(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-28
(54)【発明の名称】ばねキャリア
(51)【国際特許分類】
F16F 1/02 20060101AFI20240621BHJP
B23P 21/00 20060101ALI20240621BHJP
【FI】
F16F1/02 C
F16F1/02 B
B23P21/00 306C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023579141
(86)(22)【出願日】2022-06-23
(85)【翻訳文提出日】2024-01-26
(86)【国際出願番号】 EP2022067087
(87)【国際公開番号】W WO2022268918
(87)【国際公開日】2022-12-29
(32)【優先日】2021-06-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520384541
【氏名又は名称】サノフィ・ウィントロップ・インダストリエ
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【氏名又は名称】竹林 則幸
(74)【代理人】
【識別番号】100216105
【氏名又は名称】守安 智
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ・シャベール
(72)【発明者】
【氏名】ダヴィド・ダラス
【テーマコード(参考)】
3C030
3J059
【Fターム(参考)】
3C030CA15
3J059AD01
3J059AD04
3J059BA01
3J059BC02
3J059EA11
3J059EA20
3J059GA50
(57)【要約】
製造組立てプロセスにおけるコイルばねの受取り、保持、および排出のためのばねキャリアは、コイルばねを受け取るように構成された内側空洞を画成する細長い中空本体と、内側空洞内へのコイルばねの挿入および内側空洞内からのコイルばねの抜取りのために中空本体の第1の近位端に位置する開口部とを含む。中空本体は、第1の近位端とは反対に位置する第2の遠位端を含む。少なくとも1つの偏向可能部材が、中空本体の第1の近位端に近接して配置され、内側空洞内に配置されたコイルばねを保持するように構成された保持部分を含む。偏向可能部材は、保持部分が内側空洞内でコイルばねを保持するように内側空洞内へ延びる第1の非付勢位置と、保持部分が開口部を通ってコイルばねを内側空洞から抜き取ることを可能にするように外方に配置された第2の付勢位置との間で可動である。そのようなばねキャリアを含む装置、およびそのようなばねキャリアを使用してコイルばねを操作する方法も開示される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
製造組立てプロセスにおけるコイルばねの受取り、保持、および排出のためのばねキャリア(10)であって:
コイルばね(C)を受け取るように構成された内側空洞(13)を画成する細長い中空本体(11)と;
内側空洞内へのコイルばねの挿入および/または内側空洞内からのコイルばねの抜取りのために中空本体の第1の近位端(14)に位置する開口部(16)と;を含み、
該中空本体は、第1の近位端とは反対に位置する第2の遠位端(15)を含み;
該ばねキャリアはさらに、
中空本体の第1の近位端に近接して配置され、内側空洞内に配置されたコイルばねを保持するように構成された保持部分(25)を含む少なくとも1つの偏向可能部材(18)を含み;
該偏向可能部材は、保持部分が内側空洞内でコイルばねを保持するように内側空洞内へ延びる第1の非付勢位置と、保持部分が開口部を通ってコイルばねを内側空洞から抜き取ることを可能にするように外方に配置された第2の付勢位置との間で可動である、前記ばねキャリア。
【請求項2】
偏向可能部材(18)は、第1の非付勢位置で中空本体(11)の中心軸(X-X)に実質的に平行に延びる、請求項1に記載のばねキャリア(10)。
【請求項3】
偏向可能部材(18)は、アクチュエータ(30)に係合して偏向可能部材を第1の非付勢位置から第2の付勢位置へ偏向させるための作動機能を含む、請求項1または2に記載のばねキャリア(10)。
【請求項4】
作動機能は、偏向可能部材(18)が第1の非付勢位置にあるとき、中空本体(11)の中心軸(X-X)に対して鋭角(θ1)に配置された接触面(24)を含む、請求項3に記載のばねキャリア(10)。
【請求項5】
接触面(24)は、偏向可能部材(18)が第1の非付勢位置にあるとき、中空本体(11)の残り部分よりさらに近位方向に配置される、請求項4に記載のばねキャリア(10)。
【請求項6】
接触面(24)は、偏向可能部材(18)が第2の付勢位置にあるとき、中空本体(11)の中心軸(X-X)に対して実質的に直交して配置される、請求項4または5に記載のばねキャリア(10)。
【請求項7】
保持部分は、偏向可能部材(18)から内方に延びる少なくとも1つの突出領域(25)を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載のばねキャリア(10)。
【請求項8】
中空本体(11)は、中空本体の第1の近位端(14)に近接して中空本体から径方向外方に延びるフランジ(28)を含む、請求項1~7のいずれか1項に記載のばねキャリア(10)。
【請求項9】
接触面(24)は、偏向可能部材(18)が第2の位置にあるとき、フランジ(28)の当接面(29)と同じ平面内に延びる、請求項4に従属する請求項8に記載のばねキャリア(10)。
【請求項10】
1つまたはそれ以上の突起が、中空本体(11)の第2の遠位端(15)に位置する開口部(17)を少なくとも部分的に横切って内方に延びる、請求項1~9のいずれか1項に記載のばねキャリア(10)。
【請求項11】
中空本体の側壁および偏向可能部材(18)のうちの少なくとも一方に少なくとも1つの窓(60)を含み、該窓は、ばねキャリア内に配置されたコイルばね(C)が窓を通してばねキャリアの外側から見えることを可能にする、請求項1~10のいずれか1項に記載のばねキャリア(10)。
【請求項12】
装置であって:
請求項1~11のいずれか1項に記載のばねキャリア(10)と;
偏向可能部材(18)に係合するように構成され、偏向可能部材を第1の非付勢位置から第2の付勢位置へ動かすように動作可能なアクチュエータ(30)とを含む、前記装置。
【請求項13】
アクチュエータ(30)は、作動板を含み、中空本体(11)の内側空洞(13)と位置合わせされるように作動板を通る供給アパーチャ(32)を含み、したがってばねキャリア(10)がアクチュエータに係合されたとき、供給アパーチャを通して、コイルばね(C)を内側空洞内へ挿入することができ、コイルばね(C)を内側空洞から抜き取ることができる、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
製造組立てプロセスにおけるコイルばねの受取り、保持、および排出のためのばねキャリア(10)を使用してコイルばね(C)を操作する方法であって、ばねキャリアは、内側空洞(13)を画成する細長い中空本体(11)と、該中空本体の第1の近位端(14)に位置する開口部(16)と、第1の近位端とは反対に位置する第2の遠位端(15)と、中空本体の第1の近位端に近接して配置され、保持部分(25)を含む少なくとも1つの偏向可能部材(18)とを含み、該方法は、
偏向可能部材(18)を保持部分が内側空洞内へ延びる第1の位置から保持部分が外方に配置された第2の位置へ動かすことと、
中空本体(11)の第1の端部(14)に位置する開口部(16)を通ってコイルばねを内側空洞(13)内へ挿入することと、
偏向可能部材を第2の位置から第1の位置へ動かし、それによって保持部分(25)が内側空洞(13)内へ延びてコイルばねを内側空洞内で保持することとを含む、前記方法。
【請求項15】
アクチュエータ(30)を偏向可能部材(18)に係合させて、偏向可能部材を第1の位置から第2の位置へ動かすことと、内側空洞(13)内へのコイルばね(C)の挿入後にアクチュエータを係合解除して、偏向可能部材が第1の位置へ動くことを可能にし、それによって保持部分(25)がコイルばねを内側空洞内で保持することとを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
アクチュエータ(30)を偏向可能部材(18)に係合させる工程は、ばねキャリア(10)の第1の端部(14)をアクチュエータの平坦面(31)に押し付け、それによって偏向可能部材が平坦面に接触し、第2の位置へ動かされることを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
アクチュエータは、作動板(30)を含み、コイルばね(C)を内側空洞(13)内へ挿入する工程は、コイルばねを作動板内の供給アパーチャ(32)に通して内側空洞に入れることを含む、請求項15または16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ばねを保持するためのデバイス、そのようなデバイスを含む装置、ならびにそのようなデバイスおよび装置の使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多くのデバイスは、1つまたはそれ以上のばねを必要とし、そのようなデバイスを組み立てる方法および装置は、そのようなばねの正確な、繰り返される取出し、移動、および配置を必要とする。アセンブリ内に1つまたはそれ以上のばねを含むデバイスには、薬剤注射デバイスが含まれる。そのようなデバイスは、薬剤送達プロセスの前、間、または後の薬物投与機構の動作または1つもしくはそれ以上の安全機能の配置を含む、デバイスの様々な機能を容易にするためのばねを含むことができる。
【0003】
ばねは、大量にまとめて収納または運搬されると容易に絡まることがあり、製造されているデバイス内へ組み立てる必要があるときにばねを分離するのは困難でありかつ時間がかかり、したがって製造プロセスの点からも非効率的でコストがかかる可能性がある。大量製造プロセスでは、生産時間の損失、生産性および生産高の損失、ならびに製造および製品コストへの影響を招くため、たとえば機械の詰まりまたは障害によって、組立てラインでエラーが生じたり、または生産ラインの中断が必要になったりすることは望ましくない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、1つまたはそれ以上のばねを収容する製品の製造プロセスでは、そのようなプロセスで使用するためにそのようなばねの繰り返される確実な取出し、輸送、および配置を容易にし、かつ/またはばねの完全性の保護および確保に役立つことのできるデバイスを提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示によれば、製造組立てプロセスにおけるコイルばねの受取り、保持、および排出のためのばねキャリアが提供され、ばねキャリアは、コイルばねを受け取るように構成された内側空洞を画成する細長い中空本体と、内側空洞内へのコイルばねの挿入および/または内側空洞内からのコイルばねの抜取りのために中空本体の第1の近位端に位置する開口部とを含み、中空本体は、第1の近位端とは反対に位置する第2の遠位端を含み、ばねキャリアはさらに、中空本体の第1の近位端に近接して配置され、内側空洞内に配置されたコイルばねを保持するように構成された保持部分を含む少なくとも1つの偏向可能部材を含み、偏向可能部材は、保持部分が内側空洞内でコイルばねを保持するように内側空洞内へ延びる第1の非付勢位置と、保持部分が開口部を通ってコイルばねを内側空洞から抜き取ることを可能にするように外方に配置された第2の付勢位置との間で可動である。
