(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-28
(54)【発明の名称】電気穿孔とともに使用するためのサイドポート注射デバイス、並びに関連するシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
A61N 1/32 20060101AFI20240621BHJP
A61N 1/04 20060101ALI20240621BHJP
A61M 5/158 20060101ALI20240621BHJP
【FI】
A61N1/32
A61N1/04
A61M5/158 500F
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023580429
(86)(22)【出願日】2022-06-30
(85)【翻訳文提出日】2024-02-05
(86)【国際出願番号】 US2022035857
(87)【国際公開番号】W WO2023278796
(87)【国際公開日】2023-01-05
(32)【優先日】2021-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】509320254
【氏名又は名称】イノビオ ファーマシューティカルズ,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100211177
【氏名又は名称】赤木 啓二
(72)【発明者】
【氏名】ポール フィッシャー
(72)【発明者】
【氏名】ジェイ マッコイ
(72)【発明者】
【氏名】アリソン エー.ジェネロッティ
(72)【発明者】
【氏名】ブレンデン ユリシーズ ゾーンズ
(72)【発明者】
【氏名】ライン ルーカス コントレラス
【テーマコード(参考)】
4C053
4C066
【Fターム(参考)】
4C053BB13
4C053BB24
4C053JJ02
4C053JJ24
4C053JJ32
4C066BB01
4C066CC01
4C066FF04
4C066KK02
4C066KK04
(57)【要約】
薬剤のインビボ送達のための注射デバイスが、長手方向に沿って配向された中心軸に沿って延在する管腔を画定する管状本体を含む。管腔の遠位端部は閉塞されており、管状本体は、管腔から管状本体の外側表面まで延在する少なくとも1つのサイドポートを画定する。少なくとも1つのサイドポートは、管状本体の外側表面に沿って細長い。
【選択図】
図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤のインビボ送達のための注射デバイスであって、
長手方向に沿って配向された中心軸に沿って延在する管腔を画定する管状本体であって、前記管腔の遠位端部が閉塞されており、前記管状本体が、前記管腔から前記管状本体の外側表面まで延在する少なくとも1つのサイドポートを画定し、前記少なくとも1つのサイドポートが、前記管状本体の前記外側表面に沿って細長い、管状本体を備える、注射デバイス。
【請求項2】
前記少なくとも1つのサイドポートが、前記外側表面に沿って各々測定される長さ及び幅を有し、前記長さが、約2~約80の範囲内の係数で前記幅よりも大きい、請求項1に記載の注射デバイス。
【請求項3】
前記係数が、約15~約50の範囲内である、請求項2に記載の注射デバイス。
【請求項4】
前記係数が、約35~約45の範囲内である、請求項3に記載の注射デバイス。
【請求項5】
前記少なくとも1つのサイドポートが、複数のサイドポートを含む、請求項2に記載の注射デバイス。
【請求項6】
前記複数のサイドポートが、前記長手方向に沿って互いから離間した別個の行に配置されている、請求項5に記載の注射デバイス。
【請求項7】
前記行のうちの少なくとも第1の行が、前記複数のサイドポートのうちの4つのサイドポートを含み、前記4つのサイドポートが、前記管状本体の円周の周りで互いから均等に角度的に離間されている、請求項6に記載の注射デバイス。
【請求項8】
