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特表2024-523475安定的な耐電圧特性を有するスリム型磁気結合装置
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  • 特表-安定的な耐電圧特性を有するスリム型磁気結合装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-28
(54)【発明の名称】安定的な耐電圧特性を有するスリム型磁気結合装置
(51)【国際特許分類】
   H01F 27/29 20060101AFI20240621BHJP
   H01F 17/04 20060101ALI20240621BHJP
   H01F 27/00 20060101ALI20240621BHJP
   H01F 27/32 20060101ALI20240621BHJP
   H01F 38/42 20060101ALI20240621BHJP
【FI】
H01F27/29 N
H01F27/29 P
H01F17/04 A
H01F27/00 R
H01F27/32 150
H01F38/42 P
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023578993
(86)(22)【出願日】2022-06-29
(85)【翻訳文提出日】2023-12-21
(86)【国際出願番号】 KR2022009310
(87)【国際公開番号】W WO2023277570
(87)【国際公開日】2023-01-05
(31)【優先権主張番号】10-2021-0086204
(32)【優先日】2021-07-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517099982
【氏名又は名称】エルジー イノテック カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100219265
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 崇大
(74)【代理人】
【識別番号】100203208
【弁理士】
【氏名又は名称】小笠原 洋平
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(72)【発明者】
【氏名】イ,ジュンウン
(72)【発明者】
【氏名】キム,ビイ
(72)【発明者】
【氏名】ベ,ソク
【テーマコード(参考)】
5E044
5E070
【Fターム(参考)】
5E044BA03
5E044BB09
5E044CA07
5E070AA01
5E070AA11
5E070AB03
5E070EA06
5E070EB02
(57)【要約】
本発明の一実施例による磁気結合装置は、上面、前記上面と向き合う下面、及び前記上面と前記下面との間に配置された外面を含み、前記外面の内側に配置され、前記上面から前記下面に向かって凹んでいる溝部、及び前記外面に第1方向に離隔して配置された第1端子部及び第2端子部を含む第1ボビンと、前記溝部上に配置され、磁性体コアを収容する第2ボビンと、前記第2ボビンに巻線され、前記第1方向に互いに離隔した第1コイル及び第2コイルと、を含み、前記第1コイルは、前記第2ボビンに巻線された第1巻線部、及び前記第1巻線部から前記第1ボビンの外面上に延びて前記第1端子部と結合された第1延長部を含み、前記第2コイルは、前記第2ボビンに巻線された第2巻線部、及び前記第2巻線部から前記第1ボビンの外面上に延びて前記第2端子部と結合された第2延長部を含む。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面、前記上面と向き合う下面、及び前記上面と前記下面との間に配置された外面を含み、前記外面の内側に配置され、前記上面から前記下面に向かって凹んでいる溝部、及び前記外面に第1方向に離隔して配置された第1端子部及び第2端子部を含む第1ボビンと、
前記溝部上に配置され、磁性体コアを収容する第2ボビンと、
前記第2ボビンに巻線され、前記第1方向に互いに離隔した第1コイル及び第2コイルと、を含み、
前記第1コイルは、前記第2ボビンに巻線された第1巻線部、及び前記第1巻線部から前記第1ボビンの外面上に延びて前記第1端子部と結合された第1延長部を含み、
前記第2コイルは、前記第2ボビンに巻線された第2巻線部、及び前記第2巻線部から前記第1ボビンの外面上に延びて前記第2端子部と結合された第2延長部を含む、磁気結合装置。
【請求項2】
