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特表2024-523592飲料品質及び迅速なプルダウン時間に対して最適化された飲料冷却器に対する制御方式
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  • 特表-飲料品質及び迅速なプルダウン時間に対して最適化された飲料冷却器に対する制御方式 図1
  • 特表-飲料品質及び迅速なプルダウン時間に対して最適化された飲料冷却器に対する制御方式 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-28
(54)【発明の名称】飲料品質及び迅速なプルダウン時間に対して最適化された飲料冷却器に対する制御方式
(51)【国際特許分類】
   F25D 11/00 20060101AFI20240621BHJP
   A23L 3/36 20060101ALN20240621BHJP
【FI】
F25D11/00 101J
F25D11/00 101W
A23L3/36 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023579746
(86)(22)【出願日】2022-07-11
(85)【翻訳文提出日】2024-01-16
(86)【国際出願番号】 US2022036675
(87)【国際公開番号】W WO2023283483
(87)【国際公開日】2023-01-12
(31)【優先権主張番号】63/220,360
(32)【優先日】2021-07-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513217403
【氏名又は名称】フォノニック インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ヤダブ アブヒシェク
(72)【発明者】
【氏名】エドワーズ ジェシー
(72)【発明者】
【氏名】ニューマン デボン
(72)【発明者】
【氏名】ニカ シンバーシュ
【テーマコード(参考)】
3L045
4B022
【Fターム(参考)】
3L045AA02
3L045BA01
3L045CA02
3L045DA02
3L045DA04
3L045DA05
3L045LA02
3L045MA02
3L045MA12
3L045PA01
3L045PA04
4B022LA08
4B022LB09
4B022LF02
4B022LP01
4B022LT06
(57)【要約】
アクティブ冷却容器に対するシステム及び方法であって、電源サブシステム、アクティブ冷却サブシステム、及び制御サブシステムを含むシステム及び方法が提供される。いくつかの実施形態では、制御サブシステムは、さらなる冷却が必要であると判定することと、アクティブ冷却サブシステムに、アクティブ冷却容器を下限値未満まで冷却させることと、さらなる冷却を終了すると判定することと、アクティブ冷却サブシステムに、アクティブ冷却容器を下限値以上に冷却させることと、を行うように構成されている。このようにして、迅速なクールダウン時間と、製品負荷(たとえば、飲料)を(たとえば、凍結によって)損傷させないことと、との間の最良のバランスが達成される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクティブ冷却容器であって、
電源サブシステムと、
アクティブ冷却サブシステムと、
制御サブシステムと、を含み、
前記制御サブシステムは、
さらなる冷却が必要であると判定することと、
それに応じて、前記アクティブ冷却サブシステムに、前記アクティブ冷却容器を下限値未満まで冷却させることと、
前記さらなる冷却を終了することを決定することと、
それに応じて、前記アクティブ冷却サブシステムに、前記アクティブ冷却容器を前記下限値以上に冷却させることと、を行うように構成されている、前記アクティブ冷却容器。
【請求項2】
前記さらなる冷却が必要であると判定するように構成されていることは、前記アクティブ冷却容器にさらなる製品が加えられたことを判定するように構成されていることを含む、請求項1に記載のアクティブ冷却容器。
【請求項3】
前記アクティブ冷却サブシステムに、前記アクティブ冷却容器を前記下限値未満まで冷却させるように構成されていることは、前記アクティブ冷却サブシステムに、前記アクティブ冷却容器をゼロ℃未満まで冷却させるように構成されていることを含む、請求項1~2のいずれかに記載のアクティブ冷却容器。
【請求項4】
前記さらなる冷却を終了することを決定するように構成されていることは、扉オープン事象が起こったと判定するように構成されていることを含む、請求項1~3のいずれかに記載のアクティブ冷却容器。
【請求項5】
前記さらなる冷却を終了することを決定するように構成されていることは、タイムアウト事象が起こったと判定するように構成されていることを含む、請求項1~4のいずれかに記載のアクティブ冷却容器。
【請求項6】
