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特表2024-523451ポンプを備えた補充物のための包装デバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-28
(54)【発明の名称】ポンプを備えた補充物のための包装デバイス
(51)【国際特許分類】
   B65D 83/00 20060101AFI20240621BHJP
   A45D 34/04 20060101ALI20240621BHJP
【FI】
B65D83/00 K
A45D34/04 550
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023578806
(86)(22)【出願日】2022-06-13
(85)【翻訳文提出日】2023-12-20
(86)【国際出願番号】 EP2022066047
(87)【国際公開番号】W WO2023030709
(87)【国際公開日】2023-03-09
(31)【優先権主張番号】2109039
(32)【優先日】2021-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
【氏名又は名称原語表記】L’OREAL
【住所又は居所原語表記】14 Rue Royale,75008 PARIS,France
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133086
【弁理士】
【氏名又は名称】堀江 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム・デルボーヴ
【テーマコード(参考)】
3E014
【Fターム(参考)】
3E014PA01
3E014PB01
3E014PB03
3E014PC01
3E014PC03
3E014PC06
3E014PC12
3E014PC16
3E014PD11
3E014PF10
(57)【要約】
発明は、ポンプディスペンサシステム(51)を備えた化粧品補充物(100)のための、長手方向軸(X)の包装デバイス(1)に関し、デバイス(1)は、補充物(100)を収容するためのキャビティを備えた、ケース(202)を有し、補充物(100)は、挿入位置と取り出し位置との間の仮接合機構(13)によってケース(202)の開口端部(204)に着脱可能に固定されることが可能であり、仮接合機構(13)は、径方向内面上に、補充物(100)の外部保持面(50)と相互作用することが可能な少なくとも部分的に変形可能な突出要素(41、42、43、44、61、62、63、64)を有する、中間リング(40)を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
補充物(100)に入った化粧品を分注するためのポンプディスペンサシステム(51)を備えた前記化粧品の前記補充物(100)のための、長手方向軸(X)の包装デバイス(1)であって、前記ポンプディスペンサシステム(51)が、ポンプ体(2)と、低分注位置と高貯蔵位置との間で前記ポンプ体(2)に対して移動可能であるプッシュボタン(3)と、を有し、前記デバイス(1)が、前記補充物(100)を収容するための収容キャビティ(2)を備え、且つ開口上端部(204)及び第1の底部(39)によって境界が定められた下端部を有する、ケース(202)を含み、前記補充物(100)が、前記補充物(100)が前記ケース(202)内で保持される挿入位置と、前記補充物(100)が前記ケース(202)から取り出される取り出し位置との間の仮接合機構(13)によって前記ケース(202)の前記開口端部(204)に着脱可能に固定されることが可能であり、前記補充物が、第2の底部(59)によって前記底部における境界が定められ、前記仮接合機構(13)が、前記ケース(202)内に着脱可能な前記補充物(20)の組立体を確保するように、前記ケース(202)と前記補充物(100)との間に挟まれた中間リング(40)を含むことを特徴とし、前記中間リング(40)が、径方向内面上に、前記補充物(100)の外部保持面(50)と相互作用することが可能な少なくとも部分的に変形可能な突出要素(41、42、43、44、61、62、63、64)を有し、前記保持面(50)には、前記中間リング(40)の前記突出要素(41、42)に対する相補形レリーフがなく、前記挿入位置において、前記補充物(100)が前記中間リング(40)による摩擦で保持される、デバイス(1)。
【請求項2】
前記補充物(100)の前記外部保持面(50)が、前記突出レリーフ(41、42、43、44、61、62、63、64)の先端のみにおいて前記中間リング(40)と接触することを特徴とする、請求項1に記載のデバイス(1)。