【0006】
保持部分は、偏向可能部材が第1の非付勢位置にあるときより偏向可能部材が第2の付勢位置にあるときに、さらに外方に延びることができる。保持部分が第2の付勢位置で外方に配置されるということは、ばねキャリアの中心軸または側壁の表面に対して外方に位置することを含むことができ、保持部分は、その径方向外方に位置することができる。保持部分は、内側空洞内に配置されたコイルばねに係合することができる。そのような係合は、コイルばねとの接触、および/またはコイルばねの阻止、および/または内側空洞内でのコイルばねの動きの制限、および/またはコイルばねが内側空洞から取り出されることの防止を含むことができる。
【0007】
保持部分は、偏向可能部材が第2の付勢位置にあるとき、内側空洞の内面から外方に配置することができる。
【0008】
偏向可能部材は、第1の非付勢位置で弛緩状態になることができ、第2の付勢位置で弾性変形することができる。
【0009】
偏向可能部材は、第1の非付勢位置で中空本体の中心軸に実質的に平行に延びることができる。この偏向可能部材または各偏向可能部材は、細長い中空本体の実質的に長手方向に延びることができる。
【0010】
偏向可能部材は、アクチュエータに係合して偏向可能部材を第1の非付勢位置から第2の付勢位置へ偏向させるための作動機能を含むことができる。
【0011】
作動機能は、偏向可能部材が第1の非付勢位置にあるとき、中空本体の中心軸に対して鋭角に配置された接触面を含むことができる。
【0012】
接触面は、偏向可能部材の近位端に配置することができ、近位端は、偏向可能部材の残り部分よりさらに中空本体の第1の近位端の方に配置することができる。
【0013】
接触面は、偏向可能部材が第1の非付勢位置にあるとき、中空本体の残り部分よりさらに近位方向に配置することができる。
【0014】
接触面は、偏向可能部材が第2の付勢位置にあるとき、中空本体の中心軸に対して実質的に直交して配置することができる。
【0015】
保持部分は、偏向可能部材から内方に延びる少なくとも1つの突出領域を含むことができる。
【0016】
突出領域は、偏向可能部材の近位端に近接して配置することができる。
【0017】
保持部分は、偏向可能部材から内方に延びる少なくとも1つの突出要素をさらに含むことができる。
【0018】
この突出要素または各突出要素は、複数の偏向可能部材に設けることができる。1つの偏向可能部材上のこの突出要素または各突出要素は、別の偏向可能部材上の対応するこの突出要素または対応する各突出要素と中空本体の軸方向に位置合わせすることができる。1つの偏向可能部材上のこの突出要素または各突出要素は、別の偏向可能部材上の対応するこの突出要素または対応する各突出要素から中空本体の軸方向にずらすことができる。
【0019】
この偏向可能部材または各偏向可能部材に設けられた突出要素は、異なるサイズとすることができ、各々この偏向可能部材または各偏向可能部材から異なる距離だけ突出することができる。突出要素は、この偏向可能部材もしくは各偏向可能部材の自由端に向かう方向、および/または中空本体の第1の近位端に向かう方向に、サイズおよび/または突出距離を増大させることができる。
【0020】
保持部分は、第1の非付勢位置で内側空洞の内面の軸方向突出部から内方に配置することができ、第2の付勢位置では、内側空洞の内面の軸方向突出部と少なくとも同じ高さに、または内側空洞の内面の軸方向突出部から外方に配置することができる。
【0021】
中空本体は、中空本体の第1の近位端に近接して中空本体から径方向外方に延びるフランジを含むことができる。フランジは、中空本体の周辺部に延びることができ、少なくとも1つの偏向可能部材によって遮ることができる。
【0022】
フランジは、中空本体の第1の端部の方向を向く当接面を含むことができる。
【0023】
接触面は、偏向可能部材が第2の付勢位置にあるとき、当接面と同じ平面内に延びることができる。
【0024】
接触面は、偏向可能部材が第1の非付勢位置にあるとき、当接面の平面に対して鋭角に向けられた平面内に延びることができる。
【0025】
接触面は、偏向可能部材が第1の非付勢位置にあるとき、当接面より中空本体の第1の端部の軸方向にさらに延びることができる。
【0026】
偏向可能部材は、中空本体の側壁と一体形成することができる。
【0027】
偏向可能部材は、中空本体の側壁内のアパーチャ内に配置することができる。
【0028】
偏向可能部材は、弾性アームを含むことができる。
【0029】
ばねキャリアは、複数の偏向可能部材を含むことができる。複数の偏向可能部材は、中空本体の周辺部に等しく隔置することができる。ばねキャリアは、中空本体上に互いに直径方向に対向して配置された2つの偏向可能部材を含むことができる。
【0030】
中空本体は、断面が円形の円筒管を含むことができる。中空本体は、その長さに沿って断面寸法に関して実質的に均一とすることができる。中空本体は、その長さに沿って断面寸法に関して変動することができる。
【0031】
中空本体は、実質的に剛性を有することができ、その断面形状から容易に変形可能でない。この偏向可能部材または各偏向可能部材は、中空本体の側壁に対して第1および第2の位置間で偏向可能とすることができる。
【0032】
ばねキャリアは、中空本体の第2の遠位端に開口部を含むことができる。中空本体の第2の遠位端に位置する開口部は、内側空洞の断面寸法と同じ断面寸法のものとすることができる。
【0033】
中空本体の第2の遠位端に位置する開口部は、内側空洞の断面寸法より小さい断面寸法のものとすることができる。
【0034】
中空本体の第2の遠位端は、閉鎖することができる。
【0035】
ばねキャリアは、少なくとも1つの窓を含むことができ、少なくとも1つの窓は、ばねキャリア内に配置されたコイルばねが窓を通してばねキャリアの外側から見えることを可能にする。この窓または各窓は、中空本体の側壁内に形成することができ、中空本体の側壁内で、中空本体の第1の近位端と第2の遠位端との間の場所に形成することができる。この窓または各窓は、少なくとも1つの偏向可能部材内に形成することができる。この窓または各窓は、側壁およびこの偏向可能部材または各偏向可能部材のうちの一方または両方に形成することができる。
【0036】
中空本体の第2の遠位端は、中空本体から内方に延びる1つまたはそれ以上の突起を含むことができる。この突起または各突起は、中空本体の第2の遠位端に位置する開口部を少なくとも部分的に横切って延びることができる。中空本体の第2の端部は、第2の遠位端に位置する開口部の周りに少なくとも部分的に延びる内方に突出する壁またはリップを含むことができる。中空本体の第2の遠位端は、端壁によって部分的または完全に閉鎖することができる。
【0037】
ばねキャリアは、ばねキャリアを使用することができる装置上の対応する配向機能と協働するように構成された1つまたはそれ以上の配向機能を含むことができる。配向機能は、使用中にばねキャリアを正確に位置合わせすることを可能にすることができる。そのような配向機能は、フランジ内に1つまたはそれ以上の凹部またはスロットを含むことができる。そのような配向機能は、直径方向に対向するスロットをフランジ内に含むことができる。
【0038】
この偏向可能部材または各偏向可能部材は、第2の位置で、1mm~5mmの距離だけ横方向外方に偏向するように構成することができ、この距離は、1mm~3mmとすることができ、1~2mmとすることができ、約1.5mmとすることができる。
【0039】
この偏向可能部材または各偏向可能部材は、第2の位置で、約4から20度の角度だけ横方向外方に偏向するように構成することができ、この角度は、5から15度とすることができ、約10度とすることができる。
【0040】
ばねキャリアは、中空本体の側壁の内面から内方に突出する1つまたはそれ以上の心出しラグを含むことができる。心出しラグは、中空本体の中心軸の方へ突出することができる。心出しラグは、中空本体の側壁の内周に等しく隔置することができる。この心出しラグまたは各心出しラグは、中空本体の第2の遠位端に向かう方向に内方突出距離を増大させる傾斜として形成することができる。
【0041】
本開示では、上述したようなばねキャリアと、偏向可能部材に係合するように構成され、偏向可能部材を第1の非付勢位置から第2の付勢位置へ動かすように動作可能なアクチュエータとを含む装置も提供される。
【0042】
アクチュエータは、平坦面を含むことができ、偏向可能部材は、ばねキャリアの第1の近位端に近接して自由端を含むことができ、ばねキャリアは、ばねキャリアの第1の近位端を平坦面に押し付けることで、偏向可能部材を第1の非付勢位置から第2の付勢位置へ動かすように構成される。
【0043】
接触面は、ばねキャリアの第1の近位端が平坦面に押し付けられたとき、平坦面に係合するように構成することができる。
【0044】
当接面は、ばねキャリアの第1の近位端が平坦面に押し付けられ、かつ偏向可能部材が第2の付勢位置にあるとき、平坦面に接触することができる。
【0045】
アクチュエータは、作動板を含むことができる。アクチュエータは、隔置された2つまたはそれ以上の作動板を含むことができる。隔置された作動板間の間隙を通して、コイルばねを内側空洞内へ挿入することができ、コイルばねを内側空洞から抜き取ることができる。作動板は、中空本体の内側空洞と位置合わせされるように作動板を通る供給アパーチャを含むことができ、したがってばねキャリアがアクチュエータに係合されたとき、供給アパーチャを通して、コイルばねを内側空洞内へ挿入することができ、コイルばねを内側空洞から抜き取ることができる。
【0046】
供給アパーチャは、実質的に均一の断面寸法の第1の領域を含むことができる。第1の領域の断面寸法は、内側空洞の断面寸法と実質的に同じにすることができる。
【0047】
供給アパーチャは、第1の領域と平坦面との間に延びる外方に先細りする領域を含む第2の領域を含むことができ、したがって平坦面における供給アパーチャの断面積は、第1の領域における供給アパーチャの断面積より大きい。
【0048】
供給アパーチャは、第1の領域と第1の平坦面に対して反対側の作動板の第2の平坦面との間に延びる外方に先細りする領域を含む第3の領域を含むことができ、したがって第2の平坦面における供給アパーチャの断面積は、第1の領域における供給アパーチャの断面積より大きい。
【0049】
供給アパーチャは、第2および第3の外方に先細りする領域のうちの一方または両方を含むことができる。
【0050】
平坦面との接点におけるこの偏向可能部材または各偏向可能部材の内面は、少なくとも平坦面に位置する供給アパーチャの縁部まで、中空本体の中心軸から径方向外方に配置することができる。
【0051】
装置は、中空本体からのコイルばねの抜取りを容易にするために、中空本体に入る空気の流れを生成するように構成された空気流生成器をさらに含むことができる。
【0052】
ばねキャリアは、中空本体の第2の端部に、空気流生成器から中空本体に入って中空本体を通る空気の流れを可能にするための空気流通路を含むことができる。
【0053】
