(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-28
(54)【発明の名称】流体注入器装置用のチュービング内の流体タイプを検出するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
A61M 5/14 20060101AFI20240621BHJP
A61M 5/142 20060101ALI20240621BHJP
A61M 5/172 20060101ALI20240621BHJP
A61M 5/36 20060101ALI20240621BHJP
A61M 5/168 20060101ALI20240621BHJP
【FI】
A61M5/14 582
A61M5/142 530
A61M5/172
A61M5/36 500
A61M5/168 504
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023577993
(86)(22)【出願日】2022-02-25
(85)【翻訳文提出日】2023-12-18
(86)【国際出願番号】 US2022017900
(87)【国際公開番号】W WO2022265695
(87)【国際公開日】2022-12-22
(32)【優先日】2021-06-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507021757
【氏名又は名称】バイエル・ヘルスケア・エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Bayer HealthCare LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】リチャード・モートン
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー・スカット
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・スポーン
(72)【発明者】
【氏名】ランディ・リー
(72)【発明者】
【氏名】ミケイラ・フェルショー
(72)【発明者】
【氏名】ケヴィン・コーワン
(72)【発明者】
【氏名】パトリック・キャンベル
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー・ネープルズ
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム・バローン
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー・カポネ
(72)【発明者】
【氏名】カーティス・パストール
(72)【発明者】
【氏名】チャールズ・ラング
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・スワントナー
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066BB01
4C066CC01
4C066CC03
4C066CC09
4C066EE14
4C066HH02
4C066HH13
4C066LL09
4C066QQ24
4C066QQ44
4C066QQ47
4C066QQ52
4C066QQ77
4C066QQ78
4C066QQ82
4C066QQ92
(57)【要約】
流体注入器システムは、少なくとも1つの流体リザーバからの少なくとも1つの流体を加圧および送達するための少なくとも1つの注入器と、バルク流体リザーバと少なくとも1つの注入器に接続されたシリンジとの間の流体連通を提供する少なくとも1つの流体経路セクションと、少なくとも1つの流体経路セクションに沿って配置された少なくとも1つのセンサとを含む。少なくとも1つのセンサは、少なくとも1つの流体経路セクションを通って光を放射するように構成されたエミッタと、少なくとも1つの流体経路セクションを通って放射された光を受け取り、受け取った光の少なくとも1つの特性に基づいて電気信号を生成するように構成された検出器とを含む。流体注入器システムは、検出器によって生成された電気信号に基づいて、流体経路セクション内に存在する少なくとも1つの流体の識別情報、流体経路セクション内の少なくとも1つの流体の濃度、および流体経路セクションの少なくとも1つの特性のうちの少なくとも1つを判定するようにプログラムまたは構成された、少なくとも1つのプロセッサをさらに含んでもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体注入器システムであって、
少なくとも1つの流体リザーバからの少なくとも1つの流体を加圧および送達するための少なくとも1つの注入器と、
バルク流体リザーバと前記少なくとも1つの注入器に接続されたシリンジとの間の流体連通を提供する少なくとも1つの流体経路セクションと、
前記少なくとも1つの流体経路セクションに沿って配置された少なくとも1つのセンサであって、前記少なくとも1つのセンサが、
前記少なくとも1つの流体経路セクションを通って光を放射するように構成されたエミッタと、
前記少なくとも1つの流体経路セクションを通って放射された前記光を受け取り、前記受け取った光の少なくとも1つの特性に基づいて電気信号を生成するように構成された検出器と、
を備える少なくとも1つのセンサと、
前記検出器によって生成された前記電気信号に基づいて、
前記流体経路セクション内に存在する前記少なくとも1つの流体の識別情報、
前記流体経路セクション内の前記少なくとも1つの流体の濃度、および
前記流体経路セクションの少なくとも1つの特性
のうちの少なくとも1つを判定するようにプログラムまたは構成された少なくとも1つのプロセッサと、
を備える、流体注入器システム。
【請求項2】
前記エミッタは前記流体経路セクションの第1の側に配置され、
前記検出器は前記流体経路セクションの第2の側に配置され、
前記流体経路セクションの前記第2の側は、前記流体経路セクションの前記第1の側のおよそ180°反対側にある、
請求項1に記載の流体注入器システム。
【請求項3】
それぞれ第1の流体および第2の流体を送達するための第1の流体リザーバおよび第2の流体リザーバと、
前記第1の流体リザーバと流体連通する第1の流体経路セクションと、
前記第2の流体リザーバと流体連通する第2の流体経路セクションと、
第1のセンサおよび第2のセンサと、
をさらに備え、
前記第1の流体経路セクションは前記第1のセンサに関連付けられ、前記第2の流体経路セクションは前記第2のセンサに関連付けられている、
請求項1または2に記載の流体注入器システム。
【請求項4】
前記第1の流体リザーバと流体連通する第1のバルク流体容器と、
前記第2の流体リザーバと流体連通する第2のバルク流体容器と、
をさらに備え、
前記第1のセンサは、前記第1の流体リザーバの充填動作中に前記第1のバルク流体容器から前記第1の流体リザーバに入る流体を検出するように配置され、
前記第2のセンサは、前記第2の流体リザーバの充填動作中に前記第2のバルク流体容器から前記第2の流体リザーバに入る流体を検出するように配置されている、
請求項3に記載の流体注入器システム。
【請求項5】
前記少なくとも1つのプロセッサは、前記第1および第2のセンサによって生成された前記電気信号に基づいて、
前記第1の流体リザーバを充填している前記流体が元々前記第2の流体リザーバを充填するように意図されており、前記第2の流体リザーバを充填している前記流体が元々前記第1の流体リザーバを充填するように意図されていた
と判定するようにプログラムまたは構成されている、請求項4に記載の流体注入器システム。
【請求項6】
前記少なくとも1つのプロセッサは、前記第1の流体リザーバを充填している前記流体が元々前記第2の流体リザーバを充填するように意図されていたという判定に応答して前記充填動作を停止すること、および前記第1の流体が前記第1の流体リザーバに関連付けられ、前記第2の流体が前記第2の流体リザーバに関連付けられるように、前記第1の流体リザーバおよび前記第2の流体リザーバの前記識別情報を切り替えるように注入パラメータが更新されることを保証するように注入プロトコルを調整すること、から選択された動作を実行するようにプログラムまたは構成されている、請求項5に記載の流体注入器システム。
【請求項7】
前記少なくとも1つのプロセッサは、元々前記第2の流体リザーバよって注入されるように意図されていた前記流体を注入するように前記第1の流体リザーバを構成し、元々前記第1の流体リザーバによって注入されるように意図されていた前記流体を注入するように前記第2の流体リザーバを構成することによって前記注入プロトコルを変更するようにプログラムまたは構成されている、請求項5に記載の流体注入器システム。
【請求項8】
前記少なくとも1つのプロセッサは、前記第1の流体リザーバが元々前記第2の流体リザーバよって注入されるように意図されていた前記流体を収容すること、および前記第2の流体リザーバが元々前記第1の流体リザーバによって注入されるように意図されていた前記流体を収容することを示すために、グラフィカルユーザインターフェースの表示を調整するか、または前記流体リザーバに関連付けられた光源を照明するようにプログラムまたは構成されている、請求項7に記載の流体注入器システム。
【請求項9】
マニホールドをさらに備え、前記マニホールドは、
前記少なくとも1つの流体経路セクションと、
前記少なくとも1つの流体リザーバのシリンジ先端に接続された入口ポートと、
患者ラインに接続された出口ポートと、
バルク流体容器に接続された充填ポートと、
を備える、請求項1~8のいずれか一項に記載の流体注入器システム。
【請求項10】
前記少なくとも1つのプロセッサは、前記流体の少なくとも1つの識別情報および前記少なくとも1つの流体経路セクション内の前記流体の濃度に基づいて、前記少なくとも1つの流体リザーバの最適充填速度を決定するようにプログラムまたは構成されている、請求項1~9のいずれか一項に記載の流体注入器システム。
【請求項11】
前記最適充填速度は、前記少なくとも1つの流体リザーバに入る際に前記流体への気泡の導入を最小限に抑える、前記少なくとも1つの流体リザーバを充填する最高速度を含む、請求項12に記載の流体注入器システム。
【請求項12】
前記検出器は、前記少なくとも1つの流体経路セクションが造影媒体を収容するときに第1の電圧信号を出力するように構成され、
前記検出器は、前記流体経路セクションが生理食塩水を収容するときに第2の電圧信号を出力するように構成され、
前記少なくとも1つのプロセッサは、前記第1の電圧信号と前記第2の電圧信号との間の差に基づいて、前記少なくとも1つの流体経路セクション内の前記注入流体の前記識別情報を判定するようにプログラムまたは構成されている、
請求項1~11のいずれか一項に記載の流体注入器システム。
【請求項13】
前記検出器は、前記少なくとも1つの流体経路セクションが空気を収容するときに第3の電圧信号を出力するように構成され、
前記少なくとも1つのプロセッサは、前記第3の電圧信号、前記第1の電圧信号、および前記第2の電圧信号の間の差に基づいて、前記少なくとも1つの流体経路セクション内に空気があると判定するようにプログラムまたは構成されている、
請求項12に記載の流体注入器システム。
【請求項14】
前記流体経路セクションが空気を収容すると前記検出器が判定したとき、前記検出器は、前記バルク流体リザーバが空であるという警報をユーザに提供するように構成されている、請求項13に記載の流体注入器システム。
【請求項15】
前記少なくとも1つのプロセッサは、
前記少なくとも1つのセンサによって生成された前記電気信号に基づいて、前記少なくとも1つの流体経路セクション内の造影媒体の濃度を判定し、
患者に送達された前記造影媒体の前記濃度を希釈するために、注入処置中に注入される生理食塩水の速度を増加させる
ようにプログラムまたは構成されている、請求項1~14のいずれか一項に記載の流体注入器システム。
【請求項16】
前記少なくとも1つのプロセッサは、
前記少なくとも1つのセンサによって生成された前記電気信号に基づいて、前記流体経路セクション内の造影媒体の濃度を判定し、
患者に送達された前記造影媒体の前記濃度を増加させるために、注入処置中に生理食塩水の注入速度を低下させる
ようにプログラムまたは構成されている、請求項1~14のいずれか一項に記載の流体注入器システム。
【請求項17】
前記エミッタは、前記少なくとも1つの流体経路セクションを通る流体流れ方向に垂直な光を放射するように配置されている、請求項1~16のいずれか一項に記載の流体注入器システム。
【請求項18】
前記少なくとも1つのプロセッサは、前記電気信号に基づいて、前記少なくとも1つの流体経路セクションが前記エミッタと前記検出器との間に存在すると判定するようにプログラムまたは構成されている、請求項1~17のいずれか一項に記載の流体注入器システム。
【請求項19】
前記エミッタは、紫外スペクトル上の光を放射するように構成されている、請求項1~18のいずれか一項に記載の流体注入器システム。
【請求項20】
前記放射光は、約300nmから約400nmの波長を有する、請求項19に記載の流体注入器システム。
【請求項21】
前記エミッタは、赤外スペクトル上の光を放射するように構成されている、請求項1~18のいずれか一項に記載の流体注入器システム。
【請求項22】
前記放射光は、約700nmから約2000nmの波長を有する、請求項21に記載の流体注入器システム。
【請求項23】
前記エミッタは、可視スペクトル上の光を放射するように構成されている、請求項1~18のいずれか一項に記載の流体注入器システム。
【請求項24】
前記放射光は、約400nmから約700nmの波長を有する、請求項23に記載の流体注入器システム。
【請求項25】
前記少なくとも1つのプロセッサは、第1のエミッタ電流で前記エミッタを駆動するようにプログラムまたは構成され、前記第1のエミッタ電流は、第1の流体が前記流体経路セクション内に存在する場合に前記検出器を飽和させるように構成されている、請求項1~24のいずれか一項に記載の流体注入器システム。
【請求項26】
前記少なくとも1つのプロセッサは、前記第1のエミッタ電流よりも大きい第2のエミッタ電流で前記エミッタを駆動するようにプログラムまたは構成され、前記第2のエミッタ電流は、第2の流体が前記流体経路セクション内に存在する場合に前記検出器を飽和させるように構成されている、請求項25に記載の流体注入器システム。
【請求項27】
流体注入器システムの少なくとも1つの流体経路セクション内を流れる流体の1つ以上の流体特性を判定するための方法であって、前記方法は、
前記少なくとも1つの流体経路セクションを通って少なくとも1つのセンサのエミッタから光を放射するステップと、
第1の近位センサの検出器を用いて、前記少なくとも1つの流体経路セクションを通過した光を検出するステップと、
前記検出器によって生成された電気信号に基づいて、
流体経路セット内に存在する注入流体の識別情報、
前記流体経路セット内の前記注入流体の濃度、および
前記流体経路セクションの少なくとも1つの特性
のうちの少なくとも1つを判定するステップと、
を含む、方法。
【請求項28】
前記エミッタは前記流体経路セクションの第1の側に配置され、
前記検出器は前記流体経路セクションの第2の側に配置され、
前記流体経路セクションの前記第2の側は、前記流体経路セクションの前記第1の側のおよそ180°反対側にある、
請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記流体注入器システムは、
それぞれ第1の流体および第2の流体を送達するための第1の流体リザーバおよび第2の流体リザーバと、
前記第1の流体リザーバと流体連通する第1の流体経路セクションと、
前記第2の流体リザーバと流体連通する第2の流体経路セクションと、
第1のセンサおよび第2のセンサと、
を備え、
前記第1の流体経路セクションは前記第1のセンサに関連付けられ、前記第2の流体経路セクションは前記第2のセンサに関連付けられている、
請求項27または28に記載の方法。
【請求項30】
前記流体注入器システムは、
前記第1の流体リザーバと流体連通する第1のバルク流体容器と、
前記第2の流体リザーバと流体連通する第2のバルク流体容器と、
をさらに備え、
前記第1のセンサは、前記第1の流体リザーバの充填動作中に前記第1の流体リザーバに入る流体を検出するように配置され、
前記第2のセンサは、前記第2の流体リザーバの充填動作中に前記第2の流体リザーバに入る流体を検出するように配置されている、
請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記第1および第2のセンサによって生成された前記電気信号に基づいて、
前記第1の流体リザーバを充填している前記流体が元々前記第2の流体リザーバを充填するように意図されており、前記第2の流体リザーバを充填している前記流体が元々前記第1の流体リザーバを充填するように意図されていたと判定するステップ
をさらに含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記第1の流体リザーバを充填している前記流体が元々前記第2の流体リザーバを充填するように意図されていたという判定に応答して充填動作を停止するステップをさらに含む、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記第1の流体が前記第1の流体リザーバに関連付けられ、前記第2の流体が前記第2の流体リザーバに関連付けられるように、前記第1の流体リザーバおよび前記第2の流体リザーバの前記識別情報を切り替えるように注入パラメータが更新されることを保証するように注入プロトコルを調整するステップをさらに含む、請求項31に記載の方法。
【請求項34】
元々前記第2の流体リザーバによって注入されるように意図されていた前記流体を注入するように前記第1の流体リザーバを構成し、元々前記第1の流体リザーバによって注入されるように意図されていた前記流体を注入するように前記第2の流体リザーバを構成することによって注入プロトコルを変更するステップをさらに含む、請求項31に記載の方法。
【請求項35】
前記第1の流体リザーバが元々前記第2の流体リザーバよって注入されるように意図されていた前記流体を収容すること、および前記第2の流体リザーバが元々前記第1の流体リザーバによって注入されるように意図されていた前記流体を収容することを示すために、グラフィカルユーザインターフェースの表示を調整するか、または前記流体リザーバに関連付けられた光源を照明するステップをさらに含む、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記流体注入器システムはマニホールドをさらに備え、前記マニホールドは、
