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特表2024-523468非切除型肥満症用カップリングデバイス及び使用方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-28
(54)【発明の名称】非切除型肥満症用カップリングデバイス及び使用方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/072 20060101AFI20240621BHJP
   A61B 17/94 20060101ALI20240621BHJP
   A61B 17/08 20060101ALI20240621BHJP
   A61B 17/00 20060101ALI20240621BHJP
【FI】
A61B17/072
A61B17/94
A61B17/08
A61B17/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023578909
(86)(22)【出願日】2022-06-10
(85)【翻訳文提出日】2024-02-14
(86)【国際出願番号】 US2022032968
(87)【国際公開番号】W WO2022271459
(87)【国際公開日】2022-12-29
(31)【優先権主張番号】63/213,364
(32)【優先日】2021-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391028362
【氏名又は名称】ダブリュ.エル.ゴア アンド アソシエイツ,インコーポレイティド
【氏名又は名称原語表記】W.L. GORE & ASSOCIATES, INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100208225
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 修二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100144417
【弁理士】
【氏名又は名称】堂垣 泰雄
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド ジェイ.レイン
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160CC02
4C160CC06
4C160CC07
4C160CC09
4C160CC12
4C160CC18
4C160CC23
4C160CC40
4C160MM44
4C160NN23
(57)【要約】
遠位端と近位端を有するアプライヤを含む内視鏡胃装置。アプライヤは互いに対向し、前胃壁と後胃壁を当接して係合させるために協働配置にある2つの胃壁係合要素をさらに含み、同時に又は順次に複数の組織締結具を配備し、そして前胃壁と後胃壁を一緒に固定して胃内に隔壁を形成ために組織締結具を適用するように適合されている。隔壁は、幽門洞に隣接する隔壁によって画定される通路を通した体腔間の流体連通を可能にする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠位端及び近位端を有するアプライヤ、
を含む、内視鏡胃装置であって、
前記アプライヤは、互いに対向し、前胃壁と後胃壁をそれぞれ当接して係合させるための協働配置にある2つの胃壁係合要素を含み、そして1つ又は複数の組織締結具を同時に又は順次に配備し、前記1つ又は複数の組織締結具を適用して、活動胃部分及び制限胃部分を画定する隔壁を胃内に形成するために前胃壁と後胃壁とを一緒に固定するように動作可能であり、前記隔壁は、該隔壁によって画定された通路を通って前記活動胃部分と前記制限胃部分との間の流体連通を可能にする、内視鏡胃装置。
【請求項2】
前記アプライヤは、腹腔内に通過するために形状付けされそして寸法決めされた支持体で遠位端に固定されている、請求項1記載の内視鏡胃装置。
【請求項3】
前記隔壁は、前記隔壁によって画定される前記通路が幽門洞に隣接するように、胃底から前記幽門洞に隣接するまで延在している、請求項1記載の内視鏡胃装置。
【請求項4】
前記複数の組織締結具のそれぞれは順次に配備される、請求項1記載の内視鏡胃装置。
【請求項5】
前記複数の組織締結具のそれぞれは同時に配備される、請求項1記載の内視鏡胃装置。
【請求項6】
前記通路は、前記制限胃部分と前記活動胃部分との間で物質の通過を可能にするようにサイズ決めされている、請求項1記載の内視鏡胃装置。
【請求項7】
前記1つ又は複数の組織締結具は、ステープル、縫合糸、リベット、調節可能なリベット、及び対向する磁石のうちの少なくとも1つである、請求項1記載の内視鏡胃装置。
【請求項8】
配備される組織締結具の数は1~40の範囲である、請求項1記載の内視鏡胃装置。
【請求項9】
前記内視鏡胃装置は、前記2つの胃壁係合要素のそれぞれの近位端に第一の弧状部分及び第二の弧状部分を含む、請求項1記載の内視鏡胃装置。
【請求項10】
前記第一の弧状部分及び前記第二の弧状部分は、前記内視鏡胃装置が閉鎖構成にあるときに空間を囲むように構成され、前記空間は、前記隔壁によって画定される通路を形成するように動作可能である、請求項9記載の内視鏡胃装置。
【請求項11】
前記2つの胃壁係合要素のうちの第一の要素は、前記1つ又は複数の組織締結具を収容するカートリッジを含む、請求項1記載の内視鏡胃装置。
【請求項12】
前記2つの胃壁係合要素のうちの第二の要素は、1つ又は複数の組織締結具受容要素を含む、請求項1記載の内視鏡胃装置。
【請求項13】
前記1つ又は複数の組織締結具はステープルを含み、前記1つ又は複数の組織締結具受容要素はステープルポケットを含む、請求項12記載の内視鏡胃装置。
【請求項14】
前記2つの胃壁係合要素は、それぞれ約200mm~250mmの長さを有するように構成されている、請求項1記載の内視鏡胃装置。
【請求項15】
前記2つの胃壁係合要素は、それぞれほぼ等しい長さを有するように構成されている、請求項1記載の内視鏡胃装置。
【請求項16】
胃を部分的に区画化するための方法であって、
小弯と大弯の間で前胃壁と後胃壁にアクセスすること、
活動胃部分と制限胃部分とを画定する位置で前記前胃壁と前記後胃壁を互いに当接して係合させること、及び、
前記前胃壁及び前記後胃壁をカップリングして当接部を固定し、前記活動胃部分と前記制限胃部分との間の流体連通を維持しながら隔壁を形成すること、
を含む、方法。
【請求項17】
前記前胃壁と前記後胃壁が互いに係合する位置は胃底から幽門洞に隣接するまでである、請求項16記載の胃を部分的に区画化するための方法。
【請求項18】
前記前胃壁と前記後胃壁とをカップリングしている間に、前記隔壁は胃底から幽門洞に隣接するまで形成される、請求項17記載の胃を部分的に区画化するための方法。
【請求項19】
カップリングは、前胃壁及び後胃壁に穴を開け、組織締結具で固定するための手段を含む、請求項16記載の胃を部分的に区画化するための方法。
【請求項20】
カップリングは、ステープル留め、縫合及びリベット留めのうちの少なくとも1つを含む、請求項16記載の胃を部分的に区画化するための方法。
【請求項21】
前記前胃壁と前記後胃壁とのカップリング後に、前記活動胃部分と前記制限胃部分とはカップリングされたままである、請求項16記載の胃を部分的に区画化するための方法。
【請求項22】
カップリングから形成される前記隔壁は、胃底から幽門洞までの長さの大部分を延在している長さを有する、請求項18記載の胃を部分的に区画化するための方法。
【請求項23】
カップリングから形成された前記隔壁は、胃底から幽門洞までの長さに完全に延在している長さを有し、前記隔壁は、前記隔壁に沿った1つ以上の位置で流体通路を画定している、請求項16記載の胃を部分的に区画化するための方法。
【請求項24】
前記前胃壁と前記後胃壁のカップリングは、互いに対向する2つの胃壁係合要素を含む内視鏡胃装置の使用によって完了する、請求項16記載の胃を部分的に区画化するための方法。
【請求項25】
前記前胃壁及び前記後胃壁にアクセスすることは、前記2つの胃壁係合要素のうちの第一の胃壁係合要素を前記前胃壁に隣接して配置すること、及び、前記2つの胃壁係合要素のうちの第二の胃壁係合要素を前記前胃壁に隣接して配置することをさらに含む、請求項24記載の胃を部分的に区画化するための方法。
【請求項26】
前記前胃壁と前記後胃壁を係合させることは、前記第一の胃壁係合要素と前記第二の胃壁係合要素とを互いに係合させることをさらに含む、請求項25記載の胃を部分的に区画化するための方法。
【請求項27】
カップリングは、前記2つの胃壁係合要素のうちの1つから複数の組織締結具を配備することをさらに含む、請求項24記載の胃を部分的に区画化するための方法。
【請求項28】
カップリングは、前記2つの胃壁係合要素のうちの1つから組織締結具を配備することさらに含む、請求項24記載の胃を部分的に区画化するための方法。
