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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-28
(54)【発明の名称】光偏光変換器及び製造方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/126 20060101AFI20240621BHJP
   G02B 6/12 20060101ALI20240621BHJP
   G02B 6/13 20060101ALI20240621BHJP
【FI】
G02B6/126
G02B6/12 371
G02B6/13
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023578923
(86)(22)【出願日】2022-07-12
(85)【翻訳文提出日】2024-02-14
(86)【国際出願番号】 EP2022069363
(87)【国際公開番号】W WO2023285406
(87)【国際公開日】2023-01-19
(31)【優先権主張番号】2110288.4
(32)【優先日】2021-07-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】2119139.0
(32)【優先日】2021-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522074936
【氏名又は名称】スマート フォトニクス ホールディングス ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ニールセン,マデリン
(72)【発明者】
【氏名】ミラン-メヒア,アロンソ ヘスス
(72)【発明者】
【氏名】アウグスティン,ルドヴィクス マリー
【テーマコード(参考)】
2H147
【Fターム(参考)】
2H147BA11
2H147BA15
2H147BD16
2H147DA19
2H147EA05A
2H147EA12A
2H147EA13A
2H147EA14A
2H147FA03
2H147FA04
2H147FA06
2H147FA07
2H147FA20
2H147FA25
2H147FA27
2H147FC02
2H147FC03
2H147FC05
2H147FC08
2H147FC09
2H147FD09
2H147FE06
2H147GA10
(57)【要約】
第1の層を含む、フォトニック集積回路のための光偏光変換器。第1の層は、第1の表面及び第2の表面を含む。第2の表面は、第1の軸及び第2の軸に沿って、第1の表面からオフセットされる。第1の軸は、第1の表面に対して垂直である。第2の軸は、第1の表面に平行である。光偏光変換器は、第2の層及び導波路を備える。導波路は、第1の層と第2の層との間にあり、接触している。導波路は、第1の表面に接する第1の導波路部と、第2の表面に接する第2の導波路部とを含む。第2の導波路部は、第1の導波路部からオフセットしている。第1の導波路部は、第1の導波路部の第2の厚さと異なる第1の厚さを有する。第1の厚さ及び第2の厚さは、第1の表面に垂直である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フォトニック集積回路のための光偏光変換器であって、
第1の表面と第2の表面とを含む第1の層と、
第2の層と、
前記第1の層と前記第2の層との間にあり、前記第1の層と前記第2の層の各々と接触する導波路と、を備え、
前記第2の表面は、第1の軸及び第2の軸に沿って前記第1の表面からオフセットされ、前記第1の軸は、前記第1の表面に対して垂直であり、前記第2の軸は、前記第1の表面に対して平行であり
前記導波路は、
前記第1の表面に接触する第1の導波路部と、
前記第2の表面に接触する第2の導波路部と、を有し、
前記第1の導波路部は、前記第1の導波路部の第2の厚さと異なる第1の厚さを有し、前記第1の厚さ及び前記第2の厚さは、前記第1の表面に対して垂直であり、
前記第2の導波路部は、前記第1の導波路部からオフセットされる、光偏光変換器。
【請求項2】
前記第1の層と前記第2の層との間に領域を含み、
前記領域の屈折率は、前記導波路の屈折率とは異なり、
前記導波路には、前記領域がない、請求項1に記載の光偏光変換器。
【請求項3】
前記導波路は、第3の表面を含み、
前記第3の表面は、前記第1の層または前記第2の層と接触しない、請求項1または2に記載の光偏光変換器。
【請求項4】
前記第1の表面は、前記第3の表面に対して、30~65度、30~40度、50~65度、50~55度、55~60度、または60~65度の内角で角度を付けられる、請求項4に記載の光偏光変換器。
【請求項5】
前記導波路は、結晶材料を含み、
前記第3の表面は、前記結晶材料の結晶面に対応して角度を付けられる、請求項3または4に記載の光偏光変換器。
【請求項6】
前記結晶面は、{0-11}、{111}または{112}面である、請求項5に記載の光偏光変換器。
【請求項7】
前記第1の層の側面及び前記第2の層の側面は、第1の平面において同一平面にあり、
前記第3の表面は、前記第1の平面から少なくとも部分的にオフセットされる、請求項3~6のいずれかに記載の光偏光変換器。
【請求項8】
前記導波路は、前記第1の表面と前記第2の表面との間に第4の表面を備え、
前記第4の表面は、前記第1の表面と平行ではない、請求項1~7のいずれかに記載の光偏光変換器。
【請求項9】
前記第4の表面は、前記第1の表面に対して垂直である、請求項8に記載の光偏光変換器。
【請求項10】
光伝搬軸に平行な前記導波路の長さは、前記入力光の波長に対するビート長の4分の1に奇数を乗じたものに実質的に等しい、請求項1~9のいずれかに記載の光偏光変換器。
【請求項11】
前記第1の層の第1の部分が前記第1の表面を含み、
前記第1の層の第2の部分が前記第2の表面を含み、
前記第1の層の前記第1の部分は、前記第1の層の前記第2の部分とは異なる材料を含む、請求項1~10のいずれかに記載の光偏光変換器。
【請求項12】
前記第1の層の前記第1の部分と前記第1の層の前記第2の部分との間に前記第1の層の第3の部分を含み、
前記第1の層の前記第1の部分は前記第1の層の前記第3の部分と接触し、
前記第1の層の前記第3の部分は前記第1の層の前記第2の部分と接触するようにし、
前記第1の層の前記第3の部分は、前記第1の層の前記第1の部分または前記第1の層の前記第2の部分のうちの少なくとも1つと異なる材料を含む、請求項11に記載の光偏光変換器。
【請求項13】
前記第2の層上で、かつ、当該第2の層に接触する第3の層を含む、請求項1~12のいずれかに記載の光偏光変換器。
【請求項14】
前記第1の層及び前記第2の層は、各々、インジウムリン化物を含み、前記導波路は、インジウムガリウムヒ素リン化物を含む、請求項1~13のいずれかに記載の光偏光変換器。
【請求項15】
請求項1~14のいずれかに記載の光偏光変換器を備える、フォトニック集積回路。
【請求項16】
請求項1~15のいずれかに記載の光偏光変換器の製造方法。
【請求項17】
光偏光変換器の製造方法であって、
第1の層に対する前駆体を使用して前記第1の層を少なくとも部分的に形成することであって、前記第1の層が第1の表面と第2の表面とを含み、前記第2の表面は、第1の軸及び第2の軸に沿って前記第1の表面からオフセットされ、前記第1の軸は、前記第1の表面に対して垂直であり、前記第2の軸は、前記第1の表面に対して平行であること、
導波路に対する前駆体を用いて前記導波路を少なくとも部分的に形成することであって、前記導波路は、前記第1の層上でかつ前記第1の層に接触し、前記導波路は、前記第1の表面に接触する第1の導波路部と、前記第2の表面に接触する第2の導波路部と、を含み、前記第1の導波路部の第1の厚さは、前記第1の導波路部の第2の厚さと異なり、前記第1の厚さ及び前記第2の厚さは、前記第1の表面に対して垂直であること、及び
第2の層に対する前駆体を使用して、少なくとも部分的に前記第2の層を形成することであって、前記第2の層は、前記導波路上でかつ前記導波路に接触し、前記導波路が前記第1の層と前記第2の層との間にあること、
を含む、製造方法。
【請求項18】
前記第1の層に対する前記前駆体、前記導波路に対する前記前駆体、または前記第2の層に対する前記前駆体のうちの少なくとも1つの少なくとも一部を除去することを含む、請求項17に記載の製造方法。
【請求項19】
