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特表2024-523447MRIシステムでの3D位置決めデータの決定
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-28
(54)【発明の名称】MRIシステムでの3D位置決めデータの決定
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/055 20060101AFI20240621BHJP
   G06T 7/70 20170101ALI20240621BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20240621BHJP
   G06T 17/20 20060101ALI20240621BHJP
   G06T 17/10 20060101ALI20240621BHJP
【FI】
A61B5/055 382
A61B5/055 390
G06T7/70 A
G06T7/00 612
G06T7/00 350B
G06T17/20
G06T17/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023578743
(86)(22)【出願日】2022-06-20
(85)【翻訳文提出日】2024-01-15
(86)【国際出願番号】 EP2022066701
(87)【国際公開番号】W WO2022268698
(87)【国際公開日】2022-12-29
(31)【優先権主張番号】21180516.3
(32)【優先日】2021-06-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】弁理士法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ソマー カルステン
(72)【発明者】
【氏名】クルーガー サシャ
(72)【発明者】
【氏名】ウェルベルク ヤン ヘンドリク
(72)【発明者】
【氏名】グレスリン イングマル
(72)【発明者】
【氏名】フリーキング レナ クリスティーナ
【テーマコード(参考)】
4C096
5L096
【Fターム(参考)】
4C096AB12
4C096AD07
4C096AD14
4C096BB02
4C096BB03
4C096DC15
4C096DC36
4C096FC09
5L096AA02
5L096AA06
5L096AA09
5L096BA06
5L096CA02
5L096DA02
5L096EA15
5L096EA16
5L096FA67
5L096FA69
5L096GA40
5L096KA04
(57)【要約】
本発明は、MRIシステム内の3D位置データを決定する手段を提供する。MRデータの動き補正のための方法は、計算ユニット51によって、対象23の関心領域24の3Dモデルを生成するステップであって、関心領域24は、対象23に固有の少なくとも1つのランドマーク27を含む、生成するステップ(S10)と、第1の測定デバイス20、25、52によって、MRIシステム22内の対象23の少なくとも一部の2D画像を取得するステップであって、測定デバイスは、MRIシステムのボア内に配置されている、取得するステップ(S20)と、計算ユニット53によって、2D画像内の少なくとも1つのランドマーク27を決定するステップであって、2D画像内の少なくとも1つのランドマーク27は、3Dモデルの少なくとも1つのランドマーク27に対応している、決定するステップ(S30)と、計算ユニット54によって、2D画像内の決定された少なくとも1つのランドマーク27に基づいて、MRIシステム22内の対象23の関心領域24の3D位置を決定するステップ(S40)と、計算ユニット55によって、MRデータの動き補正のための対象23の関心領域24の3D位置を提供するステップ(S50)とを有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
計算ユニットによって、対象の関心領域の3Dモデルを生成するステップであって、前記3Dモデルは、前記対象に固有の少なくとも1つのランドマークを含む、生成するステップと、
第1の測定デバイスによって、MRIシステム内の前記対象の少なくとも一部の2D画像を取得するステップであって、前記測定デバイスは、前記MRIシステムのボア内に少なくとも部分的に配置されている、取得するステップと、
前記計算ユニットによって、前記2D画像内の少なくとも1つのランドマークを決定するステップであって、前記2D画像内の前記少なくとも1つのランドマークは、前記3Dモデルの前記少なくとも1つのランドマークに対応している、決定するステップと、
前記計算ユニットによって、前記2D画像内の決定された前記少なくとも1つのランドマークに基づいて、前記MRIシステム内の前記対象の前記関心領域の3D位置を決定するステップと、
前記計算ユニットによって、MRデータの動き補正のための前記対象の前記関心領域の前記3D位置を提供するステップと
を有する、MRデータの動き補正のための方法。
【請求項2】
前記対象の少なくとも1つのモデリング画像を取得するステップをさらに有し、前記少なくとも1つのモデリング画像は、前記MRIシステムの前記ボアの外側に配置された第2の測定デバイスによって取得された少なくとも1つの画像であり、前記少なくとも1つのモデリング画像は、前記対象の前記関心領域の前記3Dモデルを生成するために使用される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも1つのモデリング画像は、前記対象の前記関心領域の3Dデータを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第2の測定デバイスは、深度カメラである、請求項2又は3に記載の方法。
【請求項5】
