンス全体が終わった後である。すなわち、誘発された活動EMGstim(t)の時間的な推移は、刺激強度Istim(t)の時間的な推移と明らかに異なる。活動能力は、時間的に平均化された変数については、単純な定数(または特性曲線)としてのみ表現することができる。時間応答については、例えば単純な仮定でカーネルベースの推定が可能である:
EMGstim(t)=Istim(t)*k(t)
式中、*は畳み込み記号、k(t)は推定される活動能力のモデリングコア(カーネル)である。ここで、緊張性筋緊張の意味での活動量の等価部分(オフセット)は無視される。典型的には、Istim(t)は一過性の刺激インパルスシーケンスである。k(t)は強度Istim(t)の刺激インパルスに対する活動量のインパルス応答に対応する。
【0071】
カーネルk(t)を推定する方法は数多くあり、例えば、システム同定の方法、刺激依存の平均化(例えば、刺激前後時間ヒストグラムに類似)または最小二乗法推定法がある。
【0072】
方程式:
EMG=EMGspon+Istim(t)*k(t)
において、EMGsponは、カーネルを適応させることによって最小化される誤差信号であると仮定される。最後に、自発活動量EMGsponもこの手法で決定することができ、そのため運動方程式のすべての係数:
Pvent(t)=R・Flow(t)+E・Vol(t)+const-NME・[EMGspon(t)+k(t)*Istim(t)]
が知られている。これにより、全呼吸仕事量および駆動圧の割合を決定し、換気および刺激の制御に使用することができる。カーネルのサンプル値を推定する代わりに、パラメトリックな推定を行うこともできる。このようにして、カーネルをシステムインパルス応答として理解し、そのパラメータを同定することができる:
それに応じて、例えば、2つの筋群を、場合によっては刺激によって活動させる場合、以下のように適用される:
EMG=EMG1+EMG2
=EMG1spon+EMG1stim+EMG2spon+EMG2stim
および:
Pvent(t)=R・Flow(t)+E・Vol(t)+const
-NME1・[EMG1spon(t)+k1(t)*Istim1(t)]
-NME2・[EMG2spon(t)+k2(t)*Istim2(t)]。
【0073】
これにより、さまざまな筋群によってもたらされる呼吸仕事量の割合を決定することができる。すなわち、特定の刺激により、一定の筋群に選択的に影響を与え、活動につながる刺激操作が可能になる。こうして、神経力学効率とカーネルまたは刺激インパルス応答との推定が比較的容易になる。刺激の目的変数として呼吸仕事量(WOB)または筋圧(Pmus)を使用する代わりに、代替的に、筋肉によって引き起こされる流量の割合であるFlowMusを使用することもできる。状況によっては、FlowMusまたはその経時的な積分値である換気量VolMusが有利な場合がある(米国特許出願公開第20170252558号明細書,[E13])。臨床スタッフは、筋圧または呼吸仕事量とは対照的に、流量(Flow)または換気量という用語に非常に精通していることが有利であろう。流量または換気量を患者部分と機械部分とに分けることは、例示的な実施形態における基礎である。FlowMusが利用可能であれば、VolMusの積分(時間的な推移として)だけでなく、VTmus(筋肉により行われた一回換気量)またはMVmus(筋肉の分時換気量)によっても非常に簡単に決定することができる。これらの変数は、呼吸器系の診断および治療とって重要であり得る。
【0074】
例示的な実施形態は、患者の呼吸筋の状態が、刺激と、その後の刺激に対する呼吸筋の応答を計測して検知することで特徴付けられ得るという知識に基づいている。この場合、呼吸筋の応答から、例えば1つまたは複数の状態パラメータの形で、呼吸筋の状態に関する情報を得ることができる。
【0075】
更なる例示的な実施形態は、患者の筋肉の仕事量レベルが、患者の呼吸筋の負荷能力と自発的な呼吸活動量(呼吸仕事量の自己実施割合)とから導き出すことができるという知識に基づいている。筋肉の負荷能力が自己実施割合に対応するものよりも大きい場合、患者の筋肉に、例えば刺激によってより多くの負荷をかけることができる。自己実施割合が筋肉の負荷能力よりも大きい場合、例えば、鎮静レベルを高めることによって、患者の筋肉を緩和することができる。筋肉に実際にかかる負荷を設定することによって、筋肉にその状態に応じて、免荷、訓練または負荷をかけることができる。
【0076】
更なる例示的な実施形態は、患者の呼吸筋活動量を決定することができ、換気の枠組みの中で予め設定することができるという知識に基づいている。この場合、実際呼吸筋活動量と目標呼吸筋活動量とから、患者の呼吸補助の指標を決定することができる。
【0077】
更なる例示的な実施形態は、患者自身の活動量の時間的な推移が、患者の呼吸筋の活動信号から導き出せるという知識に基づく。この場合、時間的な推移に基づいて、呼吸筋の追加的な刺激を時間的に整合させて行うことができる。呼吸筋の活動量は、患者自身の活動量とそれに時間的に整合させられた刺激とに基づいている。このようにして、同期的かつ比例的な刺激換気補助を行うことができる。
【0078】
例示的な実施形態は、患者の呼吸筋の状態を決定するためのデバイスを提供する。このデバイスは、患者信号を検知するように構成された1つまたは複数のインタフェースを含む。
【0079】
例示的な実施形態は、患者を換気するためのデバイスを提供する。このデバイスは、換気ユニット、刺激ユニットおよび/またはセンサユニットと情報交換するように構成された1つまたは複数のインタフェースを含む。
【0080】
したがって、例示的な実施形態は、患者の呼吸補助のための換気システムのコンポーネントのためのデバイスを提供する。このデバイスは、換気システムのコンポーネントと通信するための1つまたは複数のインタフェースを含む。
【0081】
例示的な実施形態は、患者の刺激的な呼吸補助のための刺激器または刺激デバイスを提供する。このデバイスは、換気ユニットおよびセンサユニットと情報交換するように構成された1つまたは複数のインタフェースを含む。
【0082】
例示的な実施形態は、本明細書の文脈で記載されたデバイス、システム、方法、コンピュータプログラムまたはコンピュータプログラム製品の少なくとも1つに基づいて、換気中に患者を補助するための換気システム、換気デバイス、刺激デバイス(刺激器)の構成におけるデバイスを提供する。
【0083】
例示的な実施形態は、本明細書の文脈で記載されたデバイス、システム、方法、コンピュータプログラムまたはコンピュータプログラム製品の少なくとも1つを用いて、換気中に患者を補助する方法を提供する。例示的な実施形態は、プログラムコードがコンピュータ、プロセッサまたはプログラム可能なハードウェアコンポーネント上で実行されるときに、記載された方法の1つを実行するためのプログラムコードを有するコンピュータプログラムまたはコンピュータプログラム製品によって構成されていてよい。コンピュータプログラムまたはコンピュータプログラム製品は、医療技術システムの一部を構成することができる。医療技術システムにおいて、測定デバイス、換気デバイス、監視デバイス、刺激デバイス(刺激器)、圧測定用センサ、流量測定用センサ、EMG信号(電気的筋運動図)、sEMG信号(表面電気的筋運動図)、EIM信号(電気的インピーダンス筋運動図)またはMMG信号(機械的筋運動図)を検知するセンサなどの更なる要素を含み得る。本例示的な実施形態または本デバイスは、制御ユニットを含み得る。
【0084】
例示的な実施形態は、患者自身によって行われる換気の割合の指標を検知することと、患者の負荷能力の指標を決定することとを含み得る。例示的な実施形態は、患者自身によって行われる換気の割合に影響を与えることと、患者自身によって行われる換気の割合の指標と、患者の負荷能力の指標とに基づいて、換気中に患者を補助することとを含み得る。例示的な実施形態は、圧制御または換気量制御された換気による補助を含み得る。補助はまた、患者の呼吸筋を刺激することを含み得る。例示的な実施形態は、一次目標として予め設定された換気パラメータに関して患者の換気を調節することを含み得る。さらにまた、例示的な実施形態は、二次目標として予め設定された換気の割合に基づいて、患者自身によって行われる割合を調節することを含み得る。さらに、全呼吸換気量、患者自身によって実行される患者の呼吸換気量、患者自身によって実行される呼吸仕事量、および/または患者の酸素供給を監視および調節することが行われてもよい。影響を与えることと補助することとは、患者によって予め設定された呼吸リズムに基づいていてよいし、影響を与えることによって予め設定された呼吸リズムに基づいていてよい。例示的な実施形態では、影響を与えることと補助することとは、患者の自発活動が存在しかつ無害であれば、患者によって予め設定された呼吸リズムに基づいていてもよく、そうでなければ、補助することは、患者の自発活動が存在しないかまたは有害であれば、刺激によって予め設定された呼吸リズムに基づき、刺激効果がない場合、補助することは、空気圧換気によって予め設定された呼吸リズムに基づく。
【0085】
更なる例示的な実施形態は、患者の呼吸筋の効率を決定することを含み得、補助することは、さらにこの効率に基づいて行われる。さらにまた、患者の呼吸筋の活動能力を決定することが行われ得、補助することは、さらにこの活動能力に基づいて行われる。追加的または代替的に、患者の呼吸筋の疲労を決定することが行われ得、補助することは、さらにこの疲労に基づいて行われる。負荷能力を決定することは、呼吸力学的な基本負荷を決定することと、患者の可能な最大呼吸努力を検知することとを含み得る。可能な最大呼吸努力を検知することは、単収縮刺激を実行することを含み得る。
【0086】
制御ユニットは、刺激信号で患者の呼吸筋を刺激し、刺激することに対する応答として活動信号を検知するように構成されていてよい。さらに、制御ユニットは、刺激信号および活動信号に基づいて、呼吸筋の1つまたは複数の状態パラメータを決定するように構成されている。刺激に対する応答として活動信号を直接検知することによって、患者の呼吸筋の状態に関する情報を確実に取得することができる。
【0087】
制御ユニットは、1つまたは複数の刺激インパルスで刺激信号を生成するようにさらに構成されていてよい。刺激インパルスの使用は、インパルスシーケンスおよびインパルス強度を変化させることによって、筋肉の所望の応答を引き起こすことができるという利点を提供することができる。
【0088】
制御ユニットは、患者実施によって行われる換気の割合の指標を検知し、患者の負荷能力の指標を決定するように構成されていてよい。制御ユニットは、患者自身によって行われる換気の割合に影響を与え、患者自身によって行われる換気の割合の指標と、患者の負荷能力の指標とに基づいて、換気中に患者を補助するようにさらに構成されている。したがって、例示的な実施形態は、負荷能力および自己実施割合に適合された換気補助を可能にし得る。例えば、制御ユニットは、補助するために、圧制御または換気量制御された換気のための信号を出力するように構成されていてよい。これにより、空気圧換気補助が可能になる。追加的または代替的に、制御ユニットは、補助するために、患者の呼吸筋を刺激するための信号を出力するように構成されていてよい。このように、換気補助は、刺激的または空気圧的かつ刺激的にも行うことができる。
【0089】
患者自身によって行われる仕事量の指標は、
- 全呼吸圧に対して絶対的または相対的な筋圧Pmus
- Paw、または全駆動圧Pdrv、
- 患者の筋肉によって引き起こされる、全呼吸ガス流量Flowに対して絶対的または相対的な呼吸ガス流量Flowmus、
- 患者の筋肉によって引き起こされる、全呼吸換気量Volに対して絶対的または相対的な呼吸換気量Volmus、
- 患者自身によって行われる、全呼吸仕事量WOBに対して絶対的または相対的な呼吸仕事量WOBmus
の群からの少なくとも1つの要素を含み得る。
【0090】
制御ユニットは、患者の呼吸筋の活動信号の時間的な推移に関する情報を検知し、患者の筋肉による換気補助のために活動信号と時間的に整合させて呼吸筋を刺激するように構成されていてよい。こうして、効果的な刺激換気補助を行うことができる。さらに、制御ユニットは、活動信号の時間的な推移に関する情報を検知するために、患者自身によって行われる呼吸仕事量の割合の時間的な推移に関する情報を検知し、患者自身によって行われる呼吸仕事量の割合の時間的な推移に関する情報に基づいて患者の呼吸筋の活動信号を決定することを実行するように構成されていてよい。それゆえに、刺激補助は、患者自身によって行われる割合に基づいていてよい。制御ユニットはさらに、刺激するための下側の活動閾値を決定および考慮するように構成されていてよい。呼吸筋が活動閾値を上回って刺激されると、呼吸筋の活動が起こり得、呼吸筋が活動閾値を下回って刺激されると、活動は少なくとも減少するかまたは起こらなくなり得る。活動閾値を考慮することで、自己活動量と刺激された筋活動量との間のより良い時間的な整合を達成することができる。
【0091】
幾つかの例示的な実施形態では、刺激は、制御ユニットからの活動信号とフィードフォワード(Mitkopplung)で実行され得る。この場合、刺激は、例えば比例的に自己活動量を増大する。制御ユニットは、刺激効果を決定するように構成されていてよい。刺激効果が分かっていれば、実際の刺激補助をより細かく設定することができる。例えば、制御ユニットは、刺激効果を決定するために力価測定を実行するように構成されていてよい。こうして、刺激効果を個別かつ忠実に検討し、確認することができ。
【0092】
幾つかの例示的な実施形態では、制御ユニットは、刺激することを、活動信号に比例して実行するように構成されていてよい。これにより、この場合、例えば、患者の呼吸筋の負荷能力にも依存し得る相対的な刺激補助を設定することができる。
【0093】
患者の呼吸筋の活動信号の時間的な推移に関する情報として、例えば、
- 筋圧Pmus、
- 自発的な筋圧Pspon、
- 患者の筋肉によって引き起こされる呼吸ガス流量Flowmus、
- 患者の筋肉によって自発的に引き起こされる呼吸ガス流量Flowspon、
- 患者自身によって行われる呼吸仕事量WOB、
- 患者自身によって行われる自発的な呼吸仕事量WOBspon
の群からの少なくとも1つの要素に関する情報を決定することができる。例示的な実施形態は、活動信号を決定するための幾つかの手段を提供することができる。追加的または代替的に、制御ユニットは、患者に並列空気圧換気を提供するように構成されていてよい。このようにして、例示的な実施形態は、刺激補助と組み合わせた空気圧換気補助も可能にし得る。制御ユニットは、並列空気圧換気を比例換気として実行するように構成されていてよい。この場合、空気圧補助コンポーネントは、患者自身の活動に適応されていてよい。例えば、患者の呼吸筋の活動信号の時間的な推移に関する情報を検知することは、筋電図法による信号、電気的インピーダンス筋運動記録法からの信号、歪みセンサの信号、超音波センサの信号または筋音図法による信号に基づいて実行され得る。これらの例示的な実施形態の少なくとも幾つかは、活動信号の非侵襲的な検知の手段を提供する。
【0094】
更なる例示的な実施形態では、制御ユニットは、所定のレベルに基づいて刺激することの強度を設定するように構成されていてよい。これにより、簡単かつ効果的なプリセット強度を実現することができる。例えば、所定のレベルは、刺激強度と活動信号とからの比または刺激強度と推定呼吸努力Pmusとからの比により予め設定される。したがって、このレベルは、単純な比または単純な関係に対応することができる。このレベルはまた、刺激された呼吸活動量と患者の自発的な呼吸活動量との間の関係を規定することができる。これにより、例えば、患者の自発的な呼吸活動量を半分補助する、2倍補助するなどのように規定することができる。
【0095】
幾つかの例示的な実施形態では、制御ユニットは、患者の呼吸筋の活動信号の時間的な推移に関する情報に基づいて、患者の自発的な呼吸活動量を検知するように構成されていてよい。これにより、自発的な呼吸活動量を決定する効果的な手段が得られる。制御ユニットは、刺激された呼吸活動量と患者の自発的な呼吸活動量との間の関係と、患者の筋肉の活動インパルス応答とに基づいて、刺激信号を検知するようにさらに構成されていてよい。これにより、患者の実際の筋肉応答を考慮することができる。例えば、制御ユニットは、刺激によって引き起こされる所望の活動信号EMGstimの活動インパルス応答による逆畳み込みによって刺激信号を検知するように構成されていてよい。これにより、刺激信号を検知するための簡単な方法論が得られる。例えば、自発的な呼吸活動量は、患者から自発的に発生した呼吸筋圧Psponとして検知されることができ、刺激された呼吸活動量は、刺激によって発生した呼吸筋圧Pstimとして検知されることができる。追加的または代替的に、制御ユニットは、自発的な呼吸活動量を、患者から自発的に発生した呼吸ガス流量Flowsponとして検知し、刺激された呼吸活動量を、刺激によって発生した呼吸ガス流量Flowstimとして検知するように構成されていてよい。また、制御ユニットが、自発的な呼吸活動量を、患者から自発的に発生した呼吸仕事量WOBspon、またはその時間導関数dWOBspon/dtとして検知するために、刺激された呼吸活動量を、刺激によって発生した呼吸仕事量WOBstim、またはその時間導関数dWOBstim/dtとして検知するように構成されていることが可能である。例示的な実施形態は、自発的な呼吸活動量を決定するためにさまざまな変形例を利用することができる。
【0096】
幾つかの例示的な実施形態では、制御ユニットは、患者の1回の呼吸周期以上の時間水準で所定のレベルを追跡するように構成されていてよい。これにより、例示的な実施形態において補助レベルを適応させることも可能になる。制御ユニットは、患者側の駆動圧割合ΔPmus、患者側の換気量割合ΔVolmus、または患者側の呼吸仕事量の割合ΔWOBmusを含む目標値を達成するよう刺激を調節するように構成されていてよい。これにより、患者に合わせた換気補助を連続的に行うことができる。
【0097】
例示的な実施形態はまた、本明細書に記載される刺激デバイスを備えた換気システムを提供する。
【0098】
別の例示的な実施形態は、患者の刺激的な換気補助のための方法によって構成される。本方法は、患者の呼吸筋の活動信号の時間的な推移に関する情報を検知することと、患者の筋肉による換気補助のために活動信号と時間的に整合させて呼吸筋を刺激することとを含む。
【0099】
更なる例示的な実施形態では、活動信号の時間的な推移に関する情報を検知することは、患者自身によって行われる呼吸仕事量の割合の時間的な推移に関する情報を検知することと、患者自身によって行われる呼吸仕事量の割合の時間的な推移に関する情報に基づいて患者の呼吸筋の活動信号を決定することとを含み得る。本方法は、刺激するための下側の活動閾値を決定および考慮することをさらに含み得、呼吸筋が活動閾値を上回って刺激されると、呼吸筋の活動が起こり、呼吸筋が活動閾値を下回って刺激されると、活動は少なくとも減少するかまたは起こらなくなる。刺激は、活動信号とフィードフォワードで行われ得る。さらに、刺激効果が実行され得る。例えば、本方法は、刺激効果を決定するための力価値測定を含み得る。刺激することは、活動信号に比例して行われ得る。
【0100】
幾つかの例示的な実施形態では、患者の呼吸筋の活動信号の時間的な推移に関する情報は、筋圧Pmus、自発的な筋圧Pspon、患者の筋肉によって引き起こされる呼吸ガス流量Flowmus、患者の筋肉によって自発的に引き起こされる呼吸ガス流量Flowspon、患者自身によって行われる呼吸仕事量WOB、および患者自身によって行われる自発的な呼吸仕事量WOBsponの群からの少なくとも1つの要素に関する情報を含み得る。
【0101】
本方法は、患者の並列空気圧換気を含み得る。有利には、並列空気圧換気は、比例換気を含み得る。患者の呼吸筋の活動信号の時間的な推移に関する情報を検知することは、例えば、筋電図法による信号、電気的インピーダンス筋運動記録法からの信号、歪みセンサの信号、超音波センサの信号または筋音図法による信号に基づいて実行され得る。さらに、本方法は、所定のレベルに基づいて刺激することの強度を設定することを含み得る。所定のレベルは、刺激強度と活動信号とからの比または刺激強度と推定呼吸努力Pmusとからの比を含み得る。例えば、このレベルは、刺激された呼吸活動量と患者の自発的な呼吸活動量との間の関係を規定することができる。少なくとも幾つかの例示的な実施形態では、患者の自発的な呼吸活動量を検知することは、患者の呼吸筋の活動信号の時間的な推移に関する情報に基づいて行われ得る。
【0102】
追加的または代替的に、本方法は、刺激された呼吸活動量と患者の自発的な呼吸活動量との間の関係と、患者の筋肉の活動インパルス応答とに基づいて、刺激信号を検知することを含み得る。刺激信号を検知することは、例えば、刺激によって引き起こされる所望の活動信号EMGstimの活動インパルス応答による逆畳み込みによって行われ得る。代替的に、畳み込みが乗算として現れる周波数領域で処理を実行することもできる。このために、ブロックごとの変換が必要となる場合があり、遅延につながる可能性がある。自発的な呼吸活動量は、患者から自発的に発生した呼吸筋圧Psponを有し得、刺激された呼吸活動量は、刺激によって発生した呼吸筋圧Pstimを有し得る。追加的または代替的に、自発的な呼吸活動量は、患者から自発的に発生した呼吸ガス流量Flowsponを含み得、刺激された呼吸活動量は、刺激によって発生した呼吸ガス流量Flowstimを含み得る。自発的な呼吸活動量は、患者から自発的に発生した呼吸仕事WOBspon、またはその経時的導関数dWOBspon/dtを含み得、刺激された呼吸活動量は、刺激によって発生した呼吸仕事量WOBstim、またはその経時的導関数dWOBstim/dtを含み得る。
【0103】
更なる例示的な実施形態では、所定のレベルの追跡が、患者の1回の呼吸周期以上の時間水準で行われ得る。本方法は、患者側の駆動圧割合ΔPmus、患者側の換気量割合ΔVolmus、または患者側の呼吸仕事量の割合ΔWOBmusを含む目標値を達成するよう刺激を調節することをさらに含み得る。制御ユニットは、患者の目標呼吸筋活動量に関する第1の情報を検知し、患者の実際呼吸筋活動量に関する第2の情報を検知するように構成されていてよい。制御ユニットは、第1の情報と第2の情報とに基づいて、患者の呼吸補助の指標を決定するようにさらに構成されている。例示的な実施形態は、患者の効果的な呼吸補助を可能にし得る。例えば、デバイスは、患者の気道内流量を測定するための機器および気道内圧を測定するための機器を含み得る。制御ユニットは、気道内流量の測定および気道内圧の測定に基づいて、第1の情報および第2の情報を検知するように構成されていてよい。したがって、例示的な実施形態では、筋活動量を決定するために空気圧変数を使用することができる。デバイスはまた、空気圧呼吸補助のための機器を追加的に含み得、呼吸補助の指標は、空気圧呼吸補助の指標を含み得る。したがって、例示的な実施形態では、空気圧呼吸補助が行われ得る。さらにまた、少なくとも幾つかの例示的な実施形態では、デバイスは、呼吸補助の指標に基づいて患者を鎮静化するための機器をさらに含み得る。したがって、例示的な実施形態では、自動化または半自動化された鎮静化のための基礎が提供され得る。例えば、患者の気道内流量測定または気道内圧測定に関する測定情報を1つまたは複数のインタフェースを介して受け取ることができ、制御ユニットは、測定情報に基づいて呼吸補助の指標を決定するように構成されていてよい。この点で、換気システムの他のコンポーネントから測定情報を受け取ることも可能であり得る。
【0104】
更なる例示的な実施形態では、デバイスは、実際呼吸筋活動量に依存する信号をセンサにより検知するための機器をさらに含み得る。この場合、制御ユニットは、センサにより検知された信号に基づいて呼吸補助の指標を決定するように構成されていてよい。この点で、センサにより、特に非侵襲的に検知された信号も、呼吸補助の決定に際して考慮され得る。例えば、センサにより検知するための機器は、電気筋運動図、機械的筋運動図、または電気的インピーダンス筋運動図を検知するように構成されていてよい。これらの信号の少なくとも幾つかは、非侵襲的に検知できるという利点を提供することができる。例えば、センサにより検知するための機器は、歪みセンサ、超音波センサまたは食道圧センサを含み得る。
【0105】
幾つかの例示的な実施形態では、機器は、呼吸補助の指標に基づいて患者の呼吸筋を刺激するための機器をさらに含み得る。それゆえに、呼吸補助は、追加的または代替的な刺激で行われてもよい。
【0106】
幾つかの例示的な実施形態は、呼吸制御を可能にし得る。例えば、制御ユニットは、制御を介して、呼吸補助の指標に関する第1の情報と第2の情報との間の差異を低減するようにさらに構成されていてよい。例えば、制御ユニットは、呼吸補助の指標として患者に刺激信号を生成することができる。この場合、第1の情報と第2の情報とは、それぞれ患者側の刺激された呼吸筋活動量もしくは全呼吸筋活動量、患者側の刺激された呼吸筋流量もしくは全呼吸筋流量、または患者側の刺激された呼吸筋圧もしくは全呼吸筋圧の指標を含み得る。したがって、例示的な実施形態では、患者の自発的な自己活動量が考慮され得る。
【0107】
幾つかの例示的な実施形態では、制御ユニットは、患者の自発的な呼吸活動によって引き起こされる呼吸筋活動量、患者の自発的な呼吸活動によって引き起こされる呼吸筋流量、または患者の自発的な呼吸活動によって引き起こされる呼吸筋圧に関する情報を決定および提供するようにさらに構成されていてよい。この点で、患者の自発活動の更なる考慮または処理が可能になり得る。制御ユニットはまた、患者の自発的な呼吸活動量に関する情報に基づいて呼吸補助の指標を決定し、ひいては任意の制御においてそれを考慮するようにも構成されていてよい。呼吸補助の指標は、幾つかの例示的な実施形態では、患者の自発的な呼吸活動量に関する情報が目標呼吸筋活動量を超える呼吸筋活動量を示す場合、患者のより強い鎮静の指標を示すこともできる。このようにして、患者の筋肉および呼吸装置は、酷使されることから保護され得る。
【0108】
制御ユニットは、呼吸補助の指標に応答して、第2の情報に基づいて患者の刺激インパルス応答に対する推定を実行するようにさらに構成されていてよい。この場合、刺激インパルス応答および所望の活動から、対応する刺激促進を決定することができる。制御ユニットは、例えば、刺激操作に基づいて推定値を決定することができる。このような操作により、正確な推定が可能になり得る。制御ユニットは、推定を定期的または連続的に繰り返すように構成されていてよい。
【0109】
さらにまた、幾つかの例示的な実施形態では、制御ユニットは、第1および第2の情報のそれぞれについて信頼性を決定し、信頼性が所定の閾値を下回る場合にそれを示すように構成されていてよい。これにより、信頼性の低い情報に適宜対応することができるため、より効果的な呼吸補助を得ることができる。
【0110】
例示的な実施形態は、本明細書に記載されるデバイスの例示的な実施形態を有する換気装置も提供する。この場合、このような換気装置には、本デバイスについて説明した機能を組み込むことができる。
【0111】
更なる例示的な実施形態では、制御ユニットは、1つまたは複数のインタフェースを介して、呼吸補助の指標に関する情報を刺激器に通信するように構成されていてよい。この点で、例示的な実施形態は、換気装置と刺激器との間の対応する相互作用を可能にする。刺激器とは、呼吸補助のための刺激を可能にするデバイスを指す。
【0112】
呼吸補助の指標は、例えば、
- 振幅、
- ランプ勾配、
- 刺激持続時間、
- 開始時間、
- 終了時間、
- 実際呼吸筋活動量、
- 目標呼吸筋活動量
の群の少なくとも1つのパラメータを含み得る。この点で、この指標は、刺激器を制御するのに適切であり得る。
【0113】
1つまたは複数のインタフェースは、刺激器および/またはセンサユニットとリアルタイムで通信するように構成されていてよい。したがって、関与するコンポーネントの迅速な応答が確保され得る。例えば、1つまたは複数のインタフェースは、刺激器および/またはセンサユニットとサンプルごとにリアルタイムで通信するように構成されている。追加的または代替的に、1つまたは複数のインタフェースは、呼吸補助の指標の時間的な推移を刺激器および/またはセンサユニットと通信するように構成されていてよい。こうして、呼吸補助に関与するコンポーネント間の十分な時間同期が確保され得る。時間的な推移は、信号の形式、例えば、刺激器の刺激強度を記述し、これは、既知の形式の刺激強度を開始時間に誘発する。これにより、この場合、サンプルごとにリアルタイムで通信する必要がない。
【0114】
例示的な実施形態では、コンポーネントの時間的調整のためのさまざまな手段が考えられる。例えば、制御ユニットは、1つまたは複数のインタフェースを介して刺激器にクロックを予め設定するように構成されていてよい。幾つかの例示的な実施形態では、換気装置は、統合された刺激器も有することができる。制御ユニットは、1つまたは複数のインタフェースを介して第1および第2の情報を刺激器に提供するように構成されていてよい。追加的または代替的に、制御ユニットは、1つまたは複数のインタフェースを介して換気操作を刺激器と調整するように構成されていてよい。このようにして、例示的な実施形態は、換気装置と刺激器と、場合によってはセンサユニットとの協調動作による換気を可能にする。
【0115】
例示的な実施形態は、本明細書に記載されるデバイスの例示的な実施形態を有する刺激器も提供する。この場合、制御ユニットは、1つまたは複数のインタフェースを介して、センサユニットまたは換気装置から第1および第2の情報を受信するように構成されていてよい。この点で、対応する機能を有する刺激器も換気システムに組み込むことができる。
【0116】
刺激器において、制御ユニットは、1つまたは複数のインタフェースを介して、振幅、ランプ勾配、刺激持続時間、開始時間、終了時間、目標呼吸筋活動量の時間的な推移、気道内流量、気道内圧、呼吸筋圧、呼吸筋仕事量および呼吸筋流量の群からの少なくとも1つの情報をセンサユニットから受信するように構成されていてよい。これにより、センサユニットとの系統的な相互作用が確保され得る。開始時間または終了時間は、時計の示す時刻の意味での絶対時間である必要はなく、例えば、刺激を誘発または終了させるイベントとして理解される。
【0117】
制御ユニットは、1つまたは複数のインタフェースを介してセンサユニットおよび/または換気装置からクロックを受信するように構成されていてよい。これにより、関与するコンポーネントの十分な時間同期を達成することができる。それゆえに、刺激器は、受信したクロックに従うことができる。制御ユニットは、1つまたは複数のインタフェースを介してセンサユニットおよび/または換気装置にクロックを予め設定するように構成されていてよい。幾つかの例示的な実施形態では、刺激器は、他のコンポーネントにクロックを提供または予め設定することもできる。ここで、制御ユニットは、1つまたは複数のインタフェースを介してリアルタイムで通信するように構成されていてもよい。このようにして、システム内のコンポーネントの十分な時間同期を達成することができる。制御ユニットは、1つまたは複数のインタフェースを介して換気操作を換気装置と調整するように適宜構成されていてよい。こうして、換気操作を適宜調整することができる。
【0118】
例示的な実施形態は、本明細書に記載されるデバイスの実施形態を有するセンサユニットも提供する。この場合、制御ユニットは、1つまたは複数のインタフェースを介して換気装置から少なくとも1つの空気圧信号に関する情報を受信し、少なくとも1つの空気圧信号に関する情報にさらに基づいて呼吸補助の指標を決定するように構成されていてよい。この点で、呼吸補助の指標を決定する際に、センサユニットによって空気圧信号が考慮され得る。例えば、制御ユニットは、センサ信号に基づいて第2の情報を検知するように構成されていてよい。この場合、センサ信号は、実際呼吸筋活動量を決定するために使用することができる。ここで、制御ユニットは、1つまたは複数のインタフェースを介してリアルタイムで通信し、ひいては換気システムのコンポーネント間の十分な時間同期を確立するように構成されていてもよい。ここで、制御ユニットは、1つまたは複数のインタフェースを介して、振幅、ランプ勾配、刺激持続時間、開始時間、終了時間、実際呼吸筋活動量、気道内流量、気道内圧、呼吸筋圧、呼吸筋仕事量および呼吸筋流量の群からの少なくとも1つの情報を呼吸補助の指標として換気装置または刺激器に提供するように構成されていてもよい。これにより、他のコンポーネントとの系統的な相互作用が可能になり得る。これに従って、制御ユニットは、1つまたは複数のインタフェースを介して、操作に関する情報を換気装置または刺激器から受け取るように構成されていてよい。これにより、コンポーネント間の操作の調整が可能になり得る。
【0119】
幾つかの例示的な実施形態では、制御ユニットは、1つまたは複数のインタフェースを介して、第1の情報として、または第1の情報とともに、ゲーティング、マスキングする測定時間、フィルタリング、または刺激アーチファクトの抑制に関する情報を換気装置または刺激器から受信するようにさらに構成されていてよい。これにより、センサ信号の干渉を効果的にマスキングすることができる。
【0120】
例示的な実施形態は、本明細書に記載されるデバイスの例示的な実施形態を有する換気システムも提供する。換気システムは、本明細書に記載される換気装置を含み得る。換気システムは、追加的または代替的に、本明細書に記載される刺激器または本明細書に記載されるセンサユニットも含み得る。
【0121】
例示的な実施形態は、患者の呼吸補助のための換気システムのコンポーネントのための方法も提供する。本方法は、患者の目標呼吸筋活動量に関する第1の情報を検知することと、患者の実際呼吸筋活動量に関する第2の情報を検知することと、第1の情報と第2の情報とに基づいて、患者の呼吸補助の指標を決定することとを含む。
【0122】
例示的な実施形態では、本方法は、気道内流量測定および気道内圧測定に基づいて、第1の情報および第2の情報を検知することをさらに含み得る。呼吸補助の指標は、空気圧呼吸補助の指標を有し得る。本方法は、呼吸補助の指標に基づいて患者を鎮静化することを含み得る。さらにまた、本方法は、患者の気道内流量測定または気道内圧測定に関する測定情報を受け取ることと、測定情報にさらに基づいて呼吸補助の指標を決定することとを含み得る。実際呼吸筋活動量に依存する信号のセンサによる検知と、センサにより検知された信号に基づく呼吸補助の指標の決定とが行われ得る。
【0123】
センサにより検知された信号は、例えば、電気筋運動図、機械的筋運動図、または電気的インピーダンス筋運動図であり得る。センサによる信号を検知することは、例えば、歪みセンサ、超音波センサまたは食道圧センサにより検知され得る。更なる例示的な実施形態では、本方法は、呼吸補助の指標に基づいて患者の呼吸筋を刺激することも有し得る。呼吸補助の指標に関する制御によって、第1の情報と第2の情報との間の差異を低減することが行われ得る。追加的または代替的に、呼吸補助の指標として、患者に対して刺激信号を生成することが行われ得る。第1および第2の情報は、それぞれ患者側の刺激された呼吸筋活動量もしくは全呼吸筋活動量、患者側の刺激された呼吸筋流量もしくは全呼吸筋流量、または患者側の刺激された呼吸筋圧もしくは全呼吸筋圧の指標を含み得る。本方法は、患者の自発的な呼吸活動によって引き起こされる呼吸筋活動量、患者の自発的な呼吸活動によって引き起こされる呼吸筋流量、または患者の自発的な呼吸活動によって引き起こされる呼吸筋圧に関する情報を決定および提供することを有し得る。本方法は、患者の自発的な呼吸活動量に関する情報に基づいて呼吸補助の指標を決定することを含み得る。
