(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-28
(54)【発明の名称】中空糸膜カートリッジ
(51)【国際特許分類】
B01D 63/02 20060101AFI20240621BHJP
【FI】
B01D63/02
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023579613
(86)(22)【出願日】2022-07-08
(85)【翻訳文提出日】2023-12-25
(86)【国際出願番号】 KR2022009919
(87)【国際公開番号】W WO2023033340
(87)【国際公開日】2023-03-09
(31)【優先権主張番号】10-2021-0116568
(32)【優先日】2021-09-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518215493
【氏名又は名称】コーロン インダストリーズ インク
(74)【代理人】
【識別番号】100083138
【氏名又は名称】相田 伸二
(74)【代理人】
【識別番号】100189625
【氏名又は名称】鄭 元基
(74)【代理人】
【識別番号】100196139
【氏名又は名称】相田 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100199004
【氏名又は名称】服部 洋
(72)【発明者】
【氏名】キム ドウ
(72)【発明者】
【氏名】アン ナヒョン
(72)【発明者】
【氏名】キム インホ
【テーマコード(参考)】
4D006
【Fターム(参考)】
4D006GA41
4D006HA02
4D006HA91
4D006JA08A
4D006JA25A
4D006JA25C
4D006JA27A
4D006JA27C
4D006JA30A
4D006PA10
4D006PB17
4D006PB65
4D006PC80
(57)【要約】
本発明の一側面による中空糸膜カートリッジは、複数の中空糸膜、及び複数の中空糸膜が内部に配され、上部と下部とにそれぞれメッシュ部が形成されたボディ部を含み、メッシュ部は、複数のウィンドウ枠、及び複数のウィンドウ枠によって取り囲まれて形成されるウィンドウを含み、ウィンドウ枠の曲率半径は、中空糸膜の直径の1~7倍でもある。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の中空糸膜と、
前記複数の中空糸膜が内部に配され、上部と下部とにそれぞれメッシュ部が形成されたボディ部と、を含み、
前記メッシュ部は、
複数のウィンドウ枠と、
前記複数のウィンドウ枠によって取り囲まれて形成されるウィンドウと、を含み、
前記ウィンドウ枠の曲率半径は、前記中空糸膜の直径の0倍超過~5倍以下である、中空糸膜カートリッジ。
【請求項2】
前記ウィンドウ枠は、
隣接したウィンドウ枠と対向する第1面と、
前記第1面と交差し、前記複数の中空糸膜と隣接して位置する第2面と、
前記第1面と前記第2面とが出合う領域に位置するコーナー部と、を含み、
前記コーナー部の曲率半径は、前記中空糸膜の直径の0倍超過~5倍以下である、請求項1に記載の中空糸膜カートリッジ。
【請求項3】
前記ウィンドウ枠は、
前記コーナー部を除いた前記第1面の幅は、前記中空糸膜の直径の0倍超過~5倍以下である、請求項2に記載の中空糸膜カートリッジ。
【請求項4】
前記ウィンドウ枠は、
前記コーナー部を除いた前記第2面の幅は、前記中空糸膜の直径の0倍超過~10倍以下である、請求項2に記載の中空糸膜カートリッジ。
【請求項5】
前記ウィンドウ枠は、
前記コーナー部を除いた前記第1面の幅、及び前記コーナー部を除いた前記第2面の幅のうち少なくともいずれか一つは、0である、請求項2に記載の中空糸膜カートリッジ。
【請求項6】
前記ボディ部の一側面に形成されたロッキング部を含み、
前記ロッキング部は、前記ボディ部一端に連結形成されたロッキングカバーと、前記ボディ部他端に突設されたロッキング突起と、を含む、請求項1に記載の中空糸膜カートリッジ。
【請求項7】
前記ウィンドウ枠は、
前記中空糸膜の延長方向と並んでいく第1方向に沿う第1曲率半径と、前記第1方向と交差する第2方向に沿う第2曲率半径と、が異なる、請求項1に記載の中空糸膜カートリッジ。
【請求項8】
前記ウィンドウは、前記中空糸膜の直径の2~15倍の幅を有する、請求項1に記載の中空糸膜カートリッジ。
【請求項9】
複数の中空糸膜と、
