(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-28
(54)【発明の名称】自己免疫に対する新規mRNAワクチン
(51)【国際特許分類】
C12N 15/12 20060101AFI20240621BHJP
C12N 15/113 20100101ALI20240621BHJP
C12N 15/85 20060101ALI20240621BHJP
C12N 15/88 20060101ALI20240621BHJP
A61P 37/02 20060101ALI20240621BHJP
A61P 37/04 20060101ALI20240621BHJP
A61K 39/00 20060101ALI20240621BHJP
A61P 3/10 20060101ALI20240621BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20240621BHJP
A61P 17/06 20060101ALI20240621BHJP
A61P 1/04 20060101ALI20240621BHJP
A61P 19/02 20060101ALI20240621BHJP
A61K 47/64 20170101ALI20240621BHJP
【FI】
C12N15/12 ZNA
C12N15/113 Z
C12N15/85 Z
C12N15/88 Z
A61P37/02
A61P37/04
A61K39/00 G
A61P3/10
A61P29/00 101
A61P17/06
A61P1/04
A61P19/02
A61K47/64
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023578995
(86)(22)【出願日】2022-06-22
(85)【翻訳文提出日】2024-01-29
(86)【国際出願番号】 US2022073087
(87)【国際公開番号】W WO2022272263
(87)【国際公開日】2022-12-29
(32)【優先日】2021-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】306018457
【氏名又は名称】ザ・トラスティーズ・オブ・コロンビア・ユニバーシティ・イン・ザ・シティ・オブ・ニューヨーク
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】クルーソット,レミ ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】フィアデッサ ファイト,レブマ
(72)【発明者】
【氏名】ポスティゴ フェルナンデス,ジョージ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C085
【Fターム(参考)】
4C076AA19
4C076BB01
4C076BB13
4C076BB15
4C076BB16
4C076CC06
4C076CC41
4C076EE17Q
4C076EE41Q
4C076EE59
4C076FF63
4C085AA03
4C085BB11
4C085EE01
4C085GG02
4C085GG03
4C085GG04
4C085GG05
4C085GG08
(57)【要約】
本開示には、エンドトープコンストラクト、STAT1c及びmiR142標的部位の配列を含む核酸コンストラクトが記載されている。一例では、開示するのは、エンドトープコンストラクトと、構成的に活性なSTAT1(例えばSTAT1c)をコードする核酸配列を含むSTAT1コンストラクトとを含む組成物であり、そのエンドトープコンストラクト及びSTAT1コンストラクトはそれぞれ、miR142標的部位を含む。代替的な例では、開示されているのは、そのエンドトープコンストラクト及びSTAT1コンストラクトをmiR142標的部位とともに含む単一のコンストラクトである。それらの核酸コンストラクトは、ポリカチオン性分子またはリポソームにパッケージングして、効率的な細胞トランスフェクションのためのナノ粒子を作製できる。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象に投与するための2つ以上の核酸コンストラクトであって、(a)少なくとも1つのエンドソームターゲティングシグナルをコードする少なくとも1つの核酸配列、少なくとも1つのCD4エピトープをコードする少なくとも1つの核酸配列、少なくとも1つの切断部位をコードする少なくとも1つの核酸配列、少なくとも1つのCD8エピトープをコードする少なくとも1つの核酸配列、及び少なくとも1つのmiR142標的部位核酸配列を含む第1の核酸コンストラクトと、(b)STAT1をコードする少なくとも1つの核酸配列、及び少なくとも1つのmiR142標的部位核酸配列を含む第2の核酸コンストラクトを含む前記コンストラクト。
【請求項2】
DNAである、請求項1に記載の核酸コンストラクト。
【請求項3】
mRNAである、請求項1に記載の核酸コンストラクト。
【請求項4】
前記少なくとも1つのCD4エピトープまたはCD8エピトープが、自己免疫疾患状態に関与する抗原の少なくとも一部を含む、請求項1~3のいずれかに記載の核酸構築。
【請求項5】
前記抗原が、プロインスリン、インスリン、GAD65、IA-2、IGRP、ZnT8、ハイブリッドインスリンペプチド、クロモグラニンA、IAPP、ICA69、IA-2β、RegII、GPR78、HSP60、HSP70、配列番号11~17、ミエリン塩基性タンパク質、プロテオリピドタンパク質、ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質、マイナー抗原、ミエリン関連抗原、ミエリン関連オリゴデンドロサイト塩基性タンパク質、2’,3’-環状ヌクレオチド3’-ホスホジエステラーゼ、S100β、トランスアルドラーゼ、コラーゲン、軟骨糖タンパク質39、アグリカンG1、リウマチ因子、シトルリン化ペプチド、カルバミル化抗原、PAD4、BRAF、HSP65、基底膜ラミニン、LL37、プログラニュリン、デスモグレイン3、Pso p27、エズリン、マスピン、ペルオキシレドキシン2、HSP27、XVII型コラーゲン、ケラチン13、hnRNP-A1、FLJ00294、hnRNP-C1/C2、SCG、GLCDAC05、α-エンドスルフィン、NOL8、GFGR3、デマチン、シグナル認識粒子サブユニット14、EPF、CUZD1、GP2、HMGB1/HMGB2、ASCA自己抗体、FAM84A、VII型コラーゲン、補体C3、ユビキチン化因子e4A(UBE4A)、CBir1フラジェリン自己抗体、α3(IV)NC1、BP180自己抗体、ガレクチン3自己抗体、カタラーゼ、α-エノラーゼまたはラクトフェリン自己抗体から選択した少なくとも1つである、請求項1~4のいずれかに記載の核酸コンストラクト。
【請求項6】
前記自己免疫疾患状態が、1型糖尿病、関節リウマチ、多発性硬化症、乾癬、クローン病及び潰瘍性大腸炎からなる群から選択される、請求項1~5のいずれかに記載の核酸コンストラクト。
【請求項7】
前記少なくとも1つのCD4エピトープのアミノ酸配列が、配列番号31、33、35、37、39、41もしくは43、またはその配列との同一性が少なくとも95%である配列から選択されている、請求項1~6のいずれかに記載の核酸コンストラクト。
【請求項8】
前記少なくとも1つのCD8エピトープのアミノ酸配列が、配列番号53、55、56もしくは57、またはその配列との同一性が少なくとも95%である配列から選択されている、請求項1~6のいずれかに記載の核酸コンストラクト。
【請求項9】
前記STAT1の配列が、脱リン酸化を防ぐように変異されている、請求項1~6のいずれかに記載の核酸コンストラクト。
【請求項10】
前記STAT1の配列が、配列番号1もしくは2、またはその配列との同一性が少なくとも95%である配列から選択されている、請求項1~6のいずれかに記載の核酸コンストラクト。
【請求項11】
前記miR142標的部位核酸配列が、配列番号9もしくは10、またはその配列との同一性が少なくとも95%である配列から選択されている、請求項1~10のいずれかに記載の核酸コンストラクト。
【請求項12】
少なくとも1つのエンドソームターゲティングシグナルをコードする少なくとも1つの核酸配列、少なくとも1つのCD4エピトープをコードする少なくとも1つの核酸配列、少なくとも1つの切断部位をコードする少なくとも1つの核酸配列、少なくとも1つのCD8エピトープをコードする少なくとも1つの核酸配列、STAT1をコードする少なくとも1つの核酸配列、及び少なくとも1つのmiR142標的部位核酸配列を含む単離核酸コンストラクト。
【請求項13】
DNAである、請求項12に記載の核酸コンストラクト。
【請求項14】
mRNAである、請求項12に記載の核酸コンストラクト。
【請求項15】
前記配列が、5’から3’に向かって、少なくとも1つのエンドソームターゲティングシグナルをコードする少なくとも1つの核酸配列、少なくとも1つのCD4エピトープをコードする少なくとも1つの核酸配列、少なくとも1つの切断部位をコードする少なくとも1つの核酸配列、少なくとも1つのCD8エピトープをコードする少なくとも1つの核酸配列、STAT1をコードする少なくとも1つの核酸配列、及び少なくとも1つのmiR142標的部位核酸配列という順番である、請求項12に記載の核酸コンストラクト。
【請求項16】
前記少なくとも1つのCD4エピトープまたはCD8エピトープが、自己免疫疾患状態に関与する抗原の少なくとも一部を含む、請求項12に記載の核酸コンストラクト。
【請求項17】
前記抗原が、表1から選択した少なくとも1つである、請求項12~15のいずれかに記載の核酸コンストラクト。
【請求項18】
前記自己免疫疾患状態が、1型糖尿病、関節リウマチ、多発性硬化症、乾癬、クローン病及び潰瘍性大腸炎からなる群から選択される、請求項12~17のいずれかに記載の核酸コンストラクト。
【請求項19】
前記CD4エピトープの配列が、配列番号31、33、35、37、39、41もしくは43、またはその配列との同一性が少なくとも95%である配列から選択されている、請求項12~18のいずれかに記載の核酸コンストラクト。
【請求項20】
前記CD8エピトープの配列が、配列番号53、55、56もしくは57、またはその配列との同一性が少なくとも95%である配列から選択されている、請求項12~18のいずれかに記載の核酸コンストラクト。
【請求項21】
前記STAT1の配列が、配列番号1もしくは2、またはその配列との同一性が少なくとも95%である配列から選択されている、請求項12~20に記載の核酸コンストラクト。
【請求項22】
前記miR142標的部位の配列が、配列番号9もしくは10、またはその配列との同一性が少なくとも95%である配列から選択されている、請求項12~21に記載の核酸コンストラクト。
【請求項23】
請求項1~22のいずれかに記載の核酸コンストラクトと、任意に、前記コンストラクトと複合体化した少なくとも1つのポリカチオン性分子またはリポソームを含むナノ粒子。
【請求項24】
前記ポリカチオン性分子が、正電荷の細胞透過性ペプチド(CPP)である、請求項23に記載のナノ粒子。
【請求項25】
前記CPPが、ポリリジン、ポリアルギニンまたはTatペプチドである、請求項24に記載のナノ粒子。
【請求項26】
前記ポリカチオン性分子が、ポリカチオン性ポリマーである、請求項23に記載のナノ粒子。
【請求項27】
前記ポリカチオン性ポリマーが、ポリエチレンイミンである、請求項26に記載のナノ粒子。
【請求項28】
前記ポリカチオン性分子が、ポリカチオン性脂質である、請求項23に記載のナノ粒子。
【請求項29】
請求項23~28のいずれかに記載のナノ粒子と、任意に薬学的に許容される担体とを含む免疫原性組成物。
【請求項30】
自己免疫疾患状態である対象において免疫寛容を誘導する方法であって、請求項1~22のいずれかに記載の核酸コンストラクト、請求項23~28のいずれかに記載のナノ粒子、及び/または請求項29に記載の組成物を有効量、前記対象に投与することで構成される前記方法。
【請求項31】
前記有効量を経口投与、筋肉内投与、皮下/皮内投与または静脈内投与する、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記自己免疫疾患状態を1型糖尿病、関節リウマチ、多発性硬化症、乾癬、クローン病及び潰瘍性大腸炎からなる群から選択する、請求項30または31に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2021年6月22日に出願した、「NOVEL mRNA VACCINE FOR AUTOIMMUNITY」という標題の米国特許仮出願第63/202,741号の利益を主張するものであり、この仮出願は、その全体が本明細書に援用される。
【0002】
連邦政府の支援による研究または開発に関する記載
本発明は、National Institutes of Healthにより付与されたAI110812の下、米国政府の支援によりなされたものである。米国政府は、本発明において一定の権利を有する。
【背景技術】
【0003】
