(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-28
(54)【発明の名称】車両の収容保持部とブレーキブースタを結合するためのアダプタコンポーネントおよびアダプタモジュール、ブレーキブースタモジュール、アダプタコンポーネントを製造する方法、ならびにブレーキブースタモジュールを組み付ける方法
(51)【国際特許分類】
B60T 13/567 20060101AFI20240621BHJP
【FI】
B60T13/567
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023579494
(86)(22)【出願日】2022-06-14
(85)【翻訳文提出日】2024-02-21
(86)【国際出願番号】 EP2022066150
(87)【国際公開番号】W WO2023280530
(87)【国際公開日】2023-01-12
(31)【優先権主張番号】102021207075.2
(32)【優先日】2021-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100177839
【氏名又は名称】大場 玲児
(74)【代理人】
【識別番号】100172340
【氏名又は名称】高橋 始
(74)【代理人】
【識別番号】100182626
【氏名又は名称】八島 剛
(72)【発明者】
【氏名】バウアー,セバスティアン
【テーマコード(参考)】
3D048
【Fターム(参考)】
3D048BB45
3D048BB51
3D048CC26
3D048EE02
3D048EE04
3D048KK02
3D048MM01
3D048MM02
3D048NN09
(57)【要約】
車両の収容保持部とブレーキブースタを結合するためのアダプタコンポーネントは、ブレーキブースタを取り付けるための第1の結合ピンを収容するための少なくとも2つの第1の結合開口部を有する、平坦に延びるベース部分と、ベース部分に対して横向きに延びる軸方向でベース部分から突出する鍔部と、収容保持部に取り付けるための第2の結合ピンを収容するための少なくとも2つの第2の結合開口部を有する、鍔部から径方向で外方に向かって突出するフランジとを含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の収容保持部(500)とブレーキブースタ(300)を結合するためのアダプタコンポーネント(100)において、
前記ブレーキブースタ(300)を取り付けるための第1の結合ピン(211)を収容するための少なくとも2つの第1の結合開口部(11)を有する、平坦に延びるベース部分(1)と、
前記ベース部分(1)に対して横向きに延びる軸方向(A1)で前記ベース部分(1)から突出する鍔部(2)と、
前記収容保持部(500)に取り付けるための第2の結合ピン(231)を収容するための少なくとも2つの第2の結合開口部(31)を有する、前記鍔部(2)から径方向(R1)で外方に向かって突出するフランジ(3)とを有する、アダプタコンポーネント。
【請求項2】
前記ベース部分(1)、前記鍔部(2)、および前記フランジ(3)は特に金属薄板の深絞りによる部品として製作される、請求項1に記載のアダプタコンポーネント(100)。
【請求項3】
前記ベース部分(1)は、前記ブレーキブースタ(300)の操作装置(350)を挿通するための中央の切欠き(10)を有する、請求項1または2に記載のアダプタコンポーネント(100)。
【請求項4】
前記ベース部分(1)は円形の外側円周(12)を有する、請求項1から3までのいずれか1項に記載のアダプタコンポーネント(100)。
【請求項5】
前記第1の結合開口部(11)は径方向(R1)に関して前記鍔部(2)よりも内部に配置される、請求項1から4までのいずれか1項に記載のアダプタコンポーネント(100)。
【請求項6】
前記鍔部(2)は周回する閉じたフレームとして構成される、請求項1から5までのいずれか1項に記載のアダプタコンポーネント(100)。
【請求項7】
前記鍔部(2)は径方向(R1)に関して前記ベース部分(1)の縁部領域に配置される、請求項1から6までのいずれか1項に記載のアダプタコンポーネント(100)。
【請求項8】
前記第2の結合開口部(31)の数は前記第1の結合開口部(11)の数と相違する、請求項1から7までのいずれか1項に記載のアダプタコンポーネント(100)。
