(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-28
(54)【発明の名称】胃瘻チューブ装置およびその使用方法
(51)【国際特許分類】
A61J 15/00 20060101AFI20240621BHJP
【FI】
A61J15/00 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023577913
(86)(22)【出願日】2022-06-21
(85)【翻訳文提出日】2024-02-14
(86)【国際出願番号】 US2022034337
(87)【国際公開番号】W WO2022271694
(87)【国際公開日】2022-12-29
(32)【優先日】2021-06-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503115205
【氏名又は名称】ザ ボード オブ トラスティーズ オブ ザ レランド スタンフォード ジュニア ユニバーシティー
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】弁理士法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】ゴールデンバーグ,デビッド
(72)【発明者】
【氏名】ツヴェタノフ,イヴァン
【テーマコード(参考)】
4C047
【Fターム(参考)】
4C047AA21
4C047BB11
4C047NN14
(57)【要約】
胃瘻チューブおよびこれを埋め込むためのシステムおよび方法が提供される。一例では、胃瘻チューブが、患者の口内に導入できるサイズの第1の端部と、拡張可能部材または他のバンパーを含む第2の端部と、第1の端部と第2の端部との間に延びる供給ルーメンとを含む細長い管状部材を備える。ボルスタは、第1の端部が患者の胃内から介在組織を通って導かれて患者の皮膚から延出し、かつバンパーが胃の壁に当てて配置された後に、第1の端部の周囲に接続可能である。アダプタは、ボルスタを越える第1の端部および管状部材の余分な材料が分離された後にボルスタに接続可能であり、供給チューブに取り外し可能に接続するためのコネクタを含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の腹部内に埋め込むための胃瘻チューブ装置であって、
患者の口内に導入できるサイズの第1の端部と、拡張可能部材を含む第2の端部と、前記第1の端部と前記第2の端部との間に延びる供給ルーメンとを含む細長い管状部材と、
前記第1の端部が患者の胃内から介在組織を通って導かれて患者の皮膚から延出した後に前記第1の端部の周囲に接続可能なボルスタと、
前記ボルスタを越える前記第1の端部および管状部材の余分な材料が分離された後に前記ボルスタに接続可能なアダプタであって、供給チューブに取り外し可能に接続するためのコネクタを含むアダプタとを備えることを特徴とする装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置において、
前記管状部材の前記第1の端部と前記第2の端部との間の長さは、前記第1の端部が患者の胃内から介在組織を介して導かれ、かつ前記拡張可能部材が胃の前壁に当てて配置されたときに、前記第1の端部が患者の皮膚から延出するような長さであることを特徴とする装置。
【請求項3】
請求項1に記載の装置において、
前記拡張可能部材が、前記第2の端部にある環状のバルーンを含むことを特徴とする装置。
【請求項4】
請求項3に記載の装置において、
前記管状部材が、前記第1の端部から延びて、前記バルーンの内部と連通する膨張ルーメンをさらに含むことを特徴とする装置。
【請求項5】
請求項4に記載の装置において、
前記バルーンが膨張した後に前記バルーンの内部から膨張媒体が漏れるのを防ぐために、前記膨張ルーメンと連通するバルブをさらに備えることを特徴とする装置。
【請求項6】
請求項5に記載の装置において、
前記バルブは、予め設定された閾値を超えて、正圧が加えられたときに膨張を可能にし、真空圧が加えられたときに収縮を可能にすることを特徴とする装置。
【請求項7】
請求項4に記載の装置において、
対象者の腹部から当該装置を取り外すために前記バルーンを潰すことができるように、予め設定された閾値を超える正圧または真空圧が加えられたときに破損または恒久的に開くように構成された弱化領域を、前記バルーンおよび前記膨張ルーメンの一方にさらに含むことを特徴とする装置。
【請求項8】
請求項1に記載の装置において、
前記拡張可能部材が、前記管状部材の第2の端部から半径方向外向きに拡張可能な双安定要素を含むことを特徴とする装置。
【請求項9】
請求項1に記載の装置において、
前記ボルスタおよび前記アダプタが、前記アダプタを前記ボルスタに固定するための協働コネクタを含むことを特徴とする装置。
【請求項10】
請求項9に記載の装置において、
前記協働コネクタが、前記アダプタを前記ボルスタの周りにねじ込むことを可能にする嵌合ネジを含むことを特徴とする装置。
【請求項11】
請求項9に記載の装置において、
前記協働コネクタが、スナップコネクタ、接着剤、ネジ、ピンおよび協働マグネットのうちの1または複数を含むことを特徴とする装置。
【請求項12】
請求項9に記載の装置において、
前記ボルスタが、患者の皮膚に当てて配置されるように構成されたベースプレートと、前記ベースプレートから延びるニップルとを備え、前記協働コネクタが、前記アダプタのハウジングから延びる複数のアームと、前記ニップル上の1または複数の要素とを含むことを特徴とする装置。
【請求項13】
請求項1~7の何れか一項に記載の装置において、
前記ボルスタが、患者の皮膚に当てて配置するように構成されたベースプレートと、前記ベースプレートから延びるニップルとを備え、当該装置が、前記ニップルを前記管状部材の周囲で内向きに圧迫するために前記ニップルの周囲に配置するように構成されたクランプをさらに備えることを特徴とする装置。
【請求項14】
請求項13に記載の装置において、
前記クランプが、ジップタイを含むことを特徴とする装置。
【請求項15】
患者の腹部内に胃瘻チューブを埋め込むためのキットであって、
患者の口内に導入できるサイズの第1の端部と、拡張可能部材を含む第2の端部と、前記第1の端部と前記第2の端部との間に延びる供給ルーメンとを含む細長い管状部材と、
前記第1の端部が患者の胃内から介在組織を通って導かれて患者の皮膚から延出した後に前記第1の端部の周囲に接続可能なボルスタと、
前記ボルスタを越える前記第1の端部および管状部材の余分な材料が分離された後に前記ボルスタに接続可能なアダプタであって、供給チューブに取り外し可能に接続するためのコネクタを含むアダプタとを備えることを特徴とするキット。
【請求項16】
請求項15に記載のキットにおいて、
前記管状部材の前記第1の端部と前記第2の端部との間の長さは、前記第1の端部が患者の胃内から介在組織を介して導かれ、かつ前記拡張可能部材が胃の前壁に当てて配置されたときに、前記第1の端部が患者の皮膚から延出するような長さであることを特徴とするキット。
【請求項17】
請求項15に記載のキットにおいて、
前記拡張可能部材が、前記第2の端部にある環状のバルーンを含むことを特徴とするキット。
【請求項18】
請求項17に記載のキットにおいて、
前記管状部材が、前記第1の端部から延びて、前記バルーンの内部と連通する膨張ルーメンをさらに含むことを特徴とするキット。
【請求項19】
請求項18に記載のキットにおいて、
前記バルーンが膨張した後に前記バルーンの内部から膨張媒体が漏れるのを防ぐために、前記膨張ルーメンと連通するバルブをさらに備えることを特徴とするキット。
【請求項20】
請求項19に記載のキットにおいて、
前記バルブは、予め設定された閾値を超えて、正圧が加えられたときに膨張を可能にし、真空圧が加えられたときに収縮を可能にすることを特徴とするキット。
【請求項21】
請求項18に記載のキットにおいて、
対象者の腹部から装置を取り外すために前記バルーンを潰すことができるように、予め設定された閾値を超える正圧または真空圧が加えられたときに破損または恒久的に開くように構成された弱化領域を、前記バルーンおよび前記膨張ルーメンの一方にさらに含むことを特徴とするキット。
【請求項22】
請求項15に記載のキットにおいて、
前記拡張可能部材が、前記管状部材の第2の端部から半径方向外向きに拡張可能な双安定要素を含むことを特徴とするキット。
【請求項23】
請求項15に記載のキットにおいて、
前記ボルスタおよび前記アダプタが、前記アダプタを前記ボルスタに固定するための協働コネクタを含むことを特徴とするキット。
【請求項24】
請求項23に記載のキットにおいて、
前記協働コネクタが、前記アダプタを前記ボルスタの周りにねじ込むことを可能にする嵌合ネジを含むことを特徴とするキット。
【請求項25】
請求項23に記載のキットにおいて、
前記協働コネクタが、スナップコネクタ、接着剤、ネジ、ピンおよび協働マグネットのうちの1または複数を含むことを特徴とするキット。
【請求項26】
請求項23に記載のキットにおいて、
前記ボルスタが、患者の皮膚に当てて配置されるように構成されたベースプレートと、前記ベースプレートから延びるニップルとを備え、前記協働コネクタが、前記アダプタのハウジングから延びる複数のアームと、前記ニップル上の1または複数の要素とを含むことを特徴とするキット。