【0124】
呼吸補助の指標は、患者の自発的な呼吸活動量に関する情報が目標呼吸筋活動量を超える呼吸筋活動量を示す場合、患者のより強い鎮静の指標も示すことができる。さらにまた、呼吸補助の指標に応答して、第2の情報から患者の刺激インパルス応答を推定することが行われ得る。例えば、この推定は、刺激操作に基づいて行われ得る。推定は、定期的または連続的に行われ得る。本方法は、第1および第2の情報についてそれぞれの信頼性を決定することも含み得、信頼性が所定の閾値を下回る場合にそれを示すことができる。
【0125】
例示的な実施形態は、本明細書に記載される方法のいずれかを含む換気装置のための方法も提供する。本方法は、呼吸補助の指標に関する情報を刺激器に通信することを含み得る。呼吸補助の指標は、振幅、ランプ勾配、刺激持続時間、開始時間、実際呼吸筋活動量、終了時間および目標呼吸筋活動量の群の少なくとも1つのパラメータを有し得る。本方法では、刺激器および/またはセンサユニットとリアルタイムで通信することも行われ得る。例えば、通信は、刺激器および/またはセンサユニットとサンプルごとにリアルタイムで行われ得る。通信は、呼吸補助の指標の時間的な推移を刺激器および/またはセンサユニットと通信することを含み得る。刺激器にクロックを予め設定することが行われ得る。本方法は、第1および第2の情報を刺激器に予め設定すること、および/または換気操作を刺激器と調整することを含み得る。
【0126】
例示的な実施形態は、本明細書に記載される方法のいずれかを含む刺激器のための方法も提供する。この場合、第1または第2の情報の受信は、センサユニットまたは換気装置から行われ得る。振幅、ランプ勾配、刺激持続時間、開始時間、終了時間、実際呼吸筋活動量、目標呼吸筋活動量、気道内流量、気道内圧、気道筋圧、気道筋仕事量および気道筋流量の群からの少なくとも1つの情報がセンサユニットから受信され得る。さらにまた、センサユニットおよび/または換気装置からクロックが受信され得る。センサユニットおよび/または換気装置にクロックを予め設定することもできる。通信はリアルタイムで行われ得る。これは、「ゲーティング」(アーチファクト/干渉のマスキング)の場合に特に重要であり得る。クロックを予め設定することによって、センサユニットは、刺激が行われているとき、すなわちアーチファクト/干渉が予想されるときに情報を受け取ることができる。本方法は、換気操作を刺激器と調整することを含み得る。
【0127】
例示的な実施形態は、本明細書に記載される方法のいずれかを有するセンサユニットの方法も提供する。本方法は、換気装置から少なくとも1つの空気圧信号に関する情報を受信することと、少なくとも1つの空気圧信号に関する情報にさらに基づいて呼吸補助の指標を決定することとを含み得る。センサ信号に基づいて第2の情報を検知することが行われ得る。本方法は、リアルタイムで通信することを有し得る。さらにまた、呼吸補助の指標として、振幅、ランプ勾配、刺激持続時間、開始時間、終了時間、実際呼吸筋活動量、気道内流量、気道内圧、呼吸筋圧、呼吸筋仕事量および呼吸筋流量の群からの少なくとも1つの情報を換気装置または刺激器に提供することが行われ得る。操作に関する情報を受け取ることができる。例えば、第1の情報として、または第1の情報とともに、ゲーティング、マスキングする測定時間、フィルタリング、または刺激アーチファクトの抑制に関する情報が換気装置または刺激器から受信され得る。
【0128】
さらにまた、例示的な実施形態は、本明細書に記載される方法のいずれかを有する換気システムのための方法を提供する。本方法は、本明細書に記載される換気装置のための方法、本明細書に記載される刺激器のための方法、および/または本明細書に記載されるセンサユニットのための方法を含み得る。制御ユニットは、活動信号をインパルス応答として検知するように構成されていてよい。こうして、インパルス応答によって、特定の刺激インパルスシーケンスに対する応答、または所望の応答のための特定の刺激インパルスシーケンスが決定され得る。
【0129】
制御ユニットは、1つまたは複数の状態パラメータを決定することにより、患者の呼吸筋の活動能力を決定するようにさらに構成されていてよい。活動能力は、例えば、呼吸筋の疲労レベル(「疲れ」とも呼ばれる)を考慮するのに役立ち得る。例えば、筋繊維の一部は動員/活動することができない。疲労レベルは、活動の結果としての収縮(力/圧の発生)の欠如と大きく相関している。すなわち、筋繊維は活動しているにもかかわらず、ほとんどその能力を発揮していない。
【0130】
幾つかの例示的な実施形態では、制御ユニットは、活動能力を決定する際に、刺激信号の下側の活動閾値を考慮するように構成されていてよく、呼吸筋が活動閾値を下回って刺激されると、呼吸筋の活動は減少するかまたは起こらなくなる。活動閾値を上回っていれば、例えば呼吸筋の明確な応答とともに刺激が起こり得る。活動閾値が分かれば、刺激は、例えば換気または自発呼吸とより良く同期させることができる。例えば、患者にとってできるだけ快適な刺激を作り出すために、ランプ状のプロファイルが刺激に使用される。しかしながら、ランプが0から始まる場合、呼吸筋が実際に応答するまでに大幅なタイムラグが生じることがある。なぜなら、ランプ勾配が有限であるため、活動閾値を超えるまでにしばらく時間がかかる可能性があるためである。
【0131】
更なる例示的な実施形態では、制御ユニットは、刺激によって発生し得る呼吸筋圧Pstim、刺激によって発生し得る呼吸換気量Volstim、および/または刺激によって発生し得る患者の呼吸仕事量を決定するようにさらに構成されていてよい。これにより、刺激の所望の補助レベルに基づいて刺激効果および刺激強度が検知され得る。追加的または代替的に、制御ユニットは、空気圧診断操作を実施して空気圧換気パラメータをさらに決定し、空気圧換気パラメータにさらに基づいて1つまたは複数の状態パラメータを決定するように構成されていてよい。空気圧換気パラメータを考慮に入れることは、1つまたは複数の状態パラメータのより信頼性の高い決定に寄与し得る。例えば、空気圧診断操作は、閉塞、呼吸流量制限、個々の呼吸動作の補助の省略、または患者の呼吸補助の変動性を含み得る。一般に、例示的な実施形態では、空気圧パラメータをさらに決定するための多様な診断操作が考えられる。
【0132】
幾つかの例示的な実施形態では、患者自身によって行われる割合の指標を検知することは、筋電図法による信号、電気的インピーダンス筋運動記録法からの信号、筋音図法による信号、超音波信号、歪みセンサの信号、または食道圧センサの信号に基づいて実行され得る。これらの選択肢の少なくとも幾つかは、情報または信号を非侵襲的に検知する手段を提供する。
【0133】
更なる例示的な実施形態では、制御ユニットは、患者自身によって行われる割合に影響を与えるために、患者の呼吸筋を刺激するための信号を出力するように構成されていてよい。これにより、患者の筋肉を、これが筋肉の負荷能力と一致し得るのであれば、ある程度まで活動させ、訓練することができる。制御ユニットはまた、患者自身によって行われる割合に影響を与えるために、薬物投与量に影響を与える信号を出力するように構成されていてよい。これにより、筋肉および肺組織の過負荷を防止することができ、特に患者の自発的な活動のレベルが負荷能力を超える場合、筋肉の損傷を防止することができる。駆動圧(筋圧が直接寄与する)、したがって一回換気量も高すぎると、肺は、圧外傷または換気量外傷ならびに肺領域に穴が開いたり縮んだりの繰り返しによって損傷する可能性がある。肺保護換気はこれを回避する。このようにして、例示的な実施形態は、横隔膜保護換気と肺保護換気との両方を可能にし得る。
【0134】
例示的な実施形態では、さまざまな調節機構が考えられる。例えば、制御ユニットは、一次目標として予め設定された換気パラメータに関して患者の換気を調節するように構成されていてよい。追加的または代替的に、制御ユニットは、二次目標として予め設定された換気の割合に基づいて、患者自身によって行われる割合を調節するように構成されていてよい。このようにして、例示的な実施形態では、効率的な制御が行われ得る。全呼吸換気量および患者自身によって実行される呼吸仕事量は、制御ユニットによって監視および調節され得る。さらにまた、制御ユニットは、患者自身によって実行される呼吸仕事量を調節および監視するように構成されていてよい。同時に、患者の酸素供給も、制御ユニットによって監視および/または調節され得る。このようにして、例示的な実施形態では、包括的な監視および換気制御が実行され得る。制御ユニットは、影響を与えることと補助することとを、患者によって予め設定された呼吸リズムに合わせるように構成されていてよい。これにより、同期的、ひいては患者にとってより快適な換気補助が行われ得る。更なる例示的な実施形態では、補助することを、例えば、患者の活動がないか、または非常に少ない場合、影響を与えることによって予め設定された呼吸リズムに合わせることも有利であり得る。つまり、制御ユニットは、影響を与えることと補助することとを、患者の自発活動が存在しかつ無害であれば、患者によって予め設定された呼吸リズムに合わせ、そうでなければ、補助することを、患者の自発活動が存在しないかまたは有害であれば、刺激によって予め設定された呼吸リズムに合わせ、刺激効果がない場合、補助することを、空気圧換気によって予め設定された呼吸リズムに合わせるように構成されていてよい。この場合、例示的な実施形態では、換気補助は、患者の状態に基づいて適応および同期され得る。
【0135】
幾つかの更なる例示的な実施形態では、制御ユニットは、患者の呼吸筋の効率を決定するように構成されていてよく、補助することは、この効率にさらに基づいている。これにより、補助は、この呼吸筋の効率にさらに整合され得る。さらにまた、制御ユニットは、患者の呼吸筋の活動能力を決定するように構成されていてよく、補助することは、この活動能力にさらに基づいている。それゆえに、この場合、換気補助の際に活動能力も考慮され得る。追加的または代替的に、制御ユニットは、患者の呼吸筋の疲労を決定するように構成されていてよく、補助することは、この疲労にさらに基づいており、したがって、これについても考慮され得る。幾つかの例示的な実施形態では、制御ユニットは、負荷能力を決定するために呼吸力学的な基本負荷を決定し、患者の可能な最大呼吸努力を決定するように構成されていてよい。これにより、例えば、期待され得る呼吸努力の際に基本負荷も考慮され得る。制御ユニットは、例えば、単収縮刺激を実行することによって可能な最大呼吸努力を決定するように構成されていてよい。これにより、最大呼吸努力の効果的な決定が可能になり得る。
【0136】
幾つかの更なる例示的な実施形態では、制御ユニットはまた、患者の呼吸筋の負荷能力の指標をさらに決定するように構成されていてよい。負荷能力の指標は、呼吸筋の過負荷を防止するために使用され得る。例えば、負荷能力の指標は、基本負荷PmusBaseと患者の実行可能な最大呼吸努力PmusMaxとの間の関係に基づいていてよく、このことにより、指標の効率的な決定が可能になり得る。制御ユニットは、患者の呼吸筋の効率の指標をさらに決定するように構成されていてよい。この効率は、例えば、換気中に空気圧的呼吸補助と刺激的呼吸補助とからのバランスをとるのに寄与し、空気圧的補助は、患者から呼吸仕事量を減らし、刺激的補助は、患者に呼吸仕事量を強いる。効率の指標はまた、例えば、刺激によって発生し得る呼吸換気量と活動信号との比を含み得る。追加的または代替的に、効率の指標はまた、例えば、刺激によって発生し得る呼吸筋圧と活動信号との比を含み得る。さらにまた、制御ユニットは、1つまたは複数のインタフェースを介して1つまたは複数の状態パラメータに関する情報を出力するように構成されていてよい。
【0137】
幾つかの例示的な実施形態では、非侵襲的な治療法において治療進捗状況の検知が行われ得る。例えば、呼吸筋の効率、その負荷能力、場合によっては疲労レベルなどが監視される。さらにまた、患者が行うべき呼吸努力を予め設定することができる。例えば、EMG信号から、換気量/流量、次にWOB/Pmus/FlowMus/VolMusが予め設定される。患者/換気状況に応じて、「クロックジェネレータ」の規定も行うことができる。例示的な実施形態では、患者の呼吸努力の割合の検知/規定は、例えば換気装置を介して、自発的および刺激的に行うことができる。さらにまた、負荷能力を高め、最終的に離脱させることを目的とした自動化を行うことができる。行うべき呼吸努力は、実行可能な最大努力との関係で予め設定することができる。換気のための規則に基づいたシステムを提供することができ、これにより、例えば、対応する軌跡または治療計画を予め設定することができる。
【0138】
上記の構成は、主にデバイスに関連してなされたものであり、方法のそれぞれの方法ステップにも同様に適用される。したがって、補助することは、圧制御または換気量制御された換気を含み得る。補助することはまた、患者の呼吸筋を刺激することを含み得る。患者自身によって行われる割合の指標を検知することは、筋電図法による信号、電気的インピーダンス筋運動記録法からの信号、筋音図法による信号、超音波信号、歪みセンサの信号、または食道圧センサの信号に基づいて実行され得る。患者自身によって行われる割合に影響を与えることは、患者の呼吸筋を刺激することおよび/または薬物投与量に影響を与えることを含み得る。本方法は、一次目標として予め設定された換気パラメータに関して患者の換気を調節することをさらに含み得る。方法20はまた、二次目標として予め設定された換気の割合に基づいて患者自身によって行われる割合を調節することを含み得る。追加的または代替的に、全呼吸換気量、患者自身によって実行される呼吸換気量、患者自身によって実行される呼吸仕事量および/または患者の酸素供給を監視および調節することが行われてもよい。幾つかの例示的な実施形態では、影響を与えることと補助することとは、患者によって予め設定された呼吸リズムに基づくか、または影響を与えることによって予め設定された呼吸リズムに基づくことができる。影響を与えることと補助することとは、患者の自発活動が存在しかつ無害であれば、患者によって予め設定された呼吸リズムに基づくことができ、そうでなければ、補助することは、患者の自発活動が存在しないかまたは有害であれば、刺激によって予め設定された呼吸リズムに基づき、刺激効果がない場合、補助することは、空気圧換気によって予め設定された呼吸リズムに基づく。
【0139】
さらにまた、例示的な実施形態では、患者の呼吸筋の効率、活動能力および/または疲労を決定することが行われ得、補助することは、効率、活動能力および/または疲労にさらに基づいている。負荷能力を決定することは、呼吸力学的な基本負荷を決定することと、患者の可能な最大呼吸努力を検知することとを含み得る。可能な最大呼吸努力を検知することは、単収縮刺激を実行することを含み得る。
【0140】
例示的な実施形態は、診断のために換気と筋刺激とからの組み合わせを可能にし得る。例えば、例示的な実施形態は、呼吸筋刺激と換気との組み合わせを使用する自動治療法またはシステムのための機構を提供することができる。この機構は、治療に必要な目標信号を対応する制御信号に変換し(例えば、目的の筋圧を刺激強度に変換)、筋刺激と換気との両方をそれらの効果のために制御することができるようにする。例示的な実施形態は、患者に効果的で実質的に自動化された治療を可能するシステムを補助し得る。患者は、例えば、不十分なガス交換および/または制限された呼吸筋ポンプ機能の理由で、呼吸補助または機械的換気を必要とする場合がある。例示的な実施形態は、呼吸筋刺激と換気との組み合わせを含む自動化された治療法およびシステムをさらに提供することができる。これにより、不十分なガス交換および/または制限された呼吸筋ポンプ機能の理由で、呼吸補助または機械的換気を必要とする患者に効果的で実質的に自動化された治療法が可能にされ得る。従来の換気とは異なり、本システムは、呼吸筋-有利には吸気呼吸筋、主として横隔膜-の活動と、肺のガス交換との両方を適切に監視および制御する必要がある。従来の換気では、多くの場合、肺への損傷(人工呼吸器誘発肺損傷,VILIとも呼ばれる)および/または横隔膜への損傷(人工呼吸器誘発横隔膜機能不全,VIDD)が生じる。駆動圧(換気圧と筋圧とから合計)は、一回換気量が多くなりすぎることにつながり、それによって肺に損傷を与える可能性がある。呼吸筋は過負荷により疲弊したり、活動量が少なすぎるために萎縮したりする。後者の場合、吸気中に呼吸筋が陰圧とともに引っ張られる場合よりも、必要な包括的な陽圧換気の方が肺組織に損傷を与えるため、肺損傷がさらに頻繁に起こる[E25]。
【0141】
幾つかの例示的な実施形態では、患者自身によって行われる仕事量の指標のほかに、呼吸筋活動量の指標、有利には筋圧も、sEMGまたは他の適切な技術によって検知され得る。例えば、患者自身によって行われる仕事量の指標、または筋活動量の指標を検知することは、筋電図法による信号、電気的インピーダンス筋運動記録法からの信号、筋音図法による信号、超音波信号、歪みセンサの信号、または食道圧センサの信号に基づいて実行され得る。筋圧Pmusの代わりに、筋肉によって引き起こされる流量の割合FlowMusを検知することもできる[E29]。
【0142】
幾つかの実施形態では、PmusよりもFlowMusが好ましい場合がある。
【0143】
別の代替案は、呼吸仕事量(WOB)であり、これは、筋圧PmusまたはFlowMusから、以下のように積分によって計算することができる:
WOBmus=∫Pmus(t)・Flow(t)dt
=∫P(t)・FlowMus(t)dt。
【0144】
簡単のため、以下では「筋圧」のみを参照し、他の指標は明示的に含まれる。
【0145】
例示的な実施形態では、患者自身によって行われる仕事量の指標は、
- 全呼吸圧Pawまたは全駆動圧Pdrに対して絶対的または相対的な筋圧Pmus;
- 患者の筋肉によって引き起こされる、全呼吸ガス流量Flowに対して絶対的または相対的な呼吸ガス流量Flowmus;
- 患者の筋肉によって引き起こされる、全呼吸換気量Volに対して絶対的または相対的な呼吸換気量Volmus;および
- 患者自身によって行われる、全呼吸仕事量WOBに対して相対的または相対的な呼吸仕事量WOBmus
の群からの少なくとも1つの要素を含み得る。
【0146】
Pmusと駆動圧または気道内圧との関係は次のとおりである:
Pmus=fac*Pdrvの場合、
Pmus/fac=Pdrv=Paw+Pmus
またはPmus=fac/(1-fac)*Pawが適用される。
【0147】
さらにまた、この指標に関連して、二次治療目標(有利には回廊の意味での)が予め設定され得る。例えば、制御ユニット14は、一次目標として予め設定された換気パラメータに関して患者の換気を調節するように構成されている。この場合、制御ユニット14は、少なくとも幾つかの例示的な実施形態では、以下により詳細に説明されるように、二次目標として予め設定された換気の割合に基づいて、患者自身によって行われる割合を調節するように構成されていてよい。例えば、呼吸筋の磁気的または電気的(または他のタイプの)刺激によって、自発活動量を超える呼吸筋圧を発生させることができる。刺激は、筋繊維を活動させることによって直接行われるか、または摂食性遠心性神経を刺激することによって間接的に行われ得る。この場合、制御ユニットは、補助するために、患者の呼吸筋を刺激するための信号を出力するように構成されている。制御ユニットはまた、患者自身によって行われる割合に影響を与えるために、患者の呼吸筋を刺激するための信号を出力するように構成されていてよい。
【0148】
更なる例示的な実施形態では、場合によっては薬物(例えば、鎮静剤または弛緩剤)の自動投与によって、自発呼吸によって生じる筋圧は低下され得る。この場合、制御ユニットは、患者自身によって行われる割合に影響を与えるために、薬物投与量に影響を与えるための信号を出力するように構成されている。接続された換気装置によって、一次治療目標として患者が十分な分時換気量を受け取り、FiO設定を介して酸素供給を確保することが保証され得る。この場合、制御ユニットは、補助するために、圧制御または換気量制御された換気のための信号を出力するように構成されている。したがって、呼吸筋の負荷能力が不足している場合には圧補助が行われ、自発活動が不足しており、刺激効果が不十分な場合には機械的換気が実行されることが保証され得る。それゆえに、制御ユニットは、全呼吸換気量および患者自身によって実行される呼吸換気量、患者自身によって実行される仕事量および/または患者の酸素供給を監視および調節するように構成されていてよい。これまでに利用可能な治療装置とは異なり、本明細書に記載されるシステムの少なくとも幾つかの例示的な実施形態は、肺だけでなく、呼吸筋、特に横隔膜の保護も同時に提供または重視し得る。その適用によって、VILIまたはVIDDに罹患する患者の数が減ることが予想される。治療を改善するための重要な生理学的理由は、横隔膜が-負荷能力に応じて-(駆動圧が高すぎることによる)肺の損傷を引き起こすことなく、吸気中に常に能動的に引っ張る必要があることである。横隔膜によって引き起こされる陰圧は、組織損傷の点で、陽圧換気よりも大きな利点を有している[E25]。
【0149】
例えば、行うべき呼吸筋圧に関して、換気および刺激を適切に調節および調整することを可能にするシステムおよび方法の実現のためには、有利には、換気装置、刺激器(アクチュエータユニット)およびセンサユニットといったさまざまなコンポーネントが互いに組み合わされる。この場合、センサユニット(例えばsEMG増幅器)は、活動信号を検知し、空気圧情報を使って呼吸筋圧を計算することが意図されている。一方、刺激器(アクチュエータユニット)は、目的変数(例えば、筋活動量、気道内流量、食道圧または筋圧)の実際値と目標値とから刺激信号を生成し、場合によってはシステムインパルス応答のカーネルまたはパラメータを同定することが意図されている。各コンポーネントは、適切なインタフェースを介して相互に接続される。
【0150】
例示的な実施形態では、換気システムは、例えば、機械式の圧制御または換気量制御された換気、トリガー式の圧補助、および場合によっては患者努力の比例補助の手段を備えた換気装置を含む。換気装置は、気道内流量および圧測定の手段を有し、本明細書に記載されるデバイスを含み得る。
【0151】
センサユニットが利用可能でない場合でも、筋圧信号は計算され得る。しかしながら、換気装置のセンサからの空気圧信号のみに基づく場合、計算の精度は低くなる。換気装置は、患者の鎮静レベルを変更する手段を有し得る。例えば、鎮静が深くなると自発呼吸作用が減少する。通常、鎮静剤または弛緩剤をできるだけ少なくして患者を換気する試みが行われる。呼吸筋圧が大きすぎ、したがって肺および横隔膜を損傷する可能性がある場合、この圧力は、適切な量の鎮静剤または弛緩剤を投与することによって下げることができる。
【0152】
幾つかの例示的な実施形態では、換気システムは、呼吸筋を刺激する(例えば、電気的に、超音波によりまたは有利には磁気的に)ためのアクチュエータユニット(刺激器)も含み得、これはまた、説明したデバイスを潜在的に含み得る。アクチュエータは、有利には、例えば、刺激電極またはコイルによって、身体表面上で非侵襲的に適用される。アクチュエータは、時間依存の刺激強度Istim(t)を予め設定することによって直接制御され得る。しかしながら、刺激の効果をきめ細かく制御することが望ましい。目的変数として、例えば、筋活動の指標、引き起こされる気道内流量、または有利には収縮によって達成される筋圧が考慮される。これには、目的変数のセンサによるフィードバック(例えば、筋活動の指標としての読み込まれたEMG、EIMまたはMMGエンベロープ、流量信号または計算された筋圧Pmus)が必要である。この時間依存の目的変数を予め設定した後、アクチュエータは、目標値に到達するように、すなわち、測定された(読み込まれた)実際値が目標値にできるだけ正確に一致するように刺激を与える。すなわち、特定の効果を得るように刺激が行われる。刺激強度は適宜(場合によっては連続的に)適応される。
【0153】
自発的な呼吸活動によって引き起こされる筋活動/流量/筋圧は、誤差信号として解釈される。この誤差信号は、治療上および/または診断上な価値を有するため、GUI(グラフィカルユーザインタフェース)上に表示することができる。例えば、予め設定された患者側の全筋圧が現在の患者側の筋圧よりも大きい場合にのみ、刺激が行われる。他の場合には、刺激は行われず、場合によっては、誤差信号(自発的な筋圧)を減らすために鎮静を高めることができる。代替的に、呼吸筋の活動量の指標として換気量信号を使用することもでき、例えば、筋活動によって引き起こされる換気量または流量の割合(FlowMusまたはVolMus)[E29]が挙げられる。
【0154】
アクチュエータユニットは、例えば、刺激効果に必要な信号の信号品質を考慮する。(例えば、筋圧計算の前提条件となる呼吸筋のsEMGの)信号品質が十分でない場合、担当の臨床スタッフにそのことを知らせることができる(アラーム)。次に、患者が実際に行うべき筋圧は、場合によっては、圧補助の枠組みの中で換気装置が自動的に担うことができる(フォールバック)。
【0155】
例示的な実施形態では、換気システムはまた、表面電極によって筋活動信号、有利には横隔膜の筋電図を検知するためのセンサユニットを含み得る。センサユニットは、刺激と同時に機能することが意図されている。したがって、一般に、検知された刺激信号における刺激アーチファクトを回避するか、またはほぼリアルタイムでそれらを除去する必要性が存在する。例えば、推定に対するアーチファクトの影響(例えば、移動による)を最小限に抑えるために、信頼性指標を決定することもできる。さらに、センサユニットは、エラーおよびアーチファクトの影響(例えば、身体運動、干渉信号)に備えるために、検知された筋活動信号または計算された筋圧信号の品質を検知する。品質が悪い場合は、臨床スタッフに通知したり、システムをフォールバックモードに切り替えたりすることができる。
【0156】
例示的な実施形態は、例えば非侵襲的な治療法として、治療の進捗状況(例えば、呼吸筋の効率、負荷能力または疲労レベル)に応じて、患者が行うべき呼吸仕事量(絶対または相対)が予め設定される治療法を提供することができる。分時換気量、酸素供給および/または換気の他の基本パラメータは、一次治療目標として医師/臨床スタッフによって予め設定される。さらに、患者が行うべき呼吸仕事量の割合または絶対値(有利には回廊の意味で、つまり、例えば余裕を持った軌跡)も二次目標として予め設定され得る。この患者側の呼吸仕事量はまた、自発的な自己負担部分と、呼吸筋-有利には横隔膜-の刺激によって引き起こされる部分とに分けられる。さらに、この刺激は、有利には、頸部の横隔神経を活動させることによって磁気的に行われる。
【0157】
一次治療目標を達成するために必要な仕事量の残りの割合は、換気装置によって行われる。このように設定された呼吸補助の枠組みの中で患者が治療目標を達成できない場合、吸気筋の刺激によって自己呼吸の割合を高めることができる。他方で、患者の呼吸仕事量は、自発呼吸作用のために、予め設定された割合よりも大きくなる可能性がある。この場合、刺激強度を下げたり、場合によっては鎮静のレベルまたは鎮静剤もしくは弛緩剤の投与率を上げたりする。長期的な目標は、例えば、患者が自力で完全な呼吸仕事量を担うために、できるだけその負荷能力を高めたり、少なくとも速やかに回復させたりすることである。そうすれば、離脱は必要なくなるか、または短期的に達成可能となる。実際には、効率、活動能力、負荷能力および疲労レベルの指標が繰り返し決定され、患者が実行すべき全呼吸仕事量の割合(つまり、刺激がある場合とない場合との合計)に応じて適応される。したがって、この場合、制御ユニットは、患者の呼吸筋の効率を決定するように構成されており、補助することは、この効率にさらに基づいている。追加的または代替的に、制御ユニットは、患者の呼吸筋の活動能力を決定するように構成されていてよく、補助することは、この活動能力にさらに基づいている。更なる選択肢として、制御ユニットは、患者の呼吸筋の疲労を決定するように構成されていてよく、補助することは、この疲労にさらに基づいている。
【0158】
残りの呼吸仕事量は、換気装置が担う。このようにして、例えば、疲労が回避され得る。横隔膜が、要求される呼吸仕事量を行うことができない場合(例えば、疲れ、神経障害、閉塞、制限または他の病状のために)、筋刺激と空気圧呼吸補助とからの特別に設定された組み合わせが役立ち得る。患者が、例えば疲労のために筋力的に自発的な呼吸サイクルをトリガーすることができず、ひいては補助が可能でない場合、フォールバックとして機械的換気に切り替えられる。この場合、呼吸リズムと完全な呼吸仕事量とは、換気装置によって行われる。同時に、筋萎縮を回避するために、軽い刺激が、換気と同期して行われることが望ましい。刺激の同期は、呼吸ストロークの始まりと終わりとの両方を考慮する。したがって、制御ユニットは、影響を与えることと補助することとが、患者によって予め設定された呼吸リズムに合わせるように構成されていてよい。追加的または代替的に、制御ユニットは、補助することを、影響を与えることによって予め設定された呼吸リズムに合わせるように構成されていてよい。
【0159】
少なくとも幾つかの例示的な実施形態では、制御ユニットは、影響を与えることと補助することとを、患者の自発活動が存在しかつ無害であれば、患者によって予め設定された呼吸リズムに合わせるように構成されていてよい。そうでなければ、補助することは、患者の自発活動が存在しないかまたは有害であれば、刺激によって予め設定された呼吸リズムに基づき、刺激効果がない場合、補助することは、空気圧換気によって予め設定された呼吸リズムに基づく。この場合、それは本来の意味での補助ではなくなり、強制換気である。活動信号(または空気圧信号)から自己呼吸が開始していると判断された場合、再び機械的換気から呼吸補助に切り替えられる必要がある。患者が筋力的に呼吸ストロークをトリガーできるか、あるいは自分で自発的に呼吸できるにもかかわらず、例えば神経損傷のために筋活動が発生しない場合は、自発呼吸の欠如を、刺激によって補うことができる。換気装置は、これらの刺激された呼吸努力を検出し、患者が全呼吸仕事量を自身で行うことができない場合、それを補助することができる。例示的な実施形態では、一次治療目標が確実に達成される。以下の方法により、十分な換気と、場合によっては酸素供給とがどのように確保され、肺(換気量に関して)と横隔膜(呼吸仕事量に関して)との両方がどのように保護されるかが規定される。原則として、肺の保護(VT<VTmax)と十分な換気(MV>MVmin)とを保証するために換気量の監視が行われる。
【0160】
- 一回換気量VTが大きくなりすぎた場合、刺激強度を下げ、場合によっては鎮静を高める必要がある。
- 一回換気量VTが小さくなりすぎ、同時に呼吸数が高くなりすぎた場合、これは疲れ/疲労の兆候である(浅速換気指数)。(場合によっては優先的に刺激強度を下げることにより)患者側の呼吸仕事量を減らし、補助を高める必要がある。
- 分時換気量MVが小さくなりすぎた場合、筋肉の負荷能力に応じて、刺激強度または補助を高める必要がある。
【0161】
原則として、横隔膜の保護、つまり、萎縮(WOBmus<WOBmin)と疲れ(WOBmus>WOBmax)とを回避するために呼吸仕事量の監視が行われる。
- 患者側の呼吸仕事量が小さくなりすぎた場合、萎縮のリスクがあり、(換気装置の側での補助を減らすことにより、または/かつ刺激強度を上げることにより)仕事量を上げることが求められる。
- 患者側の呼吸仕事量が大きくなりすぎた場合、疲労/疲れのリスクがあり、(換気装置の側での補助を増やすことによるか、または刺激強度を減らすことにより)仕事量を下げることが求められる。
【0162】
場合によっては、SpOセンサによって酸素供給の監視が行われる。飽和値に応じて、PEEP(呼気終末陽圧)およびFiO値が適応される。これは、有利には自動的に行われる。
【0163】
例示的な実施形態の例では、同期のためのクロックジェネレータとして、幾つかのインスタンスが考慮される。以下の方法により、例えば、どのようなものまたはどのコンポーネントが「クロックジェネレータ」であるか、すなわち、呼吸リズムを予め設定するかが規定される。
【0164】
自発的な活動が(十分に)存在する場合、患者は、有利にはクロックジェネレータである。
- 筋活動量は、EMGおよび換気機器によって検出される。
- 刺激は、筋肉の負荷能力のレベルに応じて用いられ、自発活動に同期して筋活動量を増大させ、負荷能力を高めることになる。
- 次に、行うべき呼吸仕事量と負荷能力とに応じて、筋活動量に同期して換気の側での補助が行われる。
【0165】
代替的に、自発活動が存在する場合、特に呼吸パターンが患者にとって有害である場合であっても、刺激ユニットはクロックジェネレータである。
- 筋肉の活動は、EMGおよび換気機器によって検出される。
- 刺激ユニットは、いわゆる「ペーシング」を実施し、すなわち、呼吸パターンを予め設定する。これは、有利には、肺を保護するものであり、エネルギー最適化されている。
- 患者が、肺を保護しかつエネルギー最適化された刺激パターンに関与し、その自発活動を当該刺激パターンに同期させることが可能である(その蓋然性も高い)。これが予め設定された期間内に起こらない場合、患者の自発活動パターンが刺激の基礎として用いられる。
- 刺激は、筋肉の負荷能力のレベルに応じて用いられ、自発活動に同期して筋活動量を増大させ、負荷能力を高めることになる。
- 行うべき呼吸仕事量と負荷能力とに応じて、筋活動量に同期して換気の側での補助が行われる。
【0166】
有利には、(十分な)自発活動が存在しない場合、刺激ユニットはクロックジェネレータである。これには、刺激が時間的に無制限に可用であることが必要である。
- この場合、筋肉の負荷能力のレベルに応じて刺激が用いられ、適切な筋活動量が達成されることになる。
- 刺激ユニットによって予め設定される呼吸パターンは、有利には、肺を保護するものであり、エネルギー最適化されている。
- 筋活動量は、EMGおよび換気機器によって検出される。
- 行うべき呼吸仕事量と負荷能力とに応じて、筋活動量に同期して換気の側での補助が行われる。
【0167】
代替的に、または刺激が利用可能でない場合もしくは刺激効果が達成可能でない場合は、換気装置がクロックジェネレータとしての役割を果たす。
- この場合、制御された機械的換気(補助はない!)が実行される。
- 換気に同期して、筋肉の現在の負荷能力に応じて刺激が行われ、これにより望ましい筋活動量が達成され、特に萎縮を回避し、負荷能力を増加/維持することになる。
【0168】
例示的な実施形態では、自動換気および刺激が、例えば、これらのステップで行われる。
- 臨床スタッフは、有利には換気装置のGUIを介して、最初に一次治療目標を入力する。
・ 一次治療目標(CO除去および酸素供給の維持)に対して、医師/臨床スタッフによって、有利には分時換気量(MV)、PEEPおよび呼吸空気中の酸素割合(FiO)が予め設定される。MVの代わりに、呼吸数または呼吸時間と連動して一回換気量(VT)を設定することもできる。投与量は患者の肺機能特性に依存するため、単に吸気圧を予め設定するだけでは十分ではない。
・ 一次治療目標は厳密に守られなければならない。患者が十分な換気(CO除去)と酸素供給とを自身で行うことができない場合、換気装置がこの役割を担う必要がある。
- 臨床スタッフは、有利には換気装置のGUIを介して、最初に二次治療目標を入力する。
・ 臨床スタッフは、有利には換気装置のGUIを介して、二次治療目標として、呼吸に必要な仕事量(CO除去のために行うべき換気の意味で)のうち、どれだけの仕事量を患者が行うべきか、もしくはどれだけの仕事量を換気装置が行うべきかを規定する。
