(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-28
(54)【発明の名称】炭素循環に基づく高炉・転炉の鉄鋼生産方法
(51)【国際特許分類】
C21B 5/00 20060101AFI20240621BHJP
C21C 5/38 20060101ALI20240621BHJP
【FI】
C21B5/00 321
C21C5/38 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023579178
(86)(22)【出願日】2022-03-08
(85)【翻訳文提出日】2023-12-21
(86)【国際出願番号】 CN2022079651
(87)【国際公開番号】W WO2023019917
(87)【国際公開日】2023-02-23
(31)【優先権主張番号】202110955413.5
(32)【優先日】2021-08-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515228678
【氏名又は名称】シーアイエスディーアイ エンジニアリング カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110003753
【氏名又は名称】弁理士法人シエル国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シァォ シュェ ウェン
(72)【発明者】
【氏名】ゾウ ヂョン ピン
(72)【発明者】
【氏名】ワン ガン
(72)【発明者】
【氏名】ヂャオ ユン ジィェン
(72)【発明者】
【氏名】ニィゥ チュン
(72)【発明者】
【氏名】ホウ シー フォン
(72)【発明者】
【氏名】シュ ジュン
(72)【発明者】
【氏名】ホン ヂー ビン
(72)【発明者】
【氏名】リー ムー ミン
(72)【発明者】
【氏名】ロン モン
【テーマコード(参考)】
4K012
4K070
【Fターム(参考)】
4K012BF01
4K012BF05
4K012BF07
4K070CA01
4K070CA07
4K070CA11
(57)【要約】
【課題】本発明は、鉄鋼製錬分野に関し、特に炭素循環に基づく高炉・転炉の鉄鋼生産方法に関する。
【解決手段】高炉で製鉄を行うことで溶鉄を得る工程と、前記溶鉄を転炉に導入し、転炉に製鋼を行うことで、溶鋼と未処理の転炉ガスを得る工程と、前記未処理の転炉ガスを加圧、脱酸素、脱水および脱炭素処理することで、解析ガスおよび処理された転炉ガスを得る工程と、前記処理された転炉ガスを前記高炉に循環して吹き戻することにより、高炉内のボッシュガスにおける還元ガス比例を調節する工程と、を含む。転炉ガスの循環利用を実現し、転炉ガスを脱炭素した後、高炉に循環して吹き戻し、高炉内のボッシュガスにおける還元ガスの含有量を向上させ、高炉内の間接還元を促進し、直接還元を低下させ、したがって高炉製鉄過程における炭質燃料の消費量が削減され、CO
2の排出を有効に低下させる効果を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高炉で製鉄を行うことで溶鉄を得る工程と、
前記溶鉄を転炉に導入し、転炉に製鋼を行うことで、溶鋼と未処理の転炉ガスを得る工程と、
前記未処理の転炉ガスを加圧、脱酸素、脱水および脱炭素処理することで、解析ガスおよび処理された転炉ガスを得る工程と、
前記処理された転炉ガスを前記高炉内に循環して吹き戻することで、高炉内のボッシュガスにおける還元ガス比例を調節する工程と、を含む、
ことを特徴とする炭素循環に基づく高炉・転炉の鉄鋼生産方法。
【請求項2】
前記未処理の転炉ガスを加圧、脱酸素、脱水および脱炭素処理することで、解析ガスおよび処理された転炉ガスを得る工程は、
ガス加圧装置によって前記未処理の転炉ガスを0.50Mpa~0.65Mpaまでに加圧し、加圧された転炉ガスを得る過程と、
ガス脱酸素装置によって前記加圧した転炉ガスを酸素含有量が1ppmより小さくなるまで脱酸素し、脱酸素された転炉ガスを得る過程と、
ガス脱水装置によって前記脱酸素した転炉ガスを脱水効率が95%より大きくなるまで脱水し、脱水された転炉ガスを得る過程と、
ガス脱炭素装置によって前記脱水した転炉ガスをCO
2脱離率が95%以上になるまで脱炭素し、脱炭素された転炉ガスを得る過程と、を含むことを特徴とする請求項1記載の炭素循環に基づく高炉・転炉の鉄鋼生産方法。
【請求項3】
前記未処理の転炉ガス内のCO含有量は40%以上であることを特徴とする請求項2記載の炭素循環に基づく高炉・転炉の鉄鋼生産方法。
【請求項4】
前記未処理の転炉ガスを加圧、脱酸素、脱水および脱炭素処理することで、処理された転炉ガスを得る工程は、前記未処理の転炉ガスに対し脱硫処理および脱窒素処理を行う工程をさらに含み、
