(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-28
(54)【発明の名称】ディッパーリップ
(51)【国際特許分類】
E02F 9/28 20060101AFI20240621BHJP
【FI】
E02F9/28 B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023579210
(86)(22)【出願日】2022-06-01
(85)【翻訳文提出日】2023-12-22
(86)【国際出願番号】 US2022031724
(87)【国際公開番号】W WO2023278092
(87)【国際公開日】2023-01-05
(32)【優先日】2021-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391020193
【氏名又は名称】キャタピラー インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】CATERPILLAR INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クンツ、フィリップ ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ジャミロサ、ジェームズ ジー.
【テーマコード(参考)】
2D015
【Fターム(参考)】
2D015KA03
(57)【要約】
ディッパーリップ(300)は、第1のサイドウィング(310)と、第2のサイドウィング(310a)と、第1のサイドウィング(310)と第2のサイドウィング(310a)に亘る後部バケット取り付け部分(306)と、第1のサイドウィング(310)から第2のサイドウィング(310a)まで延びる前部ショベル部分(302)とを含む。前部ショベル部分(302)は上部ショベル面(314)を画定し、後部バケット取り付け部分(306)は上部後面(316)を形成する。上部ショベル面(314)は、ディッパーリップ(300)の中央平面(312)において上部後面(316)と鈍角(318)を形成する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディッパーリップ(300)であって、
第1のサイドウィング(310)と、
第2のサイドウィング(310a)と、
前記第1のサイドウィング(310)と前記第2のサイドウィング(310a)に亘る後部バケット取り付け部分(306)と、
前記第1のサイドウィング(310)から前記第2のサイドウィング(310a)まで延びる前部ショベル部分(302)とを含み、
前記ディッパーリップ(300)は、前記第1のサイドウィング(310)と前記第2のサイドウィング(310a)との間に配置された中央平面(312)を画定し、前記前部ショベル部分(302)は、上部ショベル面(314)を画定し、前記後部バケット取り付け部分(306)は、上部後面(316)を形成し、前記上部ショベル面(314)は前記中央平面(312)において前記上部後面(316)と鈍角(318)を形成する、ディッパーリップ(300)。
【請求項2】
前記鈍角(318)は、173.0度から177.0度の範囲である、請求項1に記載のディッパーリップ(300)。
【請求項3】
前記鈍角(318)は、174.0度から175.0度の範囲である、請求項1に記載のディッパーリップ(300)。
【請求項4】
前記前部ショベル部分(302)が、垂直面(320)及び水平面(322)の両方において弓形である、請求項1に記載のディッパーリップ(300)。
【請求項5】
前記前部ショベル部分(302)が、垂直に延びる複数の貫通孔(324)と、前方に延びる複数のボス(326)とを画定する、請求項1に記載のディッパーリップ(300)。
【請求項6】
前記後部バケット取り付け部分(306)が、前記第1のサイドウィング(310)から前記第2のサイドウィング(310a)まで延びる尖った後縁(328)を画定する、請求項1に記載のディッパーリップ(300)。
【請求項7】
