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特表2024-523613電気コネクタ、アンテナシステム及び関連する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-28
(54)【発明の名称】電気コネクタ、アンテナシステム及び関連する方法
(51)【国際特許分類】
   H01P 1/04 20060101AFI20240621BHJP
   H01Q 1/38 20060101ALI20240621BHJP
【FI】
H01P1/04
H01Q1/38
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023580397
(86)(22)【出願日】2022-06-29
(85)【翻訳文提出日】2024-01-16
(86)【国際出願番号】 EP2022067855
(87)【国際公開番号】W WO2023275127
(87)【国際公開日】2023-01-05
(31)【優先権主張番号】21183413.0
(32)【優先日】2021-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510191919
【氏名又は名称】エージーシー グラス ユーロップ
【氏名又は名称原語表記】AGC GLASS EUROPE
【住所又は居所原語表記】Avenue Jean Monnet 4, 1348 Louvain-la-Neuve, Belgique
(74)【代理人】
【識別番号】100103816
【弁理士】
【氏名又は名称】風早 信昭
(74)【代理人】
【識別番号】100120927
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 典子
(72)【発明者】
【氏名】ブイ-ヴァン, ハ
(72)【発明者】
【氏名】スクノールヒ, ピーター
(72)【発明者】
【氏名】サルキス, レミ
(72)【発明者】
【氏名】デルエッテ, ラファエル
【テーマコード(参考)】
5J011
5J046
【Fターム(参考)】
5J011CA23
5J046AA05
5J046TA05
(57)【要約】
本発明は、誘電素子によって分離されたピン及びシールドを含むとともに絶縁層によって保護された同軸ケーブルを、薄型支持体上に設けられたアンテナに電気接続するための電気コネクタを開示する。電気コネクタは、シールド部であって、少なくとも1つの脚部及びブリッジ、好ましくは、ブリッジによって分離された2つの脚部を含み、シールド部のブリッジとアンテナとの間にシールドをクランプ固定し、シールドをアンテナに電気接続するシールド部と、ピン部であって、少なくとも1つの脚部及びブリッジ、好ましくは、ブリッジによって分離された2つの脚部を含み、ピン部のブリッジとアンテナとの間にピンをクランプ固定し、ピンをアンテナに電気接続するとともに、シールド部から電気的に絶縁されたピン部と、を含む。シールド部の少なくとも1つの脚部のそれぞれが、薄型支持体を貫通するように設計された少なくとも1つのシールド部の貫入手段を含み、少なくとも1つのシールド部の貫入手段及びシールド部の少なくとも1つの脚部が、同一平面上にない。本発明は、このような電気コネクタを含むアンテナシステム、このようなアンテナシステムを含む車両、及び関連する方法にもまた関する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電素子(123)によって分離されたピン(124)及びシールド(122)を含むとともに絶縁層(121)によって保護された同軸ケーブル(120)を、薄型支持体(12)上に設けられたアンテナ(10、11)に電気接続するための電気コネクタ(100)において、
-シールド部(101)であって、少なくとも1つの脚部(102、103)及びブリッジ(104)を含み、前記シールド部のブリッジと前記アンテナとの間に前記シールドをクランプ固定し、前記シールドを前記アンテナに電気接続するシールド部と、
-ピン部(201)であって、少なくとも1つの脚部(202、203)及びブリッジ(204)を含み、前記ピン部のブリッジと前記アンテナとの間に前記ピンをクランプ固定し、前記ピンを前記アンテナに電気接続するとともに、前記シールド部から電気的に絶縁されているピン部と、
を含むこと、
前記シールド部の少なくとも1つの脚部が、前記薄型支持体を貫通するように設計された少なくとも1つのシールド部の貫入手段(1031、1032、1021、1022)を含むこと、及び
前記少なくとも1つのシールド部の貫入手段(1031、1032、1021、1022)及び前記シールド部の少なくとも1つの脚部が、同一平面上にないこと
を特徴とする電気コネクタ。
【請求項2】
前記シールド部が、前記ブリッジ(104)によって分離された2つの脚部(102、103)を含む、請求項1に記載の電気コネクタ。
【請求項3】
前記ピン部の少なくとも1つの脚部が、前記薄型支持体を貫通するように設計された少なくとも1つのピン部の貫入手段(2031、2032、2021、2022)を含む、請求項1又は2に記載の電気コネクタ。
【請求項4】
前記ピン部が、前記ブリッジ(204)によって分離された2つの脚部(202、203)を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の電気コネクタ。
【請求項5】
前記シールド部の貫入手段が少なくとも尖鋭な歯を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の電気コネクタ。
【請求項6】
前記ピン部の貫入手段が少なくとも尖鋭な歯を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の電気コネクタ。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の電気コネクタであって、前記シールド部及び前記ピン部を一緒に保持する保持手段をさらに含む、電気コネクタ。
【請求項8】
薄型支持体と、前記薄型支持体上に設けられたアンテナと、誘電素子(123)によって分離されたピン(124)及びシールド(122)を含むとともに絶縁層(121)によって保護された同軸ケーブル(120)と、電気コネクタとを含むアンテナシステム(1)において、前記電気コネクタが、