自己免疫は、所定の組織で発現した自己抗原(自己Ag)に対する適応免疫応答の結果として起こる。例えば、1型糖尿病(T1D)は、インスリンを産生するβ細胞が、β細胞Ag反応性の糖尿病誘発性T細胞によって自己免疫破壊されることに起因する。T1Dには、数百万人の米国人が罹患しており、無慈悲にも、その発症率は毎年上昇している1-3。治癒されることはなく、生涯にわたり、外因性のインスリンによってインスリン補充を行うと、重度の合併症を伴う場合がある。Ag特異的免疫療法(ASIT)は、ASIT以外の療法4,5とは異なり、病原性リンパ球集団以外の免疫細胞に影響を及ぼしたり、免疫防御性全体を揺るがしたりせずに、病原性リンパ球集団を標的として、その集団の攻撃性を取り除くことを目的とする。ASITの方策及びASIT以外の方策は、いくつか臨床的に研究されてきた5,6が、依然として、T1Dに対する療法としてFDAの認可を受けたものはない。ASITには、自己抗原に反応するT細胞を脱感作する(寛容化する)目的として、様々な形態及び経路でこれらのAgを送達することが伴う。しかしながら、関与するAg提示細胞(APC)の性質は通常、未知であるか、またはあまり制御されない。
【0004】
造血系細胞、特に樹状細胞(DC)は、免疫を調節する際に二重の役割を果たす。これらの細胞は、条件に応じて、T細胞免疫(「戦闘シグナル」、すなわち免疫原性)またはT細胞寛容(「休戦シグナル」、すなわち寛容原性)を惹起できる。自己抗原が免疫原性DCによって提示されると、そのDCは、寛容原性APCを無効にしたり、さらには疾患を悪化させたりし得る。さらに、DCでは、T1Dにおいて、その寛容原性を低下させる変化が数多く報告されている7。これに対して、非造血系(間質)細胞には、正常時にはAPCとして働かないが、それでも、特定の状況下ではAPCとして働く能力を有する広範な細胞種が含まれる8。これらの細胞が、T細胞を十分に活性化するのに必要とされる共刺激分子を欠損し、代わりに、様々な種類の抑制分子を発現すると、それらの細胞は、何らかの形態で寛容を一貫して誘導する8,9。リンパ節間質細胞(LNSC)は、T細胞と連続的に相互作用するが、内在的に発現するAgに対する寛容を誘導することが示されている9-15。LNSCは、発現するMHCレベルがDCよりも低いが、それでも、MHC-Iを介して、CD8+ T細胞の除去を媒介でき9-15、MHC-IIを介して、自己免疫からの防御にも寄与する16,17。マウス及びヒトのLNSCは、T1Dにおいて、膵リンパ節での寛容原性が高いと見られるが18、DCがAgを捕捉する能力を欠損させることが報告された。
【0005】
添付の図面の図では、本発明の実施形態が例として示されており、それらの実施形態は限定するものではない。
【0006】
以下の図は、例示に過ぎず、限定するようには意図されていない。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1A】NODマウスの処置に用いたエンドトープコンストラクトの例である(BDC2.5 Agは青色、NY8.3 Agは緑色)。
【
図1B】腹腔内(i.p.)送達後、リンパ節において、mRNA-ナノ粒子(NP)がトランスフェクションされた細胞種を示す棒グラフである。
【
図1C】エンドトープmRNA-NPで処置したNODマウスにおける疾患発症率を示すグラフである。記載されている成分(エピトープ)に関する配列は、米国特許第10,238,741号に示されており、この特許は、その全体が本明細書に援用される。
【
図1D】エンドトープmRNA-DCで処置したNODマウスにおける疾患発症率を示すグラフである。記載されている成分(エピトープ)に関する配列は、米国特許第10,238,741号に示されており、この特許は、その全体が本明細書に援用される。
【
図2】LNSCの一種であるマウス線維芽細胞様細網細胞(FRC)及びヒトFRCに、IFNγ及びSTAT1cが及ぼす作用を示すグラフである。細胞は、IFNαもしくはIFNγによる処置(10ng/mL)、またはSTAT1cのトランスダクションから3~4日後に解析した。ヒトSTAT1cを両方の細胞で使用したので、ヒトFRCに対する方が、作用が顕著であった理由を説明し得る。
【
図3A】異なる種類のLNSC(FRC及びリンパ内皮細胞LEC)であって、IFNγに暴露した場合または暴露しなかった場合の表現型を示すグラフである。CD45-間質細胞の中でFRC及びLECを特徴付けるマーカーPdpn及びCD31の発現率である。ベースライン、またはIFNαもしくはIFNγでの処置から3日後のMHCクラスI、MHCクラスII、PD-L1及びCD86の発現量である。
【
図3B】異なる種類のLNSCが、その発現するエピトープに基づき、上記の条件下で、Ag特異的なT細胞に関与する能力を示すグラフである。非トランスダクション細胞、またはIFNγによる前処置を行うか、もしくは行わずに、BDC2.5 T細胞及びNY8.3 T細胞に対するエピトープを含むエンドトープコンストラクトをトランスダクションした細胞をBDC2.5 CD4+ T細胞及び/またはNY8.3 CD8+ T細胞と共培養した。3日後に、T細胞応答を解析した(図では、有益な関与のエビデンスとして、CD25及びLag-3の共誘導が示されている)。
【
図4A】寛容原性mRNAワクチンの方策の概略図である。ナノ粒子製剤内の修飾mRNAであって、エンドトープAg及びSTAT1cをコードするとともに、miR142Tが組み込まれた修飾mRNAの概略図である。
【
図4B】寛容原性mRNAワクチンの方策の概略図である。mRNA/NPが造血系APC(例えばDC)にトランスフェクションされると、そのmRNAは、miR142によってターゲティングされて、分解され、Agは発現せず、これらのAPCは、自己反応性T細胞に関与しない。
【
図4C】寛容原性mRNAワクチンの方策の概略図である。mRNA-NPが間質細胞にトランスフェクションされると、そのmRNAが発現し、MHCクラスI及びMHCクラスIIを標的とするエピトープ、ならびにSTAT1cが産生される。
【
図4D】寛容原性mRNAワクチンの方策の概略図である。STAT1cは、IFNγ応答性遺伝子を刺激し、MHCクラスI、MHCクラスII、PD-L1、IDO及びiNOSをアップレギュレートするが、共刺激分子はアップレギュレートせず、これらの間質細胞を有効な寛容原性APCに変える。
【
図4E】寛容原性mRNAワクチンの方策の概略図である。自己反応性T細胞に、リプログラムされた間質細胞が関与し、自己反応性T細胞自体がリプログラムされて、機能を停止するか、またはアポトーシスを起こす。
【
図5A】miR-142Tによる細胞選択的な発現の検証である。リンパ節間質APCには、in vitroのヒト線維芽細胞様細網細胞(FRC)(
図5A)、in vitroのマウスFRC(
図5B)及びin vivoのマウス血液内皮細胞(BEC)(
図5C)が含まれる。造血系APCには、ヒト単球THP-1細胞(
図5D)、マウス骨髄由来樹状細胞(BM-DC)(
図5E)及びin vivoのマウスCD11c+ CD11b+ cDC2細胞(
図5F)が含まれていた。FRCに、1ウェル当たり0.1ugでmRNAをトランスフェクションし、48時間後に解析した。THP-1細胞及びBM-DCに、1ウェル当たり0.2ugでmRNAをトランスフェクションし、48時間後(THP-1)または24時間後(BM-DC)に解析した。いずれの実験でも、in vivo JetRNA(Polyplus)を用いて、mRNAをNPで複合体化した。マウスに、1匹当たり20~22.4ugのmRNAを腹腔内注射し、48時間後に、解析のために膵リンパ節及び脾臓を処理及び消化した。
【
図5B】miR-142Tによる細胞選択的な発現の検証である。リンパ節間質APCには、in vitroのヒト線維芽細胞様細網細胞(FRC)(
図5A)、in vitroのマウスFRC(
図5B)及びin vivoのマウス血液内皮細胞(BEC)(
図5C)が含まれる。造血系APCには、ヒト単球THP-1細胞(
図5D)、マウス骨髄由来樹状細胞(BM-DC)(
図5E)及びin vivoのマウスCD11c+ CD11b+ cDC2細胞(
図5F)が含まれていた。FRCに、1ウェル当たり0.1ugでmRNAをトランスフェクションし、48時間後に解析した。THP-1細胞及びBM-DCに、1ウェル当たり0.2ugでmRNAをトランスフェクションし、48時間後(THP-1)または24時間後(BM-DC)に解析した。いずれの実験でも、in vivo JetRNA(Polyplus)を用いて、mRNAをNP内で複合体化した。
【
図5C】miR-142Tによる細胞選択的な発現の検証である。リンパ節間質APCには、in vitroのヒト線維芽細胞様細網細胞(FRC)(
図5A)、in vitroのマウスFRC(
図5B)及びin vivoのマウス血液内皮細胞(BEC)(
図5C)が含まれる。造血系APCには、ヒト単球THP-1細胞(
図5D)、マウス骨髄由来樹状細胞(BM-DC)(
図5E)及びin vivoのマウスCD11c+ CD11b+ cDC2細胞(
図5F)が含まれていた。FRCに、1ウェル当たり0.1ugでmRNAをトランスフェクションし、48時間後に解析した。THP-1細胞及びBM-DCに、1ウェル当たり0.2ugでmRNAをトランスフェクションし、48時間後(THP-1)または24時間後(BM-DC)に解析した。いずれの実験でも、in vivo JetRNA(Polyplus)を用いて、mRNAをNP内で複合体化した。
【
図5D】miR-142Tによる細胞選択的な発現の検証である。リンパ節間質APCには、in vitroのヒト線維芽細胞様細網細胞(FRC)(
図5A)、in vitroのマウスFRC(
図5B)及びin vivoのマウス血液内皮細胞(BEC)(
図5C)が含まれる。造血系APCには、ヒト単球THP-1細胞(
図5D)、マウス骨髄由来樹状細胞(BM-DC)(
図5E)及びin vivoのマウスCD11c+ CD11b+ cDC2細胞(
図5F)が含まれていた。FRCに、1ウェル当たり0.1ugでmRNAをトランスフェクションし、48時間後に解析した。THP-1細胞及びBM-DCに、1ウェル当たり0.2ugでmRNAをトランスフェクションし、48時間後(THP-1)または24時間後(BM-DC)に解析した。いずれの実験でも、in vivo JetRNA(Polyplus)を用いて、mRNAをNP内で複合体化した。
【
図5E】miR-142Tによる細胞選択的な発現の検証である。リンパ節間質APCには、in vitroのヒト線維芽細胞様細網細胞(FRC)(
図5A)、in vitroのマウスFRC(
図5B)及びin vivoのマウス血液内皮細胞(BEC)(
図5C)が含まれる。造血系APCには、ヒト単球THP-1細胞(
図5D)、マウス骨髄由来樹状細胞(BM-DC)(
図5E)及びin vivoのマウスCD11c+ CD11b+ cDC2細胞(
図5F)が含まれていた。FRCに、1ウェル当たり0.1ugでmRNAをトランスフェクションし、48時間後に解析した。THP-1細胞及びBM-DCに、1ウェル当たり0.2ugでmRNAをトランスフェクションし、48時間後(THP-1)または24時間後(BM-DC)に解析した。いずれの実験でも、in vivo JetRNA(Polyplus)を用いて、mRNAをNP内で複合体化した。
【
図5F】miR-142Tによる細胞選択的な発現の検証である。リンパ節間質APCには、in vitroのヒト線維芽細胞様細網細胞(FRC)(
図5A)、in vitroのマウスFRC(
図5B)及びin vivoのマウス血液内皮細胞(BEC)(
図5C)が含まれる。造血系APCには、ヒト単球THP-1細胞(
図5D)、マウス骨髄由来樹状細胞(BM-DC)(
図5E)及びin vivoのマウスCD11c+ CD11b+ cDC2細胞(
図5F)が含まれていた。FRCに、1ウェル当たり0.1ugでmRNAをトランスフェクションし、48時間後に解析した。THP-1細胞及びBM-DCに、1ウェル当たり0.2ugでmRNAをトランスフェクションし、48時間後(THP-1)または24時間後(BM-DC)に解析した。いずれの実験でも、in vivo JetRNA(Polyplus)を用いて、mRNAをNP内で複合体化した。
【0008】
定義
別段の定義がない限り、本明細書で用いられている技術用語及び科学用語のいずれも、本発明が属する当業者が一般に理解する意味と同じ意味を有する。本発明の実施または試験の際には、本明細書に記載されている方法及び材料と類似または同等のいずれの方法及び材料も使用できるが、以下では、その好ましい方法及び材料を説明する。本明細書で言及されているいずれの刊行物も、参照により援用される。
【0009】
概して、本明細書に記載されている細胞培養、組織培養、分子生物学、免疫学、微生物学、遺伝学、タンパク質化学、核酸化学及びハイブリダイゼーションと関連して用いられている専門用語、ならびにそれらの技術は、当該技術分野において周知であるとともに、一般的に用いられているものである。別段に示されていない限り、本発明の方法及び技法は概して、当該技術分野において周知である従来の方法に従って、かつ本明細書全体を通じて引用及び考察されている一般的かつさらに詳細な様々な参照文献に説明されているようにして行う。
【0010】
薬剤、薬物またはペプチドを対象に「投与すること」またはその「投与」という用語は、対象に化合物を導入または送達して、その意図されている機能を発揮させるいずれかの経路を指す。投与することまたは投与は、経口経路、鼻腔内経路、非経口経路(静脈内経路、筋肉内経路、腹腔内経路、皮内経路もしくは皮下経路)、直腸経路または局所経路を含むいずれかの適切な経路によって行うことができる。投与することまたは投与には、自己投与及び他者による投与が含まれる。
【0011】
本明細書で使用されている用語としての「抗原」または「Ag」は、生物の免疫系によって認識されて、免疫応答の標的として機能する構造物質(分子または化学基)、多くの場合には、タンパク質またはこのタンパク質に由来するペプチドである。
【0012】
「自己Ag」または「自己抗原」は、正常な状況では免疫原性を持たず、免疫応答を起こさないが、免疫原性の免疫応答の標的となって、自己免疫疾患を引き起こすことがあるAgである。開示するコンストラクトの目的では、自己Agは、自家ソース由来でも、同種異系ソース由来でもあってよいことに留意されたい。
