(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-28
(54)【発明の名称】消毒剤ディスペンサ
(51)【国際特許分類】
B65D 81/32 20060101AFI20240621BHJP
B65D 83/00 20060101ALN20240621BHJP
【FI】
B65D81/32 U
B65D83/00 K
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023577915
(86)(22)【出願日】2022-06-07
(85)【翻訳文提出日】2024-01-10
(86)【国際出願番号】 EP2022065389
(87)【国際公開番号】W WO2022268491
(87)【国際公開日】2022-12-29
(32)【優先日】2021-06-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390009287
【氏名又は名称】フイルメニツヒ ソシエテ アノニム
【氏名又は名称原語表記】Firmenich SA
【住所又は居所原語表記】7,Rue de la Bergere,1242 Satigny,Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ヴェラ チャカロヴァ
(72)【発明者】
【氏名】オード ドジェロ ジュオ
(72)【発明者】
【氏名】ロラ メマン
(72)【発明者】
【氏名】マルゴー スタッフォード
(72)【発明者】
【氏名】アディ ファデル
【テーマコード(参考)】
3E013
3E014
【Fターム(参考)】
3E013AA05
3E013AA06
3E013AB05
3E013AC01
3E013AD23
3E013AE02
3E013AF04
3E013AF32
3E013BB02
3E013BD20
3E014PA01
3E014PB03
3E014PB05
3E014PC02
3E014PC03
3E014PC08
3E014PD11
3E014PE14
3E014PF10
(57)【要約】
本発明は、消毒剤ディスペンサ(1,1’)およびこのような消毒剤ディスペンサ(1,1’)を用いて消毒する方法に関する。消毒剤ディスペンサ(1,1’)は、第1の区画(11)および第2の区画(12)を備えた容器本体(10)であって、第1の区画(11)と第2の区画とが互いに分離されており、第1の区画(11)が、消毒物質(20)を含み、第2の区画(12)が、水和物質(30)を含む、容器本体と、この容器本体(10)に取り付けられたディスペンサ出口(50,50’)であって、消毒物質(20)を第1の区画(11)から分注し、および水和物質(30)を第2の区画(12)から分注するように構成されたディスペンサ出口(50,50’)とを備えている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
消毒剤ディスペンサ(1,1’)であって、
第1の区画(11)および第2の区画(12)を備えた容器本体(10)であって、前記第1の区画(11)と前記第2の区画(12)とが互いに分離されており、前記第1の区画(11)が、消毒物質(20)を含み、かつ前記第2の区画(12)が、水和物質(30)を含む、容器本体(10)と、
前記容器本体(10)に取り付けられたディスペンサ出口(50,50’)であって、前記消毒物質(20)を前記第1の区画(11)から分注し、前記水和物質(30)を前記第2の区画(12)から分注するように構成されたディスペンサ出口(50,50’)と
を備えた、消毒剤ディスペンサ(1,1’)。
【請求項2】
前記ディスペンサ出口(50,50’)は、該ディスペンサ出口(50,50’)の動作時に、前記消毒物質(20)が前記第1の区画(11)から分注され、前記水和物質(30)が、前記第2の区画(12)から分注されるように、好適には前記消毒物質(20)の分注が、前記水和物質(30)の分注に対して少なくとも部分的に先行して、かつ/または同時に生じるように構成されている、請求項1記載の消毒剤ディスペンサ(1,1’)。
【請求項3】
前記ディスペンサ出口(50)が、第1のセクション(51)および第2のセクション(52)を備え、前記第1のセクション(51)と前記第2のセクション(52)とが、互いに独立して動作可能であり、
前記第1のセクション(51)が、前記消毒物質(20)を分注するために動作可能であり、
前記第2のセクション(52)が、前記水和物質(30)を分注するために動作可能であり、
前記第1のセクション(51)が、好適には前記第2のセクション(52)に隣接して配置されている、請求項1または2記載の消毒剤ディスペンサ(1)。
【請求項4】
前記ディスペンサ出口(50’)が、好適には単一の分注開口(51a’)を介して、前記消毒物質(20)および前記水和物質(30)の両方を分注するように動作可能なセクション(51’)を備えている、請求項1から3までのいずれか1項記載の消毒剤ディスペンサ(1’)。
【請求項5】
前記ディスペンサ出口(50,50’)が、押圧のような接触により、かつ/または非接触操作により動作可能である、請求項1から4までのいずれか1項記載の消毒剤ディスペンサ(1,1’)。
【請求項6】
前記区画(11,12)が、互いに隣接して配置されている、かつ/または前記容器本体(10)が、1つまたは複数の壁を含み、該壁が、前記容器本体(10)を前記区画(11,12)に分割する、請求項1から5までのいずれか1項記載の消毒剤ディスペンサ(1,1’)。
【請求項7】
前記容器本体(10)が、底部(14)および上部(15)を備え、前記区画(11,12)が、前記底部(14)から前記上部(15)にまで延びており、前記ディスペンサ出口(50,50’)が、前記上部(15)に取り付けられている、請求項1から6までのいずれか1項記載の消毒剤ディスペンサ(1,1’)。