【請求項9】
車両の収容保持部(500)とブレーキブースタ(300)を結合するためのアダプタモジュール(200)において、請求項1から8までのいずれか1項に記載のアダプタコンポーネント(100)と、
前記第2の結合開口部(31)の数に対応する数の第2の結合ピン(231)とを含み、
それぞれ1つの第2の結合ピン(231)が1つの第2の結合開口部(31)で固定される、アダプタモジュール。
【請求項10】
前記第2の結合ピン(231)は前記第2の結合開口部(31)で摩擦接合式および/または形状接合式に、特にかしめによって、固定される、請求項9に記載のアダプタモジュール(200)。
【請求項11】
ブレーキブースタモジュール(400)において、
請求項9または10に記載のアダプタモジュール(200)と、
前記アダプタコンポーネント(100)の前記ベース部分(1)の前記第1の結合開口部(11)の数に対応する数の第1の結合ピン(211)が設けられたハウジング(310)を有するブレーキブースタ(300)とを有し、
それぞれ1つの第1の結合ピン(211)が前記アダプタコンポーネント(100)の前記ベース部分(1)の1つの第1の結合開口部(11)で固定される、ブレーキブースタモジュール。
【請求項12】
請求項1から8までのいずれか1項に記載のアダプタコンポーネント(100)を製造する方法(M)において、
薄板ブランクの深絞りによって前記ベース部分(1)、前記鍔部(2)、および前記フランジ(3)が形成(M1)されることと、
前記ベース部分(1)に前記第1の結合開口部(11)が作製(M2)されることと、
前記フランジ(3)に前記第2の結合開口部(31)が作製(M3)されること、
とを含む、方法。
【請求項13】
請求項11に記載のブレーキブースタモジュール(400)を組み付ける方法(M100)において、
前記アダプタコンポーネント(100)の前記フランジ(3)の前記第2の結合開口部(31)で前記第2の結合ピン(231)が固定(M101)されることと、
前記アダプタコンポーネント(100)の前記ベース部分(1)の前記第1の結合開口部(11)で前記第1の結合ピン(211)が固定(M102)されること、
とを含む、方法。
【請求項14】
前記アダプタコンポーネント(100)の前記フランジ(3)の前記第2の結合開口部(31)での前記第2の結合ピン(231)の前記固定(M101)は、前記第2の結合ピン(231)がかしめられることを含む、請求項13に記載の方法(M100)。
【請求項15】
前記アダプタコンポーネント(100)の前記ベース部分(1)の前記第1の結合開口部(11)での前記第1の結合ピン(211)の前記固定(M102)は、前記第1の結合開口部(11)に前記第1の結合ピン(211)が挿通されることと、それぞれ1つの第1の結合ピン(211)にそれぞれ1つのナットがねじ嵌めされることとを含む、請求項13または14に記載の方法(M100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の収容保持部とブレーキブースタを結合するためのアダプタコンポーネントおよびアダプタモジュール、ブレーキブースタモジュール、アダプタコンポーネントを製造する方法、ならびにブレーキブースタモジュールを組み付ける方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ブレーキブースタは、たとえば電気機械式のブレーキブースタは、ブレーキペダルやブレーキレバーにより生成される力を増幅するために、または、ブレーキペダルやブレーキレバーの位置調節ストロークをベースとして出力を生成するために、構成される。このことは、通常、伝動装置を介して操作ロッドに運動学的に連結される電気式のサーボドライブによって行われる。
【0003】
ブレーキブースタは車両で収容保持部に、たとえば壁区域に、取り付けられる。通常、そのために収容保持部には取付開口部が構成されていて、その中で、ブレーキブースタに設けられる取付ピンが固定される。したがって、ブレーキブースタにおける取付ピンの配置と、収容保持部の取付開口部の配置とを互いに適合化することが必要である。
【0004】
特許文献1には、取付ピンを介して収容保持部に固定可能なアダプタコンポーネントを有する、車両の収容保持部にブレーキブースタを取り付けるためのアダプタモジュールが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】欧州特許出願公開第1547890号明細書
