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特表2024-523394異常な遺伝子発現を調節するためのシステムおよび方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-28
(54)【発明の名称】異常な遺伝子発現を調節するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/09 20060101AFI20240621BHJP
   C12N 15/864 20060101ALI20240621BHJP
   C12N 15/867 20060101ALI20240621BHJP
   C12N 15/863 20060101ALI20240621BHJP
   C12N 15/861 20060101ALI20240621BHJP
   A61P 21/00 20060101ALI20240621BHJP
   A61K 31/7088 20060101ALI20240621BHJP
   A61K 38/45 20060101ALI20240621BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20240621BHJP
   C12N 9/16 20060101ALN20240621BHJP
   C12N 9/10 20060101ALN20240621BHJP
   C12N 5/077 20100101ALN20240621BHJP
   C12N 5/10 20060101ALN20240621BHJP
【FI】
C12N15/09 110
C12N15/864 100Z
C12N15/867 Z
C12N15/863 Z
C12N15/861 Z
A61P21/00
A61K31/7088
A61K38/45
A61K48/00
C12N9/16 Z ZNA
C12N9/10
C12N5/077
C12N5/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023577861
(86)(22)【出願日】2022-06-16
(85)【翻訳文提出日】2024-02-13
(86)【国際出願番号】 US2022033797
(87)【国際公開番号】W WO2022266324
(87)【国際公開日】2022-12-22
(31)【優先権主張番号】63/211,791
(32)【優先日】2021-06-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523471839
【氏名又は名称】エピクリスパー バイオテクノロジーズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】コリン ドゥ ロルテ, アレクサンドラ シルヴィー
(72)【発明者】
【氏名】ツォア, ローズマリー ウェンティング
(72)【発明者】
【氏名】アディカリ, アビナブ
(72)【発明者】
【氏名】ボレゴウダ, シッダラジュ
(72)【発明者】
【氏名】ハート, ダニエル オー.
(72)【発明者】
【氏名】ゲイナス, トーマス ブレア
(72)【発明者】
【氏名】カロッソ, ジョヴァンニ
(72)【発明者】
【氏名】ヤン, シャオ
(72)【発明者】
【氏名】デイリー, ティモシー
(72)【発明者】
【氏名】ルオン, タオ グエン ヴ
(72)【発明者】
【氏名】リウ, ヤンシャ
(72)【発明者】
【氏名】コ, テンギュ
(72)【発明者】
【氏名】サルツマン, アンバー ルース
【テーマコード(参考)】
4B065
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4B065AA90X
4B065AA90Y
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA23
4B065CA29
4B065CA31
4B065CA44
4C084AA02
4C084AA03
4C084AA13
4C084DC25
4C084NA14
4C084ZA94
4C086AA01
4C086AA02
4C086EA16
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA94
(57)【要約】
本開示は、対象の疾患または状態(例えば、筋ジストロフィー、例えば顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー(FSHD))を処置または回復させるための細胞(例えば、筋細胞)における標的遺伝子の異常発現を調節するためのシステム、組成物、方法を提供する。本明細書に開示されるシステムのいずれかの一部の実施形態では、複合体が形成されると、筋細胞における標的遺伝子の改変された発現レベルおよび/またはメチル化レベルは、少なくとも約2日間持続する。本明細書に開示されるシステムのいずれかの一部の実施形態では、標的遺伝子の改変された発現レベルおよび/またはメチル化レベルは、少なくとも約3日間、4日間、5日間、6日間、1週間、2週間、2週間、4週間、または2か月間持続する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筋細胞における標的遺伝子の異常発現を調節するためのシステムであって、
約900アミノ酸未満またはそれに等しい長さを有するヌクレアーゼを含む異種ポリペプチド;および
前記異種ポリペプチドと複合体を形成するように構成されたガイド核酸分子であって、前記筋細胞におけるD4Z4リピートアレイでのまたはそれに隣接する標的ポリヌクレオチド配列に対して特異的結合を示すガイド核酸分子
を含み、
前記複合体が形成されると、前記複合体が、前記標的ポリヌクレオチド配列に結合して、前記筋細胞における前記標的遺伝子の発現レベルおよび/またはメチル化レベルの改変をもたらすことが可能であり、前記標的遺伝子が前記D4Z4リピートアレイ内に存在する、システム。
【請求項2】
前記複合体が形成されると、前記筋細胞における前記標的遺伝子の前記改変された発現レベルおよび/またはメチル化レベルが少なくとも約2日間持続する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記標的遺伝子の前記改変された発現レベルおよび/またはメチル化レベルが、少なくとも約3日間、4日間、5日間、6日間、1週間、2週間、2週間、4週間、または2か月持続する、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記標的遺伝子の前記改変された発現レベルおよび/またはメチル化レベルが、少なくとも約17日間持続する、請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
前記標的遺伝子の前記改変された発現レベルおよび/またはメチル化レベルが少なくとも約18日間持続する、請求項2に記載のシステム。
【請求項6】
前記筋細胞が、顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー(FSHD)を有するまたは有することが疑われる対象に存在する、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記標的遺伝子がDux4である、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記ヌクレアーゼが、約800アミノ酸未満またはそれに等しい長さを有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記ヌクレアーゼが、約750アミノ酸未満またはそれに等しい長さを有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記ヌクレアーゼがUn1Cas12f1またはその改変バリアントである、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記ヌクレアーゼが、配列番号43のポリペプチド配列と少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約99%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記ヌクレアーゼが、配列番号44のポリペプチド配列と少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約99%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記異種ポリペプチドが、転写調節因子をさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
前記転写調節因子が少なくとも1つのメチルトランスフェラーゼを含む、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記転写調節因子が、少なくとも1つのDNAメチルトランスフェラーゼ(DNMT)を含む、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記転写調節因子がDNMT-AまたはDNMT-Lを含む、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記転写調節因子が、(i)DNMT-AまたはDNMT-L、および(ii)KRABまたはKRABのバリアントを含む、請求項14に記載のシステム。
【請求項18】
前記転写調節因子が、(i)DNMT-L、および(ii)KRABまたはKRABのバリアントを含む、請求項14に記載のシステム。
【請求項19】
前記転写調節因子が、DNMT-A、DNMT-L、およびKRABまたはKRABのバリアントを含む、請求項14に記載のシステム。
【請求項20】
前記転写調節因子が、DNMT-L、またはKRABもしくはKRABのバリアントを含む、請求項13に記載のシステム。
【請求項21】
前記転写調節因子が、KRABまたはKRABのバリアントを含む、請求項13に記載のシステム。
【請求項22】
前記転写調節因子が、複数の異なる転写調節因子を含む、請求項13に記載のシステム。
【請求項23】
前記標的遺伝子の前記発現レベルおよび/または前記メチル化レベルの前記改変が、前記標的遺伝子の下流の遺伝子の下方調節をもたらし、前記下流の遺伝子が、ZSCAN4、LEUTX、MBD3L2、TRIM48、およびTRIM43からなる群から選択される1つまたは複数のメンバーを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項24】
前記標的遺伝子の前記発現レベルおよび/または前記メチル化レベルの前記改変が、前記筋細胞におけるアポトーシスマーカーの下方調節をもたらす、請求項1に記載のシステム。
【請求項25】
前記アポトーシスマーカーがカスパーゼ3を含む、請求項24に記載のシステム。
【請求項26】
前記複合体が、前記筋遺伝子における前記標的遺伝子の前記発現レベルの前記改変をもたらす、請求項1に記載のシステム。
【請求項27】
前記発現レベルの前記改変が、前記標的遺伝子の下方調節をもたらす、請求項26に記載のシステム。
【請求項28】
前記複合体が、前記筋遺伝子における前記標的遺伝子の前記メチル化レベルの前記改変をもたらす、請求項1に記載のシステム。
【請求項29】
前記メチル化レベルの前記改変が、前記標的遺伝子の下方調節をもたらす、請求項28に記載のシステム。
【請求項30】
前記ヌクレアーゼが、非活性化ヌクレアーゼである、請求項1に記載のシステム。
【請求項31】
先行請求項のいずれか一項に記載のシステムを含む組成物。
【請求項32】
先行請求項のいずれか一項に記載のシステムを含むウイルスベクター。
【請求項33】
アデノ随伴ウイルス(AAV)、レトロウイルス、レンチウイルス、ポックスウイルス、またはアデノウイルスを含む、請求項32に記載のウイルスベクター。
【請求項34】
前記AAVが、AAV血清型RH74 AAVを含む、請求項33に記載のウイルスベクター。
【請求項35】
筋細胞における標的遺伝子の異常発現を調節するための方法であって、
(a)前記筋細胞を、(i)約900アミノ酸未満またはそれに等しい長さを有するヌクレアーゼを含む異種ポリペプチド、および(ii)前記筋細胞におけるD4Z4リピートアレイでのまたはそれに隣接する標的ポリヌクレオチド配列に対して特異的結合を示すガイド核酸分子を含む複合体と接触させること;ならびに
(b)前記接触させると、前記標的遺伝子と前記複合体との結合により、前記筋細胞における前記標的遺伝子の発現レベルおよび/またはメチル化レベルの改変をもたらすことであって、前記標的遺伝子が前記D4Z4リピートアレイ内に存在すること
を含む方法。
【請求項36】
前記複合体が形成されると、前記筋細胞における前記標的遺伝子の前記改変された発現レベルおよび/またはメチル化レベルが少なくとも約2日間持続する、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記標的遺伝子の前記改変された発現レベルおよび/またはメチル化レベルが、少なくとも約3日間、4日間、5日間、6日間、1週間、2週間、2週間、4週間、または2か月持続する、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記標的遺伝子の前記改変された発現レベルおよび/またはメチル化レベルが、少なくとも約17日間持続する、請求項36に記載の方法。
【請求項39】
前記標的遺伝子の前記改変された発現レベルおよび/またはメチル化レベルが、少なくとも約18日間持続する、請求項36に記載の方法。
【請求項40】
前記接触させることが、前記複合体を含む組成物を注射することを必要とする対象に前記複合体を含む組成物を注射することを含み、前記対象が、顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー(FSHD)を有するかまたは有することが疑われる、請求項35に記載の方法。
【請求項41】
前記標的遺伝子がDux4である、請求項35に記載の方法。
【請求項42】
前記ヌクレアーゼが、約800アミノ酸未満またはそれに等しい長さを有する、請求項35に記載の方法。
【請求項43】
前記ヌクレアーゼが、約750アミノ酸未満またはそれに等しい長さを有する、請求項35に記載の方法。
【請求項44】
前記ヌクレアーゼが、Un1Cas12f1またはその改変バリアントである、請求項35に記載の方法。
【請求項45】
前記ヌクレアーゼが、配列番号43のポリペプチド配列と少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約99%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項35に記載の方法。
【請求項46】
前記ヌクレアーゼが、配列番号44のポリペプチド配列と少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約99%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項35に記載の方法。
【請求項47】
前記異種ポリペプチドが転写調節因子をさらに含む、請求項35に記載の方法。
【請求項48】
前記転写調節因子が少なくとも1つのメチルトランスフェラーゼを含む、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記転写調節因子が、少なくとも1つのDNAメチルトランスフェラーゼ(DNMT)を含む、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記転写調節因子がDNMT-AまたはDNMT-Lを含む、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記転写調節因子が、(i)DNMT-AまたはDNMT-L、および(ii)KRABまたはKRABのバリアントを含む、請求項49に記載の方法。
【請求項52】
前記転写調節因子が、(i)DNMT-L、および(ii)KRABまたはKRABのバリアントを含む、請求項49に記載の方法。
【請求項53】
前記転写調節因子が、DNMT-A、DNMT-L、およびKRABまたはKRABのバリアントを含む、請求項49に記載の方法。
【請求項54】
前記転写調節因子が、DNMT-LまたはKRABもしくはKRABのバリアントを含む、請求項47に記載の方法。
【請求項55】
前記転写調節因子が、KRABまたはKRABのバリアントを含む、請求項47に記載の方法。
【請求項56】
前記転写調節因子が、複数の異なる転写調節因子を含む、請求項47に記載の方法。
【請求項57】
前記標的遺伝子の前記発現レベルおよび/または前記メチル化レベルの前記改変が、前記標的遺伝子の下流の遺伝子の下方調節をもたらし、前記下流の遺伝子が、ZSCAN4、LEUTX、MBD3L2、TRIM48、およびTRIM43からなる群から選択される1つまたは複数のメンバーを含む、請求項35に記載の方法。
【請求項58】
前記標的遺伝子の前記発現レベルおよび/または前記メチル化レベルの前記改変が、前記筋細胞におけるアポトーシスマーカーの下方調節をもたらす、請求項35に記載の方法。
【請求項59】
前記アポトーシスマーカーが、カスパーゼ3を含む、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記複合体が、前記筋遺伝子における前記標的遺伝子の前記発現レベルの前記改変をもたらす、請求項35に記載の方法。
【請求項61】
前記発現レベルの前記改変が、前記標的遺伝子の下方調節をもたらす、請求項35に記載の方法。
【請求項62】
前記複合体が、前記筋遺伝子における前記標的遺伝子の前記メチル化レベルの前記改変をもたらす、請求項35に記載の方法。
【請求項63】
前記メチル化レベルの前記改変が、前記標的遺伝子の下方調節をもたらす、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
前記ヌクレアーゼが、不活性化ヌクレアーゼである、請求項35に記載の方法。
【請求項65】
筋細胞における標的遺伝子の異常発現を調節するためのシステムであって、
遺伝子調節因子に結合した異種アクチュエーター部分であって、前記異種アクチュエーター部分が、前記筋細胞における前記標的遺伝子と複合体を形成することが可能であり、前記遺伝子調節因子が、前記筋細胞における前記標的遺伝子の発現レベルおよび/またはメチル化レベルを改変することが可能である、異種アクチュエーター部分
を含み、
前記複合体が形成されると、前記筋細胞における前記標的遺伝子の前記改変された発現レベルおよび/またはメチル化レベルが少なくとも約2日間持続する、システム。
【請求項66】
前記標的遺伝子の前記持続性の改変された発現レベルおよび/または前記メチル化レベルが、前記標的遺伝子の前記改変された発現レベルおよび/またはメチル化レベルの少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%、または100%を維持することによって特徴付けられる、請求項65に記載のシステム。
【請求項67】
前記標的遺伝子の前記改変された発現レベルおよび/またはメチル化レベルが、少なくとも約3日間、4日間、5日間、6日間、1週間、2週間、3週間、4週間、または2か月間持続する、先行請求項のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項68】
前記標的遺伝子の前記改変された発現レベルが、前記標的遺伝子の発現レベルの減少である、先行請求項のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項69】
前記標的遺伝子の前記改変されたメチル化レベルが、前記標的遺伝子のメチル化度の増加である、先行請求項のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項70】
前記遺伝子調節因子が、エピジェネティック調節因子を含む、先行請求項のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項71】
前記エピジェネティック調節因子がクロマチン修飾因子を含む、先行請求項のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項72】
前記エピジェネティック調節因子が、少なくとも1つのメチルトランスフェラーゼを含む、先行請求項のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項73】
前記エピジェネティック調節因子が、少なくとも1つのDNAメチルトランスフェラーゼ(DNMT)を含む、先行請求項のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項74】
前記エピジェネティック調節因子が、DNMT-AまたはDNMT-Lを含む、先行請求項のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項75】
前記エピジェネティック調節因子が、(i)DNMT-AまたはDNMT-L、および(ii)KRABまたはKRABのバリアントを含む、先行請求項のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項76】
前記エピジェネティック調節因子が、DNMT-A、DNMT-L、およびKRABまたはKRABのバリアントを含む、先行請求項のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項77】
前記エピジェネティック調節因子が、KRABまたはKRABのバリアントを構成する、先行請求項のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項78】
前記遺伝子調節因子が、複数の異なる遺伝子調節因子を含む、先行請求項のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項79】
前記異種アクチュエーター部分を前記標的遺伝子に向けて、前記複合体を形成することが可能であるガイド核酸分子をさらに含む、先行請求項のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項80】
前記異種アクチュエーター部分が筋調節遺伝子の第1の部分と複合体を形成することが可能であり、前記システムが追加の遺伝子調節因子に結合した追加の異種アクチュエーター部分をさらに含み、前記追加の異種アクチュエーター部分が、前記筋調節遺伝子の第2の部分と複合体を形成することが可能である、先行請求項のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項81】
前記追加の異種アクチュエーター部分を、前記筋調節遺伝子の第2の部分に向けることが可能な追加のガイド核酸分子をさらに含む、先行請求項のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項82】
前記標的遺伝子が転写因子である、先行請求項のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項83】
前記標的遺伝子が、D4Z4リピートアレイ内に存在する、先行請求項のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項84】
前記標的遺伝子がDUX4をコードする、先行請求項のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項85】
前記標的遺伝子がC9orf72ではない、先行請求項のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項86】
前記筋細胞が骨格筋細胞である、先行請求項のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項87】
前記異種アクチュエーター部分または前記追加の異種アクチュエーター部分が、エンドヌクレアーゼを含む、先行請求項のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項88】
前記異種アクチュエーター部分または前記追加の異種アクチュエーター部分が、CRISPR-Casタンパク質を含む、先行請求項のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項89】
前記異種アクチュエーター部分または前記追加の異種アクチュエーター部分が、dCasタンパク質を含む、先行請求項のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項90】
前記ガイド核酸分子または前記追加のガイド核酸分子が、ガイドRNA分子を含む、先行請求項のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項91】
筋細胞における標的遺伝子の異常発現を調節するための方法であって、
(a)前記筋細胞を、遺伝子調節因子に結合した異種アクチュエーター部分と接触させることであって、前記異種アクチュエーター部分が前記筋細胞における前記標的遺伝子と複合体を形成することが可能であり、および前記遺伝子調節因子が、前記筋細胞における前記標的遺伝子の発現レベルおよび/またはメチル化レベルを改変することが可能であること;ならびに
(b)前記複合体が形成されると、前記筋細胞における前記標的遺伝子の前記改変された発現レベルおよび/またはメチル化レベルを少なくとも約2日間持続させること
を含む方法。
【請求項92】
前記標的遺伝子の前記持続性の改変された発現レベルおよび/または前記メチル化レベルが、前記標的遺伝子の前記改変された発現レベルおよび/またはメチル化レベルの少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%、または100%を維持することによって特徴付けられる、請求項91に記載の方法。
【請求項93】
前記標的遺伝子の前記改変された発現レベルおよび/またはメチル化レベルが、少なくとも約3日間、4日間、5日間、6日間、1週間、2週間、3週間、4週間、または2か月間持続する、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項94】
前記標的遺伝子の前記改変された発現レベルが、前記標的遺伝子の発現レベルの減少である、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項95】
前記標的遺伝子の前記改変されたメチル化レベルが、前記標的遺伝子のメチル化度の増加である、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項96】
前記遺伝子調節因子がエピジェネティック調節因子を含む、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項97】
前記エピジェネティック調節因子が、クロマチン修飾因子を含む、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項98】
前記エピジェネティック調節因子が、少なくとも1つのメチルトランスフェラーゼを含む、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項99】
前記エピジェネティック調節因子が、少なくとも1つのDNAメチルトランスフェラーゼ(DNMT)を含む、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項100】
前記エピジェネティック調節因子が、DNMT-AまたはDNMT-Lを含む、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項101】
前記エピジェネティック調節因子が、(i)DNMT-AまたはDNMT-L、および(ii)KRABまたはKRABのバリアントを含む、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項102】
前記エピジェネティック調節因子が、DNMT-A、DNMT-L、およびKRABまたはKRABのバリアントを含む、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項103】
前記エピジェネティック調節因子が、KRABまたはKRABのバリアントを含む、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項103】
前記遺伝子調節因子が、複数の異なる遺伝子調節因子を含む、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項104】
前記筋細胞を、前記異種アクチュエーター部分を前記標的遺伝子に向けて、前記複合体を形成することが可能であるガイド核酸分子と接触させることをさらに含む、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項105】
前記異種アクチュエーター部分が前記筋調節遺伝子の第1の部分と複合体を形成することが可能であり、前記方法が、前記筋細胞を、追加の遺伝子調節因子に結合した追加の異種アクチュエーター部分と接触させることをさらに含み、前記追加の異種アクチュエーター部分が、前記筋調節遺伝子の第2の部分と複合体を形成することが可能である、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項106】
前記筋細胞を、前記追加の異種アクチュエーター部分を前記筋調節遺伝子の前記第2の部分に向けることが可能な前記追加のガイド核酸分子と接触させることをさらに含む、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項107】
前記標的遺伝子が転写因子である、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項108】
前記標的遺伝子が、D4Z4リピートアレイ内に存在する、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項109】
前記標的遺伝子がDUX4をコードする、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項110】
前記標的遺伝子がC9orf72ではない、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項111】
前記筋細胞が骨格筋細胞である、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項112】
前記異種アクチュエーター部分または前記追加の異種アクチュエーター部分が、エンドヌクレアーゼを含む、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項113】
前記異種アクチュエーター部分または前記追加の異種アクチュエーター部分が、CRISPR-Casタンパク質を含む、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項114】
