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特表2024-523486吻合を形成するための装置および方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-28
(54)【発明の名称】吻合を形成するための装置および方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/11 20060101AFI20240621BHJP
【FI】
A61B17/11
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023579027
(86)(22)【出願日】2022-06-21
(85)【翻訳文提出日】2024-02-07
(86)【国際出願番号】 EP2022066887
(87)【国際公開番号】W WO2022268816
(87)【国際公開日】2022-12-29
(31)【優先権主張番号】21315101.2
(32)【優先日】2021-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522358102
【氏名又は名称】バリアテク・メディカル
【氏名又は名称原語表記】BARIATEK MEDICAL
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】セヨール,エリック
(72)【発明者】
【氏名】ビアディラー,ヨセフ
(72)【発明者】
【氏名】グレイ,ヨナタン
(72)【発明者】
【氏名】ナズ,クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】フリードリヒ,トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ハインツェ,マリオ
(72)【発明者】
【氏名】ロコシュ,トビアス
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160CC32
4C160MM43
(57)【要約】
第1および第2の身体管腔壁セクションの間に吻合を形成するための装置であって、装置は、形状記憶材料から作製された細長い管状部材(16)を備えるコイルインプラント(10)を備え、細長い部材は、身体内に導入するための引き伸ばされた収容構成から、細長い部材の第1の部分(12)がコイルの少なくとも第1のループ(20)を形成し、細長い部材の第2の部分(14)がコイルの少なくとも第2のループ(22)を形成する移植構成に自己拡張し、細長い部材は少なくとも1つの内部空洞を備え、コイルインプラントは、細長い部材の第1および第2の部分によって担持された複数の磁石(24)をさらに備え、複数のうちの各磁石は、細長い部材の少なくとも1つの内部空洞内に少なくとも部分的に収容され、磁石は、第1のループと第2のループとの間に捕捉された組織内に磁気圧縮吻合を形成するために、第1のループが第2のループに磁気的に引き付けられるように配置される。ループは、調整された圧縮力および/または調整された可撓性を有する螺旋を備える場合がある。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1および第2の身体管腔壁セクションの間に吻合を形成するための装置であって、前記装置が、形状記憶材料から作製された細長い部材(16)を備えるコイルインプラント(10)を備え、前記細長い部材が、前記身体内に導入するための引き伸ばされた収容構成から、前記細長い部材の第1の部分(12)が前記コイルの少なくとも第1のループ(20)を形成し、前記細長い部材の第2の部分(14)が前記コイルの少なくとも第2のループ(22)を形成する移植構成に自己拡張し、前記細長い部材が少なくとも1つの内部空洞(26、32)を備え、前記コイルインプラントが、前記細長い部材の前記第1および第2の部分によって担持された複数の磁石(24)をさらに備え、前記複数のうちの各磁石が、前記細長い部材の前記少なくとも1つの内部空洞内に少なくとも部分的に収容され、前記磁石が、前記第1のループと前記第2のループとの間に捕捉された組織内に磁気圧縮吻合を形成するために、前記第1のループが前記第2のループに磁気的に引き付けられるように配置される、装置。
【請求項2】
前記複数の磁石のうちの少なくとも2つの磁石(24)が、前記細長い部材の前記同じ空洞(32)内に少なくとも部分的に収容される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記細長い部材(16)がチューブを備え、前記空洞(32)が前記チューブの中空内部を含む、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
第1および第2の身体管腔壁セクションの間に吻合を形成するための装置であって、前記装置が、場合によっては先行する請求項のいずれかに記載の装置であり、前記装置が、形状記憶材料から作製された細長い部材(16)を備えるコイルインプラント(10)を備え、前記細長い部材(16)が、前記身体内に導入するための引き伸ばされた収容構成から、前記細長い部材の第1の部分(12)が前記コイルの少なくとも第1のループ(20)を形成し、前記細長い部材の第2の部分(14)が前記コイルの少なくとも第2のループ(22)を形成する移植構成に自己拡張し、前記細長い部材(16)がチューブを備え、前記コイルインプラントが、前記細長い部材の前記第1および第2の部分によって担持された複数の磁石(24)をさらに備え、前記磁石が、前記第1のループと前記第2のループとの間に捕捉された組織内に磁気圧縮吻合を形成するために、前記第1のループが前記第2のループに磁気的に引き付けられるように配置される、装置。
【請求項5】
前記細長い部材の前記第1および/または第2の部分(12、14)が、前記またはチューブを備える、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記細長い部材が、その長さに沿って離隔した開口部(26)を備え、前記磁石(24)の少なくともいくつかが、前記開口部(26)の少なくともいくつかに、かつ/またはその中に配置される、先行する請求項のいずれかに記載の装置。
【請求項7】
前記磁石が中に配置された前記開口部(26)が、(i)前記移植構成において前記コイルの中心軸(28)に向かって半径方向内側に面する前記細長い部材(16)の表面領域(16a)、および/または(ii)前記移植構成において前記コイルの中心軸(28)から半径方向外側に離れて面する前記細長い部材(16)の表面領域(16b)、および/または(iii)前記移植構成において前記コイルの前記中心軸(28)にほぼ平行に面する前記細長い部材(16)の表面領域(16c)、の中で画定される、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記細長い部材(16)が、前記細長い部材の可撓性を高めるための複数の切り欠きおよび/もしくは開口部(30)をさらに備えるか、または前記複数の切り欠きおよび/もしくは開口部(30)が設けられる、先行する請求項のいずれかに記載の装置。
