(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-28
(54)【発明の名称】ペプチド薬物複合体
(51)【国際特許分類】
A61K 47/64 20170101AFI20240621BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240621BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20240621BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240621BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20240621BHJP
A61K 31/4184 20060101ALI20240621BHJP
【FI】
A61K47/64
A61P35/00
A61P35/02
A61P43/00 121
A61K45/00
A61K31/4184
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023577977
(86)(22)【出願日】2022-06-20
(85)【翻訳文提出日】2024-02-13
(86)【国際出願番号】 EP2022066756
(87)【国際公開番号】W WO2022263679
(87)【国際公開日】2022-12-22
(32)【優先日】2021-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513267523
【氏名又は名称】オンコペプティデス エービー
【氏名又は名称原語表記】Oncopeptides AB
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】ベルメホ・ゴメス、アントニオ
(72)【発明者】
【氏名】クマー・チンタキンディ、プラビーン
(72)【発明者】
【氏名】デンメア、チャールズ
(72)【発明者】
【氏名】ファルネガルディ、カタリナ
(72)【発明者】
【氏名】ファルネガルディ、マティアス
(72)【発明者】
【氏名】レーマン、フレデリク
(72)【発明者】
【氏名】サンタンジェロ、エレン
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA95
4C076CC27
4C076EE41
4C076EE59
4C076FF68
4C084AA19
4C084NA05
4C084ZB261
4C084ZB271
4C084ZC751
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086BC39
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA04
4C086NA05
4C086NA13
4C086ZB26
4C086ZB27
4C086ZC75
(57)【要約】
本発明は、ペプチダーゼ増強細胞毒性物質である式(I)で表される化合物をに関する。本発明は、また、当該化合物を含む医薬組成物に関し、特に多発性骨髄腫、骨肉腫、乳がん、肺がん、卵巣がん、白血病及びリンパ腫といったがんの予防又は治療に使用する薬剤としての当該化合物又は医薬組成物の使用に関する。
【化1】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】
(式中、
XはC
1-6アルキレンであり;
W
1、W
2、W
3及びW
4は、それぞれCHであるか、W
1、W
2、W
3及びW
4の1つはNであり、他のものはCHであり;
R
1は、H、ハロゲンの中から独立して選択される1、2又は3の置換基で置換されていてもよいC
1-4アルキル、及びハロゲンからなる群から選択され;
R
2は、H、ハロゲンの中から独立して選択される1、2又は3の置換基で置換されていてもよいフェニル、及びハロゲンの中から独立して選択される1、2又は3の置換基で置換されていてもよいC
1-6アルキルからなる群から選択され;
R
3は、式(II)
【化2】
又は式(III)
【化3】
で表される基である、
ここで、
R
4は、N(R
c)(R
d)及び式(IV)
【化4】
で表される基からなる群から選択され;
R
4が式(IV)で表される基である場合、R
5はR
bであり、R
4がN(R
c)(R
d)である場合、R
5はR
b及び式(V)
【化5】
で表される基からなる群から選択され;
各R
aは、H、C
1-6アルキル、-CH
2-フェニル又は-CH
2-ヘテロシクリルからなる群から独立して選択され、前記ヘテロシクリルは、N、O及びSから選択される1、2、3及び4のヘテロ原子を有する3~12員ヘテロシクリルであり、前記C
1-6アルキルは、-OH、-OC
1-6アルキル、-NH
2、-NHC(=NH)NH
2、-C(O)OH、-C(O)NH
2、-SH、-SCH
3及びハロゲンからなる群から独立して選択される1、2又は3の置換基で置換されていてもよく、前記フェニル又は前記ヘテロシクリルは、ハロゲン、-NH
2、-OH、-OC
1-6アルキル及び-NO
2からなる群から独立して選択される1、2又は3の置換基で置換されていてもよく;
R
bは、-OH、-N(R
e)(R
f)、及び、ハロゲン、-OH、-CN、-N(R
e)(R
f)、-C
6-10アリール又は、1以上のO、N若しくはS原子を有し、かつ、1、2若しくは3のハロゲンで置換されていてもよい3~12員複素環から選択される1以上の置換基で置換されていてもよい-OC
1-6アルキルからなる群から選択され、前記アルキルは、1、2又は3のO、N又はS原子によって分断されていてもよく;
R
c及びR
dは、それぞれ、H、-C
1-6アルキル、C(O)C
1-6アルキル及び-CH
2-フェニルからなる群から独立して選択され、前記アルキル又は前記フェニルは、ハロゲンの中から選択される1、2又は3の置換基で置換されていてもよく;
R
e及びR
fは、それぞれ、H及び-C
1-6アルキルからなる群から独立して選択され、前記アルキルは、ハロゲンの中から選択される1、2又は3の置換基で置換されていてもよく、又は、R
e及びR
fは、結合している窒素原子と共に、ハロゲンの中から選択される1、2又は3の置換基で置換されていてもよい4、5又は6員複素環を形成する)
で表される化合物、又は、その薬学的に許容される塩、エステル、アミド若しくはカルバメート、若しくは、そのようなエステル、アミド若しくはカルバメートの塩。
【請求項2】
式(Ia)
【化6】
で表される構造、例えば、式(Ib)
【化7】
で表される構造を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
R
1はHである、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項4】
R
2は、1、2又は3のハロゲンで置換されていてもよいフェニル、及び、1、2又は3のハロゲンで置換されていてもよいC
1-6アルキルからなる群から選択され、例えば、1、2又は3のハロゲンで置換されていてもよいC
1-4アルキル、例えばメチルである、請求項1~3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
Xは-CH
2-又は-CH
2-CH
2-である、請求項1~4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
R
3は、式(IIa)
【化8】
又は式(IIIa)
【化9】
で表される基である、請求項1~5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
R
4は、N(R
c)(R
d)及び式(IVa)
【化10】
で表される基からなる群から選択される、請求項1~6のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項8】
R
4が式(IV)又は式(IVa)で表される基である場合、R
5はR
bであり、R
4がN(R
c)(R
d)である場合、R
5はR
b及び式(Va)
【化11】
で表される基からなる群から選択される、請求項1~7のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項9】
R
4はNH
2である、請求項1~8のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項10】
各R
aは、C
1-6アルキル及び-CH
2-フェニルからなる群から独立して選択され、前記C
1-6アルキルは、-OH、-NH
2、-NHC(=NH)NH
2、-C(O)OH、-C(O)NH
2、-SH、-SCH
3又はハロゲン(例.F又はCl)で置換されていてもよく、前記フェニルは、ハロゲン(例.F又はCl)、-NH
2、-OH、-O-C
1-6アルキル及び-NO
2からなる群から独立して選択される1、2又は3の置換基で置換されていてもよい、請求項1~9のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項11】
R
aは、-C
1-6アルキル及び-CH
2-フェニルからなる群から選択され、前記フェニルは、1、2又は3のハロゲンで置換されていてもよい、請求項10に記載の化合物。
【請求項12】
R
4が式(IV)又は式(IVa)で表される基である場合、R
5は-OC
1-6アルキルであり、R
4がNH
2である場合、R
5は、-OC
1-6アルキル又は式(V)若しくは(Va)で表される基である、請求項1~11のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項13】
R
bが-OC
1-6アルキルである場合、R
bはメトキシ、エトキシ及びイソプロポキシからなる群から選択される、請求項12に記載の化合物。
【請求項14】
前記化合物は、
(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]ブタノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸エチルエステル(実施例化合物1);
(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]ブタノイル]アミノ]-3-(4-フルオロフェニル)プロパン酸エチルエステル(実施例化合物2);
(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]ブタノイル]アミノ]-3-メチル-ブタン酸エチルエステル(実施例化合物3);
(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-3-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]プロパノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸エチルエステル(実施例化合物4);
(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-3-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]プロパノイル]アミノ]-3-(4-フルオロフェニル)プロパン酸エチルエステル(実施例化合物5);
(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-3-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]プロパノイル]アミノ]-3-メチル-ブタン酸エチルエステル(実施例化合物6);
(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-4-メチル-ペンタノイル]アミノ]-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]ブタン酸エチルエステル(実施例化合物7);
(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-3-(4-フルオロフェニル)プロパノイル]アミノ]-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]ブタン酸エチルエステル(実施例化合物8);
(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-3-メチル-ブタノイル]アミノ]-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]ブタン酸エチルエステル(実施例化合物9);
(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-4-メチル-ペンタノイル]アミノ]-3-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]プロパン酸エチルエステル(実施例化合物10);
(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-3-(4-フルオロフェニル)プロパノイル]アミノ]-3-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]プロパン酸エチルエステル(実施例化合物11);
(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-3-メチル-ブタノイル]アミノ]-3-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]プロパン酸エチルエステル(実施例化合物12);
(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-フェニル-ベンズイミダゾール-2-イル]ブタノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸エチルエステル(実施例化合物13);
(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-3-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]プロパノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸メチルエステル(実施例化合物14);
(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-3-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]プロパノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸イソプロピルエステル(実施例化合物15);
(2S)-2-[[(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-3-(4-フルオロフェニル)プロパノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタノイル]アミノ]-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]ブタン酸エチルエステル(実施例化合物16);
(2S)-2-[[(2R)-2-[[(2S)-2-アミノ-3-(4-フルオロフェニル)プロパノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタノイル]アミノ]-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]ブタン酸エチルエステル(実施例化合物21);
(2S)-2-[[(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]ブタノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタノイル]アミノ]-3-(4-フルオロフェニル)プロパン酸エチルエステル(実施例化合物22);
(2S)-2-[[(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]ブタノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸エチルエステル(実施例化合物23);
(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]ブタノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸2-モルホリノエチルエステル(実施例化合物24);
(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]ブタノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸2-イソプロポキシエチルエステル(実施例化合物25);
(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]ブタノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸イソプロピルエステル(実施例化合物26);
(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]ブタノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸メチルエステル(実施例化合物27);
(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]ブタノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸3-(ジメチルアミノ)プロピルエステル(実施例化合物28);
(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]ブタノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸(2-メトキシ-1-メチル-エチル)エステル(実施例化合物29);
(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]ブタノイル]アミノ]-N,N,4-トリメチル-ペンタンアミド(実施例化合物30);
(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]ブタノイル]アミノ]-N,4-ジメチル-ペンタンアミド(実施例化合物31);
(2S)-2-[[(2S)-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]-2-(メチルアミノ)ブタノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸エチルエステル(実施例化合物32);
(2S)-2-[[(2S)-2-アセトアミド-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]ブタノイル]アミノ]-3-(4-フルオロフェニル)プロパン酸エチルエステル(実施例化合物34);
(2S)-2-[[(2S)-2-アセトアミド-3-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]プロパノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸エチルエステル(実施例化合物35);
(2S)-2-[[(2S)-2-アセトアミド-3-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]プロパノイル]アミノ]-3-(4-フルオロフェニル)プロパン酸エチルエステル(実施例化合物36);
(2S)-2-アミノ-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]ブタン酸エチルエステル(実施例化合物38);
(2R)-2-[[(2S)-2-アミノ-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]ブタノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸エチルエステル(実施例化合物45);
(2S)-2-[[(2R)-2-アミノ-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]ブタノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸エチルエステル(実施例化合物46);
(2R)-2-[[(2R)-2-アミノ-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]ブタノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸エチルエステル(実施例化合物47);
(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-4-[6-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-3-メチル-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-イル]ブタノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸エチルエステル(実施例化合物48);及び
(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-4-[5-[ビス(2-クロロ-1,1,2,2-テトラジュウテリオ-エチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]ブタノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸エチルエステル(実施例化合物50)
又は、その薬学的に許容される塩、アミド若しくはカルバメートからなる群から選択され、そのようなアミド若しくはカルバメートの塩を含む、請求項1に記載の化合物。
【請求項15】
前記化合物は、
(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]ブタノイル]アミノ]-3-メチル-ブタン酸(実施例化合物19);
(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]ブタノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸(実施例化合物20);
(2S)-2-[[(2S)-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]-2-(メチルアミノ)ブタノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸(実施例化合物33);
(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-4-メチル-ペンタノイル]アミノ]-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]ブタン酸(実施例化合物37);
(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]ブタノイル]アミノ]-3-(4-フルオロフェニル)プロパン酸(実施例化合物39);
(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-フェニル-ベンズイミダゾール-2-イル]ブタノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸(実施例化合物40);
2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-3-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]プロパノイル]アミノ]-3-メチル-ブタン酸(実施例化合物42);
(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-4-メチル-ペンタノイル]アミノ]-3-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]プロパン酸(実施例化合物43);
(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-3-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]プロパノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸(実施例化合物44)及び
(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-4-[5-[ビス(2-クロロ-1,1,2,2-テトラジュウテリオ-エチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]ブタノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸(実施例化合物51)
又はその塩からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項16】
請求項1~15のいずれか一項に記載の化合物及び薬学的に許容される担体に含む医薬組成物。
【請求項17】
別の治療薬、例えば、ステロイド、チェックポイント阻害剤、核輸送阻害剤、抗アポトーシス阻害剤、養子細胞療法、二重特異性T細胞誘導剤(BiTE)、免疫調節イミド薬(IMiD)、プロテアソーム阻害剤(PI)、ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害剤、ペプチド薬物複合体(PDC)、アルキル化剤又はDNAインターカレーターを更に含む、請求項16に記載の医薬組成物。
【請求項18】
医薬として使用するための、請求項1~15のいずれか一項に記載の化合物、又は、請求項16若しくは17に記載の医薬組成物。
【請求項19】
がんの予防又は治療で使用するための、
請求項1~15のいずれか一項に記載の化合物、又は、請求項16若しくは17に記載の医薬組成物。
【請求項20】
前記がんが、多発性骨髄腫、骨肉腫、乳がん、肺がん、卵巣がん、白血病及びリンパ腫から選択され、例えば、多発性骨髄腫、急性骨髄性白血病又はリンパ腫である、請求項19における使用のための化合物又は組成物。
【請求項21】
前記化合物又は組成物が、1以上の別の治療薬、例えばステロイド、チェックポイント阻害剤、核輸送阻害剤、抗アポトーシス阻害剤、養子細胞療法、二重特異性T細胞誘導剤(BiTE)、免疫調節イミド薬(IMiD)、プロテアソーム阻害剤(PI)、ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害剤、ペプチド薬物複合体(PDC)、アルキル化剤又はDNAインターカレーターとともに(例えば、同時に、連続的に又は別々に)投与される
、請求項19又は20における使用のための化合物又は組成物。
【請求項22】
請求項1~15のいずれか一項に記載の化合物、又は、請求項16若しくは17に記載の医薬組成物の薬学的有効量を投与することを含む、患者を治療する方法。
【請求項23】
請求項1~15のいずれか一項に記載の化合物、又は、請求項16若しくは17に記載の医薬組成物の有効量を投与することを含む、がんを予防又は治療する方法であって、例えば、前記がんは、多発性骨髄腫、骨肉腫、乳がん、肺がん、卵巣がん、白血病及びリンパ腫のいずれか、例えば、多発性骨髄腫、急性骨髄性白血病又はリンパ腫である、方法。
【請求項24】
がんを予防又は治療する医薬品の製造における請求項1~15のいずれか一項に記載の化合物の使用であって、例えば、前記がんは、多発性骨髄腫、骨肉腫、乳がん、肺がん、卵巣がん、白血病及びリンパ腫のいずれか、例えば、多発性骨髄腫、急性骨髄性白血病又はリンパ腫である、使用。
【請求項25】
式(I)
【化12】
(式中、
XはC
1-6アルキレンであり;
W
1、W
2、W
3及びW
4は、それぞれCHであるか、W
1、W
2、W
3及びW
4の1つはNであり、他のものはCHであり;
R
1は、H、ハロゲンの中から独立して選択される1、2又は3の置換基で置換されていてもよいC
1-4アルキル、及びハロゲンからなる群から選択され;
R
2は、H、ハロゲンの中から独立して選択される1、2又は3の置換基で置換されていてもよいフェニル、及びハロゲンの中から独立して選択される1、2又は3の置換基で置換されていてもよいC
1-6アルキルからなる群から選択され;
R
3は、式(VIa)
【化13】
(式中、R
c及びR
dは、それぞれ、H、-C
1-6アルキル、C(O)C
1-6アルキル及び-CH
2-フェニルからなる群から独立して選択され、前記アルキル又は前記フェニルは、ハロゲンの中から選択される1、2又は3の置換基で置換されていてもよく;
R
gは、H及び-C
1-6アルキルからなる群から選択され、前記アルキルは、ハロゲンの中から選択される1、2又は3の置換基で置換されていてもよい)
で表される基である)
で表される化合物又はその塩若しくは溶媒和物。
【請求項26】
構造が請求項2に記載の式(Ia)又は(Ib)で表される構造、又は、R
1、R
2若しくはXが、請求項3~5のいずれか一項に記載のもの;R
c及びR
dがそれぞれH;R
gがHである、請求項25に記載の化合物。
【請求項27】
前記化合物は、
(2S)-2-アミノ-3-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]プロパン酸(実施例化合物17);
(S)-2-アミノ-4-(5-(ビス(2-クロロエチル)アミノ)-1-メチル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)ブタン酸(実施例化合物18);
(2S)-2-アミノ-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]ブタン酸エチルエステル(実施例化合物38);
(2S)-2-アミノ-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-フェニル-ベンズイミダゾール-2-イル]ブタン酸(実施例化合物41);及び
(2S)-2-アミノ-4-[5-[ビス(2-クロロ-1,1,2,2-テトラジュウテリオ-エチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]ブタン酸(実施例化合物49);又はその塩
からなる群から選択される、請求項25に記載の化合物。
【請求項28】
多発性骨髄腫、骨肉腫、乳がん、肺がん、卵巣がん、白血病及びリンパ腫からなる群から選択されるがん、例えば、多発性骨髄腫、急性骨髄性白血病又はリンパ腫の治療に使用するための、式(I)
【化14】
(式中、
XはC
1-6アルキレンであり;
W
1、W
2、W
3及びW
4は、それぞれCHであるか、W
1、W
2、W
3及びW
4の1つはNであり、他のものはCHであり;
R
1は、H、ハロゲンの中から独立して選択される1、2又は3の置換基で置換されていてもよいC
1-4アルキル、及びハロゲンからなる群から選択され;
R
2は、H、ハロゲンの中から独立して選択される1、2又は3の置換基で置換されていてもよいフェニル、ハロゲンの中から独立して選択される1、2又は3の置換基で置換されていてもよいC
1-6アルキルからなる群から選択され;
R
3は、式(VI)
【化15】
(式中、R
c及びR
dは、それぞれ、H、-C
1-6アルキル、C(O)C
1-6アルキル及び-CH
2-フェニルからなる群から独立して選択され、前記アルキル又は前記フェニルは、ハロゲンの中から選択される1、2又は3の置換基で置換されていてもよく;
R
gは、H及び-C
1-6アルキルからなる群から選択され、前記アルキルは、ハロゲンの中から選択される1、2又は3の置換基で置換されていてもよい)で表される基である)
で表される化合物又はその塩若しくは溶媒和物。
【請求項29】
請求項28に記載の化合物の有効量を投与することを含む、多発性骨髄腫、骨肉腫、乳がん、肺がん、卵巣がん、白血病及びリンパ腫からなる群から選択されるがん、例えば、多発性骨髄腫、急性骨髄性白血病又はリンパ腫の治療方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ペプチド薬物複合体(PDC)及びがんのような疾患の治療における当該化合物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ペプチダーゼ、エステラーゼ及びプロテアーゼのようなさまざまな加水分解酵素の発現の増加が、ヒトのいくつかの悪性腫瘍、特に、急速に成長し、攻撃的であることを特徴とする腫瘍で説明されている(Pharmacol Ther. 1999; 83; 67-123)。哺乳動物細胞で広く発現するZn2+依存膜結合エクトペプチダーゼであるアミノペプチダーゼN(APN、CD13としても公知)は、腫瘍細胞の浸潤、分化、増殖、アポトーシス、運動性及び血管形成のようなプロセスを含むがんの発症で重要な役割を果たす(Cancer Lett. 2006; 243; 135-43;Curr Med Chem. 2007; 14; 639-47;Curr Med Chem. 2008; 15; 2850-65)。APNの複数の機能は、「ムーンライティングエクトエンザイム」と呼ばれることにつながった(Trends Mol Med. 2008; 14; 361-71)。総合すると、これらの能力は、APNが、がんの治療において治療標的となる可能性があることを示唆する。さまざまなアプローチが、酵素阻害剤やAPNを標的とする担体構築物を含む、APNに向けられた新薬の開発に使用されている(Cancer Sci. 2011; 102; 501-8)。
【0003】
悪性腫瘍に存在するペプチダーゼ、エステラーゼ及びプロテアーゼなどの加水分解酵素を利用するがんの治療に使用される可能性がある薬物の1種は、ペプチド薬物複合体(PDC)である。我々は、がんの治療に有用なペプチド薬物複合体の新しいグループを見いだした。
【発明の概要】
【0004】
この発明は、請求項1に記載の式(I)で表される化合物、又は、その薬学的に許容される塩、エステル、アミド若しくはカルバメートに関し、そのようなエステル、アミド若しくはカルバメートの塩を含む。
【0005】
発明者らは、式(I)で表される化合物が強力な抗がん剤であることを見いだした。特に、発明者らは、in vitro細胞毒性アッセイにおいて、式(I)で表される化合物がさまざまな血液がんの細胞株に対して優れたin vitro細胞毒性を示すことを実証した。発明者らは、式(I)で表される化合物が、リンパ腫のニワトリ胚へのin ovo異種移植モデルにおいて腫瘍の増殖を減少させるのに有効であることも見いだした。さらに、発明者らは、式(I)で表される化合物が、がん細胞内でたやすく加水分解され、優先的に細胞内に隔離されて保持され、強力なアルキル化活性を示す代謝物を形成することを見いだした。
【0006】
本発明は、本発明の化合物を薬学的に許容される担体とともに含む医薬組成物を更に規定する。医薬組成物は、場合によっては、1以上の別の治療薬、例えば、ステロイド、チェックポイント阻害剤、核輸送阻害剤、抗アポトーシス阻害剤、細胞療法(養子細胞療法を含む)、二重特異性T細胞誘導剤(BiTE)、免疫調節イミド薬(IMiD)、プロテアソーム阻害剤(PI)、ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害剤、ペプチド薬物複合体(PDC)、アルキル化剤又はDNAインターカレーターを含んでいてもよい。
【0007】
この発明は、医薬として使用するための、本発明の化合物又は医薬組成物も提供する。加えて、がん、例えば、多発性骨髄腫、骨肉腫、乳がん、肺がん、卵巣がん、白血病及びリンパ腫の予防又は治療で使用するための、本発明の化合物又は医薬組成物も提供する。
【0008】
本発明は、本発明の化合物又は医薬組成物の薬学的有効量を投与することを含む、患者を治療する方法も提供する。
【0009】
本発明は、がんを予防又は治療するための医薬品の製造における本発明の化合物の使用も提供する。
【0010】
請求項25に記載の本発明の別の化合物も更に提供する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、MM.1S細胞をin vitroで処理した後の本発明の代謝化合物(実施例化合物18、本発明の実施例化合物1による処理後に同定、
図1(A))、ベンダムスチン(
図1(A))及びメルファラン(
図1(B))比較対照の細胞内及び細胞外濃度の測定結果を示す。
【
図2】
図2は、ニワトリ胚in ovoモデルにおけるSU-DHL-4ヒトリンパ腫細胞株異種移植片の腫瘍増殖に対する実施例化合物1の効果を示す。
【
図3】
図3(A)~(G)は、MM.1S細胞をin vitroで処理した後の、本発明の化合物及びその代謝物の細胞内及び細胞外濃度の測定結果を示す。
【
図4】
図4(A)~(C)は、本発明の化合物及び対照が引き起すDNA損傷を検討するアッセイの結果を示す。
【
図5】
図5(A)及び(B)は、本発明の化合物及び対照が引き起すDNA断片化を検討するアッセイの結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
発明の詳細な説明
発明者らは、ヒトのがん細胞、特にヒトの血液がん細胞に対して高度に細胞毒性を示す新しいPDCを見いだした。実施例の項で説明するように、本発明のさまざまな実施例化合物を合成し、いくつかの血液がん細胞株に対する細胞毒性をin virto細胞毒性アッセイで試験した。発明者らは、本発明の化合物が、非常に強力であり、線維芽細胞株BJに対する化合物の細胞毒性が低いことで示されるように、血液がん細胞に対する選択性を示すことを見いだした。発明者らは、ヒトリンパ腫細胞株SU-DHL-4を使用するニワトリ胚のin ovo異種移植片モデルにおいて、実施例化合物1が腫瘍増殖を阻害するのに特に有効であることを見いだした。
【0013】
発明者らは、別の実験において、本発明の実施例化合物が、MM.1Sがん細胞内でたやすく加水分解されて、細胞内に隔離されて保持される代謝物を形成し、強力なアルキル化活性を有することを見いだし、本発明の化合物が、がんの予防又は治療、特に血液がんの予防又は治療に有効な新しいPDCであることを実証した。
【0014】
本発明は、式(I)
【化1】
(式中、W
1、W
2、W
3及びW
4は、それぞれCHであるか、W
1、W
2、W
3及びW
4の1つはNであり、他のものはCHである)
で表される化合物に関する。
【0015】
ある態様では、W2、W3及びW4はそれぞれCHで、W1はNである。
【0016】
-N(CH2CH2Cl)2基は、環の炭素原子を介して分子の環骨格に結合していることが直ちに理解できる。そのようなW基では、CHのHは存在しない。
【0017】
好ましい態様では、W
1、W
2、W
3及びW
4はそれぞれCHであり、式(I)で表される化合物は、式(Ia)
【化2】
で表される化合物となる。
【0018】
好ましい態様では、式(I)で表される化合物は、式(Ib)
【化3】
で表される化合物である。
【0019】
式(I)で表される化合物において、XはC1-6アルキレンである。例えば、Xは、C1-4アルキレン、C1-3アルキレン、C1-2アルキレン、C2アルキレン又はC1アルキレンであってもよい。Xは、直鎖状又は分岐鎖状のアルキレンであってもよい。Xのアルキレンは、本発明の化合物のイミダゾール環とペプチド(すなわち、以下で説明する化合物のR3)との間に結合を形成する。炭素数が1又は2のXのアルキレンリンカーが、特に効果的であることが判明した。したがって、好ましい態様では、Xは、C1アルキレン(すなわち、-CH2-)又は直鎖状C2アルキレン(すなわち、-CH2-CH2-)である。
【0020】
式(I)で表される化合物において、R1は、H、ハロゲンの中から独立して選択される1、2又は3の置換基で置換されていてもよいC1-4アルキル、及びハロゲンからなる群から選択される(例えば、H、C1-4アルキル及びハロゲンからなる群から選択される)。例えば、R1は、H、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、F、Cl、Br及びIからなる群から選択してもよい。場合により、これらの基は、ハロゲンの中から独立して選択される1、2又は3の置換基で置換されていてもよい。特定の態様では、R1は、H、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、F及びClからなる群から選択される。特定の好ましい態様では、R1はHである。
【0021】
式(I)で表される化合物において、R2は、H、ハロゲンの中から独立して選択される1、2又は3の置換基で置換されていてもよいフェニル、及びハロゲンの中から独立して選択される1、2又は3の置換基で置換されていてもよいC1-6アルキルからなる群から選択される。例えば、R2は、H、1、2又は3のF又はClで置換されていてもよいフェニル、及び、1、2又は3のF又はClで置換されていてもよいC1-4アルキル(例.メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル又はtert-ブチル)からなる群から選択されてもよい。ある態様では、R2は、ハロゲンの中から独立して選択される1、2又は3の置換基で置換されていてもよいフェニル、及びハロゲンの中から独立して選択される1、2又は3の置換基で置換されていてもよいC1-6アルキルからなる群から選択され、例えば、ハロゲンの中から選択される1、2又は3の置換基で置換されていてもよいC1-4アルキル(例.メチル)である。特定の態様では、R2は、置換されていないC1-2アルキル(例.メチル)又は置換されていないフェニルである。
【0022】
式(I)で表される化合物において、R
3は、式(II)
【化4】
又は式(III)
【化5】
で表される基である。
【0023】
好ましい態様では、R
3は、式(IIa)
【化6】
又は式(IIIa)
【化7】
で表される基である。
【0024】
誤解を避けるために説明すると、式(II)、(III)、(IIa)及び(IIIa)中の
【化7-1】
は、式(II)、(III)、(IIa)又は(IIIa)で表される基の、式(I)、(Ia)又は(IIa)で表される化合物への結合点を示す。
【0025】
式(II)、(IIa)、(III)及び(IIIa)では、R
4は、N(R
c)(R
d)及び式(IV)
【化8】
で表される基からなる群から選択される。
【0026】
好ましい態様では、R
4は、N(R
c)(R
d)及び式(IVa)
【化9】
で表される基からなる群から選択される。
【0027】
誤解を避けるために説明すると、式(IV)及び(IVa)中の
【化9-1】
は、式(IV)又は(IVa)で表される基の、式(II)、(III)、(IIa)又は(IIIa)で表される化合物への結合点を示す。
【0028】
式(I)で表される化合物において、R4が式(IV)又は式(IVa)で表される基である場合、R5はRbである。
【0029】
Rbは、-OH、-N(Re)(Rf)、及び、ハロゲン、-OH、-CN、-N(Re)(Rf)、-C6-10アリール、又は、1以上のO、N若しくはS原子を有し、かつ、1、2若しくは3のハロゲンで置換されていてもよい3~12員複素環から選択される1以上の置換基で置換されていてもよい-OC1-6アルキルからなる群から選択され、前記アルキルは、1、2又は3のO、N又はS原子によって分断されていてもよい。
【0030】
例えば、R4が式(IV)又は式(IVa)で表される基である場合、R5(すなわちRb)は、-OH及び-OC1-4アルキル(例.メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec-ブトキシ又はtert-ブトキシ)からなる群から選択されてもよい。好ましくは、R4が式(IV)又は式(IVa)で表される基である場合、R5は、-OH及び-OC1-3アルキル(例.メトキシ、エトキシ、プロポキシ又はイソプロポキシ)からなる群から選択される。より好ましくは、R4が式(IV)又は式(IVa)で表される基である場合、R5は、メトキシ、エトキシ又はイソプロポキシからなる群から選択される。
【0031】
式(I)で表される化合物において、R
4がN(R
c)(R
d)である場合、R
5は、R
b及び式(V)
【化10】
で表される基からなる群から選択される。
【0032】
好ましい態様では、R
4がN(R
c)(R
d)である場合、R
5は、-OH、-OC
1-6アルキル又は式(Va)
【化11】
で表される基である。
【0033】
誤解を避けるために説明すると、式(V)及び(Va)中の
【化11-1】
は、式(V)又は(Va)で表される基の、式(II)、(III)、(IIa)又は(IIIa)で表される化合物への結合点を示す。
【0034】
いくつかの態様では、R4はN(Rc)(Rd)で、R5(すなわちRb)は、OH、-OC1-4アルキル(例.メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec-ブトキシ又はtert-ブトキシ)からなる群から選択されてもよいか、又は、R5は、式(V)及び式(Va)で表される基から選択されてもよい。好ましくは、R4がN(Rc)(Rd)である場合、R5は、-OH、-OC1-3アルキル(例.メトキシ、エトキシ、プロポキシ又はイソプロポキシ)及び式(Va)で表される基からなる群から選択される。より好ましくは、R4がN(Rc)(Rd)である場合、R5は、メトキシ、エトキシ又はイソプロポキシからなる群から選択される。
【0035】
発明者らは、R4が、N(Rc)(Rd)、式(IV)又は式(IVa)で表される基から選択され、R5(すなわちRb)が-OC1-3アルキル(例.メトキシ、エトキシ又はイソプロポキシ)である式(I)で表される化合物は、がん細胞に対して、特に細胞毒性であることを見いだした。したがって、特定の好ましい態様では、式(I)で表される化合物において、R5は-OC1-3アルキル(例.メトキシ、エトキシ又はイソプロポキシ)である。つまり、R4が、N(Rc)(Rd)、式(IV)又は式(IVa)で表される基である場合、R5は、-OC1-3アルキル(例.メトキシ、エトキシ又はイソプロポキシ)であることが好ましい。
【0036】
特定の態様では、R5は-OHである。
【0037】