前記タイムアウト事象の長さは、前記アクティブ冷却容器内の製品が損なわれないような長さである、請求項1~5のいずれかに記載のアクティブ冷却容器。
【請求項7】
前記タイムアウト事象の長さは、前記アクティブ冷却容器内の製品が凍結されないような長さである、請求項1~6のいずれかに記載のアクティブ冷却容器。
【請求項8】
前記タイムアウト事象の長さは、前記アクティブ冷却容器の周囲温度に基づく、請求項1~7のいずれかに記載のアクティブ冷却容器。
【請求項9】
前記アクティブ冷却容器の前記周囲温度が低くなると、前記タイムアウト事象の長さは長くなる、請求項8に記載のアクティブ冷却容器。
【請求項10】
前記アクティブ冷却サブシステムは、1つ以上の熱電冷却器を含む、請求項1~9のいずれかに記載のアクティブ冷却容器。
【請求項11】
アクティブ冷却容器を制御する方法であって、
さらなる冷却が必要であると判定することと、
それに応じて、アクティブ冷却サブシステムに、前記アクティブ冷却容器を下限値未満まで冷却させることと、
前記さらなる冷却を終了することを決定することと、
それに応じて、前記アクティブ冷却サブシステムに、前記アクティブ冷却容器を前記下限値以上に冷却させること、を含む前記方法。
【請求項12】
前記さらなる冷却が必要であると判定することは、前記アクティブ冷却容器にさらなる製品が加えられたと判定することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記アクティブ冷却サブシステムに、前記アクティブ冷却容器を前記下限値未満まで冷却させることは、前記アクティブ冷却サブシステムに、前記アクティブ冷却容器をゼロ℃未満まで冷却させることを含む、請求項11~12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
前記さらなる冷却を終了することを決定することは、扉オープン事象が起こったと判定することを含む、請求項11~13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
前記さらなる冷却を終了することを決定することは、タイムアウト事象が起こったと判定することを含む、請求項11~14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
前記タイムアウト事象の長さは、前記アクティブ冷却容器内の製品が損なわれないような長さである、請求項11~15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
前記タイムアウト事象の長さは、前記アクティブ冷却容器内の製品が凍結されないような長さである、請求項11~16のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
前記タイムアウト事象の長さは、前記アクティブ冷却容器の周囲温度に基づく、請求項11~17のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
前記アクティブ冷却容器の前記周囲温度が低くなると、前記タイムアウト事象の長さは長くなる、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記アクティブ冷却サブシステムは、1つ以上の熱電冷却器を含む、請求項11~19のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、仮特許出願第63/220,360号(2021年7月9日に出願)の利益を主張する。なお、この開示はその全体において参照により本明細書に組み込まれている。
【0002】
本開示は、アクティブ冷却容器に関連するシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
食料品、サプライチェーン、デリバリー、及び他の生鮮食料品のコールドチェーン用途における冷蔵製品貯蔵に対する現在の方法は、相変化材料(すなわち「氷」パック:パラフィン、水氷、グリコール、ドライアイスなど)である。冷蔵スペースに商品が加えられたら、これらの商品から熱を除去する必要がある。冷却製品貯蔵に対するシステム及び方法の改善が必要である。
【発明の概要】
【0004】
アクティブ冷却容器に対するシステム及び方法であって、電源サブシステムと、アクティブ冷却サブシステムと、制御サブシステムとを含むシステム及び方法が提供される。いくつかの実施形態では、制御サブシステムは、さらなる冷却が必要であると判定することと、アクティブ冷却サブシステムに、アクティブ冷却容器を下限値未満まで冷却させることと、さらなる冷却を終了すると判定することと、アクティブ冷却サブシステムに、アクティブ冷却容器を下限値以上に冷却させることと、を行うように構成されている。このようにして、迅速なクールダウン時間と、製品負荷(飲料)を凍結によって損傷させないことと、の間の最良のバランスが達成される。
【0005】
いくつかの実施形態では、さらなる冷却が必要であると判定することは、アクティブ冷却容器にさらなる製品が加えられたと判定することを含む。