【請求項9】
可撓性を高めるための前記切り欠きおよび/または開口部(30)が、前記移植された構成において前記コイルの中心軸に垂直な平面内の可撓性を高めるように選択された1つまたは複数の表面領域内に形成され、前記1つまたは複数の表面領域が、(i)前記移植構成において前記コイルの中心軸(28)に向かって半径方向内側に面する前記細長い部材(16)の表面領域(16a)、および/または(ii)前記移植構成において前記コイルの中心軸(28)から半径方向外側に離れて面する前記細長い部材(16)の表面領域(16b)である、請求項10に記載の装置。
【請求項10】
前記開口部および/または切り欠き(30)のうちの少なくともいくつかが、前記細長い部材(16)の中空内部(32)と連通している、請求項6~9のいずれかに記載の装置。
【請求項11】
前記第1および第2の部分のうちの少なくとも1つが、前記移植された構成において、
a.前記コイルの前記軸の周りの完全な一巻きの少なくとも80%、場合によっては少なくとも90%、
b.前記コイルの前記軸の周りの完全な一巻きの少なくとも1回分、
c.前記コイルの前記軸の周りの完全な一巻きの少なくとも1.8回分、場合によっては少なくとも1.9回分
のうちの1つまたは複数を提供するように構成される、先行する請求項のいずれかに記載の装置。
【請求項12】
前記第1および第2の部分(12、14)のうちの少なくとも1つが、前記移植構成において、1回を超える巻きのあるほぼ平らな螺旋形状を含む、請求項13に記載の装置。
【請求項13】
第1および第2の身体管腔壁セクションの間に吻合を形成するための装置であって、前記装置が、場合によっては先行する請求項のいずれかに記載の装置であり、前記装置が、形状記憶材料から作製された細長い部材(16)を備えるコイルインプラント(10)を備え、前記細長い部材が、前記身体内に導入するための引き伸ばされた収容構成から、前記細長い部材の第1の部分(12)が第1のループ(20)を形成し、前記細長い部材の第2の部分(14)が第2のループ(22)を形成する移植構成に自己拡張し、前記第1のループと前記第2のループとの間に捕捉された組織内に磁気圧縮吻合を形成するために前記第1のループが前記第2のループに磁気的に引き付けられように配置された複数の磁石(24)を前記第1および第2の部分が担持し、前記ループ(20、22)のうちの少なくとも1つが、前記それぞれの部分の第1のセグメントおよび第2のセグメントによって画定された螺旋形状を有し、前記第1のセグメントが、前記第2のセグメントよりも前記螺旋の前記中心軸に少なくとも部分的に近く、前記装置が、
(i)前記第2のセグメントが、少なくとも1つの可撓性の方向において、前記第1のセグメントよりも可撓性が高く、かつ/または
(ii)前記第2のセグメントが、前記第1のセグメントよりも小さい圧縮力を下にある組織に加えるように構成される
ように構成される、
装置。
【請求項14】
前記第1のセグメントが少なくとも1つの磁石(24)を担持し、前記第2のセグメントがいかなる磁石ももたない、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
1回分の一巻き、場合によっては半径方向に最も内側の一巻きが、前記螺旋内の別の一巻きよりも大きい剛性を有する、請求項12、13、または14に記載の装置。
【請求項16】
前記細長い部材(16)がモノリシック本体である、先行する請求項のいずれかに記載の装置。
【請求項17】
前記第1および第2の部分(12、14)うちの少なくとも1つが、前記収容構成から前記移植された構成に移行するときに、少なくとも部分的に軸の周りを螺旋状に巻くように構成される、先行する請求項のいずれかに記載の装置。
【請求項18】
前記第1および第2の部分(12、14)うちの少なくとも1つが、前記収容構成から前記移植された構成に移行するときに、少なくとも部分的に軸の周りに巻き付くように構成される、先行する請求項のいずれかに記載の装置。
【請求項19】
前記細長い部材(16)が、前記第1の部分(12)と前記第2の部分(14)との間に架橋セクション(18)をさらに備え、前記架橋セクション(18)が磁石を担持せず、場合によっては前記架橋セクション(18)が、前記第1の部分(12)および/または前記第2の部分(14)と接続している、先行する請求項のいずれかに記載の装置。
【請求項20】
前記移植構成において、前記第1のループ(20)が概して第1の平面内に画定され、前記第2のループ(22)が概して第2の平面内に画定され、前記架橋セクション(18)が、前記第1の平面と前記第2の平面との間に延在し、場合によっては、前記第1の平面が前記コイルの前記軸に対してほぼ垂直であり、かつ/または場合によっては、前記第2の平面が前記コイルの前記軸に対してほぼ垂直である、請求項19に記載の装置。
【請求項21】
前記移植構成において、前記架橋セクション(18)が、前記細長い部材の前記第1および第2の部分(12、14)に対してほぼ傾斜している、請求項19または20に記載の装置。
【請求項22】
前記架橋セクション(18)が、概して、前記細長い部材の前記第1および第2の部分(12、14)と接続している、請求項19、20、または21に記載の装置。
【請求項23】
前記細長い部材の直径が、少なくとも前記移植構成において、前記第1および第2の部分(12、14)ならびに前記架橋セクション(18)内で実質的に同じである、請求項19、20、21、または22に記載の装置。
【請求項24】
前記第1および第2の部分(12、14)のうちの少なくとも1つが、前記それぞれの部分が屈曲して前記架橋セクション(18)を形成する円周方向の不連続部を備える、請求項19、20、21、22、または23に記載の装置。
【請求項25】
第1および第2の身体管腔壁セクションの間に吻合を形成する方法であって、
a.形状記憶材料から作製された細長い部材(16)を備えるコイルインプラント(10)を提供することであって、前記細長い部材が第1および第2の部分(12、14)を備え、前記インプラントが、前記細長い部材の前記第1および第2の部分によって担持された複数の磁石(24)をさらに備え、前記複数のうちの各磁石が、前記細長い部材の少なくとも1つの内部空洞内に少なくとも部分的に収容される、提供することと、
b.引き伸ばされた収容構成で前記細長い部材との前記吻合のための目標部位に前記インプラントを導入することと、