-シールド部(101)であって、少なくとも1つの脚部(102、103)及びブリッジ(104)を含み、前記シールド部のブリッジと前記アンテナとの間に前記シールドをクランプ固定して、前記シールドを前記アンテナに電気接続し、好ましくは、前記ブリッジ(104)によって分離された2つの脚部(102、103)を含み、前記シールド部のブリッジと前記アンテナとの間に前記シールドをクランプ固定して、前記シールドを前記アンテナに電気接続するシールド部と、
-ピン部(201)であって、少なくとも1つの脚部(202、203)及びブリッジ(204)を含み、前記ピン部のブリッジと前記アンテナとの間に前記ピンをクランプ固定し、前記ピンを前記アンテナに電気接続するとともに、前記シールド部から電気的に絶縁され、好ましくは、前記ブリッジ(204)によって分離された2つの脚部(202、203)を含み、前記ピン部のブリッジと前記アンテナとの間に前記ピンをクランプ固定し、前記ピンを前記アンテナに電気接続するとともに、前記シールド部から電気的に絶縁されているピン部と、
を含むこと、
前記シールド部の少なくとも1つの脚部が、前記薄型支持体を貫通する少なくとも1つのシールド部の貫入手段(1031、1032、1021、1022)を含むこと、及び
前記少なくとも1つのシールド部の貫入手段(1031、1032、1021、1022)及び前記シールド部の少なくとも1つの脚部が、同一平面上にないこと
を特徴とするアンテナシステム。
【請求項9】
前記ピン部の少なくとも1つの脚部が、前記薄型支持体を貫通する少なくとも1つのピン部の貫入手段を含む、請求項8に記載のアンテナシステム。
【請求項10】
少なくとも1つの請求項8又は9に記載のアンテナシステムを含む車両。
【請求項11】
誘電素子(123)によって分離されたピン(124)及びシールド(122)を含むとともに絶縁層(121)によって保護された同軸ケーブルを、電気コネクタを用いて薄型支持体上に設けられたアンテナに接続するための方法において、
前記電気コネクタが、
-シールド部(101)であって、少なくとも1つの脚部(102、103)及びブリッジ(104)を含み、前記シールド部のブリッジと前記アンテナとの間に前記シールドをクランプ固定して、前記シールドを前記アンテナに電気接続し、好ましくは、前記ブリッジ(104)によって分離された2つの脚部(102、103)を含み、シールド部のブリッジと前記アンテナとの間に前記シールドをクランプ固定して、前記シールドを前記アンテナに電気接続するシールド部と、
-ピン部(201)であって、少なくとも1つの脚部(202、203)及びブリッジ(204)を含み、前記ピン部のブリッジと前記アンテナとの間に前記ピンをクランプ固定し、前記ピンを前記アンテナに電気接続するとともに、前記シールド部から電気的に絶縁され、好ましくは、前記ブリッジ(204)によって分離された2つの脚部(202、203)を含み、前記ピン部のブリッジと前記アンテナとの間に前記ピンをクランプ固定し、前記ピンを前記アンテナに電気接続するとともに、前記シールド部から電気的に絶縁されているピン部と、
を含むこと、
前記シールド部の少なくとも1つの脚部が、前記薄型支持体を貫通するように設計された少なくとも1つのシールド部の貫入手段を含むこと、
前記少なくとも1つのシールド部の貫入手段及び前記シールド部の少なくとも1つの脚部が、同一平面上にないこと、及び
以下のステップ、すなわち、
A)前記同軸ケーブルを前記アンテナ上に位置決めするステップ、
B)前記少なくとも1つのシールド部の貫入手段を押し込んで前記薄型支持体を貫通させて前記シールド部のブリッジと前記アンテナとの間に前記シールドをクランプ固定して、前記シールドを前記アンテナに電気接続するステップ、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法であって、前記薄型支持体を通り抜けた、前記薄型支持体の貫入面の反対側の面の前記シールド部の貫入手段の部分を曲げるステップをさらに含む方法。
【請求項13】
前記ピン部の少なくとも1つの脚部が、前記薄型支持体を貫通する少なくとも1つのピン部の貫入手段を含む請求項11又は12に記載の方法であって、前記少なくとも1つのピン部の貫入手段を前記薄型支持体に貫通させて前記ピン部のブリッジと前記アンテナとの間に前記ピンをクランプ固定して、前記ピンを前記アンテナに電気接続するステップをさらに含む方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法であって、前記薄型支持体を通り抜けた、前記薄型支持体の前記貫入面の反対側の前記面の前記ピン部の貫入手段の部分を曲げるステップをさらに含む方法。
【請求項15】
請求項12~14のいずれか一項に記載の方法であって、少なくとも前記電気コネクタを前記アンテナ上にオーバーモールドするステップをさらに含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、薄型支持体上に設けられたアンテナへの給電を促進する電気コネクタに関する。本出願は、このような電気コネクタを含むアンテナシステムにまたも関する。
【背景技術】
【0002】
モバイルデータ通信量が増え続け、5Gとともに今後急拡大していくことで、モバイルネットワーク事業者にはCAPEXが重くのしかかっている。5G用の周波数帯域が高くなることは、カバレージ配備の難易度が、特に、容量が必要な、厳格なEMF制限が適用される密集度の高い市街地においては、さらに高くなることを意味する。容量を高めるには、電磁波の送信及び受信を安定的に実行するために多数のアンテナを設置する必要があるが、小型セルを配備することはそのための好適な解決策であるとされている。
【0003】
しかしながら、多くの欠点により小型セルの配備には制限がある。第1に、新たなアンテナ用の場所を見つけることが非常に難しい。第2に、ファイバ及び電気を屋外に引き出すには費用がかかる。最後に、都市生活に関する規制により小型セルの可能性が制限される可能性がある。
【0004】
これらに加えて、コネクテッド(通信機能を有する)自動運転車の出現に伴って、必要とされる車載アンテナの数は絶えず増加し、適切な場所を見つけることが、特に、Wi-Fi、4G、5G及びDSRC、DTV、FM、等々の場合、ますます複雑になっている。
【0005】
車中では、アンテナは通常、グレージングの上、又はルーフの上のシャークフィン、又はルーフモジュールの内部に配置されている。
【0006】