前記第2の測定デバイスは、少なくとも1つの光学カメラである、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記3Dモデルを生成するステップは、対象の関心領域の少なくとも1つのランドマークを処理する数学アルゴリズムを表す機械学習システムに基づいており、前記機械学習システムは、対象の関心領域の幾何学的データと前記対象の前記関心領域の少なくとも1つのランドマークとの関係を記述するようにトレーニングされている、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記MRIシステム内の前記対象の関心領域の前記位置を決定するステップは、前記ボア内の前記第1の測定デバイスによって取得された前記2D画像に適合する前記3Dモデルの投影を取得するために、前記第1の測定デバイスの位置に関連した前記3Dモデルの1つ以上の回転及び1つ以上の並進を決定するステップを含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の測定デバイスは、コイル内に配置されている、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の測定デバイスは、光学カメラである、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記対象の前記関心領域は、前記対象の頭部である、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記対象の前記3Dモデルを生成するステップは、解剖学的モデル、好ましくは、モーフィング可能な3Dモデルに基づいている、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記対象の前記関心領域の前記位置は、前記MRデータの前記動き補正のために、継続的に決定され提供される、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
対象の3Dモデルを生成する生成ユニットであって、前記3Dモデルは、前記対象に固有の少なくとも1つのランドマークを含む、生成ユニットと、
MRIシステム内の前記対象の少なくとも一部の2D画像を取得する取得ユニットであって、前記MRIシステムのボア内に配置されている、取得ユニットと、
前記2D画像内の少なくとも1つのランドマークを決定する第1の決定ユニットであって、前記2D画像内の前記少なくとも1つのランドマークは、前記3Dモデルの前記少なくとも1つのランドマークに対応している、第1の決定ユニットと、
前記2D画像内の決定された前記少なくとも1つのランドマークに基づいて、前記MRIシステム内の前記対象の位置を決定する第2の決定ユニットと、
MRデータの動き補正のために、前記対象の前記位置を提供する提供ユニットと
を備える、MRデータの動き補正のための装置。
【請求項14】
請求項13に記載の装置と、
MRIシステムと、
MRIシステム内で2D画像を取得する第1のカメラと
を備える、医用イメージングのためのシステム。
【請求項15】
プロセッサによって実行されると、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法のステップを行う、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、MRデータの動き補正のための方法、MRデータの動き補正のための装置、医用イメージングのためのシステム、及びコンピュータプログラム要素に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気共鳴イメージング(MRI)は最新技術から知られている。MRIは、人体の臓器など、解剖学的構造の医用画像を取得するために使用される。MRIは、強磁場、磁場勾配、及び電波を使用して医用画像を取得する。医用画像の品質は、基準画像との比較や医用画像の分析(臓器内の特定の領域の決定など)に重要である。医用画像の品質は、特にイメージングされる所望の物体とイメージングシステムとの位置合わせに依存する。位置合わせの情報が不正確であったり、時間の経過とともに変化したりする可能性があり、結果として得られる医用画像の品質に悪影響を及ぼす可能性がある。
【0003】
A.Kyme他による論文「Marker-free optical stereo motion tracking for in-bore MRI and PET-MRI application」(Medical Physics、第47巻、第8号(2020年6月1日))は、プロスペクティブ動き補正のための方法を開示している。
【0004】
A.Kyme他による論文「Markerless motion tracking of awake animals in positron emission tomography」(IEEE transactions on medical imaging、第33巻、第11号(2014年11月1日))は、陽電子放出断層撮影における動き補償方法を開示している。
【0005】
米国特許出願第2018/0325415A1号は、医用イメージング検査中にヒト又は動物の対象からの動き情報を測定する方法を開示している。
【発明の概要】
【0006】
したがって、MRIシステムにおける対象の位置決定を改善する必要がある。本発明の目的は、独立請求項の主題によって達成され、さらなる実施形態は、従属請求項に組み込まれている。
【0007】
第1の態様によれば、MRデータの動き補正のための方法が提供される。方法は、計算ユニットによって、対象の関心領域の3次元(3D)モデルを生成するステップであって、3Dモデルは、対象に固有の少なくとも1つのランドマークを含む、生成するステップを有する。方法はさらに、第1の測定デバイスによって、MRIシステム内の対象の少なくとも一部の2次元(2D)画像を取得するステップであって、測定デバイスは、MRIシステムのボア内に少なくとも部分的に配置されている、取得するステップを有する。さらに、方法は、計算ユニットによって、2D画像内の少なくとも1つのランドマークを決定するステップであって、2D画像内の少なくとも1つのランドマークは、3Dモデルの少なくとも1つのランドマークに対応している、決定するステップを有する。方法はさらに、計算ユニットによって、2D画像内の決定された少なくとも1つのランドマークに基づいて、MRIシステム内の対象の関心領域の位置を決定するステップと、計算ユニットによって、MRデータの動き補正のための対象の関心領域の3D位置を提供するステップとを有する。
【0008】
本明細書で使用される場合、MRデータという用語は、広義に理解されるべきであり、MRI手順と関連付けられたデータに関連している。MRデータは、MRI手順の準備段階及び/又はMRI手順の運用段階でMRIシステムを制御するために使用されるデータに関連している場合がある。MRデータは、MRIシステムのスキャナにおいて磁気共鳴勾配、高周波パルス、及び受信機周波数の適応信号及び/又は制御信号を生成するために使用されるデータ及び/又は情報を含む場合がある。MRI手順の準備段階及び/又は運用段階におけるMRデータの動き補正は、プロスペクティブ動き補正としても知られている。そのため、準備段階は運用段階に先行する。MRデータは、MRI手順で取得された(例えば、収集された)MR画像に関連している場合がある。MRI手順の後処理段階におけるMR画像の動き補正は、レトロスペクティブ動き補正としても知られている。
【0009】
