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特表2024-523481胃腸管への腔内アクセスのための装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-28
(54)【発明の名称】胃腸管への腔内アクセスのための装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 29/02 20060101AFI20240621BHJP
【FI】
A61M29/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023579013
(86)(22)【出願日】2022-06-21
(85)【翻訳文提出日】2024-01-24
(86)【国際出願番号】 EP2022066862
(87)【国際公開番号】W WO2022268800
(87)【国際公開日】2022-12-29
(31)【優先権主張番号】21315099.8
(32)【優先日】2021-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522358102
【氏名又は名称】バリアテク・メディカル
【氏名又は名称原語表記】BARIATEK MEDICAL
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ビアディラー,ヨセフ
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA28
4C267AA80
4C267BB07
4C267BB11
4C267BB20
4C267BB26
4C267BB40
4C267BB63
4C267CC20
4C267CC23
4C267EE03
4C267GG34
4C267HH11
4C267HH17
(57)【要約】
患者の胃腸管にマーカ(42,44,46)を展開するための胃腸管腔内装置(10)であって、装置は任意選択的に先行する請求項のいずれかに定義されたような装置であり、装置は、胃腸管に回収可能に挿入可能であり、小腸の湾曲経路を辿ることができ、患者の胃腸管内に導入可能な可撓性チューブ(12)であって、チューブが少なくとも部分的に陥入状態にあり、チューブが固定端(12d)および可動管腔(14)を有し、チューブが、管腔の周りのチューブの膨張可能領域(16)を膨張させることによって、固定端の実質的な移動なしに管内で伸長可能であり、膨張が、最遠位の陥入材料(12c)を外向きに裏返らせ、それにより、裏返された材料が、胃腸管の経路に沿って遠位にチューブの展開長さを伸長させ、管腔の陥入材料(12b)が、展開されたチューブ内で遠位に引き込まれて遠位伸長部を供給する、可撓性チューブと、蛍光透視撮像によって検出可能な複数のマーカ要素(42,44,46)であって、任意選択的に、マーカ要素の少なくとも1つが折り畳まれた状態から拡張状態に展開可能である、複数のマーカ要素とを備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の胃腸管内の離間した位置間の吻合の形成を補助するための胃腸管腔内装置(10)であって、前記装置が、胃腸管内に回収可能に挿入可能であり、小腸の湾曲経路を辿ることができ、
患者の胃腸管内に導入可能な可撓性チューブ(12)であって、前記チューブが少なくとも部分的に陥入状態にあり、前記チューブが固定端(12d)および可動管腔(14)を有し、前記チューブが、前記管腔の周りの前記チューブの膨張可能領域(16)を膨張させることによって、前記固定端の実質的な移動なしに管内で伸長可能であり、前記膨張が、最遠位の陥入材料(12c)を外向きに裏返らせ、前記裏返された材料が、胃腸管の経路に沿って遠位に前記チューブの展開長さを伸長させ、前記管腔の陥入材料(12b)が、前記展開されたチューブ内で遠位に引き込まれて前記遠位伸長部を供給する、可撓性チューブ(12)
を備える、胃腸管腔内装置(10)。
【請求項2】