【0013】
「自己免疫疾患」は、自己Agに対する異常な免疫応答を原因とし、免疫系が、正常な組織または器官を攻撃する。1型糖尿病は、インスリンまたは他のβ細胞Agを認識する細胞が活性化されて、膵β細胞を破壊し、糖尿病を引き起こす自己免疫疾患である。
【0014】
「構成的に活性な」という用語は、本明細書でタンパク質に関して使用する場合、タンパク質が常に機能的に活性であることを意味する。
【0015】
「コンストラクト」という用語は、本明細書で使用する場合、目的のタンパク質またはペプチドをコードし、任意に、そのタンパク質またはペプチドを細胞内で発現させるためのプロモーターを1つ以上含む核酸を指す。
【0016】
「エンドトープ」という用語は、免疫系を調節するように操作された核酸コンストラクトであって、CD4エピトープ及びCD8エピトープのAPCによる提示を最適化するコンストラクトを指し、そのコンストラクトは、トランスフェクションまたはトランスダクションによって導入される。自己Ag由来のエピトープを用いて、そのエピトープに対する寛容の誘導を最適化するか、または非自己Ag(例えば、腫瘍もしくは病原体に由来するAg)のエピトープを用いて、そのエピトープに対する免疫の誘導を最適化するかのいずれかを行うことができる。エンドトープコンストラクトは、免疫系でAg/エピトープ提示が最大限行われるように、細胞のエンドソーム内でのMHCIIプロセシングの標的となるCD4エピトープを1つ以上と、細胞の細胞質ゾル内でのMHCIプロセシングの標的となるCD8エピトープを1つ以上コードするそれぞれの核酸配列を含んでよいとともに、MHCII活性化因子配列をさらに含んでよい。あるいは、そのコンストラクトは、分泌シグナルに機能可能に連結されたCD4エピトープ及びCD8エピトープをコードする。本開示のコンストラクトは、間質細胞(SC)の関与の向上を促して、自己反応性T細胞に効果的に関与し、このT細胞をリプログラムし、寛容性を獲得または回復させるように意図されている。本明細書に特に例示されているのは、エピトープを発現するコンストラクトをDNAワクチンまたはRNAワクチンの形態で、SCのようなノンプロフェッショナルAPCに内在的に送達することである。特定の実施形態では、エンドトープコンストラクトは、連結されたエピトープからなる群を2つ含むことができ、それらの群は、タンパク質切断部位によって互いから隔てられており、CD4+ T細胞への提示に備えて、MHCII経路でプロセシングされるように定められた一方のエピトープ群(CD4エピトープ)は、エンドソームターゲティング配列に機能可能に連結されており、CD8+ T細胞への提示に備えて、MHCI経路でプロセシングされるように定められたもう一方のエピトープ群(CD8エピトープ)は、このようには連結されていない。このエンドトープコンストラクト内の2つのエピトープ群は、タンパク質切断部位で切断後、分離されて、各群は、細胞内で別々のプロセシングを受けて、一方はMHCII上に、もう一方はMHCI上に置かれるようになる。この2つの群のそれぞれにおける各エピトープは、タンパク質切断部位によって隔てられていて、各エピトープが、プロセシングに備えて適切な細胞内コンパートメント内に入ると、その群のもう一方のエピトープから切断されるようになっていてもよい。
【0017】
「エピトープ」(「抗原決定基」ともいう)は、その用語が本明細書で使われる場合、Agの部分のうち、免疫系によって特異的に認識される部分である。エピトープは、MHC分子によって提示されて、T細胞によって、そのT細胞受容体を通じて認識されるペプチドの形態であるか、または完全Agの露出領域であって、B細胞によって、そのB細胞受容体を通じて認識されて、その後に、これらのB細胞が産生する抗体によって認識される領域に対応するかのいずれかである。エピトープという用語には、別段に示されていない場合、または言及内容により、天然のエピトープのみについて説明されていると暗示されている場合には、ミモトープが含まれると解釈する。
【0018】
「MHCII活性化因子配列」という用語は、細胞内で発現すると、MHCII分子の産生を誘導する配列を指す。MHCII活性化因子配列の非限定的な例の1つは、クラスIIトランス活性化因子(CIITA)配列である(Kim et al.,J Immunol 2008;180:7019-7027を参照されたい)。
【0019】
本明細書で使用する場合、「ミモトープ」は、エピトープの三次元構造を模倣する分子であるので、結合特異性が同じであるか、またはかなり類似しているが、親和性またはアビディティは異なっていてもよいし、異なっていなくてもよい。「ミモトープ」は、そのミモトープが模倣するエピトープによって惹起される応答と類似の抗体応答を起こす。特定のエピトープ(Ag)に対して惹起された抗体は、その特定のエピトープのミモトープを認識し、特定のエピトープのミモトープは、その特定のエピトープに結合する抗体応答を惹起できる。したがって、1つ以上のミモトープをワクチンとして使用できる。ミモトープは、大半のエピトープと同様に、タンパク質、核酸または多糖のような巨大分子の一部分であってよい。好ましくは、ミモトープは、タンパク質またはタンパク質の一部分であり、典型的には約9~約20アミノ酸長のペプチドであってよい。いくつかのミモトープは、天然のエピトープの変異体として現れる場合もあり、この「変異」は実際には、翻訳後修飾に起因するアミノ酸変化であって、自然界において、特定の病態下で生じることのある変化(例えば、AsnからAsp及びGlnからGluへ変化させる脱アミド化)を表す。ミモトープは、当該技術分野で知られている方法に従って、ファージディスプレイもしくはペプチドライブラリーをスクリーニングすることによるか、そのペプチドの結合特性を変化させることを目的とする特異的変異誘発によるかのいずれかで得られる。
【0020】
「間質細胞」(SC)は、本明細書で使用する場合、間質の一部である細胞を指す。SCは、器官の結合組織細胞であり、その器官の実質細胞の機能を支える。SCには、線維芽細胞及び周皮細胞、それらの前駆間葉系間質細胞、ならびに特定の種類の内皮細胞及び上皮細胞を含めることができる。特定の実施形態では、間質細胞は、リンパ節間質細胞(LNSC)であり、この細胞は、常に免疫細胞と直接接触しているという特徴がある。
【0021】
「プロフェッショナル抗原提示細胞」または「プロフェッショナルAPC」という用語は、本明細書で使用する場合、樹状細胞、マクロファージ及びB細胞を指す。
【0022】
「T細胞」は、リンパ球の一種である。Tヘルパー細胞(CD4+ T細胞)は、APCの表面上のMHCII分子によってペプチドAgを提示されると活性化する。Tヘルパー細胞は、活性化すると分裂して、活性な免疫応答を刺激するサイトカインを分泌する。これに対して、いくつかのTヘルパー細胞は、分化して制御性となり、適応免疫応答を抑制する能力を有する。細胞傷害性T細胞(CD8+ T細胞)は、APCの表面でMHCI分子と結合したAgに結合することによって活性化し、ウイルス感染細胞及び腫瘍細胞を破壊する。これらの細胞傷害性T細胞は、移植片拒絶反応及び自己免疫性の損傷にも関係があるとされている。自己反応性(self-reactive)(または自己反応性(autoreactive))T細胞は、自己Ag(または自己抗原)によって活性化するかまたは活性化しているCD4+ 細胞またはCD8+ T細胞である。
【0023】
「分泌シグナル」は、1つ以上のエピトープに機能可能に連結されていると、そのシグナルが発現している細胞から、その1つ以上のエピトープが分泌されるのを誘導するペプチドである。
【0024】
本明細書で使用する場合、「治療有効量」または「有効量」は、当該技術分野で知られている標準的な意味を有し、本明細書では、疾患(例えば糖尿病)に罹患した対象を治療するか、またはその疾患と関連する症状もしくは合併症を緩和するのに十分な量を意味するように同義的に用いられている。
【0025】
「miR142」または「MicroRNA142」という用語は、RNA遺伝子を指し、そのmiRNAクラスと関連付けられている。miR142と関連する疾患としては、脳腫瘍及び多発性硬化症が挙げられる。造血系細胞はmiR142を発現するが、間質細胞は発現しない(25)。「miR142標的部位(miR142T)」という用語は、miR142と相補的であるいずれかの核酸配列、すなわちmiR142が結合できる配列を指す。本発明の文脈では、miR142が、コンストラクトに存在するmiR142Tに結合すると、そのコンストラクトにコードされたmRNAが分解され、及び/またはそのコンストラクト上の核酸配列によってコードされるいずれかのタンパク質/ペプチド配列の発現が抑制される。miR142標的部位(miR142T)を導入遺伝子の下流に含むコンストラクトは、肝細胞(27,26)及び間質細胞(15)内で発現できるが、造血系細胞内では発現できない。その転写mRNAは、発現できる前に、miR142によって分解されるからである。
【0026】
「核酸」、「ポリヌクレオチド」及び「オリゴヌクレオチド」という用語は、同義的に用いられており、直鎖構造または環状構造かつ一本鎖または二本鎖のいずれかの形態であるデオキシリボヌクレオチドポリマーまたはリボヌクレオチドポリマーを指す。本開示の目的においては、これらの用語は、ポリマーの長さに関して限定するものと解釈すべきではない。これらの用語には、天然ヌクレオチドの既知の類似体、ならびに塩基部分、糖部分及び/またはリン酸部分が修飾されている(例えばホスホロチオエート主鎖)ヌクレオチドを含めることができる。概して、特定のヌクレオチドの類似体は、同じ塩基対特異性を有し、すなわち、Aの類似体は、Tと塩基対合することになる。
【0027】
「ポリペプチド」、「ペプチド」及び「タンパク質」という用語は、アミノ酸残基のポリマーを指す目的で同義的に用いられている。この用語は、1つ以上のアミノ酸が、対応する天然アミノ酸の化学類似体または修飾誘導体であるアミノ酸ポリマーにも適用される。
【0028】
「薬学的に許容される担体、賦形剤、ビヒクルまたは希釈剤」という用語は、活性成分の有効性または活性を妨げないとともに、その媒体を投与される宿主に対して毒性がない媒体を指す。担体、賦形剤、ビヒクルまたは希釈剤としては、結合剤、接着剤、滑沢剤、崩壊剤、増量剤、緩衝剤、及び特定の組成物を調製するために必要となる場合がある吸収剤などのその他の物質が挙げられるが、これらに限定されない。
【0029】
「ポリカチオン性分子」は、本明細書で使用する場合、核酸コンストラクトに複合体化すると、その縮合を誘導して、よりコンパクトな巨大分子にして、細胞による捕捉を増大させる正電荷分子を指す。トランスフェクションは、あらゆる種類の細胞で行うことができる(ただし、効率は様々である)。DNAまたはmRNAが、エンドソームから細胞質ゾルに脱出する機会を持つ前に、DNAまたはmRNAの複合体を分解する傾向があるプロフェッショナルAPCよりも、頻繁に複製する間質細胞及び特定の実質細胞は、かなり効率的にトランスフェクションされる傾向がある。ポリカチオン性分子としては、ポリアルギニン、ポリ-L-リジン、及びHIVベースのTatペプチド(GRKKRRQRRRPQ、配列番号18)のように、正電荷アミノ酸で構成された小さい非免疫原性ペプチドが挙げられる。好ましい実施形態では、CPPは、ポリカチオン性脂質である。ポリカチオン性脂質には、DNAまたはRNAのような負荷電の遺伝物質と凝集複合体を形成する能力がある。凝集したこれらのリポソーム構造体は、水溶液中にあると、正の表面電荷を持つ。ポリカチオン性脂質は、様々な投与経路を通じて広範な組織を標的とするために、核酸を安全にin vivo送達できる。これらのペプチドは典型的には、「細胞透過性ペプチド」(CPP)という。他のポリカチオン性分子としては、ポリエチレンイミン(PEI)及びポリアミドアミン(PAMAM)のような正電荷ポリマーが挙げられる。これらのポリカチオン性分子は、別の文献でさらに詳細に説明されている(Non-viral vectors for gene-based therapy.Yin H,Kanasty R L,Eltoukhy A A,Vegas A J,Dorkin J R,Anderson D G.Nat Rev Genet.2014 August;15(8):541-55)。複合体化した核酸コンストラクトがエンドサイトーシスされると、エンドソーム内のpHは低く、プロトンが、その核酸配列の負電荷を中和し、ポリカチオン性分子が分離して、そのエンドソームの膜を破壊できる。
【0030】
「配列」は、本明細書で使用する場合、生体の巨大分子もしくはオリゴ分子の一次構造、またはバイオポリマー内で共有結合した単量体(例えば、ヌクレオチドもしくはペプチド)の順序を指す。
【0031】
「配列同一性」または「同一性」という用語は、本明細書で、2つのポリヌクレオチドまたはポリペプチドに関して使用する場合、その2つの分子の配列内の残基のうち、所定の比較ウィンドウにわたって最大限一致するようにアラインメントしたときに同じである残基を指す。本明細書で使用する場合、「配列同一性のパーセンテージ」または「配列同一性%」という用語は、最適にアラインメントした2つの分子配列(例えば、核酸配列またはポリペプチド配列)を比較ウィンドウにわたって比較することによって求めた値を指し、その比較ウィンドウ内の配列部分は、2つの配列を最適にアラインメントするために、参照配列(付加または欠失を含まない)と比べて、付加または欠失(すなわちギャップ)を含んでよい。そのパーセンテージは、両方の配列において同一のヌクレオチドまたはアミノ酸残基が見られる位置の数を求めて、マッチした位置の数を得て、マッチした位置の数を比較ウィンドウ内の位置の総数で除し、その結果に100を乗じて、配列同一性のパーセンテージを得ることによって計算する。参照配列と比べて、すべての位置で同一である配列は、その参照配列と100%同一であるというとともに、参照配列がその配列と100%同一であるという。
