IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ バイオーム ヘルス インコーポレイテッドの特許一覧

特表2024-523383神経障害を有する対象における胃腸症状を緩和するためのプロバイオティック組成物
<>
  • 特表-神経障害を有する対象における胃腸症状を緩和するためのプロバイオティック組成物 図1
  • 特表-神経障害を有する対象における胃腸症状を緩和するためのプロバイオティック組成物 図2
  • 特表-神経障害を有する対象における胃腸症状を緩和するためのプロバイオティック組成物 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-28
(54)【発明の名称】神経障害を有する対象における胃腸症状を緩和するためのプロバイオティック組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 35/747 20150101AFI20240621BHJP
   A61K 35/745 20150101ALI20240621BHJP
   A61P 1/00 20060101ALI20240621BHJP
   A61K 38/43 20060101ALI20240621BHJP
   A61K 9/14 20060101ALI20240621BHJP
   A61K 9/16 20060101ALI20240621BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20240621BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20240621BHJP
   A61P 31/10 20060101ALI20240621BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20240621BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20240621BHJP
   A23L 33/135 20160101ALI20240621BHJP
【FI】
A61K35/747
A61K35/745
A61P1/00
A61K38/43
A61K9/14
A61K9/16
A61K9/20
A61P31/04
A61P31/10
A61P25/00
A61P25/28
A23L33/135
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023577781
(86)(22)【出願日】2022-06-17
(85)【翻訳文提出日】2024-02-09
(86)【国際出願番号】 US2022034037
(87)【国際公開番号】W WO2022266469
(87)【国際公開日】2022-12-22
(31)【優先権主張番号】63/211,967
(32)【優先日】2021-06-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523470832
【氏名又は名称】バイオーム ヘルス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ガンノウム、アフィフ
(72)【発明者】
【氏名】ハリタキス、マイケル
(72)【発明者】
【氏名】フェルナルド、ロバート
【テーマコード(参考)】
4B018
4C076
4C084
4C087
【Fターム(参考)】
4B018LB01
4B018LB04
4B018LB07
4B018LB08
4B018LE02
4B018LE03
4B018MD86
4B018ME11
4B018ME14
4B018MF06
4C076AA29
4C076AA31
4C076AA36
4C076BB01
4C076CC01
4C076CC32
4C084AA02
4C084BA44
4C084DC01
4C084DC22
4C084MA36
4C084MA41
4C084MA43
4C084NA05
4C084ZA021
4C084ZA022
4C084ZA661
4C084ZA662
4C084ZB351
4C084ZB352
4C087AA01
4C087AA02
4C087BC56
4C087BC57
4C087BC59
4C087CA09
4C087MA02
4C087MA36
4C087MA41
4C087MA43
4C087NA05
4C087NA14
4C087ZA02
4C087ZA66
4C087ZB35
(57)【要約】
本発明は一般に、神経障害(例えば、自閉症スペクトラム障害)と診断された、又はそれに関連する1つ以上の症状を示す対象における胃腸症状を緩和するための方法及びプロバイオティック組成物に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)、ラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)、ラクトバチルス・サリバリウス(Lactobacillus salivarius)、ラクトバチルス・デルブルエクイ(Lactobacillus delbrueckii)及びビフィドバクテリウム・ブレベ(Bifidobacterium breve)からなる群から選択される少なくとも2つ(例えば、2、3、4、5、又は6つ)の単離された生存可能な非病原性細菌株を含む凍結乾燥又は噴霧乾燥ブレンドを含む組成物。
【請求項2】
非病原性細菌株が、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ビフィドバクテリウム・ロンガム亜種インファンティス(Bifidobacterium longum subsp.Infantis)、ラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)、ラクトバチルス・サリバリウス(Lactobacillus salivarius)、ラクトバチルス・デルブルエクイ亜種ブルガリクス(Lactobacillus delbrueckii subsp.Bulgaricus)及びビフィドバクテリウム・ブレベ(Bifidobacterium breve)から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
非病原性細菌株が、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)及びビフィドバクテリウム・ブレベ(Bifidobacterium breve)からなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
非病原性細菌株が、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ビフィドバクテリウム・ロンガム亜種インファンティス(Bifidobacterium longum subsp.Infantis)及びビフィドバクテリウム・ブレベ(Bifidobacterium breve)からなる群から選択される、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
対象におけるバイオフィルムを破壊する及び/又は繊維を分解することができる酵素をさらに含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
酵素が、アミラーゼ、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、リゾチーム、ペクチナーゼ、DNase I、セラチア・ペプチダーゼ又はセラチオペプチダーゼ、ヘミセルラーゼ/ペクチナーゼ複合体、β-1,3-グルカナーゼ、酸プロテアーゼ、アルカリプロテアーゼ、グルコアミラーゼ、エンドグルカナーゼ、キシラナーゼ、α-ガラクトシダーゼ、リパーゼ、リゾチーム、プロテアーゼ/ペプチダーゼ複合体、ジペプチジルペプチダーゼIV(DPP-IV)、キトサナーゼ、ブロメライン、パパイン、キウィプロテアーゼアクチニディ、植物由来プロテアーゼ及びフィターゼからなる群から選択される、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
酵素が、バチルス・ステアロサーモフィルス(Bacillus stearothermophilus)アミラーゼ、バチルス・アミロリケファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)アミラーゼ、バチルス・スブチリス(Bacillus subtilis)アミラーゼ、バチルス・リケニホルミ(Bacillus licheniformi)アミラーゼ、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)アミラーゼ及びアスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)アミラーゼからなる群から選択されるアミラーゼである、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
酵素が、α-ガラクトシダーゼである、請求項6に記載の組成物。
【請求項9】
組成物が、顆粒、ペレット又は粉末として製剤化される、請求項1~8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載の組成物の対象による摂取又は対象への投与によって対象における胃腸症状を緩和することを含む、神経障害と診断された、又はそれに関連する1つ以上の症状を有する対象における1つ以上の胃腸症状を緩和する方法。
【請求項11】
胃腸症状が、腹痛、下痢、不規則な排便、膨満、便秘及び炎症のうちの少なくとも1つを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
請求項1~9のいずれか一項に記載の組成物の対象による摂取又は対象への投与によって対象の消化管におけるバイオフィルムを破壊することを含む、神経障害と診断された、又はそれに関連する1つ以上の症状を示す対象の消化管におけるバイオフィルムを破壊する方法。
【請求項13】
バイオフィルムが、病原性細菌及び/又は病原性真菌を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
病原性細菌が、デルフチア(Delftia)を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
病原性細菌が、デルフチア・アシドボランス(Delftia acidovorans)デルフチア・ラクストリス(Delftia lacustris)、デルフチア・リトペナエウス(Delftia litopenaei)、デルフチア・デザーティ(Delftia deserti)及びデルフチア・ツルハテンシス(Delftia Tsuruhatensis)からなる群から選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
病原性真菌が、カンジダ・トロピカリス(Candida tropicalis)、カンジダ・グラブラタ(Candida glabrata)、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、カンジダ・パラプシロシス(Candida parapsilosis)、カンジダ・クルセイ(Candida krusei)、カンジダ・ケフリル(Candida kefyr)、カンジダ・ファビアニイ(Candida fabianii)、カンジダ・ルシタニア(Candida lusitaniae)、カンジダ・デュブリニエンシス(Candida dubliniensis)、カンジダ・オーリス(Candida auris)及びアスペルギルス(Aspergillus)からなる群から選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
請求項1~9のいずれか一項に記載の組成物の対象による摂取又は対象への投与によって対象における腸生理機能を改善することを含む、神経障害と診断された、又はそれに関連する1つ以上の症状を示す対象における腸生理機能を改善する方法。
【請求項18】
請求項1~9のいずれか一項に記載の組成物の対象による摂取又は対象への投与によって対象の腸におけるデルフチア(Delftia)の量を減少させることを含む、神経障害と診断された、又はそれに関連する1つ以上の症状を示す対象の腸におけるデルフチア(Delftia)の量を減少させる方法。
【請求項19】
神経障害が、アルツハイマー病、自閉症スペクトラム障害(ASD)、注意欠陥障害(ADD)、読字障害及びパーキンソン病から選択される、請求項10~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
ASDが、自閉症障害、アスペルガー症候群、ヘラー症候群又は小児期崩壊性障害、レット症候群、及び不特定形態の広汎性発達障害から選択される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
組成物が、ヒト摂取のための食餌組成物とともに(例えば、組み合わせて、又は注入されて)提供される、請求項10~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
食餌組成物が、シリアルベースの製品、ライスケーキ、大豆ケーキ、フードバー製品、冷間成形フードバー製品、カスタード、ヨーグルト、シェイク、プロテインシェイク、プリン、ゼラチン、ライスミルク、豆乳、マッシュフルーツ製品、キャンディ、キャンディバー及びアップルソースのうちの1つである、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)、ラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)、ラクトバチルス・サリバリウス(Lactobacillus salivarius)、ラクトバチルス・デルブルエクイ(Lactobacillus delbrueckii)及びビフィドバクテリウム・ブレベ(Bifidobacterium breve)からなる群から選択される少なくとも2つ(例えば、2、3、4、5、又は6つ)の単離された生存可能な非病原性細菌株を含む凍結乾燥又は噴霧乾燥ブレンドを含む、神経障害と診断された、又はそれに関連する1つ以上の症状を有する対象における1つ以上の胃腸症状を緩和するのに使用するための組成物。
【請求項24】
ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)、ラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)、ラクトバチルス・サリバリウス(Lactobacillus salivarius)、ラクトバチルス・デルブルエクイ(Lactobacillus delbrueckii)及びビフィドバクテリウム・ブレベ(Bifidobacterium breve)からなる群から選択される少なくとも2つ(例えば、2、3、4、5、又は6つ)の単離された生存可能な非病原性細菌株を含む凍結乾燥又は噴霧乾燥ブレンドを含む、神経障害と診断された、又はそれに関連する1つ以上の症状を示す対象の消化管におけるバイオフィルムを破壊するのに使用するための組成物。
【請求項25】
ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)、ラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)、ラクトバチルス・サリバリウス(Lactobacillus salivarius)、ラクトバチルス・デルブルエクイ(Lactobacillus delbrueckii)及びビフィドバクテリウム・ブレベ(Bifidobacterium breve)からなる群から選択される少なくとも2つ(例えば、2、3、4、5、又は6つ)の単離された生存可能な非病原性細菌株を含む凍結乾燥又は噴霧乾燥ブレンドを含む、神経障害と診断された、又はそれに関連する1つ以上の症状を示す対象における腸生理機能を改善するのに使用するための組成物。
【請求項26】
ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)、ラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)、ラクトバチルス・サリバリウス(Lactobacillus salivarius)、ラクトバチルス・デルブルエクイ(Lactobacillus delbrueckii)及びビフィドバクテリウム・ブレベ(Bifidobacterium breve)からなる群から選択される少なくとも2つ(例えば、2、3、4、5、又は6つ)の単離された生存可能な非病原性細菌株を含む凍結乾燥又は噴霧乾燥ブレンドを含む、神経障害と診断された、又はそれに関連する1つ以上の症状を示す対象の腸におけるデルフチア(Delftia)の量を減少させるのに使用するための組成物。
【請求項27】
非病原性細菌株が、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ビフィドバクテリウム・ロンガム亜種インファンティス(Bifidobacterium longum subsp.Infantis)、ラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)、ラクトバチルス・サリバリウス(Lactobacillus salivarius)、ラクトバチルス・デルブルエクイ亜種ブルガリクス(Lactobacillus delbrueckii subsp.Bulgaricus)及びビフィドバクテリウム・ブレベ(Bifidobacterium breve)から選択される、請求項23~26のいずれか一項に記載の使用するための組成物。
【請求項28】
非病原性細菌株が、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)及びビフィドバクテリウム・ブレベ(Bifidobacterium breve)からなる群から選択される、請求項23~26のいずれか一項に記載の使用するための組成物。
【請求項29】