機能システムに接続し、アンテナに給電するために、同軸ケーブルとアンテナとの間で電気コネクタが使用される。
【0007】
市場に出回っている既存のコネクタは、はんだ技法に基づいて、アンテナをコネクタに接続させている。
【0008】
国際公開第2016174228号パンフレットは、同軸ケーブルをアンテナに電気接続する特定の電気コネクタを開示している。このような電気コネクタは、アンテナに給電するようにアンテナ上にはんだ付けされる。
【0009】
アンテナは、ガラス又は薄型支持体などの基板上に設けることができる。
【0010】
しかしながら、薄型支持体などの耐熱性の低い基板を用いると、基板は、はんだ付けの高温に耐えられない可能性がある。
【0011】
薄型支持体のこの低い耐熱性を回避するために、電気コネクタは通常、導電性接着剤を用いてアンテナに接着される。しかしながら、この解決策には、支持体から取れてしまい断線を引き起こす可能性がある機械抵抗の問題、品質の問題、経年劣化の問題、等々がある。
【発明の概要】
【0012】
本発明は、第1の態様において、誘電素子によって分離されたピン及びシールドを含むとともに絶縁層によって保護された同軸ケーブルを、薄型支持体上に設けられたアンテナに電気接続するための電気コネクタに関する。
【0013】
本発明は、第2の態様において、薄型支持体と、薄型支持体上に設けられアンテナと、誘電素子によって分離されたピン及びシールドを含むとともに絶縁層によって保護された同軸ケーブルと、本発明の第1の態様による電気コネクタと、を含むアンテナシステムに関する。
【0014】
本発明の第1の態様及び第2の態様において定義されているような解決策は、電気コネクタが、
-シールド部(101)であって、少なくとも1つの脚部(102、103)及びブリッジ(104)を含み、シールド部のブリッジとアンテナとの間にシールドをクランプ固定して、シールドをアンテナに電気接続し、好ましくは、ブリッジ(104)によって分離された2つの脚部(102、103)を含み、シールド部のブリッジとアンテナとの間にシールドをクランプ固定して、シールドをアンテナに電気接続するシールド部と、
-ピン部(201)であって、少なくとも脚部(202、203)及びブリッジ(204)を含み、ピン部のブリッジとアンテナとの間にピンをクランプ固定し、ピンをアンテナに電気接続するとともに、シールド部から電気的に絶縁されたピン部であり、好ましくは、ブリッジ(204)によって分離された2つの脚部(202、203)を含み、ピン部のブリッジとアンテナとの間にピンをクランプ固定し、ピンをアンテナに電気接続するとともに、シールド部から電気的に絶縁されたピン部であるピン部と、
を含むということに基づいている。
【0015】
電気コネクタの取り扱い性及び安定性を促進するために、シールド部は、ブリッジによって分離された2つの脚部を含むことが好ましい。
【0016】
本発明の第1の態様及び第2の態様において定義されているような解決策はまた、シールド部の少なくとも1つの脚部のそれぞれ、好ましくは、シールド部の2つの脚部のそれぞれが、薄型支持体を貫通するように設計された少なくとも1つのシールド部の貫入手段を含むということ、及び少なくとも1つのシールド部の貫入手段、及びシールド部の少なくとも1つの脚部、好ましくは、シールド部の2つの脚部が、同一平面上にないということにも基づいている。
【0017】
薄型支持体を貫通することによって、シールド部の貫入手段及びピン部の貫入手段は、電気コネクタを薄型支持体に機械的に保持する一方で、同軸ケーブルをアンテナに電気接続させる。
【0018】
本発明は、第3の態様において、本発明の第2の態様によるアンテナシステムを含む車両に関する。
【0019】
本発明は、第4の態様において、誘電素子によって分離されたピン及びシールドを含むとともに絶縁層によって保護された同軸ケーブルを、電気コネクタを用いて薄型支持体上に設けられたアンテナに接続するための方法に関する。
【0020】
本発明の第4の態様において定義されているような解決策は、方法が電気コネクタであって、
-シールド部(101)であって、少なくとも1つの脚部(102、103)及びブリッジ(104)を含み、シールド部のブリッジとアンテナとの間にシールドをクランプ固定して、シールドをアンテナに電気接続し、好ましくは、ブリッジ(104)によって分離された2つの脚部(102、103)を含み、シールド部のブリッジとアンテナとの間にシールドをクランプ固定して、シールドをアンテナに電気接続するシールド部と、
-ピン部(201)であって、少なくとも脚部(202、203)及びブリッジ(204)を含み、ピン部のブリッジとアンテナとの間にピンをクランプ固定し、ピンをアンテナに電気接続するとともに、シールド部から電気的に絶縁されたピン部であり、好ましくは、ブリッジ(204)によって分離された2つの脚部(202、203)を含み、ピン部のブリッジとアンテナとの間にピンをクランプ固定し、ピンをアンテナに電気接続するとともに、シールド部から電気的に絶縁されたピン部であるピン部と、
を含む電気コネクタを含むということに基づいている。
【0021】
電気コネクタの取り扱い性及び安定性を促進するために、シールド部は、ブリッジによって分離された2つの脚部を含むことが好ましい。
【0022】
方法は、シールド部の少なくとも1つの脚部のそれぞれ、好ましくは、シールド部の2つの脚部のそれぞれが、薄型支持体を貫通するように設計された少なくとも1つのシールド部の貫入手段を含むことと、少なくとも1つのシールド部の貫入手段及びシールド部の2つの脚部が、同一平面上にないことと、をさらに含む。
【0023】
本発明の第4の態様において定義されているような解決策はまた、方法が、以下のステップ、すなわち、
A)同軸ケーブルをアンテナ上に位置決めするステップ、
B)少なくとも1つのシールド部の貫入手段を押し込んで薄型支持体を貫通させてシールド部のブリッジとアンテナとの間にシールドをクランプ固定して、シールドをアンテナに電気接続するステップ、
を含むということにも基づいている。
【0024】
意外にも、第1の態様、第2の態様、第3の態様、及び第4の態様によるこの解決策により、電気コネクタの薄型支持体を貫通するシールド部の貫入手段のおかげで、機械抵抗を高める一方で、取り扱い性を向上させ、品質の問題及び経年劣化の問題を軽減することが可能になる。
【0025】
このように、本発明による電気システムにより、容易、迅速、且つ、耐久性のあるやり方で、同軸ケーブルを薄型支持体上に設けられたアンテナに電気接続することが可能になる。