前記行のうちの少なくとも第2の行が、前記複数のサイドポートのうちの4つの追加のサイドポートを含み、前記4つの追加のサイドポートが、前記管状本体の円周の周りで互いから均等に角度的に離間されており、前記4つの追加のサイドポートが、前記行のうちの前記少なくとも第1の行の前記4つのサイドポートから、前記中心軸の周りで約45度のオフセット角度だけ角度的にオフセットされている、請求項7に記載の注射デバイス。
【請求項9】
前記4つのサイドポート及び前記4つの追加のサイドポートが、前記長手方向に沿って各々細長い、請求項8に記載の注射デバイス。
【請求項10】
前記4つのサイドポート及び前記4つの追加のサイドポートが、各々長方形である、請求項8に記載の注射デバイス。
【請求項11】
前記行のうちの少なくとも第3の行が、前記複数のサイドポートのうちの4つの更なる追加のサイドポートを含み、前記4つの更なる追加のサイドポートが、前記管状本体の円周の周りで互いから均等に角度的に離間されており、前記4つの更なる追加のサイドポートが、前記行のうちの前記少なくとも第1の行の前記4つのサイドポートから角度的に整列されている、請求項8に記載の注射デバイス。
【請求項12】
前記複数のサイドポートが、前記管状本体の領域内で境界が定められており、前記領域が、約3.0mm~約12.0mmの範囲内の長さを有する、請求項11に記載の注射デバイス。
【請求項13】
前記領域の前記長さが、約4.0mm~約6.0mmの範囲内である、請求項12に記載の注射デバイス。
【請求項14】
前記注射デバイスが、注射針である、請求項1に記載の注射デバイス。
【請求項15】
前記管腔の前記遠位端部が、プラグによって閉塞されている、請求項14に記載の注射デバイス。
【請求項16】
前記プラグが、金属材料で構成されており、前記プラグが、前記管腔内の前記注射針の内部表面の遠位部分にレーザ溶接されている、請求項15に記載の注射デバイス。
【請求項17】
前記プラグが、金属材料で構成されており、前記プラグが、前記針のベベルを画定し、前記プラグが、前記注射針の遠位端部内に挿入するように構成された挿入部分を有し、前記プラグが、前記注射針の前記遠位端部にレーザ溶接されている、請求項15に記載の注射針。
【請求項18】
前記プラグが、ポリマー材料で構成されており、前記プラグが、前記管腔内の前記注射針の内部表面の遠位部分に結合されている、請求項15に記載の注射デバイス。
【請求項19】
前記注射針が、薬物カートリッジを穿刺するように構成された近位ベベルを画定する近位端部を有する、請求項14に記載の注射デバイス。
【請求項20】
薬剤のインビボ送達のためのアセンブリであって、
1つ以上の電気穿孔パルスを組織に送達するように構成された複数の針電極を含む電極アレイを有する電気穿孔デバイス、
前記複数の針電極のうちの少なくとも1つと実質的に平行に延在するように、前記電気穿孔デバイスに取り付け可能な少なくとも1つの注射針であって、長手方向に沿って配向された中心軸に沿って延在する管腔を画定し、前記管腔の遠位端部が閉塞されており、前記少なくとも1つの注射針が、前記管腔から前記少なくとも1つの注射針の外側表面まで延在する少なくとも1つのサイドポートを画定し、前記少なくとも1つのサイドポートが、前記注射針の前記外側表面に沿って細長い、少なくとも1つの注射針、を備える、アセンブリ。
【請求項21】
前記少なくとも1つのサイドポートが、複数のサイドポートを含み、前記複数のサイドポートが、筋組織及び脂肪組織のうちの少なくとも1つを通して注射液を分散させるように構成されている、請求項20に記載のアセンブリ。
【請求項22】
前記複数のサイドポートが、筋組織及び脂肪組織の両方を通して注射液を分散させるように構成されている、請求項22に記載のアセンブリ。
【請求項23】
前記少なくとも1つの注射針が、前記複数の針電極の中間に位置し、前記少なくとも1つのサイドポートが、前記複数の針電極の中間の組織内に前記管腔から流体を排出するように構成されている、請求項20に記載のアセンブリ。
【請求項24】
前記複数の針電極が、前記少なくとも1つの注射針を受容するための少なくとも1つの注射チャネルも画定する支持部材によって担持されている、請求項23に記載のアセンブリ。