【請求項29】
カップリングは、
前記2つの胃壁係合要素を再配置すること、及び、
複数の組織締結具のうちの別の組織締結具を配備すること、
をさらに含む、請求項28記載の胃を部分的に区画化するための方法。
【請求項30】
前記前胃壁及び前記後胃壁を切断することなく、前記前胃壁及び後胃壁に隣接するところから内視鏡胃装置を除去することをさらに含む、請求項24記載の胃を部分的に区画化するための方法。
【請求項31】
肥満を治療するための方法であって、
請求項1~15のいずれか1項記載の内視鏡胃装置を使用して、胃底から幽門洞に隣接する位置で、前記前胃壁と前記後胃壁とを当接して互いに係合させて、活動胃部分及び制限胃部分を画定すること、及び、
前記前胃壁及び前記後胃壁をカップリングして当接部を固定し、そして前記活動胃部分と前記制限胃部分との間の流体連通を維持しながら隔壁を形成すること、
を含む、方法。
【請求項32】
前記隔壁は、前記胃底から前記幽門洞に隣接するまで形成される、請求項31記載の肥満を治療するための方法。
【請求項33】
前記流体連通は、前記隔壁及び胃壁によって画定される通路を介して維持される、請求項31記載の肥満を治療するための方法。
【請求項34】
前記前胃壁と前記後胃壁をカップリングすることは、前記2つの胃壁係合要素のうちの一方を前記前胃壁に隣接して配置し、前記2つの胃壁係合要素のうちの他方を前記後胃壁に隣接して配置すること、及び前記1つ以上の組織締結具を配備することを含む、請求項31記載の肥満を治療するための方法。
【請求項35】
糖尿病を治療するための方法であって、
請求項1~15のいずれか1項記載の内視鏡胃装置を使用して、活動胃部分と制限胃部分を画定する胃底から幽門洞に隣接する位置で、前胃壁と後胃壁とを当接して互いに係合させること、及び、
前記前胃壁と前記後胃壁とをカップリングして当接部を固定し、前記活動胃部分と前記制限胃部分との間の流体連通を維持しながら、胃底から幽門洞に隣接するまでの隔壁を形成すること、
を含む、方法。
【請求項36】
前記前胃壁と前記後胃壁をカップリングすることは、前記2つの胃壁係合要素のうちの一方を前記前胃壁に隣接して配置し、前記2つの胃壁係合要素のうちの他方を前記後胃壁に隣接して配置すること、及び、前記1つ又は複数の組織締結具を配備することを含む、請求項35記載の糖尿病を治療するための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2021年6月22日に出願された仮出願第63/213,364号の利益を主張し、その全体があらゆる目的で参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
分野
本開示は、概して、胃を部分的に区画化するための装置、システム及び方法に関する。より具体的には、本開示は、胃を部分的に区画化するための非切除型肥満症用カップリングデバイス及び方法のための装置、システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
肥満及び肥満が引き起こす可能性のあるその後の疾患の有病率を減少させるための治療及び予防措置を実施する必要がある。現場で確立されている治療法の1つはスリーブ状胃切除術である。この処置では、胃のサイズを制限し、患者がより早く満腹感を得られるようにするために、胃の約75%を除去する。この処置は、典型的に、外科医が胃の一部をステープル留めし、切除して、より小さな胃を形成する腹腔鏡手術によって行われる。この処置には、胃の漏れ及び出血など、費用の増加及び患者の処置からの回復の増加の可能性がある幾つかの既知の合併症がある。そのような合併症の1つは、胃の切開箇所からの出血である。さらに、この処置は非可逆的である。外科的合併症が少なく、可逆的である治療法が引き続き求められている。
【発明の概要】
【0004】
要旨
本開示は、胃を部分的に区画化するように構成された方法及び装置について説明する。これにより、胃の体腔を第一の制約された胃に分割するが、これは部分的であり、その結果、2つの腔の間に流体連通のための通路を生じさせるように分離する。区画化により、体液漏れなどの合併症を引き起こす可能性のある胃の大部分の除去を行わずに、患者が満腹を感じる前に消費する必要がある食物の量を制限することが意図された、より小さな体腔部分の形成が可能になる。
【0005】
1つの例(「例1」)によれば、内視鏡胃装置は、遠位端及び近位端を有するアプライヤを含み、前記アプライヤは、互いに対向し、そして前胃壁と後胃壁とを当接させて係合するために協働配置された2つの胃壁係合要素を含み、そして複数の組織締結具を同時に又は順次に配備し、組織締結具を適用して前胃壁と後胃壁を一緒に固定し、活動胃部分と制限胃部分とを画定する隔壁を胃内に形成するように動作可能であり、前記隔壁は、前記隔壁によって画定された通路を通して前記活動胃部分と前記制限胃部分との間の流体連通を可能にする。
【0006】
第二の例(「例2」)によれば、例1の内視鏡胃装置は、前記アプライヤが腹腔内に通過するように形状付け及び寸法決めされた支持体を用いて前記遠位端に固定されることを含む。
【0007】
第三の例(「例3」)によれば、例1の内視鏡胃装置は、前記隔壁によって画定される通路が幽門洞に隣接するように、前記隔壁は胃底から幽門洞に隣接するまで延在することを含む。
【0008】
第四の例(「例4」)によれば、例1の内視鏡胃装置は、複数の組織締結具のそれぞれは順次に配備されることを含む。
【0009】
第五の例(「例5」)によれば、例1の内視鏡胃装置は、複数の組織締結具のそれぞれは同時に配備されることを含む。
【0010】
第六の例(「例6」)によれば、例1の内視鏡胃装置は、前記通路は、活動胃部分及び制限胃部分からの物質の通過を可能にするようにサイズ決めされていることを含む。
【0011】
第七の例(「例7」)によれば、例1の内視鏡胃装置は、複数の組織締結具は、ステープル、縫合糸、リベット、調節可能なリベット及び対向する磁石のうちの少なくとも1つであることを含む。
【0012】
第八の例(「例8」)によれば、例1の内視鏡胃装置は、配備される複数の組織締結具の数は約1~40の範囲であることを含む。
【0013】
第九の例(「例9」)によれば、例1の内視鏡胃装置は、該装置が2つの胃壁係合要素のそれぞれの近位端に第一の弧状部分と第二の弧状部分とを備えることを含む。
【0014】
第十の例(「例10」)によれば、例9の内視鏡胃装置は、前記装置が閉鎖構成にあるときに、前記第一の弧状部分及び前記第二の弧状部分が、前記隔壁によって画定される通路を形成するように動作可能である空間を取り囲むように構成されていることを含む。
【0015】
第十一の例(「例11」)によれば、例1の内視鏡胃装置は、2つの胃壁係合要素のうちの第一の要素が複数の組織締結具を収容するカートリッジを備えることを含む。
【0016】
第十二の例(「例12」)によれば、例1の内視鏡胃装置は、2つの胃壁係合要素のうちの第二の要素が複数の組織締結具受容要素を備えることを含む。
【0017】
第十三の例(「例13」)によれば、例12の内視鏡胃装置は、複数の組織締結具がステープルを備え、複数の組織締結具受容要素がステープルポケットを備えることを含む。
【0018】
第十四の例(「例14」)によれば、例1の内視鏡胃装置は、2つの胃壁係合要素がそれぞれ約200mm~250mmの長さを有するように構成されていることを含む。
【0019】
第十五の例(「例15」)によれば、例1の内視鏡胃装置は、2つの胃壁係合要素がそれぞれほぼ等しい長さを有するように構成されていることを含む。
【0020】
第十六の例(「例16」)によれば、胃を部分的に区画化するための方法は、小弯と大弯の間で前胃壁と後胃壁にアクセスすること、活動胃部分と制限胃部分を画定する位置で当接して前胃壁と後胃壁を互いに係合させること、及び、前胃壁と後胃壁をカップリングして当接部を固定し、活動胃部分と制限胃部分との間の流体連通を維持しながら胃底から幽門洞に隣接するまで隔壁を形成することを含む。
【0021】
第十七の例(「例17」)によれば、例16の胃を部分的に区画化するための方法は、後胃と前胃が互いに向かって係合する位置は胃底から幽門洞に隣接するまでであることをさらに含む。
【0022】
第十八の例(「例18」)によれば、例17の胃を部分的に区画化するための方法であって、カップリング工程中に、前記隔壁は胃底から幽門洞に隣接するまで形成される。
【0023】
第十九の例(「例19」)によれば、例16の胃を部分的に区画化するための方法は、カップリングが前胃壁及び後胃壁に穴を開け、組織締結具で固定するための手段を備えることを含む。
【0024】
第二十の例(「例20」)によれば、例16の胃を部分的に区画化するための方法は、カップリングがステープル留め、縫合及びリベット留めのうちの少なくとも1つを備えることを含む。
【0025】
第二十一の例(「例21」)によれば、例16の胃を部分的に区画化するための方法は、前胃壁と後胃壁をカップリングした後に、活動胃部分と制限胃部分とをカップリングしたままにすることを含む。
【0026】
