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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-28
(54)【発明の名称】エアロゾル生成システム
(51)【国際特許分類】
   A24B 3/14 20060101AFI20240621BHJP
   A24D 1/20 20200101ALI20240621BHJP
【FI】
A24B3/14
A24D1/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023579014
(86)(22)【出願日】2022-06-16
(85)【翻訳文提出日】2024-02-15
(86)【国際出願番号】 EP2022066522
(87)【国際公開番号】W WO2022268652
(87)【国際公開日】2022-12-29
(31)【優先権主張番号】21180941.3
(32)【優先日】2021-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】501024897
【氏名又は名称】インペリアル、タバコ、リミテッド
【氏名又は名称原語表記】IMPERIAL TOBACCO LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110002365
【氏名又は名称】弁理士法人サンネクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ファルク, マルコ
【テーマコード(参考)】
4B043
4B045
【Fターム(参考)】
4B043BB11
4B043BB17
4B043BB19
4B043BC03
4B043BC04
4B043BC18
4B043BC20
4B045AB08
4B045AB12
(57)【要約】
エアロゾル形成物品用の固体エアロゾル前駆体が提供される。固体エアロゾル前駆体は、エアロゾル形成基材のシートを備える。シートは、長手方向の長さおよび横方向の幅を有する。シートは、エンボス領域の2次元パターンでエンボス加工され、シートは、長手方向の次元に沿って複数の細片に分離される。細片が共にまとめられることにより固体エアロゾル前駆体を形成する。
【選択図】図6A

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル形成物品用の固体エアロゾル前駆体であって、前記前駆体は、
エアロゾル形成基材のシートであって、長手方向の長さおよび横方向の幅を有するシート、を備え、
前記シートは、エンボス領域の2次元パターンでエンボス加工され、前記シートは、長手方向の次元に沿って複数の細片に分離され、
前記細片が共にまとめられることにより前記固体エアロゾル前駆体を形成する、前駆体。
【請求項2】
エンボス領域の前記2次元パターンは、横方向の次元における横方向の周期性および前記長手方向の次元における長手方向の周期性を有する、請求項1に記載の前駆体。
【請求項3】
前記横方向の周期性が前記長手方向の周期性とは異なる、請求項2に記載の前駆体。
【請求項4】
前記横方向の周期性が前記長手方向の周期性と実質的に等しい、請求項2に記載の前駆体。
【請求項5】
前記横方向の周期性が、前記複数の細片の各々の幅と実質的に等しい、請求項2から4のいずれか一項に記載の前駆体。
【請求項6】
各エンボス領域が、概ね円形の形状を有する、請求項1から5のいずれか一項に記載の前駆体。
【請求項7】
各エンボス領域が、概ね細長い形状を有する、請求項1から5のいずれか一項に記載の前駆体。
【請求項8】
前記細長いエンボス領域のうちの少なくとも1つが、前記細片の前記長手方向軸に対してある配向角度で傾斜しており、前記配向角度が0~180度の間である、請求項7に記載の前駆体。
【請求項9】
第1のエンボス領域が、それぞれの前記細片の前記長手方向軸に対して第1の配向角度に配向され、第2のエンボス領域が、それぞれの前記細片の前記長手方向軸に対して第2の配向角度に配向され、前記第1の配向角度と前記第2の配向角度とが異なる、請求項8に記載の前駆体。
【請求項10】
前記第1および第2のエンボス領域が、前記シートの隣接する細片に位置する、請求項9に記載の前駆体。
【請求項11】
第1の細片が、エンボス領域の第1の列を含み、第2の細片が、エンボス領域の第2の列を含み、前記第1の列が、前記第2の列から長手方向にずれている、請求項1から10のいずれか一項に記載の前駆体。
【請求項12】
前記第1の細片および前記第2の細片が繰り返し単位の中に含まれ、前記繰り返し単位が前記シートの横方向の次元にわたって繰り返されている、請求項11に記載の前駆体。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか一項に記載のエアロゾル前駆体を含む、エアロゾル形成物品。
【請求項14】
前記前駆体のすぐ下流に位置する穴部を含む、請求項13に記載のエアロゾル形成物品。
【請求項15】
前記穴部が、孔の上流管腔である、請求項14に記載のエアロゾル形成物品。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、エアロゾル生成システムの分野に関する。詳細には、本開示は、エンボス加工された固体エアロゾル前駆体を含むエアロゾル生成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
喫煙代替システムとして、口から肺に吸い込まれた(吸引された)後に吐き出されるエアロゾル(「ベイパー」とも呼ばれる)を発生させることによってユーザが喫煙行為を模擬できるようにする電子エアロゾル生成システムがある。吸引されるエアロゾルは、通例、伝統的な喫煙に伴う臭いや健康リスクが伴わないかもしくは少ない、ニコチンおよび/または香料を含んでいる。
【0003】
喫煙代替システムの1つの方式は、タバコが加熱または加温されてベイパーを放出する「加熱式タバコ(heated tobacco)」(「HT」)方式である。タバコは、葉タバコの場合も再構成タバコの場合もある。ベイパーは、ニコチンおよび/または香料を含有することがある。HT方式において、その意図は、タバコが加熱されるが燃やされはしないということであり、すなわちタバコは燃焼を受けない。
【0004】
典型的なHTシステムは、デバイスおよび消耗品を含むことがある。消耗品は、タバコ材料を含むことがある。デバイスと消耗品は、互いに物理的に結合されるように構成される。使用時には、デバイスの加熱要素によってタバコ材料に熱が加えられ、このとき、タバコ材料を通る空気流がタバコ材料中の水分をベイパーとして放出させる。ベイパーは、タバコ材料中の担体(この担体は例えばプロピレングリコールおよび/または植物性グリセリンを含んでよい)と、さらに、タバコから放出される揮発性化合物とから形成されることもある。放出されたベイパーは、タバコを通して吸われる空気流に同伴され得る。
【0005】
