IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ヴィシェイ デール エレクトロニクス インコーポレイテッドの特許一覧

特表2024-523404複数の厚さをもつ素子を有する電磁デバイス、および複数の厚さもつ素子を有する電磁デバイスの製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-28
(54)【発明の名称】複数の厚さをもつ素子を有する電磁デバイス、および複数の厚さもつ素子を有する電磁デバイスの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01F 41/04 20060101AFI20240621BHJP
   H01F 41/10 20060101ALI20240621BHJP
【FI】
H01F41/04 C
H01F41/10 B
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023577939
(86)(22)【出願日】2022-06-15
(85)【翻訳文提出日】2024-02-01
(86)【国際出願番号】 US2022033579
(87)【国際公開番号】W WO2022266191
(87)【国際公開日】2022-12-22
(31)【優先権主張番号】17/351,782
(32)【優先日】2021-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510060327
【氏名又は名称】ヴィシェイ デール エレクトロニクス エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100079980
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 伸行
(74)【代理人】
【識別番号】100167139
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ハンソン,ベンジャミン
(72)【発明者】
【氏名】ブルーン,ロドニー
(72)【発明者】
【氏名】ヒューバー,マット
【テーマコード(参考)】
5E062
【Fターム(参考)】
5E062FF01
5E062FF04
5E062FG13
(57)【要約】
【構成】導電素子および複数の厚さを有するリードを有する電磁デバイスを提供する。押し出し加工、スカイビング加工、スエージング加工、3D印刷法または機械加工によって形成した、電磁デバイスの製造するためのテンプレートを提供する。複数の厚さのある電磁デバイスはより厚手の領域を有する導電素子、および少なくとも一つの薄手の厚さを有する領域であって、その厚手の領域よりも薄い薄手の領域を有する一つかそれ以上のリードを有する。コア材料から形成した本体内に収めた、より厚手の導電素子、およびこの導電素子に接続した、薄手のリードまたはリード部分を有する電磁デバイスを提供することができる。
【選択図】図1C
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電材料を設ける工程、
押し出し加工、スカイビング加工、または平坦加工を行うことによって前記導電材料を複数の厚さを有するテンプレートに形成する工程、および
前記複数の厚さを有するテンプレートを、第1厚さを有する導電素子、第2厚さを有する第1リード部分、および第3厚さを有する第2リード部分に形成する工程を有し、
前記第1厚さが前記第2厚さとは異なり、そして
前記第1厚さが前記第3厚さとは異なる
ことを特徴とする、複数の厚さを有する電磁デバイスの製造方法。
【請求項2】
前記第1厚さが前記第2厚さよりも厚手であり、前記第1厚さが前記第3厚さよりも厚手である請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記複数の厚さを有するテンプレートを、第1厚さを有する導電素子、第2厚さを有する第1リード部分、および第3厚さを有する第2リード部分に形成する前記工程において、前記の複数の厚さを有するテンプレートをスタンプ加工する請求項1に記載の製造方法
【請求項4】
前記導電素子が曲がりくねった形状か、あるいは略矩形形状を有する請求項1に記載の製造方法。
【請求項5】
前記導電素子、第1リード部分、および第2リード部分が、導電材料の連続的な、巻かれていないピースから形成される請求項1に記載の製造方法。
【請求項6】
前記導電素子のいずれの部分も、この導電素子の別の部分の上で、あるいは下で交差しない請求項1に記載の製造方法。
【請求項7】
前記第1リード部分の厚さがこの第1リード部分の略全長に沿って均一であり、そして第2リード部分の厚さがこの第2リード部分の略全長に沿って均一である請求項1に記載の製造方法。
【請求項8】
前記第1リード部分が前記導電素子に隣接して第1幅を有し、前記第1リード部分の端部において第2幅を有し、この第2幅が前記第1幅とは異なる請求項1に記載の製造方法
【請求項9】
前記第2リード部分が前記導電素子に隣接して第1幅を有し、前記第2リード部分の端部において第2幅を有し、この第2幅が前記第1幅より大きい請求項1に記載の製造方法
【請求項10】
導電材料を設ける工程、
前記導電材料を複数の厚さを有するテンプレートに形成する工程であって、前記テンプレートは、第1厚さを有する導電素子、第2厚さを有する第1リード部分、および第3厚さを有する第2リード部分を有する複数の厚さを有し、前記第1厚さは前記第2厚さと異なるとともに、前記第1厚さは前記第3厚さとも異なる工程、および
前記導電素子および前記第1リード部分の少なくとも一部および前記第2リード部分の少なくとも一部の周囲にコア材料をプレス加工して、本体を形成する工程、
を有することを特徴とする電磁デバイスの製造方法。
【請求項11】
さらに前記第1リード部分をトリム加工し、前記第2リード部分をトリム加工する工程を有する請求項10に記載の製造方法。
【請求項12】
さらに前記本体の外面に沿って前記第1リード部分の少なくとも一部を位置付けるとともに、前記本体の底面に沿って前記第1リード部分の少なくとも一部を延在させる工程を有し、そしてさらに前記本体の外面に沿って前記第2リード部分の少なくとも一部を位置付けるとともに、前記本体の底面に沿って前記第2リード部分の少なくとも一部を延在させる工程を有する請求項11に記載の製造方法。
【請求項13】
前記導電材料を複数の厚さを有するテンプレートに形成する工程において押し出し加工を行う請求項10に記載の製造方法。
【請求項14】
前記導電材料を複数の厚さを有するテンプレートに形成する工程において、この導電材料をシートに形成し、そしてさらにスカイビング加工を行う請求項10に記載の製造方法。
【請求項15】
前記導電材料を複数の厚さを有するテンプレートに形成する工程において、この導電材料をシートに形成し、そしてさらに平坦加工を行う請求項10に記載の製造方法。
【請求項16】
前記導電材料を複数の厚さを有するテンプレートに形成する工程において、この導電材料をシートに形成し、そしてさらにこのシートをスタンプ加工して前記導電素子、前記第1リード部分および前記第2リード部分を形成する請求項10に記載の製造方法。
【請求項17】
前記導電素子が曲がりくねった形状または略矩形の形状を有する請求項10に記載の製造方法。
【請求項18】
前記導電素子、第1リード部分、および第2リード部分が、導電材料の連続的な、巻かれていないピースから形成される請求項10に記載の製造方法。
【請求項19】
前記導電素子のいずれの部分も、この導電素子の別の部分の上で、あるいは下で交差しない請求項10に記載の製造方法。
【請求項20】
さらに前記導電材料にニッケル層またはスズ層をメッキする工程を有する請求項10に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願に関する相互参照】
【0001】
本出願は2021年6月18日を出願日とし、全文を本出願に援用する米国特許出願第17/351,782号の優先権を主張する出願である。
【発明の分野】
【0002】
本出願は電子成分の分野、特にインダクターなどのデバイス用の導電素子やリードなどの複数の厚さをもつ電磁デバイス、そして複数の厚さをもつ電磁デバイスおよび本明細書に記載する複数の厚さをもつテンプレートを使用して形成した電磁デバイスに関する。
【背景】
【0003】
インダクターなどの電磁デバイスは一般には受動的な2端子電子部品である。インダクターは全体としてコイル状に巻き付けたワイヤなどの導体を有する。電流がコイルに流れると、コイル内の磁場に一時的にエネルギーが蓄えられる。インダクターに流れる電流が変化すると、電磁誘導のファラデーの法則に従って時間的に変動する磁場がコンダクター内に電圧を誘導する。