第二十二の例(「例22」)によれば、例18の胃を部分的に区画化するための方法は、カップリングから形成された隔壁が、胃底から幽門洞までの長さの大部分を延在する長さを有することを含む。
【0027】
第二十三の例(「例23」)によれば、例16の胃を部分的に区画するための方法は、カップリングから形成された隔壁が、胃底から幽門洞まで完全に延在する長さを有することをさらに含み、ここで、前記隔壁は、該隔壁に沿った1つ以上の位置で流体通路を画定している。
【0028】
第二十四の例(「例24」)によれば、例16の胃を部分的に区画化するための方法は、前胃壁と後胃壁とのカップリングが、互いに向かい合った2つの胃壁係合要素を備える装置の使用によって完了されることを含む。
【0029】
第二十五の例(「例25」)によれば、例16の胃を部分的に区画化するための方法は、前胃壁及び後胃壁にアクセスすることが、前記2つの胃壁係合要素のうちの第一の胃壁係合要素を前胃壁に隣接して配置すること、及び、前記2つの胃壁係合要素のうちの第二の胃壁係合要素を前胃壁に隣接して配置することをさらに含むことを含む。
【0030】
第二十六の例(「例26」)によれば、例25の胃を部分的に区画化するための方法は、前胃壁と後胃壁を係合させることが、第一の胃壁係合要素と第二の胃壁係合要素を互いに係合させることをさらに含むことを含む。
【0031】
第二十七の例(「例27」)によれば、例24の胃を部分的に区画化するための方法は、カップリングが前記2つの胃壁係合要素のうちの1つから複数の組織締結具を配備することをさらに含むことを含む。
【0032】
第二十八の例(「例28」)によれば、例24の胃を部分的に区画化するための方法は、カップリングが前記2つの胃壁係合要素のうちの1つからの組織締結具の配備を含むことをさらに含む。
【0033】
第二十九の例(「例29」)によれば、例28の胃を部分的に区画化するための方法は、カップリングが、前記2つの胃壁係合要素を再配置すること、及び、複数の組織締結具のうちの別の組織締結具を配備することをさらに含む。
【0034】
第三十の例(「例30」)によれば、例24の胃を部分的に区画化するための方法は、前胃壁及び後胃壁を切断することなく、前胃壁及び後胃壁に隣接するところから装置を除去することを含む。
【0035】
第三十一の例(「例31」)によれば、肥満を治療するための方法は、例1~15のいずれか1つの内視鏡胃装置を使用して、胃底から幽門洞に隣接する位置で、前胃壁と後胃壁を互いに当接させて係合させて、活動胃部分と胃の制限胃部分を画定すること、及び、前胃壁と後胃壁とをカップリングして当接部を固定し、活動胃部分と制限胃部分との間の流体連通を維持しながら、胃底から幽門洞に隣接するまで隔壁を形成することを含む。
【0036】
第三十二の例(「例32」)によれば、例31の肥満を治療するための方法は、前記隔壁が胃底から幽門洞まで形成されることを含む。
【0037】
第三十三の例(「例33」)によれば、例31の肥満を治療するための方法は、前記隔壁と胃壁によって画定される通路を介して流体連通が維持されることを含む。
【0038】
第三十四の例(「例34」)によれば、例31の肥満を治療するための方法は、前胃壁と後胃壁後壁のカップリングが、前記2つの胃壁係合要素のうちの一方を前胃壁に隣接して配置すること、及び、前記2つの胃壁係合要素のうちの他方を後胃壁に隣接して配置すること、及び前記1つ以上の複数の組織締結具を配備することを含む。
【0039】
第三十五の例(「例35」)によれば、糖尿病を治療するための方法は、例1~15のいずれか1つの内視鏡胃装置を使用して、胃底から幽門洞に隣接する位置で、前胃壁と後胃壁を互いに当接して係合させて、活動胃部分と制限胃部分を画定すること、及び、前胃壁と後胃壁とをカップリングして当接部を固定すること、及び、活動胃部分と制限胃部分との間の流体連通を維持しながら、胃底から幽門洞に隣接するまで隔壁を形成すること、を含む。
【0040】
第三十六の例(「例36」)によれば、例35の糖尿病を治療するための方法は、前胃壁と後胃壁をカップリングすることが、前記2つの胃壁係合要素のうちの一方を前胃壁に隣接して配置すること、前記2つの胃壁係合要素のうちの他方を後胃壁に隣接して配置すること、及び、1つ以上の組織締結具を配備することを含むことを含む。
【0041】
上述の例は単なる実施例であり、本開示によって別途提供される本発明の概念の範囲を限定したり又は狭めたりするために解釈されるべきではない。複数の例が開示されているが、さらに他の実施形態は、例示的な例を示し説明する以下の詳細な説明から当業者に明らかになるであろう。したがって、図面及び詳細な説明は、本質的に制限的なものではなく、本質的に例示的なものとして考えられるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図面の簡単な説明
添付図面は、本開示のさらなる理解を提供するために含まれており、本明細書に組み込まれてその一部を構成し、実施形態を示し、記載とともに本開示の原理を説明するのに役立つ。
【0043】
図1図1は、1つの実施形態による、患者の上部消化管系の斜視図である。そして
【0044】
図2図2Aは、図1に示す患者の上部消化管系の一部の拡大側面図である。そして
【0045】
図2B図2Bは、図2Aに示されるとおりの上部消化管系の一部の拡大側面図の背面図である。 そして
【0046】
図2C図2Cは、図2Aに示される患者の上部消化管系の一部の拡大側面図である。そして
【0047】
図2D図2Dは、図1に示される患者の上部消化管系の一部の拡大側面図である。そして
【0048】
図2E図2Eは、1つの実施形態による、図2Aの部分的に区画化された胃の線2E-2Eに沿って取った側面断面図である。そして
【0049】
図2F図2Fは、1つの実施形態による、図2Aの部分的に区画化された胃の線2F-2Fに沿って取った側面断面図である。そして
【0050】
図3図3は、1つの実施形態による、内視鏡胃装置の側面図である。そして
【0051】
図4図4は、1つの実施形態による、図3の内視鏡装置の一部の拡大側面図である。そして
【0052】
図5A図5Aは、1つの実施形態による、内視鏡胃装置の側面図である。そして
【0053】
図5B図5Bは、1つの実施形態による、図5Aの内視鏡胃装置の一部の側面図である。そして
【0054】
図6図6は、1つの実施形態による、内視鏡胃装置の側面図である。そして
【0055】
図7A図7Aは、1つの実施形態による、配備前の様々な組織締結具を示す。そして
【0056】
図7B図7Bは、1つの実施形態による、配備後の様々な組織締結具を示す。そして
【0057】
図7C図7Cは、1つの実施形態による、図7Aの様々な組織締結具の上面図を示す。そして
【0058】
図8図8は、1つの実施形態による、胃を部分的に区画化するための方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0059】
詳細な説明
定義と用語
本開示は、限定的に読まれることを意図したものではない。例えば、本出願で使用される用語は、その分野の専門家がそのような用語に帰する意味の文脈で広く読まれるべきである。
【0060】
不正確さの用語に関して、「約」及び「およそ」という用語は、記載された測定値を含む測定値、及び記載された測定値に合理的に近い任意の測定値も含む測定値を指すために互換的に使用されうる。記載された測定値に合理的に近い測定値は、関連技術の当業者によって理解され容易に確認されるように、記載された測定値から合理的に小さな量だけ逸脱している。このような逸脱は、測定誤差、測定及び/又は製造装置の校正の違い、測定値の読み取り及び/又は設定における人為的エラー、他の構成要素に関連する測定値の違いを考慮した性能及び/又は構造パラメータを最適化するために行われた微調整、特定の実装シナリオ、人又は機械による対象物の不正確な調整及び/又は操作などに起因する可能性がある。関連技術の当業者がそのような合理的に小さな差異の値を容易に確認できないと判断された場合には、「約」及び「およそ」という用語は、記載された値のプラス又はマイナス10%を意味すると理解できる。
【0061】
様々な実施形態の説明
当業者は、本開示の様々な態様が、限定するわけではないが、胃の部分同士の流体連通を制限することを含む、意図された機能を発揮するように構成された任意の数の方法及び装置によって実現できることを容易に理解するであろう。このような流体連通の制限は、肥満を治療する手段として有益である可能性があり、二次的には糖尿病を治療又は予防する手段となる可能性がある。また、本明細書で参照される添付の図面は、必ずしも一定の縮尺で描かれているわけではなく、本開示の様々な態様を説明するために誇張されていることがあり、その点において、図面は限定的なものとして解釈されるべきではないことにも留意されたい。
【0062】
