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特表2024-523563広範な腫瘍特異的反応性及び初期分化細胞の特徴を有する細胞傷害性Tリンパ球を調製するための方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-28
(54)【発明の名称】広範な腫瘍特異的反応性及び初期分化細胞の特徴を有する細胞傷害性Tリンパ球を調製するための方法
(51)【国際特許分類】
   C12N 5/0783 20100101AFI20240621BHJP
   C12N 5/0784 20100101ALI20240621BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20240621BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240621BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20240621BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240621BHJP
   A61K 35/17 20150101ALI20240621BHJP
   A61P 37/04 20060101ALI20240621BHJP
【FI】
C12N5/0783 ZNA
C12N5/0784
A61K45/00
A61P35/00
A61P35/02
A61P43/00 121
A61P43/00 111
A61K35/17
A61P37/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023579572
(86)(22)【出願日】2022-06-24
(85)【翻訳文提出日】2024-02-22
(86)【国際出願番号】 EP2022067303
(87)【国際公開番号】W WO2022269019
(87)【国際公開日】2022-12-29
(31)【優先権主張番号】21181704.4
(32)【優先日】2021-06-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523483946
【氏名又は名称】シトヴァック・アー/エス
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】アレクセイ・キルキン
(72)【発明者】
【氏名】キャリーヌ・ジャンドジューガジアン
【テーマコード(参考)】
4B065
4C084
4C087
【Fターム(参考)】
4B065AA94X
4B065BB19
4B065CA44
4C084AA19
4C084MA02
4C084NA05
4C084ZB091
4C084ZB092
4C084ZB261
4C084ZB262
4C084ZB271
4C084ZB272
4C084ZC412
4C087AA01
4C087AA03
4C087BB37
4C087BB65
4C087MA02
4C087MA55
4C087MA66
4C087NA05
4C087NA14
4C087ZB09
4C087ZB26
4C087ZB27
4C087ZC75
(57)【要約】
幹細胞様メモリー細胞及びナチュラルキラー(NK)リンパ球の表現型を有する活性化型ヒトCD8+リンパ球を含む組成物を調製するための方法が提供される。本方法は、CD3/CD28活性化剤によるリンパ球の短期の活性化、及び、その後のDNA脱メチル化剤での処理の使用を伴う。本発明はまた、CD3/CD28活性化剤の添加がCD4+を介するCD8+細胞活性化の開始の数日後に行われるバージョンの方法も提供する。この工程はまた、自己樹状細胞がリンパ球の活性化に使用されている関連する方法の改良としても開示されている。また、本プロセスから得られた細胞を使用してがんを処置するための方法も提供されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性化型ヒトCD8+リンパ球及びナチュラルキラー(NK)リンパ球を含む組成物を調製するための方法であって、
1)対象から、リンパ球について濃縮されている血球試料を単離する工程、
2)CD3及び/又はCD28への結合を介してTリンパ球を活性化し得る少なくとも1つの薬剤の存在下で試料の画分を培養し、これによって、CD4+リンパ球の増殖を刺激し、CD4+/CD8+の比を工程1で得られたリンパ球と比較して増大させる工程、
3)増殖性のTリンパ球を、がん/精巣抗原の発現を誘導する薬剤と接触させ、その後、がん/精巣抗原の前記発現をもたらす培養期間を設ける工程、
4)がん/精巣抗原を発現しているTリンパ球を、Tリンパ球を活性化し得る薬剤から分離し、その後、工程3で得られた、がん/精巣抗原を発現しているリンパ球を、工程1で得られた試料の第2の画分と混合する工程、並びに
5)その後、工程4で得られたリンパ球混合物を培養して、CD8+リンパ球及びNKリンパ球の増殖を刺激する工程
を含む、方法。
【請求項2】
工程2が、2から5日間、好ましくは約3日間の期間を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
試料の前記第2の画分が、工程1から工程4における混合までの間、凍結されたままで維持される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
がん/精巣抗原の発現を誘導する薬剤が、DNA脱メチル化剤又はヒストンアセチル化剤である、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
DNA脱メチル化剤が、5-アザ-2'-デオキシシチジン(5アザ-CdR)、5-アザシチジン、5-フルオロ-2'-デオキシシチジン、グアデシタビン、及びゼブラリンから選択され、且つ、ヒストンアセチル化剤が、トリコスタチンA又はデプシペプチドである、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
がん/精巣抗原の発現を誘導する薬剤が5-アザ-CdRである、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
リンパ球の増殖を刺激する、IL-2若しくは別の薬剤又はそれらの組み合わせ、例えばIL-15、IL-7、及びIL-21が、リンパ球の培養の過程で添加される、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
工程5が、CD3及び/又はCD28への結合を介してTリンパ球を活性化し得る薬剤、好ましくは工程2で使用されるものと同一のタイプの薬剤の添加を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
CD3及び/又はCD28への結合を介してTリンパ球を活性化し得る薬剤が、工程5の開始の3~7日後、好ましくは約5日後に添加される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
活性化型CD8+リンパ球及びNKリンパ球の単離/回収がその後に行われる、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
CD3及び/又はCD28への結合を介してTリンパ球を活性化し得る薬剤が、CD3を結合する抗体、抗体断片、又は抗体類似体を含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
CD3及び/又はCD28への結合を介してTリンパ球を活性化し得る薬剤が、CD28を結合する抗体、抗体断片、又は抗体類似体を含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
CD3及び/又はCD28への結合を介してTリンパ球を活性化し得る薬剤が、CD3を結合する抗体、抗体断片、又は抗体類似体を含み、且つ、CD28を結合する抗体、抗体断片、又は抗体類似体を含む、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
抗体、抗体断片、又は抗体類似体が、固相若しくは半固相、又はデキストラン等のポリマーに連結している、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
固相又は半固相が、分離可能なビーズ、例えば常磁性又は超常磁性ビーズによって構成されている、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
活性化型ヒトCD8+リンパ球及びナチュラルキラー(NK)リンパ球を含む組成物を調製するための方法であって、
a)対象から、リンパ球について濃縮されている血球試料を単離する工程、
b)CD4+リンパ球の増殖を刺激し、CD4+/CD8+の比を工程aで得られたリンパ球と比較して増大させる条件下で、試料の画分を培養する工程、
c)増殖性のTリンパ球を、がん/精巣抗原の発現を誘導する薬剤と接触させ、その後、がん/精巣抗原の前記発現をもたらす培養期間を設ける工程、
d)がん/精巣抗原を発現しているTリンパ球を、Tリンパ球を活性化し得る薬剤から分離し、その後、がん/精巣抗原を発現しているリンパ球を、工程aで得られた試料の第2の画分と混合する工程、並びに
e)その後、工程dで得られたリンパ球混合物を培養して、CD8+リンパ球及びNKリンパ球の増殖を刺激する工程を含み、
工程e)が、CD3及び/又はCD28への結合を介してTリンパ球を活性化し得る薬剤の添加を含む、方法。
【請求項17】
CD3及び/又はCD28への結合を介してTリンパ球を活性化し得る薬剤が、工程5の開始の3~7日後、好ましくは約5日後に添加される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
CD3及び/又はCD28への結合を介してTリンパ球を活性化し得る薬剤が、CD3を結合する抗体、抗体断片、又は抗体類似体を含む、請求項16又は17に記載の方法。
【請求項19】
CD3及び/又はCD28への結合を介してTリンパ球を活性化し得る薬剤が、CD28を結合する抗体、抗体断片、又は抗体類似体を含む、請求項16から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
CD3及び/又はCD28への結合を介してTリンパ球を活性化し得る薬剤が、CD3を結合する抗体、抗体断片、又は抗体類似体を含み、且つ、CD28を結合する抗体、抗体断片、又は抗体類似体を含む、請求項16から19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
抗体、抗体断片、又は抗体類似体が、固相若しくは半固相、又はデキストラン等のポリマーに連結している、請求項16から20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
固相又は半固相が、分離可能なビーズ、例えば常磁性又は超常磁性ビーズによって構成されている、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
活性化型CD8+リンパ球及びNKリンパ球の単離/回収がその後に行われる、請求項16から22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
工程bの条件が、工程aにおいて試料から調製された成熟樹状細胞との共培養を伴う、請求項16から23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
工程c、工程d、又は工程eが、工程aにおいて試料から調製された成熟樹状細胞の添加を含む、請求項16から24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
