(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-28
(54)【発明の名称】ばねキャリア
(51)【国際特許分類】
F16F 1/02 20060101AFI20240621BHJP
B23P 21/00 20060101ALI20240621BHJP
【FI】
F16F1/02 C
F16F1/02 B
B23P21/00 306C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023579143
(86)(22)【出願日】2022-06-23
(85)【翻訳文提出日】2024-01-26
(86)【国際出願番号】 EP2022067086
(87)【国際公開番号】W WO2022268917
(87)【国際公開日】2022-12-29
(32)【優先日】2021-06-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520384541
【氏名又は名称】サノフィ・ウィントロップ・インダストリエ
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【氏名又は名称】竹林 則幸
(74)【代理人】
【識別番号】100216105
【氏名又は名称】守安 智
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ・シャベール
(72)【発明者】
【氏名】ダヴィド・ダラス
【テーマコード(参考)】
3C030
3J059
【Fターム(参考)】
3C030CA15
3J059AD01
3J059AD04
3J059BA01
3J059BC02
3J059EA11
3J059EA20
3J059GA50
(57)【要約】
製造組立てプロセスにおけるコイルばねの受取り、保持、および排出のためのばねキャリアが、コイルばねを受け取るように構成された内側空洞を画成する細長い中空本体と、内側空洞内へのコイルばねの挿入および/または内側空洞内からのコイルばねの抜取りのために中空本体の第1の近位端に位置する開口部とを含む。中空本体は、第1の近位端とは反対に位置する第2の遠位端を含む。少なくとも1つの偏向可能部材が、中空本体の第2の遠位端に近接して配置され、内側空洞内に配置されたコイルばねに係合するように構成された保持形成物を含む。偏向可能部材は、保持形成物が内側空洞内に配置されたコイルばねに係合するように内側空洞内へ延びる第1の非付勢位置と、保持形成物が内側空洞内に配置されたコイルばねを係合解除するように外方に配置された第2の付勢位置との間で可動である。そのようなばねキャリアを含む装置、およびそのようなばねキャリアを使用してコイルばねを操作する方法も開示される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
製造組立てプロセスにおけるコイルばねの受取り、保持、および排出のためのばねキャリア(10)であって:
コイルばね(C)を受け取るように構成された内側空洞(13)を画成する細長い中空本体(11)と;
内側空洞内へのコイルばねの挿入および/または内側空洞内からのコイルばねの抜取りのために中空本体の第1の近位端(14)に位置する開口部(16)と;を含み、
該中空本体は、第1の近位端とは反対に位置する第2の遠位端(15)を含み;
該ばねキャリアはさらに、
中空本体の第2の遠位端に近接して配置され、内側空洞内に配置されたコイルばねを係合および保持するように構成された保持形成物(25、26)を含む少なくとも1つの偏向可能部材(18)を含み;
該偏向可能部材は、保持形成物が内側空洞内に配置されたコイルばねを係合および保持するように内側空洞内へ延びる第1の非付勢位置と、保持形成物が内側空洞内に配置されたコイルばねを係合解除するように外方に配置された第2の付勢位置との間で可動である、前記ばねキャリア。
【請求項2】
偏向可能部材(18)は、第1の位置で中空本体(11)の中心軸(X-X)に実質的に平行に延びる、請求項1に記載のばねキャリア(10)。
【請求項3】
偏向可能部材(18)は、アクチュエータ(30)に係合して偏向可能部材を第1の位置から第2の位置へ偏向させるための作動機能(23)を含む、請求項1または2に記載のばねキャリア(10)。
【請求項4】
偏向可能部材(18)は、内側空洞(13)内に保持されたコイルばね(C)の端部に係合するための当接ステップ(34)を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載のばねキャリア(10)。
【請求項5】
保持形成物は、偏向可能部材(18)から内方に延びる少なくとも1つの突出要素(25)を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載のばねキャリア(10)。
【請求項6】
中空本体(11)は、第2の端部(15)の最も遠位の領域で中空本体の周辺部全体に延びる連続環状部分(27)を含み、該連続環状部分は、偏向可能部材(18)よりさらに第2の端部に向かって配置される、請求項1~5のいずれか1項に記載のばねキャリア(10)。
【請求項7】
中空本体(11)は、断面が円形の円筒管である、請求項1~6のいずれか1項に記載のばねキャリア(10)。
【請求項8】
中空本体(11)は、中空本体から径方向外方に延びるフランジ(28)を含む、請求項1~7のいずれか1項に記載のばねキャリア(10)。
【請求項9】
中空本体(11)の第2の端部(15)に開口部(17)を含む、請求項1~8のいずれか1項に記載のばねキャリア(10)。
【請求項10】
中空本体の側壁および偏向可能部材のうちの少なくとも一方に少なくとも1つの窓(60)を含み、該窓は、ばねキャリア内に配置されたコイルばね(C)が窓を通してばねキャリアの外側から見えることを可能にする、請求項1~9のいずれか1項に記載のばねキャリア(10)。
【請求項11】
中空本体(11)の第1の端部(14)に位置する第1の開口部(16)は、該第1の開口部が第1の近位端に向かって広がるように、先細り領域(16A)を含む、請求項1~10のいずれか1項に記載のばねキャリア(10)。
【請求項12】
装置であって:
請求項1~11のいずれか1項に記載のばねキャリア(10)と;
偏向可能部材(18)に係合するように構成され、偏向可能部材を第1の位置から第2の位置へ動かすように動作可能なアクチュエータ(30)とを含む、前記装置。
【請求項13】
アクチュエータ(30)は、中空本体(11)の第2の遠位端(15)に位置する開口部(17)内へ挿入されるように構成された細長いロッドを含み、場合により、アクチュエータ(30)は、偏向可能部材(18)に係合するように構成された面取り端(33)を含む、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
製造組立てプロセスにおけるコイルばねの受取り、保持、および排出のためのばねキャリア(10)を使用してコイルばね(C)を操作する方法であって、ばねキャリアは、内側空洞(13)を画成する細長い中空本体(11)と、中空本体の第1の近位端(14)に位置する開口部(16)と、第1の近位端とは反対に位置する第2の遠位端(15)と、中空本体の第2の遠位端に近接して配置され、保持形成物(25、26)を含む少なくとも1つの偏向可能部材(18)とを含み、該方法は、
偏向可能部材(18)を保持形成物が内側空洞内へ延びる第1の位置から保持形成物が外方に延びる第2の位置へ動かすことと、
中空本体(11)の第1の端部(14)に位置する開口部(16)を通ってコイルばねを内側空洞(13)内へ挿入することと、
偏向可能部材を第2の位置から第1の位置へ動かし、それによって保持形成物(25、26)がコイルばねに係合してコイルばねを内側空洞内で保持することとを含む、前記方法。
【請求項15】
アクチュエータ(30)を偏向可能部材(18)に係合させて、偏向可能部材を第1の位置から第2の位置へ動かすことと、内側空洞(13)内へのコイルばね(C)の挿入後にアクチュエータを係合解除して、偏向可能部材が第1の位置へ動くことを可能にし、それによって保持形成物がコイルばねに係合して、コイルばねを内側空洞内で保持することとを含む、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ばねを保持するためのデバイス、そのようなデバイスを含む装置、ならびにそのようなデバイスおよび装置の使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多くのデバイスは、1つまたはそれ以上のばねを必要とし、そのようなデバイスを組み立てる方法および装置は、そのようなばねの正確な、繰り返される取出し、移動、および配置を必要とする。アセンブリ内に1つまたはそれ以上のばねを含むデバイスには、薬剤注射デバイスが含まれる。そのようなデバイスは、薬剤送達プロセスの前、間、または後の薬物投与機構の動作または1つもしくはそれ以上の安全機能の配置を含む、デバイスの様々な機能を容易にするためのばねを含むことができる。
【0003】
ばねは、大量にまとめて収納または運搬されると容易に絡まることがあり、製造されているデバイス内へ組み立てる必要があるときにばねを分離するのは困難でありかつ時間がかかり、したがって製造プロセスの点からも非効率的でコストがかかる可能性がある。大量製造プロセスでは、生産時間の損失、生産性および生産高の損失、ならびに製造および製品コストへの影響を招くため、たとえば機械の詰まりまたは障害によって、組立てラインでエラーが生じたり、または生産ラインの中断が必要になったりすることは望ましくない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、1つまたはそれ以上のばねを収容する製品の製造プロセスでは、そのようなプロセスで使用するためにそのようなばねの繰り返される確実な取出し、輸送、および配置を容易にし、かつ/またはばねの完全性の保護および確保に役立つことのできるデバイスを提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示によれば、製造組立てプロセスにおけるコイルばねの受取り、保持、および排出のためのばねキャリアが提供され、ばねキャリアは、コイルばねを受け取るように構成された内側空洞を画成する細長い中空本体と、内側空洞内へのコイルばねの挿入および/または内側空洞内からのコイルばねの抜取りのために中空本体の第1の近位端に位置する開口部とを含み、中空本体は、第1の近位端とは反対に位置する第2の遠位端を含み、ばねキャリアはさらに、中空本体の第2の遠位端に近接して配置され、内側空洞内に配置されたコイルばねを係合および保持するように構成された保持形成物を含む少なくとも1つの偏向可能部材を含み、偏向可能部材は、保持形成物が内側空洞内に配置されたコイルばねを係合および保持するように内側空洞内へ延びる第1の非付勢位置と、保持形成物が内側空洞内に配置されたコイルばねを係合解除するように外方に配置された第2の付勢位置との間で可動である。
【0006】
保持形成物は、偏向可能部材が第1の位置にあるときより偏向可能部材が第2の位置にあるときに、さらに外方に延びることができる。保持形成物が第2の付勢位置で外方に配置されるということは、ばねキャリアの中心軸または側壁の表面に対して外方に位置することを含むことができ、保持形成物は、その径方向外方に位置することができる。
【0007】
保持形成物は、偏向可能部材が第2の付勢位置にあるとき、内側空洞の内面から外方に配置することができる。
【0008】
偏向可能部材は、第1の位置で中空本体の中心軸に実質的に平行に延びることができる。
【0009】
偏向可能部材は、第1の非付勢位置で弛緩状態になることができ、第2の付勢位置で弾性変形することができる。
【0010】
偏向可能部材は、アクチュエータに係合して偏向可能部材を第1の位置から第2の位置へ偏向させるための作動機能を含むことができる。
【0011】
作動機能は、中空本体の中心軸に対して鋭角に配置された接触面を含むことができる。
【0012】
作動機能は、偏向可能部材上に遠位に配置されたヘッドを含むことができ、ヘッドは、中空本体の中心軸に対して鋭角に配置された傾斜を含むことができる接触面を含むことができる。
【0013】
偏向可能部材は、内側空洞内に配置されたコイルばねの端部に係合するための当接ステップを含むことができる。当接ステップは、第1の近位端に対向する表面を含むことができる。当接ステップは、中空本体の中心軸に実質的に直交する平面内に位置することができる。
【0014】
保持形成物は、偏向可能部材から内方に延びる少なくとも1つの突出要素を含むことができる。
【0015】
保持形成物は、内側空洞内に配置されたコイルばねの一部分を受け取るように構成された少なくとも1つのノッチを含むことができる。ノッチは、突出要素とヘッドとの間に画成することができる。
【0016】
ヘッドは、突出要素より大きい距離だけ内側空洞内へ径方向内方に延びることができる。
【0017】
偏向可能部材は、中空本体の側壁と一体形成することができる。
【0018】
偏向可能部材は、中空本体の側壁内のアパーチャ内に配置することができる。
【0019】
中空本体は、第2の端部の最も遠位の領域で中空本体の周辺部全体に延びる連続環状部分を含むことができ、連続環状部分は、偏向可能部材よりさらに第2の遠位端に向かって配置される。
【0020】
偏向可能部材は、弾性アームの固定された近位端の周りで曲がるように構成された弾性アームを含むことができる。
【0021】
