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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-28
(54)【発明の名称】廃棄物の乾燥
(51)【国際特許分類】
   F26B 17/26 20060101AFI20240621BHJP
   F23G 5/04 20060101ALI20240621BHJP
   F26B 17/00 20060101ALI20240621BHJP
   F26B 21/00 20060101ALI20240621BHJP
   F26B 21/10 20060101ALI20240621BHJP
   F26B 3/06 20060101ALI20240621BHJP
   B09B 3/40 20220101ALI20240621BHJP
   C02F 11/12 20190101ALI20240621BHJP
【FI】
F26B17/26
F23G5/04 Z
F26B17/00 B
F26B21/00 A
F26B21/10 Z
F26B3/06
B09B3/40
C02F11/12 ZAB
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023579869
(86)(22)【出願日】2022-06-21
(85)【翻訳文提出日】2023-12-26
(86)【国際出願番号】 EP2022066889
(87)【国際公開番号】W WO2023280565
(87)【国際公開日】2023-01-12
(31)【優先権主張番号】21183993.1
(32)【優先日】2021-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523163831
【氏名又は名称】エルヴェーエー ゲネラツィオン エヌエル ベー.ファウ.
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ユーリングス,ヨハンネス テオドルス ヘラルドゥス マリエ
(72)【発明者】
【氏名】ドゥ ベスト,カルロ ヤコブス ヨハンネス マリア
【テーマコード(参考)】
3K065
3L113
4D004
4D059
【Fターム(参考)】
3K065AA24
3K065AC01
3K065AC02
3K065CA11
3L113AA02
3L113AB02
3L113AC08
3L113AC22
3L113AC45
3L113AC48
3L113AC51
3L113AC67
3L113BA36
3L113CA08
3L113CA10
3L113CB05
3L113CB14
3L113CB24
3L113DA02
3L113DA06
4D004AA02
4D004AB01
4D004CA42
4D004CB36
4D004CB41
4D004CC01
4D004DA06
4D059AA03
4D059AA07
4D059BD01
4D059BD21
4D059CA10
4D059CA14
4D059CB06
4D059EA10
4D059EB10
(57)【要約】
本発明によれば、廃棄物7は、幾つかの床部分34、44、46を有する床4に廃棄物7を搬入することにより、且つ、押し出し床機構で廃棄物7を搬送することによって、乾燥される。押し出し床機構では、床部分34、44、46の一部のみが、一度に移動方向8に又は反対方向61に移動される。廃棄物7を乾燥させるためのエネルギーは、温かい空気11により供給される。この温かい空気11は、床部分34、44、46の開口38を通り、圧力室3から床4を通り廃棄物7内に入り、廃棄物7を通りぬける。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃棄物(7)を乾燥させる方法であって、
廃棄物(7)を、少なくとも2つの床部分(34、44、46)を有する床(4)の入口端(6)において、廃棄物室(2)内に搬入するステップと、
その温度が70℃超であり、好ましくは80℃~90℃の範囲である温かい空気(11)を、前記床(4)の下にある圧力室(3)に供給するステップであって、
圧力が前記廃棄物室(2)内の圧力を上回ることにより、前記温かい空気(11)が、前記床(4)の各開口(38)を通って前記廃棄物室(2)内へ向かい且つ前記廃棄物(7)を通る、
ステップと、
前記廃棄物(7)を、前記床(4)の前記入口端(6)から出口端(12)に移動方向(8)へ搬送するステップであって、
前記床部分(34、44、46)をそれぞれ、前記移動方向(8)及び前記移動方向(8)とは逆である反対方向(61)へ所定量移動させることにより行われるステップと、
前記床(4)の前記出口端(12)から落下した廃棄物(7)を、前記廃棄物部屋(2)から搬送するステップと
を含む方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記床(4)により、前記各開口(38)を通過する前記空気の床圧力損失が生じ、
前記床(4)上の前記廃棄物(7)により、前記各開口(38)から前記廃棄物(7)を通って通過する前記空気の廃棄物圧力損失が生じ、
前記床(4)に搬入されている前記廃棄物(7)の量は、前記床圧力損失と前記廃棄物圧力損失との比率が少なくとも2になるように制御される、
方法。
【請求項3】
請求項1、2のいずれか1項に記載の方法であって、
オフガス(64)は、前記廃棄物(7)の上方にて前記廃棄物室(2)から吸引される、
方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法であって、
前記オフガス(64)は、少なくとも1つのサイクロン(10)に供給されて、前記オフガス(64)内の粒子が排気(65)から分離される、
方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法であって、
前記オフガス(64)は、少なくとも2つのサイクロン(10)を通して吸引され、
前記少なくとも2つのサイクロン(10)は、前記廃棄物室(2)に並列に接続されており、
各サイクロン(10)が前記移動方向(8)における異なる位置に配置さており、
各サイクロン(10)へ流れる前記オフガス(64)の温度が測定されて、前記移動方向(8)における前記オフガス(64)の温度プロフィルを決めることができ、且つ、
前記温度プロフィルを用いて、以下の変数
a)前記圧力室(3)に入る前記温かい空気(11)の温度と、
b)前記圧力室(3)に入る前記温かい空気(11)の体積流量と、
c)前記廃棄物室(2)を通る前記廃棄物(7)の移動速度と
のうちの少なくとも1つが制御される、方法。
【請求項6】
請求項3~5のいずれか1項に記載の方法であって、
前記オフガス(64)又は排気(65)は、湿式スクラブユニット(24)へ搬送される、
方法。
【請求項7】
請求項3~6のいずれか1項に記載の方法であって、
前記オフガス(64)又は排気(65)は、熱交換器(68)を通して案内され、
前記熱交換器(68)は、温かい空気(11)として前記圧力室(3)に送出される対象である新鮮な空気(13)を予熱する、
方法。
【請求項8】
請求項5又は7のいずれか1項に記載の方法であって、
前記温かい空気(11)は、前記圧力室(3)に入る前に、ヒートポンプ(31)から供給される熱によって加熱され、