前記複数の中空糸膜が内部に配され、上部と下部とにそれぞれメッシュ部が形成されたボディ部と、を含み、
前記メッシュ部は、
複数のウィンドウ枠と、
前記複数のウィンドウ枠によって取り囲まれて形成される複数のウィンドウと、を含み、
前記複数のウィンドウは、円形、楕円形、多角形、前記円形の一部分・前記楕円形の一部分、または前記多角形の一部分のうち1つの形状を有する、中空糸膜カートリッジ。
【請求項10】
前記複数のウィンドウは、互いに並んで配列される、請求項9に記載の中空糸膜カートリッジ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中空糸膜カートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池とは、水素と酸素とを結合させて電気を生産する発電型電池である。該燃料電池は、乾電池や蓄電池のような一般化学電池と異なり、水素と酸素とが供給される限り、続けて電気を生産することができ、熱損失がなく、内燃機関より効率が2倍ほど高いという長所がある。
また、水素と酸素との結合によって生じる化学エネルギーを電気エネルギーに直接変換するために、公害物質排出が少ない。従って、燃料電池は、環境にやさしいだけではなく、エネルギー消費増大による資源枯渇への心配を減らすことができるという長所がある。
そのような燃料電池は、使用される電解質の種類により、大きく見て、高分子電解質型燃料電池(PEMFC:polymer electrolyte membrane fuel cell)、リン酸型燃料電池(PAFC)、溶融炭酸塩型燃料電池(MCFC)、固体酸化物型燃料電池(SOFC)及びアルカリ型燃料電池(AFC)などに分類されうる。
それらそれぞれの燃料電池は、根本的に同一原理によって作動するが、使用される燃料の種類、運転温度、触媒、電解質などが互いに異なる。その中でも、高分子電解質型燃料電池は、他の燃料電池に比べ、低温で動作するという点、及び出力密度が高く、小型化が可能であるので、小規模据え置き型発電装備だけではなく、輸送システムにおいても、最も有望であると知られている。
高分子電解質型燃料電池の性能を向上させるにおいて、最も重要な要因中の一つは、膜・電極接合体(MEA:membrane electrode assembly)の高分子電解質膜(PEM:polymer electrolyte membraneまたはproton exchange membrane)に一定量以上の水分を供給することにより、含水率を維持させることである。該高分子電解質膜が乾燥すれば、発電効率が急激に低下するためである。
高分子電解質膜を加湿する方法としては、1)耐圧容器に水を満たした後、対象気体を拡散器(diffuser)に通過させて水分を供給するバブラ(bubbler)加湿方式、2)燃料電池反応に必要な供給水分量を計算し、ソレノイドバルブを介してガス流動管に直接水分を供給する直接噴射(direct injection)方式、及び3)高分子分離膜を利用し、ガスの流動層に水分を供給する加湿膜方式などがある。
それらのうちでも、排気ガス中に含まれる水蒸気のみを選択的に透過させる膜を利用し、水蒸気を、高分子電解質膜に供給されるガスに提供することにより、高分子電解質膜を加湿する加湿膜方式が、加湿器を軽量化及び小型化させることができるという点において、有利である。
【0003】
加湿用膜方式に使用される選択的透過膜は、モジュールを形成する場合、単位体積当たり透過面積が大きい中空糸膜が望ましい。すなわち、該中空糸膜を利用して加湿器を製造する場合、接触表面積が広い中空糸膜の高集積化が可能であり、小容量をもってしても、燃料電池の加湿が十分になされ、低価素材の使用が可能であり、燃料電池から高温で排出される未反応ガスに含まれた水分と熱とを回収し、加湿器を介して再使用することができるという利点を有する。
しかしながら、中空糸膜を利用した加湿器の場合、その容量を大きくするために、該中空糸膜を多数集積することになるが、そのとき、該中空糸膜の外部に流れる気体フローが、高集積された中空糸膜による抵抗により、加湿器内部全体に均一に形成されえなくなる。
それを改善するために、中空糸膜モジュールを、多数のカートリッジ形態で具現し、それを膜加湿器ハウジング内に装着し、気体フローが均一になるようにしている。すなわち、中空糸膜束を個々のカートリッジ内部に収容し、多数個のカートリッジを膜加湿器ハウジング内に装着することにより、流入された気体がカートリッジ内部を流れるようにし、気体フローが均一になるようにしている。