式(I)で表される化合物において、各Raは、H、C1-6アルキル、-CH2-フェニル又は、-CH2-ヘテロシクリルからなる群から独立して選択され、前記ヘテロシクリルは、N、O及びSから選択される1、2、3及び4のヘテロ原子を有する3~12員ヘテロシクリルであり、前記C1-6アルキルは、-OH、-OC1-6アルキル、-NH2、-NHC(=NH)NH2、-C(O)OH、-C(O)NH2、-SH、-SCH3及びハロゲンからなる群から独立して選択される1、2又は3の置換基で置換されていてもよく、前記フェニル又はヘテロシクリルは、-NH2、-OH、-OC1-6アルキル及び-NO2からなる群から独立して選択される1、2又は3の置換基で置換されていてもよい。特定の態様では、各Raは、H、-C1-6アルキル、-CH2-インドリル、-CH2-フェニル及び-CH2-ヘテロアリールからなる群から独立して選択され、前記ヘテロアリールは、1、2、3又は4のN又はS原子を有する5員ヘテロアリールであり、ここで、C1-6アルキルは、-OH、-NH2、-NHC(=NH)NH2、-C(O)OH、-C(O)NH2、-SH、-SCH3又はハロゲン(例.F、Cl、Br又はI)で置換されていてもよく、フェニルは、ハロゲン(例.F、Cl、Br又はI)、-NH2、-OH、-OC1-6アルキル及び-NO2からなる群から独立して選択される1、2又は3の置換基で置換されていてもよい。好ましくは、各Raは、H、C1-4アルキル及び-CH2-フェニルからなる群から独立して選択され、ここで、アルキル又はフェニルは、1又は2のハロゲン(例.F又はCl)で置換されていてもよい。例えば、各Raは、独立して、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、-CH2-フェニル、-CH2-フルオロフェニル、-CH2-クロロフェニル、-CH2-ジフルオロフェニル又は-CH2-ジクロロフェニルであってもよい。特定の好ましい態様では、各Raは、独立して、イソプロピル、イソブチル、sec-ブチル、-CH2-フェニル又は-CH2-フルオロフェニル(すなわち、2-フルオロベンジル、3-フルオロベンジル又は4-フルオロベンジル)であってもよい。
【0038】
式(I)で表される化合物において、Rbは、-OH、-N(Re)(Rf)、及び、ハロゲン、-OH、-CN、-N(Re)(Rf)、-C6-10アリール、又は、1以上のO、N若しくはS原子を有し、かつ、1、2若しくは3のハロゲンで置換されていてもよい3~12員複素環から選択される1以上の置換基で置換されていてもよい-OC1-6アルキルからなる群から選択され、前記アルキルは、1、2又は3のO、N又はS原子によって分断されていてもよい。特定の態様では、Rbは、-OH又は-OC1-6アルキルで、前記アルキルは、1、2又は3のO又はN原子によって分断されていてもよい。別の好ましい態様では、Rbは、-OH又は-OC1-6アルキルで、例えば-OC1-6アルキルである。好ましくは、Rbは-OC1-4アルキルである。例えば、Rbは、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ又はsec-ブトキシであってもよい。特定の好ましい態様では、Rbは、メトキシ、エトキシ又はイソプロポキシである。より好ましくは、Rbはエトキシである。
【0039】
特定の態様では、Rbは-OHである。
【0040】
Rc及びRdは、それぞれ、H、-C1-6アルキル、-C(O)C1-6アルキル及び-CH2-フェニルからなる群から独立して選択され、前記アルキル又は前記フェニルは、ハロゲンの中から選択される1、2又は3の置換基で置換されていてもよい。好ましい化合物では、RcはHで、Rdは、H、-C1-6アルキル及び-C(O)C1-6アルキルから選択され、前記アルキルは、ハロゲンの中から選択される1、2又は3の置換基で置換されていてもよい。例えば、RcはHで、Rdは、H、-C1-4アルキル及びC(O)C1-4アルキルから選択される。例えば、RcはHで、Rdは、H、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、-C(O)メチル、-C(O)エチル、-C(O)プロピル、-C(O)イソプロピル、-C(O)ブチル、-C(O)イソブチル及び-C(O)sec-ブチルから選択される。好ましくは、RcはHで、Rdは、H、メチル及び-C(O)メチルから選択される。好ましくは、RcはHで、RdはHである。
【0041】
式(I)で表される化合物において、Re及びRfは、それぞれ、H及び-C1-6アルキルからなる群から独立して選択され、前記アルキルは、ハロゲンの中から選択される1、2又は3の置換基で置換されていてもよく、又は、Re及びRfは、結合している窒素原子と共に、ハロゲンの中から選択される1、2又は3の置換基で置換されていてもよい4、5又は6員複素環を形成する。好ましい化合物では、Re及びRfは、それぞれ、H、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル及びsec-ブチルからなる群から独立して選択される。例えば、Re及びRfは、それぞれ、H及びメチルからなる群から独立して選択される。好ましくは、Re及びRfは、いずれもH、いずれもメチル、又は、一方がHで他方がメチルである。
【0042】
特定の態様では、本発明の化合物は、式(Ia)で表される化合物、又は、その薬学的に許容される塩、エステル、アミド若しくはカルバメートであり、そのようなエステル、アミド若しくはカルバメートの塩を含み、式中、
Xは-C1-2アルキレン(すなわち、-CH2-又は-CH2-CH2-)であり;
R1はHであり;
R2は、1、2又は3のFで置換されていてもよいC1-2アルキル、又は1、2又は3のFで置換されていてもよいフェニルであり、例えば、R2は、置換されていないC1-2アルキル又は置換されていないフェニルであってもよく;
R3は、式(IIa)又は式(IIIa)で表される基であり;
R4は、N(Rc)(Rd)及び式(IVa)で表される基からなる群から選択され;
R4が式(IVa)で表される基である場合、R5(すなわちRb)は-OC1-4アルキルであり、R4がN(Rc)(Rd)である場合、R5は-OC1-4アルキル又は式(Va)で表される基であり;
各Raは、H、-C1-6アルキル、-CH2-インドリル、-CH2-フェニル又は-CH2-ヘテロアリールからなる群から独立して選択され、前記ヘテロアリールは、1、2、3又は4のN又はS原子を有する5員ヘテロアリールであり、前記-C1-6アルキルは、-OH、-NH2、-NHC(=NH)NH2、-C(O)OH、-C(O)NH2、-SH、-SCH3又はハロゲンで置換されていてもよく、前記フェニルは、ハロゲン、-NH2、-OH、-O-C1-6アルキル及び-NO2からなる群から独立して選択される1、2又は3の置換基で置換されていてもよく;
Rbは-OC1-6アルキルであり;
RcはHで、Rdは、H、-C1-4アルキル及び-C(O)C1-4アルキルから選択される。
【0043】
他の好ましい態様では、本発明の化合物は、式(Ia)で表される化合物、又は、その薬学的に許容される塩、エステル、アミド若しくはカルバメートであり、そのようなエステル、アミド若しくはカルバメートの塩を含み、式中、
Xは-C1-2アルキレン(すなわち、-CH2-又は-CH2-CH2-)であり;
R1はHであり;
R2は、メチル又はフェニルであり;
R3は、式(IIa)又は式(IIIa)で表される基であり;
R4は、N(Rc)(Rd)又は式(IVa)で表される基であり;
R5(すなわちRb)は-OC1-3アルキルであり;
各Raは、H、-C1-6アルキル、-CH2-インドリル、-CH2-フェニル又は-CH2-ヘテロアリールからなる群から独立して選択され、前記ヘテロアリールは、1、2、3又は4のN又はS原子を有する5員ヘテロアリールであり、ここで、C1-6アルキルは、-OH、-NH2、-NHC(=NH)NH2、-C(O)OH、-C(O)NH2、-SH、-SCH3又はハロゲンで置換されていてもよく、フェニルは、ハロゲン、NH2、-OH、-OC1-6アルキル及び-NO2からなる群から独立して選択される1、2又は3の置換基で置換されていてもよい。
【0044】
発明者らは、式(Ia)で表される化合物、又は、その薬学的に許容される塩、エステル、アミド若しくはカルバメートであり、そのようなエステル、アミド若しくはカルバメートの塩を含み、式中、
Xは-C1-2アルキレン(すなわち、-CH2-又は-CH2-CH2-)であり;
R1はHであり;
R2は、メチル又はフェニルであり;
R3は、式(IIa)又は式(IIIa)で表される基であり;
R4は、N(Rc)(Rd)又は式(IVa)で表される基であり;
R5(すなわちRb)は-OC1-3アルキルであり;
各Raは、イソプロピル、イソブチル及び1つのFで置換されていてもよい-CH2-フェニル(例.2-フルオロベンジル、3-フルオロベンジル又は4-フルオロベンジル)からなる群から独立して選択される化合物が、in vitro細胞傷害性アッセイ及びリンパ腫のニワトリ胚in ovo異種移植モデルにおいて、血液がん細胞に対して特に細胞毒性であることを見いだした。
【0045】
他の好ましい態様では、本発明の化合物は、式(Ia)で表される化合物、又は、その薬学的に許容される塩、エステル、アミド若しくはカルバメートであり、そのようなエステル、アミド若しくはカルバメートの塩を含み、式中、
Xは-C1-2アルキレン(すなわち、-CH2-又は-CH2-CH2-)であり;
R1はHであり;
R2は、1、2又は3のFで置換されていてもよいC1-2アルキル又は1、2又は3のFで置換されていてもよいフェニルであり、例えば、R2は、置換されていないC1-2アルキル又は置換されていないフェニルであってもよく;
R3は式(IIa)で表される基であり;
R4はNH2であり;
R5(すなわちRb)は-OC1-4アルキルであり;
各Raは、H、-C1-6アルキル、-CH2-インドリル、-CH2-フェニル又は-CH2-ヘテロアリールからなる群から独立して選択され、前記ヘテロアリールは、1、2、3又は4のN又はS原子を有する5員ヘテロアリールであり、ここで、C1-6アルキルは、-OH、-NH2、-NHC(=NH)NH2、-C(O)OH、-C(O)NH2、-SH、-SCH3又はハロゲンで置換されていてもよく、フェニルは、ハロゲン、-NH2、-OH、-O-C1-6アルキル及び-NO2からなる群から独立して選択される1、2又は3の置換基で置換されていてもよい。
【0046】
他の好ましい態様では、本発明の化合物は、式(Ia)で表される化合物、又は、その薬学的に許容される塩、エステル、アミド若しくはカルバメートであり、そのようなエステル、アミド若しくはカルバメートの塩を含み、式中、
Xは-C1-2アルキレン(すなわち、-CH2-又は-CH2-CH2-)であり;
R1はHであり;
R2は、1、2又は3のFで置換されていてもよいC1-2アルキル又は1、2又は3のFで置換されていてもよいフェニルであり、例えば、R2は、置換されていないC1-2アルキル又は置換されていないフェニルであり;
R3は式(IIIa)で表される基であり;
R4はNH2であり;
R5は-OC1-4アルキルであり;
各Raは、H、-C1-6アルキル、-CH2-インドリル、-CH2-フェニル又は-CH2-ヘテロアリールからなる群から独立して選択され、前記ヘテロアリールは、1、2、3又は4のN又はS原子を有する5員ヘテロアリールであり、ここで、C1-6アルキルは、-OH、-NH2、-NHC(=NH)NH2、-C(O)OH、-C(O)NH2、-SH、-SCH3又はハロゲンで置換されていてもよく、フェニルは、ハロゲン、-NH2、-OH、-O-C1-6アルキル及び-NO2からなる群から独立して選択される1、2又は3の置換基で置換されていてもよい。
【0047】
他の好ましい態様では、本発明の化合物は、式(Ia)で表される化合物、又は、その薬学的に許容される塩、エステル、アミド若しくはカルバメートであり、そのようなエステル、アミド若しくはカルバメートの塩を含み、式中、
Xは-C1-2アルキレン(すなわち、-CH2-又は-CH2-CH2-)であり;
R1はHであり;
R2は、1、2又は3のFで置換されていてもよいC1-2アルキル又は1、2又は3のFで置換されていてもよいフェニルであり、例えば、R2は、置換されていないC1-2アルキル又は置換されていないフェニルであり;
R3は式(IIIa)で表される基であり;
R4は式(IVa)で表される基であり;
R5は-OC1-4アルキルであり;
各Raは、H、-C1-6アルキル、-CH2-インドリル、-CH2-フェニル又は-CH2-ヘテロアリールからなる群から独立して選択され、前記ヘテロアリールは、1、2、3又は4のN又はS原子を有する5員ヘテロアリールであり、ここで、-C1-6アルキルは、-OH、-NH2、-NHC(=NH)NH2、-C(O)OH、-C(O)NH2、-SH、-SCH3又はハロゲンで置換されていてもよく、フェニルは、ハロゲン、-NH2、-OH、-O-C1-6アルキル及び-NO2からなる群から独立して選択される1、2又は3の置換基で置換されていてもよい。
【0048】
特定の好ましい態様では、本発明の化合物は、
(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]ブタノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸エチルエステル(実施例化合物1);
(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]ブタノイル]アミノ]-3-(4-フルオロフェニル)プロパン酸エチルエステル(実施例化合物2);
(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]ブタノイル]アミノ]-3-メチル-ブタン酸エチルエステル(実施例化合物3);
(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-3-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]プロパノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸エチルエステル(実施例化合物4);
(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-3-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]プロパノイル]アミノ]-3-(4-フルオロフェニル)プロパン酸エチルエステル(実施例化合物5);
(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-3-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]プロパノイル]アミノ]-3-メチル-ブタン酸エチルエステル(実施例化合物6);
(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-4-メチル-ペンタノイル]アミノ]-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]ブタン酸エチルエステル(実施例化合物7);
(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-3-(4-フルオロフェニル)プロパノイル]アミノ]-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]ブタン酸エチルエステル(実施例化合物8);
(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-3-メチル-ブタノイル]アミノ]-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]ブタン酸エチルエステル(実施例化合物9);
(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-4-メチル-ペンタノイル]アミノ]-3-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]プロパン酸エチルエステル(実施例化合物10);
(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-3-(4-フルオロフェニル)プロパノイル]アミノ]-3-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]プロパン酸エチルエステル(実施例化合物11);
(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-3-メチル-ブタノイル]アミノ]-3-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]プロパン酸エチルエステル(実施例化合物12);
(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-フェニル-ベンズイミダゾール-2-イル]ブタノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸エチルエステル(実施例化合物13);
(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-3-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]プロパノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸メチルエステル(実施例化合物14);
(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-3-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]プロパノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸イソプロピルエステル(実施例化合物15);
(2S)-2-[[(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-3-(4-フルオロフェニル)プロパノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタノイル]アミノ]-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]ブタン酸エチルエステル(実施例化合物16);
(2S)-2-[[(2R)-2-[[(2S)-2-アミノ-3-(4-フルオロフェニル)プロパノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタノイル]アミノ]-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]ブタン酸エチルエステル(実施例化合物21);
(2S)-2-[[(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]ブタノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタノイル]アミノ]-3-(4-フルオロフェニル)プロパン酸エチルエステル(実施例化合物22);
(2S)-2-[[(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]ブタノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸エチルエステル(実施例化合物23);
(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]ブタノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸2-モルホリノエチルエステル(実施例化合物24);
(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]ブタノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸2-イソプロポキシエチルエステル(実施例化合物25);
(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]ブタノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸イソプロピルエステル(実施例化合物26);
(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]ブタノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸メチルエステル(実施例化合物27);
(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]ブタノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸3-(ジメチルアミノ)プロピルエステル(実施例化合物28);
(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]ブタノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸(2-メトキシ-1-メチル-エチル)エステル(実施例化合物29);
(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]ブタノイル]アミノ]-N,N,4-トリメチル-ペンタンアミド(実施例化合物30);
(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]ブタノイル]アミノ]-N,4-ジメチル-ペンタンアミド(実施例化合物31);
(2S)-2-[[(2S)-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]-2-(メチルアミノ)ブタノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸エチルエステル(実施例化合物32);
(2S)-2-[[(2S)-2-アセトアミド-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]ブタノイル]アミノ]-3-(4-フルオロフェニル)プロパン酸エチルエステル(実施例化合物34);
(2S)-2-[[(2S)-2-アセトアミド-3-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]プロパノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸エチルエステル(実施例化合物35);
(2S)-2-[[(2S)-2-アセトアミド-3-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]プロパノイル]アミノ]-3-(4-フルオロフェニル)プロパン酸エチルエステル(実施例化合物36);
(2S)-2-アミノ-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]ブタン酸エチルエステル(実施例化合物38);
(2R)-2-[[(2S)-2-アミノ-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]ブタノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸エチルエステル(実施例化合物45);
(2S)-2-[[(2R)-2-アミノ-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]ブタノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸エチルエステル(実施例化合物46);
(2R)-2-[[(2R)-2-アミノ-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]ブタノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸エチルエステル(実施例化合物47);
(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-4-[6-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-3-メチル-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-イル]ブタノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸エチルエステル(実施例化合物48);及び
(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-4-[5-[ビス(2-クロロ-1,1,2,2-テトラジュウテリオ-エチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]ブタノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸エチルエステル(実施例化合物50)
又は、その薬学的に許容される塩、アミド若しくはカルバメートであり、そのようなアミド若しくはカルバメートの塩を含む。
【0049】
本発明の化合物は、有機化学の当業者に公知の方法で製造できる。式(I)で表される化合物を製造する代表的な手順は、実施例の項に記載している。
【0050】
いくつかの態様では、本発明の化合物は、同位体原子を含んでいてもよい。この明細書では、同位体原子は、天然に存在する最も一般的な同位体ではない元素の原子である。重水素は、水素の安全で安定な同位体である。ある態様では、本発明の化合物は、天然の重水素の存在量よりも多い重水素を有する。重水素の天然存在度は0.0156mol%であり、ここで、mol%は、試料の水素の総モルに対する重水素の割合(%)である。したがって、天然の水素1モル中、0.156mmolが重水素であるか、6.022×1023個の天然の水素原子の試料には、9.39×1019個の重水素原子が存在するか、又は6413個の天然の水素原子には、1個の重水素原子が含まれる。重水素の天然存在度を超える重水素のレベルは、少なくとも1mol%、5mol%、10mol%、50mol%、90mol%又は98mol%の重水素であってもよい。特定の態様では、本発明の化合物には、少なくとも1mol%、5mol%、10mol%、50mol%、90mol%又は98mol%の重水素が存在する。重水素化化合物を製造する手順は、当該技術分野において公知である。例えば、Sajiki, New Horizons of Process Chemistry (2017), Springer, pg 29-40及びHanson, The Organic Chemistry of Isotopic Labelling (2011), Chapter 3, RSC Publishingを参照。
【0051】
本発明の化合物に存在する置換基に依存して、化合物は、エステル、アミド、カルバメート及び/又は塩を形成できる。医薬における使用に適した本発明の化合物の塩は、対イオンが薬学的に許容されるものである。しかし、薬学的に許容されない対イオンを有する塩は、例えば、本発明の化合物及びその薬学的に許容される塩並びに生理学的に機能的な誘導体の製造における中間体として使用するために、本発明の範囲に含まれる。用語「生理学的に機能的な誘導体」は、例えば、体内でそれに変換可能であることによって、本発明の化合物と同じ生理学的機能を有する本発明の化合物の化学的誘導体を指す。エステル、アミド及びカルバメートは、生理学的に機能的な誘導体の例である。
【0052】
本発明での使用に適した塩の形態には、有機又は無機の酸又は塩基によって形成されるものが含まれる。特に、本発明の酸によって形成される適切な塩には、無機酸、非置換であるか若しくは例えばハロゲンで置換された炭素原子数1~4のアルカンカルボン酸、飽和若しくは不飽和のジカルボン酸、ヒドロキシカルボン酸又はアミノ酸といった強有機カルボン酸、あるいは、非置換であるか若しくは例えばハロゲンで置換された(C1~C4)アルキル又はアリールスルホン酸といった有機スルホン酸によって形成される塩が含まれる。薬学的に受容される酸付加塩には、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、クエン酸、酒石酸、酢酸、リン酸、乳酸、ピルビン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、コハク酸、過塩素酸、フマル酸、マレイン酸、グリコール酸、乳酸、サリチル酸、オキサロ酢酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、ギ酸、安息香酸、マロン酸、ナフタレン-2-スルホン酸、ベンゼンスルホン酸、イセチオン酸、アスコルビン酸、リンゴ酸、フタル酸、アスパラギン酸、及びグルタミン酸、リシン及びアルギニンによって形成されるものが含まれる。シュウ酸などの他の酸は、それ自体は薬学的に許容されないが、本発明の化合物及びその薬学的に許容される酸付加塩を得る際の中間体として有用である可能性がある。
【0053】
薬学的に許容される塩基塩には、アンモニウム塩、アルカリ金属塩(例.カリウム及びナトリウムの塩)、アルカリ土類金属塩(例.カルシウム及びマグネシウムの塩)、並びに、例えばジシクロヘキシルアミン、N-メチル-D-グルコミン、モルホリン、チオモルホリン、ピペリジン、ピロリジン、モノ、ジ若しくはトリ低級アルキルアミン(例.エチル、tertブチル、ジエチル、ジイソプロピル、トリエチル、トリブチル又はジメチル-プロピルアミン)、又は、モノ、ジ若しくはトリヒドロキシ低級アルキルアミン(例.モノ、ジ又はトリエタノールアミン)といった有機塩基との塩が含まれる。対応する分子内塩が更に形成されてもよい。
【0054】
本発明の化合物の好ましい塩には、塩酸、臭化水素酸、酢酸、p-トルエンスルホン酸、酒石酸、硫酸、コハク酸、リン酸、シュウ酸、硝酸、メタンスルホン酸、リンゴ酸、マレイン酸及びクエン酸によって形成されるものなどの酸付加塩が含まれる。より好ましくは、本発明の化合物の塩は、塩酸塩(すなわち、塩酸によって形成される付加塩)である。
【0055】
それ自体は不活性であるが、レシピエントへの投与で活性な薬物に変換される化合物は、「プロドラッグ」として知られている。例えば、プロドラッグは体内で、例えば血液中での加水分解によって、医学的効果を有する活性形態に変換される可能性がある。薬学的に許容されるプロドラッグは、T. Higuchi and V. Stella, Prodrugs as Novel Delivery Systems, Vol. 14 of the A. C. S. Symposium Series (1976);“Design of Prodrugs” ed. H. Bundgaard, Elsevier, 1985及びin Edward B. Roche, ed., Bioreversible Carriers in Drug Design, American Pharmaceutical Association and Pergamon Press, 1987に記載されている。
【0056】
本発明の請求項1又は請求項25(及びそれらの対応する従属請求項)の化合物は、プロドラッグの形態で提供できる。プロドラッグの例には、エステル、アミド及びカルバメートが含まれる。
【0057】
本発明の化合物は、エステル、アミド又はカルバメートに変換された適切な基を有していてもよい。したがって、本発明の化合物中の酸基で形成される代表的なエステル基及びアミド基には、-COORG、-CONRG
2、-SO2ORG又は-SO2N(RG)2が含まれ、本発明の化合物中のOH基又は-NHRG基で形成される代表的なエステル基、アミド基及びカルバメート基には、-OC(O)RG、-NRGC(O)RG、-NRGCO2RG、-OSO2RG及び-NRGSO2RGが含まれる;ここで、RGは、C1-8アルキル、C2-8アルケニル、C2-8アルキニル、C3-8シクロアルキル及びC3-8シクロアルキルC1-8アルキル、ハロC1-8アルキル、ジハロC1-8アルキル、トリハロC1-8アルキル、フェニル及びフェニルC1-4アルキルからなる群から選択され;より好ましくは、RGは、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C3-8シクロアルキル及びC3-8シクロアルキルC1-6アルキルからなる群から選択される。
【0058】
有機化学の当業者は、多くの有機化合物が、それが反応するか、又はそれが沈殿若しくは結晶化する溶媒と複合体を形成できることを理解する。これらの複合体は「溶媒和物」として知られている。例えば、水との複合体は「水和物」として知られている。複合体は、化学量論的又は非化学量論的な量で溶媒を組み込むことができる。溶媒和物は、Water-Insoluble Drug Formulation, 2nd edn, R. Lui, CRC Press, page 553及びByrn et al., Pharm. Res., 12(7), 1995, 945-954に記載されている。溶液にする前に、本発明の化合物、並びにそのエステル、アミド、カルバメート及び/又は塩は、溶媒和物の形態であってもよい。医薬としての使用に適した本発明の化合物の溶媒和物は、溶媒が薬学的に許容されるものである。例えば、水和物は、薬学的に許容される溶媒和物である。
【0059】
発明者らは、R
5が-OC
1~6アルキル、
式(V)
【化12】
及び式(Va)
【化13】
で表されるものからなる群から選択され、
R
bが、-N(R
e)(R
f)及び-OC
1~6アルキルから選択される基である本発明の化合物が、がん細胞内でたやすく加水分解されて、細胞内に優先的に隔離されて保持され、強力なアルキル化活性を有する代謝物を形成することを見いだした。
【0060】
したがって、また、本発明は代謝物に関し、前記代謝物は、式(I)、式(Ia)又は式(Ib)で表される構造を有するか、その塩であり、式中、
XはC1-6アルキレンであり;
W1、W2、W3及びW4は、それぞれCHであるか、W1、W2、W3及びW4の1つはNであり、他のものはCHであり;
R1は、H、ハロゲンの中から独立して選択される1、2又は3の置換基で置換されていてもよいC1-4アルキル、及びハロゲンからなる群から選択され;
R2は、H、ハロゲンの中から独立して選択される1、2又は3の置換基で置換されていてもよいフェニル、及びハロゲンの中から独立して選択される1、2又は3の置換基で置換されていてもよいC1-6アルキルからなる群から選択され;
R3は、式(II)、式(III)、式(IIa)又は式(IIIa)で表される基であり;
R4は、N(Rc)(Rd)、式(IV)又は式(IVa)で表される基から選択され;
R4が式(IV)又は式(IVa)で表される基である場合、R5は-OHであり、R4がN(Rc)(Rd)である場合、R5は、-OH、式(V)又は式(Va)で表される基であり;
各Raは、H、C1-6アルキル、-CH2-フェニル又は-CH2-ヘテロシクリルからなる群から独立して選択され、前記ヘテロシクリルは、N、O及びSから選択される1、2、3及び4のヘテロ原子を有する3~12員ヘテロシクリルであり、前記-C1-6アルキルは、-OH、-OC1-6アルキル、-NH2、-NHC(=NH)NH2、-C(O)OH、-C(O)NH2、-SH、-SCH3及びハロゲンからなる群から独立して選択される1、2又は3の置換基で置換されていてもよく、前記フェニル又は前記ヘテロシクリルは、ハロゲン、-NH2、-OH、-OC1-6アルキル及び-NO2からなる群から独立して選択される1、2又は3の置換基で置換されていてもよく;
RbはOHである。
【0061】
上記代謝化合物の好ましいラジカルは、式(I)、(Ia)及び(Ib)で表される化合物について、上記のとおりである。例えば、特定の態様では、代謝物は、式(I)、式(Ia)又は式(Ib)で表される構造を有するか、その塩であり、式中、
Xは-C1-2アルキレン(すなわち、-CH2-又は-CH2-CH2-)であり;
R1はHであり;
R2は、メチル又はフェニルであり;
R3は、式(IIa)又は式(IIIa)で表される基であり;
R4は、N(Rc)(Rd)又は式(IVa)で表される基からなる群から選択され;
R4が式(IVa)で表される基である場合、R5は-OHで、R4がN(Rc)(Rd)である場合、R5は、-OH又は式(Va)で表される基であり;
各Raは、H、-C1-6アルキル、-CH2-インドリル、-CH2-フェニル又は-CH2-ヘテロアリールからなる群から独立して選択され、前記ヘテロアリールは、1、2、3又は4のN又はS原子を有する5員ヘテロアリールであり、ここで、-C1-6アルキルは、-OH、-NH2、-NHC(=NH)NH2、-C(O)OH、-C(O)NH2、-SH、-SCH3又はハロゲンで置換されていてもよく、フェニルは、ハロゲン、-NH2、-OH、-O-C1-6アルキル及び-NO2からなる群から独立して選択される1、2又は3の置換基で置換されていてもよく;
RbはOHである。
【0062】
特定の態様では、代謝物は、式(I)、式(Ia)又は式(Ib)で表される構造を有するか、その塩であり、式中、
Xは-C1-2アルキレン(すなわち、-CH2-又は-CH2-CH2-)であり;
R1はHであり;
R2は、メチル又はフェニルであり;
R3は、式(IIa)又は式(IIIa)で表される基であり;
R4は、NH2又は式(IVa)で表される基であり;
R5は-OHであり;
各Raは、H、-C1-6アルキル、-CH2-インドリル、-CH2-フェニル又は-CH2-ヘテロアリールからなる群から独立して選択され、前記ヘテロアリールは、1、2、3又は4のN又はS原子を有する5員ヘテロアリールであり、ここで、C1-6アルキルは、-OH、-NH2、-NHC(=NH)NH2、-C(O)OH、-C(O)NH2、-SH、-SCH3又はハロゲンで置換されていてもよく、フェニルは、ハロゲン、-NH2、-OH、-OC1-6アルキル及び-NO2からなる群から独立して選択される1、2又は3の置換基で置換されていてもよい。好ましくは、各Raは、イソプロピル、イソブチル及び1つのFで置換されていてもよい-CH2-フェニル(例.2-フルオロベンジル、3-フルオロベンジル又は4-フルオロベンジル)からなる群から独立して選択される。
【0063】
特定の好ましい態様では、代謝物は、
(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]ブタノイル]アミノ]-3-メチル-ブタン酸(実施例化合物19);
(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]ブタノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸(実施例化合物20);
(2S)-2-[[(2S)-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]-2-(メチルアミノ)ブタノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸(実施例化合物33);
(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-4-メチル-ペンタノイル]アミノ]-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]ブタン酸(実施例化合物37);
(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]ブタノイル]アミノ]-3-(4-フルオロフェニル)プロパン酸(実施例化合物39);
(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-フェニル-ベンズイミダゾール-2-イル]ブタノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸(実施例化合物40);
2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-3-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]プロパノイル]アミノ]-3-メチル-ブタン酸(実施例化合物42);
(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-4-メチル-ペンタノイル]アミノ]-3-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]プロパン酸(実施例化合物43);
(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-3-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]プロパノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸(実施例化合物44);及び
(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-4-[5-[ビス(2-クロロ-1,1,2,2-テトラジュウテリオ-エチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]ブタノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸(実施例化合物51)
又はその塩である。
【0064】
発明者らは、本発明の化合物が更にがん細胞内でたやすく加水分解されて、細胞内に優先的に隔離されて保持され、強力なアルキル化活性を有するより高度な代謝物を形成することを更に見いだした。したがって、また、本発明は、式(I)、式(Ia)又は式(Ib)で表される構造の代謝物に関し、式中、
XはC
1-6アルキレンであり;
W
1、W
2、W
3及びW
4は、それぞれCHであるか、W
1、W
2、W
3及びW
4の1つはNであり、他のものはCHであり;
R
1は、H、ハロゲンの中から独立して選択される1、2又は3の置換基で置換されていてもよいC
1-4アルキル、及びハロゲン(例.F又はCl)からなる群から選択され;
R
2は、H、ハロゲン(例.F又はCl)の中から独立して選択される1、2又は3の置換基で置換されていてもよいフェニル、及びハロゲン(例.F又はCl)の中から独立して選択される1、2又は3の置換基で置換されていてもよいC
1-6アルキルからなる群から選択され;
R
3は、式(VIa)
【化14】
(式中、R
c及びR
dは、それぞれ、H、-C
1-6アルキル、-C(O)C
1-6アルキル及び-CH
2-フェニルからなる群から独立して選択され、前記アルキル又は前記フェニルは、ハロゲンの中から選択される1、2又は3の置換基で置換されていてもよく(好ましくは、R
c及びR
dはHである);
R
gは、H及び-C
1-6アルキルからなる群から選択され、前記アルキルは、ハロゲンの中から選択される1、2又は3の置換基で置換されていてもよい(好ましくはR
gはHである))
で表される基である。
【0065】
誤解を避けるために説明すると、式(VI)及び(VIa)中の
【化14-1】
は、式(VI)又は(VIa)で表される基の、式(I)、(Ia)又は(Ib)で表される化合物への結合点を示す。
【0066】
特定の態様では、代謝物は、式(I)、式(Ia)又は式(Ib)で表される構造を有するか、その塩であり、式中、
XはC1-6アルキレンであり;
R1は、H、-C1-4アルキル及びハロゲン(例.F又はCl)からなる群から選択され;
R2は、H、1、2又は3のハロゲン(例.F又はCl)で置換されたフェニル、及び、1、2又は3のハロゲン(例.F又はCl)で置換されたC1-6アルキル(例えば、1、2又は3のハロゲン(例.F又はCl)で置換されたフェニル、及び、1、2又は3のハロゲン(例.F又はCl)で置換されたC1-6アルキルからなる群から選択される)からなる群から選択され;
R3は式(VIa)で表される基であり;
Rc及びRdはHである。
【0067】
他の好ましい態様では、代謝物は、式(I)、式(Ia)又は式(Ib)で表される構造を有するか、その塩であり、式中、
Xは、C1アルキレン(すなわち、-CH2-)又はC2アルキレン(すなわち、-CH2-CH2-)であり;
R1は、H、-C1-4アルキル及びハロゲン(例.F又はCl)からなる群から選択され;
R2は、H、1、2又は3のハロゲン(例.F又はCl)で置換されていてもよいフェニル、及び、1、2又は3のハロゲン(例.F又はCl)で置換されていてもよいC1-6アルキルからなる群から選択され;
R3は式(VIa)で表される基であり;
Rc及びRdはHである。
【0068】
好ましくは、化合物は式(Ia)又は(Ib)で表されるものである。
【0069】
したがって、また、本発明は、式(I)、式(Ia)又は式(Ib)で表される構造の化合物に関し、式中、
XはC
2-6アルキレンであり;
W
1、W
2、W
3及びW
4は、それぞれCHであるか、W
1、W
2、W
3及びW
4の1つはNであり、他のものはCHであり;
R
1は、H、ハロゲンの中から独立して選択される1、2又は3の置換基で置換されていてもよいC
1-4アルキル、及びハロゲン(例.F又はCl)からなる群から選択され;
R
2は、H、ハロゲン(例.F又はCl)の中から独立して選択される1、2又は3の置換基で置換されていてもよいフェニル、及びハロゲン(例.F又はCl)の中から独立して選択される1、2又は3の置換基で置換されていてもよい-C
1-6アルキルからなる群から選択され;
R
3は、式(VI)
【化15】
(式中、R
c及びR
dは、それぞれ、H、-C
1-6アルキル、-C(O)C
1-6アルキル及び-CH
2-フェニルからなる群から独立して選択され、前記アルキル又は前記フェニルは、ハロゲンの中から選択される1、2又は3の置換基で置換されていてもよく(例えば、R
c及びR
dはHである);
R
gは、H及び-C
1-6アルキルからなる群から選択され、前記アルキルは、ハロゲンの中から選択される1、2又は3の置換基で置換されていてもよい(例えばR
gはHである))
で表される基である。
【0070】
より進んで代謝された化合物は医薬として使用できる。したがって、本発明は、医薬として使用するための、例えば、多発性骨髄腫、骨肉腫、乳がん、肺がん、卵巣がん、白血病及びリンパ腫からなる群から選択されるがん、例えば、多発性骨髄腫、急性骨髄性白血病又はリンパ腫の治療のための、式(I)
【化16】
(式中、
XはC
1-6アルキレンであり;
W
1、W
2、W
3及びW
4は、それぞれCHであるか、W
1、W
2、W
3及びW
4の1つはNであり、他のものはCHであり;
R
1は、H、ハロゲンの中から独立して選択される1、2又は3の置換基で置換されていてもよいC
1-4アルキル、及びハロゲンからなる群から選択され;
R
2は、H、ハロゲンの中から独立して選択される1、2又は3の置換基で置換されていてもよいフェニル、及びハロゲンの中から独立して選択される1、2又は3の置換基で置換されていてもよいC
1-6アルキルからなる群から選択され;
R
3は、式(VI)
【化17】
(式中、R
c及びR
dは、それぞれ、H、-C
1-6アルキル、-C(O)C
1-6アルキル及び-CH
2-フェニルからなる群から独立して選択され、前記アルキル又は前記フェニルは、ハロゲンの中から選択される1、2又は3の置換基で置換されていてもよく;
R
gは、H及び-C
1-6アルキルからなる群から選択され、前記アルキルは、ハロゲンの中から選択される1、2又は3の置換基で置換されていてもよい)
で表される基である)
