(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-28
(54)【発明の名称】リング発振器を測定するためのスケーラブルデジタルインフラストラクチャを実装するための装置および方法
(51)【国際特許分類】
G01R 31/28 20060101AFI20240621BHJP
G01R 31/3185 20060101ALI20240621BHJP
G01R 31/3181 20060101ALI20240621BHJP
【FI】
G01R31/28 U
G01R31/3185
G01R31/3181
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023579529
(86)(22)【出願日】2022-06-24
(85)【翻訳文提出日】2024-02-16
(86)【国際出願番号】 US2022034851
(87)【国際公開番号】W WO2022272029
(87)【国際公開日】2022-12-29
(32)【優先日】2021-06-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523483083
【氏名又は名称】アイシー アナリティカ,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ワンダーリッヒ,リチャード
(72)【発明者】
【氏名】スペクター,ジョセフ エス.
(72)【発明者】
【氏名】ドレナン,パトリック ジー.
(72)【発明者】
【氏名】デグナン,ブライアン
【テーマコード(参考)】
2G132
【Fターム(参考)】
2G132AB01
2G132AD04
2G132AE22
2G132AK17
2G132AK18
2G132AK22
(57)【要約】
装置がリング発振器の集合を有する。命令レジスタブロックが、リング発振器の集合内の各リング発振器を順次アドレス指定し、駆動するように構成される。マルチプレクサが、リング発振器の集合内の各リング発振器に接続されている入力線と、出力線とを備える。パルスカウンタがマルチプレクサの出力線に接続され、選択された時間枠内の選択されたリング発振器の振動数をカウントし、複数のビット周波数カウント出力信号を形成する。データシフトレジスタが複数のビット周波数カウント出力信号を受け取り、シリアル周波数カウント出力信号を生成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リング発振器の集合と、
リング発振器の前記集合内の各リング発振器を順次アドレス指定し、駆動するように構成された命令レジスタブロックと、
リング発振器の前記集合内の各リング発振器に接続された入力線と、出力線とを有するマルチプレクサと、
前記マルチプレクサの前記出力線に接続され、選択された時間枠内の選択されたリング発振器の振動数をカウントし、複数のビット周波数カウント出力信号を形成するためのパルスカウンタと、
前記複数のビット周波数カウント出力信号を受け取り、シリアル周波数カウント出力信号を生成するためのデータシフトレジスタと
を備える装置。
【請求項2】
リング発振器ストランドを形成する入力ノードおよび出力ノードの一様なセットを有する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
複数の等しく構成されたリング発振器ストランドに接続された請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記入力ノードが、命令クロックノード、命令信号ノード、立上りトリガ信号ノード、基準信号ノード、リセット信号ノード、データクロック信号ノード、ラッチ信号ノード、およびデータ信号ノードを含む、請求項2に記載の装置。
【請求項5】
前記出力ノードが、命令クロックノード、命令信号ノード、立上りトリガ信号ノード、基準信号ノード、リセット信号ノード、データクロック信号ノード、ラッチ信号ノード、およびデータ信号ノードを含む、請求項2に記載の装置。
【請求項6】
前記入力ノードが、入力要求信号ノード、入力データ信号ノード、入力確認信号ノード、命令信号ノード、立上りトリガ信号ノード、基準信号ノード、done信号ノード、およびリセット信号ノードを含む、請求項2に記載の装置。
【請求項7】
前記出力ノードが、入力要求信号ノード、入力データ信号ノード、入力確認信号ノード、命令信号ノード、立上りトリガ信号ノード、基準信号ノード、done信号ノード、およびリセット信号ノードを含む、請求項2に記載の装置。
【請求項8】
前記命令レジスタブロックが、クロック信号に応答してシリアル-パラレルデシリアライザを実装する、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
