(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-28
(54)【発明の名称】膜加湿器用カートリッジ、及びそれを含む燃料電池の膜加湿器
(51)【国際特許分類】
H01M 8/04119 20160101AFI20240621BHJP
H01M 8/04 20160101ALI20240621BHJP
H01M 8/10 20160101ALN20240621BHJP
【FI】
H01M8/04119
H01M8/04 N
H01M8/10 101
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023579780
(86)(22)【出願日】2022-07-08
(85)【翻訳文提出日】2023-12-26
(86)【国際出願番号】 KR2022009962
(87)【国際公開番号】W WO2023033341
(87)【国際公開日】2023-03-09
(31)【優先権主張番号】10-2021-0118627
(32)【優先日】2021-09-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518215493
【氏名又は名称】コーロン インダストリーズ インク
(74)【代理人】
【識別番号】100083138
【氏名又は名称】相田 伸二
(74)【代理人】
【識別番号】100189625
【氏名又は名称】鄭 元基
(74)【代理人】
【識別番号】100196139
【氏名又は名称】相田 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100199004
【氏名又は名称】服部 洋
(72)【発明者】
【氏名】イ アリム
(72)【発明者】
【氏名】オ ヨンソク
(72)【発明者】
【氏名】イ ジヨン
【テーマコード(参考)】
5H126
5H127
【Fターム(参考)】
5H126BB06
5H127AA06
5H127AC06
5H127BA02
5H127BA53
5H127BB02
5H127BB34
5H127EE17
(57)【要約】
カートリッジ内に収容される中空糸膜が流体によって損傷されることを防止することができる膜加湿器用カートリッジ、及びそれを含む燃料電池の膜加湿器を開示する。
該膜加湿器用カートリッジは、内部に、第1流体が流動する中空糸膜が収容されるインナーケースと、中空糸膜の末端を固定するポッティング部と、第2流体が流入され、インナーケースの一側に突設された第1メッシュホール部と、第1メッシュホール部を介して流入された第2流体が、中空糸膜を介し、第1流体と水分交換を行った後で排出され、インナーケースの他側に突設された第2メッシュホール部と、を含む。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に、第1流体が流動する中空糸膜が収容されるインナーケースと、
前記中空糸膜の末端を固定するポッティング部と、
第2流体が流入され、前記インナーケースの一側に突設された第1メッシュホール部と、
前記第1メッシュホール部を介して流入された前記第2流体が、前記中空糸膜を介し、前記第1流体と水分交換を行った後で排出され、前記インナーケースの他側に突設された第2メッシュホール部と、を含む、膜加湿器用カートリッジ。
【請求項2】
前記第1メッシュホール部と前記第2メッシュホール部は、突出支持部により、前記インナーケースの表面から既設定の高さに突設される、請求項1に記載の膜加湿器用カートリッジ。
【請求項3】
前記中空糸膜が湿潤されたときのスラック率を基準に、前記中空糸膜の揺動による最大可能移動距離を算出し、前記突出支持部の垂直方向高が設定され、
中空糸膜の初期長を100、中空糸膜が長くなった長さをaとするとき、前記最大移動可能距離bは、b=a(a+200)/2(a+100)と算出される、請求項2に記載の膜加湿器用カートリッジ。
【請求項4】
前記中空糸膜の長さを100とするとき、
前記突出支持部の垂直方向高は、1~20の高さに形成される、請求項2に記載の膜加湿器用カートリッジ。
【請求項5】
前記突出支持部の垂直方向高は、1~5の高さに形成される、請求項4に記載の膜加湿器用カートリッジ。
【請求項6】
第1流体と第2流体との水分交換を行い、
ミッドケースと、
前記第2流体を前記ミッドケースに流入させる第2流体流入口と、
前記第2流体を外部に排出させる第2流体排出口と、
前記ミッドケース内に配され、複数の中空糸膜を収容する少なくとも1つのカートリッジと、を含み、
前記カートリッジは、
内部に、第1流体が流動する中空糸膜が収容されるインナーケースと、
前記中空糸膜の末端を固定するポッティング部と、
第2流体が流入され、前記インナーケースの一側に突設された第1メッシュホール部と、