【請求項25】
前記複数の針電極が、円形パターンで配置されており、前記少なくとも1つの注射針が、前記電気穿孔デバイスに取り付けられたときに前記円形パターンの中央に配設される、請求項24に記載のアセンブリ。
【請求項26】
前記複数の針電極が、前記針電極の2つ以上の行及び2つ以上の列を有するマトリックスに配置されている、請求項24に記載のアセンブリ。
【請求項27】
前記マトリックスが、3つ以上の行及び2つ以上の列を有し、前記支持部材が、少なくとも3つの注射チャネルを画定する、請求項26に記載のアセンブリ。
【請求項28】
前記支持部材が、針電極の選択されたサブセットが電気穿孔パルスを送達するように構成されるよう、前記複数の針電極の各々に電気的連通を個々に提供する回路を有する、請求項27に記載のアセンブリ。
【請求項29】
前記複数の針電極の各々が、注射液を標的組織に送達すること、及び前記1つ以上の電気穿孔パルスを前記組織に送達することの両方を行うように構成されたサイドポート注射針である、請求項20に記載のアセンブリ。
【請求項30】
組織の細胞においてインビボで可逆的な電気穿孔を引き起こすための電気穿孔システムであって、
電極アレイであって、
上部表面及び底部表面を有する支持部材であって、前記上部表面から前記底部表面まで延在する複数のチャネルを画定する、支持部材、
複数の針電極であって、前記複数の針電極は、前記複数の針電極の遠位端部が前記支持部材の前記底部表面の下の針深さまで延在するように、前記支持部材に結合され、前記複数のチャネルを通って延在し、前記複数の針電極が、前記支持部材に沿ってあるパターンで配置されており、前記複数の針電極のうちの少なくともいくつかが、前記組織内に薬剤を注射し、かつ前記組織の前記細胞内で前記可逆的な電気穿孔を引き起こすために、前記組織に1つ以上の電気穿孔パルスを送達するように構成された二重目的注射針電極である、複数の針電極、を含む、電極アレイを備える、電気穿孔システム。
【請求項31】
ハンドル及び前記ハンドルに接続された装着部分を有するアプリケータを更に備え、前記電極アレイが、前記装着構成物に取り付け可能であり、前記複数の針電極が、前記複数の針電極への1つ以上の電気穿孔パルスの送達を制御するために、前記アプリケータの回路と連通する、請求項30に記載の電気穿孔システム。
【請求項32】
前記二重目的注射針電極に接続されており、前記二重目的注射針電極と流体連通している管類を更に備え、前記管類が、リザーバアセンブリから前記二重目的注射針電極に注射液を送達するように構成されている、請求項31に記載の電気穿孔システム。
【請求項33】
前記複数の針電極の全てが、二重目的注射針電極である、請求項32に記載の電気穿孔システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年6月30日に出願された米国仮出願第63/217,069号の利益を主張するものであり、その内容全体は、この参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、電気穿孔デバイスに関し、より具体的には、電気穿孔のために標的となる組織に注射液を送達するための開窓送達針を含む、手持ち式電気穿孔デバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
ワクチン及び他の医薬品を体組織内に投与する従来からの様式は、注射器及び針を使用して筋肉又は皮膚組織内に直接注射することによるものである。そのようなワクチン又は薬剤の組織内の細胞内への直接的な送達を容易にするために、注射部位又はその近くに電気エネルギーの電気穿孔パルスを組み込むことが知られている。電気穿孔電気パルスを使用した細胞へのそのような直接送達は、単純な注射器及び針の注射よりも、体の代謝及び/又は免疫系の応答の質に大きい臨床的効果を有することができる。その上、電気穿孔を介して薬剤を細胞内に直接送達する能力は、免疫応答を誘発するための抗原、又は代替的に、臨床的効果をもたらす様々な生物学的経路に影響を与えるための代謝を含む、任意の数の機能を有する治療薬(例えば、DNAコード化モノクローナル抗体(dMAb)、ポリペプチドをコードする発現可能な裸のDNA、タンパク質をコードする発現可能な裸のDNA、抗体をコードする組換え核酸シーケンスなど)の効果的な送達を可能にした。