前記第1のサイドウィング(310)又は前記第2のサイドウィング(310a)は、最小厚さ(332)、及び前記最小厚さ(332)に対して垂直に測定された全長(334)を画定する上部ウィング面(330)を含み、前記全長(334)と前記最小厚さ(332)との比は3.3から5.3の範囲である、請求項1に記載のディッパーリップ(300)。
【請求項8】
前記全長(334)は、495.3mmから609.6mmの範囲である、請求項7に記載のディッパーリップ(300)。
【請求項9】
ディッパーバケット(200)であって、
上壁(204)と、
前記上壁(204)から延びる第1の側壁(206)と、
前記上壁(204)から延びる第2の側壁(206a)と、
前記第1の側壁(206)から前記第2の側壁(206a)まで延びる底床(208)と、
前部ショベル部分(302)を含むディッパーリップ(300)とを含み、
前記上壁(204)及び前記底床(208)に垂直な中央平面(312)において、前記前部ショベル部分(302)は、前記底床(208)と187.5度より大きい外角(304)を形成する、ディッパーバケット(200)。
【請求項10】
前記ディッパーリップ(300)は、前記前部ショベル部分(302)と第1の斜角(212)を形成する後部バケット取り付け部分(306)を含み、前記ディッパーリップ(300)の前記後部バケット取り付け部分(306)は、前記ディッパーバケット(200)の前記底床(208)と第2の斜角(214)を形成し、前記上壁(204)と前記前部ショベル部分(302)は互いに実質的に平行であり、前記ディッパーバケット(200)は、前記前部ショベル部分(302)に取り付けられたチップ(234)をさらに含み、前記チップは、前記中央平面(312)において、前記上壁(204)と3.0度から7.0度の範囲の口角(240)を形成する二等分線(238)を画定する、請求項9に記載のディッパーバケット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、建設機械及び鉱山機械などに使用されるディッパーに関する。具体的には、本開示は、オイルサンド用途での使用に適したディッパーに関する。
【背景技術】
【0002】
現在の多くの用途では、ディッパーは電動ロープショベルなどの重機に使用される。これらのディッパーは、過酷な環境で使用されるため、磨耗したり、亀裂が生じたりすることがある。また、これらのディッパーの掘削性能は、移動される材料の種類によって異なる場合がある。
【0003】
特に、オイルサンド用途では、ヒールの磨耗によりディッパーのメンテナンスが必要になることが知られ、掘削性能は望ましいものではないことが判明している。ディッパーを交換するには、ディッパーを機械から取り外し、摩耗したコンポーネントを交換する必要がある。又は、全く新しいディッパーが必要になる。これには、機械の望ましくない延長したダウンタイムと、新しいディッパーコンポーネント(複数可)の追加コストが必要になる。
【0004】
様々なディッパー構成が当技術分野で知られており、その中には米国特許第9,809,947号に開示されているディッパー構成も含まれる。‘947特許は、後壁と、後壁から延びる第1の側壁と、後壁から延びる第2の側壁と、後壁の反対側に配置され、第1の側壁と第2の側壁との間に延びる前壁と、ディッパーの下端に枢動可能に結合されたディッパードアとを含む採掘ショベル用ディッパーを開示している。ディッパードアは、ディッパーに対してラッチ位置とラッチ解除位置の間で移動可能である。ディッパードアがラッチ位置にあるとき、ディッパードアは前壁に対して鋭角に傾斜する。
【0005】
しかしながら、’947特許には、オイルサンド用途などの研磨環境におけるディッパーの掘削性能又はヒールの摩耗の防止については言及されていない。
【0006】
したがって、これまでに考案されたものよりも優れた掘削性能を有し、ヒールの摩耗が少ないディッパーを開発する必要がある。
【発明の概要】
【0007】
本開示の一実施形態によるディッパーは、上壁と、上壁から延びる第1の側壁と、上壁から延びる第2の側壁と、第1の側壁から第2の側壁まで延びる底床と、前部ショベル部分を含むディッパーリップとを含み得る。上壁及び底床に垂直な中央平面では、前部ショベル部分は、底床と187.5度より大きい外角を形成することができる。
【0008】