前記第1メッシュホール部を介して流入された前記第2流体が、前記中空糸膜を介し、前記第1流体と水分交換を行った後で排出され、前記インナーケースの他側に突設された第2メッシュホール部と、を含む、燃料電池の膜加湿器。
【請求項7】
前記第1メッシュホール部と前記第2メッシュホール部は、突出支持部により、前記インナーケースの表面から既設定の高さに突設される、請求項6に記載の燃料電池の膜加湿器。
【請求項8】
前記中空糸膜が湿潤されたときのスラック率を基準に、前記中空糸膜の揺動による最大可能移動距離を算出し、前記突出支持部の垂直方向高が設定され、
中空糸膜の初期長を100、中空糸膜が長くなった長さをaとするとき、前記最大移動可能距離bは、b=a(a+200)/2(a+100)と算出される、請求項7に記載の燃料電池の膜加湿器。
【請求項9】
前記中空糸膜の長さを100とするとき、
前記突出支持部の垂直方向高は、1~20の高さに形成される、請求項7に記載の燃料電池の膜加湿器。
【請求項10】
前記突出支持部の垂直方向高は、1~5の高さに形成される、請求項9に記載の燃料電池の膜加湿器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、膜加湿器用カートリッジ、及びそれを含む燃料電池の膜加湿器に係り、さらに具体的には、カートリッジ内に収容される中空糸膜が、流体によって損傷されることを防止することができる膜加湿器用カートリッジ、及びそれを含む燃料電池の膜加湿器に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池とは、水素と酸素とを結合させて電気を生産する発電型電池である。該燃料電池は、乾電池や蓄電池のような一般化学電池と異なり、水素と酸素とが供給される限り、続けて電気を生産することができ、熱損失がなく、内燃機関より効率が2倍ほど高いという長所がある。
また、水素と酸素との結合によって生じる化学エネルギーを電気エネルギーに直接変換するために、公害物質排出が少ない。従って、燃料電池は、環境にやさしいだけではなく、エネルギー消費増大による資源枯渇に対する心配を減らすことができるという長所がある。
そのような燃料電池は、使用される電解質の種類により、大きく見て、高分子電解質型燃料電池(PEMFC:polymer electrolyte membrane fuel cell)、リン酸型燃料電池(PAFC:phosphoric acid fuel cell)、溶融炭酸塩型燃料電池(MCFC:molten carbonate fuel cell、固体酸化物型燃料電池(SOFC:solid oxide fuel cell)及びアルカリ型燃料電池(AFC:alkaline fuel cell)などに分類されうる。
それらそれぞれの燃料電池は、根本的に同一原理によって作動されるが、使用される燃料の種類、運転温度、触媒、電解質などが互いに異なる。そのうち、高分子電解質型燃料電池(PEMFC)は、他の燃料電池に比べ、低温で動作するという点、及び出力密度が高く、小型化が可能であるために、小規模据え置き型発電装備だけではなく、輸送システムにおいても、最も有望であると知られている。
高分子電解質型燃料電池(PEMFC)の性能を向上させるにおき、最も重要な要因のうち一つは、膜・電極組立体(MEA:membrane electrode assembly)の高分子電解質膜(PEM:polymer electrolyte membraneまたはproton exchange membrane)に一定量以上の水分を供給することにより、関数率を維持させることである。該高分子電解質膜が乾燥すれば、発電効率が急激に低下されるためである。
高分子電解質膜を加湿する方法として、1)耐圧容器に水をいっぱいにした後、対象気体をして、拡散器(diffuser)を通過させ、水分を供給するバブラ(bubbler)加湿方式、2)燃料電池反応に必要な供給水分量を計算し、ソレノイドバルブを介し、ガス流動管に直接水分を供給する直接噴射(direct injection)方式、及び3)高分子分離膜を利用し、ガス流動層に水分を供給する加湿膜方式などがある。
それらのうちにおいても、排ガス中に含まれる水蒸気だけを選択的に透過させる膜を利用し、水蒸気を、高分子電解質膜に供給される空気に提供することにより、高分子電解質膜を加湿する膜加湿方式が、膜加湿器を軽量化及び小型化させることができるという点において有利である。
【0003】
