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特表2024-523496印刷版圧調整システム及びそれを用いた缶デコレータ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-28
(54)【発明の名称】印刷版圧調整システム及びそれを用いた缶デコレータ
(51)【国際特許分類】
   B41F 13/24 20060101AFI20240621BHJP
   B41M 1/40 20060101ALI20240621BHJP
   B41F 33/04 20060101ALI20240621BHJP
【FI】
B41F13/24
B41M1/40
B41F33/04 S
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023579108
(86)(22)【出願日】2022-06-08
(85)【翻訳文提出日】2024-01-23
(86)【国際出願番号】 US2022032615
(87)【国際公開番号】W WO2022271446
(87)【国際公開日】2022-12-29
(31)【優先権主張番号】17/357,603
(32)【優先日】2021-06-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505257497
【氏名又は名称】ストール マシーナリ カンパニー,エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Stolle Machinery Company,LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110001438
【氏名又は名称】弁理士法人 丸山国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カジュフォズ,ブライオン エル.
(72)【発明者】
【氏名】セベスタ,デイビッド エム.
(72)【発明者】
【氏名】フレイシャー,カール エス.
【テーマコード(参考)】
2C034
2C250
2H113
【Fターム(参考)】
2C034AA42
2C034AB10
2C034AE32
2C250EA27
2H113AA05
2H113BA00
2H113BB24
(57)【要約】
【解決手段】 印刷版胴駆動シャフトを有する印刷版胴アセンブリと、ブランケットホイールとを含む、缶デコレータの印刷版圧調整システム。本システムは、アクチュエータと、印刷版胴アセンブリとブランケットホイールとの間の圧力を調整するためにアクチュエータの動作を制御するように構成された制御システムと、印刷版胴駆動シャフト周りに配置された偏心ブッシュであって、偏心ブッシュの回転によって印刷版胴がブランケットホイールに向かって、又は、ブランケットホイールから離れるように動く偏心ブッシュと、アクチュエータと偏心ブッシュとの間に結合された駆動機構であって、アクチュエータの動作によって駆動機構が偏心ブッシュを回転させる駆動機構とを含んでいる。
【選択図】 図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷版胴駆動シャフトを有する印刷版胴アセンブリと、ブランケットホイールとを含む缶デコレータ用の印刷版圧調整システムにおいて、
アクチュエータと、
前記アクチュエータの動作を制御して、前記印刷版胴アセンブリと前記ブランケットホイールとの間の圧力を調整するように構成された制御システムと、
前記印刷版胴駆動シャフト周りに配置された偏心ブッシュであって、前記偏心ブッシュの回転により、印刷版胴が前記ブランケットホイールに向かって又は前記ブランケットホイールから離れるように動く、偏心ブッシュと、
前記アクチュエータと前記偏心ブッシュとの間に結合された駆動機構であって、前記アクチュエータの動作により前記駆動機構が前記偏心ブッシュを回転させる、駆動機構と、
を備える、印刷版圧調整システム。
【請求項2】
前記アクチュエータはエアモータである、請求項1に記載の印刷版圧調整システム。
【請求項3】
前記駆動機構は、
前記アクチュエータの動作に応答して回転するように構成されたウォームギヤと、
前記ウォームギヤに動作可能に結合されており、前記ウォームギヤの回転に伴って回転するように構成された偏心ピボットと、
前記偏心ピボットと前記偏心ブッシュとの間に結合された延設された部材であって、前記偏心ピボットの回転に応答して前記偏心ブッシュを回転させるように構成された延設された部材と、
を備える、請求項1に記載の印刷版圧調整システム。
【請求項4】
前記偏心ブッシュと前記延設された部材との間に結合された偏心ブッシュブラケットを更に備える、請求項3に記載の印刷版圧調整システム。
【請求項5】
前記駆動機構は、
前記アクチュエータに結合しており、前記アクチュエータの動作に応答して直線的に動くように構成された駆動シャフトと、
前記駆動シャフトに結合しており、前記ウォームギヤと相互作用して前記駆動シャフトの直線運動に応答して前記ウォームギヤを回転させるように構成されたウォーム駆動ギヤと、
を更に備えている、請求項3に記載の印刷版圧調整システム。
【請求項6】
前記偏心ブッシュに結合しており、前記偏心ブッシュの回転に連動して動くように構成されたセンサターゲットと、
前記センサターゲットの位置を感知するように構成されたセンサと、
を備えており、
前記制御システムは、前記センサの出力に基づいて前記アクチュエータの動作を制御するように構成されている、請求項1に記載の印刷版圧調整システム。
【請求項7】
前記センサターゲットの所定位置が前記印刷版胴アセンブリと前記ブランケットホイールとの間の所望の圧力に対応しており、前記制御システムは、前記センサターゲットの位置が前記印刷版胴アセンブリと前記ブランケットホイールとの間の前記所望の圧力に対応する前記所定位置となるように前記アクチュエータを制御するように構成されている、請求項6に記載の印刷版圧調整システム。
【請求項8】
前記制御システムは、前記センサターゲットの位置が前記印刷版胴アセンブリと前記ブランケットホイールとの間の前記所望の圧力に対応する前記所定の位置になるまで前記印刷版胴が前記ブランケットホイールに向かって細かな増分ステップで動くように、前記アクチュエータを制御するように構成されている、請求項7に記載の印刷版圧調整システム。
【請求項9】
前記制御システムは、前記センサターゲットの位置が前記印刷版胴アセンブリと前記ブランケットホイールとの間の前記所望の圧力に対応する前記所定の位置になるまで前記印刷版胴が前記ブランケットホイールに向かって細かな増分ステップで動く前に、前記印刷版胴が大きなステップで前記ブランケットホイールから離れるように前記アクチュエータを制御するように構成されている、請求項8に記載の印刷版圧調整システム。
【請求項10】
前記アクチュエータ及び前記駆動機構を収容するように構成されたハウジングであって、前記印刷版胴アセンブリに対して固定位置を有するように構成されたハウジングを更に備える、請求項1に記載の印刷版圧調整システム。
【請求項11】
前記制御システムは、外部制御システムからの入力に基づいて前記アクチュエータを制御するように構成されている、請求項1に記載の印刷版圧調整システム。
【請求項12】
前記外部制御システムは、前記缶デコレータから遠隔に配置される、請求項11に記載の印刷版圧調整システム。
【請求項13】
印刷版胴駆動シャフトと、前記印刷版胴駆動シャフト周りに配置された偏心ブッシュとを有する印刷版胴アセンブリと、ブランケットホイールとを含んでおり、前記偏心ブッシュの回転により、印刷版胴が前記ブランケットホイールに向かって又は前記ブランケットホイールから離れるように動く、缶デコレータ用の印刷版圧調整システムであって、
アクチュエータと、
前記アクチュエータと前記偏心ブッシュとの間に結合された駆動機構と、
を備えており、
前記駆動機構は、
前記アクチュエータの動作に応答して回転するように構成されたウォームギヤと、
前記ウォームギヤに動作可能に結合されており、前記ウォームギヤの回転に伴って回転するように構成された偏心ピボットと、
前記偏心ピボットと前記偏心ブッシュとの間に結合された延設された部材であって、前記偏心ピボットの回転に応答して前記偏心ブッシュを回転させるように構成された延設された部材と、
を備えている、印刷版圧調整システム。
【請求項14】
前記アクチュエータはエアモータである、請求項13に記載の印刷版圧調整システム。
【請求項15】
前記駆動機構は、
前記アクチュエータに結合され、前記アクチュエータの動作に応答して直線的に動くように構成された駆動シャフトと、
前記駆動シャフトに結合しており、前記ウォームギヤと相互作用して前記駆動シャフトの直線運動に応答して前記ウォームギヤを回転させるように構成されたウォーム駆動ギヤと、
を更に備える、請求項13に記載の印刷版圧調整システム。
【請求項16】
ブランケットホイールと、
印刷版胴駆動シャフトと、前記印刷版胴駆動シャフト周りに配置された偏心ブッシュとを有する印刷版胴アセンブリであって、前記偏心ブッシュの回転により印刷版胴が前記ブランケットホイールに向かって又は前記ブランケットホイールから離れるように動く、印刷版胴アセンブリと、
印刷版圧力調整アセンブリと、
を備えており、
前記印刷版圧力調整アセンブリは、
アクチュエータと、
前記アクチュエータの動作を制御して、前記印刷版胴アセンブリと前記ブランケットホイールとの間の圧力を調整するように構成された制御システムと、
前記アクチュエータと前記偏心ブッシュとの間に結合された駆動機構であって、前記アクチュエータの動作により前記駆動機構が前記偏心ブッシュを回転させる、駆動機構と、
を備える缶デコレータ。
【請求項17】
前記アクチュエータはエアモータである、請求項16に記載の缶デコレータ。
【請求項18】
前記駆動機構は、
前記アクチュエータの動作に応答して回転するように構成されたウォームギヤと、
前記ウォームギヤに動作可能に結合されており、前記ウォームギヤの回転に伴って回転するように構成された偏心ピボットと、
前記偏心ピボットと前記偏心ブッシュとの間に結合された延設された部材であって、前記偏心ピボットの回転に応答して前記偏心ブッシュを回転させるように構成された延設された部材と、
を備える、請求項16に記載の缶デコレータ。
【請求項19】
前記駆動機構は、
前記アクチュエータに結合しており、前記アクチュエータの動作に応答して直線的に動くように構成された駆動シャフトと、
前記駆動シャフトに結合しており、前記ウォームギヤと相互作用して前記駆動シャフトの直線運動に応答して前記ウォームギヤを回転させるように構成されたウォーム駆動ギヤと、
を備える、請求項18に記載の缶デコレータ。
【請求項20】
前記偏心ブッシュに結合しており、前記偏心ブッシュの回転に連動して動くように構成されたセンサターゲットと、
前記センサターゲットの位置を感知するように構成されたセンサと、
を備えており、
前記制御システムは、前記センサの出力に基づいて前記アクチュエータの動作を制御するように構成されている、請求項16に記載の缶デコレータ。
【請求項21】
前記センサターゲットの所定位置が前記印刷版胴アセンブリと前記ブランケットホイールとの間の所望の圧力に対応しており、前記制御システムは、前記センサターゲットの位置が前記印刷版胴アセンブリと前記ブランケットホイールとの間の前記所望の圧力に対応する前記所定位置となるように前記アクチュエータを制御するように構成されている、請求項20に記載の缶デコレータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示される概念は概して、食品・飲料包装産業で使用される缶デコレータの調整システムに関しており、より詳細には、印刷版とブランケットホイールとの間の圧力を調整するように構成された缶デコレータの調整システムに関する。
【背景技術】
【0002】