本明細書で使用される場合、計算ユニットという用語は、広義に理解されるべきであり、特にデータ処理によって2D画像内の1つ以上のランドマークを決定するためにデータを処理するように構成されたユニットを意味する。計算ユニットは、ハードウェアユニット(コントローラ、ワークステーション、サーバーなど)、ソフトウェアユニット(ハードウェアユニット上で実行される仮想マシンなど)、又はハードウェアとソフトウェアとの組み合わせであり得る。制御ユニットは、単一のエンティティにあることも、いくつかのエンティティに分散されていることもある。エンティティはハードウェアユニット及び/又はソフトウェアユニットであり得る。
【0010】
本明細書で使用される場合、3Dモデルという用語は、広義に理解されるべきであり、対象の関心領域を記述するように構成されたモデルに関連している。3Dモデルは、点モデル、線モデル、表面モデル、又はボリュームモデルであり得る。例えば、3Dモデルは、顔の特徴、骨、組織、臓器、及び/静脈の情報を含み、他の身体部位、臓器なども情報として取り込まれる場合がある。3Dモデルは、例えば、年齢、性別、体重などを考慮して、データベースなどからの統計情報に基づいている場合がある。例えば、3Dモデルは解剖学的アトラスに基づいている場合がある。3Dモデルは、イメージングされる対象の過去のデータ(以前の医用イメージング検査からの以前の画像など)に基づいている場合もある。3Dモデルは、例えば、ベクトルで記述することができ、ベクトルは、少なくとも1つのランドマークの、好ましくは、いくつかのランドマークの3D情報を含み得る。
【0011】
本明細書で使用される場合、対象という用語は、人間又は動物を意味する。本明細書で使用される場合、関心領域は、人間又は動物の身体の任意の部分(骨、組織、臓器、又はそれらの組み合わせなど。他の身体部分、臓器なども情報として取り込まれる場合がある)に関連している。
【0012】
本明細書で使用される場合、ランドマークという用語は、広義に理解されるべきであり、2D画像及び3Dデータを含む画像で決定されるように構成された少なくとも1つのマーカーに関連している。ランドマークは、関心領域の構造的な(例えば、固有の)構成要素(骨、目、鼻、手など)、色の組み合わせ若しくは色の変化(左頬にあるほくろなど)、又は関心領域に隣接する仮想マーカー(2本の骨など、関心領域の2つ以上の物理マーカーから得られる)であり得る。ランドマークは、特に対象に付属している別のエンティティではなく、むしろ対象に固有のものである。ランドマークは、2D画像内に可視である対象又は隣接領域の一部であり得る。ランドマークは、画像解析アルゴリズム、例えば、エッジ検出アルゴリズムによって決定され得る。ランドマークは、2D画像内で、画像解析アルゴリズムによって自動的に決定され得る。2D画像はボア内カメラからのビデオストリームによって連続的に取得される。特に、3Dモデルの少なくとも1つのランドマークを探すことで、2D画像内の少なくとも1つのランドマークを取得できる。例として、画像解析アルゴリズムは、3Dモデルの少なくとも1つのランドマークの特定の特徴について2D画像を具体的にスキャンする。別の例として、画像解析アルゴリズムは、2D画像内のランドマークを見つけ、それらを3Dモデルの少なくとも1つのランドマークと一致させることができる。ランドマークは事前に定義されていることが好ましい。複数のランドマーク(5つなど)が事前に定義されており、MRIシステムのボア内で4つのランドマークのみが決定されている場合、方法は4つのランドマークを用いて実行を続行できる。
【0013】
本明細書で使用される場合、「第1の測定デバイス」という用語は、広義に理解されるべきであり、MRIシステムのボア内の対象の一部の2D画像を取得するように構成されている任意の測定デバイスに関連している。第1の測定デバイスはセンサユニットであり得る。測定デバイスは、光学カメラセンサ、赤外線センサ、レーザー干渉計などであり得る。第1の測定デバイスは、単一のエンティティであることも、2つ以上のエンティティに分散されていることもある。エンティティはセンサユニットに関連している。第1の測定デバイスは、例えば、RGBセンサ又はCCDセンサであり得る。第1の測定デバイスは、ボア内から連続的にストリーミングする赤外線カメラなどであり得る。第1の測定デバイスは、2D画像を、連続的に又は離散時間後に取得してもよい。第1の測定デバイスは、対象、特に対象の一部、より具体的には対象の関心領域に直接視覚的に接触するように配置され得る。第1の測定デバイスは、対象、特に対象の一部、より具体的には対象の関心領域にミラーを用いて間接的に視覚的に接触するように配置され得る。第1の測定デバイスは、計算ユニット、データストレージ、サーバー、ワークステーションと有線接続(イーサネットなど)にすることができる。第1の測定デバイスは、前述のエンティティとワイヤレス接続(WIFIなど)にすることができる。
【0014】
本明細書で使用される場合、MRIシステムは、MRI手順を実行するように構成された最新のMRIシステムに関連している。本明細書で使用される場合、MRIシステムは、少なくとも、MRIシステムを制御するように構成されたMRIコントロール部、対象を支える可動支持構造がその中に配置されたボア、1つ以上のMRソースコイル、1つ以上のMR検出コイルを含む。MRIシステムは第1の測定デバイスによって有利に増強され得る。
【0015】
本明細書で使用される場合、3D位置という用語は、少なくとも、対象の関心領域の単一点の3つの並進座標(x、y、z座標など)を意味する。1つ以上の単一点の3D位置によって、対象の関心領域の向きが明らかになり得る。3D位置は、さらなる3つの回転座標を含む場合がある。
【0016】
本発明は、MRI手順におけるMRIシステムに対する対象の3D位置の知識、特に対象の関心領域の位置の知識(例えば、MRIシステム座標で表現される)が、結果として得られるMR画像の品質に重要であるという発見に基づいている。MR画像を取得するには、MRI手順から結果として得られる測定データをさらに処理する必要がある。MR画像を取得するためのさらなる処理は、対象の関心領域の3D位置が必要である。MR画像を取得するためのさらなる処理で対象の関心領域の使用された3D位置が不正確な場合、結果として得られるMR画像も不正確である。対象の関心領域の3D位置は、対象が息を吸ったり吐いたり、単に動いたりするにつれて、時間の経過とともに変化し得る。しかし、関心領域の3D位置の変化は、動き補正が行われない場合、MRI手順のメタデータ、したがって、対応する取得したMR画像に影響を与えることになる。本発明は、MRIシステムのボア内の対象の関心領域の3D位置を決定し、対象の関心領域の3D位置を使用して、イメージング後のMR画像を補正する(すなわち、レトロスペクティブ動き補正)。さらに、対象の関心領域の決定された3D位置は、MRI手順、特にMRI手順の前にMRIシステムの磁気共鳴勾配、高周波パルス、及び受信機周波数を適応させるために使用することもできる(すなわち、プロスペクティブ動き補正)。対象の関心領域の3D位置の決定は、最新の測定デバイス、特にMRIシステムのボア内に実装された2Dカメラセンサによって取得された2D画像を用いて行われる。これは、1台の2Dカメラしか必要でないため、特に3D深度カメラは不要であるため、有利であり得る。2Dカメラは、3Dカメラ(深度カメラなど)と比較して、MRIシステムのボア内の磁場内で有利に操作することができる。本発明は、取得された2次元画像からの情報を3次元モデルにマッピングし、それにより、対象の関心領域の3D位置を決定することによって、単純であるが堅牢な2Dカメラの使用を可能にする。本発明は、単一のボア内カメラと、ボアの外側(例えば、スキャナ室内)に配置された追加の深度カメラとを使用して磁気共鳴動きアーチファクトを補正することを可能にする。