【請求項3】
前記第2の底部(59)の外面が、前記補充物(100)の前記挿入位置において、前記第1の底部(39)の内面に当接することを特徴とする、請求項1又は2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記補充物(100)又は前記ケースの少なくとも1つが、ガラスで作られており、好ましくは、少なくとも前記補充物が、ガラスで作られていることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項5】
前記中間リング(40)の前記突出要素(41、42、43、44、61、62、63、64)が、第1の擦れ面を有し、前記保持面(50)が、前記補充物(100)の前記挿入位置において、前記第1の擦れ面と相互作用する第2の擦れ面を有することを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項6】
前記突出要素(41、42、43、44、61、62、63、64)が、前記補充物(100)が挿入されているときに屈曲し、前記補充物(100)が取り出されているときに膨出し得る、少なくとも1つの弾性変形可能な可撓性部分を有することを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項7】
前記突出要素(41、42、43、44、61、62、63、64)が、前記長手方向軸(X)の周囲に互いに対して均等に分布されることを特徴とする、請求項1~6のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項8】
前記突出要素が、前記長手方向軸(X)に沿って延びたリブ(41、42、43、44)であることを特徴とする、請求項1~7のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項9】
前記突出要素が、前記長手方向軸(X)に垂直に向けられたそれぞれの平面内で延びるボス(61、62、63、64)であることを特徴とする、請求項1~8のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項10】
前記補充物(100)が、0.5mm~4.0mmの厚さ(E)を有するネック(25)と、0.025mm~3mmの厚さ(e)を有する本体(73)と、を有し、前記厚さが、前記長手方向軸(X)に垂直に測定されることを特徴とする、請求項1~9のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項11】
前記ケースが、前記リング(40)上に固定されるように配置されたカバー(60)を有する、請求項1~10のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項12】
前記ケース(202)に対する前記中間リング(40)の回転防止機構を備えることを特徴とし、前記回転防止機構が、前記中間リングの径方向外面によって画成され、且つ前記ケース(202)の前記開口端部に設けられた複数の凹部(26、27、28、29)と相互作用することが可能な、複数の突起(46、47、48、49)を含む、請求項1~11のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項13】
前記ポンプディスペンサシステム(51)が、前記ポンプ体(2)と共に、可変容量のポンプチャンバ(34)を画成するピストンと、分注ダクト(52)と、を有し、前記ポンプチャンバ(34)が前記分注ダクト(52)を介して分注オリフィス(5)と連通し得ることを特徴とする、請求項1~12のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか1項に記載の少なくとも1つのデバイス(1)及び交換可能補充物(100)を有する組立体。
【請求項15】
請求項1~13のいずれか1項に記載のデバイスにおいて使用することを意図された、化粧品補充物(100)。
【請求項16】
化粧品を含むことを特徴とする、請求項15に記載の補充物(100)。
【請求項17】
リサイクル材料から製造されることを特徴とする、請求項15又は16に記載の補充物。
【請求項18】
リサイクルした補充物であることを特徴とする、請求項15~17のいずれか1項に記載の補充物。
【請求項19】
請求項1~13のいずれか1項に記載のデバイスと、化粧品と、を有するシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポンプディスペンサシステムを備えた化粧品補充物のための包装デバイスに関する。
