(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-28
(54)【発明の名称】歯の透過照明システム
(51)【国際特許分類】
A61B 5/00 20060101AFI20240621BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20240621BHJP
G06V 10/56 20220101ALI20240621BHJP
【FI】
A61B5/00 A
A61B5/00 G
G06T7/00 612
G06T7/00 350B
G06T7/00 660A
G06V10/56
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023579800
(86)(22)【出願日】2021-11-25
(85)【翻訳文提出日】2023-12-22
(86)【国際出願番号】 EP2021083023
(87)【国際公開番号】W WO2022112427
(87)【国際公開日】2022-06-02
(32)【優先日】2020-11-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523484921
【氏名又は名称】アテント エーエス
【氏名又は名称原語表記】Attent AS
【住所又は居所原語表記】Senterveien 30, 4790 Lillesand NORWAY
(74)【代理人】
【識別番号】100139044
【氏名又は名称】笹野 拓馬
(72)【発明者】
【氏名】ミックランド シェル
【テーマコード(参考)】
4C117
5L096
【Fターム(参考)】
4C117XB01
4C117XB02
4C117XB09
4C117XB11
4C117XB15
4C117XD08
4C117XE43
4C117XJ01
4C117XL01
4C117XL06
5L096AA02
5L096AA06
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5L096CA04
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5L096GA34
5L096GA41
5L096HA11
5L096KA04
(57)【要約】
歯を撮像し、前記歯の状態を識別するためのシステムは、歯を透過照明するように構成された光源および透過照明された歯の1つまたは複数の画像を撮影するように構成されたデジタルカメラを含む透過照明装置(100)と、スマートデバイス(200)と、透過照明装置によって撮影された歯の1つまたは複数の画像に基づいて歯の状態を識別するように構成された機械学習アルゴリズムを含むリモートサーバと、を備える。透過照明装置は、撮影された歯の画像をスマートデバイスに送信するように配置され、スマートデバイスは、撮影された画像のうちの1つまたは複数を選択し、リモートサーバに送信するように構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯を撮像し、前記歯の状態を識別するためのシステムであって、
歯を透過照明するように構成された光源および前記透過照明された歯の1つまたは複数の画像を撮影するように構成されたデジタルカメラを含む透過照明装置と、
スマートデバイスと、
前記透過照明装置によって撮影された前記歯の1つまたは複数の画像に基づいて、前記歯の状態を識別するように構成された機械学習アルゴリズムを含むリモートサーバと、
を備え、
前記透過照明装置は、前記歯の撮影された画像を前記スマートデバイスに送信するように配置され、前記スマートデバイスは、前記撮影された画像のうちの1つまたは複数を選択し、前記リモートサーバに送信するように構成されている、
システム。
【請求項2】
前記スマートデバイスが、アルゴリズムを使用して前記撮影された画像のうちの1つまたは複数を選択するように構成され、前記選択が、前記撮影された画像が前記リモートサーバの前記機械学習アルゴリズムで使用するのに適しているかどうかに基づいている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記選択が、
前記撮影された画像内に歯が存在するか否かの判断、
前記撮影された画像内に存在する歯のタイプおよび/または位置の決定、ならびに
前記画像のコントラスト、輝度、照明の均一性、および/または位置合わせ、
のうちの1つまたは複数にも基づいている、
請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記スマートデバイスが、前記歯が首尾よく撮像されたかどうかを示すフィードバックを前記ユーザに提供するように構成されている、請求項1~3のいずれかに記載のシステム。
【請求項5】
前記スマートデバイスが、前記画像を前記リモートサーバに送信する前に、歯識別アルゴリズムを使用して、各選択された画像における前記歯をラベル付けするように構成されている、請求項1~4のいずれかに記載のシステム。
【請求項6】
前記スマートデバイスがユーザのスマートフォンである、請求項1~5のいずれかに記載のシステム。
【請求項7】
前記歯の前記状態が、齲蝕の存在および/または分類を含む、請求項1~6のいずれかに記載のシステム。
【請求項8】
前記透過照明装置とスマートデバイスとの間の通信が無線または有線接続を介して行われ、前記スマートデバイスと前記リモートサーバとの間の通信が無線で行われ、請求項1~7のいずれかに記載のシステム。
【請求項9】
前記スマートデバイスおよび/または透過照明装置が、前記透過照明装置を特定の仕方で移動させるようにユーザに指示するために、画像が撮影されているときに前記ユーザにガイダンスを提供するように構成されている、請求項1~8のいずれかに記載のシステム。
【請求項10】
前記透過照明装置が、特定の品質基準を満たす撮影画像のみが前記スマートデバイスに送信されるように、前記スマートデバイスに送信される前記撮影画像の事前選択を実行するように構成されている、請求項1~9のいずれかに記載のシステム。
【請求項11】
歯を撮像する方法において、
1つまたは複数の歯に対して透過照明装置を移動させるステップであって、前記透過照明装置が前記1つまたは複数の歯を透過照明するための光源およびカメラを含む、移動させるステップと、
前記カメラを使用して、前記1つまたは複数の歯のそれぞれの画像を含む一連の画像を撮影するステップと、
前記一連の画像をスマートデバイスに通信するステップと、
前記スマートデバイスのアルゴリズムを使用して、前記一連の画像内の個々の歯を識別し、識別された各歯の適切な画像を前記一連の画像から選択するステップと、
各歯の前記選択された適切な画像に基づいて、識別された各歯の状態を分類するように構成された機械学習アルゴリズムを含むリモートサーバに、前記選択された適切な画像を送信するステップと、
を含む、方法。
【請求項12】
前記移動させるステップは、複数の歯にわたる連続的な掃引動作を含み、前記一連の画像の前記撮影が前記連続的な掃引動作中に行われ、あるいは
前記移動させるステップは、各歯上での一時停止を挟みながら複数の歯にわたる掃引動作を含み、前記画像の前記撮影が前記一時停止中に行われる、
請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記選択された適切な画像が、咬合/切歯方向における歯全体の画像である、請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
各歯の前記選択された適切な画像に基づいて、前記リモートサーバの前記機械学習アルゴリズムを使用して、識別された各歯の状態を分類するステップと、
識別された各歯の前記状態を含むレポートを前記ユーザのスマートデバイスに送り返すステップと、および/または識別された各歯の前記状態を含むレポートを、選択された当事者のみがアクセス可能な安全なサーバに記憶するステップと、を含み、任意選択で、前記レポートが暗号化および匿名化されている、請求項11から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記リモートサーバの前記機械学習アルゴリズムを使用して、各歯の前記選択された適切な画像に基づいて、識別された各歯の齲蝕の状態を識別するステップ、
を含む、請求項11~14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
人の1つまたは複数の歯の齲蝕を識別する方法において、
リモートサーバの機械学習アルゴリズムを使用して、前記歯の1つまたは複数の透過照明画像に基づいて、歯の状態を識別するステップと、
選択された歯科医のみがアクセス可能な安全なサーバに、識別された各歯の前記状態を含むレポートを記憶するステップと、
前記レポートに基づいて必要な治療について前記歯科医から治療データを収集するステップと、
前記治療データを前記人に提示するステップと、
を含む、方法。
【請求項17】
前記選択された歯科医が前記人によって選択され、および/または前記選択された歯科医が前記人の地元の歯科医である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記レポートが前記人のスマートデバイスに送り返される、請求項16または17に記載の方法。
【請求項19】
前記レポートが暗号化および匿名化されている、請求項16、17または18に記載の方法。
【請求項20】
前記安全なサーバと前記選択された歯科医との間の通信がエンドツーエンドで暗号化されており、および/または前記リモートサーバと前記人のスマートデバイスとの間の通信がエンドツーエンドで暗号化されている、請求項16~19のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、家庭用の歯の透過照明装置およびシステムに関する。このようなシステムは、歯科医でない人でも使用することができ、歯科医に行かなくても歯の問題(例えば、齲蝕など)を識別することができる。
【背景技術】
【0002】
歯科医を訪れることに不安を感じるのは、歯科患者にとって一般的である。このため、人々は歯科医を訪れることを避けるようになり、治療が簡単であるにもかかわらず、歯の問題を早期に識別する機会を逃してしまう可能性がある。地域によっては、例えば、近くに歯科医がいない、または歯科医にかかる費用が法外なため、歯科治療を受けるのが困難な場合がある。したがって、自宅で歯の健康を監視するための何らかの手段を提供することが望ましい。自宅で歯の問題が識別されれば、普通ならば歯医者に行きたがらない人々に、歯科医を訪れる動機を与えることができる。一方で、歯科患者が、自宅で歯に問題がないと判断することができれば、歯科医に行くのを延期することができる。
【0003】
米国疾病管理予防センター(Centres for Disease Control and Prevention)によると、米国では20~64歳の成人の91%が齲蝕症(dental caries)(一般に、虫歯(tooth decay)または齲蝕(cavities)と呼ばれる)を患っている。齲蝕が早期に識別されれば、歯の状態のさらなる悪化を防ぐために、歯科医は予防措置を提案することができる。このような予防措置がなければ、齲蝕は悪化し、より侵襲的な治療(歯に穴を開け、齲蝕を埋めるなど)が必要になる場合がある。
【0004】
齲蝕は、国際齲蝕検出評価システム(International Caries Detection and Assessment System)(ICDAS)に従って、歯科医によって視覚的にカテゴリ1~カテゴリ6のいずれかに分類され得る。各コードに関連付けられた外観は以下の通りである。
1-乾燥したエナメル質に白色/褐色の斑点。
2-濡れたエナメル質に白色/褐色の斑点。
3-象牙質が見えない、乾燥したエナメル質の0.5mm未満の微小窩洞。
4-微小窩洞の有無にかかわらず、濡れたエナメル質を通して見える濃い象牙質の影。
5-窩洞の象牙質露出が0.5mmを超え、歯の表面の半分に達する。
6-歯の表面の半分を超える窩洞の象牙質露出。
【0005】
コード3以上に分類された齲蝕は、治療および/または継続的なモニタリングのために歯科医の診察を受ける必要がある。
【0006】
視覚的検査と同様に、歯科医が齲蝕を識別するために伝統的に使用している方法は、X線を使用して患者の歯のX線写真を生成することである。しかし、X線は電離放射線であるため、X線撮像をあまりにも頻繁に使用することに抵抗があるのは理解できることである。通常、歯の問題のリスクが高い人であっても、6ヶ月に2回以上の頻度でX線撮像をすることはない。X線撮像は、当然ながら、歯科専門家が行う必要があり、患者自身が自宅で行うことはできない。