【請求項8】
前記容器本体(10)の少なくとも一部、好適には少なくとも前記第2の区画(12)が、透明である、請求項1から7までのいずれか1項記載の消毒剤ディスペンサ(1,1’)。
【請求項9】
前記消毒物質(20)が、ヒドロアルコール組成物のようなアルコール組成物であり、かつ/または
前記消毒物質(20)が、少なくとも20重量%のアルコール、好適には少なくとも35重量%のアルコール、または少なくとも50重量%のアルコール、または少なくとも60重量%のアルコールを含み、かつ/または前記消毒物質(20)が、最大90重量%のアルコール、好適には最大80重量%のアルコール、または最大70重量%のアルコール、または最大65重量%のアルコールを含み、該アルコールが、好適にはエタノールであり、かつ/または
前記消毒物質(20)が、少なくとも10重量%の水、好適には少なくとも20重量%の水、または少なくとも30重量%の水、または少なくとも35重量%の水を含み、かつ/または前記消毒物質(20)が、最大で80重量%の水、好適には最大で65重量%の水、または最大で50重量%の水、または最大で35重量%の水を含み、該水が、好適には脱イオン水であり、かつ/または
前記消毒物質(20)が、溶液またはゲルの形態である、請求項1から8までのいずれか1項記載の消毒剤ディスペンサ(1,1’)。
【請求項10】
前記水和物質(30)が、少なくとも部分的に、ヒドロゲルビーズのようなビーズ(31)の形態で提供されており、好適には各ビーズ(31)は、肉眼で見ることができ、かつ/または1mm~10mmの範囲のサイズを有している、請求項1から9までのいずれか1項記載の消毒剤ディスペンサ(1,1’)。
【請求項11】
各ビーズ(31)が、連続相に拡散された内相を有し、前記内相が、疎水性活性成分、好適には香油および/またはフレーバー油を有し、前記連続相が、生体高分子および水を有し、ヒドロゲルマトリックスを形成し、各ビーズが、少なくとも1つの液晶構造化相を有している、請求項10記載の消毒剤ディスペンサ(1,1’)。
【請求項12】
前記水和物質(30)が、少なくとも部分的にクリームおよび/またはボディローションの形態で提供されている、請求項1から11までのいずれか1項記載の消毒剤ディスペンサ(1,1’)。
【請求項13】
前記水和物質(30)が、好適には香油および/またはフレーバー油により付香されている、請求項1から12までのいずれか1項記載の消毒剤ディスペンサ(1,1’)。
【請求項14】
消毒するための方法であって、
a)請求項1から13までのいずれか1項記載の消毒剤ディスペンサ(1,1’)を提供するステップと、
b)前記第1の区画(11)から前記消毒物質(20)を分注するステップと、
c)前記第2の区画(12)から前記水和物質(30)を分注するステップと
を含む、方法。
【請求項15】
ステップb)が、少なくとも部分的にステップc)に対して先行して、かつ/または同時に行われる、請求項14記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年6月21日に出願された米国仮出願第63/212,901号および2021年6月30日に出願された欧州出願第21182637.5号の優先権の利益を主張する。これらの出願の全内容は、この参照により本明細書に明示的に組み込まれる。
【0002】
技術分野
本発明は、消毒剤ディスペンサと、このような消毒剤ディスペンサを用いて消毒する方法に関する。
【0003】
背景技術
ウイルス、細菌、微生物のような病原体を死滅または不活化するために消毒が必要とされる。特に、コロナウイルス感染症2019(COVID-19)のパンデミックのような流行状況またはパンデミック状況は、消毒物質を頻繁に皮膚に適用することを要求する。このような消毒物質は、抗ウイルス薬であってよく、溶液の形態で提供されてよい。しかし、このような物質は皮膚にとって有害であり、強い皮膚の乾燥および続発性の皮膚疾患を引き起こす。さらに、消毒は不快な臭いを有している。
【0004】
したがって、本発明の課題は、上述した欠点を克服することである。すなわち、特に本発明の課題は、乾燥および不快な臭いを阻止する、消毒のための溶液を提供することにある。
【0005】
これらの課題、および以下の記載を読むことにより明らかになる別の課題は、独立請求項の主題により解決される。従属請求項は、本発明の好適な実施形態に関する。
【0006】
発明の概要
本発明によれば、消毒剤ディスペンサが提供される。この消毒剤ディスペンサは、第1の区画および第2の区画を備えた容器本体であって、第1の区画と第2の区画とが互いに分離されており、第1の区画が、消毒物質を含み、かつ第2の区画が、水和物質を含む、容器本体と、容器本体に取り付けられたディスペンサ出口であって、消毒物質を第1の区画から分注し、水和物質を第2の区画から分注するように構成されたディスペンサ出口とを備えている。
【0007】
したがって、消毒剤ディスペンサは、単一の装置内に、消毒物質を分注する構成(すなわち、衛生機能)と、水和物質を分注する構成(すなわち、皮膚の水和機能)との両方を含んでいる。同時に後者の機能は、心地よい香りを引き起こすことができる。ディスペンサは、表面(例えば、皮膚)への物質の適用のために使用することができる。ディスペンサは、連続的または少なくとも部分的に同じときに、すなわち同時に各物質を皮膚のような表面上に分注するために、ユーザにより使用され得る。したがって、ディスペンサは、容易な消毒を促進すると同時に、皮膚の脱水と、不快な臭いになることを阻止する溶液を含んでいる。これらの区画が容器本体によって提供されるので、提供される溶液は、コンパクトさおよび取扱いに関してさらに有利である。例えば、容器本体は、容器本体を互いに異なる区画に分割する1つまたは複数の壁を含んでいてよく、すなわち、1つまたは複数の壁は、区画を画定するように配置されていてよい。さらに、消毒剤ディスペンサは、最終製品、すなわち消毒物質と水和物質との組合せの美観を改善する。