【請求項27】
請求項15に記載のキットにおいて、
前記ボルスタが、患者の皮膚に当てて配置するように構成されたベースプレートと、前記ベースプレートから延びるニップルとを備え、装置が、前記ニップルを前記管状部材の周囲で内向きに圧迫するために前記ニップルの周囲に配置するように構成されたクランプをさらに備えることを特徴とするキット。
【請求項28】
請求項27に記載のキットにおいて、
前記クランプが、ジップタイを含むことを特徴とするキット。
【請求項29】
請求項15~28の何れか一項に記載のキットにおいて、
前記余分な材料を前記管状部材の残りの部分から分離するためのカッタをさらに含むことを特徴とするキット。
【請求項30】
請求項17~19の何れか一項に記載のキットにおいて、
前記バルーンを膨張させるための膨張媒体の供給源をさらに含むことを特徴とするキット。
【請求項31】
患者の腹部内に胃瘻チューブを埋め込むためのシステムであって、
患者の口内に導入できるサイズの第1の端部と、拡張可能部材を含む第2の端部と、前記第1の端部と前記第2の端部との間に延びる供給ルーメンと、前記第1の端部から延びて前記拡張可能部材の内部と連通する膨張ルーメンとを含む細長い管状部材と、
前記第1の端部が患者の胃内から介在組織を通って導かれて患者の皮膚から延出した後に前記第1の端部の周囲に接続可能なボルスタと、
前記ボルスタを越える前記第1の端部および管状部材の余分な材料が分離された後に前記ボルスタに接続可能なアダプタであって、供給チューブに取り外し可能に接続するためのコネクタを含むアダプタと、
前記拡張可能部材を拡張させるために内部に膨張媒体を導入するための、前記膨張ルーメンに接続可能な膨張媒体の供給源とを備えることを特徴とするシステム。
【請求項32】
請求項31に記載のシステムにおいて、
前記バルーンが膨張した後に前記バルーンの内部から膨張媒体が漏れるのを防ぐために、前記膨張ルーメンと連通するバルブをさらに備えることを特徴とするシステム。
【請求項33】
請求項32に記載のシステムにおいて、
前記バルブは、予め設定された閾値を超えて、正圧が加えられたときに膨張を可能にし、真空圧が加えられたときに収縮を可能にすることを特徴とするシステム。
【請求項34】
請求項32に記載のシステムにおいて、
前記バルブを開いて内部の膨張媒体を逃がして前記拡張可能部材を潰すために、前記膨張ルーメン内に導入できるサイズの器具をさらに含むことを特徴とするシステム。
【請求項35】
請求項31に記載のシステムにおいて、
前記拡張可能部材が、前記第2の端部にある環状のバルーンを含むことを特徴とするシステム。
【請求項36】
請求項31に記載のシステムにおいて、
対象者の腹部から装置を取り外すために前記バルーンを潰すことができるように、予め設定された閾値を超える正圧または真空圧が加えられたときに破損または恒久的に開くように構成された弱化領域を、前記バルーンおよび前記膨張ルーメンの一方にさらに含むことを特徴とするシステム。
【請求項37】
患者の腹部内に胃瘻チューブを埋め込むためのシステムであって、
患者の口内に導入できるサイズの第1の端部と、柔軟な伸張性材料から形成されたバンパーを含む第2の端部と、前記第1の端部と前記第2の端部との間に延びる供給ルーメンと含む細長い管状部材と、
前記第1の端部が患者の胃内から介在組織を通って導かれて患者の皮膚から延出した後に前記第1の端部の周囲に接続可能なボルスタと、
前記ボルスタを越える前記第1の端部および管状部材の余分な材料が分離された後に前記ボルスタに接続可能なアダプタであって、供給チューブに取り外し可能に接続するためのコネクタを含むアダプタと、
前記バンパーを伸張させてその外側断面を小さくし、前記管状部材の除去を容易にするために、前記供給ルーメン内に導入できるサイズの器具とを備えることを特徴とするシステム。
【請求項38】
請求項37に記載のシステムにおいて、
前記器具が、前記バンパーに対して遠位方向を向く力を加えて前記バンパーを伸張させるために、前記供給ルーメン内に導入できるサイズの丸みを帯びたまたは非外傷性の遠位端を含む細長いツールを含むことを特徴とするシステム。
【請求項39】
請求項38に記載のシステムにおいて、
前記器具が、その近位端に、破損を防ぐために、遠位方向を向く力が最大力に近づくか、または最大力を超えたときに出力を与えるインジケータを備えることを特徴とするシステム。
【請求項40】
請求項39に記載のシステムにおいて、
前記インジケータが、ライトおよびスピーカのうちの一方を含むことを特徴とするシステム。
【請求項41】
請求項39または40に記載のシステムにおいて、
前記器具が、出力を与えるために前記インジケータに結合された、遠位端に加えられる遠位方向を向く力を測定するセンサをさらに備えることを特徴とするシステム。
【請求項42】
請求項38に記載のシステムにおいて、
前記器具が、その近位端にリミッタを備え、前記リミッタが、最大力を超えると、前記リミッタが変形するかまたは解放されて、過剰な力が遠位端に伝達されるのを防ぐように構成されていることを特徴とするシステム。
【請求項43】
請求項31~40の何れか一項に記載のシステムにおいて、
前記管状部材の前記第1の端部と前記第2の端部との間の長さは、前記第1の端部が患者の胃内から介在組織を介して導かれ、かつ前記拡張可能部材が胃の前壁に当てて配置されたときに、前記第1の端部が患者の皮膚から延出するような長さであることを特徴とするシステム。
【請求項44】
請求項31~40の何れか一項に記載のシステムにおいて、
前記ボルスタおよび前記アダプタが、前記アダプタを前記ボルスタに固定するための協働コネクタを含むことを特徴とするシステム。
【請求項45】
請求項31~40の何れか一項に記載のシステムにおいて、
前記協働コネクタが、前記アダプタを前記ボルスタの周りにねじ込むことを可能にする嵌合ネジを含むことを特徴とするシステム。
【請求項46】
請求項45に記載のシステムにおいて、
前記協働コネクタが、スナップコネクタ、接着剤、ネジ、ピンおよび協働マグネットのうちの1または複数を含むことを特徴とするシステム。
【請求項47】
請求項45に記載のシステムにおいて、
前記ボルスタが、患者の皮膚に当てて配置されるように構成されたベースプレートと、前記ベースプレートから延びるニップルとを備え、前記協働コネクタが、前記アダプタのハウジングから延びる複数のアームと、前記ニップル上の1または複数の要素とを含むことを特徴とするシステム。
【請求項48】
請求項31~40の何れか一項に記載のシステムにおいて、
前記ボルスタが、患者の皮膚に当てて配置するように構成されたベースプレートと、前記ベースプレートから延びるニップルとを備え、装置が、前記ニップルを前記管状部材の周囲で内向きに圧迫するために前記ニップルの周囲に配置するように構成されたクランプをさらに備えることを特徴とするシステム。
【請求項49】
請求項48に記載のシステムにおいて、
前記クランプが、ジップタイを含むことを特徴とするシステム。
【請求項50】
請求項48に記載のシステムにおいて、
前記アダプタが、前記アダプタが前記ボルスタに連結されたときに前記供給ルーメン内に挿入できるサイズの管状延長部を備え、前記管状延長部は、前記クランプが前記ニップルの周りに締め付けられたときに前記供給ルーメンが潰れるのを防止するのに十分な剛性を有することを特徴とするシステム。
【請求項51】
胃瘻チューブを患者の腹部内に埋め込むための方法であって、
細長い管状部材を提供するステップであって、前記細長い管状部材が、第1の端部と、拡張可能部材を含む第2の端部と、前記第1および第2の端部間に延びるルーメンとを含む、ステップと、
患者の腹部に通して、患者の胃の上にある皮膚から介在組織を介して胃内にガイドワイヤの第1の端部を導くステップと、
前記ガイドワイヤの第1の端部を、患者の胃から患者の口の外に患者の上部消化管に沿って導くステップと、
前記管状部材の第2の端部の拡張可能部材を拡張するステップと、
前記管状部材が患者の胃内に配置されるまで、前記ガイドワイヤを使用して前記管状部材の第1の端部を患者の口および上部消化管に導入するステップと、
前記管状部材の第1の端部が患者の腹部の外側に露出するまで、前記第1の端部を介在組織を通して誘導するステップと、
ボルスタを患者の皮膚に隣接する第1の端部に固定し、胃内の前記拡張可能部材と前記ボルスタとの間に介在組織が挟まれるようにするステップと、
前記ボルスタを越えて露出する前記管状部材の余分な長さを分離するステップと、
前記ボルスタにアダプタを固定するステップであって、前記アダプタが、供給チューブを前記アダプタに取り外し可能に接続するためのコネクタを含む、ステップとを備えることを特徴とする方法。
【請求項52】
請求項51に記載の方法において、
前記管状部材の余分な長さを分離することが、前記管状部材の切断端が前記ボルスタと実質的に面一になるように前記管状部材を切断することを含むことを特徴とする方法。
【請求項53】
請求項51に記載の方法において、
前記拡張可能部材を胃の前壁に当てて配置させた状態で、前記ボルスタを前記管状部材に固定することを特徴とする方法。
【請求項54】
請求項51に記載の方法において、
胃を気腹させた状態で、内視鏡による視覚化の下、前記ガイドワイヤを胃内に導入することを特徴とする方法。
【請求項55】
請求項51に記載の方法において、
前記管状部材の第1の端部を患者の口内に導入する前に、前記拡張可能部材を拡張することを特徴とする方法。
