IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ラッチ メディカル リミテッドの特許一覧

<>
  • 特表-マイクロニードルアレイ 図1
  • 特表-マイクロニードルアレイ 図2
  • 特表-マイクロニードルアレイ 図3
  • 特表-マイクロニードルアレイ 図4
  • 特表-マイクロニードルアレイ 図5
  • 特表-マイクロニードルアレイ 図6
  • 特表-マイクロニードルアレイ 図7
  • 特表-マイクロニードルアレイ 図8
  • 特表-マイクロニードルアレイ 図9
  • 特表-マイクロニードルアレイ 図10
  • 特表-マイクロニードルアレイ 図11
  • 特表-マイクロニードルアレイ 図12
  • 特表-マイクロニードルアレイ 図13
  • 特表-マイクロニードルアレイ 図14
  • 特表-マイクロニードルアレイ 図15
  • 特表-マイクロニードルアレイ 図16
  • 特表-マイクロニードルアレイ 図17
  • 特表-マイクロニードルアレイ 図18
  • 特表-マイクロニードルアレイ 図19
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-28
(54)【発明の名称】マイクロニードルアレイ
(51)【国際特許分類】
   A61M 37/00 20060101AFI20240621BHJP
【FI】
A61M37/00 520
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023578873
(86)(22)【出願日】2022-06-20
(85)【翻訳文提出日】2024-01-11
(86)【国際出願番号】 EP2022066748
(87)【国際公開番号】W WO2022268731
(87)【国際公開日】2022-12-29
(31)【優先権主張番号】21180577.5
(32)【優先日】2021-06-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523111407
【氏名又は名称】ラッチ メディカル リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ベルトーロ,ニッキー
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA72
4C267BB02
4C267BB04
4C267BB40
4C267CC01
4C267GG02
4C267GG21
4C267HH30
(57)【要約】
本発明は、特定の幾何学的形状及び向きを有するマイクロニードル(12、16)の協働アレイを含むマイクロニードルシステムと、本発明に従って製造されたマイクロニードルアレイを使用して、デバイスの導入及び動作の有効性を向上させるそのようなマイクロニードルシステムの製造方法とを開示する。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組織に適用するためのマイクロニードルシステムであって、
第1のシートから形成され、前記第1のシートの平面から折り曲げられた第1のマイクロニードルのアレイと、
第2のシートから形成され、前記第2のシートの平面から折り曲げられた第2のマイクロニードルのアレイと、を備え、
前記第1のシート及び前記第2のシートが互いに重なり、前記第2のマイクロニードルのアレイが、前記第1のシート内の開口のアレイを通って延在して、前記第1のマイクロニードルのアレイに組み入れられ、
前記第1のマイクロニードルのアレイが、前記第2のマイクロニードルのアレイに対して、前記第1のシートの前記平面及び前記第2のシートの前記平面に平行な方向に、変位可能でり、
前記マイクロニードルの少なくとも一部が、前記第1のマイクロニードルのアレイと前記第2のマイクロニードルのアレイとの間の相対変位の方向に対して平行に延在する折り軸線を中心として、前記第1のシートの前記平面または前記第2のシートの前記平面から折り曲げられることを特徴とする、前記マイクロニードルシステム。
【請求項2】
前記折り軸線は、前記第1のシートの前記平面内、または前記第2のシートの前記平面内にある、請求項1に記載のマイクロニードルシステム。
【請求項3】
前記第1のシートの前記開口は、前記第1のマイクロニードルのアレイと前記第2のマイクロニードルのアレイとの間の前記相対変位を容易にするように成形され、寸法決めされている、請求項1または請求項2に記載のマイクロニードルシステム。
【請求項4】
前記第1のシートの前記開口は、それぞれのマイクロニードルを前記第1のシートから折り曲げて、少なくとも部分的に前記開口を画定することによって、少なくとも部分的に形成される、いずれかの先行請求項に記載のマイクロニードルシステム。
【請求項5】
前記第1のアレイ及び前記第2のアレイにおける前記マイクロニードルのそれぞれの長手方向軸線は、前記第1のシートの前記平面または前記第2のシートの前記平面に対して、ある斜角で延在する、いずれかの先行請求項に記載のマイクロニードルシステム。
【請求項6】
前記第1のアレイの前記マイクロニードルのそれぞれの長手方向軸線は、第1の方向に延在しており、