・ 換気状況で生じる割合は、筋圧PmusまたはFlowMusを計算することで決定することができ、パラメータ(例えば、刺激強度、鎮静レベルまたは補助圧)の適応によって修正および調節することができる。
- 二次治療目標は、患者の状態-特に筋肉の負荷能力および肺機能特性、つまり基本呼吸負荷に応じて-手動で適応することができる。これらのパラメータならびに現在行われている患者側の(自発的および刺激された)呼吸努力は、臨床スタッフが数値または/およびグラフで確認することができる。このことから、治療法の枠組みの中で患者の負担が予想される負荷を容易に導き出すことができる。
- 自動化は、実行可能な最大呼吸仕事量を繰り返し検知し、患者が行うべき呼吸仕事量をこれに関連付けることで容易に実現できる。実行可能な最大呼吸仕事量が増えるにつれて、患者の負荷能力が高まり、より多くの呼吸仕事量を徐々に患者に要求することができるようになる。この訓練効果によって、患者は長期的な目標である、換気装置からの完全な離脱(完全に補助なしで呼吸ができ、抜管できることに至るまで)にますます近づく。手順は次のようになる:
・ 患者が行うべき呼吸仕事量の割合は、患者が実行可能な最大呼吸努力(例えば、WOBmusMax、VolMusMaxまたはPmusMax)の割合X(例えば50%)に設定される。すなわち、このシステムは、対応する呼吸仕事量を患者に要求しようとする。
・ 要求される呼吸仕事量を患者が大幅に超える場合、適応した鎮静を行うことが望ましい-特に、自発活動が続くと肺または呼吸筋の損傷が予想される場合。
・ 患者の負荷能力が、実行可能な最大呼吸努力の(100%-X)未満であることから、要求される呼吸仕事量を筋力的に行うことができない場合、対応する圧補助が行われる。
・ 要求される呼吸仕事量を患者がその負荷能力により行うことができるが、自発活動が十分でない場合、筋活動のための時間的に同期された(トリガーされた)適応刺激が自発活動とともに行われる。この場合、刺激振幅は、呼吸努力が(平均して)パーセンテージXに達するように調節される。代替的に、これは、振幅だけでなく時間的な推移も予め設定されている、特に生理学的な比例刺激によって行うこともできる。
・ 要求される呼吸仕事量を患者が筋力的に(少なくとも部分的に)行うことができるが、(例えば神経障害により)自発活動が存在しない場合、所定の時間パターンを有する刺激が行われる。患者が部分的にしか作業を行うことができない場合は、刺激された筋活動量に同期して、対応する圧補助が行われる。代替的に、換気装置が、適応された振幅を有する強制換気パターンを予め設定することもできる(例えば換気量制御された換気の枠組みの中で)。刺激は、この換気パターンに同期され、刺激された筋活動量がパーセンテージXに対応するように設定される。
- 二次治療目標を自動的に追求するための代替案では、離脱法に組み込むことが考えられる。これまでのように圧補助だけを適応する代わりに、規則に基づいた同様のスキームを用いて刺激を適応することもできる。センサユニット(有利にはsEMG)の追加の可用性によって、離脱までの道のりをより確実かつ迅速にすることができる更なるインジケータ(効率、活動、活動能力、負荷能力および場合によっては疲労レベル)が離脱法で得られる。
- 別の代替案は、二次治療目標を追求するために、予め設定された訓練または治療計画に従うことである[E32]。この場合、治療の進捗状況と二次治療目標適応とを、例えば、軌跡または傾向によって記述および表示することができ、そのため、臨床スタッフが進捗状況の予想を現在の状況と関連付けることができ、治療の更なる経過が導かれることになる。
- 自動化のための更なる態様
・ 肺機能特性、特にレジスタンスおよびエラスタンスは、基本呼吸負荷を決定し、例えば、特定の分時換気量(一次治療目標)を達成するためにどれだけの全呼吸仕事量を必要とするかについて大きく関与している。したがって、肺機能特性は、有利には繰り返し(例えば連続的に)推定される[E16,E17]。
・ 患者側の呼吸仕事量の割合を規定するためには、負荷能力の指標を知っておく必要がある。これは、例えば、実行可能な最大呼吸努力に対する基本呼吸負荷の商の関数として決定される。
・ 実行可能な最大呼吸努力は、単収縮刺激と、同時に口閉鎖圧またはPmus推定値の検知とによって、1回または有利には(場合によっては定期的に)繰り返し検知することができる。その侵襲性または突然の不快な効果のため、この操作はあまり頻繁に実施しないことが望ましい。それゆえに、制御ユニットは、負荷能力を決定するために呼吸力学的な基本負荷を決定し、患者の可能な最大呼吸努力を決定するように構成されていてよい。制御ユニットは、単収縮刺激を実行することによって可能な最大呼吸努力を決定するようにさらに構成されていてよい。単収縮刺激の実行は、例えば、患者-コンプライアンスとは無関係に可能な最大呼吸努力を決定し得るために役立てることができる。
・ さらに、例えば、可能な最大呼吸努力に対する実行された呼吸努力の商の関数として、患者の現在の負荷の指標が検知される。
・ 自動換気の場合、特に負荷能力が低い患者には、筋肉が疲労しない程度の呼吸仕事量しか与えられないことが保証される。これは、行うべき呼吸仕事量を、行うことができる最大呼吸仕事量の一定の割合(例えば50%)に制限することで可能になる。それに応じて呼吸補助を適応させる必要がある。
【0169】
例示的な実施形態では、呼吸筋刺激と換気との組み合わせからなる自動治療法について、筋刺激と換気との両方を、その効果に関連して制御することができる。この目的のために、予め設定する目標信号を対応する制御信号に変換することができる(例えば、目的の筋圧を刺激強度に変換)。このような効果制御は、換気については知られているが[E17]、刺激との組合せについてはまだ知られていない。刺激に対する効果制御と類似したものが[E13]に記載されているが、「横隔膜の仕事」にのみ焦点を当てており、制御システムの特性決定(有効性指標)は使用していない。呼吸仕事量の指標は、部分圧または部分流量もしくは換気量よりも優先される可能性がある。簡潔さのために、以下では呼吸仕事量に言及するが、他の指標が明示的に含まれ、優先されることすらある。例示的な実施形態では、自動治療法は、以下のステップで行われ得る:
- 第1のステップでは、臨床スタッフまたは自動装置が、一次治療目標、主として分時換気量、酸素供給および/または換気の他の基本パラメータを予め設定する。
- 第2のステップでは、臨床スタッフまたは自動装置が、二次治療目標、すなわち患者または換気装置が行うべき呼吸仕事量の割合を予め設定する。代替的に、全呼吸仕事量を予め設定し、さらに、患者または換気装置の呼吸仕事量を予め設定することもできる。有利には、換気装置が行う必要がある予め設定された仕事量に依存して、自動的に換気の設定が行われる。
- 第3のステップでは、患者に要求された呼吸仕事量からの偏差が検知され、適宜対応がなされる:
- この偏差が正である場合(患者が過剰に呼吸を行っている)、呼吸ドライブを低下させるための措置を講じることができる。例えば、鎮静または弛緩を投薬により増加させ、CO分圧を(例えば体外法により)減少させ、FiOの濃度を増加させることによって酸素分圧SpOを増加させることができる。
- この偏差が負の場合(患者がごくわずかしか呼吸を行っておらず、ただし、筋力的にそれ以上の呼吸を行える)、予め設定された呼吸仕事量をできるだけ正確に達成することを目的として、呼吸筋の刺激が行われる。
- 偏差が負の場合(患者がごくわずかしか呼吸を行っておらず、ただし、筋力的にそれ以上の呼吸を行えない)、換気装置によって適切な圧補助が行われ、十分な換気が確保され、疲弊が回避されることになる。治療の進捗状況の過程で、後の時点で補助が不要となり、要求される呼吸仕事量を患者が筋肉により行えるようになることが期待される。
【0170】
例示的な実施形態はまた、患者の呼吸筋の状態を決定するための方法を提供する。本方法は、刺激信号で患者の呼吸筋を刺激することと、刺激することに対する応答として活動信号を検知することとを含む。本方法は、刺激信号および活動信号に基づいて呼吸筋の1つまたは複数の状態パラメータを決定することをさらに含む。デバイスを参照して上で説明したように、刺激信号は1つまたは複数の刺激インパルスを含み得る。活動信号は、インパルス応答として検知され得る。活動能力を決定することは、刺激信号の下側の活動閾値を考慮することを含み得、呼吸筋が活動閾値を下回って刺激されると、呼吸筋の活動は減少するかまたは起こらなくなる。1つまたは複数の状態パラメータを決定することは、患者の呼吸筋の活動能力を決定することを含み得る。
【0171】
更なる例示的な実施形態では、本方法は、刺激によって発生し得る呼吸筋圧Pstim、刺激によって発生し得る呼吸換気量Volstim、および/または患者の刺激によって発生し得る呼吸仕事量を決定することをさらに含み得る。本方法は、空気圧診断操作を実施して空気圧換気パラメータを決定することと、空気圧換気パラメータにさらに基づいて1つまたは複数の状態パラメータを決定することとをさらに含み得る。空気圧診断操作は、閉塞、呼吸流量制限、個々の呼吸動作の補助の省略、または患者の呼吸補助の変動性を含み得る。さらにまた、本方法は、患者の実行可能な最大呼吸努力の指標を決定することをさらに含み得る。患者の実行可能な最大呼吸努力の指標は、例えば、呼吸筋の最大活動時の口閉鎖圧を含み得る。
【0172】
幾つかの例示的な実施形態では、本方法はまた、患者の呼吸筋の負荷能力の指標を決定することをさらに含み得る。負荷能力の指標は、基本負荷PmusBaseと患者の実行可能な最大呼吸努力PmusMaxとの間の関係に基づくことができる。さらにまた、本方法は、患者の呼吸筋の効率の指標を決定することを含み得る。効率の指標は、例えば、刺激によって発生し得る呼吸換気量と活動信号との比または刺激によって発生し得る呼吸筋圧と活動信号との比を含み得る。本方法は、1つまたは複数の状態パラメータに関する情報を出力することをさらに含み得る。
【0173】
別の例示的な実施形態は、プログラムコードがコンピュータ、プロセッサまたはプログラム可能なハードウェアコンポーネント上で実行されるときに、記載された方法の1つを実行するためのプログラムコードを有するコンピュータプログラムである。
【0174】
更なる例示的な実施形態は、センサユニットおよび/または刺激デバイス(刺激器)を示す。
【0175】
更なる例示的な実施形態は、換気デバイスを示す。
【0176】
以下では、本明細書の文脈で説明された実施形態の幾つかおよび実施形態の組み合わせと、呼吸および/または換気の環境における患者の状態を決定するというコンセプトを有する実施形態とを、発明的で、好ましい、特に好ましい実施形態として、統合的かつ明確にまとめられる。
【0177】
本発明による実施形態は、患者の呼吸筋の状態を決定するためのデバイスによって構成される。本発明によるデバイスは、患者信号を検知するように構成された1つまたは複数のインタフェースを有する。本デバイスは、
・ 刺激信号で患者の呼吸筋を刺激し、
・ 刺激することに対する応答として活動信号を検知し、
・ 刺激信号と活動信号とに基づいて、呼吸筋の1つまたは複数の状態パラメータを決定する
ように構成された制御ユニットを有する。
【0178】
好ましい実施形態では、制御ユニットは、1つまたは複数の刺激インパルスで刺激信号を生成するように構成されていてよい。
【0179】
好ましい実施形態では、制御ユニットは、インパルス応答として活動信号を検知するように構成されていてよい。
【0180】
好ましい実施形態では、制御ユニットは、1つまたは複数の状態パラメータを決定することにより患者の呼吸筋の活動能力を決定するように構成されていてよい。
【0181】
好ましい実施形態では、制御ユニットは、活動能力を決定する際に、刺激信号の下側の活動閾値を考慮するように構成されていてよく、呼吸筋が活動閾値を上回って刺激されると、呼吸筋の活動が起こり、呼吸筋が活動閾値を下回って刺激されると、活動は少なくとも減少するかまたは起こらなくなる。
【0182】
好ましい実施形態では、制御ユニットは、
・ 刺激によって発生し得る呼吸筋圧Pstim、
・ 刺激によって発生し得る呼吸換気量Volstim、および/または
・ 刺激によって発生し得る患者の呼吸仕事量
を決定するように構成されていてよい。
【0183】
好ましい実施形態では、制御ユニットは、空気圧診断操作を実施して空気圧換気パラメータを決定し、空気圧換気パラメータに基づいて1つまたは複数の状態パラメータを決定するように構成されていてよい。
【0184】
好ましい実施形態では、空気圧診断操作は、閉塞、呼吸流制限、個々の呼吸動作の補助の省略、または患者の呼吸補助の変動性を含み得る。
【0185】
好ましい実施形態では、制御ユニットは、患者の実行可能な最大呼吸努力の指標を決定するように構成されていてよい。
【0186】
好ましい実施形態では、患者の実行可能な最大呼吸努力の指標は、呼吸筋の最大活動時の口閉鎖圧を含み得る。
【0187】
好ましい実施形態では、制御ユニットは、患者の呼吸筋の負荷能力の指標および/または患者の呼吸筋の効率の指標を決定するように構成されていてよい。
【0188】
好ましい実施形態では、負荷能力の指標は、基本負荷PmusBaseと患者の実行可能な最大呼吸努力PmusMaxとの間の関係に基づくことができる。
【0189】
好ましい実施形態では、効率の指標は、刺激によって発生し得る呼吸換気量または呼吸筋圧と活動信号との比を含み得る。
【0190】
好ましい実施形態では、制御ユニットは、1つまたは複数のインタフェースを介して、1つまたは複数の状態パラメータに関する情報を出力するように構成されていてよい。
【0191】
本発明による実施形態は、患者を換気するためのデバイスによって構成される。本発明によるデバイスは、換気ユニット、刺激ユニットまたはセンサユニットと情報を交換するように構成された1つまたは複数のインタフェースと、以下のように構成された制御ユニットとを有する。制御ユニットは、
・ 患者自身によって行われる換気の割合の指標を検知し、
・ 患者の負荷能力の指標を決定し、
・ 患者自身によって行われる換気の割合に影響を与え、
・ 患者自身によって行われる換気の割合の指標と、患者の負荷能力の指標とに基づいて、換気中に患者を補助する
ように構成されている。
【0192】
好ましい実施形態では、制御ユニットは、補助するために、圧制御もしくは容量制御された換気のための信号、または患者の呼吸筋を刺激するための信号を出力するように構成されていてよい。
【0193】
好ましい実施形態では、患者自身によって行われる仕事量の指標は、
- 全呼吸圧Pawまたは全駆動圧Pdrに対して絶対的または相対的な筋圧Pmus;
- 患者の筋肉によって引き起こされる、全呼吸ガス流量Flowに対して絶対的または相対的な呼吸ガス流量Flowmus;
- 患者の筋肉によって引き起こされる、全呼吸換気量Volに対して絶対的または相対的な呼吸換気量Volmus;および
- 患者自身によって行われる、全呼吸仕事量WOBに対して相対的または相対的な呼吸仕事量WOBmus
の群からの少なくとも1つの要素を含み得る。
【0194】
好ましい実施形態では、患者自身によって行われる割合の指標を検知することは、筋電図法による信号、電気的インピーダンス筋運動記録法からの信号、筋音図法による信号、超音波信号、歪みセンサの信号、または食道圧センサの信号に基づいて実行され得る。
【0195】
好ましい実施形態では、制御ユニットは、患者自身によって行われる割合に影響を与えるために、患者の呼吸筋を刺激するための信号または薬物投与量に影響を与えるための信号を出力するように構成されていてよい。
【0196】
好ましい実施形態では、制御ユニットは、一次目標として予め設定された換気パラメータに関して患者の換気を調節するように構成されていてよく、制御ユニットは、二次目標として予め設定された換気の割合に基づいて、患者自身によって行われる割合を調節するように構成されている。
【0197】
好ましい実施形態では、制御ユニットは、全呼吸換気量および患者自身によって実行される呼吸換気量を監視および調節し、患者自身によって実行される呼吸仕事量を調節および監視し、かつ/または患者の酸素供給を監視および調節するように構成されていてよい。
【0198】
好ましい実施形態では、制御ユニットは、影響を与えることと補助することと(28)を、患者によって予め設定された呼吸リズムまたは予め設定された呼吸リズムに合わせるように構成されていてよい。
【0199】
好ましい実施形態では、制御ユニットは、影響を与えることと補助することとを、患者の自発活動が存在しかつ無害であれば、患者によって予め設定された呼吸リズムに合わせるように構成されていてよく、そうでなければ、補助することは、患者の自発活動が存在しないかまたは有害であれば、刺激によって予め設定された呼吸リズムに基づき、刺激効果がない場合、補助することは、空気圧換気によって予め設定された呼吸リズムに基づく。
【0200】
好ましい実施形態では、制御ユニットは、患者の呼吸筋の効率を決定するように構成されていてよく、補助することは、この効率に基づいており、この場合、制御ユニットは、患者の呼吸筋の活動能力を決定するように構成されており、補助することは、この活動能力に基づいており、かつ/または制御ユニットは、患者の呼吸筋の疲労を決定するように構成されており、補助することは、この疲労に基づいている。
【0201】
好ましい実施形態では、制御ユニットは、
負荷能力を決定するために呼吸力学的な基本負荷を決定し、患者の可能な最大呼吸努力を決定するように構成されていてよい。
【0202】
好ましい実施形態では、制御ユニットは、
単収縮刺激を実行することによって可能な最大呼吸努力を決定するように構成されていてよい。
【0203】
本発明による実施形態は、患者の呼吸補助のための換気システムのコンポーネントのための本発明によるデバイスであって、換気システムのコンポーネントと通信するための1つまたは複数のインタフェースと制御ユニットとを備えるデバイスによって構成される。制御ユニットは、
・ 患者の目標呼吸筋活動量に関する第1の情報を検知し、
・ 患者の実際呼吸筋活動量に関する第2の情報を検知し、
・ 第1の情報と第2の情報とに基づいて、患者の呼吸補助の指標を決定する
ように構成されている。
【0204】
好ましい実施形態は、患者の気道内流量を測定するための機器および気道内圧を測定するための機器を含み得る。この場合、制御ユニットは、気道内流量の測定および気道内圧の測定に基づいて、第1の情報および第2の情報を検知するように構成されていてよい。
【0205】
好ましい実施形態は、空気圧呼吸補助のための機器を含み得る。この場合、呼吸補助の指標は、空気圧呼吸補助の指標を含み得る。
【0206】
好ましい実施形態は、呼吸補助の指標に基づいて患者を鎮静化するための機器を含み得る。
【0207】
好ましい実施形態では、呼吸補助の指標に基づいて患者の呼吸筋を刺激するための機器を含み得る。
【0208】
好ましい実施形態では、デバイスは、1つまたは複数のインタフェースを介して、患者の気道内流量測定または気道内圧測定に関する測定情報を受け取るように構成されていてよい。この場合、制御ユニットは、測定情報に基づいて呼吸補助の指標を決定するように構成されていてよい。
【0209】
好ましい実施形態は、実際呼吸筋活動量に依存する信号をセンサにより検知するための機器を含み得る。この場合、制御ユニットは、センサにより検知された信号に基づいて呼吸補助の指標を決定するように構成されていてよい。
【0210】
好ましい実施形態では、センサにより検知するための機器は、電気筋運動図、機械的筋運動図、または電気的インピーダンス筋運動図を検知するように構成されていてよい。
【0211】
好ましい実施形態では、センサにより検知するための機器は、歪みセンサ、超音波センサまたは食道圧センサを含み得る。
【0212】
好ましい実施形態では、制御ユニットは、制御を介して、呼吸補助の指標に関する第1の情報と第2の情報との間の差異を低減するようにさらに構成されていてよい。
【0213】
好ましい実施形態では、第1および第2の情報は、それぞれ患者側の刺激された呼吸筋活動量もしくは全呼吸筋活動量、患者側の刺激された呼吸筋流量もしくは全呼吸筋流量、または患者側の刺激された呼吸筋圧もしくは全呼吸筋圧の指標を含み得る。
【0214】
好ましい実施形態では、制御ユニットは、患者の自発的な呼吸活動によって引き起こされる呼吸筋活動量、患者の自発的な呼吸活動によって引き起こされる呼吸筋流量、または患者の自発的な呼吸活動によって引き起こされる呼吸筋圧に関する情報を決定および提供するように構成されていてよい。
【0215】
この場合、制御ユニットは、患者の自発的な呼吸活動量に関する情報に基づいて呼吸補助の指標を決定するように構成されていてよく、呼吸補助の指標は、患者の自発的な呼吸活動量に関する情報が目標呼吸筋活動量を超える呼吸筋活動量を示す場合、患者のより強い鎮静の指標を示す。
【0216】
好ましい実施形態では、制御ユニットは、呼吸補助の指標に応答して、第2の情報に基づいて患者の刺激インパルス応答に対する推定を実行するようにさらに構成されていてよい。
【0217】
好ましい実施形態では、制御ユニットは、刺激操作に基づいて推定値を決定するように構成されていてよい。
【0218】
好ましい実施形態では、制御ユニットは、第1および第2の情報のそれぞれについて信頼性を決定し、信頼性が所定の閾値を下回る場合にそれを示すように構成されていてよい。
【0219】
本発明による実施形態は、患者の刺激的な換気補助のためのデバイスによって構成される。本発明によるデバイスは、換気ユニットおよびセンサユニットと情報を交換するように構成された1つまたは複数のインタフェースを有する。本デバイスは、制御ユニットを有し、これは、
・ 患者の呼吸筋の活動信号の時間的な推移に関する情報を検知し、
・ 患者の筋肉による換気補助のために活動信号と時間的に整合させて呼吸筋を刺激する
ように構成されている。
【0220】
好ましい実施形態では、制御ユニットは、活動信号の時間的な推移に関する情報を検知するために、患者自身によって行われる呼吸仕事量の割合の時間的な推移に関する情報を検知することと、患者自身によって行われる呼吸仕事量の割合の時間的な推移に関する情報に基づいて患者の呼吸筋の活動信号を決定することとを実行するように構成されていてよい。
【0221】
好ましい実施形態では、制御ユニットは、刺激するための下側の活動閾値を決定および考慮するように構成されていてよく、呼吸筋が活動閾値を上回って刺激されると、呼吸筋の活動が起こり、呼吸筋が活動閾値を下回って刺激されると、活動は少なくとも減少するかまたは起こらなくなる。
【0222】
好ましい実施形態では、制御ユニットは、刺激することを、活動信号とフィードフォワードで、かつ/または活動信号に比例して実行するように構成されていてよい。
【0223】
好ましい実施形態では、制御ユニットは、刺激効果を決定するように構成されていてよい。
【0224】
好ましい実施形態では、制御ユニットは、患者の呼吸筋の活動信号の時間的な推移に関する情報として、
・ 筋圧Pmus、
・ 自発的な筋圧Pspon、
・ 患者の筋肉によって引き起こされる呼吸ガス流量Flowmus、
・ 患者の筋肉によって自発的に引き起こされる呼吸ガス流量Flowspon、
・ 患者自身によって行われる呼吸仕事量WOB、および
・ 患者自身によって行われる自発的な呼吸仕事量WOBspon
の群からの少なくとも1つの要素に関する情報を決定するように構成されていてよい。
【0225】
好ましい実施形態では、制御ユニットは、比例換気として患者に並列空気圧換気を行うように構成されていてよい。
【0226】
好ましい実施形態では、制御ユニットは、所定のレベルに基づいて刺激することの強度を設定するように構成されていてよい。
【0227】
好ましい実施形態では、制御ユニットは、所定のレベルを、刺激強度と活動信号とからの比または刺激強度と推定呼吸努力Pmusとからの比を介して決定するように構成されていてよく、このレベルは、刺激された呼吸活動量と患者の自発的な呼吸活動量との間の関係を規定する。
【0228】
好ましい実施形態では、制御ユニットは、患者の呼吸筋の活動信号の時間的な推移に関する情報に基づいて、患者の自発的な呼吸活動量を検知するように構成されていてよい。
【0229】
好ましい実施形態では、制御ユニットは、刺激された呼吸活動量と患者の自発的な呼吸活動量との間の関係と、患者の筋肉の活動インパルス応答とに基づいて、刺激信号を検知するように構成されていてよい。
【0230】
好ましい実施形態では、制御ユニットは、刺激信号を、刺激によって引き起こされる所望の活動信号EMGstimの活動インパルス応答による逆畳み込みによって検知するように構成されていてよい。
【0231】
好ましい実施形態では、制御ユニットは、
・ 自発的な呼吸活動量を、患者から自発的に発生した呼吸筋圧Psponとして検知し、
・ 刺激された呼吸活動量を、刺激によって発生した呼吸筋圧Pstimとして検知し、
・ 自発的な呼吸活動量を、患者から自発的に発生した呼吸ガス流量Flowsponとして検知し、
・ 刺激された呼吸活動量を、刺激によって発生した呼吸ガス流量Flowstimとして検知し、かつ/または
・ 自発的な呼吸活動量を、患者から自発的に発生した呼吸仕事量WOBspon
・ またはその時間導関数dWOBspon/dtとして検知し、
・ 刺激された呼吸活動量を、刺激によって発生した呼吸仕事量WOBstim
・ またはその時間導関数dWOBstim/dtとして検知する
ように構成されていてよい。
【0232】
一実施形態は、前述の実施形態のいずれかに係るデバイスを用いて換気中に患者を補助するための換気システムによって構成されていてよい。
【0233】
一実施形態は、前述の実施形態のいずれかに係るデバイスを備えた換気装置、刺激器、および/またはセンサユニットによって構成されていてよい。刺激器とは、呼吸補助のための刺激を可能にするデバイスを指す。
【0234】
本発明による実施形態は、患者の呼吸筋の状態を決定するための方法であって、
・ 刺激信号で患者の呼吸筋を刺激すること、
・ 刺激することに対する応答として活動信号を検知すること、
・ 刺激信号と活動信号とに基づいて、呼吸筋の1つまたは複数の状態パラメータを決定すること
を有する方法によって構成される。
【0235】
本発明による実施形態は、患者を換気するための方法であって、
・ 患者自身によって行われる換気の割合の指標を検知すること、
・ 患者の負荷能力の指標を決定すること、
・ 患者自身によって行われる換気の割合に影響を与えること、
・ 患者自身によって行われる換気の割合の指標と、患者の負荷能力の指標とに基づいて、換気中に患者を補助すること
を有する方法によって構成される。
【0236】
本発明による実施形態は、患者の呼吸補助のための換気システムのコンポーネントのための方法であって、
・ 患者の目標呼吸筋活動量に関する第1の情報を検知し、
・ 患者の実際呼吸筋活動量に関する第2の情報を検知し、
・ 第1の情報と第2の情報とに基づいて、患者の呼吸補助の指標を決定する
方法によって構成される。
【0237】
本発明による実施形態は、患者の刺激的な換気補助のための方法であって、
・ 患者の呼吸筋の活動信号の時間的な推移に関する情報を検知すること、
・ 患者の筋肉による換気補助のために活動信号と時間的に整合させて呼吸筋を刺激すること
を有する方法によって構成される。
【0238】
更なる例示的な実施形態は、方法として構成されてよく、方法の個々のステップは、制御ユニットまたは制御モジュールを用いて実行されることができる。制御ユニットまたは制御モジュールは、方法を実行するために、先に説明した実施形態の要素として形成されていてよい。
【0239】
一実施形態は、患者の呼吸筋の状態を決定するための方法を実行するためのプログラムコードを有するコンピュータプログラムによって構成され、このプログラムコードは、コンピュータ、プロセッサまたはプログラム可能なハードウェアコンポーネント上で実行可能である。
【0240】
一実施形態は、患者を換気するための方法を実行するためのプログラムコードを有するコンピュータプログラムによって構成され、このプログラムコードは、コンピュータ、プロセッサまたはプログラム可能なハードウェアコンポーネント上で実行可能である。
【0241】
一実施形態は、患者を換気するための方法を実行するためのプログラムコードを有するコンピュータプログラムによって構成され、このプログラムコードは、コンピュータ、プロセッサまたはプログラム可能なハードウェアコンポーネント上で実行可能である。
【0242】
一実施形態は、患者を換気するための方法を実行するためのプログラムコードを有するコンピュータプログラムによって構成され、このプログラムコードは、コンピュータ、プロセッサまたはプログラム可能なハードウェアコンポーネント上で実行可能である。
【0243】
これらおよび更なる実施形態は、本発明により方法を実行するためのプログラムコードを有する1つまたは複数のコンピュータプログラムによって構成され、このプログラムコードは、コンピュータ、プロセッサまたはプログラム可能なハードウェアコンポーネント上で実行可能である。
【0244】
デバイスおよび/または方法の幾つかの例を、添付の図を参照しながら、以下により詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0245】
図1a】患者の呼吸筋の状態の決定のコンセプトを実行するためのデバイスのブロック図である。
図1b】換気量の割合の指標の決定のコンセプトを実行するためのデバイスのブロック図である。
図1c】患者の呼吸補助の指標の決定のコンセプトを実行するためのデバイスのブロック図である。
図1d】患者の刺激的な換気補助のコンセプトを実行するためのデバイスのブロック図である。
図2a】患者の呼吸筋の状態を決定するための方法の実施に関するフローチャートである。
図2b】換気量の割合の指標を決定するための方法の実施に関するフローチャートである。
図2c】患者の呼吸補助の指標を決定するための方法の実施に関するフローチャートである。
図2d】患者を刺激的に換気補助するための方法の実施に関するフローチャートである。
図3】患者の換気および筋電図信号の検知に関する概要図である。
図4】制御ループの概略図である。
図5】制御の概略図である。
図6】EMG信号波形図である。
図7図6の拡大した部分を示す図である。
図8図6のさらに拡大した部分を示す図である。
図9】平均化された刺激インパルス応答を示す図である。
図10】筋圧のプロファイルの概略図である。
図11】活動閾値による活動能力を示す図である。
【0246】
次に、さまざまな実施例を、添付の図を参照しながら、より詳細に説明する。図において、線、層および/または領域の厚さは、明確にするために誇張されている場合がある。更なる実施例は、本開示の範囲内に含まれる変更、均等物および代替物をカバーすることができる。同一または類似の参照符号は、図の説明全体を通して、同一または類似の要素を指し、これらを互いに比較した場合、同一または類似の機能を提供しながら、同一または変更された形態で実現され得る。ある要素が別の要素に「接続」または「結合」されていると言及される場合、各要素は、直接、または1つもしくは複数の中間要素を介して接続または結合されている場合もあることが理解される。2つの要素AおよびBが「または」を用いて組み合わされる場合、これは、明示的または暗示的に別途定義されない限り、あらゆる可能な組み合わせ、すなわち、Aのみ、Bのみ、ならびにAおよびBを開示されていると理解される。同一組み合わせの代替表現は、「AおよびBの少なくとも1つ」または「Aおよび/またはB」である。同じことが、必要な変更を加えて、2つよりも多い要素の組み合わせにも適用される。
【0247】
図1a、図1b、図1c、図1dは、呼吸、換気、呼吸補助および刺激の文脈におけるコンセプトを実現するためのデバイスの概略図を示す。図1a、図1b、図1c、図1dにおける同一の要素は、図1a、図1b、図1c、図1dにおいて同一の参照番号で示されている。
【0248】
図1aは、デバイス100,10の例示的な実施形態を示す。
【0249】
デバイス10は、患者の呼吸筋の状態を決定するためのデバイスとして形成されている。デバイス10は、患者信号を検知するように構成された1つまたは複数のインタフェース12を含む。1つまたは複数のインタフェースは、制御ユニット14に結合されている。制御ユニット14は、刺激信号で患者の呼吸筋を刺激し、刺激に応答して活動信号を検知するように構成されている。制御ユニット14は、刺激信号および活動信号に基づいて呼吸筋の1つまたは複数の状態パラメータを決定するようにさらに構成されている。さらにまた、当該図は、デバイス10を備えた刺激ユニット(刺激器)110またはセンサユニット200の例示的な実施形態を示している。換気システム120において、デバイス10は、1つまたは複数のシステムコンポーネントに統合されていてもよいし、別々に実装されていてもよい。例えば、デバイス10の例示的な実施形態によって、活動能力kまたはk(t)を、状態パラメータとして決定することができる。
【0250】
図1bは、デバイス100,10の例示的な実施形態を示す。
【0251】
このデバイス10は、患者を換気するためのデバイス10として構成されている。デバイス10は、換気ユニット120、刺激ユニット(刺激器)110および/またはセンサユニット200と情報を交換するように構成された1つまたは複数のインタフェース12を含む。さらにまた、デバイス10は、1つまたは複数のインタフェースに結合された制御ユニット14を含む。制御ユニット14は、換気自身によって行われる換気の割合の指標を検知するように構成されている。この割合は、例えば、患者自身によって行われる換気量流量Flowmusとして、患者自身によって行われる筋圧Pmusとして、または患者自身によって行われる呼吸仕事量WOBとして検知され得る。制御ユニット14は、患者の負荷能力の指標を決定し、患者自身によって行われる換気の割合に影響を与えるように構成されている。さらにまた、制御ユニット14は、患者自身によって行われる換気の割合の指標と、患者の負荷能力の指標とに基づいて、換気中に患者を補助するように構成されている。
【0252】
図1cは、デバイス100,10の例示的な実施形態を示す。
【0253】
図1cは、患者の呼吸補助のための換気システム120のコンポーネント100のためのデバイス10の例示的な実施形態のブロック図と、このようなデバイス10を備えた換気システム120、センサユニット200および刺激ユニット(刺激器)110の例示的な実施形態のブロック図とを示す。この図はまた、患者の呼吸補助のための換気システム120のコンポーネント100のためのデバイス10を示している。デバイス10は、換気システム120のコンポーネント100と通信するための1つまたは複数のインタフェース12を含む。デバイス10は制御ユニット14を含み、これは、1つまたは複数のインタフェース12に結合され、かつ患者の目標呼吸筋活動量に関する第1の情報を検知し、患者の実際呼吸筋活動量に関する第2の情報を検知し、第1の情報と第2の情報とに基づいて患者の呼吸補助の指標を決定するように構成された制御ユニット14を含む。
【0254】
図1dは、デバイス100,10の例示的な実施形態を示す。
【0255】
デバイス10,110は、患者の刺激的な換気補助のためのデバイス110として構成されている。デバイス10は、換気ユニット120およびセンサユニット200と情報を交換するように構成された1つまたは複数のインタフェース12を含む。さらにまた、刺激デバイス110は、患者の呼吸筋の活動信号の時間的な推移に関する情報を検知し、患者の筋肉による換気補助のために活動信号と時間的に整合させて呼吸筋を刺激するように構成された制御ユニット14を含む。さらにまた、この図は、デバイス10を用いて換気中に患者を補助するための換気システム120の例示的な実施形態を示す。換気システム120において、デバイス10,110は、1つまたは複数のシステムコンポーネント100に統合されていてもよいし、別々に実装されていてもよい。