【請求項56】
請求項51に記載の方法において、
前記管状部材の第1の端部を介在組織を通して導いた後、前記第1の端部が患者の腹部の外側に露出するまで、前記拡張可能部材を胃内で拡張することを特徴とする方法。
【請求項57】
請求項51~56の何れか一項に記載の方法において、
前記拡張可能部材を潰すステップと、
前記管状部材を患者の腹部から除去するステップとをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項58】
請求項57に記載の方法において、
前記管状部材を取り外す前に、前記管状部材から前記ボルスタおよび前記アダプタを分離するステップをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項59】
請求項57に記載の方法において、
前記拡張可能部材が、バルーンを含み、前記拡張可能部材を潰すことが、
患者の上部消化管を介して胃内に器具を導入し、
前記器具を使用して前記バルーンを破裂させることを含むことを特徴とする方法。
【請求項60】
請求項57に記載の方法において、
前記拡張可能部材が、膨張ルーメンと連通するバルーンを含み、前記拡張可能部材を潰すことが、バルブを介して前記膨張ルーメン内に器具を挿入して、前記器具を使用して前記バルーンから膨張媒体を除去することを含むことを特徴とする方法。
【請求項61】
請求項57に記載の方法において、
前記拡張可能部材が、膨張ルーメンと連通するバルーンを含み、前記拡張可能部材を潰すことが、前記バルブに真空を加えて膨張媒体を除去することを含むことを特徴とする方法。
【請求項62】
請求項57に記載の方法において、
前記拡張可能部材が、膨張ルーメンと連通するバルーンを含み、前記拡張可能部材を潰すことが、予め設定された閾値を超える正圧または真空圧を加えて、前記バルーンおよび前記膨張ルーメンのうちの一方の弱い領域を恒久的に開放して、前記管状部材を患者の腹部から取り外す前に前記バルーンを潰せるようにすることを含むことを特徴とする方法。
【請求項63】
請求項57に記載の方法において、
前記拡張可能部材を拡張させることが、前記管状部材の膨張ルーメンを介して前記拡張可能部材の内部に膨張媒体を導入することを含み、
前記拡張可能部材を潰すことが、前記膨張ルーメン内に器具を挿入してバルブを開き、前記拡張可能部材の内部の膨張を逃がすことを含むことを特徴とする方法。
【請求項64】
請求項57に記載の方法において、
前記管状部材を引っ張って、潰れた拡張可能部材および第2の端部を、介在組織を介して患者の皮膚の外側に導くことによって、前記管状部材を除去することを特徴とする方法。
【請求項65】
請求項51に記載の方法において、
前記管状部材の第1の端部が、患者の口の外で前記ガイドワイヤの第1の端部に接続され、前記ガイドワイヤの第1の端部を患者の上部消化管に沿って導くことが、前記ガイドワイヤの第2の反対側の端部を患者の腹部の外側から引っ張ることを含むことを特徴とする方法。
【請求項66】
請求項51に記載の方法において、
前記ガイドワイヤの第1の端部を患者の上部消化管に沿って導くことが、前記管状部材を前記ガイドワイヤ上で胃内に前進させることを含むことを特徴とする方法。
【請求項67】
胃瘻チューブを患者の腹部内に埋め込むための方法であって、
細長い管状部材を提供するステップであって、前記細長い管状部材が、第1の端部と、バンパーを含む第2の端部と、前記第1および第2の端部間に延びるルーメンとを含む、ステップと、
患者の腹部に通して、患者の胃の上にある皮膚から介在組織を介して胃内にガイドワイヤの第1の端部を導くステップと、
前記ガイドワイヤの第1の端部を、患者の胃から患者の口の外に患者の上部消化管に沿って導くステップと、
前記管状部材が患者の胃内に配置されるまで、前記ガイドワイヤを使用して前記管状部材の第1の端部を患者の口および上部消化管に導入するステップと、
前記管状部材の第1の端部が患者の腹部の外側に露出して、前記バンパーが胃の壁に当たるように配置されるまで、前記第1の端部を介在組織を通して導くステップと、
患者の皮膚と面一となるように前記第1の端部にボルスタを固定し、胃内の拡張可能部材と前記ボルスタとの間に介在組織が挟まれるようにするステップと、
前記ボルスタを越えて露出する管状部材の余分な長さを分離するステップと、
前記ボルスタにアダプタを固定するステップであって、前記アダプタが、供給チューブを前記アダプタに取り外し可能に接続するためのコネクタを含む、ステップとを備えることを特徴とする方法。
【請求項68】
請求項67に記載の方法において、
前記バンパーは、前記バンパーが胃の壁に当たるように配置されたときに前記管状部材の第2の端部が胃から離脱するのを防止する、前記管状部材より大きい外側断面を含むことを特徴とする方法。
【請求項69】
請求項68に記載の方法において、
前記バンパーを伸張させてその外側断面を減少させるステップと、
伸張したバンパーが介在組織を通過するように前記管状部材を引っ張ることにより、前記管状部材を患者の腹部から除去するステップとをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項70】
請求項69に記載の方法において、
前記バンパーを伸張させることが、細長いツールを前記ルーメン内に挿入して前記バンパーに対して遠位方向を向く力を加えて前記バンパーを伸張させることを含むことを特徴とする方法。
【請求項71】
請求項70に記載の方法において、
前記細長いツールが、加えられる最大力を制限することを特徴とする方法。
【請求項72】
請求項70に記載の方法において、
前記細長いツールが、加えられた力のインジケータを含むことを特徴とする方法。
【請求項73】
埋め込まれる胃瘻チューブを薄型装置に変換するための方法であって
ボルスタが患者の皮膚と面一になるまで、前記ボルスタを胃瘻チューブの第1の端部上に導くステップと、
前記ボルスタを越えて露出する前記胃瘻チューブの余分な長さを分離するステップと、
前記ボルスタにアダプタを固定するステップであって、前記アダプタが、供給チューブを前記アダプタに取り外し可能に接続するためのコネクタを含む、ステップとを備えることを特徴とする方法。
【請求項74】
患者の皮膚から介在組織を通って患者の胃内に延びる既存のトラックを使用して、患者の腹部内に胃瘻チューブを埋め込むための方法であって、
細長い管状部材を提供するステップであって、前記細長い管状部材が、第1の端部と、バンパーを含む第2の端部と、前記第1および第2の端部間に延びるルーメンとを含む、ステップと、
前記管状部材の第2の端部を、患者の皮膚から前記トラックを通って胃内に導くステップと、
前記第1の端部が腹部から延出する間に、前記バンパーを胃の壁に当てて配置するステップと、
患者の皮膚と面一となるように前記第1の端部にボルスタを固定し、介在組織が前記バンパーと前記ボルスタの間に挟まれるようにするステップと、
前記管状部材の余分な長さを分離するステップと、
前記ボルスタにアダプタを固定するステップであって、前記アダプタが、供給チューブを前記アダプタに取り外し可能に接続するためのコネクタを含む、ステップとを備えることを特徴とする方法。
【請求項75】
請求項74に記載の方法において、
前記第2の端部が、前記バンパーが圧縮構成にある状態で前記トラックを通って導かれ、当該方法が、前記バンパーを胃の壁に当たるように配置する前に、胃内で前記バンパーを拡張構成に拡張するステップをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項76】
請求項75に記載の方法において、
前記バンパーが、バルーンを含み、前記バンパーを拡張することが、前記管状部材の膨張ルーメンを介して前記バルーンを膨張させることを含むことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療装置に関し、より詳細には、胃瘻チューブ装置、およびそのような装置を埋め込んで使用するためのシステムおよび方法に関する。
【0002】
関連出願データ
本出願は、2021年6月21日に出願された同時係属中の米国仮出願第63/213,060号の利益を主張するものであり、その開示全体が、引用により本明細書に明示的に援用されるものとする。
【背景技術】
【0003】
胃瘻チューブは、患者の腹部から延びる長いチューブである。胃瘻チューブは、患者が、例えば少なくとも30日間、口から栄養を摂取できない場合に埋め込まれる。患者の腹部と面一になる薄型チューブも入手可能であるが、
図1に示すように従来の長い胃瘻チューブを使用して患者の胃から皮膚までの経路が形成されるまでは、安全に留置することができない。それらの長い胃瘻チューブは、以下のような複数の問題を引き起こす可能性がある。
【0004】
1)供給チューブは、例えば、病院で重篤な状態にあるせん妄患者によって、誤って引き抜かれる可能性がある。チューブを誤って取り外すと、緊急手術を必要とする致命的な事態が発生する可能性があるため、患者は、しばしば拘束下に置かれ、大きなリスクとコストを伴う。
【0005】
2)チューブは見苦しく、患者の心理的誘因となる。
【0006】
3)長いチューブは漏れが発生しやすく、患者にとって扱い難い場合がある。
【0007】
4)従来の長いチューブを薄型の供給チューブに変換する方法がない。
【0008】
このため、従来の胃瘻チューブに付随する問題を回避する改良された胃瘻チューブが必要とされている。