【0004】
一部の公知インダクターは全体として磁性材料のコア本体を有するものとして形成され、内部に巻き線コイルなどの導体を有し、時にはこの導体を巻き線コイルとして形成する。公知インダクターの実例は米国特許第6198375号(“インダクターコイル構造”)および第6204744号(“高電流、低プロファイルインダクター”)に開示されている。なお、両公報は本明細書に援用する。
【0005】
ワイヤやコイルなどの一部の素子の特徴やパラメータを変更することによって電磁デバイスの性能特徴を形成、設定または調節することが必要になることが多い。多くの電磁デバイスの場合、導電材料から形成した巻き線コイルを使用する。このようなデバイスの特徴はコイルのターンを増やすことによってコイル巻き線数を増やすなどして調節することができる。従って、専用の機械および注意深い調節が必要である。
【0006】
積層体層または折り畳み層として形成したコイルを必要とする電磁デバイスを設計するさいは、付加的な機械加工や調節が必要である。異なる被加工ピースのはんだ付け処理を必要とする設計は付加的な機械加工や調節を必要とし、弱点がある。
【0007】
より厚みのあるリード部分を有する電磁デバイスを設計するさいには、リード部分のコア本体周囲への折り曲げ時にリード部分を取り囲むコア本体が割れる可能性がある。
【0008】
直流抵抗(DCR)の小さいインダクターなどの特性にバラツキのない電磁デバイスを製造する簡単で、費用対効果の高い方法が求められている。
【0009】
さらに性能を改善する方法でインダクターなどの電磁デバイスを製造する必要性も求められている。
【0010】
さらに異なるサイズをもつが、まかれていない、またはワイヤの巻き線ピースから形成しないコイルやワイヤなどの導電素子をもつインダクターなどの電磁デバイスを製造する必要性も求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許第6198375号
【特許文献2】米国特許第6204744号
【発明の概要】
【0012】
本明細書に開示するのは複数の厚さを有する導電素子およびリード、複数の厚さを有する電磁デバイスの形成または製造方法である。
【0013】
本明細書で使用する“複数の厚さを有するまたはもつ(multiple-thickness)”は一つ以上の厚さ、少なくとも2つの異なる厚さ、複数の厚さ、各種厚さ、または複数の異なる厚さを有する状態を指す表現である。一部の態様では、この厚さは電磁デバイスまたはリードフレームの配向に応じてこれらの長さ、幅、または高さにそって測定することができる。本明細書で使用する用語“複数の厚さを有する電磁デバイス”はコイル、導体または導体素子および一つかそれ以上のリードを有する電磁デバイスを指す。但し、これらコイル、導体または導体素子および一つかそれ以上のリードは、以下に詳しく記載するように、各種の厚さまたは異なる厚さを有する。例えば、コイル、および導体または導体素子は第1厚さを有していればよく、リードの一つは第2厚さを有していればよく、そしてリードのもう一つは第3厚さを有していればよく、第1厚さは第2厚さとは異なり、また第1厚さは第3厚さとは相違する。
【0014】
本発明の一態様に係る電磁デバイスは第1リードおよび第2リードに接続した導電材料から形成した導電素子を有する。導電素子は第1厚さを有し、第1リードは第2厚さを有し、そして第2リードは第3厚さを有する。第1厚さは第2厚さとは相違していればよい。そして第1厚さは第3厚さとは相違していればよく、また第1厚さは第2厚さよりも大きければよい。第1厚さは第3厚さよりも大きければよい。導電素子は各種形状を取ることができる。
【0015】
本発明の一態様に係る電磁デバイスの製造方法は以下の工程:導電材料を設ける工程、およびこの導電材料を、第1厚さを有する導電素子、第2厚さを有する第1リード部分、および第3厚さを有する第2リード部分を有する導電素子に形成する工程を有する。但し、第1厚さは第2厚さより大きく、第1厚さは第3厚さより大きい。この製造方法ではさらに場合に応じて、導電素子、第1リードの少なくとも一部および第2リードの少なくとも一部の周囲に本体をプレス加工することができる。
【0016】
本発明の一態様に係る複数の厚さを有する電磁デバイス形成用テンプレートの製造方法は以下の工程を有する:導電材料を設ける工程、およびこの導電材料を複数の厚さを有するテンプレートに形成する工程を有する。この複数の厚さを有するテンプレートは第1厚さを有する導電素子、第2厚さを有する第1リード部分、および第3厚さを有する第2リード部分を有し、第1厚さは第2厚さより大きく、そして第1厚さは第2厚さよりも大きい。テンプレートはリードフレームの形を取ることができる。
【0017】
本発明の一態様は複数の厚さを有する電磁デバイス用のテンプレートの製造方法に関する。この製造方法では、導電材料を複数の厚さを有する金属押し出し成形物または異なる厚さまたは高さをもつ領域を有するシートを押し出し成形する。押し出し成形導電材料は導電金属などの導電材料の単体で、連続的なまたは一体的なピースである。押し出された導電材料の概ね中心領域に当たる厚手の領域の厚さは、その押し出された導電材料の一部に当たる。その中心領域の外側すなわち両サイドの側部領域の厚さよりも大きい。複数の厚さを有する押し出し加工導電材料は第1層としてニッケル、第2層または外層としてスズなどをメッキすることができる。この複数の厚さを有する押し出し加工導電材料はスタンプ加工して、第1リードおよび第2リードに接続した導電素子を有する目的形状の複数の厚さを有するテンプレートを形成する。従って、このスタンプ加工の複数の厚さを有するテンプレートはコイル、コイル領域またはワイヤ領域と見做すことができ、ここでは全体として“導電素子”と呼ぶことができる成形領域を有する。この導電素子はテンプレートの中心領域すなわち内側領域をテンプレートの厚手の領域内に概ね形成する。導電素子、第1リード、および第2リードはすべて導電材料の単体の、連続的な、あるいは一体的なピースから形成する。
【0018】
本発明のもう一つの態様は電磁デバイス用の複数の厚さを有するテンプレートの製造方法に関する。この製造方法では、均一な厚さまたは高さをもって始まる導電材料の金属プレート、金属シートまたは金属ストリップを設ける。この導電材料は導電材料の単体の、連続的または一体的なピースである。各種寸法の表面を有する切断ツール、例えば第1高さに切断表面およびより低い第2高さに少なくとも一つの非切断表面を有するブレードを使用して導電材料を金属スカイビング加工または切断加工して、複数の厚さを有する金属シートを形成する。導電材料には第1層としてニッケルを、そして第2層または外層としてスズなどをメッキすることができる。この導電材料をスタンプ加工して、第1リードおよび第2リードに接続した導電素子の目的形状のテンプレートを形成する。複数の厚さを有するテンプレートのより厚さのある厚手の領域に対応する導電素子は、複数の厚さを有するテンプレートおよび/またはリードの外側領域すなわち側部領域よりも大きな厚さである。
【0019】
本発明の別な態様は電磁デバイス用の複数の厚さを有するテンプレートを製造する方法に関する。この製造方法では、均一な厚さまたは高さをもって始まる導電材料の金属プレート、金属シートまたは金属ストリップを設ける。この導電材料は導電材料の単体の、連続的または一体的なピースである。導電材料には第1層としてニッケルを、そして第2層または外層としてスズなどをメッキすることができる。この導電材料をスタンプ加工して、目的とする形状を有する導電素子、およびこの導電材料から延在するリードを有するテンプレートを製造する。導電材料および/またはリードの外側領域または側部領域のより大きな厚さを有する導電素子を使用して複数の厚さを有するテンプレートを製造するためには、リードを備えてもよいテンプレートの所定の外側領域をスエージング加工やプレス加工などによって平坦化する。このように構成すると、所定の外側領域の厚さや高さが導電素子の厚さや高さよりも小さくなる。
【0020】
本発明の一つの態様では、導電素子の厚さは第1リードの厚さより小さく、および/または第2リードの厚さより小さい。本発明のこの態様では、前記と同様な製造方法を実施でき、導電素子の厚さを小さくでき、また第1リードまたは第2リードの厚さを導電素子の厚さよりも厚手にできる。
【0021】
本発明の一つの態様では、本明細書に開示するテンプレートを使用して、電磁デバイスを形成することができる。
【0022】
