(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-28
(54)【発明の名称】リサイクル単量体を含むポリエステル共重合体
(51)【国際特許分類】
C08G 63/183 20060101AFI20240621BHJP
【FI】
C08G63/183
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023579680
(86)(22)【出願日】2022-05-24
(85)【翻訳文提出日】2023-12-26
(86)【国際出願番号】 KR2022007322
(87)【国際公開番号】W WO2023277349
(87)【国際公開日】2023-01-05
(31)【優先権主張番号】10-2021-0085989
(32)【優先日】2021-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513193923
【氏名又は名称】エスケー ケミカルズ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウォン ダヨン
(72)【発明者】
【氏名】キム サンウ
(72)【発明者】
【氏名】キム ハヌル
(72)【発明者】
【氏名】イ ブヨン
【テーマコード(参考)】
4J029
【Fターム(参考)】
4J029AA03
4J029AB01
4J029AB07
4J029AC02
4J029AD01
4J029AD10
4J029AE01
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4J029BA02
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4J029BD06A
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4J029BF09
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4J029GA14
4J029HA01
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4J029JA253
4J029JF321
4J029KD02
4J029KD07
4J029KE02
4J029KE03
4J029KE05
(57)【要約】
本発明は、リサイクル単量体を含むポリエステル共重合体、その製造方法およびこれを含む物品に関し、リサイクル単量体を使用しながらも、各種物性に優れたポリエステル共重合体を提供することができ、特に色特性および透明度に優れたポリエステル共重合体を提供することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1)リサイクル(recycled)ビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレート、
2)ジカルボン酸またはその誘導体を含む酸(acid)、および
3)ジエチレングリコールおよび共単量体を含むジオールが重合されて、
前記ビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレートから誘導される部分、前記ジカルボン酸またはその誘導体から誘導された酸部分、および前記ジオールから誘導されたジオール部分が繰り返される構造を有するポリエステル樹脂において、
前記ポリエステル共重合体は、前記リサイクルビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレートから誘導される部分を5から70重量%含み、
前記ジオールと、前記ジカルボン酸またはその誘導体とのモル比が1.0:1から2.5:1である、
ポリエステル共重合体。
【請求項2】
前記共単量体は、エチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジメタノール誘導体、またはその組み合わせである、
請求項1に記載のポリエステル共重合体。
【請求項3】
前記シクロヘキサンジメタノール誘導体は、4-(ヒドロキシメチル)シクロヘキシルメチル4-(ヒドロキシメチル)シクロヘキサンカルボキシレート、または4-(4-(ヒドロキシメチル)シクロヘキシルメトキシメチル)シクロヘキシルメタノールである、
請求項2に記載のポリエステル共重合体。
【請求項4】
前記ポリエステル樹脂は、全体ジオール部分に対して4-(ヒドロキシメチル)シクロヘキシルメチル4-(ヒドロキシメチル)シクロヘキサンカルボキシレートおよび4-(4-(ヒドロキシメチル)シクロヘキシルメトキシメチル)シクロヘキシルメタノールから誘導されたジオール部分を0.1から25モル%含む、
請求項3に記載のポリエステル共重合体。
【請求項5】
前記共単量体は、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、2-メチレン-1,3-プロパンジオール、2-エチル-1,3-プロパンジオール、2-イソプロピル-1,3-プロパンジオール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、3-メチル-2,4-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,2-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジオール、ジエチレングリコールまたはこれらの混合物をさらに含む、
請求項1に記載のポリエステル共重合体。
【請求項6】
前記ジカルボン酸またはその誘導体を含む酸は、テレフタル酸を含む、
請求項1に記載のポリエステル共重合体。
【請求項7】
前記ジカルボン酸またはその誘導体を含む酸は、イソフタル酸、ジメチルイソフタレート、フタル酸、ジメチルフタレート、フタル酸無水物、2,6-ナフタレンジカルボン酸、ジメチル2,6-ナフタレンジカルボキシレート、ジフェニルジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸、ジメチル1,4-シクロヘキサンジカルボキシレート、ジメチル1,3-シクロヘキサンジカルボキシレート、セバシン酸、コハク酸、イソデシルコハク酸、マレイン酸、マレイン酸無水物、フマル酸、アジピン酸、グルタル酸およびアゼライン酸からなる群より選択されるいずれか一つ以上を含む、
請求項6に記載のポリエステル共重合体。
【請求項8】
前記ジエチレングリコール残基は、前記全体ジオール成分残基100モルに対して5から50モルで含まれる、
請求項1に記載のポリエステル共重合体。
【請求項9】
前記リサイクルビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレートの純度が85%以上である、
請求項1に記載のポリエステル共重合体。
【請求項10】
前記ポリエステル共重合体の固有粘度が0.50から1.0dl/gである、
請求項1に記載のポリエステル共重合体。
【請求項11】
前記ポリエステル共重合体のヘイズ(Haze)が3以下である、
請求項1に記載のポリエステル共重合体。
【請求項12】
前記ポリエステル共重合体の厚さ6mmの試片に対する(ハンターL値)-(ハンターb値)が80以上である、
請求項1に記載のポリエステル共重合体。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか一項に記載のポリエステル共重合体を含む、物品。
【請求項14】
前記物品は、フィルムである、
請求項13に記載の物品。
【請求項15】
前記フィルムの70℃収縮率が45%以下である、
請求項14に記載の物品。
【請求項16】
前記フィルムの95℃収縮率が70%以上である、
請求項14に記載の物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リサイクル単量体を含むポリエステル共重合体、その製造方法およびこれを含む物品に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリエステルは、機械的強度、耐熱性、透明性およびガスバリア性に優れているため、飲料充填用容器や、包装用フィルム、オーディオ、ビデオ用フィルムなどの素材として最も適しており、大量に使用されている。また、医療用繊維やタイヤコードなどの産業資材としても全世界的に幅広く生産されている。ポリエステルシート(sheet)や板材は、透明性が良好であり、機械的強度に優れているため、ケース、箱、パーティション、店舗棚、保護パネル、ブリスター包装、建築材料、インテリア内外装材などの材料として広範囲に使用されている。
【0003】
一方、海洋汚染の約70%を占める廃プラスチックは、最近、深刻な社会問題として台頭しており、そのために各国は使い捨てプラスチックの使用を規制すると同時に廃プラスチックのリサイクルを図っている。廃プラスチックをリサイクルする方法は、大きく二つに分類することができるが、一つは廃プラスチックを収去、粉砕および洗浄した後、溶融押出して再ペレット化した後、これを原料として使用する方法があり、他の一つは廃プラスチックを解重合(depolymerization)して得られた物質をプラスチック合成のための単量体として使用する方法である。後者の場合、廃プラスチックのうちPETやPETGから解重合すればビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレートを得ることができ、これをポリエステル共重合体の単量体として使用しようとする研究が行われている。
【0004】
しかし、廃プラスチック内の異物などにより良好な物質を得ることが難しく、特に廃プラスチックを解重合して得られた物質から製造されたプラスチックは品質低下が発生する場合が多い。
【0005】
