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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-28
(54)【発明の名称】口当たりの良い動物用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/42 20060101AFI20240621BHJP
   A61P 33/00 20060101ALI20240621BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240621BHJP
   A61K 31/365 20060101ALI20240621BHJP
   A61K 31/506 20060101ALI20240621BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20240621BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20240621BHJP
   A61K 47/04 20060101ALI20240621BHJP
   A61K 47/10 20170101ALI20240621BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20240621BHJP
   A61K 31/397 20060101ALI20240621BHJP
   A61K 31/422 20060101ALI20240621BHJP
【FI】
A61K31/42
A61P33/00 171
A61P43/00 121
A61K31/365
A61K31/506
A61K9/20
A61K47/02
A61K47/04
A61K47/10
A61K47/38
A61K31/397
A61K31/422
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023578966
(86)(22)【出願日】2022-06-24
(85)【翻訳文提出日】2024-02-19
(86)【国際出願番号】 EP2022067362
(87)【国際公開番号】W WO2022269042
(87)【国際公開日】2022-12-29
(31)【優先権主張番号】21181879.4
(32)【優先日】2021-06-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510000976
【氏名又は名称】インターベット インターナショナル ベー. フェー.
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】マーティン,シャロン・クルーズ
(72)【発明者】
【氏名】ガレスカ,イザベラ・エワ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA36
4C076BB01
4C076CC34
4C076DD25
4C076DD27
4C076DD29
4C076EE23
4C076EE31
4C076FF06
4C076FF09
4C076FF51
4C076FF52
4C076FF53
4C076GG03
4C076GG05
4C076GG12
4C076GG14
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC42
4C086BC67
4C086CA03
4C086CB22
4C086GA03
4C086GA07
4C086GA09
4C086MA03
4C086MA05
4C086MA35
4C086MA52
4C086NA05
4C086NA09
4C086NA10
4C086NA14
4C086ZB37
4C086ZC61
4C086ZC75
(57)【要約】
本発明は、有効成分として式(I)のイソオキサゾリン化合物、安定化大環状ラクトン、ピランテル及び賦形剤を含む安定で効果的な口当たりの良い咀嚼動物用組成物に関するものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(I)のイソオキサゾリン化合物:
【化1】
[式中、
は、ハロゲン、CF、OCF、CNであり、
nは、0~最大3、好ましくは1、2又は3の整数であり、
は、C-C-ハロアルキル、好ましくはCF又はCFClであり、
Tは、5~12員単環式若しくは二環式環系であり、それは1以上の基Yによって置換されていても良く、
Yは、メチル、ハロメチル、ハロゲン、CN、NO、NH-C=Sであり、又は、二つの隣接する基Yが一緒に、鎖、特には3~4員鎖を形成しており;
Qは、X-NR、NR-NR-X-R、X-R又は5員N-ヘテロアリール環であり、それは1以上の基によって置換されていても良く;
Xは、CH、CH(CH)、CH(CN)、CO、CSであり、
は、水素、メチル、ハロエチル、ハロプロピル、ハロブチル、メトキシメチル、メトキシエチル、ハロメトキシメチル、エトキシメチル、ハロエトキシメチル、プロポキシメチル、エチルアミノカルボニルメチル、エチルアミノカルボニルエチル、ジメトキシエチル、プロピニルアミノカルボニルメチル、N-フェニル-N-メチル-アミノ、ハロエチルアミノカルボニルメチル、ハロエチルアミノカルボニルエチル、テトラヒドロフリル、メチルアミノカルボニルメチル、(N,N-ジメチルアミノ)-カルボニルメチル、プロピルアミノカルボニルメチル、シクロプロピルアミノカルボニルメチル、プロペニルアミノカルボニルメチル、ハロエチルアミノカルボニルシクロプロピル、アルキルスルファニル、アルキルスルフィンアルキル、アルキルスルホンアルキル、シクロアルキル
【化2】
であり;
は、水素、ハロゲン、シアノ、ハロメチル、好ましくはCFであり;
は、水素、エチル、メトキシメチル、ハロメトキシメチル、エトキシメチル、ハロエトキシメチル、プロポキシメチル、メチルカルボニル、エチルカルボニル、プロピルカルボニル、シクロプロピルカルボニル、メトキシカルボニル、メトキシメチルカルボニル、アミノカルボニル、エチルアミノカルボニルメチル、エチルアミノカルボニルエチル、ジメトキシエチル、プロピニルアミノカルボニルメチル、ハロエチルアミノカルボニルメチル、シアノメチルアミノカルボニルメチル、又はハロエチルアミノカルボニルエチルであり;
は、水素、アルキル又はハロアルキルであり;
は、水素、アルキル又はハロアルキルであり;
又は、R及びRが一緒になって、
【化3】
からなる群から選択される置換基を形成している。]又はそれの塩若しくは溶媒和物、パモ酸ピランテル及び大環状ラクトン化合物、並びに、少なくとも一つの香味料、及び、炭酸マグネシウム、多孔質シリカ又はそれらの混合物を含む安定化成分を含む担体を含む、
圧縮錠の形態での口当たりのよい咀嚼動物用剤形。
【請求項2】
前記大環状ラクトンが、モキシデクチン及びミルベマイシンオキシム、好ましくはモキシデクチンから選択される、請求項1に記載の口当たりの良い咀嚼動物用剤形。
【請求項3】
前記圧縮錠が約1~約4重量%の前記炭酸マグネシウムを含む、請求項1~2のいずれか1項に記載の口当たりの良い咀嚼動物用剤形。
【請求項4】
前記多孔質シリカがメタケイ酸アルミン酸マグネシウムである、請求項1~3のいずれか1項に記載の口当たりの良い咀嚼動物用剤形。
【請求項5】
前記圧縮錠が約2~約10重量%の前記多孔質シリカを含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の口当たりの良い咀嚼動物用剤形。
【請求項6】
前記安定化成分がさらに、少なくとも一つのポロキサマー、より好ましくはポロキサマーP188を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の口当たりの良い咀嚼動物用剤形。
【請求項7】
前記圧縮錠が約2~約15重量%のポロキサマーを含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の口当たりの良い咀嚼動物用剤形。
【請求項8】
前記安定化成分がさらに、酸化防止剤、好ましくはブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)を含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の口当たりの良い咀嚼動物用剤形。
【請求項9】
前記圧縮錠が、約0.05~約2重量%の酸化防止剤を含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の口当たりの良い咀嚼動物用剤形。
【請求項10】
前記安定化成分が、少なくとも一つの炭酸マグネシウム、吸着剤成分、親水性ポリマー、例えばポロキサマー及び酸化防止剤の組み合わせを含む、請求項1~9のいずれか1項に記載の口当たりの良い咀嚼動物用剤形。
【請求項11】
前記式(I)のイソオキサゾリン化合物が、フルララネル、アフォキソラネル、エサフォキソラネル、サロラネル又はロチラネルである、請求項1~10のいずれか1項に記載の口当たりの良い咀嚼動物用剤形。
【請求項12】
前記式(I)のイソオキサゾリン化合物がフルララネルである、請求項11に記載の口当たりの良い咀嚼動物用剤形。
【請求項13】
前記組成物が一つの香味料、好ましくは天然香味料、より好ましくはポークレバーフレーバーを含む、請求項1~12のいずれか1項に記載の口当たりの良い咀嚼動物用剤形。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか1項に記載の口当たりの良い咀嚼動物用剤形の製造方法であって、
a.イソオキサゾリン及びパモ酸ピランテル顆粒を、1)前記式(I)のイソオキサゾリン化合物及びパモ酸ピランテルを、崩壊剤、充填剤、着色剤及び界面活性剤と乾式混合し;2)溶媒及びセルロース系ポリマーの溶液を調製し;3)フルララネル及びパモ酸ピランテルを混合し、高剪断ミキサー造粒機で前記溶液と乾式混合して、イソオキサゾリン-ピランテル顆粒を調製し;4)前記イソオキサゾリン-ピランテル顆粒を乾燥及び粉砕することによって調製し;
b.モキシデクチン顆粒を、1)多孔質シリカ、充填剤及び炭酸マグネシウムを乾式混合し;2)モキシデクチンを、非セルロース系ポリマー及び酸化防止剤とともに溶媒に溶解させ;4)高剪断ミキサー造粒機で前記ドライブレンドを前記モキシデクチン溶液と混合して、モキシデクチン顆粒を調製し;4)前記モキシデクチン顆粒を乾燥及び粉砕することで調製し;
c.1)香味料を、充填剤、崩壊剤、着色剤、流動促進剤と混合して、混合物を調製し;2)前記イソオキサゾリン-パモ酸ピランテル顆粒、及びモキシデクチン顆粒を前記混合物と混合し;3)前記混合物を滑沢剤と混合し、そのブレンドを圧縮して、完成した口当たりの良い咀嚼錠とすることによって最終ドライブレンドを調製すること
を特徴とする製造方法。
【請求項15】
非ヒト動物の寄生虫侵入の治療又は予防での使用のための、請求項1~13のいずれか1項に記載の口当たりの良い咀嚼動物用剤形。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、イソオキサゾリン殺寄生虫化合物、生理活性大環状ラクトン化合物及びパモ酸ピランテルを含む口当たりの良い咀嚼動物用剤形、当該動物用剤形の製造方法、及びそれの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの寄生虫が家畜、特にネコやイヌなどの伴侶動物に寄生し得る。これらの病害生物及び寄生虫は、動物とその飼い主の両方にとって非常に迷惑なものである。
【0003】
