(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-28
(54)【発明の名称】二重抗体の組み合わせ及びその使用
(51)【国際特許分類】
C12N 15/62 20060101AFI20240621BHJP
C07K 16/46 20060101ALI20240621BHJP
C07K 16/28 20060101ALI20240621BHJP
C12N 15/13 20060101ALI20240621BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20240621BHJP
C12N 1/15 20060101ALI20240621BHJP
C12N 1/19 20060101ALI20240621BHJP
C12N 1/21 20060101ALI20240621BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20240621BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20240621BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240621BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240621BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20240621BHJP
A61K 35/74 20150101ALI20240621BHJP
A61K 35/12 20150101ALI20240621BHJP
【FI】
C12N15/62 Z
C07K16/46 ZNA
C07K16/28
C12N15/13
C12N15/63 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
A61K39/395 N
A61K39/395 T
A61K39/395 U
A61P35/00
A61P43/00 121
A61K48/00
A61K35/74
A61K35/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023578000
(86)(22)【出願日】2022-06-17
(85)【翻訳文提出日】2024-02-15
(86)【国際出願番号】 CN2022099607
(87)【国際公開番号】W WO2022262868
(87)【国際公開日】2022-12-22
(31)【優先権主張番号】202110678326.X
(32)【優先日】2021-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202210634042.5
(32)【優先日】2022-06-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520223321
【氏名又は名称】ハーバー・バイオメド・(シャンハイ)・カンパニー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】HARBOUR BIOMED (SHANGHAI) CO., LTD
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】▲呉▼ ▲暁▼▲東▼
(72)【発明者】
【氏名】▲鐘▼ ▲シェン▼
(72)【発明者】
【氏名】杜 芳芳
(72)【発明者】
【氏名】▲賈▼ ▲鴿▼子
(72)【発明者】
【氏名】王 永▲強▼
(72)【発明者】
【氏名】石 ▲レイ▼
(72)【発明者】
【氏名】何 云
(72)【発明者】
【氏名】戒 一平
【テーマコード(参考)】
4B065
4C084
4C085
4C087
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA01X
4B065AA26X
4B065AA57X
4B065AA72X
4B065AA87X
4B065AA90Y
4B065AB01
4B065AC14
4B065AC20
4B065BA02
4B065CA25
4B065CA44
4C084AA13
4C084MA02
4C084NA05
4C084NA14
4C084ZB26
4C084ZC75
4C085AA14
4C085BB01
4C085BB11
4C085BB31
4C085DD62
4C085EE03
4C087AA01
4C087AA02
4C087BB65
4C087BC34
4C087CA12
4C087MA02
4C087NA05
4C087NA14
4C087ZB26
4C087ZC75
4H045AA11
4H045AA30
4H045AA40
4H045BA10
4H045BA40
4H045CA40
4H045DA75
4H045EA20
4H045FA74
(57)【要約】
二重特異性抗体Iと、二重特異性抗体IIとを含む二重抗体の組み合わせ及びその使用を提供し、前記二重特異性抗体Iは、CD3を標的とするドメインと、腫瘍関連抗原を標的とするドメインとを含み、前記二重特異性抗体IIは、4-1BBを標的とするドメインと、腫瘍関連抗原を標的とするドメインとを含む。それを含む医薬組成物、キット、キットセット及び投与装置、並びにそれらを使用してがんを治療する方法も開示する。二重特異性抗体の併用は、T細胞の枯渇を減少させるだけでなく、後期の腫瘍殺傷を有意に促進することができる。さらに、二重特異性抗体の併用は、特に同じ腫瘍関連抗原の異なるエピトープを標的とする場合、又は異なる腫瘍関連抗原を標的とする場合に、強い相乗的殺傷効果を有する。前記二重抗体の組み合わせ及びそれを含む医薬組成物の使用は、固形腫瘍の治療に潜在的に臨床的に有効な解決策を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1治療剤としての二重特異性抗体Iと、第2治療剤としての二重特異性抗体IIとを含む二重抗体の組み合わせであって、前記二重特異性抗体Iは、CD3を標的とするドメインと、腫瘍関連抗原を標的とするドメインとを含み、前記二重特異性抗体IIは、4-1BBを標的とするドメインと、腫瘍関連抗原を標的とするドメインとを含み;好ましくは、前記二重特異性抗体Iにおいて、前記腫瘍関連抗原のドメインは、B7-H4を標的とするドメインであり;及び/又は、前記二重特異性抗体IIにおいて、腫瘍関連抗原を標的とするドメインは、B7-H4を標的とするドメイン又はHer2を標的とするドメインであり;より好ましくは、前記二重特異性抗体I及び二重特異性抗体IIにおけるB7-H4を標的とするドメインは、それぞれB7-H4の異なるエピトープを標的とすることを特徴とする、二重抗体の組み合わせ。
【請求項2】
前記二重特異性抗体Iは、Fab-Fc-scFv又はFab-Fc-(VH)
nの非対称構造であり、前記二重特異性抗体IIは、IgG-VHの対称構造であり;ここで、nは1以上の自然数であり;
好ましくは、前記二重特異性抗体Iにおいて、B7-H4を標的とするドメインはscFv又はVH_A-VH_Bであり、前記VH_AとVH_Bは同一又は異なり、CD3を標的とするドメインはFabであり、前記Fabと前記scFv又はVH_A-VH_Bはヒンジ領域又はリンカーペプチドを介してFcに連結され;前記Fcは、好ましくは、IgG1のFcであり、前記リンカーペプチドのアミノ酸配列は、配列番号93~96、124に示され、より好ましくは、前記Fcは、例えば、L234A、L235A突然変異、「knob」突然変異T366Wと「Hole」突然変異T366S、L368AとY407V、及び/又は、「knob」突然変異S354Cと「Hole」突然変異Y349Cなどの1~3個のアミノ酸の付加、欠失又は突然変異を含み;及び/又は
前記二重特異性抗体IIにおいて、B7-H4を標的とするドメイン又はHer2を標的とするドメインはIgGであり、前記IgGのFcは、好ましくは、例えば、L234A、L235A突然変異などの1~3個のアミノ酸の付加、欠失又は突然変異を含み;4-1BBを標的とするドメインはVH又はscFvであり;前記B7-H4を標的とするドメイン又はHer2を標的とするドメインと前記4-1BBを標的とするドメインは、リンカーペプチドを介して連結され、前記リンカーペプチドのアミノ酸配列は、好ましくは、配列番号93~96に示されることを特徴とする、請求項1に記載の二重抗体の組み合わせ。
【請求項3】
前記二重特異性抗体Iにおいて、B7-H4を標的とするドメインは、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含み、前記重鎖可変領域のHCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号10、21、33に示され、前記軽鎖可変領域のLCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号43、49、57に示され;或いは、前記B7-H4を標的とするドメインはVH_A-VH_Bを含み、前記VH_A及びVH_BのHCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号100、104、102に示され、又は前記VH_AのHCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号100、104、102に示され、前記VH_BのHCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号97、103、99に示され;
CD3を標的とするドメインは、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含み、前記重鎖可変領域のHCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号8、19、31に示され、前記軽鎖可変領域のLCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号41、48、55に示され;及び/又は、
前記二重特異性抗体IIにおいて、B7-H4を標的とするドメインは、重鎖可変領域及び重鎖可変領域を含み、前記重鎖可変領域のHCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号9、20、32に示され、前記軽鎖可変領域のLCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号42、49、56に示され;或いは、前記重鎖可変領域のHCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号10、21、33に示され、前記軽鎖可変領域のLCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号43、49、57に示され;Her2を標的とするドメインは、重鎖可変領域及び重鎖可変領域を含み、前記重鎖可変領域のHCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号6、17、29に示され、前記軽鎖可変領域のLCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号40、47、54に示され;
4-1BBを標的とするドメインはVHであり、そのHCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号7、18、30に示され、又は配列番号7、22、30に示され;
好ましくは、前記二重特異性抗体IIは下記の群から選択され:
a)前記二重特異性抗体IIは、B7-H4を標的とするドメイン及び4-1BBを標的とするドメインを含み;ここで、
B7-H4を標的とするドメインにおいて、重鎖可変領域のHCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号9、20、32に示され、軽鎖可変領域のLCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号42、49、56に示され;4-1BBを標的とするドメインにおいて、HCDR1~3のアミノ酸配列は、配列番号7、22、30に示され;或いは、
B7-H4を標的とするドメインにおいて、重鎖可変領域のHCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号10、21、33に示され、軽鎖可変領域のLCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号43、49、57に示され;4-1BBを標的とするドメインにおいて、HCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号7、18、30に示され;
b)前記二重特異性抗体IIは、Her2を標的とするドメイン及び4-1BBを標的とするドメインを含み;ここで、Her2を標的とするドメインにおいて、重鎖可変領域のHCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号6、17、29に示され、軽鎖可変領域のLCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号40、47、54に示され;4-1BBを標的とするドメインにおいて、HCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号7、18、30に示され;
より好ましくは、前記二重抗体の組み合わせは下記から選択され:
i)二重特異性抗体Iにおいて、B7-H4を標的とするドメインの重鎖可変領域のHCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号10、21、33に示され、軽鎖可変領域のLCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号43、49、57に示され;CD3を標的とするドメインの重鎖可変領域のHCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号8、19、31に示され、軽鎖可変領域のLCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号41、48、55に示され;二重特異性抗体IIにおいて、B7-H4を標的とするドメインの重鎖可変領域のHCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号9、20、32に示され、軽鎖可変領域のLCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号42、49、56に示され;4-1BBを標的とするドメインのHCDR1~3のアミノ酸配列は、配列番号7、22、30に示され;
ii)二重特異性抗体Iにおいて、B7-H4を標的とするドメインの重鎖可変領域のHCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号10、21、33に示され、軽鎖可変領域のLCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号43、49、57に示され;CD3を標的とするドメインの重鎖可変領域のHCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号8、19、31に示され、軽鎖可変領域のLCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号41、48、55に示され;二重特異性抗体IIにおいて、Her2を標的とするドメインの重鎖可変領域のHCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号6、17、29に示され、軽鎖可変領域のLCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号40、47、54に示され;4-1BBを標的とするドメインのHCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号7、18、30に示され;
iii)二重特異性抗体Iにおいて、B7-H4を標的とするドメインのVH_A及びVH_BのHCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号100、104、102に示され、CD3を標的とするドメインの重鎖可変領域のHCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号8、19、31に示され、軽鎖可変領域のLCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号41、48、55に示され;二重特異性抗体IIにおいて、B7-H4を標的とするドメインの重鎖可変領域のHCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号9、20、32に示され、軽鎖可変領域のLCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号42、49、56に示され;4-1BBを標的とするドメインのHCDR1~3のアミノ酸配列は、配列番号7、22、30に示され;
iv)二重特異性抗体Iにおいて、B7-H4を標的とするドメインのVH_A及びVH_BのHCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号100、104、102に示され、CD3を標的とするドメインの重鎖可変領域のHCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号8、19、31に示され、軽鎖可変領域のLCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号41、48、55に示され;二重特異性抗体IIにおいて、Her2を標的とするドメインの重鎖可変領域のHCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号6、17、29に示され、軽鎖可変領域のLCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号40、47、54に示され;4-1BBを標的とするドメインのHCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号7、18、30に示され;
v)二重特異性抗体Iにおいて、B7-H4を標的とするドメインのVH_AのHCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号100、104、102に示され、VH_Bのアミノ酸配列は、それぞれ配列番号97、103、99に示され、CD3を標的とするドメインの重鎖可変領域のHCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号8、19、31に示され、軽鎖可変領域のLCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号41、48、55に示され;二重特異性抗体IIにおいて、B7-H4を標的とするドメインの重鎖可変領域のHCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号9、20、32に示され、軽鎖可変領域のLCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号42、49、56に示され;4-1BBを標的とするドメインのHCDR1~3のアミノ酸配列は、配列番号7、22、30に示され;
vi)二重特異性抗体Iにおいて、B7-H4を標的とするドメインのVH_AのHCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号100、104、102に示され、VH_Bのアミノ酸配列は、それぞれ配列番号97、103、99に示され、CD3を標的とするドメインの重鎖可変領域のHCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号8、19、31に示され、軽鎖可変領域のLCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号41、48、55に示され;二重特異性抗体IIにおいて、Her2を標的とするドメインの重鎖可変領域のHCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号6、17、29に示され、軽鎖可変領域のLCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号40、47、54に示され;4-1BBを標的とするドメインのHCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号7、18、30に示されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の二重抗体の組み合わせ。
【請求項4】
前記二重特異性抗体Iにおいて、B7-H4を標的とするドメインの重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号66に示され、軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号72に示され;CD3を標的とするドメインの重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号67に示され、軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号70に示され;或いは、B7-H4を標的とするドメインの重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号66に示され、軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号72に示され;CD3を標的とするドメインの重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号64に示され、軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号70に示され;或いは、B7-H4を標的とするドメインは配列番号122に示されたアミノ酸配列を含み、CD3を標的とするドメインの重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号67に示され、軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号70に示され;或いは、B7-H4を標的とするドメインは配列番号123に示されたアミノ酸配列を含み、CD3を標的とするドメインの重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号64に示され、軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号70に示され;