空気流生成器および/または空気流通路は、中空本体の中心軸に対して平行ではなく鋭角で中空本体に入る空気の流れを誘導するように構成することができる。
【0054】
空気流生成器は、中空本体の第2の端部に接続可能または挿入可能な空気ダクトを含むことができる。
【0055】
本開示では、上述した装置と、ばねキャリアからのコイルばねの抜取りを可能にするために、アクチュエータがばねキャリアに係合されている間に、ばねキャリアを受け取ってばねキャリアを配置するように構成されたばね抜取りステーションとを含む製造装置も提供される。
【0056】
本開示では、上述したような装置と、コイルばね製造機械とを含む組立てシステムも提供され、コイルばね製造機械は、コイルばねを作製するように構成され、システムは、作製されたコイルばねをばねキャリア内へ送り込むように配置された挿入ステーションをさらに含む。
【0057】
組立てシステムは、上述した抜取りステーションを含む製造装置をさらに含むことができる。
【0058】
本開示では、上述したようなばねキャリアを使用してコイルばねを操作する方法も提供され、この方法は、偏向可能部材を第1の位置から第2の位置へ動かすことと、中空本体の第1の端部に位置する開口部を通ってコイルばねを内側空洞内へ挿入することと、偏向可能部材を第2の位置から第1の位置へ動かし、それによって保持部分が内側空洞内へ延びてコイルばねを内側空洞内で保持することとを含む。
【0059】
本開示では、上述したようなばねキャリアを使用してコイルばねを操作する方法も提供され、この方法は、偏向可能部材を第1の位置から第2の位置へ動かし、それによって保持部分がコイルばねを内側空洞内で保持しなくなり、コイルばねが中空本体の第1の近位端に位置する開口部を通って内側空洞から抜き取られることを可能にすることを含む。
【0060】
本開示では、製造組立てプロセスにおけるコイルばねの受取り、保持、および排出のためのばねキャリアを使用してコイルばねを操作する方法も提供され、ばねキャリアは、内側空洞を画成する細長い中空本体と、中空本体の第1の近位端に位置する開口部と、第1の近位端とは反対に位置する第2の遠位端と、中空本体の第1の近位端に近接して配置され、保持部分を含む少なくとも1つの偏向可能部材とを含み、この方法は、偏向可能部材を保持部分が内側空洞内へ延びる第1の位置から保持部分が外方に配置された第2の位置へ動かすことと、中空本体の第1の端部に位置する開口部を通ってコイルばねを内側空洞内へ挿入することと、偏向可能部材を第2の位置から第1の位置へ動かし、それによって保持部分が内側空洞内へ延びてコイルばねを内側空洞内で保持することとを含む。
【0061】
本開示では、製造組立てプロセスにおけるコイルばねの受取り、保持、および排出のためのばねキャリアを使用してコイルばねを操作する方法も提供され、ばねキャリアは、内側空洞を画成する細長い中空本体と、中空本体の第1の近位端に位置する開口部と、第1の近位端とは反対に位置する第2の遠位端と、中空本体の第1の近位端に近接して配置され、保持部分を含む少なくとも1つの偏向可能部材とを含み、この方法は、偏向可能部材を保持部分が内側空洞内へ延びる第1の位置から保持部分が外方に配置された第2の位置へ動かし、それによって保持部分がコイルばねを内側空洞内で保持しなくなり、コイルばねが中空本体の第1の近位端に位置する開口部を通って内側空洞から抜き取られることを可能にすることを含む。
【0062】
この方法は、偏向可能部材の第2の位置で保持部分が内側空洞内へ延びないことを含むことができる。
【0063】
この方法は、アクチュエータを偏向可能部材に係合させて、偏向可能部材を第1の位置から第2の位置へ動かすことと、内側空洞内へのコイルばねの挿入後にアクチュエータを係合解除して、偏向可能部材が第1の位置へ動くことを可能にし、それによって保持部分がコイルばねを内側空洞内で保持することとを含むことができる。
【0064】
アクチュエータを偏向可能部材に係合させる工程は、ばねキャリアの第1の近位端をアクチュエータの平坦面に押し付け、それによって偏向可能部材が平坦面に接触し、第2の位置へ動かされることを含むことができる。
【0065】
フランジが平坦面に接触するまで、ばねキャリアの第1の近位端を平坦面に押し付けることができ、フランジが平坦面に接触した時点で、偏向可能部材は第2の位置に入ることができる。
【0066】
アクチュエータは、作動板を含むことができ、コイルばねを内側空洞内へ挿入する工程および/またはコイルばねを内側空洞から抜き取る工程は、コイルばねを作動板内の供給アパーチャに通して内側空洞に入れること/内側空洞から出すことを含むことができる。
【0067】
ばねキャリアは、中空本体の側壁および少なくとも1つの偏向可能部材のうちの少なくとも一方に窓を含むことができ、この方法は、これらの窓のうちのこの1つまたは少なくとも1つによって、中空本体の内側空洞内のコイルばねの有無を検出することを含むことができる。窓による中空本体の内側空洞内のコイルばねの有無の検出は、窓と位置合わせされたカメラまたは光センサを使用することを含むことができる。
【0068】
実施形態について、例示のみを目的として、添付の図面を参照して次に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【
図1】本発明の一実施形態のばねキャリアの斜視図である。
【
図2】別の方向から見た
図1のばねキャリアの別の斜視図である。
【
図3】第1の位置にある
図1および
図2のばねキャリアの第1の端部に位置する領域の拡大断面図である。
【
図4】第2の位置にある
図1~
図3のばねキャリアの第1の端部に位置する領域の拡大断面図である。
【
図5】
図5A~
図5Dは、ばねキャリア内へのコイルばねの挿入中の
図1~
図4のばねキャリアの使用工程のシーケンスを示す図である。
【
図6】
図6A~
図6Dは、ばねキャリアからのコイルばねの抜取り中の
図1~
図5Dのばねキャリアの使用工程のシーケンスを示す図である。
【
図7】別の実施形態のばねキャリアおよび作動板の斜視図である。
【
図8A】別の実施形態のばねキャリアの端部の拡大斜視図である。
【
図9A】別の実施形態のばねキャリアの端部の拡大斜視図である。
【
図10A】別の実施形態のばねキャリアの端部の拡大斜視図である。
【
図11】本発明の一実施形態の組立てシステムの概略図である。
【
図12】本発明の別の実施形態のばねキャリアの斜視図である。
【
図13】本発明の別の実施形態のばねキャリアの斜視図である。
【
図14】本発明の別の実施形態のばねキャリアの斜視図である。
【
図15】本発明の一実施形態の保持部分を示す、対向する偏向可能部材の概略断面図である。
【
図16】本発明の別の実施形態の保持部分を示す、対向する偏向可能部材の概略断面図である。
【
図18A】第1の変形形態の保持部分を示す、本発明の一実施形態の偏向可能部材の一部分の拡大図である。
【
図18B】第2の変形形態の保持部分を示す、本発明の一実施形態の偏向可能部材の一部分の拡大図である。
【
図18C】第3の変形形態の保持部分を示す、本発明の一実施形態の偏向可能部材の一部分の拡大図である。
【
図19】代替実施形態のアクチュエータを有する第2の位置にある
図1~
図3のばねキャリアの第1の端部に位置する領域の拡大断面図である。
【
図20】本発明の別の実施形態のばねキャリアの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0070】
図1~
図3は、中空本体11を含む本発明の一実施形態のばねキャリア10を示し、中空本体11は、管として形成された側壁12を有し、内側空洞13を画成する。中空本体11は、対向する第1の近位端14および第2の遠位端15を含む。中空本体11は、断面が円形であり、中心軸X-Xを含む。第1の近位端14に第1の開口部16が設けられる。例示的な実施形態では、第2の遠位端15は、中空本体11の第2の端部15を閉鎖する端壁17を備える。それによって内側空洞13は、第1の開口部16を介してのみアクセス可能になる。
【0071】
ばねキャリア10は、2つの偏向可能部材を含み、示されている例示的な実施形態では、偏向可能部材18は弾性アーム18を構成する。弾性アーム18は、中空本体11の側壁12に設けられる。弾性アーム18は、弾性アーム18の周りに空間20が設けられるように、側壁12のアパーチャ19内に配置される。弾性アーム18は、それぞれの固定端21で側壁12に接合される。弾性アーム18は、固定端21の周りで曲がるように構成される。弾性アーム18は、それぞれの弾性アーム18のうち固定端21とは反対に位置する端部に自由端22を有する。弾性アーム18は、アクチュエータ30(より詳細には後述)に係合してばねキャリア10の使用の際に弾性アーム18を動かすように動作可能な作動機能を含む。示されている例示的な実施形態では、作動機能は、各弾性アーム18の自由端22に設けられたリップ23を含む。
【0072】
リップ23は、中空本体11の中心軸X-Xに対して概して外方に延びる。リップ23は、概して中空本体11の第1の端部14の軸方向を向く接触面24を含む。すなわち、接触面24は、概して中空本体11の第2の端部15から離れる方を向く。接触面24は、
図3に示すように、中心軸X-Xに対して鋭角θ1に延びる傾斜面を含む。接触面24は、中心軸X-Xに対して10から30度の角度θ1で構成することができ、角度θ1は、15から25度、たとえば約20度とすることができる。
【0073】
弾性アーム18は、使用の際、コイルばねCが内側空洞13内に配置されたときにコイルばねCを内側空洞13内で保持するように構成された保持部分を含む。保持部分は、それぞれの弾性アーム18から延びる突出領域25を含み、突出領域25は、中空本体11の中心軸X-Xに向かって内方に誘導される。突出領域25は、それぞれの弾性アーム18の自由端22に配置される。
【0074】
弾性アーム18は概して細長く、中空本体11の中心軸X-Xに実質的に平行に延びる。弾性アーム18は、中空本体11の側壁12と実質的に共平面および/または同一平面である。すなわち、中空本体11が円筒形である例示的な実施形態では、弾性アーム18は、側壁12の円筒形の形状に実質的に追従する。弾性アーム18は、弾性偏向されることによって可動である。弾性アーム18は、
図3に示すように、第1の位置にあるときは弛緩状態にある。第1の位置で、弾性アーム18は、中空本体11の中心軸X-Xに実質的に平行に延び、中空本体11の側壁12と実質的に同一平面になる。弾性アーム18は、中心軸X-Xから離れて、
図4に示す第2の位置内へ偏向させることができる。弾性アームは、第2の位置で弾性変形される。
【0075】
突出領域25の最も内側の部分は、
図3に示すように、それぞれの弾性アーム18が第1の弛緩位置にあるとき、中空本体11の側壁12の内面の平面から径方向内方に配置することができる。これはたとえば
図3に見ることができ、突出領域25の最も内側の部分と中心軸X-Xとの間の距離D1は、中空本体11の側壁12の内面と中心軸X-Xとの間の距離D2より小さい。たとえば、突出領域25は、弾性アーム18の第2の弾性変形位置で、中空本体11の側壁12の内面より中心軸X-Xからさらに径方向外方に配置される。これはたとえば
