IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エボニック オペレーションズ ゲーエムベーハーの特許一覧

特表2024-523389キシリタンおよび/またはソルビタンのn-ノナン酸エステルを含む組成物
<>
  • 特表-キシリタンおよび/またはソルビタンのn-ノナン酸エステルを含む組成物 図1
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-28
(54)【発明の名称】キシリタンおよび/またはソルビタンのn-ノナン酸エステルを含む組成物
(51)【国際特許分類】
   C11D 3/20 20060101AFI20240621BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20240621BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20240621BHJP
   A61Q 1/00 20060101ALI20240621BHJP
   C11D 7/26 20060101ALI20240621BHJP
   C11D 1/02 20060101ALI20240621BHJP
   C11D 1/66 20060101ALI20240621BHJP
   C11D 1/88 20060101ALI20240621BHJP
【FI】
C11D3/20
A61K8/34
A61K8/37
A61Q1/00
C11D7/26
C11D1/02
C11D1/66
C11D1/88
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023577827
(86)(22)【出願日】2022-05-30
(85)【翻訳文提出日】2024-01-12
(86)【国際出願番号】 EP2022064532
(87)【国際公開番号】W WO2022263150
(87)【国際公開日】2022-12-22
(31)【優先権主張番号】21180241.8
(32)【優先日】2021-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519414848
【氏名又は名称】エボニック オペレーションズ ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Evonik Operations GmbH
【住所又は居所原語表記】Rellinghauser Strasse 1-11, 45128 Essen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンドラ トロンビタス
(72)【発明者】
【氏名】ヤン マリアン フォン ホーフ
(72)【発明者】
【氏名】ドミニク シューフ
(72)【発明者】
【氏名】ジルヴィア イェンチュ
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン ユリアン リービッヒ
(72)【発明者】
【氏名】コンラッド グリゲル
【テーマコード(参考)】
4C083
4H003
【Fターム(参考)】
4C083AA112
4C083AA122
4C083AB031
4C083AB032
4C083AB172
4C083AB222
4C083AB242
4C083AB312
4C083AB332
4C083AB472
4C083AC032
4C083AC072
4C083AC122
4C083AC131
4C083AC132
4C083AC172
4C083AC232
4C083AC302
4C083AC312
4C083AC352
4C083AC392
4C083AC422
4C083AC441
4C083AC442
4C083AC472
4C083AC532
4C083AC642
4C083AC662
4C083AC692
4C083AC712
4C083AC782
4C083AC792
4C083AC842
4C083AC852
4C083AC862
4C083AC902
4C083AC932
4C083AD072
4C083AD132
4C083AD202
4C083AD272
4C083AD282
4C083AD352
4C083AD412
4C083AD452
4C083AD532
4C083AD662
4C083BB01
4C083BB04
4C083BB05
4C083BB07
4C083BB41
4C083BB48
4C083CC17
4C083CC22
4C083CC23
4C083CC41
4C083DD31
4C083EE01
4C083EE03
4C083EE06
4C083EE07
4C083EE09
4C083EE11
4C083EE21
4C083EE31
4H003AB27
4H003AC03
4H003AC05
4H003AC08
4H003AD04
4H003DA19
4H003EA05
4H003EA15
4H003EA16
4H003EA19
4H003EA21
4H003EA25
4H003EB04
4H003EB05
4H003EB07
4H003EB08
4H003EB09
4H003EB13
4H003EB14
4H003EB16
4H003EB19
4H003EB22
4H003EB24
4H003EB30
4H003EB42
4H003EC01
4H003EC02
4H003ED02
4H003ED28
4H003EE05
4H003FA07
4H003FA12
4H003FA26
4H003FA28
(57)【要約】
