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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-28
(54)【発明の名称】化粧品
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/35 20060101AFI20240621BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20240621BHJP
   A61Q 19/02 20060101ALI20240621BHJP
   A61Q 17/04 20060101ALI20240621BHJP
【FI】
A61K8/35
A61Q19/00
A61Q19/02
A61Q17/04
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023579724
(86)(22)【出願日】2021-10-13
(85)【翻訳文提出日】2023-12-26
(86)【国際出願番号】 KR2021014124
(87)【国際公開番号】W WO2023277256
(87)【国際公開日】2023-01-05
(31)【優先権主張番号】10-2021-0087367
(32)【優先日】2021-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2021-0122608
(32)【優先日】2021-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519001383
【氏名又は名称】ソウル ナショナル ユニバーシティ アールアンドディービー ファウンデーション
(74)【代理人】
【識別番号】100087398
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 勝文
(74)【代理人】
【識別番号】100128783
【弁理士】
【氏名又は名称】井出 真
(74)【代理人】
【識別番号】100128473
【弁理士】
【氏名又は名称】須澤 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100160886
【弁理士】
【氏名又は名称】久松 洋輔
(72)【発明者】
【氏名】キム,ソン グン
(72)【発明者】
【氏名】イム,ウン ハク
(72)【発明者】
【氏名】パク,キョン チャン
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AC211
4C083AC212
4C083CC01
4C083CC04
4C083CC05
4C083CC07
4C083CC12
4C083CC19
4C083CC23
4C083CC36
4C083CC38
4C083CC39
4C083DD17
4C083DD22
4C083DD30
4C083DD31
4C083DD41
4C083EE12
4C083EE14
4C083EE16
4C083EE17
4C083EE26
4C083FF01
(57)【要約】
本願は、皮膚健康改善のための、レスベラトロンを含む化粧料組成物に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1で表される化合物を有効成分として含む、化粧料組成物。
【化1】
前記化学式1において、
は、水素;ハロゲン;線状又は分枝状のC1-6アルキル基;C3-6シクロアルキル基;線状又は分枝状のC1-6アルコキシ基;ヘテロ原子としてN、O、又はSを含むC2-6ヘテロシクロアルキル基;又はハロゲン原子、アミノ基、ニトリル基、ニトロ基、C1-10アルキル基、C2-10アルケニル基、C1-10アルコキシ基、C3-6シクロアルキル基、ヘテロ原子としてN、O、又はSを含むC2-6ヘテロシクロアルキル基、C6-16アリール基、及びヘテロ原子としてN、O、又はSを含むC5-15ヘテロアリール基の中から選択される1つ以上の置換基で置換又は非置換されたフェニル基であり、