缶を装飾するための高速連続動作機械は、一般的に「缶装飾装置」又は単に「缶デコレータ」と呼ばれており、広く知られている。図1には、缶デコレータ2が示されている。図1に示すように、缶デコレータ2はインフィードコンベア15を含んでおり、インフィードコンベア15は、缶供給装置(図示せず)から缶16を受け取って、ポケットホイール12に固定された離間した平行リングの周縁に沿って設けられた弧状のクレードル又はポケット17に導く。ポケットホイール12は、連続的に回転するマンドレルキャリアホイール18に固定されており、マンドレルキャリアホイール18は、連続的に回転する水平な駆動シャフト19にキー結合されている。複数の水平スピンドル又はマンドレル(図示せず)は、各々がそれ自身の軸を中心に回転可能であって、マンドレルキャリアホイール18にその周縁部に隣接して取り付けられている。インフィードコンベア15の下流側では、各スピンドル又はマンドレルが個々のポケット17と近接して軸方向に揃えられており、未装飾缶16がポケット17からそれらマンドレルに送られる。マンドレルの軸方向通路を通じて印加される吸引力により、缶16はマンドレルにおける最終的な着座位置まで引き寄せられる。
【0003】
マンドレルに装着されている間、各缶16は、全般的に符号22で示される多色印刷ユニットのブランケットホイールに配置されたブランケット(例えば、限定ではないが、交換可能な裏面粘着式ゴム片)と係合させられることで装飾される。その後、マンドレルに装着されたまま、装飾された缶16の各々の外側にはワニスの保護膜が施され、当該保護膜は、全般的に符号24で示されるオーバーワニスユニットのシャフト23上で回転するワニス塗布ロール(図示せず)の外周との係合により塗布される。そして、装飾及び保護コーティングがなされた缶16は、マンドレルから、搬送ユニット27のシャフト28上で回転する搬送ホイール(図示せず)の外縁に隣接して取り付けられた吸引カップ(図示せず)へと送られる。搬送ユニット27から缶16は、チェーン型出力コンベア30が持っている略水平なピン29に配置されて、チェーン型出力コンベア30は缶16を硬化炉(図示せず)に通す。
【0004】
未装飾缶16との係合に向けて移動する間、ブランケットは複数の印刷胴31と係合し、その各々は個々のインクステーションアセンブリ32(例示的な8つのインクステーションアセンブリ32が図1に示されている)に関連している。典型的には、各アセンブリ32は異なる色のインクを提供し、各印刷胴31はブランケットに異なるインク画像セグメントを適用する。全ての「インク画像」セグメントが組み合わされて「メイン画像」を生成し、その「メイン画像」は、缶ボディに付されるように構成されている。その後、「メイン画像」は未装飾缶16に転写されて、本明細書で言うところの、「缶ボディ適用画像」となる。
【0005】
各インクステーションアセンブリ32は、複数のローラ、即ち、本明細書で言うところの複数の「ロール」を含んでおり、それらのロールは、リザーバ、即ち本明細書で言うところの「インク溜め(ink fountain)」からブランケットへと、インクを移すように構成されている。インクが移動する経路は、本明細書では「インクトレイン(ink train)」と称される。つまり、インクが移動するそれらのロールが「インクトレイン」を規定する。更に、本明細書では、「インクトレイン」には、インク溜めがインクトレインの「上流」端にあり、印刷胴31がインクトレインの「下流」端にあるという向きがある。
【0006】
インクトレインは幾つかのロールにわたって広がっており、各ロールが目的を有している。このように、インクトレインはインク溜めから始まり、最初は膜としてファウンテンロール(fountain roll)に塗布される。ファウンテンロールは、ダクターロール(ductor roll)と間欠的に係合する。ダクターロールがファウンテンロールと係合することで、ダクターロールにインクが移される。また、ダクターロールは下流側のロールと間欠的に係合して、インクを移す。ダクターロールは「デューティサイクル」を有しており、本明細書では、「デューティサイクル」は、ダクターロールがファウンテンロールに接触している持続時間を全サイクル(ダクターロールがファウンテンロールに接触、第1の下流側ロールに移動、第1のスチールロールに接触、ファウンテンロールに戻る)の時間で除した割合を意味する。
【0007】
その他のロールには、分配ロール、オシレーターロール、トランスファーロールなどが挙げられるが、これらに限定さない。一般的に、これらのロールは、適正な量のインクが印刷胴31に概ね均一に塗布されるようにインクを供給するように構成されている。例えば、オシレーターロールは、それらの回転軸を中心にして長手方向に往復して、次の下流側のロールに塗布されたインクを広げることができるように構成されている。最後のロールは、ブランケットにインクを付する印刷胴31である。各インクステーションアセンブリ32は、選択された単一色の「インク画像」をブランケットに付し、各インクステーションアセンブリ32は、メイン画像においてオフセットしたインク画像がないように、他のインク画像に対して適切な位置にインク画像を付す必要があることは理解される。
【0008】
故に、本明細書では、「インク画像」とは、「メイン画像」の一部である、単一のインク色の画像を意味する。本明細書では、「メイン画像」とは、複数のインク画像から生成される画像であって、「缶ボディ適用画像」として缶ボディに付される画像を意味する。「メイン画像」は、幾つかの、典型的には複数のインク画像を含むことは理解される。例えば、メイン画像がフランス国旗(青(ホイスト側)、白、及び赤に着色された3本の縦帯を特徴とする三色旗である)であるならば、青インクのインクステーションアセンブリ32は、青色の長方形であるインク画像を提供し、白インクのインクステーションアセンブリ32は、白色の長方形インク画像を提供し、赤インクのインクステーションアセンブリ32は赤色の長方形インク画像をもたらすであろう。更に、メイン画像がホイスト側を左側にしたフランス国旗の画像であると仮定すると、青色インクのインクステーションアセンブリ32は、ブランケットの左側に青色の長方形インク画像をもたらし、白色インクのインクステーションアセンブリ32は、青色の長方形インク画像の直ぐ隣であるブランケットの中央部に白色の長方形インク画像をもたらし、赤色インクのインクステーションアセンブリ32は、白色の長方形インク画像の直ぐ隣であるブランケットの右側に赤色の長方形インク画像をもたらすであろう。全てのインク画像がブランケットに付されると、メイン画像が形成されて缶ボディに付される。
【0009】
各インクステーションアセンブリ32は、印刷胴31の前の最終ロールが印刷胴31に適切な量のインクを付すように構成されている。当業者であれば、意図した明瞭度、解像度、及び色調を有する画像を作成するために必要とされるインクの量を知っている。故に、当業者には理解されるように、そして本明細書では、「適切な」量のインクとは、少なすぎず(これは通常、淡い画像をもたらす)、そして、多すぎない(これは通常、ぼやけた画像をもたらす)量であって、即ち、「適切な」量のインクとは、意図した明瞭度、解像度、及び色調の画像が生成されることになるインクの量である。更に、印刷胴31に塗布される「適正」な量のインクはまた、厚さが実質的に一定である膜である。当業者であれば、意図した明瞭度、解像度、及び色調を有する画像を生成するために必要とされ、缶ボディに限定されないが、そのような基材に塗布されるべきインクの量を知っているものと理解される。
【0010】
同様に、各インクステーションアセンブリ32は、印刷胴31がブランケット上の適切な位置にインク画像を付するように構成されている。当業者であれば、意図したように画像を生成するために、印刷胴31上のどこにインクが配置されるべきかを知っている。更に、当業者には理解されるように、そして本明細書では、インク画像の「適切な位置」とは、インク画像が、他のインクステーションアセンブリ32によって付された他のインク画像に対して、意図した位置でブランケットに付されており、全てのインク画像が、個々のインク画像が意図していない仕方では重ならないようにしてメイン画像を形成することを意味している。更に、インク画像の「適切な位置」とは、インク画像、ひいてはメイン画像が、意図したサイドレイ位置合わせ(sidelay registration)と意図した周方向位置合わせとを有することを意味する。本明細書では、「意図した」サイドレイ/周方向位置合わせとは、缶ボディ適用画像が意図した画像となるようなサイドレイ/周方向位置合わせであることを意味する。本明細書では、「意図した画像」とは、当業者であれば理解できるように、画像の作成者によって作成された画像を意味する。本明細書では、「缶ボディ適用画像」とは、缶ボディに付された画像、即ち、印刷動作が完了した後の缶ボディ上の画像を意味する。
【0011】
故に、印刷版が印刷ブランケット21に、ひいては最終的な印刷基材(例えば、缶16)に、鮮明でむらのない画像を付するためには、できるだけ一様なインク膜厚を印刷胴31にもたらすことが重要である。インク膜にむらがあると、印刷画像にわたって色濃度が変化して、画像の「スタベーションゴースト(starvation ghosting)」が発生し、メイン画像に加えて画像のより軽い複製バージョン又はコピーが不必要に缶16に付される可能性がある。
【0012】
一般的に、インクトレインの制御は、技術者が缶デコレータの出力を監視して、インクが適切な量で適切な位置に塗布されるようにインクステーションアセンブリ及び/又はブランケットホイールの様々な要素を手動で調整することで達成される。例えば、ブランケット21に対する印刷胴31の圧力は調整可能である。通常、この調整アセンブリは、手動で回転されるノブを含んでおり、当該ノブは、印刷胴31における偏心形状ブッシュに動作可能に接続されている。ノブの操作により、印刷胴31の表面がブランケット21の表面に近づくか、又は、ブランケット21の表面から遠ざかるように移動し、印刷胴31の表面が近づくと圧力が増加し、遠ざかると圧力が減少する。圧力が強すぎると、ドットゲイン、暗印刷(dark print)、インクの蓄積による粗いエッジ、又は、引き伸ばされた画像等の欠陥により、画質が低下することがある。また、圧力が低すぎると、薄い印刷、印刷の欠落等の欠陥が生じて画質が低下することがある。手動調整は一貫性を欠く可能性がある。電子位置決めシステムを使用するシステムがあるが、これは、使用環境に耐えられない可能性があるステッパ又はサーボモータに依存しており、高価であり得る。
【0013】
上述の画質の問題と、誤差を手動で補正する必要があることは、問題である。更に、ラベルのスタート中又はラベルの実行中に缶画像が規格外になると、大量のスクラップ缶が蓄積されて、その結果、短時間で生産ができなくなる可能性がある。これは問題である。そのため、缶装飾装置、缶装飾方法、及びインクステーションアセンブリには改善の余地がある。
【発明の概要】
【0014】
これらの要請及びその他の要請は、開示された概念の少なくとも1つの実施形態によって満たされ、当該実施形態は、印刷版胴駆動シャフトを有する印刷版胴アセンブリと、ブランケットホイールとを含む缶デコレータ用の印刷版圧調整システムであって、アクチュエータと、当該アクチュエータの動作を制御して、印刷版胴アセンブリとブランケットホイールとの間の圧力を調整するように構成された制御システムと、印刷版胴駆動シャフト周りに配置された偏心ブッシュであって、当該偏心ブッシュの回転により、印刷版胴がブランケットホイールに向かって又はブランケットホイールから離れるように動く、偏心ブッシュと、アクチュエータと偏心ブッシュとの間に結合された駆動機構であって、アクチュエータの動作により駆動機構が偏心ブッシュを回転させる、駆動機構と、を備える。
【0015】