【0007】
歯の透過照明は、齲蝕の識別を可能にする別の技術である。この技術では、歯の片側または両側から照射する明るい光源、通常は近赤外(NIR)光で歯を照射する。光は歯を通過し、歯は咬合/切歯方向(歯の噛み合わせ面に向かう方向)に撮像される。齲蝕組織の光学特性に起因して、齲蝕は画像上に暗い影として現れる。透過照明法は、リアルタイムでの齲蝕の検出を容易にし、使用される光は非電離性であるため、頻繁に実施することができる。
【0008】
既存の透過照明装置は非常に高価であり、家庭での使用には適していない。特に、既存の装置には、齲蝕を識別するのに十分な品質の画像を撮影するために歯科医の専門知識が必要とされる。典型的には、このような装置は、撮像される歯の両側にぴったりとフィットする2つの平行な可撓性翼部を有するヘッド部を備える。光は、翼部の一方または両方から歯に入射し、翼部の可撓性により、光源を歯の表面の近くに維持することができるはずである。しかしながら、このような装置には、欠点があることがわかっており、例えば、犬歯および切歯の画像は、(歯に入る光が多すぎるために)露光過多になるのが一般的であるが、大臼歯の画像は、(歯に光が十分に入らないために)露光不足になることがある。したがって、満足のいく画像が撮影されるように装置を配置するには、歯科医の専門知識が必要となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記に鑑みて、歯科医ではない人が歯科医を訪ねることなく歯の問題を識別することができる家庭用の歯の透過照明システムを提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の態様によると、本発明は、歯を撮像し、歯の状態を識別するためのシステムを提供し、本システムは、歯を透過照明するように構成された光源および透過照明された歯の1つまたは複数の画像を撮影するように構成されたデジタルカメラを含む透過照明装置と、スマートデバイスと、透過照明装置によって撮影された歯の1つまたは複数の画像に基づいて歯の状態を識別するように構成された機械学習アルゴリズムを含むリモートサーバと、を備え、透過照明装置は、撮影された歯の画像をスマートデバイスに送信するように配置され、スマートデバイスは、撮影された画像のうちの1つまたは複数を選択して、リモートサーバに送信するように構成されている。
【0011】
このようなシステムにより、ユーザは自宅で歯科撮像を行うことができるため、定期健診のために歯科医に行く必要性が低減または回避される。
【0012】
機械学習アルゴリズムは、ディープラーニングニューラルネットワークであってもよい。
【0013】
機械学習アルゴリズムは、歯の状態として齲蝕の有無を判断するように構成されてもよい。
【0014】
透過照明装置によって撮影された画像はすべて、スマートデバイスに送信されてもよい。あるいは、透過照明装置は、画質に基づいて画像の事前選択を行い、特定の品質基準を満たす画像のみをスマートデバイスに送信するようにしてもよい。品質基準には、フォーカス/鮮明度、許容可能な照明(すなわち、露光過多/露光不足でないこと)、および画像内の歯の有無のうちの1つまたは複数が含まれる。
【0015】
透過照明装置および/またはスマートデバイスおよび/またはリモートサーバは、1つまたは複数の撮影画像に対して画像処理を行うように構成されてもよい。このような画像処理には、画像をトリミングすること、画像の彩度、輝度、コントラスト、もしくは色を変更すること、または画像をモノクロに変換することのうちの1つまたは複数が含まれてもよい。このような画像処理は、リモートサーバの機械学習アルゴリズムでの使用により適した画像になるように設計されることがある。
【0016】
スマートデバイスは、アルゴリズムを使用して、撮影された画像のうちの1つまたは複数を選択するように構成されてもよい。この選択は、撮影された画像がリモートサーバの機械学習アルゴリズムで使用するのに適しているかどうかに基づいて行われてもよい。これは、所定の一連の基準が満たされたかどうかを判定することを含むことができる。
【0017】
選択(したがって、所定の基準)は、撮影された画像内に歯が存在するかどうかの判定、撮影された画像内に存在する歯のタイプおよび/または位置の判定、ならびに画像のコントラスト、輝度、および/または位置合わせのうちの1つまたは複数に基づいてもよい。
【0018】
画像に存在する歯のタイプは、スマートデバイスの歯認識アルゴリズムによって特定されてもよい。歯認識アルゴリズムは、形状認識アルゴリズムを含むことができる。リモートサーバも、このような歯認識アルゴリズムを使用することができる。
【0019】
スマートデバイスは、歯ごとに複数の画像をリモートサーバに送信することができる。スマートデバイスは、歯ごとに1~3枚の画像をリモートサーバに送信することができる。スマートデバイスは、歯ごとに5枚未満の画像をリモートサーバに送信することができる。
【0020】
歯の照明は、歯のそれぞれの画像が撮影される方向に対して実質的に垂直な方向に行われてもよく、すなわち、歯は、側面から照明されてもよく、画像は、咬合/切歯方向に(すなわち、上顎の歯に対しては歯の下方から、下顎の歯に対しては歯の上方から)撮影される。
【0021】
選択された適切な画像は、咬合/切歯方向における歯全体の画像であってもよい。画像が歯の咬合ビュー(視野)であるかまたは切歯ビューであるかは、歯によって異なり、切歯面は犬歯と切歯の咬合縁部であり、咬合面は大臼歯と小臼歯の咬合縁部である。そのため、犬歯および切歯の画像は、切歯ビューと呼ばれ、大臼歯および小臼歯の画像は、咬合ビューと呼ばれる。
【0022】
スマートデバイスは、歯が首尾よく撮像されたかどうかを示すフィードバックをユーザに提供するように構成されてもよい。スマートデバイスはまた、画像の取得が成功しなかったという指示を含むフィードバックを提供するように構成されてもよい。透過照明装置も、同様のフィードバックを提供することができる。フィードバックは、さらなる画像を撮影する必要があることをユーザに示すことができる。
【0023】
スマートデバイスは、画像をリモートサーバに送信する前に、歯識別アルゴリズムを使用して、選択された各画像内の歯にラベル付けするように構成されてもよい。代替として、リモートサーバが、選択された各画像内の歯にラベル付けしてもよい。
【0024】
スマートデバイスは、歯の履歴記録を保持するために、選択されラベル付けされた撮影画像を記憶するように構成されてもよい。
【0025】
スマートデバイスは、ユーザのスマートフォンであってもよい。あるいは、スマートデバイスは、ユーザのタブレット、ラップトップ、デスクトップPC、または専用のスマートデバイスであってもよい。スマートデバイスは、ソフトウェアアプリケーション(アプリ)を介して、本明細書に記載される機能のいずれかまたはすべてを実行するように構成されてもよい。
【0026】
歯の状態は、齲蝕の有無および/または分類を含むことができる。分類は、国際齲蝕検出評価システム(International Caries Detection and Assessment System:ICDAS)によるカテゴリ1~カテゴリ5のうちの1つであってもよい。
【0027】
透過照明装置とスマートデバイスとの間の通信は、無線であってもよい。あるいは、透過照明装置とスマートデバイスとの間の通信は、有線接続を介してもよい。スマートデバイスとリモートサーバとの間の通信は無線であってもよい。
【0028】
本明細書に記載されるあらゆる無線通信は、Bluetooth(登録商標)および/またはWi-Fi接続を介して行われてもよく、あらゆる通信は、エンドツーエンドで暗号化されてもよい(詳細は後述する)。
【0029】
スマートデバイスおよび/または透過照明装置は、透過照明装置を特定の仕方で移動させるようにユーザに指示するために、画像が撮影されているときにユーザにガイダンスを提供するように構成されてもよい。
【0030】
第2の態様によると、本発明は、歯を撮像する方法を提供し、本方法は、透過照明装置を1つまたは複数の歯に対して移動させるステップであって、透過照明装置が1つまたは複数の歯を透過照明する光源およびカメラを含む、ステップと、カメラを使用して、1つまたは複数の歯のそれぞれの画像を含む一連の画像を撮影するステップと、一連の画像をスマートデバイスに通信するステップと、スマートデバイスのアルゴリズムを使用して、一連の画像内の個々の歯を識別し、一連の画像から識別された各歯の適切な画像を選択するステップと、選択された適切な画像を、各歯の選択された適切な画像に基づいて、識別された各歯の状態を分類するように構成された機械学習アルゴリズムを含むリモートサーバに送信するステップと、を含む。
【0031】
第2の態様による方法は、本明細書に記載される任意選択の特徴のいずれかとともに、第1の態様または第5の態様(後述する)によるシステムを使用して実行されてもよい。
【0032】
1つまたは複数の歯に対する透過照明装置の移動は、複数の歯にわたる連続的な掃引動作を含むことができる。一連の画像の撮影は、連続的な掃引動作中に行われてもよい。これは、ユーザにとって迅速かつ容易な動作である。
【0033】
1つまたは複数の歯に対する透過照明装置の移動は、各歯上での一時停止を挟みながら複数の歯にわたる掃引動作を含んでもよく、画像の撮影は、一時停止中に行われてもよい。一時停止は、1秒、2秒、3秒またはそれ以上の持続時間を有してもよい。このような一時停止により、より高品質の画像を得ることができる場合がある。
【0034】
ユーザは、一度に顎の1象限(すなわち、4分の一)の周りで透過照明装置を移動させるように指示されてもよい。各象限について、ユーザは、どこから開始するか(例えば、4つの象限のうちの1つの最後方の歯から)を指示されることがある。
【0035】
第2の態様による方法は、各歯の選択された適切な画像に基づいて、リモートサーバの機械学習アルゴリズムを使用して、識別された各歯の状態を分類するステップを含むことができる。
【0036】
本方法は、識別された各歯の状態を含むレポートをユーザのスマートデバイスに送り返すステップを含むことができる。本方法は、選択された当事者のみがアクセス可能な安全なサーバに、識別された各歯の状態を含むレポートを記憶するステップを含むことができる。
【0037】
レポートは、暗号化および匿名化されてもよい。
【0038】
本方法は、リモートサーバの機械学習アルゴリズムを使用して、各歯の選択された適切な画像に基づいて、識別された各歯の齲蝕の状態を識別するステップを含むことができる。
【0039】
本方法は、1つまたは複数の撮影された画像に対して画像処理を実行するステップを含むことができる。このような画像処理は、透過照明装置、および/またはスマートデバイス、および/またはリモートサーバによって行われてもよい。このような画像処理は、画像をトリミングすること、画像の彩度、輝度、コントラスト、もしくは色を変更すること、または画像をモノクロに変換することのうちのいずれか1つまたはその組合せを含むことができる。このような画像処理は、リモートサーバの機械学習アルゴリズムでの使用により適した画像になるように設計されることがある。
【0040】
本方法は、前述したフィードバックのいずれかをユーザに提供するステップを含んでもよい。
【0041】
本方法は、歯識別アルゴリズムを使用して、選択された各画像の歯にラベル付けするステップを含んでもよい。
【0042】
本方法は、1つまたは複数の歯の履歴記録を保持するために、撮影された画像を記憶するステップを含んでもよい。
【0043】
第3の態様によると、本発明は、1つまたは複数の歯の齲蝕を識別する方法を提供し、本方法は、リモートサーバにおいて機械学習アルゴリズムを使用して、歯の1つまたは複数の透過照明画像に基づいて歯の状態を識別するステップと、識別された各歯の状態を含むレポートを、選択された歯科医のみがアクセス可能な安全なサーバに記憶するステップと、レポートに基づいて、必要な治療のために、選択された歯科医から治療データを収集するステップと、治療データを本人に提示するステップと、を含む。
【0044】
安全なサーバとは、安全なサーバとのすべての通信がエンドツーエンドで暗号化されており、安全なサーバからのデータにアクセスするために2段階認証が必要なサーバのことであってもよい。
【0045】
第3の態様による方法は、本明細書に記載される任意選択の特徴のいずれかとともに、第1の態様または第4の態様によるシステム(後述する)を使用して実行されてもよい。第3の態様による方法は、第2の態様または第5の態様の方法に関する上述の特徴のいずれかを含むことができる(後述する)。
【0046】