【0032】
「STAT1」または「シグナル伝達兼転写活性化因子1」という用語は、ヒトにおいて、STAT1遺伝子によってコードされる転写因子を指す。STAT1遺伝子の非限定的な例としては、配列番号1または2)が挙げられる。STAT1は、配列番号3~8のいずれか、またはそれらの配列と同一性が少なくとも95パーセントであるアミノ酸配列を含む。STAT1は、STATタンパク質ファミリーのメンバーである。すべてのSTAT分子は、受容体関連キナーゼによってリン酸化され、活性化、ホモ二量体またはヘテロ二量体を形成することによる二量化が行われ、最後に核に移行して、転写因子として働く。具体的には、STAT1は、インターフェロンα(IFNα)、インターフェロンγ(IFNγ)、上皮細胞成長因子(EGF)、血小板由来成長因子(PDGF)、インターロイキン6(IL-6)またはIL-27のようないくつかのリガンドによって活性化できる。STAT1は、I型、II型またはIII型のインターフェロンのいずれかによるシグナルにより、遺伝子のアップレギュレーションに関与する。STAT1は、IFN-γによる刺激に応答して、ホモ二量体またはSTAT3とのヘテロ二量体を形成し、その二量体がプロモーターエレメントGAS(インターフェロンγ活性化配列)に結合し、IFN-αまたはIFN-βのいずれかによる刺激に応答して、STAT1は、STAT2とヘテロ二量体を形成し、その二量体が、プロモーターエレメントISRE(インターフェロン刺激応答エレメント)に結合できる。いずれの場合にも、プロモーターエレメントが結合すると、ISG(インターフェロン刺激遺伝子)の発現が増加する。
【0033】
「対象」という用語は、本明細書で使用する場合、個体を指す。例えば、その対象は、霊長類動物、より具体的にはヒトのような哺乳動物である。この用語は、特定の年齢または性別を示さない。すなわち、男性か女性かを問わず、成人及び新生児の対象が網羅されるように意図されている。本明細書で使用する場合、患者または対象は、同義的に用いてもよく、疾患または障害に罹患した対象を指すことができる。
【0034】
「標的部位」という用語は、本明細書で使用する場合、マイクロRNA、siRNAもしくはshRNAによって認識される(例えば、これらのRNAに特異的に結合する)か、及び/またはこれらのRNAの作用を受ける(切り出されるか切断される)核酸配列または核酸領域を指す。
【0035】
「免疫寛容」は、本明細書で使用する場合、免疫系に外来Agを認識させるが、自己Agを認識させない非自己判別機構である。正常な状態では、組織特異的な自己Agは、寛容性誘導(寛容原性)細胞によって提示され、T細胞をプログラムして、これらのAgに応答しないようにする。これらの自己Agが寛容化されないと、自己免疫疾患が生じる。
【発明を実施するための形態】
【0036】
間質細胞は、STAT1c(リン酸化されていない状態での二量化によって、STAT1の構成的活性をもたらす変異型のSTAT1)の過剰発現によってリプログラムして、より効率的なAPCにできることが分かった。続いて、エンドトープコンストラクト及びAgを発現させて、CD4 T細胞及びCD8 T細胞の両方への関与を最適化するように、リプログラムされた間質細胞を作製できる。しかしながら、間質細胞及びプロフェッショナルAPCの両方にAgを広範に送達すると、寛容原性異常の可能性が生じ得ることも示されている。miR142は、肝細胞及び間質細胞のような非造血系細胞では発現しないが、プロフェッショナルAPCを含む造血系細胞では発現することが分かった。任意に、(同じコンストラクトまたは別のコンストラクトのいずれかで)STAT1cをコードする配列と組み合わせて、miR142標的部位配列を含むエンドトープコンストラクトを投与することにより、間質細胞内では、エンドトープによってコードされるペプチドが選択的に発現し、プロフェッショナルAPC内では発現しないようにできる。この選択的な発現により、目的のAgまたはエピトープに対する寛容原性免疫応答が増強される。
【0037】
本開示には、エンドトープコンストラクト、STAT1c及びmiR142標的部位の配列を含む核酸コンストラクトが記載されている。特定の実施形態では、開示されているのは、エンドトープコンストラクトと、構成的に活性なSTAT1(例えばSTAT1c)をコードする核酸配列を含むSTAT1コンストラクトとを含む組成物であり、そのエンドトープコンストラクト及びSTAT1コンストラクトはそれぞれ、miR142標的部位を含む。あるいは、開示されているのは、そのエンドトープコンストラクト及びSTAT1コンストラクトをmiR142標的部位とともに含む単一のコンストラクトである。その核酸コンストラクトは、ポリカチオン性分子にパッケージングして、効率的な細胞トランスフェクションのためのナノ粒子を作製できる。そのエンドトープコンストラクトは、カスタマイズ可能であり、患者特有であるか、または共有性の高い疾患関連エピトープを送達できる。本発明で提供する特定の実施形態は、この新規核酸コンストラクトをDNAワクチンまたはRNAワクチンの形態で投与することによって、自己免疫障害を治療する方法に関するものである。
【0038】
概要
プラットフォーム(エンドトープ)は、所定のエピトープを核酸ベースで送達して、疾患の主な誘因である特異的なT細胞集団に関与するために開発した(例えば
図1A)。本特許のデザインのエンドトープにより、適宜、MHC-I及びMHC-II上で、内在的に発現したエピトープを効率的に提示できるようになり、その結果、CD4 T細胞及びCD8 T細胞の両方に最適に関与する
19。このプラットフォームは、DNAワクチン
20、ナノ粒子配合のmRNAワクチン(mRNA-NP)
21,22に使用し、mRNAのエレクトロポレーションまたはトランスダクションによって、それらをDCまたは間質細胞にex vivoで導入する
19,23。mRNA-NP送達システムは、LNSCサブセット及びDCサブセットの両方を標的にできる
21(
図1B)が、AgをmRNA-NPによって、NODマウスに様々な経路で送達したところ、それらのマウスは、疾患が改善しなかったが(
図1C)、同じmRNAをエレクトロポレーションした寛容原性DCの注射により、疾患発症率が有意に低下した(
図1D)。
【0039】
これにより、継続中の自己免疫疾患(慢性炎症を伴う)に関しては、様々なAPC(免疫原性DCを含む場合がある)にAgを広範に送達すると、様々な望ましくないT細胞応答が起こり得ることが示唆されている。そのmRNAは、ヌクレオチド置換によって修飾されていて、そのアジュバント性を最小限にするようになっているが24、依然として、一部のDCの免疫原性を高めることになったり、またはそのmRNA-NPが、すでに免疫原性の状態にあるDCにトランスフェクションされたりすることがある。さらに、カチオン性脂質製剤は、プロフェッショナルAPCに対して、免疫原性のアジュバント作用を持つことがある(Nat Immunol.2022 Apr;23(4):532-542)。造血系細胞のみがmiR142マイクロRNAを発現するので25、導入遺伝子下流のmiR142標的部位(miR142T)を特徴とするウイルスベクターは、肝細胞25~27及び間質細胞15のような非造血系細胞で安全に発現させることができる。そのウイルスベクターは、造血系細胞では発現しない。転写されたmRNAは、発現できる前に、miR142によって分解されるからである。このシステムは、本発明のmRNA-NPプラットフォームを特徴とする非ウイルス送達システムで検証されている最中である。
【0040】
間質細胞は、さらに効率的で寛容原性が向上したAPCにプログラムできる。IFNγは、間質細胞(間葉間質細胞及びLNSCを含む)に対して、十分に確立された調節作用を持ち、MHC-I及びMHC-IIのレベル
17,28~30を高めるとともに、PD-L1
30~32、インドールアミン2,3-ジオキシゲナーゼ(IDO)
30,33,34及び誘導型一酸化窒素合成酵素(iNOS)
29,35,36(これらはいずれも、T細胞に対して抑制作用を持つ)を介して、寛容原性の可能性を高める。いくつかのLNSCサブセット、線維芽細胞様細網細胞(FRC、
図2、
図3A及び
図3B)、ならびにリンパ内皮細胞(
図3A及び
図3B)は、IFNγによる処置に応じて、MHC-I、MHC-II及びPD-L1をアップレギュレートするが、共刺激分子(CD80/CD86)はアップレギュレートしない。他の免疫細胞に対して望ましくない作用を有し得るIFNγを使用せずに、これらの細胞をin vivoでリプログラムするために、構成的に活性な形態のSTAT1(STAT1c)であって、IFNγのシグナル伝達を再現するSTAT1cを試験した。STAT1cの過剰発現により、IFNγによる処置と同様、これらの細胞はリプログラムされて、より効率的なAPCとなった(CD4 T細胞及びCD8 T細胞の両方に関与するMHCレベルが上昇した)とともに、寛容原性が高まった(共刺激分子による誘導なしに、PD-L1が増加した)(
図2)。
【0041】
本開示は、新規mRNAワクチンを説明するものであり、その利用可能性は、SARS-CoV-2に対するmRNAワクチンを最近FDAが認可したことにより高まっているが、間質細胞を利用して、自己反応性T細胞を寛容方向にリプログラムするのは型破りである(
図4)。現在のASITには、(1)大半が、DCによって主に取得されて提示される外因性のペプチド/タンパク質の形態でAgを供給し、T1Dの場合には、DCは、寛容原性異常の可能性があり
7、(2)まだ新規ネオエピトープが含まれていない(使用されている天然型のペプチド /組み換えタンパク質には存在しない)といういくつかの制限がある。本発明のmRNA-NPアプローチでは、ネオエピトープを含むか、または細胞内で翻訳後修飾を受けることができるペプチド(エピトープ)の内在性発現が可能になる。この新規ワクチンは、(1)mRNAによってコードされたエピトープをCD4 T細胞及びCD8 T細胞の両方に提示可能にするエンドトープデザイン、(2)最近市場で利用可能になった、mRNAを効率的にin vivo送達するためのカチオン性脂質ベースの製剤
22、(3)Ag及びアクセサリー分子の発現を間質細胞に制限する(DCによる提示を防ぐ)miR142T機構、ならびに(4)STAT1cをアクセサリー分子として使用して、間質細胞を、より効率的で寛容原性の上昇したAPCとしてリプログラムして、自己反応性T細胞に関与し、その応答を停止させるという複数の新規性を特徴とする。
【0042】
mRNAの利点としては、細胞トランスフェクションが非常に効率的な点(静止間質細胞を含む)、ゲノムに組み込まれない点、産物が一過性に発現する点が挙げられ、いずれも、安全性機能である。本発明の型破りなワクチンは、送達された自己抗原の提示の際に、DCの関与を未然に防ぐことによって、ASITのリスクを最小限にする点で際立っており、これは、もう1つの重要な安全性機能である。間質細胞は、mRNAでも、免疫原性を持つことのない優れたAPCにすることができる。TLR3を介して、LNSCをin vivoで刺激すると、MHC-I及びPD-L1が増加するが、IFNγによる場合に見られるように、共刺激分子が増加することはないからである9。本開示には、自己免疫疾患に対するASITのうち、革新的で、さらに安全な可能性がある形態のASITが記載されており、これは、アンメットニーズを満たすものである。さらに、カスタマイズ可能なエンドトーププラットフォームは、精密医療のアプローチとして、患者特有のエピトープ、または患者群の中で共有性の高いエピトープ37~40を送達するための理想的なツールをT1D及びいくつかの他の自己免疫疾患に対してもたらす。最近T1Dを発症した患者、及びハイリスクと特定された個体の大きな集団は、自己免疫応答をブロックするとともに、内在性β細胞を保存するこの新しいASITの利益を得るであろう。
【0043】
エンドトープコンストラクト
本発明の特定の実施形態は、機能可能に連結されたエンドソームMHCIIターゲティング配列の後に、CD4+ T細胞に対する1つ以上のエピトープ配列(MHCII上に提示される)、一連の1つ以上のCD8エピトープ配列(MHCI上に提示される)、この2つのエピトープ配列を隔てる切断可能なリンカー、その1つ以上のエピトープ配列に機能可能に連結されたMHCII活性化因子配列をコードする融合ペプチド配列を有するエンドトープコンストラクトに対するものである。この種のコンストラクトは、エンドトープと呼ばれ、核酸ベース(DNAもしくはRNA)の単一のコンストラクトまたは同じ複合体内の複数のmRNA分子によって発現される、疾患の誘因の複数のエピトープを単一の細胞に送達可能にし、このコンストラクトは、Ag提示及びプロセシングの最適化を通じて、自己反応性のCD4+ T細胞及びCD8+ T細胞の両方によって認識されるエピトープに対して免疫寛容を開始させるとともに、トランスフェクションされた間質細胞に、MHCII上のCD4エピトープを提示する能力を付与する。そのエンドトープコンストラクトは、エンドソームでプロセシングされるように意図されたCD4エピトープに機能可能に連結されたMHCIIターゲティング配列を有する一方で、CD8エピトープのためのMHCIターゲティング配列を含む必要はない。このコンストラクトでは、CD8エピトープが、正常な細胞プロセスに従って、プロテアソームによってプロセシングされる細胞質に送達されるからである。
【0044】
そのエンドトープコンストラクトは、そのコンストラクトを使用する種に合わせてコドン最適化されていてもよい。コドン最適化としては、アミノ酸配列を変化させずに、ベクターの免疫原性を低減または増強するヌクレオチド変化を挙げてよい。