しかしながら、従来のカートリッジ方式は、流体がウィンドウを介して流入されるか、あるいは流出されるとき、空気フローが中空糸膜を揺動させることになり、該中空糸膜が揺れながら、カートリッジウィンドウに接触することになる。そのような接触が反復的になされる場合、ウィンドウに接触しながら、摩擦による中空糸膜の損傷(スクラッチ、断線)が生じうる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、ウィンドウとの摩擦による中空糸膜の損傷を最小化させることができる中空糸膜カートリッジを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一側面による中空糸膜カートリッジは、複数の中空糸膜、及び前記複数の中空糸膜が内部に配され、上部と下部とにそれぞれメッシュ部が形成されたボディ部を含み、前記メッシュ部は、複数のウィンドウ枠、及び前記複数のウィンドウ枠によって取り囲まれて形成されるウィンドウを含み、前記ウィンドウ枠の曲率半径は、前記中空糸膜の直径の0倍超過~5倍以下でもある。
前記ウィンドウ枠は、隣接したウィンドウ枠と対向する第1面、前記第1面と交差し、前記複数の中空糸膜と隣接して位置する第2面、及び前記第1面と前記第2面とが出合う領域に位置するコーナー部を含み、前記コーナー部の曲率半径は、前記中空糸膜の直径の0倍超過~5倍以下でもある。
前記ウィンドウ枠は、前記コーナー部を除いた前記第1面の幅は、前記中空糸膜の直径の0倍超過~5倍以下でもある。
前記ウィンドウ枠は、前記コーナー部を除いた前記第2面の幅は、前記中空糸膜の直径の0倍超過~10倍以下でもある。
前記ウィンドウ枠は、前記コーナー部を除いた前記第1面の幅、及び前記コーナー部を除いた前記第2面の幅のうち少なくともいずれか一つは、0でもある。
【0006】
本発明の一側面による中空糸膜カートリッジは、前記ボディ部の一側面に形成されたロッキング部を含み、前記ロッキング部は、前記ボディ部一端に連結形成されたロッキングカバーと、前記ボディ部他端に突設されたロッキング突起と、を含むものでもある。
前記ウィンドウ枠は、前記中空糸膜の延長方向と並んでいく第1方向に沿う第1曲率半径と、前記第1方向と交差する第2方向に沿う第2曲率半径とが異なりうる。
前記ウィンドウは、前記中空糸膜の直径の2~15倍の幅を有しうる。
本発明の一側面による中空糸膜カートリッジは、複数の中空糸膜、及び前記複数の中空糸膜が内部に配され、上部と下部とにそれぞれメッシュ部が形成されたボディ部を含み、前記メッシュ部は、複数のウィンドウ枠、及び前記複数のウィンドウ枠によって取り囲まれて形成される複数のウィンドウを含み、前記複数のウィンドウは、円形、楕円形、多角形、及び前記円形の一部分・前記楕円形の一部分、または前記多角形の一部分のうち少なくともいずれか1以上が結合されて形成される形状のうち1つの形状を有しうる。
前記複数のウィンドウは、互いに並んで配列されうる。
【発明の効果】
【0007】
前述のところのように、本発明の一側面による中空糸膜カートリッジは、カートリッジのウィンドウ枠及びウィンドウの形状を最適化させ、該ウィンドウ枠及びウィンドウとの摩擦による中空糸膜の損傷を最小化させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の第1実施例による中空糸膜カートリッジとハウジング部とが図示された分解斜視図である。
【
図2】
図1の中空糸膜カートリッジの斜視図である。
【
図3】
図2の中空糸膜カートリッジのオープンされた状態(開かれた状態)が図示された平面図である。
【
図4】
図2のオープン型中空糸膜カートリッジに、中空糸膜が投入される状態を示した図である。
【
図5】ウィンドウ枠の形状によるメッシュ部を介して流入される流体の流れ方向が図示された図である。
【
図6】
図2のA-A’に沿って切り取られた図である。
【
図8】本発明の第2実施例によるウィンドウ枠の断面図である。
【
図9】本発明の第3実施例によるウィンドウ枠の断面図である。
【
図10】本発明の第3実施例によるウィンドウ枠の断面の変形例である。
【
図11】本発明の第1実施例のウィンドウの形状を概略的に図示した図である。
【
図17】本発明の第1実施例による他の変形例である。
【
図18】本発明の第1実施例による他の変形例である。
【
図19】本発明の第1実施例による他の変形例である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、多様な変換を加えることができ、さまざまな実施形態を有しうるが、特定実施形態を例示し、詳細な説明によって詳細に説明する。しかしながら、それらは、本発明を、特定の実施形態について限定するものではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれる全ての変換、均等物ないし代替物を含むものであると理解されなければならない。
