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特表2024-523559アルドステロン合成酵素阻害剤を使用する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-28
(54)【発明の名称】アルドステロン合成酵素阻害剤を使用する方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/4725 20060101AFI20240621BHJP
   A61P 9/12 20060101ALI20240621BHJP
   A61P 5/42 20060101ALI20240621BHJP
【FI】
A61K31/4725
A61P9/12
A61P5/42
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023579554
(86)(22)【出願日】2022-06-24
(85)【翻訳文提出日】2024-02-20
(86)【国際出願番号】 US2022073148
(87)【国際公開番号】W WO2022272300
(87)【国際公開日】2022-12-29
(31)【優先権主張番号】63/290,364
(32)【優先日】2021-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/214,521
(32)【優先日】2021-06-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523483441
【氏名又は名称】シンコア・ファーマ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】CinCor Pharma,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100156144
【弁理士】
【氏名又は名称】落合 康
(72)【発明者】
【氏名】ボンド,メアリー
(72)【発明者】
【氏名】マーフィー,ブライアン
(72)【発明者】
【氏名】ピアース,キャサリン
【テーマコード(参考)】
4C086
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC30
4C086GA07
4C086GA16
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA42
4C086ZC08
(57)【要約】
本開示は、それを必要とする被験者の、ヒトアルドステロン合成酵素を阻害する、高血圧を治療する、又は原発性アルドステロン症を治療する方法であって、有効量の(R)-化合物1を被験者に投与することを含み、(R)-化合物1が:式(I)
【化1】
である方法を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
≧130/80mmHgの平均座位血圧を有するヒトの高血圧又は原発性アルドステロン症を治療する方法であって、0.1~10mg/日の(R)-化合物1:
【化1】
を前記ヒトに投与することを含む方法。
【請求項2】
前記ヒトが、前記(R)-化合物1を投与する前に、安定なバックグラウンドの高血圧レジメン中である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記安定なバックグラウンドの高血圧レジメンが、≧3つの降圧剤を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記降圧剤のうちの1つが利尿薬である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記(R)-化合物1の前記投与により、4週間の治療後に、座位収縮期血圧(SBP)のベースラインからの平均低下がもたらされる、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記(R)-化合物1の前記投与により、12週間の治療後に、座位収縮期血圧(SBP)のベースラインからの平均低下がもたらされる、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記(R)-化合物1の前記投与により、4週間の治療後に、座位拡張期血圧(DBP)のベースラインの平均低下がもたらされる、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記(R)-化合物1の前記投与により、12週間の治療後に、座位拡張期血圧(DBP)のベースラインの平均低下がもたらされる、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記(R)-化合物1の前記投与により、約4週間の治療後に、<130/80mmHgの座位血圧(BP)がもたらされる、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記(R)-化合物1の前記投与により、約12週間の治療後に、<130/80mmHgの座位血圧(BP)がもたらされる、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
約0.5mg/日の(R)-化合物1を前記ヒトに投与することを含む、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
約1mg/日の(R)-化合物1を前記ヒトに投与することを含む、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
約2mg/日の(R)-化合物1を前記ヒトに投与することを含む、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
約3mg/日の(R)-化合物1を前記ヒトに投与することを含む、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
約4mg/日の(R)-化合物1を前記ヒトに投与することを含む、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
約5mg/日の(R)-化合物1を前記ヒトに投与することを含む、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
約6mg/日の(R)-化合物1を前記ヒトに投与することを含む、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
約7mg/日の(R)-化合物1を前記ヒトに投与することを含む、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
約8mg/日の(R)-化合物1を前記ヒトに投与することを含む、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
約9mg/日の(R)-化合物1を前記ヒトに投与することを含む、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
約10mg/日の(R)-化合物1を前記ヒトに投与することを含む、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
(R)-化合物1の量が、単回用量で前記ヒトに投与される、請求項1~21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
(R)-化合物1の量が、分割用量、例えば、2回用量、3回用量、又は4回用量で前記ヒトに投与される、請求項1~22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記(R)-化合物が、前記ヒトが絶食状態にある間に投与される、請求項1~23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
前記(R)-化合物1の前記投与が、前記ヒトにおいて臨床的に重篤な有害事象をもたらすことがない、請求項1~24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
前記ヒトが、少なくとも18歳である、請求項1~25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
高血圧が治療される、請求項1~26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
原発性アルドステロン症が治療される、請求項1~27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
約0.1~約20mgの化合物1と、薬学的に許容される賦形剤と、を含む医薬組成物。
【請求項30】
約0.1~約10mgの(R)-化合物1と、薬学的に許容される賦形剤と、を含む請求項29に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2021年6月24日に提出された米国仮特許出願第63/214,521号及び2021年12月16日に提出された米国仮特許出願第63/290,364号の利益を請求し、これらの全体を参照により本明細書に組み込むものとする。
【0002】
本開示は、高血圧又は原発性アルドステロン症を治療する化合物及び方法を提供する。
【背景技術】
【0003】
アルドステロンは、様々な心血管疾患及び腎疾患に関係しているホルモンである。アルドステロンは、人間における主要な鉱質コルチコイドであり、アルドステロン合成酵素により副腎皮質で合成される。アルドステロンは、レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系(RAAS)の重要な構成要素であり、鉱質コルチコイド受容体(MR)のアゴニズムを通じて体液及び電解質の恒常性の重要な調節因子として機能する。末端器官に対するアルドステロンの効果は、直接相互作用とは独立したメカニズム(非ゲノム又は非受容体媒介効果)に加えて、MRとの直接相互作用(ゲノム効果)を介して起こることが示されている。
【0004】
血圧(BP)は、アンジオテンシン変換酵素阻害剤(ACEI)、アンジオテンシン受容体遮断薬(ARB)、直接的レニン阻害剤、又はMRアンタゴニスト(MRA)によりRAASの活性を部分的に阻害することにより大幅に低下する。これらの薬剤の作用機序は、アルドステロンレベルの低下と関連する。これらの影響は、アルドステロンレベルが正常な場合と不適切に上昇した場合の両方で発生することが実証されている。高血圧の多くの患者は、心臓、腎臓、及び血管の損傷を促進する不適切な高アルドステロン濃度を有する。アルドステロン合成の阻害は、BPの低下及びBP依存性の標的臓器損傷の軽減の有望な標的となる。うっ血性心不全、急性心筋梗塞、及び心不全又は急性心筋梗塞以外の冠動脈疾患患者において、血漿アルドステロンと長期生存との間の関連が実証されてきた。したがって、アルドステロンの遮断は、BPを下げるだけでなく、標的臓器の損傷を軽減する手段にもなる。したがって、アルドステロンの合成を直接的に阻害することは、BPの低下並びに末端器官損傷に対するゲノム及び非ゲノムの影響の軽減のための有望な目標である。
【0005】
アルドステロン合成酵素阻害剤(ASI)の開発に影響を与えている課題の1つは、アルドステロン合成酵素を選択的に阻害し、コルチゾールの合成に影響を与えないことが難しいことである。コルチゾールの合成経路は、11β-ヒドロキシラーゼ(シトクロムP450ファミリー11サブファミリーBメンバー1[CYP11B1]遺伝子によってコードされる)により触媒され、アルドステロン合成酵素(CYP11B2遺伝子によってコードされる)と高い配列相同性を共有する。11β-ヒドロキシラーゼの好ましくない阻害により、コルチゾールレベルの抑制、ストレス及び免疫応答の低下、一部の代謝機能への悪影響、並びに死亡率の増加がもたらされる。ASIであるLCI699は、Novartis社によって臨床試験に採用されたが、アルドステロン合成酵素に対する特異性が欠如しているため、降圧作用及び原発性アルドステロン症の両方の適応症で中止された。
【0006】
化合物1は、ヒトアルドステロン合成酵素の非常に強力で選択的な拮抗阻害剤である。前臨床生体内試験(主に霊長類で行われる)において、化合物1は、幅広い用量範囲にわたってコルチゾールレベルに影響を与えることなく、アルドステロンを有意に低下させた。ヒトを安全且つ効果的に治療するために化合物1を使用する方法が必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、ヒトの高血圧又は原発性アルドステロン症を治療する方法であって、0.1~10mg/日の(R)-化合物1:
【化1】
をヒトに投与することを含む方法を提供する。
【0008】
本発明の他の態様及び実施形態は、本発明についての以下の詳細な説明から容易に明らかになるであろう。
【0009】
前述の発明の概要及び以下の詳細な説明は、例示の目的で例示的な実施形態を示す添付の図面と併せて読むと、よりよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、線形目盛-薬物動態母集団での治療による、平均(±標準偏差)血漿(R)-化合物1濃度対時間(10日目、0~24時間、1日1回反復投与後)のプロットを示す。本図において、(R)-化合物1の定量下限=0.05ng/mL。解析サンプリング時間枠の外にある実際のサンプリング時間は、平均プロットでは除外された。
図2図2は、Cmax対(R)-化合物1用量(反復投与後10日目-薬物動態母集団)のプロットを示す。本図において、実線は予測値を表し、破線は回帰直線の周囲の90%信頼区間を表す。黒い点は、PKパラメータの幾何平均を表す。
図3図3は、AUC0-tau対(R)-化合物1用量(反復投与後10日目-薬物動態母集団)のプロットを示す。本図において、実線は予測値を表し、破線は回帰直線の周囲の90%信頼区間を表す。黒い点は、PKパラメータの幾何平均を表す。AUC0-tauは、投与間隔にわたる血漿濃度-時間曲線下面積である。
図4図4は、線形目盛-薬物動態母集団での治療による、平均(標準偏差)血漿(R)-化合物1濃度対時間(1日目、単回投与)のプロットを示す。
図5図5は、通常塩食治療群-薬力学母集団(外れ値の被験者を除く)の治療ごとの経時的な平均アルドステロン血漿濃度のプロットを示す。
図6図6は、減塩食治療群-薬力学母集団(外れ値の被験者を除く)の治療ごとの経時的な平均アルドステロン血漿濃度のプロットを示す。
図7図7は、(R)-化合物1の単回及び複数回経口投与後の(R)-化合物1の平均血漿濃度対時間プロファイルを示す(a)SAD試験、(b)MAD試験。
図8図8は、3mgの(R)-化合物1の単回静脈内投与及び単回経口投与後の(R)-化合物1の平均血漿濃度対時間プロファイルを示す。
図9図9は、(R)-化合物1経口溶液及び錠剤の単回用量投与後の(R)-化合物1の平均(+SD)血漿濃度対時間(0~24時間)プロファイルを示す。
図10図10は、(R)-化合物1又はプラセボの単回用量投与後の用量群ごとの平均アルドステロン血漿濃度対時間を示す。
図11図11は、(R)-化合物1又はプラセボの複数回用量投与後の用量群ごとのアルドステロン血漿濃度のベースラインからの平均変化対時間を示す。
図12図12は、(R)-化合物1又はプラセボの複数回用量投与後の用量群ごとのアルドステロン血漿濃度のベースラインからの平均変化対時間を示す。
図13】は、24時間目までの線形目盛-PK母集団での治療ごとの平均(±SD)血漿メトホルミン濃度のプロットを示す。本図において、メトホルミンのLLOQ(定量下限)は0.5ng/mLである。治療Aは、投与された単回1000mg用量の即時放出メトホルミンであり、治療Bは、10mg用量の化合物1と同時投与された単回1000mg用量の即時放出メトホルミンである。予定された時点は、メトホルミン投与との相対として示されている。
図14図14は、24時間目までの線形目盛-PK母集団での治療ごとのメトホルミンの平均(±SD)Aeのプロットを示す。本図において、治療Aは、投与された単回1000mg用量の即時放出メトホルミンであり、治療Bは、10mg用量の化合物1と同時投与された単回1000mg用量の即時放出メトホルミンである。Aeは尿中に排泄された薬物の累積量である。
図15図15は、24時間目までの線形及び片対数目盛-PK母集団での治療ごとの平均(±SD)血漿メトホルミン濃度のプロットを示す。本図において、メトホルミンのLLOQは0.5ng/mLである。治療Aは、投与された単回1000mg用量の即時放出メトホルミンである。治療Bは、10mg用量の化合物1と同時投与された単回1000mg用量の即時放出メトホルミンである。予定された時点は、メトホルミン投与との相対として示されている。
図16図16は、24時間目までの線形目盛-PK母集団での治療ごとのメトホルミンの平均(±SD)Aeのプロットを示す。本図において、治療Aは、投与された単回1000mg用量の即時放出メトホルミンであり、治療Bは、10mg用量の化合物1と同時投与された単回1000mg用量の即時放出メトホルミンである。Aeは尿中に排泄された薬物の累積量である。
図17図17は、線形目盛-PK母集団(72時間目まで延長)での治療ごとのメトホルミンの平均(±SD)Aeのプロットを示す。本図において、治療Aは、投与された単回1000mg用量の即時放出メトホルミンであり、治療Bは、10mg用量の化合物1と同時投与された単回1000mg用量の即時放出メトホルミンである。Aeは尿中に排泄された薬物の累積量である。
図18図18は、24時間目までの線形及び片対数目盛-PK母集団での治療ごとの平均(±SD)血漿化合物1濃度のプロットを示す。本図において、化合物1のLLOQは5ng/mLである。治療Bは、10mg用量の化合物1と同時投与された単回1000mg用量の即時放出メトホルミンである。予定された時点は、メトホルミン投与の2時間前に生じた化合物1の投与と比較して示されている。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示は、以下定義及び実施例を含む、以下の発明を実施するための形態を参照することによって、より完全に理解されるであろう。本明細書では別々の態様の文脈で説明されている本開示の組成物、及び方法の特定の特徴はまた、単一の態様で組み合わせても提供され得る。或いは、簡潔にするために単一の態様の文脈で説明されている本開示の組成物、及び方法の様々な特徴はまた、別々に又は任意の部分組み合わせでも提供され得る。他に定義されない限り、本明細書で使用する全ての技術用語及び科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般に理解される意味と同じ意味を有する。説明で使用される用語は、特定の実施形態を説明するためのみであり、本開示を限定することを意図したものではない。
【0012】
本開示において、単数形「a」、「an」及び「the」は、特に文脈が明示しない限り、複数の参照及び少なくともその特定の値を含む特定の数値の参照を含む。例えば、「物質(a material)」に対する参照は、少なくとも1つのこのような物質及び当業者に既知であるその等価物等に対する参照である。
【0013】
記述語「約」の使用により値が近似値として表されている場合には、この特定の値が別の実施形態を形成することが理解されるだろう。一般に、用語「約」の使用は、開示された主題により得られる、求める望ましい特性に応じて変化し得る概算値を指し、その機能に基づいて、それが使用される特定の文脈において解釈される。当業者であれば、これを日常的なこととして解釈できるであろう。いくつかの場合、特定の値に使用される有効数字の数は、「約」という単語の範囲を決定する非限定的な方法の1つであり得る。他の場合、一連の値で使用される階調は、各値の「約」という用語に使用できる意図された範囲を決定するために使用され得る。存在する場合、全ての範囲は、包括的及び結合可能である。即ち、範囲で記された値への言及は、この範囲内のあらゆる値を含む。
【0014】
リストが表示される場合、特に指示しない限り、そのリストの個々の要素及びそのリストのあらゆる組み合わせは、別個の実施形態として解釈されるべきであることを理解すべきである。例えば、「A、B、又はC」として提示された実施形態のリストは、実施形態「A」、「B」、「C」、「A又はB」、「A又はC」、「B又はC」、又は「A、B、又はC」を含むものとして解釈される。
【0015】
明確にするために本明細書では別々の実施形態の文脈で説明されている発明の特定の特徴はまた、単一の実施形態で組み合わせても提供され得ることを理解されたい。即ち、明らかに互換性がない又は除外されている場合を除き、各々の個々の実施形態は、任意の他の実施形態と組み合わせることができるとみなされ、そのような組み合わせは別の実施形態とみなされる。逆に、簡潔にするために単一の実施形態の文脈で説明されている発明の様々な特徴はまた、別々に又は任意の部分組み合わせでも提供され得る。特許請求の範囲は、任意選択の要素を除外するように起草される場合があることに更に留意されたい。そのようなものであるから、この記述は、請求項の要素の記載又は「否定的な」限定の使用に関連して「のみ」などの排他的な用語を使用するための先行根拠として機能することを目的としている。最終的に、一実施形態は、一連のステップの一部として、又はより一般的な構造の一部として記載されてよいとともに、上記各ステップは、それ自体が独立した実施形態とみなされてもよい。
【0016】
本開示は、ヒトの高血圧又は原発性アルドステロン症を治療する方法であって、0.1~30mg/日、例えば、0.1~25mg/日、0.1~20mg/日、0.1~15mg/日、0.1~10mg/日、又は0.5~10mg/日の化合物1又は(R)-化合物1をヒトに投与することを含む方法を提供する。いくつかの態様では、ヒトの高血圧又は原発性アルドステロン症は、ヒトに0.1~20mg/日、0.1~15mg/日、0.1~10mg/日、又は0.5~10mg/日の(R)-化合物1を投与することにより治療される。いくつかの態様では、ヒトの高血圧又は原発性アルドステロン症は、ヒトに0.1~10mg/日又は0.5~10mg/日の(R)-化合物1を投与することにより治療される。
【0017】
用語「被験者」及び「患者」は、同じ意味で用いられ、典型的には、哺乳動物を指す。いくつかの実施形態では、患者又は被験者は、ヒトである。他の実施形態では、患者又は被験者は、獣医動物若しくは家畜、飼育動物若しくはペット、又は臨床試験の実施に使用される動物である。いくつかの実施形態では、患者又は被験者は、少なくとも18歳、つまり成人である。
【0018】
用語「高血圧(hypertension)」及び「高血圧(high blood pressure)」は、同じ意味で用いられ、患者の血圧が一貫して約130/80mmHg以上である状態を指す。高血圧には、ステージ1及びステージ2高血圧、並びに高血圧クリーゼが含まれる。いくつかの実施形態では、患者は、約130~約139mmHgの収縮期血圧及び/又は約80~約89mmHgの拡張期血圧を有するステージ1高血圧を有する。他の実施形態では、患者は、約140mmHg以上の収縮期血圧及び/又は約90mmHg以上の拡張期血圧を有するステージ2高血圧を有する。更なる実施形態では、患者は、約180/120mmHgよりも高い血圧測定値を有する高血圧クリーゼを有する。
【0019】
用語「原発性アルドステロン症」及び「高アルドステロン症」は、同じ意味で用いられ、副腎がアルドステロンを過剰に生成することで起こる病態を指す。いくつかの実施形態では、原発性アルドステロン症は、血圧上昇をもたらす。化合物1又は(R)-化合物1を投与する前、被験者又は患者の血圧は、≧130/80mmHgである。いくつかの実施形態では、被験者又は患者は、≧130/80mmHgの平均座位血圧を有する。いくつかの実施形態では、患者は、絶食状態にある。他の実施形態では、患者は、食事摂取状態にある。本明細書で使用される「絶食状態」という用語は、化合物1又は(R)-化合物1を投与する前に患者が食物を摂取していないことを指す。いくつかの実施形態では、化合物1又は(R)-化合物1を投与する少なくとも約8時間前に食物を摂取しない場合、患者は「絶食状態」になる。「絶食状態」という用語は、化合物1又は(R)-化合物1の投与後に食事を控えることも含み得る。更なる実施形態では、化合物1又は(R)-化合物1を投与した後少なくとも約4時間食物を摂取しない場合、患者は「絶食状態」になる。
【0020】
「治療」又はその変化形は、高血圧又は原発性アルドステロン症などの疾患又は障害の少なくとも1つの物理的パラメータを除去又は軽減することを指す。いくつかの実施形態では、疾患又は障害は、高血圧症である。他の実施形態では、疾患又は障害は、原発性アルドステロン症である。
【0021】
本明細書で使用される化合物1は、以下の構造を有するN-(4-(1-メチル-2-オキソ-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-6-イル)-5,6,7,8-テトラヒドロイソキノリン-8-イル)プロピオンアミドである:
【化2】
いくつかの実施形態では、化合物1は、以下の構造を有する(R)-N-(4-(1-メチル-2-オキソ-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-6-イル)-5,6,7,8-テトラヒドロイソキノリン-8-イル)プロピオンアミドである:
【化3】
【0022】
いくつかの態様では、化合物1のエナンチオマーの混合物が、ヒトに投与される。他の態様では、化合物1(すなわち、(R,S)-化合物1)のエナンチオマーのラセミ混合物が、ヒトに投与される。更なる態様では、50%エナンチオマー過剰率(ee)以上のエナンチオマー純度を有する(R)-化合物1が、ヒトに投与される。更に他の態様では、60%ee以上のエナンチオマー純度を有する(R)-化合物1が、ヒトに投与される。なお更なる態様では、70%ee以上のエナンチオマー純度を有する(R)-化合物1が、ヒトに投与される。他の態様では、80%ee以上のエナンチオマー純度を有する(R)-化合物1が、ヒトに投与される。更なる態様では、90%ee以上のエナンチオマー純度を有する(R)-化合物1が、ヒトに投与される。更に他の態様では、95%ee以上のエナンチオマー純度を有する(R)-化合物1が、ヒトに投与される。なお更なる態様では、98%ee以上のエナンチオマー純度を有する(R)-化合物1が、ヒトに投与される。他の態様では、99%ee以上のエナンチオマー純度を有する(R)-化合物1が、ヒトに投与される。
【0023】
本開示はまた、(R)-化合物1の塩などの化合物1の塩も意図する。いくつかの実施形態では、塩は薬学的に許容される。「薬学的に許容される」は、薬理学的/毒物学的利点から患者に許容される、並びに組成物、製剤、安定性、患者の許容、及びバイオアベイラビリティに関する物理的/化学的利点から製造製薬化学者に許容される特性及び/又は物質を指す。
【0024】
化合物1又は(R)-化合物1の薬学的に許容される塩としては、薬学的に許容される酸又は塩基、例えば、無機酸、例えば、塩酸、硫酸、リン酸、二リン酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硝酸、及びリン酸、並びに有機酸、即ち、アジピン酸、クエン酸、フマル酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、マンデル酸、アスコルビン酸、シュウ酸、コハク酸、酒石酸、安息香酸、酢酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、シクロヘキシルスルファミン酸(シクラミン酸)、エジシル酸、グルタル酸、又はプトルエンスルホン酸との塩が挙げられる。薬学的に許容される塩基としては、アルカリ金属、例えば、ナトリウム又はカリウム、及びアルカリ土類金属、例えば、カルシウム又はマグネシウム、ヒドロキシド、及び有機塩基、例えば、アルカリアミン、アリールアルキルアミン、及び複素環式アミンが挙げられる。
【0025】
本開示は、更に、化合物1の水和物及び/又は多形を提供する。いくつかの実施形態では、化合物1は水和物である。他の実施形態では、化合物は一水和物である。他の実施形態では、化合物1は無水形態である。
【0026】
化合物1はまた、結晶及び/又は非晶質形態であってもよい。いくつかの実施形態では、化合物1は非晶質形態である。他の実施形態では、化合物1は結晶形態である。
【0027】
本開示はまた、化合物1又は(R)-化合物1と、1つ以上の薬学的に許容される賦形剤と、を含む医薬組成物を提供する。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約0.1~10mg、例えば、0.5~10mgの(R)-化合物1と、薬学的に許容される賦形剤と、を含有する。他の実施形態では、医薬組成物は、無水ラクトースと、微結晶セルロースと、クロスカルメロースナトリウムと、コロイド状二酸化ケイ素と、ステアリン酸マグネシウムと、を含む。
【0028】
単独又は医薬製剤中で使用される化合物1又は(R)-化合物1の量はまた、量によって表されてもよい。いくつかの実施形態では、医薬製剤は、約0.1~約10mgの化合物1又は(R)-化合物1、例えば、約0.1mg、約0.2mg、約0.3mg、約0.4mg、約0.5mg、約0.6mg、約0.7mg、約0.8mg、約0.9mg、約1mg、約1.5mg、約2mg、約2.5mg、約3mg、約3.5mg、約4mg、約4.5mg、約5mg、約5.5mg、約6mg、約6.5mg、約7mg、約7.5mg、約8mg、約8.5mg、約9mg、約9.5mg、若しくは約10mgの化合物1又は(R)-化合物1を含有する。他の実施形態では、医薬製剤は、約0.5mgの化合物1又は(R)-化合物1を含有する。更なる実施形態では、医薬製剤は、約1mgの化合物1又は(R)-化合物1を含有する。更に他の実施形態では、医薬製剤は、約2mgの化合物1又は(R)-化合物1を含有する。なお更なる実施形態では、医薬製剤は、約3mgの化合物1又は(R)-化合物1を含有する。更に他の実施形態では、医薬製剤は、約4mgの化合物1又は(R)-化合物1を含有する。なお更なる実施形態では、医薬製剤は、約5mgの化合物1又は(R)-化合物1を含有する。他の実施形態では、医薬製剤は、約6mgの化合物1又は(R)-化合物1を含有する。更なる実施形態では、医薬製剤は、約7mgの化合物1又は(R)-化合物1を含有する。更に他の実施形態では、医薬製剤は、約8mgの化合物1又は(R)-化合物1を含有する。なお更なる実施形態では、医薬製剤は、約9mgの化合物1又は(R)-化合物1を含有する。他の実施形態では、医薬製剤は、約10mgの化合物1又は(R)-化合物1を含有する。
【0029】
単独で使用される場合、約0.1~約10mg、例えば、約0.1、約0.2、約0.3、約0.4、約0.5、約0.6、約0.7、約0.8、約0.9、約1、約1.5、約2、約2.5、約3、約3.5、約4、約4.5、約5mg、約5.5mg、約6mg、約6.5mg、約7mg、約7.5mg、約8mg、約8.5mg、約9mg、約9.5mg、又は約10mgの化合物1又は(R)-化合物1が、ヒトに投与され得る。他の実施形態では、約0.5mgの化合物1又は(R)-化合物1が、ヒトに投与される。更なる実施形態では、約1mgの化合物1又は(R)-化合物1が、ヒトに投与される。更に他の実施形態では、約2mgの化合物1又は(R)-化合物1が、ヒトに投与される。なお更なる実施形態では、約3mgの化合物1又は(R)-化合物1が、ヒトに投与される。他の実施形態では、約4mgの化合物1又は(R)-化合物1が、ヒトに投与される。更なる実施形態では、約5mgの化合物1又は(R)-化合物1が、ヒトに投与される。更に他の実施形態では、約6mgの化合物1又は(R)-化合物1が、ヒトに投与される。なお更なる実施形態では、約7mgの化合物1又は(R)-化合物1が、ヒトに投与される。他の実施形態では、約8mgの化合物1又は(R)-化合物1が、ヒトに投与される。更なる実施形態では、約9mgの化合物1又は(R)-化合物1が、ヒトに投与される。更に他の実施形態では、約10mgの化合物1又は(R)-化合物1が、ヒトに投与される。
【0030】
化合物1若しくは(R)-化合物1、又は化合物1若しくは(R)-化合物1を含有する医薬組成物は、時間ごと、毎日、又は週単位で投与されてもよい。望ましくは、化合物1若しくは(R)-化合物1、又は化合物1若しくは(R)-化合物1を含有する医薬組成物は、毎日単位で、投与される。いくつかの実施形態では、約0.1~約30mg/日の化合物1又は(R)-化合物1が、投与される。いくつかの実施形態では、約0.1~約5mg/日、例えば、約0.1mg/日、約0.2mg/日、約0.3mg/日、約0.4mg/日、約0.5mg/日、約0.6mg/日、約0.7mg/日、約0.8mg/日、約0.9mg/日、約1mg/日、約1.5mg/日、約2mg/日、約2.5mg/日、約3mg/日、約3.5mg/日、約4mg/日、約4.5mg/日、約5mg/日、約5.5mg/日、約6mg/日、約6.5mg/日、約7mg/日、約7.5mg/日、若しくは約8mg/日の化合物1又は(R)-化合物1が、ヒトに投与される。他の実施形態では、約0.5mg/日の化合物1又は(R)-化合物1が、ヒトに投与される。更なる実施形態では、約1mg/日の化合物1又は(R)-化合物1が、ヒトに投与される。更に他の実施形態では、約2mg/日の化合物1又は(R)-化合物1が、ヒトに投与される。なお更なる実施形態では、約3mg/日の化合物1又は(R)-化合物1が、ヒトに投与される。他の実施形態では、約4mg/日の化合物1又は(R)-化合物1が、ヒトに投与される。更なる実施形態では、約5mg/日の化合物1又は(R)-化合物1が、ヒトに投与される。更に他の実施形態では、約6mg/日の化合物1又は(R)-化合物1が、ヒトに投与される。なお更なる実施形態では、約7mg/日の化合物1又は(R)-化合物1が、ヒトに投与される。他の実施形態では、約8mg/日の化合物1又は(R)-化合物1が、ヒトに投与される。更なる実施形態では、約9mg/日の化合物1又は(R)-化合物1が、ヒトに投与される。更に他の実施形態では、約10mg/日の化合物1又は(R)-化合物1が、ヒトに投与される。
【0031】
化合物1又は(R)-化合物1は、単回用量又は分割用量で投与されてもよい。いくつかの実施形態では、化合物1又は(R)-化合物1は、単回用量で投与される。更なる実施形態では、化合物1又は(R)-化合物1は、分割用量で投与される。例えば、化合物1又は(R)-化合物1は、2回用量、3回用量、又は4回用量などの分割用量で投与される。例えば、いくつかの態様では、患者に、2mgの錠剤を合計2錠投与することにより、4mgの化合物1又は(R)-化合物が投与される。他の実施例では、患者に、2mgの錠剤を合計3錠投与することにより、6mgの化合物1又は(R)-化合物が投与される。更なる実施例では、患者に、2mgの錠剤を合計4錠投与することにより、8mgの化合物1又は(R)-化合物が投与される。当業者であれば、必要とされる化合物1又は(R)-化合物1の用量に基づいて、錠剤の用量の他の組み合わせを決定して使用できるであろう。
【0032】
化合物1若しくは(R)-化合物1又はそれを含有する医薬製剤は、任意の許容される経路によって投与され得る。いくつかの実施形態では、投与は、経口、経皮、非経口、又はそれらの組み合わせである。更なる実施形態では、投与は、経口である。
【0033】
化合物1若しくは(R)-化合物1又は化合物1若しくは(R)-化合物1を含有する医薬製剤は、固体又は液体形態で投与するために製剤化され得る。いくつかの実施形態では、化合物1若しくは(R)-化合物1又は化合物1若しくは(R)-化合物1を含有する医薬製剤は、錠剤、カプレット、カプセル、粉末、ソフトゲル、懸濁液、若しくは液体、又はそれらの組み合わせの形態で製剤化される。他の実施形態では、化合物1若しくは(R)-化合物1又は化合物1若しくは(R)-化合物1を含有する医薬製剤は、錠剤の形態で製剤化される。更なる実施形態では、化合物1若しくは(R)-化合物1又は化合物1若しくは(R)-化合物1を含有する医薬製剤は、カプレットの形態で製剤化される。更に他の実施形態では、化合物1若しくは(R)-化合物1又は化合物1若しくは(R)-化合物1を含有する医薬製剤は、カプセルの形態で製剤化される。なお更なる実施形態では、各錠剤、カプレット、カプセル、粉末、ソフトゲル、懸濁液、又は液体用量は、約0.5~約5mg、すなわち、約0.5mg、約1mg、約1.5mg、約2mg、約2.5mg、約3mg、約3.5mg、約4mg、約4.5mg、又は約5mgの化合物1又は(R)-化合物1を含有する。他の実施形態では、各錠剤、カプレット、カプセル、粉末、ソフトゲル、懸濁液、又は液体用量は、約0.5mgの化合物1又は(R)-化合物1を含有する。更なる実施形態では、各錠剤、カプレット、カプセル、粉末、ソフトゲル、懸濁液、又は液体用量は、約1mgの化合物1又は(R)-化合物1を含有する。更に他の実施形態では、各錠剤、カプレット、カプセル、粉末、ソフトゲル、懸濁液、又は液体用量は、約2mgの化合物1又は(R)-化合物1を含有する。なお更なる実施形態では、各錠剤、カプレット、カプセル、粉末、ソフトゲル、懸濁液、又は液体用量は、約2mgの化合物1又は(R)-化合物1を含有する。他の実施形態では、各錠剤、カプレット、カプセル、粉末、ソフトゲル、懸濁液、又は液体用量は、約3mgの化合物1又は(R)-化合物1を含有する。更なる実施形態では、各錠剤、カプレット、カプセル、粉末、ソフトゲル、懸濁液、又は液体用量は、約4mgの化合物1又は(R)-化合物1を含有する。更に他の実施形態では、各錠剤、カプレット、カプセル、粉末、ソフトゲル、懸濁液、又は液体用量は、約5mgの化合物1又は(R)-化合物1を含有する。
【0034】
特定の態様では、固体又は液体形態は、患者の用量の化合物1又は(R)-化合物1を含有する。他の実施形態では、患者にとって所望の用量を達成するために、固体又は液体形態の2回以上の用量、すなわち分割用量を患者に投与することが必要な場合がある。
【0035】
本明細書に記載される化合物1又は(R)-化合物1は、アルドステロン合成酵素の阻害において有用である。化合物1又は(R)-化合物1は、様々な治療方法に有用である。いくつかの実施形態では、本開示は、化合物1又は(R)-化合物1を用いた高血圧を治療する方法を提供する。更なる実施形態では、本開示は、化合物1又は(R)-化合物1を用いた原発性アルドステロン症を治療する方法を提供する。更なる実施形態では、本開示は、化合物1又は(R)-化合物1を用いたCKDを治療する方法を提供する。方法は、患者に、化合物1若しくは(R)-化合物1、又は化合物1若しくは(R)-化合物1を含む医薬製剤を投与することを含む。
【0036】