及びRは、それぞれ独立に、ヒドロキシ基、線状又は分枝状のC1-6アルコキシ基、及びベンゾイル基の中から選択されるものである。
【請求項2】
前記化学式1で表される化合物は、下記化学式2で表される、請求項1に記載の化粧料組成物。
【化2】
前記化学式2において、
は、水素;ハロゲン;線状又は分枝状のC1-6アルキル基;C3-6シクロアルキル基;線状又は分枝状のC1-6アルコキシ基;ヘテロ原子としてN、O、又はSを含むC2-6ヘテロシクロアルキル基;又はハロゲン原子、アミノ基、ニトリル基、ニトロ基、C1-10アルキル基、C2-10アルケニル基、C1-10アルコキシ基、C3-6シクロアルキル基、ヘテロ原子としてN、O、又はSを含むC2-6ヘテロシクロアルキル基、C6-16アリール基、及びヘテロ原子としてN、O、又はSを含むC5-15ヘテロアリール基の中から選択される1つ以上の置換基で置換又は非置換されたフェニル基であり、
及びRは、それぞれ独立に、ヒドロキシ基、線状又は分枝状のC1-6アルコキシ基、及びベンゾイル基の中から選択されるものである。
【請求項3】
前記化学式1で表される化合物は、
【化3】
の中から選択される、請求項1に記載の化粧料組成物。
【請求項4】
請求項1による化粧料組成物を含む、単一又は多機能性化粧品。
【請求項5】
前記多機能性は、皮膚再生、皮膚美白、皮膚シワ改善、抗ニキビ、紫外線遮断、及び抗酸化の中から選択される1つ以上を含む、請求項4に記載の単一又は多機能性化粧品。
【請求項6】
前記化粧品の剤形は、化粧水、エッセンス、乳液、クリーム、ゲル、パウダー、パック、石鹸又はシャンプーの界面活性剤、リンス、オイル、ファンデーション、染毛剤、及びワックスの中から選択される、請求項4に記載の単一又は多機能性化粧品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、皮膚健康改善のための、レスベラトロンを含む化粧料組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
レスベラトロン(resveratrone)は、天然物のレスベラトロール(resveratrol)から由来した化合物であって、化合物の構造及びその製造方法が特許登録されている[大韓民国登録特許公報第1294993号、米国登録特許公報第10787607号]。また、レスベラトロンの坑癌効果について報告されているが[大韓民国登録特許公報第2169585号]、皮膚健康と係わる効能はまだ知られていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本願は、皮膚健康改善のための、レスベラトロンを含む化粧料組成物を提供することを目的とする。
【0004】
しかし、本願が解決しようとする課題は、上記したような課題に限定されるものではなく、言及されていない他の課題は、以下の記載から通常の技術者にとって明確に理解できるはずである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願の第1の側面は、下記化学式1で表される化合物を有効成分として含む、化粧料組成物を提供する。
【化1】
前記化学式1において、
は、水素;ハロゲン;線状又は分枝状のC1-6アルキル基;C3-6シクロアルキル基;線状又は分枝状のC1-6アルコキシ基;ヘテロ原子としてN、O、又はSを含むC2-6ヘテロシクロアルキル基;又はハロゲン原子、アミノ基、ニトリル基、ニトロ基、C1-10アルキル基、C2-10アルケニル基、C1-10アルコキシ基、C3-6シクロアルキル基、ヘテロ原子としてN、O、又はSを含むC2-6ヘテロシクロアルキル基、C6-16アリール基、及びヘテロ原子としてN、O、又はSを含むC5-15ヘテロアリール基の中から選択される1つ以上の置換基で置換又は非置換されたフェニル基であり、
及びRは、それぞれ独立に、ヒドロキシ基、線状又は分枝状のC1-6アルコキシ基、及びベンゾイル基の中から選択されるものである。
【0006】
本願の第2の側面は、第1の側面に係る化粧料組成物を含む、単一又は多機能性化粧品を提供する。
【発明の効果】
【0007】