c.前記細長い部材の前記第1の部分(12)が前記コイルの少なくとも第1のループ(20)を形成し、前記細長い部材の第2の部分(14)が前記コイルの少なくとも第2のループ(22)を形成する移植構成に前記細長い部材を自己拡張させることであって、前記磁石が、前記第1のループと前記第2のループとの間に捕捉された組織内に磁気圧縮吻合を形成するために、前記第1のループが前記第2のループに磁気的に引き付けられるように配置される、自己拡張させることと
を含む、方法。
【請求項26】
第1および第2の身体管腔壁セクションの間に吻合を形成する方法であって、
a.形状記憶材料から作製された細長い部材(16)を備えるコイルインプラント(10)を提供することであって、前記細長い部材が第1および第2の部分(12、14)を含むチューブを備え、前記インプラントが、前記細長い部材の前記第1および第2の部分によって担持された複数の磁石(24)をさらに備える、提供することと、
b.引き伸ばされた収容構成で前記細長い部材との前記吻合のための目標部位に前記インプラントを導入することと、
c.前記細長い部材の前記第1の部分(12)が前記コイルの少なくとも第1のループ(20)を形成し、前記細長い部材の第2の部分(14)が前記コイルの少なくとも第2のループ(22)を形成する移植構成に前記細長い部材を自己拡張させることであって、前記磁石が、前記第1のループと前記第2のループとの間に捕捉された組織内に磁気圧縮吻合を形成するために、前記第1のループが前記第2のループに磁気的に引き付けられるように配置される、自己拡張させることと
を含む、方法。
【請求項27】
前記自己拡張させることが、前記第1および第2の部分の少なくとも1つを、前記ループ形状に、少なくとも部分的に軸の周りの円周方向に巻き付けることを含む、請求項25または26に記載の方法。
【請求項28】
前記自己拡張させることが、前記第1の部分および前記第2の部分を、前記ループ形状に、少なくとも部分的にそれぞれの軸の周りの円周方向に巻き付けることを含む、請求項27に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、身体管腔間の吻合形成の分野に関する。本発明の非限定的な態様は、患者の消化器系、好ましくは消化管に吻合を形成することに関し、かつ/または磁気圧縮吻合の形成に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
吻合は、身体管腔の2つの異なるセクション間の外科的交差接続である。消化管は、食道から肛門までの体内の管腔経路である。消化管に沿ったまたは消化管内のどこかに形成される吻合は、糖尿病、肥満、腸疾患、および腸閉塞などの消化関連の問題を処置するために使用される治療の一形態である。吻合は、開腹手術処置によって形成することができるが、低侵襲処置、例えば、腹腔鏡、内視鏡、または管腔内視鏡によって等しく効果的に吻合を実現することには、重大な技術的課題が残っている。
【0003】
米国特許第10,154,844号は、体内に導入されたときに直線ワイヤからコイルに形状を変化させることが可能なワイヤの外部に結合された磁石を含む吻合器を教示している。コイルは、コイルのループ間に捕捉された組織の層に圧縮力を加えると言われている。圧縮力は、コイルの隣接するループに結合された磁石間の引力によって増強され、コイルに組織層を通過させ、吻合を形成する。ワイヤの一端には、デリバリデバイスと接続するためのねじまたはナットなどの接続部材が設けられることが好ましいと言われている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の吻合器の欠点のいくつかに対処することが望ましいであろう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
発明の概要
本発明の態様は、特許請求の範囲に定義されている。
【0006】
追加または代替として、本発明の一態様は、場合によっては患者の消化器系において、さらに場合によっては消化管において、第1および第2の身体管腔壁セクション間の吻合を形成するための装置を提供する。
【0007】
装置は、形状記憶材料を備える、例えば形状記憶材料から作製された、第1および第2の細長い部材部分を備える。第1および第2の細長い部材部分は、身体に導入するための引き伸ばされた収容構成から、第1の細長い部材部分が第1のループを形成し、第2の細長い部材部分が第2のループを形成する移植構成に自己拡張可能である。細長い部材部分のうちの少なくとも1つ、場合によっては両方は、細長い部材部分内に少なくとも1つの内部空洞を備える。
【0008】
装置は、第1および第2の細長い部材部分によって担持された複数の磁石をさらに備える。この複数の磁石のうちの少なくとも1つ、場合によってはいくつか、場合によってはすべては、それぞれの細長い部材部分の少なくとも1つの空洞内に少なくとも部分的に収容される。磁石は、第1のループと第2のループとの間に捕捉された組織に磁気圧縮吻合を形成するために、第1のループが第2のループに磁気的に引き付けられるように配置することができる。
【0009】
いくつかの実施形態では、装置はコイルインプラントを備え、第1および第2の細長い部材部分は、両方の部分を形成する細長い部材のそれぞれの部分である。場合によっては、細長い部材はモノリシック本体である。
【0010】
細長い部材部分の1つまたは複数の空洞内に少なくとも部分的に磁石を収容することは、いくつかの利点を提供することができる。例えば、それは、外部に取り付けられるかまたは外部に担持された磁石と比較して、より流線型を装置に与えることを容易にすることができる。流線型は、いくつかの利点を有する場合がある。流線型は、デリバリデバイスからの装置(例えば、コイルデバイス)の問題のない導入を支援することができる。流線型は、吻合が形成された後の身体からの装置(例えば、コイルデバイス)の排出を支援することもできる。例えば、消化管の場合、装置(例えば、コイルデバイス)は腸壁から分離し、糞便と共に腸内を前進して患者の肛門を通過することができる。流線型は、患者に対する閉塞または傷害または不快感のリスクを低減することができる。
【0011】
追加または代替として、細長い部材部分の1つまたは複数の空洞内に少なくとも部分的に磁石を収容することにより、装置内に磁石を取り付ける便利な方法を提供することができる。それは、外部損傷から磁石を保護するのを支援することもできる。
【0012】
いくつかの実施形態では、磁石のうちの少なくとも2つは、細長い部材部分の同じ空洞内に少なくとも部分的に収容することができる。細長い部材部分はチューブを含む場合があり、空洞はチューブの中空内部を含むことができる。
【0013】
細長い部材または細長い部材部分の管状形態は、例えばワイヤよりも構造的な支持を提供することができ、ならびに磁石のうちの1つまたは複数を少なくとも部分的に収容するための空洞空間を提供することができる。