ばねキャリアは、複数の偏向可能部材を含むことができる。複数の偏向可能部材は、中空本体の周辺部に等しく隔置することができる。ばねキャリアは、中空本体上に互いに直径方向に対向して配置された2つの偏向可能部材を含むことができる。
【0022】
中空本体は、断面が円形の円筒管とすることができる。中空本体は、その長さに沿って断面寸法に関して実質的に均一とすることができる。
【0023】
中空本体は、実質的に剛性を有することができ、その断面形状から容易に変形可能でない。この偏向可能部材または各偏向可能部材は、中空本体の側壁に対して第1および第2の位置間で偏向可能とすることができる。
【0024】
中空本体は、中空本体から径方向外方に延びるフランジを含むことができる。フランジは、中空本体の第1の近位端に配置することができる。
【0025】
ばねキャリアは、中空本体の第2の遠位端に開口部を含むことができる。
【0026】
中空本体の第2の遠位端に位置する開口部は、内側空洞の断面寸法と同じ断面寸法のものとすることができる。
【0027】
中空本体の第2の遠位端に位置する開口部は、内側空洞の断面寸法より小さい断面寸法のものとすることができる。
【0028】
ばねキャリアは、少なくとも1つの窓を含むことができ、少なくとも1つの窓は、ばねキャリア内に配置されたコイルばねが窓を通してばねキャリアの外側から見えることを可能にする。この窓または各窓は、中空本体の側壁内に形成することができ、中空本体の側壁内で、中空本体の第1の近位端と第2の遠位端との間の場所に形成することができる。この窓または各窓は、少なくとも1つの偏向可能部材内に形成することができる。この窓または各窓は、側壁およびこの偏向可能部材または各偏向可能部材のうちの一方または両方に形成することができる。
【0029】
中空本体の第1の近位端に位置する開口部は、開口部が第1の近位端に向かって広がるように、先細り領域を含むことができる。
【0030】
中空本体の第2の遠位端に位置する開口部は、開口部が第2の遠位端に向かって広がるように、先細り領域を含むことができる。
【0031】
中空本体の第2の遠位端は、中空本体から内方に延びる1つまたはそれ以上の突起を含むことができる。この突起または各突起は、中空本体の第2の遠位端に位置する開口部を少なくとも部分的に横切って延びることができる。中空本体の第2の端部は、第2の遠位端に位置する開口部の周りを少なくとも部分的に延びる内方に突出するリップを含むことができる。中空本体の第2の遠位端は、端壁によって部分的に閉鎖することができる。
【0032】
ばねキャリアは、ばねキャリアを使用することができる装置上の対応する配向機能と協働するように構成された1つまたはそれ以上の配向機能を含むことができる。配向機能は、使用中にばねキャリアを正確に位置合わせすることを可能にすることができる。そのような配向機能は、フランジ内に1つまたはそれ以上の凹部またはスロットを含むことができる。そのような配向機能は、直径方向に対向するスロットをフランジ内に含むことができる。
【0033】
突出要素は、複数の偏向可能部材上に設けることができる。1つの偏向可能部材上のこの突出要素または各突出要素は、別の偏向可能部材上の対応するこの突出要素または対応する各突出要素と中空本体の軸方向に位置合わせすることができる。1つの偏向可能部材上のこの突出要素または各突出要素は、別の偏向可能部材上の対応するこの突出要素または対応する各突出要素から中空本体の軸方向にずらすことができる。
【0034】
この偏向可能部材または各偏向可能部材に設けられた突出要素は、異なるサイズとすることができ、各々この偏向可能部材または各偏向可能部材から異なる距離だけ突出することができる。突出要素は、この偏向可能部材もしくは各偏向可能部材の自由端に向かう方向、および/または中空本体の第2の遠位端に向かう方向に、サイズおよび/または突出距離を増大させることができる。
【0035】
この偏向可能部材または各偏向可能部材は、第2の位置で、1mm~4mmの距離だけ横方向外方に偏向するように構成することができ、この距離は、1mm~3mmとすることができ、1~2mmとすることができ、約1.5mmとすることができる。
【0036】
この偏向可能部材または各偏向可能部材は、第2の位置で、約4から12度の角度だけ横方向外方に偏向するように構成することができ、この角度は、6から10度とすることができ、約8度とすることができる。
【0037】
この偏向可能部材または各偏向可能部材は、弾性アームの外側領域に設けられた傾斜している復元面を含むことができる。復元面は、中空本体の第2の遠位端に向かう方向に内方へ傾斜することができる。
【0038】
ばねキャリアは、中空本体の側壁の内面から内方に突出する1つまたはそれ以上の心出しラグを含むことができる。心出しラグは、中空本体の中心軸の方へ突出することができる。心出しラグは、中空本体の側壁の内周に等しく隔置することができる。この心出しラグまたは各心出しラグは、中空本体の第2の遠位端に向かう方向に内方突出距離を増大させる傾斜として形成することができる。
【0039】
本開示では、上述したようなばねキャリアと、偏向可能部材に係合するように構成され、偏向可能部材を第1の位置から第2の位置へ動かすように動作可能なアクチュエータとを含む装置も提供される。
【0040】
アクチュエータは、中空本体の第2の遠位端に位置する開口部内へ挿入されるように構成された細長いロッドを含むことができる。アクチュエータは、それだけに限定されるものではないが、プラスチック、金属、たとえばステンレス鋼、および磁性材料を含む、任意の好適な材料を含むことができる。
【0041】
アクチュエータは、この偏向可能部材または各偏向可能部材に係合するように構成された面取り端または傾斜端を含むことができる。
【0042】
アクチュエータの中心軸に対するアクチュエータの端部に位置する傾斜端または面取り部の角度は、アクチュエータが偏向可能部材に係合されたときに傾斜端/面取り部および接触面が表面接触するように、中空本体の中心軸に対する偏向可能部材の接触面の角度に実質的に等しくすることができる。
【0043】
アクチュエータは、アクチュエータを通って延び、空気源に接続して、アクチュエータを通って中空本体に入る空気の流れを生成するように構成された空気流通路を含むことができる。
【0044】
アクチュエータの遠位端に空気出口を設けることができ、空気出口は、アクチュエータを通って空気出口から中空本体に入る空気の流れを可能にするように、空気流通路と流体連通している。
【0045】
空気出口は、アクチュエータの中心軸に対して平行ではなく鋭角に空気出口から出る空気の流れを誘導するように構成される。
【0046】
アクチュエータは、面取り端から延びる細くされたセクションを含むことができ、細くされたセクションは、コイルばねがばねキャリア内に配置されたとき、コイルばね内に受け入れられるように構成される。アクチュエータの細くされたセクションは、細くされたセクションの軸方向の長さに沿って一定の直径とすることができる。アクチュエータの細くされたセクションは、アクチュエータの遠位端に向かう方向に、細くされたセクションの軸方向の長さに沿って直径を低減させることもできる。
【0047】
アクチュエータは、金属製コイルばねを引き付けて保持するように構成された磁性部分を含むことができる。そのような磁性部分は、使用の際にばねキャリア内へ挿入されるアクチュエータの遠隔端に設けることができる。磁性部分は、ばねキャリア内へのコイルばねの挿入工程中に、コイルばねの所望の位置を位置合わせおよび維持する助けとなり得る。
【0048】
アクチュエータは、少なくとも1つの可動ジョーを含むことができ、少なくとも1つの可動ジョーは、ばねキャリア内へ挿入され、少なくとも1つの偏向可能部材に係合して、少なくとも1つの偏向可能部材を第1の非付勢位置から第2の付勢位置へ動かすように可動になるように構成される。アクチュエータは、複数の可動ジョーを含むことができる。可動ジョーは、この偏向可能部材または各偏向可能部材に係合するように、互いに離れる方へ可動とすることができる。アクチュエータは、アクチュエータが作動させるために使用されるように構成されたばねキャリアに設けられた偏向可能部材の数に等しい数の可動ジョーを含むことができる。
【0049】
この可動ジョーまたは各可動ジョーは、第1の係合解除位置から第2の係合位置へ可動とすることができる。このジョーまたは各ジョーは、第1の係合解除位置でロッドを形成するように配置することができる。このジョーまたは各ジョーは、ロッド状の係合解除位置から係合位置へ実質的に径方向外方に可動とすることができる。アクチュエータは、このジョーまたは各ジョーを可動に取り付けることができるチャックを含むことができる。
【0050】
本開示では、上述した装置と、ばねキャリアからのコイルばねの抜取りを可能にするために、アクチュエータがばねキャリアに係合されている間に、ばねキャリアを受け取ってばねキャリアを配置するように構成されたばね抜取りステーションとを含む製造装置も提供される。
【0051】
本開示では、上述したような装置と、コイルばね製造機械とを含む組立てシステムも提供され、コイルばね製造機械は、コイルばねを作製するように構成され、システムは、作製されたコイルばねをばねキャリア内へ送り込むように配置された挿入ステーションをさらに含む。
【0052】
組立てシステムは、上述した抜取りステーションを含む製造装置をさらに含むことができる。
【0053】
本開示では、上述したようなばねキャリアを使用してコイルばねを操作する方法も提供され、この方法は、偏向可能部材を第1の位置から第2の位置へ動かすことと、中空本体の第1の近位端に位置する開口部を通ってコイルばねを内側空洞内へ挿入することと、偏向可能部材を第2の位置から第1の位置へ動かし、それによって保持形成物がコイルばねに係合してコイルばねを内側空洞内で保持することとを含む。
【0054】
本開示では、上述したようなばねキャリアを使用してコイルばねを操作する方法も提供され、この方法は、偏向可能部材を第1の位置から第2の位置へ動かし、それによって保持形成物が内側空洞内に配置されたコイルばねを係合解除して、コイルばねが中空本体の第1の近位端に位置する開口部を通って内側空洞から抜き取られることを可能にすることを含む。
【0055】
本開示では、製造組立てプロセスにおけるコイルばねの受取り、保持、および排出のためのばねキャリアを使用してコイルばねを操作する方法も提供され、ばねキャリアは、内側空洞を画成する細長い中空本体と、中空本体の第1の近位端に位置する開口部と、第1の近位端とは反対に位置する第2の遠位端と、中空本体の第2の遠位端に近接して配置され、保持形成物を含む少なくとも1つの偏向可能部材とを含み、この方法は、偏向可能部材を保持形成物が内側空洞内へ延びる第1の位置から保持形成物が外方に延びる第2の位置へ動かすことと、中空本体の第1の近位端に位置する開口部を通ってコイルばねを内側空洞内へ挿入することと、偏向可能部材を第2の位置から第1の位置へ動かし、それによって保持形成物がコイルばねに係合してコイルばねを内側空洞内で保持することとを含む。
【0056】
この方法は、アクチュエータをこの偏向可能部材または各偏向可能部材に係合させて、偏向可能部材を第1の位置から第2の位置へ動かすことと、内側空洞内へのコイルばねの挿入後にアクチュエータを係合解除して、偏向可能部材が第1の位置へ動くことを可能にし、それによって保持形成物がコイルばねに係合して、コイルばねを内側空洞内で保持することとを含むことができる。
【0057】
本開示では、製造組立てプロセスにおけるコイルばねの受取り、保持、および排出のためのばねキャリアを使用してコイルばねを操作する方法も提供され、ばねキャリアは、内側空洞を画成する細長い中空本体と、中空本体の第1の近位端に位置する開口部と、第1の近位端とは反対に位置する第2の遠位端と、中空本体の第2の遠位端に近接して配置され、保持形成物を含む少なくとも1つの偏向可能部材とを含み、この方法は、偏向可能部材を保持形成物が内側空洞内へ延びる第1の位置から保持形成物が外方に延びる第2の位置へ動かし、それによって保持形成物が内側空洞内に配置されたコイルばねを係合解除して、コイルばねが中空本体の第1の近位端に位置する開口部を通って内側空洞から抜き取られることを可能にすることを含む。
【0058】
この方法は、アクチュエータをこの偏向可能部材または各偏向可能部材に係合させて、偏向可能部材を第1の位置から第2の位置へ動かし、それによって保持形成物が内側空洞内に配置されたコイルばねを係合解除することを含むことができる。
【0059】
アクチュエータをこの偏向可能部材または各偏向可能部材に係合させることは、中空本体の第2の遠位端に位置する開口部内へアクチュエータを挿入することを含むことができる。
【0060】
この方法は、コイルばね抜取りプロセス中の第2の位置ではなく、コイルばね挿入プロセス中の異なる第2の位置へ、この偏向可能部材または各偏向可能部材を動かすことを含むことができる。この偏向可能部材または各偏向可能部材は、コイルばね抜取りプロセスで、コイルばね挿入プロセスよりさらに外方に偏向させることができる。
【0061】
ばねキャリアは、中空本体の側壁および少なくとも1つの偏向可能部材のうちの少なくとも一方に窓を含むことができ、この方法は、これらの窓のうちのこの1つまたは少なくとも1つによって、中空本体の内側空洞内のコイルばねの有無を検出することを含むことができる。窓による中空本体の内側空洞内のコイルばねの有無の検出は、窓と位置合わせされたカメラまたは光センサを使用することを含むことができる。
【0062】
実施形態について、例示のみを目的として、添付の図面を参照して次に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【