治療データは、歯科治療計画、費用、および/または歯科医の所在地などの歯科医に関する情報を含むことができる。これにより、患者は、どのような治療を受けるべきか、利用可能な選択肢の範囲について、情報に基づいた決定を行うことができる。
【0047】
選択される歯科医は、患者によって選択されてもよい。選択された歯科医は、例えば、半径100km、50km、または10km以内の、患者の地元の歯科医であってもよい。これにより、患者は、選択した近辺で、適切な歯科医を見つけるのに役立つ、可能な治療選択肢のリストを見ることができる。患者は、他の選択基準を追加してもよい。
【0048】
レポートまたはその一部は、患者のスマートデバイスに送り返されてもよい。
【0049】
レポートまたはその一部は、暗号化および匿名化されてもよい。
【0050】
ユーザに送信されるレポートは、安全なサーバに記憶されたレポートとは異なるレポートであってもよい。ユーザレポートは、単に、どの歯が齲蝕を有すると識別されたかの詳細を含むことができる。安全なサーバに記憶されたレポートは、透過照明装置によって撮影されたユーザの歯のすべての画像を含む標準化されたレポートを含むことができる。標準化されたレポートは、歯科専門家が、それぞれの個々の歯を選択して、対応する透過照明画像およびラベル付けされた齲蝕を見ることができるように、歯のクリック可能なモデルを含むことができる。
【0051】
安全なサーバと選択された歯科医との間の通信は、エンドツーエンドで暗号化されてもよい。リモートサーバと本人のスマートデバイスとの間の通信は、エンドツーエンドで暗号化されてもよい。本明細書に記載される任意の他の通信は、エンドツーエンドで暗号化されてもよい。
【0052】
説明した暗号化および匿名化により、個人のプライバシーが向上し、個人データが悪用されるリスクが最小限に抑えられる。これは、歯科画像が個人を識別するために時として使用され得るため、考慮することが特に重要である。
【0053】
本発明はまた、歯の透過照明用の装置のためのヘッド部を提供し、ヘッド部は、歯の咬合/切歯ビューを撮像するために、歯から光を受けるように配置された中央部分と、中央部分から延在する第1および第2の可撓性翼部とを備え、第1の可撓性翼部が、歯の第1の側面に接触するように構成され、第2の可撓性翼部が、第1の側面とは反対側の歯の第2の側面に接触するように構成され、第1の可撓性翼部は、第1の側面から歯を照明するための第1の複数の照明源を備え、第2の可撓性翼部は、第2の側面から歯を照明するための第2の複数の照明源を備え、第1および第2の複数の照明源は、複数の異なる照明条件を生成するように制御可能である。
【0054】
ここで、異なる照明条件は、歯を照明するために点灯される照明源の異なる組合せに対応する。
【0055】
ヘッド部は、第1の態様または第4の態様の透過照明システムにおいて、第2の態様および/または第3の態様および/または第5の態様の方法において使用されてもよい。
【0056】
歯の第1および第2の側面は、歯の顔面側および舌側/口蓋側であってもよい。ここで、歯の顔面側は、歯に応じて、唇側表面(唇に最も近い側)または頬側表面(頬に最も近い側)である。歯の舌側/口蓋側表面は、それぞれ舌または口蓋に最も近い歯の側面である。
【0057】
画像が歯の咬合ビューであるかまたは切歯ビューであるかは、歯によって異なり、切歯面は犬歯と切歯の咬合縁部であり、咬合面は大臼歯と小臼歯の咬合縁部である。そのため、犬歯および切歯の画像は、切歯ビューと呼ばれ、大臼歯および小臼歯の画像は、咬合ビューと呼ばれる。
【0058】
複数の照明条件は、歯に入射する全光強度、および/または光が歯に入射する角度の点で互いに異なる場合がある。複数の照明条件は、いくつの照明源が歯を照明しているかを制御することによって、および/またはそれぞれが異なる位置にある照明源のどれが歯を照明しているかを制御することによって、達成されてもよい。
【0059】
照明源のそれぞれ(すなわち、第1および第2の複数の照明源の各照明源)は、独立して制御可能であってもよい。すなわち、ヘッド部に存在する照明源のすべてが、他の照明源のいずれの状態とも無関係に制御可能であってもよい。
【0060】
第1および第2の複数の照明源の各照明源は、対で制御可能であってもよい。対は、同じ可撓性翼部上の対であってもよく、または対はそれぞれ、一方の可撓性翼部からの1つの照明源と、他方の可撓性翼部からの1つの照明源とを含んでもよい。
【0061】
各可撓性翼部は、2つの照明源の2つのグループを含んでもよい。第1の翼部上で、第1のグループは、ヘッド部が歯に配置されたときに歯の先端により近くなるように配置された2つの照明源を含むことができ、第2のグループは、ヘッド部が歯に配置されたときに歯の先端からより遠くなるように配置された2つの照明源を含むことができる。第1および第2のグループのそれぞれは、他方のグループから独立して制御可能であってもよく、第2の翼部上の対応する第1および第2のグループも、互いに独立して制御可能であり、第1の翼部上の第1および第2のグループから独立して制御可能である。
【0062】
第1および第2の複数の照明源の各照明源は、3つ以上の(しかし、照明源の総数よりも少ない)グループで制御可能であってもよい。
【0063】
任意選択で、複数の照明源はLEDである。
【0064】
複数の照明源は、近赤外光を放射するように構成されてもよい。本明細書において、近赤外光とは、(ISO20473規格に従って)780nm~3000nmの範囲の波長を有する光として定義される。複数の照明源は、780nm~1000nmの波長を有する光を放射するように構成されてもよい。
【0065】
一例では、照明源は、約850nmにピーク波長を有するLEDである。
【0066】
任意選択で、複数の照明源はすべて、同じ公称スペクトル特性(同じピーク波長およびピーク幅を含む)を有する。代替として、1つまたは複数の照明源は、複数の近赤外波長の下で画像を撮影することができるように、(ピーク波長が同じく近赤外の範囲内にある)他の照明源とは異なるスペクトル特性を有することができる。
【0067】
第1の複数の照明源は、4つの照明源を備えてもよく、および/または第2の複数の照明源は、4つの照明源を備えてもよい。
【0068】
4つの照明源が可撓性翼部に設けられる場合、第1の複数の照明源のうちの4つの照明源は、歯の側面に面する概念的な四辺形、例えば正方形、長方形、菱形、または平行四辺形の角に配置されてもよい。
【0069】
可撓性翼部上で、2つ以上の照明源は、ヘッド部が歯の所定の位置にあるときに歯の先端からより遠くになるように位置してもよく、2つ以上の照明源は、ヘッド部が歯の所定の位置にあるときに歯の先端のより近くに配置されるように位置してもよい。その目的は、どの歯が撮像されているかにかかわらず、使用時に照明源の少なくとも1つが歯肉線に隣接する位置にあることである。ここで、歯肉線に隣接するとは、光が、依然として、歯肉ではなく歯に向けられるように、歯肉線に近いが、歯肉線から鉛直方向にわずかにオフセットされていることを意味する。これは、(後述するように)カメラが歯の先端から(すなわち、歯の咬合面に面して)画像を撮影するため、歯の可能な限り大きな体積を撮像するために、特に、齲蝕を示す影を可能な限り多く撮影するために、歯肉線付近から光を歯に入射させることが有利であるため、利点となる。歯が歯肉線から遠く離れて照明される場合、歯肉線に近い影がカメラから隠される。照明源のうちのどれが最良の位置にあるかは歯に依存し、例えば下顎の大臼歯では、最良に配置された照明源は、ヘッド部が歯の所定の位置にあるときに歯の下の最下部に配置された照明源である場合がある。例えば、下顎の切歯または犬歯では、その同じ照明源が歯肉線の下に配置されることがあり、その場合、照明源は歯を照明するのに最適な位置にはない。このような場合、最良に配置された照明源は、ヘッド部が歯の所定の位置にあるときに、歯の先端に最も近く位置するものであってもよい。
【0070】
使用時に歯の先端のより近くに配置される照明源は、それぞれの照明源の最も近い縁部間の垂直距離として測定して、使用時に歯の先端からより遠くになるように位置する照明源から0.5~3mm(例えば、1mm~2mm、任意選択で1.75mm)の距離に任意選択で配置される。
【0071】
歯の先端により近くなるように配置された2つ以上の照明源は、照明源の最も近い縁部間の垂直距離として測定して、3~7mm、例えば5mmの間隔で離間されていてもよい(歯の横方向にわたって対応する間隔を与える)。歯の先端により近くなるように配置された2つ以上の照明源は、可撓性翼部に沿って同じ高さに位置するように(照明源の中心を結ぶ想像線が、ヘッド部が歯に配置されたときに歯肉線とほぼ平行になるように)配置されてもよく、または照明源は互いにわずかに鉛直方向にオフセットされていてもよい。照明源は、照明源の中心を結ぶ線分の垂直距離(垂直成分の長さ)として測定して、例えば、約1mmだけ鉛直方向にオフセットされていてもよい。
【0072】
同様に、歯の先端からより遠くになるように配置された2つ以上の照明源は、照明源の最も近い縁部間の垂直距離として測定して、3~7mm、例えば5mmの間隔で離間されていてもよい(歯の横方向にわたって対応する間隔を与える)。歯の先端からより遠くになるように配置された2つ以上の照明源は、可撓性翼部に沿って同じ高さに位置するように(ヘッド部が歯に配置されたときに、照明源の中心を結ぶ想像線が歯肉線にほぼ平行になるように)配置されてもよく、または照明源は互いにわずかに鉛直方向にオフセットされていてもよい。複数の照明源は、これらの照明源の中心を結ぶ線分の垂直距離として測定して、例えば、約1mmだけ鉛直方向にオフセットされていてもよい。
【0073】
4つの照明源が設けられる場合、4つの照明源のうちの2つは、ヘッド部が歯に触れる所定の位置になると歯の先端から遠ざかるような位置に配置されている一方で、4つの照明源のうちの2つは、ヘッド部が歯に触れる所定の位置になると歯の先端に近づくような位置に配置されているとよい。歯の先端に近づくような位置に配置されている2つの照明源は、可撓性翼部に沿って同じ高さに位置するように(ヘッド部が歯に触れる位置にあるときに、照明源の中心を結ぶ想像線が歯肉線とほぼ平行になるように)配置されるとよく、或いはこれらは僅かに(例えば、これらの中心を結ぶ線分の垂直成分の長さとして測定して1mmだけ)互いに鉛直方向にオフセットされて(ずれて)いてもよい。歯の先端から遠ざかるような位置に配置されている2つ以上の照明源は、可撓性翼部に沿って同じ高さに位置するように(ヘッド部が歯に触れる位置にあるときに、照明源の中心を結ぶ想像線が歯肉線とほぼ平行になるように)配置されるとよく、或いはこれらの照明源は僅かに(例えば、これらの中心を結ぶ線分の垂直成分の長さとして測定して1mmだけ)互いに鉛直方向にオフセットされていてもよい。
【0074】
上述したように、照明源は制御可能である。照明源の少なくともオン/オフ状態は制御可能であってもよい。任意選択で、照明源の照明強度は制御可能であってもよい。
【0075】
照明源は、歯の第1および第2の側面を同時に照明するように制御可能であってもよい。
【0076】
ヘッド部は、複数の照明源が取り付けられた可撓性PCBを備えることができる。可撓性PCBは、2つの翼(各可撓性翼部に対して1つ)を備えてもよく、各翼は、中央部分から延在する剛性のある突起に取り付けられてもよい。ただ、剛性のある突起とはいえ、ヘッド部を歯の上にスライドさせることができるように、可撓性翼部を撓ませるのに十分な可撓性を依然として有し得る。
【0077】
可撓性翼部は、可撓性PCBおよびその構成要素を保護するとともに、ヘッド部による損傷からユーザの歯を保護する軟質カバーによって覆われていてもよい。
【0078】
第1および第2の可撓性翼部のそれぞれは、照明源を歯から離間させるように配置された(例えば、軟質カバーによって形成された)突起を備えることができる。これにより、照明源が歯により近い場合と比較して、照明源からの光がより均一に広がることができる。LEDが歯に近すぎると、光が不均一に広がり、撮影した画像に部分的な露光過多のリスクが生じる可能性がある。
【0079】
第1および第2の可撓性翼部のそれぞれは、照明源からの光が中央部分の窓に直接入るのを防止または低減するように配置された(例えば、軟質カバーによって形成された)突起を備えることができる。
【0080】
中央部分は、第1および第2の可撓性翼部を挟み込むとともに第1および第2の可撓性翼部に対して実質的に垂直に配置された(例えば、軟質カバーによって形成された)複数の位置合わせ突起を備えることができる。
【0081】
可撓性翼部は、可撓性PCBおよびその構成要素を保護するとともに、ヘッド部による損傷からユーザの歯を保護する軟質カバーによって覆われていてもよい。
【0082】
