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特表2024-523575ホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼをコードする遺伝子の5’UTR変異配列及びその用途
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-28
(54)【発明の名称】ホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼをコードする遺伝子の5’UTR変異配列及びその用途
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/54 20060101AFI20240621BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20240621BHJP
   C12P 1/04 20060101ALI20240621BHJP
   C12P 7/62 20220101ALI20240621BHJP
【FI】
C12N15/54 ZNA
C12N1/21
C12P1/04 Z
C12P7/62
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023579637
(86)(22)【出願日】2022-12-21
(85)【翻訳文提出日】2023-12-25
(86)【国際出願番号】 KR2022020937
(87)【国際公開番号】W WO2023121282
(87)【国際公開日】2023-06-29
(31)【優先権主張番号】10-2021-0187237
(32)【優先日】2021-12-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508139664
【氏名又は名称】シージェイ チェイルジェダン コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】CJ CHEILJEDANG CORPORATION
【住所又は居所原語表記】CJ Cheiljedang Center,330,Dongho-ro,Jung-gu,Seoul,Republic Of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ソク,ジュヨン
(72)【発明者】
【氏名】チェ,ス ジン
(72)【発明者】
【氏名】ホン,ウンス
(72)【発明者】
【氏名】リー,ジ ソン
【テーマコード(参考)】
4B064
4B065
【Fターム(参考)】
4B064AD83
4B064BJ04
4B064CA02
4B064CA21
4B064CB24
4B065AA26X
4B065AA26Y
4B065AB01
4B065BA02
4B065CA29
4B065CA55
(57)【要約】
本出願は、変異型5’非翻訳領域(5’ Untranslated Region、5’UTR)を含むホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼ(phosphoenolpyruvate carboxylase)をコードする変異型遺伝子、前記遺伝子を含むポリヒドロキシアルカノエート(polyhydroxyalkanoate,PHA)生産微生物及びそれを用いたPHA生産方法に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号1の塩基配列において一つ以上の塩基が変異された、変異型5’非翻訳領域(5’ Untranslated Region、5’UTR)をコードする、変異型ポリヌクレオチド。
【請求項2】
ホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼ(phosphoenolpyruvate carboxylase)をコードする塩基配列を含む変異型ポリヌクレオチドであって、
前記変異型ポリヌクレオチドは、配列番号1の塩基配列において一つ以上の塩基が変異された、変異型5’UTRをコードする塩基配列をさらに含む、変異型ポリヌクレオチド。
【請求項3】
前記変異型5’UTRは、前記配列番号1の塩基配列において15番目~22番目に対応する位置の塩基のいずれか一つ以上の塩基が変異された、請求項1又は2に記載の変異型ポリヌクレオチド。
【請求項4】
前記変異型5’UTRは、配列番号2~12から選択されるいずれか一つ以上の塩基配列を含む、請求項1又は2に記載の変異型ポリヌクレオチド。
【請求項5】
前記変異型5’UTRをコードする変異型ポリヌクレオチドは、これと作動可能に連結された目的タンパク質をコードするポリヌクレオチドのタンパク質への翻訳を調節する、請求項1に記載の変異型ポリヌクレオチド。
【請求項6】
前記目的タンパク質は、ホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼである、請求項5に記載の変異型ポリヌクレオチド。
【請求項7】
前記ホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼをコードする塩基配列を含む変異型ポリヌクレオチドは、前記ホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼをコードする塩基配列を含み、野生型5’UTRをコードする塩基配列をさらに含むポリヌクレオチドに比べて、それから生産されるポリヒドロキシアルカノエート(polyhydroxyalkanoate)の4HB(4-hydroxybutyrate)単量体の含量がPHAの総重量を基準として3~21重量%の含量範囲で調節される、請求項2に記載の変異型ポリヌクレオチド。
【請求項8】
配列番号1の塩基配列において一つ以上の塩基が変異された、変異型5’UTRをコードする変異型ポリヌクレオチド;またはホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼをコードする塩基配列を含む変異型ポリヌクレオチドであって、前記変異型5’UTRをコードする塩基配列をさらに含む変異型ポリヌクレオチド;を含む、ポリヒドロキシアルカノエート生産用微生物。
【請求項9】
前記微生物から生産されるポリヒドロキシアルカノエートの4HB単量体の含量がPHAの総重量を基準として3~21重量%の含量範囲で調節される、請求項8に記載の微生物。
【請求項10】
配列番号1の塩基配列において一つ以上の塩基が変異された、変異型5’UTRをコードする変異型ポリヌクレオチド;またはホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼをコードする塩基配列を含む変異型ポリヌクレオチドであって、前記変異型5’UTRをコードする塩基配列をさらに含む変異型ポリヌクレオチド;を含む、ポリヒドロキシアルカノエート生産用微生物を培地で培養する段階を含む、ポリヒドロキシアルカノエート生産方法。
【請求項11】
前記ホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼをコードする塩基配列を含む前記変異型ポリヌクレオチドは、ホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼをコードする塩基配列を含み、野生型5’UTRをコードする塩基配列をさらに含むポリヌクレオチドに比べて、それから生産されるポリヒドロキシアルカノエートの4HB単量体の含量がPHAの総重量を基準として3~21重量%の含量範囲で調節される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
配列番号1の塩基配列において一つ以上の塩基が変異された、変異型5’UTRをコードする変異型ポリヌクレオチド;またはホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼをコードする塩基配列を含む変異型ポリヌクレオチドであって、前記変異型5’UTRをコードする塩基配列をさらに含む変異型ポリヌクレオチド;を含む、PHA生産用微生物;それを培養した培地;またはそれらのうちの2以上の組み合わせを含むPHA生産用組成物。
【請求項13】
配列番号1の塩基配列において一つ以上の塩基が変異された、変異型5’UTRをコードする変異型ポリヌクレオチド;またはホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼをコードする塩基配列を含む変異型ポリヌクレオチドであって、前記変異型5’UTRをコードする塩基配列をさらに含む変異型ポリヌクレオチド;を含む微生物のPHA生産への使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、変異型5’非翻訳領域(5’ Untranslated Region、5’UTR)を含むホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼ(phosphoenolpyruvate carboxylase)をコードする変異型遺伝子、前記遺伝子を含むポリヒドロキシアルカノエート(polyhydroxyalkanoate,PHA)生産微生物及びそれを用いたPHA生産方法に関する。