【0045】
糖尿病治療の実施形態では、例えば、そのエンドトープコンストラクトにより、T1D患者において良好な安全性プロファイルを有する寛容原性のDNAワクチン接種策(Roep et al.,2013)を用いて、CD4+及びCD8+の糖尿病誘発性T細胞の両方を、複数のβ細胞Agにわたり、欠失または抑制の標的とすることが可能になる。
【0046】
そのエンドトープコンストラクトによってコードされるAgは、自己免疫疾患のように、免疫寛容を必要とするか、感染症のように、免疫刺激を必要とするかのいずれかである様々な疾患に対してカスタマイズできるのみならず、個々の患者に対して、最大の寛容応答または最大の免疫応答を惹起するようにもカスタマイズできる。所定の患者の血液中を循環する一部免疫細胞が、特定の試験ペプチドに対して免疫応答を発現するかを判断するための、様々なイムノアッセイが存在する。あるいは、所定のAgは、ある区分の患者で見られる最も一般的な反応性をベースとすることができる。カスタマイズ可能であるため、所定の種類の自己反応性T細胞をさらに的確に標的とするために、天然型ペプチドを変異させることができる(翻訳後修飾または稀なMHC結合レジスターを要するペプチド)。本発明のエンドトープコンストラクトは、ドミナント疾患エピトープ(修飾ネオエピトープを含む)を内在的に発現するようにする方法を提供し、これは、外因性タンパク質の組み合わせを投与するだけでは実現できない。重要な所定の疾患エピトープのみが、そのエンドトープコンストラクトに含まれるので、複数のタンパク質Agに由来する複数のエピトープをCD4+ T細胞及びCD8+ T細胞の両方またはいずれかに提示して、CD4エピトープ及びCD8エピトープの両方の発現のバランスを取るようにするには、単一のコンストラクトで十分である。以前のアプローチでは、コンストラクトには、それぞれのタンパク質全体の配列を含める必要があったが、核酸を送達するコンストラクト及びビヒクルの容量は限られているので、これは問題である。
【0047】
以下は、特定の疾患に関するものとして知られているAgのリストである。これらのAgに由来するエピトープは、それぞれの疾患の治療のために、核酸コンストラクトに含めることができる。概要については、Di Lorenzo et al.,Clin.Exp.Immunol.148(1):1-16,2007 and James EA et al Diabetes.2020 Jul;69(7):1311-1335を参照されたい。興味深いことに、ハイブリッドインスリンペプチドが、疾患を誘引する重要なAgとして最近認識されており、これは、いずれの完全タンパク質Ag(48~50)でも示されていない。
表1A
【表1】
【0048】
本発明での使用には、対象において寛容性を誘導したいと考えるいずれかの既知のエピトープが想定される。エピトープの選択は、患者集団において最も多く標的となるエピトープに基づき決定するか、または診断検査に基づき、個々の患者に合わせてパーソナライズする。エピトープの選択は、所定のエピトープを提示できることが知られている、患者のHLAハプロタイプによっても決定する。Immune Epitope Database(IEDB)は、既知のエピトープ、かつ多くの場合、それらのエピトープが結合することが知られているMHCハプロタイプ(複数可)、それらの検証に関するアッセイ結果、及びそれらの特定に関する参照文献の最大の情報源の代表的なものである。例えば、1型糖尿病におけるヒトエピトープについて検索すると、約11,500個のエピトープが得られる。カスタマイズ可能であるので、所定の種類の自己反応性T細胞をさらに的確に標的とするために、天然型ペプチドを変異させることができる(翻訳後修飾または稀なMHC結合レジスターを要するペプチド)。好ましくは、本発明のコンストラクトは、CD4エピトープ及びCD8エピトープの両方をバランスよくコードして、MHCI Ag及びMHCII Agの両方に対して同時に、寛容性が誘導されるようにする。寛容原性の核酸コンストラクトを作製するのに好ましいAgとしては、本明細書で具体的に論じられているかもしくは示されているAgのいずれか、または糖尿病誘発性Agもしくは自己免疫Agに由来するいずれかのエピトープが挙げられる。これまで、T1D臨床試験において、様々な送達方法を用いて、3つのAg(プロインスリン/インスリン、GAD65及びHSP60 p277)が個別に評価されてきた。全体的に、これらのAg特異的な療法では、十分な忍容性が見られたが、有効性は不十分であった。T1Dでは、他のAgが標的となり、IA-2、IGRP、ChgA及びZnT8が挙げられるが、これらに限定されない。(他の主な組織特異的自己免疫疾患におけるように)T1Dでエピトープ拡大が起こる程度を考慮すると、単一のAgまたはエピトープに対する寛容性の実現では、持続的な寛容誘導には不十分であると思われ、以前の臨床試験が比較的失敗したことを部分的に説明し得る。CD4+ T細胞及びCD8+ T細胞の両方に対する効率的な寛容原性の提示では、複数のAg特異性を標的とするのに加えて、利用可能な場合に、ミモトープを用いることによってさらに増強すると、有効性が上昇するとともに、寛容誘導機構のすべてが活用される。最新の方策を最適化するには、これらの新たなパラメーターの前臨床評価が必要となる。
【0049】
DiLorenzoらの2007年の文献に報告されているように、今では、β細胞Agに由来する多数のエピトープが、NODマウス及びT1D患者の両方において、糖尿病誘発性のCD4+ T細胞またはCD8+ T細胞の標的となることが知られており、この文献以降、さらに多くのエピトープが特定されている(例えば、Delong et al.2016及びWang et al.2015を参照されたい)。DiLorenzoら(Clin.Exp.Immunol.147:doi:10.1111/j.11365-2249.2007.03328.x(2007))及びJamesら(Diabetes.2020 Jul;69(7):1311-1335.doi:10.2337/dbi19-0022)による論評には、自己免疫性糖尿病に対する多くの有用なT細胞エピトープに関する配列、例及び考察、ならびにT細胞エピトープの多くの例が示されている。示されているデータは、T1DのNODマウスモデルで標的とされたエピトープに基づいており、CD8エピトープについては、Ins2 B:15-23及びIGRP206-214、CD4エピトープ/ミモトープについては、Ins2 B:9-23、Ins2 B:9-23(R22E)、Ins2 B:9-23(R22E、E21G)、ChgA1040-79、GAD65286-300、GAD65524-543が含まれる。これらのエピトープのいくつかが、原理証明実験用に選択されている。T細胞受容体トランスジェニックマウス及びMHCテトラマー試薬など、これらの特定のエピトープに対するT細胞応答を評価するためのツール及び試薬が存在するからである。ヒトでは、重要なエピトープとしては、当該分野で知られているエピトープであって、GAD65及びIA-2に由来するエピトープが挙げられる。他のAgについては、IGRP、ChgA、ZnT8、IAPP及びICA69、ならびに新たに発見された多くのハイブリッドインスリンペプチド(Delong et al.2016、James et al.,2020)、及びDRiPペプチド(Nat Med.2017 Apr;23(4):501-507)を含め、上記よりも少ないエピトープが特定されている。HSP60/70タンパク質由来のエピトープも標的とされるが、これらは、β細胞特異的ではない。T1Dにおいて、広範に認識される重要なエピトープは、CD4エピトープのインスリンB:9-23であり、これは、NODマウス及びT1D患者の両方で標的とされる。NODマウスでは、このエピトープは、疾患の開始に関与する(Nakayama et al.,Nature.35(7039):220-3,2005)。このエピトープに対して設計された様々なミモトープが存在し、これらのミモトープは、マウス(Daniel et al.Exp Med.2011 Jul 4;208(7):1501-10)、ヒト化マウス(Serr et al.,Nat Commun.2016 Mar 15;7:10991)及びヒト(Nakayama et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 112(14):4429-34,2015)のいずれにおいても有効である。エピトープ及びミモトープは引き続き、T1D及びその他の自己免疫疾患において定期的に特定されているので、すでに存在しているエピトープの収集が完了するであろう。エピトープが多く明らかになるほど、特定の疾患、またさらには特定の個体で、どのエピトープを標的とする必要があるか判断する助けとなる高感度アッセイが実現するので、それに従って、コンストラクト及び方法を設計できる。
【0050】
MS、RA、IBD及び乾癬のような疾患における他の自己抗原(その一部は、本明細書に列挙されている)、ならびに当該技術分野で知られている他の自己抗原も、本発明での使用が想定されている。エピトープ拡大の現象により、既知の自己免疫エピトープの数は増え続けている。いずれの自己Ag、及び移植する器官または組織に由来するAgも想定されている。したがって、今後明らかになるいずれのエピトープも、本発明での使用が想定されている。ミモトープは、利用可能であるときには、いずれかのエピトープに置き換えることができる。当該技術分野で知られている関連のAg/エピトープに対するミモトープのいずれかを使用できる。
【0051】
免疫寛容では、エンドトープコンストラクトを有するDNA/RNAビヒクルを修飾して、免疫原性を持つ特定のモチーフ、例えば、CpGモチーフ(GpGモチーフに置き換えることができる)またはmRNAのUリッチな領域(シュードウリジンに置き換えることができる)を除去できる。
【0052】
本明細書に開示されているいずれかの実施形態の特徴の1つ以上は、本発明の範囲内で組み合わせたり及び/または再構成したりして、本発明の範囲内であるさらなる実施形態をもたらしてよいことは認識されるであろう。
【0053】
エピトープ及びコンストラクトの配列
図1には、T1Dに関連するエピトープ配列を相当数含む例示的なエンドトープコンストラクトが示されている。表1Bには、顕著な成分の配列が示されている。
表1B
【表2】
以下に配列番号27として示されているのは、例示的なエンドトープ配列である。
図4に示されているように、エンドトープ配列は、miR142TのようなmiRNAターゲティング配列に連結されていてもよい。
【表3】
表2
【表4】
制限部位には、下線が付されている。
このエンドトープコンストラクトの、コドン最適化されたDNA配列は、以下のとおりである(配列番号28)。
【表5】
このコンストラクトのタンパク質配列は、以下のとおりである(218aa、配列番号29)。
【表6】
表3
【表7】
例示的なエピトープDNA配列及びアミノ酸配列、ならびに切断配列:
【表8】
【0054】
STAT1c
本開示によるタンパク質は、野生型タンパク質を変化させて(すなわち修飾して)、改変されたVmax、Km、基質特異性、基質選択性及びタンパク質安定性といった、タンパク質の有用な特徴の新規組み合わせを有する新たなタンパク質を作製することによって産生させてよい。修飾は、タンパク質における所定のアミノ酸位で行ってよく、天然において(すなわち、野生型タンパク質において)その位置に見られるアミノ酸を異なるアミノ酸に置換することであってよい。すなわち、本開示が提供するタンパク質は、天然において見られる野生型タンパク質に対して、タンパク質の特徴が1つ以上改変された新たなタンパク質をもたらす。本開示の一実施形態では、タンパク質は、類似の野生型タンパク質と比べて、1つ以上の除草剤に対する活性が向上もしくは低下しているか、もしくはタンパク質安定性が向上しているか、またはこのような特徴がいずれかに組み合わされているなど、タンパク質の特徴が改変されていてよい。一実施形態では、本開示は、タンパク質、及びそのタンパク質をコードするDNA分子またはコード配列であって、配列番号3及び4に示されているようなタンパク質配列との配列同一性が少なくとも約80%、配列同一性が約81%、配列同一性が約82%、配列同一性が約83%、配列同一性が約84%、配列同一性が約85%、配列同一性が約86%、配列同一性が約87%、配列同一性が約88%、配列同一性が約89%、配列同一性が約90%、配列同一性が約91%、配列同一性が約92%、配列同一性が約93%、配列同一性が約94%、配列同一性が約95%、配列同一性が約96%、配列同一性が約97%、配列同一性が約98%、配列同一性が約99%または配列同一性が約100%であるDNA分子またはコード配列を提供する。アミノ酸変異は、そのタンパク質における1アミノ酸置換として、または1つ以上の他のアミノ酸の置換、欠失もしくは付加など、1つ以上の他の変異と組み合わせて加えてよい。変異は、本明細書に記載されているようにして、または当業者に知られているいずれかの他の方法によって加えてよい。
【0055】
STAT1配列:
STAT1タンパク質のアラインメント結果(CDS配列由来):
マウスとヒトとの同一性は93%
Mm:マウス配列(Mus musculus)
Hs:ヒト配列(Homo sapiens)
LF:ロングフォーム(スプライスアイソフォーム)
SF:ショートフォーム(スプライスアイソフォーム)
SC:STAT1c(構成的に活性な変異体)
【0056】
太字及び下線で強調されているのは、タンパク質を構成的に活性にする変異部位である(参照文献:Sironi & Ouchi,2004,JBC,STAT1-induced Apoptosis Is Mediated by Caspases 2,3,and 7.
