IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ サンド・アクチエンゲゼルシヤフトの特許一覧

<>
  • 特表-ソトラシブの結晶形態 図1
  • 特表-ソトラシブの結晶形態 図2
  • 特表-ソトラシブの結晶形態 図3
  • 特表-ソトラシブの結晶形態 図4
  • 特表-ソトラシブの結晶形態 図5
  • 特表-ソトラシブの結晶形態 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-28
(54)【発明の名称】ソトラシブの結晶形態
(51)【国際特許分類】
   C07D 471/04 20060101AFI20240621BHJP
   A61K 31/519 20060101ALI20240621BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20240621BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20240621BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20240621BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20240621BHJP
   A61K 9/48 20060101ALI20240621BHJP
【FI】
C07D471/04 116
C07D471/04 CSP
A61K31/519
A61K47/26
A61K47/38
A61K47/12
A61K9/20
A61K9/48
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023579230
(86)(22)【出願日】2022-06-23
(85)【翻訳文提出日】2024-02-19
(86)【国際出願番号】 EP2022067276
(87)【国際公開番号】W WO2022269008
(87)【国際公開日】2022-12-29
(31)【優先権主張番号】21181306.8
(32)【優先日】2021-06-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】22156069.1
(32)【優先日】2022-02-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】305008042
【氏名又は名称】サンド・アクチエンゲゼルシヤフト
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アダマー,ベレーナ
(72)【発明者】
【氏名】マルグライター,レナーテ
(72)【発明者】
【氏名】ピヒラー,アルトゥール
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA36
4C076AA53
4C076BB01
4C076CC27
4C076DD41
4C076DD67
4C076EE31
4C076EE32
4C076FF36
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086AA04
4C086CB09
4C086GA15
4C086GA16
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA35
4C086MA37
4C086MA52
4C086NA14
4C086ZB26
(57)【要約】
本発明は、ソトラシブの結晶形態及びその調製方法に関する。さらに、本発明は、本発明の結晶形態のソトラシブ及び少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物に関する。本発明の医薬組成物は、特にKRAS変異を有するがんの治療のために、医薬として使用することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(A)
【化1】
に示される化学構造によるソトラシブの結晶形態(形態A)であって、
0.15419nmの波長を有するCu-Kα1,2放射線を用いて20~30℃の範囲の温度で測定した場合に、(6.4±0.2)°、(12.3±0.2)°、(16.6±0.2)°及び(17.8±0.2)°の2θ角における反射を含む粉末X線回折図を有することを特徴とする、ソトラシブの結晶形態(形態A)。
【請求項2】
0.15419nmの波長を有するCu-Kα1,2放射線を用いて20~30℃の範囲の温度で測定した場合に、(9.1±0.2)°及び/又は(15.0±0.2)°の2θ角における追加の反射を含む粉末X線回折図を有することを特徴とする、請求項1に記載の結晶形態。
【請求項3】
0.15419nmの波長を有するCu-Kα1,2放射線を用いて20~30℃の範囲の温度で測定した場合に、6.7°~8.8°の範囲の2θ角における反射を含まない粉末X線回折図を有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の結晶形態。
【請求項4】
0.15419nmの波長を有するCu-Kα1,2放射線を用いて20~30℃の範囲の温度で測定した場合に、9.4°~12.0°の範囲の2θ角における反射を含まない粉末X線回折図を有することを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の結晶形態。
【請求項5】
0~90%の範囲の相対湿度及び(25.0±1.0)℃の温度で重量水分収着により測定した場合に、結晶形態の重量に基づいて0.5重量%以下の質量変化を示すことを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の結晶形態。
【請求項6】
式(A1)
【化2】
に示される化学構造によるMアトロプ異性体である、請求項1~5のいずれか一項に記載の結晶形態。
【請求項7】
医薬組成物を調製するための、請求項1~6のいずれか一項に定義される結晶形態の使用。
【請求項8】
請求項1~6のいずれか一項に定義される、所定量の及び/又は有効量の結晶形態、並びに少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項9】
所定量の及び/又は有効量が、無水ソトラシブとして計算して、120mg、360mg、720mg及び960mgからなる群から選択される、請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項10】
経口固体剤形である、請求項8又は9に記載の医薬組成物。
【請求項11】
カプセル又は錠剤である、請求項10に記載の経口固体剤形。
【請求項12】
医薬品として使用するための、請求項1~6のいずれか一項に定義される結晶形態又は請求項8~11のいずれか一項に定義される医薬組成物。
【請求項13】
KRAS G12C変異を有するがんの治療に使用するための、請求項1~6のいずれか一項に定義される結晶形態又は請求項8~11のいずれか一項に定義される医薬組成物。
【請求項14】
KRAS G12C阻害を有するがんが、肺がん、結腸直腸がん及び膵臓がんからなる群から選択される、請求項13に記載の使用のための、請求項1~6のいずれか一項に定義される結晶形態又は請求項8~11のいずれか一項に定義される医薬組成物。