【0008】
ディスペンサ出口は、ディスペンサ出口の操作時に、消毒物質が第1の区画から分注され、水和物質が第2の区画から分注されるように構成されていてよい。これにより、ディスペンサは、ユーザの単一の操作によって両方の物質を(例えば自動的に)分注することができる。したがって、ディスペンサを極めて便利に使用することができる。例えば、ディスペンサ出口の構成は、ディスペンサ出口の操作時に、消毒物質の分注が、水和物質の分注に対して少なくとも部分的に先行して、かつ/または少なくとも部分的に同時に生じるようになっている。したがって、ディスペンサ出口は、物質を規定された順序で分注し、これにより、特にユーザが特定の形式でディスペンサの操作を必要とすることなしに、皮膚の十分な消毒および水和が提供される。物質の同時的な分注は、物質が、例えば、物質がディスペンサ出口を通って流れ、かつ/またはディスペンサ出口から排出されるときに互いに混合されるように行われてよい。例えば、ディスペンサ出口は、物質を消毒剤ディスペンサから排出するための分注出口を備えていてよく、物質は、分注出口の上流側で、分注出口内で、かつ/または分注出口の下流側で混合する(または組み合わさるまたは合流する)ことができる。したがって、物質(例えば、流体状または液体状)は、皮膚への投与の直前に分注出口内で組み合わさるか、または皮膚上で組み合わさるように順次投与されてよい。
【0009】
ディスペンサ出口が、互いに独立して動作可能である第1のセクションおよび第2のセクションを備えていてよく、第1のセクションが、消毒物質を分注するために動作可能であり、第2のセクションは、水和物質を分注するために動作可能である。したがって、ディスペンサ出口は、消毒物質または水和物質を選択的に分注するために容易に使用することができる。例えば、第1のセクションおよび第2のセクションを、連続した分注のために、したがって消毒物質および水和物質の適用のために使用することができる。
【0010】
第1のセクションが、好適には第2のセクションに隣接して配置されている。これにより、ディスペンサ出口、ひいては消毒剤ディスペンサを小型化することができる。
【0011】
ディスペンサ出口が、好適には単一の分注開口を介して、消毒物質および水和物質の両方を分注するように動作可能なセクションを備えていてよい。例えば、ディスペンサは、消毒物質および水和物質の両方を分注するように動作可能である単一のセクションを備えている。したがって、ディスペンサは、ユーザが、減じられた回数のユーザ動作で物質を分注することを容易にする。
【0012】
特に、消毒剤ディスペンサは、消毒物質および水和物質のいわゆる「2-イン-1」用途のために適合されていてよい。
【0013】
ディスペンサ出口は、押圧のような接触により動作可能であってよい。例えば、ディスペンサ出口は、1つまたは複数の操作要素を備えていてよく、この操作要素は、接触感応性であり(例えば運動させるか、変位させるか、または押し込むことができ)、したがって接触により操作することができる。付加的または代替的には、ディスペンサ出口が、非接触操作によって動作可能であってよい。例えば、ディスペンサ出口がセンサを備えていてよく、センサは、このセンサの近傍、例えばセンサの前方において、(手または指のような)対象物の1つまたは複数の(空間的)状況、例えば(手または指のような)対象物の有無を検出するように構成されている。したがって、(対象物の存在のような)検出された状況に基づいて、ディスペンサ出口は、消毒物質および/または水和物質を分注するように操作することができる。例えば、第1の検出状況は、消毒物質を分注するようにディスペンサ出口を操作し、第2の検出状況は、水和物質を分注するようにディスペンサ出口を操作する。
【0014】
区画は、互いに隣接して配置されていてよい。これにより、コンパクトな容器本体が提供される。
【0015】
容器本体が、底部および上部を備えていてよく、区画が、底部から上部にまで延びており、ディスペンサ出口が、上部に取り付けられている。底部は、典型的には、消毒剤ディスペンサが置かれる容器本体の部分である。
【0016】
好適には、容器本体の少なくとも一部が、透明である。好適には、少なくとも第2の区画および/または第1の区画が、少なくとも部分的に透明である。例えば、容器本体に含まれる1つまたは複数の壁または側壁の少なくとも一部が透明であってよい。
【0017】
消毒物質は、流体状および/または液体状であってよい。消毒剤は、ヒドロアルコール組成物のようなアルコール組成物であってよい。好適には、消毒物質は、抗ウイルス薬である。付加的または代替的に、消毒物質は、殺菌性、結核菌殺菌性および/または殺真菌性であってよい。
【0018】
消毒物質は、少なくとも20重量%のアルコール、好適には少なくとも35重量%のアルコール、または少なくとも50重量%のアルコール、または少なくとも60重量%のアルコール、または少なくとも70重量%のアルコールを含んでいてよい。消毒物質は、最大90重量%のアルコール、好適には最大80重量%のアルコール、または最大70重量%のアルコール、または最大65重量%のアルコールを含んでいてよい。消毒物質は、少なくとも20重量%の水、好適には少なくとも30重量%の水、または少なくとも35重量%の水、または少なくとも50重量%の水、または少なくとも65重量%の水、または少なくとも80重量%の水を含んでいてよい。消毒物質は、最大で80重量%の水、好適には最大で65重量%の水、または最大で50重量%の水、または最大で40重量%の水を含んでいてよい。水は、好適には脱イオン水である。消毒物質は、溶液またはゲルの形態であってよい。
【0019】