一部の既存システムでは、加熱要素が、消耗品のタバコ部分に貫入する。この貫入はタバコ部分に対して力を及ぼすことがあり、それにより、タバコ部分がヒータの作用によって望ましくなく動いたり、ずれたりすることがある。これは、例えば、システムの空気流特性を望ましくなく変化させる可能性がある。
【発明の概要】
【0006】
ユーザ体験を向上させ、エアロゾル生成システムの機能を改良する、エアロゾル生成システムの改良された設計に対する必要性がある。エアロゾル生成システムの開発にすでに投じられた取り組みにもかかわらず、さらなる改良が望ましい。
【0007】
本開示は、エアロゾル形成物品用の固体エアロゾル前駆体を提供し、この前駆体は、エアロゾル形成基材のシートであって、長手方向の長さおよび横方向の幅を有するシート、を備え、シートは、長手方向の次元に沿って複数の細片に分離され、この細片が共にまとめられることにより固体エアロゾル前駆体を形成する。
【0008】
一部の実施形態では、シートの分離は、複数の細片を形成するように、複数の切断線に沿ってシートの長さ次元に沿ってシートを切断することを含む。一部の実施形態では、まとめることは、細片が互いに密に接触するように細片を集めることを含む。一部の実施形態では、細片は、概ね円筒形の固体エアロゾル形成前駆体を形成するようにまとめられる。
【0009】
一部の実施形態では、シートは、エンボス領域の2次元パターンでエンボス加工される。一部の実施形態では、この2次元パターンは、シート全体に配置されたエンボス領域の配列である。一部の実施形態では、細片の細片をまとめることは、細片を共に前駆体として束ねることを含んでよい。エンボス領域の2次元パターンは、細片間摩擦の増大を可能にして、前駆体内でタバコ細片が移動するおそれを軽減する。この移動は、例えば、ヒータの挿入および/または除去時に、あるいは単に前駆体または前駆体を含む消耗品の保管中に起こることがある。
【0010】
一部の実施形態では、エンボス領域の2次元パターンは、横方向の次元における横方向の周期性および長手方向の次元における長手方向の周期性を有する。横方向および長手方向における周期性の独立した選択は、細片間の増大した摩擦をもたらすパターンを可能にし得る。横方向の周期性は、横方向の次元における2つの隣接したエンボス領域間の最小距離であってよい。長手方向の周期性は、長手方向の次元における2つの隣接したエンボス領域間の最小距離であってよい。
【0011】
一部の実施形態では、横方向の周期性は、長手方向の周期性とは異なる。これは、増大した摩擦を可能にするエンボス加工パターンの選択を可能にし得る。詳細には、例えば、細片間摩擦については長手方向のエンボス列/パターンのパターンを調節し、細片の位置を考慮するためには横方向の列/パターンを調節する。
【0012】
一部の実施形態では、横方向の周期性は、長手方向の周期性と実質的に同じである。そのような構成は、より容易な製造を可能にし得る。
【0013】
一部の実施形態では、横方向の周期性は、複数の細片の各々の幅と実質的に等しい。これは、1つの細片当たりエンボス領域の長手方向の列が1つあることを可能にする。そして、各細片がそのようにエンボス加工されており、そのことが、細片がまとめられて前駆体にされるときに細片間摩擦を増大させ得る。
【0014】
一部の実施形態では、各エンボス領域は、概ね円形の形状を有する。これは、より容易な製造工程を可能にし得る。さらに、エンボス加工から生じる摩擦は、前駆体中の細片の配向に依存しない可能性があり、これは細片がまとめられるときにより安定した前駆体につながる。
【0015】
一部の実施形態では、各エンボス領域は、概ね細長い形状を有する。そのような構成では、エンボス領域を細片間で互いに噛み合わせて、相対移動に対する高められた抵抗を有することが可能であり得るため、前駆体中の細片間摩擦を増大させることが可能であり得る。
【0016】
一部の実施形態では、細長いエンボス領域のうちの少なくとも1つが、細片の長手方向軸に対してある配向角度で傾斜しており、配向角度は0~180度の間である。エンボス領域を傾斜させると、前駆体/細片に加えられる押す力または引く力が部分的に細片間の回転抵抗に変換されて、それが同じく前駆体中の細片間摩擦を増大させ得るため、結果として増大した摩擦を生じさせ得る。
【0017】
一部の実施形態では、第1のエンボス領域が、それぞれの細片の長手方向軸に対して第1の配向角度に配向され、第2のエンボス領域が、それぞれの細片の長手方向軸に対して第2の配向角度に配向され、第1の配向角度と第2の配向角度とは異なる。この結果、前駆体中の細片間におけるエンボス領域の噛み合いを介して、増大した摩擦が生じ得る。
【0018】
一部の実施形態では、第1および第2のエンボス領域は、シートの隣接する細片に位置する。シート上の隣接する細片は、まとめられて前駆体にされるときに、前駆体中で互いに隣接して位置する可能性がより高く、それにより前駆体中の増大した細片間摩擦を可能にし得る。
【0019】
一部の実施形態では、第1の細片が、エンボス領域の第1の列を含み、第2の細片が、エンボス領域の第2の列を含み、第1の列が、第2の列から長手方向にずれている。長手方向のずれは、第1の列と第2の列との間の位相ずれであってよい。そのような構成では、まとめられて前駆体にされるとき、隣接する細片同士が各自のエンボス領域列を互いに噛み合わせる可能性がより高く、摩擦を増大させ得る。
【0020】
一部の実施形態では、第1の細片および第2の細片が繰り返し単位の中に含まれ、繰り返し単位が、シートの横方向の次元にわたって繰り返されている。エンボス領域の長手方向の列の繰り返し単位は、隣接する、位相のずれた列同士がシート上で互いに近くなり、前駆体中で互いに近くなるより高い可能性を有し、それにより摩擦を増大させることを保証し得る。
【0021】
一部の実施形態では、各細片は、実質的に等しい横方向の幅を有する。これは、より容易な製造工程を可能にし得る。
【0022】
また、上記および続く説明に係るエアロゾル前駆体を含むエアロゾル形成物品が提供される。
【0023】
一部の実施形態では、物品は、前駆体のすぐ下流に位置する穴部を含む。前駆体中での細片間の増大した摩擦は、細片のうちの1つまたは複数がこの穴部を通って押されるおそれを軽減させ得る。そのような押し込みは、物品を通る空気流を望ましくなく変化させる可能性がある。一部の実施形態では、物品は、加熱式タバコの消耗品である。
【0024】
一部の実施形態では、穴部は、孔の上流管腔である。孔は、消耗品/エアロゾル形成物品を通る空気流経路の狭まりを形成してよい。そのような孔は、貫入するヒータによってその中に押し込まれる前駆体細片によって閉塞されないことが好ましい。
【0025】
また、上記で説明されたエアロゾル生成デバイスおよびエアロゾル形成物品を含むエアロゾル生成システムが提供される。エアロゾル形成物品とエアロゾル生成デバイスは、使用時に互いに係合するものである。一部の実施形態ではエアロゾル生成デバイスは、固体エアロゾル形成前駆体に貫入するためのヒータを含む。
【0026】