前記第2ボビンは、一対の隔離突起を含み、
前記第1巻線部と第2巻線部とは前記一対の隔離突起によって隔離される、請求項1に記載の磁気結合装置。
【請求項3】
前記それぞれの端子部は、前記隔離突起に対する前記第1コイル又は第2コイルの最外郭で前記一対の隔離突起を連結した仮想の直線に平行な仮想の平行線に整列されて配置される、請求項2に記載の磁気結合装置。
【請求項4】
前記第1ボビンは、前記溝部から両側に延びた一対のボビン延長部を含み、
前記それぞれのボビン延長部の中央部は、所定の方向に前記溝部から最外郭までの距離が前記第1端子部又は第2端子部の長さよりも小さい、請求項1に記載の磁気結合装置。
【請求項5】
前記ボビン延長部の前記中央部には第2隔離突起が形成される、請求項4に記載の磁気結合装置。
【請求項6】
前記それぞれの端子部は、前記第1ボビンの前記上面及び前記下面と前記外面を取り囲むように前記第1ボビンに設けられる、請求項1に記載の磁気結合装置。
【請求項7】
前記それぞれの延長部は、前記外面と前記端子部との間に挿入される、請求項6に記載の磁気結合装置。
【請求項8】
前記第1ボビンは、第3端子部及び第4端子部をさらに含み、
前記第1~第4端子部のそれぞれは前記溝部の外郭の各四分面領域に配置される、請求項1に記載の磁気結合装置。
【請求項9】
第1延長部及び第2延長部のそれぞれは前記溝部の外側に出て次第に増加する角度に互いに広がりながら延びて前記第1端子部及び第2端子部に接続される、請求項1に記載の磁気結合装置。
【請求項10】
前記第1ボビンは、外面にガイド溝部をさらに含む、請求項1に記載の磁気結合装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はスリム型磁気結合装置、特に、例示的にインダクタ又はトランスフォーマーなどのような磁性部品に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、TVスリム化が加速化するのに伴って、磁性部品のスリム化も大きく要求されており、そのような要求に応じるように実装面積を縮小し、価格競争力を確固にするために部品のサイズが段々小型化している趨勢である。
【0003】
ところが、そのような磁性部品の小型化によって耐電圧特性が不安定になり、発熱などの問題が発生しているので、これに対する改善が必要な実情である。
【0004】
例示として、図1は、円筒ドーナツ形に形成され、内部にコアを収容する第2ボビン1aと、第2ボビン1aの中央部を間に挟んで両側に巻線された第1コイル2a及び第2コイル2bと、第2ボビン1aとは分離されて形成された構造を有し、第2ボビン1aに第1及び第2コイル2a、2bが巻線された状態で収容することができるように溝部が中央に形成され、溝部の両側に延び、複数の端子が設けられたボビン延長部を含む第1ボビン1bと、を含む従来のEMIフィルターを示す。
【0005】
このような従来のEMIフィルターは、特に端子部分が両側端にそれぞれ集中しているので、次のような問題がある。
【0006】
1)第1コイル及び第2コイルの一側の一対の延長部が接続される一対の端子の間(3aと3dとの間、3bと3cとの間)の距離が小さくなるので、小型化によって耐電圧特性が一層不安定になる問題。
【0007】
2)空間上の問題で十分な端子面積を確保しにくく、よって、端子サイズの増加の際、全体部品サイズが増加し、耐電圧特性が一層低下する。
【0008】
3)一側方向の長さw1が相対的に大きくなるしかないので、小型化に限界がある問題。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は前述した従来の問題のうちの少なくとも一つを解決することを目的とする。
【0010】
すなわち、小型化構造に適しており、端子間の十分な距離確保によって安定的で向上した耐電圧特性を有する磁気結合装置又は磁性部品を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一実施例による磁気結合装置は、上面、前記上面と向き合う下面、及び前記上面と前記下面との間に配置された外面を含み、前記外面の内側に配置され、前記上面から前記下面に向かって凹んでいる溝部、及び前記外面に第1方向に離隔して配置された第1端子部及び第2端子部を含む第1ボビンと、前記溝部上に配置され、磁性体コアを収容する第2ボビンと、前記第2ボビンに巻線され、前記第1方向に互いに離隔した第1コイル及び第2コイルと、を含み、前記第1コイルは、前記第2ボビンに巻線された第1巻線部、及び前記第1巻線部から前記第1ボビンの外面上に延びて前記第1端子部と結合された第1延長部を含み、前記第2コイルは、前記第2ボビンに巻線された第2巻線部、及び前記第2巻線部から前記第1ボビンの外面上に延びて前記第2端子部と結合された第2延長部を含む。
