(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-28
(54)【発明の名称】ステロイド系化合物、その医薬組成物及びその応用
(51)【国際特許分類】
C07J 71/00 20060101AFI20240621BHJP
A61K 31/58 20060101ALI20240621BHJP
A61K 31/661 20060101ALI20240621BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240621BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240621BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20240621BHJP
A61P 37/02 20060101ALI20240621BHJP
【FI】
C07J71/00 CSP
A61K31/58
A61K31/661
A61P43/00 111
A61P35/00
A61P29/00
A61P37/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023579464
(86)(22)【出願日】2022-06-23
(85)【翻訳文提出日】2023-12-22
(86)【国際出願番号】 CN2022100881
(87)【国際公開番号】W WO2022268176
(87)【国際公開日】2022-12-29
(31)【優先権主張番号】202110706921.X
(32)【優先日】2021-06-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202210101639.3
(32)【優先日】2022-01-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202210340109.4
(32)【優先日】2022-04-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522330120
【氏名又は名称】江蘇先声薬業有限公司
【氏名又は名称原語表記】JIANGSU SIMCERE PHARMACEUTICAL CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】NO.699-18, XUANWU AVENUE, XUANWU DISTRICT, NANJING, JIANGSU, 210042, PEOPLE’S REPUBLIC OF CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】劉 力鋒
(72)【発明者】
【氏名】李 ▲テイ▼
(72)【発明者】
【氏名】劉 小青
(72)【発明者】
【氏名】趙 暁峰
(72)【発明者】
【氏名】柴 暁娟
(72)【発明者】
【氏名】唐 鋒
(72)【発明者】
【氏名】付 雅媛
(72)【発明者】
【氏名】曹 卓暁
(72)【発明者】
【氏名】唐 任宏
(72)【発明者】
【氏名】任 晋生
【テーマコード(参考)】
4C086
4C091
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086DA12
4C086DA37
4C086DA38
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZB07
4C086ZB11
4C086ZB26
4C086ZC41
4C091AA01
4C091BB03
4C091BB05
4C091CC01
4C091DD01
4C091EE07
4C091FF01
4C091GG01
4C091HH01
4C091JJ03
4C091KK12
4C091LL01
4C091MM03
4C091NN07
4C091PA03
4C091PA06
4C091PA13
4C091PB02
4C091QQ07
4C091QQ15
4C091RR08
(57)【要約】
本発明は、式(I)で示される化合物又はその薬学的に許容される塩、医薬組成物及びその製造方法、並びに腫瘍、炎症性疾患又は自己免疫疾患の治療におけるその用途を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)で示される化合物又はその薬学的に許容される塩であって、
【化1】
そのうち、
R
1、R
2はそれぞれH、CH
3又はハロゲンから独立的に選ばれ、
環Aは、フェニル基、5~10員ヘテロアリール基又はC
3~C
10シクロアルキル基から選ばれ、前記フェニル基、5~10員ヘテロアリール基又はC
3~C
10シクロアルキル基は、任意選択的にR
1aで置換され、
Xは、O、S、C
1~C
3アルキレン-O、C
1~C
3アルキレン-S、NR
6又はC(R
7)(R
8)から選ばれ、
R
6は、H、C
1~C
6アルキル基、C
3~C
6シクロアルキル基又は4~7員ヘテロシクリル基から選ばれ、前記C
1~C
6アルキル基、C
3~C
6シクロアルキル基又は4~7員ヘテロシクリル基は、任意選択的にR
bで置換され、
R
7、R
8は、それぞれH、ハロゲン、CN、OH、NH
2、C
1~C
6アルキル基、C
3~C
6シクロアルキル基又は4~7員ヘテロシクリル基から独立的に選ばれ、或いはR
7、R
8は、それらに連結している原子と共に、C
3~C
6シクロアルキル基又は4~7員ヘテロシクリル基を形成し、前記OH、NH
2、C
1~C
6アルキル基、C
3~C
6シクロアルキル基又は4~7員ヘテロシクリル基は、任意選択的にR
bで置換され、
環Bは、C
6~C
10アリール基、5~10員ヘテロアリール基、C
3~C
10シクロアルキル基又は4~14員ヘテロシクリル基から選ばれ、前記C
6~C
10アリール基、5~10員ヘテロアリール基、C
3~C
10シクロアルキル基又は4~14員ヘテロシクリル基は、任意選択的にR
2aで置換され、
R
10は、OH、SH、O(C
1~C
6アルキル基)、S(C
1~C
6アルキル基)、O-C(=O)-(C
1~C
6アルキル基)又は
【化2】
から選ばれ、前記O(C
1~C
6アルキル基)、S(C
1~C
6アルキル基)、O-C(=O)-(C
1~C
6アルキル基)は、任意選択的にハロゲン又はCNで置換され、
R
11、R
12は、それぞれH又はC
1~C
6アルキル基から独立的に選ばれ、
各R
1a、R
2aは、ハロゲン、CN、=O、OH、NH
2、C
1~C
6アルキル基、C
3~C
6シクロアルキル基又は4~7員ヘテロシクリル基から独立的に選ばれ、前記OH、NH
2、C
1~C
6アルキル基、C
3~C
6シクロアルキル基又は4~7員ヘテロシクリル基は、任意選択的にR
bで置換され、
各R
bは、ハロゲン、CN、=O、OH、NH
2、C
1~C
6アルキル基、C
3~C
6シクロアルキル基又は4~7員ヘテロシクリル基から独立的に選ばれ、前記OH、NH
2、C
1~C
6アルキル基、C
3~C
6シクロアルキル基又は4~7員ヘテロシクリル基は、任意選択的にR
cで置換され、
各R
cは、ハロゲン、CN、=O、C
1~C
3アルキル基、OH、O(C
1~C
3アルキル基)、NH
2、NH(C
1~C
3アルキル基)又はN(C
1~C
3アルキル基)
2から独立的に選ばれる、式(I)で示される化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項2】
R
1、R
2はそれぞれH又はFから独立的に選ばれる、請求項1に記載の式(I)で示される化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項3】
環Aは、フェニル基又は5~6員ヘテロアリール基から選ばれ、前記フェニル基又は5~6員ヘテロアリール基は、任意選択的にR
1aで置換され、或いは
環Aはフェニル基から選ばれ、前記フェニル基は、任意選択的にR
1aで置換される、請求項1又は2に記載の式(I)で示される化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項4】
R
7、R
8は、それぞれH、ハロゲン、CN、OH、NH
2又はC
1~C
3アルキル基から独立的に選ばれ、或いはR
7、R
8は、それらに連結している原子と共に、C
3~C
6シクロアルキル基を形成し、前記OH、NH
2、C
1~C
3アルキル基又はC
3~C
6シクロアルキル基は、任意選択的にR
bで置換され、或いは
R
7、R
8は、それぞれH、ハロゲン又はC
1~C
3アルキル基から独立的に選ばれ、或いはR
7、R
8は、それらに連結している原子と共に、C
3~C
6シクロアルキル基を形成する、請求項1~3の何れか一項に記載の式(I)で示される化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項5】
R
10は、OH、SH、O(C
1~C
3アルキル基)、O-C(=O)-(C
1~C
3アルキル基)又は
【化3】
から選ばれ、前記O(C
1~C
3アルキル基)又はO-C(=O)-(C
1~C
3アルキル基)は、任意選択的にハロゲンで置換される、請求項1~4の何れか一項に記載の式(I)で示される化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項6】
R
11、R
12は、それぞれH、メチル基、又はエチル基から独立的に選ばれる、請求項1~5の何れか一項に記載の式(I)で示される化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項7】
環Bは、C
6~C
10アリール基、5~10員ヘテロアリール基、又は4~14員ヘテロシクリル基から選ばれ、前記C
6~C
10アリール基、5~10員ヘテロアリール基、又は4~14員ヘテロシクリル基は、任意選択的にR
2aで置換される、請求項1~6の何れか一項に記載の式(I)で示される化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項8】
R
2aは、ハロゲン、CN、=O、OH、NH
2、C
1~C
6アルキル基、C
3~C
6シクロアルキル基又は4~7員ヘテロシクリル基から選ばれ、或いは
R
2aは、NH
2又は=Oから選ばれ、或いは
R
2aは、NH
2から選ばれる、請求項1~7の何れか一項に記載の式(I)で示される化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項9】
前記式(I)で示される化合物又はその薬学的に許容される塩は、式(Ia)で示される化合物又はその薬学的に許容される塩から選ばれ、
【化4】
そのうち、R
1、R
2、環A、X及びR
10は、請求項1に定義されている通りであり、
R
3は、H、OH又はNHR
9から選ばれ、R
4、R
5は、それらに連結している原子と共に、C
5~C
6シクロアルケニル基、5~6員ヘテロシクリル基、又は5~6員ヘテロアリール基を形成し、前記C
5~C
6シクロアルケニル基、5~6員ヘテロシクリル基、又は5~6員ヘテロアリール基は、任意選択的にR
4aで置換され、或いは、R
5はH、OH又はNHR
9から選ばれ、R
3、R
4は、それらに連結している原子と共に、C
5~C
6シクロアルケニル基、5~6員ヘテロシクリル基又は5~6員ヘテロアリール基を形成し、前記C
5~C
6シクロアルケニル基、5~6員ヘテロシクリル基又は5~6員ヘテロアリール基は、任意選択的にR
4aで置換され、
R
9は、H、C
1~C
6アルキル基、C
3~C
6シクロアルキル基又は4~7員ヘテロシクリル基から選ばれ、前記C
1~C
6アルキル基、C
3~C
6シクロアルキル基又は4~7員ヘテロシクリル基は、任意選択的にR
dで置換され、
R
13、R
14はそれぞれH、ハロゲン、CN、OH、NH
2、O(C
1~C
3アルキル基)又はC
1~C
6アルキル基から独立的に選ばれ、
各R
4aは、ハロゲン、CN、=O、OH、NH
2、C
1~C
6アルキル基、C
3~C
6シクロアルキル基又は4~7員ヘテロシクリル基から独立的に選ばれ、前記OH、NH
2、C
1~C
6アルキル基、C
3~C
6シクロアルキル基又は4~7員ヘテロシクリル基は、任意選択的にR
dで置換され、
各R
dは、ハロゲン、CN、=O、C
1~C
3アルキル基、OH、O(C
1~C
3アルキル基)、NH
2、NH(C
1~C
3アルキル基)又はN(C
1~C
3アルキル基)
2から独立的に選ばれる、請求項1に記載の式(I)で示される化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項10】
前記R
3は、H、OH又はNH
2から選ばれ、R
4、R
5は、それらに連結している原子と共に、5~6員ヘテロシクリル基又は5~6員ヘテロアリール基を形成し、前記5~6員ヘテロシクリル基又は5~6員ヘテロアリール基は、R
4aで置換されていてもよく、或いは
前記R
3は、Hから選ばれ、R
4、R
5は、それらに連結している原子と共に、5~6員ヘテロシクリル基又は5~6員ヘテロアリール基を形成し、前記5~6員ヘテロシクリル基又は5~6員ヘテロアリール基は、R
4aで置換されていてもよく、或いは
前記R
3は、H、OH又はNH
2から選ばれ、R
4、R
5は、それらに連結している原子と共に、
【化5】
を形成し、前記
【化6】
は、R
4aで置換されていてもよく、或いは
R
3は、Hから選ばれ、R
4、R
5は、それらに連結している原子と共に、
【化7】
を形成し、前記
【化8】
は、R
4aで置換される、請求項9に記載の式(Ia)で示される化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項11】
R
5は、H、OH又はNH
2から選ばれ、R
3、R
4は、それらに連結している原子と共に、C
5~C
6シクロアルケニル基、5~6員ヘテロシクリル基又は5~6員ヘテロアリール基を形成し、前記C
5~C
6シクロアルケニル基、5~6員ヘテロシクリル基又は5~6員ヘテロアリール基は、R
4aで置換されていてもよく、或いは
R
5はH又はNH
2から選ばれ、R
3、R
4は、それらに連結している原子と共に、C
5~C
6シクロアルケニル基、5~6員ヘテロシクリル基又は5~6員ヘテロアリール基を形成し、前記C
5~C
6シクロアルケニル基、5~6員ヘテロシクリル基又は5~6員ヘテロアリール基は、R
4aで置換されていてもよく、或いは
R
5は、H、OH又はNH
2から選ばれ、R
3、R
4は、それらに連結している原子と共に、
【化9】
を形成し、前記
【化10】
は、R
4aで置換されていてもよく、或いは
R
5はH又はNH
2から選ばれ、R
3、R
4は、それらに連結している原子と共に、
【化11】
を形成し、前記
【化12】
は、R
4aで置換される、請求項9又は10に記載の式(Ia)で示される化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項12】
Xは、O、S、C
1~C
3アルキレン-O、C
1~C
3アルキレン-S、又はC(R
7)(R
8)から選ばれ、前記R
7、R
8は、それぞれH、ハロゲン、CN、OH、NH
2又はC
1~C
3アルキル基から独立的に選ばれ、或いはR
7、R
8は、それらに連結している原子と共に、C
3~C
6シクロアルキル基を形成し、前記OH、NH
2、C
1~C
3アルキル基又はC
3~C
6シクロアルキル基は、任意選択的にR
bで置換され、或いは
前記R
7、R
8は、それぞれH、ハロゲン又はC
1~C
3アルキル基から独立的に選ばれ、或いはR
7、R
8は、それらに連結している原子と共に、C
3~C
6シクロアルキル基を形成する、請求項9~11の何れか一項に記載の式(Ia)で示される化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項13】
R
4aは、ハロゲン、CN、=O、OH、NH
2、C
1~C
6アルキル基又はC
3~C
6シクロアルキル基から選ばれ、或いは
R
4aは、=O又はNH
2から選ばれる、請求項9~12の何れか一項に記載の式(Ia)で示される化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項14】
R
13、R
14は、それぞれH又はNH
2から独立的に選らばる、請求項9~13の何れか一項に記載の式(Ia)で示される化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項15】
構造単位
【化13】
は、
【化14】
から選ばれる、請求項9~14の何れか一項に記載の式(Ia)で示される化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項16】
化合物又はその薬学的に許容される塩であって、前記化合物は、以下の構造の1つから選ばれ、
【化15】
である、化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項17】
請求項1~16の何れか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩及び薬学的に許容される賦形剤を含む、医薬組成物。
【請求項18】
請求項1~16の何れか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩、或いは請求項17に記載の医薬組成物の、グルココルチコイド受容体によって媒介される疾患を予防又は治療するための薬物の製造における用途。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2021年6月24日に中国国家知識産権局に提出された、出願番号が202110706921.Xで、発明名称が「ステロイド系化合物及びその応用」である中国特許出願の優先権、2022年1月27日に中国国家知識産権局に提出された、出願番号が202210101639.3で、発明名称が「ステロイド系化合物及びその応用」である中国特許出願の優先権、及び2022年4月1日に中国国家知識産権局に提出された、出願番号が202210340109.4で、発明名称が「ステロイド系化合物及びその応用」である中国特許出願の優先権を主張する。上記の先行出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、新規なグルココルチコイド受容体アゴニスト、その製造方法、当該化合物を含む医薬組成物、及び腫瘍、炎症性疾患又は自己免疫疾患の治療におけるその用途に関する。
【背景技術】
【0003】
グルココルチコイド受容体(GR)は核内受容体ファミリーの一部である。GRは、人体内のほぼ全ての細胞で発現し、且つ発育、代謝、免疫応答を制御する遺伝子を調節する。グルココルチコイド受容体がグルココルチコイドに結合する時、その主な作用機序は遺伝子転写の調節である。以下の経路を含む。直接経路:グルココルチコイドは細胞膜を通ってサイトゾルに入り、サイトゾル内のGRに結合し、後者は活性化されて細胞核に入り、DNA上のGR応答エレメント(GRE)に結合し、対応する遺伝子のmRNA転写を開始又は阻害する。例えば、TNFα、IL-1β、IL-2、IL-6等のmRNA転写を阻害し、IκB(NF-κBの活性化を阻害できる)のmRNA転写の開始する。間接経路:他の転写因子等と相互作用して、抗炎症作用や免疫作用を発揮する。
【0004】
グルココルチコイド受容体アゴニストは、供給源に応じて、内因性又は人工的に合成される2つのクラスに分類できる。合成されるグルココルチコイド受容体アゴニストは、炎症性疾患や免疫疾患の治療に使用される強力な小分子薬物の一種である。既に市販されているグルココルチコイドには、プレドニゾン、プレドニゾロン、ベタメタゾン、デキサメタゾン、プロピオン酸フルチカゾン、ブデソニド等が含まれる。グルココルチコイド受容体アゴニストは、炎症性疾患やアレルギー性疾患、例えば喘息、関節リウマチ、気道閉塞性疾患、鼻炎、炎症性腸疾患、牛タムシ、乾癬、湿疹等を制御するために使用できる。しかしながら、生理学的用量を超える長期投与は、筋萎縮や骨粗鬆症等の副作用を引き起こす可能性があり、患者に使用できる薬物投与量や持続投与時間が制限され、その治療可能性はまだ効果的に活用されていない。従って、新しいグルココルチコイド受容体アゴニストを開発し、疾患の治療範囲を拡大し、毒性副作用を軽減する必要がある。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、式(I)で示される化合物又はその薬学的に許容される塩を提供し、
【0006】
【0007】
そのうち、
R1、R2はそれぞれH、CH3又はハロゲンから独立的に選ばれ、
環Aは、フェニル基、5~10員ヘテロアリール基又はC3~C10シクロアルキル基から選ばれ、上記フェニル基、5~10員ヘテロアリール基又はC3~C10シクロアルキル基は、任意選択的にR1aで置換され、
Xは、O、S、C1~C3アルキレン-O、C1~C3アルキレン-S、NR6又はC(R7)(R8)から選ばれ、
R6は、H、C1~C6アルキル基、C3~C6シクロアルキル基又は4~7員ヘテロシクリル基から選ばれ、上記C1~C6アルキル基、C3~C6シクロアルキル基又は4~7員ヘテロシクリル基は、任意選択的にRbで置換され、
R7、R8は、それぞれH、ハロゲン、CN、OH、NH2、C1~C6アルキル基、C3~C6シクロアルキル基又は4~7員ヘテロシクリル基から独立的に選ばれ、或いはR7、R8は、それらに連結している原子と共に、C3~C6シクロアルキル基又は4~7員ヘテロシクリル基を形成し、上記OH、NH2、C1~C6アルキル基、C3~C6シクロアルキル基又は4~7員ヘテロシクリル基は、任意選択的にRbで置換され、
環Bは、C6~C10アリール基、5~10員ヘテロアリール基、C3~C10シクロアルキル基又は4~14員ヘテロシクリル基から選ばれ、上記C6~C10アリール基、5~10員ヘテロアリール基、C3~C10シクロアルキル基又は4~14員ヘテロシクリル基は、任意選択的にR2aで置換され、
R10は、OH、SH、O(C1~C6アルキル基)、S(C1~C6アルキル基)、O-C(=O)-(C1~C6アルキル基)又は
【0008】
【0009】
から選ばれ、上記O(C1~C6アルキル基)、S(C1~C6アルキル基)、O-C(=O)-(C1~C6アルキル基)は、任意選択的にハロゲン又はCNで置換され、
R11、R12は、それぞれH又はC1~C6アルキル基から独立的に選ばれ、
各R1a、R2aは、ハロゲン、CN、=O、OH、NH2、C1~C6アルキル基、C3~C6シクロアルキル基又は4~7員ヘテロシクリル基から独立的に選ばれ、上記OH、NH2、C1~C6アルキル基、C3~C6シクロアルキル基又は4~7員ヘテロシクリル基は、任意選択的にRbで置換され、
各Rbは、ハロゲン、CN、=O、OH、NH2、C1~C6アルキル基、C3~C6シクロアルキル基又は4~7員ヘテロシクリル基から独立的に選ばれ、上記OH、NH2、C1~C6アルキル基、C3~C6シクロアルキル基又は4~7員ヘテロシクリル基は、任意選択的にRcで置換され、
各Rcは、ハロゲン、CN、=O、C1~C3アルキル基、OH、O(C1~C3アルキル基)、NH2、NH(C1~C3アルキル基)又はN(C1~C3アルキル基)2から独立的に選ばれる。
【0010】
幾つかの実施形態において、R1、R2はそれぞれH又はFから独立的に選ばれる。
【0011】
幾つかの実施形態において、環Aは、フェニル基又は5~6員ヘテロアリール基から選ばれ、上記フェニル基又は5~6員ヘテロアリール基は、任意選択的にR1aで置換される。
【0012】
幾つかの実施形態において、環Aはフェニル基から選ばれ、上記フェニル基は、任意選択的にR1aで置換される。
【0013】
幾つかの実施形態において、R1aは、ハロゲン、CN、=O、OH、NH2、又はC1~C6アルキル基から選ばる。
【0014】
幾つかの実施形態において、R1aは、NH2から選ばれる。
【0015】
幾つかの実施形態において、環Aは
【0016】
【0017】
から選ばれる。
【0018】
幾つかの実施形態において、環Aは
【0019】
【0020】
から選ばれる。
【0021】
幾つかの実施態様において、Xは、O、S、C1~C3アルキレン-O、C1~C3アルキレン-S、又はC(R7)(R8)から選ばれる。
【0022】
幾つかの実施形態において、R7、R8は、それぞれH、ハロゲン、CN、OH、NH2又はC1~C3アルキル基から独立的に選ばれ、或いはR7、R8は、それらに連結している原子と共に、C3~C6シクロアルキル基を形成し、上記OH、NH2、C1~C3アルキル基又はC3~C6シクロアルキル基は、任意選択的にRbで置換される。
【0023】
幾つかの実施形態において、R7、R8は、それぞれH、ハロゲン又はC1~C3アルキル基から独立的に選ばれ、或いはR7、R8は、それらに連結している原子と共に、C3~C6シクロアルキル基を形成する。
【0024】
幾つかの実施形態において、R7、R8はそれぞれH、F又はメチル基から独立的に選ばれ、或いはR7、R8は、それらに連結している原子と共に、シクロプロピル基を形成する。
【0025】
幾つかの実施形態において、Xは、O、S、CH2O、CH2S、CH2、CF2、CHCH3又は
【0026】
【0027】
から選ばれる。
【0028】
幾つかの実施形態において、XはCH2から選ばれる。
【0029】
幾つかの実施形態において、R10は、OH、SH、O(C1~C3アルキル基)、O-C(=O)-(C1~C3アルキル基)又は
【0030】
【0031】
から選ばれ、上記O(C1~C3アルキル基)又はO-C(=O)-(C1~C3アルキル基)は、任意選択的にハロゲンで置換される。幾つかの実施形態において、上記O(C1~C3アルキル基)は、任意選択的にハロゲンで置換される。
【0032】
幾つかの実施形態において、R11、R12は、それぞれH、メチル基、又はエチル基から独立的に選ばれる。