【背景技術】
【0002】
石油系難分解性プラスチック蓄積による環境汚染の問題が台頭しながら、これを代替するための生分解性バイオプラスチックが注目されていている。バイオプラスチック素材の一つであるポリヒドロキシアルカノエート(polyhydroxyalkanoate,PHA)は、微生物内に蓄積されるポリエステル系天然高分子であり、生分解性素材であるだけでなく、有毒性廃棄物の発生もなく、熱可塑性、弾性などの特徴を有する環境にやさしい高分子として知られている。PHAの中で最も代表的に知られている物質は、3HB(3-hydroxybutyrate)単量体を用いて重合されたP3HB(poly-3-hydroxybutyrate)である。P3HBは、自動車部品、家電部品などに使用される合成樹脂であるポリプロピレンと同様の物性を有しており、微生物が比較的容易に合成でき、商業的に生産研究が多く行われてきた。しかしながら、高い結晶化度(crystallinity)のため壊れやすい特性を有しており、融点付近で分解されるため加工が困難であるという限界がある。したがって、新たな素材のブレンディングあるいは単量体の共重合を通じてPHA共重合体(copolymer)を生産しようとする研究が進められている。その中でも、P(3HB-co-4HB)(poly(3-hydroxybutyrate-co-4-hydroxybutyrate)共重合体は、4HB(4-hydroxybutyrate)単量体の添加により弾性体としての特徴を有する素材である。この4HB単量体の添加比率によってPHAの物性が変わり、これは、多様な製品の生産に活用できるため、有望な生分解性高分子素材として脚光を浴びている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】Needleman及びWunsch、1970,J. Mol. Biol. 48:443-453
【非特許文献2】EMBOSS:The European Molecular Biology Open Software Suite,Rice et al., 2000)、Trends Genet. 16:276-277
【非特許文献3】Pearson et al (1988) [Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85]:2444
【非特許文献4】Devereux,J.,et al,Nucleic Acids Research 12:387 (1984))、
【非特許文献5】Atschul,[S.] [F.,] [ET AL,J MOLEC BIOL 215]:403 (1990)
【非特許文献6】Guide to Huge Computers,Martin J. Bishop,[ED.,] Academic Press,San Diego、1994
【非特許文献7】[CARILLO ET AL.](1988) SIAM J Applied Math 48:1073
【非特許文献8】Smith and Waterman,Adv. Appl. Math (1981) 2:482
【非特許文献9】Schwartz and Dayhoff,eds.,Atlas Of Protein Sequence And Structure,National Biomedical Research Foundation,pp. 353-358 (1979)
【非特許文献10】Gribskov et al(1986) Nucl. Acids Res. 14:6745
【非特許文献11】J. Sambrook et al.,Molecular Cloning,A Laboratory Manual、2nd Edition,Cold Spring Harbor Laboratory press,Cold Spring Harbor,New York、1989
【非特許文献12】F.M. Ausubel et al.,Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley & Sons,Inc.,New York、9.50-9.51,11.7-11.8
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者らは、変異型5’非翻訳領域(5’ Untranslated Region、5’UTR)を含むホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼ(phosphoenolpyruvate carboxylase)をコードする変異型遺伝子を究明し、前記遺伝子を含むポリヒドロキシアルカノエート(polyhydroxyalkanoate,PHA)生産微生物においてPHAが生産されることを確認することにより、本出願を完成した。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本出願の一つの目的は、配列番号1の塩基配列において一つ以上の塩基が変異された、変異型5’非翻訳領域(5’ Untranslated Region、5’UTR)をコードする、変異型ポリヌクレオチドを提供することにある。
【0006】
本出願のもう一つの目的は、ホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼ(phosphoenolpyruvate carboxylase)をコードする塩基配列を含む変異型ポリヌクレオチドであって、前記変異型ポリヌクレオチドは、配列番号1の塩基配列において一つ以上の塩基が変異された、変異型5’UTRをコードする塩基配列をさらに含む、変異型ポリヌクレオチドを提供することにある。
【0007】
本出願のもう一つの目的は、配列番号1の塩基配列において一つ以上の塩基が変異された、変異型5’UTRをコードする変異型ポリヌクレオチド;またはホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼをコードする塩基配列を含む変異型ポリヌクレオチドであって、前記変異型5’UTRをコードする塩基配列をさらに含む変異型ポリヌクレオチド;を含む、ポリヒドロキシアルカノエート(polyhydroxyalkanoate,PHA)生産用微生物を提供することにある。
【0008】
本出願のもう一つの目的は、配列番号1の塩基配列において一つ以上の塩基が変異された、変異型5’UTRをコードする変異型ポリヌクレオチド;またはホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼをコードする塩基配列を含む変異型ポリヌクレオチドであって、前記変異型5’UTRをコードする塩基配列をさらに含む変異型ポリヌクレオチド;を含む、PHA生産用微生物を培地で培養する段階を含む、PHA生産方法を提供することにある。
【0009】
本出願のもう一つの目的は、配列番号1の塩基配列において一つ以上の塩基が変異された、変異型5’UTRをコードする変異型ポリヌクレオチド;またはホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼをコードする塩基配列を含む変異型ポリヌクレオチドであって、前記変異型5’UTRをコードする塩基配列をさらに含む変異型ポリヌクレオチド;を含む、PHA生産用微生物;それを培養した培地;またはそれらのうちの2以上の組み合わせを含むPHA生産用組成物を提供することにある。
【0010】
本出願の他の一つの目的は、配列番号1の塩基配列において一つ以上の塩基が変異された、変異型5’UTRをコードする変異型ポリヌクレオチド;またはホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼをコードする塩基配列を含む変異型ポリヌクレオチドであって、前記変異型5’UTRをコードする塩基配列をさらに含む変異型ポリヌクレオチド;を含む微生物のPHA生産への使用を提供することにある。
【発明の効果】
【0011】
本出願の5’非翻訳領域(5’ Untranslated Region、5’UTR)変異配列は、TCA回路の炭素流量を調節するために活用され、特に、ポリヒドロキシアルカノエート(polyhydroxyalkanoate,PHA)生産微生物の4HB(4-hydroxybutyrate)含量を調節して目的とする物性を有するPHAを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
これを具体的に説明すると、次の通りである。一方、本出願で開示されたそれぞれの説明及び実施形態は、それぞれの他の説明及び実施形態にも適用することができる。即ち、本出願で開示された多様な要素のすべての組み合わせが本出願の範疇に属する。また、以下に記載される具体的な記述により本出願のカテゴリが制限されるとは見られない。また、当該技術分野における通常の知識を有する者であれば、通常の実験のみを用いて本出願に記載された本発明の特定の態様の多くの等価物を認識又は確認することができる。また、このような等価物は、本出願に含まれることが意図される。
【0013】