本開示の別の実施形態によるディッパーは、上壁と、上壁から延びる第1の側壁と、上壁から延びる第2の側壁と、第1の側壁から第2の側壁まで延びる底床とを含み得る。上壁及び底床に垂直な中央平面では、底床は、ディッパーがディッパーの後部に向かって狭くなる口を形成するように、上壁と5.0度から15.0度の範囲の第1の鋭角を形成し得る。
【0009】
本開示の更なる別の実施形態によるディッパーリップは、第1のサイドウィングと、第2のサイドウィングと、第1のサイドウィングと第2のサイドウィングに亘る後部取り付け部分と、第1のサイドウィングから第2のサイドウィングまで延びる前部ショベル部分とを含み得る。ディッパーリップは、第1のサイドウィングと第2のサイドウィングとの間に配置された中央平面を画定し得る。また、前部ショベル部分は上部ショベル面を画定し、後部バケット取り付け部分は上部後面を形成する。上部ショベル面は、中央平面の上部後面と鈍角を形成し得る。
【0010】
本開示の一実施形態によるディッパーは、上壁と、上壁から延びる第1の側壁と、上壁から延びる第2の側壁と、第1の側壁から第2の側壁まで延びる底床と、前部ショベル部分を含むディッパーリップと、前部ショベル部分に取り付けられたチップとを含み得る。上壁及び底床に垂直な中央平面では、チップは上壁と3.0度から7.0度の範囲の鋭角を形成する二等分線を画定し得る。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本開示の様々な実施形態に従って構成されたディッパーリップを使用し得るディッパーを有する電動ロープショベルなどの機械の斜視図である。
【
図2】機械から取り外された
図1のディッパーの斜視図である。
【
図4】
図3のディッパーのディッパーリップと底板とによって形成される接合部の拡大詳細図である。
【
図5】
図2及び
図3のディッパーのディッパーリップを単独で示す上面図である。
【
図7】
図6の7-7線に沿ったディッパーリップの側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示の実施形態を詳細に参照し、その例を添付図面に示す。可能な限り、図面において、同一の参照番号を使用して同一又は類似の部品を示す。いくつかの場合において、参照番号は本明細書で示されており、図面は、参照番号を、その後に英文字が続くように、例えば100a、100bのような形で示す。参照番号の直後に英文字を使用することは、幾何学的形状が対称平面鏡像を囲む場合によく見られるように、これらのフィーチャが同様の形状及び同様の機能を有することを示すことが理解されるべきである。本明細書における説明を容易にするために、英文字は本明細書に含まれないことが多いが、本明細書内で説明する特徴の重複を示すために図面に示される場合がある。
【0013】
本開示の様々な実施形態は、オイルサンド用途などの研磨環境においてヒールの摩耗を低減し、及び/又は掘削性能を向上させるために様々な角度を使用することができるディッパーリップ又はディッパーを含む。
【0014】
図1を参照すると、車体102の両側に配置された第1のトラックチェーン104a及び第2のトラックチェーン104bを含むトラックシステムを備えた車体102(ターンテーブル108を含み得る)を有する機械100が示される。機械100は、運転室106、ブーム110、ブーム110の下端112(ブームフットとも呼ばれる)、ブーム110の上端114(ブームポイントとも呼ばれる)、張力ケーブル116、ガントリー張力部材118、ガントリー圧縮部材120、ブーム110の上端114に回転可能に取り付けられた滑車122、ディッパー200、ディッパー200に枢動可能に連結されたディッパードア202、ホイストロープ128、ウインチドラム(図示せず)、及びディッパーハンドル130を有する電動ロープショベルと関連して示される。電気モータがウインチドラムを制御し、ブーム、ディッパーの昇降、及びブームに対するディッパーハンドルの上下運動を引き起こす。
【0015】