本発明は、キシリタンおよび/またはソルビタンのn-ノナン酸エステルを含む組成物、該組成物の製造方法、該組成物を含む配合物および該組成物の使用に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下:
A)無水糖アルコールと、
B)無水糖アルコールモノ-n-ノナン酸エステルと、
C)無水糖アルコールジ-n-ノナン酸エステルと
を含む無水糖アルコールn-ノナン酸エステル組成物であって、前記無水糖アルコールは、ソルビタンおよびキシリタンから選択される、無水糖アルコールn-ノナン酸エステル組成物。
【請求項2】
以下:
D)無水糖アルコールトリn-ノナン酸エステルおよび/または、好ましくはおよび
E)無水糖アルコールテトラn-ノナン酸エステル
をさらに含むことを特徴とする、請求項1記載の無水糖アルコールn-ノナン酸エステル組成物。
【請求項3】
以下:
F)遊離n-ノナン酸
を含むことを特徴とする、請求項1または2記載の無水糖アルコールn-ノナン酸エステル組成物。
【請求項4】
無水糖アルコールn-ノナン酸エステルが、0.7~4.0、好ましくは0.8~2.5、特に好ましくは1.0~2.0の平均エステル化度を有することを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載の無水糖アルコールn-ノナン酸エステル組成物。
【請求項5】
無水糖アルコールn-ノナン酸エステルが、50~600、好ましくは100~550、特に好ましくは150~500mg KOH/gの水酸基価を有することを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載の無水糖アルコールn-ノナン酸エステル組成物。
【請求項6】
無水糖アルコールn-ノナン酸エステルが、0.1~40、好ましくは0.5~30、特に好ましくは1~20mg KOH/gの酸価を有することを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載の無水糖アルコールn-ノナン酸エステル組成物。
【請求項7】
無水糖アルコールn-ノナン酸エステルが、100~350、好ましくは125~300、特に好ましくは150~275mg KOH/gの鹸化価を有することを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項記載の無水糖アルコールn-ノナン酸エステル組成物。
【請求項8】
前記無水糖アルコールn-ノナン酸エステル組成物が、ソルビトールn-ノナン酸エステルおよび/またはキシリトールn-ノナン酸エステルを含み、前記無水糖アルコールn-ノナン酸エステル組成物中の無水糖アルコールとその対応する糖アルコールとの重量比が、60:40より大きい、好ましくは70:30より大きく、より好ましくは80:20より大きく、特に好ましくは85:15より大きいことを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項記載の無水糖アルコールn-ノナン酸エステル組成物。
【請求項9】
無水糖アルコールn-ノナン酸エステル組成物の製造方法であって、無水糖アルコールは、ソルビタンおよびキシリタンから選択され、前記方法は、以下:
I)ソルビトールおよび/またはキシリトールを提供するステップと、
II)前記ソルビトールおよび/またはキシリトールを脱水して、ソルビタンおよび/またはキシリタンを得るステップと、
III)前記ソルビタンおよび/またはキシリタンをn-ノナン酸でエステル化するステップと、任意に
IV)プロセスステップIII)で形成された無水糖アルコールn-ノナン酸エステル組成物を単離するステップと
を含む、方法。
【請求項10】
請求項1から8までのいずれか1項記載の、または請求項9記載の方法によって得ることができる無水糖アルコールn-ノナン酸エステル組成物を含む配合物、好ましくは化粧品または家庭用ケア配合物であって、
前記配合物が、前記無水糖アルコールn-ノナン酸エステル組成物を前記配合物全体に対して0.01重量%~10重量%含むことを特徴とする、配合物。
【請求項11】
界面活性剤、好ましくはアニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤および両性界面活性剤の群から選択される界面活性剤をさらに含む、請求項10記載の配合物。
【請求項12】
食器洗浄工程からの食器、グラスおよびカトラリーへの付着を防止および/または低減するための、請求項1から8までのいずれか1項記載の、もしくは請求項9記載の方法によって得ることができる無水糖アルコールn-ノナン酸エステル組成物の、または請求項10もしくは11記載の配合物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キシリタンおよび/またはソルビタンのn-ノナン酸エステルを含む組成物、該組成物の製造方法、該組成物を含む配合物および該組成物の使用に関する。
【0002】
先行技術
欧州特許第2410979号明細書には、ソルビタンカルボン酸エステルを含む、ヒトまたは動物の身体部分の洗浄およびケアのための配合物であって、ソルビタンカルボン酸エステルのカルボン酸成分が、6~10個の炭素原子を含むカルボン酸に由来し、ソルビタンカルボン酸エステルが350を超える水酸基価(OH価)を有することを特徴とする配合物が開示されている。
【0003】
欧州特許第3744310号明細書には、以下:
A)6~12個の炭素原子を有するカルボン酸から選択される少なくとも1種のカルボン酸の少なくとも1種のソルビタンカルボン酸エステルであって、成分A中に存在するすべてのソルビタンカルボン酸エステルが一緒になって、ソルビタンカルボン酸エステル1つ当たり平均で0.7~2.1個のカルボン酸基のエステル化度を有する、ソルビタンカルボン酸エステルと、
B)6~22個の炭素原子を有するカルボン酸から選択される少なくとも1種のカルボン酸の少なくとも1種のグリセリンカルボン酸エステルであって、成分B中に存在するすべてのグリセリンカルボン酸エステルが一緒になって、グリセリンカルボン酸エステル1つ当たり平均で0.7~1.5個のカルボン酸基のエステル化度を有する、グリセリンカルボン酸エステルと、
C)水と
を含み、
成分A)およびB)の合計が、全組成物に対して少なくとも50重量%の範囲で存在することを特徴とする、組成物が開示されている。
【0004】
韓国登録特許第10-1939851号公報には、無水キシリトールのエステル、およびエマルションにおけるレオロジー添加剤/粘度調整剤としての該無水キシリトールのカルボン酸エステルの使用が記載されている。
【0005】
食器洗浄機で繰り返し洗浄される食器やカトラリーには、使用されたすすぎ助剤および/または洗剤がしばしば付着する。これにより、こうした食器やカトラリーから食品を摂取すると、苦味を感じることがよくある。グラスや飲料についても同様である。
【0006】
本発明の目的は、食器洗浄で生じる付着物を低減することである。
【0007】
発明の詳細な説明
驚くべきことに、キシリタンおよび/またはソルビタンのn-ノナン酸エステルがこの課題を解決することが見出された。
【0008】
したがって、本発明は、無水糖アルコールと、異なる無水糖アルコールモノn-ノナン酸エステルとを含む無水糖アルコールn-ノナン酸エステル組成物であって、無水糖アルコールが、ソルビタンおよびキシリタンから選択され、好ましくはソルビタンである、無水糖アルコールn-ノナン酸エステル組成物を提供する。
【0009】
本発明はさらに、本発明による無水糖アルコールn-ノナン酸エステル組成物の製造方法、該組成物を含む配合物、ならびに食器洗浄工程からの食器、グラスおよびカトラリーへの付着を防止および/または低減するための本発明による無水糖アルコールn-ノナン酸エステル組成物の使用を提供する。
【0010】
本発明の組成物の1つの利点は、その改善された匂いプロファイルである。
【0011】
本発明の別の利点は、-ソルビタンエステルは起泡促進剤として知られているが-本発明の組成物は、自動食器洗浄工程において高起泡を誘発しないことである。
【0012】
さらなる利点は、本発明の組成物が、卓越した良好な湿潤特性を有する洗浄産業用の洗浄ブースターであることである。
【0013】
本発明の別の利点は、本発明の組成物が、速い汚れ浸透性を有することである。
【0014】
さらなる利点は、本発明の組成物が、特に汚れ落としに対して、たとえ汚れ落としが非常に困難で厄介であっても優れた洗浄力を有することである。
【0015】
本発明の別の利点は、本発明の組成物が、高い分散性および乳化性を有することである。
【0016】
さらなる利点は、本発明の組成物が汚れの再付着を効率的に妨げることである。
【0017】
本発明の別の利点は、本発明の組成物が、すすぎステップの間にシート化効果を支持し、これにより、速く、残留物のない乾燥表面が得られることである。
【0018】
別の利点は、本発明の組成物が、すすいだ食器上の、味だけでなくフレグランスおよび/または匂いの望ましくない残留の点でも優れた特性を示すことである。
【0019】
本発明の別の利点は、本発明の組成物が、容易に生分解可能であることである。
【0020】
本発明の別の利点は、本発明の組成物が、効果的な化粧落とし特性を示すことである。
【0021】
本発明の別の利点は、本発明の組成物が、エモリエント剤およびフレグランスに対して効果的な可溶化特性を提供することである。
【0022】
本発明の別の利点は、本発明の組成物が、水性の化粧品クレンジング配合物において効果的な増粘特性を提供することである。
【0023】
本発明の別の利点は、本発明の組成物が、化粧用クリームおよびローションにおいて効果的な共乳化特性を示すことである。
【0024】
本発明の別の利点は、本発明の組成物が、化粧品配合物において効果的な保湿特性を提供することである。
【0025】
本発明の別の利点は、本発明の組成物が、水を含まないかまたは水の含有量が低いために防腐処理の必要がないことである。
【0026】
本発明の別の利点は、本発明の組成物が、水を含まないかまたは水の含有量が低く、結果として加水分解が回避されることにより、12ヶ月を超える長い貯蔵寿命を有することである。
【0027】
本発明の別の利点は、本発明の組成物が、石油化学ベースのポリエチレングリコールを含まないことである。
【0028】
本発明の別の利点は、本発明の組成物が、低温加工可能であり、その結果、加工中のエネルギー消費が少ないことである。
【0029】
本発明の別の利点は、本発明の組成物が、パーム不含の原料から得られ、これは熱帯雨林の森林破壊の減少による気候変動の軽減に役立つことである。
【0030】
したがって、本発明により特許請求されるのは、以下:
A)無水糖アルコールと、
B)無水糖アルコールモノ-n-ノナン酸エステルと、
C)無水糖アルコールジ-n-ノナン酸エステルと
を含む無水糖アルコールn-ノナン酸エステル組成物であって、無水糖アルコールは、ソルビタンおよびキシリタンから選択され、好ましくはソルビタンである、無水糖アルコールn-ノナン酸エステル組成物である。
【0031】
ノナン酸/ペラルゴン酸