本発明で使用されている用語は、ただ特定の実施形態について説明するために使用されたものであり、本発明を限定する意図ではない。単数の表現は、文脈上、明白に取り立てての意味ではない限り、複数の表現を含む。本発明において、「含む」または「有する」というような用語は、明細書上に記載された特徴、数、段階、動作、構成要素、部品、またはそれらの組み合わせが存在するということを指定するものであり、1またはそれ以上の他の特徴、数、段階、動作、構成要素、部品、またはそれらの組み合わせの存在または付加の可能性を事前に排除するものではないと理解されなければならない。
以下、添付された図面を参照し、本発明の望ましい実施形態について詳細に説明する。そのとき、添付図面において、同一構成要素は、可能な限り、同一符号によって示されていることに留意する。また、本発明の要旨を不明確にしうる公知機能及び構成に係わる詳細な説明は、省略する。同じ理由により、添付図面において、一部構成要素は、誇張されたり省略されたりして概略的に図示されている。
以下、本発明の第1実施例による中空糸膜カートリッジ100について説明する。
図1は、本発明の第1実施例による中空糸膜カートリッジとハウジング部とが図示された分解斜視図であり、
図2は、
図1の中空糸膜カートリッジの斜視図であり、
図3は、
図2の中空糸膜カートリッジのオープンされた状態(開かれた状態)が図示された平面図であり、
図4は、
図2のオープン型中空糸膜カートリッジに、中空糸膜が投入される状態を示した図面である。
図1ないし
図4を参照すれば、本発明の第1実施例による中空糸膜カートリッジ100は、ハウジング部200内部に設けられ、中空糸膜カートリッジ100内には、複数の中空糸膜Hが収容されうる。本発明の第1実施例による中空糸膜カートリッジ100において、ウィンドウ枠131のコーナー部131cが既設定の曲率半径Rを有することにより、ウィンドウ132を介して流入される流体の圧力を低下させ、中空糸膜Hの損傷を低減させることができる。
【0010】
本発明の第1実施例による中空糸膜カートリッジ100についての説明に先立ち、中空糸膜カートリッジ100が内部に設けられるハウジング部200につき、まず説明する。
ハウジング部200は、中空糸膜カートリッジ100を収容する外部ケースであり、ハウジング部200は、ハウジング本体210とハウジングキャップ220とを含むが、それらが結合された一体型でもある。ハウジング本体210とハウジングキャップ220は、ポリカーボネートのような硬質プラスチックや金属によってでもなる。
また、ハウジング本体210とハウジングキャップ220は、幅方向断面形状が、多角形でもあり、あるいは円形でもある。前記多角形は、四角形、正方形、台形、平行四辺形、五角形、六角形などでもあり、前記多角形は、コーナーが面取りされた形態でもある。また、前記円形は、楕円形でもある。
ハウジング本体210の両端には、それぞれ第1流体が供給される第1流体流入口231と、第1流体が排出される第1流体流出口232とが形成されうる。
ハウジング部200の内部には、水分を選択的に通過させる複数の中空糸膜Hが収容された複数の中空糸膜カートリッジ100が配されうる。ここで、前記中空糸膜Hの材質は、公知されたところによるものであり、本明細書において、詳細な説明は、省略する。
中空糸膜カートリッジ100の両端部には、中空糸膜を結束させながら、中空糸膜H間の空隙を埋め込むポッティング部(図示せず)が形成されうる。それにより、中空糸膜カートリッジ100は、両端部がポッティング部に塞がれ、その内部には、第1流体が通過する流路が形成されうる。ポッティング部の材質は、公知されたところによるものであり、本明細書において、詳細な説明は、省略する。
なお、ハウジングキャップ220は、ハウジング本体210の各両端に結合されうる。それぞれのハウジングキャップ220には、第2流体流入口221及び第2流体流出口222が形成されうる。一側ハウジングキャップ220の第2流体流入口221に流入された第2流体は、カートリッジ内部に流入され、中空糸膜の内部管路を通過し、カートリッジ外部に流出された後、他側ハウジングキャップ220の第2流体流出口222に抜け出ることになる。
【0011】