請求項1から25のいずれか一項に記載の方法に従って調製された細胞の組成物を投与する工程を含む、患者におけるがんを処置するための方法。
【請求項27】
細胞が患者の自己細胞である、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
患者が、少なくとも若しくは正確に2回、少なくとも若しくは正確に3回、又は少なくとも若しくは正確に4回の投与を受ける、請求項26又は27に記載の方法。
【請求項29】
投与が、非経口経路、例えば静脈内経路、動脈内経路、腫瘍内経路、及びリンパ内経路を介して行われる、請求項26から28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
がんが、癌、腺癌、肉腫(脂肪肉腫、線維肉腫、軟骨肉腫、骨肉腫、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫を含む)、グリオーマ(特に膠芽腫)、神経芽細胞腫、髄芽腫、悪性黒色腫、神経線維肉腫、絨毛癌、骨髄腫、及び白血病からなる群から選択される、請求項26から29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
患者が、抗がん剤との、特にチェックポイント阻害薬との併用処置も受ける、請求項26から30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
併用処置が、PD-1又はPD-L1の阻害剤との併用処置である、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
併用処置が、請求項26から30のいずれか一項に規定の処置の前、及び/又は当該処置と同時、及び/又は当該処置の後である、請求項31又は32に記載の方法。
【請求項34】
治療において使用するための、請求項1から25のいずれか一項に記載の方法に従って調製された細胞の組成物。
【請求項35】
請求項26から30のいずれか一項に記載の方法において使用するための、請求項1から25のいずれか一項に記載の方法に従って調製された細胞の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、養子免疫療法において有用なエフェクター細胞を産生するための方法に関するものであり、また、養子免疫療法の分野にも関する。
【背景技術】
【0002】
がん免疫療法のための様々なアプローチの中で、養子免疫療法は、選択された悪性腫瘍における腫瘍の退縮の誘導において高い効率を示している。CAR-T療法及びTIL療法という2つの主要なタイプの養子免疫療法が、現在、最も有効である。
【0003】
CAR-Tアプローチでは、Tリンパ球に、Fab抗体断片とT細胞受容体断片との間の融合タンパク質であるキメラ抗原受容体(CAR)をトランスフェクトする。このアプローチは、B細胞悪性腫瘍の処置において高い効率を示しているが、これまでのところ、充実性腫瘍の処置においては効果がかなり低いことが示されている。
【0004】
自己腫瘍から増殖したリンパ球(腫瘍浸潤リンパ球、TIL)の利用に基づく別のアプローチは、黒色腫患者において高い臨床効率を示している。TILを利用する臨床試験において、臨床効果が、注入された細胞の数、それらの増殖速度、及び自己腫瘍細胞に対するそれらの溶解活性と相関することが示されている。残念ながら、他のタイプの悪性腫瘍からの、自己腫瘍に対する細胞溶解活性を有する腫瘍浸潤リンパ球の単離及び増殖は、非常に困難であり、この技術の広い適用を制限している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】WO2008/081035
【特許文献2】WO2020/208054
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
いくつかの研究において、養子移入されたリンパ球の臨床的有効性は、注入された材料中の、初期分化状態にあるTリンパ球、例えば幹細胞様メモリーTリンパ球(TSCM)及びセントラルメモリーTリンパ球(TCM)の存在と相関することが示されている(Gattinoniら、2017によって概説されている)。このようなTリンパ球は、表面分子CD62L(L-セレクチンとしても知られている)、CCR7(ケモカインCCL19及びCCL21の受容体)、並びにCD27の高レベルの発現を有している。最初の2つの分子は、リンパ節に特徴的な構造であり、いくつかの腫瘍でも見られる高内皮細静脈(HEV)を通るリンパ球の経内皮輸送に関与する。CD27の発現は、生物における、注入された細胞の長い持続性と相関する。現在のリンパ球調製方法は、示された分子が高レベルで発現しているTリンパ球を産生し得ないことに留意すべきであり、このことは、移入されるリンパ球の質を向上させるための培養戦略の改良が急務であることを指摘している。
【0007】
本発明者らは、最近、ゲノムワイドなDNA脱メチル化の結果、腫瘍細胞に存在する共通腫瘍抗原群を構成する広範ながん精巣抗原を特異的に標的化する細胞傷害性リンパ球の生成に基づく、がんの養子免疫療法の方法を開発した(Kirkinら、2018;WO2008/081035)。この既存の手順は、以下の4つの工程からなる(図11Aも参照されたい):
1)単球由来成熟樹状細胞の生成、
2)成熟樹状細胞と末梢血リンパ球(PBL)との共培養の後の、主にCD4+細胞の増殖の誘導、
3)広範ながん精巣抗原(CTA)の発現の誘導をもたらす、DNA脱メチル化剤での、活性化されたCD4濃縮型リンパ球の処理、並びに
4)DNA脱メチル化された活性化されたCD4+濃縮型リンパ球と未刺激のPBLとの共培養の後の、細胞傷害性リンパ球の生成(「免疫化/増殖工程」を介する)。
【0008】
この方法は普遍的であり、多くのタイプの悪性腫瘍の処置に適用することができる。本願において、このプロセスは一般に、ALECSAT(腫瘍細胞に特異的な自己リンパエフェクター細胞)(Autologous Lymphoid Effector Cells Specific Against Tumor cells)プロセス、より具体的には「ALECSAT-1プロセス」と呼ばれる。
【0009】
本発明者らは、再発膠芽腫を有する患者の処置におけるこのアプローチの有効性を既に実証している(Kirkinら、2018)。これにおいて、治療用細胞の計画された3回の注射を受けた10人の患者のうち3人は、腫瘍の退縮を示した。
【0010】
WO2008/081035において最初に開示された方法の後に開発された改良は、WO2020/208054において開示されている。ここでは、共培養工程において、非常に初期の段階で成熟樹状細胞の一部がフィーダー細胞として使用され、プロセスの全体的な大きな加速、及び最終的なエフェクター細胞数の増大がもたらされている。この改良されたプロセスは、本明細書において「ALECSAT-2」と呼ばれる。
【0011】
一部の患者における反応の欠如は、CD4+濃縮型リンパ球におけるCTAの不十分な誘導、並びに、生物内でのリンパ球の再循環及び長期の持続性に関与する分子である、注入された細胞によるCCR7分子、CD62L分子、及びCD27分子の不十分な発現に関連している可能性がある。更に、全プロセスは時間がかかり、かなり複雑であり、そして、出発材料中の少なくとも2つの細胞集団、すなわち単球(樹状細胞の源)及びリンパ球の特性に更に依存する。したがって、全プロセスの単純化及び多くの初期分化状態にある細胞の生成をもたらす、この技術の更なる改良が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の実施形態の目的は、広範な腫瘍特異的反応性及び初期分化細胞の特徴を有し、且つ既存のプロトコルと比較して産生時間が短い細胞傷害性Tリンパ球の生成のための方法を提供することである。養子T細胞療法の改良された方法を提供することも、本発明の実施形態の更なる目的である。
【0013】
発明の概要
Kirkinら、2018によって記載されている、エフェクター細胞の生成のためのプロトコルでは、CTLを誘導するための抗原提示細胞として後に利用される、CD4+濃縮型リンパ球集団の生成は、全部で13日間かかっている。得られた、リンパ球の増殖性培養物は、CTAの発現を誘導するために、DNA脱メチル化試薬で処理されている。
【0014】
樹状細胞とリンパ球との共培養の時間を減らすことを介してプロトコルの合計時間を減らすことを目的とした最初の実験では、共培養の時間が短くなると個々のCTAの発現レベルが有意に増大することが観察された(公開されていないデータ)。しかし、この興味深い所見はプロトコルでは実現することはできず、それは、共培養時間の短縮が、活性化型リンパ球の割合及び総数も有意に減少させ、そのため、プロトコルの次の工程で使用するために十分な数の活性化型リンパ球を生成することができなくなることが示されているためである。
【0015】
リンパ球の活性化の代替的可能性の探求において、本発明者は、活性化試薬(抗CD3抗体及び抗CD28抗体に結合した高常磁性ビーズであるCD3/CD28ダイナビーズ)でCD3及びCD28を標的化することを試みた。CD3/CD28は、ここ数十年間にわたり、これらの2つの分化タンパク質クラスターに特異的な抗体を使用する分野において標的として使用されている(Martinら、1986)。この組み合わせの標的化でTリンパ球のポリクローナル活性化及び増殖を誘導することは周知の能力にもかかわらず(Levine BLら、1996;Kalamaszら、2004)、この方法で活性化されたリンパ球がDNA脱メチル化剤での処理によってがん精巣抗原を発現するように誘導され得ることは、報告されていない。しかし、本発明者は、驚くべきことに、短期間(≒3日間)の抗CD3抗体及び抗CD28抗体に結合したビーズでの活性化型リンパ球の処理が、がん精巣抗原の最も知られているメンバーであるMAGE抗原の発現を誘導することを見出した。結果として、CTAで「免疫化された」細胞傷害性Tリンパ球を調製するためのプロセスの期間は、10日間短縮され得る。
【0016】
別の発見は、初期分化に特徴的な表現型を有するリンパ球、すなわち幹細胞メモリーTリンパ球の生成を促進する条件の確立に関する。この出発点は、Luca Gattinoni(2011)によって最初に記載された幹細胞メモリーTリンパ球が「従来の」幹細胞様胚性幹細胞又は人工多能性幹細胞と共通の多くの特性を有しているという事実である。スフェロイドとしての幹細胞の増殖は、それらの特性のより良好な維持をサポートすることが分かっている(Cesarz及びTamama、2016において概説されている)。スフェロイドとしてのリンパ球の増殖を促進し得る条件/試薬の探求において、本発明者らは、リンパ球間の細胞間接着を刺激し得る薬剤を使用することを試みることにした。活性化型リンパ球間の細胞間接触の主なメカニズムにはLFA-1とICAM-1との相互作用が介在するため(Zumwaldeら、2013)、どのポリクローナル刺激因子がLFA-1を活性化し得るかが調べられた。1つの可能性は、TCR複合体の1つの成分であるCD3に対する抗体に基づく刺激因子を利用することであるが、それは、このような抗体がLFA-1介在性のリンパ球接着(Dustinら、1989;Van Kooykら、1989)及びクラスター形成(Rudnicka Wら、1992)を誘導することが実証されているためである。
【0017】
以下に記載する実施例において、本発明者は、細胞の最初の増殖を刺激するために使用されたものと同一の、ポリスチレンビーズ(ダイナビーズ、ThermoFisher社)に結合したCD3/CD28抗体を利用した。免疫化工程の開始の5日後にCD3/CD28抗体を添加すると、スフェロイドとしてのリンパ球の増殖が増大することが分かった。重要なこととして、最終生成物が含有する細胞は、CD27及びCCR7mの発現が著しく上方調節されており、また、FACS分析によると、Gattinoniら(2011)によって記載されている幹細胞メモリーTリンパ球に似た表現型を有している。