n-ノナン酸(ペラルゴン酸、CAS 112-05-0)は、石油化学起源のn-ノナナールの酸化によって得ることができる(“Carboxylic Acids, Aliphatic,”: Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry 2014)。またn-ノナン酸は、ω-9-脂肪酸、例えばオレイン酸およびエルカ酸またはそれらのエステルのオゾン分解によって得ることができる。しかし、オゾン分解は、例えばオゾン発生器の使用など、高いエネルギー需要と特定のプロセス要件を有するプロセスである。さらに、使用されるω-9-脂肪酸は、例えばパーム油、パーム核油およびヤシ油といった熱帯植物油から得られることが多い。より一層持続可能なn-ノナン酸の製造方法は、過酸化水素に基づくものであり(Soutelo-Maria et al. in Catalysts 2018, 8, 464)、特に、例えば米国特許第9272975号明細書、米国特許第8846962号明細書、米国特許第8222438号明細書、国際公開第2007039481号および国際公開第2011080296号のようなプロセスが熱帯植物油から得られていないω-9-脂肪酸またはそのエステルからも進行して実施される場合には、こうしたプロセスが該当する。
【0032】
ソルビタン
ソルビタンは、一般に、ソルビトール、主に1,4-アンヒドロソルビトール、2,5-アンヒドロソルビトール、1,5-アンヒドロソルビトール(Advances in Carbohydrate Chemistry and Biochemistry, 1983, 41, 27-66)およびイソソルビド(1,4:3,6-ジアンヒドロソルビトール;ChemSusChem. 5 (1): 167-176)の自己縮合生成物の生成物混合物を意味するものと理解され、これらは、例示的に以下の式で示されるように、実質的に5員および6員の、単環式および二環式の、ポリオール性質のヒドロキシル官能性エーテルである:
【化1】
【0033】
このような混合物には、さらなる縮合生成物やソルビトールも、一般にわずかに含まれる。
【0034】
ソルビタンエステルは、ソルビタンのエステルであり、したがって上述のポリオール混合物と有機酸とのエステル化生成物である。
【0035】
ソルビタンエステルの概要は、例えば、Treon, Soap Perfumery Cosmetics, January 1965, p. 47に記載されている。
【0036】
キシリタン
キシリタンは、一般に、キシリトールの自己縮合生成物の生成物混合物を意味するものと理解される。
【0037】
キシリタンに含まれるキシリトールの3つの主な縮合生成物は、アンヒドロペンチトールである1,4-アンヒドロキシリトール、1,4-アンヒドロアラビニトールおよび1,4-アンヒドロリビトールである(J. Carbohydr. Chem. 2004, 23, 4, 169-177およびAdv. Carbohydr. Chem. Biochem., 1983, 41, 27-66)。ソルビタンについて上述したように、当業者であれば、キシリタンもまた未縮合キシリトールをわずかに含む可能性があることを理解している。
【0038】
キシリタンエステルは、キシリタンのエステルであり、したがって、この上述のポリオール混合物と有機酸とのエステル化生成物である。
【0039】
別段の記載がない限り、記載されたパーセンテージ(%)はすべて質量%である。
【0040】
本発明による好ましい無水糖アルコールn-ノナン酸エステル組成物は、以下:
D)無水糖アルコールトリn-ノナン酸エステルおよび/または、好ましくはおよび
E)無水糖アルコールテトラn-ノナン酸エステル
をさらに含むことを特徴とする。
【0041】
上述したように、ソルビタンおよびキシリタンは、それぞれ若干のソルビトールまたはキシリトールを含み得るため、本発明の糖アルコールn-ノナン酸エステル組成物は、当然のことながら、好ましくはそれぞれ若干のソルビトールn-ノナン酸エステルおよび/またはキシリトールn-ノナン酸エステルを含むことになる。
【0042】
ソルビトールn-ノナン酸エステルおよび/またはキシリトールn-ノナン酸エステルが、本発明の糖アルコールn-ノナン酸エステル組成物中に含まれる場合、以下に記載されるすべてのパラメーターは、それらの含有量に関する。
【0043】
本発明による無水糖アルコールn-ノナン酸エステル組成物が以下:
F)遊離n-ノナン酸
を含む場合、好ましい。
【0044】
遊離n-ノナン酸は、プロトン化された形態であっても中和された形態であってもよい。
【0045】
本発明による無水糖アルコールn-ノナン酸エステル組成物中の遊離n-ノナン酸の含有量は、最初に酸価を決定することによって決定される。これを用いて、そのモル質量によりn-ノナン酸の重量割合を決定することができる。
【0046】
酸価の決定に適した方法は、特にDGF C-V 2、DIN EN ISO 2114、Ph.Eur. 2.5.1、ISO 3682およびASTM D 974に準拠する方法である。
【0047】
鹸化価は、DGF C-V 3またはDIN EN ISO 3681に準拠して当業者により決定される。
【0048】
水酸基価の決定に適した方法は、特にDGF C-V 17 a (53)、Ph.Eur. 2.5.3 Method AおよびDIN 53240に準拠する方法である。
【0049】
本発明の好ましい無水糖アルコールn-ノナン酸エステル組成物は、無水糖アルコールn-ノナン酸エステルが、0.7~4.0、好ましくは0.8~2.5、特に好ましくは1.0~2.0の平均エステル化度を有することを特徴とする。
【0050】