化合物1又は(R)-化合物1による治療の後、患者の座位血圧(BP)は、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、又は約12週間の治療後など、およそ<130/80mmHgまで低下する。例えば、いくつかの実施形態では、化合物1又は(R)-化合物1の投与により、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、19、約20、約21、約22、約23、約24、25、約26、約27、約28、約29、又は約30mmHgのSBPのベースラインからの平均低下がもたらされる。いくつかの実施形態では、化合物1又は(R)-化合物1の投与により、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、又は約12週間の治療後に、座位収縮期血圧(SBP)のベースラインからの平均低下がもたらされる。例えば、化合物1又は(R)-化合物1の投与により、約1~約12、約1~約11、約1~約10、約1~約9、約1~約8、約1~約7、約1~約6、約1~約5、約1~約4、約1~約3、約1~約2、約2~約12、約2~約11、約2~約10、約2~約9、約2~約8、約2~約7、約2~約6、約2~約5、約2~約4、約2~約3、約3~約12、約3~約11、約3~約10、約3~約9、約3~約8、約3~約7、約3~約6、約3~約5、約3~約4、約4~約12、約4~約11、約4~約10、約4~約9、約4~約8、約4~約7、約4~約6、約4~約5、約5~約12、約5~約11、約5~約10、約5~約9、約5~約8、約5~約7、約5~約6、約6~約12、約6~約11、約6~約10、約6~約9、約6~約8、約6~約7、約7~約12、約7~約11、約7~約10、約7~約9、約7~約8、約8~約12、約8~約11、約8~約10、約8~約9、約9~約12、約9~約11、約9~約10、約10~約12、約10~約11、又は約11~約12週間後に、座位SBPのベースラインからの平均低下がもたらされる。他の実施形態では、化合物1又は(R)-化合物1の投与により、約12週間の治療後に、座位拡張期血圧(DBP)のベースラインの平均低下がもたらされる。例えば、いくつかの実施形態では、化合物1又は(R)-化合物1の投与により、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、約24、約25、約26、約27、約28、約29、又は約30mmHgのDBPのベースラインからの平均低下がもたらされる。更なる実施形態では、化合物1又は(R)-化合物1の投与により、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、又は約12週間の治療後に、座位SBPのベースラインからの平均低下及び座位DBPのベースラインからの平均低下がもたらされる。例えば、化合物1又は(R)-化合物1の投与により、約1~約12、約1~約11、約1~約10、約1~約9、約1~約8、約1~約7、約1~約6、約1~約5、約1~約4、約1~約3、約1~約2、約2~約12、約2~約11、約2~約10、約2~約9、約2~約8、約2~約7、約2~約6、約2~約5、約2~約4、約2~約3、約3~約12、約3~約11、約3~約10、約3~約9、約3~約8、約3~約7、約3~約6、約3~約5、約3~約4、約4~約12、約4~約11、約4~約10、約4~約9、約4~約8、約4~約7、約4~約6、約4~約5、約5~約12、約5~約11、約5~約10、約5~約9、約5~約8、約5~約7、約5~約6、約6~約12、約6~約11、約6~約10、約6~約9、約6~約8、約6~約7、約7~約12、約7~約11、約7~約10、約7~約9、約7~約8、約8~約12、約8~約11、約8~約10、約8~約9、約9~約12、約9~約11、約9~約10、約10~約12、約10~約11、又は約11~約12週間後に、座位DBPのベースラインからの平均低下がもたらされる。
【0037】
化合物1又は(R)-化合物1による治療の後、患者のアルドステロンレベル、レニンレベル、又はそれらの組み合わせは、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、又は約12週間の治療後などに、低下する。例えば、いくつかの実施形態では、化合物1又は(R)-化合物1の投与により、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、約24、約25、約26、約27、約28、約29、又は約30mmHgのSBPのベースラインからの平均低下がもたらされる。いくつかの実施形態では、化合物1又は(R)-化合物1の投与により、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、又は約12週間の治療後に、座位収縮期血圧(SBP)のベースラインからの平均低下がもたらされる。例えば、化合物1又は(R)-化合物1の投与により、約1~約12、約1~約11、約1~約10、約1~約9、約1~約8、約1~約7、約1~約6、約1~約5、約1~約4、約1~約3、約1~約2、約2~約12、約2~約11、約2~約10、約2~約9、約2~約8、約2~約7、約2~約6、約2~約5、約2~約4、約2~約3、約3~約12、約3~約11、約3~約10、約3~約9、約3~約8、約3~約7、約3~約6、約3~約5、約3~約4、約4~約12、約4~約11、約4~約10、約4~約9、約4~約8、約4~約7、約4~約6、約4~約5、約5~約12、約5~約11、約5~約10、約5~約9、約5~約8、約5~約7、約5~約6、約6~約12、約6~約11、約6~約10、約6~約9、約6~約8、約6~約7、約7~約12、約7~約11、約7~約10、約7~約9、約7~約8、約8~約12、約8~約11、約8~約10、約8~約9、約9~約12、約9~約11、約9~約10、約10~約12、約10~約11、又は約11~約12週間後に、座位SBPのベースラインからの平均低下がもたらされる。特定の他の実施形態では、
【0038】
いくつかの実施形態では、患者は、1つ以上の安定なバックグラウンドの高血圧レジメンに反応しない。「安定なバックグラウンドの高血圧レジメン」は、患者の血圧を下げる任意のレジメンを含む。レジメンは、日常活動などの1つ以上の療法を実施すること、又は1つ以上の降圧剤を服用することを含み得る。いくつかの実施形態では、安定なバックグラウンドの高血圧レジメンは、1つ以上の日常活動である。高血圧又は原発性アルドステロン症を治療するのに使用され得る日常活動の例としては、限定はされないが、健康的な食事、食塩摂取量の低減、定期的な身体活動、健康的な体重の維持、医師のアドバイスがある場合の減量、及びアルコール摂取の制限が挙げられる。他の実施形態では、安定なバックグラウンドの高血圧レジメンは、降圧剤である。
【0039】
本明細書で使用される「降圧剤」という用語は、患者の血圧を下げる薬を指す。いくつかの実施形態では、降圧剤は、利尿薬、ループ利尿薬、β-遮断薬、ACE阻害剤、アンジオテンシンII受容体遮断薬、カルシウムチャネル遮断薬、α遮断薬、α-2受容体アゴニスト、組み合わされたα及びβ-遮断薬、中央アゴニスト、末梢アドレナリン阻害剤、血管拡張剤(vasodilator)、又はそれらの組み合わせである。いくつかの実施形態では、降圧剤は、チアジド利尿薬、カリウム保持性利尿薬、ループ利尿薬、又は利尿薬の組み合わせなどの利尿薬である。チアジド利尿薬の例としては、クロルタリドン(Hygroton)、クロロチアジド(Diuril)、ヒドロクロロチアジド(Esidrix、Hydrodiuril、Microzide)、インダパミド(Lozol)、又はメトラゾン(Mykrox、Zaroxolyn)が挙げられる。カリウム保持性利尿薬の例としては、アミロライド塩酸塩(Midamar)、スピロノラクトン(Aldactone)、エプレレノン(Inspra)、又はトリアムテレン(Dyrenium)が挙げられる。ループ利尿薬の例としては、フロセミド(Lasix)又はブメタニド(Bumex)が挙げられる。組み合わせ利尿薬の例としては、アミロライド塩酸塩+ヒドロクロロチアジド(Moduretic)、スピロノラクトン+ヒドロクロロチアジド(Aldactazide)、又はトリアムテレン+ヒドロクロロチアジド(Dyazide,Maxzide)が挙げられる。他の実施形態では、降圧剤はβ-遮断薬である。β-遮断薬の例としては、アセブトロール(Sectral)、アテノロール(Tenormin)、ベタキソロール(Kerlone)、ビソプロロールフマレート(Zebeta)、カルテオロール塩酸塩(Cartrol)、メトプロロール酒石酸塩(Lopressor)、メトプロロールコハク酸塩(Toprol-XL)、ナドロール(Corgard)、ペンブトロール硫酸塩(Levatol)、ピンドロール(Visken)、プロプラノロール塩酸塩(Inderal)、ソロトール塩酸塩(Betapace)、又はチモロールマレイン酸塩(Blocadren)が挙げられる。更なる実施形態では、降圧剤は、β-遮断薬/利尿薬の組み合わせである。β-遮断薬/利尿薬の組み合わせの例は、ヒドロクロロチアジド+ビソプロロール(Ziac)である。更に他の実施形態では、降圧剤はACE阻害剤である。ACE阻害剤の例としては、ベナゼプリル塩酸塩(Lotensin)、カプトプリル(Capoten)、エナラプリルマレイン酸塩(Vasotec)、ホシノプリルナトリウム(Monopril)、リシノプリル(Prinivel、Zestril)、モエキシプリル(Univasc)、ペリンドプリル(Aceon)、キナプリル塩酸塩(Accupril)、ラミプリル(Altace)、又はトランドラプリル(Mavik)が挙げられる。なお更なる実施形態では、降圧剤は、アンジオテンシンII受容体遮断薬である。アンジオテンシンII受容体遮断薬の例としては、カンデサルタン(Atacand)、エプロサルタンメシル酸塩(Teveten)、イルベサルタン(Avapro)、ロサルタンカリウム(Cozaar)、テルミサルタン(Micardis)、又はバルサルタン(Diovan)が挙げられる。他の実施形態では、降圧剤は、カルシウムチャネル遮断薬である。カルシウムチャネル遮断薬の例としては、アムロジピンベシル酸塩(Norvasc、Lotrel)、ベプリジル(Vasocor)、ジルチアゼム塩酸塩(Cardizem CD、Cardizem SR、Dilacor XR、Tiazac)、フェロジピン(Plendil)、イスラジピン(DynaCirc、DynaCirc CR)、ニカルジピン(Cardene SR)、ニフェジピン(Adalat CC、Procardia XL)、ニソルジピン(Sular)、又はベラパミル塩酸塩(Calan SR、Covera HS、Isoptin SR、Verelan)が挙げられる。更なる実施形態では、降圧剤は、α遮断薬である。α遮断薬の例としては、ドキサゾシンメシル酸塩(Cardura)、プラゾシン塩酸塩(Minipress)、又はテラゾシン塩酸塩(Hytrin)が挙げられる。なお他の実施形態では、降圧剤は、α-2受容体アゴニストである。α-2受容体アゴニストの一例は、メチルドパである。なお更なる実施形態では、降圧剤は、組み合わせられたα及びβ-遮断薬である。組み合わせられたα及びβ-遮断薬としては、カルベジロール(Coreg)又はラベタロール塩酸塩(Normodyne,Trandate)が挙げられる。他の実施形態では、降圧剤は、中央アゴニストである。中央アゴニストの例としては、αメチルドパ(Aldomet)、クロニジン塩酸塩(Catapres)、グアナベンズ酢酸塩(Wytensin)、又はグアンファシン塩酸塩(Tenex)が挙げられる。更なる実施形態では、降圧剤は、末端アドレナリン阻害剤である。末端アドレナリン阻害剤の例としては、グアナドレル(Hylorel)、グアネチジン一硫酸塩(Ismelin)、又はレセルピン(Serpasil)が挙げられる。なお他の実施形態では、降圧剤は、血管拡張剤、すなわち血管拡張薬(vasodilator)である。血管拡張剤の例としては、ヒドララジン塩酸塩(Apresoline)、又はミノキシジル(Loniten)が挙げられる。
【0040】
いくつかの実施形態では、患者の高血圧又は原発性アルドステロン症は、化合物1又は(R)-化合物1を投与する前に、1つ以上の安定なバックグラウンドの高血圧レジメンに反応しない。その他の実施形態では、患者の高血圧又は原発性アルドステロン症は、化合物1又は(R)-化合物1を投与する前に、2つの安定なバックグラウンドの高血圧レジメンに反応しない。更なる実施形態では、患者の高血圧又は原発性アルドステロン症は、化合物1又は(R)-化合物1を投与する前に、3つの安定なバックグラウンドの高血圧レジメンに反応しない。その他の実施形態では、患者の高血圧又は原発性アルドステロン症は、化合物1又は(R)-化合物1を投与する前に、3つ以上の安定なバックグラウンドの高血圧レジメンに反応しない。
【0041】
本開示はまた、高血圧又は原発性アルドステロン症を治療する方法であって、化合物1又は(R)-化合物1の投与により、ヒトにおいて臨床的に有意な有害事象がもたらされない方法を提供する。本明細書で使用される「臨床的に有意な」という用語は、医師による経過観察が必要な患者に影響を与える結果を指す。
【0042】
本開示内で説明されるいくつかの概念を説明するために、以下の実施例が提供される。実施例は、製剤、調製方法、及び使用の特定の個々の実施形態を提供すると考えられるが、実施例は、本明細書に記載されるより一般的な実施形態を限定するとみなされるべきではない。
【0043】
以下の実施例において、使用される数(例えば量、温度など)に関しては、正確さを確保するように努めたが、ある程度の実験誤差と偏差は考慮されるべきである。
【0044】
略記及び用語の定義の一覧
略記 定義
ACEi アンジオテンシン変換酵素阻害剤
ACTH 副腎皮質刺激ホルモン
AE 有害事象
AESI 特に注目すべき有害事象
AOBPM 自動診察室血圧モニタリング
API 活性医薬成分
ARB アンジオテンシン受容体遮断薬
ARR アルドステロン/血漿レニン活性比
ASI アルドステロン合成酵素阻害剤
AUC 濃度時間曲線下面積
AUC0-∞ 0時間から無限大時間までの外挿された濃度-時間曲線下面積
AUC0-tlast 時間0から最後の定量可能な濃度の時点までの濃度-時間曲線下面積
BMI ボディマス指数
BNP B型ナトリウム利尿ペプチド
BP 血圧
bpm 1分当たりの拍数
CABG 冠動脈バイパス術
CCB カルシウムチャネル遮断薬
CI 信頼区間
CKD 慢性腎臓病
CKD-EPI 慢性腎臓病の疫学
CL 腎クリアランス
max 最大血漿濃度
CV 心血管
CYP シトクロムP450
DBP 拡張期血圧
DDI 薬物間相互作用
ECG 心電図
eGFR 推定糸球体濾過量
EOT 治療の終了
ET 早期中止
FSH 卵胞刺激ホルモン
GDF-15 成長分化因子-15
GFR 糸球体濾過量
GMP 適正製造規範
HBA1c グリコシル化ヘモグロビン
HBsAg B型肝炎表面抗原
HCV C型肝炎ウイルス
HIV ヒト免疫不全症
HTN 高血圧
IRT 双方向応答技術
ITT 治療企図
IV 静脈内
KIM-1 腎障害分子-1
LLOQ 定量下限
MAD 反復用量漸増
MATE 多剤及び毒性化合物排出
MCP1 単球走化性タンパク質-1
MedDRA ICH国際医薬用語集
mITT 修正治療企図
MMRM 反復測定混合モデル
MR 鉱質コルチコイド受容体
MRA 鉱質コルチコイド受容体アゴニスト
MTD 最大耐容量
NGAL 好中球ゼラチナーゼ結合性リポカリン
NSAID 非ステロイド性抗炎症薬
OLE オープンラベル継続投与
PA 原発性アルドステロン症
PAC 血漿アルドステロン濃度
PCI 経皮的冠動脈形成術
PD 薬力学
PGx ゲノム薬理学
PK 薬物動態
POC ポイントオブケア又はポイントオブコンタクト
PP 治験実施計画書に適合した
PRA 血漿レニン活性
QD 1日1回
QTc 補正QT時間
QTcB Fridericiaの式を使用した補正QT時間
QTcF Fredericaの式を使用した心拍数補正QT時間
RAAS レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系
rHTN 治療抵抗性高血圧
RNA リボ核酸
SAD 単回用量漸増
SAE 重篤な有害事象
SAP 統計解析計画書
SBP 収縮期血圧
SB-RI 単盲検-ランイン
SD 標準偏差
SGLT2 ナトリウム-グルコース共役輸送担体2
1/2 見かけの終末相での消失半減期
TEAE 試験治療下で発現した有害事象
TESAE 試験治療下で発現した重篤な有害事象
TGF-β トランスフォーミング増殖因子β
max 最大血漿濃度までの時間の中央値
UACR 尿中アルブミン対クレアチニン比
ULN 基準値上限
【実施例
【0045】
実施例1
健康な男性被験者に単回経口投与した後の[14C]-(R)-化合物1の吸収、代謝、及び排泄に関する第1相非盲検試験。
【0046】
【表1】
【0047】
可能性のある被験者は、用量投与前の28日以内に試験に参加する適格性を評価するためにスクリーニングされる。被験者は1日目に試験施設への入場を許可され、少なくとも9日目まで試験施設に閉じ込められる。1日目の朝に、全ての被験者が[14C]-(R)-化合物の単回経口投与を受けることになる。被験者は、以下の退院基準を満たした場合に退院となる:2連続の収集で血漿中放射能濃度が定量限界を下回り、物質収支の回収率が≧90%であり、2連続24時間で合わせた排泄物(尿及び糞便)で回収される合計総放射能線量の≦1%が回収される。9日目までに退院基準を満たさない場合、治験依頼者及び治験責任医師による別段の合意がない限り、被験者は全ての退院基準が満たされるまで最長15日目まで試験施設に留まり、24時間の血液、尿、及び糞便の収集を継続する。試験施設は、試験施設から退院してから3日(±1日)後に電話で被験者に連絡する。
【0048】
組入れのための診断及び基準
ボディマス指数が18.0~32.0kg/m(両端の値を含む)を有する18~55歳(両端の値を含む)の健康な男性被験者。
【0049】
被験者は特に明記されていない限り、スクリーニング来院時に以下の基準を全て満たさなければならない:
1.18~55歳(両端の値を含む)のあらゆる人種の男性。
2.ボディマス指数が18.0~32.0kg/m(両端の値を含む)。
3.良好な健康では、病歴、12誘導ECG、バイタルサイン測定(座位及び起立)、並びにスクリーニング及び/又はチェックイン時の臨床検査評価(先天性非溶血性高ビリルビン血症[例えば、総ビリルビン及び直接ビリルビンに基づくギルバート症候群の疑い]は受け入れられない)、及びチェックイン時の身体検査から、治験責任医師(又は医学的資格のある指名者)によって評価される臨床的に重要な所見がないことによって判断される。
4.正常な腎機能は、慢性腎臓病疫学共同試験法を使用して計算された、スクリーニング及びチェックイン時の推定GFR≧70mL/分/1.73mとして定義される。
5.被験者は、避妊の使用に同意する。
6.ICFを理解し、署名する意思があり、試験制限を遵守することができる。
7.1日当たり最低1回の排便歴。
8.被験者は、チェックインから退院後90日間は精子の提供を控える必要がある。
【0050】
被験者は、特に明記されていない限り、スクリーニング来院時に以下の基準のいずれかを満たしている場合に試験から除外される:
【0051】
医学的状態
1.治験責任医師(又は医学的資格のある指名者)によって決定される、自己免疫疾患、免疫疾患、代謝疾患、アレルギー疾患、皮膚疾患、肝臓疾患、腎臓疾患、血液疾患、肺疾患、心血管疾患、胃腸疾患、神経疾患(発作を含む)、神経筋疾患、筋骨格疾患、呼吸器疾患、内分泌疾患、若しくは精神疾患、癌(皮膚の基底細胞癌又は扁平上皮癌、及びスクリーニング来院前に治癒又は寛解状態が>5年続いている癌を除く)の有意な病歴又は臨床症状発現。
2.QT延長症候群、トルサード・ド・ポワント(Torsades de Pointes)、その他の複雑な心室性不整脈、又は突然死の個人若しくは家族歴。
3.治験責任医師(又は医学的資格のある指名者)によって判断された、心室頻拍、心室細動、心房細動、洞結節機能不全、又は臨床的に有意な心臓ブロックを含む、臨床的に有意な不整脈の病歴又は現在。軽度の異所性症状(例えば、心房期外収縮)のある被験者は、必ずしも除外されるわけではなく、組入れのために医療モニターと話し合う場合がある。
4.QTcFの延長(>450ミリ秒)。
5.治験責任医師(又は医学的資格のある指名者)の承認がない限り、薬物化合物、食品、又はその他の物質に対する有意な過敏症、不耐性、又はアレルギーの病歴。
6.治験責任医師(又は医学的資格のある指名者)の意見による外科的状態又は任意の状態は、経口投与された薬物の吸収、分布、代謝、及び/又は排泄を変化させる可能性がある(合併症のない虫垂切除術及びヘルニア修復術は許可されるが、胆嚢摘出術及び胃バイパス手術は禁止される)。
7.確認された(例えば、2回の連続測定)収縮期BPが>140又は<90mmHg、拡張期BPが>90又は<50mmHg、及び脈拍数が>100又は<45の1分当たりの拍数(bpm)。
8.体位性頻脈(即ち、起立時に>30bpm)又は起立性低血圧(即ち、起立時の収縮期BPが≧20mmHg又は拡張期BPが≧10mmHgの低下)。
9.血清カリウム>基準範囲の基準値上限(5.3mmol/L;ULN)及び血清ナトリウム<基準範囲の基準値下限(135mmol/L)(繰り返して確認)。
10.アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、アラニンアミノトランスフェラーゼ、又は総ビリルビン値>1.2×ULN。
11.治験責任医師(又は医学的資格のある指名者)の意見において、(臨床検査の正常範囲に基づく)正常範囲を大幅に超えている任意の他の臨床検査値。
12.ポルフィリン症、ミオパチー、又は活動性肝疾患の既知の病歴。
13.肝炎パネル陽性及び/又はヒト免疫不全ウイルス試験陽性。
14.スクリーニング又はチェックイン時の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)試験陽性。
【0052】
過去の療法/併用療法
15.投与前過去30日以内の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンの投与。
16.投与前14日以内の若しくは5倍の半減期のいずれか長い方の期間内に、局所薬を含む任意の処方薬又は大衆薬(添付文書によると、アセトアミノフェン又はイブプロフェン若しくはナプロキセンなどの非ステロイド性抗炎症薬の時折の使用を除く);ハーブ系サプリメント;栄養補助食品;若しくは機能性食品の使用、又は試験施設からの退院までこれらの薬を控える意思がないこと。大衆局所薬の使用は、治験依頼者と相談して許可される場合がある。加えて、5倍の半減期が14日を超える薬の使用については、被験者の登録前に治験依頼者と話し合って承認されなければならない。
17.投与前3カ月(90日)以内の副腎皮質ホルモンの使用(全身性又は広範な局所使用)。
【0053】
治験薬、用量、及び投与方法
一晩絶食した後、カプセルとしておよそ100μCiを含有する10mgの[14C]-(R)-化合物1の単回経口投与。
【0054】
試験に関与する被験者の参加期間
計画されたスクリーニング期間:およそ4週間。
【0055】
計画された試験期間(スクリーニングから経過観察電話まで):最長およそ7週間。
【0056】
説明、保管、包装、及びラベル表示
医薬品有効成分(API;放射性標識)は、ホット/コールド[14C]-(R)-化合物1のブレンドとして、バッチ/ロット番号及び解析証明書とともに治験依頼者(又は被指名者)によって供給される。提供されたブレンドは純度(放射化学的及び紫外線)について完全に試験されており、発売前に全ての仕様を満たす必要がある。
【0057】
各被験者用量には、およそ100μCiの[14C]-(R)-化合物1を含有する合計10mgが含まれる(複数のカプセルとして投与してもよい)。完成した薬剤製品は、被験者に投与する前に、GMP条件下で適正製造規範(GMP)品質監査人によってリリースされる。
【0058】
試験治療投与
各用量の[14C]-(R)-化合物1は、240mLの室温水とともに経口投与される。全ての被験者は一晩(少なくとも10時間)絶食し、投与前の1時間は水の摂取を控える。被験者は、投与時に消費された水の量を除いて、投与後2時間まで水の摂取を控え、投与後およそ4時間まで絶食する。試験中のその他の全ての時間では、被験者は自由に水を摂取してよい。
【0059】
被験者は座位状態で番号順に投与され、[14C]-(R)-化合物1の投与後4時間は仰向けになることが許されない。ただし、AEの発生及び/又は試験手順によって必要な場合は除く。
【0060】
被験者は投与後最初の4時間観察され、その間必要に応じてトイレに連れて行かれる。
【0061】
薬物動態解析
総放射能の物質収支回収率(投与された用量の尿、糞便、及び総排泄物中に回収される割合)は、放射線分析試験所によって計算される。薬物動態パラメータは、標準的なノンコンパートメント法を使用して、(R)-化合物1及び代謝産物の個々の(プールされていない)血漿及び尿濃度、並びに血漿及び全血の総放射能濃度から決定される。PKパラメータの完全な詳細は、この試験の統計解析計画に記載される。
【0062】
実施例2
SAD試験には、最大360mgの(R)-化合物1の単回経口投与が伴い、これは健康な被験者に十分に許容された。死亡、重篤な有害事象(SAE)、又は用量制限事象がなく、観察された最大耐用量が試験される最高用量(360mg)であった。全体として、単回用量の(R)-化合物1の投与後に最も頻繁に報告されたAEは、頭痛、鼻咽頭炎、下痢、無力、めまい、及び吐き気であった。
【0063】
用量依存性の血漿ナトリウムレベルの軽度の減少及び血漿カリウムレベルの増加が観察され、それに対応して尿中ナトリウム及びカリウムレベルの変化が観察された。注目すべき点は、尿中ナトリウム:カリウム比の最初の増加にもかかわらず、尿中のナトリウム損失がカリウム保持よりも大きいことを示し、この比は10日目までに正規化され、ナトリウム排出及びカリウム吸収の間のバランスが回復したことを示唆している。
【0064】
10日間の治療期間を通じてカリウムは変化しないように見えるため、この比率の変化は、10日目の尿中のナトリウム排出と比較して、1日目の尿中のナトリウムのより大きな排出によって媒介されるようである。
【0065】
(R)-化合物1の投与後、糸球体濾過量(GFR)の軽度の低下(<15%)とともに、血中尿素窒素及びクレアチニンの増加が観察された。GFRの低下に伴う血中尿素窒素:クレアチニン比の増加の存在は、(R)-化合物1が軽度の利尿効果を生み出していることを示唆している。最後に、おそらく、以前に指摘された軽度の利尿作用より、(R)-化合物1を受けている被験者は、プラセボを受けている被験者と比較して、体重及びボディマス指数の顕著な低下を経験した。値は、経過観察までに正常に戻った。
【0066】
SAD試験は、経口投与後、(R)-化合物1が、0.5~2時間の間の最大観察濃度(Cmax)までの時間の中央値(tmax)で急速に吸収されたことを示している。2番目の、一般に低いピークは、多くの場合、投与後3~4時間で観察された。その後、濃度はピークから二相的に減少し、終末消失半減期の中央値はおよそ25~31時間と長くなった。用量範囲(10mgまで)にわたって、ピーク及び全体の曝露(Cmax及び時間0から無限までのAUC[AUC0-inf]によって評価される)は、一般的に用量に比例して増加した。用量のおよそ11%が尿中に変化せずに回収される。
【0067】
単回用量の(R)-化合物1は、用量依存的に血漿及び尿アルドステロンレベルを低下させた。
【0068】
経口投与後、用量の平均10.8%(全ての用量群にわたる個別値の範囲は4.97%~22.5%)は、投与後最大48時間まで収集された尿中には変化せずに回収される((R)-化合物1)とともに、用量の平均0.22%(全ての用量群にわたって0.039%~0.599%)は、尿中の活性代謝産物として回収された。
【0069】
観察されたCLR(278~443mL/hの範囲、用量に応じて)は、血漿中の未結合画分の生成物と健康な被験者におけるGFRの積(fuGFR=0.267200mL/h=1870mL/h)よりも小さく、正味の尿細管再吸収の存在を示した。腎クリアランスは、総血漿クリアランスの平均15.5%(尿中の活性代謝産物からの個々の値の範囲は、全ての用量群にわたって6.53%~31.8%)に相当した。
【0070】
経口投与後、(R)-化合物1は、0.5~2時間の間の典型的に観察されるCmaxまでの時間の中央値(Tmax)で急速に吸収された。2番目の、一般に低いピークは、多くの場合、投与後3~4時間で観察された。その後、濃度はピークから二相的に減少し、終末消失半減期の中央値はおよそ25~31時間と長くなった。予想される治療上関連する用量範囲(10mgまで)にわたって、ピーク及び全体の曝露(Cmax及び濃度時間曲線下面積[AUC]によって評価される)は、一般的に用量に比例して増加した。用量のおよそ11%が尿中に変化せずに回収された。
【0071】
最大360mgの(R)-化合物1の単回経口投与は、血清電解質(塩化物、カリウム、ナトリウム、及びホスフェート)レベルには影響せず、実薬治療を受けた被験者とプラセボを受けた被験者に差はなかった。尿中ナトリウム及びナトリウム対カリウム比は両方とも増加し、尿中ナトリウムの損失がカリウムの保持よりも大きくなった。尿クレアチニンの変化は明らかではなかった。
【0072】
(R)-化合物1の単回投与は、用量依存的に血漿及び尿アルドステロンレベルをおよそ85%~90%低下させ、試験した様々な条件(Cortrosyn(登録商標)チャレンジ、起立、通常塩食、及び減塩食条件)下で、(R)-化合物1の10mgの用量で一貫して最大効果に達した。試験した全用量範囲(0~360mgの(R)-化合物1)にわたって、血漿コルチゾールレベルに明らかな変化は見られなかった。
【0073】
アルドステロン減少に対する最大の効果は、健康な被験者における試験した様々な条件(Cortrosyn(登録商標)チャレンジ、起立、通常塩食、及び減塩食条件)下で、10mgの用量で一貫して達成された。試験した全用量範囲(0~360mgの(R)-化合物1)にわたって、Cortrosynチャレンジ後の血漿コルチゾールレベルに明らかな変化は見られなかった。360mgまでコルチゾールレベルには影響なかったが、11-デオキシコルチゾール(用量180mg及び360mg)及び11-DOC(用量≧90mg)の増加が観察されることに基づいて、治療上関連すると考えられる曝露量をはるかに上回る曝露量では、CYP11B1酵素の部分的な阻害が起こる可能性がある。
【0074】
実施例3
1つの降圧剤を受けているコントロール不良高血圧患者における8週間の治療後のプラセボと比較した(R)-化合物1の複数回用量強度の有効性及び安全性を評価するための二重盲検プラセボコントロール多施設試験。
【0075】
適応症
高血圧(HTN)患者の収縮期血圧(SBP)の低下
【0076】
目標
1つの目標は、血清アルドステロンレベルが高く、1つのバックグラウンド降圧剤を受けているコントロール不良HTN患者における8週間の治療後の平均座位SBPのベースラインからの変化に関して、(R)-化合物1の少なくとも1回の用量強度がプラセボよりも優れていることを実証することである(パート1)。
【0077】
他の目標は、血清アルドステロンレベルが高く、1つのバックグラウンド降圧剤を受けているコントロール不良高血圧を有する個体の試験母集団において以下のパラメータを評価することである。
・8週間の治療後のプラセボと比較した、(R)-化合物1の選択された用量強度の各々による平均座位拡張期血圧(DBP)のベースラインからの変化(パート1)。
・8週間の治療後のプラセボと比較した、(R)-化合物1の選択された用量強度の各々による24時間の尿アルドステロン及び血清アルドステロンレベルのベースラインからの変化(パート1);並びに
・8週間後のプラセボと比較した、(R)-化合物1の選択された用量強度の各々による平均座位SBPが<130mmHgに達した患者(「レスポンダー」)の割合(パート1)。
【0078】
他の目標は以下を評価することである:
・24時間の尿アルドステロン及び血清アルドステロンレベルの、パート1の終了時に測定された値から、パート2の終了時に(R)-化合物1の2mg用量強度及びバックグラウンド降圧剤なしでの4週間の治療後に測定された値への変化
・パート2中に4週間、(R)-化合物1の2mg用量強度単独及びバックグラウンド降圧剤なしで治療された場合に、平均座位SBPが<130mmHgを維持する患者(「レスポンダー」)の割合。
【0079】
安全性目標
パート1及び2の両方についての安全性目標は、以下を評価することになる:
・バイタルサイン、起立血圧(BP)及び心拍数、身体検査、心電図(ECG)、体重、並びに標準安全性化学パネル、血液学、凝固、及び尿検査を含む臨床検査評価;
・試験治療下で発現した有害事象(TEAE);
・試験治療下で発現した重篤な有害事象(TESAE);
・試験薬の早期中止に至るTEAE;
・試験治療下で発現した顕著な臨床検査異常;並びに
・ベースラインから治療終了(EOT)(来院9回目)までの起立SBP(臨床施設での投与前に測定)の変化。
【0080】
薬物動態-薬力学目標
パート1及びパート2の両方についての薬物動態(PK)-薬力学(PD)目標は、安全性、PD、及び/又は有効性の尺度を使用して、(R)-化合物1の曝露-反応関係を評価することである。
【0081】
組入れ基準
試験に参加する適格性には、患者が以下の基準を全て満たしていなければならない:
1.≧18歳の成人男性及び女性患者である;
2.単一のバックグラウンド降圧剤を最大耐用量(MTD)で少なくとも8週間安定したレジメン中であり(調査員の意見として)、スクリーニング時に2番目の降圧剤の追加候補とみなされる場合;
全身性HTNの一次治療として使用される許容可能なクラスの降圧薬としては、アンジオテンシン変換酵素阻害剤(ACEi)/アンジオテンシン受容体遮断薬(ARB)、カルシウムチャネル遮断薬、及び利尿薬(鉱質コルチコイド受容体アンタゴニスト[MRA]又はカリウム保持性利尿薬以外)が挙げられる。ニトログリセリン、一硝酸イソソルビド、及び硝酸イソソルビドを含む抗狭心症硝酸塩は、降圧剤とはみなされない。
許容される降圧剤の最大用量を服用していない患者は、患者が受けている用量がその患者のMTDであると規定する治験責任医師の理論的根拠を説明する情報源文書を持っている必要がある。
2つの活性薬剤(即ち、ACE阻害剤+利尿薬、CCB+ARBなど)からなる薬剤は、単一の降圧剤とは見なされない。
3.スクリーニング(来院1回目)及び来院2回目時に平均座位SBPが≧140mmHgである;
平均座位SBPが≧130mmHgである患者は、糖尿病であれば適格性がある可能性がある。
平均座位SBPは、任意単回臨床施設来院時の3回の座位SBP測定値の平均と定義される。
4.来院2回目の朝の丸薬数に基づいて、ランイン期間中の降圧薬及び(R)-化合物1プラセボのアドヒアランスが≧70%及び≦120%である;
5.スクリーニングで血清アルドステロンが≧7ng/dLである;
ACEi又はARBを服用している患者は、血清アルドステロンが≧6ng/dLである場合に登録できる。
6.スクリーニング時(来院1回目)にナトリウム-グルコース共役輸送担体2(SGLT2)阻害剤を服用している場合、レジメンは来院2回目の前少なくとも8週間にわたって安定していなければならず、試験期間中その用量を維持することが期待される;
現在SGLT2阻害剤を服用していない患者は、治療期間全体にわたってこのクラスの薬を開始しないことが予想される。
7.以下のように、試験の避妊及び生殖制限を遵守することに同意する:
・閉経後の女性患者は、スクリーニング時に少なくとも1年間月経出血がなく、60歳超であるか若しくはスクリーニング時に血漿卵胞刺激ホルモンレベルが40mIU/mLを超えて上昇していなければならない;
・妊娠の可能性のある女性患者(即ち、排卵中、閉経前、及び外科的に不妊ではない)は、スクリーニング時(来院1回目)及び来院2回目に妊娠検査で陰性であることが文書化されていなければならない;
・妊娠の可能性のある女性患者は、試験薬の最後の投与後1日目から30日間、非常に効果的な避妊方法(即ち、失敗率が1%未満)を使用しなければならない。試験に登録された女性患者に許容される避妊方法は以下を含む:
o手術による不妊手術(卵管結紮術);
oスクリーニング前の少なくとも12週間の子宮内避妊器具;
oスクリーニング前の少なくとも12週間のホルモン避妊(経口、インプラント、注射、リング、又はパッチ);又は
o殺精子剤と組み合わせて使用される避妊ペッサリー。
・男性患者は、試験薬の最終投与後1日目から90日間精子提供を控えることに同意しなければならない。
8.臨床試験への参加についてインフォームドコンセントを与えることができ、意思がある。
【0082】
除外基準
以下の基準のいずれかを満たす患者は、試験への参加から除外される:
1.スクリーニング(来院1回目)若しくはベースライン(来院2回目)時に平均座位がSBP≧180mmHgである;
2.スクリーニング時にボディマス指数が>50kg/mである;
3.スクリーニング時に選択されたBP装置のカフ測定基準を満たしていない上腕周囲径を有する;
4.全身性HTN若しくは別の主要な病態/適応症(例えば、前立腺肥大症、片頭痛、心不全)の治療にα若しくはβ遮断薬を使用している;
5.既存の降圧レジメンの一環としてMRA若しくはカリウム保持性利尿薬を中止する意思がない、若しくは中止できない;
6.カリウムサプリメントの摂取を中止する意思がない;
7.除外薬物(強力なシトクロムP4503A誘導剤及び/若しくは非ステロイド抗炎症薬剤[NSAID]の慢性使用)のいずれかを受ける予定若しくは受けている;慢性NSAIDを服用している患者であって、試験期間にスクリーニング時に中止する意思のある患者は、参加を許可される場合がある。
8.既知の腎動脈狭窄症、コントロール不良若しくは未治療の甲状腺機能亢進症、コントロール不良若しくは未治療の甲状腺機能低下症、副甲状腺機能亢進症、褐色細胞腫、クッシング症候群、若しくは大動脈縮窄症を有する;
原発性アルドステロン症患者は、試験への参加が終了する前に副腎摘出術が予想される場合を除き、登録を検討することができる。
9.スクリーニング時に慢性腎臓病疫学共同試験法の等式を使用して計算された推定糸球体濾過量が<30mL/分/1.73mであることが文書化されている;
10.スクリーニング時にニューヨーク心臓協会(New York Heart Association)ステージIII若しくはIVの慢性心不全が既知であり、文書化されている;
11.スクリーニング前6カ月以内に卒中、一過性脳虚血発作、高血圧性脳症、急性冠症候群、若しくは心不全のため入院がある;
12.以前の心エコー図で診断された閉塞性肥大型心筋症及び/若しくは重度の大動脈弁膜症など、現在重篤の左心室流出路閉塞があることが既知である;
13.計画された冠動脈血行再建術(経皮的冠動脈形成術[PCI]又は冠動脈バイパス術[CABG])若しくは任意の主要な外科的処置がある;
14.スクリーニング前6カ月以内にCABG若しくは他の大規模な心臓手術(弁置換術など)、末梢動脈バイパス手術、若しくはPCIを受けている;
15.慢性永続性心房細動を有する;
16.スクリーニング時に糖化ヘモグロビンが>10%であるコントロール不良糖尿病を有する;
17.この試験過程中に、透析若しくは腎臓移植の予定がある;
18.以前に固形臓器移植及び/若しくは細胞移植を受けたことがある;
19.(R)-化合物1、同じクラスの薬物、若しくはその賦形剤いずれかに対する既知の過敏症を有する;
20.不安定な病態及び/若しくは副腎皮質ホルモンを含む全身免疫抑制剤で治療されている病態を含む、臨床的に関連する任意の病状若しくは外科的状態があり、試験に参加することで患者を危険にさらす可能性があるとの治験責任医師の意見がある;
21.以下のいずれかの根拠を有する(再試験はスクリーニング時に1回可能):
a.スクリーニング時に白血球数>15×10/L若しくは好中球絶対数<1×10/L;
b.スクリーニング(来院1回目)時にナトリウム<130mEq/L;
治験責任医師が血清ナトリウム濃度の修正を選択した場合、及び/若しくは病態の管理を申し出た場合、来院2回目の少なくとも1週間前にスクリーニングのための1回の再検査が許可される。血清ナトリウムが繰り返し<130mEq/Lの場合、患者は試験から失格となる。
c.スクリーニング(来院1回目)時にカリウム<3.5mEq/L;
d.スクリーニング(来院1回目)時にカリウム>5mEq/L;