【発明の概要】
【0009】
本発明は、医療装置、より詳細には、胃瘻チューブ装置、およびそのような装置を埋め込んで使用するためのシステムおよび方法を対象とする。
【0010】
従来の長い胃瘻チューブを埋め込んだ後、例えば3ヶ月待つ代わりに、最初の処置中に埋め込むことができる薄型胃瘻チューブを本明細書で説明する。例示的な方法では、以下の手順を使用して胃瘻チューブを埋め込むことができる。
【0011】
ステップ1.バンパーを有する胃瘻チューブを用意する。これは、バルーンが膨張している状態、または双安定機構が作動している状態で行うことができる。バルーンは、チューブが所定のサイズに切断された後もバルーンが膨らんだままであることを保証するための一方向バルブを含むことができる。代替的には、バンパーは常に膨張している固定形状であってもよい。
【0012】
ステップ2.内視鏡による視覚化の下、例えば胃の適切な気腹の後、ガイドワイヤを皮膚を通して対象者の胃内に導入する。
【0013】
ステップ3.ガイドワイヤを口から引き出し、胃瘻チューブに取り付ける。その後、ガイドワイヤとともに、チューブを口から引き込み、胃の外に出す。
【0014】
ステップ4.チューブの周囲にボルスタを配置して、チューブの露出端を腹部に固定する。腹壁が胃内のバンパーと胃外のボルスタとの間に挟まれるようにチューブを固定する。
【0015】
ステップ5.チューブをボルスタと面一になるように切断する。
【0016】
ステップ6.アダプタをボルスタに固定する。一例では、ボルスタとアダプタ間のネジ接続を有するフレアフィッティング接続を使用して、これを行うことができる。また、スナップアタッチメント、接着剤、ネジ、ピン、磁石などに限定されるものではないが、これらを含む、2つの部品を接続して機械的な嵌合を達成するための他の機構を使用することもできる。アダプタは、ボルスタを固定して、胃内のバンパーの操作を可能にすることができる。バルーンの場合、バルーンを収縮または非作動化するためのポータルがある。双安定機構の場合、チューブを取り外すことができるようにバンパーの形状を変える機構がある。固定形状の場合、胃内のバンパーは操作されない。
【0017】
ステップ7.供給チューブを使用してアダプタに固定するときは、供給アタッチメントをアダプタに取り付ける。アタッチメントは、チューブを引っ張るとアダプタから外れ、かつ胃瘻チューブが腹部から引き抜かれないように、機械的に固定される。これは、安全な嵌合や回転などのうちの1または複数を使用して達成することができる。
【0018】
ステップ8.チューブが不要になったら、胃内のバンパーを非作動状態とする。バルーンを使用する場合、アダプタ/ボルスタユニットを介して吸引することによりバルーンを収縮させるか、または破裂させることができる。バンパーが双安定装置を含む場合は、アダプタ/ボルスタユニットを介して装置を圧縮、折り畳みまたは他の方法で調節して、バンパーを皮膚から取り外すことができる。
【0019】
代替的には、本明細書の装置および方法を用いて、長い胃瘻供給チューブを薄型チューブに変えることができる。この代替法では、環状ボルスタを長い胃瘻チューブの周囲に、例えば患者の腹部に当てて配置し、これによりチューブを腹部皮膚に対してしっかりと固定する。次いで、チューブを切断してボルスタを越える余分な材料を除去し、例えば上述したように、アダプタをボルスタに固定する。
【0020】
また、本明細書における胃瘻チューブ装置は、例えばチューブ交換のために、既存の胃瘻経路または瘻孔に配置することもできる。古いチューブを除去した後、患者の腹部には、皮膚から胃までの経路が残ることがある。例示的な方法では、第1の端部にバンパーを含む交換用胃瘻チューブを、以下の手順を使用して埋め込むことができる。
【0021】
ステップ1.バンパーを操作し、例えば、バルーンであれば収縮し、双安定機構であれば圧縮し、胃内のバンパーがチューブの外面と面一になるようにする。
【0022】
ステップ2.次に、チューブ(およびバンパー)の第1の端部を皮膚から胃瘻孔を介して胃に挿入する。
【0023】
ステップ3.次に、(例えば、バルーンまたは双安定機構のいずれかを介して)胃内バンパーを拡張する。
【0024】
ステップ4.次に、ボルスタをチューブの周囲に配置して、チューブの露出端を腹部に固定する。腹壁が胃内バンパーと胃外ボルスタとの間に挟まれるようにチューブを固定する。
【0025】
ステップ5.露出端がボルスタと面一になるようにチューブを切断する。
【0026】
ステップ6.アダプタをボルスタに固定する。一例では、ボルスタとアダプタ間のネジ接続を有するフレアフィッティング接続を使用して、これを行うことができる。また、スナップアタッチメント、接着剤、ネジ、ピン、磁石などに限定されるものではないが、これらを含む、2つの部品を接続して機械的な嵌合を達成するための他の機構を使用することもできる。アダプタは、ボルスタを固定して、胃内のバンパーの操作を可能にすることができる。バルーンの場合、バルーンを収縮または非作動化するためのポータルがある。双安定機構の場合、チューブを取り外すことができるようにバンパーの形状を変える機構がある。
【0027】
一例によれば、患者の腹部内に埋め込むための胃瘻チューブ装置が提供され、この装置が、患者の口内に導入できるサイズの第1の端部と、拡張可能部材または他のバンパーを含む第2の端部と、第1の端部と第2の端部との間に延びる供給ルーメンとを含む細長い管状部材と、第1の端部が患者の胃内から介在組織を通って導かれて患者の皮膚から延出した後に第1の端部の周囲に接続可能なボルスタと、ボルスタを越える第1の端部および管状部材の余分な材料が分離された後にボルスタに接続可能なアダプタであって、供給チューブに取り外し可能に接続するためのコネクタを含むアダプタとを備える。
【0028】
別の例によれば、患者の腹部内に胃瘻チューブを埋め込むためのキットが提供され、このキットが、患者の口内に導入できるサイズの第1の端部と、拡張可能部材または他のバンパーを含む第2の端部と、第1の端部と第2の端部との間に延びる供給ルーメンとを含む細長い管状部材と、第1の端部が患者の胃内から介在組織を通って導かれて患者の皮膚から延出した後に第1の端部の周囲に接続可能なボルスタと、ボルスタを越える第1の端部および管状部材の余分な材料が分離された後にボルスタに接続可能なアダプタであって、供給チューブに取り外し可能に接続するためのコネクタを含むアダプタとを備える。
【0029】
さらに別の例によれば、患者の腹部内に胃瘻チューブを埋め込むためのシステムが提供され、このシステムが、患者の口内に導入できるサイズの第1の端部と、拡張可能部材を含む第2の端部と、第1の端部と第2の端部との間に延びる供給ルーメンと、第1の端部から延びて拡張可能部材の内部と連通する膨張ルーメンとを含む細長い管状部材と、第1の端部が患者の胃内から介在組織を通って導かれて患者の皮膚から延出した後に第1の端部の周囲に接続可能なボルスタと、ボルスタを越える第1の端部および管状部材の余分な材料が分離された後にボルスタに接続可能なアダプタであって、供給チューブに取り外し可能に接続するためのコネクタを含むアダプタと、拡張可能部材を拡張させるために内部に膨張媒体を導入するための、膨張ルーメンに接続可能な膨張媒体の供給源とを備える。
【0030】
さらに別の例によれば、患者の腹部内に胃瘻チューブを埋め込むためのシステムが提供され、このシステムが、患者の口内に導入できるサイズの第1の端部と、柔軟な伸張性材料から形成されたバンパーを含む第2の端部と、第1の端部と第2の端部との間に延びる供給ルーメンと含む細長い管状部材と、第1の端部が患者の胃内から介在組織を通って導かれて患者の皮膚から延出した後に第1の端部の周囲に接続可能なボルスタと、ボルスタを越える第1の端部および管状部材の余分な材料が分離された後にボルスタに接続可能なアダプタであって、供給チューブに取り外し可能に接続するためのコネクタを含むアダプタと、バンパーを伸張させてその外側断面を小さくし、管状部材の除去を容易にするために、供給ルーメン内に導入できるサイズの器具とを備える。
【0031】
別の例によれば、胃瘻チューブを患者の腹部内に埋め込むための方法が提供され、この方法が、細長い管状部材を提供するステップであって、細長い管状部材が、第1の端部と、拡張可能部材を含む第2の端部と、第1および第2の端部間に延びるルーメンとを含む、ステップと、患者の腹部に通して、患者の胃の上にある皮膚から介在組織を介して胃内にガイドワイヤの第1の端部を導くステップと、ガイドワイヤの第1の端部を、患者の胃から患者の口の外に患者の上部消化管に沿って導くステップと、管状部材の第2の端部の拡張可能部材を拡張するステップと、管状部材が患者の胃内に配置されるまで、ガイドワイヤを使用して管状部材の第1の端部を患者の口および上部消化管に導入するステップと、管状部材の第1の端部が患者の腹部の外側に露出するまで、第1の端部を介在組織を通して誘導するステップと、ボルスタを患者の皮膚に隣接する第1の端部に固定し、胃内の拡張可能部材とボルスタとの間に介在組織が挟まれるようにするステップと、ボルスタを越えて露出する管状部材の余分な長さを分離するステップと、ボルスタにアダプタを固定するステップであって、アダプタが、供給チューブをアダプタに取り外し可能に接続するためのコネクタを含む、ステップとを備える。
【0032】