ここでは、前記脱硫処理は前記脱窒素処理より先行する、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の炭素循環に基づく高炉・転炉の鉄鋼生産方法。
【請求項5】
前記未処理の転炉ガスを脱硫処理および脱窒素処理する工程は、
脱硫装置によって加圧された転炉ガスを硫含有量が10ppmより小さくなるまで脱硫し、脱硫された転炉ガスを得る過程と、
脱窒素装置により脱炭素した転炉ガスを脱窒素効率が90%以上になるまで脱窒素し、脱窒素された転炉ガスを得る過程と、を含む、
ことを特徴とする請求項4記載の炭素循環に基づく高炉・転炉の鉄鋼生産方法。
【請求項6】
前記脱硫処理の前に、冷却装置によって加圧された転炉ガス温度を60℃~90℃に制御する、
ことを特徴とする請求項4記載の炭素循環に基づく高炉・転炉の鉄鋼生産方法。
【請求項7】
前記加圧、脱硫、脱酸素、脱水、脱炭素および脱窒素処理は、順次に行う、
ことを特徴とする請求項4記載の炭素循環に基づく高炉・転炉の鉄鋼生産方法。
【請求項8】
前記処理された転炉ガスを高炉内に循環して吹き戻することで、高炉内のボッシュガスにおける還元ガスの比例を調節する工程は、
ガス加熱装置によって処理された転炉ガスを850℃~950℃までに加熱し、加熱された転炉ガスを得るための過程と、
加熱された転炉ガスがガス吹付け装置によって前記高炉に循環して吹き戻し、そのうち、前記ガス吹付け装置の吹き込み口は前記高炉の炉体および/または羽口に合わせ、転炉ガスを高炉の炉体および/または羽口内に吹き込ませる過程と、含む、
ことを特徴とする請求項1記載の炭素循環に基づく高炉・転炉の鉄鋼生産方法。
【請求項9】
前記ガス加熱装置の加熱に必要な熱は、ガス管網内のガスの燃焼によって供給され、そのうち、前記ガス管網内のガスは、前記高炉における高炉ガスおよび/または解析ガスを含む、
ことを特徴とする請求項8記載の炭素循環に基づく高炉・転炉の鉄鋼生産方法。
【請求項10】
前記脱炭素処理は、乾式脱炭素処理または湿式脱炭素処理があり、
前記脱炭素処理が乾式脱炭素処理である場合、前記解析ガス内のCO
2濃度は95%以下であり、前記解析ガスは前記高炉と連結するガス管網に合流され、
前記脱炭素処理が湿式脱炭素処理である場合、前記解析ガス内のCO
2濃度は95%より大きく、前記解析ガスはCCUS処理を行う、
ことを特徴とする請求項8記載の炭素循環に基づく高炉・転炉の鉄鋼生産方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄鋼製錬分野に関し、特に、炭素循環に基づく高炉・転炉の鉄鋼生産方法に関する。
【背景技術】
【0002】
グリーン化、低炭素化の推進は、今日の世界の鉄鋼産業発展の主要テーマであり、製鉄プロセスは、鉄鋼工業における主要な炭素排出プロセス(鉄鋼プロセス全体の85%を占め)であり、将来長い間、世界では引き続き高炉・転炉製造が使用されることになるが、そのため、グリーン化、低炭素化製錬技術の突破を実現することは、鉄鋼工業の低炭素発展をサポートする上で、カーボンピークアウト、カーボンニュートラル目標を実現することに対して非常に重要である。
【0003】
特に、鉄鋼製造は、エネルギー・資源密集型産業として、大量の二次エネルギーや副産物が発生しており、これらの二次資源のリサイクル率は低いのが現状である。鉄鋼製造プロセスにおける二次エネルギーの利用効率を向上させることは、エネルギー消費量と二酸化炭素の排出量を削減する上で、大きな必要性と発展の潜在力がある。現在、転炉ガスの製造量は鋼材1トン当たり80~120m3であるが、製鉄所における転炉ガスの利用方法は、依然として熱供給のための燃焼が主流であり、ガス利用率が低く、直接燃焼させると二酸化炭素が大量発生し、グリーン化、低炭素化の発展要求に符合しない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記従来技術の欠点に鑑み、本発明の目的は、従来技術の鉄鋼製造プロセスにおける二酸化炭素の排出量が高い問題を解決するため、炭素循環に基づく高炉・転炉の鉄鋼生産方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的および他の目的を実現するために、本発明は、
高炉で製鉄を行うことで溶鉄を得るための工程と、
前記溶鉄を転炉に導入し、転炉に製鋼を行うことで、溶鋼と未処理の転炉ガスを得るための工程と、
前記未処理の転炉ガスを加圧、脱酸素、脱水および脱炭素処理することにより、解析ガスおよび処理された転炉ガスを得る工程と、
前記処理された転炉ガスを前記高炉に循環して吹き戻し、高炉におけるボッシュガス中の還元ガス比例を調節する工程と、を含む炭素循環に基づく高炉・転炉の鉄鋼生産方法を提供する。
【0006】
好ましくは、前記未処理の転炉ガスを加圧、脱酸素、脱水および脱炭素処理することで、解析ガスおよび処理された転炉ガスを得る工程は、
ガス加圧装置によって前記未処理の転炉ガスを0.50Mpa~0.65Mpaまでに加圧し、加圧された転炉ガスを得る過程と、