ヘッド部は、照明源を制御するためのチップ(制御装置)を備えることができる。照明源は、チップによる各照明源の独立した制御を可能にするために、チップにそれぞれ別々に接続されてもよい。
【0083】
照明源の制御は、ユーザからの入力なしに行われてもよく、すなわち、照明源の制御は、自動的に行われてもよい。
【0084】
ヘッド部は、透過照明装置に取り外し可能に取り付けられてもよい。これにより、複数のユーザが同じ透過照明装置を使用することができるが、各ユーザは自分自身のヘッド部を有することができる。あるいは、ヘッド部は、透過照明装置の一体部分であってもよい。
【0085】
ヘッド部は、RFIDタグまたはNFCタグを備えることができる。これにより、ヘッド部を特定のユーザに属するものとして識別できるようになる可能性がある。
【0086】
透過照明装置は、カメラを備えることができる。カメラは、例えば、CMOSカメラまたはCCDカメラであってもよい。カメラは、カラーカメラまたはモノクロカメラであってもよい。カメラは、静止画および/または動画を撮影することができてもよい。
【0087】
透過照明装置は、光学アセンブリを備えてもよい。光学アセンブリは、プリズムおよび1つまたは複数のレンズを備えることができる。プリズムは、ヘッド部の中央部分の窓を介して、歯から光を受け取ることができ、その光を透過照明装置のネック部分に向けて曲げることができる。光学アセンブリ内のさらなる光学部品(任意選択で、アパーチャおよび3つの平凸レンズを含む)が、光ビームを成形し、カメラの撮像領域上に集束させることができる。
【0088】
カメラが歯の撮像面に直接面する実施形態では、光を透過照明装置のネック部分に向かって曲げる必要がないため、プリズムは、必要ない。その場合、光学アセンブリは、絞り(アパーチャ)およびレンズを備えることができる。
【0089】
透過照明装置は、照明源を制御するための制御装置を備えることができる。
【0090】
透過照明装置は、無線トランシーバを備えてもよい。
【0091】
本発明はまた、透過照明によって歯を撮像する方法を提供し、本方法は、複数の照明源を制御して第1の照明条件を歯に適用し、第1の照明条件下で歯を撮像し、第1の画像を取得するステップと、複数の照明源を制御して第2の照明条件を歯に適用し、第2の照明条件下で歯を撮像し、第2の画像を取得するステップであって、第2の照明条件が第1の照明条件とは異なる、ステップと、を含む。本方法は、第2、第3、または第5の態様による方法の一部を形成することができ、第1の態様または第4の態様によるシステムを使用して実行されてもよい。
【0092】
ここで、第1および第2の照明条件は、歯の第1および第2の透過照明画像を取得するために歯を透過照明することが可能な照明条件である。
【0093】
任意選択で、本方法は、第1および第2の画像を分析して、第1および第2の画像がさらなる分析のための所定の基準を満たすかどうかを判定するステップを含むことができる。
【0094】
複数のさらなる照明条件を適用して、歯のさらなる複数の透過照明画像を取得できるようにすることもできる。
【0095】
本発明はまた、透過照明によって歯を撮像する方法を提供し、本方法は、複数の照明源を制御して第1の照明条件を歯に適用するステップであって、第1の照明条件が、撮像される歯のタイプの知識に基づいて適用される、ステップと、第1の照明条件下で歯を撮像するステップと、を含む。本方法は、第2、第3または第5の態様による方法の一部を形成してもよく、第1の態様または第4の態様によるシステムを使用して実行されてもよい。
【0096】
任意選択で、本方法は、第1の画像を分析して、第1の画像がさらなる分析を要するかの所定の基準を満たすかどうかを判定するステップと、満たさない場合は、複数の照明源を制御して第2の照明条件を歯に適用し、第2の照明条件下で歯を撮像するステップと、を含む。
【0097】
本方法は、ヘッド部が歯に静止して保持されている間に、またはヘッド部が歯の表面を横切って、例えば掃引(走査)動作で移動している間に、歯を撮像するステップを含むことができる。このような掃引動作は、歯から歯へとゆっくりと滑らかに移動することを含むことができる。
【0098】
さらなる分析のための所定の基準は、画像内の歯の位置、画像内の照明の均一性、画像内の輝度およびコントラストから選択される1つまたは複数を含むことができる。
【0099】
本発明はまた、透過照明によって歯を撮像する方法を提供し、本方法は、複数の照明源を制御して第1の照明条件を歯に適用するステップであって、第1の照明条件が、ユーザによって行われる事前の較正プロセスに基づいて予め設定される、ステップと、第1の照明条件下で歯を撮像して第1の画像を取得するステップと、を含む。本方法は、第2、第3の態様または第5の態様による方法の一部を形成することができ、第1の態様または第4の態様によるシステムを使用して実行されてもよい。
【0100】
較正プロセスでは、複数の照明条件を歯に順次適用し、各照明条件下で画像を取得することができる。次いで、画像を分析して最高品質の画像を決定する。そして、最高品質の画像が得られた照明条件が第1の照明条件として予め設定される。
【0101】
最高品質の画像は、例えば、迷光による反射が最小である画像、および/または適正な露光の(歯に入る光が多すぎることによる露光過多でもなく歯に入る光が少なすぎることによる露光不足でもない)画像、および/または輝度とコントラストが適切な画像であってもよい。
【0102】
上記の方法は、照明源のオン/オフ状態を制御して照明条件を変更するステップを含んでもよい。本方法は、照明源の照明の強度を制御して照明条件を変更するステップを含んでもよい。
【0103】
本方法は、異なる波長における近赤外光による照明下で歯の複数の画像を撮影するステップを含んでもよい。本方法は、同一の歯の複数の画像を合成して、合成画像を作成するステップを含んでもよい。合成画像における複数の画像の各画像は、0~1の重み係数で他の画像と合成されてもよい、ここで、0は寄与がないことを意味し、1は完全な寄与を意味する。
【0104】
本方法は、歯の第1および第2の側面を同時に照明するステップ、および/または歯の第1または第2の側面の一方のみを一度に照明するステップを含んでもよい。
【0105】
本方法は、複数の照明源を個々に、対で、または3つ以上の(ただし、照明源の総数未満である)グループで制御するステップを含んでもよい。例えば、各可撓性翼部は、2つの照明源の2つのグループを備えてもよく、各グループは、他のグループから独立して制御可能であり、同じグループ内の各照明源は、グループ内の他の照明源と同一に制御される。第1のグループは、ヘッド部が歯に配置されたときに歯の先端により近くなるように配置された2つの照明源を含むことができ、第2のグループは、ヘッド部が歯に配置されたときに歯の先端からより遠くなるように配置された2つの照明源を含むことができる。
【0106】
本発明の第1の態様のシステム、およびそれに対応して第2の態様による方法では、スマートデバイスは、撮影された画像のうちの1つまたは複数を選択し、リモートサーバに送信するように構成されている。しかしながら、一部のシステム/方法では、透過照明装置が、代わりに、本機能を果たすように構成されている。
【0107】
本発明の第4の態様は、歯を撮像し、歯の状態を識別するためのシステムを提供し、本システムは、歯を透過照明するように構成された光源、および透過照明された歯の1つまたは複数の画像を撮影するように構成されたデジタルカメラを含む透過照明装置と、透過照明装置によって撮影された歯の1つまたは複数の画像に基づいて歯の状態を識別するように構成された機械学習アルゴリズムを含むリモートサーバとを備え、透過照明装置が、撮影された画像のうちの1つまたは複数を選択し、リモートサーバに送信するように構成されている。
【0108】
第5の態様によると、本発明は、歯を撮像する方法を提供し、本方法は、透過照明装置を1つまたは複数の歯に対して移動させるステップであって、透過照明装置が1つまたは複数の歯を透過照明するための光源およびカメラを含む、ステップと、カメラを使用して、1つまたは複数の歯のそれぞれの画像を含む一連の画像を撮影するステップと、一連の画像において個々の歯を識別し、透過照明装置においてアルゴリズムを使用して一連の画像から識別された各歯の適切な画像を選択するステップと、各歯の選択された適切な画像に基づいて、識別された各歯の状態を分類するように構成された機械学習アルゴリズムを含むリモートサーバに、選択された適切な画像を送信するステップと、を含む。
【0109】
第4の態様は、第1の態様に関して上述した任意選択の特徴のいずれかを任意選択で含むことができる。第5の態様は、第2および第3の態様に関して上述した任意選択の特徴のいずれかを任意選択で含むことができる。
【0110】
本発明の特定の好ましい実施形態を、添付の図面を参照して、単なる例として以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0111】
【
図2】例示的透過照明装置の先端部を示す図である。
【
図3】例示的な透過照明装置の先端部の分解図であり、例示的な透過照明装置の本体部のネック部分とともに示されている。
【
図4】例示的な透過照明装置の本体部のネック部分内の光学アセンブリを示す図である。
【
図5】透過照明装置の内部の構成要素の分解図である。
【
図6】設置位置にある透過照明装置の内部の構成要素を示す図である。
【
図7】透過照明装置、ユーザのスマートデバイス、およびリモートサーバを備えるシステムの概略図である。
【
図8】識別された齲蝕の位置をユーザに示すアプリインターフェースの画像である。
【
図9】透過照明装置における光源のレイアウトである。
【
図10a】異なる照明条件を与えるために、点灯または消灯可能な光源のセットを示す例示的な照明スキームである。
【
図10b】異なる照明条件を与えるために、点灯または消灯可能な光源のセットを示す例示的な照明スキームである。
【
図10c】異なる照明条件を与えるために、点灯または消灯可能な光源のセットを示す例示的な照明スキームである。
【
図10d】異なる照明条件を与えるために、点灯または消灯可能な光源のセットを示す例示的な照明スキームである。
【
図10e】異なる照明条件を与えるために、点灯または消灯可能な光源のセットを示す例示的な照明スキームである。
【
図10f】異なる照明条件を与えるために、点灯または消灯可能な光源のセットを示す例示的な照明スキームである。
【
図10g】異なる照明条件を与えるために、点灯または消灯可能な光源のセットを示す例示的な照明スキームである。
【
図10h】異なる照明条件を与えるために、点灯または消灯可能な光源のセットを示す例示的な照明スキームである。
【
図10i】異なる照明条件を与えるために、点灯または消灯可能な光源のセットを示す例示的な照明スキームである。
【
図10j】異なる照明条件を与えるために、点灯または消灯可能な光源のセットを示す例示的な照明スキームである。
【
図10k】異なる照明条件を与えるために、点灯または消灯可能な光源のセットを示す例示的な照明スキームである。
【
図10l】異なる照明条件を与えるために、点灯または消灯可能な光源のセットを示す例示的な照明スキームである。
【
図10m】異なる照明条件を与えるために、点灯または消灯可能な光源のセットを示す例示的な照明スキームである。
【
図10n】異なる照明条件を与えるために、点灯または消灯可能な光源のセットを示す例示的な照明スキームである。
【
図11a】例示的な透過照明装置の先端部の代替構成を示す図である。
【
図11b】例示的な透過照明装置の先端部の代替構成を示す図である。
【
図12a】齲蝕がコード3として分類された透過照明によって生成された画像である。
【
図12b】齲蝕がコード3として分類された透過照明によって生成された画像である。
【
図13a】充電式バッテリを充電するための誘導充電コイルを含む、透過照明装置の内部の構成要素の分解図である。
【
図14a】光学アセンブリを備える例示的な透過照明装置を示す図である。
【
図14b】光学アセンブリを備える例示的な透過照明装置を示す図である。
【
図14c】光学アセンブリを備える例示的な透過照明装置を示す図である。
【
図15a】例示的な透過照明装置の内部構成要素を示す図である。
【
図15b】例示的な透過照明装置の内部構成要素を示す図である。
【
図15c】例示的な透過照明装置の内部構成要素を示す図である。
【
図16a】透過照明装置の例示的なヘッド部を示す図である。
【
図16b】透過照明装置の例示的なヘッド部を示す図である。
【
図16c】透過照明装置の例示的なヘッド部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0112】