これらの要請及びその他の要請は、開示された概念の少なくとも1つの実施形態によって満たされ、当該実施形態は、印刷版胴駆動シャフトと、当該印刷版胴駆動シャフト周りに配置された偏心ブッシュとを有する印刷版胴アセンブリと、ブランケットホイールとを含んでおり、偏心ブッシュの回転により、印刷版胴がブランケットホイールに向かって又はブランケットホイールから離れるように動く、缶デコレータ用の印刷版圧力調整システムであって、アクチュエータと、当該アクチュエータと偏心ブッシュとの間に結合された駆動機構とを、備えており、当該駆動機構は、アクチュエータの動作に応答して回転するように構成されたウォームギヤと、当該ウォームギヤに動作可能に結合されており、ウォームギヤの回転に伴って回転するように構成された偏心ピボットと、当該偏心ピボットと偏心ブッシュとの間に結合された延設された部材であって、偏心ピボットの回転に応答して偏心ブッシュを回転させるように構成された延設された部材と、を備えている。
【0016】
これらの要請及びその他の要請は、開示された概念の少なくとも1つの実施形態によって満たされ、当該実施形態は、缶デコレータであって、ブランケットホイールと、印刷版胴駆動シャフトと、当該印刷版胴駆動シャフト周りに配置された偏心ブッシュとを有する印刷版胴アセンブリであって、偏心ブッシュの回転により印刷版胴がブランケットホイールに向かって又はブランケットホイールから離れるように動く、印刷版胴アセンブリと、印刷版圧力調整アセンブリと、を備えており、当該印刷版圧力調整アセンブリは、アクチュエータと、当該アクチュエータの動作を制御して、印刷版胴アセンブリとブランケットホイールとの間の圧力を調整するように構成された制御システムと、アクチュエータと偏心ブッシュとの間に結合された駆動機構であって、アクチュエータの動作により駆動機構が偏心ブッシュを回転させる、駆動機構と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0017】
本発明は、添付図面と併せて読むことで、好適な実施形態に関する以下の説明から十分に理解することができる。
【0018】
図1図1は、缶装飾装置の側面図である。
図2図2は、開示された概念の実施形態に基づく、缶装飾装置及びそのインクステーションアセンブリの一部を示す等角図である。
図3図3は、図2のインクステーションアセンブリの1つの一部の概略を示す等角図である。
図4図4は、図3のインクステーションアセンブリの側面図であって、隠れた構造を示すために側板の1つが取り除かれている。
図5図5は、インクトレインを模式的に示すインクステーションアセンブリの側面図である。
図6図6は、インク塗布調整アセンブリを分解した等角図である。
図7図7は、インク塗布調整アセンブリを示す側断面図である。
図8図8は、印刷胴アセンブリに動作可能に結合された印刷版胴圧調整アセンブリの等角図である。
図9図9は、印刷版胴圧調整アセンブリの分解図である。
図10図10は、印刷版胴圧調整アセンブリの平面図である。
図11図11は、印刷版胴圧調整アセンブリの平面図であって、ウォームギヤ駆動機構を説明するために一部を破断して示されている。
図12図12は、印刷版胴アセンブリとブランケットホイールの等角図である。
図13図13は、印刷版胴圧調整アセンブリの制御システムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図面に示されており、以下の説明に記載されている具体的な要素は単に、開示される概念の例示的な実施形態に過ぎず、例示のためだけに非限定的な例として提供されることは理解される。従って、特定の寸法、向き、アセンブリ、使用される構成要素の数、実施形態の構成、及び本明細書に開示される実施形態のその他の物理的特性は、開示される概念の範囲に関する限定とみなされるべきではない。
【0020】
本明細書で使用される方向表現、例えば、時計回り、反時計回り、左、右、上、下、上方、下方、及びその派生語は、図示される要素の向きに関連しており、請求項に明示されない限り請求項を限定するものではない。
【0021】
本明細書では、「ある」及び「その」の単数形は、文脈上特に明示されない限り、複数形を含む。
【0022】
本明細書では、「[動詞]するように構成された」は、特定された要素又はアセンブリが、特定された動詞を実行するように形成された、サイズ決めされた、配置された、結合された、及び/又は構成された構造を有することを意味する。例えば、「動くように構成された」部材は、別の要素に動作可能に結合されており、その部材を動かす要素を含んでいるか、或いは、当該部材は、別のやり方で別の要素又はアセンブリに応答して動くように構成されている。よって、本明細書では、「[動詞]するように構成された」は、機能ではなく構造を述べている。更に、本明細書では、「[動詞]するように構成された」は、特定された要素又はアセンブリが、特定された動詞を実行するように意図及び設計されることを意味する。よって、特定された動詞を単に実行できるだけで、特定された動詞を実行するように意図及び設計されていない要素は、「[動詞]するように構成され」ていない。
【0023】
本明細書では、限定ではないが、「[X]は[Y]を[動詞]するように構成されている」のような用語において、「[Y]」は言及される構成要素ではない。むしろ、「[Y]」は、「[X]」の構造を更に規定する。つまり、次の2つの例では、「[X]」が「マウント」であり、「[動詞]」が「支持する」と仮定する。第1の例では、完全な表現は、「飛ぶ鳥を支持するように構成されたマウント」である。つまり、この例では、「[Y]」は「飛ぶ鳥」である。飛ぶ鳥は、泳ぐ/歩く鳥とは対照的に、通常、枝を掴んで支えることは知られている。従って、マウント、即ち「[X]」が、飛ぶ鳥を支えるように「構成されている」ためには、マウントは、飛ぶ鳥が枝のように掴むことができるような形状及び大きさにされる。しかしながら、これは、鳥を構成要素としているわけではない。第2の例では、「[Y]」は家であり、つまり、第2の例示的な表現は、「家を支えるように構成されたマウント」である。この例では、家が基礎で支えられることは良く知られており、マウントは基礎として構成されている。先と同じく、家が構成要素にされているのではなく、マウントの形状、サイズ、及び構成が、即ち、「[X]は[Y]を[動詞]するように構成されている」における[X]の形状、サイズ、構成が定義されているのである。
【0024】
本明細書では、「関連する」は、要素が同じアセンブリの一部である、及び/又は共に動作する、又は何らかの方法で相互に作用することを意味する。例えば、自動車は4つのタイヤと4つのハブキャップとを有する。全ての要素が自動車の部品と結合されているが、各ハブキャップは特定のタイヤと「関連する」と理解される。
【0025】
本明細書では、「結合アセンブリ」は、2つの又は2つを超えるカップリング若しくはカップリング構成要素を含む。カップリング又は結合アセンブリの構成要素は概して、同じ要素又は他の構成要素の一部ではない。よって、「結合アセンブリ」の構成要素は、以下の説明で同時に記載されないことがある。
【0026】
本明細書では、「カップリング」又は「カップリング構成要素」は、結合アセンブリの1又は複数の構成要素である。つまり、結合アセンブリは、互いに結合されるように構成された少なくとも2つの構成要素を含む。結合アセンブリの構成要素は、相互に適合可能であると理解される。例えば、結合アセンブリでは、一方のカップリング構成要素がスナップソケットである場合には、他方のカップリング構成要素はスナッププラグであって、一方のカップリング構成要素がボルトである場合には、他方のカップリング構成要素は(ボルトが延びる開口と共に)ナット又はねじ穴を含む。
【0027】
本明細書では、「締結具」は、2つ以上の要素を結合するように構成された別個の構成要素である。よって、例えば、ボルトは「締結具」であるが、さねはぎ(tongue-and-groove)継ぎは「締結具」ではない。つまり、さねはぎ要素は、結合されている要素の一部であって、別個の構成要素ではない。
【0028】
本明細書では、2つ以上の部品又は構成要素が「結合される」という表現は、リンクが発生する限り、それらの部品が、直接的、又は間接的に、即ち、1つ以上の中間部品又は構成要素を介して、共に接合される又は動作することを意味する。本明細書では、「直接結合される」は、2つの要素が互いに直接接触することを意味する。本明細書では、「固定的に結合される」又は「固定される」は、2つの構成要素が、互いに対して一定の向きを維持しながら移動するように結合されることを意味する。従って、2つの要素が結合されると、これらの要素の全ての部分が結合される。しかしながら、第1の要素の特定の部分が第2の要素に結合される、例えば、車軸の第1の端部が第1の車輪に結合されるというような記載は、第1の要素の特定の部分が、第1の要素の他の部分に比べて第2の要素により近く配置されることを意味する。更に、重力によってのみ別の物体上の適所に載置されている物体は、上側の物体がそれ以外の方法でほぼ適所に保持されない限り、下側の物体に「結合」されていない。つまり、例えば、テーブル上の本はテーブルに結合されていないが、テーブルに糊付けされた本はテーブルに結合されている。
【0029】
本明細書では、「着脱可能に結合される」又は「一時的に結合される」という表現は、ある構成要素が別の構成要素に実質的に一時的に結合されることを意味する。つまり、2つの構成要素は、構成要素どうしの接合又は分離が容易であり、構成要素にダメージを及ぼさないように結合される。例えば、限られた数の、容易にアクセス可能な締結具、即ち、アクセスが難しくない締結具によって相互に固定された2つの構成要素は、「着脱可能に結合され」ており、溶接された、又はアクセスが困難な締結具によって接合された2つの構成要素は、「着脱可能に結合され」ていない。「アクセスが困難な締結具」は、締結具へのアクセス前に1又は複数の他の構成要素を取り外す必要がある締結具のことであり、「他の構成要素」は、限定はされないが、例えばドアなどのアクセス手段ではない。
【0030】
本明細書では、「動作可能に結合される」は、第1の位置と第2の位置との間で、又は第1の配置と第2の配置の間で移動可能な複数の要素又はアセンブリが、第1の要素が一方の位置/配置から他方の位置/配置に動き、第2の要素も両者の位置/配置間で動くように結合されることを意味する。なお、逆が成り立たないように、第1の要素が別の要素に「動作可能に結合され」てもよい。電子機器に関しては、第1の電子機器が第2の電子機器に信号又は電流を送って第2の電子機器を作動させる、さもなければ給電する又はアクティブにするように構成されている場合、第1の電子機器は第2の電子機器に「動作可能に結合され」ている。
【0031】
本明細書では、「一時的に配置される」は、第1の要素を分離すること又はそれ以外の形で操作することなく第1の要素/アセンブリを動かせるように、第1の要素又はアセンブリが第2の要素又はアセンブリにあることを意味する。例えば、テーブルに単に載っている本、即ち、テーブルに糊付け又は固定されていない本は、テーブルに「一時的に配置される」。
【0032】
本明細書では、2つの又は2つを超える部品又は構成要素が相互に「係合する」という表現は、それらの要素が、直接的に、或いは、1又は複数の中間要素若しくは構成要素を介して相互に力を及ぼすこと、又は付勢することを意味する。更に、移動する部品について、本明細書では、移動する部品は、ある位置から別の位置への移動中に別の要素に「係合し」て良く、及び/又は、一旦記載された位置に至ると別の要素に「係合し」てよい。故に、「要素Aは、要素の第1の位置に移動すると、要素Bに係合する」と、「要素Aは、要素の第1の位置にあると、要素Bに係合する」とは等価の表現であり、この表現は、要素Aは、要素の第1の位置に移動する間に要素Bに係合する、及び/又は、要素の第1の位置にある間に要素Bに係合することを意味すると理解される。
【0033】