前記第1の層、前記導波路、前記第2の層、前記第1の層に対する前記前駆体、前記導波路に対する前記前駆体、または前記第2の層に対する前記前駆体のうちの少なくとも1つに保護層を形成すること、及び
前記保護層のいくらかを除去して、前記導波路に対する前記前駆体の側面を少なくとも部分的に露出させることを含む、請求項17または請求項18に記載の製造方法。
【請求項20】
前記導波路を形成した後に前記保護層の残りを除去することを含む、請求項19に記載の製造方法。
【請求項21】
前記導波路を少なくとも部分的に形成することは、
前記導波路に対する前記前駆体の一部を除去すること、
前記導波路に対する前記前駆体のリソグラフィ、または
前記導波路に対する前記前駆体のエッチング、のうちの少なくとも1つを含む、請求項17~20のいずれかに記載の製造方法。
【請求項22】
前記導波路は、第3の表面を含み、
前記第3の表面は、前記第1の層または前記第2の層と接触せず、
前記第1の表面は、
30~65度、30~40度、50~65度、50~55度、55~60度または60~65度の内角で、前記第3の表面に対して、または、
前記結晶材料の結晶面に対応して、
のうちの少なくとも1つで角度を付けられる、請求項17~21のいずれかに記載の製造方法。
【請求項23】
前記第1の層に対する前記前駆体、前記導波路に対する前記前駆体、または前記第2の層に対する前記前駆体のうちの少なくとも1つの少なくとも一部を除去すること、または
前記保護層を除去すること、
の少なくとも一部は、エッチング、またはリソグラフィの少なくとも1つである、請求項17~22のいずれかに記載の製造方法。
【請求項24】
前記第1の層を少なくとも部分的に形成することは、前記第1の層に対する前記前駆体の一部を除去することを含む、請求項17~23のいずれかに記載の製造方法。
【請求項25】
前記第1の層に対する前記前駆体の前記一部を除去することは、
前記第1の層に対する前記前駆体にエッチングマスクを少なくとも部分的に形成すること、
前記第1の層に対する前記前駆体の前記一部を少なくとも部分的にエッチングすること、及び
前記エッチングマスクを少なくとも部分的に除去すること、
を含む、請求項24に記載の製造方法。
【請求項26】
前記第1の層に対する前記前駆体、前記導波路に対する前記前駆体、または前記第2の層に対する前記前駆体のうちの少なくとも1つの少なくとも一部を除去することは、
前記第1の層に対する前記前駆体、
前記導波路に対する前記前駆体、及び
前記第2の層に対する前記前駆体、
のうちの少なくとも一部を除去することを含む、請求項17~25のいずれかに記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
光偏光変換器は、様々な機能を実行するためにフォトニック集積回路(PIC)に使用され得る。光偏光変換器は、PIC内部の特定の用途で使用するために設計され製造され得る。例えば、PICは、第1の偏光の光から第2の偏光の光への所望の変換のための光偏光変換器を備え得る。
【0002】
公知の光偏光変換器を改良することが望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0003】
図1】例の光偏光変換器の側方断面を概略的に示し、この断面は、光偏光変換器の光伝搬軸に垂直な平面で得られた。
図2】さらなる例の光偏光変換器の側方断面を概略的に示し、この断面は、光偏光変換器の光伝搬軸に垂直な平面で得られた。
図3】さらなる例の光偏光変換器の側方断面を概略的に示し、この断面は、光偏光変換器の光伝搬軸に垂直な平面で得られた。
図4】例の光の第1の偏光及び光の第2の偏光を概略的に示す。
図5】例の光偏光変換器の側方断面を概略的に示し、この断面は、光偏光変換器の光伝搬軸に平行な平面で得られた。
図6】ポアンカレ球の赤道面を概略的に示す。
図7】例に係る光偏光変換器の製造方法を示すフロー図である。
図8図8A図8Jは例に係る製造方法の後続の段階の間の、光偏光変換器の第1の側方断面を各々概略的に示し、各断面は、光偏光変換器の光伝搬軸に垂直な平面で得られた。
図9図9A図9Cは、さらなる例に係る製造方法の後続の段階の間の、光偏光変換器の第1の側方断面を各々概略的に示し、各断面は、光偏光変換器の光伝搬軸に垂直な平面で得られた。
図10図10A図10Fは、さらなる例に係る製造方法の後続の段階の間の、光偏光変換器の第1の側方断面を各々概略的に示し、各断面は、光偏光変換器の光伝搬軸に垂直な平面で得られた。
図11】例に係るフォトニック集積回路の平面図を模式的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0004】
本明細書に記載の例は、PIC用の光偏光変換器に関する。
【0005】
PICは、PICの構築を意図した基本的なビルディングブロックから構築され得る。基本的なビルディングブロックは、様々な構成要素を含み、それぞれが特定の機能を有する。基本的なビルディングブロックの例は、導波路構造である。基本的なビルディングブロックは、典型的には、その上に入射する光に対して特定の効果を有する。本明細書に記載の例は、PICの基本的なビルディングブロックとして使用することができる光偏光変換器に関する。
【0006】
本明細書に記載の例では、また添付の特許請求の範囲にしたがって、導波路は、2つの直交する軸に沿って第2の導波路部からオフセットされた第1の導波路部を有し、第1の導波路部の第1の厚さは、第1の導波路部の第2の厚さと異なる。これらの特徴の組み合わせは、例において、既知の変換器よりも効率的な光偏光変換器を与える。これは、単位長さ当たりの偏光変換電力の増加と考えることができる。このような改善された効率、PICの変換器のフットプリント(占有表面積)、厚さ及び/または長さは、既知の光偏光変換器よりも小さくし得る。例えば、光偏光変換器の長さは、300マイクロメートル未満であり、例えば、95%を超える偏光変換効率を有する。
【0007】
この特徴の組み合わせはまた、PICの設計者に、所与の入力光から所望の出力光への所望の偏光変換を得るための、より多くの設計オプション及び自由度を与える。i)第1の表面と第2の表面との間のオフセットの程度、ii)第1の導波路部の厚さの変化に対して、異なるように設定することによって、設計者は、所与の目的のために変換器の偏光変換特性を設定し、カスタマイズすることができる。実際、当然ながら理解されるように、第1の層と第2の層との間の領域(導波路の一部ではない)の形状及びサイズなど、変換器のさらなるパラメータも調整することができる。
【0008】
既知の変換器と比較して、i)及び/またはii)を適切に設定することによって、偏光変換器を通る光伝搬角度のより多くの制御(例えば、所望の偏光モード間の変換率を増加させる)及び変換器の2つのハイブリッドモード間の複屈折(例えば、複屈折を増加させ、次いで、必要とされる変換器の長さを短縮する)を得ることができる。
【0009】
光偏光変換器は、既知の変換器と比較して、製造中の不完全性に対してより大きな耐性を有し得る。このより大きな耐性は、既知の偏光変換器と比較して偏光変換のための増大した動作帯域幅を有する光偏光変換器を促すことができる。これは、複数の波長の光が使用される用途、例えば波長分割多重(WDM)光通信システム及び光検出と測距(LiDAR)システムにおいて有用である。さらに、本明細書に記載される格外の設計の自由度は、既知のいわゆるダブルセクションまたはマルチセクションの光偏光変換器(それぞれ、2つ以上の偏光変換器を有する)よりも小さいフットプリントを有するいわゆるシングルセクション偏光変換器によって所与の性能を得ることができることを意味し得る。
【0010】
次に例を詳細に説明するが、この例については、最初に偏光変換器の機能を詳述することが有用である。偏光変換器は、光を異なる偏光の間で変換する光学系(PICなど)の構成要素である。適切に構成された光偏光変換器は、光の第1の直線偏光と、第1の直線偏光とは異なる向きの光の第2の直線偏光との間で変換することができる(例えば、水平の偏光の光を垂直の偏光の光に変換する、またその逆)。あるいは、別の例では、適切に構成された光偏光変換器は、直線の偏光と円の偏光または楕円の偏光との間で変換することができる。光偏光変換器は、光偏光回転子または複屈折回転子とも呼ばれ得る。
【0011】