治験責任医師が血清カリウム濃度の修正を選択した場合、及び/若しくは病態の管理を申し出た場合、来院2回目の少なくとも1週間前にスクリーニングのための1回の再検査が許可される。血清カリウムが繰り返し>5mEq/Lの場合、患者は試験から失格となる。
e.スクリーニング時及び/若しくは赤血球造血刺激因子製剤の開始予定時及び/若しくはスクリーニング後2カ月以内の計画輸血時にヘモグロビンが<10g/dL;若しくは
f.血清アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ及び/若しくはアラニンアミノトランスフェラーゼが>3×正常範囲の上限、スクリーニング時の対応する総ビリルビンが>2mg/dL。
患者がギルバート症候群の病歴を有する場合、ビリルビンは、スクリーニング時に>2mg/dLであってもよい。
22.スクリーニング時にHIV抗体、C型肝炎ウイルスRNA、若しくはB型肝炎表面抗原について陽性である;
23.週に≧14杯のアルコール飲料の典型的な摂取がある;
アルコール1杯は、ビール半パイント(285mL)、スピリッツ1杯(25mL)、若しくはワイン1杯(125mL)に相当する;
24.妊娠中、授乳中、若しくは試験中に妊娠する予定がある;
25.スクリーニング前の30日以内に任意の治験薬を含む別の臨床試験に参加したことがある、若しくは試験薬中止後30日以内に別の臨床試験に参加する予定がある;
26.1日目の30日以内若しくは5倍の半減期のどちらか長い方に低分子による実験的治療、若しくは1日目の90日以内若しくは5倍の半減期のどちらか長い方に大きな分子による実験的治療を受けている;又は
27.病歴及び精神病歴、身体検査及び臨床検査評価を検討した後、治験責任医師により、参加中に患者を危険にさらす可能性がある、若しくは試験結果の解釈を妨げる可能性のある任意のその他の理由により不適当であるとされる。
【0083】
試験デザイン及び期間
これは、HTN患者の治療における(R)-化合物1の複数回用量強度の有効性及び安全性を評価するための第2相無作為化多施設試験である。試験への参加を考慮するには、患者は、コントロール不良HTN(平均座位SBP≧140mmHg[又は糖尿病の場合は、≧130mmHg])を有していなければならず、MTDにおいて(治験責任医師の意見では)少なくとも8週間、単一のバックグラウンド降圧剤の安定したレジメンを受けているにもかかわらず、スクリーニング時に2番目の降圧剤の追加候補とみなされる。適格患者は、血清アルドステロンが≧7ng/dL(ACEi又はARBの場合は、≧6ng/dL)でなければならず、全ての他のスクリーニング基準を満たす。
【0084】
スクリーニング臨床検査の評価は、異常がある場合、患者を除外する前に適格性の目的で1回繰り返すことができる。スクリーニングに不合格であった場合は、治験依頼者及び/又はメディカルモニターの相談及び承認があれば、最後の試験来院後5日未満に再スクリーニングを行うことができる。
【0085】
試験の間、患者は、7~9回の臨床施設来院、及び1回の電話来院を含む、8~10回の予定された来院を完了する。予定外来院は、治験責任医師の裁量に基づいて、試験期間中任意の時に計画することができる。試験は、以下の期間/来院からなる:
・以下からなる少なくとも4週間のスクリーニング期間:
oスクリーニング来院(来院1回目);
o患者に試験の適格性を伝えるための電話来院;並びに
o無作為化(来院2回目)前に、患者がバックグラウンド降圧薬及びプラセボを遵守していることを確認するための最大4週間のランイン期間(組入れ基準4を参照されたい)。
・以下からなる2パート治療期間:
oパート1:8週間の二重盲検治療期間(1週目~8週目;来院2回目~6回目);及び
oパート2:4週間の治療期間(9週目~12週目;来院6回目の翌日に開始し、来院9回目まで)。
・試験薬の最後の投与後からおよそ2週間の安全性経過観察期間(来院10回目)。
【0086】
血清アルドステロンを含むスクリーニング適格検査結果が返されると、患者には電話(電話来院)で連絡があり、適格であることを通知され、適格である場合は、ランイン期間を開始して次回の来院スケジュールを設定する:予定外来院又は来院2回目。治験責任医師が修正又は管理することを選択したスクリーニング時に血清ナトリウム<130mEq/L及び/又は血清カリウム>5mEq/Lを有する患者の場合、来院2回目の少なくとも1週間前に1回の再検査(予定外来院で)が許可される(除外基準21を参照されたい)。適格患者にはまた、来院2回目までのバックグラウンド降圧剤に加えてプラセボ錠剤を1日1回(QD)服用するランイン期間を開始するよう指示される。治療アドヒアランス(組入れ基準4を参照)を示し、来院2回目で全ての組入れ基準を満たし続け、除外基準をいずれも満たさない患者は、無作為化され、パート1治療期間に入る。
【0087】
臨床施設は、来院1、5、及び8回目に24時間採尿キットを患者に提供する。患者は、来院2(電話来院で適格性を確認した後)、6、及び9回目の3日前までに収集を開始するよう指示され、収集した試料を冷蔵し、その試料全体を臨床施設に持参する。
【0088】
二重盲検パート1治療期間(1週目~8週目;来院2回目~6回目)の間、患者は4つの治療群のうちの1つに無作為に割り当てられる(1:1:1:1):0.5mgの(R)-化合物1、1mgの(R)-化合物1、2mgの(R)-化合物1、又はプラセボは、単一のバックグラウンド降圧剤に対する追加薬として使用される。臨床施設来院日に、患者は自宅でバックグラウンド降圧薬の朝の用量を自己投与し、試験薬を控える。臨床施設にて、患者は、投与前の評価及び臨床検査サンプリングが完了した後、施設スタッフの立ち会いのもと試験薬1錠を自己投与する。臨床施設来院の間、患者は、毎朝ほぼ同じ時間に試験薬QD1錠を経口自己投与し続ける。評価項目は、8週目の終わりに評価される。
【0089】
パート2治療期間(9週目~12週目;来院6回目の翌日から始まり来院9回目まで)の間、パート1の終了時の全てのレスポンダー(平均座位SBP<130mmHgを達成すると定義される)は、パート2に移る。彼らは、2mg用量の(R)-化合物1(この試験における最大量)を受け、単一のバックグラウンド降圧剤を中止する。パート1で2mgの(R)-化合物1を除く任意の試験薬を投与された非レスポンダーは、パート2に移り、2mgの用量の(R)-化合物1を投与され、単一のバックグラウンド降圧剤を中止する。パート2に参加しないことを決定した非レスポンダー、又はパート1ですでに(R)-化合物1の最大用量強度(2mg)を受けている非レスポンダーは、試験薬の投与を中止したとみなされ、パート1の終了時(来院6回目)にそのEOT(来院9回目)手順及び2週間の安全性経過観察を完了させなければならない。
【0090】
患者は、全ての臨床施設来院の際に試験薬及びバックグラウンド降圧薬を持参するよう指示される。患者は、各臨床施設来院前の少なくとも2時間、運動、喫煙、又はカフェイン入りの飲料若しくは食べ物の摂取を行ってはならない。全ての臨床施設来院はほぼ同時に(患者内で)行われるべきであり、来院が午前6時から午前11時の間に行われるように努める必要がある。
【0091】
安全性経過観察(来院10回目)の際、患者は、試験完了以来、バイタルサイン、臨床検査評価、有害事象(AE)、及び降圧レジメンを含む併用薬の使用について評価される。
【0092】
(R)-化合物1の安全性は、インフォームドコンセントの時点から安全性経過観察期間の終了まで評価される。患者は、治療期間中、事前に指定された有効性及びアドヒアランスについて追跡調査される。試験中に解析されるPD変数には、アルドステロン及びその前駆体、コルチゾール及びその前駆体の測定値、血漿レニン活性(PRA)、並びにアルドステロン/PRA比の計算などが含まれ得るが、これらに限定されない。試験中に解析されるPK変数には、(R)-化合物1及び任意の測定された代謝産物の血漿濃度が含まれる。データ安全性モニタリング委員会(DSMB)は、新たな安全性データを定期的に評価し、累積的なSAEに関する報告を評価することが計画されている。
【0093】
投薬形態及び投与経路
(R)-化合物1の用量強度は、0.5mgQD、1mgQD、及び2mgQDである。ランイン期間では、全ての患者が毎朝ほぼ同じ時間にプラセボQDを1錠ずつ経口自己投与する。
【0094】
治療期間(パート1及び2)中の臨床施設来院の際、患者は、投与前の評価及び臨床検査サンプリングが完了した後、クリニックで試験薬1錠を自己投与し、施設スタッフの立ち会いを受ける。臨床施設来院の間、患者は、毎朝ほぼ同じ時間に試験薬QD1錠を経口自己投与し続ける。
【0095】
評価項目
有効性評価項目は、コントロール不良HTNを有し、血清アルドステロンレベルが高く、1つのバックグラウンド降圧剤を受けている患者における8週間の治療後の平均座位SBPのベースラインからの変化である(パート1)。
【0096】
評価項目について説明したものと同じ母集団におけるこの試験の他の有効性評価項目は以下のとおりである:
・8週間の治療後のプラセボと比較した、(R)-化合物1による平均座位DBPのベースラインからの変化(パート1);
・8週間の治療後のプラセボと比較した、(R)-化合物1による24時間の尿アルドステロン及び血清アルドステロンレベルのベースラインからの変化(Part1);並びに
・8週間の治療後のプラセボと比較した、(R)-化合物1による平均座位SBPが<130mmHgに達した患者(「レスポンダー」)の割合(Part1:1週目~8週目)。
【0097】
この試験のその他の有効性評価項目は、以下のとおりである:
・24時間の尿アルドステロン及び血清アルドステロンレベルの、パート1の終了時に測定された値から、パート2の終了時に(R)-化合物1の2mg用量強度及びバックグラウンド降圧剤なしでの4週間の治療後に測定された値への変化;並びに
・パート2中に4週間、(R)-化合物1の2mg単独及びバックグラウンド降圧剤なしで治療された場合に、平均座位SBPが<130mmHgを維持する患者(「レスポンダー」)の割合。
【0098】
安全性評価項目
この試験の安全性評価項目は、以下のとおりである:
・バイタルサイン、起立BP及び心拍数、身体検査、ECG、体重、並びに標準安全性化学パネル、血液学、凝固、及び尿検査を含む臨床検査評価;
・TEAE;
・TESAE;
・試験薬の早期中止に至るTEAE;
・試験治療下で発現した顕著な臨床検査異常;並びに
・ベースラインからEOT(来院9回目)までの起立SBP(臨床施設での投与前に測定)の変化。
【0099】
安全性解析
安全性の解析対象集団は、安全性解析の母集団である。全ての安全性評価項目は、パート1で収集された記録について説明的にまとめられる。更なる安全性評価項目解析は、パート2で収集された記録及び投与後の経過観察調査/試験の終了を含めて実施される。
【0100】
薬物動態解析
(R)-化合物1及び任意の測定された代謝産物の個々の血漿濃度データはリスト化され、来院、時点、及びPK母集団の治療群ごとにまとめられる。
【0101】
パート2に参加の患者の場合、(R)-化合物1及び任意の測定された代謝産物の関連パラメータは、個々の患者ごとにリスト化され、記述統計を使用して表形式にまとめられる。(R)-化合物1及び任意の測定された代謝産物の平均並びに個々の血漿濃度は、パート2で患者の時点に対してプロットされる。
【0102】
薬力学解析
PD母集団は、PD解析の母集団である。全てのPD変数が説明的にまとめられる。
【0103】
薬物動態/薬力学解析
データが許せば、血漿濃度及びパラメータを安全性、PD、及び/又は有効性の尺度と相関させる試みが行われる。
【0104】
製剤化及び包装
(R)-化合物1錠剤は、以下の用量強度で提供される:0.5mg、1mg、及び2mg。錠剤は、試験に必要な用量を達成するためにブリスターパックに包装される。(R)-化合物1錠剤は、活性成分及び不活性成分として(R)-化合物1を含有する。
【0105】
実施例4
原発性アルドステロン症(PA)患者の治療のための(R)-化合物1の有効性及び安全性を評価するための無作為化、二重盲検、プラセボコントロール、多施設、並行群、用量範囲試験。
【0106】
適応症
原発性アルドステロン症(PA)患者における血圧(BP)の低下
【0107】
目標
1つの目標は、(R)-化合物1の少なくとも1つの用量強度が、PA患者における4週間の治療後の自動診察室血圧モニタリング(AOBPM)による座位収縮期血圧(SBP)のベースラインからの平均変化においてプラセボよりも優れていることを実証することである。
【0108】
他の目標は以下のとおりである:
・PA患者における4週間の治療後のプラセボと比較した、(R)-化合物1の選択された用量強度の各々によるAOBPMによる平均座位拡張期血圧(DBP)のベースラインからの変化を評価すること;
・PAについての4週間の治療後のプラセボと比較した、(R)-化合物1の選択された用量強度の各々による座位BP応答が<140/90mmHgに達した患者の割合を評価すること;
・PAについての4週間の治療後のプラセボと比較した、(R)-化合物1の選択された用量強度の各々による座位BP応答が<130/80mmHgに達した患者の割合を評価すること;
・以下のいずれかを達成するPAについての4週間の治療後のプラセボと比較した、(R)-化合物1の選択された用量強度の各々による患者の割合を評価すること:
o血漿アルドステロン濃度(PAC)<15ng/dL及び血漿レニン活性(PRA)≧0.5ng/mL/h;又は
oアルドステロン対レニン比(ARR)<30;並びに
・PA患者における4週間の治療後のプラセボと比較した、(R)-化合物1の選択された用量強度の各々によるカリウムレベル及び/又はカリウム補給の必要量のベースラインからの変化を評価すること。
【0109】
他の目標は以下のとおりである:
・ベースラインから治療の終了まで濃度の変化を評価すること;
・薬力学(PD)変数には以下が含まれるが、これらに限定されない:PAC、11-デオキシコルチコステロン、
・以下の選択された用量強度の各々による、PRA、直接レニン濃度、計算されたアルドステロン対レニン比(ARR)、及び24時間尿アルドステロン、ナトリウム、及びカリウム
・PA患者における4週間の治療後のプラセボと比較した、(R)-化合物1;並びに
・ベースラインから治療終了時のプラセボと比較した(R)-化合物1の選択された用量強度の各々による、BP低下とアルドステロン及びレニンレベルの変化との関係を評価すること。
【0110】
薬物動態PK/PDの目標
薬物動態(PK)-PD目標は、安全性、PD、及び/又は有効性の尺度を使用して、PA患者における(R)-化合物1の曝露-反応関係を評価することである。
【0111】
組入れ基準
以下の基準を全て満たす患者が参加に適格である:
1.≧18歳の成人男性又は女性患者である;
2.過去にPAと診断されているか、又は治験責任医師の判断によりPAの疑いがあると診断されている;
3.来院2回目(該当する場合)から開始して、来院3回目に戻るまで少なくとも次の期間、レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系(RAAS)修飾薬をウォッシュアウトすることができる:
4週間:利尿薬、鉱質コルチコイド受容体アンタゴニスト(MRA);及び
2週間:β遮断薬、クロニジン、メチルドパ、ミノキシジル、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、アンジオテンシン変換酵素阻害剤(ACEI)、アンジオテンシン受容体遮断薬(ARB)、及び/又はジヒドロピリジンカルシウムチャネル遮断薬(CCB);
患者は、来院2回目から開始して治療終了まで、全てのRAAS修飾薬の投与を中止し続ける。患者は、ウォッシュアウト状態に関係なく、残りのスクリーニング期間中にBPを>130/80mmHg及び<160/100mmHgに維持し、PAC及びPRAへの影響を最小限に抑えるために、非ジヒドロピリジンCCB(例えば、ジルチアゼム、ベラパミル)、ヒドララジン、若しくはα遮断薬の単剤又は組み合わせ療法として定義される、非RAAS修飾性降圧薬を投与される場合がある。β-遮断薬を服用している患者は、ウォッシュアウト中は治験責任医師によって適切に管理されるべきであり、これには段階的な漸減及びこれらの患者の中止症状(例えば、動悸、胸痛など)の観察が含まれるべきである。
4.スクリーニング期間中にBPを>130/80mmHg及び<160/100mmHg、並びに許容される非RAAS修飾性降圧薬を用いた二重盲検治療期間中に<160/100mmHgに維持する意思がある;
5.以下のように、試験の避妊及び生殖制限を遵守することに同意する意思がある:
・男性被験者は、試験薬の最終投与後1日目から90日間精子提供を控えることに同意しなければならない;
・閉経後女性は、1回目の投与前に少なくとも1年間月経出血がなく、>60歳であるか、又はスクリーニング来院時に卵胞刺激ホルモン(FSH)レベル>40mIU/mLに上昇していなければならない;
・妊娠の可能性のある女性患者(即ち、排卵中、閉経前、及び外科的に不妊ではない)は、スクリーニング及び無作為化来院時に妊娠検査で陰性であることが文書化されていなければならない;及び
・全ての男性患者(外科的に不妊ではない)は、以下の非常に効果的な避妊方法を使用しなければならない
・試験薬の最後の投与後1日目から90日間の避妊(即ち、失敗率が1%未満);
・試験に登録された男性患者に許容される避妊方法は以下を含む:
o殺精子剤入りコンドーム;又は
oスクリーニング来院前の少なくとも26週間の避妊手術(精管切除術)
・妊娠の可能性のある女性患者は、
・試験薬の最後の投与後1日目から30日間、非常に効果的な避妊法(即ち、失敗率が1%未満)を使用しなければならない。
・試験に登録されたFPCBPに許容される避妊方法は以下を含む:
o手術による不妊手術(卵管結紮術);
oスクリーニング来院前の少なくとも12週間の子宮内避妊器具;
oスクリーニング来院前の少なくとも12週間のホルモン避妊(経口、インプラント、注射、リング、又はパッチ);又は
・殺精子剤と組み合わせて使用される避妊ペッサリー;並びに
6.試験への参加についてインフォームドコンセントを与えることができ、意思がある。
【0112】
除外基準
以下の基準のいずれかを満たす患者は、試験への参加から除外される:
1.スクリーニング期間中にAOBPMにより、平均座位SBP>180mmHg若しくはDBP>110mmHgが単回発生するか、若しくは平均座位SBP≧160mmHg若しくはDBP≧100mmHgが2回連続で発生する(このようなBPが来院1回目で記録された場合、患者は追加のBP測定及び組入れ/除外基準の再評価のために中間来院に参加する);
平均座位BPは、任意の1回の臨床施設来院時に得られる3回の測定値の平均と定義される。患者が来院(来院1、2、3、又は4回目)前に定期的に予定されている降圧薬を服用しなかった場合、且つそれ以外は降圧レジメンを遵守していると治験責任医師が判断した場合、薬を服用してから2時間以上経過した後、若しくは翌日以降に定期的に予定された降圧レジメンを再確立した後に1回のBP再検査が許可される。
2.スクリーニング来院時にボディマス指数が>40kg/mである;
3.スクリーニング来院時に上腕周囲が<7インチ若しくは>17インチである;
4.以前に外科的介入を受けたことがある、若しくは試験期間中に、副腎腺腫若しくは副腎癌、副腎摘出術、腎除神経術、若しくは副腎切除術に対する計画された外科的介入がある;
無作為化の>6カ月前に処置を受けているが、依然としてPACが上昇し(>15ng/dl)、BP及びその他の適格基準を満たす患者は考慮される場合がある。
5.スクリーニング来院時若しくは来院4回目に慢性腎臓病疫学共同試験法の等式を使用した推定糸球体濾過量が<45mL/分/1.73mであることが文書化されている;
6.試験の過程で、透析若しくは腎臓移植の予定がある;
7.既知の文書化された慢性心不全を有する;
8.スクリーニング来院前6カ月以内に卒中、一過性脳虚血発作、高血圧性脳症、急性冠症候群、若しくは心不全のため入院がある;
9.以前の心エコー図で、診断された閉塞性肥大型心筋症及び/若しくは重度の大動脈弁膜症など、現在重度の左心室流出路閉塞があることがわかっている;
10.試験中に計画された冠動脈血行再建術(経皮的冠動脈形成術[PCI]又は冠動脈バイパス術[CABG])若しくは任意の主要な外科手術がある;
11.スクリーニング来院前6カ月以内にPCI、CABG、他の大規模な心臓手術(例えば、弁置換術)、若しくは末梢動脈バイパス手術を受けている;
12.慢性永続性心房細動を有する;
13.心室頻拍、心室細動、トルサード・ド・ポワント、及び上室不整脈を含む治験責任医師により判断された臨床的に有意な不整脈の病歴がある、若しくは現行で有している。軽度の異所性症状(例えば、心房期外収縮)のある患者は、治験責任医師の裁量により、必ずしも除外されるわけではない;
14.以前に固形臓器移植若しくは細胞移植を受けたことがある;
15.QTを延長することで知られる薬物である、シトクロムP4503Aの強力な誘導剤などの除外薬物、並びに/若しくは治療の終了まで試験薬の1回目の投与前28日以内若しくは5倍の半減期のいずれか長い方の期間内に、NSAID若しくはステロイドの慢性使用のいずれかを受ける予定がある若しくは受けている;スクリーニング時に上記の薬を使用しており、試験期間中に中止する意思のある患者は参加が許可される。
16.以下のもののいずれかに対する既知の過敏症を有する:
・化合物1若しくは同じクラスの薬物;
・カプトプリル若しくは同じクラスの薬物;若しくは
・(R)-化合物1、カプトプリル、若しくは同じクラスの薬物中の賦形剤;
17.(不安定な病態及び/又は副腎皮質ホルモンを含む全身免疫抑制剤で治療を必要とする病態を含む)臨床的に関連する任意の病状若しくは外科的状態があり、試験に参加することで患者を危険にさらす可能性があるとの治験責任医師の意見がある;
18.スクリーニング、来院4回目、若しくは無作為化来院時に以下のいずれかの根拠がある:
・白血球数>15×10/L若しくは好中球絶対数<1×10/L;
・血清カリウム<2.5mEq/L;
血清カリウムレベルが正常範囲未満の患者は、治験責任医師がサプリメントによる血清カリウムレベルの修正を選択し、病態の管理を提案した場合には、試験を継続することができる。
・血清カリウム>5.0mEq/L;
来院4回目及び無作為化のみに適用される。来院1回目に血清カリウムレベルが>5.0mEq/Lである患者は、治験責任医師が血清カリウムレベルを修正することを選択し、及び/若しくは患者がRAAS修飾薬をウォッシュアウトする間に病態を管理することを提案した場合には、試験を継続することができる。
・ヘモグロビンが<10.0g/dL、若しくは赤血球造血刺激因子製剤の開始が予定されている、若しくはスクリーニング後2カ月以内に輸血が計画されている;
・血清アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ若しくはアラニンアミノトランスフェラーゼが>3×基準値上限(ULN);若しくは
・ギルバート症候群による場合を除き、総ビリルビンが>2×ULN;
19.スクリーニング来院時にグリコシル化ヘモグロビンが>9.5%であるコントロール不良糖尿を有する;
20.HIV抗体、C型肝炎ウイルスRNA、若しくはB型肝炎表面抗原について陽性である;
21.週に>14杯のアルコール飲料の典型的な摂取がある;
アルコール1杯は、ビール半パイント(285mL)、スピリッツ1杯(25mL)、若しくはワイン1杯(125mL)に相当する;
22.スクリーニング来院前の30日以内に任意の治験薬を含む別の臨床試験に参加したことがある、若しくは試験薬中止後30日以内に別の臨床試験に参加する予定がある;
23.スクリーニング来院の30日以内若しくは5倍の半減期のどちらか長い方に低分子による実験的治療、若しくはスクリーニング来院の90日以内若しくは5倍の半減期のどちらか長い方に大きな分子による実験的治療を受けている;
24.スクリーニング来院前4週間の間のいずれかの時に夜勤を行ったことがある、並びに/若しくはスクリーニング及び/若しくは二重盲検治療期間中のいずれかの時に夜勤を開始する予定がある;
25.妊娠中、授乳中、若しくは試験中に妊娠する予定がある;又は
26.病歴及び精神病歴、身体検査及び臨床検査評価を検討した後、治験責任医師により、参加中に患者を危険にさらす可能性がある、若しくは試験結果の解釈を妨げる可能性のある任意のその他の理由により不適当であるとみなされる。
【0113】
試験デザイン及び期間
これは、4週間の治療後、プラセボと比較した、(R)-化合物1の選択された用量強度の有効性及び安全性を評価するためのPA患者における第2相、無作為化、プラセボコントロール、多施設、並行群、用量範囲試験である。PAの以前の診断又はPAの疑いのある成人患者は、試験参加のためのスクリーニングを受ける適格性がある。
【0114】
(R)-化合物1の安全性は、インフォームドコンセントの時点から経過観察期間の終了まで評価される。患者は、二重盲検治療期間中、有効性及びアドヒアランスについて追跡調査される。試験中に解析される血漿PD変数には、アルドステロン及びその関連する前駆体、コルチゾール及びその関連する前駆体の測定値、PRA、直接レニン濃度、並びに計算されたARRが含まれる。試験中に解析されるPK変数には、(R)-化合物1の血漿濃度及び任意の追加の代謝産物が含まれる。
【0115】
患者は、それぞれ治療アドヒアランスの評価及び家庭BPモニタリングのレビューのために、全ての臨床施設来院の際に、薬(降圧薬(該当する場合)及び試験薬)及び毎日の紙面の日記を持参するように支持される。患者は、各臨床施設来院前の少なくとも2時間、運動、喫煙、又はカフェイン入りの飲料若しくは食べ物の摂取を行ってはならない。全ての臨床施設来院は、午前6時から午前11時の間に、可能な場合、各来院について同じ時間に行われなければならない。
【0116】
試験の来院
患者は、9回のクリニック来院及び1回の電話来院を含む、およそ7~15週間の期間にわたる少なくとも10回の来院を完了させる。スクリーニング期間中にBPを管理するための治験責任医師の裁量により、追加の中間来院が発生する場合がある。
【0117】
試験は、以下の3つの期間及び対応する来院からなる:
・およそ2~9週間のスクリーニング期間は、以下を含む:
oスクリーニング来院(来院1回目);
oウォッシュアウト来院(来院2回目);
来院2回目の後に開始し、患者は、来院3回目に戻ってくる前に少なくとも以下の期間、該当するRAAS修飾薬のウォッシュアウトを開始する:
■4週間:利尿薬、鉱質コルチコイド受容体アンタゴニスト(MRA);及び
■2週間:β遮断薬、クロニジン、メチルドパ、ミノキシジル、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、アンジオテンシン変換酵素阻害剤(ACEI)、アンジオテンシン受容体遮断薬(ARB)、及び/又はジヒドロピリジンカルシウムチャネル遮断薬(CCB);
患者は、来院2回目から開始して治療終了まで、全てのRAAS修飾薬の投与を中止し続ける。患者は、ウォッシュアウト状態に関係なく、残りのスクリーニング期間中にBPを>130/80mmHg及び<160/100mmHgに維持し、PAC及びPRAへの影響を最小限に抑えるために、非ジヒドロピリジンCCB(例えば、ジルチアゼム、ベラパミル)、ヒドララジン、若しくはα遮断薬の単剤又は組み合わせ療法として定義される、非RAAS修飾性降圧薬を投与される場合がある。β-遮断薬を服用している患者は、ウォッシュアウト中は治験責任医師によって適切に管理されるべきであり、これには段階的な漸減及びこれらの患者の中止症状(例えば、動悸、胸痛など)の観察が含まれるべきである。
来院1回目にRAAS-修飾薬を服用していない患者は、来院2回目を完了する必要はなく、直接来院3回目に進むことができる。
o血液検査来院(来院3回目);及び
o確認検査来院(来院4回目);
RAAS修飾薬のウォッシュアウトの際、BPを管理するために追加の中間来院が発生する場合がある。
・4週間の二重盲検治療期間(来院5回目~9回目);
o二重盲検治療期間に入る患者は、安定した非RAAS降圧レジメン(該当する場合)を維持し、
o治療全体を通して血圧を<160/100mmHgに維持しなければならない;並びに
o最大1週間の経過観察期間(電話通話[来院10回目])。
【0118】
スクリーニング期間
来院1回目で書面によるインフォームドコンセントを提出した患者は、次の点について評価される
【0119】
組入れ/除外基準
来院1回目に、施設スタッフは、BPを測定し;PAC、PRA、及び直接レニン濃度測定用の血液試料を採取し、定期的な安全性評価を実施する。患者は、スクリーニング期間中、毎日の電子日記を使用して、降圧レジメン(該当する場合)に対するアドヒアランスを監視する。
【0120】
来院2回目に開始し、該当する場合、患者は現在使用しているRAAS-修飾薬をウォッシュアウトする必要があり、試験参加期間中はこれらを控える。患者がMRAを含む利尿薬を服用している場合、来院3回目の前4週間以上のウォッシュアウトが必要とされる。患者が、β遮断薬、クロニジン、メチルドパ、ミノキシジル、NSAID、ACEI、ARB、及び/又はジヒドロピリジンCCBを服用している場合、来院3回目の前2週間以上のウォッシュアウトが必要とされる。β-遮断薬を服用している患者は、ウォッシュアウト中は治験責任医師によって適切に管理されるべきであり、これには段階的な漸減及びこれらの患者の中止症状(例えば、動悸、胸痛など)の観察が含まれるべきである。
【0121】
患者は、ウォッシュアウト状態に関係なく、非ジヒドロピリジンCCB(例えば、ジルチアゼム、ベラパミル)、ヒドララジン、若しくはα遮断薬の単剤又は組み合わせ療法として定義される、非RAAS修飾性降圧薬を投与される場合がある。患者には、試験期間中に中央薬局を通じてジェネリック非RAAS修飾性降圧薬を受ける選択肢がある。スクリーニング期間の間、新しい降圧剤が導入されると、BP状態をチェックするために中間来院が予定される場合がある。患者は、試験中毎朝及び毎晩、家庭でのBPをモニタリングするために、来院2回目に家庭BPモニタリング装置が提供される。
【0122】
来院1回目にRAAS-修飾薬を服用していない患者は、来院2回目(ウォッシュアウト来院)を完了する必要はなく、直接来院3回目に進むことができる。
【0123】
患者は、該当するウォッシュアウト期間の完了後、来院3回目に来院する。来院3回目に、施設スタッフは、BPを測定し、定期的な安全性評価を実施し、PAC、PRA、及び直接レニン濃度測定用の血液試料を採取する。(1)PAC≧15ng/dL及びPRA<0.5ng/mL/h又は(2)ARR≧30のいずれかを有する患者は、来院4回目に進む適格性がある。
【0124】
来院4回目に、座位カプトプリルチャレンジは、PAの確認検査として投与される。
【0125】
患者は、少なくとも1時間着席した後(時間0)、単回経口用量のカプトプリル50mgを受ける。PAC、PRA、及びコルチゾール用の血液試料は、カプトプリル投与後、時間0及び時間1及び時間2に収集されるが、このサンプリング期間中は患者は座ったままである。時間0と比較して1時間目若しくは2時間目のPAC抑制が<30%である患者、並びに/又は座位カプトプリルチャレンジの時間0の後1時間目若しくは2時間目のPACが>11ng/dLである患者は、無作為化(来院5回目)に進む適格性がある。
【0126】
患者が、無作為化来院(来院5回目)の前にBP>130/80mmHg且つ<160/100mmHgで、安定した(≧2週間)非RAAS降圧レジメン中であることを確実にするために、スクリーニング期間の長さを延長する必要がある場合がある。来院3回目から来院5回目までの時間は、2週間の安定したBP期間内に含まれ得る。
【0127】
スクリーニングを受けているが、試験の組入れ/除外基準又は無作為化基準を満たしていない(即ち、スクリーニング不合格)患者は、治験依頼者及び/又はメディカルモニターの相談及び承認があれば、最後の試験来院後5日未満に再スクリーニングを行うことができる。来院4回目でのカプトプリルチャレンジの結果に基づいてスクリーニングが不合格となった患者は、再スクリーニングを受けられない場合がある。
【0128】
二重盲検治療期間
患者が試験薬を服用する前の来院5回目で得られた測定値は、「ベースライン」測定値を構成する。臨床施設での試験薬投与前に記録される有効性及び安全性変数の測定値は、「投与前」測定値を構成する。
【0129】
アダプティブデザイン
来院5回目に、適格患者は、1:1:1の比率で3つの治療群のうちの1つに無作為に割り当てられる(2つの実薬[2mg及び4mgの(R)-化合物1]と1つのプラセボ)。無作為化された患者は、ベースラインPACによって階層化される(<35ng/dL及び≧35ng/dL)。患者は、該当する非RAAS降圧レジメンを維持し、二重盲検治療期間中に血圧を<160/100mmHgに維持しなければならない。1群当たりおよそ10人の無作為化された患者が4週間の二重盲検治療期間を完了した後、中間解析を実施し、データレビュー委員会(DRC)は、新しい安全性及び有効性のデータを評価する。試験登録は中間解析中も継続される予定である。非盲検化安全性及び有効性評価に基づいて、DRCは、現在の治療群の一方又は両方を拡大し、一方の治療群(例えば、2mgQD又は4mgQDの(R)-化合物1)を継続することを決定する可能性があり、最大8mgQDの(R)化合物1の追加用量レベルが1つ追加される可能性がある。中間解析の後、患者は、中間解析で決定されたパワー及び試料サイズの計算に従って、様々な治療群(2、3、又は4治療群)間でほぼ均等な配分を可能にする無作為化スケジュールを使用して登録される。
【0130】
試験の継続的な安全性モニタリングに基づいて、追加のDRCレビューが実施される可能性があるが、正式な非盲検中間解析につながる場合もあれば、そうでない場合もある。DRCの責任、権限、及び手順の詳細は、DRC憲章に文書化される。臨床施設来院の間、降圧レジメン(該当する場合)及び試験薬の両方に対するアドヒアランスは、毎日の電子日記を使用して監視される。臨床施設来院の際、試験薬及び降圧レジメン(該当する場合)のアドヒアランスは、丸薬数を使用して計算される。
【0131】
PD解析用の投与前血液試料を、来院5回目~9回目に収集する。PK解析用の投与前血液試料を、来院6回目及び来院9回目に収集する。PD及びPK解析用の投与後血液サンプリングは、来院9回目に、試験薬投与後2時間(±5分)で実施される。PD及び電解質測定のための尿試料は、来院2回目(来院1回目にRAAS修飾薬を服用していない患者は、これらの患者は来院2回目を完了させる必要がないため、24時間の尿試料の収集を完了させる必要はない)、5回目、及び9回目/治療終了までの24時間にわたって採取される(24時間採尿)。有効性評価項目の評価を、治療の終了時(来院9回目)に行う。
【0132】
経過観察期間(電話通話)
試験完了後の有害事象(AE)及び併用薬を評価するために、患者は試験薬の最後の投与から1週間±3日後に臨床施設から電話を受け取る。
【0133】
投薬形態及び投与経路
この試験で試験される(R)-化合物1の用量は、2mgQD、4mgQDであり、任意選択的に最大8mgQDの追加用量レベルを1つ追加する。(R)-化合物1は、2mgの錠剤として提供される。プラセボ錠剤は、(R)-化合物1錠剤と区別できない。試験薬は、20℃~25℃(68°F~77°F)の制御された室温で保管される。米国薬局方(USP)の参照と一致して、保管中に15℃~30℃の範囲の一過的逸脱が許容される。輸送の際は、40℃までの一過的逸脱が1週間まで許容される。意図される患者への投与経路は、経口送達による。試験を盲検に維持するために、無作為化された患者は、(R)-化合物1及び/又はプラセボ錠剤で構成される合計4錠を1日1回(QD)経口服用するように指示される。
【0134】
試験薬((R)-化合物1又はプラセボ)は、来院5回目及び来院7回目に交付される。来院5回目に、患者は、臨床施設で1回目の単回用量の試験薬を自己投与する。試験薬のその後の用量は、患者が自宅で毎朝ほぼ同じ時間に1日1回経口服用することになる。臨床施設来院日に、患者は予定された来院の前に自宅で適用可能な降圧薬の朝の用量を服用し(他の併存疾患がある場合はそのための薬を含む)、試験薬を控える。臨床施設にて、患者は、投与前の評価及び臨床検査サンプリングが完了した後、施設スタッフの立ち会いのもと試験薬を自己投与する。
【0135】
有効性評価項目
有効性評価項目は、PA患者における4週間の治療後のAOBPMによる平均座位SBPのベースラインからの変化である。
【0136】
その他の有効性評価項目は、以下を含む:
・PA患者における4週間の治療後のプラセボと比較した、(R)-化合物1によるAOBPMによる平均座位DBPのベースラインからの変化;
・PAについての4週間の治療後のプラセボと比較した、(R)-化合物1による座位BP応答が<140/90mmHgに達した患者の割合;
・PAについての4週間の治療後のプラセボと比較した、(R)-化合物1による座位BP応答が<130/80mmHgに達した患者の割合;並びに
・以下のいずれかを達成するPAについての4週間の治療後のプラセボと比較した、(R)-化合物1による患者の割合:
oPAC<15ng/dL及びPRA≧0.5ng/mL/h;又は
oARR<30。
【0137】
その他の評価項目は、以下を含む:
・4週間の治療後のプラセボと比較した、(R)-化合物1による、PAC、11-デオキシコルチコステロン、PRA、直接レニン濃度、計算されたARR、及び24時間尿アルドステロン、B型ナトリウム利尿ペプチド、ナトリウム、並びにカリウムが挙げられるがこれらに限定されない、PDマーカーにおけるベースラインから治療の終了まで濃度の変化;並びに
・ベースラインから治療終了時のプラセボと比較した(R)-化合物1による、BP低下とアルドステロン及びレニンレベルの変化との関係。
【0138】
安全性評価項目
(R)-化合物1の安全性は、インフォームドコンセントの時点から経過観察期間の終了まで評価される。全ての安全性評価項目が説明的にまとめられる。安全性評価項目は以下を含む:
・PA患者における4週間の治療後のプラセボと比較した、(R)-化合物1によるカリウムレベル及び/又はカリウム補給の必要量のベースラインからの変化;
・バイタルサイン(心拍数、呼吸数、体温)、平均SBP、平均DBP、起立性バイタル(起立BP及び心拍数)、身体検査、心電図検査、体重測定、並びに標準安全性化学パネル、血液学、凝固、及び尿検査を含む臨床検査評価;
・試験治療下で発現した有害事象(TEAE);
・試験治療下で発現した重篤な有害事象(SAE);
・試験薬の早期中止に至るTEAE;
・試験治療下で発現した顕著な臨床検査異常;並びに
・ベースラインから治療終了までの起立SBP及びDBP(試験薬投与前に臨床施設で測定)の変化。
【0139】
特に関心のある有害事象には、臨床介入が必要となる以下のものが含まれる:低血圧事象、カリウム検査値の異常、及び/又はナトリウム検査値の異常。
【0140】
有効性解析
有効性解析は、(R)-化合物1及びプラセボの各用量強度間で、ベースライン(来院5回目)から治療終了(来院9回目)までの平均座位SBPの変化を比較する。
【0141】
有効性評価項目は、ファクターとして治療群を使用し、ベースライン平均座位SBP及びベースライン血漿アルドステロン濃度を共変量として使用した共分散モデルの分析を使用して分析される。(R)-化合物1及びプラセボの各用量強度間のペアワイズ比較を、その95%信頼区間とともに推定する。有効性解析は、任意の欠落している評価項目値を代入するために使用される最後の観測繰越法を使用して、ITT母集団に基づいて実行される。他の代入方法は、ランダムな欠落又はランダムでない欠落の仮定を使用して検討される。結果の堅牢性を試験するために、評価項目解析がPP母集団に対して繰り返される。反復測定混合モデル(MMRM)法は、有効性評価項目の感度解析に使用される。多重度は、この試験の探索的な性質のために調整されない。
【0142】
