(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-28
(54)【発明の名称】密封装置
(51)【国際特許分類】
F16J 15/46 20060101AFI20240621BHJP
F16J 15/3296 20160101ALI20240621BHJP
【FI】
F16J15/46
F16J15/3296
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023578730
(86)(22)【出願日】2022-06-17
(85)【翻訳文提出日】2024-02-06
(86)【国際出願番号】 FI2022050424
(87)【国際公開番号】W WO2023275437
(87)【国際公開日】2023-01-05
(32)【優先日】2021-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FI
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520102646
【氏名又は名称】アンドリッツ オサケ ユキチュア
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハマーバーグ、トミ
(72)【発明者】
【氏名】ヒルヴァスニエミ、ソーニャ
【テーマコード(参考)】
3J043
【Fターム(参考)】
3J043AA11
3J043AA16
3J043BA09
3J043CA04
3J043CA10
3J043CB01
3J043CB13
3J043DA20
(57)【要約】
シャフトのための密封装置100であって、少なくとも、シャフト30の周りに配置された第1のシール要素10aと、少なくとも、シャフト30の周りに配置された第2のシール要素10bとを備え、第1のシール要素10a及び第2のシール要素10bが調整可能なシール要素を備え、第1のシール要素10a及び第2のシール要素10bが、それぞれ弾性材料の外殻14a、14b、及び中空コア12a、12bを備え、第1のシール要素10a及び/又は第2のシール要素10bの中空コア12a、12bが、調整可能な密封効果のために流体を用いて加圧される、シャフトのための密封装置100。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャフトのための密封装置(100)であって、
少なくとも、前記シャフト(30)の周りに配置された第1のシール要素(10a)と、
少なくとも、前記シャフト(30)の周りに配置された第2のシール要素(10b)と
を備え、
前記第1のシール要素(10a)及び前記第2のシール要素(10b)が調整可能なシール要素を備え、
前記第1のシール要素(10a)及び前記第2のシール要素(10b)が、それぞれ、弾性材料の外殻(14a、14b)、及び中空コア(12a、12b)を備え、
前記第1のシール要素(10a)及び/又は前記第2のシール要素(10b)の前記中空コア(12a、12b)が、調整可能な密封効果のために流体を用いて加圧される
ことを特徴とする、シャフトのための密封装置(100)。
【請求項2】
前記外殻(14a、14b)が編組材料の外側層を備える、請求項1に記載の密封装置。
【請求項3】
少なくとも前記第1のシール要素(10a)及び/又は第2のシール要素(10b)は、前記外殻(14a、14b)が摩滅するか又は裂けることにより、断線するように構成された電気回路要素(50a)を備える、請求項1又は2に記載の密封装置。
【請求項4】
前記第1のシール要素(10a)と前記第2のシール要素(10b)とを加圧するための前記流体を供給するための入口(16a、16b)にそれぞれ接続された弁(18a、18b)をさらに備える、請求項1から3までのいずれか一項に記載の密封装置。
【請求項5】
前記流体が空気などの気体を含む、請求項1から4までのいずれか一項に記載の密封装置。
【請求項6】
少なくとも前記第1のシール要素(10a)と前記第2のシール要素(10b)との間に流体空間(60)をさらに備える、請求項1から5までのいずれか一項に記載の密封装置。
【請求項7】
前記流体空間(60)中の前記圧力が調整可能である、請求項6に記載の密封装置。
【請求項8】
