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特表2024-523408成形杭アンカー基礎を有する支持システムおよびそれを形成する方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-28
(54)【発明の名称】成形杭アンカー基礎を有する支持システムおよびそれを形成する方法
(51)【国際特許分類】
   E02D 27/32 20060101AFI20240621BHJP
   E02D 27/52 20060101ALI20240621BHJP
   E02D 27/12 20060101ALI20240621BHJP
【FI】
E02D27/32 A
E02D27/32 Z
E02D27/52 A
E02D27/12 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023577952
(86)(22)【出願日】2021-12-30
(85)【翻訳文提出日】2024-02-13
(86)【国際出願番号】 US2021065781
(87)【国際公開番号】W WO2022265674
(87)【国際公開日】2022-12-22
(31)【優先権主張番号】17/350,982
(32)【優先日】2021-06-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523473268
【氏名又は名称】シャープ パルス コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100109634
【弁理士】
【氏名又は名称】舛谷 威志
(74)【代理人】
【識別番号】100129263
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100160831
【弁理士】
【氏名又は名称】大谷 元
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンドロフ イゴール
【テーマコード(参考)】
2D046
【Fターム(参考)】
2D046DA05
2D046DA62
(57)【要約】
基礎システムおよび方法では、水中環境での使用に特に適合した現場成形杭アンカーが使用される。本発明の基礎の成形杭アンカーは、コンクリートが充填された管状金属ケーシングを含み、その下端は地面(例えば、水底土壌)内の所定の深さに配置され、その上端は水または土壌の表面の上方に突出する。コンクリートは、実質的にケーシングの上端に至るまで金属ケーシングの内部を充填し、コンクリート柱の上部を形成する。コンクリート柱の下部は、金属ケーシングの下端の下で下方に延在し、さらに地中に延在する。下部は、管状金属ケーシングの内径に等しい上部の断面よりも大きい断面を有するように成形される。プラットフォームは、上の構造体を支持するために、成形杭アンカーのうちの1つ以上に結合される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持システムを建設するための方法であって、
a)杭アンカーを形成するステップであって、
中心軸、長さ、上端、および下端を有する金属ケーシングを提供し、
前記金属ケーシングの前記上端が表面の上方に延在するように、前記金属ケーシングの前記下端を土壌に打ち込み、
コンクリート混合物で前記金属ケーシングを実質的に充填し、ウェットコンクリートのスタックを作り、
少なくとも1つの取付けバーを前記金属ケーシング内に挿入し、前記少なくとも1つの取付けバーは、前記金属ケーシングの前記上端の上方に突出する上端を有し、
前記金属ケーシングを所定の高さだけ持ち上げることにより、前記ウェットコンクリートの前記スタックの下部を周囲土壌に露出させ、
前記ウェットコンクリートの前記スタックの前記下部に少なくとも1つの局所的な高圧スパイクを生成して、前記周囲土壌を圧縮し、前記コンクリート混合物が、結果として生じる空間を充填することを可能にし、それによって、前記ウェットコンクリートの前記スタックの前記下部が、前記金属ケーシング内の前記ウェットコンクリートの前記スタックの断面よりも大きい断面を有するゾーンを有し、
前記少なくとも1つの局所的な高圧スパイクに続く前記ウェットコンクリートの前記スタックの高さの低下を補うために、追加量の前記コンクリート混合物を前記金属ケーシング内に堆積させ、および
前記ウェットコンクリートの前記スタックを固化させることにより、前記金属ケーシング内の上部と、成形された下部とを有するコンクリート柱を形成することによってなされる杭アンカーを形成するステップと、
b)前記少なくとも1つの取付けバーの前記上端を介して前記杭アンカーにプラットフォームを結合するステップと、を含み、
前記支持システムは、構造体を支持するように構成され、
前記支持システムは、垂直力および回転力に耐える強化された能力を提供することを特徴とする方法。
【請求項2】
前記杭アンカーは、対称的な構成で配置された複数の杭アンカーを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも1つの局所的な高圧スパイクは、少なくとも1つの高電圧放電装置からの少なくとも1つの高電圧放電パルスによって生成される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
少なくとも1つの高電圧放電装置を前記金属ケーシングの下方に挿入するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記少なくとも1つの取付けバーを前記金属ケーシング内に挿入するステップは、第1の取付けバーを前記中心軸に沿って前記金属ケーシングの下方に挿入するステップを含み、
前記少なくとも1つの高電圧放電装置は、前記少なくとも1つの高電圧放電装置を前記金属ケーシングの下方に挿入するステップが、第1の高電圧放電装置を前記金属ケーシングの下方に挿入するステップを含むように、前記第1の取付けバーの下端に結合される前記第1の高電圧放電装置を備え、
それによって、前記第1の取付けバーを前記中心軸に沿って前記金属ケーシングの下方に挿入するステップは、前記第1の高電圧放電装置を前記金属ケーシングの下方に挿入するステップと同時に行われる請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の取付けバーは、互いに電気的に絶縁された同軸一対導体の外側導体を形成する管状金属体を有し、前記同軸一対導体の他方の導体は内側導体を構成し、
前記外側導体および前記内側導体は、前記ウェットコンクリートの前記スタックの前記下部に前記少なくとも1つの局所的な高圧スパイクを生成するために、前記少なくとも1つの高電圧放電パルスを伝導するように構成され、
前記第1の高電圧放電装置は、第1の電極と第2の電極とを備え、
前記第1の電極は、前記外側導体に電気的に結合され、前記第2の電極は、前記内側導体に電気的に結合される請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記少なくとも1つの取付けバーを前記金属ケーシング内に挿入するステップは、第1の取付けバーを前記金属ケーシングの下方に挿入するステップと、第2の取付けバーを前記金属ケーシングの下方に挿入するステップとを含み、前記第1および第2の取付けバーは、前記中心軸に対して対称に配置され、
前記少なくとも1つの高電圧放電装置は、前記第1の取付けバーの下端に結合される第1の高電圧放電装置と、前記第2の取付けバーの下端に結合される第2の高電圧放電装置とを備え、
前記少なくとも1つの高電圧放電装置を前記金属ケーシングの下方に挿入するステップは、前記第1の高電圧放電装置を前記金属ケーシングの下方に挿入するステップと、前記第2の高電圧放電装置を前記金属ケーシングの下方に挿入するステップとを含み、
それによって、前記第1の取付けバーを前記金属ケーシングの下方に挿入するステップは、前記第1の高電圧放電装置を前記金属ケーシングの下方に挿入するステップと同時に行われ、かつ、前記第2の取付けバーを前記金属ケーシングの下方に挿入するステップは、前記第2の高電圧放電装置を前記金属ケーシングの下方に挿入するステップと同時に行われる請求項4に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の取付けバーは、互いに電気的に絶縁された第1の同軸一対導体の外側導体を形成する管状金属体を有し、前記第1の同軸一対導体の他方の導体は、前記第1の同軸一対導体の内側導体を構成し、
前記第2の取付けバーは、互いに電気的に絶縁された第2の同軸一対導体の外側導体を形成する管状金属体を有し、前記第2の同軸一対導体の他方の導体は、前記第2の同軸一対導体の内側導体を構成し、
前記第1の同軸一対導体および前記第2の同軸一対導体は、前記ウェットコンクリートの前記スタックの前記下部を成形するために、前記少なくとも1つの高電圧放電パルスを伝導するように構成され、
前記第1の高電圧放電装置および前記第2の高電圧放電装置のそれぞれは、第1の電極および第2の電極を備え、
前記第1の高電圧放電装置の前記第1の電極は、前記第1の同軸一対導体の前記外側導体に電気的に結合され、
前記第1の高電圧放電装置の前記第2の電極は、前記第1の同軸一対導体の前記内側導体に電気的に結合され、
前記第2の高電圧放電装置の前記第1の電極は、前記第2の同軸一対導体の前記外側導体に電気的に結合され、
前記第2の高電圧放電装置の前記第2の電極は、前記第2の同軸一対導体の前記内側導体に電気的に結合される請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記構造体は、風力タービンである、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
水中系支持システムであって、
a)少なくとも1つの垂直杭アンカーと、前記垂直杭アンカーは、
i)中心軸、上端、および下端を有する金属ケーシングと、
前記下端は、水底土壌に位置し、
前記上端は、前記水底土壌の上方に突出しており、かつ水面の下方に位置しており、
ii)上部と成形された下部とを備えるコンクリート柱と、を含み、
前記上部は、前記金属ケーシングを充填し、前記金属ケーシングの前記下端から前記金属ケーシングの前記上端付近まで延在し、
前記成形された下部は、前記金属ケーシングの前記下端の下で、さらに下の前記水底土壌中に延在し、前記上部の断面よりも大きい断面を有するゾーンを有し、
b)上面を有し、構造体を支持するように構成された浮遊プラットフォームと、
c)前記浮遊プラットフォームを前記少なくとも1つの垂直杭アンカーに結合する少なくとも1つの固定ケーブルと、を含み、前記少なくとも1つの固定ケーブルのそれぞれは、上端および下端を含み、
前記少なくとも1つの固定ケーブルのそれぞれの前記上端は、前記浮遊プラットフォームに結合され、
前記少なくとも1つの固定ケーブルのそれぞれの前記下端は、前記少なくとも1つの垂直杭アンカーの対応する垂直杭アンカーに結合され、
前記水中系支持システムは、強化された固定能力を提供することを特徴とする水中系支持システム。
【請求項11】
前記成形された下部は、少なくとも1つの局所的な高圧スパイクによって生成される、請求項10に記載の水中系支持システム。
【請求項12】
前記成形された下部を生成する前記少なくとも1つの局所的な高圧スパイクは、少なくとも1つの高電圧放電パルスによって生成される、請求項11に記載の水中系支持システム。
【請求項13】
支持システムであって、
a)垂直杭アンカーと、前記垂直杭アンカーは、
i)中心軸、上端、および下端を有する金属ケーシングと、前記下端は、土壌に位置し、前記上端は、土壌表面の上方に突出し、
ii)上部と成形された下部とを含むコンクリート柱と、前記上部は、前記金属ケーシングを充填し、前記金属ケーシングの前記上端付近から前記金属ケーシングの前記下端まで延在し、前記成形された下部は、前記金属ケーシングの前記下端の下で、さらに下の前記土壌中に延在し、前記上部の断面よりも大きい断面を有し、前記成形された下部は、向上した耐荷重性および固定能力を前記垂直杭アンカーに提供し、
iii)前記コンクリート柱の前記上部に少なくとも埋め込まれた少なくとも1つの取付けバーであって、前記コンクリート柱の前記上部の上方に突出する上端を有する前記少なくとも1つの取付けバーと、を含み、
b)前記少なくとも1つの取付けバーの前記上端を介して前記垂直杭アンカーに結合されたプラットフォームであって、構造体を支持するように構成された前記プラットフォームと、を含み、
前記支持システムは、垂直力および回転力に耐える強化された能力を提供することを特徴とする支持システム。
【請求項14】
前記垂直杭アンカーは、対称的な構成で配置された複数の垂直杭アンカーを含む、請求項13に記載の支持システム。
【請求項15】
前記コンクリート柱の前記成形された下部は、その中に埋め込まれた高電圧放電装置を備え、前記高電圧放電装置は、第1の電極および第2の電極を有し、