図1】本発明の一実施形態のばねキャリアの斜視図である。
【
図3】
図1および
図2のばねキャリアの第2の端部に位置する領域の拡大切欠斜視図である。
【
図4】
図1~
図3のばねキャリアの第2の端部に位置する領域の拡大断面図である。
【
図5】
図5A~
図5Eは、ばねキャリア内へのコイルばねの挿入中の
図1~
図4のばねキャリアの使用工程のシーケンスを示す図である。
【
図6】
図6A~
図6Eは、ばねキャリアからのコイルばねの抜取り中の
図1~
図5Eのばねキャリアの使用工程のシーケンスを示す図である。
【
図7A】
図5Dのものに類似しているが、本発明の別の実施形態のばねキャリアのシーケンス工程を示す図である。
【
図7B】偏向状態にある偏向可能部材、およびばねキャリアの保持形成物、ならびにアクチュエータを示す、
図7Aの一部分の拡大図である。
【
図8B】弛緩状態にある偏向可能部材、およびばねキャリアの保持形成物、ならびにばねキャリア内に固定されたコイルばねを示す、
図8Aの一部分の拡大図である。
【
図9B】偏向状態にある偏向可能部材を示す、
図9Aの一部分の拡大図である。
【
図11】本発明の一実施形態の組立てシステムの概略図である。
【
図12】本発明の一実施形態の保持形成物を示す、対向する偏向可能部材の概略断面図である。
【
図13】本発明の別の実施形態の保持形成物を示す、対向する偏向可能部材の概略断面図である。
【
図15A】第1の変形形態の保持形成物を示す、本発明の一実施形態の偏向可能部材の一部分の拡大図である。
【
図15B】第2の変形形態の保持形成物を示す、本発明の一実施形態の偏向可能部材の一部分の拡大図である。
【
図15C】第3の変形形態の保持形成物を示す、本発明の一実施形態の偏向可能部材の一部分の拡大図である。
【
図16】本発明の別の実施形態のばねキャリアの側面斜視図である。
【
図17A】本発明の別の実施形態のばねキャリアの上面斜視図である。
【
図17D】
図17Cよりわずかに外方に変位させられた偏向可能部材と、ばねキャリアに隣接して配置された復元ツールとを示す、
図17Cの一部分の拡大図である。
【
図17E】
図17Dのものに類似しているが、復元ツールが偏向可能部材に係合して、ばねキャリアの外面と同一平面に位置するように偏向可能部材を復元した拡大図である。
【
図18】本発明の別の実施形態のばねキャリアの底端の一部分の底面斜視図である。
【
図19A】
図5Dおよび
図7Aのものに類似しているが、本発明の別の実施形態のばねキャリアおよびアクチュエータのシーケンス工程を示す図である。
【
図19B】偏向状態にある偏向可能部材、およびばねキャリアの保持形成物、ならびにアクチュエータを示す、
図19Aの一部分の拡大図である。
【
図20B】弛緩状態にある偏向可能部材、およびばねキャリアの保持形成物、ならびにばねキャリア内に固定されたコイルばねを示す、
図20Aの一部分の拡大図である。
【
図22】本発明の別の実施形態のばねキャリアの部分断面図である。
【
図23】本発明の別の実施形態のばねキャリアの斜視端面図である。
【
図25】
図25A~
図25Eは、アクチュエータの代替構成を有する本発明のばねキャリアの使用工程のシーケンスを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0064】
図1~
図4は、中空本体11を含む本発明の一実施形態のばねキャリア10を示し、中空本体11は、管として形成された側壁12を有し、内側空洞13を画成する。中空本体11は、対向する第1の近位端14および第2の遠位端15を含む。中空本体11は、断面が円形であり、中心軸X-Xを含む。第1の近位端14に第1の開口部16が設けられる。例示的な実施形態では、第2の遠位端15に第2の開口部17が設けられる。内側空洞13は、第1および第2の開口部16、17のどちらを介してもアクセス可能である。
【0065】
ばねキャリア10は、2つの偏向可能部材18を含み、示されている例示的な実施形態では、偏向可能部材18は弾性アーム18を構成する。弾性アーム18は、中空本体11の側壁12に設けられる。弾性アーム18は、弾性アーム18の周りに空間20が設けられるように、側壁12のアパーチャ19内に配置される。弾性アーム18は、それぞれの固定端21で側壁12に接合される。弾性アーム18は、固定端21の周りで曲がるように構成される。弾性アーム18は、それぞれの弾性アーム18のうち固定端21とは反対に位置する端部に自由端22を有する。弾性アーム18は、アクチュエータ30(より詳細には後述)に係合して使用の際に弾性アーム18を動かすように動作可能な作動機能23を含む。示されている例示的な実施形態では、作動機能は、各弾性アーム18の自由端22に設けられたヘッド23を含む。
【0066】
ヘッド23は、それぞれの弾性アーム18の自由端22の遠隔部分から延びる接触面24を含む。接触面24は、中心軸X-Xに向かって内方に延びる傾斜面を含み、この傾斜面は、中心軸X-Xに対して鋭角θ1で配置される。接触面24は、中心軸X-Xに対して15から55度の角度θ1で構成することができ、角度θ1は、たとえば、20から50度とすることができ、25から45度とすることができ、30から40度とすることができ、約35度とすることができる。
【0067】
弾性アーム18は、使用の際、コイルばねCが内側空洞13内に配置されたときにコイルばねCに係合し、コイルばねCを内側空洞13内の定位置で保持するように構成された保持形成物を含む。保持形成物は、それぞれの弾性アーム18から延びる突出要素25を含み、突出要素25は、中空本体11の中心軸X-Xに向かって内方に誘導される。突出要素25は、それぞれの弾性アーム18に沿ってそれぞれのヘッド23から隔置され、したがって保持形成物はまた、各弾性アーム18上でヘッド23と突出要素25との間に画成されたノッチ26を含む。
【0068】
弾性アーム18は、中空本体11の中心軸X-Xに実質的に平行に延びる。弾性アーム18は、弾性偏向されることによって可動である。弾性アーム18は、第1の位置にあるときは弛緩状態にあり、弾性アーム18は、中空本体11の中心軸X-Xに実質的に平行に延び、中空本体11の側壁12と実質的に同一平面になる。弾性アーム18は、中心軸X-Xから離れて第2の位置内へ偏向させることができる。弾性アームは、第2の位置で弾性変形される。
【0069】
それぞれの弾性アーム18が第1の弛緩位置にあるとき、中空本体11の側壁12の内面の平面の径方向内方に、突出要素25の最も内側の部分を配置することができる。ヘッド23は、少なくとも弾性アーム18の第1の弛緩位置において、中心軸X-Xに向かって各弾性アーム18の突出要素25よりさらに内方に延びることができる。これはたとえば
図4に見ることができ、中空本体11の外面とヘッド23の最も内側の部分との間の距離D1は、中空本体11の外面と突出要素25の最も内側の部分との間の距離D2より大きい。たとえば、ヘッド23は、弾性アーム18の第1の弛緩位置および弾性アーム18の第2の弾性変形位置の両方で、中心軸X-Xに向かって各弾性アーム18の突出要素25よりさらに内方に延びる。この構成により、弾性アーム18が第2の変形位置にあるときは、コイルばねCを内側空洞13内へ挿入可能にすることができ、弾性アーム18が第2の変形位置にあるときでも、突出要素はコイルばねに接触しないが、コイルばねCがヘッド23を越えることはできない。これは、
図7A~
図8Bを参照して以下でより詳細に説明する。しかし本発明は、この構成に限定されるものではなく、他の実施形態では、ヘッド23は、少なくとも弾性アーム18の第1の弛緩位置において、中心軸X-Xに向かって内方に各弾性アーム18の突出要素25より小さい距離だけ延びることができる。
【0070】
中空本体11は、中空本体11の第2の端部の最も遠位の領域に、連続環状部分27を含む。連続環状部分27は、中空本体11の周辺部全体に延び、弾性アーム18よりさらに第2の端部に向かって配置される。
【0071】
中空本体11の外面にフランジ28が設けられ、中心軸X-Xに直交する方向に径方向外方へ延びる。示されている例示的な実施形態では、フランジ28は、中空本体11の第1の近位端の最も近位の領域に配置される。
【0072】
使用の際、製造および組立てプロセス中に、ばねキャリア10は、コイルばねCの受取り、保持、運搬、および排出のうちの少なくとも1つを実行するために使用することができる。そのような製造プロセスは、たとえば薬剤送達デバイスを製造する方法を含むことができ、そのような方法では、薬剤送達機構を作動させるため、または薬剤が送達された後に針安全機構を作動させるための付勢部材として、コイルばねCが必要とされることがある。ばねキャリア10の使用について、
図5A~
図5Eおよび
図6A~
図6Eを参照して次に説明する。
【0073】
ばねキャリア10は、弾性アーム18を動かすように動作可能なアクチュエータ30とともに使用されることが意図される。アクチュエータ30およびばねキャリア10は、本発明の装置の2つの構成要素を構成することができる。そのような装置は、ばねキャリア装置を含むことができ、医療デバイスのための組立てシステムまたは装置の一部を含むことができ、薬剤注射デバイスのための組立ておよび/または製造装置/システムの一部を含むことができる。しかし、本発明は、医療デバイスの分野に限定されることを意図したものではなく、1つまたはそれ以上のばねの取扱いおよび運搬が必要とされるあらゆる技術分野に適用可能である。
【0074】
アクチュエータ30は、中心軸Y-Yを含むロッドを含む。アクチュエータ30は、中空本体11の内側空洞13内を摺動するように構成される。示されている例示的な実施形態では、中空本体11は断面が円筒形であり、アクチュエータ30は、内側空洞13の内径よりわずかに小さい外径を有する円筒形のロッドである。アクチュエータ30は、遠位端31と、湾曲した外側面32とを含む。アクチュエータ30は、遠位端31と側面32との間に面取り面33を含む。面取り面33は、
図5Aに示すように、アクチュエータの中心軸Y-Yに対して鋭角θ2に延びる。たとえば、面取り面33は、アクチュエータの中心軸Y-Yに対して、ヘッド23の傾斜した接触面24が中空本体11の中心軸X-Xに対して延びる角度θ1と実質的に同じ鋭角θ2に延びるように構成することができる。これにより、使用中のアクチュエータ30とヘッド23との間の改善された係合を可能にすることができ、繰返し使用中のそれぞれの接触面の摩耗を低減させることができる。角度θ2および/または角度θ1は、10から50度とすることができ、15から45度とすることができ、20から40度とすることができ、25から35度とすることができ、約30度とすることができる。
【0075】
図5A~
図5Eは、コイルばねCをばねキャリア10内へ挿入する方法工程を示す。
図5Aに示す第1の工程で、アクチュエータ30は、中空本体11の第2の端部15に向かって提示される。アクチュエータ30の中心軸Y-Yは、中空本体11の中心軸X-Xと位置合わせされており、中空本体11の中心軸X-Xと同軸である。
【0076】
図5Bに示す次の工程で、アクチュエータ30は、
図5Bに矢印Bによって示すように、ばねキャリア10に向かって軸方向に動かされ、アクチュエータ30の遠位端31は、中空本体11の第2の端部15に位置する第2の開口部17内へ挿入される。アクチュエータ30はまず、中空本体11の環状部分27を通過する。これは、中空本体11およびアクチュエータ30の軸X-X、Y-Yが同軸を維持するように、アクチュエータ30を中空本体11内で位置合わせする働きをする助けとなり得る。中空本体11の連続環状部分27はまた、ばねキャリア10の弾性アーム18の周りに構造的強度を提供する働きをすることができ、ばねキャリア10がその形状を保持する助けとなり、ばねキャリア10が使用される製造および組立てプロセスにおいて繰返し動作による損傷を回避することができる。
【0077】
アクチュエータ30は次いで、弾性アーム18に係合する。具体的には、アクチュエータ30の面取り面33は、弾性アーム18の各々のヘッド23の傾斜した接触面24に当接する。アクチュエータ30は、
図5Bに示すような負荷位置に到達するまで、引き続きばねキャリア10に向かって軸方向に動かされる。この位置で、アクチュエータ30は、
図5Bに矢印Dによって示すように、弾性アーム18を径方向外方に弾性偏向させている。弾性アーム18は、それぞれの固定端21の周りで曲がる。したがって、各弾性アーム18の突出要素25およびノッチ26の保持形成物もまた、弾性アーム18が動くにつれて外方に、内側空洞13を画成する中空本体11の側壁12の内面の軸方向突出部から外方に動かされる。本開示では、「内方」および「外方」という用語は、概してばねキャリア10の本体に対して、たとえば中心軸X-Xに対して、またはばねキャリア10の中空本体11に対して使用されることが理解されよう。したがって、弾性アーム18の外方への動きは、中心軸X-Xから径方向外方の方向に生じることが意図される。
【0078】
図5Cに示す次の工程で、コイルばねCは、矢印Eによって示すように、中空本体11の第1の端部14に位置する第1の開口部16を通って内側空洞13内へ挿入される。コイルばねCは、内側空洞13の内径よりわずかに小さい外径を有するサイズである。弾性アーム18が径方向外方偏向位置にあるとき、内側空洞13内へ挿入されるときに各弾性アーム18上の保持形成物はコイルばねCに接触せず、コイルばねCは、
図5Dに示すようにアクチュエータ30に当接するまで、内側空洞13内へ落ちることが可能になる。
【0079】