他の連続的な有効性評価項目は、同様のモデルを使用してまとめられ、解析される。カテゴリ別有効性評価項目は、定義されたレスポンダーの頻度と割合によってまとめられ、ロジスティック回帰モデルで解析される。
【0143】
ベースラインからの平均SBP、平均DBP、及びカリウムの変化は、有効性解析のためにMMRM法を介して解析される。解析には、ベースライン値の共変量とともに、治療、来院、及び来院ごとの治療(treatment-by-visit)の相互作用の固定効果が含まれる。解析は観察されたデータのみで構成される(即ち、欠落データの補完は実行されない)。有効性評価項目を試験する際の多重度の調整は行われない。
【0144】
安全性解析
安全性の解析対象集団は、安全性解析の母集団である。全ての安全性評価項目が説明的にまとめられる。
【0145】
安全性の評価は、主に、AEの頻度、臨床検査評価、バイタルサイン、及び12誘導心電図に基づく。その他の安全性データは、適宜まとめられる。
【0146】
AEは、ICH国際医薬用語集を使用してコード化される。TEAEは、二重盲検治療期間中に新たに発生するか又は重症度が悪化するAEとして定義され、器官別大分類及び基本語ごとにまとめられる。SAE患者及びAEのために試験を中止した患者のリストが提供される。
【0147】
ベースライン時、各来院時の治療群別、並びに検査パラメータ、バイタルサイン、及びその他の安全性測定値のベースラインから各来院までの変化の統計のまとめが提供される。臨床検査値のベースラインからの変化における有意な異常の発生は、治療群ごとにまとめられる。身体検査データがリスト化される。
【0148】
薬物動態解析
(R)-化合物1及び任意の測定された代謝産物の個々の血漿濃度データがリスト化され、来院、時点、及び治療群ごとにまとめられる。
【0149】
薬力学解析
全てのPD変数が説明的にまとめられる。
【0150】
薬物動態/薬力学解析
血漿濃度データを安全性、PD、及び/又は有効性の尺度と相関させる試みが行われる。
【0151】
治療群
試験開始時に、適格患者は、1:1:1で以下の3つの治療群のうちの1つに無作為に割り当てられる:
・2mgの(R)-化合物1;
・4mgの(R)-化合物1;又は
・対応するプラセボ。
【0152】
1群当たりおよそ10人の無作為化された患者が4週間の二重盲検治療期間を完了した後、DRCは新たな安全性及び有効性のデータを評価し、現在の治療群のいずれか若しくは両方を拡大し、治療群の1つ(例えば、2mg又は4mgの(R)-化合物1)で継続することを決定するか、又は以前の治療群の1つとともに若しくはそれ無しで8mg以下の(R)-化合物1の治療群を追加することを決定し得る。
【0153】
薬物供給
(R)-化合物1は、2mgの錠剤として提供される。(R)-化合物1錠剤は、活性成分及び不活性成分を含有する。
【0154】
薬物動態評価
投与前PK試料は、試験薬投与前15分以内に収集される。投与後試料は、試験薬投与後およそ2時間±5分で収集される。各PK試料の実際の収集日時を記録する。
【0155】
投与前濃度の測定のための試料は、二重盲検治療期間の来院6回目及び来院9回目で試験薬投与前に収集される。ピーク若しくはその付近の(R)-化合物1レベルの投与後血漿濃度ための試料は、来院9回目での試験薬投与後に収集される。追加のPK試料は、安全性及び忍容性データとの比較に必要な場合、SAE、中止に至るAE、又は治験責任医師、DRC、及び/若しくは治験依頼者の裁量による任意のその他の安全性事象が発生した場合にも収集される場合がある。
【0156】
試料は、検証された液体クロマトグラフィー質量分析法を使用して、(R)-化合物1及び任意の測定された代謝産物の血漿濃度を測定するために解析される。解析は、Medpace Bioanalytical Laboratories,LLC.により実施される。
【0157】
薬力学評価
スクリーニング期間
PDサンプリングは、来院1、2、3、及び4回目の間に実施される。来院3回目で(1)PAC≧15ng/dL及びPRA<0.5ng/mL/h又は(2)ARR≧30のいずれかを有する患者は、来院4回目に進む適格性がある。来院4回目に、座位カプトプリルチャレンジの一部として、PAC、PRA、及びコルチゾール用の血液試料が、カプトプリル投与後、時間0及び1時間目及び2時間目に収集されるが、このサンプリング期間中は患者は座ったままである。時間0と比較して1時間目若しくは2時間目のPAC抑制が<30%である患者、並びに/又は1時間目若しくは2時間目のPACが>11ng/dLである患者は、無作為化(来院5回目)に進む適格性がある。
【0158】
実施例5
コントロール不良高血圧及び慢性腎臓病(CKD)患者の治療のための(R)-化合物1を評価するための無作為化、二重盲検、プラセボコントロール、多施設、並行群、用量範囲試験。
【0159】
適応症
コントロール不良高血圧及び慢性腎臓病(CKD)患者の高血圧の治療
【0160】
目標
試験の1つの目標は、コントロール不良高血圧及びCKD患者の26週目のプラセボと比較した収縮期血圧(SBP)における(R)-化合物1の治療効果を評価することである。
試験のその他の目標は以下である:
・26週目のプラセボと比較したSBPにおける様々な用量強度での(R)-化合物1の治療効果を評価すること
・投与戦略によって26週間の治療後にSBP<130mmHgに達する患者の割合を決定すること;
・26週間の治療後のプラセボと比較した(R)-化合物1の各投与戦略による尿中アルブミン対クレアチニン比(UACR)のベースラインからの変化を評価すること;
・26週目のプラセボと比較した(R)-化合物1の各投与戦略によるAOBPMにより測定された拡張期血圧(DBP)のベースラインからの変化を評価すること;
・26週間の治療後の推定糸球体濾過量(eGFR)のベースラインからの変化を評価すること;
・高血圧及びCKD患者における薬力学(PD)変数における26週間の治療後のプラセボと比較した(R)-化合物1の各用量強度によるベースラインからの変化を評価すること
・26週間の治療後のプラセボと比較した(R)-化合物1の各用量強度による、UACRの変化とアルドステロン及びレニンレベルの変化との関係を評価すること;
・26週間の治療後のプラセボと比較した(R)-化合物1の各用量強度による、UACRの変化と血圧(BP)の変化との関係を評価すること;
・26週間の治療後のプラセボと比較した(R)-化合物1の各用量強度によるeGFRの変化とBPの変化との関係を評価すること;
【0161】
安全性目標
試験の安全性目標は以下を含む:
・バイタルサイン、起立BP及び心拍数、身体検査、心電図検査、体重測定、並びに標準安全性化学パネル、血液学、凝固、及び尿検査を含む臨床検査評価を評価すること;
・試験治療下で発現した有害事象(TEAE)を評価すること;
・試験治療下で発現した目的の有害事象(AEOI)を評価すること;
・試験薬の早期中止に至るTEAEを評価すること;
・試験治療下で発現した顕著な臨床検査異常を評価すること;並びに
・ベースラインから治療終了(来院11回目)までの起立SBP及びDBP(臨床施設での投与前に測定)の変化を評価すること。
【0162】
PK-PDの目標
試験の薬物動態(PK)-PD目標は、安全性、PD、及び/又は有効性の尺度を使用して、コントロール不良高血圧及びCKD患者における(R)-化合物1の曝露-反応関係を評価することである。
【0163】
組入れ基準
以下基準を全て満たす患者が試験の参加に適格である:
・≧18歳の成人男性又は女性患者である;
・スクリーニング(来院1回目)及び来院2回目時に平均座位SBPが≧140mmHgである;
平均座位SBPが≧130mmHgである患者は、糖尿病であれば適格性がある可能性がある。
平均座位SBPは、任意単回臨床施設来院時の3回の座位SBP測定値の平均と定義される。
・来院1回目に糖尿病性腎症及び/又は高血圧性腎硬化症により、eGFR(CKD-EPI式に基づく)が25~75mL/分/1.73m(両端の値を含む)と定義される軽度から重度のCKDの診断を受けている;
他の全てのタイプのCKD及び既知の重複する腎疾患は除外される。中等度及び重度の腎障害患者が確実に受診できるようにするため、eGFR>60を有する患者数は45名(総母集団のおよそ15%)に制限される。
・スクリーニング期間の連続する日の朝に収集された最初の尿に基づいて、3回の測定のうち少なくとも2回でUACR≧200mg/g(≧22.6mg/mmol)である;
・現在、アンジオテンシン変換酵素阻害剤(ACEi)又はアンジオテンシン受容体遮断薬(ARB)を治験責任医師の判断に基づいて、来院1回目の前>4週間で、1日の最大許容用量で服用している;
スクリーニング時(来院1回目)にACEi又はARBを現在服用していない患者は、試験期間全体にわたってこのクラスの投薬を開始しないことが期待される。
・スクリーニング時(来院1回目)にナトリウム-グルコース共役輸送担体2(SGLT2)阻害剤を服用している場合、レジメンは来院1回目の前少なくとも8週間にわたって安定していなければならず、試験期間中安定用量を維持することが期待される;
スクリーニング時(来院1回目)にSGLT2阻害剤を現在服用していない患者は、試験期間全体にわたってこのクラスの投薬を開始しないことが期待される。
・以下のように、試験の避妊及び生殖制限を遵守することに同意する意思がある:
妊娠の可能性のある女性患者(即ち、排卵中、閉経前、及び外科的に不妊ではない)は、来院1回目及び無作為化来院時(来院3回目)に妊娠検査で陰性であることが文書化されていなければならない;並びに
妊娠の可能性のある女性患者は、試験薬の最後の投与後1日目から30日間、非常に効果的な避妊方法(即ち、失敗率が1%未満)を使用しなければならない。
試験に登録された妊娠の可能性のある女性患者に許容される避妊方法は以下を含む:
手術による不妊手術(卵管結紮術);
来院1回目の前の少なくとも12週間の子宮内避妊器具;
来院1回目の前の少なくとも12週間のホルモン避妊(経口、インプラント、注射、リング、又はパッチ);又は
殺精子剤と組み合わせて使用される避妊ペッサリー。
・閉経後女性は、1回目の投与前に少なくとも1年間月経出血がなく、>60歳であるか、又は来院1回目に卵胞刺激ホルモンレベル>40mIU/mLに上昇していなければならない;
・試験への参加についてインフォームドコンセントを与えることができ、意思がある。
・2~4週間のランイン期間の後、全ての患者は、BP及びUACRの測定値が依然として適格基準を満たしていることを確認する必要がある。
【0164】
除外基準
以下の基準のいずれかを満たす患者は、試験への参加から除外される:
・1型糖尿病の文書化された診断を持っている;
・既存の降圧レジメンの一環として鉱質コルチコイド受容体アンタゴニスト(MRA)若しくはカリウム保持性利尿薬を中止する意思がない、若しくは中止できない;
降圧剤としてMRA若しくはカリウム保持性利尿薬(例えば、トリアムテレン、アミロライドなど)を服用している患者は、試験適格性のfこの薬物を中止する意思がなければならない。カリウム保持性利尿薬は中止され、非カリウム保持性利尿薬に置き換えられる場合がある。非カリウム保持性利尿薬を含む降圧剤の安定したレジメンを少なくとも6週間継続している全ての患者は、単盲検-ランインに入るのに適格である。
・スクリーニング期間中に平均座位SBP>180mmHg若しくはDBP>110mmHgが単回発生する(スクリーニング期間中にこのようなBPが記録された場合、患者は追加のBP測定及び組入れ/除外基準の再評価のために中間来院に参加する場合がある);
平均座位BPは、任意の1回臨床施設来院時に得られる3回の測定値の平均と定義される。患者が来院(来院1又は2回目)前に定期的に予定されている降圧薬を服用しなかった場合、薬を服用してから2時間以上経過した後、翌日以降に定期的に予定された降圧レジメンを再確立した後に1回のBP再検査が許可される。
・来院1回目でボディマス指数(BMI)が>45kg/mである;
・臨床的に関連する両側の腎動脈狭窄が≧70%であることが文書化されている;
・スクリーニング期間前12週間以内に急性腎損傷/急性腎不全のため透析を受けている、若しくは試験の過程で、透析若しくは腎臓移植の予定がある;
・ニューヨーク心臓協会(New York Heart Association)ステージIII若しくはIVの慢性心不全が知られており、文書化されている;並びに/来院1回目の6カ月以内に心不全のための入院がある;
・来院1回目の6カ月以内に卒中、一過性脳虚血発作、高血圧性脳症、急性冠症候群、若しくは心不全のため入院がある;
・以前の心エコー図若しくは別の画像検査で、診断された閉塞性肥大型心筋症及び/若しくは重度の大動脈弁膜症など、現在重度の左心室流出路閉塞があることがわかっている;
・試験中に計画された冠動脈血行再建術(経皮的冠動脈形成術[PCI]又は冠動脈バイパス術[CABG])若しくは任意の主要な外科手術がある;
・来院1回目の6カ月以内にPCI、CABG、他の大規模な心臓手術(例えば、弁置換術)、若しくは末梢動脈バイパス手術を受けている;
・以前に固形臓器移植若しくは細胞移植を受けたことがある;
・シトクロムP4503Aの強力な誘導剤などの除外薬物、非ステロイド性抗炎症薬、スピロノラクトン/エプレレノンの慢性使用、並びに/若しくはステロイドの慢性使用のいずれかを受ける予定がある若しくは受けている;
・以下のもののいずれかに対する既知の過敏症を有する:
(R)-化合物1若しくは同じクラスの薬物;若しくは
(R)-化合物1若しくは同じクラスの薬物中の賦形剤。
・来院1回目の6カ月以内にCKDの治療のための免疫療法を受けたことがある、若しくは試験参加中にCKDの治療のための免疫療法を受ける予定である;
・不安定な病態及び/若しくは副腎皮質ホルモンを含む全身免疫抑制剤で定期的な輸血若しくは治療を必要とする病態を含む臨床的に関連する任意の病状若しくは外科的状態があり、試験に参加することで患者を危険にさらす可能性があるとの治験責任医師の意見がある;
・来院1回目若しくは無作為化来院(1回の再検査が許可される)時に以下のいずれかの根拠がある:
・白血球数>15×10/L若しくは好中球絶対数<1×10/L;
血清カリウム<3.5mEq/L;
血清カリウムレベルが正常範囲未満の患者は、治験責任医師がサプリメントによる血清カリウムレベルの修正を選択し、病態の管理を提案した場合には、試験を継続することができる。
血清カリウム>5.0mEq/L;
血清ナトリウム<130mEq/L;
ヘモグロビン<8.5g/dL;
血清アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ若しくはアラニンアミノトランスフェラーゼが>3×基準値上限(ULN);若しくは
ギルバート症候群による場合を除き、総ビリルビンが>2×ULN。
・来院1回目にグリコシル化ヘモグロビンが>10.5%であるコントロール不良糖尿を有する;
・HIV抗体、B型肝炎表面抗原、若しくはC型肝炎ウイルスRNAについて陽性である;
・週に≧14杯のアルコール飲料の典型的な摂取がある;
アルコール1杯は、ビール半パイント(285mL)、スピリッツ1杯(25mL)、若しくはワイン1杯(125mL)に相当する;
・来院1回目の前30日以内に任意の治験薬を含む別の臨床試験に参加したことがある、若しくは試験薬中止後30日以内に別の臨床試験に参加する予定がある;
・来院1回目の30日以内若しくは5倍の半減期のどちらか長い方に低分子による疾患インターベンションのための実験的治療、若しくは来院1回目の90日以内若しくは5倍の半減期のどちらか長い方に大きな分子による実験的治療を受けている;
2019年コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するものを含むワクチン接種は、スクリーニング期間中に接種された場合には除外されない。
・妊娠中、授乳中、若しくは試験中に妊娠する予定がある;又は
・病歴及び精神病歴、身体検査及び臨床検査評価を検討した後、治験責任医師が、参加中に患者を危険にさらす可能性がある、若しくは試験結果の解釈を妨げる可能性のある任意のその他の理由により不適当であるとみなされる。
【0165】
試験デザイン
これは、コントロール不良高血圧及びCKD患者の高血圧の治療のための(R)-化合物1の有効性及び安全性を評価するための第2相、無作為化、二重盲検、プラセボコントロール、多施設、並行群、用量範囲試験である。
【0166】
(R)-化合物1の安全性は、無作為化の時点から経過観察期間の終了まで評価される。患者は、二重盲検治療期間中、有効性及びアドヒアランスについて追跡調査される。試験中に解析される血漿、血清、及び尿PD変数には、腎機能並びにアルドステロン及びその関連する前駆体の測定値が含まれる。試験中に解析されるPK変数には、(R)-化合物1の血漿濃度及び任意の追加の代謝産物が含まれる。
【0167】
患者は、治療アドヒアランスを評価するために無作為化後の全ての臨床施設来院に試験薬を持参するよう指示される。
【0168】
試験の来院
患者は、およそ8カ月の期間にわたって、少なくとも10回の来院を完了させる。
【0169】
試験は、以下の3つの期間及び対応する来院からなる:
・2週間のランイン期間(来院2回目で始めて来院3回目まで)を含む最大4週間(来院1回目及び2回目)のスクリーニング期間;
・26週間の二重盲検治療期間(来院3~9回目);及び
・2週間の経過観察期間(来院10回目)。
【0170】
2週間のランイン期間を含むスクリーニング期間
来院1回目で書面によるインフォームドコンセントを提出した患者は、組入れ/除外基準について評価される。
【0171】
来院1回目に、施設スタッフは、BP及びバイタルを測定し、eGFR及びPDマーカー評価用の血液試料を採取し、定期的な安全性評価及びディップスティック尿検査の事前スクリーニングを実施して、アルブミン尿が陰性の患者を除外する。患者には、来院2回目の前(-21日目から-7日目)の連続した2日及び来院2回目の朝に、自宅で朝最初の排尿によって尿を採取するための材料が提供される。来院2回目の少なくとも4日前に、施設スタッフは、患者にその後3日連続で朝に試料を採取するよう指示するリマインダーの電話をかける。3番目の試料は、収集日と来院2回目の日にちが同じになるように収集される。
【0172】
来院2回目に、患者は、臨床施設に収集した尿試料を持参し、施設スタッフは、UACR測定のために試料を中央研究所に送る。施設スタッフは、組入れ/除外基準を評価し、BPを測定し、バイタルを取得し、併用薬を評価する。患者には、-1日目の朝から24時間尿を収集するための材料及び取扱説明が提供される。-3日目(±1日)に、施設スタッフは、24時間の完了日と来院3回目(無作為化来院)が同じ日になるように、24時間の尿を採取するよう患者にリマインダーの電話をかける。
【0173】
試験への参加には同意したが、試験の組入れ/除外基準を満たさない(即ち、スクリーニング不合格)患者は、治験依頼者及び/又はメディカルモニターの相談及び承認があれば、最後の試験来院後5日未満に再スクリーニングを行うことができる。
【0174】
来院2回目に、患者には、単盲検(R)-化合物1プラセボランイン薬の2週間分の供給とライフスタイル管理に関する指示、水分補給に関するリマインダー、並びにバックグラウンド降圧薬及び必要に応じてSGLT2阻害薬を継続する見込みが提供される。
【0175】
UACRのスクリーニング適格検査結果が返されると、患者には適格であることを通知する電話連絡があり、適格である場合は、1日1回の試験薬の服用を開始し、次回の来院(来院3回目)を計画する。
【0176】
二重盲検治療期間
来院3回目(無作為化来院)に、SBP及びUACRのための組入れ基準を確認する。適格性を維持する患者は、1:1:1で3つの治療群(化合物1の0.5mg錠剤、(R)-化合物1の1mg錠剤、及び(R)-化合物1のプラセボ錠剤)のうちの1つに無作為に割り当てられる。無作為化は、SGLT2阻害剤の使用、ベースラインSBP(≦155mmHg又は>155mmHg)、及びCKDカテゴリ(eGFR≦45mL/分/1.73m又は>45mL/分/1.73m)によって階層化される。
【0177】
(R)-化合物1の用量レベルは、無作為化の日の後の最初の8週間以内に漸増され得る。2週目(来院4回目)に、血圧を測定し、血清電解質測定のために血液試料が採取される。患者がSBP<130mmHg目標を達成せず、2週目に採取した試料に基づいて高カリウム血症又は低ナトリウム血症を経験していない場合、用量は4週目(来院5回目)で漸増され得る。
【0178】
8週目(来院6回目)に、血圧を測定し、血清電解質測定のために血液試料が採取される。患者がSBP<130mmHg目標を達成せず、4週目に採取した試料に基づいて高カリウム血症又は低ナトリウム血症を経験していない場合、用量は8週目で漸増され得る。8週目以降はそれ以上の用量漸増は許可されない。漸減は、この試験では許可されない。
【0179】
UACR測定の場合、ベースラインは、来院2回目で返された3つの試料の幾何平均として定義される。BP測定の場合、来院3回目の無作為化の前に取得された3つの測定値の平均として定義される。二重盲検試験薬投与の1回目の投与前に記録される有効性及び安全性変数の測定値は、投与前測定値を構成する。
【0180】
臨床施設来院の際、試験薬投与のアドヒアランスは、丸薬数を使用して計算される。PD用の投与前血液試料を、来院3回目~9回目に収集する。PK解析用の投与前血液試料を、来院7回目及び9回目に収集する。PD及びPK血液試料は、投与前およそ15分以内に収集される。
【0181】
PD及び電解質測定のための尿試料は、来院3回目(ベースライン)、来院7回目(16週目)、9回目(26週目)、及び10回目(28週目、最終投与後2週間)までの24時間にわたって採取される(24時間採尿)。
【0182】
UACRのための尿試料は、来院5回目、6回目、8回目、9回目、及び10回目に至るまでの連続2日、並びに来院5回目、6回目、8回目、9回目、及び10回目の朝最初の排尿により採取される。重要な有効性評価項目の評価を、治療終了の来院時(来院9回目)に行う。
【0183】
投与量及び投与
(R)-化合物1錠剤、実薬、又はプラセボは、ブリスターパックで提供される。プラセボ錠剤は、(R)-化合物1錠剤と区別できない。1日当たり2錠の錠剤を経口的に自己投与する。
【0184】
患者は試験薬投与の朝、通常の食事を許可される。無作為化来院時(来院3回目)に、患者は、割り当てられた用量強度の(R)-化合物1錠剤又は対応するプラセボ錠剤のいずれかを受ける。患者は、臨床施設で、2錠の錠剤で1回目の用量の試験薬を自己投与する。試験薬のその後の用量は、患者が自宅で毎朝ほぼ同じ時間に1日1回(QD)経口服用することになる。臨床施設来院日に、患者は自宅でACEi、ARB、及びSGLT2阻害剤(該当する場合)の予定された朝の用量を服用し、次回の来院日の朝まで試験薬の用量を保持する。患者は、全ての来院時に試験薬とバックグラウンドACEi又はARB薬を臨床施設に持参しなければならない。臨床施設にて、患者は、投与前の評価及び臨床検査サンプリングが完了した後、施設スタッフの立ち会いのもと試験薬を自己投与する。
【0185】
評価項目
1つの有効性評価項目は、プラセボと比較した(R)-化合物1のベースラインから26週目の平均座位SBPの変化である。SBPは、座位自動診察室血圧モニタリング(AOBPM)により測定される。
【0186】
試験のその他の評価項目は以下である:
・26週目のプラセボと比較した、様々な用量群における(R)-化合物1のSBPのベースラインからの変化(>2mg、2mg、1mg、0.5mg、及び4mgの階層順);
・投与戦略によって26週間の治療後にSBP<130mmHgに達する患者の割合;
・26週間の治療後のプラセボと比較した(R)-化合物1の各投与戦略による尿中アルブミン対クレアチニン比(UACR)のベースラインからの変化の割合;
・26週目のプラセボと比較した(R)-化合物1の各投与戦略によるAOBPMにより測定された拡張期血圧(DBP)のベースラインからの変化;
・26週間の治療後の推定糸球体濾過量(eGFR)のベースラインからの変化;
・以下を含むがこれらに限定されない、薬力学(PD)変数における、26週間の治療後のプラセボと比較した(R)-化合物1の各用量強度のベースラインからの変化:
血清及び/又は血漿パラメータ:電解質、血漿アルドステロン濃度(PAC)、11-デオキシコルチコステロン、B型ナトリウム利尿ペプチド(BNP)、血漿レニン活性(PRA)、直接レニン濃度、アンジオテンシノゲン、及びアンジオテンシンII;又は
24時間尿パラメータ:電解質、アルドステロン、レニン、腎障害分子-1(KIM-1)、シスタチンC、成長分化因子-15(GDF-15)、好中球ゼラチナーゼ結合性リポカリン(NGAL)、形質転換増殖因子β(TGF-β)、及び単球走化性蛋白-1(MCP1)。
・26週間の治療後のプラセボと比較した(R)-化合物1の各用量強度による、UACRの変化の割合とアルドステロン及びレニンレベルの変化の割合との関係;
・26週間の治療後のプラセボと比較した(R)-化合物1の各用量強度による、UACRの変化と血圧(BP)の変化との関係;
・26週間の治療後のプラセボと比較した(R)-化合物1の各用量強度によるeGFRの変化とBPの変化との関係;
【0187】
試験の薬物動態(PK)-PD目標は、安全性、PD、及び/又は有効性の尺度を使用して、コントロール不良高血圧及びCKD患者における(R)-化合物1の曝露-反応関係を評価することである。
【0188】
安全性評価項目は、以下である
・バイタルサイン、起立BP及び心拍数、身体検査、心電図検査、体重測定、並びに標準安全性化学パネル、血液学、凝固、及び尿検査を含む臨床検査評価の変化;
・試験治療下で発現した有害事象(TEAE);
・試験治療下で発現した目的の有害事象(AEOI)
・試験薬の早期中止に至るTEAE;
・試験治療下で発現した顕著な臨床検査異常;及び
・起立SBP及びDBP(臨床施設での投与前測定)の変化。
【0189】
(R)-化合物1の安全性は、無作為化の時点から経過観察期間の終了まで評価される。安全性評価項目は以下を含む:
・プラセボと比較した(R)-化合物1の各用量強度間のベースラインから26週目までのカリウムレベルの変化;
・バイタルサイン(心拍数、呼吸数、及び体温)、平均SBP、平均DBP、起立性バイタル(起立BP及び心拍数)、身体検査、心電図(ECG)、体重測定、並びに標準安全性化学パネル、血液学、凝固、及び尿検査を含む臨床検査評価;
・試験治療下で発現した有害事象(TEAE)の発生率;
・試験治療下で発現したSAEの発生率;
・試験薬の早期中止に至るTEAEの発生率;
・試験治療下で発現した顕著な臨床検査異常の発生率;並びに
・ベースラインから26週目までの起立SBP及びDBP(試験薬投与前に臨床施設で測定)の変化;
【0190】
特に注目すべきAEは、以下を含む:臨床介入が必要な低血圧事象、臨床介入が必要なカリウム検査値の異常、及び臨床介入が必要なナトリウム検査値の異常。
【0191】
有効性解析
有効性解析は、(R)-化合物1及びプラセボのベースラインから26週目の平均座位SBPの変化を比較する。反復測定混合モデル(MMRM)は、この解析を実施するために使用される。解析には、ベースライン値の共変量とともに、治療、来院、及び来院ごとの治療(treatment-by-visit)の相互作用の固定効果が含まれる。26週目の治療差の推定値が生成され、プラセボと各投与戦略を両側有意水準0.05で比較したときにこの推定値が有意に異なるかどうかの評価も行われる。各治療群及びプラセボ群に対する(R)-化合物1の各投与戦略のペアワイズ比較について、最小二乗平均、標準誤差、及び両側95%信頼区間(CI)が提供される。
【0192】
欠落データは、複数の代入手法を使用して代入される。結果はRubinの方法を使用して合わせられる。モデルと代入の完全な詳細はSAPで提供される。
【0193】
有効性解析は、(R)-化合物1及びプラセボの各用量間で、ベースライン(来院3回目)から治療終了(来院9回目)までのSBP、DBP、及びUACRの変化を比較する。UACRの変化率は、ベースラインの対数変換されたUACRを共変量として、対数変換されたUACR値を使用した共分散分析によって計算される。反復測定混合モデルは、この解析を実施するために使用される。解析には、ベースライン値の共変量とともに、治療、来院、及び来院ごとの治療(treatment-by-visit)の相互作用の固定効果が含まれる。制限された最大尤度推定アプローチは、非構造化共分散行列とともに使用される。各治療群及びプラセボ群に対する(R)-化合物1の各投与戦略のペアワイズ比較について、最小二乗平均、標準誤差、及び両側95%CIが提供される。多重比較の調整は、試験に使用されたパワー及び試料サイズの計算に従って、ダネット検定を使用して行われる。欠落データは、複数の代入手法を使用して代入される。結果はRubinの方法を使用して合わせられる。モデルと代入の完全な詳細はSAPで提供される。
【0194】
同様のモデルを使用してeGFR変数及びPD変数を解析する。ロジスティック回帰分析は、治療群のモデル共変量、ベースラインBP、ベースラインDBP、及びベースラインeGFRでバイナリ評価項目を解析するために使用される。有効性評価項目を試験する際の多重度の調整は行われない。
【0195】
安全性解析
安全性の解析対象集団は、安全性解析の母集団である。全ての安全性評価項目が説明的にまとめられる。
【0196】
安全性の評価は、主に、AEの頻度、臨床検査評価、バイタルサイン、及び12誘導ECGに基づく。その他の安全性データは、適宜まとめられる。
【0197】
AEは、ICH国際医薬用語集を使用してコード化される。TEAEは、二重盲検治療期間中に新たに発生するか又は重症度が悪化するAEとして定義され、器官別大分類及び基本語ごとにまとめられる。SAE、特に注目すべきAE患者及びAEのために試験を中止した患者のリストが提供される。
【0198】
ベースライン時、各来院時の治療戦略群別、並びに検査パラメータ、バイタルサイン、及びその他の安全性測定値のベースラインから各来院までの変化の統計のまとめが提供される。臨床検査値のベースラインからの変化における有意な異常の発生は、治療群ごとにまとめられる。身体検査データがリスト化される。
【0199】
腎障害患者における臨床試験
この試験に登録される試験被験者に特に関連するのは、様々な程度の腎障害を有する個人における(R)-化合物1の薬物動態の調査である。腎障害を有する個体において単回10mg用量を投与した後の(R)-化合物1及びその一次代謝産物のPKプロファイルは、健康な被験者で測定されたものと定性的及び量的に類似していた。中等度から重度の腎機能障害群における(R)-化合物1の血漿PKパラメータのペアワイズ比較により、対照群と比較した場合に、Cmax、AUC(0-inf)、及びAUC(0-last)についての幾何平均比がそれぞれ、1.02、1.21、及び1.17である群全体で注目すべき効果がないことが確認された。(R)-化合物1へのより高い曝露は対照群と比較して腎不全群では観察されず、Cmax、AUC(0-inf)、及びAUC(0-last)、それぞれの幾何平均比は0.88、0.68、及び0.68であった。これらの試験の結論は、単回10mg用量の(R)-化合物1が、中等度から重度の腎障害又は腎不全(血液透析を受けている)を有する個体を含む、様々な程度の腎機能を有する個体に投与された場合に、良好な忍容性を示すことを実証した。腎機能障害を有する個体では、全身曝露の顕著な増加又はクリアランスの減少はなかった。したがって、腎機能に基づく(R)-化合物1の用量調整は必要ではなかった。
【0200】
腎障害試験の結果は、単回10mg用量の(R)-化合物1が、正常な腎機能から血液透析を受けている末期疾患に至るまで、様々な程度の腎機能を有する被験者に良好に耐えられることを示した。末期疾患を患う1人の被験者は、関連のない代謝性脳症のSAE並びに振戦という中等度の関連のない有害事象(AE)を経験した。1人の対照被験者は下痢という軽度のAEを経験し、治験責任医師はこれが試験薬に関連しているとみなされた。臨床検査値(カリウムを含む)、ECG、又はバイタルサインに臨床的に有意な変化はなかった。この試験のPKデータは、対照被験者(正常な腎機能又は軽度の腎障害;eGFR>60mL/分)と比較して、中等度又は重度の腎障害(推定糸球体濾過量[eGFR]15~59mL/分)を有する個体において、全身曝露の顕著な増加又は腎クリアランスの減少がないことを実証した。同様に、末期腎疾患(eGFR<15mL/分、又は血液透析を受けている)の被験者において、(R)-化合物1への血漿曝露の顕著な増加は観察されなかった;しかし、これらの被験者は、この母集団の腎クリアランスの違いを評価するのに十分な尿を生成しなかった。腎障害のある患者に対して(R)-化合物1の用量を調整する必要はない。
【0201】
腎障害試験の結果は、(R)-化合物1が、中等度から重度の腎障害又は腎不全(血液透析を受けている)を有する個体を含む、様々な程度の腎機能を有する個体に投与した場合、良好な忍容性を示すことを実証した。全体として、死亡はなく、1人(3.0%)の被験者がSAEを経験し、TEAEにより中止された被験者はいなかった。全体として、2人(6.1%)の被験者が、以下の合計3つのTEAEを経験した:対照群の1人(10.0%)の被験者は、試験薬に関連すると考えられる(R)-化合物1の投与後に軽度の下痢のTEAEを経験した;中等度から重度の腎障害群ではTEAEを経験した被験者はいなかった;並びに腎不全群の被験者の1人(8.3%)は、(R)-化合物1の投与後に中等度の振戦及び重度の代謝性脳症(SAEとして記録)という2つのTEAEを経験したが、これらは試験薬とは関連していないと考えられた。SAEは併用薬によって二次的に発生すると考えられていた。そのようなものであるから、腎機能の低下に伴うAEの発生率又は重症度の明らかな増加はなかった。AE、傾向、又は検査パラメータにおける臨床的に意味のある変化はなかった。AE又はバイタルサイン、身体検査、若しくは12誘導ECGで観察される臨床的に意味のある変化はなかった。
【0202】
腎障害試験の結果は、各腎機能群における(R)-化合物1の血漿濃度-時間曲線が、互いに定性的に類似していることを実証した。
【0203】
ペアワイズ比較に基づくと、(R)-化合物1のPKに対する腎障害の実質的な影響はなく、推定GFRとPKパラメータの間に強い又は非線形の関係は観察されなかった。(R)-化合物1の一次代謝産物についての所見は親についての所見と同様であり、群間で臨床的に意味のある差異は観察されなかった。腎臓から排泄された用量の割合は、対照群及び中等度から重度の腎障害群ではおよそ12%であった。腎不全群では尿生成が不十分なため、この群では腎臓からの排泄がごくわずかになった。この試験結果に基づいて、腎障害のある個体における(R)-化合物1の用量調整は必要ないと考えられる。
【0204】
薬物供給
製剤化及び包装
(R)-化合物1は、ブリスターパックで0.5mg、1mg、及び2mgの錠剤として提供される。(R)-化合物1錠剤は、活性成分及び不活性成分を含有する。
【0205】
実施例6
健康な被験者に複数回経口投与した後の(R)-化合物1の安全性、薬物動態、及び薬力学を評価するための無作為化二重盲検試験
【0206】
試験目標
この試験の目標は以下を含む:
・通常及び減塩条件下で1日1回10日間経口投与した後の(R)-化合物1の安全性及び忍容性を評価すること;
・通常及び減塩条件下で1日1回10日間経口投与した後の(R)-化合物1の薬物動態(PK)を特性評価すること;並びに
・通常及び減塩条件下で1日1回10日間経口投与した後の(R)-化合物1の薬力学(PD)効果を特性評価すること;
【0207】
方法論
これは、健康な成人被験者に投与される場合、(R)-化合物1の複数回経口投与の安全性、忍容性、PK、及びPDを評価するための無作為化,二重盲検試験であった。試験は5つのコホートからなり、各コホート当たり最大12人の被験者が含まれていた:被験者は以下のように、(R)-化合物1又はプラセボに3:1の比率で1日1回10日間、無作為に割り当てた:
・コホート1:2.5mgの(R)-化合物1又は対応するプラセボ((R)-化合物1を受ける9人の被験者及びプラセボを受ける3人被験者における減塩食);
・コホート2:5.0mgの(R)-化合物1又は対応するプラセボ((R)-化合物1を受ける9人の被験者及びプラセボを受ける3人被験者における減塩食);
・コホート3:1.5mgの(R)-化合物1又は対応するプラセボ((R)-化合物1を受ける9人の被験者及びプラセボを受ける3人被験者における通常塩食);
・コホート4:2.5mgの(R)-化合物1又は対応するプラセボ((R)-化合物1を受ける6人の被験者及びプラセボを受ける2人被験者における通常塩食);及び
・コホート5:0.5mgの(R)-化合物1又は対応するプラセボ((R)-化合物1を受ける9人の被験者及びプラセボを受ける3人被験者における通常塩食)。
【0208】
コホート1及び2は同時に投与され、コホート2の1回目の投与とコホート1の1回目の投与の間には最小5日のラグがあった。コホート3~5は同時に投与された。
【0209】
各被験者について、試験は以下からなった:
・最長28日のスクリーニング期間;
・被験者が、管理され、標準化された食事を遵守し、ベースラインPD評価を受ける5日間の入院患者ランイン期間;
・被験者が、管理され、標準化された食事を遵守しながら、(R)-化合物1又はプラセボを1日1回10日間受け、その後更に5日間にわたってPK及びPDサンプリングが行われる15日間の入院患者治療期;並びに
・診療ユニットから退院してから3日(1日)後に経過観察来院。
・コルチゾール刺激試験(コホート1及び2のみ)及び起立アルドステロン評価(全てのコホート)を、1日目及び10日目に実施した。PK及びPD用の系列血液試料を、1日目の投与前及び投与後24時間の特定の時点、並びに10日目の投与前及び投与後120時間の特定の時点で採取した。加えて、PK用の血液試料は、8日目及び9日目の投与前に収集した。PK及びPD測定用の尿は、1日目の投与直前から24時間にわたって、並びに10日目の投与直前から120時間にわたって採取された。
【0210】
被験者は、(R)-化合物1又はプラセボの最終投与の5日後の退院手順の完了後にクリニックから退院し、退院の3日(1日)後に経過観察来院のためにクリニックに戻り、PK試料を収集し、有害事象(AE)及び併用薬を把握した。
【0211】
安全性は、試験全体を通じて、AE、身体検査、体重測定、心電図(ECG)、起立性バイタルサイン評価、及び臨床検査評価に基づいて評価された。QT時間に対する(R)-化合物1の任意の潜在的な影響を徹底的に評価するために、投与のおよそ1時間前に開始し、1日目及び10日目の投与後およそ24時間継続する連続ECG記録も実施した。
【0212】
臨床的に有意な異常な検査所見、未解決の試験治療下で発現した有害事象(TEAE)、経過観察検査機関及びレビューを必要とする重篤な有害事象(SAE)、並びに臨床的に有意なAEを有する被験者には、予定外の処置若しくは来院、及び/又は追加の経過観察が必要となる場合がある。
【0213】
組入れ基準
スクリーニング及びチェックインの結果に基づいて以下の基準の全てを満たした被験者が試験の参加に適格である:
1.18歳~55歳(両端の値を含む)の健康な被験者で、病歴及び精神病歴、身体検査、ECG、起立性バイタルサイン、及び定期的な臨床検査(血液化学、血液学、凝固、尿検査)に基づいて健康状態にある人;
2.ボディマス指数(BMI)が18~30kg/m(両端の値を含む);
3.スクリーニング来院前の少なくとも6カ月間、ニコチン含有製品を使用していなかった非喫煙者;
4.妊娠の可能性のある女性パートナーがいる男性被験者は、試験薬の最終投与後1日目から90日間、医学的に認められた非常に効果的な2つの避妊方法を使用することに同意していなければならない;
5.男性被験者は、試験薬の最終用量投与後1日目から90日間精子提供を控えることに同意していなければならない;
