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特表2024-523479バルブブリッジの拘束及びガイド並びに関連する方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-28
(54)【発明の名称】バルブブリッジの拘束及びガイド並びに関連する方法
(51)【国際特許分類】
   F01L 1/26 20060101AFI20240621BHJP
   F01L 13/00 20060101ALI20240621BHJP
   F01L 13/06 20060101ALI20240621BHJP
【FI】
F01L1/26 B
F01L13/00 302E
F01L13/06 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023579006
(86)(22)【出願日】2022-07-12
(85)【翻訳文提出日】2023-12-21
(86)【国際出願番号】 IB2022056436
(87)【国際公開番号】W WO2023285973
(87)【国際公開日】2023-01-19
(31)【優先権主張番号】63/203,182
(32)【優先日】2021-07-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505413266
【氏名又は名称】ジェイコブス ビークル システムズ、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ホジキンソン、エリック
(72)【発明者】
【氏名】ニール、ティモシー
(72)【発明者】
【氏名】バルトラッキ、ジャスティン ディー.
(72)【発明者】
【氏名】グロン、ジュニア、ジー. マイケル
【テーマコード(参考)】
3G016
3G018
【Fターム(参考)】
3G016AA06
3G016AA19
3G016BA06
3G016BA18
3G016BB09
3G016BB19
3G016CA21
3G016DA01
3G018AB03
3G018AB18
3G018BA11
3G018BA36
3G018CB06
3G018DA17
3G018DA18
3G018DA28
3G018FA11
3G018FA20
3G018GA03
(57)【要約】
バルブブリッジシステムは、エンジン動作中のブリッジジャンプ及び他の制御されていないバルブブリッジ運動を管理するための拘束及びガイドを含む。拘束は、e-フットカラー、ブリッジ上の延長部分、及びブリッジブレーキピンを含み得る。ガイドには、バルブブリッジバルブポケットを取り囲むバルブステム先端部導入面取り部に加え、ブリッジ延長部分上の偏向面が含まれ得る。バルブブリッジを構成する方法は、e-フットカラー、延長部分、及びブレーキピンによって提供される拘束のうちの1つ以上又は組み合わせによって画定されるバルブブリッジの最悪の場合の位置に基づいて、バルブステップ先端部導入面取り部を構成することを含み得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関のエンジンバルブアセンブリと共に使用するためのバルブブリッジであって、前記エンジンバルブアセンブリが複数のエンジンバルブを備え、前記内燃機関が、運動源から前記バルブブリッジに運動を伝達するためのバルブトレインを有し、前記バルブトレインが、前記バルブブリッジに係合するように適合されるe-フットを含み、前記バルブブリッジが、
中央ブリッジハウジングと、
前記中央ブリッジハウジング内に配置され、e-フット係合面を有するロックアセンブリであって、前記中央ブリッジハウジングに対する前記e-フット係合面の動きを選択的にロックする又は可能にし、それによって運動を伝達又は吸収するように適合される、ロックアセンブリと、を備え、
前記ブリッジが、前記e-フットに接触するように配置される制御面であって、そうしなければ前記ブリッジが制御されていない状態に移動する、制御面を更に備え、前記制御面が、それによって、前記ブリッジを、エンジン動作全体を通して制御された状態に維持する、バルブブリッジ。
【請求項2】
前記制御面が、前記e-フット係合面を完全に取り囲む、請求項1に記載のバルブブリッジ。
【請求項3】
前記制御面が、前記e-フット係合面の周りに延在するカラーによって画定される、請求項1に記載のバルブブリッジ。
【請求項4】
前記カラーが円形である、請求項2に記載のバルブブリッジ。
【請求項5】
前記e-フット係合面が、前記中央ブリッジハウジング内に配置されるプランジャ又はピストンアセンブリ上にある、請求項1に記載のバルブブリッジ。
【請求項6】
前記制御面が、前記ブリッジを制御された状態に維持するために、前記e-フットに対する前記バルブブリッジの動きを拘束するのに前記中央ブリッジハウジングから少なくとも十分な距離だけ延在する、請求項1に記載のバルブブリッジ。
【請求項7】
前記e-フット係合面が、ロック解除状態において前記バルブブリッジ内でストローク長を移動するように適合されたプランジャ上にあり、前記制御面が、前記プランジャのストローク長全体にわたって前記e-フットに対する前記バルブブリッジの動きを制限するのに十分な距離だけ延在する、請求項1に記載のバルブブリッジ。
【請求項8】
バルブステム先端部を受け入れるためのバルブポケットを更に備えており、前記バルブポケットがバルブステム座部を画定し、前記バルブポケットが、前記バルブステム座部を前記バルブステム先端部と整列するようにガイドするように適合された導入面であって、前記ブリッジ及びバルブステム座部が、そうでない場合に制御されていない位置に移動する、導入面を更に備える、請求項1に記載のバルブブリッジ。
【請求項9】
前記導入面が面取り部である、請求項8に記載のバルブブリッジ。
【請求項10】
前記導入面が、前記バルブステム座部を前記バルブステムと整列するようにガイドするのに前記バルブ座部から十分な距離だけ延在し、そうでなければ前記バルブステム座部とバルブステムの間に最大ブリッジジャンプ変位が生じるようにする、請求項8に記載のバルブブリッジ。