図1は、第1の例の光偏光変換器100の側面の断面図を概略的に示す。光偏光変換器100は、PIC用である。光偏光変換器100は、第1の表面S102及び第2の表面S104を含む第1の層102を含む。第2の表面S104は、第1の軸110及び第2の軸120に沿って、第1の表面S102からオフセットされる。第1の軸110は第1の表面S102に垂直であり、第2の軸120は第1の表面S102に平行である。第1の軸110及び第2の軸120は、それぞれ互いに垂直であり、いくつかの例では、導波路104の光伝搬軸LPAに垂直である。第1の層102の最も左側及び最も右側は、破線で示され、層が(例えば、PICの一部として)イラストを越えて横方向に延在し得ることを示す。第1の層102は基板と考えることができるが、他の例では、いわゆる第1の層が設けられるかまたは形成される別個の層として想定され、場合によっては、基板と第1の層との間に1つまたは複数の中間層を有する。
【0012】
光偏光変換器100は、第2の層106及び導波路104を備える。導波路104は、第1の層102と第2の層106との間にあり、各々と接触している。導波路104は、第1の表面S102に接触する第1の導波路部104Aと、第2の表面S104に接する第2の導波路部104Bとを含む。したがって、導波路104は、第1の導波路部104Aからオフセットされた第2の導波路部104Bを有するように構成される。第1の導波路部104Aの第1の厚さW102は、第1の導波路部104の第2の厚さW104と異なる。例えば、第1の厚さは、第2の厚さよりも厚い。第1の厚さW102と第2の厚さW104とは、互いに平行であり、第1の表面S102に対して垂直であり、光伝搬軸(LPA)に対して垂直である。そのような厚さはそれぞれ、高さと考えることができる。
【0013】
図1にて見えるように、第1の導波路部は、異なる厚さでテーパ状であると考えることができる。テーパは、第2の軸120の1つの点から第2の軸120の第2の点まで導波路の厚さが減少するようなものである。テーパは、例えば、線形テーパであり、厚さは、第1の厚さのようなより厚い厚さから、第2の厚さのようなより薄い厚さへと線形に減少する。第1の厚さは、例えば、最大限の厚さであり、第2の厚さは、例えば、最小限の厚さである。したがって、第1の導波路部は、外側に向かって厚さが減少し得る。
【0014】
第1の導波路部の厚さが異なることにより、所望の偏光変換特性に応じて第1の表面の向きを設定することができる。また、テーパの結果として、導波路104の第3の表面S106は、例えば、導波路104の第1の表面S102に対して得られた(導波路に対する)内部の角度α(図2に示す)だけ傾く、または傾斜すると考えることができる。したがって、第3の表面S106がこのように角度を付けられると、第1の表面S102とは異なり、第3の表面は、例えば、第1の表面S102及び第2の表面S104に対して平行ではない。
【0015】
これに関連して、第3の表面が上述のように角度を付けられた状態で、導波路104の第1の部分104Aは、第1の層102の第1の表面S102に接触し、導波路104の第1の導波路部104Aは、第2の層106の第1の表面S110に接触する。したがって、導波路の第1の導波路部は、第2の層106の第1の表面S110の表面積よりも大きい第1の層の第1の表面S102の表面積に接触し、代替の例では、反対のことが当てはまる。
【0016】
第3の表面がこのように角度を付けられる場合、第3の表面S106は、例えば、第1の層104の表面S111及び第2の層106の第2の表面S112と実質的に同一平面上にある(例えば、許容可能な公差の同じ平面にある)第1の平面A100から少なくとも部分的に凹んでいる。第1の平面A100は、例えば、第2の軸120に対して垂直であり、偏光変換器の側面に対応する。
【0017】
導波路の第1の表面が第1の平面から凹んでいる距離は、厚さに対して垂直であり、例えば、いわゆるアンダーエッチングプロセスによる導波路材料の除去の持続時間次第であり得る。
【0018】
導波路の第4の表面S108は、第1の層と接触し、第1の表面S102に対して90度以上180度未満の角度にあり、この角度は、導波路の内部で得られる。したがって、第4の表面S108は、第1の表面S102及び/または第2の表面S104に対して傾斜していると考えることができる。別の表面に対して傾斜した1つの表面は、問題の2つの表面の間にゼロではない角度が存在することを意味する。したがって、1つの表面が他の表面に対して傾斜しているという状況において、他方の表面に対して特定の角度にある1つのこのような表面を、参照することができる。そのような状況では、他方の面に対して傾いている表面を参照することもできる。用語「傾き」、「角度」、及び「傾斜」は、別の実体に対する、または所与の軸に対する実体の角度を指すために、本明細書において互換的に使用される。
【0019】
第4の表面S108は、第1の表面S102と第2の表面S104との間にあり、例えば、第4の表面S108は、第1の表面S102と第2の表面S104との間に介在し、一方の面の辺が他方の面の辺に隣接していることを意味する。第4の表面は、例えば、第1の表面S102及び第2の表面S104のそれぞれに直接隣接し、第1の表面と第2の表面とを接続すると考えることができる。したがって、第1の表面S102、第2の表面S104、及び第4の表面S108は共に、例において、導波路104の底面または下面を共に構成すると考えることができる。いくつかの例では、第2の表面S104は、第1の軸110または第2の軸120の少なくとも一方に沿って得られた第1の表面の範囲よりも大きい量、第1の軸110または第2の軸120の少なくとも一方に沿って、第1の表面S102からオフセットされる。第1の軸110または第2の軸のうちの少なくとも1つに沿ったオフセットは、ゼロではなく、第1の導波路部の最大限の厚さ(それぞれ第1の軸110または第2の軸に沿った)より小さいが、他の例では、第1の軸のオフセットは、第1の導波路部の最大限の厚さ以上であり、及び/または第2の軸のオフセットは、第1の導波路部の最大限の厚さ以上である。
【0020】
軸に平行な方向のオフセットは、問題の関連する実体が存在する軸の位置に対するものである。例えば、図1において、第1の表面S102の側面は、第1の軸110の位置に対応し、第1の軸110に沿った第1の表面S102からの第2の表面のゼロのオフセットは、第1の表面S102及び第2の表面S104の各々が互いに同一平面にあり、第1の軸110の同じ位置に対応することを意味することが理解されよう。また、図1のような例では、第2の軸120に沿ったオフセットは、第2の表面S104が第1の表面S102と重ならない程度に十分に大きい。
【0021】
第1の表面S102及び第2の表面S104が上述のようにオフセットされ、各オフセットの適切な量で、第1の導波路部の異なる厚さで、導波路104は、所望に応じて光の偏光を変換するように設計することができる。
【0022】
第1の層の第1の表面S102と対向する表面S103とは、第1の距離W105だけ離れており、第1の層の第2面S104と対向面S103とは第2の距離W107だけ離れており、第2の距離は第1の距離よりも大きい。他の例では、第1の距離は、第2の距離と同じかそれより大きい。第1の距離及び第2の距離は、それぞれ、導波路の第1の部分の底部及び導波路の第2の部分の底部の高さとみなすことができ、及び/または第1の距離及び第2の距離は、それぞれ、第1の表面及び第2の表面における第1の軸に平行な第1の層の厚さとみなすことができる。
【0023】
当業者に理解されるように、光の特定の光学モードは、光偏光変換器100の所望の機能及び設計に応じて、導波路104を通って伝搬する。導波路104内部で光学モードが伝搬する方向は、本明細書で言及される光伝搬軸LPAである。光伝搬軸LPAは、導波路を伝搬する光のポインティングベクトル及びポインティングベクトルの負のベクトルと平行である。換言すれば、光伝搬軸LPAは、光学モードのエネルギーが導波路104を通る一般的な方向に平行であり、必ずしも、例えば、導波路104の境界における入射角によって規定される方向ではない。
【0024】
やはり、当業者が理解するように、導波路104は、光を誘導するためのものである。使用時には、光は導波路104内を伝搬し、導波路104の境界での反射により、例えば2つの方向で導波路内に封じ込められる。導波路層104は、光を封じ込めることが望まれる境界において導波路104と接触する材料の屈折率よりも高い屈折率を有する。例えば、光を封じ込めることが望まれる境界でのこの屈折率の差が原因で、導波路104のこれらの境界における入射角が臨界角よりも大きいときに、全内部反射が生じる。特定の光学モードが導波路104を伝搬するためには、当業者には理解されるように、導波路104の境界で反射された光が、その特定の光学モードの強め合う干渉のための条件を満たすことが必要である。
【0025】