【請求項15】
肺がんが非小細胞肺がん(NSCLC)である、請求項14に記載の使用のための、請求項1~6のいずれか一項に定義される結晶形態又は請求項8~11のいずれか一項に定義される医薬組成物。
【請求項16】
請求項1~6のいずれか一項に定義されるソトラシブの結晶形態の調製方法であって、
(a)非晶質ソトラシブを、イソブタノール、ジイソプロピルエーテル及び/又はメチルtert-ブチルエーテルを含む溶媒に溶解又は懸濁させること、
(b)(a)で得られた溶液から、請求項1~6のいずれか一項に定義されるソトラシブ形態Aを30℃以下の温度で結晶化させること、
(c)(b)で得られた結晶の少なくとも一部を母液から分離すること、
(d)任意選択的に、(c)で得られた単離された結晶を洗浄すること、及び
(e)(c)又は(d)で得られた結晶を乾燥させること
を含む、方法。
【請求項17】
請求項1~6のいずれか一項に定義されるソトラシブの結晶形態の調製方法であって、
(a)ソトラシブをメタノールを含む溶媒に溶解すること、
(b)(a)で得られた溶液にイソブタノールを含む溶媒を添加すること、
(c)(b)で得られた溶液からメタノールを除去すること、
(d)任意選択的に、(c)で得られた混合物に請求項1~6のいずれか一項に定義されるソトラシブ形態A結晶を播種すること、
(e)(c)又は(d)で得られた混合物から、請求項1~6のいずれか一項に定義されるソトラシブ形態Aを30℃以下の温度で結晶化させること、
(f)(e)で得られた結晶の少なくとも一部を母液から分離すること、
(g)任意選択的に、(f)で得られた単離された結晶を洗浄すること、及び
(h)(f)又は(g)で得られた結晶を乾燥させること、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソトラシブの結晶形態及びその調製方法に関する。さらに、本発明は、本発明の結晶形態のソトラシブ及び少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物に関する。本発明の医薬組成物は、特にKRAS変異を有するがんの治療のために、医薬として使用することができる。
【背景技術】
【0002】
ソトラシブは、非小細胞肺がん(NSCLC)などの肺がん、膵臓がん及び結腸直腸がんの治療を含むがんの治療に有用な、KRAS G12C変異体の選択的阻害剤である。ソトラシブの化学名は、6-フルオロ-7-(2-フルオロ-6-ヒドロキシフェニル)-1-(4-メチル-2-(2-プロパニル)-3-ピリジニル)-4-((2S)-2-メチル-4-(2-プロペノイル)-1-ピペラジニル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オンである。ソトラシブは、式(A)による以下の化学構造によって表すことができる。
【0003】
【化1】
【0004】
ソトラシブ及びその調製は、WO2018/217651A1、例えば実施例41に開示されている。最後の工程は、シリカゲルクロマトグラフィーによる精製を含む。しかしながら、その出願は、得られた固体形態については言及していない。
【0005】
WO2020/236947A1は、形態I、形態II及び形態IIIと呼ばれるいくつかの無水形態、水和物形態及びいくつかの溶媒和物を含むソトラシブの様々な結晶形態を記載し、それらは広範な多形スクリーニングプログラムの結果であった。
【0006】
WO2021/236920A1は、無水形態並びにいくつかの水和物及び溶媒和物を含む、ソトラシブの様々な結晶形態を開示している。
【0007】
活性医薬成分の異なる固体形態は、異なる特性を有することが多い。固体形態の物理化学的特性の違いは、医薬組成物の改善に重要な役割を果たすことができ、例えば、溶解プロファイル及びバイオアベイラビリティが改善された、又は安定性若しくは貯蔵寿命が改善された医薬製剤が、活性医薬成分の改善された固体形態によって利用可能になり得る。製剤化プロセス中の活性医薬成分の加工又はハンドリングも改善され得る。したがって、活性医薬成分の新しい固体形態は、望ましい加工特性を有することができる。それらは、以前から知られている固体形態と比較して、ハンドリングが容易であり、貯蔵により適しており、及び/又はより良好な精製を可能にすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開第2018/217651号
【特許文献2】国際公開第2020/236947号
【特許文献3】国際公開第2021/236920号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、改善された物理化学的特性を有するソトラシブの結晶形態の提供が必要とされている。
【0010】
特に、物理的に安定であり、例えば、標準的な製薬加工及び貯蔵中に相変態を受けず、非吸湿性又はわずかに吸湿性であり、同時に、生理学的に関連性のある水性媒体中で高い溶解度及び溶解速度を示す、ソトラシブの改善された結晶形態を提供する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、以下「形態A」とも呼ばれるソトラシブの結晶形態を提供する。
【0012】
本発明のソトラシブ形態Aは、化学的安定性、物理的安定性、融点、吸湿性、可溶性、溶解、形態、結晶化度、流動性、嵩密度、成形性及び濡れ性からなる群から選択される1つ以上の有利な特性を有する。
【0013】
例えば、本発明の結晶形態Aは、温度及び湿度ストレスに対して物理的に安定であり、それは、ソトラシブ形態Aを含む医薬組成物の信頼できる製造及び安定な貯蔵のために重要である(以下の実施例7、8、9及び10並びに比較例1を参照されたい)。
【0014】
さらに、本発明の形態Aは、WO2020/236947A1に開示されているソトラシブの結晶形態Iと比較して、酢酸緩衝液pH4.5及びリン酸緩衝液pH 6.8などの生理学的に関連する水性媒体での可溶性が高く(以下の比較例2を参照)、これは、ソトラシブのような低可溶性原薬にとって、所望のインビボ血中レベルに達するために極めて重要な利点である。
【0015】
この有利な特性の独特の組み合わせにより、本発明の形態Aは、ソトラシブを含む医薬組成物の調製のために好ましいソトラシブの固体形態となる。
【0016】
略語
PXRD 粉末X線回折図
FTIR フーリエ変換赤外分光
DSC 示差走査熱量測定
TGA 熱重量分析
GMS 重量水分収着
MTBE メチルtert-ブチルエーテル
DIPE ジイソプロピルエーテル
w-% 重量パーセント
RH 相対湿度
RT 室温
rpm 毎分回転数
【0017】
定義
本発明の文脈において、以下の定義は、特に他に明記しない限り、示された意味を有する。
【0018】
本明細書で使用される用語「ソトラシブ」は、6-フルオロ-7-(2-フルオロ-6-ヒドロキシフェニル)-1-(4-メチル-2-(2-プロパニル)-3-ピリジニル)-4-((2S)-2-メチル-4-(2-プロペノイル)-1-ピペラジニル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オンを意味する。ソトラシブは、式(A)による化学構造によって表すことができる。