前記異種アクチュエーター部分または前記追加の異種アクチュエーター部分が、dCasタンパク質を含む、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項115】
前記ガイド核酸分子または前記追加のガイド核酸分子が、ガイドRNA分子を含む、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
本出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、2021年6月17日に出願された米国仮特許出願第63/211,791号の利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
背景
1つまたは複数の遺伝子の異常発現は、疾患または状態をもたらし得る。一部の例では、対象の筋細胞における胚転写因子の異常発現は、筋ジストロフィーをもたらし得る。例えば、筋細胞における転写因子の異常発現(例えば、骨格筋細胞におけるDUX4の異常発現)は、顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー(FSHD)をもたらし得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
概要
細胞における標的遺伝子の異常発現を一過性に改変しても、標的遺伝子の異常発現によって現れる疾患を処置または治癒するために十分ではない場合がある。このように、標的遺伝子の異常発現を改変し、長期間にわたって標的遺伝子の改変された発現レベルを維持するためのシステムおよび方法がなおも実質的に必要である。
【0004】
一態様では、本開示は、筋細胞における標的遺伝子の異常発現を調節するためのシステムであって、約900アミノ酸未満またはそれに等しい長さを有するヌクレアーゼを含む異種ポリペプチド;および異種ポリペプチドと複合体を形成するように構成されたガイド核酸分子であって、筋細胞におけるD4Z4リピートアレイでのまたはそれに隣接する標的ポリヌクレオチド配列に対して特異的結合を示すガイド核酸分子を含み、複合体が形成されると、複合体が、標的ポリヌクレオチド配列に結合して、筋細胞における標的遺伝子の発現レベルおよび/またはメチル化レベルの改変をもたらすことが可能であり、標的遺伝子がD4Z4リピートアレイ内に存在する、システムを提供する。
【0005】
本明細書に開示されるシステムのいずれかの一部の実施形態では、複合体が形成されると、筋細胞における標的遺伝子の改変された発現レベルおよび/またはメチル化レベルは、少なくとも約2日間持続する。本明細書に開示されるシステムのいずれかの一部の実施形態では、標的遺伝子の改変された発現レベルおよび/またはメチル化レベルは、少なくとも約3日間、4日間、5日間、6日間、1週間、2週間、2週間、4週間、または2か月間持続する。本明細書に開示されるシステムのいずれかの一部の実施形態では、標的遺伝子の改変された発現レベルおよび/またはメチル化レベルは、少なくとも約17日間持続する。本明細書に開示されるシステムのいずれかの一部の実施形態では、標的遺伝子の改変された発現レベルおよび/またはメチル化レベルは、少なくとも約18日間持続する。
【0006】
本明細書に開示されるシステムのいずれかの一部の実施形態では、筋細胞は、顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー(FSHD)を有するまたは有することが疑われる対象に存在する。本明細書に開示されるシステムのいずれかの一部の実施形態では、標的遺伝子はDux4である。
【0007】
本明細書に開示されるシステムのいずれかの一部の実施形態では、ヌクレアーゼは、約800アミノ酸未満またはそれに等しい長さを有する。本明細書に開示されるシステムのいずれかの一部の実施形態では、ヌクレアーゼは、約750アミノ酸未満またはそれに等しい長さを有する。
【0008】
本明細書に開示されるシステムのいずれかの一部の実施形態では、ヌクレアーゼは、Un1Cas12f1またはその改変バリアントである。本明細書に開示されるシステムのいずれかの一部の実施形態では、ヌクレアーゼは、配列番号43のポリペプチド配列と少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約99%同一であるアミノ酸配列を含む。本明細書に開示されるシステムのいずれかの一部の実施形態では、ヌクレアーゼは、配列番号44のポリペプチド配列と少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約99%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0009】
本明細書に開示されるシステムのいずれかの一部の実施形態では、異種ポリペプチドは、転写調節因子をさらに含む。本明細書に開示されるシステムのいずれかの一部の実施形態では、転写調節因子は、少なくとも1つのメチルトランスフェラーゼを含む。本明細書に開示されるシステムのいずれかの一部の実施形態では、転写調節因子は、少なくとも1つのDNAメチルトランスフェラーゼ(DNMT)を含む。本明細書に開示されるシステムのいずれかの一部の実施形態では、転写調節因子は、DNMT-AまたはDNMT-Lを含む。本明細書に開示されるシステムのいずれかの一部の実施形態では、転写調節因子は、(i)DNMT-AまたはDNMT-L、および(ii)KRABまたはKRABのバリアントを含む。本明細書に開示されるシステムのいずれかの一部の実施形態では、転写調節因子は、(i)DNMT-L、および(ii)KRABまたはKRABのバリアントを含む。本明細書に開示されるシステムのいずれかの一部の実施形態では、転写調節因子は、DNMT-A、DNMT-L、およびKRABまたはKRABのバリアントを含む。本明細書に開示されるシステムのいずれかの一部の実施形態では、転写調節因子は、DNMT-LまたはKRABまたはKRABのバリアントを含む。本明細書に開示されるシステムのいずれかの一部の実施形態では、転写調節因子は、KRABまたはKRABのバリアントを含む。本明細書に開示されるシステムのいずれかの一部の実施形態では、転写調節因子は、複数の異なる転写調節因子を含む。
【0010】
本明細書に開示されるシステムのいずれかの一部の実施形態では、標的遺伝子の発現レベルおよび/またはメチル化レベルの改変は、標的遺伝子の下流の遺伝子の下方調節をもたらし、下流の遺伝子は、ZSCAN4、LEUTX、MBD3L2、TRIM48、およびTRIM43からなる群から選択される1つまたは複数のメンバーを含む。
【0011】
本明細書に開示されるシステムのいずれかの一部の実施形態では、標的遺伝子の発現レベルおよび/またはメチル化レベルの改変は、筋細胞においてアポトーシスマーカーの下方調節をもたらす。本明細書に開示されるシステムのいずれかの一部の実施形態では、アポトーシスマーカーは、カスパーゼ3を含む。
【0012】
本明細書に開示されるシステムのいずれかの一部の実施形態では、複合体は、筋遺伝子における標的遺伝子の発現レベルの改変をもたらす。本明細書に開示されるシステムのいずれかの一部の実施形態では、発現レベルの改変は、標的遺伝子の下方調節をもたらす。
【0013】
本明細書に開示されるシステムのいずれかの一部の実施形態では、複合体は、筋遺伝子における標的遺伝子のメチル化レベルの改変をもたらす。本明細書に開示されるシステムのいずれかの一部の実施形態では、メチル化レベルの改変は、標的遺伝子の下方調節をもたらす。
【0014】
本明細書に開示されるシステムのいずれかの一部の実施形態では、ヌクレアーゼは、非活性化ヌクレアーゼである。
【0015】
別の態様では、本開示は、本明細書に開示されるシステムのいずれかを含む組成物を提供する。
【0016】
別の態様では、本開示は、本明細書に開示されるシステムのいずれかまたは組成物のいずれかを含むウイルスベクターを提供する。
【0017】
本明細書に開示されるウイルスベクターのいずれかの一部の実施形態では、ウイルスベクターは、アデノ随伴ウイルス(AAV)、レトロウイルス、レンチウイルス、ポックスウイルス、またはアデノウイルスを含む。本明細書に開示されるウイルスベクターのいずれかの一部の実施形態では、AAVは、AAV血清型RH74 AAVを含む。
【0018】
別の態様では、本開示は、筋細胞における標的遺伝子の異常発現を調節するための方法であって、(a)筋細胞を、(i)約900アミノ酸未満またはそれに等しい長さを有するヌクレアーゼを含む異種ポリペプチド、および(ii)筋細胞においてD4Z4リピートアレイでのまたはそれに隣接する標的ポリヌクレオチド配列に対して特異的結合を示すガイド核酸分子を含む複合体と接触させること;ならびに(b)接触させると、標的遺伝子と複合体との結合が、筋細胞における標的遺伝子の発現レベルおよび/またはメチル化レベルの改変をもたらすことを含み、標的遺伝子がD4Z4リピートアレイ内に存在する、方法を提供する。
【0019】
本明細書に開示される方法のいずれかの一部の実施形態では、複合体が形成されると、筋細胞における標的遺伝子の改変された発現レベルおよび/またはメチル化レベルは、少なくとも約2日間持続する。本明細書に開示される方法のいずれかの一部の実施形態では、標的遺伝子の改変された発現レベルおよび/またはメチル化レベルは、少なくとも約3日間、4日間、5日間、6日間、1週間、2週間、2週間、4週間、または2か月間持続する。本明細書に開示される方法のいずれかの一部の実施形態では、標的遺伝子の改変された発現レベルおよび/またはメチル化レベルは、少なくとも約17日間持続する。本明細書に開示される方法のいずれかの一部の実施形態では、標的遺伝子の改変された発現レベルおよび/またはメチル化レベルは、少なくとも約18日間持続する。
【0020】
本明細書に開示される方法のいずれかの一部の実施形態では、接触させることは、複合体を含む組成物を注射することを必要とする対象に複合体を含む組成物を注射することを含み、対象は顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー(FSHD)を有するまたは有することが疑われる。本明細書に開示される方法のいずれかの一部の実施形態では、標的遺伝子はDux4である。
【0021】
本明細書に開示される方法のいずれかの一部の実施形態では、ヌクレアーゼは、約800アミノ酸未満またはそれに等しい長さを有する。本明細書に開示される方法のいずれかの一部の実施形態では、ヌクレアーゼは、約750アミノ酸未満またはそれに等しい長さを有する。
【0022】
本明細書に開示される方法のいずれかの一部の実施形態では、ヌクレアーゼは、Un1Cas12f1またはその改変バリアントである。
【0023】
本明細書に開示される方法のいずれかの一部の実施形態では、ヌクレアーゼは、配列番号43のポリペプチド配列と少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約99%同一であるアミノ酸配列を含む。本明細書に開示される方法のいずれかの一部の実施形態では、ヌクレアーゼは、配列番号44のポリペプチド配列と少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約99%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0024】
本明細書に開示される方法のいずれかの一部の実施形態では、異種ポリペプチドは、転写調節因子をさらに含む。本明細書に開示される方法のいずれかの一部の実施形態では、転写調節因子は、少なくとも1つのメチルトランスフェラーゼを含む。本明細書に開示される方法のいずれかの一部の実施形態では、転写調節因子は、少なくとも1つのDNAメチルトランスフェラーゼ(DNMT)を含む。本明細書に開示される方法のいずれかの一部の実施形態では、転写調節因子は、DNMT-AまたはDNMT-Lを含む。本明細書に開示される方法のいずれかの一部の実施形態では、転写調節因子は、(i)DNMT-AまたはDNMT-L、および(ii)KRABまたはKRABのバリアントを含む。本明細書に開示される方法のいずれかの一部の実施形態では、転写調節因子は、(i)DNMT-L、および(ii)KRABまたはKRABのバリアントを含む。本明細書に開示される方法のいずれかの一部の実施形態では、転写調節因子は、DNMT-A、DNMT-L、およびKRABまたはKRABのバリアントを含む。本明細書に開示される方法のいずれかの一部の実施形態では、転写調節因子は、DNMT-LまたはKRABまたはKRABのバリアントを含む。本明細書に開示される方法のいずれかの一部の実施形態では、転写調節因子は、KRABまたはKRABのバリアントを含む。本明細書に開示される方法のいずれかの一部の実施形態では、転写調節因子は、複数の異なる転写調節因子を含む。
【0025】
本明細書に開示される方法のいずれかの一部の実施形態では、標的遺伝子の発現レベルおよび/またはメチル化レベルの改変は、標的遺伝子の下流の遺伝子の下方調節をもたらし、下流の遺伝子は、ZSCAN4、LEUTX、MBD3L2、TRIM48、およびTRIM43からなる群から選択される1つまたは複数のメンバーを含む。
【0026】
本明細書に開示される方法のいずれかの一部の実施形態では、標的遺伝子の発現レベルおよび/またはメチル化レベルの改変は、筋細胞におけるアポトーシスマーカーの下方調節をもたらす。本明細書に開示される方法のいずれかの一部の実施形態では、アポトーシスマーカーはカスパーゼ3を含む。
【0027】
本明細書に開示される方法のいずれかの一部の実施形態では、複合体は、筋細胞における標的遺伝子の発現レベルの改変をもたらす。
【0028】
本明細書に開示される方法のいずれかの一部の実施形態では、発現レベルの改変は、標的遺伝子の下方調節をもたらす。
【0029】
本明細書に開示される方法のいずれかの一部の実施形態では、複合体は、筋遺伝子における標的遺伝子のメチル化レベルの改変をもたらす。本明細書に開示される方法のいずれかの一部の実施形態では、メチル化レベルの改変は、標的遺伝子の下方調節をもたらす。
【0030】
本明細書に開示される方法のいずれかの一部の実施形態では、ヌクレアーゼは、非活性化ヌクレアーゼである。
【0031】
別の態様では、本開示は、筋細胞における標的遺伝子の異常発現を調節するためのシステムであって、遺伝子調節因子に結合した異種アクチュエーター部分を含み、異種アクチュエーター部分が、筋細胞における標的遺伝子と複合体を形成することが可能であり、遺伝子調節因子が、筋細胞における標的遺伝子の発現レベルおよび/またはメチル化レベルを改変することが可能であり、複合体が形成されると、筋細胞における標的遺伝子の改変された発現レベルおよび/またはメチル化レベルが少なくとも約2日間持続するシステムを提供する。
【0032】
本明細書に開示されるシステムのいずれかの一部の実施形態では、標的遺伝子の持続性の改変された発現レベルおよび/またはメチル化レベルは、標的遺伝子の改変された発現レベルおよび/またはメチル化レベルの少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%、または100%を維持することによって特徴付けられる。
【0033】
本明細書に開示されるシステムのいずれかの一部の実施形態では、標的遺伝子の改変された発現レベルおよび/またはメチル化レベルは、少なくとも約3日間、4日間、5日間、6日間、1週間、2週間、3週間、4週間、または2か月間持続する。
【0034】
本明細書に開示されるシステムのいずれかの一部の実施形態では、標的遺伝子の改変された発現レベルは、標的遺伝子の発現レベルの減少である。
【0035】
本明細書に開示されるシステムのいずれかの一部の実施形態では、標的遺伝子の改変されたメチル化レベルは、標的遺伝子のメチル化度の増加である。
【0036】
本明細書に開示されるシステムのいずれかの一部の実施形態では、遺伝子調節因子は、エピジェネティック調節因子を含む。本明細書に開示されるシステムのいずれかの一部の実施形態では、エピジェネティック調節因子は、クロマチン修飾因子を含む。本明細書に開示されるシステムのいずれかの一部の実施形態では、エピジェネティック調節因子は、少なくとも1つのメチルトランスフェラーゼを含む。本明細書に開示されるシステムのいずれかの一部の実施形態では、エピジェネティック調節因子は、少なくとも1つのDNAメチルトランスフェラーゼ(DNMT)を含む。本明細書に開示されるシステムのいずれかの一部の実施形態では、エピジェネティック調節因子は、DNMT-AまたはDNMT-Lを含む。本明細書に開示されるシステムのいずれかの一部の実施形態では、エピジェネティック調節因子は、(i)DNMT-AまたはDNMT-L、および(ii)KRABまたはKRABのバリアントを含む。本明細書に開示されるシステムのいずれかの一部の実施形態では、エピジェネティック調節因子は、DNMT-A、DNMT-L、およびKRABまたはKRABのバリアントを含む。本明細書に開示されるシステムのいずれかの一部の実施形態では、エピジェネティック調節因子(epigenetic regular)は、KRABまたはKRABのバリアントを構成する。本明細書に開示されるシステムのいずれかの一部の実施形態では、遺伝子調節因子は、複数の異なる遺伝子調節因子を含む。
【0037】
本明細書に開示されるシステムのいずれかの一部の実施形態では、システムは、異種アクチュエーター部分を標的遺伝子に向けて、複合体を形成することを可能にするガイド核酸分子をさらに含む。
【0038】
本明細書に開示されるシステムのいずれかの一部の実施形態では、異種アクチュエーター部分は、筋調節遺伝子の第1の部分と複合体を形成することが可能であり、システムは、追加の遺伝子調節因子に結合した追加の異種アクチュエーター部分をさらに含み、追加の異種アクチュエーター部分は、筋調節遺伝子の第2の部分と複合体を形成することが可能である。
【0039】
本明細書に開示されるシステムのいずれかの一部の実施形態では、システムは、追加の異種アクチュエーター部分を筋調節遺伝子の第2の部分に向けることが可能な追加のガイド核酸分子をさらに含む。
【0040】
本明細書に開示されるシステムのいずれかの一部の実施形態では、標的遺伝子は転写因子である。
【0041】
本明細書に開示されるシステムのいずれかの一部の実施形態では、標的遺伝子は、D4Z4リピートアレイ内にある。本明細書に開示されるシステムのいずれかの一部の実施形態では、標的遺伝子はDUX4をコードする。
【0042】
本明細書に開示されるシステムのいずれかの一部の実施形態では、標的遺伝子は、C9orf72ではない。
【0043】
本明細書に開示されるシステムのいずれかの一部の実施形態では、筋細胞は骨格筋細胞である。
【0044】
本明細書に開示されるシステムのいずれかの一部の実施形態では、異種アクチュエーター部分または追加の異種アクチュエーター部分は、エンドヌクレアーゼを含む。本明細書に開示されるシステムのいずれかの一部の実施形態では、異種アクチュエーター部分または追加の異種アクチュエーター部分は、CRISPR-Casタンパク質を含む。本明細書に開示されるシステムのいずれかの一部の実施形態では、異種アクチュエーター部分または追加の異種アクチュエーター部分は、dCasタンパク質を含む。本明細書に開示されるシステムのいずれかの一部の実施形態では、ガイド核酸分子または追加のガイド核酸分子は、ガイドRNA分子を含む。
【0045】
別の態様では、本開示は、筋細胞における標的遺伝子の異常発現を調節するための方法であって、(a)筋細胞を、遺伝子調節因子に結合した異種アクチュエーター部分と接触させることであって、異種アクチュエーター部分が、筋細胞における標的遺伝子と複合体を形成することが可能であり、遺伝子調節因子が、筋細胞における標的遺伝子の発現レベルおよび/またはメチル化レベルを改変することが可能であること;ならびに(b)複合体が形成されると、筋細胞における標的遺伝子の改変された発現レベルおよび/またはメチル化レベルを少なくとも約2日間持続させることを含む、方法を提供する。
【0046】
本明細書に開示される方法のいずれかの一部の実施形態では、標的遺伝子の持続性の改変された発現レベルおよび/またはメチル化レベルは、標的遺伝子の改変された発現レベルおよび/またはメチル化レベルの少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%、または100%を維持することによって特徴付けられる。
【0047】
本明細書に開示される方法のいずれかの一部の実施形態では、標的遺伝子の改変された発現レベルおよび/またはメチル化レベルは、少なくとも約3日間、4日間、5日間、6日間、1週間、2週間、3週間、4週間、または2か月間持続する。
【0048】
本明細書に開示される方法のいずれかの一部の実施形態では、標的遺伝子の改変された発現レベルは、標的遺伝子の発現レベルの減少である。
【0049】
本明細書に開示される方法のいずれかの一部の実施形態では、標的遺伝子の改変されたメチル化レベルは、標的遺伝子のメチル化度の増加である。
【0050】
本明細書に開示される方法のいずれかの一部の実施形態では、遺伝子調節因子は、エピジェネティック調節因子を含む。本明細書に開示される方法のいずれかの一部の実施形態では、エピジェネティック調節因子は、クロマチン修飾因子を含む。本明細書に開示される方法のいずれかの一部の実施形態では、エピジェネティック調節因子は、少なくとも1つのメチルトランスフェラーゼを含む。本明細書に開示される方法のいずれかの一部の実施形態では、エピジェネティック調節因子は、少なくとも1つのDNAメチルトランスフェラーゼ(DNMT)を含む。本明細書に開示される方法のいずれかの一部の実施形態では、エピジェネティック調節因子は、DNMT-AまたはDNMT-Lを含む。本明細書に開示される方法のいずれかの一部の実施形態では、エピジェネティック調節因子は、(i)DNMT-AまたはDNMT-L、および(ii)KRABまたはKRABのバリアントを含む。本明細書に開示される方法のいずれかの一部の実施形態では、エピジェネティック調節因子は、DNMT-A、DNMT-L、およびKRABまたはKRABのバリアントを含む。本明細書に開示される方法のいずれかの一部の実施形態では、エピジェネティック調節因子(epigenetic regular)は、KRABまたはKRABのバリアントを構成する。本明細書に開示される方法のいずれかの一部の実施形態では、遺伝子調節因子は、複数の異なる遺伝子調節因子を含む。
【0051】
本明細書に開示される方法のいずれかの一部の実施形態では、方法は、筋細胞を、異種アクチュエーター部分を標的遺伝子へと向けることが可能なガイド核酸分子と接触させて、複合体を形成させることをさらに含む。
【0052】
本明細書に開示される方法のいずれかの一部の実施形態では、異種アクチュエーター部分は、筋調節遺伝子の第1の部分と複合体を形成することが可能であり、方法は、筋細胞を、追加の遺伝子調節因子に結合した追加の異種アクチュエーター部分と接触させることをさらに含み、追加の異種アクチュエーター部分は、筋調節遺伝子の第2の部分と複合体を形成することが可能である。
【0053】
本明細書に開示される方法のいずれかの一部の実施形態では、方法は、筋細胞を、追加の異種アクチュエーター部分を筋調節遺伝子の第2の部分へと向けることが可能な追加のガイド核酸分子と接触させることをさらに含む。
【0054】
本明細書に開示される方法のいずれかの一部の実施形態では、標的遺伝子は転写因子である。
【0055】
本明細書に開示される方法のいずれかの一部の実施形態では、標的遺伝子は、D4Z4リピートアレイ内にある。本明細書に開示される方法のいずれかの一部の実施形態では、標的遺伝子は、DUX4をコードする。本明細書に開示される方法のいずれかの一部の実施形態では、標的遺伝子は、C9orf72ではない。
【0056】
本明細書に開示される方法のいずれかの一部の実施形態では、筋細胞は骨格筋細胞である。
【0057】
本明細書に開示される方法のいずれかの一部の実施形態では、異種アクチュエーター部分、または追加の異種アクチュエーター部分は、エンドヌクレアーゼを含む。本明細書に開示される方法のいずれかの一部の実施形態では、異種アクチュエーター部分、または追加の異種アクチュエーター部分は、CRISPR-Casタンパク質を含む。本明細書に開示される方法のいずれかの一部の実施形態では、異種アクチュエーター部分、または追加の異種アクチュエーター部分は、dCasタンパク質を含む。本明細書に開示される方法のいずれかの一部の実施形態では、ガイド核酸分子または追加のガイド核酸分子は、ガイドRNA分子を含む。
【0058】
本開示の追加の態様および利点は、本開示の例示的な実施形態のみを示して説明する以下の詳細な説明から当業者に容易に明らかとなる。認識されるように、本開示は、全て本開示から逸脱することなく、他のおよび異なる実施形態が可能であり、そのいくつかの詳細は、様々な明白な点で改変することが可能である。したがって、図面および説明は、本質的に例示的であって、限定的ではないと見なされるべきである。
【0059】
参照による組み入れ
本明細書において言及した全ての刊行物、特許、および特許出願は、各々の個々の刊行物、特許、または特許出願が具体的かつ個々に参照により本明細書に組み込まれることが示されているのと同程度に参照により本明細書に組み込まれる。
【0060】
本開示の新規特色を、添付の特許請求の範囲に詳細に記載する。本開示の特色および利点の良好な理解は、本発明の原理が利用される例示的な実施形態を記載する以下の詳細な説明、および以下の添付の図面を参照することによって得られる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
図1図1は、DUX4をコードするD4Z4リピートアレイ内の2つのCpGアイランド間の異なる標的ポリヌクレオチド配列(例えば、ランク#1~ランク#91)を提供する。
【0062】
図2図2は、DUX4をコードするD4Z4リピートアレイ内の様々なガイドRNA分子標的ポリヌクレオチド配列(例えば、ランク#1~ランク#91)と複合体を形成した遺伝子調節因子(例えば、dCas-KRAB-DNMT3A-DNMT3L)に結合した異種アクチュエーター部分によって標的細胞集団(例えば、リンパ芽球)におけるDUX4発現の調節を提供する。
【0063】
図3-1】図3Aは、不死化患者由来ヒトFSHD骨格筋芽細胞(SkM)(12ABIC/12Aおよび15ABIC/15A)におけるDUX4およびDUX4標的遺伝子の遺伝子発現を示す。DUX4およびDUX4標的遺伝子の遺伝子発現を、12ABICおよび15ABIC未分化細胞、2日間分化後の12ABICおよび15ABIC細胞、ならびに7日間分化後の12ABICおよび15ABIC細胞において測定する。グラフ上の各々の灰色の階調は、右の凡例に対応する異なる遺伝子の遺伝子発現を示す。図3Bは、2日間分化後のその健康な同胞対照筋芽細胞12UBICおよび15VBIC(左のカラム)とそれぞれ比較したFSHD筋芽細胞12ABICおよび15ABIC(右のカラム)におけるアポトーシス細胞の割合を示す。左の画像上の白い点は、アポトーシス細胞を表す。右のグラフは左側の画像で示される2日間分化後の12ABIC、15ABIC、12UBIC、および15VBIC細胞培養におけるアポトーシス細胞のパーセンテージを示す。DAPI染色を使用して、核を染色する。図3Cは、7日間分化後の12ABIC、15ABIC、12UBIC、および15VBIC細胞におけるアポトーシス細胞のパーセンテージを示す。アポトーシス細胞のパーセンテージを分化の0日目、1日目、2日目、および7日目に測定する。図3Dは、7日間分化後の12ABIC、15ABIC、12UBIC、および15VBIC細胞におけるMYHCの発現を示す。ミオシン重鎖(MYHC)は、筋細胞分化のマーカーである。白色の点は、MYHCの発現を示す。図3Eは、7日間分化後の12ABIC、15ABIC、12UBIC、および15VBIC細胞におけるMYOG、MYH2、およびMYMKの発現レベルを示す。MYOGは、骨格筋分化を調節する筋原性調節因子であり、MyoMaker(MYMK)は、筋細胞分化のマーカーである。DAPI染色を使用して、核を染色する。12ABICおよび15ABIC細胞の発現レベルを分化の2日目および7日目に測定する。12A UDおよび15A UD:未分化の増殖する対照筋芽細胞。暗灰色の棒グラフは、MYOG発現レベルを示し、薄灰色の棒グラフは、MYH2発現レベルを示し、灰色の棒グラフは、MYMK発現レベルを示す。
図3-2】同上。
図3-3】同上。
図3-4】同上。
図3-5】同上。
【0064】
図4図4は、D4Z4リピート領域に関連する複数のgRNAのデザインを描写する。複数のDUX4標的化gRNAは、DZ4Zリピート領域を超えて広がるように設計される。互いに関連するDZ4Zリピート領域およびDUX4遺伝子の位置を、図4の下部に示す。新たに設計されたgRNAを、図4の上部に示す。
【0065】
図5図5は、Cas12fエフェクター-モジュレーターベクターデザインを示す。Cas12fバリアント、KRABドメイン、およびDNMT3Lドメインの発現は、筋特異的プロモーターCK8eの制御下にある。RNAポリメラーゼIIIによって駆動される足場を有するsgRNAスペーサー配列の発現は、ヒトU6gプロモーターの制御下にある。ベクターはさらに、改変WPREおよびポリアデニル化調節配列を含む。
【0066】
図6-1】図6Aは、78個のgRNAを12ABIC筋芽細胞にヌクレオフェクト後にCas12f-KRABエフェクター-モジュレーターを安定に発現する12ABIC FSHD筋芽細胞におけるDUX4の相対的発現レベルを示す。ヌクレオフェクション後、細胞を分化条件で7日間培養した後、DUX4の遺伝子発現を測定する。試験した78個のgRNAをx軸に記載し、y軸は、DUX4の相対的倍数発現を表す。DUX4の発現レベルを、対照遺伝子HPRT1の発現によって正規化した。図6Bは、78個のgRNAを12ABIC筋芽細胞にヌクレオフェクト後にCas12f-KRABエフェクター-モジュレーターを安定に発現する12ABIC FSHD筋芽細胞におけるDUX4の相対的発現レベルを示す。ヌクレオフェクション後、細胞を、分化条件で7日間培養後、DUX4およびDUX4標的遺伝子、MBD3L2の遺伝子発現を測定する。
図6-2】同上。
【0067】
図7-1】図7Aは、6個のgRNAおよびCas12fエフェクター-モジュレーターをトランスフェクトした不死化患者由来FSHD筋芽細胞における、DUX4ならびにDUX4標的遺伝子、DBET/DUX4、MBD3L2、およびTRIM48の抑制を示す。Cas12fエフェクター-モジュレーターは、Cas12fバリアント、KRABドメイン、およびDNMT-KLaドメインを発現する。6個のsgRNAのうちの1つは、DZ4Zリピート領域を標的としなかった対照sgRNA(Empty/trcr)である。MYOGの発現レベルを細胞において測定し、DUX4 sgRNAトランスフェクト細胞の分化能が対照sgRNAトランスフェクト筋芽細胞と類似であるかどうかをアッセイする。DUX4、DUX4標的遺伝子、およびMYOGの発現レベルをトランスフェクション後17日目に測定する。図7Bは、6個のgRNAおよびCas12fエフェクター-モジュレーターをトランスフェクトした不死化患者由来FSHD筋芽細胞における、DUX4およびDUX4標的遺伝子、DBET/DUX4、MBD3L2、およびTRIM48の抑制を示す。Cas12fエフェクター-モジュレーターは、Cas12fバリアント、KRABドメイン、およびDNMT-KLbドメインを発現する。6つのsgRNAの1つは、DZ4Zリピート領域を標的としなかった対照sgRNA(空)である。MYOGの発現レベルを細胞において測定し、DUX4 sgRNAトランスフェクト細胞の分化能が、対照sgRNAトランスフェクト筋芽細胞と類似であるかどうかをアッセイする。DUX4、DUX4標的遺伝子、およびMYOGの発現レベルを、トランスフェクションの18日後に測定する。