本明細書では、「作動的に係合する」は、「係合し、移動する」ことを意味する。つまり、「作動的に係合する」は、移動可能又は回転可能な第2の構成要素を動かすように構成された第1の構成要素について使用される場合、第1の構成要素が、第2の構成要素を動かすために十分な力を加えることを意味する。例えば、ねじ回しは、ねじと接触させて配置できる。力がねじ回しに加えられないと、ねじ回しは、単にねじに「一時的に結合される」だけである。軸方向の力がねじ回しに加えられると、ねじ回しがねじに押しつけられて、ねじに「係合する」。しかしながら、回転力がねじ回しに加えられると、ねじ回しは、ねじに「作動的に係合し」て、ねじを回転させる。更に、電子部品の場合、「作動的に係合する」とは、ある部品が制御信号又は電流によって別の部品を制御することを意味する。
【0034】
本明細書では、「[x]が第1の位置と第2の位置との間を移動する」、又は「[y]が、第1の位置と第2の位置との間で[x]を移動させるように構成される」という表現において、「[x]」は、要素又はアセンブリの名称である。更に、[x]が複数の位置の間で移動する要素又はアセンブリである場合、「その」という代名詞は、「[x]」、即ち、「その」という代名詞の後に言及される要素又はアセンブリを意味する。
【0035】
本明細書では、「対応する」は、2つの構造構成要素が相互に類似したサイズと形状を有し、最小摩擦量で結合できることを示す。故に、部材に「対応する」開口は、その部材が最小摩擦量で開口を通過できるように、部材よりも僅かに大きいサイズを有する。この定義は、2つの構成要素が「ぴったりと」嵌まる場合には変更される。かかる状況では、構成要素間の寸法差が更に小さくなることで、摩擦量が増加する。開口を画定する要素及び/又は開口に挿入される構成要素が、変形可能又は圧縮可能な材料から作られている場合、開口は、開口に挿入される構成要素よりも僅かに小さくてよい。表面、形状、及び線に関して、2つ以上の「対応する」表面、形状、又は線はほぼ同一のサイズ、形状、及び輪郭を有する。可動又は設定可能な要素/アセンブリについて、「対応する」は、要素/アセンブリが関連しており、一方の要素/アセンブリが移動する/再設定されると、他方の要素/アセンブリも所定の方法で移動する/再設定されることを意味する。例えば、中央支点と細長い板とを含むレバー、即ち「シーソー」又は「ティータートッター」は、板は第1の端と第2の端とを有している。板の第1の端が上昇位置にあると、板の第2の端は下降位置にある。板の第1の端が下降位置に移動すると、板の第2の端が「対応する」上昇位置に移動する。また、エンジンのカムシャフトは、第1のピストンに作動的に結合される第1のローブを有する。第1のローブ(lobe)が上方に移動すると、第1のピストンが「対応する」上方位置に移動し、第1のローブが下方に移動すると、第1のピストンは「対応する」下方位置に移動する。
【0036】
本明細書では、「移動経路」又は「経路」は、移動する要素に関連して使用される場合、移動中に要素が通る空間を含む。よって、移動する要素は、「移動経路」又は「経路」を本質的に有する。更に、「移動経路」又は「経路」は、識別可能な1つの構造体における、別の物体に対する全体としての動きに関連している。例えば、道路が完全に滑らかである仮定すると、自動車の回転する車輪(識別可能な構造体)は、自動車の車体(別の物体)に対してほとんど移動しない。即ち、車輪は全体として、例えば隣接するフェンダーに対して位置を変えない。故に、回転する車輪には、自動車の車体に対する「移動経路」又は「経路」はない。逆に、その車輪の空気吸入弁(識別可能な構造体)には、自動車の車体に対する「移動経路」又は「経路」がある。つまり、車輪が回転して動いている間、吸気弁全体は、自動車の車体に対して移動する。
【0037】
本明細書では、「一体型」という文言は、単一の片又はユニットとして作製されている構成要素を意味する。つまり、別個に作製された後に互いにユニットとして結合された複数の片を含む構成要素は、「一体型」構成要素又は「一体型」構造体ではない。
【0038】
本明細書では、「一体化された」とは、アセンブリの全ての要素が単一の場所及び/又は単一のハウジング、フレーム若しくは同様の構造体に配置されることを意味する。
【0039】
本明細書では、「幾つかの」という用語は、1又はそれを超える整数(即ち、複数)を意味する。即ち、例えば、「幾つかの要素」という語句は、1つの要素又は複数の要素を意味する。「幾つかの[x]」は、単一の[x]を含むことに特に留意のこと。
【0040】
本明細書では、円状体又は円柱体の「径方向側面/面」は、その中心又は中心を通る高さ線の周りに延びる、或いは、その中心又は中心を通る高さ線を囲む側面/面である。本明細書では、円状体又は円柱体の「軸方向側面/面」は、中心を通る高さ線にほぼ垂直に延びる平面内に延びる面である。つまり、一般的には、円柱状スープ缶の場合、「径方向側面/面」は略円状側壁であり、「軸方向側面/面」はスープ缶の頂部と底部である。更に、本明細書では、「径方向に延びる」は、半径方向に延びる、又は、半径方向線に沿って延びることを意味する。即ち、例えば、「径方向に延びる」線は、円又は円柱の中心から径方向側面/面へ向けて延びる。更に、本明細書では、「軸方向に延びる」は、軸方向に延びる、又は、軸線に沿って延びることを意味する。即ち、例えば、「軸方向に延びる」線は、円柱の底部から円柱の頂部へ向かって、円柱の長手方向中心軸と略平行に又はそれに沿って延びる。
【0041】
本明細書では、「張力部材」は、張力に曝されると長さが最大になるが、そうでなければ、実質的に柔軟な構造体であって、例えば、鎖やケーブルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0042】
本明細書では、「略曲線状」とは、複数の曲線部、曲線部及び平坦部の組合せ、或いは、相互に角度を成すように配置されて曲線を形成する複数の直線/平坦部又はセグメントを有する要素を含む。
【0043】
本明細書では、「延設された」要素は、延出方向に延びる長手方向軸及び/又は長手方向線を本質的に含む。
【0044】
本明細書では、「[要素、点、又は軸]を中心に配置される」、又は「[要素、点、又は軸]を中心に延びる」、又は「[要素、点、又は軸]を中心に[X]度」などの表現における「中心に」は、それを中心に囲う、延びる、又は測定されることを意味する。測定値に関連して又はそれに類似した状況で使用される場合、「約」は、「おおよそ」、即ち、当業者によって理解される、測定値に関する近似的な範囲を意味する。
【0045】
本明細書では、「一般的に」は、当業者によって理解されるように、修飾される用語に関連して「一般的な方法で」を意味する。
【0046】
本明細書では、「実質的に」は、当業者によって理解されるように、修飾される用語に関連して「かなりの量又は度合いで」を意味する。
【0047】
本明細書では、「にて」は、当業者によって理解されるように、修飾される用語に関連して位置及びその近傍を意味する。
【0048】
本明細書では、「電子的に通信する」は、電磁波又は電気信号で信号を送ることに関連して使用される。「電子的に通信する」には、有線と無線の両方の通信形態が含まれる。従って、例えば、別の構成要素と「電子的に通信する」の別の構成要素を介した「データ転送」又は「通信方法」は、USBやイーサネット接続などの物理接続によって、又はNFCやブルートゥース(登録商標)等のように遠隔で、あるコンピュータから別のコンピュータへ(又は、ある処理アセンブリから別の処理アセンブリへ)データを転送することを意味しており、特定のデバイスには限定されない。
【0049】
本明細書では、「電気的に繋がる」とは、識別された要素間を電流が通過すること、又は通過できることを意味する。「電気的に繋がる」であることは更に、要素の位置又は配置に依存する。例えば、遮断器では、可動接点は、接点が閉位置にある場合に固定接点と「電気的に繋がっている」ことになる。同じ可動接点でも、接点が開位置にあるときは、固定接点と「電気的に繋が」ってはいない。
【0050】
本明細書では、「コンピュータ」は、少なくとも1つの入力装置、例えばキーボード、マウス、又はタッチパネルと、少なくとも1つの出力装置、例えばディスプレイ、又はグラフィックカードと、通信装置、例えばイーサネットカード又は無線通信装置と、永久メモリ、例えばハードドライブと、一時メモリ、例えばランダムアクセスメモリと、プロセッサ、例えばプログラム可能論理回路とを有しており、データを処理するように構成された装置である。「コンピュータ」は、従来のデスクトップユニットであってよいが、限定ではないが上記の構成要素を含むのに適した携帯電話、タブレット型コンピュータ、ラップトップ型コンピュータのほか、ゲーム機器などの装置も含まれる。更に、「コンピュータ」は、物理的に異なる場所にある構成要素を含んでもよい。例えば、デスクトップユニットでは、遠隔地のハードディスクをストレージとして利用してよい。このような物理的に分離している要素も、本明細書では、「コンピュータ」である。
【0051】
本明細書では、「ディスプレイ」という言葉は、可視画像を示すように構成された装置を意味する。なお、本明細書では、「示す」とは、ディスプレイ上に使用者が見ることができる画像を作成することを意味する。
【0052】
本明細書では、「コンピュータ可読媒体」には、ハードディスク、CD、DVD、磁気テープ、フロッピーディスク、ランダムアクセスメモリが含まれるが、これらに限定されない。
【0053】
本明細書では、「永久メモリ」とは、コンピュータ可読記憶媒体、より具体的には、非一時的な方法で情報を記録するように構成されたコンピュータ可読記憶媒体を意味する。故に、「永久メモリ」は、非一時的な有形媒体に限定される。
【0054】
本明細書では、「永久メモリに格納されている」とは、実行可能なコードのモジュール、又は他のデータが、機能的及び構造的に記憶媒体に統合されていることを意味する。
【0055】
本明細書では、「ファイル」とは、処理される実行可能コード、又は、テキスト、画像、音声、動画、又はそれらの組合せとして表現されるデータを含むための電子記憶構造である。
【0056】
本明細書では、「モジュール」は、コンピュータ、又は他の処理アセンブリによって使用される電子的構造であって、限定ではないが、プロセッサによって使用され、コンピュータ可読媒体に格納されているコンピュータファイル、又は、実行可能コードファイル及びデータ格納ファイルのような相互作用するコンピュータファイル群を含む。モジュールは、他のモジュールを含んでもよい。モジュールは、その機能の目的によって識別されてよいことは理解される。特に明記されていない限り、各「モジュール」は、少なくとも1台のコンピュータ又は処理アセンブリの永久メモリに格納される。このように、本明細書では、全てのモジュールは構成要素を規定しており、機能を記述していない。全てのモジュールは、図において模式的に示される。
【0057】
本明細書では、モジュールに関連して使用される「[動詞]に構成されている」とは、モジュールが、モジュールの目的を達成するために設計及び意図された、実行可能なコンピュータ命令、コード、又は同様の要素を含むことを意味する。前述したように、全てのモジュールは永久メモリに組み込まれることから、構成要素を規定しており、機能を示してはいない。
【0058】
本明細書では、「自動的」とは、人による入力/操作なしで動作する構成を意味する。構成は、初期設定又はインストールを、或いは、保守又は較正を人が行う必要があっても、その構成がその後、概ね人による入力/操作無しで動作する限り、「自動的」である。
【0059】
本明細書では、用語「缶」は、物質(例えば、液体、食品、その他の適切な中身)を含むように構造化された、任意の既知の又は適切な容器を指し、食品缶、及びビールやソーダ缶などの飲料缶を明示的に含むが、これらに限定されない。
【0060】