工程5Eで、アクチュエータ30は次いで、矢印Fによって示すように、ばねキャリア10から離れる方へ軸方向に動かされる。これにより、アクチュエータ30が弾性アーム18から係合解除され、したがって弾性アーム18は次いで、矢印Gによって示すように、弾性アーム18の材料の弾性回復によってその第1の静止位置へ戻る。弾性アーム18が第1の弛緩位置に到達すると、保持形成物はコイルばねCに係合する。すなわち、コイルばねCの端部コイルが、各弾性アーム18のノッチ26内に受け入れられ、突出要素25は、コイルばねCの端部コイル間に受け取られる。コイルばねCは、それによってばねキャリア10内に固定して保持され、コイルばねCを利用予定の場所および製造/組立て装置へ、ばねキャリア10内で運搬することができる。
【0080】
ばねキャリア10からのコイルばねCの抜取りプロセスについて、
図6A~
図6Eを参照して次に説明する。抜取りプロセスが開始する前に、コイルばねCを必要とする組立てまたは製造プロセスにおける前工程で、ばねキャリア10は、挿入方法工程に示す向きから反転され、したがってばねキャリア10は、第1の端部14が最も下になり、第2の端部15が最も上になるように向けられる。ばねキャリア10はまた、それぞれの組立て/製造プロセスのためにコイルばねCを配置するべき場所の真上に位置する。たとえば、ばねキャリア10は、抜取りプロセスに対して垂直に位置合わせすることができる。これは、ばねキャリア10からコイルばねCを一貫してまっすぐに、すなわち中空本体11の中心軸X-Xと位置合わせされた方向に、抜き取る助けとなり得る。
【0081】
抜取りプロセスは概して、上述した挿入プロセスの逆である。
図6Aに示す第1の工程で、ばねキャリア10は、第1の端部14が最も下になるように実質的に垂直に向けられ、アクチュエータ30は、上から垂直に提示され、中空本体11の第2の端部15に向かって下方へ動かされる。アクチュエータ30の中心軸Y-Yは、中空本体11の中心軸X-Xと位置合わせされており、中空本体11の中心軸X-Xと同軸である。
【0082】
図6Bに示す次の工程で、アクチュエータ30は、矢印Bによって示すように、ばねキャリア10に向かって軸方向に動かされ、アクチュエータ30の遠位端31は、中空本体11の第2の端部15に位置する第2の開口部17内へ挿入される。アクチュエータ30はまず、中空本体11の環状部分27を通過し、この場合も、中空本体11およびアクチュエータ30の軸X-X、Y-Yが同軸を維持するように、アクチュエータ30を中空本体11と位置合わせする助けとなり得る。
【0083】
アクチュエータ30は次いで、弾性アーム18に係合する。具体的には、アクチュエータ30の面取り面33は、弾性アーム18の各々のヘッド23の傾斜した接触面24に当接する。アクチュエータ30は、
図6Bに示すような解放位置に到達するまで、引き続きばねキャリア10に向かって軸方向に動かされる。この位置で、アクチュエータ30は、矢印Dによって示すように、弾性アーム18を径方向外方に弾性偏向させている。弾性アーム18は、それぞれの固定端21の周りで曲がる。したがって、各弾性アーム18の突出要素25およびノッチ26の保持形成物もまた、外方に動かされて、コイルばねCから係合解除される。
【0084】
図6Cに示す次の工程で、弾性アーム18は径方向外方偏向位置にあるため、各弾性アーム18上の保持形成物はコイルばねCに接触せず、したがってコイルばねCは、その自重下で、内側空洞13から中空本体11の第1の端部14に位置する第1の開口部16を通って自由に落ちる。コイルばねCは、ばねキャリア10の外側の必要な場所へ落ち、したがって
図6Dに示すように、コイルばねCはばねキャリアから完全に抜き取られる。
【0085】
工程6Eで、アクチュエータ30は次いで、矢印Fによって示すように、ばねキャリア10から離れる方へ軸方向に動かされる。これにより、アクチュエータ30が弾性アーム18から係合解除され、したがって弾性アーム18は次いで、矢印Gによって示すように、弾性アーム18の材料の弾性回復によってその第1の静止位置へ戻る。次いで、後のばね挿入および抜取りプロセスで再利用するために、ばねキャリア10を収集して返すことができる。
【0086】
挿入プロセスおよび抜取りプロセスのどちらにおいても、ばねキャリア10は、コイルばねCを挿入/抜取り予定の場所と正確に位置合わせすることができ、所望される場合、コイルばねCを排出予定のばねキャリア10または装置の端部に引っかかることなく、コイルばねCを効果的に運搬することが可能である。このようにして、製造エラーおよび/またはエラーを修正するための生産停止を削減または回避することができる。フランジ28は、使用の際にばねキャリアのための配置ガイドによって提供されるそのような位置合わせ不良の問題を回避する助けとなり得る。たとえば、コイルばねCの挿入または抜取り前に、フランジ28を組立て/製造装置の対応する形状の凹部内に配置することができ、それによって中空本体11の中心軸X-XをコイルばねCの中心軸と同軸にすることを可能にすることができる。
【0087】
本発明の別の実施形態のばねキャリア10が、
図7A~
図10Bに示されており、前述のばねキャリア10の実施形態に共通の構成は同じ参照番号を保持しており、再度詳細には説明しない。
【0088】
図7A~
図10Bに示すばねキャリア10は、弾性アーム18の自由端22にヘッド23の異なる構成を有する。ヘッド23は、前述の実施形態と同様に、傾斜した接触面24を含む。しかし、ヘッド23はまた、より角張った当接ステップ34を含む。当接ステップ34は、傾斜した接触面24からそれぞれの弾性アーム18の内面へ延びる。
図7A~
図10Bの例示的な実施形態における当接ステップ34は、中空本体11の第1の端部14に対向する。弾性アーム18の弛緩位置(
図8Aおよび
図8Bならびに
図10Aおよび
図10B参照)で、弾性アーム18は中空本体11の中心軸X-Xに対して実質的に平行にかつ中空本体11の側壁12と実質的に同一平面に位置しており、当接面34は、中空本体11の中心軸X-Xに実質的に直交する平面内に延びる。一方、第1の記載の実施形態の同等の当接ステップ面は、中空本体11の中心軸X-Xに対して、たとえば鋭角に傾斜している。
【0089】
当接ステップ34の機能について、
図7A~
図8Bを参照して以下に説明する。
図7Aは、前述の実施形態の
図5Dの動作工程と同等であり、すなわちコイルばねCが中空本体11の内側空洞13内へ挿入され、アクチュエータ30はまだ負荷位置にあり、弾性アーム18が径方向外方に偏向されている。
図7Bは、
図7Aの一部分の拡大図を示し、弾性アーム18のヘッド23および当接ステップ34、ならびに面取り面33を有するアクチュエータ30をよりはっきりと示す。内側空洞13内へのコイルばねCの挿入工程中、コイルばねCは内側空洞13内へ自由に落ちる。アクチュエータ30は弾性アーム18を外方に偏向させ、したがって突出要素25がコイルばねCに接触せず動かされる。すなわち、突出要素25の最も内側の部分が中空本体11の側壁12の内面の平面から径方向外方に配置されるように、アクチュエータ30によって弾性アーム18を十分に径方向外方に偏向させることができる。したがって、コイルばねCは、突出要素25を越えて自由に動く。これは特に
図7Bに線L2によって示されており、線L2は、中空本体11の中心軸X-Xに平行に延び、突出要素25の径方向に最も内側の部分と交差する。線L2は、コイルばねCの径方向に最も外側の部分から径方向外方に配置されていることを見ることができる。
【0090】
弾性アーム18の偏向位置で、ヘッド23および当接ステップ34は、それぞれの突出要素25の径方向に最も内側の部分よりさらに径方向内方に延びる。これは特に
図7Bに線L1によって見ることができ、線L1は、中空本体11の中心軸X-Xに平行に延び、ヘッド23/当接ステップ34の径方向に最も内側の部分と交差する。線L1は、線L2から径方向内方に配置されていることを見ることができる。
【0091】
線L1はまた、コイルばねCの径方向に最も外側の部分から径方向内方に配置されていることを見ることができる。したがって、弾性アーム18の偏向位置でも、コイルばねCは弾性アームのヘッド23を越えることができず、代わりにそれぞれの弾性アーム18の当接面34に接触することによって阻止される。
【0092】
図7Aおよび
図7Bに示す実施形態では、弾性アーム18の偏向位置において、アクチュエータ30の遠位端面31は、中空本体11の中心軸X-Xに直交する方向に対して、当接面34と実質的に同じ高さである。したがって、コイルばねCの挿入は、コイルばねCが当接面34およびアクチュエータ30の遠位端面31の両方に当接することを伴うことができる。別法として、弾性アーム18の偏向位置において、アクチュエータ30の遠位端面31は、当接面34と同じ高さでなくてもよく、したがってコイルばねCの挿入は、コイルばねCが当接面34にのみ当接し、アクチュエータ30の遠位端面31には接触しないことを伴うことができる。
【0093】
アクチュエータ30がばねキャリア10から離れる方へ動かされた後、弾性アーム18は、
図8Aおよび
図8Bに示すように、弾性アーム18の材料の弾性弛緩によって第1の弛緩位置へ戻り、コイルばねCは、当接面34上に静止したままである。
図8Aは、前述の実施形態の
図5Eの動作工程と同等であり、すなわちコイルばねCが中空本体11の内側空洞13内へ挿入され、アクチュエータ30は弾性アーム18から係合解除されている。
図8Bは、
図8Aの一部分の拡大図を示す。この位置でも、後にばねキャリア10が動いている間、弾性アーム18の保持形成物はコイルばねCに係合して、コイルばねCを内側空洞13内で保持する。
【0094】
コイルばねCの抜取りプロセスを
図9A~
図10Bに示す。
図9Aは、前述の実施形態の
図6Dの動作工程と同等であり、すなわちコイルばねCが中空本体11の内側空洞13から抜き取られ、アクチュエータ30はまだ抜取り位置にあり、弾性アーム18が径方向外方に偏向されている。
図9Bは、
図9Aの一部分の拡大図を示し、弾性アーム18のヘッド23および当接ステップ34、ならびに面取り面33を有するアクチュエータ30をよりはっきりと示す。
【0095】
アクチュエータ30がばねキャリア10から離れる方へ動かされた後、弾性アーム18は、
図10Aに示すように、弾性アーム18の材料の弾性弛緩によって第1の弛緩位置へ戻る。
図10Aは、前述の実施形態の
図6Eの動作工程と同等であり、すなわちコイルばねCが中空本体11の内側空洞13から抜き取られ、アクチュエータ30は弾性アーム18から係合解除されており、次いで後のばね挿入および抜取りプロセスで再利用するために、ばねキャリア10を収集して返すことができる。
図10Bは、
図10Aの一部分の拡大図を示す。
【0096】
図7Bおよび
図9Bに示すように、アクチュエータ30が負荷および/または抜取り位置でばねキャリア10内へ挿入されたとき、弾性アーム18は、弾性アーム18が中空本体11の中心軸X-Xに対して実質的に平行にかつ中空本体11の側壁12と実質的に同一平面に位置する弛緩位置から、径方向外方に角度θ3だけ偏向される。角度θ3は、本発明の範囲内および/または本明細書に記載する本発明のあらゆる実施形態の範囲内で変動することができ、弾性アーム18の長さ、ヘッド23が弾性アーム18から内方に延びる距離、中空本体11の直径など、様々な寸法に応じて変動することができる。しかし、角度θ3は、約4から12度とすることができ、6から10度とすることができ、約8度とすることができる。これにより、弾性アーム18および/または中空本体11の材料を過度に疲労させることなく、上述した機能を実現するのに十分な弾性アーム18の偏向を可能にすることができる。すなわち、弾性アーム18は、弾性アーム18が意図される第1の弛緩位置に復元するための能力に影響するはずのばねキャリア10の材料の延性限界に到達することなく、繰返し弾性偏向して同じ弛緩位置に戻ることが可能である。弾性アーム18の所望の弾性性能に寄与する要因には、弾性アーム18の長さ、厚さ、および幅の寸法、ならびに弾性アームの弾性係数、弾性限界、および靭性(速度に対する変形抵抗)が含まれる。本明細書に記載する本発明のあらゆる実施形態の範囲内で、弾性係数の範囲は1800~2500MPaとすることができ、弾性限界は40~80MPaとすることができる。さらに、弾性アーム18の靭性は、150~300J/m
2とすることができる。使用の際、繰返し弾性変形を可能にし、弾性アーム18の材料の老化作用を制限するために、アームは最大弾性限界の40~80%にのみ偏向させることができる。
【0097】
図9Bはまた、横方向外方偏向距離d1を示す。これは、弾性アーム18が偏向位置で弛緩位置から外方へ偏向する距離であり、弛緩位置において、弾性アーム18の外面は中空本体11の側壁12の外面と同一平面に位置する。そのような偏向距離d1は、本発明の範囲内および/または本明細書に記載する本発明のあらゆる実施形態の範囲内で変動することができるが、1mm~4mmとすることができ、1mm~3mmとすることができ、1~2mmとすることができ、約1.5mmとすることができる。
【0098】
図7A~
図10Bに示すばねキャリア10の実施形態は、第1の端部14に位置する第1の開口部16に先細り領域16Aを含む。これは、上述した挿入工程中にコイルばねCを第1の開口部16内へ案内する助けとなり得る。そのような構成は、場合により、本明細書に記載する本発明のあらゆる実施形態に適用可能とすることができ、そのような実施形態とともに提供することができる。
【0099】
ばねキャリア10およびアクチュエータ30を含むばねキャリア装置の例示的な実施形態について上述した。上述したばねキャリア装置の変形形態は、ばねキャリア10からのコイルばねCの抜取りを容易にする手段を含むことができる。そのような変形形態について、