【0033】
幾つかの実施形態において、R10は、OH、SH、OCH2F、O(C=O)CH3、
【0034】
【0035】
から選ばれる。
【0036】
幾つかの実施形態において、R10は、OH又は
【0037】
【0038】
から選ばれる。
【0039】
幾つかの実施形態において、環Bは、C6~C10アリール基、5~10員ヘテロアリール基、又は4~14員ヘテロシクリル基から選ばれ、上記C6~C10アリール基、5~10員ヘテロアリール基、又は4~14員ヘテロシクリル基は、任意選択的にR2aで置換される。
【0040】
幾つかの実施形態において、環Bは、5~10員ヘテロアリール基又は4~14員ヘテロシクリル基から選ばれ、上記5~10員ヘテロアリール基又は4~14員ヘテロシクリル基は、任意選択的にR2aで置換される。
【0041】
幾つかの実施形態において、そのうち、環AはR1aで置換され、及び/又は環BはR2aで置換される。
【0042】
幾つかの実施形態において、そのうち、環AはR1aで置換され、又は環BはR2aで置換される。幾つかの実施形態において、R2aは、ハロゲン、CN、=O、OH、NH2、C1~C6アルキル基、C3~C6シクロアルキル基又は4~7員ヘテロシクリル基から選ばれる。
【0043】
幾つかの実施形態において、R2aは、NH2又は=Oから選ばれる。
【0044】
幾つかの実施形態において、R2aは、NH2から選ばれる。幾つかの実施形態において、式(I)で示される化合物又はその薬学的に許容される塩は、式(Ia)で示される化合物又はその薬学的に許容される塩から選ばれ、
【0045】
【0046】
そのうち、R1、R2、環A、X及びR10は、上記で定義されている通りであり、
R3は、H、OH又はNHR9から選ばれ、R4、R5は、それらに連結している原子と共に、C5~C6シクロアルケニル基、5~6員ヘテロシクリル基、又は5~6員ヘテロアリール基を形成し、上記C5~C6シクロアルケニル基、5~6員ヘテロシクリル基、又は5~6員ヘテロアリール基は、任意選択的にR4aで置換され、或いは、R5はH、OH又はNHR9から選ばれ、R3、R4は、それらに連結している原子と共に、C5~C6シクロアルケニル基、5~6員ヘテロシクリル基又は5~6員ヘテロアリール基を形成し、上記C5~C6シクロアルケニル基、5~6員ヘテロシクリル基又は5~6員ヘテロアリール基は、任意選択的にR4aで置換され、
R9は、H、C1~C6アルキル基、C3~C6シクロアルキル基又は4~7員ヘテロシクリル基から選ばれ、上記C1~C6アルキル基、C3~C6シクロアルキル基又は4~7員ヘテロシクリル基は、任意選択的にRdで置換され、
R13、R14はそれぞれH、ハロゲン、CN、OH、NH2、O(C1~C3アルキル基)又はC1~C6アルキル基から独立的に選ばれ、
各R4aは、ハロゲン、CN、=O、OH、NH2、C1~C6アルキル基、C3~C6シクロアルキル基又は4~7員ヘテロシクリル基から独立的に選ばれ、上記OH、NH2、C1~C6アルキル基、C3~C6シクロアルキル基又は4~7員ヘテロシクリル基は、任意選択的にRdで置換され、
各Rdは、ハロゲン、CN、=O、C1~C3アルキル基、OH、O(C1~C3アルキル基)、NH2、NH(C1~C3アルキル基)又はN(C1~C3アルキル基)2から独立的に選ばれる。
【0047】
幾つかの実施形態において、R3はH、OH又はNHR9から選ばれ、R4、R5は、それらに連結している原子と共に、5~6員ヘテロシクリル基又は5~6員ヘテロアリール基を形成し、上記5~6員ヘテロシクリル基又は5~6員ヘテロアリール基は、任意選択的にR4aで置換され、或いはR5はH、OH又はNHR9から選ばれ、R3、R4は、それらに連結している原子と共に、5~6員ヘテロシクリル基又は5~6員ヘテロアリール基を形成し、上記5~6員ヘテロシクリル基又は5~6員ヘテロアリール基は、任意選択的にR4aで置換される。
【0048】
幾つかの実施形態において、R9は、H又はC1~C6アルキル基から選ばれる。
【0049】
幾つかの実施形態において、R9は、Hから選ばれる。
【0050】
幾つかの実施形態において、R3は、H、OH又はNH2から選ばれ、R4、R5は、それらに連結している原子と共に、5~6員ヘテロシクリル基又は5~6員ヘテロアリール基を形成し、上記5~6員ヘテロシクリル基又は5~6員ヘテロアリール基は、任意選択的にR4aで置換される。
【0051】
幾つかの実施形態において、R5は、H、OH又はNH2から選ばれ、R3、R4は、それらに連結している原子と共に、C5~C6シクロアルケニル基、5~6員ヘテロシクリル基又は5~6員ヘテロアリール基を形成し、上記C5~C6シクロアルケニル基、5~6員ヘテロシクリル基又は5~6員ヘテロアリール基は、任意選択的にR4aで置換される。
【0052】
幾つかの実施形態において、R5は、H、OH又はNH2から選ばれ、R3、R4は、それらに連結している原子と共に、5~6員ヘテロシクリル基又は5~6員ヘテロアリール基を形成し、上記5~6員ヘテロシクリル基又は5~6員ヘテロアリール基は、任意選択的にR4aで置換される。
【0053】
幾つかの実施形態において、R3は、Hから選ばれ、R4、R5は、それらに連結している原子と共に、5~6員ヘテロシクリル基又は5~6員ヘテロアリール基を形成し、上記5~6員ヘテロシクリル基又は5~6員ヘテロアリール基は、任意選択的にR4aで置換される。
【0054】
幾つかの実施形態において、R5はH又はNH2から選ばれ、R3、R4は、それらに連結している原子と共に、C5~C6シクロアルケニル基、5~6員ヘテロシクリル基又は5~6員ヘテロアリール基を形成し、上記C5~C6シクロアルケニル基、5~6員ヘテロシクリル基又は5~6員ヘテロアリール基は、任意選択的にR4aで置換される。
【0055】
幾つかの実施形態において、R5は、H又はNH2から選ばれ、R3、R4は、それらに連結している原子と共に、5~6員ヘテロシクリル基又は5~6員ヘテロアリール基を形成し、上記5~6員ヘテロシクリル基又は5~6員ヘテロアリール基は、任意選択的にR4aで置換される。
【0056】
幾つかの実施形態において、R3は、H、OH又はNH2から選ばれ、R4、R5は、それらに連結している原子と共に、
【0057】
【0058】
を形成し、上記
【0059】
【0060】
は、任意選択的にR4aで置換される。
【0061】
幾つかの実施形態において、R3は、Hから選ばれ、R4、R5は、それらに連結している原子と共に、
【0062】
【0063】
を形成し、上記
【0064】
【0065】
は、任意選択的にR4aで置換される。
【0066】
幾つかの実施形態において、R5は、H、OH又はNH2から選ばれ、R3、R4は、それらに連結している原子と共に、
【0067】
【0068】
を形成し、上記
【0069】
【0070】
は、任意選択的にR4aで置換される。
【0071】
幾つかの実施形態において、R5は、H、OH又はNH2から選ばれ、R3、R4は、それらに連結している原子と共に、
【0072】
【0073】
を形成し、上記
【0074】
【0075】
は、任意選択的にR4aで置換される。
【0076】
幾つかの実施形態において、R5は、H、OH又はNH2から選ばれ、R3、R4は、それらに連結している原子と共に、
【0077】
【0078】
を形成し、上記
【0079】
【0080】
は、任意選択的にR4aで置換される。
【0081】
幾つかの実施形態において、R5は、H又はNH2から選ばれ、R3、R4は、それらに連結している原子と共に、
【0082】
【0083】
を形成し、上記
【0084】
【0085】
は、任意選択的にR4aで置換される。
【0086】
幾つかの実施形態において、R5はH又はNH2から選ばれ、R3、R4は、それらに連結している原子と共に、
【0087】
【0088】
を形成し、上記
【0089】
【0090】
は、任意選択的にR4aで置換される。
【0091】
幾つかの実施形態において、R5はH又はNH2から選ばれ、R3、R4は、それらに連結している原子と共に、
【0092】
【0093】
を形成し、上記
【0094】
【0095】
は、任意選択的にR4aで置換される。
【0096】
幾つかの実施形態において、R5はH又はNH2から選ばれ、R3、R4は、それらに連結している原子と共に、
【0097】
【0098】
を形成し、上記
【0099】
【0100】
は、任意選択的にR4aで置換される。
【0101】
幾つかの実施形態において、R4aは、ハロゲン、CN、=O、OH、NH2、C1~C6アルキル基又はC3~C6シクロアルキル基から選ばれる。
【0102】
幾つかの実施形態において、R4aは、ハロゲン、CN、=O、OH、NH2又はC1~C3アルキル基から選ばれる。
【0103】
幾つかの実施形態において、R4aは、=O又はNH2から選ばれる。
【0104】
幾つかの実施形態において、R3はHから選ばれ、R4、R5は、それらに連結している原子と共に、
【0105】
【0106】
を形成する。
【0107】
幾つかの実施形態において、R3はHから選択され、R4、R5は、それらに連結している原子と共に、
【0108】
【0109】
を形成する。
【0110】
幾つかの実施形態において、R5はNH2から選ばれ、R3、R4は、それらに連結している原子と共に、
【0111】
【0112】
を形成する。
【0113】
幾つかの実施形態において、R5はNH2から選ばれ、R3、R4は、それらに連結している原子と共に、
【0114】
【0115】
を形成する。
【0116】
幾つかの実施形態において、R13、R14は、それぞれH又はNH2から独立的に選らばる。
【0117】
幾つかの実施形態において、R13は、Hから選ばれる。
【0118】
幾つかの実施形態において、R14は、H又はNH2から選ばれる。
【0119】
幾つかの実施形態において、R14は、Hから選ばれる。
【0120】
幾つかの実施形態において、
【0121】
【0122】
は、
【0123】
【0124】
から選ばれる。
【0125】
幾つかの実施形態において、
【0126】
【0127】
は、
【0128】
【0129】
から選ばれる。
【0130】
幾つかの実施形態において、
【0131】
【0132】
は、
【0133】
【0134】
から選ばれる
幾つかの実施形態において、
【0135】
【0136】
は、
【0137】
【0138】
から選ばれる。
【0139】
幾つかの実施形態において、
【0140】
【0141】
は、
【0142】
【0143】
から選ばれる。
【0144】
幾つかの実施形態において、
【0145】
【0146】
は、
【0147】
【0148】
から選ばれる
矛盾がない限り、上述の実施形態は任意に組み合わせて、組み合わせた実施形態の特徴を含む技術案を形成できることが理解されるべきである。このような組み合わせた技術案は、本発明の範囲内にある。
【0149】
幾つかの実施形態において、式(I)で示される化合物又はその薬学的に許容される塩は、下記の化合物又はその薬学的に許容される塩から選ばれ、
【0150】
【0151】
【0152】
【0153】
【0154】
【0155】
である。
【0156】
別の態様において、本発明は、本発明の式(I)で示される化合物又はその薬学的に許容される塩及び薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物を提供する。
【0157】
別の態様において、本発明は、治療を必要とする個体(例えば哺乳動物、好ましくはヒト)に、治療有効量の式(I)で示される化合物又はその薬学的に許容される塩、或いはその医薬組成物を投与することを含む、個体(例えば哺乳動物)におけるグルココルチコイド受容体によって媒介される疾患を治療する方法を提供する。
【0158】
別の態様において、本発明は、式(I)で示される化合物又はその薬学的に許容される塩、或いはその医薬組成物の、グルココルチコイド受容体によって媒介される疾患を予防又は治療するための薬物の製造における用途を提供する。
【0159】
別の態様において、本発明は、式(I)で示される化合物又はその薬学的に許容される塩、或いはその医薬組成物の、グルココルチコイド受容体によって媒介される疾患の予防又は治療における用途を提供する。
【0160】
別の態様において、本発明は、グルココルチコイド受容体によって媒介される疾患を予防又は治療するための、式(I)で示される化合物又はその薬学的に許容される塩、或いはその医薬組成物を提供する。
【0161】
別の態様において、本発明は、治療を必要とする個体(例えば哺乳動物、好ましくはヒト)に、治療有効量の式(I)で示される化合物又はその薬学的に許容される塩、或いはその医薬組成物を投与することを含む、個体(例えば哺乳動物)における腫瘍、炎症性疾患又は自己免疫疾患を治療する方法を提供する。
【0162】
別の態様において、本発明は、式(I)で示される化合物又はその薬学的に許容される塩、或いはその医薬組成物の、腫瘍、炎症性疾患又は自己免疫疾患を治療するための薬物の製造における用途を提供する。
【0163】
別の態様において、本発明は、式(I)で示される化合物又はその薬学的に許容される塩、或いはその医薬組成物の、腫瘍、炎症性疾患又は自己免疫疾患の治療における用途を提供する。
【0164】
別の態様において、本発明は、腫瘍、炎症性疾患又は自己免疫疾患を治療するための、式(I)で示される化合物又はその薬学的に許容される塩、或いはその医薬組成物を提供する。
【0165】
幾つかの実施形態において、グルココルチコイド受容体によって媒介される疾患は、腫瘍、炎症性疾患又は自己免疫疾患から選ばれる。
【0166】
本発明の有益な効果
本発明の化合物は、グルココルチコイド受容体に対して強い結合活性を有するが、他のホルモン受容体に対しては結合活性が弱いか不活性であり、本発明の化合物のかかる強い選択性は、他のホルモン受容体に作用する副作用を減少させることが期待される。本発明の化合物は、更に良好な肝ミクロソーム代謝安定性を有する。また、本発明の化合物は、薬物間相互作用(drug-druginteraction、DDI)DDIを生じる潜在的なリスクが少なく、更に本発明の化合物は、hERGカリウムイオンチャネルに対して有意に阻害せず、本発明の化合物は、hERGカリウムイオンチャネルの阻害による心毒性の発生のリスクが低いことが示される。
【0167】
用語の定義及び説明
特に説明のない限り、本発明で使用される用語は、以下の意味を有し、本発明に記載の基と用語の定義は、実例としての定義、例示的な定義、好ましい定義、表に記載される定義、実施例における具体的な化合物の定義等を含み、互いに任意に組み合わせたり、結合したりすることができる。1つの特定の用語は、特別に定義されていない場合に、不確定又は不明瞭であるとみなされるべきではなく、当該分野における一般的な意味に従って理解すべきである。本明細書に商品名が現れる場合、その対応する商品又はその活性成分を指すことを意図する。
【0168】
本明細書において、「
【0169】
【0170】
」は連結部位を示す。
【0171】
本明細書におけるラセミ体又はエナンチオマー的に純粋な化合物のグラフ表示は、Maehr、J.Chem.Ed.1985、62:114-120からのものである。特に断りのない限り、くさび形結合と破線のくさび形結合(
【0172】
【0173】
)で立体中心の絶対配置を表し、黒い実線結合と破線結合(
【0174】
【0175】
)で立体中心の相対配置(例えば、脂環式化合物のシス-トランス配置)を表す。
【0176】
「互変異性体」という用語は、分子内のある原子が2つの位置で迅速に移動することによって生じられた官能基異性体を指す。本発明の化合物は、互変異性現象を示すことができる。互変異性化合物は、2種又は複数種の相互転化可能な種類があり得る。互変異性体は一般的に平衡状態で存在し、単一の互変異性体を分離してみる場合に、通常、物理化学的特性が化合物の混合物に一致する混合物が生成される。平衡の位置は、分子内の化学的特性によって決められる。例えば、多くの脂肪族アルデヒド及びケトン、例えばアセトアルデヒドでは、ケト型が優勢であるが、フェノールでは、エノール型が優勢である。本発明は、化合物の全ての互変異性形態を含む。
【0177】
「立体異性体」という用語は、分子内の原子の空間上の異なる配置により生じる異性体を指し、シス-トランス異性体、エナンチオマー及びジアステレオマーを含む。
【0178】
本発明の化合物は、炭素原子、硫黄原子、窒素原子、リン原子又は不斉二重結合等の不斉原子を有することができるので、本発明の化合物は特定の幾何異性体又は立体異性体の形態で存在することができる。特定の幾何異性体又は立体異性体は、シス及びトランス異性体、E型とZ型幾何異性体、(-)-と(+)-エナンチオマー、(R)-と(S)-エナンチオマー、ジアステレオマー、(D)-異性体、(L)-異性体、及びそのラセミ混合物又は他の混合物、例えば、エナンチオマーやジアステレオマーに富む混合物であってもよく、上記のこれらの異性体及びそれらの混合物の全ては、本発明の化合物の定義の範囲内に属する。アルキル基等の置換基には、他の不斉炭素原子、不斉硫黄原子、不斉窒素原子又は不斉リン原子が存在してもよく、全ての置換基に係るこれらの異性体及びそれらの混合物も全て本発明の化合物の定義の範囲内に含まれる。本発明の不斉原子を含む化合物は、光学活性純粋形態又はラセミ体形態で単離されることができ、光学活性純粋形態は、ラセミ混合物から分割され、又はキラル原料又はキラル試薬を使用することで合成されてもよい。
【0179】
「置換される」という用語は、特定の原子の原子価が正常であり、且つ置換された化合物が安定である限り、特定の原子における何れか1つ又は複数の水素原子が置換基によって置換されることを指す。置換基がオキソ(即ち、=O)である場合、2つの水素原子が置換されることを意味し、芳香族基にはオキソが発生しない。
【0180】
「任意」又は「任意に」という用語は、その後に説明されるイベント又は状況が起こり得る、又は起こり得ないことを指し、当該説明には、記載されるイベント又は状況が発生する場合と、発生しない場合とを含む。例えば、エチル基は「任意に」ハロゲンによって置換されることとは、エチル基が非置換(CH2CH3)、一置換(CH2CH2F、CH2CH2Cl等)、多置換(CHFCH2F、CH2CHF2、CHFCH2Cl、CH2CHCl2等)又は完全置換(CF2CF3、CF2CCl3、CCl2CCl3等)であり得ることを指す。当業者は、1つ又は複数の置換基を含む任意の基について、立体的に存在し得ない及び/又は合成できない任意の置換又は置換パターンが導入されないことが理解できる。
【0181】
何れかの変量(例えば、Ra、Rb)が化合物の組成又は構造において1回以上出現する場合、それぞれの場合における定義は、何れも独立している。例えば、1つの基が2つのRbによって置換されると、各Rbは独立したオプションがある。
【0182】
1つの連結基の数が0、例えば-(CH2)0-である場合、当該連結基が結合であることを示す。
【0183】
そのうちの1つの変量が化学結合から選ばれるか、又は存在しない場合、その連結される2つの基が直接連結されることを示し、例えば、A-L-ZにおいてLが結合を表す場合、当該構造は実際にA-Zであることを示す。
【0184】
本明細書に係わる連結基がその連結方向を明示していない場合、その連結方向は任意である。例えば、構造単位
【0185】
【0186】
におけるXが「C1~C3アルキレン-O」から選ばれる場合、この時、Xは、左から右の方向に環Aと環Bとを連結して「環A-C1~C3アルキレン-O-環B」を構成してもよく、右から左の方向に環Aと環Bとを連結して「環A-O-C1~C3アルキレン-環B」を構成してもよい。
【0187】
1つの置換基の結合が1つの環における2つの原子に架橋する場合、このような置換基は、当該環における任意の原子に結合することができる。例えば、構造単位
【0188】
【0189】
は、R5がベンゼン環における任意の位置で置換することができることを示す。
【0190】
本明細書において、Cm~Cnとは、m~nの範囲の整数の炭素原子を有することを指す。例えば、「C1~C10」とは、当該基が1個の炭素原子、2個の炭素原子、3個の炭素原子、4個の炭素原子、5個の炭素原子、6個の炭素原子、7個の炭素原子、8個の炭素原子、9個の炭素原子又は10個の炭素原子を有することができることを指す。
【0191】
「アルキル基」という用語は、一般式がCnH2n+1である炭化水素基を指し、当該アルキル基は直鎖又は分岐鎖であってもよい。例えば、「C1~C6アルキル基」という用語は、1個、2個、3個、4個、5個又は6個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖の飽和炭化水素基を表すと理解されることができる。上記アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、1-メチルブチル基、2-メチルブチル基、3-メチルブチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、2-メチルペンチル基等を含むが、これらに限定されない。「C1~C3アルキル基」という用語は、1~3個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖の飽和アルキル基を表すと理解されることができる。上記「C1~C6アルキル基」は、更に「C1~C3アルキル基」を更に含んでもよい。
【0192】
「アルコキシ基」という用語は、直鎖又は分岐鎖アルコールからヒドロキシル基上の水素原子を失った基を指し、「アルキルオキシ基」又は「アルキル-O-」と理解されることができる。「C1~C6アルコキシ基」という用語は、「C1~C6アルコキシ基」又は「C1~C6アルキル-O-」と理解されることができる。上記「C1~C6アルコキシ基」は、更に「C1~C3アルコキシ基」を更に含んでもよい。
【0193】
「シクロアルキル」という用語は、完全に飽和しており、単環、並列環、架橋環又はスピロ環の形態で存在する炭素環基を指す。特に断りのない限り、当該炭素環は通常に3~10員環(例えば、3、4、5、6、7、8、9、10員環)である。「C3~C10シクロアルキル」という用語は、3~10個の炭素原子を有する飽和の単環、並列環、スピロ環、又は架橋環を表すと理解することができる。上記シクロアルキル基の具体例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基、ノルボルナン(ビシクロ[2.2.1]ヘプチル基)、ビシクロ[2.2.2]オクチル基、アダマンチル基、スピロ[4.5]デカン等を含むが、これらに限定されない。「C3~C10シクロアルキル基」という用語は、「C3~C6シクロアルキル基」を含んでもよく、「C3~C6シクロアルキル基」という用語は、3~6個の炭素原子を有する飽和の単環又は二環炭化水素環を表すと理解されることができ、具体例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、又はシクロヘキシル基等を含むが、これらに限定されない。
【0194】
「シクロアルキルオキシ基」という用語は、「シクロアルキル-O-」と理解されることができる。
【0195】
「シクロアルケニル基」という用語は、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を有し、単環、縮環、架橋環、又はスピロ環の形態で存在する不完全飽和の非芳香族炭素環基を指す。特に断りのない限り、当該炭素環は通常に5~8員環である。「C5~C6シクロアルケニル基」という用語は、炭素原子数が5又は6のシクロアルケニル基を指し、具体例としては、シクロペンテニル、シクロペンタジエニル、シクロヘキセニル、シクロヘキサジエニル等を含むが、これらに限定されない。
【0196】
「ヘテロシクリル基」という用語は、その環原子中に1~5個(例えば、1~3個又は1~2個)のヘテロ原子又はヘテロ原子団(即ち、ヘテロ原子を含む原子団)を含む、完全飽和又は部分飽和の(全体として芳香族性を有する複素芳香族ではない)単環、縮合環、スピロ環又は架橋環基を指し、上記「ヘテロ原子又はヘテロ原子団」は、窒素原子(N)、酸素原子(O)、硫黄原子(S)、リン原子(P)、ホウ素原子(B)、-S(=O)2-、-S(=O)-、-P(=O)2-、-P(=O)-、-NH-、-S(=O)(=NH)-、-C(=O)NH-又は-NHC(=O)NH-等を含むが、これらに限定されない。「4~14員ヘテロシクロアルキル基」という用語は、環原子数が4、5、6、7、8、9、10、11、12、13又は14のヘテロシクロアルキル基を指し、その環原子は、上記のものから独立的に選ばれる1~5個のヘテロ原子又はヘテロ原子団を含む。「4~14員ヘテロシクリル基」は、「4~10員ヘテロシクリル基」又は「4~7員ヘテロシクリル基」等を含み、そのうち、4員ヘテロシクリル基の具体例としては、アゼチジニル基又はオキセタニル基を含むが、これらに限定されなく、5員ヘテロシクリル基の具体例としては、テトラヒドロフラニル基、ジオキソリル基、ピロリジニル基、イミダゾリジニル基、ピラゾリジニル基、ピロリニル基、4,5-ジヒドロオキサゾール基、又は2,5-ジヒドロ-1H-ピロリル基を含むが、これらに限定されなく、6員ヘテロシクリル基の具体例としては、テトラヒドロピラニル基、ピペリジニル基、モルホリニル基、ジチアニル基、チオモルホリニル基、ピペラジニル基、トリチアニル基、テトラヒドロピリジル基又は4H-[1,3,4]チアジアジニル基を含むが、これらに限定されなく、7員ヘテロシクリル基の具体例としては、ジアゼパニル基を含むが、これらに限定されない。上記ヘテロシクリル基は、二環基であってもよく、そのうち、5,5員二環基の具体例としては、ヘキサヒドロシクロペンタ[c]ピロール-2(1H)-イルを含むが、これに限定されなく、5,6員二環基の具体例としては、ヘキサヒドロピロロ[1,2-a]ピラジン-2(1H)-イル、5,6,7,8-テトラヒドロ-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジニル基又は5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピラジニル基を含むが、これらに限定されない。好ましくは、上記ヘテロシクリル基は上記の4~7員ヘテロシクリル基のベンゾ縮合環基であってもよく、具体例としては、ジヒドロイソキノリニル基等を含むが、これに限定されない。「4~10員ヘテロシクリル基」は、「5~10員ヘテロシクリル基」、「4~7員ヘテロシクリル基」、「5~6員ヘテロシクリル基」、「6~8員ヘテロシクリル基」、「4~10員ヘテロシクロアルキル基」、「5~10員ヘテロシクロアルキル基」、「4~7員ヘテロシクロアルキル基」、「5~6員ヘテロシクロアルキル基」、「6~8員ヘテロシクロアルキル基」等の範囲を含んでもよく、「4~7員ヘテロシクリル基」は、更に「4~6員ヘテロシクリル基」、「5~6員ヘテロシクリル基」、「4~7員ヘテロシクロアルキル基」、「4~6員ヘテロシクロアルキル基」、「5~6員ヘテロシクロアルキル基」等の範囲を含んでもよい。本発明において、一部の二環式ヘテロシクリル基は部分的に1つのベンゼン環又は1つのヘテロアリール環を含むが、上記ヘテロシクリル基は全体的に依然として非芳香族性である。
