(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-28
(54)【発明の名称】較正ユニットを有する感圧パッド
(51)【国際特許分類】
G01R 27/02 20060101AFI20240621BHJP
【FI】
G01R27/02 R
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023579734
(86)(22)【出願日】2022-06-30
(85)【翻訳文提出日】2024-02-26
(86)【国際出願番号】 IB2022056123
(87)【国際公開番号】W WO2023275824
(87)【国際公開日】2023-01-05
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522353392
【氏名又は名称】ジェイ.ブラシュ シーオー.,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110003797
【氏名又は名称】弁理士法人清原国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブラシュ,ジョン ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】スミス ジュニア,ゴードン
(72)【発明者】
【氏名】タイラー,ハロルド トッド
【テーマコード(参考)】
2G028
【Fターム(参考)】
2G028AA01
2G028BC01
2G028CG02
2G028DH03
2G028FK01
2G028FK08
2G028GL14
2G028GL15
(57)【要約】
マットレスの下に置かれるように構成され、かつ、マットレスにかかる閾値重量の存在の有無を識別するように構成された感圧パッドである。感圧パッドは、信号発生器、検知領域、少なくとも1つの可変整合抵抗器、マイクロコントローラユニット(MCU)を備える。信号発生器は、電気信号を発生するように構成されている。感知領域は、感知領域にかかる圧力に応じて変動する第1の抵抗を有する感知抵抗器を有している。可変整合抵抗器は、感知抵抗器および信号発生器と直列に配置され、第2の抵抗を有している。MCUは、感知抵抗器と少なくとも1つの可変整合抵抗器との間にある電気的接合部で信号の一部を受信して測定するように構成されたアナログ-デジタル変換器(CAN)を有し、MCUは、少なくとも1つの可変整合抵抗器の第2の抵抗を制御するように構成されている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マットレスの下に配置されるように構成され、マットレス上の閾値重量の有無を識別するように構成された感圧パッドであって、感圧パッドは以下を含むことを特徴とする:電気信号を生成するように構成された信号発生器と、感知ゾーンに加えられる圧力に応じて変化する第1の抵抗を有する感知抵抗器を有する感知ゾーンと、感知抵抗器および信号発生器と直列の少なくとも1つの可変整合抵抗器であって、可変整合抵抗器が第2の抵抗を有する、可変整合抵抗器;感知抵抗器と少なくとも1つの可変整合抵抗器との間の電気接合部において信号の一部を受信し測定するように構成されたアナログデジタル変換器(ADC)を有するマイクロコントローラユニット(MCU)であって、少なくとも1つの可変整合抵抗器の第2の抵抗を制御するように構成される、マイクロコントローラユニット(MCU)と、ここで:感知ゾーンは、電気接地に接続されるように構成される;感圧パッドは、以下の式によって任意のマットレスに対して較正されるように構成される:マットレス内に追加の重量を伴わずにマットレスの下に感知ゾーンを配置することと、信号発生器を介して電気信号を生成するステップと、ADCに到達する電気信号の一部をADCによって自動的に測定するステップと、ADCに到達する信号の部分が所望の所定の電圧の所定の範囲内にあるように第2の抵抗の所望の値が見つかるまで、マイクロコントローラユニットを介して少なくとも1つの可変整合抵抗器の第2の抵抗を自動的に変化させることと、動作中、較正後、マイクロコントローラユニットは、第2の抵抗を所望の値に設定するように構成される;信号発生器は、電気信号を規則的に生成するように構成され、電気信号は、少なくとも1つの可変整合抵抗器を介して電気接合部へ、電気接合部からADCへ、および電気接合部から感知抵抗器を介して電気接地へ伝わるように構成され、その結果、ADCに到達する信号の一部は、感知抵抗器の第1の抵抗に依存する。したがって、ADCに到達する信号の部分を処理して、感知ゾーン上の閾値重みの有無を識別することができる。
【請求項2】
以下を特徴とする請求項1に記載の感圧パッド。少なくとも1つの可変整合抵抗器は、直列の2つの可変整合抵抗器を含み、2つの可変整合抵抗器の各々は、マイクロコントローラユニットによって独立して制御されるそれぞれの第2の抵抗を有する;MCUは、少なくとも1つの可変整合抵抗器の第2の抵抗を、第2の抵抗のうちの第1の抵抗を第1の所望の値に到達するように変化させ、それによって、ADCに到達する信号の部分が、第1の抵抗のうちの第2の抵抗を固定したまま、所望の電圧の所定の粗い範囲内の電圧を有する;第2の抵抗のうちの第1の抵抗を第1の所望の値に固定して維持することと、第2の抵抗のうちの第2の抵抗を第2の所望の値に達するように変更することであって、それによって、ADCに到達する信号の部分が、所望の電圧の所定の範囲内の電圧を有し、所定の範囲が粗い所定の範囲よりも小さい、変更することと、動作中、マイクロコントローラユニットは、第2の抵抗のうちの第1の抵抗を第1の所望の値に設定し、第2の抵抗のうちの第2の抵抗を第2の所望の値に設定するように構成される。
【請求項3】
少なくとも1つの可変抵抗器と直列の第3の抵抗器であって、固定抵抗を有する第3の整合抵抗器をさらに含む請求項1に記載の感圧パッド。
【請求項4】