本発明の一つの態様では、異なる厚さを有する一つのみの導電素子およびリード部分を有する電磁デバイスを形成することができ、この場合には任意のコア本体をまたはコア材料を導電素子またはリード部分の周囲に形成しない。
【0023】
本発明の一つの態様に係る電磁デバイスの場合、例えば導電素子およびリードの導電素子に隣接する部分などの導電素子および導電素子部分の周囲に圧縮した、および/または成形した磁性粉、本体またはコア本体を有していればよい。この場合、リードを本体の外面の周囲に設け、かつ折り曲げてこれを包み込んで、本体の一つの外面に接触点を形成することができる。リードの一部については、本体の底面にそって設けて表面実装リードを形成することが好ましい。他の態様では、リードはこのような方法で折り曲げない。
【0024】
導電材料は曲がりくねった形状などの特定の形状を有する導電素子として形成することができ、“S”字状や円形状、長円体状またはオメガ(Ω)状などの折り曲げ領域や湾曲領域を有する他の形状を有する導電素子として形成することができる。導電素子は全体としてビーム上の矩形状、“I”字状や“H”字状、“バーベル”状などの所定形状、あるいはその他の所定形状を有する導電素子として形成することができる。電磁デバイスの本体が導電素子を取り囲み、導電素子の周囲にプレス加工することができ、リードが本体の表面(複数の場合もある)から延在した状態になる。
【0025】
なお、本発明の導電素子はワイヤやコイルの複数の層を設ける必要なく、あるいは巻き付ける必要なく形成する。本発明の複数の態様の場合、金属のシートを押し出し成形加工、スタンプ加工、プレス加工および/または切断加工することによって取り付けられたリードとともに一体的なピースとして形成する、より大きな厚さ(厚手)すなわち高さを増した領域を有する形状の非巻き線導電素子を提供するものである。一方のリードから導電素子にそって他方のリードにまでの経路にそって導電素子に中断や破断がないことが好ましい。導電素子は非巻き線形状であり、導電素子の一方の部分が他方の部分の上下を通ることはなく、また他方の部分の上下において交差することはない。
【0026】
また、本分野において公知な、コイルや導電素子に使用されている他の材料などの他の導電材料も本発明の教示から逸脱することなく使用することができる。具体的な用途に応じて必要な場合には、導電素子および/またはリードの一部の周囲を、あるいはこれら部分間を絶縁することも可能である。
【0027】
リード部分は全体として直線状の経路にそって整合していればよく、あるいは全体として同じ平面にそって位置していればよく、所定の高さおよび幅を有していればよい。
【0028】
リードおよび導電素子は製造プロセス時に同時に形成することができる。導電素子は溶接などによってリードに接合する必要はない。
【0029】
本発明の教示に従って、単体ピース、連続ピースまたは均一ピース内に複数の導電材料厚さを有する電磁デバイスを形成することができる。
【0030】
大きな厚さを有するコイル領域または導電素子はインダクターの直流抵抗(DCR)を低減する部分的な機能を発揮する。
【0031】
(リード部分などの)外側部分の厚さが小さく薄いため、リードの形成が容易になる。さらに、本発明の態様(複数の場合もある)に従ってリード部分を形成すると、リード部分の半田可能な表面積が広くなり、この素子の実装安定性が改善するので耐衝撃性および耐振動性も向上する。加えて、本発明に従って形成したリード部分によって電磁デバイスと、このデバイスを実装する印刷回路基板(PCB)などの回路基板との間の伝熱が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
本発明の前記態様およびこれらに伴う作用効果の多くは添付図面を参照して以下の詳細な説明からも容易に理解できるはずである。
【0033】
図1Aは本発明の一態様に係る電磁デバイスを一部透明にした状態で示す等側投影図である。
【0034】
図1B図1Aに示す本発明の一態様に係る電磁デバイスを一部透明にした状態で示す上面図である。
【0035】
図1C図1Aに示す本発明の一態様に係る電磁デバイスを一部透明にした状態で示す側面図である。
【0036】
図2Aは本発明の一態様に係る電磁デバイスを一部透明にした状態で示す等側投影図である。
【0037】
図2B図2Aに示す本発明の一態様に係る電磁デバイスを一部透明にした状態で示す上面図である。
【0038】
図2C図2Aに示す本発明の一態様に係る電磁デバイスを一部透明にした状態で示す側面図である。
【0039】
図3は本発明の一態様に係る複数の厚みをもつテンプレートおよび電磁デバイスの製造方法を示すフローチャートである。
【0040】
図4は本発明の複数の態様に係る導電材料から形成した金属シートを示す図である。
【0041】
図5Aは本発明の一態様に係る複数の厚みをもつ金属シートを示す図である。
【0042】
図5B図5Aの複数の厚みをもつ金属シートを示す側面図である。
【0043】
図6は本発明の一態様に係る複数の厚みをもつテンプレートを示す図である。
【0044】
図7は本体をテンプレートの複数領域周囲に形成した、本発明の一態様に係る複数の厚みをもつテンプレートを示す図である。
【0045】
図8は本発明の一態様に係る複数の厚みをもつテンプレートを示す図である。
【0046】
図9は本発明の一態様に係る複数の厚みをもつテンプレートおよび電磁デバイスの製造方法を示すフローチャートである。
【0047】
図10は金属シートにスカイビング加工を行って複数の厚みをもつシートを形成するブレードを示す図である。
【0048】
図11は本発明の一態様に係る複数の厚みをもつテンプレートおよび電磁デバイスを製造する方法を示すフローチャートである。
【0049】
図12は本発明の一態様に係るテンプレートを示す図である。
【0050】
図13は平坦化したリード部分を有する、本発明の一態様に係る複数の厚みをもつテンプレートを詳細に示す図である。
【0051】
図14は本発明の一態様に係る電磁デバイスを示す等側投影図である。
【0052】
図15は本発明の一態様に係る電磁デバイスまたはテンプレートを示す等側投影図である。
【0053】
図16は本発明の一態様に係るテンプレートを示す図である。
【詳細な説明】
【0054】
以下の記載において説明のみを目的とし、かつ限定を意図しないいくつかの用語を使用する。用語“右”、“左”、“上部”および“下部または底部”は参照する図面における方向を示す。特許請求の範囲および明細書の対応する箇所で使用する単数表現は、具体的に反対のことを記載していない限り、対象となる素子などを一つかそれ以上含むものとして定義する。この用語法は、具体的に言及した単語、その誘導語、および同様な意味を有する語を包含する。“A、B、またはC”などの2つかそれ以上の語句の前にある“少なくとも一つ”はA、BまたはCの任意の一つを意味するだけでなく、任意の組み合わせを意味する。なお、一部の図面には部分的に透明な部分を示すが、いずれも説明のみを、図示のみを、また実証のみを意図している。また、これら図面は最終の製造形態においてある素子が透明であることを示しているわけではない。
【0055】
図1A図1Cに本発明の一態様に従って形成することができ、所定形状の導電素子150を有する電磁デバイス100の実施例を示す。この導電性素子については、“コイル”または“コイル領域”と呼ぶこともある。図1A図1Cに示す実施態様では、導電素子150は曲がりくねった(serpentine or meandering)素子を有し、この素子は例えば図1Aおよび図1Bの配向状態で見た場合、あるいは上からまたは下から見た場合、“S”形素子、“S字形”素子または“S-導電素子”によって構成することができる。第1湾曲部分C1はリード140aの一つに隣接して延在する第1端部152(“リード部分”とも呼ぶ)、および第2端部153を有し、この第1湾曲部分C1は導電素子150の中心の周りで湾曲する。第2湾曲部分C2はリード140b(“リード部分”とも呼ぶ)のもう一つから延在する第1端部155、および第2端部154を有し、この第2湾曲部分は第1湾曲部分C1から反対方向に導電素子150の中心の周りで湾曲する。各湾曲部分は導電素子150の中心の一部を取り囲むアークを形成する。湾曲部分それぞれは導電デバイスの中心領域周囲の円周経路にそって形成する。電磁デバイスの同様な形状構成は、本明細書に全体を援用する米国特許第10,854,367号に記載がある。導電素子150の中心部分151が全体として対角線方向において交差し、第2端部153と第2端部154との間に延在し、これら端部を接続する。この中心部分については、導電素子の中心領域を通過できることが好ましい。中心部分151は全体として直線状である。
【0056】