水和物質は、流体状または液体状であってよい。水和物質は、少なくとも部分的にクリームおよび/またはボディローションの形態で提供されてよく、またはクリームおよび/またはボディローションを含んでよい。水和物質は、クリームおよび/またはボディローションであってよい。水和物質は、少なくとも部分的にヒドロゲルビーズのようなビーズの形態で提供されてよい。区画は、消毒物質が水和物質から分離されているようにするので、消毒物質、特に消毒物質中のアルコールがビーズを収縮させることが効果的に阻止される。これにより、ビーズが硬化して潰れにくくなることが阻止され、したがってディスペンサは、消毒物質と水和物質が組み合わされて良好に使用され得るようにする。
【0020】
好適には、各ビーズは肉眼で見ることができ、かつ/または1mm~10mm、より好適には1mm~7mmのサイズを有している。
【0021】
各ビーズは、連続相に分散された内相を有していてよく、内相は、疎水性活性成分、好適には香油および/またはフレーバー油を有し、連続相が、生体高分子および水を有し、ヒドロゲルマトリックスを形成し、各ビーズが、少なくとも1つの液晶構造化相を有している。ある実施形態では、水和物質は、国際公開第2019/077052号または欧州特許出願公開第3697503号明細書に開示されているヒドロゲルビーズであってよい。
【0022】
水和物質は、好適には香油および/またはフレーバー油によって、付香されていてもよい。したがって、水和物質は、消毒物質による消毒後に、極めて心地よい香りを生じさせる。
【0023】
消毒剤ディスペンサは、付香性消費者製品などの消費者製品であってもよい。「消費者製品」(または「最終製品」)とは、流通、販売および消費者による使用が可能な状態の製造された製品であると理解されるべきである。「付香性消費者製品」とは、この製品が適用される表面(例えば、皮膚、毛髪、テキスタイルまたは家庭内表面)に少なくとも心地よい付香効果を与えることが期待される消費者製品として理解されるべきである。特に、消毒剤ディスペンサは、パッケージである、かつ/またはパッケージング溶液であってよい。
【0024】
本発明の別の態様によれば、消毒のための方法が提供される。この方法は、a)上記の消毒剤ディスペンサを提供するステップと、b)第1の区画から消毒物質を分注するステップと、c)水和物質を第2の区画から分注するステップとを含んでいる。
【0025】
好適には、ステップb)は、少なくとも部分的にステップc)に対して先行して、かつ/または同時に行われる。
【0026】
装置に関する上記の説明および利点は、方法にも同様に適用される。
【0027】
好適な実施形態の説明
以下に本発明を添付の図面に関して例示的に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明の好適な第1の実施形態による消毒剤ディスペンサを概略的に示す斜視図である。
【
図2】本発明の好適な第2の実施形態による消毒剤ディスペンサを概略的に示す斜視図である。
【
図3】本発明の第1の実施例による消毒物質および水和物質の適用後の皮膚水和(図の右半部)と比較した、消毒物質のみの適用後に得られた皮膚水和(SH)(図の左半部)を示す図である。
【
図4】本発明の第2の例による消毒物質および水和物質の適用後に得られた皮膚水和(図の右半部)と比較した、消毒物質のみの適用後の得られた皮膚水和(図の左半部)を示す図である。
【0029】
図1には、消毒剤ディスペンサ1の好適な実施形態が例示的に示されている。ディスペンサ1は、人間の皮膚のような表面を消毒するために適している。好適には、ディスペンサ1は、少なくとも人間の手を消毒するために適している。ディスペンサ1は、テーブル天板および/またはポケット内に配置されるような手のひらサイズを有していてよい。ディスペンサ1は、特定の形態に限定されるものではない。例えば、ディスペンサ1は、ボトルのような容器の形態を有していて、かつ/または円筒形状であってよい。
【0030】
ディスペンサ1は、互いに分離された第1の区画11および第2の区画12を備えた容器本体10を備えている。換言すれば、区画11,12は、互いに独立したそれぞれの成分を格納することができる。容器本体10は、唯1つの第1の区画11および/または唯1つの第2の区画12を有していてよい。したがって、ディスペンサ1は、二重区画のディスペンサであってよく、すなわち、容器本体10は、二重区画の容器本体またはボトルであってよい。別の実施形態では、容器本体10は、複数の第1の区画11および/または複数の第2の区画12も有していてよい。したがって、第1の区画11および第2の区画12に関する説明は、1つまたは複数の別の第1の区画11および1つまたは複数の別の第2の区画12に同様に適用される。1つまたは複数の壁が、容器本体10を少なくとも区画11,12に分割するように配置されていてよい。1つまたは複数の壁は、区画11,12の1つまたは複数の側壁を成していてよい。容器本体10は、区画11,12を取り囲む側壁13を備えていてよい。側壁13は、横断面が円形であってよい。側壁13のための別の形態、例えば横断面が楕円形または多角形の形態も可能である。
【0031】
区画11,12は、特定の配置に限定されない。
図1に示すように、区画11,12は、互いに隣接して、例えば、区画11,12間に(空気)ギャップを有して配置されていてよい。別の実施形態では、第1の区画11の側壁は、例えば、区画11,12間に(空気)ギャップが存在しないように、第2の区画12の側壁を同時に形成していてよい。換言すると、壁は、容器本体10を第1の区画11と第2の区画12とに分割してよい。別の実施形態では、複数の第1の区画が、1つまたは複数の第2の区画の周囲に配置されていてよく、かつ/または複数の第2の区画が、1つまたは複数の第1の区画の周囲に配置されていてよい。
【0032】
図1に示すように、容器本体10は、好適には底部14と上部15とを備えており、区画11,12は、底部14から上部15にまで延びていてよい。各区画11,12は、それぞれの開口を有していてよく、開口は上部15に配置されている。任意選択的な側壁13が存在する場合、側壁13は、底部14から上部15にまで延びていてよい。