【0017】
実施形態では、方法は、医用イメージングシステムのボアの外側に配置された第2の測定デバイスによって、対象の少なくとも1つのモデリング画像を取得するステップをさらに有し、少なくとも1つのモデリング画像は、対象の関心領域の3Dモデルを生成するために使用される。本明細書で使用される場合、モデリング画像という用語は、MRI手順の準備段階において対象の関心領域の3Dモデルを生成するためにモデリングが単に使用されていることを意味する。例えば、対象は、MRIシステムのボアの外側の指示構造上に横たわり、第2の測定デバイスは、対象の上に(天井などに)配置される。測定デバイスは、1つ以上の視点からの関心領域の1つ以上のモデリング画像を撮影してもよい。3Dモデルは、デフォルトの寸法を有するデフォルトの3Dモデルを含み得、これらの寸法は、対象の関心領域の少なくとも1つのモデリング画像によって適応される。対象の関心領域の実際の寸法は、モデリング画像を解析することによってモデリング画像から直接取得できる。モデリング画像に2Dデータしか含まれていない場合、この解析にはニューラルネットワークなどを利用することが含まれ得る。モデリング画像に3Dデータが含まれる場合、この解析には単純にモデリング画像から読み取ることが含まれ得る。3Dモデルは、例えば、本明細書に説明する方法を実施する間に新しく生成される。つまり、デフォルトの3Dモデルがない。要するに、これは、3Dモデルの精度が増加し、したがって、MRデータの結果として得られる品質も高まるので有利であり得る。モデリング画像は、第2の測定デバイスから連続的に受信され得る。モデリング画像は、少なくとも1つのランドマークを検出するために連続的に解析され得る。このとき、解析には、1つ以上の数学亜リゴリズムが含まれ得る。少なくとも1つのランドマークは、関心領域について予め定義されていてもよい(頭部の頬骨など)。数学アルゴリズムには、エッジ検出アルゴリズム、この目的のためにトレーニングされたニューラルネットワーク、又は他の適切な計算方法が含まれ得る。数学アルゴリズムは、対象がMRIシステムのベッド上にいるかどうか、及び/又は対象がMRIシステムのボアの外側若しくは内側にいるかどうかを決定できる。数学アルゴリズムは、対象の異なる部分(頭部、脚、腕など)を決定できる。数学アルゴリズムは、第2の測定デバイスからの任意のデータストリーム(例えば、2D情報(深度カメラからのRGB出力)、深度カメラからの3D情報、又はそれらの組み合わせ)を使用し得る。数学アルゴリズムは、最初に予め定義されている関心領域(頭部など)を検出し、次に、予め定義されている少なくとも1つのランドマーク(頬骨など)を検出できる。複数のモデリング画像が取得される場合、対象の関心領域の3Dモデルを生成するステップは、3Dモデルの平均を計算するステップを含み得る。複数のモデリング画像が取得される場合、対象の関心領域の3Dモデルを生成するステップは、対象の関心領域の異なる3Dモデルを融合させるステップを含み得る。
【0018】
実施形態では、少なくとも1つのモデリング画像は、対象の関心領域の3Dデータを含み得る。3Dデータは、モデリング画像内の各ピクセルの並進座標(x、y、z方向)などを含み得る。3Dデータは、深度カメラ、レーザー干渉計スキャナ、及び/又は2つ以上の2Dカメラ(コンピュータステレオビジョンを可能にする異なる視点での2つのRGBセンサカメラなど)から取得され得る。コンピュータステレオビジョンは、デジタル画像からの3D情報の抽出である。2つの視点からの関心領域からの情報を比較することによりデジタル画像内の物体(ランドマークなど)の相対位置を調べることで3Dデータを抽出できる。対象の関心領域の3Dデータは、3Dモデル、したがって、結果として得られるMRデータの精度を有利に高めることができる。モデリング画像からの3Dデータを使用して、適切な座標系(MRI座標系、関心領域(頭部など)座標系など)での対応する3D空間位置を取得できる。例えば、患者を中心とした座標系を使用できる。この場合、少なくとも1つのランドマークは、座標系の原点である。座標系は、計算を簡素化するために、同次座標を含み得る。
【0019】
実施形態では、第2の測定デバイスは、深度カメラであり得る。深度カメラは、対象の関心領域の非常に正確な3D情報データを有利に提供できる。深度カメラは、飛行時間原理を使用して、2D画像から3D情報を決定できる。深度カメラは、構造化光を使用して、2D画像から3D情報を決定できる。深度カメラは、コヒーレント光を使用し、ソース光に対する反射光の位相シフトを測定できる(すなわち、レーザー干渉分光法)。
【0020】
実施形態では、第2の測定デバイスは少なくとも1つの光学カメラであり得る。光学カメラはRGBカメラであり得る。RGBカメラは2D画像のみを提供する。したがって、3Dデータを得るためには、RGBカメラから2つの異なる視点の2つの画像を必要とするか(つまり、コンピュータステレオビジョン、これは、好ましくは少なくとも2つの光学カメラを必要とする)、又は、RGBカメラによって取得された2D画像からの2Dデータは、3Dモデルと調整する必要がある。第2のオプションは、数学アルゴリズムによって行われ得る。数学アルゴリズムは、典型的に一連のフリーパラメータを有する内部処理チェーンによって、1つ以上の入力を1つ以上の出力に処理するようにトレーニングされ得る。内部処理チェーンは、入力から出力へ進む際に連続して横断される相互接続された層で編成され得る。数学アルゴリズムは、トレーニングデータの記録を使用することによってトレーニングされ得る。トレーニングデータの記録には、トレーニング入力データと対応するトレーニング出力データとが含まれている。本明細書で使用される場合、トレーニング入力データは、対象の関心領域からの2D画像であり得、トレーニング出力データは、(例えば、3D深度カメラで測定される)対象の関心領域の3Dデータであり得る。トレーニング入力データ及びトレーニング出力データはまた、トレーニングデータを提供する労力を低減するために、シミュレートされたデータであってもよい。要するに、これは、コスト削減及び3Dモデルの精度の観点から有利であり得る。光学カメラは赤外線カメラであってもよい。光学カメラは、電荷結合デバイス(CCD)センサ又はアクティブピクセルセンサ(つまり、相補型金属酸化物半導体(CMOS)センサ)を使用してもよい。