前記ヒートポンプ内では、前記オフガス(64)又は前記排気(65)の潜熱が熱エネルギー源として利用される、
方法。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載の方法であって、
前記床(4)上へ搬入された前記廃棄物(7)のレベルは、所定レベルになるように制御される、
方法。
【請求項10】
廃棄物(7)を乾燥させる乾燥機(1)であって、
廃棄物室(2)及び圧力室(3)を備え、
前記廃棄物室(2)は、前記廃棄物(7)を担持する床(4)により前記圧力室(3)から分離されており、
前記床(4)は、前記床(4)が延在する平面(41)を規定しており、
前記床(4)の入口端(6)上に廃棄物(7)を搬入するための入口(5)を備え、
前記床(4)の出口端(12)から廃棄物(7)を除去するための出口(9)を備え、
移動方向(8)は、前記平面(41)内において、前記入口端(6)から前記出口端(12)に向かって規定されており、
前記床(4)は、少なくとも2つの床部分(34、44、46)を有し、
前記床部分(34、44、46)はそれぞれ、少なくとも1つの他の床部分(34、44、46)から独立して、前記平面(41)内において、前記移動方向(8)に及び前記移動方向(8)とは反対に移動可能であり、
前記床部分(34、44、46)は、前記圧力室(3)と前記廃棄物室(2)とを接続する各開口(38)を有し、
前記圧力室(3)は、前記廃棄物室(2)内の圧力よりも高い圧力の空気を供給可能である、
乾燥機。
【請求項11】
請求項10に記載の乾燥機(1)であって、
前記各開口(38)は、前記空気が前記圧力室(3)から前記廃棄物室(2)へ前記平面(41)と平行に前記各開口(38)を通過できるように、形成されている、
乾燥機。
【請求項12】
請求項10又は11に記載の乾燥機(1)であって、
前記各開口(38)は、前記平面(41)から突出する隆起部(37)によって形成されている、
乾燥機。
【請求項13】
請求項10~12のいずれか1項に記載の乾燥機(1)であって、
各空気出口(17)によって前記廃棄物室(2)に並列に接続された、少なくとも2つのサイクロン(10)と、
前記各サイクロン(10)を通して前記オフガス(64)を前記廃棄物室(2)内へ吸引するように配置された少なくとも1つの排気ファン(16)と
をさらに備え、
前記空気出口(17)はそれぞれ、前記移動方向(8)における異なる位置に配置されており、
前記空気出口(17)はそれぞれ、前記空気出口(17)内の前記空気の温度を測定するための温度センサ(18)を有し、
前記温度センサ(18)は、前記移動方向(8)における前記廃棄物室(2)内の前記オフガス(64)の温度プロフィルを決めるために、制御装置(66)に接続されており、
前記温度プロフィルを用いて、以下の構成要素
A)前記圧力室(3)に入る前記温かい空気の温度を制御するための乾燥空気ヒータ(15)と、
B)以下の変数、前記圧力室(3)内の圧力と、前記圧力室(3)に入る前記温かい空気(11)の体積流量とのうち、少なくとも一方を制御するための循環ファン(14)と、
C)前記廃棄物室(2)を通る前記廃棄物(7)の移動速度を制御するための床移動システム(67)と
のうちの少なくとも1つが制御される、乾燥機。
【請求項14】
請求項10~13のいずれか1項に記載の乾燥機(1)であって、
前記乾燥機は、熱交換器を有する空気予熱器(20)をさらに備え、
前記熱交換器は、前記廃棄物室のオフガス又は少なくとも1つのサイクロンからの排気と、前記圧力室に供給される新鮮な空気との間の、熱伝達のためものである
乾燥機。
【請求項15】
請求項10~14のいずれか1項に記載の乾燥機(1)であって、
前記乾燥機は、湿式スクラブユニット(24)をさらに備え、
前記湿式スクラブユニット(24)は、
前記廃棄物室(2)の前記オフガス(64)又は少なくとも1つのサイクロン(10)からの排気(65)を洗浄するためのものであり、且つ、
前記廃棄物室(2)の前記オフガス(64)又は少なくとも1つのサイクロン(10)からの排気(65)からの熱エネルギーを、前記温かい空気(11)に伝達するためのものである
乾燥機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の主題は、廃棄物を乾燥させる方法、及び対応する乾燥機である。
【背景技術】
【0002】
廃棄物、特に家庭廃棄物又は都市廃棄物(Municipal Solid Waste、MSW)というものは絶えず発生しており、これに対処する必要がある。この廃棄物は埋め立て可能であるが、他の用途で利用することも可能である。例えば、燃焼させて蒸気を生成して続けて電気エネルギーを生成したり、発電所において追加の燃料として使用したり、又は、特許文献1等に開示されているように化学的に使用したりして利用可能である。一般に、廃棄物を埋め立てない場合は、(特に都市廃棄物の)組成が不均質であることにより、例えば、却って廃棄物の湿度が高くなって廃棄物の燃焼及び廃棄物の化学的使用が両方とも複雑になるという問題が引き起こされる。同じことが、バイオマス、例として残材、植物残渣、汚泥、肥料等にも当てはまる。これらの問題を軽減するために、廃棄物又はバイオマスを乾燥させる乾燥機が知られている。乾燥機というのは、多くの場合、例えば特許文献2から公知であるようなベルト乾燥機である。このシステムは、オーム加熱により電気的に加熱されるものであり、廃棄物を乾燥させるのに必要な熱を提供するために多量の電気エネルギーを必要とする。特許文献3はベルト乾燥機の別の例を開示しており、この乾燥機は、乾燥空気が別々に流れる複数の部分から構成されている。その構成及び乾燥空気の制御に関して言えば、この乾燥機は複雑である。
【0003】
本発明の目的は、このことに基づいて、先行技術から公知の欠点を克服することである。この目的は、独立請求項の特徴により解決される。それぞれの従属請求項は、本発明のさらに有利な実施形態に関する。さらなる実施形態は、図及び図のそれぞれの説明を含む明細書から推論することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】欧州特許出願第20204801.3号
【特許文献2】国際公開第2010/080001(A2)号
【特許文献3】欧州特許出願公開第2587203(A1)号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明における廃棄物を乾燥させる方法は、以下のステップを含む。廃棄物を、少なくとも2つの床部分を有する床の入口端において、廃棄物室内に搬入するステップ
その温度が70℃超であり、好ましくは80℃~90℃の範囲である温かい空気を、床の下にある圧力室に供給するステップであって、圧力が廃棄物室内の圧力を上回ることにより、この温かい空気が、床の各開口を通って廃棄物室内へ向かい且つ廃棄物(7)を通る、ステップ
廃棄物を、床の入口端から出口端に移動方向へ搬送するステップであって、各床部分をそれぞれ、移動方向及びこの移動方向とは逆である反対方向へ所定量移動させることにより行われるステップ
床の出口端から落下した廃棄物を廃棄物室から搬送するステップ
【0006】