【0197】
「アリール基」という用語は、共役したπ電子系を有する全炭素単環又は縮合多環の芳香環基を指す。「C6~C10アリール基」という用語は、6~10個の炭素原子を有するアリール基として理解されることができる。特に、フェニル基等の6個の炭素原子を有する環(「C6アリール基」)、又はインダニル基又はインデニル基等の9個の炭素原子を有する環(「C9アリール基」)、又はテトラヒドロナフチル基、ジヒドロナフチル基又はナフチル基等の10個の炭素原子を有する環(「C10アリール基」)である。
【0198】
「アリールオキシ基」という用語は、「アリール-O-」と理解されることができる。
【0199】
「ヘテロアリール基」という用語は、N、O、及びSから選ばれる少なくとも1つの環原子を含み、残りの環原子がCの芳香族環基である、芳香族性単環又は縮合多環系を有することを指す。「5~10員ヘテロアリール基」という用語は、以下のような単環又は二環芳香族環系を含むと理解されることができる:5、6、7、8、9又は10個の環原子、特に、5又は6又は9又は10個の環原子を有すると共に、1~5個、好ましくは1~3個のN、O及びSから独立的に選ばれるヘテロ原子を含む。特に、ヘテロアリール基は、チエニル基、フラニル基、ピロリル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、イソオキサゾリル基、イソチアゾリル基、オキサジアゾリル基、トリアゾリル基又はチアジアゾリル基等及びそれらのベンゾ誘導物、例えば、ベンゾフラニル基、ベンゾチエニル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾイソオキサゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾトリアゾリル基、インダゾリル基、インドリル基又はイソインドリル基等、或いは、ピリジニル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基又はトリアジニル基等及びそれらのベンゾ誘導物、例えば、キノリル基、キナゾリニル基、イソキノリル基等、或いは、アゾシニル基、インドリジニル基、プリニル基等及びそれらのベンゾ誘導物、或いは、シンノリニル基、フタラジニル基、キナゾリニル基、キノキサリニル基、ナフチリジニル基、プテリジニル基、カルバゾリル基、アクリジニル基、フェナジニル基、フェノチアジニル基又はフェノキサジニル基等から選ばれる。「5~6員ヘテロアリール基」という用語は、5又は6個の環原子を有する芳香族環系を指し、且つ1~3個、好ましくは1~2個のN、O及びSから独立的に選ばれるヘテロ原子を含む。
【0200】
「ヘテロアリールオキシ基」という用語は、「ヘテロアリール-O-」と理解されることができる。
【0201】
「ハロ」又は「ハロゲン」という用語は、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素を指す。
【0202】
「ヒドロキシ基」という用語は、-OH基を指す。
【0203】
「シアノ基」という用語は、-CN基を指す。
【0204】
「メルカプト基」という用語は、-SH基を指す。
【0205】
「アミノ基」という用語は、-NH2基を指す。
【0206】
「治療有効量」という用語は、(i)特定の疾患、病態又は障害を治療する、(ii)特定の疾患、病態又は障害の1つ又は複数の症状を軽減、改善又は排除する、或いは(iii)本明細書に記載の特定の疾患、病態又は障害の1つ又は複数の症状の発症を遅らせる本発明の化合物の用量を意味する。「治療有効量」を構成する本発明の化合物の量は、当該化合物、疾患状態及びその重症度、投与方法、並びに治療対象となる哺乳動物の年齢に応じて変化するが、当業者が自身の知識及び本開示の内容に従って日常的に決定することができる。
【0207】
「予防する」という用語は、疾患又は上記疾患に関連する1つ又は複数の症状を予防するために本発明に記載の化合物又は製剤を投与することを意味し、且つ個体(例えば、哺乳動物)における疾患又は疾患状態の発生を予防すること、特にかかる種類の個体(例えば、哺乳動物)が当該疾患状態にかかりやすいが、疾患状態にかかっているとまだ診断されていない場合を含む。
【0208】
「薬学的に許容される」という用語は、信頼できる医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激性、アレルギー反応又は他の問題や合併症がなく、合理的な利益/リスク比に見合った、ヒト及び動物の組織との接触に使用するのに適する化合物、材料、組成物及び/又は剤形を意味する。
【0209】
「薬学的に許容される塩」という用語は、化合物と無機酸又は有機酸で形成される塩、及び化合物と無機塩基又は有機塩基で形成される塩を含む、薬学的に許容される酸又は塩基の塩を指す。
【0210】
「医薬組成物」という用語は、1つ又は複数の本発明の化合物又はその塩と薬学的に許容される賦形剤との混合物を指す。医薬組成物の目的は、有機体への本発明の化合物の投与を容易にすることである。
【0211】
「薬学的に許容される賦形剤」という用語は、有機体に対して明らかな刺激効果を持たず、当該活性化合物の生物学的活性及び性能を損なわない賦形剤を指す。適切な賦形剤は当業者に周知のものであり、例えば炭水化物、ワックス、水溶性及び/又は水膨潤性ポリマー、親水性又は疎水性材料、ゼラチン、油、溶媒、水等である。
【0212】
「個体」という用語は、哺乳動物及び非哺乳動物を含む。哺乳動物の実例としては、哺乳動物綱の任意のメンバーである、ヒト、非ヒト霊長類(例えば、チンパンジー及び他の類人猿並びにサル)、ウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ブタ等の家畜、ウサギ、イヌ、ネコ等のペット動物、ラット、マウス、モルモット等のげっ歯類動物を含む実験動物を含むが、これらに限定されない。非ヒト哺乳動物の実例としては、鳥類と魚類等を含むが、これらに限定されない。本明細書で提供される方法及び組成物の一実施形態では、上記哺乳動物はヒトである。
【0213】
単語「含む(comprise)」又は「包含する(comprise)」及びその英語の変形、例えばcomprises、又はcomprisingは、開放的かつ非排他的な意味、即ち「含むがこれに限定されない」と理解されることができる。
【0214】
本発明に記載のリン酸エステル系化合物(例えば、R10は
【0215】
【0216】
から選ばれる化合物)は、エステル系プロドラッグであり、生物体内のホスファターゼにより加水分解されて生物学的活性を有する化合物を放出する。例えば、リン酸エステル系化合物
【0217】
【0218】
は生物体内のホスファターゼにより加水分解されて放出され、グルココルチコイド受容体アゴニスト
【0219】
【0220】
を得る。従って、当業者は、化合物009がある生物学的活性(例えば、グルココルチコイド受容体アゴニスト活性)を有する場合、対応するエステル系化合物009-pも生物体内で同じ又は類似の生物学的活性を有することを理解又は予想することができる。
【0221】
本発明は更に、本明細書に記載されるものと同じであるが、1つ又は複数の原子が、自然界で通常見られる原子量又は質量数と異なる原子量又は質量数を有する原子で置換された同位体標識の本発明化合物を含む。本発明の化合物に結合可能な同位体の実例としては、水素、炭素、窒素、酸素、リン、硫黄、フッ素、ヨウ素及び塩素の同位体を含み、例えば、それぞれ2H、3H、11C、13C、14C、13N、15N、15O、17O、18O、31P、32P、35S、18F、123I、125I及び36Cl等である。
【0222】
一部の同位体標識の本発明の化合物(例えば、3Hと14Cで標識されるもの)は、化合物及び/又は基質組織分布の分析に使用されることができる。トリチウム化(即ち、3H)と炭素-14(即ち、14C)同位体は、製造の容易さと検出可能性で、特に好ましい。15O、13N、11C、18F等の陽電子放出同位体は、陽電子放射断層撮影(PET)研究で基質の占有率を測定するために使用することができる。本発明の同位体標識化合物は通常、以下の方案及び/又は実施例に開示されるものと同様の手順で、非同位体標識試薬を同位体標識試薬に置き換えることにより製造することができる。
【0223】
本発明の医薬組成物は、本出願の化合物を適切な薬学的に許容される賦形剤と組み合わせることによって製造することができ、例えば、錠剤、丸剤、カプセル剤、粉剤、顆粒、軟膏、乳剤、懸濁剤、坐剤、注射剤、吸入剤、ゲル剤、マイクロスフェア、及びエアロゾル等の固体、半固体、液体又は気体の製剤に製造することができる。
【0224】
本発明の化合物又はその薬学的に許容される塩、或いはその医薬組成物の代表的な投与経路としては、経口、直腸、局所、吸入、非経口、舌下、膣内、鼻腔内、眼内、腹膜内、筋肉内、皮下、静脈内投与を含むが、これらに限定されない。
【0225】
本発明の医薬組成物は、通常の混合法、溶解法、造粒法、乳化法、凍結乾燥法等の当該技術分野で周知の方法により製造することができる。
【0226】
幾つかの実施形態において、医薬組成物は経口剤形である。経口投与の場合、当該医薬組成物は、活性化合物を当該技術分野で周知の薬学的に許容される賦形剤と混合することにより製造することができる。これらの賦形剤により、本発明の化合物を、患者に経口投与するための錠剤、丸剤、トローチ剤、糖衣錠、カプセル剤、液体、ゲル剤、スラリー、懸濁剤等に製造することができる。
【0227】
固体経口組成物は、通常の混合、充填又は打錠の方法によって製造することができる。例えば、上記活性化合物を固体賦形剤と混合し、得られた混合物を任意選択的に粉砕し、必要に応じて他の適切な賦形剤を添加し、続いで当該混合物を顆粒に加工して錠剤又は糖衣錠のコアを得るという方法によって得られる。適切な賦形剤としては、接着剤、希釈剤、崩壊剤、潤滑剤、流動促進剤又は矯味剤等を含むが、これらに限定されない。
【0228】
医薬組成物はまた、適切な単位剤形の滅菌溶液、懸濁剤、又は凍結乾燥製品等の非経口投与にも適用可能である。
【0229】
本明細書に記載の化合物の全ての投与方法において、1日当たりに投与される投与量は、個別又は分割投与の形態で0.001mg/kg~200mg/kg体重、好ましくは0.05mg/kg~50mg/kg体重、より好ましくは0.1mg/kg~30mg/kg体重である。
【0230】
本発明は下記の略語を用いる。
【0231】
【図面の簡単な説明】
【0232】
【
図1】本発明の実施例1の中間体1~5のCOSY図である。
【
図2】本発明の試験例6におけるCHSマウスモデルでの試験化合物の薬効試験結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0233】
以下、実施例により本発明を詳しく説明するが、本発明への何らかの不利な制限を意味するものではない。本明細書は既に本発明を詳細に説明し、その具体的な実施例形態も開示されているが、当業者にとっては、本発明の精神と範囲から逸脱することなく、本発明の具体的な実施形態に対して様々な変更を行うことが明らかである。本発明に用いられる全ての試薬は市販されるものであり、更に精製することなく使用することができる。
【0234】
特に断りのない限り、混合溶媒の比率は体積混合比である。
【0235】
特に断りのない限り、%とはwt%を指す。
【0236】
溶離剤又は移動相は、2つ又は2つ以上の溶媒から構成される混合溶離剤又は移動相であってもよく、その比率は各溶媒の体積比であり、例えば、「0~10%メタノール/ジクロロメタン」は混合溶離剤又は移動相におけるメタノールとジクロロメタンの体積使用量比が0:100~10:100であることを示す。
【0237】
化合物は人工又はChemDraw(R)ソフトウェアで命名され、市販化合物はメーカーのカタログ名を用いる。
【0238】
化合物の構造は、核磁気共鳴(NMR)及び/又は質量分析(MS)によって決定された。NMRシフトの単位は10-6(ppm)である。NMR測定に使用した溶媒は、重水素化ジメチルスルホキシド、重水素化クロロホルム、重水素化メタノール等であり、内部標準はテトラメチルシラン(TMS)であり、「IC50」は半数阻害濃度で、最大阻害効果の半分が達成される時の濃度を指し、「EC50」は半数最大効果濃度が可能で、最大効果の50%を引き起こす濃度を指す。
【0239】
実施例1:(6aR,6bS,7S,8aS,8bS,10R,11aR,12aS,12bS)-10-(4-((7-アミノ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-4-イル)メチル)フェニル)-7-ヒドロキシ-8b-(2-ヒドロキシアセチル)-6a,8a-ジメチル-6a,6b,7,8,8a,8b,11a,12,12a,12b-デカヒドロ-1H-ナフト[2’,1’:4,5]インデノ[1,2-d][1,3]ジオキソラン-4(2H)-オン(化合物001)の合成
【0240】
【0241】
合成経路と具体的な合成ステップ:
【0242】
【0243】
第1ステップ:4-ブロモ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-7-アミン1-2の合成
文献(WO2016169504A1)に記載の方法に従い、2,3-ジヒドロベンゾフラン-7-アミン(1.0g、7.40mmol)をジメチルホルムアミド(20mL)に溶解し、N-ブロモスクシンイミド(1.48g、8.33mmol)を添加し、25℃で3時間撹拌した。LCMSは反応が完了したことを示し、水(20mL)を添加して希釈し、酢酸エチル(100mL×2)で抽出し、有機相を飽和塩化ナトリウム水(30mL×2)で洗浄し、有機相を乾燥濾過して減圧濃縮し、粗生成物をカラムクロマトグラフィー(テトラヒドロフラン/石油エーテル=1/4)で分離精製し、4-ブロモ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-7-アミン1-2(1.0g)を得た。
【0244】
LC-MS: Rt: 0.444 min; MS m/z (ESI): 213.9 [M+H] +。
第2ステップ:(4-ブロモ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-7-イル)tert-ブチルカルバメートの合成
4-ブロモ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-7-アミン1-2(1.0g、4.67mmol)をジクロロメタン(20mL)に溶解し、二炭酸ジ-tert-ブチル(1.41g、6.46mmol)及び4-ジメチルアミノピリジン(571mg、4.67mmol)を添加し、25℃で16時間撹拌した。LCMSは反応が完了したことを示し、水(20mL)を添加して希釈し、酢酸エチル(100mL×2)で抽出し、有機相を飽和塩化ナトリウム水溶液(30mL)で洗浄し、有機相を乾燥濾過して減圧濃縮し、粗生成物をカラムクロマトグラフィー(テトラヒドロフラン/石油エーテル=1/5)で分離精製し、(4-ブロモ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-7-イル)tert-ブチルカルバメート1-3(600mg、38.8)を得た。
【0245】
LC-MS: Rt: 1.756 min; MS m/z (ESI): 258.1 [M-56+H] +;
1H NMR (400 MHz, CHLOROFORM-d) δ = 7.71 - 7.54 (m, 1H), 6.87 (d, J = 8.6 Hz, 1H), 6.44 (s, 1H), 4.55 (t, J = 8.8 Hz, 2H), 3.15 (t, J = 8.8 Hz, 2H), 1.43 (s, 9H)。
第3ステップ:(4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-2,3-ジヒドロベンゾフラン-7-イル)tert-ブチルカルバメート1-4の合成
(4-ブロモ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-7-イル)tert-ブチルカルバメート1-3(450mg、1.43mmol)をジオキサン(10mL)に溶解し、ビス(ピナコラート)ジボロン(909mg、3.58mmol)、[1,1-ビス(ジフェニルホスフィン)フェロセン]ジクロロパラジウム(105mg、0.14mmol)及び酢酸カリウム(422mg、4.30mmol)を添加し、窒素雰囲気下、80℃で16時間撹拌した。LCMSは反応が完了したことを示し、反応液を濾過濃縮し、残渣をカラムクロマトグラフィー(テトラヒドロフラン/石油エーテル=1/6)で分離精製し、化合物1-4(410mg、79.2%)を得た。
【0246】
LC-MS: Rt: 1.937 min; MS m/z (ESI): 306.2 [M-56+H] +。
第4ステップ:(6aR,6bS,7S,8aS,8bS,10R,11aR,12aS,12bS)-10-(4-(ブロモメチル)フェニル)-7-ヒドロキシ-8b-(2-ヒドロキシアセチル)-6a,8a-ジメチル-6a,6b,7,8,8a,8b,11a,12,12a,12b-デカヒドロ-1H-ナフト[2’,1’:4,5]インデノ[1,2-d][1,3]ジオキソラン-4(2H)-オン1-5の合成
反応物である16α-ヒドロキシプレドニゾロンF1(1g、2.66mmol)及び無水硫酸マグネシウム(1.22g、10.1mmol)をアセトニトリル(20mL)に溶解し、25℃で1時間撹拌し、更に4-(ブロモメチル)ベンズアルデヒド(529mg、2.66mmol)をアセトニトリル(2mL)に溶解して反応液に添加し、0℃まで冷却し、トリフルオロメタンスルホン酸(1.88g、12.5mmol)を滴下し、25℃で2時間撹拌した。LCMSは反応が完了したことを示し、反応液を炭酸水素ナトリウム水溶液(20mL)でクエンチし、酢酸エチル(100mL×2)で抽出し、有機相を飽和塩化ナトリウム水溶液(50mL)で洗浄し、有機相を乾燥濾過して減圧濃縮し、粗生成物をカラムクロマトグラフィー(テトラヒドロフラン/石油エーテル=1/2)で分離精製し、得られた粗生成物をSFC[カラム:DAICEL CHIRALCEL OD(250mm*50mm、10μm);移動相:A:0.1%アンモニアメタノール溶液;B:CO2、50%]で分離精製し、中間体1-5(1.2g、80.9%)を得た。
【0247】
LC-MS: Rt: 1.551 min; MS m/z (ESI): 557.1 [M+H] +;
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ = 7.45 (s, 3H), 7.31 (d, J = 10.1 Hz, 1H), 6.16 (dd, J = 1.8, 10.1 Hz, 1H), 5.93 (s, 1H), 5.75 (s, 1H), 5.45 (s, 1H), 5.16 - 5.03 (m, 1H), 4.94 (d, J = 4.9 Hz, 1H), 4.79 (d, J = 3.0 Hz, 1H), 4.68 (s, 2H), 4.53 ( d, J = 19.5 Hz, 1H), 4.30 ( s, 1H), 4.19 ( d, J = 19.4 Hz, 1H), 2.61 - 2.53 (m, 1H), 2.31-2.25 ( m, 1H), 2.17 - 2.07 (m, 1H), 2.06 - 1.98 (m, 1H), 1.81 - 1.61 (m, 5H), 1.39 (s, 3H), 1.10 - 0.99 (m, 2H), 0.87 (s, 3H)。
【0248】
中間体1-5の絶対配置は2次元核磁気によって検証された(
図1を参照)。
第5ステップ:tert-ブチル(4-(4-((6aR,6bS,7S,8aS,8bS,10R,11aR,12aS,12bS)-7-ヒドロキシ-8b-(2-ヒドロキシアセチル)-6a,8a-ジメチル-4-オキシ-2,4,6a,6b,7,8,8a,8b,11a,12,12a,12b-ドデカヒドロ-1H-ナフト[2’,1’:4,5]インデノ[1,2-d][1,3]ジオキソラン-10-イル)ベンジル)-2,3-ジヒドロベンゾフラン-7-イル)カルバメート1-6の合成
化合物1-5(300mg、0.54mmol)をテトラヒドロフラン(6mL)及び水(0.6mL)に溶解し、tert-ブチル(4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-2,3-ジヒドロベンゾフラン-7-イル)カルバメート(194mg、0.54mmol)、[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(78.8mg、0.11mmol)及び炭酸カリウム(223mg、1.61mmol)を添加し、窒素雰囲気下、80℃で16時間撹拌した。LCMSは反応が完了したことを示し、反応液を濾過濃縮し、残渣をカラムクロマトグラフィー(テトラヒドロフラン/石油エーテル=1/1)で分離精製し、化合物1-6(300mg、54.8%)を得た。
【0249】
LC-MS: Rt: 0.584 min; MS m/z (ESI): 712.4 [M+H]+。
第6ステップ:(6aR,6bS,7S,8aS,8bS,10R,11aR,12aS,12bS)-10-(4-((7-アミノ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-4-イル)メチル)フェニル)-7-ヒドロキシ-8b-(2-ヒドロキシアセチル)-6a,8a-ジメチル-6a,6b,7,8,8a,8b,11a,12,12a,12b-デカヒドロ-1H-ナフト[2’,1’:4,5]インデノ[1,2-d][1,3]ジオキソラン-4(2H)-オン001の合成
1-6(280mg、0.39mmol)をジクロロメタン(6mL)に溶解し、トリフルオロ酢酸(2mL)を添加し、25℃で1時間撹拌した。LCMSは反応が完了したことを示し、反応液を濃縮し、粗生成物を分取HPLC[カラム:Phenomenex luna30*30mm*10μm;YMC AQ100*30*10μm;移動相:A:水(HCl);B:ACN、B%、30%~60%、15min]で分離精製し、化合物001(10mg、19.0%)を得た。
【0250】
LC-MS: Rt: 1.511 min; MS m/z (ESI): 612.5 [M+H] +;
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ = 9.52 - 8.19 (m, 2H), 7.38 (d, J = 8.1 Hz, 2H), 7.32 (d, J = 10.1 Hz, 1H), 7.20 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 6.89 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 6.65 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 6.17 (dd, J = 1.8, 10.1 Hz, 1H), 5.93 (s, 1H), 5.41 (s, 1H), 4.92 (d, J = 5.0 Hz, 1H), 4.81 (br s, 1H), 4.60 (t, J = 8.8 Hz, 2H), 4.50 (d, J = 19.4 Hz, 1H), 4.29 (br s, 1H), 4.18 (d, J = 19.4 Hz, 1H), 3.86 (s, 2H), 3.16 - 3.08 (m, 2H), 2.62 - 2.54 (m, 1H), 2.30 (m, 1H), 2.19 - 2.08 (m, 1H), 2.07 - 1.97 (m, 1H), 1.81 - 1.59 (m, 5H), 1.40 (s, 3H), 1.12 - 0.96 (m, 2H), 0.87 (s, 3H)。
【0251】
実施例2:(6aR,6bS,7S,8aS,8bS,10R,11aR,12aS,12bS)-10-(4-((1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-イル)メチル)フェニル)-7-ヒドロキシ-8b-(2-ヒドロキシアセチル)-6a,8a-ジメチル-6a,6b,7,8,8a,8b,11a,12,12a,12b-デカヒドロ-1H-ナフト[2’,1’:4,5]インデノ[1,2-d][1,3]ジオキソラン-4(2H)-オン(化合物002)の合成
【0252】
【0253】
合成経路と具体的な合成ステップ:
【0254】
【0255】