いくつかの例では、導波路104は、第1の層及び第2の層の材料よりも高い屈折率を有する材料を含む。例えば、導波路104は、インジウムガリウムヒ素リン化物(InGaAsP)を含む。いくつかの例では、導波路104は、(Al)InGaAs(P)を含む。括弧内に示される元素は交換可能であり、所望の関数に応じて様々な元素の組成が選択される。例えば、InGaAsにおけるGa及びAsの組成は、所望のバンドギャップに応じて選択することができる。いくつかの例では、導波路104は、(Al)InGaAs(P)の層である。他の例では、導波路104は、複数の副層を含む。いくつかのそのような例では、導波路104は、第1の層102と接触する(Al)InGaAs(P)/(Al)InGaAs(P)多重量子ウェル構造を含む。いくつかの例では、副層は、5~30ナノメートルの厚さである。導波路104の副層スタックは、光偏光変換器100の所望の用途に従って選択されたバンドギャップを有する。バンドギャップ、したがってInGaAsPの屈折率は、例えば、調整することができる。
【0026】
いくつかの例では、導波路の第2の部分104Bの体積に対する導波路の第1の部分104Aの体積の所望の比で光偏光変換器を製造することによって、偏光変換器の偏光変換効率が設定される。この比は、例えば、第2の軸120に平行な第1の表面S102の範囲の、第2の軸120に平行な第2の表面S104の範囲に対する比によって設定される。導波路の第1の部分104Aの体積の、導波路の第2の部分104Bの体積に対する比を設定することは、例えば、導波路の第1の部分104Aを通って伝搬するエネルギーの、導波路の第2の部分104Bを通って伝搬するエネルギーに対する比を変化させる。
【0027】
図2は、さらなる例の光偏光変換器200の、LPAに垂直な平面で得られた側方の断面図を概略的に示す。以下に別に記載する場合を除いて、これらの例の特徴は、図1に記載した特徴と共通であり、したがって、簡潔さのためここで再度の説明はしない。図2に関する特徴が、図1を使用して説明された特徴に対応する場合、図1に使用された対応する参照符号よりも100大きい参照符号が使用され(例えば、図1の102は、図2の202である)、そのような特徴に対する対応する説明も、ここで適用される。
【0028】
第1の表面S202は、第3の表面S206に対して、例えば30~65度の内角αで、結晶材料の平面に応じて、30~40度、例えば約(許容可能な製造公差内)35度、または50~65度、例えば約(許容可能な製造公差内)55度または60度、50~55度、55~60度または60~65度の角度を付けられる。他の例(図示せず)では、内角αは90度より大きい。
【0029】
同様に、図1に関して説明したように、第4の表面S208も、第1の表面S202及び/または第2の表面S204に対して傾斜している。第3の表面S206は、第4の表面S208に実質的に平行であり(例えば、許容可能な製造公差内で平行)、例えば、第3及び第4の表面は、第1の表面に対して各々15度である。他の例では、第3の表面及び第4の表面は互いに平行ではなく、例えば、第3の表面は第1の表面に対して65度であり、第4の表面は第1の表面に対して15度(したがって、第3の表面に対して50度)である。
【0030】
導波路が形成される材料は、例えば、結晶材料であり、第1の表面S202と第3の表面S206との間の角度αは、結晶材料の平面のうちの{0-11}、{111}、または{112}の少なくとも1つに対応する。この{XYZ}表記は、当業者に知られているように、結晶内の平面または平面のファミリーを示すためのMiller index systemに従う。このような平面は、結晶面とも呼ぶことができる。後に説明するように、適切な製造方法を用いることにより、例えば、導波路材料の特定の結晶面に対して選択的な特定のエッチング液を用いることにより、第3の表面S206と第1の表面S202との間の角度αを簡単に得ることができる。
【0031】
そのようなエッチング手法は、第1の層202及び第2の層206の材料をエッチングすることなく(または特により遅くエッチングすることなく)、導波路の材料をエッチングするように選択的である。したがって、第1の表面S202と第3の表面S206との間に角度αを形成するために、エッチング中に、第1の層202と第2の層206との間から、例えば第2の層206の下から、導波路材料が除去される。したがって、例では、導波路204が存在しない第1の層202と第2の層206との間の領域211が存在する。換言すれば、導波路204は領域211に存在しないか、または領域211の屈折率は、光が導波路内に封じ込められるように導波路204の屈折率と十分に異なる。
【0032】
図2の例のような例では、導波路204は、第4の表面S208と接触し、第1の導波路部204Aと第2の導波路部204Bとの間にある第3の導波路部204C(本明細書では、他にも中間部分と呼ばれる)を有する。上述のようにオフセットされた表面を有する第1の層202、及び第1の表面に対して90度以外の角度で傾斜された第4の表面S208は、導波路204が第1の層202の上部に形成される前に、少なくとも部分的に形成される。傾斜した第4の表面S208は、第3の導波路部の対応する傾斜をもたらす。したがって、第1の導波路部204A、第2の導波路部204B、及び第3の導波路部204Cは、共に導波路204を構成するものと考えることができる。
【0033】
図3は、さらなる例の光偏光変換器300の、LPAに垂直な平面で得られた側方の断面を概略的に示す。以下に別に記載する場合を除いて、これらの例の特徴は、図1に記載した特徴と共通であり、したがって、簡潔さのためここでは再度の説明はしない。図3に関する特徴が、図1を使用して説明された特徴に対応する場合、図1に使用された対応する参照符号よりも200大きい参照符号が使用され(例えば、図1の102は、図3の302である)、そのような特徴に対する対応する説明も、ここで適用される。
【0034】
図3の例のような例では、第1の層302の第1の部分302Aは第1の表面S302を含み、第1の層302の第2の部分302Bは第2の表面S304を含む。第1の層302の第1の部分は、第1の層302の第2の部分302Bの材料とは異なる材料を含む(例えば、材料から形成される)。第1及び第2の部分は、第1の層の第1の部分302Aと第2の部分302Bとの間で接触する第1の層の第3の部分302Cと同様に、水平な破線を用いて図3に示されている。第1、第2及び第3の部分の各々は、第1の部分302Aまたは第2の部分302Bの少なくとも一方とは異なる材料で形成された第3の部分302Cを有する第1の層の副層と見なすことができる。
【0035】
別の材料に対して異なる材料は、例えば、異なる結晶構造、異なる合金、異なる異性体、異なる同位体、異なる割合の混合物、または屈折率、特定のエッチング液によるエッチングに対する異なる感受性、異なる結晶構造、異なる結晶面配向、及び/または導電率などの異なる材料特性を有することのうちの少なくとも1つである、ただし異なる材料の他の例が想定される。したがって、いずれかの材料が他より多くの元素を有することなく各材料が互いに同じ化学元素を含むことができても、他の材料に対して異なっている材料は、同じ材料ではない。しかしながら、2つの異なる材料は、互いに対して異なる割合の同じ元素を有し得る(例えば、1つの材料が別の材料よりも多いドーパントを有する)。第1の層の第2の部分または第1の層の第3の部分の少なくとも一方は、例えば、第1の層の形成を補助するためのエッチング停止部である。
【0036】
図3の例のようないくつかの例では、導波路と接触している第2の層の少なくとも1つの表面は、やはり導波路と接触している第1の層の反対側の表面と平行ではない。例えば、第2の層306の表面S309は、第1の層302の第4の表面S308と平行ではない。
【0037】
いくつかの例では、光偏光変換器300は、第3の層308を含む。第3の層は、第2の層306上でこれに接触している。第3の層は、例えば、電極、絶縁体、誘電体である。
【0038】
次に、図4A及び図4Bを参照して、光の偏光を変換するための導波路104、204、または304の機能について、これより説明する。図4Aは入力光に関し、図4Bは出力光に関する。これは、光偏光変換器100、200または300に入射する直線の偏光という文脈であることに留意されたい。図4A及び図4Bは、横方向の電気(TE)分極軸402及び横方向の磁気(TM)分極軸404を示す。光伝搬軸LPAは、図4A及び図4Bで、紙面に含まれる(TE偏光軸402及びTM偏光軸404の両方に垂直である)。図1、2または3に関して、TM偏光軸404は、第1の軸110、210または310に平行であり、TE偏光軸402は、第2の軸120、220または320に平行である。