で表される化合物又はその塩若しくは溶媒和物に関する。
【0071】
医薬として使用するための、これらの化合物の好ましい態様は、この発明の他の観点に関連してこれまでに説明したとおりである。
【0072】
特定の好ましい態様では、一段と、より高度な代謝物は、
(2S)-2-アミノ-3-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]プロパン酸(実施例化合物17);
(S)-2-アミノ-4-(5-(ビス(2-クロロエチル)アミノ)-1-メチル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)ブタン酸(実施例化合物18);
(2S)-2-アミノ-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]ブタン酸エチルエステル(実施例化合物38);
(2S)-2-アミノ-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-フェニル-ベンズイミダゾール-2-イル]ブタン酸(実施例化合物41);又は
(2S)-2-アミノ-4-[5-[ビス(2-クロロ-1,1,2,2-テトラジュウテリオ-エチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]ブタン酸(実施例化合物49)
若しくはその塩である。
【0073】
明細書に記載の代謝物は、式(I)で表されるの化合物の1つ以上で処理した細胞から単離してもよく、及び/又は、標準的な有機化学の技術を使用して製造できる。本発明の代謝物を製造する代表的な手順は、実施例の項に記載している。誤解を避けるために説明すると、この明細書に記載した代謝物は、本発明の化合物の更なる例であり、式(I)で表される他の化合物について、この明細書に記載したのと同じ様式で、組成物の形態で及び/又は医薬として使用できる。
【0074】
以下の定義は、特定の場合に他に限定しない限り、この明細書全体で使用する用語に適用される。
【0075】
この明細書では、用語「アルキル」は、直鎖状及び分岐鎖状の飽和炭化水素基を意味する。
アルキル基の例には、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、t-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、ペンチル及びヘキシル基が含まれる。非分枝鎖状のアルキル基の中では、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル及びn-ブチル基が好ましい。分岐鎖状アルキル基の中では、t-ブチル、i-ブチル、1-エチルプロピル及び1-エチルブチル基を挙げることができる。
【0076】
この明細書では、用語「シクロアルキル」は、飽和の環系を意味する。シクロアルキル基の例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル及びシクロヘキシルが含まれる。
【0077】
この明細書では、用語「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素を意味する。フッ素、塩素及び臭素が好ましく、フッ素及び塩素が特に好ましい。
【0078】
この明細書では、用語「1、2、3又は4の窒素、酸素又は硫黄原子を含むヘテロアリール」は、1、2、3又は4個の炭素原子が、窒素、酸素及び硫黄(好ましくは窒素及び硫黄)から独立して選択される1、2、3又は4個のヘテロ原子によって置換されている、炭素原子の芳香族環式基を意味する。1、2又は3の窒素及び/又は硫黄原子を含む5員ヘテロアリールの例には、チオフェン、チアゾール、イソチアゾール、ピロール、ピロリン、ピラゾール、ピラゾリン、イミダゾール、イミダゾリン、トリアゾール及びチアジアゾールが含まれる。
【0079】
医薬組成物
本発明の化合物、組成物及び医薬組成物は、腫瘍の増殖の減少させ、及び/又は腫瘍細胞を死滅させる、がんの予防及び/又は治療に使用できる。したがって、本発明の化合物は、がん患者の治癒及び/又は生存の延長に使用できる。この発明は、がん腫、肉腫、骨髄腫、白血病、リンパ腫又は混合型のがん、例えば、多発性骨髄腫、骨肉腫、乳がん、肺がん、卵巣がん、白血病及びリンパ腫の予防及び/又は治療に特に有用である。
【0080】
本発明の化合物は単独で投与できるが、組成物、特に医薬組成物中に存在することが好ましい。医薬組成物には、経口、非経口(皮下、皮内、骨内注入、筋肉内、血管内(ボーラス又は注入)、硝子体内及び骨髄内を含む)、腹腔内、経粘膜、経皮、直腸及び局所(皮膚、頬内、舌下及び眼内を含む)投与に適したものが含まれるが、最も適した経路は、例えば、治療中の対象の症状及び障害に依存する可能性がある。
【0081】
経口投与に適した本発明の医薬組成物は、それぞれが所定の量の活性成分を有するカプセル剤、カシェ剤若しくは錠剤などの個別の投与単位として、粉末若しくは顆粒として、水性液体若しくは非水性液体中の溶液若しくは懸濁液として、又は、水中油型液体エマルション若しくは油中水型液体エマルションとして提供できる。本発明の化合物は、ボーラス、練薬又はペーストとしても提供できる。さまざまな薬学的に許容される担体とその処方は、標準的な製剤の専門書、例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences by E. W. Martinに記載されている。Wang, Y. J. and Hanson, M. A., Journal of Parenteral Science and Technology, Technical Report No. 10, Supp. 42;2S, 1988も参照。
【0082】
非経口投与に適した本発明の医薬組成物には、抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤、製剤を患者の血液と等張にする溶質、並びに、懸濁化剤及び増粘剤を含んでいてもよい水性及び非水性の滅菌懸濁液を含んでいてもよい、水性及び非水性滅菌注射溶液が含まれる。好ましくは、製剤は、1回分の用量又は分割された投与容器、例えば密封されたアンプル及びバイアルで提供されてもよい。製剤は、使用直前に滅菌液体担体、例えば生理食塩水又は注射用水を添加するのみの、凍結乾燥状態で保存できる。直ちに投与する注射及び注入溶液並びに懸濁液は、滅菌粉末、顆粒又は他の乾燥組成物から調製できる。非経口投与のための代表的な組成物には、例えば、マンニトール、1,3-ブタンジオール、水、リンゲル溶液、等張塩化ナトリウム溶液、合成モノ若しくはジグリセリド、オレイン酸又はクレモフォール(登録商標)を含む脂肪酸を含む他の適切な分散剤若しくは湿潤剤及び懸濁剤といった非経口で許容される適切で非毒性の溶質、希釈剤若しくは溶媒を含むことができる注射可能な溶液又は懸濁液が含まれる。
【0083】
経鼻投与、エアロゾルとしての投与又は吸入に適した本発明の医薬組成物には、例えば、ベンジルアルコール又は他の適切な保存剤、バイオアベイラビリティを増強する吸収促進剤、及び/又は、当該技術分野で知られている他の可溶化剤若しくは分散剤を含むことができる生理食塩水が含まれる。
【0084】
直腸投与に適した本発明の医薬組成物は、カカオ脂、合成グリセリドエステル又はポリエチレングリコールなどの通常の担体を含む坐剤として提供できる。そのような担体は、通常、常温で固体であるが、直腸内で液化及び/又は溶解して薬物を放出する。
【0085】
口内、例えば頬内又は舌下への局所投与に適した本発明の医薬組成物には、スクロース及びアカシア又はトラガカントなどの香味基剤中に活性成分を含むトローチ(lozenge)、並びに、ゼラチン及びグリセリン又はスクロース及びアカシアなどの基剤中に活性成分を含むトローチ(pastille)が含まれる。局所投与用の代表的な組成物には、プラスチベース(ポリエチレンでゲル化した鉱油)などの局所用担体を含む。
【0086】
好ましい単位投与組成物は、本発明の化合物の探索用量若しくは治療用量、又はその適切な一部を有するものである。
【0087】
好ましい態様では、本発明の組成物は、本発明の化合物及び少なくとも1種の薬学的に許容される賦形剤から本質的になる。
【0088】
本発明で使用する組成物は、特に上記成分の他に、組成物の種類を考慮して、当該技術分野において慣用的な他の薬剤を含んでいてもよいことが理解されるべきである。
【0089】
本発明の組成物は、1以上の他の治療剤を含んでいてもよい。本発明の組成物中に存在してもよい他の治療剤の例には、ステロイド(プレドニン及びデキサメタゾン)、チェックポイント阻害剤(例.CTLA-4阻害剤及びPD-1/PD-L1阻害剤)、核輸送阻害剤(例.セリネクソル)、抗アポトーシス阻害剤(例.ベネトクラクス)、養子細胞療法(例.腫瘍浸潤リンパ球(TIL)療法、ナチュラルキラー(NK)細胞療法、キメラ抗原受容体(CAR)T細胞療法、及び改変T細胞受容体療法)、二重特異性T細胞誘導剤(BiTE)、免疫調節イミド薬(IMiD)(例.サリドマイド、レナリドミド及びポマリドミド)、プロテアソーム阻害剤(PI)(例.ボルテゾミブ、カルフィルゾミブ、イキサゾミブ及びマリゾミブ)、ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害剤(例.パノビノスタット)、本発明の化合物以外のペプチド薬物複合体(PDC)(例.メルフルフェン)、アルキル化剤(例.メルファラン、シクロホスファミド)及びDNAインターカレーター(例.ドキソルビシン)が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0090】
治療
これまでに説明したように、本発明の化合物は、ペプチド薬物複合体(PDC)である。本発明は、医薬として使用するための、本発明の化合物又は本発明の化合物を薬学的に許容される担体とともに含む組成物に関する。
【0091】
特に、本発明の化合物及び組成物は、がんの予防及び/又は治療に使用される。本発明の化合物又は組成物を投与することで予防又は治療できるがんの特定の例には、がん腫、肉腫、骨髄腫、白血病、リンパ腫又は混合型のがんが含まれる。本発明の化合物又は組成物を投与することで予防又は治療できる代表的ながんには、白血病などの血液がん/血球がん(例.成人及び小児の急性リンパ芽球性白血病を含む急性リンパ芽球性白血病;成人及び小児の急性骨髄性白血病を含む急性骨髄性白血病;B細胞慢性リンパ性白血病といった慢性リンパ性白血病;慢性骨髄性白血病及び有毛細胞白血病);リンパ腫(例:エイズ関連リンパ腫;皮膚T細胞リンパ腫;成人及び小児のホジキンリンパ腫並びに妊娠中のホジキンリンパ腫を含むホジキンリンパ腫;成人及び小児の非ホジキンリンパ腫並びに妊娠中の非ホジキンリンパ腫を含む非ホジキンリンパ腫;菌状息肉症;セザリー症候群;ワルデンシュトレームマクログロブリン血症;原発性縦隔大細胞型B細胞リンパ腫;マントル細胞リンパ腫;びまん性大細胞型B細胞リンパ腫並びに原発性中枢神経系リンパ腫);他の血液がん(例.慢性骨髄増殖性疾患;多発性骨髄腫/形質細胞腫瘍;骨髄異形成症候群及び骨髄異形成/骨髄増殖性疾患);骨肉腫、卵巣がん、乳がん;肺がん;膠芽腫;網膜芽細胞腫及びこれらのがんの転移が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0092】
発明者らは、本発明の化合物が血液がん細胞に対して特に細胞毒性であることを見いだした。したがって、本発明の化合物は、上述した血液がんの1つ以上の予防又は治療に特に有益である。
【0093】
さらに、本化合物は、固形腫瘍の治療にも使用できる。本発明の化合物及び組成物は、本発明の化合物又は本発明の組成物を、必要とする対象に投与する工程を含む、また、疾患又は障害を予防又は治療する方法にも有用である。したがって、本発明の化合物又は組成物は、がん、特に血液がんに罹患している、又はそれを発症する危険性がある対象に投与できる。
【0094】
本発明の化合物はまた、医薬の製造、特に、がん、特に血液がんに罹患している、又はそれを発症する危険性がある対象に投与する医薬の製造に使用される。
【0095】
治療効果を達成するために必要な本発明の化合物の量は、投与経路及び治療を行う対象の特徴例えば、種、年齢、体重、性別、体調、疾患又は状態とその重篤度、並びに他の医学的及び身体的因子、によって異なる。通常の技術を有する医師は、疾患又は状態の予防又は治療に必要な本発明の化合物の有効量をたやすく決定し、投与できる。
【0096】
本発明の化合物又はその塩及び/若しくは溶媒和物は、治療を行う対象及び疾患又は障害に応じて、毎日(1日に数回を含む)、2日ごと、3日ごと、毎週、2週間ごと、3週間ごと、4週間ごと、又は更に高い単回用量として投与できる。
【0097】
好ましくは、本発明の化合物若しくは本発明の代謝物又はその塩及び/若しくは溶媒和物は、(対イオン又は溶媒の質量を除いて)1回の投与につき約1mg~150mg、例えは、1mg、2mg、3mg、5mg、10mg、15mg、20mg、25mg、40mg、50mg、60mg、70mg、80mg、90mg、100mg、110mg、120mg、130mg、140mg又は150mg投与できる。あるいは、本発明の化合物又はその塩及び/若しくは溶媒和物は、(対イオン又は溶媒の質量を除いて)単回の高用量で投与できる。単回の高用量は約150mg~800mg、例えば、150mg、200mg、300mg、400mg、500mg、600mg、700mg、又は800mgであってもよい。
【0098】
本発明の化合物は、この発明における唯一の活性成分として使用できるが、1以上の他の治療剤と組み合わせて使用することも可能であり、そのような組合せの使用は、本発明の好ましい態様の1つを提供する。このような他の治療剤は、がんの予防若しくは治療に有用な薬剤、又は他の薬学的に活性な物質であってもよい。このような薬剤は、当該技術分野において知られている。この発明で使用する他の治療剤の適切な例は、この明細書に記載されている。
【0099】
1以上の他の治療剤は、本発明の化合物の投与と同時に、連続的に又は別々に使用できる。このような組合せの個々の成分は、治療中の異なる時点で別々に投与でき、又は分割された若しくは単一の組合せ形態で同時に投与できる。
【0100】
本発明で使用する好ましい単位投与組成物は、本発明の化合物の有効量又はその適切な一部を有するものである。
【0101】
キット
本発明は、式(I)で表される化合物、1以上の薬学的に許容される賦形剤、及び場合によっては1以上の他の治療剤を含むキットに関する。このような他の治療剤の例には、この発明での使用に適しており、場合によって他の治療剤として本発明の医薬組成物中に存在するものとして明細書に記載したものが含まれる。
【0102】
本発明のキットは、がん、特に血液がんの予防及び/又は治療に使用される。
【0103】
特定の態様では、キットは、1以上の容器を含み、サンプリング装置、例えば、ボトル、バッグ(静脈内輸液バッグなど)、バイアル、注射器及び試験管も含んでいてもよい。他の要素には、針、希釈剤、洗浄試薬及び緩衝液が含まれてもよい。実用的には、キットは、薬学的に許容される有機溶媒、又は、リン酸緩衝生理食塩水、リンゲル液及びブドウ糖溶液といった薬学的に許容される緩衝液を含む少なくとも1つの容器を含んでいてもよい。
【0104】
好ましくは、本発明のキットは、説明書、例えば、規定量の本発明の化合物又は組成物を、規定量の、生理学的に許容される水性溶媒若しくは希釈剤、薬学的に許容される有機溶媒、及び/又は、1以上の他の治療剤(任意)と混合することを使用者に指示する説明書を含む。このような指示は、保管条件及び/又は投与に関するガイダンスも提供してもよい。
【0105】
誤解を避けるために説明すると、本発明の化合物又は組成物、生理学的に許容される水性溶媒又は希釈剤(任意)、1以上の薬学的に許容される有機溶媒(任意)、及び1以上の他の治療剤(任意)は、本発明の医薬製剤の製造に適した形態及び量で、この発明のキット中に存在する。当業者は、本発明での使用に適した、本発明の化合物又は組成物、生理学的に許容される水性溶媒又は希釈剤、薬学的に許容される有機溶媒、及び1以上の他の治療剤(任意)の量をたやすく決定できる。
【0106】
均等物
本発明を、この明細書で広範かつ一般的に説明してきた。当業者は、この明細書に記載される全てのパラメータ、寸法、材料、及び構成が代表的なもので、実際のパラメータ、寸法、材料、及び/又は構成は、特定の用途又は本発明の教示で使用する用途に依存することをたやすく理解する。当業者は、この明細書に記載した本発明の特定の態様に対する多くの均等物を認識するか、又は日常的な実験にみによって、そのような均等物を確認できる。したがって、これまでに説明した態様は、例としてのみ提示され、特許請求の範囲及びその均等の範囲内で、本発明は、具体的に説明し、特許請求した方法以外の方法で実施してもよいことが理解される。本発明は、この明細書に記載した個々の特徴、システム、物品、材料、キット及び/又は方法を対象とする。加えて、そのような特徴、システム、物品、材料、キット及び/又は方法の2以上の組合せは、そのような特徴、システム、物品、材料、キット及び/又は方法が相互に矛盾しない場合、この発明の範囲に含まれる。さらに、一般的な開示の範囲に含まれるものよりも狭い種及び亜属に属するものも、本発明の一部を形成する。これは、削除された材料が明細書に具体的に記載されていたか否かにかかわらず、ただし書きによる発明の一般的な説明、又は属から主題を削除するという否定的な限定を含む。
【0107】
参照による組み込み
この明細書で言及又は引用した論文、特許及び特許出願、並びに、他の全ての文書及び電子的に入手可能な情報の内容は、あたかも個々の刊行物が参照により組み入れられることが具体的かつ個別に示されているかのように、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。出願人は、そのような論文、特許、特許出願又は他の物理的及び電子的文書からのありとあらゆる材料及び情報を、この出願に物理的に組み込む権利を留保する。
【0108】
以下の実施例は、本発明を説明するものである。
【実施例】
【0109】
実施例化合物:
本発明の化合物は、当業者に公知の方法で製造できる。他の反応スキーム、溶媒、温度及び反応条件は、当業者であればたやすく工夫できる。
【0110】
中間体1~4を、一般スキーム1に従い合成した。最初に、対応する保護されたアミノ酸とアニリンの間でアミド化反応を行った。得られた生成物を酸性条件で環化して、ベンゾイミダゾール複素環を形成させ、中間体1(n=1)、中間体3(n=0)を得た。BOC保護、ケン化を行い、中間体3(n=1)、中間体4(n=0)を得た。
【0111】
【0112】
TCFHを用いる中間体(2又は4)と対応する保護されたアミノ酸の間のペプチドカップリングにより、目的のジペプチドを得た。ニトロ基の還元は、加圧水素雰囲気中でPd/Cを用いて行った。得られたアニリンを、エチレンオキシドを用い酸性条件でアルキル化した。メシル化とその後の塩素置換により、ナイトロジェンマスタード部分を得た。最後に、BOC保護基をHCl又はTFAで除去して、目的の類似体を得た(スキーム2)。
【0113】
中間体2及び4は、スキーム13に従って合成することもできる。
【0114】
【0115】
実施例化合物1~6を、スキーム2に示す合成経路に従い合成した。実施例化合物13~15、19、20、22~36、39、40~42及び44~51は、以下に詳しく説明するように合成した。同様の戦略を、ジペプチドのC末端にベンズイミダゾール置換基を有する実施例化合物7~12の合成に適用した(スキーム3)。実施例化合物16、21、37及び43は、以下に詳しく説明するように合成した。
【0116】
【0117】
材料と方法
一般的な方法A
分取HPLCは、ミリQ水中の0.1%TFA/CH3CN(酸性条件)(流速25mL/分、15分間の勾配)を移動相として用い、Kinetex XB C18(5μm、21×100mm)カラムが装着されたGilson HPLCシステムで行った。UVのシグナルに基づいて分画した。分析は、ミリQ水中の0.1%TFA/CH3CN(酸性条件)を移動相として用い、Kinetex XB C18(2.6μm、3.0×50mm)カラムを使用する方法、又は、ミリQ水中の10mM NH4HCO3(pH10)/CH3CN(塩基性条件)を移動相として用い、Kinetex EVO C18(2.6μm、3.0×50mm)カラムを使用する方法による Agilentシリーズ1100システムで行った(流速1mL/分)。エレクトロスプレーイオン化質量分析(ESI-MS)は、Agilent 1100シリーズ液体クロマトグラフィー/質量選択検出器(MSD)を使用して、標的分子の擬分子[M+H]+イオンを得た。
【0118】
核磁気共鳴(NMR)スペクトルは、5mm三重共鳴プローブを備えたVarian Inova 600MHzにより25℃で測定した。
【0119】
一般的な方法B
いくつかの実施例では一般的な方法Bを使用した。フラッシュクロマトグラフィーはシリカゲル60A、40-63μmで行った。分取HPLCは、ACE5 C8 Prep、100×21.2mmカラムを使用し、UV検出器を備えたGilsonシステムで行った。分析HPLC-MSは、エレクトロスプレー インターフェイスとUVダイオードアレイ検出器を備えたAgilent 1100シリーズ液体クロマトグラフィー/質量選択検出器(MSD)(単一四重極)で行った。分析は、ACE3 C8(3.0×50mm)カラムを用い、3分間の0.1%TFA水溶液中のアセトニトリルの勾配(流速1mL/分)で、又は、Xbridge C18(3.0×50mm)カラムを用い、3分間の10mM 重炭酸アンモニウム中のアセトニトリルの勾配(流速1mL/分)で行った。1H-NMRスペクトルは、Bruker 400MHzにより25℃で測定した。
【0120】
共通する一般的な方法
実施例化合物を塩酸塩として製造する場合、トリフルオロ酢酸を塩酸で置換するために、分取クロマトグラフィーの合わせた純粋な画分に、塩化水素(例.1,4-ジオキサン中に4M)を添加した。
【0121】
化合物は、Biovia, Dotmatics and PerkinElmer(ChemDraw)のソフトウェアを使用して命名した。さらに、市販の出発物質と試薬には、商品名又は慣用名を使用した。
【0122】
Mestrelab Research S.Lが提供するMestReNovaを使用して、スペクトルを処理した。残留する溶媒を内部標準として使用して、化学シフトをppm(δ)で記録する。Hz単位で示されるピーク多重度は、以下のとおり:s、シングレット;d、ダブレット;dd、ダブレットのダブレット;ddd、ダブレットのダブレットのダブレット;t、トリプレット;dt、ダブレットのトリプレット;q、カルテット;dq、ダブレットのカルテット;p、ペンテット;h、ヘプテット;m、マルチプレット;br s、ブロードなシングレット。ある低磁場プロトン(約14.5~14.9ppm)は範囲外となることがあり、必ず多重線に含まれるものではない。
【0123】
中間体1 (2S)-2-アミノ-4-(1-メチル-5-ニトロ-ベンズイミダゾール-2-イル)ブタン酸エチルエステル
【化21】
【0124】
(4S)-4-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-5-メトキシ-5-オキソ-ペンタン酸(7.46g、28.6mmol)、N1-メチル-4-ニトロ-ベンゼン-1,2-ジアミン(5.01g、30.0mmol)、1-メチルイミダゾール(4.78mL、60.0mmol)のMeCN(220mL)溶液に、[クロロ(ジメチルアミノ)メチレン]-ジメチル-アンモニウム;六フッ化リン酸(8.81g、31.4mmol)を室温で加えた[わずかに発熱]。混合物を室温で1時間撹拌し、揮発性の物質を減圧下で蒸発させた。粗生成物をDCM(400mL)に溶解し、2N HCl:水 1:4溶液(200mL)で洗浄した。有機相を分離し、MgSO4で乾燥し、ろ過し、濃縮して茶色の固体を得た。粗生成物(2S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-5-[2-(メチルアミノ)-5-ニトロ-アニリノ]-5-オキソ-ペンタン酸メチルエステル(13.4g、28.4mmol、収率99%)を、更に精製することなく次の工程で使用した。HPLC純度:87%;MS (ESI+) m/z = 354 [M+H-tBu]+。
【0125】
(2S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-5-[2-(メチルアミノ)-5-ニトロ-アニリノ]-5-オキソ-ペンタン酸メチルエステル(11.7g、28.5mmol)のEtOH(400mL)溶液に、塩酸(12.0mol/L、42.3mL、507mmol)を加え、混合物を70℃で終夜撹拌した。反応物を減圧下で蒸発させて、水(500mL)を加えた。水相をEtOAc(2× 200mL)で洗浄した。有機相を捨てた。水相をEtOAc(500mL)と混合し、pH9~10になるまで固体のK2CO3を加えた。水相をEtOAc(2× 300mL)で抽出した。有機相をMgSO4で乾燥し、ろ過し、減圧下で蒸発させて、粗生成物(2S)-2-アミノ-4-(1-メチル-5-ニトロ-ベンズイミダゾール-2-イル)ブタン酸エチルエステル(中間体1)を得、更に精製することなく次の工程で使用した。HPLC純度:83%;MS (ESI+) m/z = 307 [M+H]+。
【0126】
中間体2 (2S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-4-(1-メチル-5-ニトロ-ベンズイミダゾール-2-イル)ブタン酸リチウム
【化22】
【0127】
粗(2S)-2-アミノ-4-(1-メチル-5-ニトロ-ベンズイミダゾール-2-イル)ブタン酸エチルエステル(中間体1)(5.73g、18.7mmol)のTHF(100mL)溶液に、トリエチルアミン(3.13mL、22.4mmol)と二炭酸ジ-tert-ブチル(4.49g、20.6mmol)を加え、混合物を室温で終夜撹拌した。粗生成物を減圧下で濃縮し、EtOAc(200mL)に溶解し、0.5N HCl(200mL)で洗浄した。2つの相を分離し、水相をEtOAc(2× 50mL)で抽出した。有機相をMgSO4で乾燥し、ろ過し、減圧下で蒸発させた。Et2O(150mL)を加えると、固体が沈殿し始めた。フラスコを0℃に冷却し、30分間放置した。固体をろ過により集め、冷Et2O(3× 50mL)で洗浄した。固体を減圧下で乾燥して、(2S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-4-(1-メチル-5-ニトロ-ベンズイミダゾール-2-イル)ブタン酸エチルエステルを薄黄色の固体として得た(4.70g、11.6mmol、3工程の収率55%)。HPLC純度:96%、MS (ESI+) m/z = 407 [M+H]+。
【0128】
(2S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-4-(1-メチル-5-ニトロ-ベンズイミダゾール-2-イル)ブタン酸エチルエステル(1.47g、3.62mmol)のTHF(20mL)及びMeOH(20mL)溶液に、水(5mL)とLiOH・H2O(0.159g、3.80mmol)を加え、混合物を室温で終夜撹拌した。粗生成物(2S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-4-(1-メチル-5-ニトロ-ベンズイミダゾール-2-イル)ブタン酸リチウム(中間体2)を、更に精製することなく次の工程で使用した。HPLC純度:100%;MS (ESI+) m/z = 379 [M(カルボン酸)+H]+。
【0129】
中間体3 (2S)-2-アミノ-3-(1-メチル-5-ニトロ-ベンズイミダゾール-2-イル)プロパン酸エチルエステル
【化23】
【0130】
中間体3は、出発物質として(3S)-3-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-4-メトキシ-4-オキソ-ブタン酸を使用したこと以外は中間体1と同じ手順で合成した:
【0131】
工程1 粗生成物(2S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-4-[2-(メチルアミノ)-5-ニトロ-アニリノ]-4-オキソ-ブタン酸メチルエステルを、茶色の固体として単離した(収率71%)。HPLC純度:71%;m/z = 341 (M+H-tBu)+。
【0132】
工程2 (2S)-2-アミノ-3-(1-メチル-5-ニトロ-ベンズイミダゾール-2-イル)プロパン酸エチルエステル(中間体3)を黄色がかったオレンジ色の固体として単離した(収率98%)。HPLC純度:91%;m/z = 293 (M+H)+。
【0133】
中間体4 (2S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-3-(1-メチル-5-ニトロ-ベンズイミダゾール-2-イル)プロパン酸リチウム
【化24】
【0134】
中間体4は、出発物質として(2S)-2-アミノ-3-(1-メチル-5-ニトロ-ベンズイミダゾール-2-イル)プロパン酸エチルエステル(中間体3)を使用したこと以外は中間体1と同じ手順で合成した。
【0135】
工程1 粗生成物(2S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-3-(1-メチル-5-ニトロ-ベンズイミダゾール-2-イル)プロパン酸エチルエステルを茶色の固体として単離した(収率83%)。HPLC純度:97%;m/z = 393 [M+H]+。
【0136】
工程2 (2S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-3-(1-メチル-5-ニトロ-ベンズイミダゾール-2-イル)プロパン酸リチウム(中間体4)を黄色がかったオレンジ色の固体として単離した(定量的)。HPLC純度:91%;m/z = 365 [M(カルボン酸)+H]+。
【0137】
実施例1 (2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]ブタノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸エチルエステル;二塩酸塩(実施例化合物1)
【化25】
【0138】
工程1 (2S)-2-アミノ-4-メチル-ペンタン酸エチルエステル;塩酸塩(0.581g、2.97mmol)、(2S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-4-(1-メチル-5-ニトロ-ベンズイミダゾール-2-イル)ブタン酸リチウム(中間体2)(1.04g、2.70mmol)及び1-メチルイミダゾール(0.452mL、5.67mmol)のMeCN(30mL)溶液に、[クロロ(ジメチルアミノ)メチレン]-ジメチル-アンモニウム;六フッ化リン酸(0.834g、2.97mmol)を室温で加えた。混合物を室温で1時間撹拌した。反応物をクエン酸溶液(10%水溶液)でクエンチし、揮発性の物質を蒸発させた。粗生成物を水で希釈し、EtOAc(×3)で抽出した。有機相をMgSO4で乾燥し、ろ過し、減圧下で蒸発させた。粗生成物をシリカクロマトグラフィー(DCM-->DCM/MeOH(10%))で精製して、(2S)-2-[[(2S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-4-(1-メチル-5-ニトロ-ベンズイミダゾール-2-イル)ブタノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸エチルエステルを薄黄色の泡状物として得た(1.27g、2.44mmol、収率90%)。HPLC純度:96%;MS (ESI+) m/z = 520 [M+H]+。
【0139】
工程2 (2S)-2-[[(2S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-4-(1-メチル-5-ニトロ-ベンズイミダゾール-2-イル)ブタノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸エチルエステル(1.27g、0.00244mol)をEtOH(30mL)に溶解し、H反応器に入れた。Pd/C(10%、0.130g、0.000122mol)を加え、反応器を密閉した。窒素パージを行った。水素ガスを3バールで反応器に充填し、反応物を35℃で1.5時間撹拌した。水素ガスを窒素パージで排気した。触媒をセライトろ過により除去した。溶媒を蒸発させ、粗生成物(2S)-2-[[(2S)-4-(5-アミノ-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)ブタノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸エチルエステルを単離し(0.670g、1.37mmol、収率85%)、更に精製することなく次の工程で使用した。HPLC純度:93%;MS (ESI+) m/z = 490 [M+H]+。
【0140】
工程3 (2S)-2-[[(2S)-4-(5-アミノ-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)ブタノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸エチルエステル(670mg、0.00137mol)を酢酸(5mL)に溶解し、オキシラン(2.30mol/L、5.95mL、0.0137mol)を加え、反応物を室温で24時間撹拌した。揮発性の物質を真空で除去し、粗製の物質をDCMに溶解し、NaHCO3の飽和水溶液で洗浄した。有機相を水とブラインで洗浄し、相分離器に通過させ、濃縮した。粗生成物をシリカクロマトグラフィー(DCM-->DCM/MeOH(10%))で精製して、(2S)-2-[[(2S)-4-[5-[ビス(2-ヒドロキシエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)ブタノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸エチルエステルを淡い白色の泡状物として得た(0.340g、0.589mmol、収率43%)。HPLC純度:96%;MS (ESI+) m/z = 578 [M+H]+。
【0141】
工程4 (2S)-2-[[(2S)-4-[5-[ビス(2-ヒドロキシエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)ブタノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸エチルエステル(340mg、0.589mmol)とトリエチルアミン(0.238g、2.35mmol)のDCM(10mL)溶液に、塩化メシル(0.141mL、1.82mmol)を加えた。反応混合物を室温で20分間撹拌し、次いで、NaHCO3(sat):水(2/5)(20mL)、0.3M HCl(20mL)及びブライン(20mL)の混合物で洗浄した。有機相をMgSO4で乾燥し、ろ過し、減圧下で蒸発させた。
【0142】
DMF(10mL)中の粗混合物(メシル化中間体)と塩化リチウム(0.374g、8.83mmol)を60℃で2.5時間加熱した。反応混合物をトルエン(40mL)とEtOAc(40mL)の混合物で希釈し、次いでブライン(3× 50mL)で洗浄し、MgSO4で乾燥し、ろ過し、溶媒を蒸発させて粗製の残留物を得た。粗生成物を、溶出剤としてDCM-->DCM/MeOH(5%)を使用してフラッシュクロマトグラフィーで精製した。目的化合物、(2S)-2-[[(2S)-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)ブタノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸エチルエステルを薄黄色の泡状物として得た(0.308g、0.481mmol、収率82%)。メシル化中間体のHPLC:MS (ESI+) m/z = 734 [M+H]+。目的の生成物のHPLC純度:96%;MS (ESI+) m/z = 614 [M+H]+。
【0143】
工程5 (2S)-2-[[(2S)-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)ブタノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸エチルエステル(308mg、0.476mmol)のEtOH(15mL)溶液に、ジオキサン中の塩酸(4M)(4.00mol/L、1.79mL、7.14mmol)を加え、混合物を室温で終夜撹拌した。溶媒を蒸発させて粗生成物を得、Et2O中で撹拌した。得られたオフホワイトの固体をろ過し、Et2O(2× 10mL)で洗浄し、EtOAc(2mL)で洗浄し、真空で乾燥させて、最終生成物(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]ブタノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸エチルエステル;二塩酸塩(実施例化合物1)をオフホワイトの固体として得た(0.170g、0.272mmol、収率57%)。HPLC純度:95%。MS (ESI+) m/z = 514 [M+H]+。
【0144】
1H NMR (600 MHz, DMSO-d6) δ 14.86 (br s, 1H), 9.31 (d, J = 7.0 Hz, 1H), 8.60 (d, J = 5.3 Hz, 3H), 7.75 (d, J = 9.2 Hz, 1H), 7.15 (dd, J = 9.4, 2.4 Hz, 1H), 6.93 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 4.34 - 4.27 (m, 1H), 4.15 - 4.06 (m, 3H), 3.91 (s, 3H), 3.83 (t, J = 6.8 Hz, 4H), 3.78 (t, J = 6.9 Hz, 4H), 3.43 - 3.30 (m, 2H), 2.41 - 2.25 (m, 2H), 1.81 - 1.71 (m, 1H), 1.64 (ddd, J = 13.7, 10.4, 5.1 Hz, 1H), 1.54 (ddd, J = 13.8, 9.2, 4.7 Hz, 1H), 1.18 (t, J = 7.1 Hz, 3H), 0.92 (d, J = 6.6 Hz, 3H), 0.88 (d, J = 6.5 Hz, 3H)。
【0145】
実施例1は、実施例46に記載した手順でも合成した。
【0146】
実施例2 (2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]ブタノイル]アミノ]-3-(4-フルオロフェニル)プロパン酸エチルエステル;二塩酸塩(実施例化合物2)
【化26】
【0147】
表題化合物を、実施例1に記載の方法により5工程で製造した。
【0148】
工程1 (2S)-2-[[(2S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-4-(1-メチル-5-ニトロ-ベンズイミダゾール-2-イル)ブタノイル]アミノ]-3-(4-フルオロフェニル)プロパン酸エチルエステルを白色の固体として単離した(5.14g、8.99mmol、収率86%)。HPLC純度:99%;MS (ESI+) m/z = 572 [M+H]+。
【0149】
1H NMR (600 MHz, DMSO-d6, 回転異性体の存在) δ 8.44 (d, J = 2.3 Hz, 1H), 8.37 (d, J = 7.5 Hz, 1H), 8.15 (dd, J = 8.9, 2.2 Hz, 1H), 7.75 (d, J = 9.0 Hz, 1H), 7.26 (dd, J = 8.4, 5.6 Hz, 2H), 7.10 - 7.01 (m, 3H), 4.51 - 4.44 (m, 1H), 4.10 - 4.04 (m, 1H), 4.02 (t, J = 7.1 Hz, 2H), 3.79 (s, 3H), 3.06 - 2.92 (m, 2H), 2.92 - 2.83 (m, 2H), 2.13 - 2.02 (m, 2H), 1.37 (s, 8H, 主たる回転異性体), 1.21 (s, 1H, 従たる回転異性体), 1.08 (t, J = 7.1 Hz, 3H)。
【0150】
工程2 粗生成物(2S)-2-[[(2S)-4-(5-アミノ-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)ブタノイル]アミノ]-3-(4-フルオロフェニル)プロパン酸エチルエステルを薄黄色の泡状物として単離した(4.83g、0.00892mol、収率93%)。粗生成物を次の工程で直接使用した。HPLC純度:96%;MS (ESI+) m/z = 542 [M+H]+。
【0151】
1H NMR (600 MHz, DMSO-d6, 回転異性体の存在) δ 8.49 (d, J = 7.5 Hz, 1H), 7.28 (dd, J = 8.5, 5.7 Hz, 2H), 7.14 - 7.03 (m, 4H), 6.69 (d, J = 2.0 Hz, 1H), 6.53 (dd, J = 8.5, 2.1 Hz, 1H), 4.68 (s, 2H), 4.49 - 4.41 (m, 1H), 4.07 - 3.98 (m, 3H), 3.58 (s, 3H), 3.07 - 2.94 (m, 2H), 2.82 - 2.70 (m, 2H), 2.08 - 1.98 (m, 1H), 1.98 - 1.87 (m, 1H), 1.37 (s, 8H, 主たる回転異性体), 1.19 (s, 1H, 従たる回転異性体), 1.13 - 1.03 (m, 3H)。
【0152】
工程3 目的の生成物、(2S)-2-[[(2S)-4-[5-[ビス(2-ヒドロキシエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)ブタノイル]アミノ]-3-(4-フルオロフェニル)プロパン酸エチルエステルを白色の固体として単離した(3.00g、4.76mmol、収率54%)。HPLC純度:100%、MS (ESI+) m/z = 630 [M+H]+。
【0153】
1H NMR (600 MHz, DMSO-d6, 回転異性体の存在) δ 8.47 - 8.43 (m, 1H), 7.30 - 7.23 (m, 3H), 7.13 (d, J = 8.1 Hz, 1H), 7.06 (t, J = 8.8 Hz, 2H), 6.82 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 6.73 - 6.69 (m, 1H), 4.71 (t, J = 5.4 Hz, 2H), 4.46 (q, J = 7.4 Hz, 1H), 4.07 - 3.98 (m, 3H), 3.61 (s, 3H), 3.53 (q, J = 6.2 Hz, 4H), 3.42 - 3.35 (m, 4H), 3.07 - 2.93 (m, 2H), 2.80 - 2.74 (m, 2H), 2.09 - 2.00 (m, 1H), 2.00 - 1.92 (m, 1H), 1.37 (s, 8H, 主たる回転異性体), 1.20 (s, 1H, 従たる回転異性体), 1.11 - 1.05 (m, 3H)。
【0154】
工程4 粗生成物をビュッヒ自動フラッシュシステム(80gカラム、DCM/MeOH、100:0~92:8)で精製し、(2S)-2-[[(2S)-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)ブタノイル]アミノ]-3-(4-フルオロフェニル)プロパン酸エチルエステルを薄黄色の固体として得た(1.60g、2.40mmol、収率50%)。HPLC純度:97%、MS (ESI+) m/z = 666 [M+H]+。
【0155】
工程5 (2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]ブタノイル]アミノ]-3-(4-フルオロフェニル)プロパン酸エチルエステル;二塩酸塩(実施例化合物2)をオフホワイトの固体として単離した(1.46g、2.28mmol、収率95%)。HPLC純度:97%、MS (ESI+) m/z = 566 [M+H]+。
【0156】
1H NMR (600 MHz, DMSO-d6) δ 14.75 (br s, 1H), 9.42 - 9.38 (m, 1H), 8.56 (s, 3H), 7.75 (d, J = 9.2 Hz, 1H), 7.35 (dd, J = 8.5, 5.6 Hz, 2H), 7.18 - 7.09 (m, 3H), 6.93 (d, J = 2.3 Hz, 1H), 4.52 (q, J = 7.1 Hz, 1H), 4.11 - 4.00 (m, 3H), 3.90 (s, 3H), 3.85 - 3.82 (m, 4H), 3.79 - 3.76 (m, 4H), 3.41 - 3.26 (m, 2H), 3.10 - 3.01 (m, 2H), 2.36 - 2.27 (m, 2H), 1.11 (t, J = 7.1 Hz, 3H)。
【0157】
実施例3 (2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]ブタノイル]アミノ]-3-メチル-ブタン酸エチルエステル;二塩酸塩(実施例化合物3)
【化27】
【0158】
表題化合物を、実施例1に記載の方法により5工程で製造した。
【0159】
工程1 (2S)-2-[[(2S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-4-(1-メチル-5-ニトロ-ベンズイミダゾール-2-イル)ブタノイル]アミノ]-3-メチル-ブタン酸エチルエステルを薄黄色の泡状物として単離した(1.27g、2.27mmol、収率84%)。HPLC純度:93%、MS (ESI+) m/z = 506 [M+H]+。
【0160】
工程2 粗生成物(2S)-2-[[(2S)-4-(5-アミノ-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)ブタノイル]アミノ]-3-メチル-ブタン酸エチルエステルをベージュ色の固体として得(1.2g、収率97%)、更に精製することなく次の工程で使用した。HPLC純度:97%、MS (ESI+) m/z = 476 [M+H]+。
【0161】
工程3 (2S)-2-[[(2S)-4-[5-[ビス(2-ヒドロキシエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)ブタノイル]アミノ]-3-メチル-ブタン酸エチルエステルを茶色のオイル状物として得(1.38g、収率98%)、これは静置すると固化した。化合物を、更に精製することなく次の工程で使用した。HPLC純度:98%、MS (ESI+) m/z = 564 [M+H]+。
【0162】
工程4 目的の化合物、(2S)-2-[[(2S)-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)ブタノイル]アミノ]-3-メチル-ブタン酸エチルエステルを茶色のオイル状物として得た(836mg、収率65%)。HPLC純度:93%、MS (ESI+) m/z = 600 [M+H]+。メシル化中間体のHPLC:MS (ESI+) m/z = 720 [M+H]+。