【0012】
本発明の少なくとも一実施例で、前記第2ボビンは、一対の隔離突起を含み、前記第1巻線部と第2巻線部とは前記一対の隔離突起によって隔離される。
【0013】
本発明の少なくとも一実施例で、前記一対の隔離突起を連結した仮想の直線に対して、前記第1延長部及び第2延長部が前記溝部から出ながら成す出発角度は25°以上である。
【0014】
また、前記出発角度は50°以下であり得る。
【0015】
本発明の少なくとも一実施例で、前記それぞれの端子部は前記隔離突起から5mm以上離隔して設けられる。
【0016】
そして、前記それぞれの端子部は、前記隔離突起に対する前記第1コイル又は第2コイルの最外郭で前記一対の隔離突起を連結した仮想の直線に平行な仮想の平行線に整列されて配置され得る。
【0017】
本発明の少なくとも一実施例で、前記第1ボビンは、前記溝部から両側に延びた一対のボビン延長部を含み、前記それぞれのボビン延長部の中央部は、所定の方向に前記溝部から最外郭までの距離が前記第1端子部又は第2端子部よりも小さい。
【0018】
ここで、前記ボビン延長部の前記中央部には第2隔離突起が形成され得る。
【0019】
また、本発明の少なくとも一実施例で、前記第1ボビンは、前記溝部の形状に沿って少なくとも一部が外側に膨らむように形成される。
【0020】
本発明の少なくとも一実施例で、前記それぞれの端子部は、前記第1ボビンの前記上面及び下面と前記外面を取り囲むように前記第1ボビンに設けられる。
【0021】
ここで、前記それぞれの延長部は、前記外面と前記端子部との間に挿入され得る。
【0022】
本発明の少なくとも一実施例で、前記第1コイルの最後の巻線とそれと対向する前記第2コイルの最後の巻線との間の角度θ1は20~100°である。
【0023】
また、本発明の少なくとも一実施例で、前記第2ボビンの中心を基準に前記第1端子部と第2端子部とが成す角度θ2は20~100°である。
【0024】
そして、前記角度の比(θ2/θ1)は0.2~5であり得る。
【0025】
本発明の少なくとも一実施例で、前記第1ボビンは、第3端子部及び第4端子部をさらに含み、前記第1~第4端子部のそれぞれは前記溝部の外郭の各四分面領域に配置される。
【0026】
本発明の少なくとも一実施例で、第1延長部及び第2延長部のそれぞれは前記溝部の外側に出て次第に増加する角度に互いに広がりながら延びて前記第1端子部及び第2端子部に接続される。
【0027】
本発明の少なくとも一実施例で、前記第1ボビンは、外面にガイド溝部をさらに含む。
【0028】
ここで、前記ガイド溝部は、第1ガイド溝部及び第2ガイド溝部をさらに含み、前記第1延長部及び第2延長部のそれぞれは、前記第1ガイド溝部及び第2ガイド溝部に配置され得る。
【0029】
また、前記ガイド溝部は、前記第2ボビンが配置される前記溝部と連結され得る。
【0030】
本発明の少なくとも一実施例で、前記第1ボビンは、前記溝部から放射方向に延び、前記それぞれの端子部が設けられた放射状延長部を含む。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、小型化に適した磁性部品を得ることができる。
【0032】
また、本発明による磁気結合装置又は磁性部品は、小型化にもかかわらず、耐電圧特性を安定的に確保する。
【0033】
本発明の追加的な効果は後述する本発明に対する実施例によって当業者に明らかに理解可能であろう。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】従来の磁性部品としてEMIフィルターを示す図である。
【0035】
図2】本発明の一実施例としてEMIフィルターを示す図である。
【0036】
図3図2のA-A線についての断面図である。
【0037】
図4】本発明の第2実施例としてEMIフィルターの一部を示す図である。
【0038】
図5】本発明の第3実施例としてEMIフィルターの一部を示す図である。
【0039】
図6】本発明の第4実施例としてEMIフィルターの一部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
本発明は多様な変更を加えることができ、さまざまな実施例を有することができるが、ここでは特定の実施例を図面に例示しながら説明しようとする。しかし、これは本発明を特定の実施形態に限定しようとするものではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれるすべての変更、均等物乃至代替物を含むものと理解しなければならない。