6.男性パートナーがいる女性被験者は、外科的に不妊(子宮摘出術及び/又は両側卵巣摘出術)であるか、閉経後少なくとも1年経過(卵胞刺激ホルモンが閉経後の範囲にある)しているか、又は試験薬の最終投与後-14日目から60日まで、医学的に認められた非常に効果的な2つの避妊方法を使用することに同意していなければならない。
7.試験手順及び制限を理解し、進んで遵守することができた(臨床施設への閉じ込めや身体活動、娯楽用の薬物又はアルコールの使用、投薬の制限が含まれる)、並びに制度及び規制のガイドラインに従って書面によるインフォームドコンセントを提供することができた。
【0214】
除外基準
スクリーニング及びチェックインの結果に基づいて、以下のいずれかの基準を満たした被験者(又はコルチゾール刺激検査の-4日目の結果[コホート1及び2]又はコルチゾールレベル[コホート3~5])は試験への参加から除外される:
1.実験的治療試験に積極的に参加していた;1日目の30日以内若しくは5倍の半減期のどちらか長い方に低分子による実験的治療、若しくは1日目の90日以内若しくは5倍の半減期のどちらか長い方に大きな分子による実験的治療を受けていた;
2.QT延長症候群、トルサード・ド・ポワント(Torsades de Pointes)、若しくはその他の複雑な心室性不整脈、若しくは突然死の個人若しくは家族歴があった;
3.心室頻拍、心室細動、若しくは心房細動を含む治験責任医師により判断された臨床的に有意な不整脈の病歴があった、若しくは現行で有していた。軽度の異所性症状(例えば、心房期外収縮)のある被験者は、必ずしも除外されるわけではなかった;
4.3回のECGの平均に基づいてQTcFの延長(>450ミリ秒)があった;
5.3回以上のBP測定の平均に基づいて、座位BPが150/90mmHgより高い、若しくは90/50mmHg未満であった;
6.≧3回のBP測定値の平均に基づいて、安静時の心拍数が100拍/分(bpm)を超えるか若しくは50bpm未満、洞結節機能不全、若しくは臨床的に有意な心臓
ブロックがあった;
7.体温が37.6°C(99.68°F、口で測定)超、及び呼吸数が<12回/分及び>20回/分であった;
8.体位性頻脈(即ち、起立時に>30bpm)若しくは起立性低血圧(即ち、起立時の収縮期血圧[SBP]が≧20mmHg若しくは拡張期血圧が≧10mmHgの低下)があった;
9.血清カリウム>基準範囲の基準値前記上限(ULN)及び血清ナトリウム<基準範囲の基準値前記下限を有した;
10.アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ及びアラニンアミノトランスフェラーゼ値>1.2ULNを有した;
11.HIV抗体、C型肝炎ウイルス抗体、若しくはB型肝炎表面抗原について陽性であった;
12.治験責任医師の意見において、(臨床検査の正常範囲に基づく)正常範囲を大幅に超えている任意の他の臨床検査値を有した;
13.コホート1及び2では、-4日目の朝に実施された試験の結果に基づいて、異常なコルチゾール刺激試験(<13.5μg/100mL)を有した。コホート3~5では、-4日目の朝に実施された試験の結果に基づいて、異常なコルチゾールレベル(<5μg/dL)を有した。
14.ポルフィリン症、ミオパチー、若しくは活動性肝疾患の既知の病歴があった;
15.任意の臨床的に有意な免疫疾患、血液疾患、腎疾患、内分泌疾患、肺疾患、胃腸疾患、心血管疾患、筋骨格系疾患、肝疾患、精神疾患、神経疾患、若しくはアレルギー疾患(臨床的に有意な又は複数の薬物アレルギーを含む)の根拠若しくは病歴;手術状態;癌(皮膚の基底細胞癌若しくは扁平上皮癌、及びスクリーニング来院前に治癒若しくは5年以上寛解している癌を除く);若しくは治験責任医師の意見で、治験手順や結果を混乱させたり、被験者の安全性に影響を与えるか、若しくは試験薬の吸収、分布、代謝、若しくは排泄を妨げたりする可能性があると考えられる任意の病態(虫垂切除術は許可されるが、胆嚢摘出術は禁止される)があった;
16.試験薬の1回目の投与前14日以内の、若しくは5倍の半減期のいずれか長い方の期間内に、(局所薬を含む)任意の処方薬若しくは大衆薬(添付文書によると、アセトアミノフェン又はイブプロフェン若しくはナプロキセンなどの非ステロイド性抗炎症薬[NSAID]の時折の使用を除く);ハーブ系サプリメント;栄養補助食品;若しくは機能性食品を使用した、若しくは経過観察来院までこれらの薬を控える意思がなかった;大衆局所薬の使用は、研究依頼者と相談して許可される場合があった。加えて、5倍の半減期が14日を超える薬については、被験者の登録前に治験依頼者と話し合って承認されなければならなかった。
17.投与前3カ月以内に副腎皮質ホルモン(全身性又は広範な局所)使用があった;
18.精神障害の診断及び統計マニュアル、第4版:DSM-IVに定義されているように、試験薬の1回目の投与前2年以内に薬物検査若しくはアルコール検査の結果が陽性であるか、若しくはアルコール依存症若しくは薬物乱用の病歴があった;
19.週に≧14杯のアルコール飲料の典型的な摂取があった。アルコール1杯は、ビール半パイント(285mL)、スピリッツ1杯(25mL)、若しくはワイン1杯(125mL)に相当した;
20.過去2年以内に違法薬物使用の経歴若しくはその根拠があった;
21.試験薬の1回目の投与前の30日以内に≧400mLの血液若しくは献血製剤を提供したか若しくは失った。
22.チェックインの4週間以内に外科的処置を受けたか、若しくは試験期間中に待機手術が予定されていた。
23.治験責任医師が臨床的に有意でないと判断しない限り、チェックイン前の4週間に任意の病気を患っていた;
24.試験薬((R)-化合物1又はプラセボ)のいずれかの成分に対してアレルギーを患っていた。重度のアレルギー反応の病歴(薬物、食物、虫刺され、環境アレルゲンを含む)。
25.既知のACTH刺激試験製品に対する不耐症を有していた;
26.不適切な静脈へのアクセスを有した;
27.現在減量薬による治療を受けているか、若しくは以前に減量手術(胃バイパス手術など)を受けていた;
28.妊娠中、授乳中、若しくは試験中に妊娠する予定があった;又は
29.病歴及び精神病歴、身体検査及び臨床検査評価を検討した後、治験責任医師が、参加中に被験者を危険にさらす可能性がある、若しくは試験結果の解釈を妨げる可能性のある任意のその他の理由により不適当であるとみなされた。
【0215】
治療の期間:
各被験者について、試験への参加は最長56日間続いた。(R)-化合物1又はプラセボによる治療は、10日間続けた(1日1回投与)。
【0216】
治験薬及び対照薬の情報:
試験被験者に、(R)-化合物1(経口飲用液)又は対応するプラセボが投与された。投与される(R)-化合物1の用量は、減塩食とともに2.5及び5.0mg、並びに通常塩食とともに1.5、2.5、及び0.5mgであった。
【0217】
薬物動態:
データが許容するように、(R)-化合物1の1回目の投与後の(R)-化合物1及びその一次代謝産物について、以下の血漿PKパラメータが決定された:
・データから直接観察された、1日目に観察された最大血漿濃度(Cmax、D1)。
・データから直接観察された、時間対Cmax、D1(Tmax、D1);並びに
・投与後0時間から24時間までの血漿濃度-時間曲線下面積(AUC)(AUC0-24h)。
【0218】
データが許容するように、10日目の(R)-化合物1の最終投与後の(R)-化合物1及びその一次代謝産物について、以下の血漿PKパラメータが決定された:
・データから直接観察された、10日目に観察された最大血漿濃度(Cmax、D10);
・データから直接観察された、時間対Cmax、D10(Tmax、D10);
・投与間隔にわたるAUC(即ち、tau)(AUC0-tau);
・時間0から最後の定量可能な血漿濃度(Clast)の時点までのAUC(AUC0-t);
・時間0から無限大までのAUC(AUC0-inf);
・外挿されたAUC、100(AUC0-inf-AUC0-t)/AUC0-infとして計算される、外挿されたAUCのパーセント;
・見かけの終末相の一次消失速度定数(λz);
・ln(2)/λzとして計算される、終末相消失半減期(t1/2);
・用量/AUC0-tau((R)-化合物1のみ)として計算される、見かけの血漿クリアランス(CLss/F);並びに
・用量/[λz AUC0-tau]として計算される、見かけの分布体積(Vss/F)((R)-化合物1の場合のみ)。
【0219】
定常状態の蓄積率は次のように報告された:
・Cmax、D10/Cmax、D1として計算される、1回目の投与後及び最終投与後に観察された最大血漿濃度(Cmax)に基づく蓄積比(RCmax);並びに
・AUC0-tau/AUC0-24hとして計算される、1回目の投与後及び最終投与後のAUCに基づく蓄積比(RAUC)。
【0220】
1回目の投与後の(R)-化合物1及びその一次代謝産物について、以下の尿PKパラメータが決定された:
・1日目に尿中に排泄された薬物の累積量(Ae、D1);
・100Ae、D1/用量として計算される、1日目に腎臓から排泄された用量の割合(Fe、D1)(化合物1の場合のみ);並びに
・Ae、D1/AUC0-24hとして計算される、1日目の腎クリアランス(CLR、D1)。
【0221】
最終投与後の(R)-化合物1及びその一次代謝産物について、以下の尿PKパラメータが決定される:
・10日目に尿中に排泄された薬物の累積量(Ae、D10);
・100Ae、D10/用量として計算される、10日目に腎臓から排泄された用量の割合(Fe、D10)(化合物1の場合のみ);並びに
・Ae、D10/AUC0-infとして計算される、10日目の腎クリアランス(CLR、D10)。
・薬力学:
・血漿PDの測定には以下の濃度が含まれる:
・アルドステロン及びその前駆体18-ヒドロキシコルチコステロン、コルチコステロン、及び11-デオキシコルチコステロン。
・コルチゾール(遊離及び総)及びその前駆体11-デオキシコルチゾール;
・血漿レニン活性(PRA);並びに
・副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)。
・血漿電解質の測定には以下の濃度が含まれる:
oナトリウム;
o塩化物;及び
oカリウム。
【0222】
解析のために、AUC値は、可能であれば、必要に応じてノンコンパートメント法を使用して、アルドステロン及びコルチゾール(遊離及び総)、並びに全ての前駆体パラメータについて次の期間にわたって計算される:
・投与後0時間から4時間までのPD効果-時間曲線下面積(AUC0-4h);
・投与後4時間から投与後12時間までのPD効果-時間曲線下面積(AUC4-12h);
・投与後0時間から12時間までのPD効果-時間曲線下面積(AUC0-12h);及び
・投与後0時間から24時間までのPD効果-時間曲線下面積(AUC0-24h)。
【0223】
AUCの計算には線形台形/線形補間法が使用された。AUCの計算には公称時点を使用した。
【0224】
尿PDの測定には以下の濃度が含まれる:
・アルドステロン;
・コルチゾール(遊離及び総);及び
・テトラヒドロアルドステロン。
【0225】
解析のために、尿PD濃度は、解析対象物の総量に変換された:総量(単位)=濃度(単位/体積)
・尿量
【0226】
(尿量は、1mg=1mLを使用して収集された尿質量から換算されている可能性がある)尿電解質の測定には以下の濃度が含まれる:
・ナトリウム;
・塩化物;
・カリウム;
・クレアチニン;及び
・リン。
【0227】
解析のために、尿中ナトリウム対カリウム比も計算した。
【0228】
安全性:
安全性は、試験全体を通じて、AE、身体検査、体重測定、ECG、バイタルサイン(起立性含む)評価、及び臨床検査評価に基づいて評価される。QT時間に対する(R)-化合物1の任意の潜在的な影響を徹底的に評価するために、投与のおよそ1時間前に開始し、1日目及び10日目の投与後およそ24時間継続する連続ECG記録も実施した。心力学的解析が行われる場合、PK試料と組み合わせて、12誘導ECGが事前定義された時点で抽出される。
【0229】
結果の概要
MAD試験の結果は、(R)-化合物1の10日間最大5mgQDの複数回漸増用量が、減塩(2.5及び5mgの(R)-化合物1)及び通常塩条件(0.5、1.5、及び2.5mgの(R)-化合物1)下で、健康な被験者にも良好な忍容性であったことを示している。具体的には、死亡、SAE、又は治療中止に至る試験治療下で発現した有害事象(TEAE)はなく、心電図(フリデリシアの式[QTcF]で補正されたQT時間の有意な変化を含まないECG)又はバイタルサインにも臨床的に有意な変化はなかった。(R)-化合物1の複数回投与後の最も一般的なTEAEは、頭痛、体位性めまい、及びめまいであった。安全性臨床試験の結果には、経時的に臨床的に有意な変化は観察されなかった。MAD試験からのPKデータは、(R)-化合物1への曝露(Cmax及びAUCに基づいて評価)は、単回投与後に観察された曝露と比較して、定常状態では一般に2~2.5倍高いことを示している。研究された用量範囲内の曝露は、ほぼ用量に比例して増加した。この試験からのPDデータは、(R)-化合物1が、健康な被験者におけるコルチゾール又はその前駆体である11-デオキシコルチゾールのレベルに影響を与えることなく、5mg以下の用量でアルドステロンを低下させる能力を確認した。アルドステロンレベルの低下により予想通り、血漿カリウム濃度は用量依存的に緩やかに増加し、血漿ナトリウム濃度は減少した。
【0230】
薬物動態:
MAD試験からの薬物動態の結果は、(R)-化合物1への曝露(Cmax及びAUCに基づいて評価)が、単回投与後に観察されたものと比較して、定常状態では一般に2~2.5倍高いことを示している。研究された用量範囲内の曝露は、ほぼ用量に比例して増加する。
【0231】
経口投与後、(R)-化合物1は急速に吸収され、典型的には投与後4時間以内にピーク濃度が観察された(観察された最大血漿濃度までの時間の中央値[Tmax]は、治療群全体で0.98~4時間の範囲であった)。曝露は明らかに二相性でピークからゆっくりと減少し、長平均t1/2は約26~31時間の範囲であった。
【0232】
定常状態では、曝露は、典型的には、単回投与後よりもおよそ2~2.5倍であった(治療群全体で、平均RCmax値はおよそ1.7~2.4の範囲であり、平均RAUC値は2~2.5の範囲であった)。現在の試験は用量比例性を正式に評価するように設計されておらず、又はそのように設計する権限がないが、データは探索的な用量比例性評価の対象となり、(R)-化合物1は試験された用量範囲にわたって用量比例すると考えられる。
【0233】
平均して、およそ7%(治療群全体で6.3%~10.8%)の(R)-化合物1用量は、尿中に変化せずに回収された。
【0234】
(R)-化合物1の一次代謝産物は、(R)-化合物1の1回目の投与後、時間の経過とともにゆっくりと形成され(Tmax中央値は治療群全体で約4~24時間の範囲であった)、定常状態(10日目)のTmax中央値は、4時間以内に観察された(Tmax中央値は、治療群全体で3.5~4.0時間の範囲であった)。図1を参照されたい。代謝産物レベルは用量の増加とともに増加した。代謝産物の血漿濃度は一般にピークからゆっくりと減少し、長平均t1/2は約31~38時間の範囲であった。定常状態では、曝露量(RCmax及びRAUC値に基づいての評価)は、単回投与後よりおよそ2.4~3.5倍高かった。代謝産物は、平均して、Cmax、D10に基づいて親の8.0%~11%、AUC0-infに基づいて親の10%~22%に相当する。Cmax及びAUC0-tau対(R)-化合物1の用量(10日目-薬物動態母集団)のプロットをそれぞれ図2及び3に示す。
【0235】
薬力学:
アルドステロン合成の顕著な阻害は、(R)-化合物1の初回投与後に観察され、通常塩食及び減塩食の両方の条件下で10日間の投与期間を通して持続した;しかしながら、0.5mgの(R)-化合物1の効果は、プラセボの効果と同様であった。
【0236】
被験者の試験薬の早期中止後の測定値は除外した。AUC0-12h=投与後0時間~12時間の薬力学効果-時間曲線下面積;LS=最小二乗。
【0237】
≧1.5mgの用量でのアルドステロンに対する(R)-化合物1の効果は、Cortrosynチャレンジの有無の両方で観察され、通常、ベースラインと比較して平均AUC0-12hの約70%~85%の減少が観察された。中間アルドステロン前駆体である18-ヒドロキシコルチコステロン及びコルチコステロンのレベルは、アルドステロン合成経路に対するシトクロムP450 11B2阻害の進行性の影響を示す段階的な変化を示した。
【0238】
具体的には、18-ヒドロキシコルチコステロン(アルドステロンの中間体)のレベルは、一般にベースラインと同等か又はベースラインから減少したが、観察されたアルドステロンの減少よりも程度は低かった。アルドステロンの更に上流にあるコルチコステロンのレベルは、明らかに用量依存的に増加した。最後に、最初のアルドステロン前駆体である11-デオキシコルチコステロンのレベルは、ベースラインと比較して投与前の値のわずかな(約2~3倍)増加を示し、変化は、被験者がコルチゾール刺激試験も受けた減塩食条件下で最も顕著であった。
【0239】
Cortrosynチャレンジ(減塩食治療群で生じた)の存在下を含め、コルチゾール(総又は遊離)又は11-デオキシコルチゾールに対する(R)-化合物1の明らかな効果はなかった。コルチゾールの平均時間経過及びAUCデータからの観察と一致して、(R)-化合物1は、Cortrosynチャレンジに対する反応に明らかな影響を及ぼさず、(R)-化合物1で治療された被験者の1日目及び10日目の反応は、ベースラインの反応及びプラセボを受けた被験者の反応と同様であった。
【0240】
減塩食条件(コホート1及び2)により、ACTHの増加がもたらされた。この増加は、プラセボを受けている対象と比較して、(R)-化合物1を受けている対象でいくらか顕著であった。しかしながら、通常塩食条件下の(R)-化合物1に続いて、(R)-化合物1は、明らかにACTHの用量依存的低下がもたされた。
【0241】
座位バイタルサイン又は用量関連の傾向に臨床的に有意な変化はなかった。明らかな用量依存性はなかったが、プールされたプラセボ群全体と比較して、(R)-化合物1治療群全体の座位BPはわずかに減少した。薬剤による起立性BPの軽度の低下及び起立性心拍数の中等度の増加に向かうわずかな傾向が観察された。座位バイタルサインのバイタルサインで観察されたように、起立性測定におけるこれらの傾向は、一貫して用量依存性ではなかった。しかしながら、心拍数に対する最も顕著な効果は、5mgの(R)化合物1用量レベルで観察された。仰臥位から立位に移動したときの血圧の変化は、全ての治療群(化合物1及びプラセボ)のベースラインと比較して、10日目では小さかった。
【0242】
しかしながら、一般に、特に収縮期血圧(SBP)の低下は、プラセボを受けた被験者と比較して、(R)-化合物1を受けた被験者の方が大きかった。同様に、仰臥位から立位に移動してから1分後に観察された心拍数の増加は、プラセボを受けた被験者と比較して、(R)-化合物1を受けた被験者においてより顕著であった。明確且つ一貫した用量関連の傾向はなかったが、1分間の立位心拍数の最も顕著な変化は、典型的には、5mgの(R)化合物1の用量レベルで認められた。
【0243】
アルドステロンレベルの低下で予想されるとおり、用量依存性の血漿ナトリウムレベルの軽度の減少及び血漿カリウムレベルの増加が観察された。尿中ナトリウム及びカリウム値は、血漿中で観察された変化に対応した。具体的には、(R)-化合物1の1回目の投与の後1日目に、ナトリウム:カリウム比は増加し、尿中ナトリウムの損失がカリウムの保持よりも大きくなった。しかしながら、この効果は10日目までに減少し、これは、ナトリウム排泄とカリウム吸収のバランスが回復したことを示唆している。10日間の治療期間を通じてカリウムは変化しないように見えるため、ナトリウム:カリウム比の変化は、10日目の尿中のナトリウム排出と比較して、1日目の尿中のナトリウムのより大きな排出によって媒介されるようである。
【0244】
血中尿素窒素、クレアチニン、及び血中尿素窒素:クレアチニン比で軽度の増加があった。糸球体濾過量の軽度の減少(<15%)も観察された。糸球体濾過量の減少に伴う血中尿素窒素:クレアチニン比の増加の存在は、(R)-化合物1が軽度の利尿効果を生み出していることを示唆している。
【0245】
平均体重とBMIは、減塩食条件及び通常塩食条件の両方で、プラセボを含む全ての群で治療期間中にベースラインからわずかに減少した。しかしながら、(R)-化合物1を受けている被験者における平均体重及びBMIの減少は、プラセボを受けている被験者(プールされたプラセボ群でそれぞれ-1.31kg及び-0.442kg/m)と比較して、より顕著であった((R)-化合物1群全体でそれぞれ-0.02kg及び-0.016kg/m)。
【0246】
(R)-化合物1治療群で観察された減少には明らかな用量依存性はなかった。値は、概ね、経過観察来院時にベースラインに戻った。
【0247】
安全性:
(R)-化合物1による治療は、安全で忍容性も良好であった。死亡、SAE、又はTEAEによる中止はなく、用量の増加に伴うAEの発生率又は重症度の明らかな増加はなかった。TEAEの最も一般的な器官別大分類は、神経系障害であった。心室頻拍である1件の中等度のTEAEを除き、全てのTEAEの重症度は軽度であった。(R)-化合物1を受けている被験者の中で、4人(9.5%)の被験者は頭痛を経験し、3人(7.1%)の被験者は体位性めまい(postural dizziness)(体位性めまい(dizziness postural)の基本語)を経験し、2人(4.8%)の被験者はめまいを経験した。一般に、試験中の臨床検査パラメータにはベースラインから臨床的に意味のある変化はなかったが、異常なナトリウム値及びカリウム値が単独で存在しており、これは治験実施計画書で指定された食事のナトリウム必要量及び(R)-化合物1の効果の組み合わせによるものと考えられる。QTcFの意味のある変化がないことを含め、試験中に身体検査結果に臨床的に意味のある変化はない、又は12誘導ECG所見に臨床的に有意な変化はなかった。
【0248】
結論:
10日間の(R)-化合物1の1日1回の投与は安全であり、且つ健康な被験者には十分に許容された。(R)-化合物1は急速に吸収され、1日1回の投与に役立つ長いt1/2を示し、試験された用量範囲にわたって曝露量が予測可能に増加する。定常状態の(R)-化合物1の蓄積は、典型的には、単回投与後と比べておよそ2~2.5倍高い。
【0249】
(R)-化合物1による治療は、コルチゾール又は11-デオキシコルチゾールレベルに影響を与えることなく、通常塩食及び減塩食の両方の条件下で、アルドステロン合成の顕著な、持続的、選択的、及び一般に用量依存的な阻害をもたらした。(R)-化合物1の投与に伴うアルドステロン合成酵素の阻害により、アルドステロン前駆体に予想通りの変化が生じ、コルチコステロン及び11-デオキシコルチコステロンでは増加が観察されたが、18-ヒドロキシコルチコステロンは同等のままか又は減少した。
【0250】
プラセボと比較して(R)-化合物1によるBPの臨床的に有意な変化はなかった。
【0251】
正常血圧の状態であるにもかかわらず、特に立位では、プラセボを受けた被験者と比較して、(R)-化合物1を受けた被験者のSBPの低下はわずかであった。起立時の心拍数の上昇はまた、プラセボと比較して(R)-化合物1の投与後の方が大きくなった。
【0252】
用量依存性の血漿ナトリウムレベルの軽度の減少及び血漿カリウムレベルの増加が観察され、それに対応して尿中ナトリウム及びカリウムレベルの変化が観察された。血中尿素窒素:クレアチニン比の軽度の増加及び糸球体濾過量の軽度の減少は、(R)-化合物1の投与後にも観察された。
【0253】
無作為化された被験者のうち、(R)-化合物1治療群全体の41人(97.6%)の被験者及びプールされたプラセボ治療群全体の13人(92.9%)の被験者が試験を完了させた。(R)-化合物1治療群全体の中で、試験の早期中止被験者(被験者001-082)が1人(2.4%)いた。この被験者は、通常塩食とともに2.5mgの(R)-化合物1を受け、定常状態が崩壊した後は、臨床検査結果が再度保留されるまで、医師の判断により投与を中止した。プールされたプラセボ治療群全体の中で、試験の早期中止被験者(被験者001-101)が1人(7.1%)いた。この被験者は通常塩食とともにプラセボを摂取しており、中止の理由は被験者による中止であった(被験者が参加継続を望まなかった)。
【0254】
(R)-化合物1の単回投与及び定常状態の血漿薬物動態
経口投与後、(R)-化合物1が急速に吸収され、典型的には投与後4時間以内にピーク濃度が観察された。濃度はピークから明らかに二相的に減少した。10日目の投与間隔にわたる(R)-化合物1の血漿濃度-時間プロファイルは、1日目に観察されたものと定性的に類似していた。
【0255】
図4は、PK母集団についての線形目盛での、(R)-化合物1の1回目の投与(1日目)後の24時間にわたる全ての(R)-化合物1治療群についての平均(SD)血漿(R)-化合物1濃度対時間の治療ごとのプロットを示す。
【0256】
(R)-化合物1の単回投与(1日目)及び定常状態(10日目)血漿薬物動態パラメータを表1にまとめる。平均(%CV)薬物動態パラメータを表2及び3にまとめる。
【0257】
【表2】
【0258】
【表3】
【0259】
【表4】
【0260】
通常塩及び減塩食治療群についての治療別の経時的な平均アルドステロン血漿濃度のプロットを図5及び6に示し、表4及び5にまとめる。
【0261】
【表5】
【0262】
【表6】
【0263】
通常塩及び減塩食治療群についての治療ごとの経時的な血漿11-デオキシコルチコステロン濃度を、表6~9に示す。
【0264】
【表7】
【0265】
【表8】
【0266】
【表9】
【0267】
【表10】
【0268】
表10は、PD母集団についての治療群ごとの経時的平均投与前血漿ACTH濃度、並びに1日目から10日目までの投与前濃度の変化及び変化率を示す。減塩食条件により、ACTHの増加がもたらされた。この増加は、プラセボを受けている対象と比較して、(R)-化合物1を受けている対象でいくらか顕著であった。しかしながら、通常塩条件下の(R)-化合物1に続いて、(R)-化合物1は、明らかにACTHの用量依存的低下がもたされた。
【0269】
【表11】
【0270】
薬物動態及び薬力学的結論
(R)-化合物1は急速に吸収され、1日1回の投与に役立つ長いt1/2を示し、試験された用量範囲にわたって曝露量が予測可能にt1/2増加する。定常状態の(R)-化合物1の蓄積は、典型的には、およそ2~2.5倍高い。
【0271】
(R)-化合物1による治療は、コルチゾール又は11-デオキシコルチゾールレベルに影響を与えることなく、通常塩食及び減塩食の両方の条件下で、アルドステロン合成の顕著な、持続的、選択的、及び一般に用量依存的な阻害をもたらした。(R)-化合物1の投与に伴うアルドステロン合成酵素の阻害により、アルドステロン前駆体に予想通りの変化が生じ、コルチコステロン及び11-デオキシコルチコステロンでは増加が観察されたが、18-ヒドロキシコルチコステロンは同等のままであるか又は減少した。
【0272】
プラセボと比較して(R)-化合物1によるBPの臨床的に有意な変化はなかった。
【0273】
アルドステロン合成酵素阻害剤で予想されることと一致して、用量依存性の血漿ナトリウムレベルの軽度の減少及び血漿カリウムレベルの増加が観察され、それに対応して尿中ナトリウム及びカリウムレベルの変化が観察された。血中尿素窒素:クレアチニン比の軽度の増加及び糸球体濾過量の軽度の減少は、(R)-化合物1の投与後にも観察された。
【0274】
有害事象の概要
死亡、SAE、又はTEAEによる中止はなかった。合計で、(R)-化合物1を受けている11人(26.2%)の被験者及びプラセボを受けている3人(21.4%)の被験者が、TEAEを経験した。ほぼ全てのTEAEの重症度が軽度であり、減塩食条件下でプラセボを受ける1人の被験者は中等度のTEAEを経験した(心室頻拍)。重度のTEAEを経験した被験者はいなかった。
【0275】
全体として、(R)-化合物1を受けている6人(14.3%)の被験者及びプラセボを受けている3人(21.4%)の被験者がTEAE(治験責任医師によって試験薬に関連しているとみなされる)を経験した。ほぼ全ての試験薬関連TEAEの重症度が軽度であり、減塩食条件下でプラセボを受ける1人の被験者は中等度の試験薬関連TEAEを経験した(心室頻拍)。試験薬に関連した重度のTEAEを経験した被験者はいなかった。
【0276】
表11は、安全性の解析対象集団に対する発症時の治療別のAEの概要を提供する。
【0277】
【表12】
【0278】
TEAEの最も一般的なSOCは、神経系障害であった。(R)-化合物1を受けている被験者の中で、4人(9.5%)の被験者は頭痛を経験し(2.5mgの(R)-化合物1減塩食治療群、5.0mgの(R)-化合物1減塩食治療群、及び0.5mgの(R)-化合物1通常塩食治療群で各々1人[11.1%]の被験者、及び2.5mgの(R)-化合物1通常塩食治療群で1人[16.7%]の被験者);3人(7.1%)の被験者は体位性めまい(postural dizziness)(体位性めまい(dizziness postural)のPT用度)を経験し(2.5mgの(R)-化合物1減塩食治療群で1人[11.1%]の被験者及び2.5mgの(R)-化合物1通常塩食治療群で2人[33.3%]の被験者);2人(4.8%)の被験者はめまいを経験した(5.0mgの(R)-化合物1減塩食治療群で1人[11.1%]の被験者及び2.5mgの(R)-化合物1通常塩食治療群で1人[16.7%]の被験者)。
【0279】
(R)-化合物1を受けている被験者が経験した他の全てのTEAEは、以下の各々1名の被験者が経験した:前失神(Presyncope)(2.5mgの(R)-化合物1減塩食治療群)、眼刺激(2.5mgの(R)-化合物1通常塩食治療群)、腹痛(5.0mgの(R)-化合物1減塩食治療群)、便秘(1.5mgの(R)-化合物1通常塩食治療群)、ウイルス感染(2.5mgの(R)-化合物1減塩食治療群)、鼻炎(2.5mgの(R)-化合物1通常塩食治療群)、背中の痛み(5.0mgの(R)-化合物1減塩食治療群)、不安(2.5mgの(R)-化合物1通常塩食治療群)、喉の乾き(2.5mgの(R)-化合物1通常塩食治療群)、及び発声障害(5.0mgの(R)-化合物1減塩食治療群)。
【0280】
プラセボを受けている被験者の中で、1人(12.5%)の被験者(通常塩食)は動悸を経験し、1人(16.7%)の被験者(減塩食)は心室頻拍を経験し、1人(16.7%)の被験者(減塩食)は、吐き気を経験した。
【0281】
安全性
(R)-化合物1による治療は、安全で忍容性も良好であった。死亡、SAE、又はTEAEによる中止はなく、用量の増加に伴うAEの発生率又は重症度の明らかな増加はなかった。TEAEの大部分は、重症度が軽度であった。試験中の臨床検査パラメータにはベースラインから臨床的に意味のある変化はなく、QTcFの有意な変化を含め、試験中に身体検査結果に臨床的に有意な変化はない、又は12誘導ECG所見に臨床的に有意な変化はなかった。
【0282】
考察
試験は、用量レベルが増加するにつれて被験者の安全性を確保するために、中間データレビューを伴う漸増方式で実施され、試験された用量レベルは、意味のある用量範囲にわたる(R)-化合物1の安全性、PK、及びPDを特徴付けることを目的とした。投与期間は、定常状態のPK及びPD効果を達成することを目的としていた。最初の2つのコホートの被験者は、アルドステロンレベルを刺激するため、且つ減塩食を行っている可能性のある潜在的な患者の安全性を評価できるようにするために、減塩食を摂取していた。これらのコホートの被験者は、アルドステロン及びコルチゾールの両方のレベルを上昇させるACTHチャレンジも受け、アルドステロン合成酵素に対する(R)-化合物1の特異性の評価が可能になった。同等以下の用量の後続のコホート(コホート3~5)は通常塩食を摂取した。
【0283】
10日間の(R)-化合物1の1日1回の投与は安全であり、且つ健康な被験者には十分に許容された。死亡、SAE、又はTEAEによる中止はなく、用量の増加に伴うAEの発生率又は重症度の明らかな増加はなかった。TEAEの最も一般的なSOCは、神経系障害であった。(R)-化合物1を受けている被験者の中で、4人(9.5%)の被験者は頭痛を経験し、3人(7.1%)の被験者は体位性めまい(postural dizziness)(体位性めまい(dizziness postural)のPT)を経験し、2人(4.8%)の被験者はめまいを経験した。減塩食条件下でプラセボを受けたプールされたプラセボ群全体のうち1人(7.1%)の被験者が試験薬関連と考えられる中等度の心室頻拍を経験したことを除いて、全てのTEAEの重症度は軽度であった。一般に、試験中の臨床検査パラメータにはベースラインから臨床的に意味のある変化はなかったが、異常なナトリウム値及びカリウム値が単独で存在しており、これは治験実施計画書で指定された食事のナトリウム必要量及び(R)-化合物1の効果の組み合わせによるものと考えられる。QTcFの意味のある変化がないことを含め、試験中に身体検査結果に臨床的に意味のある変化はない、又は12誘導ECG所見に臨床的に有意な変化はなかった。
【0284】
以前のSAD試験の所見と一致して、(R)-化合物1のレベルは、試験された用量範囲にわたって明らかに用量に比例して用量の増加とともに増加した。経口投与後、(R)-化合物1が急速に吸収され、典型的には投与後4時間以内にピーク濃度が観察された。曝露は明らかに二相性でピークからゆっくりと減少し、長平均t1/2は約26~31時間の範囲であり、定常状態では、曝露は、典型的には、単回投与後よりもおよそ2~2.5倍高かった。平均して、およそ7%(治療群全体で6.3%~10.8%)の(R)-化合物1用量が、尿中に変化せずに回収された。(R)-化合物1-M、(R)-化合物1の一次代謝産物のレベルは、用量の増加とともに増加し、平均して、定常状態では、Cmaxに基づいて親の8.0%~11%、AUC0-infに基づいて親の10%~22%を表した。(R)-化合物1の初回投与後、一次代謝産物濃度のピークが4時間以内に観察されたときの定常状態と比較して、一次代謝産物濃度のピークに達するのがより遅くなった(Tmax中央値は、治療群全体で約4~24時間の範囲であった)。親と同様に、一次代謝産物の血漿濃度は一般にピークからゆっくりと減少し、長平均t1/2は約31~38時間の範囲であった。定常状態では、曝露量(RCmax及びRAUC値に基づいての評価)は、単回投与後よりおよそ2.4~3.5倍高かった。
【0285】
この試験のPD結果は、(R)-化合物1が>0.5mgの用量の減塩食及び通常塩食の両条件下でアルドステロンレベルを顕著に低下させる能力を裏付けており、(R)-化合物1は、ベースラインと比較して、及びプラセボと比較して、用量依存的な血漿アルドステロンレベルの鈍化を誘導する。効果は初回投与後に現れ、10日間の投与期間を通じて持続した。≧1.5mgの用量でのアルドステロンに対する(R)-化合物1の効果は、Cortrosynチャレンジの有無の両方で観察され、典型的には、ベースラインと比較して平均AUC0-12hの約70%~85%の減少が観察された。中間アルドステロン前駆体である18-ヒドロキシコルチコステロン及びコルチコステロンのレベルは、アルドステロン合成経路に対するCYP11B2阻害の進行性の影響を示す段階的な変化を示した。具体的には、18-ヒドロキシコルチコステロン(アルドステロンの中間体)のレベルは、一般にベースラインと同等か又はベースラインから減少したが、観察されたアルドステロンの減少よりも程度は低かった。アルドステロンの更に上流にあるコルチコステロンのレベルは、明らかに用量依存的に増加した。最後に、最初のアルドステロン前駆体である11-デオキシコルチコステロンのレベルは、ベースラインと比較して投与前の値のわずかな増加を示し、変化は、被験者がコルチゾール刺激試験も受けた減塩食条件下で最も顕著であった。しかしながら、投与前の11-デオキシコルチコステロンレベルの増加の程度は、別のアルドステロン合成酵素阻害剤(LCI1699)で以前に観察された投与前の11-デオキシコルチコステロンレベルが最大10倍に増加したのと比較して、最小限(2~3倍)であった。
【0286】
この試験の結果は、コルチゾール及び11-デオキシコルチゾール(CYP11B1によってのみ媒介される)のレベルが(R)-化合物1の影響を受けずに残ったため、アルドステロン合成酵素に対する選択性が反復投与によって維持されることを示し、ACTH刺激の存在下でさえも、(R)-化合物1がこれらのステロイドに対して望ましくない影響を及ぼさないことを示すことを示している。
【0287】
減塩食条件(コホート1及び2)により、ACTHの増加がもたらされた。この増加は、プラセボを受けている被験者と比較して、(R)-化合物1を受けている被験者でいくらか顕著であった。しかしながら、通常塩食条件下の(R)-化合物1の投与の後、(R)-化合物1は、明らかにACTHの用量依存的低下がもたされた。対照的に、LCI1699で観察されたアルドステロンの減少は、対応するACTHの増加と一貫して関連していた。
【0288】
関連する臨床検査値、並びに体重及びBMIの変化は、アルドステロン合成酵素阻害剤の存在下で予想される変化と一致していた。用量依存性の血漿ナトリウムレベルの軽度の減少及び血漿カリウムレベルの増加が観察され、それに対応して尿中ナトリウム及びカリウムレベルの変化が観察された。注目すべき点は、尿中ナトリウム:カリウム比の最初の増加にもかかわらず、尿中のナトリウム損失がカリウム保持よりも大きいことを示し、この比は10日目までに正規化され、ナトリウム排出及びカリウム吸収の間のバランスが回復したことを示唆している。10日間の治療期間を通じてカリウムは変化しないように見えるため、ナトリウム:カリウム比の変化は、10日目の尿中のナトリウム排出と比較して、1日目の尿中のナトリウムのより大きな排出によって媒介されるようである。
【0289】
他のRAAS修飾剤の観察と一致して、(R)-化合物1の投与後、糸球体濾過量の軽度の減少(<15%)とともに、血中尿素窒素及びクレアチニンの増加が観察された。糸球体濾過量の減少に伴う血中尿素窒素:クレアチニン比の増加の存在は、(R)-化合物1が軽度の利尿効果を生み出していることを示唆している。最後に、おそらく、以前に指摘された軽度の利尿作用より、(R)-化合物1を受けている被験者は、プラセボを受けている被験者と比較して、体重及びBMIの顕著な低下を経験した。通常、値は経過観察来院時にベースラインに戻った。
【0290】
試験はBPの大幅な変化が検出されにくい健康な被験者を対象に実施されたが、この試験の結果は、(R)-化合物1の投与後、プラセボと比較して、試験薬によって誘発される座位BP及び起立性BPの軽度の低下に向かう若干の傾向を示したが、(R)-化合物1関連の変化には明確な用量依存性はなかった。更に、仰臥位から立位に移動したときのBPの変化は、全ての治療群((R)-化合物1及びプラセボ)のベースラインと比較して、10日目では小さかった。しかしながら、一般に、特にSBPの低下は、プラセボを受けた被験者と比較して、(R)-化合物1を受けた被験者の方が大きかった。同様に、仰臥位から立位に移動してから1分後に観察された心拍数の増加は、プラセボを受けた被験者と比較して、(R)-化合物1を受けた被験者においてより顕著であった。明確且つ一貫した用量関連の傾向はなかったが、1分間の立位心拍数の最も顕著な変化は、通常、5mgの(R)化合物1の用量レベルで認められた。
【0291】
まとめると、本試験の結果は、(R)-化合物1は、アルドステロンの上昇による健康への悪影響に対する1日1回の治療法として引き続き有望であることを示す。分子は、好ましい安全性プロファイル、望ましい予測可能なPK属性、及び1日当たり>0.5mgの用量で対象患者母集団において潜在的な有益な効果を示唆するPD特性を示している。
