(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-28
(54)【発明の名称】熱電装置
(51)【国際特許分類】
H10N 10/13 20230101AFI20240621BHJP
【FI】
H10N10/13
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023579282
(86)(22)【出願日】2022-06-22
(85)【翻訳文提出日】2023-12-22
(86)【国際出願番号】 KR2022008889
(87)【国際公開番号】W WO2022270914
(87)【国際公開日】2022-12-29
(31)【優先権主張番号】10-2021-0080900
(32)【優先日】2021-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517099982
【氏名又は名称】エルジー イノテック カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100219265
【氏名又は名称】鈴木 崇大
(74)【代理人】
【識別番号】100203208
【氏名又は名称】小笠原 洋平
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(72)【発明者】
【氏名】イ,ウンハク
(57)【要約】
本発明の一実施例に係る熱電装置は、一面および前記一面と第1方向に離隔した他面を含む流体流動部、前記流体流動部の一面に配置された第1熱電素子、そして前記流体流動部の他面に配置された第2熱電素子を含み、前記流体流動部の一面には前記第1熱電素子と前記第1方向に重なった第1溝および前記第1熱電素子と前記第1方向に重なっていない第1ホールが配置され、前記第1溝の深さは前記一面および前記他面間距離より浅く、前記第1ホールは前記一面から前記他面まで貫通する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一面および前記一面と第1方向に離隔した他面を含む流体流動部、
前記流体流動部の一面に配置された第1熱電素子、そして
前記流体流動部の他面に配置された第2熱電素子を含み、
前記流体流動部の一面には前記第1熱電素子と前記第1方向に重なった第1溝および前記第1熱電素子と前記第1方向に重なっていない第1ホールが配置され、
前記第1溝の深さは前記一面および前記他面間距離より浅く、
前記第1ホールは前記一面から前記他面まで貫通する、熱電装置。
【請求項2】
前記第1熱電素子および前記流体流動部は前記第1熱電素子および前記第1溝に配置された第1結合部材によって固定された、請求項1に記載の熱電装置。
【請求項3】
前記一面および前記他面の間の一側面に前記流体流動部の流体流入口が配置され、前記一面および前記他面の間で前記一側面に対向する他側面に前記流体流動部の流体排出口が配置され、
前記流体流動部は前記一側面から前記他側面に向かう第2方向に延びた複数の流路を含み、
前記複数の流路の間には前記複数の流路を区分する流路区分壁が配置され、
前記第1溝は前記流路区分壁に配置された、請求項2に記載の熱電装置。
【請求項4】
前記流路区分壁は前記一側面から所定間隔離隔した地点から前記他側面に向かう方向に延びた、請求項3に記載の熱電装置。
【請求項5】
前記流体流動部の前記一側面側に配置され、前記流体流入口に流体を伝達する第1連結部材および前記流体流動部の前記他側面側に配置され、前記流体排出口から排出された前記流体が通過する第2連結部材をさらに含む、請求項4に記載の熱電装置。
【請求項6】
前記一側面は前記第1連結部材内に収容されるように配置され、前記他側面は前記第2連結部材内に収容されるように配置される、請求項5に記載の熱電装置。
【請求項7】
前記第1連結部材は前記流体流動部の前記他側面に向かうように配置された第1連結ホールおよび前記第1連結ホールの縁に配置された第1連結面を含み、前記第2連結部材は前記流体流動部の前記一側面に向かうように配置された第2連結ホールおよび前記第2連結ホールの縁に配置された第2連結面を含み、
前記第1連結ホールには前記流体流動部の前記一側面が挿入され、前記第2連結ホールには前記流体流動部の前記他側面が挿入された、請求項6に記載の熱電装置。
【請求項8】
前記第1連結部材および前記第2連結部材はそれぞれ前記流体流動部と溶接された、請求項7に記載の熱電装置。
【請求項9】
前記第1連結面と前記流体流動部間の境界に沿って第1溶接部が配置され、前記第2連結面と前記流体流動部間の境界に沿って第2溶接部が配置された、請求項8に記載の熱電装置。
【請求項10】
前記流体流動部の一側面と前記流路区分壁間最短距離は前記流体流動部の一側面と前記第1溶接部間最長距離より長い、請求項9に記載の熱電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は熱電装置に関し、より詳細には熱電素子の低温部と高温部間温度差を利用する熱電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
熱電現象は材料内部の電子(electron)と正孔(hole)の移動によって発生する現象であり、熱と電気間の直接的なエネルギー変換を意味する。
【0003】
熱電素子は熱電現象を利用する素子を総称するものであり、P型熱電材料とN型熱電材料を金属電極の間に接合させてPN接合対を形成する構造を有する。
【0004】
熱電素子は電気抵抗の温度変化を利用する素子、温度差によって起電力が発生する現象であるゼーベック効果を利用する素子、電流による吸熱または発熱が発生する現象であるペルティエ効果を利用する素子などに区分され得る。
【0005】
熱電素子は家電製品、電子部品、通信用部品などに多様に適用されている。例えば、熱電素子は冷却用装置、温熱用装置、発電用装置などに適用され得る。これに伴い、熱電素子の熱電性能に対する要求はますます高まっている。
【0006】