動作において、MCUは、較正が有効であるかどうかを、以下によって判定するようにさらに構成されることを特徴とする請求項1に記載の感圧パッド。(i)期間を開始するステップと、(ii)期間の終わりに、第1のチェックを実行することは、較正後の期間中のADCにおける電圧の測定値が、所定の所望の電圧を充分に上回っているかどうかを判定することである;(iii)ステップ(ii)のチェックが肯定的である場合、第1の所望の値を増加させ、(i)からの全てのステップを繰り返す;(iv)ステップ(iii)のチェックが否定的であり、期間の終了時に、第2のチェックを実行することは、較正後の期間中のADCにおける電圧の測定値が常に0Vに充分に近かったかどうかを判定することである;(v)ステップ(iv)のチェックが肯定的である場合、第1の所望の値を減少させ、(i)からのすべてのステップを繰り返す;(vi)ステップ(iv)のチェックが否定的である場合、較正が正しかったと判定する。
【請求項5】
MCUは、ステップ(vi)を実行した後、(i)からの全てのステップを繰り返すように構成されることを特徴とする請求項4に記載の感圧パッド。
【請求項6】
マットレスの下に配置されるように構成され、マットレス上の閾値重量の有無を識別するように構成された感圧パッドを較正するための方法であって、以下を含む:(i)次のものを提供する:電気信号を生成するように構成された信号発生器と、感知ゾーンに加えられる圧力に応じて変化する第1の抵抗を有する感知抵抗器を有する感知ゾーンと、感知抵抗器および信号発生器と直列の少なくとも1つの可変整合抵抗器であって、可変整合抵抗器が第2の抵抗を有する、可変整合抵抗器;感知抵抗器と少なくとも1つの可変整合抵抗器との間の電気接合部において信号の一部を受信し測定するように構成されたアナログデジタル変換器(ADC)を有するマイクロコントローラユニット(MCU)であって、少なくとも1つの可変整合抵抗器の第2の抵抗を制御するように構成される、マイクロコントローラユニット(MCU)と、(ii)感知ゾーンを電気的接地に接続するステップと、(iii)マットレスに追加の重量をかけることなくマットレスの下に感知ゾーンを配置すること;(iv)信号発生器を介して電気信号を生成するステップと、(v)ADCに到達する電気信号の一部をADCによって自動的に測定するステップと、(vi)マイクロコントローラユニットを介して少なくとも1つの可変整合抵抗器の第2の抵抗を自動的に変化させることは、第2の抵抗の所望の値が、ADCに到達する信号の部分が所望の所定の電圧の所定の範囲内にあるように見出されるまでである。
【請求項7】
以下を特徴とする請求項6に記載の方法。少なくとも1つの可変整合抵抗器を提供することは、2つの可変整合抵抗器を直列に提供することを含み、2つの可変整合抵抗器の各々は、マイクロコントローラユニットによって独立して制御されるそれぞれの第2の抵抗を有する;少なくとも1つの可変整合抵抗器の第2の抵抗を自動的に変更することは、以下を含む:第2の抵抗のうちの第1の抵抗を第1の所望の値に到達するように変化させ、それによって、ADCに到達する信号の部分が、第1の抵抗のうちの第2の抵抗を固定したまま、所望の電圧の所定の粗い範囲内の電圧を有する;第2の抵抗のうちの第1の抵抗を第1の所望の値に固定して維持し、第2の抵抗のうちの第2の抵抗を第2の所望の値に達するように変更し、それによって、ADCに到達する信号の部分は、所望の電圧の所定の範囲内の電圧を有し、所定の範囲は、粗い所定の範囲よりも小さい。
【請求項8】
マットレスの下に配置されるように構成され、マットレス上の閾値重量の有無を識別するように構成された感圧パッドを動作させる方法であって、以下を含む:請求項6に記載の方法に従って感圧パッドを較正する;マイクロコントローラユニットを介して第2の抵抗を所望の値に設定するステップと、少なくとも1つの可変整合抵抗器を介して電気接合部へ、電気接合部からADCへ、および電気接合部から感知抵抗器を介して電気接地へ移動するように構成された電気信号を生成するステップであって、ADCに到達する信号の一部が感知抵抗器の第1の抵抗に依存するようにするステップと、ADCに到達する信号の部分を処理して、感知ゾーン上の閾値重みの有無を識別する。
【請求項9】
以下を特徴とする請求項8に記載の方法。少なくとも1つの可変整合抵抗器を提供することは、2つの可変整合抵抗器を直列に提供することを含み、2つの可変整合抵抗器の各々は、マイクロコントローラユニットによって独立して制御されるそれぞれの第2の抵抗を有する;少なくとも1つの可変整合抵抗器の第2の抵抗を自動的に変更することは、以下を含む:第2の抵抗のうちの第1の抵抗を第1の所望の値に到達するように変化させ、それによって、ADCに到達する信号の部分が、所望の電圧の所定の粗い範囲内の電圧を有する一方で、第2のヒューズ抵抗を固定に保つことと、第2の抵抗のうちの第1の抵抗を第1の所望の値に固定して維持することと、第2の抵抗のうちの第2の抵抗を第2の所望の値に達するように変更することであって、それによって、ADCに到達する信号の部分が、所望の電圧の所定の範囲内の電圧を有し、所定の範囲が粗い所定の範囲よりも小さい、変更することと、マイクロコントローラユニットを介して第2の抵抗を所望の値に設定することは、第2の抵抗の第1の抵抗を第1の所望の値に設定することと、第2の抵抗の第2の抵抗を第2の所望の値に設定することとを含む。
【請求項10】
較正が有効であるかどうかを、をさらに含む請求項8に記載の方法。(a)時間期間の開始;b)時間期間の終了時に、第1のチェックを実行することは、較正後の時間期間中のADCにおける電圧の測定値が所定の所望の電圧を充分に上回っているかどうかを判定することである;(c)ステップ(b)のチェックが肯定的である場合、第1の値を増加させ、(a)からの全てのステップを繰り返す;(d)ステップ(c)のチェックが否定的であり、期間の終了時に、第2のチェックを実行することは、較正後の期間中のADCにおける電圧の測定値が常に0Vに充分に近かったかどうかを判定することである;(e)ステップ(d)のチェックが肯定的である場合、所望の値を減少させ、(a)からの全てのステップを繰り返す;(f)ステップ(d)のチェックが否定的である場合、較正が正しかったと判定する。
【請求項11】
ステップ(f)の後、をさらに含む請求項10に記載の方法。工程(a)からの全ての工程を繰り返す。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、US仮出願63/216,600(2021年6月30日)に対する優先権を主張し、その全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、そのいくつかの実施形態において、マットレス下感圧パッドに関し、特に(限定されないが)様々なマットレスと共に使用するためのマットレス下感圧パッドの較正に関する。