そこで、本発明者らは、リサイクルビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレートをポリエステル共重合体の単量体として使用し、後述するように他の単量体の使用量を調節することで、廃プラスチックを解重合して得られた物質から製造されたポリエステル共重合体の品質を改善できることを確認して本発明を完成した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、リサイクル単量体を含むポリエステル共重合体、その製造方法およびこれを含む物品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明は、下記のポリエステル共重合体を提供する。
1)リサイクル(recycled)ビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレート、
2)ジカルボン酸またはその誘導体を含む酸(acid)、および
3)ジエチレングリコールおよび共単量体を含むジオールが重合されて、
前記ビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレートから誘導される部分、前記ジカルボン酸またはその誘導体から誘導された酸部分、および前記ジオールから誘導されたジオール部分が繰り返される構造を有するポリエステル樹脂において、
前記ポリエステル共重合体は、前記リサイクルビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレートから誘導される部分を5から70重量%含み、
前記ジオールと、前記ジカルボン酸またはその誘導体とのモル比が1.0:1から2.5:1である、
ポリエステル共重合体
用語の定義
本発明による共重合体は、ジカルボン酸またはその誘導体、およびジエチレングリコールおよび共単量体を含むジオールが共重合されて製造される共重合体に関するものであって、前記共重合過程でリサイクルビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレートが反応に参加して製造されるポリエステル共重合体に関する。
【0008】
本明細書で使用する用語「誘導」は、特定の化合物が化学反応に参加した時、その化学反応の結果物に含まれる前記特定の化合物に由来する一定の部分または単位を意味する。具体的には、前記ジカルボン酸またはその誘導体から誘導された酸部分、および前記ジオールから誘導されたジオール部分のそれぞれは、エステル化反応または縮重合反応で形成されるポリエステル共重合体内の繰り返し単位を意味する。また、前記ビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレートから誘導される部分は、前記共重合反応においてエステル化反応で形成されるポリエステル共重合体内の繰り返し単位を意味する。
【0009】
ジカルボン酸またはその誘導体を含む酸(acid)
本発明で使用されるジカルボン酸またはその誘導体は、ジオール成分と共にポリエステル共重合体を構成する主な単量体を意味する。特に、前記ジカルボン酸は、テレフタル酸を含み、テレフタル酸により本発明によるポリエステル共重合体の物性が向上することができる。また、前記テレフタル酸残基は、テレフタル酸アルキルエステル、好ましくはジメチルテレフタル酸からも形成され得る。
【0010】
前記ジカルボン酸成分は、テレフタル酸以外に芳香族ジカルボン酸成分、脂肪族ジカルボン酸成分、またはこれらの混合物をさらに含むことができる。この場合、テレフタル酸以外のジカルボン酸成分は、全体ジカルボン酸成分の総重量に対して1から30重量%で含まれることが好ましい。
【0011】
前記芳香族ジカルボン酸成分は、炭素数8から20、好ましくは炭素数8から14の芳香族ジカルボン酸またはこれらの混合物などであり得る。前記芳香族ジカルボン酸の例として、イソフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸などのナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、4,4’-スチルベンジカルボン酸、2,5-フランジカルボン酸、2,5-チオフェンジカルボン酸などがあるが、前記芳香族ジカルボン酸の具体的な例がこれに限定されるのではない。前記脂肪族ジカルボン酸成分は、炭素数4から20、好ましくは炭素数4から12の脂肪族ジカルボン酸成分またはこれらの混合物などであり得る。前記脂肪族ジカルボン酸の例として、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸などのシクロヘキサンジカルボン酸、フタル酸、セバシン酸、コハク酸、イソデシルコハク酸、マレイン酸、フマル酸、アジピン酸、グルタル酸、アゼライン酸などの線状、分岐状または環状脂肪族ジカルボン酸成分などがあるが、前記脂肪族ジカルボン酸の具体的な例がこれに限定されるのではない。
【0012】
具体的には、前記ジカルボン酸またはその誘導体を含む酸は、テレフタル酸以外に、イソフタル酸、ジメチルイソフタレート、フタル酸、ジメチルフタレート、フタル酸無水物、2,6-ナフタレンジカルボン酸、ジメチル2,6-ナフタレンジカルボキシレート、ジフェニルジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸、ジメチル1,4-シクロヘキサンジカルボキシレート、ジメチル1,3-シクロヘキサンジカルボキシレート、セバシン酸、コハク酸、イソデシルコハク酸、マレイン酸、マレイン酸無水物、フマル酸、アジピン酸、グルタル酸およびアゼライン酸からなる群より選択されるいずれか一つ以上を含むことができる。
【0013】
ジオール
本発明で使用されるジオール成分は、前述のジカルボン酸またはその誘導体と共にポリエステル共重合体を構成する主な単量体を意味する。特に、前記ジオール成分は、ジエチレングリコールおよび共単量体を含み、前記共単量体は、エチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジメタノール誘導体、またはその組み合わせである。好ましくは、前記シクロヘキサンジメタノール誘導体は、4-(ヒドロキシメチル)シクロヘキシルメチル4-(ヒドロキシメチル)シクロヘキサンカルボキシレート、または4-(4-(ヒドロキシメチル)シクロヘキシルメトキシメチル)シクロヘキシルメタノールである。好ましくは、本発明によるポリエステル樹脂がシクロヘキサンジメタノール誘導体を含む場合、前記ポリエステル樹脂は、全体ジオール部分に対して4-(ヒドロキシメチル)シクロヘキシルメチル4-(ヒドロキシメチル)シクロヘキサンカルボキシレートおよび4-(4-(ヒドロキシメチル)シクロヘキシルメトキシメチル)シクロヘキシルメタノールから誘導されたジオール部分を0.1から25モル%で含む。
【0014】
また、好ましくは、前記共単量体として1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、2-メチレン-1,3-プロパンジオール、2-エチル-1,3-プロパンジオール、2-イソプロピル-1,3-プロパンジオール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、3-メチル-2,4-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,2-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジオール、ジエチレングリコールまたはこれらの混合物をさらに含むことができる。
【0015】
前記ジエチレングリコールは、ポリエステル共重合体の色特性の向上に寄与する成分である。好ましくは、前記ジエチレングリコール残基は、前記全体ジオール成分残基100モルに対して5から50モルで含まれる。より好ましくは、前記ジエチレングリコール残基は、前記全体ジオール成分残基100モルに対して6モル以上、7モル以上、または8モル以上であり、45モル以下、40モル以下、35モル以下、30モル以下、25モル以下、または20モル以下で含まれる。
【0016】
前記エチレングリコールは、ポリエステル共重合体の透明性と耐衝撃強度の向上に寄与する成分である。好ましくは、前記エチレングリコール残基は、前記全体ジオール成分残基100モルに対して30から80モルで含まれる。より好ましくは、前記エチレングリコール残基は、前記全体ジオール成分残基100モルに対して35モル以上、40モル以上、45モル以上、50モル以上、または55モル以上であり、75モル以下で含まれる。
【0017】
前記シクロヘキサンジメタノール(例えば、1,2-シクロヘキサンジメタノール、1,3-シクロヘキサンジメタノールまたは1,4-シクロヘキサンジメタノール)は、製造されるポリエステル共重合体の透明性と耐衝撃強度の向上に寄与する成分である。好ましくは、前記シクロヘキサンジメタノール残基は、前記全体ジオール成分残基100モルに対して5から40モルで含まれる。より好ましくは、前記シクロヘキサンジメタノール残基は、前記全体ジオール成分残基100モルに対して10モルから35モルで含まれる。
【0018】
一方、本発明によるポリエステル共重合体の共重合で使用されるジオール成分のうち、前記ジオールと、前記ジカルボン酸またはその誘導体とのモル比が1.0:1から2.5:1が好ましい。この時、「モル比」とは、前記ポリエステル共重合体の共重合時に投入される成分に対するモル比を意味する。前記モル比が1.0未満であるか、2.5超過である場合には、ポリエステル共重合体の色特性または透明性が低下する。
【0019】
リサイクル(recycled)ビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレート
本発明で使用する用語「リサイクルビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレート」とは、使用された後に収去された廃プラスチックから得られた物質を意味する。前記ビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレートを得ることができる廃プラスチックとしては、PETおよびPETGなどがある。例えば、使用された後に収去されたPEGからグリコリシス(glycolysis)、ヒドロリシス(hydrolysis)、メタノリシス(methanolysis)などの方法でビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレートを得ることができ、このような方法は当業界に広く知られている。
【0020】
前記リサイクルビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレートは、廃プラスチックから得る過程での多い化学的な段階を経るため、これを共重合体の単量体として使用する場合、必然的に製品品質の低下が発生することになる。特に、ポリエステル共重合体の単量体として使用する場合、色品質の低下が発生し、また後述するように副生成物が多量発生するという問題がある。
【0021】
そこで、本発明では、前記リサイクルビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレートを本発明によるポリエステル共重合体を構成する主な単量体として使用し、前記ポリエステル共重合体は、前記リサイクルビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレートの残基を5から70重量%含むように調節する。前記リサイクルビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレートの残基が5重量%未満である場合には、前述のジオールの含有量が相対的に高くなるが、そのためにジオール成分に由来する副生成物、特にエチレングリコールに由来する副生成物が多くなってポリエステル共重合体の品質低下の一つの要因になる。また、前記リサイクルビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレートの残基が70重量%超過である場合には、ポリエステル共重合体の色品質および透明性が低下するという問題がある。
【0022】
好ましくは、前記リサイクルビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレートの純度が85%以上である。前記リサイクルビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレートは、使用された後に収去された廃プラスチックから得られるため、不純物が含まれることがあり、このような不純物の含有量が高くなれば最終的に製造されるポリエステル共重合体内にも不純物が一部含まれて色、ヘイズ(Haze)など多様な物性を阻害する一つの要因になる。特に前記リサイクルビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレートの純度が低ければ、熱収縮フィルムの所望する収縮率を達成し難いため、前記リサイクルビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレートの純度が高いことが好ましい。
【0023】
より好ましくは、前記リサイクルビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレートの純度が86%以上、87%以上、88%以上、89%以上、90%以上、91%以上、92%以上、93%以上、94%以上、または95%以上である。一方、前記リサイクルビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレートの純度の上限は理論的に100%であるが、一例として99%以下、98%以下、または97%以下であり得る。一方、前記リサイクルビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレートの純度は、液体クロマトグラフィーなどを利用して測定することができ、前記純度の具体的な測定方法は後述する実施例で具体化する。
【0024】
ポリエステル共重合体
本発明によるポリエステル共重合体は、前述のリサイクルビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレート、ジカルボン酸またはその誘導体、およびエチレングリコールおよび共単量体を共重合して製造することができる。この時、前記共重合は、エステル化反応(段階1)と重縮合反応(段階2)を順次に行うことができる。
【0025】
前記エステル化反応は、エステル化反応触媒の存在下で行い、亜鉛系化合物を含むエステル化反応触媒を使用することができる。このような亜鉛系触媒の具体的な例としては、亜鉛アセテート、亜鉛アセテートジハイドレート、塩化亜鉛、硫酸亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、亜鉛シトレート、グルコン酸亜鉛、またはその混合物が挙げられる。また、各出発物質の使用量は前述したとおりである。
【0026】
前記エステル化反応は、0から10.0kg/cm2の圧力および150から300℃温度で行うことができる。前記エステル化反応条件は、製造されるポリエステルの具体的な特性、各成分の比率、または工程条件などにより適切に調節され得る。具体的には、前記エステル化反応条件の好ましい例として、0から5.0kg/cm2、より好ましくは0.1から3.0kg/cm2の圧力;200から270℃、より好ましくは240から260℃の温度が挙げられる。
【0027】
そして、前記エステル化反応は、バッチ(batch)式または連続式で行われ得、それぞれの原料は別途に投入され得るが、ジオール成分にジカルボン酸成分およびリサイクル(recycled)ビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレートを混合したスラリー形態で投入することが好ましい。そして、常温で固形分であるイソソルビドなどのジオール成分は水またはエチレングリコールに溶解した後、テレフタル酸などのジカルボン酸成分に混合してスラリーとして作ることができる。または、60℃以上でイソソルビドが溶融された後、テレフタル酸などのジカルボン酸成分とその他ジオール成分を混合してスラリーとして作ることもできる。また、前記混合されたスラリーに水を追加で投入してスラリーの流動性増大を助けることもできる。
【0028】
前記重縮合反応は、前記エステル化反応生成物を150から300℃温度および600から0.01mmHgの減圧条件で1から24時間反応させることによって行うことができる。
【0029】
このような重縮合反応は、150から300℃、好ましくは200から290℃、より好ましくは260から280℃の反応温度;および600から0.01mmHg、好ましくは200から0.05mmHg、より好ましくは100から0.1mmHgの減圧条件で行われ得る。前記重縮合反応の減圧条件を適用することによって重縮合反応の副生成物であるグリコールを系外に除去することができ、そのために前記重縮合反応が400から0.01mmHg減圧条件の範囲を外れる場合、副生成物の除去が不十分であることもある。また、前記重縮合反応が150から300℃温度範囲外で起こる場合、縮重合反応が150℃以下で行われると重縮合反応の副生成物であるグリコールを効果的に系外に除去することができず、最終の反応生成物の固有粘度が低いため、製造されるポリエステル樹脂の物性が低下することがあり、300℃以上で反応が行われる場合、製造されるポリエステル樹脂の外観が黄変(yellow)する可能性が高くなる。そして、前記重縮合反応は、最終の反応生成物の固有粘度が適切な水準に達する時まで必要な時間、例えば、平均滞留時間1から24時間行われ得る。
【0030】
また、前記重縮合反応は、チタン系化合物、ゲルマニウム系化合物、アンチモン系化合物、アルミニウム系化合物、スズ系化合物またはこれらの混合物を含む重縮合触媒を使用することができる。
【0031】
前記チタン系化合物の例としては、テトラエチルチタネート、アセチルトリプロピルチタネート、テトラプロピルチタネート、テトラブチルチタネート、2-エチルヘキシルチタネート、オクチレングリコールチタネート、ラクテートチタネート、トリエタノールアミンチタネート、アセチルアセトネートチタネート、エチルアセトアセチックエステルチタネート、イソステアリルチタネート、チタンジオキシドなどが挙げられる。前記ゲルマニウム系化合物の例としては、ゲルマニウムジオキシド、ゲルマニウムテトラクロリド、ゲルマニウムエチレングリコキシド、ゲルマニウムアセテート、これらを利用した共重合体、またはこれらの混合物などが挙げられる。好ましくは、ゲルマニウムジオキシドを使用することができ、このようなゲルマニウムジオキシドとしては、結晶性または非結晶性の両方を使用することができ、グリコール可溶性も使用することができる。
【0032】
一方、本発明によるポリエステル共重合体は、固有粘度が0.50から1.0dl/gであり、好ましくは0.50から0.85dl/gであり、より好ましくは0.55から0.80dl/gである。前記固有粘度の測定方法は後述する実施例で具体化する。
【0033】
また、好ましくは、本発明によるポリエステル共重合体のヘイズ(Haze)が3以下であり、より好ましくは、2.5以下、2.0以下、1.5以下、または1.0以下である。また、前記へイズの理論的な下限は0であり、本発明では0.1以上、0.2以上、0.3以上、0.4以上、または0.5以上であり得る。前記ヘイズの測定方法は後述する実施例で具体化する。
【0034】