【請求項11】
前記中央ブリッジハウジングに近接して配設され、バルブばねアセンブリと係合することによってブリッジの動きを制限し、それによって前記ブリッジを制御された状態に維持するように構成される少なくとも1つの下側ガイド制御面を有する、延長部分を更に備える、請求項1に記載のバルブブリッジ。
【請求項12】
前記下側ガイド制御面が、バルブばねに係合するように構成される、請求項11に記載のバルブブリッジ。
【請求項13】
前記下側ガイド制御面が、オーバーサイズのバルブばねリテーナと係合するように構成される、請求項11に記載のバルブブリッジ。
【請求項14】
前記下側ガイド面が、前記バルブブリッジが制御された状態にあるときに前記バルブばねアセンブリと接触しないように構成され、下側ガイド面が、前記バルブブリッジを保持するためにバルブばねアセンブリと接触するように構成される、請求項11に記載のバルブブリッジ。
【請求項15】
前記バルブブリッジのブレーキピンボア内に配設されたブレーキピンを更に備える、請求項1に記載のバルブブリッジ。
【請求項16】
前記ブレーキピンが、前記バルブブリッジを制御された状態に維持するために、前記ブレーキピンとブリッジとの相対的な動きを拘束するように構成される、請求項15に記載のバルブブリッジ。
【請求項17】
前記ブリッジが、前記ブレーキピンの基部を受け入れるためのブレーキピン基部レセプタクルを更に備え、前記ブレーキピン基部レセプタクル及び前記ブレーキピン基部が、前記バルブブリッジを制御された状態に維持するために、前記ブレーキピン基部及び前記ブレーキピン基部レセプタクルの相対的な動きを拘束するように構成される、請求項15に記載のバルブブリッジ。
【請求項18】
前記制御面によって画定される前記バルブブリッジの移動範囲内の全てのバルブブリッジ位置においてバルブ先端部捕捉するように構成される、バルブポケット導入面取り部を更に備える、請求項1に記載のバルブブリッジ。
【請求項19】
前記バルブブリッジが、前記バルブばねに係合するように適合された延長部分と、少なくとも2つのバルブばねに対する前記バルブブリッジの移動範囲を画定する延長部分の制御面とを有し、前記延長部分の制御面によって画定される前記バルブブリッジの前記移動範囲内の全てのバルブブリッジ位置においてバルブ先端部を捕捉するように構成されるバルブポケット導入面取り部を更に備える、請求項1に記載のバルブブリッジ。
【請求項20】
前記バルブブリッジの動きを拘束するように適合されたブレーキピンを更に備え、前記バルブブリッジをバルブステムに対してガイドするための導入面を更に備える、請求項1に記載のバルブブリッジ。
【請求項21】
前記制御面が、前記e-フットに対する前記バルブブリッジの動きを少なくとも部分的に取り囲み、拘束するように適合されるカラーを備える、請求項20に記載のバルブブリッジ。
【請求項22】
バルブブリッジの制御面を構成するための方法であって、
ロック状態及びロック解除状態の両方におけるバルブブリッジの極限位置を評価することと、ブリッジの動きを拘束するようにe-カラーを構成することと、
前記e-カラーによって画定された前記拘束に基づいて、バルブ先端部導入面を構成することと、を含む、方法。
【請求項23】
ブリッジの動きを拘束するように、延長部分の制御面を構成することを更に含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記延長部分によって画定された前記拘束に基づいて、前記バルブ先端部導入面を構成することを更に含む、請求項22に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、内燃機関におけるバルブ作動システムに関し、特に、エンジン動作中のブリッジジャンプ及び他の制御されていないバルブブリッジ運動を管理するための拘束及びガイドを備えるバルブブリッジシステムに関する。拘束には、e-フットカラーと、ブリッジ上の下側ガイド面を有する延長部分と、ブリッジブレーキピンとが含まれ得る。ガイドには、バルブブリッジバルブポケットを取り囲むバルブステム先端部導入面取り部に加え、ブリッジ延長部分上の偏向面が含まれ得る。本開示はまた、概して、拘束及びガイドを有するバルブブリッジを構成する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関で使用するためのバルブ作動システムは、当該技術分野でよく知られている。そのようなバルブ作動システムは、典型的には、バルブ作動運動源(例えば、1つ以上のカム)からエンジンバルブにバルブ作動運動を伝達する1つ以上の構成要素を備えたバルブトレインを含む。図1は、ロスト運動バルブブリッジ600/700を有する、従来技術のバルブ作動システムにおける典型的な排気バルブ作動サブシステムを図示する。同様の構成要素が、吸気バルブの作動を実施するために使用され得ることを理解されたい。主排気ロッカーアーム100/400が、ロッカーシャフト110の周りを回転するように旋回可能に取り付けられ、適合され得る。運動従動子120が、主排気ロッカーアーム100/400の一端に配設されてもよく、ロッカーに運動を与えるために運動源(すなわち、回転カム260)に接触して従動してもよい。カム260は、制御部265で制御することができ、単一の主排気バンプ262(又は吸気バルブ作動システムの場合は主吸気バンプ)を含むことができる。当該技術分野において周知のように、作動流体は、ソレノイド油圧制御バルブ(図示せず)の制御下で、作動流体供給源よりロッカーアーム100/400に供給され得る。作動流体は、ロッカーシャフト110内に形成された通路510を通って、ロッカーアーム100/400内に形成された油圧通路215に流れ得る。戻り又は補助通路520もまた、ロッカーシャフト内に形成されてもよい。
【0003】