【0057】
Liddle,Alvarez,Poli and Frank,2006,Biochem.,Tyrosine Phosphorylation Is Required for Functional Activation of Disulfide-Containing Constitutively Active STAT Mutants)。下記の表の配列番号の降順は、配列番号7、配列番号8、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号3である。
表4
Mm_Stat1_LF MSQWFELQQLDSKFLEQVHQLYDDSFPMEIRQYLAQWLEKQDWEHAAYDVSFATIRFHDLLSQLDDQYSRFS
Mm_Stat1_SF MSQWFELQQLDSKFLEQVHQLYDDSFPMEIRQYLAQWLEKQDWEHAAYDVSFATIRFHDLLSQLDDQYSRFS
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Hs_Stat1_SF
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【0058】
ヒトSTAT1c DNA配列:配列番号1
ATGTCTCAGTGGTACGAACTTCAGCAGCTTGACTCAAAATTCCTGGAGCAGGTTCACCAGCTTTATGATGACAGTTTTCCCATGGAAATCAGACAGTACCTGGCACAGTGGTTAGAAAAGCAAGACTGGGAGCACGCTGCCAATGATGTTTCATTTGCCACCATCCGTTTTCATGACCTCCTGTCACAGCTGGATGATCAATATAGTCGCTTTTCTTTGGAGAATAACTTCTTGCTACAGCATAACATAAGGAAAAGCAAGCGTAATCTTCAGGATAATTTTCAGGAAGACCCAATCCAGATGTCTATGATCATTTACAGCTGTCTGAAGGAAGAAAGGAAAATTCTGGAAAACGCCCAGAGATTTAATCAGGCTCAGTCGGGGAATATTCAGAGCACAGTGATGTTAGACAAACAGAAAGAGCTTGACAGTAAAGTCAGAAATGTGAAGGACAAGGTTATGTGTATAGAGCATGAAATCAAGAGCCTGGAAGATTTACAAGATGAATATGACTTCAAATGCAAAACCTTGCAGAACAGAGAACACGAGACCAATGGTGTGGCAAAGAGTGATCAGAAACAAGAACAGCTGTTACTCAAGAAGATGTATTTAATGCTTGACAATAAGAGAAAGGAAGTAGTTCACAAAATAATAGAGTTGCTGAATGTCACTGAACTTACCCAGAATGCCCTGATTAATGATGAACTAGTGGAGTGGAAGCGGAGACAGCAGAGCGCCTGTATTGGGGGGCCGCCCAATGCTTGCTTGGATCAGCTGCAGAACTGGTTCACTATAGTTGCGGAGAGTCTGCAGCAAGTTCGGCAGCAGCTTAAAAAGTTGGAGGAATTGGAACAGAAATACACCTACGAACATGACCCTATCACAAAAAACAAACAAGTGTTATGGGACCGCACCTTCAGTCTTTTCCAGCAGCTCATTCAGAGCTCGTTTGTGGTGGAAAGACAGCCCTGCATGCCAACGCACCCTCAGAGGCCGCTGGTCTTGAAGACAGGGGTCCAGTTCACTGTGAAGTTGAGACTGTTGGTGAAATTGCAAGAGCTGAATTATAATTTGAAAGTCAAAGTCTTATTTGATAAAGATGTGAATGAGAGAAATACAGTAAAAGGATTTAGGAAGTTCAACATTTTGGGCACGCACACAAAAGTGATGAACATGGAGGAGTCCACCAATGGCAGTCTGGCGGCTGAATTTCGGCACCTGCAATTGAAAGAACAGAAAAATGCTGGCACCAGAACGAATGAGGGTCCTCTCATCGTTACTGAAGAGCTTCACTCCCTTAGTTTTGAAACCCAATTGTGCCAGCCTGGTTTGGTAATTGACCTCGAGACGACCTCTCTGCCCGTTGTGGTGATCTCCAACGTCAGCCAGCTCCCGAGCGGTTGGGCCTCCATCCTTTGGTACAACATGCTGGTGGCGGAACCCAGGAATCTGTCCTTCTTCCTGACTCCACCATGTGCACGATGGGCTCAGCTTTCAGAAGTGCTGAGTTGGCAGTTTTCTTCTGTCACCAAAAGAGGTCTCAATGTGGACCAGCTGAACATGTTGGGAGAGAAGCTTCTTGGTCCTAACGCCAGCCCCGATGGTCTCATTCCGTGGACGAGGTTTTGTAAGGAAAATATAAATGATAAAAATTTTCCCTTCTGGCTTTGGATTGAAAGCATCCTAGAACTCATTAAAAAACACCTGCTCCCTCTCTGGAATGATGGGTGCATCATGGGCTTCATCAGCAAGGAGCGAGAGCGTGCCCTGTTGAAGGACCAGCAGCCGGGGACCTTCCTGCTGCGGTTCAGTGAGAGCTCCCGGGAAGGGGCCATCACATTCACATGGGTGGAGCGGTCCCAGAACGGAGGCGAACCTGACTTCCATGCGGTTGAACCCTACACGAAGAAAGAACTTTCTGCTGTTACTTTCCCTGACATCATTCGCAATTACAAAGTCATGGCTTGTGAGTGTATTCCTGAGAATCCCCTGAAGTATCTGTATCCAAATATTGACAAAGACCATGCCTTTGGAAAGTATTACTCCAGGCCAAAGGAAGCACCAGAGCCAATGGAACTTGATGGCCCTAAAGGAACTGGATATATCAAGACTGAGTTGATTTCTGTGTCTGAAGTTCACCCTTCTAGACTTCAGACCACAGACAACCTGCTCCCCATGTCTCCTGAGGAGTTTGACGAGGTGTCTCGGATAGTGGGCTCTGTAGAATTCGACAGTATGATGAACACAGTATAG
【0059】
マウスSTAT1c DNA配列:配列番号2
ATGTCACAGTGGTTCGAGCTTCAGCAGCTGGACTCCAAGTTCCTGGAGCAGGTCCACCAGCTGTACGATGACAGTTTCCCCATGGAAATCAGACAGTACCTGGCCCAGTGGCTGGAAAAGCAAGACTGGGAGCACGCTGCCTATGATGTCTCGTTTGCGACCATCCGCTTCCATGACCTCCTCTCACAGCTGGACGACCAGTACAGCCGCTTTTCTCTGGAGAATAATTTCTTGTTGCAGCACAACATACGGAAAAGCAAGCGTAATCTCCAGGATAACTTCCAAGAAGATCCCGTACAGATGTCCATGATCATCTACAACTGTCTGAAGGAAGAAAGGAAGATTTTGGAAAATGCCCAAAGATTTAATCAGGCCCAGGAGGGAAATATTCAGAACACTGTGATGTTAGATAAACAGAAGGAGCTGGACAGTAAAGTCAGAAATGTGAAGGATCAAGTCATGTGCATAGAGCAGGAAATCAAGACCCTAGAAGAATTACAAGATGAATATGACTTTAAATGCAAAACCTCTCAGAACAGAGAAGGTGAAGCCAATGGTGTGGCGAAGAGCGACCAAAAACAGGAACAGCTGCTGCTCCACAAGATGTTTTTAATGCTTGACAATAAGAGAAAGGAGATAATTCACAAAATCAGAGAGTTGCTGAATTCCATCGAGCTCACTCAGAACACTCTGATTAATGACGAGCTCGTGGAGTGGAAGCGAAGGCAGCAGAGCGCCTGCATCGGGGGACCGCCCAACGCCTGCCTGGATCAGCTGCAAAGCTGGTTCACCATTGTTGCAGAGACCCTGCAGCAGATCCGTCAGCAGCTTAAAAAGCTGGAGGAGTTGGAACAGAAATTCACCTATGAGCCCGACCCTATTACAAAAAACAAGCAGGTGTTGTCAGATCGAACCTTCCTCCTCTTCCAGCAGCTCATTCAGAGCTCCTTCGTGGTAGAACGACAGCCGTGCATGCCCACTCACCCGCAGAGGCCCCTGGTCTTGAAGACTGGGGTACAGTTCACTGTCAAGCTGAGACTGTTGGTGAAATTGCAAGAGCTGAACTATAACTTGAAAGTGAAAGTCTCATTTGACAAAGATGTGAACGAGAAAAACACAGTTAAAGGATTTCGGAAGTTCAACATCTTGGGTACGCACACAAAAGTGATGAACATGGAAGAATCCACCAACGGAAGTCTGGCAGCTGAGTTCCGACACCTGCAACTGAAGGAACAGAAAAACGCTGGGAACAGAACTAATGAGGGGCCTCTCATTGTCACCGAAGAACTTCACTCTCTTAGCTTTGAAACCCAGTTGTGCCAGCCAGGCTTGGTGATTGACCTGGAGGTCTTTGTTCCCTTTCAGACCACCTCTCTTCCTGTCGTGGTGATCTCCAACGTCAGCCAGCTCCCCAGTGGCTGGGCGTCTATCCTGTGGTACAACATGCTGGTGACAGAGCCCAGGAATCTCTCCTTCTTCCTGAACCCCCCGTGCGCGTGGTGGTCCCAGCTCTCAGAGGTGTTGAGTTGGCAGTTTTCATCAGTCACCAAGAGAGGTCTGAACGCAGACCAGCTGAGCATGCTGGGAGAGAAGCTGCTGGGCCCTAATGCTGGCCCTGATGGTCTTATTCCATGGACAAGGTTTTGTAAGGAAAATATTAATGATAAAAATTTCTCCTTCTGGCCTTGGATTGACACCATCCTAGAGCTCATTAAGAAGCACCTGCTGTGCCTCTGGAATGATGGGTGCATTATGGGCTTCATCAGCAAGGAGCGAGAACGCGCTCTGCTCAAGGACCAGCAGCCAGGGACGTTCCTGCTTAGATTCAGTGAGAGCTCCCGGGAAGGGGCCATCACATTCACATGGGTGGAACGGTCCCAGAACGGAGGTGAACCTGACTTCCATGCCGTGGAGCCCTACACGAAAAAAGAACTTTCAGCTGTTACTTTCCCAGATATTATTCGCAACTACAAAGTCATGGCTTGCGAGTGCATACCAGAGAATCCCCTGAAGTATCTGTACCCCAATATTGACAAAGACCACGCCTTTGGGAAGTATTATTCCAGACCAAAGGAAGCACCAGAACCGATGGAGCTTGACGACCCTAAGCGAACTGGATACATCAAGACTGAGTTGATTTCTGTGTCTGAAGTCCACCCTTCTAGACTTCAGACCACAGACAACCTGCTTCCCATGTCTCCAGAGGAGTTTGATGAGATGTCCCGGATAGTGGGCCCCGAATTTGACAGTATGATGAGCACAGTATAA
【0060】
miRNAターゲティング
場合によっては、修飾は、標的配列、またはその標的配列と少なくとも95パーセント(例えば、少なくとも96パーセント、少なくとも97パーセント、少なくとも98パーセントまたは少なくとも99パーセント)同一である標的配列で行う。さらに具体的な例では、修飾は、配列番号9もしくは10に示されている標的配列、または配列番号9もしくは10に示されている配列と少なくとも95パーセント(例えば、少なくとも96パーセント、少なくとも97パーセント、少なくとも98パーセントもしくは少なくとも99パーセント)同一である標的配列で行う。
【0061】
miR-142-T配列:
単一のmiR-142T部位:TCCATAAAGTAGGAAACACTACA(配列番号9)
4×miR-142T部位(miR-142による効率的なターゲティングのため):
CTAGAGTCGACTCCATAAAGTAGGAAACACTACACGATTCCATAAAGTAGGAAACACTACAACCGGTTCCATAAAGTAGGAAACACTACATCACTCCATAAAGTAGGAAACACTACAC(配列番号10)
【0062】
参考文献
Brown,B.D.,Venneri,M.A.,Zingale,A.,Sergi Sergi,L.& Naldini,L.Endogenous microRNA regulation suppresses transgene expression in hematopoietic lineages and enables stable gene transfer.Nat Med 12,585-591(2006).
Cire,S.,Da Rocha,S.,Ferrand,M.,Collins,M.K.& Galy,A.In Vivo Gene Delivery to Lymph Node Stromal Cells Leads to Transgene-specific CD8+ T Cell Anergy in Mice.Mol Ther(2016).