前記第1の電極は、第1の導体に電気的に結合され、前記第2の電極は、第2の導体に電気的に結合され、
前記第1の導体と前記第2の導体とは、互いに電気的に絶縁されている請求項13に記載の支持システム。
【請求項16】
前記第1の導体および前記第2の導体は、前記コンクリート柱の前記上部内で上方に延在する、請求項15に記載の支持システム。
【請求項17】
前記第1の導体および前記第2の導体は、同軸である、請求項16に記載の支持システム。
【請求項18】
前記少なくとも1つの取付けバーは、管状金属体を有する第1の取付けバーを備え、前記第1の取付けバーは、前記金属ケーシングの前記中心軸に沿って前記コンクリート柱の前記成形された下部内の下方に延在し、前記高電圧放電装置に結合される、請求項16に記載の支持システム。
【請求項19】
前記第1の導体および前記第2の導体は、前記第1の取付けバーの前記管状金属体内を通る、請求項18に記載の支持システム。
【請求項20】
前記少なくとも1つの取付けバーは、前記金属ケーシングの前記中心軸に沿って前記コンクリート柱の前記成形された下部内の下方に延在する第1の取付けバーを備え、
前記第1の取付けバーは、互いに電気的に絶縁された同軸一対導体の外側導体を形成する管状金属体を有し、前記同軸一対導体の他方の導体は、内側導体を構成し、
前記コンクリート柱の前記成形された下部は、その中に埋め込まれた高電圧放電装置を備え、前記高電圧放電装置は、第1の電極と第2の電極とを含み、
前記第1の電極は、前記外側導体に電気的に結合され、前記第2の電極は、前記内側導体に電気的に結合される請求項13に記載の支持システム。
【請求項21】
前記少なくとも1つの取付けバーは、前記金属ケーシングの前記中心軸に対して対称に配置された複数の取付けバーを備える、請求項13に記載の支持システム。
【請求項22】
前記複数の取付けバーは、第1の取付けバーと第2の取付けバーとを含み、前記第1および第2の取付けバーのそれぞれは、前記コンクリート柱の前記上部の上方に突出する上端を有し、
前記第1および第2の取付けバーのそれぞれは、前記コンクリート柱の前記成形された下部内の下方に延在する請求項21に記載の支持システム。
【請求項23】
前記複数の取付けバーは、第1の取付けバーおよび第2の取付けバーを備え、
前記コンクリート柱の前記成形された下部は、その中に埋め込まれた第1の高電圧放電装置およびその中に埋め込まれた第2の高電圧放電装置を含み、前記第1および第2の高電圧放電装置のそれぞれは、第1の電極および第2の電極を備える、請求項21に記載の支持システム。
【請求項24】
前記第1の取付けバーは、互いに電気的に絶縁された第1の同軸一対導体の外側導体を形成する管状金属体を有し、前記第1の同軸一対導体の他方の導体は、前記第1の同軸一対導体の内側導体を構成し、
前記第2の取付けバーは、互いに電気的に絶縁された第2の同軸一対導体の外側導体を形成する管状金属体を有し、前記第2の同軸一対導体の他方の導体は、前記第2の同軸一対導体の内側導体を構成し、
前記第1の高電圧放電装置の前記第1の電極は、前記第1の同軸一対導体の前記外側導体に電気的に結合され、
前記第1の高電圧放電装置の前記第2の電極は、前記第1の同軸一対導体の前記内側導体に電気的に結合され、
前記第2の高電圧放電装置の前記第1の電極は、前記第2の同軸一対導体の前記外側導体に電気的に結合され、
前記第2の高電圧放電装置の前記第2の電極は、前記第2の同軸一対導体の前記内側導体に電気的に結合される請求項23に記載の支持システム。
【請求項25】
前記プラットフォームに確実に結合され、かつ支持される風力タービンをさらに備える、請求項13に記載の支持システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年6月17日に出願された米国特許出願第17/350,982号の利益を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
技術分野
【0003】
本発明は、構造的基礎および固定(structural foundations and anchoring)の分野に関する。より具体的には、本発明は、成形杭アンカー(shaped pile-anchors)を利用する構造的基礎および固定の分野に関する。本発明は、水中(沖合)環境において、成形杭アンカー基礎および固定を提供するのに特に有用である。
【0004】
背景技術
【0005】
基礎は、建物、高い塔(例えば、風車、電気塔)、橋などのような、その上に配置された構造体を支持するように設計される。基礎は、一般に、地中に延在し、下の土壌に荷重を伝達するコンクリート杭を使用して、直接的または間接的に、すなわち、基礎の上に支持される構造体を介して杭に伝達される、基礎に対して加えられる可能性がある力からの移動を防止する。例えば、風力タービンのような構造体は、1000トンの範囲の垂直力および600トンの範囲の水平力を生成することができる。力および周囲の条件に応じて、杭の直径および長さは変化し得る。
【0006】
一般に、杭に作用する力が大きいほど、その直径が大きくなり、地中への突き刺しも大きくなる。弱い土壌が既存の荷重に抵抗する能力をほとんど持たないときはいつでも、重く深い基礎が必要である。
【0007】
基礎を建設する際に、設計者は、構造体自体およびその環境などのいくつかの異なる要因を考慮に入れる。例えば、構造体に関しては、設計者は、その寸法(例えば、高さ、サイズ、および重量)を考慮することができる。環境に関しては、設計者は、構造体およびその基礎の両方が動作する条件を考慮することができる。例えば、構造体が直面すると予想される温度および動的な力(例えば、風力)は、基礎およびそれらの杭に伝達される力に影響を与え得る。図1(a)および図1(b)は、風力タービンのための従来技術の基礎およびその杭に作用する力の例を示す。
【0008】
図1(a)は、風力タービンのポールの軸に沿って配置された単一の杭(モノパイル)6を有するプラットフォーム4上に配置された風力タービン構造体2の断面図を示す。(図は、プラットフォームが地面10のすぐ上に配置されていることを示しているが、プラットフォームは、地面に、または地面の直下に配置されていてもよい。)風力タービン構造体の重さは、プラットフォーム上に重力下向きの力Fを生成するものとして示されており、これは、モノパイル6に伝達される。図に示すように風が吹くと、風力タービン構造体に対して作用する水平力Fwが、構造体全体を転倒させようとする回転モーメント(rolling moment)Mとして基礎に伝達される。これは、ひいては、モノパイルを土壌10に押し付ける。しかしながら、モノパイル6が土壌内に堅固に固定されたままであるためには、土壌は、モノパイルに対して横方向の抵抗(lateral bearing)および曲げ抵抗を加えなければならない。この横方向の抵抗(lateral resistance)は、モノパイルの長さに沿って作用する横方向の力のセットFとみることができる。参照符号12は、加えられた力の複合的な影響下でのモノパイルの回転中心を示す。この中心の位置は、モノパイル長さの地下部分の土壌密度と強度分布に依存する。図1(a)に示すように、回転モーメントMが作用すると、回転中心点12における横方向の力は0ポンド(0lb)である。回転中心点12より上方へモノパイルを上がると、横方向の力は右から左に向けられ、徐々に増加し、土壌表面で最大の左方向の力が生じる。回転中心点12より下方へモノパイルを下がると、横方向の力は左から右に向けられ、徐々に増加し、モノパイル6の底部で最大の右方向の力が生じる。したがって、そのような基礎の場合、設計者は、土壌の最大の横方向の抵抗および曲げ抵抗を考慮しなければならない。
【0009】
図1(b)は、風力タービンのポール20に対して対称的に中央から離れて配置された2つの杭14および16を有する、プラットフォーム18上に配置された風力タービン構造体2の断面図を提供する(図は、プラットフォームが地面10のすぐ上に配置されていることを示しているが、プラットフォームは、地面に、または地面の直下に配置されていてもよい)。風力タービン構造体の重さは、プラットフォーム上に重力下向きの力Fを生成するものとして示されており、これは、F力の成分、FG1~FGnとして、杭に分配される。「n」は、杭の個数である。しかしながら、個々の成分FGxの大きさは、杭の個数だけでなく、重力Fの力がプラットフォームに対して加えられる点に対する杭の相対的な位置にも依存する。図1(b)において、2つの杭16および14は、重力Fの成分FG1および成分FG2をそれぞれ支えるものとして示されている。
【0010】
さらに、図1(b)に示す方向に風が吹いているとき、風力タービン構造体に作用する水平力Fwは、構造体を転倒させることに結びつく回転モーメントMを生成する。しかしながら、図中の2つのパイルは、適用される回転モーメントMを異なるように経験する。簡単にするために図1(b)に示されていない、図1(a)に類似する両方の杭に加えられる横方向の力に加えて、回転モーメントMは、杭14に下向きの力FMCを生じさせ、それを圧縮状態にする。同時に、回転モーメントMは、杭16に上向きの力FMTを生じさせ、重力と転倒力という2つの対向する力の組合せの結果によって、それをより圧縮されないように、または、さらに引っ張るようにする。したがって、このような基礎の場合、設計者は、杭と土壌の耐荷重能力(圧縮状態)を心配するだけでなく、次のことを確実にしなければならない。すなわち、a)杭が張力に耐えられること、およびb)重力圧縮力が転倒圧縮力よりも低い場合に、杭が土壌から引き抜かれるのを防ぐために、土壌と杭との間の摩擦が十分であることを確実にしなければならない。
【0011】
沖合(水中)環境は、特有の問題を提示するので、基礎が陸上に位置するか、それとも沖合に位置するかは、基礎の設計にも大きく影響する。例えば、水中環境では、基礎の杭の下部は水底土壌内にある一方、杭の上部は土壌の上方に延び、水中媒体(淡水または塩水)に曝露される。その結果、基礎に作用する全体的な力は、構造体、水中媒体(波、水流など)、および任意の土壌移動によって及ぼされる力の組合せとなる。したがって、基礎の動きを最小限に抑えるために、基礎設計者は、基礎に作用する垂直力、回転力および水平力を考慮すべきである。これは、橋、風力タービン、電気塔、信号塔などのような、重いおよび/または高い構造体を支持する水中系基礎にとって特に重要である。基礎を共振状態に置かないようにするために、設計者は、様々な変動する力に関連する基礎の固有振動数も考慮することに留意されたい。
【0012】
図2には、いくつかの従来技術の水中系基礎のオプションが示されている。例えば、「a)重力」とラベル付けされたオプションは、水中に約15メートル下方に延在する基礎の上に配置された風力タービン構造体を示す。基礎は、水底面に埋設された平板上に載置された円錐の形状を有する。このタイプの基礎は、重力型と呼ばれる。
【0013】
「b)モノパイル」とラベル付けされたオプションは、モノパイル型基礎の上に配置された風力タービン構造体を示す。モノパイルは、水深約27メートルに位置し(モノパイルの上部)、水底にさらに27メートル突き刺さっている(モノパイルの下部)。したがって、上部と下部の比は約1:1である。
【0014】
「c)支線を有するモノパイル」とラベル付けされたオプションは、「b)モノパイル」オプションと同様であるが、追加の構造的支持のために支線(Guy Wires)が垂直モノパイルに補完されている点が異なる。支線の特徴は、上側モノパイル部分/下側モノパイル部分の比を4:1にすることができる。このオプションでは、水深は約40メートルであり、モノパイルは水中土壌にさらに10メートル突き刺さる。結果として、「c)支線を有するモノパイル」オプションは、より短い全長を有する一方、構造体、例えば風力タービンが、「b)モノパイル」オプションよりも深い水深である沖合の場所に配置されることを可能にする。
【0015】
「d)三脚」とラベル付けされたオプションは、底部に3つの相互接続された支持体を有するモノパイルを含む三脚型基礎を示す。このオプションでは、モノパイルおよび各支持体は、水底土壌を約10メートル突き刺さし、他の支持体との相互接続に加えて、モノパイルに接続する斜め延長線(diagonal extension)も有する。
【0016】
「e)ブレースフレーム(Braced Frame)」とラベル付けされたオプションは、ブレースフレームタイプの基礎を示す。ここで、風力タービン構造体は、ブレースフレームに接続され、このブレースフレームは、水底土壌に埋め込まれた4つの杭によって支持される。
【0017】
「f)サクションバケットを有するテンション脚部」とラベル付けされたオプションは、水底土壌中に埋設されたサクションバケット(suction buckets)にテンションワイヤによって接続されたテンション脚部を備える基礎構造体を示す。各テンション脚部の他端は、ブイに接続されているように見える。
【0018】
最後に、「g)サクションアンカーを有するバラスト安定化ブイ」とラベル付けされたオプションは、ワイヤによって水底土壌中に埋設されたサクションアンカーに接続されたバラスト安定化ブイ(ballast stabilized buoy)を示す。