引き続き図1を参照すると、一般にエレファントフット又はe-フット240とも呼ばれるスイベルフットが、ロッカーアーム100/400の一端に配設されたねじアセンブリ230の一部であり得、運動を、ロッカーアーム100/400から、所与のシリンダに関連付けられた2つ以上のエンジンバルブ810/890及び820/920にまたがるバルブブリッジ710に伝達する。多くの場合、このようなバルブブリッジは、バルブトレインの別の構成要素(例えば、ロッカーアーム)に、ボア714に配設されたブレーキピン650/700を通してバルブブリッジと係合するエンジンバルブを同時に作動させることを可能にする。ロッカーアーム100/400に対するスイベルフット240の位置は、ねじ山付き締結具234で固定された調整ねじ232を使用して調整することができ、それによってラッシュ(すなわち、スイベルフット240とバルブブリッジ710との間の空間)の調整が備えつけられる。ロッカー通路215と連通する油圧通路235が、ロッカー通路215からバルブブリッジへ流体を運ぶためにねじ232内に形成され得る。スイベルフット240は、ロスト運動バルブブリッジ600/700に接触してもよい。排気バルブブリッジ600/700は、バルブブリッジを通って延在する中央開口部712と、バルブブリッジの第1の端部を通って延在する側部開口部714とを有するバルブブリッジ本体710を含むことができる。側部開口部714は、第1の排気バルブ810のバルブステムに接触する摺動ピン650を受け入れることができる。第2の排気バルブ820のバルブステムが、排気バルブブリッジの他端に接触してもよい。
【0004】
理想的には、動作中、運動伝達構成要素(ロッカーアームなど)及びエンジンバルブばねによって加えられる力の相反は、運動伝達構成要素及びエンジンバルブと同時に、バルブブリッジが(通常のラッシュ設定を許容して)接触したままであることを確実にする。このようにして、バルブブリッジは、エンジンバルブと整列した状態を一貫して維持し、バルブ作動運動をエンジンバルブに伝達するように位置決めされる。本明細書で使用される場合、バルブブリッジのこの状態は、エンジンバルブに対するバルブブリッジの「制御された状態」と称される。
【0005】
いくつかのバルブ作動システムは、いわゆる補助バルブ作動運動、すなわち、燃料の燃焼を通じて正の動力生成モードでエンジンを動作させるために使用されるバルブ作動運動以外の、又はそれに加えて、バルブ作動運動を提供するように構成される。そのようなバルブ作動システムでは、バルブトレイン構成要素(例えば、タペット、プッシュロッド、ロッカーアーム、バルブブリッジなど)は、バルブ作動運動がバルブトレイン構成要素を介してエンジンバルブに伝送されることを可能にするデバイス又はロスト運動アセンブリを含むように、又はそのような運動がバルブトレイン構成要素を介してエンジンバルブに伝送されない場合には選択的に「失われる」ように、構成され得る。ロスト運動アセンブリを作動又は停止させ、それによってロスト運動アセンブリに運動を吸収又は伝達させる信号は、上流ソレノイドバルブによって制御される作動(油)圧力を介して提供されてもよい。図1は、米国特許出願公開第2012/0024260号に説明されるそのようなシステムの一例を図示しており、その教示は、この参照により本明細書に組み込まれる。この場合、バルブブリッジアセンブリ600/700は、ロック機構の形態でロスト運動アセンブリを備える。排気バルブブリッジ600の中央開口部712は、外側プランジャボア722に配設された外側プランジャ720と、外側プランジャ720に配設されたキャップ730と、内側プランジャ760と、内側プランジャばね744と、外側プランジャばね746と、1つ以上のウェッジローラ又はボール740と、を含む、ロスト運動又はロックアセンブリを受け入れ得る。スイベルフット240はキャップ730に係合し、したがって、外側プランジャ720がブリッジ600に対してロックされている場合に、運動を外側プランジャ720に、そして最終的にはブリッジ600及びバルブに伝達する。図示の実施形態では、ロック機構ボール740が、内側プランジャ凹部762内に位置してもよく、内側プランジャ760の上方向への運動時に、外側プランジャ720内の開口部を通ってバルブブリッジの本体内に形成される凹部770に係合されてもよい。この状態では、ボール740は、内側プランジャ760の外径のために凹部770から係合解除することが防止され、それにより、外側プランジャ720をバルブブリッジ710に対して固定された関係にロックする。その結果、ロッカーアーム100/400によって外側プランジャ720に加えられたいかなるバルブ作動運動も、バルブブリッジ710及びエンジンバルブ810/910、820/920に伝達される。しかしながら、内側プランジャ760に形成された凹部がボール740と整列するとき、ボールは、バルブブリッジ710の凹部770から係合解除することができ、それによって、外側プランジャ720のロックを解除し、バルブブリッジ710に対して往復運動することを可能にする。この状態では、外側プランジャ720に加えられたいかなるバルブ作動運動も、外側プランジャをバルブブリッジ710内で動かし、エンジンバルブに伝達されない。別のバルブブリッジベースのロック/ロック解除システムは、米国特許出願公開第2014/0326212号に開示されており、その教示は、この参照により本明細書に組み込まれる。
【0006】