最近、自動車、船舶などのエンジンから発生した高温の廃熱および熱電素子を利用して電気を発生させようとするニーズがある。この時、熱電素子の低温部側に第1流体が通過する流体流動部が配置され、熱電素子の高温部側にヒートシンク(heatsink)が配置され、第1流体より高温である第2流体がヒートシンクを通過することができる。これに伴い、熱電素子の低温部と高温部間温度差によって電気が生成され得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が達成しようとする技術的課題は、熱電素子の低温部と高温部間温度差を利用する熱電装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施例に係る熱電装置は一面および前記一面と第1方向に離隔した他面を含む流体流動部、前記流体流動部の一面に配置された第1熱電素子、そして前記流体流動部の他面に配置された第2熱電素子を含み、前記流体流動部の一面には前記第1熱電素子と前記第1方向に重なった第1溝および前記第1熱電素子と前記第1方向に重なっていない第1ホールが配置され、前記第1溝の深さは前記一面および前記他面間距離より浅く、前記第1ホールは前記一面から前記他面まで貫通する。
【0009】
前記第1熱電素子および前記流体流動部は前記第1熱電素子および前記第1溝に配置された第1結合部材によって固定され得る。
【0010】
前記一面および前記他面の間の一側面に前記流体流動部の流体流入口が配置され、前記一面および前記他面の間で前記一側面に対向する他側面に前記流体流動部の流体排出口が配置され、前記流体流動部は前記一側面から前記他側面に向かう第2方向に延びた複数の流路を含み、前記複数の流路の間には前記複数の流路を区分する流路区分壁が配置され、前記第1溝は前記流路区分壁に配置され得る。
【0011】
前記流路区分壁は前記一側面から所定間隔離隔した地点から前記他側面に向かう方向に延長され得る。
【0012】
前記流体流動部の前記一側面側に配置され、前記流体流入口に流体を伝達する第1連結部材および前記流体流動部の前記他側面側に配置され、前記流体排出口から排出された前記流体が通過する第2連結部材をさらに含むことができる。
【0013】
前記一側面は前記第1連結部材内に収容されるように配置され、前記他側面は前記第2連結部材内に収容されるように配置され得る。
【0014】
前記第1連結部材は前記流体流動部の前記他側面に向かうように配置された第1連結ホールおよび前記第1連結ホールの縁に配置された第1連結面を含み、前記第2連結部材は前記流体流動部の前記一側面に向かうように配置された第2連結ホールおよび前記第2連結ホールの縁に配置された第2連結面を含み、前記第1連結ホールには前記流体流動部の前記一側面が挿入され、前記第2連結ホールには前記流体流動部の前記他側面が挿入され得る。
【0015】
前記第1連結部材および前記第2連結部材はそれぞれ前記流体流動部と溶接され得る。
【0016】
前記第1連結面と前記流体流動部間の境界に沿って第1溶接部が配置され、前記第2連結面と前記流体流動部間の境界に沿って第2溶接部が配置され得る。
【0017】
前記流体流動部の一側面と前記流路区分壁間最短距離は前記流体流動部の一側面と前記第1溶接部間最長距離より長くてもよい。
【0018】
前記流体流動部の前記一側面と前記一面の間および前記流体流動部の前記一側面と前記他面の間には傾斜面が配置され得る。
【0019】
前記流体流動部の他面には前記第2熱電素子と前記第1方向に重なった第2溝が配置され、前記第2溝の深さは前記一面および前記他面間距離より浅くてもよい。
【0020】
前記第1溝および前記第2溝それぞれの深さは前記一面および前記他面間距離の1/2倍より浅くてもよい。
【0021】
前記流体流動部の表面に配置されたシールド部材をさらに含み、前記シールド部材および前記流体流動部は前記シールド部材および前記第1ホールに配置された第2結合部材によって固定され得る。
【0022】
前記流体流動部の一面には前記第1熱電素子と前記第1方向に重ならない第2ホールがさらに配置され、前記第2ホールは前記一面から前記他面まで貫通し、前記第2ホールの大きさは前記第1ホールの大きさより大きくてもよい。
【0023】
前記第1熱電素子および前記第2熱電素子のうち少なくとも一つに連結された電線は前記第2ホールを貫通することができる。
【0024】
前記第1熱電素子上に配置された第1ヒートシンク、そして前記第2熱電素子上に配置された第2ヒートシンクをさらに含むことができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明の実施例によると、構造が簡単で、組立が容易でありながらも、所定の空間内に最大個数の熱電素子を収容できる熱電装置を得ることができる。
【0026】
本発明の実施例によると、高温部と低温部間温度差を大きくして熱電性能が高い熱電装置を得ることができる。
【0027】
本発明の実施例に係る熱電装置は、高温部と低温部間温度差を利用して電気を生成する発電装置に適用され得る。
【0028】
本発明の実施例に係る熱電装置は流体などの特定対象を冷却または加熱するペルティエ装置に適用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明の一実施例に係る熱電装置の斜視図である。
【0030】
【
図2】本発明の一実施例に係る熱電装置の分解斜視図である。
【0031】
【
図3】本発明の一実施例に係る熱電素子の断面図である。
【0032】
【
図4】本発明の一実施例に係る熱電素子の斜視図である。
【0033】
【
図5】本発明の一実施例に係る熱電装置に含まれる流体流動部の一面に対する斜視図である。
【0034】
【
図6】本発明の一実施例に係る熱電装置に含まれる流体流動部の一面に複数の熱電モジュールが配置された正面図である。
【0035】
【
図7】本発明の一実施例に係る熱電装置に含まれる流体流動部の一面に複数の熱電モジュールおよび複数の支持部材が配置された正面図である。
【0036】
【
図8】本発明の一実施例に係る熱電装置に含まれる熱電モジュールの斜視図である。
【0037】
【
図9】本発明の一実施例に係る熱電装置に含まれる熱電モジュールの第1基板の斜視図である。
【0038】
【
図10】
図5に図示された流体流動部のA-A’に対する断面図である。
【0039】
【
図11(a)】
図5に図示された流体流動部のB-B’に対する断面図である。
【0040】
【
図11(b)】
図5に図示された流体流動部のC-C’に対する断面図である。
【0041】
【
図12】
図5に図示された流体流動部と連結部材の断面図である。
【
図13】
図5に図示された流体流動部と連結部材の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、添付された図面を参照して本発明の好ましい実施例を詳細に説明する。
【0043】
ただし、本発明の技術思想は説明される一部の実施例に限定されるものではなく互いに異なる多様な形態で具現され得、本発明の技術思想範囲内であれば、実施例間にその構成要素のうち一つ以上を選択的に結合、置き換えて使うことができる。
【0044】