本出願の一態様は、配列番号1の塩基配列において一つ以上の塩基が変異された、変異型5’非翻訳領域(5’ Untranslated Region、5’UTR)をコードする、変異型ポリヌクレオチドを提供する。
【0014】
本出願において用語、「5’非翻訳領域(5’ Untranslated Region、5’UTR)」とは、mRNA転写体の5’末端に存在するが、アミノ酸に翻訳されない領域を意味する。mRNAがタンパク質に翻訳される過程は、リボソームの30Sサブユニットが5’UTRに結合することで始まる。具体的には、リボソームの30Sサブユニット内の16S rRNA(16S ribosomal RNA)が5’UTR中、RBSに結合し、tRNAがmRNAの開始コドン(AUG)を認識して結合すれば、タンパク質への翻訳が開始される。5’UTRのリボソーム結合部位と開始コドンは、約6~8ヌクレオチド距離に存在することが知られている。
【0015】
本出願において、5’UTRは16S rRNAの3’末端の配列と相補的な配列、即ち、シャイン-ダルガノ配列が保存されており、その前後の配列が調節された配列を含むことができる。
【0016】
前記「5’UTR配列が調節された」または「調節された5’UTR」とは、5’UTRを構成する塩基配列中の一つ以上の塩基が変形されたことを言い、このような変形には、塩基の置換、付加、欠失または逆位を含むことができる。代表的な例示として、5’UTRにおいてシャイン-ダルガノ配列は保存されており、その前後に存在する塩基配列において一つ以上の塩基が置換、付加、欠失または逆位などで変形された配列を含むことができる。
【0017】
前記5’UTRは、リボソーム結合部位(ribosome binding site,RBS)を含むことができる。
【0018】
本出願において用語、「リボソーム結合部位(ribosome binding site,RBS)」は、mRNA鎖の内部に存在する、リボソームが直接結合し、また、翻訳を開始できる領域(構造)、または転写されることによりその領域を引き起こすDNA鎖の領域(構造)を意味する。多くの原核生物は、オープンリーディングフレーム(open reading frame;ORF)を含むmRNA上の開始コドン(start codon、通常、‘AUG’)から5’方向上流(upstream)側の近いところにリボソームがmRNAを認知し、結合しやすくする短い配列としてRBSを保有している。RBSには、16S rRNAの3’末端の配列と相補的な配列が存在するが、これをシャイン-ダルガノ(Shine-Dalgarno)配列という。
【0019】
本出願の変異型5’UTRは、野生型5’UTRである配列番号1の塩基配列において一つ以上の塩基が変異された5’UTRであってもよい。
【0020】
本出願において、配列番号1の塩基配列は、ホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼ(phosphoenolpyruvate carboxylase)をコードする遺伝子の5’非翻訳領域(5’ Untranslated Region、5’UTR)であってもよい。本出願の5’UTRは、前記配列番号1の塩基配列を含んでもよく、有してもよく、構成されてもよく、前記塩基配列で必須的に成ってもよい(essentially consisting of)。
【0021】
前記配列番号1の塩基配列は、配列番号1で記載された塩基配列と少なくとも70%、75%、76%、80%、84%、85%、88%、90%、92%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、99.7%または99.9%以上の相同性または同一性を有する塩基配列を含むことができる。また、そのような相同性または同一性を有し、5’UTRに対応する効能を示す塩基配列であれば、一部の配列が欠失、変形、置換、保存的置換または付加された塩基配列も本出願の範囲内に含まれることは自明である。
【0022】
具体的には、本出願の一つ以上の塩基が変異された5’UTRは、5’UTR内のRBS配列が変異されたものであり、「変異型5’UTR」または「変異型RBS含む配列」と混用され得る。
【0023】
より具体的には、本出願の変異型5’UTRは、配列番号1の塩基配列において15番目~22番目に対応する位置の塩基のいずれか一つ以上の塩基が変異されたものであってもよい。一例として、前記変異は、特定塩基が置換前の塩基と異なる塩基で置換されたことを意味し得る。
【0024】
さらに具体的には、本出願の変異型5’UTRは、配列番号2~配列番号12から選択されるいずれか一つで記載された塩基配列を含むことができる。
【0025】
また、本出願の変異型5’UTRは、配列番号2~配列番号12から選択されるいずれか一つの配列と相同性または同一性が、野生型5’UTRをコードする配列番号1と比較して変異された配列番号2~12のそれぞれの変異配列は固定され、全体配列とは70%以上、75%以上、76%以上、80%以上、84%以上、85%以上、88%以上、90%以上、92%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上、99.5%以上、99.7%以上、99.9%以上、及び100%未満である塩基配列を有してもよく、含んでもよく、または配列番号2~配列番号12から選択されるいずれか一つの配列と相同性または同一性が70%以上、75%以上、76%以上、80%以上、84%以上、85%以上、88%以上、90%以上、92%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上、99.5%以上、99.7%以上、99.9%以上、及び100%未満である塩基配列を含んでもよく、有してもよく、構成されてもよく、必須的に成ってもよいが、これに制限されない。
【0026】
また、そのような相同性または同一性を有し、本出願の変異型5’UTRに対応する効能を示す塩基配列であれば、一部の配列が欠失、変形、置換、保存的置換または付加された塩基配列を有する変異型5’UTRも本出願の範囲内に含まれることは自明である。
【0027】
本出願において用語、「ポリヌクレオチド」は、ヌクレオチド単位体(monomer)が共有結合により長く鎖状につながったヌクレオチドの重合体(polymer)で一定の長さ以上のDNAまたはRNA鎖を意味する。
【0028】
本出願において用語、「変異型」とは、一つ以上の塩基が変形(modification)され、前記変異型ポリヌクレオチドの変異前の塩基配列と異なるが、機能(functions)または特性(properties)が維持されるポリヌクレオチドを指す。そのような変異型は、一般に、前記ポリヌクレオチドの塩基配列中の一つ以上の塩基を変形し、前記変形ポリヌクレオチドの特性を評価して同定(identify)され得る。即ち、変異型ポリヌクレオチドの能力は、変異前のポリヌクレオチドに比べて増加したり、変化しないか、または減少する。前記変異型ポリヌクレオチドは、変異型、変形、変異されたポリヌクレオチド、変異された遺伝子、変異及び変異体などの用語(英語表現では、variant、modification、modified polynucleotide、modified gene、mutant、mutein、divergentなど)を混用することができ、変異された意味で使用される用語であれば、これに制限されない。
【0029】
前記変異型ポリヌクレオチドは、確認、精製、または合成可能に、他の配列またはリンカーとコンジュゲートすることができる。
【0030】
本出願において、用語「対応する(corresponding to)」とは、ポリヌクレオチドで列挙される位置の塩基であるか、またはポリヌクレオチドで列挙される塩基と類似または同一または相同の塩基を指す。対応する位置の塩基を確認することは、特定の配列を参照する配列の特定の塩基を決定することであってもよい。本出願で使用される「対応する領域」は、一般に、関連ポリヌクレオチド配列または参照(reference)ポリヌクレオチド配列における類似または対応する位置を指す。
【0031】
例えば、任意の塩基配列を配列番号1と整列(align)し、これに基づいて、前記塩基配列の各塩基は、配列番号1の塩基と対応する塩基の数字の位置を参照して番号付けすることができる。例えば、本出願に記載されているような配列整列アルゴリズムは、クエリシーケンス(「参照配列」ともいう)に比べて塩基の位置、または置換、挿入または欠失などの変形が発生する位置を確認することができる。
【0032】
このような整列には、例えば、Needleman-Wunschアルゴリズム(Needleman及びWunsch、1970,J. Mol. Biol. 48:443-453)、EMBOSSパッケージのNeedlemanプログラム(EMBOSS:The European Molecular Biology Open Software Suite,Rice et al., 2000)、Trends Genet. 16:276-277)などを用いることができるが、これに制限させず、当業界に知られている配列整列プログラム、対配列(pairwise sequence)比較アルゴリズムなどを適宜用いることができる。
【0033】