【0026】
本発明は、第2の態様によるアンテナシステムの品質及び耐久性を高める。
【0027】
さらに、電気コネクタは、アンテナ面との接触を助長し、動きにくくする。
【0028】
したがって、本発明は、システムを配置する新たな場所を見つける必要性を解決する一方で、取り扱い性及び品質の向上を可能にする。
【0029】
本発明は、アンテナと同軸ケーブルとの間の接続性を高める一方で、ケーブルの部品、及びケーブル自体を保護する。
【0030】
本発明は、製造時間及び組み立て時間の節約を可能にする。
【0031】
本発明は、既存の解決策と比較して、金銭の節約を可能にする。
【0032】
本発明は、同軸ケーブルとアンテナとの間の接続の精度もまた高める。
【0033】
他の利点は、以下の記述において説明される。
【0034】
本発明は、特許請求の範囲において又は説明されている実施形態において記述されている特徴の、すべての可能な組合せに関することに留意されたい。
【0035】
以下の説明は、車両用途に関するが、本発明は、輸送用途、他の道路使用者及び/又はサービス、並びに建物用途のような他の分野にも適用可能な場合があることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0036】
ここで、本発明のこの態様及び他の態様について、限定としてではなく、例示として提供される本発明の様々な例示のための実施形態を示す添付の図面を参照しながら、さらに詳細に説明することにする。図面は概略的に表現したものであり、縮尺通りではない。図面は、本発明を決して限定するものではない。さらなる利点について、例を用いて説明することにする。
【0037】
図1】本発明の第1の態様による電気コネクタを上部から見た概略的な3D図である。
図2】本発明の第2の態様によるアンテナシステムを上部から見た概略的な3D図である。
図3】本発明の第2の態様によるアンテナシステムを底部から見た概略的な3D図である。
図4】本発明の第2の態様によるアンテナシステムを側面から見た概略的な図である。
図5】本発明の第1の態様による電気コネクタを上部から見た概略的な3D図であり、本発明による薄型支持体上に設けられたアンテナを貫通している。
図6】本発明の第2の態様によるアンテナシステムを上部から見た概略的な3D図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
本明細書では、特定の実施形態に対して、該当する実施形態の様々な変更、均等物、及び/又は置換を含む。同じ部分又は同様な部分を参照するために、同じ参照番号が図面全体にわたって使用される。
【0039】
本明細書で使用される「内部」、「外部」、「上方」、「下方」、「上部」、「底部」などといったような空間又は方向を示す用語は、描かれている図面に示される通りに、本発明に関係する。しかしながら、本発明は、様々な代替的な向きを想定することができ、したがって、このような用語は、限定とみなされないことを理解されたい。さらに、本明細書及び特許請求の範囲で使用される寸法、物理的特性、処理パラメータ、成分の量、反応条件などを表現するすべての数は、「約」という用語によってすべての場合に修飾されることを理解されたい。したがって、そうでないことが示されていない限り、以下の明細書及び特許請求の範囲において記載されている数値は、本発明が得ようとする所望の特性に応じて変わり得る近似値である。以下の説明において、別段の定めがない限り、「実質的に」という表現は、10%以内を意味し、好ましくは5%以内を意味する。
【0040】
さらに、本明細書に開示されているすべての範囲は、範囲の始まりと終わりの値を包含し、そこに包摂されるありとあらゆる部分範囲を網羅すると理解されるものとする。例えば、「1~10」と明言された範囲は、最小値である1と最大値である10の間(及び1以上10以下)のありとあらゆる部分範囲、すなわち、最小値が1以上、例えば、1~6.1で始まり、最大値が10以下、例えば、5.5~10で終わるすべての部分範囲を含む、とみなすものとする。さらに、本明細書で使用される「~上に堆積された」、又は「~上に提供された」という用語は、表面の上に堆積されているか、又は提供されているが、必ずしも表面と接触しているとは限らないことを意味する。例えば、基板「上に堆積された」被膜は、堆積された被膜と基板との間に位置する、同じ組成又は異なる組成の1つ又は複数の他の塗膜の存在を排除するものではない。
【0041】
本明細書及び特許請求の範囲において「含む(comprising)」という用語が使用される場合、それは他の要素又はステップを除外するものではない。単数名詞に言及するときに、不定冠詞又は定冠詞、例えば、「1つの(a)」又は「1つの(an)」、「その(the)」が使用される場合、これは、何か他のことが具体的に述べられていない限り、こうした名詞の複数形を含む。本明細書では、「するように構成(又は設定)された」は、ハードウェア及びソフトウェアにおいて、例えば、「するのに適切な」、「する能力を有する」、「するように変更された」、「するように作られた」、「することが可能な」、又は「するように設計された」と、状況に従って交換可能に使用することができる。どの状況においても、「行うように構成されたデバイス」という表現は、そのデバイスが別のデバイス又は構成要素とともに「行うことができる」ことを意味し得る。
【0042】
さらに、本明細書及び特許請求の範囲における第1の、第2の、などの用語は、類似した要素間を区別するために使用されており、必ずしも、時間的、空間的、序列上の順序、又はあらゆる他の順序のいずれかを説明するために使用されるわけではない。そのように使用される用語は、適切な状況下において交換可能であり、本明細書に記載の本発明の実施形態は、本明細書に説明され、図示されている以外の順序で実施が可能であることを理解されたい。ある構成要素(例えば、第1の構成要素)が、別の構成要素(例えば、第2の構成要素)に「(機能的に又は通信的に)結合されている」、又は「接続されている」と記載されているときには、この構成要素が、この別の構成要素に直接接続されている場合もあれば、又は別の構成要素(例えば、第3の構成要素)を介してこの別の構成要素に接続されている場合もある、と理解されるものとする。
【0043】