【0041】
本明細書で使う接尾辞「モジュール」及び「部」は単に構成要素の間に名称の区分のみのために使うものであるだけで、物理化学的に区分又は分離されているか又はそのように区分又は分離できることを前提とするものと解釈してはいけない。
【0042】
「第1」、「第2」などのように序数を含む用語は多様な構成要素を説明するのに使うことができるが、前記構成要素は前記用語に限定されない。前記用語は一構成要素を他の構成要素と区別する目的のみで使う。
【0043】
「及び/又は」という用語はその対象となる複数の項目のすべての組合せの場合を含むために使う。例えば、「A及び/又はB」は「A」、「B」、及び「A及びB」の3種の場合を全部含む意味である。
【0044】
ある構成要素が他の構成要素に「連結される」又は「接続される」と言及したときには、その他の構成要素に直接的に連結されるか又は接続されることもできるが、中間にさらに他の構成要素が存在することもできると理解しなければならないであろう。
【0045】
実施例の説明において、各層(膜)、領域、パターン又は構造が基板、各層(膜)、領域、パッド又はパターンの「上(on)」に又は「下(under)」に形成されるという記載は、直接(directly)形成されるか又は他の層を介在して形成されるものを全部含む。また、「上」又は「下」に対する基準は、構成要素のそれぞれ又はそれらの間の属性又は明細書で他に表現しない限り、原則的に便宜上図面に示す状態を基準にし、構成要素の間の相対的な位置関係を便宜上示すために使うだけで、実際の構成要素の位置を限定するものと理解してはいけない。例えば、「の上にB」は、他に言及しないか又はAやBの属性上AがBの上に位置しなければならない場合ではない限り、図面上でAの上にBが示されていることを示すものであるだけで、実際の実施製品などではBがAの下に位置することもでき、BとAが横方向に左右に配置されることもできるものである。
【0046】
また、図面で、各層(膜)、領域、パターン又は構造物の厚さや大きさは説明の明確性及び便宜性のために変形され得るので、実際の大きさをそのまま反映するものではない。
【0047】
本出願で使用する用語は単に特定の実施例を説明するために使用するものであり、本発明を限定しようとするものではない。単数の表現は、文脈上明白に他に指示しない限り、複数の表現を含む。本出願で、「含む」又は「有する」などの用語は明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品又はこれらの組合せが存在することを指定しようとするものであり、一つ又はそれ以上の他の特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品又はこれらの組合せの存在又は付加の可能性を予め排除しないものと理解しなければならない。
【0048】
特に他に定義しない限り、技術的又は科学的な用語を含めてここで使う全ての用語は本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者が一般的に理解しているものと同じ意味を有する。一般的に使用される辞書に定義されているもののような用語は関連技術の文脈上で有する意味と一致する意味を有するものと解釈しなければならなく、本出願で明白に定義しない限り、理想的に又は過度に形式的な意味と解釈されない。
【0049】
図2は本発明の一実施例として具現されたEMIフィルターを示し、図3図2のA-A線についての断面を示す。
【0050】
本実施例のEMIフィルターは、第2ボビン10と、第1ボビン20と、第1コイル40と、第2コイル50と、を含む。
【0051】
第2ボビン10は第1ボビン20とは分離されて形成され、その内部に磁性体コア(図示せず)を収容する。磁性体コアは、例示として非晶質リボンが巻物のように巻かれて形成された構造を有することができる。
【0052】
第2ボビン10は略円形のドーナツ形態を有し、およそ中央に一対の隔離突起11a、11bが形成される。
【0053】
前記一対の隔離突起11a、11bによって第2ボビン10は第1領域(図面上の上部領域)と第2領域(図面上の下部領域)とに分割され、両領域は、前記隔離突起11a、11bによって、前記第1コイル40及び第2コイル50の巻線の観点で隔離される。
【0054】
第2ボビン10は、断面U字形の下部と、断面逆U字形の上部とを含むことができ、磁性体コアを内部に収容した後、前記上部及び下部が重なって結合された構造を有することができる。
【0055】
