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特表2024-523457監視システム、監視方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-28
(54)【発明の名称】監視システム、監視方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01H 9/00 20060101AFI20240621BHJP
【FI】
G01H9/00 E
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023578828
(86)(22)【出願日】2021-06-28
(85)【翻訳文提出日】2023-12-20
(86)【国際出願番号】 JP2021024273
(87)【国際公開番号】W WO2023275911
(87)【国際公開日】2023-01-05
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【弁理士】
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】ペトラードワラー ムルトゥザ
(72)【発明者】
【氏名】樋野 智之
【テーマコード(参考)】
2G064
【Fターム(参考)】
2G064AA05
2G064AB01
2G064AB02
2G064AB21
2G064BC12
2G064CC41
2G064CC54
2G064CC62
2G064DD11
(57)【要約】
光ファイバ上の点と監視対象上の点との対応関係を求めることは困難であるため、監視システムは、監視対象に取り付けられた光ファイバケーブルを伝搬する光に基づいて、光ファイバケーブル上の複数の点での振動の複数の振幅を取得する取得手段と、複数の振幅に基づいて、監視対象の振動モードを生成する生成手段と、振動モードに基づいて、光ファイバ上の点に対応する監視対象上の点を検出する検出手段とを備える。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視対象に取り付けられた光ファイバケーブルを伝搬する光に基づいて、前記光ファイバケーブル上の複数の点での振動の複数の振幅を取得する取得手段と、
前記複数の振幅に基づいて、前記監視対象の振動モードを生成する生成手段と、
前記振動モードに基づいて、前記光ファイバ上の点に対応する前記監視対象上の点を検出する検出手段と、
を備える監視システム。
【請求項2】
前記取得手段は、
前記光ファイバ上の各区間における前記複数の振幅の総和を算出し、
前記区間の総和と前記区間との第1の対応関係を示すグラフを生成する、
請求項1に記載の監視システム。
【請求項3】
前記取得手段は、
振動の前記複数の振幅を、複数回数にわたって取得し、
前記複数回数のそれぞれと前記第1の対応関係との間の第2の対応関係を示すグラフを生成する、
請求項1又は2に記載の監視システム。
【請求項4】
前記光ファイバ上の複数の点での振動の前記複数の振幅に基づいて、前記監視対象に対応する監視部分を識別する識別手段をさらに備え、
前記生成手段は、前記監視部分上の複数の点での前記振動に基づいて、前記監視対象の前記振動モードを生成する、
請求項1~3のいずれか一項に記載の監視システム。
【請求項5】
前記識別手段は、前記光ファイバ上の複数の点での振動の前記複数の振幅に基づいて、前記監視対象に対応する監視部分を識別し、
前記生成手段は、前記監視部分上の複数の点での前記振動を標準化し、前記監視部分上の複数の点での前記標準化された振動に基づいて、前記監視対象の前記振動モードを生成する、
請求項4に記載の監視システム。
【請求項6】
前記検出手段は、前記振動モードの点が前記監視対象の点のいずれであるかを検出する、
請求項1~5のいずれか一項に記載の監視システム。
【請求項7】
監視対象に取り付けられた光ファイバを伝搬する光に基づいて、前記光ファイバ上の複数の点での振動の複数の振幅を取得することと、
前記複数の振幅に基づいて、前記監視対象の振動モードを生成することと、
前記振動モードに基づいて、前記光ファイバ上の点に対応する前記監視対象上の点を検出することと、
を有する監視方法。
【請求項8】
非一時的なコンピュータ読み取り可能な記憶媒体であって、
監視対象に取り付けられた光ファイバを伝搬する光に基づいて、前記光ファイバ上の複数の点での振動の複数の振幅を取得することと、
前記複数の振幅に基づいて、前記監視対象の振動モードを生成することと、