本発明の好ましい無水糖アルコールn-ノナン酸エステル組成物は、無水糖アルコールn-ノナン酸エステルが、100~350、好ましくは125~300、特に好ましくは150~275mg KOH/gの鹸化価を有することを特徴とする。
【0051】
本発明の好ましい無水糖アルコールn-ノナン酸エステル組成物は、無水糖アルコールn-ノナン酸エステルが、0.1~40、好ましくは0.5~30、特に好ましくは1~20mg KOH/gの酸価を有することを特徴とする。
【0052】
本発明の好ましい無水糖アルコールn-ノナン酸エステル組成物は、無水糖アルコールn-ノナン酸エステルが、50~600、好ましくは100~550、特に好ましくは150~500mg KOH/gの水酸基価(OH価)を有することを特徴とする。
【0053】
本発明の好ましい無水糖アルコールn-ノナン酸エステル組成物は、HPLC分析により測定した場合に、本発明の無水糖アルコールn-ノナン酸エステル組成物中の無水糖アルコールとその対応する糖アルコール(ソルビトール/キシリトール)との重量比が、好ましくは60:40(60/40)より大きく、好ましくは70:30(70/30)より大きく、より好ましくは80:20(80/20)より大きく、特に好ましくは85:15(85/15)より大きいことを特徴とする。好適な分析方法の詳細な説明は、キシリタンエステルを含むキシリトールエステルについては国際公開第2021122972号に、ソルビタンエステルを含むソルビトールエステルについては国際公開第2021122973号に記載されている。
【0054】
本発明のさらなる主題は、無水糖アルコールn-ノナン酸エステル組成物の、好ましくは本発明による無水糖アルコールn-ノナン酸エステル組成物の製造方法であって、該無水糖アルコールは、ソルビタンおよびキシリタンから選択され、該方法は、以下:
I)ソルビトールおよび/またはキシリトール、好ましくはソルビトールを提供するステップと、
II)ソルビトールおよび/またはキシリトールの少なくとも一部を脱水して、ソルビタンおよび/またはキシリタン、好ましくはソルビタンを得るステップと、
III)ソルビタンおよび/またはキシリタン、好ましくはソルビタンをn-ノナン酸でエステル化するステップと、任意に
IV)プロセスステップIII)で形成された無水糖アルコールn-ノナン酸エステル組成物を単離するステップと
を含む方法である。
【0055】
本発明による方法のプロセスステップII)において、ソルビトールおよび/またはキシリトールの脱水により、種々の異性体の混合物、例えば1,4-アンヒドロソルビトール、2,5-アンヒドロソルビトール、1,5-アンヒドロソルビトール、イソソルビドおよびもしそうであれば残留ソルビトールの混合物が得られる。
【0056】
好ましくは、提供されるソルビトールおよび/またはキシリトールの少なくとも60重量%、より好ましくは少なくとも70重量%、さらにより好ましくは少なくとも80重量%、最も好ましくは少なくとも85重量%が、本発明による方法のプロセスステップII)で脱水される。
【0057】
プロセスステップII)における反応条件は、脱水生成物の組成に影響を及ぼす。
【0058】
本発明による方法のプロセスステップII)は、好ましくは、100℃~300℃、好ましくは120℃~240℃、特に130℃~200℃の温度で実施される。
【0059】
さらに、本発明による方法のプロセスステップII)は、好ましくは、0.001bar~1.5bar、好ましくは0.5bar~1.25bar、特に0.8bar~1.2barの圧力で実施される。
【0060】
好ましい代替的一実施形態では、本発明による方法の製造プロセスステップII)は、0.001bar~0.9bar、好ましくは0.005bar~0.5bar、特に0.006bar~0.01barの圧力、および80℃~140℃、好ましくは90℃~130℃、特に95℃~120℃の温度で実施される。
【0061】
例えば欧州特許出願公開第0280780号明細書に記載されているような酸触媒の使用は、脱水生成物に影響を及ぼし得る。本発明による方法のプロセスステップII)は、好ましくは酸触媒、好ましくはリン酸を用いて実施される。
【0062】
本発明による方法のプロセスステップIII)は、古典的な化学的経路または酵素的経路で実施することができる。
【0063】
古典的な化学的経路による本発明による方法のプロセスステップIII)における迅速かつ可能であれば定量的な反応は、圧力、温度および反応パートナー同士の質的比のような種々のパラメーターに依存する。これらのパラメーターも同様に、例えば分子中のエステル化位置の様々な選択肢により生成される、例えばモノ-、ジ-およびトリ-エステルの様々な混合物をもたらし得る種々の異性体の統計的分布に関して、無水糖アルコールn-ノナン酸エステル組成物に影響を及ぼす。
【0064】
本発明による好ましい方法は、本発明による方法のプロセスステップIII)が140℃~300℃、好ましくは160℃~250℃、特に200℃~230℃の温度で実施されることを特徴とする。同様に、プロセスステップIII)が、0.001bar~1.5bar、好ましくは0.5bar~1.25bar、特に0.8bar~1.2barの圧力で実施されることが好ましい。
【0065】
本発明による方法の好ましい代替的一実施形態では、プロセスステップIII)は、0.001bar~0.9bar、好ましくは0.05bar~0.5bar、特に0.006bar~0.01barの圧力、および80℃~250℃、好ましくは120℃~220℃、特に150℃~200℃の温度で実施される。
【0066】