図2に示すように、缶装飾装置100(本明細書では、或いは「缶デコレータ100」を使用する)は、缶搬送アセンブリ102(概略的に示す)及びインク塗布システム104を含む。缶搬送アセンブリ102は、上述した缶搬送構成と実質的に類似しており、その説明はここに組み込まれる。概して、缶搬送アセンブリ102は、以下で説明されるように、幾つかの未装飾缶ボディ300を移動させて、インク塗布システム104に、つまり図示されているブランケットホイール112及び/又は画像転写セグメント11に接触させるように構成されている。
【0061】
インク塗布システム104は、各缶ボディ300の外側に、選択されたパターンでインクを塗布するように構成されている。即ち、インク塗布システム104は、複数のインクステーションアセンブリ200(8個が示されている)と、ブランケットホイール112とを含む。ブランケットホイール112は、ホイールフレーム113(即ち、概ねディスク状の本体を形成するフレーム)を含むアセンブリであって、その径方向面に配置された複数の画像転写セグメント114(図4に仮想線図にて示す)を有する。好ましくは、ブランケットホイール112は、各画像転写セグメント114から対応する1つの缶ボディ300にメイン画像(結合された複数の「インク画像」を含む)を転写するように構成されている。
【0062】
前述したように、缶デコレータ100は、複数のインクステーションアセンブリ200を更に含む。本明細書に記載及び説明される例示の缶デコレータ100は8つのインクステーションアセンブリ200を含むが、開示される発明の範囲から逸脱することなく、任意の既知の或いは適切な別の個数及び/又は構成のインクステーションアセンブリ(図示せず)を代替的に含んでよいことは理解されるであろう。更に、開示の効率及び図示の簡略化から、インクステーションアセンブリ200のうちの1つだけが本明細書に詳細に記載及び説明されることは理解されるであろう。
【0063】
図3及び図4は、インクステーションアセンブリ200の非限定的な一例の実施形態をより詳細に示している。具体的には、インクステーションアセンブリ200は、インク400(図3に簡略化して仮想線画で示す。図5も参照のこと)の供給を行うように構成されているインク溜め202を含む。ファウンテンロール204は、インク溜め202からインク400を受け取る。インクステーションアセンブリ200は、分配ロール206とダクターロール208を更に含んでおり、ダクターロール208は、ファウンテンロール204から分配ロール206にインク400を送るために、ファウンテンロール204と分配ロール206の両方と協働する。即ち、ダクターロール208は、ダクターロールアセンブリ207の一部分であって、ダクターロールアセンブリ207は、2つの位置の間でダクターロール208を往復運動させるように構成されたデューティサイクル調整アセンブリ209を含む。それら2つの位置は、ダクターロール208がファウンテンロール204と係合してインクをファウンテンロール204からダクターロール208に移動させ、ダクターロール208は分配ロール206からは離間している第1の位置と、ダクターロール208がファウンテンロール204からは離間しており、ダクターロール208が分配ロール206に係合してインクをダクターロール208から分配ロール206に移動させる第2の位置である。デューティサイクル調整アセンブリ209は、ダクターロール208のデューティサイクルを変更するように構成されている(図4にて仮想線で示すダクターロール208の調整位置を参照のこと)。即ち、デューティサイクル調整アセンブリ209は、ダクターロール208がファウンテンロール204と係合する時間の長さを変更するように構成されている。
【0064】
更に、幾つかのオシレーターロール210、212(2個を図示)は夫々、長手方向軸214、216を有している。オシレーターロール210、212は、それらの長手方向軸214、216に沿って往復振動するように構成されている。例では、限定ではないが、オシレーターロール212は、軸216に沿って、概して矢印217で示される方向に往復振動する。オシレーターロール210は、同様に長手方向軸214に沿って多く振動する。
【0065】
例示的なインクステーションアセンブリ200はまた、2つのトランスファーロール218、220を含んでおり、これらの各々は、オシレーターロール210、212の少なくとも1つと協働する。しかしながら、本明細書に記載及び説明されているもの以外の、任意の既知の又は適切な別の個数及び/又は構成のトランスファーロール(図示せず)が、開示された概念の範囲から逸脱せずに採用されてよいことは理解されるであろう。
【0066】
印刷版胴アセンブリ221は、印刷版(概して符号224で示される)を有する印刷版胴222と、図3に概略的に示されているように、印刷版胴軸方向調整アセンブリ226及び周方向調整アセンブリ228とを含む。印刷版胴222は、幾つかのフォームロール230と協働して、印刷版224にインク400を塗布する。上述したように、印刷版胴222は、ブランケットホイール112及び/又は画像転写セグメント114に係合する。ブランケットホイール112(図2及び図4)及び/又は画像転写セグメント114(図2及び図4)は、缶ボディ300(図2)に係合してインクを缶ボディ300(図2に仮想線図で簡略化して示す)に転写する。従って、概して、各インクステーションアセンブリ200は、図5に示すように、「インクトレイン402」を規定しており、それによって、インク400は、上述のようにファウンテンロール204からフォームロール230に移される。更に、上述した様々なロールの主要な目的は、薄いインク膜を形成するようにインクを広げて、印刷版224に付された場合においてインク膜が実質的に均一な厚さを有するようにインクを分散させることである。即ち、例えば分配ロール206のような各種ロール上のインク400は、順次薄くされて、ロールの表面に均一に分散した膜になる。
【0067】
図3に最も良く示されているように、インクステーションアセンブリ200は、対向する第1の側板260及び第2の側板262と、駆動アセンブリ264と、駆動アセンブリ264を少なくとも部分的に囲むハウジング266とを更に含んでいる。第1の側板260は、第1の側面268と反対側の第2の側面270とを有する。ファウンテンロール204、分配ロール206、ダクターロール208、オシレーターロール210、212、トランスファーロール218、220、及び単一のフォームロール230は何れも、第1の側板260と第2の側板262との間に回転可能に配置されている。駆動アセンブリ264は、第1の側板260の第2の側面270に配置されており、一般に良く知られた方法で、少なくともファウンテンロール204、分配ロール206、及びオシレーターロール210、212を駆動するように構成されている。
【0068】
最初、ファウンテンロール204に塗布されるインク400の厚さは、各インク溜め202の一部であるインク塗布調整アセンブリ500によって制御される。図6及び図7に示すように、インク溜めインク塗布調整アセンブリ500(以下、本明細書では、「インク塗布調整アセンブリ500」)は、ファウンテンロール204に塗布するインク量を薄くする又は制限する、或いは、ファウンテンロール204の一部に塗布するインク量を薄くする/制限するように構成されている。インク塗布調整アセンブリ500は、マウントアセンブリ502、ブレードアセンブリ504、及び調整構造506を含む。例示的な実施形態では、図示のように、マウントアセンブリ502は、マウント本体510(以下、本明細書では、「マウント510」)、クランプ板512、裏板514、及び2つの側板516、518、並びに幾つかのシール(符号なし)を含んでいる。
【0069】
例示的な実施形態では、マウント510は、概ね平面状の下面520と概ね平面状の上面522とを含む。マウントの下面520及び上面522は、例示的な実施形態では、互いに対して傾いている。図では、その角度は約15度である。クランプ板512は、マウント上面522に結合するように構成された、実質的に高剛性な板状体530であって、これは、マウント上面522に結合される。裏板514は、例示的な実施形態では、弾力性のあるばね鋼から作られた板状体532であって、ブレードアセンブリ504の付勢力を強化するように構成されている。
【0070】
図6に示すように、ブレードアセンブリ504は、第1のエッジ544を有する略板状の弾性体542であるブレード540を含む。ブレード第1のエッジ544は、複数の調整部546を含む。後述するように、ブレード540は、図7に示すように、ファウンテンロール204の外面に隣接して配置される。故に、ブレードの第1のエッジの調整部546は、ブレードの第1のエッジの調整部546の各々がファウンテンロール204の外面から離間した第1の位置と、ブレードの第1のエッジの調整部546の各々がファウンテンロール204の外面に近い第2の位置との間で動くように構成されている。即ち、第1の位置と第2の位置は、第2の位置がファウンテンロール204の外面により近いように相対的に位置していることは理解される。ブレードの第1のエッジの調整部546の各々は、更に、第1位置と第2位置との間の幾つかの中間位置に配置されるように構成されている。
【0071】
図6に示される例示的な非限定的な実施形態では、ブレード540は、互いに直ぐ隣接して配置され、延出している幾つかのセグメント550を含む。ブレードセグメント550の各々は、ブレードの第1のエッジの1つの調整部546を含む。図示しない別の非限定的な実施形態では、ブレード本体542は、ブレードの第1のエッジ544から内側へと延びる平行スリット(図示せず)を含む一体物である。即ち、概ね、ブレード本体542は櫛に似ているが、櫛の「歯」の間に隙間がない、又は最小限の隙間がある。図示しない別の実施形態では、ブレード本体542は、非常に弾力性のある一体物であって、ブレードの第1のエッジ544におけるある領域に加えられた付勢力がブレードの第1のエッジ544の別領域に大きく伝達されない。
【0072】
図6及び図7に示す非限定的な実施形態における調整構造506は、幾つかの調整デバイス560を含む。各調整デバイス560は、ブレードの第1のエッジの1つの調整部546に関連しており、第1の位置と第2の位置との間で移動するように構成されている。即ち、例示的な実施形態では、調整デバイス560の数とブレードの第1のエッジの調整部546の数とは同じである。故に、ブレードの第1のエッジの調整部546は、1つの関連する調整デバイス560を有する。図6に最も良く示されているように、調整デバイス560は、各々が可動カップリング564(図7)を有する幾つかの細長い本体562を含む。図7に示すように、各調整デバイス本体562は、第1の端部570と、中間部分572と、第2の端部576とを含む。各調整デバイス本体の第1の端部570は、関連するブレードセグメント550と係合するように構成されている。例示的な実施形態では、各調整デバイス本体の第1の端部570は、略円錐形であって、マウント下面520とマウント上面522との間の角度と実質的に同じ角度でテーパー状にされている。各調整デバイス本体の中間部分572は、ねじ部578を含む。調整デバイス本体のねじ部578は、後述する可動カップリング564である。各調整デバイス本体の第2の端部576は、例示的な実施形態では、カップリング580であるアクチュエータを含む。
【0073】
更に、マウント510は、延設された幾つかの通路590を規定している。マウント通路590は、例示的な実施形態では、マウント下面520に略平行に延びている。各マウント通路590は、ねじ部592を含む。マウント通路590は調整デバイス本体562に対応しており、マウント通路のねじ部592は調整デバイス本体のねじ部578に結合されるように構成されている。
【0074】
ねじ要素578、592を含む実施形態は例示的なものであることは理解される。図示しない別の非限定的な実施形態では、各調整デバイス本体562及び各マウント通路590は、概ね滑らかである。このような実施形態では、各調整デバイス本体562は、限定ではないが、DCサーボモータ(図示せず)などのアクチュエータ(図示せず)によって複数の位置の間で移動する。しかしながら、開示された概念の他の態様及び実施形態に関して空気圧アクチュエータアセンブリが採用されることは理解されるであろう。