イソオキサゾリン化合物は当技術分野で知られており、これらの化合物及び殺寄生虫剤としてのそれらの使用は、例えば米国特許出願US2007/0066617及び国際特許出願WO2005/085216、WO2007/079162、WO2009/002809、WO2009/024541、WO2009/003075、WO2009/080250、WO2010/070068及びWO2010/079077に記載されている。
【0004】
この種類の化合物は、外部寄生虫、すなわち寄生昆虫やマダニ及びノミなどのダニなどの動物の外表面に永続的又は一時的に生息する寄生虫、並びに動物の体内に寄生する内部寄生虫に対して優れた活性を有することが知られており、例えば寄生性線虫に対する活性を有する駆虫薬である。
【0005】
イソオキサゾリン化合物を動物に投与する一つの既知かつ簡便な方法は、固体経口剤形による経口投与である。
【0006】
さらに、大環状ラクトンは、非常に強力な寄生虫駆除剤として、特に殺ダニ剤、駆虫剤及び/又は殺虫剤として作用することが知られている。したがって、それらは動物の内部寄生虫だけでなく外部寄生虫の治療にも有用である。
【0007】
上記を考慮して、イソオキサゾリン化合物の治療効果を強化/改善するために、大環状ラクトン及びパモ酸ピランテルなどの異なる種類からの1以上の活性薬剤をさらに含む固体経口剤形を有することで、同じ剤形で防除される寄生虫の範囲を広げることが望ましいと考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】US2007/0066617
【特許文献2】WO2005/085216
【特許文献3】WO2007/079162
【特許文献4】WO2009/002809
【特許文献5】WO2009/024541
【特許文献6】WO2009/003075
【特許文献7】WO2009/080250
【特許文献8】WO2010/070068
【特許文献9】WO2010/079077
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、前記活性大環状ラクトンは、かなりの量の分解生成物を形成することが認められている。換言すれば、一般的な口当たりの良い咀嚼動物用製剤に添加した場合、得られる剤形において、大環状ラクトンは、そのような大環状ラクトン化合物の有効量を確実に提供するには十分に安定ではないことが多い。
【0010】
EP329460は、前記化合物の安定性が、特定の抗酸化剤の存在下にある場合に強化され得ることを開示している。特に、EP329460は、モキシデクチンの安定化を開示している。安定化に有用であるとしてEP329460に記載されている酸化防止剤は没食子酸C1-2アルキル;ヒドロキシ安息香酸C1-6アルキル又はそれの塩;ヒドロキシ安息香酸ベンジル又はそれの塩;ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA);ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT);キノン又はそれの塩;ノルジヒドログアヤレチン酸;α-トコフェロールなどのトコフェロールである。
【0011】
AU2006/203347には、モキシデクチンと、ジラウリルチオジプロピオネート;モノチオグリセロール;メタ重亜硫酸カリウム;ホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウム;チオ硫酸ナトリウム;チオグリコール酸;チオ尿素;パルミチン酸アスコルビル;システイン又はそれの塩;エトキシキン;イソアスコルビン酸;エチレンジアミン四酢酸又はそれの塩、硫酸水素カリウム;メタ重亜硫酸ナトリウム;重亜硫酸ナトリウム;チオソルビトール;フマル酸;リンゴ酸;及びそれらの混合物からなる群から選択される安定剤とを含む組成物が開示されている。
【0012】
したがって、生理活性薬剤の安定性が確保され、生理活性剤の分解産生物が有利に減少する、イソオキサゾリン化合物、パモ酸ピランテル及び生理活性大環状ラクトン化合物の群からの薬剤の組み合わせを含む咀嚼動物用剤形が現在もなお必要とされている。
【0013】
これにより、有利なことに、得られる製品の貯蔵寿命延長が可能になり、より過酷な条件下での製品の貯蔵が可能になる。さらに、生理活性大環状ラクトンの安定性は、生理活性大環状ラクトン又はイソオキサゾリン若しくはパモ酸ピランテルの生物学的利用能に悪影響を与えることなく改善されるべきである。
【0014】
別の重要な考慮事項は、大環状ラクトン化合物が一般に、口当たりの良い咀嚼動物用剤形中に非常に少量で存在することである。これにより、含有量の均一性、つまり大環状ラクトンが錠剤中に確実に均一に分布する上での問題が生じる。
【0015】
したがって、本発明の目的は、上述の剤形の欠点の1以上を克服することである。
【0016】
特に、本発明の目的は、とりわけ、分解が有利に低減されるか、好ましくは防止さえされるように、安定化形態で均一含有量の生理活性大環状ラクトンを含む咀嚼動物用剤形を提供することである。
【0017】
別の目的は、非ヒト動物における内部寄生虫及び外部寄生虫、特にイヌやネコなどの小型哺乳類のノミ及びダニの治療に有効な、これら三つの活性薬剤の組み合わせを含む咀嚼動物用剤形であって、伴侶動物、特にイヌにとって非常に口当たりが良い咀嚼動物用剤形を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は、予想外にも、新規な口当たりの良い咀嚼動物用剤形を提供することにより、上記の目的の少なくとも一つを解決したものである。
【0019】
したがって、1態様において、本発明の主題は、a)下記式(I)のイソオキサゾリン化合物:
【化1】
[式中、
は、ハロゲン、CF、OCF、CNであり、
nは、0~最大3、好ましくは1、2又は3の整数であり、
は、C-C-ハロアルキル、好ましくはCF又はCFClであり、
Tは、5~12員単環式若しくは二環式環系であり、それは1以上の基Yによって置換されていても良く、
Yは、メチル、ハロメチル、ハロゲン、CN、NO、NH-C=Sであり、又は、二つの隣接する基Yが一緒に、鎖、特には3~4員鎖を形成しており;
Qは、X-NR、NR-NR-X-R、X-R又は5員N-ヘテロアリール環であり、それは1以上の基によって置換されていても良く;
Xは、CH、CH(CH)、CH(CN)、CO、CSであり、
は、水素、メチル、ハロエチル、ハロプロピル、ハロブチル、メトキシメチル、メトキシエチル、ハロメトキシメチル、エトキシメチル、ハロエトキシメチル、プロポキシメチル、エチルアミノカルボニルメチル、エチルアミノカルボニルエチル、ジメトキシエチル、プロピニルアミノカルボニルメチル、N-フェニル-N-メチル-アミノ、ハロエチルアミノカルボニルメチル、ハロエチルアミノカルボニルエチル、テトラヒドロフリル、メチルアミノカルボニルメチル、(N,N-ジメチルアミノ)-カルボニルメチル、プロピルアミノカルボニルメチル、シクロプロピルアミノカルボニルメチル、プロペニルアミノカルボニルメチル、ハロエチルアミノカルボニルシクロプロピル、アルキルスルファニル、アルキルスルフィンアルキル、アルキルスルホンアルキル、シクロアルキル
【化2】
であり;
は、水素、ハロゲン、シアノ、ハロメチル、好ましくはCFであり;
は、水素、エチル、メトキシメチル、ハロメトキシメチル、エトキシメチル、ハロエトキシメチル、プロポキシメチル、メチルカルボニル、エチルカルボニル、プロピルカルボニル、シクロプロピルカルボニル、メトキシカルボニル、メトキシメチルカルボニル、アミノカルボニル、エチルアミノカルボニルメチル、エチルアミノカルボニルエチル、ジメトキシエチル、プロピニルアミノカルボニルメチル、ハロエチルアミノカルボニルメチル、シアノメチルアミノカルボニルメチル、又はハロエチルアミノカルボニルエチルであり;
は、水素、アルキル又はハロアルキルであり;
は、水素、アルキル又はハロアルキルであり;
又は、R及びRが一緒になって、
【化3】
からなる群から選択される置換基を形成している。]又はそれの塩若しくは溶媒和物、パモ酸ピランテル及び大環状ラクトン化合物、並びに、少なくとも一つの香味料及び無機アルカリ化剤、多孔質シリカ又はそれらの混合物を含む安定化成分を含む担体を含む、圧縮錠の形態での口当たりのよい咀嚼動物用剤形に関する。
【0020】
また、さらなる態様において、本発明は、
a.イソオキサゾリン及びパモ酸ピランテル顆粒を、1)前記イソオキサゾリン化合物及びパモ酸ピランテルを崩壊剤、充填剤、着色剤及び界面活性剤と乾式混合し;2)溶媒及びセルロース系ポリマーの溶液を調製し;3)前記イソオキサゾリン及びパモ酸ピランテルを混合し、高剪断ミキサー造粒機で前記溶液と乾式混合して、イソオキサゾリン-ピランテル顆粒を調製し;4)前記イソオキサゾリン-ピランテル顆粒を乾燥及び粉砕することによって調製し;
b.モキシデクチン顆粒を、1)多孔質シリカ、充填剤及びアルカリ化剤を乾式混合し;2)モキシデクチンを、非セルロース系ポリマー及び酸化防止剤とともに溶媒に溶解させ;4)高剪断ミキサー造粒機で前記ドライブレンドを前記モキシデクチン溶液と混合して、モキシデクチン顆粒を調製し;4)前記モキシデクチン顆粒を乾燥及び粉砕することで調製し;
c.1)少なくとも一つの香味料を充填剤、崩壊剤、着色剤、流動促進剤と混合して、混合物を調製し;2)前記イソオキサゾリン-パモ酸ピランテル顆粒、及びモキシデクチン顆粒を前記混合物と混合し;3)前記混合物を滑沢剤と混合し、そのブレンドを圧縮して、完成した口当たりの良い咀嚼錠とすることによって最終ドライブレンドを調製すること
を特徴とする、前記口当たりの良い動物製剤の製造方法に関する。
【0021】
また、さらなる態様において、本発明は、本発明による口当たりの良い咀嚼剤形の使用、又は動物への寄生虫侵入の治療又は予防のための医薬品の製造のための本発明による医薬組成物の製造方法によって得ることができる口当たりの良い咀嚼剤形の使用に関するものである。
【0022】
代替の実施形態は、下記式(I)のイソオキサゾリン化合物:
【化4】
[式中、
は、ハロゲン、CF、OCF、CNであり、
nは、0~最大3、好ましくは1、2又は3の整数であり、
は、C-C-ハロアルキル、好ましくはCF又はCFClであり、
Tは、5~12員単環式若しくは二環式環系であり、それは1以上の基Yによって置換されていても良く、
Yは、メチル、ハロメチル、ハロゲン、CN、NO、NH-C=Sであり、又は、二つの隣接する基Yが一緒に、鎖、特には3~4員鎖を形成しており;
Qは、X-NR、NR-NR-X-R、X-R又は5員N-ヘテロアリール環であり、それは1以上の基によって置換されていても良く;
Xは、CH、CH(CH)、CH(CN)、CO、CSであり、
は、水素、メチル、ハロエチル、ハロプロピル、ハロブチル、メトキシメチル、メトキシエチル、ハロメトキシメチル、エトキシメチル、ハロエトキシメチル、プロポキシメチル、エチルアミノカルボニルメチル、エチルアミノカルボニルエチル、ジメトキシエチル、プロピニルアミノカルボニルメチル、N-フェニル-N-メチル-アミノ、ハロエチルアミノカルボニルメチル、ハロエチルアミノカルボニルエチル、テトラヒドロフリル、メチルアミノカルボニルメチル、(N,N-ジメチルアミノ)-カルボニルメチル、プロピルアミノカルボニルメチル、シクロプロピルアミノカルボニルメチル、プロペニルアミノカルボニルメチル、ハロエチルアミノカルボニルシクロプロピル、アルキルスルファニル、アルキルスルフィンアルキル、アルキルスルホンアルキル、シクロアルキル
【化5】
であり;
は、水素、ハロゲン、シアノ、ハロメチル、好ましくはCFであり;