さらに別の例によれば、胃瘻チューブを患者の腹部内に埋め込むための方法が提供され、この方法が、細長い管状部材を提供するステップであって、細長い管状部材が、第1の端部と、バンパーを含む第2の端部と、第1および第2の端部間に延びるルーメンとを含む、ステップと、患者の腹部に通して、患者の胃の上にある皮膚から介在組織を介して胃内にガイドワイヤの第1の端部を導くステップと、ガイドワイヤの第1の端部を、患者の胃から患者の口の外に患者の上部消化管に沿って導くステップと、管状部材が患者の胃内に配置されるまで、ガイドワイヤを使用して管状部材の第1の端部を患者の口および上部消化管に導入するステップと、管状部材の第1の端部が患者の腹部の外側に露出して、バンパーが胃の壁に当たるように配置されるまで、第1の端部を介在組織を通して導くステップと、患者の皮膚と面一となるように第1の端部にボルスタを固定し、胃内の拡張可能部材とボルスタとの間に介在組織が挟まれるようにするステップと、ボルスタを越えて露出する管状部材の余分な長さを分離するステップと、ボルスタにアダプタを固定するステップであって、アダプタが、供給チューブをアダプタに取り外し可能に接続するためのコネクタを含む、ステップとを備える。
【0033】
本発明の他の態様および特徴は、添付の図面と併せて、以下の説明を検討することにより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0034】
本発明は、添付の図面と併せて、以下の特定の例の説明からより良好に理解されると考えられる。図面において、同様の符号は同じ要素を特定している。
【
図1】
図1は、患者の腹部内に埋め込まれた従来の胃瘻チューブの一例を示している。
【
図2】
図2Aは、患者の腹部内に埋め込まれた薄型胃瘻チューブ装置の一例を示している。
図2Bおよび
図2Cはそれぞれ、
図2Aの胃瘻チューブ装置の側面図および断面図である。
【
図3】
図3Aおよび
図3Bはそれぞれ、第1の端部と、バルーンが膨張していない状態および膨張した状態の第2の端部上の環状バルーンとを含む、
図2A~
図2Cに示すような胃瘻チューブ装置のための管状本体の一例を示している。
図3Cは、バルーンが膨張した状態の
図3Aおよび
図3Bの管状本体を示すとともに、管状本体の内部ルーメンを示している。
図3Dは、中央供給ルーメンおよび膨張ルーメンを示す、
図3Aおよび
図3Bの管状本体の断面である。
【
図4】
図4Aおよび
図4Bはそれぞれ、
図3Aおよび
図3Bに示す管状本体の端部にボルスタを固定するためのコネクタを含む、
図2A~
図2Cに示すような胃瘻チューブ装置用のボルスタの一例の側面図および上面図である。
【
図7】
図7Aおよび
図7Bは、第1の端部と、第2の端部上の機械的に伸張可能なバンパーとを含む胃瘻チューブ装置のための管状本体の一例を示す断面図であり、バンパーがそれぞれ潰れた状態および拡張した状態を示している。
【
図8】
図8Aは、弛緩または拡張した構成の伸張可能なバンパーを含む管状部材の代替例を示している。
図8Bおよび
図8Cは、取り外しを容易にするためにバンパーを伸張して外側断面を縮小させるために管状部材のルーメン内に器具を進めた状態の
図8Aの管状部材を示している。
【
図9】
図9Aは、患者の腹部内に埋め込むことができる薄型胃瘻チューブ装置の別の例の斜視図である。
図9Bおよび
図9Cはそれぞれ、
図9Aの装置の側面図および断面図である。
【0035】
図面は、決して限定することを意図したものではなく、本発明の様々な例は、必ずしも図面に描かれていないものも含めて、他の様々な方法で実施され得ることが考えられる。本明細書に組み込まれ、その一部を構成する添付の図面は、本発明のいくつかの態様を示しており、詳細な説明とともに本発明の原理を説明するのに役立つが、本発明は、図示の正確な配置構成に限定されないことを理解されたい。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本発明の特定の例に関する以下の説明は、本発明の範囲を限定するために使用されるべきではない。本発明の他の例、特徴、態様、実施形態および利点は、本発明を実施するために考えられる最良の態様の1つである例示としての以下の説明から当業者には明らかになるであろう。理解されるように、本発明はいずれも、本発明から逸脱することなく、他の様々な自明の態様も可能である。このため、図面および説明は、本質的に例示であって限定的なものではないとみなされるべきである。
【0037】
実施例を説明する前に、本発明は、記載の特定の実施例に限定されるものではなく、当然のことながら、変更し得ることを理解されたい。また、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるものであるため、本明細書で使用する用語は、特定の実施例を説明することのみを目的としており、限定することを意図したものではないことを理解されたい。
【0038】
値の範囲が与えられる場合、文脈が明確に別段の指示をしない限り、下限値の単位の10分の1までの、その範囲の上限値と下限値との間の各介在値も具体的に開示されているものと理解されたい。任意の記載値または記載の範囲内の介在値と、任意の他の記載値または記載の範囲内の介在値との間の小さい各範囲は、本発明に包含される。それら小さい範囲の上限値および下限値は、それぞれ独立に範囲に含まれることも除外されることもあり、その両方または一方が小さい範囲に含まれる場合においても、またはどちらも小さい範囲に含まれない場合においても、各範囲は、記載の範囲内の特に除外された限界値を条件として、本発明に包含される。記載の範囲が限界値の一方または両方を含む場合、それらの含まれる限界値の一方または両方を除外した範囲もまた本発明に含まれるものとする。
【0039】
別段の定義がない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野における当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載されたものと同様または同等の任意の方法および材料を、本発明の実施または試験に使用することができるが、いくつかの可能性のある例示的な方法および材料をここで説明する。
【0040】
本明細書および添付の特許請求の範囲において、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈上明らかに別段の指示がない限り、複数の指示対象を含むことに留意されたい。このため、例えば、「化合物」に対する言及は、複数のそのような化合物を含み、「ポリマー」に対する言及は、当業者に公知の1または複数のポリマーおよびその均等物に対する言及を含む。
【0041】
本明細書では、特定の範囲が、数値の前に「約」という用語が付されて示される。「約」という用語は、本明細書において、その用語の後の正確な数値と、その用語の後の数値に近い数値または近似値に対する文字通りの裏付けを提供するために使用される。ある数値が具体的に言及された数値に近いかまたは近似しているか否かを判断する際に、その近いまたは近似している未言及の数値は、それが提示される文脈において、具体的に言及された数値と実質的に同等のものを提供する数値であり得る。
【0042】
図面を参照すると、
図2A~
図2Cは、患者90の腹部内に埋め込まれた胃瘻チューブ装置10の一例を示している。図示のように、装置10は、全体として、細長い管状部材または本体20と、拡張可能部材または他のバンパー28と、ボルスタ30と、アダプタ40とを含む。装置10の構成要素は、例えばキットとして、医療従事者に個別に提供され得るものであり、それらは、例えば長期間にわたって口から栄養を摂取することができない患者のために、本明細書の他の箇所に記載されるように、埋込手順中に組み立てられて、患者90の腹部内、すなわち、皮膚92と胃94との間に埋め込まれる薄型胃瘻チューブを提供することができる。
【0043】
追加的または代替的には、装置10は、例えば、本明細書の他の箇所でさらに説明するように、装置10の埋込および/または除去を容易にするための1または複数の追加的なツールまたは器具を含む、システムに含まれるものであってもよい。例えば、システムは、管状部材20を患者の体90に導入するために、かつ/または埋込中に管状部材20を切断するために、1または複数のガイドワイヤ、ガイドシース、プッシャ部材および/またはカッタ(図示せず)を含むことができる。さらに、システムは、例えばバンパー28がバルーンである場合に、バンパー28を膨張および/または潰すための1または複数の膨張媒体源および/または真空源、および/または、本明細書の他の箇所でさらに説明するように、その後の除去のためにバンパー28を他の方法で潰すための1または複数のツール(これも図示せず)を含むことができる。
【0044】
図3A~