トラック104a及び104bは、従来の方法で車体102に結合された機械車台132の一部である。トラック104a及び104bのそれぞれは、複数の回転可能要素の周囲に延びるエンドレスループを形成する、互いに結合された複数のトラックシューを含む。典型的な設計では、アイドラ134及び駆動スプロケット136は、トラック104a及び104bのそれぞれに関連付けられ、トラックローラフレーム138に取り付けられる。本明細書でさらに説明するように、複数のトラックローラ140もローラフレーム138に取り付けることができ、トラック104a及び104bのそれぞれに関連付けられて機械100を支持し、トラック104a及び104bを所望の経路に案内する。1つ又は複数のキャリアローラ142(又は本明細書で少し説明するトラックスライダ)も、トラック104a及び104bのそれぞれに関連付けられ、動作中にローラ140の反対側のトラックを支持及び案内することができる。
【0016】
トラック104a及び104bの独特な設計、ならびにそれらが一部であるトラック及び車台システム全体は、機械100がオイルサンドなどの特定の環境で動作できるようにすることが企図される。本明細書では、電動ローパーショベル及びディッパーの機械環境での使用が強調されているが、機械100が異なるタイプの機械を構成できることを理解されるべきである。例えば、トラックタイプトラクター、さらにはハーフトラック機械も本明細書では企図されている。さらに、機械100は、コンベヤ又は他の種類の機械で構成され、トラックは接地係合要素以外の目的に使用される。また、機械は、ある種の油圧ショベル、ブルドーザー、掘削機、バックホーなどである可能性がある。
【0017】
ディッパー200は、ホイストロープ128によってブーム110から吊り下げられる。ホイストロープ128は滑車122に巻き付けられ、ベール144でディッパー200に取り付けられる。ホイストロープ128はウインチドラム(図示せず)に固定される。ウインチドラムは、伝達ユニット(図示せず)を組み込んだ少なくとも1つの電気モータ(図示せず)によって駆動される。ウインチドラムが回転すると、ホイストロープ128が繰り出されてディッパー200を下降させるか、又は引き込まれてディッパー200を上げる。ディッパーハンドル130もディッパー200に結合される。ディッパーハンドル130はサドルブロック146内に摺動可能に支持され、サドルブロック146はシッパーシャフト(明確に図示せず)でブーム110に枢動可能に取り付けられる。ディッパーハンドル130は、サドルブロック146に取り付けられた駆動ピニオン(図示せず)と係合するラック及び歯の構造をその上に含む。駆動ピニオンは、電気モータ及び伝達ユニット(図示せず)によって駆動され、サドルブロック146に対してディッパーハンドル130を伸縮させる。
【0018】
電源(図示せず)が車体102に取り付けられ、ホイストドラムを駆動するためのホイスト電気モータ(図示せず)、クラウド伝達ユニットを駆動するための1つ以上のクラウド電気モータ(図示せず)、及びターンテーブル108を回転させるための1つ以上のスイング電気モータ(図示せず)に電力を供給する。場合によっては、1つの電気モータがショベルのすべての可動コンポーネントに電力を供給する。クラウドモータ、ホイストモータ、及びスイングモータのそれぞれは、独自のモータコントローラによって駆動されるか、又はコントローラ(明確に図示せず)からの制御信号に応答して駆動される。
【0019】
トラックチェーン104a及び104bは、足元の厳しい条件での作業によく適していると考えられる。この目的のために、トラックチェーン104a及び104bは「高接地圧」トラックであってもよく、それぞれが機械100の比較的大きな重量を支持するのに十分な耐久性を有するトラック部材を有する。トラックシュー部材のそれぞれは、前縁及び後縁によって部分的に画定され、また外側縁及び内側縁によって部分的に画定される設置面積を有する。トラックシュー部材のそれぞれは、その設置面積に等しいか、又は隣接するトラックシューが互いに重なり合う程度、又はトラックシュー部材の底面に配置される空隙によってのみ、その設置面積よりも小さい接地面積をさらに含み得る。本開示の他の実施形態では、トラックシュー及びトラックチェーンアセンブリの他の構成が可能である。
【0020】
図2及び