ガス脱酸素装置によって前記加圧した転炉ガスを酸素含有量が1ppmより小さくなるまで脱酸素し、脱酸素された転炉ガスを得る過程と、
ガス脱水装置によって前記脱酸素した転炉ガスを脱水効率が95%より大きくなるまで脱水し、脱水された転炉ガスを得る過程と、
ガス脱炭素装置によって前記脱水した転炉ガスをCO2脱離率が95%以上になるまで脱炭素し、脱炭素された転炉ガスを得る過程と、を含む。
【0007】
好ましくは、前記未処理の転炉ガス内のCO含有量は40%以上である。
【0008】
好ましくは、前記未処理の転炉ガスを加圧、脱酸素、脱水および脱炭素処理し、処理された転炉ガスを得る工程は、前記未処理の転炉ガスに対し脱硫処理および脱窒素処理を行う工程をさらに含み、ここでは、前記脱硫処理は前記脱窒素処理より先行する。
【0009】
好ましくは、前記未処理の転炉ガスを脱硫処理および脱窒素処理する工程は、
脱硫装置によって加圧された転炉ガスを硫含有量が10ppmより小さくなるまで脱硫し、脱硫された転炉ガスを得る過程と、
脱窒素装置により脱炭素した転炉ガスを脱窒素効率が90%以上になるまで脱窒素し、脱窒素された転炉ガスを得る過程と、を含む。
【0010】
好ましくは、前記脱硫処理の前に、冷却装置によって加圧した転炉ガス温度を60℃~90℃に制御する。
【0011】
好ましくは、前記加圧、脱硫、脱酸素、脱水、脱炭素および脱窒素処理は、順次に行う。
【0012】
好ましくは、前記処理された転炉ガスを高炉内に循環して吹き戻すことにより、高炉内のボッシュガスにおける還元ガスの比例を調節する工程は、
ガス加熱装置によって処理された転炉ガスを850℃~950℃までに加熱し、加熱された転炉ガスを得る過程と、
加熱された転炉ガスがガス吹付け装置によって前記高炉に循環して吹き戻し、そのうち、前記ガス吹付け装置の吹き込み口は前記高炉の炉体および/または羽口に合わせ、転炉ガスを高炉の炉体および/または羽口内に吹き込ませる過程と、含む。
【0013】
好ましくは、前記ガス加熱装置の加熱に必要な熱は、ガス管網内のガスの燃焼によって供給され、そのうち、前記ガス管網内のガスは、前記高炉における高炉ガスおよび/または解析ガスを含む。
【0014】
好ましくは、前記脱炭素処理は、乾式脱炭素処理または湿式脱炭素処理があり、前記脱炭素処理が乾式脱炭素処理である場合、前記解析ガス内のCO2濃度は95%以下であり、前記解析ガスは前記高炉と連結するガス管網に合流され、前記脱炭素処理が湿式脱炭素処理である場合、前記解析ガス内のCO2濃度は95%より大きく、前記解析ガスはCCUS処理を行う。
【発明の効果】
【0015】
本発明の炭素循環に基づく高炉・転炉の鉄鋼生産方法は、少なくとも、転炉ガスの循環利用を実現し、転炉ガスを脱炭素した後、高炉に循環して吹き戻し、高炉内ボッシュガスにおける還元ガスの含有量を向上させ、高炉内の間接還元を促進し、直接還元を低下させ、したがって高炉製鉄過程における炭質燃料の消費量が削減され、CO2の排出を有効に低下させる効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本出願によって提供される炭素循環に基づく高炉・転炉の鉄鋼生産方法の実施例1のフローチャートである。
【
図2】実施例1の実施に用いられる生産システムの概略図である。
【
図3】本出願によって提供される炭素循環に基づく高炉・転炉の鉄鋼生産方法の実施例2のフローチャートである。
【
図4】実施例2の実施に用いられる生産システムの概略図である。
【
図5】本出願によって提供される炭素循環に基づく高炉・転炉の鉄鋼生産方法の実施例3のフローチャートである。
【
図6】実施例3の実施に用いられる生産システムの概略図である。
【
図7】本出願によって提供される炭素循環に基づく高炉・転炉の鉄鋼生産方法の実施例4のフローチャートである。
【
図8】実施例4の実施に用いられる生産システムの概略図である。
【
図9】本出願によって提供される炭素循環に基づく高炉・転炉の鉄鋼生産方法の実施例5のフローチャートである。
【
図10】実施例5の実施に用いられる生産システムの概略図である。
【
図11】ガス吹付け装置による高炉本体への吹付構造を示す模式図である。
【
図12】ガス吹付け装置による高炉本体と羽口への吹付構造を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明の実施例について特定の実施例によって説明され、本発明の他の利点および効果は、本明細書に開示された内容から当業者に容易に理解されるであろう。本発明はまた、別の特定の実施例によって実施または適用することができ、本明細書の詳細は、本発明の精神から逸脱することなく、異なる観点および適用に基づいて様々な修正または変更を行うことができる。
【0018】