【0019】
【化2】
【0020】
ソトラシブは、分子の他の部分との立体的相互作用の結果として、分子内の単結合の周りの回転が妨げられるか、又は大幅に遅くなる場合に生じる立体配座立体異性体である、アトロプ異性体として存在し得る。
【0021】
例えば、ソトラシブは、式(A1)による化学構造によって表されるアトロプ異性体Mとして存在し得る。
【0022】
【化3】
【0023】
ソトラシブは、式(A2)による化学構造によって表されるアトロプ異性体Pとしても存在し得る。
【0024】
【化4】
【0025】
本明細書に開示されるソトラシブは、純粋な個々のアトロプ異性体、濃縮アトロプ異性体又はアトロプ異性体の非特異的混合物の両方としての、全てのアトロプ異性体を含む。最も好ましくは、本明細書に開示されるソトラシブは、Mアトロプ異性体として存在する。
【0026】
本明細書で使用される場合、「20~30℃の範囲の温度で測定される」という用語は、標準条件下での測定を指す。典型的には、標準条件は、20~30℃の範囲の温度、すなわち室温を意味する。標準条件は、約22℃の温度を意味し得る。典型的には、標準条件はさらに、20~60%RH、好ましくは30~50%RH、より好ましくは40%RH下での測定を意味し得る。
【0027】
本明細書で使用される場合、「室温」という用語は、20~30℃の範囲の温度を指す。
【0028】
本明細書で使用される粉末X線回折に関する「反射」という用語は、X線回折図でのピークを意味し、それらは、長距離位置秩序で整った反復パターンで分布している固体材料中の原子の平行面によって散乱されるX線からの構成的干渉によって、特定の回折角(ブラッグ角)で生じる。そのような固体材料は結晶性材料として分類されるが、非晶質材料は、長距離秩序を欠き、近距離秩序しか示さない、したがって広範な散乱をもたらす固体材料として定義される。文献によれば、長距離秩序は、例えば、約100~1000個の原子に及ぶが、近距離秩序は、数個の原子のみに及ぶ(Vitalij K.Pecharsky及びPeter Y.Zavalijによる「Fundamentals of Powder Diffraction and Structural Characterization of Materials」Kluwer Academic Publishers,2003、3頁を参照されたい)。
【0029】
粉末X線回折に関する「本質的に同じ」という用語は、反射位置及び反射の相対強度の変動が考慮されるべきであることを意味する。例えば、2θ値の典型的な精度は、±0.2° 2θの範囲、好ましくは±0.1° 2θの範囲である。したがって、例えば6.4°の2θで通常現れる反射は、標準条件下のほとんどのX線回折計で6.2°~6.6°の2θ、好ましくは6.3°~6.5°の2θで現れる可能性がある。さらに、相対反射強度は、装置間変動性並びに結晶化度、好ましい配向、粒径、サンプル調製及び当業者に公知の他の要因に起因する変動性を示し、定性的な尺度としてのみ解釈されるべきであることを当業者は理解するであろう。
【0030】
本発明のソトラシブの結晶形態Aは、本明細書では、図「に示す通りの」グラフィックデータによって特徴付けられるものとして言及され得る。そのようなデータには、例えば、粉末X線回折が含まれる。当業者は、機器の型の変化、サンプル異方性における応答及び変動、サンプル濃度及びサンプル純度などの要因が、グラフ形式で提示された場合のそのようなデータの小さな変動、例えば正確な反射位置及び強度に関する変動をもたらし得ることを理解している。しかしながら、本明細書の図におけるグラフィックデータと、別又は未知の固体形態について生成されたグラフィックデータとを比較して、2組のグラフィックデータが同じ結晶形態に関連することを確認することは、当業者の知識において十分である。
【0031】
本明細書で使用される「固体形態」という用語は、化合物の任意の結晶相及び/又は非晶質相を指す。
【0032】
本明細書で使用される場合、「非晶質」という用語は、結晶性ではない化合物の固体形態を指す。非晶質化合物は、長距離秩序を有さず、反射を伴う明確なX線回折パターンを示さない。
【0033】
本明細書で使用される「無水」又は「無水物」という用語は、水が結晶構造内で協働しない、又は結晶構造によって収容されない結晶性固体を指す。
【0034】
ソトラシブ形態Aに関して本明細書で使用される「所定量」は、ソトラシブの所望の投与強度を有する医薬組成物の調製に使用される、ソトラシブ形態Aの初期量を指す。
【0035】
ソトラシブ形態Aに関して本明細書で使用される「有効量」という用語は、所望の治療効果及び/又は予防効果を引き起こすソトラシブ形態Aの量を包含する。
【0036】
本明細書で使用される場合、「約」という用語は、値の統計的に有意な範囲内を意味する。そのような範囲は、示された値又は範囲の1桁以内、典型的には10%以内、より典型的には5%以内、さらにより典型的には1%以内、最も典型的には0.1%以内であり得る。場合によっては、そのような範囲は、所与の値又は範囲の測定及び/又は決定に使用される標準的な方法に典型的な、実験誤差内にあり得る。
【0037】
本明細書で使用される「薬学的に許容される賦形剤」という用語は、所与の用量で有意な薬理活性を示さず、活性医薬成分に加えて医薬組成物に添加される物質を指す。賦形剤は、とりわけ、ビヒクル、希釈剤、放出剤、崩壊剤、溶解調整剤、吸収促進剤、安定剤又は製造助剤の機能を果たし得る。賦形剤には、充填剤(希釈剤)、結合剤、崩壊剤、潤滑剤及び滑剤が含まれ得る。
【0038】
本明細書で使用される「充填剤」又は「希釈剤」という用語は、送達前の活性医薬成分を希釈するために使用される物質を指す。希釈剤及び充填剤は、安定剤又は崩壊剤としても役立ち得る。
【0039】
本明細書で使用される「崩壊剤(disintegrant)」又は「崩壊剤(disintegrating agent)」という用語は、固体医薬組成物に添加すると、投与後のその崩壊又は分解を促進し、可能な限り効率的に活性医薬成分を放出させて、その迅速な溶解を可能にする物質を指す。
【0040】
本明細書で使用される「潤滑剤」という用語は、錠剤化又はカプセル化プロセス中に圧縮された粉末塊が機器に付着するのを防ぐために、粉末ブレンドに添加される物質を指す。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1】本発明によるソトラシブ形態Aの代表的なPXRDを示す。x軸は散乱角を°2θで示し、y軸は散乱X線ビームの強度を検出された光子のカウントで示す。
図2】本発明のソトラシブ形態AのDSC曲線を示す。x軸は温度を摂氏(℃)で示し、y軸は熱流量をワット/グラム(W/g)で示し、吸熱ピークは上昇している。
図3】本発明のソトラシブ形態AのTGA曲線を示す。x軸は温度を摂氏(℃)で示し、y軸はサンプルの質量(損失)を重量パーセント(w-%)で示す。
図4】0~90% RHの範囲における本発明のソトラシブ形態AのGMS等温線を示す。x軸は、(25.0±0.1)℃の温度で測定された相対湿度をパーセント(%)で示し、y軸は、平衡質量変化を重量パーセント(w-%)で示す。収着曲線の0% RHの開始時におけるサンプル重量を基準重量として使用する。収着曲線点は三角形で表示され、脱着曲線点は四角形で表示される。