また、好ましくは、本発明によるポリエステル共重合体の厚さ6mmの試片に対する「(ハンターL値)-(ハンターb値)」(以下、Plaque Color L-bという)が80以上であり、より好ましくは、81以上、82以上、83以上、84以上、85以上、86以上、87以上、88以上、89以上、または90以上である。また、前記Plaque Color L-bの上限は100であり得、本発明では99以下、98以下、97以下、96以下、または95以下であり得る。前記Plaque Color L-bの測定方法は後述する実施例で具体化する。
【0035】
また、本発明は、前記ポリエステル共重合体を含む物品を提供する。
【0036】
前述の方法で製造されたポリエステル共重合体は、成形前のチップ、ペレットまたは粉末などの状態を有することができるだけでなく、押出または射出などの別途の成形工程により形成された成形品、例えば、熱収縮フィルム形態のようなフィルムまたはシート形態などを有することができる。本発明のまた他の側面による成形製品は、前述のポリエステル共重合体を含むことができ、前記成形製品は、熱収縮フィルムであり得る。このような熱収縮フィルムは70℃で最大熱収縮率が45%以下であり、95℃で最大熱収縮率が70%以上である特性を示し、リサイクル単量体を含みながらも、既存に知られたポリエステル樹脂などで得られたフィルムと同等水準の熱収縮が可能であるという特性を示すことができる。前記70℃収縮率および95℃収縮率の測定方法は後述する実施例で具体化する。
【発明の効果】
【0037】
前述の本発明によるポリエステル共重合体は、押出成形が可能であるため、各種容器の製造に適用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明の理解のために好ましい実施例を提示する。しかし、下記の実施例は本発明をより容易に理解するために提供されるものに過ぎず、これにより本発明の内容が限定されるのではない。
【0039】
実施例1
カラムと、水により冷却が可能なコンデンサとが連結されている10L容積の反応器に、純度93%のリサイクルビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレート(1485.3g;以下、「r-BHET」という)、TPA(terephthalic acid;2034.6g)、EG(ethylene glycol;367.0g)、CHDM(1,4-cyclohexanedimethanol;826.4g)、DEG(diethylene glycol;211.1g)を投入し、触媒としてTiO2(1.0g)、安定剤としてリン酸(phosphoric acid、1.5g)、ブルートナーとしてPolysynthren Blue RLS(Clarient社、0.006g)、およびレッドトナーとしてSolvaperm Red BB(Clarient社、0.004g)を投入した。
【0040】
次に、反応器に窒素を注入して反応器の圧力を常圧より2.0kgf/cm2高い加圧状態にした(絶対圧力:2231.1mmHg)。そして反応器の温度を220℃まで90分にかけて上げ、220℃で2時間維持した後、255℃まで2時間かけて上げた。その後、反応器内の混合物を肉眼で観察して混合物が透明になる時まで反応器の温度を255℃に維持しながらエステル化反応を行った。この過程でカラムとコンデンサを経て副生成物が流出された。エステル化反応が完了すると、加圧状態の反応器内の窒素を外部に排出して反応器の圧力を常圧に下げた後、反応器内の混合物を真空反応が可能な7L容積の反応器に移送させた。
【0041】
そして、反応器の圧力を常圧状態から5Torr(絶対圧力:5mmHg)まで30分かけて下げ、同時に反応器の温度を285℃まで1時間かけて上げ、反応器の圧力を1Torr(絶対圧力:1mmHg)以下に維持しながら重縮合反応を実施した。重縮合反応の初期には攪拌速度を速く設定するが、重縮合反応が行われるにつれ、反応物の粘度上昇により攪拌力が弱くなるか、または反応物の温度が設定した温度以上に上がる場合、攪拌速度を適切に調節することができる。前記重縮合反応は、反応器内の混合物(溶融物)の固有粘度(IV)が0.70dl/gになる時まで行った。反応器内の混合物の固有粘度が所望する水準に到達すると、混合物を反応器外部に吐出してストランド(strand)化し、これを冷却液で固化後、平均重量が12から14mg程度になるように粒子化して、ポリエステル共重合体を製造した。
【0042】
実施例2
カラムと、水により冷却が可能なコンデンサとが連結されている10L容積の反応器に、純度98%のr-BHET(2298.7g)、TPA(1119.5g)、EG(6.9g)、CHDM(721.0g)、DEG(217.6g)を投入し、触媒としてTiO2(1.0g)、安定剤としてリン酸(phosphoric acid、1.5g)、呈色剤としてコバルトアセテート(cobalt acetate、0.7g)を投入した。
【0043】
次に、反応器に窒素を注入して反応器の圧力を常圧より2.0kgf/cm2高い加圧状態にした(絶対圧力:2231.1mmHg)。そして反応器の温度を220℃まで90分かけて上げ、220℃で2時間維持した後、255℃まで2時間かけて上げた。その後、反応器内の混合物を肉眼で観察して混合物が透明になる時まで反応器の温度を255℃に維持しながらエステル化反応を行った。この過程でカラムとコンデンサを経て副生成物が流出された。エステル化反応が完了すると、加圧状態の反応器内の窒素を外部に排出して反応器の圧力を常圧に下げた後、反応器内の混合物を真空反応が可能な7L容積の反応器に移送させた。
【0044】
そして、反応器の圧力を常圧状態から5Torr(絶対圧力:5mmHg)まで30分かけて下げ、同時に反応器の温度を285℃まで1時間かけて上げ、反応器の圧力を1Torr(絶対圧力:1mmHg)以下に維持しながら重縮合反応を実施した。重縮合反応の初期には攪拌速度を速く設定するが、重縮合反応が行われるにつれ、反応物の粘度上昇により攪拌力が弱くなるか、または反応物の温度が設定した温度以上に上がる場合、攪拌速度を適切に調節することができる。前記重縮合反応は、反応器内の混合物(溶融物)の固有粘度(IV)が0.70dl/gになる時まで行った。反応器内の混合物の固有粘度が所望する水準に到達すると、混合物を反応器外部に吐出してストランド(strand)化し、これを冷却液で固化後、平均重量が12から14mg程度になるように粒子化して、ポリエステル共重合体を製造した。
【0045】
実施例3
カラムと、水により冷却が可能なコンデンサとが連結されている10L容積の反応器に、純度90%のr-BHET(403.0g)、TPA(2370.1g)、EG(550.8g)、CHDM(685.3g)、DEG(235.4g)を投入し、触媒としてTiO2(1.0g)、安定剤としてリン酸(phosphoric acid、1.5g)、呈色剤としてコバルトアセテート(cobalt acetate、0.7g)を投入した。
【0046】
次に、反応器に窒素を注入して反応器の圧力を常圧より2.0kgf/cm2高い加圧状態にした(絶対圧力:2231.1mmHg)。そして反応器の温度を220℃まで90分かけて上げ、220℃で2時間維持した後、255℃まで2時間かけて上げた。その後、反応器内の混合物を肉眼で観察して混合物が透明になる時まで反応器の温度を255℃に維持し、エステル化反応を行った。この過程でカラムとコンデンサを経て副生成物が流出された。エステル化反応が完了すると、加圧状態の反応器内の窒素を外部に排出して反応器の圧力を常圧に下げた後、反応器内の混合物を真空反応が可能な7L容積の反応器に移送させた。
【0047】
そして、反応器の圧力を常圧状態から5Torr(絶対圧力:5mmHg)まで30分かけて下げ、同時に反応器の温度を285℃まで1時間かけて上げ、反応器の圧力を1Torr(絶対圧力:1mmHg)以下に維持しながら重縮合反応を実施した。重縮合反応の初期には攪拌速度を速く設定するが、重縮合反応が行われるにつれ、反応物の粘度上昇により攪拌力が弱くなるか、または反応物の温度が設定した温度以上に上がる場合、攪拌速度を適切に調節することができる。前記重縮合反応は、反応器内の混合物(溶融物)の固有粘度(IV)が0.70dl/gになる時まで行った。反応器内の混合物の固有粘度が所望する水準に到達すると、混合物を反応器外部に吐出してストランド(strand)化し、これを冷却液で固化後、平均重量が12から14mg程度になるように粒子化して、ポリエステル共重合体を製造した。
【0048】
実施例4
カラムと、水により冷却が可能なコンデンサとが連結されている10L容積の反応器に、純度85%のr-BHET(4128.2g)、TPA(674.5g)、CHDM(877.7g)、DEG(387.6g)を投入し、触媒としてTiO2(1.0g)、安定剤としてリン酸(phosphoric acid、1.5g)、呈色剤としてコバルトアセテート(cobalt acetate、1.0g)を投入した。
【0049】
次に、反応器に窒素を注入して反応器の圧力を常圧より2.0kgf/cm2高い加圧状態にした(絶対圧力:2231.1mmHg)。そして反応器の温度を220℃まで90分かけて上げ、220℃で2時間維持した後、255℃まで2時間かけて上げた。その後、反応器内の混合物を肉眼で観察して混合物が透明になる時まで反応器の温度を255℃に維持しながらエステル化反応を行った。この過程でカラムとコンデンサを経て副生成物が流出された。エステル化反応が完了すると、加圧状態の反応器内の窒素を外部に排出して反応器の圧力を常圧に下げた後、反応器内の混合物を真空反応が可能な7L容積の反応器に移送させた。
【0050】