第1ステップ:6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-1-ぎ酸tert-ブチルエステル2-2の合成
6-(4,4,5-トリメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール(1.00g、4.10mmol)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(1.06g、8.19mmol)、4-ジメチルアミノピリジン(50mg、0.41mmol)及び二炭酸ジ-tert-ブチル(894mg、4.10mmol)を無水ジクロロメタン(20mL)に溶解し、25℃で6時間反応させた。LCMSは反応が完了したことを検出した。水(20mL)を添加して反応をクエンチし、ジクロロメタン(50mL×2)で抽出し、有機相を飽和塩化ナトリウム水溶液(30mL)で洗浄し、有機相を乾燥濾過して減圧濃縮し、粗生成物をカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/石油エーテル=1/5)で分離精製し、2-2(1.0g、69.5%)を得た。
【0256】
LC-MS: Rt: 1.793 min; MS m/z (ESI): 345.3 [M+H] +;
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ = 8.50 - 8.24 (m, 2H), 8.00 - 7.75 (m, 2H), 1.70 (d, J = 3.5 Hz, 9H), 1.36 (d, J = 5.1 Hz, 12H)。
第2ステップ:6-(4-ホルミルベンジル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-1-ぎ酸tert-ブチルエステル2-3の合成
2-2(500mg、1.45mmol)、4-(ブロモメチル)ベンズアルデヒド(376mg、1.89mmol)、炭酸カリウム(602mg、4.36mmol)及び[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(106mg、0.14mmol)を無水テトラヒドロフラン(10mL)に溶解し、窒素雰囲気下、80℃で16時間反応させた。LCMSは反応が完了したことを検出した。反応液を濾過濃縮し、残渣をカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/石油エーテル=1/5)で分離精製し、2-3(380mg、crude)を得た。
【0257】
LC-MS: Rt: 1.563 min 及び 1.593; MS m/z (ESI): 337.3 [M+H] +。
第3ステップ:(6aR,6bS,7S,8aS,8bS,10R,11aR,12aS,12bS)-10-(4-((1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-イル)メチル)フェニル)-7-ヒドロキシ-8b-(2-ヒドロキシアセチル)-6a,8a-ジメチル-6a,6b,7,8,8a,8b,11a,12,12a,12b-デカヒドロ-1H-ナフト[2’,1’:4,5]インデノ[1,2-d][1,3]ジオキソラン-4(2H)-オンの合成
16α-ヒドロキシプレドニゾロンF1(230mg,0.61mmol)を無水アセトニトリル(1.5mL)に溶解し、無水硫酸マグネシウム(279mg,2.32mmol)を添加し、25℃で1時間撹拌した。2-3(308mg,0.92mmol)を無水アセトニトリル(1.5mL)に溶解して反応系に添加し、0℃まで降温してトリフルオロメタンスルホン酸(431mg,2.87mmol)を滴下し、25℃で2時間撹拌した。LCMSは反応が完了したことを検出した。飽和炭酸水素ナトリウム溶液(5mL)を添加して反応をクエンチし、酢酸エチル(30mL×2)で抽出し、有機相を飽和塩化ナトリウム水溶液(20mL)で洗浄し、有機相を乾燥濾過して減圧濃縮し、粗生成物をPrep-HPLC[カラム:Phenomenex Luna30*30mm*10μm;YMC AQ100*30*10μm;移動相:A:水(0.225%のギ酸を含む);B:MeCN、B%、15%~45%、20mins]により化合物002(35.8mg、9.75%)を得た。
【0258】
LC-MS: Rt: 1.390 min; MS m/z (ESI): 595.5 [M+H];Chiral(キラル)-HPLC:Rt:2.211min、キラル純度=97.56%;
1H NMR (400MHz, DMSO-d6) δ = 8.39 (br s, 1H), 7.52 (d, J = 8.3 Hz, 1H), 7.44 (s, 1H), 7.40 - 7.35 (m, 2H), 7.33 - 7.26 (m, 3H), 7.12 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 6.16 (dd, J = 1.6, 10.1 Hz, 1H), 5.93 (s, 1H), 5.40 (s, 1H), 5.08 (br s, 1H), 4.92 (d, J = 4.9 Hz, 1H), 4.78 (d, J = 3.0 Hz, 1H), 4.50 (br d, J = 16.0 Hz, 1H), 4.28 (s, 1H), 4.17 (d, J = 19.5 Hz, 1H), 4.05 (s, 2H), 2.30 (s, 1H), 2.15 - 1.98 (m, 2H), 1.81 - 1.60 (m, 5H), 1.39 (s, 3H), 1.10 - 0.97 (m, 2H), 0.86 (s, 3H)。
【0259】
実施例3:(6aR,6bS,7S,8aS,8bS,10R,11aR,12aS,12bS)-10-(4-((1H-インドール-6-イル)メチル)フェニル)-7-ヒドロキシ-8b-(2-ヒドロキシアセチル)-6a,8a-ジメチル-6a,6b,7,8,8a,8b,11a,12,12a,12b-デカヒドロ-1H-ナフト[2’,1’:4,5]インデノ[1,2-d][1,3]ジオキソラン-4(2H)-オン(化合物003)の合成
【0260】
【0261】
合成経路と具体的な合成ステップ:
【0262】
【0263】
化合物1-5(500mg、0.89mmol)をテトラヒドロフラン(5mL)及び水(0.5mL)に溶解し、6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-インドール3-1(262mg、1.08mmol)、[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(66mg、0.09mmol)及び炭酸カリウム(372mg、2.69mmol)を添加し、窒素雰囲気下、80℃で16時間撹拌した。LCMSは反応が完了したことを示し、酢酸エチル(100mL)で希釈し、有機相を飽和塩化ナトリウム水溶液(30mL)で洗浄し、有機相を乾燥濾過して減圧濃縮し、粗生成物をカラムクロマトグラフィー(テトラヒドロフラン/石油エーテル=1/1)で分離精製し、得られた粗生成物をPrep-HPLC[カラム:Phenomenex luna30*30mm*10μm+YMC AQ100*30*10μm;移動相:A:水(0.225%FA);B:MeCN、B%、50%~80%、20min]で分離精製し、化合物003(60mg、11.2%)を得た。
【0264】
LC-MS: Rt: 2.098 min; MS m/z (ESI): 594.3 [M+H] +; Chiral-HPLC:Rt:1.204min、キラル純度=100%;
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ = 10.92 ( s, 1H), 7.41 (d, J = 8.1 Hz, 1H), 7.37 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 7.30 (d, J = 10.1 Hz, 1H), 7.28 - 7.23 (m, 3H), 7.18 (s, 1H), 6.85 (dd, J = 1.3, 8.1 Hz, 1H), 6.34 ( s, 1H), 6.16 (dd, J = 1.8, 10.1 Hz, 1H), 5.93 (s, 1H), 5.40 (s, 1H), 5.08 (t, J = 5.9 Hz, 1H), 4.92 (d, J = 5.0 Hz, 1H), 4.78 (d, J = 3.1 Hz, 1H), 4.50 (dd, J = 6.3, 19.4 Hz, 1H), 4.29 ( s, 1H), 4.17 (dd, J = 5.4, 19.4 Hz, 1H), 4.00 (s, 2H), 2.59 - 2.53 (m, 1H), 2.36 - 2.26 (m, 1H), 2.18 - 2.06 (m, 1H), 2.05 - 1.96 (m, 1H), 1.80 - 1.54 (m, 5H), 1.39 (s, 3H), 1.11 - 0.97 (m, 2H), 0.86 (s, 3H)。
【0265】
実施例4:(6aR、6bS、7S、8aS、8bS、10R、11aR、12aS、12bS)-7-ヒドロキシ-8b-(2-ヒドロキシアセチル)-10-(4-(インドリン-6-イルメチル)フェニル)-6a,8a-ジメチル-6a,6b,7,8,8a,8b,11a,12,12a,12b-デカヒドロ-1H-ナフト[2’,1’:4,5]インデノ[1,2-d][1,3]ジオキソラン-4(2H)-オン(化合物004)の合成
【0266】
【0267】
合成経路と具体的な合成ステップ:
【0268】
【0269】
第1ステップ:6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)インドリン4-2の合成
6-ブロモインドリン(1.0g、5.05mmol)をジオキサン(20mL)に溶解し、ビス(ピナコラート)ジボロン(2.56g、10.1mmol)、[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(369mg、504μmol)及び酢酸カリウム(1.49g、15.2mmol)を添加し、窒素雰囲気下、80℃で12時間反応させた。LCMSは反応が完了したことを検出した。反応液を濾過濃縮し、残渣をカラムクロマトグラフィー(テトラヒドロフラン/石油エーテル=1/3)で分離精製し、6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)インドリン4-2(1.2g、96.9%)を得た。
【0270】
LC-MS: Rt: 1.509 min; MS m/z (ESI): 246.3 [M+H] +。
第2ステップ:6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)インドリン-1-ぎ酸tert-ブチルエステル4-3の合成
4-2(500mg、2.04mmol)をジクロロメタン(8mL)に溶解し、二炭酸ジ-tert-ブチル(891mg、4.08mmol)、ジイソプロピルエチルアミン(528mg、4.08mmol)及び4-ジメチルアミノピリジン(49.8mg、408μmol)を添加し、25℃で6時間撹拌した。LCMSは反応が完了したことを示した。ジクロロメタンを添加して希釈し(50mL)、有機相を飽和塩化ナトリウム水溶液(15mL)で洗浄し、有機相を乾燥濾過して減圧濃縮し、残渣をカラムクロマトグラフィー(テトラヒドロフラン/石油エーテル=1/5)で分離精製し、4-3(260mg、36.9%)を得た。
【0271】
LC-MS: Rt: 2.340 min; MS m/z (ESI): 290.3 [M-56+H]。
第3ステップ:6-(4-ホルミルベンジル)インドリン-1-ぎ酸tert-ブチルエステル4-4の合成
6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)インドリン-1-ぎ酸tert-ブチルエステル(260mg、753μmol)をテトラヒドロフラン(5mL)に溶解し、4-(ブロモメチル)ベンズアルデヒド(299mg、1.51mmol)、[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(165mg、226μmol)及び炭酸カリウム(520mg、3.77mmol)を添加し、窒素雰囲気下、80℃で12時間撹拌した。LCMSは反応が完了したことを示した。反応液を濾過濃縮し、残渣をカラムクロマトグラフィー(テトラヒドロフラン/石油エーテル=1/5)で分離精製し、4-4(190mg、74.8%)を得た。
【0272】
LC-MS: Rt: 1.810 min; MS m/z (ESI): 282.2 [M-56+H] +。
第4ステップ:(6aR、6bS、7S、8aS、8bS、10R、11aR、12aS、12bS)-7-ヒドロキシ-8b-(2-ヒドロキシアセチル)-10-(4-(インドリン-6-イルメチル)フェニル)-6a,8a-ジメチル-6a,6b,7,8,8a,8b,11a,12,12a,12b-デカヒドロ-1H-ナフト[2’,1’:4,5]インデノ[1,2-d][1,3]ジオキソラン-4(2H)-オン004の合成
16α-ヒドロキシプレドニゾロンF1(165mg、438μmol)をアセトニトリル(3mL)に溶解し、無水硫酸マグネシウム(258mg、2.15mmol)を添加し、25℃で1時間撹拌し、6-(4-ホルミルベンジル)インドリン-1-ぎ酸tert-ブチルエステル(178mg、526μmol)をアセトニトリル(1mL)に溶解して反応液を添加し、0℃まで降温してトリフルオロメタンスルホン酸(322mg、2.15mmol)を滴下し、25℃で2時間撹拌した。LCMSは反応が完了したことを示した。飽和炭酸水素ナトリウム溶液(10mL)を添加して反応をクエンチし、酢酸エチル(30mL×3)で抽出し、有機相を飽和塩化ナトリウム水溶液(20mL)で洗浄し、有機相を乾燥濾過して減圧濃縮し、粗生成物をPrep-HPLC[カラム:Phenomenex luna30*30mm*10μm+YMC AQ100*30*10μm;移動相:A:水(0.225%FA);B:MeCN、B%、18%~48%、20min]で分離精製し、化合物004(42.9mg、6.45%)を得た。
【0273】
LC-MS: Rt: 1.532 min; MS m/z (ESI): 596.3 [M+H] +; Chiral-HPLC:Rt:2.502min、キラル純度=100%;
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ = 7.37 - 7.33 (m, 2H), 7.30 (d, J = 10.1 Hz, 1H), 7.20 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 6.88 (d, J = 7.3 Hz, 1H), 6.37 (d, J = 7.4 Hz, 1H), 6.28 (s, 1H), 6.18 - 6.13 (m, 1H), 5.95 - 5.91 (m, 1H), 5.39 (s, 2H), 5.12 - 5.06 (m, 1H), 4.91 (d, J = 5.0 Hz, 1H), 4.80 - 4.75 (m, 1H), 4.54 - 4.45 (m, 1H), 4.32 - 4.25 (m, 1H), 4.21 - 4.12 (m, 1H), 3.75 (s, 2H), 3.38 - 3.34 (m, 2H), 2.84 - 2.77 (m, 2H), 2.55-2.47 (m 1H), 2.34 - 2.27 (m, 1H), 2.16 - 2.07 (m, 1H), 2.06 - 1.97 (m, 1H), 1.79 - 1.59 (m, 5H), 1.39 (s, 3H), 1.12 - 0.97 (m, 2H), 0.89 - 0.82 (m, 3H)。
【0274】
実施例5:(6aR,6bS,7S,8aS,8bS,10R,11aR,12aS,12bS)-10-(4-((3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-7-イル)メチル)フェニル)-7-ヒドロキシ-8b-(2-ヒドロキシアセチル)-6a,8a-ジメチル-1,2,6a,6b,7,8,8a,8b,11a,12,12a,12b-デカヒドロ-1H-ナフト[2’,1’:4,5]インデノ[1,2-d][1,3]ジオキソラン-4(2H)-オン(化合物005)の合成
【0275】
【0276】
合成経路と具体的な合成ステップ:
【0277】
【0278】
第1ステップ:7-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン5-2の合成
7-ブロモ-3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン(1.00g、4.67mmol)5-1をテトラヒドロフラン(20mL)に溶解し、ビス(ピナコラート)ジボロン(1.30g、5.14mmol)、酢酸カリウム(1.38g、14.0mmol)及び[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(341mg、467μmol)を添加し、窒素雰囲気下、80℃で16時間反応させた。LCMSは反応が完了したことを検出した。反応液を濾過濃縮し、残渣をカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/石油エーテル=1/5)で精製し、7-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン5-2(950mg、77.9%)を得た。
【0279】
LC-MS: Rt: 1.454min; MS m/z (ESI):262.3 [M+H] +。
第2ステップ:4-((3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-7-イル)メチル)ベンゼン(メチル)アルデヒド5-3の合成
5-2(900mg、3.45mmol)をテトラヒドロフラン(20mL)に溶解し、4-(ブロモメチル)ベンズアルデヒド(1.03g、5.17mmol)、炭酸カリウム(1.43g、10.3mmol)、[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(252mg、345μmol)を添加し、窒素雰囲気下、80℃で16時間反応させた。LCMSは反応が完了したことを検出した。反応液を濾過濃縮し、残渣をカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/石油エーテル=1/3)で精製し、4-((3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-7-イル)メチル)ベンズアルデヒド5-3(397mg)を得た。
【0280】
LC-MS: Rt: 1.202 min; MS m/z (ESI):254.1 [M+H] +。
第3ステップ:(6aR,6bS,7S,8aS,8bS,10R,11aR,12aS,12bS)-10-(4-((3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-7-イル)メチル)フェニル)-7-ヒドロキシ-8b-(2-ヒドロキシアセチル)-6a,8a-ジメチル-1,2,6a,6b,7,8,8a,8b,11a,12,12a,12b-デカヒドロ-1H-ナフト[2’,1’:4,5]インデノ[1,2-d][1,3]ジオキソラン-4(2H)-オン(化合物005)の合成
16α-ヒドロキシプレドニゾロンF1(350mg、929μmol)をアセトニトリル(15mL)に溶解し、硫酸マグネシウム(425mg、3.53mmol)を添加し、25℃で1時間撹拌した後、4-((3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-7-イル)メチル)ベンズアルデヒド(235mg,929μmol)5-3をアセトニトリル(5mL)に溶解して反応系に添加し、0℃まで降温してトリフルオロメタンスルホン酸(655mg、4.37mmol)を滴下し、25℃で2時間撹拌した。LCMSは反応が完了したことを検出した。飽和炭酸水素ナトリウム溶液(15mL)を添加して反応をクエンチし、酢酸エチル(50mL×3)で抽出し、有機相を飽和塩化ナトリウム水溶液(20mL)で洗浄し、有機相を乾燥濾過して減圧濃縮し、粗生成物をPrep-HPLC[カラム:Xtimate C18 150×40mm×10μm;移動相:A:水(10mM NH4HCO3);B:MeCN、B%、40%~70%、10min]で分離精製し、化合物005(20mg、21.1%)を得た。
【0281】
LC-MS: Rt: 1.874 min; MS m/z (ESI):612.3 [M+H]+;
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ = 7.41 - 7.27 (m, 3H), 7.19 (br d, J = 7.9 Hz, 2H), 6.56 - 6.38 (m, 3H), 6.16 (dd, J = 1.1, 10.0 Hz, 1H), 5.93 (s, 1H), 5.52 (br s, 1H), 5.39 (s, 1H), 5.05 (t, J = 5.9 Hz, 1H), 4.92 (br d, J = 5.0 Hz, 1H), 4.76 (br d, J = 2.6 Hz, 1H), 4.49 (br dd, J = 6.3, 19.4 Hz, 1H), 4.29 (br s, 1H), 4.17 (br dd, J = 5.6, 19.4 Hz, 1H), 4.10 - 4.01 (m, 2H), 3.70 (s, 2H), 3.29-3.25 (m, 1H), 3.21 (br s, 2H), 2.37 - 2.25 (m, 1H), 2.18 - 1.96 (m, 2H), 1.84 - 1.56 (m, 5H), 1.39 (s, 3H), 1.14 - 0.97 (m, 2H), 0.86 (s, 3H)。
【0282】
実施例6:(2S,6aS,6bR,7S,8aS,8bS,10R,11aR,12aS,12bS)-10-(4-((3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-7-イル)メチル)フェニル)-2,6b-ジフルオロ-7-ヒドロキシ-8b-(2-ヒドロキシアセチル)-6a,8a-ジメチル-6a,6b,7,8,8a,8b,11a,12,12a,12b-デカヒドロ-1H-ナフト[2’,1’:4,5]インデノ[1,2-d][1,3]ジオキソラン-4(2H)-オン(化合物006)の合成
【0283】
【0284】
合成経路と具体的な合成ステップ:
【0285】
【0286】
第1ステップ:(6S,8S,9R,10S,11S,13S,14S,16R,17S)-6,9-ジフルオロ-11,16,17-トリヒドロキシ-17-(2-ヒドロキシアセチル)-10,13-ジメチル-6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17-ドデカヒドロ-3H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3-オン6-2の合成
化合物(2S,6aS,6bR,7S,8aS,8bS,11aR,12aS,12bS)-2,6b-ジフルオロ-7-ヒドロキシ-8b-(2-ヒドロキシアセチル)-6a,8a,10,10-テトラメチル-6a、6b,7,8,8a,8b,11a,12,12a,12b-デカヒドロ-1H-ナフト[2’,1’:4,5]インデノ[1,2-d][1,3]ジオキソラン-4(2H)-オン6-1(1.0g、2.21mmol)を30%フルオロホウ酸水溶液(20mL)に溶解し、室温で48時間撹拌した。LCMSは反応が完了したことを検出した。40mLの水を添加して5分間撹拌し、濾過して得られた残渣を水(10mL×3)及びエタノール(10mL×3)で順次洗浄し、粗生成物(6S,8S,9R,10S,11S,13S,14S,16R,17S)-6,9-ジフルオロ-11,16,17-トリヒドロキシ-17-(2-ヒドロキシアセチル)-10,13-ジメチル-6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17-ドデカヒドロ-3H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3-オン6-2(0.7g)を得た。
【0287】
LC-MS: Rt: 0.426 min; MS m/z (ESI): 413.1 [M+H]+。
第2ステップ:(2S,6aS,6bR,7S,8aS,8bS,10R,11aR,12aS,12bS)-10-(4-((3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-7-イル)メチル)フェニル)-2,6b-ジフルオロ-7-ヒドロキシ-8b-(2-ヒドロキシアセチル)-6a,8a-ジメチル-6a,6b,7,8,8a,8b,11a,12,12a,12b-デカヒドロ-1H-ナフト[2’,1’:4,5]インデノ[1,2-d][1,3]ジオキソラン-4(2H)-オン006の合成