【0163】
工程5 (2S)-2-[[(2S)-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)ブタノイル]アミノ]-3-メチル-ブタン酸エチルエステル(純度93%、216mg、0.334mmol)のEtOH(2mL)溶液に、ジオキサン中の塩酸(4.00mol/L、0.836mL、3.34mmol)を加え、25℃で3時間撹拌した。粗生成物を蒸発させ、分取クロマトグラフィー(酸性緩衝液)で精製した。LC-MS分析を行うまで、得られた画分を氷浴した。ジオキサン中のHCl(4M、1mL)を加え、試料を直ちに凍結乾燥して、(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]ブタノイル]アミノ]-3-メチル-ブタン酸エチルエステル;二塩酸塩(実施例化合物3)をほんのり淡いピンクの固体として得た(54mg、収率28%)。HPLC純度:98%、MS (ESI+) m/z = 500 [M+H]+。
【0164】
1H NMR (600 MHz, DMSO-d6) δ 14.78 (s, 1H), 9.07 (d, J = 7.3 Hz, 1H), 8.67 - 8.50 (m, 3H), 7.75 (d, J = 9.1 Hz, 1H), 7.15 (d, J = 9.2 Hz, 1H), 6.93 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 4.21 (dd, J = 7.3, 5.5 Hz, 2H), 4.18 - 4.07 (m, 2H), 3.90 (s, 3H), 3.83 (t, J = 6.7 Hz, 4H), 3.78 (t, J = 6.2 Hz, 4H), 3.33 (dq, J = 24.7, 8.5 Hz, 2H), 2.40 - 2.22 (m, 2H), 2.14 (ddt, J = 14.0, 12.5, 6.9 Hz, 1H), 1.19 (t, J = 7.1 Hz, 3H), 0.97 (dd, J = 6.9, 5.4 Hz, 6H)。
【0165】
実施例4 (2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-3-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]プロパノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸エチルエステル;二塩酸塩(実施例化合物4)
【化28】
【0166】
表題化合物を、実施例1に記載の方法により5工程で製造した。
【0167】
工程1 (2S)-2-[[(2S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-3-(1-メチル-5-ニトロ-ベンズイミダゾール-2-イル)プロパノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸エチルエステル(1.36g、2.42mmol、収率89%)を薄黄色の泡状物として単離した。HPLC純度:90%、MS (ESI+) m/z = 506 [M+H]+。
【0168】
工程2 粗生成物(2S)-2-[[(2S)-3-(5-アミノ-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)プロパノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸エチルエステルを黄色のオイル状物として単離し(1.47g、2.78mmol、収率100%)、更に精製することなく次の工程で直接使用した。HPLC純度:90%、MS (ESI+) m/z = 476 [M+H]+。
【0169】
工程3 粗生成物(2S)-2-[[(2S)-3-[5-[ビス(2-ヒドロキシエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)プロパノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸エチルエステルを茶色の固体として得た(1.50g、2.42mmol、収率86%)。HPLC純度:91%、MS (ESI+) m/z = 564 [M+H]+。
【0170】
工程4 (2S)-2-[[(2S)-3-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)プロパノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸エチルエステルを黄色のオイル状物として単離した(0.550g、0.870mmol、収率33%)。HPLC純度:95%、MS (ESI+) m/z = 600 [M+H]+。メシル化中間体のHPLC:MS (ESI+) m/z = 720 [M+H]+。
【0171】
工程5 (2S)-2-[[(2S)-3-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)プロパノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸エチルエステル(95%、200mg、0.316mmol)のEtOH(15mL)溶液に、ジオキサン中の塩酸(4M)(4.00mol/L、1.19mL、4.75mmol)を加え、混合物を室温で一晩撹拌した。溶媒を蒸発させることで粗生成物を得、分取クロマトグラフィーで精製して、(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-3-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]プロパノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸エチルエステル;二塩酸塩(実施例化合物4)を白色の固体として得た(0.112g、0.189mmol、収率60%)。HPLC純度:100%、MS (ESI+) m/z = 500 [M+H]+。
【0172】
1H NMR (600 MHz, DMSO-d6) δ 14.75 (br s, 1H), 9.29 (dd, J = 7.8, 2.5 Hz, 1H), 8.86 (s, 3H), 7.78 (d, J = 9.2 Hz, 1H), 7.18 (dd, J = 9.4, 2.4 Hz, 1H), 6.91 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 4.49 (d, J = 6.8 Hz, 1H), 4.34 (ddd, J = 10.0, 7.5, 4.9 Hz, 1H), 4.06 - 4.01 (m, 2H), 3.99 (s, 3H), 3.90 - 3.74 (m, 9H), 3.65 (dd, J = 15.4, 6.6 Hz, 1H), 1.72 (ddd, J = 11.9, 7.9, 5.9 Hz, 1H), 1.56 (ddd, J = 13.7, 10.0, 5.2 Hz, 1H), 1.50 (ddd, J = 13.9, 9.0, 5.0 Hz, 1H), 1.15 (t, J = 7.1 Hz, 3H), 0.88 (dd, J = 16.2, 6.6 Hz, 6H)。
【0173】
実施例5 (2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-3-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]プロパノイル]アミノ]-3-(4-フルオロフェニル)プロパン酸エチルエステル;二塩酸塩(実施例化合物5)
【化29】
【0174】
表題化合物を、実施例1に記載の方法により5工程で製造した。
【0175】
工程1 (2S)-2-[[(2S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-3-(1-メチル-5-ニトロ-ベンズイミダゾール-2-イル)プロパノイル]アミノ]-3-(4-フルオロフェニル)プロパン酸エチルエステルを薄黄色の泡状物として単離した(1.36g、2.19mmol、収率81%)。HPLC純度:90%、MS (ESI+) m/z = 558 [M+H]+。
【0176】
工程2 粗生成物(2S)-2-[[(2S)-3-(5-アミノ-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)プロパノイル]アミノ]-3-(4-フルオロフェニル)プロパン酸エチルエステルをオフホワイトの固体として得(954mg、収率73%)、更に精製することなく次の工程で使用した。HPLC純度:98%、MS (ESI+) m/z = 528 [M+H]+。
【0177】
工程3 粗生成物(2S)-2-[[(2S)-3-[5-[ビス(2-ヒドロキシエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)プロパノイル]アミノ]-3-(4-フルオロフェニル)プロパン酸エチルエステルを茶色のオイル状物として得(964mg、収率85%)、これは静置すると固化した。化合物を、更に精製することなく次の工程で使用した。HPLC純度:96%、MS (ESI+) m/z = 616 [M+H]+。
【0178】
工程4 (2S)-2-[[(2S)-3-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)プロパノイル]アミノ]-3-(4-フルオロフェニル)プロパン酸エチルエステルを黄色のオイル状物として単離した(0.635g、0.924mmol、収率69%)。HPLC純度:95%、MS (ESI+) m/z = 652 [M+H]+。HPLCメシル化中間体:MS (ESI+) m/z = 772 [M+H]+。
【0179】
工程5 粗生成物を分取HPLC(酸性条件;流速25mL/分、12%Bから42%Bまで15分間の勾配。239nmのUVシグナルに基づいて画分を回収)で精製した。ジオキサン中の4NのHCl(1mL)を合わせた画分に加え、凍結乾燥して、(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-3-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]プロパノイル]アミノ]-3-(4-フルオロフェニル)プロパン酸エチルエステル;二塩酸塩(実施例化合物5)をオフホワイトの固体として得た(78mg、0.121mmol、収率13%)。HPLC純度:97%、MS (ESI+) m/z = 552 [M+H]+。
【0180】
1H NMR (600 MHz, DMSO-d6) δ 14.66 (br s, 1H), 9.31 (d, J = 7.5 Hz, 1H), 8.79 (s, 3H), 7.81 - 7.67 (m, 1H), 7.33 - 7.28 (m, 2H), 7.15 (d, J = 9.2 Hz, 1H), 7.12 - 7.06 (m, 2H), 6.88 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 4.59 (p, J = 8.4, 7.7 Hz, 1H), 4.41 (s, 1H), 4.01 (dddd, J = 13.6, 10.8, 7.2, 3.8 Hz, 2H), 3.95 (s, 3H), 3.84 (ddt, J = 23.1, 12.2, 6.2 Hz, 4H), 3.77 (ddd, J = 9.3, 7.2, 4.8 Hz, 5H), 3.63 (s, 1H), 3.05 - 2.95 (m, 2H), 1.10 (t, J = 7.1 Hz, 3H)。
【0181】
実施例6 (2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-3-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]プロパノイル]アミノ]-3-メチル-ブタン酸エチルエステル;二塩酸塩(実施例化合物6)
【化30】
【0182】
表題化合物を、実施例1に記載の方法により5工程で製造した。
【0183】
工程1 目的の生成物、(2S)-2-[[(2S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-3-(1-メチル-5-ニトロ-ベンズイミダゾール-2-イル)プロパノイル]アミノ]-3-メチル-ブタン酸エチルエステルを薄黄色の泡状物として単離した(0.992g、1.82mmol、収率67%)。HPLC純度:90%、MS (ESI+) m/z = 492 [M+H]+。
【0184】
工程2 粗生成物(2S)-2-[[(2S)-3-(5-アミノ-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)プロパノイル]アミノ]-3-メチル-ブタン酸エチルエステルを茶色のオイル状物として得(931mg、収率98%)、更に精製することなく次の工程で使用した。HPLC純度:98%、MS (ESI+) m/z = 462 [M+H]+。
【0185】
工程3 粗生成物(2S)-2-[[(2S)-3-[5-[ビス(2-ヒドロキシエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)プロパノイル]アミノ]-3-メチル-ブタン酸エチルエステルを黄色のオイル状物として得(0.848g、1.39mmol、収率70%)、更に精製することなく次の工程で使用した。HPLC純度:90%、MS (ESI+) m/z = 550 [M+H]+。
【0186】
工程4 (2S)-2-[[(2S)-3-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)プロパノイル]アミノ]-3-メチル-ブタン酸エチルエステルを黄色のオイル状物として単離した(0.210g、0.340mmol、収率22%)。HPLC純度:95%、MS (ESI+) m/z = 586 [M+H]+。HPLCメシル化中間体:MS (ESI+) m/z = 706 [M+H]+。
【0187】
工程5 粗生成物を分取HPLC(流速25mL/分、8%Bから38%Bまで15分間の勾配。239nmのUVシグナルに基づいて画分を回収)で精製し、(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-3-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]プロパノイル]アミノ]-3-メチル-ブタン酸エチルエステル;二塩酸塩(実施例化合物6)をオフホワイトの固体として得た(85mg、0.147mmol、収率43%)。HPLC純度:97%、MS (ESI+) m/z = 486 [M+H]+。
【0188】
1H NMR (600 MHz, DMSO-d6) δ 14.77 (br s, 1H), 9.04 (d, J = 7.9 Hz, 1H), 8.85 (s, 3H), 7.78 (d, J = 9.2 Hz, 1H), 7.17 (dd, J = 9.6, 2.3 Hz, 1H), 6.90 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 4.59 (s, 1H), 4.26 (dd, J = 7.9, 5.5 Hz, 1H), 4.07 - 3.99 (m, 2H), 3.98 (s, 3H), 3.89 - 3.75 (m, 9H), 3.59 (dd, J = 15.5, 6.8 Hz, 1H), 2.12 - 2.03 (m, 1H), 1.15 (t, J = 7.1 Hz, 3H), 0.92 (d, J = 6.8 Hz, 6H)。
【0189】
実施例7 (2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-4-メチル-ペンタノイル]アミノ]-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]ブタン酸エチルエステル;二塩酸塩(実施例化合物7)
【化31】
【0190】
工程1 (2S)-2-アミノ-4-(1-メチル-5-ニトロ-ベンズイミダゾール-2-イル)ブタン酸エチルエステル(中間体1)(1.00g、3.26mmol)、(2S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-4-メチル-ペンタン酸;水和物(0.814g、3.26mmol)及び1-メチルイミダゾール(0.546mL、6.86mmol)のMeCN(30mL)溶液に、[クロロ(ジメチルアミノ)メチレン]-ジメチル-アンモニウム;六フッ化リン酸(1.01g、3.59mmol)室温で加えた。混合物を室温で1時間撹拌した。反応物をクエン酸溶液(10%水溶液)でクエンチし、揮発性の物質を蒸発させた。粗生成物を水で希釈し、EtOAc(×3)で抽出した。有機相をMgSO4で乾燥し、ろ過し、減圧下で蒸発させた。粗生成物をシリカクロマトグラフィー(DCM-->DCM/MeOH(10%))で精製して、(2S)-2-[[(2S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-4-メチル-ペンタノイル]アミノ]-4-(1-メチル-5-ニトロ-ベンズイミダゾール-2-イル)ブタン酸エチルエステルを薄黄色の泡状物として得た(90%、1.47g、2.54mmol、収率78%)。HPLC純度:90%;MS (ESI+) m/z = 520 [M+H]+。
【0191】
工程2 (2S)-2-[[(2S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-4-メチル-ペンタノイル]アミノ]-4-(1-メチル-5-ニトロ-ベンズイミダゾール-2-イル)ブタン酸エチルエステル(1.47g、0.00283mol)をEtOH(30mL)に溶解し、H反応器に入れた。Pd/C(10%、0.151g、0.000141mol)を加え、反応器を密閉した。窒素パージを行った。水素ガスを3バールで反応器に充填し、反応物を35℃で1.5時間撹拌した。水素ガスを窒素パージで排気した。触媒をセライトろ過により除去した。溶媒を蒸発させ、粗生成物(2S)-4-(5-アミノ-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル)-2-[[(2S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-4-メチル-ペンタノイル]アミノ]ブタン酸エチルエステルを茶色の泡状物として得(1.20g、2.21mmol、収率78%)、更に精製することなく次の工程で使用した。HPLC純度:90%;MS (ESI+) m/z = 490 [M+H]+。
【0192】
工程3 (2S)-4-(5-アミノ-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル)-2-[[(2S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-4-メチル-ペンタノイル]アミノ]ブタン酸エチルエステル(1.26g、2.45mmol、純度95%)を酢酸(5mL)に溶解した。オキシラン(2.3M、10.6mL)を加え、反応物を室温で24時間撹拌した。揮発性の物質を真空で除去し、粗製の物質をDCMに溶解し、NaHCO3の飽和水溶液で洗浄した。有機相を水とブラインで洗浄し、相分離器カートリッジに通過させ、濃縮し、(2S)-4-[5-[ビス(2-ヒドロキシエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]-2-[[(2S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-4-メチル-ペンタノイル]アミノ]ブタン酸エチルエステルを茶色のオイル状物として得(1.38g、収率93%)、これは静置すると固化した。生成物を更に精製することなく次の工程で使用した。HPLC純度:95%;MS (ESI+) m/z = 578 [M+H]+。
【0193】
工程4 (2S)-4-[5-[ビス(2-ヒドロキシエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]-2-[[(2S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-4-メチル-ペンタノイル]アミノ]ブタン酸エチルエステル(1.38g、2.27mmol、純度95%)とトリエチルアミン(1.27mL、9.08mmol)のDCM(50mL)溶液に、塩化メシル(0.544mL、7.03mmol)を加え、混合物を室温で10分間撹拌した。反応混合物を、NaHCO3(飽和):水(2:5)(100mL)、0.3MのHCl(100mL)及びブライン(100mL)の混合物で洗浄した。有機相を相分離カートリッジに通過させ、減圧下で蒸発させた。粗生成物(2S)-4-[5-[ビス(2-メチルスルホニルオキシエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]-2-[[(2S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-4-メチル-ペンタノイル]アミノ]ブタン酸エチルエステルを、更に精製することなく次の工程で直ちに使用した。
【0194】
(2S)-4-[5-[ビス(2-メチルスルホニルオキシエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]-2-[[(2S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-4-メチル-ペンタノイル]アミノ]ブタン酸エチルエステル(1.82g、1.64mmol、純度66%)をDMF(5mL)に溶解した。LiCl(1.04g、24.6mmol)を加え、反応物を60℃で1時間加熱した。反応混合物を、トルエン(10mL)とEtOAc(10mL)の混合物で希釈し、次いでブライン(3× 20mL)で洗浄し、MgSO4で乾燥し、ろ過し、蒸発させた。得られた粗生成物を、DCM中の酢酸エチルの0~20%の勾配を使用するフラッシュクロマトグラフィーで精製した。目的の化合物を含む画分を合わせて濃縮し、(2S)-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]-2-[[(2S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-4-メチル-ペンタノイル]アミノ]ブタン酸エチルエステルを茶色のオイル状物として得た(652mg、収率62%)。メシル化中間体のHPLC:MS (ESI+) m/z = 734 [M+H]+。目的の生成物のHPLC純度:96%;MS (ESI+) m/z = 614 [M+H]+。
【0195】
工程5 (2S)-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]-2-[[(2S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-4-メチル-ペンタノイル]アミノ]ブタン酸エチルエステル(205mg、0.316mmol、純度95%)のEtOH(2mL)溶液に、ジオキサン中の塩酸(4.00mol/L、1.19mL、4.75mmol)を加え、混合物を25℃で3時間撹拌した。溶媒を蒸発させることで粗生成物を得、分取クロマトグラフィー(酸性緩衝液;流速25mL/分、7%Bから37%Bまで15分間の勾配。235nmのUVシグナルに基づいて画分を回収)で精製した。LC-MS分析を行うまで、画分を氷浴した。ジオキサン中のHCl(4M、1mL)を加え、試料を直ちに凍結乾燥して、(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-4-メチル-ペンタノイル]アミノ]-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]ブタン酸エチルエステル;二塩酸塩(実施例化合物7)を黄色のオイル状物として得た(50mg、収率26%)。HPLC純度:95%、MS (ESI+) m/z = 514 [M+H]+。
【0196】
1H NMR (600 MHz, DMSO-d6) δ 14.41 (s, 1H), 9.04 (d, J = 7.9 Hz, 1H), 8.22 (d, J = 5.3 Hz, 3H), 7.74 (d, J = 9.2 Hz, 1H), 7.15 (dd, J = 9.4, 2.3 Hz, 1H), 6.90 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 4.51 (ddd, J = 9.6, 8.0, 4.9 Hz, 2H), 4.10 (d, J = 7.1 Hz, 2H), 3.88 (s, 3H), 3.84 (t, J = 6.7 Hz, 4H), 3.78 (t, J = 6.9 Hz, 4H), 3.18 (d, J = 8.6 Hz, 2H), 2.42 - 2.32 (m, 1H), 2.19 - 2.09 (m, 1H), 1.70 (dp, J = 13.4, 6.8 Hz, 1H), 1.61 (dt, J = 13.9, 7.0 Hz, 1H), 1.55 (dt, J = 14.1, 7.5 Hz, 1H), 1.19 (t, J = 7.1 Hz, 3H), 0.92 (dd, J = 16.4, 6.5 Hz, 6H)。
【0197】
実施例8 (2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-3-(4-フルオロフェニル)プロパノイル]アミノ]-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]ブタン酸エチルエステル;二塩酸塩(実施例化合物8)
【化32】
【0198】
表題化合物を、実施例7に記載の方法により5工程で製造した。
【0199】
工程1 (2S)-2-[[(2S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-3-(4-フルオロフェニル)プロパノイル]アミノ]-4-(1-メチル-5-ニトロ-ベンズイミダゾール-2-イル)ブタン酸エチルエステルを薄黄色の泡状物として単離した(1.87g、2.94mmol、収率90%)。
HPLC純度:90%、MS (ESI+) m/z = 572 [M+H]+。
【0200】
工程2 粗生成物(2S)-4-(5-アミノ-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル)-2-[[(2S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-3-(4-フルオロフェニル)プロパノイル]アミノ]ブタン酸エチルエステルを薄黄色の固体として得(1.78g、収率90%)、更に精製することなく次の工程で使用した。HPLC純度:90%、MS (ESI+) m/z = 542 [M+H]+。
【0201】
工程3 粗生成物(2S)-4-[5-[ビス(2-ヒドロキシエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]-2-[[(2S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-3-(4-フルオロフェニル)プロパノイル]アミノ]ブタン酸エチルエステルを薄茶色の固体として得た(1.74g、収率86%)。化合物を、更に精製することなく次の工程で使用した。HPLC純度:92%、MS (ESI+) m/z = 630 [M+H]+。
【0202】
工程4 (2S)-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]-2-[[(2S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-3-(4-フルオロフェニル)プロパノイル]アミノ]ブタン酸エチルエステルを茶色のオイル状物として単離した(628mg、収率37%)。HPLC純度:92%、MS (ESI+) m/z = 666 [M+H]+。HPLCメシル化中間体:MS (ESI+) m/z = 786 [M+H]+。
【0203】
工程5 粗生成物を分取HPLC(酸性条件;流速25mL/分、11%Bから40%Bまで15分間の勾配。235nmのUVシグナルに基づいて画分を回収)で精製した。ジオキサン中のHCl(4M、1mL)を合わせた画分に加え、試料を直ちに凍結乾燥して、(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-3-(4-フルオロフェニル)プロパノイル]アミノ]-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]ブタン酸エチルエステル;二塩酸塩(実施例化合物8)をオフホワイトの固体として得た(35mg、収率23%)。HPLC純度:95%、MS (ESI+) m/z = 566 [M+H]+。
【0204】
1H NMR (600 MHz, DMSO-d6) δ 14.61 (s, 1H), 9.57 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 8.40 (d, J = 5.5 Hz, 3H), 7.75 (d, J = 9.2 Hz, 1H), 7.45 - 7.36 (m, 2H), 7.15 (dtd, J = 9.4, 7.4, 6.9, 2.3 Hz, 3H), 6.91 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 4.44 (ddd, J = 9.5, 7.6, 4.3 Hz, 1H), 4.22 (d, J = 6.8 Hz, 1H), 4.08 (q, J = 7.1 Hz, 2H), 3.95 (s, 3H), 3.83 (t, J = 6.8 Hz, 4H), 3.78 (t, J = 6.1 Hz, 4H), 3.36 - 3.25 (m, 2H), 3.19 (dd, J = 14.0, 5.7 Hz, 1H), 2.98 (dd, J = 14.0, 8.0 Hz, 1H), 2.40 - 2.31 (m, 1H), 2.17 (dtd, J = 14.6, 9.5, 5.5 Hz, 1H), 1.18 (t, J = 7.1 Hz, 3H)。
【0205】
実施例9 (2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-3-メチル-ブタノイル]アミノ]-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]ブタン酸エチルエステル;二塩酸塩(実施例化合物9)
【化33】
【0206】
表題化合物を、実施例7に記載の方法により5工程で製造した。
【0207】
工程1 (2S)-2-[[(2S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-3-メチル-ブタノイル]アミノ]-4-(1-メチル-5-ニトロ-ベンズイミダゾール-2-イル)ブタン酸エチルエステルを薄黄色の泡状物として単離した(0.757g、1.35mmol、収率41%)。HPLC純度:90%、MS (ESI+) m/z = 506 [M+H]+。
【0208】
工程2 粗生成物(2S)-4-(5-アミノ-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル)-2-[[(2S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-3-メチル-ブタノイル]アミノ]ブタン酸エチルエステルを薄茶色の固体として得(0.642g、1.28mmol、収率86%)、更に精製することなく次の工程で使用した。HPLC純度:95%、MS (ESI+) m/z = 476 [M+H]+。
【0209】
工程3 粗生成物(2S)-4-[5-[ビス(2-ヒドロキシエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]-2-[[(2S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-3-メチル-ブタノイル]アミノ]ブタン酸エチルエステルを茶色のオイル状物として得(0.685g、1.09mmol、収率85%)、これは静置すると固化した。化合物を、更に精製することなく次の工程で使用した。HPLC純度:90%、MS (ESI+) m/z = 564 [M+H]+。
【0210】
工程4 (2S)-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]-2-[[(2S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-3-メチル-ブタノイル]アミノ]ブタン酸エチルエステルを薄茶色のオイル状物として単離した(0.402g、0.623mmol、収率58%)。HPLC純度:93%、MS (ESI+) m/z = 600 [M+H]+。HPLCメシル化中間体:MS (ESI+) m/z = 720 [M+H]+。
【0211】
工程5 粗生成物を蒸発させ、分取クロマトグラフィー(酸性緩衝液;流速25mL/分、7%Bから36%Bまで15分間の勾配。235nmのUVシグナルに基づいて画分を回収)で精製した。得られた画分を氷浴し、ジオキサン中のHCl(4M、1mL)を加え、試料を直ちに凍結乾燥して、(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-3-メチル-ブタノイル]アミノ]-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]ブタン酸エチルエステル;二塩酸塩(実施例化合物9)をオフホワイトの固体として得た(12mg、収率6.3%)。HPLC純度:95%、MS (ESI+) m/z = 500 [M+H]+。
【0212】
1H NMR (600 MHz, DMSO-d6) δ 14.70 (s, 1H), 9.37 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 8.44 (d, J = 5.7 Hz, 3H), 7.75 (d, J = 9.2 Hz, 1H), 7.15 (dd, J = 9.3, 2.4 Hz, 1H), 6.91 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 4.46 (ddd, J = 10.0, 7.6, 4.0 Hz, 1H), 4.10 (d, J = 7.1 Hz, 2H), 3.96 (s, 3H), 3.83 (t, J = 6.6 Hz, 4H), 3.80 - 3.77 (m, 4H), 3.74 - 3.63 (m, 1H), 3.52 - 3.41 (m, 1H), 3.31 (ddd, J = 15.9, 9.6, 6.8 Hz, 1H), 2.37 (dt, J = 13.3, 4.9 Hz, 1H), 2.20 - 2.10 (m, 2H), 1.18 (t, J = 7.1 Hz, 3H), 1.04 - 0.94 (m, 6H)。
【0213】
実施例10 (2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-4-メチル-ペンタノイル]アミノ]-3-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]プロパン酸エチルエステル;二塩酸塩(実施例化合物10)
【化34】
【0214】
表題化合物を、実施例7に記載の方法により5工程で製造した。
【0215】
工程1 (2S)-2-[[(2S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-4-メチル-ペンタノイル]アミノ]-3-(1-メチル-5-ニトロ-ベンズイミダゾール-2-イル)プロパン酸エチルエステルを薄黄色の泡状物として単離した(1.68g、2.99mmol、収率87%)。HPLC純度:90%、MS (ESI+) m/z = 506 [M+H]+。
【0216】
工程2 粗生成物(2S)-3-(5-アミノ-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル)-2-[[(2S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-4-メチル-ペンタノイル]アミノ]プロパン酸エチルエステルを茶色のオイル状物として得(1.50g、2.90mmol、収率87%)、更に精製することなく次の工程で使用した。HPLC純度:92%、MS (ESI+) m/z = 476 [M+H]+。
【0217】
工程3 粗生成物(2S)-3-[5-[ビス(2-ヒドロキシエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]-2-[[(2S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-4-メチル-ペンタノイル]アミノ]プロパン酸エチルエステル(1.20g、1.60mmol、収率52%)を茶色の固体として得た。HPLC純度:75%、MS (ESI+) m/z = 564 [M+H]+。
【0218】
工程4 (2S)-3-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]-2-[[(2S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-4-メチル-ペンタノイル]アミノ]プロパン酸エチルエステルを黄色のオイル状物として単離した(0.430g、0.680mmol、収率32%)。HPLC純度:95%、MS (ESI+) m/z = 600 [M+H]+。HPLCメシル化中間体:MS (ESI+) m/z = 720 [M+H]+。
【0219】
工程5 粗生成物を、分取HPLC(酸性条件;流速25mL/分、6%Bから36%Bまで15分間の勾配。237nmのUVシグナルに基づいて画分を回収)で精製した。ジオキサン中の4NのHCl(1mL)を合わせた画分に加え、凍結乾燥して、(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-4-メチル-ペンタノイル]アミノ]-3-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]プロパン酸エチルエステル;二塩酸塩(実施例化合物10)を白色の固体として得た(0.102g、0.169mmol、収率53%)。HPLC純度:95%、MS (ESI+) m/z = 500 [M+H]+。
【0220】
1H NMR (600 MHz, DMSO-d6) δ 14.85 (br s, 1H), 9.56 (d, J = 7.7 Hz, 1H), 8.40 (s, 3H), 7.76 (d, J = 9.2 Hz, 1H), 7.16 (d, J = 9.2 Hz, 1H), 6.95 (d, J = 2.5 Hz, 1H), 5.02 (q, J = 7.6 Hz, 1H), 4.12 (q, J = 7.1 Hz, 2H), 3.97 (s, 3H), 3.87 - 3.73 (m, 9H), 3.67 (dd, J = 15.8, 6.1 Hz, 1H), 3.58 (dd, J = 15.6, 8.2 Hz, 1H), 1.64 (dt, J = 13.4, 6.7 Hz, 1H), 1.52 (hept, J = 6.8 Hz, 2H), 1.14 (t, J = 7.1 Hz, 3H), 0.87 (dd, J = 9.5, 6.5 Hz, 6H)。
【0221】
実施例11 (2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-3-(4-フルオロフェニル)プロパノイル]アミノ]-3-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]プロパン酸エチルエステル;二塩酸塩(実施例化合物11)
【化35】
【0222】
表題化合物を、実施例7に記載の方法により5工程で製造した。
【0223】
工程1 (2S)-2-[[(2S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-3-(4-フルオロフェニル)プロパノイル]アミノ]-3-(1-メチル-5-ニトロ-ベンズイミダゾール-2-イル)プロパン酸エチルエステルを薄黄色の固体として単離した(0.794g、1.14mmol、収率29%)。HPLC純度:80%、MS (ESI+) m/z = 558 [M+H]+。
【0224】
工程2 粗生成物(2S)-3-(5-アミノ-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル)-2-[[(2S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-3-(4-フルオロフェニル)プロパノイル]アミノ]プロパン酸エチルエステルを薄茶色の固体として得(772mg、収率93%)、更に精製することなく次の工程で使用した。HPLC純度:91%、MS (ESI+) m/z = 528 [M+H]+。
【0225】
工程3 粗生成物(2S)-3-[5-[ビス(2-ヒドロキシエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]-2-[[(2S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-3-(4-フルオロフェニル)プロパノイル]アミノ]プロパン酸エチルエステルを茶色のオイル状物として得(817mg、収率91%)、これは静置すると固化した。化合物を、更に精製することなく次の工程で使用した。HPLC純度:95%、MS (ESI+) m/z = 616 [M+H]+。
【0226】
工程4 (2S)-3-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]-2-[[(2S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-3-(4-フルオロフェニル)プロパノイル]アミノ]プロパン酸エチルエステルを茶色のオイル状物として単離した(449mg、収率51%)。HPLC純度:86%、MS (ESI+) m/z = 652 [M+H]+。HPLCメシル化中間体:MS (ESI+) m/z = 772 [M+H]+。
【0227】
工程5 粗生成物を分取クロマトグラフィー(酸性緩衝液;流速25mL/分、10%Bから40%Bまで15分間の勾配。237nmのUVシグナルに基づいて画分を回収)で精製した。ジオキサン中のHCl(4M、1mL)を合わせた画分に加え、試料を直ちに凍結乾燥して、(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-3-(4-フルオロフェニル)プロパノイル]アミノ]-3-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]プロパン酸エチルエステル;二塩酸塩(実施例化合物11)をオフホワイトの固体として得た(12mg、収率15%)。HPLC純度:96%、MS (ESI+) m/z = 552 [M+H]+。
【0228】
1H NMR (600 MHz, DMSO-d6) δ 14.73 (s, 1H), 9.64 (s, 1H), 8.32 (s, 3H), 7.77 - 7.67 (m, 1H), 7.33 (dt, J = 9.6, 4.9 Hz, 2H), 7.14 (t, J = 8.7 Hz, 3H), 6.94 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 4.98 (q, J = 7.5 Hz, 1H), 4.12 (dtt, J = 10.8, 6.7, 3.7 Hz, 3H), 3.96 (s, 3H), 3.83 (t, J = 6.8 Hz, 4H), 3.77 (t, J = 6.4 Hz, 4H), 3.14 (dd, J = 14.1, 6.0 Hz, 1H), 2.97 (dd, J = 14.1, 7.8 Hz, 1H), 1.13 (t, J = 7.1 Hz, 3H), 0.87 - 0.81 (m, 2H)。
【0229】
実施例12 (2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-3-メチル-ブタノイル]アミノ]-3-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]プロパン酸エチルエステル;二塩酸塩(実施例化合物12)
【化36】
【0230】
表題化合物を、実施例7に記載の方法により5工程で製造した。
【0231】
工程1 (2S)-2-[[(2S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-3-メチル-ブタノイル]アミノ]-3-(1-メチル-5-ニトロ-ベンズイミダゾール-2-イル)プロパン酸エチルエステルを黄色の固体として単離した(0.428g、0.784mmol、収率23%)。HPLC純度:90%、MS (ESI+) m/z = 492 [M+H]+。
【0232】
工程2 粗生成物(2S)-3-(5-アミノ-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル)-2-[[(2S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-3-メチル-ブタノイル]アミノ]プロパン酸エチルエステルを黄色の固体として得(393mg、収率93%)、更に精製することなく次の工程で使用した。HPLC純度:95%、MS (ESI+) m/z = 462 [M+H]+。
【0233】
工程3 粗生成物(2S)-3-[5-[ビス(2-ヒドロキシエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]-2-[[(2S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-3-メチル-ブタノイル]アミノ]プロパン酸エチルエステルを茶色の固体として得た(0.305g、0.499mmol、収率58%)。化合物を、更に精製することなく次の工程で使用した。HPLC純度:90%、MS (ESI+) m/z = 550 [M+H]+。
【0234】
工程4 (2S)-3-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]-2-[[(2S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-3-メチル-ブタノイル]アミノ]プロパン酸エチルエステルを黄色のオイル状物として単離した(0.168g、0.272mmol、収率37%)。HPLC純度:95%、MS (ESI+) m/z = 586 [M+H]+。HPLCメシル化中間体:MS (ESI+) m/z = 706 [M+H]+。