また、本発明の実施例で使われる用語(技術および科学的用語を含む)は、明白に特に定義されて記述されない限り、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者に一般的に理解され得る意味で解釈され得、辞書に定義された用語のように一般的に使われる用語は関連技術の文脈上の意味を考慮してその意味を解釈できるであろう。
【0045】
また、本発明の実施例で使われた用語は、実施例を説明するためのものであり本発明を制限しようとするものではない。
【0046】
本明細書で、単数型は文面で特に言及しない限り複数型も含むことができ、「Aおよび(と)B、Cのうち少なくとも一つ(または一つ以上)」と記載される場合、A、B、Cで組み合わせできるすべての組み合わせのうち一つ以上を含むことができる。
【0047】
また、本発明の実施例の構成要素を説明するにあたって、第1、第2、A、B、(a)、(b)等の用語を使うことができる。
【0048】
このような用語はその構成要素を他の構成要素と区別するためのものに過ぎず、その用語によって該当構成要素の本質や順番または順序などに限定されない。
【0049】
そして、或る構成要素が他の構成要素に「連結」、「結合」または「接続」されると記載された場合、その構成要素はその他の構成要素に直接的に連結、結合または接続される場合だけでなく、その構成要素とその他の構成要素の間にあるさらに他の構成要素によって「連結」、「結合」または「接続」される場合も含むことができる。
【0050】
また、各構成要素の「上(うえ)または下(した)」に形成または配置されるものと記載される場合、上(うえ)または下(した)は二つの構成要素が互いに直接接触する場合だけでなく一つ以上のさらに他の構成要素が二つの構成要素の間に形成または配置される場合も含む。また、「上(うえ)または下(した)」で表現される場合、一つの構成要素を基準として上側方向だけでなく下側方向の意味も含むことができる。
【0051】
図1は本発明の一実施例に係る熱電装置の斜視図であり、
図2は本発明の一実施例に係る熱電装置の分解斜視図である。
【0052】
図1~
図2を参照すると、熱電装置1000は流体流動部1100および流体流動部1100の表面に配置された熱電モジュール1200を含む。
【0053】
本発明の実施例に係る熱電装置1000は、流体流動部1100の内部を通じて流れる第1流体および流体流動部1100の外部を通過する第2流体間の温度差を利用して電力を生産することができる。複数個の熱電装置1000は所定間隔で離隔するように平行に配置されて発電システムをなしてもよい。
【0054】
流体流動部1100内に流入する第1流体は水であり得るが、これに制限されるものではなく、冷却性能がある多様な種類の流体であり得る。流体流動部1100に流入する第1流体の温度は100℃未満、好ましくは50℃未満、さらに好ましくは40℃未満であり得るが、これに制限されるものではなく、第2流体より低い温度を有する流体であり得る。流体流動部1100を通過した後に排出される第1流体の温度は流体流動部1100に流入する第1流体の温度より高くてもよい。
【0055】
本発明の実施例によると、流体流動部1100の第1面1110および第1面1110に対向する第2面1120には複数の熱電モジュール1200が配置され得る。第1面1110と第2面1120の間の一側面から第1面1110と第2面1120の間で一側面と対向する他側面に向かうように第1流体が流れ得る。このために、一側面には流体流入口が配置され、他側面には流体排出口が配置され得る。第1面1110と第2面1120の間の上面である第3面1130から第1面1110と第2面1120の間の下面である第4面1140に向かうように第2流体が流れ得る。説明の便宜のために、本明細書では第1面1110から第2面1120に向かう方向を第1方向と指称し、第1流体が通過する方向を第2方向と指称し、第2流体が通過する方向を第3方向と指称し得るが、これに制限されるものではない。
【0056】
第1流体の流入および排出を容易にし、流体流動部1100を支持するために、流体流動部1100の流体流入口側および流体排出口側にはそれぞれ第1連結部材1800-1および第2連結部材1800-2が配置され得る。本明細書で、第1連結部材1800-1および第2連結部材1800-2はそれぞれ第1拡管部材1800-1および第2拡管部材1800-2と混用され得る。または本明細書で、第1連結部材1800-1および第2連結部材1800-2はそれぞれ第1拡管ブロック1800-1および第2拡管ブロック1800-2と混用されることもある。
【0057】
一方、第2流体は流体流動部1100の外部、例えば流体流動部1100の外部に配置された熱電モジュール1200のヒートシンクを通過する。第2流体は自動車、船舶などのエンジンから発生する廃熱であり得るが、これに制限されるものではない。例えば、第2流体の温度は100℃以上、好ましくは200℃以上、さらに好ましくは220℃~250℃であり得るが、これに制限されるものではなく、第1流体の温度より高い温度を有する流体であり得る。
【0058】
本明細書で、流体流動部1100の内部を通じて流れる第1流体の温度は、流体流動部1100の外部に配置された熱電モジュール1200のヒートシンクを通過する第2流体の温度より低いものを例に挙げて説明する。これに伴い、本明細書で、流体流動部1100はダクトまたは冷却部と指称され得る。ただし、本発明の実施例はこれに制限されるものではなく、流体流動部1100の内部を通じて流れる第1流体の温度は、流体流動部1100の外部に配置された熱電モジュール1200のヒートシンクを通過する第2流体の温度より高くてもよい。
【0059】
本発明の実施例によると、熱電モジュール1200は熱電素子および熱電素子上に配置されたヒートシンクを含む。本発明の実施例に係る熱電素子は
図3~4に例示された熱電素子100の構造を有することができる。
【0060】
図3~
図4を参照すると、熱電素子100は第1基板110、第1電極120、P型熱電レッグ130、N型熱電レッグ140、第2電極150および第2基板160を含む。
【0061】
第1電極120は第1基板110とP型熱電レッグ130およびN型熱電レッグ140の下部底面の間に配置され、第2電極150は第2基板160とP型熱電レッグ130およびN型熱電レッグ140の上部底面の間に配置される。これに伴い、複数のP型熱電レッグ130および複数のN型熱電レッグ140は第1電極120および第2電極150によって電気的に連結される。第1電極120と第2電極150の間に配置され、電気的に連結される一対のP型熱電レッグ130およびN型熱電レッグ140は単位セルを形成することができる。