図5】37℃で測定した、WO2020/236947A1に開示されているソトラシブの結晶形態I(黒い四角形)及び本発明のソトラシブの結晶形態A(黒い三角形)の、酢酸緩衝液pH4.5における溶解曲線を示す。x軸は時間を示し、y軸はマイクログラム/ミリリットルでの溶液のソトラシブ濃度を示す。
図6】37℃で測定した、WO2020/236947A1に開示されているソトラシブの結晶形態I(黒い四角形)及び本発明のソトラシブの結晶形態A(黒い三角形)の、リン酸緩衝液pH6.8における溶解曲線を示す。x軸は時間を示し、y軸はマイクログラム/ミリリットルでの溶液のソトラシブ濃度を示す。
【発明を実施するための形態】
【0042】
本発明は、本明細書において「形態A」とも称されるソトラシブの結晶形態を提供する。
【0043】
本発明のソトラシブの結晶形態(形態A)は、式(A)による化学構造によって表され得る。
【0044】
【化5】
【0045】
最も好ましくは、ソトラシブの結晶形態(形態A)はMアトロプ異性体であり、式(A1)による化学構造によって表され得る。
【0046】
【化6】
【0047】
あるいは、ソトラシブの結晶形態(形態A)は、Pアトロプ異性体として存在し得、式(A2)による化学構造によって表され得る。
【0048】
【化7】
【0049】
本発明のソトラシブの結晶形態Aは、製薬業界の分野で周知の、固体の特徴決定のための分析方法によって特徴決定することができる。そのような方法は、粉末X線回折、FTIR分光法、DSC、TGA及びGMSを含むが、これらに限定されない。本発明のソトラシブ形態Aは、上記の分析方法の1つによって、又はそれらの2つ以上を組み合わせることによって特徴決定することができる。特に、本発明のソトラシブの形態Aは、以下の実施形態のいずれか1つによって、又は以下の実施形態の2つ以上を組み合わせることによって特徴決定することができる。
【0050】
一実施形態において、本発明は、20~30℃の範囲の温度で、0.15419nmの波長を有するCu-Kα1,2放射線を用いて測定した場合に、
(6.4±0.2)°、(12.3±0.2)°及び(17.8±0.2)°;又は
(6.4±0.2)°、(12.3±0.2)°、(16.6±0.2)°及び(17.8±0.2)°;又は
(6.4±0.2)°、(9.1±0.2)°、(12.3±0.2)°、(16.6±0.2)°及び(17.8±0.2)°;又は
(6.4±0.2)°、(9.1±0.2)°、(12.3±0.2)°、(15.0±0.2)°、(16.6±0.2)°及び(17.8±0.2)°;又は
(6.4±0.2)°、(9.1±0.2)°、(12.3±0.2)°、(13.5±0.2)°、(15.0±0.2)°、(16.6±0.2)°及び(17.8±0.2)°;又は
(6.4±0.2)°、(9.1±0.2)°、(12.3±0.2)°、(12.8±0.2)°、(13.5±0.2)°、(15.0±0.2)°、(16.6±0.2)°及び(17.8±0.2)°;又は
(6.4±0.2)°、(9.1±0.2)°、(12.3±0.2)°、(12.8±0.2)°、(13.5±0.2)°、(15.0±0.2)°、(16.6±0.2)°、(17.8±0.2)°及び(20.4±0.2)°;又は
(6.4±0.2)°、(9.1±0.2)°、(12.3±0.2)°、(12.8±0.2)°、(13.5±0.2)°、(13.9±0.2)°、(15.0±0.2)°、(16.6±0.2)°、(17.8±0.2)°及び(20.4±0.2)°
の2θ角における反射を含むPXRDを有することを特徴とする、ソトラシブの結晶形態(形態A)に関する。
【0051】
別の実施形態において、本発明は、20~30℃の範囲の温度で、0.15419nmの波長を有するCu-Kα1,2放射線を用いて測定した場合に、(6.4±0.2)°、(12.3±0.2)°、(12.8±0.2)°、(13.5±0.2)°、(15.0±0.2)°、(16.6±0.2)°、(17.8±0.2)°、(20.0±0.2)°、(20.4±0.2)°及び(27.9±0.2)°の2θ角における反射を含むPXRDを有することを特徴とする、ソトラシブの結晶形態(形態A)に関する。
【0052】
さらなる実施形態において、本発明は、20~30℃の範囲の温度で、0.15419nmの波長を有するCu-Kα1,2放射線を用いて測定した場合に、
(6.4±0.1)°、(12.3±0.1)°及び(17.8±0.1)°;又は
(6.4±0.1)°、(12.3±0.1)°、(16.6±0.1)°及び(17.8±0.1)°;又は
(6.4±0.1)°、(9.1±0.1)°、(12.3±0.1)°、(16.6±0.1)°及び(17.8±0.1)°;又は
(6.4±0.1)°、(9.1±0.1)°、(12.3±0.1)°、(15.0±0.1)°、(16.6±0.1)°及び(17.8±0.1)°;又は
(6.4±0.1)°、(9.1±0.1)°、(12.3±0.1)°、(13.5±0.1)°、(15.0±0.1)°、(16.6±0.1)°及び(17.8±0.1)°;又は
(6.4±0.1)°、(9.1±0.1)°、(12.3±0.1)°、(12.8±0.1)°、(13.5±0.1)°、(15.0±0.1)°、(16.6±0.1)°及び(17.8±0.1)°;又は
(6.4±0.1)°、(9.1±0.1)°、(12.3±0.1)°、(12.8±0.1)°、(13.5±0.1)°、(15.0±0.1)°、(16.6±0.1)°、(17.8±0.1)°及び(20.4±0.1)°;又は
(6.4±0.1)°、(9.1±0.1)°、(12.3±0.1)°、(12.8±0.1)°、(13.5±0.1)°、(13.9±0.1)°、(15.0±0.1)°、(16.6±0.1)°、(17.8±0.1)°及び(20.4±0.1)°
の2θ角における反射を含むPXRDを有することを特徴とする、ソトラシブの結晶形態(形態A)に関する。
【0053】
さらに別の実施形態において、本発明は、20~30℃の範囲の温度で、0.15419nmの波長を有するCu-Kα1,2放射線を用いて測定した場合に、(6.4±0.1)°、(12.3±0.1)°、(12.8±0.1)°、(13.5±0.1)°、(15.0±0.1)°、(16.6±0.1)°、(17.8±0.1)°、(20.0±0.1)°、(20.4±0.1)°及び(27.9±0.1)°の2θ角における反射を含むPXRDを有することを特徴とする、ソトラシブの結晶形態(形態A)に関する。
【0054】
別の実施形態において、本発明は、20~30℃の範囲の温度で、0.15419nmの波長を有するCu-Kα1,2放射線を用いて測定した場合に、6.7°~8.8°の範囲の2θ角における反射を含まないPXRDを有することを特徴とする、ソトラシブの結晶形態(形態A)に関する。
【0055】
さらに別の実施形態において、本発明は、20~30℃の範囲の温度で、0.15419nmの波長を有するCu-Kα1,2放射線を用いて測定した場合に、9.4°~12.0°の範囲の2θ角における反射を含まないPXRDを有することを特徴とする、ソトラシブの結晶形態(形態A)に関する。
【0056】
さらなる実施形態において、本発明は、20~30℃の範囲の温度で、0.15419nmの波長を有するCu-Kα1,2放射線を用いて測定した場合に、本発明の図1に示されるものと実質的に同じPXRDを有することを特徴とする、ソトラシブの結晶形態(形態A)に関する。