前記少なくとも1つの流体経路セクションと、
前記少なくとも1つの流体リザーバのシリンジ先端に接続された入口ポートと、
患者ラインに接続された出口ポートと、
バルク流体容器に接続された充填ポートと、
を備える、請求項27~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記流体の少なくとも1つの識別情報および前記少なくとも1つの流体経路セクション内の前記流体の濃度に基づいて、前記少なくとも1つの流体リザーバの最適充填速度を決定するステップをさらに含む、請求項27~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記最適充填速度は、前記少なくとも1つの流体リザーバに入る際に前記流体への気泡の導入を最小限に抑える、前記少なくとも1つの流体リザーバを充填する最高速度を含む、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記検出器は、前記少なくとも1つの流体経路セクションが造影媒体を収容するときに第1の電圧信号を出力するように構成され、
前記検出器は、前記流体経路セクションが生理食塩水を収容するときに第2の電圧信号を出力するように構成され、
前記方法は、前記第1の電圧信号と前記第2の電圧信号との間の差に基づいて、前記少なくとも1つの流体経路セクション内の前記注入流体の前記識別情報を判定するステップをさらに含む、
請求項27~38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記検出器は、前記少なくとも1つの流体経路セクションが空気を収容するときに第3の電圧信号を出力するように構成され、前記方法は、前記第3の電圧信号、前記第1の電圧信号、および前記第2の電圧信号の間の差に基づいて、前記流体経路セクション内に空気があると判定するステップをさらに含む、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記流体経路セクションが空気を収容すると前記検出器が判定したとき、前記バルク流体リザーバが空であるという警報をユーザに提供するステップをさらに含む、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記少なくとも1つのセンサによって生成された前記電気信号に基づいて、前記少なくとも1つの流体経路セクション内の造影媒体の濃度を判定するステップと、
患者に送達された前記造影媒体の前記濃度を希釈するために、注入処置中に注入される生理食塩水の速度を増加させるステップと、
をさらに含む、請求項27~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
前記少なくとも1つのセンサによって生成された前記電気信号に基づいて、前記少なくとも1つの流体経路セクション内の造影媒体の濃度を判定するステップと、
患者に送達された前記造影媒体の前記濃度を増加させるために、注入処置中に生理食塩水の注入速度を低下させるステップと、
をさらに含む、請求項27~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
前記エミッタは、前記少なくとも1つの流体経路セクションを通る流体流れ方向に垂直な光を放射するように配置されている、請求項23~43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
前記電気信号に基づいて、前記少なくとも1つの流体経路セクションが前記エミッタと前記検出器との間に存在すると判定するステップをさらに含む、請求項27~44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
前記エミッタは、紫外スペクトル上の光を放射するように構成されている、請求項27~45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
前記放射光は、約300nmから約400nmの波長を有する、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記エミッタは、赤外スペクトル上の光を放射するように構成されている、請求項27~45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
前記放射光は、約700nmから約2000nmの波長を有する、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記エミッタは、可視スペクトル上の光を放射するように構成されている、請求項27~45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
前記放射光は、約400nmから約700nmの波長を有する、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
第1のエミッタ電流で前記エミッタを駆動するステップをさらに含み、前記第1のエミッタ電流は、第1の流体が前記流体経路セクション内に存在する場合に前記検出器を飽和させる、請求項27~51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
前記第1のエミッタ電流よりも大きい第2のエミッタ電流で前記エミッタを駆動するステップをさらに含み、前記第2のエミッタ電流は、第2の流体が前記流体経路セクション内に存在する場合に前記検出器を飽和させるように構成されている、請求項52に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年6月17日に出願された米国仮特許出願第63/212,055号明細書の利益を主張するものであり、その開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、造影医療画像撮影処置のために造影媒体を注入するための流体注入器および装置の分野に関する。具体的には、流体注入器装置の流体チュービングセット内の空気および流体タイプ(造影剤および生理食塩水)ならびに流体濃度を検出するためのシステムおよび方法の実施形態が説明される。
【背景技術】
【0003】
多くの医療診断および治療処置において、医師は、1つ以上の医療用流体を患者に注入する。近年、撮影造影媒体溶液(しばしば単に「造影剤」と呼ばれる)、生理食塩水または乳酸リンゲルなどのフラッシング剤、およびその他の医療用流体など、医療用流体の加圧注入のための多数の注入器作動型シリンジおよび動力式流体注入器が、心血管造影検査(CV)、コンピュータ断層撮影(CT)、超音波、磁気共鳴画像法(MRI)、陽電子放出断層撮影法(PET)、およびその他の撮影処置などの撮影処置で使用するために、開発されてきた。一般に、これらの流体注入器は、予め設定された圧力、持続時間、および/または流速で予め設定された量の流体を送達するように設計されている。
【0004】
典型的には、流体注入器は、例えば、プランジャ、またはシリンジの近位端壁の係合機能部との接続を介してシリンジに接続する、ピストンなどの少なくとも1つの駆動部材を有する。あるいは、流体注入器は、流体リザーバから医療用流体を注入するための1つ以上の蠕動ポンプを含んでもよい。シリンジは、バレル内に摺動可能に設けられたシリンジプランジャを有する剛性バレルを含むことができる。駆動部材は、それぞれ流体をシリンジバレル内に引き込むかまたはシリンジバレル内から送達するために、バレルの長手方向軸に対して近位方向および/または遠位方向にプランジャを駆動する。特定の用途では、医療用流体は、CT撮影処置では最大300psi、または例えばCV撮影処置では最大1200psiの流体圧力で血管系に注入される。
【0005】
造影剤およびフラッシング流体の両方が患者に注入される特定の注入中に、どのシリンジが造影剤を含み、どれがフラッシング剤を含むのかをシステムおよびユーザが認識し、造影剤の過剰注入を最小限に抑えるかまたは排除するために正確な量の造影剤およびフラッシング流体が注入処置の正しい時点で注入されることを保証し、正しい造影剤濃度が使用されていることを保証するために、正しい造影剤を利用することが重要である。特定の注入流体は高額であり、誤って投与された場合に患者に害を及ぼす可能性があるため、対応するシリンジに装填されている流体のタイプおよび濃度を検証し、どのシリンジがどの注入流体を収容しているかを注入システムが明確に示すことができるようにするために、新しい方法およびデバイスが必要である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の必要性を考慮して、本開示は、医療用流体注入処置中に流体ライン内の内容物を検出するためのシステム、デバイス、および方法を提供する。本開示の特定の実施形態は、流体注入器システムを対象とする。システムは、少なくとも1つの流体リザーバからの少なくとも1つの流体を加圧および送達するための少なくとも1つの注入器と、バルク流体リザーバと少なくとも1つの注入器に接続されたシリンジとの間の流体連通を提供する少なくとも1つの流体経路セクションと、少なくとも1つの流体経路セクションに沿って配置された少なくとも1つのセンサとを含む。少なくとも1つのセンサは、少なくとも1つの流体経路セクションを通って光を放射するように構成されたエミッタと、少なくとも1つの流体経路セクションを通って放射された光を受け取り、受け取った光の少なくとも1つの特性に基づいて電気信号を生成するように構成された検出器とを含む。システムは、検出器によって生成された電気信号に基づいて、流体経路セクション内に存在する少なくとも1つの流体の識別情報、流体経路セクション内の少なくとも1つの流体の濃度、および流体経路セクションの少なくとも1つの特性のうちの少なくとも1つを判定するようにプログラムまたは構成された、少なくとも1つのプロセッサをさらに含む。
【0007】
いくつかの実施形態では、エミッタは流体経路セクションの第1の側に配置され、検出器は流体経路セクションの第2の側に配置され、流体経路セクションの第2の側は、流体経路セクションの第1の側のおよそ180°反対側にある。
【0008】
いくつかの実施形態では、流体注入器システムは、それぞれ第1の流体および第2の流体を送達するための第1の流体リザーバおよび第2の流体リザーバをさらに含む。システムは、第1の流体リザーバと流体連通する第1の流体経路セクションと、第2の流体リザーバと流体連通する第2の流体経路セクションと、第1のセンサおよび第2のセンサとをさらに含む。第1の流体経路セクションは第1のセンサに関連付けられ、第2の流体経路セクションは第2のセンサに関連付けられる。
【0009】
いくつかの実施形態では、流体注入器システムは、第1の流体リザーバと流体連通する第1のバルク流体容器と、第2の流体リザーバと流体連通する第2のバルク流体容器とをさらに含む。第1のセンサは、第1の流体リザーバの充填動作中に第1のバルク流体容器から第1の流体リザーバに入る流体を検出するように配置され、第2のセンサは、第2の流体リザーバの充填動作中に第2のバルク流体容器から第2の流体リザーバに入る流体を検出するように配置される。
【0010】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのプロセッサは、第1および第2のセンサによって生成された電気信号に基づいて、第1の流体リザーバを充填している流体が元々第2の流体リザーバを充填するように意図されており、第2の流体リザーバを充填している流体が元々第1の流体リザーバを充填するように意図されていたと判定するようにプログラムまたは構成される。
【0011】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのプロセッサは、第1の流体リザーバを充填している流体が元々第2の流体リザーバを充填するように意図されていたという判定に応答して充填動作を停止すること、および第1の流体が第1の流体リザーバに関連付けられ、第2の流体が第2の流体リザーバに関連付けられるように、第1の流体リザーバおよび第2の流体リザーバの識別情報を切り替えるように注入パラメータが更新されることを保証するように注入プロトコルを調整すること、から選択された動作を実行するようにプログラムまたは構成される。
【0012】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのプロセッサは、元々第2の流体リザーバによって注入されるように意図されていた流体を注入するように第1の流体リザーバを構成し、元々第1の流体リザーバによって注入されるように意図されていた流体を注入するように第2の流体リザーバを構成することによって注入プロトコルを変更するようにプログラムまたは構成される。
【0013】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのプロセッサは、第1の流体リザーバが元々第2の流体リザーバよって注入されるように意図されていた流体を収容すること、および第2の流体リザーバが元々第1の流体リザーバによって注入されるように意図されていた流体を収容することを示すために、グラフィカルユーザインターフェースの表示を調整するか、または流体リザーバに関連付けられた光源を照明するようにプログラムまたは構成される。
【0014】
いくつかの実施形態では、流体注入器システムは、マニホールドをさらに含む。マニホールドは、少なくとも1つの流体経路セクションと、少なくとも1つの流体リザーバのシリンジ先端に接続された入口ポートと、患者ラインに接続された出口ポートと、バルク流体容器に接続された充填ポートとを含む。
【0015】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのプロセッサは、流体の少なくとも1つの識別情報および少なくとも1つの流体経路セクション内の流体の濃度に基づいて、少なくとも1つの流体リザーバの最適充填速度を決定するようにプログラムまたは構成される。
【0016】
いくつかの実施形態では、最適充填速度は、少なくとも1つの流体リザーバに入る際に流体への気泡の導入を最小限に抑える、少なくとも1つの流体リザーバを充填する最高速度を含む。
【0017】
いくつかの実施形態では、検出器は、少なくとも1つの流体経路セクションが造影媒体を収容するときに第1の電圧信号を出力するように構成される。検出器は、流体経路セクションが生理食塩水を収容するときに第2の電圧信号を出力するように構成される。少なくとも1つのプロセッサは、第1の電圧信号と第2の電圧信号との間の差に基づいて、少なくとも1つの流体経路セクション内の注入流体の識別情報を判定するように構成される。
【0018】
いくつかの実施形態では、検出器は、少なくとも1つの流体経路セクションが空気を収容するときに第3の電圧信号を出力するように構成される。少なくとも1つのプロセッサは、第3の電圧信号、第1の電圧信号、および第2の電圧信号の間の差に基づいて、少なくとも1つの流体経路セクション内に空気があると判定するようにプログラムまたは構成される。
【0019】
いくつかの実施形態では、流体経路セクションが空気を収容すると検出器が判定したとき、検出器は、バルク流体リザーバが空であるという警報をユーザに提供するように構成される。
【0020】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのプロセッサは、少なくとも1つのセンサによって生成された電気信号に基づいて、少なくとも1つの流体経路セクション内の造影媒体の濃度を判定し、患者に送達された造影媒体の濃度を希釈するために、注入処置中に注入される生理食塩水の速度を増加させるようにプログラムまたは構成される。
【0021】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのプロセッサは、少なくとも1つのセンサによって生成された電気信号に基づいて、流体経路セクション内の造影媒体の濃度を判定し、患者に送達された造影媒体の濃度を増加させるために、注入処置中に生理食塩水の注入速度を低下させるようにプログラムまたは構成される。
【0022】
いくつかの実施形態では、エミッタは、少なくとも1つの流体経路セクションを通る流体流れ方向に垂直な光を放射するように配置される。
【0023】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのプロセッサは、電気信号に基づいて、少なくとも1つの流体経路セクションがエミッタと検出器との間に存在すると判定するようにプログラムまたは構成される。
【0024】
いくつかの実施形態では、エミッタは、紫外スペクトル上の光を放射するように構成される。放射光は、約300nmから約400nmの波長を有し得る。
【0025】
いくつかの実施形態では、エミッタは、赤外スペクトル上の光を放射するように構成される。放射光は、約700nmから約2000nmの波長を有し得る。
【0026】
いくつかの実施形態では、エミッタは、可視スペクトル上の光を放射するように構成される。放射光は、約400nmから約700nmの波長を有し得る。
【0027】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのプロセッサは、第1のエミッタ電流でエミッタを駆動するようにプログラムまたは構成され、第1のエミッタ電流は、第1の流体が流体経路セクション内に存在する場合に検出器を飽和させるように構成される。
【0028】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのプロセッサは、第1のエミッタ電流よりも大きい第2のエミッタ電流でエミッタを駆動するようにプログラムまたは構成され、第2のエミッタ電流は、第2の流体が流体経路セクション内に存在する場合に検出器を飽和させるように構成される。
【0029】
本開示の別の実施形態は、流体注入器システムの少なくとも1つの流体経路セクション内を流れる流体の1つ以上の流体特性を判定するための方法を対象とする。方法は、少なくとも1つの流体経路セクションを通って少なくとも1つのセンサのエミッタから光を放射するステップと、第1の近位センサの検出器を用いて、少なくとも1つの流体経路セクションを通過した光を検出するステップと、検出器によって生成された電気信号に基づいて、流体経路セット内に存在する注入流体の識別情報、流体経路セット内の注入流体の濃度、および流体経路セクションの少なくとも1つの特性のうちの少なくとも1つを判定するステップとを含む。
【0030】
いくつかの実施形態では、エミッタは流体経路セクションの第1の側に配置され、検出器は流体経路セクションの第2の側に配置され、流体経路セクションの第2の側は、流体経路セクションの第1の側のおよそ180°反対側にある。
【0031】