は、水素、エチル、メトキシメチル、ハロメトキシメチル、エトキシメチル、ハロエトキシメチル、プロポキシメチル、メチルカルボニル、エチルカルボニル、プロピルカルボニル、シクロプロピルカルボニル、メトキシカルボニル、メトキシメチルカルボニル、アミノカルボニル、エチルアミノカルボニルメチル、エチルアミノカルボニルエチル、ジメトキシエチル、プロピニルアミノカルボニルメチル、ハロエチルアミノカルボニルメチル、シアノメチルアミノカルボニルメチル、又はハロエチルアミノカルボニルエチルであり;
は、水素、アルキル又はハロアルキルであり;
は、水素、アルキル又はハロアルキルであり;
又は、R及びRが一緒になって、
【化6】
からなる群から選択される置換基を形成している。]又はそれの塩若しくは溶媒和物、パモ酸ピランテル及び大環状ラクトン化合物、並びに、少なくとも一つの香味料及びポロキサマー、より好ましくはポロキサマーP188、好ましくは約2~約15重量%の前記ポロキサマーを含む安定化成分を含む担体を含む、圧縮錠の形態での口当たりのよい咀嚼動物用剤形に関する。
【発明を実施するための形態】
【0023】
定義
本明細書に記載し特許請求される本発明に関して、以下の用語及び語句は次のように定義される。
【0024】
本発明の文脈内において、「動物用剤形」とは、非ヒト動物の疾患を治療及び/又は診断及び/又は治癒及び/又は予防するために使用される薬剤を含む組成物を指す。本出願において、「動物用剤形」は、「口当たりのよい咀嚼動物用剤形」又は「圧縮錠」又は「錠剤」又は「咀嚼錠」、「完成した口当たりの良い咀嚼錠」又は「錠剤組成物」、或いは「組成物」、又は「製剤」又は「医薬組成物」と呼ばれることもある。このような組成物は、安定化成分に加えて、さらに獣医学的に許容される賦形剤、すなわち賦形剤又は賦形剤の組み合わせ(非有効成分)を含む。
【0025】
さらに、薬剤とは、動物の疾患を治療又は予防する特性を持つとされる物質又は物質の組み合わせ(組成物);又は、薬理作用、免疫作用又は代謝作用を発揮することによって生理機能を回復、修正又は改変することを目的として、又は医学的診断を行うことを目的として、動物内で使用又は動物に投与され得る物質又は物質の組み合わせである。
【0026】
FDA用語集によれば、本発明の文脈において、「医薬組成物」又は「動物用剤形」は、一般に、必ずしも他の有効成分又は非有効成分と関連しているわけではないが、原薬を含む完成した剤形である「医薬品」も指す。
【0027】
本発明によれば、「動物用(的)」という用語は「医薬(的)」と同じ定義を有するが、動物(非ヒトを意味する)に適応させるものである。
【0028】
より正確には、「動物薬」(又は医薬品又は組成物)とは、動物における疾患又は異常な身体状態若しくは精神状態又はそれらの症状の診断、治療、防除、根絶、緩和、又は予防;又は動物における身体機能、精神機能又は臓器機能の回復、修正、制御又は改変において使用される、又は使用に適していると製造、販売又は表示される物質又は物質の混合物を意味する。
【0029】
本発明で使用する場合、「約x」と記載される近似数値は、その値の周囲に±10%のマージンを有するxの値を指す。或いは、その値の±9、8、7、6、5、4、3、2、又は1%である。
【0030】
本出願によれば、「重量%」及び「(w/w)%」という用語は同義的に使用することができ、重量/重量を表す。本明細書で使用される場合、これらの用語は、投与単位の配合における成分の重量パーセントを表す。
【0031】
本明細書で使用される「感染」又は「侵入」は、別段の断りがない限り、体表(外部寄生虫)又は体内(内部寄生虫)に寄生虫を有する状況又は状態を指す。
【0032】
本明細書で使用される「大環状ラクトン」は、例えば、イベルメクチン、アバメクチン、ドラメクチン、エプリノメクチン、セラメクチンなどを含むアベルメクチンファミリーの化合物における獣医用化合物を指し、例えばモキシデクチン、ミルベマイシン、ミルベマイシンオキシムなどを含むミルベマイシンファミリーの化合物も含む。本発明の組成物の好ましい大環状ラクトンはモキシデクチンである。好ましい大環状ラクトンは、安定化大環状ラクトンである。好ましい安定化大環状ラクトンはモキシデクチンである。
【0033】
本明細書で使用される「口当たりの良い」とは、別段の断りがない限り、心地よい、許容できる、又は快い味を指す。これにより、単独で提供される場合、又は少なくとも動物の飼料に混合される場合に、動物が自発的に摂取することになる。
【0034】
本発明で使用する場合、「寄生虫」とは、宿主動物の健康、福祉、又は経済的生産レベルに悪影響を与える有害生物である。寄生虫は内部寄生虫又は外部寄生虫であり、宿主動物の体内又は体表に、一時的又は静止的に付着し得る。
【0035】
本明細書で使用される「寄生虫」は、別断の断りがない限り、内部寄生虫及び外部寄生虫を指す。内部寄生虫は、宿主の体内に生息する寄生虫であり、蠕虫(吸虫、条虫、線虫など)や原虫などがあるが、より詳細には、胃腸管線虫、肺線虫及びイヌ糸状虫などの線虫などがある。外部寄生虫は、宿主の皮膚を通して又は皮膚上で摂食するアースロポダ・ファイラム(Arthropoda phylum)の生物(クモ類や昆虫など)である。好ましいクモ類はダニ目、例えばマダニ及びダニである。好ましい昆虫は、ユスリカ、シラミ(吸血及び噛みつき)、ノミ、蚊、及び刺咬ハエ(サシバエ、ツノバエ、サシチョウバエ、クロバエ、アブなど)である。本発明の好ましい組成物は、外部寄生虫及び内部寄生虫の治療、すなわち、ノミ、マダニ、ダニ、シラミ、胃腸管線虫、及びイヌ糸状虫を含む寄生虫感染又は侵入の治療に使用することができる。寄生虫は、卵、蛹及び体表又は体内で餌を食べる幼虫など、外部寄生虫及び内部寄生虫のさまざまなライフステージも包含する。
【0036】
本明細書で使用される「治療(treatment)」、及び「治療する(treating)」又は「治療する(treat)」などの同様の用語は、有効量の本発明で使用するために記載されている活性薬剤物質を、1以上の種の寄生虫による(多少の重度のある)侵入を受けている動物に投与することを指す。
【0037】
本発明で使用するための「有効量」を構成するものは、そのような動物に侵入している寄生虫を完全に根絶するために、又は少なくとも動物における寄生虫侵入の大幅な減少に必要な、本明細書に記載のイソオキサゾリンの量(amount)、用量又は量(quantity)である。或いは、これは、動物の住居又はその周囲、例えば家、建物、農場、圃場などにおける寄生虫を有効に防除及び/又はその存在を低減できる量(amount)、用量又は量(quantity)を指すこともあり得る。
【0038】
「予防(prevention)」又は「予防(prophylaxis)」とは、宿主に侵入する前又は保護される宿主に侵入した直後に、成虫寄生虫及び宿主に侵入することができる発育段階又は幼虫段階を殺すことによって、動物への新たな寄生虫の侵入を防止すること、及び/又は新世代の寄生虫の発生を完全に又は部分的に防止又は軽減することを意味する。
【0039】
本明細書で使用される「安定化成分」及び「安定剤」は、別断の断りがない限り、組み合わせた場合に、使用しない場合より安定剤によってより安定である活性剤、すなわち、大環状ラクトン、獣医学的に許容される式(I)のイソオキサゾリン、及び/又はピランテル、特にはパモ酸ピランテルの1以上に、化学的及び/又は物理的安定性を提供することが認められている賦形剤又は賦形剤の組み合わせ(非有効成分)を指す。例えば、安定化成分は大環状ラクトンを安定化させる、すなわち、特にモキシデクチンの場合に分解を防止し、安定化したモキシデクチンを与える。
【0040】
本明細書で使用される「安定な」とは、別断の断りがない限り、錠剤の全体的な外観、水分含有量、分析値、酸化防止剤(BHT)含有量、分解生成物、溶解度、硬度、脆さ、光安定性、及び微生物学的品質を指す。これは、長期及び加速安定性の温度及び湿度条件下で、VICHガイドラインGL4及びGL5に従って測定できる。特に重要なのは、有効成分、特に大環状ラクトン、特にモキシデクチンの分解生成物の出現又は増加の低減である。詳細な説明。
【0041】
本発明は、式(I)のイソオキサゾリン化合物、パモ酸ピランテル、並びにモキシデクチン及びミルベマイシンオキシムから選択される安定化大環状ラクトン化合物と、少なくとも一つの香味料と、無機アルカリ化剤、例えば、炭酸マグネシウム、多孔質シリカ又はそれらの混合物を含む安定化成分とを含む担体とを含む、口当たりの良い動物用咀嚼剤形を提供する。好ましい実施形態では、そのような剤形はポロキサマーを含む。
【0042】
以下で提供される説明及び実施例から明らかなように、本発明者らは、圧縮錠の形態での口当たりの良い咀嚼剤形を介して投与することで、有効成分、すなわち式(I)のイソオキサゾリン化合物、パモ酸ピランテル及び大環状ラクトンの組み合わせによって動物の治療を著しく改善する方法を考案した。これは、安定化成分が組み込まれることで、大環状ラクトン及び他の有効成分に分解からの保護が提供されるためである。
【0043】
したがって、さらなる態様において、本発明は、大環状ラクトン化合物を分解から保護するための、本出願に記載の安定化成分の使用に関する。
【0044】
さらに、圧縮錠としての動物用咀嚼剤形は非常に口当たりが良く、動物に自発的に受け入れるが認められている。
【0045】
驚くべきことに、咀嚼動物用剤形は非常に口当たりが良いことから、イヌにおいてほぼ完全に自発的に摂取されることが認められた。調べた錠剤には1種類のみの香味料しか含まれていなかったため、これは予想外である。従来技術の口当たりの良い組成物のほとんどでは、同様の又はさらにより低い口当たりの良さを見るには、多くの香味料又は口当たり性強化剤が必要であった。
【0046】
本発明で使用する場合、「イソオキサゾリン」は、下記式(I)の化合物又はそれの塩若しくは溶媒和物である。
【化7】
式中、
は、ハロゲン、CF、OCF、CNであり、
nは、0~最大3、好ましくは1、2又は3の整数であり、
は、C-C-ハロアルキル、好ましくはCF又はCFClであり、
Tは、5~12員単環式若しくは二環式環系であり、それは1以上の基Yによって置換されていても良く、
Yは、メチル、ハロメチル、ハロゲン、CN、NO、NH-C=Sであり、又は、二つの隣接する基Yが一緒に、鎖、特に3~4員鎖を形成しており;
Qは、X-NR、NR-NR-X-R、X-R又は5員N-ヘテロアリール環であり、それは1以上の基によって置換されていても良く;
Xは、CH、CH(CH)、CH(CN)、CO、CSであり、
は、水素、メチル、ハロエチル、ハロプロピル、ハロブチル、メトキシメチル、メトキシエチル、ハロメトキシメチル、エトキシメチル、ハロエトキシメチル、プロポキシメチル、エチルアミノカルボニルメチル、エチルアミノカルボニルエチル、ジメトキシエチル、プロピニルアミノカルボニルメチル、N-フェニル-N-メチル-アミノ、ハロエチルアミノカルボニルメチル、ハロエチルアミノカルボニルエチル、テトラヒドロフリル、メチルアミノカルボニルメチル、(N,N-ジメチルアミノ)-カルボニルメチル、プロピルアミノカルボニルメチル、シクロプロピルアミノカルボニルメチル、プロペニルアミノカルボニルメチル、ハロエチルアミノカルボニルシクロプロピル、アルキルスルファニル、アルキルスルフィンアルキル、アルキルスルホンアルキル、シクロアルキル
【化8】
であり;
は、水素、ハロゲン、シアノ、ハロメチル、好ましくはCFであり;
は、水素、エチル、メトキシメチル、ハロメトキシメチル、エトキシメチル、ハロエトキシメチル、プロポキシメチル、メチルカルボニル、エチルカルボニル、プロピルカルボニル、シクロプロピルカルボニル、メトキシカルボニル、メトキシメチルカルボニル、アミノカルボニル、エチルアミノカルボニルメチル、エチルアミノカルボニルエチル、ジメトキシエチル、プロピニルアミノカルボニルメチル、ハロエチルアミノカルボニルメチル、シアノメチルアミノカルボニルメチル、又はハロエチルアミノカルボニルエチルであり;