そして、反応器の圧力を常圧状態から5Torr(絶対圧力:5mmHg)まで30分かけて下げ、同時に反応器の温度を285℃まで1時間かけて上げ、反応器の圧力を1Torr(絶対圧力:1mmHg)以下に維持しながら重縮合反応を実施した。重縮合反応の初期には攪拌速度を速く設定するが、重縮合反応が行われるにつれ、反応物の粘度上昇により攪拌力が弱くなるか、または反応物の温度が設定した温度以上に上がる場合、攪拌速度を適切に調節することができる。前記重縮合反応は、反応器内の混合物(溶融物)の固有粘度(IV)が0.70dl/gになる時まで行った。反応器内の混合物の固有粘度が所望する水準に到達すると、混合物を反応器外部に吐出してストランド(strand)化し、これを冷却液で固化後、平均重量が12から14mg程度になるように粒子化して、ポリエステル共重合体を製造した。
【0051】
実施例5
カラムと、水により冷却が可能なコンデンサとが連結されている10L容積の反応器に、純度99%のr-BHET(2515.0g)、TPA(1224.8g)、EG(79.3g)、CHDM(522.5g)、DEG(311.4g)を投入し、触媒としてTiO2(1.0g)、安定剤としてリン酸(phosphoric acid、1.5g)、ブルートナーとしてPolysynthren Blue RLS(Clarient社、0.007g)、およびレッドトナーとしてSolvaperm Red BB(Clarient社、0.004g)を投入した。
【0052】
次に、反応器に窒素を注入して反応器の圧力を常圧より2.0kgf/cm2高い加圧状態にした(絶対圧力:2231.1mmHg)。そして反応器の温度を220℃まで90分かけて上げ、220℃で2時間維持した後、255℃まで2時間かけて上げた。その後、反応器内の混合物を肉眼で観察して混合物が透明になる時まで反応器の温度を255℃に維持しながらエステル化反応を行った。この過程でカラムとコンデンサを経て副生成物が流出された。エステル化反応が完了すると、加圧状態の反応器内の窒素を外部に排出して反応器の圧力を常圧に下げた後、反応器内の混合物を真空反応が可能な7L容積の反応器に移送させた。
【0053】
そして、反応器の圧力を常圧状態から5Torr(絶対圧力:5mmHg)まで30分かけて下げ、同時に反応器の温度を285℃まで1時間かけて上げ、反応器の圧力を1Torr(絶対圧力:1mmHg)以下に維持しながら重縮合反応を実施した。重縮合反応の初期には攪拌速度を速く設定するが、重縮合反応が行われるにつれ、反応物の粘度上昇により攪拌力が弱くなるか、または反応物の温度が設定した温度以上に上がる場合、攪拌速度を適切に調節することができる。前記重縮合反応は、反応器内の混合物(溶融物)の固有粘度(IV)が0.70dl/gになる時まで行った。反応器内の混合物の固有粘度が所望する水準に到達すると、混合物を反応器外部に吐出してストランド(strand)化し、これを冷却液で固化後、平均重量が12から14mg程度になるように粒子化して、ポリエステル共重合体を製造した。
【0054】
実施例6
カラムと、水により冷却が可能なコンデンサとが連結されている10L容積の反応器に、純度98%のr-BHET(1424.4g)、TPA(2279.2g)、EG(695.4g)、CHDM(222.8g)、DEG(282.3g)、CHDM誘導体(311.0g;i)4-(ヒドロキシメチル)シクロヘキシルメチル4-(ヒドロキシメチル)シクロヘキサンカルボキシレート、およびii)4-(4-(ヒドロキシメチル)シクロヘキシルメトキシメチル)シクロヘキシルメタノールを1:3のモル比で含む)を投入し、触媒としてGeO2(1.0g)、安定剤としてリン酸(phosphoric acid、1.5g)、ブルートナーとしてPolysynthren Blue RLS(Clarient社、0.013g)、およびレッドトナーとしてSolvaperm Red BB(Clarient社、0.004g)を投入した。
【0055】
次に、反応器に窒素を注入して反応器の圧力を常圧より1.0kgf/cm2高い加圧状態にした(絶対圧力:1495.6mmHg)。そして反応器の温度を220℃まで90分かけて上げ、220℃で2時間維持した後、265℃まで2時間かけて上げた。その後、反応器内の混合物を肉眼で観察して混合物が透明になる時まで反応器の温度を265℃に維持しながらエステル化反応を行った。この過程でカラムとコンデンサを経て副生成物が流出された。エステル化反応が完了すると、加圧状態の反応器内の窒素を外部に排出して反応器の圧力を常圧に下げた後、反応器内の混合物を真空反応が可能な7L容積の反応器に移送させた。
【0056】
そして、反応器の圧力を常圧状態から5Torr(絶対圧力:5mmHg)まで30分かけて下げ、同時に反応器の温度を275℃まで1時間かけて上げ、反応器の圧力を1Torr(絶対圧力:1mmHg)以下に維持しながら重縮合反応を実施した。重縮合反応の初期には攪拌速度を速く設定するが、重縮合反応が行われるにつれ、反応物の粘度上昇により攪拌力が弱くなるか、または反応物の温度が設定した温度以上に上がる場合、攪拌速度を適切に調節することができる。前記重縮合反応は、反応器内の混合物(溶融物)の固有粘度(IV)が0.65dl/gになる時まで行った。反応器内の混合物の固有粘度が所望する水準に到達すると、混合物を反応器外部に吐出してストランド(strand)化し、これを冷却液で固化後、平均重量が12から14mg程度になるように粒子化して、ポリエステル共重合体を製造した。
【0057】
実施例7
カラムと、水により冷却が可能なコンデンサとが連結されている10L容積の反応器に、純度90%のr-BHET(3695.6g)、TPA(603.8g)、EG(157.9g)、CHDM(261.9g)、DEG(239.0g)、CHDM誘導体(341.2g;i)4-(ヒドロキシメチル)シクロヘキシルメチル4-(ヒドロキシメチル)シクロヘキサンカルボキシレート、およびii)4-(4-(ヒドロキシメチル)シクロヘキシルメトキシメチル)シクロヘキシルメタノールを6:1のモル比で含む)を投入し、触媒としてGeO2(1.0g)、安定剤としてリン酸(phosphoric acid、1.5g)を投入し、触媒としてGeO2(1.0g)、安定剤としてリン酸(phosphoric acid、1.5g)、ブルートナーとしてPolysynthren Blue RLS(Clarient社、0.020g)、およびレッドトナーとしてSolvaperm Red BB(Clarient社、0.008g)を投入した。
【0058】
次に、反応器に窒素を注入して反応器の圧力を常圧より0.5kgf/cm2高い加圧状態にした(絶対圧力:1127.8mmHg)。そして反応器の温度を220℃まで90分かけて上げ、220℃で2時間維持した後、260℃まで2時間かけて上げた。その後、反応器内の混合物を肉眼で観察して混合物が透明になる時まで反応器の温度を260℃に維持しながらエステル化反応を行った。この過程でカラムとコンデンサを経て副生成物が流出された。エステル化反応が完了すると、加圧状態の反応器内の窒素を外部に排出して反応器の圧力を常圧に下げた後、反応器内の混合物を真空反応が可能な7L容積の反応器に移送させた。
【0059】
そして、反応器の圧力を常圧状態から5Torr(絶対圧力:5mmHg)まで30分かけて下げ、同時に反応器の温度を275℃まで1時間かけて上げ、反応器の圧力を1Torr(絶対圧力:1mmHg)以下に維持しながら重縮合反応を実施した。重縮合反応の初期には攪拌速度を速く設定するが、重縮合反応が行われるにつれ、反応物の粘度上昇により攪拌力が弱くなるか、または反応物の温度が設定した温度以上に上がる場合、攪拌速度を適切に調節することができる。前記重縮合反応は、反応器内の混合物(溶融物)の固有粘度(IV)が0.80dl/gになる時まで行った。反応器内の混合物の固有粘度が所望する水準に到達すると、混合物を反応器外部に吐出してストランド(strand)化し、これを冷却液で固化後、平均重量が12から14mg程度になるように粒子化して、ポリエステル共重合体を製造した。
【0060】
実施例8
カラムと、水により冷却が可能なコンデンサとが連結されている10L容積の反応器に、純度86%のr-BHET(603.6g)、DMT(dimethyl terephthalate;2612.2g)、EG(1070.6g)、CHDM(707.2g)、DEG(231.3g)を投入し、触媒としてマンガン(II)アセテートテトラハイドレート(Mn(II)acetate tetrahydrate;1.5g)およびSb2O3(1.8g)、呈色剤としてコバルトアセテート(cobalt acetate、0.6g)を投入した。
【0061】
次に、反応器に窒素を注入して反応器の圧力を常圧にした。そして反応器の温度を220℃まで90分かけて上げ、220℃で2時間維持した後、240℃まで2時間かけて上げた。その後、反応器内の混合物を肉眼で観察して混合物が透明になる時まで反応器の温度を240℃に維持しながらエステル化反応を行った。この過程でカラムとコンデンサを経て副生成物が流出された。エステル化反応が完了すると、加圧状態の反応器内の窒素を外部に排出して反応器の圧力を常圧に下げた後、反応器内の混合物を真空反応が可能な7L容積の反応器に移送させた。
【0062】
そして、反応器の圧力を常圧状態から5Torr(絶対圧力:5mmHg)まで30分かけて下げ、同時に反応器の温度を265℃まで1時間にかけて上げ、反応器の圧力を1Torr(絶対圧力:1mmHg)以下に維持しながら重縮合反応を実施した。重縮合反応の初期には攪拌速度を速く設定するが、重縮合反応が行われるにつれ、反応物の粘度上昇により攪拌力が弱くなるか、または反応物の温度が設定した温度以上に上がる場合、攪拌速度を適切に調節することができる。前記重縮合反応は、反応器内の混合物(溶融物)の固有粘度(IV)が0.70dl/gになる時まで行った。反応器内の混合物の固有粘度が所望する水準に到達すると、混合物を反応器外部に吐出してストランド(strand)化し、これを冷却液で固化後、平均重量が12から14mg程度になるように粒子化して、ポリエステル共重合体を製造した。
【0063】
実施例9