【0014】
細長い部材または細長い部材部分の形態にかかわらず、細長い部材は、その長さに沿って離隔した開口部または窓を備える場合がある。
【0015】
磁石の少なくともいくつかは、開口部の少なくともいくつかに、および/または開口部の少なくともいくつかの中に配置される場合がある。開口部は、例えば、チューブの内部中空部内に完全に嵌合しない磁石を収容すること、および/またはチューブの内部中空部に完全に嵌合しない向きに磁石を取り付けることを可能にすることができる。細長い部材が管状でない場合、開口部は、磁石を少なくとも部分的に収容するための空洞を提供することができる。
【0016】
本発明の密接に関連している第2の態様は、場合によっては第1の態様の特徴のいずれかと組み合わせて、場合によっては患者の消化器系において、さらに場合によっては消化管において、第1および第2の身体管腔壁セクション間の吻合を形成するための装置を提供する。
【0017】
第2の態様では、装置は、形状記憶材料を備える、例えば形状記憶材料から作製された、第1および第2の細長い部材部分を備える。第1および第2の細長い部材部分は、身体に導入するための引き伸ばされた収容構成から、第1の細長い部材部分が第1のループを形成し、第2の細長い部材が第2のループを形成する移植構成に自己拡張可能である。細長い部材部分の少なくとも1つ、場合によっては両方は、チューブを含む。
【0018】
コイルインプラントは、第1および第2の細長い部材部分によって担持された複数の磁石をさらに備え、磁石は、第1の一巻きと第2の一巻きとの間に捕捉された組織内に磁気圧縮吻合を形成するために、第1の一巻きが第2の一巻きに磁気的に引き付けられるように配置される。
【0019】
いくつかの実施形態では、装置はコイルインプラントを備え、第1および第2の細長い部材部分は、両方の部分を形成する細長い部材のそれぞれの部分である。場合によっては、細長い部材はモノリシック本体である。
【0020】
本発明の密接に関連している第3の態様は、場合によっては第1および/または第2の態様の特徴のいずれかと組み合わせて、場合によっては患者の消化器系において、さらに場合によっては消化管において、第1および第2の身体管腔壁セクション間の吻合を形成するための装置を提供する。
【0021】
第3の態様では、装置は、形状記憶材料を備える、例えば形状記憶材料から作製された、第1および第2の細長い部材部分を備える。第1および第2の細長い部材部分は、身体に導入するための引き伸ばされた収容構成から、第1の細長い部材部分が第1のループを形成し、第2の細長い部材が第2のループを形成する移植構成に自己拡張可能である。ループのうちの少なくとも1つは、第1のセグメントおよび第2のセグメントを備え、場合によっては、移植構成において螺旋の形態のループを一括して画定し、第1のセグメントは、第2のセグメントよりも螺旋の中心軸に少なくとも部分的に近い。螺旋は、場合によっては、装置の中心軸にほぼ直交する方向にほぼ平面であり得る。
【0022】
コイルインプラントは、第1および第2の細長い部材部分によって担持された複数の磁石をさらに備え、磁石は、第1のループと第2のループとの間に捕捉された組織に磁気圧縮吻合を形成するために、第1のループが第2のループに磁気的に引き付けられるように配置される。
【0023】
第3の態様では、装置は、
(i)第2のセグメントが、少なくとも1つの可撓性の方向において、第1のセグメントよりも可撓性が高い、かつ/または
(ii)第2のセグメントが、第1のセグメントよりも小さい圧縮力を下にある組織に加えるように構成される
ように構成される。
【0024】
いくつかの実施形態では、第2のセグメントは、より可撓性が高いことと、より小さい圧縮力を加えるように構成されることの両方であり得る。
【0025】
使用される場合、第2のセグメントによってより小さい圧縮力を加えることにより、吻合形成を支援するように組織壁セクションに対する圧縮効果が調整されることを可能にする。圧縮力は、ループの第1のセグメントに対応する第1の組織ゾーンに集中することができ、吻合が形成される組織壊死をもたらす。第2のセグメントに対応する第2の組織ゾーン内のより小さい圧縮力は、第1のゾーンの半径方向外側にあり、第1のゾーンを取り囲む場合がある。より小さい圧縮力は、治癒効果の一部として組織の融合を促すために、第2のゾーン内で組織壁セクションを一緒に押圧することができるが、場合によっては第2の領域で壊死することはない。これは、吻合の周りに接合された組織の半径方向に厚い帯をもたらすことができる。
【0026】
いくつかの実施形態では、第1および第2のループの両方は、それぞれの第1およびセグメントを含む。
【0027】
そのような構成は、吻合の全体の周りの確実に連続する接合をさらに保証する目的で、組織接合の領域を広げることができる。それによって吻合が形成される組織壊死および治癒のプロセスは、圧縮力によってトリガされる生物学的プロセスである。異なる患者は、異なる速度の組織壊死、治癒、および組織融合を経験する可能性があり、患者ごとに吻合形成に何らかのばらつきをもたらす。その上、生物学的プロセスは閉ループ形状の周りで均一であることが期待されるが、場合によってはばらつきが生じる場合がある。例えば、接合部は、ある領域では別の領域よりも自然に厚い場合がある。そのような生物学的ばらつきは、糖尿病などの患者の症状によって悪化する場合がある。より小さい圧縮力で組織を押圧するための第2のセグメントを提供することは、組織を十分なまたは拡張された半径方向の厚さとともに接合する生物学的プロセスを支援して、そのようなばらつきを軽減し、堅牢で漏れのない接合を形成することができる。
【0028】
いくつかの実施形態では、磁石は、少なくとも主に第1のセグメントによって担持される場合がある。場合によっては、第2のセグメントは磁石を担持しない。
【0029】
第2のセグメントの可撓性はまた、吻合が形成されると装置が壁組織から分離するかどうか、または第2のセグメントが組織壁に対して装置を拘束して保持することができるかどうかを決定するように構成される場合がある。比較的可撓性の第2のセグメントは、装置が形成された吻合のより小さい開口部を通過することを可能にするように曲げるかまたは変形することにより、装置を拘束して保持しないように構成される場合がある。比較的剛性の第2のセグメントは、曲げに抵抗し、それによって装置を拘束して保持するように構成される場合がある。
【0030】
いくつかの実施形態では、装置はコイルインプラントを備え、第1および第2の細長い部材部分は、両方の部分を形成する細長い部材のそれぞれの部分である。場合によっては、細長い部材はモノリシック本体である。
【0031】