及び/又は、前記二重特異性抗体IIは下記の群から選択され:
a)前記二重特異性抗体IIは、B7-H4を標的とするドメイン及び4-1BBを標的とするドメインを含み;ここで、
B7-H4を標的とするドメインにおいて、重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号65に示され、軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号71に示され;4-1BBを標的とするドメインにおいて、VHのアミノ酸配列は配列番号68に示され;或いは、
B7-H4を標的とするドメインにおいて、重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号66に示され、軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号72に示され;4-1BBを標的とするドメインにおいて、VHのアミノ酸配列は配列番号63に示され;
b)前記二重特異性抗体IIは、Her2を標的とするドメイン及び4-1BBを標的とするドメインを含み;Her2を標的とするドメインにおいて、重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号62に示され、軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号69に示され;4-1BBを標的とするドメインにおいて、VHのアミノ酸配列は配列番号63に示され;
好ましくは、前記二重抗体の組み合わせは下記から選択され:
i)二重特異性抗体Iにおいて、B7-H4を標的とするドメインの重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号66に示され、軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号72に示され;CD3を標的とするドメインの重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号67に示され、軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号70に示され;二重特異性抗体IIにおいて、B7-H4を標的とするドメインの重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号65に示され、軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号71に示され;4-1BBを標的とするドメインのVHのアミノ酸配列は配列番号68に示され;
ii)二重特異性抗体Iにおいて、B7-H4を標的とするドメインの重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号66に示され、軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号72に示され;CD3を標的とするドメインの重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号67に示され、軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号70に示され;二重特異性抗体IIにおいて、Her2を標的とするドメインの重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号62に示され、軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号69に示され;4-1BBを標的とするドメインのVHのアミノ酸配列は配列番号63に示され;
iii)二重特異性抗体Iにおいて、B7-H4を標的とするドメインは配列番号122に示されたアミノ酸配列を含み;CD3を標的とするドメインの重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号67に示され、軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号70に示され;二重特異性抗体IIにおいて、B7-H4を標的とするドメインの重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号65に示され、軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号71に示され;4-1BBを標的とするドメインのVHのアミノ酸配列は配列番号68に示され;
iv)二重特異性抗体Iにおいて、B7-H4を標的とするドメインは配列番号122に示されたアミノ酸配列を含み;CD3を標的とするドメインの重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号67に示され、軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号70に示され;二重特異性抗体IIにおいて、Her2を標的とするドメインの重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号62に示され、軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号69に示され;4-1BBを標的とするドメインのVHのアミノ酸配列は配列番号63に示され;
v)二重特異性抗体Iにおいて、B7-H4を標的とするドメインは配列番号123に示されたアミノ酸配列を含み;CD3を標的とするドメインの重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号67に示され、軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号70に示され;二重特異性抗体IIにおいて、B7-H4を標的とするドメインの重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号65に示され、軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号71に示され;4-1BBを標的とするドメインのVHのアミノ酸配列は配列番号68に示され;
vi)二重特異性抗体Iにおいて、B7-H4を標的とするドメインは配列番号123に示されたアミノ酸配列を含み;CD3を標的とするドメインの重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号67に示され、軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号70に示され;二重特異性抗体IIにおいて、Her2を標的とするドメインの重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号62に示され、軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号69に示され;4-1BBを標的とするドメインのVHのアミノ酸配列は配列番号63に示されることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の二重抗体の組み合わせ。
【請求項5】
前記二重特異性抗体Iにおいて、B7-H4を標的とするドメインのアミノ酸配列は配列番号92、115、116に示され、CD3を標的とするドメインの重鎖及び軽鎖のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号78、配列番号81に示され;或いは、前記B7-H4のドメインのアミノ酸配列は、配列番号92、115、116に示され、CD3を標的とするドメインの重鎖及び軽鎖のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号75、配列番号81に示され;及び/又は、
前記二重特異性抗体IIにおいて、B7-H4を標的とするドメインの重鎖及び軽鎖のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号76、配列番号82に示され、又はそれぞれ配列番号77、配列番号83に示され;Her2を標的とするドメインの重鎖及び軽鎖のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号73、配列番号80に示され;及び/又は、4-1BBを標的とするドメインの重鎖のアミノ酸配列は配列番号74又は79に示され;
好ましくは、前記二重抗体の組み合わせは下記から選択され:
i)二重特異性抗体Iにおいて、B7-H4を標的とするドメインのアミノ酸配列は配列番号92に示され、CD3を標的とするドメインの重鎖及び軽鎖のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号78、配列番号81に示され;二重特異性抗体IIにおいて、B7-H4を標的とするドメインの重鎖及び軽鎖のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号76、配列番号82に示され、4-1BBを標的とするドメインのアミノ酸配列は配列番号79に示され;4-1BBを標的とするドメインのN末端は、B7-H4を標的とするドメインの重鎖のC末端に直接に連結され;
ii)二重特異性抗体Iにおいて、B7-H4を標的とするドメインのアミノ酸配列は配列番号92に示され、CD3を標的とするドメインの重鎖及び軽鎖のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号78、配列番号81に示され;二重特異性抗体IIにおいて、B7-H4を標的とするドメインの重鎖及び軽鎖のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号76、配列番号82に示され、4-1BBを標的とするドメインのアミノ酸配列は配列番号79に示され;4-1BBを標的とするドメインのN末端は、配列番号95に示されたリンカーペプチドを介してB7-H4を標的とするドメインの重鎖のC末端に連結され;
iii)二重特異性抗体Iにおいて、B7-H4を標的とするドメインのアミノ酸配列は配列番号92に示され、CD3を標的とするドメインの重鎖及び軽鎖のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号78、配列番号81に示され;二重特異性抗体IIにおいて、B7-H4を標的とするドメインの重鎖及び軽鎖のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号73、配列番号80に示され、4-1BBを標的とするドメインのアミノ酸配列は配列番号74に示され;
iv)二重特異性抗体Iにおいて、B7-H4を標的とするドメインのアミノ酸配列は配列番号115に示され、CD3を標的とするドメインの重鎖及び軽鎖のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号78、配列番号81に示され;二重特異性抗体IIにおいて、B7-H4を標的とするドメインの重鎖及び軽鎖のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号76、配列番号82に示され、4-1BBを標的とするドメインのアミノ酸配列は配列番号79に示され;4-1BBを標的とするドメインのN末端は、B7-H4を標的とするドメインの重鎖のC末端に直接に連結され;
v)二重特異性抗体Iにおいて、B7-H4を標的とするドメインのアミノ酸配列は配列番号115に示され、CD3を標的とするドメインの重鎖及び軽鎖のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号78、配列番号81に示され;二重特異性抗体IIにおいて、B7-H4を標的とするドメインの重鎖及び軽鎖のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号76、配列番号82に示され、4-1BBを標的とするドメインのアミノ酸配列は配列番号79に示され;4-1BBを標的とするドメインのN末端は、配列番号95に示されたリンカーペプチドを介してB7-H4を標的とするドメインの重鎖のC末端に連結され;
vi)二重特異性抗体Iにおいて、B7-H4を標的とするドメインのアミノ酸配列は配列番号115に示され、CD3を標的とするドメインの重鎖及び軽鎖のアミノ酸配列はそれぞれ配列番号78、配列番号81に示され;二重特異性抗体IIにおいて、B7-H4を標的とするドメインの重鎖及び軽鎖のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号73、配列番号80に示され、4-1BBを標的とするドメインのアミノ酸配列は配列番号74に示され;
vii)二重特異性抗体Iにおいて、B7-H4を標的とするドメインのアミノ酸配列は配列番号116に示され、CD3を標的とするドメインの重鎖及び軽鎖のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号78、配列番号81に示され;二重特異性抗体IIにおいて、B7-H4を標的とするドメインの重鎖及び軽鎖のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号76、配列番号82に示され、4-1BBを標的とするドメインのアミノ酸配列は配列番号79に示され;4-1BBを標的とするドメインのN末端は、B7-H4を標的とするドメインの重鎖のC末端に直接に連結され;
viii)二重特異性抗体Iにおいて、B7-H4を標的とするドメインのアミノ酸配列は配列番号116に示され、CD3を標的とするドメインの重鎖及び軽鎖のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号78、配列番号81に示され;二重特異性抗体IIにおいて、B7-H4を標的とするドメインの重鎖及び軽鎖のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号76、配列番号82に示され、4-1BBを標的とするドメインのアミノ酸配列は配列番号79に示され;4-1BBを標的とするドメインのN末端は、配列番号95に示されたリンカーペプチドを介してB7-H4を標的とするドメインの重鎖のC末端に連結され;
ix)二重特異性抗体Iにおいて、B7-H4を標的とするドメインのアミノ酸配列は配列番号116に示され、CD3を標的とするドメインの重鎖及び軽鎖のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号78、配列番号81に示され;二重特異性抗体IIにおいて、B7-H4を標的とするドメインの重鎖及び軽鎖のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号73、配列番号80に示され、4-1BBを標的とするドメインのアミノ酸配列は配列番号74に示されることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の二重抗体の組み合わせ。
【請求項6】
二重特異性抗体I及び二重特異性抗体II、又は二重特異性抗体I及びウレルマブ(Urelumab)を含む二重抗体の組み合わせであって;前記二重特異性抗体Iは、ポリペプチド鎖-1、ポリペプチド鎖-2及びポリペプチド鎖-3の3つのポリペプチド鎖を含み、そのアミノ酸配列はそれぞれ配列番号81、配列番号88、配列番号87;又は配列番号81、配列番号86、配列番号87;又は配列番号113、配列番号114、配列番号115;又は配列番号113、配列番号114、配列番号116に示され;
及び/又は、前記二重特異性抗体IIは、短鎖及び長鎖の2つのポリペプチド鎖を含み、前記短鎖及び長鎖のアミノ酸配列はそれぞれ配列番号82及び配列番号85、配列番号82及び配列番号89、配列番号82及び配列番号90、配列番号83及び配列番号91、配列番号80及び配列番号84に示され;
好ましくは、前記二重抗体の組み合わせは下記から選択され:
i)二重特異性抗体Iは、アミノ酸配列がそれぞれ配列番号81、配列番号88、配列番号87に示された3つのポリペプチド鎖を含み;二重特異性抗体IIは、アミノ酸配列がそれぞれ配列番号82及び配列番号89に示された2つのポリペプチド鎖を含み;
ii)二重特異性抗体Iは、アミノ酸配列がそれぞれ配列番号81、配列番号88、配列番号87に示された3つのポリペプチド鎖を含み;二重特異性抗体IIは、アミノ酸配列がそれぞれ配列番号82及び配列番号85に示された2つのポリペプチド鎖を含み;
iii)二重特異性抗体Iは、アミノ酸配列がそれぞれ配列番号81、配列番号88、配列番号87に示された3つのポリペプチド鎖を含み;二重特異性抗体IIは、アミノ酸配列がそれぞれ配列番号80及び配列番号84に示された2つのポリペプチド鎖を含み;
iv)二重特異性抗体Iは、アミノ酸配列がそれぞれ配列番号113、配列番号114、配列番号115に示された3つのポリペプチド鎖を含み;二重特異性抗体IIは、アミノ酸配列がそれぞれ配列番号82及び配列番号89に示された2つのポリペプチド鎖を含み;
v)二重特異性抗体Iは、アミノ酸配列がそれぞれ配列番号113、配列番号114、配列番号115に示された3つのポリペプチド鎖を含み;二重特異性抗体IIは、アミノ酸配列がそれぞれ配列番号82及び配列番号85に示された2つのポリペプチド鎖を含み;
vi)二重特異性抗体Iは、アミノ酸配列がそれぞれ配列番号113、配列番号114、配列番号115に示された3つのポリペプチド鎖を含み;二重特異性抗体IIは、アミノ酸配列がそれぞれ配列番号80及び配列番号84に示された2つのポリペプチド鎖を含み;
vii)二重特異性抗体Iは、アミノ酸配列がそれぞれ配列番号113、配列番号114、配列番号116に示された3つのポリペプチド鎖を含み;二重特異性抗体IIは、アミノ酸配列がそれぞれ配列番号82及び配列番号89に示された2つのポリペプチド鎖を含み;
viii)二重特異性抗体Iは、アミノ酸配列がそれぞれ配列番号113、配列番号114、配列番号116に示された3つのポリペプチド鎖を含み;二重特異性抗体IIは、アミノ酸配列がそれぞれ配列番号82及び配列番号85に示された2つのポリペプチド鎖を含み;
ix)二重特異性抗体Iは、アミノ酸配列がそれぞれ配列番号113、配列番号114、配列番号116に示された3つのポリペプチド鎖を含み;二重特異性抗体IIは、アミノ酸配列がそれぞれ配列番号80及び配列番号84に示された2つのポリペプチド鎖を含むことを特徴とする、二重抗体の組み合わせ。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の二重抗体の組み合わせにおける二重特異性抗体I及び二重特異性抗体IIをコードすることを特徴とする、単離された核酸。
【請求項8】
請求項7に記載の単離された核酸を含むことを特徴とする、組換え発現ベクター。
【請求項9】
請求項7に記載の単離された核酸又は請求項8に記載の組換え発現ベクターを含む形質転換体であって、好ましくは、前記形質転換体の宿主は原核細胞又は真核細胞であり、前記原核細胞は好ましくは大腸菌であり、前記真核細胞は好ましくは酵母又は哺乳動物細胞であることを特徴とする、形質転換体。
【請求項10】
請求項1~6のいずれか一項に記載の二重抗体の組み合わせを含み;好ましくは、免疫チェックポイント抗体及び/又は化学療法薬などの第3治療剤をさらに含むことを特徴とする、医薬組成物。
【請求項11】
請求項1~6のいずれか一項に記載の二重抗体の組み合わせ、請求項7に記載の単離された核酸、請求項8に記載の組換え発現ベクター、請求項9に記載の形質転換体、又は請求項10に記載の医薬組成物、及び任意選択の説明書を含むことを特徴とする、キット。
【請求項12】
がんを治療するための医薬の製造における、請求項1~6のいずれか一項に記載の二重抗体の組み合わせ、請求項7に記載の単離された核酸、請求項8に記載の組換え発現ベクター、請求項9に記載の形質転換体、又は請求項10に記載の医薬組成物の使用であって、好ましくは、前記がんは血液腫瘍又は固形腫瘍であり、前記固形腫瘍は好ましくは乳がん、卵巣がん、子宮内膜がんである、使用。
【請求項13】
キットI及びキットIIを含むキットセットであって、前記キットIは、請求項1~6のいずれか一項に記載の二重抗体の組み合わせにおける二重特異性抗体Iを含み、前記キットIIは、請求項1~6のいずれか一項に記載の二重抗体の組み合わせにおける二重特異性抗体IIを含み;或いは、
前記キットIは、請求項1~6のいずれか一項に記載の二重抗体の組み合わせにおける二重特異性抗体I及び二重特異性抗体IIを含み;前記キットIIは、免疫チェックポイント抗体及び/又は化学療法薬などの第3治療剤を含むことを特徴とする、キットセット。
【請求項14】
(1)請求項10に記載の医薬組成物をそれを必要とする対象に投与するための注入モジュールと、(2)任意選択の薬効監視モジュールとを含むことを特徴とする、投与装置。
【請求項15】
請求項1~6のいずれか一項に記載の二重抗体の組み合わせ、請求項10に記載の医薬組成物、請求項13に記載のキットセット、又は請求項14に記載の投与装置をそれを必要とする対象に使用する、がんを治療する方法であって、好ましくは、前記がんは血液腫瘍又は固形腫瘍であり、前記固形腫瘍は好ましくは乳がん、卵巣がん、子宮内膜がんであることを特徴とする、方法。
【請求項16】
前記二重抗体の組み合わせにおける二重特異性抗体I及び二重特異性抗体IIは、同時に又は逐次的に投与されることを特徴とする、請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は出願日が2021年6月18日である中国特許出願202110678326X、出願日が2022年6月6日である中国特許出願2022106340425の優先権を主張する。本出願は上記の中国特許出願の全文を引用する。
【0002】
(技術分野)
本発明は、生物医薬品の分野に属し、具体的には二重抗体の組み合わせ、それを含む医薬組成物、及びその使用に関する。
【背景技術】
【0003】