しかしながら、図1に図示するタイプのシステムでは、特にバルブブリッジが高速かつ高負荷下で往復運動している動作環境において、ロック機構が部分的に係合する可能性が存在する。部分的な係合は、例えば、上述したような従来技術のシステムにおける内側プランジャ又はラッチピストンが、ボール又はウェッジ要素との完全な係合から外れる場合に起こり得る。この場合、エンジン動作中のブリッジ及び他のバルブトレイン構成要素の負荷における急速な変化及び高速振動中に、ロック機構の滑りが起こり得る。ロック機構の部分的な係合及び滑りは、バルブの通常の作動運動(すなわち、バルブ開放運動)が最初にブリッジによってエンジンバルブに加えられた後に起こり得る。そのような最初の運動の後の滑りは、エンジンバルブの一方又は両方がそれらのそれぞれのバルブシートに対して急に閉じられるとき、バルブばねエネルギーの急速な解放をもたらし得る。これが起こると、エンジンバルブを開くためのバルブ作動構成要素によって提供される力が突然取り除かれ、バルブばねのかなりの力の下で、エンジンバルブが拘束されずに閉じた位置に急速に加速することが可能となる。エンジンバルブが全閉位置に到達する(すなわち、シリンダヘッドに形成されたバルブシートに対して停止する)と、バルブブリッジの運動量は、バルブブリッジをバルブステム先端部から「ジャンプ」させ得る。すなわち、バルブブリッジは、制御されていない様態で、概してエンジンバルブステムの一方若しくは両方から離れる方向に、及び/又はエンジンバルブステムの一方若しくは両方と整列しない方向に移動し続ける。このような運動は、バルブブリッジと、バルブトレイン又はエンジンシリンダヘッド環境内のロッカーアーム若しくは他の構成要素との衝突の可能性を生じさせ得る。極端な状況では、バルブブリッジがバルブステム先端部の一方又は両方から完全にジャンプしてエンジンバルブから外れたままとなり、それによってエンジンの故障及び/又は損傷を引き起こす可能性がある。また、内燃機関の過速度動作の結果として、バルブブリッジの制御されていない状態が発生することも知られている。バルブブリッジのこのタイプの、システムの安定性又は動作が危うくなる位置への動きは、本明細書では「制御されていない動き」と呼ばれ、本明細書で使用される場合、システムの安定性又は動作が危うくなる位置にあるバルブブリッジのこの状態は、エンジンバルブに対するバルブブリッジの「制御されていない状態」と呼ばれる。
【0007】
従来技術のシステムにおける、バルブブリッジのジャンプ、整列不良、並びにエンジン及びバルブ作動システムの動作及び摩耗に対する関連する有害な影響の可能性を考えると、バルブブリッジの制御されていない状態又は位置(原因にかかわらず)を防止する、最小限にする、適応させる、又はそれに対してガイドする解決策は、当該技術分野への歓迎される追加を意味するであろう。
【発明の概要】
【0008】
本開示の一態様によれば、バルブブリッジは、エンジン動作中のバルブブリッジ運動の変動を制御及び管理するための拘束及びガイドを含み得る。本開示によって企図される拘束としては、e-フットを取り囲むように適合されたe-フットカラーと、バルブばね間に嵌合するように適合されたバルブブリッジ上の延長部分と、を含む。本開示によって企図されるガイドは、バルブブリッジ上のバルブポケットを取り囲む導入面取り部であって、バルブブリッジが整列しなくなったときにバルブ先端部をバルブポケット内にガイドするための導入面取り部と、延長部分がバルブブリッジ環境内の鋭い角又は他の特徴に引っ掛かることを防止するための、延長部分上の偏向面と、を含む。開示される拘束及びガイドの特徴は、そうでなければ制御されないであろうブリッジジャンプ又は他のブリッジ運動を防止し、したがって、エンジン動作を通してバルブブリッジを制御された状態に維持する。
【0009】
一態様によれば、本開示は、内燃機関のエンジンバルブアセンブリと共に使用するためのバルブブリッジを提供し、エンジンバルブアセンブリが複数のエンジンバルブを備え、内燃機関が、運動源からバルブブリッジに運動を伝達するためのバルブトレインを有し、バルブトレインが、バルブブリッジに係合するように適合されたe-フットを含み、バルブブリッジが、中央ブリッジハウジングと、中央ブリッジハウジング内に配置され、e-フット係合面を有するロックアセンブリであって、中央ブリッジハウジングに対するe-フット係合面の動きを選択的にロック又は可能にし、それによって運動を伝達又は吸収するように適合される、ロックアセンブリと、を備え、ブリッジが、e-フットに接触するように配置される制御面であって、そうでなければブリッジが制御されていない状態に移動する、制御面を更に備え、制御面が、それによってエンジン動作全体を通してブリッジを制御された状態に維持する。更なる態様によれば、制御面は、円形であり得、ブリッジ上のe-フット係合面を完全に又は部分的に取り囲み得るカラーによって画定されてもよい。更なる態様によれば、e-フット係合面は、中央ブリッジハウジング内に配置されるプランジャ又はピストンアセンブリ上にあり得る。更なる態様によれば、制御面は、ブリッジを制御された状態に維持するために、e-フットに対するバルブブリッジの動きを拘束するのに、中央ブリッジハウジングから十分な距離だけ延在し得る。更なる態様によれば、制御面は、バルブブリッジの動きを、最大制御変位を通して制限するために、中央ブリッジハウジングから十分な距離だけ延在し得る。更なる態様によれば、バルブブリッジは、バルブステム先端部を受け入れるためのバルブステム座部を画定するバルブポケットと、バルブステム座部をガイドしてバルブステム先端部と整列するように適合された導入面であって、そうでなければブリッジが制御されていない位置に移動する、導入面と、を備えてもよい。別の態様によれば、導入面は面取り部であってもよい。更なる態様によれば、導入面は、バルブステム座部を整列させるようにガイドするために、バルブ座部から十分な距離だけ延在し、そうでなければ最大ブリッジジャンプ変位が生じる、ようにしてもよい。更なる態様によれば、少なくとも1つの下側ガイド面を有する延長部分が、中央ブリッジハウジングに近接して配設されてもよく、ブリッジを制御された状態に維持するために、オーバーサイズであり得るバルブばね及びバルブばねリテーナを含むバルブばねアセンブリに係合することによってブリッジの動きを制限するように構成される、少なくとも1つの下側ガイド制御面を有してもよい。更なる態様によれば、バルブブリッジは、バルブブリッジの動きを更に拘束するために、ブレーキピンボア内に配設されたブレーキピンを備えてもよい。更に、一態様によれば、開示される拘束e-フットカラー及び延長部分は、ブリッジ位置における最悪の場合の逸脱に対する拘束を提供し、したがって、その逸脱を画定し、この最悪の場合の位置は、導入面取り部などのガイド面を構成するために使用されて、導入面取り部が、起こり得る全ての可能な誤った動きに対して、バルブブリッジを捕捉し、整列され制御された位置に戻るようにガイドすることを確実にすることができる。したがって、バルブブリッジは制御された位置に維持され、バルブブリッジのジャンプ及び誤った制御されていない運動が防止される。