前記シャフト(30)がロータリー・フィルタ・ユニットのシャフトを含む、請求項1から7までのいずれか一項に記載の密封装置。
【請求項9】
シャフト(30)の周りに配置された第1のシール要素(10a)の内部の第1の圧力を設定することと、
前記シャフト(30)の周りに配置された第2のシール要素(10b)の内部の第2の圧力を設定することと、
前記第1のシール要素(10a)及び/又は前記第2のシール要素(10b)の内部の前記圧力を監視することと、
調整可能な密封効果のために前記第1のシール要素(10a)及び/又は前記第2のシール要素(10b)の内部の前記圧力を調整することと
を特徴とする、請求項1から8までのいずれか一項に記載のシャフトのための密封装置(100)を制御するための方法。
【請求項10】
電気回路要素(50a)を使用して前記第1のシール要素(10a)及び/又は前記第2のシール要素(10b)の摩耗を監視することをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記圧力を監視すること及び/又は前記摩耗を監視することに基づいて前記第1のシール要素(10a)又は前記第2のシール要素(10b)の交換をスケジュールすることをさらに含む、請求項9又は10に記載の方法。
【請求項12】
請求項1から8までのいずれか一項に記載の密封装置を備える、ロータリー・フィルタ・ユニット。
【請求項13】
請求項9から11までのいずれか一項に記載の方法を実行するための、少なくとも1つの測定及びアクチュエータ・モジュール(510a、510b)に接続された制御デバイス(500)を備える、請求項1から6までのいずれかの一項に記載の密封装置を制御するための制御システム。
【請求項14】
プロセッサによって実行されたときに、請求項9から11までのいずれか一項に記載の方法を実行させるコンピュータ可読プログラム・コードを含む、コンピュータ・プログラム製品。
【請求項15】
請求項14に記載のコンピュータ・プログラム製品を含む非一時的メモリ媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は密封装置(sealing arrangement)に関する。特に、排他的にではないが、本発明は、車軸又はシャフトを密封するための密封装置に関する。特に、排他的にではないが、本発明は、白液(white liquor)フィルタ又は石灰(lime)フィルタの車軸又はシャフトを密封するための密封装置に関する。
【背景技術】
【0002】
アルカリ性の液体を伴う環境、又は粒子など、固体残留物を含有する液体懸濁液は、技術的な理由と安全の理由の両方から、いかなる密封装置にも高い要求を課す。旧来、編組(braided)シール・ロープが使用されている。
【0003】
そのような環境では、白液など、いかなるアルカリ性の液体も、たとえば水と比較して容易に旧来の密封装置に浸入するので、密封装置は効果的な密封を提供しなければならない。さらに、固体残留物を含有する懸濁液は、シールを硬化させ、シールと密封面との両方を摩滅させ始め得る。
【0004】
さらに、一般に、回転し、軸方向に往復移動し、プロセス条件に応じて変動する圧力と温度とにさらされる、白液プラントにおける、たとえばロータリー・フィルタの車軸又はシャフトを密封するには、すべての状況における効果的な密封のために、条件に適応し、密封面に追従することが可能であるシールが必要になる。以前は、シール・ロープに加えて、弾性コアをもつ編組シールが使用されていた。
【0005】
発明者らは、既存の解決策はあらゆる状況において効率的な密封を提供するとは限らないことを発見した。したがって、それの圧力が監視され、調整される、加圧されたシール要素を使用する、効率的な密封のための、調整可能なシール要素を有する密封装置が提供される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、調整可能なシール要素を使用する効率的な密封装置を提供することによって既存の解決策を改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実例の様々な態様が特許請求の範囲に記載されている。
【0008】
本発明の第1の例示的な態様によれば、シャフトのための密封装置であって、