前記第2のアレイの前記マイクロニードルのそれぞれの長手方向軸線は、第2の方向に延在している、いずれかの先行請求項に記載のマイクロニードルシステム。
【請求項7】
前記第1の方向は、前記第2の方向から離れて延びる、請求項6に記載のマイクロニードルシステム。
【請求項8】
前記第1のアレイの前記マイクロニードルのそれぞれの前記長手方向軸線は、前記第1のシートの前記平面及び前記第2のシートの前記平面に対して第1の斜角で延びており、
前記第2のアレイの前記マイクロニードルのそれぞれの前記長手方向軸線は、前記第1のシートの前記平面及び前記第2のシートの前記平面に対して第2の斜角で延びている、請求項6または請求項7に記載のマイクロニードルシステム。
【請求項9】
前記第1のアレイ及び前記第2のアレイの前記マイクロニードルのそれぞれは、テーパ化された先端部を有する、いずれかの先行請求項に記載のマイクロニードルシステム。
【請求項10】
前記先端部は、複数の方向へテーパ化されている、いずれかの先行請求項に記載のマイクロニードルシステム。
【請求項11】
前記先端部は多面的である、請求項9または請求項10に記載のマイクロニードルシステム。
【請求項12】
前記第1のアレイ及び前記第2のアレイの前記マイクロニードルのそれぞれは、実質的に平面的であり、前記第1のシートの前記平面及び前記第2のシートの前記平面に垂直であり、かつ前記第1のシートと前記第2のシートとの間の相対変位の方向に対して平行である平面に位置する、いずれかの先行請求項に記載のマイクロニードルシステム。
【請求項13】
前記第1のシート及び前記第2のシートは、金属を含む、いずれかの先行請求項に記載のマイクロニードルシステム。
【請求項14】
前記マイクロニードルの1つ以上のうちの少なくとも一部は、外部コーティングを含む、いずれかの先行請求項に記載のマイクロニードルシステム。
【請求項15】
前記コーティングは、薬理学的に活性な成分及び/または電気絶縁材料を含む、請求項14に記載のマイクロニードルシステム。
【請求項16】
前記第1のシートは、前記第2のシートから電気的に隔離されている、いずれかの先行請求項に記載のマイクロニードルシステム。
【請求項17】
マイクロニードルシステムの製造方法であって、
第1のシートに第1のマイクロニードルのアレイを形成することと、
前記第1のマイクロニードルを前記第1のシートの平面から折り曲げることと、
第2のシートに第2のマイクロニードルのアレイを形成することと、
前記第2のマイクロニードルを前記第2のシートの平面から折り曲げることと、
前記第2のマイクロニードルのアレイが前記第1のシートの開口のアレイを通って延在して、前記第1のマイクロニードルのアレイに組み入れられ、前記第1のシートの前記平面及び前記第2のシートの前記平面に平行な方向に、前記第1のマイクロニードルのアレイに対して変位可能であるように、前記第1のシート及び前記第2のシートを重ねることと、
のステップを含み、
前記第1のマイクロニードルのアレイと前記第2のマイクロニードルのアレイとの間の相対変位の方向と平行に延在する折り軸線を中心として、前記第1のシートの前記平面または前記第2のシートの前記平面から前記マイクロニードルの少なくとも一部を折り曲げることを特徴とする、前記マイクロニードルシステムの製造方法。
【請求項18】
各折り軸線を、前記第1のシートの前記平面内または前記第2のシートの前記平面内にあるように位置決めすることを含む、請求項17に記載のマイクロニードルシステムの製造方法。
【請求項19】
打ち抜き加工、プレス抜き加工、エッチングまたはレーザー切断によって、前記第1のマイクロニードルのアレイ及び/または前記2のマイクロニードルのアレイを形成するステップを含む、請求項17または請求項18に記載のマイクロニードルシステムの製造方法。
【請求項20】
前記シートからそれぞれのマイクロニードルを折り曲げて、少なくとも部分的に前記開口を画定することによって、前記第1のシートに各開口を少なくとも部分的に形成するステップを含む、請求項17~19のいずれかに記載のマイクロニードルシステムの製造方法。
【請求項21】
前記それぞれのシートの前記平面から折り曲げられたときに、前記マイクロニードルのそれぞれの長手方向軸線が前記第1のシートの前記平面または前記第2のシートの前記平面に対して、ある斜角で延在するような形状及び配向で、前記第1のシート内及び前記第2のシート内に前記マイクロニードルを形成することを含む、請求項17~20のいずれかに記載のマイクロニードルシステムの製造方法。
【請求項22】
前記第1のアレイの前記マイクロニードルのそれぞれの長手方向軸線が第1の方向に延在し、かつ前記第2のアレイの前記マイクロニードルのそれぞれの長手方向軸線が第2の方向に延在するように、前記第1のシートを前記第2のシートに対して配向させることを含む、請求項17~21のいずれかに記載のマイクロニードルシステムの製造方法。
【請求項23】
前記第1のシート及び前記第2のシートを、向かい合って係合した状態で、前記第1のシート及び前記第2のシートの間の相対変位を可能にしながら固定することを含む、請求項17~22のいずれかに記載のマイクロニードルシステムの製造方法。
【請求項24】
前記第1のシート及び前記第2のシート内に前記マイクロニードルを実質的に平面になるように形成することと、
