(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-28
(54)【発明の名称】放射線走査装置及び放射線走査システム
(51)【国際特許分類】
G01N 23/10 20180101AFI20240621BHJP
G01N 23/046 20180101ALI20240621BHJP
【FI】
G01N23/10
G01N23/046
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023579426
(86)(22)【出願日】2022-07-07
(85)【翻訳文提出日】2023-12-22
(86)【国際出願番号】 CN2022104297
(87)【国際公開番号】W WO2023280256
(87)【国際公開日】2023-01-12
(31)【優先権主張番号】202110769688.X
(32)【優先日】2021-07-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515221794
【氏名又は名称】ヌクテック カンパニー リミテッド
(71)【出願人】
【識別番号】511031733
【氏名又は名称】チンファ ユニバーシティ
【氏名又は名称原語表記】Tsinghua University
【住所又は居所原語表記】No. 1, Qinghua Yuan, Haidian District, Beijing 100084, China
(74)【代理人】
【識別番号】100087398
【氏名又は名称】水野 勝文
(74)【代理人】
【識別番号】100128783
【氏名又は名称】井出 真
(74)【代理人】
【識別番号】100128473
【氏名又は名称】須澤 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100160886
【氏名又は名称】久松 洋輔
(74)【代理人】
【識別番号】100209060
【氏名又は名称】冨所 剛
(72)【発明者】
【氏名】チャン,リー
(72)【発明者】
【氏名】チェン,ジーチアン
(72)【発明者】
【氏名】ファン,チンピン
(72)【発明者】
【氏名】ジン,シン
(72)【発明者】
【氏名】ディン,ホイ
(72)【発明者】
【氏名】チョウ,ヨン
(72)【発明者】
【氏名】ウェイ,ビンタオ
(72)【発明者】
【氏名】ツァオ,ジェンファ
【テーマコード(参考)】
2G001
【Fターム(参考)】
2G001AA01
2G001AA10
2G001BA11
2G001CA01
2G001DA02
2G001DA06
2G001DA08
2G001HA14
2G001JA09
2G001LA10
2G001PA11
(57)【要約】
本願の荷物輸送システムに用いられる放射線走査装置は、被検物が放射線走査装置の走査領域を通過するように搬送する伝送装置と、被検物の輸送方向の複数の走査面にそれぞれ配置される複数の走査ステージと、を含み、各走査ステージは、対向して配置される放射線源モジュール(10)と検知器群(30)とを含み、放射線源モジュール(10)は、放射線ビームを放出する複数のソースポイントを含み、複数の走査ステージの放射線源モジュール(10)は、前記走査領域の下方、左方及び右方にそれぞれ配置される。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷物輸送システム用の放射線走査装置であって、
被検物が前記放射線走査装置の走査領域を通過するように搬送する伝送装置と、
前記被検物の輸送方向の複数の走査面にそれぞれ配置される複数の走査ステージと、を含み、
各走査ステージは、対向して配置される放射線源モジュールと検知器群とを含み、且つ、前記放射線源モジュールは、放射線ビームを放射する複数のソースポイントを含み、
複数の走査ステージの放射線源モジュールは、前記走査領域の下方、左方及び右方にそれぞれ配置される、放射線走査装置。
【請求項2】
前記被検物の輸送方向に沿って見て、前記複数の走査ステージの放射線源モジュールは、前記走査領域を回って上方に開口する半密閉構造に配置される、
請求項1に記載の放射線走査装置。
【請求項3】
前記放射線源モジュールは分布式放射線源であり、且つ、前記放射線源は直線状、折れ線状又は円弧状に形成される、
請求項2に記載の放射線走査装置。
【請求項4】
各走査ステージにおいて、前記検知器は、前記走査領域を少なくとも2方向に回るように配置される、
請求項1-3のいずれか1項に記載の放射線走査装置。
【請求項5】
前記放射線源モジュールが前記走査領域の下方に配置される走査ステージにおいて、前記検知器は、前記走査領域を回って下方に開口するU型構造である、
請求項4に記載の放射線走査装置。
【請求項6】
前記放射線源モジュールが前記走査領域の左方又は右方に配置される走査ステージにおいて、前記検知器は、前記走査領域を回るL型構造又はU型構造である、
請求項4に記載の放射線走査装置。
【請求項7】
前記荷物輸送システムは、伝送ベルトを含み、前記伝送装置の速度及び高さは、前記荷物輸送システムの伝送ベルトの速度及び高さにマッチングするように設置される、
請求項1-3のいずれか1項に記載の放射線走査装置。
【請求項8】
前記伝送装置の速度及び高さは、前記荷物輸送システムの伝送ベルトの速度及び高さと同じに設置される、
請求項7に記載の放射線走査装置。
【請求項9】
各走査ステージにおける放射線源モジュールのビーム出射順序を制御して、各走査ステージにおける放射線源モジュールにそれぞれ1つのソースポイントを同時にビーム出射させるように配置される制御装置をさらに含む、
請求項1-3のいずれか1項に記載の放射線走査装置。
【請求項10】
各走査ステージの各放射線源モジュールの放射線ビームのエネルギーは同じである、
請求項9に記載の放射線走査装置。
【請求項11】
前記走査領域の左方又は右方に配置される前記放射線源モジュールの放射線ビームのエネルギーは、前記走査領域の下方に配置される前記放射線源モジュールの放射線ビームのエネルギーよりも高い、
請求項9に記載の放射線走査装置。
【請求項12】
荷物検査用の放射線走査システムであって、
請求項1-11のいずれか1項に記載の放射線走査装置と、荷物輸送システムと、を含み、
前記荷物輸送システムは、荷物を輸送するための伝送ベルトを含み、
前記放射線走査装置の伝送装置は、前記伝送ベルトの高さ及び速度にマッチングする、
放射線走査システム。
【請求項13】
前記放射線走査装置の伝送装置と前記荷物輸送システムの前記伝送ベルトの高さ及び速度は同じである、請求項12に記載の放射線走査システム。
【請求項14】
請求項1-11のいずれか一項に記載の放射線走査装置に用いられる放射線源の取付位置決め構造であって、
前記放射線走査装置は、放射線源及び固設される支持フレームを含み、前記取付位置決め構造は、本体を含み、前記本体は、前記放射線源を前記本体によって前記支持フレームに固定的に取り付けるように、前記放射線源及び前記支持フレームに固定接続され、
前記取付位置決め構造は、
移動装置であって、前記放射線源が前記移動装置によって第1平面で所定の取付位置に移動される移動装置と、
前記第1平面において前記放射線源を位置決めするために用いられる第1位置決め装置と、
前記第1平面に垂直する第1方向に沿って前記放射線源の位置を調整するために用いられる昇降装置と、
前記第1方向において前記放射線源の位置を固定するために用いられる第2位置決め装置と、含む、
取付位置決め構造。
【請求項15】
請求項1-11のいずれか1項に記載の放射線走査装置に用いられる検知器の取付固定構造であって、
前記放射線走査装置は、前記検知器と、固設された支持フレームとを含み、前記検知器は、少なくとも2つの前記検知器群を含み、前記検知器群は、前記取付固定構造を介して前記支持フレームに固定して取り付けられ、又は前記支持フレームから取り外され、
前記取付固定構造は、
前記検知器群に固設される第1取付部と、
第2取付部であって、前記支持フレームに固設されるとともに前記第1取付部と直線移動嵌合することが可能であり、前記第1取付部と前記第2取付部とが互いに嵌合した状態で、前記検知器群が前記第2取付部に沿って所定の取付位置に移動可能な第2取付部と、
前記検知器群の幅方向に沿う一方側に設けられ、前記支持フレーム上の取付基準面に対して前記検知器群を固定するために用いられる固定装置と、を含む、
取付固定構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の交差参照)
本願は、2021年07月07日に提出された名称が「放射線走査装置及び放射線走査システム」である中国特許出願202110769688.Xの優先権を主張し、当該出願の全ての内容は引用により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本願は、輻射画像形成の分野に関し、特に、荷物輸送システム用の放射線走査装置及び荷物検査用の放射線走査システムに関する。
【0003】
放射線走査技術は、物体の重なりの影響を除去できるため、セキュリティ検査において重要な役割を果たすことができる。従来の放射線走査装置は、スリップリング装置を用いてX線装置と検知器の回転により異なる角度での投影データを取得し、再構成方法により断層画像を取得することで、被検出荷物の内部情報を取得する。二重エネルギー又は多重エネルギーのイメージング技術に合わせて、現在の荷物検査設備は、被検物の原子番号及び電子密度を再構成することができる。よって、物質の種類の識別を実現し、爆発物、危険物などの検出において優れた効果を奏する。
【発明の概要】
【0004】
従来の放射線走査装置は依然としていくつかの欠点を有する。例えば、現在の空港荷物輸送システムは、通常、適時性を満たすために高い荷物輸送速度を有し、相応的に安全検査設備に対して高い検出速度が要求される。一方、検出速度を向上させることは、輻射の増大、コストアップなどの問題をもたらす可能性がある。
【0005】
本願は、上記問題に対して、被検物が放射線走査装置の走査領域を通過するように搬送する伝送装置と、被検物の輸送方向の複数の走査面にそれぞれ配置される複数の走査ステージと、を備え、各走査ステージは、対向して配置される放射線源モジュールと検知器群とを含み、放射線源モジュールは、放射線ビームを放射する複数のソースポイントを含み、複数の走査ステージの放射線源モジュールは、走査領域の下方、左方及び右方にそれぞれ配置される、荷物輸送システム用の放射線走査装置を提供する。
【0006】
本願の実施例は、本願の実施例の放射線走査装置及び荷物輸送システムを含む荷物検査用の放射線走査システムであって、荷物輸送システムは荷物を輸送するための伝送ベルトを含み、放射線走査装置の伝送装置は伝送ベルトの高さ及び速度にマッチングする、荷物検査用の放射線走査システムをさらに提供する。