【0033】
容器本体10は、特定の材料に限定されない。好適には、容器本体10の少なくとも一部が透明である。例えば、区画11,12を画定する壁または側壁が透明であってよい。付加的または代替的には、側壁13が透明であってよい。容器本体10は、少なくとも部分的にプラスチックのような樹脂および/またはガラスから形成されていてよい。付加的または代替的に、容器本体10の一部、例えば底部14が、金属から形成されてよい。好適には、底部14は、容器本体10の残りの部分の材料よりも高い密度を有する材料を有していてよい。これにより、底部14によりディスペンサ1の特定の安定的な位置決めを行うことができる。
【0034】
各区画11,12は、流体状および/または液体状の形態で提供され得るそれぞれの物質を収容、すなわち貯蔵するために適している。例えば、区画11,12は、収容された物質が各区画から容易に漏れ出すことができないように漏れ止め設計されている。第1の区画11によって貯蔵可能な量は、第2の区画12によって貯蔵可能な量に等しくてよい。したがって、区画11,12は、実質的に同一の容積および/または実質的に同一の寸法、例えば同一の高さおよび/または同一の幅を有していてよい。
【0035】
第1の区画11は、消毒(すなわち、殺菌性の)物質20を含む。物質20は、調合物であってもよい。消毒物質20は、皮膚のような表面上の微生物を不活性化または破壊するように設計された化学的な薬剤である。好適には、消毒物質20は、抗ウイルス薬であり、これは、物質20が、コロナウイルス(特にSARS-CoV-2、またはSARS-CoV-1のような別の重症急性呼吸器症候群コロナウイルス(「SARS-CoV」))のようなウイルスを不活性化するかまたは破壊することができることを意味する。付加的または代替的には、消毒物質20は、殺菌性、結核菌殺菌性および/または殺真菌性であってよい。
【0036】
好適には、消毒物質20は、ヒドロアルコール組成物のようなアルコール組成物である。消毒物質20は、溶液として、かつ/または液体および/またはゲルの形態で提供されてよい。消毒物質20は、エタノールのようなアルコールを、好適には20重量%~80重量%の範囲、より好適には50重量%~70重量%の範囲、最も好適には55重量%~65重量%の範囲で含んでいてよい。付加的または代替的に、消毒物質は、脱イオン水のような水を含んでいてよい。消毒物質20は、水を20重量%~80重量%の範囲、好適には30重量%~50重量%の範囲、より好適には35重量%~45重量%の範囲で含んでいてよい。
【0037】
第2の区画12は、水和物質30を収容している。物質30は、調合物であってもよい。水和物質30は、例えば人間の手のような人間の皮膚を水和するように適合されている。換言すると、水和物質30は、皮膚のような細胞に水を染み込ませることができるか、または体が生成した水を皮膚内に保持することができる。したがって、水和物質30は、皮膚を脱水状態から水和された状態にすることができる。水和物質30は、クリームおよび/またはボディローションを含んでいてよい。好適には、水和物質30は、少なくとも部分的にヒドロゲルビーズのようなビーズ31の形態で提供されている。各ビーズ31は、肉眼で見ることができ、かつ/または1mm~10mmのサイズを有していてよい。ビーズ31は球状であってもよい。各ビーズ31は、連続相に分散された内相を有していてよく、内相は、疎水性活性成分、好適には、香油および/またはフレーバー油を含み、連続相は、生体高分子と水を含み、ヒドロゲルマトリックスを形成し、各ビーズ31は、少なくとも1つの液晶構造化相を含んでいる。ビーズ31は、いわゆる「結晶性付香パール」であってよい。好適には、ビーズ31の少なくとも一部は、国際公開第2019/077052号に開示されているヒドロゲルビーズと同様であってもよく、当該明細書の内容も参照により本願に含まれるものとする。
【0038】
水和物質30は、付香されていてよい。したがって、水和物質30は、心地よい香りを生じさせることができる。付香のために、水和物質30は、香料および/または香油および/またはフレーバー油のような香料および/または付香性の物質を含んでいてよい。「香油」は、約20℃で液体である成分または組成物である。香油は、付香性の成分単体であるか、または付香性組成物の形態の成分の混合物であり得る。「付香性成分」は、匂いを付与または調節する主たる目的のために使用される化合物である。換言すれば、そのような成分は、付香するものとみなされ、組成物の匂いを肯定的または快適な意味で少なくとも付与または調節でき、単に匂いを有しているだけではないと、当業者により認識されなければならない。香油には、付香性成分と、香料前駆体、エマルションまたは分散液などの付香性成分の送達を一緒に改善、増強または調節する物質との組合せだけでなく、持続性、芳香性、悪臭抑制、抗菌効果、微生物安定性、防虫など、匂いを調節または付与することを凌ぐ付加的な利点を付与する組合せも含まれる。
【0039】
油相に存在する付香性成分の性質と種類は、ここでより詳細な説明を保証するものではなく、いずれにせよすべてのものを余すことなく詳細に記載できるものではなく、これらはいずれの場合も網羅的ではなく、当業者はその一般的な知識に基づき、意図した使用または用途と所望の感覚刺激効果とに応じてそれらを選択できる。一般論として、これらの付香性成分は、アルコール、アルデヒド、ケトン、エステル、エーテル、アセテート、ニトリル、テルペノイド、含窒素または含硫黄複素環式化合物およびエッセンシャルオイルなどの多様な化学クラスに属し、前記付香性補助成分は、天然または合成起源であり得る。これらの補助成分の多くは、いずれの場合も、S. Arctander著、Perfume and Flavor Chemicals, 1969, Montclair, New Jersey, USA、もしくはその最新版、または同様のその他の著述などの参考テキストだけでなく、香料の分野における豊富な特許文献にも挙げられている。この成分はまた、さまざまなタイプの付香性化合物を制御して放出することが知られている化合物であり得ることも理解される。