【0039】
直線偏光の場合、記号LPAによって示されるように伝搬する光の電場の方向は、TE偏光軸402及びTM偏光軸404に対して示され得る。矢印406は、TE偏光の直線の偏光を示す。
【0040】
導波路104、204、304は、第2の導波路部104B、204B、304Bからオフセットされた第1の導波路部104A、204A、304Aと、第1の導波路部の第2の厚さW104、W204、W304とは異なる第1の導波路部の第1の厚さW102、W202、W302とを有し、そこに導波路内部にハイブリッドモードを生じさせる。導波路のこの配置は、ハイブリッドモードでの導波路内部を伝搬する光に対する「傾いた」または傾斜した境界の条件である。
【0041】
傾斜した境界の条件は、導波路の形状に起因して、TE軸に対して傾いた、電場を有する第1のハイブリッドモードをそこに生じさせる。第1のハイブリッドモードは、第1の導波路部、第2の導波路部、及びいくつかの例では第3の導波路部を占める。「傾き」、「角度」、及び「傾斜」という用語は、TE軸に対する第1のハイブリッドモードの角度を指すために、本明細書において互換的に使用される。また、第1のハイブリッドモードに直交する第2のハイブリッドモードがある。ハイブリッドモードは、本明細書で言及される場合、TE偏光軸に沿ってゼロではない成分を有し、TM偏光軸に沿ってゼロではない成分を有する電場を有する光のモードである。
【0042】
図4A及び4Bは、第1のハイブリッドモード408及び第2のハイブリッドモード410を示す。第1のハイブリッドモード408及び第2のハイブリッドモード410は、光が導波路を通って伝搬しているときに導波路内部に存在し得るハイブリッドモードの例を示す。この例では、第1のハイブリッドモード408及び第2のハイブリッドモード410は、矢印406によって示されるように、導波路を通って伝搬するために光偏光変換器に入射するTE偏光を有する光(TE偏光軸402に沿った電場を有する)から生じる。
【0043】
第1のハイブリッドモード408に対する(TE軸402に対する)傾斜角は、45度であると仮定される。このような第1のハイブリッドモード408の傾斜角は、例えば、導波路の配置の結果として生じる。これらの例では、第2のハイブリッドモード410のTE軸402に対する角度も45度であり、第1のモード408及び第2のモード410は、等しい大きさの電場を有する。当業者は、第1のモード408及び第2のモード410が、45度の傾斜角と図4Aに示される位相関係とを有し、TM偏光軸404に沿って等しく反対の成分を有し、組み合わされてTE偏光に対応することを理解するであろう。
【0044】
さらに、導波路の記載された配置は、第1のハイブリッドモード408及び第2のハイブリッドモード410に対して異なる伝搬定数を有する。この配置は、第1のハイブリッドモード408及び第2のハイブリッドモード410が、導波路内を伝搬するときに互いに異なる有効屈折率をたどるような複屈折をもたらす。これは、第1のハイブリッドモード408及び第2のハイブリッドモード410が伝搬すると、第1のハイブリッドモード408及び第2のハイブリッドモード410間の位相差が変化することを意味する。言い換えれば、第1のモード408及び第2のモード410の位相は、第1のモード408及び第2のモード410が導波路内部を伝搬するとき、異なるように進化する。ハイブリッドモード及びそれらの異なる伝搬定数の存在は、導波路の配置が、光偏光変換器への光入力の偏光を変換するために使用され得ることを意味する。偏光が変換される方法は、以下にさらに詳細に説明される。
【0045】
図5は、図1図3について上述した例と同様の例に係る光偏光変換器500の、LPAに平行な平面で得られた第2の側方断面図を概略的に示す。以下に別段に説明する場合を除いて、図5を用いて説明する例の特徴は、図1について説明したものと共通であり、したがって、簡潔さのためにここで再度の説明はしない。そのような特徴は、図1に使用されるものより400大きい参照符号を使用して参照される。そのような特徴に関する対応する説明は、この場においても当てはまる。
【0046】
導波路504は、図5に示すように長さL502を有する。光伝搬軸は、矢印LPAによって示される。光偏光変換器は、所与の波長の光の第1の偏光と、所与の波長の光の第2の偏光との間で変換するためのものである。第1の偏光及び第2の偏光は各々、例えば、直線偏光、楕円偏光、円偏光である。いくつかのそのような例では、光伝搬軸LPAにおける導波路の長さL502は、所与の波長の光に対するビート長の半分に奇数を乗じたものに実質的に等しい(例えば、許容誤差の中で等しい)。
【0047】
復元される、内部に伝搬する光のモードの位相のための導波路504の長さL502を、ビート長と呼ぶ。例えば、第1及び第2のモードが導波路504内部でそれらの伝搬を同相で開始する場合、モードは、導波路504内部のビート長の整数倍を伝搬した後に同相で戻る。ビート長に基づいて光偏光変換器500における導波路長L502を選択することにより、光偏光変換器500から出力される光に対して、内部を伝搬する光のモードの相対的な位相を制御することができる。
【0048】
上で論じたように、導波路504の記載された配置は、第1及び第2のハイブリッドモードに対して異なる伝搬定数を生じる。導波路504の上述の配置(第1の軸510に平行な方向にオフセットされた部分を有する)は、第1及び第2のハイブリッドモードが互いに異なる有効屈折率をたどるという点で、複屈折をそこに生じさせる。導波路504における第1のハイブリッドモードの伝搬定数は、βによって表され得て、第2のハイブリッドモードの伝搬定数はβによって表され得る。これらの伝搬定数の差はΔβ=β-βのように表され得る。以下の数式1は、第1及び第2のハイブリッドモードでの導波路504のビート長Lλを示す。当業者は、βが位相伝搬を表すことを理解するであろう。以下の式(1)において、λは所与の波長であり、Δnは第1及び第2のハイブリッドモードの有効屈折率の差:Δn=n-nを表す。
【数1】
【0049】
いくつかの例では、ビート長は、導波路の厚さ及び/または導波路のクラッドによって影響される。いくつかの例では、導波路は湾曲しており、その結果、光伝搬軸は湾曲し、ビート長が湾曲に沿って得られる。
【0050】
導波路の有効屈折率は、光が導波路を通ってどれだけ速く進むか、及び光が導波路を通ってどれだけ減衰するかを記述する無次元数である。材料の屈折率は、材料における光波の位相速度を記述し、光が材料を通ってどのように減衰するかを記述する無次元数である。有効屈折率及び屈折率は一般に複素数として表されるが、本明細書では屈折率の実数成分のみが考慮される。屈折率の実数成分は、真空での光の速度を材料の光波の位相速度で割ったものである。いくつかの例では、有効屈折率及び/または屈折率は、考慮される光の波長次第である。ここで、2つの有効屈折率の間または2つの屈折率の間で比較を行うとき、比較は、光の同じ波長に対する実数成分の間である。
【0051】
いくつかの例では、光偏光変換器は、所与の波長の光の直線偏光を回転させるためのものである。上述のように、いくつかのそのような例では、導波路長は、実質的に(許容誤差内で)、ビート長の半分に奇数を乗じたものに等しい。これは、第1のモードの傾斜角がTE軸に対して45°である例であてはまる。傾きを決定する因子は、以下でさらに説明される。換言すれば、導波路長は、下記の式2に示すように、ビート長の1/2、ビート長の3/2、長さの5/2などとすることができる。式2において、mは、1、3、5、7、9などの奇数を表す。
【数2】
【0052】
これは、導波路を通って伝搬した後の第1及び第2のモードの相対的な位相がπラジアンだけシフトされることを意味する。当業者は、矢印406によって示されるTE偏光が導波路504に入射し、第1のモード408及び第2のモード410が導波路504の始めに生じるとき、第1のモード408及び第2のモード410が互いに同相であることを理解するであろう。言い換えれば、1/2ビート長(または3/2のビート長、または5/2のビート長など)の導波路長で導波路504を通って伝搬した後、第1のモード408及び第2のモード410は、互いに180度位相がずれている。
【0053】