本開示はまた、エアロゾル形成システム、エアロゾル生成装置およびエアロゾル形成物品を含むエアロゾル生成システムを使用する方法を提供し、エアロゾル形成物品は、本明細書に記載される固体エアロゾル前駆体を含み、エアロゾル生成装置は、固体エアロゾル形成前駆体に貫入するためのヒータを備えた加熱システムを含む。方法は、ヒータが固体エアロゾル前駆体に貫入するようにエアロゾル形成物品をエアロゾル生成システムと係合させることと、ヒータが固体エアロゾル前駆体を加熱するようにヒータを作動させることと、ヒータが固体エアロゾル前駆体から引き抜かれるようにエアロゾル形成物品をエアロゾル生成システムから係合解除することと、を含む。本明細書に記載される固体エアロゾル前駆体、エアロゾル形成物品、およびエアロゾル生成システムの特徴は、エアロゾル形成システムを使用するこの方法にも適用可能である。
【0027】
本開示はまた、エアロゾル形成物品を形成する方法を提供し、この方法は、エアロゾル形成基材(例えば、再構成タバコ)のシートを得るステップと、シートをエンボス領域の2次元パターンでエンボス加工するステップと、基材を複数の細片に分離するステップと、それら細片を共にまとめて固体エアロゾル前駆体を形成するステップと、を含む。
【0028】
任意で、例えば、a)シートを細片に分離し、b)同じ工程ステップでシート/細片にエンボス領域を付与する、協働する一対のローラにより、エンボス加工ステップと分離ステップとが同時に行われる。
【0029】
任意で、細片が共にまとめられた後に、細片が巻き層で巻かれる。巻き層は、紙材料から形成されてよい。
【0030】
任意で、方法は、固体エアロゾル前駆体を含むエアロゾル形成物品を形成することを含む。
【0031】
任意で、方法は、固体エアロゾル前駆体のすぐ下流に孔フィルタを配置することを含む。
【0032】
本明細書に記載される固体エアロゾル前駆体およびエアロゾル形成物品の特徴は、エアロゾル形成システムを使用する方法にも適用可能である。
【0033】
上述の概要は、本明細書に記載される主題の態様の基本的理解を提供するために、いくつかの実施形態を要約する目的で提供されている。したがって、上述の特徴は、例に過ぎず、決して本明細書に記載される主題の範囲または主旨を狭めるように解釈されるべきではない。さらに、上記および/または続く実施形態は、さらなる実施形態を提供するために任意の好適な組み合わせで組み合わせられてよい。本明細書に記載される主題の他の特徴、態様、および利点は、以下の詳細な説明、図、および特許請求の範囲から明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0034】
本開示の実施形態の態様、特徴および利点は、添付図面を参照した以下の実施形態の説明から明らかになろう。添付図面では、同様の符号は同様の要素を表す。
図1図1Aは、エアロゾル生成装置の構成を示すブロックシステム図である。図1Bは、図1Aの装置の構成を示すブロックシステム図である。
図2図2は、図1Bの装置の一実施形態を示す図である。
図3図3は、本発明の一実施形態による消耗品を示す図である。
図4図4は、本発明による、HTデバイスと係合している図3の消耗品を示す図である。
図5A図5Aは、本発明の一実施形態による再構成シートの図である。
図5B図5Bは、本発明の一実施形態による再構成シートの図である。
図5C図5Cは、本発明の一実施形態による再構成細片の断面図である。
図6A図6Aは、本発明の一実施形態による再構成シートの図である。
図6B図6Bは、本発明の一実施形態による再構成細片の図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
エアロゾル生成システムおよび装置のいくつかの実施形態を説明する前に、このシステムおよび装置は、以下の説明で述べられる構造または工程ステップの詳細に制限されないことが理解されるべきである。本開示の利益を有する当業者には、本明細書に記載されるシステム、装置および/または方法ならびに装置は、異なるように具現化されることも可能であり、および/または様々な形で実施もしくは遂行され得ることが明らかであろう。
【0036】
本明細書に定義されない限り、ここに開示される発明概念との関係で使用される科学用語および技術用語は、当業者に一般に理解される意味をもつものとし、また、知られている技術および手順は、当技術分野でよく知られている従来の方法に従って、本明細書で引用され論じられる場合もある様々な一般的参考文献および専門的な参考文献に記載されるように、行われてよい。
【0037】
本明細書中で言及される特許、公開特許出願、および非特許文献は、本発明の概念が関係する当業者のレベルを示すものと解釈されてよく、各個々の特許または文献が参照により組み込まれるものと具体的かつ個々に示される場合と同程度に、参照により明示的に全体が組み込まれる。
【0038】
本明細書に開示されるシステム、装置、および/または方法はすべて、本開示に照らして過度な実験を行わずに作製・実行され得る。それらは特定の実施形態の点から説明されているが、当業者には、本発明の概念の概念、主旨、および範囲から逸脱することなく、変形例が、システム、装置、および/または方法に、また本明細書に記載される方法のステップもしくはステップの順序に適用されてよいことが明らかであろう。当業者にとって明らかであるすべてのそのような同様の代替および変更は、添付の特許請求の範囲によって定められる本発明の概念の主旨、範囲、および概念内にあるとみなされる。
【0039】
特許請求の範囲および/または明細書における語「a」または「an」の使用は、「1つの」に加えて、「1つまたは複数の」、「少なくとも1つの」および「1つまたは2つ以上の」を意味することがある。そのため、語「a」、「an」および「the」、ならびにすべての単数形の語は、文脈が明らかに別のように示さない限り、複数形の指示対象を含む。同様に、文脈によって別のように要求されない限り、複数形の語は、単数形を含むものとする。
【0040】
本開示(特許請求の範囲を含む)における語「または」の使用は、代替の選択肢だけを言及するものと明示的に示されない限り、または代替の選択肢が相互に排他的でない限り、包含的な「および/または」を意味するように使用される。例えば、条件「AまたはB」は、Aが真であり(または存在し)かつBが偽である(または存在しない)、Aが偽であり(または存在せず)かつBが真である(または存在する)、および、AとBの両方が真である(または存在する)、のいずれによっても満たされる。
【0041】
本明細書および特許請求の範囲において使用される場合、単語「comprising(~を備える)」、「having(~を有する)」、「including(~を含む)」、または「containing(~を包含する)」(およびそれらの任意の形態、例えばそれぞれ「comprise」および「comprises」、「have」および「has」、「includes」および「include」または「contains」および「contain」)は、包含的またはオープンエンドであり、追加的な述べられない要素または方法ステップを排除しない。
【0042】