カラムと、水により冷却が可能なコンデンサとが連結されている10L容積の反応器に、純度87%のr-BHET(1245.6g)、TPA(1899.4g)、IPA(isophthalic acid;814.0g)、EG(560.4g)、CHDM(746.2g)、DEG(310.2g)を投入し、触媒としてGeO2(1.0g)、呈色剤としてコバルトアセテート(cobalt acetate、0.6g)を投入した。
【0064】
次に、反応器に窒素を注入して反応器の圧力を常圧より2.0kgf/cm2高い加圧状態にした(絶対圧力:2231.1mmHg)。そして反応器の温度を220℃まで90分にかけて上げ、220℃で2時間維持した後、255℃まで2時間かけて上げた。その後、反応器内の混合物を肉眼で観察して混合物が透明になる時まで反応器の温度を255℃に維持しながらエステル化反応を行った。この過程でカラムとコンデンサを経て副生成物が流出された。エステル化反応が完了すると、加圧状態の反応器内の窒素を外部に排出して反応器の圧力を常圧に下げた後、反応器内の混合物を真空反応が可能な7L容積の反応器に移送させた。
【0065】
そして、反応器の圧力を常圧状態から5Torr(絶対圧力:5mmHg)まで30分かけて下げ、同時に反応器の温度を285℃まで1時間かけて上げ、反応器の圧力を1Torr(絶対圧力:1mmHg)以下に維持しながら重縮合反応を実施した。重縮合反応の初期には攪拌速度を速く設定するが、重縮合反応が行われるにつれ、反応物の粘度上昇により攪拌力が弱くなるか、または反応物の温度が設定した温度以上に上がる場合、攪拌速度を適切に調節することができる。前記重縮合反応は、反応器内の混合物(溶融物)の固有粘度(IV)が0.70dl/gになる時まで行った。反応器内の混合物の固有粘度が所望する水準に到達すると、混合物を反応器外部に吐出してストランド(strand)化し、これを冷却液で固化後、平均重量が12から14mg程度になるように粒子化して、ポリエステル共重合体を製造した。
【0066】
比較例1
カラムと、水により冷却が可能なコンデンサとが連結されている10L容積の反応器に、純度81%のr-BHET(4368.6g)、TPA(150.3g)、EG(78.6g)、CHDM(834.3g)、DEG(211.1g)を投入し、触媒としてTiO2(1.0g)、安定剤としてリン酸(phosphoric acid、1.5g)、呈色剤としてコバルトアセテート(cobalt acetate、0.8g)を投入した。
【0067】
次に、反応器に窒素を注入して反応器の圧力を常圧より2.0kgf/cm2高い加圧状態にした(絶対圧力:2231.1mmHg)。そして反応器の温度を220℃まで90分かけて上げ、220℃で2時間維持した後、255℃まで2時間かけて上げた。その後、反応器内の混合物を肉眼で観察して混合物が透明になる時まで反応器の温度を255℃に維持しながらエステル化反応を行った。この過程でカラムとコンデンサを経て副生成物が流出された。エステル化反応が完了すると、加圧状態の反応器内の窒素を外部に排出して反応器の圧力を常圧に下げた後、反応器内の混合物を真空反応が可能な7L容積の反応器に移送させた。
【0068】
そして、反応器の圧力を常圧状態から5Torr(絶対圧力:5mmHg)まで30分かけて下げ、同時に反応器の温度を285℃まで1時間かけて上げ、反応器の圧力を1Torr(絶対圧力:1mmHg)以下に維持しながら重縮合反応を実施した。重縮合反応の初期には攪拌速度を速く設定するが、重縮合反応が行われるにつれ、反応物の粘度上昇により攪拌力が弱くなるか、または反応物の温度が設定した温度以上に上がる場合、攪拌速度を適切に調節することができる。前記重縮合反応は、反応器内の混合物(溶融物)の固有粘度(IV)が0.70dl/gになる時まで行った。反応器内の混合物の固有粘度が所望する水準に到達すると、混合物を反応器外部に吐出してストランド(strand)化し、これを冷却液で固化後、平均重量が12から14mg程度になるように粒子化して、ポリエステル共重合体を製造した。
【0069】
比較例2
カラムと、水により冷却が可能なコンデンサとが連結されている10L容積の反応器に、純度90%のr-BHET(3732.6g)、TPA(183.6g)、CHDM(694.0g)、DEG(226.1g)を投入し、触媒としてTiO2(1.0g)、安定剤としてリン酸(phosphoric acid、1.5g)、呈色剤としてコバルトアセテート(cobalt acetate、0.7g)を投入した。
【0070】
次に、反応器に窒素を注入して反応器の圧力を常圧より2.0kgf/cm2高い加圧状態にした(絶対圧力:2231.1mmHg)。そして反応器の温度を220℃まで90分かけて上げ、220℃で2時間維持した後、255℃まで2時間かけて上げた。その後、反応器内の混合物を肉眼で観察して混合物が透明になる時まで反応器の温度を255℃に維持しながらエステル化反応を行った。この過程でカラムとコンデンサを経て副生成物が流出された。エステル化反応が完了すると、加圧状態の反応器内の窒素を外部に排出して反応器の圧力を常圧に下げた後、反応器内の混合物を真空反応が可能な7L容積の反応器に移送させた。
【0071】
そして、反応器の圧力を常圧状態から5Torr(絶対圧力:5mmHg)まで30分かけて下げ、同時に反応器の温度を285℃まで1時間かけて上げ、反応器の圧力を1Torr(絶対圧力:1mmHg)以下に維持しながら重縮合反応を実施した。重縮合反応の初期には攪拌速度を速く設定するが、重縮合反応が行われるにつれ、反応物の粘度上昇により攪拌力が弱くなるか、または反応物の温度が設定した温度以上に上がる場合、攪拌速度を適切に調節することができる。前記重縮合反応は、反応器内の混合物(溶融物)の固有粘度(IV)が0.70dl/gになる時まで行った。反応器内の混合物の固有粘度が所望する水準に到達すると、混合物を反応器外部に吐出してストランド(strand)化し、これを冷却液で固化後、平均重量が12から14mg程度になるように粒子化して、ポリエステル共重合体を製造した。
【0072】
比較例3
カラムと、水により冷却が可能なコンデンサとが連結されている10L容積の反応器に、純度91%のr-BHET(1424.4g)、TPA(2279.2g)、EG(1798.4g)、CHDM(139.2g)、DEG(705.8g)、CHDM誘導体(414.6g;i)4-(ヒドロキシメチル)シクロヘキシルメチル4-(ヒドロキシメチル)シクロヘキサンカルボキシレート、およびii)4-(4-(ヒドロキシメチル)シクロヘキシルメトキシメチル)シクロヘキシルメタノールを5:1のモル比で含む)を投入し、触媒としてGeO2(1.0g)、安定剤としてリン酸(phosphoric acid、1.5g)、ブルートナーとしてPolysynthren Blue RLS(Clarient社、0.013g)、およびレッドトナーとしてSolvaperm Red BB(Clarient社、0.004g)を投入した。
【0073】
次に、反応器に窒素を注入して反応器の圧力を常圧より1.0kgf/cm2高い加圧状態にした(絶対圧力:1495.6mmHg)。そして反応器の温度を220℃まで90分かけて上げ、220℃で2時間維持した後、265℃まで2時間かけて上げた。その後、反応器内の混合物を肉眼で観察して混合物が透明になる時まで反応器の温度を265℃に維持しながらエステル化反応を行った。この過程でカラムとコンデンサを経て副生成物が流出された。エステル化反応が完了すると、加圧状態の反応器内の窒素を外部に排出して反応器の圧力を常圧に下げた後、反応器内の混合物を真空反応が可能な7L容積の反応器に移送させた。
【0074】
そして、反応器の圧力を常圧状態から5Torr(絶対圧力:5mmHg)まで30分かけて下げ、同時に反応器の温度を275℃まで1時間かけて上げ、反応器の圧力を1Torr(絶対圧力:1mmHg)以下に維持しながら重縮合反応を実施した。重縮合反応の初期には攪拌速度を速く設定するが、重縮合反応が行われるにつれ、反応物の粘度上昇により攪拌力が弱くなるか、または反応物の温度が設定した温度以上に上がる場合、攪拌速度を適切に調節することができる。前記重縮合反応は、反応器内の混合物(溶融物)の固有粘度(IV)が0.65dl/gになる時まで行った。反応器内の混合物の固有粘度が所望する水準に到達すると、混合物を反応器外部に吐出してストランド(strand)化し、これを冷却液で固化後、平均重量が12から14mg程度になるように粒子化して、ポリエステル共重合体を製造した。
【0075】
比較例4
カラムと、水により冷却が可能なコンデンサとが連結されている10L容積の反応器に、純度86%のr-BHET(2415.8g)、TPA(1578.8g)、EG(117.9g)、CHDM(821.7g)を投入し、触媒としてGeO2(1.0g)、安定剤としてリン酸(phosphoric acid、1.5g)、呈色剤としてコバルトアセテート(cobalt acetate、0.7g)を投入した。
【0076】
次に、反応器に窒素を注入して反応器の圧力を常圧より2.0kgf/cm2高い加圧状態にした(絶対圧力:2231.1mmHg)。そして反応器の温度を220℃まで90分かけて上げ、220℃で2時間維持した後、265℃まで2時間かけて上げた。その後、反応器内の混合物を肉眼で観察して混合物が透明になる時まで反応器の温度を265℃に維持しながらエステル化反応を行った。この過程でカラムとコンデンサを経て副生成物が流出された。エステル化反応が完了すると、加圧状態の反応器内の窒素を外部に排出して反応器の圧力を常圧に下げた後、反応器内の混合物を真空反応が可能な7L容積の反応器に移送させた。
【0077】
そして、反応器の圧力を常圧状態から5Torr(絶対圧力:5mmHg)まで30分かけて下げ、同時に反応器の温度を270℃まで1時間かけて上げ、反応器の圧力を1Torr(絶対圧力:1mmHg)以下に維持しながら重縮合反応を実施した。重縮合反応の初期には攪拌速度を速く設定するが、重縮合反応が行われるにつれ、反応物の粘度上昇により攪拌力が弱くなるか、または反応物の温度が設定した温度以上に上がる場合、攪拌速度を適切に調節することができる。前記重縮合反応は、反応器内の混合物(溶融物)の固有粘度(IV)が0.60dl/gになる時まで行った。反応器内の混合物の固有粘度が所望する水準に到達すると、混合物を反応器外部に吐出してストランド(strand)化し、これを冷却液で固化後、平均重量が12から14mg程度になるように粒子化して、ポリエステル共重合体を製造した。