本出願において、用語「相同性(homology)」または「同一性(identity)」とは、二つの与えられたアミノ酸配列または塩基配列相互間の類似度を意味し、百分率で表すことができる。用語の相同性及び同一性はしばしば互換的に使用することができる。
【0034】
保存された(conserved)ポリヌクレオチドまたはポリペプチドの配列相同性または同一性は、標準的な配列アルゴリズムにより決定され、使用されるプログラムにより確立されたデフォルトギャップペナルティが共に使用することができる。実質的に、相同性を有する(homologous)または同一の(identical)配列は、一般に、配列の全部または一部分と中程度または高いストリンジェントな条件(stringent conditions)でハイブリダイゼーションすることができる。ハイブリダイゼーションは、ポリヌクレオチドにおける一般のコドンまたはコドン縮退性を考慮したコドンを含有するポリヌクレオチドとのハイブリダイゼーションも含まれることが自明である。
【0035】
任意の二つのポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列が相同性、類似性または同一性を有するかどうかは、例えば、Pearson et al (1988) [Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85]:2444でのようなデフォルトパラメータを用いて「FASTA」プログラムなどの既知のコンピュータアルゴリズムを利用して決定することができる。または、EMBOSSパッケージのニードルマンプログラム(EMBOSS:The European Molecular Biology Open Software Suite,Rice et al., 2000,Trends Genet. 16:276-277)(バージョン5.0.0または以降のバージョン)で行われるような、ニードルマン-ウンシュ(Needleman-Wunsch)アルゴリズム(Needleman and Wunsch、1970,J. Mol. Biol. 48:443-453)を使用して決定することができる(GCGプログラムパッケージ(Devereux,J.,et al,Nucleic Acids Research 12:387 (1984))、BLASTP,BLASTN,FASTA (Atschul,[S.] [F.,] [ET AL,J MOLEC BIOL 215]:403 (1990);Guide to Huge Computers,Martin J. Bishop,[ED.,] Academic Press,San Diego、1994、及び[CARILLO ET AL.](1988) SIAM J Applied Math 48:1073を含む)。例えば、国立生物工学情報データベースセンターのBLASTまたはClustalWを用いて相同性、類似性または同一性を決定することができる。
【0036】
ポリヌクレオチドまたはポリペプチドの相同性、類似性または同一性は、例えば、Smith and Waterman,Adv. Appl. Math (1981) 2:482において公知となっているように、例えば、Needleman et al. (1970)、J Mol Biol. 48:443のようなGAPコンピュータプログラムを用いて配列情報を比較することにより決定することができる。要約すると、GAPプログラムは、2つの配列中、より短いものにおける記号の総数であり、類似の配列された記号(即ち、ヌクレオチドまたはアミノ酸)の数を除した値と定義することができる。GAPプログラムのためのデフォルトパラメータは、(1)二進法比較マトリックス(同一性のために1、そして非同一性のために0の値を含む)及びSchwartz and Dayhoff,eds.,Atlas Of Protein Sequence And Structure,National Biomedical Research Foundation,pp. 353-358 (1979)により開示されているように、Gribskov et al(1986) Nucl. Acids Res. 14:6745の加重比較マトリックス(またはEDNAFULL (NCBI NUC4.4のEMBOSSバージョン)置換マトリックス);(2)各ギャップのための3.0のペナルティ及び各ギャップにおいて各記号のための追加の0.10ペナルティ(またはギャップ開放ペナルティ10、ギャップ延長ペナルティ0.5);及び(3)末端ギャップのための無ペナルティを含むことができる。
【0037】
本出願のポリヌクレオチドは、コドンの縮退性(degeneracy)または本出願の変異型5’UTRを含む変異型遺伝子を発現させようとする生物において好まれるコドンを考慮し、本出願の変異型5’UTRを含む変異型遺伝子の塩基配列を変化させない範囲内でコード領域に多様な変形が行われ得る。
【0038】
また、本出願のポリヌクレオチドは、公知の遺伝子配列から製造することができるプローブ、例えば、本出願のポリヌクレオチド配列の全体または一部に対する相補配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズすることができる配列であれば、制限なく含まれ得る。前記「ストリンジェントな条件(stringent condition)」とは、ポリヌクレオチド間の特異的ハイブリダイゼーションを可能にする条件を意味する。このような条件は、文献(J. Sambrook et al.,Molecular Cloning,A Laboratory Manual、2nd Edition,Cold Spring Harbor Laboratory press,Cold Spring Harbor,New York、1989;F.M. Ausubel et al.,Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley & Sons,Inc.,New York、9.50-9.51,11.7-11.8を参照)に具体的に記載されている。例えば、相同性または同一性の高いポリヌクレオチド同士、70%以上、75%以上、76%以上、80%以上、84%以上、85%以上、88%以上、90%以上、92%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上、99.5%以上、99.7%以上、99.8%以上、または99.9%以上の相同性または同一性を有するポリヌクレオチド同士をハイブリダイゼーションし、それより相同性または同一性の低いポリヌクレオチド同士をハイブリダイゼーションしない条件、または通常のサザンハイブリダイゼーション(southern hybridization)の洗浄条件である60℃、1×SSC、0.1% SDS、具体的には60℃、0.1×SSC、0.1% SDS、より具体的には68℃、0.1×SSC、0.1% SDSに相当する塩濃度及び温度で、1回、具体的に2回~3回洗浄する条件を列挙することができる。
【0039】
ハイブリダイゼーションは、たとえハイブリダイゼーションのストリンジェンシーに応じて塩基間のミスマッチ(mismatch)が可能であっても、二つの核酸が相補的配列を有することを要求する。用語「相補的」は、互いにハイブリダイゼーション可能なヌクレオチド塩基間の関係を記述するのに使用される。例えば、DNAに関し、アデニンはチミンに相補的であり、シトシンはグアニンに相補的である。したがって、本出願のポリヌクレオチドは、また、実質的に類似の核酸配列だけでなく、配列全体に相補的な単離された核酸断片を含み得る。
【0040】
具体的には、本出願のポリヌクレオチドと相同性または同一性を有するポリヌクレオチドは、55℃のTm値でハイブリダイゼーション段階を含むハイブリダイゼーション条件を用い、上述の条件を用いて探知することができる。また、前記Tm値は、60℃、63℃または65℃であってもよいが、これに限定されるものではなく、その目的に応じて当業者により適宜調節することができる。
【0041】
前記ポリヌクレオチドをハイブリダイゼーションする適切なストリンジェンシーは、ポリヌクレオチドの長さ及び相補性の程度に依存し、変数は当該技術分野においてよく知られている(例えば、J.Sambrook et al., 同上)。
【0042】
本出願の変異型5’UTRをコードする変異型ポリヌクレオチドは、これと作動可能に連結された目的タンパク質をコードするポリヌクレオチドのタンパク質への翻訳を調節するものであってもよい。
【0043】
一例として、前記目的タンパク質は、ホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼであってもよいが、これらに限定されるものではなく、本出願の変異型5’UTRをコードするポリヌクレオチドは、多様な目的タンパク質をコードするポリヌクレオチドのタンパク質への翻訳を調節するための目的で汎用的に使用することができる。
【0044】
本出願の他の一態様は、ホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼ(phosphoenolpyruvate carboxylase)をコードする塩基配列を含む変異型ポリヌクレオチドであって、前記変異型ポリヌクレオチドは、配列番号1の塩基配列において一つ以上の塩基が変異された、変異型5’UTRをコードする塩基配列をさらに含む、変異型ポリヌクレオチドを提供する。