本願の具現例に係るレスベラトロン化合物を含む化粧料組成物は、細胞の増殖を誘導するので、皮膚再生効果があり、活性酸素を除去するので、抗酸化効果があり、メラニン合成を阻害し、チロシナーゼの活性を阻害するので、皮膚美白効果があるという特徴がある。
【0008】
本願の具現例に係るレスベラトロン化合物を含む化粧料組成物は、コラーゲン合成を促進するので、皮膚弾力及びシワの改善効果があり、ニキビを引き起こす菌の生長を阻害するので、皮膚抗菌性(抗ニキビ)効果があり、紫外線遮断効果があるという特徴がある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本願の一実施例において、レスベラトロン化合物の細胞増殖能評価結果グラフである。
図2】本願の一実施例において、レスベラトロン化合物の抗酸化能評価(DPPH assay)結果グラフである。
図3】本願の一実施例において、レスベラトロン化合物の美白効能評価(B16F10細胞内メラニン合成阻害能)結果グラフである。
図4】本願の一実施例において、レスベラトロン化合物の美白効能評価(B15F10細胞外メラニン合成阻害能)結果グラフである。
図5】本願の一実施例において、レスベラトロン化合物の美白効能評価(チロシナーゼ活性阻害能)結果グラフである。
図6】本願の一実施例において、レスベラトロン化合物のシワ改善効能評価(コラーゲン合成能)結果グラフである。
図7】本願の一実施例において、レスベラトロン化合物の抗ニキビ効能評価(Propionibacterium acnes抗菌効能)結果グラフである。
図8】本願の一実施例において、レスベラトロン化合物の吸光度スペクトルである。
図9】本願の一実施例において、レスベラトロン化合物含有クリームの紫外線防御指数測定写真である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下では、添付した図面を参照しながら、本発明の属する技術分野において通常の知識を有する者が容易に実施できるように本発明の具現例及び実施例を詳しく説明する。ところが、本願は様々な異なる形態に具現されても良く、ここで説明する具現例及び実施例に限定されるものではない。そして、図面において、本発明を明確に説明するために、説明とは関係ない部分は省略しており、明細書全体に亘って類似した部分に対しては類似した図面符号を付けている。
【0011】
本願の明細書全体において、ある部分が他の部分と「連結」されているという場合、これは「直接的に連結」されている場合だけでなく、その中間に他の素子を挟んで「電気的に連結」されている場合も含む。
【0012】
本願の明細書全体において、ある部材が他の部材の「上に」位置しているという場合、これは、ある部材が他の部材に接している場合だけでなく、両部材の間にまた他の部材が存在する場合も含む。
【0013】
本願の明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」という場合、これは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに含み得ることを意味する。
【0014】
本明細書において使用される程度の用語「約」、「実質的に」などは、言及された意味に固有の製造及び物質許容誤差が提示される場合、その数値で、又はその数値に近接した意味として使用され、本願の理解を助けるために正確あるいは絶対的な数値が言及された開示内容を非良心的な侵害者が不当に利用することを防止するために使用される。
【0015】
本願の明細書全体において使用される程度の用語「~するステップ」又は「~のステップ」は、「~のためのステップ」を意味するものではない。
【0016】
本願の明細書全体において、マーカッシュ形式の表現に含まれた「これらの組み合わせ(たち)」の用語は、マーカッシュ形式の表現に記載された構成要素からなる群より選択される1つ以上の混合又は組み合わせを意味するものであり、前記構成要素からなる群より選択される1つ以上を含むことを意味する。
【0017】
本願の明細書全体において、「A及び/又はB」の記載は、「A又はB、あるいはA及びB」を意味する。
【0018】
以下では、本願の具現例を詳しく説明するが、本願がこれに限定されるものではない。
【0019】