いくつかの実施形態では、流体注入器システムは、それぞれ第1の流体および第2の流体を送達するための第1の流体リザーバおよび第2の流体リザーバと、第1の流体リザーバと流体連通する第1の流体経路セクションと、第2の流体リザーバと流体連通する第2の流体経路セクションと、第1のセンサおよび第2のセンサとを含む。第1の流体経路セクションは第1のセンサに関連付けられ、第2の流体経路セクションは第2のセンサに関連付けられる。
【0032】
いくつかの実施形態では、流体注入器システムは、第1の流体リザーバと流体連通する第1のバルク流体容器と、第2の流体リザーバと流体連通する第2のバルク流体容器とをさらに含む。第1のセンサは、第1の流体リザーバの充填動作中に第1の流体リザーバに入る流体を検出するように配置され、第2のセンサは、第2の流体リザーバの充填動作中に第2の流体リザーバに入る流体を検出するように配置される。
【0033】
いくつかの実施形態では、方法は、第1および第2のセンサによって生成された電気信号に基づいて、第1の流体リザーバを充填している流体が元々第2の流体リザーバを充填するように意図されており、第2の流体リザーバを充填している流体が元々第1の流体リザーバを充填するように意図されていたと判定するステップをさらに含む。
【0034】
いくつかの実施形態では、方法は、第1の流体リザーバを充填している流体が元々第2の流体リザーバを充填するように意図されていたという判定に応答して充填動作を停止するステップをさらに含む。
【0035】
いくつかの実施形態では、方法は、第1の流体が第1の流体リザーバに関連付けられ、第2の流体が第2の流体リザーバに関連付けられるように、第1の流体リザーバおよび第2の流体リザーバの識別情報を切り替えるように注入パラメータが更新されることを保証するように注入プロトコルを調整するステップをさらに含む。
【0036】
いくつかの実施形態では、方法は、元々第2の流体リザーバによって注入されるように意図されていた流体を注入するように第1の流体リザーバを構成し、元々第1の流体リザーバによって注入されるように意図されていた流体を注入するように第2の流体リザーバを構成することによって注入プロトコルを変更するステップをさらに含む。
【0037】
いくつかの実施形態では、方法は、第1の流体リザーバが元々第2の流体リザーバよって注入されるように意図されていた流体を収容すること、および第2の流体リザーバが元々第1の流体リザーバによって注入されるように意図されていた流体を収容することを示すために、グラフィカルユーザインターフェースの表示を調整するか、または流体リザーバに関連付けられた光源を照明するステップをさらに含む。
【0038】
いくつかの実施形態では、流体注入器システムは、マニホールドをさらに含む。マニホールドは、少なくとも1つの流体経路セクションと、少なくとも1つの流体リザーバのシリンジ先端に接続された入口ポートと、患者ラインに接続された出口ポートと、バルク流体容器に接続された充填ポートとを含む。
【0039】
いくつかの実施形態では、方法は、流体の少なくとも1つの識別情報および少なくとも1つの流体経路セクション内の流体の濃度に基づいて、少なくとも1つの流体リザーバの最適充填速度を決定するステップをさらに含む。
【0040】
いくつかの実施形態では、最適充填速度は、少なくとも1つの流体リザーバに入る際に流体への気泡の導入を最小限に抑える、少なくとも1つの流体リザーバを充填する最高速度を含む。
【0041】
いくつかの実施形態では、検出器は、少なくとも1つの流体経路セクションが造影媒体を収容するときに第1の電圧信号を出力するように構成される。検出器は、流体経路セクションが生理食塩水を収容するときに第2の電圧信号を出力するように構成される。方法は、第1の電圧信と第2の電圧信号との間の差に基づいて、少なくとも1つの流体経路セクション内の注入流体の識別情報を判定するステップをさらに含む。
【0042】
いくつかの実施形態では、検出器は、少なくとも1つの流体経路セクションが空気を収容するときに第3の電圧信号を出力するように構成される。方法は、第3の電圧信号、第1の電圧信号、および第2の電圧信号の間の差に基づいて、流体経路セクション内に空気があると判定するステップをさらに含む。
【0043】
いくつかの実施形態では、方法は、流体経路セクションが空気を収容すると検出器が判定したとき、バルク流体リザーバが空であるという警報をユーザに提供するステップをさらに含む。
【0044】
いくつかの実施形態では、方法は、少なくとも1つのセンサによって生成された電気信号に基づいて、少なくとも1つの流体経路セクション内の造影媒体の濃度を判定するステップと、患者に送達された造影媒体の濃度を希釈するために、注入処置中に注入される生理食塩水の速度を増加させるステップとをさらに含む。
【0045】
いくつかの実施形態では、方法は、少なくとも1つのセンサによって生成された電気信号に基づいて、少なくとも1つの流体経路セクション内の造影媒体の濃度を判定するステップと、患者に送達された造影媒体の濃度を増加させるために、注入処置中に生理食塩水の注入速度を低下させるステップとをさらに含む。
【0046】
いくつかの実施形態では、エミッタは、少なくとも1つの流体経路セクションを通る流体流れ方向に垂直な光を放射するように配置される。
【0047】
いくつかの実施形態では、方法は、電気信号に基づいて、少なくとも1つの流体経路セクションがエミッタと検出器との間に存在すると判定するステップをさらに含む。
【0048】
いくつかの実施形態では、エミッタは、紫外スペクトル上の光を放射するように構成される。放射光は、約300nmから約400nmの波長を有し得る。
【0049】
いくつかの実施形態では、エミッタは、赤外スペクトル上の光を放射するように構成される。放射光は、約700nmから約2000nmの波長を有し得る。
【0050】
いくつかの実施形態では、エミッタは、可視スペクトル上の光を放射するように構成される。放射光は、約400nmから約700nmの波長を有し得る。
【0051】
いくつかの実施形態では、方法は、第1のエミッタ電流でエミッタを駆動するステップをさらに含み、第1のエミッタ電流は、第1の流体が流体経路セクション内に存在する場合に検出器を飽和させるように構成される。
【0052】
いくつかの実施形態では、方法は、第1のエミッタ電流よりも大きい第2のエミッタ電流でエミッタを駆動するステップをさらに含み、第2のエミッタ電流は、第2の流体が流体経路セクション内に存在する場合に検出器を飽和させるように構成される。
【0053】
本開示のさらなる態様または例は、以下の番号が付けられた条項に記載されている。
【0054】
条項1.流体注入器システムであって、少なくとも1つの流体リザーバからの少なくとも1つの流体を加圧および送達するための少なくとも1つの注入器と、バルク流体リザーバと少なくとも1つの注入器に接続されたシリンジとの間の流体連通を提供する少なくとも1つの流体経路セクションと、少なくとも1つの流体経路セクションに沿って配置された少なくとも1つのセンサであって、少なくとも1つのセンサが、少なくとも1つの流体経路セクションを通って光を放射するように構成されたエミッタと、少なくとも1つの流体経路セクションを通って放射された光を受け取り、受け取った光の少なくとも1つの特性に基づいて電気信号を生成するように構成された検出器と、を備える少なくとも1つのセンサと、検出器によって生成された電気信号に基づいて、流体経路セクション内に存在する少なくとも1つの流体の識別情報、流体経路セクション内の少なくとも1つの流体の濃度、および流体経路セクションの少なくとも1つの特性のうちの少なくとも1つを判定するようにプログラムまたは構成された少なくとも1つのプロセッサと、を備える、流体注入器システム。
【0055】
条項2.エミッタは流体経路セクションの第1の側に配置され、検出器は流体経路セクションの第2の側に配置され、流体経路セクションの第2の側は、流体経路セクションの第1の側のおよそ180°反対側にある、条項1に記載の流体注入器システム。
【0056】
条項3.それぞれ第1の流体および第2の流体を送達するための第1の流体リザーバおよび第2の流体リザーバと、第1の流体リザーバと流体連通する第1の流体経路セクションと、第2の流体リザーバと流体連通する第2の流体経路セクションと、第1のセンサおよび第2のセンサと、をさらに備え、第1の流体経路セクションは第1のセンサに関連付けられ、第2の流体経路セクションは第2のセンサに関連付けられている、条項1または2に記載の流体注入器システム。
【0057】
条項4.第1の流体リザーバと流体連通する第1のバルク流体容器と、第2の流体リザーバと流体連通する第2のバルク流体容器と、をさらに備え、第1のセンサは、第1の流体リザーバの充填動作中に第1のバルク流体容器から第1の流体リザーバに入る流体を検出するように配置され、第2のセンサは、第2の流体リザーバの充填動作中に第2のバルク流体容器から第2の流体リザーバに入る流体を検出するように配置されている、条項1から3のいずれか一項に記載の流体注入器システム。
【0058】
条項5.少なくとも1つのプロセッサは、第1および第2のセンサによって生成された電気信号に基づいて、第1の流体リザーバを充填している流体が元々第2の流体リザーバを充填するように意図されており、第2の流体リザーバを充填している流体が元々第1の流体リザーバを充填するように意図されていたと判定するようにプログラムまたは構成されている、条項1から4のいずれか一項に記載の流体注入器システム。
【0059】
条項6.少なくとも1つのプロセッサは、第1の流体リザーバを充填している流体が元々第2の流体リザーバを充填するように意図されていたという判定に応答して充填動作を停止すること、および第1の流体が第1の流体リザーバに関連付けられ、第2の流体が第2の流体リザーバに関連付けられるように、第1の流体リザーバおよび第2の流体リザーバの識別情報を切り替えるように注入パラメータが更新されることを保証するように注入プロトコルを調整すること、から選択された動作を実行するようにプログラムまたは構成されている、条項1から5のいずれか一項に記載の流体注入器システム。
【0060】
条項7.少なくとも1つのプロセッサは、元々第2の流体リザーバによって注入されるように意図されていた流体を注入するように第1の流体リザーバを構成し、元々第1の流体リザーバによって注入されるように意図されていた流体を注入するように第2の流体リザーバを構成することによって注入プロトコルを変更するようにプログラムまたは構成されている、条項1から6のいずれか一項に記載の流体注入器システム。
【0061】
条項8.少なくとも1つのプロセッサは、第1の流体リザーバが元々第2の流体リザーバよって注入されるように意図されていた流体を収容すること、および第2の流体リザーバが元々第1の流体リザーバによって注入されるように意図されていた流体を収容することを示すために、グラフィカルユーザインターフェースの表示を調整するか、または流体リザーバに関連付けられた光源を照明するようにプログラムまたは構成されている、条項1から7のいずれか一項に記載の流体注入器システム。
【0062】
条項9.マニホールドをさらに備え、マニホールドは、少なくとも1つの流体経路セクションと、少なくとも1つの流体リザーバのシリンジ先端に接続された入口ポートと、患者ラインに接続された出口ポートと、バルク流体容器に接続された充填ポートと、を備える、条項1から8のいずれか一項に記載の流体注入器システム。
【0063】
条項10.少なくとも1つのプロセッサは、流体の少なくとも1つの識別情報および少なくとも1つの流体経路セクション内の流体の濃度に基づいて、少なくとも1つの流体リザーバの最適充填速度を決定するようにプログラムまたは構成されている、条項1から9のいずれか一項に記載の流体注入器システム。
【0064】
条項11.最適充填速度は、少なくとも1つの流体リザーバに入る際に流体への気泡の導入を最小限に抑える、少なくとも1つの流体リザーバを充填する最高速度を含む、条項1から10のいずれか一項に記載の流体注入器システム。
【0065】
条項12.検出器は、少なくとも1つの流体経路セクションが造影媒体を収容するときに第1の電圧信号を出力するように構成され、検出器は、流体経路セクションが生理食塩水を収容するときに第2の電圧信号を出力するように構成され、少なくとも1つのプロセッサは、第1の電圧信号と第2の電圧信号との間の差に基づいて、少なくとも1つの流体経路セクション内の注入流体の識別情報を判定するようにプログラムまたは構成されている、条項1から11のいずれか一項に記載の流体注入器システム。
【0066】
条項13.検出器は、少なくとも1つの流体経路セクションが空気を収容するときに第3の電圧信号を出力するように構成され、少なくとも1つのプロセッサは、第3の電圧信号、第1の電圧信号、および第2の電圧信号の間の差に基づいて、少なくとも1つの流体経路セクション内に空気があると判定するようにプログラムまたは構成されている、条項1から12のいずれか一項に記載の流体注入器システム。
【0067】
条項14.流体経路セクションが空気を収容すると検出器が判定したとき、検出器は、バルク流体リザーバが空であるという警報をユーザに提供するように構成されている、条項1から13のいずれか一項に記載の流体注入器システム。
【0068】
条項15.少なくとも1つのプロセッサは、少なくとも1つのセンサによって生成された電気信号に基づいて、少なくとも1つの流体経路セクション内の造影媒体の濃度を判定し、患者に送達された造影媒体の濃度を希釈するために、注入処置中に注入される生理食塩水の速度を増加させるようにプログラムまたは構成されている、条項1から14のいずれか一項に記載の流体注入器システム。
【0069】
条項16.少なくとも1つのプロセッサは、少なくとも1つのセンサによって生成された電気信号に基づいて、流体経路セクション内の造影媒体の濃度を判定し、患者に送達された造影媒体の濃度を増加させるために、注入処置中に生理食塩水の注入速度を低下させるようにプログラムまたは構成されている、条項1から15のいずれか一項に記載の流体注入器システム。
【0070】
条項17.エミッタは、少なくとも1つの流体経路セクションを通る流体流れ方向に垂直な光を放射するように配置されている、条項1から16のいずれか一項に記載の流体注入器システム。
【0071】
条項18.少なくとも1つのプロセッサは、電気信号に基づいて、少なくとも1つの流体経路セクションがエミッタと検出器との間に存在すると判定するようにプログラムまたは構成されている、条項1から17のいずれか一項に記載の流体注入器システム。
【0072】
条項19.エミッタは、紫外スペクトル上の光を放射するように構成されている、条項1から18のいずれか一項に記載の流体注入器システム。
【0073】
条項20.放射光は、約300nmから約400nmの波長を有する、条項1から19のいずれか一項に記載の流体注入器システム。
【0074】
条項21.エミッタは、赤外スペクトル上の光を放射するように構成されている、条項1から20のいずれか一項に記載の流体注入器システム。
【0075】
条項22.放射光は、約700nmから約2000nmの波長を有する、条項1から21のいずれか一項に記載の流体注入器システム。
【0076】
条項23.エミッタは、可視スペクトル上の光を放射するように構成されている、条項1から22のいずれか一項に記載の流体注入器システム。
【0077】
条項24.放射光は、約400nmから約700nmの波長を有する、条項1から23のいずれか一項に記載の流体注入器システム。
【0078】
条項25.少なくとも1つのプロセッサは、第1のエミッタ電流でエミッタを駆動するようにプログラムまたは構成され、第1のエミッタ電流は、第1の流体が流体経路セクション内に存在する場合に検出器を飽和させるように構成されている、条項1から24のいずれか一項に記載の流体注入器システム。
【0079】
条項26.少なくとも1つのプロセッサは、第1のエミッタ電流よりも大きい第2のエミッタ電流でエミッタを駆動するようにプログラムまたは構成され、第2のエミッタ電流は、第2の流体が流体経路セクション内に存在する場合に検出器を飽和させるように構成されている、条項1から25のいずれか一項に記載の流体注入器システム。
【0080】
条項27.流体注入器システムの少なくとも1つの流体経路セクション内を流れる流体の1つ以上の流体特性を判定するための方法であって、方法は、少なくとも1つの流体経路セクションを通って少なくとも1つのセンサのエミッタから光を放射するステップと、第1の近位センサの検出器を用いて、少なくとも1つの流体経路セクションを通過した光を検出するステップと、検出器によって生成された電気信号に基づいて、流体経路セット内に存在する注入流体の識別情報、流体経路セット内の注入流体の濃度、および流体経路セクションの少なくとも1つの特性のうちの少なくとも1つを判定するステップと、を含む、方法。
【0081】
条項28.エミッタは流体経路セクションの第1の側に配置され、検出器は流体経路セクションの第2の側に配置され、流体経路セクションの第2の側は、流体経路セクションの第1の側のおよそ180°反対側にある、条項27に記載の方法。
【0082】
条項29.流体注入器システムは、それぞれ第1の流体および第2の流体を送達するための第1の流体リザーバおよび第2の流体リザーバと、第1の流体リザーバと流体連通する第1の流体経路セクションと、第2の流体リザーバと流体連通する第2の流体経路セクションと、第1のセンサおよび第2のセンサと、を備え、第1の流体経路セクションは第1のセンサに関連付けられ、第2の流体経路セクションは第2のセンサに関連付けられている、条項27または28に記載の方法。
【0083】
条項30.流体注入器システムは、第1の流体リザーバと流体連通する第1のバルク流体容器と、第2の流体リザーバと流体連通する第2のバルク流体容器と、をさらに備え、第1のセンサは、第1の流体リザーバの充填動作中に第1の流体リザーバに入る流体を検出するように配置され、第2のセンサは、第2の流体リザーバの充填動作中に第2の流体リザーバに入る流体を検出するように配置されている、条項27から29のいずれか一項に記載の方法。
【0084】
条項31.第1および第2のセンサによって生成された電気信号に基づいて、第1の流体リザーバを充填している流体が元々第2の流体リザーバを充填するように意図されており、第2の流体リザーバを充填している流体が元々第1の流体リザーバを充填するように意図されていたと判定するステップをさらに含む、条項27から30のいずれか一項に記載の方法。
【0085】
条項32.第1の流体リザーバを充填している流体が元々第2の流体リザーバを充填するように意図されていたという判定に応答して充填動作を停止するステップをさらに含む、条項27から31のいずれか一項に記載の方法。
【0086】
条項33.第1の流体が第1の流体リザーバに関連付けられ、第2の流体が第2の流体リザーバに関連付けられるように、第1の流体リザーバおよび第2の流体リザーバの識別情報を切り替えるように注入パラメータが更新されることを保証するように注入プロトコルを調整するステップをさらに含む、条項27から32のいずれか一項に記載の方法。