6-2(150mg、0.36mmol)を無水アセトニトリル(1.5mL)に溶解し、硫酸マグネシウム(166mg、1.38mmol)を添加し、25℃で1時間撹拌した後、4-((3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-7-イル)メチル)ベンズアルデヒド(138mg、0.55mmol)を無水アセトニトリル(1.5mL)に溶解して反応系に添加し、0℃まで降温してトリフルオロメタンスルホン酸(257mg、1.71mmol)を滴下し、25℃で2時間反応させた。LCMSは反応が完了したことを検出した。飽和炭酸水素ナトリウム溶液(10mL)を添加して反応をクエンチし、酢酸エチル(50mL×2)で抽出し、有機相を飽和塩化ナトリウム水溶液(20mL)で洗浄し、有機相を乾燥濾過して減圧濃縮し、粗生成物をPrep-HPLC[カラム:Phenomenex Luna C18 100×30mm×3μm;移動相:A:水(0.225%FA);B:MeCN、B%:40%~70%、8min]で分離精製し、化合物006(82.7mg、34.6%)を得た。
【0288】
LC-MS: Rt: 1.553min; MS m/z (ESI): 648.2 [M+H]+; Chiral-HPLC:Rt:3.241min、キラル純度=100%;
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ = 7.32 (d, J = 8.1 Hz, 2H), 7.26 (d, J = 10.1 Hz, 1H), 7.20 (d, J = 8.1 Hz, 2H), 6.53 - 6.48 (m, 1H), 6.47 - 6.43 (m, 2H), 6.33 - 6.27 (m, 1H), 6.13 (s, 1H), 5.72 - 5.57 (m, 1H), 5.50 (d, J = 3.0 Hz, 1H), 5.43 (s, 1H), 4.94 (d, J = 4.9 Hz, 1H), 4.51 (d, J = 19.5 Hz, 1H), 4.19-4.04 (m, 2H), 4.07 - 4.03 (m, 2H), 3.69 (s, 2H), 3.22 - 3.19 (m, 2H), 2.65 - 2.56 (m, 1H), 2.28-2.07 (m, 2H), 2.05-1.98 (m, 1H), 1.75 - 1.65 (m, 3H), 1.51-1.49 (m, 1H), 1.50 (s, 3H), 0.86 (s, 3H)。
【0289】
実施例7:(6aR、6bS、7S、8aS、8bS、10R、11aR、12aS、12bS)-10-(4-((4-アミノベンゾ[d]オキサゾール-7-イル)メチル)フェニル)-7-ヒドロキシ-8b-(2-ヒドロキシアセチル)-6a,8a-ジメチル-6a,6b,7,8,8a,8b,11a,12,12a,12b-デカヒドロ-1H-ナフト[2’,1’:4,5]インデノ[1,2-d][1,3]ジオキソラン-4(2H)-オン(化合物007)の合成
【0290】
【0291】
合成経路と具体的な合成ステップ:
【0292】
【0293】
第1ステップ:7-ブロモベンゾ[d]オキサゾール-4-アミン7-2の合成
文献(CN110903258)に記載の方法に従い、ベンゾ[d]オキサゾール-4-アミン(1.0g、7.5mmol)をジメチルホルムアミド(20mL)に溶解し、NBS(1.3g、7.1mmol)を添加し、25℃で1時間撹拌した。LCMSは反応が完了したことを検出した。反応液を水(20mL)で希釈し、酢酸エチル(100mL×2)で抽出し、有機相を飽和塩化ナトリウム水溶液(30mL×2)で洗浄し、有機相を乾燥濾過して減圧濃縮し、粗生成物をカラムクロマトグラフィー(テトラヒドロフラン/石油エーテル=1/2)で分離精製し、7-ブロモベンゾ[d]オキサゾール-4-アミン7-2(1.3g、64.5%)を得た。
【0294】
LC-MS: Rt: 1.181 min; MS m/z (ESI): 214.9 [M+H]+;
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ = 8.59 (s, 1H), 7.24 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 6.52 (d, J = 8.6 Hz, 1H), 5.86 (s, 2H)。
第2ステップ:7-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ベンゾ[d]オキサゾール-4-アミン7-3の合成
7-ブロモベンゾ[d]オキサゾール-4-アミン7-2(1.3g、6.1mmol)及びビス(ピナコラート)ジボロン(3.1g、12.2mmol)を無水ジオキサン(26mL)に溶解し、酢酸カリウム(1.8g、18.3mmol)、[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(447mg、0.6mmol)を添加し、窒素保護下、80℃で16時間撹拌した。LCMSは反応が完了したことを検出した。反応液を濾過濃縮し、残渣をカラムクロマトグラフィー(テトラヒドロフラン/石油エーテル=1/2)で精製し、7-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ベンゾ[d]オキサゾール-4-アミン7-3(1.4g、64.3%)を得た。
【0295】
LC-MS: Rt: 1.368 min; MS m/z (ESI): 261.2 [M+H]。
第3ステップ:(6aR、6bS、7S、8aS、8bS、10R、11aR、12aS、12bS)-10-(4-((4-アミノベンゾ[d]オキサゾール-7-イル)メチル)フェニル)-7-ヒドロキシ-8b-(2-ヒドロキシアセチル)-6a,8a-ジメチル-6a,6b,7,8,8a,8b,11a,12,12a,12b-デカヒドロ-1H-ナフト[2’,1’:4,5]インデノ[1,2-d][1,3]ジオキソラン-4(2H)-オン(化合物007)の合成
化合物7-3(112mg、0.4mmol)及び化合物1-5(200mg、0.4mmol)をテトラヒドロフラン(4mL)及び水(0.4mL)に溶解し、炭酸カリウム(149mg、1.1mmol)及びテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(124mg、0.1mmol)を添加し、窒素雰囲気下、80℃で16時間撹拌した。LCMSは反応が完了したことを検出した。反応液を濾過し、残渣をカラムクロマトグラフィー(テトラヒドロフラン/石油エーテル=1/2)で分離精製し、得られた粗生成物を分取HPLC[カラム:Phenomenex C18 75*30mm*3μm;移動相:A:水(NH4HCO3);B:アセトニトリル、B%、34%~58%、10min]で分離精製し、化合物007(37.7mg、20.52%)を得た。
【0296】
LC-MS: Rt: 1.832 min; MS m/z (ESI): 611.5 [M+H] +;
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ = 8.45 (s, 1H), 7.36 (d, J = 8.1 Hz, 2H), 7.31 (d, J = 10.1 Hz, 1H), 7.25 (d, J = 8.1 Hz, 2H), 6.93 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 6.48 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 6.17 (dd, J = 1.8, 10.1 Hz, 1H), 5.94 (s, 1H), 5.48 (s, 2H), 5.39 (s, 1H), 5.08 (s, 1H), 4.92 (d, J = 5.0 Hz, 1H), 4.78 (d, J = 2.9 Hz, 1H), 4.50 (dd, J = 3.0, 19.3 Hz, 1H), 4.29 (s, 1H), 4.17 (d, J = 18.4 Hz, 1H), 4.03 (s, 2H), 2.61 - 2.53 (m, 1H), 2.37 - 2.29 (m, 1H), 2.16 - 1.97 (m, 2H), 1.82 - 1.59 (m, 5H), 1.40 (s, 3H), 1.13 - 1.00 (m, 2H), 0.86 (s, 3H)。
【0297】
実施例8:(6aR,6bS,7S,8aS,8bS,10R,11aR,12aS,12bS)-10-(4-((7-アミノベンゾ[d][1,3]ジオキソラン-4-イル)メチル)フェニル)-7-ヒドロキシ-8b-(2-ヒドロキシアセチル)-6a,8a-ジメチル-6a,6b,7,8,8a,8b,11a,12,12a,12b-デカヒドロ-1H-ナフト[2’,1’:4,5]インデノ[1,2-d][1,3]ジオキソラン-4(2H)-オン(化合物008)の合成
【0298】
【0299】
合成経路と具体的な合成ステップ:
【0300】
【0301】
第1ステップ:7-ブロモベンゾ[d][1,3]ジオキソラン-4-アミン8-2の合成
出発物質のベンゾ[d][1,3]ジオキソラン-4-アミン8-1(2.00g、14.6mmol)をN,N-ジメチルホルムアミド(50mL)に溶解し、N-ブロモスクシンイミド(2.50g、13.9mmol)を0℃で添加し、0℃で1時間撹拌した。LCMSは反応が完了したことを検出した。反応液を酢酸エチル(200mL)で希釈し、水(100mL*2)及び飽和食塩水(50mL)で洗浄し、有機相を乾燥濾過して濃縮し、残渣をカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/テトラヒドロフラン=2/1)で精製し、7-ブロモベンゾ[d][1,3]ジオキソラン-4-アミン8-2(1.30g、94.8%)を得た。
【0302】
LC-MS: Rt: 1.311 min; MS m/z (ESI): 218.1 [M+H] +。
第2ステップ:tert-ブチル(7-ブロモベンゾ[d][1,3]ジオキソラン-4-イル)カルバメート8-3の合成
7-ブロモベンゾ[d][1,3]ジオキソラン-4-アミン8-2(1.00g、4.6mmol)及び二炭酸ジ-tert-ブチル(3.0g、13.9mmol)を1,4-ジオキサン(20mL)を添加し、100℃で16時間撹拌した。LCMSは反応が完了したことを検出した。反応液を濃縮し、残渣をカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル=6/1)で精製し、tert-ブチル(7-ブロモベンゾ[d][1,3]ジオキソラン-4-イル)カルバメート8-3(820mg、43.5%)を得た。
【0303】
LC-MS: Rt: 1.707 min; MS m/z (ESI): 262.1 [M+H-56]+;
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ = 8.95 (s, 1H), 6.98 - 6.89 (m, 2H), 6.10 (s, 2H), 1.44 (s, 9H)。
第3ステップ:tert-ブチル(7-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ベンゾ[d][1,3]ジオキソラン-4-イル)カルバメート8-4の合成
tert-ブチル(7-ブロモベンゾ[d][1,3]ジオキソラン-4-イル)カルバメート8-3(820mg、2.60mmol)及びビス(ピナコラート)ジボロン(1.30g、5.20mmol)を1,4-ジオキサン(25mL)に溶解し、酢酸カリウム(764mg、7.80mmol)、[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(190mg、0.30mmol)を添加し、窒素雰囲気下、80℃で16時間撹拌した。LCMSは反応が完了したことを検出した。反応液を濾過濃縮し、残渣をカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/テトラヒドロフラン=6/1)で精製し、tert-ブチル(7-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ベンゾ[d][1,3]ジオキソラン-4-イル)カルバメート8-4(1.00g、83.8%)を得た。
【0304】
LC-MS: Rt: 1.782 min; MS m/z (ESI): 308.3 [M+H-56]+。
第4ステップ:tert-ブチル(7-(4-((6aR,6bS,7S,8aS,8bS,10R,11aR,12aS,12bS)-7-ヒドロキシ-8b-(2-ヒドロキシアセチル)-6a,8a-ジメチル-4-オキシ-2,4,6a,6b,7,8,8a,8b,11a,12,12a,12b-ドデカヒドロ-1H-ナフト[2’,1’:4,5]インデノ[1,2-d][1,3]ジオキソラン-10-イル)ベンジル)ベンゾ[d][1,3]ジオキソラン-4-イル)カルバメート8-5の合成
tert-ブチル(7-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ベンゾ[d][1,3]ジオキソラン-4-イル)カルバメート8-4(489mg、1.35mmol)及び(6aR,6bS,7S,8aS,8bS,10R,11aR,12aS,12bS)-10-(4-(ブロモメチル)フェニル)-7-ヒドロキシ-8b-(2-ヒドロキシアセチル)-6a,8a-ジメチル-6a,6b,7,8,8a,8b,11a,12,12a,12b-デカヒドロ-1H-ナフト[2’,1’:4,5]インデノ[1,2-d][1,3]ジオキソラン-4(2H)-オン1-5(500mg、0.9mmol)をテトラヒドロフラン(20mL)と水(2mL)の混合溶媒に溶解し、炭酸カリウム(372mg,2.70mmol)及びテトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(311mg、0.3mmol)を添加し、窒素雰囲気下、80℃で16時間撹拌した。LCMSは反応が完了したことを検出した。反応液に水を添加して希釈し、酢酸エチル(100mL)で抽出し、有機相を飽和食塩水(30mL)で洗浄し、乾燥、濾過、濃縮し、残渣をカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/テトラヒドロフラン=1/1)で精製し、そして高効率分取液相[カラム:Gemini NX C18 5μm*10*150mm;移動相:A:0.1%ギ酸水溶液;B:アセトニトリル、49%~79%、10min]で分離精製し、中間体tert-ブチル(7-(4-((6aR,6bS,7S,8aS,8bS,10R,11aR,12aS,12bS)-7-ヒドロキシ-8b-(2-ヒドロキシアセチル)-6a,8a-ジメチル-4-オキシ-2,4,6a,6b,7,8,8a,8b,11a,12,12a,12b-ドデカヒドロ-1H-ナフト[2’,1’:4,5]インデノ[1,2-d][1,3]ジオキソラン-10-イル)ベンジル)ベンゾ[d][1,3]ジオキソラン-4-イル)カルバメート8-5(20mg、2.8%)を得た。
【0305】
LC-MS: Rt: 1.742 min; MS m/z (ESI): 714.4 [M+H]+。
第5ステップ:(6aR,6bS,7S,8aS,8bS,10R,11aR,12aS,12bS)-10-(4-((7-アミノベンゾ[d][1,3]ジオキソラン-4-イル)メチル)フェニル)-7-ヒドロキシ-8b-(2-ヒドロキシアセチル)-6a,8a-ジメチル-6a,6b,7,8,8a,8b,11a,12,12a,12b-デカヒドロ-1H-ナフト[2’,1’:4,5]インデノ[1,2-d][1,3]ジオキソラン-4(2H)-オン(化合物008)の合成
tert-ブチル(7-(4-((6aR,6bS,7S,8aS,8bS,10R,11aR,12aS,12bS)-7-ヒドロキシ-8b-(2-ヒドロキシアセチル)-6a,8a-ジメチル-4-オキシ-2,4,6a,6b,7,8,8a,8b,11a,12,12a,12b-ドデカヒドロ-1H-ナフト[2’,1’:4,5]インデノ[1,2-d][1,3]ジオキソラン-10-イル)ベンジル)ベンゾ[d][1,3]ジオキソラン-4-イル)カルバメート8-5(20mg、0.03mmol)をジクロロメタン(4mL)に溶解し、トリフルオロ酢酸(1mL)を添加し、25℃で0.5時間撹拌した。LCMSは反応が完了したことを検出した。反応液を濃縮し、残渣を高効率分取液相[カラム:Xtimate C18 100*30mm*10μm;移動相:A:0.1%アンモニア溶液;B:アセトニトリル、B%、20%~70%、35min]で分離精製し、(6aR,6bS,7S,8aS,8bS,10R,11aR,12aS,12bS)-10-(4-((7-アミノベンゾ[d][1,3]ジオキソラン-4-イル)メチル)フェニル)-7-ヒドロキシ-8b-(2-ヒドロキシアセチル)-6a,8a-ジメチル-6a,6b,7,8,8a,8b,11a,12,12a,12b-デカヒドロ-1H-ナフト[2’,1’:4,5]インデノ[1,2-d][1,3]ジオキソラン-4(2H)-オン(化合物008)(3.1mg、17.3%)を得た。
【0306】
LC-MS: Rt: 1.681 min; MS m/z (ESI): 614.5 [M+H]+;
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ = 7.36 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 7.32 (d, J = 10.1 Hz, 1H), 7.20 (d, J = 7.9 Hz, 2H), 6.42 (d, J = 8.3 Hz, 1H), 6.22 - 6.15 (m, 2H), 5.94 (s, 1H), 5.88 (s, 2H), 5.40 (s, 1H), 5.11 (t, J = 5.9 Hz, 1H), 4.92 (d, J = 5.0 Hz, 1H), 4.83 - 4.75 (m, 3H), 4.51 (dd, J = 6.3, 19.4 Hz, 1H), 4.30 (s, 1H), 4.18 (dd, J = 5.6, 19.4 Hz, 1H), 3.73 (s, 2H), 2.31 (d, J = 2.3 Hz, 1H), 2.15 - 2.00 (m, 2H), 1.81 - 1.61 (m, 5H), 1.40 (s, 3H), 1.25 (s, 1H), 1.13 - 1.01 (m, 2H), 0.87 (s, 3H)。
【0307】
実施例9:(6aR,6bS,7S,8aS,8bS,10R,11aR,12aS,12bS)-10-(4-((7-アミノ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-イル)メチル)フェニル)-7-ヒドロキシ-8b-(2-ヒドロキシアセチル)-6a,8a-ジメチル-6a,6b,7,8,8a,8b,11a,12,12a,12b-デカヒドロ-1H-ナフト[2’,1’:4,5]インデノ[1,2-d][1,3]ジオキソラン-4(2H)-オン(化合物009)の合成
【0308】
【0309】
合成経路と具体的な合成ステップ:
【0310】
【0311】
第1ステップ:tert-ブチル(5-ブロモ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-7-イル)カルバメート9-2の合成
5-ブロモ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-7-カルボン酸9-1(1.00g、4.11mmol)をトルエン(10mL)及びtert-ブタノール(10mL)に溶解し、室温で4Åモレキュラーシーブ(200mg)及びトリエチルアミン(1.25g、12.3mmol)を添加し、110℃で30分間撹拌し、室温まで冷却し、ジフェニルリン酸アジド(1.70g、6.17mmol)を滴下し、110℃まで昇温し、10時間撹拌した。LCMSは反応が完了したことを検出した。反応液を濾過し、酢酸エチル(150mL)で希釈し、有機相を飽和食塩水(30mL)で洗浄し、乾燥、濾過、濃縮し、残渣をカラムクロマトグラフィー(0~40%酢酸エチル/石油エーテル)で分離精製し、中間体tert-ブチル(5-ブロモ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-7-イル)カルバメート9-2(1.03g、79.7%)を得た。
【0312】
LC-MS: Rt: 1.065 min; MS m/z (ESI): 259.7 [M+H-56]+;
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ = 8.59 (s, 1H), 7.50 (br s, 1H), 7.13 - 7.11 (m, 1H), 4.61 - 4.50 (m, 2H), 3.24 - 3.17 (m, 2H), 1.48 - 1.41 (m, 9H)。
第2ステップ:tert-ブチル(5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-2,3-ジヒドロベンゾフラン-7-イル)カルバメート9-3の合成
tert-ブチル(5-ブロモ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-7-イル)カルバメート9-2(600mg、1.91mmol)、ビス(ピナコラート)ジボロン(533mg、2.10mmol)、酢酸カリウム(562mg、5.73mmol))、1,1-ビス(ジフェニルホスフィン)フェロセン塩化パラジウム(139mg、190μmol)を無水1,4-ジオキサン(10mL)に溶解し、窒素雰囲気下、80℃で16時間反応させた。LCMSは反応が完了したことを検出した。反応液を濾過濃縮し、残渣をカラムクロマトグラフィー(0~10%テトラヒドロフラン/石油エーテル)で分離精製し、中間体tert-ブチル(5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-2,3-ジヒドロベンゾフラン-7-イル)カルバメート9-3(990mg、71.8%)を得た。
【0313】
LC-MS: Rt: 4.417 min; MS m/z (ESI): 306.2 [M+H-56]+;
1H NMR (400 MHz, CHLOROFORM-d) δ = 8.17 - 8.27 (m, 1 H) 7.38 (s, 1 H) 7.25 - 7.31 (m, 1 H) 4.59 - 4.66 (m, 2 H) 3.20 - 3.29 (m, 2 H) 1.33 (s, 12 H) 1.31 (s, 9 H)。
第3ステップ:tert-ブチル(5-(4-((6aR,6bS,7S,8aS,8bS,10R,11aR,12aS,12bS)-7-ヒドロキシ-8b-(2-ヒドロキシアセチル)-6a,8a-ジメチル-4-オキシ-2,4,6a,6b,7,8,8a,8b,11a,12,12a,12b-ドデカヒドロ-1H-ナフト[2’,1’:4,5]インデノ[1,2-d][1,3]ジオキソラン-10-イル)ベンジル)-2,3-ジヒドロベンゾフラン-7-イル)カルバメート9-4の合成
(6aR,6bS,7S,8aS,8bS,10R,11aR,12aS,12bS)-10-(4-(ブロモメチル)フェニル)-7-ヒドロキシ-8b-(2-ヒドロキシアセチル)-6a,8a-ジメチル-6a,6b,7,8,8a,8b,11a,12,12a,12b-デカヒドロ-1H-ナフト[2’,1’:4,5]インデノ[1,2-d][1,3]ジオキソラン-4(2H)-オン1-5(300mg、538μmol)、tert-ブチル(5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-2,3-ジヒドロベンゾフラン-7-イル)カルバメート9-3(300mg、830μmol)、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(62.2mg、53.8μmol)及び炭酸カリウム(148mg、1.08mmol)を無水テトラヒドロフラン(5mL)と水(1mL)に溶解し、窒素雰囲気下、80℃で2時間撹拌した。LCMSは反応が完了したことを検出した。反応液を酢酸エチル(50mL)で抽出し、有機相を飽和食塩水(10mL)で洗浄し、乾燥、濾過、濃縮し、残渣をカラムクロマトグラフィー(0~50%テトラヒドロフラン/石油エーテル)で分離精製し、中間体tert-ブチル(5-(4-((6aR,6bS,7S,8aS,8bS,10R,11aR,12aS,12bS)-7-ヒドロキシ-8b-(2-ヒドロキシアセチル)-6a,8a-ジメチル-4-オキシ-2,4,6a,6b,7,8,8a,8b,11a,12,12a,12b-ドデカヒドロ-1H-ナフト[2’,1’:4,5]インデノ[1,2-d][1,3]ジオキソラン-10-イル)ベンジル)-2,3-ジヒドロベンゾフラン-7-イル)カルバメート9-4(300mg、78.3%)を得た。
【0314】
LC-MS: Rt: 2.156 min; MS m/z (ESI): 712.3 [M+H]+。
第4ステップ:(6aR,6bS,7S,8aS,8bS,10R,11aR,12aS,12bS)-10-(4-((7-アミノ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-イル)メチル)フェニル)-7-ヒドロキシ-8b-(2-ヒドロキシアセチル)-6a,8a-ジメチル-6a,6b,7,8,8a,8b,11a,12,12a,12b-デカヒドロ-1H-ナフト[2’,1’:4,5]インデノ[1,2-d][1,3]ジオキソラン-4(2H)-オン(化合物009)の合成