【0004】
開窓注射針などのようなサイドポート注射デバイスは、筋肉内(IM)組織などの標的組織内に薬剤を注射するための好ましい特性を示している。しかしながら、特に、隣接する貫通電極によって生み出された電気穿孔場内に注射液を正確かつ反復可能に送達することに関して、標的化された又は指向性の方法で開窓針から分散させるサイドポート注射を提供することに関して課題が残っている。
【発明の概要】
【0005】
本開示の一実施形態によれば、薬剤のインビボ送達のための注射デバイスが、長手方向に沿って配向された中心軸に沿って延在する管腔を画定する管状本体を含む。管腔の遠位端部は閉塞されており、管状本体は、管腔から管状本体の外側表面まで延在する少なくとも1つのサイドポートを画定する。少なくとも1つのサイドポートは、管状本体の外側表面に沿って細長い。
【0006】
本開示の別の実施形態によれば、薬剤のインビボ送達のためのアセンブリが、1つ以上の電気穿孔パルスを組織に送達するように構成された複数の針電極を含む電極アレイを有する電気穿孔デバイスを含む。アセンブリは、複数の針電極のうちの少なくとも1つと実質的に平行に延在するように電気穿孔デバイスに取り付け可能な少なくとも1つの注射針を含む。少なくとも1つの注射針は、長手方向に沿って配向された中心軸に沿って延在する管腔を画定する。管腔の遠位端部は閉塞されており、注射針は、管腔から注射針の外側表面まで延在する少なくとも1つのサイドポートを画定する。少なくとも1つのサイドポートは、注射針の外側表面に沿って細長い。
【0007】
本開示の追加の実施形態によれば、組織の細胞においてインビボで可逆的な電気穿孔を引き起こすための電気穿孔システムが、上部表面及び底部表面を有し、上部表面から底部表面まで延在する複数のチャネルを画定する支持部材を含む電極アレイを含む。複数の針電極は、複数の針電極の遠位端部が支持部材の底部表面の下の針深さまで延在するように、支持部材に結合され、複数のチャネルを通って延在する。複数の針電極は、支持部材に沿ってあるパターンで配置されている。複数の針電極のうちの少なくともいくつかは、組織内に薬剤を注射するように構成され、かつ組織の細胞内で可逆的な電気穿孔を引き起こすために、組織に1つ以上の電気穿孔パルスを送達するようにも構成された二重目的注射針電極である。
【0008】
前述の概要、及び本出願の例示的な実施形態の以下の詳細な説明は、添付図面とともに読まれたときに、より良く理解されるであろう。本出願の特徴を説明する目的で、図面には例示的な実施形態が示されている。しかしながら、本出願は、図示された正確な配置及び器具に限定されるものではないことは、理解されるべきである。本特許又は出願書類には、カラーで作成された少なくとも1つの図面が含まれている。カラーの図面(複数可)を含む本特許又は特許出願公開の複写は、請求及び必要な料金の支払いに応じて、庁によって提供されるであろう。以下の図面である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1A】本開示の一実施形態による、少なくとも1つの開窓又は「サイドポート」注射針を組み込む手持ち式電気穿孔デバイスを有する電気穿孔システムの図である。
【
図1B】
図1Aに示される電気穿孔システムの電極アレイの拡大斜視図である。
【
図1D】
図1Aに示される電気穿孔デバイスの遠位部分の断面側面図である。
【
図1E】
図1Aに示される電気穿孔デバイスのサイドポート注射針及び電極アレイの図である。
【
図2A】本開示の一実施形態による、サイドポート注射針の側面図である。
【
図2B】細長い幾何学的形状を有するサイドポートのアレイを示す、
図2Aに示される注射針の遠位領域の拡大側面図である。
【
図2C】
図2Bに示される断面線2C‐2Cに沿って、サイドポートの行に沿ってとられた注射針の断面端面図である。
【
図2D】