【0063】
配列同一性及び修飾
特定の核酸またはアミノ酸配列と、特定の配列識別番号によって言及されている配列との配列同一性パーセントは、当該技術分野で知られている技法によって求めてよい。一例では、配列同一性は、以下のようにして求める。まず、BLASTN(バージョン2.0.14)及びBLASTP(バージョン2.0.14)を含むスタンドアロン版のBLASTZのBLAST2 Sequences(B12seq)というプログラムを用いて、核酸配列またはアミノ酸配列を、特定の配列識別番号で示されている配列と比較する。このスタンドアロン版のBLASTZは、オンラインでfr.com/blastまたはncbi.nlm.nih.govで得ることができる。B12 seqプログラムの使い方を説明している説明書は、BLASTZに添付のReadmeファイルに見つけることができる。Bl2seqでは、BLASTNまたはBLASTPのいずれかのアルゴリズムを用いて、2つの配列の比較が行われる。BLASTNを用いて、核酸配列を比較する一方で、BLASTPを用いて、アミノ酸配列を比較する。2つの核酸配列を比較するには、-iは、比較する第1の核酸配列(例えばC:\seq1.txt)を含むファイルに設定し、-jは、比較する第2の核酸配列(例えばC:\seq2.txt)を含むファイルに設定し、-pは、blastnに設定し、-oは、いずれかの所望のファイル名(例えばC:\output.txt)に設定し、-qは-1に設定し、-rは2に設定し、他のすべてのオプションはデフォルト設定のままにするというようにオプションを設定する。例えば、C:\B12seq c:\seq1.txt-j c:\seq2.txt-p blastn-o c:\output.txt-q -1-r 2というコマンドを用いて、2つの配列の比較結果を含む出力ファイルを生成できる。2つのアミノ酸配列を比較するには、-iは、比較する第1のアミノ酸配列を含むファイル(例えばC:\seq1.txt)に設定し、-jは、比較する第2のアミノ酸配列(例えばC:\seq2.txt)を含むファイルに設定し、-pは、blastpに設定し、-oは、いずれかの所望のファイル名(例えばC:\output.txt)に設定し、他のすべてのオプションはデフォルト設定のままにするというようにBl2seqのオプションを設定する。例えば、C:\B12seq c:\seq2.txt-j c:\seq2.txt-p blastp-o c:\output.txtというコマンドを用いて、2つのアミノ酸配列の比較結果を含む出力ファイルを生成できる。2つの比較配列が相同性を有する場合には、指定の出力ファイルは、それらの相同性領域を、アラインメントされた配列として示す。2つの比較配列が相同性を有さない場合には、指定の出力ファイルは、アラインメントされた配列を示さない。
【0064】
アラインメントされると、両方の配列で同一のヌクレオチドまたはアミノ酸残基がある位置の数を計数することによって、マッチ数が求められる。配列同一性パーセントは、マッチ数を、特定された配列で示された配列長または関連の長さ(例えば、特定された配列に示されている配列に由来する100個の連続するヌクレオチドまたはアミノ酸残基)のいずれかによって除してから、得られた値に100を乗ずることによって求められる。例えば、第1の配列とアラインメントしたときに、マッチ数がxである核酸配列は、第2の配列に示されている配列とxパーセント同一である(すなわち、x+y×100=%)。配列同一性パーセントの値は、小数点第二位が四捨五入されていることに留意されたい。例えば、75.11、75.12、75.13及び75.14は、四捨五入されて75.1になり、75.15、75.16、75.17、75.18及び75.19は、四捨五入されて75.2になる。長さの値は常に整数となることにも留意されたい。
【0065】
分泌シグナル
特定の実施形態の核酸コンストラクトは、トランスフェクションされた細胞から1つ以上のエピトープを分泌させる分泌シグナル配列を備えてよい。分泌シグナル配列の例は、コドン最適化されたアルブミン分泌シグナルに関するものである。
(配列番号24)
ATGAAGTGGGTAACCTTTCTCCTCCTCCTCTTCATCTCCGGTTCTGCCTTTTCTAGGGGCAAGCTTATG
【0066】
本発明の核酸コンストラクトには、他の既知の分泌シグナル配列を含めてよいことは当業者には明らかであろう。分泌シグナル配列は、分泌されることが知られている他の真核生物ポリペプチドから得ることができる。ヒトを含む多数のゲノムのクローニング及びシーケンシングによると、採用できる広範な真核生物分泌シグナル配列が存在する。理想的には、分泌シグナル配列は、細胞のトランスフェクションが意図されている種から選択するか、またはその種についてコドン最適化する。上に示したコドン最適化アルブミン分泌シグナルに加えて、他の例として、ATG AAG TGG GTA ACC TTT ATT TCC CTT CTT TTT CTC TTT AGC TCG GCT TAT TCC AGG GGT GTG TTT CGT CGA GATという配列(配列番号25)を有するアルフ゛ミンリータ゛ー、及びATG GAG ACA GAC ACA CTC CTG CTA TGG GTA CTG CTG CTC TGG GTT CCA GGT TCC ACT GGT GACという配列(配列番号26)を有する免疫グロブリンκ(Ig κ)鎖リーダーが挙げられる。核酸コンストラクトの実施形態で使用するように改変し得る他の例については、米国特許第9,157,085号及びWO/2014/177826も参照されたい。
【0067】
ナノ粒子製剤
本明細書に記載されている核酸コンストラクトは、細胞トランスフェクションを増強するポリカチオン性分子(タンパク質、脂質及びそれらのポリマーを含む)またはリポソームと複合体化されていてもよい。しかしながら、このような複合体は、DCのようなプロフェッショナルAPCで速やかに分解される傾向があるので、間質細胞における方が、産生力のあるトランスフェクションがうまくいく傾向がある。上で説明したように、間質細胞によって、CD4エピトープ及びCD8エピトープが二重に提示されるか、または間質細胞によって、これらのエピトープが分泌されると、これらのエピトープに対して寛容原性の応答が誘導される可能性が高まる。ポリカチオン性分子の例としては、カルシウムとともに用いられるか、もしくはカルシウムとともに用いられない正電荷の細胞透過性ペプチド(ポリアルギニン、ポリリジンもしくはHIV TatペプチドなどのCPP)、または正電荷のポリマー分子(ポリエチレンイミンなど)、及びカチオン性脂質が挙げられるが、これらに限定されない。ポリカチオン性分子は、核酸コンストラクト上の負電荷と結びついて、そのコンストラクトを折り畳み、凝縮させるようにする。この凝縮により、コンストラクトは小さくなり、ひいては、コンストラクトの移動が促され、細胞によって取り込まれやすくなる。
【0068】
本明細書に開示されている核酸コンストラクトは、細胞による取り込みを増強するように働くポリカチオン性分子と会合し得る。核酸コンストラクトとポリカチオン性分子が複合体化すると、コンストラクトのサイズが縮小されるなど、コンストラクトをパッケージングする助けにもなり、LNSCをターゲティングするためにリンパ節への送達が改善されることを含め、細胞取り込み及びin vivoでの分散を助けると考えられる。エンドソームに入ったら、その複合体は、pHの低下により解離し、ポリカチオン性分子は、エンドソームの膜を破壊して、DNAの細胞質への脱出を促進でき、その後に分解されることができる。公開データにより、核酸コンストラクトの実施形態では、カチオン性脂質と複合体化させたところ、DCよりも、SCへの取り込みが増強されたことが示されている(21)。
【0069】
核酸コンストラクトと複合体化するのに有用なポリカチオン性分子の一例には、CPPが含まれ、例としては、ポリリジン(上記)、ポリアルギニン及びTatペプチドが挙げられる。CPPは、DNAに結合できる小さなペプチドであり、放出されると、細胞膜を透過して、DNA/mRNAがエンドソームから細胞質に脱出するように促す。CPPの別の例は、MPGという、27残基のキメラペプチドに関するものであり、安定的に一本鎖及び二本鎖のオリゴヌクレオチドに結合し、その結果、その核酸をDNaseによる分解から保護して、オリゴヌクレオチドを細胞にin vitroで効果的に送達する非共有結合性の複合体が得られることが少し前に示された(Mahapatro A,et al.,J Nanobiotechnol,2011,9:55)。様々なペプチド:DNA比を調べたところ、その複合体は、およそ150nm~1umの小粒子を形成した(150nmでは10:1、1umでは5:1であった)。別のCPPは、修飾テトラペプチド[グアニジノカルボニルピロール(GCP)基を含むテトラリジン(TL-GCP)]に関するものであり、これは、6.2kbのプラスミドDNAに高い親和性で結合して、700~900nmの正電荷の凝集体が得られたことが報告された(Li et al.,Agnew Chem Int Ed Enl 2015;54(10):2941-4)。RNAは、in vivo送達のために、このようなポリカチオン性分子によって複合体化することもできる(Yin & Andersonによる論評を参照されたい)。
【0070】
本明細書に記載されている核酸コンストラクトと複合体化し得るポリカチオン性分子の他の例としては、JETPRIME(登録商標)及びin vivo-jetPEI(登録商標)(ポリエチレンイミンによるもの)及びin vivo-jetRNA(登録商標)(カチオン性脂質によるもの)(Polypus-transfection,S.A.,Illkirch,France)として市販されているポリカチオン性ポリマーが挙げられる。
【0071】
ワクチンの組成物、投与、経路及び用量
本明細書に開示されている核酸コンストラクトは、必要となる対象への投与が想定されており、当業者に知られているいずれかの従来の方法によって投与できる。投与は、いずれかの経路による投与であることができ、局所的及び全身的な方法、例えば、肺に送達するためのエアゾール剤、経口経路、直腸経路、膣経路、口腔内経路、経粘膜経路、結節内経路、経皮経路、皮下経路、静脈内経路、皮下経路、皮内経路、気管内経路、筋肉内経路、動脈内経路、腹腔内経路、頭蓋内(例えば、髄腔内もしくは脳室内)経路、またはいずれかの既知及び従来の経路が挙げられるが、これらに限定されない。好ましい投与経路は、静脈内経路、腹腔内経路、皮下経路、経口/経鼻経路、及び感染もしくは腫瘍の罹患器官、罹患組織、罹患区域、または所定のリンパ節への直接注射である。投与形態により、活性剤の調合法を判断でき、これは、当業者による判断が容易である。核酸医薬は概して、ナノサイズの薬物製剤で血流に送達し、これらの周知の製剤及び投与方法が好ましい。例示的なナノ担体は、Pujol-Autonell et al.,“Use of autoantigen-loaded phosphatidylserine-liposomes to arrest autoimmunity in type 1 diabetes.”PloS one 10,e0127057(2015)に記載されている。
【0072】
したがって、核酸コンストラクトを1つ以上含む組成物の実施形態としては、経口投与用の固形調製物、経口投与もしくは非経口投与用に液体担体に溶解される固形調製物、溶液剤、懸濁剤、乳剤、油剤、クリーム、軟膏剤、ローション剤、ゲル剤、散剤、顆粒剤、懸濁液中の細胞、及び製剤を含むリポソームなど、または当該技術分野で知られているいずれかの従来の形態を挙げることができるが、これらに限定されない。これらの組成物は、様々な成分から生成してよく、その成分としては、予め形成済みの液体、自己乳化固体及び自己乳化半固体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0073】
非経口投与、皮内投与、皮下投与またはその他の注射で使われる溶液剤または懸濁剤は、注射用水、生理食塩水、固定油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールまたはその他の合成溶媒のような滅菌希釈剤、ベンジルアルコールまたはメチルパラベンのような抗菌剤、アスコルビン酸または亜硫酸水素ナトリウムのような抗酸化剤、エチレンジアミン四酢酸のようなキレート剤、酢酸塩、クエン酸塩またはリン酸塩のような緩衝剤、及び塩化ナトリウムまたはデキストロースのような等張化剤という成分を含むことができる。pHは、塩酸または水酸化ナトリウムのような酸または塩基で調製できる。非経口調製剤は、ガラスまたはプラスチック製のアンプル、ディスポーザブルシリンジまたは多用量バイアルに入れることができる。
【0074】
核酸コンストラクトを含む組成物であって、注射での使用に適する組成物としては、滅菌水溶液(治療剤が水溶性の場合)、または注射用の滅菌溶液もしくは滅菌分散液を即座に調製するための分散液及び滅菌粉末が挙げられる。静脈内投与用では、適切な担体としては、生理食塩水、静菌水、Cremophor EL(登録商標)(BASF,Parsippany,N.J.)またはリン酸緩衝生理食塩水(PBS)が挙げられる。いずれの場合にも、その組成物は、滅菌したものではなくてはならず、投与の際に、十分にシリンジ及び針を容易に通過できる程度に流体である必要がある。その組成物は、製造及び保存の条件下で安定している必要があり、細菌及び真菌のような微生物の汚染作用を防ぐように保存する必要がある。DNAまたはRNAを溶解させるのに使用するいずれの溶液も、DNaseフリー及びRNaseフリーである必要がある。
【0075】
その担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール及び液体ポリエチレングリコールなど)、ならびにこれらの適切な混合物を含む溶媒または分散媒であることができる。適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティングの使用によって、分散剤の場合には必要とされる粒径の維持によって、及び界面活性剤の使用によって維持することができる。微生物作用の防止は、様々な抗菌剤及び抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサールなどによって行うことができる。多くの場合、等張化剤、例えば、糖、ポリアルコール(マンニトール、ソルビトール及び塩化ナトリウムなど)をその組成物に含めるのが好ましいであろう。注射用組成物の持続的吸収は、その組成物に、吸収を遅延させる作用剤、例えば、モノステアリン酸塩およびゼラチンを含めることによって実現できる。
【0076】
開示されている核酸コンストラクトを1つ以上含む滅菌注射液は、適切な溶媒中の所要量の活性剤を、必要に応じて、上で列挙した成分の組み合わせの1つ以上とともに組み込んでから、ろ過滅菌することによって調製できる。概して、分散剤は、基本的な分散媒と、上に列挙した成分のうち必要とされる他の成分とを含む滅菌ビヒクルに活性剤を組み込むことによって調製する。滅菌注射液の調製用の滅菌粉末の場合には、好ましい調製方法は、活性成分といずれかの追加の所望の成分を予め無菌濾過した溶液から、その活性成分とその追加の成分の粉末をもたらす真空乾燥及び凍結乾燥である。当業者は、注射用のこれらの乾燥調製剤の使用方法を認識している。
【0077】
開示されている核酸コンストラクトを1つ以上含む経口組成物は概して、不活性希釈剤または食用担体を含む。それらの組成物は、ゼラチンカプセルに封入するか、または錠剤に圧縮することができる。治療する所定の状態に応じて、本発明の医薬組成物は、アテローム性動脈硬化症またはメタボリック症候群のその他の構成群の治療用では、全身用または局所用に調合及び投与できる。調合及び投与の技法は、“Remington:The Science and Practice of Pharmacy”(20th edition,Gennaro(ed.) and Gennaro,Lippincott,Williams & Wilkins,2000)に見ることができる。経口投与では、その薬剤は、腸溶性形態に含めて、胃で耐えられるようにしたり、または、既知の方法によって、さらにコーティングもしくは混合して、胃腸管の特定の領域で放出されるようにしたりできる。経口治療での投与目的では、その活性剤は、賦形剤とともに組み込んで、錠剤、トローチ剤またはカプセル剤の形態で使用することができる。経口組成物は、含嗽剤としての使用のために、流体担体を用いて調製することもでき、その流体担体中の化合物は、経口投与して、ゆすいだり、吐き出したり、または嚥下したりする。薬学的に適合性のある結合剤及び/またはアジュバント材料を、その組成物の一部として含めることができる。錠剤、丸剤、カプセル剤、トローチ剤などは、微結晶セルロース、トラガカントガムもしくはゼラチンなどの結合剤、デンプンもしくはラクトースなどの賦形剤、アルギン酸、PRIMOGEL(登録商標)もしくはコーンスターチなどの崩壊剤、ステアリン酸マグネシウムもしくはSTEROTES(登録商標)などの滑沢剤、コロイド状二酸化ケイ素などの流動化剤、スクロースもしくはサッカリンなどの甘味剤、またはペパーミント、サリチル酸メチルもしくはオレンジフレーバーなどの香味剤という成分または類似した性質の化合物のいずれかを含むことができる。