腫瘍細胞は、細胞表面の主要組織適合性複合体I(MHCI)を下方制御することにより、腫瘍抗原の提示を減少させ、生体の抗腫瘍免疫応答を回避することができる。CD3二重特異性抗体は、T細胞上のCD3分子及び腫瘍細胞上の腫瘍関連抗原に同時に結合することにより、免疫シナプスの形成を媒介し、腫瘍細胞を死滅させる。理論的には、CD3二重特異性抗体は、T細胞上のCD3分子を直接活性化することにより、組織適合性複合体による抗原の提示に依存せず、同時に抗原特異的T細胞の活性化に依存せず、ポリクローナルT細胞を活性化することができるため、T細胞による腫瘍細胞の死滅を媒介する強力な役割を果たす。2014年、BiTEと呼ばれるAmgenのブリナツモマブ(Blinatumomab)は、再発/難治性のB細胞性急性リンパ腫(B-ALL)の治療薬として販売され、良好な治療効果を達成した。ブリナツモマブ二重特異性抗体は、一端が腫瘍細胞上のCD19に結合し、もう一端がT細胞上のCD3に結合することにより、T細胞による強力な腫瘍細胞の死滅効果を媒介することができ、患者の初期奏効率は50%を超えている(Bejnjamin and Stein2016,Ther Adv Hematol, 7(3):142-146)。
【0004】
CD3二重特異性抗体は、現在臨床試験で開発中の二重特異性抗体のほぼ半分を占め、その約2/3は血液腫瘍に対するものであり、1/3は固形腫瘍に対するものである(Bispecific antibodies: a mechanistic review of the pipeline. Nature Review Drug Discovery, 2019 Aug; 18(8):585-608)。固形腫瘍に対するCD3二重特異性抗体は、in vitro実験又は動物実験で強い抗腫瘍活性を示しているが、その臨床効果は現在満足のいくものではない。固形腫瘍は多くの間質細胞と細胞外マトリックスを含むことが多く、形成された物理的障壁がリンパ球の浸潤を阻止し、固形腫瘍では腫瘍細胞の数に比べてT細胞が占める割合は非常に小さい;同時に、腫瘍内部免疫阻害性微小環境は、Treg、MDSC、TAM、免疫チェックポイントの発現を含む;CD3二重特異性抗体は単独では、T細胞に第2シグナルがない場合にT細胞のアポトーシスを引き起こす可能性が高い。これらの要因はすべて、固形腫瘍におけるCD3二重特異性抗体の臨床効果の低下に寄与している可能性がある。文献により、CD3二重特異性抗体と4-1BBなどの第2シグナルとの併用、又はCAR-T細胞のCAR細胞内セグメントへの4-1BBの組み込みにより、T細胞の活性化を有意に促進し、T細胞の枯渇を減少させ、これによって治療効果を向上させることができる(Transl. Med. 2019; 11, eaav5989)。
【0005】
B7-H4(VTCN1、B7h.5、B7S1、B7x、B7H4)は、B7/CD28スーパーファミリーに属する膜貫通タンパク質である。B7-H4タンパク質は、ほとんどの正常組織では発現されないか、乳管や小葉、卵管上皮、子宮内膜腺などの組織など、生体の一部の管上皮細胞でのみ低レベルで発現される。しかし、B7-H4は、乳がん、卵巣がん、子宮内膜がん、特にトリプルネガティブ乳がんの腫瘍細胞の表面で過剰発現される。乳がんは世界で2番目に多い悪性腫瘍であり、その発生率は徐々に増加している。乳がんは女性のがん患者の約4分の1を占める。卵巣がんと子宮内膜がんは、女性の生殖器系によく見られる悪性腫瘍である。卵巣がんは婦人科悪性腫瘍の中で死亡率トップであり、子宮内膜がんは死亡に至る婦人科悪性腫瘍の中で第3位であり、より安全で効果的な治療法の開発が急務である。B7-H4がこの大きな腫瘍群では高発現され、正常組織では低発現されることを考慮すると、B7-H4を標的とする二重特異性抗体の開発は有望な治療手段である。
【0006】
従って、T細胞の第1シグナルと第2シグナルを同時に提供し、腫瘍を標的とすることができる抗体製品を開発することは非常に重要である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Bejnjamin and Stein2016,Ther Adv Hematol, 7(3):142-146
【非特許文献2】Bispecific antibodies: a mechanistic review of the pipeline. Nature Review Drug Discovery, 2019 Aug; 18(8):585-608
【非特許文献3】Transl. Med. 2019; 11, eaav5989
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
有効な二重抗体の組み合わせ(即ち、二重抗体の組み合わせ)が不足し、それをがんの治療に使用するという従来技術の欠点を解決するために、本発明は、二重抗体の組み合わせ、それを含む医薬組成物、及びその使用を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の技術的課題を解決するために、本発明の技術的解決策1は、第1治療剤としての二重特異性抗体Iと、第2治療剤としての二重特異性抗体IIとを含む二重抗体の組み合わせを提供し、ここで、前記二重特異性抗体Iは、CD3を標的とするドメインと、腫瘍関連抗原(tumor-associated antigen、TAA)を標的とするドメインとを含み、前記二重特異性抗体IIは、4-1BBを標的とするドメインと、腫瘍関連抗原を標的とするドメインとを含む。
【0010】
好ましくは、前記二重特異性抗体Iにおいて、前記腫瘍関連抗原のドメインは、B7-H4を標的とするドメインである;及び/又は、前記二重特異性抗体IIにおいて、腫瘍関連抗原を標的とするドメインは、B7-H4を標的とするドメイン又はHer2を標的とするドメインである。
【0011】
より好ましくは、前記二重特異性抗体I及び二重特異性抗体IIにおけるB7-H4を標的とするドメインは、それぞれB7-H4の異なるエピトープを標的とする。
【0012】
いくつかの好ましい実施例において、前記二重特異性抗体Iは、Fab-Fc-scFv又はFab-Fc-(VH)nの非対称構造であり、前記二重特異性抗体IIは、IgG-VHの対称構造である;ここで、nは1以上の自然数である。
【0013】
好ましくは、前記二重特異性抗体Iにおいて、B7-H4を標的とするドメインはscFv又はVH_A-VH_Bであり、前記VH_AとVH_Bは同一又は異なる;CD3を標的とするドメインはFabであり、前記Fabと前記scFvはヒンジ領域又はリンカーペプチドを介してFcに連結される;或いは前記Fabと前記VH_A-VH_Bはヒンジ領域又はリンカーペプチドを介してFcに連結される;前記Fcは、好ましくは、IgG1のFcであり、前記リンカーペプチドのアミノ酸配列は、配列番号93~96、124に示され、より好ましくは、前記Fcは、例えば、L234A、L235A突然変異、「knob」突然変異T366Wと「Hole」突然変異T366S、L368AとY407V、及び/又は、「knob」突然変異S354Cと「Hole」突然変異Y349Cなどの1~3個のアミノ酸の付加、欠失又は突然変異を含む;及び/又は
前記二重特異性抗体IIにおいて、B7-H4を標的とするドメイン又はHer2を標的とするドメインはIgGであり、前記IgGのFcは、好ましくは、例えば、L234A、L235A突然変異などの1~3個のアミノ酸の付加、欠失又は突然変異を含む;4-1BBを標的とするドメインはVH又はscFvである;前記B7-H4を標的とするドメイン又はHer2を標的とするドメインは前記4-1BBを標的とするドメインに、リンカーペプチドを介して連結され、前記リンカーペプチドのアミノ酸配列は、好ましくは配列番号93~96に示される。
【0014】
他のいくつかの好ましい実施例において、前記二重特異性抗体Iにおいて、B7-H4を標的とするドメインは、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含み、前記重鎖可変領域のHCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号10、21、33に示され、前記軽鎖可変領域のLCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号43、49、57に示される;或いは、前記B7-H4を標的とするドメインはVH_A-VH_Bを含み、前記VH_A及びVH_BのHCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号100、104、102に示され、又は前記VH_AのHCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号100、104、102に示され、前記VH_BのHCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号97、103、99に示される;CD3を標的とするドメインは、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含み、前記重鎖可変領域のHCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号8、19、31に示され、前記軽鎖可変領域のLCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号41、48、55に示される;及び/又は、
前記二重特異性抗体IIにおいて、B7-H4を標的とするドメインは、重鎖可変領域及び重鎖可変領域を含み、前記重鎖可変領域のHCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号9、20、32に示され、前記軽鎖可変領域のLCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号42、49、56に示される;或いは、前記重鎖可変領域のHCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号10、21、33に示され、前記軽鎖可変領域のLCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号43、49、57に示される;Her2を標的とするドメインは、重鎖可変領域及び重鎖可変領域を含み、前記重鎖可変領域のHCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号6、17、29に示され、前記軽鎖可変領域のLCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号40、47、54に示される。
【0015】
4-1BBを標的とするドメインはVHであり、そのHCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号7、18、30に示され、又は配列番号7、22、30に示される。
【0016】
好ましくは、前記二重特異性抗体IIは下記の群から選択される:
a)前記二重特異性抗体IIは、B7-H4を標的とするドメイン及び4-1BBを標的とするドメインを含む;ここで、
B7-H4を標的とするドメインにおいて、重鎖可変領域のHCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号9、20、32に示され、軽鎖可変領域のLCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号42、49、56に示される;4-1BBを標的とするドメインにおいて、HCDR1~3のアミノ酸配列は、配列番号7、22、30に示される;或いは、
B7-H4を標的とするドメインにおいて、重鎖可変領域のHCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号10、21、33に示され、軽鎖可変領域のLCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号43、49、57に示される;4-1BBを標的とするドメインにおいて、HCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号7、18、30に示される;
b)前記二重特異性抗体IIは、Her2を標的とするドメイン及び4-1BBを標的とするドメインを含む;ここで、Her2を標的とするドメインにおいて、重鎖可変領域のHCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号6、17、29に示され、軽鎖可変領域のLCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号40、47、54に示される;4-1BBを標的とするドメインにおいて、HCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号7、18、30に示される。
具体的な実施例において、前記二重抗体の組み合わせは下記の通りである:二重特異性抗体Iにおいて、B7-H4を標的とするドメインの重鎖可変領域のHCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号10、21、33に示され、軽鎖可変領域のLCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号43、49、57に示される;CD3を標的とするドメインの重鎖可変領域のHCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号8、19、31に示され、軽鎖可変領域のLCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号41、48、55に示される;二重特異性抗体IIにおいて、B7-H4を標的とするドメインの重鎖可変領域のHCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号9、20、32に示され、軽鎖可変領域のLCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号42、49、56に示される;4-1BBを標的とするドメインのHCDR1~3のアミノ酸配列は、配列番号7、22、30に示される。
【0017】
他の具体的な実施例において、前記二重抗体の組み合わせは下記の通りである:二重特異性抗体Iにおいて、B7-H4を標的とするドメインの重鎖可変領域のHCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号10、21、33に示され、軽鎖可変領域のLCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号43、49、57に示される;CD3を標的とするドメインの重鎖可変領域のHCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号8、19、31に示され、軽鎖可変領域のLCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号41、48、55に示される;二重特異性抗体IIにおいて、Her2を標的とするドメインの重鎖可変領域のHCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号6、17、29に示され、軽鎖可変領域のLCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号40、47、54に示される;4-1BBを標的とするドメインのHCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号7、18、30に示される。
【0018】
具体的な実施例において、前記二重抗体の組み合わせは下記の通りである:二重特異性抗体Iにおいて、B7-H4を標的とするドメインのVH_A及びVH_BのHCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号100、104、102に示され、CD3を標的とするドメインの重鎖可変領域のHCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号8、19、31に示され、軽鎖可変領域のLCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号41、48、55に示される;二重特異性抗体IIにおいて、B7-H4を標的とするドメインの重鎖可変領域のHCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号9、20、32に示され、軽鎖可変領域のLCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号42、49、56に示される;4-1BBを標的とするドメインのHCDR1~3のアミノ酸配列は、配列番号7、22、30に示される。
【0019】
他の具体的な実施例において、前記二重抗体の組み合わせは下記の通りである:二重特異性抗体Iにおいて、B7-H4を標的とするドメインのVH_A及びVH_BのHCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号100、104、102に示され、CD3を標的とするドメインの重鎖可変領域のHCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号8、19、31に示され、軽鎖可変領域のLCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号41、48、55に示される;二重特異性抗体IIにおいて、Her2を標的とするドメインの重鎖可変領域のHCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号6、17、29に示され、軽鎖可変領域のLCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号40、47、54に示される;4-1BBを標的とするドメインのHCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号7、18、30に示される。
【0020】
具体的な実施例において、前記二重抗体の組み合わせは下記の通りである:二重特異性抗体Iにおいて、B7-H4を標的とするドメインのVH_AのHCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号100、104、102に示され、VH_Bのアミノ酸配列は、それぞれ配列番号97、103、99に示され、CD3を標的とするドメインの重鎖可変領域のHCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号8、19、31に示され、軽鎖可変領域のLCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号41、48、55に示される;二重特異性抗体IIにおいて、B7-H4を標的とするドメインの重鎖可変領域のHCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号9、20、32に示され、軽鎖可変領域のLCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号42、49、56に示される;4-1BBを標的とするドメインのHCDR1~3のアミノ酸配列は、配列番号7、22、30に示される。
【0021】
他の具体的な実施例において、前記二重抗体の組み合わせは下記の通りである:二重特異性抗体Iにおいて、B7-H4を標的とするドメインのVH_AのHCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号100、104、102に示され、VH_Bのアミノ酸配列は、それぞれ配列番号97、103、99に示され、CD3を標的とするドメインの重鎖可変領域のHCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号8、19、31に示され、軽鎖可変領域のLCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号41、48、55に示される;二重特異性抗体IIにおいて、Her2を標的とするドメインの重鎖可変領域のHCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号6、17、29に示され、軽鎖可変領域のLCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号40、47、54に示される;4-1BBを標的とするドメインのHCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号7、18、30に示される。
【0022】
他のいくつかの好ましい実施例において、前記二重特異性抗体Iにおいて、B7-H4を標的とするドメインの重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号66に示され、軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号72に示される;CD3を標的とするドメインの重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号67に示され、軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号70に示される;或いは、B7-H4を標的とするドメインの重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号66に示され、軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号72に示される;CD3を標的とするドメインの重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号64に示され、軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号70に示される;或いは、B7-H4を標的とするドメインは配列番号122に示されたアミノ酸配列を含み、CD3を標的とするドメインの重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号67に示され、軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号70に示される;或いは、B7-H4を標的とするドメインは配列番号123に示されたアミノ酸配列を含み、CD3を標的とするドメインの重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号64に示され、軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号70に示される;
及び/又は、前記二重特異性抗体IIは下記の群から選択される:
a)前記二重特異性抗体IIは、B7-H4を標的とするドメイン及び4-1BBを標的とするドメインを含む;ここで、