図1~6を参照されたい。なお、本実施例に示した図は、本発明の基本的な考え方を概略的に示したものに過ぎず、実際に実施された構成要素の数、形状および寸法に基づいて描かれたものではなく、本発明に関連する構成要素のみを示したものであり、実際に実施された構成要素の形態、数および比例は任意に変更することができ、構成要素のレイアウト形態もより複雑にすることができる。本明細書に添付された図面に示された構造、比例、大きさなどは、いずれも単に明細書に開示された内容に合わせて、当業者の理解と読みに供するためのものであり、本発明が実施できる限定条件を限定するためのものではなく、したがって技術上の実質的な意味を有さず、いかなる構造の修飾、比例関係の変更または大きさの調整も、本発明が生成できる効果および達成できる目的に影響を与えない限り、依然として本発明が開示する技術内容がカバーできる範囲内にあるべきである。また、本明細書に引用される「上」、「下」、「左」、「右」、「中央」および「一」等の用語も、単に説明の便宜のために明示されたものであって、本発明の実施可能な範囲を限定するものではなく、その相対関係の変更または調整は、技術的内容を実質的に変更することなく、本発明の実施可能な範囲とみなされる。
【0019】
本発明の実施例を詳細に説明する前に、本発明の適用環境について説明する。本発明の技術は、主に鉄鋼製錬に適用され、特に高炉・転炉鉄鋼製造プロセスにおける炭素循環に適用されている。本発明は、従来の鉄鋼生成過程における二酸化炭素排出量が高い問題を解決するために用いられる。
【0020】
図1~
図10を参照すると、いくつかの実施例では、本出願は、
溶鉄を得るために高炉1で製鉄を行うステップと、
溶鉄を転炉2に導入し、転炉2で製鋼を行い、溶鋼と未処理の転炉ガスを得るステップと、
未処理の転炉ガスを加圧、脱酸素、脱水および脱炭素処理し、解析ガスおよび処理された転炉ガスを得るステップと、
処理された転炉ガスを高炉1に循環して吹き戻し、高炉1におけるボッシュガス中の還元ガス比例を調節するステップと、を含む炭素循環に基づく高炉・転炉の鉄鋼生産方法を提供する。
【0021】
さらに、加圧、脱酸素、脱水および脱炭素処理を順次行う。
【0022】
好ましくは、高炉1は転炉2に接続されており、転炉2によって製鉄プロセス中に生成された転炉ガスは、転炉ガス収集装置4によって収集および貯蔵される。
【0023】
さらに、転炉ガス収集装置4は、転炉ガスキャビネットまたは転炉ガスユーザ管網とすることができる。
【0024】
前記炭素循環に基づく高炉・転炉の鉄鋼生産方法は、簡単なステップによって製鉄過程で生成した転炉ガスを利用することができ、転炉ガスを加圧、脱酸素、脱水と脱炭素処理した後、高炉内に循環して吹き戻し製鉄を行い、転炉ガス内の有効還元ガスを十分に利用し、高炉ボッシュガス中の還元ガス比例を向上させ、高炉の間接還元を促進し、高炉製鉄石炭炭質燃料の消費量が削減され、高炉・転炉鉄鋼生産システムのCO2排出を有効に低下させる。
【0025】
図1~
図10を参照すると、いくつかの実施例では、未処理の転炉ガスを加圧、脱酸素、脱水および脱炭素処理し、解析ガスおよび処理された転炉ガスを得ることは、
ガス加圧装置51によって未処理の転炉ガスを0.50Mpa~0.65Mpaまでに加圧し、加圧された転炉ガスを得るステップと、
ガス脱酸素装置53によって加圧した転炉ガスを酸素含有量が1ppmより小さくなるまでに脱酸素し、脱酸素された転炉ガスを得るステップと、
ガス脱水装置54によって脱酸素された転炉ガスを脱水効率が95%より大きくなるまで脱水し、脱水された転炉ガスを得るステップと、
ガス脱炭素装置55により、CO
2除去率が95%以上になるまで脱水された転炉ガスを脱炭素し、脱炭素された転炉ガスを得るステップと、を含む。
【0026】
好ましくは、ガス加圧装置51、ガス脱酸素装置53、ガス脱水装置54およびガス脱炭素装置55は、順次接続される。
【0027】
さらに、ガス加圧装置51は転炉ガス収集装置4と連結する。
【0028】
図1、
図2、
図7~
図10を参照すると、いくつかの実施例では、未処理の転炉ガス内のCO含有量は40%以上、すなわち、転炉ガス収集装置4によってガス加圧装置51に排出された転炉ガス中の一酸化炭素含有量は40%以上である。ここで、未処理の転炉ガスのCO含有量が40%以上である場合には、加圧、脱酸素、脱水、脱炭素処理を順次行い、処理された転炉ガスを得ることができる。
【0029】
図3~
図6を参照すると、いくつかの実施例では、未処理の転炉ガスを加圧、脱酸素、脱水、および脱炭素処理し、処理された転炉ガスを得ることは、さらに、未処理の転炉ガスに対し脱硫処理および脱窒素処理を行うことを含み、ここでは、脱硫処理は脱窒素処理より先行する。
【0030】
好ましくは、転炉ガスの加圧、脱硫、脱酸素、脱水、脱炭素および脱窒素処理は、順次行う。
【0031】
好ましくは、未処理の転炉ガスに脱硫処理と脱窒素処理を行うことは、
脱硫装置52によって加圧した転炉ガスを硫黄含有量が10ppmより小さくなるまで脱硫し、脱硫後の転炉ガスを得る過程を含み、そのうち、脱硫された転炉ガス内の硫含有量は0.1ppm~10ppmである。