【0078】
全身投与は、例えば、坐剤または注腸剤によるなど、腸または結腸への経粘膜手段による投与であることもできる。経粘膜投与または経皮投与では、透過すべきバリアに適する透過剤を製剤で使用する。このような透過剤は、当該技術分野で概ね知られており、例えば、経粘膜投与では、界面活性剤、胆汁塩及びフシジン酸誘導体が挙げられる。経粘膜投与は、経鼻スプレーまたは坐剤の使用を通じて行うことができる。経皮投与では、開示されている核酸コンストラクトは、当該技術分野で概ね知られているように、軟膏剤、軟膏、ゲル剤またはクリームに調合する。
【0079】
いくつかの実施形態では、開示されている核酸コンストラクトは、インプラント及びマイクロカプセル化送達システムを含む放出制御型または遅延型の製剤のように、身体から急速には消失されないように化合物を保護する担体とともに調製する。エチレン酢酸ビニル、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル及びポリ乳酸などの生分解性、生体適合性のポリマーを使用できる。このような製剤の調製方法は、当業者には明らかであろう。これらの材料は、Alza Corporation及びNova Pharmaceuticals,Inc.から市販品を入手することもできる。リポソーム懸濁剤(例えばモノクローナル抗体によって特定の細胞を標的とするリポソームを含む)を薬学的に許容される担体として使用することもできる。これらは、当業者に知られている方法に従って調製できる。
【0080】
開示されている核酸コンストラクトを1つ以上含む製剤であって、持続放出または遅延放出させるように設計された製剤も、本発明での使用が想定されている。米国特許第5,108,921号、同第5,354,844号、同第5,416,016号、同第5,459,127号、同第5,521,291号、同第5,543,158号、同第5,547,932号、同第5,583,020号、同第5,591,721号、同第4,426,330号、同第4,534,899号、同第5,013,556号、同第5,108,921号、同第5,213,804号、同第5,227,170号、同第5,264,221号、同第5,356,633号、同第5,395,619号、同第5,416,016号、同第5,417,978号、同第5,462,854号、同第5,469,854号、同第5,512,295号、同第5,527,528号、同第5,534,259号、同第5,543,152号、同第5,556,948号、同第5,580,575号及び同第5,595,756号という米国特許には、取り込み、分布及び/または吸収を助ける製剤の調製に関する代表的な教示が含まれている。このような組成物は、本発明での使用が想定されている。
【0081】
開示されている核酸コンストラクトを1つ以上含む医薬製剤であって、利便的にも、単位剤形で提供してよい医薬製剤は、医薬業界で周知である従来の技法に従って調製し得る。このような技法には、活性成分を医薬用の担体(複数可)または賦形剤(複数可)と会合させる工程が含まれる。概して、その製剤は、活性成分を液体担体もしくは微粉化固体担体、またはその両方と均一かつ緊密に会合させてから、必要な場合には、その生成物を成形することによって調製する。本明細書に記載されている活性剤は、例えば、リポソーム、受容体標的化分子、経口用製剤、直腸用製剤、局所用製剤またはその他の製剤のように、取り込み、分布及び/または吸収を助けるために、他の分子、分子構造体または化合物混合物と添加混合、カプセル化、コンジュゲーション、または別段の会合を行うこともできる。液体、固体、半固体、ゲル、粉末または吸入可能な製剤などを作製するためのこのような方法は、当該技術分野で知られている。調合及び投与の技法は、“Remington:The Science and Practice of Pharmacy”(20th edition,Gennaro(ed.) and Gennaro,Lippincott,Williams & Wilkins,2000)に見ることができる。あるいは、本発明の化合物は、静脈内注射用に、懸濁液中のマイクロスフェアに融合できる。
【0082】
投与量及び投与レジメンは、医師を含む当業者が決定する。本発明の核酸、ペプチド、組成物及び細胞を含む組成物の投与は、1回行うこともできるし、またはある期間にわたり、1日に4回、1日に2回、1日に1回、1日おき、1週間に1回、1カ月に1回、もしくは関係する対象に基づき、当業者が定めるいずれかの間隔で持続注入することによるなど、間隔を置いて繰り返すこともできる。治療には、1日のみ、1週間、1カ月、数カ月、1年または一生という期間にわたって投与が伴うことがある。レジメン及び持続時間は、当業者には知られているように、当該技術分野で知られているいずれかのシステムに従って変動し得る。
【0083】
ナノ担体型の医薬用ビヒクル内のDNAもしくはmRNA、またはネイキッドDNAもしくはネイキッドRNAを発現する細胞を患者に静脈内注射するか、あるいは治療する病状の影響を受けている組織及び/または器官に注射できる。ヒトへの治療に利用可能である最新の細胞ビヒクルとしては、寛容原性または免疫原性の樹状細胞及び間質細胞が挙げられる。特定の種類の間質細胞(間葉間質細胞または間葉幹細胞)の前駆体は、骨髄または脂肪組織に由来してよい。ナノ担体ビヒクルは、リポソーム、ナノ粒子または微小粒子であることができ、これらは、in vivoでAPCが取り込むことができる。
【0084】
開示されている核酸コンストラクト(複数可)、ペプチド及び細胞の用量は、当業者が、対象の状態、及び使用する投与経路に基づいて決定できるが、約100μg~約10mg、好ましくは、約500μg~約10mg、約1mg~約10mg、約1mg~約5mgまたは約5mg~約10mg、最も好ましくは約1mg~約5mgの範囲と予想される。最適化/薬物動態により、これよりも低い用量も有効となることができるので、上記よりも低い用量、例えば約10μg~約100μgでも、本発明での使用が想定されている。
【実施例】
【0085】
実施例1.エンドトープにコードされたエピトープに対するT細胞応答をin vitroで評価
エピトープの提示は、BDC2.5、BDC12-4.1、NY8.3、G9C8及びG286のようなT細胞受容体トランスジェニックマウスに由来するT細胞クローンを用いて、in vitroで試験できる。これらのマウスの脾臓及びプールリンパ節を単一の細胞懸濁液に作製し、Ag特異的なCD4+ CD25- T細胞またはCD8+ T細胞を精製し、レンチウイルストランスダクション、プラスミドDNAトランスフェクションまたはmRNA-NPトランスフェクションによって改変して、核酸コンストラクトを発現するようにした間質細胞とin vitroで共培養する。3日後にT細胞応答を測定して、刺激、アネルギーのマーカー、及び例えばFoxp3またはIL-10を発現する制御性T細胞の誘導を測定する。T細胞を加える前に、間質細胞を改変して、エピトープ、STAT1cを発現するようにし、及び/または3~4日間、IFNγで馴化することができる。
【0086】
マウス:すべてのマウス株、すなわち、NOD(#001976)、NOD.SCID(#001303)、NOD.Thy1.1(#004483)、NOD.CD45.2(#14149)、ならびにT細胞受容体トランスジェニック(TCR-Tg)マウス、すなわちBDC2.5(#004460)、BDC12-4.1(#006303/006304)及びNY8.3(#005868)は、Jackson Laboratoryから購入し、我々のバリア施設で交配させる。これらのマウス由来のTCR-Tg T細胞はそれぞれ、p79/2.5ミモトープ(2.5mi)(23)、InsB9-23エピトープ及びミモトープ(24)、ならびにIGRP206-214エピトープ(いずれも、我々のNODマウス向けにテーラーメイドしたエンドトープコンストラクトによってコードされる)を認識する。
【0087】
トランスダクション及びmRNAトランスフェクション:ウイルスベクターを用いて、間質細胞にトランスダクションする場合には、好ましくは、多重感染度(MOI、懸濁液中のウイルス粒子の推定数)約5~10MOIを使用する(これらの細胞に高効率でトランスダクションされる)。mRNA-NPのトランスフェクションも、非常に高い効率レベルで行うことができる(90%超)(21)。
【0088】
実施例2:間質細胞に対する非ウイルス遺伝子の標的送達を評価
in vitro転写させた(IVT)GFP mRNA±miR-142TをTriLinkによってカスタム合成する。市販のin vivo-JetRNA(Polyplus)22を用いて、このmRNAをmRNA-NPとして複合体化する。様々なmRNAで作製したナノ粒子をNanoSightまたはZetasizerによって、サイズ及び粒子電荷の一貫性について評価する。NODマウス(6~10週齢)に、mRNA-NPを腹腔内注射する(マウス1匹当たり20μgのmRNA)。脾臓、様々なリンパ節及び肝臓(寛容性を媒介することが示されている様々な種類の間質細胞も含む8,26,41,42)を8時間後、24時間後及び48時間後に回収し、消化して間質細胞を放出させ、リンパ球を磁性分離によって枯渇して、LNSC集団及びDC集団を濃縮する(リンパ組織における細胞充実度5%未満)。様々なAPCをフローサイトメトリーによって解析して、GFPの発現をLNSC及びDCのマーカー(CD45、CD31、Pdpn、CD11c、CD11b、B220、CD317、CD8a)とともに評価する。静脈内送達経路及び皮下送達経路を用いて、解析を繰り返す。48時間後に高度な発現が依然として見られる場合には、それ以降の時点を解析に含めて、発現の持続時間を求める。miR-142Tを用いると、発現が間質細胞に制限されることが予測される。
【0089】
実施例3:間質細胞によって発現されたAgに対するT細胞応答の特徴付け
(1)複数のβ細胞エピトープ(エンドトープ)
19及び(2)マウスSTAT1c(両方とも、miR-142T部位を有する)を発現するIVT mRNAを作製する(TriLink)。in vivo-JetRNAを用いて、GFPと組み合わせたエンドトープmRNA(5μg/マウス)、またはSTAT1c mRNA(20μg/マウス)をmRNA-NPとして調合し、NODマウスに注射する。養子移入モデルでは、細胞増殖色素標識CD4
+ CD25
- T細胞(CD45.2コンジェニックBDC2.5マウスに由来する)及びCD8
+ T細胞(NY8.3マウスに由来する)であって、mRNAにコードされるエピトープの2つ(
図1A)に反応するT細胞を、NODマウスに注射し、2つの時点(3日後及び2週間後)に、Ag特異的なT細胞応答をフローサイトメトリーによって、クローン頻度(全T細胞のうちのCD45.2
+の割合(%))、増殖(トレーサー色素希釈液)ならびに表現型マーカー(例えば、CD25、CD44、PD-1、Lag-3、CD49b、CD73、FR4、Tim-3及びTigit)に関して評価する。加えて、Foxp3、IFNγ及びIL-10の細胞内染色を行う。第2のモデルでは、以前に行われたように
20,21,43、同じ時点及び解析パネルを用いて、MHCテトラマー(NIH Tetramer Core Facility由来のもの)を用いて、2つのエピトープに対するポリクローナルなAg特異的T細胞応答を評価する。両方のモデルにおいて、宿主T細胞(CD45.1
+)または、内部コントロールとしてのテトラマー陰性T細胞の解析により、一般的なT細胞集団上で、これらのマーカーのベースライン発現が得られる。3つのmRNA-NP注射経路(i.p.、i.v.、s.c.)を、1コンストラクト(Ag/GFPとAg/STAT1c)当たり、1時点当たりかつ1経路当たりに少なくとも5匹のマウスで試験する。STAT1cの併用送達により、間質細胞によるT細胞への関与、及び寛容性関連マーカーの発現が増強される。
【0090】
実施例4.miR-142Tによる細胞選択的な発現の検証
FRCに、1ウェル当たり0.1ugでmRNAをトランスフェクションし、48時間後に解析した。THP-1細胞及びBM-DCに、1ウェル当たり0.2ugでmRNAをトランスフェクションし、48時間後(THP-1)または24時間後(BM-DC)に解析した。マウスに、1匹当たり20~22.4ugのmRNAを腹腔内注射し、48時間後に、解析のために膵リンパ節及び脾臓を処理及び消化した。
【0091】
リンパ節間質APCには、in vitroのヒト線維芽細胞様細網細胞(FRC)(
図5A)、in vitroのマウスFRC(
図5B)及びin vivoのマウス血液内皮細胞(BEC)(
図5C)が含まれる。造血系APCには、ヒト単球THP-1細胞(
図5D)、マウス骨髄由来樹状細胞(DM-DC)(
図5E)及びin vivoのマウスCD11c+ CD11b+ cDC2細胞(
図5F)が含まれていた。
図5A~5Bには、GFP-miR-142Tコンストラクトが、in vitroで間質APCに取り込まれて、発現することが示されている。
図5Cには、GFP-miR-142コンストラクトが、in vivoで間質APCによって優先的に発現されることが示されている。
図5D及び5Eには、GFP-miR-142コンストラクトが、in vitroで造血系APCでは発現しないことが示されている。
図5Fには、GFP-miR-142コンストラクトが、in vivoで造血系APCでは発現しないことが示されている。勘案すると、
図5のデータにより、GFP mRNAは、造血系APC及び間質APCの両方で発現できるが、GFP-miR-142T mRNAは、間質APCで選択的に発現することが確認される。
【0092】
実施例5:mRNAワクチンがT1Dを予防する効力を判断
使用したコロニーでは、雌NODマウスは、12週齢前後に糖尿病を発現し、25週齢までの発症率は約90%である。生理食塩水(A)、GFP mRNAを含むmRNA-NP(B)、Ag/GFP mRNAを含むmRNA-NP(C)、及びAg/STAT1c mRNAを含むmRNA-NP(D)という4つのマウス群を使用し、いずれも、miR142Tを含むmRNAを使用する。マウスを、事前に試験した注射経路の少なくとも1つによって1週間おきに処置し(8週齢に開始して4回注射)、それらの血糖を最長で30週齢までモニタリングして、以前に報告されたように20,43、疾患発症率を求める。検出力80%及び有意性0.05で、効果量20%を得るには、12匹のマウスの群で十分である。Ag/STAT1c mRNAを含むmRNA-NPは、糖尿病の発現からの防護性が最も高い。プロインスリンmRNAは、エンドトープの代わりに、Agとしてみなされている(NODマウスにおいて、ASITに用いられる場合が多い)。可能な場合には、マウスは、8週齢からの予防的処置に加えて、糖代謝異常(150~250mg/dL)になった後、高血糖症(250mg/dL超)の発症まで処置する。
【0093】
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【0094】
本発明は、変動し得るので、記載されている特定のプロセス、組成物または手法に限定されない。本明細書で用いられている専門用語は、特定のバージョンまたは実施形態を説明するためのものに過ぎず、本発明の範囲を限定するようには意図しておらず、この範囲は、添付の請求項によってのみ限定されることになる。本発明の実施形態の実施または試験の際には、本明細書に記載されている方法及び材料と類似または同等のいずれかの方法及び材料を使用できるが、以下では、好ましい方法、考案物及び材料を説明する。本明細書で言及されている刊行物はいずれも、参照により、その全体が援用され、本明細書中のいかなる刊行物も、先行発明によるそのような開示に先行する権利が本発明に与えられないことを認めるものと解釈すべきではない。
【配列表】
【手続補正書】
【提出日】2024-05-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】配列表
【補正方法】追加
【補正の内容】
【配列表】
【国際調査報告】