【0087】
条項34.元々第2の流体リザーバによって注入されるように意図されていた流体を注入するように第1の流体リザーバを構成し、元々第1の流体リザーバによって注入されるように意図されていた流体を注入するように第2の流体リザーバを構成することによって注入プロトコルを変更するステップをさらに含む、条項27から33のいずれか一項に記載の方法。
【0088】
条項35.第1の流体リザーバが元々第2の流体リザーバよって注入されるように意図されていた流体を収容すること、および第2の流体リザーバが元々第1の流体リザーバによって注入されるように意図されていた流体を収容することを示すために、グラフィカルユーザインターフェースの表示を調整するか、または流体リザーバに関連付けられた光源を照明するステップをさらに含む、条項27から34のいずれか一項に記載の方法。
【0089】
条項36.流体注入器システムはマニホールドをさらに備え、マニホールドは、少なくとも1つの流体経路セクションと、少なくとも1つの流体リザーバのシリンジ先端に接続された入口ポートと、患者ラインに接続された出口ポートと、バルク流体容器に接続された充填ポートと、を備える、条項27から35のいずれか一項に記載の方法。
【0090】
条項37.流体の少なくとも1つの識別情報および少なくとも1つの流体経路セクション内の流体の濃度に基づいて、少なくとも1つの流体リザーバの最適充填速度を決定するステップをさらに含む、条項27から36のいずれか一項に記載の方法。
【0091】
条項38.最適充填速度は、少なくとも1つの流体リザーバに入る際に流体への気泡の導入を最小限に抑える、少なくとも1つの流体リザーバを充填する最高速度を含む、条項27から37のいずれか一項に記載の方法。
【0092】
条項39.検出器は、少なくとも1つの流体経路セクションが造影媒体を収容するときに第1の電圧信号を出力するように構成され、検出器は、流体経路セクションが生理食塩水を収容するときに第2の電圧信号を出力するように構成され、方法は、第1の電圧信号と第2の電圧信号との間の差に基づいて、少なくとも1つの流体経路セクション内の注入流体の識別情報を判定するステップをさらに含む、条項27から38のいずれか一項に記載の方法。
【0093】
条項40.検出器は、少なくとも1つの流体経路セクションが空気を収容するときに第3の電圧信号を出力するように構成され、方法は、第3の電圧信号、第1の電圧信号、および第2の電圧信号の間の差に基づいて、流体経路セクション内に空気があると判定するステップをさらに含む、条項27から39のいずれか一項に記載の方法。
【0094】
条項41.流体経路セクションが空気を収容すると検出器が判定したとき、バルク流体リザーバが空であるという警報をユーザに提供するステップをさらに含む、条項27から40のいずれか一項に記載の方法。
【0095】
条項42.少なくとも1つのセンサによって生成された電気信号に基づいて、少なくとも1つの流体経路セクション内の造影媒体の濃度を判定するステップと、患者に送達された造影媒体の濃度を希釈するために、注入処置中に注入される生理食塩水の速度を増加させるステップと、をさらに含む、条項27から41のいずれか一項に記載の方法。
【0096】
条項43.少なくとも1つのセンサによって生成された電気信号に基づいて、少なくとも1つの流体経路セクション内の造影媒体の濃度を判定するステップと、患者に送達された造影媒体の濃度を増加させるために、注入処置中に生理食塩水の注入速度を低下させるステップと、をさらに含む、条項27から42のいずれか一項に記載の方法。
【0097】
条項44.エミッタは、少なくとも1つの流体経路セクションを通る流体流れ方向に垂直な光を放射するように配置されている、条項27から43のいずれか一項に記載の方法。
【0098】
条項45.電気信号に基づいて、少なくとも1つの流体経路セクションがエミッタと検出器との間に存在すると判定するステップをさらに含む、条項27から44のいずれか一項に記載の方法。
【0099】
条項46.エミッタは、紫外スペクトル上の光を放射するように構成されている、条項27から45のいずれか一項に記載の方法。
【0100】
条項47.放射光は、約300nmから約400nmの波長を有する、条項27から46のいずれか一項に記載の方法。
【0101】
条項48.エミッタは、赤外スペクトル上の光を放射するように構成されている、条項27から47のいずれか一項に記載の方法。
【0102】
条項49.放射光は、約700nmから約2000nmの波長を有する、条項27から48のいずれか一項に記載の方法。
【0103】
条項50.エミッタは、可視スペクトル上の光を放射するように構成されている、条項27から49のいずれか一項に記載の方法。
【0104】
条項51.放射光は、約400nmから約700nmの波長を有する、条項27から50のいずれか一項に記載の方法。
【0105】
条項52.第1のエミッタ電流でエミッタを駆動するステップをさらに含み、第1のエミッタ電流は、第1の流体が流体経路セクション内に存在する場合に検出器を飽和させるように構成されている、条項27から51のいずれか一項に記載の方法。
【0106】
条項53.第1のエミッタ電流よりも大きい第2のエミッタ電流でエミッタを駆動するステップをさらに含み、第2のエミッタ電流は、第2の流体が流体経路セクション内に存在する場合に検出器を飽和させるように構成されている、条項27から52のいずれか一項に記載の方法。
【0107】
本明細書で詳細に説明される様々な例のさらなる詳細および利点は、添付図面と併せて様々な例の以下の詳細な説明を検討すると、明らかになるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【
図1】本開示の一実施形態による流体注入器システムの斜視図である。
【
図2】本開示の一実施形態による流体注入器システムの概略図である。
【
図3】本開示の一実施形態によるセンサモジュールの正面断面図である。
【
図4】液体充填流体経路セクションに関連付けられた
図3のセンサモジュールの正面断面図である。
【
図5】
図3のセンサモジュールの正面断面図である。
【
図6】本開示の一実施形態によるマニホールドおよびマニホールドハウジングモジュールの正面図である。
【
図7】本開示の一実施形態によるシリンジ先端、流体経路セクション、およびセンサモジュールの側面断面図である。
【
図8A】本開示の一実施形態による、赤外線を使用する流体経路セクション内の様々な流体についてのセンサ出力電圧のヒストグラムである。
【
図8B】赤外線を使用する流体経路セクション内の様々なタイプの造影媒体についての、
図8Aからのセンサ出力電圧の標準偏差のプロットである。
【
図9】本開示の一実施形態による、赤外線を使用する流体経路セクション内の様々な濃度の造影媒体についての平均センサ出力電圧のグラフである。
【
図10】本開示の一実施形態による、紫外線を使用する流体経路セクション内の様々な濃度の造影媒体についての平均センサ出力電圧のグラフである。
【
図11】本開示の一実施形態による、紫外線を使用する流体経路セクション内の様々な濃度の造影媒体についての平均センサ出力電圧のグラフである。
【
図12】本開示の一実施形態による、流体経路セクション内の様々な造影媒体についての相対電磁透過のグラフである。
【
図13】本開示の一実施形態による、流体経路セクション内の様々な造影媒体についての相対電磁透過のグラフである。
【
図14】本開示の一実施形態による、流体経路セクション内の様々な造影媒体についての相対電磁透過のグラフである。
【
図15】本開示の一実施形態による、流体経路セクション内の様々な造影媒体についての相対電磁透過のグラフである。
【
図16】偏心流体経路セクションの正面断面図である。
【
図17】ドラフトを有する流体経路セクションの側面断面図である。
【
図18】表面仕上げを有する流体経路セクションの側面断面図である。
【
図19】真円ではない流体経路セクションの正面断面図である。
【
図20】ひげを有する流体経路セクションの正面断面図である。
【
図21A】開示の一実施形態による、エミッタ電流の関数としての検出器出力電圧を示すグラフである。
【
図21B】開示の一実施形態による、エミッタ電流の関数としての検出器出力電圧を示すグラフである。
【
図21C】開示の一実施形態による、エミッタ電流の関数としての検出器出力電圧を示すグラフである。
【
図21D】開示の一実施形態による、エミッタ電流の関数としての検出器出力電圧を示すグラフである。
【
図21E】開示の一実施形態による、エミッタ電流の関数としての検出器出力電圧を示すグラフである。
【
図21F】開示の一実施形態による、エミッタ電流の関数としての検出器出力電圧を示すグラフである。
【
図21G】開示の一実施形態による、エミッタ電流の関数としての検出器出力電圧を示すグラフである。
【
図21H】開示の一実施形態による、エミッタ電流の関数としての検出器出力電圧を示すグラフである。
【
図22】シリンジキャップの様々な条件および構成についての、時間に対するセンサ出力電圧のグラフである。
【
図23】開示の一実施形態によるセンサの回路図である。
【
図24】開示の一実施形態によるシリンジ先端、マニホールド、およびセンサモジュールの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0109】
本明細書で使用される際に、単数形の「a」、「an」、および「the」は、別途文脈が明確に指示しない限りにおいて、複数の指示対象を含む。「左」、「右」、「内側」、「外側」、「上」、「下」など、空間的または方向的な用語は、図面に示されるような本発明に関し、本発明が様々な代替的向を想定できるため、限定的と見なされるべきではない。
【0110】
明細書および請求項で使用されるすべての数は、すべての事例において用語「約」によって修正されるものとして理解されるべきである。用語「約」は、記載された値のプラスまたはマイナス10パーセントなど、記載された値のプラスまたはマイナス25パーセントを含むことを意味する。しかしながら、これは、均等論の下での値の任意の分析に限定すると解釈されるべきではない。別途指示されない限り、本明細書に開示されるすべての範囲または比は、開始値および終了値ならびにこれらに包含されるありとあらゆる部分範囲または部分比を包含すると理解されるべきである。例えば、「1から10」と記載された範囲または比は、最小値1と最大値10との間の(およびこれらを含む)ありとあらゆる部分範囲または部分比、すなわち、最小値1以上から始まって最大値10以下で終わるすべての部分範囲または部分比含むと見なされるべきである。本明細書に開示される範囲および/または比は、指定された範囲および/または比にわたる平均値を表す。「第1」、「第2」などの用語は、特定の順序または時系列を指すものではなく、異なる条件、特性、または要素を指すように意図される。
【0111】
本明細書で言及されるすべての文書は、その全体が「参照により組み込まれる」。
【0112】
用語「少なくとも」は、「以上」と同義である。用語「より多くない」は、「以下」と同義である。本明細書で使用される際に、「少なくとも1つ」は「1つ以上」と同義である。例えば、語句「A、B、およびCのうちの少なくとも1つ」は、A、B、もしくはCのいずれか1つ、またはA、B、もしくはCのうちのいずれか2つ以上の任意の組み合わせを意味する。例えば、「A、B、およびCのうちの少なくとも1つ」は、Aのみ、Bのみ、Cのみ、またはAおよびB、AおよびC、もしくはBおよびC、またはA、B、およびCのすべてを含む。用語「含む(includes)」は、「備える(comprises)」同義である。
【0113】
シリンジに関連して使用されるとき、用語「近位」は、シリンジの端壁と係合し、シリンジから流体を送達するための、ピストン要素に最も近いシリンジの部分を指す。流体経路に関連して使用されるとき、用語「近位」は、流体経路が注入器システムと接続しているときに注入器システムに最も近い流体経路の部分を指す。シリンジに関連して使用されるとき、用語「遠位」は、送達ノズルに最も近いシリンジの部分を指す。流体経路に関連して使用されるとき、用語「遠位」は、流体経路が注入器システムに接続されたときに患者に最も近い流体経路の部分を指す。用語「径方向」は、近位端と遠位端との間に延在する、シリンジの長手方向軸に対して垂直な断面内の方向を指す。用語「周方向」は、シリンジの側壁の内面または外面の周りの方向を指す。用語「軸方向」は、近位端と遠位端との間に延在する、シリンジの縦軸に沿った方向を指す。
【0114】
本開示は、そうではないと明確に指定された場合を除き、代替の変形形態およびステップシーケンスを想定し得ることは、理解されるべきである。添付図面に示されて以下の明細書に記載される特定のデバイスおよびプロセスは、本開示の単なる例示的な態様であることもまた、理解されるべきである。したがって、本明細書に開示される例に関する特定の寸法およびその他の物理的特性は、限定的であると見なされるべきではない。
【0115】
図面のいくつかの図を通して同様の参照符号が同様の部分を指す図面を参照すると、本開示は、流体充填動作中に流体経路セクションの流体内容物を検出および分析するためのシステム、構成要素、デバイス、および方法を提供する。最初に
図1および
図2を参照すると、デュアルシリンジ流体注入器システム2000の実施形態が示されている。流体注入器システム2000は、添付図面にシリンジとして示されている、それぞれの流体リザーバ10A、10Bから2つの医療用流体を注入するように構成される。いくつかの実施形態では、第1の流体リザーバ10Aは、血管造影検査(CV)、MRI、PET、またはコンピュータ断層撮影(CT)注入処置のための撮影造影媒体を収容し、第2の流体リザーバ10Bは、生理食塩水または乳酸リンゲルなどのフラッシング流体を収容する。当業者によって理解されるように、造影剤流体は、典型的に、規定された濃度の造影剤化合物の水溶液である。異なる濃度の様々な造影剤化合物が当該技術分野において知られている。流体は、流体リザーバ10A、10Bから、患者の血管系に挿入されたカテーテル110に流体リザーバ10A、10Bを接続する一連の流体経路要素を通じて注入される。流体注入器システム2000は、それぞれのシリンジ10A、10Bに撮影造影媒体およびフラッシング流体をそれぞれ充填および補充するためのバルク流体容器19Aおよび19Bをさらに含むことができる。システム2000は、第1のシリンジ10Aの先端またはノズル16Aと流体連通する第1のシリンジライン208Aと、第1のバルク流体容器19Aと流体連通する第1の充填ライン216Aと、カテーテル110と流体連通する第1の患者ライン210Aとを含む流体経路セットを含む。いくつかの実施形態では、第1のシリンジライン208A、第1の充填ライン216A、および/または第1の患者ライン210Aは、マニホールドまたはT型継手で流体接続される(例えば、
図6および
図24参照)。流体経路セットは、第2のシリンジ10Bの先端またはノズル16Bと流体連通するシリンジライン208Bと、第2のバルク流体容器19Bと流体連通する充填ライン216Bと、カテーテル110と流体連通する患者ライン210Bとをさらに含む。いくつかの実施形態では、シリンジライン208B、充填ライン216B、および/または患者ライン210Bは、マニホールドまたはT型継手で流体接続される(例えば、
図6および
図24参照)。流体経路セットの配置は、流体が第1の充填ライン216Aおよび第1のシリンジライン208Aを介して第1のバルク流体容器19Aから第1のシリンジ10A内に引き込まれることを可能にする。流体は、第1のシリンジライン208A、患者ライン210A、およびカテーテル110を介して第1のシリンジ10Aから患者に注入することができる。同様に、流体は、第2の充填ライン216Bおよび第2のシリンジライン208Bを介して第2のバルク流体容器19Bから第2のシリンジ10B内に引き込まれてもよい。流体は、第2のシリンジライン208B、第2の患者ライン210B、およびカテーテル110を介して第2のシリンジ10Bから患者に注入することができる。シリンジライン208A、208B、充填ライン216A、216B、および出口ライン210A、210Bは可撓性チュービングで作られてもよいが、その様々な部分、例えばルアーコネクタ、センサ領域、および混合チャンバは剛性であってもよい。
図1および
図2に示される流体注入器12は第1の造影剤シリンジおよび第2のフラッシング流体シリンジと共に示されているが、特定の注入処置では、関連するフラッシング流体なしで、造影剤のみが使用されてもよい。これらの実施形態によれば、流体注入器12は、第1のシリンジ10Aおよび関連する第1のバルク流体容器19A、ならびに造影剤を患者に注入するための流体経路構成要素のみと係合することができる。流体注入器12の水洗側は、このような単一流体注入処置中、空のままであってもよい。あるいは、単一のシリンジのみと係合するように構成された流体注入器(図示せず)は、本明細書で説明されるセンサモジュールおよび方法の様々な実施形態を利用してもよい。
【0116】
シリンジ、チュービングおよび流体経路構成要素、遮断弁、ピンチ弁、コントローラ、ならびに空気検出器を含む適切な非限定的な動力式注入器システムのさらなる詳細および例は、米国特許第5,383,858号明細書、米国特許第7,553,294号明細書、米国特許第7,666,169号明細書、米国特許第8,945,051号明細書、米国特許第10,022,493号明細書、および米国特許第10,507,319号明細書、ならびに国際出願第PCT/US2013/061275号明細書、国際出願第PCT/US2018/034613号明細書、国際出願第PCT/US2020/049885号明細書、国際出願第PCT/US2021/035273号明細書、国際出願第PCT/US2021/029963号明細書、国際出願第PCT/US2021/018523号明細書、国際出願第PCT/US2021/037623号明細書、国際出願第PCT/US2021/037574号明細書、および国際出願第PCT/US2021/045298号明細書に記載されており、これらの開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0117】
引き続き
図1および