両立しないと明示的に述べられない限り、またはその実施形態、例、または請求項の物理的性質またはその他がそのような組み合わせを阻止しない限り、前述の実施形態および例、ならびに後の請求項の特徴、特にそのようにすることに有益な効果があるものが、任意の好適な構成で共に統合されてよい。これは、明確に述べられる利益だけに限られず、代わりに「事後の」利益から生じてもよい。すなわち、特徴の組み合わせは、記載された形態、特に例の形態(例えば番号付け)、実施形態、または請求項の従属関係によって制限されない。さらに、このことは、「1つの実施形態では」、「一実施形態によると」等の表現にも当てはまり、これらは、言い回しの文体上の形態に過ぎず、ある独立した実施形態のそれに続く特徴を、同じまたは同様の言い回しのすべての他の事例に限定するものと解釈されるべきではない。すなわち、「一」、「1つの」、または「一部の」実施形態の言及は、任意の1つまたは複数の、および/またはすべての開示される実施形態またはその組み合わせに対する言及であってよい。また同様に、「この(the)」実施形態の言及は、直前の実施形態に限定されない場合がある。さらに、1つまたは複数の実施形態または例へのすべての言及は、請求項に対して非制限的であると解釈されるべきである。
【0043】
本開示は、以下の説明に照らしてよりよく理解され得、その中で、「または」で区切られて使用されている語は、交換可能に使用されてよい。
【0044】
本明細書において使用される場合、用語「エアロゾル生成装置」または「エアロゾル送達装置」または「装置」または「電子(e)シガレット」は、吸引のためにユーザにエアロゾルを送達する装置を含んでよい。装置は、「喫煙代替装置」と呼ばれることもあり、それは、従来の可燃性喫煙物品の代わりに使用されるための装置を言うことがある。本明細書において使用される場合、「喫煙物品」は、熱分解温度以上の加熱(一般には燃焼および/または熱分解による)によって煙(固体粒子および気体を含むエアロゾル)を発生させる、シガレット、シガー、パイプ、またはその他物品を言うことがある。装置は、ベイパーを生成し得るエアロゾル生成ユニットを含んでよく、ベイパーはその後、出口に送達される前に凝縮してエアロゾルになり、出口は、マウスピースとして構成されてよい。装置は、吸引のためにエアロゾルを送達するように構成されてよく、エアロゾルは、0.2~7ミクロン、または10ミクロン未満、または7ミクロン未満の粒径のエアロゾルを含んでよい。この粒径は、ヒータ温度、ベイパーがエアロゾルに凝集する際の冷却率、乱流および速度を含む流れ特性、のうちの1つまたは複数の制御によって実現されてよい。装置は可搬型であってよい。本明細書において使用される場合、用語「可搬型」は、装置がユーザによって把持されたときに使用するものであることを言うことがある。装置は、例えば、装置のエアロゾル生成ユニットを可変量の時間にわたって作動させることにより、可変量のエアロゾルを生成するように適合されてよく(計測された量のエアロゾルと対照的に)、それは入力装置によって制御されてよい。入力装置は、ユーザによって作動されるように構成されてよく、例えば、ベーピングボタンおよび/または吸入センサを含むかまたはその形態をとってよい。エアロゾル生成装置にある時間(可変であってもよい。上記参照)にわたってエアロゾルを生成させることの各発生を、エアロゾル生成装置の「作動」と呼ぶことがある。エアロゾル生成装置は、装置の流路を通るユーザの吸い込みの強さ/継続時間に基づいて、ユーザに送達されるエアロゾルの量を変化させるように構成されてよい(従来の可燃性喫煙物品を喫煙する効果を再現する)。
【0045】
本明細書において使用される場合、用語「エアロゾル生成システム」または「エアロゾル送達システム」または「システム」は、上記装置、ならびに任意で、装置の機能に関連する他の回路/構成要素、例えば、外部デバイスおよび/または外部コンポーネント(ここで「外部」はエアロゾル生成装置に対する外部を意味するものとする)、を含んでよい。本明細書において使用される場合、用語「外部デバイス」および「外部コンポーネント」は、モバイルデバイス(例えば、無線または有線接続を介してエアロゾル生成装置に接続されてよい)、ネットワークベースのコンピュータ(例えば、リモートサーバ)、クラウドベースのコンピュータ、任意の他のサーバシステム、のうちの1つまたは複数を含んでよい。
【0046】
本明細書において使用される場合、用語「エアロゾル」は、固体粒子、液滴、気体、のうちの1つまたは複数としてを含む、前駆体の懸濁を含んでよい。前記懸濁は、空気を含む気体中のものであってよい。本発明におけるエアロゾルは、一般に、ベイパーを言う/含むことがある。エアロゾルは、前駆体の1つまたは複数の成分を含んでよい。
【0047】
本明細書において使用される場合、用語「エアロゾル形成前駆体」または「前駆体」または「エアロゾル形成物質」または「エアロゾル形成基材」は、液体、固体、ゲル、ばら(loose leaf)材料、その他の物質、のうちの1つまたは複数を言うことがある。前駆体は、エアロゾルを形成するために装置のエアロゾル生成ユニットによって処理可能であってよい。前駆体は、有効成分、担体、香料、のうちの1つまたは複数を含んでよい。有効成分は、ニコチン、カフェイン、カンナビジオール油、非医薬調合物、例えば人体の疾患または生理学的不全の治療用ではない調合物、のうちの1つまたは複数を含んでよい。有効成分は、担体によって担持されてよく、担体は、プロピレングリコールおよび/またはグリセリンを含めて、液体であってよい。用語「香料」は、味および/または香りをユーザに与える成分を言うことがある。香料は、エチルバニリン(バニラ)、メントール、酢酸イソアミル(バナナオイル)、またはその他、のうちの1つまたは複数を含んでよい。前駆体は、基材、例えば有効成分、担体、香料のうちの1つまたは複数を担持する再構成タバコ、を含んでよい。
【0048】
本明細書において使用される場合、用語「収納部分」は、前駆体を収納するように適合された装置の部分を言うことがあり、それは、上記で定められた前駆体の実装に応じて流体保持容器または固体材料の担持体として実装されてよい。
【0049】
本明細書において使用される場合、用語「流路」は、装置を通る経路または囲まれた通路を言うことがあり、そこを通してユーザがエアロゾルの送達のために吸引してよい。流路は、エアロゾル生成ユニットからエアロゾルを受け取るように構成されてよい。流路について言及するとき、上流と下流は、流路内の流れの方向の観点から定義されてよく、例えば、出口は入口の下流にある。
【0050】
本明細書において使用される場合、用語「送達システム」は、ユーザにエアロゾルを送達するように動作するシステムを言うことがある。送達システムは、マウスピース/マウスピースアセンブリおよび流路を含んでよい。
【0051】
本明細書において使用される場合、用語「流れ」は、流路内の流れを言うことがある。流れは、前駆体から生成されたエアロゾルを含んでよい。流れは空気を含んでよく、この空気はパフを介して流路内に取り込まれてよい。
【0052】
本明細書において使用される場合、用語「吸引」または「パフ」または「吸い込み」は、流路を通る流れを引き起こす圧力低下を生じさせるためのユーザの肺および/または口腔の拡張を言うことがある。