本発明の第1の態様によれば、図1に示されているように、電気コネクタ100は、誘電素子によって分離されたピン及びシールドを含むとともに絶縁層によって保護された同軸ケーブルを、薄型支持体上に設けられたアンテナに電気接続するように設計されている。
【0044】
電気コネクタ100は、シールド部101及びピン部201を含む。ピン部は、シールド部から電気的に絶縁されている。
【0045】
シールド部101は、同軸ケーブルのシールドをシールド部のブリッジと、薄型支持体上に設けられたアンテナとの間にクランプ固定し、シールドをアンテナに電気接続するように設計された、少なくとも1つの脚部102、103及びブリッジ104を含んでいる。図1は、シールド部101がブリッジ104によって分離された2つの脚部102、103を含む実施形態を図示したものである。
【0046】
シールド部101の2つの脚部102、103はそれぞれ、薄型支持体を貫通するように設計された少なくとも1つのシールド部の貫入手段1031、1032、1021、1022を含む。少なくとも1つのシールド部の貫入手段1031、1032、1021、1022、及びシールド部の2つの脚部は、薄型支持体を貫通し、同軸ケーブルを薄型支持体上に設けられたアンテナに電気接続するように、同一平面上にない。すなわち、少なくとも1つのシールド部の貫入手段1031、1032、1021、1022は、薄型支持体に面するシールド部の脚部の表面上に提供されている。
【0047】
本発明によれば、各脚部のシールド部の貫入手段は、少なくとも薄型支持体を貫通するように尖鋭な歯(tine)を含む。より好ましくは、各脚部のシールド部の貫入手段は、少なくとも薄型支持体を貫通し易くするように複数の尖鋭な歯を含む。
【0048】
図1に図示されているように、ピン部201は、ブリッジ204によって分離された2つの脚部202、203を含み、ピン部のブリッジと、薄型支持体上に設けられたアンテナとの間に同軸ケーブルのピンをクランプ固定し、ピンをアンテナに電気接続するように設計されている。少なくとも1つのピン部の貫入手段2031、2032、2021、2022、及びピン部の2つの脚部は、薄型支持体を貫通し、同軸ケーブルを薄型支持体上に設けられたアンテナに電気接続するように、同一平面上にない。すなわち、少なくとも1つのピン部の貫入手段2031、2032、2021、2022は、薄型支持体に面するピン部の脚部の表面上に提供されている。
【0049】
本発明のいくつかの好適な実施形態によれば、各脚部のピン部の貫入手段は、少なくとも薄型支持体を貫通するように尖鋭な歯を含む。より好ましくは、各脚部のピン部の貫入手段は、少なくとも薄型支持体を貫通し易くするように複数の尖鋭な歯を含む。
【0050】
図2図4は、薄型支持体12、薄型支持体上に設けられたアンテナ10、11を含むアンテナシステム1を図示する。アンテナシステムは、誘電素子123によって分離されたピン124及びシールド122を含むとともに絶縁層121によって保護された同軸ケーブル120を含む。
【0051】
薄型支持体は、その寸法(長さ及び/又は幅)が変わる場合、それは1ミリメートル~数メートルの間である場合もあるが、異なる形態及び形状を取り得る。
【0052】
薄型支持体という用語は、5mm以下の、好ましくは、3mm以下の厚さを有する支持体を意味する。
【0053】
用途に応じて、薄型支持体は、貫通される厚さTtsが10μm~3mmの間に含まれている(0.01mm≦Tts≦3mm)。用途に応じて、厚さは、20μm、50μm、75μm、100μm、125μm、150μm又は任意の特定の値とすることができる。
【0054】
いくつかの好適な実施形態では、薄型支持体の厚さは、20μm~250μmの間に含まれる(0.02mm≦Tts≦0.25mm)。
【0055】
本発明によれば、薄型支持体は、単一層とすることもできるし、或いは同じ材料、若しくは異なる材料からなる多層構造とすることもでき、その上にアンテナを設けることができる。言うまでもなく、薄型支持体は、アンテナのための誘電体基板としての機能を果たす。
【0056】
薄型支持体は、薄型プラスチック支持体であることが好ましい。薄型支持体は、プリント回路において使用される任意の誘電材料、若しくはポリマー、プラスチック、積層材料などフレキシブル基板として使用されるより可撓性に優れた材料、又はポリエチレン-PE、ポリエチレンテレフタレート-PET、ポリスチレン-PS、ポリアミド-PA、ポリ塩化ビニル-PVC、ポリカーボネート-PC、ポリプロピレン-PP、ポリエチレンフラノエート-PEFなど任意の他の適切な材料とすることができる。好ましくは、薄型支持体はPETを含むが、用途及び薄型支持体を対象物上に固定する方法、太陽、温度などといったような外部の露出状態により必要とされる耐久性に応じて、任意の他のプラスチック材料とすることができる。
【0057】
薄型支持体は、上面12.1及び底面12.2を含む。アンテナ10、11は、薄型支持体の上面12.1上に設けられている。
【0058】
図示されているように、アンテナは、2つの部分10、11を含むことができる。これらの2つの部分は電気的に絶縁されている。
【0059】
同軸ケーブル120のピン124は、2つの部分のうちの一方の部分11に接続され、同軸ケーブル120のシールド122は、2つの部分のうちのもう一方の部分10に接続されている。
【0060】
アンテナ10、11は、薄型支持体上に設けられている。「~上に設けられた」という用語は、アンテナが印刷、スクリーン印刷、インクジェット印刷された導電性の層、堆積された導電性の層、又は薄型支持体上にアンテナを設けるのに適した他の同様の方法による導電性の層とし得ることを意味する。アンテナをエッチング又はレーザ被膜除去技術を使用して実現して、非導電性区域を作り出すことによりアンテナを設計することもまた可能である。アンテナは、アンテナ形状又はプリント回路を形成する、いくつかの細い接続ワイヤからなる金属メッシュフィルムで作ることもまた可能である。
【0061】
本発明によれば、アンテナは導電性材料で作られている。アンテナを作るための材料は、銅、銀、銅インクなど任意の導電性の高い材料とすることができるが、これらに限定されない。
【0062】
いくつかの好適な実施形態では、アンテナは、1つのアンテナとすることができる。アンテナは、Wi-Fi、FM、AM、TV、リモートキー入力(RKE:remote key entry)、など通信用、2G、3G、4G、5G、サテライト、GPSナビゲーション、V2X、DSRCなどテレマティクス/セルラー用アンテナ又は任意の他の無線同報通信用途に使用される多帯域アンテナであることが好ましい。多帯域アンテナの実施形態では、アンテナは2つの部分10、11を含むことができ、放射部10は放射素子として作用するように設計され、接地部11は接地板として作用するように設計されている。
