(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-28
(54)【発明の名称】ワイヤ電気浸食によって1つ以上の鋭利な本体を製造する方法、半製品、固定具、及びワイヤ電気浸食によるロボット顕微鏡手術用の外科用切断器具を製造する方法
(51)【国際特許分類】
B23H 7/06 20060101AFI20240621BHJP
B23H 7/02 20060101ALI20240621BHJP
B23H 9/08 20060101ALI20240621BHJP
B23H 1/00 20060101ALI20240621BHJP
B23H 7/26 20060101ALI20240621BHJP
A61B 17/295 20060101ALI20240621BHJP
【FI】
B23H7/06 Z
B23H7/02 H
B23H9/08
B23H1/00 A
B23H7/26 Z
A61B17/295
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023578717
(86)(22)【出願日】2022-06-16
(85)【翻訳文提出日】2024-02-19
(86)【国際出願番号】 IB2022055600
(87)【国際公開番号】W WO2022269423
(87)【国際公開日】2022-12-29
(31)【優先権主張番号】102021000016163
(32)【優先日】2021-06-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518132307
【氏名又は名称】メディカル・マイクロインストゥルメンツ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】MEDICAL MICROINSTRUMENTS, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100113170
【氏名又は名称】稲葉 和久
(72)【発明者】
【氏名】ピエロッティ,ネーリ
(72)【発明者】
【氏名】ラッツァーリ,ジョルジョ
(72)【発明者】
【氏名】バッケレーティ,マルコ
(72)【発明者】
【氏名】シミ,マッシミリアーノ
【テーマコード(参考)】
3C059
4C160
【Fターム(参考)】
3C059AA01
3C059AB05
3C059FD03
3C059JA03
4C160FF19
4C160GG23
(57)【要約】
ワイヤ電気浸食によって1つ以上の鋭利な本体を製造する方法は、ワイヤ電気浸食機械とワイヤ電気浸食機械に取り付けられる固定具とを用意するステップと、少なくとも1つの被加工部品を固定具に取り付けるステップと、少なくとも1つの被加工部品に対して鋭利化貫通カットを実行することによって被加工部品の鋭利にされるべき少なくとも1つの縁部を鋭利化する鋭利化ステップと、少なくとも1つの被加工部品に対して成形貫通カットを実行することによって被加工部品を成形する成形ステップとを含み、鋭利化ステップと成形ステップとの間で、固定具の少なくとも一部をその回転軸の周りに90°以外の鋭利化回転角だけ回転させる更なるステップが実行される。例えば、鋭利な本体は、ロボット顕微鏡手術用の外科用切断器具のブレードである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤ電気浸食によって1つ以上の鋭利な本体を製造する方法であって、
カットワイヤ(202)と、前記カットワイヤ(202)の長手方向延伸を横断する回転軸(F-F)を中心として前記カットワイヤ(202)に対して回転可能な固定具(214)とを備えるワイヤ電気浸食機械(200)を用意するステップと、
前記固定具(214)に少なくとも1つの被加工部品(204)を取り付けるステップと、
少なくとも1つの前記被加工部品(204)に対して前記カットワイヤ(202)により鋭利化貫通カットを行なうことによって、少なくとも1つの前記被加工部品(204)の鋭利にされるべき少なくとも1つの縁部(234)を鋭利化する鋭利化ステップと、
少なくとも1つの前記被加工部品(204)に対して前記カットワイヤ(202)により成形貫通カットを行なうことにより、少なくとも1つの前記被加工部品(204)を成形する成形ステップと、
を含み、
前記鋭利化ステップと前記成形ステップとの間で、
前記固定具(214)を前記回転軸(F-F)の周りで90°以外の鋭利化回転角(α)だけ回転させる回転ステップが更に実行される、
方法。
【請求項2】
1つ以上の前記鋭利な本体が1つ以上の外科用ブレード(30)を備え、
前記方法は、ワイヤ電気浸食によって1つ以上の外科用ブレードを製造する方法である、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記方法は、1つの被加工部品(204)において複数の鋭利な本体を形成し、
前記鋭利化ステップ及び前記成形ステップは、前記複数の鋭利な本体の全てに関して同じである、
請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記鋭利化ステップは、前記カットワイヤ(202)の単一の鋭利化カット軌道(240)で実行され、
前記成形ステップは、前記カットワイヤ(202)の単一の成形カット軌道(230)で実行される、
請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記鋭利化回転角(α)が鋭角であり、
好ましくは、前記鋭利化回転角(α)が20°-70°の範囲内であり、
更により好ましくは、前記鋭利化回転角(α)が30°-60°の範囲内である、
請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記鋭利化ステップが最初に行なわれ、次いで、前記回転ステップが行なわれ、次いで、前記成形ステップが行なわれる、
請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記成形ステップの前記成形貫通カットが鋭い縁部(34)の少なくとも一部と交差する、
請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記成形ステップは、前記成形貫通カットによって前記鋭利な本体を分離するステップを含み、
好ましくは、前記方法は、重力によって別個の前記鋭利な本体を収集バスケット(243)に収集する収集ステップを更に含む、
請求項6又は7に記載の方法。
【請求項9】
少なくとも1つの前記被加工部品(204)は、厚さ(210)を有する板状体を含み、
前記鋭利化ステップ及び前記成形ステップはそれぞれ、少なくとも1つの前記被加工部品(204)の前記板状体の前記厚さを貫通する貫通カットを形成する、
請求項1から8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記被加工部品(204)は、0.05mm-0.5mmの範囲の厚さ(210)を有する板状体であり、
好ましくは、少なくとも1つの前記被加工部品(204)は、曲げることによって弾性的に変形可能な弾性体を備える、
請求項1から9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記鋭利な本体の前記鋭い縁部(34)は、湾曲した縁部であり、例えば、前記鋭利な本体の横たわる平面内の凹部及び/又は凸部である、請求項1から10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記成形ステップは、前記被加工部品(204)上に少なくとも1つの孔縁(36)を成形するステップを含み、
前記孔縁(36)は、前記鋭利な本体の前記厚さを貫通する貫通孔を画定する、
請求項1から11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記成形ステップの後に、
第2のカット面において前記被加工部品を再成形し、少なくとも1つの前記被加工部品(204)に対して前記カットワイヤ(202)により第2の成形貫通カットを行う再成形ステップを更に含み、
前記成形ステップと前記再成形ステップとの間で、
好ましくは、前記固定具(214)を実質的に90°に等しい成形角だけ回転させる回転ステップが更に実行され、
前記鋭利化ステップは、好ましくは、前記成形ステップの前に実行され、及び/又は、
前記鋭利化ステップは、前記成形ステップと前記再成形ステップとの間で実行される、
請求項1から12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記取り付けステップは、前記固定具(214)に複数の被加工部品を取り付けることを含み、
前記鋭利化ステップ及び前記成形ステップは、複数の前記被加工部品のそれぞれを、個別に鋭利化すること及び成形することを含む、
請求項1から13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記取り付けステップは、少なくとも第2の被加工部品(304)も前記固定具(214)に取り付けて、同じ前記固定具(214)に取り付けられた少なくとも2つの被加工部品(204,304)を得ることを含み、
前記方法は、
第2の前記被加工部品(304)の鋭利にされるべき少なくとも1つの縁部を鋭利化する鋭利化ステップを更に含み、
少なくとも第1の前記被加工部品(204)の鋭利にされるべき少なくとも1つの縁部を鋭利化する前記鋭利化ステップと、第2の前記被加工部品(304)の鋭利にされるべき少なくとも1つの縁部を鋭利化する前記鋭利化ステップとの間に、前記固定具(214)の少なくとも一部を回転させる更なるステップを含む、
請求項1から14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記ワイヤ電気浸食機械(200)を零点調整及び較正をするステップを更に含み、このステップは、
カット経路又は軌道の基準点(229)を識別する識別ステップと、
前記鋭利化ステップの前に前記カットワイヤを前記基準点に接近させる接近ステップと、
を含み、
好ましくは、前記基準点(229)は、前記被加工部品(204)の鋭利にされるべき縁部(234)に属する、
請求項1から15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記識別ステップは、鋭利化カット経路(240)及び成形カット経路(230)の両方の原点として機能する単一の開始点(232,235)を識別することを含み、
前記接近ステップは、前記鋭利化ステップの準備及び前記成形ステップの準備の両方において、前記カットワイヤを前記単一の原点に接近させることを含み、
好ましくは、前記単一の開始点(232,235)は、前記基準点(229)と所定の幾何学的関係にある、
請求項1から16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記識別ステップと、前記鋭利化ステップ及び/又は前記成形ステップとの間に、前記回転軸(F-F)に沿って鋭角である特定の角度だけの回転が実行される、
請求項16又は17に記載の方法。
【請求項19】
前記鋭利化貫通カットは、同じ鋭利化カット経路(240)に沿って前記カットワイヤ(202)を複数回繰り返しパスさせることで実行され、
前記鋭利化貫通カットを実行するための前記カットワイヤ(202)の前記複数回繰り返しパスの回数は、前記成形貫通カットを実行するために行なわれるパスの回数よりも多い、
請求項1から18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
成形されて1つ以上の接続ブリッジ(231)によって互いに接続された複数の鋭利な本体を有する単一部品の板状体を備える半製品(250)であって、
前記半製品(250)の前記板状体は、複数の鋭利な縁部(34)を含む縁部を備える、
半製品(250)。
【請求項21】
電気浸食機械(200)用の固定具(214)であって、
前記固定具(214)を前記電気浸食機械(200)に取り付けるための固定部(215)と、
少なくとも1つの被加工部品(204)を受け入れるためのハウジング部(217)と、
を備え、
前記ハウジング部(217)は、回転軸(F-F)を中心に前記固定部(215)に対して回転可能である、
固定具(214)。
【請求項22】
前記ハウジング部(217)を前記固定部(215)に対して回転させるためのモータ(218)を更に備える、
請求項21に記載の固定具(214)。
【請求項23】
複数の被加工部品を受け入れるための複数のハウジング座部(241)を備え、
前記ハウジング座部は、相互に入射する同一平面上の2つの方向において重ならないように配置されている、
請求項21又は22に記載の固定具(214)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイヤ電気浸食による製造方法に関する。
【0002】
特に、本発明に係る方法は、1つ以上の鋭利な本体を形成作するように適合されている。
【0003】
更に、本発明は、製造固定具に関する。
【0004】
本発明に係る方法で形成された1つ以上の鋭利な本体は、特に、小型の切断構成要素に適合される。
【0005】
本発明に係る方法を用いて形成された1つ以上の鋭利な本体は、外科用切断器具に特に適しているが、一義的に意図されたものではない。
【0006】
更に、本発明は、本方法に従って形成された1つ以上の鋭利な本体を有する外科用切断器具に関する。
【0007】
本発明は更に半製品に関する。
【0008】
更に、本発明は、ワイヤ電気浸食によって外科用切断器具の関節式エンドエフェクタを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0009】
ロボット手術装置は、一般に当技術分野で知られており、典型的には、中央ロボットタワー(又はカート)と、中央ロボットタワーから延びる1つ以上のロボットアームとを備える。各アームは、患者に対して外科的処置を実行するために、遠位に取り付け可能な外科用器具を動かせるための電動位置決めシステム(又はマニピュレータ)を備える。患者は、一般に、手術室に配置された手術台に横たわり、手術室内には、ロボット装置の非無菌部品による細菌汚染を回避するために無菌性が確保される。
【0010】
外科用ハサミ型又は針ドライバ/縫合糸カッター型の外科用器具などの、切断動作を実行するための、一般に一対のブレードを備える外科用切断器具が一般に知られている。ブレードは、一般に、成形又は深絞りによって作製され、次いで研削によって鋭利にされる。外科用切断器具のためのブレードを成形及び研削するためのこれらの既知の技術は、外科用切断器具の能動部分の小型化に制限を課し、研削による鋭利化する動作中の部品の支持能力、並びに鋭利化プロセスによる大きな外力を受ける部品自体の形状の抵抗及び維持にも関連する
【0011】
同じ出願人の米国特許第10864051号明細書、国際公開第2017064301号、国際公開第2019220407号、国際公開第2019220408号、国際公開第2019220409号及び米国特許出願公開第2021-059776号明細書は、1つ以上のマスターインタフェースによって制御される1つ以上の外科用器具を有する遠隔手術ロボット手術システムを開示している。
【0012】