図4に見ることができ、突出領域25の最も内側の部分と中心軸X-Xとの間の距離D3は、中空本体11の側壁12の内面と中心軸X-Xとの間の距離D2より大きい。この構成により、弾性アーム18が第2の変形位置にあるときは、コイルばねCを内側空洞13内へ挿入可能にすることができ、弾性アーム18が第1の弛緩位置にあるときは、突出領域25はコイルばねCに接触しないが、コイルばねCが突出領域25を越えることはできず、それによって内側空洞13内に保持される。
【0076】
中空本体11の外面にフランジ28が設けられ、中心軸X-Xに直交する方向に径方向外方へ延びる。フランジ28は、中空本体11の第1の端部14の軸方向を向く当接面または停止面29を含む。すなわち、停止面29は、概して中空本体11の第2の端部15から離れる方を向く。示されている例示的な実施形態では、フランジ28は、中空本体11の第1の近位端の最も近位の領域に配置される。
【0077】
弾性アーム18の第1の弛緩位置で、リップ23は、フランジ28および停止面29より中空本体11の第1の端部14の軸方向にさらに延びる。すなわち、リップ23は、フランジ28およびその停止面29より中空本体11の第2の端部15から離れる方へ軸方向にさらに配置される。これはたとえば
図3に見ることができる。
【0078】
弾性アーム18の第2の偏向位置で、リップ23は、中空本体11の軸方向に対してフランジ28と実質的に同じ高さになる。すなわち、リップ23の接触面24は、中空本体11の軸方向X-Xに対してフランジ28の停止面29と実質的に同じ高さ、共平面、または同一平面になる。これはたとえば
図4に見ることができる。そのような位置で、接触面24および停止面29は、中空本体11の中心軸X-Xに対して実質的に直交して配置される。
【0079】
使用の際、製造および組立てプロセス中に、ばねキャリア10は、コイルばねCの受取り、保持、運搬、および放出のために使用される。そのような製造プロセスは、たとえば薬剤送達デバイスを製造する方法を含むことができ、そのような方法では、薬剤送達機構を作動させるため、または薬剤が送達された後に針安全機構を作動させるための付勢部材として、コイルばねCが必要とされることがある。ばねキャリア10の使用について、
図5A~
図5Dおよび
図6A~
図6Dを参照して次に説明する。
【0080】
ばねキャリア10は、弾性アーム18を動かすように動作可能なアクチュエータ30とともに使用されることが意図される。アクチュエータ30およびばねキャリア10は、本発明の装置の2つの構成要素を構成することができる。そのような装置は、ばねキャリア装置を含むことができ、医療デバイスのための組立てシステムまたは装置の一部を含むことができ、薬剤注射デバイスのための組立ておよび/または製造装置/システムの一部を含むことができる。しかし、本発明は、医療デバイスの分野に限定されることを意図したものではなく、1つまたはそれ以上のばねの取扱いおよび運搬が必要とされるあらゆる技術分野に適用可能である。
【0081】
アクチュエータ30は、平坦面31を含む作動板30を含む。作動板30を通って延びる供給アパーチャ32が設けられ、供給アパーチャ32は中心軸Y-Yを含む。示されている例示的な実施形態では、供給アパーチャ32は、中空本体11の内側空洞13の断面寸法と実質的に同じ断面寸法を有する。中空本体11が実質的に円筒形であり、供給アパーチャ32が実質的に円形の断面を有する例示的な実施形態では、そのような実施形態において、供給アパーチャ32の内径φ1は、内側空洞13の内径φ3と実質的に同じである(
図3および
図4参照)。これにより、コイルばねが構成要素の内縁部に捕らえられるのを回避することを助けることによって、作動板30を通してばねキャリア10に対するコイルばねの改善された挿入および抜取りを可能にすることができる。
【0082】
また示されている例示的な実施形態では、供給アパーチャ32は、実質的に一定の断面寸法の第1の領域33を含み、円形の断面の供給アパーチャ32の例では、第1の領域33は内径φ1によって示されている。供給アパーチャ32は、第1の領域33と作動板30の平坦面31との間に延びる第2の領域34を含む。第2の領域34は、供給アパーチャ32の中心軸Y-Yに対して第1の領域33から平坦面31へ外方に先細りする。これは
図4に示されており、円形の断面の供給アパーチャ32の例では、供給アパーチャの内径が、第2の領域34が第1の領域33と交わるφ1から、第2の領域34が平坦面31と交わる第2のより大きい直径φ2へ増大することを見ることができる。
【0083】
供給アパーチャ32の第2の領域34が供給アパーチャの中心軸Y-Yに対して先細りする角度θ2は、10から30度とすることができ、15から25度、たとえば約20度とすることができる。
【0084】
図5A~
図5Dは、コイルばねCをばねキャリア10内へ挿入する方法工程を示す。
図5Aに示す第1の工程で、ばねキャリア10の内側空洞13は空であり、弾性アーム18は第1の弛緩位置にある。次いで、ばねキャリア10の第1の端部14は、作動板30の平坦面31の方へ向けられる。すなわち、ばねキャリア10を作動板30の方へ動かすことができ(矢印B1によって示す)、または作動板30をばねキャリア10の方へ動かすことができ(矢印B2によって示す)、またはばねキャリア10および作動板30を互いの方へ動かすことができる(矢印B1およびB2)。ばねキャリア10および作動板30は、
図5Bに示す位置に到達するまで、互いの方へ相対的に動かされる。
【0085】
図5Bに示す工程で、リップ23の接触面24が作動板30の平坦面31に接触し、ばねキャリア10および作動板30がともに動かされて、フランジ28の停止面29が作動板30の平坦面31に当接する。これにより、
図5Bに矢印Dによって示すように、弾性アーム18を第2の偏向位置へ径方向外方に弾性偏向させる。弾性アーム18は、それぞれの固定端21の周りで曲がる。リップ23の接触面24は、弾性アーム18の第2の位置で作動板30の平坦面29と同一平面になる。したがって、弾性アーム18の突出領域25もまた、弾性アーム18とともに外方に動かされ、内側空洞13を画成する中空本体11の側壁12の内面の軸方向突出部から外方に動かされる。
図5Bに示す位置で、作動板30の供給アパーチャ32の中心軸Y-Yは、中空本体11の中心軸X-Xと位置合わせされており、中空本体11の中心軸X-Xと同軸である。
【0086】
図5Cに示す次の工程で、コイルばねCは、矢印Eによって示す方向に、作動板30内の供給アパーチャ32および中空本体11の第1の端部14に位置する第1の開口部16を通って内側空洞13内へ挿入される。コイルばねCは、内側空洞13の内径φ3よりわずかに小さい外径を有するサイズである。弾性アーム18が径方向外方偏向位置にあるとき、内側空洞13内へ挿入されるときに各弾性アーム18上の突出領域25はコイルばねCに接触せず、コイルばねCは、
図5Dに示すように、中空本体11の第2の端部に位置する端壁17に当接するまで、内側空洞13内へ落ちることが可能になる。作動板30の供給アパーチャ32の中心軸Y-Yと中空本体11の中心軸X-Xとの位置合わせは、ばねキャリア10の部材に捕らえられたりまたは引っかかったりすることなく、コイルばねCを内側空洞13内へきれいに送り込むことを可能にする助けとなる。
【0087】
工程5Dで、ばねキャリア10の第1の端部14は、作動板30の平坦面31から離れる方へ動かされる。すなわち、ばねキャリア10を作動板30から離れる方へ動かすことができ(矢印F1によって示す)、または作動板30をばねキャリア10から離れる方へ動かすことができ(矢印F2によって示す)、またはばねキャリア10および作動板30を互いに離れる方へ動かすことができる(矢印F1およびF2)。これにより、作動板30の平坦面31が弾性アーム18のリップ23の接触面24から係合解除され、したがって弾性アーム18は次いで、
図5Dに矢印Gによって示すように、弾性アーム18の材料の弾性回復によってその第1の静止位置に戻る。弾性アーム18が第1の弛緩位置に到達すると、突出領域25は、内側空洞13を画成する中空本体11の側壁12の内面の軸方向突出部から内方に延び、特に内側空洞13の中心軸X-Xに対してコイルばねCの最大外部径方向寸法から内方に延びる。それによってコイルばねCは、ばねキャリア10内に固定して保持され、弾性アーム18および突出領域25によって中空本体11の第1の端部14内の第1の開口部16を通って排出されることが防止される。コイルばねCは、コイルばねCを利用予定の場所および製造/組立て装置へ、ばねキャリア10に入れて運搬することができる。
【0088】
ばねキャリア10からのコイルばねCの抜取りプロセスについて、
図6A~
図6Eを参照して次に説明する。抜取りプロセスが開始する前に、コイルばねCを必要とする組立てまたは製造プロセスにおける前工程で、ばねキャリア10は、挿入方法工程に示す向きから反転され、したがってばねキャリア10は、第1の端部14が最も下になり、第2の端部15が最も上になるように向けられる。ばねキャリア10はまた、それぞれの組立て/製造プロセスのためにコイルばねCを配置するべき場所の真上に位置する。たとえば、ばねキャリア10は、抜取りプロセスに対して垂直に位置合わせすることができる。これは、ばねキャリア10からコイルばねCを一貫してまっすぐに、すなわち中空本体11の中心軸X-Xと位置合わせされた方向に、抜き取る助けとなり得る。
【0089】
抜取りプロセスは概して、上述した挿入プロセスの逆である。ばねキャリア10は、第1の端部14が最も下になり、ばねキャリア10が作動板30の上に配置されるように、実質的に垂直に向けられる。
図6Aに示す第1の工程で、ばねキャリア10の第1の端部14が作動板30の方へ動かされ(矢印B1)、または作動板30がばねキャリア10の方へ動かされ(矢印B2)、またはばねキャリア10および作動板30が互いの方へ動かされる(矢印B1およびB2)。ばねキャリア10および作動板30は、
図6Bに示す位置に到達するまで、互いの方へ相対的に動かされる。供給アパーチャ32の中心軸Y-Yは、中空本体11の中心軸X-Xと位置合わせされており、中空本体11の中心軸X-Xと同軸である。
【0090】
図6Bに示す次の工程で、リップ23の接触面24が作動板30の平坦面31に接触し、ばねキャリア10および作動板30がともに動かされて、フランジ28の停止面29が作動板30の平坦面31に当接する。弾性アーム18は、接触面24が平坦面29と同一平面になるまで、
図6Bに矢印Dによって示す第2の偏向位置へ外方に弾性偏向される。弾性アーム18の突出領域25は、コイルばねCが中空本体11の第1の端部14に位置する第1の開口部16から排出されることを阻止しなくなるように、十分に外方に動かされる。
【0091】
図6Cに示す次の工程で、コイルばねCは、その自重下で、中空本体11の第1の端部14に位置する第1の開口部16および作動板30内の供給アパーチャ32を通って内側空洞13から自由に落ちる。コイルばねCは、ばねキャリア10および作動板30の外側の必要な場所へ落ち、したがってコイルばねCはばねキャリア10から完全に抜き取られる。この工程で、供給アパーチャ32の第2の先細り領域34は、内側空洞13から抜き取られるとき、コイルばねCを供給アパーチャ32の第1の領域33内へ案内する助けとなり得る。これは、このプロセスにおけるばねキャリア10と作動板30との間の位置合わせ不良、および/または供給アパーチャ32に対する内側空洞13内のコイルばねCの位置公差を補償する助けとなり得る。
【0092】