図1は、例示的な透過照明装置100を示す。本明細書に記載される装置および方法は、(以下に記載されるように)ユーザが自分の歯に対して、または第1の人が第2の人の歯に対して使用することができることが理解されるであろう。
【0113】
透過照明装置は、ヘッド部110と本体部150とを備える。ヘッド部110は、ユーザの歯に適合するように成形された先端部112を備える。
【0114】
図2は、先端部112をより詳細に示す。先端部112は、2つの可撓性翼部116が延在する中央部分114を備える。先端部112が使用者の歯に配置されると、中央部分114は、使用者の歯の咬合面/切歯面に、またはその近くに位置し、2つの可撓性翼は、歯の両側に接触し、可撓性翼の一方が、歯の頬側/顔面側に着座するとともに、他方が、歯の舌側/口蓋側に着座する。
【0115】
図2および
図3に示されるように、可撓性翼部116のそれぞれは、可撓性PCB118を支持する支持アーム119を備え、これらは両方とも、軟質で可撓性の材料120でオーバーモールドされている(この場合、UV硬化性エラストマが使用されるが、UV硬化性エラストマの代わりに他の材料が使用されてもよく、例えば熱可塑性エラストマ(TPE)が使用されてもよい)。可撓性翼部116のそれぞれは、可撓性PCB118に取り付けられた4つのLED122を備え、4つのLED122は、長方形構成で配置されている。可撓性PCB118を利用することによって、使用時にLED122が確実に歯に近接したままにしておくことができるほど、可撓性翼部116を柔較なものにすることができる。
【0116】
以下に詳述するように、透過照明装置100は、多数の異なる照明条件を歯に適用することができる。これは、先端部112に複数のLEDを有することによって達成可能である。
【0117】
LEDを歯のそれぞれの側面に長方形/正方形構成または平行四辺形/菱形構成(あるいは、1つまたは複数のLEDが1つまたは複数の他のLEDよりも歯肉線に近く、1つまたは複数のLEDが1つまたは複数の他のLEDから横方向にオフセットされている任意の構成)で配置することにより、それぞれの側面のLEDのうちの1つまたは複数が歯を透過照明するのに十分なほど歯に近いことが確実になる。加えて、このような配置により、いくつかの異なる角度から(例えば、歯肉線に近接して、歯のさらに上に、および2つの横方向から)光を当てることができるため、歯内の齲蝕のすべての証拠(透過照明画像上の影として見える)を撮像することができる。位置の異なる複数のLEDを設けることで、歯に対するLEDの配置に様々な選択肢が提供され、したがって、家庭でのユーザにとって透過照明のための最適なLED配置を見つけるという問題(通常、歯科医が単一の光源を使用して診療所で実現するには広範な訓練が必要である)に対する技術的解決策を提供する。複数のLEDを設けることで、異なる数のLEDを点灯させることにより、照明のレベルを変えることもできる。これにより、大きな歯(例えば、臼歯)にはより多くの光を当てることができ、一方、小さな歯(例えば、切歯)の透過照明に必要な光の量は少なくなる。
【0118】
各LED122は、近赤外光を放射するように構成されている。ここで、近赤外光とは、(ISO20473規格に従って)780nm~3000nmの範囲の波長を有する光として定義される。この場合、LEDは約850nmにピーク波長を有し、約35nmのスペクトル帯域幅を有する。放射強度(100mAの順方向電流での)は、約9~18mW/srであり、典型的には約13mW/srである。可撓性翼部116は、歯に触れる位置に配置されると、わずかに外向きに撓むように構成されているが、この外向きの撓みに対して復帰力(弾力の力)が作用するため、先端部112は、歯の側面を握持する。可撓性翼部116の撓みにより、各LED122と歯の表面との間に最小限の隙間が確保され、これにより、撮像に有害となり得る迷光が低減され、また、撮像を可能にする適切な量の光が歯に浸透することが保証される。
【0119】
LED122はまた、可視スペクトルの光を放射するように構成されてもよく、これにより、ユーザは、装置が作動していることを視認(visualise)することができる。
【0120】
ヘッド部110は、中空の概ね円筒形の部分を含むスリーブ部分126も備える。スリーブ部分126は、ヘッド部110と本体部150とが一緒に留められるように、本体部150のネック部分160の上に受け入れられるように構成されている。
【0121】
ヘッド部110の取り外し可能な性質により、数人の異なるユーザ、例えば、同じ家族のメンバーが、家族の各メンバーの自分用のヘッド部110を使用して、透過照明装置100を共用することができるようになる。各ヘッド部110を特定のユーザと識別できるようにするために、ヘッド部はRFIDタグ(図示せず)を備える。RFIDタグは、ユーザのスマートデバイス(例えば、
図7に示されるような表示画面を有する携帯電話200)によって読み取られる。あるいは、透過照明装置100またはヘッド部110とユーザのスマートデバイスとの間の近距離無線通信(NFC)が、各ヘッド部110を識別するために使用され得る。
【0122】
先端部112の中央部分114は、オーバーモールド120内に窓124を備える。窓124は、ユーザの歯の咬合/切歯面に面するように構成されている。ヘッド部110が本体部150に留められると、先端部112の中央部分114の窓124は、本体部150のネック部分160の対応する窓162と整列する。
【0123】
使用時に、歯からの光は、中央部分114の窓124を通過し、ネック部分160の対応する窓162を通過し、ネック部分160に入る。ネック部分160は、光をカメラ170に導くための光学アセンブリを保持する。光学アセンブリ(
図4に示される)は、窓162から光を受け、その光を曲げてネック部分160の軸の方向に沿って光を導くプリズム164を有する。光学アセンブリ内のさらなる光学部品(アパーチャ166および3つの平凸レンズ168)は、光ビームを成形し、カメラ170の撮像領域に集束させる。LEDからの異なる波長の光を使用するために、光学装置を適合させることができることを理解されるであろう。
【0124】
この場合、カメラ170は低電圧CMOSデバイスである。カメラはカラー画像を出力し、カラー画像はさらなる分析のためにグレースケールに変換される。透過照明装置100は、このような変換を行うことができ、またはユーザのスマートデバイス(この場合、携帯電話200)がこのような変換を行うことができる。代替として、モノクロカメラを使用することができる。スペクトルの異なる部分をフィルタ除去するために、カメラに結合されたフィルタ、例えばソフトウェアフィルタがあってもよい。撮影された画像の画像処理は、透過照明装置100および/またはユーザのスマートデバイス200によって、および/またはリモートサーバ300によって行われてもよい。このような画像処理は、波長によるフィルタリング、露光制御、ホワイトバランス、彩度、色相制御、白画素キャンセル、および/またはノイズキャンセルを含むことができる。
【0125】
図5は、透過照明装置100の本体部150における他の内部構成要素を分解図で示す。これらの構成要素は、
図6にこれらが設置された位置で示されている。透過照明装置100はバッテリ駆動であり、充電式バッテリ172を備える。バッテリ172は、当技術分野で知られている種類の誘導充電ステーションと相互作用するインダクタ174によって誘導充電される。同様の誘導充電ステーションは、例えば、電動歯ブラシを充電するために一般的に使用されている。代替の電源および充電システムが
図13aおよび
図13bに示されており、以下でより詳細に説明される。
【0126】
透過照明装置100は、ユーザにフィードバックを提供する手段を備える。これは、振動モータ(図示せず)と、可撓性PCB184の環状部分178の周囲に放射状に間隔を開けて配置され、本体部150を形成する材料を通して可視光を放射する、複数のユーザフィードバックLED176(この場合、4つ)との形態をとる。各LED176は、RGB LEDである(すなわち、単一のパッケージ内に、1つの赤色、1つの緑色、および1つの青色の3つのLEDの組合せを含む)。このようにして、各LEDによって多くの色の光を生成することができる。フィードバックは、(以下でより詳細に説明するように)使用時のデバイスによって適切な画像が撮影された、または撮影されなかったことをユーザに示すことを含む。代替としてまたは加えて、同様のフィードバックをユーザのスマートデバイスによって提供することもできる。
【0127】
透過照明装置100の動作の制御は、システムオンチップマイクロコントローラの形態の制御装置180によるものである。制御装置180は、統合されたWi-Fi/Bluetooth機能を備える。制御装置は、上述した画像処理のいずれかを実行することができる。制御装置180は、バッテリ172に接続されたメインPCB182上に配置されている。メインPCB182は、可撓性PCB184にも接続されている。可撓性PCB184は、環状部分178と、ネック部分160の端部に位置するLEDインターフェース部分186と、メインPCBから環状部分178までの間、および環状部分178からLEDインターフェース部分186までの間を延びる可撓性PCB184のコネクタ部分とを有する。
【0128】
制御装置180と環状部分178のLED176との間のすべての接続は、可撓性PCB184に沿って(およびメインPCB182上に)延びており、同様に、制御装置180とLEDインターフェース部分186のコネクタとの間のすべての接続は、可撓性PCB184に沿って(およびメインPCB182上に)延びている。
【0129】
環状部分178およびLEDインターフェース部分186を可撓性PCBの一部として形成することにより、組立のコストおよび複雑さが低減され、環状部分178およびLEDインターフェース部分186が代わりに剛性PCBから形成された場合は、メインPCB182への追加のケーブル接続が必要となるであろう。さらに、可撓性PCB184を使用することにより、装置をコンパクトに保つことができ、可撓性PCBは、非常に平坦であるため、薄いネック部分160をより薄くすることができる。ケーブルコネクタが不要なため、サイズを抑えることもできる。
【0130】
また、可撓性PCBが使用されるのは、その可撓性を利用してPCBを適切な形状に曲げることができるからであり、そのため環状部分178およびLEDインターフェース部分186が本体部150の軸方向の範囲に対して横方向に配置される。
【0131】
ヘッド部110が本体部150に留められると、LEDインターフェース部分186は、ヘッド部110の可撓性PCB118に電気的に接続される。この接続は、ヘッド部110の可撓性PCB118に接続された3つのポゴコネクタ127(
図3b参照)を介して達成される。これらのポゴコネクタ127は、スリーブ部分126の上部にある小孔128(
図3a参照)を通過し、ネック部分126の上部にある対応する小孔163を通過し、可撓性PCB184のLEDインターフェース部分186に接触する。2つの小孔128および2つの対応する小孔163が
図3aに示されているが、3つのポゴコネクタ127のそれぞれに対して1つずつ、それぞれ3つが設けられる。
【0132】
可撓性PCB118は、LED122のそれぞれを個々に制御するためのLED制御集積回路125を含む(すなわち、各LED122は、他のLED122のいずれかの状態とは無関係に個別に制御され得る)。LED122の制御は、ユーザからの入力なしに、装置によって自動的に行われる。
【0133】
本体部150は、外側ハウジング152(
図6に示す)および内側クレードル154を含む。内側クレードル154は、様々な構成要素を留めることができる領域を形成するように設計された一連の弾性突起を備える。したがって、インダクタ174、バッテリ172、メインPCB182、可撓性PCB184(環状部分178およびLEDインターフェース部分186を含む)、およびカメラ170はすべて、ねじを使用せずに内側クレードル154内に固定される。これにより、組立/メンテナンスが容易になり、製造コストが低減される。
【0134】
透過照明装置100は、ユーザのスマートデバイス200を使用してオン/オフにされてもよい。この制御(およびスマートデバイス200と透過照明装置100との間の任意の他の通信)は、Bluetooth接続を介して行うことができる。あるいは、この目的のために、1つまたは複数のボタンが本体部150に存在してもよい。
【0135】
プリズム164、アパーチャ166、および3つの平凸レンズ168は、ネック部分160内に延在する内側クレードル154の一部内に保持される。レンズは、正確な光路が確実に維持されるように、円筒形スペーサ内に保持されている。この場合も、光学アセンブリの構成要素を固定するためのねじは不要である。