【背景技術】
【0003】
マットレス下感圧パッドは、マットレスの下に置かれてマットレス上の物体(人など)の存在を検出するパッドである。パッドは、異なる形状および重量を有する様々なマットレスとともに使用され、依然としてマットレス上の特定の重量を有する物体の存在を検出するように構成される。そのようなパッドの例は、US特許10,357,197(Smith, Jr.)らに記載されている。
【0004】
マットレス下感圧パッドは、マットレスの下に配置される感知ゾーンを含む。感知ゾーンは、ワイヤのような導電性材料を含むが、圧力が印加されると減少する抵抗を有する。これは、マットレス上の物体の存在を検出するために、マイクロコントローラ(MCU)のアナログデジタル変換器(ADC)とともに使用される分圧器などの抵抗測定回路を可能にする。可変抵抗材料は、伝導性フィルム(例えば、Velostatと呼ばれ、3Mによって製造されるフィルム、または任意の同様の材料)、伝導性発泡体、変形されると可変抵抗を生成する歪みゲージ、および伝導性インクのうちの1つ以上を含んでもよい。
【発明の概要】
【0005】
本発明者らは、インクなどのいくつかの可変抵抗材料では、製造プロセスが非常に可変であることを見出した。適用されるインクの厚さ、インクを硬化させる時間、および硬化プロセス中の温度などの態様の変化はすべて、最終製品に影響を及ぼす。これらの変数は、最終抵抗応答曲線において穏やかに変化するセンサ材料をもたらす。
【0006】
図1は、従来技術において知られているパッド100の電気図を示す。パッド100は、感知ゾーン上の圧力が増加するにつれて減少する抵抗RSENSEを有する可変抵抗器(以下、「感知抵抗器」と呼ぶ)を有する感知ゾーンを有する。
【0007】
パッド100はさらに、信号発生器102と、固定抵抗RPOTを有する抵抗器と、アナログデジタル変換器(ADC)106を有するマイクロコントローラユニット(MCU)104とを含む。感知ゾーンは、一端で電気接合108に接続され、他端で接地100に接続される。抵抗RPOTを有する抵抗器は、一端で信号発生器102に接続され、他端で電気接合部108に接続される。最後に、電気接合部108は、MCU104のADC106にも接続される。したがって、回路は分圧器を形成し、信号発生器102からの電圧は直列の2つの抵抗器(固定抵抗RPOTを有する抵抗器および抵抗RSENSE を有する可変感知抵抗器)に印加され、電圧は2つの抵抗器間の接合部108においてMCUによって測定される。
【0008】
このようにして、信号発生器によって信号が生成されると、信号は、固定抵抗RPOTを有する抵抗器を通って接合部108に移動する。接合部108から、信号は、感知ゾーン(RSENSE )を通って接地110に移動し、ADC106にも移動する。
【0009】
ADCに到達し、ADCによって測定される信号の部分の電圧は、RSENSEに依存する。RSENSEは、感知ゾーンに加えられる圧力に依存する。したがって、ADCで測定された電圧は、感知ゾーン上の圧力を示し、感知ゾーン上の物体の有無を判定するために処理することができる。
【0010】
本発明者らによって製造された400の集団から無作為に引き出された10個のインクベースのパッドのサンプルにおいて、無負荷抵抗値(上部に重りのない感知ゾーンの抵抗)が10kオームから98kオームまで見出された。この変動は、整合抵抗器(
図1のRPOT)を有する分圧器が感知ゾーン内の圧力感知材料の抵抗を測定するために使用されるときに問題となる。この整合抵抗器の値は、システムの最適な動作範囲を提供するために、感知ゾーン内の感知材料の抵抗を補完するように選択されなければならない。整合抵抗器の抵抗RPOTが感知ゾーンの抵抗値に整合しなければならないので、感知ゾーンの抵抗の実質的な変動のために、マットレス下感圧パッドの大量生産が問題となる。感知ゾーンの抵抗は実質的に変化するので、整合抵抗器の抵抗RPOTの選択は、すべての感知ゾーンの最適な動作範囲を可能にしないことがある。
【0011】
この問題を説明するために、
図2は、パッドのサンプルからの2つの最悪の場合のシナリオパッドのサンプル応答曲線を示す。橙色の水平線120は、マイクロコントローラが達成することができる最大ADC電圧読取値を表す。曲線122および124は、それぞれ、低抵抗パッド(50kオームの無負荷抵抗)および高抵抗パッド(120kオームの無負荷抵抗)の応答曲線である。以下に見られるように、ADCに到達する信号の部分の電圧は、重量が感知ゾーン上に置かれるにつれて減少し、RSENSE が減少する。応答曲線がこの線から離れるほど、パッドの感度は悪くなる。この場合、低抵抗パッド(曲線122)は、高抵抗パッド(曲線124)よりも感度が約50%低い。
【0012】
感知回路に分圧器を使用することに関する問題は、信号がADC最大(またはVref)値からシフトされることの固有の影響である。分圧器方程式では、
図1に示すように、Vout(ADCで測定される電圧)は、ADCでの読み取り値の最大動作範囲を維持するために、較正時間において可能な限りVin(信号発生器によって生成される信号の電圧)に近いことが望ましい。残念ながら、標準ADCセットアップでは、Vref=Vinである。これは、RSENSEの任意の値について得ることができる最大VoutがRPOTによって決定されることを意味する。
【0013】
【0014】
RSENSE(センサ材料)の値が所与のRPOTに対して減少すると、Voutはゼロに近づき始める。これは、
図2において、低抵抗パッドの応答曲線122が、高抵抗パッドの応答曲線124よりもグラフにおいて低くシフトされるときに観察することができる。
【0015】
より低いRPOTを提供することは、応答曲線を後退させるのに役立つが、これは、これまで下に調整するだけでよい。RPOTがゼロオームに近づくにつれて、パッドのバッテリドレインは通常動作をダイニングし、RPOTをゼロに選択することは分圧器の影響を完全に無効にする。
【0016】
本発明者らによって見出された上記の問題を解決するために、本発明のいくつかの実施形態では、分圧器内の整合抵抗器RPOTは、MCUによって制御される可変ポテンショメータである。これにより、パッド較正中に整合抵抗を調整して、感知ゾーンの実際の抵抗器を補完する所望の値を選択することが可能になる。これは、適応回路を作成することによって、パッドのセンサ材料の変動を軽減するのに役立つ。