図2Bに示される別の行のサイドポートの断面線2D‐2Dに沿ってとられた注射針の断面端面図である。
【
図2E】サイドポートのうちの1つを示す、注射針のサイドポートアレイの一部の拡大側面図である。
【
図2G】本開示のそれぞれの実施形態による、閉塞された遠位領域を有するそれぞれの注射針の部分の断面側面図である。
【
図2H】本開示のそれぞれの実施形態による、閉塞された遠位領域を有するそれぞれの注射針の部分の断面側面図である。
【
図3】本開示の一実施形態による、単一の長手方向に細長いサイドポートを有するサイドポート注射針の遠位端部の斜視図である。
【
図4A】本開示の一実施形態による、単一の横方向に細長いサイドポートを有するサイドポート注射針の遠位端部の斜視図である。
【
図4B】
図4Aに示されるサイドポートに沿ってとられた注射針の断面端面図である。
【
図5A】本開示の一実施形態による、単一のサイドポートを有するサイドポート注射針の遠位部分の斜視図である。
【
図5B】注射針の管腔から斜めの角度で近位に延在するサイドポートを示す、
図5Aに示される注射針の部分の断面側面図である。
【
図6】本開示の一実施形態による、
図2Aに示される細長いサイドポートの幾何学的形状に近似するように配置された円形のサイドポートのアレイを有するサイドポート注射針の遠位部分の側面図である。
【
図7A】本開示の一実施形態による、針の別個の円周部分上に配置されたサイドポートを有するサイドポート注射針の側面図である。
【
図7B】
図7Aに示される断面線7B‐7Bに沿ってとられたサイドポート注射針の断面端面図である。
【
図8A】一連の長手方向に整列された円形のサイドポートを有するサイドポート注射針の遠位部分の側面図である。
【
図8B】本開示の一実施形態による、薬物カートリッジとともに使用するように適合されたサイドポート注射針の側面図である。
【
図8C】本開示の一実施形態による、CELLECTRA(登録商標)5PSP電気穿孔デバイスのハンドセットとともに使用するように適合された本開示のサイドポート注射針の図である。
【
図9A】様々なサイドポートアレイを示すサイドポート注射針の遠位部分の図である。
【
図9B】様々なサイドポートアレイを示すサイドポート注射針の遠位部分の図である。
【
図9C】様々なサイドポートアレイを示すサイドポート注射針の遠位部分の図である。
【
図9D】様々なサイドポートアレイを示すサイドポート注射針の遠位部分の図である。
【
図9E】様々なサイドポートアレイを示すサイドポート注射針の遠位部分の図である。
【
図9F】様々なサイドポートアレイを示すサイドポート注射針の遠位部分の図である。
【
図10A】垂直な視点で撮影された、ブタの筋組織における標準的な(ボーラス型)注射の流体画像を示す(筋線維伸展の方向に垂直に撮影されている)。
【
図10B】垂直な視点で撮影された、ブタの筋組織における標準的な(ボーラス型)注射の流体画像を示す(筋線維伸展の方向に沿って撮影されている)。
【
図10C】
図2A~
図2Fに示されるものと同様のサイドポート注射針を使用した、垂直な視点で撮影された、ブタの筋組織におけるサイドポート注射の流体画像を示す。筋線維伸展の方向に垂直に撮影されている。
【
図10D】
図2A~
図2Fに示されるものと同様のサイドポート注射針を使用した、垂直な視点で撮影された、ブタの筋組織におけるサイドポート注射の流体画像を示す。筋線維伸展の方向に沿って撮影されている。
【
図11A】
図2A~
図2Fに示されるものと同様のサイドポート注射針を使用した、流体分散に対する注射量の影響を比較する、ブタの筋組織におけるサイドポート注射の流体画像を示す。1mL注射の垂直な視点を示す(筋線維伸展の方向に垂直に撮影されている)。
【
図11B】
図2A~
図2Fに示されるものと同様のサイドポート注射針を使用した、流体分散に対する注射量の影響を比較する、ブタの筋組織におけるサイドポート注射の流体画像を示す。1mL注射の垂直な視点を示す(筋線維伸展の方向に垂直に撮影されている)。
【
図11C】
図2A~
図2Fに示されるものと同様のサイドポート注射針を使用した、流体分散に対する注射量の影響を比較する、ブタの筋組織におけるサイドポート注射の流体画像を示す。2mL注射の垂直な視点を示す(筋線維伸展の方向に沿って撮影されている)。