【0136】
外側ハウジング152は、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)プラスチックなどの耐久性と防水性のあるプラスチックから形成されている。
【0137】
図7は、家庭でユーザが齲蝕を検出することができるようにするためのシステムを示しており、透過照明装置100はその一部である。また、システムの一部は、ユーザのスマートデバイス(この場合、表示画面を有する携帯電話200であるが、タブレット、ラップトップ、デスクトップ、または専用スマートデバイスを含む、任意の適切なスマートデバイスが使用され得ることが理解されるであろう)、およびリモートサーバ、例えば、クラウドベースのサーバ300である。上述したように、透過照明装置100は、Wi-Fi/Bluetooth機能が統合されたシステムオンチップマイクロコントローラを備える。これにより、透過照明装置100と携帯電話200との間の通信が可能となる。携帯電話200は、インターネットを介してクラウドベースのサーバ300と通信することができる(当技術分野で知られているような)通信インターフェースを備える。
【0138】
簡単に説明すると、携帯電話200は、透過照明装置100から画像を受信し、それらの画像に基づいて処理を実行し、次いで、クラウドベースのサーバ300に画像を送信するソフトウェアアプリケーション(アプリ)を実行する。クラウドベースのサーバ300は、携帯電話によってまだ実行されていない画像の任意のさらなる必要な処理を実行し、その結果を携帯電話200に送り返し、携帯電話200の表示画面上でユーザに表示する。
【0139】
透過照明装置100を初めて使用する前に、ユーザはアプリを開き、登録するプロセスを経る。
【0140】
ユーザの登録は、ユーザ名およびパスワードの設定、電子メールアドレスの登録、利用規約の承諾、該当する場合のサブスクリプションパッケージの選択、支払い詳細の入力、およびユーザのスマートデバイスへの接続を含む。これらの登録ステップは、後で修正することができる。
【0141】
登録は、同じ世帯の他のメンバーが同じ装置を使用するために行われることがある。
【0142】
また、ユーザは、歯の欠損、歯の詰め物、インプラント、補綴物、またはその他の既知の状態がある場合、アプリに登録する。ユーザの食事および/または健康状態に関する情報も任意選択で収集されてもよい。
【0143】
次に、画像撮影プロセスについてより詳細に説明する。携帯電話200で実行されるアプリは、画像撮影プロセス中にユーザをガイドする。ユーザは、以下に説明するように、一度に顎の1象限(すなわち、4分の一)の周りで透過照明装置100を移動させるように指示される。各象限は、上顎および下顎について、ならびにそれぞれの左側および右側について、最後方の歯と中央の前切歯との間に画定され、すなわち、左上象限、左下象限、右上象限、および右下象限がある。
【0144】
各象限について、ユーザは、どこから開始するかを指示され(例えば、4つの象限のうちの1つの最後方の歯から)、それに応じて、選択された象限の最後方の歯(または他の指定された開始点)の上に透過照明装置100のヘッド部110を配置し、中央部分114が歯の咬合/切歯面に面し、可撓性翼部116が歯の両側に接触するように、ヘッド部110を所定の位置にスライドさせる。次いで、ユーザは、例えば、装置またはアプリのボタンをクリックすることによって、画像撮影をオンにし、アプリの指示の下、選択された象限内のすべての歯が撮像されるまで、ヘッド部110を歯から歯へと移動させる。アプリの指示の下で、ユーザは、撮像される歯に対してヘッド部110が一時的に静止して保持されるように、撮像される各歯の上で短時間(例えば、1~3秒間)一時停止する。静止して保持されている間に、異なる照明条件が歯に適用され(後述するように)、複数の画像が撮影される。各画像は、アプリによる処理のために携帯電話200に送信される。
【0145】
あるいは、透過照明装置は、画質に基づいて画像の事前選択を行い、特定の品質基準を満たす画像のみが携帯電話200に送信されるようにしてもよい。品質基準には、フォーカス/鮮明度、許容可能な照明(すなわち、露光過多/露光不足でないこと)、および画像内の歯の有無のうちの1つまたは複数が含まれる。
【0146】
アプリは、歯が画像内に存在するかどうかを検出するアルゴリズムを含む。このアルゴリズムでは、歯の画像がセグメント化され、歯のタイプを決定するために、形状認識が使用される。所与の象限および既知の歯の配列とともに、撮像された歯が識別され、国際標準番号付けシステムに従ってラベル付けされる。歯の位置、ならびに画像の輝度およびコントラストに基づいて、アプリは、各歯について、その歯について撮影された一連の画像から最良の画像を選択する。選択は、照明の均一性、コントラスト、および画像の位置合わせなどの画像の品質に基づいてもよい。画像の品質が承認される(すなわち、上で概説したような所定の基準を満たす)と/場合、どの歯が首尾よく撮像されたかを示す視覚的なフィードバックが、ユーザのスマートデバイスを介してユーザに提供される。例えば、アプリに表示される歯のモデルに、対応する歯がマークされ(例えば、対応する歯は、緑色の陰影が付けられてもよい)、ユーザは、次の歯に移動するように指示される。分析の品質が十分でないために、1つまたは複数の歯に対して画像が承認されなかった場合、アプリは、その歯を再撮像すべきであることをユーザに示す。
【0147】
画像を取得するためにユーザがヘッド部110を各歯に静止させて保持する代わりに、ユーザは、ヘッド部110をゆっくりとした連続的な掃引動作で象限を横切って掃引してもよい。各歯についての異なる照明条件下での画像を含む、一連の画像が掃引で撮影される。歯のうちの1つまたは複数が首尾よく撮像されなかった場合、アプリは、ユーザに再度掃引を行うように指示する。
【0148】
各歯の画像が承認され、ラベル付けされると、画像は携帯電話200からクラウドベースサーバ300に送信される。このような画像は、通信前に匿名化され得て、通信は、エンドツーエンドで暗号化されており、ユーザのプライバシーを保護することができる。クラウドベースのサーバ300は、歯の透過照明画像において齲蝕を識別し、識別された齲蝕を分類する機能を有する機械学習アルゴリズム、この場合は、(プロセッサ320上で実行される)ディープラーニングニューラルネットワークを含む。
【0149】
プロセッサ320は、各歯の状態(すなわち、齲蝕なし、または齲蝕、および齲蝕が存在する場合には齲蝕の分類)に関するユーザレポートを携帯電話200に返し、これは、歯のマッピングおよびそれらの状態を示す歯の配置の写真上で視覚的フィードバックとしてユーザに表示される(
図8に示されるように)。
【0150】
プロセッサ320によって生成されたユーザレポートは、携帯電話200に送信される前に暗号化される。レポートには、ユーザを識別することができるようないかなる情報も含まれず、すなわち、データは匿名化されている。
【0151】
アプリは、齲蝕が識別されなかった場合は、有益なおよび/または動機付けとなるテキスト(例えば、「よくやった!」)を表示する。齲蝕コード1または2が識別された場合、適切な口腔ケアに関する有用な情報(例えば、「朝晩少なくとも2分間歯磨きを心がけてください」)がユーザに表示される。
【0152】
齲蝕のいずれかがコード3、4または5として識別された場合、ユーザは歯科医を訪れるように勧められる。クラウドベースのサーバ300は、歯科医院のデータベースを備え、アプリは、ユーザの位置データまたはユーザが選択した地域に基づいて、ユーザの地元にあるこのような医院のリスト(および/またはこれらの位置を示すマップ)を提示する。あるいは、このようなデータベースは、アプリに含まれていてもよく、またはクラウドベースのサーバもしくはスマートデバイスからアクセスすることができる、全体が別個のデータベースであってもよい。ユーザは、このリストから1つまたは複数の歯科医院400a、400bを選択して、詳細な歯科レポートにアクセスすることができ、歯科医院は、識別された齲蝕の治療のための治療計画および/または費用の見積もりをユーザに提供することができる。詳細な歯科レポートは、透過照明装置100によって撮影されたユーザの歯のすべての画像を含む、標準化されたレポートである。詳細な歯科レポートは、歯科専門家が、各個々の歯を選択して、対応する透過照明画像およびラベル付けされた齲蝕を見ることができるように、クリック可能な歯のモデルを含む。詳細な歯科レポートには、ユーザを識別できるような情報は何も含まれておらず、すなわち、データは匿名化されている。
【0153】
ユーザには、レポートを送信したい歯科医院(まだデータベース内にない)の電子メールアドレスを追加するオプションも与えられる。その電子メールアドレスにレポートをダウンロードするためのリンクが送信され、次いで、歯科医院は、そのレポートにアクセスするためにサインアップしてログインしなければならない。
【0154】
歯科医院がユーザのレポートにアクセスし易くし、ユーザのレポートを携帯電話200に送信し易くするために、プロセッサ320は、詳細な歯科レポートを安全なサーバ340に送信する。安全なサーバ340とのすべての通信がエンドツーエンドで暗号化されており、安全なサーバ340からのデータにアクセスするためには2段階認証が必要であるという点でサーバは安全である。
【0155】
ユーザが自分のレポートにアクセスすることができる1つまたは複数の歯科医院を選択すると、安全なサーバ340から歯科医院400a、400bにリンクが送信され、歯科医院は安全なサーバ340からのレポートにアクセスすることができるようになる。
【0156】
上述したように、歯科医院400a、400bと安全なサーバ340との間の通信は、エンドツーエンドで暗号化されており、歯科医院400a、400bは、二要素認証によって認証される。認証されると、歯科医院は、安全なサーバ340からユーザのレポートをダウンロードすることができる。
【0157】
歯科医院の歯科医は、画像および識別された齲蝕を確認し、治療計画および/または費用の見積もりを決定し、予約時間/場所を提案することができる。この情報は、次いで、安全なサーバ340に送り返される。安全なサーバ340は、費用見積もりおよび/または治療計画を受信し、アプリを介してこの見積もりをユーザに配信する。次いで、ユーザは、歯科医院400a、400bに連絡して治療を手配することができる。
【0158】
ここで、透過照明装置100の照明機能についてより詳細に説明する。上述したように、第1および第2の可撓性翼部116はそれぞれ、複数のLEDを備える。LED122は、個々に制御可能であり、それぞれが、本体部150(LEDインターフェース部分186を備える)の可撓性PCB184、ポゴコネクタ、およびヘッド部110の可撓性PCB118を介して、制御装置180に接続されている。LED122は個々に制御可能であるため、透過照明装置100は、複数の異なる照明条件を作り出すように、点灯させたLEDの異なるセットで歯を照明する機能を有する。
【0159】
図9および
図10は、先端部112におけるLED122の配置および制御に関するさらなる詳細を示す。
【0160】
各可撓性翼部116は、4つの縁部によって画定されている。これらは
図9でラベル付けされている。先ず、可撓性翼部116が中央部分114と交わる基部縁部117aと、可撓性翼部が歯を受け入れるためのスロットを画定する対向する開口縁部117bとがある。そして、基部縁部および開口縁部を横切るように、近位縁部117c(装置の本体部150に最も近い縁部)および対向する遠位縁部117d(装置の本体部150から最も遠い縁部)がある。
【0161】
各可撓性翼部116は、4つのLED122を備える。
図9に示されるように、これらは、長方形の角に位置するように配置されている。ここで、長方形の2辺は、基部縁部117aおよび開口縁部117bと概ね平行であり、長方形の2辺は、近位縁部117cおよび遠位縁部117dと概ね平行である。LED122は、近位縁部117cおよび遠位縁部117dに平行な長方形の辺に沿って1.75mm(縁部から縁部までの垂直距離)だけ離間されており、基部縁部117aおよび開口縁部117bに平行な長方形の辺に沿って5mm(縁部から縁部までの垂直距離)だけ離間されている。
【0162】
LEDは、(それぞれが他の状態とは独立して点灯または消灯され得るように)個々に制御可能であり、これにより、複数の異なる照明条件を達成することができる。
【0163】
図10a~