S-導電素子または“S”形状は本発明の一態様の例示である。アーク形状導電素子、Z-形状導電素子またはN-形状導電素子を始めとする他の構成も考えられ、湾曲導電素子または直線状導電素子も考えられ、いずれも本発明の範囲に包摂できる構成である。リード間の曲がりくねった経路にそって延在し、一部が導電素子または電磁本体の中線または中心部分と交差する導電素子構成については、“曲がりくねった”導電素子と考えることができる。限定を意図するものではないが、例示すると、S-状導電素子、Z-状導電素子、N-状導電素子や一方のリードから他方のリードへの曲がりくねった経路を有する他の形状の導電素子があり、いずれも“曲がりくねった”導電素子と考えることができる。導電素子150の形状については、抵抗を最小化しかつインダクタンスを最大化した状態で、電磁体内のスペースに対応する経路長さを最適化できるように設計することができる。このスペースについては、使用スペースの電磁本体内のスペースに対する比が大きくなるように設計することができる。本発明の一実施態様では、導電素子150は平坦な、すなわち平面内において本質的に配向するのが好ましい上面を有する。曲がりくねった導電素子はコイルまたはコイル領域と考えることができるが、電磁コアの中心部分または軸線を中心にして巻き付け、これを取り囲む導電材料のワイヤまたはピースから形成した“巻き線”導電素子とは異なる。
【0057】
図1A図1Cに示すように、図示の電磁デバイス100はX1-X2軸またはX方向にそって長さL1を有し(ただしX1は第1方向であり、そしてX2は第1方向とは逆の第2方向で、またY1-Y2軸またはY方向にそって長さL2を有し(ただしY1は第3方向であり、そしてY2は第3方向とは逆の第4方向である)、そしてZ1-Z2軸またはZ方向にそって厚さH1(図1Cように側部から見た場合には高さ。ただしZ1は第5方向であり、Z2は第5方向とは逆の第6方向である)。理解しやくするために、Z1-Z2軸は“厚さ”と呼ぶ。同じように、より厚さのある、あるいはより高さのある導電素子の(複数の)領域については、“より厚さのある厚手領域”と呼ぶことができる。
【0058】
本発明の一態様の場合、図1Cに示すように、導電素子150はより厚みのある厚さ領域159を有し、この領域は導電素子150の外側の側端部174、175に隣接するリード部分156、157を有するリード140a、140bなどの導電材料の部分の第2厚さT2および第3厚さT3と比較してより厚さのある第1厚さT1を図1Cに示すようにZ1-Z2軸に沿って有する。この構成では、“S”-形状の導電素子150の実質的に全体がより厚みのある領域159を有する。なお、より厚みのある領域を有する導電素子の一部は“S”-形状の導電素子の全体よりも薄くすることも可能である。例えば、ある一つの導電素子の場合、より厚い部分とより薄い部分とで構成することができ、より厚い部分のそれぞれをより厚みのある領域とすることができる。このように構成すると、リード140aはリード140aの実質的に全長にそって厚さT2を有し、そしてリード140bは当該リードの実質的に全長にそって厚さT3を有する。
【0059】
本発明の一つの態様の場合、図1A図1Cに示すように、インダクター100などの完成電磁デバイスはコア本体とも呼ぶ本体133を有することができ、一部を透明状態で示すように、導電素子および少なくともリードの一部にプレス加工するか、あるいは他の手段でこれらを収めるか、あるいは取り囲む。この本体は第1本体部分110および第2本体部分120として形成することが可能である。第1本体部分110および第2本体部分120は導電素子150およびリード140a、140bを挟み込むか、これらの周囲にプレス加工するか、あるいはその他の手段でこれらを取り囲んでインダクター100を完成する。導電素子およびリードの一部の周囲に圧縮する場合には、第1本体部分110および第2本体部分120が単体の一体圧縮体になり、単に“本体”かあるいは“コア本体”と呼ぶことできる。
【0060】
本体133は鉄系材料などの磁性材料から形成することができ、上面134およびこれに対向する下面または底面135、第1側部136およびこれに対向する第2側部137、第1リード140aに隣接する第1側面170およびこれに対向し、第2リード140bに隣接する第2側面172を有する。この本体は例えば鉄製、金属合金製および/またはフェライト製でもよく、あるいはこれらを併用したものでもよく、従来公知でこの種の本体を形成するために使用されてきた他の材料で構成することができる。第1本体部分110および第2本体部分120は鉄粉や同様な材料から構成することができる。電磁デバイス分野で知られている、公知材料などの他の許容可能な材料も本体または本体部分を形成するために使用することができる。いずれも全文を本明細書に援用する米国特許第6198375号(“電磁導電素子構造体”)および米国特許第6204744号(“高電流、低プロファイルインダクター”)公報に開示されている鉄粉、充填剤、樹脂や潤滑剤などを含有する磁性成形材料を本体に使用することができる。本体133は鉄、鉄合金および/またはフェライト、および/またはこれらの併用物の一種かそれ以上を含有する磁性材料から形成することができる。例えば、本体133は鉄、鉄合金またはフェライト、これらの併用物、またはインダクター分野でにおいて公知で、このような本体を形成するために使用されてきた他の材料から形成してもよい。米国特許第6198375号および第6204744号公報に記載されている材料や、これらの併用物その他の当該分野において公知な等価物などを使用することができ、一般に“コア材料”(複数の場合もある)と呼ばれている。なお、第1本体部分110および第2本体部分120は同じ形成方法で同じコア材料から形成するが、第1本体部分110および第2本体部分120は異なるプロセスを使用して、当該分野において公知な異なるコア材料から形成してもよい。
【0061】
本体133のより厚さのある領域T1と外側面170、172との間にある導電材料の領域については、リード140aおよび140bの開始部分または一部分と見做してもよく、あるいはより厚さのある領域の間から側面170、172のそれぞれに延在する厚さがより小さいいか、あるいは高さがより小さい導電素子150の遷移部分と見做してもよい。便宜上、この領域を第1内側リード部分156および第2内側リード部分157と呼ぶ。以下に記載するように、これら部分は本体133に収容されるか、あるいはその他の手段で本体133によって取り囲まれることになる。
【0062】
第1本体部分110および第2本体部分120が導電素子およびリードの一部を取り囲み、これらを導電素子150の周囲にプレスするか、あるいはオーバーモールディングすると、図1および図2の一部透明な実施例に示す最終状態から見て取れるように、第1本体部分110の下に折りたたまれるまで最初はリード140a、140bの一部が露出する。完成した電磁デバイスまたは“部分”では、図1A図1Cに示すように、各リード140a、140bの一部が第1本体部分110の側部または側面にそって延在する。第1リード140aは表面実装接触部分130a内で終端してもよく、また第2リード140bは表面実装接触部分130b内で終端してもよく、図1A図1Cに示すように、それぞれは第1本体部分110であってもよい本体133の下面135の下で折曲がる。
【0063】
なお、本発明の態様に係る電磁デバイスの場合、コア本体がなくても形成することができる。リードを折り曲げて、表面実装終端部を形成することができる。一実施例を図14に示す。リードが直線状、即ち折曲がっていない状態で、導電素子から上向きに直線状に延在するか、あるいは所定角度で延在した、コア本体を使用せずに形成することができる本発明態様に係る電磁デバイスを図15に示す。図14および図15に、複数の厚さを有する導電素子およびリードで構成することができ、コア材料を使用しない、あるいはこれら素子を取り囲むコア本体を使用しない完成した電磁デバイスの実施例を示す。電磁デバイス100´は曲がりくねった形状の導電素子150´で構成することができる。第1湾曲部分C1´はリード140a´の一つ(“リード部分”とも呼ぶ)に沿って延在する第1端部152´および第2端部153´を有し、この第1湾曲部分C1´は導電素子150´の中心の周りで湾曲する。第2湾曲部分C2´はリード140b´の他方(“リード部分”とも呼ぶ)から延在する第1端部155´および第2端部154´を有し、この第2湾曲部分は第1湾曲部分C1´の対向位置にあり、導電素子150´の中心の周りに湾曲している。各湾曲部分が導電素子150´の中心を円弧上に取り囲む部分を形成する。湾曲部分はデバイスの中心領域の周りの円周方向経路にそって延在していればよい。導電素子150´の中心部分151´は全体として対角方向に交差し、第2端部153´を第2端部154´に接続し、そして好ましくは導電素子の中心領域を通過していればよい。中心部分151´は概ね直線状である。第1内側リード部分156´は第1端部152´に隣接し、そして第2内側リード部分157´は第2端部155´に隣接する。導電素子150´はより厚さのある厚手領域159´を有する。図15に示すように、リード140a´、140b´は導電素子150´から直線状に外向きに延在する。図14に示すように、リード140a´、140b´は折り曲げて、表面実装リード部分130a´、130b´を形成する。図15に示すように、導電素子150´はより厚さのある厚手領域を有し、この領域は外側端部174´に隣接する第2厚さ部分TH2Bより厚手の第1厚さ部分TH1Bを有し、そして外側端部175´に隣接する第3厚さ部分TH3Bを有する。