第2ボビン10において、一側領域である前記第1領域には第1コイル40が巻線され、第2領域には第2コイル50が巻線される。
【0056】
第1ボビン20は、中間に溝部21が形成され、前記第2ボビン10に前記第1コイル40及び第2コイル50が巻線された状態で、前記溝部21に着座して位置する。
【0057】
前記溝部21は、中央に貫通孔が形成され、前記孔の円周縁から半径方向外側に着座部が延設され、前記着座部の外周から所定の高さに周壁が形成された構造を有する。
【0058】
そして、第1ボビン20は、前記溝部21の両側で前記第2ボビン10の一対の隔離突起11a、11bを連結した仮想直線VLの方向に延設された第1ボビン延長部22a及び第2ボビン延長部22bを含む。
【0059】
前記両側ボビン延長部22a、22bの4ヶ所には端子部(又は端子)30a、30b、30c、30dが設けられる。図2に示すように、前記溝部21に対する各四分面の領域で前記溝部21の外郭に前記端子部30a、30b、30c、30dが設けられる。すなわち、第1四分面領域に第1端子部30aが設けられ、第2四分面領域に第3端子部30bが設けられ、第3四分面領域に第4端子部30cが設けられ、第4四分面領域に第2端子部30dが設けられる。
【0060】
第1端子部30aと第2端子部30dと、及び第3端子部30bと第4端子部30cとはそれぞれ第1方向(図2で垂直方向)に離隔して配置される。
【0061】
前記ボビン延長部22a、22bにおいて、前記隔離突起11a、11bに対応する中央部は、前記溝部21から最外郭までの距離L1が小さく形成され、前記中央部から各端子部30a、30b、30c、30dは充分に離隔して配置されることにより、その設置に対する空間上の制約を受けず、端子部30a、30b、30c、30dの上面又は下面(実装面)の面積の増大が可能である。
【0062】
すなわち、前記距離L1は前記端子部の前記仮想直線VLの方向の長さL2よりも小さく形成され、前記端子部30a、30b、30c、30dは前記ボビン延長部22a、22bにおいて前記仮想直線VLの方向の長さが十分な位置に設けられることができ、これにより、EMIフィルターにおいて仮想直線VLの方向の全長w1’をコンパクトに維持することができる。
【0063】
また、ボビン延長部22a、22bの中央部には第2隔離突起24a、24bが形成され、これにより、第1コイル40の延長部41a、41b及び第2コイル50の延長部51a、51bはより確実に隔離されることができる。
【0064】
また、第1コイル40の延長部41a、41b及び第2コイル50の延長部51a、51bのうち前記仮想直線VLを間に挟んで対向して配置される一対の延長部41a及び51a、41b及び51bはそれぞれ前記溝部21の外側に次第に増加する角度に互いに広がりながら延びてそれぞれの端子部30a、30b、30c、30dに接続される。
【0065】
本実施例で、前記一対の延長部41aと51aと、及び41bと51bとの間の最小距離dsは第2ボビン10におけるそれぞれの最後巻線(この最後巻線は端子に向かう延長部と直接連結された部分である)の位置によって決定され、その最後巻線から溝部21の外側に出て各端子部30a、30b、30c、30dに接続される部分は互いにもっと大きく離隔する。このような構造により、本実施例のEMIフィルターは、耐電圧特性を安定的に確保することができる。
【0066】
図2で、代表的な例示として、第1コイル40の左側の最後の巻線と第2コイル50の左側の最後の巻線との間の角度θ1は最小20°以上100°以下である。前記角度θ1が20°未満の場合、コイルのワイヤ間の距離が余りにも小さくて耐電圧不良が発生し、100°以上の場合、構造的に巻線空間が足りなく、巻線の際、ワイヤの間に重畳が発生して部品の全高が高くなり得る。
【0067】
また、図2で、第2ボビン10又は第1コイル及び第2コイル40、50の中心を基準に、第1コイル40側の端子30bとそれに対向する第2コイル50側の端子30cとが成す角度θ2は最小20°以上100°以下である。
【0068】
前記角度θ2が20°未満の場合、コイル延長部の接続の際、ワイヤ間の距離が小さくなって耐電圧不良が発生し、100°以上の場合、端子間の距離が大きくなり、接続の際、ワイヤの長さが長くなって抵抗が高くなる問題が発生する。
【0069】
一方、前記角度θ1、θ2の間の比(θ2/θ1)は0.2~5が好ましい。前記角度の比が0.2よりも小さければ、ワイヤの巻線空間の不足によって部品の全高が高くなることがあり、5よりも大きければ、端子間の距離が大きくなり、接続の際、ワイヤの長さが長くなって抵抗が高くなり、これは発熱に影響を及ぼし得る。
【0070】