【0002】
化粧品は、ファンデーション又はティントクリームなどのメイクアップ製品、ボディジェル又は保湿若しくはアンチエイジングクリームなどのケア製品、スタイリングスプレー又はヘアケアスプレーなどの毛髪用製品であってもよい。
【背景技術】
【0003】
特に、再使用可能なケース内の基礎化粧品補充物のための、この種のデバイスが知られている。
【0004】
文献、(特許文献1)、(特許文献2)、(特許文献3)、(特許文献4)には、補充物を有する包装デバイスが記載されている。
【0005】
近年、特に化粧品の分野では、化粧品包装の製造コストを減少させること、及びその環境影響を低下させることを目的として、この種の補充物が開発されている。
【0006】
化粧品補充物を収容する包装デバイスと既存の包装を徐々に置き換える必要性が増大しており、その場合、化粧品を一度使用していればケースを保存し、補充物のみを捨てることができる。
【0007】
補充物が空になると、ユーザは、それを新たな又は異なる補充物と交換するように、ケースの開口端部から着脱可能な組立体を解除し、補充物を除去するだけでよい。
【0008】
しかしながら、ある部分では、ユーザが要求する審美性品質を包装デバイスが表すことが重要であり、他の部分では、使用済み補充物を交換するための取り扱い操作もユーザにとってできる限り簡単であることが重要である。
【0009】
したがって、この種の包装デバイスは、使用が簡単でなければならず、それに入っている補充物を容易に除去し、新たな補充物を元の場所に容易に設置することを可能にしなければならず、つまり、ユーザ側の努力や注意がほとんど必要ないようにしなければならない。
【0010】
包装デバイスは、同様に、ケースの開口端部に着脱可能な組立体を容易にロックすることが可能でなければならない。さらに、補充物は、包装デバイス内に確実に保持されなければならず、つまり、着脱可能な補充物が、偶発的にその解除位置に移動してはならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許第8998020号明細書
【特許文献2】特許第2010241505号公報
【特許文献3】米国特許第9861177号明細書
【特許文献4】国際公開第2021/79060号パンフレット
【特許文献5】国際公開第2014/199095号パンフレット
【特許文献6】欧州特許第1697670号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
したがって、新たな補充物に対してケースを再使用することを目的としてケースの保持を推奨すると同時に、消費者にとってやはり魅力的である、化粧品補充物用の包装デバイスから利益を得る必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
発明は、補充物に入った化粧品を分注するためのポンプディスペンサシステムを備えた化粧品の補充物のための、長手方向軸Xの包装デバイスであって、ポンプディスペンサシステムが、ポンプ体と、低分注位置と高貯蔵位置との間でポンプ体に対して移動可能であるプッシュボタンと、を有し、デバイスが、補充物を収容するためのキャビティを備え、且つ開口上端部及び第1の底部によって境界が定められた下端部を有する、ケースを含み、補充物が、補充物がケース内で保持される挿入位置と、補充物がケースから取り出される取り出し位置との間の仮接合機構によってケースの開口端部に着脱可能に固定されることが可能であり、補充物が、第2の底部によって底部における境界が定められ、仮接合機構が、ケース内に着脱可能な補充物の組立体を確保するように、ケースと補充物との間に挟まれた中間リングを含むことを特徴とし、中間リングが、径方向内面上に、補充物の外部保持面と相互作用することが可能な少なくとも部分的に変形可能な突出要素を有し、保持面には、中間リングの突出要素に対する相補形レリーフがなく、挿入位置において、補充物が中間リングによる摩擦で保持される、デバイスによってこの必要性を満たす。
【0014】
発明によるデバイスの利点は、主に、他の構成要素上に材料及び装飾がないことによって、摩擦が長持ちするための所望の弾性を最適に維持することを可能にする技術的材料における摩擦成分を有することである。
【0015】
リングは、補充物を摩擦で保持しつつ、審美性構成要素に対する所望の材料及び装飾を有することを依然として可能にする。
【0016】
発明によれば、好ましくはPOM又は金属などの良好な弾性記憶を有する材料から作られた、可撓性ゾーンを有するリング及び摩擦パッドが、提案される。
【0017】
デバイスの構造のために、他の構成要素の材料及び仕上げとは関係なく、摩擦力は、比較的狭い範囲の値の中に含まれる。