本発明による方法のプロセスステップII)とまさに同様に、本発明による方法のプロセスステップIII)における触媒、例えばアルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩またはリン酸、亜リン酸もしくは次亜リン酸のアルカリ金属塩の使用は、無水糖アルコールn-ノナン酸エステル組成物に影響を及ぼし得る。
【0067】
好ましくは、本発明による方法のプロセスステップIII)において、アルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩からなる群から選択される少なくとも1種の触媒、好ましくは水酸化ナトリウムが採用される。
【0068】
本発明による方法のプロセスステップIII)を酵素的経路で実施するには、欧州特許出願公開第3839052号明細書の方法を適用することができる。
【0069】
本発明による方法のプロセスステップIII)に存在するソルビトールおよび/またはキシリトールもn-ノナン酸でエステル化されることは明らかである。
【0070】
好ましくは、プロセスステップII)およびプロセスステップIII)は、ワンポットプロセスで実施される。これは、エステル化に使用される触媒の少なくとも一部が脱水中に既に存在することを意味する。
【0071】
したがって、ソルビトールおよび/またはキシリトール、好ましくはソルビトール、n-ノナン酸および触媒が提供され、混合物は、0.01bar~1.5bar、好ましくは0.1bar~1.25bar、特に0.8bar~1.2barの圧力をかけながら、100℃~300℃、好ましくは120℃~275℃、より好ましくは140℃~250℃、さらにより好ましくは180℃~240℃、特に200℃~230℃の温度に加熱される。
【0072】
任意に、プロセスステップII)および/またはプロセスステップIII)または上述のワンポットプロセスは、活性炭の存在下で実施することができる。
【0073】
これは、本発明の方法によって製造される無水糖アルコールn-ノナン酸エステル組成物が、改善された色プロファイルを有するという効果を有する。
【0074】
任意に、得られたキシリタンおよび/またはソルビタンのn-ノナン酸エステルを、過酸化水素の水溶液で、好ましくは、0.01~1.0%、好ましくは0.05~0.5%の正味/活性量の過酸化水素を60~140℃で5~500分間適用することによって処理することができる。
【0075】
本発明のさらなる主題は、本発明による、または本発明の方法によって得ることができる無水糖アルコールn-ノナン酸エステル組成物を含む配合物であって、該配合物が、無水糖アルコールn-ノナン酸エステル組成物を該配合物全体に対して0.01重量%~10重量%含むことを特徴とする配合物である。
【0076】
本発明による配合物は、好ましくは、化粧品または家庭用ケア配合物、好ましくは洗浄用配合物である。好ましい配合物は、食器洗浄用配合物および洗濯用洗剤である。
【0077】
したがって、好ましくは、本発明による配合物は、好ましくは少なくとも1種の界面活性剤を含む。
【0078】
本発明による無水糖アルコールn-ノナン酸エステル組成物は、界面活性を有する場合があるが、本発明の文脈において、これらの無水糖アルコールn-ノナン酸エステル組成物は、界面活性剤としてカウントされない。
【0079】
本発明による配合物に含まれる界面活性剤は、例えば、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤または両性界面活性剤であってよい。
【0080】
アニオン性界面活性剤の代表例は、脂肪アルコールスルフェート、脂肪アルコールポリグリコールエーテルスルフェート、モノグリセリドスルフェート、モノおよび/またはジアルキルスルホスクシネート、脂肪酸イセチオネート、脂肪酸サルコシネート、脂肪酸タウレート、脂肪酸グルタメート、脂肪酸グリシネート、アルキルエーテルカルボキシレートである。
【0081】
非イオン性界面活性剤は、例えばアルキルオリゴグルコシド、脂肪酸グルカミド、ラムノリピド、ソホロリピッドおよび/またはタンパク質脂肪酸縮合物であり、後者は、例えばコムギタンパク質をベースとする。
【0082】
両性界面活性剤は、例えば、アルキルアミドアルキルヒドロキシスルタイン、アルキルアミドアルキルベタイン、アルキルベタイン、アンホアセテートおよびアンホプロピオネートであり、これらの末端アシルまたはアルキル基は、典型的には8~18個の炭素原子を含む。
【0083】
本発明により特に含まれる界面活性剤は、脂肪アルコールスルフェート、脂肪アルコールポリグリコールエーテルスルフェート、モノおよび/またはジアルキルスルホスクシネート、アンホアセテート、アンホプロピオネート、アルキルベタイン、コカミドプロピルベタイン、アルキルオリゴグルコシドおよび脂肪酸グルタメートである。
【0084】
本発明により特に好ましく含まれる界面活性剤は、ポリエーテルを含まない界面活性剤であるモノおよび/またはジアルキルスルホスクシネート、アンホアセテート、アンホプロピオネート、ベタイン、特にコカミドプロピルベタイン、アルキルオリゴグルコシドおよび脂肪酸グルタメートである。
【0085】
本発明により、含まれる界面活性剤の好ましい量は、得られる配合物が、配合物全体に対して少なくとも2重量%、好ましくは少なくとも4重量%、特に好ましくは少なくとも6重量%の全界面活性剤を含むように使用される。
【0086】
本発明による好ましい配合物は、2~13、好ましくは4~12のpHを有することを特徴とする。
【0087】