リング発振器の前記集合が、それぞれの選択された時間枠を確立する立上りトリガ信号に応答する、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記マルチプレクサが同期平衡論理ANDツリーである、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記マルチプレクサが平衡入力ツリーである、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記パルスカウンタが、オーバーフロー条件を識別するためにスティッキービットセルと共にシリアルに接続されたクロックドdivide-by-2セルを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記データシフトレジスタが、交替および非重複クロック信号に応答する、シリアルに接続されたラッチを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項14】
前記命令レジスタブロックが、入力要求信号、入力データ信号、および入力確認信号に応答してシリアル-パラレルデシリアライザを実装する、請求項1に記載の装置。
【請求項15】
前記データシフトレジスタが、入力要求信号、入力データ信号、および入力確認信号に応答する、請求項1に記載の装置。
【請求項16】
前記命令レジスタブロックが、非同期フリップフロップを使用してシリアル-パラレルデシリアライザを実装する、請求項1に記載の装置。
【請求項17】
前記パルスカウンタが、オーバーフロー条件を識別するためにスティッキービットセルと共にシリアルに接続されたセルフクロックドdivide-by-2セルを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項18】
前記データシフトレジスタが、シリアルに接続された非同期フリップフロップを備える、請求項1に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001] 本願は、参照によりその内容が本明細書に組み込まれる、2021年6月25日に出願された米国仮特許出願第63/215,044号の優先権を主張する。
【0002】
[0002] 本発明は、一般には半導体ウェハの検査に関する。より詳細には、本発明は、ウェハスクライブライン内のリング発振器を測定するためのスケーラブルデジタルインフラストラクチャを実装するための技法に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003]
図1は、ウェハ104上のパッドとの接続を行うプローブカード102に接続された試験機器100を含む周知の半導体ウェハ試験システムを示す。
図2は、個々のチップ200を有する半導体ウェハ104を示す。個々のチップ200は、スクライブライン202によって分離されるチップの行および列を形成する。スクライブライン202内に、試験回路204がある。試験回路204は、ウェハレベル試験中に使用される。試験が完了したとき、鋸が使用されて、スクライブラインの領域が切断され、後続のパッケージングのために個々のチップが分割される。この切断プロセスは、スクライブライン内の試験回路204を破壊する。
図3は、ゲートパッド300、ソースパッド302、およびドレインパッド304を有する単純な試験回路を示す。プローブカードニードル306がドレインパッド304に接続される。
【0004】
[0004]
図4は従来技術のリング発振器400を示す。リング発振器400は、イネーブルステージとして動作可能な論理NANDゲート402と、その後に続く奇数個のインバータ、このケースでは404_1、404_2、および404_3とを有し、出力Qを生成する。フィードバックループ406が出力信号をイネーブルステージ402に返す。出力信号は、デジタル信号1(高)とデジタル信号0(低)との間で振動する。振動の周波数は、すべてのステージの時間遅延に依存する。リング発振器の周波数は、定義済みの時間枠の間のデジタル信号高とデジタル信号低との間のトグル数によってキャプチャーされる。
【0005】
[0005] リング発振器は、ウェハ104のスクライブライン202内、および/またはウェハ104の個々のチップ200内に配置される試験回路である。リング発振器は、製造プロセスの電力、性能、面積、および歩留まりの洞察を得るために使用される。性能は、測定された周波数に相関する。電力は、測定された電流に相関する。歩留まりは、多くのサンプリングしたリング発振器の統計的変動によって評価される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
[0006] 単一のリング発振器は、すべてのプロセス変動源をカバーすることができず、単一のリング発振器から変動源を分離すること、さらにはリング発振器の小規模なセットから変動源を分離することもできない。その代わりに、寸法の大規模なセットにわたって増分式に変動する数十のリング発振器が求められている。そのようなインフラストラクチャは、高速で、極端なプロセス変動に対してロバストである必要があり、信頼できるデータを生成する必要がある。本明細書の開示はこうした問題に対処する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[0007] 装置がリング発振器の集合を有する。命令レジスタブロックが、リング発振器の集合内の各リング発振器を順次アドレス指定し、駆動するように構成される。マルチプレクサが、リング発振器の集合内の各リング発振器に接続されている入力線と、出力線とを備える。パルスカウンタがマルチプレクサの出力線に接続され、選択された時間枠内の選択されたリング発振器の振動数をカウントし、複数のビット周波数カウント出力信号を形成する。データシフトレジスタが複数のビット周波数カウント出力信号を受け取り、シリアル周波数カウント出力信号を生成する。