【0017】
また、本発明のいくつかの実施形態では、Vrefは所望の電圧に設定される。これは、
図1に見られる「ADC最大」線をパッドの応答曲線に向かって下方にシフトさせる。以下にさらに示すように、このシフトは、パッドの応答曲線を動的に調整するために、適応回路がより大きい動作範囲を有することを可能にする。
【0018】
したがって、本発明のいくつかの実施形態の態様は、マットレスの下に配置されるように構成され、マットレス上の閾値重量の有無を識別するように構成された感圧パッドに関する。感圧パッドは、信号発生器と、感知ゾーンと、少なくとも1つの可変整合抵抗器と、マイクロコントローラユニット(MCU)とを含む。信号発生器は、電気信号を生成するように構成される。感知ゾーンは、感知ゾーンに加えられる圧力に応じて変化する第1の抵抗を有する感知抵抗器を有する。少なくとも1つの可変整合抵抗器は、感知抵抗器および信号発生器と直列であり、第2の抵抗を有する。MCUは、感知抵抗器と少なくとも1つの可変整合抵抗器との間の電気接合部で信号の一部を受信し測定するように構成されたアナログデジタル変換器(ADC)を有する。MCUは、少なくとも1つの可変整合抵抗器の第2の抵抗を制御するように構成される。感知ゾーンは、電気接地に接続されるように構成される。感圧パッドは、以下の式によって任意のマットレスに対して較正されるように構成される:マットレス内に追加の重量を伴わずにマットレスの下に感知ゾーンを配置することと、信号発生器を介して電気信号を生成するステップと、ADCに到達する電気信号の一部をADCによって自動的に測定するステップと、マイクロコントローラユニットを介して少なくとも1つの可変整合抵抗器の第2の抵抗を自動的に変化させることは、第2の抵抗の所望の値が、ADCに到達する信号の部分が所望の所定の電圧の所定の範囲内にあるように見出されるまでである。動作中、較正後、マイクロコントローラユニットは、第2の抵抗を所望の値に設定するように構成される;信号発生器は、電気信号を規則的に生成するように構成され、電気信号は、少なくとも1つの可変整合抵抗器を介して電気接合部へ、電気接合部からADCへ、および電気接合部から感知抵抗器を介して電気接地へ伝わるように構成され、その結果、ADCに到達する信号の一部は、感知抵抗器の第1の抵抗に依存する。したがって、ADCに到達する信号の部分を処理して、感知ゾーン上の閾値重みの有無を識別することができる。
【0019】
変形形態では、少なくとも1つの可変整合抵抗器は、直列の2つの可変整合抵抗器を備え、2つの可変整合抵抗器の各々は、マイクロコントローラユニットによって独立して制御されるそれぞれの第2の抵抗を有する。MCUは、少なくとも1つの可変整合抵抗器の第2の抵抗を、第2の抵抗のうちの第1の抵抗を第1の所望の値に到達するように変化させ、それによって、ADCに到達する信号の部分が、第1の抵抗のうちの第2の抵抗を固定したまま、所望の電圧の所定の粗い範囲内の電圧を有する;第2の抵抗のうちの第1の抵抗を第1の所望の値に固定して維持し、第2の抵抗のうちの第2の抵抗を第2の所望の値に達するように変更し、それによって、ADCに到達する信号の部分は、所望の電圧の所定の範囲内の電圧を有し、所定の範囲は、粗い所定の範囲よりも小さい。動作中、マイクロコントローラユニットは、第2の抵抗のうちの第1の抵抗を脆弱な所望の値に設定し、第2の抵抗のうちの第2の抵抗を第2の所望の値に設定するように構成される。
【0020】
別の変形形態では、感圧パッドは、少なくとも1つの可変抵抗器と直列の第3の抵抗器をさらに備え、第3の整合抵抗器は固定抵抗を有する。
【0021】
さらに別の変形形態では、動作中、MCUは、以下によって、較正が有効であるかどうかを判定するようにさらに構成される:(i)期間を開始するステップと、(ii)期間の終わりに、第1のチェックを実行することは、較正後の期間中のADCにおける電圧の測定値が所定の所望の電圧を充分に上回っているかどうかを判定することである;(iii)ステップ(ii)のチェックが肯定的である場合、第1の所望の値を増加させ、(i)からの全てのステップを繰り返す;(iv)ステップ(iii)のチェックが否定的であり、期間の終了時に、第2のチェックを実行することは、較正後の期間中のADCにおける電圧の測定値が常に0Vに充分に近かったかどうかを判定することである;(v)ステップ(iv)のチェックが肯定的である場合、第1の所望の値を減少させ、(i)からのすべてのステップを繰り返す;(vi)ステップ(iv)のチェックが否定的である場合、較正が正しかったと判定する。
【0022】
MCUは、ステップ(vi)を実行した後、(i)からのすべてのステップを繰り返すようにさらに構成され得る。
【0023】
本発明のいくつかの実施形態の別の態様は、マットレスの下に配置されるように構成され、マットレス上の閾値重量の有無を識別するように構成された感圧パッドを較正するための方法に関する。この方法は、以下を含む:(i)次のものを提供する:電気信号を生成するように構成された信号発生器と、感知ゾーンに加えられる圧力に応じて変化する第1の抵抗を有する感知抵抗器を有する感知ゾーンと、感知抵抗器および信号発生器と直列の少なくとも1つの可変整合抵抗器であって、可変整合抵抗器が第2の抵抗を有する、可変整合抵抗器;感知抵抗器と少なくとも1つの可変整合抵抗器との間の電気接合部において信号の一部を受信し測定するように構成されたアナログデジタル変換器(ADC)を有するマイクロコントローラユニット(MCU)であって、少なくとも1つの可変整合抵抗器の第2の抵抗を制御するように構成される、マイクロコントローラユニット(MCU)と、(ii)感知ゾーンを電気的接地に接続するステップと、マットレスに追加の重量をかけることなくマットレスの下に感知ゾーンを配置すること;信号発生器を介して電気信号を生成するステップと、(v)ADCに到達する電気信号の一部をADCによって自動的に測定するステップと、(vi)マイクロコントローラユニットを介して少なくとも1つの可変整合抵抗器の第2の抵抗を自動的に変化させることは、第2の抵抗の所望の値が、ADCに到達する信号の部分が所望の所定の電圧の所定の範囲内にあるように見出されるまでである。
【0024】