前記第1のシートの前記平面及び前記第2のシートの前記平面に垂直であり、かつ前記第1のシートと前記第2のシートとの間の前記相対変位の方向に対して平行である平面に位置するように、前記マイクロニードルを折り曲げることと、
を含む、請求項17~23のいずれかに記載のマイクロニードルシステムの製造方法。
【請求項25】
前記マイクロニードルのそれぞれの先端部にテーパを形成することを含む、請求項17~24のいずれかに記載のマイクロニードルシステムの製造方法。
【請求項26】
前記マイクロニードルの1つ以上にコーティングを被着させることを含む、請求項17~25のいずれかに記載のマイクロニードルシステムの製造方法。
【請求項27】
前記シートに対して所望の向きで前記マイクロニードルを保定するために、前記第1のシートの前記平面または前記第2のシートの前記平面から折り曲げられると、それぞれの第1のマイクロニードルまたは第2のマイクロニードルに係合するように適応された、前記第1のシートまたは前記第2のシートにおける少なくとも1つのタブを形成するステップを含む、請求項17~26のいずれかに記載のマイクロニードルシステムの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロニードルの協働アレイを含むマイクロニードルシステム、及びそのようなマイクロニードルシステムの製造方法に関する。この製造方法は、本発明に従って製造されたマイクロニードルアレイを使用する医療デバイスの導入及び動作の効率性を改善する。
【背景技術】
【0002】
マイクロニードルは、例えば、組織損傷の減少、手術時間及び患者の回復時間の短縮、感染リスクの軽減、ならびにマイクロニードルによるデバイスが関与する処置に必要な手術器具または医療器具の最小化といった、患者及び医療専門家の双方にとって多くの利益があることが実証されていることから、様々な医療用途で、ますます使われるようになっている。そのようなマイクロニードルによるデバイスは、エンドユーザが、医療専門家の治療介入を必要とせずに、デバイスの適用及び除去を行うことができる用途、例えば、様々な薬物送達用途、例えば、大規模なワクチン接種プログラムにも使用されている。
【0003】
国際特許出願WO2018/069543及びWO2019/201903は、様々な外科的使用及び治療的使用のため組織基質へ適用すべきデバイスまたはパッチの形態で提供され得るマイクロニードル及び対向するマイクロニードルアレイの構成及び動作の詳細な開示を提供しており、1つの特定の用途は、提供されたマイクロニードルからの直接の薬物送達、またはそのマイクロニードルを介しての薬物送達であり、この場合もやはり、ワクチン接種などの送達に使用され得る。WO2018/069543及びWO2019/201903の開示を、全体として本明細書に援用する。
【0004】
医療用途におけるマイクロニードルの使用が増加した結果として、そのような医療デバイスで用いるマイクロニードルアレイを大規模かつ経済的に製造する方法に対する需要が高まっている。
【0005】
したがって、本発明の目的は、皮膚などの組織基質内へマイクロニードルを迅速かつ容易に導入するように動作可能なマイクロニードルシステム、及び製造の経済性を改善するとともに、最終製品の性能を向上させる、そのようなマイクロニードルアレイの製造方法を提供することである。
【発明の概要】
【0006】
本発明の第1の態様によれば、組織に適用するためのマイクロニードルシステムであって、第1のシートから形成され、第1のシートの平面から折り曲げられた第1のマイクロニードルのアレイと、第2のシートから形成され、第2のシートの平面から折り曲げられた第2のマイクロニードルのアレイと、を備え、第1のシート及び第2のシートが互いに重なり、第2のマイクロニードルのアレイが、第1のシート内の開口のアレイを通って延在して、第1のマイクロニードルのアレイに組み入れられ、第1のマイクロニードルのアレイが、第2のマイクロニードルのアレイに対して、第1のシートの平面及び第2のシートの平面に平行な方向に、変位可能であり、マイクロニードルの少なくとも一部が、第1のマイクロニードルのアレイと第2のマイクロニードルのアレイとの間の相対変位の方向と平行に延在する折り軸線を中心として、第1のシートの平面または第2のシートの平面から折り曲げられることを特徴とする、マイクロニードルシステムが提供される。
【0007】
好ましくは、折り軸線は、第1のシートの平面内または第2のシートの平面内にある。
【0008】
好ましくは、第1のシートの開口は、第1のマイクロニードルのアレイと第2のマイクロニードルのアレイとの間の相対変位を容易にするように成形され、寸法決めされている。
【0009】
好ましくは、第1のシートの開口は、それぞれのマイクロニードルを第1のシートから折り曲げて、少なくとも部分的に開口を画定することによって、少なくとも部分的に形成される。
【0010】
好ましくは、第1のアレイ及び第2のアレイにおける各マイクロニードルの長手方向軸線は、第1のシートの平面または第2のシートの平面に対して、ある斜角で延在する。
【0011】
好ましくは、第1のアレイの各マイクロニードルの長手方向軸線は、第1の方向に延在しており、第2のアレイの各マイクロニードルの長手方向軸線は、第2の方向に延在している。