図3Dをさらに参照すると、管状部材20は、例えば胃94と皮膚92との間の腹部組織96を通しての導入を容易にするために、管状部材20の主要長さ以下の、未加工または先細のエッジまたは他の低プロファイル断面を有する第1の端部22と、バンパー28を含み、それらの間に長手方向軸21を規定する第2の端部24とを含む。キットとして提供される管状部材20は、バンパー28を胃94の壁98に当てて第2の端部24が患者の胃94内に配置され、かつ管状部材20が介在組織96を通って皮膚92まで延びたときに、第1および第2の端部22、24間の元の長さとして、第1の端部が患者の皮膚92から延びるのに十分な長さを有することができる。一例では、管状部材20が、第1および第2の端部22、24間に実質的に均一な外径、例えば、約4~8ミリメートル(4.0~8.0mm)を有し、約20~100センチメートル(20~100cm)または約75センチメートル(75cm)以上の端部22、24間の元の長さを有することができ、これにより、第1の端部22が患者の腹部から露出するまで、管状部材20の導入および/または操作を容易にすることができる。余分な材料が切断または他の方法で除去された後、第2の端部24と切断された第1の端部との間の管状部材20の最終的な長さは、約1~5センチメートル(1.0~5.0cm)となり得る。任意選択的には、元の長さ、例えば、約20~100センチメートル(20~100cm)の長さも、装置が使用されている間、かつ/または余分な材料が切断または他の方法で除去される前の期間、例えば、数時間~数ヶ月または約1~2日間保持することができる。例えば、最終的な長さは、本明細書の他の箇所でさらに説明するように、管状部材20が胃94内に導入され、バンパー28が壁98に当てて配置され、かつ余分な材料が除去された後に、第1の端部22が皮膚92から約0.5~5センチメートル(0.5~5cm)延出するような長さとすることができる。管状部材20は、胃94内への導入を容易にするとともに、使用中に潰れるのを防止するのに十分な剛性を有するように、柔軟な生体適合性材料、例えば、ポリウレタン、シリコーンなどのプラスチックから形成することができる。
【0045】
さらに、管状部材20は、
図3Cおよび
図3Dに最もよく見られるように、第1および第2の端部22、24の間に延びる1または複数のルーメン、例えば、一次または供給ルーメン26aと、任意選択的に、1または複数の二次ルーメン、例えば、膨張ルーメン26bとを含む。
図3A~
図3Dに示す例では、バンパー28が、管状部材20の第2の端部24の周りに恒久的に、または他の方法で管状部材の第2の端部に取り付けられた環状のバルーンであり、例えば、供給ルーメン26aが、第2の端部24の開口部27aと管状部材20の第1の端部22との間に、すなわちバルーン28を通って延びるようになっている。例えば、
図2Cに最もよく見られるように、バルーン28は、管状部材20に、例えば開口部25bにすぐ隣接して取り付けられた第1の端部28aと、環状の内部28cを規定するように、例えば接着剤、音波溶着、融着および干渉嵌めなどによる1または複数の接合によって、管状部材20の外壁に、第1の端部28aから距離を置いて取り付けられた第2の端部28bとを含むことができる。
【0046】
この例では、管状部材20が、第1および第2の端部22、24の間に少なくとも部分的に延びる膨張ルーメン26bを含み、例えば、供給ルーメン26aに隣接して第1の端部22から延び、1または複数のポート、例えば、ポート27を介してバルーン28の内部28cと連通する。バルーン28は、PET、ナイロン、ポリウレタン、シリコーンなどの非弾性材料から形成することができ、膨らんだときにバルーン28が予め設定されたサイズおよび/または形状、例えば、比較的平坦なドーナツ形状に膨らみ、それにより胃94の壁98に当てて配置するのを容易にするとともに、組織96を通って除去されるのを防止することができる。代替的には、バルーン28のサイズおよび/または形状が内部28cに導入される流体の体積および/または圧力に依存し得るように、バルーン28を、弾性材料、例えば、シリコーンまたは他のエラストマー材料から形成することもできる。
【0047】
任意選択的には、バルブ29は、膨張ルーメン26b内に、例えば、第2の端部24に隣接して、第1の端部22の一部が除去されたときに残るように第1の端部22から離間して設けられるか、または他の方法で膨張ルーメン26bと連通して、膨張媒体、例えば、二酸化炭素などの気体または生理食塩水などの液体を、例えば、シリンジ、ポンプなど(図示せず)および膨張ルーメン26aから内部28cに、バルブ29を介して供給して、バルーン28を膨らませることができる。バルブ29は、膨張媒体が後で漏れるのを防止し、それによりバルーン28を無期限に(例えば、本明細書の他の箇所に記載されるように、装置10が患者から取り外されるまで)膨らませたままにすることができる。例えば、バルブ29は、フラップバルブまたはダックビルバルブなどの一方向バルブであってもよく、膨張媒体が膨張ルーメン26b内に導入されたとき、すなわち、第1の端部22からの正圧下で開き、膨張媒体からの圧力が途切れたときに自動的に閉じ、それにより、膨張媒体を内部28c内に封じ込めて、その後の漏れを防止することができる。
【0048】
任意選択的には、バルブ29は、例えば針または他のツールを第1の端部22から膨張ルーメン26b内に導入することによって機械的に開くことができ、それにより内部28cの膨張媒体を逃がして、例えば除去のためにバルーン28を収縮させることができる。代替的には、バルブ29は、真空が膨張ルーメン26bに加えられたとき、すなわち、予め設定された閾値を超える第1の端部22からの負圧下で、機能しなくなるかまたは他の方法で開くように構成されるようにしてもよい。例えば、シリンジまたは真空ライン(図示せず)を膨張ルーメン26bに接続することにより、バルブ29を開いてバルーン28から膨張媒体を排出するのに十分な真空を適用することができる。更なる代替例では、バルーン28が、予め設定された閾値を超える追加の正圧が内部28cに加えられたときに破損するか、他の方法で開くように構成された1または複数の領域を含むことができる。例えば、装置10の取り外しを容易にするために、バルーン28が最初に膨張した後に、すなわち、例えばシリンジまたは他の追加的な膨張媒体の供給源からの十分な追加の正圧が加えられたときに、破損し得る弱化領域(図示せず)をバルーン28の壁に設けることができる。
【0049】
代替的には、
図7Aおよび
図7Bに示すように、例えば、本明細書の他の例とほぼ同様に、第1および第2の端部122、124および供給ルーメン126を含むが、バンパー128のための双安定または他の機械的に拡張可能な装置を含む管状部材120を提供することもできる。バンパー128は、潰れた構成、例えば、第2の端部124よりも大きくないプロファイルを有する構成と、拡張した構成、例えば、1または複数の要素が第2の端部24から半径方向外向きに延びる構成との間に方向付けることができる。例えば、バンパー128は、第2の端部124に装着されるかまたは他の方法で取り付けられる複数の機械的に拡張可能な要素128aを含み、それら要素を、例えば
図7Aに示すように、要素128aが長手方向軸121に対して実質的に軸方向に延びる、潰れた構成と、例えば
図7Bに示すように、要素の少なくとも一部が横方向に、例えば軸121に対してほぼ垂直に延びる、拡張された構成との間で方向付けることができる。
【0050】
図示の例では、要素128aの各々が、拡張された構成を規定するために、軸121に対して外側に曲げるまたは折り畳むことができる中間領域128bを含むことができる。代替的には、拡張された構成に向かって第2の端部124から外側に単に折れ曲がるか、屈曲するか、または他の方法で向きを変える、1または複数のフランジ、ウィングまたは他の特徴を提供することができる。要素128aは、拡張された構成に向けて付勢されるようにしてもよく、導入中は、例えば外部スリーブ、1または複数のフィラメントおよび/または他の拘束手段(図示せず)のうちの1または複数によって、要素128aが潰れた構成で拘束されるものであってもよい。この例では、要素128aが、例えば胃内で、1または複数の拘束手段から解放されると、自動的に拡張することができ、それにより、要素128aが胃の壁に対して引っ張られて第2の端部124を安定させることができる。代替的には、要素128aを拡張された構成に外向きに塑性変形させることができるアクチュエータまたは別個のツール(図示せず)によって、要素128aを拡張させることも可能である。
【0051】
更なる代替例では、バンパーが、例えば管状部材よりも大きいが対象者の上部消化管を通って胃内に導かれるのに十分小さい外径または断面を規定する、固定形状を有することもできる。例えば、
図8Aに示すように、本明細書の他の例とほぼ同様に、第1および第2の端部222、224とそれらの間に延びる供給ルーメン226とを含む管状部材220が提供されるが、伸張性のバンパー228が第2の端部224に設けられるようにしてもよい。バンパー228は、柔軟な材料、例えば、シリコーンまたは他のエラストマー材料から形成されて、バンパー228が、
図8Aに示すような拡張または弛緩した形状にバイアスされるようにしてもよい。この材料は、バンパー228を胃の壁に当ててて配置することを可能にし、それにより、例えば患者の胃94の壁98に当接する肩部を提供して、埋込後に、管状部材220を安定させるとともに、腹部組織96を通して除去されるのを防止することが可能である。
【0052】
しかしながら、必要に応じて、バンパー228を伸張させてその外側断面を減少させることができる。例えば、
図8Bおよび