【発明の概要】
【0006】
本発明によると、請求項1の構成要件を有する車両の収容保持部とブレーキブースタを結合するためのアダプタコンポーネント、請求項9の構成要件を有するアダプタモジュール、請求項11の構成要件を有するブレーキブースタモジュール、請求項12の構成要件を有するアダプタコンポーネントを製造する方法、および、請求項13の構成要件を有するブレーキブースタモジュールを組み付ける方法が意図される。
【0007】
本発明の第1の態様では、車両の収容保持部とブレーキブースタを結合するためのアダプタコンポーネントは、ブレーキブースタを取り付けるための第1の結合ピンを収容するための少なくとも2つの第1の結合開口部を有する、平坦に延びるベース部分と、ベース部分に対して横向きに延びる軸方向でベース部分から突出する鍔部と、収容保持部に取り付けるための第2の結合ピンを収容するための少なくとも2つの第2の結合開口部を有する、鍔部から径方向で外方に向かって突出するフランジとを含む。
【0008】
本発明の第2の態様では、車両の収容保持部とブレーキブースタを結合するためのアダプタモジュールは、本発明の第1の態様に基づくアダプタコンポーネントと、第2の結合開口部の数に対応する数の第2の結合ピンとを含み、それぞれ1つの第2の結合ピンが1つの第2の結合開口部で固定される。
【0009】
本発明の第3の態様では、ブレーキブースタモジュールは、本発明の第2の態様に基づくアダプタモジュールと、アダプタコンポーネントのベース部分の第1の結合開口部の数に対応する数の第1の結合ピンが設けられたハウジングを有するブレーキブースタとを含み、それぞれ1つの第1の結合ピンがアダプタコンポーネントのベース部分の1つの第1の結合開口部で固定される。
【0010】
本発明の第4の態様では、本発明の第1の態様に基づくアダプタコンポーネントを製造する方法が意図される。この方法は、薄板ブランクの深絞りによってベース部分、鍔部、およびフランジが形成されることと、ベース部分に第1の結合開口部が作製されることと、フランジに第2の結合開口部が作製されることとを含む。
【0011】
本発明の第5の態様では、本発明の第3の態様に基づくブレーキブースタモジュールを組み付ける方法が意図される。この方法は、アダプタコンポーネントのフランジの第2の結合開口部で第2の結合ピンが固定されることと、アダプタコンポーネントのベース部分の第1の結合開口部で第1の結合ピンが固定されることとを含む。
【0012】
本発明の根底にある思想は、ブレーキブースタと収容保持部との間に配置されるアダプタコンポーネントを介してブレーキブースタを収容保持部に取り付けることにあり、アダプタコンポーネントは実質的に帽子形の薄壁のコンポーネントとして具体化される。そのためにたとえばアダプタコンポーネントは、たとえば2mmから4mmの範囲内の厚みを有することができる成形薄板として具体化されていてよい。一般に、アダプタコンポーネントは、第1の表面およびこれと反対向きに位置する第2の表面を有するベース部分またはベースプレートと、第1の表面に対して横向きの軸方向で第1の表面から突出する鍔部または軸方向ウェブと、フランジまたは径方向ウェブとを有する。フランジは、軸方向に関してベース部分と反対を向くほうの鍔部の端部から径方向に、すなわち鍔部に対して横向きに、特にベース部分の幾何学的な中心点に関して外方に向かって延びる。ベース部分は複数の第1の貫通開口部ないし結合開口部を有し、その中に、ブレーキブースタに設けられている結合ピンを挿入可能である。さらにフランジも、収容保持部の穴パターンに対応するパターンで配置される複数の第2の結合開口部を含んでいる。
【0013】
フランジは径方向外側に向かって鍔部から突き出しているので、フランジにある第2の結合開口部は簡易な方式で、ベース部分にある第1の結合開口部の間隔とは相違する相互間隔をおいて配置されていてよい。さらに別の利点は、アダプタコンポーネントをきわめて低コストに、たとえば深絞りによって、製造できることにある。
【0014】
好ましい実施形態と発展形態は、その他の従属請求項ならびに図面の図を参照して行う説明から明らかとなる。
【0015】
いくつかの実施形態では、ベース部分、鍔部、およびフランジは特に金属薄板の深絞りによる部品として製作されることが意図されていてよい。薄壁の薄板部品としての施工形態は、軽量で機械的に耐久性のあるコンポーネントが提供されるという利点を提供する。