図7-2】同上。
【0068】
図8-1】図8Aおよび8Bは、Cas12fエフェクター-モジュレーターおよびDUX4標的化gRNAをトランスフェクトしたFSHD患者由来筋芽細胞のアポトーシスレベルを示す。アポトーシス陽性細胞のパーセンテージを、トランスフェクション後2日間分化させた後に測定する。図8Aの画像は、対照12UBIC細胞ならびにCas12fエフェクター-モジュレーターおよびDUX4標的化gRNAをトランスフェクトした12ABIC細胞におけるアポトーシス細胞の割合を示す。白色の点は、アポトーシス細胞を表す。図8Bのグラフは、左の画像において測定されたアポトーシス細胞のパーセンテージ、ならびにDUX4標的化gRNAまたはDUX4を標的としない対照gRNAのいずれかをトランスフェクトした12ABIC細胞におけるアポトーシス細胞のパーセンテージを示す。DAPI染色を使用して核を染色する。
図8-2】同上。
【0069】
図9図9は、ex vivo FSHDモデルのワークフローを示す。ex vivoモデルは、不死化した健康な同胞対照細胞およびFSHD骨格筋芽細胞を培養し、その後細胞を3D組織へと操作する。3D組織を、対照AAVまたはCas12fエフェクター-モジュレーターベクターを有するAAVのいずれかによって処理する。次に、3D組織を、3D組織形態および遺伝子発現プロファイルを測定することに加え、機械力、強縮力、および疲労の表現型の差に関して試験する。
【0070】
図10図10は、in vivo異種移植片モデルのワークフローを示す。in vivoモデルは、マウスの脚を放射線照射およびTA筋カルジオトキシンによって処置することから始まり、ヒト筋芽細胞のマウス脚への移植のために準備する。移植後、マウスを、対照AAVまたはCas12fエフェクター-モジュレーターベクターを有するAAVのいずれかによって処置する。指定された時点で、マウスを安楽死させ、異種移植片および組織試料を分析のために収集する。収集した異種移植片を固定し、切片にし、ヘマトキシリンおよびエオジンによって染色する。残りの組織を遺伝子発現アッセイのため、ならびにマウス内のAAV指向性を決定するために使用する。
【発明を実施するための形態】
【0071】
詳細な説明
1つまたは複数の遺伝子の異常発現は、疾患または状態をもたらし得る。異常発現は、遺伝子(複数可)の異常に低い発現レベルによって特徴付けることができる。あるいは、異常発現は、遺伝子(複数可)の異常に高い発現レベルによって特徴付けることができる。一部の例では、遺伝子(複数可)を、遺伝子改変して(例えば、エンドヌクレアーゼ、例えばCRISPR-Cas酵素の作用を介して)異常発現を逆転させることができる(例えば、デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)の処置)。あるいは、異常発現を、目的のそのような遺伝子(複数可)を遺伝子改変することなく、例えば遺伝子エフェクターによって遺伝子(複数可)を標的化することによって(例えば、遺伝子エフェクターに結合した非活性化されたCRISPR-Cas酵素)一過性に改変することができる。細胞における標的遺伝子の異常発現を一過性に改変しても、標的遺伝子の異常発現によって現れる疾患を処置または治癒するために十分ではない場合がある。このように、一部の実施形態では、本開示は、標的遺伝子の改変された発現レベルが長期間にわたって持続し得るように、標的遺伝子の異常発現を改変するためのシステムおよび方法を提供する。
【0072】
標的遺伝子の異常発現の改変
【0073】
本開示は、細胞(例えば、筋細胞)における標的遺伝子の異常発現を調節するための組成物、システム、および方法を提供する。例えば、標的遺伝子は、D4Z4リピートアレイ内に存在し得る。標的遺伝子は、DUX4の少なくとも一部をコードし得る。本明細書に開示される組成物、システム、および方法は、少なくとも1つの異種ポリペプチド(例えば、必要に応じてガイド核酸分子などの異種ポリヌクレオチドと共に異種アクチュエーター部分)を利用して、標的遺伝子の発現レベルおよび/またはエピジェネティック改変レベル(例えば、メチル化レベル)を改変することができる。例えば、本明細書に開示される組成物、システム、および方法は、異種遺伝子エフェクターまたは調節因子(例えば、遺伝子アクチュエーター、遺伝子リプレッサー等)に動作可能に連結した(例えば、共有結合または非共有結合により結合した)異種アクチュエーター部分を利用して、標的遺伝子の発現レベルおよび/またはエピジェネティック改変レベルを改変することができる。
【0074】
一部の例では、細胞は、筋細胞であり得る。本明細書に開示される筋細胞は、任意の発生段階にある任意の分類の筋細胞であり得る。筋細胞は、未分化筋細胞(例えば、単核球、例えば筋幹細胞、筋サテライト細胞、筋芽細胞等)を含み得る。あるいはまたは加えて、筋細胞は、分化した筋細胞(例えば、多核筋細胞、例えば筋管)を含み得る。筋細胞は、骨格筋細胞、心筋細胞、または平滑筋細胞であり得る。例えば、骨格筋細胞は、初代培養筋芽細胞(例えば、不死化初代培養筋芽細胞株)であり得る。一部の例では、細胞は非筋細胞、例えばリンパ芽球であり得る。
【0075】
一部の例では、標的遺伝子は、本明細書に開示される細胞の4番染色体に存在し得る。一部の例では、標的遺伝子は、細胞の10番染色体、例えば細胞の10番染色体のq(長)腕の遠位部分に存在し得る。
【0076】
本明細書に開示される標的遺伝子の改変の前に、標的遺伝子の異常発現は、対照細胞(例えば、健康な対象の健康な細胞)のものより少なくとも約1%、5%、10%、20%、50%、100%、150%、200%、300%、400%、500%、またはそれより高い標的遺伝子の発現レベルおよび/またはエピジェネティック改変レベル(例えば、メチル化レベル)によって特徴付けることができる。異常発現は、対照細胞(例えば、健康な対象の健康な細胞)のものより多くて約500%、400%、300%、200%、150%、100%、50%、20%、10%、5%、1%、またはそれ未満高い標的遺伝子の発現レベルおよび/またはエピジェネティック改変レベル(例えば、メチル化レベル)によって特徴付けることができる。
【0077】
本明細書に開示される標的遺伝子の改変前に、標的遺伝子の異常発現は、対照細胞(例えば、健康な対象の健康な細胞)のものより少なくとも約1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、70%、99%、またはそれより多く低い標的遺伝子の発現レベルおよび/またはエピジェネティック改変レベル(例えば、メチル化レベル)によって特徴付けることができる。異常発現は、対照細胞(例えば、健康な対象の健康な細胞)のものより多くて約100%、70%、50%、40%、30%、20%、10%、5%、1%、またはそれ未満低い標的遺伝子の発現レベルおよび/またはエピジェネティック改変レベル(例えば、メチル化レベル)によって特徴付けることができる。
【0078】
本明細書に開示される標的遺伝子の改変の前に、標的遺伝子の異常発現は、対照細胞(例えば、健康な対象の健康な細胞)のものより少なくとも約1%、5%、10%、20%、50%、100%、150%、200%、300%、400%、500%、またはそれより多く長い標的遺伝子の発現レベルおよび/またはエピジェネティック改変レベル(例えば、メチル化レベル)の持続時間によって特徴付けることができる。異常発現は、対照細胞(例えば、健康な対象の健康な細胞)のものより多くて約500%、400%、300%、200%、150%、100%、50%、20%、10%、5%、1%、またはそれ未満長い標的遺伝子の発現レベルおよび/またはエピジェネティック改変レベル(例えば、メチル化レベル)の持続時間によって特徴付けることができる。
【0079】
本明細書に開示される標的遺伝子の改変の前に、標的遺伝子の異常発現は、対照細胞(例えば、健康な対象の健康な細胞)のものより少なくとも約1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、70%、99%、またはそれより多く短い標的遺伝子の発現レベルおよび/またはエピジェネティック改変レベル(例えば、メチル化レベル)の持続時間によって特徴付けることができる。異常発現は、対照細胞(例えば、健康な対象の健康な細胞)のものより多くて約100%、70%、50%、40%、30%、20%、10%、5%、1%、またはそれ未満短い標的遺伝子の発現レベルおよび/またはエピジェネティック改変レベル(例えば、メチル化レベル)の持続時間によって特徴付けることができる。
【0080】
本明細書に開示される標的遺伝子の改変後、標的遺伝子の異常発現の改変は、対照(例えば、改変を有しない)と比較して少なくとも約1%、5%、10%、20%、50%、100%、150%、200%、300%、400%、500%、またはそれより大きい標的遺伝子の発現レベルおよび/またはエピジェネティック改変レベル(例えば、メチル化レベル)の増加によって特徴付けることができる。標的遺伝子の異常発現の改変は、対照と比較して多くて約500%、400%、300%、200%、150%、100%、50%、20%、10%、5%、1%、またはそれ未満の標的遺伝子の発現レベルおよび/またはエピジェネティック改変レベル(例えば、メチル化レベル)の増加によって特徴付けることができる。
【0081】
本明細書に開示される標的遺伝子の改変後、標的遺伝子の異常発現の改変は、対照(例えば、改変を有しない)と比較して、少なくとも約1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、70%、99%、またはそれより大きい標的遺伝子の発現レベルおよび/またはエピジェネティック改変レベル(例えば、メチル化レベル)の減少によって特徴付けることができる。標的遺伝子の異常発現の改変は、多くて約100%、70%、50%、40%、30%、20%、10%、5%、1%、またはそれ未満の標的遺伝子の発現レベルおよび/またはエピジェネティック改変レベル(例えば、メチル化レベル)の減少によって特徴付けることができる。
【0082】
本明細書に開示される標的遺伝子の改変後、標的遺伝子の異常発現の改変は、対照(例えば、改変を有しない)と比較して、少なくとも約1%、5%、10%、20%、50%、100%、150%、200%、300%、400%、500%、またはそれより大きい標的遺伝子の発現レベルおよび/またはエピジェネティック改変レベル(例えば、メチル化レベル)の持続時間の増加によって特徴付けることができる。標的遺伝子の異常発現の改変は、対照と比較して多くて約500%、400%、300%、200%、150%、100%、50%、20%、10%、5%、1%、またはそれ未満の標的遺伝子の発現レベルおよび/またはエピジェネティック改変レベル(例えば、メチル化レベル)の持続時間の増加によって特徴付けることができる。
【0083】
本明細書に開示される標的遺伝子の改変後、標的遺伝子の異常発現の改変は、対照(例えば、改変を有しない)と比較して、少なくとも約1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、70%、99%、またはそれより大きい標的遺伝子の発現レベルおよび/またはエピジェネティック改変レベル(例えば、メチル化レベル)の持続時間の減少によって特徴付けることができる。標的遺伝子の異常発現の改変は、多くて約100%、70%、50%、40%、30%、20%、10%、5%、1%、またはそれ未満の標的遺伝子の発現レベルおよび/またはエピジェネティック改変レベル(例えば、メチル化レベル)の持続時間の減少によって特徴付けることができる。
【0084】
本明細書に開示される標的遺伝子の改変後、標的遺伝子(例えば、異常に発現された標的遺伝子)の改変された発現レベルおよび/またはエピジェネティック改変レベル(例えば、メチル化レベル)は、少なくとも約1日、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、7日間、2週間、3週間、4週間、2か月間、3か月間、4か月間、5か月間、6か月間、7か月間、8か月間、9か月間、10か月間、11か月間、12か月間、2年間、3年間、4年間、5年間、またはそれより長く持続し得る。本明細書に開示される標的遺伝子の改変後、標的遺伝子(例えば、異常に発現された標的遺伝子)の改変された発現レベルおよび/またはエピジェネティック改変レベル(例えば、メチル化レベル)は、多くて約5年間、4年間、3年間、2年間、12か月間、11か月間、10か月間、9か月間、8か月間、7か月間、6か月間、5か月間、4か月間、3か月間、2か月間、4週間、3週間、2週間、7日間、6日間、5日間、4日間、3日間、2日間、1日、またはそれ未満持続し得る。
【0085】
本明細書に開示される標的遺伝子の改変後、標的遺伝子(例えば、異常に発現された標的遺伝子)の改変された発現レベルおよび/またはエピジェネティック改変レベル(例えば、メチル化レベル)は、少なくとも約1回の細胞分裂、少なくとも約2回の細胞分裂、少なくとも約3回の細胞分裂、少なくとも約4回の細胞分裂、少なくとも約5回の細胞分裂、少なくとも約6回の細胞分裂、少なくとも約7回の細胞分裂、少なくとも約8回の細胞分裂、少なくとも約9回の細胞分裂、少なくとも約10回の細胞分裂、少なくとも約15回の細胞分裂、少なくとも約20回の細胞分裂、少なくとも約25回の細胞分裂、少なくとも約30回の細胞分裂、少なくとも約40回の細胞分裂、少なくとも約50回の細胞分裂、または少なくとも約100回の細胞分裂の間持続し得る。本明細書に開示される標的遺伝子の改変後、標的遺伝子(例えば、異常に発現された標的遺伝子)の改変された発現レベルおよび/またはエピジェネティック改変レベル(例えば、メチル化レベル)は、多くて約100回の細胞分裂、多くて約50回の細胞分裂、多くて約40回の細胞分裂、多くて約30回の細胞分裂、多くて約25回の細胞分裂、多くて約20回の細胞分裂、多くて約15回の細胞分裂、多くて約10回の細胞分裂、多くて約9回の細胞分裂、多くて約8回の細胞分裂、多くて約7回の細胞分裂、多くて約6回の細胞分裂、多くて約5回の細胞分裂、多くて約4回の細胞分裂、多くて約3回の細胞分裂、多くて約2回の細胞分裂、または多くて約1回の細胞分裂の間持続し得る。
【0086】
本明細書で開示される場合、エピジェネティック改変の非限定的な例としては、メチル化、アセチル化、リン酸化、ADP-リボシル化、グリコシル化、SUMO化、ユビキチン化、ヒストン構造の改変(例えば、ATP加水分解依存的プロセスを介して)が挙げられ得る。例えば、エピジェネティック改変は、1つまたは複数の標的遺伝子の改変されたメチル化レベルをもたらし得る。
【0087】
本明細書で開示される場合、標的遺伝子の持続性の改変された発現レベルおよび/またはエピジェネティック改変レベル(例えば、メチル化レベル)は、標的遺伝子の改変された発現レベルおよび/またはメチル化レベルの少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%を維持することによって特徴付けることができる。標的遺伝子の持続性の改変された発現レベルおよび/またはエピジェネティック改変レベル(例えば、メチル化レベル)は、標的遺伝子の改変された発現レベルおよび/またはメチル化レベルの多くて約100%、99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%、80%、75%、または70%を維持することによって特徴付けることができる。
【0088】
本明細書に開示されるシステム、組成物、および方法を使用して、対象の疾患(例えば、筋ジストロフィー、例えば顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー(FSHD))を処置または回復させることができる。
【0089】
異種ポリペプチド
【0090】
本明細書に開示される異種ポリペプチドは、単独でまたは1つまたは複数の共作用剤(co-agent)、例えば異種ポリヌクレオチド(例えば、ガイド核酸)と組み合わせて、本明細書に開示されるように標的ポリヌクレオチド配列に特異的に結合して、標的細胞における標的遺伝子(例えば、D4Z4リピートアレイ)の発現レベルおよび/またはエピジェネティックレベルをモジュレートするように構成することができる。標的ポリヌクレオチド配列は、標的遺伝子に(例えば、標的遺伝子内に)存在し得る。あるいは、標的ポリヌクレオチド配列は、標的遺伝子に隣接し得る。例えば、標的ポリヌクレオチド配列は、標的遺伝子の末端(例えば、5’末端または3’末端)に隣接し得る。標的ポリヌクレオチド配列は、標的遺伝子の末端から少なくとも約5核酸塩基、少なくとも約10核酸塩基、少なくとも約20核酸塩基、少なくとも約30核酸塩基、少なくとも約40核酸塩基、少なくとも約50核酸塩基、少なくとも約100核酸塩基、少なくとも約150核酸塩基、少なくとも約200核酸塩基、少なくとも約250核酸塩基、少なくとも約300核酸塩基、少なくとも約400核酸塩基、少なくとも約500核酸塩基、少なくとも約1,000核酸塩基、少なくとも約1,500核酸塩基、少なくとも約2,000核酸塩基、少なくとも約3,000核酸塩基、少なくとも約4,000核酸塩基、または少なくとも約5,000核酸塩基離れ得る。標的ポリヌクレオチド配列は、標的遺伝子の末端から、多くて約5,000核酸塩基、多くて約4,000核酸塩基、多くて約3,000核酸塩基、多くて約2,000核酸塩基、多くて約1,500核酸塩基、多くて約1,000核酸塩基、多くて約500核酸塩基、多くて約400核酸塩基、多くて約300核酸塩基、多くて約200核酸塩基、多くて約150核酸塩基、多くて約100核酸塩基、多くて約50核酸塩基、多くて約40核酸塩基、多くて約30核酸塩基、多くて約20核酸塩基、多くて約10核酸塩基、または多くて約5核酸塩基離れ得る。
【0091】
理論に拘束されることを望まないが、標的ポリヌクレオチド配列が、標的遺伝子内に存在しない場合、標的ポリヌクレオチド配列は、標的遺伝子の少なくとも一部(例えば、標的遺伝子のプロモーター配列)と相互作用することができ(例えば、直接または間接的結合を介して)、それによって少なくとも異種ポリペプチドによる(例えば、本明細書に開示される異種ポリペプチドおよび異種ポリヌクレオチドを含む複合体による)標的ポリヌクレオチド配列の結合または標的化は、標的遺伝子の少なくとも一部(例えば、プロモーター配列)を標的として、細胞における標的遺伝子の発現レベルおよび/またはエピジェネティックレベルのモジュレーションをもたらすことができる。
【0092】
一部の例では、標的ポリヌクレオチド配列は、複数の標的ポリヌクレオチド配列を含み得る。複数の標的ポリヌクレオチド配列は、標的遺伝子内に存在し得る。あるいは複数の標的ポリヌクレオチド配列は、本明細書に開示される標的遺伝子の外部であるが隣接し得る。なお別の代替では、複数の標的ポリヌクレオチド配列は、標的遺伝子内(例えば、D4Z4リピートドメイン内)の少なくとも1つの標的ポリヌクレオチド配列および標的遺伝子の外部であるが隣接する少なくとも1つの追加の標的ポリヌクレオチド配列を含み得る。そのような場合、少なくとも1つの標的ポリヌクレオチド配列および少なくとも1つの追加の標的ポリヌクレオチド配列の両方を標的化することは、少なくとも1つの標的ポリヌクレオチド配列および少なくとも1つの追加の標的ポリヌクレオチド配列の1つのみを標的化する場合と比較して、より大きい効果(例えば、標的遺伝子の発現および/またはエピジェネティックレベルのより大きい程度のモジュレーション)(例えば、少なくとも0.1倍、少なくとも0.5倍、少なくとも1倍、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも15倍、少なくとも20倍、またはそれより大きい)を生じ得る。
【0093】
本明細書に開示される異種ポリペプチドは、1つまたは複数の異種遺伝子エフェクター(例えば、本開示の複合体中の遺伝子エフェクターおよび/または別の構成要素を含む細胞に対して異種である遺伝子エフェクター)を含み得る。異種遺伝子エフェクターは、例えば遺伝子の発現レベルまたは活性レベルを活性化する、抑制する、上方調節する、下方調節する、または安定化する標的遺伝子(例えば、標的内因性遺伝子)の発現をモジュレートすることができるか、またはモジュレートするための候補であるドメインを含み得る。異種遺伝子エフェクターは、複合体に存在する別の構成要素、例えばガイド部分(例えば、本明細書に開示されるヌクレアーゼおよび/またはガイド核酸)に関して異種であり得る。一部の例では、異種遺伝子エフェクターは、それらが導入される宿主細胞に関して異種であり得る。
【0094】
異種遺伝子エフェクターは、任意の好適な起源、例えばヒトタンパク質、ウイルスタンパク質、または本明細書に開示される他のタンパク質からのアミノ酸配列であり得るか、またはそれを含み得る。異種遺伝子エフェクターは、核に主に局在するタンパク質、例えばヒト核プロテオームのメンバーからの配列であり得るか、またはそれを含み得る。異種遺伝子エフェクターは、1つまたは複数の天然のアミノ酸残基であり得るか、またはそれを含み得る。異種遺伝子エフェクターは、1つまたは複数の合成アミノ酸残基であり得るか、またはそれを含み得る。
【0095】
異種遺伝子エフェクターは、哺乳動物タンパク質であり得るか、またはそれを含み得る。異種遺伝子エフェクターは、ヒトタンパク質であり得るか、またはそれを含み得る。異種遺伝子エフェクターは、ウイルスタンパク質であり得るか、またはそれを含み得る。異種遺伝子エフェクターは、非ヒト霊長類タンパク質であり得るか、またはそれを含み得る。異種遺伝子エフェクターは、非ヒト哺乳動物タンパク質であり得るか、またはそれを含み得る。異種遺伝子エフェクターは、非齧歯類哺乳動物タンパク質であり得るか、またはそれを含み得る。異種遺伝子エフェクターは、植物タンパク質であり得るか、またはそれを含み得る。異種遺伝子エフェクターは、ブタタンパク質であり得るか、またはそれを含み得る。異種遺伝子エフェクターは、ウサギタンパク質であり得るか、またはそれを含み得る。異種遺伝子エフェクターは、イヌタンパク質であり得るか、またはそれを含み得る。異種遺伝子エフェクターは、トリタンパク質であり得るか、またはそれを含み得る。異種遺伝子エフェクターは、爬虫類タンパク質であり得るか、またはそれを含み得る。異種遺伝子エフェクターは、細菌タンパク質であり得るか、またはそれを含み得る。異種遺伝子エフェクターは、古細菌タンパク質であり得るか、またはそれを含み得る。
【0096】
例えば、本明細書に開示される異種遺伝子エフェクターのアミノ酸配列は、細菌タンパク質(例えば、古細菌に由来し得る)に由来しなくてもよく、由来する必要はない。理論に拘束されることを望まないが、それを必要とする対象は、組成物が(i)対象において細菌性の刺激を誘導しないように、および/または(ii)対象において細菌性の免疫応答を誘発しないように、非細菌タンパク質由来の異種遺伝子エフェクターを含む組成物によって処置され得る。
【0097】
異種アクチュエーター部分は、ヌクレアーゼ(例えば、エンドヌクレアーゼ)を含み得る。例えば、ヌクレアーゼは、CRISPR/Casタンパク質であり得る。ヌクレアーゼは、閾値長さ未満である長さを有し得る。閾値長さは、多くて約1,000アミノ酸、多くて約950アミノ酸、多くて約900アミノ酸、多くて約850アミノ酸、多くて約800アミノ酸、多くて約750アミノ酸、多くて約700アミノ酸、多くて約650アミノ酸、多くて約600アミノ酸、多くて約550アミノ酸、多くて約500アミノ酸、多くて約450アミノ酸、多くて約400アミノ酸、多くて約350アミノ酸、または多くて約300アミノ酸であり得る。閾値長さは、少なくとも約300アミノ酸、少なくとも約350アミノ酸、少なくとも約400アミノ酸、少なくとも約450アミノ酸、少なくとも約500アミノ酸、少なくとも約550アミノ酸、少なくとも約600アミノ酸、少なくとも約650アミノ酸、少なくとも約700アミノ酸、少なくとも約750アミノ酸、少なくとも約800アミノ酸、少なくとも約850アミノ酸、少なくとも約900アミノ酸、少なくとも約950アミノ酸、または少なくとも約1000アミノ酸であり得る。
【0098】
理論に拘束されることを望まないが、閾値長さ未満であるヌクレアーゼサイズを使用することは、閾値長さより大きいサイズを有する対照ヌクレアーゼを使用する場合に対して1つまたは複数の利点を有し得る。限定的なサイズ(例えば、ヌクレアーゼを捕捉するために限定的な物理的サイズ、または限定的な発現カセットサイズ、例えばウイルスゲノム)を有する送達媒体を使用する場合は、1つまたは複数の(on or more)共作用剤、例えば1つまたは複数の遺伝子調節因子(例えば、転写因子)および/または1つまたは複数の異種ポリヌクレオチド(例えば、1つまたは複数のガイド核酸分子)のために十分な余地(または発現カセット内の十分なスペース)を残すことができる。あるいはまたは加えて、閾値サイズ未満またはそれに等しいサイズを有するヌクレアーゼを使用することは、閾値サイズより大きいサイズを有する対照ヌクレアーゼが標的遺伝子の発現レベルおよび/またはエピジェネティックレベルのモジュレーションに及ぼす効果と比較して、標的遺伝子の発現レベルおよび/またはエピジェネティックレベルのモジュレーションに対してより大きい効果を誘発することができる。
【0099】
一部の例では、本明細書に開示されるヌクレアーゼ(例えば、閾値未満または閾値に等しいサイズを有する)による標的遺伝子の発現レベルおよび/またはエピジェネティックレベルのモジュレーション(例えば、増加または減少)の程度は、対照ヌクレアーゼ(例えば、閾値サイズより大きいサイズを有する)による程度より少なくともまたは最大約0.1倍、少なくともまたは最大約0.5倍、少なくともまたは最大約1倍、少なくともまたは最大約2倍、少なくともまたは最大約3倍、少なくともまたは最大約4倍、少なくともまたは最大約5倍、少なくともまたは最大約6倍、少なくともまたは最大約7倍、少なくともまたは最大約8倍、少なくともまたは最大約9倍、少なくともまたは最大約10倍、少なくともまたは最大約15倍、少なくともまたは最大約20倍、少なくともまたは最大約25倍、少なくともまたは最大約30倍、少なくともまたは最大約40倍、少なくともまたは最大約50倍、少なくともまたは最大約60倍、少なくともまたは最大約70倍、少なくともまたは最大約80倍、少なくともまたは最大約90倍、または少なくともまたは最大約100倍大きくなり得る。
【0100】
一部の例では、本明細書に開示されるヌクレアーゼ(例えば、閾値未満または閾値に等しいサイズを有する)による標的遺伝子の発現レベルおよび/またはエピジェネティックレベルのモジュレーション(例えば、増加または減少)の程度は、対照ヌクレアーゼ(例えば、閾値サイズより大きいサイズを有する)による程度より少なくともまたは最大約0.1倍、少なくともまたは最大約0.5倍、少なくともまたは最大約1倍、少なくともまたは最大約2倍、少なくともまたは最大約3倍、少なくともまたは最大約4倍、少なくともまたは最大約5倍、少なくともまたは最大約6倍、少なくともまたは最大約7倍、少なくともまたは最大約8倍、少なくともまたは最大約9倍、少なくともまたは最大約10倍、少なくともまたは最大約15倍、少なくともまたは最大約20倍、少なくともまたは最大約25倍、少なくともまたは最大約30倍、少なくともまたは最大約40倍、少なくともまたは最大約50倍、少なくともまたは最大約60倍、少なくともまたは最大約70倍、少なくともまたは最大約80倍、少なくともまたは最大約90倍、または少なくともまたは最大約100倍長く持続し得る。
【0101】
一部の例では、本明細書に開示されるヌクレアーゼ(例えば、閾値未満または閾値に等しいサイズを有する)による標的遺伝子の発現レベルおよび/またはエピジェネティックレベルのモジュレーション(例えば、増加または減少)の程度は、対照ヌクレアーゼ(例えば、閾値サイズより大きいサイズを有する)による程度より少なくともまたは最大約1回の細胞分裂、少なくともまたは最大約2回の細胞分裂、少なくともまたは最大約3回の細胞分裂、少なくともまたは最大約4回の細胞分裂、少なくともまたは最大約5回の細胞分裂、少なくともまたは最大約6回の細胞分裂、少なくともまたは最大約7回の細胞分裂、少なくともまたは最大約8回の細胞分裂、少なくともまたは最大約9回の細胞分裂、少なくともまたは最大約10回の細胞分裂、少なくともまたは最大約11回の細胞分裂、少なくともまたは最大約12回の細胞分裂、少なくともまたは最大約13回の細胞分裂、少なくともまたは最大約14回の細胞分裂、少なくともまたは最大約15回の細胞分裂、少なくともまたは最大約16回の細胞分裂、少なくともまたは最大約17回の細胞分裂、少なくともまたは最大約18回の細胞分裂、少なくともまたは最大約19回の細胞分裂、少なくともまたは最大約20回の細胞分裂、少なくともまたは最大約25回の細胞分裂、少なくともまたは最大約30回の細胞分裂、少なくともまたは最大約40回の細胞分裂、少なくともまたは最大約50回の細胞分裂、または少なくとも約100回の細胞分裂の間長く(または持続的に長く)持続し得る。本明細書に開示される場合、細胞分裂は、親細胞の、親細胞と実質的に同じ遺伝子材料を有する2つの娘細胞への分裂によって特徴付けることができる。
【0102】
異種遺伝子エフェクターは、クロマチン調節因子(CR)の配列であり得るか、またはそれを含み得る。。クロマチン調節因子は、様々なクラスのヒストンの機能的ドメインおよびDNA修飾酵素(例えば、DNMT、HAT、HMT等)を含む。
【0103】
異種遺伝子エフェクターは、例えばC末端、N末端、またはポリペプチド配列内にタンデムまたは個別に位置するクロマチン調節因子からの2つまたはそれより多くのドメインを含み得る。
【0104】
一部の実施形態では、ヘテロクロマチン形成を容易にする異種遺伝子エフェクター。ヘテロクロマチン形成を容易にし得るタンパク質の非限定的な例としては、HP1α、HP1β、KAP1、KRAB、SUV39H1、およびG9aが挙げられる。
【0105】
一部の実施形態では、異種遺伝子エフェクターは、メチル化を通してヒストンをモジュレートする。一部の実施形態では、異種遺伝子エフェクターは、アセチル化を通してヒストンをモジュレートする。一部の実施形態では、異種遺伝子エフェクターは、リン酸化を通してヒストンをモジュレートする。一部の実施形態では、異種遺伝子エフェクターは、ADP-リボシル化を通してヒストンをモジュレートする。一部の実施形態では、異種遺伝子エフェクターは、グリコシル化を通してヒストンをモジュレートする。一部の実施形態では、異種遺伝子エフェクターは、SUMO化を通してヒストンをモジュレートする。一部の実施形態では、異種遺伝子エフェクターは、ユビキチン化を通してヒストンをモジュレートする。一部の実施形態では、異種遺伝子エフェクターは、例えばATP加水分解依存プロセスを介してヒストン構造をリモデリングすることによってヒストンをモジュレートする。
【0106】