図1は、上部消化管系の斜視図である。飲み込んだ後、食物は食道111を通って胃112へ急速に通過する。そこで一定期間消化され、破砕及び胃液との混合による等浸透圧濃度への希釈プロセスを受ける。胃112は、摂取された食物体積を収容するために弛緩する。胃112内の流体制限は、体重減少を促進する可能性がある。特定の例において、胃112が食物で満たされると、胃壁の伸張受容体によって満腹感又は飽満感が生じ、人は食べるのをやめる。次に、糜粥として知られる等浸透圧食品は、幽門113を通って十二指腸114に入る。糜粥が十二指腸114に通過すると、膵臓115から酵素が豊富な膵臓分泌物が放出され、肝臓116から胆汁酸塩が豊富な胆汁分泌物が放出される。胆汁分泌物は、総胆管117を通って移動し、そこで膵管118を通って到着する膵臓分泌物と混合し、2つの胆管が結合してファーター膨大部119を形成する。ファーター膨大部119は、分泌物が十二指腸114に入るための入口点として機能する。空腸120において、膵臓及び胆汁分泌物と糜粥との混合により、タンパク質、脂肪及び炭水化物が消化され、その後に血流に吸収される。
【0063】
図2Aは、外科的に作成された隔壁122によって部分的に区画化された後の図1に示される胃の側面図であり、この方法については、図8を参照して説明する。胃112の部分的区画化は、マーゲンシュトラーセ・ミル処置の所望の結果をシミュレートするが、マーゲンシュトラーセ・ミル処置で必要とされるような、胃112の内方部分と外方部分の外科的分離を必要としない。これは、前述したように、合併症の軽減と本手順の可逆性に寄与することができる。胃112は、胃112の最上部によって画定される胃底130と、胃112の最下部によって画定される幽門洞128とを含む。胃112の体腔132は、外科的に作成された隔壁122によって分割され、該隔壁は活動胃部分134と制限胃部分136を画定する。胃112は、前胃壁140及び後胃壁(図示せず)も有する。外科的に作成された隔壁122は、ほぼ線に沿って前胃壁140と後胃壁142の一部を強制的に係合させることによって形成される(図2E)。以下に示すように、前胃壁140と後胃壁142の一部の強制的な係合(図2E)は、固定手段の中でもとりわけ、組織を対向させてそして係合させるように動作可能である、ステープル、縫合、リベットのラインを配置することによって促進されうる。
【0064】
本開示の様々な態様は、胃112を部分的に区画化して、相互に流体連通したままの活動胃部分134と制限胃部分136を画定する隔壁122の形成を対象とする。1つの実施形態によれば、隔壁122は、胃底130から幽門洞128に向かって部分的な壁を作成する外科的に作成された特徴である。別の実施形態において、隔壁122は、胃底130と幽門洞12との間に壁を作成する外科的に作成された特徴であり、活動胃部分134と制限胃部分136を画定するが、図2Dを参照して説明するように、それらの間に間欠的な流体通路123を画定する。活動胃部分134は、制限胃部分136より小さくてもよい。他の例において、活動胃部分134は、制限胃部分136とほぼ同じサイズであることができる。
【0065】
これらの実施形態によれば、特定の目的のために、活動胃部分134と制限胃部分136との間の流体連通は提供される。例として、限定するわけではないが、流体連通により、制限胃部分136から活動胃部分134への胃酵素の排出が可能になる。別の例として、限定するわけではないが、流体連通により、活動胃部分134と制限胃部分136との間の胃圧の均一化が可能になり、それに対応して隔壁122での壁圧を低下させる。胃圧の均等化は、胃食道逆流症(GERD)も軽減することができる。さらに、限定するわけではないが、間欠的な隔壁での開口又は間隙を介した活動胃部分134と制限胃部分136との間の流体連通により、制限胃部分136の組織内での血液の自由な流れが可能となり、壊死が防止される。これは、実行可能な胃の機能を維持するために重要であるだけでなく、隔壁122を撤去することによって処置を元に戻せるようにすることもできる。隔壁122の撤去は、限定するわけではないが、ステープルの取り外し、縫合糸の切断、リベットの取り外し、及び生分解性又は生体吸収性の材料で作られている場合の固定手段の分解など、隔壁122を形成する締結手段を除去又は係合解除することによって促進されうる。
【0066】
図1を参照して前述したように、食物は食道111を通って胃112に入る。この例において、食物は活動胃部分134に流入し、従って、胃に入ることができる食物の量は、区画化前と比較して物理的に制限される。摂取できる食物の量に物理的な制限があることに加えて、以前に経験したように、患者はより少ない食物で満腹感を感じることもできる。1つの実施形態によれば、隔壁122は、胃112の長さ141の大部分に及ぶ長さ143を有し、その結果、通路138は、流体連通を維持するように動作可能な活動胃部分134と制限胃部分136との間に画定される。これは、限定するわけではないが、ペプシン、胃リパーゼ、塩酸、及びムチンなどの制限胃部分136内で形成された胃酵素又は他の物質の通路が活動胃部分134に通過するのに有益であることができる。この流体移行は、消化酵素が制限胃部分136内に長期間残留することによる制限胃部分136の組織の壊死を減少させることができる。塩酸などの一部の物質は酸性が高く、胃112から出ることができない場合に、制限胃部分136に損傷を引き起こす可能性がある。
【0067】
隔壁122は、食物が活動胃部分134から制限胃部分136までの通路138を通過する可能性が低いようなサイズの通路138を備えた状態で、食物が活動胃部分134のみを通過するように誘導及び制限するように構成されている。むしろ、食物は、図2Aに示される矢印Aの方向に沿って通過する。図2Aは、活動胃部分134を通って、概して制限胃部分136から遠ざかる動きを示している。通路138のサイズは、制限胃部分への食物の通過を制限するのに十分小さいが、制限胃部分136と活動胃部分134へ流体を通過させることができるのに十分に大きいように予め決められていることが理解される。様々な例において、隔壁122はほぼ直線状である。他の例において、隔壁122は、限定するわけではないが、患者の解剖学的構造を模倣するなどの理由により、全体的に湾曲していてもよい。隔壁122の形状は、本明細書でさらに説明されるように、少なくとも内視鏡胃装置200の形状に依存しうる。
【0068】
図2Bは、胃112の拡大側面図の追加図である。胃112は、胃112を活動胃部分134と制限胃部分136とに区画化するように構成された隔壁122を備える。通路138は、隔壁122の端部145と、幽門洞128の胃壁147の隣接部の間の空間として画定される。隔壁122は、胃底130から始まり幽門洞128の胃壁147に隣接するまで、胃112に沿って長さ143にわたっている。胃112はさらに、前胃壁140(図2A)及び後胃壁142を含む。図2Aと同様に、矢印Aは、食物が活動胃部分134から制限胃部分136へ通過する能力を減少させるように通路138がサイズ設定された結果として、現在、食物が活動胃部分134を通過させることができる方向を示す。
【0069】
図2Cは、外科的に形成された隔壁122によって部分的に区画化された後の図1に示される胃の側面図である。図2Aに示される胃112と同様に、隔壁122は、胃112の体腔132を制限胃部分136と活動胃部分134とに区画化する。この実施形態において、隔壁122は依然として胃底130から幽門洞128に隣接するまで概して及ぶ。隔壁122は、概して湾曲しているものとして示されている。通路138は、幽門洞128と隔壁122との間に保持される。
【0070】
図2Dは、外科的に形成された隔壁122によって部分的に区画化された後の図1に示される胃の側面図である。図2B及び2Cに示される胃112と同様に、隔壁122は体腔132を区画化し、胃112の制限胃部分136及び活動胃部分134を形成する。この実施形態において、胃112は、外科的に作成された隔壁122によって部分的に区画化され、隔壁122は、隔壁122に沿って流体連通させるための複数の間欠的な流体通路123を有する。これは、少量の流体が、活動胃部分134から制限胃部分136まで、また、制限胃部分136から活動胃部分134まで、隔壁122の間を通過することを可能にすることができる。
【0071】
図2Eは、図2Aの線2E-2Eに沿って取った図2A及び2Bの胃112の側断面図である。胃112は、前胃壁140及び後胃壁142の一部の強制的な係合によって形成される、外科的に形成された隔壁122を含む。前に開示したように、前胃壁140及び後胃壁142の強制は1つ以上の組織締結具230の配置によって促進される。複数の組織締結具230は、一般にリベット237として示されている。複数の組織締結具230の位置決めは、活動胃部分134と制限胃部分136(図2A)との間の流体連通に利用可能な通路138を保持するように構成されている。この実施形態に示されるように、隔壁122は、隔壁122の下に通路138が残るように長さ143によって画定される。前胃壁140と後胃壁142との強制的な係合はシールを形成するのに十分な圧縮がなければならないが、過度の圧縮は組織への血流の減少の危険性を引き起こす可能性があることに留意すべきである。したがって、前胃壁140と後胃壁142を一緒に押し付けるときに使用される圧縮は、活動胃部分134及び制限胃部分136(図2B)をシールするのに十分大きいが、なおも前胃壁140及び後胃壁142の組織の生存能力を維持することが望ましい。これにより、部分的な区画化を戻す場合でも、組織がその自然な機能を保持できるようになる。