【0032】
脱窒素装置56により脱炭素された転炉ガスを脱窒素効率が90%以上になるまで脱窒素し、脱窒素された転炉ガスを得る。
【0033】
さらに、ガス加圧装置51、ガス脱硫装置52、ガス脱酸素装置53、ガス脱水装置54、ガス脱炭素装置55、ガス脱窒素装置が順次接続されている。
【0034】
好ましくは、脱硫処理前に、冷却装置によって加圧した転炉ガス温度を60℃~90℃に制御する。その中、冷却装置はガス加圧装置51に設置でき、冷却装置によってガス加圧装置51の出口端の冷却能力を調整する。
【0035】
図3~
図6を参照すると、いくつかの実施例では、未処理の転炉ガスは、加圧、脱硫、脱酸素、脱水、脱炭素、および脱窒素処理を順次行い、処理された転炉ガスを得ることができる。
【0036】
図1~
図12を参照すると、いくつかの実施例では、処理された転炉ガスは、高炉1内のボッシュガスにおける還元ガスの比例を調節するために、高炉1内に循環して吹き戻させることは、
ガス加熱装置6によって処理された転炉ガスを850℃~950℃に加熱し、加熱された転炉ガスを得る過程と、
加熱された転炉ガスがガス吹付け装置3によって高炉1に循環して吹き戻され、そのうち、ガス吹付け装置3の吹き込み口は、高炉1の炉体11および/または羽口12に合わせ、転炉ガスを高炉1の炉体11および/または羽口12に吹き込む過程と、を含む。
【0037】
ここでは、ガス加熱装置6は、必要に応じて設置するかしないかを選択することができ、ガス加熱装置6によって高炉1内に転炉ガスを吹き戻して熱量を補充することができる。
【0038】
好ましくは、ガス加熱装置6が設けられた場合、ガス加熱装置6の加熱に必要な熱は、ガス管網7内のガスの燃焼によって供給され、ガス管網7内のガスは、高炉1内の高炉ガスおよび/または解析ガスを含む。
【0039】
さらに、ガス管網7は、高炉1およびガス加熱装置6に接続され、高炉1内の高炉ガスを収集し、燃焼によりガス加熱装置6に熱を供給する。
【0040】
好ましくは、脱窒素処理が行われていない場合には、処理された転炉ガス中の解析ガスを回収するために、ガス管網7がガス脱炭素装置に接続される。
【0041】
好ましくは、脱窒素処理を行う場合には、処理された転炉ガス中の解析ガスを回収するために、ガス管網7が炭窒化脱炭素装置に接続される。
【0042】
図1~
図10を参照すると、いくつかの実施例では、脱炭素処理は、乾式脱炭素または湿式脱炭素のいずれであってもよい。脱炭素処理が乾式脱炭素である場合、解析ガス中のCO
2濃度は95%以下であり、解析ガスは高炉1に接続されたガス管網7に流入され、脱炭素処理が湿式脱炭素の場合、解析ガス中のCO
2濃度は95%以上であり、解析ガスはCCUSを処理される。
【0043】
また、解析ガスをCCUS(Carbon Capture, Utilization and Storage、炭素回収、利用、封じ込め)処理する場合には、脱炭素装置55に接続されたCCUS装置で処理するようにしてもよい。
【0044】
以下、1基の2850m3高炉を例にして、高炉の物理平衡と熱平衡に対してシミュレーション計算を行い、異なる実施例と合わせて本発明を更に説明する。
【0045】
表1~表4は、それぞれ高炉原燃料条件と従来の高炉製鉄プロセスパラメータである。
【0046】
【0047】
【0048】
【0049】
【0050】
(実施例1)
本実施例では、転炉ガス乾式手法で脱炭素し、脱窒素せず、未加熱である。
図1および
図2を参照すると、本実施例の炭素循環に基づく高炉・転炉の鉄鋼生産システムは、転炉ガス収集装置4、ガス加圧装置51、ガス脱酸素装置53、ガス脱水装置54、ガス脱炭素装置55、ガス吹付け装置3、高炉1、ガス管網7、および転炉2を含むが、これらに限定されない。そのうち、高炉1、ガス管網7および転炉2は、従来の高炉・転炉システムと同様であり、ここで表1~表3の従来高炉の原燃料条件を合わせて具体的に説明する。
【0051】
高炉1で発生した高温溶鉄は、転炉2に輸送され、脱炭素、脱燐、脱硫、脱酸素などの操作を行い、合格の溶鋼9を得る。転炉2は、周期性の製鋼装置であり、一般的な製錬周期は25~45Minであり、かつ酸素吹付脱炭素操作を行う必要がある。そのため、製鋼過程において、異なるCO含有量の転炉ガスが断続的に発生し、転炉ガス中のCO含有量が40%以上になると、転炉ガス収集装置4に導入、貯蔵し、下流の工程に使用することができる。
【0052】
本実施例では、転炉ガス収集装置4は、転炉ガスキャビネットであってよい。転炉ガスキャビネットからCO含有量≧40%の転炉ガス量約77000Nm3/hを引き出し、具体的な転炉ガス成分は表3に示し、そのうち、CO:44.2%、CO2:27.7%、H2:1.5%、N2:28.6%である。引き出された転炉ガスは、ガス加圧装置51によって0.50Mpa~0.65Mpaに加圧され、後続のガス脱炭素装置55が脱炭素処理を行うことおよびガス吹付け装置3が転炉ガスを高炉1内に正常に吹き込むことを満足させる。