非病原性細菌株が、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ビフィドバクテリウム・ロンガム亜種インファンティス(Bifidobacterium longum subsp.Infantis)及びビフィドバクテリウム・ブレベ(Bifidobacterium breve)からなる群から選択される、請求項23~27のいずれか一項に記載の使用するための組成物。
【請求項30】
対象におけるバイオフィルムを破壊する及び/又は繊維を分解することができる酵素をさらに含む、請求項23~29のいずれか一項に記載の使用するための組成物。
【請求項31】
酵素が、アミラーゼ、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、リゾチーム、ペクチナーゼ、DNase I、セラチア・ペプチダーゼ又はセラチオペプチダーゼ、ヘミセルラーゼ/ペクチナーゼ複合体、β-1,3-グルカナーゼ、酸プロテアーゼ、アルカリプロテアーゼ、グルコアミラーゼ、エンドグルカナーゼ、キシラナーゼ、α-ガラクトシダーゼ、リパーゼ、リゾチーム、プロテアーゼ/ペプチダーゼ複合体、ジペプチジルペプチダーゼIV(DPP-IV)、キトサナーゼ、ブロメライン、パパイン、キウィプロテアーゼアクチニディ、植物由来プロテアーゼ及びフィターゼからなる群から選択される、請求項30に記載の使用するための組成物。
【請求項32】
酵素が、バチルス・ステアロサーモフィルス(Bacillus stearothermophilus)アミラーゼ、バチルス・アミロリケファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)アミラーゼ、バチルス・スブチリス(Bacillus subtilis)アミラーゼ、バチルス・リケニホルミ(Bacillus licheniformi)アミラーゼ、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)アミラーゼ及びアスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)アミラーゼからなる群から選択されるアミラーゼである、請求項31に記載の使用するための組成物。
【請求項33】
酵素が、α-ガラクトシダーゼである、請求項31に記載の使用するための組成物。
【請求項34】
組成物が、顆粒、ペレット又は粉末として製剤化される、請求項23~33のいずれか一項に記載の使用するための組成物。
【請求項35】
神経障害が、アルツハイマー病、自閉症スペクトラム障害(ASD)、注意欠陥障害(ADD)、読字障害及びパーキンソン病から選択される、請求項23~34のいずれか一項に記載の使用するための組成物。
【請求項36】
ASDが、自閉症障害、アスペルガー症候群、ヘラー症候群、レット症候群、小児期崩壊性障害、及び不特定形態の広汎性発達障害から選択される、請求項35に記載の使用するための組成物。
【請求項37】
組成物が、ヒト摂取のための食餌組成物とともに(例えば、組み合わせて、又は注入されて)提供される、請求項23~36のいずれか一項に記載の使用するための組成物。
【請求項38】
食餌組成物が、シリアルベースの製品、ライスケーキ、大豆ケーキ、フードバー製品、冷間成形フードバー製品、カスタード、ヨーグルト、シェイク、プロテインシェイク、プリン、ゼラチン、ライスミルク、豆乳、マッシュフルーツ製品、キャンディ、キャンディバー及びアップルソースのうちの1つである、請求項37に記載の使用するための組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年6月17日に出願された米国仮特許出願第63/211,967号の利益及び優先権を主張し、その全内容は、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は一般に、神経障害(例えば、自閉症スペクトラム障害)と診断された、又はそれに関連する症状を有する対象における胃腸症状を緩和するための組成物及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
バイオフィルムは、単細胞微生物が共に生存し、エキソポリサッカライド(EPS)マトリックスによって保護されたコミュニティを形成するときに形成される。このEPSマトリックスは、典型的には、タンパク質、多糖類及び細胞外DNAのコングロメレーションである。バイオフィルム関連微生物は、それらのプランクトン様(自由に懸濁した)対応物とは異なる。バイオフィルム形成細胞は互いに共凝集して、生物表面又は非生物表面に結合した協調集団を形成し、細胞は保護EPSマトリックスに取り囲まれ、クオラムセンシングを通じて効果的に通信し、活発に代謝する細胞又は定常期の細胞に対して作用する従来の抗菌剤(抗真菌剤及び抗菌剤の両方)の影響を制限する低い代謝活性を有すると考えられる。
【0004】
細菌、真菌、及び古細菌を含む微生物はバイオフィルムを形成する。所与の対象(例えば、ヒト)について、多くの微生物(微生物叢と呼ばれる)が前記対象の様々な領域、例えば腸の上又は中に存在する。宿主対象の胃腸微生物叢と消化、免疫及び代謝との間には、不可避の関連がある。胃腸微生物叢は、ビタミン及び代謝産物の生合成及び多糖類などの複雑な高分子の消化に重要である。胃腸微生物叢は、通常の条件下では、病原性微生物のコロニー形成の防止、並びに腸バリアの完全性及び機能の維持、並びに免疫系の支援に役立つ。
【0005】
微生物ディスバイオシスに典型的な胃腸障害(例えば、腹痛、下痢、及び膨満感)及び代謝障害は、自閉症スペクトラム障害の乳児において頻繁に報告されている(De Angelis M et al.,PLoS One,2013 Oct 9;8(10):e76993を参照されたい)。
【0006】
今日までになされた進歩にもかかわらず、神経障害と診断された、又はそれに関連する症状を示す対象における胃腸症状を緩和するための改善された組成物及び方法が必要とされている。
【発明の概要】
【0007】
一態様において、本発明は、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)、ラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)、ラクトバチルス・サリバリウス(Lactobacillus salivarius)、ラクトバチルス・デルブルエクイ(Lactobacillus delbrueckii)及びビフィドバクテリウム・ブレベ(Bifidobacterium breve)からなる群から選択される少なくとも2つ(例えば、2、3、4、5、又は6つ)の単離された生存可能な非病原性細菌株を含む凍結乾燥又は噴霧乾燥ブレンドを含む組成物を提供する。
【0008】
別の態様では、本発明は、神経障害と診断された、又はそれに関連する1つ以上の症状を有する対象における1つ以上の胃腸症状を緩和する方法であって、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)、ラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)、ラクトバチルス・サリバリウス(Lactobacillus salivarius)、ラクトバチルス・デルブルエクイ(Lactobacillus delbrueckii)及びビフィドバクテリウム・ブレベ(Bifidobacterium breve)からなる群から選択される少なくとも2つ(例えば、2、3、4、5、又は6つ)の単離された生存可能な非病原性細菌株を含む凍結乾燥又は噴霧乾燥ブレンドを含む組成物を対象により摂取するか、又は対象に投与し、それにより対象における胃腸症状を緩和することを含む、方法を提供する。特定の実施形態では、胃腸症状は、腹痛、下痢、不規則な排便、膨満、便秘及び炎症のうちの少なくとも1つを含む。
【0009】
別の態様では、本発明は、神経障害と診断された、又はそれに関連する1つ以上の症状を示す対象の消化管におけるバイオフィルムを破壊する方法であって、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)、ラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)、ラクトバチルス・サリバリウス(Lactobacillus salivarius)、ラクトバチルス・デルブルエクイ(Lactobacillus delbrueckii)及びビフィドバクテリウム・ブレベ(Bifidobacterium breve)からなる群から選択される少なくとも2つ(例えば、2、3、4、5、又は6つ)の単離された生存可能な非病原性細菌株を含む凍結乾燥又は噴霧乾燥ブレンドを含む組成物を対象により摂取するか、又は対象に投与し、それにより対象の消化管におけるバイオフィルムを破壊することを含む、方法を提供する。特定の実施形態では、バイオフィルムは、病原性細菌及び/又は病原性真菌を含む。特定の実施形態では、病原性細菌は、デルフチア(Delftia)を含む。特定の実施形態では、病原性細菌は、デルフチア・アシドボランス(Delftia acidovorans)デルフチア・ラクストリス(Delftia lacustris)、デルフチア・リトペナエウス(Delftia litopenaei)、デルフチア・デザーティ(Delftia deserti)及びデルフチア・ツルハテンシス(Delftia Tsuruhatensis)からなる群から選択される。特定の実施形態では、病原性真菌は、カンジダ・トロピカリス(Candida tropicalis)、カンジダ・グラブラタ(Candida glabrata)、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、カンジダ・パラプシロシス(Candida parapsilosis)、カンジダ・クルセイ(Candida krusei)、カンジダ・ケフリル(Candida kefyr)、カンジダ・ファビアニイ(Candida fabianii)、カンジダ・ルシタニア(Candida lusitaniae)、カンジダ・デュブリニエンシス(Candida dubliniensis)、カンジダ・オーリス(Candida auris)及びアスペルギルス(Aspergillus)からなる群から選択される。
【0010】
さらに別の態様では、本発明は、神経障害と診断された、又はそれに関連する1つ以上の症状を示す対象における腸生理機能を改善する方法であって、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)、ラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)、ラクトバチルス・サリバリウス(Lactobacillus salivarius)、ラクトバチルス・デルブルエクイ(Lactobacillus delbrueckii)及びビフィドバクテリウム・ブレベ(Bifidobacterium breve)からなる群から選択される少なくとも2つ(例えば、2、3、4、5、又は6つ)の単離された生存可能な非病原性細菌株を含む凍結乾燥又は噴霧乾燥ブレンドを含む組成物を対象により摂取するか、又は対象に投与し、それにより対象の腸生理機能を改善することを含む、方法を提供する。
【0011】
別の態様では、本発明は、神経障害と診断された、又はそれに関連する1つ以上の症状を示す対象における腸内のデルフチア(Delftia)の量を減少させる方法であって、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)、ラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)、ラクトバチルス・サリバリウス(Lactobacillus salivarius)、ラクトバチルス・デルブルエクイ(Lactobacillus delbrueckii)及びビフィドバクテリウム・ブレベ(Bifidobacterium breve)からなる群から選択される少なくとも2つ(例えば、2、3、4、5、又は6つ)の単離された生存可能な非病原性細菌株を含む凍結乾燥又は噴霧乾燥ブレンドを含む組成物を対象により摂取するか、又は対象に投与し、それにより対象の腸内のデルフチア(Delftia)の量を減少させることを含む、方法を提供する。
【0012】
特定の実施形態では、非病原性細菌株は、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ビフィドバクテリウム・ロンガム亜種インファンティス(Bifidobacterium longum subsp.Infantis)、ラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)、ラクトバチルス・サリバリウス(Lactobacillus salivarius)、ラクトバチルス・デルブルエクイ亜種ブルガリクス(Lactobacillus delbrueckii subsp.Bulgaricus)及びビフィドバクテリウム・ブレベ(Bifidobacterium breve)から選択される。特定の実施形態では、非病原性細菌株は、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)及びビフィドバクテリウム・ブレベ(Bifidobacterium breve)からなる群から選択される。特定の実施形態では、非病原性細菌株は、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ビフィドバクテリウム・ロンガム亜種インファンティス(Bifidobacterium longum subsp.Infantis)及びビフィドバクテリウム・ブレベ(Bifidobacterium breve)からなる群から選択される。
【0013】
特定の実施形態では、組成物はさらに、対象におけるバイオフィルムを破壊する及び/又は繊維を分解することができる酵素を含む。特定の実施形態では、酵素は、アミラーゼ、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、リゾチーム、ペクチナーゼ、DNase I、セラチア・ペプチダーゼ又はセラチオペプチダーゼ、ヘミセルラーゼ/ペクチナーゼ複合体、β-1,3-グルカナーゼ、酸プロテアーゼ、アルカリプロテアーゼ、グルコアミラーゼ、エンドグルカナーゼ、キシラナーゼ、α-ガラクトシダーゼ、リパーゼ、リゾチーム、プロテアーゼ/ペプチダーゼ複合体、ジペプチジルペプチダーゼIV(DPP-IV)、キトサナーゼ、ブロメライン、パパイン、キウィプロテアーゼアクチニディ、植物由来プロテアーゼ及びフィターゼからなる群から選択される。特定の実施形態では、酵素は、バチルス・ステアロサーモフィルス(Bacillus stearothermophilus)アミラーゼ、バチルス・アミロリケファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)アミラーゼ、バチルス・スブチリス(Bacillus subtilis)アミラーゼ、バチルス・リケニホルミ(Bacillus licheniformi)アミラーゼ、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)アミラーゼ及びアスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)アミラーゼからなる群から選択されるアミラーゼである。特定の実施形態では、酵素は、α-ガラクトシダーゼである。
【0014】
特定の実施形態では、組成物は、顆粒、ペレット又は粉末として製剤化される。
【0015】
特定の実施形態では、神経障害は、アルツハイマー病、自閉症スペクトラム障害(ASD)、注意欠陥障害(ADD)、読字障害及びパーキンソン病から選択される。特定の実施形態では、ASDは、自閉症障害、アスペルガー症候群、ヘラー症候群又は小児期崩壊性障害、レット症候群、及び不特定形態の広汎性発達障害から選択される。
【0016】
特定の実施形態では、組成物は、ヒト摂取のための食餌組成物とともに(例えば、組み合わせて、又は注入されて)提供される。特定の実施形態では、食餌組成物は、シリアルベースの製品、ライスケーキ、大豆ケーキ、フードバー製品、冷間成形フードバー製品、カスタード、ヨーグルト、シェイク、プロテインシェイク、プリン、ゼラチン、ライスミルク、豆乳、マッシュフルーツ製品、キャンディ、キャンディバー及びアップルソースのうちの1つである。
【0017】
一態様では、本発明は、神経障害と診断された、又はそれに関連する1つ以上の症状を有する対象における1つ以上の胃腸症状を緩和するのに使用するための組成物であって、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)、ラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)、ラクトバチルス・サリバリウス(Lactobacillus salivarius)、ラクトバチルス・デルブルエクイ(Lactobacillus delbrueckii)及びビフィドバクテリウム・ブレベ(Bifidobacterium breve)からなる群から選択される少なくとも2つ(例えば、2、3、4、5、又は6つ)の単離された生存可能な非病原性細菌株を含む凍結乾燥又は噴霧乾燥ブレンドを含む組成物を提供する。
【0018】
一態様では、本発明は、神経障害と診断された、又はそれに関連する1つ以上の症状を示す対象の消化管におけるバイオフィルムを破壊するのに使用するための組成物であって、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)、ラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)、ラクトバチルス・サリバリウス(Lactobacillus salivarius)、ラクトバチルス・デルブルエクイ(Lactobacillus delbrueckii)及びビフィドバクテリウム・ブレベ(Bifidobacterium breve)からなる群から選択される少なくとも2つ(例えば、2、3、4、5、又は6つ)の単離された生存可能な非病原性細菌株を含む凍結乾燥又は噴霧乾燥ブレンドを含む組成物を提供する。
【0019】