【0012】
好ましくは、第1の方向は、第2の方向から離れて延びる。
【0013】
好ましくは、第1のアレイの各マイクロニードルの長手方向軸線は、第1のシートの平面及び第2のシートの平面に対して第1の斜角で延びており、第2のアレイの各マイクロニードルの長手方向軸線は、第1のシートの平面及び第2のシートの平面に対して第2の斜角で延びている。
【0014】
好ましくは、第1のアレイ及び第2のアレイの各マイクロニードルは、テーパ化された先端部を有する。
【0015】
好適には、先端部は複数の方向へテーパ化されている。
【0016】
好適には、先端部は多面的である。
【0017】
好ましくは、第1のアレイ及び第2のアレイの各マイクロニードルは、実質的に平面的であり、第1のシートの平面及び第2のシートの平面に垂直であり、かつ第1のシートと第2のシートとの間の相対変位の方向に対して平行である平面に位置する。
【0018】
好ましくは、第1のシート及び第2のシートは金属を含む。
【0019】
好ましくは、1つ以上のマイクロニードルの少なくとも一部は、外部コーティングを含む。
【0020】
好ましくは、コーティングは、薬理学的に活性な成分を含む。
【0021】
好ましくは、第1のシートは、第2のシートから電気的に隔離されている。
【0022】
本発明の第2の態様によれば、マイクロニードルシステムの製造方法であって、第1のシートに第1のマイクロニードルのアレイを形成することと、第1のマイクロニードルを第1のシートの平面から折り曲げることと、第2のシートに第2のマイクロニードルのアレイを形成することと、第2のマイクロニードルを第2のシートの平面から折り曲げることと、第2のマイクロニードルのアレイが第1のシートの開口のアレイを通って延在して、第1のマイクロニードルのアレイに組み入れられ、第1のシートの平面及び第2のシートの平面に平行な方向に、第1のマイクロニードルのアレイに対して変位可能であるように、第1のシート及び第2のシートを重ねることと、のステップを含み、第1のマイクロニードルのアレイと第2のマイクロニードルのアレイとの間の相対変位の方向と平行に延在する折り軸線を中心として、第1のシートの平面または第2のシートの平面からマイクロニードルの少なくとも一部を折り曲げることを特徴とする、方法が提供される。
【0023】
好適には、本方法は、各折り軸線を、第1のシートの平面内または第2のシートの平面内にあるように位置決めすることを含む。
【0024】
好ましくは、本方法は、打ち抜き加工、プレス抜き加工、エッチングまたはレーザー切断によって、第1のマイクロニードルのアレイ及び/または第2のマイクロニードルのアレイを形成するステップを含む。
【0025】
好ましくは、本方法は、第1のシートからそれぞれのマイクロニードルを折り曲げて、少なくとも部分的に開口を画定することによって、第1のシートに各開口を少なくとも部分的に形成するステップを含む。
【0026】
好ましくは、本方法は、それぞれのシートの平面から折り曲げられたときに、各マイクロニードルの長手方向軸線が第1のシートの平面または第2のシートの平面に対して、ある斜角で延在するような形状及び配向で、第1のシート内及び第2のシート内にマイクロニードルを形成することを含む。
【0027】
好ましくは、本方法は、第1のアレイの各マイクロニードルの長手方向軸線が第1の方向に延在し、かつ第2のアレイの各マイクロニードルの長手方向軸線が第2の方向に延在するように、第1のシートを第2のシートに対して配向させることを含む。
【0028】
好ましくは、本方法は、第1のシート及び第2のシートを、向かい合って係合した状態で、第1のシート及び第2のシートの間の相対変位を可能にしながら固定することを含む。
【0029】
好ましくは、本方法は、第1のシート及び第2のシート内にマイクロニードルを実質的に平面になるように形成することと、第1のシートの平面及び第2のシートの平面に垂直であり、かつ第1のシートと第2のシートとの間の相対変位の方向に対して平行である平面に位置するように、マイクロニードルを折り曲げることとを含む。
【0030】
好ましくは、本方法は、各マイクロニードルの先端部にテーパを形成するステップを含む。
【0031】
好ましくは、本方法は、先端部に複数のテーパを形成するステップを含む。
【0032】
好ましくは、本方法は、多面的な先端部を形成するステップを含む。
【0033】
好ましくは、本方法は、1つ以上のマイクロニードルにコーティングを被着させることを含む。
【0034】
好ましくは、本方法は、シートに対して所望の向きでマイクロニードルを保定するために、第1のシートの平面または第2のシートの平面から折り曲げられると、それぞれの第1のマイクロニードルまたは第2のマイクロニードルに係合するように適応された、第1のシートまたは第2のシートにおける少なくとも1つのタブを形成するステップを含む。
【0035】
本発明は、これより以下の添付の図面を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】金属のシートから打ち抜かれ、折り曲げられたマイクロニードルの先行技術のアレイの斜視図を例示する。
図2図1に例示されたアレイからの1つのマイクロニードルの拡大平面図を例示する。