【0016】
いくつかの実施形態では、ベース部分は、ブレーキブースタの操作装置を挿通するための中央の切欠きを有することが意図されていてよい。中央の切欠きは、たとえばベース部分の幾何学的な中心点に対して同軸に配置されていてよく、第1の結合開口部は径方向に関して、ベース部分の円周縁部と中央の切欠きとの間に位置する。
【0017】
いくつかの実施形態では、ベース部分は実質的に円形の外側円周を有することが意図されていてよい。このとき幾何学的な中心点は、たとえば外側円周に相当する円の中心点によって定義されていてよい。一般に、すなわちベース部分の外側円周のこれ以外の形状のもとでも、幾何学的な中心点はたとえばベース部分の、特にベース部分の第1の表面の、面重心によって定義されていてよい。
【0018】
いくつかの実施形態では、第1の結合開口部は径方向に関して鍔部よりも内部に配置されることが意図されていてよい。このように第1の結合開口部は径方向に関して、ベース部分の幾何学的な中心点と鍔部との間に配置される。
【0019】
いくつかの実施形態では、鍔部は周回する閉じたフレームとして構成されることが意図されていてよい。たとえば鍔部は環状に、または実質的に環状に、構成されていてよい。周回する鍔部は、深絞り法で容易に作製することができるという利点を提供する。さらに、それによってアダプタコンポーネントの剛性をいっそう高めることができる。
【0020】
いくつかの実施形態では、鍔部は径方向に関してベース部分の縁部領域に配置されることが意図されていてよい。たとえば鍔部はベース部分の屈曲部として構成されていてよく、ないしはベース部分の外側円周を起点として延びる。このような種類の構成は深絞り法で容易に作製可能である。
【0021】
いくつかの実施形態では、第2の結合開口部の数は第1の結合開口部の数と相違することが意図されていてよい。このことは、収容保持部やブレーキブースタのさまざまな穴パターンについて、アダプタの利用可能性を拡張するという利点がある。
【0022】
アダプタモジュールのいくつかの実施形態では、第2の結合ピンは第2の結合開口部で摩擦接合式および/または形状接合式に、特にかしめによって、固定されることが意図されていてよい。
【0023】
いくつかの実施形態では、アダプタコンポーネントのフランジの第2の結合開口部での第2の結合ピンの固定は、第2の結合ピンがかしめられることを含むことが意図されていてよい。このとき結合ピンは、アダプタコンポーネントでの結合ピンの摩擦接合式およびまたは形状接合式の固定が実現されるように可塑変形する。
【0024】
いくつかの実施形態では、アダプタコンポーネントのベース部分の第1の結合開口部での第1の結合ピンの固定は、第1の結合開口部に第1の結合ピンが挿通されることと、それぞれ1つの第1の結合ピンにそれぞれ1つのナットがねじ嵌めされることとを含むことが意図されていてよい。
【0025】
次に、図面の図を参照しながら本発明について説明する。図面は次のものを示す。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の1つの実施例に基づくブレーキブースタモジュールを示す斜視図である。
【
図2】本発明の1つの実施例に基づくアダプタモジュールを示す斜視図である。
【
図3】
図2にアルファベットYで表示する領域を示す詳細な断面図である。
【
図4】
図1にアルファベットZで表示する領域を示す詳細な断面図である。
【
図5】本発明の1つの実施例に基づくブレーキブースタモジュールを、車両の収容保持部に組み付けられた状態で示す破断した半断面図である。
【
図6】本発明の1つの実施例に基づくアダプタコンポーネントを製造する方法のフローチャートである。
【
図7】本発明の1つの実施例に基づくブレーキブースタモジュールを組み付ける方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図中、別段の記載がない限り、同じ符号は同じコンポーネントまたは機能が同じコンポーネントを表す。
【0028】
図1は、ブレーキブースタ300と、車両の収容保持部500とブレーキブースタ300を結合するためのアダプタモジュール200とを有するブレーキブースタモジュール400を純粋に例示として示している。
【0029】