本発明に関連する「pH」とは、ISO 4319(1977)に準拠して校正されたpH電極を用いて5分間撹拌した後に25℃で当該組成物について測定される値として定義される。
【0088】
配合物がすすぎ助剤および/または浴室用洗浄剤として使用される場合には、本発明による配合物が、2.5~6.5、好ましくは3.0~5.4のpHを有することを特徴とすることが好ましい。
【0089】
配合物が手洗い用食器洗剤として使用される場合には、本発明による配合物が、4.0~7.0、好ましくは5.0~6.0のpHを有することを特徴とすることが好ましい。
【0090】
配合物が食器洗浄機用洗剤、汎用洗浄剤、硬質表面用洗浄剤、床用洗浄剤、金属用洗浄剤、車用シャンプー、台所用洗浄剤、洗濯用洗剤、ガラスクリーナー、飲食料品用洗浄剤として使用される場合には、本発明による配合物が、7.0~14.0、好ましくは7.5~12.5のpHを有することを特徴とすることが好ましい。
【0091】
本発明のさらなる主題は、食器洗浄工程からの食器、グラスおよびカトラリーへの付着を防止および/または低減するための、本発明による、もしくは本発明による方法によって得ることができる無水糖アルコールn-ノナン酸エステル組成物の、または本発明による配合物の使用である。
【0092】
以下に提示する実施例は、例示として本発明を説明するものであり、明細書および特許請求の範囲の全体からその適用範囲が明らかである本発明が、実施例において特定される実施形態に限定されることを意図するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0093】
図1】洗浄性能結果を示す図である。
【0094】
実施例:
例1a~例1f:キシリタンまたはソルビタンのn-ノナン酸エステルの合成(本発明による)
キシリトールまたはソルビトール(またはその水溶液)を、最初にn-ノナン酸と一緒に装入し、触媒を添加した後、反応混合物を1時間以内に所定の圧力で撹拌しながら反応温度まで加熱し、生成した水を所定の酸価になるまで連続的に除去した。最後に、混合物をフィルタープレスでろ過した。
【0095】
【表1】
【0096】
例1g:ソルビタンのn-オクタン酸/n-デカン酸エステルの合成(本発明によらない)
この生成物を、ペラルゴン酸をカプリル酸とカプリン酸との75:25(w/w)混合物に置き換えることのみにより、例1dの類似体として合成した。この生成物の酸価を分析したところ、13.4mg KOH/gであった。
【0097】
例2:匂いパネル
例1dおよび例1gの生成物を、当技術分野による匂いパネル試験で比較した。以前にトライアングルテスト手順で資格を得た7名の熟練した判定士からなるグループが、予め密閉した100mlの褐色の広口ガラス瓶に12時間保存しておいた2つの生成物30mlの匂いを嗅いだ。7名の判定士は、1(良好)、2(許容可能)、3(劣悪)の評価等級に基づいて匂いを評価した。
【0098】
この試験の結果、例1dの生成物は平均パネル評価1.43、例1gの生成物は平均パネル評価2.14を得た。
【0099】
例3:
本例は、家庭用洗浄剤の配合物に使用した場合に、例1gに記載の組成物と比較した例1fの組成物の洗浄増強効果を実証するものである。
【0100】
表1に記載した例示的な配合物を、以下のプロトコルにしたがって製造した。最初に、測定量の水を、適切な大きさのガラスビーカーに導入した。その後、室温で激しく撹拌しながら、さらに成分を加えた。溶液への添加順序は重要ではないため、各成分を特定の順序や均一な順序で添加したわけではなかった。最後に、各成分が確実に所望の濃度となるようにするために、残りの量の水を加えた。すべての成分をマグネチックスターラーで混合し、クエン酸を加えて溶液のpHを8.0に調整した。その後、混合物を5分間撹拌し、均質な溶液が確実に得られるようにした。例示的な組成物は容易に注ぐことができ、室温で長時間安定であった。
【0101】
上記の方法にしたがって、3つの配合物を製造した(表1):
- 次いで、試験した洗浄ブースター添加剤の効果を評価するための対照配合物として使用した、参照配合物1
- 参照配合物1の成分と、例1gに記載の組成物であるベンチマーク洗浄ブースターとを含む参照配合物2
- 参照配合物1の成分と、本発明の主題である例1fの組成物とを含む試験配合物1。
【0102】
【表2】
【0103】
その後、試験配合物1の洗浄性能を、表1に示す2つの参照配合物と対比して評価した。洗浄性能の評価に使用した手順は、以下の試験プロトコルに記載されている。
【0104】
洗浄性能試験を、ドイツ化粧品・トイレタリー製品・香水・洗剤協会(IKW)の勧告“IKW Recommendation for the Quality Assessment of the Product Performance of All-Purpose Cleaners 2014”(IKWテストプロトコル)を参考にした内部試験方法にしたがって実施した。試験の基本方針は、メラミンタイルに付着した頑固な汚れの除去効果を評価することにより、試験配合物の洗浄力を評価することであった。油脂とカーボンブラックとの混合物からなる黒色の頑固な汚れで覆われた白色のメラミンタイル(ここではテストモニターと称する)を、Center for Testmaterials B.V.から購入した(DM-40 Tileの名称で入手可能)。結果の高い再現性を確保するため、テストモニターはすべて同じ製造バッチに属するものであり、使用前に20℃で気候室内にて24時間コンディショニングした。
【0105】