図3を参照すると、本開示の一実施形態によるディッパーバケットは、上壁204と、上壁204から延びる第1の側壁206と、上壁204から延びる第2の側壁206aと、第1の側壁206から第2の側壁206aまで延びる底床208とを含み得る。ディッパーリップ300は、側壁だけでなく底床にも取り付けることができる。ディッパーリップ300は、前部ショベル部分302(前方スクープ部分とも呼ばれる)を含み得る。いくつかの実施形態では、上壁が水平である場合、この前部ショベル部分は本質的に水平であり、掘削性能を向上させることができる。
【0021】
上壁204及び底床208に垂直な中央平面210(対称面であってもよい)において、前部ショベル部分302は底床208と187.5度より大きい外角304(すなわち、この角度はディッパーの外側に位置する)を形成してもよい。例えば、いくつかの実施形態では、この角度は、189.5度から191.5度の範囲であってもよい(例えば、実際には約190.0度から191.0度であってもよい)。この角度を設けることにより、ディッパーのヒール305の摩耗を軽減することができる。本開示の他の実施形態では、他の角度範囲も可能である。
【0022】
また、ディッパーリップ300は、前部ショベル部分302と第1の斜角212を形成する後部取り付け部分306(リップのこの部分がリップをディッパーに取り付けるために使用される後部であるため、そう呼ばれる)を含む。同様に、ディッパーリップ300の後部取り付け部分306は、ディッパーの底床208と第2の斜角214を形成し得る。第1の斜角は、第2の斜角とはわずかに異なる値を持つ可能性があるが、必ずしもそうではない。
【0023】
図3に最も良く示されるように、ディッパーの上壁204とリップの前部ショベル部分302は、互いに実質的に平行(すなわち、+/-2.0度)であるが、ディッパーの第1又は第2の側壁の後縁215は、ディッパーの底床208に対して実質的に垂直(すなわち、+/-2.0度)であってもよく、必ずしもそうではない。
【0024】
ディッパー300の別の実施形態は、
図2及び3を続けて参照しながら以下のように説明され得る。中央平面210(すなわち、
図3に示される断面)では、底床208は、いくつかの実施形態では、ディッパー200が、ディッパー200の後部に向かって狭くなる口(点線218を参照)を形成するように、上壁204と5.0度から15.0度の範囲の第1の鋭角216(ヒール角度と同じでもよい)を形成し得る。
【0025】
より具体的には、本開示のいくつかの実施形態では、第1の鋭角216は、7.5度から12.5度の範囲であってもよい。本開示の他の実施形態では、第1の鋭角216は、9.0度から11.0度の範囲(例えば、約10.0度)であってもよい。本開示の他の実施形態では、他の範囲も可能である。
【0026】
本明細書で前に言及したように、後縁215は、上壁204、第1の側壁206、及び第2の側壁206aによって画定され得る。ディッパードア220(
図1も参照)は、後縁215に接触するように構成された上壁204(例えば、
図2及び
図3の後部ピボット点230)でディッパーに枢動可能に取り付けられ得る。これは、本開示の他の実施形態には当てはまらない場合がある。
【0027】
前部リップ(例えば、ディッパーリップ300)はまた、後部取り付け部分306及び前部ショベル部分(例えば、302を参照)を含むディッパーに取り付けられてもよい。後部取り付け部分306は、ディッパーの内側(すなわち、ディッパーの内部)の中央平面210上の底床208と175.0度から180.0度未満の範囲の第1の鈍角222(
図3を参照)を形成してもよい。
【0028】
より具体的には、本開示のいくつかの実施形態では、第1の鈍角222は、176.5度から178.5度の範囲であってもよい。
【0029】
同様に、本開示のいくつかの実施形態では、前部ショベル部分(例えば、302を参照)は、ディッパーの内側の中央平面210上の後部取り付け部分306と173.0度から177.0度の範囲の第2の鈍角224を形成してもよい。これらの角度範囲のいずれも、本開示の他の実施形態では異なっていてもよい。
【0030】