【0040】
付香性成分は、香料産業で現在使用されている溶媒に溶解できる。溶媒は、好適にはアルコールではない。そのような溶媒の例は、フタル酸ジエチル、ミリスチン酸イソプロピル、Abalyn(Eastmanから入手可能なロジン樹脂)、安息香酸ベンジル、クエン酸エチル、リモネンもしくはその他のテルペン、またはイソパラフィンである。好適には、溶媒は、例えばAbalynまたは安息香酸ベンジルのように、非常に疎水性であり、高度に立体障害がある。好適には、香料は30%未満の溶媒を含んでいる。より好適には、香料は、20%未満、さらにより好適には10%未満の溶媒を含んでおり、これらの百分率はすべて、香料の総重量に対する重量で定義される。最も好適には、香料は本質的に溶媒を含まない。
【0041】
消毒剤ディスペンサ1は、さらに、ディスペンサ出口50を備えている。ディスペンサ出口50は、容器本体10に取り付けられており、第1の区画11から消毒物質20を分注し、第2の区画12から水和物質30を分注するように構成されている。したがって、ディスペンサ出口50は、例えば(管路のような)第1の流体ラインを介して第1の区画11に流体接続されており、かつ例えば(管路のような)第2の流体ラインを介して第2の区画12に流体接続されている。ディスペンサ出口50は、運動して物質20,30をその区画11,12からそれぞれ分注するように配置された1つまたは複数のポンプを有してもよい。1つまたは複数のポンプは、(例えば、人間の手または指による)手動操作および/または電気エネルギによって操作されてよい。後者のために、消毒剤ディスペンサ1、例えばディスペンサ出口50は、電気モータ、および/または1つまたは複数のポンプに電気エネルギを供給するためのバッテリのような電気エネルギ貯蔵部を備えていてよい。付加的または代替的には、ディスペンサ出口50は、重力および/または容器本体10を操作(例えば圧搾)することによって、そのそれぞれの区画11,12から物質20,30を分注するように構成されていてよい。
【0042】
図1に示した実施形態では、ディスペンサ出口50は、消毒物質20または水和物質30あるいはその両方を一緒に選択的に分注するように構成されている。したがって、ディスペンサ出口50は、物質20,30を互いに独立して分注することができる。したがって、ディスペンサ1のユーザは、消毒物質20または水和物質30を分注するという選択肢を有している。したがって、ディスペンサ1は、いわゆる「デュアル独立式の」用途であり得る。例えば、ユーザは、まず、自身の皮膚(例えば、手の皮膚)を消毒するために消毒物質30を分注し、次いで、皮膚の脱水を阻止するために水和物質30を分注することができる。
図1に示すように、ディスペンサ出口50は、互いに独立して動作可能な第1のセクション51および第2のセクション52を備えていてよい。第1のセクション51は、消毒物質20を分注するように動作可能である。例えば、第1のセクション51は、それぞれの(または独自の)ポンプを備え、このポンプは、第1の区画11から消毒物質20を運動させる(例えば、引き出す)ように構成されている。特に、第1のセクション51は、手動で(例えば、接触により、例えば、押圧により)操作することができ、これにより、それぞれのポンプを操作し、これにより、消毒物質20を分注する。したがって、第1のセクション51は、それぞれのポンプを操作するために初期位置から操作位置(押し込まれた位置など)へ運動させられてよい。第1のセクション51は、それぞれの分注開口51aを備えていてよく、この分注開口51aによって、消毒物質20がディスペンサ出口50から分注(すなわち排出)される。
【0043】
第2のセクション52は、水和物質30を分注するように動作可能である。第2のセクション52による分注は、第1のセクション51による分注と同一であってよい。例えば、第2のセクション52は、第2の区画12から水和物質を運動させる(例えば、引き出す)ように構成されたそれぞれの(または独自の)ポンプを備えている。特に、第2のセクション52は、手動で(例えば、接触により、例えば、押圧により)操作することができ、これにより、それぞれのポンプを操作し、これにより、水和物質30を分注する。したがって、第2のセクション52は、それぞれのポンプを操作するために初期位置から操作位置(押し込まれた位置など)へ運動させられてよい。第2のセクション52は、それぞれの分注開口52aを備えていてよく、この分注開口52aによって、水和物質30がディスペンサ出口50から分注(すなわち排出)される。
【0044】
図1に示されているように、第1のセクション51は第2のセクション52に隣接して配置されていてよい。しかし、本発明は、セクション51,52の特定の配置に限定されない。別の実施形態では、容器本体10が、セクション51,52間に、例えば、第1のセクション51が容器本体10の上部15の上に配置されていて、第2のセクションが容器本体10の底部14の下に配置されているように配置されていてよい。さらに、セクション51,52のうちの一方のセクションは、例えば、これらのセクション51,52が互いに積層されるように、少なくとも部分的にそれぞれ他方のセクションに配置されていてよい。セクション51,52が互いに隣接して配置されている場合、セクション51,52は、少なくとも部分的に互いに面一であってよく、かつ/または分注開口51a,52aが、実質的に同一の高さに位置決めされていてよい。高さは、容器本体10の底部14から測定される。
【0045】