ハウジング部200内には、中空糸膜カートリッジ100が装着されうる多数個の挿入口240が形成され、それぞれの挿入口240には、中空糸膜カートリッジ100が挿入される。そのとき、中空糸膜カートリッジ100に形成された離脱防止フック112の突出された突起が挿入口240末端に突出されながら、中空糸膜カートリッジ100装着が完了し、離脱防止フック112の突出された突起により、逆方向への引き出されが防止され、挿入口240に装着された中空糸膜カートリッジ100が逆方向に離脱することを防止することができることなる。ただし、ハウジング部200及び中空糸膜カートリッジ100の結合方式は、必ずしもそれに限定されるものではなく、当該技術分野で通常の知識を有する者によって採用されうる範囲内で変更されうる。
修理、洗浄の理由により、中空糸膜カートリッジ100を挿入口240から引き出す場合、強い力でもって、突出された突起を押した状態で、中空糸膜カートリッジ100を挿入反対方向に押し、引き出すことができる。それ以外にも、中空糸膜カートリッジ100を挿入したり引き出したりするための多様な方式が活用されうる。
次に、第2流体及び第1流体の水分交換過程について説明する。以下の説明において、該第2流体は、低湿の流体であり、該第1流体は、高湿の流体でもある。または、該第1流体が低湿の流体であり、該第2流体が高湿の流体でもある。
第2流体は、一側ハウジングキャップ220の第2流体流入口221を介し、ハウジング部200及び中空糸膜カートリッジ100内に供給され、中空糸膜の内部に流れ、他側のハウジングキャップ220の第2流体流出口222を介して外部に排出される。なお、該第2流体は、第2流体流出口222に流入され、第2流体流入口221に排出される方向に流れることも可能である。
【0012】
第1流体は、ハウジング本体210の第1流体流入口231を介し、前記ハウジング本体210に供給された後、中空糸膜カートリッジ100のメッシュ部130を介し、中空糸膜の外部に流れ、中空糸膜カートリッジ100のメッシュ部130を介し、ハウジング本体210に排出された後、ハウジング本体210の第1流体流出口232を介し、外部に排出される。
なお、第1流体は、第1流体流出口232に流入され、第1流体流入口231に排出される方向に流れることも可能である。すなわち、前記第2流体と前記第1流体は、互いに反対方向に流れることもでき、同じ方向に流れることもできる。
第2流体と第1流体は、それぞれ中空糸膜Hの内部と外部とを流れながら、中空糸膜を介し、水分のような物質、または熱などを交換することになる。
本発明の第1実施例による中空糸膜カートリッジ100について具体的に説明する。ハウジング部200内に、複数個の中空糸膜カートリッジ100が配され、中空糸膜Hは、中空糸膜カートリッジ100内に収容されうる。中空糸膜カートリッジ100は、中空糸膜H、ボディ部110及びロッキング部120を含むものでもある。ここで、
図1ないし
図4に図示されている構成要素以外に、他の汎用的な構成要素が、中空糸膜カートリッジ100にさらに含まれるものでもあるということは、本実施形態と係わる技術分野で通常の知識を有する者であるならば、理解することができるであろう。
ボディ部110は、複数の中空糸膜Hが内部に配され、上部と下部とにそれぞれメッシュ部130が形成されうる。ボディ部110は、両側面がラウンディング処理された直方体形状であるか、あるいは断面が円形である円筒形状でもあり、断面が楕円である楕円筒形状でもある。ボディ部110は、寸法安定性及び樹脂フロー性にすぐれ、熱変形に強い素材であることが望ましい。そのような素材としては、例えば、ABS樹脂(acrylonitrile-butadiene-styrene resin)、ナイロンなどがある。
【0013】
ボディ部110は、ロッキング部120によるロッキング状態解除時、カートリッジ100が開かれるようにする折り畳み部111を含むものでもある。折り畳み部111は、ボディ部110の内側に形成されたV字溝またはU字溝によってもなる。ボディ部110は、折り畳み部111により、右側ボディ部110a及び左側ボディ部110bに区分されうる。ボディ部110は、カートリッジ100がハウジング部200に挿入されたとき、カートリッジ100がハウジング部200から離脱されることを防止する離脱防止フック112を含む。離脱防止フック112は、ボディ部110の上面または下面のうち少なくともいずれか1面に所定長に突出された突起形態によってもなる。