更に、同じ出願人に対する米国特許第10582975号明細書、欧州特許第3586780号明細書、国際公開第2017064303号、国際公開第2017064306号、国際公開第2018189721号、国際公開第2018189722号、国際公開第2018189729号、米国特許出願公開第20200170727号明細書及び米国特許出願公開第20200170726号明細書の文献は、ロボット手術及び顕微鏡手術に適した外科用器具の様々な実施形態を開示する。これらのタイプの外科用器具は、一般に、ロボットマニピュレータによって駆動されるように適合されているインタフェースを有する近位インタフェース伝達部(又はバックエンド部)と、シャフトと、シャフトの遠位端にある関節式カフとを備える。関節式カフは、複数のテンドン(又は作動ケーブル)によって動かされる複数のリンクからなる。1つ以上の末端リンクは、自由端を有するとともに、患者の解剖学的構造に直接作用し、及び/又は吻合又は他の外科的治療を行なうために針及び縫合糸を操作するように適合されている。
【0013】
更に、同じ出願人の国際公開第2017064305号、欧州特許第3362218号明細書及び欧州特許第3597340号明細書は、「WEDM」、「ワイヤカット」、「電気浸食」、「スパーク加工」、又は「スパーク腐食」という用語でも知られる、ワイヤ電気浸食を含む、外科用器具を製造するための方法論を開示している。
【0014】
更に、仏国特許第2867995号明細書の文献は、その長手方向軸を中心に回転することができる被加工部品を提供する光学部品を製造するためのワイヤ電気浸食プロセスを示す。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
したがって、1つ以上の小型化された鋭利な本体を製造することができる製造プロセスを提供する必要性が感じられる。
【0016】
したがって、作製の高精度及び再現性を確保する1つ以上の小型化された鋭利な本体を作ることができる製造プロセスを提供する必要性が感じられる。
【0017】
したがって、1つ以上の鋭い側面及び1つ以上の成形された側面を有する1つ以上の小型化された鋭利な本体を同じ製造プロセスで製造することができる製造プロセスを提供する必要性が感じられる。
【0018】
したがって、鋭利化ステップと成形ステップの両方を行なうことができる単一の製造プロセスを提供する必要性が感じられる。
【0019】
特に、医療外科分野では、小型外科用切断器具を作製するための1つ以上の小型化されたブレードを作製することができる製造プロセス解決策を提供する必要性が感じられる。
【0020】
特に、単回使用の外科用器具のために経済的に持続可能な方法で1つ以上の小型化されたブレードを製造することができる、堅牢で反復可能かつ直列可能な製造プロセスを提供する必要性が感じられる。
【0021】
本発明の目的は、従来技術の前述の欠点を解決し、前述の必要性に対する解決策を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0022】
この目的及び他の目的は、請求項1に記載の方法、並びに請求項20に記載の半製品、並びに請求項21に記載の固定具によって達成される。
【0023】
幾つかの有利な実施形態は、従属請求項の主題である。
【0024】
本発明の一態様によれば、ワイヤ電気浸食によって1つ以上の鋭利な本体を製造するための方法は、(i)カットワイヤを有するワイヤ電気浸食機械を用意し、ワイヤ電気浸食機械に取り付けられる固定具を用意するステップであって、固定具が、その少なくとも一部がカットワイヤの長手方向延伸を横断する回転軸の周りで回転することができるように取り付けられる、ワイヤ電気浸食機械及び固定具を用意するステップと、(ii)少なくとも1つの被加工部品を固定具に取り付けるステップと、(iii)カットワイヤを用いて少なくとも1つの被加工部品に対して鋭利化貫通カットを行なうことによって、少なくとも1つの被加工部品の鋭利にされるべき少なくとも1つの縁部を鋭利化するステップと、(iv)カットワイヤを用いて少なくとも1つの被加工部品に成形貫通カットを行なうことによって少なくとも1つの被加工部品を成形するステップとを含む。
【0025】
本発明の一態様によれば、鋭利化ステップと成形ステップとの間で、固定具の少なくとも一部をその回転軸の周りで90°以外の鋭利化回転角だけ回転させる更なるステップが行なわれる。このような鋭利化回転角は、被加工部品に作られる切縁の断面に形成される角度と同一であり得る。
【0026】
鋭利化回転角は、電気浸食機械のカットワイヤヘッドに対する被加工部品の移動を最小にするように選択することができる。
【0027】
鋭利化回転角は鋭角であり得る。
【0028】
このような方法により、固定具上の被加工部品の交換が回避される。
【0029】
1つ以上の鋭利な本体は、1つ以上の外科用ブレードを備えることができる。
【0030】
方法は、同じ被加工部品上に複数の鋭利な本体を作製することができ、この場合、鋭利化ステップ及び成形ステップは、前記複数の全ての鋭利な本体に関して同じである。鋭利化ステップは、鋭利にされるべき複数の縁部の鋭利化を決定する開始点及び終点を有する単一のカット軌道(又は単一のカット経路)によって実行することができる。成形ステップは、複数の機械加工されるべき部品の成形を決定する開始点及び終点を有する単一のカット軌道(又は単一のカット経路)によって実行することができる。
【0031】
成形ステップは、鋭利な本体を分離するステップを含むことができる。別個の鋭利な本体を重力によって収集バスケットに収集するステップを含むことができる。したがって、収集バスケットは、カットワイヤの下方、すなわち、カットワイヤに対して下側に配置することができる。
【0032】
鋭利化ステップは、成形ステップの前に行なうことができる。成形貫通カットは、鋭利化ステップ中に鋭い縁部の少なくとも一部を横断することができる。例えば、成形貫通カットのカット経路は、鋭い縁部に対して局所的に横方向に向けられ、鋭い縁部を横断することができ、これにより、鋭い縁部の成形が行われる。
【0033】
被加工部品は、板、ストリップ、ベルトなどの板状体を備えることができ、鋭利化及び成形ステップはそれぞれ、被加工部品の板状体の厚さを貫通する貫通カットを形成することを含む。板状体の厚さは、1ミリメートル未満、例えば、0.05から0.5ミリメートルの間とすることができる。板状体は、曲げることによって弾性変形可能な弾性体、例えば、ブレード用鋼であってもよい。
【0034】
鋭い縁部は、鋭利な本体の規定可能な横たわる平面内の湾曲した縁部とすることができる。
【0035】
成形ステップは、鋭利な本体の厚さを貫通する貫通孔を画定するように適合されている少なくとも1つの孔縁を形成するステップを含むことができ、例えば、前記貫通孔がセンタ穴(centering hole)であってもよく、孔縁は、カットワイヤのパスによる部品の本体上のカットチャネルを規定する開放プロファイルを有することができる。
【0036】
取り付けステップは、複数の被加工部品を固定具に組み立てることを含むことができ、鋭利化及び成形ステップは、前記複数の各被加工部品を個別に鋭利化及び成形することによって実行される。
【0037】
固定具は、機械加工される個々の部品が、前記鋭利化回転角度だけ互いに位置合わせされていない少なくとも2つのカット面において、カットワイヤによって個別に機械加工されるように作製することができる。言い換えれば、機械加工される被加工部品は、実質的に真っ直ぐに延びる切縁が、提供された各カット面において一度に機械加工される被加工部品の最大1つと交差するように、固定具に取り付けることができる。
【0038】
固定は、回転軸の周りの1つ以上の回転構成でワイヤ電気浸食によって個別に機械加工可能な複数の平面要素(ストリップ)を固定することを含むことができる。
【0039】
成形ステップの後に、被加工部品に第2の成形貫通カットを実行することによって、被加工部品を再成形するステップを第2の異なるカット面に含めることができ、成形ステップと再成形ステップとの間で、固定具は90°に実質的に等しい角度だけ回転を完了している。鋭利化ステップは、成形ステップと再成形ステップとの間で行うことができる。再成形ステップは、被加工部品のサブグループに対して実行することができる。
【0040】
電気浸食機械の零点調整及び較正処理を含めることができ、これは、固定具及び/又は被加工部品上の既知の基準をカットワイヤと接触させることによって原点を識別することを含む。一実施態様によれば、方法は、カット経路の原点又は基準を識別し、例えば、カットワイヤを原点又は基準に達するまで接近させる更なるステップを含む。原点は、鋭利にされるべき被加工部品の縁部などの被加工部品に属することができる。
【0041】
原点又は基準は鋭利化ステップ及び成形ステップの両方、並びに再成形ステップのための1つの原点とすることができ、ワイヤ電気浸食機械の制御システムは、当該1つの原点又は基準を記憶し、それを前記鋭利化回転角の固定具の運動学的回転に幾何学的に(例えば、三角法)関連付けて、次のカット経路を処理することができる。鋭利化カット及び成形カットは両方とも、原点又は基準に対して幾何学的関係にある同じ点から開始することができる。識別ステップの後で、鋭利化及び/又は成形ステップの前に、鋭角であり得る特定の角度だけ回転軸を中心とした固定具の回転を実行することが可能である。
【0042】
鋭利化貫通カットは、同じ鋭利化カット経路に沿ってカットワイヤを複数回繰り返しパスさせることで実行することができ、前記鋭利化貫通カットを実行するためのカットワイヤの前記複数回繰り返しパスの回数は、成形貫通カットを実行するために行われたパスの回数よりも多い。
【0043】
実行される鋭い縁部の鋭利化は、当技術分野で知られている用語によれば、「背面傾斜なし(no back bevel)」又は「たがね縁(chisel edge)」タイプの鋭利化であり得る。
【0044】
成形ステップは、鋭利な本体を分離せず、各鋭利な本体の材料の少なくとも1つのブリッジを無傷のままにすることを含むことができる。
【0045】
本発明の一態様によれば、板状体、例えばシート状本体を備える半製品が提供され、板状体は、複数の鋭利な本体を一体に備え、複数の鋭利な本体は、ブリッジで接続することによって互いに接続される。
【0046】
本発明の一態様によれば、機械への固定部と、少なくとも1つの被加工部品を受け入れるためのハウジング部とを有する電気浸食機械用の固定具が提供され、ハウジング部は固定部に対して回転可能である。回転を行うためのモータを設けることができる。
【0047】
固定具は、被加工部品を受け入れるための複数の座部を備えることができる。
【0048】
本発明の一態様によれば、ワイヤ電気浸食によって関節式外科用切断器具を製造するための方法は、(i)カットワイヤと、カットワイヤの長手方向延伸を横断する回転軸を中心にカットワイヤに対して回転可能な固定具とを備えるワイヤ電気浸食機械を用意するステップと、(ii)固定具上に機械加工されるべき複数の被加工部品を組み立てるステップと、(iii)前記複数の被加工部品のうちの少なくとも1つの被加工部品の鋭利にされるべき少なくとも1つの縁部を、カットワイヤを用いて少なくとも1つの被加工部品に鋭利化貫通カットを行うことによって鋭利化するステップと、(iv)第1のカット面において、前記複数の被加工部品の少なくとも一部だけでなく全ての被加工部品に対して、一度に1つずつ成形するステップと、(v)前記複数の被加工部品のうちの少なくとも一部の被加工部品だけでなく全ての被加工部品に対して、一度に1つずつ切断ワイヤを用いて整形スルーカットを実行することにより、前記複数の被加工部品のうちの少なくとも一部だけでなく全ての被加工部品を第2のカット面において再成形するステップと、を含む。
【0049】
本発明の一態様によれば、第1のカット面に対する鋭利化ステップと成形ステップとの間で、90°とは異なる鋭利化回転角だけ固定具を回転させるステップが行なわれる。
【0050】
換言すれば、第1のカット面における鋭利化ステップ及び成形ステップでは、固定具は90°以外の鋭利化角の回転を完了している。
【0051】
本発明の一態様によれば、第1のカット面に対する成形ステップと第2のカット面に対する再成形ステップとの間に、好ましくは実質的に90°に等しい回転角だけ固定具をその回転軸を中心に回転させるステップが設けられる。
【0052】
前記複数の被加工部品の少なくとも1つは、材料の小さなシリンダであってもよい。
【0053】
治具上の前記複数の被加工部品の配置は、好ましくは、各カットステップ(すなわち、鋭利化、成形、及び再成形)においてカットワイヤが多くとも1つの被加工部品と交差するという条件を満たさなければならない。
【0054】
方法は、成形部品を分離するステップを含むことができる。
【0055】
方法は、別個の部品を一緒に組み立てるステップを含むことができ、部品の少なくとも1つは鋭い縁部を有する。
【0056】
本発明の一態様によれば、成形された別個の鋭利な本体を収集するための収集バスケットが設けられ、収集バスケットは電気浸食機械に取り付けられる。
【0057】
本発明の更なる特徴及び利点は、添付の図面(本開示における「1つの」実施形態及び「1つの」動作モードへの言及は、必ずしも同じ実施形態又は動作モードを指すものではなく、少なくとも1つとして理解されるべきであり、更に、図面の総数を簡潔にして減らす目的で、所定の図面を使用して、複数の実施形態及び複数の動作モードの特徴を示すことができ、図面の全ての要素が所定の実施形態/動作モードに必要であるとは限らないことに留意されたい)を参照して、限定としてではなく例示として与えられる好ましい実施形態の以下の説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【
図1A】想定し得る動作モードに係る方法の幾つかの想定し得るステップを示すブロック図
【
図1B】幾つかの想定し得る動作モードに係る方法の幾つかの想定し得るステップを示すブロック図
【
図1C】幾つかの想定し得る動作モードに係る方法の幾つかの想定し得るステップを示すブロック図
【
図2】想定し得る動作モードに係る方法の幾つかの想定し得るステップを示すブロック図
【
図3】一実施形態に係るワイヤ電気浸食機械を示す垂直立面図
【
図4A】
図3のワイヤ電気浸食機械の一部を示す平面図
【
図5A】想定し得る動作モードに係る、鋭利化ステップの不等角投影図
【
図5B】想定し得る動作モードに係る、鋭利化ステップの終了時に被加工部品を組み立てる治具の垂直立面図
【
図5C】想定し得る動作モードに係る、鋭利化ステップを概略的に示す被加工部品の断面図
【
図5D】一実施形態に係る、鋭利化ステップの終了時の被加工部品の断面図
【
図5E】想定し得る動作モードに係る、鋭利化ステップを概略的に示す被加工部品の断面図
【
図5F】一実施形態に係る、鋭利化ステップの終了時の被加工部品の断面図
【
図6A】想定し得る動作モードに係る、回転ステップの不等角投影図
【
図6B】想定し得る動作モードに係る、回転ステップの垂直立面図
【
図7A】想定し得る動作モードに係る、成形ステップの不等角投影図
【
図7C】想定し得る動作モードに係る、鋭利化及び成形を受けた被加工部品を断面図
【
図8B】想定し得る動作モードに係る、湾曲するステップを概略的に示す図
【
図8C】一実施形態に係る、ブレードを垂直立面図で示す図
【
図8D】一実施形態に係る、ブレードを垂直立面図で示す図
【
図8E】一実施形態に係る、ブレードを垂直立面図で示す図
【
図9A】想定し得る動作モードに係る、鋭利化カット経路及び成形カット経路の平面図
【
図9B】想定し得る動作モードに係る、成形ステップの2つの想定し得る経路の平面図
【
図9C】想定し得る動作モードに係る、成形ステップの2つの想定し得る経路の平面図