変形形態では、少なくとも1つの可変整合抵抗器を設けることは、2つの可変整合抵抗器を直列に設けることを含み、2つの可変整合抵抗器の各々は、マイクロコントローラユニットによって独立して制御されるそれぞれの第2の抵抗を有する。少なくとも1つの可変整合抵抗器の第2の抵抗を自動的に変更することは、以下を含む:第2の抵抗の可溶性を変化させて可溶性の所望の値に到達させ、それにより、ADCに到達する信号の一部分は、第1の抵抗の第2の抵抗を固定したまま、所望の電圧の所定の粗い範囲内の電圧を有する;第2の抵抗のうちの第1の抵抗を第1の所望の値に固定して維持し、第2の抵抗のうちの第2の抵抗を第2の所望の値に達するように変更し、それによって、ADCに到達する信号の部分は、所望の電圧の所定の範囲内の電圧を有し、所定の範囲は、粗い所定の範囲よりも小さい。
【0025】
本発明のいくつかの実施形態のさらに別の態様は、マットレスの下に配置されるように構成され、マットレス上の閾値重量の有無を識別するように構成された感圧パッドを操作する方法に関する。この方法は、以下を含む:上述のように感圧パッドを較正する;マイクロコントローラユニットを介して第2の抵抗を所望の値に設定するステップと、少なくとも1つの可変整合抵抗器を介して電気接合部へ、電気接合部からADCへ、および電気接合部から感知抵抗器を介して電気接地へ移動するように構成された電気信号を生成するステップであって、ADCに到達する信号の一部が感知抵抗器の第1の抵抗に依存するようにするステップと、ADCに到達する信号の部分を処理して、感知ゾーン上の閾値重みの有無を識別する。
【0026】
変形形態では、少なくとも1つの可変整合抵抗器を設けることは、2つの可変整合抵抗器を直列に設けることを含み、2つの可変整合抵抗器の各々は、マイクロコントローラユニットによって独立して制御されるそれぞれの第2の抵抗を有する。少なくとも1つの可変整合抵抗器の第2の抵抗を自動的に変更することは、以下を含む:第2の抵抗のうちの第1の抵抗を第1の所望の値に到達するように変化させ、それによって、ADCに到達する信号の部分が、第1の抵抗のうちの第2の抵抗を固定したまま、所望の電圧の所定の粗い範囲内の電圧を有する;第2の抵抗のうちの第1の抵抗を第1の所望の値に固定して維持することと、第2の抵抗のうちの第2の抵抗を第2の所望の値に達するように変更することであって、それによって、ADCに到達する信号の部分が、所望の電圧の所定の範囲内の電圧を有し、所定の範囲が粗い所定の範囲よりも小さい、変更することと、マイクロコントローラユニットを介して第2の抵抗を所望の値に設定することは、第2の抵抗のうちの第1の抵抗を第1の所望の値に設定することと、第2の抵抗のうちの第2の抵抗を第2の所望の値に設定することとを含む。
【0027】
別の変形形態では、本方法は、以下によって較正が有効であるかどうかを判定するステップをさらに含む:(a)期間を開始するステップと、(b)期間の終わりに、第1のチェックを実行することは、較正後の期間中のADCにおける電圧の測定値が所定の所望の電圧を充分に上回っているかどうかを判定することである;(c)ステップ(b)のチェックが肯定的である場合、第1の値を増加させ、(a)からの全てのステップを繰り返す;(d)ステップ(c)のチェックが否定的であり、期間の終了時に、第2のチェックを実行することは、較正後の期間中のADCにおける電圧の測定値が常に0Vに充分に近かったかどうかを判定することである;(e)ステップ(d)のチェックが肯定的である場合、所望の値を減少させ、(a)からの全てのステップを繰り返す;(f)ステップ(d)のチェックが否定的である場合、較正が正しかったと判定する。
【0028】
変形形態では、本方法は、ステップ(f)の後に、以下のステップをさらに含む:工程(a)からの全ての工程を繰り返す。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】
図1は、従来技術で知られているマットレス下感圧パッドの回路図である。
【
図2】
図2は、本発明者らによって発見されたように、異なる無負荷抵抗値を有する従来技術のマットレス下感圧パッドの応答曲線のグラフである。
【
図3】
図3は、本発明のいくつかの実施形態による、MCUによって制御される少なくとも1つの可変抵抗器を有する適応型分圧器を備えたマットレス下感圧パッドの回路図である。
【
図4】
図4は、本発明のいくつかの実施形態による、異なる無負荷抵抗値および適応分圧器を有するマットレス下感圧パッドの応答曲線のグラフである。
【
図5】
図5は、本発明のいくつかの実施形態による、単一の可変抵抗器を有するADCにおける所定の所望の電圧のバイナリ探索を示すグラフである。
【
図6】
図6は、本発明のいくつかの実施形態による、2つの可変抵抗器を有するADCにおける所定の所望の電圧のバイナリ探索を示すグラフである。
【
図7】
図7は、本発明のいくつかの実施形態による、適応分圧器を用いて、マットレス下感圧パッドを較正および使用するための方法のフローチャートである。
【
図8】
図8は、本発明のいくつかの実施形態による、マットレス下感圧パッドの不正確な較正を調整するための方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
時々、本発明は、例示的な環境に関して本明細書で説明される。これらの環境に関する説明は、本発明の種々の特徴および実施形態が例示的用途の文脈において描写されることを可能にするために提供される。この説明を読んだ後、当業者には、本発明が異なる環境および代替環境においてどのように実装され得るかが明らかになるであろう。
【0031】
別段の定義がない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって通常理解されるのと同じ意味を有する。本明細書で言及される全ての特許、出願、公開出願および他の刊行物は、その全体が参照により組み込まれる。本節に記載される定義が、参照により本明細書に組み込まれる出願、公開出願、および他の刊行物に記載される定義に反するか、または別様に矛盾する場合、本文書に記載される定義は、参照により本明細書に組み込まれる定義に優先する。
【0032】
図3は、本発明のいくつかの実施形態による、MCUによって制御される少なくとも1つの可変抵抗器を有する適応型分圧器を形成するマットレス下感圧パッド200の回路図である。
【0033】
感圧パッド200は、信号発生器202と、感知ゾーンと、少なくとも1つの可変整合抵抗器と、アナログデジタル変換器(ADC)206を有するマイクロコントローラユニット(MCU)204とを含む。
【0034】