【0045】
前記変異型ポリヌクレオチド、配列番号1の塩基配列及び変異型5’UTRは、前述した通りである。
【0046】
本出願において、用語「ホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼ(phosphoenolpyruvate carboxylase)」は、ホスホエノールピルベートに重炭酸塩の添加を促進して4-炭素化合物であるオキサロアセテートと無機リン酸塩を形成する酵素であり、TCA回路への炭素流量に主要に影響を及ぼし、これをコードするppc遺伝子の発現量は、微生物から生産されるポリヒドロキシアルカノエート(polyhydroxyalkanoate,PHA)の4HB(4-hydroxybutyrate)の含量に影響を及ぼす。
【0047】
前記ホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼのアミノ酸配列は、公知のデータベースであるNCBIのGenebankなどから得ることができる。
【0048】
一例として、本出願のホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼは、微生物に由来するものであってもよいが、これに制限されない。
【0049】
本出願において、ホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼは、配列番号26で記載されたアミノ酸配列を含んでもよく、有してもよく、構成されてもよく、前記アミノ酸配列で必須的に成ってもよい。
【0050】
本出願において、前記配列番号26のアミノ酸配列は、これと少なくとも70%、75%、80% 85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、99.7%または99.9%以上の相同性または同一性を有するアミノ酸配列を含むことができる。また、このような相同性または同一性を有し、前記配列番号26のアミノ酸配列を含むタンパク質に対応する効能を示すアミノ酸配列であれば、一部の配列が欠失、変形、置換、保存的置換または付加されたアミノ酸配列を有するタンパク質も本出願の範囲内に含まれることは自明である。
【0051】
例えば、前記アミノ酸配列のN末端、C末端及び/または内部に本出願のタンパク質の機能を変更しない配列の追加または欠失、自然に起こり得る突然変異、サイレント突然変異(silent mutation)または保存的置換を有する場合である。
【0052】
前記「保存的置換(conservative substitution)」とは、あるアミノ酸を類似の構造的及び/又は化学的性質を有する他のアミノ酸で置換させることを意味する。そのようなアミノ酸の置換は、一般に、残基の極性、電荷、溶解度、疎水性、親水性及び/又は両親媒性(amphipathic nature)における類似性に基づいて起こり得る。通常、保存的置換はタンパク質またはポリペプチドの活性にほとんど影響を及ぼさないか、または影響を及ぼさない。
【0053】
本出願において、ホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼをコードする遺伝子は、ppc遺伝子であってもよい。
【0054】
前記ppc遺伝子の塩基配列は、公知のデータベースであるNCBIのGenebankなどから得ることができる。
【0055】
一例として、本出願のppc遺伝子は、微生物に由来するものであってもよいが、これに制限されない。
【0056】
本出願のホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼをコードするポリヌクレオチドは、配列番号27で記載されたアミノ酸配列をコードする塩基配列を含むことができる。本出願の一例として、本出願のポリヌクレオチドは、配列番号27の配列を有してもよく、含んでもよい。また、本出願のポリヌクレオチドは、配列番号27の配列からなってもよく、必須的に成ってもよい。具体的には、前記ホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼは、配列番号27の塩基配列で記載されたポリヌクレオチドによりコードされるものであってもよい。
【0057】
本出願のポリヌクレオチドは、コドンの縮退性または本出願のホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼを発現させようとする生物において好まれるコドンを考慮し、ホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼのアミノ酸配列を変化させない範囲内でコード領域に多様な変形が行われ得る。具体的には、本出願のポリヌクレオチドは、配列番号27の配列と相同性または同一性が70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、99.7%または99.9%以上である塩基配列を含むことができる。
【0058】
本出願の目的上、本出願のホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼをコードする塩基配列を含む変異型ポリヌクレオチドは、ホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼをコードする塩基配列を含み、野生型5’UTRをコードする塩基配列をさらに含むポリヌクレオチドに比べて、これから生産されるポリヒドロキシアルカノエート(polyhydroxyalkanoate,PHA)の4HB(4-hydroxybutyrate)単量体の含量を調節することができる。
【0059】
一例として、本出願のホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼをコードする塩基配列を含む変異型ポリヌクレオチドは、これから生産されるPHAの4HB単量体の含量がPHAの総重量を基準として3~21重量%の含量の範囲で調節されるものであってもよい。その例として、本出願のホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼをコードする塩基配列を含む変異型ポリヌクレオチドは、これから生産されるPHAの4HB単量体の含量がPHAの総重量を基準として約21重量%以下、具体的には、20.3重量%以下、20重量%以下、19重量%以下、18.7重量%以下、18重量%以下、17重量%以下、16重量%以下、15重量%以下、14重量%以下、13.9重量%以下、13重量%以下、12重量%以下、11.6重量%以下、11重量%以下、10.7重量%以下、10重量%以下、9重量%以下、8.3重量%以下、8重量%以下、7重量%以下、6重量%以下、5重量%以下、4重量%以下または3.2重量%以下であってもよいが、これに制限されない。
【0060】
本出願において、用語「ポリヒドロキシアルカノエート(polyhydroxyalkanoate,PHA)」は、微生物内に蓄積されるポリエステル系天然高分子であり、生分解性素材であるだけでなく、有毒性廃棄物の発生もなく、熱可塑性、弾性などの特徴を有する環境にやさしい高分子として知られている。PHAの中で最も代表的に知られた物質は、3HB(3-hydroxybutyrate)単量体を用いて重合されたP3HB(poly-3-hydroxybutyrate)であり、4HB(4-hydroxybutyrate)単量体の添加により弾性体としての特徴を有するように製造されたP(3HB-co-4HB)(poly(3-hydroxybutyrate-co-4-hydroxybutyrate)共重合体も存在するが、これに限定されない。本出願において、前記PHAは、具体的には、4HB単量体を含みながら、前記4HBと異なる1個以上の単量体をさらに含んだり、互いに異なる2個、3個、4個、5個、6個またはそれ以上の単量体をさらに含むPHA共重合体であってもよい。より具体的には、前記4HB単量体を含みながら、前記4HBと異なる単量体としてさらに含んでもよい単量体としては、2-ヒドロキシブチレート、乳酸、グリコール酸、3HB(3-hydroxybutyrate)、3HP(3-hydroxypropionate)、3HV(3-hydroxyvalerate)、3HH(3-hydroxyhexanoate)、3HHep(3-hydroxyheptanoate)、3HO(3-hydroxyoctanoate)、3HN(3-hydroxyoctanoate)、3HD(3-hydroxydecanoate)、3HDd(3-hydroxyundecanoate)、4HV(4-hydroxyvalerate)、5HV(5-hydroxyvalerate)及び6HH(6-hydroxyhexanoate)からなる群から選択された1種以上の単量体であってもよい。
【0061】
特に、4HB単量体の添加比率に応じてPHAの物性が変わり、これは、多様な製品の生産に活用できるため、4HB単量体の比率を調節できる場合、産業的に有用であってもよい。
【0062】