【
図10A】想定し得る動作モードに係る、成形ステップの2つの想定し得る経路の平面図
【
図10B】想定し得る動作モードに係る、成形ステップの2つの想定し得る経路の平面図
【
図11】想定し得る動作モードに係る、成形ステップの平面図
【
図12】想定し得る動作モードに係る、成形ステップの平面図
【
図13A】
図11に示す成形ステップから得られる、一実施形態に係る半製品を示す図
【
図13B】
図12に示す成形ステップから得られる、一実施形態に係る半製品を示す図
【
図14】幾つかの実施形態に係る、5セントのユーロコインの上に置かれた2つの鋭利な本体を示す電子顕微鏡画像
【
図15】一実施形態に係る、ブレードを垂直立面で示す電子顕微鏡画像
【
図16】一実施形態に係るワイヤ電気浸食機械用の収集バスケットを示す写真画像
【
図17】一実施形態に係る外科用器具の不等角投影図
【
図18A】一実施形態に係る、外科用器具のエンドエフェクタの一部を分解図で示す不等角投影図
【
図19】一実施形態に係る、外科用器具のエンドエフェクタの一部を分解図で示す不等角投影図
【
図20A】一実施形態に係る、外科用器具のエンドエフェクタの一部を分解図で示す不等角投影図
【
図21】一実施形態に係る、外科用器具のエンドエフェクタの一部の不等角投影図
【
図22】一実施形態に係る、外科用器具のエンドエフェクタの一部を分解図で示す不等角投影図
【
図23】一実施形態に係る、手術用ロボットシステムの不等角投影図
【
図24A】幾つかの想定し得る動作モードに係る、一連の鋭利化、回転、及び成形ステップを示す図
【
図24B】幾つかの想定し得る動作モードに係る、一連の鋭利化、回転、及び成形ステップを示す図
【
図24C】幾つかの想定し得る動作モードに係る、一連の鋭利化、回転、及び成形ステップを示す図
【
図25A】幾つかの想定し得る動作モードに係る、一連の鋭利化、回転、及び成形ステップを示す図
【
図25B】幾つかの想定し得る動作モードに係る、一連の鋭利化、回転、及び成形ステップを示す図
【
図25C】幾つかの想定し得る動作モードに係る、一連の鋭利化、回転、及び成形ステップを示す図
【
図26】幾つかの想定し得る動作モードに係る方法の幾つかの想定し得るステップ、並びに固定具の幾つかの実施形態を示す図
【
図27】幾つかの想定し得る動作モードに係る方法の幾つかの想定し得るステップ、並びに固定具の幾つかの実施形態を示す図
【
図28】幾つかの想定し得る動作モードに係る方法の幾つかの想定し得るステップ、並びに固定具の幾つかの実施形態を示す図
【
図29A】幾つかの想定し得る動作モードに係る、一連の鋭利化、回転、及び成形ステップを示す図
【
図29B】幾つかの想定し得る動作モードに係る、一連の鋭利化、回転、及び成形ステップを示す図
【
図29C】幾つかの想定し得る動作モードに係る、一連の鋭利化、回転、及び成形ステップを示す図
【
図30】複数の被加工部品を組み立てる実施形態に係る固定具の不等角投影図
【
図31】想定し得る動作モードに係る、方法の想定し得るステップの概略的垂直立面図
【
図32A】幾つかの想定し得る動作モードに係る、方法の幾つかの想定し得るステップの概略的垂直立面図
【
図32B】幾つかの想定し得る動作モードに係る、方法の幾つかの想定し得るステップの概略的垂直立面図
【
図32C】幾つかの想定し得る動作モードに係る、方法の幾つかの想定し得るステップの概略的垂直立面図
【発明を実施するための形態】
【0059】
本明細書を通して「実施形態」への言及は、実施形態に関連して説明される特定の特徴、構造、又は機能が本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを示すことを意味する。したがって、本明細書の様々な部分における「一実施形態では」という語句は、必ずしも全てが同じ実施形態を指すとは限らない。更に、異なる図面に示されているような特定の特徴、構造、又は機能は、1つ以上の動作モードで任意の適切な方法で組み合わせることができる。同様に、本明細書全体を通して「動作モード」への言及は、動作モードに関連して説明される特定の特徴、構造、又は機能が本発明の少なくとも1つの動作モードに含まれることを示すことを意味する。したがって、本明細書の様々な部分における「動作モードにある」という表現は、必ずしも全てが同じ動作モードを指すとは限らない。更に、異なる図面に示されているような特定の特徴、構造、又は機能は、1つ以上の動作モードで任意の適切な方法で組み合わせることができる。
【0060】
一般的な実施形態によれば、1つ以上のブレードを製造する方法が提供される。そのような1つ以上の鋭利な本体は、好ましくは、小型の切断要素を形成するように適合されている。
【0061】
好ましい動作モードによれば、製造方法は、1つ以上のブレードを形成するように適合される。このような1つ以上のブレードは、小型のブレードであることが好ましい。
【0062】
この方法は、カットワイヤ202を含むワイヤ電気浸食機械200を用意するステップを含む。
【0063】
カットワイヤ202は、好ましくは、動作状態にあるときにワイヤ電気浸食機械200の2つのヘッド206,207の間で長手方向に延びる。カット(すなわち、電気浸食)を実行するために、カットワイヤ202は、カットワイヤ202の長手方向延伸に実質的に直交する送り方向W(又は切断方向W)に、カット経路に沿って前進し、すなわち、送り方向は、それ自体既知の方法で、機械200の2つのヘッド206,207の間のカットワイヤ202の部分のスライド方向に実質的に直交する。2つのヘッド206,207のそれぞれは、カットワイヤ202用のリール209、又は巻き付き/巻き戻しローラ209と関連付けることができる。動作状態にあるとき、カットワイヤ202は、一方のリールから巻き戻されるにつれて他方のリールに巻き付き、ヘッド206,207は、カットワイヤ202を、送り方向W(又は切断方向W)に案内して被加工部品に対しカットを行う。
【0064】
ワイヤ電気浸食機械200は、好ましくは、作動状態にあるときに少なくとも1つの被加工部品204の電気浸食が内部で起こる誘電流体で満たされるタンク208を備える。電気浸食機械200は、ポンプ212が取り付けられた油圧ダクト211と、タンク208から誘電流体を引き出して濾過し、誘電流体を被加工部品204上に導くノズル213で終わるフィルタとを備える油圧回路を更に備えることができる。
【0065】
少なくとも1つの被加工部品204は、好ましくは、金属などの導電性材料で作られるか、又は導電性材料でコーティングされる。
【0066】
ワイヤ電気浸食機械200は、カットワイヤ202の長手方向延伸を横断し、好ましくは、直交する回転軸F-Fを中心としてカットワイヤ202に対して(すなわち、カットワイヤ202のカット部分に対して)回転可能な少なくとも1つの治具214又は固定具214を更に備える。例えば、治具214の回転軸F-Fは実質的に水平に延びるに対し、カットワイヤ202のカット部分は実質的に垂直に延びる。
【0067】
本方法は、例えば、少なくとも1つの被加工部品204が治具214の一部と一体的に回転するように、被加工部品204を、固定ねじ又は他の締結具によって治具214に固定することによって、少なくとも1つの被加工部品204を治具214に取り付けるステップを含む。これにより、治具214をその回転軸F-Fを中心に回転させることにより、カットワイヤ202に対する被加工部品204の回転が生じる。
【0068】
治具214は、ワイヤ電気浸食機械200のタンク208の内側のワークトップ(worktop)216のブラケットに固定された固定部215と、少なくとも1つの前記被加工部品204を,例えばその少なくとも1つのハウジング座部241で受け入れるハウジング部217とを備えることができる。治具217のハウジング部217は、前記回転軸F-Fを中心に機械200の固定部216に対して回転可能である。一実施形態によれば、治具214の機械200への固定部216は、機械200のワークトップ216のブラケットの調整対向面(rectified counter-surfaces)222に当接するように、意図された調整面(rectified surfaces)221を位置決めすることを含む。
【0069】
治具214のハウジング部217は、回転軸F-Fに沿って延びる細長い本体を有することができ、固定部215に回動可能に接続することができる。切断ワイヤ202の変形性を最小限に抑えるために、切断中に被加工部品204を下部ヘッド206の近くに配置することが一般に望ましい。そのため、固定部215に対してハウジング部217のみを回転させることにより、回転ステップから生じ得る機械の下部ヘッド206に対する被加工部品204の並進運動を最小限に抑えることができる。換言すれば、治具の回転は、機械ヘッド間のカットワイヤの長手方向の延伸方向に、カットワイヤに対して被加工部品を移動させることができ、例えば、機械のヘッド間に延在するカットワイヤの部分の中央ゾーンに位置するヘッドの近くにある被加工部品を移動させることができ、これは、ヘッドの1つに近い部分において横方向により変形しやすく、その結果、例えば、仕上げ及び/又は切断分解能に関してカット特性が変化するためである。一般に、実際には、ワイヤ電気浸食機械は、被加工部品がヘッドのうちの少なくとも1つの近くに配置され、そこでカットワイヤは長手方向にスライドする際に横方向の変形が少ない場合、又は、ヘッドが互いに接近し、機械のヘッド間に延びるカットワイヤの部分の長手方向の延伸が短いため、動作状態、すなわち、カット中に横方向の移動が制限される場合、又は、ワイヤのスライド方向が送り方向W又はカット方向Wによって規定される平面に完全に直交する場合には、より優れた、より正確なカット加工を実行するように適合されている。電気浸食機械200には、ヘッド206,207を交差させること、すなわち、被加工部品204に対してカットワイヤ202を傾けるようにヘッドを並進させることを含む機能を設けることができるが、上記に照らして、満足のいく切断精度を得るためには、ヘッドを近づけて配置すべく、したがって、ヘッドを交差させるこのような機能は、一般的に言えば、被加工部品に対して最大約5°の角度でカットワイヤを傾けることを可能にすることができる。これにより、ワイヤ電気浸食機械のヘッドを交差させるこの解決策は、鋭利化を得るためには不適切である。
【0070】
治具216のハウジング部217のハウジング座部241は、ハウジング部217の本体に沿った長手方向スロット241によって構成することができ、これによって、板状体である被加工部品204を受け入れ、例えば固定及び位置決め要素219によってその中央部分を締め付ける。そのため、被加工部品204の板状体は、両方ともワイヤ電気浸食加工を受けることができる2つの対向するカンチレバフラップ205を形成する。被加工部品204は、他の方法で締め付けられてもよい。被加工部品を治具214に取り付けるために、孔又は切り欠きなどの位置決め要素を被加工部品の本体に設けることができる。
【0071】
好ましくは、治具214のハウジング部217からカンチレバ状に突出する被加工部品204の板状体の各カンチレバフラップ205のカンチレバ部分の延伸は、被加工部品204及び治具214に対するカットワイヤ202の作用中に生じ得る、カットの不確実性につながる振動を最小限に抑えるように選択される。ねじ又は締め付けねじは、ハウジング座部を締め付けるように適合された締め付け位置決め要素219として設けることができ、同時に座部内の被加工部品204の位置決め要素として作用する。想定し得る動作モードに応じて、1つ以上の固定及び位置決め要素219は、その固定作用を治具に与え、治具及び切縁に対する位置決め作用を与えるために、例えば、貫通孔内で被加工部品204の本体を横切るように設計される。
【0072】
想定し得る動作モードによれば、被加工部品204は、0.05mm~0.5mmの範囲の厚さ210を有する板状体を含む。板状体は、材料のストリップテープ又はスライスされた材料の完全部品から得ることができる。前記板状体は、曲げ変形可能な弾性体とすることができる。
【0073】
この方法は、少なくとも1つの被加工部品204上でカットワイヤ202を用いて少なくとも1つの鋭利化貫通カットを行うことによって、少なくとも1つの被加工部品204の少なくとも1つの鋭利にされるべき縁部234を鋭利化するステップを含む。カットワイヤ202を鋭利化カット経路に沿って前進させることにより、少なくとも1つの被加工部品において、貫通カットが行なわれ、これにより、被加工部品204の鋭利にされるべき少なくとも1つの縁部234の鋭利化が行われ、鋭利にされるべき縁部234が鋭い縁部34になる。
【0074】
少なくとも1つの鋭い縁部34は、本方法で製造された鋭利な本体の切縁を形成する。したがって、少なくとも1つの鋭い縁部34は、本方法で製造された1つ以上のブレード30の本体の切縁を形成し、製造方法は、1つ以上のブレードを製造するために使用される。
【0075】
本方法は、カットワイヤ202を用いて少なくとも1つの被加工部品204に少なくとも1つの成形貫通カットを行うことにより、少なくとも1つの被加工部品204を成形するステップを更に含む。カットワイヤ202を成形カット経路230に沿って前進させることにより、少なくとも1つの被加工部品204において、貫通カットが行なわれ、その結果、例えば、製造方法で作製された1つ以上のブレード30の鋭利な本体が成形される。必ずしも、成形ステップは、単一の鋭利な本体の分離を行うとは限らない。例えば、材料のブリッジ231は、成形ステップの終わりに鋭利な本体を互いに接続することができる。成形ステップは、鋭利な本体の遠位端を形成することができる端部32を、被加工部品上に形成することができる。
【0076】
当然ながら、鋭利化及び成形ステップは任意の順序で実行することができる。
【0077】
鋭利化ステップと成形ステップとの間に、治具214をその回転軸F-Fを中心に鋭利化回転角αだけ回転させる更なるステップが行なわれる。
【0078】
一実施形態によれば、モータ218、例えば電気モータが、固定部215に対して治具214のハウジング部217を回転させるために、治具214に関連付けられる。この場合、治具214を回転させるステップは、モータ218を動作させることにより行われる。電気浸食機械200はまた、好ましくは少なくとも1つの電子制御システム242を備え、モータ218は機械200の前記電子制御システム242に動作可能に接続されている。したがって、治具214を回転させるステップを自動化することができる。
【0079】
更に好適には、鋭利化回転角αは90°とは異なる。
【0080】
「90°と異なる」は、90°からの偏差が少なくとも10°であって、すなわち、鋭利化回転角αが90°±10°とは異なる、90°とは著しく異なる角度を示すことを意味する。好ましくは、これは、絶対値が90°とは異なる、すなわち、回転軸F-Fを中心とした任意の回転方向(時計回り又は反時計回り)の鋭利化回転角αを示すことを意味する。
【0081】
90°以外の鋭利化角αを設けることにより、被加工部品本体の断面に鋭角βを作ることが可能になり、鋭い縁部34を形成することができる。
【0082】
好ましい実施形態によれば、鋭利化角αは鋭角であり、±10°の公差の正味は、絶対値で80°未満、好ましくは10°を超える角度として理解することができる。
【0083】
鋭利化角αの選択は、鋭い縁部34の断面における鋭角βを決定するため、カットワイヤ202に対する被加工部品の回転を測る鋭利化角αは、鋭い縁部34の所望の切断性能を達成するように選択することができる。
【0084】