図6A~
図6Eを参照して説明する。
図6A~
図6Eを参照して上述した抜取りプロセスでは、工程6Cに示す工程で、弾性アーム18が径方向外方偏向位置にあり、各弾性アーム18上の保持形成物がコイルばねCに接触しないとき、コイルばねCは、その自重下で、内側空洞13から中空本体11の第1の端部14に位置する第1の開口部16を通って落ちる。上述した装置の変形形態では、装置は、内側空洞13を通る空気の流れを生成してばねキャリア10からコイルばねCを吹き飛ばすための空気流源または空気ジェットAを含むことができる。アクチュエータ30は、アクチュエータ30を通って延びる空気通路35を含むことができ、少なくとも1つの開端がアクチュエータ30の遠位端31に位置し、空気通路35の別の端部は加圧空気源Aに接続されており、または接続可能である。使用の際、アクチュエータ30が弾性アーム18を偏向位置へ動かすと、空気源Aを接続しまたはオンにして、空気通路35を通ってアクチュエータ30の遠位端31から出る空気の流れ(
図6Cに矢印Aによって示す)を送ることができる。次いで空気流はコイルばねCを捕捉して、コイルばねCをばねキャリア10から押し出すことができる。
【0100】
アクチュエータ30は、アクチュエータ30を通って延びる複数の空気通路35を含むことができ、および/またはアクチュエータ30は、アクチュエータ30の遠位端31への複数の空気通路出口36を含むことができる。空気通路35および/または空気流出口36は、アクチュエータ30の中心軸Y-Yに対して実質的に平行に位置合わせすることができる。加えて、または別法として、1つまたはそれ以上の空気流出口36および/または空気流通路35は、アクチュエータ30の中心軸Y-Yに対して斜めに向けることができる。後者の場合、傾斜している空気流出口36/通路35は、空気流がコイルばねCのコイルに衝突することを促して、コイルばねCをばねキャリア10から放出することを促すことができる。中心軸方向空気流通路35/出口36が設けられる実施形態では、コイルばねを通る空気流に乱流が生じても、コイルばねCをばねキャリア10から放出することを促すのに十分なコイルばねCのコイルに対する空気流の衝突を引き起こすことができる。
【0101】
ばねキャリア10、ならびにばねキャリア10およびアクチュエータ30を含む装置は、1つまたはそれ以上のコイルばねCを含むデバイスを製造するためのより大きい組立てシステムまたは装置の一部とすることができる。そのようなシステムは、複数の組立て機械またはステーションを含むことができる。そのような組立て機械/ステーションは、インラインプロセスとして、および2つまたはそれ以上の別個のプロセスとして構成することができる。例示的な組立てシステム50が、
図11に概略的に示されている。組立てシステム50は、全体として51と呼ばれるコイルばね作製システムを含む。コイルばね作製システム51は、コイルばねCを作成するコイル巻きステーション52と、コイルばねを加熱してばねの材料を焼き戻す加熱ステーション53とを含むことができる。次いで、加熱されたコイルばねを冷却ステーション54へ送り、コイルばねを冷却する。その後、コンベア55によって冷却されたコイルばねCを挿入ステーション56へ伝達し、挿入ステーション56は、アクチュエータ30を含む装置を含み、この装置をばねキャリア10に設けることができる。挿入ステーション56において、アクチュエータ30およびばねキャリア10は、上述したように、コイルばねCをばねキャリア10内へ挿入するように動作する。コイルばねCを保持したばねキャリア10は、抜取りステーション57へ運搬される。抜取りステーション57において、アクチュエータ30およびばねキャリア10は、上述したように、コイルばねCが利用される後のデバイス組立て工程で使用するために、コイルばねCをばねキャリア10から抜き取るように動作する。
【0102】
弾性アーム18上の突出要素25の構成および配置は、本発明の範囲内で変動することができ、本発明の範囲内および/または本明細書に記載するすべての実施形態の範囲内で意図されるそのような変形形態は、網羅的でない例として
図12~
図14に示されている。
【0103】
図12は、一実施形態の構成の概略断面図を示し、弛緩状態にある対向する弾性アーム18を示し、各弾性アーム18は、ヘッド23と、各弾性アームの軸方向に隔置された複数の突出要素25とを含む。一方の弾性アーム18の突出要素25は、対向する弾性アーム18の対応する突出要素25とばねキャリア10の軸方向に位置合わせされる。これは基準線Z-Zによって示されており、基準線Z-Zは、ばねキャリア10の軸X-Xに直交する方向に一方の弾性アーム18の各突出要素25を通って延び、対向する弾性アーム18上の対応する突出要素25を通って延びる。これは、ばねキャリア10内に保持されたとき、対向する突出要素25がコイルばねCの一領域に当接してその領域を締め付けることを促すことによって、最小の軸方向運動でコイルばねCを固定して保持する助けとなり得る。この配置は、場合により、2つの弾性アーム18または3つ以上の弾性アーム18を含む本発明のばねキャリア10の実施形態で適用可能とすることができる。
【0104】
図12の実施形態では、一方の弾性アーム18のヘッド23はまた、対向する弾性アーム18の対応するヘッド23とばねキャリア10の軸方向に位置合わせされる。これは基準線W-Wによって示されており、基準線W-Wは、ばねキャリア10の軸X-Xに直交する方向に一方の弾性アーム18のヘッド23を通って延び、対向する弾性アーム18上の対応するヘッド23を通って延びる。これは、上述したようにアクチュエータ30によって作動させたとき、各弾性アーム18の正確かつ同時の偏向を確実にする助けとなり得る。
【0105】
図12の実施形態では、各弾性アーム18上の複数の突出要素25は、各弾性アーム18の自由端22に向かって増分的にサイズを増大させる。すなわち、各突出要素25がばねキャリア10の中心軸X-Xに向かって内方に突出する距離は、各々が配置された弾性アーム18の自由端22に近づけば近づくほど大きくなる。これは線L3によって示されており、線L3は、各突出要素25の最も内側の部分と位置合わせされており、弾性アーム18の自由端22に向かう方向に中心軸X-Xに向かって内方に傾斜している。これにより、弾性アームの自由端22に向かってより大きくより内方に延びる突出要素25を設けることができるため、コイルばねCをばねキャリア10内に固定して保持する助けとなり、それでもなお自由端22は、上述したようにアクチュエータ30によって作動されたとき、各弾性アーム18のうち自由端22から隔置された領域より大きい距離だけ横方向外方に偏向されるため、より大きい突出要素25でもコイルばねCの挿入を可能にするのに十分に外方に動かされる。
【0106】
図13は、別の実施形態の構成の概略断面図を示し、
図12のものに類似しており、同様の構成は同じ参照番号を保持する。対向する弾性アーム18は各々、ヘッド23と、各弾性アームの軸方向に隔置された複数の突出要素25とを含む。
図13の実施形態の違いは、一方の弾性アーム18の突出要素25が、対向する弾性アーム18の対応する突出要素25とばねキャリア10の軸方向に位置合わせされておらず、代わりに対向する弾性アーム18の対応する突出要素25に対してばねキャリア10の軸方向にずれていることである。これは基準線V-Vによって示されており、基準線V-Vは、ばねキャリア10の軸X-Xに直交する方向に一方の弾性アーム18の各突出要素25を通って延びるが、対向する弾性アーム18上の対応する突出要素25を通る線V-Vと位置合わせされない。これは、ばねキャリア10内に保持されたとき、コイルばねCの螺旋コイルに従って互い違いに対向する突出要素25によって、最小の軸方向運動および/または軸方向の位置合わせでコイルばねCを固定して保持する助けとなり得る。この配置は、場合により、2つの弾性アーム18または3つ以上の弾性アーム18を含む本発明のばねキャリア10の実施形態で適用可能とすることができる。
【0107】
図13の実施形態では、一方の弾性アーム18のヘッド23は、対向する弾性アーム18の対応するヘッド23とばねキャリア10の軸方向に位置合わせされる。
図12と同様に、これは基準線W-Wによって示されており、基準線W-Wは、ばねキャリア10の軸X-Xに直交する方向に一方の弾性アーム18のヘッド23を通って延び、対向する弾性アーム18上の対応するヘッド23を通って延び、これには上述したものと同じ利点がある。
【0108】
図13の実施形態では、各弾性アーム18上の複数の突出要素25は、
図12を参照して上述したように、各弾性アーム18の自由端22に向かって増分的にサイズを増大させる。これは
図13に線L3によって示されており、線L3は、各突出要素25の最も内側の部分と位置合わせされており、弾性アーム18の自由端22に向かう方向に中心軸X-Xに向かって内方に傾斜している。これにより、
図12を参照して上述したものと同じ利点を提供することができる。
【0109】
図14は、別の実施形態の弾性アーム18の構成の概略図であり、
図12および
図13のものに類似している。
図14の実施形態は、各弾性アーム18上の複数の突出要素25が同じサイズであるという点が異なる。すなわち、各突出要素25がばねキャリア10の中心軸X-Xに向かって内方に突出する距離が同じである。これは線L4によって示されており、線L4は、各突出要素25の最も内側の部分と位置合わせされており、ばねキャリア10の中心軸X-Xに対して平行である。これは、弾性アーム18の弛緩位置で、コイルばねCをばねキャリア10内に固定して保持する助けとなり、各突出要素25は、等しく突出して、ばねキャリア10内でコイルばねCを係合および固定する。
【0110】
図15A~
図15Cは、本発明の実施形態のばねキャリア10の弾性アーム18の概略拡大図であり、本発明の範囲内に入ること、場合により本明細書に記載するすべての実施形態に適用可能になることが意図される突出要素25の異なる構成を示す。
図15Aは、概して丸みのある形状を含む突出要素25を示し、この形状は、突出要素25が弾性アーム18から延びる湾曲した縁部を有し、突出要素25の軸方向に最も内側の領域に位置する。そのような構成は、たとえばコイルばねCが完全挿入位置へ動くことを可能にするために、弾性アーム18が外方に偏向される挿入中にコイルばねCが突出要素25に接触した場合に、コイルばねCが突出要素25を載り越えることを可能にすることによって、ばねキャリア10内へのコイルばねCの挿入を容易にすることができる。
【0111】
図15Bの突出要素25は、1つの表面25Aが弾性アーム18およびばねキャリア10の軸X-Xに実質的に直交して延びるように配置される。本発明の範囲内で、そのような表面25Aは、ばねキャリア10の第1の端部14または第2の端部16に対向するように設けることができることが意図される。さらに本発明の範囲内で、突出要素25は、2つのそのような表面25Aが、弾性アーム18およびばねキャリア10の軸X-Xに実質的に直交して延び、1つの表面25Aが第1の端部14に対向し、第2のそのような表面25Aがばねキャリア10の第2の端部16に対向するように構成することができる。そのような構成は、表面25Aの直角の形状によってコイルばねCの軸方向運動がより制限されるはずであるため、所望の軸方向位置におけるばねキャリア10内でのコイルばねCの保持を容易にすることができる。
【0112】
図15Cは、概して傾斜している形状を含む突出要素25を示し、この形状は、突出要素25が弾性アーム18から延びる角度で交わるまっすぐな縁部を有し、突出要素25の軸方向に最も内側の領域に位置する。そのような構成は、たとえば弾性アーム18がアクチュエータによって解放されて弛緩位置へ戻るとき、突出要素25の尖った縁部がコイルばねCのコイル間により容易に配置されることを可能にすることによって、ばねキャリア10内でのコイルばねCの係合を容易にすることができる。
【0113】
図16は、本発明の別の実施形態のばねキャリア10を示し、同様の構成は同じ参照番号を保持しており、その詳細な説明は繰り返さない。
図7A~
図10Bの実施形態と同様に、第1の端部14に位置する第1の開口部16は、上述した利点を有する先細り領域16Aを含む。
図16の実施形態に関する違いは、窓または切抜き領域60が設けられ、中空本体11の側壁12を通って延びることである。これにより、ばねキャリア10の外側から中空本体11の内部を見ることが可能になる。特にこれにより、ばねキャリア10内に受け入れられたときにコイルばねCを見ることが可能になる。これは、製造プロセスにおけるばねキャリア10の使用に有益となることができる。たとえば、品質制御または性能監視プロセスにおいて、作製されている各デバイスに対して、ばねキャリア10内のコイルばねCの存在を確認することができる。たとえば、光センサまたはカメラが、ばねキャリア10内のコイルばねCの存在を確認することができ、窓60を使用して、そのような確認を行うように動作することができる。たとえば、製造プロセス内の他の場所での挿入障害によって、ばねキャリア10内にコイルばねCが存在しないことが検出された場合、作製されているデバイスは、必要とされるコイルばねCがなければ正確に機能する可能性が低く、したがって生産ラインから自動的に拒否することができる。1つの窓60を設けることができ、または複数の窓を設けることができ、ばねキャリア10の側壁12の任意の好適な場所に配置することができる。そのような複数の窓60はまた、各ばねキャリア10を製造するためにより少ない材料が必要とされることを意味し、それにより製造コストを削減することができ、かつ/またはばねキャリアの重量を削減することもでき、これはばねキャリアを使用予定のデバイス製造プロセスにおいて有益である。