【0064】
リード140a、140bは各リードの全長にそって同じ均一な厚さ、あるいは実質的に同じ均一な厚さを有していればよい。
【0065】
本発明の別な態様を示す図2A図2Cは成形導電素子250を有する、本発明の一態様に従って形成することができる電磁デバイス200の一実施例を示す図である。図2A図2Cに示すデバイスでは、導電素子250は“I”形または“H”形導電素子として構成した実質的に直線状の導電素子か、あるいは図2Bに示すように上から見た場合に“バーベル”形の導電素子を有する。このような導電素子については、さらにコイルと見做してもよく、あるいはコイルと呼ぶことも可能である。このような構成では、導電素子250の中心部分252は図2A図2Cにおいて見た場合にY1-Y2軸またはY方向にそって幅W1を有し、第1側部253は図2A図2Cにおいて見た場合にY1-Y2軸またはY方向にそって幅W1よりも大きい外側幅W2、デバイス200の第1側部253とは反対側にあり、図3において見た場合にY1-Y2軸またはY方向にそって幅W1よりも大きい幅W3を有する第2側部254を有している。W3はW2と同じであってもよい。導電素子250については、第1側部253と第2側部254との間において概ね矩形であってもよい。
【0066】
図2A図2Cに示す本発明の一態様の導電素子250では、導電素子250はより厚さのある厚手領域259を有し、この領域は図2Cに示すようにZ1-Z2軸または方向にそって導電素子250の外側端部274、275に隣接する第1内側リード部分255および第2内側リード部分257を始めとするリード部分などの導電材料の他の部分の第2厚さT2´および第3厚さT3´より厚さのある第1厚さT1´を有する。この構成では、“バーベル”-形状をもつ導電素子の実質的に全体がより厚さのある第1厚さT1´をもつことができる。より大きな厚さをもつ導電素子の部分は“バーベル”-形状をもつ導電素子の全体よりも小さくてもよく、また導電素子250は軸に巻き付いていない。
【0067】
本発明に係る完成電磁デバイスは、図2A図2Cに示すようにコア本体を使用せずに形成することができるが、本発明の一つの態様では、インダクターなどの完成電磁デバイス200は部分的に透明状態で示す本体233、またはコア本体については、導電素子250およびリード140a、240bの少なくとも一部にプレス加工するか、あるいは他の手段でこれらを収めるか取り囲むことができる。上面234、この上面に対向する下面または底面235、第1側部236およびこれに対向する第2側部237、および第1リード240a(または“リード部分”に隣接する第1側面270およびこれに対向し、第2リード240b(または“リード部分”)に隣接する第2側面272を有する本体233を形成することができる。この本体は第1本体部分210および第2本体部分220として形成することができる。第1本体部分210および第2本体部分220は導電素子150およびリード240aおよび240bの一部を挟み、これらの周囲にプレス加工するか、あるいは他の手段でこれらを収納して、インダクター200を完成する。導電素子およびリードの一部の周囲に圧縮する場合には、第1本体部分210および第2本体部分220はコア材料(複数の場合もある)から単体の一体的圧縮体として見做すことができる。
【0068】
第本体部分210および第2本体部分220が導電素子およびリードの一部を取り囲み、導電素子250の周囲にプレスまたはオーバーモールディング加工することができ、リード240aおよび240bの露出部分が図2A図2Cの一部が透明な実施例の最終状態に示すように第1本体部分210の下に折りたたまれるまで初期にはこれら露出状態を維持する。完成した電磁デバイスまたは“パーツ”では、図2A図2Cに示すように第1本体部分210の側部270、272にそって各リード240aおよび240bが延在することができる。第1リード240aは第1接触部分230aで終端してもよく、また第2リード240bは第2接触部分230bで終端してもよい。各接触部分は図2A図2Cに示すように第1本体部分210などの本体233の下面235の下で折曲げる。
【0069】
以下、図1A図2Cまたは図14図16に例示する電磁デバイス、あるいは図1A図2Cまたは図14図16に示す電磁デバイスを形成するさいに使用することができる複数の厚さのある素子または複数の厚さのあるテンプレートを有する同様な電磁デバイス、あるいは同種の電磁デバイスの製造方法を説明する。一部の態様では、テンプレートはリードフレームとして形成することができる。
【0070】
本発明の一つの態様では、電磁デバイスの製造方法を図3のフローチャートによって説明する。
【0071】
工程1010では導電材料が提供される。この導電材料は加熱して、溶融導電材料を形成し、本明細書に開示するように成形を行えばよい。限定を意図するものではないが、導電材料を例示すると、銅、鋼、アルミニウム、亜鉛、青銅やこれらの併用物あるいは合金を挙げることができる。使用することができる導電材料の例としてはさらに銅ワイヤ、アルミニウムワイヤや白金ワイヤのワイヤ形態の導電材料を挙げることができる。
【0072】
工程1012では導電材料を金属押し出し加工によって押し出し成形して、複数の厚さのあるシートを形成する。例えば所定形状の開口に加熱された、あるいは溶融した導電材料を押し出し成形する。押し出し成形加工では、目的とするプロファイルまたは形状を有するダイに金属などの溶融状態に近いか、あるいは加熱された導電材料を押し込めばよい。図5Aおよび図5Bに複数の厚さのあるシート310を示す。このシートは厚手の第1厚さTH1をもつ厚手の領域314を有する中心領域312、厚さTH1より薄手の第2厚さTH2をもつより厚い厚手の領域314の第1側部318に隣接する第1外側部分316、および厚さTH1より薄手の第3厚さTH3をもつより厚さのある領域314の第2側部329に隣接する第2外側部分320を有する。図示のように、第1外側部分316および第2外側部分320はより厚さのある領域314の対向する両再度の両サイドの両側部であってもよい。以下に記載するように、複数の厚さのあるシート310を使用してテンプレートを形成する。
【0073】
工程1014で電気メッキや同種の加工プロセスを使用して、複数の厚さのあるシート310に第1層としてニッケルをメッキし、そして第2層としてニッケル上にスズを形成してもよい。公知のメッキ方法を使用して、ニッケル層およびスズ層を形成することができる。これらの層によってはんだ付け性が改善する。
【0074】
工程1016では複数の厚さのあるシート310を打ち抜き加工するかあるいはその他の手段で機械加工または成形を行って、図1A図1Cに示すような電磁デバイスに使用する複数の厚さのあるテンプレート322を形成する。図6図1A図1Cに示す構成に係る導電素子150をもつ複数の厚さのあるテンプレート322を示す。なお、本明細書の教示から逸脱しなくても各種形状の導電素子を形成できる。打ち抜き加工やその他の機械加工を行う場合、テンプレート322はより厚さのある領域を有し、この領域がテンプレート322を形成するために使用する複数の厚さのあるシート310のより大きな厚さTH1をもつより厚さのある領域314に対応する。導電素子150はこのテンプレートの中心領域または内側領域に位置していればよい。
【0075】
図6に一つ以上の導電素子を例示するが、テンプレートは単体の導電素子を設ける場合にも設けることができる。さらに、テンプレートには2つ以上の任意の数の導電素子を設けることができる。
【0076】
なお、工程1014および1016は任意の順で実施可能である。例えば、複数の厚さのあるシート310は工程1016に従って複数の厚さのあるシート322として形成してもよく、次に工程1014に従ってメッキを行うことができる。
【0077】