は、水素、アルキル又はハロアルキルであり;
は、水素、アルキル又はハロアルキルであり;
又は、R及びRが一緒になって、
【化9】
からなる群から選択される置換基を形成している。
【0047】
本発明の好ましい実施形態及び/又はそれの実施形態において、Tは、
【化10】
から選択され、
T-1、T-3及びT-4において、基Yは、好ましくは水素、ハロゲン、メチル、ハロメチル、エチル又はハロエチルである。
【0048】
本発明の好ましい実施形態及び/又はそれの実施形態において、式(I)におけるQは、
【化11】
から選択され、
、R、X及びZは上記で定義の通りであり、

【化12】
であり、

【化13】
である。
【0049】
式(I)の好ましい化合物を表1に列記している。
【0050】
表1:
【表1】
【0051】
【0052】
式(I)のより好ましい化合物を表2に列記している。
【0053】
表2:
【表2】
【0054】
【0055】
本発明の特に好ましい実施形態及び/又はそれの実施形態において、イソオキサゾリン化合物は、下記式(II):
【化14】
によって表され、
式中、R1a、R1b、R1cは互いに独立に水素、Cl又はCFである。好ましくは、R1a及びR1cはCl又はCFであり、R1bは水素であり、
Tは、
【化15】
であり、Yはメチル、臭素、Cl、F、CN又はC(S)NHであり、Qは上記の通りである。
【0056】
本発明の別の好ましい実施形態及び/又はそれの実施形態において、RはHであり、Rは-CH-C(O)-NH-CH-CF、-CH-C(O)-NH-CH-CH、-CH-CH-CF又は-CH-CFである。
【0057】
本発明の別の好ましい実施形態及び/又はそれの実施形態において、イソオキサゾリン化合物は、フルララネル、アフォキソラネル、エサフォキソラネル、サロラネル、ロチラネル及びチゴラネルから選択される。
【0058】
本発明の一つの好ましい実施形態及び/又はそれの実施形態において、前記イソオキサゾリンは、4-[5-(3,5-ジクロロフェニル)-5-トリフルオロメチル-4,5-ジヒドロイソオキサゾール-3-イル]-2-メチル-N-[(2,2,2-トリフルオロ-エチルカルバモイル)-メチル]-ベンズアミド(CASRN864731-61-3)である。この化合物はフルララネルとしても知られる。
【0059】
本発明の一つの好ましい実施形態及び/又はそれの実施形態において、前記イソオキサゾリンは、4-[5-[3-クロロ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4,5-ジヒドロ-5-(トリフルオロメチル)-3-イソオキサゾリル]-N-[2-オキソ-2-[(2,2,2-トリフルオロエチル)アミノ]エチル]-1-ナフタレン-カルボキサミド(CASRN1093861-60-9)である。この化合物は、4-[5-(5-クロロ-α,α,α-トリフルオロ-m-トリル)-4,5-ジヒドロ-5-(トリフルオロメチル)-1,2-オキサゾール-3-イル]-N-[2-オキソ-2-[(2,2,2-トリフルオロエチルアミノ]エチル]ナフタレン-1-又はアフォキソラネルとしても知られる。アフォキソラネルは例えば、WO2007/079162に開示されている。1実施形態において、前記イソオキサゾリン化合物はエサフォキソラネルである。
【0060】
本発明の一つの好ましい実施形態及び/又はそれの実施形態において、前記イソオキサゾリンは、1-(5′-(5-(3,5-ジクロロ-4-フルオロフェニル)-5-(トリフルオロメチル)-4,5-ジヒドロイソオキサゾール-3-イル)-3′H-スピロ[アゼチジン-3,1′-イソベンゾフラン]-1-イル)-2-(メチルスルホニル)エタン-1-オン、好ましくは1-(5′-((5S)-(5-(3,5-ジクロロ-4-フルオロフェニル)-5-(トリフルオロメチル)-4,5-ジヒドロイソオキサゾール-3-イル)-3′H-スピロ[アゼチジン-3,1′-イソベンゾフラン]-1-イル)-2-(メチルスルホニル)エタン-1-オン(CAS RN:1398609-39-6)である。この化合物はサロラネルとしても知られる。
【0061】
本発明の一つの好ましい実施形態及び/又はそれの実施形態において、前記イソオキサゾリンは、3-メチル-N-(2-オキソ-2-((2,2,2-トリフルオロエチル)アミノ)エチル)-5-[5-(3,4,5-トリクロロフェニル)-5-(トリフルオロメチル)-4,5-ジヒドロイソオキサゾール-3-イル]チオフェン-2-カルボキサミドであり、好ましくはメチル-N-(2-オキソ-2-((2,2,2-トリフルオロエチル)アミノ)エチル)-5-[(5S)-5(3,4,5-トリクロロフェニル)-5-(トリフルオロメチル)-4,5-ジヒドロイソオキサゾール-3-イル]チオフェン-2-カルボキサミド(CAS RN:1369852-71-0)である。この化合物は、ロチラネルとしても知られる。
【0062】
本発明の一つの好ましい実施形態及び/又はそれの実施形態において、前記イソオキサゾリン化合物に代わるものとして使用される化合物は、2-クロロ-N-(1-シアノシクロプロピル)-5-[1-[2-メチル-5-(1,1,2,2,2-ペンタフルオロエチル)-4-(トリフルオロメチル)ピラゾール-3-イル]ピラゾール-4-イル]ベンズアミド(CAS RN1621436)である。この化合物は、チゴラネルとしても知られる。
【0063】
本発明の一つの好ましい実施形態及び/又はそれの実施形態において、前記イソオキサゾリンは、4H-シクロペンタ[c]チオフェン-1-カルボキサミド、3-[(5S)-5-(3,5-ジクロロ-4-フルオロフェニル)-4,5-ジヒドロ-5-(トリフルオロメチル)-3-イソオキサゾリル]-N-[2-[(2,2-ジフルオロエチル)アミノ]-2-オキソエチル]-5,6-ジヒドロ-(CAS1414642-93-5)である。この化合物は、ミボリラネルとしても知られる。
【0064】
本発明の一つの好ましい実施形態及び/又はそれの実施形態において、前記イソオキサゾリンは・・・であり、別の実施形態において、式(I)の化合物は、(Z)-4-[5-(3,5-ジクロロフェニル)-5-トリフルオロメチル-4,5-ジヒドロイソオキサゾール-3-イル]-N-[(メトキシイミノ)メチル]-2-メチルベンズアミド(CAS RN928789-76-8)である。
【0065】
本発明の一つの好ましい実施形態及び/又はそれの実施形態において、前記イソオキサゾリンは、WO2009/0080250に開示された4-[5-(3,5-ジクロロフェニル)-5-(トリフルオロメチル)-4H-イソオキサゾール-3-イル]-2-メチル-N-(チエタン-3-イル)ベンズアミド(CAS RN1164267-94-0)である。
【0066】
本発明の一つの好ましい実施形態及び/又はそれの実施形態において、前記イソオキサゾリンは、WO2010/070068で開示された5-[5-(3,5-dジクロロフェニル)-4,5-ジヒドロ-5-(トリフルオロメチル)-3-イソオキサゾリル]-3-メチル-N-[2-オキソ-2-[(2,2,2-トリフルオロエチル)アミノ]エチル]-2-チオフェンカルボキサミド(CASRN1231754-09-8)である。
【0067】
特別に好ましいものは、下記式(III)によって表される、全身殺虫剤及び/又は殺ダニ剤としてのフルララネル(4-[5-(3,5-ジクロロフェニル)-5-トリフルオロメチル-4,5-ジヒドロイソオキサゾール-3-イル]-2-メチル-N-[(2,2,2-トリフルオロ-エチルカルバモイル)-メチル]-ベンズアミドに相当)である。
【化16】
【0068】
イソオキサゾリン化合物は、各種の異性体形態で存在し得る。イソオキサゾリン化合物への言及には、常にそのような化合物の可能なすべての異性体が含まれる。別断の記載がない限り、特定の立体構造を示していない化合物構造は、その化合物の可能なすべての立体配座異性体の組成物、並びにすべてより少ない可能な立体異性体の組成物を包含することを意図している。一部の実施形態において、当該化合物はキラル化合物である。一部の実施形態において、当該化合物は非キラル化合物である。
【0069】
式(I)のイソオキサゾリン化合物は、例えば特許出願US2007/0066617、WO2007/079162、WO2009/002809、WO2009/080250、WO2010/070068、WO2010/079077、WO2011/075591及びWO2011/124998に記載の方法のどれか一方、又は化学合成の専門家である当業者の能力の範囲内にある他の方法に従って製造することができる。
【0070】
化学的製造に関して、当業者は、とりわけ、「Chemical Abstracts」及びそこに引用されている文書の全内容を、その裁量で利用できるとみなされる。
【0071】
本発明の一つの好ましい実施形態及び/又はそれの実施形態において、口当たりの良い咀嚼動物用剤形に含まれるイソオキサゾリン化合物の量は、約1~約30重量%の範囲であることができる。別の実施形態において、このような化合物の量は、約2~約20重量%の範囲であることができる。好ましい範囲は約5~約18重量%、特には約10~約15重量%である。
【0072】
パモ酸ピランテルは、公知の駆虫薬成分である。パモ酸ピランテルは、咀嚼動物用剤形中に約5重量%~約30重量%、好ましくは約10重量%~約25重量%、より好ましくは約15重量%~約20重量%存在する。
【0073】
生理活性大環状ラクトン(マクロライド又は大環状ラクトン-MLとも称される)は環構造を含む有機分子であり、前記分子はラクトン基を含む。このようなラクトン基は、分子内カルボン酸エステル基とみなすこともできる。大環状ラクトンは多くの場合、細菌や真菌の代謝産物で見られる。さらに、1実施形態では、本発明の口当たりの良い咀嚼動物用剤形は、2以上の大環状ラクトン活性剤の組み合わせを含んでもよい。
【0074】
疑義を避けるため、本明細書で使用される「大環状ラクトン」という用語には、天然及び合成又は半合成の大環状ラクトンの両方、特に殺寄生虫性のアベルメクチン及びミルベマイシン化合物が含まれる。
【0075】
本発明の口当たりの良い咀嚼動物用剤形で使用され得る大環状ラクトンには、天然に生成されたアベルメクチン類(例えば、A1a、A1b、A2a、A1b、B1a、B1b、B2a及びB2bと称される成分を含む)及びミルベマイシン化合物、半合成アベルメクチン類及びミルベマイシン類、アベルメクチン単糖類化合物、及びアベルメクチンアグリコン化合物などがあるが、これらに限定されるものではない。組成物に使用され得る大環状ラクトン化合物の例としては、アバメクチン、ジマデクチン、ドラメクチン、エマメクチン、エプリノメクチン、イベルメクチン、ラチデクチン、レピメクチン、セラメクチン、ML-1,694,554及びミルベメクチン、ミルベマイシンD、ミルベマイシンA3、ミルベマイシンA4、ミルベマイシンオキシム、モキシデクチン及びネマデクチンなど(これらに限定されるものではない)のミルベマイシンなどがあるが、これらに限定されるものではない。また、前記アベルメクチン類及びミルベマイシン類の5-オキソ誘導体及び5-オキシム誘導体も含まれる。
【0076】
大環状ラクトン化合物は当技術分野で知られており、商業的に又は当技術分野で公知の合成技術を通じて容易に入手することができる。広く入手可能な技術文献及び商業文献を参照する。
【0077】
本発明の一つの好ましい実施形態及び/又はそれの実施形態において、1以上の生理活性大環状ラクトン(f1)は、アバメクチン、ジマデクチン、ドラメクチン、エマメクチン、エプリノメクチン、イベルメクチン、ラチデクチン、レピメクチン、セラメクチン、ML-1,694,554並びにミルベメクチン、ミルベマイシンD、ミルベマイシンA3、ミルベマイシンA4、ミルベマイシンオキシム、モキシデクチン、ネマデクチン及びそれらの混合物など(これらに限定されるものではない)のミルベマイシン類から選択される。