前記振動モードに基づいて、前記光ファイバ上の点に対応する前記監視対象上の点を検出することと、
をコンピュータに実行させるためのプログラムを記憶する記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、監視システム等に関し、特に光ファイバケーブル上の点と監視対象上の点との対応に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、光ファイバケーブル周辺の振動や温度などの環境情報を取得する光ファイバセンシング技術が開発されている。一般的な光ファイバセンシング技術では、橋梁などの監視対象に取り付けられた光ファイバケーブル内に監視装置がパルス光を伝送する。監視装置は、パルス光の後方散乱光を解析することにより、監視対象周辺の環境情報を取得する。
【0003】
例えば、特許文献1には、構造物に取り付けた光ファイバケーブルを用いて構造物を監視する光ファイバセンシング技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2020/213060号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般的な光ファイバセンシング技術では、監視装置は、監視対象内の複数の点の監視に必要となる、光ファイバケーブル上の点と監視対象上の点との間の環境や周囲の情報を取得する。一方で、光ファイバケーブル上の点と監視対象上の点との対応関係を求めることは困難である。
【0006】
本発明の例示的な目的は、監視システム等を提供することであり、特に、光ファイバケーブル上の点と監視対象上の点との対応関係を求めることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の好ましい態様に係る監視システムは、
監視対象に取り付けられた光ファイバケーブルを伝搬する光に基づいて、光ファイバケーブル上の複数の点での振動の複数の振幅を取得する取得手段と、
前記複数の振幅に基づいて、前記監視対象の振動モードを生成する生成手段と、
前記振動モードに基づいて、前記光ファイバケーブル上の点に対応する前記監視対象上の点を検出する検出手段と、
を備える。
【0008】
本発明の好ましい態様に係る監視方法は、
監視対象に取り付けられた光ファイバケーブルを伝搬する光に基づいて、光ファイバケーブル上の複数の点での振動の複数の振幅を取得することと、
前記複数の振幅に基づいて、前記監視対象の振動モードを生成することと、
前記振動モードに基づいて、前記光ファイバケーブル上の点に対応する前記監視対象上の点を検出することと、
を含む。
【0009】
本発明の好ましい態様に係る非一時的なコンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、
監視対象に取り付けられた光ファイバケーブルを伝搬する光に基づいて、光ファイバケーブル上の複数の点での振動の複数の振幅を取得することと、
前記複数の振幅に基づいて、前記監視対象の振動モードを生成することと、
前記振動モードに基づいて、前記光ファイバケーブル上の点に対応する前記監視対象上の点を検出することと、
をコンピュータに実行させるためのプログラムを記憶する。
【発明の効果】
【0010】
本発明による例示的な利点は、特に、光ファイバケーブル上の点と監視対象上の点との間を対応付ける、監視システム、監視方法及び記憶媒体を提供することである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明の第1の実施形態に係る監視システムの構成例を示すブロック図である。
図2図2は、本発明の第1の実施形態に係る監視システムを説明するための図面である。
図3図3は、本発明の第1の実施形態に係る監視システムを説明するための図面である。
図4図4は、本発明の第1の実施形態に係る監視システムを説明するための図面である。
図5図5は、本発明の第1の実施形態に係る監視システムの動作を説明するためのフローチャートである。
図6図6は、本発明の第1の実施形態に係る監視システムを説明するための図面である。
図7図7は、本発明の第1の実施形態に係る監視システムを説明するための図面である。
図8図8は、本発明の第2の実施形態に係る監視装置の構成例を示すブロック図である。
図9図9は、本発明の第2の実施形態に係る監視装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<第1の実施形態>
【0013】