【0007】
本願の実施例は、放射線走査装置の放射線源の取付位置決め構造であって、放射線走査装置は、放射線源及び固設された支持フレームを含み、取付位置決め構造は、本体を含み、本体は、放射線源を本体によって支持フレームに固定的に取り付けることが可能であるように、放射線源及び支持フレームに固定接続され、取付位置決め構造は、放射線源が移動装置によって第1平面において所定の取付位置に移動されることが可能である移動装置と、第1平面において放射線源を位置決めするために用いられる第1位置決め装置と、第1平面に垂直する第1方向に沿って放射線源の位置を調整するために用いられる昇降装置と、第1方向において放射線源の位置を固定するために用いられる第2位置決め装置とをさらに含む、取付位置決め構造を提供する。
【0008】
上記実施例に係る取付位置決め構造を利用して、放射線走査装置の各放射線源を個別に取り外し又は取り付けることが可能であり、放射線源のビーム出射角度を調整することもできる。
【0009】
本願の実施例は、放射線走査装置に用いられる検知器の取付固定構造であって、放射線走査装置は、検知器と、固設される支持フレームとを含み、検知器は、1つ又は複数の検知器群を含み、検知器群は、取付固定構造を介して支持フレームに固定して取り付けられ、又は支持フレームから取り外され、取付固定構造は、検知器群に固設される第1取付部と、支持フレームに固設され、第1取付部と直線移動嵌合することが可能であり、第1取付部と第2取付部とが互いに嵌合した状態で、検知器群が第2取付部に沿って所定の取付位置に移動可能な第2取付部と、検知器群の幅方向に沿う一方側に設けられ、支持フレームにおける取付基準面に対して検知器群を固定するために用いられる固定装置とを含む、取付固定構造をさらに提供する。
【0010】
上記実施例に係る取付固定構造を利用して、検知器の各検知器群は、個別に取り外し又は取り付けることが可能であり、必要に応じて被検物の輸送方向又は輸送方向の垂直方向に沿って着脱及びメンテナンスを行うように設置されることが可能であり、検知器群の着脱及びメンテナンスの利便性を向上させる。
【0011】
本願のその他の特徴及び技術的利点は、以下添付図面及び他の実施例の詳細な説明によって、より明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1A】本願の実施例に係る放射線走査装置の全体構造模式図を示す。
【
図1B】本願の実施例に係る放射線走査装置の第2走査ステージの放射線源モジュール及び検知器の構造模式図を示す。
【
図1C】本願の実施例に係る放射線走査装置の第3走査ステージの放射線源モジュール及び検知器の構造模式図を示す。
【
図2】本願の実施例に係る放射線源の放射線ビームの形状模式図を示す。
【
図3A】本願の実施例に係る被検物の輸送方向から見た放射線源モジュールのターゲットポイント分布模式図を示す。
【
図3B】本願の実施例に係る被検物の輸送方向から見た放射線源モジュールの他のターゲットポイント分布模式図を示す。
【
図4】本願の実施形態に係る検知器群の構造模式図である。
【
図5】本願の実施形態に係る検知器ユニットの構造模式図である。
【
図6A】本願の実施例に係る放射線源モジュールの取付位置決め構造の模式図を示す。
【
図6B】本願の実施例に係る放射線源モジュールの取付位置決め構造の模式図を示す。
【
図6C】本願の実施例に係る放射線源モジュールの取付位置決め構造の模式図を示す。
【
図7A】本願のいくつかの実施例に係る検知器群の取付固定構造の模式図を示す。
【
図7B】本願のいくつかの実施例に係る検知器群の取付固定構造の他の模式図を示す。
【
図7C】本願のいくつかの実施例に係る検知器群の取付固定構造の他の模式図を示す。
【
図7D】本願のいくつかの実施例に係る検知器群の取付固定構造の他の模式図を示す。
【
図8A】本願のいくつかの別の実施例に係る検知器群の取付固定構造の模式図である。
【
図8B】本願のいくつかの別の実施例に係る検知器群の取付固定構造の他の模式図である。
【
図8C】本願のいくつかの別の実施例に係る検知器群の取付固定構造の他の模式図である。
【
図8D】本願のいくつかの別の実施例に係る検知器群の取付固定構造の他の模式図である。
【
図9A】本願のいくつかの他の実施例に係る検知器群の取付固定構造の模式図である。
【
図9B】本願のいくつかの他の実施例に係る検知器群の取付固定構造の他の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本願が解決しようとする技術的課題、技術案及び有益な効果を明確に説明するために、以下、図面及び実施例を参照しながら本願をさらに詳細に説明する。理解できるように、本明細書で説明される特定の実施例は、本願を説明するためのものにすぎず、本願の範囲を限定するものではない。
【0014】
従来技術における技術的課題に対して、本願の実施例は、荷物輸送システム用の放射線走査装置を提供する。当該放射線走査装置は、被検物が放射線走査装置の走査領域を通過するように搬送する伝送装置と、被検物の輸送方向に沿った複数の走査面に配置された複数の走査ステージとを含み、各走査ステージは、対応の放射線源モジュールと検知器とを含む。被検物が伝送装置によって走査領域を通過する過程において、複数の走査ステージは被検物を走査し、対応のデジタル信号を生成する。放射線走査装置は、各走査ステージで生成されたデジタル信号に基づいて画像再構成を行うことにより、被検物の内部情報を得ることができる制御装置をさらに含むことができる。本明細書において、被検物は、荷物、パックなどの安全検査が必要な物品であり、走査領域は、各走査ステージの放射線源モジュールと検知器によって画定される。
【0015】
具体的には、各走査ステージは、いずれも対向して配置された放射線源モジュールと検知器とを含み、ここで、各走査ステージの各放射線源モジュールは、いずれも放射線ビームを放出する複数のソースポイントを含み、複数の走査ステージの複数の放射線源モジュールは、それぞれ走査領域の下方、左方及び右方に配置され、選択的に、被検物の輸送方向に沿って見て、複数の走査ステージの複数の放射線源モジュールは、走査領域を回って上方に開口する半密閉構造を形成する。少なくとも1つの走査ステージが存在し、その放射線源モジュールが走査領域の下方に配置されるため、本願の放射線走査装置の伝送装置は、放射線走査装置が置かれる表面(例えば、地面など)から高い高さを有するように設置されることが可能であり、放射線走査装置の上流又は下流に位置する高い高さを有する被検物輸送ライン(例えば、荷物輸送システムなど)の高さにマッチングすることができる(例えば、荷物輸送システムの伝送ベルトの高さと同じである)。また、本明細書において、走査領域の上方、下方、左方及び右方とは、被検物の輸送方向に見て、走査領域の上方、下方、左方及び右方を意味する。
【0016】
また、各走査ステージの検知器は、それぞれ放射線源モジュールに対向するように配置され、被検物を通過したほぼ全ての放射線を受信できるように配置される。これにより、本願に係る放射線走査装置は、非常に全面的な走査データを得ることが可能であり、画像品質を確保する。このように、本願は走査領域の三側のみに放射線源を配置するが、走査領域の四側に放射線源を配置する場合に比べて、依然として画像品質を確保することが可能であり、放射線源のコストを節約することができる。また、走査領域の上方に放射線源モジュールを配置せず、放射線源モジュールのメンテナンスを容易にすることができる。
【0017】
また、制御装置は、各走査ステージに接続され、各走査ステージの放射線源モジュールのソースポイントのビーム出射順序を制御し、特に、各走査ステージの放射線源モジュールにそれぞれ1つのソースポイントを同時にビーム出射させる。これにより、放射線走査装置の走査速度を向上させ、それに応じて検出速度を向上させることができる。放射線走査装置は、放射線走査装置の上流又は下流に位置する高い輸送速度を有する被検物輸送ライン(例えば、荷物輸送システムなど)とマッチングすることができる(例えば、伝送装置の速度は荷物輸送システムの伝送ベルトの速度と同じである)。
【0018】
また、各走査ステージの放射線源モジュールは、異なるエネルギーの放射線ビームを放射するように設置されてもよく、選択的に、走査領域の左方又は右方に位置する放射線源モジュールは、走査領域の下方に位置する放射線源モジュールよりも、より高いエネルギーを有する放射線ビームを放射する。このように、厚さが小さく幅が大きい荷物を検出する場合、放射線の荷物の幅方向における透過率を確保し、検知器が検出できる放射線の数を増加させるので、画像品質を向上させることができる。
【0019】
以下、本願の実施例について図面を参照して詳細に説明する。
【0020】
図1A-
図1Cは、本願のいくつかの実施例に係る放射線走査装置の構造模式図を模式的に示す。
図1Aは放射線走査装置の全体構造模式図を示し、
図1B及び
図1Cはそれぞれ
図1Aにおける放射線走査装置の第2走査ステージ及び第3走査ステージの構造模式図を示す。図に示すように、放射線走査装置は、複数の走査ステージ(例えば、第1走査ステージA、第2走査ステージB及び第3走査ステージC)と、チャネル110と、伝送装置とを含み、第1走査ステージAは、単独で示されていないが、第1走査ステージAと第3走査ステージCとが対称に配置され、伝送装置も図示されていないが、伝送装置は、チャネル110においてチャネル110の下表面に近接して配置され、チャネル110を貫通して延在する。各走査ステージは、いずれもそれぞれの放射線源モジュールと検知器を含む。伝送装置は、各走査ステージの走査領域を通過するように被検物を搬送し、被検物を走査する。
図1Aには、被検物の進行方向Zが示されており、被検物の輸送方向(以下、単に輸送方向又はZ方向という場合がある)は、被検物の進行方向と平行な方向として定義され、進行方向及びその逆方向を含む。
図1Aには、参照座標系として放射線走査装置における部材の位置を説明することができるXYZ座標系も示されており、これらの位置説明は、本願の原理を明確に説明するためのものであり、限定的な作用ではない。被検物の進行方向Zは、このXYZ座標系のZ方向と同じである。
【0021】
図1Aに示す放射線走査装置は、制御装置(図示せず)をさらに含んでもよく、制御装置は、放射線走査装置の各部材の操作、例えば、各走査ステージの放射線の放出、検知器のデータ出力などを制御することができる。制御装置は、画像処理モジュールをさらに含むことができる。当該画像処理モジュールは、各走査ステージの検知器の出力情報に基づいて画像再構成を行い、被検物の走査画像を得て、被検物の内部情報を決定することができる。