このような方法により、互いに直交しない2つのカット面上の被加工部品において、少なくとも2つの貫通カットを得ることが可能であり、少なくとも1つの貫通カットは鋭利化貫通カットであり、すなわち、被加工部品204上に鋭い縁部34を形成し、他方の貫通カットは成形貫通カットである。
【0085】
被加工部品が板状体を有する場合、好ましくは、カットワイヤ202を板状体の平面に対して実質的に直交するように配向させることによって成形貫通カットが実行されて、短くて丈夫な被加工部品の厚さにおけるカット壁を形成する。一方、鋭利化貫通カットは、板状体の平面に対して斜めに切縁を配向させることによって実行され、被加工部品の縁部の厚さに、すなわち、被加工部品の断面に鋭いプロファイルを形成する。
【0086】
治具214は、機械的ストローク端220、例えば、治具214のハウジング部217及び固定部215に配置された対向する両端ストローク当接面に面する2つの対向するストローク端隆起部220を含むことができる。そのような場合、回転ステップは、治具214のハウジング部217を治具214の固定部215のストローク端隆起部220に当接させることを含むことができる。ストローク端220は、鋭利化回転角αを調整することを可能にするように、治具214と解放可能に関連付けられてもよく、例えば、1つ以上のストローク端を引き出すこと及び引っ込めることができる。
【0087】
回転ステップは、治具214からの被加工部品204の分離を回避するとともに、ワイヤ電気浸食機械200からの治具214の分離を回避して行われる。したがって、交換が回避される。治具214の回転軸F-Fは、被加工部品204の本体を通って延びることができ、例えば、被加工部品が板状体(例えば、それはストリップ、リボン、プレート、シートである)を有し、治具214の回転軸F-Fは、被加工部品204の厚さ210に沿って延びることができる。そのような場合、治具214の回転はまた、被加工部品204の板状体をその軸の1つ(例えば、正中軸、対称軸のうちの1つ)を中心として回転させることにもなり得る。
【0088】
このような方法により、互いに非直交であり、前記鋭利化角αだけ回転する2つのカット面上でワイヤ電気浸食によって、被加工部品204に2つの貫通カットを行うことによって、1つ以上のブレード30を製造することが可能である。ここで、貫通カットは鋭利化貫通カットである。このとき、被加工部品204を治具214から分離すること、並びに治具214をワイヤ電気浸食機械200から分離することが回避される。これにより、少なくとも1つの被加工部品が機械に対して再位置決めされることが防止されるため、鋭利化カット及び成形カットの高いカット精度が達成される。また、例えば、電気浸食機械200の電子制御システムの較正は、より信頼性が高く、例えば組み立てステップの後及び鋭利化及び成形ステップの両方の前に一度だけ実行することができる。
【0089】
電気浸食機械200の零点調整及び較正を実行するために、方法は、鋭利化ステップの前に、基準点229を識別し、カットワイヤ202を前記基準点229に接近させるステップを含むことができる。基準点229は、被加工部品204の一点又は複数の点をカットワイヤ202と一回又は複数回接触させることによって識別することができる。例えば、被加工部品の板状体の直交する側面を接触させて、被加工部品204の板状体の頂点と一致する基準点229を識別することができる。
【0090】
動作モードによれば、前記基準点229は、被加工部品204の鋭利にされるべき縁部234に属する。
【0091】
必ずしもそうではないが、接近ステップは、カットワイヤ202を基準点229に到達させる。鋭利化カット経路240及び/又は成形カット経路230のカット開始点232,235は、基準点229に近いか、又は基準点229と一致することができる。想定し得る動作モードに応じて、鋭利化カット経路240及び/又は成形カット経路230のカット開始点232,235は、基準点229と所定の幾何学的関係を有する位置に配置される。
【0092】
想定し得る動作モードによれば、識別ステップ及び接近ステップは、前記鋭利化ステップ及び/又は成形ステップのそれぞれの前に実行される。
【0093】
想定し得る動作モードによれば、識別ステップ及び接近ステップは、鋭利化ステップ及び成形ステップの両方の前に1回だけ行われる。
【0094】
想定し得る動作モードによれば、識別ステップは、鋭利化カット経路及び成形カット経路の両方の原点として機能するカット経路の単一の原点を識別することを含み、接近ステップは、鋭利化ステップの準備及び成形ステップの準備の両方において、カットワイヤを前記単一の原点に接近させることを含む。
【0095】
動作モードによれば、鋭利化ステップ及び成形ステップの両方の前に、方法は、鋭利化カット経路及び成形カット経路の両方の原点として機能するカット経路の単一の原点を識別するステップと、鋭利化ステップの準備及び成形ステップの準備の両方において、好ましくは前記単一の原点に達するまで、カットワイヤ202を前記単一の原点に接近させるステップとを含む。これにより、機械をリセットすること、すなわち、方法の開始時に一度だけ機械を較正することが可能であり、再較正を回避することができる。
【0096】
前記原点の識別は、前記固定具214上の既知の基準をカットワイヤ202と接触させることによって実行することができる。前記原点の識別は、前記被加工部品204上の既知の基準をカットワイヤ202と接触させることによって実行することができる。
【0097】
想定し得る動作モードによれば、本方法は、単一の被加工部品204上に複数の鋭利な本体を作製し、前記鋭利化ステップ及び前記成形ステップは、前記複数の全ての鋭利な本体について同じである。例えば、複数の鋭利な本体が同じであるか異なるかにかかわらず、複数の鋭利な本体に対し、開始点235及び終点236を有する単一の鋭利化軌道240が提供される。
【0098】
想定し得る動作モードによれば、鋭利化ステップは、カットワイヤ202の単一の鋭利化カット軌道240によって実行され、前記成形ステップは、カットワイヤ202の単一の成形カット軌道230によって実行される。カットワイヤは、各カット軌道230,240を複数回反復パスすることができる。
【0099】
鋭利化貫通カットは、被加工部品の鋭利にされるべき縁部234から材料を除去し、被加工部品204とカットワイヤ202とが互いに特定の角度(鋭利化角αの選択に依存する)を形成する状態で、鋭利化カット壁223を露出させ、特定の角度は、露出した鋭利化カット壁223とそれに隣接する被加工部品の別の壁とが共に鋭い縁部34を形成する、すなわち、鋭利化カット壁223とそれに隣接する前記他の被加工部品壁との結合によって画定される鋭角の縁部を形成するように選択される。断面において、例えば、
図6Cに示すように、鋭利化貫通カットに続いて、鋭利化カット壁223は、好ましくは被加工部品204の背面224と鋭角βを形成する。鋭利化カット壁223は、反対面225、すなわち被加工部品204の前面と鋭角を形成することができる。
【0100】
動作モードによれば、前記鋭利化回転角αは前記鋭角βに等しいが、鋭利化カット壁223と被加工部品204の別の壁との間に形成されるそのような鋭角βは、必ずしも前記鋭利化回転角αに対応するとは限らない。一実施形態によれば、鋭角βは90°-αに等しい。
【0101】
被加工部品が、間に厚さ210を規定する平行な対向面224,225を有する板状体を有する想定し得る動作モードによれば、成形貫通カットは、厚さを通って対向する平行面224,225に対して垂直に実行され、鋭利化貫通カットは、対向する平行面224,225に対して傾斜した方向に、被加工部品の厚さにわたって実行される。これにより、鋭い縁部34は、被加工部品204の対向する平行面224,225の一方の面に形成され、被加工部品204は、成形カット面に対して横方向(この場合は直交)であり、鋭利化カット面に対し入射(incident)する。
【0102】
被加工部品204が、例えば、これに限定されないが、その板状体による平面ストリップ又はリボン又はシート形状などの所定の形状を有し、前記鋭利化回転角度αが、回転ステップ中の板状体の回転角度として理解される場合、鋭角βは、好ましい実施形態によれば、鋭利化回転角度αと等しいか又はそれと相補的である。
【0103】
被加工部品204は、スクワット(squat)本体又は他の非板状体を有することができ、鋭利化貫通カットは、被加工部品204の本体を通して行なわれ、前記鋭い縁部34を形成する。
【0104】
鋭い縁部34の鋭角は、切断性能を最適化し、貫通性と強度との間の妥協点を見つけるように選択されなければならない。一般に、45°未満、例えば10°~40°の鋭い縁部34の鋭角βは、高い切断穿通を可能にするが、早期に摩耗する傾向がある(鋭角βの減少と共に増加する傾向)。一方、45°を超える、例えば50°~80°の鋭い縁部34の鋭角βは、長い耐用年数を可能にするが、鋭い縁部34は、使用条件によっては切断抵抗が生じる(鋭角βの増加と共に増加する傾向)。
【0105】
30°~60°の範囲の鋭角β(ここでは±10%の公差を有する値として理解される)は、ロボット手術の分野において、結果として得られる1つ以上のブレード30の用途にとって満足のいく妥協点を提供することができる。
【0106】
好ましい実施形態によれば、鋭角βは、45°に実質的に等しい。この値はまた、ここでは±10%の公差を有する値として理解されたい。ここでは、好ましくは、鋭角βは90°の半分に実質的に等しい。すなわち、それは被加工部品本体において、実質的に45°に向けるカット壁を露出させる貫通カットを形成する。
【0107】
したがって、鋭角βが鋭利化回転角αに依存する場合、前記鋭利化回転角αは20°-70°の範囲内とすることができ、好ましくは、鋭利化回転角αは実質的に30°±10°又は45°±10°又は60°±10°である。これらの値は、絶対値で理解されるべきであり、すなわち、回転ステップ中に形成された、カットワイヤ202に対する被加工部品204の本体の任意の回転方向で有効であり得る。したがって、ここでの45°とは、一方向の45°の回転と、反対方向の45°の回転との両方を意味する。回転方向は、被加工部品204の本体に露出したカット壁223の方向に影響を与え、鋭い縁部34が被加工部品204の背面224に属するか前面225に属するかを決めることができる。
【0108】
鋭利化角αは、被加工部品と機械200の基準、例えばヘッド208との間の距離を最小にするように選択することができる。
【0109】
想定し得る動作モードによれば、鋭利化ステップの鋭利化貫通カットは、被加工部品204の鋭利にされるべき厚さ234に沿って延在するカット経路240をたどる。これにより、鋭利にされるべき縁部234が鋭利化カット面内に凹状及び/又は凸状の形状を有する場合でも、その延伸に沿って実質的に均一な鋭い縁部34を作ることが可能である。
【0110】
想定し得る動作モードによれば、被加工部品204の鋭利にされるべき縁部234は、被加工部品本体の縁、例えば、ストリップ又はプレート又はリボンなどの板状体の縁と一致し、鋭利化貫通カットのカット経路240は、それらの縁部に沿って実質的に真っ直ぐに延在し、その縁部を実質的に削り、すなわち、被加工部品の板状体の厚さ210から材料を電気浸食し、板状体の両側の面224,225に対して傾斜し、鋭い縁部34を形成するカット面223を露出させるギャップを形成する。
【0111】
鋭利化回転角αを選択することにより、被加工部品上の鋭利化貫通カット及び成形貫通カットの方向を規定することができる。
【0112】
好ましい動作モードによれば、成形貫通カットは、被加工部品204の本体をその厚さ方向に横切る。好ましい動作モードによれば、成形貫通カットは、鋭利な縁部ではなく、例えば、被加工部品の対向面224,225と実質的に90°の2つの対向角度を形成する縁部を生成し、被加工部品は所定の規則的な形状を有し、例えば板状体である。
【0113】
成形貫通カットによって辿るカット経路230は、孔縁36などの湾曲部を含む経路を形成することができ、想定し得る動作モードに従って、孔縁36を形成することは、カットワイヤをパスさせるための径方向通路チャネル39を形成することを含む。なお、孔縁36は、必ずしも湾曲部で構成されているとは限らず、孔縁36の破線部分で構成することもできる。孔縁36は、動作状態にあるときに関節ピンを受け入れるための1つ以上のセンタリング孔(centering holes)を画定することができる。
【0114】
成形貫通カットによって辿るカット経路230による湾曲部は、鋭い縁部34を作成して、湾曲した、凹面、及び/又は凸面の縁部を鋭利化することができる。
【0115】
カットワイヤ202の送り速度パラメータは、仕上げ時間と生産時間との間の良好な妥協点を提供するように調整することができる。一実施形態によれば、成形ステップは、幅が100分の数ミリメートルの脚など、前記貫通カットによって極端な分解能を有する部品を作製することができる。
【0116】
想定し得る動作モードによれば、成形貫通カットは、被加工部品204の対向面224,225に対して直交しない縁部を形成し、すなわち、成形カットは、被加工部品の規定可能な横たわる平面に対して傾斜した縁部を形成することができる。
【0117】
想定し得る動作モードによれば、最初に鋭利化ステップが実行され、続いて回転ステップが実行され、続いて成形ステップが実行される。これにより、鋭利化が行われ、その後に成形が行われる。この場合、成形貫通カットは、鋭利化貫通カットの少なくとも一部分を横切ることができ、すなわち、成形カット経路230は、鋭利化カット経路に入射する。この動作モードによれば、本方法は、最初に、例えばブレード30などの少なくとも一群の本体に共通である、すなわち、少なくとも一群の本体によって共有される、被加工部品204の少なくとも1つの縁部の少なくとも一部分を鋭利化して形成することによって、同じ被加工部品から複数の鋭利な本体、例えば複数のブレード30を形成することを可能にすることができ、次いで、例えば個々のブレード30の個々の鋭利な本体を成形することができ、これは、鋭い縁部34と交差し、したがってカット壁223を切断して、同じ被加工部品204から得ることができる個々の鋭利な本体、例えば個々のブレード30を分離又は分離可能にする成形貫通カットを行なうことを含む。例えば、被加工部品が、2つの対向するカンチレバフラップを形成する治具214に取り付けられた板状体である場合、方法は、最初に前記縁部の両方を鋭利化し、次いで、前記複数の個々の鋭利な本体、例えば個々のブレード30を、両方の対向するカンチレバフラップに成形することを含むことができる。
【0118】
想定し得る動作モードによれば、鋭利化ステップは、成形ステップの前に実行され、成形ステップの成形カット経路230は、鋭利化ステップによって形成された鋭い縁部34に沿って延在しない、すなわち、既に機械加工された鋭い縁部34のプロファイルに従って被加工部品に成形貫通カットが行なわれない。成形貫通カットのカット経路230は、鋭い縁部34を、縁部の長手方向延伸に対して横方向に横断してブレード30を成形し、被加工部品204の鋭い縁部を中断させることができる。
【0119】
想定し得る動作モードによれば、成形貫通カットのカット経路230は、鋭い縁部34に対して外側位置にあり、そこから一定の距離にある被加工部品204のカット経路230の外側セクション238を提供する。較正検証ステップは、カット経路230の外側セクション238に沿って実行され、カット経路230上の切り欠き239を実質的に辿る、カットワイヤの鋭い縁部34に突然接近する。これにより、被加工部品204の正しい位置決めを検証することが可能である。実際には、鋭い縁部34へのカットワイヤ202の突然の接近により、鋭い縁部202からの材料の電気浸食が決定される場合、これは、被加工部品の可能性のある位置決めエラーなどの異常を示している。