【0256】
図1a、図1b、図1c、図1dによるデバイス10,100またはコンポーネント100は、制御ユニット14に結合された1つまたは複数のインタフェース12を含む。図1a、図1b、図1c、図1dにおいて、1つまたは複数のインタフェース12は、例えば、機械インタフェースの形態またはソフトウェアインタフェースの形態で構成されていてよい。例示的な実施形態では、1つまたは複数のインタフェース12は、ネットワーク内またはネットワークコンポーネントまたは医療機器、例えば換気装置、センサもしくは測定ユニット、刺激器などの間の通信のための典型的なインタフェースとして構成されていてよい。例えば、例示的な実施形態では、これらは、対応するコンタクトによって構成されていてよい。それは、例示的な実施形態では、別個のハードウェアとして構成されていてもよく、送信すべき信号または受信した信号を少なくとも一時的に格納するメモリを含むことができる。1つまたは複数のインタフェース12は、例えば、バスインタフェースとして、光インタフェースとして、イーサネットインタフェースとして、無線インタフェースとして、フィールドバスインタフェースとしてなど、電気信号を受信するように構成されていてよい。さらにまた、それは、例示的な実施形態では、無線伝送のために構成されていてよく、無線フロントエンドおよび関連するアンテナを含むことができる。ユーザ入力を検知し、かつ/または出力を可能にするために、例えば、ディスプレイ、キーボード、マウスなどの入力および/または出力デバイスも1つまたは複数のインタフェース12を介して接続されることができる。例示的な実施形態では、制御ユニット14は、1つまたは複数の任意のコントローラ、マイクロコントローラ、ネットワークプロセッサ、デジタル信号プロセッサコア(DSP)などのプロセッサコア、プログラム可能なハードウェアコンポーネントなどを含むことができる。例示的な実施形態は、任意の特定のタイプのプロセッサコアに限定されない。制御ユニット14を実装するための任意のプロセッサコアまたは複数のプロセッサコアもしくはマイクロコントローラも考えられる。他のデバイスと統合された形態、例えば、1つまたは複数の他の機能もさらに含む制御ユニットにおける実装も考えられる。例示的な実施形態では、制御ユニット14は、(複数の)ビルディングブロックのコアとして、プロセッサコア、コンピュータプロセッサコア(CPU=Central Processing Unit )、グラフィックスプロセッサコア(GPU=Graphics Processing Unit)、特定用途向け集積回路コア(ASIC=Application-Specific Integrated Circuit)、集積回路(IC=Integrated Circuit)、シングルチップシステムコア(SOC=System on Chip)、プログラム可能なロジックエレメントまたはマイクロプロセッサ(FPGA=Field Programmable Gate Array)付きフィールドプログラム可能なゲートアレイによって実現されていてよい。
【0257】
図2a、図2b、図2c、図2dは、呼吸、換気、呼吸補助および刺激の文脈におけるコンセプトを実現するための方法の概略図を示す。図2a、図2b、図2c、図2d、図1a、図1b、図1c、図1dにおける同一の要素は、図2a、図2b、図2c、図2d、図1a、図1b、図1c、図1dにおいて同一の参照番号で示されている。
【0258】
図2aは、患者の呼吸筋の状態を決定するための方法20の例示的な実施形態を示す。方法20は、刺激信号で患者の呼吸筋を刺激すること22と、刺激すること22に応答して活動信号24を検知することと、刺激信号および活動信号に基づいて呼吸筋の1つまたは複数の状態パラメータを決定すること29を含む。
【0259】
図2bは、患者を換気するための方法20の例示的な実施形態を示す。本方法は、患者自身によって行われる換気の割合の指標を検知すること21と、患者の負荷能力の指標を決定すること25とを含む。方法20は、患者自身によって行われる換気の割合に影響を与えること26と、患者自身によって行われる換気の割合の指標と、患者の負荷能力の指標とに基づいて、換気中に患者を補助すること28とをさらに含む。
【0260】
図2cは、患者の呼吸補助のための換気システムのコンポーネントのための方法20の例示的な実施形態を示す。本方法は、患者の目標呼吸筋活動量に関する第1の情報を検知すること23と、患者の実際呼吸筋活動量に関する第2の情報を検知すること24とを含む。さらにまた、方法20は、第1の情報と第2の情報とに基づいて、患者の呼吸補助の指標を決定すること25を含む。
【0261】
図2dは、患者の刺激的な換気補助のための方法20の例示的な実施形態を示す。方法20は、患者の呼吸筋の活動信号の時間的な推移に関する情報を検知すること19と、患者の筋肉による換気補助のために活動信号と時間的に整合させて呼吸筋を刺激すること22とを含む。例えば、患者自身によって行われる割合は、活動信号に対応し、自発的な割合および/または刺激された割合を含む。
【0262】
図3は、患者の換気および筋電図信号の検知に関する概略的な概要図を示す。図3は、患者300を換気する換気デバイス120を示す。センサを介して患者300の呼吸筋(横隔膜および補助筋)上で筋電図信号340が検知され、原信号EMG(t)345が第1の信号処理310に供給され、これは、原信号345から包絡線
【数1】
350を決定する。次に、更なる信号処理320が、包絡線
【数2】
350と、換気デバイス120から供給される信号[気道内圧Paw(t)、換気量流量V‘(t)および呼吸換気量V(t)]360とから、患者300の呼吸筋圧Pmus330のプロファイル331を決定する。
【0263】
図4は、制御ループの概略図である。ここで、破線のブロックは、呼吸器システム410を有する患者300または患者モデル400を示す。ブロック420は、呼吸器システム410によって提供される自発呼吸のための筋電活動信号EMGspon(t)に基づいて自発呼吸の神経機械効率(NMEspon)をモデル化する。次に、ブロック420は、患者によって自発的に引き起こされた筋圧を示す信号Pspon(t)を提供する。刺激された筋圧Pstim(t)は、刺激によって発生し得る活動信号EMGstim(t)に基づいて刺激の神経機械効率(NMEstim)をモデル化するブロック430によって決定される。刺激によって発生した活動信号EMGstim(t)はまた、刺激強度Istim(t)および活動能力k(t)に基づいて、ブロック440(k(t))によって決定される。次に、全筋圧Pmus(t)は、刺激された筋圧Pstim(t)と自発的な筋圧Pspon(t)との合計から得られる。ブロック450は、呼吸器システム410に影響を与える鎮静を予め設定する。鎮静が高いほど、自発呼吸活動が低くなる。ブロック460は、刺激を表し、刺激強度Istim(t)を予め設定する。ブロック470は、圧Pvent(t)で患者を換気する空気圧換気または呼吸補助を表す。次に、この圧は、患者自身の筋肉によって発生した圧Pmus(t)に重畳されて駆動圧Pdrv(t)を形成し、最終的に呼吸器システム410に作用する。コントローラ480は、コンポーネントである鎮静450、刺激460、空気圧呼吸補助470のそれぞれに操作変数を予め設定し、その入力における制御差からこれらを検知する。この場合の制御差は、予め設定された目標筋圧PmusSoll(t)と推定筋圧Pmus(t)との間の差から生じる。これは、呼吸補助470の出力圧Pvent(t)、患者について検知された筋電図信号sEMG(t)および測定された呼吸換気量流量Flow(t)に基づいて推定器490によって決定される。例示的な実施形態では、デバイスは、例えば、換気装置470、刺激器460またはセンサユニットに含まれることができる。当該図は、これらのコンポーネントを備えた換気システムを示している。
【0264】
治療システムは、換気装置470、刺激器460および鎮静深度450を設定する手段からなる。患者300,400は、圧Pventでその呼吸を補助される。呼吸筋は、強度Istimで刺激される。発生する流量、補助圧およびsEMGが測定される。これから推定器490は筋圧Pmusを決定する。目標値からの偏差はコントローラ480に供給され、結果の極性および大きさに応じて、鎮静450、刺激460または呼吸補助470が制御される。
【0265】
説明した治療法を可能にするために、例示的な実施形態では、有効性指標を計算するためにさまざまな操作を実行することができる。この場合、これらの有効性指標は、換気および刺激の有効性制御を可能にする。制御ユニット14は、空気圧診断操作を実施して空気圧換気パラメータを決定し、空気圧換気パラメータに基づいて1つまたは複数の状態パラメータを決定するように構成されていてよい。空気圧診断操作は、閉塞、呼吸流量制限、個々の呼吸動作の補助の省略、または患者の呼吸補助の変動性を含み得る。
【0266】
以下の操作は、例えば、独国特許発明第102007062214号明細書、国際公開第2018143844号、独国特許出願公開第102019006480号明細書、独国特許出願公開第102019006480号明細書、独国特許出願公開第102020000014号明細書から知られているように、例示的な実施形態において、1回、繰り返しまたは定期的に実行されることができる。
【0267】
神経機械効率を決定するための操作
自然呼吸中の(神経機械効率NME)[E18,E21,E26]:
制御ユニット14は、患者の呼吸筋の効率の指標を決定するように構成されていてよい。効率の指標は、例えば、刺激によって発生し得る呼吸換気量と活動信号との比を含み得る。効率の指標はまた、例えば、刺激によって発生し得る呼吸筋圧と活動信号との比を含み得る。
【0268】
呼気終末閉塞操作:
呼気の終わりに気道内流量が遮断され、そのため、患者のその後の呼吸努力を「口腔内圧」(口閉鎖圧)として検知できるようにする。口腔内圧の時間的な推移の最大振幅、面積または他のパラメータを指標として使用することができる。この指標は、NMEの計算のために、活動信号(EMG)の対応する指標と関連付けられる。一部で高い変動性が予想されるため、反復測定、異常値(アウトライアー)の除去および結果の平均化が必要になる場合がある[E21,E26]。例示的な実施形態では、制御ユニットは、患者の実行可能な最大呼吸努力の指標を決定するように構成されていてよい。例えば、患者の実行可能な最大努力の指標は、呼吸筋の最大活動時の口閉鎖圧を含み得る。自発呼吸および呼吸補助に十分な変動性がある場合、これらの(かなり侵襲的な)操作は省略することができる。変動性は、例えば、圧補助または刺激振幅をランダムに変化させることによって、必要に応じて発生させることができる。推定法を用いることによって、NMEを計算することが可能である[E15]。
【0269】
自然呼吸中の神経換気効率NVEを決定するための操作[E27,E22]
- 1回または複数回の呼吸動作に対して、補助が省略され、実行される(場合によっては数回の呼吸動作を平均した)一回換気量VolSponが検知され、活動信号(EMGspon)の指標(平均値、面積など)に関連付けられる。
- [E28]では、換気量と活動量とからの商が、補助中と補助なしの両方で決定され、その結果が関連付けられる。これにより、全一回換気量に対して患者が行う寄与の指標が得られる。この背後にある考え方は、[E29]で説明されているように、全換気量における換気量の割合の分配を想起させるが、[E29]ではPmusに基づいてリアルタイム信号が計算され、補助の省略は必要でない。
- したがって、NVEのサロゲートは、EMGsponに対するVolSponの商として、補助を省略することなく計算することも可能である。このサロゲートは動的に(すなわち、FlowSponの時間的な推移から)検知されることから、静的なNVEとは、場合によってはオフセットまたは/および係数によって異なる。この場合、あまり頻繁に実行されない操作は、現在の値を継続的に提供するサロゲートの校正に用いられる。
【0270】
活動能力k(t)を決定するための操作
- この場合、いわゆる単収縮刺激[E21]、すなわち、呼吸筋を短時間で最大に活動させるための高強度(例えば100%)の一過性の刺激インパルスが行われる。これは限定的なものとして理解されるべきではない。他の刺激パターンも考えられる。最終的に、任意の刺激パターンは、場合によっては異なる重み付けの単収縮のシーケンスとして表すことができる。それゆえに、この場合、制御ユニット14は、1つまたは複数の刺激インパルスを有する刺激信号を生成するように構成されている。例えば、刺激信号は、1つまたは複数の刺激インパルスを含み得る。この場合、制御ユニットは、インパルス応答として活動信号を検知するように構成されている。1つまたは複数の状態パラメータを決定することにより、患者の呼吸筋の活動能力が決定される。
幾つかの例示的な実施形態では、ここで活動閾値が考慮され得る。この場合、制御ユニット14は、活動能力を決定する際に、刺激信号の下側の活動閾値を考慮するように構成されている。呼吸筋が活動閾値を上回って刺激されると、呼吸筋の活動が起こり、呼吸筋が活動閾値を下回って刺激されると、活動は少なくとも減少するかまたは全く起こらなくなる。活動閾値が分かれば、刺激は、例えば換気または自発呼吸とより良く同期させることができる。例えば、ランプ状のプロファイルが刺激に使用される。しかしながら、ランプが0から始まる場合、大幅なタイムラグが生じることがある。なぜなら、ランプ勾配が有限であるため、活動閾値を超えるまでにしばらく時間がかかるためである。
【0271】
例示的な実施形態は、換気と筋刺激との組み合わせのためのシステムおよびインタフェースを提供することができる。例示的な実施形態は、インタフェースを介して互いに通信し、コンピューティング能力を備えたコンポーネントからなるシステムのアーキテクチャを提供することができる。このシステムは、不十分なガス交換および/または制限された呼吸筋ポンプ機能の理由で、呼吸補助または機械的換気を必要とする患者に効果的で実質的に自動化された治療法を可能にし得る。従来の換気とは異なり、本システムは、呼吸筋-有利には吸気呼吸筋、主として横隔膜-の活動と、肺のガス交換との両方を適切に監視および制御する必要がある。従来の換気では、多くの場合、肺への損傷(人工呼吸器誘発肺損傷,VILIとも呼ばれる)および/または呼吸筋への損傷(人工呼吸器誘発横隔膜機能不全,VIDD)が生じる。駆動圧(換気圧と筋圧とから合計)は、一回換気量が多くなりすぎることにつながり、それによって肺に損傷を与える可能性がある。呼吸筋は過負荷により疲弊したり、活動量が少なすぎるために萎縮したりする。後者の場合、吸気中に呼吸筋が陰圧とともに引っ張られる場合よりも、必要な包括的な陽圧換気の方が肺組織に損傷を与えるため、肺損傷がさらに頻繁に起こる[E25]。
【0272】
例示的な実施形態は、例えば、
- sEMG(または他の適切な技術)によって、呼吸筋活動量、有利には筋圧の指標を検知することができ(筋圧Pmusの代わりに、筋肉によって引き起こされる流量の割合FlowMus[E29]も挙げることができる。幾つかの例示的な実施形態では、PmusよりもFlowMusが好ましい場合がある。別の代替案は、呼吸仕事量(WOB)であり、これは、筋圧PmusまたはFlowMusから、以下のように積分によって計算することができる:WOBmus=∫Pmus(t)・Flow(t)dt=∫P(t)・FlowMus(t)dt。簡単のため、以下では「筋圧」のみを参照し、他の指標は明示的に含まれる)
- この指標に関連して、二次治療目標(有利には回廊の意味での)を予め設定することができ、
- 呼吸筋の磁気的または電気的(または他のタイプの)刺激によって、自発活動量を超える呼吸筋圧が発生させることができ(刺激は、筋繊維を活動させることによって直接行われるか、または摂食性遠心性神経を刺激することによって間接的に行われ得る)、
- 場合によっては薬物(例えば、鎮静剤または弛緩剤)の自動投与によって、自発呼吸によって生じる筋圧を低下させることができ、
- 接続された換気装置によって、
・ 一次治療目標として患者が十分な分時換気量を受け取り、FiO設定を介して酸素供給を確保すること、
・ 呼吸筋の負荷能力が不足している場合には圧補助が行われること、
・ 刺激効果が不十分な場合には機械的換気が実行されること
を保証することができる。
【0273】
これまでに利用可能な治療装置とは異なり、幾つかの例示的な実施形態は、肺だけでなく、呼吸筋、特に横隔膜の保護も同時に重視する。その適用によって、VILIまたはVIDDに罹患する患者の数が減ることが予想される。治療を改善するための重要な生理学的理由は、横隔膜が-負荷能力に応じて-(駆動圧が高すぎることによる)肺の損傷を引き起こすことなく、吸気中に常に能動的に引っ張る必要があることである。横隔膜によって引き起こされる陰圧は、組織損傷の点で、陽圧換気よりも大きな利点を有している[E25]。
【0274】
例示的な実施形態では、例えば、行うべき呼吸圧に関して、換気および刺激を適切に調節および調整することを可能にするシステムおよび方法の実現のためには、換気装置、刺激器(アクチュエータユニット)およびセンサユニットといったさまざまなコンポーネントが互いに組み合わされてよい。性能がよく整然としたハードウェア/ソフトウェアアーキテクチャの理由から、「インテリジェンス」、つまりCPUパワー(コンピューティング能力)およびアルゴリズムは、有利には各コンポーネントに分散される。このようにして、特定の計算/推定タスクが、それぞれ利用可能な信号で最も能力のあるコンポーネントによって行われることになる。センサユニット(例えばsEMG増幅器)は、活動信号を検知し、インタフェースを介してアクセス可能な空気圧情報を使って呼吸筋圧を計算することになる。一方、刺激器(アクチュエータユニット)は、目的変数(例えば、筋活動量、気道内流量、食道圧または筋圧)の実際値と目標値とから刺激信号を生成し、場合によってはシステムインパルス応答のカーネルまたはパラメータを同定することになる。それに従って、さまざまなコンポーネントのインタフェースが特に重要である。有利には、すべてのインタフェースは双方向で構成されている。インタフェースは、必ずしもリアルタイム要求(応答時間<50ミリ秒)に合わせて構成されている必要はないが、通信するコンポーネントの活動の同期の枠組みの中でこれが必要である場合に限って構成される。したがって、上記のデバイス10は、換気装置、刺激器および/またはセンサユニットに実装されることができる。また、分散型の実装も考えられ、その場合、インタフェースおよびコンポーネント間で交換される信号/情報に対応する効果がある。したがって、少なくとも幾つかの例示的な実施形態では、デバイス10は、患者の気道内流量測定および気道内圧測定のための機器を含み得、制御ユニット14は、気道内流量測定および気道内圧測定に基づいて、第1の情報および第2の情報を検知するように構成されていてよい。デバイス10は、空気圧呼吸補助ための機器をさらに含み得、呼吸補助の指標は、空気圧呼吸補助の指標を含み得る。例えば、換気装置は、例示的な実施形態では、機械式の圧制御換気、トリガー式の圧補助および場合によっては患者努力の比例補助の手段を有する。換気装置は、気道内流量および圧測定の手段を有することができる。このようにして検知された流量および圧信号は、有利には、情報技術的に接続されたセンサユニットに供給され、このセンサユニットは、検知された活動信号と連動して筋圧信号などを計算する。この場合、デバイス10は、1つまたは複数のインタフェース12を介して、患者の気道内流量測定または気道内圧測定に関する測定情報を受信(センサユニット)または提供(換気装置)するように構成されている。この場合、制御ユニットは、測定情報にさらに基づいて呼吸補助の指標を決定するように構成されていてよい。代替的に、別個のセンサユニットが利用可能でない場合、これらの信号は換気装置自体で計算することができる。しかしながら、換気装置のセンサの空気圧信号のみに基づく場合、計算の精度が低くなる。この点で、デバイス10は、センサユニットに実装されることができる。デバイス10は、実際呼吸筋活動量に依存する信号をセンサにより検知するための機器を含み得る。この場合、制御ユニット14は、センサにより検知された信号に基づいて呼吸補助の指標を決定するように構成されていてよい。例えば、センサにより検知するための機器は、電気筋運動図、機械的筋運動図、または電気的インピーダンス筋運動図を検知するように構成されている。例えば、センサにより検知するための機器は、歪みセンサ、超音波センサまたは食道圧センサを含み得る。さらに、流量(または換気量)信号および場合によっては計算されたまたはセンサユニットが受信した筋圧信号が、接続された刺激器に目的変数として供給される。換気装置は、患者の鎮静レベルを変更する手段を有し得る。例えば、鎮静が深くなると自発呼吸作用が減少する。通常、鎮静剤または弛緩剤をできるだけ少なくして患者を換気する試みが行われる。このような例示的な実施形態では、デバイス10は、呼吸補助の指標に基づいて患者を鎮静化するための機器をさらに含む。例示的な実施形態では、呼吸補助の指標は、患者の自発的な呼吸活動量に関する情報が目標呼吸筋活動量を超える呼吸筋活動量を示す場合、患者のより強い鎮静の指標を示す。呼吸筋圧が大きすぎ、したがって肺および横隔膜を損傷する可能性がある場合、この圧力は、適切な量の鎮静剤または弛緩剤を投与することによって下げることができる。一般に、デバイス10は、制御ループに組み込まれてもよく、すなわち、コントローラとして実装されることもできる。制御ユニット14は、制御を介して、呼吸補助の指標に関する第1の情報と第2の情報との間の差異を低減するようにさらに構成されている。
【0275】
それゆえに、例示的な実施形態では、デバイス10は、換気装置とともに、または換気装置内に実装されることができる。この場合に、制御ユニット14は、1つまたは複数のインタフェース12を介して、呼吸補助の指標に関する情報を刺激器に通信するように構成されていてよい。呼吸補助の指標は、振幅、ランプ勾配、刺激持続時間、開始時間、終了時間、実際呼吸筋活動量および目標呼吸筋活動量の群の少なくとも1つのパラメータを含み得る。この場合、1つまたは複数のインタフェースは、刺激器および/またはセンサユニットとリアルタイムで通信するように構成されていてよい。ここでは、リアルタイム通信は、応答時間<50ミリ秒の通信と理解される。例えば、1つまたは複数のインタフェースは、刺激器および/またはセンサユニットとサンプルごとにリアルタイムで通信するように構成されている。1つまたは複数のインタフェースはまた、呼吸補助の指標の時間的な推移を刺激器および/またはセンサユニットと通信するように構成されていてよい。時間同期または調整のために、制御ユニット14は、1つまたは複数のインタフェースを介して刺激器にクロックを予め設定するか、またはこのようなクロックを受け取るように構成されていてよい。刺激器が換気装置に統合された例示的な実施形態も考えられる。制御ユニット14は、1つまたは複数のインタフェースを介して第1および第2の情報を刺激器に予め設定し、かつ/または1つまたは複数のインタフェースを介して換気操作を刺激器と調整するように構成されていてよい。
【0276】
幾つかの例示的な実施形態では、デバイス10は、呼吸筋を刺激する(例えば、電気的に、超音波によりまたは有利には磁気的に)ためのアクチュエータユニット(刺激器)に実装されている。この場合、デバイス10の制御ユニット14は、呼吸補助の指標として患者に刺激信号を生成し、かつ/または呼吸補助の指標に基づいて患者の呼吸筋を刺激するための機器を含むように構成されていてよい。アクチュエータは、有利には、例えば、刺激電極またはコイルによって、身体表面上で非侵襲的に適用される。アクチュエータは、独自に動作するか、(時間的に重要でない)パラメータ(例えば最大刺激強度など)を予め設定することによってその刺激を調整するか、または時間依存の刺激強度Istim(t)または同期イベント(例えば刺激開始/停止)の時間的に重要なプリセットによって直接制御され得る。
【0277】
有利には、刺激の効果は制御され得る。目的変数として、例えば、筋活動の指標、引き起こされる気道内流量、または有利には収縮によって達成される筋圧が考慮される。これには、目的変数のセンサによるフィードバック(例えば、筋活動の指標としての読み込まれたEMG、EIMまたはMMGエンベロープ、流量信号、食道圧、胃圧もしくは差圧、または計算された筋圧Pmus)が必要である。この時間依存の目的変数を予め設定した後、アクチュエータは、目標値に到達するように、すなわち、測定された(読み込まれた)実際値が目標値にできるだけ正確に一致するように刺激を与える。この場合、有利にはアクチュエータユニットに統合されたコントローラの使用が提供される。つまり、アクチュエータユニットは、患者に刺激信号を送り、インタフェースを介して、予め設定された現在の目的変数信号を読み込むことが可能である。コントローラの目的変数について、刺激された筋活動量または全体(患者側)の筋活動量、流量または筋圧を選択することができ、これにより、アクチュエータは、その直接的な効果について、刺激された筋活動量/流量/筋圧にのみ影響を与える。第1および第2の情報(目標呼吸筋活動量、実際呼吸筋活動量)は、それぞれ患者側の刺激された呼吸筋活動量もしくは全呼吸筋活動量、患者側の刺激された呼吸筋流量もしくは全呼吸筋流量、または患者側の刺激された呼吸筋圧もしくは全呼吸筋圧の指標を含み得る。この場合、自発的な呼吸活動によって引き起こされる筋活動量/流量/筋圧は、誤差信号として解釈される。この場合、制御ユニット14は、患者の自発的な呼吸活動によって引き起こされる呼吸筋活動量、患者の自発的な呼吸活動によって引き起こされる呼吸筋流量、または患者の自発的な呼吸活動によって引き起こされる呼吸筋圧に関する情報を決定および提供するように構成されている。この誤差信号は、有利には、治療上または/および診断上の価値を有するため、アクチュエータユニットによって決定され、場合によっては、接続された換気装置に伝送されて視覚化される。この場合、制御ユニット14は、患者の自発的な呼吸活動量に関する情報に基づいて呼吸補助の指標を決定するように構成されている。例えば、予め設定された患者側の全筋圧が現在の患者側の筋圧よりも大きい場合にのみ、刺激が行われる。他の場合には、刺激は行われない。その代わりに、換気装置によって、誤差信号(自発的な筋圧)を減らすために鎮静を高めることができる。代替的に、呼吸筋の活動量の指標として換気量信号を使用することもでき、例えば、筋活動によって引き起こされる換気量または流量の割合(FlowMusまたはVolMus)[E29]が挙げられる。これらのすべての場合において、アクチュエータユニットは、制御と連動して推定タスクを解決しなければならない。なぜなら、刺激は、刺激強度を与える初期の時点ではまだ分かっていない特定の効果を達成する必要があるためである。刺激強度を変化させ、それを目的変数信号(例えば、検知された筋活動量または刺激された患者の筋圧信号)と「相関」させることによって、刺激強度の時間的な推移を目的変数信号に変換するシステム同定の意味で、刺激インパルス応答または線形/非線形カーネルk(t)を決定することができる。この場合、制御ユニット14は、例えば、呼吸補助の指標に応答して、第2の情報に基づいて患者の刺激インパルス応答に対する推定を実行するように構成されている。制御ユニット14はまた、刺激操作に基づいて推定値を決定するように構成されていてよい。通常、インパルス応答はパラメータ化可能であるが(例えば、PIDコントローラのP、I、D成分を予め設定するのと同様に、または時定数の定義によって)、カーネルでサンプル値が予め設定される。刺激強度の変化は、操作、ランダムな変化(補助がランダムにわずかに変化するノイズPSV(「pressure support ventilation」、圧力補助換気モードと同様)または他の形態の変動性によって行うことができる。推定タスクは、有利には、場合によっては定期的に、あるいは連続的に(サンプル値ごと)繰り返される。例えば、呼吸努力に比例する刺激の実現のために、推定タスクおよび制御は、高いリアルタイム要件(応答時間<50ミリ秒)でオンラインにて行われる。この場合、制御ユニット14は、推定を定期的または連続的に繰り返すように構成されている。刺激振幅の調整について、要件は時間的にそれほど重要ではない(応答時間<5秒、有利には1回の呼吸動作内)。アクチュエータユニットは、刺激効果を推定する際に、推定に必要な信号の信号品質を考慮する必要がある。(例えば、筋圧計算の前提条件となる呼吸筋のsEMGの)信号品質が十分でない場合、担当の臨床スタッフにそのことを知らせることができる(通知またはアラーム)。患者が実際に行うべき筋圧は、場合によっては、圧補助の枠組みの中で換気装置によって自動的に担われることができる(フォールバック)。この点で、制御ユニット14は、第1および第2の情報のそれぞれについて信頼性を決定し、信頼性が所定の閾値を下回る場合にそれを示すように構成されている。上記の説明に従って、制御ユニット14は、1つまたは複数のインタフェース12を介して、センサユニットまたは換気装置から第1および第2の情報を受信するように構成されていてよい。この場合、制御ユニット14は、1つまたは複数のインタフェースを介して、振幅、ランプ勾配、刺激持続時間、開始時間、終了時間、目標呼吸筋活動量の時間的な推移、気道内流量、気道内圧、呼吸筋圧、呼吸筋仕事量および呼吸筋流量の群からの少なくとも1つの情報をセンサユニットから受信するように構成されていてよい。1つまたは複数のインタフェース12を介して、センサユニットおよび/または換気装置からクロックが受信され得、1つまたは複数のインタフェース12を介して、少なくとも幾つかの例示的な実施形態では、リアルタイムで通信され得、幾つかの例示的な実施形態では、1つまたは複数のインタフェース12を介して、換気操作が換気装置と調整され得る。
【0278】
例示的な実施形態は、デバイス10を有するセンサユニットも提供する。センサユニットは、表面電極によって筋活動信号、有利には横隔膜の筋電図を検知するように構成されている。代替的に、EIM信号(電気的インピーダンス筋運動図)、MMG信号(機械的筋運動図)、または新しいタイプの光学技術もしくは音響(例えば超音波)技術によって検知される信号も考慮される。有利には、それぞれの原信号の包絡線(エンベロープともいう)が筋活動量の指標として使用される。例えば、制御ユニット14は、1つまたは複数のインタフェース12を介して、振幅、ランプ勾配、刺激持続時間、開始時間、終了時間、実際呼吸筋活動量、気道内流量、気道内圧、呼吸筋圧、呼吸筋仕事量および呼吸筋流量の群からの少なくとも1つの情報を呼吸補助の指標として換気装置または刺激器に提供するように構成されていてよい。上記の説明に基づいて、制御ユニット14は、センサユニット側でも、1つまたは複数のインタフェース12を介して、操作に関する情報を換気装置または刺激器から受け取るように構成されていてよい。さらにまた、制御ユニット14は、1つまたは複数のインタフェース12を介して、換気装置から少なくとも1つの空気圧信号に関する情報を受信し、少なくとも1つの空気圧信号に関する情報にさらに基づいて呼吸補助の指標を決定するように構成されていてよい。例えば、制御ユニットは、センサ信号に基づいて第2の情報(実際呼吸筋活動量)を検知することができる。センサユニットは、刺激と同時に機能することが意図されている。したがって、一般に、検知された刺激信号における刺激アーチファクトを回避するか(例えば、一種の「ゲーティング」もしくはフィルタリングによって)、またはほぼリアルタイムでそれらを除去する必要性が存在する。センサユニットは、アクチュエータユニットと同様に、有利には、検知された筋活動信号を処理するために、つまり、例えば、アーチファクトを除去し、エンベロープを計算し、トリガー/サイクルオフ時間を決定するために、目的のアーキテクチャに従って独自のコンピューティングユニットを備えている。同時に読み込まれた空気圧信号が利用可能な場合、更なる指標、例えば呼吸仕事量、筋圧、非同期性および肺機能ならびに他の診断値を、場合によってはモデルベースで計算することができる。したがって、センサユニットは、有利には、信号処理、特に推定タスクに必要な性能がよいコンピューティングユニットと、双方向インタフェース[E31]とを有する。上記で既に説明したように、制御ユニット14は、1つまたは複数のインタフェース12を介してリアルタイムで通信するように構成されていてよい。さらに、センサユニットは、エラーおよびアーチファクトの影響(例えば、身体運動、干渉信号)に備えるために、検知された筋活動信号の品質を検知する。制御ユニット14は、1つまたは複数のインタフェース12を介して、第1の情報として、ゲーティング、マスキングする測定時間、フィルタリング、または刺激アーチファクトの抑制に関する情報をさらに換気装置または刺激器から受信するようにさらに構成されていてよい。さらに、読み込まれた空気圧信号の品質も考慮することができる。これにより、ロバストな推定が可能になる。品質が悪い場合は、臨床スタッフに通知したり、システムをフォールバックモードに切り替えたりすることができる。
【0279】
例示的な実施形態はまた、デバイス10を有する換気システムを提供する。換気システムのコンポーネントのさまざまな実装および組み合わせが考えられ、そのうちの幾つかは以下でより詳細に説明される。一般に、例示的な実施形態では、換気システムは、本明細書に記載の換気装置、刺激器および/またはセンサユニットを含み得る。
【0280】
幾つかの例示的な実施形態では、3つのコンポーネント(換気装置、刺激器、センサユニット)のうち少なくとも2つが一緒になってシステムを形成する。本明細書の文脈で、3つの可能な組み合わせがより詳細に説明される。
【0281】
例えば、換気装置と刺激器とが組み合わされる。刺激器は、換気装置に統合されるか、または(特に磁気刺激の場合)外部装置として存在することができる。換気装置のGUI(グラフィカルユーザインタフェース)は、一次治療目標(例えば、最小分時換気量および酸素供給の確保)を入力および追跡するために用いられる。さらに、そこに二次治療目標が入力される(例えば、患者が行うべき呼吸仕事量または筋圧)。刺激器は、必ずしもGUIを必要としない。
【0282】
しかしながら利用可能な場合、GUIは、刺激強度と二次治療目標の追跡とを視覚化することができる。換気装置は、刺激器に、振幅(またはランプ勾配、刺激持続時間などの他のパラメータ)、刺激を開始および停止する時間(イベント)、あるいは刺激器が時間依存の刺激強度の適応によって生成すべき目的変数の時間的な推移を提供する。換気装置がクロックジェネレータ(換気システムに関与するコンポーネントを同期するためのクロックジェネレータ)である場合、換気装置から刺激器への通信は、応答時間<50ミリ秒を保証するリアルタイムで行われることが必要となり得る。これは、例えば、換気装置が患者の自発呼吸によってトリガーされたまたは強制的なストロークを与え、刺激器が吸気相の間にアクティブであるべき場合に必要である。同様に、自発的な呼吸に比例した刺激もリアルタイム機能が必要である。刺激器がクロックジェネレータであり、刺激振幅(または他のパラメータ)のみを再調整する必要がある場合、これは必要でない(または長い保証応答時間<5秒が用いられるのに限られる)。刺激器がクロックジェネレータでない場合、刺激器には、有利には、刺激によって補助すべき各呼吸について、呼吸動作がいつ始まり、いつ終わり、目的変数の振幅がいくらであるか、リアルタイムで信号が送られる。さらに、刺激ストロークの形状(例えばランプ勾配)を記述する追加のパラメータを送信することができる。振幅は、リアルタイムでの比例刺激の場合に必要なように、スカラー値または目的変数のプロファイルを記述する時系列ともすることができる。