本明細書に関連する廃棄物とは、都市廃棄物、バイオマス(残材、植物残渣、汚泥、肥料等)、産業廃棄物のうちの少なくとも1つを含むものと理解される。本明細書に関連する廃棄物は、不均一なバルク材と理解される。本発明は、廃棄物を乾燥させる新たな手法に依拠する。この手法において、廃棄物は、可動床又は押し出し床による手法を用いて、廃棄物室を通って移動される。可動床や押し出し床では、廃棄物室と圧力室とを分割する床が少なくとも2つの床部分に区分され、これらの床部分が平面内に配置されて床を形成する。好ましくは、床部分はそれぞれ、移動方向において床の長さ部分全体に亘って、特に入口端から出口端に亘って延在している。これにより、廃棄物室を通して廃棄物を輸送することが容易になる。圧力室内では、圧力が、廃棄物室内よりも高い5~10mbar(ミリバール)の範囲にあることが好ましい。
【0007】
床部分の一部のみが所定の時間で移動するようにすることにより、押し出し床又は可動床の移動が生じる。従って、各床部分のうち少なくとも1つ、又は、全ての床部分ではないが一部の床部分による群が、移動方向に又は反対方向に移動する。これは各床部分が行う唯一の移動であり、特に、移動している床部分は、処理の際に上昇したり下降したりするのではなく、前述の平面内に留まる。従って、床部分はそれぞれ、移動方向及び反対方向へ所定量だけの個別に移動することができ、即ち段階的に移動することができる。この量又は段階は、床及び床部分のレイアウトによって決まり、且つ、床部分を移動させる駆動機構、例えば油圧式移動システムのレイアウトによって決まる。
【0008】
このような移動の第1の好適な例では、第1ステップとして、全ての床部分が、移動方向へ共に移動される。第2ステップ及び後続の各ステップにおいて、第1の個々の床部分又は床部分の第1の群が、移動方向の反対方向へ移動される。その後、全ての床部分が開始位置に位置するまで、残りの床部分が、群で又は個々に反対方向へ移動される。その後、第1ステップ等により床全体が移動する。
【0009】
このような移動の第2の好適な例では、第1の個々の床部分又は床部分の第1の群が、移動方向へ移動され、その後反対方向へ移動される。その後、第2の床部分又は床部分の第2の群が、移動方向へ移動され、その後反対方向へ移動される。その後、全ての床部分が適切に移動されるまで、更なる床部分又は床部分の群が、同様に移動されてもよい。その後、この周期は再度開始してもよい。
【0010】
このような移動の第3の好適な例では、第1の個々の床部分又は床部分の第1の群が、移動方向へ移動される。その後、第2の床部分又は床部分の第2の群が、移動方向へ移動される。その後、全ての床部分が適切に移動されるまで、更なる床部分又は床部分の群が、同様に移動方向へ移動されてもよい。その後、第1の個々の床部分又は床部分の第1の群が、反対方向へ移動される。その後、第2の床部分又は床部分の第2の群が、反対方向へ移動される。その後、全ての床部分が適切に移動されるまで、更なる床部分又は床部分の群が、同様に反対方向へ移動されてもよい。その後、この周期は再度開始してもよい。
【0011】
廃棄物室を通る廃棄物の搬送速度は、床に入口端において搬入された含水廃棄物の湿度と、床の出口端から落下した後に搬送される乾燥廃棄物の湿度とに合わせて、本発明により容易に制御可能であり且つ調整可能である。
【0012】
同時に、加熱処理及び廃棄物を加熱及び乾燥させるための準備は、簡易である。廃棄物室全体が、即ち、廃棄物が搬送される際に通る乾燥機それぞれの部屋全体が、床によって、単一の圧力部屋から分割され、好ましくは分割されていない圧力部屋から分割される。圧力部屋全体に、廃棄物室内の圧力を僅かに上回る圧力で、温かい空気が供給される。これは、循環ファンを用いて圧力室内に温かい空気を押し込むことにより、容易に達成される。床部分にある各開口により、廃棄物室内に温かい空気が押し込まれる。好ましくは、処理を容易に制御できるようにするとともに放水設備の使用を回避するために、廃棄物室の圧力は、周囲圧力で保持され、即ち廃棄物室の周辺の圧力で保持される。これは、以下でオフガスと表記される廃棄物室の空気を、排気ファンを用いて廃棄物室から吸引することにより実現することができる。同時に、排気ファンを使用することにより、好ましくは後続の循環ファンを使用することにより、システム内の空気の質量収支が制御される。同時に、周辺との空気交換を制御しないことから生じる問題があったとしても、それらはこの配置により容易に抑制される。
【0013】
圧力室は周辺に対して閉じられている。廃棄物室は、周辺に対して封止はされておらず、周辺に対して基本的に開放されている。廃棄物室内の圧力を周囲圧力で制御することにより、廃棄物室から周辺への空気の漏出が最小限になる。
【0014】
廃棄物は、好ましくは、少なくとも一部に、都市廃棄物、産業廃棄物、バイオマス、これらの少なくとも1つを含む。廃棄物は、好ましくは少なくとも一部が固体であり且つ多数の破片を含み、バルク材と理解することができる。
【0015】
オフガスの熱エネルギー含有量及びオフガス内の水蒸気の熱エネルギー含有量を、圧力室に入る前の温かい空気を加熱するのに利用することができる。これは、熱交換器又はヒートポンプ又はその両方を使用して、圧力室に入る前の温かい空気の温度を上げることにより、実現することができる。さらに、温かい空気の少なくとも一部としてのオフガスを少なくとも部分的に再循環させて、温かい空気の湿度を制御して乾燥機からの熱損失を制限することが好適である。床により、各開口を通過する空気の床圧力損失が生じ、床上の廃棄物により、各開口から廃棄物を通って通過する空気の廃棄物圧力損失が生じ、床に搬入されている廃棄物の量は、床圧力損失と廃棄物圧力損失との比率が少なくとも2になるように制御される。好ましくは、床圧力損失が小さくとも全圧力損失の70%となる。残りは、廃棄物圧力損失である。これにより、温かい空気は床全体に亘って均等に分配され、その結果、廃棄物が均等に加熱し且つ乾燥される。廃棄物は、バルク材としては、空気が床を通過した後に流れる多孔質のシステムである。
【0016】
廃棄物は、粒度分布に通常は従う粒子を多数含むため、廃棄物は不均質であり、その結果、廃棄物のレベル(高さ)が一定であっても圧力損失にばらつきが生じる。それでも、乾燥処理の上流では、グラインダーや粉砕機等により、廃棄物の粒度分布を適度に制御することができる。これにより、廃棄物圧力損失を、好ましくは、固定式破砕機メッシュを有する破砕機を用いて適度に調整できるようになり、且つ、廃棄物が床に搬入される際の廃棄物高さを適度に調整できるようになる。
【0017】
好ましくは、オフガスは、廃棄物の上方にて廃棄物室から吸引される。これにより、廃棄物室内の圧力レベルを調整できるようになる。廃棄物室内で廃棄物の上方にて集められるオフガスは、通常は移動方向に沿ってばらつきのある湿度分布を有する。廃棄物自体は、含水廃棄物として入口端にて搬入され、乾燥済み廃棄物として出口端にて廃棄物室を出される。含水廃棄物の湿度は、出口端での湿度よりも高い。従って、乾燥処理では、出口端の付近での蒸発よりも入口端の付近の蒸発のほうが非常に多い。従って、廃棄物を通過した空気はそれぞれ、即ち廃棄物の上方にあるオフガスは、入口端の付近では出口端の付近よりも低温であり、廃棄物内の湿気を蒸発させるために蒸発エンタルピーを上げるために使用されているエネルギー量に相関している。同様にして、オフガスは、入口端の付近では、出口端のより近くの空気と比較して、水荷重を多く担持している。
【0018】