一部の実施形態では、異種遺伝子エフェクターは、標的ポリヌクレオチド、例えば転写リプレッサー、転写因子、ヒストン等でのまたはその付近でのタンパク質の空間的配置を容易にする。一部の実施形態では、異種遺伝子エフェクターは、例えば多様な細胞機能を調節するために、核および/または細胞質におけるゲノムDNAおよびRNA構成要素の時空間構成を操作するために有用である。
【0107】
一部の実施形態では、異種遺伝子エフェクターは、ヒストンアセチルトランスフェラーゼに由来する。ヒストンアセチルトランスフェラーゼの非限定的な例としては、GNATサブファミリー、MYSTサブファミリー、p300/CBPサブファミリー、HAT1サブファミリー、GCN5、PCAF、Tip60、MOZ、MORF、MOF、HBO1、p300、CBP、HAT1、ATF-2、SRC1、およびTAFII250が挙げられる。
【0108】
一部の実施形態では、異種遺伝子エフェクターは、ヒストンリシンメチルトランスフェラーゼに由来する。ヒストンリシンメチルトランスフェラーゼの非限定的な例としては、EZHサブファミリー、非SETサブファミリー、他のSETサブファミリー、PRDMサブファミリー、SET1サブファミリー、SET2サブファミリー、SUV39サブファミリー、SYMDサブファミリー、ASH1L、EHMT1、EHMT2、EZH1、EZH2、MLL、MLL2、MLL3、MLL4、MLL5、NSD1、NSD2、NSD3、PRDM1、PRDM10、PRDM11、PRDM12、PRDM13、PRDM14、PRDM15、PRDM16、PRDM2、PRDM4、PRDM5、PRDM6、PRDM7、PRDM8、PRDM9、SET1、SET1L、SET2L、SETD2、SETD3、SETD4、SETD5、SETD6、SETD7、SETD8、SETDB1、SETDB2、SETMAR、SUV39H1、SUV39H2、SUV420H1、SUV420H2、SYMD1、SYMD2、SYMD3、SYMD4、およびSYMD5が挙げられる。
【0109】
一部の実施形態では、異種遺伝子エフェクターは、クロマチンリモデリング複合体の構成要素に由来する。一部の実施形態では、異種遺伝子エフェクターは、BAFの構成要素、例えばアクチン、ARIDA/B、BAF155、BAF170、BAF45 A/B/C/D、BAF53 A/B、BAF57、BAF60 A/B/C、BRG1/BRM、INI1、またはSS18である。
【0110】
一部の実施形態では、異種遺伝子エフェクターは、PBAFの構成要素、例えばアクチン、ARID2、BAF155、BAF170、BAF180、BAF45 A/B/C/D、BAF53 A/B、BAF57、BAF60 A/B/C、BRD7、BRG1、またはINI1に由来する。
【0111】
一部の実施形態では、異種遺伝子エフェクターは、ISWIファミリークロマチンリモデリング複合体の構成要素、例えば、ACFサブファミリー、RSFサブファミリー、CERFサブファミリー、CHRACサブファミリー、NURFサブファミリー、NoRCサブファミリー、WICHサブファミリー、b-WICHサブファミリー、ACF1、ATPase、BPTF、CECR2、CHRAC15、CHRAC17、CSB、DEK、MYBBP1A、NM1、RBAP46/48、RHII/Gua、RSF1、SAP155、SNF2H、SNF2H/L、SNF2L、TIP5、またはWSTFに由来する。
【0112】
一部の実施形態では、異種遺伝子エフェクターは、CHDファミリー複合体の構成要素、例えばNuRD複合体、NuRD様複合体、またはCHD複合体に由来する。一部の実施形態では、異種遺伝子エフェクターは、CHD1/2/6/7/8/9、CHD3/4、CHD5、GATAD2 A/B、GATAD2 B、HDAC1、HDAC2、HDAC2、MBD2/3、MTA1/2/3、MTA3、またはRBAP46、RBAP46/48に由来する。
【0113】
一部の実施形態では、異種遺伝子エフェクターは、INO80ファミリー複合体の構成要素、例えばINO80複合体、Tip60/p400複合体、SRCAP複合体、AMIDA、ARP6、BAF53、BAF53、BAF53A、BRD8、DMAP1、DMAP1、EPC1/2、FLJ11730、GAS41、GAS41、IES2、IES6、ING3、INO80、INO80E、MCRS1、MRG15、MRGBP、MRGX、NFRKB、p400、RUVBL1/2、RUVBL1/2、RUVBL1/2、SRCAP、Tip60、TRRAP、UCH37、YL-1、YL-1、YY1、またはZnF-HIT1に由来する。
【0114】
異種遺伝子エフェクターは、転写調節因子(TR)に由来する配列であり得るか、またはそれを含み得る。TR遺伝子エフェクターは、様々なファミリーの転写因子(例えば、KRAB、p65、MED、GTF等)からの転写調節ドメインを含む。
【0115】
異種遺伝子エフェクターは、転写活性化ドメインを含み得る。異種遺伝子エフェクターは、例えば、C末端、N末端、またはポリペプチド配列内に位置する2つまたはそれより多くのタンデム転写活性化ドメインを含み得る(can comprise can comprise)。
【0116】
転写活性化ドメインの非限定的な例としては、GAL4、単純ヘルペス活性化ドメインVP16、VP64(単純ヘルペス活性化ドメインVP16の4量体)、NF-KB p65サブユニット、エプスタインバーウイルスRトランス活性化因子(Rta)が挙げられる。一部の実施形態では、そのような転写活性化ドメインは、本開示の方法の対照として使用される。一部の実施形態では、そのような転写活性化ドメインは、少なくとも1つの追加の異種遺伝子エフェクター(例えば、異なるエフェクター)を含む複合体における1つの異種遺伝子エフェクターとして使用される。
【0117】
異種遺伝子エフェクターは、転写リプレッサードメインを含み得る。異種遺伝子エフェクターは、例えばC末端、N末端、またはポリペプチド配列内にタンデムまたは個別に位置する2つまたはそれより多くの転写リプレッサードメインを含み得る。
【0118】
転写リプレッサードメインの非限定的な例としては、KoxlのKRAB(Kruppel関連ボックス)ドメイン、Mad mSIN3相互作用ドメイン(SID)、およびERFリプレッサードメイン(ERD)が挙げられる。一部の実施形態では、そのような転写リプレッサードメインは、本開示の方法の対照として使用される。一部の実施形態では、そのような転写リプレッサードメインは、少なくとも1つの追加の異種遺伝子エフェクター(例えば、異なるエフェクター)を含む複合体における1つの異種遺伝子エフェクターとして使用される。
【0119】
一部の実施形態では、異種遺伝子エフェクターは、転写因子である遺伝子産物に由来する。
【0120】
一部の実施形態では、異種遺伝子エフェクターは、造血幹細胞転写因子である遺伝子産物に由来する。造血幹細胞転写因子の非限定的な例としては、AHR、Aiolos/IKZF3、CDX4、CREB、DNMT3A、DNMT3B、EGR1、FoxO3、GATA-1、GATA-2、GATA-3、Helios、HES-1、HHEX、HIF-1アルファ/HIF1A、HMGB1/HMG-1、HMGB3、Ikaros、c-Jun、LMO2、LMO4、c-Maf、MafB、MEF2C、MYB、c-Myc、NFATC2、NFIL3/E4BP4、Nrf2、p53、PITX2、PRDM16/MEL1、Prox1、PU.1/Spi-1、RUNX1/CBFA2、SALL4、SCL/Tal1、Smad2、Smad2/3、Smad4、Smad7、Spi-B、STAT活性化因子、STATインヒビター、STAT3、STAT4、STAT5a、STAT6、およびTSC22が挙げられる。
【0121】
一部の実施形態では、異種遺伝子エフェクターは、間葉幹細胞転写因子である遺伝子産物に由来する。間葉幹細胞転写因子の非限定的な例としては、DUX4、DUX4/DUX4c、DUX4c、EBF-1、EBF-2、EBF-3、ETV5、FoxC2、FoxF1、GATA-4、GATA-6、HMGA2、c-Jun、MYF-5、Myocardin、MyoD、Myogenin、NFATC2、p53、Pax3、PDX-1/IPF1、PLZF、PRDM16/MEL1、RUNX2/CBFA1、Smad1、Smad3、Smad4、Smad5、Smad8、Smad9、Snail、SOX2、SOX9、SOX11、STAT活性化因子、STATインヒビター、STAT1、STAT3、TBX18、Twist-1、およびTwist-2が挙げられる。
【0122】
一部の実施形態では、異種遺伝子エフェクターは、胚性幹細胞転写因子である遺伝子産物に由来する。胚性幹細胞転写因子の非限定的な例としては、ブラキウリ、EOMES、FoxC2、FoxD3、FoxF1、FoxH1、FoxO1/FKHR、GATA-2、GATA-3、GBX2、グースコイド、HES-1、HNF-3アルファ/FoxA1、c-Jun、KLF2、KLF4、KLF5、c-Maf、Max、MEF2C、MIXL1、MTF2、c-Myc、Nanog、NFkB/IkB活性化因子、NFkB/IkBインヒビター、NFkB1、NFkB2、Oct-3/4、Otx2、p53、Pax2、Pax6、PRDM14、Rex-1/ZFP42、SALL1、SALL4、Smad1、Smad2、Smad2/3、Smad3、Smad4、Smad5、Smad8、Snail、SOX2、SOX7、SOX15、SOX17、STAT活性化因子、STATインヒビター、STAT3、SUZ12、TBX6、TCF-3/E2A、THAP11、UTF1、WDR5、WT1、ZNF206、およびZNF281が挙げられる。
【0123】
一部の実施形態では、異種遺伝子エフェクターは、人工多能性幹細胞(iPSC)転写因子である遺伝子産物に由来する。iPSC転写因子の非限定的な例としては、KLF2、KLF4、c-Maf、c-Myc、Nanog、Oct-3/4、p53、SOX1、SOX2、SOX3、SOX15、SOX18、およびTBX18が挙げられる。
【0124】
一部の実施形態では、異種遺伝子エフェクターは、上皮幹細胞転写因子である遺伝子産物に由来する。上皮幹細胞転写因子の非限定的な例としては、ASCL2/Mash2、CDX2、DNMT1、ELF3、Ets-1、FoxM1、FoxN1、GATA-6、Hairless、HNF-4アルファ/NR2A1、IRF6、c-Maf、MITF、Miz-1/ZBTB17、MSX1、MSX2、MYB、c-Myc、ニューロゲニン-3、NFATC1、NKX3.1、Nrf2、p53、p63/TP73L、Pax2、Pax3、RUNX1/CBFA2、RUNX2/CBFA1、RUNX3/CBFA3、Smad1、Smad2、Smad2/3、Smad4、Smad5、Smad7、Smad8、Snail、SOX2、SOX9、STAT活性化因子、STATインヒビター、STAT3、SUZ12、TCF-3/E2A、およびTCF7/TCF1が挙げられる。
【0125】
一部の実施形態では、異種遺伝子エフェクターは、がん幹細胞転写因子である遺伝子産物に由来する。がん幹細胞転写因子の非限定的な例としては、アンドロゲンR/NR3C4、AP-2ガンマ、ベータカテニン、ベータカテニンインヒビター、ブラキウリ、CREB、ERアルファ/NR3A1、ERベータ/NR3A2、FoxM1、FoxO3、FRA-1、GLI-1、GLI-2、GLI-3、HIF-1アルファ/HIF1A、HIF-2アルファ/EPAS1、HMGA1B、c-Jun、JunB、KLF4、c-Maf、MCM2、MCM7、MITF、c-Myc、Nanog、NFkB/IkB活性化因子、NFkB/IkBインヒビター、NFkB1、NKX3.1、Oct-3/4、p53、PRDM14、Snail、SOX2、SOX9、STAT活性化因子、STATインヒビター、STAT3、TAZ/WWTR1、TBX3、Twist-1、Twist-2、WT1、およびZEB1が挙げられる。
【0126】
一部の実施形態では、異種遺伝子エフェクターは、がん関連転写因子である遺伝子産物に由来する。がん関連転写因子の非限定的な例としては、ASCL1/Mash1、ASCL2/Mash2、ATF1、ATF2、ATF4、BLIMP1/PRDM1、CDX2、CDX4、DLX5、DNMT1、E2F-1、EGR1、ELF3、Ets-1、FosB/G0S3、FoxC1、FoxC2、FoxF1、GADD153、GATA-2、HMGA2、HMGB1/HMG-1、HNF-3アルファ/FoxA1、HNF-6/ONECUT1、HSF1、ID1、ID2、JunD、KLF10、KLF12、KLF17、LMO2、MEF2C、MYCL1/L-Myc、NFkB2、Oct-1、p63/TP73L、Pax3、PITX2、Prox1、RAP80、Rex-1/ZFP42、RUNX1/CBFA2、RUNX3/CBFA3、SALL4、SCL/Tal1、サーチュイン2/SIRT2、Smad3、Smad4、Smad5、SOX11、STAT5a/b、STAT5a、STAT5b、TCF7/TCF1、TORC1、TORC2、TRIM32、TRPS1、およびTSC22が挙げられる。
【0127】
一部の実施形態では、異種遺伝子エフェクターは、免疫細胞転写因子である遺伝子産物に由来する。免疫細胞転写因子の非限定的な例としては、AP-1、Bcl6、E2A、EBF、Eomes、FoxP3、GATA3、Id2、Ikaros、IRF、IRF1、IRF2、IRF3、IRF3、IRF7、NFAT、NFkB、Pax5、PLZF、PU.1、ROR-ガンマ-T、STAT、STAT1、STAT2、STAT3、STAT4、STAT5、STAT5A、STAT5B、STAT6、T-bet、TCF7、およびThPOKが挙げられる。
【0128】
一部の実施形態では、異種遺伝子エフェクターは、RNAポリメラーゼ関連タンパク質である遺伝子産物に由来する。一部の実施形態では、異種遺伝子エフェクターは、塩基性ドメインを有する転写因子に由来する。一部の実施形態では、異種遺伝子エフェクターは、亜鉛配位DNA結合ドメインを有する転写因子に由来する。一部の実施形態では、異種遺伝子エフェクターは、ヘリックスターンヘリックスドメインを有する転写因子に由来する。一部の実施形態では、異種遺伝子エフェクターは、アルファヘリックスDNA結合ドメインを有する転写因子に由来する。一部の実施形態では、異種遺伝子エフェクターは、ベータ構造によって露出したアルファヘリックスを有する転写因子に由来する。一部の実施形態では、異種遺伝子エフェクターは、免疫グロブリンフォールドを有する転写因子に由来する。一部の実施形態では、異種遺伝子エフェクターは、アルファ/ベータ足場構造によって露出したベータヘアピンを有する(with a with)転写因子に由来する。一部の実施形態では、異種遺伝子エフェクターは、DNAに結合するベータシートを有する転写因子に由来する。一部の実施形態では、異種遺伝子エフェクターは、ベータバレルDNA結合ドメインを有する転写因子に由来する。
【0129】
一部の実施形態では、異種遺伝子エフェクターは、核受容体、例えば核ホルモン受容体である遺伝子産物に由来する。核ホルモン受容体の非限定的な例としては、NR0B1、NR0B2、NR1A1、NR1A2、NR1B1、NR1B2、NR1B3、NR1C1、NR1C2、NR1C3、NR1D1、NR1D2、NR1F1、NR1F2、NR1F3、NR1H4、NR1H5、NR1H3、NR1H2、NR1I1、NR1I2、NR1I3、NR2A1、NR2A2、NR2B1、NR2B2、NR2B3、NR2C1、NR2C2、NR2E1、NR2E3、NR2F1、NR2F2、NR2F6、NR3A1、NR3A2、NR3B1、NR3B2、NR3B3、NR3C4、NR3C1、NR3C2、NR3C3、NR4A1、NR4A2、NR4A3、NR5A1、NR5A2、およびNR6A1によってコードされる受容体が挙げられる。
【0130】
一部の実施形態では、異種遺伝子エフェクターは、ヌクレオソームアセンブリに関与する遺伝子産物に由来する。一部の実施形態では、異種遺伝子エフェクターは、DNA代謝に関与する遺伝子産物に由来する。一部の実施形態では、異種遺伝子エフェクターは、ヌクレオチド代謝に関与する遺伝子産物に由来する。一部の実施形態では、異種遺伝子エフェクターは、リボソーム生合成に関与する遺伝子産物に由来する。一部の実施形態では、異種遺伝子エフェクターは、タンパク質フォールディングに関与する遺伝子産物に由来する。一部の実施形態では、異種遺伝子エフェクターは、翻訳に関与する遺伝子産物に由来する。一部の実施形態では、異種遺伝子エフェクターは、シグナル伝達に関与する遺伝子産物に由来する。一部の実施形態では、異種遺伝子エフェクターは、タンパク質分解に関与する遺伝子産物に由来する。一部の実施形態では、異種遺伝子エフェクターは、エンドペプチダーゼ活性の負の調節に関与する遺伝子産物に由来する。
【0131】
一部の実施形態では、異種遺伝子エフェクターまたは遺伝子調節因子は、本明細書において互換的に使用される場合、表3に提供される異種遺伝子エフェクターアミノ酸配列のいずれかと少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または実質的に約100%配列同一性を示すポリペプチド配列を含み得る。
表3. 異種遺伝子エフェクターアミノ酸配列
【表3-1】
【表3-2】
【0132】
本明細書に開示される異種ポリヌクレオチドは、異種遺伝子エフェクターを標的遺伝子(例えば、標的内因性遺伝子)または標的遺伝子調節配列に向けるために1つまたは複数のガイド部分(例えば、1つまたは複数のガイド核酸分子)を含み得る。ガイド部分は、標的遺伝子または標的遺伝子調節配列を認識して特異的に結合する能力を付与することができる。ガイド部分は、異種ポリペプチドと複合体を形成するように構成することができ(例えば、ヌクレアーゼ、例えばCRISPR/Casタンパク質と複合体を形成するガイド核酸)、複合体は、標的遺伝子の発現レベルおよび/またはエピジェネティック改変レベルを改変するために、本明細書に開示される標的ポリペプチド配列に対して特異的結合を示すように構成することができる。
【0133】
ガイド部分は、ガイド核酸を含み得る。ガイド部分は、本明細書に開示されるヌクレアーゼおよびガイド核酸を含み得る。ガイド部分は、ヌクレアーゼまたはその一部、例えばエンドヌクレアーゼ、例えば異種エンドヌクレアーゼを含み得る。ヌクレアーゼは、例えばDNAヌクレアーゼおよび/またはRNAヌクレアーゼ、ヌクレアーゼが欠損しているかまたは野生型ヌクレアーゼと比較して低減されたヌクレアーゼ活性を有する改変ヌクレアーゼ、その誘導体、そのバリアント、もしくはその断片であり得る。一部の実施形態では、ガイド部分は、最小のヌクレアーゼ活性を有する。
【0134】
任意の好適なヌクレアーゼ、その断片、または誘導体を、ガイド部分に使用することができる。好適なヌクレアーゼとしては、これらに限定されないが、I型CRISPR関連(Cas)ポリペプチド、II型CRISPR関連(Cas)ポリペプチド、III型CRISPR関連(Cas)ポリペプチド、IV型CRISPR関連(Cas)ポリペプチド、V型CRISPR関連(Cas)ポリペプチド、およびVI型CRISPR関連(Cas)ポリペプチドを含むCRISPR関連(Cas)タンパク質またはCasヌクレアーゼ;ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN);転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN);メガヌクレアーゼ;RNA結合タンパク質(RBP);CRISPR関連RNA結合タンパク質;リコンビナーゼ;フリッパーゼ;トランスポザーゼ;アルゴノート(Ago)タンパク質(例えば、原核生物アルゴノート(pAgo)、古細菌アルゴノート(aAgo)、および真核生物アルゴノート(eAgo));その任意の誘導体;その任意のバリアントおよびその任意の断片が挙げられる。
【0135】
一部の実施形態では、ガイド部分は、DNAヌクレアーゼ、例えばヌクレアーゼ欠損である操作された(例えば、プログラム可能なまたは標的化可能な)DNAヌクレアーゼを含む。一部の実施形態では、ガイド部分は、本開示の1つまたは複数の異種遺伝子エフェクターとの複合体に存在しなければ、標的DNA配列の転写の活性化または抑制を誘導しないDNAヌクレアーゼに由来するヌクレアーゼヌルDNA結合タンパク質を含む。一部の実施形態では、ガイド部分は、標的DNA配列の転写の活性化または抑制を誘導することができる(例えば、本開示の異種遺伝子エフェクターの存在によって変更または増強することができる)DNAヌクレアーゼに由来するヌクレアーゼヌルDNA結合タンパク質を含む。
【0136】
一部の実施形態では、ガイド部分は、RNAヌクレアーゼ、例えば操作された(例えば、プログラム可能なまたは標的化可能な)RNAヌクレアーゼを含む。一部の実施形態では、ガイド部分は、本開示の1つまたは複数の異種遺伝子エフェクターとの複合体に存在しなければ、標的RNA配列の転写の活性化または抑制を誘導しないRNAヌクレアーゼに由来するヌクレアーゼヌルRNA結合タンパク質を含む。一部の実施形態では、ガイド部分は、標的RNA配列の転写活性化または抑制を誘導することができる(例えば、本開示の異種遺伝子エフェクターの存在によって変更または増強することができる)RNAヌクレアーゼに由来するヌクレアーゼヌルRNA結合タンパク質を含む。
【0137】
一部の実施形態では、ガイド部分は、核酸ガイド標的化システムを含む。一部の実施形態では、ガイド部分は、DNAガイド標的化システムを含む。一部の実施形態では、ガイド部分は、RNAガイド標的化システムを含む。ガイド部分は、例えばCRISPR-Cas系(例えば、そのヌクレアーゼ欠損型、例えばdCas9)の標的遺伝子(例えば、標的内因性遺伝子)または標的遺伝子調節配列に対する特異的結合を容易にするガイド核酸配列を含み、利用することができる。結合特異性は、ガイド核酸、例えば単一のガイドRNA(sgRNA)またはその一部を使用することによって決定することができる。一部の実施形態では、異なるsgRNAを使用することにより、本開示の組成物および方法を、異なる標的遺伝子(例えば、標的内因性遺伝子)または標的遺伝子調節配列と共に使用する(例えば、標的化される)ことができる。
【0138】
原核生物CRISPR-Cas(クラスター化して規則的な配置の短い回文配列リピート(Clustered regularly interspaced short palindromic repeats)-CRISPR関連)系、例えば、クラスII CRISPR-Cas系、例えばCas9およびCpflは、本開示の組成物および方法において遺伝子発現、エピゲノム編集、およびクロマチンルーピングを調節するためのツールとして転用することができる。異種遺伝子エフェクターと複合体を形成したヌクレアーゼ非活性化Cas(dCas)タンパク質は、dCasが結合した部位に隣接する標的遺伝子(例えば、標的内因性遺伝子)の発現の調節を可能にし得る。
【0139】
一部の実施形態では、ガイド部分は、天然に存在しないCRISPR(クラスター化して規則的な配置の短い回文配列リピート)/Cas(CRISPR関連)系において機能するCRISPR関連(Cas)タンパク質またはCasヌクレアーゼを含む。細菌では、この系は、外来DNAに対する獲得免疫を提供することができる。
【0140】
多様な哺乳動物、動物、植物、微生物、および酵母を含む多種多様な生物において、CRISPR/Cas系(例えば、改変および/または非改変)を、ゲノム操作ツールとして利用することができる、または本明細書に開示されるとおり操作されたタンパク質の特異的結合を標的遺伝子座に向けるように改変することができる。CRISPR/Cas系は、遺伝子発現および/または活性または核酸結合の標的化調節のためにCasタンパク質と複合体を形成したガイドRNA(gRNA)などのガイド核酸を含み得る。RNAガイドCasタンパク質(例えば、Casヌクレアーゼ、例えばCas9ヌクレアーゼ)は、配列依存的に標的ポリヌクレオチド(例えば、DNA)に特異的に結合することができる。Casタンパク質は、ヌクレアーゼ活性を保有する場合、DNAを切断することができる。
【0141】
一部の例では、Casタンパク質を、変異および/または改変させて、ヌクレアーゼ欠損タンパク質または野生型Casタンパク質と比較して減少したヌクレアーゼ活性を有するタンパク質を生じる。ヌクレアーゼ欠損タンパク質は、DNAの結合能を保持することができるが、核酸切断活性を欠如してもよく、または低減された核酸切断活性を有してもよい。
【0142】
一部の実施形態では、ガイド部分は、ガイド核酸、例えばガイドRNAまたはその一部と複合体を形成するCasタンパク質を含む。一部の実施形態では、ガイド部分は、単一のガイド核酸、例えば単一のガイドRNA(sgRNA)と複合体を形成するCasタンパク質を含む。一部の実施形態では、ガイド部分は、Casタンパク質と複合体を形成することができるガイド核酸、例えばガイドRNA(例えば、sgRNA)と必要に応じて複合体を形成するRNA結合タンパク質(RBP)を含む。一部の実施形態では、ガイド部分は、標的DNA配列の転写の活性化または抑制を誘導することができるDNAヌクレアーゼに由来するヌクレアーゼヌルDNA結合タンパク質を含む。一部の実施形態では、ガイド部分は、RNAに由来するヌクレアーゼヌルRNA結合タンパク質を含む。
【0143】
一部の実施形態では、本開示の組成物および方法に使用されるガイド核酸は、例えば、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、またはそれより多いヌクレオチドであり得る。
【0144】
一部の実施形態では、本開示の組成物および方法に使用されるガイド核酸は、多くて(at most at most)10、多くて9、多くて8、多くて7、多くて6、多くて5、多くて4、多くて3、多くて2、または多くて1ヌクレオチドである。
【0145】
ガイド核酸は、ガイドRNAまたはその一部であり得る。
【0146】
任意の好適なCRISPR/Cas系を使用することができる。CRISPR/Cas系は、多様な命名系を使用して言及され得る。CRISPR/Cas系は、I型、II型、III型、IV型、V型、VI型系、または他の任意の好適なCRISPR/Cas系であり得る。CRISPR/Cas系は、本明細書で使用される場合、クラス1、クラス2、または他の任意の好適に分類されたCRISPR/Cas系であり得る。クラス1またはクラス2の決定は、エフェクターモジュールをコードする遺伝子に基づき得る。クラス1系は一般的にマルチサブユニットcrRNA-エフェクター複合体を有するが、クラス2系は一般的に、単一のタンパク質、例えばCas9、Cpfl、C2c1、C2c2、C2c3、またはcrRNA-エフェクター複合体を有する。クラス1CRISPR/Cas系は、複数のCasタンパク質の複合体を使用して、調節をもたらすことができる。クラス1CRISPR/Cas系は、例えばI型(例えば、I、IA、IB、IC、ID、IE、IF、IU型)、III型(例えば、III、IIIA、IIIB、IIIC、IIID型)、およびIV型(例えば、IV、IVA、IVB型)CRISPR/Cas型を含み得る。クラス2CRISPR/Cas系は、単一の大きいCasタンパク質を使用して、調節をもたらすことができる。クラス2CRISPR/Cas系は、例えばII型(例えば、II、IIA、IIB型)およびV型CRISPR/Cas型を含み得る。CRISPR系は、互いに相補的であり得る、および/または機能的単位をトランスにしてCRISPR遺伝子座標的化を容易にすることができる。
【0147】
ガイド部分が、Casタンパク質またはその誘導体を含む場合、Casタンパク質またはその誘導体は、クラス1またはクラス2Casタンパク質であり得る。Casタンパク質は、I型、II型、III型、IV型、V型Casタンパク質、またはVI型Casタンパク質であり得る。Casタンパク質は、1つまたは複数のドメインを含み得る。ドメインの非限定的な例としては、ガイド核酸認識および/または結合ドメイン、ヌクレアーゼドメイン(例えば、DNaseまたはRNaseドメイン、RuvC、HNH)、DNA結合ドメイン、RNA結合ドメイン、ヘリカーゼドメイン、タンパク質-タンパク質相互作用ドメイン、および二量体形成ドメインが挙げられる。ガイド核酸認識および/または結合ドメインは、ガイド核酸と相互作用することができる。ヌクレアーゼドメインは、核酸切断のための触媒活性を含み得る。ヌクレアーゼドメインは、核酸切断を防止するために触媒活性を欠如し得る。Casタンパク質は、他のタンパク質またはポリペプチドに融合されるキメラCasタンパク質またはその断片であり得る。Casタンパク質は、例えば異なるCasタンパク質からのドメインを含む様々なCasタンパク質のキメラであり得る。
【0148】
Casタンパク質の非限定的な例としては、c2c1、C2c2、c2c3、Casl、Cas1B、Cas2、Cas3、Cas4、Cas5、Cas5e(CasD)、Cash、Cas6e、Cas6f、Cas7、Cas8a、Cas8a1、Cas8a2、Cas8b、Cas8c、Cas9(CsnlまたはCsx12)、Cas10、CaslOd、Cas10、CaslOd、CasF、CasG、CasH、Cpfl、Csyl、Csy2、Csy3、Csel(CasA)、Cse2(CasB)、Cse3(CasE)、Cse4(CasC)、Cscl、Csc2、Csa5、Csn2、Csm2、Csm3、Csm4、Csm5、Csm6、Cmrl、Cmr3、Cmr4、Cmr5、Cmr6、Csbl、Csb2、Csb3、Csx17、Csx14、Csx10、Csx16、CsaX、Csx3、Csxl、Csx15、Csfl、Csf2、Csf3、Csf4、Cul966、Cas13a、Cas13b、Cas13c、Cas13d、Cas13X、Cas13Y、およびそのホモログまたは改変バージョンが挙げられる。
【0149】
一部の例では、本明細書に開示されるCasタンパク質は、Cas9またはCas12aでなくてもよく、その必要もない。本明細書に開示されるCasタンパク質は、Cas9またはCas12aと比較してより小さいサイズを有し得る。本明細書に開示されるCasタンパク質は、Un1Cas12f1(またはCas14a1)に由来し得る。例えば、本明細書に開示されるCasタンパク質は、配列番号43のポリペプチド配列と少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または実質的に約100%同一であるアミノ酸配列を含み得る。別の例では、本明細書に開示されるCasタンパク質は、配列番号44のポリペプチド配列と少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または実質的に約100%同一であるアミノ酸配列を含み得る。本明細書に開示される場合、配列番号43は、Un1Cas12f1(またはCas14a1)のポリペプチド配列をコードする。本明細書に開示される場合、配列番号44は、低減されたヌクレアーゼ活性を有するUn1Cas12f1の操作されたバリアントをコードする。
【0150】
配列番号43(Un1Cas12f1)
【化1】
【0151】
配列番号44(Un1Cas12f1の非活性化ヌクレアーゼバリアント)
【化2】
【化3】
【0152】