【0283】
刺激器は、<50ミリ秒以内にリアルタイムで信号に応答し、それに応じて刺激を実行することに適している。気道内流量(もしくは多かれ少なかれ同等の換気量)または換気装置によって推定されるまたは筋圧Pmus(もしくはFlowMus,WOB)を目的変数として考慮される。つまり、刺激器は、換気装置から目的変数の実際値と目標値とを並行して取得し、刺激器内で行われる制御の枠組みの中で、刺激によって実際値を変更して、それが目標値にできるだけ近づくようにする試みを行う。目的変数がスカラー値ではなく時間的な推移である場合、制御は実際値の平均値または他の統計的指標を検知し、予め設定された目標値ができるだけ達成されるように刺激を制御することができる。制御システム(つまり、刺激強度と活動信号との間のシステム)を同定するために、例えば、換気装置の補助ストロークまたは強制ストロークを省略し、刺激を変化させる操作が必要となり得る。換気操作は、例えば刺激器が換気装置に要求し、換気装置は-治療状況に応じて-その操作を実行する。実際値および目標値は、例えば換気装置から提供される(例えば、流量または換気量、場合によってはPmus)。
【0284】
別の例示的な実施形態では、刺激器とセンサユニットとが組み合わされる。刺激器は、換気装置なしで使用することもできる。この場合、換気は必須ではなく、したがって一次治療目標は省略されることが想定される。二次治療目標は、刺激器のGUIを介して設定することができる。センサユニットは、目的変数として、有利には活動信号を、振幅として、刺激を開始および停止する時間(イベント)として、あるいは刺激器が時間依存の刺激強度の適応によって生成すべき目的変数の時間的な推移としてのいずれかで提供する。センサユニットが、信号の気道内流量および気道内圧、ならびに場合によっては計算された筋圧Pmus(またはWOB,FlowMus)を提供することも考えられるだろう。これには、場合によっては追加のセンサが必要になってくる。センサユニットがクロックジェネレータである場合、センサユニットから刺激器への通信は、応答時間<50ミリ秒を保証するリアルタイムで行われる必要がある。これは、例えば、自発的な呼吸努力に比例する刺激において、刺激が活動信号または開始/停止イベントの時間的な推移と同期される場合に必要である。刺激器がクロックジェネレータであり、刺激振幅(または他のパラメータ)のみを再調整する必要がある場合には、リアルタイムは必要でない(または長い保証応答時間<5秒が用いられるのに限られる)。刺激器がクロックジェネレータでない場合、刺激器には、有利には、刺激によって補助すべき各呼吸について、呼吸動作がいつ始まり、いつ終わり、目的変数の振幅がいくらであるか、リアルタイムで信号が送られ、場合によっては時間的な推移が送信される(詳細は、換気装置と刺激器の組み合わせによる上記の例示的な実施形態と同様)。つまり、刺激器は、センサユニットから目的変数の実際値を取得する。目標値は、二次治療目標の結果として刺激器によって規定される。刺激器は、刺激器内で行われる制御の枠組みの中で、刺激によって実際値を変更して、それが目標値にできるだけ近づくようにする試みを行う。この構成では、換気操作を使用して刺激強度を制御することはできない。刺激操作が可能であり、例えば、刺激は、自発呼吸作用と同時にまたは時間的な遅れを持って行われることができる。次に、活動信号の評価により、刺激によって生じる活動の割合を決定することができる。活動の自発的な割合は誤差信号として解釈されることがあるため、このことが制御において考慮されなければならない。実際値は、例えばセンサユニットによって予め設定され、目標値は刺激器によって予め設定される(活動信号)。
【0285】
別の例示的な実施形態では、換気装置、刺激器およびセンサユニットが組み合わされる。この構成は、上記の説明に対応する。しかしながら、空気圧信号と、センサユニットから提供される信号とから計算される筋圧(Pmus)または同様の指標(例えばWOB,FlowMus)が、主として目的変数として考慮される。このために必要な計算は、有利には、換気装置から必要な空気圧信号を受信するセンサユニットにおいて行われる。目的変数は、その実際値をパラメータ(振幅、勾配など)によってまたは時間的な推移として表すことができる。上記(換気装置と刺激器とからの組み合わせによる例示的な実施形態)と同様に、刺激器は、換気装置から目的変数の実際値(スカラーまたは時間曲線として)と目標値を並行して取得し、刺激器内で行われる制御の枠組みの中で、刺激によって実際値を変更して、それが目標値にできるだけ近づくようにする試みを行う。代替的に、実際値はセンサユニットから直接供給されることもできる。
【0286】
換気装置またはセンサユニットがクロックジェネレータである場合、換気装置やセンサユニットから刺激器への通信は、応答時間<50ミリ秒を保証するリアルタイムで行われることが必要である。これは、例えば、換気装置が患者の自発呼吸によってトリガーされたまたは強制的なストロークを与え、刺激器が吸気相の間にアクティブであるべき場合に必要である。同様に、自発的な呼吸に比例した刺激もリアルタイム機能が必要である。刺激器がクロックジェネレータであり、刺激振幅(または他のパラメータ)のみを再調整する必要がある場合、これは必要でない(または長い保証応答時間<5秒が用いられるのに限られる)。更なる詳細については、換気装置と刺激器との組み合わせによる上記の例示的な実施形態を参照されたい。目的変数として、有利には、センサユニットによって推定された筋圧Pmus(またはFlowMus,WOB)が考慮に入れられる。つまり、刺激器は、換気装置またはセンサユニットから目的変数の実際値と目標値とを並行して取得し、刺激器内で行われる制御の枠組みの中で、刺激によって実際値を変更して、それが目標値にできるだけ近づくようにする試みを行う。目的変数がスカラー値ではなく時間的な推移である場合、制御は実際値の平均値または他の統計的指標を検知し、予め設定された目標値ができるだけ達成されるように刺激を制御することができる。制御システム(つまり、刺激強度と活動信号との間のシステム)を同定するために、例えば、換気装置の補助ストロークまたは強制ストロークを省略し、刺激を変化させる操作が必要となり得る。
換気操作は、例えば刺激器が換気装置に要求し、換気装置は-治療状況に応じて-その操作を実行する。反応方向では、換気装置(またはセンサユニット)が刺激器に刺激操作を要求する。実際値は、換気装置(またはセンサユニット)によって予め設定され、目標値は、換気装置(Pmus)によって予め設定される。
【0287】
例示的な実施形態は、このように治療法を可能にし得る。インタフェースによって接続された少なくとも2つの装置(換気装置、刺激器、センサユニット)の組み合わせからなる上記のシステムは、治療法を自動化するのに適している。インタフェースは、リアルタイム要件を満たすことができるが、すべての場合においてそうである必要はない。治療法は、有利には非侵襲的に行われる。治療の進捗状況(例えば、呼吸筋の効率、負荷能力または疲労レベル)に応じて、患者が行うべき呼吸仕事量(絶対または相対)が予め設定される。分時換気量、酸素供給および/または換気の別の基本的なパラメータは、一次治療目標として医師によって予め設定される。さらに、患者が行うべき呼吸仕事量の割合または絶対値(有利には回廊の意味で、つまり、例えば余裕を持った軌跡)も二次目標として予め設定され得る。この患者側の呼吸仕事量はまた、自発的な自己負担部分と、呼吸筋-有利には横隔膜-の刺激によって引き起こされる部分とに分けられる。さらに、この刺激は、有利には、頸部の横隔神経を活動させることによって磁気的に行われる。一次治療目標を達成するために必要な仕事量の残りの割合は、換気装置によって行われる。このように設定された呼吸補助の枠組みの中で患者が治療目標を達成できない場合、吸気筋の刺激によって自己呼吸の割合を高めることができる。他方で、患者の呼吸仕事量は、自発呼吸作用のために、予め設定された割合よりも大きくなる可能性がある。この場合、刺激強度を下げたり、場合によっては鎮静のレベルまたは鎮静剤もしくは弛緩剤の投与率を上げたりする。長期的な目標は、例えば、患者が自力で完全な呼吸仕事量を担うために、できるだけその負荷能力を高めたり、少なくとも速やかに回復させたりすることである。そうすれば、離脱は必要なくなるか、または短期的に達成可能となる。実際には、効率、活動能力、負荷能力および疲労レベルの指標が繰り返し決定され、患者が実行すべき全呼吸仕事量の割合(つまり、刺激がある場合とない場合との合計)に応じて適応される。残りの呼吸仕事量は、換気装置によって担われる。これは自動化することができ、例えば、このために治療システムを使用することができる。このようにして、例えば、疲労が回避され得る。横隔膜が、要求される呼吸仕事量を行うことができない場合(例えば、疲れ、神経障害、閉塞、制限または他の病状のために)、筋刺激と空気圧呼吸補助とからの特別に設定された組み合わせが役立ち得る。患者が、例えば疲労のために筋力的に自発的な呼吸サイクルをトリガーすることができず、ひいては補助が可能でない場合、フォールバックとして機械的換気に切り替えられる。この場合、呼吸リズムと完全な呼吸仕事量とは、換気装置によって行われる。同時に、筋萎縮を回避するために、軽い刺激が、換気と同期して行われることが望ましい。刺激の同期は、呼吸ストロークの始まりと終わりとの両方を考慮する。活動信号(または空気圧信号)から自己呼吸が開始していると判断された場合、再び機械的換気から呼吸補助に切り替えられる必要がある。患者が筋力的に呼吸ストロークをトリガーできるか、あるいは自分で自発的に呼吸できるにもかかわらず、例えば神経損傷のために筋活動が発生しない場合は、自発呼吸の欠如を、刺激によって補うことができる。換気装置は、これらの刺激された呼吸努力を検出し、患者が全呼吸仕事量を自身で行うことができない場合、それを補助することができる。
【0288】
例示的な実施形態は、換気システムおよびそのコンポーネント、例えば換気装置、刺激器および/またはセンサユニットを提供する。この場合、例示的な実施形態では、筋活動を目的として刺激を提供することができる(推定器/コントローラ)。これに関して、筋活動量の適切な指標を決定することができる:EMG、流量/換気量、Pmus/FlowMus、WOBなど。例示的な実施形態は、対応するインタフェースと、そのために送信される情報および信号とを定義および提供することができる。
【0289】
例示的な実施形態では、換気システムのコンポーネントのさまざまな組み合わせが生じ得、例えば、換気装置と刺激器の組み合わせがあり、実際値および目標値が換気装置によって予め設定される(流量/換気量、場合によってはPmus/FlowMus)。更なる可能な組み合わせは、刺激器とセンサユニットとである。この場合、実際値はセンサユニットによって予め設定され、目標値は刺激器によって予め設定される(活動信号)。換気装置、刺激器およびセンサユニットの組み合わせでは、実際値は換気装置(場合によってはセンサユニット)により予め設定され、目標値は換気装置(Pmus/FlowMus)によって予め設定される。
【0290】
上記の説明において、さまざまな実施形態は、主にデバイスに基づいて説明した。本方法は、デバイスに応じて構成されていてよい。例えば、本方法は、気道内流量測定および気道内圧測定に基づいて、第1の情報および第2の情報を検知することを含み得る。呼吸補助の指標は、空気圧呼吸補助の指標を含み得る。少なくとも幾つかの例示的な実施形態では、呼吸補助の指標に基づく患者の鎮静が行われ得る。患者の気道内流量測定または気道内圧測定に関する測定情報が受け取られ得、呼吸補助の指標は、測定情報に基づいてさらに決定され得る。
【0291】
本方法は、実際呼吸筋活動量に依存する信号をセンサにより検知することと、センサにより検知された信号に基づいて呼吸補助の指標を決定することとをさらに含み得る。センサにより検知された信号は、電気筋運動図、機械的筋運動図、または電気的インピーダンス筋運動図を含み得る。さらにまた、センサによる信号を検知することは、歪みセンサ、超音波センサまたは食道圧センサにより行われ得る。追加的または代替的に、呼吸補助の指標に基づいて患者の呼吸筋が刺激され得る。この点で、呼吸補助の指標に関する制御によって、第1の情報と第2の情報との間の差異を低減することが行われ得る。
【0292】
幾つかの例示的な実施形態では、本方法は、呼吸補助の指標として、患者に対して刺激信号を生成することが行われ得る。第1および第2の情報は、それぞれ患者側の刺激された呼吸筋活動量もしくは全呼吸筋活動量、患者側の刺激された呼吸筋流量もしくは全呼吸筋流量、または患者側の刺激された呼吸筋圧もしくは全呼吸筋圧の指標を含み得る。さらにまた、患者の自発的な呼吸活動によって引き起こされる呼吸筋活動量、患者の自発的な呼吸活動によって引き起こされる呼吸筋流量、または患者の自発的な呼吸活動によって引き起こされる呼吸筋圧に関する情報を決定および提供することが行われ得る。患者の自発的な呼吸活動量に関する情報に基づいて呼吸補助の指標が決定され得る。呼吸補助の指標は、患者の自発的な呼吸活動量に関する情報が目標呼吸筋活動量を超える呼吸筋活動量を示す場合、患者のより強い鎮静の指標が示され得るが。さらに、呼吸補助の指標に応答して、第2の情報から患者の刺激インパルス応答を推定することが行われ得る。例えば、この推定は、刺激操作に基づいて行われ得、必要に応じてまた定期的または連続的に行われ得る。さらにまた、幾つかの例示的な実施形態では、第1および第2の情報についてそれぞれの信頼性が決定され得、信頼性が所定の閾値を下回る場合にそれを示すことができる。
【0293】
例示的な実施形態はまた、本方法のいずれかを含む換気装置のための方法も提供する。この場合、呼吸補助の指標に関する情報が刺激器に通信され得る。呼吸補助の指標は、振幅、ランプ勾配、刺激持続時間、開始時間、実際呼吸筋活動量、終了時間および目標呼吸筋活動量の群の少なくとも1つのパラメータを含み得る。通信は、刺激器および/またはセンサユニットとリアルタイムで行われ得る。例えば、通信は、刺激器および/またはセンサユニットとサンプルごとにリアルタイムで行われ得る。通信は、呼吸補助の指標の時間的な推移を刺激器および/またはセンサユニットと通信することを含み得る。少なくともいくつの例示的な実施形態では、本方法はまた、刺激器にクロックを予め設定することを含み得る。サンプルごととは、通信がサンプル値のシーケンス、つまりサンプル値ごとに基づいていることを意味する。
【0294】
第1および第2の情報は刺激器に予め設定され得、かつ/または換気操作を刺激器と調整することが行われ得る。
【0295】
例示的な実施形態はまた、本方法のいずれかを含む刺激器のための方法を提供する。この場合、第1または第2の情報の受信は、センサユニットまたは換気装置から行われ得る。さらにまた、振幅、ランプ勾配、刺激持続時間、開始時間、終了時間、実際呼吸筋活動量、目標呼吸筋活動量、気道内流量、気道内圧、気道筋圧、気道筋仕事量および気道筋流量の群からの少なくとも1つの情報がセンサユニットから受信され得る。幾つかの例示的な実施形態では、センサユニットおよび/または換気装置からクロックが受信され得る。追加的または代替的に、センサユニットおよび/または換気装置にクロックを予め設定することもできる。通信はリアルタイムで行われ得る。換気操作は刺激器と調整され得る。
【0296】
例示的な実施形態はまた、本方法を有するセンサユニットのための方法を提供する。本方法は、換気装置から少なくとも1つの空気圧信号に関する情報を受信することと、少なくとも1つの空気圧信号に関する情報にさらに基づいて呼吸補助の指標を決定することとを含み得る。センサ信号に基づいて第2の情報を検知することが行われ得る。この場合も、幾つかの例示的な実施形態では、リアルタイムでの通信が行われ得る。さらにまた、呼吸補助の指標として、振幅、ランプ勾配、刺激持続時間、開始時間、終了時間、実際呼吸筋活動量、気道内流量、気道内圧、呼吸筋圧、呼吸筋仕事量および呼吸筋流量の群からの少なくとも1つの情報を換気装置または刺激器に提供することが行われ得る。操作に関する情報も受け取られ得る。本方法は、第1の情報として、または第1の情報とともに、ゲーティング、マスキングする測定時間、フィルタリング、または刺激アーチファクトの抑制に関する情報を換気装置または刺激器から受信することを含み得る。
【0297】
例示的な実施形態はまた、本明細書に記載されるような方法を含む換気システムのための方法を提供する。換気装置のための方法、刺激器のための方法および/またはセンサユニットのための方法が含まれ得る。
【0298】
例示的な実施形態は、呼吸努力に比例した筋刺激を可能にし得る。比例換気と類似して、呼吸筋の刺激は、患者の自発呼吸に比例して行うこともできる。例示的な実施形態によれば、患者の呼吸筋の活動信号の時間的な推移に関する情報の検知が行われる。少なくとも幾つかの例示的な実施形態では、この情報と係数αまたはk^-1とを使用して、刺激を行うことができる。患者によって行われる割合も、例えば、フィードフォワードαのレベルの全体的な調節が行われる場合には重要である。少なくとも幾つかの例示的な実施形態では、αは単純に、例えば0.5に選択することもできる。その場合、刺激によって自発的な患者の活動量にさらに半分が加えられるであろう。制御ユニット14は、活動信号の時間的な推移関する情報を検知して、患者自身によって行われる呼吸仕事量の割合の時間的な推移に関する情報を検知することができる。患者自身によって行われる呼吸仕事量の割合の時間的な推移に関する情報に基づいて、患者の呼吸筋の活動信号を決定することが実行され得る。この場合、制御ユニット14は、刺激のための下側の活動閾値(Istimoffs)を決定および考慮するように構成されていてよく、呼吸筋が活動閾値を上回って刺激されると、呼吸筋の活動が起こり、呼吸筋が活動閾値を下回って刺激されると、活動は少なくとも減少するかまたは起こらなくなる。これは、以下の図においてより詳細に説明される。例えば、制御ユニットは、刺激すること24を活動信号とフィードフォワードで実行するように構成されている。この特に生理学的なタイプの刺激では、フィードフォワードが使用され、すなわち、自発的に行われる呼吸努力が刺激によって同期的に補助される。この補助は、機械が患者から呼吸仕事量を軽減する(例えば換気装置による呼吸補助の場合が当てはまる)ことによってではなく、患者の呼吸筋の収縮を増加させる追加の筋活動を引き起こすことによって行われる。
【0299】
「呼吸仕事量」という用語が用いられる場合であっても、これは身体的な仕事量だけを指すのではなく、文脈に応じて、適用された圧または達成された換気量を指すこともある。圧が適用され、それによって換気量が達成されるときは常に、呼吸仕事も行われる。等尺性収縮(すなわち、換気量が変化しない)のときだけ、身体的仕事は行われない。このケースは閉塞で発生するが、ここでは考慮されない。
【0300】
以下の構成が例示的な実施形態において可能である:
- フィードフォワードのレベルの設定は、刺激の強度を活動の振幅または呼吸努力の指標と相関させるアジャスタによって絶対的に行われる。刺激効果は予測不可能であるため、設定中に力価測定が必要である。この場合、制御ユニット14は、刺激効果を決定するように構成されている。制御ユニット14は、刺激効果を決定するために力価測定を実行するようにさらに構成されていてよい。
- フィードフォワードのレベルの設定は、例えばパーセンテージによって相対的に行われる。これは、刺激効果が基準(活動信号または呼吸努力)に関連し、それによって予測可能であることを意味する。この場合、制御ユニット14は、刺激することを、活動信号に比例して実行するように構成されている。
- 筋刺激は、有利には比例換気である呼吸補助と並行して実行される。比例換気は呼吸仕事の機械的補助を行うが、筋刺激は活動の増加をもたらす。こうして、呼吸仕事に対する患者側の筋肉により行われる割合が増加する。この場合、制御ユニット14は、患者に並列空気圧換気を提供するように構成されている。並列空気圧換気は、比例換気として実行される。
- フィードフォワードのレベルの設定は、全体的な目標を考慮して行われる。これは、有利には、呼吸仕事量の患者側と機械側との割合を規定することである。この場合、制御ユニット14は、例えば、所定のレベルに基づいて刺激することの強度を設定するように構成されている。
【0301】
呼吸筋の刺激は、呼吸努力の指標に比例して行われ得る。幾つかの変形が考えられる。制御ユニット14は、患者の呼吸筋の活動信号の時間的な推移に関する情報として、
- 筋圧Pmus、
- 自発的な筋圧Pspon、
- 患者の筋肉によって引き起こされる呼吸ガス流量Flowmus、
- 患者の筋肉によって自発的に引き起こされる呼吸ガス流量Flowspon、
- 患者自身によって行われる呼吸仕事量WOB、および
- 患者自身によって行われる自発的な呼吸仕事量WOBspon
の群からの少なくとも1つの要素に関する情報を決定するように構成されていてよい。これらの変数は、患者自身の活動に関する情報をそれらすべてから取得できるという点で等価である。
【0302】
神経学的リハビリテーションの文脈では、活動信号に依存する骨格筋の電気刺激、それに比例する刺激も知られている[E35,E36]。磁気刺激は、刺激コイルに非常に高い電流(>1000A)が流れるため、高周波(インパルス間隔20~100ミリ秒、有利には40~50ミリ秒)で供給される必要があり、電気刺激よりも制御が困難である。呼吸筋の活動の検知と刺激との両方は、呼吸の解剖学的、無意識の制御および中枢機能のために、骨格筋の場合よりも困難である。幾つかの例示的な実施形態では、制御ユニット14は、患者の呼吸筋の活動信号の時間的な推移に関する情報を検知することを、筋電図法による信号、電気的インピーダンス筋運動記録法からの信号、歪みセンサの信号、超音波センサの信号または筋音図法による信号に基づいて実行するように構成されている。
【0303】
空気呼吸信号と、筋活動量(EMG)および筋刺激の間の関係は、以下の運動方程式:
Pvent(t)=R・Flow(t)+E・Vol(t)+const-NME・(EMGspon(t)+EMGstim(t))
によって表すことができ、
ここで、筋圧は、
Pmus(t)=NME・(EMGspon(t)+EMGstim(t))
と仮定され、
刺激によって引き起こされる活動信号は、
EMGstim(t)=k(t)*Istim(t)
と仮定される(符号「*」は、畳み込み記号である)。
【0304】
変形例A
幾つかの例示的な実施形態では、フィードフォワードのレベルの設定は、刺激の強度を活動の振幅と
Istim(t)=a・EMG(t)
または
呼吸努力の指標と
Istim(t)=b・Pmus(t)
相関させるアジャスタ(パラメータaまたはbを介して)によって絶対的に行われる。
【0305】
この場合、制御ユニット14は、刺激強度と活動信号とからの比または刺激強度と推定呼吸努力Pmusとからの比を介して決定するように構成されている。
刺激効果、すなわち、どのような活動またはどの筋圧が発生させられるかは、このように予測不可能である。したがって、係数を適切に設定するためには、力価測定が必要である。これは、最初は小さな刺激強度で、その後はかなり小さな増分変化を適応させて、どの刺激強度で所望の活動または筋圧が得られるかを「試行」することを意味する。活動信号EMG(t)が測定され、筋圧Pmusu(t)が推定される[E16]。
【0306】
変形例B
呼吸努力に比例した刺激の幾つかの例示的な実施形態では、活動信号に関連することから相対的な設定が行われる。
フィードフォワードは次のとおりである:
EMGstim(t)=α・EMGspon(t)
【0307】
この要件は、刺激によって引き起こされる活動が自然呼吸による活動のα倍であるべきことを意味する。このレベルは、刺激された呼吸活動量と患者の自発的な呼吸活動量との間の関係に対応する。なぜなら、
EMG(t)=EMGspon(t)+EMGstim(t)
により、
EMGstim(t)=α/(1+α)・EMG(t)
[式中、簡単のために、α/(1+α)=βを設定することができる]
EMGstim(t)=β・EMG(t)
が得られるからである。
【0308】
つまり、フィードフォワードは、自発活動に関連する係数αを介して、または全活動量に関連する係数βを介して規定することができる。後者の方が、活動の自発的な割合を最初に決定する必要がないため、実現が容易である。刺激強度の推移を得るためには逆畳み込みが必要であり、これは、例えば行列表記でテプリッツ行列Kの反転によって解くことができる[E29]。刺激強度の時間的な推移を
【数3】
として表記することは、時間信号Istim(t)の離散時点でのサンプリングに相当する:t=t=k・Δt
【数4】
【0309】
その結果、EMG信号は重み付けされ、K-1でフィルタリングされて刺激に使用される。つまり、刺激には、活動信号EMG(t)と(反転された)活動能力k(t)とが必要である。後者は、重み付け関数の意味で、刺激インパルスに対する筋肉の活動応答を記述する。
【0310】
それゆえに、制御ユニット14は、患者の呼吸筋の活動信号の時間的な推移に関する情報に基づいて、患者の自発的な呼吸活動量を検知するように構成されていてよい。刺激信号は、刺激された呼吸活動量と患者の自発的な呼吸活動量との間の関係と、患者の筋肉の活動インパルス応答とに基づいて検知され得る。制御ユニット14は、刺激信号を、刺激によって引き起こされる所望の活動信号EMGstimの活動インパルス応答による逆畳み込みによって検知するようにさらに構成されていてよい。
【0311】
変形例C
この例示的な実施形態における第3の変形例は、変形例Bと同様であるが、筋圧信号に関連する。フィードフォワードは、
Pstim(t)=α・Pspon(t)
である。
【0312】
この要件は、刺激によって引き起こされる筋圧が、自発呼吸による筋圧のα倍であるべきことを意味する。ここで、制御ユニット14は、自発的な呼吸活動量を、患者から自発的に発生した呼吸筋圧Psponとして検知し、刺激された呼吸活動量を、刺激によって発生した呼吸筋圧Pstimとして検知するように構成されている。なぜなら、
Pmus(t)=Pspon(t)+Pstim(t)
により、
Pstim(t)=β・Pmus(t)と、
有効性指標を考慮した上で、
NMEstim・EMGstim(t)=β・NME・EMG(t)と
が得られるからである。
【0313】
刺激下での有効性指標が自然呼吸下でのものと変わらない場合は、変形例Bと同じ結果になる。それ以外の場合は、
【数5】
が適用される。
【0314】
刺激には、活動信号EMG(t)に加えて、(反転された)活動能力k(t)が必要であり、有効性指標NMEおよびNMEstimが必要である。
【0315】
変形例D
この変形例は、筋肉努力によって提供される換気量に関連する。この場合、制御ユニット14は、自発的な呼吸活動量を、患者から自発的に発生した呼吸ガス流Flowsponとして、刺激された呼吸活動量を、刺激によって発生した呼吸ガス流量Flowstimとして検知するように構成されている。フィードフォワードは、
FlowStim(t)=α・FlowSpon(t)
である。
【0316】
ここでは、換気量などの積分変数ではなく、その導関数(流量)が使用される。なぜなら、比例補助は-呼吸動作ごとではなく-リアルタイムで実行されるからである。こうして、筋肉により引き起こされる流量は、筋圧から計算することができる:
FlowStim(t)=Pstim(t)*DT1(t)
および
FlowSpon(t)=Pspon(t)*DT1(t)、
式中、DT1(t)は、[E29]に記載されているDT1伝達要素(一次遅れ要素)を表し、これは患者の肺機能特性によって特徴付けられる。これにより、
Pstim(t)=α・Pspon(t)
が得られる、そのため、この変形例の結果は、変形例Cと変わらない。
【0317】
変形例E
本変形例は、筋肉による呼吸仕事量に関連する。ここでは、制御ユニット14は、自発的な呼吸活動量を、患者から自発的に発生した呼吸仕事量WOBspon、またはその時間導関数dWOBspon/dtとして検知し、刺激された呼吸活動量を、刺激によって発生した呼吸仕事量WOBstim、またはその時間導関数dWOBstim/dtとして検知するように構成されている。フィードフォワードは、
dWOBStim(t)/dt=α・dWOBSpon(t)/dt
である。
【0318】
変形例Dと同様に、ここではリアルタイム性が要求されるため、ここでは導関数が使用される。これは、
stim(t)Flow(t)=α・Pspon(t)Flow(t)
に相当し、
Flow(t)は方程式の両辺に発生するため、結果は変形例Cと変わらない。
【0319】
変形例F
前の変形例(A~E)のいずれかに依拠するこの変形例では、全体的な目標が達成されるように、より大まかな時間水準でのフィードフォワードのレベルが制御される(例えば、サンプルレベルではなく、呼吸動作ごとに、あるいは1分以上にわたって)。この場合、制御ユニット14は、患者の1回の呼吸周期以上の時間水準で所定のレベルを追跡するように構成されている。
【0320】
図5は、変形例を示すための概略図を介して、例示的な実施形態における制御を示す。示された変形例は、変形例F(図4)に基づいて説明される。図4図5および図11における同一の要素は、図4図5および図11において同一の参照番号が付されている。刺激信号Istim(t)が、患者300または患者モデル400に供給され、これにより、活動能力k(t)502を介して、刺激に基づくEMG信号EMGstim(t)が生じる。呼吸器システム504によって自発的に発生したEMG信号EMGspon(t)がこれに重畳され、EMG全体信号EMG(t)が生じる。この信号はまた、ブロック506でNMEを介して、筋圧Pmus(t)および/または筋肉-換気量流量Fmus(t)に変えられる。2つのフィードバックループが存在する。EMG時間信号EMG(t)は、それに比例してブロック510で刺激信号lstim(t)を生成するために、フィードフォワードとしてサンプルごとにフィードバックされる。これは、インパルス間隔が固定された振幅変調インパルスシーケンスであることに留意されたい。フィードフォワードのレベルは、主にβによって決まる。これは、ブロック512でより大まかな時間水準で目標値Pmussollからの筋圧Pmusの偏差に依存する第2のフィードバックによって決定される(制御差を1/Pmusで乗算)。このために、Pmus(t)の平均化がブロック514で行われる。
【0321】
他の2つの例示的な実施形態が代替的に示されており、筋肉により行われる換気量Vmus(t)または呼吸仕事量WOBmus(t)の偏差に依存してフィードバックが決定される。筋肉により行われる換気量Vmus(t)は、EMGにNVEを乗算して直接計算することもできる。この図に示すように、Pmus(t)からDT1要素522(一次遅れ要素)を介して信号Fmus(t)/Flow(t)を生成し、そこからブロック524で積分して換気量Vmusを決定することができる。VmusとVmussollとの間の差から、次にブロック526でβを決定することができる(制御差を1/Vmusで乗算)。代替的に、ブロック532を介してPmus(t)とFlow(t)との積を積分してWOBmus(t)にすることができる。WOBmusとWOBmussollとの間の差から、次にブロック534でβを決定することができる(制御差を1/WOBmusで乗算)。変形例Fでは、全体的な目標が達成されるように、フィードフォワードのレベルがより大まかな時間水準で制御される。しかしながら、振幅(これはフィードフォワードのレベルによって直接決定される)とは別に、刺激
【数6】
の時間的な推移は変化せず、比例関係K-1
【数7】
は同じままである。
【0322】
有利には、追求すべき目標は、駆動圧(1)、達成された換気量(2)および/または呼吸仕事量(3)の患者側の割合を、具体的にはより大まかな時間水準で規定することである。例えば、制御ユニット14は、患者側の駆動圧割合ΔPmus、患者側の換気量割合ΔVolmus、または患者側の呼吸仕事量の割合ΔWOBmusを含む目標値を達成するよう刺激を調節するように構成されていてよい。本方法は、比例換気における比例係数の自動設定の場合と同様に、ステップシーケンス(1)~(3)で実現されることができる[E37]。
【0323】
(1)フィードフォワードを制御するためには、[E29]に記載されているように、目標値からの目的変数の偏差をフィードバックする必要がある。筋圧を考慮した場合の制御偏差には、
【数8】
が適用される。
【0324】
制御偏差は、例えば平均化、中央値算出または面積計算によって1回または複数回の呼吸動作にわたって決定される積分変数(すなわち、サンプルレベルではない)として考慮されることになる。代替的に、制御偏差によって供給されるコントローラが、この計算を実行する。コントローラは、制御偏差を操作変数、すなわち設定されるべきフィードフォワードのレベルに変換する。制御偏差は刺激によってゼロになる必要があるため、筋圧を考慮する場合は、
ΔPmus=Pstim
が適用され、したがって変形例Cからの方程式が用いられる(これも積分-つまり、より大まかな時間水準-が適用される)
Pstim=β・Pmus=ΔPmus
【0325】
βについて解くと、
【数9】
が得られる。
【0326】
(2)筋肉により提供される換気量を考慮すると、制御偏差は、
【数10】
である。
【0327】
これは、刺激効果:
ΔVolmus=Istim・K・NVE=EMGstim・NVE
に対応する。
【0328】
比例関係:
EMGstim=β・EMG
にあるため、
【数11】
が得られる。
【0329】
(3)したがって、呼吸仕事量の制御偏差値については、
【数12】
が適用される。
【0330】
これは、刺激効果:
ΔWOBmus=Istim・K・NME・Vol=Pstim・Vol
に対応する。
【0331】
比例関係:Pstim=β・Pmusであるのと、
WOBmus=Pmus・Volのため、
【数13】
が得られる。
【0332】
3つのケースすべてにおいて、制御偏差および目標値に基づいてフィードフォワードを設定することができる。変形例AおよびBの式を比較すると、
対応関係:α=K-1・β、およびb=α/NME
が得られ、
Pmus(t)=NME・EMG(t)であるため、フィードフォワードの設定はすべての変形例A~E、F(図4)で可能である。
【0333】
図6は、被験者-記録に基づくEMG信号曲線を示す。
横座標(x軸)1は、上側の表示600および下側の表示601において、[ミリ秒]単位のスケーリングで時間軸としてプロットされる。上側の表示600では、信号「intercost.stm」が縦座標(y軸)2として左側に示され、信号「Costmar.org」が縦座標(y軸)3として右側に示されている。下側の表示601では、信号「Costmar.ecgr」が縦座標(y軸)4として左側に示され、信号「Costmar.em」が縦座標(y軸)5として右側に示されている。上側の表示600における矩形領域602(「intercost.stim」)は、刺激が行われた時間範囲(それぞれ約4.5秒であるが、ただし呼吸努力に比例しない)を示している。下側の表示601では、信号「costmar.org」604がμVで示されている。信号「costmar.org」604は、2つの電極によって肋骨弓から導き出された元のEMG信号である。信号「costmar.ecgr」606は、EKGおよび刺激アーチファクトならびにオフセットが除去されているという点で元のEMG信号604と異なっている。信号「costmar.env」608は、信号「costmar.ecgr」606の包絡線であり、250ミリ秒の時間間隔にわたる平均値(二乗平均平方根)として出され、横隔膜活動の指標となる。