信号生成器202は、所定の電圧(Vin)を有する電気信号を生成するように構成される。感知ゾーンは、感知ゾーンに加えられる圧力に応じて変化する第1の抵抗RSENSE を有する感知抵抗器を有する。より具体的には、抵抗RSENSEは、感知ゾーンにかかる圧力が増加するにつれて減少する。
【0035】
可変整合抵抗器は、感知抵抗器および信号発生器202と直列である。各可変整合抵抗はMCU204によって制御される。1つの可変抵抗器が存在する実施形態では、可変整合抵抗器は第2の抵抗Rwiper0を有する。本発明のいくつかの実施形態では、複数の可変整合抵抗器が存在する。非限定的な例では、第2の抵抗Rwiper0およびRwiper1をそれぞれ有する2つの可変整合抵抗器が存在する。本発明のいくつかの実施形態では、抵抗R1を有する固定抵抗器も存在する。言い換えれば、整合抵抗器装置203は、第1の抵抗RSENSEを有する感知抵抗器と直列に配置される。整合抵抗器装置203は、各々がMCUによって制御される1つ以上の可変整合抵抗器と、任意選択で1つ以上の固定抵抗器とを含む。
【0036】
非限定的な例では、信号発生器によって生成され、約3.3Vの電圧を有する信号について、2つの可変整合抵抗器は、512ステップで0~200kオームの調整範囲を可能にするために、100kオームポテンショメータチップであるように選択された。抵抗R1を有する固定抵抗器は、ポテンショメータが回路に対して最大の影響を有することを可能にするように小さい(lkオーム)ように選択された。整合抵抗器装置203内の可変整合抵抗器および固定抵抗器の数、種類、および抵抗値、ならびに信号発生器202によって生成される信号の電圧は、本発明の精神から逸脱することなく、パッドの異なる要件に従って変更することができることに留意されたい。
【0037】
ポテンショメータチップをSPIデータバスを介してMCUに接続した。これは、マイクロコントローラが、単一のデータコマンドで両方のポテンショメータを任意の利用可能な増分に調整することを可能にし、それによって、正しい値の発見を高速化する。これはまた、アップ/ダウンポテンショメータチップを使用して達成され得るが、ポテンショメータを既知の良好な状態にし、正しい値を突き止めるためにより長い探索時間を必要とする論理の増加をもたらす。
【0038】
マイクロコントローラユニット(MCU)204は、感知抵抗器と整合抵抗器装置203との間の電気接合部208で信号の一部を受信して測定するように構成されたアナログデジタル変換器(ADC)206を有する。MCU204は、少なくとも1つの可変整合抵抗器の第2の抵抗を制御するように構成される。
【0039】
ここで
図7を参照すると、本発明のいくつかの実施形態による、
図1の適応分圧器を有するマットレス下感圧パッドを較正および使用するための方法のフローチャート700が示される。
【0040】
702において、上述のように、信号発生器、感知ゾーン、ADCを有するMCU、及び整合抵抗器装置が提供される。
【0041】
704において、感知ゾーンはマットレスの下に配置される。
【0042】
706において、感知ゾーンは、電気接地に電気的に接続される。
【0043】
708において、所定の電圧を有する電気信号が信号発生器を介して生成される。
【0044】
710において、ADCは、ADCに到達する電気信号の一部を自動的に測定する。
【0045】
712において、整合抵抗器装置の全体的な抵抗は、整合抵抗器装置の所望の値が見つかるまで、MCUによって自動的に変更され、その結果、ADCに到達する信号の部分は、所望の所定の電圧の所定の範囲内にある。
【0046】
本発明のいくつかの実施形態では、整合抵抗装置は、1つの可変抵抗器を含む。これらの実施形態では、可変整合抵抗器の抵抗は、ADCにおける信号の電圧を所望の範囲内で所定の所望の電圧にするために変更される。
【0047】
本発明のいくつかの実施形態では、整合抵抗装置は、直列に2つの可変抵抗器を含む。抵抗Rwiper0を有するものおよび抵抗Rwiper1を有するもの(
図3に示す)。そのような実施形態では、Rwiper0およびRwiper1の両方は、ADCにおける信号の電圧を所望の範囲内から所定の所望の電圧にするために、MCUによって互いに独立して変更される。本発明のいくつかの実施形態では、Rwiper0は、ADCにおける信号の電圧が所定の所望の電圧の粗い範囲内にあるRwiper0の値が見出されるまで、初期抵抗に固定されたRwiper1を維持しながら変更される。次いで、Rwiper0は、以前に見出された値に維持され、Rwiper1は、ADCにおける電圧を所定の所望の電圧の微細な範囲内の所定の所望の電圧にさらに近づけるように微調整される。細かい範囲は粗い範囲よりも小さい。これにより、整合電圧および所望の値により近いVoutの最終値(ADCで測定される電圧)のより良好な制御が可能になる。
【0048】
714において、較正が完了した後、マイクロコントローラユニットは、整合抵抗器装置203(
図3)の第2の抵抗を較正中に見出された値に設定するように構成される。
【0049】
716において、信号発生器は、整合抵抗器装置を介して電気接合部へ、電気接合部からADCへ、および電気接合部から感知抵抗器を介して電気接地へ移動するように構成された電気信号を定期的に生成するように構成され、その結果、ADCに到達する信号の一部は、感知抵抗器の第1の抵抗に依存する。
【0050】
718において、ADCに到達する信号の部分は、感知ゾーン上の閾値重みの有無を識別するために処理される。
【0051】
本発明のいくつかの実施形態では、720において、マイクロコントローラユニットは、感度の高いゾーンパッドが劣化している可能性がある期間の後、較正が正しく実行されたか、または有効であるかどうかをチェックするように構成される。このチェックは、パッドの動作の初期期間中に、周期的に、または連続的に実行され得る。較正が誤って(以下で
図8を参照してさらに説明する)実行されたことを示すいくつかの条件が満たされる場合、MCUは、パッドの使用中に、較正を補正するために、整合抵抗器装置203(
図3)の第2の抵抗を経時的に変化させるように構成される。
【0052】
図4は、本発明のいくつかの実施形態による、異なる無負荷抵抗値および適応分圧器を有するマットレス下感圧パッドの応答曲線のグラフである。
【0053】