図6に示すように、テンプレート322は導電素子150に接続したリード140a、140bを有し、これらリード140a、140bを形成する領域が厚さTH2をもつ第1外側部分316、および第3厚さTH3をもつ第2外側部320aに対応する。従って、リード140aおよび140bそれぞれの厚さは導電素子150のより厚さのあるTH1よりも小さい。導電素子150に隣接する第1の内側リード部分156および第2の内側リード部分157があるため、折り曲げ加工などによってリードの形成が容易になる。リードの厚さが小さいため、折り曲げ加工が容易になり、また表面実装リードの形成が容易になり、割れることもなく、また破裂することもない。図1Bおよび図6に示すように、リード140a、140bはY1-Y2軸またはY方向にそって幅を有し、この幅は導電素子150の幅よりも小さくなっていればよい。
【0078】
例えば図1A図1Cおよび図6に例示するように、第1リード140aの第1の内側リード部分156、および第2リード140bの第2の内側部分157は(Y1-Y2軸または方向にそって)幅を有し、この幅は第1表面実装接触部分130aおよび第2表面実装接触部分130bなどのリード140a、140bの他の部分の幅よりも狭いか小さくなっていればよい。
【0079】
導電素子150の上面は実質的に平面内に、あるいは平面にそって位置するように形成することができる。導電素子150の下面は実質的に平面内に、あるいは平面にそって位置するように形成することができる。導電素子の上面または下面は全体として平坦であってもよい。
【0080】
リード140a、140bは実質的に平面内、あるいは平面にそって位置する上面または下面を有するように形成することができる。リード140a、140bの上面または下面は全体として平坦であってもよい。
【0081】
第6図に示すように、テンプレート322はリードフレームとして形成し、このリードフレーム322の対向する外部に少なくとも第1および第2のキャリヤストリップ324、326を有していればよい。キャリヤストリップ324、326は製造装置への接続時のアライメントに使用するプログレッシブホール(progressive hole)328を有していればよい。従って、これらキャリヤストリップ324、326については適宜使用する部材と見做すことができる。
【0082】
なお、導電素子150およびリード140a、140b、そして使用する場合にはキャリヤストリップ324、326については、すべて導電材料の単体ピースから形成する。この導電材料ピースは厚さがリード140a、140bの厚さより大きくなるように予め形成しておく。導電素子150は所定形状に形成し、金属ストリップや金属ワイヤを巻き付ける必要や曲げる必要はない。導電素子150のどの部分も導電素子150の別な部分の上下において交差することはない。本明細書の記載に従って製造した電磁デバイスのインダクタンスは例えば導電素子の厚さ、幅、形状やその他の寸法を変更することによって、コア材料を変更することによって、コア材料の厚さを増減することによって、熱間または冷間プレスなどを行ってコア材料の密度を変更することによって、および/またはコア本体内の導電素子の位置を変更することによって調節できる。
【0083】
さらに図15については、リード140a´、140b´を例えばトリミングするか折り曲げることによって電磁デバイス用のテンプレートを示す図としても見ることができる。この例では、テンプレートは複数の厚さをもつ導電材料を図15に示す形状にスタンプ加工することによって形成することになる。
【0084】
工程1018で、デバイスがコア本体を有する場合、導電素子150および第1の内側リード部分156および第2の内側リード部分157を始めとするリード140a、140bの一部の周囲に一種かそれ以上のコア材料、好ましくは鉄粉および/またはフェライト粉を有するコア材料をプレス加工して、本体133を形成する。この本体133を形成するためには、圧縮プレス機にメッキしたテンプレート322を挿入し、全体として矩形状などの目的の形状のリードフレームのコイル部分に一種かそれ以上のコア材料をプレス加工する。なお図示のように、形状としては円形角部や円形縁部であってもよい。図7は本体133を一部透明化した状態で示す本体133を有するテンプレート322を示し、導電素子150およびリード140a、140bの一部の周囲に形成した本体を示す図である。なお、電磁デバイスをコア本体なしで形成する場合には、工程1018は適宜実施する工程である。
【0085】
工程1020では、リードに隣接するテンプレートの部分を所定サイズにトリミングし、本体133の周囲に設け、表面実装リードを形成する。これら表面実装リードは現在の回路基板の組み立てプロセスに望まれているものである。リード140a、140bそれぞれの少なくとも一部は本体133の側面にそって設け、リード140a、140bの少なくとも端部部分130は本体133の底面135の下に折り曲げるとともに、これらにそって設ける。既に説明したように、完成した電磁デバイス100の一例を図1Aに示す。
【0086】
図8図3に示す工程に従って形成し、図2A図2Cに示すように導電素子250を有する電磁デバイスに対応するテンプレート330を示す。図8に示すように、テンプレート330の導電素子250は“I”形や“H”形導電素子などの直線形導電素子、あるいは上から見た場合“バーベル”形の導電素子を有する。テンプレートは図3に概要を示し、かつ上述した工程に従って形成してもよい。工程1016では、導電素子250は図2A図2Cに示す所定形状を有する。
【0087】
図8に示すように、テンプレート330は導電素子250だけでなくリード240a、240bを有する。テンプレート330をリードフレームとして形成する場合、例えば、キャリヤストリップ332、334を設けることができる。導電素子250およびリード240a、240bはいずれも導電材料の同じ単体ピースから形成する。キャリヤストリップ332、334は製造装置への接続時のアライメントに使用するプログレッシブホール336を有していればよい。導電素子250は厚さTH1aのより厚さのある厚手領域を有する領域280を有していればよい。第1リード240aは厚さがTH2aであり、第2リード240bは厚さがTH3aである。従って、リード240a、240bのそれぞれの厚さは導電素子150のより厚さのある厚さTH1aよりも薄い。第1の内側リード部分255および導電素子150に隣接する第2の内側リード部分257がより薄い厚さを有するため、リードの折り曲げなどによる形成が容易になる。リードがより薄い厚さを有するため、これら領域は折り曲げがより容易になり、亀裂や破断を発生することなく表面実装リードを形成できる。図2Bおよび図8に例示するように、第1の内側リード部分255および第2の内側リード部分257の(Y1-Y2軸またはY方向にそった)幅は、第1表面実装接触部分230aまたは第2表面実装接触部分230bなどのリード240a、240bの他の部分の幅よりも狭くてもよく、あるいは小さくてもよい。
【0088】
スカイビング加工または切断加工を使用しても、本発明の態様に係る電磁デバイスを製造することも可能である。スカイビング加工では切断ブレードを使用して材料をすくいとる。
【0089】
本発明の一態様の電磁デバイスの製造方法を図9のフローチャートを参照して説明する。工程2010で、圧延加工やプレス加工などによって導電材料から形成することができる出発材料として導電材料のシートを使用する。図4に導電材料から形成したシート300を例示する。ここで使用する用語“シート”は本発明のテンプレートを形成するため出発材料として使用する導電材料のピースからなるシート、プレートまたはストリップの概念を包摂する用語である。導電材料のシート300としては銅などの金属シートが好ましい。シート300を形成するために使用することができる導電材料としては、限定する意図はないが、銅、鋼、アルミニウム、亜鉛、青銅やこれらの併用物または合金を例示することができる。金属シートの厚さについて、シートから形成する導電素子のより厚さのある厚手領域の厚さになるように選択してもよい。また、導電材料については、本発明の態様から逸脱することなく本明細書の教示に従って加工または形成できるロッド、ワイヤなどとして形成または提供でき、あるいはこれらの形から出発することができる。このように、シートを例示するが、他の形状を備えた他の導電材料を使用して、図示のおよび本明細書に開示の電磁デバイスを形成できる。
【0090】
工程2012で、スカイビング加工を行い、ブレードを使用してシートを形成し、複数の厚さのあるシート410を形成する。
【0091】