これは、廃棄物の上方にあるオフガスが移動方向に沿った温度プロフィルを表すことを意味し、この温度プロフィルは、移動方向におけるそれぞれの位置での廃棄物の湿度と相関する。湿度は、移動方向に沿った各異なる位置にてオフガスが吸引され且つ移動方向に沿った位置に応じた温度が測定される場合に、測定することができる。好ましくは、それぞれの温度プロフィルは、例えば、a)圧力室に入る温かい空気の温度、b)圧力室に入る温かい空気の体積流量、c)廃棄物室を通る廃棄物の移動速度、これらのうちの少なくとも1つを制御することによって乾燥処理を制御するために利用される。このうち、c)の「廃棄物室を通る廃棄物の移動速度」を少なくとも制御するために温度プロフィルを利用することが好適である。それは、このことにより、移動速度を、従って床の出口端での廃棄物の湿度を、効率的に制御できるようになるからである。
【0019】
好ましくは、オフガスは、少なくとも1つのサイクロンに供給されて、オフガス内の粒子が排気から分離される。これにより、オフガスにおいて粒子負荷を減少させることができる。残存する排気は、湿式スクラバ等で、さらに洗浄してもよい。
【0020】
好ましくは、オフガスは少なくとも2つのサイクロンを通して吸引され、これら少なくとも2つのサイクロンは廃棄物室に並列に接続されており、各サイクロンが移動方向における異なる位置に配置さており、各サイクロンへ流れるオフガスの温度が測定されて、移動方向におけるオフガスの温度プロフィルを決めることができ、且つ、温度プロフィルを用いて、以下の変数、a)前記圧力室(3)に入る前記温かい空気(11)の温度と、b)前記圧力室(3)に入る前記温かい空気(11)の体積流量と、c)前記廃棄物室(2)を通る前記廃棄物(7)の移動速度とのうちの少なくとも1つが制御される。各サイクロンは、オフガスにおける粒子負荷を低減するために使用される。粒子は、好ましくは、廃棄物室内の廃棄物に再度導入され、サイクロンからの、粉塵負荷が減少された排気を搬送する。
【0021】
オフガス中の粉塵含有量を低減することにより、有害な物質が環境へ漏れ出す可能性を防ぐことができる。同時に、下流に設けられた湿式スクラバ等によってオフガス(又はサイクロンからの排気)を洗浄しうるが、これは、湿式スクラバへの粒子負荷を低減することでより容易に実施することができる。前述のように、温度プロフィルは、乾燥処理を制御するための効果的な目安である。
【0022】
好ましくは、オフガス又は排気は、湿式スクラブユニットへ搬送される。これにより、オフガス又は排気をさらに洗浄できるようになり、同時に、オフガス又は排気からスクラブ液へ熱エネルギーが伝達される。熱エネルギーを中間媒体を介して温かい空気へ伝達するために、スクラブ液はそれ自体、例えばヒートポンプ内で使用することができる。この場合、湿式スクラブユニット内のオフガス又は排気からの熱伝達が、非常に効率的になる。なぜなら、オフガス又は排気内の湿気の凝縮に起因して多量の熱エネルギーが放出され、この熱エネルギーが、好ましくは水である洗浄媒体に伝達されるからである。例えば、湿式スクラブユニットは、洗浄媒体として温度が12℃~16℃の水を用いて駆動され、湿めったオフガス又は排気は約30℃~35℃の温度を有しており、洗浄媒体は、湿式スクラブユニットを出る際に25℃~30℃まで加熱されることができる。この温かい水は、ヒートポンプを効率的に駆動するのに利用することができる。
【0023】
好ましくは、オフガス又は排気は、熱交換器を通して案内され、この熱交換器は、温かい空気として圧力室に送出される対象である新鮮な空気を予熱する。これにより、オフガス又は排気を冷ましながら、新鮮な空気を例えば約30℃~35℃の温度レベルまで予熱することができる。
【0024】
好ましくは、温かい空気は、圧力室に入る前に、ヒートポンプから供給される熱によって加熱され、ヒートポンプ内では、オフガス又は排気の潜熱が熱エネルギー源として利用される。これは、好ましくは、湿式スクラブユニットを用いて、且つ、前述の中間媒体として洗浄媒体を用いて行われる。
【0025】
好ましくは、床上へ搬入された廃棄物のレベルは、所定レベルになるように制御される。これにより、一方で、廃棄物圧力損失を制御できる。他方で、レベルの制御により、上述のような押し出し床の移動に起因して入口端にて廃棄物内に生じる隙間に、新鮮な含水廃棄物が効率的に確実に充填される。これにより、廃棄物室を通る廃棄物の押し出し床搬送の効率が増す。
【0026】
本発明の別の態様によれば、廃棄物を乾燥させる乾燥機を提案する。本乾燥機は、
廃棄物室と圧力室(3)とを備え、
廃棄物室は廃棄物を担持する床により圧力室から分離されており、
床は床が延在する平面を規定しており、
床の入口端上に廃棄物を搬入するための入口を備え、床の出口端から廃棄物を除去するための出口を備え、移動方向は平面内において入口端から出口端に向かって規定されており、
床は少なくとも2つの床部分を有し、床部分はそれぞれ、少なくとも1つの他の床部分から独立して、平面内において、移動方向に及び移動方向とは反対に移動可能であり、
各床部分は、圧力室と廃棄物室とを接続する各開口を有し、
【0027】
圧力室は、廃棄物室内の圧力よりも高い圧力の空気を供給可能である。圧力室内では、圧力は、廃棄物室内よりも高い5~10mbar(ミリバール)の範囲にあることが好ましい。
【0028】
好ましくは、この乾燥機は、上で述べたように、廃棄物を乾燥させる方法を実施するために使用することができる。反復を回避するために、本方法に関する説明を参照する。
【0029】
各床部分は、平面内でのみ移動可能である。各床部分は、移動方向及び反対方向への段階的な移動ができるように設計されており、これにより、床の最上部にある廃棄物の押し出し床移動ができるようになる。
【0030】
好ましくは、各開口は、空気が圧力室から廃棄物室へ平面と平行に各開口を通過できるように、形成されている。これは、各開口が該平面内に位置してはいないため、廃棄物内の小粒子が各開口を通って圧力室に入るリスクが低減されることを意味する。同時に、このような開口により、使用時に廃棄物の下に一種のエアクッションを形成することが可能であり、これにより、廃棄物内へ温かい空気を均等に分配できるようになる。
【0031】
各開口は、特に、床部分の材料を変形させることによって形成される。好ましくは、床及び床部分は、鋼等の金属から製造されている。各開口は、金属を好ましくは帯状に切断して、且つ、これらの帯状部を、好ましくは平面において隆起部になるように変形させることによって、形成される。これは、金属には延性があることにより、容易に実現可能であり、これにより、床の平面を変形させずにしておくことができる。同時に、このような態様で良好に定められた各開口を形成することができ、これにより、圧力室から廃棄物室へ開口を通過する空気の圧力損失を容易に定めることができる。
【0032】
好ましくは、少なくとも1つのサイクロンが廃棄物室の空気出口に接続されており、これにより、粒子を低減させるために、廃棄物室内のオフガスをサイクロンを通過させることができる。この結果、サイクロンからの排気はサイクロン内への入力ガスよりも小さい粒子負荷を有し、この入力ガスは、廃棄物室からのオフガスである。
【0033】