一態様では、本発明は、神経障害と診断された、又はそれに関連する1つ以上の症状を示す対象における腸生理機能を改善するのに使用するための組成物であって、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)、ラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)、ラクトバチルス・サリバリウス(Lactobacillus salivarius)、ラクトバチルス・デルブルエクイ(Lactobacillus delbrueckii)及びビフィドバクテリウム・ブレベ(Bifidobacterium breve)からなる群から選択される少なくとも2つ(例えば、2、3、4、5、又は6つ)の単離された生存可能な非病原性細菌株を含む凍結乾燥又は噴霧乾燥ブレンドを含む組成物を提供する。
【0020】
別の態様では、本発明は、神経障害と診断された、又はそれに関連する1つ以上の症状を示す対象の腸内のデルフチア(Delftia)の量を減少させるのに使用するための組成物であって、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)、ラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)、ラクトバチルス・サリバリウス(Lactobacillus salivarius)、ラクトバチルス・デルブルエクイ(Lactobacillus delbrueckii)及びビフィドバクテリウム・ブレベ(Bifidobacterium breve)からなる群から選択される少なくとも2つ(例えば、2、3、4、5、又は6つ)の単離された生存可能な非病原性細菌株を含む凍結乾燥又は噴霧乾燥ブレンドを含む組成物を提供する。
【0021】
特定の実施形態では、非病原性細菌株は、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ビフィドバクテリウム・ロンガム亜種インファンティス(Bifidobacterium longum subsp.Infantis)、ラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)、ラクトバチルス・サリバリウス(Lactobacillus salivarius)、ラクトバチルス・デルブルエクイ亜種ブルガリクス(Lactobacillus delbrueckii subsp.Bulgaricus)及びビフィドバクテリウム・ブレベ(Bifidobacterium breve)から選択される。特定の実施形態では、非病原性細菌株は、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)及びビフィドバクテリウム・ブレベ(Bifidobacterium breve)からなる群から選択される。特定の実施形態では、非病原性細菌株は、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ビフィドバクテリウム・ロンガム亜種インファンティス(Bifidobacterium longum subsp.Infantis)及びビフィドバクテリウム・ブレベ(Bifidobacterium breve)からなる群から選択される。
【0022】
特定の実施形態では、組成物はさらに、対象におけるバイオフィルムを破壊する及び/又は繊維を分解することができる酵素を含む。特定の実施形態では、酵素は、アミラーゼ、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、リゾチーム、ペクチナーゼ、DNase I、セラチア・ペプチダーゼ又はセラチオペプチダーゼ、ヘミセルラーゼ/ペクチナーゼ複合体、β-1,3-グルカナーゼ、酸プロテアーゼ、アルカリプロテアーゼ、グルコアミラーゼ、エンドグルカナーゼ、キシラナーゼ、α-ガラクトシダーゼ、リパーゼ、リゾチーム、プロテアーゼ/ペプチダーゼ複合体、ジペプチジルペプチダーゼIV(DPP-IV)、キトサナーゼ、ブロメライン、パパイン、キウィプロテアーゼアクチニディ、植物由来プロテアーゼ及びフィターゼからなる群から選択される。特定の実施形態では、酵素は、バチルス・ステアロサーモフィルス(Bacillus stearothermophilus)アミラーゼ、バチルス・アミロリケファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)アミラーゼ、バチルス・スブチリス(Bacillus subtilis)アミラーゼ、バチルス・リケニホルミ(Bacillus licheniformi)アミラーゼ、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)アミラーゼ及びアスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)アミラーゼからなる群から選択されるアミラーゼである。特定の実施形態では、酵素は、α-ガラクトシダーゼである。
【0023】
特定の実施形態では、組成物は、顆粒、ペレット又は粉末として製剤化される。
【0024】
特定の実施形態では、神経障害は、アルツハイマー病、自閉症スペクトラム障害(ASD)、注意欠陥障害(ADD)、読字障害及びパーキンソン病から選択される。特定の実施形態では、ASDは、自閉症障害、アスペルガー症候群、ヘラー症候群、レット症候群、小児期崩壊性障害及び不特定形態の広汎性発達障害から選択される。
【0025】
特定の実施形態では、組成物は、ヒト摂取のための食餌組成物とともに(例えば、組み合わせて、又は注入されて)提供される。特定の実施形態では、食餌組成物は、シリアルベースの製品、ライスケーキ、大豆ケーキ、フードバー製品、冷間成形フードバー製品、カスタード、ヨーグルト、シェイク、プロテインシェイク、プリン、ゼラチン、ライスミルク、豆乳、マッシュフルーツ製品、キャンディ、キャンディバー及びアップルソースのうちの1つである。
【0026】
本発明の他の特徴及び利点は、以下の詳細な説明及び特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【0027】
図面において、同様の参照符号は、一般に、異なる図を通して同じ部分を指す。また、図面は必ずしも縮尺通りではなく、代わりに一般に本開示の原理を説明することに重点が置かれている。以下の説明では、本開示の様々な実施形態が、以下の図面を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1図1は、LASSOロジスティックモデリングを使用して微生物叢の特徴、人口統計学的特徴、食事の特徴及び臨床的特徴を同定した、組み合わせモデルを示す診断プロットである。プロットの左側の縦線は、交差検証(CV)誤差曲線がその最小平均二乗誤差(MSE)に達する場所を示す。右の縦線は、最小値の1標準偏差以内のCV誤差を有する最も正則化されたモデルを示す。値λ(調整パラメータ)は、5倍CVに従って選択され、ここでλは、LASSO特徴選択アルゴリズムからのものである。
【数1】
【0029】
図2図2は、リスク(診断)スコアのカットオフ値が0.6447であった場合の、C指標=0.983、感度91%及び特異度100%のモデル3の受信動作特性(ROC)曲線を示すグラフプロットである。
【0030】
図3図3は、本明細書に記載のプロバイオティック組成物を製造するための例示的なプロセスの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明は、一部には、特定の非病原性細菌を含む組成物又は剤形が、哺乳動物(例えば、ヒト)対象における神経障害(例えば、自閉症スペクトラム障害)に関連する胃腸症状を緩和することができるという発見に基づく。病原性細菌及び/又は真菌、並びに任意に古細菌及び/又は原虫を含むバイオフィルムを、少なくとも2つ(例えば、2、3、4、5、又は6つ)の単離された生存可能な非病原性細菌株を含む組成物又は剤形を対象に投与することによって、対象において予防又は破壊することが可能であり、投与されると、よりバランスのとれた微生物叢を促進し、繊維を分解し、及び/又は対象における天然の微生物叢の回復を促進するという発見も本明細書で提供される。文脈がそうでないことを指示しない限り、組成物及び剤形という用語は、本明細書において互換的に使用することができ、剤形は組成物であり、逆もまた同様である。例えば、対象によって摂取されるか又は対象に投与される組成物は、剤形として、例えば組成物の単位(例えば、スプーン1杯分)として摂取又は投与され得ることが企図される。同様に、剤形は、例えば、本明細書に記載の組成物を含むことができると理解される。特定の実施形態では、剤形は、本明細書に記載の粉末の形態の組成物を含むことができる。特定の実施形態では、剤形は、このような組成物を含むカプセルの形態の組成物を含むことができる。特定の実施形態では、剤形は、粒状物の形態の組成物を含むことができる。特定の実施形態では、剤形は、ペレットの形態の組成物を含むことができる。
【0032】
一態様では、本発明は、単離された生存可能な非病原性細菌株を含む組成物を提供する。組成物は、対象の領域で生存可能な少なくとも2つ(例えば、3、4、5、6つ以上)の単離された非病原性細菌株を含む。
【0033】
別の態様では、本発明は、(i)酵素及び(ii)少なくとも2つの非病原性細菌株を含む組成物を提供する。例えば、組成物は、(i)1つ以上(例えば、1、2、3、4、5つ以上)の酵素及び(ii)対象の領域において生存可能な(例えば、複製あり又は複製なし)2つ以上(例えば、2、3、4、5、6つ以上)の非病原性細菌株を含む。
【0034】
別の態様では、本発明は、対象の予め選択された領域内に配置された病原性細菌及び/又は病原性真菌を含む、バイオフィルムを破壊することができる組成物を提供する。組成物は、(i)1つ以上(例えば、1、2、3、4、5つ以上)の酵素及び(ii)対象の領域において生存可能な(例えば、複製あり又は複製なし)2つ以上(例えば、2、3、4、5、6つ以上)の非病原性細菌株を含む。特定の実施形態では、酵素は、病原性細菌及び/又は病原性真菌を含むバイオフィルムを破壊することができる。特定の実施形態では、酵素は、対象における繊維を分解する。特定の実施形態では、非病原性細菌株は、病原性細菌及び/又は病原性真菌を含むバイオフィルムを破壊することができる。特定の実施形態では、非病原性細菌株は、対象における繊維を分解する。
【0035】
別の態様では、本発明は、対象の予め選択された領域内に配置された病原性細菌及び/又は病原性真菌を含む、バイオフィルムを破壊することができる剤形を提供する。剤形は、(i)1つ以上(例えば、1、2、3、4、5つ以上)の酵素及び(ii)対象の領域において生存可能な(例えば、複製あり又は複製なし)2つ以上(例えば、2、3、4、5、6つ以上)の非病原性細菌株を含む組成物を含む。特定の実施形態では、酵素は、病原性細菌及び/又は病原性真菌を含むバイオフィルムを破壊することができる。特定の実施形態では、酵素は、対象における繊維を分解する。特定の実施形態では、非病原性細菌株は、病原性細菌及び/又は病原性真菌を含むバイオフィルムを破壊することができる。特定の実施形態では、非病原性細菌株は、対象における繊維を分解する。
【0036】
I.バイオフィルム
本発明の組成物又は剤形を使用して、例えば、対象における消化管を含むことができる、対象の予め選択された領域に存在するバイオフィルムを破壊及び/又は置換することができる。
【0037】
本発明の剤形の組成物による破壊を受けやすくすることができるバイオフィルム内に配置される例示的な微生物には、限定するものではないが、デルフチア・アシドボランス(Delftia acidovorans)デルフチア・ラクストリス(Delftia lacustris)、デルフチア・リトペナエウス(Delftia litopenaei)、デルフチア・デザーティ(Delftia deserti)及びデルフチア・ツルハテンシス(Delftia Tsuruhatensis)を含むデルフチア(Delftia)属菌、ファーミキューテス(Firmicutes)門、子嚢菌門及び接合菌門の属菌、例えば、エンテロコッカス・フェカリス(Enterococcus faecalis)を含むエンテロコッカス(Enterococcus)属菌、大腸菌(Escherichia coli)を含むエシェリヒア(Escherichia)属菌;クラミジア・ニューモニア(Chlamydia pneumonia)及びクラミジア・トラコマティス(Chlamydia trachomatis)を含むクラミジア(Chlamydia)属菌、チフス菌(Salmonella typhi)及びサルモネラ・ティフィムリウム(Salmonella typhimurium)を含むサルモネラ(Salmonella)属菌、シュードモナス・エルギノーザ(Pseudomonas aeruginosa)及びシュードモナス・アナエロビウス(Pseudomonas anaerobius)を含むシュードモナス(Pseudomonas)属菌、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、スタフィロコッカス・カピティス(Staphylococcus capitus)、表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)、スタフィロコッカス・サプロフィティカス(Staphylococcus saprophyticus)を含むスタフィロコッカス(Staphylococcus)属菌、リステリア・モノサイトゲネス(Listeria monocytogenes)を含むリステリア属菌、ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)を含むヘリコバクター(Helicobacter)属菌、カンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)を含むカンピロバクター(Campylobacter)属菌、ペスト菌(Yersinia pestis)を含むエルシニア(Yersinia)属菌、コレラ菌(Vibrio cholera)を含むビブリオ(Vibrio)属菌、ヘモフィルス・アフロフィラス(Haemophilus aphrophilus)及びインフルエンザ菌(Haemophilus influenza)を含むヘモフィルス属菌、らい菌(Mycobacterium leprae)、結核菌(Mycobacterium tuberculosis)を含むマイコバクテリウム(Mycobacterium)属菌、バークホルデリア・セパシア(Burkholderia cepacia)を含むバークホルデリア(Burkholderia)属菌、マイコプラズマ・ニューモニア(Mycoplasma pneumoniae)を含むマイコプラズマ(Mycoplasma)属菌、クレブシエラ・ニューモニエ(Klebsiella pneumoniae)を含むクレブシエラ(Klebsiella)属菌、エンテロバクター・クロアカ(Enterobacter cloacae)を含むエンテロバクター(Enterobacter)属菌、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、カンジダ・デュブリニエンシス(Candida dubliniensis)、カンジダ・パラプシロシス(Candida parapsilosis)、カンジダ・トロピカリス(Candida tropicalis)、カンジダ・パラプシロシス(Candida parapsilosis)、カンジダ・グラブラタ(Candida glabrata)、カンジダ・クルセイ(Candida krusei)、カンジダ・アウリス(Candida Auris)を含むカンジダ(Candida)属菌、並びにアスペルギルス・クラバタス(Aspergillus clavatus)、アスペルギルス・フラバス(Aspergillus flavus)、アスペルギルス・テレウス(Aspergillus terreus)及びアスペルギルス・フミガーツス(Aspergillus fumigatus)を含むアスペルギルス(Aspergillus)属菌が含まれる。
【0038】
消化管バイオフィルム
特定の実施形態では、本明細書に記載の組成物又は剤形を使用して、例えば、対象の胃腸(GI)管内(例えば、食道、胃、上部腸、及び/又は下部腸)の病原性細菌及び/又は真菌を含むバイオフィルムを破壊することができる。特定の実施形態では、予め選択された領域は、上部GI管の十二指腸、空腸、及び/又は回腸を含むが、他の実施形態では、予め選択された領域は、下部GI管の虫垂、近位結腸、及び/又は直腸を含む。特定の実施形態では、対象は、神経障害と診断される、又はそれに関連する1つ以上の症状を有する。
【0039】
特定の実施形態では、本明細書に記載の組成物又は剤形を使用して、健康な対象に典型的に見られるレベルと比較した場合、対象のGI管内に配置されたバイオフィルム中のデルフチア(Delftia)などの病原性細菌種の相対存在量が高い状態で、対象のGI管内に配置されたバイオフィルムを破壊する。特定の実施形態では、本明細書に記載の組成物又は剤形は、1つ以上のデルフチア(Delftia)病原性細菌種を含むバイオフィルムを破壊又は置換するための非病原性細菌株を含む。特定の実施形態では、デルフチア(Delftia)の病原性細菌種は、デルフチア・アシドボランス(Delftia acidovorans)デルフチア・ラクストリス(Delftia lacustris)、デルフチア・リトペナエウス(Delftia litopenaei)、デルフチア・デザーティ(Delftia deserti)及びデルフチア・ツルハテンシス(Delftia Tsuruhatensis)を含む
【0040】
バイオフィルム内の細菌は、真菌と密接に接触して存在するが、真菌との特異的相互作用が異なり得る。特定の実施形態では、病原性細菌(例えば、デルフチア(Delftia))は、バイオフィルム内の真菌細胞に融合され得る。代替的又は追加的に、バイオフィルム内に配置された病原性細菌及び病原性真菌は、細菌及び真菌が抗菌薬及び宿主の免疫系から保護される「消化プラーク」を形成し得る。消化プラークは、GI管の正常な又は健康な微生物叢を破壊し、神経障害と診断された、又はそれ関連する1つ以上の症状を示す対象においてGI疾患又は障害(例えば、高アンモニア血症、クロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)大腸炎、肝硬変に関連する肝性脳症、炎症性腸疾患、クローン病、潰瘍性大腸炎及び/又は過敏性腸疾患)を引き起こすか、さもなければそれに関連し得ることが理解される。