図4Bは、図4Aに示されるTE偏光軸402及びTM偏光軸404を示す。図4Bは、図4Aに示すように、線形TE偏光が導波路504に入射し、TE軸402に対する第1のハイブリッドモード408の傾斜角が45度である例に関する。図4Bは、ビート長の半分の整数倍に対して、記号LPAによって示される方向に導波路504を通って伝搬した後の第1のモード408及び第2のモード410を示す。当業者は、光の電場が、TE偏光軸402及びTM偏光軸404によって示される空間の対向する四分円の間で振動することを理解するであろう。したがって、図4Aに示す状態と比較すると、図4Bでは、第1のモード408は、その電場振動の整数倍を完了しているのに対して、第2のモード410は、その電場振動の半分の奇数整数倍を完了している(左上象限で終了する)。
【0054】
当業者は、図4Bに示される位相関係を有する第1のモード408及び第2のモード410が、TE偏光軸402に沿って等しくて反対の成分を有することを理解するであろう。図4Bに示される位相関係を有する第1のモード408及び第2のモード410は、第1のモード408及び第2のモード410が図4Bに示される位相関係を有する導波路104、204、304を出る場合、矢印412によって示されるようにTM偏光を有する。言い換えれば、第1のモード408及び第2のモード410の位相が、もはや図4Bに示される点とは異なって進化しない場合、その結果はTM偏光である。図4Bの例では、第1のモード408及び第2のモード410は、TM軸404に対して45度の角度を有することに留意されたい。
【0055】
これらの例では、第1のハイブリッドモード408がTE軸402に対して45度の角度を有する場合、導波路長をビート長の半分に奇数を乗じたものとなるように選択することによって、所与の波長の光の直線の偏光を、上述のように回転させることができる。例えば、第1の直線偏光(上の例ではTE偏光)を第2の直線偏光(上の例ではTM偏光)に変換することができる。
【0056】
上記の例は、TE軸402に対して45度の傾きを有する第1のハイブリッドモード408に関連する。いくつかの例では、第1の層102、202、302及び導波路104、204、304の配置は、導波路内部でハイブリッドモードが生じたときに、第1のハイブリッドモード408(例えば、中間導波路部128と実質的に位置合わせされたハイブリッドモード)がTE軸402に対して45度の角度を有しないような配置である。第1のハイブリッドモードの傾きに影響を与える因子は、以下でさらに論じられる。そのような例では、(例えば、TE偏光からTM偏光への)偏光の90度回転は、ビート長の半分を奇数の整数に乗じたものに等しい長さ(L502に対応する)を通って伝搬する際に生じない。
【0057】
本明細書に記載されるような一連の2つ以上の光偏光変換器(例えば、各々がそれぞれのLPAに沿って異なる傾斜角及び/または長さを有する)を使用して、所望の偏光変換を得ることができる。いくつかの例では、光偏光変換器(例えば、光偏光変換器100、200、300)に対して、導波路の長さ(LPAに沿い、L502に対応する)は、ビート長の4分の1に奇数を乗じたものに等しい。以下に記載されるように、90度の直線偏光の回転を得るために、1つまたは両方の変換器の傾きが45度ではない、または他の例では45度である、直列のそのような光偏光変換器の対を使用することができる。対の第1の光偏光変換器(例えば、図1、2または3の)は、第1及び第2のハイブリッドモード間の90度(π/2ラジアン)の位相の差を達成する、LPA軸に沿った導波路の長さを有する。これは、長さ(L502に対応)が、ビート長の1/4、ビート長の5/4、ビート長の9/4などであり得ることを意味する。対の第2の光偏光変換器(例えば、図1、2、または3の)は、第1のハイブリッドモードと第2のハイブリッドモードとの間で270度(3/2πラジアン)の位相の差を達成する、導波路の長さ(LPAに沿って、L502に対応する)を有する。これは、第2の光偏光変換器における導波路の長さが、ビート長の3/4、ビート長の7/4、ビート長の11/4などとなり得ることを意味する。
【0058】
図6は、ポアンカレ球の赤道面のスケッチである。当業者は、すべての偏光状態がいわゆるポアンカレ球の表面にマッピングされ得ることを理解するであろう。ポアンカレ球の赤道に位置する点は、すべての直線偏光角を表す。ポアンカレ球の極は、時計回り及び反時計回りの円偏光を表す。TE偏光及びTM偏光に対応する点は、図6に見ることができる。
【0059】
第1及び第2のハイブリッドモードに対応する点は、ポアンカレ球の赤道にある。赤道におけるハイブリッドモードの位置は、TE軸に対する第1のハイブリッドモードの傾き、すなわち角度次第である。
【0060】
TE軸に対して45度の角度を有する第1のハイブリッドモードの場合、第1のハイブリッドモードは点M1に対応し、第2のハイブリッドモードは点M2に対応する。M1及びM2と交差する軸は、ポアンカレ球の赤道のTE及びTM偏光点と交差する軸に対して垂直である。導波路を通るハイブリッドモードの伝播は、それらの位相が互いに異なって進化し、ハイブリッドモードが再結合するときの偏光を表す点の、M1とM2を横切る軸の周りの回転に対応する。M1及びM2と交差する軸の周りに180度回転させることは、例えば、TE偏光からTM偏光への偏光の変換をもたらす。
【0061】
TE軸に対する45度とは異なる鋭角を有する第1のハイブリッドモードの場合、第1及び第2のハイブリッドモードに対応する点は、点M1及びM2ではない。いくつかの例では、第1のハイブリッドモードは点602に対応し、第2のハイブリッドモードは点604に対応する。これらの例では、点602及び604を横切る軸の周りでの180度回転は、TM偏光点に到達しない。上述したように、傾斜角が45度と異なるとき、第1及び第2のハイブリッドモード間の180度の位相差は、直線偏光の90度の回転をもたらさない。
【0062】
しかしながら、点602及び604を横切る軸の周りでの90度の回転は、点606に到達する。点606は、図6のページの上方にあるポアンカレ球の表面にある点である。いくつかの例では、第1の光偏光変換器は、ポアンカレ球の点606に対応する偏光を得るために使用される。これらの例では、本明細書に記載の例による第1の光偏光変換器は、点602及び604に対応する偏光を有するハイブリッドモードを備える。言い換えれば、第1の偏光変換器は、ハイブリッドモードが点602及び604に対応する偏光を有するように傾きを設ける。
【0063】
本明細書に記載の例に従い、第1の偏光変換器と直列の第2の偏光変換器は、第2の偏光変換器のハイブリッドモードが点608及び610に対応するように、反対方向に傾きを設ける。これは、第1の偏光変換器の側方の断面(図1に示される側方の断面に相応する)の鏡像である側方の断面(図1に示される側方の断面に対応する)を有する第2の偏光変換器によって達成され得る。
【0064】
軸交差点608及び610は、軸交差点M1及びM2に対する軸交差点602及び604の鏡像である。線612は、点602及び604を横切る軸の周りで90度回転した後の、TE点から点606までの軌跡を表す。線612は、ポアンカレ球の表面に沿うポアンカレ球の軌跡の直線投影であることに留意されたい。
【0065】
点606を含む、点608及び610を横切る軸の周りでの回転は、ポアンカレ球の表面の円をトレースし、これは、TM点を横切る。点606から反対方向で、点608と610を横切る軸の周りで回転することは、TM点に到達するために使用することができる。第2の偏光変換器は、第1の偏光変換器とは反対方向にポアンカレ球に対して回転するための鏡面セクションを有する。線614は、点606から始まる軌道の直線投影を表し、点606に到達する説明した90度の回転とは反対方向に、点608及び610を横切る軸を中心として回転することに対応する。軌道614は、点608及び610を横切る軸の周りを270度回転した後に、TM点を横切る。
【0066】
このように、第1のハイブリッドモードの傾きが45度でない例においても、第1の光偏光変換器、次いで第2の光偏光変換器を通る伝搬光によって、直線偏光の90度回転を達成することができる。
【0067】
いくつかの例では、光偏光変換器は、所与の波長の光の直線偏光と円偏光との間で変換するためのものである。そのような例では、導波路長は、実質的に(許容誤差内で)、ビート長の4分の1に奇数を乗じたものに等しい。そのような例では、第1のハイブリッドモードの傾きは、TE軸402に対して45度である。このような例に係る導波路長は、以下の式3で表される。
【数3】
【0068】