図3図2に例示したような1つのマイクロニードルの拡大側面図を例示する。
図4】マイクロニードル外形を取り囲む特殊輪郭形状の開口部を形成するように、第1のマイクロニードルの輪郭または外形が切断または別の方法で形成され、余分な材料が除去されている、第1のシートの一部の平面図を例示する。
図5】第1のマイクロニードルが折り軸線を中心として第1のシートの平面から折り返された図4の配列を例示する。
図6】第2のマイクロニードルの輪郭または外形が第2のシートに切断または別の方法で形成された第2のシートの一部の平面図を例示する。
図7】第2のマイクロニードルが折り軸線を中心として第2のシートの平面から折り返された図6の構成を例示する。
図8図5及び図7に示された第1のシート及び第2のシートの部分の斜視図を例示し、例示目的のため、かつ本発明によるマイクロニードルシステムにおいて使用するため、上側に位置しているが、互いに垂直に分離されている。
図9】第2のマイクロニードルが第1のシートの開口を通って突出し、第1のマイクロニードル及び第2のマイクロニードルが非係合状態にあるように、図8に示す第1のシート部分及び第2のシート部分が互いに協働する係合状態に組み合わされた状態を例示する。
図10】第1のマイクロニードル及び第2のマイクロニードルが係合状態にある、図9の配列を例示する。
図11図9の配列の側面図を例示する。
図12図10の配列の側面図を例示する。
図13図9または図10の配列の端面図を例示する。
図14】互いに分離されて示されたマイクロニードルの第1のアレイ及び第2のアレイを含むマイクロニードルベースのスキンパッチの分解斜視図を例示する。
図15】第1のマイクロニードルのアレイ及び第2のマイクロニードルのアレイが互いに協働して係合する状態になった、図14のスキンパッチを例示する。
図16図14及び図15に示されたスキンパッチの側面図を例示する。
図17図16に示されたスキンパッチの側面図を例示する。
図18】変更された保定タブが開放状態にある、図14図17のスキンパッチを例示する。
図19】保定タブが閉鎖状態にある、図18に示したスキンパッチを例示する。
【発明を実施するための形態】
【0037】
添付の図面の図1図3を参照すると、公知の製造方法によるシートSと一体に形成されたマイクロニードルMの公知のアレイが例示されている。この製造方法は、好適には一回の打ち抜き工程で、シートSに開口Oの配列を切り取るか、または打ち抜いて、この配列内に各マイクロニードルMの外形を形成することを含む。この製造方法は、開口Oを、例えば、他の材料が使用されてもよいが、鋼またはチタンなどの金属のシートから打ち抜くために、従来のプレス機(図示せず)等を利用する。
【0038】
図2及び図3は、例示の目的で、アレイから切り離して拡大した、マイクロニードルM及び周囲の開口Oの1つを示す。開口Oを打ち抜くことによってマイクロニードルMの輪郭が形成されると、製造プロセスにおけるさらなるステップは、マイクロニードルMをシートSの平面から曲げる、または折り曲げるものであり、この場合もやはり従来のパンチアセンブリを使用して行われる。マイクロニードルMは、組織内への挿入中にマイクロニードルMが変位する方向に対して横方向に延びる軸線Aを中心に曲げられていることが分かる。
【0039】
次に図4図17を参照すると、本発明による、全体を10で示されたマイクロニードルシステムと、マイクロニードルシステム10を製造する方法とが例示されている。マイクロニードルシステム10は、後述する、第1のシート14と一体に形成された第1のマイクロニードル12のアレイと、さらにまた後述する、第2のシート18と一体に形成された第2のマイクロニードル16の協働アレイとを有する。より詳細に説明するように、第1のシート14及び第2のシート18は、使用時に、第2のマイクロニードル16が第1のシート14を突き抜けて、第1のマイクロニードル12に組み入れられるように、向かい合って係合した状態に配置され、好ましくは第1のマイクロニードル12及び第2のマイクロニードル16の協働する対の状態に配置される。第1のマイクロニードル12及び第2のマイクロニードル16は、非係合状態と係合状態との間でシステム10を移行させて、組織(図示せず)を貫通し、その結果、組織に固定するために、長手方向または「X」方向に互いに対して変位可能である。この導入技法の基礎となる方法論は、上記国際出願WO2018/069543及びWO2019/201903に詳細に記載されている。参照しやすくするために、マイクロニードルシステム10に対して図9にグラフで表すように、以下では、デバイス10及びシート14、18の長さに沿った方向または寸法を「X」座標または「X」方向と称し、幅に沿った方向を「Y」座標と称し、深さに沿った方向を「Z」座標と称する。
【0040】