ロッキング部120は、ボディ部110の一側面に形成されうる。ロッキング部120は、開かれた状態のボディ部110一端に連結形成されたロッキングカバー121と、ボディ部110他端に突設されたロッキング突起122と、を含む。それらに限定されるものではなく、ロッキング部120は、ロッキングカバー121にロッキング突起(図示せず)が形成され、ボディ部110にロッキング突起が嵌め込まれるロッキング溝(図示せず)によってもなる。
なお、
図4に図示されているように、ロッキング部120は、ボディ部110の一側全面を開放する方式にも具現される。その場合、ロッキング部120は、ボディ部110一側全面を開閉する曲面形状のロッキングカバー121と、ボディ部110に突設されたロッキング突起122と、を含む。その場合、ボディ部110に、折り畳み部111が形成される必要がなく、カートリッジ100の耐久性を向上させることができる。
なお、図示されていないが、ロッキング部120は、ボディ部110の一側をスライディングする方式によっても具現される。その場合、ロッキング部120は、ボディ部110一側を上下方向にスライディングして開閉する曲面形状のロッキングカバーと、そのロッキングカバーがスライディングするように、ボディ部一側に形成されたスライディング溝(図示せず)と、によってもなる。その場合にも、ボディ部110に、折り畳み部111が形成される必要がなく、カートリッジ100の耐久性を向上させることができる。ただし、ロッキング部120の形状及び構成は、必ずしもそれらに限定されるものではなく、当該技術分野で通常の知識を有する者によって採用されうる範囲内において、変更されうる。
【0014】
メッシュ部130は、ウィンドウ枠131及びウィンドウ132を含むものでもある。メッシュ部130は、ボディ部110の上部と下部とにそれぞれ形成されうる。メッシュ部130は、第1流体流入口231に流入された多湿な第1流体を、ウィンドウ132を介し、カートリッジ100内部に流入させ、カートリッジ100内部において、第2流体流入口231に流入された乾燥された第2流体と水分交換がなされるようにする。メッシュ部130は、流入された第1流体の一部が、カートリッジ100内部に配された中空糸膜に直接衝突することを防止し、中空糸膜が損傷されることを防止することができる。
メッシュ部130の長さ(L2+L3)は、カートリッジ全長(L1)の10~70%になるようにし、ウィンドウ枠131によって取り囲まれて形成されるウィンドウ132の総面積は、全体カートリッジ面積の30~70%になるようにするのである。ウィンドウ132の総面積が70%を超えれば、第1流体流入口231に流入された多湿な第1流体が、中空糸膜を介して水分を伝達することができる空間が狭くなり、全体的な加湿効率に悪影響を及ぼすことになってしまう。
なお、従来には、中空糸膜の断線を防止するために、別途のメッシュ網が必要であったが、本発明のカートリッジ100は、メッシュ部130を具備し、中空糸膜の断線を防止することができるので、別途のメッシュ網が必要ではなくなる。
図5は、ウィンドウ枠の形状による、メッシュ部を介して流入される流体のフロー方向が図示された図面であり、
図6は、
図2のA-A’に沿って切り取られた図面であり、
図7は、
図6のBを拡大した拡大図である。
【0015】
図5ないし
図7を参照するとき、ウィンドウ枠131は、メッシュ部130において、ウィンドウ132を取り囲む複数個の骨格の役割を行うことができる。ウィンドウ枠131は、隣接したウィンドウ枠と対向する第1面131a、第1面131aと交差し、複数の中空糸膜Hと隣接して位置する第2面131b、及び第1面131aと第2面131bとが出合う領域に位置するコーナー部131cを含むものでもある。ウィンドウ枠131の曲率半径Rは、中空糸膜直径D
hの1~7倍、望ましくは、1~5倍でもある。さらに望ましくは、ウィンドウ枠131の曲率半径Rは、中空糸膜直径D
hの0倍超過~5倍以下でもある。ここで、ウィンドウ枠131の曲率半径Rは、ウィンドウ枠131におけるコーナー部131cを含むある1コーナーの曲率半径Rを意味しうる。コーナー部131cの曲率半径Rは、中空糸膜直径D
hの1~7倍、望ましくは1~5倍でもある。さらに望ましくは、コーナー部131cの曲率半径Rは、中空糸膜直径D
hの0倍超過5倍以下でもある。
図5(a)のように、ウィンドウ枠131のコーナー部131cに屈曲がない場合、ウィンドウ132を介して流入される第1流体は、中空糸膜Hの延長方向と垂直方向に流入されうる。そのとき、流体フローが中空糸膜Hを揺動させることになり、中空糸膜Hが揺れながら、メッシュ部130のウィンドウ枠131と接触しうる。そのような状態が持続される場合、ウィンドウ枠131との摩擦により、中空糸膜Hの損傷(スクラッチ、断線など)が生じうる。