図4に示されるように、前部リップの後部取り付け部分306は、ディッパーの底床208と接合部226を形成してもよい。この接合部226において、後部取り付け部分は、接合部に配置された上部面取り308及び下部面取り308aを含むが、底床は、面取りに当接する平坦面228を有し得る。隅肉溶接(図示せず)は、これらのコンポーネントを互いに取り付けて、これらのコンポーネント間に剛性の接合を形成することができる。
【0031】
ここで
図5から
図7を参照すると、ディッパーの交換部品として、又は現場での改造として供給されるディッパーリップについて説明する。
【0032】
このようなディッパーリップ300は、第1のサイドウィング310、第2のサイドウィング310a、第1のサイドウィング310から第2のサイドウィング310aに亘る後部取り付け部分306、及び第1のサイドウィング310から第2のサイドウィング310aまで延びる前部ショベル部分(例えば、302を参照)を含み得る。
【0033】
ディッパーリップ300はまた、第1のサイドウィング310と第2のサイドウィング310aとの間に配置された中央平面312(図示のような対称面であってもよいが、必ずしもそうではない)を画定することもできる。
図7に最も良く示されるように、前部ショベル部分302は、上部ショベル面314を画定し、後部取り付け部分306は、上部後面316を形成し、上部ショベル面314は、中央平面312において上部後面316と鈍角318を形成する。
【0034】
本開示のいくつかの実施形態では、鈍角318は、173.0度から177.0度の範囲であってもよい。本開示の他の実施形態では、鈍角318は、174.0度から176.0度の範囲であってもよい(例えば、約175.0度であってもよい)。
【0035】
図5及び
図6に示されるように、前部ショベル部分302は、垂直面320(
図6に示す傾斜放物形)及び水平面322(
図5に示す凸弓形)の両方において弓形である。弓形など以外の一方又は両方の平面で他の構成も可能である。
【0036】
図5~
図7において、前部ショベル部分302が、垂直に延びる複数の貫通孔324と、前方に延びる複数のボス326とを画定することが分かる。これらは、
図2及び
図3に示されるアダプタ232、歯234、及びエッジプロテクタ236(シュラウドとも呼ばれる)の取り付けを容易にする。これらのフィーチャ又はコンポーネントはいずれも変更又は省略される場合がある。
【0037】
図5及び
図7に最も良く示されるように、後部取り付け部分306は、第1のサイドウィング310から第2のサイドウィング310aまで延びる尖った後縁328を画定し得る。このエッジを使用して、ディッパーリップをディッパーに取り付けることができる。このフィーチャは、本開示の他の実施形態では省略されてもよい。
【0038】
第1のサイドウィング310又は第2のサイドウィング310aは、最小厚さ332と、最小厚さ332に対して垂直に測定された全長とを画定する上部ウィング面330、330aを含み得る。本開示のいくつかの実施形態では、全長334と最小厚さ332との比は、3.3から5.3の範囲であってもよい。場合によっては、全長334は495.3mmから609.6mmの範囲であってもよい。この比率及び長さは、前部ショベル部分とディッパーの内部との間の十分な移行を提供し、それにより、掘削性能の向上と頑丈な取り付けが同時に提供される。
【0039】
本明細書で議論される比率又は寸法のいずれも、他の用途で使用するために、本開示の他の実施形態で具体的に述べられたものとは異なるように変更され得る。
【0040】
本開示の様々な実施形態において、ディッパーのディッパーリップ又は他のコンポーネントは、金属(例えば、鋳鉄、鉄、鋼、ねずみ鋳鉄、アルミニウム)、強化プラスチックなどの任意の適切な材料で作られ得る。鉄又はマンガン鋼などの金属が使用される場合、ディッパーリップ又は他のコンポーネントは、最終的な寸法公差に合わせて鋳造及び機械加工され得る。
【0041】
ディッパーリップ又は他のコンポーネントの説明では、小さなブレンド、フィレット、面取りなどが省略され得ることに注意すべきである。これらのフィーチャの説明が省略される場合、特許請求の範囲を含む本明細書を解釈する際には、その存在は無視されるべきである。
【0042】