【0235】
工程5 粗生成物を蒸発させ、分取HPLC(酸性条件;流速25mL/分、5%Bから34%Bまで15分間の勾配。238nmのUVシグナルに基づいて画分を回収)で精製した。ジオキサン中のHCl(4M、1mL)を合わせた画分に加え、溶液を直ちに凍結乾燥して、(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-3-メチル-ブタノイル]アミノ]-3-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]プロパン酸エチルエステル;二塩酸塩(実施例化合物12)を得た(45mg、0.0724mmol、収率27%)。HPLC純度:90%、MS (ESI+) m/z = 486 [M+H]+。
【0236】
1H NMR (600 MHz, DMSO-d6) δ 13.82 (br s, 1H), 8.51 (s, 1H), 7.49 - 7.30 (m, 3H), 6.85 (d, J = 9.2 Hz, 1H), 6.25 (d, J = 9.3 Hz, 1H), 6.05 (d, J = 2.5 Hz, 1H), 4.15 (q, J = 7.4 Hz, 1H), 3.22 (q, J = 7.1 Hz, 2H), 3.06 (s, 3H), 2.96 - 2.86 (m, 8H), 2.80 (dt, J = 9.3, 4.1 Hz, 2H), 2.66 (d, J = 8.2 Hz, 1H), 1.22 (dq, J = 13.4, 6.7 Hz, 1H), 0.23 (t, J = 7.1 Hz, 3H), 0.11 - 0.00 (m, 6H)。
【0237】
実施例13 (2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-フェニル-ベンズイミダゾール-2-イル]ブタノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸エチルエステル;塩酸塩(実施例化合物13)
【化37】
【0238】
実施例13を以下のスキーム4に従い行った。
【化38】
【0239】
スキーム4: a) TEA、MeOH、60℃、b) 亜ジチオン酸ナトリウム、EtOH、80℃、c) HATU、TEA、DMF、室温、d) 12M HCl、EtOH、70℃、e) BOC2O、TEA、THF、室温、f) LiOH-H2O、1,4-ジオキサン、水、50℃、g) HATU、TEA、DMF、室温、h) Pd/C10%、水素ガス雰囲気、EtOH、室温、i) NaBH3CN、TFA、EtOH、室温、j) TFA、DCM、次いで12M HCl、室温。
【0240】
2,4-ジニトロ-N-フェニル-アニリン(化合物13-3)
TEA(6.19mL、44.4mmol)を、MeOH(150mL)中の1-クロロ-2,4-ジニトロ-ベンゼン(3.00g、14.8mmol、化合物13-2)とアニリン(1.35mL、14.8mmol、化合物13-1)に加えた。反応物を60℃で終夜撹拌した。反応物の加熱を中止すると薄いレンガ色の固体が得られた。固体をろ別し、氷冷MeOHで洗浄して表題化合物を得た(3.26g、12.54mmol、収率85%)。HPLC純度:95%、MS (ESI+) m/z = 260 [M+H]+。
【0241】
4-ニトロ-N1-フェニル-ベンゼン-1,2-ジアミン(化合物13-4)
亜ジチオン酸ナトリウム(6.57g、37.7mmol)を、EtOH(120mL)と水(30mL)溶媒混合物中の2,4-ジニトロ-N-フェニル-アニリン(3.26g、12.6mmol)に80℃で加えた。反応物を1時間撹拌した。有機溶媒を蒸発させ、水を更に加えた。化合物をDCMで抽出した。水相を捨てた。DCM相は固体を含み、これをろ別した。ろ液をブラインで洗浄し、MgSO4で乾燥し、ろ過し、溶媒を蒸発させて表題化合物を得た(1.25g、5.45mmol、収率43%)。HPLC純度:95%、MS (ESI+) m/z = 230 [M+H]+。
【0242】
(2S)-5-(2-アニリノ-5-ニトロ-アニリノ)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-5-オキソ-ペンタン酸ベンジルエステル(化合物13-5)
HATU(2.28g、6.00mmol)を、DMF(15mL)中の(4S)-5-ベンジルオキシ-4-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-5-オキソ-ペンタン酸(1.93g、5.73mmol)とTEA(2.28mL、16.4mmol)に加えた。この混合物に、4-ニトロ-N1-フェニル-ベンゼン-1,2-ジアミン(1.25g、5.45mmol)を加えた。反応物を一晩撹拌した。トルエン(70mL)を加え、有機相を水(100mL)とブライン(60mL)で洗浄した。有機相をMgSO4で乾燥し、ろ過し、溶媒を蒸発させて、表題化合物を得た(2.90g、5.45mmol、収率97%)。HPLC純度:88%、MS (ESI+) m/z = 449 [M+H-BOC]+。この物質をそのまま次の工程で使用した。
【0243】
(2S)-2-アミノ-4-(5-ニトロ-1-フェニル-ベンズイミダゾール-2-イル)ブタン酸ベンジルエステル(化合物13-6)
(2S)-5-(2-アニリノ-5-ニトロ-アニリノ)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-5-オキソ-ペンタン酸ベンジルエステル(2.99g、5.45mmol)のEtOH(37mL)溶液に、12MのHCl(8.18mL、98.1mmol)を加え、混合物を70℃で40分間撹拌した。粗生成物を水(200mL)で希釈し、4MのNaOHによって注意深くpH7に中和した。生成物を酢酸エチル(3× 100mL)で抽出し、有機相をMgSO4で乾燥し、ろ過し、溶媒を蒸発させて表題化合物を得た(2.35g、5.45mol、定量的)。HPLC純度:65%、MS (ESI+) m/z = 431 [M+H]+。この物質をそのまま次の工程で使用した。
【0244】
(2S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-4-(5-ニトロ-1-フェニル-ベンズイミダゾール-2-イル)ブタン酸ベンジルエステル(化合物13-7)
THF(25mL)中の(2S)-2-アミノ-4-(6-ニトロ-3-フェニル-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-イル)ブタン酸ベンジルエステル(2.35g、0.00545mol)に、TEA(2.28mL、0.0163mol)と二炭酸ジ-tert-ブチル(1.43g、6.54mmol)を加えた。混合物を週末中、室温で撹拌した。過剰のBOC2Oを除去するために、イミダゾール(0.111g、1.63mol)を加え、反応物を更に1時間撹拌した。溶媒を蒸発させ、残留物を酢酸エチルに溶解した。有機相を5%クエン酸で洗浄し、MgSO4で乾燥し、ろ過し、溶媒を蒸発させた。粗生成物をシリカのフラッシュクロマトグラフィーにかけ、p-エーテル中の20~30%酢酸エチルで溶出して、表題化合物(2.21g、4.17mmol、収率76%)を得た。HPLC純度:77%、MS (ESI+) m/z = 531 [M+H]+。
【0245】
(2S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-4-(5-ニトロ-1-フェニル-ベンズイミダゾール-2-イル)ブタン酸(化合物13-8)
(2S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-4-(5-ニトロ-1-フェニル-ベンズイミダゾール-2-イル)ブタン酸ベンジルエステル(2.21g、4.17mmol)の、水(10mL)を含む1,4-ジオキサン(30mL)溶液に、LiOH-H2O(0.699g、16.7mmol)を加えた。反応物を50℃で40分間撹拌し、室温で、酢酸エチルで希釈し、5%クエン酸で洗浄した。有機相をMgSO4で乾燥し、ろ過し、溶媒を蒸発させて表題化合物を得た(1.83g、0.00415mol、定量的)。HPLC純度:80%、MS (ESI+) m/z = 441 [M+H]+。この物質をそのまま次の工程で使用した。
【0246】
(2S)-2-[[(2S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-4-(5-ニトロ-1-フェニル-ベンズイミダゾール-2-イル)ブタノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸エチルエステル(化合物13-9)
HATU(1.74g、0.00457mol)を、DMF(30mL)中の、(2S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-4-(5-ニトロ-1-フェニル-ベンズイミダゾール-2-イル)ブタン酸(1.83g、0.00415mol)、(2S)-2-アミノ-4-メチル-ペンタン酸エチルエステル;塩酸塩(0.894g、0.00457mol)及びトリエチルアミン(2.32mL、0.0166mol)の混合物に加えた。反応物を1時間撹拌した。トルエンを加え、混合物を5%クエン酸とブラインで洗浄した。有機相をMgSO4で乾燥し、ろ過し、溶媒を蒸発させて表題化合物を得た(1.82g、0.00312mol、収率75%)。HPLC純度:95%、MS (ESI+) m/z =582 [M+H]+。この物質をそのまま次の工程で使用した。
【0247】
(2S)-2-[[(2S)-4-(5-アミノ-1-フェニル-ベンズイミダゾール-2-イル)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)ブタノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸エチルエステル(化合物13-10)
エタノール(90mL)中の、(2S)-2-[[(2S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-4-(5-ニトロ-1-フェニル-ベンズイミダゾール-2-イル)ブタノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸エチルエステル(1.81g、0.00311mol)とPd/C10%(0.331g、0.00311mol)の混合物を、水素ガス雰囲気下で4時間撹拌した。固体の材料をろ過し、溶媒を蒸発させて表題化合物を得た(1.71g、0.00311mol、定量的)。この物質をそのまま次の工程で使用した。HPLC純度:93%、MS (ESI+) m/z = 552 [M+H]+。
【0248】
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.26 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 7.60 (t, J = 7.5 Hz, 2H), 7.55 - 7.49 (m, 1H), 7.43 (d, J = 7.0 Hz, 2H), 6.92 (d, J = 8.2 Hz, 1H), 6.80 - 6.75 (m, 2H), 6.52 (dd, J = 8.5, 2.1 Hz, 1H), 4.81 (s, 2H), 4.24 (ddd, J = 9.9, 7.6, 5.0 Hz, 1H), 4.09 - 3.96 (m, 3H), 2.77 - 2.64 (m, 2H), 2.20 - 2.09 (m, 1H), 1.99 - 1.87 (m, 1H), 1.70 - 1.44 (m, 3H), 1.33 (s, 9H), 1.14 (t, J = 7.1 Hz, 3H), 0.89 (d, J = 6.6 Hz, 3H), 0.82 (d, J = 6.5 Hz, 3H)。
【0249】
(2S)-2-[[(2S)-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-フェニル-ベンズイミダゾール-2-イル]-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)ブタノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸エチルエステル(化合物13-11)
NaBH3CN(0.137g、0.00218mol)を、EtOH(6mL)中の、(2S)-2-[[(2S)-4-(5-アミノ-1-フェニル-ベンズイミダゾール-2-イル)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)ブタノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸エチルエステル(0.300g、0.000544mol)、2-クロロアセトアルデヒド(水中に50.0%、0.344mL、0.00272mol)及びTFA(0.242mL、3.26mmol)のスラリー化した混合物に室温で加えた。20分後に、2-クロロアセトアルデヒド(水中に50%、0.344mL、2.72mmol)とNaBH3CN(0.137g、2.18mmol)を更に加えた。10分後に、最後の2-クロロアセトアルデヒド(水中に50%, 0.344mL、2.72mmol)、NaBH3CN(0.137g、2.18mmol)及びTFA(0.242mL、3.26mmol)を更に加えた。酢酸エチルを混合物に加え、有機相を飽和炭酸水素ナトリウム溶液とブラインで洗浄した。化合物をシリカのフラッシュクロマトグラフィーに2回かけ、最初にDCM中の2%EtOH、そして、石油エーテル中の20~30%酢酸エチルで溶出して、表題化合物(0.158g、0.00234mol、収率43%)を得た。HPLC純度:97%、MS (ESI+) m/z = 676 [M+H]+。
【0250】
(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-フェニル-ベンズイミダゾール-2-イル]ブタノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸エチルエステル;塩酸塩(実施例化合物13)
(2S)-2-[[(2S)-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-フェニル-ベンズイミダゾール-2-イル]-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)ブタノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸エチルエステル(190mg、0.281mmol)を、DCM(2mL)中のTFA(2mL)で処理した。溶媒を蒸発させ、粗製の残留物を、ACE5 C8 Prep、100×21.2mmカラム(水中の0.1%TFA)25~50%アセトニトリル勾配を使用し、UV検出器を備えたGilsonシステムによる分取HPLCに、数回注入して精製した。純粋な画分をプールして、750mLの溶液を得た。氷冷溶液に12MのHCl(3mL)を加えて、0.05MのHC溶液を得た。溶媒を凍結乾燥で除去して、表題化合物(実施例化合物13)(92mg、0.159mmol、収率53%)を得た。MS (ESI+) m/z 576 [M+H]+。
【0251】
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 9.04 (d, J = 7.1 Hz, 1H), 8.54 - 8.42 (m, 3H), 7.73 - 7.62 (m, 4H), 7.16 - 7.01 (m, 3H), 4.28 - 4.20 (m, 2H), 4.06 - 3.97 (m, 3H), 3.88 - 3.73 (m, 8H), 3.14 (t, J = 7.2 Hz, 2H), 2.41 - 2.24 (m, 2H), 1.76 - 1.65 (m, 1H), 1.61 - 1.46 (m, 2H), 1.13 (t, J = 7.1 Hz, 3H), 0.89 (dd, J = 18.0, 6.5 Hz, 6H)。
【0252】
実施例14 (2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-3-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]プロパノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸メチルエステル;二塩酸塩(実施例化合物14)
【化39】
【0253】
(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-3-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]プロパノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸エチルエステル;二塩酸塩(実施例化合物4)(11mg、0.0182mmol)をMeOH(2mL)に溶解した。HClを1滴加え、反応混合物を70℃で一晩撹拌した。試料を分取クロマトグラフィー(酸性緩衝液;流速25mL/分、10%Bから40%Bまで15分間の勾配。238nmのUVシグナルに基づいて画分を回収)で精製した。ジオキサン中のHCl(4M、0.01mL)を合わせた画分に加え、試料を直ちに凍結乾燥して、(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-3-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]プロパノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸メチルエステル;二塩酸塩(実施例化合物14)を黄色の固体として得た(3.5mg、0.00619mmol、収率34%)。HPLC純度:99%;MS (ESI+) m/z = 486 [M+H]+。
【0254】
1H NMR (600 MHz, DMSO-d6) δ 14.8 (s, 1H), 9.09 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 8.59 (s, 3H), 7.62 (s, 1H), 6.89 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 6.54 (s, 1H), 4.37 (dt, J = 31.5, 7.6 Hz, 2H), 3.93 - 3.70 (m, 11H), 3.54 (s, 3H), 2.51 (t, J = 5.6 Hz, 1H), 1.63 (dq, J = 12.5, 6.3 Hz, 1H), 1.56 - 1.45 (m, 2H), 1.31 - 1.17 (m, 1H), 0.85 (dd, J = 13.8, 6.5 Hz, 6H)。
【0255】
実施例15 (2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-3-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]プロパノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸イソプロピルエステル;二塩酸塩(実施例化合物15)
【化40】
【0256】
(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-3-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]プロパノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸エチルエステル;二塩酸塩(実施例化合物4)(10mg、0.0166mmol)をイソプロピルアルコール(2mL)に溶解した。HClを1滴加え、反応混合物を70℃で一晩撹拌した。試料を分取クロマトグラフィー(酸性緩衝液;流速25mL/分、11%Bから42%Bまで15分間の勾配。239nmのUVシグナルに基づいて画分を回収)で精製した。ジオキサン中のHCl(4M、0.01mL)を合わせた画分に加え、試料を直ちに凍結乾燥して、(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-3-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]プロパノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸イソプロピルエステル;二塩酸塩(実施例化合物15)を黄色の固体として得た(4.8mg、0.00793mmol、収率48%)。HPLC純度:97%;MS (ESI+) m/z = 514 [M+H]+。
【0257】
1H NMR (600 MHz, DMSO-d6) δ 14.60 (s, 1H), 9.14 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 8.68 (s, 3H), 7.71 (s, 1H), 7.11 (s, 1H), 6.89 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 4.83 (h, J = 6.3 Hz, 1H), 4.44 (t, J = 6.9 Hz, 1H), 4.28 (ddd, J = 9.8, 7.6, 5.2 Hz, 1H), 3.91 (s, 3H), 3.81 (dt, J = 12.4, 6.9 Hz, 4H), 3.75 (dd, J = 9.9, 4.8 Hz, 4H), 3.58 (s, 2H), 1.68 (ddt, J = 15.3, 12.9, 6.6 Hz, 1H), 1.50 (qdd, J = 13.8, 9.3, 5.3 Hz, 2H), 1.14 (dd, J = 36.1, 6.3 Hz, 6H), 0.86 (dd, J = 17.3, 6.6 Hz, 6H)。
【0258】
実施例16 (2S)-2-[[(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-3-(4-フルオロフェニル)プロパノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタノイル]アミノ]-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]ブタン酸エチルエステル;二塩酸塩(実施例化合物16)
実施例16を以下のスキーム5に従い行った。
【化41】
【0259】
(2S)-2-[[(2S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-3-(4-フルオロフェニル)プロパノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸チルエステル(化合物16-1)
(2S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-3-(4-フルオロフェニル)プロパン酸(0.700g、0.00247mol)のDMF(5.0mL)溶液に、室温で、HATU(0.940g、0.00247mol)とDIEA(0.423mL、0.00247mol)を加え、続いて(2S)-2-アミノ-4-メチル-ペンタン酸メチルエステル(0.395g、0.00272mol)を加えた。得られた混合物を室温で終夜撹拌した。反応混合物をH2Oで希釈し、DCMで抽出した。有機相を乾燥(Na2SO4)し、真空中、20℃以下で濃縮した。粗生成物をビュッヒ自動フラッシュシステム(10gカラム、EtOAc/石油エーテル)で精製し、(2S)-2-[[(2S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-3-(4-フルオロフェニル)プロパノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸メチルエステルを白色の固体として得た(0.420g、1.02mmol、収率41%)。HPLC純度:75%;MS (ESI+) m/z = 411 [M+H]+。
【0260】
(2S)-2-[[(2S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-3-(4-フルオロフェニル)プロパノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸(化合物16-2)
(2S)-2-[[(2S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-3-(4-フルオロフェニル)プロパノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸メチルエステル(420mg、1.02mmol)のTHF(1.5mL)溶液に、LiOH・H2O(47.2mg、1.13mmol)の水溶液(0.5mL)を加えた。混合物を室温で1時間撹拌した。沈殿した固体をろ過し、乾燥して(2S)-2-[[(2S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-3-(4-フルオロフェニル)プロパノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸を白色の固体として得た(350mg、0.883mmol、収率86%)。HPLC純度:85%;MS (ESI+) m/z = 341 [M+H-tBu]+。
【0261】
(2S)-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]-2-[[(2S)-2-[[(2S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-3-(4-フルオロフェニル)プロパノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタノイル]アミノ]ブタン酸エチルエステル(化合物16-3)
(2S)-2-[[(2S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-3-(4-フルオロフェニル)プロパノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸(95.0mg、0.240mmol)のDMF(3.0mL)溶液に、室温で、HATU(91.1mg、0.240mmol)、DIEA(0.0820mL、0.479mmol)及び(2S)-2-アミノ-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]ブタン酸エチルエステル;二塩酸塩(実施例化合物38)(125mg、0.264mmol)を加えた。得られた混合物を室温で終夜撹拌した。反応混合物をH2Oで希釈し、相分離器を使用してDCMで抽出した。有機相を乾燥(Na2SO4)し、真空中、20℃以下で濃縮した。粗生成物を分取HPLC(酸性緩衝液;流速25mL/分、31%Bから57%Bまで15分間の勾配。235nmのUVシグナルに基づいて画分を回収)で精製して、(2S)-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]-2-[[(2S)-2-[[(2S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-3-(4-フルオロフェニル)プロパノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタノイル]アミノ]ブタン酸エチルエステルをオフホワイトの固体として得た(80.0mg、0.103mmol、43%収率)。HPLC純度:100%;MS (ESI+) m/z = 779 [M+H]+。
【0262】
(2S)-2-[[(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-3-(4-フルオロフェニル)プロパノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタノイル]アミノ]-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]ブタン酸エチルエステル;二塩酸塩(実施例化合物16)
EtOH(1mL)中の(2S)-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]-2-[[(2S)-2-[[(2S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-3-(4-フルオロフェニル)プロパノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタノイル]アミノ]ブタン酸エチルエステル(80.0mg、0.103mmol)に、ジオキサン中のHCl(4.00mol/L、0.128mL、0.513mmol)を加え、反応混合物を一晩撹拌した。反応の完了後、溶媒を約15℃で蒸発させて、直ちに分取HPLC(酸性緩衝液;流速25mL/分、12%Bから44%Bまで15分間の勾配。235nmのUVシグナルに基づいて画分を回収)を行った。全ての純粋なHPLC画分をMivacuumに保持してアセトニトリルを蒸発させ、ジオキサン中のHCl(4M、0.01mL)を、得られた画分に加えた。混合物を直ちにドライアイスが入った氷浴中で凍結させ、凍結乾燥機に入れて、(2S)-2-[[(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-3-(4-フルオロフェニル)プロパノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタノイル]アミノ]-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]ブタン酸エチルエステル;二塩酸塩(実施例化合物16)を白色の粉末として得た(6.00mg、0.00797mmol、収率8%)。HPLC純度:95%;MS (ESI+) m/z = 679 [M+H]+。
【0263】
1H NMR (600 MHz, DMSO-d6) δ 14.4 (br s, 1H), 8.80 - 8.71 (m, 2H), 8.24 - 8.01 (m, 3H), 7.36 - 7.25 (m, 2H), 7.18 - 7.08 (m, 2H), 6.97 - 6.82 (m, 1H), 4.53 - 4.32 (m, 2H), 4.19 - 3.99 (m, 3H), 3.90 - 3.67 (m, 12H), 3.09 (m, 4H), 2.88 (dd, J = 14.2, 8.3 Hz, 1H), 2.38 -2.26 (m, 1H), 2.21 - 2.09 (m, 1H), 1.67 (dq, J = 13.5, 6.6 Hz, 1H), 1.55 - 1.43 (m, 2H), 1.17 (t, J = 7.1 Hz, 3H), 0.93 (d, J = 6.6 Hz, 3H), 0.89 (d, J = 6.6 Hz, 3H)。
【0264】
実施例17 (2S)-2-アミノ-3-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]プロパン酸;二塩酸塩(実施例化合物17)
実施例17を以下のスキーム6に従い行った。
【化42】
【0265】
(2S)-3-(5-アミノ-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)プロパン酸エチルエステル(化合物17-1)
(2S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-3-(1-メチル-5-ニトロ-ベンズイミダゾール-2-イル)プロパン酸エチルエステル(スキーム1)(573mg、1.42mmol)をEtOH(10mL)に溶解し、H反応器に入れた。10%Pd/C(75.4mg)を加え、反応器を密閉した。窒素パージを行った。水素ガスを3バールで反応器に充填し、反応物を35℃で3時間撹拌した。水素ガスを窒素パージで排気した。触媒をセライトろ過により除去した。溶媒を蒸発させ、粗生成物(2S)-3-(5-アミノ-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)プロパン酸エチルエステルを黄色の固体として得(421mg、1.13mmol、収率74%)、更に精製することなく次の工程で使用した。HPLC純度:90%;MS (ESI+) m/z = 363 [M+H]+。
【0266】
(2S)-3-[5-[ビス(2-ヒドロキシエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)プロパン酸エチルエステル(化合物17-2)
(2S)-3-(5-アミノ-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)プロパン酸エチルエステル(421mg、1.13mmol)を酢酸(5mL)に溶解した。オキシラン(2.3M、4.55mL)を加え、反応物を室温で24時間撹拌した。溶媒を蒸発させ、粗製の物質をDCMに溶解し、NaHCO3の飽和水溶液で洗浄した。有機相を水とブラインで洗浄し、相分離器に通過させた。物質を濃縮して(2S)-3-[5-[ビス(2-ヒドロキシエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)プロパン酸エチルエステルを茶色のオイル状物として得(0.421g、0.888mmol、収率85%)、これは、次の工程での使用に十分に純粋であった。HPLC純度:95%;MS (ESI+) m/z = 451 [M+H]+。
【0267】
(2S)-3-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)プロパン酸エチルエステル(化合物17-3)
(2S)-3-[5-[ビス(2-ヒドロキシエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)プロパン酸エチルエステル(421g、0.888mmol、純度95%)とトリエチルアミン(0.495mL、3.55mmol)のDCM(10mL)溶液に、メタンスルホン酸クロリド(0.213mL、2.75mmol)を加え、反応混合物を室温で20分間撹拌した。反応混合物を、NaHCO3(飽和):水(2:5)(50mL)、0.3MのHCl(50mL)及びブライン(50mL)の混合物で洗浄した。有機相を相分離器にかけ、減圧下で蒸発させた。(2S)-3-[5-[ビス(2-メチルスルホニルオキシエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)プロパン酸エチルエステルの粗生成物を、更に精製することなく次の工程で直ちに使用した。
【0268】
(2S)-3-[5-[ビス(2-メチルスルホニルオキシエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)プロパン酸エチルエステル(521mg、0.79mmol、純度92%)をDMF(5mL)に溶解した。LiCl(0.502g、11.9mmol)を加え、反応物を60℃で2時間加熱した。反応混合物を、トルエン(10mL)とEtOAc(10mL)の混合物で希釈し、次いでブライン(3× 20mL)で洗浄し、MgSO4で乾燥し、ろ過し、蒸発させた。得られた粗生成物を、DCM中の酢酸エチルの0~20%の勾配を使用するフラッシュクロマトグラフィーで精製した。目的化合物を含む画分を合わせて濃縮し、(2S)-3-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)プロパン酸エチルエステルを茶色のオイル状物として得た(375mg、0.692mmol、収率88%)。HPLC純度:90%;MS (ESI+) m/z = 487 [M+H]+。HPLC純度(メシル化中間体):95%;MS (ESI+) m/z = 607 [M+H]+。
【0269】
(2S)-2-アミノ-3-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]プロパン酸エチルエステル;二塩酸塩(化合物17-4)
(2S)-3-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)プロパン酸エチルエステル(375mg、0.692mmol、純度90%)のEtOH(5mL)溶液に、ジオキサン中の塩酸(4.00mol/L、1.73mL、6.92mmol)を加え、25℃で3時間撹拌した。溶媒を減圧下で蒸発させて(2S)-2-アミノ-3-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]プロパン酸エチルエステル;二塩酸塩のオフホワイトの固体を得た(0.307g、0.660mmol、収率95%)。HPLC純度:99%;MS (ESI+) m/z = 387 [M+H]+。
【0270】
(2S)-2-アミノ-3-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]プロパン酸;二塩酸塩(実施例化合物17)
(2S)-2-アミノ-3-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]プロパン酸エチルエステル(30mg、0.064mmol)及び5NのHCl(0.025mL)を室温で4時間撹拌した。温度をゆっくりと60℃に上昇させた。温度を100℃に上げ、30分間撹拌した。反応物を室温まで放冷し、揮発性の物質を真空で除去した。粗生成物を分取HPLC(酸性緩衝液;流速25mL/分、1%Bから28%Bまで15分間の勾配。236nmのUVシグナルに基づいて画分を回収)で精製して、(2S)-2-アミノ-3-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]プロパン酸;二塩酸塩(実施例化合物17)を淡い薄ピンクの固体として得た(8mg、0.022mmol、収率26%)。HPLC純度:95%;MS (ESI+) m/z = 359 [M+H]+。
【0271】
1H NMR (600 MHz, DMSO-d6) δ 14.90 (s, 1H), 8.93 (s, 3H), 7.75 (d, J = 9.2 Hz, 1H), 7.15 (dd, J = 9.3, 2.4 Hz, 1H), 6.91 (d, J = 2.3 Hz, 1H), 4.65 (t, J = 7.6 Hz, 1H), 3.84 - 3.71 (m, 13H)。
【0272】
実施例18 (S)-2-アミノ-4-(5-(ビス(2-クロロエチル)アミノ)-1-メチル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)ブタン酸二塩酸塩(実施例化合物18)
実施例18を以下のスキーム7に従い行った。
【化43】
【0273】
(2S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-4-(1-メチル-5-ニトロ-ベンズイミダゾール-2-イル)ブタン酸エチルエステル(化合物18-1)
(2S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-5-[2-(メチルアミノ)-5-ニトロ-アニリノ]-5-オキソ-ペンタン酸メチルエステル(スキーム1)(50g、98.2mmol)のMeOH(150mL)溶液に、塩酸(12.0mol/L、73.6mL、884mmol)を加え、混合物を70℃で30分間撹拌した。反応混合物を水(500mL)に溶解し、EtOAc(2× 150mL)で洗浄した。水相をEtOAc(300mL)と混合し、pH9~10になるまで固体のK2CO3を加えた。水相をEtOAc(2× 100mL)で抽出した。有機相をMgSO4で乾燥し、ろ過し、減圧下で蒸発させて、(2S)-2-アミノ-4-(1-メチル-5-ニトロ-ベンズイミダゾール-2-イル)ブタン酸メチルを赤みがかった固体として得た(26.0g、82.7mmol、収率84%)。粗生成物を更に精製することなく次の工程で使用した。HPLC純度:93%;MS (ESI+) m/z = 293 [M+H]+。
【0274】
(2S)-2-アミノ-4-(1-メチル-5-ニトロ-ベンズイミダゾール-2-イル)ブタン酸メチルエステル(26g、82.7mmol)のTHF(100mL)溶液に、トリエチルアミン(13.8mL、99.3mmol)と二炭酸ジ-tert-ブチル(20.9mL、91mmol)を加え、混合物を室温で終夜撹拌した。粗生成物を減圧下で濃縮し、EtOAc(400mL)に溶解し、0.5NのHCl(400mL)で洗浄した。2つの相を分離し、水相をEtOAc(2× 200mL)で抽出した。有機相をMgSO4で乾燥し、ろ過し、減圧下で蒸発させた。粗生成物を少量のTHFに溶解し、Et2Oを加えた。混合物を0℃に冷却し、30分間放置した。固体をろ過し、冷Et2Oで洗浄した。固体を減圧下で乾燥して、(2S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-4-(1-メチル-5-ニトロ-ベンズイミダゾール-2-イル)ブタン酸エチルエステルをオフホワイトの固体として得た(27g、68.8mmol、収率83%)。HPLC純度:100%;MS (ESI+) m/z = 393 [M+H]+。
【0275】
(2S)-4-(5-アミノ-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)ブタン酸メチルエステル(化合物18-2)
(2S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-4-(1-メチル-5-ニトロ-ベンズイミダゾール-2-イル)ブタン酸メチルエステル(1.95g、4.97mmol)をMeOH(15mL)に溶解し、H反応器に入れた。10%Pd/C(264mg)を加え、反応器を密閉した。窒素パージを行った。水素ガスを3バールで反応器に充填し、反応物を35℃で2時間撹拌した。水素ガスを窒素パージで排気した。触媒をセライトろ過により除去した。溶媒を蒸発させ、粗生成物(2S)-4-(5-アミノ-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)ブタン酸メチルエステルをオフホワイト(わずかにピンク)の固体として得(1.8g、定量的)、更に精製することなく次の工程で使用した。HPLC純度:95%;MS (ESI+) m/z 363 [M+H]+。
【0276】
(2S)-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)ブタン酸メチルエステル(化合物18-3)
2-クロロアセトアルデヒド(1.30g、1.05mL、8.28mmol、50%、10当量)を、(2S)-4-(5-アミノ-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)ブタン酸メチルエステル(300mg、0.83mmol)、TFA(0.369mL、4.97mmol、6当量)及びMeOH(10mL)の溶液に加えた。反応混合物を0℃で15分間撹拌し、次いで、NaBH3CN(104mg、1.66mmol、2当量)を5分間かけて加え、混合物を0℃で20分間撹拌した。水(10mL)、NaHCO3(10mL)及びEtOAc(10mL)を加えて、層に分けた。水相をEtOAc(3× 10mL)で抽出した。合わせた有機相をブライン(2× 20mL)で洗浄し、無水MgSO4で乾燥し、ろ過し、減圧下で濃縮した。粗製の残留物をシリカカラムで精製し、生成物をp-エーテル中の80%EtOAcで溶出した。画分をプールし、濃縮して、(2S)-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)ブタン酸メチルエステル(207mg、0.425mmol、収率51%)を得た。HPLC純度:93%;MS (ESI+) m/z 487 [M+H]+。
【0277】
(2S)-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]-2-(tert-ブトキシカルボニル-アミノ)ブタン酸(化合物18-4)
(2S)-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)ブタン酸メチルエステル(207mg、0.425mmol)とLiOH・H2O(54mg、1.27mmol)の混合物を、1,4-ジオキサン(12mL)と水(4mL)に懸濁した。反応混合物を50℃で20分間加熱した。溶液を室温まで放冷し、水(20mL)を加えた。次いで、混合物を1MのHClでpH5にし、生成物をEtOAc(3× 70mL)で抽出した。合わせた有機相をブライン(100mL)で洗浄し、無水MgSO4で乾燥し、ろ過し、ロータリーエバポレーターで濃縮して、(2S)-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]-2-(tert-ブトキシカルボニル-アミノ)ブタン酸(188mg、0.397mmol、収率94%)を得た。HPLC純度:95%;MS (ESI+) m/z 473 [M+H]+。
【0278】
(S)-2-アミノ-4-(5-(ビス(2-クロロエチル)アミノ)-1-メチル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)ブタン酸二塩酸塩(実施例化合物18)
(2S)-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]-2-(tert-ブトキシカルボニル-アミノ)ブタン酸(188mg、0.397mmol)をジクロロメタン(3mL)に溶解し、ジオキサン中の4MのHCl(1.0mL)を滴下した。反応混合物を室温で3時間撹拌し、次いで、ジエチルエーテル(15mL)を加えた。ジエチルエーテルを加えると沈殿物が形成し、これをろ過して単離し、真空で乾燥して、(S)-2-アミノ-4-(5-(ビス(2-クロロエチル)アミノ)-1-メチル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)ブタン酸二塩酸塩(実施例化合物18)を得た(118mg、0.288mmol、収率73%)。HPLC純度:95%;MS (ESI+) m/z 373 [M+H]+。
【0279】
1H NMR (600 MHz, CD3OD) δ 7.71 (d, J = 9.3 Hz, 1H), 7.18 (dd, J = 9.3, 2.4 Hz, 1H), 6.97 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 4.23 (dd, J = 7.3, 5.5 Hz, 1H), 3.99 (s, 3H), 3.89 (t, J = 6.8 Hz, 4H), 3.76 (t, J = 6.7 Hz, 4H), 3.54 - 3.44 (m, 1H), 3.44 - 3.35 (m, 1H), 2.61 - 2.49 (m, 1H), 2.49 - 2.37 (m, 1H)。
【0280】