Casタンパク質またはその断片または誘導体は、任意の好適な生物に由来し得る。非限定的な例としては、Streptococcus pyogenes、Streptococcus thermophilus、Streptococcus sp.、Staphylococcus aureus、Nocardiopsis dassonvillei、Streptomyces pristinae spiralis、Streptomyces viridochromo genes、Streptomyces viridochromogenes、Streptosporangium roseum、Streptosporangium roseum、AlicyclobacHlus acidocaldarius、Bacillus pseudomycoides、Bacillus selenitireducens、Exiguobacterium sibiricum、Lactobacillus delbrueckii、Lactobacillus salivarius、Microscilla marina、Burkholderiales bacterium、Polaromonas nap hthalenivorans、Polaromonas sp.、Crocosphaera watsonii、Cyanothece sp.、Microcystis aeruginosa、Pseudomonas aeruginosa、Synechococcus sp.、Acetohalobium arabaticum、Ammonifex degensii、Caldicelulosiruptor becscii、Candidatus Desulforudis、Clostridium botulinum、Clostridium difficile、Finegoldia magna、Natranaerobius thermophilus、Pelotomaculum thermopropionicum、Acidithiobacillus caldus、Acidithiobacillus ferrooxidans、Allochromatium vinosum、Marinobacter sp.、Nitrosococcus halophilus、Nitrosococcus watsoni、Pseudoalteromonas haloplanktis、Ktedonobacter racemifer、Methanohalobium evestigatum、Anabaena variabilis、Nodularia spumigena、Nostoc sp.、Arthrospira maxima、Arthrospira platensis、Arthrospira sp.、Lyngbya sp.、Microcoleus chthonoplastes、Oscillatoria sp.、Petrotoga mobilis、Thermosipho africanus、Acaryochloris marina、Leptotrichia shahii、およびFrancisella novicidaが挙げられる。一部の態様では、生物は、Streptococcus pyogenes(S.pyogenes)である。一部の態様では、生物は、Staphylococcus aureus(S.aureus)である。一部の態様では、生物は、Streptococcus thermophilus(S.thermophilus)である。
【0153】
Casタンパク質は、これらに限定されないが、Veillonella atypical、Fusobacterium nucleatum、Filifactor alocis、Solobacterium moorei、Coprococcus catus、Treponema denticola、Peptoniphilus duerdenii、Catenibacterium mitsuokai、Streptococcus mutans、Listeria innocua、Staphylococcus pseudintermedius、Acidaminococcus intestine、Olsenella uli、Oenococcus kitaharae、Bifidobacterium bifidum、Lactobacillus rhamnosus、Lactobacillus gasseri、Finegoldia magna、Mycoplasma mobile、Mycoplasma gallisepticum、Mycoplasma ovipneumoniae、Mycoplasma canis、Mycoplasma synoviae、Eubacterium rectale、Streptococcus thermophilus、Eubacterium dolichum、Lactobacillus coryniformis subsp. Torquens、Ilyobacter polytropus、Ruminococcus albus、Akkermansia muciniphila、Acidothermus cellulolyticus、Bifidobacterium longum、Bifidobacterium dentium、Corynebacterium diphtheria、Elusimicrobium minutum、Nitratifractorsalsuginis、Sphaerochaeta globus、Fibrobacter succinogenes subsp. Succinogenes、Bacteroides fragilis、Capnocytophaga ochracea、Rhodopseudomonas palustris、Prevotella micans、Prevotella ruminicola、Flavobacterium columnare、Aminomonas paucivorans、Rhodospirillum rubrum、Candidatus Puniceispirillum marinum、Verminephrobacter eiseniae、Ralstonia syzygii、Dinoroseobacter shibae、Azospirillum、Nitrobacter hamburgensis、Bradyrhizobium、Wolinellasuccinogenes、Campylobacter jejuni subsp. Jejuni、Helicobacter mustelae、Bacillus cereus、Acidovorax ebreus、Clostridium perfringens、Parvibaculum lavamentivorans、Roseburia intestinalis、Neisseria meningitidis、Pasteurella multocida subsp. Multocida、Sutterella wadsworthensis、proteobacterium、Legionella pneumophila、Parasutterella excrementihominis、Wolinella succinogenes、およびFrancisella novicidaを含む多様な細菌種に由来し得る。
【0154】
本明細書で使用されるCasタンパク質は、Casタンパク質の野生型または改変型であり得る。Casタンパク質は、活性バリアント、不活性バリアント、または野生型もしくは改変Casタンパク質の断片であり得る。Casタンパク質は、野生型バージョンのCasタンパク質と比較してアミノ酸変化、例えば欠失、挿入、置換、バリアント、変異、融合、キメラ、またはその任意の組合せを含み得る。Casタンパク質は、野生型Casタンパク質と少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または100%配列同一性または配列類似性を有するポリペプチドであり得る。Casタンパク質は、野生型の例示的なCasタンパク質と多くて約5%、多くて約10%、多くて約20%、多くて約30%、多くて約40%、多くて約50%、多くて約60%、多くて約70%、多くて約80%、多くて約90%、または多くて約100%配列同一性および/または配列類似性を有するポリペプチドであり得る。バリアントまたは断片は、野生型または改変Casタンパク質またはその一部と少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または100%配列同一性または配列類似性を含み得る。バリアントまたは断片は、ガイド核酸との複合体中の核酸遺伝子座に標的化され得るが、核酸切断活性を欠如している。
【0155】
Casタンパク質は、1つまたは複数のヌクレアーゼドメイン、例えばDNaseドメインを含み得る。例えば、Cas9タンパク質は、RuvC様ヌクレアーゼドメインおよび/またはHNH様20ヌクレアーゼドメインを含み得る。Cas9のヌクレアーゼ活性型であるRuvCおよびHNHドメインは各々、二本鎖DNAの異なる鎖を切断して、DNAにおいて二本鎖切断を作製する。Casタンパク質は、1つのみのヌクレアーゼドメインを含み得る(例えば、CpflはRuvCドメインを含むがHNHドメインを欠如する)。一部の実施形態では、ヌクレアーゼドメインは存在しない。一部の実施形態では、ヌクレアーゼドメインは存在するが不活性であるか、または低減されたもしくは最小の活性を有する。一部の実施形態では、ヌクレアーゼドメインは存在して活性である。
【0156】
Casタンパク質の1つまたは複数のヌクレアーゼドメイン(例えば、RuvC、HNH)を、それらがもはや機能的でないように、または低減されたヌクレアーゼ活性を含むように、欠失または変異させてもよい。例えば、少なくとも2つのヌクレアーゼドメインを含むCasタンパク質(例えば、Cas9)において、ヌクレアーゼドメインの1つが欠失しているかまたは変異している場合、得られたCasタンパク質はニッカーゼとして知られ、二本鎖DNA内のCRISPR RNA(crRNA)認識配列で一本鎖切断を生成することができるが、二本鎖切断を生成することはできない。そのようなニッカーゼは、相補鎖または非相補鎖を切断することができるが、両方を切断することはない。Casタンパク質のヌクレアーゼドメイン(例えば、Cas9タンパク質におけるRuvCおよびHNHヌクレアーゼドメインの両方;Cpflタンパク質におけるRuvCヌクレアーゼドメイン)の全てが欠失または変異している場合、得られたCasタンパク質は、二本鎖DNAの両方の鎖を切断する能力が低減しているかまたは能力を有しない場合がある。Cas9タンパク質をニッカーゼに変換することができる変異の例は、S.pyogenesのCas9のRuvCドメインにおけるD10A(Cas9の10位でのアスパルテートのアラニンへの)変異である。S.pyogenesのCas9のHNHドメインにおけるH939A(アミノ酸839位でのヒスチジンのアラニンへの)またはH840A(アミノ酸840位でのヒスチジンのアラニンへの)は、Cas9をニッカーゼに変換することができる。Cas9タンパク質を死んだCas9に変換することができる変異の例は、RuvCドメインにおけるD10A(Cas9の10位でのアスパルテートのアラニンへの)変異およびS.pyogenesのCas9のHNHドメインにおけるH939A(アミノ酸839位でのヒスチジンのアラニンへの)またはH840A(アミノ酸840位でのヒスチジンのアラニンへの)である。
【0157】
ヌクレアーゼ死んだCasタンパク質(例えば、任意のCasタンパク質に由来するもの、例えばUn1Cas12f1)は、タンパク質の野生型バージョンと比較して1つまたは複数の変異を含み得る。変異は、野生型Casタンパク質の複数の核酸切断ドメインの1つまたは複数において核酸切断活性の90%以下、80%以下、70%以下、60%以下、50%以下、40%以下、30%以下、20%以下、10%以下、5%以下、または1%以下をもたらし得る。変異は、標的核酸の相補鎖を切断する能力を保持するが、標的核酸の非相補鎖を切断するその能力が低減している複数の核酸切断ドメインの1つまたは複数をもたらし得る。変異は、標的核酸の非相補鎖を切断する能力を保持しているが、標的核酸の相補鎖を切断するその能力が低減している複数の核酸切断ドメインの1つまたは複数をもたらし得る。変異は、標的核酸の相補鎖および非相補鎖を切断する能力を欠如する複数の核酸切断ドメインの1つまたは複数をもたらし得る。ヌクレアーゼドメインにおける変異すべき残基は、ヌクレアーゼの1つまたは複数の触媒残基に対応し得る。例えば、野生型の例示的なS.pyogenes Cas9ポリペプチドにおける残基、例えばAsp10、His840、Asn854、およびAsn856を変異させて、複数の核酸切断ドメイン(例えば、ヌクレアーゼドメイン)の1つまたは複数を不活化することができる。Casタンパク質のヌクレアーゼドメインにおける変異すべき残基は、例えば、配列および/または構造アライメントによって決定した場合に、野生型S.pyogenes Cas9ポリペプチドにおける残基Asp10、His840、Asn854、およびAsn856に対応し得る。
【0158】
非限定的な例として、残基D10、G12、G17、E762、H840、N854、N863、H982、H983、A984、D986、および/またはA987(またはCasタンパク質のいずれかの対応する変異)を変異させることができる。例えば、例えばD10A、G12A、G17A、E762A、H840A、N854A、N863A、H982A、H983A、A984A、および/またはD986A。アラニン置換以外の変異は好適であり得る。
【0159】
D10A変異を、H840A、N854A、またはN856A変異の1つまたは複数と組み合わせて、DNA切断活性を実質的に欠如するCas9タンパク質(例えば、死んだCas9タンパク質)を産生することができる。H840A変異を、D10A、N854A、またはN856A変異の1つまたは複数と組み合わせて、DNA切断活性を実質的に欠如する部位特異的ポリペプチドを産生することができる。N854A変異を、H840A、D1OA、またはN856A変異の1つまたは複数と組み合わせて、DNA切断活性を実質的に欠如する部位特異的ポリペプチドを産生することができる。N856A変異を、H840A、N854A、またはD10A変異の1つまたは複数と組み合わせて、DNA切断活性を実質的に欠如する部位特異的ポリペプチドを産生することができる。
【0160】
一部の実施形態では、Casタンパク質は、クラス2Casタンパク質である。一部の実施形態では、Casタンパク質はII型Casタンパク質である。一部の実施形態では、Casタンパク質は、Cas9タンパク質、Cas9タンパク質の改変バージョンであるか、またはCas9タンパク質に由来する。例えば、切断活性を欠如するCas9タンパク質。一部の実施形態では、Cas9タンパク質は、S.pyogenesのCas9タンパク質(例えば、SwissProt受託番号Q99ZW2)である。一部の実施形態では、Cas9タンパク質は、S.aureusのCas9(例えば、SwissProt受託番号J7RUA5)である。一部の実施形態では、Cas9タンパク質は、S.pyogenesまたはS.AureusのCas9タンパク質の改変バージョンである。一部の実施形態では、Cas9タンパク質は、S.pyogenesまたはS.AureusのCas9タンパク質に由来する。例えば、切断活性を欠如するS.pyogenesまたはS.AureusのCas9タンパク質。
【0161】
一部の実施形態では、Cas9は、一般的に、野生型の例示的なCas9ポリペプチド(例えば、S.pyogenesのCas9)と少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または約100%配列同一性および/または配列類似性を有するポリペプチドを指し得る。一部の実施形態では、Cas9は、野生型Cas9ポリペプチド(例えば、S.pyogenes由来)と多くて約5%、多くて約10%、多くて約20%、多くて約30%、多くて約40%、多くて約50%、多くて約60%、多くて約70%、多くて約80%、多くて約90%、または約100%配列同一性および/または配列類似性を有するポリペプチドを指し得る。Cas9は、野生型、またはアミノ酸変化、例えば欠失、挿入、置換、バリアント、変異、融合、キメラ、もしくはその任意の組合せを含み得るCas9タンパク質の改変型を指し得る。
【0162】
Casタンパク質は、野生型Casタンパク質のヌクレアーゼドメイン(例えば、RuvCドメイン、HNHドメイン)と少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または100%配列同一性または配列類似性を有するアミノ酸配列を含み得る。
【0163】
Casタンパク質、そのバリアントまたは誘導体は、例えば本明細書に開示される複合体の一部として、本開示の組成物および方法による遺伝子発現の調節を増強するように改変することができる。Casタンパク質を、核酸結合親和性、核酸結合特異性、酵素活性、および/または他の因子、例えばヘテロ二量体形成もしくはオリゴマー形成ドメインに対する結合を増加または減少するように、およびリガンドを誘導するように改変することができる。Casタンパク質はまた、タンパク質の任意の他の活性または特性、例えば安定性を変化させるように改変することもできる。例えば、Casタンパク質の1つもしくは複数のヌクレアーゼドメインを、改変、欠失、もしくは不活化することができ、またはCasタンパク質を切断して、タンパク質もしくは複合体の所望の機能にとって必須ではないドメインを除去することができる。Casタンパク質を、異種遺伝子エフェクターを含む本開示の複合体による遺伝子発現を調節するためにCasタンパク質の活性をモジュレートする(例えば、増強または低減する)ように改変することができる。
【0164】
例えば、Casタンパク質を、異種遺伝子エフェクター(例えば、エピジェネティック改変ドメイン、転写活性化ドメイン、および/または転写リプレッサードメイン)に共役(例えば、融合、共有結合により結合、または非共有結合により結合)させることができる。Casタンパク質を、本明細書に開示されるオリゴマー形成または二量体形成ドメイン(例えば、ヘテロ二量体形成ドメイン)に共役(例えば、融合する、共有結合により結合、または非共有結合により結合)させることができる。Casタンパク質を、増加したまたは減少した安定性を提供する異種ポリペプチドに共役(例えば、融合、共有結合により結合、または非共有結合により結合)させることができる。Casタンパク質を、Casタンパク質またはCasタンパク質を含有する複合体、例えばデグロン、例えば誘導型デグロン(例えば、オーキシン誘導型)の分解を容易にすることができる配列に共役(例えば、融合、共有結合により結合、または非共有結合により結合)させることができる。
【0165】
Casタンパク質を、任意の好適な数のパートナー、例えば少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、または少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、または少なくとも8個のパートナーに共役(例えば、融合、共有結合により結合、または非共有結合により結合)させることができる。一部の実施形態では、本開示のCasタンパク質を、多くて2、多くて3、多くて4、多くて5、多くて6、多くて7、多くて8、または多くて10個のパートナーに共役(例えば、融合、共有結合により結合、または非共有結合により結合)させる。一部の実施形態では、本開示のCasタンパク質を、1~5、1~4、1~3、1~2、2~5、2~4、2~3、3~5、3~4、または4~5個のパートナーに共役(例えば、融合、共有結合により結合、または非共有結合により結合)させる。一部の実施形態では、本開示のCasタンパク質を、1つのパートナーに共役(例えば、融合、共有結合により結合、または非共有結合により結合)させる。一部の実施形態では、本開示のCasタンパク質を、2つのパートナーに共役(例えば、融合、共有結合により結合、または非共有結合により結合)させる。一部の実施形態では、本開示のCasタンパク質を、3つのパートナーに共役(例えば、融合、共有結合により結合、または非共有結合により結合)させる。一部の実施形態では、本開示のCasタンパク質を、4つのパートナーに共役(例えば、融合、共有結合により結合、または非共有結合により結合)させる。一部の実施形態では、本開示のCasタンパク質を、5つのパートナーに共役(例えば、融合、共有結合により結合、または非共有結合により結合)させる。一部の実施形態では、本開示のCasタンパク質を、6つのパートナーに共役(例えば、融合、共有結合により結合、または非共有結合により結合)させる。
【0166】
Casタンパク質は、融合タンパク質であり得る。融合したドメインまたは異種ポリペプチドは、Casタンパク質のN末端、C末端、または内部に位置し得る。
【0167】
Casタンパク質は、任意の形態で提供され得る。例えば、Casタンパク質は、タンパク質、例えばCasタンパク質単独またはリボヌクレオタンパク質としてガイド核酸と複合体を形成したタンパク質の形態で提供され得る。Casタンパク質は、例えばガイド核酸および/または本開示の1つまたは複数の異種遺伝子エフェクターと複合体を形成した複合体で提供され得る。Casタンパク質は、Casタンパク質をコードする核酸、例えばRNA(例えば、メッセンジャーRNA(mRNA))、またはDNAの形態で提供され得る。Casタンパク質をコードする核酸は、特定の細胞または生物中のタンパク質に効率よく翻訳されるためにコドン最適化され得る。
【0168】
Casタンパク質、その断片または誘導体をコードする核酸は、細胞のゲノムに安定に組み込まれ得る。Casタンパク質をコードする核酸は、プロモーター、例えば細胞において構成的または誘導的に活性であるプロモーターに作動可能に連結され得る。Casタンパク質をコードする核酸は、発現構築物中のプロモーターに作動可能に連結され得る。発現構築物は、遺伝子または目的の他の核酸配列(例えば、Cas遺伝子)の発現を指示することが可能であり、目的のそのような核酸配列を標的細胞に移入することができる任意の核酸構築物を含み得る。
【0169】
一部の実施形態では、Casタンパク質、そのバリアントまたはその誘導体は、ヌクレアーゼ死んだCas(dCas)タンパク質である。死んだCasタンパク質は、核酸切断活性を欠如するタンパク質であり得る。
【0170】
Casタンパク質は、野生型Casタンパク質の改変型を含み得る。野生型Casタンパク質の改変型は、Casタンパク質の核酸切断活性を低減させるアミノ酸変化(例えば、欠失、挿入、または置換)を含み得る。例えば、Casタンパク質の改変型は、野生型Casタンパク質(例えば、S.pyogenesのCas9)の核酸切断活性の90%以下、80%以下、70%以下、60%以下、50%以下、40%以下、30%以下、20%以下、10%以下、5%以下、または1%以下を有し得る。Casタンパク質の改変型は、実質的な核酸切断活性を有することができない。Casタンパク質が、実質的な核酸切断活性を有さない改変型である場合、これは、酵素的に不活性である、「非活性化された」、および/または「死んだ(dead)」(「d」によって略される)と呼ばれ得る。死んだCasタンパク質(例えば、dCas、dCas9)は、標的ポリヌクレオチドに結合することができるが、標的ポリヌクレオチドを切断しないかまたはほとんど切断しないことがある。一部の態様では、死んだCasタンパク質は、死んだCas9タンパク質である。
【0171】
dCas9ポリペプチドは、単一のガイドRNA(sgRNA)と会合して、例えば本明細書に開示される異種遺伝子エフェクター(複数可)と組み合わせた標的遺伝子(例えば、標的内因性遺伝子)の転写を活性化または抑制することができる。sgRNAを、Casまたは本開示のガイド部分構成要素を発現する細胞に導入することができる。一部の例では、そのような細胞は、同じ標的遺伝子(例えば、標的内因性遺伝子)または標的遺伝子調節配列を標的化する1つまたは複数の異なるsgRNAを含有し得る。他の例では、sgRNAは、細胞における異なる核酸(例えば、異なる標的遺伝子、異なる標的遺伝子調節配列、または同じ標的遺伝子もしくは標的遺伝子調節配列内の異なる配列)を標的とする。
【0172】
酵素的に不活性とは、ポリヌクレオチド中の核酸配列に配列特異的に結合するが、標的ポリヌクレオチドを切断しない、または実質的に低減された頻度で切断するヌクレアーゼを指し得る。酵素的に不活性なガイド部分は、酵素的に不活性なドメイン(例えばヌクレアーゼドメイン)を含み得る。酵素的に不活性とは、活性がないことを指し得る。酵素的に不活性とは、実質的に活性がないことを指し得る。酵素的に不活性とは、本質的に活性がないことを指し得る。酵素的に不活性とは、比較可能な野生型活性(例えば、核酸切断活性、野生型Cas9活性)と比較して1%以下、2%以下、3%以下、4%以下、5%以下、6%以下、7%以下、8%以下、9%以下、または10%以下の活性を指し得る。
【0173】
一部の実施形態では、ガイド部分は、核酸ガイド標的化システムを含有しない。例えば、ガイド部分は、タンパク質構造特色、例えば本明細書に開示されるある特定のヌクレアーゼに基づいて標的遺伝子(例えば、標的内因性遺伝子)または標的遺伝子調節配列に結合するタンパク質を含み得る。
【0174】
一部の実施形態では、ガイド部分は、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、またはそのバリアント、断片、もしくは誘導体を含む。ZFNは、切断ドメイン、例えばFoklの切断ドメインと、DNAおよびRNAなどのポリヌクレオチドに結合することができる少なくとも1つのジンクフィンガーモチーフ(例えば、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、または少なくとも5個のジンクフィンガーモチーフ)との間の融合体を指し得る。一部の実施形態では、ZFNは、本開示の標的化部分において、ポリヌクレオチド(例えば、標的遺伝子または標的遺伝子調節配列)に結合するために使用されるが、ZFNは、ポリヌクレオチドを切断しないかまたは実質的に切断しない、例えば、ヌクレアーゼ死んだZFNである。ZFNまたはそのバリアント、断片、もしくは誘導体を、1つまたは複数の(one of more)異種遺伝子エフェクターに融合または会合させて、本開示の複合体を形成することができる。
【0175】
特定の配向および間隔での2つの個々のZFNのポリヌクレオチドにおけるある特定の位置でのヘテロ二量体形成は、ヌクレアーゼ活性ZFNにおけるポリヌクレオチドの切断をもたらし得る。例えば、ZFNがDNAに結合すると、DNAにおける二本鎖切断を誘導することができる。2つの切断ドメインが二量体形成して、DNAを切断することを可能にするために、2つの個々のZFNは、ある特定の距離離れたそのC末端でDNAの反対鎖に結合することができる。一部の例では、ジンクフィンガードメインと切断ドメインとの間のリンカー配列は、各結合部位の5’端が約5~7塩基対離れることを必要とし得る。一部の例では、切断ドメインを、各ジンクフィンガードメインのC末端に融合させる。
【0176】
一部の実施形態では、ZFNを含むガイド部分の切断ドメインは、野生型切断ドメインの改変型を含む。切断ドメインの改変型は、切断ドメインの核酸切断活性を低減させるアミノ酸変化(例えば、欠失、挿入、または置換)を含み得る。例えば、切断ドメインの改変型は、対応する野生型切断ドメインの核酸切断活性の90%以下、80%以下、70%以下、60%以下、50%以下、40%以下、30%以下、20%以下、10%以下、5%以下、または1%以下を有し得る。切断ドメインの改変型は、実質的な核酸切断活性を有しない場合がある。一部の実施形態では、切断ドメインは、酵素的に不活性である。
【0177】
一部の実施形態では、ガイド部分は、「TALEN」または「TAL-エフェクターヌクレアーゼ」、またはそのバリアント、断片、もしくは誘導体を含む。TALENは、一般的にDNA結合タンデムリピートの中心ドメインおよび切断ドメインを含有する操作された転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼを指す。TALENは、TALエフェクターDNA結合ドメインをDNA切断ドメインに融合することによって産生することができる。一部の例では、DNA結合タンデムリピートは、33~35アミノ酸長を含み、少なくとも1つの特異的DNA塩基対を認識することができる12位および13位で2つの超可変アミノ酸残基を含有する。転写活性化因子様エフェクター(TALE)タンパク質を、ヌクレアーゼ、例えば野生型または変異したFok1エンドヌクレアーゼ、またはFok1の触媒ドメインに融合させることができる。一部の実施形態では、TALENは、本開示の標的化部分において、ポリヌクレオチド(例えば、標的遺伝子または標的遺伝子調節配列)に結合するために使用されるが、TALENは、ポリヌクレオチドを切断しないか、または実質的に切断しない、例えばヌクレアーゼ死んだTALENである。TALEN、またはそのバリアント、断片、もしくは誘導体を、1つまたは複数の異種遺伝子エフェクターに融合または会合させて、本開示の複合体を形成することができる。
【0178】
一部の実施形態では、TALENは、低減されたヌクレアーゼ活性に関して操作されている。一部の実施形態では、TALENのヌクレアーゼドメインは、野生型ヌクレアーゼドメインの改変型を含む。ヌクレアーゼドメインの改変型は、ヌクレアーゼドメインの核酸切断活性を低減させるアミノ酸変化(例えば、欠失、挿入、または置換)を含み得る。例えば、ヌクレアーゼドメインの改変型は、野生型ヌクレアーゼドメインの核酸切断活性の90%以下、80%以下、70%以下、60%以下、50%以下、40%以下、30%以下、20%以下、10%以下、5%以下、または1%以下を有し得る。ヌクレアーゼドメインの改変型は、実質的な核酸切断活性を有しない場合がある。一部の実施形態では、ヌクレアーゼドメインは、酵素的に不活性である。TALEN、またはそのバリアント、断片、もしくは誘導体を、1つまたは複数の異種遺伝子エフェクターに融合または会合させて、本開示の複合体を形成することができる。
【0179】
例えば、切断特異性または活性を改善する、Fok1に対するいくつかの変異が、TALENにおけるその使用のために作製されている。そのようなTALENは、任意の所望のDNA配列に結合するように操作され得る。TALENを使用して、標的DNA配列において二本鎖切断を作製し、次にNHEJまたはHDRを受けることによって遺伝子改変(例えば、核酸配列編集)を生成することができる。
【0180】
TALE、またはそのバリアント、断片、もしくは誘導体を、1つまたは複数の異種遺伝子エフェクターに融合または会合させて、本開示の複合体を形成することができる。一部の実施形態では、転写活性化因子様エフェクター(TALE)タンパク質は、異種遺伝子エフェクターに融合し、ヌクレアーゼを含まない。一部の実施形態では、TALENは、ポリヌクレオチドを切断しないかまたは実質的に切断しない、例えばヌクレアーゼ死んだTALEである。TALE、またはそのバリアント、断片、もしくは誘導体を、1つまたは複数の異種遺伝子エフェクターに融合または会合させて、本開示の複合体を形成することができる。
【0181】