B7-H4を標的とするドメインにおいて、重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号65に示され、軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号71に示される;4-1BBを標的とするドメインにおいて、VHのアミノ酸配列は配列番号68に示される;或いは、
B7-H4を標的とするドメインにおいて、重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号66に示され、軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号72に示される;4-1BBを標的とするドメインにおいて、VHのアミノ酸配列は配列番号63に示される;
b)前記二重特異性抗体IIは、Her2を標的とするドメイン及び4-1BBを標的とするドメインを含む;Her2を標的とするドメインにおいて、重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号62に示され、軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号69に示される;4-1BBを標的とするドメインにおいて、VHのアミノ酸配列は配列番号63に示される。
【0023】
具体的な実施例において、前記二重抗体の組み合わせは下記の通りである:二重特異性抗体Iにおいて、B7-H4を標的とするドメインの重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号66に示され、軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号72に示される;CD3を標的とするドメインの重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号67に示され、軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号70に示される;二重特異性抗体IIにおいて、B7-H4を標的とするドメインの重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号65に示され、軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号71に示される;4-1BBを標的とするドメインのVHのアミノ酸配列は配列番号68に示される。
【0024】
他の具体的な実施例において、前記二重抗体の組み合わせは下記の通りである:二重特異性抗体Iにおいて、B7-H4を標的とするドメインの重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号66に示され、軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号72に示される;CD3を標的とするドメインの重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号67に示され、軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号70に示される;二重特異性抗体IIにおいて、Her2を標的とするドメインの重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号62に示され、軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号69に示される;4-1BBを標的とするドメインのVHのアミノ酸配列は配列番号63に示される。
【0025】
具体的な実施例において、前記二重抗体の組み合わせは下記の通りである:二重特異性抗体Iにおいて、B7-H4を標的とするドメインは配列番号122に示されたアミノ酸配列を含む;CD3を標的とするドメインの重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号67に示され、軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号70に示される;二重特異性抗体IIにおいて、B7-H4を標的とするドメインの重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号65に示され、軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号71に示される;4-1BBを標的とするドメインのVHのアミノ酸配列は配列番号68に示される。
【0026】
他の具体的な実施例において、前記二重抗体の組み合わせは下記の通りである:二重特異性抗体Iにおいて、B7-H4を標的とするドメインは配列番号122に示されたアミノ酸配列を含む;CD3を標的とするドメインの重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号67に示され、軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号70に示される;二重特異性抗体IIにおいて、Her2を標的とするドメインの重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号62に示され、軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号69に示される;4-1BBを標的とするドメインのVHのアミノ酸配列は配列番号63に示される。
【0027】
具体的な実施例において、前記二重抗体の組み合わせは下記の通りである:二重特異性抗体Iにおいて、B7-H4を標的とするドメインは配列番号123に示されたアミノ酸配列を含む;CD3を標的とするドメインの重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号67に示され、軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号70に示される;二重特異性抗体IIにおいて、B7-H4を標的とするドメインの重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号65に示され、軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号71に示される;4-1BBを標的とするドメインのVHのアミノ酸配列は配列番号68に示される。
【0028】
他の具体的な実施例において、前記二重抗体の組み合わせは下記の通りである:二重特異性抗体Iにおいて、B7-H4を標的とするドメインは配列番号123に示されたアミノ酸配列を含む;CD3を標的とするドメインの重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号67に示され、軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号70に示される;二重特異性抗体IIにおいて、Her2を標的とするドメインの重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号62に示され、軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号69に示される;4-1BBを標的とするドメインのVHのアミノ酸配列は配列番号63に示される。他のいくつかの好ましい実施例において、前記二重特異性抗体Iにおいて、B7-H4を標的とするドメインのアミノ酸配列は、配列番号92、115、116に示され、CD3を標的とするドメインの重鎖及び軽鎖のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号78、配列番号81に示される;或いは、前記B7-H4のドメインのアミノ酸配列は、配列番号92、115、116に示され、CD3を標的とするドメインの重鎖及び軽鎖のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号75、配列番号81に示される;及び/又は、
前記二重特異性抗体IIにおいて、B7-H4を標的とするドメインの重鎖及び軽鎖のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号76、配列番号82に示され、又はそれぞれ配列番号77、配列番号83に示される;Her2を標的とするドメインの重鎖及び軽鎖のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号73、配列番号80に示される。4-1BBを標的とするドメインの重鎖のアミノ酸配列は配列番号74又は79に示される。
【0029】
具体的な実施例において、前記二重抗体の組み合わせは下記の通りである:二重特異性抗体Iにおいて、B7-H4を標的とするドメインのアミノ酸配列は配列番号92に示され、CD3を標的とするドメインの重鎖及び軽鎖のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号78、配列番号81に示される;二重特異性抗体IIにおいて、B7-H4を標的とするドメインの重鎖及び軽鎖のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号76、配列番号82に示され、4-1BBを標的とするドメインのアミノ酸配列は配列番号79に示される;4-1BBを標的とするドメインのN末端は、B7-H4を標的とするドメインの重鎖のC末端に直接に連結される。
【0030】
他の具体的な実施例において、前記二重抗体の組み合わせは下記の通りである:二重特異性抗体Iにおいて、B7-H4を標的とするドメインのアミノ酸配列は配列番号92に示され、CD3を標的とするドメインの重鎖及び軽鎖のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号78、配列番号81に示される;二重特異性抗体IIにおいて、B7-H4を標的とするドメインの重鎖及び軽鎖のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号76、配列番号82に示され、4-1BBを標的とするドメインのアミノ酸配列は配列番号79に示される;4-1BBを標的とするドメインのN末端は、配列番号95に示されたリンカーペプチドを介してB7-H4を標的とするドメインの重鎖のC末端に連結される。
【0031】
さらに他の具体的な実施例において、前記二重抗体の組み合わせは下記の通りである:二重特異性抗体Iにおいて、B7-H4を標的とするドメインのアミノ酸配列は配列番号92に示され、CD3を標的とするドメインの重鎖及び軽鎖のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号78、配列番号81に示される;二重特異性抗体IIにおいて、B7-H4を標的とするドメインの重鎖及び軽鎖のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号73、配列番号80に示され、4-1BBを標的とするドメインのアミノ酸配列は配列番号74に示される。
【0032】
具体的な実施例において、前記二重抗体の組み合わせは下記の通りである:二重特異性抗体Iにおいて、B7-H4を標的とするドメインのアミノ酸配列は配列番号115に示され、CD3を標的とするドメインの重鎖及び軽鎖のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号78、配列番号81に示される;二重特異性抗体IIにおいて、B7-H4を標的とするドメインの重鎖及び軽鎖のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号76、配列番号82に示され、4-1BBを標的とするドメインのアミノ酸配列は配列番号79に示される;4-1BBを標的とするドメインのN末端は、B7-H4を標的とするドメインの重鎖のC末端に直接に連結される。
【0033】
他の具体的な実施例において、前記二重抗体の組み合わせは下記の通りである:二重特異性抗体Iにおいて、B7-H4を標的とするドメインのアミノ酸配列は配列番号115に示され、CD3を標的とするドメインの重鎖及び軽鎖のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号78、配列番号81に示される;二重特異性抗体IIにおいて、B7-H4を標的とするドメインの重鎖及び軽鎖のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号76、配列番号82に示され、4-1BBを標的とするドメインのアミノ酸配列は配列番号79に示される;4-1BBを標的とするドメインのN末端は、配列番号95に示されたリンカーペプチドを介してB7-H4を標的とするドメインの重鎖のC末端に連結される。
【0034】
さらに他の具体的な実施例において、前記二重抗体の組み合わせは下記の通りである:二重特異性抗体Iにおいて、B7-H4を標的とするドメインのアミノ酸配列は配列番号115に示され、CD3を標的とするドメインの重鎖及び軽鎖のアミノ酸配列はそれぞれ配列番号78、配列番号81に示される;二重特異性抗体IIにおいて、B7-H4を標的とするドメインの重鎖及び軽鎖のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号73、配列番号80に示され、4-1BBを標的とするドメインのアミノ酸配列は配列番号74に示される。
【0035】
具体的な実施例において、前記二重抗体の組み合わせは下記の通りである:二重特異性抗体Iにおいて、B7-H4を標的とするドメインのアミノ酸配列は配列番号116に示され、CD3を標的とするドメインの重鎖及び軽鎖のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号78、配列番号81に示される;二重特異性抗体IIにおいて、B7-H4を標的とするドメインの重鎖及び軽鎖のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号76、配列番号82に示され、4-1BBを標的とするドメインのアミノ酸配列は配列番号79に示される;4-1BBを標的とするドメインのN末端は、B7-H4を標的とするドメインの重鎖のC末端に直接に連結される。
【0036】
他の具体的な実施例において、前記二重抗体の組み合わせは下記の通りである:二重特異性抗体Iにおいて、B7-H4を標的とするドメインのアミノ酸配列は配列番号116に示され、CD3を標的とするドメインの重鎖及び軽鎖のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号78、配列番号81に示される;二重特異性抗体IIにおいて、B7-H4を標的とするドメインの重鎖及び軽鎖のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号76、配列番号82に示され、4-1BBを標的とするドメインのアミノ酸配列は配列番号79に示される;4-1BBを標的とするドメインのN末端は、配列番号95に示されたリンカーペプチドを介してB7-H4を標的とするドメインの重鎖のC末端に連結される。
【0037】
さらに他の具体的な実施例において、前記二重抗体の組み合わせは下記の通りである:二重特異性抗体Iにおいて、B7-H4を標的とするドメインのアミノ酸配列は配列番号116に示され、CD3を標的とするドメインの重鎖及び軽鎖のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号78、配列番号81に示される;二重特異性抗体IIにおいて、B7-H4を標的とするドメインの重鎖及び軽鎖のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号73、配列番号80に示され、4-1BBを標的とするドメインのアミノ酸配列は配列番号74に示される。
【0038】
上記の技術的課題を解決するために、本発明の技術的解決策2は、二重特異性抗体I及び二重特異性抗体II、又は二重特異性抗体I及びウレルマブ(Urelumab)を含む二重抗体の組み合わせを提供する;前記二重特異性抗体Iは、ポリペプチド鎖-1、ポリペプチド鎖-2及びポリペプチド鎖-3の3つのポリペプチド鎖を含み、そのアミノ酸配列はそれぞれ配列番号81、配列番号88、配列番号87、又は配列番号81、配列番号88、配列番号87、又は配列番号113、配列番号114、配列番号115;又は配列番号113、配列番号114、配列番号116に示される;
及び/又は、前記二重特異性抗体IIは、短鎖及び長鎖の2つのポリペプチド鎖を含み、前記短鎖及び長鎖のアミノ酸配列はそれぞれ配列番号82及び配列番号85、配列番号82及び配列番号89、配列番号82及び配列番号90、配列番号83及び配列番号91、配列番号80及び配列番号84に示される。
【0039】
具体的な実施例において、前記二重抗体の組み合わせは下記の通りである:二重特異性抗体Iは、アミノ酸配列がそれぞれ配列番号81、配列番号88、配列番号87に示された3つのポリペプチド鎖を含む;二重特異性抗体IIは、アミノ酸配列がそれぞれ配列番号82及び配列番号89に示された2つのポリペプチド鎖を含む。
【0040】
他の具体的な実施例において、前記二重抗体の組み合わせは下記の通りである:二重特異性抗体Iは、アミノ酸配列がそれぞれ配列番号81、配列番号88、配列番号87に示された3つのポリペプチド鎖を含む;二重特異性抗体IIは、アミノ酸配列がそれぞれ配列番号82及び配列番号85に示された2つのポリペプチド鎖を含む。
【0041】
さらに他の具体的な実施例において、前記二重抗体の組み合わせは下記の通りである:二重特異性抗体Iは、アミノ酸配列がそれぞれ配列番号81、配列番号88、配列番号87に示された3つのポリペプチド鎖を含む;二重特異性抗体IIは、アミノ酸配列がそれぞれ配列番号80及び配列番号84に示された2つのポリペプチド鎖を含む。
【0042】
具体的な実施例において、前記二重抗体の組み合わせは下記の通りである:二重特異性抗体Iは、アミノ酸配列がそれぞれ配列番号113、配列番号114、配列番号115に示された3つのポリペプチド鎖を含む;二重特異性抗体IIは、アミノ酸配列がそれぞれ配列番号82及び配列番号89に示された2つのポリペプチド鎖を含む。
【0043】
他の具体的な実施例において、前記二重抗体の組み合わせは下記の通りである:二重特異性抗体Iは、アミノ酸配列がそれぞれ配列番号113、配列番号114、配列番号115に示された3つのポリペプチド鎖を含む;二重特異性抗体IIは、アミノ酸配列がそれぞれ配列番号82及び配列番号85に示された2つのポリペプチド鎖を含む。
【0044】
さらに他の具体的な実施例において、前記二重抗体の組み合わせは下記の通りである:二重特異性抗体Iは、アミノ酸配列がそれぞれ配列番号113、配列番号114、配列番号115に示された3つのポリペプチド鎖を含む;二重特異性抗体IIは、アミノ酸配列がそれぞれ配列番号80及び配列番号84に示された2つのポリペプチド鎖を含む。
【0045】
具体的な実施例において、前記二重抗体の組み合わせは下記の通りである:二重特異性抗体Iは、アミノ酸配列がそれぞれ配列番号113、配列番号114、配列番号116に示された3つのポリペプチド鎖を含む;二重特異性抗体IIは、アミノ酸配列がそれぞれ配列番号82及び配列番号89に示された2つのポリペプチド鎖を含む。
【0046】
他の具体的な実施例において、前記二重抗体の組み合わせは下記の通りである:二重特異性抗体Iは、アミノ酸配列がそれぞれ配列番号113、配列番号114、配列番号116に示された3つのポリペプチド鎖を含む;二重特異性抗体IIは、アミノ酸配列がそれぞれ配列番号82及び配列番号85に示された2つのポリペプチド鎖を含む。
【0047】
さらに他の具体的な実施例において、前記二重抗体の組み合わせは下記の通りである:二重特異性抗体Iは、アミノ酸配列がそれぞれ配列番号113、配列番号114、配列番号116に示された3つのポリペプチド鎖を含む;二重特異性抗体IIは、アミノ酸配列がそれぞれ配列番号80及び配列番号84に示された2つのポリペプチド鎖を含む。
【0048】
上記の技術的課題を解決するために、本発明の技術的解決策3は、本発明の技術的解決策1又は2に記載の二重抗体の組み合わせにおける二重特異性抗体I及び二重特異性抗体IIをそれぞれコードすることを特徴とする単離された核酸を提供する。
【0049】
上記の技術的課題を解決するために、本発明の技術的解決策4は、本発明の技術的解決策3に記載の単離された核酸を含むことを特徴とする組換え発現ベクターを提供する。
【0050】
上記の技術的課題を解決するために、本発明の技術的解決策5は、本発明の技術的解決策3に記載の単離された核酸又は本発明の技術的解決策4に記載の組換え発現ベクターを含むことを特徴とする形質転換体を提供する;好ましくは、前記形質転換体の宿主は原核細胞又は真核細胞であり、前記原核細胞は好ましくは大腸菌であり、前記真核細胞は好ましくは酵母又は哺乳動物細胞である。
【0051】
上記の技術的課題を解決するために、本発明の技術的解決策6は、本発明の技術的解決策1又は2に記載の二重抗体の組み合わせを含むことを特徴とする医薬組成物を提供する。
【0052】
好ましくは、免疫チェックポイント抗体及び/又は化学療法薬などの第3治療剤;及び任意選択の薬学的に許容される担体をさらに含む。
【0053】
前記薬学的に許容される担体は、当該技術分野における通常の担体であってもよく、前記担体は、任意の適切な生理学的又は薬学的に許容される医薬補助材であってもよい。前記医薬補助材は、当該技術分野における通常の医薬補助材であり、好ましくは、薬学的に許容される賦形剤、充填剤又は希釈剤などを含む。より好ましくは、前記医薬組成物は、0.01~99.99%の上記の二重抗体の組み合わせ、及び0.01~99.99%の医薬担体を含み、前記百分比は、前記医薬組成物に占める質量百分比である。
【0054】
本発明に記載の医薬組成物の投与経路は、好ましくは非経口投与、注射投与又は経口投与である。前記注射投与は、好ましくは静脈内注射、筋肉内注射、腹腔内注射、皮内注射又は皮下注射などの経路を含む。前記医薬組成物は、当該技術分野における通常の種々の剤形であり、好ましくは、固体、半固体又は液体の形態である、即ち、水溶液、非水溶液又は懸濁液であってもよく、より好ましくは、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、注射剤又は点滴剤などである。より好ましくは、血管内、皮下、腹腔内又は筋肉内を介して投与される。好ましくは、前記医薬組成物は、エアロゾル又は粗いスプレーとして、即ち、経鼻投与されることもできる;又はくも膜下腔内、髄内又は心室内に投与されることもできる。より好ましくは、前記医薬組成物は、経皮、経皮、局所、経腸、膣内、舌下又は経直腸に投与されることもできる。本発明の医薬組成物は、必要に応じて種々の剤形とすることができ、患者の種類、年齢、体重及びおおよその疾患の状態、投与方法などの因子に基づいて、医師により患者にとって有益な投与量を決定して投与することができる。投与方法は、例えば、注射又は他の治療方法を使用することができる。