【0006】
いくつかの実施形態では、アクティブ冷却サブシステムに、アクティブ冷却容器を下限未満まで冷却させることは、アクティブ冷却サブシステムに、アクティブ冷却容器をゼロ℃未満まで冷却させることを含む。
【0007】
いくつかの実施形態では、さらなる冷却を終了することを決定することは、扉オープン事象が起こったと判定することを含む。
【0008】
いくつかの実施形態では、さらなる冷却を終了することを決定することは、タイムアウト事象が起こったと判定することを含む。
【0009】
いくつかの実施形態では、タイムアウト事象の長さは、アクティブ冷却容器内の製品が損なわれないような長さである。
【0010】
いくつかの実施形態では、タイムアウト事象の長さは、アクティブ冷却容器内の製品が凍結されないような長さである。
【0011】
いくつかの実施形態では、タイムアウト事象の長さは、アクティブ冷却容器の周囲温度に基づく。
【0012】
いくつかの実施形態では、アクティブ冷却容器の周囲温度が低くなると、タイムアウト事象の長さが長くなる。
【0013】
いくつかの実施形態では、アクティブ冷却サブシステムは、1つ以上の熱電冷却器を含む。
【0014】
時間ベース(リアルタイム及び経過時間の両方)の制御フィードバック方式を使用して、迅速なクールダウン時間と、製品負荷(飲料)を凍結によって損傷させないこととの間の最良のバランスを実現することができる。これを達成するために、制御システムの動作モードは、プルダウン(highQ)から可変容量(VarQ)または高効率定常状態(HighCOP)モードに直ちに移行するのではなく、代わりに、一時的な中間大容量移行モード(本明細書ではLTSoakと言う)に入る。これにより、実際の設定値を下回る温度でも、製品に対する許容温度範囲内の製品温度において、システムは大容量モードに留まることができる。このモードは、すべてのロードされた製品が所望の温度に到達できるのに十分な時間、動作し、一方で、依然として局所的及び/または全体的な凍結からそれらを保護する。LTSoakモードの完了後、制御システムは、LTSoakが再びトリガされるまで標準モード移行に戻る。
【0015】
当業者であれば、添付図面図に関連して好ましい実施形態の以下の詳細な説明を読んだ後に、本開示の範囲を理解し、そのさらなる態様を実現するであろう。
【0016】
本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する添付図面図は、本開示のいくつかの態様を例示し、説明とともに、本開示の原理を説明する働きをする。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】いくつかの実施形態を使用することができる飲料を貯蔵するための冷蔵庫の例を例示する図である。
図2】本開示のいくつかの実施形態による冷却システムの動作例を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下で述べる実施形態は、当業者が実施形態を実施できるようにするために必要な情報を表し、実施形態を実施する最良の形態を例示する。添付図面図を考慮して以下の説明を読むと、当業者であれば、本開示のコンセプトを理解し、本明細書で特に扱われていないこれらのコンセプトの用途を認識する。これらのコンセプト及び用途は、本開示及び添付の特許請求の範囲に含まれることを理解されたい。
【0019】
飲料は、多くの場合、1~4℃の温度まで冷却され、冷蔵システムの温度が適切に制御されていない場合、製品が凍結する可能性がある。飲料販売者は、多くの場合、最良の製品体験を確実にし、ならびに利益を最大にするために、迅速なクールダウン時間を望む。通常動作の間、特に高容量プルダウン(HighQ)の間、制御デバイス(温度計、サーミスタ、熱電対、RTDなど)は、熱質量の違いにより平均の飲料温度よりも冷たく、それ自体が、冷却されている実際の製品よりも速く定常温度になる。この対立は通常、製品を保護すること及び恒温制御を可能にすることの両方のために、飲料に対する実際のクールダウン時間を長くする。単純な温度オフセットを使用して制御センサと製品負荷との間の温度差を補償する場合、飲料の温度は、局所的及び大量の両方で凍結を下回り、潜在的に製品を損傷させ及び/または販売できなくするリスクがある。
【0020】
時間ベース(リアルタイム及び経過時間の両方)の制御フィードバック方式を使用して、迅速なクールダウン時間と、製品負荷(飲料)を凍結によって損傷させないこととの間の最良のバランスを実現することができる。これを達成するために、制御システムの動作モードは、プルダウン(highQ)から可変容量(VarQ)または高効率定常状態(HighCOP)モードに直ちに移行しない。その代わりに、一時的な中間大容量移行モード(本明細書ではLTSoakと言う)に入る。これにより、実際の設定値を下回る温度でも、製品に対する許容温度範囲内の製品温度において、システムは大容量モードに留まることができる。このモードは、すべてのロードされた製品が所望の温度に到達できるのに十分な時間、動作し、一方で、依然として局所的及び/または全体的な凍結からそれらを保護する。LTSoakモードの完了後、制御システムは、LTSoakが再びトリガされるまで標準モード移行に戻る。