上記の態様のいずれかにおいて、細長い部材または細長い部材部分の開口部および/または切り欠きは、可撓性を高めることができる。これは、チューブを含む1つまたは複数の細長い部材部分の場合に特に有利であるが、排他的に有利ではない。
【0032】
場合によっては、そのような切り欠きおよび/または開口部は、移植された構成においてコイルの中心軸に垂直な平面内の可撓性を高めるように選択された1つまたは複数の表面領域内に形成される。例えば、1つまたは複数の表面領域は、(i)移植構成においてコイルの中心軸に向かって半径方向内側に面する細長い部材部分の表面領域、および/または(ii)移植構成においてコイルの中心軸から半径方向外側に離れて面する細長い部材部分の表面領域であるか、またはそれらを含む場合がある。
【0033】
開口部および/または切り欠きのうちの少なくともいくつかは、可撓性を高めるために設けられたか、かつ/または磁石を少なくとも部分的に収容するために設けられたかにかかわらず、細長い部材または部分の中空内部と連通することができる。
【0034】
上記の任意の態様では、細長い部材部分の少なくとも1つ、場合によっては両方は、移植された構成において、
a)ループの中心軸の周りの完全な一巻きの少なくとも80%、場合によっては少なくとも90%だけ延在するループ、
b)中心軸の周りの完全な一巻きの少なくとも1回分だけ延在するループ、
c)コイルの軸の周りの完全な一巻きの少なくとも1.8回分、場合によっては少なくとも1.9回分だけ延在するループ、
d)中心軸の周りの完全な一巻きの少なくとも2回分だけ延在するループ、
e)中心軸の周りの完全な一巻きの少なくとも2.5回分、場合によっては完全な一巻きの少なくとも2.8回分、場合によっては完全な一巻きの少なくとも2.9回分、場合によっては完全な一巻きの少なくとも3.0回分だけ延在するループ、
f)ループの中心軸の周りの1回未満の完全な一巻きだけ延在するループ
のうちの1つまたは複数を提供するように構成される場合がある。例えば、ループは、円周方向の不連続部および/またはギャップを含む場合がある。
【0035】
場合によっては、第1および第2の細長い部材部分の少なくとも1つは、1回を超える巻きのあるほぼ平らな螺旋形状を含む。1回分の一巻き、場合によっては半径方向に最も内側の一巻きは、螺旋状の別の一巻き(または少なくとも部分的な一巻き)よりも大きい剛性を有する場合がある。
【0036】
すでに上述された利点に加えて、内側の一巻きよりも可撓性が高い螺旋の外側の一巻きを提供することにより、デリバリデバイスからの導入を容易にすることができる。インプラントは、移植された構成に自己拡張する形状記憶材料を含む。使用中、インプラントは、デリバリデバイスにより、一端から徐々に自己拡張することを可能にすることができる。デバイスの最終部分を比較的可撓性にすることにより、インプラントのごく一部のみがデリバリデバイスの制御下に留まるときに、インプラントが跳ねない、または跳ばない傾向はより小さい。
【0037】
本明細書で使用される「ループ」という用語は、中央領域の周りに延在する部分的または完全な形状に似た任意の形態を含む。ループは、ほぼ円形であってもよく、円形でなくてもよい。ループは、ほぼ湾曲していてもよく、かつ/または直線状のセグメントもしくは側面を含んでいてもよい。ループは、閉ループ形状であってもよく、非閉ループであってもよい。ループは、(ほぼ円形の螺旋状であるか、直線螺旋状などのほぼ非円形螺旋状であるかにかかわらず)螺旋形態を有してもよい。
【0038】
本明細書で使用される「一巻き」という用語は、ループが円形であるか否かにかかわらず、移植構成における第1および/もしくは第2の部分(または装置全体)の中心軸の周りのループの角度範囲を指す。完全な一巻きは、360°の角度範囲を指す。
【0039】
上記のいずれかに加えて、またはその代わりに、上記の態様のいずれかにおいて、細長い部材は、第1の部分と第2の部分との間に架橋セクションをさらに備える場合があり、架橋セクションは磁石を担持しない。架橋セクションは、第1および/または第2の部分と接続している場合がある。
【0040】
いくつかの実施形態では、移植構成において、第1の一巻きは概して第1の平面内に画定され、第2の一巻きは概して第2の平面内に画定され、架橋セクションは、第1の平面と第2の平面との間に延在し、場合によっては、第1の平面はコイルの軸に対してほぼ垂直であり、かつ/または場合によっては、第2の平面はコイルの軸に対してほぼ垂直である。
【0041】
移植構成において、架橋セクションは、概して、細長い部材の第1および第2の部分に対して傾斜している場合がある。
【0042】
上記のいずれかに加えて、またはその代わりに、装置は、細長い部材および/または磁石を覆う可撓性材料のスリーブをさらに備える場合がある。スリーブは、所定の位置に磁石を少なくとも部分的に保持するように機能することができる。例えば、スリーブは、細長い部材の周りにしっかりと嵌合することができる。追加または代替として、スリーブは滑らかな表面を提供することができる。例えば、スリーブはPTFEから作製される場合がある。そのようなスリーブは、細長い部材の周りでスリーブを熱収縮させることによって適用することができる。
【0043】
本発明のさらなる態様は、第1および第2の身体管腔壁セクションの間に吻合を形成する方法を提供し、
a.形状記憶材料から作製された細長い部材(16)を備えるコイルインプラント(10)を提供することであって、細長い部材が第1および第2の部分(12、14)を備え、インプラントが、細長い部材の第1および第2の部分によって担持された複数の磁石(24)をさらに備える、提供することと
b.引き伸ばされた収容構成で細長い部材との吻合のための目標部位にインプラントを導入することと、
c.細長い部材の第1の部分(12)がコイルの少なくとも第1のループ(20)を形成し、細長い部材の第2の部分(14)がコイルの少なくとも第2のループ(22)を形成する移植構成に細長い部材を自己拡張させることであって、磁石が、第1のループと第2のループとの間に捕捉された組織内に磁気圧縮吻合を形成するために、第1のループが第2のループに磁気的に引き付けられるように配置される、自己拡張させることと
を含む。
【0044】
いくつかの実施形態では、提供することは、チューブの形態の細長い部材を提供することを含む場合がある。追加または代替として、提供することは、複数の磁石の各磁石が細長い部材の少なくとも1つの内部空洞内に少なくとも部分的に収容されるように、複数の磁石を提供することを含む場合がある。
【0045】
上記の態様のいずれかにおいて、第1および第2の細長い部材部分の少なくとも1つ(場合によっては両方)は、引き伸ばされた収容構成から移植構成に移行するときに螺旋状に巻くように構成される場合がある。巻き付きの作用は、それぞれの部分が軸の周りに少なくとも部分的に巻き付き、かつ/またはカールして、移植構成においてそれぞれのループを形成することを意味する。いくつかの実施形態では、それぞれの部分は、非ループ形状から(例えば、ほぼ直線的に引き伸ばされた構成から)ループ形状に巻き付くことができる。例えば、ループは、導入された構成にあるときにのみ形成される場合がある。