【0008】
[0008] 添付の図面と共に行われる以下の詳細な説明と共に、本発明がより完全に理解される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】[0009]従来技術で周知の半導体ウェハ試験システムを示す図である。
【
図2】[0010]試験回路をホストするスクライブラインを有する従来技術の半導体ウェハを示す図である。
【
図3】[0011]従来技術の試験回路および関連するプローブカードニードルを示す図である。
【
図4】[0012]従来技術のリング発振器を示す図である。
【
図5】[0013]本発明の一実施形態に従って構成されたリング発振器ストランドを示す図である。
【
図6】[0014]ストランドの単純化した特徴付けである。
【
図7】[0015]本発明の一実施形態に従って構成されたストランドの階層を示す図である。
【
図8】[0016]本発明の一実施形態に従って構成されたストランドに関連する処理動作を示す図である。
【
図9】[0017]同期ストランドの一実施形態に関連する信号を示す図である。
【
図10】[0018]本発明の一実施形態に従って構成された同期ストランドチェーンを示す図である。
【
図11】[0019]本発明の一実施形態に従って構成された同期ストランドを示す図である。
【
図12】[0020]本発明の一実施形態に従って構成された同期命令レジスタを示す図である。
【
図13】[0021]本発明の一実施形態に従って構成された同期リング発振器のバンクを示す図である。
【
図14】[0022]
図13の回路に関連する波形を示す図である。
【
図15】[0023]本発明の一実施形態に従って構成された同期平衡AND(BAND)ツリーマルチプレクサを示す図である。
【
図16】[0024]本発明の一実施形態に従って構成されたBANDセルを示す図である。
【
図17】[0025]本発明の一実施形態に従って構成された平衡入力ツリーを示す図である。
【
図18】[0026]本発明の一実施形態に従って構成されたパルスカウンタを示す図である。
【
図19】[0027]本発明の一実施形態に従って使用される2つの回路による分割を示す図である。
【
図20】[0028]本発明の一実施形態に従って使用される2つの回路による別の分割を示す図である。
【
図21】[0029]本発明の一実施形態に従って使用されるスティッキービット回路を示す図である。
【
図22】[0030]本発明の一実施形態に従って使用される同期データレジスタを示す図である。
【
図23】[0031]本発明の一実施形態に従って構成された非同期ストランドを示す図である。
【
図24】[0032]本発明の一実施形態に従って使用される非同期チェーンを示す図である。
【
図25】[0033]本発明の一実施形態の動作を特徴付ける非同期チェーンタイミング図である。
【
図26】[0034]本発明の一実施形態に従って使用される非同期処理動作を示す図である。
【
図27】[0035]本発明の一実施形態に従って構成された非同期リング発振器バンクを示す図である。
【
図28】[0036]非同期リング発振器バンクタイミング図である。
【
図29】[0037]本発明の一実施形態に従って構成された非同期ANDツリーを示す図である。
【
図30】[0038]本発明の一実施形態に従って使用される非同期命令レジスタを示す図である。
【
図31】[0039]本発明の一実施形態に従って構成された非同期パルスカウンタである。
【
図32】[0040]本発明の一実施形態に従って使用される遅延チェーンである。
【
図33】[0041]本発明の一実施形態に従って使用されるMuller-Cモジュール回路である。
【
図34】[0042]本発明の一実施形態に従って使用される非同期データレジスタである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[0043] 図面のいくつかの図全体にわたって、同様の参照番号は対応する部分を指す。
【0011】
[0044]
図5は、本明細書でストランドと呼ばれるものについての基本アーキテクチャを示す。本発明の非同期実施形態と同期実施形態はどちらも、ストランド500を形成する同一の機能ブロックを有する。
【0012】
[0045] ブロック502は、SAを介して注目のリング発振器(RO)または入力を選択することによって試験のためのシステムを構成する役割を果たす命令レジスタであり、Aは試験ブロックのアドレスであり、NはSN個の選択可能な全選択肢の総数である。