【
図11D】
図2A~
図2Fに示されるものと同様のサイドポート注射針を使用した、流体分散に対する注射量の影響を比較する、ブタの筋組織におけるサイドポート注射の流体画像を示す。2mL注射の垂直な視点を示す(筋線維伸展の方向に沿って撮影されている)。
【
図11E】1mL及び2mLのサイドポート注射並びに電気穿孔後のウサギにおけるdMAb発現を比較するグラフである。
【
図12A】サイドポート流体分散に対する筋肉内脂肪沈着物の影響を評価する試験結果を示す。ブタの筋組織内に挿入されたサイドポート注射針を有する電極アレイを伴う試験設定を図示する画像である。
【
図12B】サイドポート流体分散に対する筋肉内脂肪沈着物の影響を評価する試験結果を示す。
図12Aに示される組織内の注射液流体分散を図示する流体画像である。
【
図13B】
図13Aに示される電極アレイのそれぞれの例示的なパルスパターンを図示する図であり、具体的には、例示的な「標準」パルスパターンを図示する。
【
図13C】
図13Aに示される電極アレイのそれぞれの例示的なパルスパターンを図示する図であり、具体的には、例示的な「スター」パルスパターンを図示する。
【
図13D】
図13Aに示される電極アレイのそれぞれの例示的なパルスパターンを図示する図であり、具体的には、例示的な「境界」パルスパターンを図示する。
【
図14A】ウサギの筋組織における細胞浸潤に対する標準注射の影響を比較する試験結果を図示する。
【
図14B】ウサギの筋組織における細胞浸潤に対するサイドポート注射の影響を比較する試験結果を図示する。
【
図15】ウサギの筋組織における細胞浸潤に対する異なるアンペア数(標準注射の場合は0.5Amp、サイドポート注射の場合は1.0Amp)での標準注射及びサイドポート注射並びに後続の電気穿孔の影響を比較する試験結果を図示する。
【
図16A】サイドポート注射と比較して標準注射を介したpGX3024(DNAプラスミド)の送達によって誘発された免疫応答を評価し、異なる注射量(各注射タイプについて1mL及び6mL)を使用し、異なるアンペア数で後続の電気穿孔(全ての標準注射の場合は0.5Amp、全てのサイドポート注射の場合は1.0Amp)を用いた8週間の研究の試験結果を図示する。8週間の研究にわたる組み合わせた結果を示す。
【
図16B】サイドポート注射と比較して標準注射を介したpGX3024(DNAプラスミド)の送達によって誘発された免疫応答を評価し、異なる注射量(各注射タイプについて1mL及び6mL)を使用し、異なるアンペア数で後続の電気穿孔(全ての標準注射の場合は0.5Amp、全てのサイドポート注射の場合は1.0Amp)を用いた8週間の研究の試験結果を図示する。0週目のIFNγELISpotデータを図示する。
【
図16C】サイドポート注射と比較して標準注射を介したpGX3024(DNAプラスミド)の送達によって誘発された免疫応答を評価し、異なる注射量(各注射タイプについて1mL及び6mL)を使用し、異なるアンペア数で後続の電気穿孔(全ての標準注射の場合は0.5Amp、全てのサイドポート注射の場合は1.0Amp)を用いた8週間の研究の試験結果を図示する。2週目のIFNγELISpotデータを図示する。
【
図16D】サイドポート注射と比較して標準注射を介したpGX3024(DNAプラスミド)の送達によって誘発された免疫応答を評価し、異なる注射量(各注射タイプについて1mL及び6mL)を使用し、異なるアンペア数で後続の電気穿孔(全ての標準注射の場合は0.5Amp、全てのサイドポート注射の場合は1.0Amp)を用いた8週間の研究の試験結果を図示する。5週目のIFNγELISpotデータを図示する。
【
図16E】サイドポート注射と比較して標準注射を介したpGX3024(DNAプラスミド)の送達によって誘発された免疫応答を評価し、異なる注射量(各注射タイプについて1mL及び6mL)を使用し、異なるアンペア数で後続の電気穿孔(全ての標準注射の場合は0.5Amp、全てのサイドポート注射の場合は1.0Amp)を用いた8週間の研究の試験結果を図示する。8週目のIFNγELISpotデータを図示する。