【0062】
例えば、口出し線181、182を通じて第1電極120および第2電極150に電圧を印加すると、ペルティエ効果によってP型熱電レッグ130からN型熱電レッグ140に電流が流れる基板は熱を吸収して冷却部として作用し、N型熱電レッグ140からP型熱電レッグ130に電流が流れる基板は加熱して発熱部として作用することができる。または第1電極120および第2電極150間温度差を加えると、ゼーベック効果によってP型熱電レッグ130およびN型熱電レッグ140内の電荷が移動し、電気が発生することもある。
【0063】
ここで、P型熱電レッグ130およびN型熱電レッグ140はビズマス(Bi)およびテルル(Te)を主原料で含むビスマステルライド(Bi-Te)系熱電レッグであり得る。P型熱電レッグ130はアンチモン(Sb)、ニッケル(Ni)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、銀(Ag)、鉛(Pb)、ホウ素(B)、ガリウム(Ga)、テルル(Te)、ビズマス(Bi)およびインジウム(In)のうち少なくとも一つを含むビスマステルライド(Bi-Te)系熱電レッグであり得る。例えば、P型熱電レッグ130は全体重量100wt%に対して主原料物質であるBi-Sb-Teを99~99.999wt%で含み、ニッケル(Ni)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、銀(Ag)、鉛(Pb)、ホウ素(B)、ガリウム(Ga)およびインジウム(In)のうち少なくとも一つを0.001~1wt%で含むことができる。N型熱電レッグ140はセレン(Se)、ニッケル(Ni)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、銀(Ag)、鉛(Pb)、ホウ素(B)、ガリウム(Ga)、テルル(Te)、ビズマス(Bi)およびインジウム(In)のうち少なくとも一つを含むビスマステルライド(Bi-Te)系熱電レッグであり得る。例えば、N型熱電レッグ140は全体重量100wt%に対して主原料物質であるBi-Se-Teを99~99.999wt%で含み、ニッケル(Ni)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、銀(Ag)、鉛(Pb)、ホウ素(B)、ガリウム(Ga)およびインジウム(In)のうち少なくとも一つを0.001~1wt%で含むことができる。
【0064】
P型熱電レッグ130およびN型熱電レッグ140はバルク型または積層型で形成され得る。一般的にバルク型P型熱電レッグ130またはバルク型N型熱電レッグ140は熱電素材を熱処理してインゴット(ingot)を製造し、インゴットを粉砕し篩分けして熱電レッグ用粉末を獲得した後、これを焼結し、焼結体をカッティングする過程を通じて得られ得る。この時、P型熱電レッグ130およびN型熱電レッグ140は多結晶熱電レッグであり得る。このように、P型熱電レッグ130およびN型熱電レッグ140は多結晶熱電レッグである場合、P型熱電レッグ130およびN型熱電レッグ140の強度が高くなり得る。積層型P型熱電レッグ130または積層型N型熱電レッグ140はシート状の基材上に熱電素材を含むペーストを塗布して単位部材を形成した後、単位部材を積層しカッティングする過程を通じて得られ得る。
【0065】
この時、一対のP型熱電レッグ130およびN型熱電レッグ140は同じ形状および体積を有するか、互いに異なる形状および体積を有することができる。例えば、P型熱電レッグ130とN型熱電レッグ140の電気伝導特性が異なるため、N型熱電レッグ140の高さまたは断面積をP型熱電レッグ130の高さまたは断面積と異なるように形成してもよい。
【0066】
この時、P型熱電レッグ130またはN型熱電レッグ140は円筒形状、多角柱形状、楕円形柱形状などを有することができる。
【0067】
本明細書で、熱電レッグは熱電構造物、半導体素子、半導体構造物などで指称されてもよい。
【0068】
本発明の一実施例に係る熱電素子の性能は熱電性能指数(figure of merit、ZT)で表すことができる。熱電性能指数(ZT)は数1のように示すことができる。
【0069】
【0070】
ここで、αはゼーベック係数[V/K]であり、σは電気伝導度[S/m]であり、α2σはパワー因子(Power Factor、[W/mK2])である。そして、Tは温度で、kは熱伝導度[W/mK]である。kはa・cp・ρで示すことができ、aは熱拡散度[cm2/S]であり、cpは比熱[J/gK]であり、ρは密度[g/cm3]である。
【0071】
熱電素子の熱電性能指数を得るために、Zメーターを利用してZ値(V/K)を測定し、測定したZ値を利用して熱電性能指数(ZT)を計算することができる。
【0072】
ここで、第1基板110とP型熱電レッグ130およびN型熱電レッグ140の間に配置される第1電極120、そして第2基板160とP型熱電レッグ130およびN型熱電レッグ140の間に配置される第2電極150は銅(Cu)、銀(Ag)、アルミニウム(Al)およびニッケル(Ni)のうち少なくとも一つを含み、0.01mm~0.3mmの厚さを有することができる。第1電極120または第2電極150の厚さが0.01mm未満の場合、電極として機能が落ちることになって電気伝導性能が低くなり得、0.3mmを超過する場合、抵抗の増加によって伝導効率が低くなり得る。
【0073】
そして、互いに対向する第1基板110と第2基板160は金属基板であり得、その厚さは0.1mm~1.5mmであり得る。金属基板の厚さが0.1mm未満であるか、1.5mmを超過する場合、放熱特性または熱伝導率が過度に高くなり得るため、熱電素子の信頼性が低下し得る。また、第1基板110と第2基板160が金属基板である場合、第1基板110と第1電極120の間および第2基板160と第2電極150の間にはそれぞれ絶縁層170がさらに形成され得る。絶縁層170は1~20W/mKの熱伝導度を有する素材を含むことができる。この時、絶縁層170はエポキシ樹脂およびシリコン樹脂のうち少なくとも一つと無機物を含む樹脂組成物であるか、シリコンと無機物を含むシリコン複合体からなる層であるか、酸化アルミニウム層であり得る。ここで、無機物はアルミニウム、ホウ素、ケイ素などの酸化物、窒化物および炭化物のうち少なくとも一つであり得る。
【0074】