前記チューブ(12)が、前記チューブ、任意選択的に前記管腔の、内側部分を近位方向に引き込んで、前記チューブをその最遠位領域から折り畳むおよび/または陥入させることによって回収可能である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記装置の胃腸管への導入を容易にするために、前記チューブの前記固定端(12d)に結合されたシース(22)をさらに備える、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記チューブ(12)が、前記チューブの前記展開部分に沿って所定の長さまたは位置をマーキングするための少なくとも1つのマーカ要素(46)を備える、請求項1、2または3に記載の装置。
【請求項5】
前記マーカ要素が、蛍光透視撮像による検出を容易にするために放射線不透過性である、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記マーカ要素(46)が、折り畳まれた構成から拡張構成に拡張可能である、請求項4または5に記載の装置。
【請求項7】
前記管腔が、非裏返し可能領域(12e)であって、前記非裏返し可能領域(12e)は、任意選択的に前記非裏返し可能領域(12e)が前記チューブの前記最遠位部分に達するまで、前記チューブが伸長するにつれて前記チューブ内で遠位に引っ張られる、非裏返し可能領域(12e)を備え、前記非裏返し可能領域が、ガイドワイヤおよび/または1つ以上の器具を挿入するための作業チャネル(38)を画定する、先行する請求項のいずれかに記載の装置。
【請求項8】
前記管腔を通って前記チューブの遠位端に向かって挿入可能なガイドワイヤ(40)をさらに備え、任意選択的に、前記ガイドワイヤが、前記チューブが回収されるときに所定の位置に留まるように構成される、先行する請求項のいずれかに記載の装置。
【請求項9】
前記ガイドワイヤが、前記ガイドワイヤに沿って所定の長さまたは位置をマーキングするための少なくとも1つのマーカ要素(42,44)を運ぶ、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記マーカ要素が、蛍光透視撮像による検出を容易にするために放射線不透過性である、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記マーカ要素(44)が、前記ガイドワイヤ上の折り畳まれた状態から、前記ガイドワイヤの主要部分よりも横方向に大きい拡張状態に拡張可能である、請求項9または10に記載の装置。
【請求項12】
前記マーカ要素(44)が、(i)胃腸管の組織に対して拡張するためのアンカー、および/または(ii)拡張可能なケージを備える、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
複数の前記マーカ要素(42,44,46)を備える、請求項4、5、6、9、10、11または12に記載の装置。
【請求項14】
第1および第2のマーカ要素が、所定の距離だけ離間している、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記マーカの少なくともいくつかが、均一な反復分離によって離間している、請求項13または14に記載の装置。
【請求項16】
患者の胃を通って前記患者の腸内に導入されるように構成される、先行する請求項のいずれかに記載の装置。
【請求項17】
患者の胃腸管にマーカ(42,44,46)を展開するための胃腸管腔内装置(10)であって、前記装置は、任意選択的に先行する請求項のいずれかに定義されたような装置であり、前記装置が、胃腸管内に回収可能に挿入可能であり、小腸の湾曲経路を辿ることができ、
患者の胃腸管内に導入可能な可撓性チューブ(12)であって、前記チューブが少なくとも部分的に陥入状態にあり、前記チューブが固定端(12d)および可動管腔(14)を有し、前記チューブが、前記管腔の周りの前記チューブの膨張可能領域(16)を膨張させることによって、前記固定端の実質的な移動なしに管内で伸長可能であり、前記膨張が、最遠位の陥入材料(12c)を外向きに裏返らせ、それにより、前記裏返された材料が、胃腸管の経路に沿って遠位に前記チューブの展開長さを伸長させ、前記管腔の陥入材料(12b)が、前記展開されたチューブ内で遠位に引き込まれて前記遠位伸長部を供給する、可撓性チューブ(12)と、