好ましくは、本乾燥機は、各空気出口によって廃棄物室に並列に接続された少なくとも2つのサイクロンと、各サイクロンを通してオフガスを廃棄物室内へ吸引するように配置された少なくとも1つの排気ファンとをさらに備える。空気出口はそれぞれ、移動方向における異なる位置に配置されている。空気出口はそれぞれ、空気出口内の空気の温度を測定するための温度センサを有する。温度センサは、移動方向における廃棄物室内のオフガスの温度プロフィルを決めるために、制御装置に接続されている。温度プロフィルを用いて、以下の構成要素のうちの少なくとも1つが制御される。
A)圧力室に入る温かい空気の温度を制御するための乾燥空気ヒータ
B)以下の変数、圧力室内の圧力と、圧力室に入る温かい空気の体積流量とのうち、少なくとも一方を制御するための循環ファン
C)廃棄物室を通る廃棄物の移動速度を制御するための床移動システム
【0034】
好ましくは、少なくとも床移動システムは、上の選択肢C)により、温度プロフィルに基づいて制御される。床移動システムは、好ましくは、少なくとも2つの油圧シリンダを有する油圧式床移動システムであり、この油圧式床移動システムは、各床部分を個別に別個に移動させたり又は床部分の群を個別に別個に移動させるためのものである。循環ファン及び排気ファンは、好ましくは、回転速度が調整可能なファンである。
【0035】
好ましくは、乾燥機は、熱交換器を有する空気予熱器をさらに備え、熱交換器は、廃棄物室のオフガス又は少なくとも1つのサイクロンからの排気と、圧力室に供給される新鮮な空気との間の、熱伝達のためものである。
【0036】
好ましくは、乾燥機は、湿式スクラブユニットをさらに備える。この湿式スクラブユニットは、廃棄物室のオフガス又は少なくとも1つのサイクロンからの排気を洗浄するためのものであり、且つ、廃棄物室のオフガス又は少なくとも1つのサイクロンからの排気からの熱エネルギーを、温かい空気に伝達するためのものである。好ましくは、熱エネルギーの移動は、ヒートポンプを使用して行うことができる。
【0037】
なお、特許請求の範囲に明示される個々の特徴は、任意の所望の技術的に有意な態様で互いに組み合わせることができ、本発明のさらなる実施形態を定義することができる。本発明は、本明細書により、特に図と共にさらに説明され、本発明の特に好ましい実施形態が明示される。本発明の特に好ましい変形例及び技術分野を、添付された図を参照しながら以下により詳細に説明する。なお、図に示した例示的な実施形態は、本発明を限定することを意図するものではない。図は概略的なものであり、縮尺通りに描かれていない場合がある。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】廃棄物を乾燥させるための乾燥機の一例を示す概略図である。
図2】前述の一例にあげた乾燥機の縦断面図である。
図3】前述の一例にあげた乾燥機の、2つの床部分の細部を示す詳細図である。
図4】乾燥機の第2の例における、2つの平行な床部分の詳細図である。
図5】第2の例の乾燥機の床部分の一部の上面図である。
図6】第2の例の乾燥機の床区域の断面図である。
図7】第2の例の乾燥機の、2つの床区域の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
図1は、廃棄物を乾燥させるための乾燥機1の一例を概略図において示す。図2は、この乾燥機1の縦断面図である。以下、両方の図を共通のものとして検討する(明瞭にするために、図1及び図2の少なくとも一方には参照符号のみを与える)。廃棄物は、好ましくは、都市乾燥廃棄物、産業廃棄物、バイオマス、これらの少なくとも1つを含む。廃棄物は、乾燥機1内へ送出される前に、破砕されるか又は粉砕されるか又はその両方をすることができる。一般に、廃棄物は不均質な粒度分布を有しており、廃棄物の組成も同様に不均質である。特に、廃棄物は、有機化合物又は無機化合物又はその両方を含む。
【0040】
乾燥機1は、廃棄物室2及び圧力室3を備えており、これらは床4によって分離されている。この床4の設定を、図3図7に関連してより詳細に説明する。乾燥機1は、床4の入口端6を規定する入口5を有する。廃棄物7は、入口5を通って、床4上に含水廃棄物69として搬入され、よって、廃棄物室2内に搬入される。廃棄物7は、廃棄物室2を通って、移動方向8において、廃棄物室2の入口5から出口9に移動される。出口9は、床4の出口端12を規定する。入口5にある均し器62が、床4上での廃棄物7の高さを限定する。均し器62とは、好ましくは、廃棄物7を規定の高さまで押し付けるロールである。出口端12には、乾燥廃棄物フィーダ63が、廃棄物7を搬送するために位置しており、出口端12において床4から落下する廃棄物7を、乾燥廃棄物70としてその先へ、例えば乾燥廃棄物70等を燃焼させるための炉に搬送する。乾燥廃棄物フィーダ63は、好ましくは、スクリューコンベヤである。
【0041】
廃棄物7を廃棄物室2を通して移動させる間に、廃棄物7を乾燥させる。この乾燥は、温度約80℃の温かい空気11を圧力室3に送り込み、空気を、床4内の開口を通して廃棄物室2内に送り、廃棄物7を通らせることによって行われる。空気は、廃棄物7を通過した後、粒子又は粉塵を分離するための幾つかのサイクロン10のうちの1つを通って、オフガス64として案内される。温かい空気11は、循環ファン14を用いることにより、新鮮な空気13を乾燥空気ヒータ15を通して案内することによって送り込まれる。
【0042】
空気は、廃棄物7を通過した後、オフガス64として、廃棄物室2内で廃棄物7の上方にある空気部屋に入る。オフガス64は、湿潤又は湿性であり、廃棄物7からの粒子や、廃棄物7とともに運ばれる化合物を含有することができる。排気ファン16を使用することにより、オフガス64は、廃棄物室2からサイクロン10を通って吸引される。複数のサイクロン10が、廃棄物室2の長さ部分に沿って配置されている。廃棄物室2からのオフガス64は、空気出口17を通ってサイクロン10に入っている(図2では、明確にする理由のため、参照符号は部分的にのみ記載している)。長さ部分は、一端では入口端6によって、他端では出口端12によって定められる。空気出口17はそれぞれ、移動方向8における特定の位置にあり、空気出口17の位置の周りから来るオフガス64が、それぞれの出口17を通過していることは明らかである。各空気出口17におけるオフガス64の温度は、各温度センサ18により個々に測定される。従って、廃棄物室2内の空気の、移動方向8における温度プロフィルを規定することが可能である。各温度センサ18は、制御装置66に接続されている。
【0043】
サイクロン10内で、オフガス64から粒子が分離される。従って、排気65(明確にするため、参照符号は部分的にのみ記載している)は、オフガス64よりも小さい粒子負荷を有している。排気65は、排気路21に集められる。
【0044】
入口5では、床4の入口端6上に堆積する廃棄物7は含水廃棄物69であり、即ち、この含水廃棄物は高めの(例えば40%に及ぶ)湿度を有し、一方で、出口端12にて床4から離れつつある廃棄物7は乾燥廃棄物70であり、即ち、この乾燥廃棄物は低めの(例えば5%以下の)湿度を有する。熱力学的に言えば、水の蒸発には、蒸発のエンタルピーを導入する必要がある。入口端6の付近では、湿度が高く、そのため、湿気を蒸発させるのに必要なエネルギー消費量は多くなる。これにより、温かい空気11と、乾燥機1のこの領域内の空気出口17における空気との間では、空気の温度の低下が大きい。出口端12の付近では、廃棄物7は既により乾燥しており、そのため、必要なエネルギーは少なくなる。これにより、温かい空気11と、各空気出口17に入る空気との間では、空気の温度の低下が小さい。このような温度プロフィルにより、特に廃棄物室2を通る廃棄物7の移動速度に関して、乾燥機1を制御できるようになる。