【0055】
本発明に記載の医薬組成物の投与量レベルは、所望の診断又は治療結果を達成する組成物の量に応じて調整することができる。投与レジメンは、単回注射又は複数回注射であってもよく、或いは調整されてもよい。選択される投与量レベル及びレジメンは、前記医薬組成物の活性及び安定性(即ち、半減期)、製剤、投与経路、他の薬物又は治療法との組み合わせ、検出及び/又は治療される疾患又は症状、並びに治療される対象の健康状態及び既往歴を含む様々な要因に依存して、合理的に調整される。
【0056】
本発明に記載の医薬組成物の治療有効量は、細胞培養実験、或いはげっ歯類、ウサギ、イヌ、ブタ及び/又は霊長類などの動物モデルにおいて最初に推定することができる。動物モデルは、適切な濃度範囲と投与経路を決定するためにも使用することができる。そして、ヒトにおける有用な投与量と投与経路を決定するために使用することができる。一般に、投与の有効量又は投与量の決定及び調整、並びにそのような調整をいつどのように行うかの評価は、当業者に知られている。
【0057】
組み合わせ療法の場合、上記の抗体、二重特異性抗体、及び/又は追加の治療若しくは診断剤は、それぞれ単一の薬剤として、意図する治療又は診断を行うのに適した任意の時間範囲内で投与することができる。従って、これらの単一の薬剤は、実質的に同時に(即ち、単一の製剤として、又は数分若しくは数時間以内に)、又は順番に連続的に投与することができる。
【0058】
製剤、投与量、投与レジメン、及び測定可能な治療結果に関する追加のガイダンスについては、Berkowら(2000)The Merck Manual of Medical Information(Merck医学情報ハンドブック)及びMerck&Co.Inc., Whitehouse Station, New Jersey; Ebadi (1998) CRC Desk Reference of Clinical Pharmacology(臨床薬理学ハンドブック)などの著作を参照されたい。
【0059】
上記の技術的課題を解決するために、本発明の技術的解決策7は、本発明の技術的解決策1又は2に記載の二重抗体の組み合わせ、本発明の技術的解決策3に記載の単離された核酸、本発明の技術的解決策4に記載の組換え発現ベクター、本発明の技術的解決策5に記載の形質転換体、又は本発明の技術的解決策6に記載の医薬組成物、及び任意選択の説明書を含むことを特徴とするキットを提供する。
【0060】
上記の技術的課題を解決するために、本発明の技術的解決策8は、がんを治療するための医薬の調製における、本発明の技術的解決策1又は2に記載の二重抗体の組み合わせ、本発明の技術的解決策3に記載の単離された核酸、本発明の技術的解決策4に記載の組換え発現ベクター、本発明の技術的解決策5に記載の形質転換体、又は本発明の技術的解決策6に記載の医薬組成物の使用を提供する。
【0061】
好ましくは、前記がんは血液腫瘍又は固形腫瘍であり、前記固形腫瘍は好ましくは乳がん、卵巣がん、子宮内膜がんである。
【0062】
上記の技術的課題を解決するために、本発明の技術的解決策9は、キットI及びキットIIを含むキットセットを提供する。
【0063】
ここで、前記キットIは、本発明の技術的解決策1又は本発明の技術的解決策2に記載の二重抗体の組み合わせにおける二重特異性抗体Iを含み、前記キットIIは、本発明の技術的解決策1又は2に記載の二重抗体の組み合わせにおける二重特異性抗体IIを含む;或いは、
前記キットIは、本発明の技術的解決策1又は2に記載の二重抗体の組み合わせにおける二重特異性抗体I及び二重特異性抗体IIを含む;前記キットIIは、免疫チェックポイント抗体及び/又は化学療法薬などの第3治療剤を含む。
【0064】
上記の技術的課題を解決するために、本発明の技術的解決策10は、(1)本発明の技術的解決策6に記載の医薬組成物をそれを必要とする対象に投与するための注入モジュールと、(2)任意選択の薬効監視モジュールとを含む投与装置を提供する。
【0065】
前記注入モジュールは、抗体又は抗体の組み合わせ、二重抗体の組み合わせ、又は医薬組成物、又は化学療法薬などの液体薬物を、それを必要とする対象に連続的、断続的又は時限的に送達するために、輸液ポンプ又はシリンジなどの輸液装置及び/又は注射装置を含む。例えば、輸液ポンプは輸液の滴下数又は輸液の流速を正確に制御することができ、抗体の組み合わせ又は医薬組成物が均一な速度で、正確な投与量で、必要な対象の体内に安全に入って機能することができることを保証する。前記薬効監視モジュールは、データ処理ユニット、注入監視ユニット、及び注入制御ユニットを含む。前記データ処理ユニットは、薬物の有効性、安全性及び/又はコンプライアンスを評価するために、薬力学、薬物動態学などの治療に関する共通の情報を受信し、評価する;いくつかの実施例において、薬力学は、大量の薬物を送達した後の所定期間の血中の薬物の「活性」のパーセンテージ(又は量)を記載する曲線又は関数によって表される。前記注入監視ユニット及び前記注入制御ユニットは前記注入モジュールに接続され、前記注入モジュールの注入量をそれぞれ取得及び制御するために使用される。
【0066】
前記薬効監視モジュールは、任意選択で、前記データ処理ユニットに接続された看護記録読み取りユニット、液体排泄監視ユニット、給水監視ユニット、警告装置、及び表示装置のうちの1つ又は複数をさらに含む。前記看護記録読み取りユニットは前記看護システムに接続され、患者の手背部注射された液体薬物の量を取得するために使用される;前記給水監視ユニットは前記給水装置に接続され、必要な対象の給水量を取得するために使用される;前記液体排泄監視ユニットは、前記排泄物受入装置に接続され、必要な対象の液体排泄量を取得するために使用される;前記警告装置は、前記データ処理ユニットの処理結果に応じて警告を生成するために使用される;前記表示装置は、必要な対象の注入情報、液体薬物の量、排尿量、給水量及び/又は発汗量、並びに前記注入情報、液体薬物の量、排尿量、給水量及び発汗量に応じる前記データ処理ユニットの処理結果を表示するために使用される。
【0067】
上記の技術的課題を解決するために、本発明の技術的解決策11は、本発明の技術的解決策1又は2に記載の二重抗体の組み合わせ、本発明の技術的解決策6に記載の医薬組成物、本発明の技術的解決策9に記載のキットセット、又は本発明の技術的解決策10に記載の投与装置をそれを必要とする対象に使用する、がんを治療する方法を提供する。
【0068】
好ましくは、前記がんは血液腫瘍又は固形腫瘍であり、前記固形腫瘍は好ましくは乳がん、卵巣がん、子宮内膜がんである。
【0069】
好ましくは、前記二重抗体の組み合わせにおける二重特異性抗体I及び二重特異性抗体IIは、同時に又は逐次的に投与される。
【0070】
本発明において、特に明記しない限り、本明細書で使用される科学用語及び技術用語は、当業者に一般的に理解される意味を有する。さらに、本明細書で使用される細胞培養、分子遺伝学、核酸化学、免疫学の実験手順は、対応する分野で広く使用されている通常の手順である。また、本発明をよりよく理解するために、関連用語の定義と説明を以下に示す。
【0071】
本発明で使用されるアミノ酸の3文字コード及び1文字コードは当業者に公知であるか、又はJ. Biol. Chem, 243, p3558(1968)に記載された通りである。
【0072】
本明細書で使用される場合、「含む」又は「包含する」という用語は、組成物及び方法が前記要素を含むが、他の要素を排除しないことを意味することを意図しているが、文脈から理解されるように、「...からなる」という場合も含む。
【0073】
本発明で使用される「抗体」という用語は、免疫グロブリン(Ig)を含み、鎖間ジスルフィド結合によって連結された2つの同一の重鎖と2つの同一の軽鎖からなるテトラペプチド鎖構造である。免疫グロブリン重鎖定常領域のアミノ酸組成と配列が異なるため、抗原性も異なる。従って、免疫グロブリンは、免疫グロブリンの5つのカテゴリー又はアイソタイプ、即ちIgM、IgD、IgG、IgA及びIgEに分類することができ、それらに対応する重鎖はそれぞれμ鎖、δ鎖、γ鎖、α鎖及びε鎖である。同じ種類のIgは、そのヒンジ領域のアミノ酸組成、重鎖ジスルフィド結合の数と位置の違いに基づいて、異なるサブクラスに分類することもでき、たとえば、IgGは、IgG1、IgG2、IgG3及びIgG4に分類することができる。軽鎖は定数領域の違いによってκ鎖又はλ鎖に分類される。5種類のIgはそれぞれ、κ鎖又はλ鎖を持つことができる。
【0074】
本発明において、本明細書に記載の抗体軽鎖可変領域は、軽鎖定常領域をさらに含んでもよく、前記軽鎖定常領域は、ヒト化κ鎖、λ鎖、又はそれらの変異体を含む。本発明において、本明細書に記載の抗体重鎖可変領域は、重鎖定常領域をさらに含んでもよく、前記重鎖定常領域は、ヒト化IgG1、2、3、4又はそれらの変異体を含む。
【0075】
抗体の重鎖と軽鎖のN末端付近の約110個のアミノ酸の配列は大きく変化し、可変領域(V領域)である;C末端付近の残りのアミノ酸の配列は比較的安定であり、定常領域(C領域)である。軽鎖可変領域(VL)と重鎖可変領域(VH)のそれぞれは3つの相補的決定領域(CDR)と4つのフレームワーク領域(FWR)から構成され、アミノ末端からカルボキシル末端までFWR1、CDR1、FWR2、CDR2、FWR3、CDR3、FWR4の順で配置される。軽鎖の3つのCDRはLCDR1、LCDR2及びLCDR3を指す;重鎖の3つのCDRはHCDR1、HCDR2及びHCDR3を指す。
【0076】
特に明記しない限り、所与の抗体又はその領域(例えば、可変領域)の「CDR」及び「相補的決定領域」という用語は、本発明に記載の上記の公知実施例のいずれかによって定義される相補的決定領域を包含すると理解されるべきであることが、当業者には理解されるべきである。本発明において、上記に列挙されたCDRのアミノ酸配列はすべてChothia定義規則に従って示されている。しかし、抗体のCDRは、配列可変性に基づくKabatの定義規則(Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, Fifth Edition, National Institutes of Health (U.S.), Bethesda, Maryland (1991)を参照)、及び構造ループ領域の位置に基づくChothia定義規則(JMol Biol 273:927-48,1997を参照)などの当該技術分野の様々な方法によって定義できることは当業者には周知である。本発明により請求される抗体はChothia定義規則に基づいて示される配列であるが、他のCDR定義規則による対応するアミノ酸配列も本発明の保護範囲に入るはずである。
【0077】
「突然変異」という用語には、アミノ酸又はヌクレオチドの置換、付加及び/又は欠失が含まれ、「アミノ酸の置換」とは、アミノ酸残基が別のアミノ酸残基及び類似の側鎖を有するアミノ酸残基により置換されたものである。本発明において、前記突然変異は、当業者に現在知られている突然変異を含んでもよく、例えば、抗体の産生又は適用中に抗体に対して行われ得る突然変異、例えば、存在し得る部位、特にCDRにおける潜在的な転写後修飾(Potential post-translational modifications、PTMs)を受ける部位に対する突然変異であり、抗体の凝集、脱アミド化(アスパラギン脱アミド化(NG、NS及び/又はNHなど)感受性部位、アスパラギン酸異性化(DG、DP)感受性部位、N-グリコシル化(N-{P}S/T)感受性部位、酸化感受性部位などの関連する突然変異が含まれる。本発明において、アミノ酸突然変異を有する抗体を変異体と呼ぶ。
【0078】
本明細書で使用される「ベクター」又は「発現ベクター」という用語は、単離された核酸を含み、単離された核酸を細胞の内部に送達するために使用できる組成物である。線状ポリヌクレオチド、イオン性又は両親媒性化合物に関連するポリヌクレオチド、プラスミド、及びウイルスを含むが、これらに限定されない多くのベクターが当技術分野で知られている。従って、「ベクター」という用語には、自律的に複製するプラスミド又はウイルスが含まれる。この用語はまた、ポリリジン化合物、リポソームなど、細胞への核酸の導入を促進する非プラスミド及び非ウイルス化合物を含むものと解釈されるべきである。ウイルスベクターの例としては、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、レトロウイルスベクターなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0079】
「トランスフェクション」という用語は、真核細胞への外因性核酸の導入を指す。トランスフェクションは、リン酸カルシウム-DNA共沈殿、DEAE-デキストラン媒介トランスフェクション、ポリブレン媒介トランスフェクション、エレクトロポレーション、マイクロインジェクション、リポソーム融合、リポフェクション、プロトプラスト融合、レトロウイルス感染及びバイオリスティック(biolistics)を含む、当技術分野で知られている様々な手段によって達成することができる。
【0080】
本明細書で使用する場合、EC50という用語は、最大効果の50%の濃度(concentration for 50% of maximal effect)、即ち、最大効果の50%を引き起こす濃度を指す。
【0081】
本発明で使用される場合、「がん」、「腫瘍」という用語は、組織病理学的タイプ又は浸潤段階に関係なく、全てのタイプのがん性増殖又は腫瘍形成プロセス、転移組織又は悪性形質転換細胞、組織又は器官を含むことを意図している。例としては、固形腫瘍、血液がん、軟部組織腫瘍、及び転移性病変が含まれるが、これらに限定されない。
【0082】
当該分野における常識に基づいて、上記の各好ましい条件を任意に組み合わせて、本発明の各好ましい実例を得ることができる。
【0083】
本発明で使用される試薬及び原料はいずれも市販品として入手できる。
【0084】
本発明の積極的かつ進歩的効果は下記の通りである:
1)本発明の二重抗体の組み合わせは、TAA×CD3二重抗体IとTAA×4-1BB二重抗体IIの組み合わせであり、好ましくはB7-H4×CD3二重抗体とTAA×4-1BB二重抗体、例えば、B7-H4(又はHer-2)×4-1BBの二重抗体の組み合わせである。B7-H4×CD3二重抗体とB7-H4×4-1BB二重抗体の併用、例えばPR003899とPR004281二重抗体の併用は、T細胞の枯渇を減少させるだけでなく、後期の腫瘍殺傷を有意に促進することができる;PR007168とPR004282二重抗体の併用は、腫瘍細胞の殺傷効果をさらに高めることができる。
2)本発明において、二重特異性抗体TAA×CD3(好ましくはB7-H4×CD3)単独で、例えばPR003899は、エフェクター細胞:標的細胞の比率が低い場合には殺傷効果を示さないが、TAA×4-1BB、好ましくはB7-H4×4-1BBとの併用では強い殺傷効果を示す。特に、同じTAAで異なるエピトープを持つPR003338、又は異なるTAAを持つPR002828と併用する場合、強い相乗効果がある;二重特異性抗体PR007078とPR004282の併用は、T細胞の分裂と増殖を有意に促進し、T細胞のアポトーシスを減少させる。
従って、本発明の二重抗体の組み合わせの使用は、固形腫瘍の治療に潜在的に臨床的で有効な解決策を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【
図1】B7-H4×CD3(Fab-Fc-ScFv)、B7-H4×4-1BB(IgG-HC-VH)、Her2×4-1BB(IgG-HC-VH)の二重特異性抗体の構造と設計を示す。
【
図2】ヒト、サル、及びマウスのB7-H4に結合するB7-H4×CD3二重特異性抗体PR003733、PR003899のフローサイトメトリー検出を示す。
【
図3】腫瘍細胞上のB7-H4、及びT細胞に結合するB7-H4×CD3二重特異性抗体PR003733、PR003899のフローサイトメトリー検出を示す。
【
図4】B7-H4×CD3二重特異性抗体PR003733、PR003899がMDA-MB-468腫瘍細胞に対するT細胞殺傷を媒介することを示す。
【
図5】B7-H4×CD3二重特異性抗体PR003733、PR003899がHCC-1954腫瘍細胞に対するT細胞殺傷を媒介することを示す。
【
図6】B7-H4×CD3二重特異性抗体PR003733、PR003899がBT-474腫瘍細胞に対するT細胞殺傷を媒介することを示す。
【
図7】B7-H4×4-1BB二重特異性抗体PR004281、PR004282がヒト、サルの4-1BBに結合することを示す。
【
図8】B7-H4×4-1BB二重特異性抗体PR004281、PR004282がヒト、サル、マウスのB7-H4、及び腫瘍細胞上のB7-H4に結合することを示す。
【
図9】B7-H4×4-1BB二重特異性抗体PR004281、PR004282のin vitroT細胞活性化実験を示す。
【
図10】腫瘍細胞に対するT細胞の比率を検出するためのヒト乳がん組織切片のIHC染色を示す。
【
図11】T細胞:腫瘍細胞の比率が低い条件下でのB7-H4×CD3二重特異性抗体分子PR003733、PR003899のin vitro殺傷実験を示す。
【
図12】B7-H4×CD3(PR003899)とB7-H4×4-1BB(PR004281)の併用がT細胞の枯渇を減少させることを示す。
【
図13】B7-H4×CD3(PR003899)とB7-H4×4-1BB(PR004281)の併用が腫瘍の殺傷を促進することを示す。
【
図14】B7-H4×CD3(PR003899)とB7-H4×4-1BB(PR004359、PR003338、PR002828)の併用が腫瘍の殺傷を促進することを示す。
【
図15】異なる二重抗体の組み合わせ(PR003899とPR004359、PR003899とPR003338、PR003899とPR002828)のin vitro複合殺傷実験を示す。
【
図16】B7-H4×CD3(Fab-Fc-VH-VH)の非対称構造の分子構造の模式図を示す。
【
図17】ヒト、サル、及びマウスのB7-H4に結合するB7-H4×CD3二重特異性抗体PR007078、PR007168のフローサイトメトリー検出を示す。
【
図18】腫瘍細胞上のB7-H4、及びT細胞に結合するB7-H4×CD3二重特異性抗体PR007078、PR007168のフローサイトメトリー検出を示す。
【
図19】B7-H4×CD3二重特異性抗体PR007078、PR007168がMDA-MB-468腫瘍細胞に対するT細胞殺傷を媒介することを示す。
【
図20】B7-H4×CD3二重特異性抗体PR007078、PR007168がHCC-1954腫瘍細胞に対するT細胞殺傷を媒介することを示す。
【
図21】B7-H4×CD3(PR007078、PR007168)とB7-H4×4-1BB(PR004282)の併用がSK-BR-3腫瘍細胞に対するT細胞殺傷を媒介することを示す。
【
図22】B7-H4×CD3(PR007078、PR007168)とB7-H4×4-1BB(PR004282)の併用がT細胞の増殖を増加させることを示す。
【
図23】B7-H4×CD3(PR007078、PR007168)とB7-H4×4-1BB(PR004282)の併用がT細胞の分裂を増加させることを示す。
【
図24】B7-H4×CD3(PR007078、PR007168)とB7-H4×4-1BB(PR004282)の併用がT細胞のアポトーシスを減少させることを示す。
【発明を実施するための形態】
【0086】
以下、実施例により本発明をさらに説明するが、それによって本発明はこれらの実施例の範囲に限定されるものではない。以下の実施例において、具体的な条件が示されていない実験方法は、通常の方法及び条件、或いは商品の説明書に従って選択される。
【0087】
実施例1 二重特異性抗体の構造と設計
【0088】
1.1 Fab-Fc-scFv非対称構造を有する二重特異性抗体Iの構築(構造番号A)
【0089】
二重特異性抗体I(B7-H4×CD3二重抗体分子)には2つのドメインが含まれ、その1つは腫瘍細胞の表面に特異的に発現されるB7-H4を認識することができ、もう1つはT細胞上のCD3分子に結合することができる。B7-H4×CD3二重抗体分子が腫瘍細胞の表面に結合すると、腫瘍細胞付近のT細胞を動員して活性化し、これによって腫瘍細胞を死滅させることができる。
【0090】
図1のAは、B7-H4×CD3のFab-Fc-scFv非対称構造の分子構造の模式図であり、ここで、B7-H4を標的とするドメインはscFv構造であり、CD3を標的とするドメインはFab構造であり、この二重抗体分子はポリペプチド鎖-1、ポリペプチド鎖-2及びポリペプチド鎖-3の3つのポリペプチド鎖に関する。N末端からC末端までのポリペプチド鎖-1の構造はVL_A-CLであり、ポリペプチド鎖-2の構造はVH_A-CH1-h-CH2-CH3であり、ポリペプチド鎖-3の構造はVL_B-L-VH_B-h-CH2-CH3である;ここで、A及びBはそれぞれ異なる標的を標的とすることを表し、Lはリンカーペプチドであり、hはヒンジ領域である。
【0091】
ミスマッチした重鎖(例えば、抗CD3抗体の2つの重鎖がミスマッチしている)による副産物の形成を最小限に抑えるために、WO2009080251及びWO2009080252に記載されているように、「knob-hole」突然変異と修飾ジスルフィド結合を有する変異ヘテロ二量体Fc領域を使用した。B7-H4×CD3二重特異性抗体はIgG1のFcを有し、FcのCH2にL234A、L235A(EUインデックスに従って番号付け)突然変異を有する。同時に三つの異なる哺乳動物の発現ベクターをトランスフェクションすることによって二重特異性抗体を生成し、それぞれ1)ヘテロ二量体抗体を生成するためにFc領域に「Hole」突然変異を持ち、FcのCH2はL234A、L235A突然変異を持つ、対応する抗B7-H4抗体のScFv重鎖、2)ヘテロ二量体抗体を生成するためにFc領域に「knob」突然変異を持ち、FcのCH2はL234A、L235Aを持つ、対応する抗CD3抗体の重鎖、3)対応する抗CD3抗体の軽鎖、をコードする。ヒトIgG1のFc領域の「knob」突然変異はT366Wで構成され、「Hole」突然変異はT366S、L368A、Y407Vから構成される。さらに、「knob」Fc領域のS354C及び「Hole」Y349Cを含んで一対のジスルフィド結合を形成し、安定性とヘテロ二量体抗体収量を増加させることができる。
【0092】
1.2 Fab-Fc-VH-VH非対称構造を有する二重特異性抗体Iの構築(構造番号C)
【0093】
図16は、B7-H4×CD3非対称構造の分子構造の模式図であり、この二重特異性抗体分子はポリペプチド鎖-1、ポリペプチド鎖-2、ポリペプチド鎖-3の3つのポリペプチド鎖に関する。ポリペプチド鎖-1とポリペプチド鎖-2の組成はCD3のFab部分を標的とし、ポリペプチド鎖-3はB7-H4を標的とする2つのVH部分(VH_A-VH_B)を含む。ここで、VH_AとVH_Bの配列は同一でも異なっていてもよく、VH_AとVH_BはリンカーペプチドGS_15を介して連結される。