【0057】
本発明のソトラシブ形態AのPXRDは、WO2020/236947A1及びWO2021/236920A1に開示されているソトラシブ形態のPXRDと容易に区別され得る。例えば、形態AのPXRDは、(6.4±0.2)°の2θで特徴的な反射を示すが、6.3°の2θで反射を示す形態IIIを除いて、同じ範囲で反射を示すソトラシブの他の形態は、WO2020/236947A1に開示されていない。一方、本発明の形態AのPXRDは、例えば、(12.3±0.2)°、(14.4±0.2)°及び(23.7±0.2)°の2θ角において、WO2020/236947A1の形態IIIの回折図には存在しない反射を示す。
【0058】
本発明の形態Aはまた、(16.6±0.2)°の2θで、例えばWO2021/236920A1の形態4の回折図には存在しない、特徴的な反射を示す。
【0059】
別の実施形態において、本発明は、10K/分の速度で25℃から250℃に加熱した場合に、結晶形態の重量に対して2.0重量%以下、好ましくは1.9重量%以下、例えば1.8重量%以下の質量損失を示すTGA曲線を有することを特徴とする、ソトラシブの結晶形態(形態A)に関する。
【0060】
さらなる実施形態において、本発明は、0~90%の範囲の相対湿度及び(25.0±1.0)℃の温度にてGMSを用いて測定した場合に、結晶形態の重量に対して2.0重量%以下、好ましくは1.0重量%以下、最も好ましくは0.5重量%以下、例えば0.4重量%以下の質量変化を示すことを特徴とする、ソトラシブの結晶形態(形態A)に関する。
【0061】
一実施形態において、本発明は、無水であることを特徴とするソトラシブの結晶形態(形態A)に関する。
【0062】
別の態様において、本発明は、上記の実施形態のいずれか1つで定義される本発明のソトラシブの結晶形態(形態A)を含む組成物を開示し、前記組成物は、ソトラシブのいかなる他の固体形態も本質的に含まない。例えば、本発明のソトラシブの結晶形態Aを含む組成物は、組成物の重量に対して、最大で20重量%、好ましくは最大で10重量%、より好ましくは最大で5重量%、4重量%、3重量%、2重量%又は1重量%の、ソトラシブの形態A以外の任意の他の固体形態を含む。好ましくは、任意の他の固体形態は、WO2020/236947A1のソトラシブの結晶形態I、形態II及び形態III、又は非晶質ソトラシブからなる群から選択される。
【0063】
別の実施形態において、本発明は、組成物の総重量に対して、少なくとも90重量%、例えば少なくとも90、91、92、93、94、95、96、97、98及び99重量%の、さらに約100重量%に等しい、上記の実施形態のいずれか1つにおいて定義されるソトラシブの結晶形態(形態A)を含む組成物を開示する。残りの材料は、ソトラシブの他の固体形態(複数可)、及び/又は組成物の調製から生じる反応不純物及び/又は加工不純物を含み得る。
【0064】
別の態様において、本発明は、上記の態様及びそれらの対応する実施形態のいずれか1つにおいて定義される、本発明のソトラシブの結晶形態(形態A)又はそれを含む組成物を調製するための第1の方法に関し、方法は、
(a)非晶質ソトラシブをイソブタノール、ジイソプロピルエーテル及び/又はメチルtert-ブチルエーテルを含む溶媒中に、より好ましくはイソブタノール、ジイソプロピルエーテル及びメチルtert-ブチルエーテルからなる群から選択される溶媒又はその混合物中に溶解又は懸濁させること、
(b)(a)で得られた溶液又は懸濁液から、上記の態様及びそれらの対応する実施形態のいずれか1つにおいて定義される、ソトラシブ形態A又はそれを含む組成物を30℃以下の温度で結晶化すること、
(c)(b)で得られた結晶の少なくとも一部を母液から分離すること、
(d)任意選択的に、(c)で得られた単離された結晶を洗浄すること、及び
(e)(c)又は(d)で得られた結晶を乾燥させること、
を含む。
【0065】
さらに別の態様において、本発明は、上記の態様及びそれらの対応する実施形態のいずれか1つにおいて定義される、本発明のソトラシブの結晶形態(形態A)又はそれを含む組成物を調製するための第2の方法に関し、方法は、
(a)ソトラシブをメタノールを含む溶媒に溶解させること、好ましくはソトラシブをメタノールに溶解させること、
(b)(a)で得られた溶液にイソブタノールを含む溶媒を添加すること、好ましくはイソブタノールを添加すること、
(c)(b)で得られた溶液からメタノールを除去すること、
(d)任意選択的に、(c)で得られた混合物に本発明のソトラシブ形態A結晶を播種すること、
(e)(d)で得られた混合物から、上記の態様及びそれらの対応する実施形態のいずれか1つにおいて定義される、ソトラシブ形態A又はそれを含む組成物を30℃以下の温度で結晶化すること、
(f)(e)で得られた結晶の少なくとも一部を母液から分離すること、
(g)任意選択的に、(f)で得られた単離された結晶を洗浄すること、及び
(h)(f)又は(g)で得られた結晶を乾燥させること、
を含む。
【0066】
さらなる態様において、本発明は、上記の態様及びそれらの対応する実施形態のいずれか1つで定義される、本発明のソトラシブの結晶形態(形態A)又は本発明のソトラシブの結晶形態(形態A)を含む組成物の、ソトラシブを含む医薬組成物を調製するための使用に関する。
【0067】
別の態様において、本発明は、上記の態様及びそれらの対応する実施形態のいずれか1つで定義される、好ましくは所定量の及び/又は有効量の本発明のソトラシブの結晶形態(形態A)又は本発明のソトラシブの結晶形態(形態A)を含む組成物、及び少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物に関する。
【0068】
好ましくは、上記の態様及びそれらの対応する実施形態のいずれか1つで定義される、本発明のソトラシブの結晶形態(形態A)又は本発明のソトラシブの結晶形態(形態A)を含む組成物の所定量及び/又は有効量は、無水ソトラシブとして計算した場合、約120~960mgの範囲内にある。例えば、所定量及び/又は有効量は、無水ソトラシブとして計算して、120mg、180mg、240mg、300mg、360mg、420mg、480mg、540mg、600mg、660mg、720mg、780mg、840mg、900mg及び960mgからなる群から選択される。好ましくは、所定量及び/又は有効量は、無水ソトラシブとして計算して、120mg、360mg、720mg及び960mgからなる群から選択される。最も好ましくは、所定量及び/又は有効量は、無水ソトラシブとして計算して120mgである。
【0069】
本発明の医薬組成物に含まれる少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤は、好ましくは、充填剤、崩壊剤、結合剤、潤滑剤、滑剤及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。好ましくは、本発明の医薬組成物に含まれる少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤は、充填剤、崩壊剤、潤滑剤及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0070】