【0078】
本発明の一つの好ましい実施形態及び/又はそれの実施形態において、前記1以上の生理活性大環状ラクトンは、イベルメクチン、アバメクチン、ミルベマイシンオキシム、モキシデクチン、ドラメクチン、セラメクチン、エプリノメクチン、エマメクチン及びそれらの混合物から選択される。生理活性大環状ラクトンとしてより好ましいのは、ミルベマイシンオキシム又はモキシデクチン、或いはイベルメクチンである。最も好ましいのはモキシデクチンである。
【0079】
本発明の一つの好ましい実施形態及び/又はそれの実施形態において、大環状ラクトンの量は、異なる大環状ラクトン化合物間で変わる有効濃度に応じて、組成物の約0.001~約10重量%の範囲であってよい。
【0080】
本発明の一つの好ましい実施形態及び/又はそれの実施形態において、口当たりの良い咀嚼動物用剤形に含まれるモキシデクチンなどの1以上の高活性生理活性大環状ラクトンは、約0.0075~約0.075重量%の範囲であることができる。別の実施形態では、モキシデクチンの量は、約0.01~約0.07重量%の範囲であってもよい。好ましい範囲は約0.0125~約0.065重量%である。
【0081】
生理活性大環状ラクトンがミルベマイシンオキシムである場合、その量は凝集体の0.5~20重量%の範囲であることができ、好ましくは約1重量%、約2重量%、約3重量%、約4重量%、又は約5重量%であることができる。
【0082】
本発明の一つの好ましい実施形態及び/又はそれの実施形態において、前記大環状ラクトンは、口当たりのよい咀嚼動物用剤形中に含まれるイベルメクチンであり、0.0075~0.075重量%の範囲、好ましくは約0.015重量%、約0.0225重量%、約0.03重量%、約0.0375重量%であることができる。
【0083】
獣医学分野で知られているビタミン、ミネラルサプリメントなどの他の薬剤も、本発明による口当たりの良い咀嚼動物用剤形に含まれることが想到される。
【0084】
硬圧縮錠の形態での、或いは軟咀嚼組成物としての本発明の口当たりの良い咀嚼動物用剤形の製造には、いくつかの別個の顆粒を調製し、それらを口当たりの良い咀嚼動物用剤形に組み合わせるプロセスが関与し得るものであり、例えば、モキシデクチン有効成分を含む顆粒と、イソオキサゾリン、例えばフルララナー、及びピランテル有効成分、例えばパモ酸ピランテルを含む第2の顆粒の製造である。
【0085】
これらの顆粒は、例えば、顆粒外物質と混合し、硬圧縮錠の形態の最終の口当たりの良い咀嚼動物用剤形に圧縮することができる。或いは、顆粒(granules)(又は顆粒(granulations))は、成形、例えば回転成形又は押出成形によって形成される軟咀嚼動物用組成物中に含まれる。
【0086】
本発明の口当たりの良い咀嚼動物用剤形において、大環状ラクトン化合物、特にモキシデクチンは、無機アルカリ化剤、多孔質シリカ又はそれらの混合物を含む安定化成分で安定化される。好ましい1実施形態において、安定化成分にはポロキサマーなどがある。
【0087】
安定化成分の成分は、口当たりの良い咀嚼動物用剤形のこれらの成分のいずれか、顆粒(granules)(又は顆粒(granulations))のいずれか、又は顆粒外材料中に存在し得る。
【0088】
モキシデクチンは加水分解及び酸化分解を受けやすい。錠剤製剤に使用される香味料及び他の非有効成分との相互作用により、安定性の問題が観察され得る。安定化成分はこれらの課題に対処し、モキシデクチン分解生成物の形成を回避する。
【0089】
本発明の口当たりの良い咀嚼動物用剤形中の非常に強力な大環状ラクトンであるモキシデクチンの量は、存在する他の有効成分と比較して非常に少ない。したがって、分解により、治療レベル以下のモキシデクチンとの組み合わせ製品が容易に得られる可能性がある。モキシデクチン分解物は既知であり、酸触媒分解物23-Z-モキシデクチン、23-ケオ(keo)ネマデクチン及び23-ケト-αモキシデクチン、並びに塩基触媒分解物デルタ-2-モキシデクチン及び2-エピマーモキシデクチンなどがある。
【0090】
安定性に加えて、口当たりの良い咀嚼動物用剤形中のモキシデクチンの量が少ないことも、医薬品の含有量の均一性の問題を引き起こす可能性がある。モキシデクチンの分解を克服し、内容物の均一性を改善し、安定した均質な組成物を確保するために、モキシデクチンを安定化成分で安定化し、これらの課題に対処した。
【0091】
安定性に加えて、安定化アプローチは、内容物の均一性を確保するために、顆粒中並びに最終錠剤組成物中のモキシデクチンの均一な分布にも役立つ。追加の親水性ポリマー、特に非セルロース系ポリマー及び酸化防止剤をモキシデクチン顆粒に添加して、安定性を高めて、最終医薬品のより長い貯蔵寿命を保証することができる。
【0092】
別の方法では、親水性ポリマー、特に非セルロース系ポリマー及び酸化防止剤をモキシデクチン顆粒に添加すると、単独で使用した場合と比較して安定性が向上する。
【0093】
1実施形態において、前記安定化成分は、少なくとも一つの無機アルカリ化剤、多孔質シリカ又はそれらの混合物を含む。
【0094】
無機アルカリ化剤を用いて、咀嚼動物用剤形の一部(組成物顆粒及び一般的ブレンド)又は錠剤中で有効成分を安定化させるのを助けることができる。1実施形態において、前記無機アルカリ化剤を、モキシデクチン顆粒中に組み込む。
【0095】
好ましくは、無機アルカリ化剤は炭酸マグネシウムである。最も一般的な炭酸マグネシウムの形態は、マグネサイト(MgCO)と呼ばれる無水塩と、それぞれバリングトナイト(MgCO・2HO)、ネスケホン石(MgCO・3HO)、及びランスフォルダイト(MgCO・・5HO)として知られる二水和物、三水和物、及び五水和物である。アルチニ石(MgCO・Mg(OH)・3HO)、水苦土石(4MgCO・Mg(OH)・4HO)、ダイピング石(4MgCO・Mg(OH)・5HO)などのいくつかの基本的な形態も鉱物として存在する。好ましくは、炭酸マグネシウムは軽質炭酸マグネシウムである。
【0096】
軽質炭酸マグネシウムは、化学式MgCOを有する無機化合物である。軽質炭酸マグネシウムと重質炭酸マグネシウムの違いは、軽質炭酸マグネシウムは四つの水分子で構成されているのに対し、重質炭酸マグネシウムは五つの水分子を含んでいることである。「軽」及び「重」炭酸マグネシウムへの言及は、実際には、ヒドロキシ炭酸マグネシウムである水苦土石及びダイピング石(それぞれ)を指す。
【0097】
炭酸マグネシウムは、顆粒成分のいずれか又は顆粒外材料に含めることができる。1実施形態において、炭酸マグネシウムの一部がモキシデクチン顆粒に含まれる。
【0098】
特定の実施形態において、炭酸マグネシウムが、モキシデクチン顆粒を調製するのに使用されるドライミックス中に含まれる。
【0099】
特定の実施形態において、炭酸マグネシウムの一部がモキシデクチン溶液に含まれ、一部がモキシデクチン顆粒を形成するドライミックスに含まれる。別の実施形態において、炭酸マグネシウムが、モキシデクチン顆粒を形成するのに使用されるモキシデクチン溶液中に含まれる。
【0100】
本発明の一つの好ましい実施形態及び/又はそれの実施形態において、咀嚼動物用剤形中に含まれる無機アルカリ化剤は、約0.5~約5重量%の範囲であることができる。好ましい範囲は、約1.2~約1.8重量%である。
【0101】
1実施形態において、モキシデクチン顆粒中の炭酸マグネシウムの量は、約1~約8重量%の範囲、特別には6%であることができる。
【0102】
多孔質シリカを用いて、咀嚼動物用剤形の一部(組成物顆粒及び一般的なブレンド)又は錠剤中の有効成分の安定化を助けることができる。1実施形態では、多孔質シリカはモキシデクチン顆粒に組み込まれる。
【0103】
1実施形態において、多孔質シリカはケイ酸マグネシウムアルミニウムである。ケイ酸マグネシウムアルミニウムは、医薬品製造プロセスで吸収剤;固結防止剤;乳白剤;スリップ調整剤;及び水性増粘剤として使用されるオフホワイトの粉末である。それは、錠剤の製造や医薬品の懸濁液に使用でき、化粧品業界でも使用される。中性又はアルカリ性グレードのメタケイ酸アルミン酸マグネシウムが知られている。
【0104】
Neusilin(登録商標)は、合成の非晶質形態のメタケイ酸アルミン酸マグネシウムである。これは、固体剤形の直接圧縮と湿式造粒の両方に使用できる多機能賦形剤である。特に好ましいのは、例えばFuji Chemical Industry Co, Ltdから入手可能なNeusilin(登録商標)US2(CAS番号:12511-31-8)である。
【0105】
本発明の一つの好ましい実施形態及び/又はそれの実施形態において、咀嚼動物用剤形に含まれる多孔質シリカは、約1~約15重量%の範囲であることができる。別の実施形態において、モキシデクチンの量は、約2~約10重量%の範囲であることができる。好ましい範囲は約4~約8重量%である。
【0106】
安定化成分は、好ましくは親水性ポリマーを含む。親水性ポリマーは、咀嚼動物用剤形の一部(組成物顆粒及び一般的なブレンド)又は錠剤、すなわち最終的にブレンド及び圧縮された組成物中の有効成分の安定化を助けるのに使用することができる。1実施形態において、親水性ポリマーは、非セルロース系ポリマー、好ましくはポロキサマーを含む。ポロキサマーは、ポリオキシプロピレン(ポリ(プロピレンオキサイド))の中央の疎水性鎖と、その両側に位置するポリオキシエチレン(ポリ(エチレンオキサイド))の二つの親水性鎖で構成される非イオン性トリブロックコポリマーである。
【0107】
ポロキサマーは、商品名Pluronic及びKolliphor(医薬品グレード)としても知られる。
【0108】
ポリマーブロックの長さはカスタマイズできるため、わずかに異なる特性を持つ多くの異なるポロキサマーが存在する。一般用語のポロキサマーについては、これらのコポリマーは通常、文字P(ポロキサマー)の後に3桁の数字が続いて命名され、最初の2桁に100を掛けると、ポリオキシプロピレンコアのおおよその分子量が得られ、最後の桁に10を掛けると、ポリオキシエチレン含有率パーセント(例えば、P407=ポリオキシプロピレン分子量4000g/mol及びポリオキシエチレン含有率70%のポロキサマー)が得られる。
【0109】
特に好ましいのはポロキサマー188である。
【0110】
ポロキサマー188は、次の構造で表されるエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドの非イオン性ブロックコポリマーであり、aブロックとbブロックはそれぞれ80単位と27単位を含む。
【化17】
【0111】
それは、平均分子量7680~9510g/molを有する。ポロキサマー188の界面活性剤特性により、このコポリマーは化粧品、医薬品、及び工業用途において有用となる。本発明の咀嚼剤形におけるそれの安定化の役割は驚くべきものであった。
【0112】
本発明の一つの好ましい実施形態及び/又はそれの実施形態において、咀嚼動物用剤形に含まれるポロキサマーは、約1~約15重量%の範囲であることができる。別の実施形態において、モキシデクチンの量は、約2~約10重量%の範囲であることができる。好ましい範囲は約4~約10重量%である。
【0113】
ポロキサマーを配合することは、加工中のモキシデクチンの分解の軽減、貯蔵時、特に常温条件下での安定性、したがって咀嚼動物用剤形の貯蔵寿命に非常に良い影響を与えることが明らかになっている。
【0114】
ポロキサマーは好ましくは、大環状ラクトン、特にモキシデクチン顆粒に含まれ、それは次いで1以上の追加の顆粒及び顆粒外材料と組み合わせて咀嚼動物用剤形とする。