図面では、完全な第1のシート14及び/または第2のシート18は、図14図17にのみ示されており、一方、図4図13は、マイクロニードル12、16の1つの協働する対の局所的な配列及び相互作用を明確に示すために、それぞれの単一のマイクロニードル12、16を含む各シート14、18の一部を示す。以下に説明されるこの配列及び相互作用は、協働するマイクロニードル12、16の各対についてアレイ全体にわたって繰り返されることが理解されよう。マイクロニードル12、16は、図4及び図6に例示したように、マイクロニードル12、16の輪郭または外形を画定するためにシート14、18から材料を除去するプロセスと、次いで、図5及び図7に例示したように、マイクロニードル12、16をシート14、18の平面から折り曲げられる後続のステップを経て、それぞれのシート14、18と一体に形成される。各マイクロニードル12、16の周囲にある材料は、例えば打ち抜き加工、化学エッチング、レーザー切断、または他の任意の機能的代替プロセスなど、任意の適切なプロセスによって除去することができる。マイクロニードル12、16の最終形状は様々であってもよく、特定の用途または製造プロセスに適合するように異なる幾何学的形状を有してもよい。例示された実施形態では、両マイクロニードル12、16は同様の幾何学的形状を有しており、長手方向軸線Lに交差する幅Wと比べて長手方向軸線Lに沿って細長く、シート14、18の厚さと等しい厚さTを有する。しかしながら、厚さTは、追加の製造ステップによって変更すること、例えば、マイクロニードル12、16の長さの全体または一部に沿って厚さを減少させること、あるいは例えば、1つ以上のコーティングまたは材料を、他の何らかの付加製造プロセスを介して被着させることによって厚さを増大させること、ができることを理解されよう。しかしながら、製造効率のためには、マイクロニードル12、16の最終形状を一回のステップでシート14、18から打ち抜き、または別の方法で切断できることが好ましい。追加または代替として、マイクロニードル12、16のうちの1つ以上の少なくとも一部には、電気的隔離コーティングまたは電気的絶縁コーティング(図示せず)などのコーティング、及び/または薬理学的に活性な物質または組成物が設けられていてもよい。電気的隔離コーティングまたは電気的絶縁コーティングの場合、例えば、マイクロニードル(複数可)12、16の実質的な長さをコーティングするが、先端部などのコーティングされていない部分を残すことが可能であり、その場合、それによってマイクロニードル12、16を使用して特定の深さで皮膚インピーダンスを測定できるようになる。
【0041】
シート14、18は、任意の適切な材料、例えば、金属または金属合金、プラスチックまたは複合材、あるいは材料の任意の適切な組み合わせから形成されてもよく、任意の適切な厚さ及び表面積であってもよく、例えば、マイクロニードル12、16を形成するために大きなシートが加工されることがあり、その後、最終加工品を形成するために、シートが複数のより小さなセクションに分割されることがある。
【0042】
マイクロニードル12、16がシート14、18から折り曲げられると、マイクロニードル12、16のほぼネガの形をした穴がシート14、18に残ることが理解されよう。ただし、各第1のマイクロニードル12の外形を形成する際に、長手方向に延在する開口20を形成するために余分な材料もまた除去され、この開口20は、好ましくは、第1のマイクロニードル12の外形を打ち抜き加工または別の方法で形成するのと同じステップで完全に形成される。開口20は、第1のシート14及び第2のシート18が向かい合って係合した状態に配置されているときに、協働する第2のマイクロニードル16が「Z」方向に第1のシート14を通過することを可能にするように、したがって図9及び図10に示すように、第1のマイクロニードル12の対を成すマイクロニードルと隣接して整列した状態に配置されることを可能にするように、配列されている。開口20は、長手方向に延在する第1の端部22と、反対側の長手方向に延在する第2の端部24とに加えて、それぞれの第1のマイクロニードル12を除去した結果として得られる領域を有する。これらの端部22、24は、システム10が上記のように非係合状態と係合状態との間で移行するときに、第1のマイクロニードル12に対して第2のマイクロニードル16が長手方向または「X」方向に変位することを可能にする。このことは、第1のシート14及び第2のシート18を長手方向にまたは「X」方向に相対変位させることによって達成される。シート14、18は、再び図9及び図10にそれぞれ示すように、制限された経路または距離に沿って実質的に互いの上をスライドする。この距離は、本実施形態では実質的に、第2のマイクロニードル16が、開口20の第1の端部22に配置される位置から第2の端部24に配置される位置まで変位可能な距離である。この距離は、当然ながら、必要に応じて、最も簡単には、開口20の長手方向寸法または「X」方向寸法を増加させることによって、変化させることができる。したがって、開口20の幾何学的形状を利用して、マイクロニードル12、16の間の相対変位の範囲を決定することができる。
【0043】
必要に応じて、シート14、18の間の相対変位を容易にするために、装置10に適切な軸受(図示せず)を設けてもよい。これは、例えば、シート14、18の間またはシート14、18のうちの1つの面に配置された低摩擦コーティングまたは構成要素(図示せず)の形態を取ってもよい。しかしながら、シート14、18の間の相対変位が小さいとした場合、システム10の殆どの用途が単回使用であることを考慮すれば、そのような軸受(図示せず)が、システム10の効果的な動作を保証するための必須要件となる可能性は低い。あるいは、コーティングは、マイクロニードルアレイの各シート14、18を互いに電気的に隔離する適切な配合物であってもよい。これは、上記で詳述したようなマイクロニードル12、16を使用する皮膚インピーダンスの直接測定を容易にする。