図10nは、得ることができる様々な照明条件を概略的に示す。図示される配置は、決して網羅的なものでも限定的なものでもなく、実現され得る多くの照明条件のうちのいくつかを単に例示したものである。これらの図では、点灯しているLEDは、陰影付きの円として表されている。これらの図において、LED間の距離は、説明を容易にするために誇張されている。
【0164】
一般に、少なくとも1つのLEDがそれぞれの側で照明される。これは有利であるが、本発明を限定するものではない。同様に、光が歯の先端からより遠くに(すなわち、歯肉線により近く)照射されるのが一般的に有利である。カメラは、歯の先端付近から画像を撮影するため、歯の可能な限り大きな体積を撮像するように、特に、齲蝕を示す影を可能な限り多く撮影するように、歯の先端からより遠くの、歯肉線付近の歯に光を入射させることが有利である。歯は歯肉線から遠い方について照らされると、歯肉線に近い方の影が隠される。
【0165】
図10a~
図10cは、2つのLEDが歯を同時に照明する照明条件を示す。
図10dおよび
図10eは、3つのLEDが歯を同時に照明する照明条件を示す。
図10f~
図10kは、4つのLEDが歯を同時に照明する照明条件を示す。
図10lは、5つのLEDが歯を同時に照明する照明条件を示し、
図10m~
図10nは、6つのLEDが歯を同時に照明する照明条件を示す。7つ、または8つすべてのLEDを同時に点灯させることもできる。
【0166】
上述したように、LEDはそれぞれ、点灯または消灯のいずれかであるように制御され得る。しかしながら、LEDを消灯させる代わりに、強度を下げて照明することができる。
【0167】
上記では8つのLED112について説明したが、代わりにより多くの(またはより少ない)LEDが設けられてもよい。より多くのLEDでは、さらなる照明条件が利用可能になる。
【0168】
上述のLEDはすべて、同じ公称スペクトル特性(同じピーク波長およびピーク幅を含む)を有するが、複数の近赤外波長の下で画像を撮影することができるように、LEDのうちの1つまたは複数が(ピーク波長は依然として近赤外範囲内にありつつも)他のLEDとは異なるスペクトル特性を有し得ることが理解されよう。
【0169】
透過照明装置100が歯の上を移動するにつれて、複数の照明条件を循環させることができ、その結果、各歯について、複数の照明条件のそれぞれの下で少なくとも1つの画像が撮影される。複数の照明条件のうちの少なくとも1つは、齲蝕分析に適した画像を撮影するはずであるが、これを達成する特定の照明条件は、撮像される歯に応じて変わる。例えば、詰め物が施された大臼歯の場合、適切な照明条件は、すべてのLED122を点灯させるべきであることになり得る。しかしながら、切歯が同じ照明条件下で撮像されると、結果として得られる画像は、(歯に光が入射しすぎて)露光過多になる可能性が高い。その場合、適切な照明条件は、LED122のサブセットのみ(すなわち、LED122のすべてではない)を点灯させることを含む。例えば、LEDの半分を点灯させることができる。
【0170】
各歯に対してすべての照明条件を循環させる代わりに、照明条件は、撮像される特定の歯の知識に基づいて適用されてもよく、所定の照明条件が、その特定の歯に対して適用される。撮像される特定の歯に関する知識は、例えば歯の形状認識を通じて(例えば機械学習技術を使用し、幾何学的パターンに基づいて)、および/または撮像される歯の予想される配列を知ることによって得ることができる。(照明条件により歯を正しく撮像することができないために)結果として得られる画像が許容可能でない場合、異なる照明条件が適用されてもよい。
【0171】
所与の歯に適用される第1の照明条件は、装置の最初の使用時にユーザによって行われる事前のプロセスに基づいて予め設定されてもよい。較正プロセスでは、複数の照明条件を歯に順次適用し、各照明条件下で画像を取得することができる。次いで、画像を分析して最高品質の画像を決定する。そして、最高品質の画像が得られた照明条件が第1の照明条件として予め設定される。最高品質の画像は、例えば、迷光による反射が最小である画像、および/または適正な露光の(歯に入る光が多すぎることによる露光過多でもなく歯に入る光が少なすぎることによる露光不足でもない)画像、および/または輝度とコントラストが適切な画像であってもよい。
【0172】
単一の撮影画像を使用するのではなく、同一の歯の複数の画像を撮影および選択し、各画像の一部、または同一の歯の複数の重ね合わせ画像をリモートサーバの訓練されたニューラルネットワークにおいて使用することが可能であることを理解されたい。
【0173】
例えば、異なる波長での近赤外光による照明下で(例えば、他とは異なる波長特性を有する1つまたは複数のLEDが設けられている場合)、歯の複数の画像を撮影することが可能である。次いで、同じ歯の複数の画像を合成して、機械学習アルゴリズムへの入力としての合成画像を作成することができる。合成画像における複数の画像の各画像は、0と1との間の重み係数で他の画像と合成され得て、0は寄与がないことを意味し、1は完全な寄与を意味する。
【0174】
図11aおよび
図11bは、
図2に示される先端部と同様の、透過照明装置のヘッド部の先端部112aを示す。先端部112aは、中央部分114aを備え、2つの可撓性翼部116aが中央部分114aから延在している。先端部112aがユーザの歯に配置されると、中央部分114aは、ユーザの歯の咬合/切歯面にまたはその近く位置し、可撓性翼部は、歯の両側に接触し、可撓性翼部の一方は、歯の頬側/顔面側に位置し、他方は、歯の舌側/口蓋側に位置する。可撓性翼部116aのそれぞれは、4つのLED122aを含む。これらは、可撓性翼部116aのそれぞれの一部を形成する支持アーム(図示せず)によって支持された可撓性PCB(図示せず)に取り付けられている。
【0175】
可撓性翼部116aおよび中央部分114は、軟質で可撓性のオーバーモールド(外側被覆)を含む。この場合、オーバーモールドの大部分にはUV硬化性エラストマが使用され、LED122a上のオーバーモールドにはIR透過性シリコーン材料が使用されている。UV硬化性エラストマの代わりに他の材料を使用してもよく、例えば、熱可塑性エラストマ(TPE)を使用してもよい。先端部112aの中央部分114aは、オーバーモールドの窓(すなわち、アパーチャ)124aを備える。窓124aは、ユーザの歯の咬合/切歯面に面するように構成されている。
【0176】
可撓性翼部116aは、使用時にLED122aが確実に歯に近接したままとなるように可撓性である。可撓性翼部116aは、歯の上に配置されると、わずかに外向きに撓むように構成されているが、この外向きの撓みに対して復元力が作用するため、可撓性翼部116aは、歯の側面を握持する。可撓性翼部116aの撓みにより、各LED122aと歯の表面との間に最小限の隙間が確保され、これにより、撮像に有害となり得る迷光が低減され、また、撮像を可能にする適切な量の光が歯に浸透することが保証される。
【0177】
各LED122aは、約850nmのピーク波長および約35nmのスペクトル帯域幅を有する近赤外光を放射するように構成されている。放射強度(100mAの順方向電流での)は、約9~18mW/srであり、典型的には約13mW/srである。LED122aはまた、可視スペクトルの光を放射するように構成されてもよく、これにより、ユーザは、装置が作動していることを視認することができる。
【0178】
各可撓性翼部116aは、4つの縁部によって画定されている。これらは
図11bにおいてラベル付けされている。先ず、可撓性翼部116aが中央部分114aと交わる基部縁部117aと、可撓性翼部が歯を受け入れるためのスロットを画定する対向する開口縁部117bとがある。次いで、基部縁部および開口縁部を横切るように、近位縁部117c(装置の本体部150に最も近い)および対向する遠位縁部117d(装置の本体部150から最も遠い)がある。
【0179】
図11aに示されているように、2つのLEDは、ヘッド部が歯に触れる所定の位置になると歯の先端から遠ざかるような位置(
図11aに示した基部縁部117aに最も近い上側の2つのLED)に配置されている一方で、2つのLEDは、ヘッド部が歯に触れる所定の位置になると歯の先端に近づくような位置(
図11aに示した基部縁部117aから最も遠い下側の2つのLED)に配置されている。ヘッド部が歯に触れる所定の位置になると歯の先端から遠ざかるような位置に配置されている2つのLEDは、鉛直方向に互いにオフセットされている。ヘッド部が歯に触れる所定の位置になると歯の先端に近づくような位置に配置されている2つのLEDは、鉛直方向に互いにオフセットされている。鉛直方向に互いの位置をオフセットしていることにより、これまでの図に示したようなLEDを横に並べた構成と比較して、歯の領域を鉛直方向に少し広がりをもってカバーすることができる。
【0180】
すなわち、可撓性翼部116aの4つのLED122aは、仮想の菱形/平行四辺形の各頂点に位置する。菱形/平行四辺形の2つの辺は、近位縁部および遠位縁部117dに平行であり、他の2つの辺は、基部縁部117aに非平行である。
【0181】
少なくとも1つのLED122aは、どの歯が撮像されているかにかかわらず、使用時に歯肉線に隣接して配置されるべきである。ここで、歯肉線に隣接するとは、光が、依然として、歯肉ではなく歯に向けられるように、歯肉線に近いが、歯肉線から鉛直方向にわずかにオフセットされていることを意味する。歯の可能な限り大きな体積を撮像するために、特に、齲蝕を示す影を可能な限り多く撮影するために、歯肉線付近から光を歯に入射させることが有利である。LED122aのうちのどれが最良の位置にあるかは歯に依存し、例えば下顎の大臼歯では、最良に配置されたLED122aは、ヘッド部が歯の所定の位置にあるときに歯よりも低い最下部に配置されたLEDである場合がある。例えば、下顎の切歯または犬歯では、その同じLED122aが歯肉線の下に位置する場合があり、その場合、LEDは歯を照明するのに最良には配置されていない。このような場合、最良に配置されたLED122aは、ヘッド部が歯の所定の位置にあるときに、歯の先端に最も近く位置するものであってもよい。
【0182】
図11aおよび
図11bに示す可撓性翼部116aはそれぞれ、反対側の可撓性翼部116aの方に向いた(すなわち、使用時に歯を受け入れる可撓性翼部116a間のスロットに向かって内側に向いた)2つの突起を備える。可撓性翼部116aの第1の突起116bは、可撓性翼部116aの開口縁部117bに沿って延びる。この第1の突起116bは、LEDを歯の表面から少し離れた所に配置するためのものである。これにより、LEDが歯のもっと近くにあるとした場合と比較して、LEDの光がより均一に広がることができる。LEDが歯に近すぎると、光の広がりが不均一になり、撮影された画像が部分的に露光過多になるリスクがある。
【0183】
第2の突起116cは、近位縁部117c(装置の本体部150に最も近い)から対向する遠位縁部117d(装置の本体部150から最も遠い)まで延び、LED122aと基部縁部117aとの間に位置する。この第2の突起116cは、光がLED122aからカメラ内に直接透過するのを防止または低減するはずである。図示する実施形態では、第2の突起116cは、遠位縁部117dから近位縁部117cの方向に基部縁部117aに向かって下方に傾斜している。
【0184】
中央部分114aは、位置合わせ突起125aおよび125bを備える。第1の位置合わせ突起125aは、中央部分114から離れるように突出し、先端部112aの上部を横切って延びる(先端部の上部は、本体部150から最も遠い先端部の端部である)。第2の位置合わせ突起125bは、第1の位置合わせ突起125aと概ね平行であるが、第1の位置合わせ突起125aとは可撓性翼部116aの反対側に位置する。したがって、第1および第2の位置合わせ突起は、可撓性翼部116aを挟み込む(bracket)。第1および第2の位置合わせ突起は、可撓性翼部116aと概ね垂直である。第1および第2の位置合わせ突起は、ユーザが歯列と平行に装置を保持するのを助ける。
【0185】
図11bに示されるように、本実施形態では、各可撓性翼部116a上に、2つのLEDの2つのグループ、すなわち、基部グループ(基部縁部117aに最も近い2つのLED)および上部グループ(基部縁部117aから最も遠い2つのLED)が存在する。各グループは、独立して制御可能であり、したがって、合計4つの、独立して制御可能なグループがある。1つの可撓性翼部116aを「左側」翼部と呼び、1つを「右側」翼部と呼ぶと、以下のようになる。
-右側基部グループ
-右側上部グループ
-左側基部グループ
-左側上部グループ
【0186】
このような構成で達成することができるいくつかの例示的な照明条件(組合せ1~10)を以下に列挙する。ここでは、点灯するグループのみについて言及する。言及されていない他のグループは点灯されない。