一部の実施形態では、転写活性化因子様エフェクター(TALE)タンパク質および異種遺伝子エフェクターの複合体は、転写活性化因子として機能するように設計される。一部の実施形態では、転写活性化因子様エフェクター(TALE)タンパク質および異種遺伝子エフェクターの複合体は、転写リプレッサーとして機能するように設計される。例えば、転写活性化因子様エフェクター(TALE)タンパク質のDNA結合ドメインを、転写活性化ドメインを含む1つもしくは複数の異種遺伝子エフェクター、または転写抑制ドメインを含む1つもしくは複数の異種遺伝子エフェクターに融合(例えば、連結)させることができる。
【0182】
一部の実施形態では、ガイド部分は、メガヌクレアーゼを含む。メガヌクレアーゼは、一般的に非常に配列特異的であるレアカットエンドヌクレアーゼ、またはホーミングエンドヌクレアーゼを指す。メガヌクレアーゼは、長さ少なくとも12塩基対、例えば12~40塩基対、12~50塩基対、または長さ12~60塩基対の長さの範囲のDNA標的部位を認識することができる。メガヌクレアーゼは、モジュール性のDNA結合ヌクレアーゼ、例えばエンドヌクレアーゼの少なくとも1つの触媒ドメインおよび少なくとも1つのDNA結合ドメインまたは核酸標的配列を指定するタンパク質を含む任意の融合タンパク質であり得る。DNA結合ドメインは、一本鎖または二本鎖DNAを認識する少なくとも1つのモチーフを含有し得る。ヌクレアーゼ活性メガヌクレアーゼは、二本鎖切断を生成し得る。一部の実施形態では、メガヌクレアーゼは、本開示の標的化部分において、ポリヌクレオチド(例えば、標的遺伝子または標的遺伝子調節配列)に結合するために使用されるが、メガヌクレアーゼは、ポリヌクレオチドを切断しないかまたは実質的に切断しない、例えばヌクレアーゼ死んだメガヌクレアーゼである。メガヌクレアーゼ、またはそのバリアント、断片、もしくは誘導体を、1つまたは複数の異種遺伝子エフェクターに融合または会合させて、本開示の複合体を形成することができる。
【0183】
メガヌクレアーゼは、単量体または二量体であり得る。一部の実施形態では、メガヌクレアーゼは、天然に存在する(自然界で見出される)または野生型であり、他の例では、メガヌクレアーゼは、非天然、人工、操作された、合成、合理的に設計された、または人の手で作られたものである。一部の実施形態では、本開示のメガヌクレアーゼは、I-CreIメガヌクレアーゼ、I-CeuIメガヌクレアーゼ、I-Msolメガヌクレアーゼ、I-SceIメガヌクレアーゼ、そのバリアント、その誘導体、およびその断片を含む。
【0184】
一部の実施形態では、メガヌクレアーゼのヌクレアーゼドメインは、野生型ヌクレアーゼドメインの改変型を含む。ヌクレアーゼドメインの改変型は、ヌクレアーゼドメインの核酸切断活性を低減または除去するアミノ酸変化(例えば、欠失、挿入、または置換)を含み得る。例えば、ヌクレアーゼドメインの改変型は、野生型ヌクレアーゼドメインの核酸切断活性の90%以下、80%以下、70%以下、60%以下、50%以下、40%以下、30%以下、20%以下、10%以下、5%以下、または1%以下を有し得る。ヌクレアーゼドメインの改変型は、実質的な核酸切断活性を有しない場合がある。一部の実施形態では、ヌクレアーゼドメインは、酵素的に不活性である。一部の実施形態では、メガヌクレアーゼは、DNAに結合することができるが、DNAを切断することはできない。一部の実施形態では、ヌクレアーゼ不活性メガヌクレアーゼを、1つまたは複数の異種遺伝子エフェクターに融合または会合させて本開示の複合体を生成する。
【0185】
一部の実施形態では、ガイド部分は、標的遺伝子(例えば、標的内因性遺伝子)の発現および/または活性を調節することができる。一部の実施形態では、ガイド部分は、核酸(例えば、遺伝子および/または遺伝子産物)の配列を編集することができる。ヌクレアーゼ活性Casタンパク質は、標的ポリヌクレオチドにおいて二本鎖切断または一本鎖切断を生成することによって、核酸配列を編集することができる。
【0186】
一部の実施形態では、ヌクレアーゼを含むガイド部分は、標的ポリヌクレオチド、例えばDNAにおいて二本鎖切断を生成することができる。DNAにおける二本鎖切断は、遺伝子改変(複数可)の導入(例えば、核酸編集)を可能にするDNA切断修復をもたらし得る。一部の実施形態では、ヌクレアーゼは、部位特異的一本鎖DNA切断またはニックを誘導し、このようにHDRをもたらす。
【0187】
DNAにおける二本鎖切断は、遺伝子改変(複数可)の導入(例えば、核酸編集)を可能にするDNA切断修復をもたらし得る。DNA切断修復は、非相同末端結合(NHEJ)または相同組み換え修復(HDR)を介して起こり得る。HDRでは、標的DNAの部位に隣接する相同性アームを含有するドナーDNA修復鋳型または鋳型ポリヌクレオチドを提供することができる。
【0188】
一部の実施形態では、ガイド部分またはヌクレアーゼを含む複合体は、標的ポリヌクレオチド、例えばDNAにおいて二本鎖切断を生成しない。
【0189】
III.複合体
【0190】
本明細書において、一部の態様では、異種ポリペプチドおよび異種ポリヌクレオチドを含む1つまたは複数の複合体が開示される。一部の例では、複合体は、異種遺伝子エフェクターおよびガイド部分、例えば、ガイド核酸および/またはヌクレアーゼ、例えば切断活性を欠如する、または実質的に欠如するエンドヌクレアーゼを含み得る。
【0191】
本開示の複合体は、例えば、1つまたは複数の異種遺伝子エフェクターを、標的遺伝子(例えば、標的内因性遺伝子)または標的遺伝子調節配列に近接させて、それによって標的遺伝子の発現、エピジェネティック改変、または活性レベルのモジュレーションを容易にするために有用であり得る。
【0192】
一部の実施形態では、本開示の複合体は、DNA、例えばゲノムDNAに結合する。一部の実施形態では、本開示の複合体は、RNA、例えばmRNA、マイクロRNA、siRNA、または非コードRNAに結合する。一部の実施形態では、本開示の複合体は、DNAおよびRNAに結合する。
【0193】
一部の実施形態では、複合体は、ポリヌクレオチド配列(例えば、プロモーター、エンハンサー、リプレッサー、オペレーター、またはサイレンサー、インスレーター、シス調節エレメント、トランス調節エレメント、エピジェネティック改変(例えば、DNAメチル化)部位、コード配列)の物理的妨害によって、標的遺伝子(例えば、標的内因性遺伝子)の発現および/または活性をモジュレートする(例えば、増加または減少させる)ことができる。
【0194】
一部の実施形態では、複合体は、標的遺伝子の発現を抑制または増強するために有効な追加の因子の動員によって、標的遺伝子(例えば、標的内因性遺伝子)の発現および/または活性をモジュレートする(例えば、増加または減少させる)ことができる。
【0195】
一部の実施形態では、本開示の複合体は、標的遺伝子(例えば、標的内因性遺伝子)または標的遺伝子調節配列(例えば、プロモーター、エンハンサー、サイレンサー、インスレーター、シス調節エレメント、トランス調節エレメント、エピジェネティック改変(例えば、DNAメチル化)部位)にエピジェネティック改変を導入するために使用される。一部の実施形態では、本開示の複合体は、三次元構造、位相学的に関連するドメイン、または標的遺伝子もしくは標的遺伝子調節配列(例えば、標的遺伝子から遠位または近位の遺伝子)を含むゲノム境界を産生するために使用される。
【0196】
一部の実施形態では、複合体は、異種遺伝子エフェクターおよびガイド部分を含む。一部の実施形態では、複合体は、1つの異種遺伝子エフェクターおよび1つのガイド部分を含む。一部の実施形態では、複合体は、2つの異種遺伝子エフェクターおよび1つのガイド部分を含む。一部の実施形態では、複合体は、3つまたはそれより多くの異種遺伝子エフェクターおよび1つのガイド部分を含む。
【0197】
一部の実施形態では、複合体は、異種遺伝子エフェクターおよびガイド核酸を含む。一部の実施形態では、複合体は、1つの異種遺伝子エフェクターおよび1つのガイド核酸を含む。一部の実施形態では、複合体は、2つの異種遺伝子エフェクターおよび1つのガイド核酸を含む。一部の実施形態では、複合体は、3つまたはそれより多くの異種遺伝子エフェクターおよび1つのガイド核酸を含む。
【0198】
複合体に存在する、例えば融合タンパク質に存在する2つの構成要素を、共有結合により連結する、または架橋する、例えば架橋剤によって処理する、または本明細書に開示されるペプチドもしくは非ペプチドリンカーによって結合させることができる。
【0199】
一部の実施形態では、複合体に存在する2つの構成要素は、同じ融合タンパク質の一部である。構成要素を必要に応じて、リンカー、例えばペプチドリンカーまたは非ペプチドリンカーによって結合させることができる。
【0200】
一部の実施形態では、ガイド部分またはその一部(例えば、ヌクレアーゼ、例えばdCas9)を、リンカーによって異種遺伝子エフェクターに結合させる。一部の実施形態では、ガイド部分またはその一部を、同じまたは異なる第2のリンカーによって第2の異種遺伝子エフェクターにさらに結合させる。一部の実施形態では、ガイド部分またはその一部(例えば、ヌクレアーゼ、例えばdCas9)を、リンカーなしで異種遺伝子エフェクターに融合する。
【0201】
一部の実施形態では、ガイド部分またはその一部(例えば、ヌクレアーゼ、例えばdCas9)を、リンカーによってオリゴマー形成ドメインまたは二量体形成(例えば、ヘテロ二量体形成)ドメインに結合させる。一部の実施形態では、ガイド部分またはその一部を、同じまたは異なる第2のリンカーによって、第2のオリゴマー形成ドメインまたは二量体形成(例えば、ヘテロ二量体形成)ドメインにさらに結合させる。一部の実施形態では、ガイド部分またはその一部(例えば、ヌクレアーゼ、例えばdCas9)を、リンカーなしで第2のオリゴマー形成ドメインまたは二量体形成(例えば、ヘテロ二量体形成)ドメインに融合する。
【0202】
一部の実施形態では、異種遺伝子エフェクターを、リンカーによって第2の異種遺伝子エフェクターに結合させる。一部の実施形態では、異種遺伝子エフェクターを、同じまたは異なる第2のリンカーによって第3の異種遺伝子エフェクターにさらに結合させる。一部の実施形態では、異種遺伝子エフェクターを、リンカーなしで第2の異種遺伝子エフェクターに融合する。
【0203】
一部の実施形態では、異種遺伝子エフェクターを、リンカーによってオリゴマー形成ドメインまたは二量体形成(例えば、ヘテロ二量体形成)ドメインに結合させる。一部の実施形態では、異種遺伝子エフェクターを、同じまたは異なる第2のリンカーによって第2のオリゴマー形成ドメインまたは二量体形成(例えば、ヘテロ二量体形成)ドメインにさらに結合させる。一部の実施形態では、異種遺伝子エフェクターを、リンカーなしで第2のオリゴマー形成ドメインまたは二量体形成(例えば、ヘテロ二量体形成)ドメインに融合する。
【0204】
任意の好適なリンカーを使用することができる。フレキシブルリンカーは、グリシンおよびセリン残基のストレッチを含有する配列を有し得る。グリシンおよびセリン残基の小さいサイズは、可撓性を提供し、接続された機能的ドメインのモビリティを可能にする。セリンおよびトレオニンを組み込むことにより、水分子と水素結合を形成することによって水溶液中でリンカーの安定性を維持することができ、それによってリンカーとタンパク質部分との間の不都合な相互作用を低減させる。フレキシブルリンカーはまた、可撓性を維持するためにトレオニンおよびアラニンなどの追加のアミノ酸も含有し、ならびに溶解度を改善するためにリシンおよびグルタミンなどの極性アミノ酸を含有し得る。リジッドリンカーは、例えばアルファヘリックス構造を有し得る。アルファヘリックスリジッドリンカーは、タンパク質ドメイン間のスペーサーとして作用することができる。
【0205】
リンカー配列は、例えば、長さ1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、または50アミノ酸残基であり得る。
【0206】
一部の実施形態では、リンカーは、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも5、少なくとも7、少なくとも9、少なくとも11、少なくとも13、少なくとも15、または少なくとも20アミノ酸である。一部の実施形態では、リンカーは、多くて5、多くて7、多くて9、多くて11、多くて13、多くて15、多くて20、多くて25、多くて30、多くて40、または多くて50アミノ酸である。
【0207】
一部の実施形態では、非ペプチドリンカーを使用する。非ペプチドリンカーは、例えば化学リンカーであり得る。本開示の複合体の2つの部分を、化学リンカーによって接続することができる。本開示の各化学リンカーは、そのいずれも必要に応じて置換される、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、シクロアルキレン、ヘテロシクロアルキレン、アリーレン、またはヘテロアリーレンであり得る。一部の実施形態では、本開示の化学リンカーは、エステル、エーテル、アミド、チオエーテル、またはポリエチレングリコール(PEG)であり得る。一部の実施形態では、リンカーは、例えばリンカー(linked)によって連結されるアミノ酸配列が、ヘッド-テールではなくて、ヘッド-ヘッドであるように、化合物中のアミノ酸配列の順序を逆転させることができる。そのようなリンカーの非限定的な例としては、ジカルボン酸のジエステル、例えばオキサリルジエステル、マロニルジエステル、スクシニルジエステル、グルタリルジエステル、アジピルジエステル、ピメチルジエステル、フマリルジエステル、マレイルジエステル、フタリルジエステル、イソフタリルジエステル、およびテレフタリルジエステルが挙げられる。そのようなリンカーの非限定的な例としては、ジカルボン酸のジアミド、例えば、オキサリルジアミド、マロニルジアミド、スクシニルジアミド、グルタリルジアミド、アジピルジアミド、ピメチルジアミド、フマリルジアミド、マレイルジアミド、フタリルジアミド、イソフタリルジアミド、およびテレフタリルジアミドが挙げられる。そのようなリンカーの非限定的な例としては、ジアミノリンカーのジアミド、例えばエチレンジアミン、1,2-ジ(メチルアミノ)エタン、1,3-ジアミノプロパン、1,3-ジ(メチルアミノ)プロパン、1,4-ジ(メチルアミノ)ブタン、1,5-ジ(メチルアミノ)ペンタン、1,6-ジ(メチルアミノ)ヘキサン、およびピピリジン(pipyrizine)が挙げられる。必要に応じた置換基の非限定的な例としては、ヒドロキシル基、スルフヒドリル基、ハロゲン、アミノ基、ニトロ基、ニトロソ基、シアノ基、アジド基、スルホキシド基、スルホン基、スルホンアミド基、カルボキシル基、カルボキシアルデヒド基、イミン基、アルキル基、ハロアルキル基、アルケニル基、ハロアルケニル基、アルキニル基、ハロアルキニル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アラルキル基、アリールアルコキシ基、ヘテロシクリル基、アシル基、アシルオキシ基、カルバメート基、アミド基、ウレイド基、エポキシ基、およびエステル基が挙げられる。
【0208】
複合体に存在する2つの構成要素は、例えば、イオン結合、水素結合、本明細書に開示されるオリゴマー形成または二量体形成ドメインによって媒介される相互作用等によって非共有結合により結合され得る。
【0209】
一部の実施形態では、ガイド部分またはその一部(例えば、ヌクレアーゼ、例えばdCas9)を、非共有結合による結合により異種遺伝子エフェクターに結合させる。一部の実施形態では、ガイド部分またはその一部を、非共有結合による結合により第2の異種遺伝子エフェクターにさらに結合させる。一部の実施形態では、ガイド部分またはその一部を、共有結合により第1の異種遺伝子エフェクターに結合させ(例えば、必要に応じてリンカーと共に融合タンパク質)、およびガイド部分またはその一部を、非共有結合による結合により第2の異種遺伝子エフェクターにさらに結合させる。
【0210】
一部の実施形態では、ガイド部分またはその一部(例えば、ヌクレアーゼ、例えばdCas9)を、非共有結合による結合によりオリゴマー形成ドメインまたは二量体形成(例えば、ヘテロ二量体形成)ドメインに結合させる。一部の実施形態では、ガイド部分またはその一部を、非共有結合による結合により第2のオリゴマー形成ドメインまたは二量体形成(例えば、ヘテロ二量体形成)ドメインにさらに結合させる。一部の実施形態では、ガイド部分またはその一部(例えば、ヌクレアーゼ、例えばdCas9)を、共有結合による結合(例えば、必要に応じてリンカーを介して融合する)により第1のオリゴマー形成ドメインまたは二量体形成(例えば、ヘテロ二量体形成)ドメインに融合し、非共有結合による結合により第2のオリゴマー形成ドメインまたは二量体形成(例えば、ヘテロ二量体形成)ドメインに結合させる。
【0211】
一部の実施形態では、ガイド部分の第1の構成要素(例えば、ガイド核酸)を、ガイド部分の第2の構成要素(例えば、ヌクレアーゼ)に非共有結合により結合させる。一部の実施形態では、ガイド部分の第1の構成要素(例えば、ガイド核酸)を、ガイド部分の第2の構成要素(例えば、ヌクレアーゼ)に共有結合により結合させる。
【0212】
共有結合および非共有結合による結合の任意の組合せを、本開示の複合体に使用することができ、例えば1つまたは複数の異種遺伝子エフェクターを、非共有結合によりガイド部分に融合することができ、1つまたは複数のオリゴマー形成ドメインを、共有結合により複合体の構成要素(例えば、ヌクレアーゼ)に結合することができる。
【0213】
一部の実施形態では、増加または減少した安定性を提供するポリペプチドは、本開示の複合体の構成要素、例えばガイド部分または異種遺伝子エフェクターに融合するかまたはそれ以外の方法で会合する。融合ポリペプチドは、N末端、C末端、または融合タンパク質の内部に位置し得る。
【0214】
一部の実施形態では、本開示の複合体の1つまたは複数の構成要素は、所望の細胞下局在を指示するドメイン(a domain the directs desirable sub-cellular localization)、例えば核局在化シグナルまたは内部核膜、外部核膜、カハール体、核スペックル、核膜孔複合体、PML体、核小体、P顆粒、GW体、ストレス顆粒、スポンジ体、小胞体、ミトコンドリア等に標的化するためのタンパク質に融合される。
【0215】
一部の実施形態では、本開示の複合体は、第1のオリゴマー形成(例えば、二量体形成)ドメインに連結された第1のタンパク質、および第2のオリゴマー形成(例えば、二量体形成)ドメインに連結された第2のタンパク質を含む。一部の実施形態では、オリゴマー形成ドメインまたは二量体形成ドメインは、ペプチド相互作用ドメイン、例えばsgRNA2.0、SAM、SunTag、RAB、FLAG-biotin、または本明細書に開示される誘導型オリゴマー形成(例えば、二量体形成)システムを利用するシステムを含み得る。
【0216】
送達
【0217】
任意の異種ポリペプチド(例えば、異種遺伝子エフェクター)およびそれに動作可能に連結した任意の追加の分子(例えば、異種ポリヌクレオチド、例えば1つまたは複数のガイド核酸分子)をコードする1つまたは複数の遺伝子は、本明細書に開示される場合、標的遺伝子の異常発現が改変されるべき細胞のゲノムに組み込まれ得る。あるいは、1つまたは複数の遺伝子は、細胞のゲノムに組み込まれなくてもよく、必ずしも組み込まれる必要はない。
【0218】
任意の異種ポリペプチド(例えば、異種遺伝子エフェクター)およびそれに動作可能に連結した任意の追加の分子(例えば、異種ポリヌクレオチド、例えば1つまたは複数のガイド核酸分子)を、様々な方法によって、例えばウイルスおよび非ウイルス送達法によって細胞に導入する(例えば、送達する、発現させる等)ことができる。ウイルスベクター送達システムは、DNAおよびRNAウイルスを含み得、細胞への送達後、エピソームまたは組み込まれたゲノムのいずれかを有し得る。非ウイルスベクター送達システムは、DNAプラスミド、RNA(例えば、本明細書に記載されるベクターの転写物)、ネイキッド核酸、および送達媒体、例えばリポソームと複合体を形成した核酸を含み得る。
【0219】
RNAまたはDNAウイルスベースのシステムを使用して、特定の細胞を標的化し、ウイルスペイロードを細胞の核へと輸送することができる。ウイルスベクターを使用して、in vitroで細胞を処理することができ、改変された細胞を必要に応じて投与することができる(ex vivo)。あるいは、ウイルスベクターを、対象に直接(in vivo)投与することができる。ウイルスベースのシステムは、遺伝子導入のためのレトロウイルス、レンチウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、および単純ヘルペスウイルスベクターを含み得る。宿主ゲノムへの組み込みは、レトロウイルス、レンチウイルス、アデノ随伴ウイルス遺伝子導入方法によって起こり得、それによって挿入されたトランスジーンの長期間の発現をもたらし得る。
【0220】
異種ポリペプチドおよび/または異種ポリヌクレオチド(または1つもしくは複数のそれをコードする遺伝子)を送達するために利用することができるウイルスベクターの非限定的な例としては、これらに限定されないが、レトロウイルスベクター、レンチウイルスベクター、アデノウイルスベクター、ポックスウイルスベクター、ヘルペスウイルスベクター、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターが挙げられる。AAVベクターの非限定的な例としては、AAV1、AAV10、AAV106.1/hu.37、AAV11、AAV114.3/hu.40、AAV12、AAV127.2/hu.41、AAV127.5/hu.42、AAV128.1/hu.43、AAV128.3/hu.44、AAV130.4/hu.48、AAV145.1/hu.53、AAV145.5/hu.54、AAV145.6/hu.55、AAV16.12/hu. 11、AAV16.3、AAV16.8/hu. 10、AAV161.10/hu.60、AAV161.6/hu.61、AAV1-7/rh.48、AAV1-8/rh.49、AAV2、AAV2.5T、AAV2-15/rh.62、AAV223.1、AAV223.2、AAV223.4、AAV223.5、AAV223.6、AAV223.7、AAV2-3/rh.61、AAV24.1、AAV2-4/rh.50、AAV2-5/rh.51、AAV27.3、AAV29.3/bb.1、AAV29.5/bb.2、AAV2G9、AAV-2-pre-miRNA-101、AAV3、AAV3.1/hu.6、AAV3.1/hu.9、AAV3-11/rh.53、AAV3-3、AAV33.12/hu. 17、AAV33.4/hu. 15、AAV33.8/hu. 16、AAV3-9/rh.52、AAV3a、AAV3b、AAV4、AAV4-19/rh.55、AAV42.12、AAV42-10、AAV42-11、AAV42-12、AAV42-13、AAV42-15、AAV42-1b、AAV42-2、AAV42-3a、AAV42-3b、AAV42-4、AAV42-5a、AAV42-5b、AAV42-6b、AAV42-8、AAV42-aa、AAV43-1、AAV43-12、AAV43-20、AAV43-21、AAV43-23、AAV43-25、AAV43-5、AAV4-4、AAV44.1、AAV44.2、AAV44.5、AAV46.2/hu.28、AAV46.6/hu.29、AAV4-8/r11.64、AAV4-8/rh.64、AAV4-9/rh.54、AAV5、AAV52.1/hu.20、AAV52/hu. 19、AAV5-22/rh.58、AAV5-3/rh.57、AAV54.1/hu.21、AAV54.2/hu.22、AAV54.4R/hu.27、AAV54.5/hu.23、AAV54.7/hu.24、AAV58.2/hu.25、AAV6、AAV6.1、AAV6.1.2、AAV6.2、AAV7、AAV7.2、AAV7.3/hu.7、AAV8、AAV-8b、AAV-8h、AAV9、AAV9.11、AAV9.13、AAV9.16、AAV9.24、AAV9.45、AAV9.47、AAV9.61、AAV9.68、AAV9.84、AAV9.9、AAVA3.3、AAVA3.4、AAVA3.5、AAVA3.7、AAV-b、AAVC1、AAVC2、AAVC5、AAVCh.5、AAVCh.5R1、AAVcy.2、AAVcy.3、AAVcy.4、AAVcy.5、AAVCy.5R1、AAVCy.5R2、AAVCy.5R3、AAVCy.5R4、AAVcy.6、AAV-DJ、AAV-DJ8、AAVF3、AAVF5、AAV-h、AAVH-1/hu.1、AAVH2、AAVH-5/hu.3、AAVH6、AAVhE1.1、AAVhER1.14、AAVhEr1.16、AAVhEr1.18、AAVhER1.23、AAVhEr1.35、AAVhEr1.36、AAVhEr1.5、AAVhEr1.7、AAVhEr1.8、AAVhEr2.16、AAVhEr2.29、AAVhEr2.30、AAVhEr2.31、AAVhEr2.36、AAVhEr2.4、AAVhEr3.1、AAVhu.1、AAVhu.10、AAVhu.11、AAVhu.11、AAVhu.12、AAVhu.13、AAVhu.14/9、AAVhu.15、AAVhu.16、AAVhu.17、AAVhu.18、AAVhu.19、AAVhu.2、AAVhu.20、AAVhu.21、AAVhu.22、AAVhu.23.2、AAVhu.24、AAVhu.25、AAVhu.27、AAVhu.28、AAVhu.29、AAVhu.29R、AAVhu.3、AAVhu.31、AAVhu.32、AAVhu.34、AAVhu.35、AAVhu.37、AAVhu.39、AAVhu.4、AAVhu.40、AAVhu.41、AAVhu.42、AAVhu.43、AAVhu.44、AAVhu.44R1、AAVhu.44R2、AAVhu.44R3、AAVhu.45、AAVhu.46、AAVhu.47、AAVhu.48、AAVhu.48R1、AAVhu.48R2、AAVhu.48R3、AAVhu.49、AAVhu.5、AAVhu.51、AAVhu.52、AAVhu.53、AAVhu.54、AAVhu.55、AAVhu.56、AAVhu.57、AAVhu.58、AAVhu.6、AAVhu.60、AAVhu.61、AAVhu.63、AAVhu.64、AAVhu.66、AAVhu.67、AAVhu.7、AAVhu.8、AAVhu.9、AAVhu.t 19、AAVLG-10/rh.40、AAVLG-4/rh.38、AAVLG-9/hu.39、AAVLG-9/hu.39、AAV-LKO1、AAV-LK02、AAVLK03、AAV-LK03、AAV-LK04、AAV-LK05、AAV-LKO6、AAV-LK07、AAV-LK08、AAV-LK09、AAV-LK10、AAV-LK11、AAV-LK12、AAV-LK13、AAV-LK14、AAV-LK15、AAV-LK17、AAV-LK18、AAV-LK19、AAVN721-8/rh.43、AAV-PAEC、AAV-PAEC11、AAV-PAEC12、AAV-PAEC2、AAV-PAEC4、AAV-PAEC6、AAV-PAEC7、AAV-PAEC8、AAVpi.1、AAVpi.2、AAVpi.3、AAVrh.10、AAVrh.12、AAVrh.13、AAVrh.13R、AAVrh.14、AAVrh.17、AAVrh.18、AAVrh.19、AAVrh.2、AAVrh.20、AAVrh.21、AAVrh.22、AAVrh.23、AAVrh.24、AAVrh.25、AAVrh.2R、AAVrh.31、AAVrh.32、AAVrh.33、AAVrh.34、AAVrh.35、AAVrh.36、AAVrh.37、AAVrh.37R2、AAVrh.38、AAVrh.39、AAVrh.40、AAVrh.43、AAVrh.44、AAVrh.45、AAVrh.46、AAVrh.47、AAVrh.48、AAVrh.48、AAVrh.48.1、AAVrh.48.1.2、AAVrh.48.2、AAVrh.49、AAVrh.50、AAVrh.51、AAVrh.52、AAVrh.53、AAVrh.54、AAVrh.55、AAVrh.56、AAVrh.57、AAVrh.58、AAVrh.59、AAVrh.60、AAVrh.61、AAVrh.62、AAVrh.64、AAVrh.64R1、AAVrh.64R2、AAVrh.65、AAVrh.67、AAVrh.68、AAVrh.69、AAVrh.70、AAVrh.72、AAVrh.73、AAVrh.74、AAVrh.8、AAVrh.8R、AAVrh8R、AAVrh8R A586R変異体、AAVrh8R R533A変異体、BAAV、BNP61 AAV、BNP62 AAV、BNP63 AAV、ウシAAV、ヤギAAV、日本AAV 10、トゥルータイプ(true type)AAV(ttAAV)、UPENN AAV 10、AAV-LK16、AAAV、AAVシャッフル100-1、AAVシャッフル100-2、AAVシャッフル100-3、AAVシャッフル100-7、AAVシャッフル10-2、AAVシャッフル10-6、AAVシャッフル10-8、AAV SM 100-10、AAV SM 100-3、AAV SM 10-1、AAV SM 10-2、およびAAV SM 10-8が挙げられ得る。例えば、AAVrh.74をウイルスベクターとして使用して、異種ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列および異種ポリヌクレオチド(例えば、Casタンパク質-遺伝子エフェクター融合体および1つまたは複数のガイド核酸分子)を送達することができる。
【0221】
核酸の非ウイルス送達法は、リポフェクション、ヌクレオフェクション、マイクロインジェクション、バイオリスティック、ウィロソーム、リポソーム、イムノリポソーム、ポリカチオンまたは脂質:核酸コンジュゲート、脂質ナノ粒子(LNP)、ネイキッドDNA、人工ビリオン、およびDNAの作用剤増強取り込みを含み得る。ポリヌクレオチドの効率的な受容体認識リポフェクションにとって好適であるカチオン性および中性脂質を使用することができる。
【0222】
本明細書に開示される組成物のいずれか(または組成物の任意の部分をコードする1つまたは複数の遺伝子)、例えば異種遺伝子エフェクター(複数可)および/またはガイド核酸分子(複数可)を、これらに限定されないが、非経口(例えば、静脈内、腫瘍内、皮下、筋肉内、脳内、脳室内、関節内、腹腔内、または頭蓋内)、鼻孔内、頬側、舌下、経口、または直腸投与経路を含む任意の好適な投与経路によって投与することができる。一部の例では、医薬組成物は、非経口(例えば、静脈内、腫瘍内、皮下、筋肉内、脳内、脳室内、関節内、腹腔内、または頭蓋内)投与のために製剤化される。
【0223】
標的遺伝子
【0224】
本開示は、標的遺伝子(例えば、標的内因性遺伝子)の発現をモジュレートするための組成物、方法、およびシステムを提供する。例えば、本明細書において、ガイド部分および標的遺伝子の活性または発現レベルを増加または減少させることができる1つまたは複数の異種遺伝子エフェクターを含む複合体が開示される。
【0225】
一部の実施形態では、標的遺伝子またはその調節配列は、対象に対して内因性であり、例えば対象のゲノムに存在する。一部の実施形態では、標的遺伝子またはその調節配列は、操作されたレポーターシステムの一部ではない。
【0226】
一部の実施形態では、標的遺伝子は、宿主対象に対して外因性であり、例えば、病原体標的遺伝子、または治療介入、例えば遺伝子治療および/もしくは細胞治療の結果として発現された外因性遺伝子である。一部の実施形態では、標的遺伝子は、外因性のレポーター遺伝子である。一部の実施形態では、標的遺伝子は、外因性の合成遺伝子である。