具体的には、4HB単量体の添加比率に応じてPHAの結晶化度(結晶性)が変わり、より具体的には、4HB単量体の含量が高まる場合、結晶化度が低くなってPHAが半結晶性より非結晶性の物性を示して加工性が低くなり得るところ、適正な4HB単量体の含量を維持してPHAの加工性を維持することが重要である。
【0063】
これに対し、本出願のホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼをコードする塩基配列を含む変異型ポリヌクレオチドは、PHAの4HB単量体の含量がPHAの総重量を基準として3~21重量%で含まれるように調節することにより、加工性に優れた半結晶性の物性を有するPHAを製造することができる。
【0064】
本出願のもう一つの様態は、配列番号1の塩基配列において一つ以上の塩基が変異された、変異型5’UTRをコードする変異型ポリヌクレオチド;ホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼをコードする塩基配列を含む変異型ポリヌクレオチドであって、前記変異型5’UTRをコードする塩基配列をさらに含む変異型ポリヌクレオチド;またはこれを含むベクターを提供することである。
【0065】
前記変異型ポリヌクレオチド、配列番号1の塩基配列及び変異型5’UTRは、前述した通りである。
【0066】
前記ベクターは、目的とするポリヌクレオチドを宿主細胞で発現させるための発現ベクターであってもよいが、これらに制限されない。
【0067】
本出願のベクターは、適切な宿主内で目的のポリヌクレオチド、即ち、本出願の変異型5’UTRをコードする塩基配列をさらに含む変異型ポリヌクレオチドを発現させることができるように、適切な発現調節領域(または発現調節配列)に作動可能に連結された前記目的のポリヌクレオチドの塩基配列を含むDNA製造物を含んでもよい。前記発現調節領域は、転写を開始し得るプロモーター、そのような転写を調節するための任意のオペレーター配列、適切なRBSをコードする配列、及び転写及び解読の終結を調節する配列を含み得る。ベクターは、適切な宿主細胞内に形質変換された後、宿主ゲノムとは無関係に複製または機能することができ、ゲノム自体に統合することができる。
【0068】
本出願で使用されるベクターは、特に限定されず、当業界に知られている任意のベクターを利用することができる。通常使用されるベクターの例としては、天然状態または組換え状態のプラスミド、コスミド、ウイルス及びバクテリオファージを挙げることができる。例えば、ファージベクターまたはコスミドベクターとしてpWE15、M13、MBL3、MBL4、IXII、ASHII、APII、t10、t11、Charon4A、及びCharon21Aなどを用いることができ、プラスミドベクターとしてpDZ系、pBR系、pUC系、pBluescriptII系、pGEM系、pTZ系、pCL系及びpET系などを用いることができる。具体的には、pDZ、pDC、pDCM2、pACYC177、pACYC184、pCL、pECCG117、pUC19、pBR322、pMW118、pCC1BACベクターなどを用いることができる。
【0069】
一例として、細胞内における染色体挿入用ベクターを通じて目的のポリヌクレオチドを染色体内に挿入することができる。前記ポリヌクレオチドの染色体内への挿入は、当業界に知られている任意の方法、例えば、相同組換え(homologous recombination)により行われ得るが、これらに限定されない。前記染色体の挿入有無を確認するための選別マーカー(selection marker)をさらに含んでもよい。前記選別マーカーは、ベクターで形質変換された細胞を選別、即ち、目的核酸分子の挿入有無を確認するためのものであり、薬物耐性、栄養要求性、細胞毒性剤に対する耐性または表面ポリペプチドの発現のような選択可能表現型を付与するマーカーを使用することができる。選択剤(selective agent)が処理された環境では、選別マーカーを発現する細胞のみが生存するか、または他の表現形質を示すため、形質変換された細胞を選別することができる。
【0070】
本出願における用語「形質変換」とは、目的のポリヌクレオチドを含むベクターを宿主細胞または微生物内に導入し、宿主細胞内で前記ポリヌクレオチドが発現できるようにすることを意味する。形質変換されたポリヌクレオチドは、宿主細胞内で発現できる限り、宿主細胞の染色体内に挿入されて位置するか、または染色体外に位置するかに関係なく、それらの全部を含み得る。また、前記ポリヌクレオチドは、目的のポリペプチドをコードするDNA及び/又はRNAを含む。前記ポリヌクレオチドは、宿主細胞内に導入されて発現できるものであれば、如何なる形態でも導入することができる。例えば、前記ポリヌクレオチドは、自体で発現するのに必要な全ての要素を含む遺伝子構造体である発現カセット(expression cassette)の形態で宿主細胞に導入することができる。前記発現カセットは、通常、前記ポリヌクレオチドに作動可能に連結されているプロモーター(promoter)、転写終結信号、リボソーム結合部位、及び翻訳終結信号を含んでもよい。前記発現カセットは、自己複製可能な発現ベクターの形態であってもよい。また、前記ポリヌクレオチドは、それ自体の形態で宿主細胞に導入され、宿主細胞で発現に必要な配列と作動可能に連結されているものであってもよく、これに制限されない。
【0071】
また、前記において用語「作動可能に連結」されたとは、目的とする本出願の変異型5’UTRをコードする塩基配列をさらに含む変異型ポリヌクレオチドの発現を開始及び媒介させるプロモーター配列と前記変異型5’UTRをコードする塩基配列をさらに含む変異型ポリヌクレオチドの塩基配列が機能的に連結されていることを意味する。
【0072】
本出願において、前記変異型5’UTRをコードする塩基配列、即ち、変異型5’UTRをコードする変異型ポリヌクレオチドは、これと作動可能に連結された目的タンパク質をコードするポリヌクレオチドのタンパク質への翻訳を調節するものであってもよく、一例として前記目的タンパク質は、ホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼであってもよいが、これらに限定されるものではなく、多様な目的タンパク質をコードするポリヌクレオチドのタンパク質への翻訳を調節するための目的として汎用的に使用することができる。
【0073】
本出願のもう一つの様態は、配列番号1の塩基配列において一つ以上の塩基が変異された、変異型5’UTRをコードする変異型ポリヌクレオチド;またはホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼをコードする塩基配列を含む変異型ポリヌクレオチドであって、前記変異型5’UTRをコードする塩基配列をさらに含む変異型ポリヌクレオチド;を含む、ポリヒドロキシアルカノエート生産用微生物を提供することである。
【0074】
本出願の微生物は、本出願の配列番号1の塩基配列において一つ以上の塩基が変異された、変異型5’UTRをコードする変異型ポリヌクレオチド;ホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼをコードする塩基配列を含む変異型ポリヌクレオチドであって、前記変異型5’UTRをコードする塩基配列をさらに含む変異型ポリヌクレオチド;またはこれを含むベクター;から選択されるいずれか一つ以上を含むことができる。
【0075】
本出願において、用語「微生物(または、菌株)」とは、野生型微生物や天然または人為的に遺伝的変形が生じた微生物を全て含み、外部遺伝子が挿入されたり、または内在的遺伝子の活性が強化されたり、不活性化されるなどの原因により、特定の機序が弱化または強化された微生物であり、所望のポリヌクレオチドの発現のための遺伝的変形(modification)を含む微生物であってもよい。前記微生物は、エシェリキア(Escherichia)属微生物であってもよい。具体的には、前記微生物は、大腸菌(Escherichia coli)であってもよい。
【0076】
本出願の菌株は、PHA生産能を有することができる。
【0077】
本出願の菌株は、天然の野生型微生物、非変形微生物またはPHAを生産する微生物に本出願の変異型5’UTRで転写され得る変異型核酸分子;または変異型5’UTRで転写され得る変異型核酸分子を含むホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼをコードする変異型遺伝子;が導入された組換え菌株であってもよい。
【0078】
本出願において、用語「非変形微生物」とは、微生物に自然に起こり得る突然変異を含む菌株を除外するものではなく、野生型菌株または天然型菌株自体であるか、自然的または人為的要因による遺伝的変異で形質が変化する前の菌株を意味する。例えば、前記非変形微生物は、本明細書に記載の変異型5’UTRをコードする変異型ポリヌクレオチド;またはホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼをコードする塩基配列を含む変異型ポリヌクレオチドであって、前記変異型5’UTRをコードする塩基配列をさらに含む変異型ポリヌクレオチド;が導入されないか、導入される前の菌株を意味する。前記「非変形微生物」は、「変形前の菌株」、「変形前の微生物」、「非変異菌株」、「非変形菌株」、「非変異微生物」または「基準微生物」と混用され得る。