【0010】
一態様によれば、バルブブリッジは、e-フットを取り囲む制御面を有するe-フットカラーを含み、それによって、e-フットに対するバルブブリッジの動き(並進、ピッチ、ロール、又は偏揺れ)を拘束することができる。一態様によれば、内燃機関のエンジンバルブアセンブリと共に使用するためのバルブブリッジであって、エンジンバルブアセンブリが複数のエンジンバルブを備え、内燃機関が、運動源からバルブブリッジに運動を伝達するためのバルブトレインを有し、バルブトレインが、バルブブリッジに係合するように適合されるe-フットを含み、バルブブリッジが、中央ブリッジハウジングと、中央ブリッジハウジング内に配置され、e-フット係合面を有するロックアセンブリであって、中央ブリッジハウジングに対するe-フット係合面の動きを選択的にロックする又は可能にし、それによって運動を伝達又は吸収するように適合される、ロックアセンブリと、を備え得、ブリッジが、e-フットに接触するように配置される制御面であって、そうしなければブリッジが制御されていない状態に移動する、制御面を更に備え、制御面が、それによって、ブリッジを、エンジン動作全体を通して制御された状態に維持する。
【0011】
別の態様によれば、バルブブリッジは、ブリッジ上に延長部分を含み得、延長部分が、バルブブリッジ位置が制御された状態から偏向したときにバルブばね及び/又はバルブばねリテーナに係合するように配置及び適合された1つ又は複数の制御面を画定し、それによってバルブブリッジの動きを拘束する。
【0012】
別の態様によれば、バルブブリッジは、バルブポケットを取り囲むバルブステム先端部導入面取り部を含み得る。導入面取り部は、e-フットカラーの制御面及び/又は延長部分の制御面の拘束によって画定されるように、バルブステム先端部に対するバルブブリッジの全ての可能な位置でバルブステム先端部を捕捉するように構成される。
【0013】
別の態様によれば、ブリッジブレーキピンは、e-フットカラーの拘束と組み合わせて、ブリッジ運動に対する更なる拘束を提供し得る。この構成は更に、延長部分の拘束、バルブブリッジバルブポケットを取り囲むバルブ導入面、及び/又はブリッジ延長部分上の偏向面と組み合わせられてもよく、各特徴は、単独で、又は他の特徴のうちの1つ以上と組み合わせて使用される。
【0014】
別の態様によれば、ブリッジ延長部分は、エンジン動作中にオーバーヘッドエンジン環境において鋭い角又は表面にブリッジ延長部分が引っ掛かるのを防止するための偏向機能を備え得る。
【0015】
別の態様によれば、バルブブリッジ制御面を構成するための方法は、ロック状態及びロック解除状態の両方におけるバルブブリッジの極限位置を評価することと、ブリッジの動きを拘束するようにe-カラーを構成することと、任意選択で、ブリッジの動きを拘束するように延長部分の制御面を構成することと、任意選択で、e-カラー及び/又は延長部分によって画定された拘束に基づいて、バルブ先端部導入面取り部を構成することと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0016】
前述及び他の特徴及び利点は、添付の図面と共に、特定の実施形態の以下の非限定的な説明で詳細に考察される。
図1】先行技術によるロック機構を有するバルブブリッジを含むバルブ作動システムの断面例解図である。
図2】本開示によるバルブブリッジの下側前方斜視図である。
図3】本開示によるバルブブリッジの上側前方斜視図である。
図4図2及び図3のバルブブリッジの底面図である。
図5】部分的に跳ね上げられた状態のバルブブリッジを示す(図3の切断線5-5に沿った)バルブブリッジの断面図である。
図6】内燃機関内に配置され、制御された状態にある、図2図5のバルブブリッジの斜視図である。
図7】内燃機関内に配置され、ブリッジがバルブ先端部から分離されている制御されていない状態にある、図2図6のバルブブリッジの斜視図である。
図8A】ブリッジジャンプ状態又は事象のシーケンスを示す、図2図7のバルブブリッジの断面図である。
図8B】ブリッジジャンプ状態又は事象のシーケンスを示す、図2図7のバルブブリッジの断面図である。
図8C】ブリッジジャンプ状態又は事象のシーケンスを示す、図2図7のバルブブリッジの断面図である。
図9】バルブブリッジがピークジャンプ高さにある状態のバルブブリッジの(図3の線9-9に沿った)部分断面図である。
図10A】本開示によるバルブ先端部導入面取り部がバルブブリッジを制御された状態に維持するシーケンスを部分断面図で図示する。
図10B】本開示によるバルブ先端部導入面取り部がバルブブリッジを制御された状態に維持するシーケンスを部分断面図で図示する。
図10C】本開示によるバルブ先端部導入面取り部がバルブブリッジを制御された状態に維持するシーケンスを部分断面図で図示する。
図10D】本開示によるバルブ先端部導入面取り部がバルブブリッジを制御された状態に維持するシーケンスを部分断面図で図示する。
図11】本開示による、導入面取り部の構成及び例示的なブリッジ拘束幾何学形状の概略図である。
図12】本開示の態様によるブレーキピン及びe-フットカラー拘束構成の切り欠き図を図示する。