蛍光透視撮像によって検出可能な複数のマーカ要素(42,44,46)と
を備える、胃腸管腔内装置(10)。
【請求項18】
前記マーカ要素の少なくとも1つが、折り畳まれた状態から拡張状態に展開可能である、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記マーカ要素の少なくとも1つが前記チューブによって運ばれる、請求項17または18に記載の装置。
【請求項20】
前記チューブの前記管腔を介して挿入可能なガイドワイヤをさらに備え、前記マーカ要素の少なくとも1つが、前記ガイドワイヤによって運ばれる、請求項17、18または19に記載の装置。
【請求項21】
患者の胃を通って前記患者の腸内に導入されるように構成される、請求項17~20のいずれかに記載の装置。
【請求項22】
装置を患者の胃腸管に導入する方法であって、前記装置が任意選択的に先行する請求項のいずれかにより、前記装置が、患者の胃腸管内に導入可能な可撓性チューブを備え、前記チューブが少なくとも部分的に陥入状態にあり、前記チューブが固定端および可動管腔を有し、前記方法が、
前記管腔の周りの前記チューブの膨張可能領域を膨張させることであって、前記膨張が、最遠位の陥入材料を外向きに裏返らせ、それにより、前記裏返された材料が、胃腸管の経路に沿って遠位に前記チューブの展開長さを伸長させ、前記管腔の陥入材料が、前記展開されたチューブ内で遠位に引き込まれて前記遠位伸長部を供給し、それにより、前記チューブが、前記固定端の実質的な移動なしに前記管内で伸長可能である、こと
を含む、方法。
【請求項23】
所定の長さまたは位置を示すための少なくとも1つのマーカ要素を展開するステップをさらに含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
マーカ要素を展開する前記ステップが、前記マーカ要素を拡張させることを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
少なくとも第2のマーカ要素を展開するステップをさらに含む、請求項23または24に記載の方法。
【請求項26】
前記チューブを前記患者の口および胃を通って胃腸管に、任意選択的に部分的に腸に、導入するステップをさらに含む、請求項22~25のいずれかに記載の方法。
【請求項27】
患者の胃腸管内の目標位置を識別する方法であって、前記方法が、
患者の胃腸管内に導入可能な可撓性チューブを備える装置を提供することであって、前記チューブが少なくとも部分的に陥入状態にあり、前記チューブが固定端および可動管腔を有する、ことと、
前記管腔の周りの前記チューブの膨張可能領域を膨張させることであって、前記膨張が、最遠位の陥入材料を外向きに裏返らせ、それにより、前記裏返された材料が、胃腸管の経路に沿って遠位に前記チューブの展開長さを伸長させ、前記管腔の陥入材料が、前記展開されたチューブ内で遠位に引き込まれて前記遠位伸長部を供給する、ことと、
前記目標部位を識別するための少なくとも1つのマーカ要素を展開させることと
を含む、方法。
【請求項28】
患者の胃腸管内の距離を測定する方法であって、前記方法が、
患者の胃腸管内に導入可能な可撓性チューブを備える装置を提供することであって、前記チューブが少なくとも部分的に陥入状態にあり、前記チューブが固定端および可動管腔を有する、ことと、
前記管腔の周りの前記チューブの膨張可能領域を膨張させることであって、前記膨張が、最遠位の陥入材料を外向きに裏返らせ、それにより、前記裏返された材料が、胃腸管の経路に沿って遠位に前記チューブの展開長さを伸長させ、前記管腔の陥入材料が、前記展開されたチューブ内で遠位に引き込まれて前記遠位伸長部を供給する、ことと、
所定の間隔を有する少なくとも第1のマーカ要素と第2のマーカ要素とを展開させることと
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、患者の体内の管または管腔、排他的ではないが特に、胃腸管への腔内アクセスの分野に関する。いくつかの実施形態は、胃腸管または他の体管における吻合の形成を補助するためのアクセスに関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