【0078】
比較例5
カラムと、水により冷却が可能なコンデンサとが連結されている10L容積の反応器に、純度85%のr-BHET(1788.7g)、TPA(1169.0g)、EG(174.6g)、DEG(411.3g)を投入し、触媒としてGeO2(1.0g)、安定剤としてリン酸(phosphoric acid、1.5g)、呈色剤としてコバルトアセテート(cobalt acetate、0.1g)を投入した。
【0079】
次に、反応器に窒素を注入して反応器の圧力を常圧より2.0kgf/cm2高い加圧状態にした(絶対圧力:2231.1mmHg)。そして反応器の温度を220℃まで90分かけて上げ、220℃で2時間維持した後、265℃まで2時間かけて上げた。その後、反応器内の混合物を肉眼で観察して混合物が透明になる時まで反応器の温度を265℃に維持しながらエステル化反応を行った。この過程でカラムとコンデンサを経て副生成物が流出された。エステル化反応が完了すると、加圧状態の反応器内の窒素を外部に排出して反応器の圧力を常圧に下げた後、反応器内の混合物を真空反応が可能な7L容積の反応器に移送させた。
【0080】
そして、反応器の圧力を常圧状態から5Torr(絶対圧力:5mmHg)まで30分かけて下げ、同時に反応器の温度を280℃まで1時間かけて上げ、反応器の圧力を1Torr(絶対圧力:1mmHg)以下に維持しながら重縮合反応を実施した。重縮合反応の初期には攪拌速度を速く設定するが、重縮合反応が行われるにつれ、反応物の粘度上昇により攪拌力が弱くなるか、または反応物の温度が設定した温度以上に上がる場合、攪拌速度を適切に調節することができる。前記重縮合反応は、反応器内の混合物(溶融物)の固有粘度(IV)が0.70dl/gになる時まで行った。反応器内の混合物の固有粘度が所望する水準に到達すると、混合物を反応器外部に吐出してストランド(strand)化し、これを冷却液で固化後、平均重量が12から14mg程度になるように粒子化して、ポリエステル共重合体を製造した。
【0081】
比較例6
カラムと、水により冷却が可能なコンデンサとが連結されている10L容積の反応器に、純度83%のr-BHET(2257.0g)、TPA(1475.4g)、EG(121.2g)、CHDM(742.3g)、DEG(519.1g)を投入し、触媒としてTiO2(1.0g)、安定剤としてリン酸(phosphoric acid、1.5g)、呈色剤としてコバルトアセテート(cobalt acetate、0.5g)を投入した。
【0082】
次に、反応器に窒素を注入して反応器の圧力を常圧より2.0kgf/cm2高い加圧状態にした(絶対圧力:2231.1mmHg)。そして反応器の温度を220℃まで90分かけて上げ、220℃で2時間維持した後、270℃まで2時間かけて上げた。その後、反応器内の混合物を肉眼で観察して混合物が透明になる時まで反応器の温度を270℃に維持しながらエステル化反応を行った。この過程でカラムとコンデンサを経て副生成物が流出された。エステル化反応が完了すると、加圧状態の反応器内の窒素を外部に排出して反応器の圧力を常圧に下げた後、反応器内の混合物を真空反応が可能な7L容積の反応器に移送させた。
【0083】
そして、反応器の圧力を常圧状態から5Torr(絶対圧力:5mmHg)まで30分かけて下げ、同時に反応器の温度を280℃まで1時間かけて上げ、反応器の圧力を1Torr(絶対圧力:1mmHg)以下に維持しながら重縮合反応を実施した。重縮合反応の初期には攪拌速度を速く設定するが、重縮合反応が行われるにつれ、反応物の粘度上昇により攪拌力が弱くなるか、または反応物の温度が設定した温度以上に上がる場合、攪拌速度を適切に調節することができる。前記重縮合反応は、反応器内の混合物(溶融物)の固有粘度(IV)が0.70dl/gになる時まで行った。反応器内の混合物の固有粘度が所望する水準に到達すると、混合物を反応器外部に吐出してストランド(strand)化し、これを冷却液で固化後、平均重量が12から14mg程度になるように粒子化して、ポリエステル共重合体を製造した。
【0084】
前記実施例および比較例で、ポリエステル共重合体製造のために投入した成分の含有量は以下表1に示した 。
【0085】
【0086】
実験例
前記実施例および比較例で製造した共重合体に対して、以下のように物性を評価した。
【0087】
1)r-BHETの純度
r-BHETの純度は、液体クロマトグラフィーを利用して、試料0.01gをメタノールまたはクロロホルムそれぞれの20mlに希釈して測定し、測定されたスペクトルを通じてピーク面積を積分して全体BHET内の純度(area%)で確認した。
【0088】
2)残基組成
ポリエステル樹脂内のr-BHET由来組成(wt%)およびジオール由来の残基組成(mol%)は、試料をCDCl3溶媒に3mg/mLの濃度で溶解した後、核磁気共鳴装置(JEOL、600MHz FT-NMR)を利用して25℃で得た1H-NMRスペクトルを通じて確認した。この時、ジオール由来の残基組成は、ジオールに由来する全ての残基の総組成に対してそれぞれ具体的なジオール(DEGおよびCHDM)に由来する残基のmol%で分析した。
【0089】
3)固有粘度
150℃のo-クロロフェノール(OCP)に0.12%濃度でポリエステル共重合体を溶解した後、35℃の恒温槽でウベローデ型粘度計を使用して固有粘度を測定した。具体的には、粘度管の温度を35℃に維持し、粘度管の特定の内部区間の間を溶媒(solvent)が通過するのにかかる時間(efflux time)t0と溶液(solution)が通過するのにかかる時間tを求めた。その後、t0値とt値を式1に代入して比粘度(specific viscosity)を算出し、算出された比粘度値を式2に代入して固有粘度を算出した。
【0090】
【0091】
【0092】
4)Plaque Color L-b
サンプルの色度および明度を拡散反射付属品を搭載したバリアンCary 5 UV/Vis/NIR分光光度計を使用して測定した。厚さ6mmのポリエステル樹脂試片を準備し、観測者の角度2°でイルミナント(Illuminant)D65で透過データを得、これをGrams/32ソフトウェア内の色分析装置を使用して処理してハンター(Hunter)L*a*b*値を計算し、以下表ではL値からb値を引いて結果(L-b)を記載した。
【0093】
5)ヘイズ(Haze)
厚さ6mmのポリエステル樹脂試片を準備し、ASTM D1003-97測定法でMinolta社のCM-3600A測定器を利用して前記試片のHazeを測定した。
【0094】
6)収縮率
実施例および比較例で製造されたポリエステル樹脂を250℃から290℃の温度でダイを通じて押出した後、20℃から50℃で冷却して未延伸フィルムを製造した。その後、前記未延伸フィルムを75℃から95℃で再加熱しながら横方向に5倍延伸してポリエステルフィルムを製造した。製造されたポリエステルフィルムの厚さは45μmであった。
【0095】
前記製造したポリエステルフィルムを5cm×5cmの正方形で裁断し、延伸比(DR)がMD:TD=1:5、延伸温度75から95℃で再加熱しながら延伸した後、下記表1に記載されたような温度で30秒間温水槽に入れて収縮させた後、試料の縦および横方向長さを測定して下式により計算した。
【0096】
-熱収縮率(%)=100×(収縮前長さ-収縮後長さ)/(収縮前長さ)
前記結果を下記表2に示した。
【0097】
【0098】
前記表2に示されているように、本発明による実施例1から9は、色特性、Hazeおよび収縮率の全てにおいて優れた効果を示した。反面、比較例1および2は、リサイクルされるr-BHETから誘導される部分の含有量が高いため、色特性およびHaze特性が低下し、比較例3は、r-BHETから誘導される部分の含有量が70wt%以内であるが、Diol/Acid値が2.5を超えて色特性が低下した。
【0099】
また、比較例1から3の樹脂で製造された熱収縮フィルムは、投入Diol/Acid値が2.5を超えるため、投入されるDiolが多くてそれによる副生成物および副反応が増加し、70℃収縮率が45%を超えるため、温度による過度な収縮率により商業的な熱収縮フィルム工程に適用できない。また、比較例4および5は、それぞれDEGおよびCHDMを使用しないため、色特性およびHaze特性が低下した。また、比較例6は、r-BHET純度が低くて不純物の含有量が一定範囲を超えて、不純物により最終製品の低温(70℃)収縮率値が増加し、そのため、商業的工程での活用が難しい。
【0100】
したがって、本発明のようにr-BHETから誘導される部分の含有量が70wt%以下であり、Diol/Acid値が2.5以下である場合、色特性、Hazeおよび収縮率の全てにおいて優れた効果を示すことを確認することができた。
【手続補正書】
【提出日】2024-01-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1)リサイクル(recycled)ビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレート、
2)ジカルボン酸またはその誘導体を含む酸(acid)、および
3)ジエチレングリコールおよび共単量体を含むジオールが重合されて、
前記ビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレートから誘導される部分、前記ジカルボン酸またはその誘導体から誘導された酸部分、および前記ジオールから誘導されたジオール部分が繰り返される構造を有するポリエステル