工程6Dで、ばねキャリア10が作動板30から離れる方へ動かされ(矢印F1)、または作動板30がばねキャリア10から離れる方へ動かされ(矢印F2)、またはばねキャリア10および作動板30が互いに離れる方へ動かされる(矢印F1およびF2)。作動板30の平坦面31が接触面24から係合解除され、したがって弾性アーム18は次いで、
図6Dに矢印Gによって示すように、弾性アーム18の材料の弾性回復によってその第1の静止位置に戻る。
【0093】
挿入プロセスおよび抜取りプロセスのどちらにおいても、ばねキャリア10は、コイルばねCを挿入/抜取り予定の場所と正確に位置合わせすることができ、所望される場合、コイルばねCを排出予定のばねキャリア10または装置の端部に引っかかることなく、コイルばねCを効果的に運搬することが可能である。このようにして、製造エラーおよび/またはエラーを修正するための生産停止を削減または回避することができる。正確なばねキャリア10の位置合わせを支援するように構成された作動板30の代替実施形態が、
図7に示されている。上述した実施形態を有する同様の構成は同じ参照番号を保持しており、その詳細な説明は繰り返さない。フランジ28は、使用の際にばねキャリア10のための配置ガイドによって提供されるそのような位置合わせ不良の問題を回避する助けとなり得る。
図7に示す例示的な代替実施形態では、作動板30は、ばねキャリア10のフランジ28に対応してそれを受け取るような形状の凹部37を含む。この位置決め機能は、中空本体11の中心軸X-Xが供給アパーチャ32の中心軸Y-Yと同軸であること、ならびに供給アパーチャ32を通ってコイルばねCを正確にばねキャリア10内へ挿入することおよび/またはばねキャリア10から抜き取ることを確実にする助けとなり得る。
【0094】
上述した実施形態では、
図4に示すように、作動板30がばねキャリア10に係合したとき、第2の偏向位置にある弾性アーム18は、弾性アーム18が中空本体11の中心軸X-Xに対して実質的に平行にかつ中空本体11の側壁12と実質的に同一平面に位置する弛緩位置から、径方向外方に角度θ3だけ偏向される。角度θ3は、本発明の範囲内および/または本明細書に記載する本発明のあらゆる実施形態の範囲内で変動することができ、弾性アーム18の長さ、突出領域25が弾性アーム18から内方に延びる距離、中空本体11の直径など、様々な寸法に応じて変動することができる。しかし、角度θ3は、約10度とすることができ、4~20度、たとえば5~15度とすることができる。これにより、弾性アーム18および/または中空本体11の材料を過度に疲労させることなく、上述した機能を実現するのに十分な弾性アーム18の偏向を可能にすることができる。すなわち、弾性アーム18は、弾性アーム18が意図される第1の弛緩位置に復元するための能力に影響するはずのばねキャリア10の材料の延性限界に到達することなく、繰返し弾性偏向して同じ弛緩位置に戻ることが可能である。弾性アーム18の所望の弾性性能に寄与する要因には、弾性アーム18の長さ、厚さ、および幅の寸法、ならびに弾性アームの弾性係数、弾性限界、および靭性(速度に対する変形抵抗)が含まれる。本明細書に記載する本発明のあらゆる実施形態の範囲内で、弾性係数の範囲は1800~2500MPaとすることができ、弾性限界は40~80MPaとすることができる。さらに、弾性アーム18の靭性は、150~300J/m
2とすることができる。使用の際、繰返し弾性変形を可能にし、弾性アーム18の材料の老化作用を制限するために、アームは最大弾性限界の40~80%にのみ偏向させることができる。
【0095】
図3および
図4から、弾性アーム18が偏向位置で弛緩位置から外方へ偏向する横方向外方偏向距離を、距離差(D3-D1)として見ることができる。すなわち、突出領域25の径方向に最も内側の部分が弾性アーム18の第1の非付勢位置と第2の付勢位置との間で動く距離である。そのような偏向距離は、本発明の範囲内および/または本明細書に記載する本発明のあらゆる実施形態の範囲内で変動することができるが、1mm~5mmとすることができ、1mm~3mmとすることができ、1~2mmとすることができ、約1.5mmとすることができる。
【0096】
上述したばねキャリア10およびばねキャリア装置の任意選択の変形形態では、ばねキャリア10からのコイルばねCの抜取りを容易にする手段を設けることができる。そのような変形形態について、
図6Cおよび
図8A~
図10Bを参照して説明する。
図6A~
図6Dを参照して上述した抜取りプロセスでは、工程6Cに示す工程で、弾性アーム18が径方向外方偏向位置にあり、各弾性アーム18上の突出領域25がコイルばねCに接触しないとき、コイルばねCは、その自重下で、内側空洞13から中空本体11の第1の端部14に位置する第1の開口部16を通って落ちる。
図6Cに概略的に示されている上述した装置の変形形態では、装置は、内側空洞13を通る空気の流れを生成してばねキャリア10からコイルばねCを吹き飛ばすための空気流源または空気ジェットAを含むことができる。空気流源Aは、空気ダクトまたは空気通路35を含むことができ、空気通路35は、中空本体11の第2の端部15を通って配置することができ、または中空本体11の第2の端部15に接続することができる。そのような空気通路35は、ばねキャリア10の端壁17内へ挿入可能とすることができ、またはばねキャリア10の端壁17を通って配置することができる。空気通路35は、加圧空気源Aに接続することができ、または加圧空気源Aに接続可能とすることができる。使用の際、作動板30が弾性アーム18を偏向位置へ動かすと、空気源Aを接続しまたはオンにして、空気通路35を通って中空本体11の内側空洞13に入る空気の流れ(
図6Cに矢印Aによって示す)を送ることができる。次いで空気流AはコイルばねCに衝突して、コイルばねCをばねキャリア10から押し出すことができる。
【0097】
複数の空気通路出口36を含む複数の空気通路35を設けることができる。空気通路35および/または空気流出口36は、使用の際、中空本体11の中心軸X-Xに対して実質的に平行に位置合わせすることができる。加えて、または別法として、1つまたはそれ以上の空気流出口36および/または空気流通路35は、使用の際、中空本体11の中心軸X-Xに対して斜めに向けることができる。後者の場合、傾斜している空気流出口36/通路35は、空気流がコイルばねCのコイルに衝突することを促して、コイルばねCをばねキャリア10から放出することを促すことができる。中心軸方向空気流通路35/出口36が設けられる実施形態では、コイルばねを通る空気流に乱流が生じても、コイルばねCをばねキャリア10から放出することを促すのに十分なコイルばねCのコイルに対する空気流の衝突を引き起こすことができる。
【0098】
空気通路35は、以下でより詳細に説明するように、ばねキャリア10とは別個の装置の構成要素とすることができ、またはばねキャリア10に接続もしくは一体形成された構成要素を含むことができる。
【0099】
図8A~
図10Bを参照すると、ばねキャリア10の代替変形形態が示されている。同様の構成は同じ参照番号を保持しており、その詳細な説明は繰り返さない。
図8Aおよび
図8Bの実施形態では、中空本体11の第2の端部15は、端壁17によって閉鎖されておらず、代わりに開口部を含み、本明細書ではこの開口部を中空本体11内の第2の開口部38と呼ぶ。開口部38の周辺部には、径方向内方に延びる複数の突起39が位置する。使用の際、突起39は、コイルばねCがばねキャリア10内へ挿入されたときに静止するためのばね止め具として働く(
図5Cおよび
図5Dを参照して上述)。
図6Cを参照して上述したように、ばねキャリア10からのコイルばねCの抜取りを支援するために空気流源Aが使用される本発明の変形形態では、空気流ダクトまたは空気通路35が通って延びることができるアクセスアパーチャとして第2の開口部38を使用することができる。
【0100】
図9Aおよび
図9Bの実施形態では、第2の端部15は、端壁17によって完全に閉鎖されるわけではない。代わりに、端壁17は開口部を含み、本明細書ではこの開口部を第2の開口部38と呼ぶ。または別法として考えると、端壁17は、単一の連続する突起39であり、中空本体11の第2の端部15の周辺部に径方向内方に延びるが、第2の端部15を閉鎖せず、第2の開口部38を残す。使用の際、端壁17/内方突起39は、コイルばねCがばねキャリア10内へ挿入されたときに静止するためのばね止め具として働く(
図5Cおよび
図5Dを参照して上述)。
図6Cを参照して上述したように、ばねキャリア10からのコイルばねCの抜取りを支援するために空気流源Aが使用される本発明の変形形態では、空気流ダクトまたは空気通路35が通って延びることができるアクセスアパーチャとして第2の開口部38を使用することができる。
【0101】
図10Aおよび
図10Bの実施形態では、第2の端部15は、端壁17によって閉鎖されず、代わりに端壁17は、端壁17を通って延びる空気流ダクト35を含む。空気流ダクト35は、接合、機械的締結、溶接、または他の知られている手段などによって端壁17に固定された別個の構成要素とすることができる。別法として、空気流ダクト35は、端壁17および中空本体11と一体形成することができる。空気流ダクト35は、内側空洞13内に複数の出口36を含む。出口36は、中空本体の中心軸X-Xに対して直角または平行ではなく鋭角に向けられる。これは、上述した利点を提供する助けとなり得る。しかし代替実施形態では、1つのみの出口36もしくは3つ以上の出口36が位置することもでき、および/またはこの出口もしくは各出口を中空本体11の中心軸X-Xに対して実質的に平行に向けることもできる。空気流ダクト35は、入口40を含む。使用の際、入口40を通って空気流ダクト35内へ加圧空気流Aを送り込むことができる。入口は、空気流ダクト35を空気流源Aに連結するための接続部を有するように構成することができる。
【0102】
ばねキャリア10、ならびにばねキャリア10および作動板30を含む装置は、1つまたはそれ以上のコイルばねCを含むデバイスを製造するためのより大きい組立てシステムまたは装置の一部とすることができる。そのようなシステムは、複数の組立て機械またはステーションを含むことができる。そのような組立て機械/ステーションは、インラインプロセスとして、および2つまたはそれ以上の別個のプロセスとして構成することができる。例示的な組立てシステム50が、
図11に概略的に示されている。組立てシステム50は、全体として51と呼ばれるコイルばね作製システムを含む。コイルばね作製システム51は、コイルばねCを作成するコイル巻きステーション52と、コイルばねを加熱してばねの材料を焼き戻す加熱ステーション53とを含むことができる。次いで、加熱されたコイルばねを冷却ステーション54へ送り、コイルばねを冷却する。その後、コンベア55によって冷却されたコイルばねCを挿入ステーション56へ伝達し、挿入ステーション56は、作動板30を含む装置を含み、この装置をばねキャリア10に設けることができる。挿入ステーション56において、作動板30およびばねキャリア10は、上述したように、コイルばねCをばねキャリア10内へ挿入するように動作する。コイルばねCを保持したばねキャリア10は、抜取りステーション57へ運搬される。抜取りステーション57において、作動板30およびばねキャリア10は、上述したように、コイルばねCが利用される後のデバイス組立て工程で使用するために、コイルばねCをばねキャリア10から抜き取るように動作する。
【0103】