【0013】
[0046] ブロック504はROのバンクである。ROのバンクは、選択線Sを介して選択される基準発振器(REF_OSC)などの他の基準入力を含むことができる。
【0014】
[0047] ブロック506は、各ROからの出力信号を単一の出力に組み合わせるマルチプレクサ(またはMUX)である。一度にただ1つのROが駆動され、振動するので、その振動はブロック506の出力線(右側)上に現れる唯一の振動であり、次いでそれがブロック508に提供される。
【0015】
[0048] ブロック508はパルスカウンタ(または周波数カウンタ)である。このブロックは、統合ウィンドウと呼ばれる固定期間内に生じる振動数をカウントする。したがって、このカウントは周波数(または駆動されたROの速度)に比例する。
【0016】
[0049] ブロック510は、試験機器100などのオフチップに配置されるコンピュータへの測定データのフローを管理するデータシフトレジスタである。
【0017】
[0050]
図6は、m個の入力およびm個の出力を有するストランド500の単純化した特徴である。
図7は、ストランド500_1~500_Nの階層を示す。物理設計(PD)を通じて、ならびに論理的にストランドが共にタイリングされるとき、ストランドの幅mの入力および出力を接続することができるので、
図7のストランドのチェーンは可能である。ストランドチェーンを作成するために接続された複数のストランドがあるケースでは、チェーンは、単一のストランドと同様に動作を有するが、同時の動作および測定を可能にする。動作は、ストランドのそれぞれの中のROを同時に測定することができることを除いて、同様である。命令レジスタ初期化工程に対する機能的挙動変化は、各ストランド内の第1のRO位置に論理「1」をシフトインすることである。各ストランド内のROが選択され、動作し、測定されるので、動作の残りの部分は単一のストランドと同じであるが、これはチェーン内でパラレルに生じる。次いで、すべての選択された試験構造についてデータがシリアルにシフトアウトされる。
【0018】
[0051]
図8は、標準的なROデータ取得動作を示す。最初に、システムがリセットされる(800)。次いで、デジタル信号「1」がブロック502の命令レジスタの第1のビット内にシフトされ、第1のROが選択される(802)。パルス信号Φがブロック502の命令シフトレジスタに印加され、選択されたRO上の振動が開始される(804)。同一の信号がトグルされ、RO振動が停止される(806)。データがラッチされる(808)。たとえば、ブロック508のパルスカウンタからのデータが、ブロック510のシフトレジスタにラッチされる。次いで、ブロック510のD
OUT信号を形成するために、Nビットのデータがシフトアウトされる(810)。次いで、ブロック508のパルスカウンタがリセットされる(812)。ブロック502の命令レジスタ内にゼロがシフトされる(814)。次いで、別のROを試験するかどうかが判定される(816)。試験する場合(816-はい)、デジタル信号0がシフトレジスタ内にシフトされる(820)。これにより、初期デジタル信号1が伝播するので次のROがアドレス指定される。試験が完了するまで(816-いいえ)、ブロック804~816が反復される。
【0019】
[0052]
図9は、同期ストランドの一実施形態に関連する信号を示す。同期ストランドは、任意の数のROを選択し、実行し、その周波数を測定するための独立式(self-contained)ブロックである。
図5に示されるように、同期ストランド500は、ブロック502内の命令レジスタと、ブロック504内のテスト構造RO
0~RO
N-1のバンクと、ブロック508内のカウンタと、ブロック510内のデータレジスタとを備える。一度に1つのROが測定され、非重複クロックを通じてデータ制御完全性が達成される。シフトレジスタ内の非重複クロックは、変動を処理するためのロバストネスを向上させる。1つまたは多くのデバイスをタイリングすることを可能にするシリアルインターフェースを通じてスケーラビリティが達成される。この手法はまた、高速なカウンタ回路(counter circuits at speed)と選択回路とを試験および検証するために使用される命令レジスタおよびデータレジスタおよび基準発振器に関する、走査完全性などのデータ健全性および有効性を保証するための方法をも含む。
【0020】
[0053]
図10は、同期ストランドのチェーンを示す。チェーンまたは単一のストランドは、ROを選択および測定するための完全に機能するコンプレックス(fully functioning complex)であり、どちらもトップレベル設計のために適しており、したがって任意の数の同種または異種ストランドを共に接続してチェーンを形成することができる。M個のストランドが共に接続される場合、得られるチェーンはM個のROを同時に測定することができる。物理インターフェースの観点からは、ストランドおよびチェーンは同一の入力および出力信号を有し、そのことはタイリングを可能にする。
【0021】