【0044】
次に、マイクロニードル12、16の具体的な設計について見ると、各マイクロニードル12、16の長手方向軸線Lが、シート14、18の平面、すなわち「XY」平面に対して斜角φで延びていることが分かる。この角度φは、必要に応じて、例えば、用途特有であるように変化させてもよい。第1のマイクロニードル12は第1の方向に延びるように向けられており、第2のマイクロニードル16は実質的に反対方向の第2の方向に延びている。例示された実施形態では、マイクロニードル12、16は、システム10が非係合状態で、図11において最も明瞭に見えるように、長手方向または「X」方向で重なり合うように配列されているが、このことは図9で見ることもできる。シート14、18を互いに対して長手方向に変位させることにより、システム10は係合状態へ移行され、マイクロニードル12、16がまた、図10及び図12に示された向きに互いに対して長手方向に変位される。この位置では、マイクロニードル12、16は、実質的に互いを越えて長手方向に互いから離れており、「X」方向で重なり合わない。しかしながら、マイクロニードルシステム10は、例えば、マイクロニードル12、16間の長手方向の重なりを変化させて、代替の係合解除される相対配向及び代替の係合される相対配向を採用するように変更されてもよいことを理解されたい。この意図的な「X」方向の重なりは、重ね合わせプロセス及び初期スライドプロセス中のマイクロニードル12、16の絡まりまたは干渉を防止することによって、製造性を改善する。認識できるように、このスケールで金属を折るとき、(特に特定の材料、例えばステンレス鋼では)制御が困難な大幅な弾性戻りが生じ得るので、この重なりにより、マイクロニードル12、16が第1のシート14または第2のシート18の平面に対して正確に折られる必要性が低減される。
【0045】
長手方向軸線Lに沿ったマイクロニードル12、16の長さも、必要に応じて変化させてもよい。図13からは、「Y」方向において、マイクロニードル12、16が「X」方向に互いに相対的に移動する際の接触を回避するために、マイクロニードル12、16が互いに横方向に分離されていることも見て取れる。
【0046】
また、特に図11図14から分かるように、シート14、18が組み合わさった状態で、マイクロニードル12、16は同じ深さ(「Z」方向)まで延びており、したがって、第2のマイクロニードル16は、好ましくは、第1のマイクロニードル12よりも大きな「Z」寸法を有し、特に、第2のマイクロニードル16が突出する第1のシート14の厚さに等しい増大した「Z」寸法を有することが理解されよう。このように、マイクロニードル12、16は両方とも、「Z」方向に同じ深さまで延びるが、マイクロニードルが異なる深さまで延びていてもよいこと、またはフラーアレイ内の特定のマイクロニードル12、16の対がそのように構成されていてもよいこと、も想定される。また、第1のシート14及び第2のシート18における開口の機械加工及び作成において、マイクロニードル12、16を画定して、任意選択的に、個々のニードル12、16を垂直方向にクリックロックするために、互いに効果的に係合する幾何学的形状(タブなど、図示せず)を作成することも意図されている。
【0047】
マイクロニードル12、16は、好適には、組織貫通を高めるために、テーパ化された先端部26を有する。先端部26を、複数の方向/平面においてテーパ化または面取化することができる。このテーパ化または面取化は、好適には、シート14、18からマイクロニードル12、16を折り曲げるより前に形成されるが、後で適用することもできる。先端部26または一部もしくは全てのマイクロニードル12、16には、マイクロニードル12、16の物理的特性を変更するためのコーティング(図示せず)、例えば、先端部26を硬化させるためのコーティングが設けられていてもよい。このコーティングは、任意の適切な方法、例えば蒸着によって被着させることができる。これに加えてまたはこれに代えて、先端部26及び/またはマイクロニードル12、16を、システム10が組織に導入されたときに送出される薬理学的に活性な化合物または薬物でコーティングすることができる。代替的に、マイクロニードル12、16は中空であってもよく、システム10は、中空マイクロニードルから、または中空マイクロニードルを通して、薬剤送出を行うように適応されてもよい。
【0048】