【0018】
したがって、発明の包装デバイスは、特に、ユーザが、補充物に入っている流体の使用を可能にするように補充物のプッシュボタンを取り扱うときに、補充物が意図せず軸方向に移動するリスクがほとんどないため、信頼性が高い。
【0019】
さらに、ユーザが補充物の本体において包装デバイスを把持するとき、ユーザの指が補充物を軸方向に引っ張るように配置されず、それにより、ケースから補充物を偶発的に解除することが回避される。
【0020】
補充物をケース内に挿入し、又は補充物をケースから除去することを可能にする移動は、軸方向であるため、デバイスの審美性に関して広範囲の選択肢がある。
【0021】
補充物及び/又はケースは、好ましくは、ガラス、特にミネラルガラスで作られている。
【0022】
ガラスは傷が付きにくい材料であるため、ミネラルガラスの使用によって、耐久性が与えられ、その審美的外観の劣化の恐れなしに、できる限りリサイクル又は再使用することが可能となる。
【0023】
さらに、ガラスは、必要があれば容易に洗浄することができる。
【0024】
ガラスは、また、紫外線、横方向及び軸方向の機械的な圧力に対する効果的な保護をもたらし、補充物の取り扱い動作の間、心地よい冷感を補充物及び/又はケースに与える。
【0025】
ポンプディスペンサシステムは、それ自体は既知であり、任意のポンプシステムを包含する。多数の機構が、市場で提供されている。中でも、特許文献、特許文献5及び特許文献6に、システムの例が記載されている。
【0026】
ケースは、好ましくは、「キャップ」又は「カラー」とも呼ばれるカバー、特に金属カバーを有し、上記リング上に固定されるように配置されている。このカバーは、ケースの審美性に寄与し、リングを保持する機能をさらに有し得る。
【0027】
発明は、また、上記で定義されたような少なくとも1つのデバイスを有する組立体、及び交換可能な補充物に関する。
【0028】
発明は、上述のようなデバイス内で使用されることを意図した化粧品補充物にさらに関する。
【0029】
発明は、また、上述のようなデバイス及び化粧品を有するシステムに関する。
【0030】
主な定義
「弾性変形可能」は、突出レリーフが、ある形状記憶を有することを意味するように理解されるべきである。「弾性変形可能」という表現は、広い意味を有するように理解されるべきであり、特に、突出レリーフが、変形された後でそれらの初期位置に厳密には一致しない位置に弾性によって戻る場合を包含し、例えば、リングを製作するために使用される材料の性質及びその形状を考慮に入れる。
【0031】
「軸Xの構成要素の断面」は、構成要素の軸Xに垂直な断面である。
【0032】
「構成要素の長手方向軸」は、構成要素の断面の重心の全てをつなぐ線を示す。
【0033】
「摩擦」は、接触している2つの面の間で発生する、移動に対する抵抗である。
【0034】
「擦れ」は、接触しており、且つ互いに対して移動しているか、又はその一方がもう一方に対して変位する、2つの物体の反応である。
【0035】
好ましい実施形態
好ましくは、本発明によるデバイスは、以下の特徴の1つ又は複数を単独で又は組み合わせて有する。
【0036】
補充物の外部保持面は、突出レリーフの先端のみにおいて中間リングと接触する。補充物とケースとの間の摩擦は、補充物を適切に保持しつつ、補充物が取り出されているときの比較的弱い力になおも逆らうのに十分である。
【0037】
第2の底部の外面は、補充物の挿入位置において、第1の底部の内面に当接する。この当接によって、ケース内で補充物が最適に保持される。
【0038】
補充物又はケースの少なくとも1つは、ガラスで作られており、好ましくは、少なくとも補充物は、ガラスで作られている。デバイスは、環境に優しく、分解可能且つリサイクル可能である。
【0039】
中間リングの突出要素は、第1の擦れ面を有し、保持面は、補充物の挿入位置において、第1の擦れ面と相互作用する第2の擦れ面を有する。擦れ面は、突出要素上に配置されているため、補充物を挿入し、取り出すことがより容易である。
【0040】
突出要素は、補充物が挿入されているときに屈曲し、補充物が取り出されているときに膨出し得る、少なくとも1つの弾性変形可能な可撓性部分を有する。突出要素は、仮接合機構に可撓性を与える。
【0041】
突出要素は、長手方向軸Xの周囲に互いに対して均等に分布される。摩擦力が均等に分散されるため、補充物は、ケース内で最適に保持される。
【0042】
発明の第1の実施形態によれば、突出要素は、長手方向軸Xに沿って延びたリブである。
【0043】
発明の第2の実施形態によれば、突出要素は、長手方向軸Xに垂直に向けられたそれぞれの平面内で延びるボスである。
【0044】