中間体tert-ブチル(5-(4-((6aR,6bS,7S,8aS,8bS,10R,11aR,12aS,12bS)-7-ヒドロキシ-8b-(2-ヒドロキシアセチル)-6a,8a-ジメチル-4-オキシ-2,4,6a,6b,7,8,8a,8b,11a,12,12a,12b-ドデカヒドロ-1H-ナフト[2’,1’:4,5]インデノ[1,2-d][1,3]ジオキソラン-10-イル)ベンジル)-2,3-ジヒドロベンゾフラン-7-イル)カルバメート9-4(220mg、309μmol)を無水ジクロロメタン(4mL)に溶解し、トリフルオロ酢酸(1mL)を添加し、25℃で40分間撹拌した。LCMSは反応が完了したことを検出した。反応液を窒素で乾燥し、得られた残渣を高効率分取液相[カラム:YMC-Pack CN 150*30mm*5μm;移動相:A、0.1%ギ酸水溶液;B:アセトニトリル、B%、40%~60%、12min]で分離精製し、化合物(6aR,6bS,7S,8aS,8bS,10R,11aR,12aS,12bS)-10-(4-((7-アミノ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-イル)メチル)フェニル)-7-ヒドロキシ-8b-(2-ヒドロキシアセチル)-6a,8a-ジメチル-6a,6b,7,8,8a,8b,11a,12,12a,12b-デカヒドロ-1H-ナフト[2’,1’:4,5]インデノ[1,2-d][1,3]ジオキソラン-4(2H)-オン009(2.00mg、1.06%)を得た。
【0315】
LC-MS: Rt: 2.576 min; MS m/z (ESI): 612.3 [M+H]+;
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ = 7.33 - 7.38 (m, 2 H) 7.31 (d, J = 10.13 Hz, 1 H) 7.19 (d, J = 8.13 Hz, 2 H) 6.29 (d, J = 17.26 Hz, 2 H) 6.17 (dd, J = 10.13, 1.88 Hz, 1 H) 5.94 (s, 1 H) 5.39 (s, 1 H) 5.08 (s, 1 H) 4.90 - 4.94 (m, 1 H) 4.77 - 4.81 (m, 1 H) 4.45 - 4.73 (m, 3 H) 4.42 (t, J = 8.63 Hz, 2 H) 4.29 (d, J = 2.88 Hz, 1 H) 4.13 - 4.23 (m, 1 H) 3.71 (s, 2 H) 3.04 (t, J = 8.69 Hz, 2 H) 2.30 (s, 1 H) 2.09 - 2.17 (m, 1 H) 1.98 - 2.06 (m, 1 H) 1.56 - 1.84 (m, 6 H) 1.40 (s, 3 H) 0.97 - 1.11 (m, 2 H) 0.86 (s, 3 H)。
【0316】
実施例10:(2S,6aS,6bR,7S,8aS,8bS,10R,11aR,12aS,12bS)-10-(4-((7-アミノ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-4-イル)メチル)フェニル)-2,6b-ジフルオロ-7-ヒドロキシ-8b-(2-ヒドロキシアセチル)-6a,8a-ジメチル-6a,6b,7,8,8a,8b,11a,12,12a,12b-デカヒドロ-1H-ナフト[2’,1’:4,5]インデノ[1,2-d][1,3]ジオキソラン-4(2H)-オン(化合物010)の合成
【0317】
【0318】
合成経路と具体的な合成ステップ:
【0319】
【0320】
第1ステップ:(2S,6aS,6bR,7S,8aS,8bS,10R,11aR,12aS,12bS)-10-(4-(ブロモメチル)フェニル)-2,6b-ジフルオロ-7-ヒドロキシ-8b-(2-ヒドロキシアセチル)-6a,8a-ジメチル-6a,6b,7,8,8a,8b,11a,12,12a,12b-デカヒドロ-1H-ナフト[2’,1’:4,5]インデノ[1,2-d][1,3]ジオキソラン-4(2H)-オン010-3の合成
原料のフルオシノロンSM-1(1.00g、2.42mmol)を無水アセトニトリル(10mL)に溶解し、無水硫酸マグネシウム(1.46g、12.1mmol)を添加し、25℃で1時間撹拌した後、0℃で4-ブロモメチルベンズアルデヒド(579mg、2.91mmol)のアセトニトリル(2mL)溶液を添加し、次いでトリフルオロメタンスルホン酸(1.82g、12.12mmol)のアセトニトリル(2mL)溶液をゆっくりと滴下し、0℃で5分間撹拌した。LCMSは反応が完了したことを検出した。反応を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(20mL)でクエンチし、酢酸エチル(50mL×2)で抽出し、有機相を飽和塩化ナトリウム水溶液(20mL)で洗浄し、乾燥、濾過、濃縮し、残渣をPrep-HPLC[カラム:YMC-Pack CN150*30mm*5μm;移動相:A、0.1%ギ酸水溶液;B、アセトニトリル、B%、53%~63%、12min]で分離精製し、中間体(2S,6aS,6bR,7S,8aS,8bS,10R,11aR,12aS,12bS)-10-(4-(ブロモメチル)フェニル)-2,6b-ジフルオロ-7-ヒドロキシ-8b-(2-ヒドロキシアセチル)-6a,8a-ジメチル-6a,6b,7,8,8a,8b,11a,12,12a,12b-デカヒドロ-1H-ナフト[2’,1’:4,5]インデノ[1,2-d][1,3]ジオキソラン-4(2H)-オン010-3(640mg、42%)を得た。
【0321】
LC-MS: Rt: 2.845 min; MS m/z (ESI): 595.1 [M+H]+;
1H NMR (400MHz, DMSO-d6) δ = 7.62 - 7.39 (m, 4H), 7.27 (d, J = 10.3 Hz, 1H), 6.30 (dd, J = 1.8, 10.0 Hz, 1H), 6.13 (s, 1H), 5.77 - 5.45 (m, 3H), 5.01 - 4.95 (m, 1H), 4.68 (s, 2H), 4.55 (br d, J = 19.3 Hz, 1H), 4.22 (br d, J = 19.3 Hz, 2H), 2.74 - 2.56 (m, 1H), 2.37 - 2.12 (m, 3H), 2.09 - 1.95 (m, 1H), 1.77 - 1.64 (m, 3H), 1.56 - 1.42 (m, 4H), 0.87 (s, 3H);
19F NMR (376MHz, DMSO-d6) δ = -164.99 (s, 1F), -186.39 (s, 1F)。
第2ステップ:4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-2,3-ジヒドロベンゾフラン-7-アミン010-2の合成
4-ブロモ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-7-アミン1-3(7.30g、34.1mmol)を1,4-ジオキサン(150mL)に溶解し、ビス(ピナコラート)ジボロン(20.0g、78.8mmol)、1,1-ビス(ジフェニルホスフィン)フェロセン塩化パラジウム(2.50g、3.4mmol)及び酢酸カリウム(10.0g、102.3mmol)を添加し、窒素雰囲気下、80℃で16時間撹拌した。LCMSは反応が完了したことを示し、反応液を濾過濃縮し、残渣をカラムクロマトグラフィー(テトラヒドロフラン/石油エーテル=1/6)で分離精製し、中間体4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-2,3-ジヒドロベンゾフラン-7-アミン010-2(9.50g、96.0%)を得た。
【0322】
LC-MS: Rt: 1.470 min; MS m/z (ESI): 262.0 [M+H]。
第3ステップ:(2S,6aS,6bR,7S,8aS,8bS,10R,11aR,12aS,12bS)-10-(4-((7-アミノ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-4-イル)メチル)フェニル)-2,6b-ジフルオロ-7-ヒドロキシ-8b-(2-ヒドロキシアセチル)-6a,8a-ジメチル-6a,6b,7,8,8a,8b,11a,12,12a,12b-デカヒドロ-1H-ナフト[2’,1’:4,5]インデノ[1,2-d][1,3]ジオキソラン-4(2H)-オン010の合成
(2S,6aS,6bR,7S,8aS,8bS,10R,11aR,12aS,12bS)-10-(4-(ブロモメチル)フェニル)-2,6b-ジフルオロ-7-ヒドロキシ-8b-(2-ヒドロキシアセチル)-6a,8a-ジメチル-6a,6b,7,8,8a,8b,11a,12,12a,12b-デカヒドロ-1H-ナフト[2’,1’:4,5]インデノ[1,2-d][1,3]ジオキソラン-4(2H)-オン010-3(150mg、253μmol)をテトラヒドロフラン(2mL)及び水(0.5mL)に溶解し、4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-2,3-ジヒドロベンゾフラン-7-アミン(79mg、303μmol)、炭酸カリウム(79mg、303μmol)、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(29mg、25.3μmol)を順次添加し、窒素雰囲気下、80℃で2時間反応させた。LCMSは完全に反応したことを検出した。反応液を酢酸エチル(10mL*3)で抽出し、有機相を飽和塩化ナトリウム水溶液(5mL)で洗浄し、乾燥、濾過、濃縮し、残渣を薬効分取液相[カラム:Phenomenex C18 75*30mm*3μm;移動相:A、0.1%アンモニア溶液;B:アセトニトリル、B%、30%~70%、9min]で分離精製し、化合物(2S,6aS,6bR,7S,8aS,8bS,10R,11aR,12aS,12bS)-10-(4-((7-アミノ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-4-イル)メチル)フェニル)-2,6b-ジフルオロ-7-ヒドロキシ-8b-(2-ヒドロキシアセチル)-6a,8a-ジメチル-6a,6b,7,8,8a,8b,11a,12,12a,12b-デカヒドロ-1H-ナフト[2’,1’:4,5]インデノ[1,2-d][1,3]ジオキソラン-4(2H)-オン010(20.0mg)を得た。
【0323】
LC-MS: Rt: 2.092 min; MS m/z (ESI): 648.3 [M+H]+;
1H NMR (400MHz, DMSO-d6) δ = 7.33 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 7.27 (d, J = 9.8 Hz, 1H), 7.18 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 6.42 - 6.37 (m, 2H), 6.30 (dd, J = 1.8, 10.3 Hz, 1H), 6.13 (s, 1H), 5.75 - 5.56 (m, 1H), 5.52 (d, J = 2.8 Hz, 1H), 5.45 (s, 1H), 5.11 (t, J = 6.0 Hz, 1H), 4.95 (d, J = 4.8 Hz, 1H), 4.56 - 4.38 (m, 5H), 4.25 - 4.15 (m, 2H), 3.73 (s, 2H), 2.97 (t, J = 8.7 Hz, 2H), 2.44 (br s, 1H), 2.32 - 2.19 (m, 2H), 2.10 - 2.00 (m, 1H), 1.78 - 1.64 (m, 3H), 1.50 (s, 4H), 0.86 (s, 3H);
19F NMR (376MHz, DMSO-d6) δ = -164.96 (s, 1F), -186.39 (s, 1F)。
【0324】
実施例11:(6aR,6bS,7S,8aS,8bS,10R,11aR,12aS,12bS)-10-(4-((7-アミノ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-4-イル)メチル)フェニル)-7-ヒドロキシ-8b-(2-ヒドロキシアセチル)-6a,8a-ジメチル-6a,6b,7,8,8a,8b,11a,12,12a,12b-デカヒドロ-1H-ナフト[2’,1’:4,5]インデノ[1,2-d][1,3]ジオキソラン-4(2H)-オン(化合物011)の合成
【0325】
【0326】
合成経路と具体的な合成ステップ:
【0327】
【0328】
第1ステップ:7-ブロモ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-4-アミン11-2の合成
2,3-ジヒドロ-1H-インデン-4-アミン(2.00g、15.0mmol)をN,N-ジメチルホルムアミド(20mL)に溶解し、0℃でN-ブロモスクシンイミド(NBS)(2.67g、15.0mmol)を添加し、0℃で1時間撹拌した。LCMSは反応が完了したことを検出した。飽和炭酸水素ナトリウム溶液(50mL)を0℃で添加してクエンチし、酢酸エチル(100mL*2)で抽出し、有機相を水(50mL*3)及び飽和食塩水(50mL)で洗浄し、乾燥、濾過、濃縮し、得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(0~15%酢酸エチル/石油エーテル)で分離精製し、7-ブロモ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-4-アミン11-2(1.70g、53.4%)を得た。
【0329】
LC-MS: Rt: 0.800 min; MS m/z (ESI): 213.8 [M+H]+。
第2ステップ:7-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-4-アミン11-3の合成
7-ブロモ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-4-アミン11-2(100mg、471μmol)及びビス(ピナコラート)ジボロン(239mg、943μmol)を1,4-ジオキサン(5mL)に溶解し、1,1-ビス(ジフェニルホスフィン)フェロセン塩化パラジウム(34.5mg、47.2μmol)及び酢酸カリウム(92.5mg、943μmol)を添加し、窒素雰囲気下、80℃で12時間撹拌した。LCMSは反応が完了したことを検出した。反応液を濾過濃縮し、得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(0~60%酢酸エチル/石油エーテル)で分離精製し、中間体7-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-4-アミン11-3(77.0mg、63.0%)を得た。
【0330】
LC-MS: Rt: 0.914 min; MS m/z (ESI): 260.3 [M+H]+。
第3ステップ:(6aR,6bS,7S,8aS,8bS,10R,11aR,12aS,12bS)-10-(4-((7-アミノ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-4-イル)メチル)フェニル)-7-ヒドロキシ-8b-(2-ヒドロキシアセチル)-6a,8a-ジメチル-6a,6b,7,8,8a,8b,11a,12,12a,12b-デカヒドロ-1H-ナフト[2’,1’:4,5]インデノ[1,2-d][1,3]ジオキソラン-4(2H)-オン011の合成
7-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-4-アミン11-3(77mg、295.98μmol)及び(6aR,6bS,7S,8aS,8bS,10R,11aR,12aS,12bS)-10-(4-(ブロモメチル)フェニル)-7-ヒドロキシ-8b-(2-ヒドロキシアセチル)-6a,8a-ジメチル-6a,6b,7,8,8a,8b,11a,12,12a,12b-デカヒドロ-1H-ナフト[2’,1’:4,5]インデノ[1,2-d][1,3]ジオキソラン-4(2H)-オン1-5(110mg、197μmol)をテトラヒドロフラン(5mL)及び水(1mL)に溶解し、1,1-ビス(ジフェニルホスフィン)フェロセン塩化パラジウム(14.4mg、19.7μmol)及び炭酸カリウム(54.5mg、394μmol)を添加し、窒素雰囲気下、80℃で2時間撹拌したLCMSは反応が完了したことを検出した。水(20mL)を添加して希釈し、酢酸エチル(50mL*2)で抽出し、有機相を飽和食塩水(20mL)で洗浄し、乾燥、濾過、濃縮し、得られた残渣を高効率分取液相[カラム:Boston Prime C18 150*30mm*5μm;移動相:A、0.1%ギ酸水溶液;B、ACN、29%~49%、12min]で分離精製し、(6aR,6bS,7S,8aS,8bS,10R,11aR,12aS,12bS)-10-(4-((7-アミノ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-4-イル)メチル)フェニル)-7-ヒドロキシ-8b-(2-ヒドロキシアセチル)-6a,8a-ジメチル-6a,6b,7,8,8a,8b,11a,12,12a,12b-デカヒドロ-1H-ナフト[2’,1’:4,5]インデノ[1,2-d][1,3]ジオキソラン-4(2H)-オン(55.0mg、45.7%)を得た。
【0331】
LC-MS: Rt: 0.856 min; MS m/z (ESI): 610.4 [M+H]+;
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ = 7.37 - 7.28 (m, 3H), 7.16 - 7.11 (m, 1H), 7.14 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 6.66 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 6.33 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 6.16 (dd, J = 1.6, 10.2 Hz, 1H), 5.93 (s, 1H), 5.39 (s, 1H), 5.08 (s, 1H), 4.91 (d, J = 5.3 Hz, 1H), 4.80 - 4.75 (m, 1H), 4.75 - 4.55 (m, 2H), 4.50 (d, J = 17.8 Hz, 1H), 4.29 (s, 1H), 4.17 (d, J = 18.1 Hz, 1H), 3.73 (s, 2H), 2.66 (t, J = 7.5 Hz, 2H), 2.63 - 2.57 (m, 2H), 2.57 - 2.53 (m, 1H), 2.30 (s, 1H), 2.16 - 1.98 (m, 2H), 1.91 (quin, J = 7.4 Hz, 2H), 1.81 - 1.60 (m, 5H), 1.40 (s, 3H), 1.11 - 0.97 (m, 2H), 0.90 - 0.81 (m, 3H)。
【0332】
実施例12:(6aR,6bS,7S,8aS,8bS,10R,11aR,12aS,12bS)-10-(4-((6-アミノ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-4-イル)メチル)フェニル)-7-ヒドロキシ-8b-(2-ヒドロキシアセチル)-6a,8a-ジメチル-6a,6b,7,8,8a,8b,11a,12,12a,12b-デカヒドロ-1H-ナフト[2’,1’:4,5]インデノ[1,2-d][1,3]ジオキソラン-4(2H)-オン(化合物012)の合成
【0333】
【0334】
化合物12-1(CAS1677706-25-0)を出発物質として、実施例5及び実施例9を参照して化合物012を製造した。
【0335】
LC-MS: MS m/z (ESI): 612.3 [M+H]+。
【0336】
実施例13:(6aR、6bS、7S、8aS、8bS、10R、11aR、12aS、12bS)-10-(4-((5-アミノベンゾ[d]オキサゾール-7-イル)メチル)フェニル)-7-ヒドロキシ-8b-(2-ヒドロキシアセチル)-6a,8a-ジメチル-6a,6b,7,8,8a,8b,11a,12,12a,12b-デカヒドロ-1H-ナフト[2’,1’:4,5]インデノ[1,2-d][1,3]ジオキソラン-4(2H)-オン(化合物013)の合成
【0337】
【0338】
化合物
【0339】
【0340】
(CAS1267216-18-1)を出発物質として、実施例7を参照して化合物013を製造した。
【0341】
LC-MS: MS m/z (ESI): 611.5 [M+H] +。
【0342】
実施例14:2-((6aR,6bS,7S,8aS,8bS,10R,11aR,12aS,12bS)-10-(4-((7-アミノ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-イル)メチル)フェニル)-7-ヒドロキシ-6a,8a-ジメチル-4-オキシ-2,4,6a,6b,7,8,8a,8b,11a,12,12a,12b-ドデカヒドロ-1H-ナフト[2’,1’:4,5]インデノ[1,2-d][1,3]ジオキソラン-8b-イル)-2-オキソエチルジヒドロゲンホスフェート(化合物009-p)の合成
【0343】
【0344】
合成経路と具体的な合成ステップ:
【0345】
【0346】
第1ステップ:tert-ブチル(5-(4-((6aR,6bS,7S,8aS,8bS,10R,11aR,12aS,12bS)-8b-(2-((ジ-tert-ブトキシホスホリル)オキソ)アセチル)-7-ヒドロキシ-6a,8a-ジメチル-4-オキシ-2,4,6a,6b,7,8,8a,8b,11a,12,12a,12b-ドデカヒドロ-1H-ナフト[2’,1’:4,5]インデノ[1,2-d][1,3]ジオキソラン-10-イル)ベンジル)-2、3-ジヒドロベンゾフラン-7-イル)カルバメート(009-p-1)の合成
中間体9-4(80.0mg、112μmol)をN,N-ジメチルホルムアミド(4mL)に溶解し、N,N-ジエチルホスホルアミダイトジ-tert-ブチルエステル(336mg、1.35mmol)及びテトラゾール(78.7mg、1.12mmol)を添加し、室温で30分間撹拌した。TLCは反応が完了したことをモニターし、0℃まで冷却し、反応液に過酸化水素(580mg、5.12mmol)を添加し、室温に戻して1時間撹拌した。LCMSは反応が完了したことを検出した。亜硫酸ナトリウム水溶液(10mL)を0℃で添加して反応をクエンチし、酢酸エチル(30mL)で抽出し、有機相を飽和食塩水(10mL)で洗浄し、乾燥、濾過、濃縮し、得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(0~60%酢酸エチル/石油エーテル)で分離精製し、中間体009-p-1(50.0mg、49.2%)を得た。
【0347】
LC-MS: Rt: 1.216 min; MS m/z (ESI): 904.6 [M+H]+。
第2ステップ:2-((6aR,6bS,7S,8aS,8bS,10R,11aR,12aS,12bS)-10-(4-((7-アミノ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-イル)メチル)フェニル)-7-ヒドロキシ-6a,8a-ジメチル-4-オキシ-2,4,6a,6b,7,8,8a,8b,11a,12,12a,12b-ドデカヒドロ-1H-ナフト[2’,1’:4,5]インデノ[1,2-d][1,3]ジオキソラン-8b-イル)-2-オキソエチルジヒドロゲンホスフェート009-pの合成
中間体009-p-1(50.0mg、55.3μmol)をジクロロメタン(3mL)に溶解し、トリフルオロ酢酸(630mg、5.53mmol)を添加し、室温で30分間撹拌した。LCMSは反応が完了したことを検出した。反応液を窒素で乾燥し、得られた残渣を高効率分取液相[カラム:Boston Prime C18 150*30mm*5μm;移動相:A、0.1%ギ酸水溶液;B、アセトニトリル、B%、38%~58%、12min)で分離精製し、化合物009-p(10.0mg、26.1%)を得た。
【0348】
LC-MS: Rt: 2.752 min; MS m/z (ESI): 692.3 [M+H];
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ = 7.37 - 7.24 (m, 3H), 7.14 (d, J = 6.8 Hz, 2H), 6.27 (s, 2H), 6.16 (dd, J = 1.6, 10.0 Hz, 1H), 5.93 (s, 1H), 5.47 (s, 1H), 4.94 - 4.84 (m, 2H), 4.66 - 4.56 (m, 1H), 4.40 (t, J = 8.6 Hz, 2H), 4.28 (s, 1H), 3.68 (s, 2H), 3.00 (t, J = 8.7 Hz, 2H), 2.29 (d, J = 2.9 Hz, 1H), 2.16 - 1.94 (m, 3H), 1.83 - 1.60 (m, 5H), 1.39 (s, 3H), 1.04 - 0.83 (m, 5H)。
【0349】
実施例15:リン酸エステル系化合物001-p、002-p、003-p、004-p、005-p、006-p、007-p、008-p、010-p、011-p、012-p及び013-pの合成
化合物001、002、003、004、005、006、007、008、010、011、012、013、又は上記化合物のN-Boc中間体(例えば、実施例1の中間体1~6)を出発物質として、実施例14に記載のリン酸化手順を参照して、リン酸エステル系化合物001-p、002-p、003-p、004-p、005-p、006-p、007-p、008-p、010-p、011-p、012-p、013-pを製造して得た。
【0350】
実施例1~15で合成した化合物以外の他の化合物は、実施例1~15における合成経路及び源材料を参照して合成して得た。
生物学的活性及び関連性質試験例
以下の試験例における化合物は全て、本発明の上記実施例の方法に従って製造して得た。