図2を参照すると、注入器システム2000は、シリンジ10A、10Bの各々にそれぞれ関連付けられた第1のピストン13Aおよび第2のピストン13Bを含む。ピストン13A、13Bの各々は、それぞれのシリンジ10A、10Bのバレル内のそれぞれのプランジャ14A、14Bを駆動するように構成されている。流体注入器システム2000は、注入処置を実行するためにシステム2000の様々な構成要素と電子通信するコントローラ900を含む。具体的には、コントローラ900は、例えば、シリンジ10A、10B内に引き込まれている1つ以上の流体の少なくとも1つの流体特性を監視すること、ならびに流体識別情報および流体濃度の少なくとも一方を判定することを含む、注入処置のためのプログラムされたプロトコルにしたがって医療用流体を送達するためにピストン13A、13Bおよび注入器システム2000の様々な他の構成要素を作動させるようにプログラムまたは構成された、少なくとも1つのプロセッサを含むことができる。コントローラ900はその後、正しい流体が正しいシリンジ10で識別され、正しい注入パラメータが利用されるように、注入プロトコルのシリンジ識別情報を切り替えること、ディスプレイ上のシリンジ画像がシリンジ内の正しい流体を表すようにディスプレイを変更すること、正しい流体タイプに関連付けられた正しい光の色(例えば、生理食塩水では青色、造影剤では緑色、空気では赤色)を表示し、造影剤の濃度をディスプレイ上に示し、誤った造影剤濃度が造影剤シリンジ内に装填されたときに正しい比率の造影剤と生理食塩水を注入するように注入プロトコルを調整し、誤った流体がシリンジに充填された、シリンジ内に空気のみが引き込まれていたためバルク流体容器が空である、誤った造影剤濃度注入プロトコルの変更など、流体充填動作中に1つ以上のエラーが発生したという警報をユーザに提供するために、シリンジに関連付けられた1つ以上の発光素子(LEDライトなど)の色を切り替えることなど、流体識別情報および流体濃度のうちの少なくとも1つに基づいて注入プロトコルの少なくとも1つのパラメータを調整することができる。コントローラ900は、少なくとも1つのプロセッサによる実行のために1つ以上の注入プロトコルが記憶され得る、メモリなどのコンピュータ可読媒体を含むことができる。コントローラ900は、シリンジ10A、10B内でプランジャ14A、14Bを往復移動させ、これによって注入処置を実行および停止するように、ピストン13A、13Bを作動させるように構成される。流体注入器システム2000は、これを通じて操作者が注入処置の状態を視認および制御するためにコントローラ900と対話することができる、少なくとも1つのグラフィカルユーザインターフェース(GUI)11をさらに含むことができる。同様に、流体注入器システム2000が、蠕動ポンプなどの1つ以上のポンプを含む場合、関連するコントローラ900は、関連するバルク流体容器に基づいて正しい流体タイプが正しい流体経路要素を流れていることを保証するために、本明細書に記載される空気センサモジュールなど、流体注入器の様々な構成要素を動作させることができ、流体タイプが正しくない場合、コントローラ900は、特定の流体ポンプで識別された実際の流体に基づいて、注入プロトコルに対して必要な調整および通知を行うことができる。
【0118】
コントローラ900は、各シリンジ10A、10Bに関連付けられたピストン13A、13Bが、バルク流体容器19A、19Bからシリンジ10A、10B内に注入流体F(例えば、撮影造影媒体またはフラッシング流体)をそれぞれ引き込むためにシリンジ10A、10Bの近位端に向かって引き込まれる充填動作を実行するように、プログラムまたは構成されてもよい。このような充填動作中、コントローラ900は、適切な注入流体Fによるシリンジ10A、10Bの充填を制御するために、充填ライン216A、216Bを介したそれぞれのシリンジ10A、10Bとバルク流体容器19A、19Bとの間の流体連通を確立するように様々な弁、活栓、またはクランプ(ピンチクランプなど)を選択的に作動させるようにプログラムまたは構成されてもよい。本明細書で説明されるように、充填動作中、充填ライン216A、216Bを流れている流体は、充填ライン216Aまたは216B内の流体の1つ以上の特性を識別するために、本明細書に記載される流体センサによって監視され、必要に応じて、コントローラ900は、充填ライン216Aまたは216B内の流体の1つ以上の特性に基づいて、システム、注入プロトコルなどに対して必要な調整を行うか、またはユーザに警告することができる。
【0119】
充填動作およびプライミング動作(シリンジから流体経路要素を通って流体を流すことによってシリンジおよび様々な流体経路要素から過剰な空気が除去される)の後、コントローラ900は、流体送達動作を実行するようにプログラムまたは構成されてもよく、その間に、所望の量の流体Fを送達するために指定された流速および時間で、第1の患者ライン210Aおよび第2の患者ライン210B内に注入流体Fをそれぞれ注入するために、シリンジ10A、10Bの一方または両方に関連付けられたピストン13A、13Bがシリンジの遠位端に向かって移動する。コントローラ900は、患者ライン210A、210Bを介して、シリンジ10A、10Bと患者との間の流体連通を確立するように様々な弁、活栓、および/またはピンチクランプを選択的に作動させるようにプログラムまたは構成されてもよい。患者ライン210A、210Bは、例えば国際出願US2021/019507号明細書に記載されるような乱流混合チャンバにおいて、カテーテル110に接続する前に最終的に合流し、その開示はその全体が本明細書に組み込まれる。
【0120】
様々な実施形態によれば、システム2000は、各シリンジ10A、10Bに関連付けられた流体経路要素、例えば充填ライン216A、216B内の空気および/または流体を検出するように構成された1つ以上のセンサおよび/またはセンサモジュールを含む。
図1および
図2に示されるように、第1のセンサモジュール300Aは、第1のシリンジ先端16Aと動作可能に連通するように配置され、第2のセンサモジュール300Bは、第2のシリンジ先端16Bと動作可能に連通するように配置される。代替的または追加的に、第1および第2のセンサモジュール300A、300Bは、充填ライン216A、216Bに関連付けられてもよい。センサモジュール300A、300Bは、コントローラ900が、センサモジュール300A、300Bによって送信された信号に基づいて(流体ライン208A、208B、216A、および/または216Bに関連付けられた)流体経路セクション570の流体内容物の少なくとも1つの特性を判定することができるように、コントローラ900と電子通信する。例えば、センサモジュール300A、300Bによって送信された信号に基づいて、コントローラ900は、流体経路セクション570内の流体の識別情報、流体経路セクション570内の医療用流体の濃度、流体経路セクション570内の空気の存在、流体経路セクション570のプライミング状態、流体経路セクションの特性(例えば吸収、屈折率、チュービングサイズ、および/または製造欠陥)、およびこれらの任意の組み合わせを判定するように構成されてもよい。
図1および
図2は、シリンジ先端16A、16Bに関連付けられたセンサモジュール300A、300Bを示す。しかしながら、別の実施形態では、センサモジュール300A、300Bは、シリンジライン208A、208B、充填ライン216A、216B、または患者ライン210A、210Bを含む、流体経路セットの本質的に任意の構成要素に関連付けられてもよい。いくつかの実施形態では、システム2000は、患者ライン210A、210Bの合流点の下流に、第1および第2のセンサモジュール300A、300Bと機能的に類似した第3のセンサモジュール300Cをさらに含んでもよい。
【0121】
図3~
図5を参照すると、いくつかの実施形態では、各センサモジュール300A、300B、300Cは、
図3に示されるように、エミッタ312およびコレクタまたは検出器314を各々含む1つ以上のセンサ310を含むことができる。エミッタ312および検出器314は、互いに離間して、動作可能に関連付けられた流体経路セクション570がその中に位置決めされるギャップGを画定する。エミッタ312は、検出器314に向かって所定の波長で電磁放射線ER(例えば、光)を放射するように構成される。電磁放射線ERは、検出器314に到達するために流体経路セクション570を通過しなければならない。流体経路セクション570内の流体、およびいくつかの実施形態では、流体経路セクション570自体の構造は、エミッタ312によって生成された電磁放射線ERのいくらかの量を吸収および/または屈折させ、こうしてその量の電磁放射線ERが検出器314に到達するのを防止する。加えて、流体経路セクション570の内容物、およびいくつかの実施形態では、流体経路セクション570自体の構造は、流体および流体経路セクション570の屈折率に起因して、検出器314に到達する前に電磁放射線ERを発散または収束させる。測定された吸収および/または屈折の差は、流体経路セクション570がセンサ310の場に動作可能に挿入されており、流体経路セクション570が空気のみを含むものと比較して、空のセンサ310との間で区別するために使用することができる。特定の実施形態では、センサ310からの信号は、流体経路セクション570がセンサ310内に適切に挿入されているか否かをさらに示すことができる。流体経路セクション570がセンサモジュール300A、300B、300C内に正しく設置されると、センサモジュール300A、300B、300Cはその後、流体経路セクション570が液体流体(造影剤または水性フラッシング流体)を収容するか空気を収容するかを判定するために、測定された屈折の差を使用することができる。
【0122】
いくつかの実施形態では、エミッタ312は、所定の波長(または波長の範囲)で電磁放射線ERを放射するように構成された1つ以上の発光ダイオード(LED)または液晶であってもよいが、他のエミッタ光源も本開示の範囲内である。特定の実施形態では、エミッタ312は、測定される流体に応じて、2つ以上の波長で電磁放射線ERを放射することが可能であってもよい。例えば、エミッタ312は、第1の波長の光を放射し、流体注入処置の要件に応じて第2または別の波長の光を放射するように構成されてもよい。検出器314は、受け取った光の量を電気信号に変換することができる任意の検出器、例えばフォトトランジスタ、フォトレジスタ、またはフォトダイオードであってもよい。様々な実施形態では、検出器314は、エミッタ312によって放射された波長に応じて、異なる特定の波長で受け取った電磁放射線ERの量を測定するように構成されてもよい。コントローラ900は、エミッタ312によって放射され、検出器314によって検出された光の波長を制御するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、エミッタ312は、例えば約700ナノメートル(nm)から約2000nmの間の赤外線(IR)スペクトルで電磁放射線を放射するように構成される。いくつかの実施形態では、エミッタ312は、例えば約10nmから約400nmの間の紫外線(UV)スペクトルで電磁放射線を放射するように構成される。具体的な実施形態では、エミッタ312によって放射された電磁放射線は、約700nmから約2000nm、いくつかの実施形態では約1440nmから約1460nm、および特定の実施形態では約1450nmの波長を有することができる。別の実施形態では、エミッタ312によって放射された電磁放射線は、約750nmから約950nm、または別の実施形態では約800nmから約900nm、いくつかの実施形態では約880nmから約900nm、および特定の実施形態では約890nmのIRスペクトル内の波長を有することができる。別の実施形態では、エミッタ312によって放射された電磁放射線は、約300nmから約400nm、または別の実施形態では約350nmから約400nm、いくつかの実施形態では約390nmから約400nm、および特定の実施形態では約395nmのUVスペクトル内の波長を有することができる。いくつかの実施形態では、エミッタ312は、音響エネルギー、例えば超音波エネルギーを放射するように構成されてもよく、検出器314は、音響エネルギーを検出するように構成されてもよい。前述の波長(例えば、IRまたはUV波長)の電磁放射線は、電磁放射線が流体経路セクション570とセンサ310との間の音響結合(例えば圧縮接触)を必要としないという点で、超音波などの他の撮影プロトコルに対する利点を有することができる。
【0123】
電磁放射線の特定の波長は、注入処置で使用される流体Fおよび流体経路セクション570の構造特性に基づいて選択することができる。特に、対象とする様々な流体について検出器314の出力信号の最大の差分を提供する電磁放射線の(1つまたは複数の)波長が選択されてもよい。例えば、エミッタ312は、生理食塩水および造影媒体の透過において最大の差を示す波長の電磁放射線を放射するように選択および/または構成されてもよい。いくつかの実施形態では、エミッタ312は、センサ310の感度を向上させるために、(同時にまたは交互パルスで)複数の波長で電磁放射線を放射するように構成されてもよい。例えば、エミッタ312は、生理食塩水と造影媒体との間で区別するために最適化された第1の波長で電磁放射線を放射し、造影媒体の濃度の間で区別するために最適化された第2の波長で電磁放射線を放射するように構成されてもよい。
【0124】
いくつかの実施形態では、電磁放射線の(1つまたは複数の)波長は、電磁放射線エミッタ312と検出器314とのアライメント、エミッタ312および検出器314に対する流体経路セクション570のアライメント;流体経路セクション570の外側壁の材料および形状;周囲光への検出器314の曝露、などのセンサ性能に対する要因の悪影響を最小限に抑えるように選択することができる。エミッタ312と検出器314との間のギャップGのスパンもまた、様々な流体について検出器314の出力信号の差分を最大化するように選択されてもよい。例えば、0.188インチの公称外径を有する標準的なチューブに対する実証試験は、チュービング内の空気、造影剤、および生理食塩水の間で区別する検出器314の能力に関して、0.188インチおよび0.208インチのギャップGよりも0.228インチのギャップGの法が好ましいことを見出した(
図8Aおよび
図8B参照)。
【0125】
図3は、ギャップG内の流体経路セクションの不在を示しており、そのため電磁放射線ERは、検出器314に到達するためにギャップG内の空気のみを通過しなければならない。
図4は、センサ310と動作可能に関連してギャップG内に配置された流体経路セクション570を示す。
図4の流体経路セクション570は、流体がバルク流体容器19A、19Bからシリンジ10A、10Bに移動する注入処置の充填動作中に予想されるように、注入流体Fで充填される。注入流体Fの屈折率は、検出器314に到達する前に、流体経路セクション570を通過する電磁放射線ERを収束させ、これにより、検出器314によって受信および測定される信号強度の増加を引き起こすことができる。加えて、注入流体F(例えば、水溶液、生理食塩水フラッシング流体または撮影造影剤に典型的な、水溶液中に溶解した溶質分子)は、エミッタ312によって生成された電磁放射線ERの一部を吸収して、電磁放射線ERの一部が検出器314に到達するのを防止する。
図5は、センサ310と動作可能に関連してギャップG内に配置された流体経路セクション570を示し、流体経路セクション570は、流体経路セクション570をプライミングするかまたはシリンジ10A、10Bの充填動作を開始する前に予想されるように、もしくは注入処置中に注入流体F中に気泡が存在する場合に起こり得るように、空気で充填される。空気の屈折率は、検出器314に到達する前に、流体経路セクション570を通過する電磁放射線ERを収束させ、これにより、検出器314によって受信および測定された信号強度の減少を引き起こす。
【0126】
さらに、空気で充填された流体経路セクション570に関連付けられた吸収は、液体充填流体経路セクション570よりも少ない光を吸収するが(
図4)、流体経路セクション側壁のポリマー材料による光の吸収のため、流体経路セクション570がギャップG内にない状況よりも多くの光を吸収する(
図3)。特定の実施形態では、エミッタ312と検出器314との間の内容物による光吸収は、検出器314によって測定される信号強度の差を引き起こす可能性がある。例えば、流体経路セクション570がない
図3では、空気はエミッタ312からの光の最小限の吸収のみを有するので(これはいずれの計算にも組み込むことができる)、光は、最小限の信号強度の低下のみでエミッタ312からセンサ310の検出器314に自由に通過することができる。流体で充填された流体経路セクション570がセンサ310に挿入されると、エミッタ312から検出器314に通過する光の信号は、流体経路セクション570内の流体だけでなく、その側壁の分子組成による吸収によって減衰する。流体経路セクション570が空気で充填された状態では、エミッタ312から検出器314に通過する光の信号は、流体経路セクション570の側壁の分子組成による吸収によって減衰する(流体経路内または大きな気泡内のプライミングされていない空気による吸収はない)。様々な実施形態によれば、検出器312は、流体経路セクション570内で、異なる造影剤タイプまたは濃度間、もしくは造影剤と生理食塩水との間で区別するために、流体経路内の異なる流体から生じる光減衰の差を使用することができる。
【0127】
検出器314は、検出された電磁放射線ER空の信号強度に基づいて、コントローラ900に出力信号(例えば出力電圧)を送信するように構成される。したがって、出力信号は、ギャップGの内容物の屈折率および吸収特性に応じて異なり、流体経路セクション570が存在していないか(
図3)、流体経路セクション570が存在し、注入流体Fで充填されているか(
図4)、または流体経路セクション570が存在し、少なくとも部分的に空気で充填されているか(
図5)をコントローラ900が判定できるようにする。様々な実施形態では、コントローラ900は、検出器314の出力信号に基づいて、流体のタイプ(例えば、市販の造影媒体溶液の既知のデータベースから)および/または流体の希釈率(すなわち、デュアルフロー注入中の生理食塩水に対する造影媒体の比)を判定することができる。具体的には、患者ライン210A、210Bの合流点の下流のセンサモジュール300C(
図2)は、第2のシリンジ10Bからの生理食塩水による第1のシリンジ10Aからの造影剤の希釈を測定するように構成されてもよい。確実な結果を得るために、エミッタ312、検出器314、および流体経路セクション570は、検出器314によって生成された出力信号が、異なる造影剤タイプおよび/または異なる希釈率の間でセンサ310が区別することができる流体タイプの間で十分に異なるように、選択および配置される。例えば、センサ310が造影媒体と生理食塩水を区別するように意図される場合、エミッタ312、検出器314、および流体経路セクション570は、流体経路セクション570内に生理食塩水が存在するときの検出器314の出力電圧の範囲が、流体経路セクション570内に造影媒体が存在するときの検出器314の出力電圧の範囲と重ならないように、選択および配置される。同様に、センサ310が造影媒体タイプ間で区別するように意図される場合、エミッタ312、検出器314、および流体経路セクション570は、流体経路セクション570内に特定の造影剤タイプが存在するときの検出器314の出力電圧の範囲が、流体経路セクション570内に異なる造影媒体タイプが存在するときの検出器314の出力電圧の範囲と重ならないように、選択および配置される。