【0120】
図9Bは、アンダーカット、孔縁36、通路チャネル39を形成する、同じ被加工部品上の複数のブレード30の形状を形成する成形貫通カットの成形カット経路230の一例を示し、前記外側セクション238は、鋭い縁部34に対してである。ここに示す成形カット経路230は、複数回、すなわち複数回の繰り返しパス、例えば往復パスで実行することができる。
【0121】
図9Cは、交差する異なる往復経路を与え、複数のブレード30の成形及び分離を行う成形貫通カットの成形カット経路230の一例を示す。想定し得る動作モードによれば、
図9Cに示す切断プロファイル230は、
図9Bに示す少なくとも1つの往路への単一の復路として理解することができ、そのような場合、単一の復路は、ブレード30の本体の実質的に直線状の縁部を機械加工し、成形カット経路230の前記単一の復路に沿って行なわれる成形貫通カットは、ブレード30を分離する機能を果たす。想定し得る動作モードによれば、
図9Cに示す切断プロファイル230は、
図9Bに示すものとは独立した成形カットプロファイルとして理解することができ、往復経路は必要に応じて選択することができる。
【0122】
【0123】
鋭利化カット経路は、複数回、すなわち複数回の繰り返しパス、例えば、往復パスにおいて、例えば3~11のパス、好ましくは3~7のパスの数で実行することができる。動作モードによれば、鋭利化ステップの前記鋭利化カット経路は、成形ステップの成形カット経路よりも頻繁に実行される。これは、鋭い縁部34のより良好な仕上げに繋がる。好ましい動作モードによれば、ブレードを作るプロセス中に、第1の仕上げパス又は複数の仕上げパスの間に部品が振動を受けないように、成形カットの前に鋭利化カットが行われる。
【0124】
成形カットはまた、好ましくは取り外し、すなわち、ブレード30の分離を行う。ブレード30の分離は、好ましくはブレードの作製後に、好ましくは単一パスで行われる。
【0125】
想定し得る動作モードによれば、鋭利化ステップは、カットワイヤ202の単一の鋭利化カット軌道240によって実行され、前記成形ステップは、カットワイヤ202の単一の成形カット軌道230によって実行される。好ましくは、鋭利化カット経路又は軌道240は、偶数回の往復パスが実行される場合に一致し得る開始点235及び終点236を有する。好ましくは、成形カット経路又は軌道230は、偶数回の往復パスが実行される場合に一致し得る開始点232及び終点233を有する。
【0126】
例えば、
図16に示すように、分離されたブレード30を回収するためにバスケット243を設けることができる。例えば、バスケット243は、電気浸食機械200の下部ヘッド206の周りに組み立てることができ、例えば連結することができる。バスケット243は、組み立てられるとき、重力の影響により誘電流体タンク208内に落下する別個のブレード30を集めるために、実質的に環状の形状を有する少なくとも1つの収集チャンバを形成することができる2つの分離可能な半体244,245で作られる。そのような場合、方法は、ブレード30を分離するステップの後に、ワイヤ電気浸食によって鋭利で成形され分離されたブレード30を、重力によって収集するステップを含むことができる。
【0127】
図11及び
図12はそれぞれ、同じ被加工部品上の複数のブレード30の形状を表す成形貫通カットの成形カット経路230の一例を示し、それぞれに接続ブリッジ231が設けられ、アンダーカット、孔縁36、通路チャネル39を形成し、前記外側セクション238は鋭い縁部34に対してである。ここに示す成形カット経路230は、複数回、すなわち複数回の繰り返しパス、例えば往復パスで実行することができる。そのような場合、方法は、他の場所で実行されるように、破断可能な接続ブリッジ231を破壊することを含むブレード30を分離するステップを含むことができる。例えば、接続ブリッジ231を破壊することによってブレードを分離するステップは、外科用切断器具などの完成品の組み立て中に実行することができる。
【0128】
図13A及び
図13Bは、例えば、それぞれが破断可能な材料で作られた接続ブリッジ231を備える複数のブレード30を含む、本明細書に記載の動作モードのいずれか1つに係る方法で製造された半製品250の幾つかの例を示す。動作モードによれば、方法は、前記半製品250を作製するステップと、それぞれの接続ブリッジ231を破壊することによってブレード30を分離するステップとを更に含む。
【0129】
接続ブリッジ231を破壊するステップは、ワイヤ電気浸食によって、成形カットを行うことで実現可能である。
【0130】
想定し得る動作モードによれば、最初に成形ステップが実行され、次に回転ステップが実行され、次に鋭利化ステップが実行される。これにより、先に成形が行われ、その後に鋭利化が行われる。
【0131】
この想定し得る動作モードは、接続ブリッジ、部品の形状、又は部品自体の厚さが、既に成形された部品上の1つ以上の鋭利化経路中に振動を誘発しないのに十分である場合に実行されることが好ましい。
【0132】
想定し得る動作モードによれば、成形ステップが最初に実行され、次いで回転ステップ、次いで鋭利化ステップ、次いで更なる回転ステップ、次いで更なる成形ステップが実行され、すなわち、成形ステップは、鋭利化ステップの前に部分的に実行され、鋭利化ステップの後に完了することができる。この動作モードによれば、成形ステップは、被加工部品上のカットによってトレースされた1つ又は複数のブレードの形状を残すことができるが、これらのブレードは、材料231のブリッジ、例えば、厚さが局所的に減少した材料の破断可能なブリッジによって相互接続されている。
【0133】
一実施形態によれば、本方法は、板状体を備える半製品250を製造することを決定する。ここでは、複数のブレード30がそれぞれ鋭い縁部34を有し、ブレード本体は、意図的に除去されていない被加工部品本体の1つ以上の材料ブリッジ231、例えば破断可能な材料ブリッジによって相互接続されている。
【0134】
成形ステップが最初に実行され、次いで回転ステップが実行され、次いで鋭利化ステップが実行される。ここで、成形ステップは、被加工部品204上に、カットされて成形された1つ又は複数のブレード(ただし、鋭い縁部34はない)の形状を作成し、複数のブレードは、材料ブリッジ231によって相互接続される。鋭利化ステップは、個々のブレード形状の鋭利にされるべき縁部234上で実行することができ、ただし、カット経路は、一部のセクションでは、例えば、成形によるカットなどですでに除去された被加工部品の材料を横切らない連続経路を辿ることができる。
【0135】
想定し得る動作モードに応じて、鋭利化ステップと成形ステップとは交互に行われることができ、それらの間に回転ステップが常に含まれる。
【0136】
異なるカット面上の複数の鋭利化カット及び/又は異なるカット面上の複数の成形カットを含むことができる。例えば、隣接する2つの鋭利化ステップの間に治具を回転させるステップを含むことができ、及び/又は、隣接する2つの成形ステップの間に治具を回転させるステップを含むことができる。例えば、同じ被加工部品の2つの成形カットの間に、実質的に90°の治具214の回転角度を含めることができ、前記2つの成形カットの間に別の鋭利化カットが含まれていても、更なる配向が含まれる。
【0137】
例えば、同じ被加工部品の鋭角化される同じ縁部の2つの鋭利化カットの間に、被加工部品204の本体に鋭角βを作るためではあるが、90°以上の治具214の回転角度を含めることができる。想定し得る動作モードによれば、90°-150°、好ましくは120°-150°で回転した2つのカット面に、2つの鋭利化貫通カットが作られる。
【0138】
想定し得る動作モードによれば、本方法は、1つ以上の前記ブレード30を分離するステップを含む。分離ステップは、成形ステップに含まれることができ、成形貫通カットのカット経路は、1つ以上の別個のブレードを形成する。ブレード本体が1つ以上の材料ブリッジ231によって相互接続され、それぞれ鋭い縁部34を有する複数のブレード30がカット成形されている半製品250が製造される場合、分離するステップは、前記材料ブリッジ231を破壊することを含むことができ、組み立てる現場で実行することもできる。
【0139】
想定し得る動作モードに応じて、被加工部品204は、弾性反力を与えるための弾性変形体を有する弾性体である。一実施形態によれば、被加工部品204は弾性板状体であり、例えば弾性的に曲がるように適合された弾性ストリップである。弾性的に曲がり可能な被加工部品を提供することにより、弾性的に曲がり可能な本体を有する小型の弾性ブレードを作製することが可能になる。
【0140】
好ましくは、被加工部品204は、金属材料で作られる。被加工部品204は、ブレード用鋼で作ることができる。例えば、動作状態にあるときに切縁34をより硬く、耐摩耗性にするために、コーティング及び/又は熱処理などの被加工部品上の1つ以上の表面処理228を含めることができる。一実施形態によれば、切縁34は、動作状態にあるときに対向ブレードとの機械的干渉接触によって機能するように意図された少なくとも表面35上の表面処理228を含む。
【0141】
被加工部品204は、例えば
図8Bに示すように、プレス曲げなどの曲げを受けることができる。そのような場合、方法は、ブレード30を曲げるステップを含む。このステップは、例えばハンマ261及びアンビル262を有するプレス260を含むステップを含むことができる。プレス曲げによる曲げを行うことで、ブレード30に弾性特性を与えることができる。
【0142】
想定し得る動作モードによれば、本方法は、被加工部品の表面を処理し、被加工部品の表面処理228を得るステップを含む。表面を処理するステップは、複数回実施することもできる。
【0143】
想定し得る動作モードによれば、表面を処理するステップは、鋭利化ステップの前に実行される。表面処理228が前記鋭利化ステップの前に実行される場合、切縁34のフラッシュカットによって露出された壁223は、表面処理228を含まない。この場合、例えば、動作状態にあるときに対向ブレードとの機械的干渉接触によって機能するように意図された切縁34の表面35が表面処理228を含む一方で、反対側のカット壁223は表面処理228を含まない「背面傾斜なし(no back bevel)」又は「たがね縁(chisel edge)」タイプの鋭利化を得ることができる。
【0144】
想定し得る動作モードによれば、表面を処理するステップは、鋭利化ステップの後に実行される。表面処理228が前記鋭利化ステップの後に実行される場合、切縁34のフラッシュカットによって露出された壁223は、表面処理228を含むことができる。
【0145】
想定し得る動作モードによれば、表面を処理するステップは、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)型コーティング等を作製するステップを含む。
【0146】
想定し得る動作モードによれば、表面を処理するステップは、例えば「コルステライズ(登録商標)」タイプなどの熱処理を実行するステップを含む。
【0147】
動作モードによれば、表面をコーティングするステップは、被加工部品が、複数の鋭利な本体、例えば、接続ブリッジ231によって相互接続され、成形された複数のブレードを一体に備える本体を有する半完成部品250の形態である場合に実行される。これにより、例えば、リボン又はストリップなどの半完成部品250の本体を位置決めすることによって、表面処理のために複数の鋭利な本体を一緒に位置決めすることができるため、鋭利な本体の小型化が容易になる。
【0148】
想定し得る動作モードによれば、方法は、成形ステップの後に、第2のカット面上で第2の成形を行うための更なる再成形ステップであって、前記被加工部品204を第2のカット面上で、カットワイヤ202を用いて少なくとも1つの被加工部品204に対する第2の成形貫通カットを行うステップを更に含み、成形ステップと再成形ステップとの間に、好ましくは実質的に90°に等しい成形角度だけ前記固定具214を回転させるステップが含まれる。この動作モードによれば、鋭利化ステップの前に成形ステップを行うことが好ましい。図示のように、例えば、
図29A~
図29Cのシーケンスでは、最初に成形ステップ、次に鋭利化ステップ、次に再成形ステップを実行することが可能であり、成形ステップと再成形ステップとの間に、被加工部品204は、固定具又はその一部の回転によって実質的に90°に等しい角度で回転されている。
【0149】
成形ステップと鋭利化ステップとの間で、被加工部品204は、鋭利化角αだけ回転することができる。
【0150】
これにより、同一の被加工部品204に対して2つの成形カットと1つの鋭利化カットを行うことができる。
【0151】
想定し得る動作モードによれば、取り付けステップは、複数の被加工部品204,304を前記固定具214に装着することを含み、鋭利化ステップ及び成形ステップは、各被加工部品を個別に鋭利化すること及び成形することを含む。言い換えれば、この動作モードによれば、各被加工部品204,304は個別に加工され、多数の被加工部品に対して同時に切断を行うことを回避する。異なるカットが異なる部品に行われる場合、前記カットは異なる部品に対して連続して行うことができる。
【0152】
想定し得る動作モードによれば、取り付けステップは、同じ固定具214に取り付けられた少なくとも2つの被加工部品304を得るために、少なくとも第2の被加工部品304も前記固定具214に取り付けるステップを含み、方法は、前記第2の被加工部品304の鋭くされるべき少なくとも1つの縁部を鋭利化するステップを更に含む。少なくとも1つの前記被加工部品204の鋭くされるべき少なくとも1つの縁部を鋭利化するステップと、前記第2の被加工部品304の鋭くされるべき少なくとも1つの縁部を鋭利化するステップとの間に、前記固定具214の少なくとも一部分を回転させる更なるステップが含まれる。これにより、異なる被加工部品204,304上で異なる鋭さを得ることができる。
【0153】
図26に示すように、例えば、各被加工部品204,304を装着するハウジング部217を異なる鋭利化角、すなわち、第1の被加工部品204を第1の鋭利化角αだけ回転させ、第2の被加工部品304を第2の鋭利化角α2だけ回転させることによって、異なる被加工部品に対して2つの鋭利化カットを行なうことができる。これにより、鋭角βが異なる鋭い縁部を、異なる被加工部品204,304に形成することができる。
【0154】
図27に示すように、例えば、2つの鋭利化ステップの間、すなわち、少なくとも1つの被加工部品204,304の鋭利にされるべき少なくとも1つの縁部を鋭利化するステップと、前記第2の被加工部品304の鋭利にされるべき少なくとも1つの縁部を鋭利化するステップとの間に、前記固定具214の少なくとも一部を所定の角度、例えば、α2-αに等しい角度だけ回転させる更なるステップを設けることによって、互いに一体に回転する異なる被加工部品204,304に、2つの鋭利化カットを行なうことが可能である。角度α及びα2は、任意の量だけ互いに異なっていてもよい。角度α2は、角度αを参照して選択、したがって、成形カットを実行するためのカットワイヤ202の方向を参照して記載された同じ考慮事項に従って選択することができる。
【0155】