図1に基づいて、監視システム1について説明する。図1は、監視システム1の構成例を示すブロック図である。図1に示すように、監視システム1は、監視装置10と光ファイバケーブル20を備える。監視システム1において、監視装置10は、光ファイバケーブル20をセンサとして光ファイバケーブル20の周囲の環境を監視する。光ファイバケーブル20は、第1の実施形態では、車両が走行する道路に沿って敷設されている。後述する監視対象は、当該道路に含まれる橋梁である。
【0014】
監視装置10は、取得手段11、識別手段12、生成手段13及び検出手段14を備える。取得手段11、識別手段12、生成手段13及び検出手段14は、それぞれ取得器、識別器、生成器及び検出器とも呼ばれる。図1に示すように、監視装置10は、光ファイバケーブル20と接続されている。監視装置10は、図示しない光源と受光手段を備える。光源は、光ファイバケーブル20にパルス光を出力する。光源は、所定の間隔でパルス光を繰り返し出力するものであってもよい。光ファイバケーブル20では、パルス光が光ファイバケーブル20内を伝播することにより、光ファイバケーブル20上の複数の点でレイリー後方散乱光が発生する。受光手段は、光ファイバケーブル20上の複数の点からレイリー後方散乱光を受信する。受光手段は、レイリー後方散乱光を解析することにより、光ファイバケーブル20上の複数の点での振動の振幅を検出する。例えば、受光手段は、レイリー後方散乱光の位相変化に基づいて、光ファイバケーブル20上の複数の点での振動の振幅を検出する。受光手段は、光ファイバケーブル20上の複数の点での振動の振幅を示す情報を取得手段11に出力する。光ファイバケーブル20上の点とは、光ファイバケーブル20の表面上の点を示す。
【0015】
取得手段11は、監視対象に取り付けられた光ファイバケーブル20内を伝搬するレイリー後方散乱光から、光ファイバケーブル20上の複数の点での振動の振幅を取得する。取得手段11は、上述した光源及び受光手段を含むものであってもよい。
【0016】
取得手段11は、光ファイバケーブル20上の各区間における振動の複数の振幅の総和を算出するものであってもよい。具体的には、取得手段11は、光ファイバケーブル20上の所定の区間の点からのレイリー後方散乱光に基づいて取得した振幅の総和を、光ファイバケーブル20上の所定の区間における振幅の総和として算出する。取得手段11は、区間の総和と区間との第1の対応関係を示す第1のグラフを生成する。取得手段11は、さらに、光ファイバケーブル20上の複数の点における振動の複数の振幅を、一定期間において複数回数にわたって取得する。取得手段11は、前記複数回数のそれぞれと第1の対応関係との間の第2の対応関係を示す図2に示すような第2のグラフを生成する。
【0017】
識別手段12は、光ファイバケーブル20上の複数の点での振動の複数の振幅に基づいて、監視対象に対応する監視部分を識別する。識別手段12の動作を図2に基づいて説明する。
【0018】
図2は、取得手段11が取得した、光ファイバケーブル20上の各点の振動の振幅の経時変化を示す図である。図2の縦軸は時間を示す。図2の横軸は監視装置10からの距離を示す。図2中の色の濃さは、振動の振幅を示す。例えば、灰色の部分の振幅は、黒い部分の振幅よりも大きい。
【0019】
図2の右上から左下に伸びる線は、監視装置10への車両の時間的接近を示す。図2の色は、A点からB点の間で発生する振動が、それ以外の部分で発生する振動よりも常に大きいことを示している。監視対象が橋梁の場合、監視対象の振動は道路の振動よりも常に大きい。したがって、識別手段12は、監視対象がA点とB点の間の部分に位置することを識別する。
【0020】
上記と同様に、識別手段12は、光ファイバケーブル20上の複数の点での振動の振幅に基づいて、光ファイバケーブル20における監視対象に対応する監視部分を識別する。例えば、識別手段12は、所定期間中に閾値以上の振幅の振動を検出した部分が監視部分であると識別する。図2中のM個の検出チャンネルは、監視部分の異なる位置を示す。識別手段12は、光ファイバケーブル20の複数の監視部分を識別するものであってもよい。また、識別手段12は、監視部分以外の部分をマスクし、監視部分の情報のみを外部に出力するものであってもよい。
【0021】
生成手段13は、識別手段12により識別された監視部分に対する複数の振動の振幅に基づいて、監視対象の振動モードを生成する。生成手段13の動作を図3及び図4に基づいて説明する。生成手段13は、識別手段12が複数の監視部分を識別した場合、監視対象ごとに振動モードを生成する。
【0022】