[0054] このアーキテクチャの利点は、物理的実装をタイルとして配置することができ、アーキテクチャがROの数と共に線形にスケーリングされることである。
【0022】
[0055]
図11は、
図9および10の信号を、1つのストランドの異なるストランドブロックにマッピングする。命令レジスタブロック1102は、1対Nデシリアライザを実装するクロックドFIFOである。命令レジスタブロックシフトレジスタは非重複クロックiclk
0およびiclk
1を使用する。INSTRは1ビットのシリアルデータ入力であり、INSTR
outは1ビットのシリアルデータ出力である。SELバスは、ROおよびテスト構造の総数(FIFOの深さと同等である)を表すNビット幅の出力である。
【0023】
[0056] ROバンクブロック1104は、ROと、場合によっては他の試験および検証構造とを含む。SELバスは、ROおよびテスト構造の総数(FIFOの深さと同等である)を表すNビット幅の入力である。信号Φは、統合時間ウィンドウを作成するためにRO振動の開始と停止との間で制御を交替させる立上りトリガイベントである。refは任意選択の外部基準発振器からの入力信号である。OSC信号は、明示的なROからのものか、または基準発振器信号である、選択されたRO出力である。Φoutおよびrefoutは、それぞれΦおよびrefのバッファリングされた出力である。
【0024】
[0057] 平衡AND(BAND)ツリーブロック1106は、COUNTERブロック508内への入力のために、選択されたOSCi信号をOSCOUTに伝播させるための受動MUXである。この構造は論理的には単にANDであるが、最適なアーキテクチャは、BAND構造、または理想的には平衡入力ツリー(ビット)構造を伴うものである。
【0025】
[0058] カウンタブロック1108は、DIV2セルから設計された非同期カウンタである。このカウンタは、OSCパルスごとに増分する(M-1)ビットカウンタであり、ビットMは最後のデータビットであり、オーバーフロー検出のためのスティッキービットである。DONE信号は、カウンタがカウントを終了したことを示す。RST信号は、データがキャプチャーされたことを示し、カウンタにリセットすることを伝える、データレジスタから返されるイベントである。
【0026】
[0059] データシフトレジスタブロック1110は、カウンタブロック508からDATAM信号を取り、シフトレジスタを通じてデータをシフトアウトするための手段を作成する。データシフトレジスタは非重複クロックdclk0およびdclk1を有する。このブロックは、M対1シリアライザを実装する同期FIFOである。DATAは入力データであり、DATAOUTは、このブロックをチェーニングすることを可能にする出力データである。
【0027】
[0060]
図12は同期命令レジスタ1200を示す。命令レジスタの目的は、シリアルストリームを取得し、パラレルにし、シリアル-パラレルデシリアライザを実装することによって、注目のROを選択することである。このレジスタは、ラッチブロックLの任意の選択と共に実装することができる。ビットの総数は、N個のROおよび基準発振器入力の間で選択するためのN+1ビットである。
【0028】
[0061]
図13は、本発明の一実施形態による同期ROバンクを示す。
図14は、
図13の回路の動作を実演する信号タイミング例である。信号Φは、経時的な統合時間ウィンドウ(
図14のτ
0とτ
θの間の時間として示される)を作成するためにRO振動の開始とRO振動の停止との間で制御を交替させる立上りトリガイベントである。信号Φにより、ROは、注目の構造iについての選択制御線S
iに基づいて、振動出力をOSC線に渡す。したがって、OSC
0は、S
0がイネーブルされる間にτ
0とτ
θの間で振動しているように示され、OSC
1は、S
1がイネーブルされる間の別のサイクル中に振動しているように示されている。信号Φの立上りによって振動がオンとなり、後のΦの立上りによってオフとなる。この2重の立上り挙動により、不確定なオンチップ遅延がある場合でも、一貫した振動時間ウィンドウが保証される。この待ち時間がターンオンおよびターンオフ立上り信号で存在し、したがって打ち消されるからである。
【0029】
[0062]
図15は、一致する立上りおよび立下り遅延で動作する平衡AND(BAND)ツリーを示す。ROの数が増加するにつれて、発振器信号は、より多くのBANDセルを通過する必要がある。振動信号の立上りおよび立下り遅延が不平衡である場合、信号が破壊されることがある。BANDセル内の立上りおよび立下り遅延の平衡は、この信号破壊を回避する。
【0030】
[0063] このBANDツリーMUXは、BANDツリーを介する伝播遅延を監視するためのイベント信号経路を含まないという点で非同期実装とは異なる。
図17の平衡入力ツリー(BIT)を平衡ANDツリーのために使用することができるが、選択線も渡さなければならない。平衡ANDツリーは、BANDブロックから作成されるとき、ディセーブルROが論理「1」出力を有することを必要とし、BIT構造は、選択線も含まれるのでこの挙動を必要としない。
【0031】