図8Cに示すように、ルーメン226内に導入することができるサイズの丸みを帯びたまたは他の非外傷性の遠位端282を含むツール280を提供することができる。管状部材220の除去中(例えば、第1の端部222上のボルスタおよびアダプタ(図示せず)を除去した後)、ツール280の遠位端282を、バンパー228に接触するまでルーメン226内に挿入することができ、その後、さらに前進させてバンパー228を軸221に沿って伸張させることができる。材料の弾性を考慮すると、バンパー228が伸張するにつれて、その外形は、例えば管状部材220の第2の端部224の直径に向かって減少し、それにより腹部組織を介して容易に除去することが可能になる。図示の例では、バンパー228が、ルーメン226を介して胃内に栄養素を供給するための1または複数の内部通路、例えば出口228aと、例えばバンパー228が実質的に均一に伸張することを確実にするために、ツール280の遠位端282を受け入れるための凹部228bとを含む。
【0053】
任意選択的には、ツール280は、バンパー228が裂けるか破損する原因となり得る過剰な力を加えることなく、バンパー228を伸張させることを容易にするための1または複数の特徴部を含むことができる。例えば、ツール280は、その近位端に、ライト、スピーカなどのインジケータ(図示せず)を含むことができ、そのインジケータを、遠位端282に加えられる遠位方向を向く力を測定するセンサに結合することができる。バンパーに加えられる力が最大力に近づくか、または最大力を超える場合に、インジケータは、バンパー228の破損を防ぐために、追加的な力を加えないようにユーザに通知するための出力をユーザに提供することができる。追加的または代替的には、バネまたは他のリミッタが近位端に設けられ、最大力を超えると、バネまたはリミッタが変形するか、または解放されて、過剰な力が遠位端282に伝達されるのを防止するようにしてもよい。
【0054】
図4Aおよび
図4Bを参照すると、ボルスタ30は、例えば、第1の端部22が患者の胃94内から介在組織96を通って導かれ、例えば、
図6Aおよび
図6Bに示すように、患者の皮膚92から延出した後に、管状部材20の周りにまたは他の方法で管状部材に接続可能なリングまたは他の環状ハウジングを含む。全体として、図示のように、ボルスタ30は、皮膚92に当てて配置するための第1の端部または下端部32と、第2の端部または上端部34と、それらの間の通路であって、管状部材20の第1の端部22を受け入れるサイズの通路36とを含む。一例では、ボルスタ30は、ボルスタ30を管状部材20上に圧着すること、接着剤で接着すること、ボルスタ30を第1の端部22の上で前進させることはできるが取り外すことはできないようにする1または複数のラチェット要素または戻り止め要素などのうちの1または複数によって、管状部材20に取り付けることができる。追加的または代替的には、例えば、
図8A~
図8Cに関して本明細書の他の箇所で説明するように、ボルスタ30を管状部材20に固定するために半径方向内向きの力を加えることができるジップタイまたは他のクランプ(図示せず)をボルスタ30の一部の周りに適用することもできる。
【0055】
図5Aおよび
図5Bを参照すると、アダプタ40は、本明細書の他の箇所で更に説明するように、例えばボルスタ30を越える管状部材20の余分な材料が分離された後に、ボルスタ30および/または管状部材20に接続可能である。図示の例では、アダプタ40は、第1の端部または下端部42と、第2の端部または上端部44と、管状部材20に結合するための1または複数の特徴部とを含む。ボルスタ30およびアダプタ40は、アダプタ40をボルスタ30に恒久的にまたは取り外し可能に固定するための協働コネクタを含むことができる。例えば、
図2C、
図4Bおよび
図6Bに示すように、ボルスタ30は1または複数の雄ネジ38を含み、アダプタ40は雌ネジ48を含む凹部46を含み、それにより、図示のように、アダプタ40をボルスタ30の周りにおよび/または上にねじ込むことができる。代替的には、アダプタ40をボルスタ30および/または管状部材20に固定するために、スナップコネクタ、接着剤、ネジ、ピン、協働マグネットなどのうちの1または複数など、後述する装置310に設けられたコネクタのような他の機構を使用することもできる。
【0056】
任意選択的には、
図5Aに示すように、アダプタ40は、例えば第1の端部22から余分な材料を切断または他の方法で除去した後に、管状部材20と係合する1または複数の特徴部を含むことができる。例えば、図示のように、アダプタ40は、管状部材20の切断された端部で供給ルーメン26a内に挿入されるサイズの、下面42から延びる第1の管状ハブ50aを含むことができる。任意選択的には、ハブ50aは、ハブ50aを第1の端部22に挿入することを可能にしながらも取り外しを防止することができる1または複数のコネクタ、例えば環状ラチェット要素51aなどを含むことができる。任意選択的には、
図5Aにも示すように、膨張ルーメン26b内に同様に挿入可能な第2のハブ50b、例えば同じく1または複数のラチェット要素51bまたは他のコネクタを提供することもできる。
【0057】
アダプタ40は、供給チューブ(図示せず)に取り外し可能に接続するためのコネクタを含むことができる。例えば、アダプタ40は、供給チューブの端部を摺動可能および/または回転可能に受け入れるためのポートまたは取付具を含むことができ、さらに、例えば供給ルーメン26aからの漏れを防ぐために閉位置に付勢されているが、供給チューブがポートに結合されると開くことができるバルブ(図示せず)を含むことができる。代替的には、供給チューブおよび供給ルーメン26aを介して患者の胃94内に栄養素が送達されるように、ねじ込み式またはその他の方法で互いに結合して、流体密な接続を提供する協働コネクタを提供することもできる。そのようなコネクタは、解放機構を含むことができ、それにより、例えば、予め設定された力が供給チューブに加えられた場合に、コネクタが自動的に解放されるかまたは機能しなくなって、胃瘻チューブ装置10に力が伝達されるのを防ぐことができる。
【0058】
図9A~
図9Cを参照すると、装置10とほぼ同様の管状部材320、バンパー328、ボルスタ330およびアダプタ340を含む装置310の別の例が示されている。例えば、本明細書の他の例と同様に、管状部材320は、第1の端部322と、バンパー328を含む第2の端部324と、それらの間に延びる1または複数のルーメンとを含むことができる。例えば、管状部材320は、第1の端部322からバンパー328を越えて第2の端部324の出口327aまで延びる一次ルーメンまたは供給ルーメン326aを含むことができる。図示のように、バンパー328は、第2の端部324に取り付けられたバルーンであり、管状部材320は、第1の端部322から、バルーン328の内部328cと連通するポート327bまで延びる二次ルーメンまたは膨張ルーメン326bも含む。
【0059】
ボルスタ330は、患者の皮膚に当てて配置されるように形成されたベースプレート332を含み、例えば、皮膚に接触するように構成された1または複数のスペーサまたは他の特徴部を含む下面332aと、実質的に平坦またはより薄い上面332bとを含む。ニップルまたはポート334は、ベースプレート332から延び、管状部材320の第1の端部322を受け入れるサイズの内部通路336をその中に含む。ニップル334は、連続的な環状壁を含むことができ、この環状壁は、ニップル334が第1の端部322の周りで内向きに圧迫され得るように十分に柔軟である。代替的には、ニップル334は、ベースプレート332から延び、通路336を取り囲むように互いに周方向に間隔をあけて配置された複数のタブ(図示せず)を含むことができる。この代替例では、タブは、ボルスタ330を管状部材320の周囲に固定するために内向きに曲げられるか、他の方法で圧迫されるのに十分な柔軟性を有することができる。
【0060】
例えば、図示のように、ニップル334の周囲に受け入れられるサイズを有し、後でニップル334を内向きに圧迫してボルスタ330を管状部材320の第1の端部322に固定するために使用されるクランプまたは他の固定装置350を設けることができる。例えば、クランプ350は、2つの端部を含む「C」字形または可撓性の細長い部材を含むことができ、それら端部は、ニップル334の周りにクランプ350を配置した後にそれら端部を互いに係合させて、締め付けることによりニップル334を内向きに圧迫することを可能にするラチェットまたは他の機構(図示せず)を含む。例えば、第1の端部にレセプタクルを含むジップタイ装置を提供することができ、レセプタクルは、ニップル334の周りにジップタイを巻き付けた後に、第2の反対側の端部を受け入れることができる。それら端部は、ニップル334を第1の端部320の周りにクランプするために、端部を締め付けて解放を防ぐことを可能にする協働するラチェット、戻り止めまたは他の特徴部を含むことができる。任意選択的には、第2の端部は、余分な材料が引っ張りまたは切断により分離され得る1または複数の弱化領域を含むことができ、それによりニップル334の周りに薄型のクランプ350を提供することが可能になる。
【0061】
アダプタ340は、ハウジング342を含み、このハウジングは、ボルスタ330に固定されて、供給チューブおよび/または膨張媒体の供給源を装置310に結合するためのコネクタを提供することができる。例えば、図示のように、ハウジング342は、第1および第2の端部342a、342bを含む細長い形状を有し、それら端部の間にハウジング軸341を規定している。各端部342a、342bは、供給チューブおよび膨張媒体の供給源(図示せず)に結合するためのコネクタ344a、344bをそれぞれ含む。各コネクタ344a、344bは、管状部材320のそれぞれのルーメン326a、326bと連通するように構成された、ハウジング342内のそれぞれの通路346a、346bと連通する。