図1に示した実施形態では、ディスペンサ出口50は、接触により、すなわち押圧することにより動作可能である。付加的または代替的に、移動または引張のような接触によるディスペンサ出口50の操作の別の可能性が可能である。別の実施形態では、ディスペンサ出口50は、非接触操作によって動作可能であってよい。これは、対象物(例えば、手または指)の状態(例えば、有無)を検出し、例えば、対象物の存在が検出された場合に、検出された状態に基づいてそれぞれの物質を分注するように配置された1つまたは複数のセンサを設けることによって実現されてよい。例えば、各セクション51,52は、それぞれのセクションを非接触操作により操作し、それによりそれぞれの物質を分注するために、それぞれのセンサを備えていてよい。
【0046】
図1に示すように、ディスペンサ出口50は、好適には容器本体10の上面15に取り付けられている。別の実施形態では、ディスペンサ出口50は、容器本体10の横方向側(例えば、側壁13)または容器本体10の底部14のような異なる位置に取り付けられていてよい。ディスペンサ出口50の取付けは、力結合および/または形状結合のような機械的な結合によって行われてよい。例えば、ディスペンサ出口50は、区画11,12および/または側壁13を画定する1つまたは複数の壁などの容器本体10の一部との係合によって、容器本体10に取り付けられていてよい。係合は、スナップ係合および/または圧入嵌合および/またはねじ係合であってよい。
【0047】
ある実施形態では、ディスペンサ出口は、ディスペンサ出口の操作時に、消毒物質20が第1の区画11から分注され、水和物質30が第2の区画12から分注されるように構成されていてよい。ディスペンサ出口50に関して、このことは第1のセクション51を第2のセクション52と一体的に形成することによって達成することができる。したがって、セクション51,52は、操作された場合に物質20,30を同時に分注する1つのセクションを成す。ディスペンサ出口50から排出されると、物質20,30は互いに混ざり合ってよい。例えば、分注開口51a,52aは、物質20,30がそれぞれの開口51a,52aから排出された直後に互いに混合(または合流)するように(例えば互いに対して傾斜して)配置されていてよい。すなわち、物質は、皮膚のような表面上で組み合わせられてよく、または合流させられてよい。
【0048】
消毒剤ディスペンサ1は、ディスペンサ出口50の少なくとも一部、例えば少なくとも分注開口51a,52aを覆うように配置されたキャップ53をさらに有していてよい。キャップ53は、透明であってよく、かつ/またはディスペンサ1、例えばディスペンサ出口50に取り付けられていてよい。この取付けは、圧入のような力結合および/または形状結合によって達成されていてよい。キャップ53は、円筒形状であってよいが、異なる形状を有していてもよい。取り付けられると、キャップ53は、ディスペンサ出口50が(意図せず)操作されることを阻止するためにディスペンサ出口50を覆うことができる。
【0049】
図2は、消毒剤ディスペンサ1’の第2の好適な実施形態を示している。消毒剤ディスペンサ1’は、以下で特に説明しない限り、上述した消毒剤ディスペンサ1に対応する。同一の参照符号は同一の特徴を示している。
【0050】
ディスペンサ1’は、第1の実施形態によるディスペンサ1とは、特にそのディスペンサ出口50’が代替的に設計されるという点で異なっている。ディスペンサ出口50’は、消毒物質20および水和物質30の両方を分注するように動作可能なセクション51’を備えている。したがって、ディスペンサ1’は、いわゆる「2-イン-1」用途であるということができる。例えば、ディスペンサ出口50’は、その操作(例えばセクション51’の操作)時に、消毒物質20および水和物質30が、規定された形式または順序でディスペンサ出口50’から分注(すなわち、排出)されるような構成を有している。この構成は、規定量の水和物質30が分注される前に、規定量の消毒物質20が少なくとも部分的に(または完全に)分注されるものであってよい。例えば、セクション51’は、第1の区画11から消毒物質20および第2の区画12から水和物質30を規定された順序で運動させる(例えば、引き出す)ように、例えば消毒物質20の分注が、水和物質30の分注に対して少なくとも部分的に前に、かつ/または少なくとも部分的に同時に生じるように構成されている1つまたは複数のポンプを備えている。1つまたは複数のポンプは、特に、ディスペンサ1に関して上述した1つまたは複数のポンプに対応してよい。
【0051】
例えば、1つまたは複数のポンプが、第1の段階において(例えば、セクション51’が第1の位置へと移動させられる、例えば押し込まれると)、消毒物質20だけを引き出し、これにより分注し、第1の段階に続く第2の段階において(例えば、セクション51’が、第1の位置から第2の位置へ移動させられる、例えば押し込まれると)、水和物質30を引き出し、これにより分注するように構成されていてよい。消毒物質20は、第1の段階においてのみ分注されてよく、または第2の段階でも分注されてもよく、これにより、物質20,30の部分的に同時的な分注が行われる。代替的には、1つまたは複数のポンプは、ディスペンサ出口50’が操作された場合に物質20,30の引き出し、ひいては分注を同時に開始するように構成されていてよい。したがって、操作された場合に、ディスペンサ出口50’は常に、消毒物質20および水和物質30を同時に分注する。
【0052】
ディスペンサ出口50’は、区画11,12に流体接続する混合チャンバを備えていてよい。混合チャンバは、ディスペンサ出口50’が、例えばその1つまたは複数のポンプにより、区画11,12から物質20,30を引き出すときに、物質20,30が、混合チャンバ内で合流または混合して、次いで混合チャンバから、ひいてはディスペンサ出口50’から分注されるように配置されている。したがって、物質は、ディスペンサ出口50’によって同時に分注される。次いで、物質20,30は、ディスペンサ出口50’(例えば第1のセクション51’)に含まれかつ混合チャンバに流体接続されている単一の分注開口51a’を介して分注されてよい。
【0053】