【0041】
特定の実施形態では、本明細書に記載の組成物又は剤形を使用して、例えば、神経障害と診断されていない、又はそれに関連する1つ以上の症状を示していない対象と比較した場合、神経障害と診断された、又はそれに関連する1つ以上の症状を示す対象のGI管内に配置されたバイオフィルムにおいて、細菌種、例えばデルフチア(Delftia)の存在量が有意に増加しているバイオフィルムを破壊することができる。特定の実施形態では、デルフチア(Delftia)の存在量の増加は、自閉症と正に関連し得る。
【0042】
II.剤形及び組成物
本発明は、神経障害と診断された、又はそれに関連する症状を有する対象においてGI症状を緩和することができる組成物又は剤形を提供する。
【0043】
本発明はまた、神経障害と診断された、又はそれに関連する1つ以上の症状を有する対象の予め選択された領域でバイオフィルムを予防及び/又は破壊することができる組成物又は剤形を提供する。特定の実施形態では、予防及び/又は破壊は、例えば、EPSマトリックスを分解し、非病原性生物(例えば、非病原性細菌及び/又は真菌)がその領域に存在する病原性生物を置き換えることを可能にすることによるものである。
【0044】
本発明はまた、神経障害と診断された、又はそれに関連する1つ以上の症状を有する対象において繊維を分解することができる組成物又は剤形を提供する。
【0045】
本発明はまた、神経障害と診断された、又はそれに関連する1つ以上の症状を有する対象における腸生理機能を改善することができる組成物又は剤形を提供する。
【0046】
本発明はまた、神経障害と診断された、又はそれに関連する1つ以上の症状を有する対象の腸におけるデルフチア(Delftia)のレベルを低下させることができる組成物又は剤形を提供する。
【0047】
特定の実施形態では、組成物は、バイオフィルムを破壊することができるか、又は病原性細菌及び/又は真菌を含むバイオフィルムの形成を防止することができる、少なくとも2つの単離された生存可能な非病原性細菌株の粉末化ブレンドとして製剤化される。特定の実施形態では、組成物は、神経障害と診断された、又はそれに関連する1つ以上の症状を有する対象において繊維を分解することができる、少なくとも2つの単離された生存可能な非病原性細菌株の粉末化ブレンドとして製剤化される。特定の実施形態では、組成物は、機能性コーティング(例えば、制御放出コーティング)又は非機能性コーティング(例えば、審美的コーティング)でコーティングされる。特定の実施形態では、少なくとも2つの単離された生存可能な非病原性細菌株の粉末ブレンドは、凍結乾燥又は噴霧乾燥される。特定の実施形態では、少なくとも2つの単離された生存可能な非病原性細菌株の凍結乾燥又は噴霧乾燥ブレンドは、酵素とさらにブレンドされる。特定の実施形態では、酵素は、アミラーゼ又はα-ガラクトシダーゼである。特定の実施形態では、少なくとも2つの単離された生存可能な非病原性細菌株の凍結乾燥又は噴霧乾燥ブレンドは、2つの酵素とさらにブレンドされる。特定の実施形態では、2つの酵素は、アミラーゼ及びα-ガラクトシダーゼである。
【0048】
(i)非病原性細菌
組成物又は剤形は、対象の予め選択された領域(例えば、消化管)において生存可能な、又は複製することができる2つ以上(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10以上)の異なる非病原性細菌株を含む。特定の実施形態では、対象は、神経障害と診断される、又はそれに関連する1つ以上の症状を有する。
【0049】
特定の実施形態では、本発明の組成物又は剤形に含まれる例示的な細菌株は、以下の細菌種のいずれか1つ以上の細菌株を含み得る:アグロコッカス・ジェネンシス(Agrococcus jenensis)、アリスティペス・インディスティンクタス(Alistipes indistinctus)、アリスティペス・マシリエンシス(Alistipes massiliensis)、アルカリバクテリウム・イブリエンス(Alkalibacterium iburiense)、アノキシバチルス・ケスタンボレンシス(Anoxybacillus kestanbolensis)、バチルス・セレウス(Bacillus cereus)、バチルス・クラウシイ(Bacillus clausii)、バチルス・コアグランス(Bacillus Coagulans)、バクテロイデス・コプロフィラス(Bacteroides coprophilus)、バクテロイデス・エガーシイ(Bacteroides eggerthii)、バクテロイデス・オバツス(Bacteroides ovatus)、バクテロイデス・フラギリス(Bacteroides fragilis)、バクテロイデス・プレビウス(Bacteroides plebeius)、バクテロイデス・ユニフォルミス(Bacteroides uniformis)、ビフィドバクテリウム・アドレスセンティス(Bifidobacterium adolescentis)、ビフィドバクテリウム・アニマリス(Bifidobacterium animalis)、ビフィドバクテリウム・ビフィダム(Bifidobacterium bifidum)、ビフィドバクテリウム・ブレベ(Bifidobacterium breve)、ビフィドバクテリウム・カテヌラツム(Bifidobacterium catenulatum)、ビフィドバクテリウム・カテヌラツム亜種カシワノヘンス(Bifidobacterium catenulatum subsp.Kashiwanohense)(DSM 21854)、ビフィドバクテリウム・ロングム(Bifidobacterium longum)、ビフィドバクテリウム・ロングム(Bifidobacterium longum)(DSM 20219)、ビフィドバクテリウム・ロングム亜種インファンティス(Bifidobacterium longum subsp.Infantis)、ビフィドバクテリウム・シュードカテヌラツム(Bifidobacterium pseudocatenulatum)、(Bifidobacterium pseudocatenulatum)(DSM 20438)、ビフィドバクテリウム・シュードカテヌラツム(Bifidobacterium pseudolongum)、ブラウティア・オベウム(Blautia obeum)、ブラウティア・プロダクタ(Blautia product)、カンジダタス・アゾバクテロイド(Candidatus azobacteroides)、カンジダタス・ポーティエレ(Candidatus portiere)、カンジダタス・ポーティエラ(Candidatus Portiera)、クロストリジウム・セラツム(Clostridium celatum)、クロストリジウム・ヒラノニス(Clostridium hiranonis)、クロストリジウム・ネオナテール(Clostridium neonatale)、クロストリジウム・パーフリンゲンス(Clostridium perfringens)、コリンゼラ・スターコリス(Clostridium tyrobutyricum)、コリンゼラ・アエロファシエンス(Collinsella aerofaciens)、コリンゼラ・スターコリス(Collinsella stercoris)、コプロコッカス・オイタクツス(Coprococcus eutactus)、コリネバクテリウム・スタティオニス(Corynebacterium stationis)、デスルホスポロシヌス・メリディエイ(Desulfosporosinus meridiei)、デスルホビブリオD 168(Desulfovibrio D 168)、ドレア・フォルミシゲネランス(Dorea formicigenerans)、エガセラ・レンタ(Eggerthella lenta)、エルウィニア・オレアエ(Erwinia oleae)、フィーカリバクテリウム・プラウスニッツィイ(Faecalibacterium prausnitzii)、ラクトバチルス・アシドフィラス(Lactobacillus acidophilus)、ラクトバチルス・アジリス(Lactobacillus agilis)、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ラクトバチルス・デルブレッキイ(Lactobacillus delbrueckii)、ラクトバチルス・デルブレッキイ亜種ブルガリカス(Lactobacillus delbrueckii subsp.Bulgaricus)、ラクトバチルス・ガセリ(Lactobacillus gasseri)、ラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)(DSM 264)、ラクトバチルス・ロイテリ(Lactobacillus reuteri)、ラクトバチルス・ラムノーサス(Lactobacillus rhamnosus)、ラクトバチルス・ルミニス(Lactobacillus ruminis)、ラクトバチルス・サリバリウス(Lactobacillus salivarius)、ラクトバチルス・ジマエ(Lactobacillus zeae)、ラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)、リステリア・ヴァイエンステファネンシス(Listeria weihenstephanensis)、パエニバチルス・ムシラギノサス(Paenibacillus mucilaginosus)、パラバクテロイデス・ディスタソニス(Parabacteroides distasonis)、ペディオコッカス・アシディラクティシ(Pediococcus acidilactici)、ペディオコッカス・ペントサセウス(Pediococcus pentosaceus)、ペプトストレプトコッカス・アナエロビウス(Peptostreptococcus anaerobius)、プレボテーラ・コプリ(Prevotella copri)、プレボテーラ・メラニノジェニカ(Prevotella melaninogenica)、プレボテーラ・ステルコレア(Prevotella stercorea)、プロピオニバクテリウム・アクネス(Propionibacterium acnes)、シュードラミバクター・ユウバクテリウム(Pseudoramibacter eubacterium)、ロゼブリア・ファエシス(Roseburia faecis)、ロシア・デントカリオーサ(Rothia dentocariosa)、ロシア・ムチラギノサ(Rothia mucilaginosa)、ルミノコッカス・ブロミイ(Ruminococcus bromii)、ルミノコッカス・カリダス(Ruminococcus callidus)、ルミノコッカス・フラベファシエンス(Ruminococcus flavefaciens)、ルミノコッカス・グナバス(Ruminococcus gnavus)、ルミノコッカス・トルク(Ruminococcus torques)、サリニバチルス・アイジンゲンシス(Salinibacillus aidingensis)、スタフィロコッカス・シウリ(Staphylococcus sciuri)、ストレプトコッカス・アンギノサス(Streptococcus anginosus)、ストレプトコッカス・ソプリヌス(Streptococcus sobrinus)、ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)、チセレラ・ソエフンゲニア(Tissierella soehngenia)、ベイロネラ・ディスパー(Veillonella dispar)、及びベイロネラ・パルブーラ(Veillonella parvula)。
【0050】
特定の実施形態では、以下の表1に列挙される1つ以上の細菌株が本発明の組成物又は剤形に含まれる。
【表1】
【0051】
特定の実施形態では、以下の表2に列挙される1つ以上の細菌株が本発明の組成物又は剤形に含まれる。
【表2】
【0052】
特定の実施形態では、デルフチア組成物又は剤形は、少なくとも2つの異なる細菌株(例えば、表1又は2に列挙される株)、又は神経障害と診断された、もしくはそれに関連する1つ以上の症状を示す対象の領域で複製することができるラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)、ラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)、ラクトバチルス・サリバリウス(Lactobacillus salivarius)、ラクトバチルス・デルブルエクイ(Lactobacillus delbrueckii)及びビフィドバクテリウム・ブレベ(Bifidobacterium breve)の少なくとも2つを含む。
【0053】
特定の実施形態では、本発明の組成物又は剤形に含まれる非病原性細菌株は、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)、ラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)、ラクトバチルス・サリバリウス(Lactobacillus salivarius)、ラクトバチルス・デルブルエクイ(Lactobacillus delbrueckii)及びビフィドバクテリウム・ブレベ(Bifidobacterium breve)のいずれか2つの組み合わせを含み得る。特定の実施形態では、組成物又は剤形に含まれる非病原性細菌株は、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ビフィドバクテリウム・ロンガム亜種インファンティス(Bifidobacterium longum subsp.Infantis)及びビフィドバクテリウム・ブレベ(Bifidobacterium breve)の組み合わせを含み得る。特定の実施形態では、組成物又は剤形に含まれる非病原性細菌株は、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)及びビフィドバクテリウム・ブレベ(Bifidobacterium breve)の組み合わせを含み得る。
【0054】
特定の実施形態では、組成物又は剤形は、神経障害と診断された、又はそれに関連する1つ以上の症状を示す対象のGI管内のデルフチア(Delftia)を含有するバイオフィルムを破壊するための非病原性細菌株を含む。例えば、GI管のバイオフィルムは、デルフチア・アシドボランス(Delftia acidovorans)、デルフチア・ラクストリス(Delftia lacustris)、デルフチア・リトペナエウス(Delftia litopenaei)、デルフチア・デザーティ(Delftia deserti)及びデルフチア・ツルハテンシス(Delftia Tsuruhatensis)からなる群から選択される1つ以上のデルフチア(Delftia)属菌を含み得る。
【0055】
特定の実施形態では、組成物又は剤形は、神経障害と診断された、又はそれに関連する1つ以上の症状を示す対象の腸内のデルフチア(Delftia)のレベルを低下させるための非病原性細菌株を含む。
【0056】
特定の実施形態では、本発明の組成物又は剤形は、約10億~約400億、例えば、約10億~約50億、約10億~約100億、約150億~約400億、約200億~約400億、約100億~約300億、約150億~約300億、約200億~約300億コロニー形成単位の非病原性細菌株を含む。
【0057】
(ii)酵素
本発明の組成物又は剤形は、バイオフィルムを破壊することができる酵素をさらに含む。いくつかの実施形態では、酵素は好ましくは、バイオフィルムのEPSマトリックスを消化するか、そうでなければ破壊/分解する。いくつかの実施形態では、酵素は、神経障害と診断された、又はそれに関連する1つ以上の症状を有する対象における繊維を分解する。
【0058】
酵素は、アミラーゼ、α-ガラクトシダーゼ、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、リゾチーム、ペクチナーゼ、DNase I、セラチア・ペプチダーゼ、セラチオペプチダーゼ、ヘミセルラーゼ/ペクチナーゼ複合体、β-1,3-グルカナーゼ、酸プロテアーゼ、アルカリプロテアーゼ、グルコアミラーゼ、エンドグルカナーゼ、キシラナーゼ、リパーゼ、リゾチーム、プロテアーゼ/ペプチダーゼ複合体、ジペプチジルペプチダーゼIV(DPP-IV)、キトサナーゼ、ブロメライン、パパイン、キウィプロテアーゼアクチニディ、植物由来プロテアーゼ、フィターゼ及びヌクレアーゼからなる群から選択され得る。酵素は、バイオフィルムの種類及びその中に配置される微生物に応じて選択され得る。例えば、アミラーゼ酵素を使用して、バイオフィルムの炭水化物成分を分解又は破壊することができ、DNase Iなどのヌクレアーゼを使用して、バイオフィルム中のDNAを消化又は破壊することができる。
【0059】
特定の実施形態では、組成物又は剤形は、アミラーゼ、α-ガラクトシダーゼ、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、リゾチーム、ペクチナーゼ、DNase I、セラチア・ペプチダーゼ、セラチオペプチダーゼ、ヘミセルラーゼ/ペクチナーゼ複合体、β-1,3-グルカナーゼ、酸プロテアーゼ、アルカリプロテアーゼ、グルコアミラーゼ、エンドグルカナーゼ、キシラナーゼ、リパーゼ、リゾチーム、プロテアーゼ/ペプチダーゼ複合体、ジペプチジルペプチダーゼIV(DPP-IV)、キトサナーゼ、ブロメライン、パパイン、キウィプロテアーゼアクチニディ、植物由来プロテアーゼ、フィターゼ及びヌクレアーゼからなる群から選択される1つ以上(例えば、1、2、3、4、5、又はそれ以上)の異なる酵素を含む。
【0060】
特定の実施形態では、上記の組成物又は剤形は、アミラーゼ及び/又はα-ガラクトシダーゼを含む。特定の実施形態では、上記の組成物又は剤形は、バチルス・ステアロサーモフィルス(Bacillus stearothermophilus)アミラーゼ、バチルス・アミロリケファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)アミラーゼ、バチルス・スブチリス(Bacillus subtilis)アミラーゼ、バチルス・リケニホルミ(Bacillus licheniformi)アミラーゼ、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)アミラーゼ及びアスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)アミラーゼから選択されるアミラーゼを含む。特定の実施形態では、上記の組成物又は剤形は、アミラーゼ及びα-ガラクトシダーゼを含む。