図13】本開示によるバルブブリッジ制御面を構成するための例示的な方法又はプロセスを図示する。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図2図6を参照すると、本開示によるバルブブリッジ200は、ロッカーアーム上のe-フットに対するバルブブリッジ200の動きと連動し、それを制御するように適合された、カラー又は垂直に延在する壁202の形態のガイド特徴を含む。特に図6を参照すると、ロッカーアーム206のe-フット(スイベルフットとも呼ばれる)204は、バルブブリッジ200がエンジン環境に配置される(すなわち、設置される)ときに、バルブブリッジ200に係合するように適合される。カラー202は、ブリッジロック又は折り畳み機構250の構成要素を収容する中央ブリッジハウジングを有し得る本体部分220から上方に延在し得る。カラー202は、e-フット204に対するバルブブリッジ200の動きを拘束し、それによってe-フットに対するバルブブリッジの制御されない動きを防止するために、その内部に制御面203を画定することができる。カラー202は、オーバーヘッド環境における他のエンジン構成要素に対するバルブブリッジの動きのクリアランス及び/又は拘束を提供するために、その外面上に1つ以上の平坦領域を含むことができる(図6)。カラー202及び制御面203は、e-フット係合面252を完全に取り囲むことができ、e-フット係合面252は、図1の文脈で説明したキャップ730と同様の様態で、ロックアセンブリ又は機構250のキャップ254上に配設することができる。認識されるように、この例に示す連続面上の変形例、例えば、上方に延在してe-フット係合面を取り囲む断続面又は不連続面が、本開示によって企図される。例えば、カラーは、完全な連続した円形特徴である必要はない。それらの間に、スロット又は空間を有する断続的な壁があり、e-フットを取り囲むいくつかの制御面を形成してもよい。スロット又は空間は、e-フットがスロット又は空間を横方向に通過することが防止されるような寸法であり得る。
【0018】
図3は、例示的なブリッジ200の等角上面正面図を図示する。図3はまた、ロック機構(中央ブリッジハウジングの中心)及びバルブステムポケットを通って延在する長手方向軸線10と、長手方向軸線10に直交してロック機構を通って延在する横方向軸線20と、長手方向軸線10及び横方向軸線20の両方に直交して延在する垂直軸線30と、の3つの軸線によって画定され、本開示の文脈においてブリッジの動きを理解するのに有用な、3次元基準空間を図示する。この基準空間は、本開示の拘束特徴が制限又は適応し得る、種々のブリッジの動きを説明するための基準枠を提供する。本開示から理解されるように、ブリッジジャンプ、及び、ブリッジの、制御されていない状態に向かって移動する、対応する傾向は、これらの3つの軸のうちの1つ以上に対する並進、回転、ピッチ、ロール、又は偏揺れのうちの1つ以上を伴い得る。例えば、ブリッジジャンプは、垂直軸線に沿った上方へのバルブブリッジ200の並進、並びに長手方向軸線に対するバルブブリッジ200のピッチ(すなわち、ピッチが、一方のバルブステップポケットを他方のバルブステムポケットよりも高く上昇させる)、並びに長手方向軸線の周りをロールすること(すなわち、ロールが、長手方向軸線の周りのバルブブリッジの回転を引き起こす)を伴ってもよい。本開示によれば、バルブブリッジの運動は、バルブブリッジを制御された状態に維持する程度まで、これらの運動のうちのいずれか1つ又は組み合わせを防止又はそれに適応するように拘束されてもよく、言い換えれば、バルブブリッジが、そうでなければ制御されていない状態に移動することを防止する。
【0019】
図6に示すように、カラー202の垂直範囲又は高さは、図6に示すようなバルブブリッジ200の制御された状態での動作中に、ロック機構が定位置にロックされ、かつバルブブリッジ主本体部分220に対する最大高さ又はストロークにあるとき、底面e-フット204が制御面203の終端縁209の上方に位置決めされることを提供するように、構成されてもよい。そのような構成は、例えば、ブリッジ200の容易な設置及び取り外しを促進し得る。更に、カラー202の垂直範囲又は高さは、バルブブリッジ200に含まれるロックアセンブリ又は機構250の折り畳み又はロック解除状態の間、e-フット204が、カラー202及び制御面203によって画定される空間の中に並進し得るようになっている。制御面203はまた、バルブブリッジ200の通常の制御された動きの間は、e-フットとの係合から解放されるように寸法決めされる(すなわち、十分に大きい直径を有する)。しかしながら、制御面203はまた、バルブブリッジがe-フットに対して制御されていない位置に向かって移動するとき、制御面203のe-フット204との係合をもたらすように寸法決めされる(すなわち、十分に小さい直径を有する)。すなわち、e-フットに対する制御されていない状態又は位置に向かうバルブブリッジの水平又は垂直の並進、ピッチ、ロール、又は偏揺れなどの動きの間に、カラー202は、(折り畳み機構の折り畳み/非折り畳み又はロック/ロック解除状態にかかわらず)e-フット204を取り囲み、e-フット204に接触するように動作し得て、それによって、バルブブリッジ200のいかなる並進又は他の運動を制限し、バルブブリッジ200を制御された状態に維持する。これは図7に図示しており、バルブブリッジの制御されていない位置又は状態に向かう動きによって、例えば、バルブブリッジがエンジンバルブステム602との接触から外れている。しかしながら、図6及び図7の両方に示すように、カラー202は、e-フット204に接触するのに十分な垂直範囲を有し、そうでない場合にはバルブブリッジがe-フットに対して制御されていない状態又は位置に移動するように構成され、それによって、バルブブリッジの任意の傾斜又は整列不良を低減する。
【0020】