補充物は、0.5mm~4.0mmの厚さを有するネックと、0.025mm~3mmの厚さを有する本体と、を有し、厚さは、長手方向軸Xに垂直に測定される。これらの厚さは、補充物のガラスの量を制限しつつ、やはりそれが壊れないようにするために最適である。
【0045】
ケースは、リング上に固定されるように配置されたカバーを有する。ケースは、審美性をなおも改善しつつ、仮接合機構へのアクセスを妨げる。
【0046】
デバイスは、ケースに対する中間リングの回転防止機構を含み、回転防止機構は、中間リングの径方向外面によって画成され、且つケースの開口端部に設けられた複数の凹部と相互作用することが可能な複数の突起を含む。回転防止機構は、特に、補充物が挿入されているときに、ケースに対するリングの移動を回避する。
【0047】
ポンプディスペンサシステムは、ポンプ体と共に、可変容量のポンプチャンバを画成するピストンと、分注ダクトと、を有し、ポンプチャンバは、分注ダクトを介して分注オリフィスと連通し得る。
【0048】
好ましくは、発明による補充物は、以下の特徴の1つ又は複数を単独で又は組み合わせて有する。
【0049】
それは、化粧品を含む。
【0050】
それは、リサイクル材料から製造される。
【0051】
それは、リサイクルされた補充物である。
【0052】
発明は、その非限定的な例示的実施態様の以下の詳細な説明を読み、且つ添付された概略図及び部分図を検討することにより、より良く理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0053】
図1】発明による例示的デバイスの分解図を示す。
図2】補充物を示す。
図3】デバイスの断面図である。
図4】デバイスの正面図を示す。
図5】補充物の底部とケースの上部とを分離した斜視図を示す。
図6】軸Xに垂直な断面BBにおけるケース内の補充物の組立体を示す。
図7】リング自体の斜視図を示す。
図8】リング自体の別の角度からの斜視図を示す。
図9】リングの別の実施形態の斜視図を示す。
図10】補充物の本体の長手方向軸Xに沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0054】
図1は、ポンプディスペンサシステム51を備えた補充物100と、補充物100が使用しないときに固定され得るケース202と、を有する、長手方向軸Xの、発明による包装デバイス1を示す。
【0055】
補充物100及びケース202はそれぞれ、射出成形によって一体で製造され得る。
【0056】
補充物100は、円筒形であり、その上端部に、ディスペンサシステムと本体73とを固定するための開口部を画成するネック25が設けられている。本体73は、その下端部が丸い形の底部59で閉じられ、肩部54によってネック25に接続されている。補充物100は、好ましくは、ミネラルガラス、例えば、透明ミネラルガラスで作られている。
【0057】
ケース202は、特に、PETなどのプラスチック材料、例えば、透明プラスチック材料で作られ、且つ開口部204を画成する上端部を有する本体203を有し、開口部204の上に、熱可塑性プラスチック材料で作られた、特にPOMで作られたリング40又は挿入体が固定されている。ケースの上端部は、特に、ABSなどの熱可塑性プラスチック材料で作られた、カバー60によって覆われている。本体203は、丸い形の底部39によってその下端が閉じられている。中間リング40は、保持面50と共に、仮接合機構13を構成する。
【0058】
図示される例では、本体203の境界を定める管状側壁が、本体203の底部に現れ、ケースが水平支持上に置かれたときにケースの底部39を持ち上がった位置に維持するように基部208を画成することにより、長手方向軸Xに沿って軸方向に続く。
【0059】
リング40は、補充物100を極めて大きな製造公差で製造することを可能にしつつ、ケース202上への補充物の正確な取付を維持する。図示される例では、リングは変形可能な材料から一体で形成される。
【0060】
図1を参照すると、特に、ケースには、本体203への接続用に横環状部の頂上部に付着された4つの固定ラグ260、270、280、290が、上部に設けられていることが分かる。
【0061】
この環状部の外輪郭は、実質的に正方形であり、各固定ラグ260、270、280、290は、1つの角に位置する。
【0062】
スロット240は、リング40がケース内に保持される(図5に見られるように)ことを確実にするために、射出成形によって製作されるリング40のタブ240が通過するために各固定ラグを貫いて設けられ得る。
【0063】
本体203への接続のための環状部77は、リング40の直径と実質的に等しい直径を有する円形開口部204を画成する。したがって、リング40は、固定ラグによってこの開口部の縁の上に留められ得る。