想定し得る動作モードに応じて、固定具214は、固定具214の1つ以上の回転構成において、カットワイヤ202によって個別にかつ単独で機械加工可能であるように配置された板状体を有する複数の被加工部品204を受け入れる。
【0156】
例えば、
図28に示すように、板状体を有する3つ(又はそれ以上)の被加工部品204は、固定具214上で星形にすることができ、すなわち、固定具214のハウジング部217から、ハウジング部217に対して径方向にそれぞれのカンチレバフラップで延びるように配置することができる。例えば、星形の構成の被加工部品を個別に鋭利にすることができ、一方の被加工部品と他方の被加工部品との間で、固定具214のハウジング部217を回転させるステップを含むことができる。
【0157】
一実施形態によれば、固定具214又は治具214は、1つ以上の回転構成で電気浸食によって個別に機械加工することができる複数の平面要素(ストリップ)を固定することを含む。
【0158】
想定し得る動作モードによれば、方法は、少なくとも2つの成形ステップ、すなわち、成形ステップ及び再成形ステップを含み、前記2つの成形ステップの間に、好ましくは実質的に90°に等しい成形角度だけ治具214を回転させる更なるステップが含まれる。すなわち、2つの成形ステップは、互いに直交する2つのカット面に対して行われることが好ましい。方法は、最初に第1の成形ステップを行い、次いで、治具214を前記鋭利化回転角α(例えば、α=40°である)だけ回転させ、鋭利化ステップを実行し、次いで、治具214を再び90°-α(この例では50°)に等しい角度だけ回転させ、第2の成形ステップを実行することも可能であり、第1の成形ステップから第2の成形ステップまで、治具214は90°回転している。この動作モードは、電気浸食機械200内の被加工部品の単一の配置で、外科用切断器具(例えば、外科用ハサミ又は針ドライバ/ハサミ)の関節式エンドエフェクタと一緒に組み立てられるリンクアセンブリを製造するのに有利となり得るものであり、リンクアセンブリのリンクの少なくとも1つは、鋭い縁部34を有し、例えばブレードリンク30である。
【0159】
したがって、ワイヤ電気浸食によるロボット手術用の外科用切断器具1用の作動テンドンによって作動可能な関節式エンドエフェクタ9の複数のリンクを製造する方法は、以下に報告するステップを含む。好ましくは、この方法は、外科用器具1の関節式エンドエフェクタ9(例えば、関節式カフ)の全てのリンクを作る。この方法は、ロボット非手術アームの関節式エンドエフェクタ9のリンクを作るために使用することができる。
【0160】
この方法は
カットワイヤ(202)と、カットワイヤの長手方向延伸を横断する回転軸F-Fを中心としてカットワイヤに対して回転可能な治具214とを備えるワイヤ電気浸食機械200を用意するステップと、
カットワイヤ202が一度に前記被加工部品204のうちの多くとも1つと交差するように、全てが治具214と一体に回転する複数の被加工部品204,302,320,350,390を取り付けるステップと、
を含む。
【0161】
言い換えると、被加工部品は、カットワイヤ202によって単独で、すなわち、個別に加工することができ、複数の被加工部品は、同時にカットされることを回避するような配置(例えば、隣接する2つの部品間で一定の距離をおいて互いに整列しているか、又は曲線上に配置されている)で治具に取り付けられる。前記複数の被加工部品は、2つのカット面において、成形されるが鋭利化にはされないように意図された成形されるべき部品302,320,350,390と、鋭利化にされ、且つ成形されるように意図された被加工部品204,304とを備えることができる。成形部品302,320,350,390は、例えば、回転軸F-Fに平行な方向にカンチレバ状に突出するように治具214に取り付けられたシリンダとすることができる。
【0162】
この方法は、
前記複数の被加工部品のうちの少なくとも1つの被加工部品204の鋭利にされるべき少なくとも1つの縁部234を、少なくとも1つの被加工部品204に対してカットワイヤ202による鋭利化貫通カットを行なうことによって鋭利化するステップと、
被加工部品のうちの少なくとも一部、好ましくは全てに対して、カットワイヤ202による成形貫通カットを、一度に1つずつ連続して行うことによって、前記複数の被加工部品のうちの被加工部品204,302,320,350,390の少なくとも一部、好ましくは全てを第1のカット面上で成形するステップと、
を更に含み、
第1のカット面に対する鋭利化ステップと成形ステップとの間で、
絶対値が90°以外の鋭利化回転角αだけ治具214をその回転軸F-Fの周りで回転させる(鋭利化角αに関しては、前述した考慮事項のうちの1つ以上が適用することができる)ステップと、
前記複数の被加工部品の前記少なくとも幾つかの被加工部品に対して、カットワイヤ202を用いて、成形貫通カットを一度に1つずつ連続して行うことによって、前記複数の被加工部品の前記被加工部品302,320,350,390の少なくとも一部、または全部を第2のカット面上で再成形するステップと、
が更に実行される。
【0163】
第1のカット面における成形ステップと第2のカット面における成形ステップとの間には、治具214をその回転軸F-Fを中心に略90°の回転角度で回転させるステップが含まれる。上記で説明したように、鋭利化ステップと、第1のカット面での成形ステップと、第2のカット面での成形ステップとの任意に選択することができる順序に応じて、90°に実質的に等しい回転角度の回転ステップは、2つの実行モーメントで操作可能に実行することができる。2つの実行モーメントのうちの一方は、治具214を回転軸F-Fの周りで鋭利化回転角度αだけ回転させるステップに対応する。
【0164】
治具上の前記複数の加工対象物の被加工部品の配置は、好ましくは、カットワイヤ202が各ステップ(鋭利化、第1の成形、第2の成形)において一度に多くとも1つの被加工部品と交差する条件を満す必要がある。例えば、被加工部品の一方のみが鋭利化ステップを受ける場合、そのような被加工部品204は、複数の被加工部品の被加工部品が配置される列の縁部に配置することができる。
【0165】
治具214のハウジング部217、すなわち固定部215に対して回転可能な治具の部分は、この実施形態では、好ましくは、互いに一体に回転する複数のハウジング座部241を含む。好ましくは、ハウジング座部241は、互いに整列している。
【0166】
想定し得る動作モードによれば、成形された部品及び鋭利化された部品が一緒に組み立てられる。したがって、本方法は、得られた部品を一緒に組み立てるステップを含むことができる。
【0167】
想定し得る動作モードによれば、成形ステップ及び/又は再成形ステップは、2つの被加工部品を異なるように成形することを含む。想定し得る動作モードによれば、成形ステップは、成形部品の1つの部分が別の成形部品の1つの部分と相補的になるように2つの被加工部品を成形することを含む。
【0168】
想定し得る動作モードによれば、回転ステップは、回転支持テーブルを提供することと、前記回転支持テーブルを回転させることとを含む。回転支持テーブルは、好ましくは、少なくとも1つの、好ましくは全ての被加工部品と一体である。
【0169】
想定し得る動作モードによれば、方法は、材料シリンダの形態の前記複数の被加工部品の少なくとも幾つかを提供することによって実行され、例えば、前記成形されるべき部品302,320,350,390は、カンチレバ状に突出するように治具214に取り付けられ、成形及び再成形ステップが前記シリンダ上に90°の縁部を形成する。言い換えれば、成形及び再成形ステップは、シリンダの湾曲した側面から材料を除去し、直交面を形成する。
【0170】
想定し得る動作モードによれば、方法は、関節式エンドエフェクタの3つのリンクを一緒に組み立てさせ、少なくとも1つのリンクは、鋭い縁部34を備えるリンクであり、治具214のハウジング部217は、互いに一体に回転する3つのハウジング座部241を備える。例えば、前記3つのリンクは、前記切縁34を有するブレードリンク30、ブレードホルダリンク50、及び対向ブレード表面24を含む第2の先端リンク20である。
【0171】
単一の被加工部品から2つのリンクを得ることも可能である。そのような場合、本方法は、関節式エンドエフェクタ9の複数のリンクを一緒に組み立てさせることができ、少なくとも1つのリンクは鋭い縁部34を備えるリンクであり、治具214のハウジング部217は、互いに一体に回転する少なくとも2つのハウジング座部241を備える。例えば、ブレードホルダリンク50と第2の先端リンク20とを同一の被加工部品から製造することができる。
【0172】
想定し得る動作モードによれば、本方法は、関節式エンドエフェクタの5つのリンクを一緒に組み立てさせ、少なくとも1つのリンクは、鋭い縁部34を備えるリンクであり、治具214のハウジング部217は、互いに一体に回転する5つのハウジング座部241を備える。単一の被加工部品から2つのリンクを得ることができる。そのような場合、方法は、関節式エンドエフェクタ9の5つのリンクを一緒に組み立てさせ、少なくとも1つのリンクは、鋭い縁部34を備えるリンクであり、治具214のハウジング部217は、互いに一体に回転する少なくとも2つのハウジング座部241を備える。
【0173】
好ましくは、少なくとも1つの被加工部品204は、鋭利化ステップ及び1つの成形ステップによって機械加工され、他の被加工部品302,320,350,390は、鋭利化によって機械加工されない。各被加工部品は、1つのカットと他のカットとの間で部品を分離させることなく、2つの異なるカット面において2つの貫通カットで機械加工される。貫通カットは、全ての部品について同じではなく、なぜなら、少なくとも1つの部品204上の少なくとも鋭利化カットは、全体的に行われる両方の成形カットとは異なる傾きを有するためである。
【0174】
一般的な実施形態によれば、1つ以上の破断可能な接続ブリッジ231によって互いに接続された複数の鋭い形状の本体を有するシート状本体を一体に備える半製品250が提供される。半製品250は、前述の実施形態のいずれかを参照して説明した特徴のいずれかを含むことができる。
【0175】
半製品250は、表面処理228を含むことができ、又は表面処理228を受けることを意図することができる。
【0176】
一般的な実施形態によれば、電気浸食機械200用の固定具214又は治具214が設けられる。
【0177】
前記固定具214又は治具214は、固定具214を電気浸食機械200に取り付けるための固定部215と、少なくとも1つの被加工部品204を受け入れるためのハウジング部217とを備え、ハウジング部217は、回転軸F-Fを中心として固定部215に対して回転可能である。
【0178】
好ましくは、固定具214は、ハウジング部217を固定部215に対して回転させるためのモータ218を更に備える。
【0179】
固定具214又は治具214は、前述の実施形態のいずれかを参照して説明した特徴のいずれかを備えることができる。
【0180】
一実施形態によれば、固定具214のハウジング部217は、複数の被加工部品を受け入れるための複数の座部を備え、前記複数の被加工部品用の座部は、2つの直交する線が一度に1つの被加工部品と交差するように配置される。言い換えると、座部は、被加工部品が治具214に取り付けられたときに、電気浸食機械200のカットワイヤ202が、直交する2つのカット面で前記被加工部品のうちの一方のみをカットするように配置される。好ましくは、前記複数の被加工部品用の座部は、互いに直交する2つのラインと、鋭利化角αだけ傾斜した第3のラインと、を含む3つのラインが一度に1つの被加工部品のみと交差するように配置される。例えば、座部は、所定の相対距離で互いに整列するように固定具214上に配置される。
【0181】
図25A~
図25Cに概略的に示す実施形態によれば、治具214は、機械200への固定部215に対して個別に又は一緒に回転可能な2つのハウジング部217,270を備え、第1のハウジング部217は、前記被加工部品204を受け入れて当該被加工部品に鋭利化カット及び成形カットを行ない、第2のハウジング部270は、前記第1のハウジング部217と1つ以上の更なる被加工部品302,320,350との両方を受け入れて、その上に2つの直交する成形カットを行う。好ましくは、第1のハウジング部217は、回転軸F-Fを中心に前記第2のハウジング部に対して回転できるように、第2のハウジング部270に取り付けられる。第1のハウジング部217及び第2のハウジング部270の回転を得るために、単一のモータ218を含むことができる。
【0182】
一般的な実施形態によれば、外科用切断器具1が提供される。例えば、前記外科用切断器具1は外科用ハサミ型器具である。例えば、前記外科用切断器具1は、針ドライバ/縫合糸カッター型の器具である。
【0183】
外科用器具1は、好ましくは、遠位端8を有するシャフト7と、シャフト7の遠位端8に接続された関節式エンドエフェクタ9(言い換えれば、関節式エンドデバイス9)とを備える。
【0184】
前記外科用器具1は、ロボット手術に特に適しているが、一意には意図されておらず、例えば、
図23に示すように、ロボット手術システム101の電動アクチュエータを備えるロボットマニピュレータ103に接続可能である。例えば、前記外科用器具1は、機械的及び手動的な制御装置、並びに作動デバイスに関連付けることができる。
【0185】
前記外科用器具1を備えるロボット手術システム101は、ロボット顕微手術操作に特に適しているが、一義的に意図されているわけではない。ロボット手術システム101は、ロボット腹腔鏡手術を対象とすることができる。
【0186】
必ずしも前記シャフト7が剛性シャフトであるとは限らず、例えば、曲がり可能なシャフト及び/又は関節シャフトであってもよいが、好ましい実施形態によれば、前記シャフト7は剛性シャフトである。例えば
図17に示すように、外科用器具1の近位インタフェース部104又はバックエンド部104をシャフト7の近位端102に設けて、ロボット手術システム101のロボットマニピュレータ103とのインタフェースを形成することができる。滅菌バリアは、ロボットマニピュレータと外科用器具の近位インタフェース部104との間に介設することができる。例えば、前記近位インタフェース部104は、ロボットマニピュレータ103によって付与された駆動動作を受け取り、それらを関節式エンドエフェクタ9に伝達するためのインタフェース伝達要素のセットを備えることができる。一実施形態によれば、外科用器具1は、ロボット手術システム101のロボットマニピュレータ103に着脱可能に関連付けられる。
【0187】
シャフト7の遠位端8の関節式エンドエフェクタ9は、近位インタフェース部104から、関節式エンドエフェクタ9のリンクの少なくとも幾つかに設けられた末端座部15,25で終端し、シャフト7の内側の関節式エンドエフェクタ9まで延びる幾つかの拮抗作動テンドン対によって作動可能な1つ以上の回転ジョイントで互いに関節結合された複数のリンクを備えることができる。拮抗テンドン対の一対以上の作動テンドンは、器具の近位インタフェース部104から器具の関節式エンドエフェクタのリンクまでの往復経路を形成する単一のテンドンで構成することができる。
【0188】
好ましくは、「リンク」という用語は、単一部品で作られた本体、すなわち、モノブロック本体を指す。
【0189】
好ましくは、関節式エンドエフェクタ9の各リンクは、前述した動作モードのいずれか1つに係る方法によって作製される。
【0190】