本願の第1の側面は、下記化学式1で表される化合物を有効成分として含む、化粧料組成物を提供する。
【化2】
前記化学式1において、
は、水素;ハロゲン;線状又は分枝状のC1-6アルキル基;C3-6シクロアルキル基;線状又は分枝状のC1-6アルコキシ基;ヘテロ原子としてN、O、又はSを含むC2-6ヘテロシクロアルキル基;又はハロゲン原子、アミノ基、ニトリル基、ニトロ基、C1-10アルキル基、C2-10アルケニル基、C1-10アルコキシ基、C3-6シクロアルキル基、ヘテロ原子としてN、O、又はSを含むC2-6ヘテロシクロアルキル基、C6-16アリール基、及びヘテロ原子としてN、O、又はSを含むC5-15ヘテロアリール基の中から選択される1つ以上の置換基で置換又は非置換されたフェニル基であり、
及びRは、それぞれ独立に、ヒドロキシ基、線状又は分枝状のC1-6アルコキシ基、及びベンゾイル基の中から選択されるものである。
【0020】
本願の一具現例において、前記化学式1で表される化合物は、下記化学式2で表されても良い。
【化3】
前記化学式2において、
は、水素;ハロゲン;線状又は分枝状のC1-6アルキル基;C3-6シクロアルキル基;線状又は分枝状のC1-6アルコキシ基;ヘテロ原子としてN、O、又はSを含むC2-6ヘテロシクロアルキル基;又はハロゲン原子、アミノ基、ニトリル基、ニトロ基、C1-10アルキル基、C2-10アルケニル基、C1-10アルコキシ基、C3-6シクロアルキル基、ヘテロ原子としてN、O、又はSを含むC2-6ヘテロシクロアルキル基、C6-16アリール基、及びヘテロ原子としてN、O、又はSを含むC5-15ヘテロアリール基の中から選択される1つ以上の置換基で置換又は非置換されたフェニル基であり、
及びRは、それぞれ独立に、ヒドロキシ基、線状又は分枝状のC1-6アルコキシ基、及びベンゾイル基の中から選択されるものである。
【0021】
本願の一具現例において、前記化学式1で表される化合物は、
【化4】
の中から選択されても良いが、これに限定されるものではない。
【0022】
本願の一具現例において、前記化学式1で表される化合物は、化粧品学的に許容可能な塩の形態であっても良い。本願の一具現例において、前記塩は、無機酸又は有機酸を利用して形成された酸付加塩であっても良く、前記無機酸は、塩酸、リン酸、臭素酸、硝酸、炭酸、酒石酸、ホウ酸、及び炭酸の中から選択される1つ以上を含み、前記有機酸は、ギ酸、酢酸、乳酸、酪酸、クエン酸、プロピオン酸、イソ酪酸、トリフルオロ酢酸、リンゴ酸、マレイン酸、マロン酸、フマル酸、コハク酸、コハク酸モノアミド、グルタミン酸、ジクロロ酢酸、アミノオキシ酢酸、タルタル酸、シュウ酸、シトロ酸、グリコール酸、グルクロン酸、ガラクツロン酸、アスコルビン酸、安息香酸、フタル酸、サリチル酸、アントラニル酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、又はメタンスルホン酸の中から選択される1つ以上を含んでいても良いが、これに限定されるものではない。本願の一具現例において、前記酸付加塩は、前記化学式1で表される化合物及び酸を直接混合するか、溶媒の存在下で混合する、一般的な塩製造方法によって製造されても良い。
【0023】
本願の第2の側面は、第1の側面に係る化粧料組成物を含む、単一又は多機能性化粧品を提供する。
【0024】
本願の一具現例において、前記多機能性は、皮膚再生、皮膚美白、皮膚シワ改善、抗ニキビ、紫外線遮断、及び抗酸化の中から選択される1つ以上を含んでいても良い。
【0025】
本願の一具現例において、前記皮膚再生は、炎症及び傷によって損傷した皮膚組織が、皮膚細胞の再生により回復することを意味し、前記皮膚再生用の化粧品は、前記化学式1で表される化合物が細胞の増殖を助けることによって皮膚細胞が速く再生される効果を有しても良い。
【0026】
本願の一具現例において、前記皮膚美白は、皮膚の色を明るくし、シミやそばかすなどの皮膚色素沈着を改善することを意味し、前記皮膚美白用の化粧品は、前記化学式1で表される化合物が皮膚のメラニン色素の合成を阻害し、メラニン合成酵素の活性を阻害することで前記皮膚美白効果を有しても良い。
【0027】