少なくとも、シャフトの周りに配置された第1のシール要素と、
少なくとも、シャフトの周りに配置された第2のシール要素と
を備え、
第1のシール要素及び第2のシール要素が調整可能なシール要素を備え、
第1のシール要素及び第2のシール要素が、それぞれ弾性材料の外殻、及び中空コアを備え、
第1のシール要素及び/又は第2のシール要素の中空コアが、調整可能な密封効果のために流体を用いて加圧される、
シャフトのための密封装置が提供される。
【0009】
外殻は編組材料の外側層を備え得る。
【0010】
少なくとも第1のシール要素及び/又は第2のシール要素は、外殻が摩滅するか又は裂けることにより、断線するように構成された電気回路要素を備え得る。
【0011】
密封装置は、第1のシール要素と第2のシール要素とを加圧するための流体を供給するための入口にそれぞれ接続された弁をさらに備え得る。
【0012】
流体は、空気など、気体を含み得る。
【0013】
密封装置は、少なくとも第1のシール要素と第2のシール要素との間の流体空間をさらに備え得る。
【0014】
流体空間中の圧力は調整可能であり得る。
【0015】
シャフトはロータリー・フィルタ・ユニットのシャフトを含み得る。
【0016】
本発明の第2の例示的な態様によれば、
シャフトの周りに配置された第1のシール要素の内部の第1の圧力を設定することと、
シャフトの周りに配置された第2のシール要素の内部の第2の圧力を設定することと、
第1のシール要素及び/又は第2のシール要素の内部の圧力を監視することと、
調整可能な密封効果のために第1のシール要素及び/又は第2のシール要素の内部の圧力を調整することと
を含む、本発明の第1の例示的な態様による、シャフトのための密封装置を制御するための方法が提供される。
【0017】
本方法は、電気回路要素を使用して第1のシール要素及び/又は第2のシール要素の摩耗を監視することをさらに含み得る。
【0018】
本方法は、圧力を監視すること及び/又は摩耗を監視することに基づいて第1のシール要素又は第2のシール要素の交換をスケジュールすることをさらに含み得る。
【0019】
本発明の第3の例示的な態様によれば、本発明の第1の例示的な態様の密封装置を備えるロータリー・フィルタ・ユニットが提供される。
【0020】
本発明の第4の例示的な態様によれば、本発明の第2の例示的な態様の方法を実行するための、少なくとも1つの測定及びアクチュエータ・モジュールに接続された制御デバイスを備える、本発明の第1の例示的な態様の密封装置を制御するための制御システムが提供される。
【0021】
本発明の第5の例示的な態様によれば、プロセッサによって実行されたときに、第2の例示的な態様による方法を実行させるコンピュータ実行可能プログラム・コードを含むコンピュータ・プログラムが提供される。
【0022】
本発明の第6の例示的な態様によれば、第5の例示的な態様のコンピュータ・プログラムを含む非一時的メモリ媒体が提供される。
【0023】
本発明の異なる非拘束的な例示的な態様及び実施例を上記で示した。上記の実施例は、単に、本発明の実装形態において利用され得る選択された態様又はステップを説明するために使用される。いくつかの実施例は、本発明のいくつかの例示的な態様に関してのみ提示され得る。対応する実施例は他の例示的な態様にも適用し得ることを諒解されたい。
【0024】
本発明の例示的な実施例のより完全な理解のために、次に、添付の図面とともになされる以下の説明を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の例示的な実施例による密封装置の概略断面図を示す図である。
【
図2】本発明の例示的な実施例による密封装置のさらなる概略断面図を示す図である。
【
図3】本発明の例示的な実施例による密封装置の概略立体図を示す図である。
【
図4】本発明の例示的な実施例によるシール要素の概略断面図を示す図である。
【
図5】本発明の例示的な実施例による密封装置制御システムの概略ブロック図を示す図である。
【