実施例19 (2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]ブタノイル]アミノ]-3-メチル-ブタン酸;二塩酸塩(実施例化合物19)
【化44】
【0281】
(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]ブタノイル]アミノ]-3-メチル-ブタン酸エチルエステル;二塩酸塩(実施例化合物3)(15.3mg、0.0264mmol)のTHF:MeOH(2:1、1mL)溶液に、水酸化リチウム一水和物の水溶液(0.5M、0.0555mL)を加えた。混合物を室温で一晩撹拌した。試料をろ過し、分取クロマトグラフィー(酸性緩衝液;流速25mL/分、2%Bから31%Bまで15分間の勾配。235nmのUVシグナルに基づいて画分を回収)で精製した。エタノール中のHCl(2.5M、1mL)を合わせた画分に加え、試料を直ちに凍結乾燥して、(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]ブタノイル]アミノ]-3-メチル-ブタン酸;二塩酸塩(実施例化合物19)を白色の固体として得た(5.8mg、0.0106mmol、収率40%)。HPLC純度:99%;MS (ESI+) m/z = 472 [M+H]+。
【0282】
1H NMR (600 MHz, DMSO-d6) δ 14.72 (s, 1H), 12.91 (s, 1H), 8.86 (d, J = 7.7 Hz, 1H), 8.55 (d, J = 5.2 Hz, 3H), 7.73 (d, J = 9.2 Hz, 1H), 7.13 (dd, J = 9.4, 2.4 Hz, 1H), 6.90 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 4.19 (dd, J = 7.7, 5.1 Hz, 2H), 3.86 (s, 3H), 3.81 (t, J = 6.8 Hz, 4H), 3.76 (t, J = 6.9 Hz, 4H), 3.31 (h, J = 9.4 Hz, 2H), 2.33 (ddd, J = 13.1, 9.4, 6.8 Hz, 1H), 2.23 (ddt, J = 13.9, 9.5, 6.9 Hz, 1H), 2.19 - 2.10 (m, 1H), 0.94 (dd, J = 6.9, 3.6 Hz, 6H)。
【0283】
実施例20 (2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]ブタノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸;二塩酸塩(実施例化合物20)
【化45】
【0284】
(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]ブタノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸エチルエステル;二塩酸塩(実施例化合物1)(15mg、0.0255mmol)をHCl(ジオキサン中に4M、0.319mL)に溶解し、室温で48時間撹拌した。粗生成物を分取クロマトグラフィー(酸性緩衝液;流速25mL/分、9%Bから42%Bまで15分間の勾配。235nmのUVシグナルに基づいて画分を回収)で精製した。(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]ブタノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸;二塩酸塩(実施例化合物20)を白色の固体として得た(7.3mg、0.013mmol、収率51%収率)。HPLC純度:99%;MS (ESI+) m/z = 486 [M+H]+。
【0285】
1H NMR (600 MHz, DMSO-d6) δ 14.64 (s, 1H), 12.92 (s, 1H), 9.00 (d, J = 7.4 Hz, 1H), 8.49 (d, J = 5.6 Hz, 3H), 7.73 (d, J = 9.2 Hz, 1H), 7.13 (d, J = 9.0 Hz, 1H), 6.90 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 4.26 (ddd, J = 10.0, 7.3, 5.1 Hz, 1H), 4.05 - 3.99 (m, 1H), 3.86 (s, 3H), 3.82 (t, J = 6.9 Hz, 4H), 3.76 (d, J = 6.3 Hz, 4H), 3.30 (s, 2H), 2.32 (p, J = 7.2 Hz, 1H), 2.26 - 2.19 (m, 1H), 1.76 - 1.69 (m, 1H), 1.57 (pt, J = 9.4, 5.0 Hz, 2H), 0.89 (dd, J = 24.6, 6.6 Hz, 6H)。
【0286】
実施例21 (2S)-2-[[(2R)-2-[[(2S)-2-アミノ-3-(4-フルオロフェニル)プロパノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタノイル]アミノ]-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]ブタン酸エチルエステル;二塩酸塩(実施例化合物21)
【化46】
【0287】
実施例21を以下のスキーム8に従い行った。
【化47】
【0288】
(2R)-2-[[(2S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-3-(4-フルオロフェニル)プロパノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸メチルエステル(化合物21-1)
(2S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-3-(4-フルオロフェニル)プロパン酸(500mg、0.00176mol)、(2R)-2-アミノ-4-メチル-ペンタン酸メチルエステル;塩酸塩(0.417g、0.00229mol)、1-メチルイミダゾール(0.436mL、0.00547mol)のMeCN(8mL)溶液に、[クロロ(ジメチルアミノ)メチレン]-ジメチル-アンモニウム;六フッ化リン酸(0.545g、0.00194mol)を室温で加えた。混合物を室温で1時間撹拌した。EtOAc(10mL)を加え、続いてH2O(10mL)を加えた。2つの相を分離し、水相をEtOAc(5mL)で洗浄し、合わせた有機相をMgSO4で乾燥し、減圧下で蒸発させた。粗生成物をケイソウ土に吸着させ、Buchi Pure C-810 Flash system(20gカラム、EtOAc:石油エーテル0:100~50:50)で精製して、(2R)-2-[[(2S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-3-(4-フルオロフェニル)プロパノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸メチルエステルを白色の固体として得た(480mg、0.00117mol、収率66%)。HPLC純度:95%;MS (ESI+) m/z 411 [M+H]+。
【0289】
(2R)-2-[[(2S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-3-(4-フルオロフェニル)プロパノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸(化合物21-2)
(2R)-2-[[(2S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-3-(4-フルオロフェニル)プロパノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸メチルエステル(200mg、0.000487mol)のTHF(10mL)溶液に、水酸化リチウム一水和物(0.0215g、0.000512mol)の水溶液(0.5mL)を加えた。混合物を室温で1時間撹拌し、EtOAc(10mL)、1NのHCl(0.5mL)及びH2O(10mL)を加えた。2つの相を分離し、水相をEtOAc(10mL)で更に抽出した。合わせた有機相をブライン(10mL)で洗浄し、Na2SO4で乾燥し、ろ過し、減圧下で蒸発させた。(2R)-2-[[(2S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-3-(4-フルオロフェニル)プロパノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸を無色で粘着性のオイル状物として得た(0.185g、0.000467mol、収率96%)。HPLC純度:94%;MS (ESI+) m/z 341 [M-tBu]+。
【0290】
(2S)-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]-2-[[(2R)-2-[[(2S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-3-(4-フルオロフェニル)プロパノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタノイル]アミノ]ブタン酸エチルエステル(化合物21-3)
DMF(3.0mL)中の(2R)-2-[[(2S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-3-(4-フルオロフェニル)プロパノイル]アミノ]-4-メチルペンタン酸(95.0mg、0.240mmol)に、室温で、HATU(91.1mg、0.240mmol)とDIEA(0.0820mL、0.479mmol)を加え、続いて(2S)-2-アミノ-4-[5- [ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]ブタン酸エチルエステル;二塩酸塩(実施例化合物38)(125mg、0.264mmol)を加えた。得られた混合物を室温で終夜撹拌した。反応混合物をH2Oで希釈し、DCMで抽出した。有機相を乾燥(Na2SO4)し、真空で濃縮し、分取クロマトグラフィーで精製した。純粋な画分を凍結乾燥して、(2S)-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]-2-[[(2R)-2-[[(2S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-3-(4-フルオロフェニル)プロパノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタノイル]アミノ]ブタン酸エチルエステルを白色の固体として得た(0.080g、0.103mmol、収率43%)。HPLC純度:97%;MS (ESI+) m/z = 779 [M+H] +。
【0291】
(2S)-2-[[(2R)-2-[[(2S)-2-アミノ-3-(4-フルオロフェニル)プロパノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタノイル]アミノ]-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]ブタン酸エチルエステル;二塩酸塩(実施例化合物21)
EtOH(1mL)中の(2S)-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]-2-[[(2R)-2-[[(2S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-3-(4-フルオロフェニル)プロパノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタノイル]アミノ]ブタン酸エチルエステル(80.0mg、0.103mmol)に、ジオキサン中のHCl(4.00mol/L、0.128mL、0.513mmol)を加え、反応混合物を一晩撹拌した。反応の完了後、溶媒を蒸発させ、粗生成物を分取クロマトグラフィーで精製した。純粋な画分を回収し、凍結乾燥して、(2S)-2-[[(2R)-2-[[(2S)-2-アミノ-3-(4-フルオロフェニル)プロパノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタノイル]アミノ]-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]ブタン酸エチルエステル;二塩酸塩(実施例化合物21)を白色の固体として得た(6mg、0.0079mmol、収率8%)。HPLC純度:99%;MS (ESI+) m/z = 679 [M+H] +。
【0292】
1H NMR (600 MHz, DMSO-d6) δ 14.15 (s, 1H), 8.80 - 8.64 (m, 2H), 8.06 (s, 3H), 7.38 - 7.22 (m, 2H), 7.22 - 7.08 (m, 2H), 6.95- 6.81 (m, 1H), 4.51 - 4.27 (m, 2H), 4.14 - 3.96 (m, 3H), 3.89 - 3.67 (m, 12H), 3.13 (s, 1H), 3.14 (m, 2H), 3.07 (dd, J = 14.3,4.9 Hz, 1H), 2.87 (dd, J = 14.2, 8.3 Hz, 1H), 2.35 - 2.25 (m, 1H), 2.21 - 2.07 (m, 1H), 1.76 - 1.60 (m, 1H), 1.58 -1.39 (m, 2H), 1.17 (t, J = 7.1 Hz, 3H), 0.93 (d, J = 6.6 Hz, 3H), 0.90 (d, J = 6.5 Hz, 3H)。
【0293】
実施例22 (2S)-2-[[(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]ブタノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタノイル]アミノ]-3-(4-フルオロフェニル)プロパン酸エチルエステル;二塩酸塩(実施例化合物22)
【化48】
【0294】
1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩(1.15当量、68mg、0.355mmol)を、DMF(2mL)中の、4-メチルモルホリン(1.15当量、0.039mL、0.355mmol)、シアノグリオキシル酸エチル-2-オキシム(1.00当量、44mg、0.308mmol)、(2S)-2-アミノ-3-(4-フルオロフェニル)プロパン酸エチルエステル(1.15当量、74.9mg、0.355mmol)及び(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]ブタノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸(実施例化合物20)(1.00当量、150mg、0.308mmol)の混合物に加えた。反応混合物を室温で3時間撹拌した。水を加え、混合物をDCMで抽出した。有機相を、10%のK2HPO4と10%のNaClで洗浄し、続いて25MのHClと10%のNaClで酸性洗浄し、相分離カートリッジに通過させ、蒸発させた。粗生成物を分取クロマトグラフィーで精製して、(2S)-2-[[(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]ブタノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタノイル]アミノ]-3-(4-フルオロフェニル)プロパン酸エチルエステル;二塩酸塩(実施例化合物22)を白色の固体として得た(4mg、0.0053mmol、収率2%)。HPLC純度:99%;MS (ESI+) m/z = 679 [M+H]+。
【0295】
1H NMR (600 MHz, DMSO-d6) δ 14.34 (br s, 1H), 8.72 (d, J = 7.7 Hz, 2H), 8.34 (s, 3H), 7.68 (s, 1H), 7.25 (dd, J = 8.3, 5.5 Hz, 2H), 7.01 (t, J = 8.7 Hz, 2H), 6.90 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 4.43 (dq, J = 15.5, 7.7 Hz, 2H), 4.05 - 3.96 (m, 2H), 3.95 (q, J = 6.5, 5.8 Hz, 1H), 3.84 - 3.69 (m, 11H), 3.13 - 2.98 (m, 4H), 2.93 (dd, J = 13.9, 9.0 Hz, 1H), 2.23 (dq, J = 13.4, 6.8, 6.1 Hz, 1H), 2.10 (dd, J = 15.9, 8.1 Hz, 1H), 1.69 (dp, J = 13.5, 6.7 Hz, 1H), 1.47 (t, J = 7.4 Hz, 2H), 1.08 (t, J = 7.1 Hz, 3H), 0.91 (dd, J = 19.1, 6.5 Hz, 6H)。
【0296】
実施例23 (2S)-2-[[(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]ブタノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸ブチルエステル二塩酸塩(実施例化合物23)
【化49】
【0297】
4-メチルモルホリン(1.15当量、0.039mL、0.355mmol)を、DMF(2mL)中の、(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]ブタノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸(実施例化合物20)(1.00当量、150mg、0.308mmol)、(2S)-2-アミノ-4-メチル-ペンタン酸エチルエステル(1.15当量、56mg、0.355mmol)、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩(1.15当量、68mg、0.355mmol)及びシアノグリオキシル酸エチル-2-オキシム(1.00当量、44mg、0.308mmol)の混合物に加えた。反応混合物を室温で3時間撹拌した。水を加え、混合物をDCMで抽出した。有機相を、10%のK2HPO4と10%のNaClで洗浄し、続いて0.25MのHClと10%のNaClで酸性洗浄し、相分離カートリッジに通過させ、蒸発させた。得られた粗生成物を分取クロマトグラフィーで精製して、(2S)-2-[[(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]ブタノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸エチルエステル ;二塩酸塩(実施例化合物23)の固体を得た(5.1mg、0.00728mmol、収率2%)。HPLC純度:95%;MS (ESI+) m/z = 627 [M+H]+。
【0298】
1H NMR (600 MHz, DMSO-d6) δ 14.41 (br s, 1H), 8.76 (s, 1H), 8.54 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 8.24 (d, J = 123.3 Hz, 3H), 7.70 (s, 1H), 6.90 (d, J = 2.3 Hz, 1H), 6.57 (s, 1H), 4.39 (dt, J = 13.0, 6.5 Hz, 1H), 4.27 (ddd, J = 10.6, 7.5, 4.9 Hz, 1H), 4.10 - 4.00 (m, 2H), 3.97 (d, J = 7.5 Hz, 1H), 3.91 - 3.71 (m, 11H), 3.1 (m, 2H), 2.25 (dt, J = 13.5, 7.2 Hz, 1H), 2.13 (s, 1H), 1.73 (dt, J = 13.4, 6.3 Hz, 1H), 1.64 (dd, J = 13.9, 7.0 Hz, 1H), 1.53 (tddd, J = 22.7, 14.1, 9.6, 5.1 Hz, 4H), 1.15 (t, J = 7.1 Hz, 3H), 0.95 (d, J = 6.5 Hz, 3H), 0.92 (d, J = 6.5 Hz, 3H), 0.87 (d, J = 6.6 Hz, 3H), 0.78 (d, J = 6.5 Hz, 3H)。
【0299】
実施例24 (2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]ブタノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸2-モルホリノエチルエステル二塩酸塩(実施例化合物24)
【化50】
【0300】
(2S)-2-[[(2S)-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)ブタノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸;二塩酸塩(1.00当量、50mg、0.0758mmol)をTHF(2mL)に懸濁し、塩化チオニル(5.53当量、31uL、0.420mmol)を加えた。反応物を室温で30分間撹拌し、次いで、4-(2-ヒドロキシエチル)モルホリン(5.00当量、0.046mL、0.379mmol)を加えた。混合物を室温で3時間撹拌した。反応混合物をろ過し、分取クロマトグラフィーで精製して、(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]ブタノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸2-モルホリノエチルエステル;二塩酸塩(実施例化合物24)の固体を得た(6mg、0.0089mmol、収率12%)。HPLC純度:99%;MS (ESI+) m/z = 599 [M+H]+。
【0301】
1H NMR (600 MHz, DMSO-d6) δ 14.79 (s, 1H), 11.42 (s, 1H), 9.36 (d, J = 7.3 Hz, 1H), 8.55 (s, 2H), 7.72 (s, 1H), 7.12 (s, 1H), 6.93 (s, 1H), 4.50 (s, 1H), 4.44 (td, J = 13.5, 11.9, 5.2 Hz, 2H), 4.11 (s, 1H), 3.96 - 3.74 (m, 15H), 3.56 (s, 2H), 3.15 (s, 6H), 2.32 (q, J = 7.6 Hz, 2H), 1.74 (dq, J = 13.3, 6.6, 6.1 Hz, 1H), 1.63 (dddd, J = 18.6, 13.8, 9.1, 4.6 Hz, 2H), 0.91 (dd, J = 20.5, 6.5 Hz, 6H)。
【0302】
実施例25 (2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]ブタノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸2-イソプロポキシエチルエステル二塩酸塩(実施例化合物25)
【化51】
【0303】
(2S)-2-[[(2S)-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)ブタノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸;二塩酸塩(1.00当量、50mg、0.0758mmol)を、MeCN(2mL)中のエチレングリコールモノイソプロピルエーテル(5.00当量、0.042mL、0.379mmol)と塩化チオニル(5.53当量、31uL、0.420mmol)の溶液に、-5℃で、少しずつ加えた。反応物が室温になるまで放置し、次いで、30℃で3時間加熱した。溶媒をトルエンとの共沸混合物として真空で除去し、次いで、高真空ポンプを使用して乾燥した。得られた粗生成物を分取クロマトグラフィーで精製して、(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]ブタノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸2-イソプロポキシエチルエステル;二塩酸塩(実施例化合物25)の固体を得た(6.2mg、0.0096mmol、収率12%)。HPLC純度:95%;MS (ESI+) m/z = 572 [M+H]+。
【0304】
1H NMR (600 MHz, DMSO-d6) δ 14.77 (s, 1H), 9.25 (d, J = 7.0 Hz, 1H), 8.56 (s, 2H), 7.72 (s, 1H), 7.12 (s, 1H), 6.93 (dd, J = 10.1, 2.4 Hz, 1H), 6.55 (s, 1H), 4.37 - 4.28 (m, 1H), 4.23 (dq, J = 8.1, 4.4, 3.9 Hz, 1H), 4.09 (ddt, J = 13.8, 10.7, 5.5 Hz, 2H), 3.90 - 3.74 (m, 11H), 3.54 (td, J = 8.6, 7.0, 3.6 Hz, 3H), 2.36 - 2.24 (m, 2H), 1.77 (dd, J = 13.9, 6.7 Hz, 1H), 1.60 (ddt, J = 28.1, 13.4, 8.4 Hz, 2H), 1.05 (dd, J = 18.5, 6.1 Hz, 6H), 0.91 (dd, J = 25.5, 6.5 Hz, 6H)。1つのCH2信号が、H2O信号で隠されている。
【0305】
実施例26 (2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]ブタノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸イソプロピルエステル二塩酸塩(実施例化合物26)
【化52】
【0306】
(2S)-2-[[(2S)-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)ブタノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸;二塩酸塩(1.00当量、50mg、0.0758mmol)を、イソプロパノール(200当量、1.2mL、15.2mmol)と塩化チオニル(5.53当量、31uL、0.420mmol)の溶液に-5℃で、少しずつ加えた。反応物が室温になるまで放置し、3時間撹拌した。溶媒をトルエンとの共沸混合物として真空で蒸発させ、次いで、高真空ポンプを使用して乾燥した。得られた粗生成物を分取クロマトグラフィーで精製して、(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]ブタノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸イソプロピルエステル;二塩酸塩(実施例化合物26)をオフホワイトの固体として得た(32mg、0.053mmol、収率69%)。HPLC純度:98%;MS (ESI+) m/z = 528 [M+H]+。
【0307】
1H NMR (600 MHz, DMSO-d6) δ 14.79 (s, 1H), 9.20 (d, J = 7.0 Hz, 1H), 8.55 (s, 3H), 7.74 (d, J = 9.2 Hz, 1H), 7.15 (d, J = 9.2 Hz, 1H), 6.93 (s, 1H), 4.90 (p, J = 6.3 Hz, 1H), 4.26 (dt, J = 11.0, 5.7 Hz, 1H), 4.08 (s, 1H), 3.90 (s, 3H), 3.80 (dt, J = 33.7, 6.9 Hz, 8H), 3.37 - 3.32 (m, 2H), 2.31 (dh, J = 22.0, 7.3 Hz, 2H), 1.75 (p, J = 6.7 Hz, 1H), 1.62 (ddd, J = 15.0, 10.2, 5.1 Hz, 1H), 1.53 (ddd, J = 13.9, 9.2, 4.9 Hz, 1H), 1.18 (dd, J = 11.4, 6.3 Hz, 6H), 0.90 (dd, J = 27.2, 6.5 Hz, 6H)。
【0308】
実施例27 (2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]ブタノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸メチルエステル;二塩酸塩(実施例化合物27)
【化53】
【0309】
(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]ブタノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸(実施例化合物20)(1.00当量、35mg、0.06260mmol)を0.4mLのMeOH(137当量)に溶解した。塩化チオニル(5.72当量、30uL、0.411mmol)を溶液に室温で滴下した。反応物を室温で4.5時間撹拌した。粗反応混合物を分取クロマトグラフィーで精製して、オフホワイトの(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]ブタノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸メチルエステル;二塩酸塩(実施例化合物27)(14mg、0.0244mmol、収率33%)を得た。HPLC純度:97%;MS (ESI+) m/z = 500 [M+H]+。
【0310】
1H NMR (600 MHz, DMSO-d6) δ 14.86 (s, 1H), 9.32 (d, J = 7.1 Hz, 1H), 8.61 (s, 3H), 7.74 (d, J = 9.2 Hz, 1H), 7.15 (d, J = 9.2 Hz, 1H), 6.94 (s, 1H), 4.33 (dt, J = 11.1, 5.5 Hz, 1H), 4.10 (s, 1H), 3.91 (s, 3H), 3.80 (dt, J = 33.0, 6.9 Hz, 8H), 3.65 (s, 3H), 3.35 (h, J = 10.1, 8.5 Hz, 2H), 2.33 (ddq, J = 30.2, 15.1, 7.5 Hz, 2H), 1.75 (p, J = 6.7 Hz, 1H), 1.65 (td, J = 12.2, 10.3, 5.1 Hz, 1H), 1.54 (ddd, J = 14.2, 9.6, 4.7 Hz, 1H), 0.90 (dd, J = 23.3, 6.5 Hz, 6H)。
【0311】
実施例28 (2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]ブタノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸3-(ジメチルアミノ)プロピルエステル;二塩酸塩(実施例化合物28)
【化54】
【0312】
(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]ブタノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸エチルエステル;二塩酸塩(実施例化合物1)(1.00当量、50mg、0.0851mmol)をTHF(1mL)に溶解した。HCl(EtOAc中に4M)(10.0当量、0.21mL、0.851mmol)を加え、続いて3-ジメチルアミノ-1-プロパノール(10.0当量、0.10mL、0.851mmol)を加えた。反応物を80℃で4時間撹拌した。混合物をろ過し、分取クロマトグラフィーで精製して、(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]ブタノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸3-(ジメチルアミノ)プロピルエステル;二塩酸塩(実施例化合物28)をオフホワイトの固体として得た(2mg、0.0031mmol、収率3%)。HPLC純度:95%;MS (ESI+) m/z = 571 [M+H]+。
【0313】
1H NMR (600 MHz, DMSO-d6) δ 15.9 (br s, 1H), 10.7 (br s, 1H), 9.43 (d, J = 7.1 Hz, 1H), 8.55 (d, J = 73.7 Hz, 3H), 7.79 (m, 1H), 6.93 (s, 1H), 4.34 (s, 1H), 4.18 - 4.12 (m, 2H), 3.76 (s, 11H), 3.09 (s, 1H), 2.73 (d, J = 20.6 Hz, 6H), 2.34 (s, 1H), 2.01 (q, J = 7.8, 7.3 Hz, 2H), 1.81 - 1.52 (m, 4H), 1.23 (s, 4H), 0.97 - 0.89 (m, 6H)。
【0314】
実施例29 (2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]ブタノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸(2-メトキシ-1-メチル-エチル)エステル;二塩酸塩(実施例化合物29)
【化55】
【0315】
(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]ブタノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸;二塩酸塩(実施例化合物20)(1.0当量、36mg、0.0644mmol)を1-メトキシ-2-プロパノール(55当量、0.40mL、4.07mmol)に溶解し、塩化チオニル(5.6当量、30uL、0.411mmol)を室温で滴下した。反応物を室温で1時間撹拌し、次いで、40℃で21時間加熱した。粗反応混合物を分取クロマトグラフィーで精製して、(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]ブタノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸(2-メトキシ-1-メチル-エチル)エステル;二塩酸塩(実施例化合物29)(2.7mg、0.0043mmol、収率6%)をオフホワイトの固体として得た。HPLC純度:99%;MS (ESI+) m/z = 558 [M+H]+。
【0316】
1H NMR (600 MHz, DMSO-d6) δ 14.88 (s, 1H), 9.30 (p, J = 6.1 Hz, 1H), 8.60 (s, 3H), 7.75 (d, J = 9.2 Hz, 1H), 7.15 (d, J = 9.1 Hz, 1H), 6.94 (s, 1H), 4.96 (dtd, J = 16.3, 6.5, 4.0 Hz, 1H), 4.28 (qd, J = 11.2, 10.4, 6.1 Hz, 1H), 4.13 - 4.05 (m, 1H), 3.91 (s, 3H), 3.83 (t, J = 6.8 Hz, 4H), 3.78 (t, J = 6.5 Hz, 4H), 3.40 - 3.33 (m, 4H), 3.22 (d, J = 13.7 Hz, 3H), 2.34 (dd, J = 18.1, 9.2 Hz, 2H), 1.77 (td, J = 9.9, 9.3, 4.6 Hz, 1H), 1.62 (ddd, J = 15.1, 12.3, 7.7 Hz, 1H), 1.53 (ddt, J = 13.8, 9.6, 4.8 Hz, 1H), 1.14 (dd, J = 11.9, 6.5 Hz, 3H), 0.90 (dd, J = 26.5, 6.6 Hz, 6H)。
【0317】
実施例30 (2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]ブタノイル]アミノ]-N,N,4-トリメチル-ペンタンアミド;二塩酸塩(実施例化合物30)
【化56】
【0318】
3-(3-ジメチルアミノプロピル)-1-エチル-カルボジイミド塩酸塩(1.15当量、59mg、0.308mmol)を、DMF(1mL)中の、(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]ブタノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸;二塩酸塩(実施例化合物20)(1.00当量、150mg、0.268mmol)、ジメチルアミン塩酸塩(1.15当量、25mg、0.308mmol)、(2E)-シアノ(ヒドロキシイミノ)酢酸エチル(1.00当量、38mg、0.268mmol)及びN-メチルモルホリン(2.00当量、0.059mL、0.536mmol)の混合物に加えた。反応物を室温で3時間撹拌した。水とDCMを加え、混合物を10% K2HPO4と10% NaClで2回抽出し、続いて25MのHClと10%のNaClで酸性洗浄した。有機相を濃縮し、得られた粗生成物を分取クロマトグラフィーで精製して、(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]ブタノイル]アミノ]-N,N,4-トリメチル-ペンタンアミド;二塩酸塩(実施例化合物30)の固体を得た(13mg、0.022mmol、収率8%)。HPLC純度:95%;MS (ESI+) m/z = 513 [M+H]+。
【0319】
1H NMR (600 MHz, DMSO-d6) δ 14.63 (s, 1H), 8.87 (s, 1H), 8.51 (s, 3H), 7.73 (s, 1H), 7.14 (s, 1H), 6.91 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 4.72 (ddd, J = 11.0, 7.5, 3.6 Hz, 1H), 4.00 (s, 1H), 3.89 (s, 3H), 3.82 (d, J = 6.7 Hz, 4H), 3.77 (t, J = 6.4 Hz, 4H), 3.3 (m, 2H), 3.04 (s, 3H), 2.84 (s, 3H), 2.39 - 2.30 (m, 1H), 2.19 (dq, J = 14.3, 7.3 Hz, 1H), 1.75 - 1.67 (m, 1H), 1.50 (ddd, J = 14.7, 10.8, 4.2 Hz, 1H), 1.39 (ddd, J = 13.7, 9.8, 3.6 Hz, 1H), 0.92 (t, J = 6.1 Hz, 6H)。
【0320】
実施例31 (2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]ブタノイル]アミノ]-N,4-ジメチル-ペンタンアミド;二塩酸塩(実施例化合物31)
【化57】
【0321】
実施例31を以下のスキーム9に従い行った。
【化58】
【0322】
N-[(1S)-3-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]-1-[[(1S)-3-メチル-1-(メチルカルバモイル)ブチル]カルバモイル]プロピル]カルバミン酸tert-ブチルエステル;二塩酸塩(化合物31-1)
メチルアミン(MeOH中に40%)(63mg、0.814mmol)中の(2S)-2-[[(2S)-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)ブタノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸エチルエステル(実施例化合物1の合成経路の工程4)(50mg、0.0814mmol)を、密封したチューブに入れ、マイクロ波の照射下、80℃で20分間撹拌した。溶媒を減圧下で除去し、粗生成物を分取クロマトグラフィーで精製して、N-[(1S)-3-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]-1-[[(1S)-3-メチル-1-(メチルカルバモイル)ブチル]カルバモイル]プロピル]カルバミン酸tert-ブチルエステル;二塩酸塩(35mg、0.0586mmol、収率64%)を白色の固体として得た。HPLC純度:99%;MS (ESI+) m/z = 599 [M+H]+。
【0323】
(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]ブタノイル]アミノ]-N,4-ジメチル-ペンタンアミド;二塩酸塩(実施例化合物31)
N-[(1S)-3-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]-1-[[(1S)-3-メチル-1-(メチルカルバモイル)ブチル]カルバモイル]プロピル]カルバミン酸tert-ブチルエステル(35mg、0.0586mmol)をMeCN(1mL)に溶解した。塩酸(ジオキサン中に4M)(0.15mL、0.586mmol)を加え、混合物を室温で3時間撹拌した。反応混合物を分取クロマトグラフィーで精製して、(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]ブタノイル]アミノ]-N,4-ジメチル-ペンタンアミド;二塩酸塩(実施例化合物31)をオフホワイトの固体として得た(14mg、0.024mmol、収率40%)。HPLC純度:95%;MS (ESI+) m/z = 499 [M+H]+。
【0324】
1H NMR (600 MHz, DMSO-d6) δ 14.62 (s, 1H), 8.79 (s, 1H), 8.48 (s, 3H), 8.18 (q, J = 4.6 Hz, 1H), 7.74 (s, 1H), 7.15 (s, 1H), 6.91 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 4.29 (ddd, J = 10.0, 7.6, 5.0 Hz, 1H), 3.98 (s, 1H), 3.90 (s, 3H), 3.82 (s, 4H), 3.77 (t, J = 6.4 Hz, 4H), 3.3 (m, 2H), 2.59 (d, J = 4.6 Hz, 3H), 2.33 (s, 1H), 2.21 (dq, J = 14.0, 7.2 Hz, 1H), 1.66 (dt, J = 13.3, 6.5 Hz, 1H), 1.52 (ddd, J = 14.7, 10.0, 5.1 Hz, 1H), 1.43 (ddd, J = 13.8, 9.0, 5.1 Hz, 1H), 0.90 (dd, J = 15.6, 6.6 Hz, 6H)。
【0325】
実施例32 (2S)-2-[[(2S)-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]-2-(メチルアミノ)ブタノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸エチルエステル;二塩酸塩(実施例化合物32)
【化59】
【0326】
実施例32を以下のスキーム10に従い行った。
【化60】
【0327】
(2S)-2-[[(2S)-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]-2-[tert-ブトキシカルボニル(メチル)アミノ]ブタノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸(化合物32-1)
(2S)-2-[[(2S)-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)ブタノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸エチルエステル(実施例化合物1の合成経路の工程4)(300mg、0.488mmol)の乾燥THF(3mL)溶液に、水素化ナトリウム(50%;59mg、1.46mmol)を加えた。混合物を室温で気体の発生が終了するまで撹拌した。1,3-ジメチル-3,4,5,6-テトラヒドロ-2(1H)-ピリミジノン(0.12mL、1.03mmol)を、反応混合物に加え、続いてヨウ化メチル(0.27mL、4.39mmol)を加えた。反応物を室温で終夜撹拌した。反応物を水で注意深くクエンチし、分取クロマトグラフィーで精製して、(2S)-2-[[(2S)-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]-2-[tert-ブトキシカルボニル(メチル)アミノ]ブタノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸を白色の固体として得た(105mg、0.175mmol、収率36%)。HPLC純度:99%;MS (ESI+) m/z = 600 [M+H]+。
【0328】
(2S)-2-[[(2S)-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]-2-(メチルアミノ)ブタノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸エチルエステル;二塩酸塩(実施例化合物32)
(2S)-2-[[(2S)-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]-2-[tert-ブトキシカルボニル(メチル)アミノ]ブタノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸(42mg、0.0699mmol)を、エタノール(2mL)と塩化チオニル(31uL、0.420mmol)溶液に、-5℃で少しずつ加えた。反応物を室温で5分間撹拌し、次いで、2時間還流した。反応物を室温まで放冷し、溶媒をトルエンとの共沸混合物として真空で蒸発させ、次いで、高真空ポンプを使用して乾燥した。粗生成物を分取クロマトグラフィーで精製して、(2S)-2-[[(2S)-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]-2-(メチルアミノ)ブタノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸エチルエステル;二塩酸塩(実施例化合物32)をオフホワイトの固体として得た(25mg、0.041mmol、収率59%)。HPLC純度:99%;MS (ESI+) m/z = 528 [M+H]+。
【0329】