【0227】
一部の実施形態では、標的遺伝子(例えば、標的内因性遺伝子)は、疾患または状態において過剰発現または過小発現された遺伝子である。一部の実施形態では、標的遺伝子は、遺伝性の遺伝子疾患において過剰発現されたまたは過小発現された遺伝子である。
【0228】
一部の実施形態では、標的遺伝子(例えば、標的内因性遺伝子)は、自己免疫疾患において過剰発現または過小発現された遺伝子である。一部の実施形態では、標的遺伝子は、急性播種性脳脊髄炎、急性運動軸索性ニューロパチー、アジソン病、有痛脂肪症、成人発症スティル病、円形脱毛症、強直性脊椎炎、抗糸球体基底膜腎炎、抗好中球細胞質抗体関連血管炎、抗N-メチル-D-アスパラギン酸受容体脳炎、抗リン脂質症候群、抗合成酵素症候群、再生不良性貧血、自己免疫性血管浮腫、自己免疫性脳炎、自己免疫性腸症、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性肝炎、自己免疫性内耳疾患、自己免疫性リンパ増殖症候群、自己免疫性好中球減少症、自己免疫性卵巣炎、自己免疫性精巣炎、自己免疫性膵炎、自己免疫性多発性内分泌症候群、自己免疫性多発性内分泌症候群2型、自己免疫性多発性内分泌症候群3型、自己免疫性プロゲステロン皮膚炎、自己免疫性網膜症、自己免疫性血小板減少性紫斑病、自己免疫性甲状腺炎、自己免疫性蕁麻疹、自己免疫性ブドウ膜炎、バロー同心円硬化症、ベーチェット病、ビッカースタッフ脳炎、水疱性類天疱瘡、セリアック病、慢性疲労症候群、慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー、チャーグストラウス症候群、瘢痕性類天疱瘡、コーガン症候群、寒冷凝集素病、複合性局所疼痛症候群、CREST症候群、クローン病、疱疹状皮膚炎、皮膚筋炎、1型糖尿病、円板状エリテマトーデス、子宮内膜症、付着部炎、付着部炎関連関節炎、好酸球性食道炎、好酸球性筋膜炎、後天性表皮水疱症、結節性紅斑、本態性混合クリオグロブリン血症、エバンス症候群、フェルティ症候群、線維筋痛症、胃炎、妊娠性類天疱瘡、巨細胞性動脈炎、グッドパスチャー症候群、グレーヴス病、グレーヴス眼症、ギランバレー症候群、橋本脳症、橋本甲状腺炎、ヘノッホシェーンライン紫斑病、化膿性汗腺炎、特発性拡張型心筋症、特発性炎症性脱髄疾患、IgA腎症、IgG4関連全身疾患、封入体筋炎、炎症性腸疾患(IBD)、中間性ぶどう膜炎、間質性膀胱炎、若年性関節炎、川崎病、ランバートイートン筋無力症候群、白血球破砕性血管炎、扁平苔癬、硬化性苔癬、木質結膜炎、線状IgA病、ループス腎炎、ループス血管炎、ライム病、メニエール病、顕微鏡的大腸炎、顕微鏡的多発血管炎、混合結合組織病、モーレン潰瘍、強皮症、ムッハハーベルマン病、多発性硬化症、重症筋無力症、心筋炎、筋炎、視神経脊髄炎、神経筋緊張症、オプソクローヌスミオクローヌス症候群、視神経炎、オード甲状腺炎、回帰性リウマチ、腫瘍随伴性小脳変性症、パリーロンベルグ症候群、パーソナージターナー症候群、連鎖球菌に関連する小児自己免疫性神経精神障害、尋常性天疱瘡、悪性貧血、急性痘瘡状苔癬状粃糠疹、POEMS症候群、結節性多発動脈炎、リウマチ性多発筋痛症、多発性筋炎、心筋梗塞後症候群、心膜切開後症候群、原発性胆汁性肝硬変、原発性免疫不全症、原発性硬化性胆管炎、進行性炎症性ニューロパチー、乾癬、乾癬性関節炎、赤芽球癆、壊疽性膿皮症、レイノー現象、反応性関節炎、再発性多発性軟骨炎、むずむず脚症候群、後腹膜線維症、リウマチ熱、リウマチ性関節炎、リウマチ性血管炎、サルコイドーシス、シュニッツラー症候群、強皮症、シェーグレン症候群、スティッフパーソン症候群、亜急性細菌性心内膜炎、スーザック症候群、シデナム舞踏病、交感性眼炎、全身性エリテマトーデス、全身性強皮症、血小板減少症、トロサハント症候群、横断性脊髄炎、潰瘍性大腸炎、未分化結合組織病、蕁麻疹、蕁麻疹性血管炎、血管炎、または白斑において過剰発現または過少発現された遺伝子である。
【0229】
一部の実施形態では、標的遺伝子(例えば、標的内因性遺伝子)は、がん、例えば急性白血病、星状細胞腫、胆管がん(胆管癌)、骨がん、乳がん、脳幹部神経膠腫、細気管支肺胞細胞肺がん、副腎がん、肛門領域のがん、膀胱がん、内分泌系のがん、食道がん、頭部または頸部のがん、腎臓がん、副甲状腺がん、陰茎がん、胸膜/腹膜のがん、唾液腺がん、小腸がん、甲状腺がん、尿管がん、尿道がん、子宮頸癌、子宮内膜癌、卵管癌、腎盂癌、膣癌、外陰癌、子宮頸がん、慢性白血病、結腸がん、結腸直腸がん、皮膚黒色腫、上衣腫、類表皮腫瘍、ユーイング肉腫、胃がん、膠芽腫、多形性膠芽腫、神経膠腫、血液の悪性疾患、肝細胞(肝臓)癌、ヘパトーマ、ホジキン病、眼内黒色腫、カポジ肉腫、肺がん、リンパ腫、髄芽腫、黒色腫、髄膜腫、中皮腫、多発性骨髄腫、筋肉のがん、中枢神経系(CNS)の新生物、神経細胞がん(neuronal cancer)、小細胞肺がん、非小細胞肺がん、骨肉腫、卵巣がん、膵臓がん、小児悪性疾患、下垂体腺腫、前立腺がん、直腸がん、腎細胞癌、軟部組織肉腫、シュワン細胞腫、皮膚がん、脊髄軸腫瘍、扁平上皮癌、胃がん、滑膜肉腫、精巣がん、子宮がん、または上記のがんのいずれかの難治バージョンまたはその組合せを含む腫瘍およびその転移において過剰発現または過少発現された遺伝子である。
【0230】
一部の実施形態では、標的遺伝子(例えば、標的内因性遺伝子)は、分化関連遺伝子、例えば、SSEA1、SSEA3/4、SSEA5、TRA1-60/81、TRA1-85、TRA2-54、GCTM-2、TG343、TG30、CD9、CD29、CD133/プロミニン、CD140a、CD56、CD73、CD90、CD105、OCT4、NANOG、SOX2、CD30、CD50、AHR、Aiolos/IKZF3、CDX4、CREB、DNMT3A、DNMT3B、EGR1、FoxO3、GATA-1、GATA-2、GATA-3、Helios、HES-1、HHEX、HIF-1アルファ/HIF1A、HMGB1/HMG-1、HMGB3、Ikaros、c-Jun、LMO2、LMO4、c-Maf、MafB、MEF2C、MYB、c-Myc、NFATC2、NFIL3/E4BP4、Nrf2、p53、PITX2、PRDM16/MEL1、Prox1、PU.1/Spi-1、RUNX1/CBFA2、SALL4、SCL/Tal1、Smad2、Smad2/3、Smad4、Smad7、Spi-B、STAT活性化因子、STATインヒビター、STAT3、STAT4、STAT5a、STAT6、TSC22、DUX4、DUX4/DUX4c、DUX4c、EBF-1、EBF-2、EBF-3、ETV5、FoxC2、FoxF1、GATA-4、GATA-6、HMGA2、c-Jun、MYF-5、Myocardin、MyoD、Myogenin、NFATC2、p53、Pax3、PDX-1/IPF1、PLZF、PRDM16/MEL1、RUNX2/CBFA1、Smad1、Smad3、Smad4、Smad5、Smad8、Smad9、Snail、SOX2、SOX9、SOX11、STAT活性化因子、STATインヒビター、STAT1、STAT3、TBX18、Twist-1、Twist-2、ブラキウリ、EOMES、FoxC2、FoxD3、FoxF1、FoxH1、FoxO1/FKHR、GATA-2、GATA-3、GBX2、グースコイド、HES-1、HNF-3アルファ/FoxA1、c-Jun、KLF2、KLF4、KLF5、c-Maf、Max、MEF2C、MIXL1、MTF2、c-Myc、Nanog、NFkB/IkB活性化因子、NFkB/IkBインヒビター、NFkB1、NFkB2、Oct-3/4、Otx2、p53、Pax2、Pax6、PRDM14、Rex-1/ZFP42、SALL1、SALL4、Smad1、Smad2、Smad2/3、Smad3、Smad4、Smad5、Smad8、Snail、SOX2、SOX7、SOX15、SOX17、STAT活性化因子、STATインヒビター、STAT3、SUZ12、TBX6、TCF-3/E2A、THAP11、UTF1、WDR5、WT1、ZNF206、ZNF281、KLF2、KLF4、c-Maf、c-Myc、Nanog、Oct-3/4、p53、SOX1、SOX2、SOX3、SOX15、SOX18、TBX18、ASCL2/Mash2、CDX2、DNMT1、ELF3、Ets-1、FoxM1、FoxN1、GATA-6、Hairless、HNF-4アルファ/NR2A1、IRF6、c-Maf、MITF、Miz-1/ZBTB17、MSX1、MSX2、MYB、c-Myc、ニューロゲニン-3、NFATC1、NKX3.1、Nrf2、p53、p63/TP73L、Pax2、Pax3、RUNX1/CBFA2、RUNX2/CBFA1、RUNX3/CBFA3、Smad1、Smad2、Smad2/3、Smad4、Smad5、Smad7、Smad8、Snail、SOX2、SOX9、STAT活性化因子、STATインヒビター、STAT3、SUZ12、TCF-3/E2A、TCF7/TCF1、アンドロゲンR/NR3C4、AP-2ガンマ、ベータカテニン、ベータカテニンインヒビター、ブラキウリ、CREB、ERアルファ/NR3A1、ERベータ/NR3A2、FoxM1、FoxO3、FRA-1、GLI-1、GLI-2、GLI-3、HIF-1アルファ/HIF1A、HIF-2アルファ/EPAS1、HMGA1B、c-Jun、JunB、KLF4、c-Maf、MCM2、MCM7、MITF、c-Myc、Nanog、NFkB/IkB活性化因子、NFkB/IkBインヒビター、NFkB1、NKX3.1、Oct-3/4、p53、PRDM14、Snail、SOX2、SOX9、STAT活性化因子、STATインヒビター、STAT3、TAZ/WWTR1、TBX3、Twist-1、Twist-2、WT1、またはZEB1である。
【0231】
一部の実施形態では、標的細胞(例えば、筋細胞)における標的遺伝子の発現レベルおよび/またはエピジェネティックレベル(例えば、メチル化レベル)のモジュレーションは、標的遺伝子の下流の遺伝子(例えば、1つまたは複数の下流の遺伝子)の改変(例えば、上方調節または下方調節)をもたらし得る。一部の例では、標的遺伝子は、D4Z4リピートアレイ(例えば、標的遺伝子はDUX4である)によってコードされることができ、次にその発現が改変(例えば、下方調節)される下流の遺伝子は、これらに限定されないが、ZSCAN4、LEUTX、MBD3L2、TRIM48、TRIM43、DEFB103、ZFN217、RNASEL、EIF2AK2、BMP2、SP1 P21、MYC、MURF1、ATROGIN1、CRYM、PRAMEF1、RFPL2、KHDC1、SPRYD5、TPRX1、HSPA2、FGFR3、SLC2A14、ID2、PVRL3、SFRS2B、THOC4、ZNHIT6、DBR1、TFIP11、FBXO33、USP29、TRIM23、SLC34A2、CSAG3、および/またはPNMA6Bを含み得る。
【0232】
一部の実施形態では、標的細胞における標的遺伝子の発現レベルおよび/またはエピジェネティックレベル(例えば、メチル化レベル)のモジュレーションは、標的細胞(例えば、筋細胞)のアポトーシスをもたらし得る。一部の例では、標的遺伝子のそのようなモジュレーションは、標的細胞におけるストレスを低減させることができる。例えば、標的遺伝子(例えば、DUX4)のモジュレーションは、標的細胞における1つまたは複数のストレス関連マーカーの下方調節をもたらし得る。1つまたは複数のストレス関連マーカーの非限定的な例としては、ACTH、グルココルチコイド受容体、CRHR-1/2、POMC、プロラクチン、アルギニンバソプレッシン受容体V1a、スーパーオキシドジスムターゼ1、スーパーオキシドジスムターゼ2、ペルオキシレドキシン-3、CCR5、iNOS、eNOS、ヘムオキシゲナーゼ-2、シクロオキシゲナーゼ-2、HSP27、HSP40、HSP60、HSP70、HSP70i、HSP90、HSP110、GRP78/BIP、AIF、アネキシンII、アネキシンIV、カスパーゼ1、カスパーゼ2、カスパーゼ3、カスパーゼ6、サイトケラチン、E-カドヘリン、および/またはアネキシンV、カスパーゼ5、カスパーゼ7、カスパーゼ8、カスパーゼ9、カスパーゼ10、BAD、BAX、BAK、BCL2、BID、PARP-1、NOXA、PUMA、RIPK3、RIPK1、FADD、APAF1、DFF40、DFF45、ROCKを挙げることができる。本明細書に開示される1つまたは複数のストレス関連マーカーは、アポトーシスマーカーであり得る。
【0233】
一部の実施形態では、異種遺伝子エフェクターは、造血幹細胞転写因子である遺伝子産物に由来する。一部の実施形態では、標的遺伝子は間葉幹細胞転写因子である。一部の実施形態では、標的遺伝子は胚性幹細胞転写因子である。一部の実施形態では、標的遺伝子は人工多能性幹細胞(iPSC)転写因子である。一部の実施形態では、標的遺伝子は上皮幹細胞転写因子である。一部の実施形態では、標的遺伝子はがん幹細胞転写因子である。
【0234】
一部の実施形態では、標的遺伝子は加齢関連遺伝子である。一部の実施形態では、標的遺伝子は老化関連タンパク質である。一部の実施形態では、標的遺伝子は薬物標的である。
【0235】
一部の実施形態では、標的遺伝子(例えば、標的内因性遺伝子)はがん関連遺伝子である。がん関連遺伝子の非限定的な例としては、A1CF、ABI1、ABL1、ABL2、ACKR3、ACSL3、ACSL6、ACVR1、ACVR2A、AFDN、AFF1、AFF3、AFF4、AKAP9、AKT1、AKT2、AKT3、ALDH2、ALK、AMER1、ANK1、APC、APOBEC3B、AR、ARAF、ARHGAP26、ARHGAP5、ARHGEF10、ARHGEF10L、ARHGEF12、ARID1A、ARID1B、ARID2、ARNT、ASPSCR1、ASXL1、ASXL2、ATF1、ATIC、ATM、ATP1A1、ATP2B3、ATR、ATRX、AXIN1、AXIN2、B2M、BAP1、BARD1、BAX、BAZ1A、BCL10、BCL11A、BCL11B、BCL2、BCL2L12、BCL3、BCL6、BCL7A、BCL9、BCL9L、BCLAF1、BCOR、BCORL1、BCR、BIRC3、BIRC6、BLM、BMP5、BMPR1A、BRAF、BRCA1、BRCA2、BRD3、BRD4、BRIP1、BTG1、BTK、BUB1B、C15orf65、CACNA1D、CALR、CAMTA1、CANT1、CARD11、CARS、CASP3、CASP8、CASP9、CBFA2T3、CBFB、CBL、CBLB、CBLC、CCDC6、CCNB1IP1、CCNC、CCND1、CCND2、CCND3、CCNE1、CCR4、CCR7、CD209、CD274、CD28、CD74、CD79A、CD79B、CDC73、CDH1、CDH10、CDH11、CDH17、CDK12、CDK4、CDK6、CDKN1A、CDKN1B、CDKN2A、CDKN2C、CDX2、CEBPA、CEP89、CHCHD7、CHD2、CHD4、CHEK2、CHIC2、CHST11、CIC、CIITA、CLIP1、CLP1、CLTC、CLTCL1、CNBD1、CNBP、CNOT3、CNTNAP2、CNTRL、COL1A1、COL2A1、COL3A1、COX6C、CPEB3、CREB1、CREB3L1、CREB3L2、CREBBP、CRLF2、CRNKL1、CRTC1、CRTC3、CSF1R、CSF3R、CSMD3、CTCF、CTNNA2、CTNNB1、CTNND1、CTNND2、CUL3、CUX1、CXCR4、CYLD、CYP2C8、CYSLTR2、DAXX、DCAF12L2、DCC、DCTN1、DDB2、DDIT3、DDR2、DDX10、DDX3X、DDX5、DDX6、DEK、DGCR8、DICER1、DNAJB1、DNM2、DNMT3A、DROSHA、DUX4L1、EBF1、ECT2L、EED、EGFR、EIF1AX、EIF3E、EIF4A2、ELF3、ELF4、ELK4、ELL、ELN、EML4、EP300、EPAS1、EPHA3、EPHA7、EPS15、ERBB2、ERBB3、ERBB4、ERC1、ERCC2、ERCC3、ERCC4、ERCC5、ERG、ESR1、ETNK1、ETV1、ETV4、ETV5、ETV6、EWSR1、EXT1、EXT2、EZH2、EZR、FAM131B、FAM135B、FAM47C、FANCA、FANCC、FANCD2、FANCE、FANCF、FANCG、FAS、FAT1、FAT3、FAT4、FBLN2、FBXO11、FBXW7、FCGR2B、FCRL4、FEN1、FES、FEV、FGFR1、FGFR1OP、FGFR2、FGFR3、FGFR4、FH、FHIT、FIP1L1、FKBP9、FLCN、FLI1、FLNA、FLT3、FLT4、FNBP1、FOXA1、FOXL2、FOXO1、FOXO3、FOXO4、FOXP1、FOXR1、FSTL3、FUBP1、FUS、GAS7、GATA1、GATA2、GATA3、GLI1、GMPS、GNA11、GNAQ、GNAS、GOLGA5、GOPC、GPC3、GPC5、GPHN、GRIN2A、GRM3、H3F3A、H3F3B、HERPUD1、HEY1、HIF1A、HIP1、HIST1H3B、HIST1H4I、HLA-A、HLF、HMGA1、HMGA2、HMGN2P46、HNF1A、HNRNPA2B1、HOOK3、HOXA11、HOXA13、HOXA9、HOXC11、HOXC13、HOXD11、HOXD13、HRAS、HSP90AA1、HSP90AB1、ID3、IDH1、IDH2、IGF2BP2、IGH、IGK、IGL、IKBKB、IKZF1、IL2、IL21R、IL6ST、IL7R、IRF4、IRS4、ISX、ITGAV、ITK、JAK1、JAK2、JAK3、JAZF1、JUN、KAT6A、KAT6B、KAT7、KCNJ5、KDM5A、KDM5C、KDM6A、KDR、KDSR、KEAP1、KIAA1549、KIF5B、KIT、KLF4、KLF6、KLK2、KMT2A、KMT2C、KMT2D、KNL1、KNSTRN、KRAS、KTN1、LARP4B、LASP1、LATS1、LATS2、LCK、LCP1、LEF1、LEPROTL1、LHFPL6、LIFR、LMNA、LMO1、LMO2、LPP、LRIG3、LRP1B、LSM14A、LYL1、LZTR1、MACC1、MAF、MAFB、MALAT1、MALT1、MAML2、MAP2K1、MAP2K2、MAP2K4、MAP3K1、MAP3K13、MAPK1、MAX、MB21D2、MDM2、MDM4、MDS2、MECOM、MED12、MEN1、MET、MGMT、MITF、MLF1、MLH1、MLLT1、MLLT10、MLLT11、MLLT3、MLLT6、MN1、MNX1、MPL、MRTFA、MSH2、MSH6、MSI2、MSN、MTCP1、MTOR、MUC1、MUC16、MUC4、MUTYH、MYB、MYC、MYCL、MYCN、MYD88、MYH11、MYH9、MYO5A、MYOD1、N4BP2、NAB2、NACA、NBEA、NBN、NCKIPSD、NCOA1、NCOA2、NCOA4、NCOR1、NCOR2、NDRG1、NF1、NF2、NFATC2、NFE2L2、NFIB、NFKB2、NFKBIE、NIN、NKX2-1、NONO、NOTCH1、NOTCH2、NPM1、NR4A3、NRAS、NRG1、NSD1、NSD2、NSD3、NT5C2、NTHL1、NTRK1、NTRK3、NUMA1、NUP214、NUP98、NUTM1、NUTM2B、NUTM2D、OLIG2、OMD、P2RY8、PABPC1、PAFAH1B2、PALB2、PATZ1、PAX3、PAX5、PAX7、PAX8、PBRM1、PBX1、PCBP1、PCM1、PDCD1LG2、PDE4DIP、PDGFB、PDGFRA、PDGFRB、PER1、PHF6、PHOX2B、PICALM、PIK3CA、PIK3CB、PIK3R1、PIM1、PLAG1、PLCG1、PML、PMS1、PMS2、POLD1、POLE、POLG、POLQ、POT1、POU2AF1、POU5F1、PPARG、PPFIBP1、PPM1D、PPP2R1A、PPP6C、PRCC、PRDM1、PRDM16、PRDM2、PREX2、PRF1、PRKACA、PRKAR1A、PRKCB、PRPF40B、PRRX1、PSIP1、PTCH1、PTEN、PTK6、PTPN11、PTPN13、PTPN6、PTPRB、PTPRC、PTPRD、PTPRK、PTPRT、PWWP2A、QKI、RABEP1、RAC1、RAD17、RAD21、RAD51B、RAF1、RALGDS、RANBP2、RAP1GDS1、RARA、RB1、RBM10、RBM15、RECQL4、REL、RET、RFWD3、RGPD3、RGS7、RHOA、RHOH、RMI2、RNF213、RNF43、ROBO2、ROS1、RPL10、RPL22、RPL5、RPN1、RSPO2、RSPO3、RUNX1、RUNX1T1、S100A7、SALL4、SBDS、SDC4、SDHA、SDHAF2、SDHB、SDHC、SDHD、44444、44445、44448、SET、SETBP1、SETD1B、SETD2、SETDB1、SF3B1、SFPQ、SFRP4、SGK1、SH2B3、SH3GL1、SHTN1、SIRPA、SIX1、SIX2、SKI、SLC34A2、SLC45A3、SMAD2、SMAD3、SMAD4、SMARCA4、SMARCB1、SMARCD1、SMARCE1、SMC1A、SMO、SND1、SNX29、SOCS1、SOX2、SOX21、SPECC1、SPEN、SPOP、SRC、SRGAP3、SRSF2、SRSF3、SS18、SS18L1、SSX1、SSX2、SSX4、STAG1、STAG2、STAT3、STAT5B、STAT6、STIL、STK11、STRN、SUFU、SUZ12、SYK、TAF15、TAL1、TAL2、TBL1XR1、TBX3、TCEA1、TCF12、TCF3、TCF7L2、TCL1A、TEC、TENT5C、TERT、Tet1、Tet2、TFE3、TFEB、TFG、TFPT、TFRC、TGFBR2、THRAP3、TLX1、TLX3、TMEM127、TMPRSS2、TNC、TNFAIP3、TNFRSF14、TNFRSF17、TOP1、TP53、TP63、TPM3、TPM4、TPR、TRA、TRAF7、TRB、TRD、TRIM24、TRIM27、TRIM33、TRIP11、TRRAP、TSC1、TSC2、TSHR、U2AF1、UBR5、USP44、USP6、USP8、VAV1、VHL、VTI1A、WAS、WDCP、WIF1、WNK2、WRN、WT1、WWTR1、XPA、XPC、XPO1、YWHAE、ZBTB16、ZCCHC8、ZEB1、ZFHX3、ZMYM2、ZMYM3、ZNF331、ZNF384、ZNF429、ZNF479、ZNF521、ZNRF3、およびZRSR2が挙げられる。
【0236】
一部の実施形態では、標的遺伝子(例えば、標的内因性遺伝子)は、免疫細胞関連遺伝子、例えばサイトカイン、サイトカイン受容体、ケモカイン、ケモカイン受容体、共阻害性免疫受容体、共刺激性免疫受容体、免疫細胞転写因子等である。
【0237】
一部の実施形態では、標的遺伝子(例えば、標的内因性遺伝子)は、サイトカイン、例えば、4-1BBL、APRIL、CD153、CD154、CD178、CD70、G-CSF、GITRL、GM-CSF、IFN-α、IFN-β、IFN-γ、IL-1RA、IL-1α、IL-1β、IL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-9、IL-10、IL-11、IL-12、IL-13、IL-14、IL-15、IL-16、IL-17、IL-18、IL-20、IL-23、LIF、LIGHT、LT-β、M-CSF、MSP、OSM、OX40L、SCF、TALL-1、TGF-β、TGF-β1、TGF-β2、TGF-β3、TNF-α、TNF-β、TRAIL、TRANCE、またはTWEAKである。
【0238】
一部の実施形態では、標的遺伝子(例えば、標的内因性遺伝子)は、サイトカイン受容体、例えば、共通ガンマ鎖受容体、共通ベータ鎖受容体、インターフェロン受容体、TNFファミリー受容体、TGF-B受容体、Apo3、BCMA、CD114、CD115、CD116、CD117、CD118、CD120、CD120a、CD120b、CD121、CD121a、CD121b、CD122、CD123、CD124、CD126、CD127、CD130、CD131、CD132、CD212、CD213、CD213a1、CD213a13、CD213a2、CD25、CD27、CD30、CD4、CD40、CD95(Fas)、CDw119、CDw121b、CDw125、CDw131、CDw136、CDw137(41BB)、CDw210、CDw217、GITR、HVEM、IL-11R、IL-11Ra、IL-14R、IL-15R、IL-15Ra、IL-18R、IL-18Rα、IL-18Rβ、IL-20R、IL-20Rα、IL-20Rβ、IL-9R、LIFR、LTβR、OPG、OSMR、OX40、RANK、TACI、TGF-βR1、TGF-βR2、TGF-βR3、TRAILR1、TRAILR2、TRAILR3、またはTRAILR4である。
【0239】
一部の実施形態では、標的遺伝子(例えば、標的内因性遺伝子)は、ケモカイン、例えば、ACT-2、AMAC-a、ATAC、ATAC、BLC、CCL1、CCL11、CCL13、CCL14、CCL15、CCL16、CCL17、CCL18、CCL19、CCL2、CCL20、CCL21、CCL22、CCL23、CCL24、CCL25、CCL26、CCL27、CCL3、CCL4、CCL5、CCL7、CCL8、CKb-6、CKb-8、CTACK、CX3CL1、CXCL1、CXCL10、CXCL11、CXCL12、CXCL13、CXCL14、CXCL2、CXCL3、CXCL4、CXCL5、CXCL6、CXCL7、CXCL8、CXCL9、DC-CK1、ELC、ENA-78、エオタキシン、エオタキシン-2、エオタキシン-3、エスカイン、エクソダス-1、エクソダス-2、エクソダス-3、フラクタルカイン、GCP-2、GROa、GROb、GROg、HCC-1、HCC-2、HCC-4、I-309、IL-8、ILC、IP-10、I-TAC、LAG-1、LARC、LCC-1、LD78α、LEC、Lkn-1、LMC、リンフォタクチン(lymphoactin)、リンフォタクチンb、MCAF、MCP-1、MCP-2、MCP-3、MCP-4、MDC、MDNCF、MGSA-a、MGSA-b、MGSA-g、Mig、MIP-1d、MIP-1α、MIP-1β、MIP-2a、MIP-2b、MIP-3、MIP-3α、MIP-3β、MIP-4、MIP-4a、MIP-5、MPIF-1、MPIF-2、NAF、NAP-1、NAP-2、オンコスタチン、PARC、PF4、PPBP、RANTES、SCM-1a、SCM-1b、SDF-1α/β-、SLC、STCP-1、TARC、TECK、XCL1、またはXCL2である。
【0240】
一部の実施形態では、標的遺伝子(例えば、標的内因性遺伝子)は、ケモカイン受容体、例えば、CCR1、CCR2、CCR3、CCR4、CCR5、CCR6、CCR7、CCR8、CCR9、CCR10、CX3CR1、CXCR1、CXCR2、CXCR3、CXCR4、CXCR5、XCR1、またはXCR1である。
【0241】
一部の実施形態では、標的遺伝子(例えば、標的内因性遺伝子)は、活性化NK受容体、例えば、CD100(SEMA4D)、CD16(FcgRIIIA)、CD160(BY55)、CD244(2B4、SLAMF4)、CD27、CD94-NKG2C、CD94-NKG2E、CD94-NKG2H、CD96、CRTAM、DAP12、DNAM1(CD226)、KIR2DL4、KIR2DS1、KIR2DS2、KIR2DS3、KIR2DS4、KIR2DS5、KIR3DS1、Ly49、NCR、NKG2D(KLRK1、CD314)、NKp30(NCR3)、NKp44(NCR2)、NKp46(NCR1)、NKp80(KLRF1、CLEC5C)、NTB-A(SLAMF6)、PSGL1、またはSLAMF7(CRACC、CS1、CD319)である。
【0242】
一部の実施形態では、標的遺伝子(例えば、標的内因性遺伝子)は、阻害性NK受容体、例えば、CD161(NKR-P1A、NK1.1)、CD94-NKG2A、CD96、CEACAM1、KIR2DL1、KIR2DL2、KIR2DL3、KIR2DL4、KIR2DL5A、KIR2DL5B、KIR3DL1、KIR3DL2、KIR3DL3、KLRG1、LAIR1、LIR1(ILT2、LILRB1)、Ly49a、Ly49b、NKR-P1A(KLRB1)、SIGLEC-10、SIGLEC-11、SIGLEC-14、SIGLEC-16、SIGLEC-3(CD33)、SIGLEC-5(CD170)、SIGLEC-6(CD327)、SIGLEC-7(CD328)、SIGLEC-8、SIGLEC-9(CD329)、SIGLEC-E、SIGLEC-F、SIGLEC-G、SIGLEC-H、またはTIGITである。
【0243】
一部の実施形態では、標的遺伝子(例えば、標的内因性遺伝子)は、共阻害性免疫受容体、例えば、2B4、B7-1、BTLA、CD160、CTLA-4、DR6、Fas、LAG3、LAIR1、Ly108、PD-1、PD-L1、PD1H、TIGIT、TIM1、TIM2、またはTIM3である。
【0244】
一部の実施形態では、標的遺伝子(例えば、標的内因性遺伝子)は、共刺激性免疫受容体、例えば、2B4、4-1BB、CD2、CD4、CD8、CD21、CD27、CD28、CD30、CD40、CD84、CD226、CD355、CRACC、DcR3、DR3、GITR、HVEM、ICOS、Ly9、Ly108、LIGHT、LTβR、OX40、SLAM、TIM1、またはTIM2である。
【0245】
一部の実施形態では、標的遺伝子(例えば、標的内因性遺伝子)は、それ自身が遺伝子エフェクター、例えば本明細書に開示される遺伝子エフェクターのいずれか(例えば、本明細書に開示される転写因子)である。
【0246】
一部の実施形態では、標的遺伝子(例えば、標的内因性遺伝子)は、免疫細胞転写因子、例えば、AP-1、Bcl6、E2A、EBF、Eomes、FoxP3、GATA3、Id2、Ikaros、IRF、IRF1、IRF2、IRF3、IRF3、IRF7、NFAT、NFkB、Pax5、PLZF、PU.1、ROR-ガンマ-T、STAT、STAT1、STAT2、STAT3、STAT4、STAT5、STAT5A、STAT5B、STAT6、T-bet、TCF7、またはThPOKである。
【0247】
一部の実施形態では、標的遺伝子は、キナーゼ、例えばチロシンキナーゼまたはセリン/トレオニンキナーゼである。一部の実施形態では、標的遺伝子は、ホスファターゼ、例えば、チロシンホスファターゼまたはセリン/トレオニンホスファターゼである。
【0248】
一部の実施形態では、標的遺伝子は受容体である。一部の実施形態では、標的遺伝子はイオンチャネルである。一部の実施形態では、標的遺伝子はGPCRである。一部の実施形態では、標的遺伝子は受容体チロシンキナーゼである。一部の実施形態では、標的遺伝子はリボソームタンパク質である。一部の実施形態では、標的遺伝子は膜タンパク質である。一部の実施形態では、標的遺伝子は細胞質タンパク質である。一部の実施形態では、標的遺伝子は核タンパク質である。一部の実施形態では、標的遺伝子はミトコンドリアタンパク質である。一部の実施形態では、標的遺伝子はユビキチンリガーゼである。一部の実施形態では、標的遺伝子はメチルトランスフェラーゼである。一部の実施形態では、標的遺伝子はグリコシルトランスフェラーゼである。一部の実施形態では、標的遺伝子はヒドロラーゼである。