【0292】
薬物動態
(R)-化合物1の単回投与及び複数回投与血漿薬物動態(R)-化合物1の単回投与及び複数回投与PKプロファイルは、第1相試験の健康な被験者において特性評価されている。図7は、1mg~360mgの範囲(減塩条件下)、及び定常状態での0.5mg~5mgの範囲(減塩及び/又は通常塩条件下)の(R)-化合物1の単回経口用量投与後の(R)-化合物1の平均血漿濃度対時間プロファイルを示す。経口投与後、(R)-化合物1が急速に吸収され、投与後3時間以内(0.5~4時間の範囲)にピーク濃度が観察される。(R)-化合物1濃度は、明らかに二相性でピークから減少し、長平均t1/2は約26~31時間の範囲である。
【0293】
絶対的バイオアベイラビリティ
3mg用量のIV投与後の(R)-化合物1の血漿濃度対時間プロファイルを図8に示す。97.9%の絶対的バイオアベイラビリティが、(R)-化合物1については3mgで測定された。
【0294】
錠剤製剤の相対的なバイオアベイラビリティは、将来の臨床試験での使用を目的としており、SAD及びMADで投与された(R)-化合物1の経口溶液と比較して、各製剤の5mgの単回投与後に評価された。経口溶液製剤及び錠剤製剤の投与後の平均(+SD[標準偏差])血漿濃度-時間プロファイルを、図9に示す。
【0295】
経口溶液製剤及び錠剤製剤の投与後の(R)-化合物1の平均(SD)PKパラメータを、図12に示す。
【0296】
【表13】
【0297】
アルドステロン及び前駆体
Cortrosynチャレンジによる単回投与
(R)-化合物1は、-1日目のベースラインと比較して、及びプラセボと比較して、血漿アルドステロンレベルの用量依存的な鈍化を誘導し、最大効果は10mgの用量レベルで達成された(-1日目と比較しておよそ85%~90%減少)。この効果は、Cortrosynチャレンジ後の読み取り値(時間間隔0~4時間)及び立っているアルドステロンのピーク(時間間隔4~12時間)の両方で観察された(図10を参照)。
【0298】
注:定量限界未満の血漿アルドステロンレベルは、更なる計算を可能にするために定量下限値(5pg/mL)に設定された。
【0299】
Cortrosynチャレンジは、-1日目及び1日目の投与後1時間に実施され、0~3時間の時間間隔で血漿アルドステロンピークを誘導した。
【0300】
-1日目及び1日目の投与後6時間の両方で、被験者に30分間立っているように依頼し、これにより4~12時間の時間間隔で血漿アルドステロンピークを誘導した。
【0301】
血漿アルドステロンレベルの減少は、アルドステロンとテトラヒドロアルドステロンの尿排泄量の両方の用量依存的な減少と関連しており、これは1日目に始まり、2日目も一定のままであった。アルドステロンの尿排泄量における変化の最大に近い効果もまた、10mgの用量で達成された。
【0302】
アルドステロンの前駆体は用量が≧90mgになるまで変化せず、その時点で11-DOC(アルドステロン及びコルチゾールに対する前駆体)が増加し始めたが、コルチコステロンレベルは変化せず、これは予想される治療範囲をはるかに超える用量でこの経路が部分的に阻害されることを示唆している。
【0303】
図11及び図12は、通常塩食及び減塩食治療群、それぞれのPD母集団についての治療別の経時的な平均11-デオキシコルチコステロン濃度のプロットを示す。(R)-化合物1による治療により、減塩食条件及び通常塩食条件の両方並びにCortrosyn刺激の有無の両方の-1日目と比較して、10日目の11-デオキシコルチコステロンの増加がもたらされる。
【0304】
コホート1についてのランイン期間中の食事のナトリウム及びカリウム制限は、それぞれ、50~60mEq Na/日及び70~100mEq K/日であった。治療期間の1日目に、コホート1についての食事制限は、65~70mEq Na/日及び70~100mEq K/日に変更され、治療期間の終了までそのように維持された。これらの65~70mEq Na/日及び70~100mEq K/日という制限は、ランイン期間の開始から治療期間の終了までコホート2に適用された。両コホートにおいて、電解質レベルを管理するために、必要に応じて塩分摂取量に更に小さな変更を個人ベースで加えた。
【0305】
複数回用量
(R)-化合物1≦5mgの複数回用量の投与の後、1日目又は10日目のいずれかにおいても、プラセボと比較して、コルチゾール又は11-デオキシコルチゾールのレベルに明らかな差はなかった。これらの所見は、Cortrosynチャレンジの存在下(減塩治療群で発生)でも、チャレンジの非存在下(通常塩群)でも一貫している(表13)。
【0306】
【表14】
【0307】
コルチゾールのAUCデータからの観察と一致して、(R)-化合物1は、Cortrosynチャレンジに対する反応に明らかな影響を及ぼさず、(R)-化合物1で治療された被験者の1日目及び10日目の反応は、ベースラインの反応及びプラセボを受けた被験者の反応と同様であった。
【0308】
ヒトにおける(R)-化合物1の安全性
AEは少数の被験者で報告され、発生率は用量依存性ではなかった(表14)。重度のAE、SAE、AEによる中止、又は死亡は認められなかった。全体として、用量レベル全体で最も頻繁に報告されたAEは頭痛、鼻咽頭炎、下痢、無力、及び吐き気であった;しかしながら、いずれの用量レベルにおいても>1人の被験者が報告した唯一の事象は歯痛(プラセボを用いた2人の被験者[12.5%])、鼻咽頭炎(プラセボを用いた2人の被験者[12.5%])、及び頭痛(180mgを用いた2人の被験者[33.3%])であった。AEの大部分は、試験薬に関連しないと考えられた。中等度の胃腸炎が2事象報告され(180mg及びプラセボによる)、その他のAEは全て軽度であった。
【0309】
【表15】
【0310】
著しく異常な安全性検査値が分離されたことが報告されたが、用量依存的なパターンは明らかではなかった。著しく異常な安全性検査値に関連するAEは報告されなかった。ヘモグロビン、ヘマトクリット、赤血球数、尿浸透圧、及び尿比重の平均減少が、プラセボを含む全ての用量レベルで観察されたが、明らかな用量依存性はなかった。
【0311】
ECGパラメータ、バイタルサイン、又は目視評価について、経時的に、臨床的に有意な又は用量依存的な変化は観察されなかった。プラセボと比較して、実薬治療群で一時的なBW減少が観察されたが、用量依存性はなかった。
【0312】
AEの発生率の用量関連増加はなかった(表15)。重度のAE、SAE、AEによる中止、又は死亡は報告されなかった。任意の経口投与と比較して、3mgIV投与中にAEを報告した被験者の割合(75%)が高かった(減塩食では3mg、減塩食及び通常塩食の両方では10mgで最大66.7%)。全体として、最も頻繁に報告されたAEは、鼻咽頭炎、無力、及びめまいであった。いずれの用量レベル及びいずれかの塩食で>1人の被験者によって報告されたAEは、無力(10mg減塩食を用いた2人の被験者[33.3%]、プラセボ減塩食を用いた2人の被験者[33.3%])、鼻咽頭炎(3mg IVを用いた3人の被験者[37.5%]、10mg減塩食を用いた2人の被験者[33.3%])、めまい(3mg減塩食を用いた2人の被験者[33.3%])、及び歯肉の痛み(10mg減塩食を用いた2人の被験者[33.3%])であった。通常塩食条件下で10mgの(R)-化合物1を受けている対象によって報告された1件のAE(めまい)のみが、試験薬に関連するとみなされた。尾骨骨折1件及び脳震盪1件(どちらもIV投与を受けた被験者について報告された)は強度が中等度で、その他のAEは全て軽度であった。
【0313】
【表16】
【0314】
安全性臨床試験の結果には、経時的に臨床的に有意な又は用量依存性の変化は観察されなかった。著しく異常な安全性検査値が分離されたことが報告されたが、用量依存的なパターンは明らかではなかった。ヘモグロビン、ヘマトクリット、及び赤血球数の平均減少が、減塩食中のプラセボを除く全ての用量レベルで観察された。各用量レベルで、増加は、減塩食条件よりも通常塩食条件の方が大きかった。3mgのIV投与は、3mgの経口投与と比較して増加が小さかった(減塩及び通常塩食の両条件下)。平均尿浸透圧及び尿比重の減少は、減塩食条件下での1mg及び3mgを除く全ての用量レベルで認められた。
【0315】
経時的又は用量レベル間のECGパラメータ又はバイタルサインの変化に関して、臨床的に関連する傾向は観察されなかった。平均BWは、1日目から4日目まで、プラセボを含む全ての用量レベルでベースラインから減少し、経過観察来院時に正常に戻った。減少に用量依存性はなかった;しかしながら、実薬治療群では、通常塩食と比較して、減塩食ではより大きな減少が認められた。
【0316】
10日間QD投与された(R)-化合物1は、減塩(2.5及び5mgの(R)-化合物1)及び通常塩条件(0.5、1.5、及び2.5mgの(R)-化合物1)下で、健康な被験者に良好な忍容性であった。死亡、SAE、又は中止に至るTEAEはなかった。(R)-化合物1の複数回投与後の最も一般的なTEAEは、頭痛(4人の被験者)、体位性めまい(3人の被験者)、及びめまい(2人の被験者)であった。プラセボ群のTEAEは、吐き気(1人の被験者)、非持続性心室頻拍(1人の被験者)、及び動悸(1人の被験者)を含んだ。(R)-化合物1の投与後の全てのAEは本質的に軽度であった。
【0317】
(R)-化合物1を受けている被験者におけるAEの全体的な発生率は、プラセボを受けている被験者におけるAEの発生率と同等であり、用量の増加に伴うAEの発生率又は関連性の増加に向けた傾向はなかった(表16)。
【0318】
【表17】
【0319】
安全性臨床試験の結果には、経時的に臨床的に有意な変化は観察されなかった。著しく異常な安全性検査値が分離されたことが報告され、これは、治験実施計画書で指定された食事のナトリウム要件及び(R)-化合物1の効果の組み合わせによるものと考えられるが、用量依存的なパターンは明らかではなかった。用量依存性の血漿ナトリウムレベルの軽度の減少及び血漿カリウムレベルの増加が観察され、それに対応して尿中ナトリウム及びカリウムレベルの変化が観察された。注目すべき点は、尿中ナトリウム:カリウム比の最初の増加にもかかわらず、尿中のナトリウム損失がカリウム保持よりも大きいことを示し、この比は10日目までに正規化され、ナトリウム排出及びカリウム吸収の間のバランスが回復したことを示唆している。10日間の治療期間を通じてカリウムは変化しないように見えるため、この比率の変化は、10日目の尿中のナトリウム排出と比較して、1日目の尿中のナトリウムのより大きな排出によって媒介されるようである。
【0320】
他のRAAS修飾剤の観察と一致して、(R)-化合物1の投与後、糸球体濾過量の軽度の減少(<15%)とともに、血中尿素窒素及びクレアチニンの増加も観察された。糸球体濾過量の減少に伴う血中尿素窒素:クレアチニン比の増加の存在は、(R)-化合物1が軽度の利尿効果を生み出していることを示唆している。最後に、おそらく、以前に指摘された軽度の利尿作用より、(R)-化合物1を受けている被験者は、プラセボを受けている被験者と比較して、体重及びボディマス指数(BMI)の顕著な低下を経験した。値は、経過観察までに正常に戻った。
【0321】
QTcFの有意な変化を含め、臨床的に関連するECG所見はなかった。バイタルサインにも臨床的に関連する変化はなかった。しかしながら、座位及び起立性BPには薬剤誘発性の軽度の低下と、起立性心拍数の中等度の増加に向かう若干の傾向が見られた。これらの傾向は一貫して用量依存性ではなかったが、心拍数に対する最も顕著な影響は5mgの用量レベルで観察された。
【0322】
平均BW及びボディマス指数は、治療期間中、プラセボを含む全ての用量レベルでベースラインからわずかに減少し(≦2kg又は<0.65kg/m)、その後、経過観察来院時に正常に戻った。観察された減少には明らかな用量依存性はなかったが、(R)-化合物1を受けている被験者の減少はプラセボを受けている被験者の減少よりも大きかった。
【0323】
実施例7
プラセボコントロール第2相試験は、安定なバックグラウンドの高血圧レジメンを受けているrHTN患者の治療における(R)-化合物1の複数回用量強度の有効性及び安全性を評価することである。有効性は、SBP、DBP、PK、及びPDパラメータのベースラインからの変化ごとに解析される。AEは、インフォームドコンセントの時点から経過観察期間の終了まで監視される。SB-RI期間の時(来院3回目)から治療の終了の来院(来院11回目)までに中央薬局を通じて別途要求された場合を除き、全ての患者がそれらのバックグラウンド降圧薬を受ける。
【0324】
試験目的
パートA
目的:(R)-化合物1の少なくとも1つの用量強度が、rHTN患者における12週間の治療後の座位SBPのベースラインからの平均変化においてプラセボよりも優れていることを実証すること。
【0325】
その他の目的
●rHTN患者における12週間の治療後のプラセボと比較した、(R)-化合物1の選択された用量強度の各々による平均座位DBPのベースラインからの変化を評価すること;並びに
●rHTNについての12週間の治療後のプラセボと比較した、(R)-化合物1の選択された用量強度の各々による座位BP応答が<130/80mmHgに達した患者の割合を評価すること。
●バイタルサイン、起立BP及び心拍数、身体検査、心電図検査、体重測定、並びに標準安全性化学パネル、血液学、凝固、及び尿検査を含む臨床検査評価を評価すること;
●TEAEを評価すること;
●試験薬の早期中止に至るTEAEを評価すること;
●試験治療下で発現した顕著な臨床検査異常を評価すること;並びに
●ベースラインから治療終了(来院11回目)までの起立SBP及びDBP(臨床施設での投与前に測定)の変化を評価すること。
【0326】
PK-PD目標は、安全性、PD、及び/又は有効性の尺度を使用して、(R)-化合物1の曝露-反応関係(薬物動態学的/薬力学的)を評価することである。
【0327】
パートB
パートBは、rHTN患者における(R)-化合物1のPKを特徴付け、パートAのPK-PDの目的を裏付ける追加データを取得するためのサブ試験である。
【0328】
試験説明
(i)試験デザインのまとめ
これは、rHTN患者における12週間の治療後、プラセボと比較した、(R)-化合物1の複数回用量強度の有効性及び安全性を評価するための第2相、2パート、無作為化、二重盲検、プラセボコントロール、多施設、並行群、用量範囲試験である。
【0329】
rHTN患者は、≧3つの降圧薬(そのうち1種類は利尿薬)の安定なレジメン中であり、平均座位BPが≧130/80mmHgであると定義される。
【0330】
(R)-化合物1の安全性は、インフォームドコンセントの時点から経過観察期間の終了まで評価される。患者は、二重盲検治療期間中、有効性及びアドヒアランスについて追跡調査される。試験中に解析されるPD変数には、アルドステロン及びその前駆体、コルチゾール及びその前駆体の測定値、PRA、並びにARR及びUACRの計算などが含まれ得るが、これらに限定されない。試験中に解析されるPK変数には、(R)-化合物1及び任意の測定された代謝産物の血漿濃度が含まれる。
【0331】
患者は、各臨床施設来院前の少なくとも2時間、運動、喫煙、又はカフェイン入りの飲料若しくは食べ物の摂取を行ってはならない。全ての臨床施設来院は、午前6時から午前11時の間に行われなければならない。
【0332】
パートA
パートAは、rHTN患者における12週間の治療後、プラセボと比較した、(R)-化合物1の複数回用量強度の有効性及び安全性を評価するための第2相、無作為化、二重盲検、プラセボコントロール、多施設、並行群、用量範囲試験である。
【0333】
(i)アダプティブデザイン
二重盲検治療期間中に、適格患者は、1:1:1で3つの治療群のうちの1つに無作為に割り当てられる(2つの実薬[1mg及び2mgの(R)-化合物1]と1つのプラセボ)。1つの群当たり最初の無作為化されたおよそ25人の患者が約4週間の試験薬投与に達した後、新しいデータは累積SAEに関して評価及び報告される。評価に基づいて、試験すべき次の用量レベルは、0.05mgのQDである。試験への患者の登録は最初のレビュー中に停止されない。
【0334】
パートAでは、試験終了時に治療群間でほぼ均等な配分を可能にする無作為化計画を使用して患者を登録する。
【0335】
(ii)試験の来院
試験のパートAは、4つの期間からなる:
●最大8週間のスクリーニング期間(スクリーニング来院[来院1回目]及び電話通話1回目[来院2回目]);
●2週間のSB-RI期間(来院3回目);
●12週間の二重盲検治療期間(来院4回目~11回目);並びに
●最大1週間の経過観察期間(電話通話2回目[来院12回目])。
【0336】
患者は、10回のクリニック来院及び2回の電話来院を含む、およそ6カ月の期間にわたる少なくとも合計12回の来院を完了させる。
【0337】
(iii)スクリーニング期間(来院1回目及び2回目)
患者はスクリーニング来院(来院1回目)時にインフォームドコンセントを提供し、組入れ/除外基準の評価を受ける。
【0338】
降圧剤としてMRA又はカリウム保持性利尿薬(例えば、トリアムテレン、アミロライドなど)を服用している患者は、試験適格性のためのこの薬物を中止する意思がなければならない。カリウム保持性利尿薬は中止され、非カリウム保持性利尿薬に置き換えられなければならない。MRAが4番目の降圧剤である場合、代替薬を開始する必要はない。MRAが3番目の降圧剤である場合、代替薬を開始しなければならない。非カリウム保持性利尿薬を含む≧3つの降圧剤の安定した投与レジメンを少なくとも2週間継続している全ての患者は、SB-RI期間に入るのに適格である。適格患者には電話通話1回目(来院2回目)で連絡があり、試験資格について通知され、SB-RI期間のスケジュールを設定される。
【0339】
降圧レジメンの一環としてMRAを服用している場合、患者はスクリーニング時に平均座位BP<130/80mmHgを有し得る;しかしながら、試験の適格性を得るには、MRA中止後のSB-RI期間(来院3回目)で、代替薬の有無にかかわらず、平均座位BPが≧130/80mmHgでなければならない。
【0340】
スクリーニング臨床検査の評価は、異常がある場合、患者を除外する前に適格性の目的で1回繰り返すことができる。スクリーニングを受けているが、試験の組入れ/除外基準又は無作為化基準を満たしていない患者(スクリーニング不合格)は、最後の試験来院後5日未満に再スクリーニングを行うことができる。
【0341】
(iv)SB-RI期間(来院3回目)
SB-RI期間は、およそ2週間(±2日)続く。この期間の目的は、服薬アドヒアランスが患者が目標BPを達成できないファクターとなっているかどうかを判断することである。
【0342】
来院3回目から来院11回目までに中央薬局を通じて別途要求された場合を除き、全ての患者がそれらのバックグラウンド降圧薬を受ける。臨床施設は、来院2回目に、又は来院3回目の少なくとも1週間前に、バックグラウンド降圧薬の処方箋を中央薬局に送る。これらの薬は、臨床施設に直接配達される。バックグラウンド降圧薬及び試験薬(単盲検プラセボ)は、来院3回目に交付される。
【0343】
(v)二重盲検治療期間(来院4回目~11回目)
無作為化時(来院4回目)の有効性及び安全性変数の測定値は、「ベースライン」測定値となる。臨床施設での試験薬投与前に記録される有効性及び安全性変数の測定値は、「投与前」測定値を構成する。
【0344】
SB-RI期間中に各降圧薬及び試験薬に対するアドヒアランスが≧70%及び≦120(丸薬数に基づく)で、ベースライン平均座位BPが≧130/80mmHgの患者は、無作為化適格手順を継続する。
【0345】
適格患者は、1:1:1で3つの治療群のうちの1つに無作為に割り当てられる(2つの実薬[1mg及び2mgの(R)-化合物1]と1つのプラセボ)。1つの群当たり最初の無作為化されたおよそ25人の患者が約4週間の試験薬投与に達した後、新しいデータが累積SAEに関して評価及び報告される。評価に基づいて、試験すべき次の用量レベルは、0.05mgのQDである。レビューに続き、パートAでは、試験終了時に治療群間でほぼ均等な配分を可能にする無作為化計画を使用して患者を登録する。
【0346】
試験薬((R)-化合物1又はプラセボ)の交付は、来院4回目から来院11回目の前までいつでも発生する可能性がある。臨床施設は、来院4回目に、バックグラウンド降圧薬の処方箋を中央薬局に送り、これらの薬は、来院5回目又は来院6回目に交付される。患者のバックグラウンドの降圧レジメンは治療期間中変更されず、漸増も行われないことが期待される。臨床施設来院日に、患者は自宅でバックグラウンド高血圧薬の朝の用量を自己投与し、試験薬を控える。臨床施設にて、患者は、投与前の評価及び臨床検査サンプリングが完了した後、施設スタッフの立ち会いのもと試験薬の朝の用量を自己投与する。臨床施設来院の間、患者は、毎朝ほぼ同じ時間に試験薬QDを経口により服用し続ける。主要な評価項目の評価を、治療の終了時(来院11回目)に行う。
【0347】
PD解析用の投与前血液試料を、来院4、7、8、及び11回目に収集する。PK解析用の投与前血液試料を、来院8回目及び11回目に収集する。安全性及びアドヒアランスは、二重盲検治療期間中ずっと監視される。
【0348】
PD及び電解質測定のための尿は、来院4回目の投与の24時間前並びに来院11回目/EOTでの投与の24時間前から収集を開始する。
【0349】
(vi)経過観察期間(電話通話2回目、来院12回目)
患者には試験薬の最後の投与から1週間±3日後に電話通話2回目(来院12回目)があり、試験完了後の有害事象(AE)及びバックグラウンドの降圧レジメンを含む併用薬を評価する。
【0350】
試験の来院は、手順のスケジュールに従う。表17A及び表17Bを参照されたい。
【0351】
【表18】
【0352】
【表19】
【0353】
【表20】
【0354】
【表21】
【0355】
【表22】
【0356】
パートB
パートAの事前来院及び手続きに参加した後、およそ10~15%の患者は、治療終了時(来院11回目)に任意選択のパートBサブ試験に参加することが期待される。
【0357】
パートBに参加する患者は、試験薬投与に対して8時間絶食状態で来院11回目に臨床施設に来院し、試験薬投与後4時間はその状態が続く。患者は、12時間の絶食の間、水以外、食べたり飲んだりすることはできない。追加の投与後PKサンプリングを、来院11回目の以下の時点:1、2、3、4、6、及び8時間で実施する。投与後のPK試料の収集には、±5分の時間が許容される。
【0358】
患者の選択及び中止
パートAに参加する患者についての全ての組入れ、除外、及び無作為化基準は、パートBに参加する患者に適用可能である。パートBに登録する新規の患者はおらず、パートBに参加するための追加の基準はない。
【0359】
(i)組入れ基準
以下の基準を全て満たす患者が参加に適格である:
1.≧18歳の成人男性及び女性患者である;
2.スクリーニング時に>3つの降圧薬の安定したレジメンを受けており、そのうち1つは治験責任医師の判断に基づくMTDでの利尿薬である-降圧剤としてMRA又はカリウム保持性利尿薬(例えば、トリアムテレン、アミロライドなど)を服用している患者は、試験適格性のためにこの薬物を中止する意思がなければならない。カリウム保持性利尿薬は中止され、非カリウム保持性利尿薬に置き換えられなければならない。MRAが4番目の降圧剤である場合、代替薬を開始する必要はない。MRAが3番目の降圧剤である場合、代替薬を開始しなければならない。非カリウム保持性利尿薬を含む≧3つの降圧剤の安定した投与レジメンを少なくとも2週間継続している全ての患者は、SB-RI期間に入るのに適格である;
ニトログリセリン、一硝酸イソソルビド、及び硝酸イソソルビドを含む抗狭心症硝酸塩は、降圧剤とはみなされない。
3.平均座位BPが任意の単回臨床施設来院時の3回の座位BP測定値の平均と定義される、平均座位BP≧130/80mmHgを有する。降圧レジメンの一環としてMRAを服用している場合、患者はスクリーニング時に平均座位BP<130/80mmHgを有し得る;しかしながら、MRA中止後の来院3回目で、代替薬の有無にかかわらず、平均座位BPが≧130/80mmHgでなければならない。
4.以下のように、試験の避妊及び生殖制限を遵守することに同意する:
●男性被験者は、試験薬の最終投与後1日目から90日間精子提供を控えることに同意しなければならない;
●閉経後女性は、少なくとも1年間月経出血がなく、60歳超であるか又はスクリーニング時に血漿卵胞刺激ホルモン(FSH)レベルが40mIU/mLを超えて上昇していなければならない;
●妊娠の可能性のある女性患者(即ち、排卵中、閉経前、及び外科的に不妊ではない)は、スクリーニング及び無作為化時に妊娠検査で陰性であることが文書化されていなければならない;
●全ての男性患者(外科的に不妊ではない)は、試験薬の最後の投与後1日目から90日間、非常に効果的な避妊方法(即ち、失敗率が1%未満)を使用しなければならない;
試験に登録された男性患者に許容される避妊方法は以下を含む:
○殺精子剤入りコンドーム;又は
○スクリーニング前の少なくとも26週間の避妊手術(精管切除術);並びに
●妊娠の可能性のある女性患者は、試験薬の最後の投与後1日目から30日間、非常に効果的な避妊方法(即ち、失敗率が1%未満)を使用しなければならない;
試験に登録された女性患者に許容される避妊方法は以下を含む:
○手術による不妊手術(卵管結紮術);
○スクリーニング前の少なくとも12週間の子宮内避妊器具;
○スクリーニング前の少なくとも12週間のホルモン避妊(経口、インプラント、注射、リング、又はパッチ);又は
○殺精子剤と組み合わせて使用される避妊ペッサリー;並びに
5.臨床試験への参加についてインフォームドコンセントを与えることができ、意思がある。
【0360】
(ii)除外基準
以下の基準のいずれかを満たす患者は、試験への参加から除外される:
1.平均座位BPが任意の単回臨床施設来院時の3回の座位BP測定値の平均と定義される、平均座位SBP≧180mmHg若しくはDBP≧110mmHg。患者が来院(来院1、3、又は4回目)前に定期的に予定されている降圧薬を服用しなかった場合、薬服用後2日以内に1回のBP再検査が許可される。
2.スクリーニング時にボディマス指数(BMI)>が45kg/mである(上腕周囲要件を満たしている場合、除外基準#3を参照)。
3.スクリーニング時に上腕周囲が<7インチ又は>17インチである;
4.スクリーニング前の4週間の任意の時間に夜勤を行っていたことがある;
5.全身性高血圧以外の任意の主な症状(例えば、片頭痛)にβ遮断薬を使用している;
6.既存の降圧レジメンの一環としてMRA若しくはカリウム保持性利尿薬を中止する意思がない、若しくは中止できない;
7.カリウムサプリメントの摂取を中止する意思がない;
8.除外薬物(強力なシトクロムP4503A誘導剤及び/又は非ステロイド抗炎症薬剤[NSAID]の慢性使用)のいずれかを受ける予定若しくは受けている;スクリーニング時に慢性NSAIDを使用しており、試験期間中に中止する意思がある患者は参加が許可される;
9.閉塞型睡眠時無呼吸を除く高血圧(例えば、腎動脈狭窄症、コントロール不良若しくは未治療の甲状腺機能亢進症、コントロール不良若しくは未治療の甲状腺機能低下症、副甲状腺機能亢進症、褐色細胞腫、クッシング症候群、又は大動脈縮窄症)の既知の二次的原因を有する;原発性アルドステロン症患者は、試験への参加が終了する前に副腎摘出術が予想される場合を除き、登録を検討することができる。
10.スクリーニング時に慢性腎臓病疫学共同研究法の等式を使用した推定糸球体濾過量が<45mL/分/1.73mであることが文書化されている;21
11.スクリーニング時にニューヨーク心臓協会(New York Heart Association)ステージIII若しくはIVの慢性心不全が知られており、文書化されている;
12.スクリーニング前6カ月以内に卒中、一過性脳虚血発作、高血圧性脳症、急性冠症候群、若しくは心不全のため入院がある;
13.以前の心エコー図で診断された閉塞性肥大型心筋症及び/若しくは重度の大動脈弁膜症など、現在重度の左心室流出路閉塞があることがわかっている;
14.計画された冠動脈血行再建術(PCI又はCABG)若しくは任意の主要な外科的処置がある;
15.スクリーニング前6カ月以内にCABG若しくは他の大規模な心臓手術(弁置換術など)、末梢動脈バイパス手術、若しくはPCIを受けている;
16.慢性永続性心房細動を有する;
17.スクリーニング時にHbA1cが>9.5%であるコントロール不良糖尿病を有する;
18.この試験の過程で、透析若しくは腎臓移植の予定がある;
19.以前に固形臓器移植及び/若しくは細胞移植を受けたことがある;
20.(R)-化合物1若しくは同じクラスの薬物、若しくはその賦形剤のいずれかに対する既知の過敏症を有する:
21.(不安定な病態を有する及び/又は副腎皮質ホルモンを含む全身免疫抑制剤で治療されている患者を含む)臨床的に関連する任意の病状若しくは外科的状態があり、試験に参加することで患者を危険にさらす可能性がある;
22.スクリーニング時若しくはSB-RI期間の開始時に以下の根拠を有する(1回の再試験が可能である):
●白血球数>15×10/L若しくは好中球絶対数<1×10/L;
●カリウム<3.5mEq/L;
●カリウム>5.0mEq/L;
●ヘモグロビンが<10.0g/dL、及び/若しくは赤血球造血刺激因子製剤の開始が予定されている、及び/若しくはスクリーニング後2カ月以内に輸血が計画されている;若しくは
●血清アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ及び/若しくはアラニンアミノトランスフェラーゼが>3×正常範囲の上限、対応するビリルビンが>2mg/dL(患者にギルバート症候群の病歴がある場合を除く);
23.HIV抗体、HCV RNA、若しくはHBsAgについて陽性であり;
24.週に≧14杯のアルコール飲料の典型的な摂取がある; アルコール1杯は、ビール半パイント(285mL)、スピリッツ1杯(25mL)、若しくはワイン1杯(125mL)に相当する;
25.妊娠中、授乳中、若しくは試験中に妊娠する予定がある;
26.スクリーニング前の30日以内に任意の治験薬を含む別の臨床試験に参加したことがある、若しくは試験薬中止後30日以内に別の臨床試験に参加する予定がある;
27.1日目の30日以内若しくは5倍の半減期のどちらか長い方に低分子による実験的治療、若しくは1日目の90日以内若しくは5倍の半減期のどちらか長い方に大きな分子による実験的治療を受けている;又は
28.病歴及び精神病歴、身体検査及び臨床検査評価をレビューした後、参加中に患者を危険にさらす可能性がある、若しくは試験結果の解釈を妨げる可能性のある任意のその他の理由により不適当であるとみなされる。
【0361】
(iii)無作為化基準
患者は、無作為化(来院4回目)に以下の基準の全てを満たさなくてはならない:
1.全ての組入れ/除外基準を満たし続ける;
2.無作為化前の少なくとも4週間、≧3つの降圧薬からなるバックグラウンド療法に変更がない。
3.無作為化の朝の丸薬数に基づいて、SB-RI期間中の各降圧薬及びプラセボのアドヒアランスが≧70%及び≦120%である;並びに
4.無作為化で平均(3回の測定値の平均)座位BP≧130/80mmHgを有する。
【0362】
(iv)中止基準
以下のいずれかの理由により、この臨床試験への患者の参加は中止される:
●患者が任意の理由で同意を撤回するか、若しくは試験の中止を要求する;
●患者が、二重盲検治療期間中に、2回にわけて平均座位BP>175/105mmHgを有する;
●患者が、患者を重大なリスクにさらす、及び/若しくは患者が治験実施計画書の要件を遵守できないような任意の病状若しくは状況が発生している;
●患者が、任意のSAE、臨床的に有意なAE、重度の臨床検査異常、併発疾患、若しくは継続的な参加が患者にとって最善の利益ではないことを示すその他の病状を有する;
●患者が、禁止されている併用薬の必要性を有する;
●患者が治験実施計画書の要件又は試験関連の手順に従わない;
●患者が妊娠する;又は
●試験が終了する。
【0363】
患者が上記の基準又はその他の理由により研究を途中で中止した場合、彼らは早期終了手順を受けるよう要求され、施設スタッフは治療終了(来院11回目)に予定されている評価パネル全体を完了するためにあらゆる努力を払う必要がある。患者の中止についての理由を文書化しなくてはならない。患者は、安全性モニタリングのために早期終了後も試験来院に参加する必要がある。
【0364】
投与の一時停止のための基準
以下のいずれかの理由により、この臨床試験への患者の投与は一時停止される:
●死亡を含む試験薬に関連するとみなされる任意のSAE;
●無作為化後に安全性関連の理由で1回以上の用量の試験薬を受けた患者の中止;
●≧2人の患者において強度(重症度)が重度であるとみなされる試験薬関連AE;
●≧4人の患者において中等度の強度(重症度)とみなされる単一の器官別大分類からの試験薬関連AE;又は
●カリウム≧6mEq/L;患者は試験薬の投与を中止し、再検査のために直ちに臨床施設に出向かなくてはならない。注:この基準は、投与を一時中止している個々の被験者にのみ特異的である。患者は、メディカルモニターからの相談及び承認に従って試験薬を再開することができる。
【0365】
以下の事象が発生する場合、可能な限りすぐに報告しなければならない:
●患者が低ナトリウム血症(ナトリウム濃度<130mmol/L、通知後72時間以内に再確認)の根拠を有するか、起立性低血圧と一致する症状を伴うSBP≦90mmHgを有する;この基準は、投与を一時中止している個々の被験者にのみ特異的である。他の登録済み被験者は投与を一時中止する必要はない。患者は承認後に試験薬物を再開することができる。
【0366】
試験治療
(i)治療群
適格患者は、1:1:1の比率で次の群のいずれかに無作為に割り当てられる:
●1mgの(R)-化合物1;
●2mgの(R)-化合物1;又は
●プラセボ。
【0367】
試験すべき次の用量レベルは、0.5mgのQDである。レビューに続き、パートAでは、試験終了時に以下の治療群間でほぼ均等な配分を可能にする無作為化計画を使用して患者を登録する:
●1mgの(R)-化合物1;
●2mgの(R)-化合物1;
●0.5mgの(R)-化合物1;
●プラセボ。
【0368】
(ii)単盲検-ランイン期間
(R)-化合物1錠剤と区別できないプラセボ錠剤は、SB-RI期間中に投与され、服薬アドヒアランスが患者が目標BPを達成できないファクターとなっているかどうかを判断する。単盲検プラセボは、継続的な安定した降圧レジメンに含まれる。
【0369】
(iii)無作為化及び二重盲検治療期間
全ての適格性基準を満たす患者は、パートAのために、1:1:1の比率で3つの治療群のうちの1つに無作為に割り当てられる(2つの実薬[1mg及び2mgの(R)-化合物1]と1つのプラセボ)。1つの群当たり最初の無作為化されたおよそ25人の患者が二重盲検治療期間の約4週間の試験薬投与に達した後、新しいデータが試験中に収集される累積SAEに関して評価及び報告される。評価に基づいて、試験すべき(R)-化合物1の次の用量レベルは、0.5mgのQDである。
【0370】
パートAでは、試験終了時に治療群間でほぼ均等な配分を可能にする無作為化計画を使用して患者を登録する。
【0371】
患者は、ベースラインSBP(<145又は≧145mmHg)及びベースライン糸球体濾過量(<60又は≧60mL/分/1.73m)に従って階層化される。
【0372】
無作為化の後、試験薬は、二重盲検様式で交付される。無作為化情報は、治療割り当ての非盲検化の必要がある患者に関する緊急事態を除いて、試験が終了するまで隠される。
【0373】
(iv)(R)-化合物1の供給
製剤
(R)-化合物1錠剤は、以下の強度で提供される:0.5mg、1mg、及び2mg。錠剤は、試験に必要な用量を達成するためにブリスターパックに包装される。(R)-化合物1錠剤は、活性成分として試験薬を含有し、不活性成分として、無水ラクトースと、微結晶セルロースと、クロスカルメロースナトリウムと、コロイド状二酸化ケイ素と、ステアリン酸マグネシウムと、を含有する。
【0374】
対応するプラセボ錠剤は、活性成分を含有せず、同じ不活性成分を含有する。
【0375】
試験薬投与
患者は試験薬投与の毎朝、通常の食事を許可される。臨床来院日に、患者は自宅でバックグラウンド高血圧薬の朝の用量を自己投与し、試験薬の朝の投与を控える。患者は、投与前の評価及び臨床検査サンプリングが完了した後、施設スタッフの立ち会いのもとクリニックで試験薬の朝の用量を自己投与する。
【0376】
パートBに参加する患者は、試験薬投与に対して8時間絶食状態で来院11回目に臨床施設に来院し、試験薬投与後4時間はその状態が続く。患者は、12時間の絶食の間、水以外、食べたり飲んだりすることはできない。
【0377】
治療アドヒアランス
患者は、全てのクリニック来院中に、施設スタッフの立ち会いのもとクリニックで試験薬の朝の用量を自己投与する。
【0378】
患者が臨床施設にいない場合の治験実施計画書で指定された全ての用量について、患者は、自宅で試験薬を自己投与し、バックグラウンド降圧薬の服用を続ける。
【0379】
除外される薬及び/又は手順
以下の治験薬、処方薬、又は大衆薬の使用は、試験中許可されない:
●表18のものなどの強力なCYP3A誘導剤。
【0380】
【表23】
【0381】
●全身性高血圧以外の任意の主な症状に対するβ遮断薬;
●MRA;
●NSAIDの慢性使用;
スクリーニング時に慢性NSAIDを使用しており、試験期間中に中止する意思がある患者は参加が許可される
●カリウム保持性利尿薬;及び/又は
●カリウムサプリメント。
【0382】
試験手順
(i)インフォームドコンセント
任意の治験実施計画書で指定された手順を実施する前に、全ての患者から書面による同意を得る。
【0383】
来院11回目に任意選択のパートBのサブ試験に参加する患者は、まずはパートAの事前来院及び手順に参加する。
【0384】
任意選択のパートBサブ試験に参加するために書面によるインフォームドコンセントを提供した患者は、試験薬投与に対して8時間絶食状態で来院11回目に臨床施設に来院し、試験薬投与後4時間はその状態が続く。患者は、12時間の絶食の間、水以外、食べたり飲んだりすることはできない。投与後PK血液サンプリングを、来院11回目の以下の時点:1、2、3、4、6、及び8時間で実施する。投与後のPK試料の収集には、±5分の時間が許容される。
【0385】
場合によっては、特定の個別のPK試料(投与後8時間でのサンプルの収集が含まれるが、これに限定されない)の収集は必要ない場合がある。
【0386】
(ii)早期中止来院及び中止手順
試験を完了させる患者の治療の終了は、来院11回目である。完了前に試験を中止する患者の場合、全ての来院11回目の手順を、早期中止来院時に実施する。
【0387】
有効性の評価
(i)主要な有効性評価項目
主要な有効性評価項目は、rHTN患者における12週間の治療後の平均座位SBPのベースラインからの変化である。
【0388】
(ii)副次的な有効性評価項目
副次的な有効性評価項目は、以下を含む:
●rHTN患者における12週間の治療後のプラセボと比較した、(R)-化合物1の平均座位DBPのベースラインからの変化;及び
●rHTNについての12週間の治療後のプラセボと比較した、(R)-化合物1の座位BP応答が<130/80mmHgに達した患者の割合。
【0389】
薬物動態、薬力学、及びゲノム薬理学評価
(i)薬物動態評価
パートA
PK解析用の血液試料は、表17に指定されているように、来院8回目及び11回目に投与前に収集される。追加のPK試料は、SAE、中止に至るAE、又は任意のその他の安全性事象の事象でも収集される場合がある。PK試料は、投与前およそ15分以内に収集されなければならない。
【0390】
試料は、検証済みの液体クロマトグラフィー質量分析法を使用して、(R)-化合物1及び任意の測定された代謝産物の血漿濃度を測定するために解析される。