【0022】
具体的な実施例によれば、放射線走査装置の各走査ステージは、被検物の輸送方向に沿った複数の走査面に配置される。各走査面は、被検物の輸送方向に沿って所定距離間隔で設けられている。ここで、各走査ステージの光路及び/又は部材が互いに干渉しない場合、放射線走査装置の光路分布長を小さくするように、当該距離は小さいほどよい。
【0023】
各走査ステージは、それぞれ対応して配置された放射線源モジュールと検知器群を含む。各走査ステージにおいて、放射線源モジュールと検知器はZ方向に垂直な同一平面内に配置されてもよく、これにより、放射線源モジュールの放射線出口が検知器の結晶に正対し、放射線が検知器の結晶表面に対して傾斜することによる再構成画像への影響を回避する。もちろん、他の実施例によれば、放射線源モジュールと検知器は、Z方向に垂直な異なる平面内に配置されてもよく、即ち、放射線源モジュールと検知器は、Z方向に沿って互いに所定の距離で偏移してもよい。
【0024】
放射線源モジュールは、放射線ビームを放射する複数のソースポイントを含む。具体的には、放射線源モジュールは分布式放射線源であってもよく、各放射線源モジュールは複数のターゲットポイントを有し、各ターゲットポイントは単独で放射線ビームを生成することができ、且つ複数のターゲットポイントは制御装置の制御下で所定の時系列に従って放射線ビームを生成することができる。放射線ビームは、
図2に示すように、開き角Aを有する扇形ビームであってもよい。もちろん、放射線ビームの形状は扇形ビームに限定されず、コーンビーム、パラレルビームなどの他の形状の放射線ビームであってもよく、必要に応じて具体的に設置してもよい。選択的に、放射線源モジュールは直線分布式放射線源であり、即ち、複数のターゲットポイントが直線に配列される。他の実施例によれば、放射線源モジュールは折れ線状又は円弧状分散型放射線源であってもよい。あるいは、各放射線源モジュールは、複数の単点源を含む放射線源グループであってもよい。
【0025】
また、各走査ステージにおいて、放射線源モジュールはいずれも走査領域の一方向に配置され、各走査ステージにおける放射線源モジュールは走査領域の異なる方向に配置され、例えば、走査領域の左方(第1走査ステージA)、下方(第2走査ステージB)及び右方(第3走査ステージC)にそれぞれ配置される。選択的に、被検物の輸送方向に沿って見て、これらの走査ステージの放射線源モジュールは、走査領域を回って上方に開口する半密閉構造に配置される。放射線源モジュールの形状(直線状、折れ線状又は円弧状など)に応じて、当該半密閉構造はU字型構造、半円形構造、半楕円形構造などであってもよい。例えば、
図3A及び
図3Bに示すように、放射線源モジュールが直線状又は折れ線状である場合、被検物の輸送方向に沿って見て、複数の走査ステージの放射線源モジュールはU型構造に配置されてもよい。また、選択的に、被検物の輸送方向に沿って見て、複数の走査ステージの複数の放射線源モジュールは、隣接する端部でターゲットポイントが部分的に重なってもよい。具体的には、
図3Aに示す放射線源モジュールの配置を例として、被検物の輸送方向に沿って観察すると、走査領域の左方の放射線源モジュールと走査領域の下方の放射線源モジュールとは、隣接する端部(即ち、図中のU字型構造の左下隅)でターゲットポイントが一部重なってもよく、走査領域の右方の放射線源モジュールと走査領域の下方の放射線源モジュールとは、隣接する端部(即ち、図中のU字型構造の右下隅)でターゲットポイントが一部重なってもよい。このように、被検物が放射線によって全て覆われることをさらに確保し、放射線源の端部に対応の位置での投影データの欠落を回避し、画像品質の向上に有利である。
【0026】
また、各走査ステージにおいて、検知器は走査領域を少なくとも2方向に回るように配置される。例えば、第1走査ステージAにおいて、検知器は、走査領域を上方及び右方に囲んでL型構造を呈し、第2走査ステージBにおいて、検知器は、走査領域を上方、左方及び右方に囲んで下方に開口するU型構造を呈し、且つ、第3走査ステージCにおいて、検知器は、走査領域を上方及び左方に囲んでL型構造を呈する。検知器を少なくとも2つの方向で走査領域を回るように配置することにより、検知器が被検物を通過するほぼ全ての放射線を検出できることを確保するので、非常に全面的な走査データを取得し、画像品質を確保することができる。また、
図1Aにおいて、第1走査ステージAと第3走査ステージCにおける検知器はL型構造で配置されているが、放射線源モジュールに向かって開口するU型構造であってもよく、これにより、走査データの全面性をさらに確保することが可能であり、画像品質の向上により有利である。
【0027】
検知器は、複数の検知器ユニットを含む検知器アレイである検知器群を複数含んでもよい。検知器アレイは、直線状、円弧状又は折れ線状の検知器アレイであってもよい。
図1A-1Cに示す実施例において、各走査ステージの検知器は複数の直線検知器アレイからなる。例えば、第1走査ステージA及び第3走査ステージCにおいて、検知器は2つの検知器群を含み、各検知器群はいずれも直線検知器アレイであり、第2走査ステージBにおいて、検知器は3つの検知器群を含み、各検知器群はいずれも直線検知器アレイである。ここで、直線検知器アレイの形態の検知器群は、任意の適切な構造を採用することができる。いくつかの実施例によれば、その具体的な構造は
図4に示すとおりである。
図4に示すように、検知器群30は、検知器アーム32と複数の検知器ユニット31とを含み、複数の検知器ユニット31は、検知器アーム32上に直線上に並んで配置される。検知器ユニット31の具体的な構造は、
図5に示すように、他の適切な構造を採用してもよい。
図5に示すように、検知器ユニット31は、放射線を受信するための検知器結晶311を含む。複数の検知器ユニット31は、検知器結晶311が同じ方向を向くように検知器アーム32に並べて配置される。検知器アーム32の構造は
図5に示す実施例に限定されず、他の適切な構造(
図7A-9Bに示す検知器アーム構造)を採用してもよい。本願の放射線走査装置の検知器群は、直線検知器アレイの形態に限定されず、円弧状検知器アレイの形態であってもよい。円弧状検知器アレイは、複数の円弧状検知器ユニットと円弧状検知器アームとを含んでもよく、複数の円弧状検知器ユニットは、円弧状検知器アームに並列に配置され、ここで、検知器ユニットの検知器結晶は、同じ方向を向く。
【0028】
上記実施例の放射線走査装置において、第2走査ステージBの放射線源モジュールが走査領域の下方に配置されるので、走査領域の下方に放射線源が設けられていない装置に対して伝送装置の高さを高くすることができる。これにより、放射線走査装置が伝送ベルトの高さが高い荷物輸送システム等に適用される場合、荷物が輸送システムと放射線走査装置との間の移動を容易にすることができる。ここで、選択的に、伝送装置は、荷物輸送システムの伝送ベルトと同じ高さを有し、荷物の移動をさらに容易にするように設置されてもよい。
【0029】
上記実施例において、各走査ステージの放射線源モジュールは互いに独立して着脱され、即ち、各放射線源モジュールはそれぞれの放射線発生装置を収容するための個別のキャビティを有する。各放射線源モジュールが単独のキャビティを有するとは、各放射線源モジュールの複数のターゲットポイントが1つの単独の真空キャビティを共用することを意味する。これは、一体式の環状キャビティの放射線源(即ち、放射線源の全てのターゲットポイントがいずれも同一の環状真空キャビティ内に位置する)に対して、単一の放射線源モジュールのハウジングのサイズ及び内部真空キャビティの体積を縮小させ、単一の放射線源モジュールの体積を減少させ、重量を軽減させることができるため、放射線源の取り外し及び取り付けに便利であり;また、各放射線源モジュールが単独の真空キャビティを採用することにより、放射線源モジュールをメンテナンスする際にキャビティ内での火事リスクを低減することができるという利点を有する。
【0030】
いくつかの実施例によれば、各走査ステージの放射線源モジュールには、放射線源モジュールの取り付け及び調整を容易にするための取付位置決め構造が設けられている。取付位置決め構造により、各放射線源モジュールは、放射線走査装置における所定の位置(例えば、放射線走査装置におけるXYZ参照座標系に基づく特定の位置)に取り付けられて固定され、放射線源モジュールと検知器との相対位置を確保することができる。また、取付位置決め構造により、放射線源モジュールが回転されて放射線ビームのビーム出射角度を調整することもできる。このように、放射線源モジュールと検知器がZ方向に垂直な異なる平面内に位置する場合、取付位置決め構造により放射線ビームのビーム出射角度を調整することが可能であり、放射線ビームの中心が検知器群の結晶平面を照射する。
【0031】
各走査ステージの放射線源モジュールは、放射線走査装置における位置が異なるため、異なる取付方式を採用して、異なる取付位置決め構造を有することが可能である。例えば、走査領域の左方及び右方に位置する放射線源モジュールは、天井走行車などの設備によって吊り下げ方式で取り付けられてもよい。しかし、走査領域の下方に位置する放射線源モジュールは、吊り下げ方式を採用することに適しておらず、他の方式を採用して取り付けられる必要がある。このような放射線源モジュールの取り付けを容易にするために、本願の実施例は取付位置決め構造を提供する。それは、吊り下げに適さない放射線源モジュールを放射線走査装置の所定の位置に容易に取付固定することが可能であり、放射線源モジュールを回転させて放射線ビームのビーム出射角度を調整することもできる。いくつかの実施例によれば、当該取付位置決め構造は、本体を含み、当該本体は、放射線源モジュール及び放射線走査装置の支持フレーム(支持フレームとは、放射線源、検知器等の部材を取り付け及び固定するための、放射線走査装置における固設された支持装置を指す)に固定接続され、放射線源モジュールを本体を介して支持フレームに固定して取り付けることができる。ここで、当該取付位置決め構造は、放射線源モジュールが移動装置によって第1平面(例えば、
図1AにおけるXZ平面)において所定の取付位置に移動されることができる移動装置と、第1平面において放射線源モジュールを位置決めする第1位置決め装置と、第1平面に垂直する第1方向(例えば、
図1AにおけるY方向、XZ平面に垂直である)に沿って放射線源モジュールの位置を調整するために用いられる昇降装置と、第1方向において放射線源モジュールの位置を固定するために用いられる第2位置決め装置と、を含む。
【0032】
図6A-
図6Cは、放射線源モジュール10の取付位置決め構造の1つの具体的な実施例を示す。