【0115】
好ましい実施形態は、大環状ラクトン、特に安定化されたモキシデクチンを含むモキシデクチン顆粒である。好ましい実施形態において、このようなモキシデクチン顆粒は、少なくとも一つのポロキサマー、特にポロキサマー188を、好ましくはBHT、メタケイ酸マグネシウム、軽質炭酸マグネシウム及び微結晶セルロースから選択される少なくとも一つの他の安定化成分と組み合わせて含む。
【0116】
1実施形態において、そのようなモキシデクチン顆粒は、風味付けされた圧縮錠に含まれる。
【0117】
別の実施形態において、大環状ラクトン、特に本発明に従って安定化されたモキシデクチンを含む顆粒は、モキシデクチンを軟咀嚼動物用剤形中にモキシデクチン顆粒の形態で組み込むプロセスに使用される。
【0118】
別の実施形態において、親水性ポリマーはセルロース系ポリマー、特にHPMCを含む。ヒプロメロース(INN)は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)の略称で、点眼薬として使用される半合成の不活性粘弾性ポリマーであり、経口薬の賦形剤及び送達制御成分でもあり、多様な市販製品に含まれている。HPMCは経口錠剤及びカプセル製剤の賦形剤として使用されており、グレードに応じて結合剤又は徐放剤として機能する。
【0119】
別の実施形態において、親水性ポリマーは、セルロース系ポリマーと非セルロース系ポリマー、特に好ましくはポロキサマーとHPMC、好ましくはポロキサマー188とHPMCの組み合わせを含む。
【0120】
特に有用なのは、28~30%のメトキシ基及び7~12%のヒドロキシプロポキシ基を有するUSP2910のHPMCである。
【0121】
これは、DuPontからMETHOCEL(商標名)系列の製品として市販されている。それは、低粘度から高粘度までの範囲のさまざまなEグレードで入手可能である。
【0122】
特に有用なのは、粘度(2%)3、5又は6mPasに相当する低粘度グレードE3、E5又はE6のHPMCである。
【0123】
1実施形態において、親水性ポリマーは、フルララネルピランテル顆粒及び/又はモキシデクチン顆粒に組み込まれる。モキシデクチンを不活性材料に結合させ、乾燥時のモキシデクチンの損失を抑制するために、追加の結合剤(HPMC5cps/HPMCE5)を評価した。試験は、異なる濃度のHPMCE5(1mg、2mg、及び4mg)を使用して実行した。
【0124】
本発明の一つの好ましい実施形態及び/又はそれの実施形態において、咀嚼動物用剤形中の親水性ポリマーは、約1~約20重量%の範囲であることができる。別の実施形態において、親水性ポリマーの量は、約2~約15重量%の範囲であることができる。一つの好ましい範囲は、約5~約10重量%である。HPMCの一つの好ましい範囲は、約0.1~4重量%である。
【0125】
安定化成分は、好ましくは酸化防止剤からなる。酸化防止剤は、有効成分の一部(組成物顆粒及び一般的なブレンド)又は錠剤全体の安定化を助けるために使用することもできる。
【0126】
抗酸化物質とは、酸化を抑制するために使用される物質である。本咀嚼動物用剤形に含まれるのに適した酸化防止剤としては、アスコルビン酸、クエン酸、グルタチオン、トコフェロール及びそれのエステル、tert-ブチルヒドロキノン(TBHQ)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA、2-tert-ブチル-4-ヒドロキシアニソール、3-tert-ブチル-4-ヒドロキシアニソール又はそれらの混合物とも称される)及びブチルヒドロキシトルエン(BHT、2,6-ジtert-ブチル4-メチルフェノールとも称される)などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0127】
1実施形態において、酸化防止剤はモキシデクチン顆粒に組み込まれた。酸化防止剤、特にBHTがモキシデクチン顆粒中に存在することが好ましい。ブチル化ヒドロキシルトルエンは、モキシデクチンを酸化分解から保護する。
【0128】
本発明の一つの好ましい実施形態及び/又はそれの実施形態において、口当たりの良い咀嚼動物用剤形に含まれる酸化防止剤は、0.001~1.00重量%の範囲であり得る。
【0129】
組成物中の酸化防止剤の量は、錠剤の総重量の約0.01重量%~約0.5重量%である。酸化防止剤の好ましい量は、錠剤の総重量の約0.05重量%~約0.2重量%である。
【0130】
より好ましい酸化防止剤の量は、錠剤の総重量の約0.1重量%である。
【0131】
本発明による口当たりの良い咀嚼剤形は、少なくとも一つの香味料をさらに含む。本出願によれば、香味料は、口当たりの良い咀嚼剤形の感覚的印象とみなすことができる。特に、香味料は味覚と嗅覚に影響を与えることができる。この場合、口当たりの良い咀嚼剤形には、治療される動物がそれの投与に誘われるようにするために香味料が添加される。治療される動物に応じて香味料を選択できる。
【0132】
本発明の一つの好ましい実施形態及び/又はそれの実施形態において、香味料(e)は、チキンフレーバー、ポークフレーバー、ビーフフレーバー、ハムフレーバー、フィッシュフレーバー、ベジタリアンフレーバー、Chardexヒッコリーフレーバー、人工香味料、スイートアップル&モラセスフレーバー及びそれらの混合物から選択され、特にはポークレバーフレーバーである。
【0133】
本発明の一つの好ましい実施形態及び/又はそれの実施形態において、口当たりの良い咀嚼剤形に含まれる香味料の量は、2~35重量%の範囲であり得る。別の実施形態において、このような化合物の量は5~30重量%の範囲であることができる。好ましい範囲は10~25重量%、特には5~10%である。或いは、香味料の量は2重量%未満である。
【0134】
驚くべきことに、本発明による口当たりの良い咀嚼剤形中に存在するたった一つの香味料が、イヌに投与された場合に優れた口当たりの良さを示すことが発見されている。好ましい実施形態において、香味料はポークレバーフレーバーである。
【0135】
口当たりの良い咀嚼剤形は、1以上の獣医学的に許容される賦形剤を含む担体をさらに含む。獣医学的に許容される賦形剤には、結合剤、充填剤、崩壊剤、界面活性剤、滑沢剤、流動促進剤、及び着色剤と解釈される賦形剤などがある。
【0136】
結合剤は、個別の顆粒と最終ブレンド組成物に凝集性を加えることで、凝集塊を形成し、好適な圧縮錠形態を確保するために必要な結合を提供するのに使用される。これらの結合剤は、従来、直接圧縮錠に使用されており、Lieberman et al., Pharmaceutical Dosage Forms, 2 Ed., Vol.1, (1990)に記載されている。
【0137】
獣医学的に許容される結合剤の非限定的な例には、微結晶セルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ポリビニルピロリドン(例えば、PVP、ポビドン(Kollidon25、30、及び90))、及びコポビドン(KollidonVA64)、ポリエチレングリコール、アカシア、固形コーンシロップ、トラガカントガム、ゼラチン、カルナバワックス、アルギン酸塩、及びそれらの混合物などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0138】
口当たりの良い咀嚼剤形に好ましい結合剤は、カルボキシメチルセルロース、HPC、PVP、ポリエチレングリコール、固形コーンシロップ、ゼラチン、及びそれらの混合物である。
【0139】
HPMCは、モキシデクチン顆粒にある程度の結合性を提供するため、結合剤とみなすこともできますが、この口当たりの良い咀嚼剤形に関しては、安定化剤(安定剤)として含まれる成分に含まれている。
【0140】
組成物中の結合剤(HPMCを除く)の量は、錠剤の総重量の約6~10重量%である。組成物中の結合剤の好ましい量は、錠剤の総重量の約7~9重量%である。
【0141】
口当たりの良い咀嚼剤形は、充填剤である少なくとも一つの獣医学的に許容される賦形剤を含む。充填剤の非限定的な例としては、デンプン(例えば、コーン、ジャガイモ、タピオカなど)、糖(例えば、乳糖、果糖、マンニトール)など(含水形態及び無水形態を含む)、セルロース(例えば、メチルセルロース、微結晶セルロース、エチルセルロースなど)などがある。
【0142】
充填剤の量は、組成物の総重量の約20~50重量%である。充填剤の好ましい量は、組成物の総重量の約40~48重量%である。充填剤のより好ましい量は、組成物の総重量の約42~46重量%、或いは20~30%である。
【0143】
口当たりの良い咀嚼剤形は、崩壊剤である少なくとも一つの獣医学的に許容される賦形剤を含む。
【0144】
崩壊剤は、液体、好ましくは水と接触したときに錠剤がより小さな断片に分解する能力を高める化合物である。
【0145】
獣医学的に許容される崩壊剤の非限定的な例としては、アルファ化デンプン及び変性デンプンを含むデンプン、微結晶セルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、クロスポビドン、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、グアーガム、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カルシウム、キトサン、クロスカルメロースナトリウム(例えば、Ac-Di-Sol(登録商標))、デンプングリコール酸ナトリウムなど、及びそれらの混合物などがある。
【0146】
組成物中の崩壊剤の量は、組成物の総重量の約5~約15重量%である。組成物中の崩壊剤の好ましい量は、組成物の総重量の約8~12重量%である。
【0147】
界面活性剤は、2相間の界面張力を低下させる物質とみなすことができる。界面活性剤は、活性薬剤の可溶化を促進し、結晶化を防止し、相分離を防止するために加えることもできる。
【0148】
一般的な界面活性剤は、アルキル硫酸塩(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)、アルキルトリメチルアンモニウム塩、アルコールエトキシレートなどである。
【0149】
本発明の一つの好ましい実施形態及び/又はそれの実施形態において、口当たりの良い咀嚼動物用剤形に含まれる界面活性剤はラウリル硫酸ナトリウムであり、0.1~10.0重量%の範囲、好ましくは約2重量%であることができる。
【0150】
口当たりの良い咀嚼剤形は、流動促進剤及び滑沢剤である少なくとも一つの獣医学的に許容される賦形剤を含む。
【0151】
流動促進剤は、流動性を改善するために使用できる。伝統的にタルクが流動促進剤として使用されてきたが、現在ではほぼ完全にコロイダルシリカに置き換えられている。
【0152】
口当たりの良い咀嚼剤形中の流動促進剤の量は、錠剤の総重量の約0.1~0.75重量%である。本発明の一つの好ましい実施形態及び/又はそれの実施形態において、口当たりの良い咀嚼剤形中に含まれる流動促進剤は、0.15~0.3重量%の範囲であることができる。
【0153】
滑沢剤は、一般に静止摩擦、滑り摩擦及び転がり摩擦などの摩擦を低減するのに適した物質と見なすことができる。
【0154】
滑沢剤は、好ましくはステアリン酸塩又は脂肪酸であり、より好ましくはステアリン酸マグネシウムなどのステアリン酸アルカリ土類金属塩である。本発明の一つの好ましい実施形態及び/又はそれの実施形態において、口当たりの良い咀嚼剤形に含まれる滑沢剤は、0.1~10.0重量%、好ましくは0.2~1%の範囲であり得る。
【0155】
口当たりの良い咀嚼剤形は、着色剤である少なくとも一つの獣医学的に許容される賦形剤を含むことができる。着色剤を組成物に添加して、その物理的外観を向上させることができる。