【
図17A】ウサギにおける、標準注射及び0.5Ampでの電気穿孔対、サイドポート注射及び1.0Ampでの電気穿孔後のdMAb発現を図示するグラフである。
【
図17B】アカゲザルにおける、標準注射及び0.5Ampでの電気穿孔対、サイドポート注射及び1.0Ampでの電気穿孔後のdMAb発現を図示するグラフである。
【
図17C】ブタにおける、標準注射及び0.5Ampでの電気穿孔対、サイドポート注射及び1.0Ampでの電気穿孔後のdMAb発現を図示するグラフである。
【
図17D】ブタにおける、標準注射及び0.5Ampでの電気穿孔対、サイドポート注射及び1.0Ampでの電気穿孔後のdMAb発現を図示するグラフである。
【
図18A】ウサギにおけるdMAb発現に対するサイドポート注入長さ(L2)の影響を図示するグラフである。
【
図18B】サイドポート注射からの流体分散を図示する医療画像である。
【
図19】ウサギにおけるdMAb発現に対するサイドポート形状及び総サイドポート表面積の影響を比較するチャートである。
【
図20】ウサギにおけるdMAb発現に対するほぼ等しい総サイドポート表面積におけるサイドポート形状の影響を比較するチャートである。
【
図21】ウサギにおけるdMAb発現に対する等しい長方形のサイドポートを通る注射速度の影響を比較するチャートである。
【
図22A】注射方法(サイドポート対標準針)と電気穿孔アンペア数(200ボルトの最大パルス電圧を有する0.5Amp、0.8Amp、又は1.0Ampのパルス電流)との間の相互作用を特定するための試験結果を図示するチャートである。
【
図22B】注射方法(サイドポート対標準針)と電気穿孔アンペア数(200ボルトの最大パルス電圧を有する0.5Amp、0.8Amp、又は1.0Ampのパルス電流)との間の相互作用を特定するための試験結果を図示するチャートである。
【
図23】ウサギにおけるサイドポート送達に対するプラスミド濃度の影響を図示するチャートである。
【
図24A】0.5Ampでの標準注射及び電気穿孔、並びに1.0Ampでのサイドポート注射及び電気穿孔後の、非ヒト霊長類におけるdMAb発現を比較するチャートを図示する。
【
図24B】0.5Ampでの標準注射及び電気穿孔、並びに1.0Ampでのサイドポート注射及び電気穿孔後の、非ヒト霊長類におけるdMAb発現を比較するチャートを図示する。
【
図25】ウサギにおけるサイドポート送達後のdMAb発現に対するパルス継続時間の影響を図示するチャートである。
【
図26】ウサギにおけるサイドポート送達後のdMAb発現に対する異なるパルス発射パターンの影響を図示するチャートである。
【
図27A】サイドポート送達後のdMAb発現に対する1.0Ampを超えるパルスアンペア数の影響を図示するチャートである。
【
図27B】サイドポート送達後のdMAb発現に対する1.0Ampを超えるパルスアンペア数の影響を図示するチャートである。
【
図28】ウサギにおけるdMAb送達後の、
図13Cに図示される「スター」パルスパターンに対するパルス継続時間の影響を図示するチャートである。
【
図29】ウサギにおけるサイドポートdMAb送達後の、
図13Cに図示される「スター」パルスパターンに対するパルスアンペア数の影響を図示するチャートである。
【
図30A】本開示の一実施形態による、5×2マトリックスに配置された電気穿孔針及び電気穿孔針の間に散在する注射針を受容するための注射チャネルを有するアレイの上面図である。
【
図30C】他の電気穿孔デバイスと比較して、
図30A~30Bに示される電気穿孔針アレイを用いた注射及び電気穿孔後のウサギにおける遺伝子発現を図示するグラフである。
【
図31A】本開示の一実施形態による、6×4マトリックスに配置された電気穿孔針及び電気穿孔針の間に散在する注射針を受容するための注射チャネルを有するアレイの斜視図である。
【
図32A】本開示の一実施形態による、
図31A~
図31Dに図示されるアレイと同様であるが、異なる電極間間隔を有するアレイの底面図である。
【