図6A-
図6Cに示すように、取付位置決め構造は本体11、12を含み、本体11、12はそれぞれ放射線源モジュール10の長さ方向に沿う両端に位置し、且つ放射線源モジュール10に固定接続され、放射線源モジュール10は本体11、12を介して放射線走査装置の支持フレームに固定して取り付けられる。取付位置決め構造の移動装置は、具体的には、ローラ13、14として設けられ、それぞれ本体11、12に設けられ、放射線源モジュール10は、ローラ13、14によって押されて、XZ平面において所定の取付位置に移動することができる。もちろん、取付位置決め構造の移動装置はローラに限定されず、他の実施例によれば、スライド方式で放射線源モジュールを移動してもよく、例えば、取付位置決め構造と支持フレームとの間に直線スライド嵌合を設けて、放射線源モジュール10を所定の取付位置に移動してもよい。
【0033】
第1位置決め装置は、第1位置決めピン15、16と、それぞれ本体11、12及び放射線走査装置の支持フレームに設けられた対応の第1ピン孔(図示せず)とを含み、放射線源モジュール10がローラ13、14を介して所定の取付位置に移動された後、第1位置決めピン15、16をそれぞれ対応の第1ピン孔に挿入すると、放射線源モジュール10をXZ平面に位置決めすることができる。
【0034】
昇降装置は、本体11に設けられる、具体的には、昇降可能なローラに設けられるローラ13を含み、本体12に設けられるジャッキングスクリュー17をさらに含み、ジャッキングスクリュー17の一端は、支持フレームに当接し、ジャッキングスクリュー17を回すことにより、本体12及び放射線源モジュール10を支持フレームに対して昇降させることができる。昇降可能なローラ13とジャッキングスクリュー17を調整することにより、支持フレームに対する放射線源モジュール10の位置をY方向に沿って調整することができる。第2位置決め装置は、位置決めブロック19、20に形成され、昇降可能なローラ13とジャッキングスクリュー17を調整することにより、Y方向に沿って放射線源モジュール10を所定の位置に調整した後、位置決めブロック19、20をそれぞれ本体11、12の下方に置き、放射線源モジュール10の支持フレームに対する高さを固定して、放射線源モジュール10を第1方向Yに沿って位置決めすることができる。ここで、選択的に、本体12の下方の位置決めブロック20はU字型形状に設置されてもよく、ジャッキングスクリュー17の下部はU字型の位置決めブロック20の開口に位置し、両者が互いに干渉することを防止する。また、取付位置決め構造は、第1固定ボルト21、22と、本体11、12、位置決めブロック19、20及び支持フレームに設けられた対応の第1ネジ孔とをさらに含んでもよく、第1固定ボルト21、22をそれぞれ対応の第1ネジ孔に挿入して締め付け、本体11、12及び支持フレームに対して位置決めブロック19、20を固定することが可能であり、放射線源モジュール10を支持フレームに固定接続することができる。
【0035】
また、いくつかの実施例によれば、取付位置決め構造は、所定の軸線に沿って放射線源モジュールを回転させてそのビーム出射角度を調整するための調整装置をさらに含む。
図6A-
図6Cの具体的な実施例によれば、放射線源モジュール10に取付軸27が設けられ、本体11、12にそれぞれ軸孔が設けられ、本体11、12が軸孔を介して取付軸27に取り付けられ;また、取付位置決め構造は、第2位置決めピン23、24をさらに含み、本体11、12と放射線源モジュール10にそれぞれ第2位置決めピン23、24に対応する第2ピン孔が設けられ、本体11、12の軸孔を取付軸27に嵌合し、第2位置決めピン23、24をそれぞれ対応の第2ピン孔に挿入することにより、本体11、12を放射線源モジュール10に対して位置決めすることができる。また、取付位置決め構造は、放射線源モジュール10に対して本体11、12を固定接続するための第2固定ボルト25、26と、本体11、12及び放射線源モジュール10に設けられた対応の第2ネジ孔とをさらに含み、第2固定ボルト25、26を対応の第2ネジ孔にねじ込むことにより、本体11、12を放射線源モジュール10に対して固定接続することができる。第2位置決めピン23、24を引き抜き、且つ第2固定ボルト25、26を緩めることにより、本体11、12を放射線源モジュール10に対して緩め、この状態で、調整装置は、放射線源モジュール10を取付軸27の周りに本体11、12に対して回転するように駆動することができる。
【0036】
具体的な実施例において、調整装置は、回転駆動機構を含み、当該回転駆動機構は、放射線源モジュール10に固定された調節ブロック28と、本体11に設けられ、調節ブロック28に当接するねじジャッキ29とを含み、ねじジャッキ29は、回転して調節ブロック28を押して移動させて放射線源モジュール10を回転させることができる。ここで、回転駆動機構は、取付位置決め構造の一方の本体のみ、すなわち、放射線源モジュール10の長さ方向の一端のみに設けられている。放射線源モジュール10の両端がいずれも取付軸27によって支持されるため、放射線源モジュール10の一端で放射線源モジュール10を押して回転させ、放射線源モジュール10全体が対応して回転することができる。放射線源モジュール10を所定角度回転させた後、再び第2位置決めピン23、24を対応の第2ピン孔に挿入し、且つ再び第2固定ボルト25、26を対応の第2ネジ孔にねじ込み、本体11、12を放射線源モジュール10に対して固定接続することができる。
【0037】
上記実施例において、放射線源モジュール10における取付軸27は、放射線源モジュール10における複数のターゲットポイントの仮想接続線と重なることができるため、取付軸27の周りに放射線源モジュール10を回転させることにより、放射線源モジュール10をターゲット軸の周りに回転させることができる。
【0038】
また、放射線源モジュール10を例として上記実施例に係る取付位置決め構造を説明したが、上記取付位置決め構造は任意の適切な放射線走査装置の放射線源の取付、位置決め及び調整に適用できる。もちろん、放射線源モジュール10の取付、位置決め及び調整も上記実施例の取付位置決め構造に限定されず、他の適切な構造を採用してもよい。例えば、
図6A-
図6Cに示す実施例において、昇降装置は、昇降可能なローラ13及びジャッキングスクリュー17によって実現されるが、昇降装置は、当該実施例の具体的な構造に限定されず、他の適切な構造として実現されてもよく、例えば、2つの本体に対していずれもジャッキングスクリューを採用して昇降する。同様に、移動装置、第1位置決め装置、第2位置決め装置及び調整装置の具体的な実施は、いずれも上記実施例における具体的な構造に限定されず、その機能を実現できれば、他の適切な構造を採用してもよい。
【0039】
いくつかの実施例によれば、各走査ステージの検知器の各検知器群は、個別に取り外し又は取り付けることが可能であり、これにより、検知器のメンテナンス性を改善することができる。また、本願の放射線走査装置は、単一の検知器群のための取付固定構造を含み、当該取付固定構造により、検知器群は、放射線走査装置におけるその取付位置(例えば、放射線走査装置の支持フレーム)に対して移動して前記取付位置から当該取付位置に取り外し又は取り付けることができる。
【0040】
以下、本願のいくつかの実施例に係る検知器群の取付固定構造を詳細に説明する。本願のいくつかの実施例に係る検知器群の取付固定構造は、具体的に、検知器群に固設される第1取付部と、放射線走査装置の支持フレームに固設され、第1取付部と直線移動に嵌合し、第1取付部と第2取付部とが互いに嵌合した状態で、検知器群が第2取付部に沿って所定の取付位置に移動可能な第2取付部と、検知器群の幅方向に沿う一方側に設置され、前記支持フレームにおける取付基準面に対して検知器群を固定するための固定装置と、を含む。いくつかの具体的な実施例において、検知器群は、検知器アームを介して放射線走査装置の支持フレームに取り付けられて固定され、第1取付部は、検知器群の検知器アームに固定され、固定装置は、検知器アームの幅方向に沿う一方側に設けられ、検知器アームを支持フレームに固定して検知器群を固定する。
【0041】
図7A-
図7Dは、いくつかの具体的な実施例に係る検知器群40に用いられる取付固定構造を示す。
図7Aは、検知器群の取り付け状態の斜視図を示し、
図7Bは、検知器群の取り付け状態の側面図であり、
図7Cは、検知器群の取り外し状態の斜視図であり、
図7Dは、固定装置付きの検知器群の取り付け状態の断面図である。
図7A-
図7Dに示す取付固定構造は、例えば、走査ステージA、B、Cにおける走査領域の上方に位置する検知器群に適用される。当該実施例の取付固定構造により、走査領域の上方に位置する検知器群は、被検物の輸送方向と垂直に移動して取り外し又は取り付けることが可能であり、且つ検知器の被検物の輸送方向に沿う側面に固定又は調整することができる。
【0042】
図7Aに示すように、検知器群40の取付固定構造の第1取付部は、検知器アーム41に設けられたスライダ42を含み、スライダ42は、検知器アーム41の長さ方向に沿って延び、検知器群40が放射線走査装置に取り付けられた状態で、検知器アーム41の長さ方向は、被検物の輸送方向に垂直であり、且つ幅方向は、被検物の輸送方向と一致する。
図7Aにおいて、スライダ42は、検知器アーム41の長さの一部を延び、他の実施例において、検知器アーム41の全長又は他の長さを延びるように設置されてもよい。なお、スライダ42は、ボルト接続等により検知器アーム41に固定されてもよい。他の実施形態によれば、スライダ42は、検知器アーム41と一体に形成されてもよい。
【0043】
第2取付部は、スライダ42と嵌合する固定ガイドレール43に形成される。固定ガイドレール43は、放射線走査装置の支持フレーム(
図7Aに図示せず)に固定接続され、支持フレームと一体成形されてもよい。固定ガイドレール43の長さ方向は、放射線走査装置の被検物の輸送方向に垂直である。固定ガイドレール43の長さ方向に沿う一端には、位置制限部(図示せず)が設けられてもよく、検知器群40を取り付けるとき、スライダ42を固定ガイドレール43に位置合わせし、検知器アーム41が位置制限部に当接するまで、固定ガイドレール43に沿って検知器群40を押し、これにより、検知器群40を所定の取付位置に移動させる。
【0044】