吻合は、身体導管腔の2つの異なるセクション間の外科的交差接続またはブリッジである。胃腸管は、食道から肛門までの体内の管腔経路である。胃腸管に沿ってまたは胃腸管のどこかに形成される吻合は、糖尿病、肥満、腸疾患および閉塞などの消化関連の問題を治療するために使用される治療の一形態である。吻合を使用して、小腸の一部などの胃腸管の一部をバイパスして、感受性領域を回避するか、または栄養素の吸収に影響を及ぼすかまたは減少させることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
現在、開腹術は、吻合を形成するための内部解剖学的構造への最も包括的なアクセスを提供する。しかしながら、開腹術は侵襲性が高く、治療される多くの患者および状態には適していない。低侵襲性処置が提案されているが、低侵襲性処置によって、特に腔内で、吻合を等しく効果的に形成することには大きな課題が残っている。腔内処置では、主に吻合が行われるべき体管を通して、1つ以上の器具が体内に導入される。現在の腔内技術は、体管における比較的浅い吻合処置に最も適している。これは、例えば、ほとんどの成人において最大6または7メートルの長さを有することができ、かつ腹部の非常に曲がりくねった経路をたどるように折り畳まれる小腸のための処置の汎用性を制限する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
発明の概要
上記の問題の1つ以上の対処および/または緩和が望ましいであろう。
【0005】
本発明の態様は、特許請求の範囲に定義されている。
追加的または代替的に、本発明の一態様は、患者の胃腸管内の離間した位置間の吻合の形成を補助するための胃腸管腔内装置を提供する。装置は、胃腸管に回収可能に挿入可能であり、またはあり得、小腸の湾曲経路をたどることができる。
【0006】
装置は、患者の胃腸管に導入可能な可撓性チューブを備え、チューブは、少なくとも部分的に陥入状態にあり、チューブは、固定端および可動管腔を有する。チューブは、管腔の周りのチューブの膨張可能領域を膨張させることによって、固定端を実質的に移動させることなく管路内で伸長可能である。膨張は、最遠位の陥入材料を外向きに裏返らせ、それにより、裏返された材料は、胃腸管の経路に沿って遠位にチューブの展開長さを延ばす。管腔の陥入材料は、展開されたチューブ内で遠位に引き込まれて遠位伸長部を供給する。
【0007】
そのような配置は、従来のカテーテルまたは内視鏡装置と比較して大きな利点を提供することができる。
【0008】
1つの利点は、装置と胃腸管組織との間の摩擦摺動接触の減少である。チューブは、概して不動である固定端を有する。チューブの展開長さの伸長は、チューブの外側を前進させるのではなく、チューブ内から陥入材料を裏返すことによって達成される。結果として、チューブが前進するにつれて、管の深部でさえ、また例えば小腸の曲がりくねったターンでさえ、摩擦摺動抵抗はほとんどまたは全くない。対照的に、従来のカテーテルまたは内視鏡は、進むにつれて組織壁に対して摺動する外面を有する管状シャフトを備える。摩擦抵抗は、シャフトが管の中を進むにつれて増加し、次第に多くの組織と接触する。摩擦抵抗はまた、管の屈曲性とともに増加し、これにより、例えば小腸内でいくつかの従来のデバイスがナビゲートされることができる深さを制限する可能性がある。
【0009】
別の利点は、チューブが高度に適合可能であり、例えば小腸の折り畳まれた曲がりくねったターンを通して容易に前進することができることである。対照的に、従来のカテーテルまたは内視鏡は、屈曲に対する耐性がより高いシャフトを有し、その結果、いくつかの従来のデバイスがナビゲートされることができる深さを制限する可能性がある。
【0010】
いくつかの実施形態では、チューブは、チューブ、任意選択的に管腔の、内側部分を近位方向に引き込んで、チューブをその最遠位領域から折り畳むおよび/または陥入させることによって回収可能である。そのような抜去技術は、抜去中に、導入について上述したものと同じ利点を達成することができる。
【0011】