本開示の他の態様によれば、図6及び図7に示すように、バルブブリッジ200は、制御面283を有し、エンジンバルブばね302及び/又はエンジンバルブばねリテーナ304の間であるがそれらに近接して延在するように構成された、延長部分208(図2)の形態の追加のガイド機構を含み得る。そのような延長部分の種々の実施形態の例は、米国特許第10,883,392号、同第11,053819号、及び同第11,319,842号に記載されており、これらの開示及び主題は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。これらの文献に記載されているように、延長部分208は、バルブブリッジ200の制御された動作中ではバルブばね302及び/又はリテーナ304と接触しないままであるように構成されるが、バルブブリッジが制御されていない位置に向かって移動するときには、バルブばね302及び/又はリテーナ304と接触するように構成され、それによって、バルブブリッジ200の、制御されていない状態に向かう傾斜/回転又は他の望ましくない移動を制限する。延長部分208には、その端部にテーパ状及び/又は円錐状の偏向面281(図2及び図3)が提供されてもよい。この特徴は、ブリッジ200が制御されていない位置に向かってジャンプ又は動きを経るときに、ブリッジの延長部分208がオーバーヘッド環境(すなわち、延長部分208が通常配置されるバルブばね間の空間に近接する)内の角又は他の鋭い特徴に引っ掛かることを防止する。したがって、偏向面281は、ブリッジ200の制御されていない位置を防止し、制御された状態又は位置から逸脱した際には、ブリッジ200を制御された位置に戻すようにガイドする。
【0021】
図8A図8Cは、記載のガイド特徴を有するバルブブリッジについてのバルブブリッジジャンプのシーケンスを図示する。図8Aにおいて、ブリッジ200は、バルブステム先端部602に対して制御された位置にあり、各バルブステム先端部602は、バルブ先端部ポケット212と整列され、その中に着座している。ここで、ブリッジのロック機構は、ブリッジ200に対して伸長位置にロックされている。図8Bは、ブリッジ200がバルブステム先端部602から外されるブリッジジャンプ状態の始まりを示す。これは、ロック機構のロック要素の部分的な係合に起因して、ロック機構に滑りがある場合に起こり得る。その結果、かつバルブばね力に起因して、バルブステム先端部602は、バルブがそれぞれのバルブ座部に対して勢いよく閉じられると、突然上方に跳ね上がる可能性がある。そのような動作は、バルブブリッジを上方に飛び出させ、バルブブリッジがバルブ先端部から外される可能性がある。図8Cは、可能なブリッジジャンプの全範囲を示しており、ロック機構がバルブブリッジの中央ハウジング内でその内部限界まで折り畳まれるときに上限に達する。図9は、ピークジャンプ高さにおけるカラー内のe-フットの位置を示す別の断面図である。
【0022】
理解されるように、図示のブリッジジャンプは純粋な上方への並進であり、バルブ先端部ポケット212がそれぞれのバルブステム先端部602から等距離にあることを伴うが、本明細書に記載される拘束及びガイド特徴は、長手方向軸線に対するバルブブリッジ200のピッチなどの他の望ましくないブリッジ運動を軽減する又はそれに適応(ガイド)することができ、その場合、バルブ先端部ポケット212の一方は、他方のバルブポケット212よりもそのそれぞれのバルブステム先端部602から遠くなることが、本開示から理解されるであろう。したがって、カラー202及び制御面203は、ブリッジが制御されていない位置にピッチされる前に制御面203がe-フットに遭遇するため、長手方向軸線に対するバルブブリッジのピッチを制限する。カラー202及び制御面203はまた、バルブブリッジ200がその長手方向軸線に対するロールを防止するように構成される。認識されるように、そのような運動はまた、バルブブリッジ200のその横方向軸線に対するピッチとして見ることができる。
【0023】
本開示の態様によれば、バルブブリッジはまた、(バルブ先端部に対する)制御されていない状態又は位置に向かう動きに適応し、バルブブリッジを(バルブ先端部に対する)制御された状態又は位置に戻るようにガイドする、ガイド特徴部を備え得る。再び図2図9及び図10A図10Dを参照すると、バルブブリッジ200は、バルブ先端部ポケット212を実質的に取り囲む導入面取り部210の形態の制御面を含み得る。導入面取り部210はそれぞれ、バルブステム602の一方又は両方に対する制御されていない位置に向かうバルブブリッジの整列不良又は動きが生じたときに、それぞれのエンジンバルブステム602を受け入れ、バルブステム602をバルブポケット内に戻すようにガイドするよう、構成及び適合される。図10A図10Dは、ジャンプしたバルブブリッジ200が制御された状態に戻るようにガイドされるシーケンスを断面図で図示する。各バルブ先端部ポケット212における導入面取り部210は、バルブブリッジ200の動きが制御された位置から最悪の場合に逸脱しているとき(すなわち、並進、ピッチ、ロール及び偏揺れのうちの1つ以上又はそれらの組み合わせ)に、バルブステム602の先端部の外径と整合するのに十分な大きさである。導入面取り部210は、ブリッジジャンプ、整列不良、又はバルブブリッジが制御されていない位置に向かって移動する傾向がある他の事象の後に、バルブブリッジ200をバルブ先端部の一方又は両方の上に戻るようにガイドするよう、構成される。まずは図10Aより、バルブ先端部ポケット212がバルブステム先端部602との接触から外れた結果として、バルブブリッジ200が制御されていない状態に向かって移動している。更に、バルブ先端部ポケット212はまた、図10Aにも示すように、ブリッジ並進、又は偏揺れ(垂直軸を中心とする)に起因して、バルブステム先端部602と整列不良になり得る。理解されるように、バルブブリッジ200はまた、ロール又はピッチを受け得る。本開示の態様によれば、図10Aにも示すように、ブリッジ200は、カラー202がe-フット204に接触することによって、過度の(すなわち、横方向軸線及び長手方向軸線に沿った)並進、並びに過度の(長手方向軸を中心とした)ロールに対して拘束され、それによって、バルブブリッジ200の逸脱した制御されない運動を制限する。この拘束はまた、同様に、バルブステム先端部602に対するバルブ先端部ポケット212の整列不良を制限する。図10Bにおいて、バルブブリッジ200は、バルブステム先端部602に接触する位置に移動してもよい(例えば、ロッカーアーム206の回転及び/又はロック機構のストローク若しくはロック)が、バルブブリッジ200をエンジンバルブに向かって押しやる)。この例では、導入面取り部210は、バルブステム先端部602の外縁に接触する。図10C及び図10Dに示すように、導入面取り部210の傾斜した構成は、バルブステム先端部602の外径間の連続した接触と組み合わされて、バルブブリッジ200を付勢して、バルブ先端部ポケット212がバルブステム先端部602と整列する位置に回転/並進させるか、又は他の方法で戻す。