ブレーキブースタ300は、特に、電気機械式のブレーキブースタ300であってよい。このような種類のブレーキブースタは一般的であり、ブレーキペダルやブレーキレバーにより生成される力を増幅し、または、ブレーキペダルやブレーキレバーの位置調節ストロークをベースとして出力を生成するために構成される。そのためにブレーキブースタ300は、伝動装置(図示せず)を介して操作ロッド(図示せず)に運動学的に連結された電気式のサーボドライブ(図示せず)を有している。サーボドライブと伝動装置はハウジング310に収容されている。ブレーキペダルやブレーキレバーの力を操作ロッドへ伝達するために、
図1には純粋に例示としてのみ図示するように、たとえばハウジング310から突出する入力ロッド350の形態の操作装置が設けられていてよい。
【0030】
アダプタモジュール200は、アダプタコンポーネント100と、複数の第2の結合ピン231とを含んでいる。アダプタモジュール200は、
図2に斜視図として示されている。
図2に示すように、アダプタコンポーネント100は、ベース部分1、鍔部2、およびフランジ3を有している。
【0031】
ベース部分1は、一般に、平坦に延びる、たとえばプレート状の部分として具体化され、第1の表面1aと、これに対して反対向きに位置する第2の表面1bとを有している。第1および第2の表面1a,1bは、
図2に例示として示すように、平坦な、または実質的に平坦な、面として構成されていてよい。軸方向A1がベース部分1に対して、特にベース部分1の第1の表面1aに対して、横向きに延びる。径方向R1は、軸方向A1に対して横向きまたは垂直に延びる。
【0032】
さらに
図2に示すように、ベース部分1は実質的に円形の外側円周12を有することができる。「実質的に円形」とは、連続する円を含むだけでなく、
図2に例示として示すように、中間区域12Bによって分離された、共通の中心点を有する複数の円セグメント12Aを有する円周形状も含む。外側円周12は、一般に、ベース部分1の幾何学的な中心点を定義し、この中心点は、たとえば外側円周12によって区切られる面の面重心によって定義されていてよい。
図2では純粋に例示として、実質的に円形の外側円周12を有するベース部分1が示されており、ベース部分1の幾何学的な中心点を通って軸方向A1に延びる中心軸C1が図示されている。
【0033】
さらに
図2に示すように、ベース部分1は、第1および第2の表面1a,1bの間に延びる複数の第1の結合開口部11をさらに有している。これらの結合開口部11は、後でまた詳細に説明するように、ブレーキブースタ300を取り付けるための第1の結合ピン211を収容する役目を果たす。
図2には1つの結合開口部11だけが見えている。一般に、ベース部分1は少なくとも2つの結合開口部11を有することができる。第1の結合開口部11は、
図1に純粋に例示として示すように、径方向R1に関して、特にベース部分1の縁部領域に構成されていてよい。
【0034】
図2にさらに例示として示すように、ベース部分1は任意選択として、ブレーキブースタ300の操作装置350を挿通するための中央の切欠き10を有することができる。中央の切欠き10は、
図2に例示として示すように、たとえば円形であってよい。さらに、
図2に例示として示すように、中央の切欠き10の中心軸は、ベース部分1の中心軸C1に対して同心的ないし同軸に配置されることが意図されていてよい。第1の結合開口部11は、このケースでは径方向R1に関して、中央の切欠き10と外側円周12との間に配置される。さらに、ベース部分1とブレーキブースタ300との間の密閉性を改善するために、たとえば幅が少なくとも4mmの周回する平坦な封止領域が、ベース部分1の第2の表面1bに設けられていてよい。
【0035】
鍔部2は、特に、ベース部分1と結合されたウェブとして具体化されていてよい。
図2に例示として示すように、鍔部2は軸方向A1に沿って、およびこれに伴ってベース部分1に対して横向きに、延びている。特に鍔部2は軸方向A1でベース部分1の第1の表面1aから突き出す。鍔部2は任意選択として、周回するフレームとして構成されていてよい。
図2に例示として示すように、鍔部2は実質的に環状のフレームとして具体化されていてよい。「実質的に環状に」とは、連続する環だけでなく、
図2に例示として示すように、中間区域によって分離された、共通の中心点を有する複数の環セグメントまたは円筒セグメントを有する環形状も含む。さらに任意選択として、鍔部2は径方向R1に関して、ベース部分1の縁部領域に配置されることが意図されていてよい。