【0063】
言うまでもなく、アンテナの形状は矩形形状に限定されない。本発明によるアンテナそれ自体、及びアンテナの各部分10、11は、性能、周波数、波長、利用可能な表面などといったような、必要とされるパラメータに従って任意の形状を有することができる。
【0064】
同軸ケーブル120を薄型支持体12上で機械的に維持する一方で、同軸ケーブル120をアンテナ10、11に電気接続するために、アンテナシステムは、本発明の第1の態様による電気コネクタをさらに含む。
【0065】
電気コネクタは、シールド部101であって、ブリッジ104によって分離された2つの脚部102、103を含み、シールド部のブリッジ104とアンテナ10との間にシールド122をクランプ固定して、シールドをアンテナに電気接続するシールド部と、ピン部201であって、ブリッジ204によって分離された2つの脚部202、203を含み、ピン部のブリッジ204とアンテナとの間にピン124をクランプ固定し、ピン124をアンテナ11に電気接続するピン部と、を含む。ピン部201は、シールド部101から電気的に絶縁されている。
【0066】
シールド部の2つの脚部は、薄型支持体12を貫通する少なくとも1つのシールド部の貫入手段1031、1032、1021、1022を含む。少なくとも1つのシールド部の貫入手段1031、1032、1021、1022及びシールド部の2つの脚部は、同一平面上にない。
【0067】
シールド部の貫入手段1031、1032、1021、1022は、少なくとも薄型支持体を完全に通り抜け、貫入とは反対側の面である底面12.2から出ている部分1035を有する。このような部分1035は、電気コネクタが引き抜けてしまわないように、ノッチ又はフックのような形状を有することができる。この部分1035は、底面12.2を貫通した後に底面上で折り曲げることもまた可能である。
【0068】
シールド部の貫入手段及びピン部の貫入手段は、存在する場合には、アンテナを電気コネクタと薄型支持体との間にクランプ固定して、シールドと接地部との間で電気接続を確保し、ピンと放射部との間で電気接続を確保することができる。
【0069】
いくつかの実施形態では、支持体を貫通したら、このような部分1035を薄型支持体の貫入と反対側の表面上で曲げて、システムの機械的強度を確保することができる。たとえ、一部分が曲げられていても、シールド部の貫入手段及びピン部の貫入手段は、脚部と同一平面上にない。
【0070】
本発明によれば、脚部は、矩形形状、三角形又は任意の多角形の形状を有することができる。なお、アンテナ及び薄型支持体に対して相互作用する接触面は、0.1mm~約10cmとすることができる。
【0071】
ブリッジは、逆U字形、階段状、又は矩形形状の一般的な形状を有することができ、ブリッジの幅が0.1mm~約10cmであり、高さが0.1mm~約10cmである。脚部及びブリッジの厚さは、0.1mm~2cmである。好ましくは、厚さは最大でも5mmである。
【0072】
いくつかの実施形態では、脚部は、1.5mmx3mmの長方形形状を有することができ、ブリッジの高さは1.5mmとすることができる。
【0073】
本発明によれば、電気コネクタは、薄型支持体に取り付けられることで、シールド部の脚部102、103が薄型支持体及びアンテナの一方の部分301、302に機械的に取り付けられ、同時に、シールド部のブリッジ104が、同軸ケーブルのシールド部を薄型支持体上のアンテナ部に押し付けている。したがって、同軸ケーブルのシールド部122と、アンテナ10との間の電気接触10.1が、シールド部とアンテナ部との間の直接の接触を介して得られるだけでなく、シールド部のブリッジ及び脚部が導電性である場合には、導電性の電気コネクタのシールド部のブリッジ及び脚部を介してもまた得られる。
【0074】
同様に、本発明によるいくつかの実施形態では、ピン部の脚部202、203は、薄型支持体及びアンテナのもう一方の部分401、402、403、404に機械的に取り付けられ、ピン部のブリッジ204は、同軸ケーブルのピンと、薄型支持体上のもう一方のアンテナ部11とをクリップ留めする。このように、アンテナ11と同軸ケーブルのピン124との間の電気接触11.1が、それらの直接の接触を介して得られるだけでなく、ピン部の脚部及びブリッジが導電性である場合には、導電性の電気コネクタのピン部のブリッジ及び脚部を介してもまた得られる。
【0075】
いくつかの実施形態では、ピン部及びシールド部の2つの脚部はいずれも、同じ形状を有する場合もあれば、又は異なる形状を有する場合もある。
【0076】
好ましくは、シールド部の2つの脚部は、ケーブルの安定性を保つために、同じ形状及び寸法を有することが好ましい。さらに、形状及び寸法が2つの脚部に関して同じであるので、電気接触は、接続の両側の釣り合いが取れた状態であり、これにより、アンテナの性能がさらに向上する。いくつかの実施形態における、バラン構造が使用される場合、又は平面内導光路構造が存在する場合などである。最近では、脚部が左右対称であることは、脚部を薄型支持体にクランプ固定する工具類の設計上の利点だけでなく、動作/操作においてもまた、利点をもたらす可能性がある。
【0077】
好ましくは、ピン部の2つの脚部は、ケーブルの安定性を保つために、同じ形状及び寸法を有することが好ましい。さらに、形状及び寸法が2つの脚部に関して同じであるので、電気接触は、接続の両側の釣り合いが取れた状態であり、これにより、アンテナの性能がさらに向上する。いくつかの実施形態における、バラン構造が使用される場合、又は平面内導光路構造が存在する場合などである。最近では、脚部が左右対称であることは、脚部を薄型支持体にクランプ固定する工具類の設計上の利点だけでなく、動作/操作においてもまた、利点をもたらす可能性がある。
【0078】
本発明によれば、また、図2に図示されているように、シールド部は、シールド122をアンテナ10にクランプ固定して、シールド122とアンテナ10との間で、シールド122をアンテナ10に電気接続する接触区域10.1を生み出す。ピン部は、ピン124をアンテナ11にクランプ固定して、ピン124とアンテナ11との間で、ピン124をアンテナ11に電気接続する接触区域11.1を生み出す。