ビート長の4分の1の奇数整数倍に対する導波路を伝搬する第1及び第2のハイブリッドモードは、1/2πラジアン(または90度)の異なる位相を生じる。当業者は、点M1及びM2を横切る軸の周りに90度の位相の差を導入することは、直線偏光と円偏光との間の変換のためであることを理解するであろう。導波路に入射する、図4Aに示されるような水平方向の直線偏光の例を取ると、式3に係る導波路長(例えば、L502に対応する)を有する光偏光変換器は、TE偏光を円偏光に変換する。直線偏光と円偏光との間の変換のために円偏光が光偏光変換器に入射する例では、円偏光は直線偏光に変換される。
【0069】
これより、本明細書の例に記載の光偏光変換器の製造方法について説明する。概して、そのような方法は、前述の第1の層を少なくとも部分的に形成すること、前述の導波路を第1の層に、接触させるように、少なくとも部分的に形成すること、及び前述の第2の層を導波路に、接触させて、少なくとも部分的に形成することを含む。
【0070】
いくつかの例では、第1の層、導波路、または第2の層の特徴のうちの少なくとも1つは、最初に形成または堆積され、次いで、製造されている偏光変換器に対して所望の構造を成形、またはさもなければ生成するために、(例えば、エッチングによって)さらに処理される、前駆体層などのそれぞれの前駆体構造を使用して形成される。このような前駆体を用いた例をこれより説明する。
【0071】
これより、このような方法を説明するために、図7を参照する。光偏光変換器を製造する方法700は、第1の層に対する前駆体を使用して第1の層を少なくとも部分的に形成すること702を含む。先の例について説明したように、第1の層は、第1の表面と第2の表面とを含み、第2の表面は、第1の軸及び第2の軸に沿って第1の表面からオフセットされ、第1の軸は、第1の表面に対して垂直であり、第2の軸は、第1の表面に対して平行である。方法700は、導波路に対する前駆体を使用して導波路を少なくとも部分的に形成すること704をさらに含む。導波路は、第1の層にあり、前述のように、第1の表面と接触する第1の導波路部と、第2の表面と接触する第2の導波路部とを含む。第1の導波路部の第1の厚さは、第1の導波路部の第2の厚さと異なる。第1の厚さ及び第2の厚さは、第1の表面に対して垂直である。方法700は、第2の層に対する前駆体を使用して、第2の層を少なくとも部分的に形成すること706をさらに含む。前述の例と同様に、第2の層は、導波路、第1の層と第2の層との間の導波路にあって接触している。
【0072】
このような製造方法について、これより、製造方法の間の後続の段階における光偏光変換器800の第1の側方断面を各々が概略的に示す図8A~8Jを用いて、さらに詳細に説明する。以下に別に記載する場合を除いて、図8A~8Jの特徴は、図1に記載した特徴と共通であり、したがって、簡潔さのためここでは再度の説明はしない。図8A~8Jのいずれかに関する特徴が、図1を使用して説明された特徴に対応する場合、図1に使用された対応する参照符号よりも700大きい参照符号が使用され(例えば、図1の102は、図8A~8Jのいずれかの702である)、そのような特徴に対する対応する説明も、本明細書において適用される。
【0073】
光偏光変換器を製造する方法は、前駆体PS802を第1の表面S802に(図8I及び8J参照)、前駆体PS804を第2の表面S804に(図8J参照)形成することを含む、前駆体P802を少なくとも部分的に第1の層802に形成することを含む。第2の表面に対する前駆体は、第1の軸810及び第2の軸820に沿って前駆体から第1の表面にオフセットされ、第1の軸は、第1の表面に対して前駆体に垂直であり、第2の軸は、第1の表面に対して前駆体に平行である。例えば、第1の表面PS802に対する前駆体及び第2の表面PS804に対する前駆体を少なくとも部分的に形成することは、第1の層に対する前駆体に(例えば、第2の表面PS804に対する前駆体に、図8A)エッチングマスク822を少なくとも部分的に形成すること、第1の層に対する前駆体P802を少なくとも部分的にエッチングして、上述のオフセットを達成すること(図8B)、及びエッチングマスクを除去すること(図8C)を含む。エッチングの代わりに、リソグラフィまたは研削を用いてもよい。
【0074】
図8Dを参照すると、方法は、導波路に対する前駆体P804を使用して、導波路804を少なくとも部分的に形成することを含む。導波路に対する前駆体P804は、第1の層に対する前駆体P802に、接触させるように形成される。導波路に対する前駆体P804は、第1の表面に対する前駆体PS802と接触する第1の導波路部に対する前駆体P804Aと、第2の表面に対する前駆体PS804と接触する第2の導波路部に対する前駆体P804Bとを有する。図8Eに示すように、第2の層に対する前駆体P806は、導波路に対する前駆体P804に、接触させるように少なくとも部分的に形成され、導波路に対する前駆体P804は、第1の層に対する前駆体P802と第2の層に対する前駆体P806との間にある。これより、図8Eと比較して、第1の層に対する前駆体P802、導波路に対する前駆体P804、または第1の層802及び第2の層806を形成するための第2の層に対する前駆体P806のうちの少なくとも1つのうちのいくつかを除去することを示す図8Fを参照されたい。これらの例では、これらの前駆体の各々の一部は、例えば下向きエッチング処理を用いて、一方の側(例えば、図に示す右側)から除去される。
【0075】
図8Gは、第1の層802、導波路に対する前駆体P804、または第2の層806のうちの少なくとも1つの少なくとも一部に、保護層824を少なくとも部分的に形成することを示す。保護層の一部が除去されて、保護層によって覆われた層を部分的に露出させ、例えば、前駆体P804の側面を導波路に露出させる(図8H参照-図示されるように、保護層は、覆われた層の左側から除去される)。
【0076】
導波路804を前駆体P804から導波路まで少なくとも部分的に形成するために、次に、導波路に対する前駆体P804の一部が、露出した側から除去され、傾斜した第3の表面を有する導波路804を形成する。図8Iを参照されたい。したがって、残りの保護層は、露出されていない層(例えば、導波路の前駆体の他方の側)を、導波路材料のような覆われた層(複数可)を別の場合には除去または損傷する任意のプロセスから保護する。前述したように、形成された導波路804は、第1の導波路部の第2の厚さW804とは異なる第1の導波路部804Aの第1の厚さW802を有し、第1の厚さW802及び第2の厚さW804は、第1の表面S802に対して垂直である。
【0077】
次いで、保護層824の残りを除去して偏光変換器を得るが、他の例では、いずれかの残りの保護層824を、完成した偏光変換器の所に残すこともできる。
【0078】
上述の前駆体の1つ以上の少なくとも一部を除去し、保護層を除去することは、エッチングまたはリソグラフィのような公知の技術によって行うことができる。導波路の前駆体の一部を除去する際に、特定の結晶面に対して選択的な技術を使用して、第3の表面と第1の表面との間の所望の角度αを得ることができる。このような技術は、例えば、HCl、HPO、HSO、H、またはHO、またはそのようなものの混合物の少なくとも1つを含むエッチング液を用いたエッチングである。他のエッチング液も想定される。エッチングマスクまたは保護層がマスキング材料を含む場合、これは、例えば、誘電体または窒化シリコンのようなシリコンマスクである。いくつかの例では、角度αは、第1の軸、第2の軸、またはLPAのうちの少なくとも1つに対する導波路の結晶構造の配向を設定することによって選択される。いくつかの例では、角度αは、重力の作用を利用することによって、例えば、偏光変換器の製造のエッチングステップに対してLPAに対する導波路の配向を設定することによって選択される(図8H~8Iのステップを参照されたい)。
【0079】
図8A~8Jの方法は、例えば図3の光偏光変換器を製造するために修正されてもよい。図9A~9Cは、図8A~8Bによって示されるものに対する代替の方法論を示すために使用され、次いで、図8C~8Jによって示されるものと同様の方法論が使用され得る。図9A~9Cのいずれかに関する光偏光変換器の特徴が、図3を使用して説明された特徴に対応する場合、図3に使用された対応する参照符号よりも600大きい参照符号が使用され(例えば、図3の302は、図9A~9Cの902である)、そのような特徴に対する対応する説明も、本明細書において適用される。
【0080】