【0019】
しかしながら、これらの従来技術の水中環境基礎のいずれも、基礎に対して加えられる垂直力、横方向の力、および/または回転力に耐えるための強化された能力を提供することによって、基礎の耐荷重を増加させ、かつ、基礎が位置する土壌からの引き抜きに対する強化された抵抗を有する、現場成形杭アンカー(in-situ shaped piles-anchors)を含まない。
【0020】
陸上用途のために水力電気浸漬技術(hydroelectric immersed technology (HIT))を使用して杭アンカーを現場成形することが知られている。陸上用途のためにそのように成形されるアンカー成形方法の1つは、米国特許第10,577,767号に開示されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。また、油圧力(hydraulic forces)および爆発物を介して、杭アンカーを現場成形することも知られている。しかしながら、これらの従来技術のアンカー成形方法およびアンカー設計は、現場成形アンカーのかなりの部分が水中媒体(淡水または塩水)中で形成され、機能する水中系環境に簡単に適用できない制限を有する。
【0021】
例えば、爆発性材料を用いて成形された従来技術の杭アンカーには、いくつかの制限がある。第1に、アンカー成形爆発を1つよりも多く作り出すことは困難であり、したがって、杭アンカーを成形する能力を制限する。第2に、爆発プロファイル自体を制御することは困難である。第3に、爆発性材料は、杭アンカーの底部から除去されなければならないガスを発生させる。これらのガスが、除去されるか、または杭アンカーのウェットコンクリートのスタックを介して表面に逃げるとき、これらのガスは、コンクリート材料を弱めることがあり、したがって、全体的な杭アンカー構造を弱めることがある。第4に、爆発性材料の使用は危険であり、第5に、爆発によって生じる低周波振動は、近くの構造体を不安定にし、水生動物に悪影響を及ぼす可能性がある。
【0022】
さらに、水力電気浸漬技術(「HIT」)を使用する現場成形杭アンカー基礎の公知の方法は、その成形後にウェットコンクリート柱から高電圧放電装置を回収することを必要とする。しかしながら、そのような撤去は、コンクリート柱の内部構造を弱め、微小亀裂を生じ、結果として生じる杭アンカーを弱めることによって、コンクリート固化のプロセスを妨害し得る。
【0023】
したがって、本発明の1つの目的は、杭アンカーのコンクリート柱の上部を覆う金属ケーシングを含む1つまたは複数の現場成形杭アンカーを使用することによって、水中環境における垂直力、横方向の力、および/または回転力に耐える向上した能力を有する基礎を提供することである。
【0024】
本発明の別の目的は、ウェットコンクリートにおいて高電圧放電パルスを利用する水力電気浸漬技術(「HIT」)を使用して形成される、杭アンカーのコンクリート柱の上部を包囲する金属ケーシングを含む、1つまたは複数の現場成形杭アンカーを有する水中系基礎を提供することである。
【0025】
本発明の別の目的は、HITを使用して形成された1つまたは複数の成形杭アンカーを有する基礎を、従来技術に存在する杭アンカー脆弱化の問題なしに提供することである。
【0026】
本発明の別の目的は、水底土壌に埋め込まれた1つまたは複数の成形アンカーを有し、固定ケーブルを介して、水中媒体の表面に位置する浮遊プラットフォームに結合された水中系アンカーを提供することである。
【0027】
発明の概要
【0028】
本明細書で使用するとき、用語「杭アンカー」は、それに対して加えられる下向きの力(例えば、重量による圧縮)に耐えることができるとともに、要素が地面から引き抜かれることを防止する特徴(すなわち、固定特徴)も有する少なくとも部分的に埋設された構造杭を指す。本発明は、新規な現場成形杭アンカーを使用する基礎システムおよび方法に関し、それらは、特に、杭アンカーのかなりの部分が水中媒体(水)中で形成され、動作する水中環境において有用である。特に、本発明の基礎の成形杭アンカーは、コンクリートが充填された管状金属ケーシング(tubular metal casing)を備え、その下端は地中(例えば、水底土壌)の所定の深さに位置し、その上端は水面の上方に突出する。コンクリートは、実質的にケーシングの上端に至るまで金属ケーシングの内部を満たし、コンクリート柱の上部を形成する。(結果として得られる成形杭アンカーが必要な荷重に耐えるのに十分な強度を有する限り、杭アンカーのコンクリート柱の上部は、金属ケーシングの内部を部分的にのみ、例えば金属ケーシングの高さの半分だけ満たすことができる。このような代替的な実施形態は、プロジェクトに必要なコンクリートの量を低減し、プロジェクトの材料および労働コストをさらに低下させる。)コンクリート柱の下部は、金属ケーシングの下端の下方に延在し、さらに地中にまで延在する。下部は、下部の少なくとも一箇所において、管状金属ケーシングの内径であるコンクリート柱の上部の断面よりも大きい断面を有するように成形される。
【0029】
一実施形態では、本発明の杭アンカーは、コンクリート柱に埋め込まれた金属(例えば、鋼鉄)骨組みロッド、バー、またはメッシュをさらに備え、強化コンクリート柱を形成し、その結果、杭アンカーは、引張応力および剪断応力に耐えるさらなる強度を有する。
【0030】
本発明の基礎システムおよび方法は、任意の数の新規な杭アンカー(すなわち、1つまたは複数の杭アンカー)とともに使用することができるが、支持構造体は、好ましくは、支持荷重に対して対称的に分配された支持を提供すべきであるため、1つの好ましい実施形態では、本発明の基礎システムは、単一の、中央に位置する杭アンカーを有することができ、一方、別の好ましい実施形態では、本発明の基礎は、いくつかの対称的に位置する杭アンカーを有することができる。
【0031】
一実施形態では、本発明は、成形杭アンカーを支持構造体(例えば、風力タービン)に直接接続することを企図する。別の実施形態では、本発明は、プラットフォームを介して、成形杭アンカーを支持構造体に結合することを企図する。(本明細書で使用するとき、用語「プラットフォーム」は、成形杭アンカーを支持構造体に結合する任意の要素を指す。例えば、本明細書で使用するとき、用語「プラットフォーム」は、結合リング、支柱構造体などを含む。)1つ以上の成形杭アンカーに結合されたプラットフォームは、その上に配置された構造体、例えば、料金塔、風車、風力タービン、電気塔、および信号塔などのための支持体を形成する。一実施形態では、プラットフォームは、実質的に水平なプラットフォームである。したがって、本発明は、プラットフォームの使用の有無にかかわらず、1つまたは複数の成形杭アンカーを支持構造体(例えば、風力タービン)に結合することを企図する。
【0032】
一実施形態では、成形杭アンカーは、取付けバーを使用して、プラットフォームまたは支持構造体などの、その上の要素に接続する。取付けバーは、杭アンカーのコンクリート柱に埋設され、コンクリート柱の上部よりも上方に突出している。取付けバーの外側面は、好ましくは、プロファイル加工(リブ加工、テクスチャ加工など)され、コンクリートが固化した後に、取付けバーがコンクリート柱から引き抜かれるのを防止する。また、本発明の成形杭アンカーは、杭アンカーの金属ケーシングを介して、その上の要素に結合されてもよい。成形杭アンカーが取付けバーを含む場合、その上の要素への杭アンカーの結合は、取付けバー、金属ケーシングのいずれか、またはその両方を介して達成され得る。一実施形態では、杭アンカーは、水中(水)表面の上方に延在し、空気中で、その上方の要素(プラットフォームまたは支持構造体)に接続する。別の実施形態では、杭アンカーは、水面の上方に延在せず、水中で、その上の要素に接続する。
【0033】
杭アンカーの成形された下部は、杭アンカーの重心を下げ、金属ケーシングによって囲まれた上部と一緒に、基礎に対して加えられる垂直力、水平力、および/または回転力に耐える基礎の能力を高める。具体的には、杭アンカーの下部の設置領域(footprint)の増加は、下向きの荷重力を支持土壌のより大きな表面積にわたって分散させることによって、基礎の支持能力を増加させる。その結果、杭アンカーは、地面にさらに沈み始める前に、より重い荷重を支持することができる。加えて、杭アンカーの成形された部分は、より多くの重量および体積を与え、その双方が、土壌からそれを引き抜こうと試みる可能性がある力に抵抗する杭アンカーの能力を向上させる。これは、プラットフォーム上に配置された構造体に起因するモーメント力に加えて、杭アンカーが、底からプラットフォームに当たる波に起因する上向きの垂直力を受ける可能性がある水中環境において最も関連性がある。同時に、コンクリート柱の上部を取り囲む金属ケーシングは、コンクリート柱にさらなる強度を与え、また、水平力に耐える杭アンカーの能力を増加させる。
【0034】
本発明の基礎は、垂直力、水平力、および/または回転力(荷重)に耐える向上した能力を有するので、設計者は、柱の直径、および杭アンカーが土壌中に突き刺さる必要がある深さを低減することができる。これにより、重機(クレーン等)の種類や、基礎の建設に要する材料や時間が削減され、建設コストの削減につながる。
【0035】
また、本発明は、成形杭アンカー基礎を形成する新規な方法を含む。一実施形態では、コンクリート柱の下部の成形は、コンクリートが固まっていない間にHITを使用して行われる。HITについては、水またはウェットコンクリートなどの流体媒体内に爆発を生じさせるための電気的破壊のために正確にギャップを設けた2つの電極の間に高電圧放電パルスを使用すること(高電圧放電装置)が知られている。破壊の瞬間に、1013Paおよび10,000℃に達することができる放電ゾーンが形成される。放電ゾーンは、コンクリート混合物中の比較的小さなプラズマキャビティ(plasma cavity)に変化する。電気爆発によって発生した衝撃波は、運動エネルギーの強力な衝撃を混合物に伝え、周囲土壌に作用して、それを変形させ、移動させ、圧縮する。プラズマの温度が低下すると、プラズマキャビティ内の圧力も低下し、コンクリート混合物は重力下でキャビティを充填し、それによって、コンクリート柱の下部の設置領域を成形し、拡張する。アンカーの下部が十分に成形(拡張)されるまで、放電が繰り返される。この拡張は、コンクリート柱におけるウェットコンクリートの消費量によって推定される。
【0036】
HIT技術を使用する杭アンカーの成形中、追加のガスおよび/または流体は生成されず、プラズマボール(plasma ball)は、化学反応および/または変換なしに、周囲材料からその蒸発およびイオン化、その結果としての同じ体積に戻る凝縮によって生成される。
【0037】
HIT技術は、本発明の杭アンカーを成形するために好ましいが、本発明は、油圧および爆発物などの他の技術を使用して杭アンカーを成形することを企図する。しかしながら、使用される成形技術にかかわらず、本発明の杭アンカーは、少なくとも、杭アンカーを強化し、様々な力に耐える能力を向上させる、杭アンカーのコンクリート柱の上部を取り囲む金属ケーシングを備える点で、従来技術の成形杭とは異なる。さらに、成形杭アンカーを形成する従来技術のHIT使用方法とは対照的に、本発明の方法の一実施形態では、高電圧放電装置(点火装置(sparker))は、成形後にウェットコンクリート柱の下部から取り除かれず、代わりにコンクリート材料内に常に埋め込まれたままにされる。成形後にコンクリートから高電圧放電装置を取り除かないことによって、すなわち、高電圧装置およびその接続導体を、柱の下部から表面に至るまで引き抜かないことによって、コンクリート柱に微小亀裂を生じさせることや、脆弱化することの危険性が排除される。
【0038】
従来技術に対する別の改良では、本発明の成形杭アンカーが取付けバーを含む場合、取付けバーは、中空の中心を有する金属管であってもよい。そのような実施形態では、本発明の方法は、取付けバーを利用して、基礎組立プロセス中に、プラットフォームに(または風力タービンなどの基礎によって支持される構造体に直接に)杭アンカーを結合する(直接的にまたは間接的に接続する)だけでなく、コンクリート柱の成形中に高電圧パルスを高電圧放電装置に供給するための同軸に配置された2つの導体のうちの外側導体として取付けバーを使用することもできる。一実施形態では、本発明は、杭アンカーと、少なくとも1つの杭アンカーに結合されたプラットフォームとを備える水中系支持システムを提供し、水中系支持システムは、垂直力、横方向の力、および/または回転力に耐える強化された能力を提供する。本実施形態において、上記水中系システムの杭アンカーは、(i)中心軸、上端、および下端を有し、下端が水底土壌中に位置し、上端が水面上に突出する、管状金属ケーシングと、(ii)上部および下部を備えるコンクリート柱であって、上部は、管状金属ケーシングを充填し、管状金属ケーシングの上端付近から管状金属ケーシングの下端まで延在し、下部は、少なくとも1つの局所的な高圧スパイク(local high-pressure spike)によって成形され(例えば、少なくとも高電圧放電パルスによって作り出され)、管状金属ケーシングの下端の下からさらに水底土壌中まで延在し、上部の断面よりも大きい断面を有し、下部が杭アンカーの耐荷重力を増大させるコンクリート柱と、(iii)少なくともコンクリート柱の上部に埋め込まれた少なくとも1つの取付けバーとを含み、少なくとも1つの取付けバーは、コンクリート柱の上部の上方に突出する上端を有する。プラットフォームは、少なくとも取付けバーの上端、金属ケーシングのいずれか、またはその両方を介して、少なくとも1つの杭アンカーに結合され、プラットフォームに確実に結合される風力タービンなどの構造体を支持するように構成される。