図3は、監視部分の異なる位置からのレイリー後方散乱光に基づいて検出された振動の変化を示す図である。生成手段13は、光ファイバケーブル20上の複数の点の振動の変化を含む情報を取得手段11から取得する。
【0023】
生成手段13は、図2に示すように、振動の変化を含む情報を解析して監視対象の振動モードを生成する。生成手段13による解析には公知の方法が用いられる。一例として、周波数領域における標準的なピークピッキング法により振動モードを抽出するものであってもよい。他の例として、周波数領域分解(FDD)法をファイバセンサの振動信号に適用するものであってもよい。レイリー後方散乱光の位相変化は周囲の振動の相対応答であるため、振動振幅はファイバケーブル内の各検出チャンネルで異なるスケールとオフセットを持つ。振動モードは構造物の地球規模の情報であるため、抽出された振動モードが対象橋梁の理論的な振動モード形状と密接に関連するように、各検出チャンネルは生成手段13によって、例えば単位分散に標準化される。FDD法では、以下のステップで振動モード形状を抽出する。
1.生の時系列振動からスペクトル密度行列を推定する。
2.スペクトル密度行列の特異値分解を行う。
3.平均特異値で支配的なピークを選ぶ。
4.振動モードは、選択したピーク特異周波数における固有ベクトルに対応する。
【0024】
図4は、監視対象の振動モードを示す。具体的には、図4のモード1は1次振動モード、モード2は2次振動モード、モード3は3次振動モードを示す。図4の各振動モードの縦軸は、その振動モードの振幅を示す。図4の横軸は、光ファイバケーブル20上の点を示す。本実施形態では、横軸は、図2に示すように、A点とB点の間の部分を示す。したがって、図4の振動モードは、監視対象に対応する監視部分の振動モードを示す。言い換えれば、光ファイバケーブル20内の監視部分の振動と監視対象の振動は同じであるため、図4は監視対象の振動モードを示す。
【0025】
検出手段14は、振動モードに基づいて、光ファイバケーブル20上の点に対応する監視対象上の点を少なくとも1つ検出する。監視対象上の点は、光ファイバケーブル20の表面と監視対象が接する点を示す。例えば、検出手段14は、1次振動モードにおいて振幅がゼロとなる点が監視対象の端部であることを検出する。また、検出手段14は、図4の2次振動モードで振幅がゼロとなるC点が監視対象の中央部であることを検出する。また、検出手段14は、図4の3次振動モードにおいて振幅がゼロとなるD点が、監視対象の端部間の1/3の点であることを検出する。また、検出手段14は、図4の3次振動モードにおいて振幅がゼロとなるE点が、監視対象の端部間の2/3の点であることを検出する。以上のように、検出手段14は、N番目の振動モードから監視対象上のN-1点を検出する。
【0026】
なお、検出手段14は、以下の方法に基づいて、監視対象上の他の点を検出するものであってもよい。検出手段14は、入力されたモード形状Ψ_n(x)の逆正弦関数を式(1)から求める。
【数1】
【0027】
検出手段14は、逆正弦が多値であるため、角度(-π)/2と角度π/2の間の角度を求め、π/2で割ることにより重み係数を求める。検出手段14は、監視対象上の連続する2点間の変化率を、前進微分を適用して求める。
【0028】
検出手段14は、式(2)から重みの絶対変化量を求める。式(2)において、lは監視部分の長さであり、その値は1とする。
【数2】
【0029】
検出手段14は、重みの絶対値の変化を式(3)により累積的に集計することで、監視対象x(m)上の点を求める。式(3)において、|・|は絶対関数である。
【数3】
【0030】
検出手段14は、累積集計値を値0と値1の間で正規化し、式(4)の正規化された監視対象位置xを求める。最終的な出力変数xは、0から1の間の値となり、監視部分の監視開始地点からの距離を表す。
【数4】
【0031】
次に、図5に基づいて監視システム1の動作を説明する。取得手段11は、光ファイバケーブル20上の各点の振動の振幅を取得する(S101)。例えば、各点での振動の振幅は、上述したレイリー後方散乱光の位相変化に基づいて導出される。
【0032】
識別手段12は、取得手段11が取得した振動の振幅に基づいて、監視対象に対応する光ファイバケーブル20内の監視部分を識別する(S102)。例えば、監視対象が橋梁の場合、光ファイバケーブル20内の橋梁に取り付けられている部分が監視部分となる。光ファイバケーブル20における監視部分以外の部分が道路に取り付けられている場合、監視部分の振動は監視部分以外の部分の振動よりも大きくなる。そこで、識別手段12は、閾値以上の振幅の振動が検出され続けている部分を監視部分として識別する。