この時、第1基板110と第2基板160の大きさは異なるように形成されてもよい。すなわち、第1基板110と第2基板160のうち一つの体積、厚さまたは面積は他の一つの体積、厚さまたは面積より大きく形成され得る。ここで、厚さは第1基板110から第2基板160に向かう方向に対する厚さであり得、面積は第1基板110から第2基板160に向かう方向に垂直な方向に対する面積であり得る。これに伴い、熱電素子の吸熱性能または放熱性能を高めることができる。好ましくは、第1基板110の体積、厚さまたは面積は第2基板160の体積、厚さまたは面積のうち少なくとも一つより大きく形成され得る。この時、第1基板110はゼーベック効果のために高温領域に配置される場合、ペルティエ効果のために発熱領域に適用される場合、または後述する熱電素子の外部環境から保護のためのシーリング部材が第1基板110上に配置される場合に、第2基板160より体積、厚さまたは面積のうち少なくとも一つをさらに大きくすることができる。この時、第1基板110の面積は第2基板160の面積対比1.2~5倍の範囲で形成することができる。第1基板110の面積が第2基板160に比べて1.2倍未満で形成される場合、熱伝達効率の向上に及ぼす影響は高くなく、5倍を超過する場合にはかえって熱伝達効率が顕著に低下し、熱電モジュールの基本形状を維持することが困難であり得る。
【0075】
また、第1基板110と第2基板160のうち少なくとも一つの表面には放熱パターン、例えば凹凸パターンが形成されてもよい。これに伴い、熱電素子の放熱性能を高めることができる。凹凸パターンがP型熱電レッグ130またはN型熱電レッグ140と接触する面に形成される場合、熱電レッグと基板間の接合特性も向上し得る。
【0076】
図示してはいないが、第1基板110と第2基板160の間にはシーリング部材がさらに配置されてもよい。シーリング部材は第1基板110と第2基板160の間で第1電極120、P型熱電レッグ130、N型熱電レッグ140および第2電極150の側面に配置され得る。これに伴い、第1電極120、P型熱電レッグ130、N型熱電レッグ140および第2電極150は外部の湿気、熱、汚染などからシーリングされ得る。
【0077】
再び
図1~
図2を参照すると、流体流動部1100の第1面1110および第2面1120には複数の熱電モジュール1200が配置され得る。
【0078】
前述した通り、各熱電素子は流体流動部1100に接触するように配置された第1基板110、第1基板110上に配置された複数の第1電極120、複数の第1電極120上に配置された複数の熱電レッグ130、140、複数の熱電レッグ130、140上に配置された複数の第2電極150および複数の第2電極150上に配置された第2基板160を含み、第2基板160上にヒートシンクが配置される。この時、流体流動部1100上に配置される熱電素子の第1基板は金属基板であり得、金属基板は流体流動部1100の表面と熱伝達物質(thermal interface material、TIM、図示されず)によって接着され得る。金属基板は熱伝達性能が優秀であるため、熱電素子と流体流動部1100間の熱伝達が容易である。また、金属基板と流体流動部1100が熱伝達物質(thermal interface material、TIM)によって接着されると、金属基板と流体流動部1100間の熱伝達が妨害を受けなくなり得る。ここで、金属基板は銅基板、アルミニウム基板および銅-アルミニウム基板のうち一つであり得るが、これに制限されるものではない。
【0079】
複数の熱電モジュール1200それぞれは生産される電気を外部に抽出したり、ペルティエとして利用するために電気を印加するためのコネクタ部を含むことができる。本発明の実施例によると、支持部材1400をコネクタ部の周辺に配置して熱電モジュール1200と流体流動部1100間の接合力を均一に維持し、コネクタ部に連結される電線Wを保護することができる。
【0080】
そして、本発明の実施例によると、複数の熱電モジュール1200内に水分または汚染物質が浸透することを防止するために、シールド部材1500がさらに配置され得る。シールド部材1500は流体流動部1100の第1面1110に配置される第1シールド部材1510および流体流動部1100の第2面1120に配置される第2シールド部材1520を含むことができる。第1シールド部材1510および第2シールド部材1520はそれぞれ熱電素子の第2基板上に配置され得る。この時、第2流体がヒートシンクを通過するために、第1シールド部材1510および第2シールド部材1520にはそれぞれ貫通ホール1512、1522が形成され、貫通ホール1512、1522の縁は熱電素子の第2基板上に配置されて貫通ホール1512、1522を通じてヒートシンクが露出され得る。これによると、熱電素子の内部を外部の汚染物質、水分および第2流体から保護できながらも、第2流体がヒートシンクを直接通過することができるため、第2流体とヒートシンク間の熱交換が効率的になされ得る。本発明の一実施例によると、シールド部材1500は流体流動部1100の第3面1130に配置される第3シールド部材1530および流体流動部1100の第4面1140に配置される第4シールド部材1540をさらに含むことができる。第2流体は流体流動部1100の第3面1130から第4面1140に向かう方向に流れることができるため、流体流動部1100の第3面1130と第3シールド部材1530の間および第4面1140と第4シールド部材1540の間それぞれには断熱部材がさらに配置されてもよい。これによると、流体流動部1100の内部で流れる第1流体および流体流動部1100の外部で流れる第2流体が互いに断熱されるため、熱電素子の熱電性能を高めることができる。
【0081】
一方、本発明の実施例によると、流体流動部1100の第1面1110および第2面1120にはガイド部材1700がさらに配置され得る。ガイド部材1700は熱電モジュール1200に連結された電線を外部にガイドする役割をすることができる。ガイド部材1700は流体流動部1100の第1面1110および第2面1120それぞれの上で熱電モジュール1200の側面に配置され得る。
【0082】
図5は本発明の一実施例に係る熱電装置に含まれる流体流動部の一面に対する斜視図であり、
図6は本発明の一実施例に係る熱電装置に含まれる流体流動部の一面に複数の熱電モジュールが配置された正面図であり、
図7は本発明の一実施例に係る熱電装置に含まれる流体流動部の一面に複数の熱電モジュールおよび複数の支持部材が配置された正面図であり、
図8は本発明の一実施例に係る熱電装置に含まれる熱電モジュールの斜視図であり、
図9は本発明の一実施例に係る熱電装置に含まれる熱電モジュールの第1基板の斜視図であり、
図10は
図5に図示された流体流動部のA-A’に対する断面図であり、
図11(a)は