1H NMR (600 MHz, DMSO-d6) δ 14.84 (s, 1H), 9.43 (d, J = 7.0 Hz, 3H), 7.73 (d, J = 9.2 Hz, 1H), 7.14 (d, J = 9.4 Hz, 1H), 6.93 (d, J = 2.5 Hz, 1H), 4.35 (ddd, J = 11.0, 7.0, 4.7 Hz, 1H), 4.12 (p, J = 7.0 Hz, 2H), 4.04 (dd, J = 8.0, 4.8 Hz, 1H), 3.90 (s, 3H), 3.83 (t, J = 6.8 Hz, 4H), 3.77 (t, J = 6.5 Hz, 4H), 3.30 (t, J = 8.4 Hz, 2H), 2.55 (s, 3H), 2.47 (dd, J = 8.5, 4.9 Hz, 1H), 2.28 (dq, J = 14.8, 7.9 Hz, 1H), 1.69 (dddd, J = 39.0, 15.1, 9.7, 5.6 Hz, 2H), 1.57 (ddd, J = 13.8, 9.2, 4.8 Hz, 1H), 1.19 (t, J = 7.1 Hz, 3H), 0.91 (dd, J = 26.6, 6.5 Hz, 6H)。
【0330】
実施例33 (2S)-2-[[(2S)-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]-2-(メチルアミノ)ブタノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸;二塩酸塩(実施例化合物33)
【化61】
【0331】
(2S)-2-[[(2S)-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]-2-[tert-ブトキシカルボニル(メチル)アミノ]ブタノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸(化合物32-1)(12mg、0.0200mmol)をエタノール(1mL)に溶解した。HCl(ジオキサン中に4M)(50uL、0.200mmol)を加え、反応物を室温で3時間撹拌した。反応混合物をろ過し、分取クロマトグラフィーで精製して、(2S)-2-[[(2S)-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]-2-(メチルアミノ)ブタノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸;二塩酸塩(実施例化合物33)をオフホワイトの固体として得た(4mg、0.0069mmol、収率34%)。HPLC純度:97%;MS (ESI+) m/z = 500 [M+H]+。
【0332】
1H NMR (600 MHz, DMSO-d6) δ 14.43 (s, 1H), 13.03 (s, 1H), 9.13 (s, 2H), 7.63 (s, 1H), 7.16 - 6.98 (m, 1H), 6.92 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 4.34 (q, J = 7.5 Hz, 1H), 3.95 (dd, J = 7.8, 4.7 Hz, 1H), 3.87 - 3.72 (m, 11H), 3.14 (s, 3H), 2.57 (s, 3H), 2.44 - 2.36 (m, 1H), 2.21 (ddt, J = 19.1, 13.7, 5.8 Hz, 1H), 1.70 (dp, J = 13.2, 6.6 Hz, 1H), 1.62 (t, J = 7.4 Hz, 2H), 0.92 (dd, J = 28.5, 6.5 Hz, 6H)。
【0333】
実施例34 (2S)-2-[[(2S)-2-アセトアミド-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]ブタノイル]アミノ]-3-(4-フルオロフェニル)プロパン酸エチルエステル;塩酸塩(実施例化合物34)
【化62】
【0334】
(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]ブタノイル]アミノ]-3-(4-フルオロフェニル)プロパン酸エチルエステル;塩酸塩(実施例化合物2)(15mg、0.0233mmol)をアセトニトリル(1mL)に溶解した。N,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.00553mL、0.0317mmol)を加え、続いて塩化アセチル(0.00227mL、0.0318mmol)を加えて、反応物を室温で3時間撹拌した。反応混合物を分取クロマトグラフィーで精製して、(2S)-2-[[(2S)-2-アセトアミド-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]ブタノイル]アミノ]-3-(4-フルオロフェニル)プロパン酸エチルエステル;塩酸塩(実施例化合物34)をオフホワイトの固体として得た(7mg、0.0108mmol、収率41%)。HPLC純度:99%;MS (ESI+) m/z = 608 [M+H]+。
【0335】
1H NMR (600 MHz, DMSO-d6) δ 14.20 (s, 1H), 8.49 (d, J = 7.2 Hz, 1H), 8.18 (d, J = 8.3 Hz, 1H), 7.70 (d, J = 9.1 Hz, 1H), 7.29 - 7.19 (m, 2H), 7.14 - 7.04 (m, 3H), 6.86 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 4.40 (dtd, J = 20.2, 8.2, 6.1 Hz, 2H), 4.00 (qd, J = 7.2, 2.2 Hz, 2H), 3.84 - 3.74 (m, 11H), 3.05 (q, J = 9.3, 8.4 Hz, 2H), 3.00 - 2.88 (m, 2H), 2.09 (ddd, J = 13.9, 8.2, 4.3 Hz, 1H), 2.04 - 1.94 (m, 1H), 1.76 (s, 3H), 1.06 (t, J = 7.1 Hz, 3H)。
【0336】
実施例35 (2S)-2-[[(2S)-2-アセトアミド-3-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]プロパノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸エチルエステル;塩酸塩(実施例化合物35)
【化63】
【0337】
(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-3-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]プロパノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸エチルエステル;二塩酸塩(実施例化合物4)(11mg、0.0182mmol)をアセトニトリル(1mL)に溶解した。N,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.00381mL、0.0219mmol)を加え、続いて塩化アセチル(0.00156mL、0.0219mmol)を加えて、反応物を室温で3時間撹拌した。反応混合物を分取クロマトグラフィーで精製して、(2S)-2-[[(2S)-2-アセトアミド-3-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]プロパノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸エチルエステル;塩酸塩(実施例化合物35)を白色の固体として得た(8mg、0.0138mmol、収率76%)。HPLC純度:99%;MS (ESI+) m/z = 542 [M+H]+。
【0338】
1H NMR (600 MHz, DMSO-d6) δ 14.16 (s, 1H), 8.56 (d, J = 7.7 Hz, 1H), 8.41 (d, J = 8.2 Hz, 1H), 7.72 (d, J = 9.2 Hz, 1H), 7.12 (dd, J = 9.2, 2.4 Hz, 1H), 6.87 (d, J = 2.3 Hz, 1H), 4.83 (td, J = 8.0, 6.5 Hz, 1H), 4.26 (ddd, J = 9.8, 7.6, 5.2 Hz, 1H), 4.00 (qd, J = 7.2, 1.2 Hz, 2H), 3.91 (s, 3H), 3.81 (dd, J = 8.9, 6.4 Hz, 4H), 3.76 (t, J = 6.1 Hz, 4H), 3.29 (dd, J = 15.0, 7.8 Hz, 2H), 1.80 (s, 3H), 1.61 - 1.49 (m, 2H), 1.46 (ddd, J = 13.7, 8.9, 5.1 Hz, 1H), 1.11 (t, J = 7.1 Hz, 3H), 0.83 (dd, J = 25.2, 6.4 Hz, 6H)。
【0339】
実施例36 (2S)-2-[[(2S)-2-アセトアミド-3-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]プロパノイル]アミノ]-3-(4-フルオロフェニル)プロパン酸エチルエステル;塩酸塩(実施例化合物36)
【化64】
【0340】
(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-3-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]プロパノイル]アミノ]-3-(4-フルオロフェニル)プロパン酸エチルエステル;二塩酸塩(実施例化合物5)(15mg、0.0228mmol)をアセトニトリル(1mL)に溶解した。N,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.00476mL、0.0273mmol)を加え、続いて塩化アセチル(0.00195mL、0.0273mmol)を加えて、反応物を室温で3時間撹拌した。反応混合物を分取クロマトグラフィーで精製して、(2S)-2-[[(2S)-2-アセトアミド-3-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]プロパノイル]アミノ]-3-(4-フルオロフェニル)プロパン酸エチルエステル;塩酸塩(実施例化合物36)を白色の固体として得た(10.6mg、0.0168mmol、収率71%)。HPLC純度:97%;MS (ESI+) m/z = 594 [M+H]+。
【0341】
1H NMR (600 MHz, DMSO-d6) δ 14.18 (s, 1H), 8.62 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 8.34 (d, J = 8.2 Hz, 1H), 7.71 (d, J = 9.2 Hz, 1H), 7.24 - 7.18 (m, 2H), 7.12 (dd, J = 9.2, 2.4 Hz, 1H), 7.10 - 7.03 (m, 2H), 6.86 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 4.83 (td, J = 8.0, 6.5 Hz, 1H), 4.45 (td, J = 8.0, 6.1 Hz, 1H), 3.97 (qd, J = 7.1, 2.1 Hz, 2H), 3.88 (s, 3H), 3.85 - 3.79 (m, 4H), 3.75 (t, J = 7.1 Hz, 4H), 3.25 (dd, J = 15.0, 7.9 Hz, 2H), 3.01 - 2.89 (m, 2H), 1.79 (s, 3H), 1.04 (t, J = 7.1 Hz, 3H)。
【0342】
実施例37 (2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-4-メチル-ペンタノイル]アミノ]-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]ブタン酸;二塩酸塩(実施例化合物37)
【化65】
【0343】
(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-4-メチル-ペンタノイル]アミノ]-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]ブタン酸エチルエステル;二塩酸塩(実施例化合物7)(6mg、0.0102mmol)のTHF:MeOH(2:1、1mL)溶液に、水酸化リチウム一水和物の水溶液(0.5M、0.0238mL)を加えた。混合物を室温で一晩撹拌し、次いでろ過し、分取クロマトグラフィーで精製して、(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-4-メチル-ペンタノイル]アミノ]-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]ブタン酸;二塩酸塩(実施例化合物37)を白色の固体として得た(1mg、0.00177mmol、収率16%)。HPLC純度:99%;MS (ESI+) m/z = 486 [M+H]+。
【0344】
1H NMR (600 MHz, DMSO-d6) δ 14.50 (s, 1H), 13.04 (s, 1H), 9.14 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 8.38 (d, J = 5.4 Hz, 3H), 7.73 (d, J = 9.2 Hz, 1H), 7.13 (dd, J = 9.3, 2.4 Hz, 1H), 6.88 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 4.37 (td, J = 8.8, 4.0 Hz, 1H), 3.91 (s, 3H), 3.86 (q, J = 6.6 Hz, 1H), 3.81 (t, J = 6.8 Hz, 4H), 3.76 (t, J = 6.6 Hz, 4H), 3.32 - 3.22 (m, 2H), 2.36 (t, J = 8.8 Hz, 1H), 2.12 (ddt, J = 14.0, 9.2, 4.7 Hz, 1H), 1.69 (dq, J = 13.3, 6.6 Hz, 1H), 1.59 (dt, J = 13.9, 7.1 Hz, 1H), 1.51 (dt, J = 14.2, 7.4 Hz, 1H), 0.90 (dd, J = 22.4, 6.5 Hz, 6H)。
【0345】
実施例38 (2S)-2-アミノ-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]ブタン酸エチルエステル;二塩酸塩(実施例化合物38)
【化66】
【0346】
(2S)-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)ブタン酸エチルエステル(スキーム1に示した(2S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-4-(1-メチル-5-ニトロ-ベンズイミダゾール-2-イル)ブタン酸エチルエステルを出発物質として使用し、スキーム6に従って合成)(559mg、1.06mmol、純度95%)のEtOH(5mL)溶液に、ジオキサン中の塩酸(4.00mol/L、2.65mL、10.6mmol)を加え、反応混合物を25℃で3時間撹拌した。溶媒を減圧下で蒸発させて粗生成物を得、これを分取クロマトグラフィーで精製して、(2S)-2-アミノ-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]ブタン酸エチルエステル;二塩酸塩(実施例化合物38)を白色の固体として得た(416mg、0.877mmol、収率83%)。HPLC純度:99%;MS (ESI+) m/z = 401 [M+H]+。
【0347】
1H NMR (600 MHz, DMSO-d6) δ 14.81 (s, 1H), 8.86 (s, 3H), 7.85 - 7.68 (m, 1H), 7.15 (d, J = 9.6 Hz, 1H), 6.92 (d, J = 5.0 Hz, 1H), 4.27 (s, 1H), 4.21 (t, J = 6.5 Hz, 2H), 3.93 (t, J = 4.4 Hz, 3H), 3.84 (q, J = 6.0 Hz, 4H), 3.78 (t, J = 5.8 Hz, 4H), 3.36 (dq, J = 16.9, 6.1 Hz, 2H), 2.44 - 2.31 (m, 2H), 1.25 (q, J = 6.3 Hz, 3H)。
【0348】
実施例39 (2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]ブタノイル]アミノ]-3-(4-フルオロフェニル)プロパン酸;二塩酸塩(実施例化合物39)
【化67】
【0349】
(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]ブタノイル]アミノ]-3-(4-フルオロフェニル)プロパン酸エチルエステル;二塩酸塩(実施例化合物2)(10.2mg、0.015mmol)をHCl(ジオキサン中に4M、0.0758mL)に溶解し、室温で48時間撹拌した。反応混合物を分取クロマトグラフィーで精製して、(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]ブタノイル]アミノ]-3-(4-フルオロフェニル)プロパン酸;二塩酸塩ブタノエート(実施例化合物39)を白色の固体として得た(2.3mg、0.00348mmol、収率25%)。HPLC純度:99%;MS (ESI+) m/z = 538 [M+H]+。
【0350】
1H NMR (600 MHz, DMSO-d6) δ 14.74 (s, 1H), 13.10 (s, 1H), 9.23 (s, 1H), 8.54 (s, 3H), 7.73 (d, J = 9.3 Hz, 1H), 7.36 (ddd, J = 8.1, 5.6, 2.1 Hz, 2H), 7.16 - 7.07 (m, 3H), 6.91 (d, J = 2.3 Hz, 1H), 4.47 (td, J = 8.4, 4.8 Hz, 1H), 4.04 (q, J = 5.9 Hz, 1H), 3.87 (d, J = 1.5 Hz, 3H), 3.82 (d, J = 6.9 Hz, 4H), 3.76 (d, J = 6.2 Hz, 4H), 3.32 (s, 2H), 3.10 (dd, J = 14.1, 4.7 Hz, 1H), 2.98 (dd, J = 14.1, 8.9 Hz, 1H), 2.38 - 2.22 (m, 2H)。
【0351】
実施例40 (2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-フェニル-ベンズイミダゾール-2-イル]ブタノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸;二塩酸塩(実施例化合物40)
【化68】
【0352】
(2S)-2-[[(2S)-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-フェニル-ベンズイミダゾール-2-イル]-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)ブタノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸エチルエステル(化合物13-11)(90.0mg、0.000133mol)を1,4-ジオキサン(5.0mL)に溶解し、次いで、水(1.0mL)とLiOH・H2O(3当量、16mg)を加えた。混合物を50℃で2時間撹拌した。水(10mL)とDCM(10mL)を加え、HCl(水溶液)でpHを5~6に調整した。混合物の相を分離し、有機相を水で洗浄し、MgSO4で乾燥した。溶媒を真空で除去した。残留物を再度DCM(2mL)に溶解し、次いでHCl(1,4-ジオキサン中に4M、1.0mL)を加え、溶液を室温で30分間撹拌した。混合物を蒸発乾固して、(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-フェニル-ベンズイミダゾール-2-イル]ブタノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸;二塩酸塩(実施例化合物40)の固体を得た(70mg、0.113mmol、収率90%)。HPLC純度:89%;MS (ESI+) m/z = 548 [M+H]+。
【0353】
実施例41 (2S)-2-アミノ-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-フェニル-ベンズイミダゾール-2-イル]ブタン酸(実施例化合物41)
【化69】
【0354】
実施例41を以下のスキーム11に従い行った。
【化70】
【0355】
(2S)-5-(2-アニリノ-5-ニトロ-アニリノ)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-5-オキソ-ペンタン酸メチルエステル(化合物41-1)
Boc-Glu-OMe(1.63g、0.00624mol)を乾燥DMF(15mL)に溶解した。DIEA(2.97mL、0.0170mol)を加え、続いて4-ニトロ-N1-フェニル-ベンゼン-1,2-ジアミン(1.30g、0.00567mol;13-4)とCOMU(2.91g、0.00681mol)を加えた。反応物を室温で一晩撹拌した。DMFの大部分を真空で蒸発させ、次いでトルエン(10mL)を加え、有機相を水(3× 100mL)で洗浄した。有機相をMgSO4で乾燥し、ろ過し、溶媒を蒸発させて、表題化合物(41-1)をこげ茶色でオイル状の粗生成物として得た(5.61g)。HPLC純度:48%;(ESI+) m/z 373 [M+H-BOC]+。この物質を更に精製することなく次の工程で使用した。
【0356】
(2S)-2-アミノ-4-(5-ニトロ-1-フェニル-ベンズイミダゾール-2-イル)ブタン酸メチルエステル(化合物41-2)
粗(2S)-5-(2-アニリノ-5-ニトロ-アニリノ)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-5-オキソ-ペンタン酸メチルエステル(5.61g、純度48%;41-1)のEtOH(100mL)溶液に、12MのHCl(15mL)を加え、混合物を70℃で45分間撹拌した。反応混合物を水(100mL)で希釈し、4MのNaOH(約45mL)によって注意深くpH7に中和し、EtOAc(3× 100mL)で抽出した。有機相をMgSO4で乾燥し、ろ過し、溶媒を蒸発させて、表題化合物(41-2)を濃い赤褐色の固体として得た(2.04g)。HPLC純度:60%;MS (ESI+) m/z 355 [M+H]+。この物質を更に精製することなく次の工程で使用した。
【0357】
(2S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-4-(5-ニトロ-1-フェニル-ベンズイミダゾール-2-イル)ブタン酸メチルエステル(化合物41-3)
粗製の(2S)-2-アミノ-4-(5-ニトロ-1-フェニル-ベンズイミダゾール-2-イル)ブタン酸メチルエステル(2.04g)のTHF(25mL)溶液に、TEA(2.38mL)と二炭酸ジ-tert-ブチル(1.49g)を加え、混合物を室温で1時間撹拌した。溶媒を蒸発させ、残留物をEtOAcに溶解した。有機相を5%クエン酸で洗浄し、MgSO4で乾燥し、ろ過し、次いで、溶媒を蒸発させた。粗生成物を石油エーテル中のEtOAcの20~80%の勾配で溶出するシリカによるフラッシュクロマトグラフィーで精製して、表題化合物(41-3)(1.13g、0.00249mmol、収率44%)を得た。HPLC純度:95%;MS (ESI+) m/z 455 [M+H]+。
【0358】
(2S)-4-(5-アミノ-1-フェニル-ベンズイミダゾール-2-イル)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)ブタン酸メチルエステル(化合物41-4)
(2S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-4-(5-ニトロ-1-フェニル-ベンズイミダゾール-2-イル)ブタン酸メチルエステル(0.330g、0.000581mol、純度80%)のMeOH(20mL)溶液に、Pd/C(10.0%、0.0734g、0.000069mol)を加え、排気した。水素ガスが入ったバルーンを装着し、混合物を室温で4時間撹拌した。Pd/Cをろ過によって除き、溶媒を蒸発乾固して、(2S)-4-(5-アミノ-1-フェニル-ベンズイミダゾール-2-イル)-2-(tertブトキシカルボニルアミノ)ブタン酸メチルエステルを得た(190mg、0.000636mol;41-4)。HPLC純度:90%;MS (ESI+) m/z 425 [M+H]+。
【0359】
(2S)-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-フェニル-ベンズイミダゾール-2-イル]-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)ブタン酸メチルエステル(化合物41-5)
NaBH3CN(120mg)を、EtOH(20mL)中の、(2S)-4-(5-アミノ-1-フェニル-ベンズイミダゾール-2-イル)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)ブタン酸メチルエステル(90%、300mg、0.636mmol、純度90%)、2-クロロアセトアルデヒド(50%、0.24mL)及びTFA(0.19mL)の混合物に加えた。混合物を室温で3時間撹拌した。3過剰当量のNaBH3CN、2-クロロアセトアルデヒド及びTFAを加え、反応物を室温で1時間撹拌した。トルエンと飽和NaHCO3溶液を加え、有機相を分離し、水で洗浄した。溶媒を蒸発させ、薄茶色の固体の残留物を石油エーテル中のEtOAcの50~100%で溶出するシリカによるフラッシュクロマトグラフィーで精製して、(2S)-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-フェニル-ベンズイミダゾール-2-イル]-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)ブタン酸メチルエステルを得た(190mg、0.000311mol、収率49%)。HPLC純度:90%;MS (ESI+) m/z = 550 [M+H]+。
【0360】
(2S)-2-アミノ-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-フェニル-ベンズイミダゾール-2-イル]ブタン酸;二塩酸塩(実施例化合物41)
(2S)-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-フェニル-ベンズイミダゾール-2-イル]-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)ブタン酸メチルエステル(190mg、0.000311mol)を1,4-ジオキサン(5.00mL)に溶解し、次いで、水(1.5mL)とLiOH・H2O(44mg)を加えた。混合物50℃で20分間撹拌し、次いで、水(10mL)とDCM(10mL)を加え、pHを1Mの塩酸で6~7に調整した。2つの相を分離し、有機相を水で洗浄し、MgSO4で乾燥した。HCl(1,4-ジオキサン中に4M、0.50mL、0.004mol)を、有機相に加え、透明な溶液を室温で1時間撹拌した。沈殿物から溶媒を除去し、ジエチルエーテルで洗浄した。次いで、少量の水に再溶解し、直ちに凍結乾燥して、(2S)-2-アミノ-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-フェニル-ベンズイミダゾール-2-イル]ブタン酸;二塩酸塩(実施例化合物41)の固体を得た(138mg、0.000242mol、収率78%)。HPLC純度:89%;MS (ESI+) m/z = 435 [M+H]+。
【0361】
実施例42 (2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-3-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]プロパノイル]アミノ]-3-メチル-ブタン酸;2,2,2-トリフルオロ酢酸(実施例化合物42)
【化71】
【0362】
(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-3-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]プロパノイル]アミノ]-3-メチル-ブタン酸エチルエステル;二塩酸塩(化合物6)(12mg、0.02mmol)を、THF(1mL)、MeOH(0.5mL)及び0.5M LiOH(水溶液、0.13mL、0.065mmol)の混合物に溶解した。反応混合物を室温で一晩撹拌した。有機溶媒を蒸発させ、残留物を分取HPLCで精製して、(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-3-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]プロパノイル]アミノ]-3-メチル-ブタン酸;2,2,2-トリフルオロ酢酸(実施例化合物42)の固体を得た(2.6mg、0.00454mmol、収率21%)。HPLC純度:95%;MS (ESI+) m/z = 458 [M+H]+。
【0363】
実施例43 (2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-4-メチル-ペンタノイル]アミノ]-3-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]プロパン酸;二塩酸塩(実施例化合物43)
【化72】
【0364】
(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-4-メチル-ペンタノイル]アミノ]-3-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]プロパン酸エチルエステル;二塩酸塩(実施例化合物10)(12mg、0.02mmol)に、1Mの塩酸(1mL)を加え、反応物を室温で終夜撹拌した。濃HClを加えた(10滴)。4時間後、0.3mLの濃HClを更に加え、混合物を一晩撹拌した。混合物を丸底フラスコに移し、水を混合物に加えて凍結乾燥した。(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-4-メチル-ペンタノイル]アミノ]-3-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]プロパン酸;二塩酸塩(実施例化合物43)の固体を得た(5mg、0.00917mmol、収率44%)。HPLC純度:95%;MS (ESI+) m/z = 472 [M+H]+。
【0365】
1H NMR (600 MHz, DMSO-d6) δ 14.78 (s, 1H), 9.40 (d, J = 7.9 Hz, 1H), 8.38 (s, 3H), 7.76 (d, J = 9.2 Hz, 1H), 7.16 (dd, J = 9.2, 2.4 Hz, 1H), 6.94 (d, J = 2.3 Hz, 1H), 4.93 (td, J = 7.9, 5.7 Hz, 1H), 3.96 (s, 3H), 3.80 (dt, J = 33.0, 6.8 Hz, 9H), 3.64 (dd, J = 15.5, 5.9 Hz, 1H), 3.60 - 3.56 (m, 2H), 1.67 - 1.60 (m, 1H), 1.50 (t, J = 7.2 Hz, 2H), 0.85 (t, J = 7.2 Hz, 6H)。
【0366】
実施例44 (2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-3-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]プロパノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸;二塩酸塩(実施例化合物44)
【化73】
【0367】
(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-3-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]プロパノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸エチルエステル;二塩酸塩(実施例化合物4)(10mg、0.017mmol)に、1M 塩酸(1mL)を加え、反応物を室温で終夜撹拌した。濃HClを加え(10滴)、反応物を一晩撹拌した。混合物を丸底フラスコに移し、水で希釈し、凍結乾燥して、(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-3-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]プロパノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸;二塩酸塩(実施例化合物44)の固体を得た(5mg、0.00917mmol、収率53%)。HPLC純度:95%;MS (ESI+) m/z = 472 [M+H]+。
【0368】
1H NMR (600 MHz, DMSO-d6) δ 14.61 (s, 1H), 9.11 (d, J = 7.7 Hz, 1H), 8.73 (s, 3H), 7.75 (d, J = 9.3 Hz, 1H), 7.16 (d, J = 9.4 Hz, 1H), 6.92 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 4.51 - 4.44 (m, 1H), 4.27 (q, J = 7.6 Hz, 1H), 3.94 (s, 3H), 3.87 - 3.75 (m, 9H), 3.66 (d, J = 6.6 Hz, 2H), 1.76 - 1.68 (m, 1H), 1.55 (dt, J = 8.8, 4.6 Hz, 2H), 0.88 (dd, J = 19.5, 6.5 Hz, 6H)。
【0369】
実施例45 (2R)-2-[[(2S)-2-アミノ-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]ブタノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸エチルエステル ジ-2,2,2-トリフルオロ酢酸(実施例化合物45)
【化74】
【0370】
実施例45を以下のスキーム12に従い行った。
【化75】
【0371】
試薬及び条件: a) 1.2当量 SOCl2、エタノール、0℃~還流、b) HATU、TEA、DMF、c) 炭素担体上の10%パラジウム(約55%の水で湿潤化、EtOH、5% AcOH、d) 2-クロロアセトアルデヒド(15当量)、NaBH3CN(10当量)、TFA(12当量)、EtOH、e) ジオキサン中の4M HCl:EtOH:DCM
【0372】
R-ロイシンエチルエステル塩酸塩(化合物45-1)
25mLのフラスコに、(2R)-2-アミノ-4-メチル-ペンタン酸(1.00g、0.00762mol)と無水エタノール(6.00mL)を入れた。反応物を氷浴上で冷却し、塩化チオニル(0.667mL、0.00915mol)を滴下してスラリーを得た。滴下後、反応物を還流下で2時間30分撹拌した。溶媒を蒸発させ、残留物をEt2O(16mL)に懸濁し、1時間撹拌した。生成物をろ過して表題化合物(45-1)を得た(1.36g、0.00693mol、収率91%)。HPLC純度:99%;MS (ESI+) m/z = 160 [M+H]+。
【0373】
((S)-2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-4-(1-メチル-5-ニトロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)ブタノイル)-D-ロイシンエチルエステル(化合物45-2)
DMF(4.60mL)中の、(2S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-4-(1-メチル-5-ニトロ-ベンズイミダゾール-2-イル)ブタン酸(中間体2)(0.500g、0.00132mol)、R-ロイシンエチルエステル塩酸塩(0.259g、0.00132mol)及びTEA(0.553mL、0.00396mol)の混合物に、HATU(0.502g、0.00132mol)を加えた。反応物を2時間撹拌し、次いで水(9mL)を加えた。生成物はオイル状であった。液体をピペットで除いた。湿った半固体に、EtOH(5mL)を加えた。半固体を80℃に加熱して溶解した。沈殿の兆候が見られるまで水(5mL)を加えた。加熱を停止した。生成物はオイル状であった。溶媒を蒸発させ、残留物をトルエンに溶解し、水で洗浄した。有機相をMgSO4で乾燥し、ろ過し、溶媒を蒸発させて表題化合物(45-2)を得た(0.575g、0.00111mol、収率84%)。HPLC純度:97%;MS (ESI+) m/z = 520 [M+H]+。この物質を更に精製することなく次の工程で使用した。
【0374】
(2R)-2-[[(2S)-4-(5-アミノ-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)ブタノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸エチルエステル(化合物45-3)
(2R)-2-[[(2S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-4-(1-メチル-5-ニトロ-ベンズイミダゾール-2-イル)ブタノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸エチルエステル(575mg、0.00111mol)と炭素担体上の10%パラジウム(約55%の水で湿潤化(0.262g、0.00111mol))の混合物を、AcOH(1.30mL)を含んだEtOH(25.0mL)中で終夜撹拌した。固体の物質をセライトでろ過して、表題化合物を得た(542mg、1.11mmol、収率100%)。HPLC純度:98%;MS (ESI+) m/z = 490 [M+H]+。この物質を更に精製することなく次の工程で使用した。
【0375】
(2R)-2-[[(2S)-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)ブタノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸エチルエステル(化合物45-4)
室温で、NaBH3CN(0.348g、0.00554mol)を、EtOH(30mL)中の、(2R)-2-[[(2S)-4-(5-アミノ-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)ブタノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸エチルエステル(0.542g、0.00111mol;45-3)、2-クロロアセトアルデヒド(50%、0.701mL、0.00554mol)及びTFA(0.493mL、0.00664molの混合物に加えた。20分間の撹拌後、NaBH3CN(0.348g、0.00554mol)と2-クロロアセトアルデヒド(5.0%、0.701mL、0.00554mol)を更に加えた。反応物を更に20分間撹拌した後、2-クロロアセトアルデヒド(50%、0.701mL、0.00554mol)を加えた。反応物を更に2時間撹拌し、その後、トルエンを加え、有機相を炭酸水素ナトリウムとブラインで洗浄した。有機相をMgSO4で乾燥し、ろ過し、減圧下で蒸発させた。化合物を球状シリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーで精製し、DCM中の2%EtOHで溶出して、表題化合物45-4(209mg、0.340mmol、収率31%)を得た。HPLC純度:95%;MS (ESI+) m/z = 614 [M+H]+。
【0376】
(2R)-2-[[(2S)-2-アミノ-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]ブタノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸エチルエステル ジ-2,2,2-トリフルオロ酢酸(実施例化合物45)
ジオキサン(1.40mL)中の4MのHClを、DCM(1.40mL)とEtOH(0.860mL)の混合物中の(2R)-2-[[(2S)-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)ブタノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸エチルエステル(0.209g、0.000340mol)に加えた。反応物を5時間撹拌し、次いで、溶媒を蒸発させて純度90%の粗生成物を得た。粗生成物を水を30%含むMeCNに溶解し、ACEカラムの分取HPLCで精製し、10~60% MeCN/水(0.1%TFA)で溶出して、表題化合物(実施例化合物45)(104mg、0,140mmol、収率49%)を得た。HPLC純度:99%;MS (ESI+) m/z = 514 [M+H]+。
【0377】
1H NMR (600 MHz, DMSO-d6 δ 9.18 - 8.99 (m, 1H), 8.41 (s, 3H), 7.70 - 7.59 (m, 1H), 7.13 - 7.02 (m, 1H), 6.94 (d, J = 2.3 Hz, 1H), 4.33 (q, J = 7.8 Hz, 1H), 4.13 (q, J = 7.1 Hz, 2H), 4.07 - 4.01 (m, 1H), 3.85 - 3.71 (m, 11H), 3.17 - 3.07 (m, 2H), 2.25 (q, J = 7.4 Hz, 2H), 1.65 - 1.52 (m, 3H), 1.21 (t, J = 7.1 Hz, 3H), 0.89 (d, J = 6.1 Hz, 3H), 0.86 (d, J = 6.1 Hz, 3H)。
【0378】
実施例46 (2S)-2-[[(2R)-2-アミノ-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]ブタノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸エチルエステル(実施例化合物46)
【化76】
【0379】
実施例46を以下のスキーム13に従い行った。
【化77】
【0380】
(2R)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-5-[2-(メチルアミノ)-5-ニトロ-アニリノ]-5-オキソ-ペンタン酸メチルエステル(化合物46-1)
N-tert-ブトキシカルボニル-D-グルタミン酸α-メチルエステル(1.00当量、2.00g、7.65mmol)、1-メチルイミダゾール(1.00当量、0.61mL、7.65mmol)及びN1-メチル-4-ニトロ-ベンゼン-1,2-ジアミン(1.34g、8.037mmol)のMeCN(20mL)溶液に、クロロ(ジメチルアミノ)-N,N-ジメチル六フッ化リン酸メタンイミニウム(TCFH)(1.10当量、2.36g、8.42mmol)をゆっくりと加えた。混合物を室温で1時間撹拌し、次いで水(200mL)を加えた。有機相を相分離カートリッジに通過させ、蒸発させ、真空で乾燥して、(2R)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-5-[2-(メチルアミノ)-5-ニトロ-アニリノ]-5-オキソ-ペンタン酸メチルエステルの固体を得た(3.1g、7.55mmol、収率99%)。HPLC純度:99%;MS (ESI+) m/z = 843 [2M+Na]+。
【0381】
(2R)-2-アミノ-4-(1-メチル-5-ニトロ-ベンズイミダゾール-2-イル)ブタン酸(化合物46-2)
(2R)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-5-[2-(メチルアミノ)-5-ニトロ-アニリノ]-5-オキソ-ペンタン酸メチルエステル(1.00当量、3.10g、7.55mmol)を、塩酸(4M)(18.0当量、34mL、136mmol)に加えた。添加後、混合物を加熱し、栓をせずに100℃で2時間撹拌した。反応物を室温まで放冷し、少量の茶色の固体をろ過した。ろ液を氷浴中で冷やし、10M NaOHを、pHが2になるまで、注意深く加えた。その後、4M NaOH溶液を、pHが5.2になるまで加えた。得られた固体をろ過し、水とEt2Oで洗浄し、真空で乾燥して、(2R)-2-アミノ-4-(1-メチル-5-ニトロ-ベンズイミダゾール-2-イル)ブタン酸の固体を得た(2.3g、7.52mmol、収率99%以上)。HPLC純度:91%;MS (ESI+) m/z = 279 [M+H]+。
【0382】
(2R)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-4-(1-メチル-5-ニトロ-ベンズイミダゾール-2-イル)ブタン酸(化合物46-3)
(2R)-2-アミノ-4-(1-メチル-5-ニトロ-ベンズイミダゾール-2-イル)ブタン酸(1.00当量、2.30g、7.52mmol)の水溶液(10mL)に、NaOH水溶液(4M)(1.10当量、2.1mL、8.27mmol)を加えた。溶液に二炭酸ジ-tert-ブチル(1.40当量、2.4mL、10.5mmol)を加え、混合物を室温で2時間撹拌した。沈殿物が得られた。4MのNaOH(0.5当量)を更に加え、反応物を室温で3時間撹拌した。pHを9.2に調整し、反応混合物をEt2O(3× 300mL)で洗浄した。得られた有機相を捨て、水相を蒸発させてEt2O残留物を除去した。4MのHClを水相に滴下した。得られた固体を集め、水で洗浄し、乾燥して、(2R)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-4-(1-メチル-5-ニトロ-ベンズイミダゾール-2-イル)ブタン酸の固体を得た(1.85g、4.59mmol、収率61%)。HPLC純度:94%;MS (ESI+) m/z = 379 [M+H]+。
【0383】
(2R)-4-(5-アミノ-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)ブタン酸(化合物46-4)
(2R)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-4-(1-メチル-5-ニトロ-ベンズイミダゾール-2-イル)ブタン酸(1.00当量、300mg、0.769mmol)をエタノール(5mL)に溶解し、H反応器に入れた。Pd/C 10%(0.0500当量、8.2mg、0.0385mmol)を加え、反応器を密閉した。窒素パージを行った。水素ガスを3バールで反応器に充填し、反応物を室温で2時間撹拌した。水素ガスを窒素パージで排気した。触媒をセライトろ過により除去した。溶媒を蒸発させて、(2R)-4-(5-アミノ-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)ブタン酸を得た(235mg、0.690mmol、収率94%)。HPLC純度:95%;MS (ESI+) m/z = 349 [M+H]+。