【0128】
図23は、本開示の一実施形態によるセンサ310の電気回路図を示す。本明細書で言及されるように、センサ310は、エミッタ312および検出器314を含み、これらは、検出器314がエミッタ312から電磁放射線を受け取り、受け取った電磁放射線が流体経路セクション570およびその内容物の吸収および/または反射によって変化するように配置される。エミッタ312および検出器314は、それぞれの電源320、321によって電力供給される。電源320、321は5ボルトであってもよく、これらはスタンドアロンデバイスまたはコントローラ900の出力であってもよい。エミッタ312に関連付けられた電源320は、コントローラ900が供給電流を調整することによってエミッタ312を較正することを可能にする。電源321は、センサ310の結果的な出力電圧の安定性に関連する固定基準電圧を検出器314に供給する。エミッタ312は、(1つまたは複数の)LEDを通る適切な順電流を維持するために直列に配置された電流制限抵抗器322を有する、1つ以上の特定の波長の電磁放射線を放射する1つ以上のLEDを含むことができる。検出器314は、関連するセンサ抵抗器324を有する1つ以上のフォトトランジスタ、フォトレジスタ、またはフォトダイオードであってもよい。センサ抵抗器324は、電磁放射線の検出に応答して検出器314によって生成された電流を、コントローラ900に渡すための出力電圧信号326に変換する。
【0129】
図6を参照すると、いくつかの実施形態では、センサモジュール300A、300Bは、流体注入器12に関連付けられたマニホールドハウジングモジュール220内に設けられる。マニホールドハウジングモジュール220は、流体経路セットのマニホールド500を移動可能に受容するための受容チャネル222を画定することができる。マニホールド500は、第1のシリンジライン208A、第1の患者ライン210A、および第1の充填ライン216A(
図2)のための接合部として機能する使い捨て構成要素であってもよい。具体的には、マニホールド500は、シリンジライン208Aに接続されるかまたはこれと一体に形成された第1の入口ポート510、患者ライン210Aに接続されるかまたはこれと一体に形成された第1の出口ポート512、および充填ライン216Aに接続されるかまたはこれと一体に形成された第1の充填ポート514を含むことができる。同様に、マニホールド500は、第2のシリンジライン208B、第2の患者ライン210B、および第2の充填ライン216B(
図2)のための接合部として機能することができる。マニホールド500は、シリンジライン208Bに接続されるかまたはこれと一体に形成された第2の入口ポート520、患者ライン210Bに接続されるかまたはこれと一体に形成された第2の出口ポート522、および充填ライン216Bに接続されるかまたはこれと一体に形成された第2の充填ポート524を含むことができる。マニホールド500は、それぞれのセンサモジュール300A、300Bのエミッタ312と検出器314との間に動作可能に位置決めされるように構成された充填ポート514、524の各々に隣接したそれぞれの流体経路セクション570を画定する。
【0130】
マニホールド500は、受容チャネル222と共に、マニホールド500を配向および位置決めし、流体経路セクション570をセンサモジュール300A、300Bと正確にインデックスおよびインターフェースする、少なくとも1つの接続ビーム550を含むことができる。したがって、マニホールド500は、流体流路の空気検出領域がセンサモジュール300A、300Bの読み取り部分に正しく挿入されるように、ユーザがチュービングセットをマニホールドハウジングモジュール220内に迅速かつ正確に設置することを可能にするように設計される。例えば、新しい注入処置のために流体注入器システム2000を準備する際に、ユーザは、シリンジライン208A、208Bをシリンジ10A、10Bに接続し、マニホールド500をマニホールドハウジングモジュール220にスナップ留めし、充填ライン216A、216Bをバルク流体源19A、19Bに(例えば、充填ライン216A、216Bをそれぞれのバルク流体源19A、19Bに押し込むことによって)接続するだけでよく、流体経路セットはプライミングの準備ができているはずである。特定の場合には、マニホールド500およびマニホールドハウジングモジュール220は、マニホールド500をマニホールドハウジングモジュール220と解放可能に係合するために、例えば少なくとも1つの接続ビーム550上に、相補的なラッチ構成要素を含んでもよい。特定の実施形態では、マニホールド500および関連する流体経路構成要素は、単回の注入処置中にまたは単一の患者に対する一連の注入処置のために使用するように構成された使い捨て構成要素であってもよい。別の実施形態では、マニホールド500および関連する流体経路構成要素は、流体経路セットの複数回使用部分の使い捨て要素であってもよく、これは、例えば設定回数の注入後または24時間の使用後に、廃棄される前に数回の流体注入処置にわたって、複数の単回しよう部分と併せて使用することができる。
【0131】
流体経路セクション570は各々、流体経路セクション570がセンサモジュール300A、300Bと動作可能に関連して配置されたときに、エミッタ312から検出器314への電磁放射線の通過を可能にするように構成された側壁530を含む。各側壁530は、エミッタ312によって生成された所定の波長の電磁放射線ERに対して少なくとも部分的に透過性である。側壁530は、ポリマー、ガラス、透過性複合材、水晶、または他の適切な材料など、少なくとも部分的に透過性の材料で作ることができる。特定の実施形態では、側壁530は、所定の屈折率を有するポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、またはポリプロピレン(PP)などのプラスチック材料で構成されてもよい。いくつかの実施形態では、側壁530の屈折率は、空気の屈折率よりも水の屈折率に近い。いくつかの実施形態では、側壁530は、側壁530が偏向し得ないように剛性であってもよく、偏向は、流体経路セクション570を通る電磁放射線ERの経路を変更し、信頼できないセンサ読み取り値をもたらす可能性がある。特定の実施形態では、側壁530は、流体経路セクション570の外面の周りで周方向に延在して湾曲していてもよい。別の実施形態では、側壁530は、1つ以上の実質的に平坦な外面および内面を有することができる。1つ以上の実質的に平坦な表面は、エミッタ312から検出器314への電磁放射線の経路が1つ以上の実質的に平坦な表面を通過するように配置されてもよい。これらの実施形態によれば、1つ以上の実質的に平坦な表面は、第1の流体経路セクション570を通過する際の電磁放射線のビームに対する表面による任意の収束または非収束レンズ効果を最小限に抑えるかまたは排除することができる。別の実施形態では、側壁530は、流体経路セクション570を通過する電磁放射線を集中または分散させるためのレンズを含むか、またはレンズとして機能することができる。例えば、側壁530は、局面よりも予測可能に光を透過させることができる1つ以上の平面を有してもよく、いくつかの実施形態では、側壁530は正方形のチューブであってもよい。いくつかの実施形態では、側壁530は、流体経路セクション570を通過する電磁放射線を集中または分散させるための表面仕上げを有してもよい。
【0132】
図6を参照すると、マニホールド500は、充填ポート514、524内にそれぞれ位置する逆止弁516、526など、1つ以上の逆止弁を含むことができる。逆止弁516、526は、加圧注入中のバルク流体容器19A、19B内への流体の逆流を防止するように作用することができる。いくつかの実施形態では、マニホールド500を通る流体流を選択的に制御するために、入口ポート510、520、出口ポート512、522、および充填ポート514、524のいずれかに追加の逆止弁または能動的に制御される弁(例えば、活栓、ピンチ弁など)を配置してもよい。
【0133】
マニホールド500は、例えば少なくとも1つの接続ビーム550または流体経路壁に配置された、バーコード、QRコード(登録商標)、RFIDタグなどのような、1つ以上の符号化された識別子580を含むことができる。流体注入器12は、マニホールドハウジングモジュール220に関連付けられた、バーコードリーダ、QRコード(登録商標)リーダ、RFIDリーダなど、適切に位置決めされたリーダ280を有することができる。マニホールド500がマニホールドハウジングモジュール220と正しく係合すると、符号化された識別子580は、マニホールド500が正しく挿入されていること、注入処置にとって正しいマニホールド500であること、マニホールド500および関連する流体経路構成要素の製造日が要求される時間枠内であることのうちの1つなど、マニホールド500および関連する流体経路要素の1つ以上の特性を判定し、マニホールド500の製造業者が承認された製造業者であるか否かを判定するために、リーダによって読み取られる。符号化された識別子がマニホールド500に問題があり得ることを示したとコントローラ900が判定した場合、コントローラ900は、ユーザに警告し、流体注入処置が行われ得る前に問題の修正を要求することができる。
【0134】
引き続き
図6を参照すると、マニホールドハウジングモジュール220は、それぞれの入口ポート510、520に隣接する流体経路セクションに関連付けられた追加のセンサモジュール300X、300Yを含むことができる。追加のセンサモジュール300X、300Yは、概してセンサモジュール300A、300Bと構造が似ていてもよい。しかしながら、異なる機能を容易にするために、追加のセンサモジュール300X、300Yの様々な属性は、センサモジュール300A、300Bと異なっていてもよい。例えば、追加のセンサモジュール300X、300Yは、その各々の開示がこの参照により本明細書に組み込まれる、2022年2月25日に出願された国際出願US2022/017812号明細書に記載されるように、気泡の検出および分析のために特に構成されてもよい。マニホールド500およびマニホールドハウジングモジュール220の構造および機能のさらなる詳細は、国際出願US2022/017812号明細書に示されている。
【0135】
図7を参照すると、センサモジュール300A、300Bの一実施形態が、充填動作中に対応するシリンジ10A、10Bに入る流体経路セクション570内の流体を検出するように、対応するシリンジ先端16A、16Bと動作可能に関連して示されている。シリンジ先端16A、16B自体が、センサ310と位置合わせされた流体経路セクションとして機能してもよく、または別個の流体経路セクション570がシリンジ先端16A、16Bに取り付けられ、センサ310と位置合わせされてもよい。流体経路セクション570は、エミッタ312によって生成された波長の電磁放射線に対して少なくとも部分的に透過性の、
図6に関連して記載された側壁と同様であり得る側壁530を含む。側壁530は、所定の屈折率を有するポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、またはポリプロピレン(PP)などのプラスチック材料で構成されてもよい。いくつかの実施形態では、側壁530の屈折率は、空気の屈折率よりも水の屈折率に近い。いくつかの実施形態では、側壁530は、側壁530が偏向し得ないように剛性であってもよく、偏向は、流体経路セクション570を通る電磁放射線ERの経路を変更し、信頼できないセンサ読み取り値をもたらす可能性がある。いくつかの実施形態では、側壁530は、流体経路セクション570を通過する電磁放射線を屈折および集中または分散させるためのレンズを含むか、またはレンズとして機能することができる。いくつかの実施形態では、側壁530は、流体経路セクション570を通過する電磁放射線を集中または分散させるための表面仕上げを有してもよい。センサモジュール300A、300Bは、例えば大量の周囲光を受け取る特定の配向を回避するために、操作者がセンサモジュール300A、300Bを自由に位置決めすることを可能にするように、シリンジ先端16A、16Bの周りを自由に回転することができる。周囲光が検出器314の測定に影響を及ぼすのを防止するために、エミッタ312と検出器314との間に光学フィルタ318が設けられてもよい。
【0136】
エミッタ312および検出器314は、流体経路セクション570の拡径セクションDw内に配置されてもよい。この配置は、エミッタ312によって放射された電磁放射線に比較的大きな直径の流体を通過させ、流体による電磁放射線のより多くの吸収および/または屈折を可能にする。実証試験は、流体の直径が大きいほど吸収が多くなり、流体タイプ間の検出器出力信号の差分が大きくなることを示した。したがって、電磁放射線が移動する流体経路セクション570の直径の増加は、コントローラ900による流体経路セクション570内の流体特性のより確実で改善された判定をもたらすことができる。いくつかの実証的に試験された実施形態では、流体経路セクション570の直径の増加は、二乗関係で吸収の差を強調する。すなわち、流体経路セクションの直径のわずかな増加は、電磁放射線の流体の吸収に対して比較的大きな影響を及ぼす。
【0137】
センサモジュール300A、300Bは、エミッタ312に関連付けられたコリメートアパーチャ350および/または検出器314に関連付けられたコリメートアパーチャ352を含むことができる。エミッタ312に関連付けられたコリメートアパーチャ350は、エミッタ312を離れる電磁放射線を、検出器314に向かう実質的に直線状の軌道に制限することができる。検出器314に関連付けられたコリメートアパーチャ352は、エミッタ312の方向から来る電磁放射線のみが検出器314に到達できるように、検出器314の周辺視野を制限することができる。したがって、コリメートアパーチャ352は、周囲光源から検出器314を遮蔽することができる。いくつかの実施形態では、コリメートアパーチャ350、352は、直径よりも短い長さを有してもよい。いくつかの実施形態では、コリメートアパーチャ350、352は、直径よりも長い長さを有してもよい。
【0138】
センサモジュール300A、300Bは、流体経路セクション570のさらなる分析を提供するように構成された1つ以上の追加のセンサ410、410’を含むことができる。追加のセンサ410、410’は、概してセンサ310と構造が似ていてもよく、したがって本明細書に記載されるセンサ310の任意の特徴は、追加のセンサ410、410’にも等しく適用され得る。しかしながら、異なる機能を容易にするために、追加のセンサ410、410’の様々な属性は、センサ310と異なっていてもよい。例えば、追加のセンサ410、410’は、気泡の検出および分析のために特に構成されてもよい。気泡の検出および分析の判定のための追加のセンサの例は、国際出願US2022/017812号明細書に提示されている。追加のセンサ410、410’のそれぞれのエミッタ412、412’は、センサ310と同じかまたは異なる波長で電磁放射線を放射するように構成されてもよい。
図7に示される実施形態では、追加のセンサ410、410’は、センサ310の下流に配置されている。別の実施形態では、追加のセンサ410、410’は、センサ310の上流に、または流体経路セット内の全く異なる箇所に配置されてもよい。センサ310および追加のセンサ410、410’は、流体経路セクション570内の空気と流体(例えば、生理食塩水および造影媒体)とを区別するように構成することができる。いくつかの実施形態では、追加のセンサ410、410’は、流体経路セクション570内の気泡を検出し、検出された気泡の流速を判定し、および/または検出された気泡の体積を判定するために、コントローラ900と連携して作用するように構成することができる。コントローラ900は、近位検出器414および遠位検出器414’によって検出されている気泡の間の時間オフセットに基づいて、このような検出された気泡の流速を判定するように構成することができる。
【0139】
図24を参照すると、別の実施形態では、流体経路セクション670を含むマニホールド600が各シリンジ先端16A、16Bに取り付けられてもよく、センサモジュール300A、300Bは、マニホールド600の流体経路セクション670と動作可能に関連して配置されてもよい。マニホールド600および関連する側壁630は、その開示がこの参照により組み込まれる国際出願第US2021/018523号明細書に記載されるようなクリップ係合機構によって、シリンジ10A、10Bの先端16A、16Bの対応する特徴部にクリップ留めまたは他の方法で係合することができる。マニホールド600は、(図示されるように)可撓性チュービング(すなわち、対応するシリンジライン208A、208B)の有無にかかわらず、シリンジ先端16A、16Bとの接続のために構成された入口ポート610を含む。マニホールド600は、対応する患者ライン210A、210Bとの接続のために構成された出口ポート612と、対応する充填ライン216A、216Bとの接続のために構成された充填ポート614とをさらに含む。流体経路セクション670は、側壁630を含み、これは
図6および
図7に関連して図示および説明された側壁530と実質的に似ていてもよい。
【0140】
図1、
図2、
図6、
図7、および
図24を参照すると、特定の実施形態では、センサモジュール300A、300Bは、バルク流体容器19A、19Bからの使用中のシリンジ10A、10Bの補充に対応する血管造影検査(CV)またはコンピュータ断層撮影(CT)処置中に、充填ライン216A、216B内の総空気検出のために利用することができる。本明細書で言及されるように、センサモジュール300A、300Bは、流体経路セクション570内で注入流体Fと空気とを区別し、MR、CV、またはCT注入処置に共通の2つのタイプの注入流体(すなわち、造影剤タイプおよび生理食塩水)を区別し、造影媒体のタイプおよび/または濃度を区別し、流体経路セクション570がセンサモジュール300A、300Bに挿入されたか否かを判定し、流体経路セクション570自体の有無を判定するために、使用することができる。具体的には、コントローラ900は、検出器314の出力信号に基づいて、各シリンジ10A、10Bの流体内容物を自動的に識別するように構成されてもよい。コントローラ900は、例えばGUI 11上のメッセージまたはグラフィックを介して、または流体タイプに関連付けられた色(例えば、造影剤には緑色または紫、生理食塩水または他のフラッシング溶液には青色)によって、シリンジ10A、10Bの内容物を操作者に表示することができる。例えば、GUI 11は、シリンジ10A、10Bをグラフィカルに描写し、シリンジ10A、10Bの内容物に応じて所定の色で各々を示してもよい。シリンジ10A、10Bが予想通りに充填され、第1のシリンジ10Aが造影媒体を収容し、第2のシリンジ10Bが生理食塩水を収容すると仮定すると、GUI 11は、第1のシリンジ10Aを緑色または紫で、第2のシリンジ10Bを青色で示すことができる。特定の流体タイプを表し、空気が存在する場合にはセンサモジュール300A、300Bを表すために、他の色を使用し得ることは理解される。