図5に図示された流体流動部のB-B’に対する断面図であり、
図11(b)は
図5に図示された流体流動部のC-C’に対する断面図であり、
図12~
図13は
図5に図示された流体流動部と連結部材の断面図である。
【0083】
図5~
図9を参照すると、流体流動部1100の第1面1100には熱電モジュール1200が配置される。以下においては、説明の便宜のために流体流動部1100の第1面1110に配置された熱電モジュール1200のみを説明しているが、これに制限されるものではなく、第1面1110の反対面である第2面1120にも同じ構造が適用され得る。流体流動部1100および熱電モジュール1200に関連して、
図1~
図4を参照して説明した内容と同じ内容に対しては重複した説明を省略する。
【0084】
本発明の実施例によると、熱電モジュール1200の第1基板1212は流体流動部1100の第1面1110に配置される。この時、第1基板1212は流体流動部1100の第1面1110に直接接触するように配置されるか、熱伝達物質(thermal interface material、TIM)等を通じて間接接触するように配置され得る。第1基板1212は
図1~
図4を参照して説明した第1基板110であり得る。これに伴い、第1基板1212に関連して、
図1~
図4を参照して説明した第1基板110と同じ内容に対しては重複した説明を省略する。
【0085】
図8~
図9に図示された通り、熱電モジュール1200の第1基板1212は第1領域A1および第2領域A2を含むことができる。この時、第1領域A1には複数の第1電極、複数の熱電レッグ、複数の第2電極、第2基板およびヒートシンク1220が配置され、第1領域A1の一側である第2領域A2には第1電極に連結されたコネクタ部210、220が配置され得る。ここで、複数の第1電極、複数の熱電レッグ、複数の第2電極および第2基板は
図1~
図4を参照して説明した複数の第1電極120、複数の熱電レッグ130、140、複数の第2電極150および第2基板160であり得る。
図8で第2基板およびヒートシンク1220は4分割された例を図示しているが、これに制限されるものではない。一つの第1基板に対して一つの第2基板およびヒートシンク1220が配置されるか、一つの第1基板に対して2以上で第2基板およびヒートシンクが分割されて配置されてもよい。
【0086】
本発明の実施例によると、
図6~
図7に図示された通り、流体流動部1100と熱電モジュール1200は結合部材1300によって結合され得る。このために、
図5に図示された通り、流体流動部1100の第1面1110には熱電モジュール1200の第1基板1212と第1方向、すなわち第1面1110から第2面1120に向かう方向に重なるように形成された第1溝S11が形成され得、
図9に図示された通り、熱電モジュール1200の第1基板1212の第1領域A1には第1溝S11に対応する貫通ホールS12が形成され得る。これと共に、
図8に図示された通り、熱電モジュール1200の第2基板(図示されず)およびヒートシンク1220にも第1溝S11および貫通ホールS12に対応する貫通ホールS13が形成され得る。これによると、
図6~
図7に図示された通り、第1結合部材1310は第1溝S11、貫通ホールS12および貫通ホールS13に結合され、これに伴い、流体流動部1100と熱電モジュール1200が結合され得る。
【0087】
一方、本発明の実施例によると、流体流動部1100の第1面1110には第2溝S21がさらに形成され得、熱電モジュール1200の第1基板1212の第2領域A2にも第2溝S21に対応する貫通ホールS22がさらに形成され得る。これと共に、第1基板1212の第2領域A2には支持部材1400がさらに配置され(
図7参照)、支持部材1400、第1基板1212の貫通ホールS22および流体流動部1100の第2溝S21は第2結合部材1320によって結合され得る。
【0088】
これによると、熱電モジュール1200の第1基板1212の第1領域A1だけでなく第2領域A2も流体流動部1100に結合され得るので、熱電モジュール1200の第1基板1212全体に対して流体流動部1100と均一な接合力を有することができ、第1基板1212全体に対して熱が均一に分布され得る。特に、支持部材1400を利用して熱電モジュール1200の第1基板1212と流体流動部1100が結合される場合、支持部材1400の適用により第2結合部材1320の締結トルクを高めることができる。これによると、振動条件下でも第2結合部材1320が緩む可能性が低いので、熱電モジュール1200が流体流動部1100にさらに堅固に付着され得る。
【0089】
一方、
図5を参照すると、流体流動部1100は第1面1110および第2面1120の間の一側面1150に流体流動部1100の流体流入口1152が配置され、第1面1110および第2面1120の間の他側面に流体流動部1100の流体排出口が配置され得る。
【0090】
図10を参照すると、流体流動部1100の一側面1150から他側面1160に向かう第2方向に延びる複数の流路1100F1、1100F2、1100F3が形成され、複数の流路1100F1、1100F2、1100F3の間には複数の流路1100F1、1100F2、1100F3を区分する流路区分壁1100W1、1100W2が配置され得る。
【0091】
流体流動部1100内に複数の流路1100F1、1100F2、1100F3が形成されると、流体流動部1100内に流入した第1流体が複数の流路1100F1、1100F2、1100F3内に均一に分散するため、熱電モジュール1200内で均一な熱電性能を得ることができる。
【0092】
一方、
図11(a)を参照すると、第1溝S11は流路区分壁1100W1、1100W2内に形成され得る。これによると、流体流動部1100内に流入した第1流体が第1溝S11を通じて外部に漏洩する問題を防止することができる。
【0093】
この時、第1溝S11の深さtは流体流動部1100の第1面1110および第2面1120間距離Tより浅くてもよい。これによると、第1溝S11は流体流動部1100の第1面1110から第2面1120まで貫通しないので、流体流動部1100の第1面1110と熱電モジュール1200の第1基板1212の間に塗布された熱伝達物質TIMが第2面1120に流れる問題を防止することができ、第1面1110に塗布された熱伝達物質によって第2面1120で熱電モジュール1200の接合性能が低くなる問題を防止することができる。ここで、熱伝達物質は熱伝達性能および接着性能を有する物質であって、サーマルグリース(thermal grease)、サーマルペースト(thermal paste)、サーマルコンパウンド(thermal compound)等で指称され得る。熱伝達物質は、例えばシリコンオイル内に酸化アルミニウム、単結晶ダイヤモンドおよび金属粒子のうち少なくとも一つが分散した形態であり得る。