【0018】
更なる驚くべき発見は、免疫化工程の開始の5日後にCD3/CD28抗体を添加すると、上記のALECSAT-1プロトコル及びALECSAT-2プロトコルが、得られる細胞の質に関して改善されることである。
【0019】
したがって、第1の態様において、本発明は、活性化型ヒトCD8+リンパ球及びナチュラルキラー(NK)リンパ球を含む組成物を調製するための方法であって、
1)対象(好ましくはヒト)から、リンパ球について濃縮されている血球試料を単離する工程、
2)CD3及び/又はCD28への結合を介してTリンパ球を活性化し得る少なくとも1つの薬剤の存在下で試料の画分を培養し、これによって、CD4+リンパ球の増殖を刺激し、CD4+/CD8+の比を工程1で得られたリンパ球と比較して増大させる工程、
3)Tリンパ球を、がん/精巣抗原の発現を誘導する薬剤と接触させ、その後、がん/精巣抗原の前記発現をもたらす培養期間を設ける工程、
4)増殖性のTリンパ球を、Tリンパ球を活性化し得る薬剤から分離し、工程3で得られた、がん/精巣抗原を発現しているリンパ球を、工程1で得られた試料の第2の画分と混合する工程、並びに
5)その後、工程4で得られたリンパ球混合物を培養して、CD8+リンパ球及びNKリンパ球の増殖を刺激する工程
を含む方法に関する。
【0020】
このプロセスはまた、本明細書においてALECSAT-3とも呼ばれる。
【0021】
第2の態様において、本発明は、活性化型ヒトCD8+リンパ球及びナチュラルキラー(NK)リンパ球を含む組成物を調製するための方法であって、
a)対象から、リンパ球について濃縮されている血球試料を単離する工程、
b)CD4+リンパ球の増殖を刺激し、CD4+/CD8+の比を工程aで得られたリンパ球と比較して増大させる条件下で、試料の画分を培養する工程、
c)増殖性のTリンパ球を、がん/精巣抗原の発現を誘導する薬剤と接触させ、その後、がん/精巣抗原の前記発現をもたらす培養期間を設ける工程、
d)がん/精巣抗原を発現しているTリンパ球を、Tリンパ球を活性化し得る薬剤から分離し、その後、がん/精巣抗原を発現しているリンパ球を、工程aで得られた試料の第2の画分と混合する工程、並びに
e)その後、工程dで得られたリンパ球混合物を培養して、CD8+リンパ球及びNKリンパ球の増殖を刺激する、CD3及び/又はCD28への結合を介してTリンパ球を活性化し得る薬剤の添加を含む工程
を含む方法に関する。
【0022】
第3の態様において、本発明は、本明細書において開示されている発明の第1又は第2の態様の方法及びそれらの実施形態に従って調製された細胞の組成物を投与する工程を含む、患者(好ましくはヒト)におけるがんを処置するための方法に関する。
【0023】
第4の態様において、本発明は、治療において使用するための、本明細書において開示されている発明の第1又は第2の態様の方法及びそれらの実施形態に従って調製された細胞の組成物に関する。
【0024】
最後に、第5の態様において、本発明は、本明細書において開示されている発明の第3の態様に従った方法及びその実施形態において使用するための、本明細書において開示されている発明の第1又は第2の態様の方法及びそれらの実施形態に従って調製された細胞の組成物に関する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】樹状細胞と共培養し、その後、5アザ-CdRで処理したリンパ球による、MAGE抗原の発現を示す棒グラフである。各MAGE抗原(M1、M3、M4、M6、M10、及びM12と呼ばれる、MAGE A1、A3、A4、A6、A10、及びA12)について、バーはMAGEの発現を表しており、白のバーは、4日間の共培養及び5アザ-CdRでの処理の後であり、斜線の引かれたバーは、5日間の共培養及び5アザ-CdRでの処理の後であり、水平な線の引かれたバーは、6日間の共培養及び5アザ-CdRでの処理の後である。2つのパネルは、2つの異なるリンパ球培養物から得られた測定結果を表している。
図2】細胞傷害性リンパ球の生成の本発明のプロトコルの実施形態の概要を示す図である。実際の実施の詳細については、実施例1を参照されたい。
図3】2人のドナー(23-21、24-21)から得られた活性化型リンパ球を5-アザ-2'-デオキシシチジン(5-アザ-CdR)で処理した後の、MAGE抗原の発現を示す棒グラフである。
図4A】5-アザ-CdRで処理された細胞の表現型を示す棒グラフである。ドナー毎の測定結果である。
図4B】5-アザ-CdRで処理された細胞の表現型を示す棒グラフである。全てのドナーの平均である。
図5】本発明に従った培養でのリンパ球を示す写真である。リンパ球は、典型的には、培養期間の終わりまでにスフェロイドとして増殖する。
図6】免疫化/増殖工程の終わりまでの、リンパ球上でのCD27、CD62L、及びCCR7の発現に対するCD3/CD28ダイナビーズの添加の効果を示す棒グラフである。白いバーは、CD3/CD28ダイナビーズの添加なしであり、クロスハッチ模様のバーは、CD3/CD28ダイナビーズの添加である。
図7】免疫化/増殖工程の最後の、リンパ球上でのCCR7及びCD45RAの発現に対するCD3/CD28ダイナビーズの添加の効果を示す、フローサイトメトリーデータの両対数プロットである。
図8】免疫化/増殖工程の最後の、膠芽腫患者のリンパ球上でのCCR7及びCD45RAの発現に対するCD3/CD28ダイナビーズの添加の効果を示す、フローサイトメトリーデータの両対数プロットである。
図9】T47D及びMDA-MB-231乳がん細胞系に対する生成されたエフェクター細胞の細胞溶解活性を示す折れ線グラフである。
図10】4つの乳がん細胞系に対する生成されたエフェクター細胞の細胞溶解活性を示す棒グラフである。
図11A】ALECSAT-1の生成のプロトコルの概要を示す図である。実際の実施の詳細については、実施例4を参照されたい。
図11B】ALECSAT-1/3の生成のプロトコルの概要を示す図である。実際の実施の詳細については、実施例4を参照されたい。
図12A】ALECSAT-2の生成のプロトコルの概要を示す図である。実際の実施の詳細については、実施例4を参照されたい。
図12B】ALECSAT-2/3の生成のプロトコルの概要を示す図である。実際の実施の詳細については、実施例4を参照されたい。
図13A】プロトコルALECSAT-1に従って準備された免疫化/増殖工程の最後の、リンパ球の増殖に対するCD3/CD28ダイナビーズの添加の効果を示す棒グラフである。
図13B】プロトコルALECSAT-1に従って準備された免疫化/増殖工程の最後の、CD8+Tリンパ球上でのCD27、CCR7、及びTIGITの発現に対するCD3/CD28ダイナビーズの添加の効果を示す棒グラフである。
図14A】プロトコルALECSAT-2に従って準備された免疫化/増殖工程の最後の、リンパ球の増殖に対するCD3/CD28ダイナビーズの添加の効果を示す棒グラフである。
図14B】プロトコルALECSAT-2に従って準備された免疫化/増殖工程の最後の、CD8+Tリンパ球上でのCD27、CCR7、及びTIGITの発現に対するCD3/CD28ダイナビーズの添加の効果を示す棒グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
定義
「がん/精巣抗原」(CTA)は、広範ながんによって発現される抗原群である。この群には、MAGE(MAGE-1、MAGE-2、及びMAGE-3を含む)、BAGE、GAGE、NY-ESO-1、並びにBORIS等の抗原が含まれ、これらは全て、主要組織の健康な細胞では通常は発現されないため、安全に標的化され得るがん関連抗原である。これまでに、がん細胞によるCTAの発現は、多くのがんで生じるゲノムワイドな脱メチル化(CpG領域でのプロモーターの脱メチル化を含む)の結果であることが示されている。
【0027】
「単核細胞」(「末梢血単核細胞」とも呼ばれ、PBMCと省略される)は、丸い形の核を有するあらゆる末梢血細胞を示す。単核細胞の2つの主なタイプはリンパ球及び単球であり、このうち単球は、マクロファージ及び樹状細胞に分化する能力を有する。
【0028】
「成熟樹状細胞」(成熟DC)は、本文脈では、本明細書において実施例1の比較の部分で記載されている条件下で単球を培養することによって得られる樹状細胞であり、これは、未熟な樹状細胞とは対照的に、T細胞活性化のための高い潜在能力を示す。これらの成熟樹状細胞は、接着性の単球を播種及び培養し、その後、IL-4(及び/又はIL-13)並びにGM-CSFで処理して単球を未熟DCに分化させ、その後、未熟DCをTNF-アルファ、IL-1ベータ、IL-6、及びプロスタグランジンE2で処理することによって得られるが、リンパ組織から単離された成熟DCのケースと同様に、抗原は担持していない。
【0029】
「CD4+リンパ球」又は「CD4+細胞」(これらの用語は本明細書において区別せずに使用される)は、Tヘルパーサブセットのリンパ球を指す。これらの機能の中にはB細胞の刺激があり、これらは、CD8+リンパ球の活性化においても重要な役割を有する。
【0030】
「CD8+リンパ球」又は「CD8+細胞」又は「細胞傷害性T細胞」(これらの用語は本明細書において区別せずに使用される)は、MCHクラスI拘束T細胞エピトープを提示している細胞を認識し死滅させることができる、抗原特異的なリンパ球を指す。
【0031】
「ナチュラルキラー細胞」又は「NK細胞」又は「NKリンパ球」は、抗原非特異的なリンパ球であり、これらは反応が速い自然免疫系の一部を形成し、そして、これらは、細胞傷害性T細胞のケースと同様、細胞を死滅させる能力を有する。これは、がん細胞に特徴的なストレスによって誘導されるタンパク質の認識の一部として生じる。NK細胞は、MHCクラスI分子を発現していない細胞を標的化する優先的な能力を有する。
【0032】
「CD4+/CD8+の比を増大させる」という表現は、本文脈では、本明細書において教示されているように成熟DCと共培養されたリンパ球集団が、リンパ球のCD4+サブセットの優先的な増殖をもたらすことを示すものである。WO2008/081035において開示されている技術の一部を形成するこのような共培養は、CD8+細胞と比較してCD4+細胞の顕著な増大をもたらすことが示されている。
【0033】
「がん/精巣抗原の発現を誘導する薬剤」は、多くのがんで見られてきた効果に対応する効果、すなわち、ゲノムワイドな変化に起因してCTAが発現されるという効果を、処理された細胞においてもたらし得る、物質又は組成物を示す。典型的には、DNAを脱メチル化させ得る物質が有用であり、良い例は、5-アザ-2'-デオキシシチジン、5-アザシチジン、5-フルオロ-2'-デオキシシチジン、グアデシタビン、及びゼブラリンである。これらのうち、好ましい脱メチル化剤は、5-アザ-2'-デオキシシチジン(本明細書において、5-アザ-CdR又は単純にAzaCとも呼ばれる)であり、これは、核酸合成阻害剤として作用するシチジン類似体である。デシタビンという名称の(DACOGEN(登録商標)という商品名で販売されている)この物質は、DNAメチルトランスフェラーゼの阻害を介して作用する。脱メチル化剤の使用に代わる実行可能な代替案として、ヒストンのアセチル化によってCTAを誘導する薬剤の使用が挙げられ、このような薬剤の一例は、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤のトリコスタチンAである。
【0034】
「CD3及び/又はCD28への結合を介してTリンパ球を活性化し得る薬剤」は、Tリンパ球を活性化する効果を有する、CD3(分化抗原群3)及び/又はCD28(分化因子抗原群28)に結合し得る物質又は組成物である。CD28は本来CD80及びCD86の受容体であり、このことは、これらの分子の可溶性型がT細胞活性化剤として機能し得ることを意味している。通常、CD3及び/又はCD28に結合する抗体はT細胞を活性化する目的で使用され、両分子を結合する二重特異的抗体もまた市販されている。本明細書では、実施例において、高常磁性ビーズに結合したモノクローナル抗体が使用される。