【0391】
パートB
来院11回目の日に臨床施設で試験薬が服用された日時が記録される。各投与後PK試料の実際の収集日時も記録する。
【0392】
任意選択のパートBサブ試験の患者は、来院11回目の以下の時点:1、2、3、4、6、及び8時間で実施される追加の投与後PKサンプリングを有する。投与後のPK試料の収集には、±5分の時間が許容される。
【0393】
データが許容するように、治療終了の来院(来院11回目)からの濃度データを使用して、(R)-化合物1及び任意の測定された代謝産物について、以下の血漿PKパラメータが決定された:
●Cmax
●Tmax;及び
●時間0から最後の測定された血漿濃度の時点までのAUC。
【0394】
(ii)薬力学評価
PD解析用の血液試料は、表17に指定されているように、来院4回目、7回目、8回目、及び11回目の投与前に収集される。24時間採尿からの尿試料は、表17に指定されているように、来院4回目及び11回目までの24時間にわたって採取される。
【0395】
血漿PD変数としては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:
●アルドステロン及びその前駆体(18-ヒドロキシコルチコステロン、コルチコステロン、及び11-デオキシコルチコステロン);
●PRA;並びに
●コルチゾール(総)及びその前駆体11-デオキシコルチゾール。
【0396】
総コルチゾールに変化が認められた場合、遊離コルチゾールの測定が行われる。
【0397】
血漿電解質のレベル(標準安全性化学パネルの一部として収集、表19を参照)は、PD解析で使用される。
【0398】
【表24】
【0399】
【表25】
【0400】
尿中アルドステロン及び尿電解質レベルも、来院4回目及び11回目の前の24時間採尿から評価される。尿電解質レベルとしては、尿中ナトリウム及びカリウムが挙げられるが、これらに限定されない(表18を参照)。
【0401】
PD試料は、患者がベッドから出ておよそ2時間の間に、5~15分間座った後、臨床施設で、朝に収集される。試料は、必要に応じて検証済みの方法を使用して解析される。
【0402】
(iii)ゲノム薬理評価
単一の、任意選択の、ゲノム薬理学血液試料は、無作為化後いつでも収集できる。ゲノム薬理学試料は、(R)-化合物1の投与後のPK、PD、及び/若しくは安全性データにおける応答の変動、並びに/又は差異の根本的な原因を調査するための遺伝子研究に使用することができる。
【0403】
患者には、同意プロセス中にゲノム薬理学評価に参加する選択肢が与えられる。任意選択のゲノム薬理学評価に参加するために書面によるインフォームドコンセントを提供した患者の場合、血液試料は無作為化後いつでも収集される。患者は、試験参加の同意を撤回することなく、試験期間中いつでもゲノム薬理学評価への参加の同意を撤回することができる。
【0404】
安全性評価
(i)安全性評価項目
(R)-化合物1の安全性は、インフォームドコンセントの時点から経過観察期間の終了まで評価される。全ての安全性評価項目が説明的にまとめられる。
【0405】
安全性評価項目は以下を含む:
●バイタルサイン、起立BP及び心拍数、身体検査、心電図検査、体重測定、並びに標準安全性化学パネル、血液学、凝固、及び尿検査を含む臨床検査評価;
●TEAE;
●試験治療下で発現したSAE;
●試験薬の早期中止に至るTEAE;
●試験治療下で発現した顕著な臨床検査異常;並びに
●ベースラインから治療終了(来院11回目)までの平均起立SBP及びDBP(臨床施設での投与前に測定)の変化。
【0406】
(ii)有害事象
AEは、臨床研究において、医薬品を投与された患者に発生する、必ずしもこの治療との因果関係を有さない、望ましくない医学的出来事として定義される。したがって、AEは、試験薬に関連しているかどうかに関係なく、試験薬の使用に一時的に関連する、好ましくない及び/若しくは意図しない兆候(検査所見の異常を含む)、症状、又は疾患である可能性がある。観察された若しくは自発的に発生した問題、苦情、又は症状を含む全てのAEを記録されなければならない。臨床施設は、最初の無作為化試験薬投与来院時(来院4回目)又は来院11回目(EOT)で開始及び/又は終了したAEの発生時間(時間、分)を記録する。
【0407】
臨床検査試験の変数を含むAEは、インフォームドコンセントの時点から経過観察期間の終了まで監視され、文書化される。患者は、その事象が試験薬によるものであると考えるかどうかにかかわらず、経験するあらゆる有害事象を報告するよう指導されなければならない。スクリーニングから始めて、各来院時にAEの評価を行う必要がある。
【0408】
可能ならいつでも、個々の関連する兆候及び症状ではなく、特定の疾患及び症候群を特定する必要がある。しかしながら、観察若しくは報告された徴候又は症状が特定の疾患又は症候群の構成要素とみなされない場合は、それを記録する必要がある。更に、医学的又は外科的処置(例えば、手術、内視鏡検査、抜歯、又は輸血)を引き起こした病態は、処置そのものではなく、AEとして記録されなければならない。
【0409】
スクリーニング時にすでに存在していた任意の病状は、病歴として記録されなければならず、試験中のいかなる時点においても、ベースライン時に存在する病態又は兆候又は症状の重症度、頻度、又は重篤度が変化する場合を除き、AEとして報告されない。この場合は、AEとして報告されなければならない。
【0410】
試験中に検出された又はスクリーニング時に存在し、試験中に著しく悪化した臨床的に有意な異常な検査所見又はその他の検査(例えば、ECG)所見は、以下に説明するようにAEとして報告されなければならない。臨床試験中に発生する臨床的に有意な異常な検査値は、反復検査が正常に戻るか、安定するか、又は臨床的に有意でなくなるまで追跡される。エラーと判断された異常な試験結果は、AEとして報告されるべきではない。検査異常又はその他の異常な臨床所見(例えば、ECG異常)は、以下のいずれかに該当する場合、AEとして報告されなければならない:
●異常の結果として介入が必要な場合;又は
●異常の結果として試験薬でとられた措置が必要な場合。
【0411】
薬物副作用
投与量に関係なく、試験薬に対する全ての有害且つ意図しない反応は、副作用とみなされなければならない。試験薬に対する「反応」は、試験薬とAEとの間の因果関係が、少なくとも合理的な可能性があること、即ち、その関係は除外することができないことを意味する。
【0412】
予期せぬ薬物副作用
予期せぬ薬物副作用は、その性質又は重症度が該当する製品情報と一致しない副作用として定義される。
【0413】
有害事象の評価
各AEの重症度(強度)は軽度、中等度、又は重度として評価され、また、「はい」又は「いいえ」のカテゴリを使用して、各AEを試験薬との潜在的な関係に関して分類する。
【0414】
重症度の評価
軽度-容易に許容できる事象であり、概して通常の日常生活に支障をきたすことはない。中等度-通常の日常生活に支障をきたすほど十分に不快な事象。重度-仕事ができなくなる、又は通常の日常活動ができなくなる事象。
【0415】
因果関係評価
AEと試験薬の投与との関係は、以下の定義に従って評価される。
いいえ(関連性がない、関連性が低い可能性がある)-試験薬の投与からAEの発生又は悪化までの時間経過から因果関係は否定され、別の原因(併用薬、治療法、合併症など)が疑われる。
はい(場合により、おそらく、又は間違いなく関連している)-試験薬の投与からAEの発生又は悪化までの時間経過は因果関係と一致しており、他の原因(併用薬、治療法、合併症など)は特定できない。
【0416】
この定義は、事象と試験薬との間の因果関係の合理的な可能性を意味する。これは、因果関係を示唆する事実(根拠)又は議論があることを意味する。
【0417】
次のファクターも考慮されなければならない:
●試験薬投与の時系列。事象は試験薬の投与後に発生しなければならない。試験薬に曝露されてから事象が発生するまでの時間の長さは、事象の臨床状況に応じて評価されなければならない。
●基礎疾患、付随疾患、併発疾患。各報告は、治療される疾患及び患者が罹患している可能性のあるその他の疾患の本来の病歴及び経過を考慮して評価される必要がある。
●併用薬。患者が服用している他の薬物又は患者が受けている治療を調べて、それらのいずれかが問題の事象を引き起こすと認識されるかどうかを判断しなければならない。
●このクラスの試験薬の既知の反応パターン。臨床データ及び/又は前臨床データは、特定の反応がクラス効果である可能性が高いかどうかを示す場合がある。
●身体的及び/又は精神的ストレスへの曝露。ストレスにさらされると、レシピエントに有害な変化が引き起こされ、その事象について論理的且つより適切な説明が得られる可能性がある。
●試験薬の薬理学及びPK。試験薬の既知の薬理特性(吸収、分布、代謝、及び排泄)が考慮されなければならない。
【0418】
特に注目すべき有害事象
各患者は、この試験への患者の参加期間中、事前に定義された特に注目すべき有害事象(AESI)の臨床的根拠及び臨床検査上の根拠がないか監視される。
【0419】
AESIに関する任意の追加情報は詳細に評価される。
【0420】
この試験の場合、AESIは以下を含む:
●臨床介入が必要な低血圧事象;
●臨床介入が必要なナトリウムレベル;又は
●臨床介入が必要なカリウムレベル。
【0421】
AESIは記録されなければならない。
【0422】
(iii)重篤な有害事象
AE又は副作用に次のいずれかの結果が生じる場合、重篤とみなされる:
●死亡;
●生命を脅かすAE。AE若しくは副作用が発生し、患者が即座に死の危険にさらされる場合、その副作用は「生命を脅かす」とみなされる。これは、より重症型で発生した場合に死亡の原因となったかもしれない事象は含まない。
●入院若しくは既存の入院の延長を要する:
少なくとも1泊滞在を伴う任意の入院(hospital admission)は入院患者としての入院(hospitalization)とみなされる。入院を伴わない緊急治療室若しくは緊急治療の来院は、この基準ではSAEとして記録されず、また、インフォームドコンセントの署名前にスケジュールされた若しくは計画された処置のための入院、若しくはベースラインから悪化しなかった既存病態の選択的治療のための入院も記録されない。しかしながら、待機手術中に発生する予期せぬ合併症及び/若しくは入院の延長は、AEとして記録し、重症度を評価しなければならない。社会的若しくは状況的な理由による入院(例、滞在する場所がない、遠方に住んでいて通院できない、レスパイトケアなど)は入院患者としての入院とみなされない;
●持続的若しくは有意な障害/不能、若しくは正常な生活機能を行う能力の実質的な失調;
●先天性異常/先天性欠損症;又は
●重要な医療事象。上記の基準のいずれも満たさない重要な医療事象は、適切な医学的判断に基づいて患者を危険にさらす可能性があり、上記の結果の1つを防ぐために医学的又は外科的介入が必要になる可能性がある場合、SAEとみなされる場合がある。そのような医療事象の例としては、救急治療室又は自宅での集中処置を必要とするアレルギー性気管支痙攣、血液疾患、又は入院患者としての入院若しくは薬物依存症の発症には至らない痙攣が挙げられる。
【0423】
(iv)過剰投与の報告
過剰投与とは、1回の投与又は累積で(偶然又は意図的に)与えられる試験薬の量の投与を指し、これは治験実施計画書に従って推奨される最大推奨用量を超えている。
【0424】
薬物の受容性に矛盾がある場合、過剰投与は、患者が追加用量を服用したことが明らかな場合、又は患者が追加用量を服用したと疑われる場合にのみ確立される。
【0425】
(v)カリウムレベルの安全性調査及び管理
血清カリウムレベルは、試験全体を通じて体系的に監視される。カリウムは、表17で記載のように各来院時に中央研究所で測定される。カリウムレベル予定外の評価は、患者の急性期管理の必要に応じて完了されなければならない(例えば、中央研究所のカリウム値の上昇、臨床状態の急性変化、脱水症状の疑いなどからの経過観察)。
【0426】
血清カリウムが≧5.5mEq/L及び<6mEq/Lである場合、患者は、再検査のために直ちに臨床施設に出向かなくてはならないが、試験薬の投与は継続できる。
【0427】
血清カリウムが≧6mEq/Lである場合、患者は試験薬の投与を一時中止し、再検査のために直ちに臨床施設に出向かなくてはならない。
【0428】
(vi)臨床検査評価
標準安全性化学パネル、血液学、及び凝固のための血液試料が採取され、表17に示されているように評価される。PD試料は表17に示すように採取され、評価される。PK試料は表17に示すように採取され、評価される。検体の完全なリストについては、表18を参照されたい。
【0429】
表17に示すように、妊娠の可能性のある女性患者に対して血清又はPOC妊娠検査が実施される。
【0430】
尿試料(24時間採尿試料を含む)は表17に示すように採取され、完全な尿検査のための施設ガイドラインに従って中央研究所で評価される。
【0431】
ゲノム薬理学評価のための血液試料は、シンシナティ小児病院医療センター(Cincinnati Children’s Hospital Medical Center)で保管及び解析される。
【0432】
スクリーニング臨床検査の評価は、異常がある場合、適格性の目的で1回繰り返すことができる。
【0433】
(vii)バイタルサイン及び血圧測定
バイタルサインは、心拍数、呼吸数、及び体温を含む。起立性バイタルは、起立BP及び起立心拍数を含む。バイタルサイン及びBPは、表17に示すように、次の標準化された手順を使用して来院時に測定される:
●患者は、バイタルサイン及びAOBPMの評価の30分前に、運動、喫煙、又はカフェイン入り飲料若しくは食物の摂取をすべきではない;
●試験薬が投与される際の来院時に、投与前にバイタルサイン及びBPが評価される;
●バイタルサイン及びBP測定値は、ECG記録の前に取得されなければならない;並びに
●AOBPMによりBPを測定する場合、次の追加の標準化された手順が推奨される:
○患者は、背中を支え、足を床に平らにし、マノメーターのカフの中点が心臓の高さになるように測定腕を支えて、検査室に少なくとも5分間座っていなければならない;
○指定されたAOBPM装置が各臨床施設に提供され、全ての試験関連の測定に使用しなければならない;
○適切なサイズのカフを使用し、ブラダーが上腕動脈の中心にくるようにしなければならない;
○測定に使用したカフのサイズ及び腕を記録しなければならない;
○スクリーニング時により高い平均BP値を有する腕を、スクリーニング及びその後のBP測定に使用しなければならない;
○全てのBP測定値は、スクリーニング測定値が得られる日とほぼ同時に得られなければならない。
○3回の座位BP測定値(各測定は1~2分間隔で行う)は、各臨床施設来院時に、同じ腕及びAOBPM装置を使用して取得しなければならない。平均座位BPは、任意単回臨床施設来院時の3回の座位BP測定値の平均と定義される。
○SBP測定値の最低及び最高の差が>15mmHg離れている場合、追加の読み取りを実施しなければならない;並びに
○一旦、座位BPが決定されたら、患者に立つように依頼し、60秒後に必要に応じて起立BP及び心拍数を1回測定する。
【0434】
(viii)心電図
標準12誘導ECGは、表17に記載されるように、来院1回目、4回目、及び11回目に記載のように実施する。ECGは、患者が少なくとも10分間仰臥位で休んだ後に実施される。12誘導ECGは印刷され、可能な限りすぐに解釈される。無作為化時、治療終了時、及び早期中止来院時に収集された全てのECGは、異常の存在を評価しなければならない。標準ECGパラメータを測定し、以下のECGパラメータを記録する:
●QRS間隔;
●心拍数;
●RR間隔;
●QT時間;及び
●QTc(QTcF)。
【0435】
ベースライン心電図からの臨床的に意味のある変化としては、以下のものが挙げられるがこれらに限定されない:
●QTcF≧450ミリ秒(男性);
●QTcF≧470ミリ秒(女性);
●QTcFがベースラインから>60ミリ秒増加;又は
●QTcFがベースラインから≧6%増加。
新たな発症所見には以下が含まれるが、これらに限定されない:
●2度房室(AV)ブロック(モービッツII型);
●3度房室ブロック(完全心ブロック);
●急性心筋梗塞;
●新しい左脚ブロック;
●重度の徐脈(心室レート≦40bpm);
●上室性頻拍(心室レート≧150bpm);
●トルサードドポアント;
●心室頻拍(レートに関係なく≧3拍);
●心室細動;又は
●心房細動/心房粗動(心室レート≧150bpm)。
【0436】
(ix)身体検査
完全な身体検査は、一般的な外観、皮膚、頭、目、耳、口、中咽頭、首、心臓、肺、腹部、四肢、及び神経筋系の評価が含まれ、表17に示すように来院1回目及び11回目で実施される。
【0437】
制限付き身体検査は、一般的な外観、皮膚、心臓、肺、及び腹部といった最小のものからなり、他の臨床施設来院時に実施される。
【0438】
(x)身長及び体重
体重は、表17に示される来院時に測定される。来院1回目に測定された身長を使用して、次回の来院時にBMIを計算する。患者は靴をぬいで、身長を測定する。体重は、患者が靴を脱いで、患者の膀胱が空になった後測定される。
【0439】
統計
(i)解析母集団
治療企図母集団(ITT):ITT母集団は、試験に無作為化された全ての患者を含む。治療分類は、無作為化された治療に基づく。
【0440】
修飾された治療企図母集団(mITT):mITT母集団は、任意の試験薬を少なくとも1回投与され、SBP評価のベースライン値を有するITT母集団内の全ての患者を含む。現在の試験デザインの範囲外で、患者が制限されたBP変更療法を受けた後に得られた有効性測定は、mITT解析から削除される。治療分類は、無作為化された治療に基づく。mITT母集団は、全ての有効性評価項目の一次解析に使用される。
【0441】
治験実施計画書に適合した母集団(PP):PP母集団は、SBP評価のベースライン値を有し、SBP評価の治療終了来院(来院11回目)値を有し、主要な有効性評価項目に影響を与える可能性のある重大な治験実施計画書の逸脱を経験していない、mITT母集団内の全ての患者を含む。除外の理由とともに、PP母集団は、試験の非盲検化の前に最終決定される。
【0442】
安全性の解析対象集団:安全性の解析対象集団は、任意の無作為化された試験薬の少なくとも1回の投与を受ける全ての患者を含む。治療分類は、受ける実際の治療に基づいて行われる。安全性の解析対象集団は、安全性解析に使用される主要母集団になる。
【0443】
薬物動態母集団:PK母集団は、少なくとも1つの定量可能な血漿濃度を有するmITT母集団における全ての患者を含む。
【0444】
薬力学母集団:PD母集団は、少なくとも1つの定量可能な濃度のPD変数を有するmITT母集団における全ての患者を含む。
【0445】
(ii)統計方法
試験で収集された全てのデータは、記述統計、グラフ、及び/又は生データのリスト化を使用して治療群ごとにまとめられる。連続変数の記述統計は、患者の数(n)、平均値、標準偏差(SD)、中央値、最小値、及び最大値を含む。カテゴリ変数の分析には、頻度及びパーセンテージが含まれる。
【0446】
有効性解析
PP母集団は、有効性解析の主要母集団になる。有効性は、裏付け解析としてITT母集団及びmITT母集団を使用して解析される。
【0447】
主要な有効性解析は、(R)-化合物1及びプラセボの各用量強度間で、ベースライン(来院4回目)から治療終了(来院11回目)までの平均座位SBPの変化を比較する。反復測定混合モデルは、この解析を実施するために使用される。解析には、ベースライン値の共変量とともに、治療、来院、及び来院ごとの治療(treatment-by-visit)の相互作用の固定効果が含まれる。制限された最大尤度推定アプローチは、非構造化共分散行列とともに使用される。各治療群及びプラセボ群に対する(R)-化合物1の各用量強度のペアワイズ比較について、最小二乗平均、標準誤差、及び両側95%信頼区間が提供される。主要な評価項目の全体的なαレベルを保護するために、仮説試験が順次実施される。最初の比較は、両側α=0.05レベルでの最も高い実薬投与群とプラセボとの間で行われる;有意な場合は、次に高い実薬投与群を両側α=0.05レベルでプラセボと比較する。仮説試験は、比較が有意でなくなるまで、このステップダウン方式で進む。その点で、残りの全ての連続試験は有意ではないとみなされる。
【0448】
欠落データは、複数の代入手法を使用して代入される。結果はRubinの方法を使用して合わせられる。
【0449】
同様のモデルを使用してDBP変数及びPD変数を解析する。ロジスティック回帰分析は、治療群のモデル共変量、ベースラインSBP、及びベースラインDBPを使用してバイナリ評価項目を解析するために使用される。副次的な有効性評価項目を試験する際の多重度の調整は行われない。
【0450】
安全性分析:安全性の解析対象集団は、安全性解析の主要母集団になる。全ての安全性評価項目が説明的にまとめられる。
【0451】
薬物動態解析
(R)-化合物1及び任意の測定された代謝産物の個々の血漿濃度データがリスト化され、PK母集団の来院、時点、及び治療群ごとにまとめられる。
【0452】
試験のパートBに参加の患者の場合、(R)-化合物1及び任意の測定された代謝産物の関連パラメータは、個々の患者ごとにリスト化され、実薬治療について治療別にまとめられる。(R)-化合物1及び任意の測定された代謝産物の平均並びに個々の血漿濃度は、パートBでの患者のレジメンごとに時点に対してプロットされる。
【0453】
薬力学解析:PD母集団は、PD解析の主要母集団になる。全てのPD変数が説明的にまとめられる。
【0454】
薬物動態-薬力学解析:データが許せば、血漿濃度及びパラメータを安全性、PD、及び/又は有効性の尺度と相関させる試みが行われる。
【0455】
中間解析:安全性データの以前のレビューに基づいて、正式な非盲検中間解析が実施され得る。
【0456】
(iii)試料サイズの決定
パートA
少なくとも308人の評価可能な患者(即ち、1つの治療群当たり77人の患者)の試料サイズは、0.05の両側有意レベルでプラセボと比較した(R)-化合物1の3つの用量強度による12週間の治療後の平均座位SBP(SD=11mmHg)の5mmHgの差を検出する>80%のパワーを提供する。
【0457】
この試験用の試料サイズは、上記の主要な有効性評価項目の解析に十分なパワーを提供するために決定された。したがって、およそ13%の脱落率を仮定すると、この試験にはおよそ348人の患者(即ち、1つの治療群当たり87人の患者)の登録が計画されている。
【0458】
患者は、ベースラインSBP(<145又は≧145mmHg)及びベースライン糸球体濾過量(<60又は≧60mL/分/1.73m)によって階層化される。
【0459】
パートB
患者のおよそ10~15%がこの任意選択のサブ試験に参加すると予想される。試料サイズは、明示された目的をサポートするために、正式な統計的考慮なしに経験的に選択された。提案された試料サイズは、rHTN患者における(R)-化合物1のPKを特徴付けるのに適切であると考えられる。
【0460】
実施例8
試験目標:
この試験の目標は以下のとおりであった:
●即時放出メトホルミンの薬物動態(PK)への化合物1の影響を評価すること;並びに
●メトホルミン単独と比較した、化合物1及びメトホルミンの同時投与の安全性及び忍容性を評価すること。
【0461】
方法論:
これは、メトホルミンのPKへの化合物1の影響、並びにメトホルミン単独と比較した、化合物1及びメトホルミンの同時投与の安全性及び忍容性を評価するための無作為化、非盲検、2期、クロスオーバー、第1相試験であった。最小で24人の被験者が両方の治療期間を完了するという意図で、最大32人の被験者が試験に登録されることになった。被験者は、治療期間1の1日目に、以下の2つの治療順序(AB又はBA)のうちの1つに無作為に割り当てられた:
●治療A:単回1000mg用量の即時放出メトホルミン;及び
●治療B:10mg用量の化合物1と同時投与される単回1000mg用量の即時放出メトホルミン。
【0462】
注:単回10mg用量の化合物1の投与2時間後にメトホルミンを投与した。
【0463】
被験者は、各治療期間の1日目の朝に試験薬を投与された。
【0464】
各対象について、試験は以下からなる:
●最長26日のスクリーニング期間;
●2回の4日間の入院期間(チェックインから治療の完了まで)、各々の期間は試験薬の単回投与(メトホルミン単独又は化合物1との同時投与)とそれに続く3日間のPKサンプリングで構成されていた;並びに
●治療期間2の完了から3日(±1日)後に経過観察の電話。
【0465】
各治療期間における試験薬の投与の間には、最小10日間の休薬期間があった。被験者は、各治療期間の投与前日のチェックインから、各治療期間の最終PK試料の収集まで閉じ込められた。
【0466】
安全性は、試験全体を通じて、有害事象(AE)、身体検査、体重測定、心電図(ECG)、バイタルサイン評価(座位及び起立性)、及び臨床検査評価に基づいて評価された。
【0467】
臨床的に有意な異常な検査所見、未解決の試験治療下で発現したAE(TEAE)、経過観察検査機関及びレビューを必要とする重篤なAE(SAE)、並びに臨床的に有意なAEを有する被験者には、予定外の処置若しくは来院、及び/又は追加の経過観察が必要となる場合がある。
【0468】
治療の期間:
2回の4日間の入院期間(チェックインから治療の完了まで)があり、各々の期間は試験薬の単回投与(メトホルミン単独又は化合物1との同時投与)で構成されていた。各治療期間における試験薬の投与の間には、最小10日間の休薬期間があった。
【0469】
被験者の数:
計画:最大32人の計画された被験者
スクリーニング:51人のスクリーニングされた被験者
無作為化:27人の無作為化された被験者
完了:26人の完了した被験者
中止:1人の試験を中止した被験者
【0470】
組入れのための診断及び主要な基準:
この試験のための母集団は、ボディマス指数(BMI)が18~30kg/m(両端の値を含む)である、年齢18~55歳(両端の値を含む)の健康な被験者であって;病歴/手術歴及び精神病歴、身体検査、ECG、バイタルサイン(座位及び起立性)、及び定期的な臨床検査(血清化学、血液学、及び尿検査)に基づいて良好な健康状態にあり;正常な腎機能を有し;且つ非喫煙者である被験者が含まれる。
【0471】
治験薬及び対照薬の情報:
化合物1は、5mgの経口錠剤として供給された。即時放出メトホルミンは、500mgの経口錠剤として商業供給者から入手した。
【0472】
評価基準:
薬物動態:
以下の血漿PKパラメータが化合物1及びその一次代謝産物(化合物1-代謝産物)について決定された:
●濃度-時間プロファイルから直接決定される、観察された最大血漿濃度(Cmax);
●最大値が複数の時点で発生した場合、最大値を有する最初の時点として定義される、Cmaxに対する時間(Tmax);
●終末対数線形相の点を使用した線形最小二乗(LS)回帰分析によって計算される、血漿濃度対時間曲線の片対数プロットから計算された見かけの終末相の一次消失速度定数(λ);
●0時間から24時間までの濃度-時間曲線下面積(AUC)(AUC0-24);
●時間0から72時間までのAUC;
●0時間から最後の定量可能な血漿濃度の時点までのAUC(AUC0-t)+最後の定量可能な血漿濃度(Clast)/λとして計算される、0時間から無限時間までのAUC(AUC0-inf)(化合物1のみ);及び
●(1-AUC0-t/AUC0-inf)×100として表される、外挿されたAUC0-infのパーセント(AUC%extrap)(化合物1のみ)。
【0473】
メトホルミンについては、次の血漿PKパラメータが決定された:
●濃度-時間プロファイルから直接決定される、Cmax
●最大値が複数の時点で発生した場合、最大値を有する最初の時点として定義される、Tmax
●終末対数線形相の点を使用した線形LS回帰分析によって計算される、λ
●AUC0-24
●AUC0-t
●(AUC0-t+Clast/λ)として計算される、AUC0-inf
●(1-AUC0-t/AUC0-inf)×100として表される、AUC%extrap;及び
●ln(2)/λとして計算される、終末相消失半減期;
【0474】
メトホルミンについては、次の尿PKパラメータが決定された:
●尿中に排泄されたメトホルミンの累積量(尿中に排泄された薬物の累積量[Ae]);
●Ae/AUCとして計算される、腎クリアランス;及び
●100×Ae/用量として計算される、腎臓から排泄された用量の割合。
【0475】
安全性:
以下の安全性評価を実施した:
●AE及びSAE;
●臨床検査試験評価;
●心拍数、血圧(BP)(指示がある場合は起立性BPを含む)、呼吸数、及び体温を含むバイタルサイン;
●12誘導ECG:
●身体検査;並びに
●身長、体重、及びBMI。
【0476】
統計方法:
解析母集団:
安全性の解析対象集団は、任意の試験薬(化合物1又はメトホルミン)を受けた全ての無作為化被験者からなった。
【0477】
PK母集団は、任意の試験薬(化合物1又はメトホルミン)を受け、化合物1、メトホルミン、又は任意の測定された代謝産物についての少なくとも1つの定量可能な投与後血漿濃度を有する全ての被験者を含んだ。
【0478】
PK評価可能母集団は、任意の試験薬(化合物1又はメトホルミン)を受け、化合物1、メトホルミン、又は任意の測定された代謝産物のうちの少なくとも1つのPKパラメータを特徴付けるのに十分な血漿濃度データを有する全ての被験者を含んだ。
【0479】
薬物動態解析:
化合物1、その一次代謝産物(化合物1-代謝産物)、及びメトホルミンの血漿濃度は、PK評価可能母集団の記述統計を使用して、個々の被験者ごとにリスト化され、治療ごとにまとめられた。化合物1、化合物1-代謝産物、及びメトホルミンの血漿濃度は、治療別の時点に対してプロットした(平均及び個々)。平均濃度は、公称のサンプリング時間に対してプロットするとともに、個々の濃度は、実際のサンプリング時間に対してプロットした。
【0480】
メトホルミンの尿濃度は、個々の被験者によりリスト化され、PK評価可能母集団の記述統計を使用して治療ごとにまとめられた。時点及び治療(個々及び平均)ごとのAeのプロットも提示した。
【0481】
血漿及び尿PKパラメータは、必要に応じてノンコンパートメント法を使用して決定された。パラメータは、個々の被験者によりリスト化され、PK母集団の記述統計を使用して治療ごとにまとめられた。
【0482】
メトホルミンのPKパラメータの対数変換は、固定効果として順序、治療群、及び期間の項、並びに無作為化効果として順序内にネストされた被験者を含む混合モデルを使用して解析された。
【0483】
PKパラメータ解析は、PK母集団に基づいた。
【0484】
安全性:
安全性解析は、安全性の解析対象集団に基づいて試験全体を通じて実施された。安全性は、AEの評価、身体検査、ECG、体重測定、バイタルサイン評価(座位及び起立性)、及び臨床検査評価全体を通じて評価された。
【0485】
TEAEは、各治療及び全体について、ICH国際医薬用語集器官別大分類(SOC)及び基本語(PT)によりまとめられた。
【0486】
安全性の解析対象集団は、全ての安全性解析に使用された。以下のAEの概要が各部分に提示された:
●AE重症度(最悪時)ごとの内訳による治療及び全体ごとのTEAEの全体的なまとめ;
●治療ごとのSOC及びPTによるTEAE;
●治療ごとのSOC、PT、及び試験薬又はメトホルミンとの関係によるTEAE;
●治療ごとのSOC、PT、及び重症度(最悪時)によるTEAE;並びに
●治療ごとのSOC、PT、重症度(最悪時)、及び試験薬との関係によるTEAE。
【0487】
SAE、死に至るAE、及び試験中止に至るAEについては個別のリストを準備した。
【0488】
安全性検査値及びベースラインからの変化は、必要に応じて、収集の各時点で治療群ごとに説明的にまとめられた。臨床検査結果には、正常範囲外のシフトを示すシフト表が提供された。全ての安全性検査データはデータリストで提供された。
【0489】
妊娠試験結果、薬物及びアルコール試験結果、並びにウイルス血清の結果がリスト化された。
【0490】
バイタルサイン;連続ECGパラメータ;身長、体重、及びBMI値、並びにベースラインからの変化は、収集の各時点で治療群ごとに説明的にまとめられた。全てのデータをリスト化した。
【0491】
身体系ごとの身体検査結果は、収集の各時点で治療群ごとにまとめられ、所見がリスト化された。
【0492】
結果の概要:
薬物動態:
メトホルミンについての血漿濃度-時間曲線は、化合物1の存在下と非存在下でほぼ同一であった。図13及び図14を参照されたい。
【0493】
メトホルミン血漿Cmax、AUC0-inf、及びAUC0-tについての治療B:治療Aの幾何LS平均の比は、全て100%に近づき、90%信頼区間値は80%~125%の許容範囲内に収まり、メトホルミンへの全身曝露が化合物1の影響を受けなかったことを示している。
【0494】
化合物1の効果が観察されないことと一致して、メトホルミンの尿中排泄は、化合物1の存在下と非存在下で定性的及び定量的に類似していた。
【0495】
安全性:
本試験の安全性結果は、メトホルミンが単独で投与された場合、又は化合物1の単回10mg投与の2時間後に投与された場合、良好な忍容性があることを示した。死亡、SAE、又はTEAEによる中止はなく、メトホルミンが単独で投与される場合に対して、メトホルミン及び化合物1が同時投与される場合でも、AEの発生率に目立った増加はなかった被験者により経験された全てのTEAEの重症度は軽度であった。単回高用量のメトホルミンで予想されるとおり、最も頻繁に発生したTEAEは胃腸関連であった。検査パラメータ又は身体検査結果に、傾向又は臨床的に意味のある変化はなかった。バイタルサイン又は12誘導ECG所見で観察される臨床的に有意な変化はなかった(QTcFの意味のある変化は含まない)。
【0496】
結論:
メトホルミンは、単独で投与された場合、又は化合物1の投与の2時間後に投与された場合、良好な忍容性であった。化合物1は、メトホルミン単独の投与と比較した場合、メトホルミン血漿濃度の増加、又はメトホルミン腎クリアランスの減少をもたらさなかった。この試験からの結果に基づいて、メトホルミンが化合物1と同時投与される場合のメトホルミンの用量調整は必要ないと考えられる。
【0497】
これは、メトホルミンのPKへの化合物1の影響、並びにメトホルミン単独と比較した、化合物1及びメトホルミンの同時投与の安全性及び忍容性を評価するための無作為化、非盲検、2期、クロスオーバー、第1相試験であった。最小で24人の被験者が両方の治療期間を完了するという意図で、最大32人の被験者が試験に登録されることになった。被験者は、治療期間1の1日目に、以下の2つの治療順序(AB又はBA)のうちの1つに無作為に割り当てられた:
・治療A:単回1000mg用量の即時放出メトホルミン;及び
・治療B:10mg用量の化合物1と同時投与される単回1000mg用量の即時放出メトホルミン。
【0498】
注:単回10mg用量の化合物1の投与2時間後にメトホルミンを投与した。
【0499】
被験者は、各治療期間の1日目の朝に試験薬を投与された。
【0500】
各対象について、試験は以下からなった:
・最長26日のスクリーニング期間;
・2回の4日間の入院期間(チェックインから治療の完了まで)、各々は試験薬の単回投与(メトホルミン単独又は化合物1との同時投与)とそれに続く3日間のPKサンプリングで構成されていた;並びに
・治療期間2の完了から3日(±1日)後に経過観察の電話。
【0501】
各治療期間における試験薬の投与の間には、最小10日間の休薬期間があった。被験者は、各治療期間の投与前日のチェックインから、各治療期間の最終PK試料の収集まで閉じ込められた。
【0502】
安全性は、試験全体を通じて、AE、身体検査、体重測定、ECG、バイタルサイン評価(座位及び起立性)、及び臨床検査評価に基づいて評価された。
【0503】
臨床的に有意な異常な検査所見、未解決のTEAE、経過観察検査機関及びレビューを必要とするSAE、並びに臨床的に有意なAEを有する被験者には、予定外の処置若しくは来院、及び/又は追加の経過観察が必要となる場合がある。
【0504】
試験母集団の選択
組入れ基準
スクリーニング及びチェックイン(治療期間1)の結果に基づいて以下の基準の全てを満たした被験者が試験の参加に適格であった:
1.スクリーニングで18~55歳(両端の値を含む)の健康な対象;
2.ボディマス指数(BMI)が18~30kg/m(両端の値を含む);
3.病歴/手術歴及び精神病歴、身体検査、ECG、バイタルサイン(座位及び起立性)、並びに定期的な臨床検査(血清化学、血液学、及び尿検査)に基づく良好な健康状態;
4.スクリーニング及び-1日目に推定糸球体濾過量≧85mL/分/1.73mと定義される、正常な腎機能;
5.スクリーニング来院前の少なくとも6カ月間、ニコチン含有製品(即ち、タバコ、ニコチンパッチ、ニコチンチューインガム、又は電子タバコ)を使用していなかった非喫煙者;
6.妊娠の可能性のある女性パートナーがいる男性被験者は、試験薬の最終用量投与後1日目から90日間、医学的に認められた非常に効果的な2つの避妊方法を使用することに同意していなければならなかった(臨床試験治験実施計画書[付録16.1.1]のセクション5.6.2による);
7.男性被験者は、試験薬の最終投与後1日目から90日間精子提供を控えることに同意しなければならなかった;
8.男性パートナーがいる女性被験者は、外科的に不妊(子宮摘出術及び/又は両側卵巣摘出術)であるか、閉経後少なくとも1年経過(卵胞刺激ホルモンが閉経後の範囲にある)しているか、又は試験薬の最終用量投与後-14日目から60日まで、医学的に認められた非常に効果的な2つの避妊方法を使用することに同意していなければならなかった(臨床試験治験実施計画書[付録16.1.1]のセクション5.6.2による);並びに
9.試験手順及び制限を理解し、進んで遵守することができた(試験施設への閉じ込め、絶食及び食事制限、並びに身体活動、娯楽用の薬物又はアルコールの使用、投薬の制限が含まれる)、並びに制度及び規制のガイドラインに従って書面によるインフォームドコンセントが提供された。
【0505】
除外基準
スクリーニング及びチェックインの結果に基づいて以下の基準のいずれかを満たした被験者は、試験への参加から除外された:
1.実験的治療試験に積極的に参加していた;試験薬の1回目の投与の30日以内若しくは5倍の半減期のどちらか長い方に化合物1以外の低分子による実験的治療、若しくは試験薬の1回目の投与の90日以内若しくは5倍の半減期のどちらか長い方に大きな分子による実験的治療を受けていた;
2.QT延長症候群、トルサード・ド・ポワント(Torsades de Pointes)、その他の複雑な心室性不整脈、若しくは突然死の個人若しくは家族歴があった;
3.心室頻拍、心室細動、心房細動、洞結節機能不全、若しくは臨床的に有意な心臓ブロックを含む、治験責任医師によって判断された、臨床的に有意な不整脈の病歴があった、若しくは現行で有していた。軽度の異所性症状(例えば、心房期外収縮)のある被験者は、必ずしも除外されるわけではなかった;
4.QTcFの延長(>450ミリ秒)を有した;
5.座位収縮期血圧(BP)が>140mmHg及び/若しくは拡張期BPが>90mmHgか、若しくは収縮期BPが<90mmHg及び/若しくは拡張期BPが<50mmHgであった;
6.安静時の心拍数が>100若しくは<50bpmであった;
7.口で測定した体温が>37.6°C(99.68°F)であり、若しくは呼吸数が<12回/分若しくは>20回/分であった;
8.体位性頻脈(即ち、起立時に>30bpm)若しくは起立性低血圧(即ち、起立時の収縮期BPが≧20mmHg若しくは拡張期BPが≧10mmHgの低下)を有した;
9.血清カリウム>基準範囲の基準値上限(ULN)及び血清ナトリウム<基準範囲の基準値下限を有した;