図6】本発明の例示的な実施例による密封装置制御方法のフロー・チャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1は、本発明の例示的な実施例による密封装置100の概略断面図を示す。密封装置100は、ディスク・フィルタ・ユニットのシャフト30の端部において、そのシャフト30の周りに示されている。一実施例では、フィルタ・ユニットは、白液フィルタ又は石灰泥(lime mud)フィルタなど、白液プラントのロータリー・フィルタ・ユニットである。密封装置100は、少なくとも第1の又は外側のシール要素10aと、少なくとも第2の又は内側のシール要素10bとを備える。第1のシール要素10a及び第2のシール要素10bはシャフト30の周りに同心状に配置される。一実施例では、装置は少なくとも1つのさらなるシール要素(図示せず)を備える。装置100は第1のシール要素10aと第2のシール要素10bとの間に流体空間60を備える。流体空間60は、密封効果を高めるために、及び固体粒子がシール要素を摩滅させるのを防ぎながらシール面をフラッシングするために、流体、一実施例では水で充填される。一実施例では、流体空間60中の流体の圧力は、好適な圧力になるように、たとえば流体空間60中への流体の流れを調整することによって、制御又は調整される。一実施例では、流体空間60中の流体圧力はロータリー・フィルタの内部の圧力よりも大きい。
【0027】
シャフト30は、
図1に矢印で示されているように、それの軸の周りを回転する。回転方向は決定的なものではない。さらに、シャフト30は、
図1に矢印で示されているように軸方向に往復動する。組み合わせられた回転と往復動とは密封装置100に高い要求を課す。旧来の密封を使用すると、シール要素は、大きい摩擦を引き起こす大きい押圧力を加えなければならないであろう。さらに、特に、ロータリー・フィルタ・ユニットにおいて使用される一実施例の場合のように中空シャフトの場合、完全に円形のシャフトを製造することは費用がかかり、困難であるので、シャフト30は完全に円形でなければ、密封は損なわれ得る。さらに、フィルタ・ユニットの内部は加圧され、動作環境を過酷にするアルカリ性物質を含んでいることに留意されたい。
【0028】
したがって、第1のシール要素10a及び第2のシール要素10bは調整可能であり、すなわち、密封効果は、圧力弁16a、16bを通して、加圧流体、一実施例では空気などの気体を用いてシール要素10a、10bを加圧することによって制御される。第1のシール要素10a及び第2のシール要素10bの内圧は個々に調整可能であり、すなわち、加圧は両方について同じレベルにある必要はない。一実施例では、第1の圧力要素10a及び/又は第2の圧力要素10bの内圧は、周囲圧力に対応するように設定される。調整可能な圧力は調整可能な密封効果に寄与する、すなわち、第1のシール要素10a及び第2のシール要素10bの圧力は、各動作状況において密封効果を与えるような形で調整される。流体空間60中の圧力は、一実施例では、第1のシール要素10a及び第2のシール要素10bの圧力に対して調整される。一実施例では、流体空間60中の圧力は第1のシール要素10a及び第2のシール要素10bの圧力よりも低い。一実施例では、流体空間60への流体は、流体供給の途絶の場合に流体の密封効果を確実にするために水圧アキュムレータを介して供給される。
図1はさらに、第1のシール要素10a及び第2のシール要素10bの配置を示す。第1のシール要素10aは、一実施例では、フィルタ・ユニットの外殻20とグランド(gland)40との間に配置される。第2のシール要素10bは、一実施例では、フィルタ・ユニットのグランド40と内部との間に配置される。第1のシール要素10aと第2のシール要素10bとは同じサイズ、すなわち、直径と内側断面直径とを有するように示されているが、さらなる実施例では、第1のシール要素10aと第2のシール要素10bとは異なるサイズを有する。例示的な一実施例では、第1のシール要素10aの直径及び第2のシール要素10bの直径、すなわちシャフトの直径は1300mmである。
【0029】
図2はさらに、
図1に対して拡大された、本発明の例示的な実施例による密封装置の概略断面図を示す。
図2は第1のシール要素10aと第2のシール要素10bとを示す。例示的な一実施例では、シール要素はExSealシール要素を備える。各シール要素10、10bは外殻14a、14bと中空コア12a、12bとを備える。一実施例では、外殻14a、14bは弾性材料を含む。一実施例では、外殻14a、14bは、ゴムなどの弾性材料の層と、摩耗しにくく引き裂かれにくい外側層、たとえば編組材料の外側層とを備える。