膜加湿方式に使用される選択的透過膜は、モジュールを形成する場合、単位体積当たり透過面積が大きい中空糸膜が望ましい。すなわち、該中空糸膜を利用して膜加湿器を製造する場合、接触表面積が広い中空糸膜の高集積化が可能であり、小容量でも、燃料電池の加湿が十分になされ、低価素材の使用が可能であり、燃料電池から高温で排出される排ガス(off-gas)に含まれた水分と熱とを回収し、膜加湿器を介し、再使用することができるという利点を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、カートリッジ内に収容される中空糸膜が、流体によって損傷されることを防止することができる膜加湿器用カートリッジ、及びそれを含む燃料電池の膜加湿器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態による膜加湿器用カートリッジは、
内部に、第1流体が流動する中空糸膜が収容されるインナーケースと、前記中空糸膜の末端を固定するポッティング部と、第2流体が流入され、前記インナーケースの一側に突設された第1メッシュホール部と、前記第1メッシュホール部を介して流入された前記第2流体が、前記中空糸膜を介し、前記第1流体と水分交換を行った後で排出され、前記インナーケースの他側に突設された第2メッシュホール部と、を含む。
本発明の実施形態による膜加湿器用カートリッジにおいて、前記第1メッシュホール部と前記第2メッシュホール部は、突出支持部により、前記インナーケースの表面から既設定の高さに突設される。
本発明の実施形態による膜加湿器用カートリッジにおいて、前記中空糸膜が湿潤されたときのスラック率(ratio of slack)を基準に、前記中空糸膜の揺動による最大可能移動距離を算出し、前記突出支持部の垂直方向高が設定され、中空糸膜の初期長を100、中空糸膜が長くなった長さをaとするとき、前記最大移動可能距離bは、b=a(a+200)/2(a+100)と算出されうる。
本発明の実施形態による膜加湿器用カートリッジにおいて、前記中空糸膜の長さを100とするとき、前記突出支持部の垂直方向高は、1~20の高さに形成されることが望ましい。さらに望ましくは、前記突出支持部の垂直方向高は、1~5の高さに形成されうる。
【0006】
本発明の実施形態による、燃料電池の膜加湿器は、
第1流体と第2流体との水分交換を行い、ミッドケースと、前記第2流体を前記ミッドケースに流入させる第2流体流入口と、前記第2流体を外部に排出させる第2流体排出口と、前記ミッドケース内に配され、複数の中空糸膜を収容する少なくとも1つのカートリッジと、を含む。前記カートリッジは、内部に、第1流体が流動する中空糸膜が収容されるインナーケースと、前記中空糸膜の末端を固定するポッティング部と、第2流体が流入され、前記インナーケースの一側に突設された第1メッシュホール部と、前記第1メッシュホール部を介して流入された前記第2流体が、前記中空糸膜を介し、前記第1流体と水分交換を行った後で排出され、前記インナーケースの他側に突設された第2メッシュホール部と、を含む。
本発明の実施形態による、燃料電池の膜加湿器において、前記第1メッシュホール部と前記第2メッシュホール部は、突出支持部により、前記インナーケースの表面から既設定の高さに突設される。
本発明の実施形態による、燃料電池の膜加湿器において、前記中空糸膜が湿潤されたときのスラック率を基準に、前記中空糸膜の揺動による最大可能移動距離を算出し、前記突出支持部の垂直方向高が設定され、中空糸膜の初期長を100、中空糸膜が長くなった長さをaとするとき、前記最大移動可能距離bは、b=a(a+200)/2(a+100)と算出されうる。
本発明の実施形態による、燃料電池の膜加湿器において、前記中空糸膜の長さを100とするとき、前記突出支持部の垂直方向高は、1~20の高さに形成されることが望ましい。さらに望ましくは、前記突出支持部の垂直方向高は、1~5の高さに形成されうる。
その他、本発明の多様な側面による具現例の具体的な事項は、以下の詳細な説明に含まれている。
【発明の効果】
【0007】
本発明の実施形態によれば、流体によって揺動する中空糸膜の最大可能移動距離を考慮し、メッシュホール部を突設させることにより、中空糸膜がメッシュホール部に接触することを防止し、中空糸膜が摩擦によって損傷されることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態による、燃料電池の膜加湿器が図示された正面図である。
【
図2】本発明の一実施形態による、燃料電池の膜加湿器が図示された平面図である。
【
図3】
図2のA-A’ラインから見た断面図である。
【
図4】本発明の一実施形態による、燃料電池の膜加湿器に装着されるカートリッジが図示された平面図である。
【
図5】
図4のB-B’ラインから見た断面図である。
【
図6】
図4のC-C’ラインから見た断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、多様な変換を加えることができ、さまざまな実施形態を有することができるが、特定実施形態を例示し、詳細な説明によって詳細に説明する。しかし、それらは、本発明を、特定の実施形態について限定するものではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれる全ての変換、均等物ないし代替物を含むと理解されなければならない。