【0039】
一実施形態では、システムは、対称的な構成(例えば、三角形、長方形、円形など)に配置された複数の杭アンカーを備えてもよい。
【0040】
一実施形態では、少なくとも1つの取付けバーは、コンクリート柱の上部の上方に突出する上端を有する第1の取付けバーを備えることができ、第1の取付けバーは、管状金属ケーシングの中心軸に沿ってコンクリート柱の下部内へ下方に延在し、第1の取付けバーは、互いに電気的に絶縁された同軸一対導体における外側導体を形成する管状金属体を備え、同軸一対導体における他方の導体は内側導体を構成し、外側導体および内側導体は、コンクリート柱の下部の成形のために少なくとも1つの高電圧放電パルスを伝導するように構成される。コンクリート柱の下部は、第1の電極と第2の電極とを備える高電圧放電装置を含むことができ、第1の電極は外側導体に電気的に結合され、第2の電極は内側導体に電気的に結合される。
【0041】
一実施形態では、少なくとも1つの取付けバーは、管状金属ケーシングの中心軸に対して対称に配置された複数の取付けバーを備えてもよい。
【0042】
一実施形態では、複数の取付けバーは、第1の取付けバーおよび第2の取付けバーを備え、第1および第2の取付けバーのそれぞれは、コンクリート柱の上部の上方に突出する上端を有し、第1および第2の取付けバーのそれぞれは、コンクリート柱の下部内へ下方に延在し、第1および第2の取付けバーのそれぞれは、互いに電気的に絶縁された同軸一対導体の外側導体を形成する管状金属体を備え、同軸一対導体の他方の導体は、内側導体を構成し、同軸一対導体の外側導体および内側導体は、コンクリート柱の下部を成形するための少なくとも1つの高電圧放電パルスを伝導するように構成される。
【0043】
コンクリート柱の下部は、第1の高電圧放電装置および第2の高電圧放電装置などの複数の高電圧装置を備えてもよく、第1および第2の高電圧放電装置のそれぞれは、第1の電極および第2の電極を備え、第1の高電圧放電装置の第1の電極は、第1の取付けバーの外側導体に電気的に結合され、第1の高電圧放電装置の第2の電極は、第1の取付けバーの内側導体に電気的に結合され、第2の高電圧放電装置の第1の電極は、第2の取付けバーの外側導体に電気的に結合され、第2の高電圧放電装置の第2の電極は、第2の取付けバーの内側導体に電気的に結合される。
【0044】
一実施形態では、本発明は、強化された固定能力を有し、i)少なくとも1つの杭アンカーと、ii)上面を有し、風力タービンなどの構造体を支持するように構成された浮遊プラットフォームと、iii)浮遊プラットフォームを少なくとも1つの杭アンカーに結合する少なくとも1つの固定ケーブルとを備える、水中系支持システムを提供する。
【0045】
そのような実施形態では、少なくとも1つの杭アンカーのそれぞれは、i)中心軸、上端、および下端を有する管状金属ケーシングであって、下端が水底土壌内に位置し、上端が水底土壌の上方に突出し、水表面(水面)の下方に位置する管状金属ケーシングと、ii)上部および下部を含むコンクリート柱とを含み、上部は、管状金属ケーシングを充填し、管状金属ケーシングの下端から管状金属ケーシングの上端付近まで延在し、下部は、少なくとも1つの局所的な高圧スパイクによって(例えば、高電圧放電パルスから)成形され、管状金属ケーシングの下端からさらに下方の水底土壌内へ延在し、上部の断面よりも大きい断面を有するゾーンを有する。
【0046】
そのような実施形態では、少なくとも1つの固定ケーブルのそれぞれは、上端および下端を含み、ケーブルの上端は、浮遊プラットフォームに結合され、ケーブルの下端は、ケーブルの対応する杭アンカーに結合される。
【0047】
そのような一実施形態では、少なくとも1つの杭アンカーは、対称的な構成に配置された複数の杭アンカー(例えば、三角形構成に配置された3つの杭アンカー)を備え、少なくとも1つの固定ケーブルは、それぞれの杭アンカーに結合された複数の固定ケーブル(例えば、それぞれの杭アンカーに結合された少なくとも3つの固定ケーブル)を備える。
【0048】
また、本発明は、風力タービンなどの構造体を支持するように構成された水中系支持システムを建設するための方法を提供する。方法は、杭アンカーを形成するステップと、杭アンカーの金属ケーシングおよび/または取付けバーの上端を介して、杭アンカーをプラットフォームまたは支持構造体(例えば、風力タービン)に結合するステップとを含む。得られる水中系支持システムは、横方向の力、垂直力、および/または回転力に耐える強化された能力を提供する。
【0049】
本発明の方法の一実施形態では、杭アンカーは、i)中心軸、長さ、上端、および下端を有する管状金属ケーシングを提供するステップと、ii)ケーシングの上端が水表面(水面)の上方に延在するように、管状金属ケーシングの下端を水底土壌に打ち込むステップと、iii)管状金属ケーシングをコンクリート混合物で実質的に充填してウェットコンクリートのスタックを形成するステップと、iv)管状金属ケーシングの上端の上方に突出する上端を有する少なくとも1つの取付けバーを管状金属ケーシングの下方に挿入するステップと、v)管状金属ケーシングを所定の高さだけ垂直に持ち上げ、それによってウェットコンクリートのスタックの下部を周囲の水底土壌に露出させるステップと、vi)ウェットコンクリートのスタックの下部に少なくとも1つの高圧スパイク(例えば、高電圧放電パルスによって作り出される)を生成し、周囲の水底土壌を圧縮して、結果として生じる空間にコンクリート混合物を充填することを可能にし、それによって、ウェットコンクリートのスタックの下部を、管状金属ケーシング内のウェットコンクリートのスタックの断面よりも大きい断面を有するゾーンを有するように成形するステップと、vii)少なくとも1つの高電圧放電パルスに続くウェットコンクリートのスタックの高さの低下を補うために、管状金属ケーシング内に追加量のコンクリート混合物を堆積させるステップと、viii)ウェットコンクリートのスタックを固化させ、それによって、上部と成形された下部とを有するコンクリート柱を形成するステップと、を用いて形成される。成形プロセスでは、杭アンカーの下部を形成した量のコンクリートが、ケーシングを完全に充填するために、杭アンカーの上部に加えられる。
【0050】
本発明の方法は、前の段落に記載され、以下でさらに詳細に開示される杭アンカーの形成を可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0051】
図面の簡単な説明
【0052】
同様の参照符号が、別個の図全体を通して同一または機能的に類似の要素を指す添付の図面は、以下の詳細な説明とともに、本明細書の一部をなすものとして組み込まれ、特許請求の範囲に記載される発明を含む概念の実施形態をさらに例示し、それらの実施形態の様々な原理および利点を説明するのに役立つ。
【0053】
図1(a)および図1(b)は、従来技術の陸上基礎システムを示す。
【0054】
図2は、種々の従来技術の海洋基礎システムを示す。
【0055】
図3は、風力タービン構造体を支持する単一の成形杭アンカーを備える、本発明の水中系基礎の実施形態を示す。
【0056】
図4(a)~図4(c)は、風力タービン構造体を支持する複数の成形杭アンカーを備える、本発明の水中系基礎の様々な実施形態を示す。
【0057】
図5は、複数の成形杭アンカーを使用する本発明の水中系基礎システムの実施形態の断面図を示す。
【0058】
図6(a)および図6(b)は、本発明の一実施形態による、成形杭アンカーを形成するための方法を示す。
【0059】
図7は、高電圧パルスの放電中にウェットコンクリートの混合物に何が起こるかを示す。
【0060】
図8は、本発明の成形杭アンカーの代替実施形態を示す。
【0061】
図9(a)~図9(c)は、高電圧放電機構の様々な配置を伴う成形杭アンカーの上面図を示す。
【0062】
図10は、図8の成形杭アンカーの高電圧放電機構をさらに詳細に示す。
【0063】
図11(a)および図11(b)は、成形杭アンカーを形成するための方法の代替実施形態を示す。
【0064】
図12は、浮遊プラットフォームを使用する本発明の水中系基礎システムの実施形態を示す。
【0065】
当業者であれば、図中の要素は、簡略化および明瞭化のために示されており、必ずしも縮尺通りに描かれていないことを理解するであろう。例えば、図中のいくつかの要素の寸法は、本発明の実施形態の理解を助けるために、他の要素に対して誇張されている場合がある。
【0066】
システムおよび方法の構成要素は、適宜、図面において慣習的シンボルによって表されており、本明細書の説明の恩恵を受ける当業者には容易に明らかなになる詳細によって開示を不明瞭にしないように、本発明の実施形態の理解に関連する特定の詳細のみを示している。
【0067】
発明を実施するための形態
【0068】
以下の詳細な説明は、本発明のシステムおよび方法のいくつかの実施形態を開示する。
【0069】
上述のように、本発明は、杭アンカーのかなりの部分が、水中媒体(水)中で形成され、動作する水中環境において特に有用である、新規な現場成形杭アンカーを使用する支持システムおよび方法を対象とする。
【0070】
図3は、風力タービン構造体2が、単一の成形杭アンカー39によって支持されるプラットフォーム38の上に置かれる、本発明の水中系基礎システム30の実施形態を示す。(他の実施形態では、風力タービン構造体は、プラットフォームを使用することなく、成形杭アンカーに直接結合してもよい)。杭アンカー39は、水中土壌34に部分的に埋設され、水中媒体(水)35を通り、水面の上方で空気36中へ延在する。杭アンカー39は、金属ケーシング40と、上部42および下部44の2つの部分を有するコンクリート柱とを備える。図3の実施形態では、コンクリート柱の上部42は、ケーシングの下端からケーシングの上端まで、またはその上端付近まで金属ケーシング40を充填する。参照符号「D」は、金属ケーシング40内のコンクリート柱の上部42の断面を示す。好ましい実施形態では、金属ケーシング40は管状であるので、断面Dは均一であり、ケーシングの内径に等しい。本発明の成形杭アンカーにおける金属ケーシングの使用は、杭アンカーを強化し、それを水中環境での使用に特に適合させる。コンクリート柱の下部44は、金属ケーシングの下端の下方で、さらに下方の水中土壌34内へ延在する。下部44は、コンクリート柱の上部42の断面Dよりも大きい断面Dを有するように成形される。図3では、下部44は、球根状(例えば、球状)の形状を有する。下部44の横断面は、大きさおよび形状が変化するが、コンクリート柱の上部42の断面Dよりも大きい断面Dを有するゾーンを有する。図3に示すように、Dは、下部44の最大断面である。断面Dに比べて、断面Dは、杭アンカーの設置領域を増大させ、杭アンカーを介して伝達されるあらゆる下向きの力を支持土壌のより大きな表面積に分散させる。さらに、杭アンカーの成形は、その重心を下げ、それをより安定させる。
【0071】
金属製先端部45が、コンクリート柱の下部44から、さらに下方の水中土壌34へ延在している。図3の実施形態では、金属製先端部は円錐形状を有するが、本発明はこれに限定されず、他の形状、例えばピラミッド形状も企図する。金属製先端部の主な機能は、ケーシング40を土壌34に打ち込む間に、ケーシング内部に水および土壌が溜まるのを防止することである。金属製先端部45は、ケーシング40に着脱可能に結合される。しかしながら、それは、(以下に説明するように)杭アンカーの形成中にケーシングが部分的に持ち上げられる間、およびその後、土壌34内に置かれたままとなる。
【0072】
別の実施形態では、ケーシングが、金属製先端部を使用せずに土壌中に打ち込まれ得る場合、成形杭アンカーは、金属製先端部を備えていない。しかしながら、そのような実施形態では、杭アンカーを形成する次のステップが行われる前に、土壌および水からケーシングを洗浄しなければならない。
【0073】
杭アンカー39は、コンクリート柱に埋め込まれ、コンクリート柱の上部42の上方に、好ましくは金属ケーシング40の上端の上方に突出する上端を有する少なくとも1つの取付けバー46をさらに備えていてもよい。
【0074】
取付けバー46は、取付けバーが受ける可能性がある最大の上向き垂直力によってコンクリートから引き抜かれることを防止するために、コンクリート柱に十分深く埋め込まれるべきである。一実施形態では、取付けバーは、コンクリート柱の下部44中に至るまで下方に延在する。取付けバー46の外側面は、好ましくは、プロファイル加工(リブ加工、テクスチャ加工など)され、これは、コンクリート柱内での保持性をさらに向上させる。