本願の一具現例において、前記皮膚シワ改善は、皮膚の弾力を増進させることにより、皮膚のシワを改善したり、シワの生成を阻害することを意味し、前記皮膚シワ改善用の化粧品は、前記化学式1で表される化合物が皮膚のコラーゲン合成を助けることによって前記皮膚の弾力を増進させ、前記皮膚シワ改善効果を有しても良い。
【0028】
本願の一具現例において、前記皮膚抗ニキビ(抗菌性)は、皮膚の菌の増殖を抑制あるいは阻害することを意味し、前記皮膚抗菌性機能は、前記化学式1で表される化合物が皮膚のニキビを引き起こす菌の生長を阻害することによって前記皮膚抗菌性効果を有しても良い。
【0029】
本願の一具現例において、前記抗酸化効果は、前記化学式1で表される化合物が皮膚内の活性酸素を除去することによって具現されても良い。
【0030】
本願の一具現例において、前記化粧品は、前記化粧料組成物を含むことにより、皮膚再生、美白、シワ改善、抗菌性、皮膚抗酸化及び紫外線遮断の効果を同時に有しても良く、前記各機能性は、前記化学式1で表される化合物の含量に応じて機能の程度が変わっても良く、目的に応じてその含量を異ならせることで様々な製品を作ることができるという特徴がある。本願の一具現例において、前記化粧品は、皮膚再生、皮膚美白、皮膚シワ改善、抗菌性(抗ニキビ)、皮膚抗酸化及び紫外線遮断用の化粧品であっても良い。
【0031】
本願の一具現例において、前記化粧品の剤形は、化粧水、エッセンス、乳液、クリーム、ゲル、パウダー、パック、石鹸又はシャンプーの界面活性剤、リンス、オイル、ファンデーション、染毛剤、及びワックスの中から選択されても良いが、これに限定されるものではない。本願の一具現例において、前記化粧品は、界面活性剤、水、乳化剤、充填剤、芳香剤、安定化剤、溶解剤、ゲル化剤、脂肪物質、アルコール、及び増粘剤の中から選択される化粧品学的に許容可能な補助剤をさらに含んでいても良いが、これに限定されるものではない。
【0032】
本願の一具現例において、前記化粧品の剤形は、軟膏、ゲル、クリーム、噴霧剤、及びパッチの中から選択される皮膚外用剤であっても良いが、これに限定されるものではない。
【0033】
以下、本願について実施例を参照しながらより具体的に説明するが、下記実施例は本願の理解を助けるために例示するだけであり、本願の内容が下記実施例に限定されるものではない。
【実施例
【0034】
<実施例1:レスベラトロン(resveratrone)の合成>
先行文献[大韓民国登録特許公報第1294993号]を参考にして、下記の方法により、下記化学式3で表されるレスベラトロンを合成した。
【0035】
1)レスベラトロール(resveratrol)を0.1g/L~1.0g/Lの濃度でメタノールに溶解させた。
2)UV-Bランプ(λmax=306nm)が取り付けられた特殊紫外線反応器を利用してレスベラトロン溶液に紫外線を照射した。
3)反応後に溶液を濃縮してからPrep-HPLC装備を利用してレスベラトロンを分離した。
【0036】
【化5】
【0037】
<実験例1:レスベラトロンの細胞増殖能評価>
1)ヒト由来正常線維芽細胞を培養した。
2)細胞を適当な個数で接種し、24時間後にスタベーション(starvation)を24時間行った。
3)各試料が濃度別に処理された培地において細胞を72時間培養した。
4)MTT法で細胞活性を測定、分析した。
【0038】
図1を参照しながら説明すると、10μMの濃度のレスベラトロンを処理した試験群において細胞数が20%増加したことから、細胞増殖能を確認した。
【0039】
<実験例2:レスベラトロンの抗酸化能評価(DPPH assay)>
1)70%のエタノールを各96well当たりに115μLずつ分注した。
2)各試料及び陽性対照群を5μLずつ分注し、517nmで吸光度を測定することで、反応前の吸光度値を測定した。
3)DPPH溶液を80μLずつ分注した。
4)517nmで反応後の吸光度を測定し、反応前後の吸光度値を利用して結果を分析した。
【0040】
図2を参照しながら説明すると、1μM~50μMの濃度のレスベラトロン試験群においてラジカル消去能が確認された。
【0041】
<実験例3:レスベラトロンの美白効能評価(B16F10細胞内メラニン合成阻害能)>