【0094】
Fcγ受容体の結合によって引き起こされる架橋とエフェクター機能の低下を防ぐために、「AA」二重突然変異体(L234AとL235A)又は「AAA」三重突然変異体(L234A、L235AとG237A)をポリペプチド鎖-2及びポリペプチド鎖-3の重鎖定常領域に導入した。さらに、相同な重鎖二量体の生成を減らすために、2つの重鎖の定常領域にそれぞれ異なるアミノ酸突然変異を導入し、それらに「knob-hole」突然変異と修飾ジスルフィド結合を持たせた。CD3を標的とするポリペプチド鎖-2に突然変異T366W及びS354Cを導入した;同時に、B7-H4を標的とするポリペプチド鎖-3に突然変異T366S、L368A、Y407V及びY349Cを導入した。さらに、抗体分子の熱安定性を向上させるために、B7-H4は抗B7-H4のVHドメインのKabat番号の49位と69位の2つのアミノ酸をCysに変更し、ジスルフィド結合を形成させた;即ち、S49CとI70Cの突然変異をそれぞれに導入した。
【0095】
1.3 IgG-VHの4価対称構造を有する二重特異性抗体IIの構築(構造番号B)
【0096】
二重特異性抗体IIは、TAA×4-1BB二重抗体であり、本発明では、TAAはB7-H4及びHer2のみに例示され、T細胞とTAA陽性腫瘍細胞を架橋することによって4-1BBの凝集を促進し、腫瘍抗原特異的T細胞に有効な共刺激シグナルを提供し、T細胞受容体(TCR)を介した活性をさらに増強し、腫瘍溶解を引き起こすことを意図している。従って、TAA×4-1BBを介した4-1BBの活性化は、in vivoでのT細胞と腫瘍細胞の共局在に偏り、末梢の活性化による毒性反応を減少させる。
【0097】
図1のBは、TAA×4-1BBのIgG-VH対称構造の分子構造の模式図であり、IgG-VHの4価対称構造のドメインは、アミノ末端からカルボキシル末端まで、VL_A-CLを含む、短鎖とも呼ばれるポリペプチド鎖1;アミノ末端からカルボキシル末端まで、VH_A-CH1-h-CH2-CH3-L-VH_Bを含む、長鎖とも呼ばれるポリペプチド鎖2;の2つのポリペプチド鎖を含む;ここで、A及びBはそれぞれ異なる標的を標的とすることを表し、Lはリンカーペプチドであり、hはヒンジ領域である。TAA×4-1BBの対称構造の二重抗体分子は、N末端のIgGを介して腫瘍細胞を特異的に認識し、C末端のVHを介してT細胞を認識し活性化する。さらに、FcはL234AとL235Aの変異を導入してFcの機能を除去し、末梢における4-1BBの非特異的活性化を減少させ、TAA×4-1BB二重抗体による腫瘍細胞の特異的殺傷を実現した。TAA×4-1BBの例としては、PR004281、PR004282、PR004359、PR003338及びPR002828がある。
【0098】
本発明のB7-H4×CD3二重特異性抗体Iの構造情報は下記の表3に示される。
【0099】
本発明のTAA×4-1BB(B7-H4×4-1BB、HER2×4-1BB)二重特異性抗体IIの構造情報は下記の表4に示される。
【0100】
1.4 抗体情報
【0101】
本発明で使用される対照分子及び二重特異性抗体分子の構築に使用される親モノクローナル抗体に関する情報は下記の表1に示される。対照分子及び親モノクローナル抗体の配列表における番号は下記の表2に示される。
【0102】
【0103】
【0104】
【0105】
【0106】
本発明の二重特異性抗体分子において使用することができるリンカー(L)配列は、下記の表5の配列表に示される。
【0107】
【0108】
本発明の二重特異性抗体分子のポリペプチド鎖のアミノ酸配列の配列表における番号は、下記の表6に示される。
【0109】
【0110】
本発明により得られた二重特異性抗体のCDR配列番号は、下記の表7に示される。
【0111】
【0112】
本発明により得られた二重特異性抗体のCDRのアミノ酸配列と対応する配列番号は、表8に示される。
【0113】
【0114】
本発明により得られた二重特異性抗体のFWR配列番号は、下記の表9に示される。
【0115】
【0116】
実施例2 B7-H4×CD3の結合活性とin vitro機能有効性
【0117】
2.1 FACSによるB7-H4×CD3二重抗体のB7-H4及びCD3結合能力の検出
【0118】
ヒトB7-H4を過剰発現するCHO-K1細胞株CHO-K1/huB7-H4(Harbour BioMed製造)、カニクイザルB7-H4を過剰発現するCHO-K1細胞株CHO-K1/cynoB7-H4(Harbour BioMed製造)、マウスB7-H4を過剰発現するCHO-K1細胞株CHO-K1/mB7-H4(Harbour BioMed製造)、SK-BR-3及びMDA-MB-468細胞を消化した。ヒトT細胞分離キット(Miltenyi、#130-096-535)を使用して、説明書の方法に従ってT細胞を分離した。2%FBSを含むPBSで再懸濁させた。細胞密度をそれぞれ1×106細胞/mLに調節した。96ウェルVボトムプレート(Corning、#3894)に100μL細胞/ウェルで細胞を接種し、次に最終濃度の2倍で3倍濃度勾配希釈した試験抗体を100μL/ウェルで加えた。細胞を4℃に置き、光を避けて2時間培養した。その後、2%BSAを含む予め冷却させたPBSを100μL/ウェルで加えて細胞を2回洗浄し、500g、4℃で5分間遠心分離し、上清を捨てた。さらに100μL/ウェルで蛍光二次抗体(AlexaFluor488-conjugated AffiniPure Goat Anti-Human IgG、Fcγ Fragment Specific、Jackson、#109-545-098、1:500希釈)を加え、4℃で、光を避けて1時間培養した。2%FBSを含む予め冷却させたPBSで100μL/ウェルで細胞を2回洗浄し、500g、4℃で5分間遠心分離し、上清を捨てた。最後に、2%BSAを含む予め冷却させたPBSで200μL/ウェルで細胞を再懸濁させ、ACEANovocyte3000フローサイトメーターを使用して蛍光発光シグナル値を読み取った。
【0119】
B7-H4×CD3二重抗体分子PR003899、PR003733のCHO-K1/huB7-H4、CHO-K1/cynoB7-H4、CHO-K1/mB7-H4細胞への結合の結果は
図2のA~Dに示される;ここで、
図2のDは
図2のA~CのMFI最大値とEC
50をまとめたものである。その結果、PR003733及びPR003899の2つの分子は同じ抗B7-H4 ScFvフラグメントを使用するため、B7-H4に対する二重抗体分子の結合活性は基本的に同じであることが示されている。
【0120】
B7-H4×CD3二重抗体分子PR003899、PR003733のSK-BR-3及びMDA-MB-468細胞への結合の結果は
図3のA、Bに示される。その結果、2種類の腫瘍細胞におけるB7-H4に対する二重抗体分子の結合活性は基本的に同じであることが示されている。B7-H4×CD3二重抗体分子のヒトT細胞への結合の結果は
図3のCに示される。その結果、T細胞に対するPR003733の結合活性はPR003899よりも有意に高いことが示されている。
図3のDは、A、B、CのMFI最大値とEC
50をまとめたものである。
【0121】
ヒト、サルのB7-H4を過剰発現するCHOK1細胞に対する二重抗体分子PR007078及びPR007168の結合活性は基本的に同じであるが(
図17のA、B、D)、PR007078はマウスのB7-H4に対してより強い結合を有する(
図17のC)。B7-H4の発現が比較的低い細胞である腫瘍細胞への結合は、PR007168の方がPR007078よりも強い(
図18のA、C)。2つの分子は同じ抗CD3抗体フラグメントを使用し、CD3に対するそれらの結合能力は近い(
図18のB)。
【0122】
2.2 T細胞殺傷実験
【0123】
本実験では、ヒト初代T細胞をエフェクター細胞として使用し、異なるレベルのB7-H4を発現する細胞株MDA-MB-468、HCC-1954又はBT-474を標的細胞として使用した。ACEA社のRTCA機器を使用して標的細胞の導電率を検出し、殺傷効率を反映した。96ウェルプレートe-plateをまず50μlの完全培地で平衡化した。標的細胞を消化し、10%ウシ胎児血清を含むRPM1640完全培地に再懸濁させ、4×10
5/mLに希釈し、e-plate96プレートに50μl/ウェル、即ち2×10
4/ウェルで広げ、37℃で一晩培養した。翌日、Miltenyi T細胞分離キット(Miltenyi、#130-096-535)を使用して、説明書の方法に従って初代T細胞を分離した。2×10
5T細胞を含む新鮮な培地50μlを各ウェルに加え、次に4×濃度勾配希釈した抗体50μlを加え、抗体の最高最終濃度は10nMであり、各抗体には合計8つの濃度があり、2つの重複を設定した。標的細胞の導電率をリアルタイムで検出し、一般に、24時間時点のデータを使用して、標的細胞の殺傷効率=(1-試料/ブランク対照)×100%を計算した。24時間後に上清を回収し、IFN-γの濃度をELISA方法により検出した。ELISA検出方法は、IFN gamma Human Uncoated ELISA Kit(Thermo、#88-7316-77)のキット操作説明書を参照した。B7-H4×CD3二重抗体分子PR003733、PR003899によるMDA-MB-468、HCC-1954及びBT-474腫瘍細胞の殺傷結果は、それぞれ
図4のA、
図5のA及び
図6のAに示される。
その結果、PR003733とPR003899はいずれも腫瘍細胞を効果的に殺傷することができ、且つPR003733の殺傷効率はPR003899よりも高いことが示されている。B7-H4×CD3二重抗体分子によるIFN-γの放出レベルの促進は、それぞれ
図4のB、
図5のB、
図6のBに示される。
【0124】
B7-H4×CD3二重抗分子PR007078及びPR007168はいずれも腫瘍細胞を効果的に殺傷することができ、かつPR007168の殺傷効率はPR007078よりも高く(
図19のA、
図20のAを参照)、サイトカインIFN-γの放出もPR007078よりも高い(
図19のB、
図20のBを参照)。
【0125】
実施例3 B7-H4×4-1BBの結合活性とin vitro機能有効性
【0126】
3.1 FACSによるB7-H4×4-1BB二重抗体のB7-H4及び4-1BB結合能力の検出
【0127】
ヒトB7-H4を過剰発現するCHO-K1細胞株CHO-K1/huB7-H4(Harbour BioMed製造)、カニクイザルB7-H4を過剰発現するCHO-K1細胞株CHO-K1/cynoB7-H4(Harbour BioMed製造)、マウスB7-H4を過剰発現するCHO-K1細胞株CHO-K1/mB7-H4(Harbour BioMed製造)、SK-BR-3、及びヒト4-1BBを過剰発現するCHO-K1細胞株CHO-K1/h4-1BB(Harbour BioMed製造)、カニクイザル4-1BBを過剰発現するCHO-K1細胞株CHO-K1/cyno4-1BB細胞(Harbour BioMed製造)を消化した。2%FBSを含むPBSで再懸濁させた。細胞密度をそれぞれ1×106細胞/mLに調節した。96ウェルVボトムプレート(Corning、#3894)に100μL細胞/ウェルで細胞を接種し、次に最終濃度の2倍で3倍濃度勾配希釈した試験抗体を100μL/ウェルで加えた。細胞を4℃に置き、光を避けて2時間培養した。その後、2%BSAを含む予め冷却させたPBSを100μL/ウェルで加えて細胞を2回洗浄し、500g、4℃で5分間遠心分離し、上清を捨てた。さらに100μL/ウェルで蛍光二次抗体(AlexaFluor488-conjugated AffiniPure Goat Anti-Human IgG、Fcγ Fragment Specific、Jackson、#109-545-098、1:500希釈)を加え、4℃で、光を避けて1時間培養した。2%FBSを含む予め冷却させたPBSで100μL/ウェルで細胞を2回洗浄し、500g、4℃で5分間遠心分離し、上清を捨てた。最後に、2%BSAを含む予め冷却させたPBSで200μL/ウェルで細胞を再懸濁させ、ACEANovocyte3000フローサイトメーターを使用して蛍光発光シグナル値を読み取った。
【0128】
B7-H4×4-1BB二重抗体分子PR004281、PR004282のCHO-K1/hu4-1BB、CHO-K1/cyno4-1BBへの結合の結果は
図7のA~Cに示され、ここで、CはA、BのMFI最大値とEC
50値をまとめたものである。その結果、PR004281、PR004282はヒトとサルの4-1BBに類似の結合活性を有するが、ウレルマブ(Urelumab)は文献報告と一致してサルの4-1BBに結合しないことが示されている。B7-H4×4-1BB二重抗体分子のCHO-K1/huB7-H4、CHO-K1/cynoB7-H4、CHO-K1/mB7-H4及びSK-BR-3細胞への結合の結果は
図8のA~Eに示され、ここで、EはA~DのMFI最大値とEC
50値をまとめたものである。その結果、PR004281、PR004282はヒト、サル、マウスの4-1BB及び腫瘍細胞SK-BR-3に対して類似の結合活性を有することが示されている。
【0129】
3.2 T細胞活性化実験
【0130】
1mg/mlのOKT3(eBiosciences、製品番号16-0037-85)をPBSで希釈し、各ウェルに10μg/mlのOKT3 100μlを採取して96ウェルプレート(Corning、製品番号3599)にコーティングし、4℃で一晩コーティングした。翌日、SK-BR-3、又はJIMT-1又はCHO-K1/CD32b細胞を消化し、完全培地に再懸濁させ、使用のために細胞密度をそれぞれ4×105細胞/mlに調節した。MACSキット(MiltenyiBiotec、製品番号130-096-535)を使用してヒトPBMCからヒトCD3陽性T細胞を単離した。前日に96ウェルプレートにコーティングしたOKT3を洗い流し、50μlの精製T細胞を1ウェルあたり1×105個で加えた。さらに50μlのSK-BR-3又はJIMT-1又はCHO-K1/CD32b細胞を取って96ウェルプレートに入れ、1ウェル当たり2×104個であった。次に、対応する濃度のB7-H4×4-1BB二重特異性抗体又は対照モノクローナル抗体50μlを加え、37℃のインキュベーターで培養した。48時間後、80μlの上清を取り、ELISAキット(Invitrogen、#88-7025-88)を使用してIL-2の含量を検出した。ELISA検出は供給者の説明書に従って実行された。
【0131】
図9のAは、SK-BR-3細胞の表面のB7-H4の架橋下で、B7-H4×4-1BB二重抗体分子PR004281、PR004282がT細胞によるIL-2分泌を活性化する強い効果を有することを示している。一方、JIMT-1はB7-H4発現陰性細胞であり、B7-H4×4-1BB二重抗体分子を架橋することができないため、PR004281、PR004282はJIMT-1存在下でT細胞を活性化する機能を持たない(
図9のB)。同時に、二重抗体分子はLALA突然変異であり、Fc受容体CD32bとの結合を減少させるため、CHO-K1/CD32b細胞の存在下でT細胞を活性化する機能も持たない(
図9のC)。B7-H4×4-1BBは、B7-H4が高発現している腫瘍環境でのみT細胞を活性化する機能を発揮し、末梢効果を低下させ、それによって末梢毒性を低下させることが示唆されている。対照分子であるウレルマブの機能の発揮は架橋には依存しないが(
図9のA、B)、CD32b架橋の存在下で活性はさらに増強される(
図9のC)。
【0132】
実施例4 ヒト乳がん組織におけるT細胞:腫瘍細胞の比率
【0133】
病理組織チップは、Guilin Fanpu Biotech, IncのBRC1021乳がん組織チップから購入した。パラフィン切片の厚さは4μmであり、陽性対照組織が付着した。脱蝋、洗浄を行った;抗原賦活化:pH6(クエン酸)で、125℃で5分間加熱し、10分間密封した後、室温で30分間冷却させた;水で洗浄した後、0.3%過酸化水素で5分間洗浄し、次にTBSTで3回5分間洗浄した;Dakoブロッキング溶液を直接に使用し、インキュベーションボックス内で室温で20分間ブロッキングした;ブロッキング溶液を振って除去し、ウサギ抗ヒトCD3一次抗体を加え、抗体希釈液Dakoを直接に使用し、インキュベーションボックス内で室温で60分間培養し、対照をウサギIgGで置換した;TBSTで3回、毎回5分間洗浄した;二次抗体である抗ウサギ(EnVision+System-HRP Labelled Polymer)をインキュベーションボックス内で室温で30分間培養した;TBSTで3回、毎回5分間洗浄した;DABで発色し、0.85mLの蒸留水を試薬ABCの順に従って50μLの各試薬に加え、インキュベーションボックス内で室温で5分間培養した;蒸留水で洗浄し、ヘマトキシリンで対比染色した。チップを顕微鏡で観察し、封止し、読み取った。
【0134】
その結果(
図10のA)、腫瘍組織におけるT細胞の比率は低く、ほとんどの試料におけるT細胞の比率は10%未満であることが示され、病理学的条件下では、腫瘍組織に対するT細胞の比率が、in vitro実験よりもはるかに低いことが示されている。
図10のBは試料の一例である。
【0135】
実施例5 低いT細胞:腫瘍細胞の比率の条件下でのB7-H4×CD3のin vitro殺傷実験
【0136】
この方法は実施例2.2と同様であり、標的細胞としてMDA-MB-468腫瘍細胞を使用した。ACEA社のRTCA機器を使用して標的細胞の導電率を検出し、殺傷効率を反映した。96ウェルプレートe-plateをまず50μlの完全培地で平衡化した。標的細胞を消化し、10%ウシ胎児血清を含むRPM1640完全培地に再懸濁させ、4×10
5/mLに希釈し、e-plate96プレートに50μl/ウェル、即ち2×10
4/ウェルで広げ、37℃で一晩培養した。翌日、Miltenyi T細胞分離キット(Miltenyi、#130-096-535)を使用して、説明書の方法に従って初代T細胞を分離した。異なる密度を含む新鮮なT細胞50μlを各ウェルに加え、T細胞:腫瘍細胞の比は0.03:1~10:1であり、次に最終濃度2nMの抗体50μlを加えた。この濃度は、エフェクター細胞:標的細胞の比率(E:T)が10:1の殺傷実験における飽和濃度であった(
図4A)。標的細胞の導電率をリアルタイムで検出し、24、48、72、96時間後のデータを使用して、標的細胞の殺傷効率=(1-試料/ブランク対照)×100%を計算した。
【0137】
B7-H4×CD3二重抗体分子PR003733、PR003899によるMDA-MB-468腫瘍細胞の殺傷結果は、
図11のA~Dに示される(24~96時間)。その結果、PR003733とPR003899の腫瘍細胞効率は、エフェクター細胞:標的細胞の比率が低下するにつれて低下し、1:3より低い比では抗体は基本的に殺傷活性を持たず、その傾向は24時間から96時間まで一貫していることが示されている。エフェクター細胞:標的細胞の比率が低い場合(例えば、腫瘍環境)、B7-H4×CD3二重抗体分子は腫瘍の殺傷を媒介する効率が低いことが示唆されている。
【0138】
実施例6 B7-H4×CD3とB7-H4×4-1BBの併用条件下におけるT細胞枯渇の指標
【0139】
標的細胞としてMDA-MB-468腫瘍細胞を使用し、MDA-MB-468細胞の表面にはB7-H4分子が内因的に高発現されている。96ウェルプレートをまず50μlの完全培地で平衡化した。標的細胞を消化し、10%ウシ胎児血清を含むRPM1640完全培地に再懸濁させ、4×105/mLに希釈し、e-plate96プレートに50μl/ウェル、即ち2×104/ウェルで広げ、37℃で一晩培養した。翌日、Miltenyi T細胞分離キット(Miltenyi、#130-096-535)を使用して、説明書の方法に従って初代T細胞を分離した。6666個のT細胞を含む新鮮な50μlを各ウェルに加えた、即ち、エフェクター細胞:標的細胞(E:T)の比率は1:3であった。次に、抗体PR003899を単独で、又はPR004281と組み合わせて、最終濃度1nMまで加えた。標的細胞の導電率をリアルタイムで検出した。48時間後にT細胞を収集し、T細胞上の免疫チェックポイントPD1、Tim3、Lag3の発現をフローサイトメトリーで検出し、これら3つのマーカーの高発現は、多くの場合、T細胞の枯渇を示している。一般的な手順は下記の通りであった:懸濁細胞を収集し、PBSで1回洗浄し、100μlのFACS緩衝液(2%FBSを含むPBS)に再懸濁させ、1μlのFITC抗ヒトCD3抗体、1μlのAPC抗ヒトPD1抗体、1μlのBrilliant Violet421抗Tim3抗体、1μlのBrilliant Violet421抗Lag3抗体を加え、4℃で45分間培養し、2回洗浄した後、機器で検出した。
【0140】
その結果、B7-H4×CD3二重抗体PR003899とB7-H4×4-1BB二重抗体PR004281を併用した場合、48時間培養後に、B7-H4×CD3単独の場合と比較して、PD1、Tim3、Lag3の発現はいずれもある程度低下し、特にTim3は有意に低下することが示されている(
図12のA~C)。
【0141】
実施例7 B7-H4×CD3とB7-H4×4-1BBの併用は、低いT細胞:腫瘍細胞の比率の条件下で、後期の腫瘍殺傷を有意に促進することができる。
【0142】
この方法は実施例6と同様であり、異なる時点での標的細胞の殺傷率を検出した。標的細胞としてMDA-MB-468腫瘍細胞を使用した。96ウェルプレートをまず50μlの完全培地で平衡化した。標的細胞を消化し、10%ウシ胎児血清を含むRPM1640完全培地に再懸濁させ、4×105/mLに希釈し、e-plate96プレートに50μl/ウェル、即ち2×104/ウェルで広げ、37℃で一晩培養した。翌日、Miltenyi T細胞分離キット(Miltenyi、#130-096-535)を使用して、説明書の方法に従って初代T細胞を分離した。6666個のT細胞を含む新鮮な50μlを各ウェルに加えた、即ち、エフェクター細胞:標的細胞(E:T)の比率は1:3であった。次に、抗体PR003899を単独で、又はPR004281と組み合わせて、最終濃度1nMまで加えた。標的細胞の導電率をリアルタイムで検出した。
【0143】
B7-H4×CD3二重抗体分子PR003899によるMDA-MB-468腫瘍細胞の殺傷結果は、
図13のA~Eに示される(1~5日)。その結果、PR003899単独で使用した場合の殺傷効率は、3日目に最高点に達したが、おそらくT細胞の枯渇のため、4日目以降には徐々に殺傷効率が低下したことが示されている。PR003899とPR004281の併用による殺傷効率は、最初の3日間はPR003899単独と有意差がなかったが、後期の4~5日間は殺傷効率が上昇し続け、PR003899単独との差が徐々に大きくなった。PR004281の併用により、T細胞の枯渇とアポトーシスを減少させた可能性がある。
【0144】