【0061】
特定の実施形態では、組成物又は剤形は、アミラーゼ、例えば約20~約5,000SKB単位のアミラーゼ、100~約5,000SKB単位のアミラーゼ、約200~約4,000SKB単位のアミラーゼ、約300~約2,000SKB単位のアミラーゼ又は約400~約1,000SKB単位のアミラーゼを含む。SKB又はSandstedt、Kneen、及びBlish単位は、1分当たり1μモルの基質を触媒するアミラーゼの量を指す。特定の実施形態では、組成物又は剤形は、セルロースを含み、例えば、単位組成物又は剤形当たり約100~約300CU(セルラーゼ単位)単位、例えば約200CUを含む。
【0062】
特定の実施形態では、組成物又は剤形は、α-ガラクトシダーゼ、例えば、約5~約200ガラクトシダーゼ単位(GalU)、例えば約10~約20GalU、約20~約30GalU、約30~約40GalU、約40~約50GalU、約50~約60GalU、約60~約70GalU、約70~約80GalU、約80~約90GalU、約90~約100GalU、約100~約110GalU、約110~約120GalU、約120~約130GalU、約130~約140GalU、約140~約150GalU、約150~約160GalU、約160~約170GalU、約170~約180GalU、約180~約190GalU、約190~約200GalUのα-ガラクトシダーゼを含む。
【0063】
特定の実施形態では、組成物又は剤形は、α-アミラーゼ、デンプン中の内部α-1,4-グリコシド結合の加水分解を触媒してグルコース及びマルトースのような生成物を生成するエンドヒドロラーゼ、β-アミラーゼ、α-1,4-グルカン結合を加水分解して連続マルトース単位を生成するエキソヒドロラーゼ酵素、及びα-1,6-グリコシド結合を切断し、さらに最後のα-1,4-グリコシド結合を切断してグルコースを生成するγ-アミラーゼ、又はそれらの組み合わせから選択される約20~約5,000SKB単位のアミラーゼ(例えば、100~約5,000SKB単位のアミラーゼ、約200~約4,000SKB単位のアミラーゼ、約300~約2,000SKB単位のアミラーゼ又は約400~約1,000SKB単位のアミラーゼ)を含む。
【0064】
(iii)製造プロセス
特定の実施形態では、本発明の組成物は、以下のプロセスに従って製造することができる:非病原性細菌株(例えば、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)及びビフィドバクテリウム・ブレベ(Bifidobacterium breve))はそれぞれ、小規模培養槽で別々に培養される。各株について、培養試料を使用して、対応する大規模生成培養槽に接種する。培養された細菌株は、濾過及び/又は遠心分離によって回収され、次いで乾燥させることができ、例えば、凍結乾燥又は噴霧乾燥させることができる。次いで、乾燥した生物をコーティングすることができ、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)などのポリマーでスプレーコーティングすることができる。次いで、コーティングされた株、例えばHPMCコーティングされた株を、低温乾燥(例えば、室温)などのさらなる乾燥に供することができる。凍結乾燥細菌株の噴霧コーティングは任意の工程である。次いで、得られた株(例えば、コーティングされた又はコーティングされていない)を、製造される特定の製剤に適した濃度で一緒にブレンドする。有効成分(例えば、細菌株)が適切な濃度であることを確実にするために、製造賦形剤を添加することもできる。製造賦形剤(例えば、糖、多糖、糖アルコール、又はアミノ酸)のは当技術分野で周知である。使用することができる例示的な製造賦形剤は、ロイシン、マルトデキストリン、マンニトール及びそれらの任意の組み合わせである。この配合段階で、所望であれば、製剤に特異的な他の成分(例えば、乾燥アミラーゼ又は乾燥α-ガラクトシダーゼ)を添加することができる。所望であれば、ブレンドされた組成物を次いでカプセル化することができ、次いで、適切に標識された容器に包装することができる。例示的な製造プロセスを図3に示す。
【0065】
(iv)製剤
本明細書に記載の組成物及び剤形を使用して、神経障害と診断された、又はそれに関連する1つ以上の症状を示す対象の体内の様々な領域(例えば、GI管)に存在するバイオフィルムを破壊することができる。組成物又は剤形は、様々な送達システム、例えば経口送達システムで使用するために製剤化され得る。
【0066】
特定の実施形態では、組成物又は剤形は、単離された非病原性細菌株の約1000万~約500億コロニー形成単位(CFU)を含む粉末、例えばコーティング粉末を含む。特定の実施形態では、本発明の組成物又は剤形は、約1000万~約400億、約1000万~約300億、約1000万~約200億、約1000万~約100億、約1000万~約50億、約1000万~約10億、約1000万~約5億、約1000万~約1億、約1000万~約5000万CFUの非病原性細菌株を含む。特定の実施形態では、本発明の組成物又は剤形は、約2000万~500億、約5000万~500億、約1億~約500億、約2億~約500億、約5億~約500億、約10億~約500億、約50億~約500億、約100億~約500億、約200億~約500億、約300億~約500億、又は約400億~約500億CFUの非病原性細菌株を含む。特定の実施形態では、組成物又は剤形は、酵素(例えば、アミラーゼ、α-ガラクトシダーゼ、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、リゾチーム、ペクチナーゼ、DNase I、セラチア・ペプチダーゼ、セラチオペプチダーゼ、ヘミセルラーゼ/ペクチナーゼ複合体、β-1,3-グルカナーゼ、酸プロテアーゼ、アルカリプロテアーゼ、グルコアミラーゼ、エンドグルカナーゼ、キシラナーゼ、リパーゼ、リゾチーム、プロテアーゼ/ペプチダーゼ複合体、ジペプチジルペプチダーゼIV(DPP-IV)、キトサナーゼ、ブロメライン、パパイン、キウィプロテアーゼアクチニディ、植物由来プロテアーゼ、フィターゼ及びヌクレアーゼ)をさらに含み得る。
【0067】
特定の実施形態では、組成物又は剤形は、約500億、約400億、約300億、約200億、約100億、約10億、約5億、約1億、約5000万、又は約1000万CFUの非病原性細菌株を含む。特定の実施形態では、一カプセルは、約300億コロニー形成単位の非病原性細菌株及び酵素を含む。
【0068】
(v)経口剤形
特定の実施形態では、組成物又は剤形は、対象によって経口摂取され得る。特定の実施形態では、組成物は、粉末又は粉末を含有する製品として摂取される。他の実施形態では、組成物は、経口剤形であり得、例えば、組成物が、例えばカプセル、カシェ剤、丸剤、錠剤、ロゼンジ剤、粉末、顆粒内に、又は水性もしくは非水性液体中の溶液もしくは懸濁液として、又は水中油型もしくは油中水型液体エマルジョンとして、又はエリキシル剤もしくはシロップとして、又はトローチ剤として含まれ、それぞれが非病原性細菌及び非病原性真菌の必要な数のコロニー形成単位を含み、任意に適切な量の酵素を含む。
【0069】
特定の実施形態では、組成物は、カプセル又は錠剤に配置される。特定の実施形態では、組成物は錠剤として製剤化される。特定の実施形態では、カプセルは植物セルロースカプセルである。特定の実施形態では、剤形、例えばカプセル又は錠剤は、コーティング、例えば非機能性審美的コーティング又は機能性コーティング、例えば制御放出コーティングでコーティングされる。カプセル又は錠剤は、その中に配置された成分の徐放又は制御放出を提供するように製剤化され得る。
【0070】
特定の実施形態では、剤形は、(i)バイオフィルムを破壊することができる酵素と、(ii)粉末として製剤化され、カプセルに封入された少なくとも2つの非病原性細菌株と、を含む組成物を含む。
【0071】
特定の実施形態では、組成物又は剤形は、炭酸カルシウム、キシリトール、セチルアルコール、クエン酸、天然香料、モンク果実などの添加剤を含む。特定の実施形態では、組成物は、カスカラサグラダ樹皮、サイリウムハスク、センナ葉、フラックスシード、アロエベラ葉、カンゾウ根、中鎖トリグリセリド(MCT)油などの添加剤を含む。特定の実施形態では、組成物又は剤形は、食物繊維、例えばイヌリン(フラクトオリゴ糖FOS)及びリンゴのペクチンなどの添加剤を含む。特定の実施形態では、組成物又は剤形は、スピルリナ、オオムギ、アルファルファの葉、コムギの草、クロレラ、ダルス、ホウレンソウの葉、ブロッコリー、パセリの葉、ケールの葉、エキナセア・アングスティフォリアの根、カンゾウの根、オオアザミの種子、シベリアンエレウテロルート、ビートの根、バラの実、アサイー(果実)、緑茶の葉、ラズベリーの葉、ブルーベリー(果実)、ゴジベリー、ビルベリー(果実)、アシュワガンダの根、ロジオラの根、レイシの木、マカロンの根、ハチの花粉、ネトルの葉、インコの葉(葉抽出物)、ローヤルゼリー(3倍濃縮物)、ブドウの種子のブレンドなどの添加剤を含む。特定の実施形態では、組成物は、ビタミンCなどのビタミンをさらに含む。
【0072】
(vi)コーティング
送達様式又は処置される領域に応じて、本発明の組成物又は剤形は、非機能性コーティング(例えば、審美的コーティング)又は機能性コーティング(例えば、生物の放出を調節するための制御放出コーティング、例えば、時間及び/又はpH依存的な様式で)で粉末をコーティングすることができる生物の粉末化ブレンドとして調製され得る。同様に、組成物又は剤形は、生物の粉末化ブレンドを含有するカプセルであってもよく、カプセルは非機能性(例えば、審美的コーティング)又は機能性コーティング(例えば、生物の放出を調節するための制御放出コーティング、例えば、時間及び/又はpH依存的に)でコーティングされている。特定の実施形態では、制御放出コーティングは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)である。
【0073】
制御放出コーティングは、本明細書に開示される組成物又は剤形中の微生物の連続放出、徐放、長期放出、及び/又はプログラム化された放出(例えば、pH依存性放出)を促進することができる。
【0074】
例示的な制御放出コーティングは、アセタートスクシナート、ポリビニル誘導体(例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタート、ポリビニルアセタートフタラート、ビニルアセタートとビニルピロリドンとのコポリマー、ビニルアセタートとクロトン酸とのコポリマー、ポリビニルピロリドン)、ポリエチレンオキシド、ポリアクリル酸、多糖類(例えば、修飾デンプン、架橋高アミロースデンプン、ヒドロキシプロピルデンプン、セルロース及びセルロース誘導体(例えば、微結晶セルロース、カルボキシメチルエチルセルロース、セルロースアセタート、メチルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、セルロースフタラート、セルロースアセタート、セルロースアセタートフタラート、セルロースアセタートプロピオナート、セルロースアセタートスクシナート、セルロースアセタートブチラート、セルロースアセタートトリメリタート、エチルヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース又はメチルカルボキシメチルセルロース)、ポロキサマー、ポビドン、アルギン酸、ナトリウムアルギナート、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールアルギナート、ガム(例えば、キサンタンガム)、ポリメタクリラート(例えば、メタクリル酸とメタクリルメタクリラートとの共重合体、メタクリル酸とエチルアクリラートとの共重合体を含む)、メタクリル酸とエチルアクリラートとのコポリマー、ポリメチルビニルエーテルとマロン酸無水物とのコポリマー、ポリメチルビニルエーテルとマロン酸とのコポリマー、又はそれらのエチル-、イソプロピル-、n-ブチルエステル、ゼイン、及び前述の混合物からなる群から選択することができる。
【0075】
制御放出フィルムコーティングポリマーのさらなる例としては、エチルセルロース(例えば、AQUACOAT(商標)、SURELEASE(商標))、メチルヒドロキシプロピルセルロース(例えば、PHARMACOAT(商標))、アクリルポリマー、ポリビニルアセタート、ポリ塩化ビニル、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセタートスクシナート(例えば、AQOAT)及びポリビニルアセタートフタラート(例えば、SURETERIC)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0076】
特定の実施形態では、コーティングは腸溶コーティングであり得る。腸溶コーティングを使用して、活性成分が放出及び吸収される、GI管に沿った領域を制御するバリアを作成することができる。腸溶コーティングは、例えば、pHに応じて異なる速度で崩壊するポリマーを含み得る。腸溶コーティングとしては、例えば、セルロースアセタートフタラート、セルロースアセタートトリメリタート、メチルアクリラート-メタクリル酸コポリマー、セルロースアセタートスクシナート、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタラート、メチルメタクリラート-メタクリル酸コポリマー、エチルアクリラート-メタクリル酸コポリマー、メタクリル酸コポリマーC型、ポリビニルアセタートフタラート、セルロースアセタートフタラート、ポリビニルアセタートフタラート、カルボキシメチルエチルセルロース、コポリマー化メタクリル酸/メタクリル酸メチルエステル、例えば、商品名EUDRAGIT(商標)L12.5、L100、又はEUDRAGIT(商標)S12.5、S100として公知の材料、又は腸溶コーティングを得るために使用される同様の化合物が挙げられ得る。水性コロイド状ポリマー分散液又は再分散液は、例えば、EUDRAGIT(商標)L30D-55、EUDRAGIT(商標)L100-55、EUDRAGIT(商標)S100、EUDRAGIT(商標)調製4110D(ローム・ファーマ(Rohm Pharma))、AQUATERIC(商標)、AQUACOAT(商標)CPD30(FMC)、KOLLICOATMAE(商標)30D及び30DP(BASF)、EASTACRYL(商標)30D(イーストマンケミカル(Eastman Chemical))も適用することができる。
【0077】
特定の実施形態では、腸溶コーティングは、メタクリル酸、メタクリル/アクリル酸エステル又はそれらの誘導体に基づくアニオン性、カチオン性又は中性コポリマーを含む。カチオン性ポリマーは、しばしば、それぞれ口腔(pH 5.8~7.4)における低い溶解度及び胃(pH 1~3.5)における高い溶解度によって、矯味及び有効成分の高いバイオアベイラビリティを達成するために使用される。アニオン性ポリマーは、酸性pHよりも塩基性pHで高い水溶性を有し、胃における酸分解及び/又は腸における酵素消化から活性成分を保護するために使用される。
【0078】
特定の実施形態では、腸溶コーティングは、エチルアクリラート-メタクリル酸コポリマーを含む。市販の腸溶コーティングとしては、Opadry(商標)AMB、エチルアクリラート-メタクリル酸コポリマー(例えば、ACRYL-EZE(商標))、ジメチルアミノエチルメタクリラート-ブチルメタクリラート-メチルメタクリラートコポリマー(2:1:1)、又はポリ(メタクリル酸-コ-メチル-メタクリラート)コポリマー、及びポリ(メタクリル酸-コ-メチル-メタクリラート)コポリマー(例えば、EUDRAGIT(商標))が挙げられる。特定の実施形態では、腸溶コーティングは、重量で、剤形(例えば、カプセル、錠剤又はペレット)の約0.1%~約10%、約1%~約10%、約5%~約10%、約5%~約20%、約8%~約15%、約8%~約18%、約10%~約12%、又は約12%~約16%を構成し得る。
【0079】
特定の実施形態では、本発明の組成物又は剤形は、腸溶コーティングされていてもよい2つ以上の単離された生存可能な非病原性細菌株の粉末混合物として、又は上部腸への送達のための、カプセルが腸溶コーティングされている、粉末混合物を含有するカプセルとして調製される。特定の実施形態では、本発明の細菌株及び真菌株をブレンド中で混合して粉末組成物を調製し、次いでこれをカチオン性コポリマーで腸溶コーティングする。例えば、本発明の非病原性細菌株と非病原性真菌株との粉末混合物は、ジメチルアミノエチルメタクリラート、ブチルメタクリラート、及びメチルメタクリラートを2:1:1の比で含むカチオン性ポリマー(EUDRAGIT(商標)E100)ジメチルアミノエチルメタクリラート、ブチルメタクリラート及びメチルメタクリラートに基づくカチオン性コポリマーを2:1:1の比でベースとする(EUDRAGIT(商標)EPO)、ジメチルアミノエチルメタクリラート、ブチルメタクリラート及びメチルメタクリラートを2:1:1の比でベースとするカチオン性コポリマー(EUDRAGIT(商標)E12,5)、メタクリル酸及びエチルアクリラートをベースとするアニオン性コポリマー(EUDRAGIT(商標)L100-55(ACRYL-EZE(商標)))、又はそれらの同等物でコーティングされてもよい。
【0080】
特定の実施形態では、本発明の細菌株をブレンド中で混合して粉末組成物を調製し、次いでこれをアニオン性コポリマーで腸溶コーティングする。例えば、本発明の細菌株の粉末ブレンドは、メタクリル酸及びメチルメタクリラートを含むアニオン性コポリマー(例えば、EUDRAGIT(商標)L100、EUDRAGIT(商標)S100、EUDRAGIT(商標)L/S(25/75、50/50、又は75/25の比率))、又はメタクリル酸及びエチルアクリラートを含むアニオン性コポリマー(EUDRAGIT(商標)L100-55(ACRYL-EZE(商標)))でコーティングされてもよい。結腸内送達のためのコーティングのさらなる非限定的な例としては、EUDRAGIT(商標)L100-55、EUDRAGIT(商標)L30D-55、PlasACRYL(商標)HTP20、EUDRAGIT(商標)L12,5、EUDRAGIT(商標)FS100、EUDRAGIT(商標)FS30D及びPlasACRYL(商標)T20が挙げられる。