【0156】
組成物中の着色剤の量は、錠剤の総重量の約0.1重量%~約2重量%、好ましくは約0.9重量%~1.5重量%である。
【0157】
口当たりの良い咀嚼剤形は、少なくとも一つの溶媒を使用して調製される。
【0158】
溶媒は、個別の造粒成分を調製するための溶解、懸濁、及び混合操作に使用される。顆粒は次の処理の前に乾燥されるため、溶媒は顆粒から蒸発する。
【0159】
しかしながら、残留溶媒が、最終的な組成ブレンド及び/又は圧縮錠中に存在する可能性がある。残留溶媒は時間の経過とともにさらに蒸発する可能性がある。溶媒には、水、エタノール、及びそれらの混合物などがある。
【0160】
口当たりの良い咀嚼剤形は、一般的な造粒、混合、粉砕、ふるい分け、及び圧縮手順によって調製される。
【0161】
モキシデクチンを造粒するために湿式造粒プロセスが開発された。モキシデクチンは、造粒プロセス時に他の有効成分(フルララネル及びパモ酸ピランテル)から物理的に分離され、それによってモキシデクチン粒子の周囲に物理的バリアが形成される。
【0162】
口当たりの良い咀嚼剤形は次のように調製される。
【0163】
a.1)イソオキサゾリン化合物及びパモ酸ピランテルを、崩壊剤、充填剤、着色剤及び界面活性剤とドライブレンドし;2)溶媒及びセルロース系ポリマーの溶液を調製し;3)高剪断ミキサー造粒機中で前記フルララネル及びパモ酸ピランテルのドライブレンドを前記溶液と混合することで、イソオキサゾリン-ピランテル顆粒を製造し;4)前記イソオキサゾリン-ピランテル顆粒を乾燥及び粉砕することでイソオキサゾリン及びパモ酸ピランテル顆粒を製造する。
【0164】
b.1)多孔質シリカ、充填剤及びアルカリ化剤、特には炭酸マグネシウムをドライブレンドし;2)非セルロース系ポリマー及び酸化防止剤とともにモキシデクチンを溶媒に溶かし;4)高剪断ミキサー造粒機中で、前記ドライブレンドを前記モキシデクチン溶液と混合して、モキシデクチン顆粒を製造し;4)前記モキシデクチン顆粒を乾燥及び粉砕することで、モキシデクチン顆粒を製造する。
【0165】
c.1)香味料を充填剤、崩壊剤、着色剤、流動促進剤と混合して混合物を調製し;2)前記イソオキサゾリン-パモ酸ピランテル顆粒及びモキシデクチン顆粒をその混合物と混合し;3)前記混合物を滑沢剤と混合し、そのブレンドを圧縮して完成した口当たりの良い咀嚼錠とすることで、最終ドライブレンドを製造する。
【0166】
最終的な組成物ブレンドは一般的なブレンドであり、有効成分の一貫した重量%分布を有する各種大きさ及び形状の咀嚼動物用剤形としての錠剤を製造するのに使用できる。その圧縮錠を包装する。
【0167】
1実施形態において、口当たりの良い咀嚼剤形は、約12.5重量%のフルララネルを含む。錠剤の強度及び大きさは、異なる量のフルララネルを含む。例えば、各錠剤は、約1mg~約800mgのフルララネルを含むことができる。1態様において、当該錠剤は、フルララネル約10mg、12.5mg、15mg、20mg、25mg、30mg、40mg、50mg、60mg,70mg、75mg、80mg、90mg、100mg、150mg、200mg、300mg、400mg、500mg、600mg、700及び約800mgを含むことができる。
【0168】
口当たりの良い咀嚼剤形中のフルララネルの好ましい量は、約25mg/錠、50mg/錠、100mg/錠、200mg/錠、400mg/錠、及び600mg/錠である。異なる錠剤強度での投与量を用いて、各動物が約1~35mg/kg、好ましくは約5~25mg/kgの用量のフルララネル投与を受けることができるように、異なる体重の動物に適応させる。1実施形態において、その用量は、8~15mg/kg、特別には10mg/kgである。
【0169】
口当たりの良い咀嚼剤形は、錠剤の総重量に対して約0.03重量%(すなわち、約0.031重量%)のモキシデクチンを含む。錠剤の強度及び大きさは、異なる量のモキシデクチンを含む。例えば、錠剤は、モキシデクチン約0.01mg~約3.6mgを含むことができる。好ましくは、錠剤は、モキシデクチン約0.01mg、0.03mg、0.06mg、0.08mg、1.0mg、又は約1.2mgを含むことができる。
【0170】
モキシデクチンの好ましい量は、約0.0625mg/錠、0.125mg/錠、0.25mg/錠、0.5mg/錠、1mg/錠、及び1.5mg/錠である。異なる錠剤強度中の投与量を用いて、各動物が約25μg/kg、好ましくは約0.025~約0.05mg/kgの用量のモキシデクチン投与を受けることができるように、異なる体重の動物に適応させる。
【0171】
口当たりの良い咀嚼剤形は、錠剤の総重量に対して約18重量%のパモ酸ピランテル(6.25%ピランテルに相当)を含む。当業者は、ピランテルの量から、必要なパモ酸ピランテル量を計算することができる。錠剤強度は、異なる量のパモ酸ピランテルを含むことができる。例えば、各錠剤は、パモ酸ピランテル約15mg~約1000mgを含むことができる。
【0172】
ピランテルの好ましい量は、12.5mg/錠、25mg/錠、50mg/錠、100.mg/錠、200mg/錠、及び300mg/錠である。異なる錠剤強度中の投与量を用いて、各動物が約4.0~約10.0mg/kgの用量のピランテル、好ましくは約5mg/kgの用量のピランテル投与を受けることができるように、異なる体重の動物に適応させる。
【0173】
打錠組成物用の各活性剤(フルララネル、モキシデクチン、及びピランテル)の好ましい錠剤強度には、1)フルララネル約25mg、モキシデクチン0.0625mg、及びピランテル塩基12.5mg(パモ酸ピランテル36mg);2)フルララネル約50mg、モキシデクチン0.125mg、及びピランテル塩基25mg(パモ酸ピランテル72mg);3)フルララネル約100mg、モキシデクチン0.25mg、及びピランテル塩基50mg(パモ酸ピランテル144mg);4)フルララネル約200mg、モキシデクチン0.50mg、及びピランテル100mg(パモ酸ピランテル288mg);5)フルララネル約400mg、モキシデクチン1mg、及びピランテル塩基200mg(パモ酸ピランテル576mg);及び6)フルララネル約600mg、モキシデクチン1.5mg、及びピランテル塩基300mg(パモ酸ピランテル864mg)などがある。
【0174】
錠剤重量は、25mgフルララネル錠の場合の約200mg~600mgフルララネル錠の場合の約4800mgの範囲である。
【0175】
口当たりの良い咀嚼剤形及び異なる大きさ/強度の錠剤は、約10mg/kg~20mg/kgフルララネル、約25μg/kg~約50μg/kgモキシデクチン、及び約5mg/kg~約10mg/kgピランテルの用量を提供する。
【0176】
口当たりの良い咀嚼剤形の硬度を、実際の実験室又は製造錠剤硬度テスター装置によって測定して、錠剤の破壊点及び構造的完全性を求めることができる。錠剤の硬度値は、約20N~約500Nの範囲である。例えば、3mg、6mg、12mg、24mg、48mg、及び72mg錠の錠剤硬度は、それぞれ約30~70N、40~120N、60~150N、100~250N、140~300N、及び200~400Nの範囲である。
【0177】
個々の硬錠剤重量は、約200mg、400mg、800mg、1600mg、3200mg、及び4800mgである。硬度尺度の単位はNはニュートンであり、錠剤を破壊するのに要する力の尺度である。1Nは1kg*m/sに相当する。
【0178】
硬度は、錠剤の形状、表面積、厚さ、活性剤、賦形剤及び圧縮力など(これらに限定されるものではない)の要素の組み合わせに基づくものである。錠剤の大きさに応じて、錠剤硬度は約20N~500Nの範囲である。力の単位はキロポンド(kp)で定義することもでき、1kp=9.80665Nである。
【0179】
別の実施形態において、大環状ラクトン、特に本発明に従って安定化されたモキシデクチンを含む顆粒を、モキシデクチンを、軟咀嚼動物用剤形中にモキシデクチン顆粒の形態で組み込むプロセスに使用される。
【0180】
したがって、代替の1実施形態において、本発明は、本願に記載のように安定化された、本出願に記載のモキシデクチン顆粒を含む、口当たりの良い軟咀嚼組成物に関する。このような口当たりの良い軟咀嚼組成物は、本明細書に記載の圧縮錠の硬度より低い硬度を有する。このような軟咀嚼組成物は当技術分野で知られており、成形又は押出によってそのような剤形を製造するプロセスは従来技術に記載されている。
【0181】
本発明の口当たりの良い咀嚼剤形は、哺乳動物(ヒトなど)に寄生する寄生虫と戦うのに特に適している。哺乳動物対象には、霊長類(例えば、サル)、ウマ科(例えば、ウマ)、イヌ科(例えば、イヌ)、ネコ科(例えば、飼い猫)などがある。
【0182】
本発明の一部の実施形態において、口当たりの良い咀嚼剤形を投与して、動物の寄生虫症を治療する(又は動物の寄生虫症を治療するための薬剤を製造する)。「寄生虫症」という用語には、例えば、貧血及びノミアレルギー性皮膚炎などの、直接1以上の外部寄生虫に関連する、又はそれによって引き起こされる病的状態及び疾患が含まれる。これにはまた、例えば、ライム病、エールリヒア症(特にイヌエールリヒア症)、及び媒介ダニによるロッキー山紅斑熱などの、1以上のベクター媒介病原体に関連する、又はそれによって引き起こされる病的状態又は疾患も含まれる。
【0183】
本発明はまた、動物体内及び/又は動物体表上の外部寄生虫を防除するという少なくとも付随的な目標が、その動物が(定期的又は継続的に)占有している環境における外部寄生性侵入を制御することである治療方法に関する。一部のそのような実施形態において、例えば、動物は伴侶動物(例えば、ネコ又はイヌ)である。環境は、例えば、家その他の住まい、部屋、囲い、小屋又は収容手段、寝具などであることができる。
【実施例
【0184】
本発明を以下の組成例によってさらに説明するが、これは本発明をさらに例示するものであり、本発明の範囲を限定することを意図するものではなく、またそのように解釈されるべきものではない。
【0185】
フルララネル、モキシデクチン、及びパモ酸ピランテルを含有する、口当たりが良い硬咀嚼組成物を調製し、口当たりの良さ、安定性及び薬物動態について評価した。
【0186】
実施例1は、安定な口当たりの良い組成物の1例を説明するものである。
【0187】
実施例1.組成物
【表3】
【0188】
咀嚼錠の製造に、単一の錠剤ブレンドを使用する。
【0189】
錠剤の製造には、モキシデクチン有効成分を含む顆粒と、イソオキサゾリン、例えばフルララネル及びピランテル有効成分を含む第2の顆粒の製造を含む。
【0190】
次に、これら二つの顆粒を顆粒外(extra-granular)材料と混合し、圧縮する。
【0191】
パートA:フルララネル及びピランテル顆粒
フルララネル、パモ酸ピランテル、微結晶セルロース、ラウリル硫酸ナトリウム、クロスカルメロースナトリウム及び褐色顔料ブレンドを篩にかけ、高せん断ミキサー造粒機で混和して乾燥混合物を形成した。
【0192】
ヒプロメロースを、精製水に撹拌しながら溶解させ、結合剤溶液を調製した。その乾燥混合物を、結合剤溶液を用いて造粒した。湿った塊を流動床装置で乾燥させた。乾燥顆粒を粉砕し、篩にかけた。
【0193】
パートB-モキシデクチン顆粒:
ポロキサマー188をエタノールにゆっくりと加えることによってモキシデクチン溶液を調製した。それに、精製水をエタノールと水の比率(80:20)(40重量%)で加えて、透明溶液を得た。分注量のブチル化ヒドロキシトルエンを、その透明溶液に加えた。BHTが溶解した後、分注量のモキシデクチンを溶液に添加し、透明溶液が形成されるまで撹拌した。
【0194】