実施例8 B7-H4×CD3とB7-H4×4-1BBの併用は、殺傷を強化しながらT細胞の分裂と増殖を増加させる。
【0145】
この方法は実施例5と同様である。標的細胞としてB7-H4分子が内因性に高発現されているSKBR3腫瘍細胞を使用した。96ウェルプレートをまず50μlの完全培地で平衡化した。標的細胞を消化し、10%ウシ胎児血清を含むRPM1640完全培地に再懸濁させ、4×105/mLに希釈し、e-plate96プレートに50μl/ウェル、即ち2×104/ウェルで広げ、37℃で一晩培養した。翌日、Miltenyi T細胞分離キット(Miltenyi、#130-096-535)を使用して、説明書の方法に従って初代T細胞を分離した。標識T細胞50μlを各ウェルに加えた、エフェクター細胞:標的細胞(E:T)の比率は1:5であった。次に、抗体PR007078単独、PR007168又はPR004282と組み合わせて加えた。標的細胞の導電率をリアルタイムで検出した。そして、7日目に標的細胞の殺傷効率を計算した。
【0146】
その結果(
図21)、B7-H4×CD3二重抗体PR007078、PR007168とB7-H4×4-1BB二重抗体PR004282を併用した場合、7日間培養後に、PR007078単独ではエフェクター細胞:標的細胞の比率(E:T)が低い場合には殺傷効果を示さなかったが、B7-H4×4-1BB二重抗体PR004282との併用では強い殺傷効果を示した。PR007168は単独でもある程度の殺傷効果を有したが、PR004282との併用で殺傷効果がさらに増強された。
【0147】
別の実験では、T細胞を1μMのCSFEで標識した後、SKBR3標的細胞と共培養し、7日目にT細胞を収集し、生存T細胞の数、T細胞の分裂世代数をフローサイトメトリーで数え、アネキシンV染色でT細胞のアポトーシスを検出した。
【0148】
その結果、PR007078とPR004282の併用は、単剤と比較して、T細胞の絶対数を有意に促進し(
図22)、T細胞の分裂世代数を有意に増加させ(
図23)、同時に、アポトーシスの割合を有意に減少させたことが示されている(
図24)。この実験ではPR007168単独では強い効果を示したが、PR004282との併用ではT細胞自体には有意な効果はなかった。
【0149】
実施例9 異なる二重抗体の組み合わせのin vitro殺傷実験
【0150】
9.1 PR002408、PR002410のB7-H4エピトープへの結合の決定
【0151】
本発明は、ForteBio Octet Red96eプラットフォームを使用することにより、PR002408、PR002410がB7-H4の異なるエピトープと結合することを確認した。ステップ1:抗体の100%シグナルを取得した:B7-H4に結合した一次抗体(PR002408)の最終シグナルをこの抗体の100%シグナルとして記録した。ステップ2:一次抗体を捕捉した後、SAセンサーを一次抗体と二次抗体(PR002410)の混合物に浸し、センサーを抗体混合物に浸した後の信号の差を、その抗体を二次抗体とする信号として記録した。阻害率は下記の式で計算された。
【0152】
阻害率(%)=(A-B)/A×100
A:ある抗体の100%シグナル(ステップ1で得られた)、B:この抗体の二次抗体としてのシグナル(ステップ2で得られた)。
【0153】
得られた阻害率が85(%)を超える場合、2つの抗体のエピトープが完全に重なっていることを意味し、阻害率が85(%)未満の場合、2つの抗体が結合するエピトープが完全に重なっていないことを意味する。結果は表10に示され、PR002408とPR002410の間にはエピトープの競合がなく、B7-H4の異なる抗原エピトープに結合することが示唆されている。エピトープ競合実験の結果は下記の表10に示される。
【0154】
【0155】
9.2 異なる二重抗体の組み合わせによるin vitro殺傷効果
【0156】
TAA×CD3とTAA×4-1BBの組み合わせを媒介する際の異なるTAA又は同じTAAの異なる結合エピトープの役割を調べるために、本実施例ではTAA×CD3とTAA×4-1BBの異なる組み合わせを使用した。TAA×CD3はPR003899であり、そのTAAは抗B7-H4であり、TAA×4-1BBはPR004359、PR003338、PR002828であり、ウレルマブは陽性対照であった。PR004359のTAAは抗B7-H4であり、PR003899と全く同じであった;PR003338のTAAは抗B7-H4であったが、PR003899のTAAとは異なるB7-H4の抗原エピトープに結合した;PR002828のTAAは抗Her2であった。模式図は
図15に示される。
【0157】
殺傷方法は実施例7と同様であり、8日目の標的細胞の殺傷率を検出した。標的細胞としてSK-BR-3腫瘍細胞を使用し、SK-BR-3細胞はB7-H4とHer2を同時に高発現した。96ウェルプレートをまず50μlの完全培地で平衡化した。標的細胞を消化し、10%ウシ胎児血清を含むRPM1640完全培地に再懸濁させ、4×105/mLに希釈し、e-plate96プレートに50μl/ウェル、即ち2×104/ウェルで広げ、37℃で一晩培養した。翌日、Miltenyi T細胞分離キット(Miltenyi、#130-096-535)を使用して、説明書の方法に従って初代T細胞を分離した。2000個のT細胞を含む新鮮な50μlを各ウェルに加えた、即ち、エフェクター細胞:標的細胞(E:T)の比率は1:10であった。次に、抗体PR003899を単独で、又は他のTAA×4-1BBと組み合わせて、PR003899の最終濃度は0.5nMであり、TAA×4-1BBの濃度は2nM又は0.2nMであった。標的細胞の導電率をリアルタイムで検出した。そして8日目にT細胞を収集し、生存T細胞の染色と計数を行った。
【0158】
結果は
図14に示され、PR003899単独では、エフェクター細胞:標的細胞の比率が低い場合、即ちE:Tの比率が1:10では殺傷効果を示さなかったが、TAA×4-1BBとの併用では強い殺傷効果を示し、同時に、生存T細胞数は有意に上昇し、SK-BR-3腫瘍細胞の殺傷率は
図14のAに、生存T細胞数は
図14のBに示される。ここで、PR004359のB7-H4抗原結合エピトープはPR003899と同じであり、エピトープ競合関係にあるため、2nMの高濃度では相乗効果が低下した;一方、PR003899は同じTAAの異なるエピトープを持つPR003338、又は異なるTAAを持つPR002828と強い相乗効果を示す。これは、TAA×CD3が、同じTAAの異なるエピトープ、又は異なるTAAを持つTAA×4-1BBの二重抗体の組み合わせが強い相乗的殺傷効果を有することを示し、潜在的な臨床的組み合わせ価値があることを示唆している。
【0159】
以上、本発明の具体的な実施例について説明したが、当業者であれば、これらは単なる例であり、本発明の原理及び本質から逸脱することなく、これらの実施例に対して様々な変更や修正を加えることができることを理解されたい。従って、本発明の保護範囲は添付の特許請求の範囲によって限定される。
【配列表】
【手続補正書】
【提出日】2024-02-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1治療剤としての二重特異性抗体Iと、第2治療剤としての二重特異性抗体IIとを含む二重抗体の組み合わせであって、前記二重特異性抗体Iは、CD3を標的とするドメインと、腫瘍関連抗原を標的とするドメインとを含み、前記二重特異性抗体IIは、4-1BBを標的とするドメインと、腫瘍関連抗原を標的とするドメインとを含み;好ましくは、前記二重特異性抗体Iにおいて、前記腫瘍関連抗原のドメインは、B7-H4を標的とするドメインであり;及び/又は、前記二重特異性抗体IIにおいて、腫瘍関連抗原を標的とするドメインは、B7-H4を標的とするドメイン又はHer2を標的とするドメインであり;より好ましくは、前記二重特異性抗体I及び二重特異性抗体IIにおけるB7-H4を標的とするドメインは、それぞれB7-H4の異なるエピトープを標的とすることを特徴とする、二重抗体の組み合わせ。
【請求項2】
前記二重特異性抗体Iは、Fab-Fc-scFv又はFab-Fc-(VH)
nの非対称構造であり、前記二重特異性抗体IIは、IgG-VHの対称構造であり;ここで、nは1以上の自然数であり;
好ましくは、前記二重特異性抗体Iにおいて、B7-H4を標的とするドメインはscFv又はVH_A-VH_Bであり、前記VH_AとVH_Bは同一又は異なり、CD3を標的とするドメインはFabであり、前記Fabと前記scFv又はVH_A-VH_Bはヒンジ領域又はリンカーペプチドを介してFcに連結され;前記Fcは、好ましくは、IgG1のFcであり、前記リンカーペプチドのアミノ酸配列は、配列番号93~96、124に示され、より好ましくは、前記Fcは、例えば、L234A、L235A突然変異、「knob」突然変異T366Wと「Hole」突然変異T366S、L368AとY407V、及び/又は、「knob」突然変異S354Cと「Hole」突然変異Y349Cなどの1~3個のアミノ酸の付加、欠失又は突然変異を含み;及び/又は
前記二重特異性抗体IIにおいて、B7-H4を標的とするドメイン又はHer2を標的とするドメインはIgGであり、前記IgGのFcは、好ましくは、例えば、L234A、L235A突然変異などの1~3個のアミノ酸の付加、欠失又は突然変異を含み;4-1BBを標的とするドメインはVH又はscFvであり;前記B7-H4を標的とするドメイン又はHer2を標的とするドメインと前記4-1BBを標的とするドメインは、リンカーペプチドを介して連結され、前記リンカーペプチドのアミノ酸配列は、好ましくは、配列番号93~96に示されることを特徴とする、請求項1に記載の二重抗体の組み合わせ。
【請求項3】
前記二重特異性抗体Iにおいて、B7-H4を標的とするドメインは、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含み、前記重鎖可変領域のHCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号10、21、33に示され、前記軽鎖可変領域のLCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号43、49、57に示され;或いは、前記B7-H4を標的とするドメインはVH_A-VH_Bを含み、前記VH_A及びVH_BのHCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号100、104、102に示され、又は前記VH_AのHCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号100、104、102に示され、前記VH_BのHCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号97、103、99に示され;
CD3を標的とするドメインは、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含み、前記重鎖可変領域のHCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号8、19、31に示され、前記軽鎖可変領域のLCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号41、48、55に示され;及び/又は、
前記二重特異性抗体IIにおいて、B7-H4を標的とするドメインは、重鎖可変領域及び
軽鎖可変領域を含み、前記重鎖可変領域のHCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号9、20、32に示され、前記軽鎖可変領域のLCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号42、49、56に示され;或いは、前記重鎖可変領域のHCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号10、21、33に示され、前記軽鎖可変領域のLCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号43、49、57に示され;Her2を標的とするドメインは、重鎖可変領域及び
軽鎖可変領域を含み、前記重鎖可変領域のHCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号6、17、29に示され、前記軽鎖可変領域のLCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号40、47、54に示され;
4-1BBを標的とするドメインはVHであり、そのHCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号7、18、30に示され、又は配列番号7、22、30に示され;
好ましくは、前記二重特異性抗体IIは下記の群から選択され:
a)前記二重特異性抗体IIは、B7-H4を標的とするドメイン及び4-1BBを標的とするドメインを含み;ここで、
B7-H4を標的とするドメインにおいて、重鎖可変領域のHCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号9、20、32に示され、軽鎖可変領域のLCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号42、49、56に示され;4-1BBを標的とするドメインにおいて、HCDR1~3のアミノ酸配列は、配列番号7、22、30に示され;或いは、
B7-H4を標的とするドメインにおいて、重鎖可変領域のHCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号10、21、33に示され、軽鎖可変領域のLCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号43、49、57に示され;4-1BBを標的とするドメインにおいて、HCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号7、18、30に示され;
b)前記二重特異性抗体IIは、Her2を標的とするドメイン及び4-1BBを標的とするドメインを含み;ここで、Her2を標的とするドメインにおいて、重鎖可変領域のHCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号6、17、29に示され、軽鎖可変領域のLCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号40、47、54に示され;4-1BBを標的とするドメインにおいて、HCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号7、18、30に示され;
より好ましくは、前記二重抗体の組み合わせは下記から選択され:
i)二重特異性抗体Iにおいて、B7-H4を標的とするドメインの
VH_AとVH_BのHCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号
100、104、102に示され、CD3を標的とするドメインの重鎖可変領域のHCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号8、19、31に示され、軽鎖可変領域のLCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号41、48、55に示され;二重特異性抗体IIにおいて、B7-H4を標的とするドメインの重鎖可変領域のHCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号9、20、32に示され、軽鎖可変領域のLCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号42、49、56に示され;4-1BBを標的とするドメインのHCDR1~3のアミノ酸配列は、配列番号7、22、30に示され;
ii)二重特異性抗体Iにおいて、B7-H4を標的とするドメインの重鎖可変領域のHCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号10、21、33に示され、軽鎖可変領域のLCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号43、49、57に示され;CD3を標的とするドメインの重鎖可変領域のHCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号8、19、31に示され、軽鎖可変領域のLCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号41、48、55に示され;二重特異性抗体IIにおいて、Her2を標的とするドメインの重鎖可変領域のHCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号6、17、29に示され、軽鎖可変領域のLCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号40、47、54に示され;4-1BBを標的とするドメインのHCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号7、18、30に示され;
iii)二重特異性抗体Iにおいて、B7-H4を標的とするドメインの
重鎖可変領域のHCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号
10、21、33に示され、
軽鎖可変領域のLCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号43、49、57に示され;CD3を標的とするドメインの重鎖可変領域のHCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号8、19、31に示され、軽鎖可変領域のLCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号41、48、55に示され;二重特異性抗体IIにおいて、B7-H4を標的とするドメインの重鎖可変領域のHCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号9、20、32に示され、軽鎖可変領域のLCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号42、49、56に示され;4-1BBを標的とするドメインのHCDR1~3のアミノ酸配列は、配列番号7、22、30に示され;
iv)二重特異性抗体Iにおいて、B7-H4を標的とするドメインのVH_A及びVH_BのHCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号100、104、102に示され、CD3を標的とするドメインの重鎖可変領域のHCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号8、19、31に示され、軽鎖可変領域のLCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号41、48、55に示され;二重特異性抗体IIにおいて、Her2を標的とするドメインの重鎖可変領域のHCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号6、17、29に示され、軽鎖可変領域のLCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号40、47、54に示され;4-1BBを標的とするドメインのHCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号7、18、30に示され;
v)二重特異性抗体Iにおいて、B7-H4を標的とするドメインのVH_AのHCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号100、104、102に示され、VH_Bのアミノ酸配列は、それぞれ配列番号97、103、99に示され、CD3を標的とするドメインの重鎖可変領域のHCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号8、19、31に示され、軽鎖可変領域のLCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号41、48、55に示され;二重特異性抗体IIにおいて、B7-H4を標的とするドメインの重鎖可変領域のHCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号9、20、32に示され、軽鎖可変領域のLCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号42、49、56に示され;4-1BBを標的とするドメインのHCDR1~3のアミノ酸配列は、配列番号7、22、30に示され;
vi)二重特異性抗体Iにおいて、B7-H4を標的とするドメインのVH_AのHCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号100、104、102に示され、VH_Bのアミノ酸配列は、それぞれ配列番号97、103、99に示され、CD3を標的とするドメインの重鎖可変領域のHCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号8、19、31に示され、軽鎖可変領域のLCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号41、48、55に示され;二重特異性抗体IIにおいて、Her2を標的とするドメインの重鎖可変領域のHCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号6、17、29に示され、軽鎖可変領域のLCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号40、47、54に示され;4-1BBを標的とするドメインのHCDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号7、18、30に示されることを特徴とする、請求項
1に記載の二重抗体の組み合わせ。
【請求項4】