【0141】
いくつかの実施形態では、コントローラ900は、センサモジュール300A、300Bおよびコントローラ900によって判定されたようにシリンジ10A、10Bの内容物を示すために、シリンジ10A、10Bまたはシステム2000の他の部分を照明することができる。例えば、コントローラ900は、各シリンジ10A、10Bに光学的に接続された光源を照明し、シリンジ10A、10Bは、シリンジ10A、10Bの充填内容物を示す色(例えば、造影媒体では緑色、生理食塩水では青色)を表示するためのライトチューブとして機能することができる。プランジャ14A、14Bは、センサモジュール300A、300Bによって判定されたようにシリンジ10A、10Bの内容物を示すために、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願第2017/0056603号明細書に記載されるように、バックライトで照らされてもよい。
【0142】
いくつかの実施形態では、コントローラ900は、規定された注入プロトコルの要件に関して流体配置にエラーがある場合、例えばGUI 11上で、または警告警報(例えば、聴覚または視覚)の形態で、操作者に警告を伝達するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、コントローラ900は、視覚的表示、例えば、センサモジュール300A、300B内の動作可能位置における流体経路セクション570の不在(例えば、黄色警告光)、流体経路セクション570内の空気の存在(例えば、赤色停止注入光)、流体経路セクション570内の生理食塩水の存在(青色光)、または流体経路セクション570内の造影媒体の存在(例えば、緑色光)を示すための電光掲示板を利用することができる。特定の実施形態では、流体経路セクション570内で空気が検出された場合、コントローラ900は、コントローラ900によって自動的に、または操作者の指示の下のいずれかで、パージ動作が行われてチュービング内でさらなる空気が検出されなくなるまで、注入処置をむこうかするように構成することができる。
【0143】
いくつかの実施形態では、コントローラ900は、注入の前または最中に故障が検出された場合に、安全性チェックを行い、および/または注入処置のパラメータを調整するように構成することができる。例えば、コントローラ900は、第1のシリンジ10Aに関連付けられたセンサモジュール300Aを介して、造影媒体がバルク流体容器19Aからシリンジ10Aに引き込まれる充填動作中に流体経路セクション570を監視してもよい。コントローラ900は、第1のシリンジ10Aが実際に造影媒体を受け取っているのか、または、例えば操作者が誤ってバルク流体容器19A、19Bを誤ったシリンジ10A、10Bに接続したために、代わりに生理食塩水で充填されているのかを判定するために、センサモジュール300Aの検出器314の出力信号を監視してもよい。同様に、コントローラ900は、生理食塩水で充填するように意図された第2のシリンジ10Bが代わりに造影媒体で充填されているか否かを判定するために、センサモジュール300Bの検出器314の出力信号を監視してもよい。一方または両方の条件が真である場合、コントローラ900は、GUI 11上に表示されたメッセージを介して操作者に警告し、および/または充填処置を自動的に停止することができる。いくつかの実施形態では、コントローラ900は、充填処置を継続し、注入プロトコルおよびGUI表示を調整し、その結果、第1のシリンジ10Aが生理食塩水シリンジとして(すなわち、GUI上でシリンジを青色で強調することによって)示され、コントローラが、生理食塩水用にプログラムされて元々第2のシリンジ10Bによって使用されるように意図されるパラメータを使用してシリンジ10Aから生理食塩水を注入するように構成される。同様に、コントローラ900は、第2のシリンジ10Aが造影剤シリンジとして(すなわち、GUI上でシリンジを緑色で強調することによって)示され、コントローラが、造影剤注入流体用にプログラムされて元々第1のシリンジ10Aによって使用されるように意図されるパラメータを使用してシリンジ10Bから造影剤を注入するように、注入プロトコルおよびGUI表示を調整してもよい。このような実施形態では、コントローラ900は、どのシリンジがどの医療用流体を送達するかのこの反転を示すために、GUIの表示を更新するように構成されてもよい。シリンジ10A、10Bが誤って充填された場合でも注入処置を進める能力は、誤って装填された注入流体が廃棄されて充填動作を繰り返す必要がないため、廃棄物を削減することができる。
【0144】
いくつかの実施形態では、コントローラ900は、第1のシリンジ10A内の造影媒体の濃度が注入プロトコルによって要求される濃度と異なることをセンサモジュール300Aが検出した場合、生理食塩水に対する造影媒体の注入比を調整するように構成することができる。コントローラ900が、センサモジュール300Aの出力信号に基づいて、シリンジ10A内の造影媒体が注入プロトコルで規定されたよりも濃縮されていると判定した場合、コントローラ900は、患者に送達される造影媒体の濃度を希釈するために、操作者に警告し、および/または処置中に注入される生理食塩水の比率を自動的に増加させることができる。同様に、デュアルフロー処置では、コントローラ900は、例えば第1のシリンジ10A内の造影媒体が注入プロトコルで規定されたよりも濃縮されていない場合、造影媒体の濃度を増加させるために、注入処置中に生理食塩水の注入速度を低下させることができる。
【0145】
様々な実施形態によれば、センサモジュール300A、300Bの一方または両方に流体経路セクションが存在しないとき、対応する検出器314からの結果的な出力信号は、コントローラ900が検出器314からの後続の出力信号にアクセスすることができる較正点として、コントローラ900によって使用することができる。流体経路セクション570が空気または気泡を収容するとき、より少ない光が検出器314に到達し、より低い検出器出力電圧をもたらすように、例えば側壁530による光の吸収または散乱によって、流体経路セクションを通る低レベルの光透過が発生する。あるいは、流体経路セクション570内に流体が存在するとき、流体の光吸収特性および/または屈折率は、流体経路セクション570を通って移動する際に光を吸収および/または屈折させ、流体経路セクション570内の空気と比較して、さらに低レベルの光が検出器314に到達することになる。流体のタイプは、光透過特性に影響を及ぼす。例えば、生理食塩水は、水溶液中に溶解した溶質(塩)のため、空気で充填された流体経路セクション570によって吸収/屈折された光の量よりも多い検出器314への第1の量の光を吸収/屈折し、空気の場合または流体経路セクション570がない場合よりも低い第1の電圧読み取り値をもたらす。造影媒体は、水溶液中に溶解した溶質(造影分子)のタイプのため、生理食塩水または空気で充填された流体経路セクション570によって吸収/屈折された光、または流体経路がない場合の光の量よりも多い検出器314への第2の量の光を吸収/屈折し、より低い電圧読み取り値をもたらす。前述の説明は、増加した光透過をより高い検出器314の電圧出力に関連付け、増加した光吸収をより低い電圧出力に関連付けているが、この関係は、いくつかの実施形態がより高い光透過率で検出器の電圧出力の低下を示し得るような、センサ310を駆動する実際の回路の関数である。
【0146】
本明細書に記載されるように、特定の実施形態によれば、検出器314の感度もまた、異なるタイプの造影剤および/または同じ造影媒体の異なる濃度の差分を可能にすることができる。例えば、異なる濃度の同じ造影媒体は、溶液中に溶解した溶質の量が異なるために異なる密度を有し、異なる屈折率および/または異なる量の光吸収をもたらす。したがって、流体は、異なるレベルの電磁放射線が検出器314に到達することを可能にし、異なる検出器出力電圧信号をもたらす。いくつかの実施形態では、コントローラ900は較正されてもよく、または例えばコントローラ900にプログラムされたルックアップデータベースにおいて、異なる造影剤タイプまたは異なる造影剤濃度の出力電圧に関連付けられたデータベースを参照するように構成されてもよい。したがって、コントローラ900は、どのブランド、タイプ、および/または濃度の造影媒体が第1のシリンジ10A内に(または第2のシリンジ10Bが誤って造影媒体で充填されている場合には第2のシリンジ10B内に)あるかを判定し、必要に応じてGUIを更新するか、または誤った造影剤または誤った造影剤濃度がシリンジ10A内に装填されたことをユーザに警告することができる。
【0147】
いくつかの実施形態では、コントローラ900は、シリンジ10A、10Bの充填時間を最適化するために、流体経路セクション内の流体のタイプを判定することができる。充填流体ライン216A、216B内の流体のタイプを識別することによって、コントローラ900は、シリンジ10A、10Bの所定の安全充填速度、すなわち、シリンジ内への流体の過剰な流速によって流体内で生成される気泡の発生を低減しながらシリンジ充填時間を最小化する、シリンジ10A、10B内への流速を設定することができる。例えば、コントローラ900は、空気検出の結果を記憶および利用し、シリンジ10A、10B内の流体中への気泡の導入を防止または低減する最適充填速度(最高速度)が決定され得るように、空気検出の結果を特定の充填速度と相関させることができる。例えば、生理食塩水の所定の安全充填速度は、造影媒体の所定の安全充填速度よりも高くてもよい。
【0148】
図8Aを参照すると、ヒストグラム2100は、センサ310に動作可能に関連付けられた流体経路セクション570内の様々な流体について、検出器314の実証的に観察された出力電圧を示す。
図8Aおよび
図8Bで利用した光の波長は890nmであった。エミッタ312によって生成された赤外光および0.228インチのセンサギャップGを有する0.188インチ外径チュービング内で、電圧を測定した。0.228インチのギャップGは、0.188インチチューブで信号差を得るのに最適なサイズであることがわかった。
図8Aから理解され得るように、空のチューブ(すなわち、流体経路セクション570内に空気のみ)について観察された検出器314の出力電圧は、0ボルトから0.25ボルトの範囲内であった。チューブなし(すなわち、流体経路セクション570がセンサ310に動作可能に関連して配置されていない)について観察された検出器314の出力電圧は、1ボルトから1.25ボルトの範囲内であった。流体経路セクション内の生理食塩水について観察された検出器314の出力電圧は、3.75ボルトから4.25ボルトの範囲内であった。そして、流体経路セクション570内の造影剤について観察された検出器314の出力電圧は、4.75ボルトから5ボルトの範囲内であった。流体経路セクション570内の様々な流体(またはその欠落)によって示された電圧出力のクラスタリングは、センサ310が、検出器314の出力電圧に基づいてこれらの流体タイプ間で確実に区別できることを示している。
【0149】
図8Bを参照すると、グラフ2150は、やはり
図8Aに示されるように赤外光および0.228インチのギャップGを使用した、流体経路セクション570内の様々な流体のいくつかの試験測定にわたる検出器出力電圧の標準偏差を示す。データが示されている流体は、生理食塩水(3セットのデータを分析した)と、以下の市販の造影媒体溶液とを含む:Ultravist(登録商標)370、Ultravist(登録商標)300、Omnipaque(商標)240、Omnipaque(商標)350、Isovue(登録商標)370、Isovue(登録商標)300、およびIsovue(登録商標)250。Isovue(登録商標)370および生理食塩水の一例を除くすべての流体について、検出器出力電圧の標準偏差は0.01ボルト未満であった。これらの流体の低い標準偏差は、検出器314の出力電圧が特定の流体ごとに一貫していることを示し、やはりセンサ310が検出器出力電圧に基づいて造影媒体溶液間で確実に区別できることを示している。この実証データまたは同様の実証データに基づいて、コントローラ900は、空気、生理食塩水、および様々なタイプの造影媒体に関連付けられた、上限および下限などの所定の閾値でプログラムすることができる。注入処置中、検出器314からの出力信号が空気に関連付けられた上限および下限内にある場合、コントローラ900は、流体経路セクション570内に空気が存在すると判定する。同様に、検出器の出力信号が造影媒体に関連付けられた上限および下限内にある場合、コントローラ900は、流体経路セクション570内に造影媒体が存在すると判定する。いくつかの実施形態では、所定の閾値の1つとして上限のみまたは下限のみが使用されてもよい。例えば、生理食塩水または造影媒体の出力電圧信号は空気の出力電圧信号を決して下回らないので、コントローラ900は空気に関連付けられた上限を有さなくてもよい。いくつかの実施形態では、コントローラ900は、予想される値の範囲を著しく外れた出力信号を故障状態と解釈してもよく、(例えばGUI 11上に表示されたメッセージを介して)操作者に警告し、および/または注入処置を自動的に停止してもよい。例えば、この実施形態において、出力信号が5ボルトを上回り、ヒストグラム2100から明らかなように流体経路セクション570内のいずれの流体の予想出力電圧よりも大きい場合、コントローラ900は、故障が発生したと判定することができる。
【0150】
図9を参照すると、グラフ2200は、やはり1450nmで動作しているエミッタ312について、水、造影媒体、および水と造影媒体との50:50溶液で実証的に観察された検出器出力信号電圧を示す。この実施形態では、流体経路セクション570内の水の平均検出器出力電圧は150ミリボルト(mV)から200mVの間であり、流体経路セクション570内の造影媒体と水との50:50溶液の平均検出器出力電圧は200mVから250mVの間であり、流体経路セクション570内の造影媒体の平均検出器出力電圧は250mVから300mVの間である。
【0151】
図10を参照すると、グラフ2300は、エミッタ312が395nmの紫外スペクトル上で電磁放射線を生成する実施形態における、水、造影媒体、および水と造影媒体との50:50溶液で実証的に観察された検出器出力信号電圧を示す。この実施形態では、流体経路セクション570内の水の平均検出器出力電圧は1600mVから1800mVの間であり、流体経路セクション570内の造影媒体と水との50:50溶液の平均検出器出力電圧は1400mVから1600mVの間であり、流体経路セクション570内の造影媒体の平均検出器出力電圧はおよそ1200mVである。
【0152】
図11を参照すると、グラフ2400は、やはりエミッタ312が約395nmのUVスペクトル上で電磁放射線を生成する実施形態における、水に対する造影媒体の様々な希釈率について実証的に観察された検出器出力信号電圧を示す。この実施形態では、流体経路セクション570内の100%造影媒体の平均検出器出力電圧はおよそ1200mVであり、平均検出器出力電圧は、75%造影剤、50%造影剤、25%造影剤、および0%造影剤(100% 水)で徐々に増加する。したがって、この実施形態では、溶液中の造影媒体のパーセンテージは、検出器314の出力電圧に対して逆の影響を及ぼす。
【0153】
図8A~
図11は、センサ310の特定の構成を有する少数の実施形態のデータを示すに過ぎない。異なるタイプのエミッタ312または検出器314、エミッタ312または検出器314に関連付けられた異なる回路、エミッタ312と検出器314との間の異なるギャップ間隔、異なるチュービング径、電磁放射線の異なる強度、異なる光学レンズまたはフィルタを使用することができる他の構成は、
図8A~
図11に示されるのと同じ流体を検出したときに異なる出力電圧を生成することができる。いくつかの実施形態では、例えば、検出器314は、流体経路セクションが存在しない場合にはおよそ1.609ボルト、流体経路セクションが空気で充填されている場合にはおよそ0.609ボルト、流体経路セクションが生理食塩水で充填されている場合にはおよそ3.43ボルト、流体経路セクションが造影媒体で充填されている場合にはおよそ4.65ボルトの電圧を出力することができる。別の実施形態では、検出器314は、流体経路セクションが存在しない場合にはおよそ5.0ボルト、流体経路セクションが空気で充填されている場合にはおよそ2.5ボルト、流体経路セクションが造影媒体で充填されている場合にはおよそ1.0ボルトの電圧を出力することができる。検出器出力電圧は、より高い感度で出力電圧を出力するために較正(例えば、
図23のセンサ回路内の抵抗器322、324を変更する)を通じてある程度操作することができる。
【0154】
図12~
図15を参照すると、グラフ2500~2800は、エミッタ312によって生成された波長の関数として、様々な市販の造影媒体溶液を通る電磁放射線の様々な実証的に観察された透過率を示す。
図12を参照すると、グラフ2500は、10ミリメートル(mm)ガラスキュベット内のUltravist(登録商標)370造影媒体の様々な希釈液を通る電磁放射線の相対的な透過について収集した実験データを示す。10mmガラスキュベット内の水を通る電磁放射線の透過は、基本的に100%の透過率で、ベースライン値としても示されている。グラフ化された希釈液は、純粋なUltravist(登録商標)370と、水対Ultravist(登録商標)370で1:1、2:1、および3:1の比とを含む。グラフ2500から理解され得るように、様々な希釈液間の相対的な透過の最大の差分は、UVスペクトル内またはその付近で、例えば370から390nm、この実施形態では特におよそ379nmの領域で発生する。
【0155】