図9Aでは、第1の層に対する前駆体P902が形成される。第1の層902に対する前駆体P902は、第1の部分902A、第2の部分902B、及び第3の部分902Cを含む。そのような部分の各々は、副層である。第1の層の第1の部分902Aは、第1の層902の第2の部分902Bとは異なる材料を含む、例えば、異なる材料からのものである。第1の層の第3の部分902Cは、第1の層902の第1の部分902Aと第2の部分との間にあり、それらと接触している。第1の層の第3の部分902Cは、第1の層の第1の部分902Aまたは第2の部分902Bの少なくとも一方と異なる材料を含む、例えば、異なる材料からのものである。次に、図9Bに示すように、エッチングマスク922が、第1の層に対する前駆体P902に(例えば、第2の部分902Bの上面である第2の表面に対する前駆体PS904に)少なくとも部分的に形成される。次に、図9Cに示すように、マスクによって覆われていない第1の層902の第2の部分902Bの一部を除去して、例えばエッチングによって、第1の層に対する前駆体P902を改質する。このようにして、導波路の第1の表面と第2の表面との間のオフセットの程度を決定することができる。
【0081】
図10A~10Fは、本明細書に記載の例の光偏光変換器を製造する方法のさらなる例に関する。図10A~10Fは、製造途中の後続的な段階における光偏光変換器の側方の断面を模式的に示している。図8A~8Jに関して説明された特徴と共通の特徴は、簡潔のためここで再度説明はされず、そのような特徴は、図8A~8Jに関して使用された対応する参照符号よりも200大きい参照符号で参照され(例えば、図8Jの802は、図10A~10Fのいずれかにおいて1002である)、そのような特徴に関する対応する説明もまた、ここで適用される。
【0082】
図10Aは、図8Dによって先に説明された方法の一部に対応する。したがって、図10Aに示す構造に到達するためには、先に図8A~8Cを用いて説明した方法と同様の方法を用いることができる。これより、図10Aの構造の後続の処理について説明する。これらの例では、傾斜した第3の表面の前に第2の層が形成される図8A~8Cの例と比較して、導波路の傾斜した第3の表面が第2の層の前に形成される。この手法は、図10Dに示すように(保護層1024が除去されると)、製造中の第3の表面の検査を助け、第3の表面の傾斜の角度が必要に応じたものであることを確認する。
【0083】
図10Aに示す構造から始まり、図10Bに示すように、導波路に対する前駆体P1004に保護層1024が形成され、そのため導波路に対する前駆体P1004の上面を覆う。保護層は、例えば、誘電体またはエッチングマスクの少なくとも一方である。図10Cに示すように、また図8Iを用いて上述した方法と同様に、導波路に対する前駆体の一部が除去され、したがって、第1の厚さW1002及び第2の厚さW1004を有する第1の導波路部が形成され、したがって、傾斜した第3の表面S1006が形成される。次に、図10Dに示すように、保護層を少なくとも部分的に除去して、導波路に対する前駆体P1004の少なくとも一部を露出させる。図10Eが示すように、第2の層への前駆体P1006は、導波路に対する前駆体P1004に、それと接触して、それを覆うようにして形成される。次いで、第1の層、導波路、及び第2の層の各々に対する前駆体の一部が除去されて(例えば、マスキング及び下方エッチングプロセスを使用して)、所望の光偏光変換器の第1の層1002、第2の層1006、及び導波路1004が形成される(前駆体の右側において除去された部分を示す図10Fを参照されたい)。
【0084】
当業者が理解するように、例えば、有機金属気相成長法(MOVPE)、表面不動態化、フォトリソグラフィ、イオン注入、エッチング、ドライエッチング、イオンエッチング、ウェットエッチング、緩衝酸化物エッチング、プラズマアッシング、熱処理、アニール、熱酸化、化学気相成長、原子層成長、物理気相成長、分子線エピタキシ(MBE)、レーザリフトオフ、電気化学成長、電気メッキ、または化学機械研磨などの技法を使用して、本明細書に記載の部分または層を形成する、堆積する、設ける、または除去するために、様々な技法を使用することができる。一部の例では、当業者が理解するように、エッチング技術を用いて、層のすべてではなく一部を除去する。
【0085】
本明細書に記載される方法の個々の処理段階の順序は限定ではなく、さらなる方法は、記載されるものとは異なる順序で行われる処理を伴う、当業者の理解できる範囲で想定されることにも留意されたい。
【0086】
上記の例は、例示的な例と理解されるべきである。前述したような偏光変換器のようなさらなる例が想定され、第2の導波路部の第1の厚さは、第2の導波路部の第2の厚さと異なる。したがって、第2の導波路部の第1の厚さは、第2の導波路部の第2の厚さよりも厚い。第2の導波路部の第1の厚さ、及び第2の導波路部の第2の厚さは、互いに平行であり、第2の表面に対して垂直であり、LPAに対して垂直である。そのような厚さはそれぞれ、高さと考えることができる。先に第1の導波路部について説明したのと同様に、第2の導波路部は、異なる厚さを有するテーパ状であると考えることができる。テーパの結果として、導波路のさらなる表面は、例えば、導波路S104の第2の表面に対して得られた(導波路に対して)内角β(図示せず)だけ傾くまたは傾斜すると考えることができる。したがって、さらなる表面がこのように角度を付けられると、第2の表面とは異なり、さらなる表面は、例えば、第1及び第2の表面に対して平行ではない。さらなる表面がこのように角度を付けられる場合、さらなる表面は、例えば、第1の層の表面及び第2の層の表面と実質的に同一平面にある(例えば、許容可能な公差の同じ平面にある)第2の平面から少なくとも部分的に凹んでいる。第2の平面は、例えば、第2の軸に対して垂直であり、偏光変換器の側面に対応する。導波路のさらなる表面が第2の平面から凹んでいる距離は、厚さに対して垂直であり、例えば、いわゆるアンダーエッチングプロセスによる導波路材の除去の持続時間次第であり得る。第1の層と第2の層との間に存在しない導波路材料の2つの領域を有するそのような偏光変換器は、さらなる設計の自由度を与え、偏光変換の効率を潜在的に増加させることができる。実際に、角度α及びβは、互いに同じであっても異なっていてもよい(例えば、異なる結晶面に対応する)。
【0087】
さらに、図11は、本明細書に記載の例による光偏光変換器1100を含むPIC1150の平面図を概略的に示す。PIC用の市販の材料プラットフォームは、インジウムリン化物(InP)であり、これは、同じチップに光学的に活性な機能と受動的な機能とを統合することを可能にするが、シリコン(Si)、ガリウムヒ素(GaAs)、またはニオブ酸リチウム(LiNBO3)などの他の材料プラットフォームを、PIC用のプラットフォームとして利用することができる。PICは、単一のチップに集積された数百の構成要素を含み得る。
【0088】
本明細書で言及される層は、例えば、同じ均質な材料の単一層であるが、他の例では、層は、代わりに、各々が互いに独立して堆積または形成される(例えば、共に層であると考えることができる副層のスタックを形成するための製造プロセス中に次々に)1つ以上の副層または部分を含むことが想定されることに留意されたい。層は、例えば、製造のために、異なる材料の副次的部分を有し得る。層の副次的部分は、異なるドーパント濃度を有し得る。第1の層、導波路または第2の層、またはそれらの副層のうちの少なくとも1つは、各々InPを含む。いくつかのそのような例では、第1の層及び第2の層はそれぞれInPを含み、導波路はInGaAsPを含む。他の例では、本明細書に記載の層または導波路の少なくとも1つは、インジウムリン化物(InP)、ヒ化ガリウム(GaAs)、アンチモン化ガリウム(GaSb)、窒化ガリウム(GaN)、ヒ化インジウムガリウム(InGaAs)、ヒ化インジウムアルミニウム(InAlAs)、ヒ化インジウムアルミニウムガリウム(InAlGaAs)、インジウムガリウムヒ素リン化物(InGaAsP)、シリコン(Si)、窒化シリコン(Si3N4)、酸化シリコン(SiO2)、またはニオブ酸リチウム(LiNbO3)のうちの少なくとも1つを含むが、他の半導体及び/またはフォトニック材料が、さらなる例で想定される。
【0089】
任意の1つの例に関連して説明された任意の特徴は、単独でまたは説明した他の特徴と組み合わせて使用し得、また、他の任意の例の1つ以上の特徴、または任意の他の例の任意の組み合わせと組み合わせて使用し得ることを理解されたい。さらに、添付の特許請求の範囲から逸脱することなく、上述されていない均等物及び修正がまた採用されてもよい。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図8D
図8E
図8F
図8G
図8H
図8I
図8J
図9A
図9B
図9C
図10A
図10B
図10C
図10D
図10E
図10F
図11
【国際調査報告】