【0081】
特定の実施形態では、本発明の細菌株をブレンド中で混合して、腸溶コーティングされた顆粒又はペレットを調製する。
【0082】
特定の実施形態では、本発明の細菌株の粉末ブレンドは、胃腸症状を緩和するためにGI管全体にわたって時間制御送達のために腸溶コーティングされてもよい。例えば、組成物又は剤形は、EUDRAGIT(商標)RL100、EUDRAGIT(商標)RL PO、EUDRAGIT(商標)RL30D、EUDRAGIT(商標)RL12,5、EUDRAGIT(商標)RS100、EUDRAGIT(商標)RS PO、EUDRAGIT(商標)RS30D、EUDRAGIT(商標)RS12,5、EUDRAGIT(商標)NE30D、EUDRAGIT(商標)NE40D、及び/又はEUDRAGIT(商標)NM30Dでコーティングすることができる。
【0083】
経口剤形を製造する例示的な方法は、剤形中で組み合わせる適切な非病原性細菌株を選択することと、増殖条件に応じて個別に又は組み合わせて培養槽中で生物を増殖させることと、を含む。適切な量のバイオマスが生成されると、細胞は濾過及び/又は遠心分離によって収集することができる。1つ以上の生物を個別に増殖させる場合、次いで、生物を適切な量で組み合わせて適切な組成物又は剤形を得ることができ、次いで、例えば凍結乾燥又は噴霧乾燥によって乾燥させることができる。或いは、生物は、収集されると、例えば、凍結乾燥又は噴霧乾燥によって乾燥させることができ、次いで、各生物の適切な乾燥バイオマスを適切な量で組み合わせて、適切な組成物又は剤形を得ることができる。特定の実施形態では、製造賦形剤(例えば、ロイシン、マルトデキストリン、マンニトール)を添加して、適切な濃度を得ることができる。特定の実施形態では、乾燥バイオマスは粉末形態で調製され、機能性コーティング、例えば制御放出コーティング(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)でコーティングされる。特定の実施形態では、乾燥バイオマスは、機能性コーティングなしの粉末形態で調製される。酵素は、例えばバイオマスが乾燥される前又は後に、前述の各工程の1つ以上の間にバイオマスに添加することができる。特定の実施形態では、酵素は、例えば、コーティングが望まれる場合、粉末化バイオマスをコーティングする前又は後に、粉末として調製されたバイオマスに添加することができる。次いで、得られたバイオマス(例えば、被覆粉末)をカプセルに包装し、容器に包装することができる。
【0084】
III.プロバイオティック供給食品又は栄養組成物
さらに、本発明は、食餌組成物中でと組み合わせる(例えば、組み合わせて、又は注入されて)ことができるプロバイオティック組成物を提供する。例示的な食餌組成物には、シリアルベースの製品、ライスケーキ、大豆ケーキ、フードバー製品、冷間成形フードバー製品、カスタード、ヨーグルト、シェイク、プロテインシェイク、プリン、ゼラチン、ライスミルク、豆乳、マッシュフルーツ製品、キャンディ、キャンディバー及びアップルソースが含まれ得るが、これらに限定されない。
【0085】
特定の実施形態では、食餌プロバイオティック組成物(例えば、プロバイオティック補助食品又は栄養組成物)は、(i)2つ以上(例えば、2、3、4、5、6以上)の非病原性細菌株と(ii)少なくとも1つの酵素と、を組み合わせた、又はこれらを注入した食品又は栄養組成物(例えば、栄養補助食品)を含む。
【0086】
特定の実施形態では、プロバイオティック注入組成物に含まれる非病原性細菌株は、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)、ラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)、ラクトバチルス・サリバリウス(Lactobacillus salivarius)、ラクトバチルス・デルブルエクイ(Lactobacillus delbrueckii)及びビフィドバクテリウム・ブレベ(Bifidobacterium breve)を含み得る。
【0087】
特定の実施形態では、食餌プロバイオティック組成物に含まれる酵素は、アミラーゼ、α-ガラクトシダーゼ、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、リゾチーム、ペクチナーゼ、DNase I、セラチア・ペプチダーゼ又はセラチオペプチダーゼ、ヘミセルラーゼ/ペクチナーゼ複合体、β-1,3-グルカナーゼ、酸プロテアーゼ、アルカリプロテアーゼ、グルコアミラーゼ、エンドグルカナーゼ、キシラナーゼ、リパーゼ、リゾチーム、プロテアーゼ/ペプチダーゼ複合体、ジペプチジルペプチダーゼIV(DPP-IV)、キトサナーゼ、ブロメライン、パパイン、キウィプロテアーゼアクチニディ、植物由来プロテアーゼ及びフィターゼを含み得る。
【0088】
特定の実施形態では、食餌プロバイオティック組成物は、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ビフィドバクテリウム・ロンガム亜種インファンティス(Bifidobacterium longum subsp.Infantis)及びビフィドバクテリウム・ブレベ(Bifidobacterium breve)を含むプロバイオティック組成物を含む。特定の実施形態では、食餌プロバイオティック組成物は、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ビフィドバクテリウム・ロンガム亜種インファンティス(Bifidobacterium longum subsp.Infantis)及びビフィドバクテリウム・ブレベ(Bifidobacterium breve)並びにアミラーゼを含むプロバイオティック組成物を含む。特定の実施形態では、食餌プロバイオティック組成物は、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ビフィドバクテリウム・ロンガム亜種インファンティス(Bifidobacterium longum subsp.Infantis)及びビフィドバクテリウム・ブレベ(Bifidobacterium breve)並びにα-ガラクトシダーゼを含むプロバイオティック組成物を含む。特定の実施形態では、食餌プロバイオティック組成物は、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ビフィドバクテリウム・ロンガム亜種インファンティス(Bifidobacterium longum subsp.Infantis)及びビフィドバクテリウム・ブレベ(Bifidobacterium breve)並びにアミラーゼ及びα-ガラクトシダーゼを含むプロバイオティック組成物を含む。
【0089】
IV.飲料製品
本発明はまた、本明細書に記載の本発明のプロバイオティック組成物のいずれかを含有する飲料製品を提供する。例示的な飲料製品には、限定するものではないが、ジュース、プロテインシェイク、プロテインスムージー、栄養飲料、及びスポーツ飲料が含まれ得る。
【0090】
特定の実施形態では、飲料製品は、2つ以上(例えば、2、3、4、5以上)の非病原性細菌株を含むプロバイオティック組成物を含む。特定の実施形態では、飲料製品は、(i)2つ以上(例えば、2、3、4、5以上)の非病原性細菌株を含むプロバイオティック組成物及び(ii)酵素を含む。
【0091】
特定の実施形態では、飲料製品に含まれるプロバイオティック組成物に含まれる非病原性細菌株は、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)、ラクトバチルス・パラカセ(Lactobacillus paracasei)、ラクトバチルス・サリバリウス(Lactobacillus salivarius)、ラクトバチルス・デルブルエクイ(Lactobacillus delbrueckii)及びビフィドバクテリウム・ブレベ(Bifidobacterium breve)を含み得る。
【0092】
特定の実施形態では、飲料製品に含まれるプロバイオティック組成物に含まれる酵素は、アミラーゼ、α-ガラクトシダーゼ、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、リゾチーム、ペクチナーゼ、DNase I、セラチア・ペプチダーゼ又はセラチオペプチダーゼ、ヘミセルラーゼ/ペクチナーゼ複合体、β-1,3-グルカナーゼ、酸プロテアーゼ、アルカリプロテアーゼ、グルコアミラーゼ、エンドグルカナーゼ、キシラナーゼ、リパーゼ、リゾチーム、プロテアーゼ/ペプチダーゼ複合体、ジペプチジルペプチダーゼIV(DPP-IV)、キトサナーゼ、ブロメライン、パパイン、キウィプロテアーゼアクチニディ、植物由来プロテアーゼ及びフィターゼを含み得る。そのような酵素は、バイオフィルムを破壊するのに特に有用であり、酵素を含む飲料製品は、病原性細菌及び/又は真菌のバイオフィルムを有する対象による摂取に適している。
【0093】
特定の実施形態では、飲料製品は、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ビフィドバクテリウム・ロンガム亜種インファンティス(Bifidobacterium longum subsp.Infantis)及びビフィドバクテリウム・ブレベ(Bifidobacterium breve)を含むプロバイオティック組成物を含む。特定の実施形態では、飲料製品は、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ビフィドバクテリウム・ロンガム亜種インファンティス(Bifidobacterium longum subsp.Infantis)及びビフィドバクテリウム・ブレベ(Bifidobacterium breve)並びにアミラーゼを含むプロバイオティック組成物を含む。特定の実施形態では、飲料製品は、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ビフィドバクテリウム・ロンガム亜種インファンティス(Bifidobacterium longum subsp.Infantis)及びビフィドバクテリウム・ブレベ(Bifidobacterium breve)並びにα-ガラクトシダーゼを含むプロバイオティック組成物を含む。特定の実施形態では、飲料製品は、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ビフィドバクテリウム・ロンガム亜種インファンティス(Bifidobacterium longum subsp.Infantis)及びビフィドバクテリウム・ブレベ(Bifidobacterium breve)並びにアミラーゼ及びα-ガラクトシダーゼを含むプロバイオティック組成物を含む。
【0094】
V.用量
送達又は摂取される用量のサイズは、とりわけ、対象のサイズ及び年齢、治療される適応症又は状態、並びに組成物又は剤形の送達様式に依存する。特定の実施形態では、例えば、経口組成物又は剤形は、約1mg~約2,500mg又は50mg~約2,500mgの活性成分(例えば、非病原性細菌及び/又は酵素)を含み得る。特定の実施形態では、組成物又は剤形は、約1mg~約2400mg、約1mg~約2000mg、約1mg~約1800mg、約1mg~約1500mg、約1mg~約1000mg、約1mg~約500mg、約1mg~約400mg、約1mg~約300mg、約1mg~約200mg、約1mg~約100mg、約1mg~約500mg、約10mg~約2500mg、約20mg~約2500mg、約30mg~約2500mg、約40mg~約2500mg、約50mg~約2500mg、約100mg~約2500mg、約200mg~約2500mg、約300mg~約2500mg、約400mg~約2500mg、約500mg~約2500mg、約600mg~約2500mg、約700mg~約2500mg、約800mg~約2500mg、又は約900mg~約2500mg、約1000mg~約2500mg、約1200mg~約2500mg、約1500mg~約2500mg、約2000mg~約2500mg、約2200mg~約2500mg、約2400mg~約2500mgの有効成分(例えば、非病原性細菌及び/又は酵素)を含み得る。
【0095】
特定の実施形態では、組成物又は剤形は、約100mg~約200mg、約200mg~約300mg、約300mg~約400mg、約400mg~約500mg、約500mg~約600mg、約600mg~約700mg、約700mg~約800mg、約800~約900mg、又は約900~約1000mg、又は約1000~約1100mg、又は約1100~約1200mg、又は約1200~約1300mg、又は約1300~約1400mg、又は約1400~約1500mg、又は約1500~約1600mg、又は約1600~約1700mg、又は約1700~約1800mg、又は約1800~約1900mg、又は約1900~約2000mg、又は約2000~約2100mg、又は約2100~約2200mg、又は約2200~約2300mg、又は約2300~約2400mg、約2400~約2500mgの活性成分を含み得る。特定の実施形態では、組成物又は剤形は、約700mgの活性成分を含み得る。
【0096】
特定の実施形態では、組成物又は剤形は、約500億、400億、300億又は200億コロニー形成単位の非病原性細菌株を含む。特定の実施形態では、組成物又は剤形は、約300億コロニー形成単位の非病原性細菌株を含む。
【0097】
特定の実施形態では、本発明の組成物又は剤形は、約100億~約400億、例えば、約150億~約400億、約200億~約400億、約100億~約300億、約150億~約300億、約200億~約300億コロニー形成単位の非病原性細菌株を含む。
【0098】
組成物又は剤形(一又は複数(例えば、2、3、4又は5単位、例えば、カプセル又は錠剤)単位のいずれか)は、治療期間中、例えば、対象のバイオフィルムが破壊され、形成が妨げられ、対象のGI症状が改善され、及び/又は対象の正常な微生物叢が回復するまで、例えば、1週間、2週間、1カ月、2カ月、又は3カ月及び1年間を要し得るまで、1日に1回、2回又は3回投与され得る。特定の実施形態では、約300億コロニー形成単位の非病原性細菌株及び酵素を含む1つの腸溶性コーティングカプセルなどの1つのカプセルは、治療期間中、例えば、対象のバイオフィルムが破壊され、及び/又は対象の正常な微生物叢が回復するまで、例えば、1週間、2週間、1カ月、2カ月、又は3カ月及び1年間を要し得るまで、1日に1回、2回又は3回投与され得る。
【0099】
VI.神経障害
本開示の組成物又は剤形を使用して、神経障害と診断された又は、それに関連する1つ以上の症状を有する対象における胃腸症状を緩和することができる。
【0100】
アルツハイマー病
腸内微生物叢は、我々の胃腸生態系に存在し、その変化が様々な腸障害だけでなくアルツハイマー病(AD)などの中枢神経系障害にも影響を及ぼす微生物種の複雑なコミュニティを含む。認知症の最も一般的な形態であるADは、アミロイド-βペプチド(Aβ)の認知障害及び脳蓄積に関連する神経変性障害である。最も注目すべきことに、微生物叢-腸-脳軸は、完全には理解されていないが、神経経路、免疫経路、内分泌経路及び代謝経路を含む双方向コミュニケーション系である。無菌動物及び病原性微生物感染症、抗生物質、プロバイオティック、又は糞便微生物叢移植に曝露された動物における研究は、宿主認知又はAD関連病因における腸微生物叢の役割を示唆している。微生物叢ディスバイオシスによって誘導される腸及び血液脳関門の透過性の増加は、ADの病因を媒介又は影響し得る(See Jiang C,Li G,Huang P,Liu Z,Zhao B.The Gut Microbiota and Alzheimer’s Disease.J Alzheimers Dis.2017;58(1):1-15.を参照のこと)。特定の実施形態では、本開示の組成物又は剤形は、アルツハイマー病と診断された対象における1つ以上の胃腸症状を緩和する。特定の実施形態では、胃腸症状は、腹痛、下痢、不規則な排便、膨満、便秘及び炎症を含む。
【0101】
自閉症スペクトラム障害(ASD)
自閉症スペクトラム障害(ASD)は、社会的交流及びコミュニケーション不足を特徴とする一連の心理状態である。症状には、小児期の早期に、通常は3歳前に現れ、しばしば認知機能の異常を伴う反復的行動も含まれる(CDC,MMWR,58(SS10:1-20(2009))and American Psychiatric Association,Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders(4th ed),Washington,D.C.(1994).)。米国における自閉症の有病率は、出生110人におよそ1人(少年70人に1人)である(CDC,MMWR,58(SS10:1-20(2009).)。ASDは、行動的に定義された一連の条件を包含する。ASDの形態は、自閉症障害、アスペルガー症候群、ヘラー症候群、レット症候群、及び不特定形態の広汎性発達障害を含む。アスペルガー症候群は、徴候及び原因において自閉症に最も近い。レット症候群及び小児崩壊性疾患は、自閉症と同様の症状を有するが、それらの病因は無関係であり得る(Volkmar,et al.,J.Child Psychol.Psychiatry,50:108-15(2009))。
【0102】
アスペルガー症候群は、行動及び興味の制限された反復的パターンと共に、社会的交流における著しい困難を特徴とする自閉症スペクトラム障害である。それは、言語及び認知発達のその相対的な保存によって他の自閉症スペクトラム障害とは異なる。
【0103】
ヘラー症候群又は小児崩壊性障害は、言語、社会的機能及び運動技能の発達遅延の遅発性(3歳超)を特徴とするまれな状態である。CDDは自閉症とある程度類似しており、その機能が低い形態であると考えられることもあるが、技能の退行又は技能の一連の退行の前に、かなり正常な発達の明らかな期間が認められることが多い。
【0104】