【0046】
追加または代替として、上記の態様のいずれかにおいて、第1および第2の細長い部材部分の少なくとも1つ(場合によっては両方)は、少なくとも移植構成において、軸の周りに少なくとも部分的に巻き付き、かつ/または少なくとも部分的に巻き付かれる場合がある。いくつかの実施形態では、それぞれの部分は、非ループ形状から(例えば、ほぼ直線的に引き伸ばされた構成から)ループ形状に巻き付くことができる。例えば、ループは、導入された構成にあるときにのみ形成される場合がある。
【0047】
追加または代替として、架橋セクションを含む上記の態様のいずれかにおいて、第1の細長い部材部分、第2の細長い部材部分、および架橋部分の直径は、少なくとも移植構成において、場合によっては収容構成において、互いに実質的に同じであり得る。
【0048】
追加または代替として、架橋セクションを含む上記の態様のいずれかにおいて、第1および第2の細長い部材部分の少なくとも1つ(場合によっては両方)は、それぞれの細長い部材部分が架橋セクション内に曲がるか、または曲がって架橋セクションを形成する円周方向の不連続部を備える場合がある。
【0049】
上記の態様のいずれかにおいて、装置または装置の構成要素は、場合によっては3次元印刷によって形成される場合がある。
【0050】
特定の態様、特徴、および利点が上記で強調されているが、そこに強調が加えられているか否かにかかわらず、本明細書に記載され、かつ/または図面に示された任意の新規の特徴または着想に対する保護が主張される。
【図面の簡単な説明】
【0051】
図1】吻合コイルインプラントのその移植構成における第1の実施形態の上方からの概略斜視図である。
図2】第1の方向から見た図1のコイルインプラントの概略側面図である。
図3図2と同様であるが、第2の直交方向から見た概略側面図である。
図4図1図3のコイルインプラントの概略平面図である。
図5】コイルインプラントのその移植構成における第2の実施形態を示す、図1と同様の概略斜視図である。
図6】コイルインプラントのその移植構成における第3の実施形態を示す、図1および図5と同様の概略斜視図である。
図7図6のコイルインプラントの概略平面図である。
図8】コイルインプラントのその移植構成における第4の実施形態を示す、図1図5、および図6と同様の上方からの概略斜視図である。
図9図5のインプラントを搬送用のその収容構成で示す概略斜視図である。
図10図5および図9を単一表現で組み合わせた概略ハイブリッド図である。
【発明を実施するための形態】
【0052】
好ましい実施形態の詳細説明
次に本発明の非限定的な実施形態が、添付の図面を参照して、単なる例として記載される。異なる図面において、同じ参照番号は、詳細に記載されているか否かにかかわらず、同じまたは同等の特徴を表記するために使用される。一実施形態の特徴は、詳細に記載されているか否かにかかわらず、別の特徴と組み合わされる場合がある。
【0053】
図面を参照すると、吻合を形成するための装置のいくつかの実施形態が、コイルインプラント10の形態で示されている。インプラント10は、患者の消化器系内、場合によっては消化管内に吻合を形成するための使用に適切であり得る。
【0054】
コイルインプラント10は、形状記憶材料、場合によっては形状記憶合金、例えば、NiTi(例えばニチノール)またはNiTiCoなどのニッケルおよびチタンを含む合金から作製された第1の細長い部材部分12および第2の細長い部材部分14を備える。図示された実施形態では、第1の細長い部材部分12および第2の細長い部材部分14は、モノリシック本体であり得る同じ細長い部材16の部分として形成される。細長い部材16は、場合によっては、後述されるように、第1の部分12と第2の部分14との間に架橋セクション18をさらに備える。
【0055】
コイルインプラント10は、患者の体内に導入するための収容構成から導入構成または移植構成に自己拡張可能である。収容構成(例えば、図9)では、第1の部分12および第2の部分14は、概して、狭いデリバリデバイスまたはシース(図示せず)を使用して、導入に適した線形またはほぼ線形の形状に引き伸ばされる。使用中、インプラントは、移植構成をとるためにデリバリデバイスまたはシースから解放または排出される。移植構成(例えば、図1図8)では、第1の部分12は伸長して少なくとも第1のループ20を形成し、第2の部分14は伸長して少なくとも第1のループ20とほぼ平行かつ同一直線上の第2のループ22を形成する。第1の部分12および第2の部分14の少なくとも1つ、場合によっては両方は、収容構成から移植構成に変化するときに、少なくとも部分的に軸の周りを螺旋状に巻く、かつ/または巻き付くように構成される。
【0056】
コイルインプラント10は、第1の部分12および第2の部分14によって担持された複数の磁石24をさらに備える。磁石24は、各部分12、14上の磁石が2つのループ20、22の間に磁気引力を生成するように配置される。
【0057】
使用中、コイルインプラント10が、壁セクションの1つの側面上の1つのループ20および他の側面上の他のループ22がループ20と22の間に壁組織を挟んで、2つの隣接する体腔壁セクションを越えて導入されると、磁気引力は組織を圧縮し、壊死を引き起こし、数週間以内に吻合の生物学的形成をもたらす。圧縮力は、組織と接触している細長い部材部分12および16によって、実質的に完全なループ形状の周りに分散する。
【0058】
本明細書に記載されたいくつかの実施形態の特徴は、部分12および14の少なくとも1つ、場合によっては両方が少なくとも1つの内部空洞32を有し、磁石24の少なくともいくつかが、少なくとも部分的に(少なくとも1つの)空洞32内に収容されることである。
【0059】
実施形態は、チューブの形態の細長い部材16を示す。細長い部材16は、形状記憶材料の管状ストックから作製され、移植構成を採用するように熱処理される。チューブの内部中空部は、磁石24の少なくともいくつかを少なくとも部分的に収容するための空洞の少なくとも一部を形成する。追加または代替として、細長い部材16が管状であるか否かにかかわらず、細長い部材16は、磁石24の少なくともいくつかがその中および/またはそこに配置される窓または開口部26を備える。開口部26は、1つまたは複数の磁石24のための空洞の一部を形成することもできる。図示された形態では、各開口部26は、1つの磁石24に関連付けられる。(例えば、細長い部材の対向する表面領域上の)複数の開口部26は、同じ磁石24に関連付けられる場合がある。
【0060】