[0064]
図16は、本発明の一実施形態に従って使用することのできる平衡ANDセルを示す。出力Fは、入力AおよびBの論理AND関数である。従来のANDセルとは異なり、この回路は対称な立上りおよび立下り時間を有する。
【0032】
[0065]
図17の平衡入力ツリー(BIT)は、
図15のBANDの改良版である。BAND構造は、ANDセル内のNMOSおよびPMOSトランジスタの強度について任意のオフセットの平衡を取るが、ワイヤ相互接続でのどんなオフセットの平衡も取らない。
図17のビットは、ワイヤ誘導オフセットとトランジスタ誘導オフセットのどちらも平衡を取る。
【0033】
[0066]
図18はパルスカウンタを示す。パルスカウンタは、オーバーフロー条件をマークするためのスティッキービットセルと共に、「divide-by-2」(DIV2)セルのリップルカウンタから構築される。このカウンタでは、状態機械内のクロックがなく、したがってカウンタはセルフクロックされる。OSC
IN上のパルスごとにD[0:N-1]の値が増分され、D[N]でのビットがオーバーフロー検出を実装する。
【0034】
[0067]
図19および20は、divide-by-2回路の2つの可能な実装を示す。これらの回路は、Dフリップフロップによってdivide-by-2を実装する。OUTは、INのトグルに対して1つおきにトグルし、それによってOUT周波数はIN周波数の厳密に半分である。
【0035】
[0068]
図21は、
図18のスティッキービットモジュールの可能な実装を示す。このモジュールは、RST信号を介してリセットされるまで状態を保つ。この回路の特徴は、Sが高となるとき、Qが、状態をクリアするRST信号によってリセットされるまで、論理「1」の高のままとなることである。リセット時に、Q信号は論理「0」の低状態に戻る。
【0036】
[0069]
図22は、パラレルカウンタデータを取り、シリアルビットストリームを形成するシリアライザを実装する同期データレジスタを示す。レジスタは透過的ラッチLから構築され、交替する非重複クロックdclk
0およびdclk
1を伴う2つの連続するラッチがフリップフロップを形成する。フリップフロップチェーンは、非同期カウンタデータの幅であるシフトレジスタを形成するためにMビット長である。シフトレジスタの各ビットはまた、シフトレジスタをサンプルモードからシフトモードに切り換えるためのMUXをも含み、カウンタからのデータがシフトレジスタ内にロードされる。
【0037】
[0070]
図23は、非同期ストランドの一実施形態を示す。非同期ストランドは、任意の数のROの周波数を選択し、実行し、測定するための独立式ブロックである。非同期ストランドは、命令レジスタブロック2302、テスト構造のバンクブロック2304、ANDツリーブロック2306、カウンタブロック2308、およびデータレジスタブロック2310を備える。非同期実装の利点は、1つまたは複数のROが同時に測定されることである。非同期制御回路は、特に極限のプロセスおよび電圧変動の下で、信頼性を向上させ、試験時間を低減する。1つまたは多くのデバイスをタイリングすることを可能にするシリアルインターフェースを通じて、スケーラビリティが達成される。この手法はまた、高速なカウンタ回路と選択回路とを試験および検証するために使用される命令レジスタおよびデータレジスタおよび基準発振器に関する、走査完全性などのデータ正確性を保証するための方法をも含む。
【0038】
[0071] 命令レジスタブロック2304は、1対Nデシリアライザを実装する非同期先入れ先出し(FIFO)である。入力境界について、R0、I0、A0は、それぞれ入力要求信号、入力データ信号、および入力確認信号である。出力境界について、RN、IN、ANは、それぞれ出力要求信号、出力データ信号、および入力確認信号である。SELバスは、ROおよびテスト構造の総数(FIFOの深さと同等である)を表すNビット幅の出力である。
【0039】
[0072] ROバンクブロック2304は、ROと、場合によっては他の試験および検証構造とを含む。SELバスは、ROおよびテスト構造の総数(FIFOの深さと同等である)を表すNビット幅の入力である。信号Φは、統合時間ウィンドウを作成するためにRO振動の開始と停止との間で制御を交替させる立上りトリガイベントである。refは外部基準発振器からの入力信号である。OSC信号は、明示的なROからのものか、または基準発振器信号である、選択されたRO出力である。Φoutおよびrefoutは、それぞれΦおよびrefのバッファリングされた出力である。Cは、振動時間枠を反映し、遅延してシフトされるイベントタイミング信号であり、それによって、選択されたROから、もはやパルスが来ていないことをカウンタにシグナリングするために最終的に使用される。
【0040】
[0073] ANDツリーブロック2306は、COUNTERブロック2308内への入力のために、選択されたOSCi信号をOSCOUTに伝播させるための受動MUXである。この構造は論理ANDであるが、最適なアーキテクチャは、BAND構造、または理想的にはBITを伴うものである。このブロックはまた、カウンタブロックにRとして渡される、ANDツリーのワーストケース遅延をキャプチャーするためのイベント信号経路をも含む。