レット症候群は、ほぼ排他的に女性に影響を及ぼす脳の灰白質の遺伝的神経発達障害である。それは、自閉症の多くの特徴を共有する。臨床的特徴には、小さな手足及び頭部成長速度の減速(一部では小頭症を含む)が含まれる。手を絞ったり、及び/又は手を口の中に繰り返し入れるなどの反復的な手の動きにも注意する。胃腸障害はレット症候群の患者において非常に一般的である。
【0105】
「特定されない広汎性発達障害」(PDD-NOS)としても知られる不特定の形態の広汎性発達障害は、患者が自閉症スペクトラム上の障害のいくつかの特徴を有するが、その上の他の自閉症障害のいずれかの診断基準に適合しない広汎性発達障害(PDD)/自閉症スペクトラム障害(ASD)である。PDD-NOSは古典的自閉症と類似性を共有しているが、より軽度である傾向がある。これらの患者は、社会化が困難であり、反復的な行動を示し、特定の刺激に対して過敏である。他者との相互作用において、彼らは、アイコンタクトを維持するのに苦労するか、感情的でないように見えるか、又は話すことができないように見えるかもしれない。それらはまた、ある活動から別の活動への移行が困難であり得る。
【0106】
注意欠陥障害(ADD)
注意欠陥多動性障害(ADHD)は、社会的、学術的、又は職業的機能の質を妨げる不適切なレベルの不注意及び/又は多動性衝動の慢性状態である。ADHDは、小児期の最も一般的な神経精神障害の1つであり、症例の大部分は成人期を通して持続する。18~44歳の年齢群におけるADHDの推定有病率は、世界中で3.4%である。いくつかの研究では、ADHDを有する小児における腹部膨張、腹痛、過体重及び食物アレルギーの割合がより高いことが示されている(See Kaplan BJ,et al.,J Dev Behav Pediatr.1987;8:305-310,Hubel et al.,Eat Weight Disord.,2006;11:139-146,Waring ME et al.,Pediatrics.2008;122:e1-e6,Jameson ND et al.,J Child Neurol.2016;31:1282-1289を参照のこと)。
【0107】
読字障害
読字障害は、おそらくは遺伝的根拠を有する神経発達障害であり、一般に、罹患するのは少年の方が少女よりも多いことが合意されている(しかし、言及されたサンプルでは性別比がより高い)。読字障害の中心的な特徴は、単語の復号化に関する問題であり、これは、スペリング性能及びリーディング流暢性の発展に影響を及ぼす。読字障害は寿命にわたって持続し、成人の転帰は様々である;読字障害の若年者の中には大学教育に進む者もいるが、最小限の資格で退学する者もいる。読字障害のほとんどの成人は、読書の遅さ、スペルの問題、及び書かれた表現の困難を訴える。さらに、作業記憶、注意、及び組織の問題が頻繁に報告されている(See Snowling MJ.,J Res Spec Educ Needs,2013;13(1):7-14を参照のこと)。
【0108】
パーキンソン病
パーキンソン病は、線条体ドーパミン欠乏、及びα-シヌクレインの凝集物を含む細胞内封入体を引き起こす黒質のニューロン喪失に関連する神経変性障害である。パーキンソン病は、全体的な障害につながる胃腸症状を含む多くの非運動症状に関連している。
【0109】
VII.胃腸症状を緩和する方法
本開示は、神経障害と診断された、又はそれに関連する1つ以上の症状を有する対象における胃腸症状を緩和する方法であって、本明細書に開示される組成物の対象による摂取又は対象への投与を含み、それにより対象の1つ以上の胃腸症状を改善する方法を提供する。
【0110】
方法は、本明細書に記載の組成物又は剤形の1つ又は複数の単位(例えば、カプセル、粉末、錠剤又は食餌組成物)を対象に投与し、それによって胃腸症状を緩和することを含む。特定の実施形態では、対象は、哺乳動物(例えば、ヒト、コンパニオンアニマル(例えば、イヌ、ネコ又はウサギ)、又は家畜動物(例えば、ウシ、ヒツジ、ブタ、ヤギ、ウマ、ロバ、及びラバ、バッファロ、雄ウシ、又はラクダ))であり得る。
【0111】
特定の実施形態では、神経障害と診断された、又はそれに関連する1つ以上の症状を示す対象への組成物又は剤形の投与は、前記対象の1つ以上の胃腸症状を緩和する。胃腸症状としては、悪心、腹痛、膨満感、便秘、下痢、不規則性、炎症、機能性腸障害、過敏性腸症候群、クローン病、潰瘍、胸やけ、不規則な排便、胃ノイローゼ、憩室症、肝硬変、セリアック病、急性胃炎、消化不良、胃痛、胃がん、胃回転性めまい、腸炎、消化性潰瘍、モルコレラ、コレラ感染、胃腸炎、鼓腸、炎症性腸疾患、酸逆流性疾患及び潰瘍性大腸炎が挙げられ得る。
【0112】
特定の実施形態では、神経障害と診断された、又はそれに関連する1つ以上の症状を示す対象における胃腸症状の緩和は、2つ以上(例えば、2、3、4、5以上)の非病原性細菌株を含むプロバイオティック組成物を対象によって摂取すること、又は対象に投与することを含む。特定の実施形態では、方法は、(i)2つ以上(例えば、2、3、4、5以上)の非病原性細菌株及び(ii)酵素を含むプロバイオティック組成物を対象によって摂取すること、又は対象に投与することを含む。特定の実施形態では、方法は、(i)2つ以上(例えば、2、3、4、5以上)の非病原性細菌株及び(ii)2つの酵素を含むプロバイオティック組成物を対象によって摂取すること、又は対象に投与することを含む。
【0113】
特定の実施形態では、組成物は、(i)1つ以上(例えば、1、2、3、4、5以上)の酵素及び(ii)2つ以上(例えば、2、3、4、5以上)の非病原性細菌株を含む。特定の実施形態では、酵素は、病原性細菌及び/又は病原性真菌を含むバイオフィルムを破壊することができる。特定の実施形態では、酵素は、対象における繊維を分解する。特定の実施形態では、非病原性細菌株は、病原性細菌及び/又は病原性真菌を含むバイオフィルムを破壊することができる。特定の実施形態では、非病原性細菌株は、対象における繊維を分解する。
【0114】
VIII.腸生理機能を改善する方法
本開示は、神経障害と診断された、又はそれに関連する1つ以上の症状を有する対象における腸生理機能を改善する方法であって、本明細書に開示される組成物の対象による摂取又は対象への投与を含み、それにより対象における腸生理機能を改善する方法を提供する。
【0115】
状況に応じて、組成物又は剤形における非病原性細菌株は、(i)バイオフィルム中の病原性細菌を置換することができ、(ii)バイオフィルムの基質への病原性細菌/真菌の付着を妨害することができ、(iii)バイオフィルム中に存在する細胞外ポリマーマトリックスから病原性細菌/真菌を置換することができ、(iv)バイオフィルム中の病原性真菌のフィラメント化を防止することができ、(v)前述のいずれかの組み合わせであり、(vi)病原性細菌及び真菌の病原性因子(例えば、発芽、付着など)を阻害することができる。
【0116】
特定の状況下では、対象への組成物又は剤形の投与は、有害な消化プラークを引き起こすことなく、対象の腸内微生物叢(対象のマイコビオーム及び/又はバクテリオームを含む)の全体のバランスを維持し、それによって対象の最適な消化器の健康を支援する。
【0117】
特定の実施形態では、神経障害と診断された、又はそれに関連する1つ以上の症状を示す対象における腸生理機能の改善は、2つ以上(例えば、3、4、5以上)の非病原性細菌株を含むプロバイオティック組成物を対象によって摂取すること、又は対象に投与することを含む。特定の実施形態では、方法は、(i)2つ以上(例えば、3、4、5以上)の非病原性細菌株及び(ii)酵素を含むプロバイオティック組成物を対象によって摂取すること、又は対象に投与することを含む。特定の実施形態では、方法は、(i)2つ以上(例えば、3、4、5以上)の非病原性細菌株及び(ii)2つの酵素を含むプロバイオティック組成物を対象によって摂取すること、又は対象に投与することを含む。
【0118】
IX.病原性細菌のレベルを低下させる方法
本開示は、神経障害と診断された、又はそれに関連する1つ以上の症状を有する対象の腸におけるデルフチア(Delftia)の量を低下させる方法であって、本明細書に開示される組成物の対象による摂取又は対象への投与を含み、それにより対象におけるデルフチア(Deltia)の量を低下させる方法を提供する。
【0119】
特定の実施形態では、本明細書に記載の組成物又は剤形を使用して、対象のGI管内のデルフチア・アシドボランス(Delftia acidovorans)デルフチア・ラクストリス(Delftia lacustris)、デルフチア・リトペナエウス(Delftia litopenaei)、デルフチア・デザーティ(Delftia deserti)及びデルフチア・ツルハテンシス(Delftia Tsuruhatensis)を含むがこれらに限定されないデルフチア(Delftia)細菌種の1つ以上のレベルを低下させることができる。神経障害と診断された、又はそれに関連する1つ以上の症状を示す対象は、健康な対象と比較して豊富なデルフチア(Delftia)を有する。対象のGI管におけるデルフチア(Delftia)種の存在量は、対象から得られた生物学的試料(例えば、糞便試料)中のデルフチア(Delftia)の検出増加を測定することによって決定することができる。
【0120】
特定の実施形態では、本明細書に記載の組成物又は剤形を使用して、健康な対象と比較した場合、神経障害と診断された、又はそれに関連する1つ以上の症状を示す対象のデルフチア(Delftia)のレベルを低下させることができる。
【0121】
特定の実施形態では、神経障害と診断された、又はそれに関連する1つ以上の症状を示す対象の腸におけるデルフチア(Delftia)の量を減少させることは、2つ以上(例えば、2、3、4、5以上)の非病原性細菌株を含むプロバイオティック組成物を対象によって摂取すること、又は対象に投与することを含む。特定の実施形態では、方法は、(i)2つ以上(例えば、2、3、4、5以上)の非病原性細菌株及び(ii)酵素を含むプロバイオティック組成物を対象によって摂取すること、又は対象に投与することを含む。特定の実施形態では、方法は、(i)2つ以上(例えば、2、3、4、5以上)の非病原性細菌株及び(ii)2つの酵素を含むプロバイオティック組成物を対象によって摂取すること、又は対象に投与することを含む。
【0122】
特定の実施形態では、本明細書に記載される組成物又は剤形の投与は、デルフチア(Delftia)の量の5%の減少(例えば、少なくとも10%、20%、30%、50%、75%、90%、95%又はそれ以上の減少)を引き起こす。
【0123】
デルフチア(Delftia)は、健康な対象の最大50%では検出されないが、検出された場合、値は0.001~0.017の間の操作的分類単位(OTU)の範囲である。
【0124】
X.バイオフィルムを破壊する方法
本開示は、神経障害と診断された、又はそれに関連する1つ以上の症状を有する対象の消化管におけるバイオフィルムを破壊する方法であって、本明細書に開示される組成物の対象による摂取又は対象への投与を含み、それにより対象の消化管におけるバイオフィルムを破壊する方法を提供する。
【0125】
特定の実施形態では、本明細書に記載の組成物又は剤形を使用して、例えば、健康な対象と比較した場合、神経障害と診断された、又はそれに関連する1つ以上の症状を示す対象のGI管内に配置されたバイオフィルムにおいて、細菌種、例えばデルフチア(Delftia)の存在量が有意に増加しているバイオフィルムを破壊することができる。
【0126】
特定の実施形態では、対象におけるバイオフィルムの破壊は、2つ以上(例えば、2、3、4、5以上)の非病原性細菌株を含むプロバイオティック組成物を対象によって摂取すること、又は対象に投与することを含む。特定の実施形態では、方法は、(i)2つ以上(例えば、2、3、4、5以上)の非病原性細菌株及び(ii)酵素を含むプロバイオティック組成物を対象によって摂取すること、又は対象に投与することを含む。特定の実施形態では、方法は、(i)2つ以上(例えば、2、3、4、5以上)の非病原性細菌株及び(ii)2つの酵素を含むプロバイオティック組成物を対象によって摂取すること、又は対象に投与することを含む。
【0127】
XI.自閉症の発症のしやすさを予測する方法
多くの研究が、自閉症スペクトラム障害(ASD)における腸-脳軸間の関連性を仮定している(Reichelt KL et al.,2009,Ann Clin Psychiatry,21:205-211;de Theije CG et al.,2011,Eur J Pharmacol 668 Suppl 1:S70-80;Mayer et al.,2014,Bioessays,36:933-939;Buie T,2015,Clin Ther,37:976-983;Kraneveld et al.,2016,Int Rev Neurobiol,131:263-287;Luna RA et al.,2016,Curr Dev Disord Rep,3:75-81;Estes ML et al.,2017,Immunity,47:816-819;Vasquez A,2017,Ann N Y Acad Sci,1408:5-6;Vuong HE and Hsiao EY,2017,Biol Psychiatry,81:411-423;Fowlie G et al.,2018,Int J Mol Sci 19;Hicks et al.,2018,Autism Res,11:1286-1299.,2018;Israelyan and Margolis,2018,Pharmacol Res,132:1-6;Sharon G et al.,2019,Cell,177:1600-1618 e1617)。これらの研究はこれをバクテリオームレベルで調査しているが、真菌(マイコビオーム)のつながりを取り巻く知識には実質的なギャップがある。
【0128】
本開示は、対象の自閉症の発症のしやすさを予測する方法を提供する。対象における自閉症の発症のしやすさは、腸内微生物叢に基づく。方法は、(a)試験対象から採取された組織又は体液試料中に存在する少なくとも1つの病原性細菌株の生物の数又は密度及び/又は存在量を定量することと、(b)試料中で定量化された生物の数又は密度を閾値と比較する(閾値は、健康な対象に典型的に存在する対応する生物の数又は密度である)ことと、を含む。特定の実施形態では、病原性細菌株は、デルフチア(Delftia)及びシアノバクテリア(Cyanobacteria)由来の株を含む。特定の実施形態では、試験対象におけるシアノバクテリア(Cyanobacteria)由来の細菌株の密度が、健康な対象の密度よりも低い場合、試験対象は自閉症を発症しやすい。特定の実施形態では、試験対象におけるデルフチア(Delftia)由来の細菌株の密度が、健康な対象の密度よりも高い場合、試験対象は自閉症を発症しやすい。
【0129】
XII.定義
以下の定義は、本主題を理解する目的及び添付の特許請求の範囲を構成する目的で含まれる。
【0130】
本明細書を通して、組成物が特定の成分を有する、含む、又は含むと記載される場合、又はプロセス及び方法が特定の工程を有する、含む、又は含むと記載される場合、さらに、列挙された成分から本質的になる、又はそれからなる本発明の組成物があり、列挙された処理工程から本質的になる、又はそれからなる本発明によるプロセス及び方法があることが企図される。
【0131】
要素又は構成要素が列挙された要素又は構成要素のリストに含まれる及び/又は列挙された要素又は構成要素のリストから選択されると言われる本出願では、要素又は構成要素は列挙された要素又は構成要素のいずれか1つであり得るか、又は要素又は構成要素は列挙された要素又は構成要素の2つ以上からなる群から選択され得ることを理解されたい。
【0132】
さらに、本明細書に記載の組成物又は方法の要素及び/又は特徴は、本明細書において明示的であろうと暗黙的であろうと、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく様々な方法で組み合わせることができることを理解されたい。例えば、特定の組成物に言及する場合、その組成物は、文脈から特に理解されない限り、本発明のそのような組成物の様々な実施形態及び/又は本発明の方法で使用することができる。換言すれば、本出願内では、明確かつ簡潔な適用の記述及び描画を可能にする方法で実施形態を説明及び図示してきたが、本教示及び本発明から逸脱することなく、実施形態を様々に組み合わせたり分離したりすることができることが意図され、理解されるであろう。例えば、本明細書に記載及び図示されたすべての特徴は、本明細書に記載及び図示された本発明のすべての態様に適用可能であり得ることが理解されよう。
【0133】
「~のうちの少なくとも1つ」という表現は、文脈及び使用から特に理解されない限り、表現後の列挙された対象のそれぞれ、及び列挙された対象の2つ以上の様々な組み合わせを個別に含むことを理解されたい。3つ以上の列挙された対象に関連する「及び/又は」という表現は、文脈から特に理解されない限り、同じ意味を有すると理解されるべきである。
【0134】
用語「含む(include)」、「含む(includes)」、「含む(including)」、「有する(have)」、「有する(has)」、「有する(having)」、「含有する(contain)」、「含有する(contains)」、又は「含有する(containing)」の使用は、その文法上の等価物を含めて、一般に、制限のない非限定的なものとして理解されるべきであり、例えば、特に明記しない限り、又は文脈から理解されない限り、列挙されていないさらなる要素又は工程を除外しない。
【0135】
「約」という用語の使用が定量的値の前である場合、本発明は、特に明記しない限り、特定の定量的値自体も含む。本明細書で使用される場合、「約」という用語は、特に指示又は推論しない限り、公称値から±10%の変動を指す。
【0136】
本発明が動作可能なままである限り、工程の順序又は特定の動作を実行するための順序は重要ではないことを理解されたい。さらに、2つ以上の工程又は動作が同時に行われてもよい。
【0137】
本明細書の様々な箇所において、構成要素又はその特徴は、群又は範囲で開示されている。説明は、そのような群及び範囲の要素のありとあらゆる個々の部分的組み合わせを含むことが特に意図されている。他の例として、1から20の範囲の整数は、具体的には、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、及び20を個別に開示することを意図している。
【0138】