微結晶セルロース(Ceolus UF711)、Neusilin US2、軽質炭酸マグネシウム、及びヒプロメロースを篩にかけ、ミキサー造粒機で混和した。乾燥混合物材料を、モキシデクチン溶液を用いて顆粒とした。湿混合物を流動床装置で乾燥させ、モキシデクチン顆粒を粉砕して篩にかけた。
【0195】
パートC:顆粒外(extra-granular)材料:
段階1:パートA及びパートBの顆粒をバッチサイズに従って分注した。
【0196】
褐色顔料ブレンド、微結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウム、ポークレバーフレーバー、及びコロイド状二酸化ケイ素を混和し、篩にかけた。
【0197】
パートA顆粒とパートB顆粒の混合:
フルララネル顆粒及びパモ酸ピランテル顆粒及びモキシデクチン顆粒を秤取し、顆粒外(extra-granular)材料及びステアリン酸マグネシウムと混和し、圧縮のために最終混合物を調製した。ブレンドを圧縮して、完成した口当たりの良い咀嚼錠とした。
【0198】
【表4】
【0199】
【0200】
【0201】
【0202】
【0203】
【0204】
実施例2:口当たりの良さの評価
目的:ビーグルタイプのイヌにおける各種風味の咀嚼錠の経口許容性を確認すること。
【0205】
試験項目:
三つの異なるプラシーボ咀嚼錠(A、F、G)。
錠剤Aは、8%のポークレバーフレーバーを含んでいた。
錠剤Fは、12%ポークレバーフレーバーを含んでおり、ビール酵母もNaClも含まなかった。
錠剤Gは、8%ポークレバーフレーバーを含んでおり、ビール酵母もNaClも含まなかった。
錠剤F及びGは、1%のアルカリ化剤である炭酸マグネシウム(モキシデクチン顆粒中4%炭酸マグネシウムに相当)を含んでいた。
【0206】
本出願に記載された方法と同様にして、プラシーボ咀嚼錠を製造した。
【0207】
表1:組成物試験製剤
【表5】
【0208】
イヌ30頭が試験に参加した(群あたりイヌ10頭)。試験は6日間実施し、イヌには3種類の異なる風味の咀嚼錠(製剤A、F、G)をそれぞれ2日連続で与えた。咀嚼錠が完全に消費されたか、部分的に消費されたか、又は全く消費されなかったかに基づいて、許容性を決定した。
【0209】
結果:
許容性パーセントは、すべての咀嚼錠製剤について100%であった。この試験では、アルカリ化剤の炭酸マグネシウムが口当たりの良さに影響せず、より低いレベルの香味料が同等に有効であることをが実証された。
【0210】
結論:試験したすべての風味付け咀嚼錠で80%以上の口当たりの良さが実証された。アルカリ化剤である炭酸マグネシウムの添加は口当たりの良さに影響せず、イヌにおいて非常に高い口当たりの良さに達するのに単一の食味剤で十分である。
【0211】
実施例3
イソオキサゾリン、モキシデクチン及びピランテルの組み合わせの咀嚼製剤の経口投与後の薬物動態プロファイル
本試験の目的は、イヌに単回経口投与した後の、表3に記載の本発明によるフルララネル、モキシデクチン、及びピランテルを含む圧縮錠の血漿薬物動態プロファイルを市販の組み合わせ咀嚼錠Simparica Trio(Zoetis)、及びフルララネルのみの咀嚼製剤と比較することであった。
【0212】
試験計画:試験化合物を、用量グループあたり5頭のビーグル犬、合計15頭のイヌに経口投与した。
【0213】
表2:本発明による試験製剤の組成
【表6】
【0214】
表3:試験計画
【表7】
【0215】
各動物に、口腔奥の舌の上に咀嚼錠又は噛み物(chew)を置くことで、それを投与して、嚥下を開始させた。
【0216】
採取した血液検体から血漿を得て、試験化合物(R-フルララネル、S-フルララネル、モキシデクチン、及びピランテル)の濃度を分析した。分析のために、すべてのイヌから個々の血液検体(検体あたり約3mL)を、頚静脈又は橈側皮静脈穿刺によってEDTA管に採取した。血液検体は、次の時点:処置前(投与前2時間以内)及び投与後約2、4、8(±15分)、24、48(±30分)、72、168、336、及び720(±60分)時間で採取した。
【0217】
結果:
フルララネル
・AUCtlast、Tmax及び半減期は、全ての処置群で同等であった。
【0218】
モキシデクチン
・Cmaxは、試験製剤と比較して競合錠剤の方が若干高かった。
・AUCtlastは、競合剤と比較して試験製剤の方が若干高かった。
・Tmaxは、全ての処置群で同等であった。
・半減期は、比較剤と比較して試験製剤の方が高かった。
・ピランテル Cmaxは、競合錠剤と比較して試験製剤の方が若干高かった。
・AUCtlastは、競合錠剤と比較して試験製剤の方が若干高かった。
・Tmax及び半減期は、全ての処置群で同等であった。
【0219】
表4 フルララネル比較
【表8】
【0220】
表5 モキシデクチン及びピランテル比較
【表9】
【0221】
酸加水分解を促進し、最も一般的に観察される二つの分解生成物である23-ケトネマデクチンと23-Zモキシデクチンを生成する薬剤の存在下でモキシデクチンが比較的不安定であることが知られていることを考慮すると、この効果を最小とするような形で製剤を最適化する取り組みを行った。
【0222】
モキシデクチンは分解されやすいため、モキシデクチンをさらに保護し、安定性の問題を軽減するために、ポリマー、pH調整剤、錯化剤及び吸着剤の各種組み合わせを評価した。ポリマーには、ポロキサマー188(P188)及びヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)を含め;錯化剤にはHP-β-シクロデキストリンを含め;吸着剤にはメタケイ酸アルミン酸マグネシウム及び多孔質微結晶セルロースを含め;pH調整剤には、クエン酸ナトリウム、炭酸マグネシウム、メグルミン、アルギニン及びトロメタミンを含めた。
【0223】
モキシデクチン造粒では、ポリマー、吸着剤、アルカリ化剤の各種組み合わせをスクリーニングした。ポリマーには、HP-β-シクロデキストリン、ポロキサマー188(P188)、及びヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)が含まれ;吸収剤にはメタケイ酸アルミン酸マグネシウム(Neusilin US2)及び微結晶セルロース(Ceolus UF711)が含まれ;アルカリ化剤には、クエン酸ナトリウム、炭酸マグネシウム、メグルミン、アルギニン及びトロメタミンが含まれる。
【0224】
モキシデクチン顆粒をフルララネル-ピランテル顆粒と混合し、少なくとも一つの獣医学的に許容される賦形剤を添加し、圧縮し、加速(40℃/75%RH)安定性条件下に置いた。
【0225】
これらの試験から、モキシデクチンは、無機アルカリ化剤、多孔質シリカ及びそれらの混合物からなる群から選択される獣医学的に許容される賦形剤を含む安定化成分を使用せずに、著しく分解することが認められた。したがって、本発明の1態様は、モキシデクチンに安定性を提供する、モキシデクチン造粒プロセスにおける、親水性ポリマー、無機アルカリ化剤、多孔質シリカ及びそれらの混合物からなる群から選択される獣医学的に許容される賦形剤を含む安定化成分の使用である。
【0226】
ポロキサマー188(P188)、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム(Neusilin US2)、及び炭酸マグネシウムの組み合わせが、モキシデクチンの安定化に最も効果的であることが認められた。
【0227】
ポロキサマー188(9.375%)+Neusilin US2(6.250%)+炭酸マグネシウム(錠剤中0.5~1%)の組み合わせが、2か月時点で、HP-β-シクロデキストリン(1.00%)+ノイシリン US2(8.47%)及びHPMC(2.00%)+クエン酸ナトリウム(0.75%)と比較して、モキシデクチンの安定化に最も効果的であることが認められた。
【0228】
次に、乾燥形態としてプレミックスに添加された炭酸マグネシウムを含む高ポロキサマー:モキシデクチン(288:1)溶液(モキシデクチン顆粒中4%)及びNeusilin-Ceolusに吸着させ、炭酸マグネシウム(モキシデクチン顆粒中2%)でアルカリ化した低ポロキサマー:モキシデクチン(200:1)溶液を評価して、圧縮錠中のモキシデクチンの安定性に対する効果を測定した。3か月の加速安定条件下で、これらの組み合わせは、モキシデクチンを安定化するのに効果的であり、錠剤中の分解物が低レベルであること(ケトモキシデクチンについては0.6、Z-モキシデクチンについては0.7)が認められた。
【0229】
分解物は低レベルとなったが、至適レベルの炭酸マグネシウムをさらに評価した。最良の安定性は、高ポロキサマー:モキシデクチン(288:1)溶液(モキシデクチン顆粒中に18.75%のポロキサマー)及びプレミックス中乾燥形態として添加された至適レベルの炭酸マグネシウムによって達成された。モキシデクチン顆粒中の炭酸マグネシウムの量は約2~6重量%であり;好ましい量は約4~6重量%であり;最も好ましい量は約6重量%である。
【0230】
ポロキサマー、Neusilin及び炭酸マグネシウムを用いて製造された圧縮錠についての6ヶ月安定性試験により、加速安定性条件下で合計モキシデクチン分解率が約2~4%であることが明らかになった。
【0231】
最終組成物において、炭酸マグネシウムの量は、総錠剤重量の約0.5~1.5重量%;より好ましくは総錠剤重量の約1.0~1.5重量%;さらにより好ましくは総錠剤重量の約1.2~1.5重量%である。
【0232】
モキシデクチン分解をさらに低減するために、酸化防止剤、BHTをモキシデクチン顆粒に加えた。モキシデクチン顆粒中のBHTの量は、約0.1~1.0重量%;好ましくは約0.2~0.8重量%;より好ましくは約0.3~0.6重量%;及び最も好ましくは約0.3~0.5重量%であり、それは総錠剤重量の約0.1重量%を占める。
【0233】
ある安定性試験では、最終圧縮錠における25℃/60%RH及び40℃/75%RHでのモキシデクチン安定性を、下記の表1に示している。
【0234】
別の安定性試験では、最終圧縮錠における30℃/65%RH及び40℃/75%RHでのモキシデクチン安定性を表2に示している。安定性結果は、初期/6ヶ月結果を表す。
【0235】
25mg-F錠剤は、フルララネル25mg、モキシデクチン0.0625mg、及びピランテル12.5mgを表す。50mg-F錠剤は、フルララネル50mg、モキシデクチン0.125mg、及びピランテル25mgを表す。100mg-F錠剤は、フルララネル100mg、モキシデクチン0.25mg、及びピランテル50mgを表す。200mg-F錠剤は、フルララネル200mg、モキシデクチン0.50mg、及びピランテル100mgを表す。400mg-F錠剤は、フルララネル400mg、モキシデクチン1mg、及びピランテル200mgを表す。600mg-F錠剤は、フルララネル600mg、モキシデクチン1.5mg、及びピランテル300mgを表す。
【0236】
【表10】
【0237】
【表11】
【0238】
40℃/75%RHでのポロキサマー188レベル試験の安定性結果
モキシデクチンの安定性に対する異なる濃度のポロキサマー188の影響を評価するために、試験を実施した。0重量%(ポロキサマーなし)、4.688重量%、及び11.25重量%の濃度を、製剤で評価した。試験の詳細を表8で提供している。
【表12】
【0239】
ポロキサマーを含まない製剤は、初期時間点でモキシデクチンアッセイでの大幅な低下(86.1%LC)及び高い関連物質レベル(2.5%23ケトネマデクチン;0.8%23Zモキシデクチン)を示し、次に貯蔵時にモキシデクチンの急速な損失を示した。結果は、ポロキサマー188がモキシデクチン分解の抑制において有用であることを示す証拠を提供するものである。
【国際調査報告】