前記二重特異性抗体Iにおいて、B7-H4を標的とするドメインの重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号66に示され、軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号72に示され;CD3を標的とするドメインの重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号67に示され、軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号70に示され;或いは、B7-H4を標的とするドメインの重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号66に示され、軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号72に示され;CD3を標的とするドメインの重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号64に示され、軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号70に示され;或いは、B7-H4を標的とするドメインは配列番号122に示されたアミノ酸配列を含み、CD3を標的とするドメインの重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号67に示され、軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号70に示され;或いは、B7-H4を標的とするドメインは配列番号123に示されたアミノ酸配列を含み、CD3を標的とするドメインの重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号
67に示され、軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号70に示され;
及び/又は、前記二重特異性抗体IIは下記の群から選択され:
a)前記二重特異性抗体IIは、B7-H4を標的とするドメイン及び4-1BBを標的とするドメインを含み;ここで、
B7-H4を標的とするドメインにおいて、重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号65に示され、軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号71に示され;4-1BBを標的とするドメインにおいて、VHのアミノ酸配列は配列番号68に示され;或いは、
B7-H4を標的とするドメインにおいて、重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号66に示され、軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号72に示され;4-1BBを標的とするドメインにおいて、VHのアミノ酸配列は配列番号63に示され;
b)前記二重特異性抗体IIは、Her2を標的とするドメイン及び4-1BBを標的とするドメインを含み;Her2を標的とするドメインにおいて、重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号62に示され、軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号69に示され;4-1BBを標的とするドメインにおいて、VHのアミノ酸配列は配列番号63に示され;
好ましくは、前記二重抗体の組み合わせは下記から選択され:
i)二重特異性抗体Iにおいて、B7-H4を標的とするドメイ
ンのアミノ酸配列は配列番号
122に示され;CD3を標的とするドメインの重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号67に示され、軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号70に示され;二重特異性抗体IIにおいて、B7-H4を標的とするドメインの重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号65に示され、軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号71に示され;4-1BBを標的とするドメインのVHのアミノ酸配列は配列番号68に示され;
ii)二重特異性抗体Iにおいて、B7-H4を標的とするドメインの重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号66に示され、軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号72に示され;CD3を標的とするドメインの重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号67に示され、軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号70に示され;二重特異性抗体IIにおいて、Her2を標的とするドメインの重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号62に示され、軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号69に示され;4-1BBを標的とするドメインのVHのアミノ酸配列は配列番号63に示され;
iii)二重特異性抗体Iにおいて、B7-H4を標的とするドメインの
重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号
66に示され
、軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号72に示され;CD3を標的とするドメインの重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号67に示され、軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号70に示され;二重特異性抗体IIにおいて、B7-H4を標的とするドメインの重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号65に示され、軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号71に示され;4-1BBを標的とするドメインのVHのアミノ酸配列は配列番号68に示され;
iv)二重特異性抗体Iにおいて、B7-H4を標的とするドメインは配列番号122に示されたアミノ酸配列を含み;CD3を標的とするドメインの重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号67に示され、軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号70に示され;二重特異性抗体IIにおいて、Her2を標的とするドメインの重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号62に示され、軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号69に示され;4-1BBを標的とするドメインのVHのアミノ酸配列は配列番号63に示され;
v)二重特異性抗体Iにおいて、B7-H4を標的とするドメインは配列番号123に示されたアミノ酸配列を含み;CD3を標的とするドメインの重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号67に示され、軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号70に示され;二重特異性抗体IIにおいて、B7-H4を標的とするドメインの重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号65に示され、軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号71に示され;4-1BBを標的とするドメインのVHのアミノ酸配列は配列番号68に示され;
vi)二重特異性抗体Iにおいて、B7-H4を標的とするドメインは配列番号123に示されたアミノ酸配列を含み;CD3を標的とするドメインの重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号67に示され、軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号70に示され;二重特異性抗体IIにおいて、Her2を標的とするドメインの重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号62に示され、軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号69に示され;4-1BBを標的とするドメインのVHのアミノ酸配列は配列番号63に示されることを特徴とする、請求項
1に記載の二重抗体の組み合わせ。
【請求項5】
前記二重特異性抗体Iにおいて、B7-H4を標的とするドメインのアミノ酸配列は配列番号92、115、116に示され、CD3を標的とするドメインの重鎖及び軽鎖のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号78、配列番号81に示され;或いは、前記B7-H4
を標的とするドメインのアミノ酸配列は、配列番号92、115、116に示され、CD3を標的とするドメインの重鎖及び軽鎖のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号75、配列番号81に示され;及び/又は、
前記二重特異性抗体IIにおいて、B7-H4を標的とするドメインの重鎖及び軽鎖のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号76、配列番号82に示され、又はそれぞれ配列番号77、配列番号83に示され;Her2を標的とするドメインの重鎖及び軽鎖のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号73、配列番号80に示され;及び/又は、4-1BBを標的とするドメインの重鎖のアミノ酸配列は配列番号74又は79に示され;
好ましくは、前記二重抗体の組み合わせは下記から選択され:
i)二重特異性抗体Iにおいて、B7-H4を標的とするドメインのアミノ酸配列は配列番号115に示され、CD3を標的とするドメインの重鎖及び軽鎖のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号78、配列番号81に示され;二重特異性抗体IIにおいて、B7-H4を標的とするドメインの重鎖及び軽鎖のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号76、配列番号82に示され、4-1BBを標的とするドメインのアミノ酸配列は配列番号79に示され;4-1BBを標的とするドメインのN末端は、B7-H4を標的とするドメインの重鎖のC末端に直接に連結され;
ii)二重特異性抗体Iにおいて、B7-H4を標的とするドメインのアミノ酸配列は配列番号115に示され、CD3を標的とするドメインの重鎖及び軽鎖のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号78、配列番号81に示され;二重特異性抗体IIにおいて、B7-H4を標的とするドメインの重鎖及び軽鎖のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号76、配列番号82に示され、4-1BBを標的とするドメインのアミノ酸配列は配列番号79に示され;4-1BBを標的とするドメインのN末端は、配列番号95に示されたリンカーペプチドを介してB7-H4を標的とするドメインの重鎖のC末端に連結され;
iii)二重特異性抗体Iにおいて、B7-H4を標的とするドメインのアミノ酸配列は配列番号92に示され、CD3を標的とするドメインの重鎖及び軽鎖のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号78、配列番号81に示され;二重特異性抗体IIにおいて、B7-H4を標的とするドメインの重鎖及び軽鎖のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号76、配列番号82に示され、4-1BBを標的とするドメインのアミノ酸配列は配列番号79に示され;4-1BBを標的とするドメインのN末端は、B7-H4を標的とするドメインの重鎖のC末端に直接に連結され;
iv)二重特異性抗体Iにおいて、B7-H4を標的とするドメインのアミノ酸配列は配列番号92に示され、CD3を標的とするドメインの重鎖及び軽鎖のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号78、配列番号81に示され;二重特異性抗体IIにおいて、B7-H4を標的とするドメインの重鎖及び軽鎖のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号76、配列番号82に示され、4-1BBを標的とするドメインのアミノ酸配列は配列番号79に示され;4-1BBを標的とするドメインのN末端は、配列番号95に示されたリンカーペプチドを介してB7-H4を標的とするドメインの重鎖のC末端に連結され;
v)二重特異性抗体Iにおいて、B7-H4を標的とするドメインのアミノ酸配列は配列番号92に示され、CD3を標的とするドメインの重鎖及び軽鎖のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号78、配列番号81に示され;二重特異性抗体IIにおいて、B7-H4を標的とするドメインの重鎖及び軽鎖のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号73、配列番号80に示され、4-1BBを標的とするドメインのアミノ酸配列は配列番号74に示され;
vi)二重特異性抗体Iにおいて、B7-H4を標的とするドメインのアミノ酸配列は配列番号115に示され、CD3を標的とするドメインの重鎖及び軽鎖のアミノ酸配列はそれぞれ配列番号78、配列番号81に示され;二重特異性抗体IIにおいて、B7-H4を標的とするドメインの重鎖及び軽鎖のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号73、配列番号80に示され、4-1BBを標的とするドメインのアミノ酸配列は配列番号74に示され;
vii)二重特異性抗体Iにおいて、B7-H4を標的とするドメインのアミノ酸配列は配列番号116に示され、CD3を標的とするドメインの重鎖及び軽鎖のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号78、配列番号81に示され;二重特異性抗体IIにおいて、B7-H4を標的とするドメインの重鎖及び軽鎖のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号76、配列番号82に示され、4-1BBを標的とするドメインのアミノ酸配列は配列番号79に示され;4-1BBを標的とするドメインのN末端は、B7-H4を標的とするドメインの重鎖のC末端に直接に連結され;
viii)二重特異性抗体Iにおいて、B7-H4を標的とするドメインのアミノ酸配列は配列番号116に示され、CD3を標的とするドメインの重鎖及び軽鎖のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号78、配列番号81に示され;二重特異性抗体IIにおいて、B7-H4を標的とするドメインの重鎖及び軽鎖のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号76、配列番号82に示され、4-1BBを標的とするドメインのアミノ酸配列は配列番号79に示され;4-1BBを標的とするドメインのN末端は、配列番号95に示されたリンカーペプチドを介してB7-H4を標的とするドメインの重鎖のC末端に連結され;
ix)二重特異性抗体Iにおいて、B7-H4を標的とするドメインのアミノ酸配列は配列番号116に示され、CD3を標的とするドメインの重鎖及び軽鎖のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号78、配列番号81に示され;二重特異性抗体IIにおいて、B7-H4を標的とするドメインの重鎖及び軽鎖のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号73、配列番号80に示され、4-1BBを標的とするドメインのアミノ酸配列は配列番号74に示されることを特徴とする、請求項
1に記載の二重抗体の組み合わせ。
【請求項6】
二重特異性抗体I及び二重特異性抗体II、又は二重特異性抗体I及びウレルマブ(Urelumab)を含む二重抗体の組み合わせであって;前記二重特異性抗体Iは、ポリペプチド鎖-1、ポリペプチド鎖-2及びポリペプチド鎖-3の3つのポリペプチド鎖を含み、そのアミノ酸配列はそれぞれ
配列番号113、配列番号114、配列番号115又は;配列番号81、配列番号88、配列番号87;又は配列番号81、配列番号86、配列番号87
;又は配列番号113、配列番号114、配列番号116に示され;
及び/又は、前記二重特異性抗体IIは、短鎖及び長鎖の2つのポリペプチド鎖を含み、前記短鎖及び長鎖のアミノ酸配列はそれぞれ
配列番号82及び配列番号90、又は、配列番号82及び配列番号85、配列番号82及び配列番号8
9、配列番号83及び配列番号91、配列番号80及び配列番号84に示され;
好ましくは、前記二重抗体の組み合わせは下記から選択され:
i)二重特異性抗体Iは、アミノ酸配列がそれぞれ配列番号113、配列番号114、配列番号115に示された3つのポリペプチド鎖を含み;二重特異性抗体IIは、アミノ酸配列がそれぞれ配列番号82及び配列番号90に示された2つのポリペプチド鎖を含み;
ii)二重特異性抗体Iは、アミノ酸配列がそれぞれ配列番号81、配列番号88、配列番号87に示された3つのポリペプチド鎖を含み;二重特異性抗体IIは、アミノ酸配列がそれぞれ配列番号82及び配列番号89に示された2つのポリペプチド鎖を含み;
iii)二重特異性抗体Iは、アミノ酸配列がそれぞれ配列番号81、配列番号88、配列番号87に示された3つのポリペプチド鎖を含み;二重特異性抗体IIは、アミノ酸配列がそれぞれ配列番号82及び配列番号85に示された2つのポリペプチド鎖を含み;
iv)二重特異性抗体Iは、アミノ酸配列がそれぞれ配列番号81、配列番号88、配列番号87に示された3つのポリペプチド鎖を含み;二重特異性抗体IIは、アミノ酸配列がそれぞれ配列番号80及び配列番号84に示された2つのポリペプチド鎖を含み;
v)二重特異性抗体Iは、アミノ酸配列がそれぞれ配列番号113、配列番号114、配列番号115に示された3つのポリペプチド鎖を含み;二重特異性抗体IIは、アミノ酸配列がそれぞれ配列番号82及び配列番号89に示された2つのポリペプチド鎖を含み;
vi)二重特異性抗体Iは、アミノ酸配列がそれぞれ配列番号113、配列番号114、配列番号115に示された3つのポリペプチド鎖を含み;二重特異性抗体IIは、アミノ酸配列がそれぞれ配列番号82及び配列番号85に示された2つのポリペプチド鎖を含み;
vii)二重特異性抗体Iは、アミノ酸配列がそれぞれ配列番号113、配列番号114、配列番号115に示された3つのポリペプチド鎖を含み;二重特異性抗体IIは、アミノ酸配列がそれぞれ配列番号80及び配列番号84に示された2つのポリペプチド鎖を含み;
viii)二重特異性抗体Iは、アミノ酸配列がそれぞれ配列番号113、配列番号114、配列番号116に示された3つのポリペプチド鎖を含み;二重特異性抗体IIは、アミノ酸配列がそれぞれ配列番号82及び配列番号89に示された2つのポリペプチド鎖を含み;
ix)二重特異性抗体Iは、アミノ酸配列がそれぞれ配列番号113、配列番号114、配列番号116に示された3つのポリペプチド鎖を含み;二重特異性抗体IIは、アミノ酸配列がそれぞれ配列番号82及び配列番号85に示された2つのポリペプチド鎖を含み;
x)二重特異性抗体Iは、アミノ酸配列がそれぞれ配列番号113、配列番号114、配列番号116に示された3つのポリペプチド鎖を含み;二重特異性抗体IIは、アミノ酸配列がそれぞれ配列番号80及び配列番号84に示された2つのポリペプチド鎖を含み;
xi)二重特異性抗体Iは、アミノ酸配列がそれぞれ配列番号113、配列番号114、配列番号116に示された3つのポリペプチド鎖を含み;二重特異性抗体IIは、アミノ酸配列がそれぞれ配列番号80及び配列番号90に示された2つのポリペプチド鎖を含むことを特徴とする、二重抗体の組み合わせ。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の二重抗体の組み合わせにおける二重特異性抗体I及び二重特異性抗体IIをコードすることを特徴とする、単離された核酸。
【請求項8】
請求項7に記載の単離された核酸を含むことを特徴とする、組換え発現ベクター。
【請求項9】
請求項7に記載の単離された核酸又は請求項8に記載の組換え発現ベクターを含む形質転換体であって、好ましくは、前記形質転換体の宿主は原核細胞又は真核細胞であり、前記原核細胞は好ましくは大腸菌であり、前記真核細胞は好ましくは酵母又は哺乳動物細胞であることを特徴とする、形質転換体。
【請求項10】
請求項1~6のいずれか一項に記載の二重抗体の組み合わせを含み;好ましくは、免疫チェックポイント抗体及び/又は化学療法薬などの第3治療剤をさらに含むことを特徴とする、医薬組成物。
【請求項11】
請求項1~6のいずれか一項に記載の二重抗体の組み合わせ、請求項7に記載の単離された核酸、請求項8に記載の組換え発現ベクター、請求項9に記載の形質転換体、又は請求項10に記載の医薬組成物、及び任意選択の説明書を含むことを特徴とする、キット。
【請求項12】
がん
の治療に
使用するための、請求項1~6のいずれか一項に記載の二重抗体の組み合わせ、請求項7に記載の単離された核酸、請求項8に記載の組換え発現ベクター、請求項9に記載の形質転換体、又は請求項10に記載の医薬組成
物であって、好ましくは、前記がんは血液腫瘍又は固形腫瘍であり、前記固形腫瘍は好ましくは乳がん、卵巣がん、子宮内膜がんであ
る。
【請求項13】
キットI及びキットIIを含むキットセットであって、前記キットIは、請求項1~6のいずれか一項に記載の二重抗体の組み合わせにおける二重特異性抗体Iを含み、前記キットIIは、請求項1~6のいずれか一項に記載の二重抗体の組み合わせにおける二重特異性抗体IIを含み;或いは、
前記キットIは、請求項1~6のいずれか一項に記載の二重抗体の組み合わせにおける二重特異性抗体I及び二重特異性抗体IIを含み;前記キットIIは、免疫チェックポイント抗体及び/又は化学療法薬などの第3治療剤を含むことを特徴とする、キットセット。
【請求項14】
(1)請求項10に記載の医薬組成物を、それを必要とする対象に投与するための注入モジュールと、(2)任意選択の薬効監視モジュールとを含むことを特徴とする、投与装置。
【国際調査報告】