【0030】
第1のシール要素10a及び第2のシール要素10bの中空コア12a、12bは、流体、例示的な一実施例では空気などの気体を用いて加圧される。流体は、それぞれ、ニップル又は弁18a、18bを通して第1のシール要素10a及び第2のシール要素10bの内部に導かれる。弁18a、18bは、フィルタ・ユニットの外殻を通して、シール要素10a、10bを加圧するための流体を供給するための入口16a、16bにそれぞれ接続される。
【0031】
一実施例では、
図1及び
図2に示されているように、弁18a、18b及び入口16a、16bは、それの周りにシール要素が置かれたシャフトの軸に直角な方向に配置される。
図3に示されているさらなる実施例では、弁18a、18b及び入口16a、16bは、それの周りにシール要素が置かれたシャフトの軸に平行な方向に配置される。またさらなる実施例では、弁18a、18b及び入口16a、16bの配置は第1のシール要素10a及び第2のシール要素10bについて異なる。
【0032】
図3は、本発明の例示的な実施例による密封装置の概略立体図を示す。
図3はシャフト30の周りの第1のシール要素10aと第2のシール要素10bとを示す。
図3はまた、第1のシール要素10aと第2のシール要素10bとの継ぎ目15a、15bを示す。シール要素10a及び10bは、一実施例では、切れ目のないリングではなく、それの両端において閉じられたチューブからリングに形成され、それらの端部において継ぎ目15a、15bにおいて付着される。
図3はさらに、第1のシール要素10a及び第2のシール要素10bの入口16a、16bをそれぞれ示す。
図3の実施例において、第2のシール要素10bの入口16bの管は第1のシール要素10aの継ぎ目15a中に配置されている。
【0033】
図4は、本発明の例示的な実施例によるシール要素の概略断面図を示す。
図4は例として第1のシール要素10aを示し、第2のシール要素10b及びさらなるシール要素の構造及び機能は一実施例において同様であることを当業者は理解する。第1のシール要素は、
図1~
図3に関して前に説明したように、中空コア12a、弾性外殻14a、加圧流体を供給するための入口16aに取り付けられた弁18aを備える。
図4の実施例において、シール要素10aは、断線されるまで電流を伝導するために構成された少なくとも1つの電気回路要素50aをさらに備える。電気回路要素50aは、一実施例では、たとえば銅線を備える。電気回路要素50aは、シール要素10aが摩耗を受けた際に、使用中に外殻が摩滅するか又は裂けることにより、電気回路要素50aがある時点において断線するような形で、シール要素10の外殻14a中に配置される。電気回路要素50aが断線した場合、電気回路要素50aはもはや、検出することができる電流を伝導しなくなり、したがってシール要素10aの過度の摩耗が検出される。さらなる実施例では、シール要素10aは、その中に埋め込まれた温度センサーをさらに備える。
【0034】
図5は、本発明の例示的な実施例による密封装置制御システムの概略ブロック図を示す。
図5は、密封装置100と、それに接続された制御手段とを示す。制御システムは制御デバイス500を備える。一実施例では、制御デバイス500は、密封装置100を制御するように構成されたスタンドアロン制御デバイス、たとえばローカル制御デバイス又はクラウドベース制御システムである。さらなる実施例では、制御デバイス500はミルワイド(mill-wide)制御システムに一体化される。
【0035】
制御デバイス500は測定及びアクチュエータ・モジュール510a、510bに接続される。一実施例では、各シール要素10a、10bのための測定及びアクチュエータ・モジュールが別個に設けられる。さらなる実施例では、単一の測定及びアクチュエータ・モジュールがすべてのシール要素10、10bのために共同で設けられる。測定及びアクチュエータ・モジュール510a、510bは、密封装置100の第1のシール要素10a及び第2のシール要素10bの内部の圧力を測定するように構成される。さらに、測定及びアクチュエータ・モジュール510a、510bは、弁など、第1のシール要素10a及び第2のシール要素10bの内部の圧力を供給し、調整するための手段を動作させるように構成される。さらなる実施例では、測定及びアクチュエータ・モジュール510a、510bは、電気回路を断線させた摩耗を検出するために、電気回路要素50aによって伝導される電流を監視するように構成される。またさらなる実施例では、測定及びアクチュエータ・モジュール510a、510bは、シール要素10a、10bの温度を監視するように構成される。