磁石24のための開口部26の様々な配置が想定される。例えば、図1図4の実施形態では、開口部26は、(i)移植構成においてコイルの中心軸28に向かって半径方向内側に面する細長い部材16の表面領域16a(例えば、横方向内側の表面領域)、および/または(ii)移植構成においてコイルの中心軸28から半径方向外側に離れて面する細長い部材16の表面領域16b(例えば、横方向外側の表面領域)のうちの少なくとも1つ、実際には両方に配置される。図5図8の実施形態では、開口部26は、移植構成においてコイルの中心軸28にほぼ平行に面する細長い部材16の1つまたは複数の表面領域16c(例えば、上部および下部の表面領域)に配置される。開口部26のそのような向きの組合せも想定される。
【0061】
開口部26は、概して、細長い部材16の表面にあり得るか、または開口部26は、例えば、細長い部材16の平らでない(例えば、丸みを帯びた)表面にほぼ平らもしくは平坦な開口部を許可するために、リムもしくは「窓フレーム」を含む場合がある。
【0062】
図5図8を参照すると、磁石24は、磁石24が細長い部材の表面に対して実質的に突出しない(場合によっては全く突出しない)ように、細長い部材16の少なくとも1つの空洞内に完全に収容される場合がある。あるいは、図1図4を参照すると、磁石24は、磁石を担持する細長い部材16の表面から若干突出する場合がある。
【0063】
磁石24が突出部分を有するか否かにかかわらず、細長い部材16の少なくとも1つの空洞32で少なくとも部分的に磁石24を収容することにより、コイルインプラント10は、デバイスの形状または輪郭の合理化から利益を得ることができる。それは、磁石24を細長い部材に取り付ける便利な方法を提供することもできる。それは、磁石24に少なくともある程度の保護を提供することもできる。
【0064】
磁石24は、任意の適切な形状、例えば、ほぼ平面、多角形、円筒形、円盤状、棒状、(内向きに先細るか、または内向きに曲がった端部を有する)樽形のうちの1つまたは複数を有する場合がある。図1図4は、概して、薄い円筒形または多角形の磁石24を示す。図5図9は、棒状または樽状の磁石24を示す。樽状の磁石は、例えば、開口部または空洞に圧入され、例えば、その両端で締まり嵌めによって保持される場合がある。一般に、任意の形状の磁石24は、任意の適切な技法、例えば、細長い部材16への締まり嵌め、溶接、または接着取り付けによって定位置に固定される場合がある。
【0065】
いくつかの実施形態では、細長い部材16および磁石24の組合せは、可撓性材料のスリーブ(図示せず)によって覆われる場合がある。スリーブは、開口部26内の所定の位置に磁石を少なくとも部分的に保持するように機能することができる。例えば、スリーブは、細長い部材26の周りにしっかりと嵌合することができる。追加または代替として、スリーブは滑らかな表面を提供することができる。例えば、スリーブはPTFEから作製される場合がある。そのようなスリーブは、細長い部材16の周りでスリーブを熱収縮させることによって適用することができる。
【0066】
追加または代替として、磁石24が細長い部材16の1つまたは複数の空洞内に収容されているか否かにかかわらず、本明細書に記載されたいくつかの実施形態で使用されるさらなる特徴は、細長い部材16(または部分12、14、18のうちの少なくとも1つ)が管状であることである。チューブは、一般に、例えばワイヤよりも構造的な支持を提供することができる。そのような構造的な支持は、移植構成におけるインプラント10の形状に対する良好な制御を提供することができ、以下に後述されるように、方向可撓性の可能性も提供する。構造的な支持は、コイルデバイス10が比較的少数のループ、例えば、第1の部分12および第2の部分14の一方または両方に3つまたは2つ以下のループを含むときに特に有利であるが、排他的に有利ではない。
【0067】
図示された実施形態では、細長い部材16は、場合によってはハイポチューブ形態の管状形状記憶材料から作製される。図示された実施形態は、断面がほぼ円形のチューブを示すが、他の形状、例えば、楕円形または多角形(例えば、三角形、四辺形、長方形、正方形など)が想定される。
【0068】
管状の細長い部材16の使用はまた、インプラント10が場合によってはガイドワイヤ(図示せず)上の移植部位に導入されることを可能にする。磁石24は、細長い部材16を通るガイドワイヤのための貫通路を提供するように配置される場合がある。例えば、磁石24は、チューブの内部中空部と内部で整列したボア(図示せず)を有する場合がある。
【0069】
上述されたように、コイルインプラント10の図示された実施形態は、第1の部分12と第2の部分14との間に延在し、かつ/またはそれらを連結する架橋セクション18を含む。使用中、吻合が形成されるべき組織壁を越えてコイルデバイス10が移植されると、架橋セクション18は組織壁を通過する。図示された形態では、第1の部分12は第1の平面内に少なくとも第1のループを画定し、第2の部分14は第2の平面内に少なくとも第2のループを画定し、架橋セクション18は一方の平面から他方の平面まで延在する。架橋セクション18は、これらの平面に対して傾斜している。
【0070】
架橋セクション18は、場合によっては、移植構成において、ループ形状の周囲の内側に延在するように構成される場合がある。そのような構成は、架橋セクション18が、ループ間に挟まれた組織壁に圧力を加える各ループの円周形状と大幅に干渉することを回避することができる。例えば、図1図5および図8を参照すると、架橋セクション18は、ループの輪郭内にD字形の平坦部を形成することができる。これらの図では、第1の部分12および第2の部分14は、中心軸28の周りに同じ方向に(例えば、両方とも時計回りで、または両方とも反時計回りで)延在する一巻きを形成する。図6および図7のさらなる実施形態を参照すると、架橋セクション18は、例えば、中心軸28と交差してループ間に延在するS字形を形成する。これらの図では、第1の部分12および第2の部分14は、中心軸28の周りに互いに反対方向に(例えば、一方が時計回りで、他方が反時計回りで)延在する一巻きを形成する。
【0071】
図示された実施形態では、第1の部分12および第2の部分14の少なくとも一方、場合によっては両方によって形成されるループ形状は、円周方向の不連続部を含み、例えば、それぞれの第1の部分12および/または第2の部分14は、架橋セクション18内に曲がるか、またはそれを形成するように曲がる。
【0072】
図示された実施形態では、細長い部材16の直径は、第1のセクション12、第2のセクション14、および架橋セクション18において、少なくとも移植構成において、および場合によっては収容構成においても実質的に同じであり得る。
【0073】