【0035】
「免疫化工程」及び「インビトロでの免疫化」及び「増殖工程」という表現は、概して、CD4+濃縮型リンパ球が最初のリンパ球の画分を免疫化する、リンパ球混合物を共培養する工程に関する。
【0036】
本発明の具体的な実施形態
本発明の第1の態様の実施形態
本方法の工程1は、当技術分野において一般に公知の通りに行われ、すなわち、血液試料がそれ自体公知の方法によって分画され、リンパ球を主に含有する血液試料画分が調製される。例えば、末梢血単核細胞(PBMC)が単純密度勾配技術によって単離され得、その後、リンパ球を他のPBMCから分離するための適切な吸着技術が行われる。実施例1を参照されたい。
【0037】
工程2では、単離されたリンパ球の一部分の培養が、それらの増殖を維持しそれらの活性化を促進する状況下で行われ、重要な特徴として、CD3及び/又はCD28(好ましくは両方)を結合する薬剤が、培養工程の開始時点で細胞と混合される。この培養工程の期間は、実施例において示されているように、2から5日間の間、好ましくは約3日間である。換言すると、Tリンパ球の培養は、約48、約49、約49、約50、約51、約52、約53、約54、約55、約56、約57、約58、約59、約60、約61、約62、約63、約64、約65、約66、約67、約68、約69、約70、約71、約72、約73、約74、約75、約76、約77、約78、約79、約80、約81、約82、約83、約84、約85、約86、約87、約88、約89、約90、約91、約92、約93、約94、約95、約96、約97、約98、約99、約100、約101、約102、約103、約104、約105、約106、約107、約108、約109、約110、約111、約112、約113、約114、約115、約116、約117、約118、約119、又は約120時間行われる。
【0038】
工程3は、WO2020/208054で先に記載された通りに行われる。この期間中、及び工程1の後、工程1から得られた試料の第2の画分は、工程1と工程2との間で凍結されたままである。
【0039】
工程3では、がん/精巣抗原の発現を誘導する薬剤は、したがって、典型的には、DNA脱メチル化剤又はヒストンアセチル化剤である。DNA脱メチル化剤は、好ましくは、5-アザ-2'-デオキシシチジン(5アザ-CdR、これはこの目的で最も好ましい薬剤である)、5-アザシチジン、5-フルオロ-2'-デオキシシチジン、グアデシタビン、及びゼブラリンから選択され、ヒストンアセチル化剤は、トリコスタチンA又はデプシペプチドである。工程3は通常、約2日間、すなわち、36時間から60時間の間の期間を有する。
【0040】
リンパ球培養の全工程の間、IL-2又は別の薬剤、例えばIL-15、IL-7、及びIL-21(これらは全てリンパ球の増殖を刺激する)が、リンパ球の培養の過程の間に添加される。
【0041】
好ましい実施形態において、工程5(「免疫化工程」)もまた、CD3及び/又はCD28への結合を介してTリンパ球を活性化し得る薬剤、好ましくは工程2で使用されるものと同一のタイプの薬剤の添加を伴う。しかし、薬剤が2つの工程で同一であることは最も重要なことではなく、都合に応じて最適な選択がなされるであろう。
【0042】
工程5での薬剤の添加は、通常、工程5の開始の後3~7日目、好ましくは約5日後に行われる。この時点から、培養は、ヒトCD8+及びナチュラルキラー細胞組成物が培養混合物から単離/回収され得るまで行われる。
【0043】
全体で、第1の態様の方法は最大で20日間の期間を有するが、最大で16日間の期間が好ましい(工程1+2≒3日間、工程3≒2日間、及び工程4+5≒11日間)。この期間は、過去に開示された活性化型T細胞を提供するための、かなり短縮された時間である。
【0044】
CD3及び/又はCD28への結合を介してTリンパ球を活性化し得る薬剤は、通常、CD3を結合する抗体、抗体断片、又は抗体類似体を含む。しかし、他の結合特異的分子もこの目的のために構想され、例えば、核酸又はペプチドアプタマーが利用され得るが、それは、CD3を鋳型として使用することによって調製された分子インプリントポリマーが、CD3のあらゆる適正に選択された結合パートナーと同一の機能性を有し得るためである。同様に、CD3及び/又はCD28への結合を介してTリンパ球を活性化し得る薬剤は、通常、CD28を結合する抗体、抗体断片、又は抗体類似体を含むが、この場合、可溶性型のCD80又はCD86は、アプタマー及び分子インプリントポリマーと同様、有用な代替物である。
【0045】
好ましい実施形態において、CD3及び/又はCD28への結合を介してTリンパ球を活性化し得る薬剤は、CD3を結合する抗体、抗体断片、又は抗体類似体を含み、且つ、CD28を結合する抗体、抗体断片、又は抗体類似体を含む。また、この場合、上記のもの(アプタマー、分子インプリントポリマー、及び可溶性受容体)のような代替的な薬剤も使用できるが、CD3及びCD28に対して多重特異的な(例えば二重特異的な)抗体類似体を利用することも可能である。
【0046】
実施例で示されるように、抗体、抗体断片、又は抗体類似体を固相又は半固相に結び付けると、優れた結果が得られる。このような固相又は半固相に結合したCD3及び/又はCD28への結合を介してTリンパ球を活性化し得る薬剤の使用は、したがって、本発明の第1の態様の好ましい実施形態である。固相又は半固相は、分離可能なビーズ、例えば常磁性又は超常磁性ビーズによって構成される有用な実施形態に含まれる。しかし、結合にポリマー、例えばデキストラン、PEG、及び他のポリマーを利用することも、本発明の範囲内である。
【0047】
本発明の第2の態様の実施形態
実施例4で示されるように、驚くべきことに、先行技術のプロセスであるALECSAT-1及びALECSAT-2が共に、まさに本発明の第1の態様の方法に関連するケースのように、免疫化工程の開始の5日後にCD3/CD28抗体を添加することによって改良され得ることが分かる。上記を参照されたい。
【0048】
この発見は、したがって、ALECSAT技術タイプの方法の結果が免疫化/増殖工程の間のCD3及び/又はCD28との相互作用の利用によって全体的に改善され得ることを証明している。したがって、本発明の第2の態様に従うと、活性化型ヒトCD8+リンパ球及びナチュラルキラー(NK)リンパ球を含む組成物を調製するための方法であって、
a)対象から、リンパ球について濃縮されている血球試料を単離する工程、
b)CD4+リンパ球の増殖を刺激し、CD4+/CD8+の比を工程aで得られたリンパ球と比較して増大させる条件下で、試料の画分を培養する工程、
c)増殖性のTリンパ球を、がん/精巣抗原の発現を誘導する薬剤と接触させ、その後、がん/精巣抗原の前記発現をもたらす培養期間を設ける工程、
d)がん/精巣抗原を発現しているTリンパ球を、Tリンパ球を活性化し得る薬剤から分離し、その後、がん/精巣抗原を発現しているリンパ球を、工程aで得られた試料の第2の画分と混合する工程、並びに
e)その後、工程dで得られたリンパ球混合物を培養して、CD8+リンパ球及びNKリンパ球の増殖を刺激する、CD3及び/又はCD28への結合を介してTリンパ球を活性化し得る薬剤の添加を含む工程
を含む方法が提供される。
【0049】
換言すると、工程bは、例えば、がん/精巣抗原の発現の誘導の前に自己成熟樹状細胞がリンパ球と共培養され、自己樹状細胞が免疫化工程の前又は最中に共培養細胞として使用される、先行技術であるALECSAT-1又はALECSAT-2産生技術を使用して、行うことができる。したがって、工程bに関して、WO2008/081035及びWO2020/208054において開示されている方法における成熟樹状細胞の調製及びそれらの使用に関する全ての技術的詳細は、必要な変更を加えて、本発明の第2の態様のプロセスに適用することができる。
【0050】
全体として、この態様の実施形態において、CD3及び/又はCD28への結合を介してTリンパ球を活性化し得る薬剤が利用され、これらは、本発明の第1の態様及びその実施形態の議論において既に上記された特徴を有している。
【0051】
したがって、CD3及び/又はCD28への結合を介してTリンパ球を活性化し得る薬剤は、典型的には、工程5の開始の3~7日後、好ましくは約5日後に添加される。CD3及び/又はCD28への結合を介してTリンパ球を活性化し得る薬剤は、好ましくは、CD3を結合する抗体、抗体断片、又は抗体類似体を含む。CD3及び/又はCD28への結合を介してTリンパ球を活性化し得る薬剤は、好ましくは、CD28を結合する抗体、抗体断片、又は抗体類似体を含む。CD3及び/又はCD28への結合を介してTリンパ球を活性化し得る薬剤は、好ましくは、CD3を結合する抗体、抗体断片、又は抗体類似体を含み、且つ、CD28を結合する抗体、抗体断片、又は抗体類似体を含む。CD3及び/又はCD28への結合を介してTリンパ球を活性化し得る薬剤は、好ましくは、固相若しくは半固相、又はデキストラン等のポリマーに連結している。そして、CD3及び/又はCD28への結合を介してTリンパ球を活性化し得る薬剤は、分離可能なビーズ、例えば常磁性又は超常磁性ビーズによって構成される固相又は半固相に連結している。
【0052】
また、第2の態様の方法及び上記の実施形態は、典型的には、その後に、活性化型CD8+リンパ球及びNKリンパ球の単離/回収が行われる。
【0053】
記載したように、工程bにおける条件は、例えば、先行技術であるALECSAT-2又はALECSAT-3技術を特徴付ける、すなわち、工程aにおいて試料から調製された成熟樹状細胞との共培養を伴う、条件であり得る。
【0054】
同様に、CD3及び/又はCD28への結合を介してTリンパ球を活性化し得る薬剤がALECSAT-1の方法で利用されるかALECSAT-2の方法で利用されるかに応じて、工程c、工程d、又は工程eのいずれか又は全てが、工程aにおいて試料から調製された成熟樹状細胞の添加を含む。ここでも、これらの工程に関して、WO2008/081035及びWO2020/208054において開示されている方法における成熟樹状細胞の調製及びそれらの使用に関する全ての技術的詳細は、必要な変更を加えて、本発明の第2の態様のプロセスに適用することができる。
【0055】
したがって、WO2008/081035及びWO2020/208054の内容は、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0056】
ALECSAT-1プロセス又はALECSAT-2プロセスの修正
具体的な実施形態において、本発明の第2の態様は、先行技術であるALECSAT-1の方法又はALECSAT-2の方法の全ての工程を含む。
【0057】
したがって、CD3及び/又はCD28への結合を介してTリンパ球を活性化し得る薬剤は、好ましくは、先行技術であるALECSAT-1の方法又はALECSAT-2の方法の一方において使用され、すなわち、活性化型ヒトCD8+リンパ球及びナチュラルキラー(NK)リンパ球を含む組成物を調製するための方法であって、i)ヒトドナーから得られた血液試料から単核細胞を単離し、PBMCを単球濃縮型画分及びリンパ球濃縮型画分に分離する工程、ii)単球濃縮型画分の一部を、樹状細胞の成熟を促進する条件下で培養する工程、iii)その後、工程iiで得られた成熟樹状細胞の第1の部分を、工程iで得られたリンパ球画分の第1の部分と混合する工程、iv)工程iiiで得られた混合された細胞を共培養してCD4+リンパ球の増殖を刺激し、これによって、CD4+/CD8+の比を工程iで得られたリンパ球と比較して増大させる工程、v)工程ivの共培養された細胞から増殖性のリンパ球を単離し、その後、これらをがん/精巣抗原の発現を誘導する薬剤と接触させ、その後、がん/精巣抗原の前記発現をもたらす培養期間を設ける工程、vi)工程vで得られた、がん/精巣抗原を発現しているリンパ球を、工程iにおけるリンパ球濃縮型画分の第2の部分と混合する工程、並びにvii)その後、工程viで得られたリンパ球混合物を培養して、CD8+リンパ球及びNKリンパ球の増殖を刺激する工程を含む方法において使用される。これは包括的なALECSAT-1プロセスであり、工程iiで得られた成熟樹状細胞の遅れた添加、すなわち、がん/精巣抗原を発現している細胞を共培養した後の添加を更に含み得る。逆に、包括的なALECSAT-2プロセスは、工程iiで得られた成熟樹状細胞の第2の部分が、工程v~viiのいずれかで及び工程viの遅くても6日後に増殖性のリンパ球に添加されることを含む。