図2には純粋に例示として、鍔部2がベース部分1の外側円周12を起点として延びて、外側円周12の形状に対応するフレーム形状を有することが示されている。したがってベース部分1の第1の結合開口部11は、径方向R1に関して、鍔部2よりも内部に位置するのが好ましい。
【0036】
フランジ3も同じくプレート状またはウェブ状に構成されていてよく、鍔部2と結合されており、特に、軸方向A1に関してベース部分1と反対を向くほうの鍔部2の端部22と結合される。フランジ3は径方向に沿って、鍔部2から外方に向かって延びている。すなわちフランジ3は、
図2に示すように、ベース部分1の幾何学的な中心点から離れる方向に鍔部2から突き出す。フランジ3は、
図2に例示として示すように、特に周回するように構成されていてよく、ないしは鍔部2の円周全体に沿って延びるのが好ましい。
【0037】
さらに
図2に示すように、フランジ3は複数の第2の結合開口部31を有している。
図2に純粋に例示として示すように、フランジ3は全部で4つの結合開口部31を有している。しかし当然ながら、4つよりも多い、または少ない、第2の結合開口部31が設けられていてよい。一般に、フランジ3は2つまたはそれ以上の第2の結合開口部31を含む。任意選択として、第2の結合開口部31の数は、ベース部分1の第1の結合開口部11の数と相違していてよい。さらに、フランジ3と収容保持部500との間の密閉性を改善するために、たとえば幅が少なくとも4mmの周回する平坦な封止領域(図示せず)がフランジ3に設けられていてよい。
【0038】
ベース部分1、鍔部2、およびフランジ3は一体的に、ないしは、たとえば2mmから4mmの範囲内の実質的に一定の厚みを有する1つの部品から製作されていてよい。特に、ベース部分1、鍔部2、およびフランジ3は単一の金属薄板から作製されていてよい。このことは、たとえば深絞り法で行うことができる。
図6は、アダプタコンポーネント100を製造する方法Mの手順を模式的に示している。第1のステップM1で、薄板ブランクの深絞りによってベース部分1、鍔部2、およびフランジ3の形成が行われる。このことは、たとえば深絞りプレス機でダイによって、または油圧・機械式の深絞りによって、行うことができる。次のステップM2で、第1の結合開口部11がベース部分1に作製される。ステップM3で、フランジ3に第2の結合開口部31の作製M3が行われる。第1および第2の結合開口部11,31は、たとえば穿孔や打抜きによって作製することができる。このことは、深絞り(ステップM1)の前または後に実行することができる。
【0039】
さらに
図2に示すように、第2の結合開口部31でそれぞれ1つの第2の結合ピン231が固定されている。
図3は、フランジ3の第2の結合開口部32およびその中で固定された第2の結合ピン231の断面図を模式的に示している。
図3に例示として示すように、第2の結合ピン231は、第1の直径を有する軸部231Aと、軸部231Aの一端に配置された、軸部231Aの第1の直径よりも大きい第2の直径を有する頭部231Bとを有している。第1の直径と第2の直径は、軸部231Aを第2の結合開口部32に挿通可能であるが、頭部231Bはそうでないように寸法決めされる。
【0040】
図3に例示として示すように、フランジ3と第2の結合ピン231はかしめられている。軸部231Aは第2の結合開口部32を通って突き出し、頭部231Bは、ベースプレート1のほうを向いているフランジ3の下側表面3aに当接する。下側表面3aと反対側に位置するフランジ3の上側表面3bから突き出す軸部231Aの区域は、第2の結合開口部32よりも大きい直径を定義する、フランジ3の上側表面3bに当接するビード部231Cが形成されるように可塑変形している。このようにして、第2の結合切欠き31の中でのそれぞれの第2の結合ピン231の形状接合式の、および任意選択として追加的に摩擦接合式の、固定が実現される。しかしながら本発明は、固定のためのかしめだけに限定されるものではない。たとえばこれ以外の形状接合式または摩擦接合式の固定手段、たとえばねじ止め、溶接などが意図されていてもよい。
【0041】
再び