【0094】
第1溝S11の深さtは、例えば流体流動部1100の第1面1110および第2面1120間距離Tの1/2倍より浅くてもよい。これによると、流体流動部1100の第2面1120で第1溝S11に対称する位置にも溝S11Aが形成され、熱電モジュールが締結され得る。
【0095】
一方、再び
図5~
図7および
図10を参照すると、本発明の実施例によると、流体流動部1100の第1面1110には熱電モジュール1200と重ならないようにホールS31、S41が形成され得る。ホールS31、S41は流体流動部1100の第1面1110から第2面1120まで貫通するように形成され得る。ホールS31、S41はガイド部材1700またはシールド部材1500が締結されるためのホールであり得る。例えば、ガイド部材1700が締結されるためのホールS31は流体流動部1100の流路区分壁1100W1、1100W2に配置され得る。
図11(b)に図示された通り、ガイド部材1700が締結されるためのホールS31は流体流動部1100の流路区分壁1100W1、1100W2を貫通するように形成され得る。本発明の実施例によると、流体流動部1100と熱電モジュール1200間熱伝達性能を最大化するために流体流動部1100と熱電モジュール1200の間に熱伝達物質TIMが配置され得る。これに反し、ガイド部材1700またはシールド部材1500は流体流動部1100上に熱伝達物質TIMなしに配置された後、結合部材を利用して締結され得る。これに伴い、ガイド部材1700またはシールド部材1500が締結されるためのホールS31、S41は流体流動部1100の第1面1110および第2面1120を貫通するように形成され得る。
【0096】
本発明の実施例によると、流体流動部1100の第1面1110には熱電モジュール1200と重ならないようにホールS51がさらに形成され得る。ホールS51は流体流動部1100の第1面1110から第2面1120まで貫通するように形成され得、熱電モジュール1200に連結された電線Wが通過するためのホールであり得る。このために、ホールS51は他のホールS31、S41より大きい面積を有することができる。これによると、第1面1110の熱電モジュール1200に連結された電線Wは貫通ホールS51を通じて第2面1120の熱電モジュールと電気的に連結され得る。
【0097】
一方、
図10、
図12~
図13を参照すると、流体流動部1100の一側面1150側には第1連結部材1800-1が配置され、流体流動部1100の他側面1160側には第2連結部材1800-2が配置され得る。第1連結部材1800-1は流体供給部(図示されず)の流体を流体流動部1100の流体流入口1152に伝達する役割をし、第2連結部材1800-2は流体流動部1100の流体排出口の流体を流体回収部(図示されず)に伝達する役割をすることができる。
【0098】
このために、流体流動部1100の一側面1150は第1連結部材1800-1内に収容されるように配置され、他側面1160は第2連結部材1800-2内に収容されるように配置され得る。
【0099】
第1連結部材1800-1は流体供給部(図示されず)に向かうように配置される面1810および面1810に対向するように配置される面1820を含むことができる。面1820は流体流動部1100の他側面1160に向かうように配置された第1連結ホール1822および第1連結ホール1822の縁に配置された第1連結面1824を含むことができる。これと同様に、第2連結部材1800-2は流体流動部1100の一側面1150に向かうように配置された第2連結ホールおよび第2連結ホールの縁に配置された第2連結面を含むことができる。
【0100】
本発明の実施例によると、第1連結ホール1822には流体流動部1100の一側面1150が挿入され、第2連結ホールには流体流動部1100の他側面1160が挿入され得る。ここで、第1連結部材1800-1と流体流動部1100が第1連結ホール1822内で重なる長さL1は9mm以上であり得る。このように、流体流動部1100の一側面1150が第1連結部材1800-1内に収容されると、第1連結部材1800-1および流体流動部1100が安定的に固定され得る。
【0101】
この時、流体流動部1100の第5面1150と第1面1110、第2面1120、第3面1130および第4面1140の間には傾斜面1170が配置され得る。これによると、第1連結部材1800-1の第1連結ホール1822内に流体流動部1100の第5面1150が容易に挿入され得る。
【0102】
本発明の実施例によると、流体流動部1100の第5面1150は第1連結部材1800-1の第1連結ホール1822の側面1826と離隔するように配置され得る。例えば、流体流動部1100の第5面1150は第1連結部材1800-1の第1連結ホール1822の側面1826間離隔距離L2は3~7mm、好ましくは4~6mmであり得る。これによると、第1連結部材1800-1の第1連結ホール1822の側面1826から排出された流体は流体流動部1100に流入する前に均一に混合された後分散され得、熱電モジュール1200の全領域で均一な熱電性能を有することができる。
【0103】
本発明の実施例によると、流体流動部1100の第5面1150側が第1連結部材1800-1の第1連結ホール1822内に収容された後、流体流動部1100と第1連結部材1800-1は溶接され得る。これによると、溶接部1900が第1連結部材1800-1の第1連結面1824と流体流動部1100間の境界に沿って配置され得る。例えば、溶接部1900は第1連結面1824と流体流動部1100の第1面1110、第2面1120、第3面1130および第4面1140間の境界に沿って形成され得る。これによると、第1連結部材1800-1を通じて流体流動部1100に流入する流体が漏洩する問題を防止することができる。
【0104】
一方、前述した通り、流体流動部1100の内部には複数の流路1100F1、1100F2、1100F3を区分する流路区分壁1100W1、1100W2内に形成され得る。本発明の実施例によると、流路区分壁1100W1、1100W2は流体流入口1152が配置された第5面1150から所定間隔離隔した地点から第6面1160に向かう方向に延長され得る。これによると、第1連結部材00の第1連結ホール1822の側面1826から排出された流体は流体流動部1100の内部の複数の流路1100F1、1100F2、1100F3に流入する前に均一に混合された後分散され得、熱電モジュール1200の全領域で均一な熱電性能を有することができる。