【0384】
(2R)-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)ブタン酸(化合物46-5)
(2R)-4-(5-アミノ-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)ブタン酸(1.00当量、253mg、0.690mmol)をエタノール(2mL)に懸濁した。シアノ水素化ホウ素ナトリウム(3.00当量、130mg、2.07mmol)を加え、続いてトリフルオロ酢酸(1.50当量、0.079mL、1.03mmol)を加え、次いでクロロアセトアルデヒド(50%、3.00当量、0.26mL、2.07mmol)を滴下した。反応混合物を30分間撹拌した。2過剰当量のNaBH3CN、クロロアセトアルデヒド及びTFAを加え、反応物を室温で2時間撹拌した。4M NaOHを滴下してpHを3.6に調整した。エタノールを蒸発させ、水を加え、水相をEtOAcで抽出した。有機相を蒸発させて、粗生成物(2R)-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)ブタン酸を固体として単離した(303mg、0.557mmol、収率81%)。HPLC純度:87%;MS (ESI+) m/z = 473 [M+H]+。
【0385】
(2S)-2-[[(2R)-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)ブタノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸エチルエステル(化合物46-6)
1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩(1.15当量、41mg、0.211mmol)を、MeCN(3mL)中の、(2R)-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)ブタン酸(1.00当量、100mg、0.184mmol)、(2S)-2-アミノ-4-メチル-ペンタン酸エチルエステル(1.15当量、34mg、0.211mmol)、シアノグリオキシル酸エチル-2-オキシム(1.00当量、26mg、0.184mmol)及び4-メチルモルホリン(1.15当量、23uL、0.211mmol)の混合物に加えた。反応混合物を室温で終夜撹拌した。反応混合物をろ過し、分取クロマトグラフィーで精製した。純粋な画分を凍結乾燥して、(2S)-2-[[(2R)-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)ブタノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸エチルエステルを得た(17mg、0.0275mmol、収率15%)。HPLC純度:99%;MS (ESI+) m/z = 614 [M+H]+。
【0386】
(2S)-2-[[(2R)-2-アミノ-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]ブタノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸エチルエステル;二塩酸塩(実施例化合物46)
(2S)-2-[[(2R)-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)ブタノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸エチルエステル(1.00当量、17.1mg、0.0275mmol)をMeCN(2mL)に溶解し、塩酸(ジオキサン中に4M)(5.00当量、35uL、0.139mmol) を加えた。反応物を室温で1時間撹拌した。混合物をろ過し、分取クロマトグラフィーで精製し、純粋な画分をプールし、凍結乾燥して、(2S)-2-[[(2R)-2-アミノ-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]ブタノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸エチルエステル;二塩酸塩(実施例化合物46)の固体を得た(14.3mg、0.0234mmol、収率84%)。HPLC純度:96%;MS (ESI+) m/z = 514 [M+H]+。
【0387】
1H NMR (600 MHz, DMSO-d6) δ 14.81 (s, 1H), 9.23 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 8.59 (s, 3H), 7.75 (d, J = 9.1 Hz, 1H), 7.15 (d, J = 9.2 Hz, 1H), 6.94 (d, J = 2.3 Hz, 1H), 4.30 - 4.24 (m, 1H), 4.11 (q, J = 7.1 Hz, 2H), 4.04 (s, 1H), 3.89 (s, 3H), 3.83 (t, J = 6.7 Hz, 4H), 3.77 (t, J = 6.6 Hz, 4H), 3.2-3-3 (m, 2H), 2.32 (dp, J = 29.8, 7.6 Hz, 2H), 1.69 - 1.57 (m, 2H), 1.53 (ddd, J = 13.8, 8.5, 5.6 Hz, 1H), 1.20 (t, J = 7.1 Hz, 3H), 0.87 (dd, J = 21.4, 6.3 Hz, 6H)。
【0388】
実施例47 (2R)-2-[[(2R)-2-アミノ-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]ブタノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸エチルエステル;二塩酸塩(実施例化合物47)
【化78】
【0389】
実施例47をスキーム13に従い行ったが、化合物46-5とのペプチドカップリングにおける出発物質として、D-ロイシンエチルエステル塩酸塩(1.15当量、41mg、0.211mmol)を使用して、(2R)-2-[[(2R)-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)ブタノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸エチルエステル;2,2,2-トリフルオロ酢酸を固体として単離した(27mg、0.0375mmol、収率20%)。HPLC純度:99%;MS (ESI+) m/z = 614 [M+H]+。
【0390】
(2R)-2-[[(2R)-2-アミノ-4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]ブタノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸エチルエステル;二塩酸塩(実施例化合物47)を固体として得た(6mg、0.0097mmol、収率25%)。HPLC純度:95%;MS (ESI+) m/z = 514 [M+H]+。
【0391】
1H NMR (600 MHz, DMSO-d6) δ 14.79 (s, 1H), 9.25 (d, J = 7.0 Hz, 1H), 8.69 - 8.47 (m, 3H), 7.75 (d, J = 9.1 Hz, 1H), 7.15 (d, J = 9.2 Hz, 1H), 6.93 (s, 1H), 4.31 (dt, J = 11.3, 5.7 Hz, 1H), 4.16 - 4.04 (m, 3H), 3.90 (s, 3H), 3.83 (d, J = 6.7 Hz, 4H), 3.78 (d, J = 6.4 Hz, 4H), 3.38 - 3.33 (m, 2H), 2.32 (dp, J = 23.6, 7.6, 7.0 Hz, 2H), 1.75 (h, J = 6.9 Hz, 1H), 1.64 (td, J = 12.3, 10.8, 5.1 Hz, 1H), 1.55 (ddd, J = 14.0, 9.4, 4.8 Hz, 1H), 1.18 (t, J = 7.2 Hz, 3H), 0.90 (dd, J = 25.1, 6.5 Hz, 6H)。
【0392】
実施例48 (2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-4-[6-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-3-メチル-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-イル]ブタノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸エチルエステル ジ-2,2,2-トリフルオロ酢酸(実施例化合物48)
【化79】
【0393】
実施例48を以下のスキーム14に従い行った。
【化80】
【0394】
試薬及び条件: a) MeNH2、MeOH、0℃、b) 20%硫化アンモニウム水溶液、MeOH、加熱、c) HATU、DIPEA、DMF、室温、d) n-PrOH、100℃、e) LiOH・H2O、THF、MeOH、H2O、室温、f) HATU、DIPEA、DMF、室温、g) Pd/C10%、H2、EtOH、h) クロロアセトアルデヒド溶液(水中に約55wt%)、NaBH3CN、TFA、EtOH、i) TFA、DCM、0℃~室温、その後12M HCl。
【0395】
N-メチル-3,5-ジニトロ-ピリジン-2-アミン(化合物48-1)
2-クロロ-3,5-ジニトロピリジン(4.0g、0.0196mol)のMeOH(40mL)懸濁液に、0~5℃で、MeNH2(4.32mL、40体積%、0.059mol)とMeOH(16mL)の水溶液の混合物を滴下した。得られた黄色の沈殿をろ過により回収し、MeOHと水で洗浄し、真空で一晩乾燥して、N-メチル-3,5-ジニトロ-ピリジン-2-アミンを得た(3.00g、0.0151mol、収率77%)。HPLC純度:95%;MS (ESI+) m/z=199 [M+H]+。
【0396】
N2-メチル-5-ニトロ-ピリジン-2,3-ジアミン(化合物48-2)
N-メチル-3,5-ジニトロ-ピリジン-2-アミン(2.80g、14.1mmol)をメタノール(60mL)に懸濁し、硫化アンモニウムの20%水溶液(24.1mL)を加えた。温度を75℃に上昇させ、混合物を2.5時間撹拌した。次いで、反応物を室温で一晩撹拌した。混合物を氷浴中に置くと沈殿物が得られた。固体をろ過により集め、一晩真空で乾燥してN2-メチル-5-ニトロ-ピリジン-2,3-ジアミンを赤茶色の固体として得た(3.39g、理論収量超え)。この物質を更に精製することなく次の工程で使用した。HPLC純度:90%;MS (ESI+) m/z=169 [M+H]+。
【0397】
(2S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-5-[[2-(メチルアミノ)-5-ニトロ-3-ピリジル]アミノ]-5-オキソ-ペンタン酸ベンジルエステル(化合物48-3)
(4S)-5-ベンジルオキシ-4-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-5-オキソ-ペンタン酸(1.00g、2.97mmol)のジメチルホルムアミド(7.50mL)溶液に、HATU(1.36g、3.57mmol)とDIEA(1.04mL、5.45mmol)を加え、反応物を2分間撹拌した後、N2-メチル-5-ニトロ-ピリジン-2,3-ジアミン(化合物48-2)(0.500g、2.97mmol)を加えた。反応物を室温で22時間撹拌した。EtOAcを加え、有機相をブライン(3×)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、デカンテーションして濃縮し、(2S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-5-[[2-(メチルアミノ)-5-ニトロ-3-ピリジル]アミノ]-5-オキソ-ペンタン酸ベンジルエステルを得た(2.74g、理論収量超え)。この物質を更に精製することなく次の工程で使用した。HPLC純度:80%;MS (ESI+) m/z=488 [M+H]+。
【0398】
(2S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-4-(3-メチル-6-ニトロ-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-イル)ブタン酸ベンジルエステル(化合物48-4)
1-プロパノール(20.0mL)中の(2S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-5-[[2-(メチルアミノ)-5-ニトロ-3-ピリジル]アミノ]-5-オキソ-ペンタン酸ベンジルエステル(1.07g、2.19mmol)を100℃で6日間加熱した(小規模で実施した場合と比較して遅い反応)。1-プロパノールを蒸発させてEtOAcを加えた。有機相をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮した。粗製の物質をフラッシュクロマトグラフィー(SiO2 12g、石油エーテル/EtOAc 0-100%)で精製して、(2S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-4-(3-メチル-6-ニトロ-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-イル)ブタン酸ベンジルエステルを得た(280mg、収率27%)。HPLC純度:90%;MS (ESI+) m/z= 470 [M+H]+。
【0399】
(2S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-4-(3-メチル-6-ニトロ-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-イル)ブタン酸(化合物48-5)
(2S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-4-(3-メチル-6-ニトロ-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-イル)ブタン酸ベンジルエステル(0.280g、0.596mmol)の水(0.2mL)を含むテトラヒドロフラン(1.20mL)/メタノール(1.20mL)溶液に、LiOH・H2O(0.0425g、1.01mmol)を加えた。反応物を室温で2時間撹拌した。EtOAcと5%クエン酸を加え、2つの相を分離した。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過し、溶媒を蒸発させて、(2S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-4-(3-メチル-6-ニトロ-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-イル)ブタン酸を得た(0.240g)。この物質を更に精製することなく次の工程で使用した。HPLC純度:95%;MS (ESI+) m/z= 380 [M+H]+。
【0400】
(2S)-2-[[(2S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-4-(3-メチル-6-ニトロ-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-イル)ブタノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸エチルエステル(化合物48-6)
(2S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-4-(3-メチル-6-ニトロ-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-イル)ブタン酸(0.240g、0.633mmol)のN,N-ジメチルホルムアミド(1.50mL)溶液に、(2S)-2-アミノ-4-メチル-ペンタン酸エチルエステル塩酸塩(0.124g、0.633mmol)とHATU(0.289g、0.759mmol)を加え、続いてN,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.204g、1.58mmol)を加えた。次いで、反応物を室温で一晩撹拌した。EtOAcを加え、有機相をブライン(3×)で洗浄し、MgSO4で乾燥し、ろ過して濃縮した。粗製の物質をフラッシュクロマトグラフィー(SiO2、石油エーテル/EtOAc 0-100%)で精製して、(2S)-2-[[(2S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-4-(3-メチル-6-ニトロ-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-イル)ブタノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸エチルエステルを得た(0.340g)。HPLC純度:90%;MS (ESI+) m/z= 521 [M+H]+。
【0401】
(2S)-2-[[(2S)-4-(6-アミノ-3-メチル-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-イル)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)ブタノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸エチルエステル(化合物48-7)
エタノール(20.0mL)中の(2S)-2-[[(2S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-4-(3-メチル-6-ニトロ-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-イル)ブタノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸エチルエステル(0.340g、0.653mmol)とPd/C 10%(0.0695g、0.653mmol)の混合物を、水素ガス雰囲気(大気圧)下で一晩撹拌した。触媒をろ別し、溶媒を蒸発して表題化合物(2S)-2-[[(2S)-4-(6-アミノ-3-メチル-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-イル)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)ブタノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸エチルエステルを透明で粘着性のオイル状物(0.273g、収率85%)として得た。この物質を更に精製することなく次の工程で使用した。HPLC純度:90%;MS (ESI+) m/z= 491 [M+H]+。
【0402】
(2S)-2-[[(2S)-4-[6-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-3-メチル-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-イル]-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)ブタノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸エチルエステル(化合物48-8)
(2S)-2-[[(2S)-4-(6-アミノ-3-メチル-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-イル)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)ブタノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸エチルエステル(170mg、0.346mmol)に、クロロアセトアルデヒド(0.22mL、50%水溶液)とTFA(0.12mL)を室温で加えた。次いで、シアノ水素化ホウ素ナトリウム(109mg、1.73mmol)を加え、反応物を室温で30分間撹拌し、その時点で50%の変換が観察された。再び、同量の上記全ての試薬を加え、反応物を更に30分間撹拌した。揮発性の物質を真空で蒸発させた。粗生成物を酢酸エチルに溶解し、飽和炭酸ナトリウム水溶液、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、濃縮した。粗製の物質をフラッシュクロマトグラフィー(12gシリカカラム、DCM中の70~90%MeOH)で精製して、表題化合物(2S)-2-[[(2S)-4-[6-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-3-メチル-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-イル]-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)ブタノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸エチルエステルを無色の濃厚なオイル状物として得た(75mg、収率35%)。HPLC純度:95%;MS (ESI+) m/z= 615 [M+H]+。
【0403】
(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-4-[6-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-3-メチル-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-イル]ブタノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸エチルエステル;ジ-2,2,2-トリフルオロ酢酸(実施例化合物48)
(2S)-2-[[(2S)-4-[6-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-3-メチル-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-イル]-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)ブタノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸エチルエステル(化合物48-8)(35mg、0.057mmol)のDCM(2mL)溶液に、TFA(0.1mL)を5℃で加えた。反応物を5℃で30分間撹拌し、室温になるまで放置した。次いでTFA(0.2mL)を更に加え、反応物を室温で3時間撹拌した。粗製の物質を逆相酸性分取HPLC(10~90%アセトニトリル、水中に0.1%TFA)で精製した。純粋な画分を濃縮して、(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-4-[6-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-3-メチル-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-イル]ブタノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸エチルエステル;ジ-2,2,2-トリフルオロ酢酸(実施例化合物48)の固体を得た(11.3mg、収率39%)。HPLC純度:95%;MS (ESI+) m/z= 515 [M+H]+。
【0404】
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 9.04 (d, J = 7.2 Hz, 1H), 8.57 - 8.26 (m, 3H), 8.10 (d, J = 2.6 Hz, 1H), 7.43 (d, J = 2.7 Hz, 1H), 4.38 - 4.30 (m, 1H), 4.12 - 4.08 (m, 2H), 4.05 - 4.02 (m, 1H), 3.81 - 3.73 (m, 11H), 3.13 (t, J = 8.0 Hz, 2H), 2.39 - 2.22 (m, 2H), 1.77 - 1.67 (m, 1H), 1.65 - 1.52 (m, 2H), 1.17 (t, J = 7.1 Hz, 3H), 0.93 (d, J = 6.6 Hz, 3H), 0.89 (d, J = 6.5 Hz, 3H)。
【0405】
実施例49 (2S)-2-アミノ-4-[5-[ビス(2-クロロ-1,1,2,2-テトラジュウテリオ-エチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]ブタン酸;二塩酸塩(実施例化合物49)
【化81】
【0406】
実施例49を以下のスキーム15に従い行った。
【化82】
【0407】
試薬及び条件: a) 2-ブロモエタノール-d4、KI、CaCO3、1,4-ジオキサン/水、90℃、17時間、b) 塩化メシル、トリエチルアミン、室温、1時間、c) LiCl、DMF、60℃、2時間、d) LiOH・H2O、1,4-ジオキサン、50℃、20分、e) 1,4-ジオキサン中のHCl、DCM、室温、1時間。
【0408】
(2S)-4-[5-[ビス(1,1,2,2-テトラジュウテリオ-2-ヒドロキシ-エチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)ブタン酸メチルエステル(化合物49-1)
密閉した反応管中の(2S)-4-(5-アミノ-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)ブタン酸メチルエステル(化合物18-2)(50mg、0.138mmol)の1,4-ジオキサン(1.00mL)/水(0.500mL)混合溶液に、CaCO3(21.5mg、0.214mmol)と触媒量のKI(5.1mg、0.0306mmol)を加え、続いて2-ブロモエタノール-d4(39.5mg、0.306mmol)を加えた。反応物を90℃で17時間加熱し、その後、混合物をアセトニトリルで希釈し、XBridgeカラムの分取HPLCで精製し、50mMのNH4HCO3を含む水中の10~80%MeCNで溶出した。表題化合物(49-1)を、19%までのモノアルキル化副生成物と2%の過剰アルキル化副生成物を有する白色の固体として得た(29mg)。MS (ESI+) m/z=459 [M+H]+。
【0409】
(2S)-4-[5-[ビス(1,1,2,2-テトラジュウテリオ-2-メタンスルホニルオキシ-エチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)ブタン酸メチルエステル(化合物49-2)
(2S)-4-[5-[ビス(1,1,2,2-テトラジュウテリオ-2-ヒドロキシ-エチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)ブタン酸メチルエステル(29mg、0.06mmol)を乾燥ジクロロメタン(1.00mL)に溶解し、0℃に冷却した。次いで、トリエチルアミン(20mg、0.20mmol)と塩化メシル(0.0096mL、0.124mmol)を加え、混合物を室温で反応が完了するまで撹拌した。水を加え、DCM相を洗浄し、乾燥して、表題化合物(49-2)を茶色いオイル状の粗生成物として得(31mg)、更に精製することなく次の工程で使用した。MS (ESI+) m/z=615 [M+H]+。
【0410】
(2S)-4-[5-[ビス(2-クロロ-1,1,2,2-テトラジュウテリオ-エチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)ブタン酸メチルエステル(化合物49-3)
(2S)-4-[5-[ビス(1,1,2,2-テトラジュウテリオ-2-メタンスルホニルオキシ-エチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)ブタン酸メチルエステル(21mg、0.035mmol)を乾燥ジメチルホルムアミド(0.50mL)に溶解し、次いでLiCl(30mg、0.70mmol)を加え、混合物を60℃で反応が完了するまで撹拌した。混合物を、石油エーテル中のEtOAcの50~100%を使用するシリカによるフラッシュクロマトグラフィーで精製して、オフホワイトでオイル状の生成物を得た(14mg、収率92%)。HPLC純度:90%;MS (ESI+) m/z=495 [M+H]+。
【0411】
(2S)-2-アミノ-4-[5-[ビス(2-クロロ-1,1,2,2-テトラジュウテリオ-エチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]ブタン酸二塩酸塩(実施例化合物49)
(2S)-4-[5-[ビス(2-クロロ-1,1,2,2-テトラジュウテリオ-エチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)ブタン酸メチルエステル(13mg、0.026mmol)を1,4-ジオキサン(1.0mL)に溶解し、次いで水(0.3mL)とLiOH・H2O(26mg、0.063mmol)を加えた。混合物を50℃で20分間撹拌し、水(2mL)とジクロロメタン(1mL)を加え、塩酸でpHを5~6に調整した。2つの相を分離し、有機相を水で洗浄し、乾燥した。乾燥させた有機相に1,4-ジオキサン中の過剰HCl(4mol/L)を加え、透明な溶液を室温で30分間撹拌した。混合物を濃縮乾固した。(2S)-2-アミノ-4-[5-[ビス(2-クロロ-1,1,2,2-テトラジュウテリオ-エチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]ブタン酸二塩酸塩(実施例化合物49)の固体を得た(6mg、収率55%)。HPLC純度:97%;MS (ESI+) m/z=381 [M+H]+。
【0412】
実施例50 (2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-4-[5-[ビス(2-クロロ-1,1,2,2-テトラジュウテリオ-エチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]ブタノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸エチルエステル;二塩酸塩(実施例化合物50)
【化83】
【0413】
実施例50を以下のスキーム16に従い行った。
【化84】
【0414】
試薬及び条件: a) 2-ブロモエタノール-d4、KI、CaCO3、1,4-ジオキサン/水、90℃、17時間、b) 塩化メシル、トリエチルアミン、室温、1時間、c) LiCl、DMF、60℃、2時間、d) LiOH・H2O、1,4-ジオキサン、50℃、20分、e) 1,4-ジオキサン中のHCl、DCM、室温、1時間。
【0415】
(2S)-2-[[(2S)-4-[5-[ビス(1,1,2,2-テトラジュウテリオ-2-ヒドロキシ-エチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)ブタノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸エチルエステル(化合物50-1)
表題化合物(50-1)は、化合物49-1の合成で記載した手順により、(2S)-2-[[(2S)-4-(5-アミノ-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)ブタノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸エチルエステル(実施例化合物1の合成に向け、工程2に記載のとおりに製造)から製造した(39mg、収率65%)。HPLC純度:80%;MS (ESI+) m/z=586 [M+H]+。
【0416】
(2S)-2-[[(2S)-4-[5-[ビス(1,1,2,2-テトラジュウテリオ-2-メチルスルホニルオキシ-エチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)ブタノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸エチルエステル(化合物50-2)
表題化合物(50-2)は、化合物49-2の合成で記載した手順により、化合物50-1から製造した(26mg、収率71%)。MS (ESI+) m/z=742 [M+H]+。
【0417】
(2S)-2-[[(2S)-4-[5-[ビス(2-クロロ-1,1,2,2-テトラジュウテリオ-エチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)ブタノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸エチルエステル(化合物50-3)
表題化合物(50-3)は、化合物49-3の合成で記載した手順により、化合物50-2から製造した(20mg、収率92%)。HPLC純度:90%;MS (ESI+) m/z=622 [M+H]+。
【0418】
(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-4-[5-[ビス(2-クロロ-1,1,2,2-テトラジュウテリオ-エチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]ブタノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸エチルエステル(実施例化合物50)
表題化合物(実施例化合物50)を、実施例化合物1の合成における工程5で記載した手順により、条件を若干変更(溶媒はDCM、反応時間は1時間)して、化合物50-3から製造した(9mg、収率4%)。HPLC純度:95%;MS (ESI+) m/z=522 [M+H]+。
【0419】
実施例51 (2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-4-[5-[ビス(2-クロロ-1,1,2,2-テトラジュウテリオ-エチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル]ブタノイル]アミノ]-4-メチル-ペンタン酸;二塩酸塩(実施例化合物51)
【化85】
【0420】
実施例51をスキーム16に従い行った。この化合物を、実施例化合物49の合成における最終工程で記載した手順により、化合物50-3から製造した(8mg、収率68%)。HPLC純度:95%;MS (ESI+) m/z=494 [M+H]+。
【0421】
生物学的実施例:
生物学的実施例1 MM.1S細胞生存率アッセイによるin vitro細胞毒性の検討
方法: MM.1S細胞を、10μg/μLペニシリン/ストレプトマイシン、10%熱不活化FBS、0.1mMピルビン酸ナトリウム、1× MEM NEAA(ThermoFisher)及び1mM HEPESを補充したRPMI培地1640(IX)で培養した。細胞が対数期になるまで増殖させた後、試験化合物に曝露した。
【0422】
試験化合物(実施例化合物1~36、38~41及び45~48)及び比較化合物(ベンダムスチン、ブスルファン、メルファラン、クロラムブシル及び4-ヒドロペルオキシシクロホスファミド)を100%DMSOに溶かし、384アッセイプレートに入れた。DMSOを更に添加して、全てのウェルで同じ最終DMSO濃度(0.2%)とした。100000細胞/mLの細胞懸濁液25μLを各ウェルに加えた。細胞をCO2インキュベーター中、37℃で72時間培養した。プレートを30分間室温にした後、全てのウェルにCellTiter-Glo(登録商標)2.0(Promega)試薬20μLを添加した。次いで、プレートを20分間安定化させた後、Envisionプレートリーダーで発光(発光フィルター700nm)を記録した。プレートリーダーのデータを、陰性対照(処理なし)と陽性対照(細胞を400μMクロルプロマジンで72時間処理)で正規化し、4パラメーターロジスティック回帰曲線にフィッティングさせてIC50を算出した。
【0423】
結果: 試験化合物を、MM.1S細胞増殖を阻害し、in vitroで細胞毒性を引き起こす能力について評価した。実験から用量応答が抽出でき、表1に示す。試験化合物のMM.1S細胞に対する細胞毒性は良好であった。このアッセイにおいて、実施例化合物1~16、21~32、34~36、38及び45~48は、ベンダムスチン、ブスルファン、メルファラン、クロラムブシル及び4-ヒドロペルオキシシクロホスファミドよりも細胞毒性であることが判明した。
【0424】
【0425】
生物学的実施例2 血液細胞株、ヒト末梢血単核細胞及び正常線維芽細胞によるin vitro細胞毒性の検討
方法: 実験に使用した細胞株を、表2に示す。全ての細胞をRPMI培地1640(IX)で培養した。全ての培地に、10μg/μLペニシリン/ストレプトマイシン、10%熱不活化FBS、0.1mMピルビン酸ナトリウム、1× MEM NEAA(ThermoFisher)及び1mM HEPESを補充した。DERL-2細胞では、FBSは20%とし、40ng/mL IL-2を添加した。hPBMCを解凍し、一晩順化させ、次いで、10μg/mL PHA-M及び40ng/mL IL-2で4時間刺激した後に、試験化合物に曝露した。hPBMCを除く全ての細胞は、対数期になるまで増殖させた後、試験化合物に曝露した。
【0426】
【0427】
試験化合物を100%DMSOに溶かし、384アッセイプレートに入れた。DMSOを更に添加して、全てのウェルで同じ最終DMSO濃度(0.2%)とした。100000細胞/mLの細胞懸濁液25μLを各ウェルに加えた。細胞をCO2インキュベーター中、37℃で72時間培養した。プレートを30分間室温にした後、全てのウェルにCellTiter-Glo(登録商標)2.0(Promega)試薬20μLを添加した。次いで、プレートを20分間安定化させた後、Envisionプレートリーダーで発光(発光フィルター700nm)を記録した。プレートリーダーのデータを、陰性対照(処理なし)と陽性対照(細胞を400μMクロルプロマジンで72時間処理)で正規化し、4パラメーターロジスティック回帰曲線にフィッティングさせてIC50を算出した。
【0428】
結果: 試験化合物を、血液学的起源のいくつかの細胞株を使用して、in vitroで細胞増殖を阻害する能力について評価した。細胞毒性は、悪性ではないヒト末梢血単核細胞(hPBMC)及び線維芽細胞(BJ)でも評価した。表3に、試験を行った全ての化合物の実験から抽出した用量応答を示す。表では、結果を、細胞毒性IC50 μM±標準偏差(試験数)として示す。ndは、値を求めなかったことを意味する。
【0429】
【0430】
【0431】
本発明の化合物は、従来技術の2つの化合物よりも常に細胞毒性が高いことが理解できる。
【0432】
生物学的実施例3 実施例18(実施例1による処理後)、ベンダムスチン及びメルファランの細胞保持/流出の検討
方法: 2×106細胞/mLのMM.1S細胞を、96ウェルプレートに250μL/ウェルで播種した。試験化合物の存在下で、細胞を5分、15分及び60分間インキュベートした後、4℃で5分間遠心分離して細胞をペレット化した。細胞培地を第2のプレートに直ちに回収し、分析するまで-80℃で保管した。ペレット化した細胞を氷冷PBSで1回洗浄した後、分析するまで-80℃で保管した。
【0433】
細胞を溶解し、内部標準を含むアセトニトリル:ジメチルホルムアミド(9:1)で培地中のタンパク質を沈殿させた。試料を遠心分離し、上清をLC-MS/MS(ACQUITY UPLC -Xevo TQ-S micro)で分析し、化合物濃度を求めた。
【0434】
実施例化合物1、ベンダムスチン及びメルファランを試験化合物として使用した。
【0435】
結果: 結果を
図1に示す。
図1(A)は、ベンダムスチン及び実施例化合物1から形成された代謝化合物(実施例化合物18)の、細胞内及び細胞外の濃度を示す。実施例化合物18は、実施例化合物1による処理後に細胞内で急速に形成され、細胞外の培地中では低レベルであることが理解できる。この結果は、細胞内で実施例化合物1が加水分解され、実施例化合物1の代謝物が細胞内に保持されたことを示す。ベンダムスチンの細胞内濃度は低く、そのレベルは経時的に減少する。ベンダムスチンの細胞外濃度は極めて高く、経時的に減少した。
【0436】
図1(B)は、実験中のメルファランの細胞内及び細胞外濃度を示す。MM.1S細胞をメルファランによってin vitroで処理した後、細胞内のメルファランの濃度は低かった。細胞外のメルファランの濃度は高く、実験中一定であった。
【0437】
生物学的実施例4 ニワトリ胚異種移植モデルによる試験化合物のin vivo細胞毒性の検討
方法: 3×106個のSU-DHL-4腫瘍細胞を、9日目(受精後)に、白色レグホン受精卵に接種した。100μLの実施例化合物1(8.4μM(0.008mg/kg)、33.5μM(0.033mg/kg)、167.5μM(0.164mg/kg))、ベンダムスチン(8.4μM(0.005mg/kg)、33.5μM(0.02mg/kg)、167.5μM(0.1mg/kg))又はビヒクルのいずれかを、11、13、15及び17日目に、生存卵に注射した。18日目に、腫瘍を除去して秤量した。
【0438】
結果: 実施例化合物1では、腫瘍重量に対する用量依存的な効果が明らかであった(
図2)。実施例化合物1について、ビヒクルと比較した腫瘍減少は、8.4μM、33.5μM及び167.5μMで、それぞれ、38%、70%及び82%であった。ベンダムスチンについて、ビヒクルと比較した腫瘍減少は、33.5μM及び167.5μMでのみ明らかで、それぞれ30%及び76%の減少であった。したがって、実施例化合物1は、このモデルにおいて強力な腫瘍細胞毒性を示す。
【0439】
生物学的実施例5 PDC化合物及び代謝物の細胞保持/流出の検討
方法: 生物学的実施例3で説明の方法。
【0440】
実施例化合物1、2、3、4、6、7及び10を検討した。試験を行った全ての化合物から細胞内代謝物が形成される。細胞の処理に使用した化合物は、エステル加水分解化合物(代謝物Aという)及びアミド加水分解化合物(代謝物Bという)に代謝された。実施例化合物の構造とそれぞれの化合物の2つの代謝物の構造を、表4に示す。試験を行った条件で形成された代謝物Bは、実施例17及び18の構造の化合物であった。
【0441】
【0442】
【0443】
【0444】
代謝物の細胞内濃度は、経時的にゆっくりと減少した。細胞外の培地中では、代謝物は、ほとんど検出されないか、又は検出不可能である。この結果は、細胞内で実施例化合物が加水分解され、実施例化合物の代謝物が細胞内に保持されたことを示す。
【0445】
生物学的実施例6 試験化合物による直接的なDNA損傷の検討
方法: DNAを、Furda et al., Methods Mol Biol, 2012に記載のプロトコルに従い、QIAGENゲノムチップ20/GによってMM.1S細胞から調製した。1μgのDNAを0.25μMの化合物により37℃で30分間処理した。DMSOを対照として使用した。処理を行ったDNA20ngを、Phusion Hot Start II High Fidelity PCR Master Mix(Thermo Scientific)と、HPRTに対するプライマー又はミトコンドリアDNA(mtDNA)に対するプライマーのいずれかを使用してPCR増幅し、それぞれ、10.4kb又は8.9kbの断片を得た。PCR反応物を1%アガロースゲルで分離し、ChemiDoc(商標)MP Imaging System(BioRad)で可視化した。実施例化合物1、2及び38、並びに、化合物1の代謝物である化合物18及び20を検討した。それらを、ベンダムスチン、メルファラン及びDMSO対照と比較した。HPRTプライマーを用いた化合物1、2、18及び20の結果を
図4(A)に示し、mtDNAプライマーを用いた結果を
図4(B)に示す。HPRTプライマー及びmtDNAプライマーを用いた化合物18及び38の結果を
図4(C)に示す。
【0446】
結果:
図4から、メルファラン及びベンダムスチンは、試験を行った濃度では、核及びミトコンドリアDNAの両者で、DNA損傷効果がないか、又は非常にわずかであったことが理解できる。実施例化合物1及び2は、PCRバンドがゲル上で検出できなかったという事実が示すように、核及びミトコンドリアDNAの両者に対し、強力なDNA損傷効果を有した。実施例化合物18及び38は、核及びミトコンドリアDNAの両者を効果的に損傷し、弱いPCRバンドのみが検出された。実施例化合物20もDNA損傷効果を有したが、実施例化合物1、2及び18と比較してその程度は小さく、ベンダムスチン又はメルファランよりは大きかった。
【0447】
生物学的実施例7 試験化合物によるDNA断片化の検討
方法: 1×106個のMM.1S細胞(CRL-2974, ATCC)を、0.006μM、0.06μM、0.6μM、6μMの実施例化合物1又はベンダムスチンで24時間処理した。インキュベーション後、細胞をPBS(10010-015, Gibco)で洗浄し、フローサイトメトリー固定化緩衝液(FC004, R&D Systems)で10分間固定し、70%エタノール中、-20℃で一晩保管した。デオキシチミジン類似体(BrdUTP)を加えし、DNA切断部位を標識した。翌日、細胞を洗浄し、製造業者のプロトコルに従ってAPO-BrdU(商標)TUNEL Assay Kitで染色し、続いてBD FACSCanto(商標)IIで分析した。TUNEL陽性細胞の割合は、断片化したDNAを有する細胞の割合を示す。
【0448】
結果: 24時間のインキュベーションにおけるDNA損傷に対する実施例化合物1とベンダムスチンの用量応答効果を
図5(A)に示す。全てのデータは、平均±SD(n=2)として表した。実施例化合物1への24時間の曝露は、用量依存的な様式でDNA損傷を誘導したが、ベンダムスチンのDNA損傷に対する明らかな効果は、24時間のインキュベーションでは認められなかった。0.6μMの試験化合物又はベンダムスチン(n=2)による24時間処理後のAlexa fluor 488強度の代表的なFACSヒストグラムを
図5(B)に示す。上の2つは実施例化合物1に、中央の2つはベンダムスチンに、下の2つはDMSO対照に関するものである。注目すべきことに、0.6μMの実施例化合物1による24時間の処理は、試験を行った90%を超える細胞でDNAを切断化したが、ベンダムスチンでは、そうではなかった。実施例化合物1は、DNA損傷を引き起こすことにおいてより強力である。
【国際調査報告】