図10にカッティングブレード437を示す。このブレードは導電材料のシートを切断して、複数の厚さのあるシート410を形成する過程にある凸状の中心切断部分439を有する。得られた複数の厚さのあるシート410はより厚さのある厚手領域としての中心領域412、中心領域412の厚さよりも薄手の第2厚さを有するより大きい厚手の領域414の第1側部418に隣接する第1の外側部分416、および中心領域の厚さより小さいが、第1の外側部分416の厚さに等しくできる第3厚さを有するより厚手の厚手領域414の第2側部422に隣接する第2の外側部分420を有する。図示のように、第1の外側部分416および第2の外側部分420はより厚手の厚さを有する領域414の両側にあってもよい。この複数の厚さを有するシート410を使用して、以下に記載するようにテンプレートを形成する。
【0092】
工程2014で、電気メッキや同様な加工を使用して、複数の厚さのあるシートをメッキし、第1層としてニッケル、そしてこのニッケル上にスズを第2層として形成する。
【0093】
工程2016で、複数の厚さのあるシート410をスタンプ加工やその他の手段で機械加工して、図1A図1Cに示すような電磁デバイスに使用する複数の厚さのあるテンプレートを形成する。この工程では、図6に示すような複数の厚さのあるテンプレートが得られる。
【0094】
工程2018で、一種かそれ以上のコア材料、好ましくは鉄粉および/またはフェライト粉を有するコア材料を、導電素子および第1の内側リード部分および第2の内側リード部分を有するリードの部分の周囲にプレス加工して本体を形成する。この工程では、図7を参照して説明したように、本体133がテンプレートの一部の周囲に形成する。コア本体を望まない場合には、工程2018は適宜実施してもよい。
【0095】
工程2020で、リードに隣接するテンプレートの部分を所定大きさにトリム加工して本体の周囲に設け、表面実装リードを形成する。これら表面実装リードは現在の回路基板の組み立てプロセスに望まれているものである。リードそれぞれの少なくとも一部は本体の側面にそって設け、リードの少なくとも端部部分は本体の底面の下に折り曲げるとともに、これらにそって設ける。既に説明したように、完成した電磁デバイス100の一例を図1Aに示す。
【0096】
スカイビング加工を使用しても、図2A図2Cに示す構成を有する電磁設計を形成することができる。このスカイビング加工を使用しても、各種形状、各種の大きさ、各種配向および/または各種構成を有する導電素子を形成することができる。
【0097】
スエージング加工および/またはプレス加工および/または平坦加工を使用して、本発明の態様に係る電磁デバイスを形成することも可能である。
【0098】
本発明の一態様に係る電磁デバイスの製造方法を図11のフローチャートに従って説明する。工程3010で、導電材料のシートを出発原料として使用する。図4に示すシート300は導電材料の例示的なシートである。
【0099】
工程3012で、電気メッキや類似の加工方法を使用してシートをメッキし、ニッケルを第1層として、そしてニッケルの上に第2層としてスズを形成する。このメッキ段階では、シートは厚さが均一である。以下に説明するように、この厚さが導電素子の厚さより厚くなる。
【0100】
工程3014で、スタンプ加工や他の機械加工を行って、厚さが均一なテンプレートを形成する。
【0101】
図12に形成過程のテンプレート500を示す。このテンプレートは成形導電素子520、第1リード530aおよび第2リード530bを有し、いずれもシートを形成する同じ導電材料の単体ピースから形成する。テンプレート500をリードフレームとして形成する場合には、キャリヤストリップ540、542を設けることができる。キャリヤストリップ540、542は製造装置への接続時のアライメントに使用するプログレッシブホール544を有していればよい。
【0102】
工程3016で複数の厚さのあるテンプレートを得るためには、第1リード530aおよび第2リード530b、あるいはこれらのそれぞれの一部はスエージング加工やプレス加工などによって平坦化する。
【0103】
図13はテンプレート500の一部を詳細に示す図である。第1リード530aおよび第2リード530bを平坦化または圧縮し、これによってこれらリードに導電素子520の厚さよりも薄い厚さを付与する。スタンピング、コイニング、ロールフォーミングやミリングなどの異なる加工法を使用して、薄手の厚さ部分を形成できる。
【0104】
第1リード530aおよび第2リード530bの平坦化時、テンプレート500は元のシートの厚さを有するより厚さのある領域514として形成された中心領域512有する導電素子520、中心領域512の厚さよりも薄い厚さをもつ第1リード530a、および中心領域512の厚さよりも薄いが、第1リード530aと同じ厚さであってもよい小さな厚さをもつ第2リード530bを有する。これら領域を平坦化しない場合には、キャリヤストリップ540、542は導電素子520と同じ厚さであってもよい。
【0105】
工程3018では、導電素子520およびリード530a、530bの一部の周囲に一種かそれ以上のコア材料、好ましくは鉄粉および/またはフェライト粉を有するコア材料をプレス加工して、本体546を形成する。この本体546を形成するためには、圧縮プレス機にメッキしたテンプレート500を挿入し、全体として矩形状などの目的の形状のリードフレームのコイル部分に一種かそれ以上のコア材料をプレス加工する。この段階で、リード本体およびフレームは上記に説明した図7と同様に構成する。コア本体を望まない場合には、工程3018は適宜選択する工程である。
【0106】
工程3020で、リードに隣接するテンプレートの部分を所定サイズにトリミングし、本体546の周囲に設け、表面実装リードを形成する。これら表面実装リードは現在の回路基板の組み立てプロセスに望まれているものである。リード530a、530bそれぞれの少なくとも一部は本体133の側面にそって設け、リード530a、530bの少なくとも端部部分は本体546の底面の一部の下に折り曲げるとともに、これらにそって設ける。
【0107】
なお、図11に示す工程を利用して、“I”または“H”形状の導電素子としての直線状導電素子をもつ導電素子、または図2A図2Cなどに示すように、上から見た場合に“バーベル”形状の導電素子を有するテンプレートを形成することができる。
【0108】
さらに、より厚さのある領域を有する導電素子を形成するさいには、図12に示すような全体として均一な厚さをもつテンプレートを出発原料とし、導電素子520の上にメッキによってこれを積み増すことができる。例えば、一定厚さになるまで導電素子の上全体に銅をメッキできる。この“積み増し(build up)”加工は例えばメッキ材を3Dプリントすることによって、あるいは金属加工分野で公知な方法(例えばスパッタリング)で金属を導電素子520に堆積することによって実施できる。
【0109】
また、本明細書に開示する方法を使用して、一つかそれ以上のリードの厚さよりも小さい成形導電素子を有する電磁デバイスを形成できる。例えば、図3を参照して説明すると、工程1012において、シートの中心部分の厚さが薄く、シートの外側が中心部分よりも厚い複数の厚さをもつシートを押し出し成形することができる。さらに図9を参照して説明を続けると、工程2012において、シートの中心部分の厚さが薄く、シートの外側が中心部分よりも厚い複数の厚さを有するシートをスカイビング加工することができる。さらに図11を参照して説明を続けると、工程3016において、リードではなく導電素子を平坦加工して、リードよりも厚さが薄い導電素子を形成することができる。
【0110】
このように、図16に例示するように、テンプレート700は図4に示すシートなどの均一な厚さをもつ導電材料ピースからスタンプ加工したものである。いずれも同じ導電材料ピースから形成した曲がりくねった導電素子、第1リード740a、および第2リード740bであってもよい導電素子750をスタンプ加工やその他の加工によって形成する。この態様の場合、導電素子750をスタンプ加工、プレス加工、スエージング加工またはスカイビング加工して、リード740a、740bよりも厚さの薄い導電材料を有する電磁デバイスを形成する。導電素子750は曲がりくねった形状、バーベル形状やその他の所定形状を有していればよく、また全体として平坦であって、一つかそれ以上の表面が平面内にあるか、あるいはこの平面にそって存在していればよい。リード740a、740bについては公知なように、あるいは本明細書に記載するように、折り曲げ加工またはトリミング加工してもよい。コア本体は導電素子750およびリードの一部の周囲に成形加工してもよい。
【0111】