【0079】
このように、シールド部及び/又はピン部は、はんだ付け又は導電性接着と比較して安価で容易な代替的解決策を生み出すために、導電性材料又は非導電性材料で作ることができ、同軸ケーブルとアンテナとの間の電気接続は、ケーブルの一部分をアンテナにクランプ固定することにより実現されたシールドとアンテナとの間の物理的接触によって行われ、非導電性材料を使用することが可能になる。
【0080】
いくつかの好適な実施形態では、シールド部及び/又はピン部は、導電性材料を含む。導電性材料が少なくとも表面上にあることが好ましい。
【0081】
シールド部の貫入手段及び/又はピン部の貫入手段は、導体めっきした材料又は非プラスチック系の材料で作ることもできるし、或いはアルミニウム、銅合金、ベリリウム銅、リン青銅、真鍮、金、ニッケル及びニッケル系合金など導電性系の材料、銀若しくはニッケルめっきしたステンレス鋼、又は導体として作用するのに適しており、その一方で薄型支持体を貫通することが可能である任意の導電性材料で作ることもできる。ピン部の貫入手段を被膜又は表面処理して、導電性及び/又は機械抵抗を向上させることもまた可能である。
【0082】
いくつかの他の好適な実施形態では、シールド部及び/又はピン部は、同軸ケーブルを介するアンテナによるEM信号の送信における寄生を最小限に抑えるために、非導電性材料で作られている。非導電性材料が少なくとも表面上にあることが好ましい。
【0083】
いくつかの実施形態では、電気コネクタを容易に取り扱うために、電気コネクタは、シールド部101及びピン部201を一緒に保持する保持手段(図示せず)をさらに含むことができる。保持手段は、シールド部からピン部までの少なくとも1本のバーを含むことができる。この少なくとも1本のバーは、シールド部の脚部103、102、ピン部のそれぞれ対応する脚部203、202に固定することができる。この要素は、シールド部のブリッジ104、ピン部のブリッジ204に固定することができる。保持手段は、シールド部101とピン部201との間に固定されたプレートとすることもまた可能である。
【0084】
保持手段は、固定されるシールド部の部分及びピン部の部分が導電性材料で作られている場合を除き、シールド部及びピン部を保持することが可能な任意の材料で作ることができる。このような場合、保持手段は、非導電性材料で作られている。このような非導電性材料は、シリコーン系、エポキシ系、アクリレート系、PU、ABS、PC-ABS、HDPEなどの熱可塑性系とすることができる。
【0085】
言うまでもなく、シールド部の貫入手段は、薄型支持体上に設けられたアンテナ、及び薄型支持体を貫通することもまた可能である。
【0086】
本発明によるいくつかの実施形態では、シールド部の貫入手段は、誘電体基板に直接固定されている。このような実施形態では、シールド部の貫入手段は、非導電性であることが好ましい。アンテナの電気接続は、アンテナと、シールド及びピンとの間の物理的接触によってなされている。
【0087】
いくつかの実施形態では、シールド部の脚部はそれぞれ、シールド部の貫入手段を有する。
【0088】
いくつかの実施形態では、シールド部の貫入手段は、少なくとも薄型支持体を貫通するように尖鋭な歯を含む。より好ましくは、シールド部の貫入手段は、少なくとも薄型支持体を貫通し易くするように複数の尖鋭な歯を含む。
【0089】
シールド部の貫入手段は、一般的な三角形状、フック状、歯状、又は、少なくとも薄型支持体を貫通することが可能な、より好ましくは、薄型支持体及び薄型支持体上に設けられたアンテナを貫通することが可能な任意の形状とすることもまた可能である。シールド部の貫入手段の端部の少なくとも一部分は、貫通し易くするためにとがらせることが可能である。
【0090】
本発明によれば、シールド部の貫入手段は、幅が1ミリメートル未満(0.1mm)~10cmの範囲の、及び高さが0.1mm~10cmの範囲の寸法を有することができる。寸法は、アンテナの必要な使用周波数に適合させることだけでなく、アンテナへの電気接点のサイズにも適合させることもまた可能である。
【0091】
言うまでもなく、ピン部の貫入手段は、薄型支持体上に設けられたアンテナ、及び薄型支持体を貫通することもまた可能である。
【0092】
いくつかの実施形態では、ピン部の脚部はそれぞれ、ピン部の貫入手段を有する。
【0093】
本発明によるいくつかの実施形態では、ピン部の貫入手段は、誘電体基板に直接固定されている。このような実施形態では、ピン部の貫入手段は、非導電性であることが好ましい。アンテナの電気接続は、シールド及びピンを介しての、アンテナと同軸ケーブルとの間の物理的接触によってなされている。
【0094】
ピン部の2つの脚部は、薄型支持体12を貫通する少なくとも1つのピン部の貫入手段2031、2032、2021、2022を含む。少なくとも1つのピン部の貫入手段2031、2032、2021、2022及びピン部の2つの脚部は、同一平面上にない。
【0095】
ピン部の貫入手段2031、2032、2021、2022は、少なくとも薄型支持体を完全に通り抜け、貫入とは反対側の面である底面12.2から出ている部分2035を有する。このような部分2035は、電気コネクタが引き抜けてしまわないように、ノッチ又はフックのような形状を有することができる。この部分2035は、底面12.2を貫通した後に底面上で折り曲げることもまた可能である。
【0096】
ピン部の貫入手段は、一般的な三角形状、隅をカットしたもの、若しくはしないもの、ノッチを有する形状若しくはノッチがない形状、フック状、歯状、又は、少なくとも薄型支持体を貫通することが可能な、より好ましくは、薄型支持体及び薄型支持体上に設けられたアンテナを貫通することが可能な任意の形状とすることもまた可能である。ピン部の貫入手段の端部の少なくとも一部分は、貫通し易くするためにとがらせることが可能である。
【0097】
本発明によれば、ピン部の貫入手段は、幅が1ミリメートル未満(0.1mm)~10cmの範囲の、及び高さが0.1mm~10cmの範囲の寸法を有することができる。寸法は、アンテナの必要な使用周波数に適合させることだけでなく、アンテナへの電気接点のサイズにも適合させることもまた可能である。
【0098】
図6に図示されているように、本発明によるいくつかの実施形態では、シールド部101は、1つの脚部103及びブリッジ104を含む。ピン部201は、1つの脚部203及びブリッジ204を含む。
【0099】