吻合のための1つまたは複数の目標部位を準備するとき、本発明は、管内の特定の距離がバイパスされることを確実にするために、胃腸管内の特定の点間の距離を測定するのを大いに助けることができる。追加的または代替的に、吻合の準備および形成を容易にするために位置をマーキングすることができる。
【0012】
いくつかの実施形態では、チューブは、チューブの展開部分に沿って所定の長さまたは位置をマーキングするための少なくとも1つのマーカ要素を備える。任意選択的に、マーカ要素は、蛍光透視撮像による検出を容易にするために放射線不透過性である。追加的または代替的に、マーカ要素は、折り畳まれた構成から拡張構成に拡張可能であってもよい。
【0013】
チューブ上のマーカ要素に加えて、またはその代わりに、装置は、管腔を通ってチューブの遠位端に向かって挿入可能なガイドワイヤをさらに備えてもよい。ガイドワイヤは、チューブが回収されるときに所定の位置に留まるように構成されてもよい。
【0014】
いくつかの実施形態では、ガイドワイヤは、ガイドワイヤに沿って所定の長さまたは位置をマーキングするための少なくとも1つのマーカ要素を運ぶ。任意選択的に、マーカ要素は、蛍光透視撮像による検出を容易にするために放射線不透過性である。
【0015】
いくつかの実施形態では、マーカ要素は、ガイドワイヤ上の折り畳まれた状態から、ガイドワイヤの主要部分よりも横方向に大きい拡張状態に拡張可能である。マーカ要素は、(i)胃腸管の組織に対して拡張するためのアンカー、および/または(ii)拡張可能なケージを備えてもよい。
【0016】
少なくとも1つのマーカ要素がチューブおよび/またはガイドワイヤ上に実装される場合であっても、複数のマーカ要素が設けられ得る。第1および第2のマーカ要素は、所定の距離だけ離間していてもよい。追加的または代替的に、マーカ要素の少なくともいくつかは、均一な反復分離によって離間している。
【0017】
上記のいずれかに加えて、またはその代わりに、いくつかの実施形態では、管腔は、任意選択的に非裏返し可能領域がチューブの最遠位部分に達するまで、チューブが伸長するにつれてチューブ内で遠位に引っ張られる非裏返し可能領域を備える。非裏返し可能領域は、ガイドワイヤおよび/または1つ以上の器具を挿入するための作業チャネルを画定し得る。
【0018】
本発明の第2の態様は、任意選択的に第1の態様の特徴のいずれかと組み合わせて、患者の胃腸管にマーカを展開するための胃腸管腔内装置を提供し得、この装置は、胃腸管に回収可能に挿入可能であり、小腸の湾曲経路をたどることができる。本装置は、
患者の胃腸管内に導入可能な可撓性チューブであって、チューブが少なくとも部分的に陥入状態にあり、チューブが固定端および可動管腔を有し、チューブが、管腔の周りのチューブの膨張可能領域を膨張させることによって、固定端の実質的な移動なしに管内で伸長可能であり、膨張が、最遠位の陥入材料を外向きに裏返らせ、それにより、裏返された材料が、胃腸管の経路に沿って遠位にチューブの展開長さを伸長させ、管腔の陥入材料が、展開されたチューブ内で遠位に引き込まれて遠位伸長部を供給する、可撓性チューブと、
蛍光透視撮像によって検出可能な複数のマーカ要素であって、任意選択的に、マーカ要素の少なくとも1つが折り畳まれた状態から拡張状態に展開可能である、複数のマーカ要素と
を備え得る。
【0019】
マーカ要素の少なくとも1つは、チューブによって運ばれてもよい。追加的または代替的に、装置は、チューブの管腔を介して挿入可能なガイドワイヤをさらに備えてもよく、ガイドワイヤは、マーカ要素の少なくとも1つを運ぶ。
【0020】
本発明の第3の態様は、装置を患者の胃腸管に導入する方法を提供する。装置は、任意選択的に、第1および第2の態様に記載された特徴のいずれかを含んでもよい。追加的または代替的に、装置は、患者の胃腸管に導入可能な可撓性チューブを備えることができ、チューブは少なくとも部分的に陥入状態にあり、チューブは固定端および可動管腔を有する。
【0021】
方法は、管腔の周りのチューブの膨張可能領域を膨張させることを含み、膨張が、最遠位の陥入材料を外向きに裏返らせ、それにより、裏返された材料が、胃腸管の経路に沿って遠位にチューブの展開長さを伸長させ、管腔の陥入材料が、展開されたチューブ内で遠位に引き込まれて遠位伸長部を供給し、それにより、チューブは、固定端の実質的な移動なしに管の中で伸長可能である。