【0064】
カバー60には、円筒形ネック62の付根の肩部63の下に、正方形の外側断面を有する外側スカート61が設けられている。
【0065】
直径方向に対向する歯の形態の2つの位置決めレリーフ64は、これらのレリーフ64のうちの1つだけが図1では見えており、挿入体7が設けられたキャップ6の組立体のために、ネック62の周囲に突出する。
【0066】
補充物100とカバー60(又はカラー)との間に挿入されたリング40は、平行且つ等距離であり、且つケース202の長手方向軸Xに平行に向けられたそれぞれの平面内で延びる、4つの長手方向リブ41、42、43、44を内側に有することが分かる。
【0067】
補充物40が、ケース202に取り付けられているとき、補充物100は、長手方向リブの面と、補充物100の本体73の上部を画成する保持面50との間の摩擦によって、ケース202に保持される。図示される例では、保持面50は、実質的に滑らかである。
【0068】
保持面50に当接する4つの長手方向リブ41、42、43、44は、補充物100とケースとの間で求められる径方向の締め付けを得るために肉厚部tを画成して、摩擦をもたらす。
【0069】
図2は、本体73及びポンプディスペンサシステム51を有する補充物を示し、長手方向リブ41、42、43、44と相互作用することを意図した保持面50は、システム51の軸方向に続く、肩部54の付根に位置している。
【0070】
図示される例では、補充物100の底部は、丸い形であるが、ケース202の底部に当接し得る限りは、異なっていてもよい。
【0071】
図3は、ケース内に組立てられた補充物を示し、この2つは、補充物100の円筒型本体をケース202の円筒形本体に、多かれ少なかれ締め付けて、切れ目のない配置を可能にする相補形状を有する。
【0072】
ポンプディスペンサシステム51は、ポンプ体2及びポンプ体2に対して軸Xに沿って移動可能なプッシュボタン3を有する。
【0073】
プッシュボタンの本体には、製品を分注するための端部5を経由して外側に導く、長手方向軸Xに垂直な出口チャネル51が設けられている。
【0074】
ポンプ体2は、相補型ねじ91によって補充物のネック25上にねじ止めされることを意図した雌ねじ付き取付スカート11と一体で作られている。
【0075】
取付スカート11は、材料46のリングによってポンプ体2に付着されている。
【0076】
ポンプ51は、ピストン(図示せず)がスライド自在に取り付けられた、長手方向軸Xの分注ダクト52を有し、管状壁14及び底壁15でポンプチャンバ34を画成する。ポンプ51は、分注オリフィス5に繋がる長手方向軸Xの分注ダクト52を有する。
【0077】
この事例では、ポンプ体2は、軸Xの円筒壁14及び軸Xに概して垂直な底壁15を有する。
【0078】
底壁15は、その中心でエンドピース18に付着しており、その下部が、ディップ管(図示せず)及びその上端部が当接し得る肩部19を取り付ける役割をする。
【0079】
エンドピース18は、同様に、取り入れバルブのシャッタを形成する部材を構成するボールが当接し得る、シートを形成する円錐台状壁を肩部19の上に有する。
【0080】
ポンプディスペンサシステム51は、ケース内に組立てられた容器の本体上にねじ止めされる。
【0081】
図4は、補充物が入っており、且つキャップ6で閉じられたケース202を示す。
【0082】
図5は、補充物100がケース102内に組立てられているとき、ケース202の上部の上に位置する補充物100の下部を示している。リングの長手方向リブ41、42、43、44は、補充物100とリング40との間に可撓性の擦れをもたらすように、制動手段を形成する。可撓性の擦れは、補充物の本体の通路上のリブの弾性変形によって確保され、静止時のリブ41、42、43、44の先端が、補充物100なしで、補充物100の本体の幅dよりわずかに小さい幅dの開口断面を画成する。
【0083】
この配置によって、補充物100がケース202内で適切に締め付けられる結果となる。好適な例示的実施形態として、リブによって画成された幅dと補充物の幅dとの差は、有利なことに0.02mm~0.3mmであり、好ましくは0.08mm~0.15mmである。
【0084】
図6において、カバー60が、リング40の外面に作られた相補形状の回転防止突起46、47、48、49を押し付ける内側の凹部26、27、28、29を有する、軸Xに垂直な正方形断面の外側スカート61を有して、それにより保持を確実にすることが分かる。これらの突起は、一旦凹部に係合されると、リング40がケースのネックに対して回転することを妨げる。
【0085】