【0045】
廃棄物7が廃棄物室2を通って移動するのは、床4に実装した可動床原理の結果によるものである。このことを以下で詳細に検討する。床4は幾つかの床部分を有し、これらの床部分は床移動システム67により個々に移動させることができる。この例では、床移動システムは、制御装置66によって、前述のように、温度プロフィルに基づき制御される油圧式床移動システム19のことである。
【0046】
空気予熱器20を空気が加熱する効率を増すために、排気路21内に熱交換器68が位置決めされる。排気路内では、各サイクロン10からの排気65が排気ファン16により集められ吸引される。排気ファン16に接続された制御装置66により、排気ファン16も同様に制御される。空気予熱器20では、比較的暖かい排気65が新鮮な空気13と熱交換しており、新鮮な空気13は予熱されてから乾燥空気ヒータ15に入る。これの代わりに又はこれに加えて、排気65の少なくとも一部を、排気路21から再循環路22を介して乾燥空気ヒータ15に案内することができる。従って、乾燥空気を循環させることが可能である。再循環路22を通る流れは、再循環路22に配設された再循環制御弁23が制御装置66により制御されることによって制御することができる。
【0047】
排気は、排気ファン16の下流で、湿式スクラブユニット24に供給される。湿式スクラブユニット24においては、排気に存在し得る汚染物質がスクラブされ、湿式スクラブユニット24の上部ドーム26から清浄な空気25が取り出される。同時に、排気の熱エネルギー含量の一部が、洗浄溶液に、好ましくは水に伝達され、この洗浄溶液が、スクラバポンプ27により湿式スクラブユニット24の汚水槽28からスクラブ循環路29を通って循環する。洗浄溶液は循環路29を通過しながら、ヒートポンプ31の一部である熱交換器30を通過する。ここで、熱交換器30では、洗浄溶液からの熱伝達によって、水等の中間熱媒体が加熱され、その後、この中間熱媒体は、ポンプ32を介して乾燥空気ヒータ15に移送され、温かい空気11として圧力室3に供給される乾燥空気を加熱する。熱交換器30と乾燥空気ヒータ15との間で、この熱媒体はヒータコイル33を通過し、これにより、特に、システムを容易に始動できるようになり、乾燥空気ヒータ15の状況によっては熱媒体に更なる熱エネルギーが与えられることもある。同様にして、乾燥空気ヒータ15の下流にある熱媒体もヒータコイル33を通過している。ヒートポンプ31によって、圧力室3に入る際の温かい空気11の温度以上に中間熱媒体を加熱することが可能であり、これにより、温かい空気11を適宜加熱できるようになる。例えば、湿式スクラブユニット24に入る際の排気ガス65の温度は約30℃~35℃であり、洗浄溶液は12℃~16℃の温度で湿式スクラブユニット24に入る。とりわけ、洗浄溶液に伝達される排気65における湿度の凝縮エンタルピーに起因して、湿式スクラブ装置24を出る際の洗浄溶液の温度は、約25℃~30℃であり、ヒートポンプ31の熱源として使用される。
【0048】
好ましくは、循環ファン14及び排気ファン16を制御装置66により制御することによって、廃棄物室2の圧力が乾燥機1の周りの周囲圧力と同一になりつつ、圧力室3内の圧力は周囲を僅かに上回ってこの圧力室3から空気が各開口を通して廃棄物室2内に強制的に送られる状況が発生する。
【0049】
以下で、廃棄物室2を通る廃棄物7の移動及び床4の形状を、図3図7に関連して検討する。床4は幾つかの床部分34を有する。一般には、床部分34を2つ設ければ充分である。そうではあるが、特に床部分34の重量を考慮すると、床部分34が2つより多いことが好適である。なぜなら、これにより、廃棄物を乾燥させる工程中に個々の床部分34を床移動システム67により移動させることが、大きめの(好ましくは広めの)床部分34と比較すればより容易になるからである。床部分34は通常、使用中に床部分34の最上部に載せられる廃棄物7の荷重を担持でき且つ圧力室3内へ送られる温かい空気11の温度に耐えることのできる材料から構築される。好ましくは、各床部分34は鋼から、特にステンレス鋼から作成される。特に図3から分かるように、床部分34はそれぞれ、運搬台35に設けられ、この運搬台35は、好ましくは鋼から、特に炭素鋼から作成される。運搬台35は、つまりそれぞれの床部分34は、移動方向8と逆方向61とに移動可能である。このことは、上述のような油圧式床移動システム19により実施される。床部分34が摩耗した場合には、その床部分34を対応する運搬台35から容易に分離することができ、交換することができる。好ましくは、床部分34はそれぞれ、廃棄物室2の長さ部分全体に亘って延在している。なぜなら、これにより、床部分34の移動、すなわち廃棄物室2を通る廃棄物7の移動の、制御が容易になるからである。
【0050】
図3から分かるように、隣接する床部分34同士の間にシール36が設けられており、これにより、隣接する床部分34同士の間で空気が漏れないか又はわずかな空気しか漏れないことが確実になる。この実施形態において、シール36はそれぞれ、1つの床部分34に固定され、この床部分34と共に移動する。シール36は、好ましくは、熱可塑性材料から作成され、特にポリテトラフルオロエチレン(PTFE)から作成される。
【0051】
各床部分34は、複数の隆起部37を有する。図3では、明確にするため、これらの隆起部の一部のみに参照符号を記載する。隆起部37はそれぞれ、2つの開口38を構成する。隆起部37はそれぞれ、移動方向8に2つの平行な線を、床部分34に切り込んで帯状部を形成して、この帯状部を引き伸ばしながら帯状部を最終的な隆起部37に成形することにより形成される。従って、各開口38はそれぞれ、床部分34の平面41の対応する第1縁39と、対応する隆起部37の対応する第2縁40により画定される。
【0052】
床4は、移動方向8と床4の横方向42とに亘って延在する平面41を規定する。従って、各隆起部37は、この平面41から突出している。各開口38は、圧力室3に供給される空気が平面41と平行に各開口38を通過しているような態様で形成されている。各開口38は、この例では、平面41に対して垂直に向いている。各開口38を温かい空気11が通過することにより、床4の最上部にある廃棄物7の下に一種のエアクッションを形成することができ、廃棄物7全体にわたって温かい空気11が均一に分布されるようになる。これをさらに改良するために、多数の開口38が、特に、移動方向8において(隣接する隆起部37の中心間で測定して)50~70mmの範囲で離間すし、且つ、横方向42において(隣接する隆起部37の中心間で測定して)約45~65mmの範囲で離間することが好適である。好ましくは、各隆起部37は移動方向8において列になって配置され、隣接する列同士は、移動方向8において、好ましくは、移動方向8における隣接する隆起部37間の距離の半分だけずれている。好ましくは、開口38の数及び開口38の面積は、総床浸透率が7%~7.5%の範囲内にあり、その結果、床圧力損失が、床4及び床4の最上部にある廃棄物7の全圧力損失の70%~80%の範囲内になるようにされている。好ましくは、各開口38は、床4上に均等に分配されている。各床部分34は、平面41においてのみ移動可能である。各床部分34は、床移動システム67によって平面41から上昇したりすることはできない。