【0041】
[0074] カウンタブロック2308は非同期カウンタである。このカウンタは、OSCパルスごとに増分する(M-1)ビットカウンタであり、ビットMは最後のデータビットであり、オーバーフロー検出のためのスティッキービットである。Rは、その遅延がOSC経路よりも長い入力イベント信号である。DONE信号は、カウンタがカウントを終了したことを示す。RST信号は、データがキャプチャーされたことを示し、カウンタにリセットすることを伝える、データレジスタから返されるイベントである。
【0042】
[0075] データシフトレジスタブロック2310は、カウンタブロック2308からDATAM信号を取得し、非同期シフトレジスタを通じてデータをシフトアウトするための手段を作成する。このブロックは、M対1シリアライザを実装する非同期FIFOである。入力境界について、S0、D0、B0は、それぞれ入力要求信号、入力データ信号、および入力確認信号である。出力境界について、SM、DM、BMは、それぞれ出力要求信号、出力データ信号、および入力確認信号である。
【0043】
[0076]
図24は、非同期ストランドのチェーンを示す。
図25は、
図24の回路に関連する信号タイミングを示す。チェーンおよび単一のストランドは、ROを選択および測定するための完全に機能するブロックである。どちらもトップレベル設計のために適しており、したがって任意の数の同種または異種ストランドを共に接続してチェーンを形成することができる。M個のストランドが共に接続される場合、得られるチェーンはM個のROを同時に測定することができる。物理インターフェースの観点からは、ストランドおよびチェーンは同一の入力および出力信号を有し、そのことはタイリングを可能にする。
【0044】
[0077]
図25は、4つのビットについての非同期タイミングの一例である。線11、12、19、21、23、25、29、36、38、40、および42は、外部で制御される信号であり、線10、13、14、15、16、18、20、22、24、26、28、30、31、32、33、34、35、37、39、41、および43は内部で生成される制御信号である。回路はエッジトリガイベントによって駆動される。タイミング図は境界から参照され、したがってI
0上のアドレス「1」は初期シフトについて明示的であるが、次のシフトについては内部であり、その結果、論理「0」が、最初のものの後にROごとにI
0上に提示されるはずである。試験挙動についてのフローチャートが
図26に提示される。試験は、単一の論理「1」を命令レジスタ内にシフトして、第1のROを選択することによって実施される。次いで、信号Φがトグルされ、次いで再びトグルされる。Φの立上りの間の時間差が統合ウィンドウである。DONEは、データがデータレジスタ内にラッチされる準備ができていることを示すためにカウンタの整定時間よりも低速であることが保証されるイベント信号である。DONEがアサートされた後、S
M上のイベントがアサートされ、D
M上のデータビットが提示され、B
Mは、D
M上のデータが有効であることを示す。S
MおよびB
Mのサイクリングが、すべてのデータがD
Mを介して読み取られるまで続行される。次いで、命令レジスタが、次のROを選択するためにクロックされる。
【0045】
[0078]
図26は、本発明の一実施形態に従って構成された非同期チェーンに関連する処理動作を示す。最初に、I
0がデジタル信号「1」にセットされる(2600)。次いで、イベントが命令レジスタに関してR
0上でセットされる(2602)。命令レジスタからの確認信号A
0が待機される(2604)。信号が受け取られるまで、判定ブロック2606がブロック2604にループバックする。その後に、Φがデジタル信号「1」にパルス化される(2608)。Φが再びパルス化されるまで(2612)、統合ウィンドウが生じる(2610)。次いで、イベントDONE信号の待機がある(2614)。信号が受け取られるまで、判定ブロック2616がブロック2614にループバックする。その後、イベントがS
M上でセットされる(2618)。B
Mイーブンが受け取られるまで、ブロック2620および2622がループとして動作する。次いで、ビットがD
M上で読み取られる(2624)。すべてのビットが読み取られたとき、イベントがS
M上でセットされる。追加のROを試験する必要がある場合(2620-はい)、制御はブロック2602に戻る。
【0046】
[0079]
図27は非同期ROバンクを示す。
図28は、
図27の回路に関連する信号についてのタイミング図である。信号Φは、統合時間ウィンドウを作成するためにRO振動の開始と停止との間で制御を交替させる立上りトリガイベントである。Φ信号により、ROまたは基準発振器は、注目の構造iについての選択制御線S