所与の波長での相対的な透過の差は、生理食塩水(水と同様)と造影剤との間、および水による造影剤の様々な希釈液の間で区別するために使用することができる。具体的には、検出器314は、流体経路セクション570内の流体を通る電磁放射線を検出するので、様々な希釈液の透過率の差により、異なる量の電磁放射線が検出器314に到達することになる。その結果、検出器314によって生成された結果的な出力信号は、所与の波長で異なる透過率を有する水および造影剤の希釈液で異なる。所定の波長、例えばおよそ379nmで電磁放射線を放射するエミッタ312を使用することにより、コントローラ900は、検出器314の出力信号に基づいて、どの希釈率のUltravist(登録商標)370が流体経路セクション570内に存在するかをほぼ判定することができる。具体的には、コントローラ900は、検出器314の出力電圧を、Ultravist(登録商標)370の様々な希釈液に関連付けられた既知の出力電圧と照合するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、コントローラ900は、様々な希釈液に関連付けられた既知の出力電圧のデータベースを参照するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、コントローラ900は、検出器314の出力電圧に基づいてUltravist(登録商標)370の希釈率を補間するように構成されてもよい。
【0156】
図13を参照すると、グラフ2600は、Isovue(登録商標)128、Isovue(登録商標)250、Isovue(登録商標)370、Omnipaque(商標)300、およびUltravist(登録商標)370を含む様々な市販の造影媒体溶液を通る、350から450nmの間の波長を有する電磁放射線の透過率を示す。
図14のグラフ2700は、グラフ2600と同じデータを示すが、電磁放射線は約200から約1020nmの間の波長を有するように拡張されている。
図15のグラフ2800は、900nmから1050nmの間の波長を有する電磁放射線について、同じ市販の造影媒体溶液の透過率を示す。
図12に示されるように、所与の波長での相対的な透過の差は、様々な造影媒体溶液を区別するために使用することができる。
図13~
図15から理解され得るように、様々な造影媒体溶液の透過率の最大の差分は、電磁スペクトルの赤外領域および紫外領域の中または付近で発生し得る。したがって、エミッタ312は、この差分を利用するために赤外スペクトルおよび紫外スペクトルの中または付近で電磁放射線を生成するように構成することができる。別の実施形態では、エミッタ312は、可視スペクトル内で電磁放射線を生成するように構成されてもよい。別の実施形態では、エミッタ312は、電磁スペクトルの赤外領域内の2つの波長、電磁スペクトルの紫外領域内の2つの波長、または電磁スペクトルの赤外領域内の波長と紫外領域内の波長など、2つ以上の異なる波長で電磁放射線を生成することができてもよい。したがって、エミッタ312は、流体経路セクション570内の流体の識別情報をより正確に判定するために流体経路セクション570内の流体上のいくつかの吸収/透過データ点を収集するために、流体経路セクション570を通る異なる波長の電磁放射線にパルス印加することができる。いくつかの実施形態では、コントローラ900は、検出器314の出力信号に基づいて、どの造影媒体溶液が流体経路セクション570内に存在するかを判定するように構成することができる。具体的には、コントローラ900は、検出器314の出力電圧を、様々な市販の造影媒体溶液に関連付けられた既知の出力電圧と照合するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、コントローラ900は、様々な市販の造影媒体溶液に関連付けられた既知の出力電圧のデータベースを参照するように構成されてもよい。
【0157】
図16~
図20を参照すると、センサ310に関連付けられた流体経路セクション内に存在し得る、様々なチュービング形状および製造欠陥が示されている。
図16は、流体経路セクションの内腔580が側壁530と同心ではない偏心を示す。
図17は、側壁530の内径および/または外径が近位から遠位への方向に先細になっているドラフトを示す。
図18は、側壁530に適用された表面仕上げ582を示す。特定の表面仕上げは、側壁530を通過する電磁放射線の収束および/または発散を操作するように意図され得る。しかしながら、他の表面仕上げおよび/または一貫性なく適用された表面仕上げは、センサ読み取り値に悪影響を及ぼす可能性がある。
図19は、側壁530の内径および/または外径が真円ではない楕円形のチューブを示す。
図20は、側壁530のヒゲ584、例えば製造中に付与された基材または成形ラインの包含を示す。
図16~
図20に示される特徴の各々は、流体経路セクションを通過する電磁放射線を予期しない方法で挙動させ、検出器314から偽の信頼できない出力信号をもたらす可能性がある。実証試験では、造影媒体のタイプ間の区別には最高の感度を必要とし、したがって
図16~
図20に示されるタイプのチュービングの不規則性は、このタイプの区別に最も顕著な影響を有する可能性がある。あるいは、空気と造影媒体、空気と生理食塩水、ならびに造影媒体と生理食塩水との間の区別はより低い感度を必要とし、そのため
図16~
図20のチュービングの不規則性は、これらの判定に対してより少ないかまたは無視できる影響を有する可能性がある。
【0158】
いくつかの実施形態では、コントローラ900は、検出器314からの出力信号に対するこれらの形状特徴/欠陥の存在および潜在的な影響を確立するために、注入および/またはシリンジ充填処置の前に試験測定を実行するように構成されてもよい。コントローラ900は、検出器314を構成し、および/または造影剤注入流体経路およびフラッシング流体経路の一方または両方における特徴/欠陥の影響に基づいて1つ以上の補正係数を計算するために、試験測定の結果を使用することができる。充填および/または注入処置中、コントローラ900は、製造特徴/欠陥を補償するために、検出器314からの出力信号に補正係数を適用することができる。
【0159】
センサ読み取り値に影響を及ぼす可能性がある追加の製造上の問題は、側壁530の内径が期待値と異なることである。これは、製造公差および/またはサードパーティ流体経路セット構成要素の使用に起因して起こり得る。コントローラ900は、気泡の検出された長さを体積に変換するために内径に対応する所定の直径定数を利用することができるので、側壁530の予期しない内径は、気泡体積計算に特に影響を及ぼす可能性がある。側壁530の実際の内径が所定の直径定数と異なる場合、気泡体積の計算が不正確であり得る。いくつかの実施形態では、コントローラ900は、空の流体経路セクションの検出された屈折に基づいて側壁の外径、内径、および厚さを確立するために、注入処置の前に試験測定を実行するように構成されてもよい。試験測定に基づいて、コントローラ900は、検出器314からの後続の出力信号に補正係数を適用することができる。
【0160】
図21A~
図21Hを参照すると、いくつかの実施形態では、コントローラ900は、感度を向上させ、および/またはセンサ310から追加の情報を収集するために、エミッタ312によって生成された電磁放射線の強度および/または波長を操作するように構成することができる。具体的には、コントローラ900は、エミッタ312への電流を増加させてエミッタ312に高強度で光を放射させるか、またはエミッタ312への電流を減少させてエミッタ312により低い強度で光を放射させることができる。いくつかの実施形態では、コントローラ900は、検出器314を飽和させるために既知の所定の強度でエミッタ312に電力供給してもよい。検出器314がその飽和限界にあるとき、検出器314の出力電圧は最大であり、エミッタ312空の光の強度をさらに増加させても、検出器314からさらに高い出力電圧を生成することはない。
図21A~
図21Dは、センサ310の任意の実施形態のエミッタ電流の関数としての検出器出力電圧を示す。
図21Aに示されるように、検出器314は、最小出力電圧に対応するダークレベルと、最大出力電圧に対応する飽和限界とを有する。
図21Aは、検出器314のダークレベルと飽和限界との間の第1の検出器出力電圧802を生成するように選択された第1のエミッタ電流702を示す。
図21Bは、第1のエミッタ電流702よりも大きく、その結果、第1の出力電圧802よりも大きい第2の検出器出力電圧804を検出器314に生成させる、第2のエミッタ電流704を示す。この場合、第2の検出器出力電圧804は、依然として検出器314の飽和限界を下回っている。
図21Cは、第2のエミッタ電流704よりも大きく、その結果、第2の検出器出力電圧804よりも大きい第3の検出器出力電圧806を検出器314に生成させる、第3のエミッタ電流706を示す。この場合、第3のエミッタ電流706は、検出器314が飽和するのに十分な光強度を生成し、したがって、第3の検出器出力電圧806は飽和限界にある。
図21Dは、第3のエミッタ電流706よりも大きい第4のエミッタ電流708を示す。検出器314は既にその飽和限界に達しているので、第4のエミッタ電流708によって生成された第4の検出器出力電圧808は、第3の検出器出力電圧806と実質的に等しい。エミッタ電流のさらなる増加は、同様に、検出器314の出力電圧の増加をもたらさない。
【0161】
所与の検出器314の飽和限界は、実質的に一定である。エミッタ312と検出器314との間の内容物の屈折および吸収特性は、検出器314に到達する光の量および/または強度に影響を及ぼすので、流体経路セクション内の流体(および流体経路セクション自体)の屈折および吸収特性は、検出器314の飽和限界に到達するために必要なエミッタ電流を決定する。コントローラ900は、流体、例えば空気、生理食塩水、および造影剤を区別するため、ならびに造影剤のタイプおよび/または濃度を区別するために、検出器314の既知の飽和限界を利用することができる。例えば、コントローラ900は、流体経路セクション内に空気のみが存在する場合に検出器314を飽和させるのに十分であろう電流でエミッタ312を駆動することができる。検出器出力電圧が、このエミッタ電流に応答して実際に飽和限界に到達した場合、コントローラ900は、流体経路セクション内に空気のみが存在すると判定することができる。しかしながら、検出器出力電圧がこのエミッタ電流に応答して飽和限界に到達しない場合、コントローラ900は、別の流体が存在すると判定することができる。いくつかの実施形態では、コントローラ900は、流体経路セクション内の流体のタイプおよび/または濃度をさらに推測するために、エミッタ312への電流を変調し続けてもよい。例えば、コントローラ900は、流体経路セクション内の流体が生理食塩水に対する造影剤の所定の比未満を含む場合、検出器314を飽和させるのに十分な電流でエミッタ312を駆動することができる。検出器出力電圧が、このエミッタ電流に応答して飽和限界に到達した場合、コントローラ900は、流体経路セクション内流体が、生理食塩水に対する造影剤の所定の比未満を有すると判定することができる。
【0162】
図21E~
図21Hは、エミッタ電流を徐々に増加させることによって流体経路セクションの流体内容物を判定する方法を示す。
図21Eでは、コントローラ900は、流体経路セクション内に空気のみが存在していても検出器314を飽和させない既知の電流に対応する第5のエミッタ電流750でエミッタ312を駆動する。このエミッタ電流では、空気850に関連付けられた検出器出力電圧、第1の造影剤溶液852に関連付けられた検出器出力電圧、第2の造影剤溶液854に関連付けられた検出器出力電圧、および第3の造影剤溶液856に関連付けられた検出器出力電圧は、すべて検出器314の飽和限界未満である。それにもかかわらず、空気850に関連付けられた検出器出力電圧は、造影剤溶液852、854、856に関連付けられた検出器出力電圧と十分に区別され、コントローラ900は、検出器314の実際の測定検出器出力電圧に基づいて、流体経路セクション内に空気が存在すると結論付けることができる。第5のエミッタ電流750では、第2の造影剤溶液および第3の造影剤溶液854、856に関連付けられた検出器出力電圧は、実質的に検出器314のダークレベルにあり、したがってコントローラ900は、第5のエミッタ電流750では第2と第3の造影剤溶液854、856の間で効果的に区別することができないことに留意されたい。
【0163】
図21Fを参照すると、コントローラ900は、流体、特に第1、第2、および第3の造影剤溶液852、854、856の間で区別する能力を向上させるために、エミッタ312への電流を増加させることができる。そうするために、コントローラ900は、第5のエミッタ電流750よりも大きい第6のエミッタ電流752でエミッタ312を駆動することができる。第6のエミッタ電流752では、空気850に関連付けられた検出器出力電圧は、検出器314の飽和限界にある。第2の造影剤溶液854に関連付けられた検出器出力電圧は、ダークレベルから移動しており、したがって検出器314の有効分解能内にある。第6のエミッタ電流752では、コントローラ900は、検出器314の出力電圧に基づいて、特に第1と第2の造影剤溶液852、852の間で区別することができてもよい。さらに、除去方法により、造影剤溶液856は、依然としてダークレベル内であるかのように除去することができる。
【0164】
図21Gを参照すると、コントローラ900はやはり、流体、特に第2と第3の造影剤溶液854、856の間で区別する能力を向上させるために、エミッタ312への電流を増加させることができる。第7のエミッタ電流754では、空気850および第1の造影剤溶液852に関連付けられた検出器出力電圧は、検出器314の飽和限界にある。第3の造影剤溶液856に関連付けられた検出器出力電圧は、ダークレベルから移動している。加えて、第2および第3の造影剤溶液854、856に関連付けられた検出器出力電圧の間の広がりが増大しており、第6のエミッタ電流752と比較して第7のエミッタ電流754では第2の第3の造影剤溶液854、856の間の区別をより容易および/または確実にしている。
【0165】
コントローラ900は、エミッタ312への電流を第8のエミッタ電流758に再び増加させることができる。第8のエミッタ電流758では、空気850、第1の造影剤溶液852、および第2の造影剤溶液854に関連付けられた検出器出力電圧は、検出器314の飽和限界にある。したがって、コントローラ900は、検出器314の実際の検出器出力電圧が飽和限界未満のいずれかの値である場合に、第3の造影剤溶液856が流体経路セクション内に存在すると判定することができる。コントローラ900は、
図21A~
図21Hに関連して説明されたように、流体経路セクションの流体内容物を分析するために所定の時間間隔でエミッタ312を駆動する電流を増加的に変調するように構成されてもよい。
【0166】
図22を参照すると、3つの異なる内径(0.122インチのシリンジキャップ「A」、0.165インチのシリンジキャップ「B」、および0.210インチのシリンジキャップ「C」)の(
図7または
図24に示されるような)シリンジ先端16A、16Bに動作可能に関連付けられたセンサ310について、検出器314の例示的な出力信号のグラフが示されている。3つの異なる条件について、シリンジキャップ「A」、「B」、および「C」の各々に対して試験を行った:シリンジキャップがセンサモジュール300A、300Bに動作可能に関連付けられていない;シリンジキャップがセンサモジュール300A、300Bに動作可能に関連付けられ、空気で充填されている;シリンジキャップがセンサモジュール300A、300Bに動作可能に関連付けられ、水で充填されている。検出器314からの出力信号により、コントローラ900は、シリンジキャップの内径にかかわらず、これらの3つの条件を区別することができる。3つすべてのシリンジキャップ径について行われた測定にわたって、センサに動作可能に関連付けられていないシリンジキャップの平均出力信号は4.110から4.111ボルトの範囲であり、空気で充填されたシリンジキャップの平均出力信号は2.120から2.665ボルトの範囲であり、水で充填されたシリンジキャップの平均出力信号は1.102から1.283ボルトの範囲であった。
図22に示される試験結果では、エミッタ312は1450nmの波長で動作した。
【0167】
本発明の様々な例が前述の説明において提供されたが、当業者は、本開示の範囲および精神から逸脱することなく、これらの例に修正および変更を加えることができる。したがって、上記の説明は、限定的ではなく例示的であることが意図される。上記で説明された開示は添付の特許請求の範囲によって定義され、特許請求の範囲の均等物の意味および範囲に含まれる本開示に対するすべての変更は、その範囲内に含まれるべきである。
【符号の説明】
【0168】
10A 第1の流体リザーバ(シリンジ)
10B 第2の流体リザーバ(シリンジ)
11 グラフィカルユーザインターフェース(GUI)
12 流体注入器
13A 第1のピストン
13B 第2のピストン
14A プランジャ
14B プランジャ
16A 先端またはノズル
16B 先端またはノズル
19A 第1のバルク流体容器(リザーバ)
19B 第2のバルク流体容器(リザーバ)
110 カテーテル
208A 第1のシリンジライン
208B 第2のシリンジライン
210A 第1の患者ライン
210B 第2の患者ライン
216A 第1の充填ライン
216B 第2の充填ライン
220 マニホールドハウジングモジュール
222 受容チャネル
280 リーダ
300A 第1のセンサモジュール
300B 第2のセンサモジュール
300C 第3のセンサモジュール
300X 追加のセンサモジュール
300Y 追加のセンサモジュール
310 センサ
312 エミッタ
314 検出器
318 光学フィルタ
320 電源
321 電源
324 センサ抵抗器
326 出力電圧信号
350 コリメートアパーチャ
352 コリメートアパーチャ
410 追加のセンサ
410’ 追加のセンサ
500 マニホールド
510 第1の入口ポート
512 第1の出口ポート
514 第1の充填ポート
516 逆止弁
520 第2の入口ポート
522 第2の出口ポート
524 第2の充填ポート
526 逆止弁
530 側壁
550 接続ビーム
570 流体経路セクション
580 内腔
584 ヒゲ
600 マニホールド
610 入口ポート
612 出口ポート
614 充填ポート
630 側壁
670 流体経路セクション
702 第1のエミッタ電流
704 第2のエミッタ電流
706 第3のエミッタ電流
708 第4のエミッタ電流
750 第5のエミッタ電流
752 第6のエミッタ電流
754 第7のエミッタ電流
758 第8のエミッタ電流
802 第1の検出器出力電圧
804 第2の検出器出力電圧
806 第3の検出器出力電圧
808 第4の検出器出力電圧
850 空気
852 第1の造影剤溶液
854 第2の造影剤溶液
856 第3の造影剤溶液
900 コントローラ
2000 流体注入器システム
2100 ヒストグラム
2150 グラフ
2200 グラフ
2300 グラフ
2400 グラフ
2500 グラフ
2600 グラフ
2700 グラフ
2800 グラフ
【国際調査報告】