【0021】
コールドチェーンまたは顧客の要求内で内部温度を維持するために、アクティブな熱電冷却(TEC)を備えた冷却器(たとえば、食品または他の生鮮食料品の貯蔵用)を、本明細書で開示する。アクティブなTEC冷却を備えたこの冷却器を、本明細書では「アクティブ冷却器」とも言う。いくつかの実施形態では、アクティブ冷却器を、冷蔵及び冷凍食品、医療用または生物学的製品などの貯蔵及び搬送に使用する。アクティブ冷却器は、壁電源、バッテリ、または無線電力伝送によって電力供給され、安定した均一な温度制御を維持する。
【0022】
図1に、いくつかの実施形態を使用することができる飲料を貯蔵するための冷蔵庫の例を例示する。LTSoakを活用した制御システムの1つの動作例を図示する。本開示は、アクティブ冷却システム、すなわち、取り外し可能または内蔵モジュール内の冷却器内に直接設置された(熱電、蒸気圧縮、スターリングなど)を特徴とする絶縁容器に関する)。図1は、本開示のいくつかの実施形態による、アクティブ冷蔵システムを備えた絶縁容器例を示す。さらなる詳細は、国際特許出願第PCT/US2020/067172号(2020年12月28日に出願)(本開示はその全体において参照により本明細書に組み込まれている)、及び米国特許出願第17/135,420号(2020年12月28日に出願)(本開示はその全体において参照により本明細書に組み込まれている)に見出すことができる。これらは両方とも、仮特許出願第62/953,771号(2019年12月26日に出願)に対する優先権を主張する。
【0023】
いくつかの実施形態では、制御方式は、米国特許出願公開第US2013/0291555号、米国特許出願公開第US2015/0075184号、米国特許第9,581,362号、米国特許第10,458,683号、及び米国特許第9,593,871号に記載された1つ以上の制御方式を含む。なおこれらの文献は、参照により本明細書に組み込まれている。いくつかの実施形態では、熱モジュールに、米国特許第9,144,180号に記載されているようなヒートポンプが含まれる。なおこの文献は、参照により本明細書に組み込まれている。熱抽出(すなわち、熱受け入れ)及び熱遮断のために、熱モジュールは、たとえば、熱受け入れシステム(たとえば、アクティブ冷却器内部からTEC/ヒートポンプの低温側に熱を伝達するための熱サイホンまたは他のパッシブもしくはアクティブな熱交換コンポーネント(複数可))と、熱遮断システム(たとえば、TEC/ヒートポンプの高温側から周囲環境に熱を伝達するための熱サイホンまたは他のアクティブもしくはパッシブな熱交換コンポーネント)とを含んでいてもよい。
【0024】
図2に、本開示のいくつかの実施形態による冷却システムの動作例を例示する。冷蔵キャビネットに暖かい飲料がロードまたはリロードされ、大容量プルダウンモード(HighQ)である場合、制御システムはもはや、標準の可変容量(VarQ)または定常状態の高効率、温度シーク(HighCOP)には直接移行しないが、代わりに、VarQまたはHighCOPモードに移行するための標準の設定値閾値に到達して通過した後、温度低減、高容量ソーク(LTSoak)モードに移行する。いくつかの実施形態では、周囲温度が非常に寒い場合、これはさらに速く移動する。周囲が低くなると、システムはLTSoakに長く留まることができる。LTSoakモードでの熱ポンピングパワーは、HighQモードの場合と同様に一定に保ってもよいし、VarQモードの場合と同様に変更して、制御システムが、実際の設定値を下回る目標温度センサオフセットを探せるようにしてもよい。LTSoak移行モードの継続時間は、固定または可変であってもよく、その決定は、とりわけ、単純なタイムアウト、周囲温度、及びユニット内にロードされた飲料の量によって、またはシステム全体の温度変化率の分析を通して行ってもよい。
【0025】
HighCOPまたはVarQモードの代わりにLTSoakモードで動作することによって、冷蔵庫キャビネット内の飲料を冷却し続けることが、冷蔵システムを低容量モードで抑える代わりにシステムを大容量熱除去モードで長時間、動作させ続けることによって可能となる場合よりも、高速度で行える。これにより、制御センサがターゲット温度に達したときに所望の設定値温度にない残りの製品が、冷蔵システム制御モードを可変容量(VarQ)または高効率定常状態シーク(HighCOP)モードに切り替える前に、所望の設定値までより速く冷却することができ、その結果、効率が最大化し、エネルギー消費量が最小限になる。
【0026】
当業者であれば、本開示の好ましい実施形態に対する改善及び変更を理解する。このような改善及び変更はすべて、本明細書で開示したコンセプト及び以下の特許請求の範囲内であると考えられる。
図1
図2
【国際調査報告】