分圧器内の整合抵抗器は、所望の理想値を選択するために、パッド較正段階中に整合抵抗を調整することを可能にする。これは、適応回路を作成することによって、感知ゾーンのセンサ材料の変動を軽減するのに役立つ。これは、
図2で使用したのと同じ2つのパッドに適用され、
図4に見られる応答曲線をもたらした。
【0054】
図4の応答曲線122および124は、互いにほぼ同じであることが容易に分かる。曲線122および124はまた、両方とも、ADC最大読み取り線120にかなり近づくように持ち上げられる。この垂直シフトは、部分的に、上述した動的抵抗較正によるものである。
【0055】
垂直シフトはまた、MCUの基準電圧(ADC Max電圧)を所望のレベルまで低下させることによって補助される。例えば、信号発生器によって生成される信号の電圧が3.3Vである場合、選択される基準電圧は、約1Vに下げられ得る。ADC最大ラインは下方にシフトされる。
【0056】
これは単独では問題を解決しないが、適応分圧器の動的抵抗較正が応答曲線を動的に調整するためにより大きい動作範囲を有することを可能にする。
【0057】
実施例として、ADCにおける電圧が、無負荷RSENSEおよびRwiper0(単一の整合抵抗器が存在する実施形態では、)の異なる組み合わせについて測定される、表1の値を参照する。目標が、RSENSEが整合抵抗よりもはるかに高いときのADCにおける最大電圧である3.3ボルトのVrefを達成することである場合、これらのVref値は全て、表の左上部分にクラスタ化される。したがって、RSENSEが30kオームを上回る場合、Rwiper0は、応答曲線がVrefに上昇し、パッドの感度を増加させるために、1kオームと2kオームとの間でのみ変化することができる。Rwiper0のより高い値は、無負荷RSENSEのより低い値を補完して応答曲線を約3.3Vに達するようにシフトさせることができない。
【0058】
代わりに、目標Vrefが約1ボルトである場合、1V値が我々の表の中心を通過し、目標電圧に到達するより良好な機会を与えることが表から分かる。したがって、RSENSEが30kOhmを下回る(500Ohmまで低下する)場合であっても、Rwiper0を100kOhmまで上げて応答曲線をVrefに近づけることができ、したがってより高い感度を維持することができる。
【0059】
【0060】
図5および6は、ADCにおける所定の所望の電圧のバイナリ探索を指す。
図5は、本発明のいくつかの実施形態による、単一の可変抵抗器を有するADCにおける所定の所望の電圧のバイナリ探索を示すグラフである。
図6は、本発明のいくつかの実施形態による、2つの可変抵抗器を有するADCにおける所定の所望の電圧のバイナリ探索を示すグラフである。
【0061】
いくつかの実施形態では、1つ以上の可変整合抵抗器は、較正におけるADCにおける所定の所望の電圧を見つけるために、バイナリ検索技法を介して変更される。
【0062】
バイナリ検索は、アレイの中央の要素を目標値と比較することによって開始する。目標値が要素と一致する場合、配列内のその位置が返される。目標値が要素未満である場合、検索は配列の下半分で継続する。目標値が要素よりも大きい場合、検索は配列の上半分で継続する。こうすることで、バイナリサーチ技術は、各反復において目標値が存在できない半分を排除する。
【0063】
バイナリ探索の上記の説明は、ソートされたアレイポテンショメータステップの代わりに使用され、「目標値」がADCによって返される電圧であることを除いて、本発明のADCにおける所望の電圧の探索に適用可能である。
【0064】
較正サイクルの開始時に、全ての可変整合抵抗器は、それらの中間点に設定され、既知の良好な状態を確立し、次のステップに備える。次いで、MCUは、約1Vの、または1Vのある範囲(例えば±0.1V)内の目標ADC値を確立するために、バイナリ探索の実行を開始する。
【0065】
このプロセスは、第1の可変整合抵抗器に対して実行され、その所望の抵抗を決定する。これが完了すると、回路内に存在する場合、追加の可変整合抵抗器が各々反復されて、それらの所望の値を見つける。
【0066】
より単純な単一のポテンショメータの実装例を
図5に見ることができる。較正サイクルの開始時(マーカーA1によって指定される)に、ポテンショメータをその中点値(100kオーム)に設定する。次いで、Rwiper0を変更して、ADCで測定される電圧を8つのステップで(0.9±0.1)V(すなわち、1Vの所望の値の0.1V以内である)の所望の値に絞り込むバイナリ探索が実行される。この場合、バイナリサーチは約12msで完了した。
【0067】
比較のために、
図6は、デュアル可変整合抵抗器を用いて実施されるポテンショメータ較正中のMCUからポテンショメータへの信号を示す。各信号パルスは、上述のバイナリ探索技法に従って抵抗を増加または減少させるようにそれぞれのポテンショメータに命令した結果である。単一の信号は、センサ回路が通電されるときに0Vからの急激な増加時に開始し、正の値に達し、正の値で平坦化し、その時点で較正論理はバイナリ探索のためにその読み取り値をとる。センサ回路は、次いで、通電を切られ、信号は、正の値から0Vに急激に減少するが、ポテンショメータは、較正プロセスの次のステップのために調整される。
【0068】
再び、両方の整合抵抗器の中間点が設定され、図の上部のタイムスケールを使用して、Rwiper0バイナリ検索は、時間6.085秒で開始し、時間6.094秒で終了する(合計9ms)。次いで、Rwiper0を第1のバイナリ検索において見出された値に維持すると、Rwiper1のバイナリ検索は、次いで、時間6.095秒で開始し、時間6.105秒までに完了する(さらに合計10msの間)。
【0069】
このダブルポテンショメータ較正値探索の終わりに、ADC電圧における電圧は0.9947ボルトであり、これは20msの期間内に1ボルトの目標のすぐ下にある。単一ポテンショメータ探索と比較すると、このシステムをデュアルポテンショメータ構成として実装すると、より長い較正時間を犠牲にしてより正確な最終電圧が得られることが分かる。この時間は依然としてエンドユーザが観察できないほど小さいので、トレードオフは非常に良い。加えて、第2のポテンショメータを含めることによって、回路は、はるかに広い範囲の圧力応答曲線に調整することが可能になり、回路は、パッドの製造プロセス中に生成される変動のより大きな許容範囲に対応することが可能になる。
【0070】