【0075】
インク溜めインク塗布調整アセンブリ500は、以下のようにして組み立てられる。ブレード540がマウント上面522に配置されて、ブレード540の面はマウント上面522の面に実質的に対応する。裏板514がブレード540上に配置され、そして、クランプ板512が裏板514上に配置される。ブレード540、裏板514、及びクランプ板512は、例示的な実施形態では、マウント510へと延びる締結具(図示せず)で結合される。ブレードの第1のエッジの調整部546の各々、即ちブレードのセグメントの第1のエッジ544の各々は、マウント上面522を越えて延びる。更に、調整デバイス560がマウント通路590に配置され、調整デバイス本体のねじ部578の各々がマウント通路のねじ部592に螺合する。上述のように、例示的な実施形態では、同じ数のブレードセグメント550と調整デバイス560が存在する。マウント通路590は、調整デバイス560の各々がブレードセグメント550と概ね揃うように配置される。
【0076】
この構成では、ブレード540、及び/又はブレードセグメント550が、マウント上面522に実質的に平行な平面内に配置される場合には、ブレードの第1のエッジの調整部546は、それらの第1の位置にある。即ち、ブレードの第1のエッジの調整部546の各々が第1の位置にある場合には、ブレード本体542の全体は、マウント上面522に対して概ね平行である。各調整デバイス560は、調整デバイス本体の第1の端部570がブレードの第1のエッジの調整部546に接触して係合するまで、ねじ結合部が調整デバイス560を長手方向に進める又は回転させる。ブレードの第1のエッジ調整部546に向けた調整デバイス560の更なる長手方向の動きは、調整デバイス本体の第1の端部570が、ブレードの第1のエッジの関連する調整部546と係合してそれを第2の位置に向けて移動させることを可能にする。
【0077】
即ち、インク溜め202とインク溜めインク塗布調整アセンブリ500が第1の位置にある場合、ブレードの第1のエッジの調整部546はファウンテンロール204の外面から離れている。調整デバイス560がブレード540に向かって長手方向に動くと、調整デバイス560と関連する第1のエッジの関連する調整部546との係合により、ブレードの第1のエッジの調整部546が第2の位置に向かって動いて第2の位置になる。調整デバイス560の前進は、第1の位置と第2の位置との間の任意の位置で停止してよいことは理解される。ブレードの第1のエッジの調整部546が第1の位置にある場合、ファウンテンロール204とブレードの第1のエッジの調整部546との間の隙間は、ブレードの第1のエッジの調整部546が第2の位置にある場合と比較して大きいことは理解される。従って、ファウンテンロール204に塗布されるインク400の厚さは、ブレードの第1のエッジの調整部546が第2の位置にある場合におけるファウンテンロール204に塗布されるインク400の厚さと比較して相対的に厚くなる。
【0078】
更に、上述したように、ダクターロール208は、ダクターロール208がファウンテンロール204と係合してインクをファウンテンロール204からダクターロール208に移動させ、ダクターロール208は分配ロール206からは離間している第1の位置と、ダクターロール208がファウンテンロール204からは離間しており、ダクターロール208が分配ロール206に係合してインクをダクターロール208から分配ロール206に移動させる第2の位置との間を往復する。この往復動作の周期が、先に定義した「デューティサイクル」である。デューティサイクルが長いほど、デューティサイクルが1:1の比に近いほど、より多くのインク400がダクターロール208に移されることは理解される。
【0079】
更に、上述したように、デューティサイクル調整アセンブリ209(図4に示す)は、ダクターロール208のデューティサイクルを変更するように構成されている。即ち、デューティサイクル調整アセンブリ209は、ダクターロール208がファウンテンロール204と係合する時間の長さを変更するように構成されている。故に、デューティサイクル調整アセンブリ209は、ファウンテンロール204と分配ロール206との間で移されるインクの量を変更するように構成されている。
【0080】
故に、上述したように、インク塗布調整アセンブリ500及びデューティサイクル調整アセンブリ209は、インクトレイン402の下流ロール及び印刷版224に供給又は塗布されるインクの量を変更/制限するように構成されている。
【0081】
更に、各インクステーションアセンブリ200は、ブランケットホイール112及び/又は画像転写セグメント114に単一色のインク画像を付することは理解される。当該技術分野で知られているように、個々のインク画像は、互いに対して実質的に「位置合わせされている(registered)」必要がある。本明細書では、「インク画像」の「位置合わせ(registration)」とは、複数のインク画像がメイン画像を形成するように、各インク画像が他のインク画像に対して実質的に適切な位置にあることを意味する。更に、各版胴222(及び/又はその要素)は、インク画像が適切に位置合わせされるように配置される必要があることは理解される。これを達成するために、各印刷版胴アセンブリ221は、上述のように、そして図3に概略的に示すように、印刷版胴軸方向調整アセンブリ226及び周方向調整アセンブリ228を含む。
【0082】
更に、各インク画像、メイン画像、及び/又は缶ボディ適用画像には、適切なサイドレイ位置合わせと周方向位置合わせとが必要である。図3を参照すると、軸方向調整アセンブリ226は、印刷版胴222の回転軸に対して軸方向に印刷版胴222を移動させるように構成されている。即ち、軸方向調整アセンブリ226は、メイン画像のサイドレイ位置合わせを変更するように構成されている。即ち、各インク画像の軸方向位置を(他のインク画像と適切なサイドレイ位置合わせをしながら)移動させると、メイン画像の位置は、メイン画像が適用される缶ボディに対して軸方向に移動する。
【0083】
例示的な非限定的実施形態では、軸方向調整アセンブリ226は、図3に簡略化して示されるマウント227及びアクチュエータ229を含む。軸方向調整アセンブリのマウント227は、印刷版胴222(及び/又は印刷版胴222の軸体(符号なし))を回転可能に支持するように構成されている。軸方向調整アセンブリのマウント227は、印刷ユニットフレームアセンブリ22に移動可能に結合される。軸方向調整アセンブリアクチュエータ229は、印刷版胴222が軸方向に移動するように、印刷ユニットフレームアセンブリ22に対して軸方向調整アセンブリのマウント227を移動させるように構成されている。印刷版胴222が軸方向に移動すると、ブランケットホイール112及び/又は画像転写セグメント114上のインク画像(及び/又はメイン画像)の位置が変化することは理解される。ブランケットホイール112及び/又は画像転写セグメント114上のインク画像(及び/又はメイン画像)の位置が変化することで、缶ボディ300上の缶ボディ適用画像の位置が変化する(図2)。即ち、缶ボディ300(図2)上の缶ボディ適用画像の位置は、缶ボディ300(図2)の軸方向に移動する。言い換えると、缶ボディ適用画像のサイドレイ位置合わせは、軸方向調整アセンブリ226によって変更される。このように、軸方向調整アセンブリ226は、缶ボディ適用画像のサイドレイ位置合わせを変更するように構成されている。
【0084】
周方向調整アセンブリ228は、図3に模式的に示されており、缶ボディ適用画像の周方向位置合わせを変更するように構成されている。上述したように、そして、当該技術分野で知られているように、周方向調整アセンブリ228は、印刷胴シャフトに取り付けられたベアリングを含んでおり、それはヘリカルギヤ(図示せず)によって駆動される。版胴ギヤ(図示せず)は、ブランケットホイールに取り付けられたより大きなギヤ(図示せず)によって駆動される。また、それはヘリカルギヤである。版胴ヘリカルギヤは、シャフトに回転キーで固定されているが、シャフト上で軸方向に移動できるようになっている。リニアスクリュー機構(図示せず)が、機械の運転中にヘリカルギヤをシャフト上で軸方向に移動させるために使用されている。版胴ギヤの軸方向の動きにより、そのシャフトはギヤの螺旋角度に比例して回転してタイミングを進め、又は遅らせる。これは、特定の色についてブランケット上のインク画像の位置を進めたり下げたりする。これらの要素は纏めて、図3のボックス228で模式的に示されている。周方向調整アセンブリ228は、リニアスクリュー機構を作動させるように構成されているアクチュエータ233(模式的に示されている)を更に含む。
【0085】
缶装飾装置100、及び/又は、インク塗布システム104は、画像制御システム600(図2に模式的に示す)を更に含む。画像制御システム600は、ブランケットホイール112及び/又は画像転写セグメント114に適用されるメイン画像に加えて、各インクステーションアセンブリ200のインク画像を自動的に調整するように構成されている。言い換えると、画像制御システム600は、インクトレイン402のインク400の厚みと、各インク画像及び/又はメイン画像のサイドレイ位置合わせ及び周方向位置合わせを自動的に調整するように構成されている。
【0086】
例示的な実施形態では、缶デコレータ100は、印刷版胴圧調整アセンブリ700を更に含む。図8は、印刷版胴アセンブリ221に動作可能に結合される印刷版胴圧調整アセンブリ700の等角図である。図9は、印刷版胴圧調整アセンブリ700の分解図である。図10は、印刷版胴圧調整アセンブリ700の平面図であり、図11は、印刷版胴圧調整アセンブリ700の平面図であって、ウォームギヤ駆動機構を説明するために一部を破断して示されている。図12は、印刷版胴アセンブリ221とブランケットホイール112の等角図である。
【0087】
印刷版胴アセンブリ221は印刷版胴駆動シャフト240を含む。印刷版胴駆動シャフト240の回転により、印刷版224(図3)が回転する。印刷版胴駆動シャフト240は、印刷版胴駆動ギヤ241を介して駆動される。
【0088】
印刷版胴調整アセンブリ700は、例えば、限定でないが、エアモータ701などのアクチュエータを含んでおり、エアモータ701は、エアモータ701の動作がウォームギヤ702の回転を引き起こすようにウォームギヤ702に動作可能に結合されている。ウォームギヤ702は、例えば、限定ではないが、ターンバックルアセンブリ703のような延設された部材に動作可能に結合されており、ウォームギヤ702の回転が偏心ピボット707を介してターンバックルアセンブリ703の動きを引き起こす。そして、ターンバックルアセンブリ703は、偏心ブッシュブラケット243を介して偏心ブッシュ242に動作可能に結合されており、ターンバックルアセンブリ703の動きが偏心ブッシュ242の対応する動きを引き起こす。偏心ブッシュ242は、印刷版胴アセンブリ221の印刷版胴駆動シャフト240周りに配置されている。偏心ブッシュ242は偏心形状を有しており、偏心ブッシュ242の回転によって印刷版胴駆動シャフト240、ひいては印刷版224(図3)がブランケットホイール112に接近又は離間する。例示的な実施形態では、偏心ブッシュ242の内周が偏心形状を有しているので、偏心ブッシュ242が回転すると、印刷版胴駆動シャフト240がブランケットホイール112に向かって接近し、又はそれから離れる。このようにして、ブランケットホイール112に対する印刷版224の圧力は、印刷版胴駆動シャフト240をブランケットホイール112の方へ動かすことによって増加し、また、印刷版胴駆動シャフト240をブランケットホイール112から遠ざけることによって減少する。
【0089】