-組合せ1-両方の基部グループ(左側および右側)点灯
-組合せ2-両方の上部グループ(左側および右側)点灯
-組合せ3-右側基部グループ点灯
-組合せ4-右側上部グループ点灯
-組合せ5-左側基部グループ点灯
-組合せ6-左側上部グループ点灯
-組合せ7-右側上部グループおよび右側基部グループ点灯
-組合せ8-左側上部グループおよび左側基部グループ点灯
-組合せ9-右側基部グループおよび左側上部グループ点灯
-組合せ10-右側上部グループおよび左側基部グループ点灯
【0187】
これらの組合せでは、同時に点灯するLEDの最大数は4であるが、より多くのLEDが使用されてもよい。一度に4つ以下のLEDを使用することで、画質に有害となり得るLED光の反射のリスクを低減する。
【0188】
所与の歯に対して、予め設定された組合せが使用される。これらは、ユーザによって行われる較正プロセスにおいて特定されてもよく、装置の最初の使用時に、各歯について組合せのすべてを循環させ、各歯について適切な条件を識別する。適切な組合せは、歯のサイズ(高さおよび厚さ)および位置に依存する。
【0189】
組合せ3~6は、歯の片側のみから来る光を提供する。これらの組合せは、切歯を撮像するのに特に適している。次いで、光は、切歯の唇側(顔面側)から、歯を通って、歯の舌側/口蓋側から出るように方向付けられるべきである。これは、切歯の舌側/口蓋側が傾斜した形状をしているため、これによりLED光の強い反射が生じ、画像不良につながる可能性があるためである。切歯は、他の歯よりも薄く、片側のみから来る光のみで十分な品質の画像を得ることができる。所与の歯に上部グループまたは基部グループを使用するかどうかは、歯の高さに依存する。
【0190】
組合せ7~9は、例えば、非常に大きな臼歯を撮像する際に、十分な品質の画像を得るために追加の光が必要な場合に使用されてもよい。
【0191】
LEDのグループはそれぞれ、グループ内のすべてのLEDが点灯または消灯するように制御され得る。しかしながら、あるグループを消灯する代わりに、照度を下げてそのグループ内のLEDを点灯させてもよい。
【0192】
8つのLED112aについて説明したが、代わりにもっと多くの(またはもっと少ない)LEDが設けられてもよい。
【0193】
上述のLED122aはすべて、同じ公称スペクトル特性(同じピーク波長およびピーク幅を含む)を有するが、複数の近赤外波長の下で画像を撮影することができるように、LEDのうちの1つまたは複数が(ピーク波長は依然として近赤外範囲内にありつつも)他のLEDとは異なるスペクトル特性を有し得ることが理解されよう。
【0194】
単一の撮影画像を使用するのではなく、同一の歯の複数の画像を撮影および選択し、各画像の一部、または単一の歯の複数の重ね合わせ画像をリモートサーバの訓練されたニューラルネットワークにおいて使用することが可能である。
【0195】
例えば、異なる波長での近赤外光による照明下で(例えば、他とは異なる波長特性を有する1つまたは複数のLEDが設けられている場合)、歯の複数の画像を撮影することが可能である。次いで、同じ歯の複数の画像を合成して、機械学習アルゴリズムへの入力としての合成画像を作成することができる。合成画像における複数の画像の各画像は、0と1との間の重み係数で他の画像と合成され得て、0は寄与がないことを意味し、1は完全な寄与を意味する。
【0196】
上記で識別された制御スキーム(上記に列挙した組合せのうちの一部またはすべてで動作可能な、2つのLEDの4つのグループ)は、
図11aおよび
図11bに示される先端部112aでの使用に限定されるものではなく、代わりに、前の図に関連して説明された先端部112で実施され得る。
【0197】
図12aおよび
図12bは、齲蝕がコード3として分類された、透過照明によって生成された画像を示す。左の画像は、歯科医によってカテゴリ3の齲蝕として識別された齲蝕を示し、右の画像は、機械学習モデルによって齲蝕の位置が特定され、機械学習モデルによって同じくコード3として分類された領域を示す。
【0198】
機械学習アルゴリズムは、有資格の歯科医によって識別されるような、各カテゴリ(カテゴリ1~カテゴリ5)の齲蝕の1000枚の画像を含む画像の訓練セットで訓練される。
【0199】
透過照明装置の1つの構成を上述したが、他の変形例も可能である。一部の代替可能な構成を以下に説明する。
【0200】
上述したように、透過照明装置の1つの構成は、インダクタ174によって誘導充電される充電式バッテリ172を備える。インダクタ174は、本体部の基部に位置し、当技術分野で知られている種類の外部の誘導充電ステーションと相互作用する。同様の誘導充電ステーションは、例えば、電動歯ブラシを充電するために一般的に使用されている。代替の構成を以下に説明する。
【0201】
透過照明装置が使用されている間、すなわち、ユーザによって手に保持されている間、透過照明装置がユーザのスマートデバイス(例えば、携帯電話)と無線で(例えば、Bluetoothを介して)通信できることが有利である。ユーザの体内(例えば、ユーザの手/口の中)の水分はWi-Fi信号(例えば、2.45GHzの電波)を吸収するため、ユーザの手または口がWi-Fiアンテナを取り囲まない位置にWi-Fiアンテナを配置することが有利である。適切な位置は、透過照明装置の本体部の基部である。しかし、誘導充電回路(ステーション)の一部を形成するインダクタ(フェライト材料を含む)もWi-Fi信号(例えば、2.45GHzの電波)を吸収する。このため、Wi-Fiアンテナを基部に配置できるようにするには、誘導充電回路を基部の従来の位置から遠ざける必要がある。
【0202】
図13aは、透過照明装置500の内部の構成要素の分解図を示す。図示する構成では、充電式バッテリ572を充電するためのインダクタ574は、透過照明装置500の中間部分500aに位置する。また、装置の基部部分500bにはWi-Fiアンテナ(図示せず)も配置されている。このように、Wi-Fiアンテナは、ユーザまたはインダクタ574によって遮られない位置にある。
【0203】
インダクタ574が装置200の中間部分500aに配置されているため、装置500を充電するための誘導充電ステーションは、前に説明したものと比較して異なる形態をとらなければならないことが理解されよう。例えば、誘導充電ステーションは、基部と相互作用するのではなく、装置の中間部分500aの隣に位置してもよく、またはその周りに巻き付いてもよい。
【0204】
図13bは、本明細書に記載される装置のバッテリを充電するために使用される誘導充電装置600の概略図を示す。充電装置600は、2つのフェライトロッド601(直径約4mm、長さ約30mm)を備える。2つのロッド(棒)601の一方は、透過照明装置のPCBに取り付けられ、他方は、別個の誘導充電装置に配置されている。ロッドのそれぞれは、厚さ0.25mmの銅コイル602a、602bによって(部分的に)取り囲まれており、これにより、ハンドヘルド装置および充電装置のそれぞれにインダクタが形成される。装置に(ハンドヘルド透過照明装置および充電装置にそれぞれ)組み付けられると、充電中のそれぞれの装置の壁およびそれぞれの装置間の公差が許容されるように、それぞれのインダクタのコイル602a、602bの外側との間に2.5mmの公差間隙が残される。
【0205】
充電中、コイル602a、602bはそれぞれ、共振回路の一部であり、2つの共振回路は緩く磁気的に結合されている。コイル602aは、充電ステーションのコイル602bとの誘導結合を介してエネルギーを受け取るように配置されている。充電ステーションの誘導コイル602bには交流電流が流れる。これによって移動する電荷により磁場が作り出され、この磁場は、電流の大きさが変動するため強度が変動する。ロッド601によって強化されたこの変化する磁場は、装置のコイル602aに交流電流を作り出し、この交流電流が、整流装置を通過して直流電流に変換される。次に、この直流電流を使用して、透過照明装置の充電式バッテリを充電する。
【0206】
図14aおよび
図14bは、透過照明装置700の内部を示す。装置は、基部部分703、中間部分704、およびネック部分705を有する外側ハウジング702を含む本体部701を備える。ネック部分には、上述したような先端部の形態のヘッド部800が取り付けられている。ハウジング702の内部には、様々な電子部品を保持するための互いに直交する剛性プリント回路基板(PCB)708、709とともに、上述したように誘導充電用に配置されたバッテリ707を見ることができる。これにより、部品を取り付けるために利用可能なスペースが最大化される。
【0207】
図14bおよび
図14cにより明確に見られるように、ネック部分705には、ネック部分705の内部への光の通過を可能にするサファイアガラスで作られた透過窓710がある。ネック部分の内側に、光学アセンブリ711を見ることができる。この窓は、ひっかきに対して耐性があり、この窓は装置の使用中にユーザの口の中で露光するため重要である。光学アセンブリは、透過窓710の反対側に(すなわち背後に)配置されたカメラ712を備える。したがって、透過窓は光学アセンブリを保護する。光学アセンブリはまた、カメラの上方のプラスチックハウジング713と、アパーチャフィルム714と、レンズ715と、透過窓710を適所に保持するための金属フレーム716と、光学アセンブリを一緒に保持するためのゴムガスケット717とを備える。カメラ712は、装置本体部のネック部分705内の可撓性PCB718に取り付けられている。カメラ712はまた、(光学アセンブリの他の構成要素とともに)剛性PCB709に固定され、これらの構成要素の支持を提供し、相対的な動きを低減させる。
【0208】
加熱器(図示せず)は、金属フレーム716を加熱するように配置され、これにより、透過窓710に熱が伝導され、使用時の曇り/結露が防止される。そうするために、窓は、例えば、20秒以内に40℃に加熱されることがある。使用時には、図示するように先端部800が取り付けられた状態で、歯の透過照明が行われ、カメラ712が透過窓710を通して画像を撮影する。使用時に、透過窓710は、ユーザの口の状態(熱および湿度)にさらされる。
【0209】
図15a~
図15cは、PCB708、709および電子部品の内部配置をより明確に示す。
図15aは、第1の剛性PCB708および第2の剛性PCB709を示す。これらは、ハウジングの内側に電子部品を取り付けるためのスペースを最大限確保するために、互いに実質的に直角に配向されている。第1のPCB708は、アンテナ719(装置の基部に配置される)と、その上に取り付けられたクレードル720とを有し、クレードルはバッテリ707を保持する。第2のPCB709には、装置のネック部分に、接続点721が取り付けられている。接続点721は、本体のハウジングを貫通して延在するポゴコネクタに電気的に接続されており、このポゴコネクタにヘッド部の対応するポゴコネクタを接続することができる。先端部800が(
図14cに示されるように)ネック部分に取り付けられると、この接続点721は、したがって、装置の本体部とヘッド部との間の電気的接続点を提供する。これにより、先端部の装置への取り付けや装置からの取り外しが容易になり、例えば、別の先端部との交換が容易になる。また、第2のPCB209には、光学アセンブリ711が実装された可撓性PCB718が取り付けられている。
【0210】
図16aおよび
図16bは、先端部の構成をより詳細に示す。先端部の可撓性PCB801は、先端部の中央部分から延在する第1および第2の可撓性翼部802、803内に延在する。これらの部分のそれぞれには、歯を照明し、前述の透過照明法を実行するためのLED804が取り付けられている。装置のネック部分内の光学アセンブリ711も、この図で見ることができる。光学アセンブリの透過窓710は、先端部の開口805と整列している。
【0211】
図16bは、可撓性PCB801と、可撓性PCB801を封入する可撓性オーバーモールド806とを含む先端部800の分解図を示す。
【0212】
本明細書に記載される装置および方法は、動物の歯に使用するために適合され得ることができることが理解されるであろう。このような場合、装置は、人間が使用するために作られた装置よりも頑丈になるであろう(例えば、動物が噛んでも耐えられるより強いケーシングを含む)。この場合、装置のユーザは、獣医の専門家か、場合によっては動物の飼い主であろう。様々な動物、例えば、イヌ、ネコ、およびウマに使用するのに適したサイズおよび形状を有する、透過照明装置100用の異なるサイズ/形状のヘッド部110も提供されるであろう。LED122およびレンズ/プリズム構成も、それに応じて適合され得る。
【国際調査報告】