本発明者らによって実施された予備試験では、目盛り付きの重りを感圧インク上に直接置いた。これらの試験を、本発明の可変整合抵抗器なしで、かつADCの電圧を所望の目標に設定することなく行った場合、パッドの反応の測定可能な差を見る前に添加しなければならなかった最小重量は100グラムであった。
【0071】
1ボルトのターゲットを有する新しいデュアルポテンショメータ回路を使用してこの正確な試験を再度実施すると、本発明者らは、パッドの反応における測定可能な差異を見出す前に加えるべき最小重量が今や1グラムであることを見出した。
【0072】
この試験は、パッドの材料およびパッドの回路の重量応答を測定した。この試験は、本発明の回路が以前に使用されたパッド回路よりもはるかに良好な忠実度を有することを証明した。
【0073】
図8は、本発明のいくつかの実施形態による、マットレス下感圧パッドの不正確な較正を調整するための方法のフローチャートである。
【0074】
パッドは、マットレスが感知ゾーンの上方にある状態でのみ使用前に較正されることを意味する。しかしながら、本発明者らによる現場試験は、パッドが使用前に正しく較正されなかったことがあり、またはユーザが使用前にパッドを較正することを忘れることがあると結論付けた。
【0075】
例として、スタッフメンバーが使用前にマットレス上の患者でパッドを較正した場合、使用中にパッドは余分な重いマットレスを検出し、ベッドからの患者の退出を見逃す。逆に、使用前にスタッフがマットレスなしでパッドを較正した場合、使用中、マットレスの重量はパッドに対する人の重量としてパッドによって検出され、患者がベッド上にあるときでさえもパッドにベッドからの患者の退出を検出させ得る。
【0076】
新しい電位差計ベースの較正システムでは、較正後に新しいチェックを行って、初期較正が正しかったかどうかを判定することができる。
【0077】
本発明のパッドでは、患者を伴わないマットレスは、パッドに、ADCにおいて所定の電圧(例えば、1ボルト)の信号を発生させるべきであり、患者を伴うマットレスは、パッドに、ADCにおいて0ボルトに近い(しかし、0ボルトではない)信号を発生させるべきである。
【0078】
これは、1ボルトを上回る読み取り値が、ある期間にわたってADCにおいて一貫して測定される場合、過剰な重量がパッドから除去されていることを意味する。これは、おそらく、較正中にマットレス上に人を置くことによって誤較正されたパッドの指標である。
【0079】
他方、約0ボルトの読み取り値が一定期間にわたってADCで一貫して測定される場合、パッドに過剰な重量が加わっている。これは、おそらく、較正中にマットレスを感知ゾーン上に配置しないことによって誤較正されたパッドの指標である。
【0080】
上述の潜在的な誤較正を検出した後、上記シナリオ(約IVまたは0Vの電圧)の両方が短期間にわたって合法的に生じ得るので、可変整合抵抗器をあまりにも多くまたはあまりにも迅速に調整することは望ましくない。例えば、ADCにおける電圧は、シートが交換されるときにマットレスが持ち上げられる場合、短時間の間、IVを上回り得る。または、ADCにおける電圧は、患者に加えてベッドに座っている別の人などの体重がマットレス上に置かれる場合、0であり得る。
【0081】
これに対処するために、本発明のいくつかの実施形態では、較正が完了した後、上述のシナリオが生じる場合、可変整合抵抗器装置の電圧は、数分ごとに1ステップだけ変化させられ、ADCの電圧を変化させ、ADCにおける電圧を所望の範囲内にする。本発明者らによる試験中、これは、(生じた誤較正のタイプに基づいて)圧力がパッドに加えられたかまたはパッドから除去された後30分以内に典型的にそれ自体を固定する誤較正パッドをもたらした。
【0082】
したがって、800において、較正後、ADCにおける電圧は、ある期間にわたって数回にわたって測定される。期間は、例えば、数分、例えば、2分、3分、5分、または6分などであり得る。任意の長さの期間が本発明の範囲内であることに留意されたい。
【0083】
802において、期間中のADCにおける電圧の測定値が所定の所望の電圧(例えば、0.1V超が1V超である)を充分に上回っているかどうかを決定するためのチェックが行われる。「持続的に」は、40%以上、50%以上など、先験的に選択された測定値の任意の選択された割合として定義され得る。この場合、整合抵抗装置の抵抗が804で増加され、新しい期間が開始される。
【0084】
期間中のADCにおける電圧の測定値が、802において所定の所望の電圧を充分に上回っていない場合、806において、ADCにおける電圧の測定値が期間中に常に0Vに近い(例えば、0.1V未満)かどうかを決定するための新しいチェックが行われる。「持続的に」は、40%以上、50%以上など、先験的に選択された測定値の任意の選択された割合として定義され得る。この場合、808において整合抵抗装置の抵抗が減少し、新たな期間が開始される。
【0085】
806において、期間中のADCにおける電圧の測定値が0Vに充分に近くない場合、810において、較正が正しいと判定される。
【0086】
サブ方法720の使用は、較正のみの後の期間またはユーザ活動が検出されたときに限定されないことに留意されたい。実際、経時的に、パッドの感知ゾーンの可変抵抗材料は、劣化し、圧力に対する感受性が低くなることがあり、それによって、人がマットレス上にいるときでさえ、マットレスから人がいないことを示す測定値を生成する。したがって、サブ方法720は、初期較正の妥当性を査定し、パッドの感知ゾーンの材料の劣化を補正するために、周期的または連続的に使用されてもよい。ステップ810からステップ800に戻る点線矢印は、較正が前のサイクルで正しいとみなされた後でさえ、サブ方法720が周期的または連続的に実行される実施形態を示す。
【0087】
本発明は、さまざまな例示的な実施形態および実装形態に関して上述されているが、個々の実施形態の1つまたは複数において説明されるさまざまな特徴、態様、時間測定値、および機能は、それらの適用性において、それらが説明される特定の実施形態に限定されるのではなく、代わりに、単独で、またはさまざまな組合せで、本発明の他の実施形態の1つまたは複数に適用され得ることを理解されたい。そのような実施形態が説明されるか否か、およびそのような特徴が説明される実施形態の一部として提示されるか否か。したがって、本発明の広さおよび範囲は、上述の例示的な実施形態のいずれによっても限定されるべきではない。
【国際調査報告】