特定の実施形態において、本発明は、上記の態様及びそれらの対応する実施形態のいずれか1つで定義される、本発明のソトラシブの結晶形態(形態A)又は本発明のソトラシブの結晶形態(形態A)を含む組成物、充填剤、崩壊剤及び潤滑剤を含む、上記の実施形態のいずれか1つに定義される医薬組成物に関する。
【0071】
一実施形態において、充填剤は、第二リン酸カルシウム、カオリン、ラクトース一水和物、デキストロース、炭酸マグネシウム、スクロース、マンニトール、グルコース又は他の単糖類、デキストリン又は他の多糖類、微結晶セルロース、粉末セルロース、セルロース誘導体、沈降炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、ソルビトール、イノシトール及びデンプン、並びにそれらの組み合わせからなる群から選択される。最も好ましくは、充填剤は、微結晶セルロース、ラクトース一水和物又はそれらの組み合わせである。
【0072】
一実施形態において、潤滑剤は、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセロール、トリベヘン酸グリセリル、モノステアリン酸ソルビタン、モノパルミチン酸スクロース、ポリエチレングリコール、ホウ酸、オレイン酸ナトリウム安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸マグネシウム、ステアリン酸、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。最も好ましくは、潤滑剤はステアリン酸マグネシウムである。
【0073】
さらに別の実施形態において、崩壊剤は、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、デンプングリコール酸ナトリウム、デンプン(ジャガイモ、トウモロコシ)、アルファ化デンプン、微結晶セルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。最も好ましくは、崩壊剤は、クロスカルメロースナトリウム、微結晶セルロース又はそれらの組み合わせである。
【0074】
好ましくは、上記の実施形態のいずれか1つで定義される、本発明の医薬組成物は、経口固体剤形、より好ましくは錠剤又はカプセルである。特定の好ましい実施形態では、上記の本発明の医薬組成物はカプセル、好ましくは硬質ゼラチンカプセルである。最も好ましくは、上記の本発明の医薬組成物は錠剤、好ましくはフィルムコーティング錠剤である。
【0075】
上記の実施形態のいずれか1つで定義される、本発明の医薬組成物は、例えば、微粒子化、ブレンド、ミリング、造粒(湿式又は乾式造粒)、カプセル充填、錠剤化、フィルムコーティング及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、当業者に周知の標準的な製造方法によって製造することができる。
【0076】
特定の態様において、本発明は、上記の実施形態のいずれか1つで定義される本発明のソトラシブの結晶形態(形態A)、又は本発明のソトラシブの結晶形態(形態A)を含む組成物を含む医薬組成物、好ましくは硬質ゼラチンカプセルなどのカプセルの調製方法であって、
(a)本発明のソトラシブの結晶形態(形態A)又は本発明のソトラシブの結晶形態(形態A)を含む組成物を微粒子化する工程、
(b)(a)で得られた、微粒子化されたソトラシブの結晶形態(形態A)又は本発明のソトラシブの結晶形態(形態A)を含む微粒子化された組成物を、少なくとも1つの充填剤及び少なくとも1つの潤滑剤とブレンドする工程、
(c)(b)で得られたブレンドをミリング及び/又はふるい分けする工程、
(d)任意選択的に、(c)で得られたミリング及び/又はふるい分けされた混合物をブレンドする工程、及び
(e)(c)又は(d)のいずれかで得られた混合物をカプセルに充填する工程、
を含む方法に関する。
【0077】
別の好ましい態様では、本発明は、上記の実施形態のいずれか1つで定義される本発明のソトラシブの結晶形態(形態A)又は本発明のソトラシブの結晶形態(形態A)を含む組成物を含む医薬組成物、好ましくはフィルムコーティング錠剤などの錠剤の調製方法であって、
(a)本発明のソトラシブの結晶形態(形態A)又は本発明のソトラシブの結晶形態(形態A)を含む組成物を微粒子化する工程、
(b)(a)で得られた、微粒子化されたソトラシブの結晶形態(形態A)又は本発明のソトラシブの結晶形態(形態A)を含む微粒子化された組成物を、少なくとも1つの充填剤及び少なくとも1つの潤滑剤とブレンドする工程、
(c)(b)で得られたブレンドをミリング及び/又はふるい分けする工程、
(d)任意選択的に、(c)で得られたミリング及び/又はふるい分けされた混合物をブレンドする工程、
(e)(c)又は(d)のいずれかで得られた混合物を錠剤へ圧縮形式する工程、及び
(f)任意選択的に、錠剤コアをフィルムコーティングする工程、
を含む方法に関する。
【0078】
さらなる態様において、本発明は、医薬として使用するための、上記の態様及びそれらの対応する実施形態のいずれか1つで定義される、ソトラシブの結晶形態(形態A)若しくはソトラシブの結晶形態(形態A)を含む組成物、又はソトラシブの結晶形態(形態A)若しくはソトラシブの結晶形態(形態A)を含む組成物を含む医薬組成物に関する。
【0079】
さらなる態様において、本発明は、KRAS G12C変異を有するがんの治療において使用するための、上記の態様及びそれらの対応する実施形態のいずれか1つで定義される、ソトラシブの結晶形態(形態A)若しくはソトラシブの結晶形態(形態A)を含む組成物、又はソトラシブの結晶形態(形態A)若しくはソトラシブの結晶形態(形態A)を含む組成物を含む医薬組成物に関する。
【0080】
別の態様では、本発明は、KRAS G12C変異を有するがんを治療する方法に関し、方法は、有効量の、上記の態様及びそれらの対応する実施形態のいずれか1つで定義される、ソトラシブの結晶形態(形態A)若しくはソトラシブの結晶形態(形態A)を含む組成物、又はソトラシブの結晶形態(形態A)若しくはソトラシブの結晶形態(形態A)を含む組成物を含む医薬組成物を、そのような治療を要する患者に投与することを含む。
【0081】
一実施形態では、KRAS G12C変異を有するがんは、肺がん、結腸直腸がん及び膵臓がんからなる群から選択される。好ましい実施形態では、肺がんは非小細胞肺がん(NSCLC)である。
【実施例
【0082】
以下の非限定的な実施例は、本開示を例示するものであり、決して本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【0083】
[実施例1]
ソトラシブ形態Aの調製
非晶質ソトラシブ(798mg、例えば本明細書の実施例5に開示される手順に従って調製)を室温でイソブタノール(5mL)に溶解した。得られた透明な黄色溶液は、室温で磁気撹拌され、約2時間後に無色の懸濁液に変化した。20時間の総撹拌時間の後、固体を濾過によって回収し、n-ヘプタンで洗浄し、真空(5mbar)下、40℃で5日間乾燥させて、ソトラシブ形態Aを得た。
収量:620mg
【0084】
[実施例2]
ソトラシブ形態Aの調製