【0053】
表3に示すように、転炉ガスには酸素も一定比例含まれており、正常範囲は0~0.4%であった。ガス脱炭素装置55のモレキュラーシーブは酸素を恐れており、転炉ガスは圧縮および加熱過程においてガス爆発の危険性があることを考慮すると、ガス脱酸装置53で転炉ガスを脱酸素するために使用され、処理した酸素含有量は、1ppm未満である。
【0054】
酸素除去された転炉ガスは、ガス脱水装置54によって脱水された後、ガス脱炭素装置55に導入し転炉ガスの脱炭素処理を行い、脱炭素処理は、乾式脱炭素プロセスを採用することができ、脱炭素した転炉ガス量は約52000Nm3/hであり、発生した解析ガス量は、約25000Nm3/hであり、脱炭素したガスおよび解析ガス成分は表5に示す。
【0055】
【0056】
ガス脱炭素装置55は、乾式脱炭素プロセスを採用した後、発生した解析ガスの中にまだ約14%のCOが含まれ、直接に排出またはCCUS(Carbon Capture, Utilization and Storage、炭素回収、利用、封じ込め)処理を行うことができず、発生した解析ガスは、パイプラインによって直接にガス管網7に合流し、燃料として使用される。
【0057】
加圧され脱炭素された転炉ガスは直接冷却されてガス吹付け装置3を介して高炉羽口から高炉1内に吹き込まれ、高炉1内のボッシュガス中の還元ガス比例を大幅に向上させることができ、ボッシュガス成分は表6に示すとおりであり、これによって高炉での間接還元を促進し、直接還元を低下させ、高炉1で製錬される鉄1トン当たりの燃料消費量が削減され、高炉製錬プロセスにおけるCO2の排出量が低下した。
【0058】
【0059】
高炉の熱平衡と材料平衡の計算によって、脱炭素した転炉ガスを高炉1に吹き戻した後、燃料比は463kg/tで、そのうち、石炭比は150kg/t、コークス比は313kg/tである。従来の高炉と比べ、炭素含有燃料の低下は明らかであり、燃料比は52kg/t低下し、直接炭素減少の比例は10%であり、鉄1トン当たりのCO2の排出量は約165kg/t低下し、具体的な指標は表7に示す。
【0060】
【0061】
高炉1で発生した高炉溶鉄は、転炉2で製鋼された後、生成した溶鋼は後続工程に使用され、生成した副産物である転炉ガスは、転炉ガス収集装置4を経てリサイクルされる。このように転炉ガスをリサイクルして、高炉の高効率化製錬とCO2排出を下げる目的を実現できる。
【0062】
(実施例2)
本実施例は、転炉ガス乾式手法で脱炭素、脱窒素、加熱した。
図3および
図4を参照すると、本実施例の炭素循環に基づく高炉・転炉の鉄鋼生産システムは、転炉ガス収集装置4、ガス加圧装置51、ガス脱硫装置52、ガス脱酸素装置53、ガス脱水装置54、ガス脱炭素装置55、ガス脱窒素装置56、ガス加熱装置6、ガス吹付け装置3、高炉1、ガス管網7および転炉2を含むが、これらに限定されない。そのうち、高炉1、ガス管網7および転炉2は、従来の高炉・転炉システムと同様である。
【0063】
本実施例では、転炉ガス収集装置4は、転炉ガスキャビネットであってよいが、本実施例では、ガス脱硫装置52、ガス脱窒素装置56、ガス加熱装置6およびガス加圧装置51に冷却装置が配置されている点で実施例1と異なり、その他のシステムおよび処理方式、並びに原燃料条件が実施例1と同様であるので、繰り返して記述せず相違点のみを説明する。
【0064】
本実施例では、ガス加圧装置51の出口端の冷却能力は、加圧した転炉ガスの出口温度が転炉ガスの脱硫のニーズに合わせて60℃~90℃の範囲になるように冷却装置によって調整される。通常の転炉ガスには窒素が15%~30%含まれているが、高炉1に流入する還元ガスの比例を増やして脱炭素効果を高めるために、本実施例では、ガス脱窒素装置56により脱窒素処理を行い、入炉のN2含有量を低減することができる。転炉ガスに20~30ppmのS含有量が含まれているため、ガス脱窒素装置56が脱窒素処理を行う際に、脱窒素吸着剤の被毒を防止するためにS含有量の管理に対する要求が極めて高い。したがって、ガス脱窒素の要求を満たすために、ガス脱硫装置52を用いて脱硫処理を行う必要があり、転炉ガスの温度は60℃~90℃に制御され、処理後のS含有量は10ppmより小さくことが求められ、例えば、S含有量は0.1ppm~10ppmの範囲とすることができる。
【0065】
本実施例では、転炉ガスは、加圧、脱硫、脱酸素、脱水、脱炭素、脱窒素処理を順に加熱処理された。そのうち、転炉ガスの脱炭素は、乾式脱炭素プロセスを採用し、転炉ガスは、脱炭素した後に脱窒素処理を行う。脱炭素・脱窒素後の転炉ガス量は約35000Nm3/h、発生した解析ガス量は約42000Nm3/h、ガス組成を表8に示す。
【0066】
【0067】
乾式脱炭素プロセスを採用した後でも、発生した解析ガスにまだ約8%のCOが含まれており、直接排出したりCCUS処理したりすることができず、発生した解析ガスは、パイプラインによって直接に高炉ガスの管網7に合流され、燃料として使用される。