【0053】
本明細書において使用される場合、用語「エアロゾル生成ユニット」は、前駆体からエアロゾルを形成するデバイスを言うことがある。エアロゾル生成ユニットは、前駆体から直接ベイパーを生成するユニット(例えば加熱システムもしくは他のシステム)、または前駆体から直接エアロゾルを生成するユニット(例えば、超音波システムを含む噴霧器、電気エネルギーを使用せずに前駆体の液滴を流れの中で運ぶように動作するフロー膨張システム、もしくはその他のシステム)を含んでよい。複数のエアロゾルを(例えば複数の異なるエアロゾル前駆体から)生成するための複数のエアロゾル生成ユニットが装置内に存在してよい。
【0054】
本明細書において使用される場合、用語「加熱システム」は、加熱されると前駆体をエアロゾル化するように動作することが可能な1つまたは複数の加熱要素の配置を言うことがある。加熱要素は、それを通る電流から熱を発生させるために電気抵抗性であってよい。加熱要素は、交流磁場によって貫通されたときに熱を発生させるサセプタとして構成されてよい。加熱システムは、燃焼を伴わないことを含めて、前駆体を300または350度C未満まで加熱してよい。
【0055】
本明細書において使用される場合、用語「消耗品」は、前駆体を含むかまたは前駆体から構成されるユニットを言うことがある。消耗品は、エアロゾル生成ユニットを含んでよく、例えばカートマイザ(cartomizer)として構成されてよい。消耗品は、マウスピースを含んでよい。消耗品は、情報保持媒体を含んでよい。前駆体の液体またはゲル実装、例えばE液体では、消耗品は、「カプセル」または「ポッド」または「E液体消耗品」と呼ばれることがある。カプセルは、前駆体を収納するための収納部分、例えば容器、を含んでよい。前駆体の固体材料実装、例えばタバコまたは再構成タバコ調合物では、消耗品は、「スティック」または「パッケージ」または「非燃焼・加熱式(heat not burn)消耗品」と呼ばれることがある。非燃焼・加熱式消耗品では、マウスピースはフィルタとして実装されることがあり、消耗品は、前駆体を担持するように構成されるこことがある。消耗品は、ばら製品を含む、ある容量のまたは事前に割り当てられた量の材料として実装されてよい。
【0056】
本明細書において使用される場合、用語「非燃焼・加熱式」または「加熱式前駆体」は、燃焼を伴わないかまたは実質的な燃焼を伴わない(すなわち、全体積の5%未満を含む、前駆体の限られた部分の局所的な燃焼が経験されることがある)、前駆体、一般にはタバコ、の加熱を言うことがある。
【0057】
図1Aを参照すると、一実施形態のエアロゾル生成装置2は、電気エネルギーを供給するための電源4を含む。装置2は、電源4によって駆動されるエアロゾル生成ユニット6を含む。電源4は、バッテリおよび/または外部電源への電気接続の形態の電力源を含んでよい。装置は前駆体8を含み、これが使用時にエアロゾル生成ユニット6によってエアロゾル化される。装置2は、エアロゾル化された前駆体をユーザ(図1Aには図示せず)に送達するための送達システム10を含む。
【0058】
電源4とエアロゾル生成ユニット6の相互動作性を制御するために、電気回路(図1Aには図示せず)が実装されてよい。
【0059】
図示されない変形実施形態では、電源は省略されてよく、例えば、フロー膨張する噴霧器として実装されたエアロゾル生成ユニットは、電源を必要としないことがある。
【0060】
図1Bを参照すると、エアロゾル生成装置2は、一般には固体前駆体からエアロゾルを生成するための図1Aの実施形態および/または本明細書に開示される他の実施形態の一実装である。エアロゾル生成ユニット6の加熱システム16は、前駆体8と相互作用して、気化されたおよび/またはエアロゾル状の前駆体を生成する。前駆体8は、通例、固体として構成され、エアロゾル生成ユニット6からの伝導熱の移動を介して熱エネルギーを受け取るように構成され、例えば加熱システム16は棒として構成され(図1Bには図示せず)、この棒が前駆体に挿入される。送達システム10は、前駆体8(またはその作用上の近傍)を通る流れ14を透過させることによってベイパーおよび/またはエアロゾルを流路12の出口20に運ぶ流路12を含む。
【0061】
図1Aおよび図1Bの実施形態の特定の一実装である図2を参照すると、消耗品22はスティックとして実装されている。スティック22は、電源4とエアロゾル生成ユニット6とを備える本体21に別途連結可能である。スティック22は、本体21の近位側に、再構成タバコの調合物である前駆体8(図2には図示せず)を含み、本体21の遠位側に、フィルタとして構成されたマウスピース20を含む。
【0062】
図3および図4に示すように、本発明によるHNB消耗品22が示されている。消耗品22は、本発明によるエアロゾル形成物品の一例である。消耗品22は、消耗品22の上流端の方にエアロゾル形成前駆体23を備えている。図3には、消耗品22が単独で示され、図4には、消耗品22が、装置本体21の代表的な部分と係合した状態で示されている。
【0063】
エアロゾル形成前駆体23は、揮発性化合物であるニコチンを含む再構成(「再構成材料(recon)」)タバコを備えている。
【0064】
エアロゾル形成前駆体23は、65wt%のタバコを含み、このタバコは、スラリーまたは紙の再構成タバコのシートから製造される、まとめられた細片の形態で提供される。タバコには、プロピレングリコール(PG)または植物性グリセリン(VG)などの20wt%の湿潤剤が添加されており、タバコは7~9wt%の間の含水量を有する。他の実施形態では、湿潤剤の含有量は最大25%であってよい。エアロゾル形成基材はさらに、セルロースパルプフィラーおよびグアーガム結合剤を含む。一部の実施形態では、セルロース粉が、セルロースパルプの代替として使用されてよい。一部の実施形態では、結合剤が含まれなくてよい(すなわち0%の結合剤)。結合剤および/またはパルプの含有量を減らす場合、それに応じてタバコ含有量を増やしてよい。
【0065】
図3および図4からは明らかでないが、前駆体23は、植物材料からなる複数の細長い細片から形成される。例えば、前駆体23は、125本の細片を含んでよく、各細片は1ミリメートル幅である。一部の実施形態では、異なる細片幅および/または細片数が可能である。一部の実施形態では、シートの合計横幅は、細片幅の整数倍である。一部の実施形態では、細片幅は、例えば、1.0~3.0ミリメートルの間、例えば1.0~2.0ミリメートルの間、であってよい。一部の実施形態では、細片幅は、実質的に1.4ミリメートルに等しくてよい。一部の実施形態では、細片幅は、実質的に1.0ミリメートルに等しくてよい。一部の実施形態では、細片幅は、実質的に2.0ミリメートルに等しくてよい。一部の実施形態では、細片幅は、実質的に1.2ミリメートルに等しくてよい。一部の実施形態では、細片幅は、実質的に1.35ミリメートルに等しくてよい。実施形態において、シートの合計横幅は、シートの合計横幅が細片幅の整数倍になるように選択されてよい。一部の実施形態では、シートにわたる合計細片数は、70~125の間、例えば75~90の間であってよい。