非晶質ソトラシブ(763mg、例えば本明細書の実施例5に開示される手順に従って調製)を室温でMTBE(12mL)に懸濁し、21時間撹拌した。固体を濾過によって回収し、真空(5mbar)下、40℃で19時間乾燥させて、ソトラシブ形態Aを得た。
収量:627mg
【0085】
[実施例3]
ソトラシブ形態Aの調製
非晶質ソトラシブ(728mg、例えば本明細書の実施例5に開示される手順に従って調製)を室温でDIPE(14mL)に懸濁し、72時間撹拌した。固体を濾過によって回収し、真空(5mbar)下、40℃で41時間乾燥させて、ソトラシブ形態Aを得た。
収量:609mg
【0086】
[実施例4]
ソトラシブ形態Aの調製
ソトラシブ(9.40g、例えばWO2018/217651A1の実施例41に開示される手順に従って調製)を室温でメタノール(317g)に溶解した。イソブタノール(63g)を添加し、透明な黄色溶液を濾過した。メタノール(5mL)を濾液に添加し、次いで、これを真空蒸留装置に移してメタノールを除去した。蒸留は、以下の表1に示す条件を適用して行った。
【0087】
【表1】
【0088】
サンプ温度が45℃を超えたら、ジャケット温度を20℃まで下げることによって蒸留を停止した。イソブタノール(11.9g)を残渣サンプ(35.6g)に添加して、約20重量%ソトラシブの所望の結晶化濃度に到達させた。その後、溶液を20℃のジャケット温度を適用することによってアニーリングし、ソトラシブ形態A(2mg、例えば本明細書の実施例1に開示される方法に従って調製)を播種し、20℃で10時間撹拌した。次いで、温度を0℃まで直線的に下げ、0℃で19時間さらにスラリー化した。得られた沈殿物を濾過によって回収し、冷イソブタノール(10mL)で2回洗浄し、真空下で90分間乾燥させた。
収量:7.73g
【0089】
[実施例5]
非晶質ソトラシブの調製
ソトラシブ(3.075g、例えばWO2018/217651A1の実施例41に開示される手順に従って調製)をメタノール(200mL)に溶解した。透明な溶液を濾過し、溶媒を40℃の浴温度での回転蒸発によって除去した。残渣を真空下(約5mbar)40℃で18時間さらに乾燥させて、非晶質ソトラシブを得た。
収量:2.751g
【0090】
[実施例6]
粉末X線回折
粉末X線回折は、透過幾何形状のθ/θ型ゴニオメーター、集光ミラーによるCu-Kα1,2放射線(波長0.15419nm)及び固体PIXcel検出器を装備したPANalytical X’Pert PRO回折計を用いて行った。回折図は、45kVの管電圧及び40mAの管電流で、周囲条件、2°~40°の2θ角度範囲、1ステップ当たり40秒で0.013° 2θのステップサイズ(255チャネル)を適用して記録された。2θ値の典型的な精度は、±0.2° 2θ、好ましくは±0.1° 2θの範囲である。
【0091】
本発明のソトラシブ形態Aの代表的な回折図を以下の図1に示す。本発明のソトラシブの結晶形態Aの対応する反映リストを以下の表2に提供する。
【0092】
【表2】
【0093】
[実施例7]
示差走査熱量測定
Mettler Polymer DSC R装置でDSCを実施した。サンプル(本明細書の実施例4に従って調製した3.31mgの形態A)を、穴が開いたアルミニウム蓋を備えた40マイクロリットルのアルミニウムパン中で、10K/分の速度で25から350℃まで加熱した。窒素(パージ速度50mL/分)をパージガスとして使用した。
【0094】
本明細書の実施例4に従って調製されたソトラシブ形態AのDSC曲線が以下の図2に示され、約159.2℃のオンセット温度及び約172.3℃の温度におけるピーク最大値を有する最初の小さな吸熱、続いて約285.3℃のオンセット温度及び約287.8℃の温度におけるピーク最大値を有する急な吸熱を示す。
【0095】
[実施例8]
熱重量分析
Mettler TGA/DSC 1装置でTGAを実施した。サンプル(本明細書の実施例4に従って調製した10.38mgの形態A)を、アルミニウム蓋で閉じた100マイクロリットルのアルミニウムパン中で、10K/分の速度で25から350℃まで加熱した。測定の開始時に自動的に蓋に穴が開いた。窒素(パージ速度50mL/分)をパージガスとして使用した。
【0096】
本明細書の実施例4に従って調製されたソトラシブ形態AのTGA曲線が以下の図3に示され、約1.8重量%の質量損失に対応する約120~240℃の明確な段階を示し、その後サンプルは、さらに高い温度で分解し始める。
【0097】
[実施例9]
重量水分収着
重量水分収着を、SPSx-1μ水分収着分析装置(ProUmid、Ulm)を用いて行った。測定サイクルは、周囲相対湿度(RH)40%で開始した。次いで、RHを5%段階で5%まで低下させ、続いて3%及び0%までさらに低下させた。その後、RHを、それぞれ5%段階で、収着サイクルで0%から90%に増加させ、続いて脱着サイクルで0%に減少させた。最後に、RHを5%段階で周囲相対湿度40%まで増加させた。1段階当たりの時間は、2時間以上及び6時間以下に設定した。全ての試験サンプルの最大時間の前に、1時間以内の±0.01%の恒量を有する平衡状態に達した場合、6時間の最大時間の前に連続湿気工程を適用した。平衡が達成されなかった場合、6時間の最大時間後に連続湿気工程を適用した。温度は(25±0.1)℃であった。
【0098】
0~90%RHの範囲における本発明のソトラシブ形態Aの水分収脱着等温線を図4に示す。0~90%RHでの収着サイクルにおける質量差はわずか約0.4重量%であり、この結晶形態のほんのわずかな吸湿性の挙動を示している。収着等温線と脱着等温線との間のヒステリシスの欠如は、実験中に構造変化が現れないことを示している。この仮定は、サンプルが実験後も同じPXRDを示すという事実によって強化される。
【0099】
[実施例10]
ストレス安定性
本発明のソトラシブ形態Aを、下記の表3に概説されるように、30週間にわたって種々の温度及び湿度ストレス条件に供した。サンプルをガラスバイアルに開封保存した。ストレスを受けたサンプルをPXRDによって調査したが、以下に要約される結果から分かるように、いずれのストレス条件でも相変化は生じなかった。
【0100】
【表3】
【0101】
[実施例11]
ソトラシブ形態Aを含む粉末ブレンド
【0102】
【表4】
【0103】
微結晶セルロースの全量を150μmのふるいを通してふるい分けした。ふるい分けした微結晶セルロースの50%をラクトース一水和物の全量と混合し、Turbulamixer ESD-TUMI-01中、34rpmで15分間ブレンドした。得られた混合物を150μmのふるいでふるい分けした。ふるい分け工程の後、残りの微結晶セルロースを添加し、得られた混合物を34rpmで15分間、Turbulamixer ESD-TUMI-01でブレンドした。次いで、ソトラシブ形態A及びクロスカルメロースナトリウムの全量を、その後の3回のブレンド及びふるい分け工程において微結晶セルロース/ラクトース一水和物混合物と混合した。最初に、微結晶セルロース/ラクトース一水和物混合物の約25%を、ソトラシブ形態A及びクロスカルメロースナトリウムと34rpmで5分間、Turbulamixer ESD-TUMI-01中でブレンドした。次に、混合物を150μmのふるいでふるい分けした後、さらに25%の微結晶セルロース/ラクトース一水和物混合物を150μmのふるいを通して加えた。得られた混合物を34rpmで5分間、Turbulamixer ESD-TUMI-01でブレンドし、その後150μmのふるいでふるい分けした。次いで、残りの量(約50%)の微結晶セルロース/ラクトース一水和物混合物を150μmのふるいを通して混合物に添加し、混合物を34rpmで15分間、Turbulamixer ESD-TUMI-01でブレンドした。最後に、ステアリン酸マグネシウムを添加し、混合物を34rpmで2分間、Turbulamixer ESD-TUMI-01でブレンドした。