【0058】
工程i~iiは合わせて約6日間継続し、工程iii~ivは合わせて約7日継続し、そして工程vは2日間継続する。ALECSAT-2プロセスでは、工程6~8は合わせて約11日間継続し、この場合、成熟樹状細胞の第2の部分が工程iiの開始の13~17日後、好ましくは工程iiの開始の15~17日後に添加されることが好ましい。
【0059】
工程iは、PBMCの試料を提供した後にリンパ球から単球を分離する工程からなる。この分離の後、リンパ球画分及び単球画分の両方が、それぞれ少なくとも2つの部分に分割される。リンパ球画分から得られた細胞は工程iiの後まで上記のプロセスに加えられないため、また、リンパ球画分から得られた更なる細胞は工程vの後までプロセスに加えられないため、リンパ球濃縮型画分の少なくとも2つの部分は、1つは工程iと工程iiの間に、もう1つは工程iと工程viとの間に、凍結される。同様に、成熟樹状細胞の第2の部分は、工程iiと、工程v若しくは工程vi(及び/又は、更に遅れて、がん/精巣抗原を発現しているリンパ球の培養の後)でのこの部分の添加との間、凍結されたまま維持される。通常の状況下では、成熟DCの第1の部分は、工程1の直後に、すなわち凍結されずに、使用される。
【0060】
工程iiは基本的に、培養中の単球から成熟DCを調製するための公知の方法に従って行われる。これらの公知の方法には、未熟DCを得るための、培養の過程の間の、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)及びインターロイキン4(IL-4)(及び/又はインターロイキン13)の添加と、その後の、成熟DCを得るためのTNFαの添加とが含まれる。加えて、インターロイキン1β(IL-1β)、インターロイキン6(IL-6)、及びプロスタグランジンE2(PGE2)が、成熟DCを調製するフェーズで有利に添加され得る。
【0061】
工程iv~viiは、全体として、ALECSAT-2アプローチを利用する場合、工程v~viiで成熟DCフィーダー細胞の早期の添加を適用する場合を除いて、WO2008/081035において開示されている通りに行われる。したがって、これらの工程に関するあらゆる包括的な開示もまた、この節において記載されているプロセスに適用される。
【0062】
ALECSAT-2プロセスはまた、I)増殖性のCD4+リンパ球を含むヒト細胞の第1の組成物をがん/精巣抗原の発現を誘導する薬剤と接触させ、その後、第1の組成物の細胞によるがん/精巣抗原の前記発現をもたらす培養期間を設ける工程、及びII)未刺激の末梢血リンパ球を含むヒト細胞の第2の組成物を細胞の第1の組成物に添加し、組み合わされた細胞組成物を培養して、CD8+リンパ球及びNKリンパ球の増殖を刺激する工程によって規定され得、ここで、成熟樹状細胞を含むヒト細胞の第3の組成物は、工程I又はIIで、及び工程IIIの開始の遅くても6日間後に添加され、第1、第2、及び第3のヒト細胞組成物は同系である。また、このプロセスにおいて、CD3及び/又はCD28への結合を介してTリンパ球を活性化し得る薬剤は、全体的に上記されているように、工程IIで利用され得る。
【0063】
したがって、このバージョンのALECSAT-2方法は、増殖性のリンパ球の培養物(第1の組成物)が確立した時点で開始される。好ましくは、第1の組成物は、CD8+リンパ球よりもCD4+リンパ球に富んでおり、このことは、CD4+リンパ球/CD8+リンパ球の比が、正常な血液(比が約2である)で見られるものと比較して著しく増大していることを意味している。
【0064】
この単純化されたALECSAT-2プロセスの残りの工程は上記の工程v~viiに対応し、これらの工程の特徴のいずれも、必要な変更を加えて適用することができる。これは、例えば、CTAの発現を誘導する薬剤の特徴に関するあらゆる開示に当てはまる。指摘したように、工程I及びIIで使用される3つの細胞組成物は同系であり、すなわち、細胞は、同一の人の細胞に由来しているか、又は他の理由で同一のゲノムを有している細胞である。
【0065】
最後に、ALECSAT-2もまた、CTAを発現しているCD4+リンパ球を含む組成物が提供された後に開始され得る。ALECSAT-2の方法はしたがって、がん/精巣抗原を発現しているCD4+リンパ球を含むヒト細胞の第1の組成物と、未刺激の末梢血リンパ球を含むヒト細胞の第2の組成物とを混合し、組み合わされた細胞組成物を培養して、CD8+リンパ球及びNKリンパ球の増殖を刺激する工程を含み、ここで、成熟樹状細胞を含むヒト細胞の第3の組成物は、第1の組成物と第2の組成物との混合の遅くても6日間後に、組み合わされた組成物に添加され、また、細胞の第1、第2、及び第3の組成物は同系である。ここでも、全体的に上記されているように、このバージョンのALECSAT-2プロセスでは、CD3及び/又はCD28への結合を介してTリンパ球を活性化し得る薬剤が利用され得る。
【0066】
CD3及び/又はCD28への結合を介してTリンパ球を活性化し得る薬剤が利用され得る上記のALECSAT-1の方法及びALECSAT-2の方法において、成熟樹状細胞が抗原を担持していないこと、及び成熟樹状細胞が放射線照射されていないことが好ましい。通常は、フィーダー細胞の放射線照射は、これら細胞の増殖を防ぐために利用されるが、ALECSAT-1の方法及びALECSAT-2の方法で使用される成熟樹状細胞は増殖しないか、又は、許容できる程度に低い程度の増殖しか少なくとも示さない。更に、ペプチドを担持する樹状細胞の使用は、CD8+細胞を刺激するために使用されているが、ALECSAT方法は、CD8+細胞の増殖も刺激することが示されている。
【0067】
全培養工程において、IL-2が有利に適用され得ることが分かっている。実施例を参照されたい。
【0068】
既に上記したように、ALECSAT-2方法における、フィーダー細胞としての成熟DCの早期の添加は、CTAを発現しているCD4+リンパ球と刺激されていないリンパ球との共培養の誘導の遅くても6日間後である。典型的には、これは、遅くても5日後、遅くても4日後、遅くても3日後、及び遅くても2日後である。この早期の添加のタイミングに関する詳細については、本発明の第1の態様の、上記を参照されたい。しかし、フィーダー細胞の添加が、CTAを発現しているCD4+リンパ球と刺激されていないリンパ球との共培養の誘導の遅くても又は正確に0、1、又は2日後であることが好ましい。
【0069】
最後の培養工程の後、典型的には、活性化型CD8+リンパ球及びNKリンパ球の単離/回収が行われる。これらは次いで、典型的には、その後、治療における後の使用のために保存されるか、又は、これらは、細胞の由来元である患者において直接使用される。
【0070】
本発明の第3の態様の実施形態
この方法は本質的にWO2020/208054において詳述されており、唯一の違いは、患者に投与される細胞が、本発明の第1の態様又は第2の態様の方法によって産生されることである。したがって、この方法において、投与される細胞が、本明細書において開示されている発明の第1又は第2の態様の方法及びそれらの実施形態によって修飾されている患者の自己細胞であることが好ましい。典型的には、患者は、修飾された細胞の少なくとも若しくは正確に2回、少なくとも若しくは正確に3回、又は少なくとも若しくは正確に4回の投与を受ける。
【0071】
細胞の投与は、都合良くは、非経口経路、例えば静脈内経路、動脈内経路、腫瘍内経路、及びリンパ内経路を介する。
【0072】
更に、がんは、癌、腺癌、肉腫(脂肪肉腫、線維肉腫、軟骨肉腫、骨肉腫、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫を含む)、グリオーマ(特に膠芽腫)、神経芽細胞腫、髄芽腫、悪性黒色腫、神経線維肉腫、絨毛癌、骨髄腫、及び白血病からなる群から選択される。
【0073】
本発明の第3の態様の興味深い実施形態において、処置は、抗がん剤の投与(すなわち併用処置)と、特に免疫チェックポイント阻害薬(簡単にチェックポイント阻害剤とも呼ばれる)と組み合わされる。この文脈における特に好ましいチェックポイント阻害薬は、PD-1及び/又はPD-L1の阻害剤である。
【0074】
したがって、特定の興味深い実施形態において、第3の態様の方法は、有効量のPD-1阻害剤又はPD-L1阻害剤が投与される抗がん処置との組み合わせを含む。併用処置は、本発明に従って調製された細胞での処置の前、及び/又は当該処置と同時、及び/又は当該処置の後に行われ得る。
【0075】
この興味深い実施形態におけるPD-1阻害剤及びPD-L1阻害剤は、以下の承認されている又は実験的な阻害剤のいずれかであり得る。
【0076】
承認されているPD-1阻害剤
黒色腫、転移性非小細胞肺がん、及び頭頚部扁平上皮細胞癌の処置に承認されている、ペムブロリズマブ(以前はMK-3475又はラムブロリズマブ、キイトルーダ)。
【0077】
黒色腫、扁平上皮細胞肺がん、腎細胞癌、及びホジキンリンパ腫の処置に承認されている、ニボルマブ(オプジーボ)。
【0078】
治癒的な外科手術又は治癒的な放射線照射の候補ではない皮膚扁平上皮細胞癌(CSCC)又は局所的に進行したCSCCの処置に承認されている、セミプリマブ(リブタヨ)。
【0079】
2021年4月に、FDAによって、ミスマッチ修復欠損(dMMR)の再発性の又は進行した子宮内膜がんの処置に承認されている、ドスタルリマブ(ジェンペルリ)。[13]2021年8月17日に、FDAは、ミスマッチ修復欠損(dMMR)の再発性の又は進行した充実性腫瘍の処置のための迅速承認をした。
【0080】
現在治験中のPD-1阻害剤
現在フェーズI臨床試験中の、Jounce Therapeutics社によるJTX-4014。
【0081】
充実性腫瘍及びリンパ腫の両方を処置するために開発された、スパルタリズマブ(PDR001)。
【0082】
ホジキンリンパ腫の処置に条件付きで承認されている、カムレリズマブ(SHR1210)。
【0083】
非小細胞肺がん(NSCLC)を処置するために開発された、シンチリマブ(IBI308)。
【0084】
充実性腫瘍及び血液がんの処置のために開発された、ティスレリズマブ(BGB-A317)。
【0085】
トリパリマブ(JS 001)。
【0086】
INCMGA00012(MGA012)。
【0087】
AMP-224。
【0088】
AMP-514(MEDI0680)。
【0089】
承認されているPD-L1阻害剤
尿路上皮癌及び非小細胞肺がんの処置に承認されている、アテゾリズマブ(テセントリク)。
【0090】
転移性メルケル細胞癌の処置に承認されている、アベルマブ(バベンチオ)。
【0091】
化学放射線療法後の尿路上皮癌及び切除不能な非小細胞肺がんの処置に承認されている、デュルバルマブ(イミフィンジ)。
【0092】
現在治験中のPD-L1阻害剤
KN035、
NSCLCの処置のためのCK-301、
AUNP12(29-merのペプチド)、
中皮腫患者の処置のためのCA-170、及び
BMS-986189。
【0093】
本発明の第4及び第5の実施形態
全体として、これらの実施形態は、医薬としての使用について上記で開示されている、特に本発明の第3の態様の方法における、組成物に関する。したがって、第3の態様及びそれらの実施形態に関する全ての開示は、必要な変更を加えて、第4及び第5の態様に適用される。