【0079】
本出願の目的上、本出願の菌株は、野生型5’UTRで転写され得る核酸分子を含むホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼをコードする遺伝子を発現する菌株に比べてこれから生産されるポリヒドロキシアルカノエートの4HB単量体の含量がPHAの総重量を基準として3~21重量%で含まれるように調節されてもよい。
【0080】
他の一例として、本出願の組換え微生物は、PHA生合成経路内におけるタンパク質一部の活性が追加的に強化されたり、または弱化されてもよい。
【0081】
本出願の微生物において、前記変異型ポリヌクレオチド、配列番号1の塩基配列、変異型5’UTR及びPHAなどは、前記他の様態で記載した通りである。
【0082】
本出願のもう一つの様態は、配列番号1の塩基配列において一つ以上の塩基が変異された、変異型5’UTRをコードする変異型ポリヌクレオチド;またはホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼをコードする塩基配列を含む変異型ポリヌクレオチドであって、前記変異型5’UTRをコードする塩基配列をさらに含む変異型ポリヌクレオチド;を含む、PHA生産用微生物を培地で培養する段階を含む、PHA生産方法を提供する。
【0083】
本出願のPHA生産方法は、本出願の配列番号1の塩基配列において一つ以上の塩基が変異された、変異型5’UTRをコードする変異型ポリヌクレオチド;ホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼをコードする塩基配列を含む変異型ポリヌクレオチドであって、前記変異型5’UTRをコードする塩基配列をさらに含む変異型ポリヌクレオチド;またはこれを含むベクター;から選択されるいずれか一つ以上を含む微生物を培地で培養する段階を含むことができる。
【0084】
本出願において、用語「培養」とは、本出願の微生物を適切に調節された環境条件で生育させることを意味する。本出願の培養過程は、当業界に知られている適当な培地と培養条件に応じて行うことができる。このような培養過程は、選択される微生物に応じて当業者が容易に調整して使用することができる。具体的には、前記培養は、回分式、連続式及び/又は流加式であってもよいが、これらに制限されるものではない。
【0085】
本出願において、用語「培地」とは、本出願の微生物を培養するために必要とする栄養物質を主成分として混合した物質を意味し、生存及び発育に不可欠な水をはじめとする栄養物質及び発育因子などを供給する。具体的には、本出願の微生物の培養に用いられる培地及びその他の培養条件は、通常の微生物の培養に使用される培地であれば、特に制限なくいずれも使用できるが、本出願の微生物を適当な炭素源、窒素源、リン源、無機化合物、アミノ酸及び/又はビタミンなどを含有する通常の培地内で好気性条件下で温度、pHなどを調節しながら培養することができる。
【0086】
本出願において、前記炭素源としては、グルコース、サッカロース、ラクトース、フルクトース、スクロース、マルトースなどのような炭水化物;マンニトール、ソルビトールなどのような糖アルコール、ピルビン酸、乳酸、クエン酸などのような有機酸;グルタミン酸、メチオニン、リシンなどのようなアミノ酸などを含むことができる。また、澱粉加水分解物、糖蜜、ブラックストラップ糖蜜、米ぬか、キャッサバ、バガス及びトウモロコシ浸漬液のような天然の有機栄養源を用いることができ、具体的には、グルコース及び殺菌された前処理糖蜜(即ち、還元糖に転換された糖蜜)などのような炭水化物を使用することができ、その他の適量の炭素源を制限なく多様に利用することができる。これらの炭素源は、単独で使用しても、2種以上を組合わせて使用してもよく、これに限定されるものではない。
【0087】
前記窒素源としては、アンモニア、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、酢酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、硝酸アンモニウムなどのような無機窒素源;グルタミン酸、メチオニン、グルタミンなどのようなアミノ酸、ペプトン、NZ-アミン、肉類抽出物、酵母抽出物、麦芽抽出物、トウモロコシ浸漬液、カゼイン加水分解物、魚類またはその分解生成物、脱脂大豆ケーキまたはその分解生成物などのような有機窒素源が使用され得る。これらの窒素源は、単独で使用しても、2種以上を組合わせて使用してもよく、これに限定されるものではない。
【0088】
前記リン源としては、リン酸第一カリウム、リン酸第二カリウム、またはそれに対応するナトリウム含有塩などが含まれ得る。無機化合物としては、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化鉄、硫酸マグネシウム、硫酸鉄、硫酸マンガン、炭酸カルシウムなどが使用されることができ、それ以外にアミノ酸、ビタミン及び/又は適切な前駆体などが含まれ得る。これらの構成成分または前駆体は、培地に回分式または連続式で添加され得る。しかし、これに限定されるものではない。
【0089】
また、本出願の微生物の培養中に水酸化アンモニウム、水酸化カリウム、アンモニア、リン酸、硫酸などのような化合物を培地に適切な方式で添加し、培地のpHを調整することができる。また、培養中は脂肪酸ポリグリコールエステルのような消泡剤を用いて気泡生成を抑制することができる。また、培地の好気状態を維持するために、培地内に酸素または酸素含有気体を注入したり、嫌気及び微好気状態を維持するために、気体の注入なしに、あるいは窒素、水素または二酸化炭素ガスを注入することができ、これに限定されるものではない。
【0090】
本出願の培養において、培養温度は20~45℃、具体的には、25~40℃を維持することができ、約10~160時間培養することができるが、これに限定されるものではない。
【0091】
本出願の培養により生産されたPHAは、培地中に分泌されるか、または細胞内に残存する。
【0092】
本出願のPHA生産方法は、本出願の微生物を準備する段階、前記微生物を培養するための培地を準備する段階、またはこれらの組み合わせ(順は無関係、in any order)を、例えば、前記培養段階の前に、さらに含むことができる。
【0093】
本出願のPHA生産方法は、前記培養による培地(培養が行われた培地)または菌株からPHAを回収する段階をさらに含むことができる。前記回収する段階は、前記培養する段階後にさらに含むことができる。
【0094】
前記回収は、本出願の微生物の培養方法、例えば、回分式、連続式または流加式培養方法などにより当該技術分野において公知となった適切な方法を用いて所望のPHAを収集(collect)することであってもよい。例えば、遠心分離、濾過、結晶化タンパク質沈殿剤による処理(塩析法)、抽出、超音波破砕、限外濾過、透析法、モレキュラーシーブクロマトグラフィー(ゲルろ過)、吸着クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、親和度クロマトグラフィーなどの各種クロマトグラフィー、HPLCまたはそれらの方法を組み合わせて使用することができ、当該分野において公知となった適切な方法を用いて培地または微生物から所望のPHAを回収することができる。
【0095】
また、本出願のPHA生産方法は、さらに精製段階を含んでもよい。前記精製は、当該技術分野において公知となった適切な方法を用いて行うことができる。一例として、本出願のPHA生産方法が回収段階と精製段階の両方を含む場合、前記回収段階及び精製段階は、順序に関係なく連続的または非連続的に行われるか、または同時にまたは一つの段階に統合されて行うことができるが、これに制限されるものではない。
【0096】
本出願の目的上、本出願の菌株が発現する、変異型5’UTRで転写され得る変異型核酸分子を含むホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼをコードする変異型遺伝子は、野生型5’UTRで転写され得る核酸分子を含むホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼをコードする遺伝子に比べてこれから生産されるポリヒドロキシアルカノエートの4HB単量体の含量がPHAの総重量を基準として3~21重量%で含まれるように調節することができる。
【0097】
本出願の方法において、前記変異型ポリヌクレオチド、配列番号1の塩基配列、変異型5’UTR及びPHAなどは、前記他の様態で記載した通りである。
【0098】
本出願のもう一つの様態は、配列番号1の塩基配列において一つ以上の塩基が変異された、変異型5’UTRをコードする変異型ポリヌクレオチド;またはホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼをコードする塩基配列を含む変異型ポリヌクレオチドであって、前記変異型5’UTRをコードする塩基配列をさらに含む変異型ポリヌクレオチド;を含む、PHA生産用微生物;それを培養した培地;またはそれらのうちの2以上の組み合わせを含むPHA生産用組成物を提供することである。