補充物100は、締め付け嵌合でリング40に取り付けられ、おそらく可逆的であり、補充物100の底部59が、ケースの底部39に当接し、且つ保持面50がリブ41、42、43、44によって保持されるまで、補充物100は、ケース202の受け入れキャビティに力ずくで納められる。この挿入位置において、リブ41、42、43、44の先端61、62、63、64は、保持面50によって圧迫されている影響で圧縮され、平坦になる。補充物100がケース202から取り出されると、リブは、それらの静止位置に少なくとも部分的に戻る。
【0086】
リング40は、ケース202の固定ラグ260、270、280、290に当接するタブ81、82、83、84を有してもよく、各タブは、2つの突起46、47、48、49の間に位置している。タブの長手方向軸は、横方向の凹部27、29を画成する横方向エッジ470、471、472、473に平行に延びてもよく、横方向の凹部26、28を画成する固定ラグ260、270、280、290に当接してもよい。
【0087】
凹部内の突起の係合によって、リング40がケース202内に確実にロックされるように、各凹部26、27、28、19の幅dは、突起46、47、48、49の幅dに実質的に等しい。
【0088】
図7に示された変形では、タブ81、82、83、84は、デバイスの長手方向軸に垂直な向きの平板部57、58を有し、上向き且つ内側に傾斜した端部が続いている。端部は、図6に示されるように、エッジ81a、82a、83a、84aを経て固定ラグに支えられてもよい。
【0089】
各弾性変形可能な長手方向リブ41、42、43、44は、リング40の高さの一部のみを超えて、特に、リングの高さの4分の3未満の高さを超えて延びる。長手方向リブ41、42、43、44は、2つの平行な、長手方向軸Xに沿って延びる実質的に長手方向のスロット97、98によって囲まれており、各スロットは、リング40の弾性を増大させるために、リターンを形成する、直角の周辺セグメント99を有する。
【0090】
リング40は、カラーがケースの本体203の上に取り付けられたときにカバー60の内壁に当接する突起46、47、48、49の形態で、肉厚部を有する。
【0091】
図8に示される変形は、タブ81、82、83、84を有しないことを除いて、図7のものと同一である。
【0092】
図9に示される変形では、リングには、長手方向軸Xに対して互いに対向して配置される2つの回転防止突起71、72が外側に設けられている。リングには、長手方向軸Xの周囲に均等に分布する4つのボス61、62、63、64が内側に設けられている。リング40のプラスチック材料の弾性によって、ボスは、補充物40が挿入されているときに平坦になり、補充物40が取り出されているときに隆起することが可能となる。ボス60は、リング40の台と共に射出成形によって成形される。発明によれば、突出要素は、また、隆線(ridge)、セル(cell)、ビード(bead)、又は補充物と係合可能な任意の他のレリーフであり得る。
【0093】
図10に示される変形では、補充物のネック25は、2.75mmに等しく、1.20mmに等しい管状体73の厚さeより大きな厚さEを有する。ネックの厚さE及び本体の厚さeをこのようにして調整することによって、補充物は、ポンプディスペンサシステム51のねじ止めによって特にネック25上にかかる、補充物が受ける応力に対する両方の抵抗力があり、本体73が薄いために無駄のない形状を有する。
【0094】
デバイス1を使用するために、ユーザが、片方の手の2つの指の間にある補充物の取付スカート11ともう一方の手にあるケースの本体203とを引っ張ることにより、且つリングと補充物との間の摩擦力よりも大きな力を補充物100にかけることにより、補充物100を取り出す。リング40のプラスチック材料の弾性によって、ユーザが補充物をケースから軸方向に引っ張るとケース202から補充物が滑り出すように、ボス又はリブを平坦にすることが可能となる。
【0095】
補充物が一度使用されると、ユーザは、ケース202をまだ持っている間に、続けてそれを変更し得る。
【0096】
補充物が変更された後、補充物の底部がケースの底部に当接し、且つ補充物が突出レリーフと保持面50との摩擦によって挿入位置に保持されるまで、新たな補充物202がケース内に挿入される。
【0097】
当然ながら、発明は、直前で説明された例に限定されない。
【0098】
例えば、補充物100のガラス本体73は、回転対称でない形状で製作されてもよい。
【0099】
ポンプディスペンサシステム51は、例えば、可撓性シールを提供することによって、シーリングでケース202上に固定されてもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【国際調査報告】