図5(b)のように、ウィンドウ枠131のコーナー部131cに屈曲がある場合、ウィンドウ132を介して流入される第1流体の一部は、コーナー部131cの屈曲に沿って誘導されうる。ウィンドウ枠131のすぐ下部に位置した中空糸膜Hは、
図5(a)のように、第1流体が中空糸膜Hの延長方向と垂直方向に流入されるときよりも、
図5(b)のように、斜めに流入される場合、損傷を防止することができる。そのとき、コーナー部131cの曲率により、中空糸膜Hの損傷程度が異なりうる。コーナー部131cの曲率半径Rが、中空糸膜直径D
hの1~7倍である場合、メッシュ部130の作製にも影響がなく、中空糸膜Hの損傷程度を低減させることができる。
【0016】
ウィンドウ枠131は、コーナー部131cを除いた第1面131aの幅である第1幅I1が中空糸膜直径Dhの1~5倍でもある。さらに望ましくは、ウィンドウ枠131の第1面131aの幅である第1幅I1は、中空糸膜直径Dhの0倍超過~5倍以下でもある。ウィンドウ枠131のコーナー部131c及び第1幅I1は、ウィンドウ132を介して流入される第1流体が流入される経路を誘導することができる。従って、第1幅I1を調節し、ウィンドウ132を介して流入される第1流体のフローを調節することができる。
ウィンドウ枠131は、コーナー部131cを除いた第2面131bの幅である第2幅I2が、中空糸膜直径Dhの1~10倍でもある。さらに望ましくは、ウィンドウ枠131の第2面131bの幅である第2幅I2は、中空糸膜直径Dhの0倍超過~10倍以下でもある。第2幅I2が狭い場合、中空糸膜Hとウィンドウ枠131との接触面積が狭くなり、中空糸膜Hに加えられる圧力が増大しうる。第2幅I2が広い場合、それにより、ウィンドウ132の幅が狭くなり、ウィンドウ132を介して流入される第1流体の圧力が上昇しうる。第2幅I2が、中空糸膜直径Dhの1~10倍である場合、中空糸膜Hとウィンドウ枠131との接触面積を広くし、ウィンドウ132を介して流入される第1流体の圧力を低下させ、中空糸膜Hの損傷程度を低減させることができる。
ウィンドウ枠幅I4は、第2幅I2に、曲率半径Rの2倍を加えた値であり、前述の定められた第2幅I4、及び曲率半径Rによって定められうる。
ウィンドウ132は、複数のウィンドウ枠131によって取り囲まれて形成され、第1流体が流入される通路の役割を行うことができる。ウィンドウ132は、メッシュ部130に形成された四角形のホール形状でもある。ウィンドウ132を取り囲むウィンドウ枠131は、第1流体が流入され、中空糸膜Hが揺れる場合、中空糸膜Hの動きを制限するストッパ(stopper)の役割を行うことができる。
従って、ウィンドウ132の幅I3が広い場合、ストッパの役割を行うウィンドウ枠131間の間隔が広くなり、中空糸膜Hの変位が大きくなり、それは、中空糸膜Hの損傷を引き起こしうる。ウィンドウ132の幅I3が狭い場合、ウィンドウ132を介して流入される第1流体の圧力が高くなり、中空糸膜Hの損傷を引き起こしうる。それにより、ウィンドウ132は、中空糸膜直径Dhの2~15倍の幅、望ましくは、2~10倍の幅を有する場合、中空糸膜Hの変位を制限しながら、第1流体の圧力を適切に維持し、中空糸膜Hの損傷を防止することができる。
【0017】
以下においては、本発明の第2実施例による中空糸膜カートリッジ100について説明する。
図8は、本発明の第2実施例によるウィンドウ枠の断面図である。
図8を参照して説明すれば、第2実施形態による中空糸膜カートリッジ100は、ウィンドウ枠131の形状を除いては、前記第1実施例による中空糸膜カートリッジ100と同一構造によってなるので、同一構成に係わる重複説明は、省略する。
本実施形態によれば、ウィンドウ枠131は、中空糸膜Hの延長方向と並んでいく第1方向に沿う第1曲率半径R
1と、第1方向と交差する第2方向に沿う第2曲率半径R
2とが異なりうる。
図8(a)のように、第1曲率半径R
1が第2曲率半径R
2より大きい場合、ウィンドウ132を介して流入される第1流体の流入経路が、曲面に沿って急激に変わりうる。
図8(b)のように、第2曲率半径R
2が、第1曲率半径R
1より大きい場合、ウィンドウ132を介して流入される第1流体の流入経路が、曲面に沿って緩慢に変わりうる。第1曲率半径R
1と第2曲率半径R
2との比率により、ウィンドウ132を介して流入される第1流体の流入経路が変わりうるが、中空糸膜Hの損傷を最小化させることができる流入経路により、第1流体が流入されるように、第1曲率半径R
1と第2曲率半径R
2とを変更することができる。