【0066】
植物材料からなる各細片は、概ね長方形の平面形状を有する、長手方向に細長いタバコのリボンである。前駆体23内の細片は、必ずしも厳密にではないが、実質的に消耗品22および前駆体23の長軸に沿って整列するように、共にまとめられる。一部の実施形態では、各細片は、前駆体23の長さと実質的に等しい長さを有する。
【0067】
後の図との関連で説明するように、植物材料からなる各細片は、一連のエンボス領域を有する。エンボス領域は、細片の周囲エリアから立体的に突き出している細片のエリアである。言い換えると、エンボス領域では、細片のエンボスエリアが、すぐ周囲の細片表面の面から押し出されている。
【0068】
疑念を回避するために、本発明の文脈では、エンボスとデボスは交換可能な、ほぼ同じ概念であると考える。
【0069】
前駆体23は、消耗品が従来の巻きたばこに似るように、実質的に円筒形状に形成される。前駆体23は、7mm前後の直径および12mm前後の軸方向長さを有する。他の実施形態では、前駆体23の異なる大きさおよび形状、例えば異なる長さおよび/または直径、が可能である。
【0070】
前駆体23、詳細にはまとめられたタバコの細片は、紙巻き層24によって封止されている。紙巻き層24は、可燃層またはコーティング、例えば金属箔層(図には図示せず)、を含んでよい。箔層は、紙巻き層24の内側にあって、前駆体23に面してよい。そのような可燃層は、コーティングされていない紙層よりも低い摩擦係数を有してよく、よって、そのようなエンボス層との組み合わせで細片をエンボス加工することで、前駆体と紙巻き層24のコーティングされた/裏張りされた内側表面との間の摩擦を有益に増すと共に、前駆体23内の細片間摩擦も増すことができる。
【0071】
消耗品22はまた、上流フィルタ要素25および下流(末端)フィルタ要素26を備えている。2つのフィルタ要素25、26は、ボール紙のスペーサ管27によって隔てられている。フィルタ要素25、26はどちらも、酢酸セルローストウから形成され、それぞれの紙プラグ層(図示せず)で巻かれている。
【0072】
上流および下流フィルタ要素25、26はどちらも、実質的に円筒形状を有する。上流フィルタ25の直径は、エアロゾル形成基材23の直径と一致する。末端フィルタ要素26の直径は、それよりもわずかに大きく、エアロゾル形成基材23と巻き層24とを合わせた直径と一致する。
【0073】
一部の実施形態では、下流フィルタ要素26は、中実のモノアセテートフィルタであってよい。すなわち、貫通孔を全く有さないフィルタである。一部の他の実施形態では、下流フィルタ要素26は、貫通形成された複数の平行な孔を含んでよく、いわゆる多孔フィルタである。例えば、下流フィルタ要素26は、内部を貫通して通る3つの平行な長手方向孔を含んでよい。複数の孔各々の直径は、実質的に1.0ミリメートルに等しくてよい。
【0074】
上流フィルタ要素25は、末端フィルタ要素26よりも軸方向長さがわずかに短く、末端フィルタ要素26の12mmと比べて10mmの軸方向長さである。
【0075】
上流フィルタ要素25には、孔25aが貫通形成されている。孔25aは、上流管腔または開口25bを有し、これは前駆体23の下流端と直接隣接している。前駆体23内の細片のエンボス領域は、細片間の摩擦を増大させる。そのため、ヒータ16が前駆体23に貫入するときに、前駆体23の一部の細片がヒータ16によって管腔25aを通って下流方向に押されるおそれが軽減され得る。管腔25aの中に押し込まれた細片は消耗品22を通る空気流を有害に変化させる可能性があるため、これはユーザ体験を向上させ得る。
【0076】
ボール紙のスペーサ管27は、2つのフィルタ部分の各々よりも長く、14mm前後の軸方向長さを有する。
【0077】
各フィルタ要素25、26は、中空の長手方向に延びる孔を有する、中空孔フィルタ要素である。上流フィルタ25の孔の直径は、末端フィルタ26の孔の直径よりもわずかに大きく、末端フィルタ要素26の2mmと比べて3mmの直径を有する。
【0078】
ボール紙のスペーサ管27および上流フィルタ部分25は、巻き層24によって封止されている。
【0079】
末端フィルタ要素26は、封止する紙製の先端層28によって上流要素に接続されて、消耗品を形成する。先端層28は、末端フィルタ部分26を包囲しており、ボール紙の管スペーサ27の一部分の上に重なるように20mm前後の軸方向長さを有している。
【0080】
図4を参照すると、図3の消耗品22が、加熱式タバコ(「HT」)デバイス21に挿入された状態で示されている。消耗品22とHTデバイス21の組み合わせは、本発明によるエアロゾル生成システムの一例である。HTデバイス21は、棒状の加熱要素16を含む(点線で示している)。加熱要素16は、デバイスの本体30内の空洞29の中に突出している。
【0081】
使用時に(そして図4に示されるように)、消耗品22は、加熱棒要素16が前駆体23に貫入するように、デバイス21の本体30の空洞29に挿入される。一般に、棒ヒータ16は、前駆体23のタバコの細片間に位置する。一部の実施形態では(そして図4に示されるように)、棒ヒータ16は、尖った遠位端を有する。棒ヒータ16の尖った端部は、前駆体23への棒ヒータ16の貫入を容易にし得る。一部の他の実施形態では、ヒータ16は、平たい翼形状のヒータであってもよい。その場合も、そのような翼形状のヒータは、前駆体への貫入を助ける尖った遠位端を含んでよい。前駆体23内の細片の加熱は、加熱要素16に給電することによって実施される(例えば充電可能バッテリ(図示せず)を用いる)。
【0082】
一部の他の実施形態では、加熱要素16は、誘導コイルに誘導結合されてよく、それによりヒータを誘導加熱する。そのような実施形態では、誘導コイルは、ヒータ16が位置する空洞29の少なくとも一部分を囲んでよい。
【0083】
前駆体23のタバコ細片が加熱されると、タバコおよび湿潤剤中の水分および揮発性化合物(例えばニコチン)がベイパーとして放出され、そのベイパーが、末端フィルタ部分26でユーザが吸引することによって生じる空気流内に同伴される。
【0084】
ベイパーが上流フィルタ要素25およびボール紙のスペーサ管27の中で冷えるとき、それは凝縮して、ユーザが吸引するための揮発性化合物を含有するエアロゾルを形成する。
【0085】
前駆体23のさらなる詳細を以下で説明する。
【0086】
図5Aを参照すると、再構成タバコのシート40の一部分の上面図が示されている。シート40は概ね細長い。シート40は、長手方向の次元41におけるシート長さおよび横方向の次元42におけるシート幅を有する。シート長さは、シート幅の何倍もの大きさである。シート40はロールとして提供され、ロールは、横方向の次元42に沿って回転軸を有する。図5Aのシートの上端部および下端部の点線は、シート40がそれらの点線を越えて長手方向の次元41に続くことを意味するものである。
【0087】
前駆体23は、以下の工程/方法に従って形成されてよい。
【0088】