【0036】
図6は、本発明の例示的な実施例による密封装置制御方法のフロー・チャートを示す。一実施例では、本発明の例示的な実施例による方法はプロセッサ、たとえば制御システム又は制御デバイス500のプロセッサによって実行させられる。ステップ610において、少なくとも第1のシール要素10a及び/又は第2のシール要素10bの内部の圧力並びに流体空間60中の圧力が設定される。一実施例では、圧力は、事前決定された圧力値に設定される。さらなる実施例では、圧力は、目下の動作状況におけるフィルタ・ユニットの動作圧力に応じて設定される。一実施例では、圧力は、第1のシール要素10a及び第2のシール要素10bについて異なる値に設定される。一実施例では、少なくとも第1のシール要素10a及び第2のシール要素10bの内部の圧力は、実質的に、0.5~4バール、好ましくは1.6~3バールの範囲内である。
【0037】
ステップ620において、第1のシール要素10a及び/又は第2のシール要素10bの内部の圧力は動作中に監視される。一実施例では、圧力はリアルタイムで又は断続的に監視される。一実施例では、圧力は圧力センサーを用いて監視される。さらなる実施例では、圧力は、圧力を維持するために必要とされる流体、たとえば空気の量を監視することによって監視される。圧力、又は圧力を保持するために必要な流体の量が低下した場合、当該のシール要素10a、10bが摩耗し過ぎていることがあり、その場合、ステップ640においてシール要素の交換がスケジュールされることになる。第1のシール要素10a及び/又は第2のシール要素10bの内部の圧力は、一実施例では、たとえば動作状況に基づいて、又はステップ620における測定に基づいて、同じく動作中にステップ610において調整される。
【0038】
一実施例では、第1のシール要素10a及び/又は第2のシール要素10bの摩耗は、電気回路要素50aを使用して監視される。一実施例では、摩耗モニターは、電気回路要素50aが導通しないとき、すなわち、当該のシール要素の摩耗により回路が断線したときにトリガされるアラームを備える。そのような場合、シール要素はステップ640において交換がスケジュールされる。
【0039】
以下に示す特許請求の範囲の範囲、解釈、又は適用をいかなる形でも限定することなしに、本明細書で開示する例示的な実施例のうちの1つ又は複数の技術的効果は、回転及び往復動するシャフトのための効果的な密封を提供することである。本明細書で開示する例示的な実施例のうちの1つ又は複数の別の技術的効果は、アルカリ性環境における効果的な密封の提供である。本明細書で開示する例示的な実施例のうちの1つ又は複数の別の技術的効果は、密封効率の調整及び監視を可能にすることである。本明細書で開示する例示的な実施例のうちの1つ又は複数のまたさらなる技術的効果は、より安全で、よりメンテナンス・フリーの密封である。本明細書で開示する例示的な実施例のうちの1つ又は複数の別の技術的効果は、密封の寿命の向上である。
【0040】
必要な場合、本明細書で説明した異なる機能は異なる順序で及び/又は互いと同時に実行され得る。さらに、必要な場合、前に説明した機能のうちの1つ又は複数が随意であり得るか又は組み合わせられ得る。
【0041】
本発明の様々な態様が独立クレーム中に記載されているが、本発明の他の態様は、説明した実施例及び/又は従属クレームからの特徴と独立クレームの特徴との他の組合せを含み、特許請求の範囲に明示的に記載された組合せのみを含むのではない。
【0042】
また、本明細書において、上記では本発明の例示的な実施例について説明しているが、これらの説明は限定的な意味で考えられるべきでないことに留意されたい。そうではなく、添付の特許請求の範囲において定義されている本発明の範囲から逸脱することなく行われ得る、いくつかの変形形態及び改変形態がある。
【国際調査報告】