共重合体において、
前記ポリエステル共重合体は、前記リサイクルビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレートから誘導される部分を5から70重量%含み、
前記ジオールと、前記ジカルボン酸またはその誘導体とのモル比が1.0:1から2.5:1である、
ポリエステル共重合体。
【請求項2】
前記共単量体は、エチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジメタノール誘導体、またはその組み合わせである、
請求項1に記載のポリエステル共重合体。
【請求項3】
前記シクロヘキサンジメタノール誘導体は、4-(ヒドロキシメチル)シクロヘキシルメチル4-(ヒドロキシメチル)シクロヘキサンカルボキシレート、または4-(4-(ヒドロキシメチル)シクロヘキシルメトキシメチル)シクロヘキシルメタノールである、
請求項2に記載のポリエステル共重合体。
【請求項4】
前記ポリエステル
共重合体は、全体ジオール部分に対して4-(ヒドロキシメチル)シクロヘキシルメチル4-(ヒドロキシメチル)シクロヘキサンカルボキシレートおよび4-(4-(ヒドロキシメチル)シクロヘキシルメトキシメチル)シクロヘキシルメタノールから誘導されたジオール部分を0.1から25モル%含む、
請求項3に記載のポリエステル共重合体。
【請求項5】
前記共単量体は、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、2-メチレン-1,3-プロパンジオール、2-エチル-1,3-プロパンジオール、2-イソプロピル-1,3-プロパンジオール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、3-メチル-2,4-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,2-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジオール、ジエチレングリコールまたはこれらの混合物をさらに含む、
請求項1に記載のポリエステル共重合体。
【請求項6】
前記ジカルボン酸またはその誘導体を含む酸は、テレフタル酸を含む、
請求項1に記載のポリエステル共重合体。
【請求項7】
前記ジカルボン酸またはその誘導体を含む酸は、イソフタル酸、ジメチルイソフタレート、フタル酸、ジメチルフタレート、フタル酸無水物、2,6-ナフタレンジカルボン酸、ジメチル2,6-ナフタレンジカルボキシレート、ジフェニルジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸、ジメチル1,4-シクロヘキサンジカルボキシレート、ジメチル1,3-シクロヘキサンジカルボキシレート、セバシン酸、コハク酸、イソデシルコハク酸、マレイン酸、マレイン酸無水物、フマル酸、アジピン酸、グルタル酸およびアゼライン酸からなる群より選択されるいずれか一つ以上を含む、
請求項6に記載のポリエステル共重合体。
【請求項8】
前記ジエチレングリコール残基は、前記全体ジオール成分残基100モルに対して5から50モルで含まれる、
請求項1に記載のポリエステル共重合体。
【請求項9】
前記リサイクルビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレートの純度が85%以上である、
請求項1に記載のポリエステル共重合体。
【請求項10】
前記ポリエステル共重合体の固有粘度が0.50から1.0dl/gである、
請求項1に記載のポリエステル共重合体。
【請求項11】
前記ポリエステル共重合体のヘイズ(Haze)が3以下である、
請求項1に記載のポリエステル共重合体。
【請求項12】
前記ポリエステル共重合体の厚さ6mmの試片に対する(ハンターL値)-(ハンターb値)が80以上である、
請求項1に記載のポリエステル共重合体。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか一項に記載のポリエステル共重合体を含む、物品。
【請求項14】
前記物品は、フィルムである、
請求項13に記載の物品。
【請求項15】
前記フィルムの70℃収縮率が45%以下である、
請求項14に記載の物品。
【請求項16】
前記フィルムの95℃収縮率が70%以上である、
請求項14に記載の物品。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明は、下記のポリエステル共重合体を提供する。
1)リサイクル(recycled)ビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレート、
2)ジカルボン酸またはその誘導体を含む酸(acid)、および
3)ジエチレングリコールおよび共単量体を含むジオールが重合されて、
前記ビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレートから誘導される部分、前記ジカルボン酸またはその誘導体から誘導された酸部分、および前記ジオールから誘導されたジオール部分が繰り返される構造を有するポリエステル共重合体において、
前記ポリエステル共重合体は、前記リサイクルビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレートから誘導される部分を5から70重量%含み、
前記ジオールと、前記ジカルボン酸またはその誘導体とのモル比が1.0:1から2.5:1である、
ポリエステル共重合体
用語の定義
本発明による共重合体は、ジカルボン酸またはその誘導体、およびジエチレングリコールおよび共単量体を含むジオールが共重合されて製造される共重合体に関するものであって、前記共重合過程でリサイクルビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレートが反応に参加して製造されるポリエステル共重合体に関する。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0013】
ジオール
本発明で使用されるジオール成分は、前述のジカルボン酸またはその誘導体と共にポリエステル共重合体を構成する主な単量体を意味する。特に、前記ジオール成分は、ジエチレングリコールおよび共単量体を含み、前記共単量体は、エチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジメタノール誘導体、またはその組み合わせである。好ましくは、前記シクロヘキサンジメタノール誘導体は、4-(ヒドロキシメチル)シクロヘキシルメチル4-(ヒドロキシメチル)シクロヘキサンカルボキシレート、または4-(4-(ヒドロキシメチル)シクロヘキシルメトキシメチル)シクロヘキシルメタノールである。好ましくは、本発明によるポリエステル共重合体がシクロヘキサンジメタノール誘導体を含む場合、前記ポリエステル共重合体は、全体ジオール部分に対して4-(ヒドロキシメチル)シクロヘキシルメチル4-(ヒドロキシメチル)シクロヘキサンカルボキシレートおよび4-(4-(ヒドロキシメチル)シクロヘキシルメトキシメチル)シクロヘキシルメタノールから誘導されたジオール部分を0.1から25モル%で含む。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0088
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0088】
2)残基組成
ポリエステル共重合体内のr-BHET由来組成(wt%)およびジオール由来の残基組成(mol%)は、試料をCDCl3溶媒に3mg/mLの濃度で溶解した後、核磁気共鳴装置(JEOL、600MHz FT-NMR)を利用して25℃で得た1H-NMRスペクトルを通じて確認した。この時、ジオール由来の残基組成は、ジオールに由来する全ての残基の総組成に対してそれぞれ具体的なジオール(DEGおよびCHDM)に由来する残基のmol%で分析した。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0092
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0092】
4)Plaque Color L-b
サンプルの色度および明度を拡散反射付属品を搭載したバリアンCary 5 UV/Vis/NIR分光光度計を使用して測定した。厚さ6mmのポリエステル共重合体試片を準備し、観測者の角度2°でイルミナント(Illuminant)D65で透過データを得、これをGrams/32ソフトウェア内の色分析装置を使用して処理してハンター(Hunter)L*a*b*値を計算し、以下表ではL値からb値を引いて結果(L-b)を記載した。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0093
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0093】
5)ヘイズ(Haze)
厚さ6mmのポリエステル共重合体試片を準備し、ASTM D1003-97測定法でMinolta社のCM-3600A測定器を利用して前記試片のHazeを測定した。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0094
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0094】
6)収縮率
実施例および比較例で製造されたポリエステル共重合体を250℃から290℃の温度でダイを通じて押出した後、20℃から50℃で冷却して未延伸フィルムを製造した。その後、前記未延伸フィルムを75℃から95℃で再加熱しながら横方向に5倍延伸してポリエステルフィルムを製造した。製造されたポリエステルフィルムの厚さは45μmであった。
【国際調査報告】