【0053】
次に、異なる床4を有する乾燥機1の第2の例を、図4図6に関連して説明する。ここでは、簡潔にするために、前述の床4の第1の例を参照しつつ、第2の例の差異のみを述べるものとする。第1の例と比較して、第2の例では、2つの隣接する床部分34同士間のシール機構が異なる。第1の例のように2つの隣接する床部分34同士の間に単一のシール36があるのではなく、2つの隣接する床部分34同士の間にあるシール機構は、第1の床部分44に取付けられた第1シール43と、隣接する第2の床部分46に取付けられた第2シール45とに依っている。第1シール43及び第2シール45は、隣接する床部分44、46の間に、必要な封止を協働して生じさせる。シール43、45はいずれも三角形断面を有し、第1シール43については第1斜辺47を有し、第2シール45については第2斜辺48を有し、これらの斜辺は互いに対応する。これにより封止効果が確実になり、一方で、斜辺47、48が滑動手段としても作用するため、矢印49で表すように、移動方向8及び反対方向61における、隣接する床部分44、46同士の相対的移動が容易になる。
【0054】
床部分34、44、46の運搬台35はそれぞれ、第1の側50(例えば移動方向8に見て「左」側)に第1シール43を有し、逆側にある第2の側51(例えば移動方向8に見て「右」側)に第2シール45を有する。これにより、それぞれの床部分34から床4を容易に組立てることができるようになる。第1の例のように、シール43、45は、好ましくは、熱可塑性材料、特にPTFEから製造される。
【0055】
さらに、図4は、床部分34、44、46を移動させる方法の一例を示す。運搬台35はそれぞれ、その内部に装着用構造体54が取付けられることにより、第1ロッド52及び第2ロッド53に装着される。第1ロッド52及び第2ロッド53を矢印49の方向に移動させることにより、移動方向8及び反対方向61に対応する床部分34を移動させることができる。装着用構造体54が三日月形構造体であることにより、ロッド52、53を回転することで、対応する床区域34を高さ方向55及び側方向56に調整することができ、平面41に亘る床4が生成される。
【0056】
明確にするため、図4には、各隆起部37及びその開口38は記載していない。図5は第2の例による床部分34を1つだけ上面図で開示しており、且つ、図6図5の線「VI-VI」における断面を開示しているが、図5図6は隆起部37及び開口38の特性を開示している。各隆起部37は、前述のように、鋼の帯状部から半円形に形成される。この例では、開口38はそれぞれ、移動方向8における最大直径57、及び、高さ方向55における最大高さ58を有する。好ましくは、流れる温かい空気11の適度な圧力損失を生成するために、開口38は、最大直径57に対する最大高さ58の比率が0.12~0.18の範囲にあるように形成される。
【0057】
側方向55において隣接する各隆起部37同士は、互いの間に側方向距離59を有するように配されている。長さ方向55において隣接する各隆起部37は、長さ方向距離60を有するように設置される。好ましくは、各隆起部37は、床部分34上に、長さ方向距離60に対する側方向距離59の比率が0.75~0.9の範囲内にあるように配される。
【0058】
図7は、第2の例における、第1の床部分44と第2の床部分46の上面図を示している。第1の床部分44と第2の床部分46はいずれも、複数の隆起部37を有し、それぞれの開口38が、移動方向8において列になるように配置されている。床部分44、46はそれぞれ、移動方向8及び反対方向61において、ある程度移動させることができる。少なくとも2つの床部分、好ましくはそれより多くの床部分34、44、46により、床4を構成する。床部分34、44、46の群が同時に移動されることはことが好適であり、例えば、1つおきの床部分34が同時に移動される(例として、第1、第3、第5、及び第7の床部分34が、第1の群を形成して同時に移動される、間に位置する第2、第4、第6、及び第8の床部分34が、第1の群から独立して第2の群を形成して同時に移動される)ことが好適である。
【0059】
床部分34が移動方向8に移動すると、この床部分34上に位置している廃棄物7も、床部分34と共に移動方向8に移動される。通常、この移動は段階的な移動である。即ち、床部分34それぞれは、移動方向8において所定量(例えば10cm[センチメートル]など)だけ移動され、該床部分34の入口端6の付近に隙間を生じる。その後に、同じ床部分34が同じ量だけ反対方向61へと移動される。それでも、廃棄物7はその間に入口5を通って床2へと送出される。このため、生じた隙間はこのときに埋められるが、均し器62(図2参照)が廃棄物7の積み上がってしまうことを防止する。従って、床部分34の出口端12にある廃棄物7は、床部分34から、好ましくは、スクリューコンベヤ又はベルトコンベヤ等の乾燥廃棄物フィーダ63内へ落ちる。
【0060】
本発明によれば、廃棄物7は、幾つかの床部分34、44、46を有する床4に廃棄物7を搬入することにより、且つ、押し出し床機構で廃棄物7を搬送することによって、乾燥される。押し出し床機構では、床部分34、44、46の一部のみが、一度に移動方向8に又は反対方向61に移動される。廃棄物7を乾燥させるためのエネルギーは、温かい空気11により供給される。この温かい空気11は、床部分34、44、46の開口38を通り、圧力室3から床4を通り廃棄物7内に入り、廃棄物7を通りぬける。
【符号の説明】
【0061】
1 乾燥機
2 廃棄物室
3 圧力室
4 床
5 入口
6 入口端
7 廃棄物
8 移動方向
9 出口
10 サイクロン
11 温かい空気
12 出口端
13 新鮮な空気
14 循環ファン
15 乾燥空気ヒータ
16 排気ファン
17 空気出口
18 温度センサ
19 油圧式床移動システム
20 空気予熱器
21 排気路
22 再循環路
23 再循環制御弁
24 湿式スクラブユニット
25 清浄な空気
26 上部ドーム
27 スクラバポンプ
28 汚水槽
29 スクラブ循環路
30 熱交換器
31 ヒートポンプ
32 ポンプ
33 ヒータコイル
34 床部分
35 運搬台
36 シール
37 隆起部
38 開口
39 第1縁
40 第2縁
41 平面
42 横方向
43 第1シール
44 第1の床部分
45 第2シール
46 第2の床部分
47 第1斜辺
48 第2斜辺
49 矢印
50 第1の側
51 第2の側
52 第1ロッド
53 第2ロッド
54 装着用構造体
55 高さ方向
56 長さ方向
57 最大直径
58 最大高さ
59 側方向距離
60 長さ方向距離
61 反対方向
62 均し器
63 乾燥廃棄物フィーダ
64 オフガス
65 排気
66 制御装置
67 床移動システム
68 熱交換器
69 含水廃棄物
70 乾燥済み廃棄物
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2024-01-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃棄物(7)を乾燥させる方法であって、
廃棄物(7)を、少なくとも2つの床部分(34、44、46)を有する床(4)の入口端(6)において、廃棄物室(2)内に搬入するステップと、