【0351】
試験例1.K562-GREレポーター遺伝子による本発明化合物の活性の検出
親K562-GRE細胞株を作製するために、K562細胞を、5×105細胞/ウェルで2mLの完全培地(RPM1640、10%FBS、ペニシリン-ストレプトマイシン)を含む6ウェルディッシュ(ブランドCostar、商品番号3516)に接種し、37℃、5%CO2で24時間培養した。翌日、3μgのpNL2.2[NLucP/MMTV/Hygro-NANO](Promega)と3μLのPLUS試薬(ブランドInvitrogen、商品番号11514-015)を150μLのOpti-MEM(ブランドGibco、商品番号11058021)に希釈し、室温で5分間インキュベートした。pNL2.2[NLucP/MMTV/Hygro-NANO]ベクターは、MMTVLTR(マウス乳癌ウイルス長端反復配列)を含み、幾つかの核受容体(例えば、グルココルチコイド受容体やアンドロゲン受容体)の活性化に応答し、ルシフェラーゼレポーター遺伝子NanoLucの転写を駆動する。インキュベーション後、希釈したDNA溶液をLipofectamine LTX溶液(ブランドInvitrogen、商品番号15338-100)(6μL Lipofectamine LTX+ 144μL Opti-MEM)とを1:1の比率で混合してプレインキュベートし、更に室温で15分間インキュベートしてDNA-Lipofectamine LTX複合体を形成する。インキュベーション後、300μLのDNA-Lipofectamine複合体を細胞ウェルに直接添加した。K562細胞を37℃、5%CO2で24時間トランスフェクトした。トランスフェクション後、細胞を3mLのPBSで洗浄し、125μg/mLのハイグロマイシンB(ブランドInvitrogen、商品番号10687010)を含む完全増殖培地で2週間選択的に増殖させた。「K562-GRE(pNL2.2[NLucP/MMTV/Hygro-NANO])」細胞を作製した。
【0352】
K562-GRE(pNL2.2[NLucP/MMTV/Hygro-NANO)]細胞を、50μLのアッセイ培地(RPMI 1640培地、1%FBS、1%ピルビン酸ナトリウム、1%MEM非必須アミノ酸及び1%ペニシリン-ストレプトマイシン)においてウェルあたり50000個の細胞で96ウェル組織培養処理白色プレート(ブランドCostar、商品番号3917)に接種し、アッセイ培地で5倍段階希釈した化合物を50μL(2×)添加して細胞を処理し、各化合物について合計8つの濃度で、系内の化合物の最終濃度は0.0000128μM-1μMである。混合後、37℃のインキュベーターに24時間培養した。24時間のインキュベーション後、等体積の100μLのNano-Gloルシフェラーゼアッセイ系(ブランドPromega、商品番号N1120)を細胞に添加し、500gを振とう機で10分間反応させ、PHERAstar機器で化学発光を読み取った。抗体濃度の対数値を横軸、対応する化学発光読取値を縦軸として抗体の結合曲線をプロットし、4パラメータフィッティング(GraphPad Prism9)を行い、EC50値を算出し、その結果を表1に示す。
【0353】
試験例2.本発明化合物のグルココルチコイド受容体GRに対する結合活性の測定
Polarscreen Glucocorticoid Receptor Assay Kit、Red(ブランドThermo、商品番号A15898)キットを使用してGRに対する化合物の結合活性を測定した。被験化合物を、96ウェルV底プレート(ブランドNunc、商品番号249944)においてDMSOで10倍勾配希釈し、最大濃度は100μMで、合計8つの濃度とした。次いで、キットに提供された検出バッファーComplete GR Screening bufferを使用して化合物を更に50倍希釈し、10μLの希釈した化合物を384マイクロウェルプレート(ブランドCorning、商品番号4514)に移し、5μLのFluormone GS Red(4×濃度)を被験化合物に添加し、そして5μLのGR Full lengthの混合物(4×濃度)を添加し、実験は重複ウェルを行った。384ウェルプレートを遮光して室温で2時間インキュベートし、EnVision多機能マイクロプレートリーダー(メーカー:Perkinelmer)を用いて蛍光偏光(mP)を検出した。化合物の最終濃度のlog値をX軸、mP値をY軸として、データを処理ソフトウェアGraphpad Prism9に入力して4パラメーターフィッティングを行い、EC50を計算した。
【0354】
試験例3.本発明化合物のエストロゲン受容体ERに対する結合活性測定
Lantha Screen(R) TR-FRET ER Alpha Coactivator Assay kit(ブランドThermo、商品番号A15885)キットを使用して、ERに対する化合物の結合活性を測定した。ER受容体アゴニストEstradiol(ブランドSigma、商品番号E8875-25)を、96ウェルV底プレートにおいてDMSOで10倍勾配希釈し、最高濃度は100μMで、合計8つの濃度とした。被験化合物をDMSOで10倍勾配希釈し、最高濃度は3000μMで、合計8つの濃度とした。次いで、キットに提供される検出バッファーNuclear Receptor Buffer E(5mM DTTを含む)を使用して化合物を更に50倍希釈し、10μLの希釈した化合物を96ウェルのハーフエリアマイクロプレート(ブランドCorning、商品番号3694)に移し、5μLのER-LBDタンパク質(4×濃度)を被験化合物に添加し、その後5μLのフルオレセインコアクチベーターペプチドとTb標識anti-GST抗体の混合物(4×濃度)を添加し、実験は、重複ウェルを行った。プレートを室温で2時間インキュベートし、PHERAstar機器で蛍光値(Excitation337、Emission520/495nm)を読み取り、520:495比を計算した。化合物の最終濃度のlog値をX軸、520/495比をY軸として、データをソフトウェアGraphpad Prism9に入力し、4パラメーターフィッティングを行い、EC50を計算した。結果を表1に示し、被験化合物はエストロゲン受容体に対する結合活性が弱い。
【0355】
試験例4.化合物のアンドロゲン受容体ARに対する結合活性測定
Lantha Screen(R) TR-FRET Androgen Receptor Coactivator Assay kit(ブランドThermo、商品番号A15878)キットを使用して、ARに対する化合物の結合活性を測定した。AR受容体アゴニストdihydrotestosterone(DHT)(ブランドSigma、商品番号D-073)を、96ウェルV底プレートにおいてDMSOで10倍勾配希釈し、最高濃度は100μMで、合計8つの濃度とした。被験化合物をDMSOで10倍勾配希釈し、最高濃度は3000μMで、合計8つの濃度とした。キットに提供される検出バッファーNuclear Receptor Buffer A(5mM DTTを含む)を使用して化合物を更に50倍希釈し、10μLの希釈した化合物を96ウェルのハーフエリアマイクロプレートに移し、5μLのAR-LBDタンパク質(4×濃度)を被験化合物に添加し、その後5μLのフルオレセインコアクチベーターペプチドとTb標識anti-GST抗体の混合物(4×濃度)を添加し、実験は、重複ウェルを行った。プレートを室温で2時間インキュベートし、PHERAstar機器で蛍光値(Excitation337、Emission520/495nm)を読み取り、520:495比を計算した。化合物の最終濃度のlog値をX軸、520/495比をY軸として、データを処理ソフトウェアGraphpad Prism9に入力し、4パラメーターフィッティングを行い、EC50を計算した。結果を表1に示し、被験化合物はアンドロゲン受容体に対する結合活性が弱い。
【0356】
試験例5.化合物のプロゲステロン受容体PRに対する結合活性測定
Lantha Screen(R) TR-FRET Progesterone Receptor Coactivator Assay kit(ブランドThermo、商品番号A15903)キットを使用して、PRに対する化合物の結合活性を測定した。PR受容体アゴニストProgesterone(ブランドSigma、商品番号P0130)を、96ウェルV底プレートにおいてDMSOで10倍勾配希釈し、最高濃度は100μMで、合計8つの濃度とした。被験化合物をDMSOで10倍勾配希釈し、最高濃度は3000μMで、合計8つの濃度とし、その後キットに提供される検出バッファーNuclear Receptor Buffer F(5mM DTTを含む)を使用して化合物を更に50倍希釈し、10μLの希釈した化合物を96ウェルのハーフエリアマイクロプレートに移し、5μLのPR-LBDタンパク質(4×濃度)を検出化合物に添加し、その後5μLのフルオレセインコアクチベーターペプチドとTb標識anti-GST抗体の混合物(4×濃度)を添加し、実験は、重複ウェルを行った。プレートを室温で2時間インキュベートし、PHERAstar機器で蛍光値(Excitation337、Emission520/495nm)を読み取り、520:495比を計算した。化合物の最終濃度のlog値をX軸、520/495比をY軸として、データを処理ソフトウェアGraphpad Prism9に入力し、4パラメーターフィッティングを行い、EC50を計算した。結果を表1に示し、被験化合物は、プロゲステロン受容体に対する一定の結合活性を有する。
【0357】
【0358】
試験結果から、試験化合物はGRに対する結合活性が強く、PRに対する結合活性が弱く、ERやARには結合せず、他のホルモン受容体に作用することによる副作用の軽減が期待されることが示された。
【0359】
試験例6:CHSマウスモデル薬効試験
CHSマウスモデルの構築:6~8週齢のC57BL/6N雌マウス(北京維通利華実験動物技術有限公司(Beijing Vital River Laboratory Animal Co.,Ltd.))を選択し、各マウスの腹部の毛を小動物用電動バリカンで除去した。マイクロピペットで400μLの感作剤を吸い取り、それをマウスの腹部に均一に塗布して表皮感作を行った。塗布後、マウスを3~5秒間保持し、皮膚から溶媒をできるだけ完全に蒸発させた。感作剤の具体的な調製方法は次の通りである。FITC(フルオレセインイソチオシアネート;sigma-Aldrich)粉末を0.5g秤量し、50mLのアセトン(acetone;国薬試薬)と50mLのDBP(フタル酸ジブチル;sigma-Aldrich)を等しい割合で混合した溶媒により十分に溶解し、FITC含量が0.5%の感作剤を得た。感作後6日目に、まずダイヤルシックネスゲージでマウスの右耳の厚さをベースライン値として測定し、次にマイクロピペットで新たに調製した感作剤を吸い取り、マウス右耳の内外両側にそれぞれ均一に塗布して表皮刺激を行い、片側10μLずつ塗布した。刺激24時間後、再度マウスの右耳の厚さをダイヤルシックネスゲージで測定し、マウスの右耳の厚さの変化値Δ耳の厚さ=(刺激24時間後の右耳の厚さ)-(右耳の厚さのベースライン値)を得た。
【0360】
CHSモデルマウス治療プロトコール:マウスをブランク群、陰性対照群、陽性対照群、実験群に群分けした。このうち、実験群については、化合物001及び化合物009の投与量が3μg/匹であり、陽性対照群については、化合物a(特許WO2017210471化合物41に記載されている方法に従って合成する)を3μg/匹投与することであり、陰性対照群については、ブランク媒体(0.5%DMSO/PBS)であった。右耳の表皮刺激の1時間前に腹腔内注射で単回投与した。
【0361】
試験結果は
図2に示す。化合物001及び009の投与後、陰性対照群と比較してCHSマウスの右耳の厚さは有意に減少し、化合物001及び009の薬効は両方とも、同じ用量の陽性参照化合物aよりも優れていた。(*は各実験群の陰性対照群に対する統計学的差異の有意性を示し、統計方法はone-way ANOVAであり、**はP値<0.01を示し、****はP値<0.0001を示す)。
【0362】
試験例7、本発明化合物の肝ミクロソームにおける代謝安定性の測定
本発明化合物の肝ミクロソームにおける代謝安定性は、以下のような試験方法によって測定された。
【0363】
一、試験の材料と機器
1.ヒト肝ミクロソーム(Corning 452117)、ビーグル犬肝ミクロソーム(XENOTECH D1000)、SDラット肝ミクロソーム(XENOTECH R1000)及びCD-1マウス肝ミクロソーム(XENOTECH M1000)
2.Na2HPO4(天津市光復精細化工研究所 20180130)
3.KH2PO4(天津市光復精細化工研究所 20180920)
4.MgCl2(天津市光復精細化工研究所 20191216)
5.NADPH(Solarbio 1216C022)
6.陽性対照化合物ベラパミル(Sigma MKBV4993V)
7.AB Sciex API4000液体クロマトグラフ質量分析計
二、試験の手順
1.100mMのリン酸緩衝液(PBS)の調製:7.098gのNa2HPO4を秤量し、500mLの純水を加え、超音波溶解して溶液Aとした。3.400gのKH2PO4を秤量し、250mLの純水を加え、超音波溶解して溶液Bとした。A溶液をミキサーに置き、pH値が7.4に達するまでB溶液をゆっくり加え、100mMのPBS緩衝液を調製した。
【0364】
2.反応系の調製
反応系を下表のように調製した。
【0365】
【0366】
3.反応系を37℃の水浴中で10分間プレインキュベートした。反応系に10mMのNADPH溶液(NADPHを100mMのリン酸緩衝液で溶解した)を40μL加え、NADPHの最終濃度は1mMとした。NADPH溶液の代わりに、40μLのリン酸緩衝液を陰性対照として使用した。陰性対照の役割は、化合物自体の化学的安定性の影響を排除することである。
【0367】
4.反応系に100μMの本発明化合物と陽性対照化合物ベラパミルを4μL添加して反応を開始し、化合物の最終濃度は1μMとした。
【0368】
5.ボルテックスシェーカーで十分に混合した後、0.5、15、30、45、60分の時点でそれぞれ50μLのインキュベートしたサンプルを取り出し、内部標準を含む200μLの氷アセトニトリルで反応を停止させた。サンプルを3220gの回転速度で45分間遠心分離した。遠心分離後、90μLの上清液をサンプルプレートに移し、90μLの超純水を加えて均一に混合し、LC-MS/MS分析に使用した。
【0369】
全てのデータはMicrosoft Excelソフトウェアによって計算された。イオンスペクトルを抽出してピーク面積を検出し、化合物の消失パーセントの自然対数を時間に対して線形フィッティングさせることで、化合物のインビトロ半減期(t1/2)を測定した。
【0370】
インビトロ(in vitro)半減期(t1/2)は斜率kによって計算された。
【0371】
in vitro t1/2=0.693/k
インビトロ固有クリアランス(単位:μL/min/mgタンパク質(protein))は、次の式で計算された。
【0372】
in vitro CLint=k×volume of incubation(μL)/amount of proteins(mg)
CLintは固有クリアランスであり、kは消失速度定数であり、volume of incubationはインキュベーション容量(μL)であり、amount of proteinsはタンパク質量(mg)である
本発明化合物の対応する肝ミクロソーム安定性を表2に示す。
【0373】
【0374】
試験例8、本発明化合物の膜透過性及び輸送特性の測定
本発明化合物の膜透過性及び輸送特性は、以下のような試験方法によって測定された。
【0375】
一、試験の材料と機器
1.Caco-2細胞(ATCC)
2.HEPES(Solarbio 804D049)、ペニシリン/ストレプトマイシン(Solarbio 20200109)及びPBS(Solarbio 20200620)
3.ウシ胎児血清(FBS)(Sigma WXBD0055V)、蛍光イエロー(Sigma MKCJ3738)及びNaHCO3(Sigma SLBZ4647)
4.Hank’s平衡塩類溶液(HBSS)(Gibco 2085528)、非必須アミノ酸(NEAA)(Gibco 2211548)及びTrypsin/EDTA(Gibco 2120732)
5.高糖DMEM(Corning 20319014)
6.HTS Transwell-96 Well Permeable(Corning、3391)
7.抵抗測定器(Millipore、Millicell(R) ERS-2)
8.Cellometer(R) Vision(Nexcelom Bioscience)
9.Infinite 200 PROマイクロプレートリーダー(Tecan、Infinite M200PRO)
10.陽性対照化合物メトプロロール(Sinopharm 100084-201403)、エリスロマイシン(MCE 84550)及びシメチジン(Sinopharm 100158-201406)
11.ABI QTrap 5500液体クロマトグラフ質量分析計
二、試験の手順
1.Caco-2細胞培養
1)輸送バッファー(25mMのHEPESを含むHBSS、pH7.4)の調製:5.958gのHEPESと0.35gのNaHCO3を精確に秤量し、900mLの純水を加えて溶解させ、100mLの10×HBSSを加えて均一に撹拌し、pHを7.4に調整し、濾過した。
【0376】
2)Caco-2細胞培地の調製:FBS、ペニシリン/ストレプトマイシン、カナマイシン及びNEAAを高糖DMEM(L-グルタミンを含む)培地に加え、10%FBS、100単位のペニシリン/0.1mg/mLのストレプトマイシン、0.6μg/mLのカナマイシン及び1×NEAAを含む細胞培地を調製した。
【0377】
3)37℃、5%CO2インキュベーターの中でT-75培養フラスコで細胞を培養し、細胞が80~90%の密度に成長したら培地を廃棄した。5mLのPBSで細胞を洗浄し、1.5mLのTrypsin/EDTAを加え、そして細胞が流砂のように落ちるまで37℃のインキュベーターで5~10分間インキュベートし、最後にFBS含有培地でTrypsin/EDTAを中和した。
【0378】
4)細胞懸濁液を120gで10分間遠心分離し、上清液を捨てた。
【0379】
5)細胞培地を加えて細胞を再懸濁し、密度が6.86×105cells/mLである細胞懸濁液に調整した。
【0380】
2.Caco-2細胞接種
1)Transwellチャンバーの各ウェルに50μLの培地を加え、下層に25mLの培地を加え、37℃、5%CO2インキュベーターに入れて1時間予熱した。
【0381】
2)予熱したTranswellチャンバーの各ウェルに50μLの細胞懸濁液を加え、最終的な接種密度を2.4×105cells/cm2(細胞/mL)とした。
【0382】
3)14~18日間培養し、1日おきに培地を交換し、最初の接種から48時間以内に培地を交換した。培地は実験の前日に交換する必要がある。
【0383】
3.単層細胞膜の完全性の評価
1)細胞は14日間の培養後に融合・分化し、輸送実験に備えることができた。
【0384】
2)単層膜の抵抗を抵抗計で測定し、各ウェルの抵抗値を記録した。
【0385】
3)測定終了後、Transwellプレートを再インキュベートした。
【0386】
4)TEER値を計算した。
【0387】
TEER値=TEER測定値(Ω)x膜面積(cm2)
単層細胞膜の抵抗は230Ω・cm2未満であり、単層細胞膜は緻密性が悪く、試験に使用できないことを示した。
【0388】
4.輸送実験
1)10mMの本発明化合物又は陽性対照化合物の貯蔵液をDMSOで希釈して2mMの貯蔵液を得た後、2mMの貯蔵液を輸送バッファーで希釈して10μMの本発明化合物又は陽性対照化合物の作動液を得た。
【0389】
2)Caco-2細胞プレートをインキュベーターから取り出し、次に予熱した輸送バッファーでTranswellプレートを2回洗浄し、37℃のインキュベーターに入れて30分間インキュベートした。
【0390】
3)頂端から基底端(A→B)までの化合物の輸送速度を測定するために、108μLの化合物の作動液をTranswellチャンバー(頂端)に加え、同時にすぐに頂端から8μLのサンプルを取り出して72μLの輸送バッファーに加え、最初の頂端サンプルとして、内部標準を含む240μLの停止液を加え、輸送を停止させた。同時に、300μLの輸送バッファーを受取端(基底端)に加えた。試験は2サンプルを設定した。
【0391】
4)基底端から頂端(B→A)までの化合物の輸送速度を測定するために、308μLの化合物の作動液を基底端に加え、同時にすぐに基底端から8μLのサンプルを取り出して72μLの輸送バッファーに加え、最初の基底端サンプルとして、内部標準を含む240μLの停止液を加え、輸送を停止させた。同時に、100μLの輸送バッファーをTranswellチャンバー(頂端)に加えた。試験は2サンプルを設定した。
【0392】
5)細胞培養プレートを37℃のCO2インキュベーターに入れて2時間インキュベートした。
【0393】
6)輸送実験終了後、投与端(即ち、A→B方向の頂端とB→A方向の基底端)から8μLのサンプルを取り出して72μLの輸送バッファーに加え、そして、内部標準を含む240μLの停止液を加え、輸送を停止させた。受取端(即ち、A→B方向の基底端とB→A方向の頂端)から80μLのサンプルを取り出して、内部標準を含む240μLの停止液に加え、1000rpmで10分間ボルテックスし、3220gで30分間遠心分離した。100μLの上清液をサンプルプレートに移し、100μLの超純水を加えて均一混合し、LC-MS/MS分析に使用した。
【0394】
7)輸送実験終了後、蛍光値を測定し、10mMの蛍光イエロー貯蔵液を水で調製し、そして、輸送バッファーで100μMに希釈した。100μLの蛍光イエロー溶液をTranswellチャンバー(頂端)に加え、300μLの輸送バッファーを基底端に加え、37℃のCO2インキュベーターに入れて30分間インキュベートした。頂端及び基底端から80μLの溶液を取り出して96ウェルプレートに加え、マイクロプレートリーダーを使用して、励起波長485nm及び発光波長530nmで細胞の蛍光値を測定した(膜の完全性を検出する)。
【0395】
次の式を使用して漏れ率(Percentage leakage(%)又はLY(%))を計算した:
Percentage Leakage={Iacceptor×0.3/(Iacceptor×0.3+Idonor×0.1)}×100%
Iacceptor(I受取端)は受取側(0.3mL)の蛍光密度を指し、Idono(Iドナー)は投与側(0.1mL)の蛍光密度を指す。LY>1.0%は単層細胞膜の緻密性が悪いことを示し、対応する結果は評価から除外された。
【0396】
投与側と受取側の化合物のピーク面積を測定し、化合物の見かけの透過係数(Papp、単位:cm/s)と排出比(Efflux ratio)を算出した。
【0397】
Papp={VA×[drug]acceptor/(Area×incubation time×[drug]initial donor}
VAは受取端の溶液の体積(A→Bは0.3mL、B→Aは0.1mL)であり、Area(膜面積)はTranswell-96ウェルプレートの膜面積(0.143cm2)であり、incubation timeはインキュベーション時間(単位:s)であり、[drug]acceptor([薬物]受取端)は受取端の薬物濃度であり、[drug]initial donor([薬物]初期、ドナー)は投与側の初期薬物濃度である。
【0398】
【0399】
Papp(B-A)は基底端から頂端までの見掛けの透過係数であり、Papp(A-B)は頂端から基底端までの見掛けの透過係数である。
【0400】
【0401】
試験例9、本発明化合物の血漿タンパク結合率の測定
5種(ヒト、サル、イヌ、ラット、マウス)の血漿における本発明化合物のタンパク結合率は、以下のような試験方法によって測定された。
【0402】
一、試験の材料と機器
1.ヒト血漿(BioIVT)、サル血漿(ADME-plasma-pooled monkey-05212020)、ビーグル犬血漿(BioIVT)、SDラット血漿(BioIVT)、CD-1マウス血漿(BioIVT)
2.Na2HPO4(Sigma S5136-500G)
3.NaH2PO4(Sigma S3139-500G)
4.NaCl(Sigma S5886-IKG)
5.96ウェル平衡透析プレート(HTDialysis LLC、Gales Ferry、CT、HTD96B)及び平衡透析膜(MWCO 12-14K、1101)
6.陽性対照化合物ワルファリン
7.ABI QTrap 5500液体クロマトグラフ質量分析計
二、試験の手順
1.100mMのリン酸ナトリウム塩と150mMのNaClの濃度のバッファーの調製:超純水で14.2g/LのNa2HPO4と8.77g/LのNaClの濃度の塩基性溶液を調製し、超純水で12.0g/LのNaH2PO4と8.77g/LのNaClの濃度の酸性溶液を調製し、そして、塩基性溶液を酸性溶液でpH7.4まで滴定し、100mMのリン酸ナトリウム塩と150mMのNaClの濃度のバッファーを調製した。
【0403】
2.透析膜の準備:膜を2枚に分離するために、透析膜を超純水に60分間浸漬し、その後20%エタノールに20分間浸漬し、最後に透析用バッファーに20分間浸漬した。
【0404】
3.血漿の準備:凍結血漿を室温で急速解凍し、4℃、3220gで10分間遠心分離して血栓を除去し、上清を新しい遠心分離管に集めた。血漿のpH値を測定・記録してpH7~8の血漿を使用した。
【0405】
4.化合物含有血漿サンプルの調製:10mMの本発明化合物又は陽性対照化合物の貯蔵液をDMSOで希釈して、200μMの作動液を得た。200μMの化合物作動液3μLをヒト、サル、イヌ、ラット又はマウスの血漿597μLに加え、最終濃度1μMの血漿サンプルを得た。