第1の製造工程ステップで、シートが、エンボス領域43の2次元のエンボス加工パターンでエンボス加工される。図5Aでは、明瞭性のためにエンボス領域43のサブセットだけに符号が付されている。図5Aの実施形態では、各エンボス領域43は概ね円形である。エンボス加工のパターンはシートの面全体にわたって2次元であることが認識されるであろう。エンボス領域自体は、第3の直交する次元においてシートの面外/面内に盛り上がっている。エンボス加工は、シートに形成される2次元のエンボス加工パターンと逆のものを有するエンボスローラによって形成されてよい。すなわち、エンボス加工パターンが、エンボスローラに立体形成される。シート40は、エンボスローラと第2の協働するローラとの間を通ってエンボス加工パターンをシート40に付与する。
【0089】
第2の製造工程ステップで、シート40が複数の細片44に分離される(例えば切断される)。図5Aでは、明瞭性のために細片44のサブセットだけに符号が付されている。切断は、シート40の長手方向の次元41に沿って延びる切断線45に沿って行われる。図5Aでは、明瞭性のために切断線45のサブセットだけに符号が付されている。各細片44は、横方向の次元42に細片幅46を有する。図5Aの実施形態では、すべての細片44が同じ細片幅46を有している。他の実施形態では、シート40は、複数の異なる細片幅46が存在する複数の細片44に分離されてよい。一部の実施形態では、エンボス加工と分離が同時に行われる。シートは、一対の協働するローラで細片に分離されてよい。ローラは、シートの切断または裁断によってシートを細片に分離する、複数の協働する連動チャネルを含んでよい。一部の実施形態では、一対のみの協働するローラが、エンボス加工パターンを与え、シートを細片に分離する。
【0090】
図5Aのシート40は、本発明の原理を説明するものである。他の実施形態では、横方向の次元42にわたる細片44の数は、図5Aに示されるものと異なってよい。一部の実施形態では、シート40の合計横幅の任意の割合としての各細片44の細片幅46は異なってよい。例えば、シート40は、125ミリメートルの合計横幅を有するシート40にわたって設けられた、各々が1ミリメートルの細片幅46である125本の細片44を有してよい。一部の実施形態では、異なる細片幅および/または細片数が可能である。一部の実施形態では、シートの合計横幅は、細片幅の整数倍である。一部の実施形態では、細片幅46は、例えば1.0~3.0ミリメートルの間、例えば1.0~2.0ミリメートルの間、であってよい。一部の実施形態では、細片幅46は、実質的に1.4ミリメートルに等しくてよい。一部の実施形態では、細片幅は、実質的に1.0ミリメートルに等しくてよい。一部の実施形態では、細片幅は、実質的に2.0ミリメートルに等しくてよい。一部の実施形態では、細片幅は、実質的に1.2ミリメートルに等しくてよい。一部の実施形態では、細片幅は、実質的に1.35ミリメートルに等しくてよい。実施形態では、シートの合計横幅は、シートの合計横幅が細片幅46の整数倍になるように選択されてよい。一部の実施形態では、シートにわたる細片の合計数は、70~125の間、例えば75~90の間であってよい。
【0091】
シート40を全体として考えたとき、エンボス領域43は、シート40にわたって2次元パターンを形成する。パターンは、横方向の次元42にわたる横方向の周期性と、長手方向の次元42に沿った長手方向の周期性とを有してよい。横方向の周期性は、2つの直接隣接するエンボス領域43間の横方向の次元に沿った距離であってよい。長手方向の周期性は、2つの直接隣接するエンボス領域43間の長手方向の次元に沿った距離であってよい。一部の実施形態では、長手方向の周期性は、横方向の周期性とは異なる。一部の実施形態では、長手方向の周期性は、横方向の周期性よりも大きい。一部の実施形態では、横方向の周期性は、細片幅46と概ね等しい。
【0092】
一部の実施形態では、長手方向の周期性は、1.0~5.0ミリメートルの間である。一部の実施形態では、長手方向の周期性は、1.5~5.0ミリメートルの間である。一部の実施形態では、長手方向の周期性は、2.0~4.0ミリメートルの間である。一部の実施形態では、長手方向の周期性は、2.0~3.0ミリメートルの間である。一部の実施形態では、長手方向の周期性は、実質的に2.15ミリメートルに等しい。一部の実施形態では、長手方向の周期性は、エンボス領域43の長手方向の範囲よりも大きいかまたはそれに等しい。
【0093】
図5Bを参照すると、再構成タバコのシート50の一部分の上面図が示されている。シート50は、大半の部分に関して図5Aのシート40と同様である。該当する場合には同じ参照符号が使用される。図5Bのシート50は、エンボス領域43の2次元パターンが異なっているため、図5Aのシート40とは異なる。詳細には、エンボスパターンは、複数の長手方向の繰り返し単位47を有する。図5Bの実施形態では、各繰り返し単位47は、エンボス領域43の2つの長手方向の列からなる。単位47内の各長手方向の列は、繰り返し単位47の他の長手方向の列から長手方向にずれている。この長手方向のずれは、隣り合う長手方向の列同士の間の位相ずれと考えてもよい。細片切断線45は、繰り返し単位47内の長手方向の列の間に作られてよい。これは、細片44が共にまとめられて前駆体23にされるときに、細片間のエンボス領域43が少なくとも部分的に互いに噛み合うことを意味する。言い換えると、第1の細片44のエンボス領域43は、まとめられて前駆体23にされるときに、第2の隣接する細片44の一対の隣接するエンボス領域43同士の間に位置する。ここでも、これは、前駆体23内の細片44間の長手方向の摩擦を増大させ得る。
【0094】
細片44をエンボス加工することにより、エンボス加工されていない細片と比べて特定の細片44の体積を効果的に増す。これは、特定の大きさの前駆体23を満たすために必要とされる再構成材料がより少ないことを意味する。例えば、本発明は、エンボス加工されていない再構成材料から形成される前駆体23と比べて、前駆体23中の再構成材料含有量の10~15%前後の減少をもたらし得る。
【0095】
図5Cは、図5Aのシート40または図5Bのシート50からの1つの細片44の一部分を通る長手方向の断面図を示す。細片44の周囲表面から突出している細片44の領域として、2つのエンボス領域43が示されている。シート細片44の長手方向の次元41が示され、これは、図5Aおよび図5Bに示される長手方向の次元41に対応している。エンボス領域43は、正の垂直方向の次元48に突出している。垂直方向の次元48は、細片44の面に対して直角である。エンボス領域43は負の垂直方向の次元にも等しく突出してよく、それは「デボス」と考えてよいことが認識されるであろう。エンボスとデボスは、本発明の文脈では等価とみなされる。
【0096】