例示的な実施形態におけるウォームギヤ駆動機構を、図11により詳細に示す。ウォームギヤ駆動機構は、ウォームギヤ駆動シャフト715と、ウォームギヤ駆動シャフト715に結合されたウォーム駆動ギヤ714とを含む。ウォーム駆動ギヤ714は、ウォームギヤ702の歯に対応する歯を含む。エアモータ701が動作すると、駆動シャフト715が直線的に動く。駆動シャフト715が直線的に動くと、ウォーム駆動ギヤ714の歯がウォームギヤ702の歯と相互作用してウォームギヤ702を回転させる。
【0090】
ウォームギヤ702は、偏心ピボット707(図9に最も良く示されている)に結合されている。故に、ウォームギヤ702が回転すると、偏心ピボット707が回転する。偏心ピボット707は偏心形状を有しており、偏心ピボット707が回転するとターンバックルアセンブリ703が動くようにターンバックルアセンブリ703に結合されている。ターンバックルアセンブリ703は偏心ブッシュブラケット243に結合されていることから、この動きはまた、印刷版胴駆動シャフト240を中心とする偏心ブッシュ242の回転を引き起こす。このようにして、偏心ブッシュ242の回転、ひいてはブランケットホイール112に対する印刷版224の圧力を、エアモータ701の動作を介して細かく制御することができる。
【0091】
ウォームギヤ駆動機構、ウォームギヤ702、偏心ピボット707、及びターンバックルアセンブリ703をまとめて、エアモータ701と偏心ブッシュ242の間に結合された駆動機構とみなすことができ、エアモータ701が動作すると、駆動機構が偏心ブッシュ242を回転させる。
【0092】
例示的な実施形態では、印刷版胴圧調整アセンブリ700は減速機アセンブリを含む。本明細書では、「減速機アセンブリ」とは、所定の量の圧縮空気エネルギーに対してエアモータによって生成される出力動作(例えば、限定ではないが、毎分回転数、RPMで測定)を減少させる構造を意味する。例えば、あるエアモータが「X」量の圧縮空気エネルギーを使って出力シャフトを10回転させる場合、「減速機アセンブリ」は、同じエアモータが「X」量の圧縮空気エネルギーを使う場合においてその運動を1回転に変換する。更に、例示的な実施形態では、「減速機アセンブリ」の前に、減速量を示す「[数字]X」の形式の表示が付されている。例えば、「10X減速アセンブリ」は、エアモータの出力を10分の1に減速するように構成されている。つまり、あるエアモータが「X」量の圧縮空気エネルギーを使って摺動体を10インチ移動させたとすると、「10X減速機アセンブリ」を加えた同じエアモータで「X」量の圧縮空気エネルギーを使えば、摺動体を1インチ移動させることになろう。ここで説明した減速機アセンブリは、非限定的な例示的実施形態において、30X減速機アセンブリ及び101X減速機アセンブリのうちの少なくとも一方である。更に、開示された概念は、好ましくは、減速機アセンブリの組合せを利用することは理解されるであろう。例えば、限定ではないが、非限定的なある実施形態では、第1の減速機アセンブリは100:1の減速比を有するギヤボックスであって、合計で3,000:1の比となるように30:1Xの減速比を有するウォームギヤである第2の減速機アセンブリと直列に組み合わせられてよい。例示的な実施形態において、ウォームギヤ702及びウォーム駆動ギヤ714が第2の減速機アセンブリとして機能する一方で、エアモータ701内のギヤボックスは第1の減速機アセンブリとして機能してよい。しかしながら、開示される概念では、追加の又は異なる減速機アセンブリが採用されてもよいことは理解されるであろう。
【0093】
例示的な実施形態における印刷版胴圧調整アセンブリ700はまた、下側ハウジング711及び上側ハウジング712を含む。下側ハウジング711及び上側ハウジング712は、互いに結合してハウジングを形成して、印刷版胴圧調整アセンブリ700の構成要素を収容するように構成されている。ハウジングは缶デコレータ100の固定構造体244に固定されて、印刷版胴調整アセンブリ700を印刷版胴アセンブリ221に対して所定の位置に固定してよい。
【0094】
例示的な実施形態では、センサアセンブリを使用して印刷版圧力を決定してよい。例示的な実施形態におけるセンサアセンブリは、センサブラケット706を介して固定構造体244に結合されたセンサ704を含む。センサターゲット705は、偏心ブッシュブラケット243に結合される。センサ704は、センサターゲット705の位置を感知するように構成されている。センサターゲット705が偏心ブッシュブラケット243に結合されていることから、センサターゲット705の位置の変化は偏心ブッシュ242の回転に対応しており、これは、上述したように、ブランケットホイール112に対する印刷版224の圧力の変化に対応している。センサ704は、限定ではないが、位置センサなどの任意の適切なタイプのセンサとされてよい。
【0095】
図12は、例示的な実施形態における印刷版胴アセンブリ221及びブランケットホイール112の等角図である。図12に示されているように、印刷版胴駆動ギヤ241は、印刷版224に対して缶デコレータ壁の反対側に配置されている。印刷版胴圧調整アセンブリ700は、図12では隠れているが、印刷版胴駆動ギヤ241と同じ壁側に配置されてよい。
【0096】
開示される概念の例示的な実施形態では、印刷版胴調整アセンブリ700は、電子的に制御されてよい。図13は、例示的な実施形態に基づく印刷版胴調整アセンブリ700の制御システムの概略図である。印刷版胴調整アセンブリ700は印刷版圧制御システム716を含む。版圧制御システム716は、エアモータ701を制御するためのコントローラ、プロセッサ、回路、又は他の適切な構成要素を含んでよい。版圧制御システム716は、センサ704からの入力を受け取り、エアモータ701を制御する。版圧制御システム716はエアモータ701を制御して、センサ704の出力に基づいて、ブランケットホイール112に対する印刷版224の所望の圧力を達成してよい。版圧制御システム716は、外部制御システム800からの入力又は命令を受け取ってよい。その入力は、例えば所望の圧力であってよい。外部制御システム800は、缶デコレータ100に設置されてよく、又は、缶デコレータ100から離れた場所に設置されてもよい。例示的な実施形態では、外部制御システム800は缶デコレータ100に対して遠隔にあって、遠隔に位置する技術者などによって、外部制御システム800を使用して圧力の遠隔調整を可能にする。外部制御システム800は、有線又は無線通信を用いて版圧制御システム716に入力又は命令を提供してよいことは理解されるであろう。外部制御システム800は、例えば、限定ではないが、インターネット又はセルラー通信ネットワークなどの1つ又は複数のネットワークを用いて、版圧制御システム716に入力又は命令を提供できることも理解されるであろう。例示的な実施形態において、外部制御システム800は、1つ又は複数のフィードバック機構を使用して所望の圧力を決定してよい。例えば、限定ではないが、外部制御システム800は、缶画像の画像データを使用して所望の圧力を増加させるか減少させるかを決定してよい。
【0097】
例示的な実施形態では、版圧制御システム716は、1つ又は複数の制御アルゴリズムを用いて、エアモータ701を制御してブランケットホイール112に対する印刷版224の圧力を調整してよい。例えば、その圧力を調整する際にバックラッシュが問題になることがある。例示的な実施形態では、制御アルゴリズムがバックラッシュを低減する。例えば、制御アルゴリズムは、一方向のみからの細かな増分調整を用いて所望の圧力に近づけることができる。すなわち、制御アルゴリズムは、所望の圧力に達するまで、圧力を小さな細かいステップで段階的に増加させてよい。本明細書では、「細かな」調整とは、好ましくは0.001インチ未満、より好ましくは0.0005インチ未満で要素を移動させることを意味する。例としては、圧力が所望の圧力を下回っていると、版圧制御システム716はエアモータ701を制御して、所望の圧力に達するまで圧力を細かな増分ステップで増加させる。圧力が所望の圧力を上回っている場合、又は、圧力調整が所望の圧力をオーバーシュートしている場合には、版圧制御システム716は、まずエアモータ701を制御して圧力をより大きく低下させて、圧力を所望の圧力未満にする。次に、版圧制御システム716は、エアモータ701を制御して、所望の圧力に達するまで小さな細かいステップで圧力を漸増させる。細かなステップ、例えば、圧力を増加させるための小さな細かいステップによって一方向から漸進的に所望の圧力に近づくプロセスにより、システムのバックラッシュが低減又は除去される。
【0098】
例示的な実施形態では、缶デコレータ100は、画像制御システム600(図2に示す)を含む。画像制御システム600は、電子的缶デコレータ制御アセンブリ602、機械的缶デコレータ制御アセンブリ604、及び幾つかのセンサ606を含む。電子的缶デコレータ制御アセンブリ602は、プログラマブル論理回路610と、幾つかのモジュール612とを含む。電子的缶デコレータ制御アセンブリ602は、缶ボディ適用画像が適切な量のインクを有しているか、そして、インク画像/メイン画像が適切な位置にあるか否かを判定するように構成されている。画像制御システム600は、外部制御システム800の一部であってよく、又は、外部制御システム800と通信可能であってよい。しかしながら、幾つかの例示的な実施形態では、画像制御システム600は省略されてもよいことは理解されるであろう。
【0099】
例示的な実施形態では、電子的缶デコレータ制御アセンブリモジュール612は、装飾缶画像データを有するデータベースモジュール620と、比較モジュール622とを含む。本明細書では、「装飾缶画像データ」とは、意図した画像を表すデータを意味する。更に、電子的缶デコレータ制御アセンブリのデータベースモジュール620は、幾つかの装飾缶画像データセットを含むように構成されており、各装飾缶画像データセットが特定のメイン画像と関連付けられている。つまり、例えば、ある装飾缶画像データセットはコーラ飲料が入る缶のメイン画像を表しており、別の装飾缶画像データセットはビール飲料が入る缶のメイン画像を表している。電子的缶デコレータ制御アセンブリの比較モジュール622は、画像信号が許容できるか否かを判定するように、その画像信号をデータベースモジュールの関連する缶画像データと比較するように構成されている。本明細書では、「許容できる」とは、当業者に理解されるように、缶ボディ適用画像/インク画像/メイン画像が実質的に意図された画像であることを意味する。例えば、限定ではないが、開示された概念の実施形態に従った許容可能な位置合わせは、好ましくは、意図する画像位置の約0.001インチ以内とされ、より好ましくは、意図する画像位置の約0.0005インチ以内とされる。意図した画像を表す電子的構成である缶画像データを当業者が作成できることは理解される。
【0100】
例示的な実施形態において、電子的缶デコレータ制御アセンブリの比較モジュール622は、缶ボディ適用画像のインクの量が不十分であるか又はインクの量が過剰であるかの一方を画像信号が示すか否かを判定するように構成されている。本明細書では、「インクの量が不十分」とは、当業者であれば理解できるように、缶ボディ適用画像/インク画像/メイン画像中のインクの量が意図した画像を作成するために必要な量よりも少ないことを意味する。本明細書では、「過剰な量のインク」とは、缶ボディ適用画像/インク画像/メイン画像中のインクの量が、当業者であれば理解できるように、意図した画像を作成するために必要な量よりも多いことを意味する。
【0101】
更に、例示的な実施形態では、電子的缶デコレータ制御アセンブリの比較モジュール622は、缶ボディ適用画像が軸方向オフセット画像を含むことを画像信号が示すか否かを判定するように構成されている。本明細書では、「軸方向オフセット画像」とは、缶ボディ適用画像/インク画像/メイン画像が適切な位置にないことを意味する。つまり、「軸方向オフセット画像」では、意図したサイドレイ位置合わせが得られていない。