【実施例1】
【0094】
細胞傷害性リンパ球の生成の短縮されたプロトコルの開発。
比較を目的とした既存のプロトコル:
樹状細胞の生成、リンパ球の活性化、及びDNA脱メチル化試薬での処理を、WO2008/081035において以前に記載されている通りに行った。完璧を期するために、手順を以下に記載する。
【0095】
0日目
バフィーコートを地域の血液バンクから入手した。到着後、血液(約60ml)を、Ca及びMgを含有しない60mlのダルベッコリン酸緩衝生理食塩水(DPBS、製品番号BE17-512F、Cambrex社、ベルギー)で希釈し、およそ30mlを、4本の50ml試験管内で、15mlのLymphoprep(登録商標)(製品番号1053980、AXIS-SHIELD PoC AS社、ノルウェー)の上に重ねた。200G、20分間、20℃での最初の遠心分離の後、15~20mlの血漿上層(いわゆる多血小板血漿、PRP)を個別の試験管に回収し、血清の調製に使用した。このために、CaCl2を25mMの濃度まで添加し、混合した後、血漿をT225フラスコ(Nunc社、デンマーク)に移し、CO2インキュベーター内に置いた。フラスコを翌日までCO2インキュベーター内に放置した。Lymphoprep(登録商標)を有する試験管の遠心分離を、460G、20分間、20℃で継続した。遠心分離が終了した後、単核細胞を、Lymphoprep(登録商標)と血漿との間の界面から、25mlの冷たいDPBS-EDTA(Cambrex社)を有する試験管に回収し、最初は300Gの、次いで、各回につき4℃で12分間、250Gを2回の遠心分離によって、冷たいDPBS-EDTAで3回洗浄した。最後の洗浄の後、細胞を、Ca及びMgを含有しない30mlの冷たいDPBS中に再懸濁し、Moxiカウンターを使用してカウントした。
【0096】
単球の濃度を、細胞の対応するピークをゲーティングすることによって決定した。樹状細胞(DC)の生成は、RPMI 1640中の5%ヒトAB血清30mlで前処理したT225組織培養フラスコ内で行った。前処理用の培地を除去した後、AIM-V培地中に4~5×107個の単球を含有する細胞懸濁液30mlを添加した。37℃で30分間インキュベートした後、非接着性のリンパ球を回収し、接着性の単球を、事前に温めたRPMI 1640培地で2回すすぎ、30mlのAIM-V培地中で更に培養した。回収されたリンパ球を、25~30×106個細胞のいくつかのアリコートにして凍結した。
【0097】
1日目
GM-CSF及びIL-4(共に、Gentaur社、ベルギー、又はCellGenix社、ドイツから入手した)を、それぞれ100ng/ml及び25ng/mlの最終濃度まで、単球を含有するフラスコに添加した。
【0098】
凝固した血漿を含有するT225フラスコを冷蔵庫に移し、傾いた状態で置いて、凝固した血漿を沈殿させ、15~30分後、血清を50mlの試験管に移し、そして-20℃の冷凍庫に移した。
【0099】
2日目
凍結された血清を含有する試験管を冷蔵庫(4℃)に移した。
【0100】
3日目
GM-CSF及びIL-4(共に、Gentaur社、ベルギー、又はCellGenix社、ドイツから入手した)を、それぞれ100ng/ml及び25ng/mlの最終濃度まで、単球を含有するフラスコに添加した。
【0101】
解凍された血清を含有する試験管を2000G、15分間、20℃で遠心分離し、上清を新たな50mlの試験管に移した。この血清(「終盤の血漿由来血清」と呼ばれる)を4℃で保存した。
【0102】
4日目
IL-1β、IL-6、TNF-α(全て、Gentaur社から入手した)、及びPGE2(Sigma社)を、10mlのAIM-V培地中でそれぞれ10ng/ml、1000IU/ml、10ng/ml、及び0.2μg/mlの最終濃度まで添加した。
【0103】
6日目-樹状細胞及びリンパ球の共培養を開始する。
非接着性の樹状細胞を採取し、カウントし、そして実験に使用した。このために、凍結されたリンパ球を解凍し、カウントし、そして2×107個のリンパ球を2×106個の樹状細胞と混合した。遠心分離した後、混合物を、AIM-V培地(Gibco社、Invitrogen社)及び2%自己血漿由来血清からなるリンパ球培地41ml中に再懸濁し、T175フラスコ内に置いた。フラスコを横倒しの状態で置いた。2つの並行な培養物を設定した。
【0104】
7日目
IL-2(Gentaur社)を、25IU/mlの最終濃度で、2mlのAIM-V培地に添加した。
【0105】
10日目(共培養の4日目)
第1の培養物を採取し、カウントし、そして5-アザ-2'-デオキシシチジンで処理した。他方の培養物に、IL-2(50U/ml)を添加した新鮮なリンパ球培地40mlを加え、フラスコを標準的な(平らな)状態に置いた。処理を、IL-2(150IU/ml)及び10μMの5-アザ-2'-デオキシシチジン(Sigma社から入手した)を添加したリンパ球培地40ml中で行った。
【0106】
11日目(共培養の5日目)
40mlの細胞懸濁液を採取し、残りの培養物に、IL-2(50U/ml)を添加した新鮮なリンパ球培地40mlを添加した。採取された細胞をカウントし、上記の通りに5-アザ-2'-デオキシシチジンで処理した。
【0107】
12日目(共培養の6日目)
残りの培養物を採取し、カウントし、そして上記の通りに5-アザ-2'-デオキシシチジンで処理した。
【0108】
最初の処理された培養物を採取し、カウントし、そして250万個の細胞を使用してペレットを調製した。ペレットは、MAGE抗原の決定まで、-80℃で維持した。
【0109】
13日目
第2の処理された培養物を採取し、カウントし、そして250万個の細胞を使用してペレットを調製した。ペレットは、MAGE抗原の決定まで、-80℃で維持した。
【0110】
14日目
第3の処理された培養物を採取し、カウントし、そして250万個の細胞を使用してペレットを調製した。ペレットは、MAGE抗原の決定まで、-80℃で維持した。
【0111】
MAGE抗原の発現を以下のように決定した。凍結された細胞ペレットを解凍し、全RNAを、NucleoSpin RNA Plusキット(Macherey-Nagel社)を使用してリンパ球から単離し、ezDNase(商標)酵素(Invitrogen社)及びランダムヘキサマー及びオリゴ(dT24)プライマーを有するSuperScript(商標)IV VILO(商標)Master Mixを使用して逆転写した。cDNAを、FastStart Essential DNA Green Masterミックス(Roche社)と、RealTimePrimers.comによって提供されたMAGE-A4のプライマー以外は先に記載されたプライマー及び条件(Weinertら、2009)とを使用して、LightCycler Nano(Roche社)で増幅した。データをGAPDH発現に対して正規化した。プライマーのリストをTable 1(表1)に示す。
【0112】
【表1】
【0113】
図1は、2つのリンパ球培養物で行われたこのような決定の結果を示している。共培養の時間を6日間から4日間に短縮すると、MAGE抗原の発現の増大が見られる。コールターカウンターを使用する、小さな(活性化されていない)細胞及び大きな(活性化型)細胞のカウントは、4日目には、最初の細胞数の17~30%に相当する、わずか30~40%の細胞しか活性化されていないことを示している(以下のTable 2(表2))。これらの計算は、顕著なCTA発現がわずか4日間の共培養の後に細胞を採取することによって得られるという事実にもかかわらず、手順の次の工程に必要な十分な量の5-アザ-2'-デオキシシチジン処理細胞を生成することが、不可能ではないにしても非常に困難であろうことを示している。
【0114】
【表2】
【0115】
この理由から、CD4+細胞の優勢な増殖を伴い、はるかに速い活性化動態を有するTリンパ球のポリクローナル活性化を誘導する代替的手段を研究することが決定された。CD4+細胞の優先的な増殖と組み合わされた速いリンパ球活性化動態を有する、CD3/CD28抗体に基づく活性化試薬(Thompson JAら(2003))を、この目的のために選択した。
【0116】
新規な本発明のリンパ球活性化プロトコルが図2で概説されており、また以下で説明される。
【0117】
0日目
リンパ球を、最初の吸着の後の細胞を2回目の吸着に使用したことを除いて、上記の通りにバフィーコートから単離した。2回目の吸着を、RPMI 1640中の5%ヒトAB血清15mlで前処理したT75組織培養フラスコ内で、2×107個の細胞で行った。37℃で30分間インキュベートした後、非接着性のリンパ球を回収し、カウントした。1×107個の細胞を遠心分離した後、ペレットを、L-グルタミン(2mM)及び2%の自己血清(凝固した血漿から調製された、上記を参照されたい)を添加したAIM-V培地からなるリンパ球培地20mlに再懸濁した。細胞懸濁液をT75組織培養フラスコ内に置いた(横倒しで置いた)。100μlのCD3/CD28ダイナビーズ(ヒトT細胞活性化剤、ThermoFisher Scientific社、カタログ番号111.31D、4×107個ビーズ/mL)を添加した後、フラスコをCO2インキュベーターに移した。
【0118】
1日目
インターロイキン2(IL-2)(Gentaur社、ベルギー)を、50IU/mlの最終濃度で培養物に添加した。
【0119】
2日目
25IU/mlのIL-2を添加したリンパ球培地20mlをフラスコに添加した。フラスコを標準的な(平らな)状態で置いた。
【0120】
3日目
細胞懸濁液を50mlの試験管に移し、細胞濃度を決定した。この段階で、培養物は活性化型リンパ球のみを含有しており、Moxiセルカウンターでカウントすると、平均サイズが10~11μmの単一の細胞ピークが現れる。2×107個の細胞(又は全ての細胞)を遠心分離のために準備した。遠心分離した後、ペレットを40mlのリンパ球培地に再懸濁し、IL-2(150IU/ml)及び10μMの5-アザ-2'-デオキシシチジン(5-アザ-CdR、Sigma社から入手した)を添加した後、細胞をT75組織培養フラスコに移した。
【0121】
5日目
5-アザ-CdRで処理した培養物を採取し、遠心分離した。遠心分離した後、ペレットを3mlのリンパ球培地に再懸濁した。磁石を利用してダイナビーズを枯渇させた。枯渇手順を2回繰り返して、刺激性ビーズが免疫化期間の開始時点で確実に存在しないようにした。この後、細胞をカウントし、10×106個の細胞を10×106個の解凍したリンパ球と混合し、遠心分離した後、20mlのリンパ球培地に再懸濁し、そしてT75組織培養フラスコに横倒しの状態で移した。2.5×106個の細胞を遠心分離のために個別に準備し、得られたペレットを凍結し、その後、上記のようなRT-PCRによるMAGE抗原発現の決定に使用した。
【0122】
MAGEファミリーの選択されたCT抗原のロバストで一貫性のある発現は、細胞をIL-2(150IU/ml)の存在下で10μMの5-アザ-CdRで2日間処理することによって達成された(図3を参照されたい)。表面マーカーの発現についての5-アザ-CdRで処理された細胞の分析は、CD4+Tリンパ球が細胞の優勢な集団であることを示している(図4)。
【0123】
7日目
IL-2(50IU/ml)を添加した20mlの新鮮なリンパ球培地を、フラスコに添加した。
【0124】
10日目
20mlの細胞懸濁液を新たなT75フラスコに移した。IL-2(50U/ml)を添加した新鮮なリンパ球培地20mlを、各フラスコに加えた。50μlのCD3/CD28ダイナビーズ(2×106個のビーズを含有する)を一方のフラスコに添加した。両フラスコを標準的な(平らな)状態で置いた。
【0125】
更なる培養(4~6日間)を、IL-2(最終濃度25IU/ml)を添加した新鮮なリンパ球培地を加えて、培養物の通常の増殖及びフィードで行った。培養期間の最後に(14日目~16日目)、培養物を採取し、カウントし、そして表現型及び細胞溶解活性の分析に使用した。