10.アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、アラニンアミノトランスフェラーゼ、若しくは総ビリルビン値が>1.2×ULNを有した;
11.ヒト免疫不全ウイルス抗体、C型肝炎ウイルス抗体、B型肝炎表面抗原、若しくはSARS-CoV-2 RNAについて陽性であった;
12.治験責任医師の意見において、(臨床検査の正常範囲に基づく)正常範囲を大幅に超えている任意の他の臨床検査値を有した;
13.ポルフィリン症、ミオパチー、若しくは活動性肝疾患の既知の病歴があった;
14.任意の臨床的に有意な免疫疾患、血液疾患、腎疾患、内分泌疾患、肺疾患、胃腸疾患、心血管疾患、筋骨格系疾患、肝疾患、精神疾患、神経疾患、若しくはアレルギー疾患(臨床的に有意な又は複数の薬物アレルギーを含む)の根拠若しくは病歴;手術状態;癌(皮膚の基底細胞癌若しくは扁平上皮癌、及びスクリーニング前に治癒若しくは5年以上寛解している癌を除く);若しくは治験責任医師の意見で、治験手順や結果を混乱させたり、被験者の安全性に影響を与えるか、若しくは試験薬の吸収、分布、代謝、若しくは排泄を妨げたりする可能性があると考えられる任意の病態(虫垂切除術は許可されるが、胆嚢摘出術は禁止される)があった;
15.糖尿病性ケトアシドーシスを含む急性若しくは慢性代謝性アシドーシスの根拠若しくは病歴があった;
16.乳酸アシドーシスの任意の以前のエピソードがあった;
17.試験薬の1回目の投与前の14日以内に造影剤を用いた放射線スキャンを受けた;
18.試験薬の1回目の投与前14日以内の若しくは5倍の半減期のいずれか長い方の期間内に、局所薬を含む任意の処方薬若しくは大衆薬(添付文書によると、アセトアミノフェン又はイブプロフェン若しくはナプロキセンなどの非ステロイド性抗炎症薬の時折の使用を除く);ハーブ系サプリメント;栄養補助食品;若しくは機能性食品を使用した、若しくは試験施設からの退院までこれらの薬を控える意思がなかった;
注:大衆局所薬の使用は、研究依頼者と相談して許可される場合があった。加えて、5倍の半減期が14日を超える薬の使用については、被験者の登録前に治験依頼者と話し合って承認されなければならなかった。
19.試験薬の1回目の投与前3カ月(90日)以内の副腎皮質ホルモンの使用(全身性又は広範な局所使用)があった;
20.精神障害の診断及び統計マニュアル、第4版に定義されているように、スクリーニング若しくはチェックイン時の薬物若しくはアルコール検査の結果が陽性であるか、若しくは試験薬の1回目の投与前2年以内にアルコール依存症若しくは薬物乱用の病歴があった;
21.週に≧14杯のアルコール飲料の典型的な摂取を有した;
注:アルコール1杯は、ビール半パイント(285mL)、スピリッツ1杯(25mL)、若しくはワイン1杯(125mL)に相当した;
22.過去2年以内に違法薬物使用の経歴若しくはその根拠があった;
23.チェックイン前の4週間以内に外科的処置を受けた(軽度の美容整形又は軽度の歯科処置を除く)、若しくは治療期間中に計画された待機手術があった;
24.治験責任医師が臨床的に有意でないと判断した場合を除き、チェックイン前の4週間以内に任意の病気を患っていた;
25.化合物1若しくはメトホルミンのいずれかの成分に対して既知のアレルギーを有していた;
26.重度のアレルギー反応の任意の病歴(薬物、食物、虫刺され、若しくは環境アレルゲンを含む)を有していた;
27.不適切な静脈へのアクセスを有した;
28.現在減量薬による治療を受けているか、若しくは以前に減量手術(胃バイパス手術など)を受けていた;
29.妊娠中、授乳中、若しくは試験中に妊娠する予定があった;又は
30.病歴及び精神病歴、身体検査及び臨床検査評価をレビューした後、治験責任医師が、参加中に被験者を危険にさらす可能性がある、若しくは試験結果の解釈を妨げる可能性のある任意のその他の理由により不適当であるとみなされた。
【0506】
治療又は評価からの被験者の除外
以下のいずれかの理由により、この試験の被験者の参加は中止され得る:
・被験者が任意の理由で同意を撤回するか、若しくは試験の中止を要求した;
・被験者を重大なリスクにさらす、及び/若しくは被験者が治験実施計画書の要件を遵守できないような任意の病状若しくは状況の発生;
・任意のSAE、臨床的に有意なAE、重度の臨床検査異常、併発疾患、若しくは継続的な参加が患者にとって最善の利益ではないと治験依頼者に指示されたその他の病状;
・妊娠;
・禁止されている併用薬の必要性(治験依頼者との相談後);
・治験実施計画書の要件若しくは試験関連の手順に従わない被験者;又は
・治験依頼者若しくは規制当局による試験の終了。
【0507】
治療
施された治療
各被験者は試験中に各治療を1回受けた。全ての被験者は、各期間に次のうちの1つを受けるように1回無作為に割り当てられた:
・治療A:単回1000mg用量の即時放出メトホルミン;又は
・治療B:10mg用量の化合物1と同時投与される単回1000mg用量の即時放出メトホルミン。
【0508】
注:単回10mg用量の化合物1の投与2時間後にメトホルミンを投与した。
【0509】
治験薬の同定
化合物1錠剤は、5mgの強度で提供され、高密度ポリエチレンボトルにパッケージ化された。化合物1錠剤は、活性成分として試験薬を含有し、不活性成分として、無水ラクトースと、微結晶セルロースと、クロスカルメロースナトリウムと、コロイド状二酸化ケイ素と、ステアリン酸マグネシウムと、を含有した。
【0510】
即時放出メトホルミン(500mg)は、商業供給者から入手した。
【0511】
被験者を治療群に割り当てる方法
被験者は、治療期間1の1日目に、事前に生成された無作為化スキームに従って2つの治療順序(AB又はBA)のうちの1つに無作為に割り当てられた:
【0512】
試験における用量の選択
先に完了したSAD及びMAD試験からのデータは、対象となる患者母集団では化合物1の治療用量≦10mgが予想されることを示唆している。非臨床評価の結果は、化合物1が、腎トランスポータであるMATE-1及びMATE2-Kの阻害剤である(時間に依存しない方法)ことを示した。そのようなものであるから、薬物相互作用の評価に関する食品医薬品局(Food and Drug Administration:FDA)のガイダンスと一致しており、単回10mg用量の化合物1を本試験で評価して、相互作用を検出する可能性を最大化させた。米国保健福祉省(US Department of Health and Human Services)・食品医薬品局(Food and Drug Administration)・医薬品評価研究センター(Center for Drug Evaluation and Research:CDER)を参照されたい。臨床薬物相互作用試験-シトクロムP450酵素とトランスポータ媒介薬物相互作用-業界向けガイダンス(2020年1月)。
【0513】
メトホルミンは、最大2550mg/日の用量での使用が承認されており、即時放出メトホルミンの個別用量は典型的には1000mgを超えない。グルコファージ(メトホルミン塩酸塩)[添付文書]Princeton, NJ, Bristol-Myers Squibb Company, May 2018を参照されたい。そのようなものであるから、1000mgの用量の即時放出メトホルミンを本試験で使用して、相互作用を検出する可能性を最大化させた。
【0514】
これらの提案された単回用量の安全性及び忍容性は、記載された組入れ/除外基準及び指定された安全性モニタリングを考慮すると、この試験に参加する健康な被験者に投与されるのに許容されると考えられた。
【0515】
各被験者の投与の選択及びタイミング
各被験者は試験中に各治療を1回受けた。全ての試験薬は午前8時(±2時間)に投与された。治療Bの場合、相互作用を検出する可能性を最大化させるために、化合物1の投与をメトホルミンの投与の2時間(±2分)前に投与し、化合物1の組織分布に十分な時間を確保した。被験者は、各治療期間のメトホルミンの投与前最小10時間は、絶食(水以外の食べ物又は飲み物を禁止することと定義される)を必要とし、次いで、各メトホルミン投与後最小4時間は絶食を続けた。化合物1及び/又はメトホルミンの投与の最大1時間前、及び投与の1時間後から水を自由に摂取することを許可された。各用量は、およそ240mLの水とともに投与された。
【0516】
盲検化
これは非盲検試験であり、盲検化手順は必要なかった。
【0517】
過去の療法及び併用療法
除外及び制限されている薬及び/又は手順
被験者は、試験薬の1回目の投与前14日以内若しくは5倍の半減期のいずれか長い方の期間内に、試験施設から退院後まで、以下の薬の服用を許可されなかった:
・局所薬を含む任意の処方薬;
・大衆薬(添付文書によると、アセトアミノフェン又はイブプロフェン若しくはナプロキセンなどの非ステロイド性抗炎症薬の時折の使用を除く);
・ハーブ系サプリメント;
・栄養補助食品;又は
・機能性食品。
【0518】
大衆局所薬の使用は、研究依頼者と相談して許可される場合があった。加えて、5倍の半減期が14日を超える薬(上記以外)の使用については、被験者の登録前に治験依頼者と話し合って承認されなければならなかった。
【0519】
被験者は、試験薬の1回目の投与前3カ月(90日)以内の副腎皮質ホルモンの使用(全身性又は広範な局所)を許可されなかった。
【0520】
試験薬の1回目の投与前14日以内に造影剤を用いた放射線スキャンを受けた被験者は、除外された。チェックインの4週間以内に外科的処置を受けた(軽度の美容整形又は軽度の歯科処置を除く)被験者、又は治療期間中に計画された待機手術がある被験者は除外された。
【0521】
現在減量薬による治療を受けているか、又は以前に減量手術(胃バイパス手術など)を受けていた被験者は除外された。
【0522】
実験的治療試験に積極的に参加していた被験者;試験薬の1回目の投与の30日以内若しくは5倍の半減期のどちらか長い方に化合物1以外の低分子による実験的治療、又は試験薬の1回目の投与の90日以内若しくは5倍の半減期のどちらか長い方に大きな分子による実験的治療を受けていた被験者は除外された。
【0523】
避妊
生殖能力のある被験者は、医学的に認められた非常に効果的な2つの避妊方法を使用する必要があった。
【0524】
妊娠の可能性のある女性パートナーがいる男性被験者のための医学的に認められた非常に効果的な避妊方法は、試験薬の最終用量投与後1日目から90日間使用されなければならず、以下を含む:
・殺精子剤入りラテックスコンドーム;
・膣内殺精子剤を使用した避妊ペッサリーのパートナーによる使用;
・殺精子剤を使用した子宮頸管キャップのパートナーによる使用;
・子宮内留置装置(ホルモン系又は非ホルモン系)のパートナーによる使用;
・埋め込まれた避妊薬のパートナーによる使用;又は
・経口避妊薬のパートナーによる使用。
【0525】
男性パートナーがいる女性被験者のための医学的に認められた非常に効果的な避妊方法は、試験薬の最終用量投与後-14日目から60日まで使用されなければならず、以下を含む:
・膣内殺精子剤を使用した避妊ペッサリー;
・殺精子剤を使用した子宮頸管キャップ;
・子宮内留置装置(スクリーニング来院前の少なくとも12週間);又は
・殺精子剤入りラテックスコンドームのパートナーによる使用。
【0526】
食事及びライフスタイルへの配慮
被験者は、各治療期間のメトホルミンの投与前最小10時間は、絶食(水以外の食べ物又は飲み物を禁止することと定義される)を必要とし、次いで、各メトホルミン投与後最小4時間は絶食を続けた。化合物1及び/又はメトホルミンの投与の最大1時間前、及び投与の1時間後から水を自由に摂取することを許可された。
【0527】
被験者は、試験薬の1回目投与の1週間前から治療期間2の退院まで、アルコール;カフェイン及び/又はキサンチン含有製品(即ち、コーヒー、紅茶、チョコレート、及びカフェインを含む炭酸飲料、コーラ、エナジードリンクなど);グレープフルーツ及びグレープフルーツ製品;スターフルーツ及びスターフルーツ製品;ダイダイ;マーマレード;クランベリージュース;ニンニク;炭火焼き/バーベキュー肉;ブロッコリー、芽キャベツ;セイヨウオトギリソウ又はCYP若しくは薬物トランスポータを阻害若しくは誘導するか若しくは凝固に影響を与える可能性のある食品物質;並びにビタミン水を控えなければならなかった。
【0528】
被験者は、試験薬の1回目投与の5日前から治療期間2の退院まで、接触スポーツ及び激しい運動を控えなければならなかった。
【0529】
過去の薬及び併用薬の使用についての文書
試験薬の1回目投与の28日前から経過観察の電話通話までに服用した全ての薬又はサプリメントが、被験者のカルテ及び対応するeCRFに記録された。
【0530】
測定の適切性
この試験のPK及び安全性測定値は、広く使用され、信頼性が高く、正確で、関連性があると認識されている。
【0531】
薬物動態評価項目:
以下の血漿PKパラメータが化合物1及びその一次代謝産物(化合物1-代謝産物)について決定された:
・濃度-時間プロファイルから直接決定される、Cmax
・最大値が複数の時点で発生した場合、最大値を有する最初の時点として定義される、Tmax
・終末対数線形相の点を使用した線形最小二乗(LS)回帰分析によって計算される、血漿濃度対時間曲線の片対数プロットから計算された見かけの終末相の一次消失速度定数(λ);
・時間0から24時間までのAUC(AUC0-24);
・時間0から72時間までのAUC;
・0時間から最後の定量可能な血漿濃度の時点までのAUC(AUC0-t)+最後の定量可能な血漿濃度(Clast)/λとして計算される、0時間から無限時間までのAUC(AUC0-inf)(化合物1のみ);並びに
・(1-AUC0-t/AUC0-inf)×100として表される、外挿されたAUC0-infのパーセント(AUC%extrap)(化合物1のみ)。
【0532】
メトホルミンについては、次の血漿PKパラメータが決定された:
・濃度-時間プロファイルから直接決定される、Cmax
・最大値が複数の時点で発生した場合、最大値を有する最初の時点として定義される、Tmax
・終末対数線形相の点を使用した線形LS回帰分析によって計算される、λ
・AUC0-24
・AUC0-t
・(AUC0-t+Clast/λ)として計算される、AUC0-inf
・(1-AUC0-t/AUC0-inf)×100として表される、AUC%extrap;及び
・ln(2)/λとして計算される、t1/2
【0533】
メトホルミンについては、次の尿PKパラメータが決定された:
・尿中に排泄されたメトホルミンの累積量(尿中に排泄された薬物の累積量[Ae]);
・Ae/AUCとして計算される、腎クリアランス;及び
・100×Ae/用量として計算される、腎臓から排泄された用量の割合(Fe)。
【0534】
安全性評価項目
以下の安全性評価を実施した:
・AE及びSAE;
・臨床検査試験評価;
・心拍数、BP(指示がある場合は起立性BPを含む)、呼吸数、及び体温を含むバイタルサイン;
・12誘導ECG;
・身体検査;並びに
・身長、体重、及びBMI。
【0535】
集団動態及びベースライン特性
以下の集団動態及びベースライン特性はリスト化され、治療順序ごとにまとめられ、及び安全性の解析対象集団の被験者の記述統計又は数及び割合で全体的にまとめられ、安全性の解析対象集団と異なる場合は他の全ての分析母集団についても繰り返された:
・年齢(歳);
・性別;
・妊娠の可能性;F
・民族性(ヒスパニック人又はラテンアメリカ人、ヒスパニック人でもラテンアメリカ人でもない、報告なし、不明);
・人種(アジア人、アメリカインディアン又はアラスカ先住民、黒人又はアフリカ系アメリカ人、ハワイ先住民又はその他の太平洋島民、白人、その他);
・身長(cm);
・体重(kg);及び
・BMI(kg/m)。
【0536】
病歴及び手術歴
病歴/手術歴は、スクリーニング時に収集された。治療期間1のチェックイン時に病歴を再評価して適格性を確認し、任意の新しい兆候/症状は、最新の病歴として報告した。病歴が報告された用語は、ICH国際医薬用語集(Version 23.1)を使用して、SOC及びPTにコード化された。SOC及びPTによる病歴は治療順序別及び安全性の解析対象集団全体でまとめられ、加えてリスト化された。
【0537】
過去の薬及び併用薬
過去の薬及び併用薬は、WHOドラッグディクショナリ(WHO Drug Dictionary)(Version September 2020G B3)を使用してコード化された。試験薬の1回目投与の28日前から経過観察の電話通話までに服用した全ての薬又はサプリメントが記録された。過去の薬は、試験薬の1回目の投与前に服用した薬(処方薬及び大衆薬の両方)と定義された。試験中の1回目の投与の時、及びその後に服用された薬は併用薬と定義された。
【0538】
全ての過去の薬及び併用薬がリスト化され、安全性の解析対象集団について、ATC分類、PT、及び治療群ごとにまとめられた。
【0539】
試験薬曝露及びコンプライアンス
試験薬投与データは、安全性の解析対象集団中の全ての被験者について治療群ごとにリスト化された。
【0540】
薬物動態解析
薬物動態試料収集
血液及び尿試料を収集して、PKを評価した。全てのPK時点は、メトホルミン投与の時間に対してであった。しかしながら、化合物1では、メトホルミン投与後のPKサンプリングの全期間は、対応するメトホルミンPKサンプリングよりも2時間長いことに留意されたい。各PK試料収集の実際の日時は記録され、関連する試験薬(化合物1又はメトホルミン)と比較した実際のサンプリング間隔を計算するために利用し、それをPK計算に利用した。
【0541】
化合物1又はメトホルミンの投与直前に収集された試料、並びに-0.5時間の試料は、最大10分早く収集された場合があった。以下のウィンドウがその他のPK血液試料の収集に許可された:-1.5時間~-1時間(両端の値を含む)に収集された試料、並びにメトホルミン投与後0.5時間~6時間に収集された試料の場合は±1分;メトホルミン投与後>6時間及び≦16時間に収集された試料の場合は±2分;メトホルミン投与後>16時間に収集された試料の場合は±5分。
【0542】
サンプリング時間ウィンドウの外にあった実際のサンプリング時間はケースバイケースで検討され、全てが個別の平均時間経過プロファイル及びパラメータに含まれた。
【0543】
定量データの欠落又は下限値未満の取り扱い
PK濃度データの場合、実際のサンプリング時間が欠落しているが、有効な濃度値が測定されている場合、濃度値にフラグが立てられ、予定された時点がPKパラメータの計算に使用された。
【0544】
各期間の投与前値が欠落している場合、欠落要素は0と仮定された。その他の場合、欠落データは補完されなかった。
【0545】
各治療群の個々の濃度及びPKパラメータの計算の場合、以下のルールが適用された:
・最初の測定可能な濃度の前に定量下限(BLQ)値を1以上下回った場合、これらには値0が割り当てられた;並びに
・BLQ値がプロファイル内の測定可能な濃度の間、又は最後の測定可能な濃度の後に発生した場合、BLQは次の方法で取り扱われた:
oAUC0-t計算から切り捨てられた全てのAUCの場合、BLQには値0が割り当てられた;並びに
o終末相λ及び関連するパラメータの計算の場合、BLQは省略された(欠落に設定された)。
【0546】
各期間の濃度のまとめ及び平均濃度プロットの作成については、以下のルールが適用された:
・任意の個々の時点での平均濃度は、被験者の少なくとも半数が各治療群のこの時点で有効な値を示した(即ち、定量化可能で欠落がない)場合にのみ計算された;
・上記の基準が満たされないために平均値が計算されなかった場合、値は欠落に設定された;並びに
・BLQ値は0に設定された。
【0547】
薬物動態濃度データ
化合物1、その一次代謝産物(化合物1-代謝産物)、及びメトホルミンの血漿濃度は、PK評価可能母集団の記述統計を使用して、個々の被験者ごとにリスト化され、治療ごとにまとめられた。化合物1、化合物1-代謝産物、及びメトホルミンの血漿濃度は、治療別の時点に対してプロットした(平均及び個々)。平均濃度は、公称のサンプリング時間に対してプロットするとともに、個々の濃度は、実際のサンプリング時間に対してプロットした。
【0548】
メトホルミンの尿濃度は、個々の被験者によりリスト化され、PK評価可能母集団の記述統計を使用して治療ごとにまとめられた。時点及び治療(個々及び平均)ごとのAeのプロットも提示した。
【0549】
薬物動態パラメータ
血漿及び尿PKパラメータは、必要に応じてノンコンパートメント法を使用して決定された。PKパラメータのリストについては、セクション0を参照されたい。
【0550】
実際の収集時間は、PKパラメータの計算の際に使用された。対数線形台形法(Linear-Logarithmic Trapezoidal method)(WinNonlinのLinear Up/Logarithmic Downオプションと同等)を使用して、全てのAUC値の計算に使用した。見かけの終末相の一次消失速度定数λzを推定するには、少なくとも3つのデータポイントを使用して、対数目盛での濃度対時間の線形回帰が実行された。均一な重み付きを選択して回帰分析を実行し、λを推定した。定数λが割り当てられたが、次のうちの1つが発生した場合にフラグが立てられた:
1.終末消失相が線形ではなかった(片対数目盛で表示されるため)。
2.終末消失速度定数が正の傾きを示した(λ>0);
3.Tmaxが3つの最後のデータポイントのうちの1つであった;
4.調整された回帰係数が0.8未満であった;又は
5.AUC%extrapが20%を超えた。
【0551】
これらのλz値及びλzから導出されたパラメータはリスト化されたが、統計解析から除外された。
【0552】
λz、AUC0-inf、AUC%extrap、又はt1/2についての値は、濃度-時間プロファイルにおいて許容可能な終末対数線形相を示さなかった場合について報告された。
【0553】
PKプロファイルで検出可能な濃度が2つ以下の被験者については、PKパラメータは計算されなかった。
【0554】
パラメータは、個々の被験者によりリスト化され、PK母集団の記述統計を使用して治療ごとにまとめられた。
【0555】
薬物間(drug-drug)相互作用効果の境界評価はない
メトホルミンのPKパラメータの対数変換は、固定効果として順序、治療群、及び期間の項、並びに無作為化効果として順序内にネストされた被験者を含む混合モデルを使用して解析された。メトホルミン単独投与及びメトホルミンの化合物1との同時投与の後のCmax、AUC0-inf、及びAUC0-t値については、幾何平均比及び関連する90%信頼区間(CI)が表示された。幾何平均比の90%CIがCmax及びAUCについて80%~125%以内であれば、薬物間相互作用は存在しないと結論付けられる。
【0556】
PKパラメータ解析は、PK母集団に基づいた。
【0557】
有害事象
AEは、医薬品を投与された臨床試験被験者に発生する、必ずしもこの治療との因果関係を有さない、望ましくない医学的出来事として定義された。したがって、AEは、試験薬に関連しているかどうかに関係なく、試験薬の使用に一時的に関連する、任意の好ましくない及び/若しくは意図しない兆候(検査所見の異常を含む)、症状、又は疾患である可能性があった。
【0558】
AEはICH国際医薬用語集(バージョン 23.1)を使用してコード化された。
【0559】
治験責任医師は、各AEの重症度(強度)は軽度、中等度、又は重度と評価した。
【0560】
AEと試験薬の投与との関係は、以下のように評価された:いいえ(無関係、関連性がない、又は関連性する可能性は低い)又ははい(場合により、おそらく、又は間違いなく関連している)。
【0561】
試験治療下で発現した有害事象
TEAEは、試験前には存在しなかったが出現したAE、又はこの試験の薬物の1回目の投与後に重症度が悪化したAEとして定義された。各治療及び全体について、ICH国際医薬用語集SOC及びPTにより、TEAEをまとめた。TEAEを経験した被験者の数及び割合、並びにTEAEの数を表にまとめた。所定のICH国際医薬用語集PTで1件を超えるAEを報告した被験者は、最も重度のインシデントを使用してその用語で1回だけカウントされた。SOC内で1種類を超える事象を報告した被験者は、そのSOCについて1回だけカウントされた。安全性の解析対象集団は、全ての安全性解析に使用された。以下のAEの概要が各部分に提示された:
・AE重症度(最悪時)ごとの内訳による治療及び全体ごとのTEAEの全体的なまとめ;
・治療ごとのSOC及びPTによるTEAE;
・治療ごとのSOC、PT、及び試験薬又はメトホルミンとの関係によるTEAE;
・治療ごとのSOC、PT、及び重症度(最悪時)によるTEAE;並びに
・治療ごとのSOC、PT、重症度(最悪時)及び試験薬との関係によるTEAE。
【0562】
同様に、可能であれば、SAEも同じようにまとめた。
【0563】
SAE、死亡に至るAE、及び試験中止に至るAEについては個別のリストを準備した。
【0564】
変更
加えられた変更を以下にまとめる:
・化合物1又はメトホルミンを1回以上投与されている被験者は、置き換えを意図したものではないことが明らかになった;
・-2日目の処置(SARS-CoV-2試験)は、両治療期間のチェックインよりも前の日を必要とすることが明らかになった;
・治療Bにおける化合物1の投与に±2分のウィンドウが追加された;
・PK試料の収集に関して次の追加及び明確化が行われた:
o追加の試料は、-2時間、-1.5時間、-1時間、0.5時間、14時間、及び22時間に収集された;
o全てのPK時点は、メトホルミン投与の時間に対してであることが確認できた;並びに
o化合物1及び/又はメトホルミンの投与直前に収集されたPK試料、並びに-0.5時間の試料を最大10分早く収集できるようにするためのウィンドウが追加された。
・バイタルサイン(起立性バイタルサイン含む)が、治療Aについては1日目のメトホルミン投与前且つ2日目の朝の24時間PK収集の収集前、並びに治療Bについては1日目の化合物1投与前且つ2日目の22時間PK収集の収集前に追加された;
・治療Bの場合、化合物1の投与の前にECGが追加された;並びに
・臨床研究の治験実施計画書に加えられた更新を反映し、追加の説明を提供するために、手順のスケジュールが改訂及び更新された。
【0565】
試験被験者
被験者の内訳
表20は、安全性の解析対象集団について治療順序別に被験者の内訳をまとめている。
【0566】
合計27人の被験者が2つの治療順序のうち1つに無作為に割り当てられた。AB(14人の被験者)又はBA(13人の被験者)。無作為化被験者の中で、26人の被験者が、両方の治療期間を完了した。
【0567】
1人の被験者は、家族の緊急事態の結果として同意を撤回した。
【0568】
【表26】
【0569】
集団動態及びその他のベースライン特性
表21は、安全性の解析対象集団についての集団動態及びベースライン特性をまとめている。
【0570】
被験者の平均年齢は、およそ37歳であり、平均BMIは、およそ26kg/mであった。被験者のおよそ半分は白人であり、半分は黒人又はアフリカ系アメリカ人であった。被験者の大部分は男性であり、ヒスパニック人でもラテンアメリカ人でもなかった。順序BAの被験者は平均してわずかに高齢であり(平均年齢41歳)、順序AB(平均年齢33歳)よりも男性の有病率が顕著であった;しかしながら、これらの観察された違いは、データの解釈及び結論に影響を与える可能性は低いと考えられる。
【0571】
【表27】
【0572】
薬物動態の結果
薬物動態解析
ヒト血漿試料における化合物1及びメトホルミン、並びにヒト尿試料におけるメトホルミンの生物分析レポートについては、Appendix16.1.13を参照されたい。
【0573】
化合物1の存在下と非存在下のメトホルミンの血漿薬物動態
エラー!参照ソースが見つかりません。5は、PK母集団についての線形目盛及び片対数目盛での治療ごとの投与後24時間にわたる平均(±SD)血漿メトホルミン濃度のプロットを示す。
【0574】
メトホルミンについての血漿濃度-時間曲線は、化合物1の存在下と非存在下でほぼ同一であった。
【0575】
表22は、PK評価可能母集団のメトホルミンについての血漿PKパラメータをまとめている。
【0576】
メトホルミンの血漿PKパラメータは、即時放出メトホルミンの添付文書に基づいて予想されるものと一致していた。グルコファージ(メトホルミン塩酸塩)[添付文書]を参照されたい。Princeton,NJ.Bristol-Myers Squibb Company.May 2018。
【0577】
【表28】
【0578】
表23は、PK評価可能母集団のメトホルミンについての血漿PKパラメータの解析をまとめている。
【0579】
max、AUC0-inf、及びAUC0-tについての治療B:治療Aの幾何LS平均の比は全て100%に近づき、90%CI値は80%~125%の許容範囲内に収まり、メトホルミンへの全身曝露が化合物1の影響を受けなかったことを示している。
【0580】
【表29】
【0581】
化合物1の存在下と非存在下のメトホルミンの尿薬物動態
図16及び図17は、PK母集団についての線形目盛での、ぞれぞれ、投与後24時間及び72時間にわたる治療ごとのメトホルミンの平均(±SD)Aeのプロットを示す。
【0582】
即時放出メトホルミンの添付文書に基づいて予想されることと一致して、メトホルミン用量の約30%が尿中に排泄され、排泄の大部分は投与後最初の24時間に起こった。グルコファージ(メトホルミン塩酸塩)[添付文書]を参照されたい。Princeton,NJ.Bristol-Myers Squibb Company.May 2018。メトホルミンの累積尿中排泄のプロットは、化合物1の存在下と非存在下で定性的及び定量的に類似していた。個体内及び個体間の多少のばらつきはあるものの、メトホルミンの尿中排泄が化合物1によって減少したことを示唆する、個体ベースでの一貫した傾向はなかった。
【0583】
表24は、PK評価可能母集団のメトホルミンについてのFeをまとめている。
【0584】
メトホルミン投与の2時間前の化合物1の投与は、メトホルミン腎クリアランスの減少をもたらさなかった。
【0585】
【表30】
【0586】
化合物1の血漿薬物動態
図18は、PK母集団についての線形目盛及び片対数目盛での治療ごとの投与後24時間にわたる平均(±SD)血漿化合物1濃度のプロットを示す。
【0587】
表25は、PK評価可能母集団の化合物1についての血漿PKパラメータをまとめている。
【0588】
化合物1の血漿PKパラメータは、先の試験で観察されたものと一致していた。
【0589】
【表31】
【0590】
薬物動態の結論
メトホルミン血漿Cmax、AUC0-inf、及びAUC0-tについての治療B:治療Aの幾何LS平均の比は全て100%に近づき、90%CI値は80%~125%の許容範囲内に収まり、メトホルミンへの全身曝露が化合物1の影響を受けなかったことを示している。
【0591】
血漿における所見と一致して、メトホルミンの累積尿中排泄のプロットは、化合物1の存在下と非存在下で定性的及び定量的に類似しており、化合物1がメトホルミン腎クリアランスの減少をもたらさないことを示した。
【0592】
有害事象
有害事象の概要
死亡、SAE、又はTEAEによる中止はなかった。全体として、7人の被験者が、以下の合計15のTEAEを経験した:メトホルミン単独投与(治療A)後に5人(19.2%)の被験者が合計6件のTEAEを経験し、メトホルミン及び化合物1の同時投与(治療B)後に6人(22.2%)被験者が合計9件のTEAEを経験した。両方の治療後に4人の被験者がTEAEを経験した。被験者により経験された全てのTEAEの重症度は軽度であり、中等度又は重度のTEAEを経験した被験者はいなかった。表26を参照されたい。
【0593】
【表32】
【0594】
有害事象の解析
全ての有害事象
表27は、安全性の解析対象集団についてのSOC及びPTによるTEAEをまとめている。
【0595】
TEAEの最も一般的なSOCは、胃腸管障害であった。合計5人(18.5%)の被験者が下痢を経験した:メトホルミン単独投与(治療A)後の3人(11.5%)の被験者及びメトホルミン及び化合物1の同時投与(治療B)後の4人(14.8%)被験者。両方の治療後に2人の被験者が下痢を経験した。両方の治療後に1人(3.7%)の被験者が上腹痛を経験し、1人の(3.7%)被験者がメトホルミン及び化合物1の同時投与(治療B)後に腹の張りを経験し、1人(3.7%)の被験者がメトホルミン単独の投与(治療A)後に吐き気を経験した。
【0596】
被験者が経験した他の全てのTEAEは、以下の各々に1人の被験者いた:体位性めまい、前失神、血管穿刺部位の痛み、及び第一度熱傷。
【0597】
【表33】
【0598】
薬物関連有害事象
表28は、安全性の解析対象集団についてのSOC及びPTによるメトホルミン関連TEAEをまとめている。
【0599】
全体として、6人(22.2%)の被験者が、メトホルミンに関連すると考えられるTEAEを経験した:メトホルミン単独投与(治療A)後の4人(15.4%)の被験者及びメトホルミン及び化合物1の同時投与(治療B)後の6人(22.2%)被験者。両方の治療後に4人の被験者がメトホルミン関連TEAEを経験した。合計6人(22.2%)の被験者が胃腸管障害を経験し、これはメトホルミン関連のTEAEの最も一般的なSOCであった(単回高用量のメトホルミンで予想されるとおり)。5人(18.5%)の被験者が下痢を経験した:メトホルミン単独投与(治療A)後の3人(11.5%)の被験者及びメトホルミン及び化合物1の同時投与(治療B)後の4人(14.8%)被験者。両方の治療後に2人の被験者が下痢を経験した。両方の治療後に1人(3.7%)の被験者が上腹痛を経験し、1人の(3.7%)被験者がメトホルミン及び化合物1の同時投与(治療B)後に腹の張りを経験し、1人(3.7%)の被験者がメトホルミン単独の投与(治療A)後に吐き気を経験した。1人の(3.7%)被験者はまた、メトホルミン及び化合物1の同時投与(治療B)後に体位性めまい(Dizziness postural)の神経系障害を経験した。
【0600】
【表34】
【0601】
任意の化合物1-関連TEAEを経験した被験者はいなかった。
【0602】
安全性に関する結論
死亡、SAE、又はTEAEによる中止はなく、メトホルミンが単独で投与される場合に対して、メトホルミン及び化合物1が同時投与される場合でも、AEの発生率に目立った増加はなかった被験者により経験された全てのTEAEの重症度は軽度であった。単回高用量のメトホルミンで予想されるとおり、最も頻繁に発生したTEAEは胃腸関連であった。検査パラメータ又は身体検査結果に、傾向又は臨床的に意味のある変化はなかった。バイタルサイン又は12誘導ECG所見で観察される臨床的に有意な変化はなかった(QTcFの意味のある変化は含まない)。
【0603】
本試験の安全性結果は、メトホルミンが単独で投与された場合、又は化合物1の単回10mg投与の2時間後に投与された場合、良好な忍容性があることを示した。死亡、SAE、又はTEAEによる中止はなく、メトホルミンが単独で投与される場合に対して、メトホルミン及び化合物1が同時投与される場合でも、AEの発生率に目立った増加はなかった被験者により経験された全てのTEAEの重症度は軽度であった。単回高用量のメトホルミンで予想されるとおり、最も頻繁に発生したTEAEは胃腸関連であった。検査パラメータ又は身体検査結果に、傾向又は臨床的に意味のある変化はなかった。バイタルサイン又は12誘導ECG所見で観察される臨床的に有意な変化はなかった(QTcFの意味のある変化は含まない)。
【0604】
全体的な結論
メトホルミンは、単独で投与された場合、又は化合物1の投与の2時間後に投与された場合、良好な忍容性であった。化合物1は、メトホルミン単独の投与と比較した場合、メトホルミン血漿濃度の増加、又はメトホルミン腎クリアランスの減少をもたらさなかった。この試験からの結果に基づいて、メトホルミンが化合物1と同時投与される場合のメトホルミンの用量調整は必要ないと考えられる。
【0605】
態様
態様1.≧130/80mmHgの平均座位血圧を有するヒトの高血圧又は原発性アルドステロン症を治療する方法であって、0.5~10mg/日の(R)-化合物1:
【化4】
をヒトに投与することを含む方法。
態様2.ヒトが、(R)-化合物1を投与する前に、安定なバックグラウンドの高血圧レジメン中である、態様1に記載の方法。
態様3.安定なバックグラウンドの高血圧レジメンが、≧3つの降圧剤を含む、態様2に記載の方法。
態様4.降圧剤のうちの1つが利尿薬である、態様3に記載の方法。
態様5.(R)-化合物1の投与により、4週間の治療後に、座位収縮期血圧(SBP)のベースラインからの平均低下がもたらされる、態様1~4のいずれか1つに記載の方法。
態様6.(R)-化合物1の投与により、12週間の治療後に、座位収縮期血圧(SBP)のベースラインからの平均低下がもたらされる、態様1~5のいずれか1つに記載の方法。
態様7.(R)-化合物1の投与により、4週間の治療後に、座位拡張期血圧(DBP)のベースラインの平均低下がもたらされる、態様1~6のいずれか1つに記載の方法。
態様8.(R)-化合物1の投与により、12週間の治療後に、座位拡張期血圧(DBP)のベースラインの平均低下がもたらされる、態様1~7のいずれか1つに記載の方法。
態様9.(R)-化合物1の投与により、4週間の治療後に、<130/80mmHgの座位血圧(BP)がもたらされる、態様1~8のいずれか1つに記載の方法。
態様10.(R)-化合物1の投与により、12週間の治療後に、<130/80mmHgの座位血圧(BP)がもたらされる、態様1~9のいずれか1つに記載の方法。
態様11.約0.5mg/日の(R)-化合物1をヒトに投与することを含む、態様1~10のいずれか1つに記載の方法。
態様12.約1mg/日の(R)-化合物1をヒトに投与することを含む、態様1~10のいずれか1つに記載の方法。
態様13.約2mg/日の(R)-化合物1をヒトに投与することを含む、態様1~10のいずれか1つに記載の方法。
態様14.約3mg/日の(R)-化合物1をヒトに投与することを含む、態様1~10のいずれか1つに記載の方法。
態様15.約4mg/日の(R)-化合物1をヒトに投与することを含む、態様1~10のいずれか1つに記載の方法。
態様16.約5mg/日の(R)-化合物1をヒトに投与することを含む、態様1~10のいずれか1つに記載の方法。
態様17.約6mg/日の(R)-化合物1をヒトに投与することを含む、態様1~10のいずれか1つに記載の方法。
態様18.約7mg/日の(R)-化合物1をヒトに投与することを含む、態様1~10のいずれか1つに記載の方法。
態様19.約8mg/日の(R)-化合物1をヒトに投与することを含む、態様1~10のいずれか1つに記載の方法。
態様20.約9mg/日の(R)-化合物1をヒトに投与することを含む、態様1~10のいずれか1つに記載の方法。
態様21.約10mg/日の(R)-化合物1をヒトに投与することを含む、態様1~10のいずれか1つに記載の方法。
態様22.(R)-化合物1の量が、単回用量でヒトに投与される、態様1~21のいずれか1つに記載の方法。
態様23.(R)-化合物1の量が、分割用量、例えば、2回用量、3回用量、又は4回用量でヒトに投与される、態様1~22のいずれか1つに記載の方法。
態様24.(R)-化合物が、ヒトが絶食状態にある間に投与される、態様1~23のいずれか1つに記載の方法。
態様25.(R)-化合物1の投与が、ヒトにおいて臨床的に重篤な有害事象をもたらすことがない、態様1~24のいずれか1つに記載の方法。
態様26.ヒトが、少なくとも18歳である、態様1~25のいずれか1つに記載の方法。
態様27.高血圧が治療される、態様1~26のいずれか1つに記載の方法。
態様28.原発性アルドステロン症が治療される、態様1~27のいずれか1つに記載の方法。
態様29.約0.5~約10mgの(R)-化合物1と、薬学的に許容される賦形剤と、を含む医薬組成物。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
【国際調査報告】