【0062】
任意選択的には、
図9Cに示すように、管状延長部347aは、通路346aと連通し、かつ供給ルーメン326a内に挿入されるサイズであり、ハウジング342から、例えば、軸341に対してほぼ垂直に延びることができる。例えば、ルーメン326aを支持するために、例えばクランプ350およびニップル334が管状部材320の第1の端部322の周りで圧迫されるときに供給ルーメン326aが潰れるのを防止するために、供給ルーメン326a内に挿入されるハイポチューブまたは他の剛性管状材料の一部を、ハウジング342に取り付けるか、またはハウジングから延出させることができる。追加的または代替的には、必要に応じて、通路346bと連通し、管状部材320の膨張ルーメン326b内に挿入されるサイズの管状延長部(図示せず)を設けることもできる。
【0063】
任意選択的には、通路346a、346bの一方または両方が、バルブ329a、329bを含むことができる。例えば、装置310の埋込後に供給ルーメン326aを介して患者の胃から流体が流出するのを防止するために付勢閉鎖される一方向バルブ329aを、供給チューブコネクタ342aからの通路346aに設けることができる。供給チューブ(図示せず)をコネクタ344aに接続して患者の胃内に栄養素を導入する場合に、バルブ329aは、例えば栄養素の送達中に、正圧下で開き、送達が途切れると自動的に閉じることができる。代替的には、供給チューブからのコネクタがアダプタ340に接続されると開き、供給チューブが取り外されると自動的に閉じるバルブをコネクタ342aに設けるようにしてもよい。同様に、例えば、本明細書の他の装置で説明したように、管状部材320内にバルブを設けるのではなく、膨張ルーメン326bにバルブ329bを設けるようにしてもよい。
【0064】
さらに、ハウジング342は、アダプタ340をボルスタ330に固定するための1または複数のコネクタ348、例えば、ハウジング軸341に対してほぼ垂直にハウジング342から延びる一対のアーム348を含む。アーム348は、ボルスタ330のニップル334上の対応する特徴部338と係合するように構成された1または複数の戻り止めまたは他の特徴部348aを含むことができる。例えば、戻り止め348aは、ニップル334上の環状隆起338の上および/またはクランプ350のエッジ上にスナップ係合して、アダプタ350をボルスタ340に固定することができる。アーム348がニップル334および/またはクランプ350に係合した状態で、アダプタ350は、ハウジング軸341が管状部材320の長手方向軸321に対して実質的に垂直になるように固定され得る。このため、アダプタ350は、薄型となるような向きで患者の皮膚の比較的近くに固定され、それにより、患者の快適さおよび/または利便性を高め、かつ/またはアダプタ350がボルスタ330から偶発的に分離される危険性を最小限に抑えることができる。
【0065】
図6A~
図6Cを参照すると、本明細書の装置は、患者の腹部に埋め込むことにより、患者の胃内に直接栄養を供給するために使用され得る薄型の胃瘻チューブを提供することができる。例えば、
図2A~
図2Cに示す装置10は、患者90の腹内部に埋め込むことができ、すなわち、患者の皮膚92から腹部組織96を通って胃94内に延び、ボルスタ30およびアダプタ40が患者の皮膚92に沿った薄い外形を提供する一方、バンパー28が胃94内に配置される。
【0066】
例示的な埋込方法では、例えば従来の手順を使用して、ガイドワイヤ(図示せず)の第1の端部を、患者90の腹部を通して、患者の胃94の上にある皮膚92から、介在する組織96に通して胃94内に導くことができる。例えば、針(これも図示せず)を皮膚92および介在組織96を直接通して胃94内に導き、この針のルーメンを通してガイドワイヤを導入することができる。次に、ガイドワイヤの第1の端部を患者の胃94から患者の上部消化管に沿って導き、患者の口(図示せず)から出すことができる。
【0067】
図3Aおよび
図3Bに示すように、バンパー28を拡張するか、または他の方法で管状部材20の外径よりも大きい拡大構成で提供することができ、次いで、管状部材20が患者の胃94内に配置されるまで、ガイドワイヤを使用して、管状部材20の第1の端部22を患者の口および上部消化管内に導入することができる。例えば、管状部材20の第1の端部22を患者の口の外でガイドワイヤの第1の端部に接続し、ガイドワイヤを、例えば、患者の腹部の外の第2の反対側から引っ張って、管状部材20を胃94内に導くことができる。代替的には、例えば管状プッシャ、ガイドまたは他の器具(図示せず)を使用して、ガイドワイヤ上で管状部材20を前進させることもできる。
【0068】
図6Aをさらに参照すると、その後、第1の端部22が患者の腹部の外側に露出するまで、例えば、バンパー28が胃94の前壁98に当たるように配置された状態となるまで、管状部材20の第1の端部22を、介在組織96を通して導くことができる。任意選択的には、組織96を広げるために、かつ/または腹部の外側に配置されるまで組織96を通して第1の端部22を挿入するのに対応するために、1または複数の拡張器および/または他の管状装置を、組織96を通して、例えばガイドワイヤ上で挿入することができる。代替的には、バンパー28がバルーンであるか、または他の方法で拡張可能である場合、バンパーを潰した状態で、管状部材20を、介在組織96を通して導入および配置することができる。第1の端部22が露出した状態で、膨張媒体の供給源(図示せず)を膨張ルーメン26bに接続し、膨張媒体をバルーン28の内部28cに導入して、バンパー28が胃94の壁98に当たるように配置される前にバルーン28を膨らませることができる。
【0069】
次に、ボルスタ30を患者の皮膚92に当てて管状部材20に固定することができ、例えば、介在組織96がバンパー28とボルスタ30との間に挟まれるように第1の端部22上で前進させることができる。ボルスタ30を越えて露出する管状部材20の余分な長さは、例えば
図6Bに示すように、管状部材20がボルスタ30と面一になるように、切断または他の方法で分離し、次いで、例えば
図6Cに示すように、アダプタ40をボルスタ30に固定することができる。同様に、
図9A~
図9Cに示すボルスタ330を管状部材320の露出する第1の端部322上で進め、余分な材料を除去し、次いでアダプタ340をボルスタ330に固定することができる。任意選択的には、最初にボルスタ330を管状部材320の第1の端部322上に配置した後に、クランプ350をニップル334の周りに配置して、部分的に締め付けることができる。このように、クランプ350は、余分な材料が除去される間に、管状部材320を最初に安定させるために使用することができる。アダプタ340をボルスタに結合させた後、クランプ350をさらに締め付けてニップル334を管状部材320の周りで圧迫することができる。アダプタ340に管状延長部347aが設けられている場合には、クランプ350をさらに締め付ける前に、延長部347aを供給ルーメン326a内に挿入することができ、それにより供給ルーメン326aが潰れるのを防止することができる。
【0070】
必要に応じて、患者に栄養を供給するために、アダプタ40、342に供給チューブを接続することができる。患者が胃瘻チューブを必要としなくなったら、例えば、バンパー28、328を潰して管状部材20、320を患者の腹部から取り外すことにより、装置10、310を取り外すことができる。例えば、
図6A~
図6Cに示すように、バンパー28がバルーンである場合には、患者の上部消化管に介して器具(図示せず)を胃94内に導入して、バルーン28を穿刺または他の方法で破壊するために使用することができる。その後、管状部材20を(管状部材20の第1の端部22にまだ固定されている)ボルスタ30および/またはアダプタ40から引き抜いて、第2の端部24を胃94から介在組織96を通して導くようにしてもよく、あるいは必要に応じて、管状部材20を引き抜く前に、ボルスタ30および/またはアダプタ40の一方または両方を管状部材20から取り外すようにしてもよい。代替的には、バルーン28が弱化領域を含む場合、弱化領域が破損するまでバルーン28の内部28cに追加の膨張媒体を導入し、それによって膨張媒体を逃がしてバルーン28を潰すこともできる。
【0071】
別の代替例では、バンパー28が、管状部材20の膨張ルーメン26bと連通するバルーンである場合、器具をバルブ29を通して膨張ルーメン26b内に導き、器具を使用してバルーンから膨張媒体を除去するか、またはバルブ29を開いて膨張媒体を逃がしてバルーンを潰すことができる。代替的には、例えば、予め設定された閾値を超えるシリンジまたは真空ライン(図示せず)からの吸引を適用することによって、真空を膨張ルーメン26b内に送達して、バルブ29を機能しないようにして、膨張媒体を逃がしてバルーン28を潰すこともできる。その後、残りの組織経路を従来の方法で閉鎖することができる。
【0072】
本発明は、様々な変更および代替的な形態が可能であるが、その具体的な例が図面に示され、本明細書で詳細に説明されている。しかしながら、本発明は、開示の具体的な形態または方法に限定されるものではなく、本発明は、添付の特許請求の範囲に含まれるすべての変更物、均等物および代替物を網羅するものであることを理解されたい。
【国際調査報告】