【0068】
脱炭素・脱窒素された転炉ガスは、ガス加熱装置6によって850℃~950℃に加熱され、転炉ガスが高炉1内に吹き込まれて熱量を補充し、ガス加熱装置6が必要とする熱は、ガス管網7の高炉ガスの燃焼によって提供される。
【0069】
加圧、脱炭素、脱窒素、加熱された転炉ガスは、ガス吹付け装置3を介して高炉羽口から高炉1内に吹き込み、高炉1内のボッシュガス中の還元ガス比例を大幅に向上させることができ、ボッシュガス組成は表9に示すとおりであり、これによって高炉での間接還元を促進し、直接還元を低下させ、高炉の鉄1トンの1製錬の燃料消費量が削減され、高炉の製錬過程におけるCO2排出量が低下した。
【0070】
【0071】
高炉の熱平衡と材料平衡の計算によって、脱炭素、脱窒素および加熱された転炉ガスを高炉1に吹き返した後、燃料比は433kg/tで、そのうち、石炭比は180kg/t、コークス比は253kg/tである。従来の高炉と比べ、炭素含有燃料の低下は明らかであり、燃料比は82kg/t低下し、直接炭素減少の比例は16%であり、鉄1トン当たりのCO2の排出量は約256kg/t低下し、具体的な指標は表10に示す。
【0072】
【0073】
(実施例3)
本実施例では、転炉ガス乾式手法で脱炭素、脱窒素、未加熱である。
図5および
図6を参照すると、本実施例の炭素循環に基づく高炉・転炉鉄鋼の生産システムは、転炉ガス収集装置4、ガス加圧装置51、ガス脱硫装置52、ガス脱酸素装置53、ガス脱水装置54、ガス脱炭素装置55、ガス脱窒素装置56、ガス吹付け装置3、高炉1、ガス管網7、および転炉2を含むが、これらに限定されない。そのうち、高炉1、ガス管網7および転炉2は従来の高炉・転炉システムと同様である。脱炭素・脱窒素された転炉ガスを加熱せず、そのまま冷態ガスを用いて高炉1に吹き込む点で実施例2と異なり、その他のシステムおよび処理方式、並びに原燃料条件が実施例2と完全に一致するので、繰り返して記述せず相違点のみを説明する。
【0074】
加圧、脱炭素、脱窒素された転炉ガスは、ガス吹付け装置3を介して高炉羽口から高炉1内に吹き込み、高炉1内のボッシュガス中の還元ガス比例を大幅に向上させることができ、ボッシュガス組成は表11に示すとおりであり、これによって高炉の間接還元を促進し、直接還元を低下させ、高炉の鉄1トンの1製錬の燃料消費量が削減され、高炉の製錬過程におけるCO2排出量が低下した。
【0075】
【0076】
高炉の熱平衡と材料平衡の計算によって、脱炭素、脱窒素および加熱された転炉ガスを高炉1に吹き返した後、燃料比は447kg/tで、そのうち、石炭比は150kg/t、コークス比は297kg/tである。従来の高炉と比べ、炭素含有燃料の低下は明らかであり、燃料比は68kg/t低下し、直接炭素減少の比例は13%であり、鉄1トン当たりのCO2の排出量は約213kg/t低下した。
【0077】
(実施例4)
本実施例では、転炉ガス乾式手法で脱炭素し、脱窒素せず、加熱した。
図7および
図8を参照すると、本実施例の炭素循環に基づく高炉・転炉の鉄鋼生産システムは、転炉ガス収集装置4、ガス加圧装置51、ガス脱酸素装置53、ガス脱水装置54、ガス脱炭素装置55、ガス加熱装置6、ガス吹付け装置3、高炉1、ガス管網7、および転炉2を含むが、これらに限定されない。そのうち、高炉1、ガス管網7および転炉2は、従来の高炉・転炉システムと同様である。ガス脱硫およびガス脱窒素処理を行わず、脱炭素された転炉ガスをガス加熱装置6で加熱した後、ガス吹付け装置3で高炉1内に吹き込む点で実施例2と異なり、その他のシステムおよび処理方式、並びに原燃料条件は実施例2と完全に一致するので、繰り返して記述せず相違点のみを説明する。
【0078】
転炉ガスは脱窒素処理を行わないため、ガス脱硫装置を取り消す。転炉ガスはガス加圧、脱酸素、脱水を経て、ガス脱炭素装置55に入ってガス脱炭素処理を行い、依然として乾式脱炭素プロセスを採用し、脱炭素後の転炉ガス量は約52000Nm3/hであり、発生した解析ガス量は約25000Nm3/hであり、脱炭素後のガスおよび解析ガス組成は表12に示す。
【0079】
【0080】
ガス脱炭素装置55は乾式脱炭素プロセスを採用した後、発生した解析ガスにまだ約14%のCOが含まれており、直接に排出またはCCUS処理を行うことができず、直接排出したりCCUS処理したりすることができず、発生した解析ガスは、パイプラインによって直接に高炉ガスの管網7に合流され、燃料として使用される。
【0081】
加圧、脱炭素された転炉ガスは、直接冷態でガス吹付け装置3を介して高炉羽口から高炉1内に吹き込み、高炉1内のボッシュガス中の還元ガス比例を大幅に向上させることができ、ボッシュガス組成は表13に示すとおりであり、これによって高炉での間接還元を促進し、直接還元を低下させ、高炉の鉄1トンの1製錬の燃料消費量が削減され、高炉の製錬過程におけるCO2排出量が低下した。