【0075】
1つまたは複数の取付けバー46を有することに加えて、杭アンカーは、さらに、コンクリート柱に埋め込まれた金属(例えば、鋼鉄)骨組みロッド、バー、またはメッシュをさらに備え、杭アンカーの引張特性および剪断特性をさらに向上させる。
【0076】
取付けバー46は、直接的または間接的のいずれかで、杭アンカー39をプラットフォーム38に結合する。好ましい実施形態では、プラットフォーム38は、実質的に水平なプラットフォームである。図3には示されていないが、杭アンカー39とプラットフォーム38との間にスペーサーが使用されてもよい。
【0077】
プラットフォームが省略される実施形態では、取付けバーは、成形杭アンカーを支持構造体(例えば、風力タービン)に直接結合してもよい。取付けバーが省略される実施形態では、成形杭アンカーは、アンカーの金属ケーシングを介して、プラットフォームまたは支持構造体に結合してもよい。
【0078】
図3において、記号Fは、プラットフォーム38上の風力タービン構造体の重さによって及ぼされる力を表す。風力タービン2の重心線が管状金属ケーシング40の中心軸と一致しているとすると、力Fは、杭アンカー39を介して支持土壌へ垂直方向に伝達される。従来技術の杭とは対照的に、杭アンカー39の成形された下部44は、図3に示されるように、増大した断面Dを有するので、Dは、下部44の最大断面である。杭アンカーの設置領域の増大した断面は、杭アンカーを介して伝達されるあらゆる下向きの力を、支持土壌のより大きな表面積にわたって分散させる。
【0079】
図3に示すように風が吹いているとき、風力タービン構造体2に作用する水平力Fwが、構造体全体を転倒させようとする回転モーメントMとして基礎に伝達される。これにより、杭アンカー39が土壌34に押し付けられる。この横方向の抵抗は、杭アンカーに沿った回転中心点32で向きを変えながら、土壌34内の杭アンカーの断面に沿って作用する横方向の力Fのセットとみることができる。例えば、図に示されるように作用する回転モーメントMでは、回転中心点(参照符号32)における横方向の力は、0ポンド(0lb)である。回転中心点32の上方で杭アンカーを上に移動すると、横方向の力は右から左に向けられ、徐々に増加し、土壌表面で最大の左方向の力が生じる。回転中心点32の下方で杭アンカーを下に移動すると、横方向の力は左から右に向けられ、徐々に増加し、最大の右方向の力が杭アンカーの底部に生じる。
【0080】
加えて、水中媒体35の表面上の波は、底部からプラットフォーム38に当たっている可能性があるので、それらの波は、プラットフォーム38に対して上向きの垂直力を加えている可能性がある。このような力が下向きの力Fよりも大きい場合、プラットフォーム38に作用する合成垂直力は、上向きの垂直力となる。プラットフォーム38は、杭アンカーに堅固に結合されるので、杭アンカーは、引張状態になる。コンクリート柱の上部の周りに金属ケーシングを有することに加えて、杭アンカーの全体的な強度を高めるために、コンクリート柱の下部44は、杭アンカー39の固定特性を高める。例えば、下部44は、大きな表面積を有し、これは、杭アンカーと土壌との結合を増大させ、杭アンカーが土壌から引き抜かれるのを防止するのに役立つ。
【0081】
加えて、下部44の体積が増加すると、杭アンカーの全体の重量が増加し、その重心が低くなり、杭アンカーに加えられる力の方向にかかわらず、システムの固定能力がさらに向上し、杭アンカーと土壌との接触が維持される。
【0082】
さらに、コンクリート柱の下部44の断面を増加させると、その上の土壌の量が増加する。その土壌の重量は、システムの固定特性をさらに増加させる。
【0083】
本発明の支持システムは、任意の数の杭アンカーと共に使用することができるが、好ましくは、上記の構造体を支持するために対称的に配置された3つ以上の杭アンカーと共に使用される。図4(a)~図4(c)は、その上に配置された構造体を支持する複数の対称的に配置された成形杭アンカーを含むいくつかの基礎システムの上面図を示す。
【0084】
例えば、図4(a)は、3つの等距離に配置された杭アンカー54(a)、54(b)、および54(c)によって支持されるプラットフォーム52の上部に設置された風力タービン構造体2を示す。参照符号56によって参照されるドットは、三角形に配置された支持システムの中心軸と一致する、風力タービン構造体の重心を示す。
【0085】
図4(b)は、正方形構成に配置された4つの杭アンカー64(a)、64(b)、64(c)、および64(d)によって支持されたプラットフォーム62の上部に設置された風力タービン構造体2を示す。参照符号56によって参照されるドットは、正方形に配置された支持システムの中心軸と一致する、風力タービン構造体の重心を示す。
【0086】
図4(c)は、円形構成に配置された8つの杭アンカー74(a)、74(b)、74(c)、74(d)、74(e)、74(f)、74(g)、および74(h)によって支持されるプラットフォーム72の上部に設置された風力タービン構造体2を示す。参照符号56によって参照されるドットは、円形に配置された支持システムの中心軸と一致する、風力タービン構造体の重心を示す。
【0087】
図5は、風力タービン構造体2が、複数の成形杭アンカーによって支持されるプラットフォーム82の上部に設置された、本発明の水中系基礎システム80の断面図を示す。図において、断面図は、隣接する2つの杭アンカー91(a)と91(b)との間の線に沿って取られている。図の面に沿って見ると、2つの杭アンカー91(a)および91(b)から等距離にあり、重力Fの重力下向き成分FG1およびFG2として2つの杭アンカー上に分配される鉛直線に沿って風力タービン構造体2の重力Fが方向付けられるように、2つの杭アンカーの間に風力タービン構造体2は配置される。
【0088】
各杭アンカー91(a)および91(b)は、水中土壌34に部分的に埋設され、水中媒体(水)35を通り、水面の上方で空気36中に延在する。複数の杭アンカーは、金属ケーシング84(a)および84(b)と、2つの部分、すなわち上部86(a)および86(b)と、下部88(a)および88(b)とをそれぞれ有するコンクリート柱とをそれぞれ備える。コンクリート柱の各上部86(a)および86(b)は、ケーシングの下端からケーシングの上端まで、またはその上端付近まで、それぞれの金属ケーシング84(a)および84(b)を充填する。参照符号Dは、金属ケーシング84(a)および84(b)内の柱の上部86(a)および86(b)のそれぞれの断面寸法を示す。好ましい実施形態では、金属ケーシングは管状であるため、断面Dは均一であり、ケーシングの内径に等しい。コンクリート柱の下部88(a)および88(b)は、それぞれの金属ケーシング84(a)および84(b)の下端の下方で、さらに下方の水中土壌34内へ延在する。下部88(a)および88(b)は、それぞれ対応する上部86(a)および86(b)の断面Dよりも大きい断面を有するように成形される。図5では、下部88(a)および88(b)のそれぞれは、球根状または球状の形状を有する。各下部の横断面は、大きさおよび形状が変化するが、各下部は、対応するコンクリート柱の断面Dよりも大きい断面を有するゾーンを有する。図5に示すように、Dは、下部88(a)および88(b)の最大断面である。断面Dと比べて、断面Dは、それぞれの杭アンカーの設置領域を増大させ、杭アンカーを介して伝達されるあらゆる下向きの力を支持土壌のより大きな表面積に分散させる。
【0089】
金属製先端部89(a)、89(b)は、それぞれのコンクリート柱の対応する下部88(a)、88(b)から、さらに下方の水中土壌34中まで延在する。図5の実施形態では、金属製先端部は円錐形状を有するが、本発明はこれに限定されず、他の形状、例えばピラミッド形状も企図される。上述のように、成形杭アンカーの別の実施形態は、金属製先端部を全く使用しなくてもよい。
【0090】
図5において、各杭アンカーは、それぞれのコンクリート柱に埋め込まれ、柱の上部の上方に突出する上端を有する少なくとも1つの取付けバー90(a)、90(b)をさらに備える。1つの好ましい実施形態では、各取付けバー90(a)および90(b)の上端は、対応する金属ケーシング84(a)および84(b)の上端の上方にも突出する。
【0091】
各取付けバー90(a)および90(b)は、取付けバーが直面する可能性がある最大の上向きの垂直力によって取付けバーがコンクリートから引き抜かれるのを防ぐために、それぞれのコンクリート柱に十分深く埋め込まれるべきである。一実施形態では、取付けバーが、それぞれのコンクリート柱の下部中に至るまで下方に延在する。各取付けバーの外側面は、好ましくは、プロファイル加工(リブ加工、テクスチャ加工など)され、これは、それぞれのコンクリート柱内での取付けバーの保持性をさらに向上させる。
【0092】
1つまたは複数の取付けバーを有することに加えて、各杭アンカーは、そのコンクリート柱に埋め込まれた金属(例えば、鋼鉄)骨組みロッド、バー、またはメッシュをさらに備え、杭アンカーの引張特性および剪断特性をさらに向上させることができる。
【0093】
各取付けバー90(a)および90(b)は、それぞれの杭アンカー91(a)および91(b)をプラットフォーム82に直接または間接的に結合する。好ましい実施形態では、プラットフォーム82は、実質的に水平なプラットフォームである。しかしながら、本発明はこれに限定されず、実質的に水平ではないプラットフォームも企図される。図5には示されていないが、杭アンカーとプラットフォームとの間にスペーサーを使用することができる。
【0094】
任意の1つの杭アンカーに作用する全垂直力は、いくつかの可能な分力から構成される合力である。例えば、アンカーに作用する合力は、風力タービン2の重量による重力成分と、風力タービン構造体に吹きつける風による力と、プラットフォーム82の底に当たる波からの上向きの力とで構成される。
【0095】
上述のように、図5において、記号Fは、プラットフォーム82上の風力タービン2の重さによって及ぼされる力を表す。図の面に沿って見ると、風力タービン構造体2の重心線が各杭アンカーから等距離にあると仮定すると、力Fは、大きさF/nの分散された下向き(圧縮)の力として、各杭アンカーに伝達され、そこから地面へ伝達される。「n」はシステム内の杭アンカーの数を表す。(図5では、重力の分力をFG1とFG2で示している。)
【0096】
加えて、水中媒体35の表面上の波は、底からプラットフォーム82に当たっている可能性があるので、プラットフォーム82に対して上向きの垂直方向の力を加えている可能性がある(図示せず)。プラットフォーム82は、杭アンカー91(a)および91(b)に堅固に結合されているので、杭アンカーに対する波によって誘発される上向きの垂直力が、杭アンカーに作用する下向きの力よりも大きい場合、杭アンカーは引張状態になる。
【0097】
また、図示のように図5の面において風が吹くと、風力タービン構造体2に対して作用する水平力Fwが、回転モーメントMとして基礎に伝達され、構造体全体を転倒させるように作用する。これにより、杭アンカー91(a)に上向き(引張)の力FMTが生成され、杭アンカー91(b)に下向き(圧縮)の力FMCが生成される。
【0098】
したがって、個々の力成分の相対的な大きさに応じて、杭アンカー91(a)および91(b)は、引張状態または圧縮状態のいずれかになり得る。さらに、考えられるFMT力およびFMC力の向きが異なっているので、杭アンカー91(b)が圧縮状態にある一方で、杭アンカー91(a)は、引張状態である可能性がある。図5に示される杭アンカーの新規な設計は、圧縮状態および引張状態の両方において向上した性能を提供する。
【0099】
例えば、各杭アンカーの成形された下部は、増大した断面Dを有するので、杭アンカーの重心を下げ、その設置領域を増大させ、杭アンカーを介して伝達される任意の下向きの合成力を支持土壌のより大きな表面積にわたって分散させる。その結果、杭アンカーの安定性が向上するだけでなく、土壌は、崩れる前に、より大きな全体的な下向き(圧縮)の力に耐えることができる。
【0100】
同時に、杭アンカーが引張状態にあるとき、コンクリート柱の下部のより大きな表面積は、杭アンカーと土壌との摩擦を増大させ、杭アンカーが土壌から引き抜かれるのを防止するのに役立つ。加えて、コンクリート柱の下部の体積が増加すると、杭アンカーの全体的な重量が増加し、合成張力(resultant tensile force)の大きさが減少し、したがって、杭アンカーの固定特性が増加する。さらに、コンクリート柱の下部の断面を増加させることは、その上の土壌の量を増加させる。その土壌の重量は、杭アンカーの固定特性をさらに増加させる。
【0101】
その結果、改良された杭アンカーを含む基礎は、垂直力、水平力、および/または回転力(荷重)に耐える強化された能力を有し、設計者が、杭アンカーの直径、および杭アンカーが土壌中に突き刺さる必要がある深さを低減することを可能にする。これにより、重機(クレーン等)の種類や、基礎を建設するのに必要な材料および時間が削減され、建設コストおよび工期の削減につながる。