【0021】
実施形態では、3Dモデルを生成することは、対象の関心領域の少なくとも1つのランドマークを処理する数学アルゴリズムを表す機械学習システムに基づいてもよい。機械学習システムは、対象の関心領域の幾何学的データと対象の関心領域の少なくとも1つのランドマークとの関係を記述するようにトレーニングされる。トレーニングデータは、2D画像及び対応する3D画像の記録から得ることができる。2D画像及び対応する3D画像は、トレーニングデータを提供する労力を低減するために、シミュレートされてもよい。機械学習システムは、ニューラルネットワーク、機械学習アルゴリズム、畳み込みニューラルネットワーク、又は敵対的生成ネットワークによって実施され得る。機械学習システムを使用することは、3Dモデルの生成の効率及び精度の観点から有利であり得る。
【0022】
実施形態では、MRIシステム内の対象の関心領域の位置の決定には、ボア内の第1の測定デバイスによって取得された2D画像に適合する3Dモデルの投影を取得するために、第1の測定デバイスの位置に関連した3Dモデルの1つ以上の回転と1つ以上の並進を決定することが含まれ得る。言い換えれば、方法は、対象の関心領域のどの3D位置が、対象の関心領域の取得した投影(すなわち、2D画像)につながり得るのかをチェックする。したがって、決定はさらに、ボア内の第1の測定デバイスの位置を考慮し得る。決定は、参照において、ボア内の第1の測定デバイスの位置からある視点を計算し得る。この決定には、切片定理の物理方程式が使用されてもよい。決定には、MRIシステム内の対象の関心領域の位置を決定するために数値近似法が使用されてもよい。決定にはさらに、MRIシステム内の対象の関心領域の位置を決定するために、この目的のためにトレーニングされている可能性のあるニューラルネットワークが使用されてもよい。要するに、これは、MRIシステムにおける対象の位置を正確に決定するのに有利であり得る。
【0023】
実施形態では、第1の測定デバイスは、コイル、又はそのハウジングなどに配置され得る。コイルに第1の測定デバイスを配置することは、何も隠されない、又は、測定デバイスと対象の関心領域との間の視界が遮られないため、有利であり得る。コイルは、ヘッドコイル又は別のボディコイルであり得る。コイルは、MRIシステム内の固定コイルであってもよい。第1の測定デバイスはまた、ボアの天井に取り付けられてもよい。第1の測定デバイスはまた、対象及び/又は関心領域に応じてその視点を変更し得る(例えば、サイズの異なる対象は異なる視点を必要とする)。測定デバイスはまた、隠れた領域(顎の下側など)をイメージングするために、1つ以上のミラーと組み合わせて配置されてもよい。ミラーが使用される場合、MRIシステム内の対象の位置を決定するために、測定デバイスの位置に加えてミラーの位置も使用される。
【0024】
実施形態では、モデリング画像を使用して、適切な座標系での対応する3D位置が取得できる。例えば、患者を中心とした座標系を使用できる。この場合、複数の予め定義されたランドマークのうちの1つのランドマークが原点として使用される。通常、検査準備中に関心領域の複数のモデリング画像が利用可能となるため、結果として得られる3Dモデルを平均して、精度を高めるためにスティッチングできる。同次座標を使用すると、結果として得られる個々の基準ランドマーク位置をベクトル
【数1】
によって記述できる。3Dモデルを記述するために、これらの位置は、単一の基準ベクトル
【数2】
に集約できる。対象がボア内に動かされると、MRIシステムのボア内の2D画像上の1つ以上のランドマークが決定される。複数のランドマークのうちの部分集合のみが高精度で決定される場合、すべての計算は、検出されていないランドマーク変数を単純にドロップすることによって、このランドマークの部分集合に制限され得る。検出されたボア内のランドマーク位置は、ベクトル
【数3】
によって記述できる(ここでも同次座標)。さらなるボア内2Dモデルが、これらのベクトルを
【数4】
に集約することによって取得できる。次に、基準3Dベクトルのボア内2Dベクトルへの変換を記述するベクトルは、
【数5】
を解くことによって見出される。Cは、ボア内カメラによって実現される投影を記述する3×4行列からなるブロック対角行列であり、Mθは、基準ベクトルからボア内の3Dベクトルへの3D変換を記述するブロック対角行列である(θをパラメータとする)。剛体動きモデルでは、
【数6】
であり、ここで、
【数7】
及び
【数8】
は、それぞれ、3D変換行列及び回転行列である。ボア内カメラによって取得された第1の画像では、式は、関心領域(頭部など)の理想の姿勢に対応するθの初期化を使用して解く。次に、結果として得られる変換パラメータθ(0)は、すべての以降のボア内カメラ画像の初期値として使用され、これはθ(t)をもたらす。所望の3D位置は、基準変換:
Δθ=θ(t)-θ(0)
からの偏差として計算される。次に、これらの3D位置は、動き補正にさらに使用され得る。レトロスペクティブ動き補正の場合、パラメータは、特定のMRスキャンの収集された各カメラ画像の収集されたMRデータプロファイルと時刻同期されて保存され、スキャンが完了すると再構成ソフトウェアに送られ得る。プロスペクティブ動き補正の場合、計算された動きパラメータは、スキャナソフトウェアに直接送られて、磁気共鳴勾配、高周波パルス、及び受信機周波数を調整して動きが考慮され得る。
【0025】
実施形態では、第1の測定デバイスは光学カメラであり得る。光学カメラはRGBカメラであり得る。RGBカメラは、MRTシステムなどの磁気環境において堅牢な動作挙動を有する測定デバイスである。これは、方法の堅牢性及び信頼性の観点から有利であり得る。光学カメラは赤外線カメラであってもよい。これも、方法の堅牢性及び信頼性の観点から有利であり得る。第1の測定デバイスとして単一の光学カメラを使用することは、方法を実行するのに十分であることを言及しておく。しかし、MRIシステム内の対象の関心領域のより良いカバレッジを得るために、ボア内に多くのRGBカメラを使用することも有利であり得る。
【0026】
実施形態では、対象の関心領域は、対象の頭部であり得る。
【0027】
実施形態では、対象の3Dモデルを生成するステップは、解剖学的モデル、好ましくは、モーフィング可能な3Dモデルに基づき得る。これは、3Dモデルの精度の観点から有利であり得る。モーフィング可能な3Dモデルは、関心領域が頭部又は顔である場合に有利であり得る。モーフィング可能な3Dモデルは、発生モデルであり、これは、登録手順において顔又は頭部の例の集合に関して確立され得る。モーフィング可能な3Dモデルは、顔又は頭部の例の分布の統計モデルであり得る。
【0028】