本発明で使用された用語は、単に特定実施形態についての説明に使用されたものであり、本発明を限定する意図ではない。単数の表現は、文脈上、明白に取り立てての意味ではない限り、複数の表現を含む。本発明において、「含む」または「有する」というような用語は、明細書上に記載された特徴、数、段階、動作、構成要素、部品、またはそれらの組み合わせが存在するということを指定するものであり、1またはそれ以上の他の特徴、数、段階、動作、構成要素、部品、またはそれらの組み合わせの存在または付加の可能性を事前に排除するものではないと理解されなければならない。以下、図面を参照し、本発明の実施形態による、膜加湿器用カートリッジ、及びそれを含む燃料電池の膜加湿器について説明する。
図1は、本発明の一実施形態による、燃料電池の膜加湿器が図示された正面図であり、
図2は、本発明の一実施形態による、燃料電池の膜加湿器が図示された平面図であり、
図3は、
図2のA-A’ラインから見た断面図である。
図1ないし
図3に図示されているように、本発明の一実施形態による、燃料電池の膜加湿器は、加湿モジュール110とキャップ120と、を含む。
加湿モジュール110は、外部から供給される第1流体と、燃料電池スタック(図示せず)から排出される第2流体との水分交換を行う。キャップ120は、加湿モジュール110の両端に締結される。キャップ120のうちいずれか一つには、外部から供給される第1流体を、加湿モジュール110に供給する第1流体流入口121が形成され、他の一つには、加湿モジュール110によって加湿された第1流体を、燃料電池スタックに供給する第1流体排出口122が形成される。
加湿モジュール110は、第2流体流入口112と第2流体排出口113とを有するミッドケース111、及びミッドケース111内に配された少なくとも1つのカートリッジ20を含む。燃料電池スタック(図示せず)から排出される第2流体は、第2流体流入口112に流入され、加湿モジュール110内で水分交換された後、第2流体排出口113に排出される。
【0010】
本明細書において、第2流体流入口112または第2流体排出口113に/から流入/排出される流体は、第2流体に限定されるものではない。また、第1流体流入口121または第1流体排出口122に/から流入/排出される流体は、第1流体に限定されるものではない。
設計により、キャップ120のうち一つは、第2流体を加湿モジュール110に供給し、中空糸膜内部を流れるようにし、他の一つは、水分交換が行われた第2流体を外部に排出することができる。また、その場合、第2流体流入口112または第2流体排出口113のうちいずれか一つを介し、第1流体が流入され、残り一つを介し、加湿モジュール110によって加湿された第1流体が、燃料電池スタックに供給されるようにするのである。第1流体の流動方向と、第2流体の流動方向は、同じ方向でもあり、あるいは互いに反対方向でもある。
ミッドケース111とキャップ120は、それぞれ独立して、硬質プラスチックや金属によって形成され、円形または多角形の幅方向断面を有しうる。該円形は、楕円形を含み、該多角形は、丸いコーナー(rounded corner)を有する多角形を含む。例えば、該硬質プラスチックは、ポリカーボネート、ポリアミド(PA)、ポリフタルアミド(PPA)、ポリプロピレン(PP)などでもある。ミッドケース111の内部空間は、隔壁114により、第1空間S1と第2空間S2とに区画されうる。
【0011】
図4は、本発明の一実施形態による、燃料電池の膜加湿器に装着されるカートリッジが図示された平面図であり、
図5は、
図4のB-B’ラインから見た断面図であり、
図6は、
図4のC-C’ラインから見た断面図である。
図4ないし
図6を参照すれば、本発明の一実施形態による膜加湿器用カートリッジ20は、多数の中空糸膜21、ポッティング部22、インナーケース23を含む。
中空糸膜21は、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、スルホン化ポリスルホン樹脂、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)樹脂、ポリアクリロニトリル(PAN)樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエステルイミド樹脂、またはそれらのうち少なくとも2以上の混合物によって形成された高分子膜を含むものでもある。
ポッティング部22は、中空糸膜21の末端を固定する。ポッティング部22は、ディップポッティング、遠心ポッティングのようなキャスティング方式を介し、液状ポリウレタン樹脂のような液状樹脂を硬化させることによって形成されうる。