【0102】
上記で開示された金属ケーシングは、単一部品構造(例えば、所定の壁厚を有する管状構造)として説明されたが、本発明は、金属ケーシングが、基礎建設現場で供給され、組み立てられ得る、複数部品構造(例えば、2つ以上の管状部品から構成される各ケーシング)であることを企図する。これは、より小さく、より安価な供給および組立て機構を可能にするので、海岸から数マイル離れた場所に建設される水中系基礎にとって特に有利である。
【0103】
本発明の杭アンカーのコンクリート柱の下部は、杭アンカーの形成中にその場で成形される。一実施形態では、コンクリート柱の下部の成形は、コンクリートが固まっていない間にHITを使用して行われる。HITは、水またはウェットコンクリートなどの流体媒体内に電気的破壊および爆発を生じさせるために、正確にギャップを設けた2つの電極(点火装置、高電圧放電装置とも呼ばれる)の間に高電圧(high voltage「HV」)放電パルスを発生させることが知られている。破壊の瞬間に、1013Paおよび10,000℃に達することができる圧力および温度である放電ゾーンが形成される。放電ゾーンは、コンクリート混合物中の比較的小さなプラズマキャビティに変化する。電気爆発によって発生した衝撃波は、運動エネルギーの強力な衝撃を混合物に伝え、周囲土壌に作用して、それを変形させ、移動させ、圧縮する。キャビティ内の圧力が低下すると、コンクリート混合物は重力下でキャビティを充填し、それによって、コンクリート柱の下部の設置領域を成形し、拡張する。放電の頻度、エネルギー、および回数は制御可能であり、アンカーの下部が十分に成形(拡張)されるまで放電が繰り返される。この拡張は、コンクリート柱におけるウェットコンクリートの消費量によって推定される。成形プロセスの間、杭アンカーの下部を形成した量のコンクリートが、ケーシングを完全に充填するために、杭アンカーの上部に加えられる。
【0104】
図6(a)および図6(b)は、本発明の一実施形態による、成形杭アンカーを形成するための方法を示す。図6(a)を見ると、方法は、管状金属ケーシングを設けることによるステップ100で開始する。金属ケーシングは、中心軸、長さ、上端、および下端を有する。
【0105】
次に、ステップ102において、金属ケーシングの上端が水面の上方に延在するように、金属ケーシングの下端が所定の深さだけ土壌に打ち込まれる。
【0106】
次に、金属製先端部が金属ケーシングの下端に取り外し可能に結合されたかどうかの決定がなされる。答えが「はい」である場合、方法はステップ104に進む。しかしながら、答えが「いいえ」である場合、管状金属ケーシングの内部は、水および水中土壌で満たされており、方法はステップ103に進む。
【0107】
ステップ103において、水および水中土壌が管状金属ケーシングの内部から除去される。これは、水および水中土壌を汲み出すことによって、または当技術分野で公知の任意の他の手段によって達成することができる。ステップ103を完了した後、方法はステップ104に進む。
【0108】
ステップ104では、ステップ104に直接入ろうと、ステップ103を完了した後であろうと、HIT技術を使用する場合には、高電圧同軸導体対を備える高電圧放電装置が、金属ケーシング内に入れられ、ケーシングの下端まで降下される。高電圧放電装置の各電極は、金属ケーシングの上端に至り、かつその上方まで延在する同軸導体対のそれぞれの導電体に接続される。
【0109】
次に、ステップ106において、管状金属ケーシングにコンクリート混合物を実質的に充填して、ウェットコンクリートのスタックを形成する。そこから、方法は、図6(b)のステップ108に進む。
【0110】
ステップ108において、少なくとも1つの取付けバーが、ウェットコンクリートのスタックに挿入され、取付けバーの上端は、ウェットコンクリートのスタックの上端の上方に、好ましくは、金属ケーシングの上端の上方にも突出する。取付けバーは、金属ケーシングの中心軸に対して対称に配置されることが好ましい。単一の取付けバーが使用される場合、それは、好ましくは、金属ケーシングの中心軸に沿って配置される。さらに、ステップ108は、ウェットコンクリートのスタック内に金属骨組み(metal armature)を完全に挿入するステップを含むこともできる。(他の実施形態では、取付けバーは使用されないことに留意されたい。)
【0111】
ステップ100において、金属ケーシングは、所定の距離(高さ)だけ持ち上げられる。金属製先端部が金属ケーシングの下端に取り付けられた場合、金属製先端部上のウェットコンクリートのスタックの重量のため、ケーシングの持ち上げは、金属製先端部をケーシングから取り外すであろう。その結果、金属ケーシングの持ち上げは、高電圧放電装置が配置されたウェットコンクリートのスタックの下部を周囲の水中土壌に露出させる。
【0112】
ステップ112では、高電圧放電装置を使用して、少なくとも1つの高電圧放電パルスが、ウェットコンクリートのスタックの下部に生成される。上述のように、放電は、電気爆発を生じさせ、周囲の水中土壌を移動、変形、および圧縮する衝撃波(局所的な高圧スパイク)を生成する。プラズマキャビティ内の圧力が低下すると、コンクリート混合物は重力下でキャビティを充填し、それによってコンクリート柱の下部の設置領域を成形し、拡張する。この結果、ウェットコンクリートのスタックの下部は、スタックの上部の断面よりも大きな断面を有する設置領域を有し、後者は金属ケーシングによって囲まれる。放電は、スタックの下部が十分に成形(拡張)されるまで、パルスの回数、周波数、およびエネルギーが制御可能である状態で繰り返される。この拡張は、コンクリート柱の上部(ケーシングの上端)におけるウェットコンクリートの消費量によって推定される。管状ケーシングの場合、総消費量は、式V=Δh*π*(R―Rによって決定することができ、式中、「Δh」は、放電パルスが与えられた後のウェットコンクリートのスタックの高さの総低下であり、「R」は、金属ケーシングの内径であり、Rは、同軸導体対の外径である。図7は、ステップ112における高電圧パルスの放電中に、ウェットコンクリートの混合物に何が起こるかをより詳細に示す。
【0113】
図7は、壁厚「T」および中心軸「C」を有する管状金属ケーシング40を示す。したがって、「R」は、金属ケーシングの中心軸から壁部の内面までの距離であり、R+Tに等しい「R」は、金属ケーシングの中心軸から壁部の外面までの距離である。ケーシングの下端130は、水中土壌34内にあり、上端132は、水面35の上の空気36中に延在する。図7は、コンクリート混合物134で充填された金属ケーシングが、距離「L」だけ持ち上げられたことをさらに示す。図7は、中心軸Cに沿ってコンクリートのスタック内に挿入された高電圧放電機構も示す。高電圧放電機構は、高電圧放電装置138を含み、その電極は、高電圧コネクタ214を介して、参照符号140によって指定される同軸導体対(図10でより詳しく説明される)に接続される。その結果、持ち上げ後、任意の高電圧放電の前に、コンクリート混合物134は、金属ケーシングの内部体積に、破線136によって指定される体積を加え、高電圧放電機構によって占められる体積を差し引いたものを占める。高電圧ケーブル436は、HVケーブル―HV導体対コネクタ432を介して、高電圧同軸導体対140に結合される。
【0114】
高電圧放電装置138によって放電パルスが生成されると、ウェットコンクリートのスタックの下部において、放電パルス毎に最大体積VPCの拡張プラズマキャビティ144が生成され、周囲の水中土壌を移動させ、変形させ、圧縮させる衝撃波(キャビティ144内の外向き矢印によって示される)が生成される。プラズマキャビティ内の圧力が低下すると、コンクリート混合物は、重力下でプラズマキャビティを充填し、それによって、コンクリート柱の下部の拡張する設置領域を成形し、ケーシングの上端のコンクリートの高さをΔh低下させる。参照符号142は、ウェットコンクリートのスタックの成形された下部の、結果として生じる球根状の輪郭を示す。コンクリートが重力下でキャビティを充填すると、管状金属ケーシング内のウェットコンクリートの高さが低下する。図7では、この低下は「Δh」と表示されている。管状ケーシングの内径Rが分かり、Δhと表示された、ケーシング内のウェットコンクリートの高さの低下を測定することにより、V=Δh*π*(R―Rを用いて、各パルス後のスタック内のコンクリートが低下した体積を決定することができる。この体積は、コンクリートのスタックの下部が拡張した体積に等しいので、Δhを監視し、高エネルギー放電を繰り返すことによって、必要な拡張の大きさを達成することができる。(体積拡張の大きさを決定する際に、Δhスパン内に存在する骨組みおよび任意の別個の取付けバーによって占められる体積も考慮に入れることができる。)
【0115】
図6(b)に戻ると、ステップ114において、高電圧放電装置は、同軸導電体と共に、ウェットコンクリートのスタックから取り除かれる。成形プロセスの間、および高電圧放電装置を取り除いた後、杭アンカーの下部を形成した量のコンクリートが、杭アンカーの上部に加えられて、ケーシングを完全に充填する。
【0116】
ステップ116では、ウェットコンクリートのスタックを固化させ、それによって、i)金属ケーシングによって囲まれた上部と、ii)成形された下部とを有するコンクリート柱を形成する。コンクリート柱は、金属ケーシングおよび取付けバーと共に、金属製先端部(存在する場合)も共に、成形杭アンカーを構成する。
【0117】
上記で開示されたステップのすべてが、説明された順序で実行され得るわけではないことに留意されたい。例えば、取付けバーおよび骨組みは、金属ケーシングがウェットコンクリートで充填される前に金属ケーシング内に降下させることができる。同様に、高電圧放電機構は、ケーシングがウェットコンクリートで実質的に充填される前または後のいずれかに、金属ケーシング内に降下させることができる。
【0118】
また、ステップ102の間に、一緒に接合される複数のセクションから、金属ケーシングを構成することができることも想定される。具体的には、ケーシングが土壌に打ち込まれる深さが大きい場合、ステップ102は、いくつかの連続するサブステップから構成され得る。例えば、サブステップ102(a)から開始して、金属ケーシングの第1のセクションの下端は、ケーシングの第1のセクションの上端が水面の上方に延在するように土壌中に打ち込まれる。次に、サブステップ102(b)において、金属ケーシングの第2のセクションの下端が、金属ケーシングの第1のセクションの上端と確実に接合される。次いで、サブステップ102(c)では、金属ケーシングの第1のセクションの下端がさらに土壌中に打ち込まれ、第2のセクションの上端のみが水面の上方に延在する。
【0119】
全ての成形杭アンカーが形成されると、それらは、それぞれの取付けバーを介してプラットフォームに結合される。1つ以上の成形杭アンカーに結合されたプラットフォームは、風力タービン、料金所塔、電気塔、および信号塔など、プラットフォームの上に配置された構造体のための基礎を作る。
【0120】
一実施形態では、取付けバーは、その上端にネジ山を有し、プラットフォームは、ナットによって杭アンカーに結合される。別の実施形態では、結合は、取付けバーをプラットフォームに溶接することによって達成される。本発明は、プラットフォームが杭アンカーに取り付けられる方法において限定されず、他の公知の取り付け方法も本発明の範囲内である。
【0121】
また、本発明は、プラットフォームのレベルを調整するために、プラットフォームと杭アンカーとの間にスペーサーを使用することを企図する。好ましい一実施形態では、プラットフォームは、実質的に水平にされる。
【0122】
図8は、高電圧放電機構が杭アンカーに埋め込まれたままであり、取付けバーが高電圧放電機構の一部としても機能する、本発明の別の実施形態を示す。図8の新規な杭アンカー200は、金属ケーシング202(好ましくは形状が管状)と、上部204および成形された下部206を有するコンクリート柱と、金属製先端部208と、高電圧放電装置212のための同軸導体対の外側導体である取付けバー210とを含む。取付けバー210は、コンクリート柱の下部206に至るまで下方に延在し、高電圧導体―電極コネクタ214を介して高電圧放電装置212に結合される。(本発明の別の実施形態では、杭アンカーは、金属製先端部を有しないことに留意されたい。)
【0123】
図では、取付けバー210および高電圧放電装置212は、コンクリート柱の中心軸「C」に沿って配置され、この中心軸「C」は金属製先端部208の中心も通過する。取付けバー210の上端は、プラットフォームに取り付けるためにねじ切りされている。別の実施形態では、プラットフォームへの結合は、取付けバーをプラットフォームに溶接することによって達成されてもよい。本発明は、プラットフォームが杭アンカーに取り付けられる方法において限定されず、他の公知の取り付け方法も本発明の範囲内である。
【0124】