【0334】
図7は、図6の画像からの拡大部分666を示し、単一の刺激された呼吸動作が、上側の表示700および下側の表示701によって示されている。横座標(x軸)1は、上側の表示700および下側の表示701において、[ミリ秒]単位のスケーリングを有する時間軸としてプロットされる。上側の表示700では、信号「intercost.stm」が縦座標(y軸)2として左側に示され、信号「Costmar.org」が縦座標(y軸)3として右側に示されている。下側の表示701では、信号「Costmar.ecgr」が縦座標(y軸)4として左側に示され、信号「Costmar.em」が縦座標(y軸)5として右側に示されている。図6および図7における同一の要素は、図6および図7において同一の参照番号が付されている。上側の表示700における垂直な灰色の線702は、刺激インパルスのタイミングである。エンベロープ信号608の形状(costmar.env)から分かるように、ランプ状の強度曲線で刺激が行われた。ここでも信号606は、アーチファクトおよびオフセットが除去された推移(costmar.ecgr)を示し、信号608は関連する包絡線(costmar.env)を示す。
【0335】
図8は、図6および図7からさらに拡大された部分777を示し、多数の刺激インパルス802を含む。横座標(x軸)1は、表示800において[ミリ秒]単位のスケーリングを有する時間軸として示されている。図6図7および図8における同一の要素は、図6図7および図8において同一の参照番号が付されている。表示800において、信号「intercost.stm」が縦座標(y軸)2として左側に示され、信号「Costmar.org」が縦座標(y軸)3として右側に示されている。元のEMG信号604および刺激インパルス802のタイミングは、図7による上側の表示700と同様に、表示800に示されている。各刺激インパルス802の約20~30ミリ秒後に、元の信号604は、costmar.org活動パターン(刺激応答)を示す。
【0336】
図9は、時間的な推移において平均化された刺激インパルス応答を示す。横座標(x軸)1は、時間軸として示されている。図6図7図8および図9における同一の要素は、図6図7図8および図9において同一の参照番号が付されている。縦座標(y軸)6には、大きな時間範囲で平均化された元のEMG信号604「costmar.org」(図6図7図8)の刺激応答「costmar.avg」904(刺激後のμV単位の元の信号costmarの平均)が示されている。平均化は、刺激タイミングに関して行われ、2つの刺激インパルス間隔を含む。刺激インパルスのタイミングは、垂直の破線902によって示されている。これらの線は、対応する刺激アーチファクトと一致する。以下では、例示的な実施形態で使用される幾つかの有効性指標および操作法について説明する。フィードフォワードおよびその制御のためには、[E29]に記載されているように操作によって決定することができる有効性指標が必要である。これらは、主に単収縮刺激であり、場合によっては同時に呼気終末閉塞を行い、活動能k(t)および神経機械効率NMEを決定する。オフセットの決定は、以下のように行うことができる。刺激について、筋活動にはまだそのままつながらない最大刺激強度
【数14】
を決定する必要がある。このオフセットは、元の刺激信号から差し引かれる:
【数15】
【0337】
元の刺激信号は「未処理の刺激信号」とも呼ばれることがある。このとき初めて、強い非線形歪みを回避しながら、呼吸努力に比例した刺激が可能になる。オフセットの決定は自動的に行うことができる。このために、刺激強度を変化させた刺激、例えばランプの形態の刺激シーケンスまたはランダムに分布した振幅による刺激が実行される。その後、発生した活動、例えば刺激応答のピークとしての活動が、関連する刺激強度に対してプロットされる。幾つかの例示的な実施形態では、アーチファクト除去/抑制が実行され得る。リアルタイムでの刺激アーチファクトの除去または少なくとも低減が必要になる場合がある。なぜなら、そうしなければフィードフォワードがいわゆる暴走(アウトライアー、刺激アーチファクトのフィードフォワードによる信号の制御不能な振動)を引き起こす可能性があるためである。アーチファクト除去に関する更なる詳細は、[E36,E38]に記載されている。多くの場合、一種のゲーティング(「Gating」)が実行され、干渉するインパルス応答を回避し、信号パワーの損失をできるだけ少なくするように、刺激アーチファクトは後続のフィルタステージの前にカットされる。アーチファクトの低減は、例えばICA(独立成分分析)またはウェーブレット変換による信号処理レベルでも可能である。例示的な実施形態は、患者の呼吸努力に比例した刺激強度を提供し得る。オフセット(活動なしの最大刺激強度)の自動力価測定および/または操作の実行は、例えば、有効性指標および活動能力を決定するために行われ得る。この場合、フィードフォワードを使用することができる。刺激および筋活動の検知は同時に行うことができ、刺激アーチファクトの除去をリアルタイムで行うことができる。幾つかの例示的な実施形態では、刺激強度の絶対的な設定が行われ得る。幾つかの例示的な実施形態では、臨床スタッフがフィードフォワードのレベルを予め設定するだけでよいように、相対的な設定も行われ得る。例示的な実施形態では、全体的な目標(駆動圧、換気量または呼吸仕事量の患者側の割合)を予め設定することができ、それによってフィードフォワードの自動設定を達成することができる。通常、横隔膜の活動を目的として横隔神経が刺激される。活動能力の決定には、活動信号の時間的な推移k(t)が検知される(EMGによる)。信頼性の高い重み付け関数(カーネル、インパルス応答)を得るためには、操作を繰り返し、時間的な推移を平均化することが望ましい(PSTH:刺激前後時間ヒストグラム)。刺激インパルスのシーケンスに対する筋活動量(EMG)の時間的応答は、k(t)による畳み込みによって予測可能になる。場合によっては刺激インパルスの強度が変化する可能性があることを考慮する必要がある。基本的には、活動につながらない部分(オフセット)を刺激強度から差し引く必要がある。活動は、最小活動閾値を超えたときのみ起こる。その後、線形性と重ね合わせの原理の有効性を仮定することができる(ただし、必ずしもその必要はない)。一般に、制御ユニットは、刺激によって発生し得る呼吸筋圧Pstim、刺激によって発生し得る呼吸換気量Volstim、および/または刺激によって発生し得る患者の呼吸仕事量を決定するように構成されていてよい。
【0338】
刺激中の神経機械効率(NME)を決定するための操作:
- この操作は、自発呼吸中の神経機械効率(NME)の測定と同様に行うことができ、自発呼吸の代わりに完全な呼吸動作を刺激する。つまり、ブレス刺激(Breath Stimulation)と、同時に呼気終末閉塞とを行うという操作の組み合わせである。
- ブレス刺激:
この場合、自発的な呼吸動作と同じ効果を有する刺激インパルスのシーケンスが生じるように、強度に重み付けされた一連の単収縮-操作が実行される。すなわち、シーケンスの持続時間および場合によっては形態も自然的な呼吸動作に合わせられる[D18]。個々のインパルスの強度は、通常、単収縮-インパルスの100%の強度よりもはるかに低い。
- 呼気終末閉塞操作、自発呼吸中の神経機械効率(NME)の決定。
- ブレス刺激により、自発呼吸と区別できる明確な活動が発生する場合、これらの(かなり侵襲的な)操作は省略することができる。その場合、推定法を用いて、自発呼吸と同様にNMEstimを計算することができる[E15]
【0339】
刺激中の神経換気効率NVEを決定するための操作:
- 1回または数回の呼吸動作に対して、補助が省略され、実行される(場合によっては数回の呼吸動作を平均した)一回換気量VolSstimが検知され、活動信号(EMGstim)の指標(平均値、面積など)に関連付けられる。
- これには、ブレス刺激(上記参照)と、通常呼吸補助が行われるシナリオでの補助の省略という2つの操作の組み合わせが必要である。
- 自発呼吸中の神経換気効率の決定と同様に、NVEのサロゲートを計算し、補助を省略しなくてもEMGstimに対するVolStimの商として利用することができる。
【0340】
刺激機械効率SME(t)を決定するための操作
- k(t)またはSVE(t)の決定と同様に単収縮刺激を行い、同時に閉塞を行う[E21]。口閉鎖圧の時間的な推移を検知し、場合によっては二重操作を数回繰り返すことにより平均化する。
- 刺激インパルスのシーケンスに対する口閉鎖圧(気道開放時のPmusに対応)の時間的応答は、SME(t)による畳み込みによって予測可能である。
- 代替的に、二重操作の代わりに、k(t)およびNMEstimを順次決定し、刺激機械効率を次のように計算することができる:
SME(t)=k(t)・NMEstim
- 刺激強度が最大になると、口閉鎖圧の振幅はPmusMaxに対応し、これは実行可能な最大呼吸努力の指標となる[E11,E23]
【0341】
刺激換気効率SVE(t)を決定するための操作:
- k(t)またはSME(t)の決定と同様に単収縮刺激を行い、同時に換気装置による補助なしで提供される換気量を検知する。文献では、通常、単収縮刺激では圧のみが検知され、換気量は検知されない。換気量は、場合によっては操作を数回繰り返すことにより平均化される。
- 刺激インパルスのシーケンスに対する提供される換気量の時間的応答は、SVE(t)による畳み込みによって予測可能である。
- 代替的に、k(t)およびNVEstimを順次決定し、刺激換気効率を次のように計算することができる:
SVE(t)=k(t)・NVEstim
【0342】
負荷能力LBCを決定するための操作:
- 制御ユニットは、患者の呼吸筋の負荷能力の指標をさらに決定するように構成されていてよい。例えば、負荷能力の指標は、基本負荷PmusBaseと患者の実行可能な最大呼吸努力PmusMaxとの間の関係に基づくことができる。
- 負荷能力は、基本負荷(すなわち、場合によっては制限された呼吸力学に基づいて必要な筋肉努力)を、実行可能な最大呼吸努力に関連付ける。この説明の文脈では、次のように計算することができる:
LBC=1-PmusBase/PmusMax
式中、PmusBaseは、最適な呼吸パターンで十分な換気量を達成するために必要な筋圧の指標(平均値、振幅、面積など)に対応する(一次治療目標参照)。この値は、呼吸力学の既知のパラメータを考慮して計算することができる[E30]。
- 実行可能な最大呼吸努力の指標は、SME(t)を決定するための操作に対応する最大活動時の口閉鎖圧である。それゆえに、PmusMaxは、この時間信号SME(t)の指標(平均値、振幅、面積など)である。
【0343】
これまでに利用可能な治療装置とは異なり、例示的な実施形態におけるシステムは、肺だけでなく、呼吸筋、特に横隔膜の保護も同時に重視する。その適用によって、VILIまたはVIDDに罹患する患者の数が減ることが予想される。治療を改善するための重要な生理学的理由は、横隔膜が-負荷能力に応じて-(駆動圧が高すぎることによる)肺の損傷を引き起こすことなく、吸気中に常に活動的に引っ張る必要があることである。横隔膜によって引き起こされる陰圧は、組織損傷の点で、陽圧換気よりも大きな利点を有している[E25]。行うべき呼吸筋圧に関して、換気および刺激を適切に調節および調整することを可能にするシステムおよび方法の実現のためには、有利には、換気装置470、刺激器460(アクチュエータユニット)(図4)およびセンサユニット200(図1a、図1b、図1c、図1d)といったさまざまなコンポーネントが互いに組み合わされる。この場合、センサユニット(例えばsEMG増幅器)は、活動信号を検知し、空気圧情報を使って呼吸筋圧を計算することが意図されている。一方、刺激器460(図4)(アクチュエータユニット)は、目的変数(例えば、筋活動量、気道内流量、食道圧または筋圧)の実際値と目標値とから刺激信号を生成し、場合によってはシステムインパルス応答のカーネルまたはパラメータを同定することが意図されている。コンポーネントは、適切なインタフェースを介して相互に接続される。制御ユニットは、1つまたは複数のインタフェース12を介して、1つまたは複数の状態パラメータに関する情報を出力するようにさらに構成されていてよい。換気装置470は、例えば、機械式の圧制御または換気量制御された換気、トリガー式の圧補助、および場合によっては患者努力の比例補助の手段を有する。換気装置470は、気道内流量および圧測定の手段を有する。センサユニットが利用可能でない場合は、筋圧信号を計算することができる。しかしながら、換気装置のセンサの空気圧信号のみに基づく場合、計算の精度が低くなる。換気装置470は、患者の鎮静レベルを変更する手段を有し得る。例えば、鎮静が深くなると自発呼吸作用が減少する。通常、鎮静剤または弛緩剤をできるだけ少なくして患者を換気する試みが行われる。呼吸筋圧が大きすぎ、したがって肺および横隔膜を損傷する可能性がある場合、この圧力は、適切な量の鎮静剤または弛緩剤を投与することによって下げることができる。アクチュエータユニット460(刺激器)(図4)は、呼吸筋の刺激(例えば、電気的に、超音波によりまたは有利には磁気的に)用いられる。アクチュエータは、有利には、例えば、刺激電極またはコイルによって、身体表面上で非侵襲的に適用される。アクチュエータは、時間依存の刺激強度Istim(t)を予め設定することによって直接制御され得る。しかしながら、刺激の効果をきめ細かく制御することが望ましい。目的変数として、例えば、筋活動の指標、引き起こされる気道内流量、または有利には収縮によって達成される筋圧が考慮される。
【0344】
これには、目的変数のセンサによるフィードバック(例えば、筋活動の指標としての読み込まれたEMG、EIMまたはMMGエンベロープ、流量信号または計算された筋圧Pmus)が必要である。この時間依存の目的変数を予め設定した後、アクチュエータ460(図4)は、目標値に到達するように、すなわち、測定された(読み込まれた)実際値が目標値にできるだけ正確に一致するように刺激を与える。すなわち、特定の効果を得るように刺激が行われる。刺激強度は適宜(場合によっては連続的に)適応される。自発的な呼吸活動によって引き起こされる筋活動量/流量/筋圧は、誤差信号として解釈される。この誤差信号は、有利には、治療上または/および診断上の価値を有するため、GUIで表示可能であることが意図されている。例えば、予め設定された患者側の全筋圧が現在の患者側の筋圧よりも大きい場合にのみ、刺激が行われる。他の場合には、刺激は行われず、場合によっては、誤差信号(自発的な筋圧)を減らすために鎮静を高めることができる。
【0345】
代替的に、呼吸筋の活動量の指標として換気量信号を使用することもでき、例えば、筋活動によって引き起こされる換気量または流量の割合[E29]が挙げられる。
【0346】
アクチュエータユニット460(図4)は、刺激効果に必要な信号の信号品質を考慮する。(例えば、筋圧計算の前提条件となる呼吸筋のsEMGの)信号品質が十分でない場合、担当の臨床スタッフにそのことを知らせることができる(アラーム)。患者が実際に行うべき筋圧は、場合によっては、圧補助の枠組みの中で換気装置によって自動的に担われることができる(フォールバック)。
【0347】
センサユニットは、表面電極によって筋活動信号、有利には横隔膜の筋電図を検知するために用いることができる。センサユニットは、刺激と同時に機能することが意図されている。したがって、一般に、検知された刺激信号における刺激アーチファクトを回避するか、またはほぼリアルタイムでそれらを除去する必要性が存在する。さらに、センサユニットは、エラーおよびアーチファクトの影響(例えば、身体運動、干渉信号)に備えるために、検知された筋活動信号または計算された筋圧信号の品質を検知する。品質が悪い場合は、臨床スタッフに通知したり、システムをフォールバックモードに切り替えたりすることができる。
【0348】
例えば、以下のような有効性指標の定義を使用することができる:
活動信号(例えばEMG)に基づく効率制御換気の場合、対応する有効性指標が必要であり、例えば、実行される筋圧を関連付ける神経機械効率(NME)[E18]または実行される換気量をEMGに関連付ける神経換気効率(NVE)[E27]が挙げられる。活動信号が利用可能である場合、活動信号に対応する筋圧(Pmus)または換気量(VolMus)は、有効性指標を用いてそこから決定(推定)することができる。逆に、こうして、呼吸仕事量、筋圧または筋肉により引き起こされる換気量の割合の配分の規準が生まれる。筋肉による割合に加えて、換気装置の割合、つまり、例えば補助圧のレベルも規定することができる。割合の配分に関しては、筋圧および換気量の両方が、自発活動(鎮静剤/弛緩剤の投与によって減衰させることができる)または呼吸筋の刺激された活動によって提供されることができる。有利には、有効性指標はどちらの場合も同じである。しかしながら、解剖学および病理学によっては、有効性指標が異なる場合があり、その場合、それぞれ2つの別々の指標、例えばNMEsponとNMEstimまたはNVEsponとNVEstimを決定する必要がある。換気に類似した刺激の規準も可能にするために、刺激による筋肉の神経活動能力の指標も必要である。活動能力kは、刺激に依存する筋活動、例えばその時間的な推移を記述し、そのため、活動信号(有利にはEMG)を刺激信号から計算することができる:
EMGstim(t)=Istim(t)*k(t)
【0349】
これにより、例えばNMEを用いて、刺激によって提供される筋圧の時間的な推移を予測することができる:
Pstim(t)=EMGstim(t)・NMEstim=Istim(t)*k(t)・NMEstim
【0350】
同様に、NVEを用いて、刺激によって提供される換気量の時間的な推移を予測することができる:
VolStim(t)=EMGstim(t)・NVEstim=Istim(t)*k(t)・NVEstim
【0351】
活動能力および有効性指標をまとめると、次のようになる:
SME(t)=k(t)・NMEstim、および
SVE(t)=k(t)・NVEstim
【0352】
「刺激機械効率」(SME)および「刺激換気効率」(SVE)という指標も有効性指標である。しかしながら、これらは神経活動信号としてEMGを使用せず、刺激によって達成された筋圧または筋量を使用する。NMEまたはNVEとは異なり、SME(t)およびSVE(t)は、刺激強度の時間的な推移と畳み込むべき潜在的に時間依存する信号(例えば、カーネル)である。有効性指標の決定は、幾つかの例示的な実施形態では、その効果に関連する換気および刺激に必要な場合があり、制御システムの特性決定を表す。これは、それぞれの制御信号を意図された効果に関連付け、予想される目標値からの偏差が、制御システムの知識なしに、単純なアルゴリズムまたはコントローラを使用して、制御信号を何らかの方法で変更することによって目標値を達成しようとする場合よりも小さくなるようにする(例えば、[E13]参照)。刺激の場合、通常、スカラー係数または特性曲線だけでなく、制御システムインパルス応答に対応する時間依存のカーネルが考慮される必要がある。さらに、刺激は、典型的には20~100ミリ秒(有利には40~50ミリ秒)間隔で重み付けされた加重インパルスのシーケンスとして行われる。各インパルスは単独の活動(単収縮)を誘発するが、活動信号の呼吸のような形が得られるのは、インパルス-シーケンス全体が終わった後である。
【0353】
以下の表2に記載されている操作を、対応する有効性指標の決定に使用することができる(上記参照):
【表2】
【0354】
表2は、操作とその組み合わせとの概要、およびそれらから決定できるそれぞれの変数を示している。符号「^」は、推定、例えば、回帰またはカルマンフィルタによって変数が算定されることを示す。接尾辞「stim」および「spon」は、それぞれ刺激および自発呼吸への参照を示す。接尾辞がない場合、参照は両方のシナリオの組み合わせであるか、明確に割り当てることができない。指標に差がないことが予想される場合は、接尾辞を省略することができる。操作の侵襲性、つまり患者への負荷の程度はさまざまである。負荷の程度に応じて、操作の実行頻度を高くしたり低くしたりすることができる。以下に、負荷の程度と許容される頻度を例示的に示す:
- 単収縮刺激:高、1/日
- 呼気終末閉塞:中、24/日
- ブレス刺激:中、24/日
- 呼吸補助の省略:低、240/日
- 呼吸補助の変動性:なし、無制限
【0355】
装置の構成に応じて、換気装置470または刺激器460(図4)によって操作が行われる。しかしながら、操作は、それぞれ他の装置によって要求されることもできる。例えば、刺激器460(図4)がSME(t)を決定したい場合、それは換気装置470に呼気終末閉塞操作を要求する。他方で、換気装置470(図4)または接続されたセンサユニット200(図1a、図1b、図1c、図1d)がPmusおよび/またはNMEを決定したい場合、信号の変動性を高め、(例えば、回帰またはカルマンフィルタを用いて)パラメータ推定をより信頼できるものにするために、場合によってはブレス刺激を刺激器460(図4)に要求する。検知された各指標について、有利には信号品質の指標が決定される。操作の頻度は、有利には、検知された指標の測定値の信号品質に対して自動的に適応されるべきである[E15]。例えば、補助の省略時にVolSponの信頼性が低い場合、十分な信頼性が得られるまで、この操作を繰り返し、測定値を平均化することができる。一方、負荷の程度に応じた頻度の限界も考慮しなければならない。つまり、これらの制限のために操作を当分の間繰り返すことができない場合、検知された指標は信号品質が低いという属性が与えられ、特定の目的(例えば、診断情報の表示)にはもはや使用することができないか、限られた範囲でしか使用することができない。有効性指標の適用のために、少なくとも幾つかの例示的な実施形態では、実行すべき呼吸仕事量/筋圧/換気量の割合の規準が目標値を前提とするため(例えば、目標値が予め設定されている場合)、これらは逆にされる。スカラーの有効性指標も係数として考えることができる。例えば、目的変数が予め設定されている場合、制御信号は、係数の逆数によって非常に簡単に計算することができ、例えば、
Pmus=NME・EMG
から、
関連するEMGに対してPmusをプリセットすることができ:
EMG=Pmus/NME、
この制御信号は、自発呼吸または刺激によって発生されることが意図されている。PmusおよびEMGは、サンプリングされた時間信号、または呼吸動作ごとの(積分)値も表すことができる。
【0356】
換気装置の補助圧のプリセットは、
∫Pmus(t)dt=∫Pvent(t)dt・a2/b2
により、
∫Pmus dt=a2・∫Pdrv dt,∫Pvent dt=b2・∫Pdrv dt
を用いて簡単に可能であるが、これは、サンプルレベルで計算を行わずに、積分測定が適用される場合である。これは、好ましいアプローチとみなすことができる。
∫EMG(t)dt=∫Pvent(t)dt・a2/b2/NME
【0357】
これにより、患者に要求される筋活動(すなわちEMG信号)は、補助圧および駆動圧についての必要な割合(a2およびb2)のプリセットから導き出される。他の例示的な実施形態は、筋肉により行われるべき換気量のプリセットである:
VolMus=NVE・EMG。
【0358】
逆算した後、VolMusのプリセットに関連するEMGが、次のように得られる:
EMG=VolMus/NVE。
【0359】
換気量が一回換気量であれば、流量とEMGとの積分は呼吸動作にわたって行わなければならない。分時換気量であれば、積分は、例えば1分間にわたって行われる。呼吸動作ごとの積分値だけでなく、高い時間分解能が要求される場合、効果指標を刺激に適用するのはやや困難である。要求されるEMG信号から、今度は刺激強度の時間的な推移が決定されることになる。上述したように、カーネルk(t)が既知である場合、刺激によって発生したEMG信号の推定は、以下:
EMGstim(t)=Istim(t)*k(t)
のとおりであるが、
この方程式は、Istim(t)の逆算によって解くことはできない(符号「*」は、畳み込み記号である)。このためには、デコンボリューション(逆畳み込み、デコンボリューション(Dekonvolution))が必要であり、例えば、ウィーナーフィルタが適用される。畳み込み演算は、行列表記:
【数16】
でも表すことができ、
式中、ベクトルの成分は、それぞれの時系列のサンプルを表す。Kは、カーネルk(t)に関連するテプリッツ行列である。行列Kを反転させることによって、Istimによる方程式:
【数17】
を解くことができ、
Istim(t)により、既知であると想定される(または必要とされる)EMG信号の原因として刺激の時間的な推移の推定値が得られる。しかしながら、呼吸動作ごとの積分値のみが使用される場合(すなわち、Istimは、呼吸動作のスカラー刺激振幅を記述し、EMGstimは、活動信号の振幅、面積などの同様の指標を記述する)、方程式は次のように単純化され:
EMGstim=Istim・k
Istim=EMGstim/k
そのため、逆行列の代わりに逆算で十分となる。
【0360】
例示的な実施形態では、目的変数を適宜予め設定することができる。
この場合、提供される筋圧をPmusとし、換気量または流量をVolMusまたはFlowMusとする。これらの変数は、以下のように呼吸仕事量と関連している:
WOB=WOBvent+WOBmus、
WOBmus=∫Pmus(t)・Flow(t)dt=∫P(t)・FlowMus(t)dt、
WOBvent=∫Pvent(t)・Flow(t)dt=∫P(t)・FlowVent(t)dt、
Pdrv=Pvent+Pmus、
Flow=FlowVent+FlowMus、
Vol=VolVent+VolMus
【0361】
例えば、患者が全呼吸仕事量の一部を行っている場合:
WOBmus=a1・WOB
それに応じて呼吸装置:
WOBvent=b1・WOB、
患者と換気装置とは、全呼吸仕事量をa1:b1の割合で分担する。この分担は、駆動圧Pdrvまたは流量の割合と同様(通常は同一ではない)であり、積分指標、例えば圧に対する面積積分:
∫Pmus dt=a2・∫Pdrv dt、
∫Pvent dt=b2・∫Pdrv dt、
それに応じて流量に対する面積積分:
∫FlowMus dt=a3・∫Flow dt、
∫FlowVent dt=b3・∫Flow dt
が使用され、そのため簡略化して記述することができる:
VolMus=a3・Vol、
VolVent=b3・Vol
【0362】
有利には、重みのそれぞれの合計はai+bi=1、つまり例えばa1+b1=1である。この意味において、ai*100およびbi*100はパーセンテージ割合を表す。面積積分の代わりに、例えば、二次ノルムまたは同様の積分指標を使用することもできる。患者側および換気装置側の割合は、個々のサンプル値ではなく、呼吸相(吸気もしくは呼気)または全体もしくは複数の呼吸動作といった間隔に関連している。先に述べたように、重みaiおよびbiは、それぞれの場合において異なることがある。例えば、呼吸仕事量(WOBmus)の大部分を数学的に担う患者は、筋肉により行われる流量の時間窓で圧が大きく、換気装置によって行われる流量の時間窓で圧が小さい場合、流量(FlowMus)の小さな部分のみを担うことができる。しかしながら、これらのケースは理論的な性質のものにすぎない。流量または換気量、あるいは圧の割合は、呼吸仕事量の割合的な指標よりも直感的に理解できるかもしれない。なぜなら、換気量(例えば、分時換気量MVもしくは一回換気量VT)または補助圧の監視および規定は、臨床的に非常に重要だからである。
【0363】
少なくとも幾つかの例示的な実施形態は、効果制御された換気および刺激を可能にし得る。効果制御された治療のためには、二次治療目標に関連して、呼吸努力の指標を(制御または調節の意味で)決定および設定しなければならない。患者によって行われる呼吸努力(呼吸仕事量、筋圧または呼吸筋によって引き起こされる流量もしくは換気量として)は、自発活動、刺激またはその両方によるものであっても、以下のように決定される:
運動方程式:
Pvent(t)+Pmus(t)=R・Flow(t)+E・Vol(t)+const
において、筋圧Pmus(t)は、次の仮定:
Pmus(t)=NME・EMG(t)
に置き換えられ、そのため、推定式:
Pvent(t)=R・Flow(t)+E・Vol(t)+const-NME・EMG(t)+イプシロン
において、回帰またはカルマンフィルタにより誤差イプシロンを最小化することによって係数R、EおよびNMEを決定することができる。考慮の対象として定数は無視することができる。NMEが分かったことから、筋圧は、次のとおり計算することができる:
Pmus(t)=NME・EMG(t)、
あるいは:
Pmus1(t)=R・Flow(t)+E・Vol(t)+const-Pvent(t)、
または重み付けされた組み合わせとして、唯一の違いは、推定誤差イプシロンの割り当てである。以下では、第1の変形例が使用されるが、制限として理解されるべきでない。自発呼吸および刺激に関連する割合は、次のとおりである:
Pstim(t)=k(t)*Istim(t)
およびPspon(t)=Pmus(t)-Pstim(t)=Pmus(t)-k(t)*Istim(t)
【0364】
筋圧Pmus(t)に対応する呼吸仕事量は、
【数18】
となり、それに応じて各割合は、
【数19】
および
【数20】
となる。
【0365】
筋圧によって誘発される気道内流量は、周波数領域で[E29]に従って次のとおり計算することができる:
FlowMus=s/E・Pmus/(1+R/E・s)、
これは、DT1伝達要素をPmus(t)に適用することに対応する。Pmus(t)のフィルタリングは、対応する微分方程式または(実装により適した)差分方程式によって、時間領域で簡単に記述および実現することができる。筋圧によって提供される換気量は、流量の時間積分と同じである:
【数21】
通常、1回または必要に応じて複数回の呼吸動作が行われる。自発呼吸および刺激に関連する割合には、対応する既知の圧信号Pspon(t)およびPstim(t)のDT1フィルタリングの結果として、FlowSpon(t)およびFlowStim(t)の計算、つまり:
【数22】
および
【数23】
が必要である。
【0366】
患者の呼吸努力を設定(調節)できるようにするため、制御偏差が決定され、臨床ユーザが直接、または自動治療システムによって、筋圧WOBmus、呼吸仕事量WOBmusまたは提供される換気量VolMusの割合が予め設定される。予め設定された目標値からの実測値(上記参照)の偏差が決定される。目標値および実際値は、それぞれスカラー値(有利には呼吸動作ごとの値)または時間分解能が高い信号(多くの場合、ベクトルとして表される)のいずれかであり、例えば比例補助または刺激におけるリアルタイム制御の場合に必要である。以下では、スカラー変数を想定しているが、これは制限に該当しない。筋圧の偏差には、
【数24】
が適応され、ここで、EMGはEMG信号のパラメータ(例えば、振幅または面積など)を意味する。
【0367】
それに応じて、呼吸仕事量には、
【数25】
が適用される。
【0368】
ここで、WOBmusは積分値∫Pmus(t)Flow(t)dtであり、有利には1回の呼吸動作によるものである。同じことが、筋肉により提供される換気量にも適用される:
【数26】
【0369】
次のステップでは、制御偏差から制御信号が生成される。制御偏差が正の場合(患者がごくわずかしか呼吸を行えない)、呼吸筋の刺激が行われる。筋圧が予め設定されている場合、刺激は次の強度で行われる:
stim=ΔPmus・SME-1
【0370】
筋肉により送り出される換気量が予め設定されている場合は、
stim=ΔVolmus・SVE-1
が適用され、筋肉による呼吸仕事量が予め設定されている場合は、
stim=ΔWOBmus/SME・Vol
が適用され、これは、考慮の対象とされる呼吸動作における刺激強度が十分に一定である場合に当てはまる。刺激によって行われる呼吸仕事量は、
【数27】
として表すことができる。
【0371】
1回の呼吸動作にわたって刺激振幅が一定の場合、
WOBstim=SME・Istim(t)∫Flow(t)dt=SME・Istim(t)・Vol
が適用され、そのため、Istim(t)基づいて次のように置き換えることができる:
stim=ΔWOBstim/SME・Vol
【0372】
呼吸動作における刺激振幅が一定でない場合、結果は真の値からわずかにずれる。しかしながら、これは制御にはほとんど関係ない。制御偏差が負の場合(患者が過剰に呼吸を行っている)、呼吸補助が行われる。補助圧(「PEEP超」)は、筋圧が予め設定されている場合、次のとおりである:
vent=-ΔPmus
【0373】
筋肉により送り出される換気量が予め設定されている場合、おおよそ次のようになる:
vent=-ΔVolmus・E
【0374】
筋肉によりもたらされる最大換気量のタイミングを考慮すると、換気量によって引き起こされる復元力(反動)はこの値に対応する。しかしながら、積分変数(例えば、吸気期間中の平均値など)を考慮すると、結果はその値から外れるが、これは制御にはほとんど関係ない。より正確な結果を得るには、運動方程式:
Pmus(t)=R・FlowMus(t)+E・VolMus(t)+const
は、時間領域(有利には吸気期間)で積分する必要がある。その結果、換気量増加の経過VolMus(t)および時定数tau=R/Eの依存性が分かる。筋肉による呼吸仕事量が予め設定されている場合、
Pvent=-(ΔWOBmus)/Vol)
となるが、これは、Pmus(t)が吸気中に十分に一定である場合に限られる。信号Pmus(t)の経過が一定値から大幅に外れる場合は、より正確に計算するために積分:
WOBmus=∫Pmus(t)dt
を計算し、Pmus(t)の指標(例えば平均値)に従って解くことができる。この計算は簡単ではなく、通常は制御の枠組みの中で上記の近似値で十分であるため、必要ない。制御偏差が恒常的に非常に大きい場合(患者が相当過剰に呼吸を行っている)、患者を保護するために鎮静剤または弛緩剤を投与して患者自身の呼吸を弱める必要がある。これは、有利には臨床スタッフの介入によって行われる。自動化も可能であるが、鎮静効果の評価が必要になってくる。この結果、活動能力k(t)が変化する場合は、適切な操作を行って決定を新たにする必要がある。自動化された換気および刺激には、例示的な実施形態では、以下のステップが必要である:
- 一次治療目標のプリセット
・ 有利には、分時換気量(MV)または一回換気量(VT)および呼吸数(f);
- 呼吸力学パラメータの決定:
・ 主にレジスタンス(R)およびエラスタンス(E);
・ 鎮静化された患者における強制換気または
・ 自発呼吸中の補助の十分な変動性の確保(例えば、補助がランダムにわずかに変化するノイズPSV(「pressure support ventilation」、圧力補助換気モードによって))および例えば回帰またはカルマンフィルタによるパラメータの推定;
- 最適な呼吸数の計算[E30];
- 一次治療目標に応じた基本呼吸負荷(PmusBase)の決定;
- 単収縮刺激および呼気終末閉塞による活動能力および実行可能な最大呼吸努力PmusMaxの決定;
- 有効性指標の決定;
- 負荷能力LBCの決定;
- 二次治療目標のプリセット:
・ 臨床ユーザによってマニュアル的に。換気装置のGUI(グラフィカルユーザインタフェース)には、基本呼吸負荷、負荷能力、患者によって行われる呼吸努力などが表示される。これらの情報に基づいて、臨床医は患者の呼吸努力を決定することができる。これに基づいて、臨床ユーザは、患者がどの程度の負荷に耐えられるのかを評価することができる。したがって、GUIを介して患者が行うべき割合(呼吸仕事量、筋圧または筋肉により送り出される換気量)を予め設定することができる。
・ 治療システムによって自動的に。患者が行うべき呼吸努力の割合は、患者が実行可能な最大呼吸努力(例えば、WOBmusMax、VolMusMaxまたはPmusMax)のパーセンテージX(例えば50%)に設定される。治療システムは、対応する呼吸仕事量を患者に要求しようと試みる;
- 制御偏差が決定される;
- 制御偏差に基づいて、呼吸補助または刺激強度の調整が提案されるか、または自動的に実行される。鎮静剤または弛緩剤の投与は、有利には臨床スタッフの介入によって行われる。
【0375】
例示的な実施形態は、特に診断を補助することができる。
- 活動能力、
- 有効性指標、
- 負荷能力、
- 実行可能な最大呼吸努力
- 自発的な呼吸努力
- 刺激によって引き起こされる呼吸努力
の値または特性は、診断上の関連性を有し、臨床スタッフが患者の状況および治療の進捗状況を評価するのに役立つ。
【0376】
これらの指標は、換気装置および場合によっては刺激器のGUI上に、例えば、経時的に、棒グラフ、傾向グラフまたは2次元プロット(例えば、Pmus対Vol)としてグラフィック表示することができる。利用可能であれば、適切な信号品質指標を考慮することが望ましい。例えば、信頼性の低い信号は、不十分なコントラストでしか表示されないか、全く表示されない。スカラー指標は、例えば、表またはいわゆるPボックスで表示することができる。患者と臨床スタッフとの関連性に応じて、注意、アラームまたは指示を出すことができる。
【0377】
それゆえに、例示的な実施形態は、
- 活動能力(刺激により筋肉を活動させる能力を表す特性)、
- 効率(筋肉による活動によって達成される目的変数、例えばNMEもしくはNVE)、および/または
- 負荷能力(基本呼吸負荷と実行可能な最大呼吸努力との比に依存する)
を決定するための一定の操作を含み得る。
【0378】
例示的な実施形態において見られるさまざまなタイプの操作は、例えば、
- 単収縮刺激、
- ブレス刺激、
- 呼気終末閉塞、
- 単一呼吸周期のための換気補助の省略
- 他の形態の換気補助および場合によっては刺激の変動性である。
【0379】
制御ユニットは、これらの操作を実行するように構成されていてよい。
【0380】
特性(活動能力、効率、負荷能力)のグラフィック表示は、例示的な実施形態において、診断のために行うことができる。特性を使用して、例示的な実施形態において、換気および刺激の自動化を行うことができる。
【0381】
図10は、活動閾値を有する例示的な実施形態における、刺激強度Istimraw(x軸、横座標)の関数としての筋活動量(y軸、縦座標)の概略図1000を示す。ここでは、発生した活動のさまざまな測定点1001が、関連する刺激強度に対してプロットされている。回帰または他の方法によって、刺激強度に対する活動の依存性を定量化することができる。回帰または他の方法によって、刺激強度に対する活動の依存性を定量化することができる。特に、特性曲線が曲がったところで強度Istimoffs500(活動閾値)を決定することができる。強度Istimoffs500で、特性曲線は上方に曲がり、すなわち、この強度500から呼吸筋の活動が起こる。
【0382】
図11は、筋圧331,540、Pmus330の時間的な推移を示す概略図である。横座標(x軸)1は、時間軸として構成されている。図5および図11における同一の要素は、図5および図11において同一の参照番号が付されている。曲線510は、実行可能な最大筋圧PmusMaxを示し、破線の曲線520は、この最大筋圧PmusMaxの50%を示す。曲線530は基本呼吸負荷PmusBaseを示し、曲線540は自発割合550と刺激割合560とからなる筋圧Pmusを示す。PmusBase530は基本負荷、すなわち最適な呼吸リズムで十分な分時換気量を達成するために必要な筋圧である。PmusMax510は、患者がかけることのできる最大筋圧である。50%PmusMax520は、患者に要求される呼吸努力の予め設定された値である。Pmus540は、患者が行った実際の呼吸努力である。これは一時的に50%PmusMaxライン520を超え、この例では短時間に疲労(点570)と呼吸補助の必要性(範囲580)とに至る。負荷能力590LBC=1-PmusBase/PmuxMaxは、基本負荷530と実行可能な最大呼吸努力510との間の(相対)距離である。これは、破線で示した区間で非常に小さく(600、基本負荷が50%マーク520よりも高い、疲労のリスクがある)、疲労の説明がつく。自動化のために、Pmus540を50%PmusMaxライン520に近づける試みが行われる。Pmusが小さい場合は、刺激が行われる(560)。Pmusが大きい場合(特に基本負荷が増加した場合)は、呼吸補助が行われ、この例では補助圧610が与えられる。実際のPmusと実行可能な最大筋圧PmusMaxとの間には、リザーブ620がある。
【0383】
過換気は-補助圧が高すぎるか、刺激強度が高すぎるかのいずれかであり、周期的な呼吸として現れることがある。この場合、呼吸筋のsEMGは、1分以上のオーダーの時定数を有する周期的な変調を示す。周期的な呼吸は、流量および呼吸筋圧の信号にも反映される。例えば、補助圧Pawを上昇させた後、EMG信号は低い値まで低下し、その後、周期的に上昇と下降を繰り返す状態が短時間続く(無呼吸)。周期的な呼吸が検知された場合、試験的に補助圧および/または刺激強度を低下させる必要がある。周期的な呼吸はその強度が減少すれば、明らかに過換気があったことになる。そうでない場合は、補助圧/刺激強度を以前の値にリセットする。刺激の同期は、呼吸ストロークの開始と終了との両方を考慮に入れている。例えば、保護的またはエネルギー最適化された換気パターンのタイミングは、刺激信号に直接伝達することができる[E30,E33,E34]。これは、機械的換気がなく、補助のみが行われる場合にも意味があると思われる。刺激強度のパターンは、可能性として自発活動がそれと同期している限り、肺保護およびエネルギー最適化のために選択される。患者が肺保護およびエネルギー最適化された刺激パターンに取り組み、その自発活動を刺激パターンに同期させることが可能であり、蓋然性もある。それが予め設定された期間内に起こらない場合、患者の自発活動パターンが刺激の基礎として引き継がれる。
【0384】
先に詳述した例および図の1つまたは複数とともに説明した態様および特徴は、他の例の1つまたは複数と組み合わせることで、他の例の同様の特徴に代えたり、他の例にその特徴を追加的に導入したりすることができる。例はさらに、コンピュータプログラムがコンピュータまたはプロセッサ上で実行されるときに、上記の方法の1つまたは複数を実行するためのプログラムコードを含むコンピュータプログラムであってもよいし、それを参照してもよい。上述したさまざまな方法のステップ、操作またはプロセスは、プログラムされたコンピュータまたはプロセッサによって実行され得る。例は、機械、プロセッサ、またはコンピュータが読み取り可能であり、機械実行可能、プロセッサ実行可能、またはコンピュータ実行可能な命令のプログラムをエンコードするプログラム記憶デバイス、例えばデジタルデータ記憶媒体をもカバーし得る。命令は、上記の方法の一部または全部のステップを実行し、または実行させる。プログラム記憶デバイスは、例えば、デジタルメモリ、磁気ディスクおよびテープなどの磁気記憶媒体、ハードディスクドライブまたは光学的に読み取り可能なデジタルデータ記憶媒体を含むか、またはそれらであってもよい。更なる例は、上記の方法のステップを実行するようにプログラムされたコンピュータ、プロセッサもしくは制御ユニット、または上記の方法のステップを実行するようにプログラムされた(フィールド)プログラム可能なロジックアレイ((F)PLA=(Field) Programmable Logic Arrays)または(フィールド)プログラム可能なゲートアレイ((F)PGA=(Field) Programmable Gate Arrays)もカバーし得る。本開示の原理のみが、説明および図面によって説明される。さらに、本明細書に記載されるすべての例は、本開示の原理および技術の進歩に発明者が貢献したコンセプトを読者が理解するのを助けるために、例示目的でのみ明示的に意図されている。本明細書における本開示の原理、態様および実施例に関するすべての記述、ならびにその具体例には、それらの等価物が含まれる。特定の機能を実行する「~のための手段」と呼ばれる機能ブロックは、特定の機能を実行するように構成された回路を指す場合がある。したがって、「何かのための手段」は、「何かのために構成されたまたはその何かに適した手段」、例えば、それぞれの課題のために構成されたまたはそれに適した構成要素または回路として実装されることができる。「手段」、「信号を提供するための手段」、「信号を生成するための手段」など呼ばれる各機能ブロックを含む、図に示されたさまざまな要素の機能は、専用ハードウェア、例えば、「信号プロバイダ」、「信号処理ユニット」、「プロセッサ」、「コントローラ」などとして実装されてもよいし、関連ソフトウェアと連携してソフトウェアを実行することができるハードウェアとして実装されてもよい。プロセッサによって提供される場合、機能は、単一の専用プロセッサによって、単一の共有プロセッサによって、または複数の個別プロセッサによって提供されてもよく、その一部または全部が共有されてもよい。しかしながら、「プロセッサ」または「コントローラ」という用語は、決してソフトウェアのみを実行できるハードウェアに限定されるものではなく、デジタル信号プロセッサハードウェア(DSPハードウェア;DSP=デジタルシグナルプロセッサ)、ネットワークプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、ソフトウェアを格納するためのリードオンリーメモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)および不揮発性メモリデバイス(ストレージ)も含めることができる。従来型および/またはカスタマイズされた他のハードウェアも含めることができる。例えば、ブロック図は、本開示の原理を実装する大まかな回路図を表すことができる。同様に、フローチャート、シーケンス図、状態遷移図、擬似コードなどは、例えば、コンピュータ可読媒体で実質的に具現化され、そのようにコンピュータまたはプロセッサによって実行されるさまざまなプロセス、操作またはステップを表すことができ、かかるコンピュータまたはプロセッサが明示的に示されているかどうかは関係がない。明細書または特許請求項に開示された方法は、これらの方法のそれぞれのステップを実行するための手段を含む構成要素によって実装され得る。本明細書または特許請求項に開示された複数のステップ、プロセス、操作または機能の開示は、例えば技術的な理由から明示的または暗黙的に別の記載がない限り、特定の順序であると解釈してはならないことが理解される。したがって、複数のステップまたは機能の開示は、これらのステップまたは機能が技術的な理由から交換可能でない場合を除き、それらを特定の順序に限定するものではない。さらに、幾つかの例では、単一のステップ、機能、プロセスまたは操作は、複数のサブステップ、機能、プロセスまたは操作に含まれ、かつ/または分割されることができる。このようなサブステップは、明示的に除外されない限り、その単一のステップの開示に含まれ、その一部を構成することができる。さらに、以下の請求項は、詳細な説明に組み込まれ、各請求項は、別個の例として独立することができる。各請求項は独立した例として独立していてよいが、従属請求項は、特許請求の範囲において、1つまたは複数の他の請求項との特定の組み合わせを指すこともあり、他の例は、従属請求項と他の従属または独立請求項の主題との組み合わせも含み得ることに留意されたい。このような組み合わせは、特定の組み合わせが意図されていないことが示されない限り、本明細書で明示的に示唆される。さらに、他の任意の独立請求項の請求項の特徴も、その請求項が独立請求項に直接従属させられていない場合でも、含まれることが意図されている。
【0385】
以下では、本明細書で上述した多数のさまざまな実施形態とその可能な組み合わせの概要をまとめている。これらのさまざまな実施形態およびその可能な組み合わせは、更なる本発明による、好ましい、および特に好ましい実施形態、ならびにこれらの実施形態に基づく独立特許請求項および/または等位特許請求項、ならびに有利な実施形態に基づく従属請求項も提供する。
【0386】
以下では、患者の呼吸筋の状態を決定するというコンセプト、特に、呼吸筋の刺激に対する応答として活動信号の評価に基づいて患者の呼吸筋の少なくとも1つの状態パラメータを決定するというコンセプトに関する本発明の更なるおよび好ましい実施形態について説明する。基本的な実施形態は、患者の呼吸筋の状態を決定するためのデバイスであって、患者の信号を検知するように構成された1つまたは複数のインタフェースと、
- 刺激信号で患者の呼吸筋を刺激し、
- 刺激することに対する応答として活動信号を検知し、
- 刺激信号と活動信号とに基づいて、呼吸筋の1つまたは複数の状態パラメータを決定するように構成された制御ユニットと
を備える、デバイスを示す。
【0387】
上記の実施形態に基づく好ましい実施形態において、制御ユニットは、1つまたは複数の刺激インパルスで刺激信号を生成するように構成されていてよい。
【0388】
上記の実施形態の少なくとも1つに基づく好ましい実施形態において、制御ユニットは、インパルス応答として活動信号を検知するように構成されていてよい。
【0389】
上記の実施形態の少なくとも1つに基づく好ましい実施形態において、制御ユニットは、1つまたは複数の状態パラメータを決定することにより、患者の呼吸筋の活動能力を決定するように構成されていてよい。
【0390】
上記の実施形態の少なくとも1つに基づく好ましい実施形態において、制御ユニットは、活動能力を決定する際に、刺激信号の下側の活動閾値を考慮するように構成されており、呼吸筋が活動閾値を上回って刺激されると、呼吸筋の活動が起こり、呼吸筋が活動閾値を下回って刺激されると、活動は少なくとも減少するかまたは起こらなくなる。
【0391】
上記の実施形態の少なくとも1つに基づく好ましい実施形態において、制御ユニットは、刺激によって発生し得る呼吸筋圧Pstim、刺激によって発生し得る呼吸換気量Volstim、および/または刺激によって発生し得る患者の呼吸仕事量を決定するように構成されていてよい。
【0392】
上記の実施形態の少なくとも1つに基づく好ましい実施形態において、制御ユニットは、空気圧診断操作を実施して空気圧換気パラメータをさらに決定し、空気圧換気パラメータにさらに基づいて1つまたは複数の状態パラメータを決定するように構成されていてよい。
【0393】
上記の実施形態の少なくとも1つに基づく好ましい実施形態において、空気圧診断操作は、閉塞、呼吸流量制限、個々の呼吸動作の補助の省略、または患者の呼吸補助の変動性を含み得る。
【0394】
上記の実施形態の少なくとも1つに基づく好ましい実施形態において、制御ユニットは、患者の実行可能な最大呼吸努力の指標をさらに決定するように構成されていてよい。
【0395】
上記の実施形態の少なくとも1つに基づく好ましい実施形態において、患者の実行可能な最大呼吸努力の指標は、呼吸筋の最大活動時の口閉鎖圧を含み得る。
【0396】
上記の実施形態の少なくとも1つに基づく好ましい実施形態において、制御ユニットは、患者の呼吸筋の負荷能力の指標をさらに測定するように構成されていてよい。
【0397】
上記の実施形態の少なくとも1つに基づく好ましい実施形態において、負荷能力の指標は、基本負荷PmusBaseと患者の実行可能な最大呼吸努力PmusMaxとの間の関係に基づくことができる。
【0398】
上記の実施形態の少なくとも1つに基づく好ましい実施形態において、制御ユニットは、患者の呼吸筋の効率の指標を決定するようにさらに構成されていてよい。
【0399】
上記の実施形態の少なくとも1つに基づく好ましい実施形態において、効率の指標は、刺激によって発生し得る呼吸換気量と活動信号との比を含み得る。
【0400】
上記の実施形態の少なくとも1つに基づく好ましい実施形態において、効率の指標は、刺激によって発生し得る呼吸筋圧と活動信号との比を含み得る。
【0401】
上記の実施形態の少なくとも1つに基づく好ましい実施形態において、制御ユニットは、1つまたは複数のインタフェースを介して1つまたは複数の状態パラメータに関する情報を出力するように構成されていてよい。
【0402】
基本的な実施形態は、患者の呼吸筋の状態を決定するための方法であって、
- 刺激信号で患者の呼吸筋を刺激すること、
- 刺激することに対する応答として活動信号を検知すること、
- 刺激信号と活動信号とに基づいて、呼吸筋の1つまたは複数の状態パラメータを決定すること
を有する、方法を示す。
【0403】
基本的な実施形態に基づく好ましい実施形態において、刺激信号は、1つまたは複数の刺激インパルスを含み得る。
【0404】
上記の実施形態の少なくとも1つに基づく好ましい実施形態において、活動信号は、インパルス応答として検知され得る。
【0405】
上記の実施形態の少なくとも1つに基づく好ましい実施形態において、活動能力を決定することは、刺激信号の下側の活動閾値を考慮することを含み得、呼吸筋が活動閾値を下回って刺激されると、呼吸筋の活動は減少するかまたは起こらなくなる。
【0406】
上記の実施形態の少なくとも1つに基づく好ましい実施形態において、1つまたは複数の状態パラメータを決定することは、患者の呼吸筋の活動能力を決定することを含み得る。
【0407】
上記の実施形態の少なくとも1つに基づく好ましい実施形態は、
- 刺激によって発生し得る呼吸筋圧Pstimを決定することを含み得、
- 刺激によって発生し得る呼吸換気量Volstimを決定することを含み得、
- 患者の刺激によって発生し得る呼吸仕事量を決定することを含み得る。
【0408】
上記の実施形態の少なくとも1つに基づく好ましい実施形態は、空気圧診断操作を実施して空気圧換気パラメータを決定することと、空気圧換気パラメータにさらに基づいて1つまたは複数の状態パラメータを決定することとを含み得る。
【0409】
上記の実施形態の少なくとも1つに基づく好ましい実施形態において、空気圧診断操作は、閉塞、呼吸流制限、個々の呼吸動作の補助の省略、または患者の呼吸補助の変動性を含み得る。
【0410】
上記の実施形態の少なくとも1つに基づく好ましい実施形態は、患者の実行可能な最大呼吸努力の指標を決定することを含み得る。
【0411】
上記の実施形態の少なくとも1つに基づく好ましい実施形態において、患者の実行可能な最大呼吸努力の指標は、呼吸筋の最大活動時の口閉鎖圧を含み得る。
【0412】
上記の実施形態の少なくとも1つに基づく好ましい実施形態は、患者の呼吸筋の負荷能力の指標を決定することを含み得る。
【0413】
上記の実施形態の少なくとも1つに基づく好ましい実施形態において、負荷能力の指標は、基本負荷PmusBaseと患者の実行可能な最大呼吸努力PmusMaxとの間の関係に基づくことができる。
【0414】
上記の実施形態の少なくとも1つに基づく好ましい実施形態は、患者の呼吸筋の効率の指標を決定することを含み得る。
【0415】
上記の実施形態の少なくとも1つに基づく好ましい実施形態において、効率の指標は、刺激によって発生し得る呼吸換気量と活動信号との比を含み得る。
【0416】
上記の実施形態の少なくとも1つに基づく好ましい実施形態は、1つまたは複数の状態パラメータに関する情報を出力することを含み得る。
【0417】
基本的な実施形態は、上記の実施形態の少なくとも1つを実行するためのプログラムコードを含むコンピュータプログラムを含み得る。有利には、プログラムコードは、コンピュータ、プロセッサまたはプログラム可能なハードウェアコンポーネント上で実行され得る。
【0418】
以下では、患者自身によって行われる換気の部分の負荷能力および指標を決定し、換気の補助中に負荷能力および指標を考慮するというコンセプトを有する、患者を換気するための換気システム、デバイス、方法およびコンピュータプログラムに関する本発明の更なるおよび有利な実施形態についてより詳細に説明する。基本的な実施形態は、患者を換気するためのデバイスであって、換気ユニット、刺激ユニットまたはセンサユニットと情報を交換するように構成された1つまたは複数のインタフェースと、
- 患者自身によって行われる換気の割合の指標を検知し、
- 患者の負荷能力の指標を決定し、
- 患者自身によって行われる換気の割合に影響を与え、
- 患者自身によって行われる換気の割合の指標と、患者の負荷能力の指標とに基づいて、換気中に患者を補助する
ように構成された制御ユニットと
を備える、デバイスを示す。
【0419】
上記の実施形態に基づく好ましい実施形態において、補助するために、圧制御もしくは容量制御された換気のための信号を出力するように構成されていてよい。
【0420】
上記の実施形態の少なくとも1つに基づく好ましい実施形態において、制御ユニットは、補助するために、患者の呼吸筋を刺激するための信号を出力するように構成されていてよい。
【0421】
上記の実施形態の少なくとも1つに基づく好ましい実施形態において、患者自身によって行われる仕事量の指標は、
- 全呼吸圧Pawに対して絶対的または相対的な筋圧Pmus
- 全駆動圧Pdrv
- 患者の筋肉によって引き起こされる、全呼吸ガス流量Flowに対して絶対的または相対的な呼吸ガス流量Flowmus
- 患者の筋肉によって引き起こされる、全呼吸換気量Volに対して絶対的または相対的な呼吸換気量Volmus
- 患者自身によって行われる、全呼吸仕事量WOBに対して絶対的または相対的な呼吸仕事量WOBmus
の群から少なくとも1つの要素を含み得る。
【0422】
上記の実施形態の少なくとも1つに基づく好ましい実施形態において、患者自身によって行われる仕事量の指標を検知することは、
- 筋電図法による信号、
- 電気的インピーダンス筋運動記録法からの信号、
- 筋音図法による信号、
- 超音波信号、
- 歪みセンサの信号、
- 食道圧センサの信号
に基づいて実行され得る。
【0423】
上記の実施形態の少なくとも1つに基づく好ましい実施形態において、制御モジュールは、患者自身によって行われる割合に影響を与えるために、患者の呼吸筋を刺激するための信号を出力するように構成されていてよい。
【0424】
上記の実施形態の少なくとも1つに基づく好ましい実施形態において、制御モジュールは、患者自身によって行われる割合に影響を与えるために、薬物投与量に影響を与えるための信号を出力するように構成されていてよい。
【0425】
上記の実施形態の少なくとも1つに基づく好ましい実施形態において、制御モジュールは、一次目標として予め設定された換気パラメータに関して患者の換気を調節するように構成されていてよい。
【0426】
上記の実施形態の少なくとも1つに基づく好ましい実施形態において、制御モジュールは、二次目標として予め設定された換気の割合に基づいて、患者自身によって行われる割合を調節するように構成されていてよい。
【0427】
上記の実施形態の少なくとも1つに基づく好ましい実施形態において、制御モジュールは、全呼吸換気量および患者自身によって実行される呼吸換気量を監視および調節するように構成されていてよい。
【0428】
上記の実施形態の少なくとも1つに基づく好ましい実施形態において、制御モジュールは、患者自身によって実行される呼吸仕事量を調節および監視するように構成されていてよい。
【0429】
上記の実施形態の少なくとも1つに基づく好ましい実施形態において、制御モジュールは、患者の酸素供給を監視および制御するように構成されていてよい。
【0430】
上記の実施形態の少なくとも1つに基づく好ましい実施形態において、制御モジュールは、影響を与えることと補助することとを、患者によって予め設定された呼吸リズムに合わせるように構成されていてよい。
【0431】
上記の実施形態の少なくとも1つに基づく好ましい実施形態において、制御モジュールは、補助することを、影響を与えることによって予め設定された呼吸リズムに合わせるように構成されていてよい。
【0432】
上記の実施形態の少なくとも1つに基づく好ましい実施形態において、制御モジュールは、影響を与えることと補助することとを、患者の自発活動が存在しかつ無害であれば、患者によって予め設定された呼吸リズムに合わせ、そうでなければ、補助することを、患者の自発活動が存在しないかまたは有害であれば、刺激によって予め設定された呼吸リズムに合わせ、刺激効果がない場合、補助することを、空気圧換気によって予め設定された呼吸リズムに合わせる。
【0433】
上記の実施形態の少なくとも1つに基づく好ましい実施形態において、制御モジュールは、患者の呼吸筋の効率を決定するように構成されていてよく、補助することは、この効率にさらに基づいている。
【0434】
上記の実施形態の少なくとも1つに基づく好ましい実施形態において、制御モジュールは、患者の呼吸筋の活動能力を決定するように構成されていてよく、補助することは、この活動能力にさらに基づいている。
【0435】
上記の実施形態の少なくとも1つに基づく好ましい実施形態において、制御モジュールは、患者の呼吸筋の疲労を決定するように構成されていてよく、補助することは、この疲労にさらに基づいている。
【0436】
上記の実施形態の少なくとも1つに基づく好ましい実施形態において、制御モジュールは、負荷能力を決定するために呼吸力学的な基本負荷を決定し、患者の可能な最大呼吸努力を決定するように構成されていてよい。
【0437】
上記の実施形態の少なくとも1つに基づく好ましい実施形態において、制御モジュールは、単収縮刺激を実行することによって可能な最大呼吸努力を決定するように構成されていてよい。
【0438】
好ましい実施形態において、上記の実施形態の少なくとも1つに基づくデバイスを用いて換気中に患者を補助するための換気システムが形成または構成されていてよい。
【0439】
基本的な実施形態は、患者を換気するための方法であって、
- 患者自身によって行われる換気の割合の指標を検知すること、
- 患者の負荷能力の指標を決定すること、
- 患者自身によって行われる換気の割合に影響を与えること、
- 患者自身によって行われる換気の割合の指標と、患者の負荷能力の指標とに基づいて、換気中に患者を補助すること
を有する、方法を示す。
【0440】
上記の実施形態に基づく好ましい実施形態において、補助することは、圧制御または換気量制御された換気を含み得る。
【0441】
上記の実施形態の少なくとも1つに基づく好ましい実施形態において、補助することは、患者の呼吸筋を刺激することを含み得る。
【0442】
上記の実施形態の少なくとも1つに基づく好ましい実施形態において、患者自身によって行われる仕事量の指標は、
- 全呼吸圧Pawに対して絶対的または相対的な筋圧Pmus
- 全駆動圧Pdrv
- 患者の筋肉によって引き起こされる、全呼吸ガス流量Flowに対して絶対的または相対的な呼吸ガス流量Flowmus
- 患者の筋肉によって引き起こされる、全呼吸換気量Volに対して絶対的または相対的な呼吸換気量Volmus
- 患者自身によって行われる、全呼吸仕事量WOBに対して絶対的または相対的な呼吸仕事量WOBmus
の群から少なくとも1つの要素を含み得る。
【0443】
上記の実施形態の少なくとも1つに基づく好ましい実施形態において、患者自身によって行われる割合の指標を検知することは、
- 筋電図法による信号、
- 電気的インピーダンス筋運動記録法からの信号、
- 筋音図法による信号、
- 超音波信号、
- 歪みセンサの信号、
- 食道圧センサの信号
に基づいて実行され得る。
【0444】
上記の実施形態の少なくとも1つに基づく好ましい実施形態において、患者自身によって行われる割合に影響を与えることは、患者の呼吸筋を刺激することを含み得る。
【0445】
上記の実施形態の少なくとも1つに基づく好ましい実施形態は、一次目標として予め設定された換気パラメータに関して患者の換気を調節することをさらに含み得る。
【0446】
上記の実施形態の少なくとも1つに基づく好ましい実施形態は、二次目標として予め設定された換気の割合に基づいて、患者自身によって行われる割合を調節することをさらに含み得る。
【0447】
上記の実施形態の少なくとも1つに基づく好ましい実施形態は、全呼吸換気量および患者自身によって実行される患者の呼吸換気量を監視および調節することをさらに含み得る。
【0448】
上記の実施形態の少なくとも1つに基づく好ましい実施形態は、患者自身によって実行される呼吸仕事量を監視および調節することをさらに含み得る。
【0449】
上記の実施形態の少なくとも1つに基づく好ましい実施形態は、患者の酸素供給を監視および制御することをさらに含み得る。
【0450】
上記の実施形態の少なくとも1つに基づく好ましい実施形態において、影響を与えることと補助することとは、患者によって予め設定された呼吸リズムに基づくことができる。
【0451】
上記の実施形態の少なくとも1つに基づく好ましい実施形態において、補助することは、影響を与えることによって予め設定された呼吸リズムに基づくことができる。
【0452】
上記の実施形態の少なくとも1つに基づく好ましい実施形態において、補助することは、患者の自発活動が存在しかつ無害であれば、患者によって予め設定された呼吸リズムに基づくことができ、
そうでなければ、補助することは、患者の自発活動が存在しないかまたは有害であれば、刺激によって予め設定された呼吸リズムに基づき、
刺激効果がない場合、補助することは、空気圧換気によって予め設定された呼吸リズムに基づく。
【0453】
上記の実施形態の少なくとも1つに基づく好ましい実施形態は、患者の呼吸筋の効率を決定することをさらに含み得、補助することは、この効率にさらに基づいている。
【0454】
上記の実施形態の少なくとも1つに基づく好ましい実施形態は、患者の呼吸筋の活動能力を決定することをさらに含み得、補助することは、この活動能力にさらに基づいている。
【0455】
上記の実施形態の少なくとも1つに基づく好ましい実施形態は、患者の呼吸筋の疲労を決定することをさらに含み得、補助することは、この疲労にさらに基づいている。
【0456】
上記の実施形態の少なくとも1つに基づく好ましい実施形態において、呼吸力学的な基本負荷を決定することは、患者の可能な最大呼吸努力を検知することを含み得る。
【0457】
上記の実施形態の少なくとも1つに基づく好ましい実施形態において、可能な最大の呼吸努力を検知することは、単収縮刺激を実行することを含み得る。
【0458】
基本的な実施形態は、上記の実施形態の少なくとも1つを実行するためのプログラムコードを含むコンピュータプログラムを含み得る。有利には、プログラムコードは、コンピュータ、プロセッサまたはプログラム可能なハードウェアコンポーネント上で実行され得る。
【0459】
以下では、目標呼吸筋活動量および実際呼吸筋活動量に基づいて患者の呼吸補助の指標を決定するためのコンセプトに関して、患者の呼吸補助のための換気システムのコンポーネントのためのデバイス、方法およびコンピュータプログラムに関する本発明の更なるおよび有利な実施形態についてより詳細に説明する。換気装置、刺激器、センサユニット、ならびに換気装置、刺激器、センサユニットのためのさまざまな方法およびコンピュータプログラム、換気システム、換気システムのための方法およびコンピュータプログラムに関する更なる態様も説明される。基本的な実施形態は、患者の呼吸補助のための換気システムのコンポーネントのためのデバイスであって、換気システムのコンポーネントと通信するための1つまたは複数のインタフェースと制御ユニットとを備え、当該制御ユニットは、
- 患者の目標呼吸筋活動量に関する第1の情報を検知し、
- 患者の実際呼吸筋活動量に関する第2の情報を検知し、
- 第1の情報と第2の情報とに基づいて、患者の呼吸補助の指標を決定する
ように構成されている、デバイスを示す。
【0460】
上記の実施形態に基づく好ましい実施形態において、デバイスは、患者の気道内流量測定および気道内圧測定のための機器を含む。この場合、制御ユニットは、気道内流量測定および気道内圧測定に基づいて、第1の情報および第2の情報を検知するように構成されていてよい。
【0461】
上記の実施形態の少なくとも1つに基づく好ましい実施形態において、デバイスは、空気圧呼吸補助ための機器をさらに含み得る。呼吸補助の指標は、空気圧呼吸補助の指標を含み得る。
【0462】
上記の実施形態の少なくとも1つに基づく好ましい実施形態において、デバイスは、呼吸補助の指標に基づいて患者を鎮静化するための機器をさらに含み得る。
【0463】
上記の実施形態の少なくとも1つに基づく好ましい実施形態において、デバイスは、1つまたは複数のインタフェースを介して、患者の気道内流量測定または気道内圧測定に関する測定情報を受け取るように構成されていてよい。この好ましい実施形態では、制御ユニットは、測定情報にさらに基づいて呼吸補助の指標をさらに決定するように構成されていてよい。
【0464】
上記の実施形態の少なくとも1つに基づく好ましい実施形態において、デバイスは、実際呼吸筋活動量に依存する信号をセンサにより検知するための機器をさらに含み得る。この好ましい実施形態では、制御ユニットは、センサにより検知された信号に基づいて呼吸補助の指標を決定するように構成されていてよい。
【0465】
上記の実施形態の少なくとも1つに基づく好ましい実施形態において、センサにより検知するための機器は、電気筋運動図、機械的筋運動図、または電気的インピーダンス筋運動図を検知するように構成されていてよい。
【0466】
上記の実施形態の少なくとも1つに基づく好ましい実施形態において、センサにより検知するための機器は、歪みセンサ、超音波センサまたは食道圧センサを含み得る。
【0467】
上記の実施形態の少なくとも1つに基づく好ましい実施形態において、制御ユニットは、制御を介して、呼吸補助の指標に関する第1の情報と第2の情報との間の差異を低減するように構成されていてよい。
【0468】
上記の実施形態の少なくとも1つに基づく好ましい実施形態において、制御ユニットは、呼吸補助の指標として患者に刺激信号を生成するように構成されていてよい。
【0469】
上記の実施形態の少なくとも1つに基づく好ましい実施形態において、デバイスは、呼吸補助の指標に基づいて患者の呼吸筋を刺激するための機器をさらに含み得る。
【0470】
上記の実施形態の少なくとも1つに基づく好ましい実施形態において、第1および第2の情報は、それぞれ患者側の刺激された呼吸筋活動量もしくは全呼吸筋活動量、患者側の刺激された呼吸筋流量もしくは全呼吸筋流量、または患者側の刺激された呼吸筋圧もしくは全呼吸筋圧の指標を含み得る。
【0471】
上記の実施形態の少なくとも1つに基づく好ましい実施形態において、制御ユニットは、患者の自発的な呼吸活動によって引き起こされる呼吸筋活動量、患者の自発的な呼吸活動によって引き起こされる呼吸筋流量、または患者の自発的な呼吸活動によって引き起こされる呼吸筋圧に関する情報を決定および提供するように構成されていてよい。
【0472】
上記の実施形態の少なくとも1つに基づく好ましい実施形態において、制御ユニットは、患者の自発呼吸活動に関する情報に基づいて呼吸補助の指標を決定するように構成されていてよい。
【0473】
上記の実施形態の少なくとも1つに基づく好ましい実施形態において、呼吸補助の指標は、患者の自発的な呼吸活動量に関する情報が目標呼吸筋活動量を超える呼吸筋活動量を示す場合、患者のより強い鎮静の指標を示し得る。