【0105】
この時、溶接部1900と流路区分壁1100W1、1100W2は第1方向に互いに重ならないように配置され得る。例えば、流体流動部1100で第5面1150と流路区分壁1100W1、1100W2間最短距離P1は流体流動部1100の第5面1150と溶接部1900間最長距離P2より長くてもよい。流体流動部1100の内部に流路区分壁1100W1、1100W2が形成されると、流体流動部1100の第1面1110および第2面1120は流路区分壁1100W1、1100W2に沿って微細に屈曲し得る。本発明の実施例により溶接部1900が流路区分壁1100W1、1100W2と重ならないように形成されると、溶接の均一度および品質を高めることができる。
【0106】
発電システムは船舶、自動車、発電所、地熱、などで発生する熱源を通じて発電することができ、熱源を効率的に収束するために複数の発電装置を配列することができる。この時、各発電装置は熱電モジュールと流体流動部間の接合力を改善して熱電素子の低温部の冷却性能を改善することができ、これに伴い、発電装置の効率および信頼性を改善することができるため、船舶や車両などの運送装置の燃料効率を改善することができる。したがって、海運業、運送業では運送費の削減と環境にやさしい産業環境を造成することができ、製鉄所などの製造業に適用される場合、材料費などを節減できる。
【0107】
前記では本発明の好ましい実施例を参照して説明したが、該当技術分野の熟練した当業者は下記の特許請求の範囲に記載された本発明の思想および領域から逸脱しない範囲内で本発明を多様に修正および変更できることを理解できるであろう。
【手続補正書】
【提出日】2023-12-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一面および前記一面と第1方向に離隔した他面を含む流体流動部、
前記流体流動部の一面に配置された第1熱電素子、そして
前記流体流動部の他面に配置された第2熱電素子を含み、
前記流体流動部の一面には前記第1熱電素子と前記第1方向に重なった第1溝および前記第1熱電素子と前記第1方向に重なっていない第1ホールが配置され、
前記第1溝の深さは前記一面および前記他面間距離より浅く、
前記第1ホールは前記一面から前記他面まで貫通する、熱電装置。
【請求項2】
前記第1熱電素子および前記流体流動部は前記第1熱電素子および前記第1溝に配置された第1結合部材によって固定された、請求項1に記載の熱電装置。
【請求項3】
前記一面および前記他面の間の一側面に前記流体流動部の流体流入口が配置され、前記一面および前記他面の間で前記一側面に対向する他側面に前記流体流動部の流体排出口が配置され、
前記流体流動部は前記一側面から前記他側面に向かう第2方向に延びた複数の流路を含み、
前記複数の流路の間には前記複数の流路を区分する流路区分壁が配置され、
前記第1溝は前記流路区分壁に配置された、請求項2に記載の熱電装置。
【請求項4】
前記流路区分壁は前記一側面から所定間隔離隔した地点から前記他側面に向かう方向に延びた、請求項3に記載の熱電装置。
【請求項5】
前記流体流動部の前記一側面側に配置され、前記流体流入口に流体を伝達する第1連結部材および前記流体流動部の前記他側面側に配置され、前記流体排出口から排出された前記流体が通過する第2連結部材をさらに含む、請求項4に記載の熱電装置。
【請求項6】
前記一側面は前記第1連結部材内に収容されるように配置され、前記他側面は前記第2連結部材内に収容されるように配置される、請求項5に記載の熱電装置。
【請求項7】
前記第1連結部材は前記流体流動部の前記他側面に向かうように配置された第1連結ホールおよび前記第1連結ホールの縁に配置された第1連結面を含み、前記第2連結部材は前記流体流動部の前記一側面に向かうように配置された第2連結ホールおよび前記第2連結ホールの縁に配置された第2連結面を含み、
前記第1連結ホールには前記流体流動部の前記一側面が挿入され、前記第2連結ホールには前記流体流動部の前記他側面が挿入された、請求項6に記載の熱電装置。
【請求項8】
前記第1連結部材および前記第2連結部材はそれぞれ前記流体流動部と溶接された、請求項7に記載の熱電装置。
【請求項9】
前記第1連結面と前記流体流動部間の境界に沿って第1溶接部が配置され、前記第2連結面と前記流体流動部間の境界に沿って第2溶接部が配置された、請求項8に記載の熱電装置。
【請求項10】
前記流体流動部の一側面と前記流路区分壁間最短距離は前記流体流動部の一側面と前記第1溶接部間最長距離より長い、請求項9に記載の熱電装置。
【請求項11】
前記流体流動部の前記一側面と前記一面の間および前記流体流動部の前記一側面と前記他面の間には傾斜面が配置された、請求項3に記載の熱電装置。
【請求項12】
前記流体流動部の他面には前記第2熱電素子と前記第1方向に重なった第2溝が配置され、前記第2溝の深さは前記一面および前記他面間の距離より浅い、請求項1に記載の熱電装置。
【請求項13】
前記第1溝および前記第2溝それぞれの深さは前記一面および前記他面間の距離の1/2倍より浅い、請求項12に記載の熱電装置。
【請求項14】
前記第1溝および前記第2溝は互いに対応する位置に形成される、請求項12に記載の熱電装置。
【請求項15】
前記流体流動部の表面に配置されたシールド部材をさらに含み、前記シールド部材および前記流体流動部は前記シールド部材および前記第1ホールに配置された第2結合部材によって固定された、請求項1に記載の熱電装置。
【請求項16】
前記流体流動部の一面には前記第1熱電素子と前記第1方向に重ならない第2ホールがさらに配置され、前記第2ホールは前記一面から前記他面まで貫通し、前記第2ホールの大きさは前記第1ホールの大きさより大きい、請求項1に記載の熱電装置。
【請求項17】
前記第1熱電素子および前記第2熱電素子のうち少なくとも一つに連結された電線は前記第2ホールを貫通する、請求項16に記載の熱電装置。
【請求項18】
前記第1熱電素子上に配置された第1ヒートシンク、そして前記第2熱電素子上に配置された第2ヒートシンクをさらに含む、請求項1に記載の熱電装置。
【請求項19】
前記流体流動部の一面と第1熱電素子の間に配置された熱伝達物質をさらに含む、請求項1に記載の熱電装置。
【請求項20】
前記第1溶接部と前記流路区分壁は前記第1方向に互いに重ならない、請求項9に記載の熱電装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【国際調査報告】