【0072】
図2Fは、図2Aの線2F-2Fに沿って取った図2A及び2Bの胃112の側断面図である。図2Fは胃の横断面を示す。胃112の体腔132は、活動胃部分134及び制限胃部分136を備え、活動胃部分134と制限胃部分136は、複数の組織締結具230のうちの少なくとも1つから形成された隔壁122によって分離されている。隔壁122は、複数の組織締結具230のうちの少なくとも1つを使用することによる前胃壁140と後胃壁142の係合を強制することによって形成される。さらに、図示されるように、活動胃部分134は、隔壁122の位置により、制限胃部分136よりも実質的に小さい。
【0073】
さらに、様々な実施形態において、隔壁122内に2つの側方層の圧縮を実施することによって部分的な区画化を形成することが望ましい場合がある。圧縮は、前胃壁140と後胃壁142を係合させる際に、組織の生存能力が維持されるように、2層のシールが施されているため、この例では軽くされうる。
【0074】
図3は、内視鏡胃装置200の例示的な実施形態の側面斜視図である。内視鏡胃装置200は、前胃壁140を後胃壁142と強制的に係合させ、そこに固定して、図2A及び図2Bに示されるように隔壁122を形成することによって胃112を部分的に区画化するための締結手段を提供するように構成されており、図2A及び図2Bを参照してさらに説明する。
【0075】
内視鏡胃装置200は、遠位端201及び近位端203を有するアプライヤ205を含み、該アプライヤ205は、支持要素218によって遠位端201に固定される。特定の例において、支持要素218は、ヒンジを介して遠位端201に取り付けられた可撓性ロックであり、それにより、支持要素218は内視鏡胃装置200に対して可逆的にロック及びロック解除できるようにする。支持要素218は、胃112にアクセスする前に腹腔(図示せず)内に通過できるような形状及び寸法に作られている。内視鏡胃装置200は、内視鏡胃装置200を操作するための第一の把持構成要素214a及び第二の把持構成要素214bを含むハンドルアセンブリ208を含むことができる。内視鏡胃装置200は、アプライヤ205のカップリング機構を配備するためのアクチュエータ210をさらに含む。
【0076】
内視鏡胃装置200は、第一の胃壁係合要素202及び第二の胃壁係合要素204をさらに含む。第一の胃壁係合要素202及び第二の胃壁係合要素204は、互いに対向するように構成され、胃112の前胃壁140と後胃壁142(図2A)を当接して係合させる協働配置で配置されている。第一の胃壁係合要素202及び第二の胃壁係合要素204は、協働して、1つ以上の組織締結具(図示せず)を適用して、胃112の前胃壁140及び後胃壁142のカップリングをそれぞれ保持し、前胃壁140及び後胃壁142を一緒に強制的に係合させ、隔壁122を形成する。1つ以上の組織締結具(図示せず)の適用は、内視鏡胃装置200のアクチュエータ210の使用を通じて機械的又は電気的に達成されうる。
【0077】
さらに、内視鏡胃装置200は、アプライヤ205の近位端203を内視鏡胃装置200のハンドルアセンブリ208に接続するための接続部分212を含む。
【0078】
図3に示すシステムは、内視鏡胃装置200の様々な特徴の例として提供されており、これらの図示された特徴の組み合わせは明らかに本発明の範囲内であるが、その例及びその図は、より少ない特徴、追加の特徴、又は図3に示されるそれらの特徴の1つ以上に対する代替の特徴から、本明細書で提供される発明の概念が限定されることを示唆することが意図されない。例えば、図3に示される内視鏡胃装置200のハンドルアセンブリ208は、内視鏡胃装置200の操作を支援することが当該技術分野で知られている他の把持機構及び構成を含むことができる。さらに、支持要素218は、内視鏡胃装置200の遠位端201で第一の胃壁係合要素202及び第二の胃壁係合要素204を保持するように構成され、腹腔(図示せず)を通過するように形状付けされうる任意の要素であることができる。
【0079】
図4は、図3の例に従って示される内視鏡胃装置200のアプライヤ205の拡大側面図である。図4は、第二の胃壁係合要素204の反対側に配置された第一の胃壁係合要素202を示す。特定の例において、第一の胃壁係合要素202は、1つ以上の組織締結具230を収容する第一のカートリッジ234を含むことができる。特定の例において、1つ以上の組織締結具230は、ステープル、縫合糸、リベット、調節可能なリベット、多頭リベット、Tタグ及び磁石のうちの1つを含むことができる。様々な例において、1つ以上の組織締結具230は、複数の組織締結具230を含むことができる。他の例において、複数の組織締結具230は、前胃壁140及び後胃壁142に穴を開けて一緒にカップリングすることができる任意の構造であることができる。図3及び図4の図示の例において、第一の胃壁係合要素202及び第二の胃壁係合要素204は比較的直線的であり、1つ以上の組織締結具230は比較的直線的に配備されて、このようにして直線状の隔壁122を形成することができる。他の例において、第一の胃壁係合要素202及び第二の胃壁係合要素204は比較的に湾曲している。したがって、1つ以上の組織締結具230は、図2Cに示されるように、比較的に湾曲した配置で配備され、配備後に湾曲した隔壁122を形成することができる。
【0080】
幾つかの例において、隔壁122に沿って様々な開口部を有する隔壁122を作製するために、1つ以上の組織締結具230が選択される。これらは、配備時に複数の組織締結具230のそれぞれの間の所定の空間によって形成されうる。活動胃部分134と制限胃部分136との間の隔壁122に沿って漏出点が存在することができる。これは、通路138に関して前述したように、様々な胃酵素及び流体の通過を可能にするのに有益であることができる。これらの例において、流体がなおも隔壁122を通過できるようにしながら、通路138のサイズを縮小し、隔壁122のサイズを増加させることができる。
【0081】
特定の例において、第二の胃壁係合要素204は、1つ以上の組織締結具受容要素232から構成された第二のカートリッジ236を含む。特定の例において、1つ以上の組織締結具230はステープルを含み、1つ以上の組織締結具受容要素232はステープルポケットを含む。複数の組織締結具230の数は、隔壁122の長さ143にほぼ等しい、180cm~200cmの長さに及ぶのに必要な締結具の数に基づいて選択されうる。必要な複数の組織締結具230のこの数は、使用される組織締結具の種類及びサイズに基づいた範囲とすることができる。幾つかの例において、配備される複数の組織締結具230の数は、1~40の範囲であることができる。他の例において、使用される複数の組織締結具230はステープルであり、必要なステープルの数は少なくとも150本のステープルであることができる。1つ以上の組織締結具230は、隔壁122を形成し、胃112の活動胃部分134と制限胃部分136との間にシールを提供するように配備される。胃112を部分的に区画化する一方で、1つ以上の組織締結具230はまた、物質が活動胃部分134と制限胃部分136との間を通過することを制限する。したがって、組織締結具230の数は、さらに、活動胃部分134と制限胃部分136をシールし、それらの間の食物の通過を十分に減少させるように選択されうる。1つ以上の組織締結具230は、所望に応じて取り外すことができ、胃112の部分的な区画化を可逆的にすることができる。さらに、組織締結具230は、さらなる外科的介入を必要とせずに胃112の区画化が可逆的であるように、患者の組織によって吸収可能であることができる。
【0082】
複数の組織締結具230は、同時に又は順次に配備されうる。順次に適用されるときに、配備される複数の組織締結具230は、一度に1つの組織締結具であることができる。他の例において、順次に適用されるときに、配備される複数の組織締結具230は、一度に少なくとも2つ以上であることができる。さらに、幾つかの例において、プログラムされた量の複数の組織締結具230を配備するように選択することができる。さらに、配備される複数の組織締結具230内の特定の組織締結具は、隔壁122の長さ及び/又は位置をカスタマイズするように選択されうる。例えば、作動時に、複数の組織締結具230を1つおきに配備することができる。
【0083】
第一の胃壁係合要素202及び第二の胃壁係合要素204の近位端238において、内視鏡胃装置200は、互いに対向して配置された第一の弧状部分224及び第二の弧状部分226を含む。第一の弧状部分224及び第二の弧状部分226は、内視鏡胃装置200が閉鎖構成にあるときに、第一の弧状部分224と第二の弧状部分226によって取り囲まれた空間が存在するように構成される。第一の弧状部分224及び第二の弧状部分226は、前胃壁140及び後胃壁142の組織と係合しなくてもよく、したがって、1つ以上の組織締結具230が配備された後に、隔壁122の下に位置する通路138を形成することができる。