iに基づいて、振動出力をOSC線に渡す。Φ信号の立上りによってRO振動がイネーブルされ、後のΦ信号の立上りによってオフとなる。この2重の立上り挙動により、不確定なオンチップ遅延を仮定する場合でも、一貫した振動時間ウィンドウが保証される。この待ち時間がターンオンおよびターンオフ立上り信号で存在し、したがって打ち消されるからである。遅延セルは、信号Cを生成するために、任意のROの最長のループ時間よりも長い必要がある。この信号Cは、カウンタが安定したときを判断するために使用される。代替として、Cは、各OSC出力からの遅延によって生成することができる。
【0047】
[0080]
図28は、τ
0とτ
θの間の統合時間ウィンドウを示す。OSC
0およびOSC
1上で示されるように、Φ信号により、ROが振動出力をOSC線に渡す。遅延信号Cは、遅延線を介する信号Φの遅延を提示する。この遅延が、タイミング図ではC
tとして示されている。
【0048】
[0081]
図29は非同期論理ANDツリーを示す。平衡ANDツリーは、発振器間で一致する遅延経路を有する働きをする。このツリーはまた、完了要素(completion element)を必要とする。この構成要素の特徴は、CとRの間の遅延要素が任意のOSCからOSC
OUTへのワーストケース伝播遅延よりも長い遅延である必要があることである。この全体の構造は、2入力BANDゲートの分散階層として実装されるN+1入力ANDツリーである。この構造は、RO出力を受動的に多重化する機能を実施する。選択されたROのみが、ANDツリーの入力のうちの1つに振動信号を伝播していることになり、この振動はOSC
OUTに伝播する。選択されないROは、選択されたROの振動をブロックしないように論理レベルを高にアサートする。平衡ANDツリーのためにBITを使用することができるが、選択線を通過しなければならない。平衡ANDツリーは、BANDブロックから作成されるとき、ディセーブルROが論理「1」出力を有することを必要とし、BIT構造は、選択線も含まれるのでこの挙動を必要としない。
【0049】
[0082]
図30は非同期命令レジスタを示す。非同期命令レジスタは、非同期フリップフロップ(AFF)から構築される。命令レジスタの目的は、シリアルストリームを取得し、パラレルにし、シリアル-パラレルデシリアライザを実装することによって、注目のROまたは基準構造を選択することである。AFFは、非同期FIFOの1ビットの基本構成要素であり、ハンドシェーキングの方法として要求信号R、確認信号Aを使用して、データが設計により非同期にバンドルされる。N個のROおよび基準発振器入力の間で選択するためのN+1個の合計ビットがある。
【0050】
[0083]
図31は非同期パルスカウンタを示す。非同期カウンタは、オーバーフロー条件をマークするためのスティッキービットセルと共に、DIV2セルから構築される。非同期とは、状態機械内にクロックがないこと、およびカウンタがセルフクロックされることを指す。OSC
IN上のパルスごとにD[0:N-1]の値が増分され、D[N]でのビットがオーバーフロー検出を実装する。
図32の遅延ブロックは、非同期センサアレイの全バンドルデータ非同期制御プロトコルについてのイベント信号生成を実施する。複数のストランドが共に接続されてチェーンが形成されるとき、DONE
INが使用される。データをシフトアウトする前に、すべてのカウンタが安定すべきである。
【0051】
[0084]
図33は、「C」を有するANDセルによって表されるMuller-Cモジュールを示す。この回路は、以下の論理真理表で示されるようにエッジイベント信号に対して特殊なAND機能を実施するために使用される。
【0052】
【表1】
従来のANDセルとは異なり、入力が異なるとき、状態が保持される。
【0053】
[0085]
図34は非同期データレジスタを示す。データレジスタは非同期フリップフロップAFFから構築される。データレジスタの目的は、パルスカウンタからデータをロードし、パラレル-シリアルシリアライザを作成することである。AFFは、パルスカウンタの幅Mと一致する深さMを有するレジスタの基本構成要素である。ロード信号LによってイネーブルされるMUXを使用して、データがカウンタからロードされる。カウンタiからのビットは、線Db
iを介してロードされるビットに対応する。ハンドシェーキングの方法として要求信号S、確認信号Bを使用して、データがシリアル出力のための設計により非同期にバンドルされる。
【0054】
[0086] 上記の説明は、説明のために、本発明の完全な理解を与えるために特定の用語を用いた。しかしながら、本発明を実施するために特定の詳細は不要であることが当業者には明らかとなるであろう。したがって、本発明の特定の実施形態の上記の説明は、例示および説明のために提示されるものである。上記の説明は、網羅的なものではなく、開示される厳密な形態に本発明を限定するものでもなく、明らかに、上記の教示に鑑みて多くの修正および変形が可能である。本発明の原理およびその実際の適用を最良に説明するために実施形態が選ばれ、説明され、それによって、企図される特定の用途に適合するように本発明および様々な実施形態を他の当業者が最良に利用することが可能となる。以下の特許請求の範囲およびその均等物が本発明の範囲を定義するものとする。
【国際調査報告】