固定装置は、検知器群40の幅方向に沿う一方側に設けられ、且つ検知器アーム41の幅方向に沿う一方側の表面44に当接する。具体的には、固定装置は、位置決め部材45と締結具46とを備える。位置決め部材45は、支持フレームに固定接続され、且つ支持フレームから離れた端面が検知器アーム41の幅方向に沿う一方側の表面44に当接するための取付基準面47に形成される。表面44は、検知器アーム41の取付表面であり、取付基準面47とともに良好な平面度を有するように加工され、これにより、検知器アーム41の取付表面44が取付基準面47に当接して固定されたときに、検知器群40を幅方向、すなわち被検物の輸送方向で正確に位置決めすることができる。締結具46は、位置決め部材45を貫通し、位置決め部材45の端面(即ち、取付基準面47)に対して検知器群40を締め付けることができる。具体的には、締結具46は、例えば、締結ボルトであってもよく、位置決め部材45と、位置決め部材45に対向する検知器アーム41の側面に対応のネジ孔が設けられ、締結ボルト46を対応のネジ孔に通して締め付け、位置決め部材45の端面(即ち、取付基準面47)に対して検知器群40を締め付けることができる。固定装置は、検知器群40を支持フレームに強固に固定するために、検知器群40の長さ方向に沿って複数、例えば少なくとも2つ設けられてもよい。
【0045】
上記取付固定構造により、検知器群40を取り付ける際に、検知器群40の検知器ユニットを下向きにした状態で、まず、検知器群40におけるスライダ42のを固定ガイドレール43に位置合わせて、検知器群40を固定ガイドレール43に沿って固定ガイドレール43における位置制限部に当接するまで移動させ、その後、締結ボルト46を位置決め部材45と検知器アーム41における対応のネジ孔に通して締め付けて、検知器群40を位置決め部材45の端面、即ち取付基準面47に対して位置決めする。検知器群40を取り外す際には、逆の操作を行えばよい。
【0046】
固定ガイドレールの長さ方向が放射線走査装置の被検物の輸送方向に垂直であり、且つ検知器群40のX方向に沿う一方側に放射線源の邪魔にならないため、上記取付固定構造により、検知器群40は放射線走査装置の被検物の輸送方向と垂直に支持フレームに対して取り外し又は取り付け、また、固定装置は検知器群の幅方向に沿う一方側、即ち検知器のZ方向に沿う一方側に設置され、検知器群を固定又は調整することに便利であるため、上記実施例に係る取付固定構造により、検知器群の着脱及びメンテナンスを容易に行うことができる。
【0047】
また、選択的に、上記取付固定構造において、第2取付部は、第1取付部と嵌合した状態で検知器群40を所定の取付位置に支持するように配置される。具体的には、スライダ42は、検知器アーム41の幅方向に対向する両側に設けられ、且つ検知器アーム41の幅方向に対向する両側の縁から内側に延在する内側延在部421、422(
図7B参照)を有し;固定ガイドレール43は、幅方向に対向する両側において外側に延在する外側延在部431、432(
図7B参照)を含み;スライダ42と固定ガイドレール43とが嵌合した状態で、スライダ42の内側延在部421、422は、固定ガイドレール43の外側延在部431、432の上方に位置し、両者は接触して重なって配置される。これにより、検知器群40が固定ガイドレール43に沿って所定の取付位置まで移動した後、検知器群40は、スライダ42の内側延在部421、422によって固定ガイドレール43の外側延在部431、432に吊り下げられる。このように、固定ガイドレール43は、検知器群40を所定の取付位置に支持することが可能であり、他の追加の補助構造又はツールを必要とせず、検知器群40を締め付ける際に、操作者が検知器群40を保持して操作する必要もないので、操作の利便性を改善する。
【0048】
また、上記取付固定構造において、第1取付部と第2取付部との間の直線移動嵌合は、スライダガイドレール嵌合を採用し、他の実施例によれば、他の直線移動嵌合、例えば直線スライド又は直線回転嵌合などを採用してもよく、例えば直線ボールベアリングと円柱軸との嵌合などである。
【0049】
以上の実施例の取付固定構造は、走査領域の上方に位置する検知器群に適用される。
図8A-
図8Dは、いくつかの他の実施例に係る検知器群のための固定取付構造を示す。
図8Aは、検知器群の取り付け状態での斜視図を示し、
図8Bは、取付固定構造の第1取付部と第2取付部とが分離した状態での模式図であり、
図8C及び
図8Dは、取付固定構造の第1取付部と第2取付部とが嵌合した状態での異なる視角の斜視図である。
【0050】
図8A-8Dに示す取付固定構造は、例えば、走査ステージA、B、Cにおける走査領域の左方又は右方に位置する検知器群に適用される。当該実施例の取付固定構造により、走査領域の左方又は右方に位置する検知器群は、被検物の輸送方向と垂直に移動して取り外し又は取り付けることが可能であり、且つ検知器のZ方向に沿う側面に固定又は調整することができる。
【0051】
検知器群50の取付固定構造の第1取付部は、具体的には、検知器アーム51の幅方向に沿う一方側に設けられ、検知器アーム51の厚さ方向に沿う一方側に向かう開口53を有する固定ブロック52に形成される。検知器群50の取り付け状態で、検知器アーム51の幅方向は放射線走査装置の被検物の輸送方向と一致し、長さ方向及び厚さ方向は被検物の輸送方向に垂直である。固定ブロック52の開口53は、U字型であってもよいし、他の適切な形状であってもよい。固定ブロック52は、ボルト固定などの方式で検知器アーム51に固定接続されてもよく、検知器アーム51と一体に形成されてもよい。
【0052】
第2取付部は、放射線走査装置の支持フレームに固定されるカンチレバー部54に形成され、カンチレバー部54の支持フレームから離れた端部には、固定ブロック52における開口53に直線移動嵌合することが可能である延在部55が設けられ、即ち、延在部55は、開口53の縁から開口53の内部に直線に沿って移動することが可能である。カンチレバー部54の長さ方向は、放射線走査装置の被検物の輸送方向と一致する。開口53の底部は、位置制限部に用いられ、検知器群50を取り付ける際に、検知器アーム51の固定ブロック52の開口53を延在部55に位置合わせし、開口53の底部が延在部55に当接するまで、検知器アーム51を延在部55に対して直線に沿って移動させ、これにより、検知器群50を所定の取付位置に制限する。
【0053】
固定装置は、検知器アーム51の幅方向に沿う一方側(固定ブロック52と同じ側)に設けられ、固定装置の端面が取付基準面に形成され、且つ、固定装置は、取付基準面に対して検知器アーム51を締め付ける。具体的には、固定装置は、固定具56と締結具57とを含んでもよく、固定具56の支持フレームから離れた端面は、検知器アーム51の幅方向に沿う一方側の表面59に当接するための取付基準面58に形成される。表面59は、検知器アーム51の取付表面であり、取付基準面58と共に良好な平面度を有するように加工され、これにより、検知器アーム51の取付表面59が取付基準面58に当接して固定される時に、検知器群50を被検物の輸送方向で正確に位置決めすることができる。締結具57は、固定具56の端面58に対して検知器アーム51を締め付けるためのものである。締結具57は固定ボルトであってもよく、検知器アーム51の幅方向における固定具56に対向する側及び固定具56には対応のネジ孔が形成され、固定ボルトは固定具56及び検知器アーム51における対応のネジ孔を貫通して締め付けて、取付基準面58に対して検知器群50を固定してもよい。また、複数、例えば少なくとも2つの固定装置を含んでもよく、複数の固定装置は、検知器群50を強固に固定して位置決めするように、検知器群50の長さ方向に沿って間隔を置いて配置されてもよい。
【0054】
上記取付固定構造により、検知器群50を取り付ける際に、検知器ユニットが走査領域に向き、且つ幅方向が被検物の輸送方向と一致する状態で、まず検知器群50における固定ブロック52の開口53をカンチレバー部54の延在部55に位置合わせ、開口53の底部が延在部55に当接するまで検知器群50を延在部55に沿って移動させ、その後、固定具56及び検知器アーム51における対応のネジ孔に締結具57を通して締め付け、これにより、検知器群50を固定具56の取付基準面58に対して位置決めする。検知器群50を取り外す際には、逆の操作を行えばよい。
【0055】
これにより、上記取付固定構造を利用して、カンチレバー部54が放射線走査装置において被検物の輸送方向に沿って延在し、検知器群50の幅方向が被検物の輸送方向に平行であり、且つ固定ブロック52の開口53が検知器群50の厚さ方向側に向くため、検知器結晶を走査領域に向けるとともに検知器アームの長さ方向をY方向に向けることにより、被検物の輸送方向と垂直に検知器群50を取り付け又は取り外すことができる。また、固定装置は、検知器群50の幅方向に沿う一方側、即ち、検知器のZ方向に沿う一方側に設けられ、検知器群の固定又は調整を容易にするため、上記実施例に係る取付固定構造により、検知器群の着脱及びメンテナンスを容易にすることができる。
【0056】
また、選択的に、上記取付固定構造において、第2取付部は、第1取付部と嵌合した状態で検知器群50を所定の取付位置で支持するように配置される。すなわち、カンチレバー部54は、カンチレバー部54の延出部55に対して検知器群50が所定の取付位置に移動した後、固定ブロック52によって検知器群50全体を支持することが可能であり、他の補助構造やツールを必要としない。これにより、検知器群50を締め付ける際に、余分なツールを必要とせず、操作者が検知器群50を保持して操作する必要もないので、操作の利便性が改善される。
【0057】
これにより、上記各実施例の取付固定構造により、本願の放射線走査装置における検知器群は、被検物の輸送方向と垂直に支持フレームに対して取り外し又は取り付けることが可能であり、且つ被検物の輸送方向に沿う一方側で固定又は調整することができるため、着脱及びメンテナンスを容易にすることができる。
【0058】
以上のように、上記実施例の取付固定構造では、検知器群を被検物の輸送方向と垂直に取り付け又は取り外す。しかしながら、このような操作は不便な場合がある。上述したように、走査ステージ間の距離は、放射線走査装置の光路分布長を小さくするために、光路及び/又は部材が互いに干渉しない場合に小さいほどよい。このような前提で、放射線源モジュールのサイズが検知器よりも大きく(特にZ方向に)、且つ放射線源モジュールが他の走査ステージの同じ側の検知器に対して被検物の輸送方向の垂直方向で外側に位置するため、検知器群を被検物の垂直方向と垂直に取り付け又は取り外すことは、隣接する走査ステージの放射線源モジュールによって妨げられる可能性がある(