【0084】
第一の胃壁係合要素202及び第一の弧状部分224は、第一の拡張可能部材211を形成する。第二の胃壁係合要素204及び第二の弧状部分26は、第二の拡張可能部材213を形成する。第一の拡張可能部材211は第一の長さを有し、第二の拡張可能部材213は第二の長さ207を有する。例において、第一の長さ206及び第二の長さ207の値は、約200mm~250mmの範囲である。特定の例において、第一の長さ206は、第二の長さ207にほぼ等しい。このようにして、典型的な胃の場合に、第一の拡張可能部材211及び第二の拡張可能部材213は、胃112の長さ141にわたって延在することができる。
【0085】
内視鏡胃装置200はまた、内視鏡胃装置200に電力を供給し、前胃壁140及び後胃壁142を通る複数の組織締結具230の配備を駆動するように構成された駆動モータ220及び駆動スクリュー222を含むことができる。例において、内視鏡胃装置200は、1つ以上の組織締結具230の配備のために手動で駆動される。
【0086】
図4に示すシステムは、内視鏡胃装置200の様々な特徴の一例として提供されており、これらの図示された特徴の組み合わせは明らかに本発明の範囲内であるが、その例及びその図は、本明細書で提供される発明の概念が、より少ない特徴、追加の特徴、又は図4に示されるそれらの特徴の1つ以上に対する代替の特徴から限定されることを示唆することが意図されない。例えば、様々な例において、第一の胃壁係合要素202及び第二の胃壁係合要素204、ならびに第一の弧状部分224及び第二の弧状部分226のサイズは変更されうる。
【0087】
図5Aは、本開示による内視鏡胃装置200の代替例である。内視鏡胃装置200は、内視鏡胃装置200を操作するための第一の把持構成要素214a及び第二の把持構成要素214bを含むハンドルアセンブリ208を含む。内視鏡胃装置200は、複数の組織締結具230を配備するためのアクチュエータ210をさらに含む。内視鏡胃装置200は、前胃壁140及び後胃壁142(図2A)を通して1つ以上の組織締結具230の配備を駆動するための駆動モータ(図示せず)及び駆動スクリュー222を含む接続部分212をさらに含む。内視鏡胃装置200は、第一の胃壁係合要素202と、該第一の胃壁係合要素202の反対側に位置する第二の胃壁係合要素204とをさらに含む。内視鏡胃装置200は、第一の弧状部分224と第二の弧状部分226とをさらに含む。第一の弧状部分224は、第一の胃壁係合要素202に隣接して配置され、第二の弧状部分226は、第二の胃壁係合要素204に隣接して配置される。
【0088】
例において、複数の組織締結具230は複数のリベット237を含む。これらの例において、第一の弧状部分224は複数の前部リベット本体231を含み、第二の弧状部分226は複数の後部リベット基部233を含む。複数の前部リベット本体231のそれぞれは、第一の胃壁係合要素202から配備され、複数の後部リベット基部233のそれぞれは、第二の胃壁係合要素204から配備される。一度に1つの組織締結具が配備されるように、複数の組織締結具230のそれぞれは順次配備される。内視鏡胃装置200は、隔壁122(図2A)を形成するために、複数の組織締結具230のそれぞれの配備後に再配置されうる。この配備及び再配置は、隔壁122が形成され、第一の弧状部分224と第二の弧状部分226との間に残る組織がカップリングされなくなるまで繰り返すことができる。したがって、内視鏡胃装置200が取り外されると、カップリングされていないままの組織は、隔壁122と幽門洞128(図2A)に隣接する部分との間に通路138(図2A)を形成する。図3及び4の内視鏡胃装置200を参照して説明した例と同様に、1つ以上の組織締結具230のそれぞれが配備される方法に応じて、隔壁122は、直線状又は曲線状であることができる。
【0089】
図3及び図4の内視鏡胃装置200を参照して説明した1つ以上の組織締結具230と同様に、前胃壁及び後胃壁140、142の間に形成されるシールが約180cm~200cmの長さを有するように、配備される複数の組織締結具230の数を選択することができる。このように、リベットの数はリベットのサイズ及び一度配備したときの各リベットの間に所望される間隔によることができる。
【0090】
図5Aに示されるシステムは、内視鏡胃装置200の様々な特徴の一例として提供されており、これらの図示された特徴の組み合わせは明らかに本発明の範囲内であるが、その例及びその図は、本明細書で提供される発明の概念が、より少ない特徴、追加の特徴又は図4に示されるそれらの特徴の1つ以上に対する代替の特徴から限定されることを示唆することが意図されない。例えば、様々な例において、第一の胃壁係合要素202及び第二の胃壁係合要素204、ならびに第一の弧状部分224及び第二の弧状部分226のサイズは変更されうる。さらに、1つ以上の組織締結具230は、図示された複数のリベット237とは別の種類の組織締結具を含むことができる。
【0091】
図5Bは、複数の組織締結具230を胃112内に配備した後の図5Aの内視鏡胃装置200の追加の側面図である。図示されるように、この実施形態における複数の組織締結具230は、前部リベット本体231が第一の胃壁係合要素202から配備され、後部リベット基部233が第二の胃壁係合要素204から配備されるように、複数の前部リベット本体231及び複数の後部リベット基部233を有する複数のリベット237を含む。配備されると、前部リベット本体231は前胃壁140に隣接して配置され(図2A)、後部リベット基部233は後胃壁142に隣接して配置される(図2B)。前部リベット本体231は、前胃壁の隣接部から延在し、胃112の後胃壁142を通って外に延在する。さらに、この実施形態における複数の組織締結具230のそれぞれは、内視鏡胃装置200が胃112の長さ141(図2B)に沿って移動されて、隔壁122(図2A)が形成されるときに、例えば一度に1つずつなど、順次に配備される。
【0092】
図6は、内視鏡胃装置200の代替実施形態を示す。内視鏡胃装置200は、内視鏡胃装置200を操作するための第一の把持構成要素214a及び第二の把持構成要素214bを含むハンドルアセンブリ208を含む。内視鏡胃装置200は、複数の組織締結具230を配備するためのアクチュエータ210をさらに含む。内視鏡胃装置200は、前胃壁140及び後胃壁142(図2A)を通って1つ以上の組織締結具230の配備を駆動するための駆動モータ(図示せず)及び駆動スクリュー222を含む接続部分212をさらに含む。この実施形態において、複数の組織締結具230は、複数のTタグ240を含む。さらに、この実施形態において、内視鏡胃装置200は、複数のTタグ240を配備するための第一の胃壁係合要素202を含む。第一の胃壁係合要素202は、複数のTタグ240のうちの少なくとも1つの配備の前に、デバイス内での位置決めを開始することができる。第一の胃壁係合要素202は、配備され、矢印Bの方向に回転することができ、その結果、第一の胃壁係合要素は、複数のTタグ240のうちの少なくとも1つを配備するためにほぼ垂直に配置される。図6は、隔壁122(図2D)を形成できるように、胃112を通して配置された複数のTタグ240のうちの1つを示す。
【0093】
図7Aは、本開示に従って使用されうる組織締結具230の様々な代替実施形態を示す。この実施形態において、組織締結具230は配備前の状態で示されている。例えば、1つ以上の組織締結具230は、配備前及び配備中に、Tタグ240が比較的に垂直に延びる形状となるように、Tタグ240を含むことができる。図5Aの実施形態を参照して説明したように、1つ以上の組織締結具230は、前部リベット本体231及び後部リベット基部233から構成されるリベット237を含むこともできる。さらに、1つ以上の組織締結具230は、多頭前部リベット本体239及び後部リベット基部233を含む多頭リベット235などの調整可能なリベット235を含むことができる。幾つかの例において、1つ以上の組織締結具230は磁石244を含むことができる。磁石244は、少なくとも、胃112の両側に配置される第一の磁石プレート242a及び第二の磁石プレート242b(図7B)を含むことができる。さらに、1つ以上の組織締結具230は、3つ以上の磁石プレート242a~lを含む磁石246を含むことができる。図7Aに示される実施形態などの様々な実施形態において、磁石プレート242a~fは互いに接続されることができ、磁石プレート242g~lは互いに接続されうる。 このようにして、磁石プレート242a~fは、胃112の前胃壁140に隣接して配置されることができ(図7B)、磁石プレート242g~lは、胃112の後胃壁142に隣接して配置されることができる(図7B)。
【0094】