1)B16F10細胞を培養した。
2)細胞を適当な個数で接種し、24時間後にblankを除いた全てのグループにα-MSHと試料をそれぞれ処理した。
3)各試料が処理された培養培地において細胞を72時間培養した。
4)細胞を溶解させて上層液を分離し、上層液の吸光度値を測定した。
5)各上層液に対し、BCA法でタンパク質量を測定、分析した。
6)上層液で測定したメラニン合成値をタンパク質量で補正することで、単位細胞当たりのメラニン合成量を算出した。
【0042】
図3を参照しながら説明すると、10μM~50μMの濃度のレスベラトロン処理試験群においてメラニン合成の阻害が確認された(アルブチン(Arbutin):陽性対照群)。
【0043】
<実験例4:レスベラトロンの美白効能評価(B15F10細胞外メラニン合成阻害能)>
1)B16F10細胞を培養した。
2)細胞を適当な個数で接種し、24時間後にblankを除いた全てのグループにα-MSHと試料をそれぞれ処理した。
3)各試料が処理された培養培地において細胞を72時間培養した。
4)細胞培養培地の吸光度値を測定した。
5)細胞は溶解して上層液を分離し、BCA法でタンパク質量を測定して、メラニン合成量を補正した。
6)測定したメラニン合成値をタンパク質量で補正することで、単位細胞当たりのメラニン合成量を算出した。
【0044】
図4を参照しながら説明すると、10μM~50μMの濃度のレスベラトロン処理試験群においてメラニン合成の阻害が確認された(アルブチン(Arbutin):陽性対照群)。
【0045】
<実験例5:レスベラトロンの美白効能評価(チロシナーゼ活性阻害能)>
1)ヒト由来正常色素細胞を適量接種し、1日間培養した。
2)各試料が処理された培養培地に取り替えて72時間培養した。
3)細胞を溶解して上層液を分離し、上層液を反応基質であるドーパと37℃で反応させながら30分間隔で475nmで吸光度値を測定した。
4)細胞溶解上層液は、BCA法でタンパク質量を測定し、これによりチロシナーゼ(メラニン合成酵素)測定値を補正した。
【0046】
図5を参照しながら説明すると、1μM~50μMの濃度のレスベラトロン処理試験群においてチロシナーゼの活性阻害が確認された。
【0047】
<実験例6:レスベラトロンのシワ改善効能評価(コラーゲン合成能)>
1)ヒト由来正常線維芽細胞を2×10/6wellで接種し、培養した。
2)starvation状態で1日間培養した。
3)試料を濃度別に物質処理した後、24時間培養した。
4)細胞の水洗後にUVを照射した後、48時間培養した。
5)細胞培養培地でコラーゲンの発現量を測定、分析した。
【0048】
図6を参照しながら説明すると、10μM~20μMの濃度のレスベラトロン処理試験群においてコラーゲン合成の増加が確認された。
【0049】
<実験例7:レスベラトロンの抗ニキビ効能評価(propionibacterium acnes抗菌効能)>
1)嫌気性ニキビ菌であるプロピオニバクテリウムアクネス(propionibacterium acnes)菌株を嫌気性菌株培養条件において培養した。
2)菌株の濁度はMcFarland standard NO.1に合わせた後、液体培養培地に1/20に希釈して準備した。
3)液体栄養培地において試料を濃度別に処理した。
4)試料が処理された液体栄養培地を100μLずつ分注した後、準備した菌株を各10μLずつ接種した。
5)嫌気性培養条件において72時間菌株を培養した後、菌数を測定、分析した。
【0050】
図7を参照しながら説明すると、20μM~200μMの濃度のレスベラトロン処理試験群において菌の生長阻害が確認された。
【0051】
<実験例8:レスベラトロンの吸光度測定>
1)レスベラトロンを10μM~50μMの濃度で有機溶媒に溶かした。
2)分光光度計を利用してレスベラトロンの吸光度を測定した。
【0052】
図8を参照しながら説明すると、UV-A(320~400nm)、UV-B(280~320nm)、UV-C(200~280nm)の全紫外線領域における吸収が確認された。
【0053】
<実験例9:レスベラトロン含有クリームの紫外線防御指数測定>