図8および図9を参照すると、磁石24のための開口部26に加えて、またはそれに代えて、細長い部材16(場合によっては第1の部分12および第2の部分14)は、細長い部材16の可撓性を高めるように構成された開口部(例えば、スロット)および/または切り欠き30を備える場合がある。切り欠きおよび/または開口部30は、例えば、細長い部材16の形状記憶材料をレーザカットすることによって形成される場合がある。
【0074】
可撓性のための開口部および/または切り欠き30は、細長い部材16が管状および/または棒状であり、そのため潜在的にワイヤよりも構造的かつ/または剛性が高いときに特に有利である。
【0075】
場合によっては、可撓性を高めるための切り欠きおよび/または開口部30は、移植された構成においてコイルの中心軸に垂直な平面内の可撓性を高めるように選択された1つまたは複数の表面領域16a、16b内に形成される。例えば、1つまたは複数の表面は、(i)移植構成においてコイルの中心軸に向かって半径方向内側に面する細長い部材16の表面領域16a、および/または(ii)移植構成においてコイルの中心軸から半径方向外側に離れて面する細長い部材16の表面領域16bのうちの1つまたは複数を含む場合がある。開口部16は、可撓性を高めるために膨張および圧壊することができる。
【0076】
そのような配置により、一方または両方のループは、ループの平面内でより大きい可撓性を示すことができ、ループが形状に密接に適合することを可能にし、磁石が最適な相互引力のために位置合わせして整列することを可能にする。また、ループの相互平面における可撓性の向上は、吻合形成後にインプラントが組織壁から分離するときに、コイルインプラントが楕円形状に圧縮または伸長することを可能にする。これにより、例えば、肛門を介したインプラントの排出を容易にすることができ、患者に対する閉塞、損傷、または不快感のリスクを少なくすることができる。
【0077】
半径方向の可撓性の向上は、移植された構成におけるコイルの軸方向の細長い部材16の剛性を大幅に損なうことはない。これにより、ループが組織壁を挟み込む移植された構成にループが自己誘導されることを可能にすることができ、磁石24は、磁気引力が両側から組織をしっかりと締め付けるために軸方向に十分に接近させられる。
【0078】
図示された実施形態では、各部分12、14は、概して、ループの単一および/または完全な一巻きを画定する。しかしながら、一般に、部分12、14および/またはそれらのそれぞれのループは、各々が、概して、完全な一巻きの少なくとも0.8回分、完全な一巻きの少なくとも0.9回分、完全な一巻きの少なくとも1.0回分、完全な一巻き少なくとも1.25回分、完全な一巻きの少なくとも1.5回分、完全な一巻きの少なくとも1.75回分、完全な一巻きの少なくとも1.8回分、完全な一巻きの少なくとも1.9回分、完全な一巻きの少なくとも2.0回分、場合によっては完全な一巻きの少なくとも2.5回分、場合によっては完全な一巻きの少なくとも2.8回分、場合によっては完全な一巻きの少なくとも2.9回分、場合によっては完全な一巻きの少なくとも3.0回分のうちの1つまたは複数を含む場合がある。
【0079】
図4に破線で示されたように、例えば螺旋形状のループ当たり2回を超える巻きも想定され、破線はループ内の完全な一巻の3回分を示す。しかしながら、一巻きの数が多いほど、インプラント10はその収容構成にあるときに長くなる。図10を参照すると、第1の部分12および第2の部分14、ならびに場合によっては架橋セクション18の長さの合計は、収容構成34の長さを規定する。ループ20および22を含むみ、移植構成において各々が直径Dの単一の一巻きのみを有するコイルインプラント10の場合、収容構成における長さは直径Dの7~8倍であり得る。壁組織の両側で比較的少ない一巻きを有する吻合形成デバイスを提供する図示された実施形態の能力は、収容構成においてデバイスを比較的コンパクトに、また比較的短く保つことができる。
【0080】
いくつかの実施形態では、第1の部分12および第2の部分14の少なくとも1つがそれぞれのループ20、22の完全な一巻きの1回分を超える巻きの材料を含む場合、それぞれの部分は第1のセグメント40および第2のセグメント42(図4)を有する場合がある。第1のセグメント40は、第2のセグメント42よりも螺旋形状の中心軸に少なくとも部分的に近い場合がある。第2のセグメント42は、第1のセグメントと比較して、組織に対する高い可撓性および/または弱い圧縮力を提供するように構成される場合がある。
【0081】
例えば、より頻出するか、またはより大きい切り欠き30によって可撓性を高めることができる。可撓性を高めることにより、インプラント10のごく一部のみがデリバリデバイスによって係合されたままであるときに、インプラント10がデリバリデバイスから自由に跳ねたり跳んだりする傾向が小さくなる。可撓性の向上は、導入の最終段階におけるインプラント10の分離を促す力を低減することができる。
【0082】
追加または代替として、より小さいおよび/もしくはより弱い磁石を使用することにより、または隣接する磁石間の距離を増加させることにより、より弱い圧縮力が提供される場合がある。あるいは、第2のセグメント42は磁石を担持しない場合があり、代わりにループの内側の一巻きにおいて第1のセグメント40へのその接続のみに依存して組織に圧縮力を加えることができる。
【0083】
螺旋の少なくとも1つの外側の一巻きの周りに、螺旋の内側の一巻きによって加えられる圧縮力よりも比較的弱い圧縮力を加えることにより、組織壁セクションに対する圧縮効果は、吻合形成を支援するように調整することができる。圧縮力は、ループの第1のセグメント40に対応する第1の組織ゾーンに集中する可能性があり、それによって吻合が形成される組織壊死をもたらす。第2のセグメント42に対応する第2の組織ゾーン内のより小さい圧縮力は、第1のゾーンの半径方向外側にあり、第1のゾーンを取り囲む場合がある。より小さい圧縮力は、治癒効果の一部として組織の融合を促すために、第2のゾーン内で組織壁セクションを一緒に押圧することができるが、場合によっては第2の領域で壊死することはない。これは、吻合の周りに接合された組織の半径方向に厚い帯をもたらすことができる。
【0084】
図示された実施形態はコイルインプラントの形態の装置を示すが、本明細書に記載された技法は、例えば、第1の部分12および第2の部分14が組織壁セクションの両側の別個のデバイス(例えば、別個のループデバイス)によって構成され、磁気引力のみによって動作関係に保持される他の形態のデバイスと共に使用され得ることが諒解されよう。
【0085】
前述の説明は、好ましい実施形態の単なる例示であり、本発明を限定しないことが諒解されよう。本発明の原理内で多くの修正および改善を行うことができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【国際調査報告】