導電材料や導電材料のシートについては、導電素子を形成するために使用する領域が第1リード部分や第2リード部分を形成するために使用する領域とは異なる硬度をもつように形成してもよい。例えば、導電材料の第1部分は第1硬度(例えば半硬質)を有し、導電材料の第2部分は第2硬度(例えば焼きなまし程度の軟度)を有していればよい。あるいは、導電材料の第1部分は第1硬度(ビッカース硬度100HV10)を有し、導電材料の第2部分は第2硬度(ビッカース硬度30HV10)を有していればよい。
【0112】
なお、本明細書に開示する導電素子および/またはリードの表面は導電素子を形成するために使用する加工方法に応じてやや、あるいはわずかに丸くてもよく、弓形の形状でもよく、あるいは湾曲していてもよく、側縁部も丸くてもよく、弓形の形状でもよく、あるいは湾曲していてもよい。導電素子およびリードを形成するために使用する許容可能な金属は銅、アルミニウム、白金や当分野で知られているように、電磁導電素子として使用されている他の金属であってもよい。本明細書で使用する“平坦”は“全体として平坦”を意味する。即ち、通常の製造許容誤差内にあることを意味する。なお、本明細書に開示する導電素子および/またはリードの表面は使用する加工方法に応じてやや、あるいはわずかに丸くてもよく、弓形の形状でもよく、湾曲していてもよく、あるいは波形でもよく、側縁部もやや、あるいはわずかに丸くてもよく、弓形の形状でもよく、湾曲していてもよく、あるいは波形でもよく、いずれも“平坦”であると見做すことができる。
【0113】
本明細書に記載する導電素子の厚さのある部分または領域は、このような導電素子を有するインダクターなどの電磁デバイスの直流抵抗(DCR)を低減する作用を示す。
【0114】
本明細書に記載するテンプレートは単独の一体ピースにおいて複数の厚さを設定するものである。本明細書に記載するテンプレートも3Dプリント技術によって形成することも可能である。
【0115】
テンプレートのリードまたはリード部分が薄い厚さを有する領域をもつため、例えば成形加工および/または折り曲げ加工などによってリードを形成するのが容易になる。さらに、リード部分がより薄く幅広であるため、回路基板への実装時の伝熱性が改善するだけでなく、実装強度が改善するとともに表面実装リードまたは終端部の幅を原因とするショックや振動に対する抵抗が強くなる。
【0116】
なお、以上の説明は例示のみを目的とし、制限を意図するものではなく、また本発明の精神および範囲から逸脱しなくとも説明してきた実施態様に変更や修正を加えることができる。以上本発明を詳細に説明してきたが、当業者ならば、ごく一部のみを発明の詳細な説明に記載した物理的な多くの変更を、記載してきた実施態様の発明性のある考え方および原理を変更することなく実施できることを明白に理解できるはずである。また、好適な実施態様のうちのごく一部のみを包含する多数の実施態様が可能であり、いずれもこれら部分の発明性のある考え方および原理を変更するものではない。本発明の実施態様の構成および適宜採用できる構成はあらゆる点において例示を意図するもので限定を意図するものではない。発明の範囲は以上の記載ではなく、特許請求の範囲によって定義されるもので、この範囲と同義な意味および範囲内にあるすべての代替実施態様および実施態様に対する変更はいずれも本発明に包含されるものである。
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図2C
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
【手続補正書】
【提出日】2024-02-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電材料を設ける工程と、
第1厚さを有する第1部分、第2厚さを有する第2部分、および第3厚さを有する第3部分を設けた複数の厚さを有するシートであって、押し出し加工、スカイビング加工、または平坦加工を行うことによって、前記導電材料を前記の複数の厚さを有するシートに形成する工程と、
前記の複数の厚さを有するシートの前記第1部分を導電素子に形成し、そして、前記の複数の厚さを有するシートの前記第2部分を第1リード部分に形成し、さらに、前記の複数の厚さを有するシートの前記第3部分を第2リード部分に形成することで、前記の複数の厚さを有するテンプレートを形成する工程と、
を有し、
前記第1厚さが前記第2厚さよりも厚手であり、および、
前記第1厚さが前記第3厚さよりも厚手である
ことを特徴とする、複数の厚さを有する電磁デバイスの製造方法。
【請求項2】
前記の複数の厚さを有するテンプレートの少なくとも一部は、前記の複数の厚さを有するシートをスタンプ加工で形成する請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記導電素子が曲がりくねった形状, 矩形の形状、I形の形状、H形の形状あるいはバーベル形の形状を有する請求項1に記載の製造方法。
【請求項4】
前記導電素子、前記第1リード部分、および前記第2リード部分が、導電材料の連続的な、巻かれていないピースから形成される請求項1に記載の製造方法。
【請求項5】
前記導電素子のいずれの部分も、この導電素子の別の部分の上で、あるいは下で交差しない請求項1に記載の製造方法。
【請求項6】
前記第1リード部分の厚さがこの第1リード部分の略全長に沿って均一であり、そして前記第2リード部分の厚さがこの第2リード部分の略全長に沿って均一である請求項1に記載の製造方法。
【請求項7】
前記第1リード部分が前記導電素子に隣接して第1幅を有し、前記第1リード部分の端部において第2幅を有し、この第2幅が前記第1幅とは異なる請求項1に記載の製造方法。
【請求項8】
前記第2リード部分が前記導電素子に隣接して第1幅を有し、前記第2リード部分の端部において第2幅を有し、この第2幅が前記第1幅より大きい請求項1に記載の製造方法。
【請求項9】
導電材料を設ける工程と、
第1厚さを有する導電素子を形成する第1部分、第2厚さを有する第1リード部分を形成する第2部分、および第3厚さを有する第2リード部分を形成する第3部分を設け、前記第1厚さが前記第2厚さよりも厚く、前記第1厚さが前記第3厚さよりも厚い複数の厚さを有するシートであって、前記導電材料をこの複数の厚さを有するシートに形成する工程と、
この複数の厚さを有するシートの前記第1部分を前記導電素子に形成し、前記の複数の厚さを有するシートの前記第2部分を前記第1リード部分に形成し、前記の複数の厚さを有するシートの前記第3部分を前記第2リード部分に形成して、複数の厚さを有するテンプレートを形成する工程と、
を有し、
前記導電素子、前記第1リード部分の少なくとも一部および前記第2リード部分の少なくとも一部の周囲にコア材料をプレス加工して、本体を形成する工程と、
を有することを特徴とする電磁デバイスの製造方法。
【請求項10】
さらに前記第1リード部分をトリム加工し、前記第2リード部分をトリム加工する工程を有する請求項9に記載の製造方法。
【請求項11】
さらに前記本体の外面に沿って前記第1リード部分の少なくとも一部を位置付けるとともに、前記本体の底面に沿って前記第1リード部分の少なくとも一部を延在させる工程を有し、そしてさらに前記本体の外面に沿って前記第2リード部分の少なくとも一部を位置付けるとともに、前記本体の底面に沿って前記第2リード部分の少なくとも一部を延在させる工程を有する請求項10に記載の製造方法。
【請求項12】
前記導電材料を複数の厚さを有するシートに形成する工程は、押し出し加工を含む請求項9に記載の製造方法。
【請求項13】
前記導電材料を複数の厚さを有するシートに形成する工程は、スカイビング加工を含む請求項9に記載の製造方法。
【請求項14】
前記導電材料を複数の厚さを有するシートに形成する工程は、平坦加工を含む請求項9に記載の製造方法。
【請求項15】
前記導電材料を前記の複数の厚さを有するテンプレートをスタンプ加工する前記の複数の厚さを有するテンプレートを形成する工程で、前記導電素子、前記第1リード部分、前記第2リード部分を形成する請求項9に記載の製造方法。
【請求項16】
前記導電素子が曲がりくねった形状, 矩形の形状、I形の形状、H形の形状あるいはバーベル形の形状を有する請求項9に記載の製造方法。
【請求項17】
前記導電素子、第1リード部分、および第2リード部分が、導電材料の連続的な、巻かれていないピースから形成される請求項9に記載の製造方法。
【請求項18】
前記導電素子のいずれの部分も、この導電素子の別の部分の上で、あるいは下で交差しない請求項9に記載の製造方法。
【請求項19】
さらに前記の複数の厚さを有するシートあるいは前記の複数の厚さを有するテンプレートにニッケル層またはスズ層をメッキする工程を有する請求項9に記載の製造方法。
【国際調査報告】