関節式エンドエフェクタ9を形成する全てのリンクが、必ずしも互いに及び/又はシャフト7の遠位端8に対して関節結合される、すなわち可動であるとは限らない。例えば、前記エンドエフェクタ9は、当分野で広く採用されている専門用語によれば、「ロールピッチヨー(roll-pitch-yaw)」タイプの関節式カフであり得る。例えば、前記エンドエフェクタ9は、「ヘビ(snake)」タイプの関節式エンドエフェクタ9であり得る、すなわち、多数の同一平面及び/又は非平面回転ジョイントを備えることができる。
【0191】
一実施形態によれば、前記関節式エンドエフェクタ9は、平行な母線を有する接続リンクの1つ以上の凸状線織面を一体に備える本体を有し、シャフト7の遠位端8に接続された接続リンクを備える。接続リンクは、第1の遠位接続部を更に一体に備える。好ましくは、第1の接続リンクの前記第1の遠位接続部は、2つの突起を含み、近位回転軸P-Pを有する近位回転ジョイントを形成するように適合される。好ましい実施形態によれば、接続リンクの凸状線織面母線は全て、近位回転軸P-Pに平行である。
【0192】
好ましい実施形態によれば、関節式エンドエフェクタ9は、接続リンクに関節結合され、平行な母線を伴う支持リンク96、98の1つ以上の凸状線織面を一体に備える本体を有する支持リンク2を備える。支持リンク2は、第1の接続リンクの第1の遠位接続部に関節結合された近位接続部を更に一体に備え、接続リンク及び支持リンク2のための近位回転ジョイントを画定し、それにより、それらは共通の近位回転軸P-Pを中心として相対的に回転することができる。
【0193】
支持リンク2は、遠位接続部を更に一体に備える。支持リンク2の遠位接続部は、好ましくは、例えば、遠位回転軸Y-Yを規定するための、すなわち、ピッチ近位回転軸P-Pに直交することができる共通の遠位回転軸Y-Y又はヨー軸Y-Yを有する遠位回転ジョイント又はヨー回転ジョイントを形成するための、2つの突起3、4を含む支持構造体を備える。
【0194】
支持リンク2の支持構造体は、好ましくは剛性支持構造体であり、すなわち、例えば、剛性支持フォーク(fork)であり、突起3、4の相対位置は、突起3、4と線織面96、98との相対位置と同様に、剛性に決定される。一実施形態によれば、前記遠位回転軸Y-Yはヨー回転軸Y-Yであり、前記近位回転軸P-Pはピッチ回転軸P-Pであり、ヨー回転軸Y-Yとピッチ回転軸P-Pは互いに直交する。
【0195】
一実施形態によれば、関節式エンドエフェクタ9は、平行な母線を有するブレードホルダ根元部の1つ以上の凸状線織面79によって形成されたプーリ部79を有するブレードホルダリンク51の取り付け根元部を一体に備える本体を有する支持リンク2に関節結合されるブレードホルダリンク50を更に備える。ブレードホルダリンク50は、前記遠位回転ジョイントに関節結合される近位取り付け根元部51を一体に備える。
【0196】
関節式エンドエフェクタ9は、好ましくは、切縁34を一体に備える本体を有し、前記ブレードホルダリンク50と一体に回転するブレードリンク30を含む。切縁34は、切断動作を実行するように適合される。
【0197】
ブレードリンク30は、前述の動作モードのいずれか1つに係る方法によって製造される。
【0198】
一実施形態によれば、ブレードリンク30は、前記遠位回転ジョイントに関節結合された近位取り付け根元部31を一体に備える。ブレードリンク30は、好ましくは、ブレードホルダリンク50の根元部51と並んで配置された取り付け根元部31を一体に備え、好ましくは、ブレードリンク30の根元部31は、ブレードホルダリンク50の根元部51と直接に密接して並んでいる。
【0199】
一実施形態によれば、ブレードホルダリンク50の本体は、抗力部57を更に一体に備え、ブレードホルダリンク30の本体は、ブレードホルダリンク50の前記抗力部と係合する抗力対向部37を更に一体に備える。抗力係合部は、ブレードリンク30とブレードホルダリンク50との係合によって得ることができる。ブレードリンク30とブレードホルダリンク50との間の抗力係合部は、共通回転軸Y-Yに対して遠位に、すなわち、取り付け根元部31及び51に対して遠位に配置することができる。そのような場合、ブレードリンク30の抗力係合部37(又は抗力部37)は、より有利な機械的伝達を達成するために、ブレードリンク30の抗力部37をブレードリンク根元部31に配置することができるとしても、正確な抗力を確保するために、ブレードリンク根元部31から遠く離れて配置されることが好ましい。
【0200】
一実施形態によれば、関節式エンドエフェクタ9は、支持リンク2及びブレードホルダリンク50に関節結合されるリアクションリンク20を更に備え、リアクションリンク20は、平行な母線を有する1つ以上の凸状線織面によって形成されたプーリ部80を有するリアクションリンクの取り付け根元部21を更に一体に備える本体を有する。
【0201】
一実施形態によれば、支持リンク2、ブレードホルダリンク50、及びブレードリンク30によって形成されるグループ、及び第2の先端は、共通回転軸Y-Yと一致又は平行な軸方向を規定する前記共通回転軸Y-Yで互いに関節結合される。言い換えれば、支持リンク2の遠位接続部17は、前記遠位共通回転軸Y-Yにおいてブレードホルダリンク50の根元部51及びブレードリンク30の根元部31、並びにリアクションリンク20の根元部21によって形成されるグループに対して関節結合される。好ましくは、提示を明確にするために、共通回転軸Y-Yの方向と一致又は平行な軸方向が定義される。
【0202】
好ましくは、提示を明確にするために、ブレードリンク30及び/又はブレードホルダリンク50に関して、軸方向に沿って、前記リアクションリンク20に面する内軸方向も規定され、同様に、リアクションリンク20に関して、前記内軸方向は反対に、すなわち、ブレードリンク30及び/又はブレードホルダリンク50に面する。
【0203】
近位方向及び遠位方向(又は意識(senses))は、
図17の矢印によって示されるように、用語の共通の意味に従って参照するものとして理解される。
【0204】
好ましくは、提示を明確にするために、「径方向」という用語は、共通回転軸Y-Yに実質的に直交し、それに入射する方向を指す。
【0205】
好ましくは、提示を明確にするために、これはまた、外科用器具1の長手方向の延伸方向と全体的に実質的に一致することができる長手方向、並びにブレードリンク30及び/又はブレードホルダリンク50及び/又はリアクションリンク20の細長い本体の長手方向の延伸方向と局所的に一致することができる長手方向を意味する。
【0206】
一実施形態によれば、リアクションリンク20の根元部21、及びブレードホルダリンク50の根元部51とブレードリンク30の根元部31とによって形成されるグループは、共通回転軸Y-Yを中心として支持リンク2の遠位部分に対して関節結合され、ヨーYの方向の自由度を規定する。したがって、共通回転軸Y-Y(又はその直線延伸)は、前記2つの突起3、4、及び前記根元部21、31、51と交差し、関節ピンによって規定することができる。
【0207】
更に、一実施形態によれば、更なる第5のリアクションリンク20の根元部21は、ブレードホルダリンク50の根元部51及びブレードリンク30の根元部31によって形成されるグループに対して、前記共通回転軸Y-Y周りで関節結合され、切断動作を与えるための相対的開/閉自由度G(又は切断Gの自由度、又は広く採用されている専門用語による把持自由度Gであるが、この自由度の起動は必ずしも把持動作をもたらすとは限らない)を規定する。
【0208】
一実施形態によれば、リアクションリンク20の前記取り付け根元部21と一体に回転する対向ブレード24が設けられる。したがって、リアクションリンク20は、対向ブレード24と一体に回転する。必ずしもリアクションリンク20が対向ブレード24と一体に構成されるとは限らないが、好ましい実施形態によれば、リアクションリンク20は、取り付け根元部21と対向ブレード24とを一体に備えている。
【0209】
一実施形態によれば、外科用切断器具1は、シャフト7に沿って延在し、ブレードホルダリンク50に接続されて、前記共通の遠位回転軸Y-Yの周りでブレードリンク30を動かすための第1の拮抗テンドン対を更に備える。ブレードホルダリンク50の取り付け根元部51は、前記第1の拮抗テンドン対を受け入れる少なくとも第1の末端座部15を一体に備える。
【0210】
一実施形態によれば、外科用切断器具1は、シャフト7に沿って延在し、前記共通のヨー回転軸Y-Yの周りで対向ブレード24を動かすために前記更なるリアクションリンク20に接続された第2の拮抗テンドン対を更に備える。リアクションリンク20の取り付け根元部21は、前記第2の拮抗テンドン対を受け入れる少なくとも第2の末端座部25を一体に備える。
【0211】
各テンドンは、メイン長手方向延伸を有し、張力をかけられるのみで働くように適合されている。
【0212】
各テンドンは、好ましくは、接続リンク、支持リンク2、ブレードホルダリンク50(特に、ブレードホルダリンク50の根元部51)、リアクションリンク20(特に、リアクションリンク20の根元部21)の少なくとも一部の前記凸状線織面79、80、96、98上でのみ、関節式エンドエフェクタ9のリンク2、20、30、50と接触している。好ましくは、作動テンドンは、ブレードリンク30と接触することを回避し、ブレードリンク30は、ブレードホルダリンク50によって回転時に抗力が与えられる。
【0213】
一実施形態によれば、接続リンクの平行な母線を伴う1つ以上の前記凸状線織面は、前記共通の近位回転軸P-Pに平行であり、支持リンク2の平行な母線を有する1つ以上の前記凸状線織面96、98のうちの少なくとも1つは、前記共通の近位回転軸P-Pに平行である。更に、ブレードホルダリンク50の平行な母線を有するブレードホルダ根元部51の1つ以上の前記凸状線織面79と、別のリアクションリンク20の平行な母線を有する更なる根元部21のプーリ部の1つ以上の前記凸状線織面80とは、共通の遠位回転軸Y-Yに平行である。
【0214】
更なる利点により、第1の拮抗テンドン対及び第2の拮抗テンドン対は、接続リンクの1つ以上の前記凸状線織面及び支持リンク2の1つ以上の前記凸状線織面96、98上を長手方向に摺動するように適合され、ブレードホルダリンク50又は別のリアクションリンク20の根元部79又は80のそれぞれの凸状線織面上を長手方向に摺動することなく巻き付き/巻き戻して、ブレードリンク30及び対向ブレード24をそれぞれ開/閉移動させるように適合される。
【0215】
したがって、テンドンの長手方向延伸は、テンドンが局所的に接触している線織面を生成する線に対して局所的に直交する。
【0216】
一実施形態によれば、ブレードリンク30の切縁34は、機械的干渉接触状態で開/閉自由度Gが移動して切断作用を行う間、前記リアクションリンク20と一体に回転する前記対向ブレード24に当接するように適合される。
【0217】
一実施形態によれば、ブレードリンク30の切縁34は、共通の遠位回転軸Y-Yに平行な方向に弾性的に曲がり可能である。ブレードリンク30の切縁34は、第1の拮抗テンドン対用の第1の末端座部15と一体に回転し、軸方向に弾性的に曲げることができる。前記対向ブレード24は、前記切縁34に当接するように適合され、ブレードリンク30の本体を軸方向に弾性的に曲げるように適合されている。これにより、切断作用を得るための軸方向の弾性は、ブレード部の弾性によって少なくとも部分的に提供される。一方、ブレードリンク30の根元部31が関節接続される遠位回転ジョイント502は軸方向に剛体、すなわち、軸方向に剛体である。すなわち、支持リンク2の遠位接続部17と、リアクションリンクの根元部21、31、51との間、遠位回転軸Y-Y上のブレードとブレードホルダリンクとの間の相対変位が回避されるため、弾性的負荷がかからない。
【0218】
したがって、ブレードリンク30の前記切縁34及びリアクションリンク20と一体に回転する前記対向ブレード24は、機械的干渉接触状態に達して切断作用を行う。
【0219】
切縁34と、リアクションリンク20と一体に回転する対向ブレード24との間の機械的干渉接触は、切断作用をもたらすと同時に、ブレードリンク30の本体を曲げ変形させる。切断動作中のブレードリンク30の本体の曲げ変形は、共通回転軸Y-Yに実質的に平行に向けられる。
【0220】
対向ブレード24は、好ましくは、ブレードリンク30を軸方向に曲げるためにブレードリンク30の切縁34と機械的干渉接触当接部を形成するように適合された軸方向内側に面する表面を備える。そして、リアクションリンク20は、切断動作中にブレードリンク30の弾性的曲げに対して軸方向の反作用を与える。リアクションリンク20の本体は、弾性変形可能である。
【0221】
ブレードリンク30及びリアクションリンク20が実質的に閉じた形態にあるときのブレードリンク30の本体の変形構成は、最大限に曲がり、いずれにせよ、ブレードリンク30及びリアクションリンク20が部分的に閉じた構成及び部分的に開いた構成にあるときのブレードリンク30の本体の変形構成よりも大きく曲がる。必ずしもそうとは限らないが、好ましくは、開放角度が最大限に開いており、ブレードが自由であるとき、切縁34は真っ直ぐであり、ブレードリンク30の本体は実質的に平面構成を有する。
【0222】
切縁34と対向ブレード24との間の少なくとも1つの接触点は、好ましくは、開/閉自由度Gの開放角度の関数として位置及び/又はサイズが変化し、好ましくは、開放角度が減少するにつれて遠位方向に移動する傾向があり、それによってブレードリンク30の本体の弾性変形による曲げを強める。
【0223】
「接触点」は、好ましくは、切縁34と対向ブレード24との間の接触領域の最遠位部分を示すことを意味するが、接触領域は、実施形態の幾つかの構成では点に類似であってもよい。
【0224】
前述したように、切縁34は鋭利であり得る、すなわち、ブレード部14の本体の厚さに対して局所的に減少した厚さ及び/又はその断面において鋭利な形状を有するように鋭利化される。
【0225】
切断動作中、ブレードリンク30のブレード表面35は、その少なくとも一部において、リアクションリンク20と一体に回転する対向ブレード24と接触することができ、実質的に開/閉方向Gに向けられた摩擦力を交換する。
【0226】
好ましい実施形態によれば、リアクションリンク20と一体に回転する前記対向ブレード24は、ブレードリンク30の本体を曲げるように軸方向に突出する。リアクションリンク20と一体に回転するとともに突出するそのような対向ブレード24を設けることにより、それがブレードリンク30の切縁34に当接し、ブレードリンク30の本体を曲げることが可能になる。一実施形態によれば、対向ブレード24の突出部は、リアクションリンク20の本体の長手方向延伸に沿って遠位方向に強められる。
【0227】
一実施形態によれば、リアクションリンク20と一体に回転する前記対向ブレード24は、軸方向内側に面する凹面を有する湾曲突出面を備える。これにより、対向ブレード24の突出部は、軸方向内側に面する凹面を有するその湾曲によって与えられる。
【0228】
一実施形態によれば、リアクションリンク20と一体に回転する対向ブレード24は、対向ブレード24が切縁34と機械的に干渉接触しているときにブレードリンク30の本体を弾性的に曲げるように、ブレードリンク30の回転フットプリントに向かって突出する。言い換えると、対向ブレード24は、軸方向内側に突出する。一実施形態によれば、対向ブレード24の上記突出部は、リアクションリンク20の長手方向延伸に沿って遠位方向に向かって、すなわち共通回転軸Y-Yから離れるように強められ、好ましくは、上記突出部は、ブレードリンク30の本体の遠位端32の近く又は遠位端32において最大である。