このような実施形態では、同軸ケーブル120は、ブリッジ104、204と、アンテナ10、11との間に保持されている。
【0100】
好ましくは、いくつかの好適な実施形態では、シールド部101のブリッジ104は、シールド122の一部分を圧着することができる。材料は、シールド122とアンテナ10との間の電気接続を向上させるために導電性であることが好ましい。ピン部201のブリッジ204は、ピン124の一部分を圧着することができる。材料は、ピン124とアンテナ11との間の電気接続を向上させるために導電性であることが好ましい。
【0101】
本発明によれば、シールド部の脚部及びピン部の脚部は、同軸ケーブルの同じ側にある可能性もあれば、或いは同軸ケーブルの反対側にある可能性もある。
【0102】
本発明によれば、言うまでもなく、電気コネクタのシールド部及びピン部は、構造及び機能の点ではほとんど同じであるが、それらは、異なる実施形態では構造及び/又は機能が異なる可能性がある。すなわち、たとえ上記実施形態で直接開示されていなかったとしても、シールド部及び/又はシールド部の貫入手段に関する任意の実施形態は、ピン部及び/又はピン部の貫入手段に適用することができる。例えば、ある実施形態におけるフック状のシールド部の貫入手段の開示は、同様に、ピン部の貫入手段もまた、同じ実施形態において、又は任意の他の実施形態においてフック状とすることが可能であると理解されるものとする。
【0103】
本発明は、アンテナシステムを設置することが困難であった場所にアンテナシステムを設置するための、本発明の第2の態様による、少なくとも1つのアンテナシステム、特に、多帯域アンテナを含む車両にもまた関する。
【0104】
このシステムは、薄型支持体上に設けられたアンテナ、特に、広帯域アンテナを設置する必要のある他のどんな場所にも設置することができる。アンテナシステムは、フロントガラスなどのグレージングパネル、サイドライト、ルーフの表面、スポイラなどの車両のプラスチック部分のバックライト、Bピラー、バンパーなどに配置することができる。アンテナシステムをこのような素子の前に配置して、システムをこのような素子の表面に直接固定することを避けることもまた可能である。
【0105】
一実施形態は、誘電素子123によって分離されたピン124及びシールド122を含むとともに、絶縁層121によって保護された同軸ケーブル120を、本発明の第1の態様による電気コネクタを用いて薄型支持体上に設けられたアンテナに接続して、本発明の第2の態様によるアンテナシステムを作り出すための方法を提供する。
【0106】
この方法は、アンテナ上に、特に、アンテナの第1の部分10上のシールド及びアンテナの第2の部分11上のピンにわたって同軸ケーブルを位置決めする、位置決めステップを含む。
【0107】
方法は、少なくとも1つのシールド部の貫入手段を押し込んで薄型支持体を貫通させてシールド部のブリッジとアンテナとの間にシールドをクランプ固定して、シールドをアンテナに電気接続する、押し込みステップを含む。
【0108】
言うまでもなく、ピン部の貫入手段が存在する場合、方法は、ピン部の貫入手段を押し込んで薄型支持体を貫通させてピン部のブリッジとアンテナとの間にピンをクランプ固定して、ピンをアンテナに電気接続する、第2の押し込みステップを含むこともまた可能である。
【0109】
言うまでもなく、押し込みステップは同時に行うこともできるし、或いは一方の押し込みステップを他方の押し込みステップの前に行うこともできる。好ましくは、シールド部の貫入手段の押し込みステップは、ピン部の貫入手段の押し込みステップよりも前に、又はそれと同時に行われる。
【0110】
図5に図示されているように、シールド部の貫入手段の押し込みステップにより、シールド部の貫入手段が薄型支持体に穴を空ける301、302ことが可能になり、最終的に、アンテナが、アンテナと同軸ケーブルのシールドとの間に、クランプ固定による電気接続を作り出すことが可能になる。ピン部の貫入手段の押し込みステップにより、ピン部の貫入手段が薄型支持体に穴を空ける401、402、403、404ことが可能になり、最終的に、アンテナが、アンテナと同軸ケーブルのピンとの間に、クランプ固定による電気接続を作り出すことが可能になる。
【0111】
方法は、支持体を通り抜けてから、貫入とは反対側の面から出ているシールド部の貫入手段の部分1035を曲げる、曲げステップを含むことができる。このステップは、対応する押し込みステップの間に、又は対応する押し込みステップの後に行うことができる。
【0112】
方法は、支持体を通り抜けてから、貫入とは反対側の面から出ているピン部の貫入手段の部分2035を曲げる、曲げステップを含むことができる。このステップは、対応する押し込みステップの間に、又は対応する押し込みステップの後に行うことができる。
【0113】
方法は、押し込みステップ及び曲げステップの後に、同軸ケーブルを薄型支持体にしっかりと固定して、電気接続を確保して、腐食の問題を軽減すると同時に、引き剥がれのリスクを低減するためのオーバーモールドステップを含むことができる。このステップは、2つの金型部分を有する金型の中にシステムを配置するサブステップと、これらの2つの金型部分を閉じて、システムのまわりに閉鎖空間を形成するサブステップと、閉鎖空間の中にプラスチック系材料を注入して、オーバーモールドされた素子をシステムの少なくとも一部分にわたって、好ましくは、少なくともその部分にわたって形成するサブステップと、を含む。
【0114】
オーバーモールド部分により、経年劣化の問題を軽減し、システムの気密度を高める一方で、引き抜けの問題を軽減することが可能になる。
【0115】
プラスチック系材料は、熱可塑性材料、ポリウレタン(PU)、ポリアミド、アクリル、ポリカーボネート、ポリオキシメチレン(POM)、ポリスチレン(PS)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、熱可塑性ゴム(TPR)、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、又は金型の中に注入されるのに適した任意の材料で作ることができる。温度、圧力は、特定の実施形態に適するように適合させることができる。
【0116】
一実施形態は、ユーザ又は車両にその周囲と通信させるための第2の態様によるシステムの使用を提供する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】