製造した配合物の洗浄性能を評価するため、テストモニターをTQC Sheen洗浄性試験機(AB5000型)に入れ、所定の位置に固定した。テストモニターを一度に1つずつ洗浄性試験機に入れたが、各洗浄配合物について、洗浄性試験機の4つのトラックそれぞれで少なくとも1回は試験が確実に行われるようにした。その後、乾いた9cm×4.5cmのスポンジをまず水道水で湿らせ、スポンジから余分な水分を絞った。その後、試験液10gをスポンジに載せ、スポンジを洗浄性試験機の洗浄アームに取り付けた。その後、洗浄性試験機を作動させ、テストモニター上で10回の洗浄サイクル(つまり20回の直線ストローク)を行うように制御した。ストロークの速度は毎分20サイクルであり、試験を室温で行った。10回の洗浄サイクルが完了した後、テストモニターをSheen試験機から取り出し、水道水ですすぎ、乾燥させた。試験を数回繰り返して、各試験組成物について5回の反復を提供した。
【0106】
処理したテストモニターを、各組成物によって達成された洗浄効果を評価するよう依頼した5名のパネリストによって目視評価した。パネリストは、洗浄効果を0から10までの等級でランク付けし、ここで、0は、洗浄が認められなかったことを表し、10は、シミが完全に除去されたことを表す。比較のため、各パネリストには、洗浄なしを表す新しい汚れたテストモニターと、評点10を表す完全に洗浄されたテストモニターとを提供した。さらに、より正確な清浄度評価を可能にするため、パネリストにはIKW試験プロトコルにしたがった評価テンプレートを提供した。各試験組成物について評点を合計して平均をとり、その結果を表2に報告する。
【0107】
【表3】
【0108】
表2に報告された結果から容易に明らかであるように、本発明の主題を含む組成物は、双方のベンチマークに対して優れた洗浄性能結果をもたらす。試験配合物1は、洗浄ブースターを含まない参照配合物1が達成した洗浄結果をはるかに上回るとともに、ベンチマーク洗浄ブースターを含む組成物である参照配合物2よりもはるかに優れた洗浄を提供する。
【0109】
図1は、視認可能な結果を明確に示している。
【0110】
例4:
本例は、すすいだ食器に残るフレグランスの点で、脂肪アルコールエトキシレートなどのベンチマーク界面活性剤と比較した場合の例1fの組成物の優れた特性を実証するものである。
【0111】
パネル試験を、以下のプロトコルにしたがって行った:
最初に、2つの試験溶液を製造した。ベンチマーク溶液は、水道水中に例示的な脂肪アルコールエトキシレートを0.5重量%含んでいた。試験溶液は、水道水中に例1fの組成物を0.5重量%含んでいた。その後、2セットの清浄なセラミック皿を用いて試験を行った。1セット目の皿をベンチマーク溶液に、2セット目の皿を試験溶液に浸した。その後、皿を水切りし、5名のパネリストのチームによるブラインドテスト評価を行った。各パネリストは2枚の皿を受け取ったが、1枚はベンチマーク溶液に予め浸し、もう1枚は試験溶液に浸してあったものである。パネリストに、2枚の皿の匂いを評価し、以下の方法にしたがって評するよう依頼した:
- 皿の匂いを-1から+1までの等級で評価し、ここで、-1は不快、0は中立、+1は心地よいことを意味する。
- パネリストには、認識した匂いに関する追加コメントを共有することも許容した。
【0112】
その結果、5名中4名のパネリストが、ベンチマーク溶液に浸した皿の匂いを不快と評し、さらに1名のパネリストが中立と評した。さらに、試験溶液に浸した皿の匂いを、3名のパネリストが心地よいと評し、さらに2名のパネリストが中立的と評した。さらに、予め例1fの溶液の組成物に浸しておいた皿の匂いを、3名のパネリストが「ココナッツの匂いを想起させる」と評し、ベンチマーク溶液に浸した皿の匂いを、4名のパネリストが「人工的」または「化学的」と評した。このような香りは、脂肪アルコールエトキシレート界面活性剤に共通する特徴と考えられる。
【0113】
【表4】
【0114】
さらに、今度はステンレス鋼製のスプーンを使用して同じ試験を繰り返した。その後、2セットの清浄なスプーンを用いて試験を行った。1セット目のスプーンをベンチマーク溶液に、2セット目のスプーンを例1fの溶液の組成物に浸した。その後、スプーンを水切りし、5名のパネリストのチームによるブラインドテスト評価を行った。各パネリストは2本のスプーンを受け取ったが、1本はベンチマーク溶液に予め浸してあり、もう1本は例1fの溶液の組成物に浸してあったものである。パネリストに、2本のスプーンの味を評価し、以下の方法にしたがって評するよう依頼した:
- スプーンの味を-1から+1までの等級で評価し、ここで、-1は不快、0は中立、+1は心地よいことを意味する。
【0115】
その結果、5名中3名のパネリストが、ベンチマーク溶液に浸したスプーンの味を中立と評し、さらに2名のパネリストが不快と評した。さらに、試験溶液に浸したスプーンの味を、3名のパネリストが中立的と評し、さらに2名のパネリストが心地よいと評した。
【0116】
【表5】
【0117】
提示された例から明らかなように、本発明の主題により、食器に不快な香りを残すリスクなしに食器を洗浄またはすすぐ目的の生成物の配合が可能となる。その代わりに、食器はココナッツのわずかな香りを有することができ、それはほとんどのパネリストによって心地よいと評価される。
【0118】
例示的配合物
【表6-1】
【表6-2】
【表6-3】
【表6-4】
【表6-5】
【表6-6】
【表6-7】
【表6-8】
【表6-9】
【表6-10】
【表6-11】
【表6-12】
【表6-13】
【表6-14】
【表6-15】
【表6-16】
【表6-17】
【表6-18】
【表6-19】
【表6-20】
【表6-21】
【表6-22】
【表6-23】
【表6-24】
図1
【国際調査報告】