【0229】
好ましくは、「接近回転フットプリント」という用語は、把持自由度Gの閉鎖の相対回転運動中に要素の本体によって占められ得る空間の体積を示すことを意味する。
【0230】
一実施形態によれば、前記対向ブレード24を一体に備える対向ブレードリンク40が提供され、対向ブレードリンク40はリアクションリンク20と一体に回転する。好ましくは、対向ブレードリンク40は、近位取り付け根元部41と、前記対向ブレード24と、拘束された遠位端42とを一体に備え、リアクションリンク20は、根元部21と遠位自由端とを一体に備え、対向ブレードリンク40の根元部41とリアクションリンク20の根元部21とは、並んでおり、互いに直接に密接している。前記対向ブレードリンク40が設けられる場合、ブレードホルダリンク50の前記根元部51と、ブレードリンク30の前記根元部31と、対向ブレードリンク40の前記根元部41及びリアクションリンク20の前記根元部21とによって形成されたグループは、支持リンク2の遠位接続部の前記2つの突起3、4の間に全体的に介設され、それらと直接に密接する。
【0231】
対向ブレードリンク40は、鋭利化ステップ及び成形ステップによって作製することができ、この場合、切縁34を備え、被加工部品204から作製することができる。
【0232】
一実施形態によれば、対向ブレードリンク40は抗力係合部47を備え、抗力係合部47を備えは、リアクションリンク20の抗力係合部67と係合し、対向ブレードリンク40及びリアクションリンク20を一緒に回転させる。
【0233】
ブレード表面35は、必ずしも平坦な部分、すなわち平面上にあるとは限らず、湾曲又はアーチ状の部分であってもよいが、一実施形態によれば、平坦な部分である。
【0234】
一実施形態によれば、ブレードリンク30の本体は、二次元の主延伸、すなわち、好ましくは平坦又はアーチ状の横たわる表面(lying surface)上に配置され、前記好ましくは平坦又はアーチ状の横たわる表面の延伸に対して実質的に減少した厚さを有する。
【0235】
一実施形態によれば、切縁34は、好ましくは平坦又はアーチ状の横たわる表面において実質的に真っ直ぐであり、ブレードリンク30の本体の横たわる表面に凹面を設けることを回避する。
【0236】
好ましくは、ブレードリンク30の厚さは、ブレードホルダリンク50の取り付け根元部51及びリアクションリンク20の取り付け根元部21の厚さに対して著しく小さく、ブレードリンク30の本体は、動作状態にあるときに、切縁34の長手方向延伸に対して横方向に、特にブレードリンク30の厚さ方向に弾性的に曲がり可能であるように選択される。特に、ブレードリンク30の本体は、好ましくは、リアクションリンク20の本体よりも曲がり可能であり、好ましくは、対向ブレード24の本体よりも可撓性である。ブレードリンク30の可撓性、したがって切縁34の可撓性は、その厚さの方向、すなわちブレードリンク30の平坦であるかアーチ状であるかにかかわらず、横たわる表面に直交する方向を意図している。例えば、ブレードリンク30は、横たわる表面から出る/横たわる表面に入る方向に面する凹面を有するアーチ状、すなわち凹状の形状を有し、そのような場合、ブレードリンク30の本体の横たわる表面は、ブレード表面35と同様にアーチ状表面である。
【0237】
ブレードリンク30の本体、そして切縁34は、横たわる面において必ずしも弾性変形可能であるとは限らない、すなわち、その厚さと直交する方向の曲げ性は必ずしも提供されるとは限らない。
【0238】
ブレード部14の高さにおけるブレードリンク30の本体の厚さと、リンク50の根元部51の厚さ及び/又はリアクションリンク20の第2の根元部21の厚さとの比(この評価では、前述のように鋭利であることが好ましい切縁34の厚さを除外する)は、1/5~1/20とすることができる。絶対値において、ブレードリンク30の厚さは、0.1mmから0.5mmの間とすることができ、一実施形態によれば、ブレードリンク30の厚さは、0.2mmに実質的に等しい。
【0239】
前述したように、ブレードリンク30は、ブレードホルダリンク50と一体に回転する。これにより、切縁34は、ブレードホルダリンク50の本体及び/又はブレードリンク30の本体によって形成することができる遠位自由端と一体に回転する。自由端がブレードリンク30の本体によって形成される場合、それはブレードリンク30の遠位端32と一致することができる。弾性的に可撓性であるため、切縁34は、動作状態にあるときに、回転において一体であるブレードホルダリンク50に対して弾性的に変形することができる。切縁34の弾性変形は、好ましくは、ブレードホルダリンク50の本体の長手方向の延伸方向に対して横方向、すなわち、近位取り付け根元部51と切縁34に一体に回転する自由端とを接合する方向に対して横方向、言い換えれば、ブレードリンク30の本体の厚さ方向に生じる。
【0240】
一実施形態によれば、ブレードリンク30は、非変形構成にあるとき、すなわち画定可能な横たわる平面上にあるとき、実質的に真っ直ぐである。ブレードリンク30の弾性的曲げは、ブレード部14を前記非変形構成に戻す傾向がある。
【0241】
切縁34は、例えば、シャフト7が真っ直ぐで剛性のシャフトであり、切縁34が対向ブレード24の突出部と接触していない場合に、少なくとも1つの動作形態でシャフト7の長手方向の延伸方向X-Xと位置合わせすることができる。
【0242】
一実施形態によれば、前記対向ブレード24は曲面である。これにより、対向ブレード24は、そのアーチ形状によって突出する。対向ブレード24の凹面は、好ましくは、軸方向にかつ内側に面しており、すなわち、共通回転軸Y-Yに平行な方向にかつ切縁34の回転フットプリントに面している。
【0243】
対向ブレード24は、実質的に対向ブレード24の長手方向延伸全体に沿って切断作用を行うように切縁34及びブレードリンク30の本体を適切に曲げるためのウェッジ(wedge)として作用することができる。
【0244】
前述したように、支持リンク2は、互いに直交する平面上に2つの成形カットが施された被加工部品302を出発物としてワイヤ電気浸食により形成されており、ブレードホルダリンク50も、互いに直交する平面上に2つの成形カットが施された被加工部品350を出発物としてワイヤ電気浸食により形成されており、リアクションリンク20も、互いに直交する平面上に2つの成形カットが施された被加工部品320を出発物としてワイヤ電気浸食により形成されている。シャフトへの接続リンクは、存在する場合、互いに直交する平面上に2つの成形カットが成された被加工部品390から始まるワイヤ電気浸食によって形成することもできる。代わりに、ブレードリンク30は、一方のカットが鋭利化カットである非直交平面上に2つのカットが行なわれた被加工部品204からワイヤ電気浸食によって作られる。
【0245】
一実施形態によれば、関節式エンドエフェクタの全てのリンクは、ワイヤ電気浸食によって作られ、一緒に組み立てられる。
【0246】
一般的な実施形態によれば、前述の実施形態のいずれか1つによる少なくとも1つの外科用器具1を備えるロボット手術システム101が提供される。したがって、ロボット手術システム101は、生体組織の切断及び/又は縫合糸の切断を含む外科的又は顕微手術的処置を実行することができる。
【0247】
一実施形態によれば、前記ロボット手術システム101は、少なくとも2つの外科用器具を備え、そのうちの少なくとも1つは、前述の実施形態のいずれか1つによる外科用器具1であり、他の外科用器具は、針ドライバ型外科用器具又は拡張器型外科用器具であり得るが、一実施形態によれば、両方の外科用器具は、前述の実施形態のいずれか1つによる外科用器具1であり、必ずしも互いに同一ではなくてもよい。例えば、少なくとも2つの外科用器具のうちの1つの外科用器具は、外科用ハサミ型外科用器具とすることができ、少なくとも2つの外科用器具のうちの他の外科用器具は、ニードルドライバ/ハサミ型外科用器具であり得る。
【0248】
ロボット手術システム101は、好ましくは、少なくとも1つのロボットマニピュレータ103を備え、少なくとも1つの外科用器具1は、少なくとも1つの前記ロボットマニピュレータ103に動作可能に接続される。例えば、少なくとも1つのロボットマニピュレータ103と少なくとも1つの外科用器具1のバックエンド部104との間には、例えば、滅菌手術布などの滅菌外科用バリア(図示せず)が介設される。ロボットマニピュレータ103は、ピッチP、ヨーY、及び把持自由度Gの前記作動テンドンに応力をかける、すなわち、外科用器具1を把持して切断するための電動アクチュエータと、転動自由度を規定するシャフト7の周りで外科用器具1を回転させるための電動アクチュエータとを備えることができる。ロボット手術システム101は、例えば、車輪又は他の接地ユニットを備える支持部106(カート又はタワー)と、支持部106と少なくとも1つのロボットマニピュレータ103との間に延在する、例えば、手動で移動可能な、すなわち受動的な関節式位置決めアーム105とを備えることができる。一実施形態によれば、ロボット手術システム101は、マスタ-スレーブアーキテクチャに従って少なくとも1つの外科用器具1、好ましくはそれぞれのロボットマニピュレータ103を制御するための少なくとも1つのマスタコンソール107を備え、好ましくは、ロボット手術システム101は、マスタコンソール107の少なくとも1つのマスタ制御デバイス108に対する外科用器具1の追跡を決定するために、マスタコンソール107及びロボットマニピュレータ103に動作可能に接続された制御ユニットを更に備える。一実施形態によれば、マスタコンソール107は、拘束されていない、すなわち地面から機械的に切り離されている少なくとも1つのマスタ制御デバイス108と、例えば、光学的及び/又は磁気的な追跡システムとを備える。
【0249】
一般的な実施形態によれば、前述の動作モードのいずれか1つによる電気浸食による製造方法は、動作状態にあるときに切断動作を実行することを必ずしも意図していない1つ以上の鋭利な本体を得る。
【0250】
更に、製造方法によって製造された前記鋭利な本体は、必ずしも医療分野における用途を意図するとは限らない。
【0251】
動作モードによれば、製造方法によって製造された前記鋭利な本体は、時計製造、宝飾品、衣装宝飾品、精密機械、エレクトロニクス、ナノ技術の技術分野のうちの1つ以上での使用が意図されている。鋭利化は、切断及び/又は空気力学的及び/又は電気的及び/又は電磁的及び/又は熱的及び/又は審美的機能を有することができる。例えば、鋭い縁部を有する時計針は、このような方法で作製され得る。例えば、それらは、鋭い縁部を有するようなマイクロアンテナを用いて作製することができる。
【0252】
添付の特許請求の範囲の1つ以上に開示された特徴、構造、又は機能の組み合わせは、本明細書の不可欠な部分を形成することが十分に理解される。
【0253】
所定の実施形態並びに動作モードにおいて別々に又は互いに組み合わせて提供される上記の特徴により、前述したニーズを満たすことができ、前述の利点、特に、以下の利点を含むことができる。
【0254】
-ワイヤ電気浸食(WEDM)による貫通カットによって作られた壁の優れた表面仕上げを得ることを可能にし、これは製造プロセスの製品の小型化の促進に役立つ。
【0255】
-同時に、同じ被加工部品を成形及び鋭利化をするために、2つの非直交カットが行なわれ、機械加工される部品の再配置を回避し、したがって仕上げを更に向上させる。
【0256】
-「背面傾斜なし」又は「たがね縁」タイプの鋭利化は、単一の鋭利化カット経路に沿って、切縁の1つ以上のパスで可能になる。
【0257】
-鋭利な弾性体、例えばブレードを製造することを可能にする。
【0258】
-単一の被加工部品、例えば、複数のブレードから、単一の続けるカット作用で、複数の鋭利な本体を製造することが可能である。
【0259】
-鋭利化ステップから成形ステップへの、又はその逆の固定具の回転角度は、90°とは異なる。
【0260】
-2つの成形ステップが設けられている場合、成形ステップから再成形ステップまでの固定具の回転角度は、実質的に90°である。
【0261】
-成形ステップは、材料のブリッジを無傷のままにして半製品250を作製するステップを含むことができる。
【0262】
-コーティングステップは、鋭利化ステップを実施した後に半製品250に対して、及び/又は鋭利化ステップを実施する前に被加工部品204に対して実施することができる。
【0263】
-成形ステップは、鋭利な本体を被加工部品から分離するステップを含むことができる。
【0264】
特定の偶発的なニーズを満たすために、当業者は、添付の特許請求の範囲から逸脱することなく、前述の実施形態に対して幾つかの変更及び適合を行うことができ、要素を他の機能的に等価なものと置き換えることができる。
【符号の説明】
【0265】
1 外科用切断器具
2 支持リンク
3 支持リンク突起
4 支持リンク突起
9 外科用切断器具の関節式エンドエフェクタ
15 ブレードホルダリンクの末端座部
20 リアクションリンク
21 リアクションリンクの根元部
24 対向ブレード
25 リアクションリンクの末端座部
30 鋭利な本体、又はブレード、又はブレードリンク
31 ブレードリンクの根元部
32 遠位端
34 鋭い縁部
36 孔縁又は孔縁
37 ブレードリンクの抗力部
39 径方向カットチャネル
40 対向ブレードリンク
41 対向ブレードリンクの根元部
42 遠位対向ブレードリンク端部
47 対向ブレードリンクの抗力部
50 ブレードホルダリンク
51 ブレードホルダリンクの根元部
57 ブレードホルダリンクの抗力部
67 リアクションリンクの抗力部
79 ブレードホルダリンクプーリ部の凸状線織面
80 リアクションリンクプーリ部の凸状線織面
96 支持リンクの凸状線織面
98 支持リンクの凸状線織面
200 ワイヤ電気浸食機械
202 カットワイヤ
204 被加工部品
205 被加工部品フラップ又は縁
206 電気浸食機械の下部ヘッド
207 電気浸食機械の上部ヘッド
208 電気浸食機械タンク
209 電気浸食機械リール
210 被加工部品の厚さ
211 管路
212 ポンプ
213 ノズル
214 治具又は固定具
215 治具固定部
216 電気浸食機械ブラケット
217 治具を収容する第1の回転部
218 治具又は固定具のモータ
219 固定要素
220 治具ストローク端
221 整流治具表面
222 整流治具表面
223 被加工部品のカット壁
224 被加工部品の裏面
225 被加工部品の表面
228 表面処理、例えばコーティング及び/又は熱処理
229 較正基準点
230 成形カット軌道又は経路
231 接続ブリッジ
232 成形カット軌道又は経路パスの開始点
233 成形カット軌道又は経路パスの終点
234 鋭利にされるべき被加工部品の縁部
235 鋭利化カット軌道又は経路パスの開始点
236 鋭利化カット軌道又は経路パスの終点
238 外部切断プロファイルセクション
239 切断プロファイル切り欠き
240 鋭利化カット軌道又は経路
241 治具ハウジング部の長手方向スロット
242 制御システム
243 ボウル
250 半製品
260 押圧
264 押圧ハンマ
262 押圧アンビル
270 治具を収容するための第2の回転部
302 成形されるべき部品
304 鋭利化されるべき第2の被加工部品
320 成形されるべき部品
350 成形されるべき部品
390 成形されるべき部品
F-F 治具回転軸
X-X 長手シャフト方向
α 鋭利化回転角
β 鋭い縁部の鋭角
W カットワイヤの送り方向又は切断方向
【国際調査報告】