【0406】
5.平衡透析の手順:取扱説明書に従って透析装置を組み立てた。1μMの化合物を含む血漿サンプル120μLを透析膜の片側に加え、等量の透析液(リン酸塩緩衝液)をもう片側に加えた。試験は2サンプルを設定した。透析プレートをシール膜で密閉し、インキュベーション装置に置き、37℃、5%CO2、約100rpmで6時間インキュベートした。インキュベーション終了後、シール膜を取り除き、各ウェルのバッファー側と血漿側から50μLのサンプルを吸引して新しいプレートの異なるウェルに移した。リン酸塩緩衝液サンプルに50μLのブランク血漿を加え、血漿サンプルに等量のブランクリン酸塩緩衝液を加え、そして、300μLの内部標準を含むアセトニトリルを加えてタンパク質を沈殿させた。5分間ボルテックスし、4℃、3220gで30分間遠心分離した。100μLの上清液をサンプルプレートに移し、100μLの超純水を加えて均一混合し、LC-MS/MS分析に使用した。
【0407】
緩衝液側と血漿側の化合物のピーク面積を測定した。化合物の血漿タンパク結合率を計算する式は次の通りである。
【0408】
%遊離率=(化合物ピーク面積対内部標準ピーク面積の比緩衝液側/化合物ピーク面積対内部標準ピーク面積の比血漿側)×100%
%結合率=100%-%遊離率
【0409】
【0410】
試験例10、本発明化合物のCYP2C9、CYP2D6酵素活性に対する阻害作用
CYP2C9、CYP2D6酵素活性に対する本発明化合物の阻害は、以下のような実験方法によって測定された。
【0411】
一、試験の材料と機器
1.ヒト肝ミクロソーム(Corning 452117)
2.NADPH(Solarbio 705Y021)
3.陽性基質ジクロフェナク(Sigma SLBV3438)、デキストロメトルファン(TRC 3-EDO-175-1)
4.陽性阻害剤スルファフェナゾール(D.Ehrenstorfer GmbH 109012)、キニジン(TCI WEODL-RE)
5.AB Sciex Triple Quad 5500液体クロマトグラフ質量分析計
二、試験の手順
1.100mMのリン酸緩衝液(PBS)の調製:7.098gのNa2HPO4を秤量し、500mLの純水を加え、超音波溶解して溶液Aとした。3.400gのKH2PO4を秤量し、250mLの純水を加え、超音波溶解して溶液Bとした。A溶液をミキサーに置き、pH値が7.4に達するまでB溶液をゆっくり加え、100mMのPBS緩衝液を調製した。
【0412】
2.100mMのPBS緩衝液を使用して10mMのNADPH溶液を調製した。10mMの本発明化合物貯蔵液をDMSOで希釈し、濃度200×の化合物作動液(6000、2000、600、200、60、20、0μM)を得た。陽性阻害剤貯蔵液をDMSOで希釈し、濃度200×の陽性阻害剤作動液(スルファフェナゾール:1000、300、100、30、10、3、0μM、キニジン:100、30、10、3、1、0.3、0μM)を得た。水、アセトニトリル、又はアセトニトリル/メタノールで濃度200×の基質作動液(120μMのジクロフェナク、400μMのデキストロメトルファン)を調製した。
【0413】
3.20mg/mLの肝ミクロソーム溶液2μL、基質作動液1μL、化合物作動液1μL及びPBS緩衝液176μLを取り、均一に混合し、37℃の水浴で15分間プレインキュベートした。陽性対照群では、化合物作動液の代わりに、スルファフェナゾール又はキニジン作動液を1μL添加した。同時に、10mMのNADPH溶液を一緒に37℃の水浴中で15分間プレインキュベートした。15分後、20μLのNADPHを各ウェルに加えて反応を開始し、37℃で5分間(CYP2C9)、20分間(CYP2D6)インキュベートした。全てのインキュベートサンプルに2つずつのサンプルを設定した。対応する時間インキュベートした後、内部標準を含む400μLの氷メタノールを全てのサンプルに加えて反応を停止させた。ボルテックスして均一に混合し、3220g、4℃で40分間遠心分離した。遠心分離後、100μLの上清液をサンプルプレートに移し、100μLの超純水を加えて均一混合し、LC-MS/MS分析に使用した。
【0414】
対照群と比較した薬物投与群における代謝物生成量の減少を、内部標準に対するサンプルのピーク面積の比によって比較し、Excel XLfit 5.3.1.3を使用してIC50値を計算した。
【0415】
以下の式により、残存活性パーセントを算出した。
【0416】
残存活性パーセント=代謝物ピーク面積対内部標準ピーク面積の比試験物/代謝物ピーク面積対内部標準ピーク面積の比ブランク溶媒×100%。
【0417】
薬物間相互作用(drug-druginteraction、DDI)とは、2種又は2種以上の薬物によって引き起こされる物理的又は化学的変化、及びこれらの変化によって引き起こされる薬効の変化を指す。薬物間相互作用を理解することで、患者により良い薬学的サービスを提供し、合理的な薬物使用を促進し、副作用を最大限に回避することができる。薬物間相互作用は主に代謝性相互作用であり、代謝性相互作用は主に薬物代謝に関与するCYP450酵素に関連する。表5の実験結果から、本発明化合物はCYP450に対する阻害能力が弱く、本発明化合物のDDIの発生の潜在的なリスクが比較的低いことを示した。
【0418】
【0419】
試験例11、本発明化合物のhERG阻害活性の測定
hERG活性に対する本発明化合物の阻害は、以下のような実験方法によって測定された。
【0420】
一、試験の材料と機器
1.透析ウシ胎児血清 上海博▲漢▼生物科技有限公司(BS-0005-500)
2.DMEM培地 サーモフィッシャーサイエンティフィック(中国)有限公司(10569)
3.HEPES サーモフィッシャーサイエンティフィック(中国)有限公司(15630080)
4.トリプシン サーモフィッシャーサイエンティフィック(中国)有限公司(2192509)
5.ペニシリン-ストレプトマイシン溶液 サーモフィッシャーサイエンティフィック(中国)有限公司(15140-122)
6.MEM非必須アミノ酸溶液 サーモフィッシャーサイエンティフィック(中国)有限公司(11140)
7.ジェネティシン(G418) サーモフィッシャーサイエンティフィック(中国)有限公司(11811031)
8.ブラストサイジン サーモフィッシャーサイエンティフィック(中国)有限公司(R21001)
9.ポリリジン サーモフィッシャーサイエンティフィック(中国)有限公司(P4832)
10.ドフェチリド 北京EXPRESS技術開発有限公司(D525700)
11.ドキシサイクリン シグマアルドリッチ(上海)貿易有限公司(D9891)
12.二酸化炭素インキュベーター サーモフィッシャーサイエンティフィック(中国)有限公司(371)
13.プーラー アメリカSutter社(P-97)
14.マイクロマニピュレーター アメリカSiskiyou社(MC1000e)
15.マイクロマニピュレーター アメリカSutter社(ROE-200;MP285)
16.アンプ ドイツHEKA社(EPC10)
17.顕微鏡 オリンパス中国有限公司(IX51/71/73)
18.灌流システム アメリカALA社(VM8型重力ドラッグデリバリーシステム)
二、細胞株及び細胞培養
hERGイオンチャネルを安定的に発現するHEK293細胞株(商品番号:K1236)はInvitrogen社から購入した。当該細胞株を、85%DMEM、10%透析ウシ胎児血清、0.1mMの非必須アミノ酸溶液、100U/mLのペニシリン-ストレプトマイシン溶液、25mMのHEPES、5μg/mLのブラストサイジン及び400μg/mLのジェネティシンを含む培地で培養した。細胞密度が培養皿の底面積の40%~80%に増加した時点で、トリプシンを用いて消化及び継代を行い、継代を週に3回行った。実験前に、細胞を6cm培養皿で5×105の密度で培養し、1μg/mLのドキシサイクリンを加えて48時間誘導し、そして、細胞を消化し、その後の手動パッチクランプ実験のために、スライドガラスに接種した。
【0421】
三、溶液の調製
・ 細胞外液(単位:mM):132塩化ナトリウム、4塩化カリウム、3塩化カルシウム、0.5塩化マグネシウム、11.1グルコース及び10 HEPES(水酸化ナトリウムでpHを7.35に調整する)。
・ 細胞内液(単位:mM):140塩化カリウム、2塩化マグネシウム、10 EGTA、5 ATP-マグネシウム塩及び10 HEPES(水酸化カリウムでpHを7.35に調整する)。
【0422】
注:溶液の浸透圧は280~300 mOsmol/kgの間に制御される。溶液は使用前に濾過し、4℃で保存する必要がある。ATP-マグネシウム塩は、最初に100mMの貯蔵液に調製し、小分けにして-20℃の冷蔵庫に保管する。実験当日、一定量を取って細胞内液に加え、調製した後にすぐに使用する。
【0423】
四、実験の手順
1) 培養皿中のHEK293細胞を載せた小さなスライドガラスを顕微鏡操作台の灌流槽に設置した。
【0424】
2) Olympus IX51、IX71又はIX73倒立顕微鏡の下で適切な細胞を視野の中心に置き、×10倍の対物レンズを使用してガラス電極の先端を見つけ、それを視野の中心に置いた。そして、マイクロマニピュレーターを使用して電極を下に移動しながら粗焦点ノブを調整し、電極がゆっくりと細胞に近づくようにした。
【0425】
3) 細胞に近づいたら、×40倍の対物レンズに切り替えて観察し、マイクロマニピュレーターでギアを微調整し、電極が徐々に細胞表面に近づくようにした。
【0426】
4) 負圧を加えて電極先端と細胞膜の間に1GΩより高い抵抗のシールを形成した。
【0427】
5) 電圧クランプモードで瞬時容量性電流Cfastを補償した。その後、短時間の負圧を繰り返し与えて膜を破り、最終的に全細胞記録パターンを形成した。
【0428】
6) 膜電位を-60mVにクランプした条件下で、低速容量性電流Cslow、細胞膜容量(Cm)及び入力膜抵抗(Ra)を個別に補償した。
【0429】
7) 細胞が安定したら、クランプ電圧を-90mVに変更し、サンプリング周波数を20kHzに、フィルター周波数を10kHzに設定した。リーク電流の検出条件は、クランプ電圧を-80mVに変更し、継続時間を500msとした。
【0430】
8) hERG電流測定方法は次の通りである。即ち、4.8秒の脱分極指令電圧を印加して膜電位を-80mVから+30mVに脱分極し、次に、瞬間的に再分極電圧を5.2秒印加して膜電位を-50mVに低下させ、チャネルの不活性化を解除してhERGテール電流を観察できるようにした。テール電流のピーク値は、hERG電流の大きさであった。
【0431】
9) 被験化合物を検出するために使用されるhERG電流は、被験細胞によって生成されるhERG電流の安定性を評価するために、何れも投与前に120秒間継続的に記録された。評価基準の許容範囲内にある安定した細胞のみが、その後の化合物検出に利用できた。
【0432】
hERG電流に対する被験化合物の阻害作用の測定:先ず、0.1%DMSOを含む細胞外液中で測定されたhERG電流を検出のベースラインとした。hERG電流が少なくとも5分間安定した後、被験化合物を含む溶液を、細胞の周囲に低濃度から高濃度まで順次に灌流した。各灌流後、化合物が細胞に完全に作用するように約5分間待ち、同時にhERG電流を記録した。記録された電流が安定傾向になったら、最後の5つのhERG電流値を記録し、その平均値を特定の濃度での最終電流値として採用した。化合物を試験した後、同じ細胞に150nMのドフェチリドを加え、その細胞の陽性対照として電流を完全に阻害した。同時に、検出システム全体の信頼性と感度を確保するために、被験化合物の実験終了前後に、陽性化合物ドフェチリドを同じパッチクランプシステムで同期的に検出した。
【0433】
五、データ分析
データはPatchMasterソフトウェアによって出力され、次の手順に従って分析された。
・ ブランク溶媒又は化合物グラジエント溶液を灌流した後、得られた5つの連続電流値を安定させ、平均値を求め、それぞれ「テール電流の大きさブランク」と「テール電流の大きさ化合物」とした。
・ 電流抑制率は、以下の式で計算された。
【0434】
【0435】
用量反応曲線をGraphpad Prism 8.0ソフトウェアによってフィッティングし、IC50値を計算した。
【0436】
本発明化合物は何れもhERGカリウムイオンチャネルに対して有意に阻害せず、化合物はhERGカリウムイオンチャネルの阻害による心毒性の発生のリスクが低いことを示した。被験化合物の対応するhERGカリウムイオンチャネル阻害活性については、具体的には、表6に示す。
【0437】
【手続補正書】
【提出日】2023-12-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)で示される化合物又はその薬学的に許容される塩であって、
【化1】
そのうち、
R
1、R
2はそれぞれH、CH
3又はハロゲンから独立的に選ばれ、
環Aは、フェニル基、5~10員ヘテロアリール基又はC
3~C
10シクロアルキル基から選ばれ、前記フェニル基、5~10員ヘテロアリール基又はC
3~C
10シクロアルキル基は、任意選択的にR
1aで置換され、
Xは、O、S、C
1~C
3アルキレン-O、C
1~C
3アルキレン-S、NR
6又はC(R
7)(R
8)から選ばれ、
R
6は、H、C
1~C
6アルキル基、C
3~C
6シクロアルキル基又は4~7員ヘテロシクリル基から選ばれ、前記C
1~C
6アルキル基、C
3~C
6シクロアルキル基又は4~7員ヘテロシクリル基は、任意選択的にR
bで置換され、
R
7、R
8は、それぞれH、ハロゲン、CN、OH、NH
2、C
1~C
6アルキル基、C
3~C
6シクロアルキル基又は4~7員ヘテロシクリル基から独立的に選ばれ、或いはR
7、R
8は、それらに連結している原子と共に、C
3~C
6シクロアルキル基又は4~7員ヘテロシクリル基を形成し、前記OH、NH
2、C
1~C
6アルキル基、C
3~C
6シクロアルキル基又は4~7員ヘテロシクリル基は、任意選択的にR
bで置換され、
環Bは、C
6~C
10アリール基、5~10員ヘテロアリール基、C
3~C
10シクロアルキル基又は4~14員ヘテロシクリル基から選ばれ、前記C
6~C
10アリール基、5~10員ヘテロアリール基、C
3~C
10シクロアルキル基又は4~14員ヘテロシクリル基は、任意選択的にR
2aで置換され、
R
10は、OH、SH、O(C
1~C
6アルキル基)、S(C
1~C
6アルキル基)、O-C(=O)-(C
1~C
6アルキル基)又は
【化2】
から選ばれ、前記O(C
1~C
6アルキル基)、S(C
1~C
6アルキル基)、O-C(=O)-(C
1~C
6アルキル基)は、任意選択的にハロゲン又はCNで置換され、
R
11、R
12は、それぞれH又はC
1~C
6アルキル基から独立的に選ばれ、
各R
1a、R
2aは、ハロゲン、CN、=O、OH、NH
2、C
1~C
6アルキル基、C
3~C
6シクロアルキル基又は4~7員ヘテロシクリル基から独立的に選ばれ、前記OH、NH
2、C
1~C
6アルキル基、C
3~C
6シクロアルキル基又は4~7員ヘテロシクリル基は、任意選択的にR
bで置換され、
各R
bは、ハロゲン、CN、=O、OH、NH
2、C
1~C
6アルキル基、C
3~C
6シクロアルキル基又は4~7員ヘテロシクリル基から独立的に選ばれ、前記OH、NH
2、C
1~C
6アルキル基、C
3~C
6シクロアルキル基又は4~7員ヘテロシクリル基は、任意選択的にR
cで置換され、
各R
cは、ハロゲン、CN、=O、C
1~C
3アルキル基、OH、O(C
1~C
3アルキル基)、NH
2、NH(C
1~C
3アルキル基)又はN(C
1~C
3アルキル基)
2から独立的に選ばれる、式(I)で示される化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項2】
R
1、R
2はそれぞれH又はFから独立的に選ばれる、請求項1に記載の式(I)で示される化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項3】
環Aは、フェニル基又は5~6員ヘテロアリール基から選ばれ、前記フェニル基又は5~6員ヘテロアリール基は、任意選択的にR
1aで置換され、或いは
環Aはフェニル基から選ばれ、前記フェニル基は、任意選択的にR
1aで置換される、請求項1又は2に記載の式(I)で示される化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項4】
R
7、R
8は、それぞれH、ハロゲン、CN、OH、NH
2又はC
1~C
3アルキル基から独立的に選ばれ、或いはR
7、R
8は、それらに連結している原子と共に、C
3~C
6シクロアルキル基を形成し、前記OH、NH
2、C
1~C
3アルキル基又はC
3~C
6シクロアルキル基は、任意選択的にR
bで置換され、或いは
R
7、R
8は、それぞれH、ハロゲン又はC
1~C
3アルキル基から独立的に選ばれ、或いはR
7、R
8は、それらに連結している原子と共に、C
3~C
6シクロアルキル基を形成する、請求項1
又は2に記載の式(I)で示される化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項5】
R
10は、OH、SH、O(C
1~C
3アルキル基)、O-C(=O)-(C
1~C
3アルキル基)又は
【化3】
から選ばれ、前記O(C
1~C
3アルキル基)又はO-C(=O)-(C
1~C
3アルキル基)は、任意選択的にハロゲンで置換される、請求項1
又は2に記載の式(I)で示される化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項6】
R
11、R
12は、それぞれH、メチル基、又はエチル基から独立的に選ばれる、請求項1
又は2に記載の式(I)で示される化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項7】
環Bは、C
6~C
10アリール基、5~10員ヘテロアリール基、又は4~14員ヘテロシクリル基から選ばれ、前記C
6~C
10アリール基、5~10員ヘテロアリール基、又は4~14員ヘテロシクリル基は、任意選択的にR
2aで置換される、請求項1
又は2に記載の式(I)で示される化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項8】
R
2aは、ハロゲン、CN、=O、OH、NH
2、C
1~C
6アルキル基、C
3~C
6シクロアルキル基又は4~7員ヘテロシクリル基から選ばれ、或いは
R
2aは、NH
2又は=Oから選ばれ、或いは
R
2aは、NH
2から選ばれる、請求項1
又は2に記載の式(I)で示される化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項9】
前記式(I)で示される化合物又はその薬学的に許容される塩は、式(Ia)で示される化合物又はその薬学的に許容される塩から選ばれ、
【化4】
そのうち、R
1、R
2、環A、X及びR
10は、請求項1に定義されている通りであり、
R
3は、H、OH又はNHR
9から選ばれ、R
4、R
5は、それらに連結している原子と共に、C
5~C
6シクロアルケニル基、5~6員ヘテロシクリル基、又は5~6員ヘテロアリール基を形成し、前記C
5~C
6シクロアルケニル基、5~6員ヘテロシクリル基、又は5~6員ヘテロアリール基は、任意選択的にR
4aで置換され、或いは、R
5はH、OH又はNHR
9から選ばれ、R
3、R
4は、それらに連結している原子と共に、C
5~C
6シクロアルケニル基、5~6員ヘテロシクリル基又は5~6員ヘテロアリール基を形成し、前記C
5~C
6シクロアルケニル基、5~6員ヘテロシクリル基又は5~6員ヘテロアリール基は、任意選択的にR
4aで置換され、
R
9は、H、C
1~C
6アルキル基、C
3~C
6シクロアルキル基又は4~7員ヘテロシクリル基から選ばれ、前記C
1~C
6アルキル基、C
3~C
6シクロアルキル基又は4~7員ヘテロシクリル基は、任意選択的にR
dで置換され、
R
13、R
14はそれぞれH、ハロゲン、CN、OH、NH
2、O(C
1~C
3アルキル基)又はC
1~C
6アルキル基から独立的に選ばれ、
各R
4aは、ハロゲン、CN、=O、OH、NH
2、C
1~C
6アルキル基、C
3~C
6シクロアルキル基又は4~7員ヘテロシクリル基から独立的に選ばれ、前記OH、NH
2、C
1~C
6アルキル基、C
3~C
6シクロアルキル基又は4~7員ヘテロシクリル基は、任意選択的にR
dで置換され、
各R
dは、ハロゲン、CN、=O、C
1~C
3アルキル基、OH、O(C
1~C
3アルキル基)、NH
2、NH(C
1~C
3アルキル基)又はN(C
1~C
3アルキル基)
2から独立的に選ばれる、請求項1に記載の式(I)で示される化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項10】
前記R
3は、H、OH又はNH
2から選ばれ、R
4、R
5は、それらに連結している原子と共に、5~6員ヘテロシクリル基又は5~6員ヘテロアリール基を形成し、前記5~6員ヘテロシクリル基又は5~6員ヘテロアリール基は、R
4aで置換されていてもよく、或いは
前記R
3は、Hから選ばれ、R
4、R
5は、それらに連結している原子と共に、5~6員ヘテロシクリル基又は5~6員ヘテロアリール基を形成し、前記5~6員ヘテロシクリル基又は5~6員ヘテロアリール基は、R
4aで置換されていてもよく、或いは
前記R
3は、H、OH又はNH
2から選ばれ、R
4、R
5は、それらに連結している原子と共に、
【化5】
を形成し、前記
【化6】
は、R
4aで置換されていてもよく、或いは
R
3は、Hから選ばれ、R
4、R
5は、それらに連結している原子と共に、
【化7】
を形成し、前記
【化8】
は、R
4aで置換される、請求項9に記載の式(Ia)で示される化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項11】
R
5は、H、OH又はNH
2から選ばれ、R
3、R
4は、それらに連結している原子と共に、C
5~C
6シクロアルケニル基、5~6員ヘテロシクリル基又は5~6員ヘテロアリール基を形成し、前記C
5~C
6シクロアルケニル基、5~6員ヘテロシクリル基又は5~6員ヘテロアリール基は、R
4aで置換されていてもよく、或いは
R
5はH又はNH
2から選ばれ、R
3、R
4は、それらに連結している原子と共に、C
5~C
6シクロアルケニル基、5~6員ヘテロシクリル基又は5~6員ヘテロアリール基を形成し、前記C
5~C
6シクロアルケニル基、5~6員ヘテロシクリル基又は5~6員ヘテロアリール基は、R
4aで置換されていてもよく、或いは
R
5は、H、OH又はNH
2から選ばれ、R
3、R
4は、それらに連結している原子と共に、
【化9】
を形成し、前記
【化10】
は、R
4aで置換されていてもよく、或いは
R
5はH又はNH
2から選ばれ、R
3、R
4は、それらに連結している原子と共に、
【化11】
を形成し、前記
【化12】
は、R
4aで置換される、請求項9又は10に記載の式(Ia)で示される化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項12】
Xは、O、S、C
1~C
3アルキレン-O、C
1~C
3アルキレン-S、又はC(R
7)(R
8)から選ばれ、前記R
7、R
8は、それぞれH、ハロゲン、CN、OH、NH
2又はC
1~C
3アルキル基から独立的に選ばれ、或いはR
7、R
8は、それらに連結している原子と共に、C
3~C
6シクロアルキル基を形成し、前記OH、NH
2、C
1~C
3アルキル基又はC
3~C
6シクロアルキル基は、任意選択的にR
bで置換され、或いは 前記R
7、R
8は、それぞれH、ハロゲン又はC
1~C
3アルキル基から独立的に選ばれ、或いはR
7、R
8は、それらに連結している原子と共に、C
3~C
6シクロアルキル基を形成する、請求項9
又は10に記載の式(Ia)で示される化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項13】
R
4aは、ハロゲン、CN、=O、OH、NH
2、C
1~C
6アルキル基又はC
3~C
6シクロアルキル基から選ばれ、或いは
R
4aは、=O又はNH
2から選ばれる、請求項9
又は10に記載の式(Ia)で示される化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項14】
R
13、R
14は、それぞれH又はNH
2から独立的に選らばる、請求項9
又は10に記載の式(Ia)で示される化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項15】
構造単位
【化13】
は、
【化14】
から選ばれる、請求項9
又は10に記載の式(Ia)で示される化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項16】
化合物又はその薬学的に許容される塩であって、前記化合物は、以下の構造の1つから選ばれ、
【化15】
である、化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項17】
請求項1~16の何れか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩及び薬学的に許容される賦形剤を含む、医薬組成物。
【請求項18】
グルココルチコイド受容体によって媒介される疾患を予防又は治療するために用いられる、
任意選択的に、前記グルココルチコイド受容体によって媒介される疾患は、腫瘍、炎症性疾患又は自己免疫疾患から選ばれる、
請求項1~16の何れか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩、或いは請求項17に記載の医薬組成物。
【国際調査報告】