【0099】
本出願の組成物は、PHA生産用組成物に通常使用される任意の適切な賦形剤をさらに含むことができ、そのような賦形剤は、例えば、保存剤、湿潤剤、分散剤、懸濁化剤、緩衝剤、安定化剤または等張化剤などであってもよいが、これに限定されるものではない。
【0100】
本出願のもう一つの様態は、配列番号1の塩基配列において一つ以上の塩基が変異された、変異型5’UTRをコードする変異型ポリヌクレオチド;またはホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼをコードする塩基配列を含む変異型ポリヌクレオチドであって、前記変異型5’UTRをコードする塩基配列をさらに含む変異型ポリヌクレオチド;を含む微生物のPHA生産への使用を提供する。
【0101】
前記変異型ポリヌクレオチド、配列番号1の塩基配列、変異型5’UTR及びPHAなどは、前記他の様態で記載した通りである。
【0102】
以下、本出願を実施例を通じてより詳細に説明する。しかしながら、下記実施例は、本出願を例示するための好ましい実施様態に過ぎず、したがって、本出願の権利範囲をこれに限定するとは意図されない。一方、本明細書に記載されていない技術的な事項は、本出願の技術分野または類似の技術分野において熟練した通常の技術者であれば、十分に理解し、容易に実施することができる。また、本明細書の全体にかけて多数の論文及び特許文献が参照され、その引用が表示されている。引用された論文及び特許文献の開示内容は、その全体として本明細書に参照として挿入され、本出願が属する技術分野の水準及び本出願の内容がより明確に説明される。
【0103】
実施例1:ホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼ(phosphoenolpyruvate carboxylase)をコードするppc遺伝子の5’非翻訳領域(5’ Untranslated Region、5’UTR)内の変異を導入するためのライブラリーの製作及びスクリーニング
ppc遺伝子の5’UTR変異ライブラリーの製作のための鋳型ベクターを次のような方法で製作した。大腸菌(Escherichia coli) MG1655の染色体を鋳型とし、配列番号13及び14のプライマー対を用いて野生型ppc遺伝子の5’-UTR配列を増幅した。PCR条件は、変性(denaturation) 95℃で20秒、アニーリング(annealing) 56℃で40秒、伸張(extension) 72℃で30秒を25回繰り返した。蛍光基盤のスクリーニングのために、プロモーターの下位で発現する蛍光タンパク質を配列番号15及び16のプライマー対を用いて増幅した。PCR条件は、変性95℃で20秒、アニーリング56℃で40秒、伸張72℃で1分を25回繰り返した。二つの増幅された産物とBamH1制限酵素(NEB)が処理されたpCL1920ベクターをassembly方式でクローニングして鋳型ベクターを製作した。
【0104】
当該ベクターを用いてppc遺伝子の5’UTR変異ライブラリーを製作するために、配列番号13及び17のプライマー対を用いて前記製作した鋳型ベクターからランダム化された配列を増幅した。PCR条件は、変性95℃で20秒、アニーリング56℃で40秒、伸張72℃で30秒を25回繰り返した。配列番号18及び19のプライマー対を用いて鋳型ベクターの残りの配列を増幅し、増幅された二つの断片をassembly方式でクローニングすることにより、ライブラリーベクターを得た。PCR条件は、変性95℃で20秒、アニーリング56℃で40秒、伸張72℃で3分を25回繰り返した。クローニングのために、E. coli DH5αを用い、菌株選別のために、スペクチノマイシン(Spectinomycin)75mg/Lが含まれているLB培地を用いた。DNA増幅のためには、AccuPower(登録商標) ProFi Taq PCR PreMix(Bioneer)を用いた。
【0105】
前記構築されたライブラリーベクターをE. coli MG1655に形質変換して得られた単一コロニーをスペクチノマイシン75mg/Lが添加された500μLのLB培地を入れた96ウェルプレートに接種して37℃で16時間培養した。飽和された培養液をポリヒドロキシアルカノエート(polyhydroxyalkanoate,PHA)生産培地(US 10323261 B2)500μLに1/100希釈して接種し、培養液内に細胞が十分に飽和された後、蛍光を測定した。そのとき、野生型ppc遺伝子の5’-UTR配列を有する鋳型ベクターを対照群とした。蛍光とOD600はmultilabel plate reader(PerkinElmer)を用いて測定し、測定された蛍光値はOD600で除して正規化した。
【0106】
その結果、計11種の発現量が互いに異なる菌体を確認し、各菌体のプラスミドを分離し、それぞれをVector ver.1からVector ver.11まで命名した後、シーケンシングして変異配列を確認した。
【0107】
前記で使用されたプラスミドは下記表1に、プライマー配列は下記表2に示した。
前記で確認したVector ver.1からVector ver.11までの変異配列は、下記表3に示した。
【0108】
【表1】
【0109】
【表2】
【0110】
【表3】
【0111】
実施例2:変異配列導入菌株の製作及び生産されたPHA内における単量体含量の分析
P(3HB-co-4HB)(poly(3-hydroxybutyrate-co-4-hydroxybutyrate)生産菌株を基盤に前記実施例1で確認された変異RBS配列が導入されたPHA生産菌株を製作した。親株としてP(3HB-co-4HB)内における4HB含量を約20%の水準で生産するP(3HB-co-4HB)生産菌株を用いた(US 10323261 B2)。まず、配列が確認された変異配列を配列番号20及び21のプライマー対を用いてそれぞれ増幅した。PCR条件は、変性95℃で20秒、アニーリング56℃で40秒、伸張72℃で30秒であり、25回繰り返した。選別マーカーを含む線形のDNA断片を用いて遺伝子組換えを行うために、att-Kan-att DNA断片を配列番号22及び23のプライマー対を用いて増幅した。PCR条件は、変性95℃で20秒、アニーリング56℃で40秒、伸張72℃で2分を25回繰り返した。これを先に増幅した配列と連結させるために、配列番号24及び25のプライマー対を用いてオーバーラップPCR(overlap PCR)を行った。PCR条件は、変性95℃で20秒、アニーリング56℃で40秒、伸張72℃で2分15秒を25回繰り返した。このように増幅されたDNAをPHA生産菌株に形質変換させた後、カナマイシン(Kanamycin)50 mg/Lが含まれた選別培地でRBS変異が導入された菌株を選別した。DNA増幅のためには、AccuPower(登録商標) ProFi Taq PCR PreMix(Bioneer)を用いた。
【0112】
前記においてプライマー配列は、下記表4に示した。
【0113】
【表4】
【0114】
RBS変異が導入された菌株11種のPHA生産能を評価するために、LB培地に接種して十分に飽和されるまで培養した。その後、5%ブドウ糖を含むPHA生産培地25mlを含有する250mlのコーナーバッフルフラスコに菌株をそれぞれ接種した後、37℃で5時間、35℃で43時間230rpmで振盪培養した。培養を完了した後、気体クロマトグラフィーを用いて細胞内におけるPHA含量及び前記PHA内における4HB含量を分析した。具体的な培養条件及び分析条件は、既に使用された条件を参考とした(US 10323261 B2)。
変異配列がそれぞれ導入されたPHA生産菌株の4HB含量は、下記表5に示した。
【0115】
【表5】
【0116】
前記の表5のように、野生型RBS配列を有する対照群菌株の場合、PHA内における4HB含量が21.2%である一方、変異RBS配列を有する変異菌株の場合、PHA内における4HB含量が20.3%から3.2%水準まで減少した。したがって、PHA生産菌株に変異RBS配列を導入することにより、PHA単量体の含量を効果的に調節できることを確認した。
【0117】
前記変異RBS配列が導入された菌株11種中、Pppc_v10菌株をCB02-6588と命名した後、ブダペスト条約下の国際寄託機関である韓国微生物保存センター(Korean CultureCenter of Microorganisms,KCCM)に2022年12月9日付で寄託して寄託番号KCCM13300Pの付与を受けた。
【0118】
以上の説明から、本出願が属する技術分野の当業者であれば、本出願がその技術的思想や必須の特徴を変更することなく、他の具体的な形態で実施されうることが理解できるだろう。これに関連し、以上で記述した実施例はあくまで例示的なものであり、限定的なものでないことを理解すべきである。本出願の範囲は前記詳細な説明よりは、後述する特許請求の範囲の意味及び範囲、そしてその等価概念から導かれるあらゆる変更または変形された形態が本出願の範囲に含まれるものと解釈すべきである。
【0119】
【配列表】
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【国際調査報告】