図7Bは、それぞれ配備構成であり、胃112の断面図の配置である図7Aの組織締結具230を示す。この例において、Tタグ240は、一端が胃112の前胃壁140に隣接し、他端が胃112の後胃壁142に隣接した状態で示されている。図5Aの実施形態を参照して説明したように、リベット237は配備位置で示されており、前部リベット本体231は胃112の前胃壁140に隣接して配置され、後胃壁142を通って延在し、後部リベット基部233は胃112の後胃壁142に隣接して配置されている。同様に、配備構成において、多頭リベット235は、胃112の前胃壁140に隣接する多頭前部リベット本体239と、胃112の後胃壁142に隣接する後部リベット基部233とを含む。さらに、磁石244は配備構成で示されており、第一の磁石プレート242aが前胃壁140に隣接して配置され、第二の磁石プレート242bが後胃壁142に隣接して配置され、その結果、胃112が第一の磁石プレート242aと第二の磁石プレート242bとの間にあって第一の磁石プレート242aと第二の磁石プレート242bとが互いに引き合うときに胃112は圧縮されうる。さらに、図7Bは、配備構成の磁石246を示しており、磁石プレート242a~fは前胃壁140に隣接して配置され、磁石プレートg~lは後胃壁142に隣接して配置され、その結果、磁石プレート242a~f及び磁石プレート242g~lが互いに引き合うときに、それぞれ、磁石プレート242g~lと磁石プレート242g~lとの間で胃112は圧縮される。上記は、1つ以上の組織締結具230の代替実施形態として説明されているが、これらは本開示に限定されず、他の様々な適用可能な組織締結具230を施用することができる。
【0095】
図7Cは、図7Aの組織締結具230の上面図を示す。この例において、Tタグ240は、上面図から見て比較的に直線的な部分を含む。 さらに、リベット237の前部リベット本体231及び調整可能リベット235の多頭前部リベット本体239は、上面図から概してディスクとして示されている。さらに、第一の磁石プレート242aは、図7Cに示されるように、磁石244の上面図から示されている。さらに、磁石246の磁石プレート242a~fは図7Cの上面図に示されている。
【0096】
図8は、胃112を部分的に区画化するための方法300を示すフローチャートである方法300は、図2Aの部分的に区画化された胃を参照して説明される。ブロック302において、方法300はまず、制限胃部分136と活動胃部分134との間にある前胃壁140及び後胃壁142にアクセスすることを含む。ブロック304において、方法300はさらに、胃底130から幽門洞128に隣接する位置で前胃壁140及び後胃壁142を互いに当接して係合することを含む。この工程はさらに、活動胃部分134と制限胃部分136を画定することを含む。
【0097】
次に、ブロック306において、方法300は、前胃壁140と後胃壁142をカップリングして当接部を固定し、活動胃部分134と制限胃部分136との間の流体連通を維持しながら胃底130から幽門洞128に隣接するところまで隔壁122を形成することを含む。例において、カップリングは、前胃壁140及び後胃壁142の組織に穴を開け、複数の組織締結具230のうちの少なくとも1つで固定するための手段を含む。幾つかの例において、カップリングは前胃壁140及び後胃壁142のステープル留め、縫合及びリベット留めのうちの少なくとも1つを含む。他の例において、これには、吸収性又は非吸収性であるTタグデバイスの使用が含まれることができる。さらなる例において、カップリングは、第一の磁石プレート242aを前胃壁140に隣接して配備し、第二の磁石プレート242bを後胃壁142に隣接して配備することを含み、それにより、第一の磁石プレート242aと第二の磁石プレート242bが互いに引き合うときに、前胃壁140と後胃壁142はカップリングする。このようにして、前胃壁140も後胃壁142もカップリングするために穴を開ける必要がない。例において、前胃壁140と後胃壁142のカップリングは、活動胃部分134と制限胃部分136との間の流体連通のための隔壁122の下に通路138を保持するように構成されている。例において、形成された隔壁122は、胃底130から幽門洞128までの長さ141の大部分を延在する。このようにして、隔壁122は体腔132の長さ141の大部分を延在し、その結果、流体連通のための通路138のサイズ、したがって、活動胃部分134から制限胃部分136に移動する可能性のある物質の量は制限される。
【0098】
例において、胃112を部分的に区画化する方法300は、第一の胃壁係合要素202及び第二の胃壁係合要素204を含む内視鏡胃装置200の使用によって完了する。以下の例は図3及び図4の内視鏡胃装置200を参照して説明されるが、方法300は、図5Aの内視鏡胃装置200など、内視鏡胃装置200の例示的な例の他の変形例に適用することができる。
【0099】
これらの例において、ブロック302の前胃壁140及び後胃壁142にアクセスすることは、前胃壁140に隣接して第一の胃壁係合要素202を配置すること、及び、後胃壁142に隣接して第二の胃壁係合要素204を配置することをさらに含む。ブロック304の前胃壁140及び後胃壁142をそれぞれ係合させることは、第一の胃壁係合要素202と第二の胃壁係合要素204を互いに係合させることをさらに含む。さらに、ブロック306のカップリング工程は、第一の胃壁係合要素及び第二の胃壁係合要素202、204のうちの1つから複数の組織締結具230を配備することをさらに含むことができる。様々な実施形態において、前胃壁140と後胃壁142をカップリングするこの工程は、隔壁122が2列の複数の組織締結具230を有するように繰り返されることができる。
【0100】
さらに、方法300は、前胃壁140及び後胃壁142を切断することなく、したがって活性胃部分134及び制限胃部分136を切断することなく、胃112の前胃壁140及び後胃壁142に隣接するところから内視鏡胃装置200を取り外すことを含むことができる。
【0101】
本出願の発明は、一般的に及び特定の例に関しての両方で上記に説明されてきた。本開示の範囲から逸脱することなく、様々な変更及び変形を実施できることが当業者に明らかであろう。したがって、これらの例は、添付の特許請求の範囲及びその均等の範囲内にある限り、本発明の変更及び変形を包含することが意図されている。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7A
図7B
図7C
図8
【手続補正書】
【提出日】2024-02-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0101
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0101】
本出願の発明は、一般的に及び特定の例に関しての両方で上記に説明されてきた。本開示の範囲から逸脱することなく、様々な変更及び変形を実施できることが当業者に明らかであろう。したがって、これらの例は、添付の特許請求の範囲及びその均等の範囲内にある限り、本発明の変更及び変形を包含することが意図されている。
本開示は更に以下の態様を含んでいる:
《態様1》
遠位端及び近位端を有するアプライヤ、
を含む、内視鏡胃装置であって、
前記アプライヤは、互いに対向し、前胃壁と後胃壁をそれぞれ当接して係合させるための協働配置にある2つの胃壁係合要素を含み、そして1つ又は複数の組織締結具を同時に又は順次に配備し、前記1つ又は複数の組織締結具を適用して、活動胃部分及び制限胃部分を画定する隔壁を胃内に形成するために前胃壁と後胃壁とを一緒に固定するように動作可能であり、前記隔壁は、該隔壁によって画定された通路を通って前記活動胃部分と前記制限胃部分との間の流体連通を可能にする、内視鏡胃装置。
《態様2》
前記アプライヤは、腹腔内に通過するために形状付けされそして寸法決めされた支持体で遠位端に固定されている、態様1記載の内視鏡胃装置。
《態様3》
前記隔壁は、前記隔壁によって画定される前記通路が幽門洞に隣接するように、胃底から前記幽門洞に隣接するまで延在している、態様1記載の内視鏡胃装置。
《態様4》
前記複数の組織締結具のそれぞれは順次に配備される、態様1記載の内視鏡胃装置。
《態様5》
前記複数の組織締結具のそれぞれは同時に配備される、態様1記載の内視鏡胃装置。
《態様6》
前記通路は、前記制限胃部分と前記活動胃部分との間で物質の通過を可能にするようにサイズ決めされている、態様1記載の内視鏡胃装置。
《態様7》
前記1つ又は複数の組織締結具は、ステープル、縫合糸、リベット、調節可能なリベット、及び対向する磁石のうちの少なくとも1つである、態様1記載の内視鏡胃装置。
《態様8》
配備される組織締結具の数は1~40の範囲である、態様1記載の内視鏡胃装置。
《態様9》
前記内視鏡胃装置は、前記2つの胃壁係合要素のそれぞれの近位端に第一の弧状部分及び第二の弧状部分を含む、態様1記載の内視鏡胃装置。
《態様10》