図1を参照すると、ブレーキブースタ300のハウジング310に、アダプタコンポーネント100のベース部分1の第1の結合開口部11の数に対応する数の第1の結合ピン211が設けられていることが明らかである。アダプタコンポーネント100にブレーキブースタ300を取り付けるために、それぞれ1つの第1の結合ピン211が、アダプタコンポーネント100のベース部分1のそれぞれ1つの第1の結合開口部11で固定される。
図4に示すようにアダプタコンポーネント100は、特に、ベース部分1の第2の表面1bがハウジング310のほうを向くように、ないしはこれに当接するように、ブレーキブースタ300のハウジング310に配置される。
【0042】
図4は、ベース部分1の第1の結合開口部11およびその中で固定される第1の結合ピン211の断面図を模式的に示している。第1の結合ピン211はハウジング310の切欠き311を通って突き出し、ブレーキブースタ300のハウジング310と固定的に結合され、たとえば
図4に模式的に示すようにこれとかしめられる。さらに第1の結合ピン311はベース部分1の第1の結合開口部11を通って突き出して、ベース部分1の第1の表面1aから突出する。第1の結合開口部11での第1の結合ピン211の固定は、
図1および4に例示として示すように、たとえば結合ピン211の雄ねじにねじ嵌めされるスクリューナット212を用いて行うことができる。さらに
図4に示すように、任意選択として、ナット212とベース部分1の第1の表面1aとの間にワッシャ213が配置されていてよい。
【0043】
図7は、ブレーキブースタモジュール400を組み付ける方法M100の手順を純粋に模式的に示している。第1のステップM101で、アダプタコンポーネント100のフランジ3の第2の結合開口部31での第2の結合ピン231の固定M101が、たとえば上で
図3を参照して説明したようにかしめによって行われる。次のステップM102で、第1の結合ピン211がアダプタコンポーネント100のベース部分1の第1の結合開口部11で固定される。このことは、
図4を参照して例示として説明したように、たとえば第1の結合開口部11に第1の結合ピン211が挿通されることと、それぞれ1つの第1の結合ピン211にそれぞれ1つのナット212がねじ嵌めされることとを含むことができる。
【0044】
図5は、ブレーキブースタモジュール400の破断した半断面図を、これが車両の収容保持部500に組み付けられた状態で模式的に示している。
図5に模式的に示すように、ここではフランジ3が収容保持部500に当接しており、それぞれ1つの第2の結合ピン231がそれぞれ1つの収容切欠き511に挿通され、ないしはこれを通して突き出している。第2の結合ピン231は、たとえば第2の結合ピン231の雄ねじとねじ止めされるナット232によって、それぞれの収容切欠き511で固定されていてよい。
【0045】
アダプタモジュールの上述した構成の1つの利点は、第1および第2の結合開口部11,31の位置や結合ピン211,231の長さを、さまざまな取付周辺条件について比較的容易に適合化することができるモジュール設計を簡易な方式で具体化できることにあり、その際に、ベース部分1、鍔部2、およびフランジ3のジオメトリーを変わらすに保つことができる。結合開口部11,31の位置を適合化しさえすればよい。
【0046】
本発明について上に実施例を参照して例示として説明してきたが、本発明はこれに限定されるものではなく、多彩な形で改変可能である。特に、上述した各実施例の組み合せも考えられる。
【符号の説明】
【0047】
1 ベース部分
2 鍔部
3 フランジ
10 中央の切欠き
11 第1の結合開口部
12 外側円周
31 第2の結合開口部
100 アダプタコンポーネント
200 アダプタモジュール
211 第1の結合ピン
231 第2の結合ピン
300 ブレーキブースタ
310 ハウジング
350 操作装置
400 ブレーキブースタモジュール
500 収容保持部
M100 方法
M101 固定
M102 固定
【手続補正書】
【提出日】2024-02-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の収容保持部(500)とブレーキブースタ(300)を結合するためのアダプタコンポーネント(100)において、
前記ブレーキブースタ(300)を取り付けるための第1の結合ピン(211)を収容するための少なくとも2つの第1の結合開口部(11)を有する、平坦に延びるベース部分(1)と、
前記ベース部分(1)に対して横向きに延びる軸方向(A1)で前記ベース部分(1)から突出する鍔部(2)と、