【0082】
【0083】
高炉の熱平衡と材料平衡の計算によって、脱炭素、脱窒素および加熱された転炉ガスを高炉1に吹き返した後、、燃料比は449kg/tで、そのうち石炭比は160kg/t、コークス比は289 kg/tである。従来の高炉と比べ、炭素含有燃料の低下は明らかであり、燃料比は66kg/t低下し、直接炭素減少の比例は12.8%で、であり、鉄1トン当たりのCO2の排出量は約206kg/t低下し、具体的に表14を参照する。
【0084】
【0085】
(実施例5)
本実施例では転炉ガス湿式法で脱炭素し、脱窒素せず、加熱した。
図9および
図10を参照すると、本実施例の炭素循環に基づく高炉・転炉の鉄鋼生産システムは、転炉ガス収集装置4、ガス加圧装置51、ガス脱水装置54、ガス脱炭素装置55、CCUS装置8、ガス加熱装置6、ガス吹付け装置3、高炉1、ガス管網7、および転炉2を含むが、これらに限定されない。そのうち、高炉1、ガス管網7および転炉2は、従来の高炉・転炉システムと同様である。転炉ガスはガス脱硫、脱窒素処理を行わず、ガス脱炭素は湿式プロセスを採用し、解析ガス中のCO
2の純度が比較的高く、直接CCUS装置8に接続し、または直接排出することができ、ガス管網7に合流しなく、脱炭素されたガスはガス加熱装置6によって加熱された後、ガス吹付け装置3によって高炉1内に吹き込む点で、実施例2と異なり、その他のシステムおよび処理方式、および原燃料条件は実施例2と完全に一致するので、繰り返して記述せず相違点のみを説明する。
【0086】
本実施例では、ガス脱炭素装置が異なる点で実施例4と異なり、本実施例は湿式脱炭素プロセスを採用し、実施例3は乾式脱炭素プロセスを採用し、脱炭素効果の差が大きくないため、高炉炉内の反応および減炭効果に対して基本的な変化が大きくなく、これ以上繰り返し述べることはない。
【0087】
転炉ガスは脱窒素処理を行わないため、ガス脱硫装置を取り消す。転炉ガスはガス加圧、脱酸素、脱水を経て、ガス脱炭素装置55に入ってガス脱炭素処理を行い、湿式法脱炭素プロセスを採用し、脱炭素後の転炉ガス量は約56000Nm3/h、発生した解析ガス量は約21000Nm3/h、脱炭素されたガスおよび解析ガス組成は表15に示す。
【0088】
【0089】
ガス脱炭素装置55は、湿式法脱炭素プロセスを採用し、発生した解析ガス中のCO2濃度が非常に高く、99%以上に達することができ、基本的にCOがなく、直接にCCUS処理または直接排出を行うことができ、ガス管網7に再び合流しない。
【0090】
(実施例6)
図11を参照すると、上述した実施例1~実施例5の脱炭素された転炉ガスは、いずれも羽口12を介して高炉1に吹き込まれている。同時に異なる運転モード条件および実際減炭需要に対して、脱炭素された転炉ガスは高炉1の炉体11から吹き込むことができる。その他のシステム処理方式については、実施例1~実施例5と同様であり、繰り返し説明することはない。
【0091】
(実施例7)
図12を参照すると、上述した実施例1~実施例5の脱炭素後の転炉ガスは、いずれも羽口12を介して高炉1に吹き込まれている。同時に異なる運転モード条件および実際減炭需要に対して、脱炭素された転炉ガスは同時に高炉1の炉体11と羽口12から吹き込むことができる。その他のシステム処理方式については、実施例1~実施例5と同様であり、繰り返し説明することはない。
【0092】
本発明の炭素循環に基づく高炉・転炉の鉄鋼生産方法は、工程が簡単、操作が便利で、炭素循環に基づく高炉・転炉の鉄鋼生産システムを採用することによって、転炉ガスの加圧、脱硫、脱酸素、脱水、脱炭素、脱窒素処理を実現する。製鋼で生成する転炉ガスを利用し、加圧、脱硫、脱酸素、脱水、脱炭素、脱窒素および加熱した後に、高炉内に循環して吹き込まれて、転炉ガスの有効還元気体を充分に利用し、高炉ボッシュガスの還元気体比例を向上させ、高炉間接還元を促進し、高炉製鋼炭質燃料の消費量が削減され、これによって転炉ガスの利用効率を向上し、高炉・転炉鉄鋼製造プロセスにおけるCO2の排出を有効に下げ、更に省エネ、環境保護である。
【0093】
上述した実施例は、本発明の原理および効果を例示的に説明するものであり、本発明を限定するものではない。この技術に精通している者であれば、本発明の精神および範囲を逸脱することなく、上記の実施例を修正または変更することができる。したがって、通常の知識を有する者が本発明によって開示された精神および技術的思想から逸脱することなく行ったすべての同等の修正または変更は、特許請求の範囲によって含まれるべきである。
【符号の説明】
【0094】
1 高炉
11 炉体
12 羽口
2 転炉
3 ガス吹付け装置
4 転炉ガス収集装置
51 ガス加圧装置
52 ガス脱硫装置
53 ガス脱酸素装置
54 ガス脱水装置
55 ガス脱炭素装置
56 ガス脱窒素装置
6 ガス加熱装置
7 ガス管網
8 CCUS装置
9 溶鋼
【国際調査報告】