その温度が70℃超であり、好ましくは80℃~90℃の範囲である温かい空気(11)を、前記床(4)の下にある圧力室(3)に供給するステップであって、
圧力が前記廃棄物室(2)内の圧力を上回ることにより、前記温かい空気(11)が、前記床(4)の各開口(38)を通って前記廃棄物室(2)内へ向かい且つ前記廃棄物(7)を通る、
ステップと、
前記廃棄物(7)を、前記床(4)の前記入口端(6)から出口端(12)に移動方向(8)へ搬送するステップであって、
前記床部分(34、44、46)をそれぞれ、前記移動方向(8)及び前記移動方向(8)とは逆である反対方向(61)へ所定量移動させることにより行われるステップと、
前記床(4)の前記出口端(12)から落下した廃棄物(7)を、前記廃棄物部屋(2)から搬送するステップと
を含む方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記床(4)により、前記各開口(38)を通過する前記空気の床圧力損失が生じ、
前記床(4)上の前記廃棄物(7)により、前記各開口(38)から前記廃棄物(7)を通って通過する前記空気の廃棄物圧力損失が生じ、
前記床(4)に搬入されている前記廃棄物(7)の量は、前記床圧力損失と前記廃棄物圧力損失との比率が少なくとも2になるように制御される、
方法。
【請求項3】
請求項1、2のいずれか1項に記載の方法であって、
オフガス(64)は、前記廃棄物(7)の上方にて前記廃棄物室(2)から吸引される、
方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法であって、
前記オフガス(64)は、少なくとも1つのサイクロン(10)に供給されて、前記オフガス(64)内の粒子が排気(65)から分離される、
方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法であって、
前記オフガス(64)は、少なくとも2つのサイクロン(10)を通して吸引され、
前記少なくとも2つのサイクロン(10)は、前記廃棄物室(2)に並列に接続されており、
各サイクロン(10)が前記移動方向(8)における異なる位置に配置さており、
各サイクロン(10)へ流れる前記オフガス(64)の温度が測定されて、前記移動方向(8)における前記オフガス(64)の温度プロフィルを決めることができ、且つ、
前記温度プロフィルを用いて、以下の変数
a)前記圧力室(3)に入る前記温かい空気(11)の温度と、
b)前記圧力室(3)に入る前記温かい空気(11)の体積流量と、
c)前記廃棄物室(2)を通る前記廃棄物(7)の移動速度と
のうちの少なくとも1つが制御される、方法。
【請求項6】
請求項に記載の方法であって、
前記オフガス(64)又は排気(65)は、湿式スクラブユニット(24)へ搬送される、
方法。
【請求項7】
請求項に記載の方法であって、
前記オフガス(64)又は排気(65)は、熱交換器(68)を通して案内され、
前記熱交換器(68)は、温かい空気(11)として前記圧力室(3)に送出される対象である新鮮な空気(13)を予熱する、
方法。
【請求項8】
請求項に記載の方法であって、
前記温かい空気(11)は、前記圧力室(3)に入る前に、ヒートポンプ(31)から供給される熱によって加熱され、
前記ヒートポンプ内では、前記オフガス(64)又は前記排気(65)の潜熱が熱エネルギー源として利用される、
方法。
【請求項9】
請求項1又は2に記載の方法であって、
前記床(4)上へ搬入された前記廃棄物(7)のレベルは、所定レベルになるように制御される、
方法。
【請求項10】
廃棄物(7)を乾燥させる乾燥機(1)であって、
廃棄物室(2)及び圧力室(3)を備え、
前記廃棄物室(2)は、前記廃棄物(7)を担持する床(4)により前記圧力室(3)から分離されており、
前記床(4)は、前記床(4)が延在する平面(41)を規定しており、
前記床(4)の入口端(6)上に廃棄物(7)を搬入するための入口(5)を備え、
前記床(4)の出口端(12)から廃棄物(7)を除去するための出口(9)を備え、
移動方向(8)は、前記平面(41)内において、前記入口端(6)から前記出口端(12)に向かって規定されており、
前記床(4)は、少なくとも2つの床部分(34、44、46)を有し、
前記床部分(34、44、46)はそれぞれ、少なくとも1つの他の床部分(34、44、46)から独立して、前記平面(41)内において、前記移動方向(8)に及び前記移動方向(8)とは反対に移動可能であり、
前記床部分(34、44、46)は、前記圧力室(3)と前記廃棄物室(2)とを接続する各開口(38)を有し、
前記圧力室(3)は、前記廃棄物室(2)内の圧力よりも高い圧力の空気を供給可能である、
乾燥機。
【請求項11】
請求項10に記載の乾燥機(1)であって、
前記各開口(38)は、前記空気が前記圧力室(3)から前記廃棄物室(2)へ前記平面(41)と平行に前記各開口(38)を通過できるように、形成されている、
乾燥機。
【請求項12】
請求項10又は11に記載の乾燥機(1)であって、
前記各開口(38)は、前記平面(41)から突出する隆起部(37)によって形成されている、
乾燥機。
【請求項13】
請求項10又は11に記載の乾燥機(1)であって、
各空気出口(17)によって前記廃棄物室(2)に並列に接続された、少なくとも2つのサイクロン(10)と、
前記各サイクロン(10)を通して前記オフガス(64)を前記廃棄物室(2)内へ吸引するように配置された少なくとも1つの排気ファン(16)と
をさらに備え、
前記空気出口(17)はそれぞれ、前記移動方向(8)における異なる位置に配置されており、
前記空気出口(17)はそれぞれ、前記空気出口(17)内の前記空気の温度を測定するための温度センサ(18)を有し、
前記温度センサ(18)は、前記移動方向(8)における前記廃棄物室(2)内の前記オフガス(64)の温度プロフィルを決めるために、制御装置(66)に接続されており、
前記温度プロフィルを用いて、以下の構成要素
A)前記圧力室(3)に入る前記温かい空気の温度を制御するための乾燥空気ヒータ(15)と、
B)以下の変数、前記圧力室(3)内の圧力と、前記圧力室(3)に入る前記温かい空気(11)の体積流量とのうち、少なくとも一方を制御するための循環ファン(14)と、
C)前記廃棄物室(2)を通る前記廃棄物(7)の移動速度を制御するための床移動システム(67)と
のうちの少なくとも1つが制御される、乾燥機。
【請求項14】
請求項10又は11に記載の乾燥機(1)であって、
前記乾燥機は、熱交換器を有する空気予熱器(20)をさらに備え、
前記熱交換器は、前記廃棄物室のオフガス又は少なくとも1つのサイクロンからの排気と、前記圧力室に供給される新鮮な空気との間の、熱伝達のためものである
乾燥機。
【請求項15】
請求項10又は11に記載の乾燥機(1)であって、
前記乾燥機は、湿式スクラブユニット(24)をさらに備え、
前記湿式スクラブユニット(24)は、
前記廃棄物室(2)の前記オフガス(64)又は少なくとも1つのサイクロン(10)からの排気(65)を洗浄するためのものであり、且つ、
前記廃棄物室(2)の前記オフガス(64)又は少なくとも1つのサイクロン(10)からの排気(65)からの熱エネルギーを、前記温かい空気(11)に伝達するためのものである
乾燥機。
【国際調査報告】