インナーケース23は、各末端に開口(opening)を有し、内部に多数の中空糸膜21を収容する。中空糸膜21の端部がポティングされているポッティング部22は、インナーケース23の開口を閉鎖させる。インナーケース23は、第1空間S1との流体連通のために、メッシュ形態に配列された第1メッシュホール部MH1、及び第2空間S2との流体連通のために、メッシュ形態に配列された第2メッシュホール部MH2を具備する。
第2流体流入口112を介し、ミッドケース111の第1空間S1に流入された第2流体は、複数個のウィンドウWが形成された第1メッシュホール部MH1を介し、インナーケース23内に流れ込み、中空糸膜21の外表面と接触する。続けて、第1流体と水分交換された第2流体は、複数個のウィンドウWが形成された第2メッシュホール部MH2を介し、第2空間S2に抜け出た後、第2流体排出口113を介し、ミッドケース111から排出される。
【0012】
なお、第2流体のフロー方向が、第1流体流入口121に流入される第1流体のフロー方向と反対方向である場合、第2流体排出口113を介し、ミッドケース111の第2空間S2に流入された第2流体は、第2メッシュホール部MH2を介し、インナーケース23内に流れ込み、中空糸膜21の外表面と接触する。続けて、第1流体と水分交換された第2流体は、第1メッシュホール部MH1を介し、第1空間S1に抜け出た後、第2流体流入口112を介し、ミッドケース111から排出される。
なお、従来の膜加湿器用カートリッジにおいて、第1メッシュホール部MH1と第2メッシュホール部MH2は、インナーケース23と同一平面に形成される。そのような構造により、第1メッシュホール部MH1を介し、インナーケース23内部に流入される第2流体により、インナーケース23内部に収容された中空糸膜21が、流体フロー方向によって揺動することになり、中空糸膜21は、揺動されながら、第1メッシュホール部MH1と反復的に接触しながら、摩擦により、損傷(スクラッチ、断線など)が生じることになる。それは、第2メッシュホール部MH2を介し、第2流体が外部に排出される場合にも、生じることになる。
そのような中空糸膜21の損傷を防止するために、本発明においては、第1メッシュホール部MH1と第2メッシュホール部MH2とのうち少なくともいずれか1以上が、インナーケース23の一側または他側において、既設定の高さに突設されるようにする。
このとき、第1メッシュホール部MH1と第2メッシュホール部MH2は、突出支持部24により、インナーケース23の表面から所定高に突設される。
中空糸膜21が湿潤されたときのスラック率(ratio of slack)を基準に、中空糸膜21の揺動による最大可能移動距離を算出し、突出支持部24の垂直方向高を設定することができる。スラック率(ratio of slack)とは、乾燥状態の中空糸膜の最初設計長対比の湿潤状態の中空糸膜の長くなった長さに対する比を意味する。
中空糸膜の初期長を100、中空糸膜が長くなった長さをaとするとき、前記最大移動可能距離b(最大移動高)は、b=a(a+200)/2(a+100)と算出されうる。
そのようなスラック率を考慮し、中空糸膜21の長さを100とするとき、突出支持部24の垂直方向高は、1~20の高さに形成されることが望ましい。比率に係わるものであるので、特に長さ単位は、限定されるものではない。
【0013】
突出支持部24の垂直方向高が1未満であるならば、稼動時、中空糸膜21がメッシュホール部MH1,MH2と反復して接触し、摩擦による損傷が生じるという問題がある。
突出支持部24の垂直方向高が20超過であるならば、空気がカートリッジ内部に浸透する効率が低下されるという問題がある。
なお、スラック率を考慮するとき、中空糸膜21の実際移動範囲は、ほとんど1~5の範囲(該移動範囲は、それに限定されるという意味ではない)であり、突出支持部24の垂直方向高が5を超える場合、カートリッジ20の体積が過度に大きくなり、それほど膜加湿器の大きさが大きくなってしまうという問題がある。従って、それらを考慮するとき、突出支持部24の垂直方向高は、1~5の高さに形成されることがさらに望ましい。
【0014】
そのように、本発明の膜加湿器用カートリッジは、第2流体によって揺動する中空糸膜の最大可能移動距離を考慮し、メッシュホール部を突設させることにより、中空糸膜がメッシュホール部に接触することを防止し、中空糸膜が摩擦によって損傷されることを防止することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、当該技術分野で通常の知識を有する者であるならば、特許請求の範囲に記載された本発明の思想からはずれない範囲内において、構成要素の付加、変更、削除または追加などにより、本発明を多様に修正及び変更させることができ、それらも、本発明の権利範囲内に含まれるものである。
【国際調査報告】