【0114】
図17A~
図17Eは、本発明の別の実施形態のばねキャリア10を示し、同様の構成は同じ参照番号を保持しており、その詳細な説明は繰り返さない。
図7A~
図10Bおよび
図16の実施形態と同様に、第1の端部14に位置する第1の開口部16は、上述した利点を有する先細り領域16Aを含む。ばねキャリア10はまた、第2の端部15に位置する第2の開口部17内に先細り領域17Aを含む。これにより、使用中に第2の開口部17内でのアクチュエータ30の挿入および位置合わせをさらに容易にすることができる。
図17Cから見ることができるように、第1の開口部16の先細り領域16Aは、ばねキャリア10の軸X-Xに対して角度θ4で延びる。角度θ4は、本発明の範囲内で変動することができるが、10から40度とすることができ、15から35度とすることができ、約24度とすることができる。また
図17Cから見ることができるように、第2の開口部17の先細り領域17Aは、ばねキャリア10の軸X-Xに対して角度θ5で延びる。角度θ5は、本発明の範囲内で変動することができるが、3から20度とすることができ、5から15度とすることができ、約10度とすることができる。
【0115】
本発明の範囲内、および本明細書に記載する実施形態のいずれかの範囲内で、第1の端部14に位置する第1の開口部16および第2の端部15に位置する第2の開口部17のうちの一方もしくは他方、または両方が、上述した利点のために、上述した寸法のいずれかのそのような先細り領域16A、17Aを含むことができることが意図される。
【0116】
図16のものと比べた
図17A~
図17Cの実施形態に関する別の違いは、窓60が設けられるが、中空本体11の側壁12ではなく弾性アーム18内に設けられることである。窓60はそれでもなお、ばねキャリア10内のコイルばねCの存在を検出することが可能であるという上述した利点を提供する。しかし、窓60はまた、窓60が弾性アーム18内に設けられない場合より、弾性アーム18をより軽くおよび/またはより容易に偏向可能なものにすることができる。これにより、ばねキャリア10の使用で必要とされる量だけ弾性アーム18を偏向させるために必要とされるアクチュエータ力をより小さくすることができる。そのような力の低減により、ばねキャリア10の材料にかかる応力を低減させることができ、障害前または交換が必要とされる前の、ばねキャリア10の寿命サイクルをより大きくすることを可能にすることができる。
【0117】
図17A~
図17Dの実施形態の別の構成は、弾性アーム18の外側領域に復元面64が設けられることである。復元面64は、第2の遠位端15に向かう方向に中空本体11の中心軸X-X径方向に向かって内方に向けられた傾斜面である。復元面64は、
図17Dおよび
図17Eを参照して以下でより詳細に説明するように、弾性アーム18がばねキャリア10の中空本体11の外面と同一平面に位置する第1の非付勢位置に弾性アーム18が完全に戻る助けとなり得る。
【0118】
図17Dは、
図17Cに示すばねキャリア10の第2の遠位端15の拡大図を示す。しかし
図17Dで、弾性アーム18は、第1の非付勢位置からわずかに外方に変位させた状態で示されており、したがってばねキャリア10の中空本体11の外面と同一平面ではない。ばねキャリア10の繰返し使用および弾性アーム18の繰返し偏向により、弾性アーム18の材料に疲労を引き起こす可能性がある。この結果、アクチュエータ30が取り外されたとき、弾性アーム18が所望の第1の非付勢位置に完全には戻らない可能性がある。したがってこの結果、ばねキャリア10内のコイルばねCが、必要とされるように固定して保持されない可能性がある。これを克服するために、弾性アームを正しい第1の非付勢位置へ能動的に戻すことが望ましい。これは、径方向内方に作用する外部の力を弾性アーム18に印加することによって行うことができる。そのような力は、
図17Dおよび
図17Eに示すように、たとえば復元ツール65によって印加することができる。復元ツール65は、
図17Eに示すように、ばねキャリア10の第2の遠位端15の上を摺動して復元面64に係合し、弾性アーム18を第1の非付勢位置へ径方向内方に押すことができる。
【0119】
図17Cに示すように、復元面64は、弾性アーム18が正しい第1の非付勢位置にあるとき、中心軸X-Xに対して角度θ7で配置することができる。これは、復元ツール65がばねキャリア10の上を摺動するにつれて、弾性アーム18が復元ツール65に漸次係合し、それによって弾性アーム18を正しい第1の非付勢位置へ戻す助けとなり得る。そのような角度θ7は、本開示の範囲内で変動することができ、2から10度とすることができ、4から8度とすることができ、約6度とすることができる。
【0120】
復元ツール65は、復元ツール65がばねキャリア10の第2の遠位端15の上を摺動するときにばねキャリア10を受け取るための中心孔66を備えることができる。中心孔66は、ばねキャリア10の中空本体11の外径よりわずかに大きい直径とすることができる。復元ツールは、弾性アーム18の復元面64に係合するように構成された傾斜した接触面67を有することができる。復元ツール65の傾斜した接触面67は、復元面64がばねキャリア10の中心軸X-Xに対して延びるとき、復元ツール65の中心軸に対して同じ角度θ7で延びることができる。弾性アーム18上の復元面64の構成は、場合により、本明細書に記載する本発明のあらゆる実施形態に適用可能とすることができ、そのような実施形態とともに提供することができることが意図される。さらに、弾性アーム18を意図される第1の非付勢位置へ復元しながら、上述した利益も提供するために、上述した復元ツール65以外の手段によって、復元面64に係合することもできる。
【0121】
図18は、別の実施形態のばねキャリア10を示し、
図17A~
図17Cの実施形態に類似しており、同様の構成は同じ参照番号を保持しており、その詳細な説明は繰り返さない。
図7A~
図10Bの実施形態と同様に、第1の端部14に位置する第1の開口部16は、上述した利点を有する先細り領域16Aを含む。
図18の実施形態に関する違いは、フランジ28が配向機能61を含むことである。示されている例示的な実施形態では、配向機能61は、第1の端部14の方向を向いているフランジ28の表面内へ形成された1対の径方向スロットを含む。そのような配向機能61は、ばねキャリア10をその中心軸X-Xの周りに回転方向に正しく配置することを容易にすることができ、これは使用の際のばねキャリアの機能にとって、たとえばコイルばねCの挿入もしくは抜取り、および/またはアクチュエータ30の挿入にとって有益である。さらに、そのような配向機能は、製造プロセス中に窓60とともに使用することができる。たとえば、ばねキャリア10内のコイルばねCの存在を検出するために使用される光センサまたはカメラを、製造装置/システムまたは組立てライン上の特定の位置に配置することができ、したがって窓60を光センサまたはカメラと位置合わせするために、ばねキャリア10の正しい配向を必要とすることができる。配向機能61は、配向機能61のスロット内に受け入れることができる突出部などの対応する機能(図示せず)と協働して、使用の際にばねキャリア10の正しい配置を確実にすることができる。
【0122】
図19A~
図20Bは、
図21Aおよび
図21Bに示す本発明の別の実施形態のアクチュエータとともに使用される、本発明の別の実施形態のばねキャリア10を示す。同様の構成は同じ参照番号を保持しており、その詳細な説明は繰り返さない。
図19Aは、前述の実施形態の
図5Dおよび
図7Aの動作工程と同等のばねキャリア10およびアクチュエータ30の配置を示し、すなわちコイルばねCが中空本体11の内側空洞13内へ挿入され、アクチュエータ30はまだ負荷位置にあり、弾性アーム18が径方向外方に偏向されている。
図19Bは、
図19Aの一部分の拡大図を示し、弾性アーム18のヘッド23および当接ステップ34、ならびに面取り面33を有するアクチュエータ30をよりはっきりと示す。
【0123】
前述の
図5Dおよび
図7Aの実施形態と同様に、
図19Aおよび
図19Bに示す段階で、アクチュエータ30は弾性アーム18を外方に偏向させ、したがって突出要素25がコイルばねCに接触せず動かされ、コイルばねCはばねキャリア10内へ落ちることができ、これはこの場合も、
図19Aに線L2によって示されており、線L2は、中空本体11の中心軸X-Xに平行に延び、突出要素25の径方向に最も内側の部分と交差し、コイルばねCの径方向に最も外側の部分から径方向外方に配置される。また、ヘッド23および当接ステップ34は、それぞれの突出要素25の径方向に最も内側の部分よりさらに径方向内方に延び、これは線L1によって示されており、線L1は、中空本体11の中心軸X-Xに平行に延び、ヘッド23/当接ステップ34の径方向に最も内側の部分と交差し、線L2から径方向内方に配置される。
【0124】
しかし
図19A~
図20Bの実施形態では、線L1はまた、コイルばねCの径方向に最も外側の部分の両方とほぼ同じ高さに配置されていることを見ることができ、コイルばねCの端部は、ばねキャリア10内に挿入されたとき、アクチュエータ30の面取り面33に当接し、コイルばねCの端部もまた、ヘッド23の当接ステップ34と実質的に軸方向に同じ高さになる。
【0125】
図19A~
図20Bの実施形態の違いはまた、アクチュエータ30が面取り面33を越えて延びる細くされたセクション62を遠位端に含むことである。この細くされたセクション62は、
図19A~
図20Bに見ることができるように、コイルばねC内に嵌るように構成される。細くされたセクション62はまた、アクチュエータが最初にばねキャリア10の第2の端部15内へ挿入されるとき、弾性アーム18の平滑で段階的な偏向を可能にする。したがってコイルばねCの挿入中、コイルばねCは、内側空洞13内でアクチュエータ30の細くされたセクション62の上を摺動し、その後コイルばねCは、アクチュエータ30の面取り面33に当接する。この時点で、コイルばねCはまた、当接面34の縁部に当接することができる。またこの時点で、コイルばねの最も下の端部は、
図19Bに示すように、ヘッド23の当接ステップ34と軸方向に実質的に同じ高さになる。その後、アクチュエータ30は、前述のように、
図20Aおよび
図20Bに示すように、ばねキャリア10から引き抜かれて、弾性アーム18が弛緩位置に戻ることを可能にし、当接面34は、コイルばねCの端部の下を内方に摺動してコイルばねCを支持し、突出要素25は、コイルばねCをばねキャリア10内に固定して保持する。
【0126】
コイルばねCの挿入プロセス中、細くされたセクション62がコイルばねC内に受け入れられることで、コイルばねCをばねキャリア10内に軸方向に位置合わせする助けとなり得る。これにより、突出要素25によってコイルばねCをばねキャリア10内により確実に保持することを可能にすることができ、デバイス製造プロセスの後の段階における正確な抜取りのためにコイルばねCが位置合わせされることも確実にすることができる。コイルばねCの抜取り中、アクチュエータ30は、第2の端部15に位置する第2の開口部17内へ挿入されるはずであり、アクチュエータ30の細くされたセクション62は、コイルばねC内に受け入れられるはずであることが理解されよう。これにより、ばねキャリア10からの正確な抜取りのために、コイルばねCの軸方向の位置合わせをさらに助けることができる。
【0127】
図19A~
図20Bから、これらの図の実施形態が、各々に関して前述の技術的利点を有する前述の複数の構成を含むことを見ることができる。そのような構成には、それぞれ第1および第2の開口部16、17の先細り領域16A、17Aが含まれる。また、弾性アーム18が窓60を含むことを見ることができる。弾性アーム18の偏向位置において、弾性アームは、ばねキャリア10の軸X-Xに対して角度θ3で延びる。そのような角度θ3は、上述した角度の範囲内とすることができ、4から12度とすることができ、6から10度とすることができ、約8度とすることができる。
図19Bはまた、偏向位置における中空本体11の側壁12の外面から弾性アーム18までの最大横方向外方偏向距離d1を示す。そのような偏向距離d1は、上述した距離d1の範囲とすることができる。
【0128】
本発明の範囲内、および/または本明細書に記載する本発明のあらゆる実施形態の範囲内で、偏向位置における軸X-Xに対する弾性アーム18の角度θ3、および偏向位置における中空本体11の側壁12の外面から弾性アーム18までの最大横方向外方偏向距離d1は、コイルばねCの挿入中の構成とコイルばねCの抜取り中の構成との間で異なることができる。たとえば、挿入プロセス中、アクチュエータ30をばねキャリア10に係合させることができ、したがって抜取りプロセス中、角度θ3および距離d1は角度θ3および距離d1より小さくなる。これは、挿入プロセス中より抜取りプロセス中に、アクチュエータ30がばねキャリア10の第2の端部15内へさらに挿入されることによって実現することができる。これは、コイルばねCの抜取り中の弾性アームのさらなる偏向によって、ばねキャリア10からのコイルばねCの確実な抜取りを確実にする助けとなり得る。
【0129】