図1Aに示すように、第1走査ステージAの放射線源モジュールは、第2走査ステージBの検知器群の取り外しや取り付けを妨げる可能性がある)。この場合、第2走査ステージBの検知器群、例えば、第1走査ステージAに近い放射線源モジュールの走査領域の左方に位置する検知器群は、被検物の輸送方向に沿って取付位置、例えば、支持フレームに対して取り付け又は取り外すように設置されてもよく、これにより、放射線源モジュールを取り外す必要がなく、検知器群を着脱、固定又は調整することが可能であり、その操作利便性を向上させる。それに応じて、このような着脱方式に対して、異なる取付固定構造が必要となる。以下、このような取付固定構造の具体的な実施例を詳細に説明する。
【0059】
前記実施例の取付固定構造と類似して、被検物の輸送方向に沿って検知器群を取り外し又は取り付けるのに適用する取付固定構造も、具体的に、検知器群に固定して設置される第1取付部と、放射線走査装置の支持フレームに固設され、且つ第1取付部と直線移動嵌合し、第1取付部と第2取付部とが互いに嵌合した状態で、検知器群が第2取付部に沿って所定の取付位置に移動可能な第2取付部と、検知器群の幅方向に沿う一方側に設置され、支持フレームにおける取付基準面に対して検知器群を固定するための固定装置と、を含む。いくつかの具体的な実施例において、検知器群は、検知器アームを介して放射線走査装置の支持フレームに取り付けられて固定され、ここで、第1取付部は、検知器アームに固設され、固定装置は、検知器アームの幅方向に沿う一方側に設けられ、検知器アームを支持フレームに固定して検知器群を固定する。
【0060】
図9A-
図9Bは、いくつかの具体的な実施例に係る検知器群の取付固定構造を示す。
図9Aは、検知器アーム及び取付固定構造の分解斜視図を示し、
図9Bは、検知器群が取付固定状態での検知器アームの部分断面図である。
図9A及び
図9Bには、完全な検知器群が示されておらず、検知器アームのみが示されており、複数の検知器ユニットは、完全な検知器群を形成するために、示されている検知器アーム上に長さ方向に並べて配置されてもよい。
【0061】
図9Aと
図9Bに示すように、検知器群60の取付固定構造の第1取付部は、具体的に、検知器アーム61の幅方向に延びるスライド溝62に形成され、ここで、放射線走査装置の支持フレームに取り付けられた状態で、検知器アーム61の幅方向が被検物の輸送方向と一致し、長さ方向が被検物の輸送方向と垂直する。第2取付部は、スライド溝62に嵌合するスライドバー63に形成される。スライド溝62は半円形の開口スライド溝に形成され、スライドバー63は円柱形のスライドバーに形成される。スライドバー63は、支持フレームに固設又は支持フレームと一体形成され、その長さ方向が被検物の輸送方向と一致する。スライドバー63の支持フレーム側に近い一端は、凸部64を形成するために、スライドバー63の他の部分よりもそのサイズを大きく設けられる。凸部64の検知器アーム61側に向かう端面は、検知器アーム61の幅方向に沿う一方側の表面66に当接する取付基準面65に形成される。表面66は、検知器アーム61の取付表面であり、取付基準面65とともに良好な平面度を有するように加工され、検知器群の取付表面66が取付基準面65に当接して位置決めされる時に、検知器群60を幅方向、すなわち被検物の輸送方向で正確に位置決めすることができる。凸部64は、位置制限部に用いられ、検知器群60を取り付ける際に、スライド溝62をスライドバー63に位置合わせし、検知器アーム61が凸部64に当接するまで、スライドバー63に沿って検知器アーム61を支持フレームに向けて押し、これにより、検知器アーム60を所定の取付位置に移動させることができる。
【0062】
固定装置は、スライドバー63の凸部64と反対側の他端に設けられ、凸部64と検知器アーム61の幅方向に沿う両側にそれぞれ当接するように設けられ、これにより、検知器アーム61の位置を幅方向で制限する。具体的には、固定装置は、スライドバー63の凸部64に対向する他端にはめされ、検知器アーム61の幅方向に沿う他方側の表面69に当接する位置決めスリーブ67と、位置決めスリーブ67をスライドバー63の凸部64に対向する他端に固定するための締結具68とを備える。具体的には、締結具68は、締結ネジであってもよく、位置決めスリーブ67及びスライドバー63の前記他端には、いずれもネジ孔が設けられ、締結ネジをネジ孔にねじ込むことにより、スライドバー63に対して位置決めスリーブ67を締め付け、スライドバー63(即ち、支持フレーム)に対して幅方向で検知器アーム61を固定する。同時に、スライドバー63とスライド溝62の形状が嵌合して検知器アーム61の自由度を制限するため、検知器アーム61を完全に位置決めして固定することができる。
【0063】
上記取付固定構造により、検知器群60を取り付ける際には、検知器ユニットを走査領域に向けてその幅方向を被検物の輸送方向と一致させた状態で、まず検知器アーム61のスライド溝62をスライドバー63に位置合わせて、凸部64に当接するまで検知器アーム61をスライドバー63に沿って移動させ、その後、スライドバー63の凸部64に対向する一端に位置決めカバー67をはめ、それをスライドバー63に対してネジで固定し、これにより、検知器アーム61を固定する。検知器群60を取り外す際には、逆の操作を行えばよい。
【0064】
このような取付固定構造によれば、スライドバー63が被検物の輸送方向に沿って延びており、すなわち、検知器群と支持フレームとの間の直線移動嵌合が被検物の輸送方向に沿っており、且つ検知器群の幅方向に沿う一方側に固定装置が設けられるため、検知器群の幅方向が被検物の輸送方向と一致する。従って、上記取付固定構造により、検知器群は、被検物の輸送方向に沿って移動して取り付け又は取り外すことが可能であり、且つ被検物の輸送方向に沿う一方側で固定又は調整可能であるため、検知器群は、被検物の輸送方向に沿っう側面から着脱又はメンテナンスすることができる。検知器が輸送方向に垂直な外側に沿って他の走査ステージの放射線源に邪魔された場合でも、着脱又はメンテナンスは放射線源に邪魔されなく、前記放射線源の取り外し必要がなくても行うことが可能であり、これにより、検知器の着脱及びメンテナンスの利便性が改善される。
【0065】
また、選択的に、上記取付固定構造の第2取付部は、第1取付部と嵌合した状態で検知器群60を所定の取付位置に支持するように配置される。具体的には、第2取付部は、2つのスライドバー63を含み、検知器アーム61には、対応して2つのスライド溝62が形成され、それは、検知器アーム61の長さ方向に沿う両端に設けられ、検知器アーム61が2つのスライドバー63上で所定の取付位置に移動した後、2つのスライドバー63は、他の補助構造及び/又はツールを必要とせずに、検知器群を所定の取付位置に支持することができる。このようにして、検知器群を締め付ける際に、余分なツールを必要とせず、操作者が検知器群を保持する必要もなくて操作することが可能であるため、操作の利便性を改善する。
【0066】
図9A及び
図9Bでは、検知器アームが垂直方向として示されているが、上記取付固定構造は、放射線走査装置において垂直に配置された検知器群の取り付け及び取り外しのみに用いられることに限定されず、他の方向に配置された検知器群も上記取付固定構造を用いてもよい。
【0067】
もちろん、検知器群60と支持フレームとの間の取付固定構造は、
図9A-9Bに示す実施例に限定されず、他の適切な取付固定構造を採用してもよい。例えば、いくつかの実施例によれば、取付固定構造の直線移動嵌合は、他の適切な嵌合であってもよく、例えば、直線ボールベアリングと円柱軸との嵌合などの直線転動嵌合であり、他のいくつかの実施例によれば、スライド溝62の断面は、半円形に限定されず、半矩形などの形状であってもよく、それに応じて、スライドバー63も円柱体に限定されず、スライド溝62と嵌合する角柱などの形状であってもよい。
【0068】
これにより、本願に係る放射線走査装置の検知器群は、被検物の輸送方向に沿って着脱又はメンテナンスすることが可能であるため、着脱及びメンテナンスが容易になる。
【0069】
しかしながら、本願の実施例は、被検物の輸送方向に沿ってのみ又は被検物の輸送方向に垂直な方向に沿ってのみ取り外し又は取り付けることに限定されず、一部の検知器群を被検物の輸送方向に沿って取り外し又は取り付けてもよく、他の一部の検知器群を被検物の輸送方向に垂直な方向に沿って取り外し又は取り付けてもよく、具体的にどのような方式を採用するかは、放射線走査装置の具体的な配置に応じて決められ、着脱及びメンテナンスが便利であればよい。
【0070】
また、各走査ステージの走査領域の異なる方向に位置する検知器群は、異なる取付固定構造を採用して支持フレームに対して取り外し又は取り付けることができるが、異なる検知器群の取付基準面により、同一走査ステージの各検知器群は、取り付けられた後、被検物の輸送方向に沿う所定位置に位置して、Z方向に垂直な同一平面内に位置するか、又は所定距離で偏移しているZ方向に垂直な異なる平面内に位置することを確保することができる。それに応じて、同一走査ステージの各検知器群の取付基準面をZ方向に垂直な同一平面内に設置し、又は所定距離で偏移しているZ方向に垂直な異なる平面内に設置すればよい。
【0071】
また、上記各実施例の取付固定構造は、本願の放射線走査装置に用いられる検知器群に限定されず、他の適切な放射線走査装置の検知器群に用いられてもよい。
【0072】
上記のように、本願の実施例に係る放射線走査装置は、各走査ステージにおける放射線源モジュールのビーム出射順序を制御するように配置される制御装置をさらに含む。選択的に、制御装置は、各走査ステージの放射線源モジュールがそれぞれ1つのソースポイントを有して同時にビーム出射するように配置されてもよい。例えば、第1走査ステージAの放射線源モジュールはターゲットA1、A2、A3、…Anを含み、第2走査ステージBの放射線源モジュールはターゲットB1、B2、B3、…Bnを含み、第3走査ステージCの放射線源モジュールはターゲットC1、C2、C3、…Cnを含む。制御装置は、A1B1C1→A2B2C2→A3B3C3→…AnBnCnという順序で走査ステージA、B、Cの放射線源モジュールのターゲットポイントを同時にビーム出射するように制御することができる。制御装置は、上記順序で複数の放射線源モジュールのターゲットスポットを同時にビーム出射するように制御することに限定されず、即ち、各放射線源モジュールにおけるターゲットスポットの順序は、ターゲットスポット1からターゲットスポットnまでの順序に限定されず、逆に、間隔、逆順又はランダムであってもよく、放射線源モジュールにおける全てのターゲットスポットをトラバースできればよい。
【0073】
上記実施例によれば、各走査ステージにおける放射線源モジュールが同時にビーム出射し、放射線走査装置の走査速度を加速することができる。これにより、放射線走査装置が荷物輸送システム等に適用される場合、走査速度は荷物輸送システムの高い荷物伝送速度とマッチングすることが可能であり、安全検査による荷物の積載を回避し、荷物輸送速度の向上に有利である。選択的に、放射線走査装置の伝送装置は、荷物輸送システムの伝送ベルトの速度と同じになるように設置されてもよい。