図12は、本発明の別の実施形態のばねキャリア10を示し、同様の構成は同じ参照番号を保持しており、その詳細な説明は繰り返さない。
図12の実施形態に関する違いは、窓または切抜き領域60が設けられ、中空本体11の側壁12を通って延びることである。これにより、ばねキャリア10の外側から中空本体11の内部を見ることが可能になる。特にこれにより、ばねキャリア10内に受け入れられたときにコイルばねCを見ることが可能になる。これは、製造プロセスにおけるばねキャリア10の使用に有益となることができる。たとえば、品質制御または性能監視プロセスにおいて、作製されている各デバイスに対して、ばねキャリア10内のコイルばねCの存在を確認することができる。たとえば、光センサまたはカメラが、ばねキャリア10内のコイルばねCの存在を確認することができ、窓60を使用して、そのような確認を行うように動作することができる。たとえば、製造プロセス内の他の場所での挿入障害によって、ばねキャリア10内にコイルばねCが存在しないことが検出された場合、作製されているデバイスは、必要とされるコイルばねCがなければ正確に機能する可能性が低く、したがって生産ラインから自動的に拒否することができる。1つの窓60を設けることができ、または複数の窓を設けることができ、ばねキャリア10の側壁12の任意の好適な場所に配置することができる。そのような複数の窓60はまた、各ばねキャリア10を製造するためにより少ない材料が必要とされることを意味し、それにより製造コストを削減することができ、かつ/またはばねキャリアの重量を削減することもでき、これはばねキャリアを使用予定のデバイス製造プロセスにおいて有益である。
【0104】
図13は、本発明の別の実施形態のばねキャリア10を示し、
図12に示すものに類似しており、同様の構成は同じ参照番号を保持しており、その詳細な説明は繰り返さない。
図13の実施形態に関する違いは、窓60が設けられるが、中空本体11の側壁12ではなく弾性アーム18内に設けられることである。窓60はそれでもなお、ばねキャリア10内のコイルばねCの存在を検出することが可能であるという上述した利点を提供する。しかし、窓60はまた、窓60が弾性アーム18内に設けられない場合より、弾性アーム18をより軽くおよび/またはより容易に偏向可能なものにすることができる。これにより、ばねキャリア10の使用で必要とされる量だけ弾性アーム18を偏向させるために必要とされるアクチュエータ力をより小さくすることができる。そのような力の低減により、ばねキャリア10の材料にかかる応力を低減させることができ、障害前または交換が必要とされる前の、ばねキャリア10の寿命サイクルをより大きくすることを可能にすることができる。
【0105】
図14は、別の実施形態のばねキャリア10を示し、
図12および
図13Cの実施形態に類似しており、同様の構成は同じ参照番号を保持しており、その詳細な説明は繰り返さない。
図14の実施形態に関する違いは、フランジ28が配向機能61を含むことである。示されている例示的な実施形態では、配向機能61は、第1の端部14の方向を向いているフランジ28の表面内へ形成された1対の径方向スロットを含む。そのような配向機能61は、ばねキャリア10をその中心軸X-Xの周りに回転方向に正しく配置することを容易にすることができ、これは使用の際のばねキャリア10の機能にとって、たとえばコイルばねCの挿入もしくは抜取りにとって有益である。さらに、そのような配向機能は、製造プロセス中に窓60とともに使用することができる。たとえば、ばねキャリア10内のコイルばねCの存在を検出するために使用される光センサまたはカメラを、製造装置/システムまたは組立てライン上の特定の位置に配置することができ、したがって窓60を光センサまたはカメラと位置合わせするために、ばねキャリア10の正しい配向を必要とすることができる。配向機能61は、配向機能61のスロット内に受け入れることができる突出部などの対応する機能(図示せず)と協働して、使用の際にばねキャリア10の正しい配置を確実にすることができる。
【0106】
弾性アーム18上の保持部分の構成および配置は、本発明の範囲内で変動することができ、本発明の範囲内および/または本明細書に記載するすべての実施形態の範囲内で意図されるそのような変形形態は、網羅的でない例として
図15~
図17に示されている。そのような保持部分は、以下に説明するように、突出領域25に加えていくつかの構成を含むことができる。
【0107】
図15は、一実施形態の構成の概略断面図を示し、弛緩状態、すなわち第1の非付勢位置にある対向する弾性アーム18のみを示す。各弾性アームは突出領域25を含み、加えて各弾性アーム18の軸方向に隔置された複数の突出要素25Aを含む。複数の突出要素25Aが各弾性アーム18に示されているが、各弾性アーム18は、1つの突出要素25Aのみを含むこともできる。突出要素25Aは、使用の際、コイルばねCが内側空洞13内に配置されたときにコイルばねCに係合し、コイルばねCを内側空洞13内に定位置で保持することをさらに支援するように構成される。この突出要素または各突出要素25は、それぞれの弾性アーム18から延び、中空本体11の中心軸X-Xに向かって内方に誘導される。
【0108】
使用の際、それぞれの弾性アーム18が第1の弛緩位置または非付勢位置にあるときは、中空本体11の内側空洞13内でコイルばねを係合および保持するために、中空本体11の側壁12の内面の平面から径方向内方に、突出要素25Aの最も内側の部分を配置することができる。それぞれの弾性アーム18が第2の偏向位置または付勢位置にあるときは、コイルばねを中空本体11の内側空洞13内へ挿入することまたは中空本体11の内側空洞13から抜き取ることを可能にするために、中空本体11の側壁12の内面の平面から径方向外方に突出要素25Aを配置することができる。
【0109】
図15の実施形態では、一方の弾性アーム18の突出要素25Aは、対向する弾性アーム18の対応する突出要素25Aとばねキャリア10の軸方向に位置合わせされる。これは基準線Z-Zによって示されており、基準線Z-Zは、ばねキャリア10の軸X-Xに直交する方向に一方の弾性アーム18の各突出要素25Aを通って延び、対向する弾性アーム18上の対応する突出要素25Aを通って延びる。これは、ばねキャリア10内に保持されたとき、対向する突出要素25がコイルばねCの一領域に当接してその領域を締め付けることを促すことによって、最小の軸方向運動でコイルばねCを固定して保持する助けとなり得る。この配置は、2つの弾性アーム18または3つ以上の弾性アーム18を含む本発明のばねキャリア10の実施形態で適用可能とすることができる。
【0110】
図15の実施形態では、各弾性アーム18上の複数の突出要素25Aは、各弾性アーム18の自由近位端22に向かって増分的にサイズを増大させる。すなわち、各突出要素25Aがばねキャリア10の中心軸X-Xに向かって内方に突出する距離は、各々が配置された弾性アーム18の自由近位端22に近づけば近づくほど大きくなる。これは線L3によって示されており、線L3は、各突出要素25Aの最も内側の部分と位置合わせされており、弾性アーム18の自由近位端22に向かう方向に中心軸X-Xに向かって内方に傾斜している。これは、弾性アームの自由端22に向かってより大きくより内方に延びる突出要素25Aを設けることができるため、コイルばねCをばねキャリア10内に固定して保持する助けとなり得、それでもなお自由端22は、上述したようにアクチュエータ30によって作動されたとき、各弾性アーム18のうち自由端22から隔置された領域より大きい距離だけ横方向外方に偏向されるため、より大きい突出要素25AでもコイルばねCの挿入または抜取りを可能にするのに十分に外方に動かされる。
【0111】
図16は、別の実施形態の構成の概略断面図を示し、
図15のものに類似しており、同様の構成は同じ参照番号を保持する。対向する弾性アーム18は各々、突出領域25と、各弾性アーム18の軸方向に隔置された複数の突出要素25Aとを含む。
図16の実施形態の違いは、一方の弾性アーム18の突出要素25Aが、対向する弾性アーム18の対応する突出要素25Aとばねキャリア10の軸方向に位置合わせされておらず、代わりに対向する弾性アーム18の対応する突出要素25Aに対してばねキャリア10の軸方向にずれていることである。これは基準線V-Vによって示されており、基準線V-Vは、ばねキャリア10の軸X-Xに直交する方向に一方の弾性アーム18の各突出要素25Aを通って延びるが、対向する弾性アーム18上の対応する突出要素25Aを通る線V-Vと位置合わせされない。これは、ばねキャリア10内に保持されたとき、コイルばねCの螺旋コイルに従って互い違いに対向する突出要素25Aによって、最小の軸方向運動および/または軸方向の位置合わせでコイルばねCを固定して保持する助けとなり得る。この配置は、2つの弾性アーム18または3つ以上の弾性アーム18を含む本発明のばねキャリア10の実施形態で適用可能とすることができる。
【0112】
図16の実施形態では、各弾性アーム18上の複数の突出要素25Aは、
図15を参照して上述したように、各弾性アーム18の自由端22に向かって増分的にサイズを増大させる。これは
図16に線L3によって示されており、線L3は、各突出要素25Aの最も内側の部分と位置合わせされており、弾性アーム18の自由近位端22に向かう方向に中心軸X-Xに向かって内方に傾斜している。これにより、
図15を参照して上述したものと同じ利点を提供することができる。
【0113】
図17は、別の実施形態の弾性アーム18の構成の概略図であり、
図15および
図16のものに類似している。
図17の実施形態は、各弾性アーム18上の複数の突出要素25Aが同じサイズであるという点が異なる。すなわち、各突出要素25Aがばねキャリア10の中心軸X-Xに向かって内方に突出する距離が同じである。これは線L4によって示されており、線L4は、各突出要素25Aの最も内側の部分と位置合わせされており、ばねキャリア10の中心軸X-Xに対して平行である。これは、弾性アーム18の第1の弛緩位置または非付勢位置で、各突出要素25Aが等しく突出して、ばねキャリア10内でコイルばねCを係合および固定するため、コイルばねCをばねキャリア10内に固定して保持する助けとなり得る。
【0114】
図18A~
図18Cは、本発明の実施形態のばねキャリア10の弾性アーム18の概略拡大図であり、本発明の範囲内に入ることが意図され、本明細書に記載するすべての実施形態に適用可能である、突出要素25Aの異なる構成を示す。
図18Aは、概して丸みのある形状を含む突出要素25Aを示し、この形状は、突出要素25Aが弾性アーム18から延びる湾曲した縁部を有し、突出要素25Aの軸方向に最も内側の領域に位置する。そのような構成は、たとえばコイルばねCが完全挿入位置へ動くことを可能にするために、弾性アーム18が外方に偏向される挿入中にコイルばねCが突出要素25Aに接触した場合に突出要素25Aを載り越えることを可能にすることによって、ばねキャリア10内へのコイルばねCの挿入を容易にすることができる。
【0115】