いくつかの実施形態では、コイルばねCの挿入中、そのような角度θ3は、4から12度とすることができ、6から10度とすることができ、約8度とすることができる。いくつかの実施形態では、コイルばねCの抜取り中、そのような角度θ3は、7から15度とすることができ、9から13度とすることができ、約11度とすることができる。いくつかの実施形態では、コイルばねCの挿入中、弾性アーム18のそのような偏向距離d1は、1mm~4mmとすることができ、1mm~3mmとすることができ、1~2mmとすることができ、約1.3mmとすることができる。いくつかの実施形態では、コイルばねCの抜取り中、弾性アーム18のそのような偏向距離d1は、1mm~4mmとすることができ、1mm~3mmとすることができ、1~2.5mmとすることができ、約1.8mmとすることができる。
【0130】
図21Aおよび
図21Bは、アクチュエータ30、特にアクチュエータ30の端部の詳細を示す。アクチュエータ30は、遠位端31、面取り面33、および細くされたセクション62を含む前述の構成を含む。アクチュエータ30の中心軸Y-Yに対する面取り部の角度θ2は、前述の角度範囲内、すなわち10から50度とすることができ、15から45度とすることができ、20から40度とすることができ、25から35度とすることができ、約30度とすることができる。
【0131】
細くされたセクション62は、アクチュエータ30の中心軸Y-Yに実質的に平行に延びる外側壁を含むことができる。別法として、外側壁は、アクチュエータ30の中心軸Y-Yに対して角度θ6で延びることができ、遠位端31から離れる方へ外方に先細りするように構成することができる。そのような角度θ6は、本発明の範囲内で変動することができ、1から10度とすることができ、2から9度とすることができ、3から8度とすることができ、4から7度とすることができ、約5または6度とすることができる。細くされたセクション62の傾斜した外側壁は、コイルばねCの挿入および/または抜取りプロセス中に、ばねキャリア10および/またはコイルばねCのコイルの両方へのアクチュエータの挿入の助けとなり得る。
【0132】
面取り面33は、細くされたセクション62とアクチュエータのより太い部分との間に延びることができる。より太い部分は、7から13mmの直径φ3を有することができ、直径φ3は、7から12mmとすることができ、9から11mmとすることができ、約10mmとすることができる。細くされたセクションは、遠位端31に丸める前に、3.5から9.5mmの最小外壁径φ4を与えることができ、最小外壁径φ4は、4.5から8.5mmとすることができ、5.5から7.5mmとすることができ、約6.5mmとすることができる。
【0133】
図22は、本発明のばねキャリア10の別の実施形態を示し、
図19A~
図20Bに示すばねキャリア10に類似しているが、
図21では逆に向けられている。同様の構成は同じ参照番号を保持しており、その詳細な説明は繰り返さない。
図22の実施形態の違いは、中空本体11の第2の端部15に位置する開口部17が、内側空洞13の断面寸法より小さい断面寸法を有することである。すなわち、中空本体11の第2の端部15の遠位部分は、第2の端部15の円周に少なくとも1つの内方に延びる突起63を含み、第2の開口部17は、この突起または各突起63の内周の範囲内に画成される。そのような突起63は、第2の端部15の円周全体に位置する内方に突出する壁もしくはリップ、または第2の端部15の円周の一部分に位置する1つもしくはそれ以上のそのような内方に突出するリップを含むことができる。突起はまた、互いに隔置されて第2の端部15の円周から内方に延びる1つまたはそれ以上の個別の突起を含むことができる。これは、中空本体に、特に第2の端部15の領域内に、増大された強度および/または剛性を提供する助けとなり得る。これはまた、阻止形成物として働くことができ、挿入工程中、またはコイルばねCがばねキャリア内に挿入された後、後の輸送および操作/製造工程中に、コイルばねCがばねキャリア10の第2の端部15から排出されることを防止することができる。この実施形態のばねキャリアはそれでもなお、前述のとおり機能するはずであるが、アクチュエータ30は、第2の開口部17を通過することができるように、その外径を低減させることが必要になるはずであることが理解されよう。さらに、弾性アーム18のヘッド23は、弾性アーム18を偏向させるために前述のようにアクチュエータ30によって係合することができるように、リップ63の内周の軸方向突出部を越えて中心軸X-Xに向かって内方に延ばすことが必要になるはずである。そのような延ばされたヘッド23の構成が、
図22に示されている。
【0134】
図23および
図24は、本発明の別の実施形態のばねキャリア10を示し、
図17A~
図17Eのばねキャリアに類似しており、同様の構成は同じ参照番号を保持しており、その詳細な説明は繰り返さない。
図23および
図24のばねキャリアの違いは、中空本体11の側壁12の内面が、中空本体11の中心軸X-Xに向かって内方に突出する複数の心出しラグ68を含むことである。示されている実施形態では、4つの心出しラグ68が設けられている。しかし、5つ以上または3つ以下の心出しラグ68を設けることもでき、心出しラグ68は、場合により、側壁12の内周に等しく隔置することができる。
【0135】
心出しラグ68は、湾曲面を有する傾斜として形成され、心出しラグ68がばねキャリア10の第2の遠位端15に向かって延びるにつれて、内方に突出する距離を増大させる。使用の際、心出しラグ68は、コイルばねCがばねキャリア10内の中心で正確に保持されるように、ばねキャリア10内に保持されたコイルばねCに接触して中心に位置合わせする働きをする。心出しラグ68は、コイルばねCとばねキャリア10との間の遊びを低減させるように、コイルばねCの外径と内側空洞13の内径との間の公差を補償することができる。これは、ばねキャリア10内へのコイルばねCの挿入中にコイルばねCが正確に配置されることを確実にする助けとなり、保持形成物によってコイルばねCを固定して係合することができることを確実にする助けとなり得る。これは、ばねキャリア10の輸送中、またはコイルばねが正確に抜き取られて製造されているデバイス内へ配置されることが必要とされる製造プロセス中に、偶発的なまたは早すぎるばねの抜取りを回避する助けとなり得る。これは、製造エラーおよび/または停止を防止する助けとなり得る。心出しラグ68の構成は、場合により、本明細書に記載する本発明のあらゆる実施形態に適用可能とすることができ、そのような実施形態とともに提供することができる。
【0136】
図25A~
図25Eは、アクチュエータ30の代替実施形態とともに使用される、前述の実施形態のばねキャリア10の使用工程のシーケンスを示す図である。アクチュエータ30は、チャック38に可動に取り付けられた1対の可動ジョー37を含み、したがってジョー37は、互いの方および互いに離れる方へ並進運動することができる。ジョー37は、
図25A、
図25B、
図25D、および
図25Eに示すような係合解除位置から、
図25Cに示すような係合位置へ可動である。
【0137】
係合解除位置で、ジョー37は、互いに近接または接触して配置されて、ロッド状の形状を形成する。係合位置で、ジョー37は、前記ロッド形状の概して径方向に、互いに離れる方へ動かされる。
【0138】
使用の際、
図25Aに示す工程で、アクチュエータ30は最初、ばねキャリア10の第2の遠位端15から離れる方へ隔置されており、ロッド状のアクチュエータジョー37は、係合解除位置にあり、ばねキャリア10の中心軸X-Xと概して軸方向に位置合わせされている。
【0139】
図25Bに示す工程で、アクチュエータ30は、矢印Hによって示す方向にばねキャリア10の方へ動かされ、ジョー37は、ばねキャリア10の第2の遠位端15に位置する第2の開口部17内へ挿入される。アクチュエータ30は、ジョー37の遠隔端が偏向可能部材18の自由端22に位置するヘッド23とばねキャリア10の軸方向に概して位置合わせされるように挿入される。
【0140】
図25Cに示す次の工程で、ジョー37は、矢印Iによって示すように離れる方へ動かされて係合位置に入り、したがってそれぞれの隣接する偏向可能部材18に係合する。これにより、偏向可能部材18は、矢印Jによって示す方向に、第1の非付勢位置から第2の付勢位置へ動かされる。またこれにより、各偏向可能部材18の突出要素25が外方に動かされる。この段階で、ばねキャリア10の第1の近位端14に位置する第1の開口部16を通って、コイルばねCをばねキャリア10内へ挿入することができる。コイルばねCは、本明細書に記載する他の構成の図を簡単にするために、
図25A~
図25Eには示されていない。
【0141】
コイルばねCが完全に挿入され、したがってアクチュエータジョー37の位置の近くに接触し、または概して到達した後、ジョー37は矢印Kによって示す方向に動き、係合解除位置へ戻る。これにより、矢印Lによって示すように、偏向可能部材18が非付勢位置へ戻ることが可能になる。その際、突出要素25はコイルばねCに係合して、コイルばねCをばねキャリア10内に保持する。
【0142】
最後に、
図25Eに示す工程で、アクチュエータは、矢印Mによって示す方向に、ばねキャリア10から離れる方へ後退させられる。コイルばねC(図示せず)は、ばねキャリア10内に固定して保持されたままである。
【0143】
上述した工程シーケンスは、本発明の一実施形態のばねキャリア10およびアクチュエータ30を使用した例示的なコイルばね挿入プロセスについて説明したものである。ばねキャリア10からのコイルばねCの抜取り方法は、本発明のこの実施形態のばねキャリア10およびアクチュエータ30の使用において、上述した方法工程の逆を含むこともできることが理解されよう。
【0144】
図25A~
図25Eに、ばねキャリア10およびアクチュエータ30は、略水平の向きで示されているが、装置および使用方法は、この向きに限定されるものではなく、代替実施形態では、ばねキャリア10およびアクチュエータは、
図5A~
図6Eの実施形態に示すように、それだけに限定されるものではないが垂直を含む、他の向きで動作させることができる。たとえば、ばねキャリア10は、コイルばね挿入プロセス中、第1の近位端14を最も上にして垂直に向けることができ、コイルばね抜取りプロセスでは第2の遠位端を最も上にして垂直に向けることができる。
【0145】
コイルばね挿入および抜取りプロセス中、コイルばねCは、様々な手段、たとえばその自重下で落とすこと、活動状態で駆動することによって、および上述した任意の他の手段によって、たとえば空気源からの空気の流れの力を受けて、ばねキャリアの内外へ運搬することができる。
【0146】
図25A~
図25Eを参照して上述した代替構成のアクチュエータ30は、場合により、本明細書に記載する本発明のばねキャリア10のあらゆる実施形態に適用可能とすることができ、そのような実施形態とともに使用するために提供することができる。
【0147】
図25A~
図25Eに示すアクチュエータ30の例示的な実施形態では、アクチュエータ30は、2つのジョー37を含むものとして説明されている。しかし本発明は、この構成に限定されることを意図したものではなく、代替実施形態では、アクチュエータは、1つのジョー37を含むことができ、または3つ以上のジョー37を含むことができる。いくつかの例では、アクチュエータ30は、アクチュエータ30がともに動作することが意図されるばねキャリア10上の偏向可能部材18の数と同じ数のジョー37を含むことができ、したがって1つのジョー37が各偏向可能部材18を偏向させる。
【0148】
図25A~
図25Eに示すアクチュエータ30の例示的な実施形態では、アクチュエータ30は、各ジョー37の遠隔端がそれぞれのヘッド23に接触することによって偏向可能部材を動かすものとして説明されている。しかし本発明は、この構成に限定されることを意図したものではなく、代替実施形態では、アクチュエータは、この例のヘッド23などの特有の作動機能以外の偏向可能部材の他の部材、および/または遠隔端以外のジョー37の別の領域に係合するように配置または動作することができる。さらに、例示的な挿入/抜取りプロセスでは、図示および記載するアクチュエータ30の例示的な実施形態以外の弾性アームの動きを生じさせるために、他の手段を用いることができることが想定される。いくつかの他の外部の操作者または機構(図示せず)が、必要に応じて偏向可能部材に係合して偏向可能部材を動かすことができる。そのような実施形態は、この場合も、図示および記載の特有の作動機能との係合または特有のアクチュエータ30の使用を必要としないことがあるが、これらは本開示の範囲内から除外されない。
【0149】
上述したように、本開示全体にわたって、「内方」および「外方」という用語は、概してばねキャリア10の本体に対して使用されることが理解されよう。たとえば、中心軸X-Xに対して、またはばねキャリア10の中空本体11/内側空洞13に対して使用される。したがって本明細書では、偏向可能部材および/または保持形成物が第2の偏向位置で「外方」に配置されまたは延びるということは、第1の非付勢位置でより内方に配置された位置にあるときより、内側空洞13および/または軸X-Xからさらに離れる方向に配置されるものとして理解される。いくつかの実施形態では、上述したように、保持形成物は、第2の付勢位置で内側空洞13の内面から外方に配置することができる。これは、コイルばねが内側空洞13から排出されることを確実にする助けとなり得る。しかし、本発明の範囲内で意図される代替実施形態では、保持形成物を第2の付勢位置で第1の非付勢位置よりさらに外方に配置することができるが、内側空洞13の内面から外方に配置することはできないことが理解されよう。保持形成物は、コイルばねが内側空洞13から排出されることを可能にするために、少なくともコイルばねの直径より大きい間隙が設けられるように、第2の付勢位置でさらに外方に配置されると十分である。コイルばねが内側空洞の内径より大幅に小さい(ただし、偏向可能部材が第1の非付勢位置にあるときに保持形成物によって保持されるには十分に大きい)直径を有する例示的な実施形態では、コイルばねを係合解除してその解放を可能にするために、保持形成物が第2の付勢位置で内側空洞13の内面から外方に偏向される必要はない。