再度、本明細書で論じる実施形態のいずれについても、寸法、角度、及び比の値は、本明細書で示し又は説明したものとは異なるように変更され得る。また、本開示の様々な実施形態において、様々なフィーチャが構成において変更されたり、省略されたりすることも可能である。様々なコンポーネントの材料も、必要に応じて、又は希望に応じて変更され得る。
産業上の利用可能性
【0043】
実際には、ディッパーリップ、ディッパー、及び/又はその任意のコンポーネントは、本明細書で説明する実施形態のいずれかに従って、アフターマーケット又はオリジナル機器のシナリオで販売、製造、購入などすることができる。すなわち、機械は、本明細書で説明される実施形態によるディッパー及び/又はディッパーリップなどとともに販売されてもよく、又は機械は、本明細書で説明される実施形態のいずれかを使用するために改造、修理、又は改装されてもよい。同様に、本開示の任意の実施形態によるディッパーリップを使用して、任意のディッパーを改造又は修理することができる。
【0044】
本開示の発明者らは、本明細書に開示される実施形態により、チップ又は歯を上に11°回転させて、以前の設計と比較してより良い掘削性能を提供できることを発見した。また、ヒールの摩耗を防ぐために、リップのバックを上に10°回転させる。新しいリップ形状により、掘削性能が向上し、ヒールの摩耗が実質的になくなることが期待される。
【0045】
図3に示されるように、チップ又は歯234は、本開示のいくつかの実施形態では、上壁204と3.0度から7.0度(約5.0度であってもよい)の範囲の口角240を形成する二等分線238を画定し得る。
【0046】
これらの設計パラメータは、望ましいオイルサンド掘削性能とディッパーの寿命を得るために重要である可能性がある。
【0047】
この配置は、電動ロープショベルに関連して示されているが、本明細書で開示されている配置は、車輪ではなく、トラックシステムを一般的に採用する種々の他のタイプの機械に汎用性を有する。「機械」という用語は、鉱業、建設などの産業、又は当技術分野で知られている他の産業に関連したある種の操作を行う機械を意味することができる。機械は、例えば、掘削機、ホイールローダ、ケーブルショベル、又は牽引索などであってもよい。さらに、1つ又は複数の器具を機械に接続することができる。この器具は、持ち上げ及び積み込みなど、さまざまな作業で使用できる。
【0048】
本明細書で説明する実施形態のいずれについても、ディッパーリップ又はディッパーは、他のタイプのバケットを含む他の機械の他の器具に使用できるように修正され得る。
【0049】
本明細書で使用される場合、冠詞「1つ(a)」及び「1つ(an)」は、1つ又は複数の項目を含むことが意図されており、「1つ又は複数」と交換して使用され得る。1つの項目のみを使用することが意図されている場合は、用語「1つの」又は類似の用語が使用される。また、本明細書で使用される場合、「有する(has)」、「有する(have)」、「有する(having)」、「有する(with)」などの用語は、無制限の用語であることを意図しているさらに、「に基づいて」という語句は、特に明記しない限り、「少なくとも部分的に基づく」ということを意味することを意図している。
【0050】
当業者にとって明らかなように、本発明の範囲又は精神から逸脱することなく、本明細書で論じた装置及び組立方法の実施形態に様々な修正及び変更を加えることができる。本明細書に開示された様々な実施形態の仕様及び実践を考慮することによって、本開示の他の実施形態は当業者にとって明らかである。例えば、いくつかの機器は、本明細書に記載されたものとは異なる構成及び機能を有してもよく、いずれかの方法のある特定のステップは、省略されてもよく、既に具体的に言及されたものとは異なる順序で実行されてもよく、場合によっては同時に又はサブステップで実行されてもよい。さらに、様々な実施形態の特定の態様又はフィーチャは、さらなる実施形態を作成するために変更又は修正されてもよく、様々な実施形態のフィーチャ及び態様は、さらにさらなる実施形態を提供するために、他の実施形態の他のフィーチャ又は態様に追加され、又はそれらの代わりになってもよい。
【0051】
したがって、明細書及び実施例は例示としてのみ考慮され、本発明の真の範囲及び精神は以下の特許請求の範囲及びその均等物によって示されることが意図される。
【国際調査報告】