【0024】
図11は、例示的な導入面取り部210の構成の底面図の幾何学的表現を、バルブばね外周620の表現及び制御面283を有する例示的なバルブブリッジの延長部分208の断面の表現に重ね合わせて示す概略図である。本開示の態様によれば、導入面取り縁円211の直径などのバルブブリッジ導入面取り部の寸法は、バルブステム先端部に対するバルブブリッジの決定された最大の動きに適応するように構成することができる。本開示の態様によれば、この決定された最大の動きは、カラー202上の制御面203及び/又は延長部分208上の制御面によってもたらされる拘束によって画定され得る。この例では、延長部分208の(ページ内に延びる垂直軸線を中心とする)最大偏揺れは、延長部分208がバルブばね620の外周と係合する点に基づいて決定され、又は代替的な拘束構成では、バルブばねリテーナがばね外周よりも大きい外周を有するように作製される場合、バルブばねリテーナ(図6の304)と係合する点に基づいて決定される。導入面取り部210の範囲(この場合、直径)は、この最大の動きに適応するように選択されてもよく、追加のクリアランス213のための許容範囲を含んでもよい。したがって、本開示の態様によれば、バルブステム先端部602に対するバルブブリッジ200の最大(最悪の場合の)動き(長手方向軸線、横方向軸線、及び垂直軸線に対する並進、ピッチ、ロール、偏揺れ)は、上述の拘束、すなわち、カラーの制御面及び延長部分の制御面(複数可)に基づいて画定され得る。次いで、導入面取り部(複数可)は、変動に対するいくらかの許容を伴って、決定された最大の動きに適応するように構成され得る。別の言い方をすれば、導入面取り部は、バルブブリッジ上の拘束特徴、すなわち、延長部分の制御面(複数可)283及び/又はカラーの制御面203によって画定される、バルブステム先端部に対するブリッジの全ての可能な位置において、バルブステム先端部を捕捉してガイドするのに十分な大きさであるように構成される。このようにして、バルブブリッジは、ブリッジジャンプ及び制御されていない動作を防止するように容易に構成することができる。
【0025】
図2図6に示し、本明細書で記載するバルブブリッジ200の実施形態は、カラー202、延長部分208、及び導入面取り部210の組み合わせを示すが、これらの特徴の3つ全てが、本開示によるバルブブリッジの全ての実装形態に含まれる必要はないことが理解される。すなわち、これらの特徴の3つ全てを組み合わせるのではなく、カラー202は、単一の特徴として、又は延長部分208若しくは導入面取り部210のいずれかと組み合わせて実装することができる。更に、これらの3つの特徴が、折り畳み機構を備えるバルブブリッジの文脈で図示されているが、これは必須要件ではないことに留意されたい。すなわち、これらの特徴(再び、個々に、集合的に、又はそれらのサブコンビネーションにおいて)は、折り畳み機構を組み込まないバルブブリッジにおいて等しく採用され得ることが理解される。
【0026】
図12は、本開示の態様による別の拘束構成を図示する。この例では、ブリッジブレーキピン280をカラー203と共に使用して、ブリッジの動きに対する追加の拘束を提供することができる。ブリッジブレーキピン280は、ボア270を通って延在し、制動ピストンアセンブリ400に係合するように構成される第1の直径部分282を有し得る。ブレーキピン基部284が、第1の直径部分282より大きい直径を有してもよく、ブリッジ内のカウンタボア290内に配設されてもよい。ブレーキピン基部284及び第1の直径部分282の寸法、並びにボア270及びカウンタボア290の寸法は、ブレーキ動作中又は他の事象中にバルブブリッジ200の動きに対する決定された拘束を提供するように構成され得る。認識されるように、ブレーキピン特徴は、カラー203によって提供される運動に対する拘束を増大させる並進及び(垂直軸線を中心とする)偏揺れに対する拘束を提供することができ、それによって、バルブブリッジ運動の改善された制御を提供し、エンジン動作中のブリッジジャンプ及び制御されていない動きを防止する。
【0027】
図13は、本開示によるブリッジの拘束及びガイドを構成するためのプロセス1300を図示する。1302において、カム基部円における(バルブステム先端部に対する)ロックされたブリッジの位置が評価される。1304において、ピークカムリフトにおけるロックされたブリッジの位置が評価される。1306において、完全に折り畳まれたブリッジの位置が評価される。1308において、e-フットカラーの制御面(複数可)が、ブリッジの動きを制御された状態に拘束するように構成される。1310において、延長部分の制御面が構成される。1312において、バルブ先端部導入制御面(ガイド)が、ステップ1302~1310における評価に基づいて決定される最悪の場合のブリッジの動きに基づいて構成される。1314において、通常のエンジン動作中のオーバーヘッド環境における他の構成要素とのブリッジの制御面の非干渉が検証され得る。
【0028】
本実装形態は、特定の例示的な実施形態を参照して説明されてきたが、特許請求の範囲に記載されているような本発明のより広範な趣旨及び範囲を逸脱することなく、様々な修正及び変更がこれらの実施形態に行われ得ることが明らかであろう。したがって、明細書及び図面は、限定的ではなく例示的なものであるとみなされるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図9
図10A
図10B
図10C
図10D
図11
図12
図13
【国際調査報告】