【0033】
生成手段13は、光ファイバケーブル20上の複数の点の振動情報を解析することにより、監視対象の振動モードを生成する(S103)。生成手段13による解析には公知の方法が用いられる。生成手段13は、図4に示すように、複数の振動モードを生成するものであってもよい。
【0034】
検出手段14は、振動モードに基づいて、光ファイバケーブル20上の点に対応する監視対象上の少なくとも1点を検出する(S104)。例えば、検出手段14は、監視対象の端部、監視対象の中央部、監視対象の端部間の1/3の点、監視対象の端部間の2/3の点に対応する点を検出する。
【0035】
上述したように、監視システム1は、取得手段11と、生成手段13と、検出手段14とを備える。取得手段11は、監視対象に取り付けられた光ファイバケーブル20を伝搬する光に基づいて、光ファイバケーブル20上の複数の点での振動の複数の振幅を取得する。生成手段13は、複数の振幅に基づいて、監視対象の振動モードを生成する。検出手段14は、光ファイバケーブル20上の点に対応する監視対象上の点を検出する。したがって、監視システム1は、光ファイバケーブル20上の点と監視対象上の点とを対応付けることができる。
【0036】
例えば、監視対象の端部や中央部に対応する光ファイバケーブル20上の点を識別することが可能である。このため、監視システム1は、監視対象の端部又は中央部の振動を正確に測定することができる。
【0037】
図6は、分散型音響センサ(DAS)からある位置までの距離と、DASから道路上のある位置までの距離の差である誤差を示す。図6の縦軸は誤差を示す。図6の横軸はDASから道路上の位置までの距離を示す。DASは、本実施形態における監視装置10に相当する。上記の誤差は、光ファイバケーブルの配置がループ型の場合に大きくなる。図6に示すように、光ファイバケーブルは道路よりも長い。光ファイバケーブルが凹凸のある配置で取り付けられている場合、監視システム1は、監視対象の振動モードに基づき、光ファイバケーブル上の点と監視対象上の点を対応させることで、監視対象の端部又は中央部の振動を正確に計測することができる。
【0038】
監視装置10は、図7に示すように、コンピュータ装置200に実装されるものであってもよい。図7を参照すると、サーバ等のコンピュータ装置200は、プロセッサ(Central Processing Unit)202と、メモリ204等と、橋梁点での校正結果を表示する表示装置206と、通信インタフェース208とを含む。メモリ204は、例えば、半導体メモリ(例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、電気的に消去可能な読み出し専用メモリ(EEPROM)、及び/又は、記憶装置であるハードディスクドライブ(HDD)、ソリッドステートドライブ(SSD)、コンパクトディスク(CD)、デジタル多用途ディスク(DVD)の少なくとも1つを含む。
【0039】
通信インタフェース208(ネットワークインタフェースコントローラ(NIC)など)は、検出装置と通信可能に接続されるように構成されているものであってもよい。取得手段11、識別手段12、生成手段13及び検出手段14の処理を実行するためのプログラム命令(プログラムモジュール)を含むプログラム210が、メモリ204内に格納されている。
【0040】
プロセッサ202は、メモリ204からプログラム210(プログラム命令)を読み出して実行し、監視システム1の機能や処理を実現するように構成されている。
<第2の実施形態>
【0041】
第2の実施形態に係る光監視装置2を図8に基づいて説明する。図8は、監視装置2の構成例を示すブロック図である。監視装置2は、取得手段11、生成手段13、検出手段14を備える。監視装置2は、第1の実施形態における監視装置10と同様の構成、同様の機能、同様の接続関係を有するものであってもよい。
【0042】
取得手段11は、監視対象に取り付けられた光ファイバケーブルを伝搬する光に基づいて、光ファイバケーブル上の複数の点での振動の複数の振幅を取得する。取得手段11は、第1の実施形態における取得手段11と同様の構成、同様の機能、同様の接続関係を有するものであってもよい。
【0043】
生成手段13は、光ファイバケーブル上の点での振動の複数の振幅に基づいて、監視対象の振動モードを生成する。生成手段13は、第1の実施形態における生成手段13と同様の構成、同様の機能、同様の接続関係を有するものであってもよい。
【0044】