図3は端子部30a、30b、30c、30dが第1ボビン20に設けられ、延長部41a、41b、51a、51bが接続された代表的な例であり、第3端子部30bの場合を示す。
【0071】
図3に示すように、第3端子部30bは第1ボビン20を貫通し、第1ボビン20の上面US、下面LS及び外面SSを取り囲むように設けられる。そして、第1コイル40の一側延長部41bは前記外面SSで第3端子部30bに接続される。すなわち、前記延長部41bは第1コイル40の最後の巻線から溝部21の外側に出て第1ボビン20のボビン延長部22bの上面で次第に上方に増加する角度に曲がりながら延び、前記ボビン延長部22bの外面SSに降りて前記外面SSと前記第3端子部30bとの間に挿入されて接続される。
【0072】
このような延長部41a、41b、51a、51bの端子部30a、30b、30c、30dに対する接続構造により、EMIフィルターの全厚はよりスリム化することができる。
【0073】
また、第1ボビン20において、前記仮想直線VLを間に挟む両側の外面はそれぞれ溝部21の形状に沿って少なくとも一部が外側に膨らむように形成された突部23a、23bを含む。
【0074】
本実施例のEMIフィルターは、仮想直線VLと直交する方向の全長w2’が従来の構造よりも大きくないながら、仮想直線VLの方向の全長w1’が従来の構造よりも小型化することができる。
【0075】
図4及び図5のそれぞれは前述した実施例とは異なる実施例であり、以下で同じ名称に対しては同じ符号を付けて説明する。
【0076】
まず、図4の実施例で、代表的に第1端子部30aが第2ボビン10の隔離突起11aから離隔した距離d”は5mmである。このように、第1端子部30aと隔離突起11aとの間の離隔距離d”は5mm以上が好ましい。これは、5mmよりも小さければ、耐電圧特性が2.2kVの要求条件を満たすことができない問題が発生するからである。
【0077】
また、延長部41a、51aが溝部21から出る出発角度θsは25°が好ましく、端子部30a、30dに接続される終了角度θtは70°以上が好ましい。
【0078】
図5の実施例は端子部30a、30dが隔離突起11aを基準により離隔した例であり、好ましくは、図示のように、前記端子部30a、30dの仮想直線VL側の角部が第1コイル40の最外郭部分に整列されて配置される。そして、図5の実施例で、延長部41a、51aの出発角度θsは50°である。
【0079】
図4及び図5の実施例は組み合わせて実施することができる。これによれば、第1及び第2端子部30a、30dと隔離突起11aとの間の離隔距離はそれぞれ5mm以上であり、延長部41a、51aの出発角度θsは25°以上及び50°以下であり、延長部41a、51aの終了角度θtは70°以上であり得る。
【0080】
従来のEMIフィルターは、仮想直線VLを間に挟んで対向する端子部30aと30dと、及び30bと30cとの間の離隔距離が小さい状況でさらに延長部41a、41b、51a、51bが曲がることにより、耐電圧特性が要求条件を満たさない問題があり得るが、本発明は、その端子部30aと30dと、及び30bと30cとの間の離隔距離を充分に確保するので、従来のEMIフィルターに比べて安定的で満足な耐電圧特性を確保することができる。
【0081】
以下の表は図1のような従来EMIフィルター及び図2のような本発明実施例のEMIフィルターに対する耐電圧特性を比較した表である。
【0082】
【表1】
【0083】
前記表に示すように、実施例のEMIフィルターは、端子間の距離及び端子面積において大きく増大し、耐電圧は、従来のEMIフィルターの場合に1.5kV以下で、要求条件を満たすことができなかったが、実施例の場合、2.2kVの耐電圧特性を示して要求条件を満たすことが現れた。一方、図6は本発明のさらに他の実施例を示す。
【0084】
図6の実施例は前述した実施例とは第1ボビン20の形状構造のみが違う。
【0085】
本実施例の第1ボビン20は、溝部21の4ヶ所からそれぞれ放射方向に延設され、前記それぞれの端子部30a、30b、30c、30dが設けられた放射状延長部25a、25b、25c、25dを含む。前記端子部30a、30b、30c、30dは放射状延長部25a、25b、25c、25dに前記放射方向に整列されて設けられる。
【0086】
本実施例は、端子部30a、30b、30c、30dが放射方向に整列されるので、他の実施例に比べて、端子の面積又は長さはそのまま維持しながら仮想直線VLの方向の全長をより減らして小型化することができる利点がある。
【0087】
一方、前述した実施例について記載した記述内容は互いに相反して両立することができないものではなければ、実施例の間で互換的に適用可能であるというのは言うまでもない。