取付けバー210のねじ部の下の外側面は、好ましくは、プロファイル加工され(リブ加工、テクスチャ加工など)、コンクリートからの取付けバーの引き抜きに抵抗する杭アンカーの能力を高める。
【0125】
図8は、単一の高電圧放電装置212を使用する、単一の埋め込まれた高電圧放電機構を含む杭アンカーの実施形態を示すが、本発明の杭アンカーは、2つ以上の高電圧放電機構を含むことができる。
【0126】
図8の成形杭アンカーの実施形態は、前述の杭アンカーの実施形態よりも少なくとも3つの利点を提供する。第1に、高電圧放電装置212は、柱下部の成形後にコンクリート柱に埋め込まれたままであるので、引き抜き中にコンクリート柱に微小亀裂が生じ、それによってコンクリート柱が脆弱化する可能性が排除される。第2に、ウェットコンクリートのスタックから高電圧放電装置を引き抜く必要がないことにより、人件費も削減する。第3に、取付けバー210を、高電圧相互部分コネクタ(high voltage inter―sectional connector(s))を介して接続された比較的短い同様の部分の連続的な組合せとして有することにより、非常に長い部品(場合によっては、最大80メートル)を扱うことを回避することによって、杭アンカー成形のプロセスを簡略化することができる。
【0127】
単一の高電圧放電機構を使用する場合、コンクリートのスタックの下部がその断面を均一に拡張するために、取付けバー210および高電圧放電装置212は、コンクリート柱の中心軸に沿って配置されることが好ましい。2つ以上の高電圧放電機構を使用する場合、高電圧放電機構は、コンクリート柱の中心軸に対して対称に配置されることが好ましい。
【0128】
図9(a)~図9(c)は、高電圧放電機構を様々に配置した成形杭アンカーの上面図を示す。
【0129】
例えば、図9(a)は、単一の高電圧装置機構を有する成形杭アンカーの頂部を示す。具体的には、参照符号300は、管状金属ケーシング302によって囲まれたコンクリート柱の上部の上面を表す。コンクリート柱の下部に位置する高電圧放電装置用の導体の1つとして機能する取付けバー306は、管状金属ケーシング302の中心軸と一致するコンクリート柱の中心軸に沿って配置される。高電圧中心導体310は、コンクリート柱の中心軸に沿って取付けバー306と同軸に延びる。高電圧中心導体310は、高電圧絶縁体308によって取付けバーから分離されている。(中心導体310および絶縁体308は、取付けバー306とは別個の要素として説明されているが、それらは、取付けバー構造の構成要素とみなすことができる。同じことが、以下の図9(b)における取付けバー構造の説明においても当てはまる。)
【0130】
図9(b)は、成形杭アンカーの中心軸324に対して対称に配置された、導体をそれぞれ含む4つの高電圧装置機構を有する成形杭アンカーの上面図である。参照符号300は、管状金属ケーシング302によって囲まれたコンクリート柱の上部の上面を表す。参照符号324は、コンクリート柱300およびケーシング302の両方の中心軸を示す。中心軸324の左側の高電圧放電機構から始めて、参照符号326(a)は、下にある機構の高電圧放電装置の導体の一方として機能する取付けバーを示す。参照符号330(a)は、取付けバー326(a)と同軸の高電圧中心導体であり、下にある機構の高電圧放電装置のための他方の導体として機能する。参照符号328(a)は、2つの同軸導体326(a)と330(a)との間の高電圧絶縁体である。
【0131】
時計回りに進んで図9(b)の第2の高電圧取り付け機構について、参照符号326(b)は、下にある機構の高電圧放電装置のための導体の一方として機能する取付けバーである。参照符号330(b)は、取付けバー326(b)と同軸の高電圧中心導体であり、下にある機構の高電圧放電装置のための他方の導体として機能する。参照符号328(b)は、高電圧中心導体330(b)と取付けバー326(b)との間の高電圧絶縁体である。
【0132】
時計回りに進み続け図9(b)の第3の高電圧取り付け機構について、参照符号326(c)は、下にある機構の高電圧放電装置の導体の一方として機能する取付けバーである。参照符号330(c)は、取付けバー326(c)と同軸の高電圧中心導体であり、下にある機構の高電圧放電装置のための他方の導体として機能する。参照符号328(c)は、高電圧中心導体330(c)と取付けバー326(c)との間の高電圧絶縁体である。
【0133】
最後に、時計回りに進み続け図9(b)の第4の高電圧取り付け機構について、参照符号326(d)は、下にある機構の高電圧放電装置の導体の一方として機能する取付けバーである。参照符号330(d)は、取付けバー326(d)と同軸の高電圧中心導体であり、下にある機構の高電圧放電装置のための他方の導体として機能する。参照符号328(d)は、高電圧中心導体330(d)と取付けバー326(d)との間の高電圧絶縁体である。高電圧放電機構は、それぞれの導体を含めて、中心軸に対して対称に配置されている限り、管状金属ケーシングの内側面までを含めて、中心軸から任意の距離に配置することができることに留意されたい。例えば、金属取付けバーが高電圧放電装置の導体としても機能する場合、金属取付けバーは、溶接などによって、金属ケーシングの内面に電気的および/または機械的に接続され得る。
【0134】
図9(c)は、図9(a)および図9(b)のレイアウトの組合せとして配置された5つの高電圧放電機構を含む成形杭アンカーの上面図であり、1つの高電圧放電機構は、杭アンカーの中心軸に沿って配置され、他の4つの機構は、中心軸から外れて配置されているが、中心軸に対して対称である。
【0135】
図10は、図8の成形杭アンカーの高電圧放電機構(システム)をさらに詳細に示す。この機構は、高電圧放電装置212に電気的および機械的に結合された、管状形状を有する金属取付けバー210を備える。管状取付けバー210は、高電圧放電装置212のための外側導体を形成する。特に、取付けバー210は、高電圧放電パルスの供給中に第2の導体として作用する。高電圧中心導体424は、取付けバー210内で同軸に延び、高電圧放電装置212のための同軸導体対の内側導体を形成する。高電圧絶縁体422は、高電圧中心導体424を取付けバー210から分離する。その結果、高電圧中心導体424、絶縁体422、および取付けバー210は、取付けバー要素と呼ぶことができる同軸導電構造を形成する。取付けバー210の壁は、基礎システムにおいてそれに作用し得る力、例えば、張力および剪断力に耐えるのに十分な厚さであるべきである。
【0136】
高電圧放電装置212は、正確にギャップを設けた2つの高電圧電極を備える。同軸高電圧コネクタ214は、高電圧中心導体424を2つの高電圧電極の一方に電気的に結合し、取付けバー210(第2の導体)を2つの高電圧電極の他方に結合する。2つの電極は、一例として、同軸に配置され、内側電極213aおよび外側電極213bを形成する。このような構成では、同軸高電圧コネクタ212は、高電圧中心導体424を内側電極213aに電気的に結合し、取付けバー/導体210(第2の導体)を外側電極213bに結合する。
【0137】
しかしながら、本発明は、同軸に配置された電極を有する高電圧放電装置を使用することに限定されず、他の電極構成も本発明の範囲に含まれる。例えば、高電圧放電装置は、取付けバー210の中心軸に対して対称に配置された2つの非同軸電極を使用することができる。
【0138】
取付けバーの上端は、ねじ切りされてもよい。電極で高電圧放電パルスを発生させるために、高電圧同軸コネクタ432が、取付けバー/導体210に最初に接続される。コネクタ432は、取付けバー導体210および高電圧中心導体424を同軸高電圧ケーブル436と電気的に接続する。ケーブルの他方の側は、高電圧電源および制御回路に接続される。動作中、高電圧パルスは、高電圧ケーブル436の中心導体を介して高電圧中心導体424に伝達され、次いで、高電圧放電装置の内部電極に伝達される。高電圧放電装置212の外側電極、取付けバー導体210、およびケーブル436内の外側同軸導体は、電源および制御回路に戻る電流のための戻り経路(第2の導体)として作用する。
【0139】
図10では、高電圧絶縁体422は、取付けバー210の内側面に接触するように示されており、その間に空隙は全く存在しない。これは、加圧下で絶縁材料が取付けバー210に注入され、参照符号424、参照符号422および参照符号210の組合せによって示される一体化された中心導体―絶縁体―取付けバー構造を形成する場合である。
【0140】
代替実施形態では、中心導体424および絶縁体422は、最初に一体構造として製造されてもよい。そして、この一体構造は、取付けバー210の内部空間に挿入(引き抜き)される。絶縁体の外径が取付けバー210の内径と一致すると、製造公差のために、絶縁体と取付けバー210の内壁との間の小さな空隙が生じ得る。しかしながら、絶縁体の外径が取付けバー210の内径よりもかなり小さい場合、高電圧中心導体を取付けバー210と同軸に位置決めし、維持するために、絶縁体422は、その長さに沿って突出部(extrusions)を組み込むことができる。各突出部の外径は、取付けバー210の内径と一致するか、またはそれよりもわずかに大きい。中心導体424および絶縁体422を取付けバー210とは別個の一体構造とすることにより、取付けバーを複数の管状部品(セクション)から構成して、それらがコネクタを介して接続され、単一の管状取付けバー構造を形成することが可能になる。
【0141】
図10は、取付けバー210を単一部品として示しているが、要素210は、金属ケーシング内への高電圧放電機構の挿入中に、連続的に一緒に接合され得る複数のセクションから構成され得る。そのような実施形態は、金属ケーシングが長く(例えば、5メートルを超え)、その結果、取付けバー210は、かなりの距離だけ下方に延在しなければならないときに有利である。そのようなシナリオでは、取付けバー210の異なるセクションは、同軸導体対の中心導体および外側導体のそれぞれに機械的結合および電気的結合の両方を提供する交差コネクタを介して一緒に結合され得る。これらのセクションは、異なる長さ、壁厚を有し、異なる導電性材料(例えば、鋼、真鍮、アルミニウムなど)で構成されてもよい。
【0142】
加えて、高電圧放電装置212自体は、高電圧放電装置およびそれに含まれる電極の長さを延長するように、連続的に一緒に接合される複数のセクションから構成されてもよい。そのような実施形態では、高電圧放電装置のセクションは、本明細書では電極間コネクタ(inter―electrode connector)と呼ばれるコネクタによって結合される。
【0143】
結果として、本発明は、本発明のシステムにおいて使用されるいくつかの異なるタイプのコネクタ、すなわち、ケーブル436と取付けバー構造(要素)との間のコネクタ432、取付けバー210の異なるセクション間の交差コネクタ、および取付けバー構造と高電圧放電装置212との間のコネクタ214を企図する。
【0144】
上述のように、取付けバー210の異なるセクションの壁厚および材料は、変化してもよい。例えば、プラットフォームに機械的に取り付けられる杭アンカーの頂部のセクションは、より厚い壁を有し、金属ケーシング内のさらに下方のコンクリートに埋め込まれる取付けバーのセクションよりも強い材料で形成されてもよい。
【0145】
図11(a)および図11(b)は、成形杭アンカーを形成するための方法の代替実施形態を示す。図11(a)を見ると、方法は、管状金属ケーシングを設けることによってステップ500から開始する。金属ケーシングは、中心軸、長さ、上端、および下端を有する。
【0146】
次に、ステップ502において、金属ケーシングの下端が所定の深さだけ水中土壌中に打ち込まれ、金属ケーシングの上端が水面の上方に延在するようにする。
【0147】
次に、金属製先端部が金属ケーシングの下端に取り外し可能に結合されたかどうかの決定がなされる。答えが「はい」である場合、方法はステップ504に直接進む。答えが「いいえ」である場合、管状金属ケーシングの内部は、水および水中土壌で満たされており、方法はステップ503に進む。
【0148】
ステップ503において、水および水中土壌が管状金属ケーシングの内部から除去される。これは、水および水中土壌を汲み出すことによって、または当技術分野で公知の任意の他の手段によって達成することができる。ステップ503を完了した後、方法はステップ504に進む。
【0149】
ステップ504では、ステップ504に直接入ろうと、ステップ503を完了した後であろうと、高電圧放電装置を金属ケーシング内に入れられ、ケーシングの下端まで降下させる。高電圧放電装置の各電極は、金属ケーシングの上端に至り、かつその上方まで延在するそれぞれの導電体に接続される。
【0150】
次に、ステップ506において、管状金属ケーシングにコンクリート混合物を実質的に充填して、ウェットコンクリートのスタックを形成する。
【0151】
ブロック507では、降下した高電圧放電機構、特に同軸導体対の外側導体が、取付けバーとしても機能するかどうかの決定がなされる。答えが「はい」である場合、方法は、図11(b)のステップ510に直接進む。そうでない場合、すなわち、答えが「いいえ」である場合、方法は、図11(b)のステップ508に進む。