【0474】
上記の実施形態の少なくとも1つに基づく好ましい実施形態において、制御ユニットは、第2の情報に基づいて患者の刺激インパルス応答に対する推定を実行するように構成されていてよい。
【0475】
上記の実施形態の少なくとも1つに基づく好ましい実施形態において、制御ユニットは、刺激操作に基づいて推定値を決定するように構成されていてよい。
【0476】
上記の実施形態の少なくとも1つに基づく好ましい実施形態において、制御ユニットは、推定を定期的または連続的に繰り返すように構成されていてよい。
【0477】
上記の実施形態の少なくとも1つに基づく好ましい実施形態において、制御ユニットは、第1および第2の情報についてそれぞれの信頼性を決定し、信頼性が所定の閾値を下回る場合にそれを示すように構成されていてよい。
【0478】
上記の実施形態の少なくとも1つに基づく特に好ましい実施形態において、制御ユニットは、換気装置として構成されていてよい。
【0479】
上記の実施形態に基づく換気装置の好ましい実施形態において、制御ユニットは、1つまたは複数のインタフェースを介して、呼吸補助の指標に関する情報を刺激器に通信するように構成されていてよい。
【0480】
上記の実施形態の少なくとも1つに基づく換気装置の好ましい実施形態において、呼吸補助の指標は、
- 振幅、
- ランプ勾配、
- 刺激持続時間、
- 開始時間、
- 終了時間、
- 実際呼吸筋活動量、
- 目標呼吸筋活動量
の群の少なくとも1つのパラメータを含み得る。
【0481】
上記の実施形態の少なくとも1つに基づく換気装置の好ましい実施形態において、1つまたは複数のインタフェースは、刺激器および/またはセンサユニットとリアルタイムで通信するように構成されていてよい。
【0482】
上記の実施形態の少なくとも1つに基づく換気装置の好ましい実施形態において、1つまたは複数のインタフェースは、
- 刺激器および/またはセンサユニットとリアルタイムで通信するように、
- 呼吸補助の指標の時間的な推移を刺激器および/またはセンサユニットと通信するように
構成されていてよい。有利には、1つまたは複数のインタフェースを介したリアルタイム通信は、サンプルごとのリアルタイム通信として形成されていてよく、サンプルごととは、通信がサンプル値のシーケンス、つまりサンプル値ごとに基づいていることを意味する。
【0483】
上記の実施形態の少なくとも1つに基づく換気装置の好ましい実施形態において、制御ユニットは、1つまたは複数のインタフェースを介して刺激器にクロックを予め設定するように構成されていてよい。
【0484】
上記の実施形態の少なくとも1つに基づく換気装置の特に好ましい実施形態において、換気装置は、統合された刺激器を有し得る。
【0485】
上記の実施形態に基づく刺激器の好ましい実施形態において、制御ユニットは、1つまたは複数のインタフェースを介して、センサユニットまたは換気装置から第1および第2の情報を受信するように構成されていてよい。
【0486】
上述の実施形態に基づく刺激器の好ましい実施形態において、制御ユニットは、1つまたは複数のインタフェースを介して、
- 振幅、
- ランプ勾配、
- 刺激持続時間、
- 開始時間、
- 終了時間、
- 目標呼吸筋活動量の時間的な推移、
- 気道内流量、
- 気道内圧、
- 呼吸筋圧、
- 呼吸筋仕事量
- 呼吸筋流量
の群からの少なくとも1つの情報をセンサユニットから受信するように構成されていてよい。
【0487】
上記の実施形態に基づく刺激器の好ましい実施形態において、制御ユニットは、1つまたは複数のインタフェースを介してセンサユニットおよび/または換気装置からクロックを受信するように構成されていてよい。
【0488】
上記の実施形態に基づく刺激器の好ましい実施形態において、制御ユニットは、1つまたは複数のインタフェースを介してセンサユニットおよび/または換気装置にクロックを予め設定するように構成されていてよい。
【0489】
上記の実施形態に基づく刺激器の好ましい実施形態において、制御ユニットは、1つまたは複数のインタフェースを介してリアルタイムで通信するように構成されていてよい。
【0490】
上記の実施形態に基づく刺激器の好ましい実施形態において、制御ユニットは、1つまたは複数のインタフェースを介して換気操作を換気装置と調整するように構成されていてよい。
【0491】
上記の実施形態の少なくとも1つに基づく特に好ましい実施形態は、センサユニットとして構成されていてよい。
【0492】
上記の実施形態に基づくセンサユニットの好ましい実施形態において、制御ユニットは、1つまたは複数のインタフェースを介して、換気装置から少なくとも1つの空気圧信号に関する情報を受信し、少なくとも1つの空気圧信号に関する情報にさらに基づいて呼吸補助の指標を決定するように構成されていてよい。
【0493】
上記の実施形態に基づくセンサユニットの好ましい実施形態において、制御ユニットは、センサ信号に基づいて第2の情報を検知するように構成されていてよい。
【0494】
上記の実施形態に基づくセンサユニットの好ましい実施形態において、制御ユニットは、1つまたは複数のインタフェースを介してリアルタイムで通信するように構成されていてよい。
【0495】
上記の実施形態に基づくセンサユニットの好ましい実施形態において、制御ユニットは、1つまたは複数のインタフェースを介して、呼吸補助の指標として、
- 振幅、
- ランプ勾配、
- 刺激持続時間、
- 開始時間、
- 終了時間、
- 実際呼吸筋活動量、
- 気道内流量、
- 気道内圧、
- 呼吸筋圧、
- 呼吸筋仕事量
- 呼吸筋流量
の群からの少なくとも1つの情報を換気装置またはセンサユニットに提供するように構成されていてよい。
【0496】
上記の実施形態に基づくセンサユニットの好ましい実施形態において、制御ユニットは、1つまたは複数のインタフェースを介して、操作に関する情報を換気装置または刺激器から受け取るように構成されていてよい。
【0497】
上記の実施形態に基づくセンサユニットの好ましい実施形態において、制御ユニットは、1つまたは複数のインタフェースを介して、第1の情報として、
- ゲーティング、
- マスキングする測定時間、
- フィルタリング、
- 刺激アーチファクトの抑制
に関する情報を換気装置または刺激器から受信するように構成されていてよい。
【0498】
上記の実施形態の少なくとも1つに基づく特に好ましい実施形態は、換気システムとして構成されていてよい。
【0499】
上記の実施形態の少なくとも1つに基づく換気システムの好ましい実施形態において、換気システムは刺激器を含み得る。
【0500】
上記の実施形態の少なくとも1つに基づく換気システムの好ましい実施形態では、換気システムはセンサユニットを含み得る。
【0501】
基本的な実施形態は、患者の呼吸補助のための換気システムのコンポーネントのための方法であって、
- 患者の目標呼吸筋活動量に関する第1の情報を検知すること、
- 患者の実際呼吸筋活動量に関する第2の情報を検知すること、
- 第1の情報と第2の情報とに基づいて、患者の呼吸補助の指標を決定すること
を有する、方法を示す。
【0502】
上記の実施形態に基づく方法の好ましい実施形態において、気道内流量測定および気道内圧測定に基づいて、第1の情報および第2の情報を検知することを含み得る。
【0503】
上記の実施形態の少なくとも1つに基づく方法の好ましい実施形態において、呼吸補助の指標は、空気圧呼吸補助の指標を含み得る。
【0504】
上記の実施形態の少なくとも1つに基づく方法の好ましい実施形態は、呼吸補助の指標に基づいて患者を鎮静化することを含み得る。
【0505】
上記の実施形態の少なくとも1つに基づく方法の好ましい実施形態は、患者の気道内流量測定または気道内圧測定に関する測定情報を受け取り、測定情報に基づいて呼吸補助の指標を決定することを含み得る。
【0506】
上記の実施形態の少なくとも1つに基づく方法の好ましい実施形態は、実際呼吸筋活動量に依存する信号をセンサにより検知することと、センサにより検知された信号に基づいて呼吸補助の指標を決定こととを含み得る。
【0507】
上記の実施形態に基づく方法の好ましい実施形態において、センサにより検知された信号は、電気筋運動図、機械的筋運動図、または電気的インピーダンス筋運動図を含み得る。
【0508】
上記の実施形態の少なくとも1つに基づく方法の好ましい実施形態において、センサによる信号を検知することは、歪みセンサ、超音波センサまたは食道圧センサにより行われ得る。
【0509】
上記の実施形態の少なくとも1つに基づく方法の好ましい実施形態は、呼吸補助の指標に基づいて患者の呼吸筋を刺激することを含み得る。
【0510】
上記の実施形態の少なくとも1つに基づく方法の好ましい実施形態は、呼吸補助の指標に関する制御によって、第1の情報と第2の情報との間の差異を低減することを含み得る。
【0511】
上記の実施形態の少なくとも1つに基づく方法の好ましい実施形態は、呼吸補助の指標として、患者に対して刺激信号を生成することを含み得る。
【0512】
上記の実施形態の少なくとも1つに基づく方法の好ましい実施形態において、第1および第2の情報は、それぞれ患者側の刺激された呼吸筋活動量もしくは全呼吸筋活動量、患者側の刺激された呼吸筋流量もしくは全呼吸筋流量、または患者側の刺激された呼吸筋圧もしくは全呼吸筋圧の指標を含み得る。
【0513】
上記の実施形態の少なくとも1つに基づく方法の好ましい実施形態は、患者の自発的な呼吸活動によって引き起こされる呼吸筋活動量、患者の自発的な呼吸活動によって引き起こされる呼吸筋流量、または患者の自発的な呼吸活動によって引き起こされる呼吸筋圧に関する情報を決定および提供することを含み得る。
【0514】
上記の実施形態の少なくとも1つに基づく方法の好ましい実施形態において、呼吸補助の指標は、患者の自発的な呼吸活動量に関する情報が目標呼吸筋活動量を超える呼吸筋活動量を示す場合、患者のより強い鎮静の指標を示し得る。
【0515】
上記の実施形態の少なくとも1つに基づく方法の好ましい実施形態は、呼吸補助の指標に応答して、第2の情報から患者の刺激インパルス応答を推定することを含み得る。
【0516】
上記の実施形態の少なくとも1つに基づく方法の好ましい実施形態において、推定することは、刺激操作にさらに基づいて行われ得る。
【0517】
上記の実施形態の少なくとも1つに基づく方法の好ましい実施形態において、推定することは、定期的または連続的に行われ得る。
【0518】
上記の実施形態の少なくとも1つに基づく方法の好ましい実施形態は、信頼性が所定の閾値を下回る場合に、第1および第2の情報に加えて、更なる情報、例えば信頼性を決定する-あるいはまた出力および/または表示する-ことを含み得る。
【0519】
先に説明した実施形態の少なくとも1つに基づく方法の好ましい実施形態は、換気装置のための方法を含み得る。
【0520】
上記の実施形態に基づく方法の好ましい実施形態は、呼吸補助の指標に関する情報を刺激器に通信することを含み得る。
【0521】
上記の実施形態に基づく方法の好ましい実施形態において、呼吸補助の指標は、振幅、ランプ勾配、刺激持続時間、開始時間、実際呼吸活動量、終了時間および目標呼吸筋流量の群の少なくとも1つのパラメータを含み得る。
【0522】
上記の実施形態の少なくとも1つに基づく方法の好ましい実施形態において、刺激器との通信および/またはセンサユニットとの通信はリアルタイムで行われ得る。
【0523】
上記の実施形態の少なくとも1つに基づく方法の好ましい実施形態において、通信は、刺激器および/またはセンサユニットとリアルタイムで、「サンプルごとに」、すなわちサンプル値のシーケンスに向けられたサンプル値ごとに行われ得る。
【0524】
上記の実施形態の少なくとも1つに基づく方法の好ましい実施形態において、通信は、呼吸補助の指標の時間的な推移を刺激器および/またはセンサユニットと通信することを含み得る。
【0525】
上記の実施形態の少なくとも1つに基づく方法の好ましい実施形態において、通信は、刺激器にクロックを予め設定することを含み得る。
【0526】
上記の実施形態の少なくとも1つに基づく方法の好ましい実施形態において、第1および第2の情報を刺激器に予め設定すること、および/または換気操作を刺激器と調整することを含み得る。
【0527】
上記の実施形態の少なくとも1つに基づく方法の好ましい実施形態は、刺激器のための方法を含み得る。
【0528】
上記の実施形態の少なくとも1つに基づく方法の好ましい実施形態は、第1の情報または第2の情報をセンサユニットまたは換気装置から受信することを含み得る。
【0529】
上記の実施形態の少なくとも1つに基づく方法の好ましい実施形態は、
- 振幅、
- ランプ勾配、
- 刺激持続時間、
- 開始時間、
- 終了時間、
- 実際呼吸筋活動量
- 目標呼吸筋活動量、
- 気道内流量、
- 気道内圧、
- 呼吸筋圧、
- 呼吸筋仕事量
- 呼吸筋流量
の群からの少なくとも1つの情報をセンサユニットから受信することを含み得る。
【0530】
上記の実施形態の少なくとも1つに基づく方法の好ましい実施形態は、センサユニットおよび/または換気装置にクロックを予め設定することを含み得る。
【0531】
上記の実施形態の少なくとも1つに基づく方法の好ましい実施形態は、リアルタイムで通信することを含み得る。
【0532】
上記の実施形態の少なくとも1つに基づく方法の好ましい実施形態は、換気操作を換気装置と調整することを含み得る。
【0533】
上記の実施形態の少なくとも1つに基づく方法の好ましい実施形態は、センサユニットのための方法を含み得る。
【0534】
上記の実施形態の少なくとも1つに基づく方法の好ましい実施形態は、換気装置から少なくとも1つの空気圧信号に関する情報を受信することと、少なくとも1つの空気圧信号に関する情報にさらに基づいて呼吸補助の指標を決定することとを含み得る。
【0535】
上記の実施形態の少なくとも1つに基づく方法の好ましい実施形態は、センサ信号に基づいて第2の情報を決定することを含み得る。
【0536】
上記の実施形態の少なくとも1つに基づく方法の好ましい実施形態は、リアルタイムで通信することを含み得る。
【0537】
上記の実施形態の少なくとも1つに基づく方法の好ましい実施形態は、呼吸補助の指標として、振幅、ランプ勾配、刺激持続時間、開始時間、終了時間、実際呼吸筋活動量、気道内流量、気道内圧、呼吸筋圧、呼吸筋仕事量および呼吸筋流量の群からの少なくとも1つの情報を換気装置または刺激器に提供することを含み得る。
【0538】
上記の実施形態の少なくとも1つに基づく方法の好ましい実施形態は、操作に関する情報を受け取ることを含み得る。
【0539】
上記の実施形態の少なくとも1つに基づく方法の好ましい実施形態において、
- ゲーティング、
- マスキングする測定時間、
- フィルタリング、
- 刺激アーチファクトの抑制
に関する情報を換気装置または刺激器から受信することを含み得る。
【0540】
上記の実施形態の少なくとも1つに基づく方法の好ましい実施形態は、
- 換気システム、
- 換気装置、
- 刺激器、
- センサユニット
のための方法を含み得る。
【0541】
基本的な実施形態は、上記の実施形態の少なくとも1つを実行するためのプログラムコードを含むコンピュータプログラムを含み得る。有利には、プログラムコードは、コンピュータ、プロセッサまたはプログラム可能なハードウェアコンポーネント上で実行され得る。
【0542】
以下では、患者の刺激的な換気補助のための換気システム、デバイス、方法およびコンピュータプログラム、特に、患者の自発的に発生した呼吸筋活動量に同期して、患者の刺激的な換気補助というコンセプトに関する本発明の刺激デバイスの更なるおよび好ましい実施形態について説明する。刺激デバイスの基本的な実施形態は、換気システムのコンポーネントと通信するための1つまたは複数のインタフェースと、患者の呼吸筋の活動信号の時間的な推移に関する情報を検知するように構成された制御ユニットとを備える、患者の刺激的な呼吸補助のための刺激デバイスを示す。
【0543】
上記の刺激デバイスの実施形態に基づく刺激デバイスの好ましい実施形態において、制御ユニットは、活動信号の時間的な推移に関する情報を検知するために、
- 患者自身によって行われる呼吸仕事量の割合の時間的な推移に関する情報を検知することと、
- 患者自身によって行われる呼吸仕事量の割合の時間的な推移に関する情報に基づいて患者の呼吸筋の活動信号を決定することと
を実行するように構成されていてよい。
【0544】
刺激デバイスの上記の実施形態の少なくとも1つに基づく刺激デバイスの好ましい実施形態において、制御ユニットは、刺激のための下側の活動閾値を決定および考慮するように構成されていてよい。
【0545】
刺激デバイスのこの好ましい実施形態では、
- 呼吸筋が活動閾値を上回って刺激されると、呼吸筋の活動が起こり得、
- 呼吸筋が活動閾値を下回って刺激されると、活動は少なくとも減少するかまたは全く起こらなくなり得る。
【0546】
刺激デバイスの上記の実施形態の少なくとも1つに基づく刺激デバイスの好ましい実施形態において、制御ユニットは、刺激することを、活動信号とフィードフォワードで実行するように構成されていてよい。
【0547】
刺激デバイスの上記の実施形態の少なくとも1つに基づく刺激デバイスの好ましい実施形態において、制御ユニットは、刺激効果を決定するように構成されていてよい。
【0548】
刺激デバイスの上記の実施形態に基づく刺激デバイスの好ましい実施形態において、制御ユニットは、刺激効果を決定するために力価測定を実行するように構成されていてよい。
【0549】
刺激デバイスの上記の実施形態の少なくとも1つに基づく刺激デバイスの好ましい実施形態において、制御ユニットは、刺激することを、活動信号に比例して実行するように構成されていてよい。
【0550】
刺激デバイスの上記の実施形態の少なくとも1つに基づく刺激デバイスの好ましい実施形態において、制御ユニットは、患者の呼吸筋の活動信号の時間的な推移に関する情報として、
- 筋圧Pmus
- 自発的な筋圧Pspon
- 患者の筋肉によって引き起こされる呼吸ガス流量Flowmus
- 患者の筋肉によって自発的に引き起こされる呼吸ガス流量Flowspon
- 患者自身によって行われる呼吸仕事量WOB、
- 患者自身によって行われる自発的な呼吸仕事量WOBspon
の群からの少なくとも1つの要素に関する情報を決定するように構成されていてよい。
【0551】
刺激デバイスの上記の実施形態の少なくとも1つに基づく刺激デバイスの好ましい実施形態において、制御ユニットは、患者に並列空気圧換気を行うように構成されていてよい。
【0552】
刺激デバイスの上記の実施形態に基づく刺激デバイスの好ましい実施形態において、制御ユニットは、並列空気圧換気を比例換気として実行するように構成されていてよい。
【0553】
刺激デバイスの上記の実施形態の少なくとも1つに基づく刺激デバイスの好ましい実施形態において、制御ユニットは、患者の呼吸筋の活動信号の時間的な推移に関する情報を検知することを、筋電図法による信号、電気的インピーダンス筋運動記録法からの信号、歪みセンサの信号、超音波センサの信号または筋音図法による信号に基づいて実行するように構成されていてよい。
【0554】
刺激デバイスの上記の実施形態の少なくとも1つに基づく刺激デバイスの好ましい実施形態において、制御ユニットは、所定のレベルに基づいて刺激することの強度を設定するように構成されていてよい。
【0555】
刺激デバイスの上記の実施形態に基づく刺激デバイスの好ましい実施形態において、制御ユニットは、所定のレベルを、刺激強度と活動信号とからの比または刺激強度と推定呼吸努力Pmusとからの比を介して決定するように構成されていてよい。
【0556】
刺激デバイスの上記の実施形態に基づく刺激デバイスの好ましい実施形態において、このレベルは、刺激された呼吸活動量と患者の自発的な呼吸活動量との間の関係として規定されていてよい。
【0557】
刺激デバイスの上記の実施形態に基づく刺激デバイスの好ましい実施形態において、制御ユニットは、患者の呼吸筋の活動信号の時間的な推移に関する情報に基づいて、患者の自発的な呼吸活動量を検知するように構成されていてよい。
【0558】
刺激デバイスの上記の実施形態の少なくとも1つに基づく刺激デバイスの好ましい実施形態において、制御ユニットは、刺激信号を、刺激された呼吸活動量と患者の自発的な呼吸活動量との間の関係と、患者の筋肉の活動インパルス応答とに基づいて検知するように構成されていてよい。
【0559】
上記の実施形態に基づく刺激デバイスの好ましい実施形態において、制御ユニットは、刺激信号を、刺激によって引き起こされる所望の活動信号EMGstimの活動インパルス応答による逆畳み込みによって検知するように構成されていてよい。
【0560】
上記の実施形態の少なくとも1つに基づく刺激デバイスの好ましい実施形態において、制御ユニットは、自発的な呼吸活動量を、患者から自発的に発生した呼吸筋圧Psponとして、刺激された呼吸活動量を、刺激によって発生した呼吸筋圧Pstimとして検知するように構成されていてよい。
【0561】
上記の実施形態の少なくとも1つに基づく刺激デバイスの好ましい実施形態において、制御ユニットは、自発的な呼吸活動量を、患者から自発的に発生した呼吸ガス流量Flowsponとして、刺激された呼吸活動量を、刺激によって発生した呼吸ガス流量Flowstimとして検知するように構成されていてよい。
【0562】
上記の実施形態の少なくとも1つに基づく刺激デバイスの好ましい実施形態において、制御ユニットは、
- 自発的な呼吸活動量を、患者から自発的に発生した呼吸仕事量WOBspon
- またはその時間導関数dWOBspon/dtとして、
- 刺激された呼吸活動量を、刺激によって発生した呼吸仕事量WOBstim
- またはその時間導関数dWOBstim/dtとして
検知するように構成されていてよい。
【0563】
上記の実施形態の少なくとも1つに基づく刺激デバイスの好ましい実施形態において、制御ユニットは、患者の1回の呼吸周期以上の時間水準で所定のレベルを追跡するように構成されていてよい。
【0564】
上記の実施形態の少なくとも1つに基づく刺激デバイスの好ましい実施形態において、制御ユニットは、
- 患者側の駆動圧割合ΔPmus
- 患者側の換気量割合ΔVolmus
- 患者側の呼吸仕事量の割合ΔWOBmus
を含む目標値を達成するよう刺激を調節するように構成されていてよい。
【0565】
刺激デバイスの上記の実施形態の少なくとも1つに基づく刺激デバイスの好ましい実施形態は、患者の刺激的な換気補助のための刺激デバイスを備えた換気システムを示す。
【0566】
刺激デバイスの基本的な実施形態は、患者の刺激的な換気補助のための方法であって、
- 患者の呼吸筋の活動信号の時間的な推移に関する情報を検知することと、
- 患者の筋肉による換気補助のために活動信号と時間的に整合させて呼吸筋を刺激することと
を有する、方法を示す。
【0567】
上記の実施形態の少なくとも1つに基づく患者の刺激的な換気補助のための方法の有利な実施形態において、活動信号の時間的な推移に関する情報を検知することは、
- 患者自身によって行われる呼吸仕事量の割合の時間的な推移に関する情報を検知することと、
- 患者自身によって行われる呼吸仕事量の割合の時間的な推移に関する情報に基づいて患者の呼吸筋の活動信号を決定することと
を含み得る。
【0568】
上記の実施形態の少なくとも1つに基づく患者の刺激的な換気補助のための方法の好ましい実施形態は、刺激のための下側の活動閾値を決定および考慮することを含み得、
- 呼吸筋が活動閾値を上回って刺激されると、呼吸筋の活動が起こり、
- 呼吸筋が活動閾値を下回って刺激されると、活動は少なくとも減少するかまたは起こらなくなる。
【0569】
上記の実施形態の少なくとも1つに基づく患者の刺激的な換気補助のための方法の好ましい実施形態において、刺激することは、活動信号とフィードフォワードで行われ得る。
【0570】
上記の実施形態の少なくとも1つに基づく患者の刺激的な換気補助のための方法の好ましい実施形態は、刺激効果を決定することを含み得る。
【0571】
上記の実施形態に基づく患者の刺激的な換気補助のための方法の好ましい実施形態は、刺激効果を決定するための力価測定を含み得る。
【0572】
上記の実施形態の少なくとも1つに基づく患者の刺激的な換気補助のための方法の好ましい実施形態において、刺激することは、活動信号に比例して行われ得る。
【0573】
上記の実施形態の少なくとも1つに基づく患者の刺激的な換気補助のための方法の好ましい実施形態において、患者の呼吸筋の活動信号の時間的な推移に関する情報は、
- 筋圧Pmus
- 自発的な筋圧Pspon
- 患者の筋肉によって引き起こされる呼吸ガス流量Flowmus
- 患者の筋肉によって自発的に引き起こされる呼吸ガス流量Flowspon
- 患者自身によって行われる呼吸仕事量WOB、
- 患者自身によって行われる自発的な呼吸仕事量WOBspon
の群からの少なくとも1つの要素に関する情報を含み得る。
【0574】
上記の実施形態の少なくとも1つに基づく患者の刺激的な換気補助のための方法の好ましい実施形態は、患者の並列空気圧換気を含み得る。
【0575】
上記の実施形態の少なくとも1つに基づく患者の刺激的な換気補助のための方法の好ましい実施形態において、並列空気圧換気は、比例換気を含み得る。
【0576】
上記の実施形態の少なくとも1つに基づく患者の刺激的な換気補助のための方法の好ましい実施形態において、患者の呼吸筋の活動信号の時間的な推移に関する情報を検知することは、
- 筋電図法による信号、
- 電気的インピーダンス筋運動記録法からの信号、
- 歪みセンサの信号、
- 超音波センサの信号
- 筋音図法による信号
に基づいて実行され得る。
【0577】
上記の実施形態の少なくとも1つに基づく患者の刺激的な換気補助のための方法の好ましい実施形態は、所定のレベルに基づいて刺激することの強度を設定することを含み得る。
【0578】
上記の実施形態に基づく患者の刺激的な換気補助のための方法の好ましい実施形態において、所定のレベルは、刺激強度と活動信号とからの比または刺激強度と推定呼吸努力Pmusとからの比を含み得る。
【0579】
上記の実施形態に基づく患者の刺激的な換気補助のための方法の好ましい実施形態において、このレベルは、刺激された呼吸活動量と患者の自発的な呼吸活動量との間の関係を規定し得る。
【0580】
上記の実施形態に基づく患者の刺激的な換気補助のための方法の好ましい実施形態は、患者の呼吸筋の活動信号の時間的な推移に関する情報に基づいて、患者の自発的な呼吸活動量を検知することを含み得る。
【0581】
上記の実施形態の少なくとも1つに基づく患者の刺激的な換気補助のための方法の好ましい実施形態において、刺激された呼吸活動量と患者の自発的な呼吸活動量との間の関係と、患者の筋肉の活動インパルス応答とに基づいて、刺激信号を検知することを含み得る。
【0582】
上記の実施形態に基づく患者の刺激的な換気補助のための方法の好ましい実施形態は、刺激によって引き起こされる所望の活動信号EMGstimの活動インパルス応答による逆畳み込みによって検知することを含み得る。
【0583】
上記の実施形態の少なくとも1つに基づく患者の刺激的な換気補助のための方法の好ましい実施形態において、自発的な呼吸活動量は、患者から自発的に発生した呼吸筋圧Psponを含み得、刺激された呼吸活動量は、刺激によって発生した呼吸筋圧Pstimを含み得る。
【0584】
上記の実施形態の少なくとも1つに基づく患者の刺激的な換気補助のための方法の好ましい実施形態において、
・ 自発的な呼吸活動量は、患者から自発的に発生した呼吸ガス流量Flowsponを含み得、
・ 刺激された呼吸活動量は、刺激によって発生した呼吸ガス流量Flowstimを含み得る。
【0585】
上記の実施形態の少なくとも1つに基づく患者の刺激的な換気補助のための方法の好ましい実施形態において、
・ 自発的な呼吸活動量は、患者から自発的に発生した呼吸仕事量WOBspon
・ またはその時間導関数dWOBspon/dtを含み得、
・ 刺激された呼吸活動量は、刺激によって発生した呼吸仕事量WOBstim
・ またはその時間導関数dWOBstim/dtを含み得る。
【0586】
上記の実施形態の少なくとも1つに基づく患者の刺激的な換気補助のための方法の好ましい実施形態は、患者の1回の呼吸周期以上の時間水準で所定のレベルの追跡を行うことを含み得る。
【0587】
上記の実施形態の少なくとも1つに基づく患者の刺激的な換気補助のための方法の好ましい実施形態は、
・ 患者側の駆動圧割合ΔPmus
・ 患者側の換気量割合ΔVolmus
・ 患者側の呼吸仕事量の割合ΔWOBmus
を含む目標値を達成するよう刺激を調節することを含み得る。
【0588】
基本的な実施形態は、刺激デバイスの上記の実施形態の少なくとも1つを実行するためのプログラムコードを含むコンピュータプログラムを含み得る。有利には、プログラムコードは、コンピュータ、プロセッサまたはプログラム可能なハードウェアコンポーネント上で実行され得る。
【0589】
以下の表3は、本発明の文脈で使用される略語および呼称を、それぞれ簡単な説明とともに含む。
【表3-1】
【表3-2】
【表3-3】
【0590】
以下の表4では,本明細書で引用したすべての特許文書および刊行物を,刊行物番号または刊行物の短いタイトルとともに列挙している。完全なタイトルは、本明細書の冒頭部分にある従来技術についての説明で確認することができる。本明細書では、包括的な引用の代わりに、この表4に記載されている参照番号[E1]~[E38]を使用することがある。
【表4】
【符号の説明】
【0591】
1 横座標、(x軸)、時間軸
2 縦座標(y軸)、(Signal Intercost.stm)
3 縦座標(y軸)、(Costmar.org)
4 縦座標(y軸)、(Costmar.ecgr)
5 縦座標(y軸)、(Costmar.em)
6 縦座標(y軸)、(Costmar.avg)
10 デバイス
12 インタフェース
14 制御ユニット
19 活動信号の経過に関する情報を検知する
20 方法
21 換気割合の指標を検知する
22 呼吸筋を刺激する
23 目標呼吸筋活動量に関する第1の情報を検知する
24 実際呼吸筋活動量に関する第1の情報を検知する
25 呼吸補助の指標を決定する
28 換気中に患者を補助する
29 呼吸筋の状態パラメータを決定する
100 デバイス、コンポーネント
110 刺激ユニット(刺激器)、刺激ユニット、刺激デバイス
120 換気システム、換気ユニット、換気デバイス、換気装置
200 センサユニット
300 患者、生物
310 第1の信号処理
320 更なる信号処理
330 呼吸筋圧Pmus
331 呼吸筋圧Pmusの時間的な推移
340 筋電図信号
345 元の信号EMG(t)(原信号)
350 包絡線
【数28】
360 気道内圧Paw(t)、換気量流量V‘(t)および呼吸換気量V(t)の信号
400 患者モデル
410 呼吸器系
420 神経機械効率(自発性)
430 神経機械効率(刺激性)
440 活動能力k
450 鎮静
460 刺激デバイス、刺激器、刺激用デバイス
470 換気装置、空気圧呼吸補助
480 コントローラ
490 推定器
500 活動閾値
502 活動能力k(t)
504 呼吸器系
506 神経機械効率
510 刺激強度の決定
512 筋圧差の重み付け
514 平均化
522 一次遅れ要素
524 積分
526 換気量差の重み付け
532 積分
534 筋仕事量差の重み付け
540 筋圧Pmus
600 図6の上側の表示
601 図6の下側の表示
602 刺激
604 EMG信号
606 EMG信号、アーチファクトとオフセットを除去
608 包絡線
666 図7における図6の拡大部分
700 図7の上側の表示
701 図7の下側の表示
702 刺激
777 図8における図7の拡大部分
801 図8の上側の表示
801 図8の下側の表示
802 刺激
901 図9の表示
902 刺激
904 EMG信号
1000 図10の表示
1001 測定点
1100 図11の表示
図1a
図1b
図1c
図1d
図2a
図2b
図2c
図2d
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【手続補正書】
【提出日】2023-12-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の呼吸筋の状態を決定するためのデバイス(10)であって、患者信号を検知するように構成された1つまたは複数のインタフェース(12)と、
・ 刺激信号で前記患者の呼吸筋を刺激し、
・ 前記刺激することに対する応答として活動信号を検知し、
・ 前記刺激信号と前記活動信号とに基づいて、前記呼吸筋の1つまたは複数の状態パラメータを決定する
ように構成された制御ユニット(14)と
を備え
前記制御ユニット(14)が、
空気圧診断操作を実施して空気圧換気パラメータを決定し、
前記空気圧換気パラメータに基づいて前記1つまたは複数の状態パラメータを決定する
ように構成されている、デバイス(10)。
【請求項2】
前記制御ユニット(14)が、1つまたは複数の刺激インパルスで刺激信号を生成するように構成されている、請求項1記載のデバイス(10)。
【請求項3】
前記制御ユニット(14)が、インパルス応答として前記活動信号を検知するように構成されている、請求項1または2記載のデバイス(10)。
【請求項4】
前記制御ユニット(14)が、前記1つまたは複数の状態パラメータを決定することにより、前記患者の呼吸筋の活動能力を決定するように構成されている、請求項1から3までのいずれか1項記載のデバイス(10)。
【請求項5】
前記制御ユニット(14)が、前記活動能力を決定する際に、前記刺激信号の下側の活動閾値を考慮するように構成されており、前記呼吸筋が前記活動閾値を上回って刺激されると、前記呼吸筋の活動が起こり、前記呼吸筋が前記活動閾値を下回って刺激されると、前記活動は少なくとも減少するかまたは起こらなくなる、請求項4記載のデバイス(10)。
【請求項6】
前記制御ユニット(14)は、
・ 刺激によって発生し得る呼吸筋圧Pstim
・ 刺激によって発生し得る呼吸換気量Volstim、および/または
・ 刺激によって発生し得る患者の呼吸仕事量
を決定するように構成されている、請求項5記載のデバイス(10)。
【請求項7】
前記空気圧診断操作が、
・ 閉塞、
・ 呼吸流量制限、
・ 個々の呼吸動作の補助の省略、または
・ 前記患者の呼吸補助の変動性
を含む、請求項1から6までのいずれか1項記載のデバイス(10)。
【請求項8】
前記制御ユニット(14)が、患者の実行可能な最大呼吸努力の指標をさらに決定するように構成されている、請求項1からまでのいずれか1項記載のデバイス(10)。
【請求項9】
前記患者の実行可能な最大呼吸努力の指標が、前記呼吸筋の最大活動時の口閉鎖圧を含む、請求項記載のデバイス(10)。
【請求項10】
前記制御ユニット(14)が、
前記患者の呼吸筋の負荷能力の指標
および/または
前記患者の呼吸筋の効率の指標
を測定するように構成されている、請求項1からまでのいずれか1項記載のデバイス(10)。
【請求項11】
前記負荷能力の指標が、基本負荷PmusBaseと前記患者の実行可能な最大呼吸努力PmusMaxとの間の関係に基づいており、
かつ/または
前記効率の指標が、刺激によって発生し得る呼吸換気量または呼吸筋圧と前記活動信号との比を含む、
請求項10記載のデバイス(10)。
【請求項12】
前記制御ユニット(14)が、
前記1つまたは複数のインタフェースを介して前記1つまたは複数の状態パラメータに関する情報を出力する
ように構成されている、請求項1から11までのいずれか1項記載のデバイス(10)。
【国際調査報告】