前記第一の弧状部分及び前記第二の弧状部分は、前記内視鏡胃装置が閉鎖構成にあるときに空間を囲むように構成され、前記空間は、前記隔壁によって画定される通路を形成するように動作可能である、態様9記載の内視鏡胃装置。
《態様11》
前記2つの胃壁係合要素のうちの第一の要素は、前記1つ又は複数の組織締結具を収容するカートリッジを含む、態様1記載の内視鏡胃装置。
《態様12》
前記2つの胃壁係合要素のうちの第二の要素は、1つ又は複数の組織締結具受容要素を含む、態様1記載の内視鏡胃装置。
《態様13》
前記1つ又は複数の組織締結具はステープルを含み、前記1つ又は複数の組織締結具受容要素はステープルポケットを含む、態様12記載の内視鏡胃装置。
《態様14》
前記2つの胃壁係合要素は、それぞれ約200mm~250mmの長さを有するように構成されている、態様1記載の内視鏡胃装置。
《態様15》
前記2つの胃壁係合要素は、それぞれほぼ等しい長さを有するように構成されている、態様1記載の内視鏡胃装置。
《態様16》
胃を部分的に区画化するための方法であって、
小弯と大弯の間で前胃壁と後胃壁にアクセスすること、
活動胃部分と制限胃部分とを画定する位置で前記前胃壁と前記後胃壁を互いに当接して係合させること、及び、
前記前胃壁及び前記後胃壁をカップリングして当接部を固定し、前記活動胃部分と前記制限胃部分との間の流体連通を維持しながら隔壁を形成すること、
を含む、方法。
《態様17》
前記前胃壁と前記後胃壁が互いに係合する位置は胃底から幽門洞に隣接するまでである、態様16記載の胃を部分的に区画化するための方法。
《態様18》
前記前胃壁と前記後胃壁とをカップリングしている間に、前記隔壁は胃底から幽門洞に隣接するまで形成される、態様17記載の胃を部分的に区画化するための方法。
《態様19》
カップリングは、前胃壁及び後胃壁に穴を開け、組織締結具で固定するための手段を含む、態様16記載の胃を部分的に区画化するための方法。
《態様20》
カップリングは、ステープル留め、縫合及びリベット留めのうちの少なくとも1つを含む、態様16記載の胃を部分的に区画化するための方法。
《態様21》
前記前胃壁と前記後胃壁とのカップリング後に、前記活動胃部分と前記制限胃部分とはカップリングされたままである、態様16記載の胃を部分的に区画化するための方法。
《態様22》
カップリングから形成される前記隔壁は、胃底から幽門洞までの長さの大部分を延在している長さを有する、態様18記載の胃を部分的に区画化するための方法。
《態様23》
カップリングから形成された前記隔壁は、胃底から幽門洞までの長さに完全に延在している長さを有し、前記隔壁は、前記隔壁に沿った1つ以上の位置で流体通路を画定している、態様16記載の胃を部分的に区画化するための方法。
《態様24》
前記前胃壁と前記後胃壁のカップリングは、互いに対向する2つの胃壁係合要素を含む内視鏡胃装置の使用によって完了する、態様16記載の胃を部分的に区画化するための方法。
《態様25》
前記前胃壁及び前記後胃壁にアクセスすることは、前記2つの胃壁係合要素のうちの第一の胃壁係合要素を前記前胃壁に隣接して配置すること、及び、前記2つの胃壁係合要素のうちの第二の胃壁係合要素を前記前胃壁に隣接して配置することをさらに含む、態様24記載の胃を部分的に区画化するための方法。
《態様26》
前記前胃壁と前記後胃壁を係合させることは、前記第一の胃壁係合要素と前記第二の胃壁係合要素とを互いに係合させることをさらに含む、態様25記載の胃を部分的に区画化するための方法。
《態様27》
カップリングは、前記2つの胃壁係合要素のうちの1つから複数の組織締結具を配備することをさらに含む、態様24記載の胃を部分的に区画化するための方法。
《態様28》
カップリングは、前記2つの胃壁係合要素のうちの1つから組織締結具を配備することさらに含む、態様24記載の胃を部分的に区画化するための方法。
《態様29》
カップリングは、
前記2つの胃壁係合要素を再配置すること、及び、
複数の組織締結具のうちの別の組織締結具を配備すること、
をさらに含む、態様28記載の胃を部分的に区画化するための方法。
《態様30》
前記前胃壁及び前記後胃壁を切断することなく、前記前胃壁及び後胃壁に隣接するところから内視鏡胃装置を除去することをさらに含む、態様24記載の胃を部分的に区画化するための方法。
《態様31》
肥満を治療するための方法であって、
態様1~15のいずれか1項記載の内視鏡胃装置を使用して、胃底から幽門洞に隣接する位置で、前記前胃壁と前記後胃壁とを当接して互いに係合させて、活動胃部分及び制限胃部分を画定すること、及び、
前記前胃壁及び前記後胃壁をカップリングして当接部を固定し、そして前記活動胃部分と前記制限胃部分との間の流体連通を維持しながら隔壁を形成すること、
を含む、方法。
《態様32》
前記隔壁は、前記胃底から前記幽門洞に隣接するまで形成される、態様31記載の肥満を治療するための方法。
《態様33》
前記流体連通は、前記隔壁及び胃壁によって画定される通路を介して維持される、態様31記載の肥満を治療するための方法。
《態様34》
前記前胃壁と前記後胃壁をカップリングすることは、前記2つの胃壁係合要素のうちの一方を前記前胃壁に隣接して配置し、前記2つの胃壁係合要素のうちの他方を前記後胃壁に隣接して配置すること、及び前記1つ以上の組織締結具を配備することを含む、態様31記載の肥満を治療するための方法。
《態様35》
糖尿病を治療するための方法であって、
態様1~15のいずれか1項記載の内視鏡胃装置を使用して、活動胃部分と制限胃部分を画定する胃底から幽門洞に隣接する位置で、前胃壁と後胃壁とを当接して互いに係合させること、及び、
前記前胃壁と前記後胃壁とをカップリングして当接部を固定し、前記活動胃部分と前記制限胃部分との間の流体連通を維持しながら、胃底から幽門洞に隣接するまでの隔壁を形成すること、
を含む、方法。
《態様36》
前記前胃壁と前記後胃壁をカップリングすることは、前記2つの胃壁係合要素のうちの一方を前記前胃壁に隣接して配置し、前記2つの胃壁係合要素のうちの他方を前記後胃壁に隣接して配置すること、及び、前記1つ又は複数の組織締結具を配備することを含む、態様35記載の糖尿病を治療するための方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠位端及び近位端を有するアプライヤ、
を含む、内視鏡胃装置であって、
前記アプライヤは、互いに対向し、前胃壁と後胃壁をそれぞれ当接して係合させるための協働配置にある2つの胃壁係合要素を含み、そして1つ又は複数の組織締結具を同時に又は順次に配備し、前記1つ又は複数の組織締結具を適用して、活動胃部分及び制限胃部分を画定する隔壁を胃内に形成するために前胃壁と後胃壁とを一緒に固定するように動作可能であり、前記隔壁は、該隔壁によって画定された通路を通って前記活動胃部分と前記制限胃部分との間の流体連通を可能にする、内視鏡胃装置。
【請求項2】
前記アプライヤは、腹腔内に通過するために形状付けされそして寸法決めされた支持体で遠位端に固定されている、請求項1記載の内視鏡胃装置。
【請求項3】
前記隔壁は、前記隔壁によって画定される前記通路が幽門洞に隣接するように、胃底から前記幽門洞に隣接するまで延在している、請求項1記載の内視鏡胃装置。
【請求項4】
前記複数の組織締結具のそれぞれは順次に配備される、請求項1記載の内視鏡胃装置。
【請求項5】
前記複数の組織締結具のそれぞれは同時に配備される、請求項1記載の内視鏡胃装置。
【請求項6】
前記通路は、前記制限胃部分と前記活動胃部分との間で物質の通過を可能にするようにサイズ決めされている、請求項1記載の内視鏡胃装置。
【請求項7】
前記1つ又は複数の組織締結具は、ステープル、縫合糸、リベット、調節可能なリベット、及び対向する磁石のうちの少なくとも1つである、請求項1記載の内視鏡胃装置。
【請求項8】
配備される組織締結具の数は1~40の範囲である、請求項1記載の内視鏡胃装置。
【請求項9】
前記内視鏡胃装置は、前記2つの胃壁係合要素のそれぞれの近位端に第一の弧状部分及び第二の弧状部分を含む、請求項1記載の内視鏡胃装置。
【請求項10】
前記第一の弧状部分及び前記第二の弧状部分は、前記内視鏡胃装置が閉鎖構成にあるときに空間を囲むように構成され、前記空間は、前記隔壁によって画定される通路を形成するように動作可能である、請求項9記載の内視鏡胃装置。
【請求項11】
前記2つの胃壁係合要素のうちの第一の要素は、前記1つ又は複数の組織締結具を収容するカートリッジを含む、請求項1記載の内視鏡胃装置。
【請求項12】
前記2つの胃壁係合要素のうちの第二の要素は、1つ又は複数の組織締結具受容要素を含む、請求項1記載の内視鏡胃装置。
【請求項13】
前記1つ又は複数の組織締結具はステープルを含み、前記1つ又は複数の組織締結具受容要素はステープルポケットを含む、請求項12記載の内視鏡胃装置。
【請求項14】
前記2つの胃壁係合要素は、それぞれ約200mm~250mmの長さを有するように構成されている、請求項1記載の内視鏡胃装置。
【請求項15】
前記2つの胃壁係合要素は、それぞれほぼ等しい長さを有するように構成されている、請求項1記載の内視鏡胃装置。
【国際調査報告】