実施形態では、対象の関心領域の位置は、MRデータの動き補正のために継続的に決定され提供され得る。方法の継続的な実行には、計算及びデータ交換のためのリアルタイムが可能なハードウェア構成要素を必要とし得る。計算は、ワークステーション、FPGA、高性能コンピュータ、データセンターによって実行され得る。第1の測定デバイス、第2の測定デバイス、MRIシステムのコントロール部、及び計算ユニット間のデータ交換は、第三世代バスシステム、イーサネット、及び高速イーサネットハブによって実行され得る。
【0029】
さらなる態様によれば、MRデータの動き補正のための装置が提供される。装置は、少なくとも1つのランドマークを含む対象の関心領域の3Dモデルを生成するように構成された生成ユニットと、MRIシステム内の対象の少なくとも一部の2D画像を取得するように構成された取得ユニットであって、MRIシステムのボア内に配置されている、取得ユニットと、2D画像内の少なくとも1つのランドマークを決定するように構成された第1の決定ユニットであって、2D画像内の少なくとも1つのランドマークは、3Dモデルの少なくとも1つのランドマークに対応している、第1の決定ユニットと、2D画像内の決定された少なくとも1つのランドマークに基づいて、MRIシステム内の対象の関心領域の位置を決定するように構成された第2の決定ユニットと、MRデータの動き補正のために、対象の関心領域の位置を提供するように構成された提供ユニットとを備える。生成ユニット、第1の決定ユニット、第2の決定ユニット、提供ユニットは、1つ以上のハードウェアユニット上で実行する別個のハードウェアユニット若しくは別個のソフトウェアユニット、又はそれらの組み合わせであり得る。ハードウェアユニットは、コントローラ、コンピュータ、サーバー、ワークステーションであり得る。1つ以上のハードウェアユニット間のデータ交換は、有線を介するものであっても(イーサネット、プロフィネットなど)、ワイヤレスであっても(WIFI、WLANなど)よい。
【0030】
さらなる態様によれば、医用イメージング用のシステムが提供される。システムは、上記の装置と、MRIシステムと、MRIシステム内で2D画像を取得するように構成された第1のカメラと、任意選択で、MRIシステムの外側の画像を取得するように構成された第2のカメラとを備える。第2のカメラは深度カメラであり得る。第1のカメラはRGBカメラであり得る。
【0031】
最後の態様によると、コンピュータプログラム要素が提供される。コンピュータプログラム要素は、プロセッサによって実行されると、上記の方法のステップを実行するように構成されている。プロセッサは、医用イメージングシステムの一部である場合もあれば、別のコンピュータデバイスに別々に提供されている場合もある。コンピュータプログラム要素は、一実施形態の一部であり得るコンピュータユニットに保存され得る。このコンピューティングユニットは、上記の方法のステップを実行する又は実行を誘導するように構成され得る。さらに、上記のデバイスの構成要素を動作するように構成され得る。コンピューティングユニットは、自動的に動作するか、及び/又は、ユーザの命令を実行するように構成され得る。コンピュータプログラムは、データプロセッサのワーキングメモリに読み込まれ得る。したがって、データプロセッサは、上記の実施形態のうちの1つによる方法を実行する態勢が整っている場合がある。本発明のこの例示的な実施形態は、最初から本発明を使用するコンピュータプログラムと、アップデートによって既存のプログラムを、本発明を使用するプログラムに変換するコンピュータプログラムとの両方を対象としている。さらに、コンピュータプログラム要素は、上記の方法の例示的な実施形態の手順を遂行するために必要なすべてのステップを提供することができる。本発明のさらなる例示的な実施形態によれば、CD-ROM、USBスティックなどのコンピュータ可読媒体が提示される。コンピュータ可読媒体には、コンピュータプログラム要素が保存されている。このコンピュータプログラム要素は、前のセクションで説明されている。コンピュータプログラムは、他のハードウェアと一緒に又はその一部として供給される、光記憶媒体又はソリッドステート媒体などの適切な媒体に保存及び/又は配布できるが、インターネット又は他の有線若しくはワイヤレス通信システムを介してなど、他の形式で配布することもできる。しかしながら、コンピュータプログラムはまた、ワールドワイドウェブのようなネットワークを介して提示されてもよく、そのようなネットワークからデータプロセッサのワーキングメモリにダウンロードされ得る。本発明のさらなる例示的な実施形態によれば、ダウンロードのためにコンピュータプログラム要素を利用可能にする媒体が提供される。このコンピュータプログラム要素は、本発明の前述の実施形態のうちの1つによる方法を行うように構成されている。
【0032】
上記の実施形態は、関係する態様に関係なく互いに組み合わされることがあることに留意されたい。したがって、この方法は、他の態様のデバイス及び/又はシステムの構造的特徴と組み合わせることができ、同様に、デバイス及びシステムは、相互の特徴と組み合わせることができ、また、方法に関する上記の特徴と組み合わせることもできる。
【0033】
本発明のこれらの及び他の態様は、以下に説明される実施形態から明らかになり、また、当該実施形態を参照して説明される。
【0034】
本発明の例示的な実施形態は、次の図面に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】本開示の実施形態による医用イメージングシステムの一部の概略図である。
図2】本開示のさらなる実施形態による装置の概略図である。
図3】本開示のさらなる実施形態によるMRデータの動き補正のための方法のフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図1は、本開示の第1の実施形態による医用イメージングシステムの一部の概略図を示している。
【0037】
医用イメージングシステム10は、MRデータの動き補正のための装置11(図2を参照)を備える。システム10は、MRIシステム22をさらに備える。MRIシステム22は、MRIコントローラ12、ボア13、3つの磁気コイル14、15、16、可動ベッド17、18、第1のカメラ20、25、第2のカメラ21を備える。第2のカメラ21は、MRIシステムの外側の画像を取得するように構成されている。第2のカメラは、この場合は、可動ベッド18の上の天井に取り付けられている。第2のカメラ21は、対象23の関心領域24の3D情報データを有する画像を提供できる深度カメラである。或いは、深度カメラの代わりに、レーザー干渉計スキャナを使用しても、対象23の関心領域24の3D情報データを取得できる。任意選択で、2台以上の2Dカメラ(RGBカメラなど)を使用して対象23の関心領域24の3Dデータを取得することもできる。対象23は、この実施例では人間である。任意選択で、対象23は動物(牧羊犬など)であってもよい。関心領域24は、この実施例では対象23の頭部である。任意選択で、胃、胸部、腕、脚などの任意の他の領域も関心領域となり得る。関心領域とは、MRI手順でイメージングされる領域である。