【0022】
いくつかの実施形態では、方法は、所定の長さまたは位置を示すための少なくとも1つのマーカ要素を展開することを含むか、またはさらに含む。展開ステップは、任意選択的に、チューブが徐々に伸長するときのチューブの膨張の一部として、および/またはその結果として行われてもよい。追加的または代替的に、展開ステップは、チューブの膨張に対する追加のステップであってもよく、またはそれを含んでもよい。
【0023】
マーカ要素は、任意選択的に、医用撮像技術による識別を容易にするために放射線不透過性であってもよい。マーカ要素を展開するステップは、マーカ要素を拡張させることを含んでもよい。
【0024】
いくつかの実施形態では、方法は、少なくとも第2のマーカ要素を展開することを含むか、またはさらに含む。
【0025】
本発明の別の態様は、患者の胃腸管内の目標位置を識別する方法を提供し、方法は、
患者の胃腸管に導入可能な可撓性チューブを備え、チューブが少なくとも部分的に陥入状態にあり、チューブが固定端および可動管腔を有する装置を提供することであって、装置が任意選択的に上記の第1および/または第2の態様による、ことと、
管腔の周りのチューブの膨張可能領域を膨張させることであって、膨張が、最遠位の陥入材料を外向きに裏返らせ、それにより、裏返された材料が、胃腸管の経路に沿って遠位にチューブの展開長さを伸長させ、管腔の陥入材料が、展開されたチューブ内で遠位に引き込まれて遠位伸長部を供給する、ことと、
目標部位を識別するための少なくとも1つのマーカ要素を展開させることと
を含む。
【0026】
本発明の別の態様は、患者の胃腸管内の距離を測定する方法を提供し、方法は、
患者の胃腸管に導入可能な可撓性チューブを備え、チューブが少なくとも部分的に陥入状態にあり、チューブが固定端および可動管腔を有する装置を提供することであって、装置が任意選択的に上記の第1および/または第2の態様による、ことと、
管腔の周りのチューブの膨張可能領域を膨張させることであって、膨張が、最遠位の陥入材料を外向きに裏返らせ、それにより、裏返された材料が、胃腸管の経路に沿って遠位にチューブの展開長さを伸長させ、管腔の陥入材料が、展開されたチューブ内で遠位に引き込まれて遠位伸長部を供給する、ことと、
所定の間隔を有する少なくとも第1のマーカ要素および第2のマーカ要素を展開させることと
を含む。
【0027】
上記の態様のいずれにおいても、装置は、患者の口および/または胃を通して患者の腸に導入され得るか、または導入されるように構成され得る。
【0028】
本発明の別の態様は、患者の体内の他の管と共に使用するために本発明の使用を拡大する。患者の体管内の離間した位置間の吻合の形成を補助するための装置が提供されてもよく、装置は、管内(例えば、腔内)に回収可能に挿入可能であり、管の湾曲経路をたどることができる。装置は、患者の管内に導入可能な可撓性チューブであって、チューブが少なくとも部分的に陥入状態にあり、チューブが固定端および可動管腔を有し、チューブが、管腔の周りのチューブの膨張可能領域を膨張させることによって、固定端の実質的な移動なしに体管内で伸長可能であり、膨張が、最遠位の陥入材料を外向きに裏返らせ、それにより、裏返された材料が、体管の経路に沿って遠位にチューブの展開長さを伸長させ、管腔の陥入材料が、展開されたチューブ内で遠位に引き込まれて遠位伸長部を供給する、可撓性チューブを備えてもよい。
【0029】
任意選択的に、この態様は、前述の態様について説明した特徴のいずれも使用し得る。
上記の態様のいずれにおいても、遠位方向は、体管または管への装置の進入点に対して、および/またはチューブの固定端に対して、および/または装置の操作者に対して、体管または管に沿ってより深く延びる方向であることが理解されよう。
【0030】
特定の着想、特徴および利点が上記および添付の特許請求の範囲において強調されているが、強調が加えられているか否かにかかわらず、本明細書に記載および/または図面に示されている任意の新規な特徴または着想に対する保護が主張される。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】陥入チューブ装置を示す概略断面図である。