図5A図5B、および図5Cの実施形態では、エンボス領域43は各々、シート40またはシート50の面において概ね円形の形状を有する。各エンボス領域43の直径は、0.5~2.0ミリメートルの間、例えば0.5~1.5ミリメートルの間、例えば実質的に0.5ミリメートルであってよい。各エンボス領域22の直径は、代わりに細片幅46の任意の割合として表されてもよい。例えば、一部の実施形態では、エンボス領域43は、細片幅の90%未満、例えば細片幅の80%未満、例えば細片幅の70%未満、例えば細片幅の60%未満、例えば細片幅の50%未満、である直径を有する。一部の実施形態では、細片幅は実質的に1.4ミリメートルに等しく、エンボス領域43は1.0ミリメートルの直径を有する。一部の実施形態では、細片幅は実質的に1.4ミリメートルに等しく、エンボス領域43はおよそ0.5ミリメートルの直径を有する。
【0097】
図6Aを参照すると、再構成タバコのシート60の一部分の上面図が示されている。シート60は、大半の部分に関して図5Aのシート40とおよび図5Bのシート50と同様である。対応する特徴には同じ参照符号が使用される。図6Aのシート60は、エンボス領域43の形状が異なっているため、図5Bのシート40および図5Cのシート50とは異なる。詳細には、図6Aの実施形態では、各エンボス領域43は、シート60/細片44の面において非円形形状を有する。より具体的には、各エンボス領域43の形状は細長く、例えば卵形形状である。図5A図5B、および図5Cの実施形態の例示的な横方向および長手方向の周期性は、図6Aおよび図6Bの実施形態に等しく適用可能である。
【0098】
図6Aの実施形態では、各繰り返し単位47は、エンボス領域43の2つの長手方向の列を有する。図5Bの実施形態と同様に、繰り返し単位47内の各長手方向の列は、その繰り返し単位47の他の長手方向の列から長手方向にずれている。この長手方向のずれは、隣り合う長手方向の列同士の間の位相ずれと考えてもよい。細片切断線45は、繰り返し単位47内の長手方向の列の間に作られてよい。図6Aの実施形態では、繰り返し単位47内の第1の細片のエンボス領域43は、第1の配向を有し、第2の隣接する細片44のエンボス領域43は、第1の配向とは異なる第2の配向を有する。一部の実施形態では、横方向の次元42に沿って、連続する細片44の配向は、第1の配向と第2の配向を交互にとる。
【0099】
これは、細片が共にまとめられて前駆体23にされるときに、隣接する細片44のエンボス領域43が互いに噛み合うことを意味する。言い換えると、第1の細片44のエンボス領域43は、まとめられて前駆体23にされるときに、第2の隣接する細片44の一対の隣接するエンボス領域43同士の間に位置する。ここでも、これは、前駆体23内の細片44間の長手方向の摩擦を増大させ得る。
【0100】
図6Bを参照すると、図6Aのシート60からの細片44の一部分が示されている。細片44の周囲表面から突出している細片44の領域として、3つのエンボス領域43が示されている。エンボス領域43は、正の垂直方向の次元48に(図6Bの状況では紙面から出る方へ)突出している。垂直方向の次元48は、細片44の面に対して直角である。エンボス領域43は負の垂直方向の次元にも等しく突出してよく、それは「デボス」と考えてよいことが認識されるであろう。エンボスとデボスは、本発明の文脈では等価とみなされる。
【0101】
図6Bの3つのエンボス領域43は、大きさおよび形状が実質的に同一である。各エンボス領域43は、長軸長さ52、短軸幅53、および配向角度54を有する。長軸長さ52は短軸幅53よりも大きく、よってエンボス領域43は細長い。図6Aおよび図6Bの実施形態では、エンボス領域は楕円形状を有する。他の細長形状も可能である。長軸長さ52が短軸幅53と等しい場合、エンボス領域は円形になり、よって図5A図5Bおよび図5Cに示されるエンボス領域に相当する。
【0102】
一部の実施形態では、短軸幅53は、長軸長さ52の90%より小さいかまたはそれに等しくてよく、他の実施形態では、短軸幅53は、長軸長さ52の80%より小さいかまたはそれに等しくてよく、短軸幅53は、長軸長さ52の70%より小さいかまたはそれに等しくてよく、短軸幅53は、長軸長さ52の60%より小さいかまたはそれに等しくてよく、短軸幅53は、長軸長さ52の50%より小さいかまたはそれに等しくてよい。
【0103】
各エンボス領域43は、細片44の長手方向の次元41に対して傾斜している。すなわち、エンボス領域43の長軸52は、細片44の長手方向の軸/次元と配向角度54を形成する。配向角度44は任意の角度であってよい。図6Aおよび図6Bの実施形態では、配向角度54は、実質的に45度に等しい。他の実施形態では、配向は、0~180度の間であってよい。0度または180度の配向角度は、細長いエンボス領域43の長軸52が細片44の長手方向軸41と実質的に整列することを意味する。90度の配向角度54は、細長いエンボス領域43の長軸52が細片44の長手方向軸41に直角であることを意味する。
【0104】
再度図6Aを参照すると、繰り返し単位47内の第1の細片のエンボス領域43は第1の配向角度54を有し、第2の隣接する細片44のエンボス領域43は、第1の配向角度とは異なる第2の配向角度54を有する。横方向の次元42に沿って、連続する細片44のエンボス領域43の配向角度54は、第1のエンボス領域配向角度54と第2のエンボス領域配向角度54を交互にとる。一部の実施形態では、図6Aに示されるように、互いに隣接する細片44のエンボス領域43は、互いから実質的に90度異なるエンボス領域43配向角度54を有する。
【0105】
一部の実施形態では、シートまたは細片は、100~600マイクロメートルの間の垂直方向の次元48への厚みを有してよい。例えば、100~500マイクロメートルの間、例えば150~400マイクロメートルの間、例えば200~300マイクロメートルの間である。一部の実施形態では、厚みは、およそ250マイクロメートルであってよい。
【0106】
各エンボス領域43は、垂直方向の次元48へのエンボス深さ49を有する。任意の実施形態において、エンボス深さ49は、50~500マイクロメートルの間であってよい。例えば、100~400マイクロメートルの間、例えば200~300マイクロメートルの間である。一部の実施形態では、エンボス深さ49は、およそ250マイクロメートルであってよい。
【0107】
一実施形態では、エンボス49の深さは、シートまたは細片の厚みの50~200%の間である。
【0108】
任意の実施形態において、シートまたは細片は、100g/m2よりも大きいかまたはそれと等しい、例えば110g/m2よりも大きいかまたはそれと等しい、例えば120g/m2よりも大きいかまたはそれと等しい、シート重量を有する再構成材料(エアロゾル形成基材)から形成されてよい。シート40またはシート50またはシート60、あるいは細片44は、300g/m2よりも小さいかまたはそれと等しい、例えば、250g/m2よりも小さいかまたはそれと等しい、または200g/m2よりも小さいかまたはそれと等しい、シート重量を有してよい。シート40またはシート50またはシート60、あるいは細片44は、120~190g/m2の間のシート重量を有してよい。

図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
【国際調査報告】