1)精製水(65%)、グリセロール(7%)、オリーブ乳化ワックス(5%)、ホホバオイル(20%)、レスベラトロン(3%)を75℃以上に加熱しながら交ぜることで、レスベラトロン含有クリームを製造した。
2)製造したクリームを背中に2.0mg/cmでむらなく塗布した後、食品医薬品安全処が告示した測定方法に従って紫外線防御指数(sun protection factor、SPF、UV-B防御効果指数)及び紫外線A防御指数(protection factor of UVA、PFA、UV-A防御効果指数)を測定した。
【0054】
図9を参照しながら説明すると、臨床試験の結果、SPF予想指数は4.0、PFA予想指数は4.8として紫外線遮断効果が確認された。
【0055】
上述した本願の説明は例示のためのものであり、本願の属する技術分野において通常の知識を有する者であれば、本願の技術的思想や必須の特徴を変更せずに他の具体的な形態に容易に変形可能であるということを理解できるはずである。それゆえ、上記した実施例は全ての面において例示的なものであり、限定的なものではないと理解すべきである。例えば、単一型で説明されている各構成要素は分散して実施されても良く、同様に、分散したものと説明されている構成要素も結合された形態で実施されても良い。
【0056】
本願の範囲は、上記詳細な説明よりは後述する特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲の意味及び範囲、並びにその均等概念から導出される全ての変更又は変形された形態が本願の範囲に含まれると解釈されなければならない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2024-05-31
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
化粧料組成物を含む化粧品であって、
前記化粧料組成物は、下記化学式1で表される化合物を有効成分として含
前記化粧品は、皮膚再生、皮膚美白、皮膚シワ改善、抗ニキビ、及び抗酸化の中から選択される1つ又は複数の機能を有する、化粧
【化1】
前記化学式1において、
は、水素;ハロゲン;線状又は分枝状のC1-6アルキル基;C3-6シクロアルキル基;線状又は分枝状のC1-6アルコキシ基;ヘテロ原子としてN、O、又はSを含むC2-6ヘテロシクロアルキル基;又はハロゲン原子、アミノ基、ニトリル基、ニトロ基、C1-10アルキル基、C2-10アルケニル基、C1-10アルコキシ基、C3-6シクロアルキル基、ヘテロ原子としてN、O、又はSを含むC2-6ヘテロシクロアルキル基、C6-16アリール基、及びヘテロ原子としてN、O、又はSを含むC5-15ヘテロアリール基の中から選択される1つ以上の置換基で置換又は非置換されたフェニル基であり、
及びRは、それぞれ独立に、ヒドロキシ基、線状又は分枝状のC1-6アルコキシ基、及びベンゾイル基の中から選択されるものである。
【請求項2】
前記化学式1で表される化合物は、下記化学式2で表される、請求項1に記載の化粧
【化2】
前記化学式2において、
は、水素;ハロゲン;線状又は分枝状のC1-6アルキル基;C3-6シクロアルキル基;線状又は分枝状のC1-6アルコキシ基;ヘテロ原子としてN、O、又はSを含むC2-6ヘテロシクロアルキル基;又はハロゲン原子、アミノ基、ニトリル基、ニトロ基、C1-10アルキル基、C2-10アルケニル基、C1-10アルコキシ基、C3-6シクロアルキル基、ヘテロ原子としてN、O、又はSを含むC2-6ヘテロシクロアルキル基、C6-16アリール基、及びヘテロ原子としてN、O、又はSを含むC5-15ヘテロアリール基の中から選択される1つ以上の置換基で置換又は非置換されたフェニル基であり、
及びRは、それぞれ独立に、ヒドロキシ基、線状又は分枝状のC1-6アルコキシ基、及びベンゾイル基の中から選択されるものである。
【請求項3】
前記化学式1で表される化合物は、
【化3】
の中から選択される、請求項1に記載の化粧
【請求項4】
前記化粧品の剤形は、化粧水、エッセンス、乳液、クリーム、ゲル、パウダー、パック、石鹸又はシャンプーの界面活性剤、リンス、オイル、ファンデーション、染毛剤、及びワックスの中から選択される、請求項に記載の化粧品。
【国際調査報告】