前記収容保持部(500)に取り付けるための第2の結合ピン(231)を収容するための少なくとも2つの第2の結合開口部(31)を有する、前記鍔部(2)から径方向(R1)で外方に向かって突出するフランジ(3)とを有する、アダプタコンポーネント。
【請求項2】
前記ベース部分(1)、前記鍔部(2)、および前記フランジ(3)は特に金属薄板の深絞りによる部品として製作される、請求項1に記載のアダプタコンポーネント(100)。
【請求項3】
前記ベース部分(1)は、前記ブレーキブースタ(300)の操作装置(350)を挿通するための中央の切欠き(10)を有する、請求項1または2に記載のアダプタコンポーネント(100)。
【請求項4】
前記ベース部分(1)は円形の外側円周(12)を有する、請求項1
または2に記載のアダプタコンポーネント(100)。
【請求項5】
前記第1の結合開口部(11)は径方向(R1)に関して前記鍔部(2)よりも内部に配置される、請求項1
または2に記載のアダプタコンポーネント(100)。
【請求項6】
前記鍔部(2)は周回する閉じたフレームとして構成される、請求項1
または2に記載のアダプタコンポーネント(100)。
【請求項7】
前記鍔部(2)は径方向(R1)に関して前記ベース部分(1)の縁部領域に配置される、請求項1
または2に記載のアダプタコンポーネント(100)。
【請求項8】
前記第2の結合開口部(31)の数は前記第1の結合開口部(11)の数と相違する、請求項1
または2に記載のアダプタコンポーネント(100)。
【請求項9】
車両の収容保持部(500)とブレーキブースタ(300)を結合するためのアダプタモジュール(200)において、請求項1
または2に記載のアダプタコンポーネント(100)と、
前記第2の結合開口部(31)の数に対応する数の第2の結合ピン(231)とを含み、
それぞれ1つの第2の結合ピン(231)が1つの第2の結合開口部(31)で固定される、アダプタモジュール。
【請求項10】
前記第2の結合ピン(231)は前記第2の結合開口部(31)で摩擦接合式および/または形状接合式に、特にかしめによって、固定される、請求項9に記載のアダプタモジュール(200)。
【請求項11】
ブレーキブースタモジュール(400)において、
請求項
9に記載のアダプタモジュール(200)と、
前記アダプタコンポーネント(100)の前記ベース部分(1)の前記第1の結合開口部(11)の数に対応する数の第1の結合ピン(211)が設けられたハウジング(310)を有するブレーキブースタ(300)とを有し、
それぞれ1つの第1の結合ピン(211)が前記アダプタコンポーネント(100)の前記ベース部分(1)の1つの第1の結合開口部(11)で固定される、ブレーキブースタモジュール。
【請求項12】
請求項1
または2に記載のアダプタコンポーネント(100)を製造する方法(M)において、
薄板ブランクの深絞りによって前記ベース部分(1)、前記鍔部(2)、および前記フランジ(3)が形成(M1)されることと、
前記ベース部分(1)に前記第1の結合開口部(11)が作製(M2)されることと、
前記フランジ(3)に前記第2の結合開口部(31)が作製(M3)されること、
とを含む、方法。
【請求項13】
請求項11に記載のブレーキブースタモジュール(400)を組み付ける方法(M100)において、
前記アダプタコンポーネント(100)の前記フランジ(3)の前記第2の結合開口部(31)で前記第2の結合ピン(231)が固定(M101)されることと、
前記アダプタコンポーネント(100)の前記ベース部分(1)の前記第1の結合開口部(11)で前記第1の結合ピン(211)が固定(M102)されること、
とを含む、方法。
【請求項14】
前記アダプタコンポーネント(100)の前記フランジ(3)の前記第2の結合開口部(31)での前記第2の結合ピン(231)の前記固定(M101)は、前記第2の結合ピン(231)がかしめられることを含む、請求項13に記載の方法(M100)。
【請求項15】
前記アダプタコンポーネント(100)の前記ベース部分(1)の前記第1の結合開口部(11)での前記第1の結合ピン(211)の前記固定(M102)は、前記第1の結合開口部(11)に前記第1の結合ピン(211)が挿通されることと、それぞれ1つの第1の結合ピン(211)にそれぞれ1つのナットがねじ嵌めされることとを含む、請求項
13に記載の方法(M100)。
【国際調査報告】