図18Bの突出要素25Aは、1つの表面25Bが弾性アーム18およびばねキャリア10の軸X-Xに実質的に直交して延びるように配置される。本発明の範囲内で、そのような表面25Bは、ばねキャリア10の第1の端部14または第2の端部16に対向するように設けることができることが意図される。さらに本発明の範囲内で、突出要素25Aは、2つのそのような表面25Bが、弾性アーム18およびばねキャリア10の軸X-Xに実質的に直交して延び、1つの表面25Bが第1の端部14に対向し、第2のそのような表面25Bがばねキャリア10の第2の端部16に対向するように構成することができる。そのような構成は、表面25Bの直角の形状によってコイルばねCの軸方向運動がより制限されるはずであるため、所望の軸方向位置におけるばねキャリア10内でのコイルばねCの保持を容易にすることができる。
【0116】
図18Cは、概して傾斜している形状を含む突出要素25Aを示し、この形状は、突出要素25Aが弾性アーム18から延びる角度で交わるまっすぐな縁部を有し、突出要素25Aの軸方向に最も内側の領域に位置する。そのような構成は、たとえば弾性アーム18がアクチュエータによって解放されて弛緩位置へ戻るとき、突出要素25Aの尖った縁部がコイルばねCのコイル間により容易に配置されることを可能にすることによって、ばねキャリア10内でのコイルばねCの係合を容易にすることができる。
【0117】
図19は、
図4に類似しており、別の実施形態の作動板を含むばねキャリアおよびアクチュエータ30を示し、
図4のものと同様の構成は同じ参照番号を保持する。
図4の実施形態と同様に、供給アパーチャ32は、内径φ1によって示す実質的に一定の断面寸法の第1の領域33と、第1の領域33と作動板30の平坦面31との間に延び、第1の領域33から平坦面31へ供給アパーチャ32の中心軸Y-Yに対して外方に先細りする、ここで34Aとして示す第2の領域とを含む。これは
図19に示されており、供給アパーチャ32の内径は、第2の領域34Aが第1の領域33と接するφ1から、第2の領域34Aが平坦面31と接する第2のより大きい直径φ2Aに増大する。
【0118】
図19の実施形態に関する違いは、作動板30が、第1の領域33と第1の平坦面31とは反対側の作動板30の第2の平坦面31’との間に延びる第3の領域34Bを含むことである。第3の領域34Bは、第1の領域33から第2の平坦面31’へ供給アパーチャ32の中心軸Y-Yに対して外方に先細りする。これは
図19に示されており、供給アパーチャ32の内径は、第3の領域34Bが第1の領域33と接するφ1から、第3の領域34Bが第2の平坦面31’と接する第2のより大きい直径φ2Bに増大する。
【0119】
図4の実施形態と同様に、供給アパーチャ32の第2の領域34Aが供給アパーチャ32の中心軸Y-Yに対して先細りする角度θ2Aは、10から30度とすることができ、15から25度、たとえば約20度とすることができる。供給アパーチャ32の第3の領域34Bが供給アパーチャ32の中心軸Y-Yに対して先細りする角度θ2Bは、10から30度とすることができ、15から25度、たとえば約20度とすることができる。本発明の範囲内で、角度θ2Aおよびθ2Bは同じであってもまたは異なってもよい。第3の領域34Bは、コイルばねCがばねキャリア10に到達する前に、最初に第2の平坦面31’側から作動板30を通ることによって、コイルばねCの改善された挿入を可能にすることができ、コイルばねCが作動板30の縁部に捕らえられるのを回避する助けとなり得る。
【0120】
図20および
図21は、本発明の別の実施形態のばねキャリア10を示し、
図1~
図4のばねキャリアに類似しており、同様の構成は同じ参照番号を保持しており、その詳細な説明は繰り返さない。
図20および
図21のばねキャリアの違いは、中空本体11の側壁12の内面が、中空本体11の中心軸X-Xに向かって内方に突出する複数の心出しラグ68を含むことである。
【0121】
図20は、これらの心出しラグ68が示されることを可能にするために切り取られた側壁12の一部分を示す。示されている実施形態では、4つの心出しラグ68が設けられている。しかし、5つ以上または3つ以下の心出しラグ68を設けることもでき、心出しラグ68は、場合により、側壁12の内周に等しく隔置することができる。
【0122】
心出しラグ68は、湾曲面を有する傾斜として形成され、心出しラグ68がばねキャリア10の第2の遠位端15に向かって延びるにつれて、内方に突出する距離を増大させる。使用の際、心出しラグ68は、コイルばねCがばねキャリア10内の中心で正確に保持されるように、ばねキャリア10内に保持されたコイルばねCに接触して中心に位置合わせする働きをする。心出しラグ68は、コイルばねCとばねキャリア10との間の遊びを低減させるように、コイルばねCの外径と内側空洞13の内径との間の公差を補償することができる。これは、ばねキャリア10内へのコイルばねCの挿入中にコイルばねCが正確に配置されることを確実にする助けとなり、保持部分によってコイルばねCを固定して係合することができることを確実にする助けとなり得る。これは、ばねキャリア10の輸送中、またはコイルばねが正確に抜き取られて製造されているデバイス内へ配置されることが必要とされる製造プロセス中に、偶発的なまたは早すぎるばねの抜取りを回避する助けとなり得る。これは、製造エラーおよび/または停止を防止する助けとなり得る。心出しラグ68の構成は、場合により、本明細書に記載する本発明のあらゆる実施形態に適用可能とすることができ、そのような実施形態とともに提供することができる。
【0123】
示されている上述したばねキャリア10の様々な実施形態は、本発明の範囲内の形状およびサイズおよび相対寸法の範囲内で構成されることが意図される。
【0124】
ばねキャリア10は、軸X-Xの方向に50mmから90mmの全長を含むことができ、全長d2は、60mmから80mmとすることができ、約70.5mmまたは約73.5mmとすることができる。
【0125】
フランジ28は、軸X-Xの方向に1mmから5mmの高さを含むことができ、高さd3は、2mmから4mmとすることができ、約3mmとすることができる。
【0126】
弾性アーム18は、軸X-Xの方向に固定端21から自由端22まで10mmから20mmの全長を含むことができ、全長d4は、12mmから18mmとすることができ、14から16mmとすることができ、約16.3mmとすることができる。
【0127】
側壁12に設けられたときの窓60は、軸X-Xの方向に5mmから25mmの長さを含むことができ、この長さは、10mmから20mmとすることができ、約15mmとすることができる。弾性アーム18に設けられたときの窓60は、軸X-Xの方向に1.5mmから8mmの長さを含むことができ、長さは、2.5mmから7mmとすることができ、3.5から6mmとすることができ、約4.3mmとすることができる。
【0128】
中空本体11は、断面が円形の円筒管として構成されたものとして図示および記載されている。これにより、中空本体11が従来の円形のコイルばねCを密接して収容することを可能にすることができる。またこれにより、使用の際にばねキャリア10の正しい配置のために中心軸X-Xの周りの特有の回転方向の向きが必要とされないため、コイルばねCの挿入およびコイルばねCの抜取りのためのばねキャリア10の位置合わせの簡単さを容易にすることができる。しかし本発明は、ばねキャリアのそのような構成に限定されることを意図したものではなく、楕円形、三角形、もしくは正方形、または他の多角形の断面形状など、他の寸法および断面形状も可能である。
【0129】
中空本体11は、第1の端部14から第2の反対の端部15までその長さに沿って実質的に一定の断面を有するものとして図示および記載されている。これにより、ばねキャリア10を利用予定の組立てまたは製造プロセスにおける製造および操作の簡単さおよびコストを容易にすることができる。しかし本発明は、そのような構成に限定されることを意図したものではなく、代替実施形態では、ばねキャリア10は、その長さに沿って断面寸法を変動させることができる。たとえば、断面は、ばねキャリアの長さに沿って異なる直径の円形とすることができ、および/または断面は、ばねキャリアの長さの一部に沿って円形以外の形状とすることができる。たとえば、コイルばねCの挿入および抜取りが行われる第1の端部14の領域内で、第2の端部15の領域より内径を大きくすることができる。これはさらに、コイルばねCをばねキャリア10内へ正確に案内する助けとなり得る。またこれにより、ばねキャリア10の第2の端部15の領域内にコイルばねCをより厳密に制限することを可能にすることができる。しかし、本発明の範囲内で逆も同様であり、第1の端部14における内径を第2の端部15における内径より小さくすることができ、したがって内側空洞13は、ばねキャリア10の第1の端部14の領域内でわずかにより狭くなる。
【0130】
内径が中空本体11の長さに沿って実質的に均一である例示的な実施形態では、内径を7mmから14mmとすることができ、8mmから13mmとすることができ、9mmから12mmとすることができ、10mmから11mmとすることができ、約10.5mmまたは約11.5mmとすることができる。
【0131】
内径が中空本体の長さに沿って均一でない例示的な実施形態では、中空本体の一方の端部における内径を9mmから14mmとすることができ、10mmから13mmとすることができ、11mmから12mmとすることができ、約11.5mmとすることができる。中空本体の他方の端部における内径は、8mmから13mmとすることができ、9mmから12mmとすることができ、10mmから11mmとすることができ、約10.5mmとすることができる。
【0132】
ばねキャリア10が形成される様々な材料を選択することができ、そのような材料は、プラスチックおよび金属を含み、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド、またはアクリロブタジエンスチレン(ABS)を含む様々なポリマーを含むことができる。ばねキャリアは、ポリカーボネートからさらに形成することができ、再生ポリカーボネートを含むことができる。
【0133】
ばねキャリア10は、単一の成形構成要素、すなわち単一の一体部材として図示および記載されている。したがって、弾性アーム18はたとえば、中空本体11と一体形成されたものとして示されている。これにより、製造の簡単さおよびコストの削減という利点を提供することができる。しかし、本発明の範囲内で、ばねキャリア10の1つまたはそれ以上の要素は、ともに固定、接合、溶接、機械的に締結された別個の構成要素とすることもできることが意図される。たとえば、弾性アーム18またはフランジ28は、中空本体11と一体形成されなくてもよい。
【0134】
中空本体11の側壁12および端壁17は、使用中に十分な構造的強度を提供する寸法とすることができるが、材料の過度の使用を最小にし、取扱いの簡単さおよび製造コストのために軽量性を維持することもできる。壁の厚さは、0.3mmから1.5mmとすることができ、厚さ0.5mm~1mmとすることができる。
【0135】
本開示のばねキャリア10および関連する装置/システムの実施形態は、コイルばねCを固定して保持し、コイルばねCの抜取りを確実かつ正確に可能にするように構成される。コイルばねを固定して保持するとともに、正確に抜き取ることができるように、ばねキャリア10は、コイルばねCの外径と内側空洞13の内壁との間に特定の隙間が設けられるように構成することができる。この隙間は、必要とされるときにコイルばねを正確に排出することができるように、内側空洞13に対するコイルばねCの実質的に妨害されない挿入および抜取りを可能にしながら、内側空洞内のコイルばねCの横方向の遊びまたは動きを最小にするように設定され得る。一実施形態では、そのような隙間は、0.05mm~0.3mmとすることができ、0.1mm~0.2mmとすることができる。一実施形態では、内側空洞13内に受け入れられるコイルばねCは、9.95mmの最大外径を有することができる。それに応じて、(