【0102】
更に、例示的な実施形態では、電子的缶デコレータ制御アセンブリの比較モジュール622は、缶ボディ適用画像が周方向オフセット画像を含むことを画像信号が示すか否かを判定するように構成されている。本明細書では、「周方向オフセット画像」とは、缶ボディ適用画像/インク画像/メイン画像が適切な位置にないことを意味する。つまり、「周方向オフセット画像」では、意図した周方向位置合わせが得られていない。
【0103】
電子的缶デコレータ制御アセンブリの比較モジュール622の更なる態様は、機械的缶デコレータ制御アセンブリ604及び幾つかのセンサ606の説明に続いて、以下で説明される。
【0104】
機械的缶デコレータ制御アセンブリ604は、インク塗布調整アセンブリ500、ダクターロールアセンブリのデューティサイクル調整アセンブリ209、印刷版胴アセンブリの軸方向調整アセンブリ226、印刷版胴アセンブリの周方向調整アセンブリ228、又は、印刷版胴圧調整アセンブリ700の少なくとも1つに動作可能に結合されている。即ち、一般に、機械的缶デコレータ制御アセンブリ604は、アクチュエータ650を含む(本明細書では、符号650は、総称的なアクチュエータ又は機械的缶デコレータ制御アセンブリの任意のアクチュエータを表す。特定のアクチュエータについては後述する)。機械的缶デコレータ制御アセンブリのアクチュエータ650は、関連する構成、即ち、インク塗布調整アセンブリ500、ダクターロールアセンブリのデューティサイクル調整アセンブリ209、印刷版胴アセンブリの軸方向調整アセンブリ226、印刷版胴アセンブリの周方向調整アセンブリ228、又は印刷版胴圧調整アセンブリ700の1つを作動させるように構成されている。
【0105】
例示的な実施形態では、機械的缶デコレータ制御アセンブリ604は、インク塗布調整アセンブリの少なくとも1つの又は幾つかのアクチュエータ652(図3に模式的に示す)を含んでいる。インク塗布調整アセンブリの各アクチュエータ652は、インク塗布調整アセンブリの調整デバイス560に動作可能に結合するように構成されている。即ち、インク塗布調整アセンブリの各アクチュエータ652は、第1及び第2の位置並びに任意の中間位置の間でインク塗布調整アセンブリの調整デバイス560を移動させるように構成されている。例示的な実施形態において、インク塗布調整アセンブリの各アクチュエータ652は、調整デバイス本体の第2の端部のカップリング580に動作可能に結合されるように構成されている。
【0106】
例示的な実施形態では、機械的缶デコレータ制御アセンブリ604は、幾つかのダクターロールアセンブリデューティサイクル調整アクチュエータ654(図3に模式的に示す)を含む。各ダクターロールアセンブリデューティサイクル調整アクチュエータ654は、印刷版胴アセンブリに塗布されるインクの量を調整するように、ダクターロールアセンブリのデューティサイクル調整アセンブリを作動させるように構成されている。即ち、各ダクターロールアセンブリデューティサイクル調整アクチュエータ654は、関連するダクターロール208がファウンテンロール204と係合している時間の長さを変更するようにデューティサイクル調整アセンブリ209を作動させるように構成されている。
【0107】
例示的な非限定的実施形態では、機械的缶デコレータ制御アセンブリ604は、幾つかの印刷版胴アセンブリ軸方向調整アセンブリアクチュエータ656(図3に模式的に示す)を含む。例示的な非限定的実施形態では、各印刷版胴アセンブリ軸方向調整アセンブリアクチュエータ656は、軸方向調整アセンブリ226に動作可能に結合されるように構成されている。別の例示的な非限定的実施形態において、各印刷版胴アセンブリ軸方向調整アセンブリアクチュエータ656は、軸方向調整アセンブリマウントアクチュエータ229である。即ち、軸方向調整アセンブリマウントアクチュエータ229は、本明細書では、軸方向調整アセンブリ226と機械的缶デコレータ制御アセンブリ604の両方の部分である。
【0108】
例示的な非限定的実施形態では、機械的缶デコレータ制御アセンブリ604は、幾つかの印刷版胴アセンブリ周方向調整アセンブリアクチュエータ658(図3に模式的に示す)を含む。各印刷版胴アセンブリ周方向調整アセンブリアクチュエータ658は、周方向調整アセンブリ228に動作可能に結合するように構成されている。別の例示的な非限定的な実施形態では、各印刷版胴アセンブリ周方向調整アセンブリアクチュエータ658は、周方向調整アセンブリアクチュエータ233である。即ち、本明細書では、周方向調整アセンブリアクチュエータ233は、周方向調整アセンブリ228及び機械的缶デコレータ制御アセンブリ604の両方の一部である。
【0109】
例示的な非限定的実施形態では、機械的缶デコレータ制御アセンブリ604は、幾つかの印刷版胴圧調整アセンブリアクチュエータを含む。例えば、限定ではないが、機械的缶デコレータ制御アセンブリ604は、印刷版胴圧調整アセンブリ700のエアモータ701を含んでよい。
【0110】
例示的な非限定的実施形態では、幾つかの、複数の、又は全ての機械的缶デコレータ制御アセンブリアクチュエータ650は、エアモータ670(図2に概略的に示す。図8も参照のこと)を含む。本明細書では、「エアモータ」とは、圧縮気体を膨張させて、直線運動、回転運動、又はその他の運動の何れかを通じて圧縮空気のエネルギーを機械的な仕事に変換する構造を意味する。公知のように、缶装飾装置100が動作する領域は、大抵の場合、空気中の粒子を含むインク粒子で満たされている。そのため、炎又は火花を発生させて、空気中の微粒子に引火させる可能性のあるモータを運転することは、場合によっては危険である。故に、本明細書では、「エアモータ」は、燃焼を利用するタイプのモータ、又は電気を発生させる/利用するタイプのモータを更に除外する。つまり、燃焼を利用するモータ、電気を発生させる/利用するモータは、「エアモータ」やそれに準ずるものではない。
【0111】
幾つかのセンサ606は、例示的な非限定的な実施形態では、幾つかの画像センサを含む。本明細書では、「画像」センサとは、缶ボディ適用画像/インク画像/メイン画像の特徴を示すデータ又はデータを組み込んだ信号に画像を変換する構造のセンサを意味する。非限定的な例示的実施形態では、画像センサはデジタルカメラである。例示的な実施形態では、それら画像センサは、缶搬送アセンブリ102の缶ボディ300経路に隣接して配置される。各センサ606、即ち各画像センサ/デジタルカメラは、缶ボディ適用画像の特徴を表すデータを含む画像信号を生成するように構成されている。例示的な実施形態において、画像信号は、缶ボディ適用画像/インク画像/メイン画像の厚さを表すデータ、即ち、インク厚さ特徴データを含む。例示的な実施形態では、画像信号は、缶ボディ適用画像/インク画像/メイン画像のサイドレイ位置合わせを表すデータ、即ち、サイドレイ位置合わせ特徴データを含む。例示的な実施形態では、画像信号は、缶ボディ適用画像/インク画像/メイン画像の周方向位置合わせを表すデータ、即ち、周方向位置合わせ特徴データを含む。更に、各センサ606、即ち各画像センサ/デジタルカメラは、電子的缶デコレータ制御アセンブリ602に画像信号を送るように構成されている。
【0112】
このように、電子的缶デコレータ制御アセンブリ602は、幾つかのセンサ606から画像信号を受信するように構成されている。更に、電子的缶デコレータ制御アセンブリ602、即ち、電子的缶デコレータ制御アセンブリ比較モジュール622は、画像信号(即ち、信号に組み込まれた画像特徴データを表すデータ)をデータベースモジュール620からの関連する缶画像データと比較して、画像信号が許容できるか否かを判定するように構成されている。即ち、例えば、電子的缶デコレータ制御アセンブリの比較モジュール622は、缶ボディ適用画像/インク画像/メイン画像のインクの量が不十分であるか又はインクの量が過剰であるかの一方を画像信号が示すか否かを判定するように構成されている。即ち、電子的缶デコレータ制御アセンブリ比較モジュール622は、インク厚さ特徴データを、電子的缶デコレータ制御アセンブリデータベースモジュール620の許容インク厚さの記録と比較するように構成されている。
【0113】
更に、又は代替的に、電子的缶デコレータ制御アセンブリ比較モジュール622は、缶ボディ適用画像/インク画像/メイン画像が軸方向オフセット画像を含むことを画像信号が示すか否かを判定するように構成されている。更に、又は代替的に、電子的缶デコレータ制御アセンブリ比較モジュール622は、缶ボディ適用画像が周方向オフセット画像を含むことを画像信号が示すか否かを判定するように構成されている。
【0114】
缶ボディ適用画像/インク画像/メイン画像が許容できない場合、画像制御システム600、即ち電子的缶デコレータ制御アセンブリ602は、インク溜めインク塗布調整アセンブリ500、ダクターロールアセンブリのデューティサイクル調整アセンブリ209、印刷版胴アセンブリの軸方向調整アセンブリ226、印刷版胴アセンブリの周方向調整アセンブリ228、又は、印刷版胴圧調整アセンブリ700の少なくとも1つを調整するように、機械的缶デコレータ制御アセンブリ604の選択要素に修正信号を送るように構成されている。例えば、電子的缶デコレータ制御アセンブリ比較モジュール622が、缶ボディ適用画像のインクが不十分である又は過剰であるか判定する場合、電子的缶デコレータ制御アセンブリ602は、機械的缶デコレータ制御アセンブリ604を作動させ、印刷版胴アセンブリ及び/又はブランケットホイールに塗布するインク量を調整するようにインク溜めインク塗布調整アセンブリ500、ダクターロールアセンブリのデューティサイクル調整アセンブリ209、印刷版胴圧調整アセンブリ700の少なくとも1つを更に作動させるように構成されている。更なる例では、電子的缶デコレータ制御アセンブリ比較モジュール622は、缶ボディ適用画像が軸方向オフセット画像を含むと判定する場合、電子的缶デコレータ制御アセンブリ602は、機械的缶デコレータ制御アセンブリ604を作動させて、缶ボディ適用画像の軸方向位置を調整するように印刷版胴アセンブリの軸方向調整アセンブリ226を更に作動させるように構成されている。更なる例では、電子的缶デコレータ制御アセンブリ比較モジュール622が、缶ボディ適用画像が周方向オフセット画像を含むと判定する場合、電子的缶デコレータ制御アセンブリ602は、機械的缶デコレータ制御アセンブリ604を作動させて、缶ボディ適用画像の周方向位置を調整するように印刷版胴アセンブリの周方向調整アセンブリ228を更に作動させるように構成されている。
【0115】
幾つかの例示的な実施形態では、画像制御システム600は省略されてもよいことは理解されるであろう。例示的な実施形態では、外部制御システム800は、インク塗布調整アセンブリ500、ダクターロールアセンブリのデューティサイクル調整アセンブリ209、印刷版胴アセンブリの軸方向調整アセンブリ226、印刷版胴アセンブリの周方向調整アセンブリ228、又は印刷版胴圧調整アセンブリ700の1つを遠隔制御するように構成されている。
【0116】
このように、開示された概念は、これまで作業者が手動で行う必要があった幾つかの検査及び調整操作の自動化及び制御を提供する。更に、開示された概念によってもたらされる精度は、画質の欠陥に起因する廃棄缶及び生産損失を完全に無くすことはできないまでも、大幅に削減する。
【0117】
発明の具体的な実施形態が詳細に説明されたが、本開示の全体的な教示に照らしてそれらの詳細に対する様々な修正及び代替がなされ得ることは当業者には理解されるであろう。従って、開示された特定の構成は、例示であることのみを意図されており、添付の特許請求の範囲及びその任意の且つ全ての均等物の全範囲として与えられる本発明の範囲に対する限定ではない。
図1
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【国際調査報告】