【0074】
また、各走査ステージにおける放射線源モジュールが循環してビーム出射する場合に対して、各走査ステージの放射線源モジュールが同時にビーム出射することにより、走査速度を向上させることに加えて、輻射量を低減させることができ(例えば、電圧が変化しない場合、電流は循環してビーム出射する3分の1の大きさであってもよい)、これにより、放射線走査装置の輻射遮蔽に対する要求を低減させることが可能であり、装置コストの低減に有利である。
【0075】
いくつかの実施例によれば、各走査ステージの放射線源モジュールの放射線ビームは異なるエネルギーを有する。放射線源モジュールは、選択的に、被検物の各方向の異なるサイズに対して、異なるエネルギーを有する放射線ビームを放射するように設置される。例えば、被検物が空港荷物である場合、通常、厚さ方向(即ち、放射線走査装置の上下方向、
図1AにおけるY方向)のサイズが小さく、幅方向(即ち、放射線走査装置の左右方向、
図1AにおけるX方向)のサイズが大きいため、幅方向において高い透過率を取得するために、走査領域の左方又は右方に配置される放射線源モジュール(例えば、第1走査ステージAの放射線源モジュール及び第3走査ステージCの放射線源モジュール)は、高いエネルギーを有する放射線ビームを放射して、幅方向における放射線透過率を確保し、検知器が検出した有効データを増加させ、これにより、画像品質を向上させることに有利であり;それに対応して、走査領域の下方に配置される放射線源モジュール(例えば、第2走査ステージBの放射線源モジュール)は、走査領域の左側又は右側の放射線源モジュールよりも低いエネルギーを有する放射線ビームを放射して、放射線透過率を確保しながら輻射量を低下させることができる。
【0076】
以上、本願に係る放射線走査装置の各具体的な実施例を説明した。
【0077】
本願の実施例は、荷物検査用の放射線走査システムをさらに提供し、上記いずれかの実施例に記載の放射線走査装置及び荷物輸送システムを含む。当該荷物輸送システムは、空港等の場所で複数の荷物を輸送するためのものであり、荷物を載せて動かすための伝送ベルトを備える。当該放射線走査装置は、荷物輸送システムにおける複数の荷物を走査して、荷物における禁止物品等を検査する。放射線走査装置は、荷物輸送システムの開端、中間部分又は末端に配置されてもよく、荷物が両者の間を移動できるように、放射線走査装置の伝送装置を荷物輸送システムの伝送に隣接して配置する。放射線走査装置は、伝送装置の下方に配置される放射線源モジュールを有し、伝送装置が地面等から高い高さを有するようにすることで、荷物輸送速度の伝送ベルトの高さに合わせ、選択的に、荷物輸送システムの伝送ベルトの高さと同じである。また、放射線走査装置は制御装置を含み、前記制御装置は、各走査ステージの放射線源モジュールがそれぞれ1つのターゲットポイントを同時にビーム出射して荷物を走査するように配置され、放射線走査装置が荷物輸送システムの輸送速度にマッチングする検出速度で荷物などの被検物を検出することができる。また、選択的に、放射線走査装置の伝送装置の速度は荷物輸送速度の伝送ベルトの速度と同じである。これにより、本願に係る放射線走査システムは、荷物輸送システムと放射線走査装置との間で荷物を便利に輸送することが可能であり、且つ速い速度で荷物を安全に検査することができる。
【0078】
本願の実施例は、さらに、以下の各項目に限定された放射線源に用いられる取付位置決め構造及び放射線走査装置を提供する。
【0079】
1.放射線走査装置に用いられる放射線源の取付位置決め構造であって、
前記放射線走査装置は、放射線源及び固設される支持フレームを含み、前記取付位置決め構造は、本体を含み、前記本体は、前記放射線源を前記本体によって前記支持フレームに固定的に取り付けるように、前記放射線源及び前記支持フレームに固定接続され、
前記取付位置決め構造は、
移動装置であって、前記放射線源が前記移動装置によって第1平面で所定の取付位置に移動される移動装置と、
前記第1平面において前記放射線源を位置決めするために用いられる第1位置決め装置と、
前記第1平面に垂直する第1方向に沿って前記放射線源の位置を調整するために用いられる昇降装置と、
前記第1方向において前記放射線源の位置を固定するために用いられる第2位置決め装置と、含む、
取付位置決め構造。
【0080】
2.前記移動装置は、前記放射線源の長さ方向に沿う両端に設けられるローラを含む、項目1に記載の取付位置決め構造。
【0081】
3.前記第1位置決め装置は、第1位置決めピンと、第1位置決めピンに対応して前記本体及び前記支持フレームに設けられる第1ピン孔とを含む、項目1に記載の取付位置決め構造。
【0082】
4.前記昇降装置は、前記放射線源の長さ方向に沿う両端に設けられ、一方の昇降装置は昇降可能なローラに形成され、他方の昇降装置はジャッキングスクリューに形成される、項目1に記載の取付位置決め構造。
【0083】
5.前記第2位置決め装置は、前記放射線源が前記昇降装置によって前記第1方向に沿う所定位置に調整された後に前記本体の下方に配置される位置決めブロックに形成される、項目4に記載の取付位置決め構造。
【0084】
6.所定の軸線に沿って前記放射線源を回転させて前記放射線源のビーム出射角度を調整する調整装置をさらに含む、項目1-5のいずれか1項に記載の取付位置決め構造。
【0085】
7.前記放射線源には取付軸が設けられ、前記本体には対応の軸孔が設けられ、前記本体は軸孔を介して前記放射線源の取付軸に取り付けられ、
前記位置決め取付構造は、位置決め部材及び締結具をさらに含み、前記本体は、前記位置決め部材及び前記軸孔と前記取付軸との嵌合により前記放射線源に対して位置決めされ、且つ前記締結具により前記放射線源に固定接続され、
前記調整装置は、回転駆動装置を含み、前記回転駆動装置は、前記位置決め部材と前記締結具とが解放された場合に、前記放射線源を駆動して前記取付軸に回って回転させることができる、
項目6に記載の取付位置決め構造。
【0086】
8.前記回転駆動装置は、前記放射線源に固定された調節ブロックと、前記本体に設けられ、前記調節ブロックに当接するジャッキングスクリューと、を含み、前記ジャッキングスクリューは、回転されて前記調節ブロックを移動させて前記放射線源を回転させることができる、項目7に記載の取付位置決め構造。
【0087】
9.前記位置決め部材は、第2位置決めピンと、前記本体及び前記放射線源に形成された対応の第2ピン孔とを含み、且つ、前記締結具は、固定ボルトと、前記本体及び前記放射線源に形成された対応のネジ孔とを含む、項目7に記載の取付位置決め構造。
【0088】
10.放射線源と、固設された支持フレームとを備え、前記放射線源は、項目1-9のいずれか1項に記載の取付位置決め構造を介して前記支持フレームに固定して取り付けられる、放射線走査装置。
【0089】
11.前記放射線走査装置は、前記取付位置決め構造により前記放射線源を回転させて前記放射線源のビーム出射角度を調整する、項目10に記載の放射線走査装置。
【0090】
本願の実施例は、以下の項目に限定された検知器の取付固定構造及び放射線走査装置をさらに提供する。
【0091】
1.放射線走査装置に用いられる検知器の取付固定構造であって、
前記放射線走査装置は、前記検知器と、固設される支持フレームとを含み、前記検知器は、少なくとも2つの前記検知器群を含み、前記検知器群は、前記取付固定構造を介して前記支持フレームに固定して取り付けられ、又は前記支持フレームから取り外され、
前記取付固定構造は、
前記検知器群に固設される第1取付部と、
第2取付部であって、前記支持フレームに固設されるとともに前記第1取付部と直線移動嵌合することが可能であり、前記第1取付部と前記第2取付部とが互いに嵌合した状態で、前記検知器群が前記第2取付部に沿って所定の取付位置に移動可能な第2取付部と、
前記検知器群の幅方向に沿う一方側に設けられ、前記支持フレーム上の取付基準面に対して前記検知器群を固定するために用いられる固定装置と、を含む、
取付固定構造。
【0092】
2.前記第2取付部は、前記第1取付部と嵌合した状態で前記検知器群を所定の取付位置に支持するように配置される、項目1に記載の取付固定構造。
【0093】
3.前記第1取付部は、前記検知器群の長さ方向に沿って延在するスライダを含み、且つ、前記第2取付部は、前記スライダと嵌合する固定ガイドレールを含む、項目1又は2に記載の取付固定構造。
【0094】
4.前記固定装置は、締結具と、前記支持フレーム上に配置された位置決め部材とを含み、前記位置決め部材の前記支持フレームから離れた端面は、前記検知器群の幅方向に沿う前記一方側の表面に当接するための前記取付基準面に形成され、前記締結具は、前記位置決め部材を貫通し、前記位置決め部材の端面に対して前記検知器群を締め付ける、項目3に記載の取付固定構造。
【0095】
5.前記スライダは、前記検知器群の幅方向に対向する両側に設けられ、且つ、前記検知器群の幅方向に対向する両側の縁から内側に延在する内側延在部を有し、
前記固定ガイドレールは、幅方向に対向する両側において外側に延在する外側延在部を有し、
前記第1取付部と前記第2取付部とが嵌合した状態で、前記検知器群を前記固定ガイドレールに吊り下げられるように、前記スライダの内側延在部が前記固定ガイドレールの外側延在部の上方に位置し、両者が接触して重なって配置される、
項目3に記載の取付固定構造。
【0096】
6.前記第1取付部は、前記検知器群の幅方向に延びるスライド溝に形成され、且つ、前記第2取付部は、前記スライド溝に嵌合するスライドバーに形成される、項目1又は2に記載の取付固定構造。
【0097】
7.前記スライドバーの前記支持フレームに近い一端には、凸部が形成され、前記凸部の前記検知器群に向かう表面は、前記検知器群の幅方向に沿う他方側の表面に当接するための前記取付基準面に形成される、項目6に記載の取付固定構造。
【0098】
8.前記固定装置は、前記スライドバーの前記凸部と対向する他端に設けられ、且つ、前記凸部とそれぞれ前記検知器群の幅方向の両側に当接するように配置される、項目7に記載の取付固定構造。
【0099】
9.前記固定装置は、前記スライドバーの前記他端にはめされ、前記検知器の幅方向に沿う前記一方側に当接する位置決めスリーブと、前記位置決めスリーブを前記スライドバーの前記他端に固定するための締結具と、を含む、項目8に記載の取付固定構造。
【0100】
10.前記第2取付部は、2つのスライドバーを含み、前記第1取付部は、前記検知器群の長さ方向に沿う両端に形成される2つのスライド溝を含み、前記2つのスライドバーと2つのスライド溝は、それぞれ互いに嵌合して前記検知器群を前記所定の取付位置に位置付ける、項目6に記載の取付固定構造。