図4に示す)内側空洞13の内径φ3は、約10.0mm~12.95mmとすることができ、約10.05mm~11.05mmとすることができる。
【0136】
図示および記載されているばねキャリア10の実施形態は、2つの弾性アーム18を含むが、本発明は、この構成に限定されることを意図したものではなく、代替実施形態では、ばねキャリア10は、1つのみまたは3つ以上の弾性アーム18を含むこともできる。2つまたはそれ以上の弾性アーム18を含む実施形態では、弾性アーム18は、ばねキャリア10内のコイルばねCの均一な位置合わせされた保持のために、ばねキャリア10の周辺部に等しく隔置することができる。加えて、そのような構成はまた、たとえば、意図されたとき、コイルばねCがばねキャリア10と軸方向に位置合わせされて、医療デバイスまたは製造装置の構成要素内へ均一に抜き取られることを促進する助けとなり得る。
【0137】
図示および記載されているばねキャリア10の実施形態は、各弾性アーム18上に1つの突出領域25を有する弾性アーム18を含む。しかし本発明は、そのような構成に限定されることを意図したものではなく、代替実施形態では、ばねキャリア10が中空本体11内に受け入れられたコイルばねCの複数のターンに係合することができるように構成された複数の突出領域/要素25/25Aおよび/または複数のノッチを、各弾性アーム18に設けることができる。さらに、上述したいくつかの実施形態は、それぞれの弾性アーム18が第1の弛緩位置または非付勢位置にあるとき、中空本体11の内側空洞13内でコイルばねを係合および保持することができる突出要素25Aを含むことができる。突出要素25Aは、内側空洞内でコイルばねを保持し、遠位および近位の両方で軸方向におけるコイルばねの動きを制限するのに十分であることが想定される。ばねキャリア10のいくつかの実施形態は、コイルばねを内側空洞内で保持することを支援することができる端壁17を含むことができる。しかし、端壁17を省略することもでき、突出要素25Aが単独で、コイルばねを内側空洞13内で保持するのに十分であることが理解されよう。コイルばね挿入プロセス中、場合により、突出要素25Aがコイルばねを内側空洞内で係合および保持するまで、組立て装置(図示せず)の一部などの何らかの手段によって、第2の遠位端に位置する開口部を一時的に覆うことができる。
【0138】
図示および記載されているばねキャリア10の実施形態は、ばねキャリアの最も遠位の端部に配置された作動機能を有する弾性アーム18を含む。しかし本発明は、そのような構成に限定されることを意図したものではなく、代替実施形態では、リップおよび接触面などの作動機能を、ばねキャリアの最も遠位の端部から隔置して配置することができる。そのような作動機能は、中空本体11の軸方向に対して遠位に、たとえばフランジ28より小さくすることができる。ばねキャリアのそのような代替実施形態は、フランジ28が平坦面に当接するとき、作動機能が平坦面31上の直立したボスまたは他の形成物に係合して、弾性アーム18を第1の位置から第2の位置へ動かすことによって機能することができる。さらに、本開示の範囲内で、例示的な挿入/抜取りプロセスでは、図示および記載されているアクチュエータ作動機能の例示的な実施形態以外の弾性アームの動きを生じさせるために、他の手段を用いることができることが想定される。何らかの他の外部の操作者または機構(図示せず)が、必要に応じて偏向可能部材に係合して偏向可能部材を動かすことができる。そのような実施形態は、この場合も、図示および記載の特有の作動機能との係合または特有のアクチュエータ30の使用を必要としないことがあるが、これらは本開示の範囲内から除外されない。
【0139】
上述したように、本開示全体にわたって、「内方」および「外方」という用語は、概してばねキャリア10の本体に対して使用されることが理解されよう。たとえば、中心軸X-Xに対して、またはばねキャリア10の中空本体11/内側空洞13に対して使用される。したがって本明細書では、偏向可能部材および/または保持形成物が第2の偏向位置で「外方」に配置されまたは延びるということは、第1の非付勢位置でより内方に配置された位置にあるときより、内側空洞13および/または軸X-Xからさらに離れる方向に配置されるものとして理解される。いくつかの実施形態では、上述したように、保持形成物は、第2の付勢位置で内側空洞13の内面から外方に配置することができる。これは、コイルばねが内側空洞13から排出されることを確実にする助けとなり得る。しかし、本発明の範囲内で意図される代替実施形態では、保持形成物を第2の付勢位置で第1の非付勢位置よりさらに外方に配置することができるが、内側空洞13の内面から外方に配置することはできないことが理解されよう。保持形成物は、コイルばねが内側空洞13から排出されることを可能にするために、少なくともコイルばねの直径より大きい間隙が設けられるように、第2の付勢位置でさらに外方に配置されると十分である。コイルばねが内側空洞の内径より大幅に小さい(ただし、偏向可能部材が第1の非付勢位置にあるときに保持形成物によって保持されるには十分に大きい)直径を有する例示的な実施形態では、コイルばねを係合解除してその解放を可能にするために、保持形成物が第2の付勢位置で内側空洞13の内面から外方に偏向される必要はない。
【0140】
図示および上述したばねキャリア10の様々な実施形態から理解されるように、中空本体11の第2の端部15は閉鎖することができ、または開口部を含むことができる。中空本体11の第2の端部15に開口部38を含むばねキャリア10のそれらの実施形態は、中空本体11の内側空洞13の断面寸法と同じサイズおよび寸法の開口部、または内側空洞13の断面より小さい断面寸法および/もしくは異なる形状の開口部を有することができる。さらに、中空本体11の第2の端部15に開口部38を含むそれらの実施形態は、コイルばねCを内側空洞13内で保持してコイルばねCが第2の端部15から排出されることを防止するためのばね止め具として作用するように内方に延びる1つまたはそれ以上の突起を含むことができる。そのような突起は、中空本体11の第2の端部15で最も遠位に設けることができ、または中空本体11の第2の端部15の最も遠位の部分から隔置することができる。しかし、本発明は、ばね止め具として作用する端壁または他の突起を有する構成に限定されることを意図したものではなく、本発明の範囲内の他の実施形態では、第2の端部15は、内側空洞13の断面と同じサイズおよび断面積および/または寸法の第2の開口部38を含むことができる。コイルばねCが中空本体11の第2の端部から意図せず排出されることを防止するために、ばねキャリア10を使用予定の装置内に他の手段または方法を設けることもできる。
【0141】
図示および記載されているばねキャリア10の実施形態は、弾性アーム18の自由端22に近接して突出領域25を含む。しかし本発明は、そのような構成に限定されることを意図したものではなく、代替実施形態では、固定端21と自由端22との間の弾性アーム18上の他の場所に、1つまたはそれ以上の突出領域を配置することができる。
【0142】
図示および記載の作動板30の実施形態は、先細りした第2の領域34および概して一定の断面の第1の領域33を含む供給アパーチャ32を含む。しかし本発明は、そのような構成に限定されることを意図したものではなく、代替実施形態では、供給アパーチャ32は、その全長に沿って一定の断面とすることができ、または別の代替実施形態では、供給アパーチャ32は、その全長に沿って先細りすることができる。さらに、作動板を含む本発明の装置は、ばねキャリア10内へのコイルばねCの挿入中に使用するために、ばねキャリア10からのコイルばねCの抜取り中に使用するための作動板の構成とは異なる構成の作動板を含むことができる。たとえば、コイルばねCの挿入中に使用するための作動板は、先細り領域を有する供給アパーチャ32を含まなくてもよく、コイルばねCの抜取り中に使用するための作動板は、先細り領域34を有する供給アパーチャ32を含むことができる。
【0143】
本発明の範囲内で意図される実施形態のいずれかでは、偏向可能部材は、第2の位置で、作動板30の平坦面31における供給アパーチャ32の直径に実質的に等しい距離だけ隔置することができる。供給アパーチャ32が先細り領域34を含む実施形態では、偏向可能部材は、第2の位置で、先細り領域34の最も広い部分の直径に実質的に等しい距離だけ隔置することができる。
【0144】
本明細書に記載するばねキャリア10の実施形態は、中空本体11の内側空洞13内でコイルばねを保持するように構成された少なくとも1つの偏向可能部材を含む。少なくとも1つの偏向可能部材は、使用の際にコイルばねCの挿入/抜取りが行われる中空本体11の端部に近接して設けられる。この配置は、コイルばねCを内側空洞13内で保持する/内側空洞13からのコイルばねCの解放を可能にする突出領域25の阻止および解放機能を実現する助けとなり得る。これは、簡単かつ確実な製造/組立て装置およびプロセスを提供する助けとなり得る。さらに、図示および記載されている例示的な実施形態では、コイルばねを保持するための偏向可能部材および/または保持部分および/または突出要素のコイルばねとの係合は、偏向可能部材および/または保持形成物および/または突出要素とコイルばねとの間の直接接触によって行われる。
【0145】
本明細書に開示するいくつかの実施形態は、中空本体11の第1の近位端14の周辺部に延びるフランジ28を含む。そのような構成は、場合により、本明細書に記載するすべての実施形態に適用可能とすることができる。しかし本発明は、そのような構成に限定されることを意図したものではなく、本発明の範囲内で想定される実施形態は、フランジ28を含まなくてもよく、または第1の近位端の遠隔端以外で、たとえば第2の遠位端15で、もしくは第1の近位端と第2の遠位端との中間で、中空本体の長さに沿って配置されたフランジを含むこともできる。
【0146】
図示および記載されているばねキャリア10の実施形態は、弾性アームを第1の位置から第2の位置へ動かすように係合するための作動機能として、各偏向可能部材/弾性アーム18の自由端にリップ23を含む。しかし本発明は、そのような構成に限定されることを意図したものではなく、代替実施形態では、各弾性アーム18からリップ23を省略することができ、代わりに各アームの自由端22は、作動板に係合して第2の位置へ動かすための端部だけを有するように構成することができる。そのような実施形態では、フランジ28が作動板30の平坦面31に当接した時点で、弾性アーム18の第2の位置に到達することができる。上記で論じたように、弾性アームは、特有の作動機能を含まなくてもよく、使用の際に、必要に応じて偏向させるためおよび動かすために他の方法で操作することができる。たとえば、そのような代替の外部アクチュエータは、接着、真空接触、または他の連結などによって、アームとの機械的係合をもたらすことができる。
【0147】
本発明の完全な範囲および精神から逸脱することなく、本明細書に記載するデバイス、装置、方法、および実施形態の様々な構成要素に修正(追加および/または削除)を加えることができ、本発明は、そのような修正およびあらゆる均等物を包含することが、当業者には理解されよう。
【国際調査報告】