【0152】
ステップ508において、少なくとも1つの取付けバーが、ウェットコンクリートのスタックに挿入され、取付けバーの上端は、ウェットコンクリートのスタックの上端の上方に、好ましくは、金属ケーシングの上端の上方にも突出する。取付けバーは、金属ケーシングの中心軸に対して対称に配置されることが好ましい。単一の取付けバーが使用される場合、それは、好ましくは、金属ケーシングの中心軸に沿って配置される。さらに、ステップ508は、ウェットコンクリートのスタック内に金属骨組みを完全に挿入するステップを含むこともできる。
【0153】
ステップ510において、ブロック507から直接ステップ510に到達しようと、ステップ508を介しての到達であろうと、金属ケーシングは、所定の距離(高さ)だけ持ち上げられる。(金属製先端部が金属ケーシングの下端に取り付けられている場合、金属製先端部上のウェットコンクリートのスタックの重量により、ケーシングの持ち上げが金属製先端部をケーシングから取り外すことになる。)その結果、金属ケーシングの持ち上げは、高電圧放電装置が配置されているウェットコンクリートのスタックの下部を周囲の水中土壌に露出させる。
【0154】
ステップ512では、高電圧放電装置を使用して、少なくとも1つの高電圧放電パルスが、ウェットコンクリートのスタックの下部に生成される。上記で説明したように、放電は、電気爆発を発生させ、周囲の水中土壌を移動させ、変形させ、および圧縮させる衝撃波を生成する。プラズマキャビティ内の圧力が低下すると、コンクリート混合物は重力下でキャビティを充填し、それによってコンクリート柱の下部の設置領域を成形し、拡張する。この結果、ウェットコンクリートのスタックの下部は、スタックの上部の断面よりも大きな断面を有する設置領域を有し、後者は金属ケーシングによって囲まれる。放電は、スタックの下部が十分に成形(拡張)されるまで、パルスの回数、周波数、およびエネルギーが制御可能である状態で、繰り返される。この拡張は、コンクリート柱の上部(ケーシングの上端)におけるウェットコンクリートの消費量によって推定される。管状ケーシングの場合、消費量は、式V=n*Δh*π*(R―Rによって決定されてもよく、式中、「Δh」は、各放電パルス当たりのウェットコンクリートのスタックの高さの低下であり、「n」はパルスの回数であり、「R」は、金属ケーシングの内径であり、Rは取付けバーの外径である。成形プロセスの間、杭アンカーの下部を形成した量のコンクリートが、ケーシングを完全に充填するために、杭アンカーの上部に加えられる。
【0155】
次に、ステップ514において、ウェットコンクリートのスタックを固化させ、それによって、i)金属ケーシングによって囲まれた上部と、ii)成形された下部とを有するコンクリート柱を形成する。コンクリート柱は、金属ケーシングおよび取付けバーと共に、金属製先端部(存在する場合)も共に、成形杭アンカーを構成する。
【0156】
上記で開示されたステップのすべてが、説明された順序で実行され得るわけではないことに留意されたい。例えば、取付けバーおよび骨組みは、金属ケーシングがウェットコンクリートで充填される前に金属ケーシング内に降下させることができる。同様に、高電圧放電装置は、ケーシングがウェットコンクリートで実質的に充填される前または後のいずれかに、金属ケーシング内に降下させることができる。
【0157】
また、ステップ502の間に、一緒に接合される複数のセクションから、金属ケーシングを構成することができることも想定される。具体的には、ケーシングが土壌に打ち込まれる深さが大きい場合、ステップ502は、いくつかの連続するサブステップから構成され得る。例えば、サブステップ502(a)から開始して、金属ケーシングの第1のセクションの下端は、ケーシングの第1のセクションの上端が水面の上方に延在するように土壌中に打ち込まれる。次に、サブステップ502(b)において、金属ケーシングの第2のセクションの下端が、金属ケーシングの第1のセクションの上端と確実に接合される。次いで、サブステップ502(c)では、金属ケーシングの第1のセクションの下端がさらに土壌中に打ち込まれ、第2のセクションの上端のみが水面の上方に延在する。
【0158】
全ての成形杭アンカーが形成されると、それらは、それぞれの取付けバーを介してプラットフォームに結合される。1つ以上の成形杭アンカーに結合されたプラットフォームは、風力タービン、料金所塔、電気塔、および信号塔など、プラットフォームの上に配置された構造体のための基礎を作る。
【0159】
一実施形態では、取付けバーは、その上端にネジ山を有し、プラットフォームは、ナットによって杭アンカーに結合される。別の実施形態では、結合は、取付けバーをプラットフォームに溶接することによって達成される。本発明は、プラットフォームが杭アンカーに取り付けられる方法において限定されず、他の公知の取り付け方法も本発明の範囲内である。
【0160】
また、本発明は、プラットフォームのレベルを調整するために、プラットフォームと杭アンカーとの間にスペーサーを使用することを企図する。好ましい一実施形態では、プラットフォームは、実質的に水平にされる。
【0161】
図12は、浮遊プラットフォームを使用する本発明の水中系基礎システム600の実施形態を示す。この実施形態では、基礎支持システムは、水面の上方に延在しない1つ以上の成形杭アンカーを使用する。代わりに、浮遊プラットフォームが、水中の成形杭アンカーに取り付けられ、その場所に保持される。例えば、図12は、水中土壌34に埋設された2つの成形杭アンカー610および612を示し、各成形杭アンカーの上端は、土壌から水中媒体(水)35内に延在する。プラットフォーム614は、水面上に浮いて示されており、ケーブル(またはチェーン)618および620によって、それぞれの取付けバー611および613を介して、成形杭アンカー610および612に取り付けられている。各杭アンカーから延在するケーブルおよび浮遊プラットフォームに対するケーブルアタッチメントの数は、注意を要する。一実施形態では、要素622および624を含む釣合せ質量体(counterbalancing mass)は、プラットフォーム614の底面から下方に延在する。成形杭アンカー610および612は、プラットフォーム614を下方から支持せず、その代わりに、プラットフォームが上方および場合によっては横方向に移動するのを防ぐだけであるので、それらは、固定状態でのみ動作する。風力タービン構造体2(または任意の他の支持構造体)は、プラットフォームの上部に取り付けられ、上述の基礎によって支持される。図12の杭アンカー610および612は、それぞれ金属製先端部630および640を含むものとして示されており、上述のように、金属製先端部は省略されてもよい。
【0162】
図12の基礎支持システムは、任意の数の成形杭アンカーと共に使用され得るが、1つの好ましい実施形態では、システムは、プラットフォームの中心軸に沿って配置された単一の成形杭アンカーを使用する。
【0163】
別の実施形態では、成形アンカーは、プラットフォームの中心軸から外れた位置であるが、その中心軸に対して対称的である。これは、図4(a)~図4(c)に示される位置付けと同様である。
【0164】
図12の杭アンカー610および612の上端は、水中媒体(水)35に位置しているので、これらの杭アンカーを形成する方法は、図3および図5に示す杭アンカーを形成する方法とは異なる。例えば、水面35の上方から杭アンカー610の管状金属ケーシング(すなわち、主ケーシング)内にウェットコンクリートの混合物を堆積させるために、取り外し可能なケーシング延長部が使用されてもよい。具体的には、ケーシング延長部は、最初に主ケーシングに取り付けられ、主ケーシングの下端を所定の深さまで土壌中に押し込むために利用される。ケーシング延長部の上端は、水面より上に留まる。主ケーシングがその底部に取り付けられた金属製先端部を有していない場合、主ケーシングの内部から土壌および水を除去するための装置が使用され得る。主ケーシングの内部およびケーシング延長部の内部が洗浄された後に、高電圧放電装置が主ケーシングの底部まで降下され、コンクリート混合物が主ケーシング内に堆積され、主ケーシングをその上端まで、またはケーシングの高さの所定の割合まで実質的に充填する。次に、主ケーシングは、ケーシング延長部と共に、所定の高さだけ持ち上げられ、ウェットコンクリートのスタックの底部を周囲土壌に露出させる。(主ケーシングがその下端に取り付けられた金属製先端部を有する場合、ウェットコンクリートの重量は、持ち上げ中に主ケーシングからの金属製先端部の取り外しを引き起こす。)次に、1つ以上の高電圧放電が生成され、ウェットコンクリートのスタックの底部を成形する。ウェットコンクリートのスタックの底部が成形されると、高電圧放電装置は、ウェットコンクリートのスタックから取り除かれてもよく、次いで、ケーブル取付けバーの上端がスタックの上に延在する状態で、ケーブル取付けバーがスタックに挿入される。ケーブル取付けバーの上端の形状は、ケーブルへの取り付けの種類に応じて変化する。一実施形態では、上端はねじ切りされてもよい。別の実施形態では、上端は、ループとケーブルフックの取り付けのために、ループの形状とすることができる。さらに別の実施形態では、上端は、フックとケーブルループの取り付けのために、フックの形状とすることができる。ケーブル取付けバーに加えて、成形の前または後に、ウェットコンクリートのスタックに骨組みを挿入することもできる。
【0165】
杭アンカーが成形され、ケーブル取付けバーおよび骨組みが設置されると、ケーシング延長部は、主ケーシングから切り離され、取り外され、ウェットコンクリートのスタックは、水中で固化(硬化)することができる。
【0166】
前述の説明は、特定の値を開示している場合もあるが、明示的に別段の定めがない限り、他の特定の値が、同様の結果を達成するために使用され得る。さらに、前述の実施形態の様々な特徴を選択し、組み合わせて、改良されたシステムの多数の変形例を生成することができる。
【0167】
上記の明細書では、例示的な実施形態について説明した。しかしながら、当業者であれば、特許請求の範囲に記載される本発明の範囲から逸脱せずに種々の修正および変更を行えることが理解できるであろう。したがって、本明細書および図面は、限定的な意味ではなく例示的な意味で見なされるべきであり、そのような修正のすべては、本教示の範囲内に含まれることが意図され、したがって、本発明の範囲は、特許請求の範囲によってのみ限定されるべきである。
【0168】
さらに、本明細書では、第1および第2などの関係用語は、1つのエンティティまたはアクションを別のエンティティまたはアクションから区別するためにのみ使用され得、そのようなエンティティまたはアクション間のいかなる実際の関係または順序を必ずしも要求または暗示することはない。用語「含む」、「含んでいる」、「有する」、「有している」、「備える」、「備えている」、「含有する」、「含有している」、またはそれらの任意の他の変形は、非排他的な包含をカバーすることを意図している。その結果、要素のリストを含む、有する、備える、または含有するプロセス、方法、物品、または装置は、それらの要素のみを含むのではなく、明示的にリストされていない、またはそのようなプロセス、方法、物品、または装置に固有の他の要素を含み得る。「を含む」、「を有する」、「を備える」または「を含有する」に先行する要素は、さらなる制約がない限り、その要素を含む、有する、備えるまたは含有するプロセス、方法、物品、または装置内に、追加の同一要素の存在を妨げるものではない。用語「a」および「an」は、本明細書に別段の明示的記載がない限り、1つまたは複数として定義される。用語「実質的に」、「本質的に」、「およそ」、「約」またはそれらの任意の他のバージョンは、当業者によって理解されるものに近いものとして定義される。本明細書で使用される「結合された」という用語は、必ずしも直接ではないが、接続されたとして定義される。特定の方法で「構成される」装置または構造は、少なくともそのように構成されるが、列挙されていない方法で構成されてもよい。
【0169】
本開示の要約書は、読者が技術的開示の性質を迅速に確認することを可能にするために提供される。要約書は、特許請求の範囲や意義を解釈または限定するために使用されないことを理解されたい。さらに、前述の詳細な説明では、本開示を合理化する目的で、様々な特徴が様々な実施形態にまとめられている。この開示の方法は、請求項に記載された実施形態が、各請求項において明示的に列挙されるよりも多くの特徴を必要とするという意図を反映するものとして解釈されるべきではない。むしろ、請求項に示すように、本発明の主題は、単一の開示実施形態の全ての特徴より少ない特徴にある。したがって、以下の特許請求の範囲は、本明細書によって詳細な説明に組み込まれ、各請求項は、別々に請求される主題として独立している。


図1
図2
図3
図4(a)】
図4(b)】
図4(c)】
図5
図6(a)】
図6(b)】
図7
図8
図9(a)】
図9(b)】
図9(c)】
図10
図11(a)】
図11(b)】
図12
【国際調査報告】