発明の実施のための形態
【0088】
発明の実施のための形態は前述した「発明を実施するための形態」で充分に説明された。
【産業上の利用可能性】
【0089】
実施例による磁気結合装置はTVなどに適用可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2024-01-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面、前記上面と向き合う下面、及び前記上面と前記下面との間に配置された外面を含み、前記外面の内側に配置され、前記上面から前記下面に向かって凹んでいる溝部、及び前記外面に第1方向に離隔して配置された第1端子部及び第2端子部を含む第1ボビンと、
前記溝部上に配置され、磁性体コアを収容する第2ボビンと、
前記第2ボビンに巻線され、前記第1方向に互いに離隔した第1コイル及び第2コイルと、を含み、
前記第1コイルは、前記第2ボビンに巻線された第1巻線部、及び前記第1巻線部から前記第1ボビンの外面上に延びて前記第1端子部と結合された第1延長部を含み、
前記第2コイルは、前記第2ボビンに巻線された第2巻線部、及び前記第2巻線部から前記第1ボビンの外面上に延びて前記第2端子部と結合された第2延長部を含む、磁気結合装置。
【請求項2】
前記第2ボビンは、一対の隔離突起を含み、
前記第1巻線部と第2巻線部とは前記一対の隔離突起によって隔離される、請求項1に記載の磁気結合装置。
【請求項3】
前記一対の隔離突起を連結した仮想の直線に対して、前記第1延長部及び第2延長部のそれぞれが前記溝部から出ながら成す出発角度は25°以上である、請求項2に記載の磁気結合装置。
【請求項4】
前記出発角度は50°以下である、請求項3に記載の磁気結合装置。
【請求項5】
前記第1及び第2端子部のそれぞれは前記隔離突起から5mm以上離隔して設けられる、請求項2に記載の磁気結合装置。
【請求項6】
前記第1及び第2端子部のそれぞれは、前記隔離突起に対する前記第1コイル又は第2コイルの最外郭で前記一対の隔離突起を連結した仮想の直線に平行な仮想の平行線に整列されて配置される、請求項に記載の磁気結合装置。
【請求項7】
前記第1ボビンは、前記溝部から両側に延びた一対のボビン延長部を含み、
前記それぞれのボビン延長部の中央部は、所定の方向に前記溝部から最外郭までの距離が前記第1端子部又は第2端子部の長さよりも小さい、請求項1に記載の磁気結合装置。
【請求項8】
前記ボビン延長部の前記中央部には第2隔離突起が形成される、請求項に記載の磁気結合装置。
【請求項9】
前記第1ボビンは、前記溝部の形状に沿って少なくとも一部が外側に膨らむように形成される、請求項7に記載の磁気結合装置。
【請求項10】
前記第1及び第2端子部のそれぞれは、前記第1ボビンの前記上面及び前記下面と前記外面を取り囲むように前記第1ボビンに設けられる、請求項1に記載の磁気結合装置。
【請求項11】
前記第1及び第2延長部のそれぞれは、前記外面と前記第1及び第2端子部のそれぞれとの間に挿入される、請求項10に記載の磁気結合装置。
【請求項12】
前記第1コイルの最後の巻線とそれと対向する前記第2コイルの最後の巻線と間の角度θ1は20~100°である、請求項1に記載の磁気結合装置。
【請求項13】
前記第2ボビンの中心を基準に前記第1端子部と第2端子部とが成す角度θ2は20~100°である、請求項12に記載の磁気結合装置。
【請求項14】
前記角度の比(θ2/θ1)は0.2~5である、請求項13に記載の磁気結合装置。
【請求項15】
前記第1ボビンは、第3端子部及び第4端子部をさらに含み、
前記第1~第4端子部のそれぞれは前記溝部の外郭の各四分面領域に配置される、請求項1に記載の磁気結合装置。
【請求項16】
第1延長部及び第2延長部のそれぞれは前記溝部の外側に出て次第に増加する角度に互いに広がりながら延びて前記第1端子部及び第2端子部に接続される、請求項1に記載の磁気結合装置。
【請求項17】
前記第1ボビンは、外面にガイド溝部をさらに含む、請求項1に記載の磁気結合装置。
【請求項18】
前記ガイド溝部は、第1ガイド溝部及び第2ガイド溝部をさらに含み、
前記第1延長部及び第2延長部のそれぞれは、前記第1ガイド溝部及び第2ガイド溝部に配置される、請求項17に記載の磁気結合装置。
【請求項19】
前記ガイド溝部は、前記第2ボビンが配置される前記溝部と連結される、請求項17に記載の磁気結合装置。
【請求項20】
前記第1ボビンは、前記溝部から放射方向に延び、前記第1及び第2端子部のそれぞれが設けられた放射形延長部を含む、請求項1に記載の磁気結合装置。
【国際調査報告】