図2】その展開長さを増加させるための陥入チューブ装置の伸長を示す概略断面図である。
図3】チューブの完全な展開を示す概略断面図である。
図4】胃腸管内へのチューブ装置の導入を示す概略断面図である。
図5】小腸内へのチューブの展開を示す概略断面図である。
図6】展開されたチューブを通して導入することによって小腸に配置されたガイドワイヤを示す概略断面図である。
図7】拡張可能なアンカーを有するガイドワイヤのさらなる例を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
好ましい実施形態の詳細な説明
ここで、非限定的な実施形態を、例として、添付の図面を参照して説明する。同じ参照番号は、詳細に明示的に記載されているか否かにかかわらず、同じまたは同等の特徴を示す。
【0033】
図1図3は、患者の胃腸管内の離間した位置間の吻合の形成を補助するように構成され、かつ小腸の湾曲経路を辿ることができる、胃腸管装置10の一実施形態の展開原理を示す。
【0034】
装置は、患者の胃腸管に導入可能な可撓性チューブ12を備え、チューブは、少なくとも部分的に陥入状態にある。チューブ12は、外部裏返し材料12aと、管腔14を画定する陥入材料12bと、チューブの遠位先端にあり、裏返し材料12aおよび陥入材料12bと連通する最遠位の陥入材料12cと、通常固定端12dとを含む。
【0035】
使用時に、チューブ12は、チューブ12の膨張可能領域16内で管腔12bの周りに膨張圧力を加えることによって、胃腸管内で伸長可能である。任意の適切な膨張流体、例えば、液体(生理食塩水など)または気体(空気など)が使用され得る。図2を参照すると、膨張は、最遠位の陥入材料12cを外向きに裏返らせ(矢印18で表す)、それにより、裏返された材料は、チューブの展開長さを遠位に延ばす。管腔14の陥入材料12bは、遠位に引き込まれて遠位伸長部を供給する(矢印20で表す)。陥入材料12bは、チューブが実質的な弾性伸張なしに拡大され裏返された直径を採用することができる、十分な過剰材料を含む。過剰材料は、管腔14で緩く折り畳まれてもよい。
【0036】
任意選択的に、管腔のセクションは、非裏返し可能領域12e、例えば、外向きに裏返るには不十分な横方向寸法を有する領域をさらに備えてもよい。非裏返し可能領域がチューブの最遠位部分に達すると、さらなる遠位伸長部は停止する。言い換えれば、チューブ12は完全展開状態に達している(図3)。
【0037】
チューブ12の展開技術の利点は、チューブが摩擦抵抗をほとんどまたは実質的に伴わずに胃腸管内に延びることができることである。チューブ12の外側は、周囲の身体組織に対して実質的に摺動せず、代わりに固定端12dに対して固定されたままである。また、中心支持体またはスパインが存在しないことにより、チューブ12は非常に柔軟で適合性があり、例えば小腸の予測不可能で曲がりくねった経路の屈曲部に沿っておよび屈曲部の周りに延びることができる。
【0038】
装置は、任意選択的に、チューブ12を運ぶシース22をさらに備えてもよい。チューブ12の固定端12dは、例えば、シース22の遠位領域22aの近くまたはそこに取り付けられてもよく、隣接する陥入したチューブ材料12bは、シース22内に収容され、シース22の遠位領域22aに対して近位に延びる。シース22は、胃腸管へのチューブ12の初期導入を容易にしてもよく、チューブと組み合わせておよび/または集合的に、導管通路の一部を画定してもよい。
【0039】
図4図7は、装置10の動作例を示す。
図4を参照すると、装置10は、例えば口および食道を介して、胃32を通って小腸34に向かって、患者の胃腸管30に導入される。食道および胃32を通って装置10をナビゲートすることは、胃腸管が比較的大きく、蛇行していないため、比較的簡単である。導入のこの部分は、胃32のほぼ底部まで延在する長さを有し得るシース22によって実施され得る。この初期段階では、陥入チューブ12は、シース22内に少なくとも部分的に収容され、シース22内で近位方向に延在する。チューブ12は、シース22の遠位端領域22aを実質的に超えて突出せず、チューブの小さい最遠位陥入領域12cのみが図4に示されている。