対象23はMRIシステム22の外側の可動ベッドに寝ている。関心領域24は、1つのランドマーク27(この場合は頬骨)を含む。任意選択で、関心領域は複数のランドマークを含んでいてもよい。任意選択で、ランドマークはまた、顔にあるほくろ、耳、目、鼻などであってもよい。任意選択で、ランドマークは関心領域に隣接する仮想マーカーであってもよく、この仮想ランドマークは関心領域の2つ以上の物理ランドマーク(2つの頬骨など)から得られる。第2のカメラ21は、装置11と有線接続(イーサネットなど)されている。有線接続を使用して、特に制御信号や画像データ(すなわち、2Dデータ及び/又は3Dデータ)が交換される。MRI手順の準備段階において、第2のカメラ21によって、対象23の1つ以上のモデリング画像が取得される。装置12は、第2のカメラ21のイメージングプロセスを制御又は始動できる。準備段階が終了すると、対象23がその上に寝ている可動ベッド17がMRIシステム22のボア13の中へ移動する。任意選択で、対象の頭部24にヘッドコイル19が配置されている。ボア13の内側には、3つのソース及び検出器の磁気コイル14、15、16がボア13の内面に配置されている。この実施例では、ボア13の内側で、第1のカメラ25がヘッドコイル19内に配置されている。第1のカメラ25は、MRIシステムの内側で、関心領域24、特に対象の頭部の2D画像を取得するように構成されている。第1のカメラ25には、関心領域24の隠れた領域をイメージングするために、対象の頭部24に隣接して配置されるミラー26が装備され得る。任意選択で、第1のカメラ20がボア13の内面に配置されてもよい。第1のカメラは1つのみ必要である点に留意されたい。ただし、任意選択で、ボア内の領域全体をカバーするために、ボア内に1つよりも多い第1のカメラを配置してもよい。第1のカメラ20、25は、2D画像を生成する2D RGBカメラである。第1のカメラは、装置11と、有線又はワイヤレス接続し、好ましくは有線接続している。装置12は、第1のカメラ20、25のイメージングプロセスを制御又は始動できる。装置12は、データを交換するために、MRIコントロール部12と有線接続し得る。
【0038】
図2は、本開示のさらなる実施形態による装置50の概略図を示している。装置50は、MRIシステムのMRデータの動き補正のために構成されている。装置50は生成ユニット51を備える。生成ユニット51は、少なくとも1つのランドマークを含む対象の関心領域の3Dモデルを生成するように構成されている。生成ユニットは、この実施例では、ハードウェアユニットに実装されたソフトウェアユニットである。ハードウェアユニットは、この場合は、ワークステーションのCPUである。生成ユニット51は、解剖学的モデル、特に、モーフィング可能な3Dモデルを提供する。生成ユニット51は、第2のカメラ21から、ランドマーク27を含む対象23の関心領域24の1つ以上のモデリング画像を受信する。生成ユニット51と第2のカメラ21との間のデータ交換は、イーサネット接続によって確立される。生成ユニット51は、1つ以上のモデリング画像を処理する。ここでは、処理とは、対象27の3Dモデルを生成するために、ランドマークの位置を決定し、対象27の関心領域24のサイズを決定することを意味する。装置50は取得ユニット52をさらに備える。取得ユニット52は、MRIシステム22内の対象の少なくとも一部の2D画像を取得するように構成されており、取得ユニット52はMRIシステムのボア内に配置されている。取得ユニット52は、この実施例では、第1のカメラ20又は25である(図1の説明を参照)。装置は第1の決定ユニット53をさらに備える。第1の決定ユニット53は、2D画像内の少なくとも1つのランドマークを決定するように構成されている。2D画像内の少なくとも1つのランドマークは、3Dモデルの少なくとも1つのランドマークに対応している。第1の決定ユニット53は、この実施例では、生成ユニット51と同じハードウェアユニットに実装されたソフトウェアユニットである。ソフトウェアユニットは、2D画像を解析するために、画像処理ソフトウェアモジュールを含み得る。第1の決定ユニット53は、決定された少なくとも1つのランドマークの情報を第2の決定ユニット54に送信する。第2の決定ユニット53は装置50の一部である。第2の決定ユニット54は、この場合では、生成ユニット51及び第1の決定ユニット53と同じハードウェアユニットに実装されたソフトウェアユニットである。第2の決定ユニット54は、2D画像内の決定された少なくとも1つのランドマークに基づいて、MRIシステム内の対象の位置を決定するように構成されている。第2の決定ユニット54は、2D画像から対象の関心領域の3D位置を導出するようにトレーニングされた数学アルゴリズムを含み得る。数学アルゴリズムについては、図3でより詳細に説明する。装置50は提供ユニット55をさらに備える。提供ユニット55は、この実施例では、生成ユニット51と同じハードウェアユニットに実装されたソフトウェアユニットである。提供ユニット55は、MRデータの動き補正のために、対象27の関心領域24の位置を提供するように構成されている。提供ユニット53は、対象27の関心領域24の位置を、MRI手順の設定を調整するためにMRIコントローラ12に提供するか、又はすでに取得したMRI画像を修正するためにサーバー(図示せず)に提供する。
【0039】
図3は、さらなる実施形態によるMRデータの動き補正のための方法のフローチャート図を示す。方法は、5つのステップで構成されている。第1のステップS10では、少なくとも1つのランドマークを含む対象体の関心領域の3Dモデルが生成される。3Dモデルは、前述の生成ユニット51によって生成される。ステップS10は、対象の少なくとも1つのモデリング画像を取得することをさらに含む。少なくとも1つのモデリング画像は、第2のカメラ21、例えば深度カメラによって取得される。少なくとも1つのモデリング画像は、対象の関心領域を示しており、モデリング画像はMRIシステムのボアの外側で取得される。少なくとも1つのモデリング画像が3Dデータを含む。3Dデータは、モデリング画像内の各ピクセルの並進座標(x、y、z方向)などを含む。3Dモデルは、対象の関心領域の少なくとも1つのランドマークを処理する数学アルゴリズムを表す機械学習システムに基づいていてもよい。機械学習システムは、対象の関心領域の幾何学的データと対象の関心領域の少なくとも1つのランドマークとの関係を記述するようにトレーニングされる。3Dモデルはさらに、解剖学的モデル、好ましくは、モーフィング可能な3Dモデルであり得る。ステップS20では、MRIシステム内の対象の少なくとも一部の2D画像が、第1の測定デバイス20、25によって取得される。第1の測定デバイスはMRIシステムのボア内に配置されている。第1の測定デバイスはRGBカメラであり得る。第1の測定デバイスは、ボアの内面、又は、コイル、特にヘッドコイル内に配置され得る。