本明細書におけるありとあらゆる例、又は例示的な言語、例えば「など(such as)」又は「含む(including)」の使用は、単に本発明をよりよく説明することを意図しており、クレームされない限り、本発明の範囲を限定するものではない。本明細書中のいかなる言語も、本発明の実施に不可欠な特許請求されていない要素を示すと解釈されるべきではない。
【0139】
一般的な事項として、パーセンテージを特定する組成物は、特に明記しない限り重量基準である。
【0140】
本明細書で使用される場合、「対象」、「患者」、「それを必要とする対象」、及び「それを必要とする患者」という用語は、本明細書で互換的に使用され、本明細書で提供される方法及び組成物によって治療することができる神経障害に関連する1つ以上の症状を示す動物及びヒトを含む生物を指す。対象は、ヒト又は非ヒト動物であり得る。
【0141】
本発明の実施は、例示のみを目的として本明細書に提示されている前述の例からより完全に理解され、決して本発明を限定するものと解釈されるべきではない。
【実施例
【0142】
以下の例は単なる例示であり、決して本発明の範囲又は内容を限定することを意図するものではない。
【0143】
例1-自閉症を有する対象における腸内微生物叢の特徴
この例では、腸内微生物叢に基づいて自閉症を予測する能力を、ロジスティックモデルを使用して試験した。
【0144】
自閉症における腸内微生物叢の役割に対するより多くの洞察を得るために、自閉症を有する子供及びその非自閉症兄弟姉妹(n=76人の対象)から得られた便試料に対するバクテリオーム及びマイコビオームのrRNAシーケンシングを行った。これらの2つのグループは、ASD及び非ASD個体における細菌及び真菌の微生物叢のコミュニティを記述するであろう。
【0145】
統計的方法
自閉症の予測に対する微生物叢データ(門、属及び種のレベルの細菌及び真菌)及び調査データ(人口統計学、食事、生活習慣)の効果を、単変量ロジスティック回帰モデルを用いて最初に推定した(See McCullagh P,Nelder JA;1998;Monographs on statistics and applied probability 37.Boca Roton:Chapman and Hall CRC)McCullagh and Nelder,1998)参照されたい)。調査人口統計学と個人データ及び微生物叢データとの間の関連付けに、2群比較のためのT検定を使用した。2つの連続測定及び2つのカテゴリ変数の関連についてのピアソン相関係数を、カイ二乗検定を使用して調べた。LASSO(最小絶対収縮及び選択演算子)正則化を有するロジスティック回帰モデルを、データ次元削減、微生物叢特徴選択、及び最終モデル構築に使用した(Lim M,Hastie T,2015,J Comput Graph Stat;24:627-654)。
【0146】
LASSO正則化を実行するために異なる手法を使用した。モデル1-微生物叢(門、属、種)のみ:このアプローチを、単変量解析に基づいて選択された自閉症を予測する重要な細菌及び真菌(門、属及び種)の正則化に使用した。モデル2-サーベイデータのみ:このアプローチを、重要な人口統計学の正則化、及び単変量解析に基づいて選択された自閉症を予測する食事因子のために使用した。モデル3-微生物叢(門、属、種)及び調査:このアプローチを、単変量解析に基づいて選択された自閉症を予測する重要な細菌、真菌(門、属及び種)、人口統計学、及び食事因子の正則化に使用した。モデル4-微生物叢(すべてのレベル)及び調査:このアプローチを、単変量解析に基づいて予測的に選択された重要な細菌、真菌(すべての分類学的レベル)、人口統計学及び食事因子の正則化に使用した。すべての試験は両側であり、P値≦0.05を統計学的に有意とみなした。
【0147】
発見コホートの人口統計を表3に示す。臨床データ調査の結果も組み込まれる。
【表3】
【0148】
表4は、ロジスティック回帰を使用し、関連するP値を表示する、微生物叢データの単変量解析からの結果を示す。
【表4】
【0149】
表5は、調査データの単変量解析からの因子のオッズ比及びp値を列挙している。表5に示すように、性別及び上部GI障害は自閉症と統計的に関連していた。
【表5】
【0150】
自閉症を予測する能力を調べるためにいくつかのLASSOロジスティックモデルを実施して、単変量解析において有意であった重要な細菌及び真菌を同定した。LASSOロジスティックモデルに基づいて、同定された細菌は、p__シアノバクテリア(Cyanobacteria)、s__プレボテラ・ニグレセンス(Prevotella nigrescen)、g__アナエロスティペス(Anaerostipes)、g__バクテロイデス(Bacteroides)、s__コプロコッカス・ユータクト(Coprococcus eutactus)、g__レプトトリックス(Leptothrix)、g__シェワネラ(Shewanella)、及びg__アゾスピリルム(Azospirillum)であった。
【0151】
単変量解析によって同定された有意な真菌には、s__ガラクトミセス(Galactomyces)_ジオトリカム(geotrichum)、p_ツボカビ門(Chytridiomycota)、g__ジオトリカム(Geotrichum)及びg__メタリジウム(Metarhizium)が含まれた。
【0152】
単変量解析においてLASSOロジスティック回帰を使用して選択された自閉症を予測する有意な人口統計学的及び食事因子は、魚の摂取、性別及び上部GI障害であった。
【0153】
LASSOロジスティックモデルを使用して選択されたバクテリオーム(門、属及び種)及びマイコビオームの両方からの有意な因子と調査データとの組み合わせにより、以下の細菌が同定された:p__シアノバクテリア(Cyanobacteria)、s__プレボテラ・ニグレセンス(Prevotella nigrescen)、g__アナエロスティペス(Anaerostipes)、g__バクテロイデス(Bacteroides)、g__レプトトリックス(Leptothrix)、g__シェワネラ(Shewanella)、g__デルフチア(Delftia)、及びg__アゾスピリルム(Azospirillum)。
【0154】
バクテリオーム(門、属及び種)及びマイコビオームの両方からの有意な因子と、LASSOロジスティックモデルを使用して選択された調査データとの組み合わせにより、以下の真菌が同定された:g__メタリジウム(Metarhizium)。魚の摂取、性別、及び上部胃腸障害は、自閉症と有意に関連していた。興味深いことに、メタリジウムはバイオ農薬として使用されており、したがってこの真菌の同定は食物の摂取の結果であり得る。図1は、LASSOロジスティックモデリングを使用して微生物叢の特徴、人口統計学的特徴、食事の特徴及び臨床的特徴を同定した、組み合わせモデルを示す診断プロットである。
【0155】
パフォーマンス(一致指数(C指標))を、提案されたモデルのそれぞれについて評価した。表6は、異なるストラテジーから構築された4つの提案されたモデル(モデル1、モデル2、モデル3、及びモデル4)のC指標値を比較する。各モデルは比較的高いC指標を有していたが、表6に示すように、モデル3はモデルの中で最も頑健性が高く、さらなる試験に使用された。
【表6】
【0156】
多変量ロジスティックモデリングは、何が自閉症に影響を及ぼしたかを調べるために様々な因子を分析し、関連しない因子を排除することによって分析をより強固なものとした(すなわち、それは分析を集中させる。)。モデル3を使用した多変量ロジスティックモデリングの結果を表7に示す。
【表7】
【0157】
他の因子(性別及び上部胃腸障害の病歴)の影響を制御すると、自閉症を有するオッズは、p__シアノバクテリア(Cyanobacteria)の0.01%増加あたり約24%減少した(p=0.013)。同様に、自閉症を有するオッズは、g__デルフチア(Delftia)の0.01%増加当たり9.99倍増加した(p=0.025)。他の1つの属(g__アゾスピリルム(Azospirillum))は、統計学的に有意なp値(p=0.026)に達したので、自閉症を有するオッズは、アゾスピリルム(Azospirillum)属の0.01%の増加あたり約81%減少した。
【0158】
受信者動作特性(ROC)曲線分析は、最終モデル(モデル3)が0.983のC指標及び上記で定義されたリスクスコアの0.6447のカットオフ値で非常に良好な診断性能を有し、自閉症診断に対する感度及び特異度は、図2に示すように、それぞれ91%及び100%であったことを示す。
【0159】
自閉症患者では、繊維分解において重要な役割を果たす細菌であるp__シアノバクテリア(Cyanobacteria)の存在量が低く(p=0.013)、既知のバイオフィルム産生菌であるg__デルフチア(Delftia)(Rema T,et al.,2014,Antimicrob Agents Chemother,58:5673-5686)の存在量が増加している(p=0.025)という知見から、繊維を分解し、デルフチア(Delftia)のバイオフィルム形成能を阻害することができるプロバイオティック株を同定することにより、自閉症の対象が直面する胃腸の問題が改善され、繊維に富む食事に対する耐性が高まり、自閉症を持つ人々の生活の質が向上するという仮説が導かれた。
【0160】
例2-繊維を分解する能力を有するプロバイオティック株の同定
この例は、繊維を分解することができ、自閉症などの神経障害を有する対象の微生物叢を調節することができるプロバイオティック株を同定する方法を提供する。
【0161】
この研究では、多数の非病原性細菌及び真菌株を試験した。表8は、試験した異なる細菌株及び真菌株を列挙している。
【表8】
【0162】
繊維発酵アッセイ
繊維を分解する微生物株の能力を試験するために、繊維発酵アッセイを使用した。
【0163】
培地:2つの異なる増殖培地を使用して、微生物株が繊維を分解する能力を評価した:GAM培地(Gifu嫌気性培地)及びRemel Andradeの炭水化物を含まない培地塩基対照(Remel R060102)。
【0164】
試験繊維:この試験では、Andradeの培地の4つの異なる処方を試験繊維として使用した:(1)チコリ由来の1%イヌリン(Sigma-I2255)-炭水化物を含まないAndradeの基礎培地中の再構成された1%イヌリン(w/v)、(2)1% アガベイヌリン(Nuts.com-p73756952)-炭水化物を含まないAndradeの基礎培地中の再構成された1% アガベイヌリン(w/v)、(3)1% フルクトオリゴ糖(FOS)-Orafti 95(商標)(Beneo)-炭水化物を含まないAndradeの基礎培地中の再構成された1% FOS(w/v)、(4)コントロール-炭水化物を含まないAndradeの基礎培地。
【0165】
細菌増殖:すべての分離株を、37℃でAMGガス(5% CO2、5% H2、及び90%窒素)を使用する嫌気性環境で96時間、GAMを使用して増殖させた。
【0166】
繊維代謝試験:単離体を炭水化物を含まないAndradeの基礎培地中で1×10細胞/mlに希釈し、25μlを使用して試験繊維溶液を接種した。
【0167】
株の、市販の一般的な繊維を分解する能力の評価:各発酵性繊維を目視検査によって独立してスコア化し、スコアの合計をプロバイオティック繊維分解スコア(PFBS)として報告し、ここで、最大の合計は、唯一の炭素源としてチャレンジした場合に1%イヌリン、1%アガベイヌリン、及び1%フルクトオリゴ糖(FOS)繊維分子を発酵する株の能力に等しい。PFBSは、以下の基準に基づいた:黄色=0(繊維発酵なし);薄ピンク=1(非効率的な繊維発酵);ピンク=2(良好な繊維発酵);赤/マゼンタ=3(非常に効率的な繊維発酵)。
【0168】
表9は、1%イヌリン、1%アガベイヌリン、及び1%フラクトオリゴ糖(FOS)繊維分子の発酵性繊維スコア、並びに候補株の全プロバイオティック能力スコア(PFBS)を示す。
【表9】
【0169】
表9に示されるように、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)及びビフィドバクテリウム・ロンガム亜種インファンティス(Bifidobacterium longum subsp.Infantis)は、これらの繊維を発酵させる最大の能力を示した。ラクトバチルス・パラカセ(Lactobacillus paracasei)、ラクトバチルス・デルブルエクイ亜種ブルガリア(Lactobacillus delbrueckii subsp.Bulgaricus)及びラクトバチルス・サリバリウス(Lactobacillus salivarius)もまた、繊維を分解するのに非常に効率的であった。ラクトバチルス・パラカセ(Lactobacillus paracasei)及びラクトバチルス・デルブルエクイ亜種ブルガリア(Lactobacillus delbrueckii subsp.Bulgaricus)は、1%イヌリンの代謝のわずかな減少を示したが、ラクトバチルス・サリバリウス(Lactobacillus salivarius)は、FOSの代謝のわずかな減少を示した。表9はまた、ラクトバチルス・デルブルエクイ亜種ブルガリア(Lactobacillus delbrueckii subsp.Bulgaricus)を除いて、すべての候補プロバイオティック株が良好な増殖能を示したことを表す。ビフィドバクテリウム・ブレベ(Bifidobacterium breve)は、アガベイヌリン及びFOSの分解に有効であったが、イヌリンの分解には有効ではなかった。このデータに基づいて、6以上のPFBSを有する6つの株(太字で示す)を選択して、デルフチア・アシドボランス(Delftia acidovorans)によるバイオフィルム形成を阻害する能力を評価した(例3で考察)。
【0170】
例3-デルフチア・アシドボランス(Delftia acidovarans)のバイオフィルムを産生する能力を阻害するプロバイオティック株の同定
この例は、デルフチア・アシドぼランス(Delftia acidovarans)のバイオフィルムを産生する能力を阻害する、前の例2で選択されたプロバイオティック株の能力を同定する方法を提供する。
【0171】
嫌気性生物を、厳密な嫌気性条件下でGAM前還元培地中で増殖させた。単離物を37℃で24~48時間インキュベートした。インキュベーション後、すべての株の上清を0.22μMフィルターで濾過した。次に、各候補微生物からの濾液を、デルフチア(Delftia)バイオフィルムに対する試験のためのGAM培地と合わせた(1:1)。
【0172】
デルフチア(Delftia)バイオフィルムの形成
滅菌15mmシリコーンディスクをウシ胎児血清(FBS)に浸し、37℃で一晩インキュベートした。デルフチア・アシドボランス(Delftia acidovorans)を、厳密な嫌気性条件下で、GAM前還元培地中で増殖させた。比濁計を用いて、1×10細胞/mlのデルフチア・アシドボランス(Delftia acidovorans)をリン酸緩衝生理食塩水(PBS)に懸濁した。個々のディスクを12ウェル培養プレートのウェルに入れ、4mlのデルフチア・アシドボランス(Delftia acidovorans)細胞懸濁液(1×10細胞/ml)を添加した。次いで、ディスクを37℃で90分間インキュベートした。90分後、ディスクを、1.5mlの候補濾液及び各候補プロバイオティック由来のGAM培地混合物を含有する24ウェルプレート中の単一ウェルに移した。GAM培地のみを陽性増殖対照としてディスクのセットに添加した。ディスクをロッカーに置き、37℃で96時間インキュベートした。96時間後、各ディスクを2mlのPBSに入れ、細胞スクレーパを使用してバイオフィルムを除去し、細胞を懸濁した。連続希釈を行い、コロニー形成単位(CFU)の計数のためにプレーティングした。すべての実験を3連で行った。各候補プロバイオティック株の平均logCFU±SDを陽性増殖対照と比較したところ、0.05未満のp値を有意とみなした。
【0173】
表10は、増殖対照と比較した場合の、候補プロバイオティックの上清の存在下でのデルフチア・アシドボランス(Delftia acidovorans)バイオフィルムの増殖のp値を示す。
【表10】
【0174】
表10に示されるように、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ビフィドバクテリウム・ロンガム亜種インファンティス(Bifidobacterium longum subsp.Infantis)及びラクトバチルス・パラカセ(Lactobacillus paracasei)は、デルフチア・アシドボランス(Delftia acidovorans)のバイオフィルムを有意に阻害した(p値<0.05)。ビフィドバクテリウム・ブレベ(Bifidobacterium breve)、ビフィドバクテリウム・ビフィダム(Bifidobacterium bifidum)、及びビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)もまた、デルフチア・アシドボランス(Delftia acidovorans)のバイオフィルムを有意に阻害した(p値<0.05)。
【0175】
例2及び3に記載のアッセイに基づいて、繊維を効率的に発酵させ、デルフチア・アシドボランス(Delftia acidovorans)によるバイオフィルム形成を阻害し、良好な増殖速度を有することができる上位の細菌株として以下の株を選択した:ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ビフィドバクテリウム・ロンガム亜種インファンティス(Bifidobacterium longub subsp.Infantis)及びビフィドバクテリウム・ブレベ(Bifidobacterium breve)。これらの細菌株の組み合わせは、自閉症集団において有益な効果を提供する能力を有する。
【0176】
参照による組み込み
本明細書で言及される特許及び科学文献のそれぞれの開示全体は、あらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0177】
均等物
本発明は、その精神又は本質的な特徴から逸脱することなく、他の特定の形態で具体化されてもよい。したがって、前述の実施形態は、本明細書に記載の発明を限定するものではなく、あらゆる点で例示的であるとみなされるべきである。したがって、本発明の範囲は、上記の説明ではなく添付の特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
図1
図2
図3
【国際調査報告】