【0150】
示されている上述したばねキャリア10の様々な実施形態は、本発明の範囲内の形状およびサイズおよび相対寸法の範囲内で構成されることが意図される。しかし本明細書では、
図17Cに示す実施形態および
図17Cに示す寸法を参照して、例示的な寸法について説明する。
【0151】
ばねキャリア10は、軸X-Xの方向に50mmから90mmの全長d2を含むことができ、全長d2は、60mmから80mmとすることができ、約70.5mmまたは約73.5mmとすることができる。
【0152】
フランジ28は、軸X-Xの方向に1mmから5mmの高さd3を含むことができ、高さd3は、2mmから4mmとすることができ、約3mmとすることができる。
【0153】
弾性アーム18は、軸X-Xの方向に固定端21から自由端22まで10mmから20mmの全長d4を含むことができ、全長d4は、12mmから18mmとすることができ、14から16mmとすることができ、約16.3mmとすることができる。
【0154】
側壁12に設けられたときの窓60は、軸X-Xの方向に5mmから25mmの長さを含むことができ、この長さは、10mmから20mmとすることができ、約15mmとすることができる。弾性アーム18に設けられたときの窓60は、軸X-Xの方向に1.5mmから8mmの長さd5を含むことができ、長さd5は、2.5mmから7mmとすることができ、3.5から6mmとすることができ、約4.3mmとすることができる。
【0155】
中空本体11は、断面が円形の円筒管として構成されたものとして図示および記載されている。これにより、従来の円形のコイルばねCを密接して収容することが可能になる。またこれにより、使用の際にばねキャリア10の正しい配置のために中心軸X-Xの周りの特有の回転方向の向きが必要とされないため、コイルばねCの挿入およびコイルばねCの抜取りのためのばねキャリア10の位置合わせの簡単さを容易にすることができる。しかし本発明は、ばねキャリアのそのような構成に限定されることを意図したものではなく、楕円形、三角形、もしくは正方形、または他の多角形など、他の寸法および断面形状も可能である。
【0156】
中空本体11は、第1の端部14から第2の反対の端部15までその長さに沿って実質的に一定の断面を有するものとして図示および記載されている。
図17Cを参照すると、そのような実施形態では、ばねキャリア10の第1の端部14の領域内の内径φ1は、ばねキャリア10の第2の端部15の領域内の内径φ2に実質的に等しいはずである。これにより、ばねキャリア10を利用予定の組立てまたは製造プロセスにおける製造および操作の簡単さおよびコストを容易にすることができる。しかし本発明は、そのような構成に限定されることを意図したものではなく、代替実施形態では、ばねキャリア10は、その長さに沿って断面寸法を変動させることができる。たとえば、断面は、ばねキャリアの長さに沿って異なる直径の円形とすることができ、および/または断面は、ばねキャリアの長さの一部に沿って円形以外の形状とすることができる。たとえば、内径φ1を内径φ2より大きくすることができ、したがって内側空洞は、ばねキャリア10のうちコイルばねCの挿入および抜取りが行われる第1の端部14の領域内でわずかにより広くなる。これにより、先細り領域16Aからの支援に加えて、コイルばねCをばねキャリア10内へ正確に案内することをさらに助けることができる。またこれにより、ばねキャリア10のうち、コイルばねCが突出要素25およびノッチ26の保持形成物によって係合および保持される第2の端部15の領域内で、コイルばねCをより厳密に制限することを可能にすることができる。しかし、本発明の範囲内で逆も同様であり、内径φ1を内径φ2より小さくすることができ、したがって内側空洞は、ばねキャリア10の第1の端部14の領域内でわずかにより狭くなる。
【0157】
φ1およびφ2が実質的に等しい例示的な実施形態では、各々を7mmから14mmとすることができ、8mmから13mmとすることができ、9mmから12mmとすることができ、10mmから11mmとすることができ、約10.5mmまたは約11.5mmとすることができる。
【0158】
φ1およびφ2が等しくない例示的な実施形態では、φ1およびφ2のうちの一方を9mmから14mmとすることができ、10mmから13mmとすることができ、11mmから12mmとすることができ、約11.5mmとすることができる。φ1およびφ2のうちの他方は、8mmから13mmとすることができ、9mmから12mmとすることができ、10mmから11mmとすることができ、約10.5mmとすることができる。
【0159】
ばねキャリア10が形成される様々な材料を選択することができ、そのような材料は、プラスチックおよび金属を含み、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド、またはアクリロブタジエンスチレン(ABS)を含む様々なポリマーを含むことができる。ばねキャリアは、ポリカーボネートからさらに形成することができ、再生ポリカーボネートを含むことができる。
【0160】
ばねキャリア10は、単一の成形構成要素、すなわち単一の一体部材として図示および記載されている。したがって、弾性アーム18はたとえば、中空本体11と一体形成されたものとして示されている。これにより、製造の簡単さおよびコストの削減という利点を提供することができる。しかし、本発明の範囲内で、ばねキャリア10の1つまたはそれ以上の要素は、ともに固定、接合、溶接、機械的に締結された別個の構成要素とすることもできることが意図される。たとえば、弾性アーム18またはフランジ28は、中空本体11と一体形成されなくてもよい。
【0161】
中空本体11の側壁12は、使用中に十分な構造的強度を提供する寸法とすることができるが、材料の過度の使用を最小にし、取扱いの簡単さおよび製造コストのために軽量性を維持することもできる。壁の厚さは、0.3mmから1.5mmとすることができ、たとえば厚さ0.5mm~1mmとすることができる。
【0162】
本開示のばねキャリア10および関連する装置/システムの実施形態は、コイルばねCを固定して保持し、コイルばねCの抜取りを確実かつ正確に可能にするように構成される。コイルばねを固定して保持するとともに、正確に抜き取ることができるように、ばねキャリア10は、コイルばねCの外径と内側空洞13の内壁との間に特定の隙間が設けられるように構成することができる。この隙間は、必要とされるときにコイルばねを正確に排出することができるように、内側空洞13に対するコイルばねCの実質的に妨害されない挿入および抜取りを可能にしながら、内側空洞内のコイルばねCの横方向の遊びまたは動きを最小にするように設定される。一実施形態では、そのような隙間は、0.05mm~0.3mm、たとえば0.1mm~0.2mmとすることができる。一実施形態では、内側空洞13内に受け入れられるコイルばねCは、9.95mmの最大外径を有することができる。それに応じて、内側空洞13の内径は、約10.0mm~12.95mm、たとえば約10.05mm~11.05mmとすることができる。
【0163】
図示および記載されているばねキャリア10の実施形態は、2つの弾性アーム18を含むが、本発明は、この構成に限定されることを意図したものではなく、代替実施形態では、ばねキャリア10は、1つのみまたは3つ以上の弾性アーム18を含むこともできる。2つまたはそれ以上の弾性アーム18を含む実施形態では、弾性アーム18は、ばねキャリア10内のコイルばねCの均一な位置合わせされた保持のために、ばねキャリア10の周辺部に等しく隔置することができる。加えて、そのような構成はまた、たとえば、意図されたとき、コイルばねCがばねキャリア10と軸方向に位置合わせされて、医療デバイスまたは製造装置の構成要素内へ均一に抜き取られることを促進する助けとなり得る。
【0164】
図示および記載されているばねキャリア10の実施形態は、各弾性アーム18上に1つの突出要素25および1つのノッチ26を有する弾性アーム18を含む。しかし本発明は、そのような構成に限定されることを意図したものではなく、代替実施形態では、ばねキャリアが中空本体11内に受け入れられたコイルばねCの複数のターンに係合することができるように構成された複数の突出要素25および/または複数のノッチ26を、各弾性アーム18上に設けることができる。本発明の範囲内のそのような変形形態は、場合により本明細書に記載するすべての実施形態に適用可能であり、たとえば
図12~
図14に示したものとすることができる。
【0165】
図示および記載されているばねキャリア10の実施形態は、中空本体11の第2の端部15に位置する第2の開口部17内へ挿入されるアクチュエータ30によって係合される作動機能を有する弾性アーム18を含む。しかし本発明は、そのような構成に限定されることを意図したものではなく、代替実施形態では、弾性アーム18は、中空本体11から外方に延びる作動機能を含むこともできる。たとえば、弾性アーム18の自由端22は、中空本体11から外方に突出することができ、作動機能を含むことができる。そのような作動機能は、中空本体11の中心軸X-Xに対して鋭角で配置することができる接触面を含むことができる。アクチュエータ30は、中空本体11の周りに配置することができるスリーブを含むことができ、このスリーブは、示されている実施形態に関して上述したコイルばねの係合/解放機能を実現するために、中空本体11に対して同軸に摺動して、弾性アーム18の作動機能に係合し、弾性アーム18を第1の位置から第2の位置へ偏向させることができる。さらに、上記で論じたように、弾性アームは、特有の作動機能を含まなくてもよく、使用の際に、必要に応じて偏向させるためおよび動かすために他の方法で操作することができる。たとえば、そのような代替の外部アクチュエータは、接着、真空接触、または他の連結などによって、アームの機械的係合をもたらすことができる。
【0166】
図示および記載されているばねキャリア10の実施形態は、中空本体11の第2の端部15に位置する開口部17を含む。しかし本発明は、そのような構成に限定されることを意図したものではなく、代替実施形態では、中空本体11の第2の端部15は、開口部を含まなくてもよい。そのような配置は、弾性アーム18の作動機能が中空本体11から外方に延び、中空本体11の外部からアクチュエータ30によって係合される、上述した代替構成とともに存在することができる。
【0167】
図示および記載されているばねキャリア10の実施形態のいくつかは、中空本体11の第2の端部15に、中空本体11の内側空洞13の断面寸法と同じサイズおよび寸法の開口部17を含む。しかし本発明は、そのような構成に限定されることを意図したものではなく、代替実施形態では、中空本体11の第2の端部15は、内側空洞13の断面より小さい断面寸法および/または異なる形状の開口部を含むこともできる。そのような代替構成はそれでもなお、第2の端部15に位置する開口部17を通じた挿入を介して弾性アーム18に係合して弾性アーム18を動かすアクチュエータ30の使用を可能にすることができ、または上述した弾性アーム18の外部からアクセス可能な作動機能と組み合わせて使用することができる。
【0168】
本明細書に開示するいくつかの実施形態は、中空本体11の周辺部全体に延びる連続環状部分27を含む。そのような構成は、場合により、本明細書に記載するすべての実施形態に適用可能とすることができる。しかし、本発明は、そのような構成に限定されることを意図したものではなく、本発明の範囲内で想定される実施形態は、そのような構成を含まなくてもよい。
【0169】
本明細書に開示するいくつかの実施形態は、中空本体11の第1の近位端14の周辺部に延びるフランジ28を含む。そのような構成は、場合により、本明細書に記載するすべての実施形態に適用可能とすることができる。しかし本発明は、そのような構成に限定されることを意図したものではなく、本発明の範囲内で想定される実施形態は、フランジ28を含まなくてもよく、または第1の近位端の遠隔端以外で、たとえば第2の遠位端15で、もしくは第1の近位端と第2の遠位端との中間で、中空本体の長さに沿って配置されたフランジを含むこともできる。
【0170】
本明細書に記載するばねキャリア10の実施形態は、中空本体11の内側空洞13内でコイルばねを係合および保持するように構成された少なくとも1つの偏向可能部材を含む。少なくとも1つの偏向可能部材は、中空本体のうち、使用の際にコイルばねが挿入される/抜き取られる端部とは反対の端部に近接して設けられる。この配置は、一方の端部でばねが挿入され/抜き取られ、反対の端部で偏向可能部材の作動が行われるため、コイルばねとばね保持/作動機構との間の干渉を回避する助けとなり得る。これは、簡単かつ確実な製造/組立て装置およびプロセスを提供する助けとなり得る。さらに、図示および記載する例示的な実施形態では、偏向可能部材および/または保持形成物をコイルばねに係合させてコイルばねを保持することは、偏向可能部材および/または保持形成物とコイルばねとの間の直接接触によって行われる。
【0171】
本発明の完全な範囲および精神から逸脱することなく、本明細書に記載するデバイス、装置、方法、および実施形態の様々な構成要素に修正(追加および/または削除)を加えることができ、本発明は、そのような修正およびあらゆる均等物を包含することが、当業者には理解されよう。
【国際調査報告】