【0249】
一部の実施形態では、CD45は、本開示の組成物および方法(例えば、遺伝子発現活性化スクリーニング)において使用される標的遺伝子である。一部の実施形態では、CD45は、標的遺伝子として使用されない。CD45発現をモジュレートする複合体を同定するための本明細書に開示される組成物および方法を同様に、本明細書に開示される遺伝子を含む他の標的遺伝子(例えば、標的内因性遺伝子)に改変を行いかつ適合させることができる。
【0250】
一部の実施形態では、CD71は、本開示の組成物および方法(例えば、遺伝子発現減少スクリーニング)において使用される標的遺伝子である。一部の実施形態では、CD71は、標的遺伝子として使用されない。CD71発現をモジュレートする複合体を同定するための本明細書に開示される組成物および方法を同様に、本明細書に開示される遺伝子を含む他の標的遺伝子(例えば、標的内因性遺伝子)に改変を行いかつ適合させることができる。
【0251】
細胞
【0252】
本開示の組成物、方法、およびシステムを、様々なタイプの細胞、およびその集団に適用することができる。例えば、本開示の複合体を使用して、特定のタイプの細胞またはその集団における標的遺伝子(例えば、標的内因性遺伝子)の発現、エピジェネティック改変、または活性レベルの変化を誘発することができる。本開示の方法を使用して、特定のタイプの細胞またはその集団における標的遺伝子(例えば、標的内因性遺伝子)の発現または活性の変化を誘発することが可能な複合体を同定することができる。
【0253】
一部の実施形態では、本開示の方法によって同定された複合体または異種遺伝子エフェクターは、特定の細胞タイプに対して特異的な標的遺伝子(例えば、標的内因性遺伝子)の発現における所望の変化をもたらす。一部の実施形態では、本開示の方法によって同定された複合体または異種遺伝子エフェクターは、2つまたはそれより多くの細胞タイプに適用可能な標的遺伝子(例えば、標的内因性遺伝子)の発現における所望の変化をもたらす。一部の実施形態では、本開示の方法によって同定された複合体または異種遺伝子エフェクターは、3つまたはそれより多くの細胞タイプに適用可能な標的遺伝子(例えば、標的内因性遺伝子)の発現における所望の変化をもたらす。一部の実施形態では、本開示の方法によって同定された複合体または異種遺伝子エフェクターは、あるクラスの細胞タイプ、例えば類似の組織に存在する、または同じもしくは類似の分化系列に由来する、重複する機能的役割を有する細胞タイプ、例えば幹細胞、免疫細胞、T細胞、エフェクターT細胞等に適用可能である標的遺伝子(例えば、標的内因性遺伝子)の発現における所望の変化をもたらす。一部の実施形態では、本開示の方法によって同定された複合体または異種遺伝子エフェクターは、多種多様な細胞タイプに広く適用可能であり、例えば好適な方法を使用して細胞に導入した場合に複数の標的細胞タイプのある特定の閾値より上または下である標的遺伝子の発現レベルを誘発する、標的遺伝子(例えば、標的内因性遺伝子)の発現における所望の変化をもたらす。
【0254】
一部の実施形態では、本開示の組成物、複合体、システム、または方法は、初代細胞における標的遺伝子の発現、エピジェネティック改変、または活性レベルに変化をもたらすために使用される。一部の実施形態では、本開示の組成物、複合体、システム、または方法は、細胞系における標的遺伝子の発現、エピジェネティック改変、または活性レベルに変化をもたらすために使用される。一部の実施形態では、本開示の組成物、複合体、システム、または方法は、不死化細胞における標的遺伝子の発現、エピジェネティック改変、または活性レベルに変化をもたらすために使用される。
【0255】
一部の実施形態では、本開示の組成物、複合体、システム、または方法は、哺乳動物細胞、例えばヒト細胞、非ヒト霊長類細胞、非齧歯類哺乳動物細胞、非ヒト哺乳動物細胞、ブタ細胞、ウサギ細胞、イヌ細胞等における標的遺伝子(例えば、標的内因性遺伝子)の発現、エピジェネティック改変、または活性レベルに変化をもたらすために使用される。一部の実施形態では、本開示の組成物、複合体、システム、または方法は、植物細胞、トリ細胞、爬虫類細胞、細菌細胞、または古細菌細胞における標的遺伝子の発現、エピジェネティック改変、または活性レベルに変化をもたらすために使用される。
【0256】
本開示の組成物、複合体、システム、または方法を使用して、ヒト細胞における標的遺伝子(例えば、標的内因性遺伝子)の発現、エピジェネティック改変、または活性レベルの変化をもたらすことができる。
【0257】
本開示の組成物、複合体、システム、または方法を使用して、幹細胞における標的遺伝子(例えば、標的内因性遺伝子)の発現、エピジェネティック改変、または活性レベルに変化をもたらすことができる。
【0258】
本開示の組成物、複合体、システム、または方法を使用して、分化した細胞における標的遺伝子(例えば、標的内因性遺伝子)の発現、エピジェネティック改変、または活性レベルに変化をもたらすことができる。
【0259】
本開示の組成物、複合体、システム、または方法を使用して、疾患関連細胞における標的遺伝子(例えば、標的内因性遺伝子)の発現、エピジェネティック改変、または活性レベルに変化をもたらすことができる。
【0260】
本開示の組成物、複合体、システム、または方法を使用して、がん細胞における標的遺伝子(例えば、標的内因性遺伝子)の発現、エピジェネティック改変、または活性レベルに変化をもたらすことができる。
【0261】
本開示の組成物、複合体、システム、または方法を使用して、非がん細胞における標的遺伝子(例えば、標的内因性遺伝子)の発現、エピジェネティック改変、または活性レベルに変化をもたらすことができる。
【0262】
本開示の組成物、複合体、システム、または方法を使用して、リンパ系細胞、例えばB細胞、T細胞(細胞傷害性T細胞、ナチュラルキラーT細胞、制御性T細胞、ヘルパーT細胞)、ナチュラルキラー細胞、サイトカイン誘導キラー(CIK)細胞(例えば、US20080241194を参照されたい);骨髄系細胞、例えば顆粒球(好塩基球顆粒球、好酸球顆粒球、好中球顆粒球/過分葉好中球)、単球/マクロファージ、赤血球、網状赤血球、肥満細胞、血小板/巨核球、樹状細胞;甲状腺(甲状腺上皮細胞、濾胞傍細胞)、副甲状腺(副甲状腺主細胞、オキシフィル細胞)、副腎(クロム親和性細胞)、松果体(松果体細胞)細胞を含む内分泌系に由来する細胞;グリア細胞(星状細胞、ミクログリア)、大細胞性神経分泌細胞、星細胞、ベッチャー細胞、および下垂体(ゴナドトロープ、コルチコトロープ、サイロトロープ、ソマトトロープ、プロラクチン産生)を含む神経系の細胞;肺細胞(I型肺細胞、II型肺細胞)、クララ細胞、杯細胞、塵埃細胞を含む呼吸器系の細胞;心筋細胞、周皮細胞を含む循環系の細胞;胃(胃主細胞、壁細胞)、杯細胞、パネート細胞、G細胞、D細胞、ECL細胞、I細胞、K細胞、S細胞を含む消化系の細胞;腸クロム親和性細胞、APUD細胞、肝細胞(例えば、肝細胞、またはクッパー細胞)、軟骨/骨/筋肉を含む腸内分泌細胞;骨芽細胞、骨細胞、破骨細胞、歯細胞(セメント芽細胞、エナメル芽細胞)を含む骨細胞;軟骨芽細胞、軟骨細胞を含む軟骨細胞;発毛細胞、ケラチノサイト、メラノサイト(母斑細胞)を含む皮膚細胞;筋細胞を含む筋細胞;足細胞、傍糸球体細胞、糸球体内メサンギウム細胞/子宮体外メサンギウム細胞、腎近位尿細管刷子縁細胞、緻密斑細胞を含む尿路系の細胞;精子、セルトリ細胞、ライディッヒ細胞、卵子を含む生殖系の細胞;ならびに脂肪細胞、線維芽細胞、腱細胞、上皮ケラチノサイト、上皮基底細胞、指爪および足爪のケラチノサイト、爪床基底細胞、毛髄質細胞、毛皮質細胞、毛小皮細胞、毛根鞘小皮細胞、ハックスレー層の毛根鞘細胞、ヘンレ層の毛根鞘細胞、外毛根鞘細胞、毛母細胞、湿潤重層バリア上皮細胞、角膜、舌、口腔、食道、肛門管、遠位尿道、および膣の重層扁平上皮の表面上皮細胞、角膜、舌、口腔、食道、肛門管、遠位尿道、および膣の上皮の基底細胞、尿路上皮細胞、外分泌上皮細胞、唾液腺粘液細胞、唾液腺漿液細胞、舌のフォンエブネル腺細胞、乳腺細胞、涙腺細胞、耳道腺細胞、エクリン汗腺暗調細胞、エクリン汗腺明調細胞、アポクリン汗腺細胞、眼瞼モル腺細胞、皮脂腺細胞、鼻のボウマン腺細胞、十二指腸のブルンナー腺細胞、精嚢細胞、前立腺細胞、球尿道腺細胞、バルトリン腺細胞、尿道腺細胞、子宮内膜細胞、呼吸器および消化管の孤立杯細胞、胃内壁粘液細胞、胃腺酵素原細胞、胃酸分泌細胞、膵腺房細胞、小腸パネート細胞、肺のII型肺細胞、肺クララ細胞、ホルモン分泌細胞、下垂体前葉細胞、ソマトトロープ、ラクトトロープ、サイロトロープ、ゴナドトロープ、コルチコトロープ、下垂体中葉細胞、大細胞性神経分泌細胞、腸および呼吸器管細胞、甲状腺細胞、甲状腺上皮細胞、濾胞傍細胞、副甲状腺細胞、副甲状腺主細胞、好酸性細胞、副腎細胞、クロム親和性細胞、精巣のライディッヒ細胞、卵胞の内莢膜細胞、破裂した卵胞の黄体細胞、顆粒膜ルテイン細胞、黄体細胞、傍糸球体細胞、腎臓の緻密斑細胞、代謝および貯蔵細胞、バリア機能細胞(例えば、肺、消化管、外分泌腺および泌尿生殖器管)、腎臓、I型肺細胞、膵管細胞(腺房中心細胞)、非横紋管細胞(汗腺、唾液腺、乳腺等の)、管細胞(精嚢、前立腺等の)、閉鎖内部体腔を覆う上皮細胞、推進機能を有する繊毛細胞、細胞外基質分泌細胞、収縮細胞;骨格筋細胞、幹細胞、心筋細胞、血液および免疫系の細胞、赤血球、巨核球、単球、結合組織マクロファージ(様々なタイプ)、表皮ランゲルハンス細胞、破骨細胞、樹状細胞、ミクログリア細胞、好中球顆粒球、好酸球顆粒球、好塩基球顆粒球、肥満細胞、ヘルパーT細胞、サプレッサーT細胞、細胞傷害性T細胞、ナチュラルキラーT細胞、B細胞、ナチュラルキラー細胞、網状赤血球、幹細胞および血液および免疫系(様々なタイプ)の拘束前駆細胞、多能性幹細胞、全能性幹細胞、人工多能性幹細胞、成人幹細胞、知覚伝達細胞、ニューロン、自律神経細胞、感覚臓器および末梢ニューロン支持細胞、中枢神経系ニューロンおよびグリア細胞、水晶体細胞、色素細胞、メラノサイト、網膜色素上皮細胞、胚細胞、卵祖細胞/卵細胞、精子、精母細胞、精原細胞、精子、保育細胞、卵胞細胞、セルトリ細胞、胸腺上皮細胞、間質細胞、間質性腎細胞、共通の骨髄前駆細胞、共通のリンパ系前駆細胞、および本明細書に開示される任意の細胞タイプへと分化するまたは分化することになる幹細胞における標的遺伝子(例えば、標的内因性遺伝子)の発現、エピジェネティック改変、または活性レベルに変化をもたらすことができる。
【0263】
本開示の組成物、複合体、システム、または方法を使用して、幹細胞、例えば単離された幹細胞(例えば、ESC)または人工幹細胞(例えば、iPSC)における標的遺伝子(例えば、標的内因性遺伝子)の発現、エピジェネティック改変、または活性レベルに変化をもたらすことができる。
【0264】
本開示の組成物、複合体、システム、または方法を使用して、造血幹細胞、例えば対象の、例えば骨髄または末梢血(例えば、動員された末梢血アフェレーシス産物、例えば、GCSF、GM-CSF、モゾビル、またはその組合せの投与によって動員された)の造血幹細胞における標的遺伝子(例えば、標的内因性遺伝子)の発現、エピジェネティック改変、または活性レベルに変化をもたらすことができる。
【0265】
一部の例では、幹細胞(例えば、ESCまたはiPSC)の多能性は、部分的に細胞の多能性特徴を評価することによって決定することができる。多能性特徴は、これらに限定されないが、多能性幹細胞形態学;無限の自己再生能;これらに限定されないが、SSEA1、SSEA3/4、SSEA5、TRA1-60/81、TRA1-85、TRA2-54、GCTM-2、TG343、TG30、CD9、CD29、CD133/プロミニン、CD140a、CD56、CD73、CD90、CD105、OCT4、NANOG、SOX2、CD30および/またはCD50を含む多能性幹細胞マーカーの発現;3つ全ての体細胞系列(外胚葉、中胚葉、および内胚葉)への分化能;3つの体細胞系列を含む奇形腫の形成能;および/または(vi)3つの体細胞系列からの細胞を含む胚様体の形成を含み得る。
【0266】
本開示の組成物、複合体、システム、または方法を使用して、免疫細胞、例えばリンパ球、T細胞、CD4+T細胞、CD8+T細胞、アルファ-ベータT細胞、ガンマ-デルタT細胞、制御性T細胞(Treg)、細胞傷害性Tリンパ球、Th1細胞、Th2細胞、Th17細胞、Th9細胞、ナイーブT細胞、メモリーT細胞、エフェクターT細胞、エフェクター-メモリーT細胞(TEM)、セントラルメモリーT細胞(TCM)、常在性メモリーT細胞(TRM)、濾胞ヘルパーT細胞(TFH)、ナチュラルキラーT細胞(NKT)、腫瘍浸潤性リンパ球(TIL)、ナチュラルキラー細胞(NK)、自然リンパ球細胞(ILC)、ILC1細胞、ILC2細胞、ILC3細胞、リンパ組織誘導(LTi)細胞、B細胞、B1細胞、B1a細胞、B1b細胞、B2細胞、形質細胞、制御性B細胞、メモリーB細胞、辺縁帯B細胞、濾胞性B細胞、胚中心B細胞、抗原提示細胞(APC)、単球、マクロファージ、M1マクロファージ、M2マクロファージ、組織関連マクロファージ、樹状細胞、形質細胞様樹状細胞、好中球、肥満細胞、好塩基球、好酸球、共通の骨髄前駆体、共通のリンパ系前駆体、またはその任意の組合せにおける標的遺伝子(例えば、標的内因性遺伝子)の発現、エピジェネティック改変、または活性レベルに変化をもたらすことができる。
【0267】
本開示の組成物、複合体、システム、または方法を使用して、生物製剤、例えば抗体または他のタンパク質ベースの治療剤を製造するために使用される操作された細胞の発現、エピジェネティック改変、または活性レベルに変化をもたらすことができる。
【実施例
【0268】
(実施例1)
標的細胞集団におけるDUX4発現の調節
リンパ芽球集団を、本明細書に開示される組成物および方法によるDUX4発現レベルを調節するための例としての標的細胞集団として使用した。リンパ芽球の集団を、(i)遺伝子調節因子に結合した異種アクチュエーター部分、および(ii)異種アクチュエーター部分を、リンパ芽球集団においてDUX4をコードするD4Z4リピートアレイ内の2つのCpGアイランド間の標的ポリヌクレオチド配列に向けるように設計されたガイドRNA(表1を参照されたい)と接触させた。いくつかのガイドRNAは、遺伝子調節因子に結合した異種アクチュエーター部分が、リンパ芽球集団におけるそのそれぞれの標的ポリヌクレオチド配列と複合体を形成することを可能にし、DUX4発現レベルの約0.2倍~約0.8倍の間の低減をもたらすことができた(図2)。
表1. 図2で使用したガイドRNA分子
【表1-1】
【表1-2】
(実施例2)
in vitro FSHDモデルの検証
【0269】
in vitro FSHDモデルを開発するために、2つの不死化患者由来FSHD骨格筋芽細胞(SkM)細胞、12ABIC(12A)および15ABIC(15A)を、完全成長培地中で増大させた。コンフルエンスになった後、完全成長培地を、2日間または7日間のいずれか(図3AにおけるD2またはD7)の間、分化培地条件に変化させた。実験は、未分化の増殖する筋芽細胞である陰性対象を含んだ(図3AのUD)。分化後、総RNAを、筋芽細胞から抽出し、DUX4、ならびにDUX4標的遺伝子ZSAC4、LEUTZ、MBD3L2、TRIM48、およびTRIM43に関するTaqManプローブを使用してqRT-PCRを実施した。GAPDHを、qRT-pCR測定の内部参照対象として含み、ダブルデルタCt法を使用して、遺伝子の倍数変化を計算した。12ABICおよび15ABIC細胞は、患者におけるFSHDの症状と一致するDUX4およびDUX4標的遺伝子発現の増加を示した。
【0270】
次に、12ABICおよび15ABIC細胞を、それらが患者におけるFSHD表現型と一致するアポトーシスの増加も示したかどうかに関して試験した。12ABICおよび15ABIC細胞、ならびに2つの対応する健康な対照細胞12UBICおよび15VBICをそれぞれ成長させた(were growth)後、2日間分化させ、アポトーシスマーカーであるカスパーゼ3に関して染色した。アッセイはまた、陽性対照としてDAPI染色も含んだ。次に、細胞を、CellXpress PICOイメージャーを使用して撮像し、分析した。図3Bに示すように、12ABICおよび15ABIC細胞は、2日間分化後のその健康な同胞対照筋芽細胞12UBICおよび15VBICと比較してアポトーシスレベルを増加させた。12ABIC、15ABIC、12UBIC、および15VBIC細胞を成長させ、分化させ、染色し、分化7日目にCellXpress PICOイメージャーを使用して撮像し、分析した。各細胞タイプのアポトーシス細胞のパーセントを、分化0、1、2、および7日目にプロットした(図3C)。12ABICおよび15ABIC細胞は、その対応する健康な対照と比較して2日目および7日目により高いアポトーシスレベルを有した。分化の間のアポトーシスのこの増加は、FSHDのin vivo表現型と一致した。
【0271】
12ABICおよび15ABIC細胞が、その健康な同胞対照と比較して類似の筋芽細胞分化を有したことを確実にするために、4つ全ての細胞タイプを、筋細胞分化のマーカーとして使用される後期筋遺伝子であるミオシン重鎖(MYHC)に関して免疫染色した(図3D)。免疫染色アッセイはまた、陽性対照としてDAPI染色も含んだ。加えて、4つの細胞タイプを、MYHC、MYOG、およびMyoMaker(MYMK)の発現に関してqRT-PCRを介してアッセイした(図3E)。GADPHを、qRT-PCRに含め、これはqRT-PCR測定のための内部対照であった。MYOGは、骨格筋分化を調節する必須の筋原性調節因子であり、MYMKは、筋細胞分化のマーカーとして使用される後期筋遺伝子であった。免疫染色およびqRT-PCR実験の結果はいずれも、12ABICおよび15ABIC細胞が、その対応する健康な同胞対照と類似の分化を有したことを示した。
【0272】
全体として、これらの検証実験の結果は、12ABICおよび15ABIC細胞がFSHD筋芽細胞のin vivo表現型を提示し、このようにFSHDの適切なin vitroモデルであったことを示した。
(実施例3)
発現の下方調節のためのDUX4の標的化
【0273】
下方調節のためにDUX4を標的化するために、D4Z4遺伝子座の5’末端の長い非コードRNA、DBETをコードする領域を含む全DZ4Z領域遺伝子座にわたって、多数のgRNAを設計した。DZ4Z領域遺伝子座は、リピート単位の枯渇の際にDUX4遺伝子発現を上方調節することが公知であり、DBET lncRNAは、DZ4Z遺伝子座からのDUX4の発現を正に調節することが示されている。gRNAを、ChopChop CRISPRガイド設計ツールを使用して設計した。gRNAを設計する場合、Hg38ヒトゲノムアセンブリを、PAM配列必要条件としてTTTRと共に使用した。DZ4Z遺伝子座に設計されたgRNAのマップを図4に示す。
【0274】
gRNAを設計した後、異なるgRNAを、KRABモジュレーターに結合したCas12fバリアント構築物によって試験した。Cas12f-KRABエフェクター-モジュレーターを安定に発現する12ABIC細胞を、12ABIC筋芽細胞のレンチウイルス形質導入後に生成した。Cas12f-KRABエフェクター-モジュレーターベクターのデザインを図5に示す。ベクターは、Cas12fバリアントエフェクターの発現を駆動する筋特異的プロモーター(CK8e)、ならびにKRABおよびDNMT3Lドメインを含んだ。ヒトU6gプロモーターを、RNAポリメラーゼIIIによって駆動される足場と共にsgRNAスペーサー配列の発現を駆動するために含めた。ベクターはさらに、改変WPREおよびポリアデニル化調節配列を含んだ。Cas12f-KRABエフェクター-モジュレーターを、mCherryによって標識し、そのため形質導入後、mCherry+細胞を富化のために選別した。富化後、78個のガイドに関してアニールしたcrRNA:trcrRNA構築物を、Cas12f-KRABエフェクター-モジュレーター発現12ABIC細胞においてヌクレオフェクトした。筋芽細胞を7日間(for 7 cells)分化させた後、細胞を、Quantigeneアッセイプローブを使用してDUX4(図6Aおよび6B)およびMDB3L2(図6B)の発現に関してアッセイした。DUX4の相対的発現を、対照遺伝子HPRT1の発現に対して正規化した。実験は、異なるgRNAが、Cas12f-KRABエフェクター-モジュレーターを発現する細胞においてDUX4およびMDB3L2の発現を下方調節することが可能であったことを示した。加えて、異なるgRNAによるDUX4およびMDB3L2の下方調節は、正に相関した(図6B)。
【0275】
初回のスクリーニングから、6個のgRNAをさらに試験した。6個のgRNAを、2つの異なるCas12f-KRABエフェクター-モジュレーターの1つと共に、不死化患者由来FSHD筋芽細胞にトランスフェクトした。2つの異なるCas12f-KRABエフェクター-モジュレーターは、2つの異なるDNMT3Lドメイン(例えば、DNMT3L-KlaまたはDNMT3L-Klb)の1つを含んだ。トランスフェクション後、細胞を分化させ、DUX4、ならびにDUX4標的遺伝子、MBD3L2、TRIM48、およびMYOGの発現をトランスフェクションの17日後(図7A)および18日後(図7B)にqRT-PCRを使用してアッセイし、DUX4抑制の持続に関して測定した。MYOGは、DUX4 sgRNAトランスフェクト細胞の分化能が、対照sgRNAトランスフェクト筋芽細胞と類似であったことを確実にするために陽性対照として含めた。全体として、Cas12f-KRAB-DNMT3Lモジュレーターは、DUX4およびDUX4標的遺伝子の持続性の抑制をもたらしたことが見出された。
【0276】
Cas12f-KRAB-DNMT3Lモジュレーターによって処理した患者由来筋芽細胞におけるDUX4およびDUX4標的遺伝子の発現レベルを試験することに加えて、細胞を、処理した細胞のアポトーシスレベルに関しても試験した。処理した細胞を、分化の2日後にアポトーシスマーカーであるカスパーゼ3に関して染色した。染色後、アポトーシス陽性細胞を、ハイコンテントイメージャーを使用して計数し、パーセント陽性細胞を、DAPI(青色の細胞)によって染色した核の総数に基づいて計算した。Cas12f-KRAB-DNMT3Lモジュレーターによって処理した細胞は、対照sgRNAをトランスフェクトした細胞と比較してアポトーシスの減少を示した(図8Aおよび8B)。
(実施例4)
ex vivo FSHDモデルの確立および検証
【0277】
不死化した健康な同胞対照細胞およびFSHD骨格筋芽細胞を融解し、ex vivo 3D研究のために増大させた。骨格筋芽細胞を、2D表面上で分割した後、その全体が参照により本明細書に組み入れられるFayazi, M., "Passive-Stretch Induced Skeletal Muscle Injury Platform for Duchenne Muscular Dystrophy Modeling," Archives of Physical Medicine and Rehabilitation, volume 103, issue 3, March 2022, page e26に記載される確立されたCuri Bio labのプロトコールに従って3D Mantarray組織へと操作した。簡単に説明すると、3D骨格筋芽細胞組織を7日間培養して、コンパクション状態にすることができ、これをさらに14日間培養した。機能の測定を、培養の間に週に3回行い、一定期間での収縮力を評価し、刺激して、機械力、強縮力、および疲労における表現型の差を評価した(図9)。モデルが確立された後、患者由来FSHD骨格筋芽細胞を使用して、3D組織形態のレスキュー、遺伝子発現プロファイル、および機械力評価に関する対照およびDZ4Z遺伝子座を標的化するCas12fエフェクター-モジュレーターAAVの有効性を試験した。
【0278】
一部の例では、本明細書に開示されるシステム、組成物、または方法によって処理した3D骨格筋芽細胞組織(例えば、D4Z4リピートアレイによってコードされる遺伝子、例えばDUX4の発現レベル、またはエピジェネティックレベルをモジュレートするため)を、対照の3D骨格筋芽細胞組織(例えば、本明細書に開示されるシステム、組成物、または方法によって処理されていない)と比較して、(i)増強された機械力(例えば、最大機械力、一定期間にわたる平均機械力)、(ii)増強された強縮力(例えば、骨格筋を神経支配する運動神経が非常に高速で活動電位を放出する場合に誘発される持続性の筋の収縮を示す力)、および/または(iii)低減された疲労(例えば、固定された移動不可能な物体に対する収縮を介して(静的試験または等尺性測定)、または制御された速度での動的筋収縮を介して(繰り返し収縮または等速性評価)測定される)を示すことによって特徴付けることができる。
【0279】
一部の例では、本明細書に開示されるシステム、組成物、または方法によって処理される3D骨格筋芽細胞組織は、対照3D骨格筋芽細胞組織の機械力より少なくとももしくは最大約1%、少なくとももしくは最大約5%、少なくとももしくは最大約10%、少なくとももしくは最大約15%、少なくとももしくは最大約20%、少なくとももしくは最大約30%、少なくとももしくは最大約40%、少なくとももしくは最大約50%、少なくとももしくは最大約60%、少なくとももしくは最大約70%、少なくとももしくは最大約80%、少なくとももしくは最大約90%、少なくとももしくは最大約95%、少なくとももしくは最大約100%、少なくとももしくは最大約120%、少なくとももしくは最大約150%、少なくとももしくは最大約200%、少なくとももしくは最大約300%、少なくとももしくは最大約400%、または少なくとももしくは最大約500%大きい機械力を示すことによって特徴付けることができる。
【0280】
一部の例では、本明細書に開示されるシステム、組成物、または方法によって処理される3D骨格筋芽細胞組織は、対照3D骨格筋芽細胞組織の強縮力より少なくとももしくは最大約1%、少なくとももしくは最大約5%、少なくとももしくは最大約10%、少なくとももしくは最大約15%、少なくとももしくは最大約20%、少なくとももしくは最大約30%、少なくとももしくは最大約40%、少なくとももしくは最大約50%、少なくとももしくは最大約60%、少なくとももしくは最大約70%、少なくとももしくは最大約80%、少なくとももしくは最大約90%、少なくとももしくは最大約95%、少なくとももしくは最大約100%、少なくとももしくは最大約120%、少なくとももしくは最大約150%、少なくとももしくは最大約200%、少なくとももしくは最大約300%、少なくとももしくは最大約400%、または少なくとももしくは最大約500%大きい強縮力を示すことによって特徴付けることができる。
【0281】
一部の例では、本明細書に開示されるシステム、組成物、または方法によって処理される3D骨格筋芽細胞組織は、対照3D骨格筋芽細胞組織の疲労より少なくとももしくは最大約1%、少なくとももしくは最大約5%、少なくとももしくは最大約10%、少なくとももしくは最大約15%、少なくとももしくは最大約20%、少なくとももしくは最大約30%、少なくとももしくは最大約40%、少なくとももしくは最大約50%、少なくとももしくは最大約60%、少なくとももしくは最大約70%、少なくとももしくは最大約80%、少なくとももしくは最大約90%、少なくとももしくは最大約95%、少なくとももしくは最大約99%、または少なくとももしくは最大約100%少ない疲労を示すことによって特徴付けることができる。
(実施例5)
DUX4標的化のためのin vivo FSHDモデル
【0282】
指定された-7日目の朝に、マウスを、90~200mg/mgのケタミンおよび10mg/kgのキシラジンの腹腔内投与を使用して麻酔することができる。マウスの後肢を、25Gyを2.2Gy/分で11~12分間のX線照射に供することができる。6日後、0.3mg/kgカルジオトキシン60μLを、TA筋の長さに沿って投与して、分解を促進することができる。1日後、2E10^6個のヒト筋芽細胞60μLを、TA筋に沿って投与することができる。イソフルラン麻酔を、その後のカルジオトキシンおよびヒト筋芽細胞投与のために使用することができる。筋芽細胞の投与の1日後、以前の実施例のCas12fモジュレーターベクターおよび対照AAVrh74ベクターを、後眼窩静脈叢注射を介して投与することができる。4および21日目に、動物を安楽死させることができる。TA筋および他の主要な臓器(例えば、心臓、肺、肝臓)を採取することができる。採取したTA筋を切片にして固定し、H&E染色することができる。残りの臓器を処理し、総RNA/DNAを抽出して、qRT-PCRを使用して遺伝子発現実験を実施することができる。遺伝子発現実験は、DUX4およびDUX4標的遺伝子の発現を測定し、DUX4抑制レベルを決定することができる。遺伝子発現実験は、DUX4の1つまたは複数の下流の遺伝子、例えばZSCAN4、LEUTX、MBD3L2、TRIM48、および/またはTRIM43などの発現を測定することができる。遺伝子発現実験はまた、マウスにおけるヒト筋芽細胞の富化ならびに特定の組織へのAAV指向性も調べ得る。実験のワークフローを、図10に示す。
表2. 標的細胞(例えば、筋細胞)におけるD4Z4リピートアレイによってコードされる遺伝子(例えば、DUX4)の発現レベルまたはエピジェネティックレベルを改変するために標的ポリヌクレオチド配列に結合するためのガイドRNA分子
【表2-1】
【表2-2】
【表2-3】
【表2-4】
【表2-5】
【表2-6】
【表2-7】
【表2-8】
【表2-9】
【表2-10】
【表2-11】
【表2-12】
【表2-13】
【表2-14】
【表2-15】
【0283】
本発明の異なる態様を、個々に、集合的に、または互いに組み合わせて認識することができると理解される。本明細書に記載した本発明の様々な態様を、本明細書に開示した特定の適用のいずれに適用してもよい。本開示の組成物の節において本明細書に開示した事象の組成物を、本明細書に開示される使用および産生方法を含む方法の節で利用してもよく、またはその逆も同様である。
【0284】
本発明の好ましい実施形態を、本明細書に示し、記載してきたが、そのような実施形態は、単なる例として提供されることは当業者に明白である。本発明は、本明細書内に提供された特定の例に限定されないと意図される。本発明は、前述の明細書を参照して記載してきたが、本明細書の実施形態の説明および例証は、限定的な意味であると解釈されることを意味しない。多数の変形形態、変化、および置換が、本発明から逸脱することなく当業者に想起される。さらに、本発明の全ての態様は、多様な条件および変数に依存する、本明細書に記載される特定の説明、形状、または相対的割合に限定されないと理解される。本明細書に記載される本発明の実施形態に対する様々な代替を、本発明の実践に使用してもよいと理解すべきである。したがって、本発明は、そのような任意の代替、改変、変形形態、または均等物をその範囲に含むと企図される。以下の特許請求の範囲は本発明の範囲を定義し、これらの特許請求の範囲およびその均等物内の方法および構造がそれによって含まれると意図される。
図1
図2
図3-1】
図3-2】
図3-3】
図3-4】
図3-5】
図4
図5
図6-1】
図6-2】
図7-1】
図7-2】
図8-1】
図8-2】
図9
図10
【国際調査報告】