検出手段14は、振動モードに基づいて、光ファイバケーブル上の点に対応する監視対象上の点を検出する。検出手段14は、第1の実施形態における検出手段14と同様の構成、同様の機能、同様の接続関係を有するものであってもよい。
【0045】
次に、図9に基づいて監視装置2の動作を説明する。図9は、本発明の第2の実施形態に係る監視装置2の動作を説明するためのフローチャートである。取得手段11は、監視対象に取り付けられた光ファイバケーブルを伝搬する光に基づいて、光ファイバケーブル上の複数の点での振動の複数の振幅を取得する(S201)。生成手段13は、光ファイバケーブル上の複数の点での振動の複数の振幅に基づいて、監視対象の振動モードを生成する(S202)。検出手段14は、振動モードに基づいて、光ファイバケーブル上の点に対応する監視対象上の点を検出する(S203)。
【0046】
上述したように、監視装置2は、取得手段11、生成手段13、検出手段14を沿備える。したがって、監視装置2は、光ファイバケーブル上の点と監視対象上の点とを対応付けることができる。
【0047】
例えば、監視対象の端部又は中央部に対応する光ファイバケーブル上の点を識別することが可能である。そのため、監視装置2は、監視対象の端部又は中央部の振動を正確に測定することができる。
【0048】
本発明を、特にその好ましい実施形態を参照して示し説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。特許請求の範囲によって定義される本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、形態及び細部における様々な変更が行われてもよいことは、当業者によって理解されるであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2023-12-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視対象に取り付けられた光ファイバケーブルを伝搬する光に基づいて、前記光ファイバケーブル上の複数の点での振動の複数の振幅を取得する取得手段と、
前記複数の振幅に基づいて、前記監視対象の振動モードを生成する生成手段と、
前記振動モードに基づいて、前記光ファイバ上の点に対応する前記監視対象上の点を検出する検出手段と、
を備える監視システム。
【請求項2】
前記取得手段は、
前記光ファイバ上の各区間における前記複数の振幅の総和を算出し、
前記区間の総和と前記区間との第1の対応関係を示すグラフを生成する、
請求項1に記載の監視システム。
【請求項3】
前記取得手段は、
振動の前記複数の振幅を、複数回数にわたって取得し、
前記複数回数のそれぞれと前記第1の対応関係との間の第2の対応関係を示すグラフを生成する、
請求項2に記載の監視システム。
【請求項4】
前記光ファイバ上の複数の点での振動の前記複数の振幅に基づいて、前記監視対象に対応する監視部分を識別する識別手段をさらに備え、
前記生成手段は、前記監視部分上の複数の点での振動に基づいて、前記監視対象の前記振動モードを生成する、
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の監視システム。
【請求項5】
前記識別手段は、前記光ファイバ上の複数の点での振動の前記複数の振幅に基づいて、前記監視対象に対応する監視部分を識別し、
前記生成手段は、前記監視部分上の複数の点での振動を標準化し、前記監視部分上の複数の点での前記標準化された振動に基づいて、前記監視対象の前記振動モードを生成する、
請求項4に記載の監視システム。
【請求項6】
前記検出手段は、前記振動モードの点が前記監視対象の点のいずれであるかを検出する、
請求項1~5のいずれか一項に記載の監視システム。
【請求項7】
監視対象に取り付けられた光ファイバを伝搬する光に基づいて、前記光ファイバ上の複数の点での振動の複数の振幅を取得することと、
前記複数の振幅に基づいて、前記監視対象の振動モードを生成することと、
前記振動モードに基づいて、前記光ファイバ上の点に対応する前記監視対象上の点を検出することと、
を有する監視方法。
【請求項8】
視対象に取り付けられた光ファイバを伝搬する光に基づいて、前記光ファイバ上の複数の点での振動の複数の振幅を取得することと、
前記複数の振幅に基づいて、前記監視対象の振動モードを生成することと、
前記振動モードに基づいて、前記光ファイバ上の点に対応する前記監視対象上の点を検出することと、
をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【国際調査報告】