第1の測定デバイスにはミラーが装備されてもよい。2D画像は、対象の関心領域の移動を検出するために、例えば1秒ごとに連続的に取得され得る。ステップS30では、2D画像内の少なくとも1つのランドマーク27が決定される。2D画像内の少なくとも1つのランドマークは3Dモデルの少なくとも1つのランドマークに対応する。少なくとも1つのランドマークの決定は、画像解析アルゴリズム(エッジ検出など)によって行われる。画像解析アルゴリズムは、過去の検査の記録を使用してトレーニングされ得る。記録には複数のランドマーク(特殊な骨、鼻、目など)が含まれている場合がある。画像解析アルゴリズムは、生成ユニット51から、探さなければならない少なくとも1つのランドマークの情報を受信する。ステップS40では、2D画像内の決定された少なくとも1つのランドマークに基づいて、MRIシステム内の対象の関心領域の位置が決定される。この決定は、第2の決定ユニット54によって実行される。MRIシステム内の対象の位置の決定には、ボア内の第1の測定デバイスによって取得された2D画像に適合する3Dモデルの投影を取得するために、第1の測定デバイスの位置に関連した3Dモデルの1つ以上の回転と1つ以上の並進を決定することが含まれる。この決定はさらに、ボア内の第1の測定デバイスの位置を考慮し得る。この決定は、ボア内の第1の測定デバイスの位置からある視点を計算できる。この決定には、切片定理の物理方程式が使用されてもよい。この決定には、MRIシステム内の対象の関心領域の位置を決定するために数値近似法が使用されてもよい。この決定にはさらに、MRIシステム内の対象の関心領域の位置を決定するためにニューラルネットワークが使用されてもよい。ステップS50では、MRデータの動き補正のための対象の関心領域の3D位置が提供される。3D位置は、将来取得するMRI画像のための磁気共鳴勾配、高周波パルス、受信機周波数を補正するためにMRIシステムのMRIコントロール部に送信されるか、又はすでに取得されたMRI画像を修正するためにサーバーなどに送信され得る。対象の関心領域の位置は、MRデータの動き補正のために継続的に決定され提供され得る。MRデータの動き補正には、前述のように、プロスペクティブ及び/又はレトロスペクティブ動き補正が含まれる。
【0040】
別の例示的な実施形態では、適切なデバイス又はシステムで、上記の実施形態のうちの1つによる方法のステップを実行するように構成されているコンピュータプログラム又はコンピュータプログラム要素が提供される。
【0041】
したがって、コンピュータプログラム要素は、実施形態の一部であり得るデータ処理ユニットに保存され得る。このデータ処理ユニットは、上記の方法のステップを実行する又は実行を誘導するように構成され得る。さらに、データ処理ユニットは、上記のデバイス及び/又はシステムの構成要素を動作させるように構成され得る。コンピューティングユニットは、自動的に動作するか、及び/又は、ユーザの命令を実行するように構成され得る。コンピュータプログラムは、データプロセッサのワーキングメモリに読み込まれ得る。したがって、データプロセッサは、上記の実施形態のうちの1つによる方法を実行する態勢が整っている場合がある。
【0042】
さらに、コンピュータプログラム要素は、上記の方法の例示的な実施形態の手順を遂行するために必要なすべてのステップを提供し得る。
【0043】
本発明のさらなる例示的な実施形態によれば、CD-ROM、USBスティックなどのコンピュータ可読媒体が提示される。コンピュータ可読媒体には、コンピュータプログラム要素が保存されている。コンピュータプログラム要素は、前のセクションで説明されている。
【0044】
コンピュータプログラムは、他のハードウェアと一緒に又はその一部として供給される、光記憶媒体又はソリッドステート媒体などの適切な媒体に保存及び/又は配布できるが、インターネット又は他の有線若しくはワイヤレス通信システムを介してなど、他の形式で配布することもできる。
【0045】
しかしながら、コンピュータプログラムはまた、ワールドワイドウェブのようなネットワークを介して提示されてもよく、そのようなネットワークからデータプロセッサのワーキングメモリにダウンロードされ得る。本発明のさらなる例示的な実施形態によれば、ダウンロードのためにコンピュータプログラム要素を利用可能にする媒体が提供される。このコンピュータプログラム要素は、本発明の前述の実施形態のうちの1つによる方法を行うように構成されている。
【0046】
本開示の実施形態は、異なる主題を参照して説明されていることに留意されたい。特に、いくつかの実施形態は、方法タイプのクレームを参照して説明されている一方で、他の実施形態は、デバイスタイプのクレームを参照して説明されている。ただし、当業者であれば、特に明記されていない限り、上記及び以下の説明から、1つのタイプの主題に属する特徴の任意の組み合わせに加えて、異なる主題に関連する特徴の任意の組み合わせも、本出願で開示されていると見なされることを推測できるであろう。ただし、すべての特徴は、特徴の単なる寄せ集め以上の相乗効果を提供するならば組み合わせることができる。
【0047】
本発明は、図面及び上記の説明に詳細に例示及び説明されているが、このような例示及び説明は、限定ではなく、例示的又は模範的と見なされるべきである。本発明は、開示された実施形態に限定されない。開示された実施形態の他の変形形態は、図面、開示、及び従属請求項の検討から、請求項に係る発明を実施する際に当業者によって理解され、実行され得る。
【0048】
特許請求の範囲において、「含む」という語は、他の要素やステップを排除するものではなく、単数形の要素は複数を排除するものではない。単一のプロセッサ又は他のユニットが、特許請求の範囲に記載されているいくつかの項目の機能を果たすことができる。特定の手段が相互に異なる従属請求項に記載されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利に使用できないことを意味するものではない。特許請求の範囲における任意の参照符号は、範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
符号の説明
【0049】
10 システム
11 装置
12 MRIコントローラ
13 ボア
14、15、16 コイル
17、18 可動ベッド
19 ヘッドコイル
20、25 第1のカメラ
21 第2のカメラ
22 MRIシステム
23 対象
24 関心領域
26 ミラー
27 ランドマーク
50 装置
51 生成ユニット
52 取得ユニット
53 第1の決定ユニット
54 第2の決定ユニット
55 提供ユニット
S10 3Dモデルを生成する
S20 2D画像を取得する
S30 少なくとも1つランドマークを決定する
S40 MRIシステム内の関心領域の3D位置を決定する
S50 MRデータの動き補正のために関心領域の3D位置を提供する
図1
図2
図3
【国際調査報告】