【実施例2】
【0126】
免疫化工程の開始の5日後のCD3/CD28ダイナビーズの添加の影響
増殖したリンパ球は、顕微鏡調査の下では、典型的にスフェロイドに見える(図5)。生成された細胞の表現型を、フローサイトメトリー分析による表面マーカーの発現の測定によって決定した。これは、細胞を、直接コンジュゲートされた抗体であるCD3-FITC、及びCD62L-PE-Cy5(Beckman Coulter社、スウェーデン、A07746、IM2655)、CD56-PE、CD4-FITC、CD8-PE、CD27-FITC、CCR7-FITC、CD45RA-PE-Cy5、並びにPD1-PE(BD Bioscience社、555516、555346、555635、560986、561271、555490、及び560795)で染色することによって行った。推奨されるアイソタイプコントロールを細胞の表現型決定に使用した。細胞試料を、Naviosフローサイトメーター(Beckman Coulter社)及びKaluza分析用ソフトウェアバージョン1.3(Beckman Coulter社)を使用して分析した。
【0127】
増殖した細胞の表現型に対するCD3/CD28ダイナビーズの添加の影響を図6及び図7に示す。見て分かる通り、CD8+リンパ球の初期分化状態に関連する多くのパラメータが、CD3/CD28ダイナビーズを添加して生成された培養物では著しく上方調節されている。最も大きな増大は、CCR7ケモカイン受容体で見られる(図7)。本発明者らはまた、膠芽腫患者の凍結されたリンパ球からの細胞傷害性細胞の調製を、修正されたプロトコルに従って行った。見て分かる通り(図8)、CD3/CD28ダイナビーズを添加する新たなプロトコルは、免疫化工程の開始の5日後のCCR7発現が中レベルから高レベルの細胞を生じさせている。
【0128】
免疫化プロセスの開始の5日後のCD3/CD28ビーズの添加は、Rosenblattら、2010においても記載されているが、著者らは初期分化の表現型の誘導に関する表面マーカー(CCR7、CD62L、及びCD27)の発現については観察しなかったことに留意すべきである。別の著者グループ(Rasmussenら、2010)は、抗原で事前刺激したリンパ球の増殖にCD3/CD28ダイナビーズを利用した。著者らは、このような増殖が、初期分化の表現型に関連する一部のマーカー(CD62L)の発現を増大させ得るが、他のマーカー(CCR7及びCD27)は増大させ得なかったことを示している。
【0129】
エフェクターリンパ球の溶解活性を決定するために、iCELLigenceシステム(ACEA Biosciences社、サンディエゴ、CA、USA)を用いるリアルタイムの細胞傷害性アッセイを利用した。2つの乳がん細胞系T47D(HLA-A2-)及びMDA-MB-231(HLA-A2+)を、ほとんどの実験で利用した。腫瘍細胞を、10%FCSを含有する、全容積が400μLのRPMI 1640培地中で、ウェル当たり3×104個の細胞の密度で播種した。最初のインキュベーションの2~4時間後、3つの異なる用量(0.05×106個、0.1×106個、及び0.2×106個)のリンパ球を、200μlのリンパ球培地に添加した。腫瘍細胞の死滅は、細胞のインピーダンス(正規化されたセルインデックスとして測定される)の低下と関連しており、20~25時間にわたり15分間毎にモニタリングされた。2人のドナーから得られたエフェクター細胞の溶解活性のこのような決定の結果を図9に示す。培養物1(CD3/CD28ビーズを有さない)及び培養物2(CD3/CD28ビーズを有する)の両方の溶解活性が類似していることを明らかに見ることができる。これらの結果は、CD3/CD28ダイナビーズの添加が、初期分化の表現型を有する細胞の割合を、それらの溶解活性に負の影響を与えることなく増大させることを示している。
【実施例3】
【0130】
細胞傷害性Tリンパ球のTCR非依存性の溶解活性の実証。
本発明者は、ELISPOTアッセイにおいて、5-アザ-CdRで処理されたCD4濃縮型リンパ球集団に対して生成された細胞傷害性Tリンパ球が、2つの個別のがん精巣抗原(NY-ESO-1及びMAGE-A10)に由来するペプチドエピトープを担持する抗原提示細胞を認識し得ることを以前に実証しており、このことは、生成されたCTLの特異的な成分の1つが実際にがん精巣抗原であることを示している。他方で、上記の実施例2で示された結果は、腫瘍細胞系MDA-MB-231のTCR非依存性の認識を実証しており、このことは、生成されたエフェクター細胞の活性におけるTCR非依存性の成分の存在を示している。このことを更に調べるために、本発明者らは、より大きな腫瘍細胞系パネルで、生成されたエフェクター細胞の溶解活性を試験した。1つのこのような実験の結果を図10に示す。ここでは4つの細胞系を利用し、2つはHLA-A2陽性であり、他の2つはHLA-A2陰性であった。生成されたエフェクター細胞は3つの細胞系を同様の効率で死滅させることができたが、1つの細胞系(T47D)はここでも、生成されたエフェクター細胞による死滅に対して感受性がかなり低かった。調製物中に存在するNK細胞の割合、及びエフェクター細胞のHLA-A2表現型に関係なく、全部で16人のドナーで生成されたエフェクター細胞で、生成されたエフェクター細胞による溶解に対するMDA-MB-231の感度がT47Dと比較して高いことが観察され、このことは、この系で見られる溶解が主にTCR非依存性であり、一部の腫瘍細胞系に存在する構造に向けられていることを示している。
【0131】
この観察は、Braunら、2016によって記載されている腫瘍細胞のTCR非依存性の認識に類似しており、当該文献において、抗原性のペプチドを担持する正常細胞の抗原特異的な認識を示すCTLが、HLAの表現型及び抗原の存在にかかわらず、大部分の腫瘍細胞系を溶解することが実証されている。Braunら、2016によって記載されている腫瘍細胞のTCR非依存性の溶解は、分子DNAM-1によるCD155及び/又はCD112の認識によって媒介されることが示された。溶解活性に関与する更なる分子は、CD45及びLFA-1(これはICAM-1を認識する)である。溶解活性はまた、CD62Lの発現とも相関する。本実験におけるTリンパ球によるTCR非依存性の溶解に耐性のT47D乳がん細胞系はCD155を発現していないが、感受性のある細胞系であるMDA-MB-231は発現している(Zheng Qら、2019によって提示されているデータに従う)ということに留意すべきであり、このことから、エフェクター細胞の調製で見られるTCR非依存性の溶解の考えられる標的としてCD155が挙げられる。腫瘍細胞でのCD155の発現が腫瘍の進行と相関していること、及びCD155がトリプルネガティブ乳がんの特有の特徴であることは、興味深い。
【0132】
要するに、上記の実施例は、広範な腫瘍特異的溶解活性及び初期分化リンパ球の表現型を有する細胞傷害性Tリンパ球細胞を生成する新たな単純化されたプロトコルの開発を明示している。
【実施例4】
【0133】
免疫化/増殖工程の開始の5日後にCD3/CD28ビーズを添加することによる以前のプロトコルによって生成された細胞ALECSATの質の向上の実証。
実施例2において、免疫化プロセス(すなわち共培養)の開始の5日後のCD3/CD28抗体の添加が、初期リンパ球の表現型に関連するマーカーであるCD27及びCCR7の発現を著しく増大させることが示されている。このことは、DNA脱メチル化剤で処理されたCD4濃縮型リンパ球の調製が短縮されている培養物で具体的に示されている。
【0134】
この実施例では、これら同一のマーカーの類似の増大が、DNA脱メチル化剤で処理されたCD4濃縮型リンパ球の調製物が以前に記載された15日間のプロセス(WO2008/081035及びWO2020/208054を参照されたい)で生成された培養物においても見られることが、更に実証されている。
【0135】
ALECSAT細胞の調製物の様々なバリアントの記載に便利となるように、本発明者らは、以下の名称を利用する。
【0136】
ALECSAT-1(AL-1)は、WO2008/081035において記載されているプロトコルに従って調製されたALECSAT細胞を指す。
【0137】
ALECSAT-1/3(AL-1/3)は、プロセスの20日目にCD3/CD28ビーズを添加して、ALECSAT-1プロトコルに従って調製された、ALECSAT細胞を指す。
【0138】
ALECSAT-2(AL-2)は、特許WO2008/081035において記載されているプロトコルに従って調製されたALECSAT細胞を指す。
【0139】
ALECSAT-2/3(AL-2/3)は、プロセスの20日目にCD3/CD28ビーズを添加して、ALECSAT-2プロトコルに従って調製された、ALECSAT細胞を指す。
【0140】
ALECSAT-3(AL-3)は、本特許の実施例2で記載されている16日間のプロトコルの間に調製されたALECSAT細胞を指す。
【0141】
樹状細胞、CD4濃縮型リンパ球集団の生成、及びDNA脱メチル化剤での処理を、実施例1において記載されている通りに行った。このポイントまでのこのプロセスの全期間は15日間であり、6日間の樹状細胞の調製、7日間の樹状細胞及びリンパ球の共培養、並びに2日間のDNA脱メチル化剤での処理から構成される。免疫化工程の開始は、樹状細胞の不存在下(ALECSAT-1)又は存在下(ALECSAT-2)のいずれかで行った。20日目に、各培養物を2つの培養物に分け、実施例2において記載されているように、一方の培養物にCD3/CD28ビーズを添加した。6日間更に培養した後(全プロセスの26日目)、培養物を採取し、TIGIT(TIGIT-PE、11-9500-41、Invitrogen社)の発現の測定を加えて、実施例2において記載されているように、カウント及びFACS分析によって分析した。
【0142】
図11は、ALECSAT-1(図11A)及びALECSAT-1/3(図11B)の生成のプロトコルの概要を示している。図12は、ALECSAT-2及びALECSAT-2/3の生成のプロトコルの概要を示している(それぞれ図12A及び図12B)。
【0143】
免疫化工程の開始の5日後の、ALECSAT-1細胞の調製物へのCD3/CD28ビーズの添加は、生成された細胞の総数を有意に増大させた(図13A)。ALECSAT-3調製物で見られる結果(実施例2における図6)と同様に、CD8+細胞でのCD27及びCCR7の発現の上方調節もまた存在している(図13B)。加えて、チェックポイントTIGITの発現は低下した。
【0144】
同様の結果が、免疫化工程の開始の5日後に、ALECSAT-2細胞の調製物にCD3/CD28ビーズを添加するとみられる(図14A及び図14B)。
【0145】
要するに、本実施例は、ALECSAT-3プロトコルの実施形態、すなわち本発明の第1の態様の実施形態の、重要な要素の1つ、すなわち、免疫化工程の開始の5日後でのCD3/CD28マイクロビーズ添加を採用することによる、先行技術であるALECSAT-1及びALECSAT-2プロトコルの顕しい改善を証明している。
【0146】
[参考文献]
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図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図12A
図12B
図13A
図13B
図14A
図14B
【配列表】
2024523563000001.app
【手続補正書】
【提出日】2024-02-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性化型CD8+リンパ球及びナチュラルキラー(NK)リンパ球を含む組成物を調製するための方法であって、
1)対象から、リンパ球について濃縮されている血球試料を単離する工程、