特に図4図10を参照すると、マイクロニードル12、16は、長手方向または「X」方向に延びる折り軸線28に沿ってシート14、18の「XY」平面から折り曲げられることが分かる。これには、多くの利点があり、特に、組織挿入中の長手方向荷重に耐えるマイクロニードル12、16の強度が著しく増大し、シート14、18の所与の領域におけるマイクロニードル12、16の密度を著しく増大させることができる。したがって、図4及び図6に示したように、マイクロニードル12、16の外形を形成するとき、マイクロニードル12、16は、シート14、18の「XY」平面から一度折り曲げられると、マイクロニードル12、16がシート14、18の「XY」平面に対して斜角φで配向されるように、長手方向または「X」方向に対して斜角φで延びるように配列される。したがって、角度φは、折り軸線28と、マイクロニードル12、16の長手方向軸線Lとの間に規定される。図13は、さらに、マイクロニードル12、16が、好適には、シート14、18の「XY」平面に対して垂直な向きで「Z」方向に延びていることが例示されているが、この向きを変化させてもよい。マイクロニードル12、16間の相対変位の方向に一致させて折り軸線28を配列させることによって、シート14、18から折り曲げられると、協働するマイクロニードルの対12、16が、図13に最も明瞭に見られるように、それらの最小寸法である厚さTを、隣り合わせで持つように配向される。マイクロニードル12、16のこの向きは、特に図1に例示したような先行技術の向きと比べて、シート14、18の所与の領域に配列することができる、協働するマイクロニードル12、16の密度を著しく増大させる。このように密度を高めることによって、組織に対する付着力を増大させること、及び/または薬物送達能力を増大させることができる。
【0049】
図14図17を参照すると、マイクロニードルシステム10は、システム10を非係合状態と係合状態との間で移行させるために、シート14、18の相対変位を生じさせるように動作可能な、例示的な手動アプリケータ30を含んで示されている。この形態のアプリケータ30の構成及び動作は、詳細には、出願人の同時係属中の欧州特許出願第20198798.9号に記載され、示されている。アプリケータ30は、一対の半部32、34を有し、これら半部32、34を互いに対して変位させることができ、かつこれらの半部32、34の下面には一対のシート14、18が着脱可能にまたは恒久的に固定され得る。第1のシート14には一対のタブ36が設けられており、これらタブ36は、第2のシート18内の対応する一対の開口部38を通って突出している。これらの開口部38は、シート14、18の相対的な変位を生じさせるために、タブ36の長手方向の相対的な変位を可能にするように寸法決めされている。タブ36はアプリケータ30の下側に固定されており、一対の半部32、34の変位は、開口部38に沿ってタブ36の変位を生じさせ、これにより、シート14、18の相対変位を生じさせ、その結果、マイクロニードル12、16の相対変位を生じさせるように配列されている。このようにして、システム10を押して皮膚などの組織(図示せず)に接触させ、一対の半部32、34を手動で押し合わせて、マイクロニードル12、16を皮膚内に導入することができる。次いで、アプリケータ30を取り外して、皮膚に当てられたシート14、18を残す場合があり、あるいは上記の手順を逆にして、マイクロニードル12、16を皮膚またはその他の組織から後退させることによって、それに続くシート14、18の除去を可能にするように、アプリケータ30を所定の位置に残す場合がある。
【0050】
図18及び図19は、図14図17に示したようなマイクロニードルシステム10を例示しており、マイクロニードルの一対のシート(見えない)のそれぞれが、そのマイクロニードルの1つの縁部から横方向に延び、これにより、アプリケータ30のそれぞれの半部32、34の縁部を越えて延びる保定タブ136が設けられるように変更されている。保定タブ136のそれぞれは、図18に例示したような開放位置から、それぞれの半部32、34の縁部の周りに折られて、それぞれの半部32、34の上に重なり、これにより、マイクロニードルのそれぞれのシートをアプリケータのそれぞれの半部32、34に固定するように、変位可能である。保定タブ138は、図15に示されたタブ36の対の代わりにまたはこれらのタブ36の対と組み合わせて使用されてよい。タブ138は、弾性的に変形可能であり得るか、または別の形で開放位置と閉鎖位置との間を可逆的に変位し得る。このようにして、シートが皮膚上に展開されると、保定タブ138は、アプリケータ30が取り外されて、皮膚上にマイクロニードルのシートのみを残すことなどを可能にするために、開放状態に戻されてもよい。
【0051】
アプリケータ30をベースとするマイクロニードルシステム10は、マイクロニードルシステム10の単なる例示的な用途であり、その本質的な構成要素は、協働するマイクロニードル12、16のアレイを乗せるシート14、18の対であることが理解されよう。これらのシート14、18は、皮膚または眼への適用、バイオセンシングの用途、薬物送達、または他の医療器具などの固定などのように外部的であろうと、外科手術または薬物送達の用途のため内部的であろうと、組織への導入を可能にするために、他の適切な医療デバイスまたは外科手術デバイスに組み込むことができる。
【0052】
したがって、本発明によるシステム10及び製造方法は、組織貫通中のマイクロニードルの強度を高め、マイクロニードルが形成されたシートの所与の表面積に対するマイクロニードルの密度を高め、そのようなマイクロニードルアレイの大量製造を容易にする構成であるマイクロニードルアレイを提供することが理解されよう。
【0053】
本発明は、本明細書に記載する実施形態に限定されず、本発明の範囲から逸脱することなく補正または修正することができる。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
【国際調査報告】