【0101】
11.前記第1取付部は、前記検知器群の幅方向に沿う前記一方側に固定され、前記検知器群の厚さ方向の一方側に向かう開口を有する固定ブロックに形成され、
前記第2取付部は、前記支持フレームに固定されるカンチレバー部に形成され、前記カンチレバー部の前記支持フレームから離れた端部には、前記固定ブロックの開口と直線移動嵌合することが可能である延在部が設けられる、項目1又は2に記載の取付固定構造。
【0102】
12.前記固定装置は、前記支持フレームに設けられた固定具と締結具とを含み、前記固定具の前記支持フレームから離れた端面は、前記検知器群の幅方向に沿う前記一方側の表面に当接するための前記取付基準面に形成され、且つ、前記締結具は、前記固定具の前記端面に対して前記検知器群を締め付ける、項目11に記載の取付固定構造。
【0103】
13.前記カンチレバー部は、前記第1取付部と前記第2取付部とが嵌合した状態で、前記固定ブロックを介して前記検知器群を前記所定の取付位置に支持する、項目11に記載の取付固定構造。
【0104】
14.検知器と、固設される支持フレームとを含み、前記検知器は、少なくとも2つの前記検知器群を含み、前記検知器群は、項目1-13のいずれか1項に記載の取付固定構造によって前記支持フレームに取付固定され、又は前記支持フレームから取り外される、放射線走査装置。
【0105】
15.前記検知器群の幅方向は被検物の輸送方向に平行であり、前記検知器群の長さ方向及び厚さ方向は被検物の輸送方向に垂直であり、前記被検物の輸送方向は前記被検物が輸送されて前記放射線走査装置の走査領域を通過する方向である、項目14に記載の放射線走査装置。
【0106】
16.各検知器群用の取付基準面は、前記被検物の輸送方向に垂直な平面内に位置する、項目15に記載の放射線走査装置。
【0107】
17.前記第1取付部が前記第2取付部に対して直線移動する方向は、前記被検物の輸送方向に平行又は垂直である、項目14又は15に記載の放射線走査装置。
【0108】
以上の本願の説明は、いずれも説明及び説明の目的のためのものであり、本願を網羅的又は説明された正確な形式に制限するためのものではない。本願の発明の原理から逸脱しない範囲で、多くの修正又は変更が可能である。説明された実施例は、本願の原理及びその実際の応用を最も解釈するためのものである。以上の説明により、当業者は、本願の様々な実施例及び様々な変形例をよりよく利用して実践することができる。本願の範囲は、特許請求の範囲によって限定される。
【手続補正書】
【提出日】2023-12-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷物輸送システム用の放射線走査装置であって、
被検物が前記放射線走査装置の走査領域を通過するように搬送する伝送装置と、
前記被検物の輸送方向の複数の走査面にそれぞれ配置される複数の走査ステージと、を含み、
各走査ステージは、対向して配置される放射線源モジュールと検知器群とを含み、且つ、前記放射線源モジュールは、放射線ビームを放射する複数のソースポイントを含み、
複数の走査ステージの放射線源モジュールは、前記走査領域の下方、左方及び右方にそれぞれ配置される、放射線走査装置。
【請求項2】
前記被検物の輸送方向に沿って見て、前記複数の走査ステージの放射線源モジュールは、前記走査領域を回って上方に開口する半密閉構造に配置される、
請求項1に記載の放射線走査装置。
【請求項3】
前記放射線源モジュールは分布式放射線源であり、且つ、前記放射線源は直線状、折れ線状又は円弧状に形成される、
請求項2に記載の放射線走査装置。
【請求項4】
各走査ステージにおいて、前記検知器は、前記走査領域を少なくとも2方向に回るように配置される、
請求項1-3のいずれか1項に記載の放射線走査装置。
【請求項5】
前記放射線源モジュールが前記走査領域の下方に配置される走査ステージにおいて、前記検知器は、前記走査領域を回って下方に開口するU型構造である、
請求項4に記載の放射線走査装置。
【請求項6】
前記放射線源モジュールが前記走査領域の左方又は右方に配置される走査ステージにおいて、前記検知器は、前記走査領域を回るL型構造又はU型構造である、
請求項4に記載の放射線走査装置。
【請求項7】
前記荷物輸送システムは、伝送ベルトを含み、前記伝送装置の速度及び高さは、前記荷物輸送システムの伝送ベルトの速度及び高さにマッチングするように設置される、
請求項1-3のいずれか1項に記載の放射線走査装置。
【請求項8】
前記伝送装置の速度及び高さは、前記荷物輸送システムの伝送ベルトの速度及び高さと同じに設置される、
請求項7に記載の放射線走査装置。
【請求項9】
各走査ステージにおける放射線源モジュールのビーム出射順序を制御して、各走査ステージにおける放射線源モジュールにそれぞれ1つのソースポイントを同時にビーム出射させるように配置される制御装置をさらに含む、
請求項1-3のいずれか1項に記載の放射線走査装置。
【請求項10】
各走査ステージの各放射線源モジュールの放射線ビームのエネルギーは同じである、
請求項9に記載の放射線走査装置。
【請求項11】
前記走査領域の左方又は右方に配置される前記放射線源モジュールの放射線ビームのエネルギーは、前記走査領域の下方に配置される前記放射線源モジュールの放射線ビームのエネルギーよりも高い、
請求項9に記載の放射線走査装置。
【請求項12】
荷物検査用の放射線走査システムであって、
請求項1
に記載の放射線走査装置と、荷物輸送システムと、を含み、
前記荷物輸送システムは、荷物を輸送するための伝送ベルトを含み、
前記放射線走査装置の伝送装置は、前記伝送ベルトの高さ及び速度にマッチングする、
放射線走査システム。
【請求項13】
前記放射線走査装置の伝送装置と前記荷物輸送システムの前記伝送ベルトの高さ及び速度は同じである、請求項12に記載の放射線走査システム。
【請求項14】
請求項1
に記載の放射線走査装置に用いられる放射線源の取付位置決め構造であって、
前記放射線走査装置は、放射線源及び固設される支持フレームを含み、前記取付位置決め構造は、本体を含み、前記本体は、前記放射線源を前記本体によって前記支持フレームに固定的に取り付けるように、前記放射線源及び前記支持フレームに固定接続され、
前記取付位置決め構造は、
移動装置であって、前記放射線源が前記移動装置によって第1平面で所定の取付位置に移動される移動装置と、
前記第1平面において前記放射線源を位置決めするために用いられる第1位置決め装置と、
前記第1平面に垂直する第1方向に沿って前記放射線源の位置を調整するために用いられる昇降装置と、
前記第1方向において前記放射線源の位置を固定するために用いられる第2位置決め装置と、含む、
取付位置決め構造。
【請求項15】
請求項1
に記載の放射線走査装置に用いられる検知器の取付固定構造であって、
前記放射線走査装置は、前記検知器と、固設された支持フレームとを含み、前記検知器は、少なくとも2つの前記検知器群を含み、前記検知器群は、前記取付固定構造を介して前記支持フレームに固定して取り付けられ、又は前記支持フレームから取り外され、
前記取付固定構造は、
前記検知器群に固設される第1取付部と、
第2取付部であって、前記支持フレームに固設されるとともに前記第1取付部と直線移動嵌合することが可能であり、前記第1取付部と前記第2取付部とが互いに嵌合した状態で、前記検知器群が前記第2取付部に沿って所定の取付位置に移動可能な第2取付部と、
前記検知器群の幅方向に沿う一方側に設けられ、前記支持フレーム上の取付基準面に対して前記検知器群を固定するために用いられる固定装置と、を含む、
取付固定構造。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0036
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0036】
具体的な実施例において、調整装置は、回転駆動装置を含み、当該回転駆動装置は、放射線源モジュール10に固定された調節ブロック28と、本体11に設けられ、調節ブロック28に当接するねじジャッキ29とを含み、ねじジャッキ29は、回転して調節ブロック28を押して移動させて放射線源モジュール10を回転させることができる。ここで、回転駆動装置は、取付位置決め構造の一方の本体のみ、すなわち、放射線源モジュール10の長さ方向の一端のみに設けられている。放射線源モジュール10の両端がいずれも取付軸27によって支持されるため、放射線源モジュール10の一端で放射線源モジュール10を押して回転させ、放射線源モジュール10全体が対応して回転することができる。放射線源モジュール10を所定角度回転させた後、再び第2位置決めピン23、24を対応の第2ピン孔に挿入し、且つ再び第2固定ボルト25、26を対応の第2ネジ孔にねじ込み、本体11、12を放射線源モジュール10に対して固定接続することができる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0077
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0077】
本願の実施例は、荷物検査用の放射線走査システムをさらに提供し、上記いずれかの実施例に記載の放射線走査装置及び荷物輸送システムを含む。当該荷物輸送システムは、空港等の場所で複数の荷物を輸送するためのものであり、荷物を載せて動かすための伝送ベルトを備える。当該放射線走査装置は、荷物輸送システムにおける複数の荷物を走査して、荷物における禁止物品等を検査する。放射線走査装置は、荷物輸送システムの開端、中間部分又は末端に配置されてもよく、荷物が両者の間を移動できるように、放射線走査装置の伝送装置を荷物輸送システムの伝送に隣接して配置する。放射線走査装置は、伝送装置の下方に配置される放射線源モジュールを有し、伝送装置が地面等から高い高さを有するようにすることで、荷物を輸送する伝送ベルトの高さに合わせ、選択的に、荷物輸送システムの伝送ベルトの高さと同じである。また、放射線走査装置は制御装置を含み、前記制御装置は、各走査ステージの放射線源モジュールがそれぞれ1つのターゲットポイントを同時にビーム出射して荷物を走査するように配置され、放射線走査装置が荷物輸送システムの輸送速度にマッチングする検出速度で荷物などの被検物を検出することができる。また、選択的に、放射線走査装置の伝送装置の速度は荷物輸送速度の伝送ベルトの速度と同じである。これにより、本願に係る放射線走査システムは、荷物輸送システムと放射線走査装置との間で荷物を便利に輸送することが可能であり、且つ速い速度で荷物を安全に検査することができる。
【国際調査報告】