【0040】
図5を参照すると、チューブ12は、上述のように、チューブ12を膨張させて最遠位の陥入材料を裏返すことによって小腸34内に延びる。チューブ12の展開長さは、チューブ12が図5に示すその完全展開状態に達するまで、より多くの陥入材料が先端から裏返るにつれて延びる。材料の非裏返し可能部分によって形成された管腔は、チューブ12の遠位端からシース22の遠位端22aまで延在する作業チャネル38を画定し、作業チャネルは、シース22内でシース近位端(図示せず)まで、任意選択的に身体の外側まで、さらに延在する。
【0041】
図6を参照すると、装置10は、作業チャネル38を通して挿入可能なガイドワイヤ40をさらに備える。その後、チューブ12は、その遠位端から内側にチューブを折り畳むためにチューブ近位端を引っ張ることによって抜去することができる。ガイドワイヤ40は、図6に示すように、小腸内の定位置に留まってもよい。任意選択的に、シース22は食道および胃32内に残ってもよい。
【0042】
吻合のための1つまたは複数の目標部位を準備するとき、ガイドワイヤ40は、管内の特定の距離がバイパスされることを確実にするために、胃腸管30内の特定の点間の距離を測定するのを大いに助けることができる。例えば、ガイドワイヤは、ガイドワイヤ40に沿って所定の長さまたは位置をマーキングするための少なくとも1つ、任意選択的に少なくとも2つ、任意選択的に3つ以上のマーカ要素42を運んでもよい。マーカ要素は、蛍光透視撮像による検出を容易にするために放射線不透過性であることが好ましい。マーカ要素42は、ガイドワイヤ40とは異なる材料(例えば、より放射線不透過性である)を含んでもよく、および/またはマーカ要素42は、識別可能であるように、より大きくてもよい。図示の例では、マーカ要素42は、マーカ要素42を数えることによって距離を測定することを可能にするために、ガイドワイヤ40の長さに沿ってほぼ均一に分布し、隣接するマーカ要素42間の均一な分離を有する。
【0043】
マーカ要素42に加えて、またはその代わりに、ガイドワイヤ40上に1つ以上の展開可能なマーカ要素44を設けてもよい。例えば、展開可能なマーカ要素44は、展開可能なアンカーまたはケージの形態であってもよい。展開可能なマーカ要素44は、例えば、チューブ12がガイドワイヤ40から取り外されたときに自己拡張可能であってもよく、展開可能なマーカ要素44は、遠隔展開機構(図示せず)を使用してオペレータによって手動で展開されてもよい。第1および第2の展開可能なマーカ要素44が示されており、吻合によって互いに接合される位置を識別し、所定のバイパス長さを達成するために、所定の距離だけ離れて設定されている。展開可能なマーカ要素44は、蛍光透視法による検出を容易にするために放射線不透過性材料で作られてもよい。
【0044】
ガイドワイヤ40が使用されるか否かにかかわらず、任意選択的に1つ以上のマーカ要素46がチューブ12上に配置され得る。マーカ要素46または各マーカ要素46は、チューブの材料により折り畳む可能かつ拡張可能であり、マーカ要素46を運ぶチューブ12の部分が外側に裏返ってチューブ12の展開長さを増加させると、外側に拡張する。マーカ要素46または各マーカ要素46は、蛍光透視法による検出を容易にするために放射線不透過性材料を含み得る。複数のマーカ要素46は、上述のマーカ要素42と同様の方法で測定境界を画定してもよく、または上述のマーカ要素44と同様の所定の位置マーカを画定してもよい。
【0045】
上記の実施形態は、胃腸管腔内装置の文脈で説明されており、実施形態は、小腸内の深部へのアクセスを容易にすること、および吻合作成を支援するためにマーカ要素を展開することにおいて大きな利点を提供するが、これらの概念は、特に湾曲したまたは曲がりくねった経路をたどる、他の体管にさらに広く適用することができることが理解されよう。
【0046】
前述の説明は、本発明の例示的な実施形態の単なる例示であり、本発明の原理内で多くの修正および均等物が使用され得ることが理解されよう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】