代替的には、ディスペンサ出口50’は、物質20,30がディスペンサ出口50から排出されるときに互いに混合するように設計されていてよく、したがって、混合チャンバは不要である。この場合、ディスペンサ出口50’は、物質20,30が単一の分注開口51a’において互いに混合するように、単一の分注開口51a’を備えていてよい。例えば、消毒物質20を引き出すための第1のラインおよび水和物質30を引き出すための第2のラインが、(それらの下流側の開口により)単一の分注開口51a’内に開口してよい。これにより、物質20,30は、分注開口51a’において混合または組み合わせられ、次いで、皮膚のような表面に適用される。
【0054】
単一の分注開口51a’に対して代替的に、ディスペンサ出口50’は、それぞれの物質20,30のための個別の分注開口を備えていてよい。例えば、ディスペンサ出口50’は、消毒物質20を分注(または排出)するための第1の分注開口としての分注開口51a’を有していてよく、ディスペンサ出口50’は、水和物質30を分注するための第2の分注開口を有している。第2の分注開口は、第1の分注開口51a’と一致して配置されていてもよい。したがって、物質20,30は分注開口を介して分注されてよく、これにより、物質20,30がそれぞれの開口から排出された直後に互いに混合(または合流)することができる。
【0055】
セクション51’は、実質的に第1のセクション51に対応していてよく、これにより、1つまたは複数のポンプを操作し、これにより物質20,30を分注するために、手動で(例えば接触により、例えば押圧により)操作されてよい。例えば、セクション51’は、1つまたは複数のポンプを操作するために、初期位置から(押し下げられた位置のような)操作位置へ運動させられてよい。
【実施例】
【0056】
実施例1:クリームの形態の水和物質と組み合わせたヒドロアルコールゲル
消毒物質20が、以下の表1の成分を混合し、これによりヒドロアルコールゲルを獲得することによって調製された。
【0057】
【0058】
次いで、消毒物質20が第1の区画11に供給された。
【0059】
別のステップにおいて、水和物質30が、以下の表2の成分を混合し、これによりクリームの形態の水和付香性物質を獲得することによって調製された。
【0060】
【0061】
次いで、水和物質30が第2の区画12に供給された。
【0062】
物質20,30が、(腕の)皮膚に適用される前に、Delfin Instruments社のMoisturemeter SC装置を使用して皮膚水和(SH)をインビボで測定した。これにより、皮膚の基準水和皮膚値(SH0)が求められた。測定は、前腕の互いに異なる2つのスポットで行った。これにより、皮膚の基準水和皮膚値(SH0)が求められた。
【0063】
次いで、50μlの消毒物質20が皮膚の各スポットに適用され、指で5回塗り広げられた。次いで、消毒物質の適用の5分後に、50μlの水和物質30が2つのスポットのうちの1つに適用された。適用の1時間後、残りの物質をティッシュで除去し、各スポットにおいてSHを測定した。結果を、
図3の右半部に示す。
【0064】
実施例2:ビーズの形態の水和物質と組み合わせたヒドロアルコールゲル
消毒物質20は、以下の表3の成分を混合し、これによりヒドロアルコールゲルを獲得することによって調製された。
【0065】
【0066】
次いで、消毒物質20が第1の区画11に供給された。
【0067】
別のステップにおいて、水和物質30が、水和アルギン酸塩付香ビーズをヒドロゲル中に分散させることにより調製された。このようなビーズは、以下の表4に示す成分を使用して調製された。
【0068】
【0069】
アルギン酸ナトリウム、水およびクエン酸ステアリン酸グリセリルが混合され、70℃で1時間撹拌された。溶液は撹拌しながら室温に達するように冷却された。香料および内部のボディクリームが溶液に加えられ、この混合物が15分間撹拌された。次いで、この混合物を0.5%のCaCl2水溶液でプリル化することにより、アルギン酸塩付香ビーズが形成された。ビーズはフィルタリングされ、脱イオン水で洗浄され、ヒドロゲル内に添加され(パール:ヒドロゲルの比率3:2)、水和物質が形成された。以下の表5に示す成分を混合することによって、ヒドロゲルが調製された。
【0070】
【0071】
次いで、水和物質30が第2の区画12に供給された。
【0072】
物質20,30が(腕の)皮膚に適用される前に、Delfin Instruments社のMoisturemeter SC装置を使用して皮膚水和(SH)をインビボで測定した。測定は、前腕の互いに異なる2つのスポットで行った。これにより、皮膚の基準水和皮膚値(SH0)が求められた。
【0073】
次いで、50μlの消毒物質20が皮膚の各スポットに適用され、指で5回塗り広げられた。次いで、消毒物質の適用の5分後に、50μlの水和物質(30+31)が2つのスポットのうちの1つに適用された。適用の1時間後、残りの物質をティッシュで除去し、各スポットにおいてSHを測定した。結果を、
図4の右半部に示す。
【0074】
図3および
図4の各図において、比較例が左半部に示されている。これらの比較例では、消毒物質20のみが適用されている(すなわち50μl)、すなわち、それぞれの水和物質30,31は適用されていない。
図3および
図4の各図の右半部には、本発明の各実施例、すなわち、実施例1および実施例2がそれぞれ示されている。消毒物質20を適用した1時間後に、本発明による実施例1および実施例2が、比較例におけるよりも高い皮膚水和を引き起こし、したがって皮膚の脱水を効果的に阻止することが分かる。同時に、消毒物質20が、皮膚の消毒を行う。さらに、水和物質中の香料が、消毒物質による不快な臭いの発生を阻止することができる。
【0075】
図示した実施形態は単に好適な実施形態であるに過ぎないが、消毒剤ディスペンサの別の設計も使用できることは当業者にとって明らかであるだろう。
【国際調査報告】