【0104】
このようにして得られた粉末ブレンドを、130barでの直接圧縮によって16mm×6.5mmフォーマットの錠剤コアに圧縮形式するか、又はサイズ00の硬質ゼラチンカプセルに充填することができる。
【0105】
[比較例1]
吸湿性
本発明のソトラシブ形態A、並びにWO2020/236947A1に提供されている無水ソトラシブ形態I、形態II及び形態IIIのGMSデータの分析によって、形態Aが水蒸気との相互作用をほとんど示さず、わずかな吸湿性があるものとして指定され得ることが明らかになる。WO2020/236947A1、46頁、段落[0334]の開示によれば、形態Iは、25℃で0~90%RHの範囲で0.5~1.0%の質量増加を示すが、形態II及びIIIは吸湿性材料であり、両方とも2重量%をはるかに超える水、形態IIIの場合では、25℃で0~90%RHの範囲で7重量%の水さえも吸収する。
【0106】
【表5】
【0107】
[比較例2]
WO2020/236947A1の結晶ソトラシブ形態I及び本発明の形態Aの溶解速度
WO2020/236947A1に開示されているソトラシブの結晶形態I及び本発明のソトラシブの結晶形態Aについて、酢酸緩衝液pH4.5及びリン酸緩衝液pH6.8中、37℃の温度で粉末溶解実験を行った。両方の形態の粒径は、適切な比較を可能にするために、可能な限り同様のまま維持した。酢酸緩衝液の場合は波長293nmで、リン酸緩衝液の場合は354nmでそれぞれの濃度を決定した。
【0108】
以下の図5及び図6から分かるように、本発明のソトラシブ形態Aは、WO2020/236947A1に開示されているソトラシブの結晶形態Iと比較して、15分から24時間の全範囲にわたって酢酸緩衝液pH4.5及びリン酸緩衝液pH6.8における溶解度が有意に増加したことを示す。例えば、24時間後の平衡溶解度は、酢酸緩衝液では約3倍高く、リン酸緩衝液では約2倍高い。PXRDにより、実験中に相変化が生じなかったことが確認された。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2024-02-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(A)
【化1】
に示される化学構造によるソトラシブの結晶形態(形態A)であって、
0.15419nmの波長を有するCu-Kα1,2放射線を用いて20~30℃の範囲の温度で測定した場合に、(6.4±0.2)°、(12.3±0.2)°、(16.6±0.2)°及び(17.8±0.2)°の2θ角における反射を含む粉末X線回折図を有することを特徴とする、ソトラシブの結晶形態(形態A)。
【請求項2】
0.15419nmの波長を有するCu-Kα1,2放射線を用いて20~30℃の範囲の温度で測定した場合に、(9.1±0.2)°及び/又は(15.0±0.2)°の2θ角における追加の反射を含む粉末X線回折図を有することを特徴とする、請求項1に記載の結晶形態。
【請求項3】
0.15419nmの波長を有するCu-Kα1,2放射線を用いて20~30℃の範囲の温度で測定した場合に、6.7°~8.8°の範囲の2θ角における反射を含まない粉末X線回折図を有することを特徴とする、請求項に記載の結晶形態。
【請求項4】
0.15419nmの波長を有するCu-Kα1,2放射線を用いて20~30℃の範囲の温度で測定した場合に、9.4°~12.0°の範囲の2θ角における反射を含まない粉末X線回折図を有することを特徴とする、請求項に記載の結晶形態。
【請求項5】
0~90%の範囲の相対湿度及び(25.0±1.0)℃の温度で重量水分収着により測定した場合に、結晶形態の重量に基づいて0.5重量%以下の質量変化を示すことを特徴とする、請求項に記載の結晶形態。
【請求項6】
式(A1)
【化2】
に示される化学構造によるMアトロプ異性体である、請求項に記載の結晶形態。
【請求項7】
医薬組成物を調製するための方法であって、請求項1に定義される結晶形態を提供するステップと、少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤を提供するステップと、及び前記医薬組成物を得るステップを含む、方法
【請求項8】
請求項に定義される、所定量の及び/又は有効量の結晶形態、並びに少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項9】
所定量の及び/又は有効量が、無水ソトラシブとして計算して、120mg、360mg、720mg及び960mgからなる群から選択される、請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項10】
経口固体剤形である、請求項に記載の医薬組成物。
【請求項11】
経口固体剤形が、カプセル又は錠剤である、請求項10に記載の医薬組成物
【請求項12】
医学的治療のための、請求項に定義される結晶形態又は請求項に定義される医薬組成物。
【請求項13】
KRAS G12C変異を有するがんの治療ための、請求項に定義される結晶形態又は請求項に定義される医薬組成物。
【請求項14】
KRAS G12C変異を有するがんが、肺がん、結腸直腸がん及び膵臓がんからなる群から選択される、請求項13に記載、請求項に定義される結晶形態又は請求項に定義される医薬組成物。
【請求項15】
肺がんが非小細胞肺がん(NSCLC)である、請求項14に記載、請求項に定義される結晶形態又は請求項に定義される医薬組成物。
【請求項16】
請求項に定義されるソトラシブの結晶形態の調製方法であって、
(a)非晶質ソトラシブを、イソブタノール、ジイソプロピルエーテル及び/又はメチルtert-ブチルエーテルを含む溶媒に溶解又は懸濁させること、
(b)(a)で得られた溶液から、請求項に定義されるソトラシブ形態Aを30℃以下の温度で結晶化させること、
(c)(b)で得られた結晶の少なくとも一部を母液から分離すること、
(d)任意選択的に、(c)で得られた単離された結晶を洗浄すること、及び
(e)(c)又は(d)で得られた結晶を乾燥させること
を含む、方法。
【請求項17】
請求項に定義されるソトラシブの結晶形態の調製方法であって、
(a)ソトラシブをメタノールを含む溶媒に溶解すること、
(b)(a)で得られた溶液にイソブタノールを含む溶媒を添加すること、
(c)(b)で得られた溶液からメタノールを除去すること、
(d)任意選択的に、(c)で得られた混合物に請求項に定義されるソトラシブ形態A結晶を播種すること、
(e)(c)又は(d)で得られた混合物から、請求項に定義されるソトラシブ形態Aを30℃以下の温度で結晶化させること、
(f)(e)で得られた結晶の少なくとも一部を母液から分離すること、
(g)任意選択的に、(f)で得られた単離された結晶を洗浄すること、及び
(h)(f)又は(g)で得られた結晶を乾燥させること、
を含む、方法。
【国際調査報告】