2)CD3及び/又はCD28への結合を介してTリンパ球を活性化し得る少なくとも1つの薬剤の存在下で試料の画分を培養し、これによって、CD4+リンパ球の増殖を刺激し、CD4+/CD8+の比を工程1で得られたリンパ球と比較して増大させる工程、
3)増殖性のTリンパ球を、がん/精巣抗原の発現を誘導する薬剤と接触させ、その後、がん/精巣抗原の前記発現をもたらす培養期間を設ける工程、
4)がん/精巣抗原を発現しているTリンパ球を、Tリンパ球を活性化し得る薬剤から分離し、その後、工程3で得られた、がん/精巣抗原を発現しているリンパ球を、工程1で得られた試料の第2の画分と混合する工程、並びに
5)その後、工程4で得られたリンパ球混合物を培養して、CD8+リンパ球及びNKリンパ球の増殖を刺激する工程
を含み、前記薬剤が、CD3を結合する及び/又はCD28を結合する抗体、例えば二重特異的抗体、抗体断片、抗体類似体、アプタマー、分子インプリントポリマー、又は可溶性受容体を含む、方法。
【請求項2】
工程2が、2から5日間、好ましくは約3日間の期間を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
試料の前記第2の画分が、工程1から工程4における混合までの間、凍結されたままで維持される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
がん/精巣抗原の発現を誘導する薬剤が、DNA脱メチル化剤又はヒストンアセチル化剤である、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
DNA脱メチル化剤が、5-アザ-2'-デオキシシチジン(5アザ-CdR)、5-アザシチジン、5-フルオロ-2'-デオキシシチジン、グアデシタビン、及びゼブラリンから選択され、且つ、ヒストンアセチル化剤が、トリコスタチンA又はデプシペプチドである、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
がん/精巣抗原の発現を誘導する薬剤が5-アザ-CdRである、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
リンパ球の増殖を刺激する、IL-2若しくは別の薬剤又はそれらの組み合わせ、例えばIL-15、IL-7、及びIL-21が、リンパ球の培養の過程で添加される、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
工程5が、CD3及び/又はCD28への結合を介してTリンパ球を活性化し得る薬剤、好ましくは工程2で使用されるものと同一のタイプの薬剤の添加を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
CD3及び/又はCD28への結合を介してTリンパ球を活性化し得る薬剤が、工程5の開始の3~7日後、好ましくは約5日後に添加される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
活性化型CD8+リンパ球及びNKリンパ球の単離/回収がその後に行われる、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
CD3及び/又はCD28への結合を介してTリンパ球を活性化し得る薬剤が、CD3を結合する抗体、抗体断片、又は抗体類似体を含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
CD3及び/又はCD28への結合を介してTリンパ球を活性化し得る薬剤が、CD28を結合する抗体、抗体断片、又は抗体類似体を含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
CD3及び/又はCD28への結合を介してTリンパ球を活性化し得る薬剤が、CD3を結合する抗体、抗体断片、又は抗体類似体を含み、且つ、CD28を結合する抗体、抗体断片、又は抗体類似体を含む、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
抗体、抗体断片、又は抗体類似体が、固相若しくは半固相、又はデキストラン等のポリマーに連結している、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
固相又は半固相が、分離可能なビーズ、例えば常磁性又は超常磁性ビーズによって構成されている、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
活性化型ヒトCD8+リンパ球及びナチュラルキラー(NK)リンパ球を含む組成物を調製するための方法であって、
a)対象から、リンパ球について濃縮されている血球試料を単離する工程、
b)CD4+リンパ球の増殖を刺激し、CD4+/CD8+の比を工程aで得られたリンパ球と比較して増大させる条件下で、試料の画分を培養する工程、
c)増殖性のTリンパ球を、がん/精巣抗原の発現を誘導する薬剤と接触させ、その後、がん/精巣抗原の前記発現をもたらす培養期間を設ける工程、
d)がん/精巣抗原を発現しているTリンパ球を、Tリンパ球を活性化し得る薬剤から分離し、その後、がん/精巣抗原を発現しているリンパ球を、工程aで得られた試料の第2の画分と混合する工程、並びに
e)その後、工程dで得られたリンパ球混合物を培養して、CD8+リンパ球及びNKリンパ球の増殖を刺激する工程を含み、
工程e)が、CD3及び/又はCD28への結合を介してTリンパ球を活性化し得る薬剤の添加を含み、前記薬剤が、CD3を結合する及び/又はCD28を結合する抗体、例えば二重特異的抗体、抗体断片、抗体類似体、アプタマー、分子インプリントポリマー、又は可溶性受容体を含む、方法。
【請求項17】
CD3及び/又はCD28への結合を介してTリンパ球を活性化し得る薬剤が、工程5の開始の3~7日後、好ましくは約5日後に添加される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
CD3及び/又はCD28への結合を介してTリンパ球を活性化し得る薬剤が、CD3を結合する抗体、抗体断片、又は抗体類似体を含む、請求項16又は17に記載の方法。
【請求項19】
CD3及び/又はCD28への結合を介してTリンパ球を活性化し得る薬剤が、CD28を結合する抗体、抗体断片、又は抗体類似体を含む、請求項16から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
CD3及び/又はCD28への結合を介してTリンパ球を活性化し得る薬剤が、CD3を結合する抗体、抗体断片、又は抗体類似体を含み、且つ、CD28を結合する抗体、抗体断片、又は抗体類似体を含む、請求項16から19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
抗体、抗体断片、又は抗体類似体が、固相若しくは半固相、又はデキストラン等のポリマーに連結している、請求項16から20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
固相又は半固相が、分離可能なビーズ、例えば常磁性又は超常磁性ビーズによって構成されている、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
活性化型CD8+リンパ球及びNKリンパ球の単離/回収がその後に行われる、請求項16から22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
工程bの条件が、工程aにおいて試料から調製された成熟樹状細胞との共培養を伴う、請求項16から23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
工程c、工程d、又は工程eが、工程aにおいて試料から調製された成熟樹状細胞の添加を含む、請求項16から24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
患者におけるがんを処置するための方法であって、
1)患者から、リンパ球について濃縮されている血球試料を単離する工程、
2)CD3及び/又はCD28への結合を介してTリンパ球を活性化し得る少なくとも1つの薬剤の存在下で試料の画分を培養し、これによって、CD4 + リンパ球の増殖を刺激し、CD4 + /CD8 + の比を工程1で得られたリンパ球と比較して増大させる工程、
3)増殖性のTリンパ球を、がん/精巣抗原の発現を誘導する薬剤と接触させ、その後、がん/精巣抗原の前記発現をもたらす培養期間を設ける工程、
4)がん/精巣抗原を発現しているTリンパ球を、Tリンパ球を活性化し得る薬剤から分離し、その後、工程3で得られた、がん/精巣抗原を発現しているリンパ球を、工程1で得られた試料の第2の画分と混合する工程、並びに
5)その後、工程4で得られたリンパ球混合物を培養して、CD8 + リンパ球及びNKリンパ球の増殖を刺激する工程、
又は
a)対象から、リンパ球について濃縮されている血球試料を単離する工程、
b)CD4 + リンパ球の増殖を刺激し、CD4 + /CD8 + の比を工程aで得られたリンパ球と比較して増大させる条件下で、試料の画分を培養する工程、
c)増殖性のTリンパ球を、がん/精巣抗原の発現を誘導する薬剤と接触させ、その後、がん/精巣抗原の前記発現をもたらす培養期間を設ける工程、
d)がん/精巣抗原を発現しているTリンパ球を、Tリンパ球を活性化し得る薬剤から分離し、その後、がん/精巣抗原を発現しているリンパ球を、工程aで得られた試料の第2の画分と混合する工程、並びに
e)その後、工程dで得られたリンパ球混合物を培養して、CD8 + リンパ球及びNKリンパ球の増殖を刺激する工程、ここで工程e)が、CD3及び/又はCD28への結合を介してTリンパ球を活性化し得る薬剤の添加を含む工程、
並びにその後、工程d)若しくは工程e)で得られた細胞を患者に投与する工程
を含み、
前記薬剤が、CD3を結合する及び/又はCD28を結合する抗体、例えば二重特異的抗体、抗体断片、抗体類似体、アプタマー、分子インプリントポリマー、又は可溶性受容体を含む、方法。
【請求項27】
細胞の投与の前の工程が、請求項2から15及び16から25のいずれか一項に記載されている方法の通りである、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
患者が、少なくとも若しくは正確に2回、少なくとも若しくは正確に3回、又は少なくとも若しくは正確に4回の投与を受ける、請求項26又は27に記載の方法。
【請求項29】
投与が、非経口経路、例えば静脈内経路、動脈内経路、腫瘍内経路、及びリンパ内経路を介して行われる、請求項26から28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
がんが、癌、腺癌、肉腫(脂肪肉腫、線維肉腫、軟骨肉腫、骨肉腫、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫を含む)、グリオーマ(特に膠芽腫)、神経芽細胞腫、髄芽腫、悪性黒色腫、神経線維肉腫、絨毛癌、骨髄腫、及び白血病からなる群から選択される、請求項26から29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
患者が、抗がん剤との、特にチェックポイント阻害薬との併用処置も受ける、請求項26から30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
併用処置が、PD-1又はPD-L1の阻害剤との併用処置である、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
併用処置が、請求項26から30のいずれか一項に規定の処置の前、及び/又は当該処置と同時、及び/又は当該処置の後である、請求項31又は32に記載の方法。
【請求項34】
請求項26~33のいずれか一項に記載の方法において使用するための、患者から単離された血球の組成物。
【国際調査報告】