以下においては、本発明の第3実施例による中空糸膜カートリッジ100について説明する。
【0018】
図9は、本発明の第3実施例によるウィンドウ枠の断面図であり、
図10は、本発明の第3実施例によるウィンドウ枠の断面の変形例である。
図9及び
図10を参照して説明すれば、第3実施形態による中空糸膜カートリッジ100は、ウィンドウ枠131の形状を除いては、前記第1実施例による中空糸膜カートリッジ100と同一構造によってなるので、同一構成に係わる重複説明は、省略する。
ウィンドウ枠131は、コーナー部131cを除いた第1面131aの幅、及びコーナー部131cを除いた第2面131bの幅のうち少なくともいずれか一つは、0でもある。
図9のように、コーナー部131cを除いた第1面131aの幅である第1幅I
1が0でる場合、第1幅I
1が0ではない場合より、ウィンドウ132を介して流入される第1流体の流入経路が曲面に沿って急激に変わりうる。その場合、第1流体が中空糸膜Hの延長方向と垂直方向に流入されることを防止すると共に、第2幅I
2の調節を介し、中空糸膜Hとウィンドウ枠131との接触面積を広くし、中空糸膜Hの変位による損傷を防止することができる。
図10のように、コーナー部131cを除いた第2面131bの幅である第2幅I
2が0である場合、第1幅I
1が、第1流体が流入されるウィンドウ132の入口と中空糸膜Hとの距離を離隔させ、流入される第1流体の圧力を低下させることができる。また、第2幅I
2が0である場合、それにより、ウィンドウ132の幅が広くなり、ウィンドウ132を介して流入される圧力が低くなりうる。第1流体の圧力が低下し、中空糸膜Hの変位が低減され、それによる中空糸膜Hの損傷を防止することができる。
図11は、本発明の第1実施例のウィンドウの形状を概略的に図示した図面であり、
図12ないし
図16は、本発明の第1実施例による変形例である。
【0019】
図17ないし
図19は、本発明の第1実施例によるさらに他の変形例である。
図11ないし
図16を参照して説明すれば、ウィンドウ132は、ボディ部110の上部と下部とに複数個配列された多角形、円形または楕円形でもあり、多角形、円形及び楕円形の組み合わせでもある。ウィンドウ132は、幅が広くなる場合、それを介して流入される第1流体の圧力が低下され、中空糸膜Hの損傷を防止することができる。ただし、それと共に、中空糸膜Hの変位を制限するストッパの役割を行うウィンドウ132間のウィンドウ枠131の間隔が広くなり、中空糸膜Hの損傷を引き起こしうる。従って、ウィンドウ132の幅及び形状は、流入される第1流体のフロー及び方向に合わせて適切に変更される必要がある。
ウィンドウ132の形状は、
図12のように、円形及び楕円形でもあり、
図13ないし
図15のように、多角形でもある。また、第1流体のフロー及び方向により、
図16のように、多角形、円形及び楕円形を適切に組み合わせ、ウィンドウ132の形状を作製することができる。
図17ないし
図19を参照し、さらなる変形例について説明すれば、ウィンドウ132は、ボディ部110の上部と下部とに複数個配列された多角形、円形、楕円形、該多角形の一部・該円形の一部・該楕円形の一部が相互組み合わせされた形状にも形成される。
すなわち、ウィンドウ132は、
図17のように、円形が半分に切り取られた後、菱形状の両側に接合された形状のようにも形成される。または、
図18のように、三角形が全体的に面取りされるように形成された形状でもあり、または
図19のように、上側は、円形であるが、下側は、六角形の一部分によっても形成される。
そのように、本発明のウィンドウ132は、特定の形状に限定されず、多様な形状を含むものでもある。併せて、ウィンドウ132の上部分と下部分とが異なりうる。すなわち、ウィンドウ132の上部分は、
図12の円形、楕円形でもあり、下部分は、
図17のように、円形が半分に切ら取られた後、菱形状の両側に接合された形状のようにも形成される。
【0020】
以上、本発明の一実施形態について説明されたが、当該技術分野で通常の知識を有する者であるならば、特許請求の範囲に記載された本発明の思想から外れない範囲内において、構成要素の付加、変更、削除または追加などにより、本発明を多様に修正及び変更させることができるであろうが、それらも、本発明の権利範囲内に含まれるものである。
【産業上の利用可能性】
【0021】
本発明は、中空糸膜カートリッジであり、該カートリッジのウィンドウ枠及びウィンドウの形状を最適化させ、該ウィンドウ枠及び該ウィンドウとの摩擦による中空糸膜の損傷を最小化させることができる。
【国際調査報告】