図32C】
図32Aに示されるアレイの計算された電場の大きさを図示する底面図である。
【
図33A】本開示の一実施形態による、6×4マトリックスに配置された電気穿孔針及び電気穿孔針の間に散在する注射針を受容するための注射チャネルを有するモジュラーアレイの底面図である。
【
図33B】
図33Aに示されるアレイの様々な領域を使用した、注射及び電気穿孔後のブタにおける遺伝子発現を図示するグラフである。
【
図33C】様々な注射量及び
図33Aに示されるアレイの様々な領域を使用した、注射及び電気穿孔後の遺伝子発現を図示するグラフである。
【
図34A】本開示の一実施形態による、針電極が、注射液を標的組織に送達すること、及び1つ以上の電気穿孔パルスを標的組織に送達することの両方を行うように構成された二重目的サイドポート注射針である、電極アレイを有する手持ち式電気穿孔デバイスを用いる電気穿孔システムの斜視図である。
【
図34B】
図34Aに示される手持ち式電気穿孔デバイスの電極アレイの拡大斜視図である。
【
図34C】
図34Aに示される手持ち式電気穿孔デバイスの電極アレイアセンブリの斜視断面図である。
【
図35A】本開示の一実施形態による、マトリックスに配置された二重目的電気穿孔サイドポート針を有するアレイを含む電気穿孔システムの斜視図であり、針電極は、注射液を標的組織に送達すること、及び1つ以上の電気穿孔パルスを標的組織に送達することの両方を行うように構成された二重目的サイドポート注射針である。
【
図35B】
図35Aに示される電気穿孔システムのアレイアセンブリの斜視図である。
【
図35C】筋組織内に挿入されたアレイアセンブリを図示する平面図である。
【
図36A】本開示の一実施形態による、3×2マトリックスに配置された電気穿孔針及び電気穿孔針から偏心オフセットされた注射チャネルを有する電気穿孔アレイアセンブリの底面図である。
【
図37A】垂直な視点で撮影されたブタの筋組織におけるサイドポート注射の流体画像であり、注射液の3mL用量は、
図36A~
図36Bに図示されるアレイと同様に構成された、3つの注射チャネルを有する3×2マトリックスアレイを使用して3つの別個の1mL用量に分画された。
【
図37B】垂直な視点で撮影されたブタの筋組織におけるサイドポート注射の流体画像であり、注射液の3mL用量は、
図36A~
図36Bに図示されるアレイと同様に構成された、3つの注射チャネルを有する3×2マトリックスアレイを使用して3つの別個の1mL用量に分画された。
【
図37C】
図37A~
図37Bに使用されるのと同じ3×2マトリックスアレイを使用して垂直な視点で撮影されたブタの筋組織におけるサイドポート注射の流体画像であるが、マトリックスアレイの最も中心の注射チャネルを使用して3mL用量の注射液が注射された。
【
図37D】
図37A~
図37Bに使用されるのと同じ3×2マトリックスアレイを使用して垂直な視点で撮影されたブタの筋組織におけるサイドポート注射の流体画像であるが、マトリックスアレイの最も中心の注射チャネルを使用して3mL用量の注射液が注射された。
【
図37E】各々が、
図37A~
図37Dに図示されるアレイと同様の3×2マトリックスアレイを使用して実施された、分画3mLサイドポート注射対非分画3mLサイドポート注射後のウサギにおけるdMAb発現を比較するグラフである。
【
図38A】本開示の一実施形態による、3×2マトリックスに配置された電気穿孔針及び電気穿孔針の行と一致した注射チャネルを有する電気穿孔アレイアセンブリの底面図である。
【
図40A】筋線維に対して平行な配向で筋組織内に挿入された
図38Aの電気穿孔アレイアセンブリを図示する平面図である。
【
図40B】筋線維に対して垂直な配向で筋組織内に挿入された
図38Aの電気穿孔アレイアセンブリを図示する平面図である。
【
図40C】
図38A~
図38Bに示されるアレイの電極行の、筋線維に対する様々な配向での計算された電場の大きさを図示する一連の図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示は、本開示の一部を形成する添付の図及び例に関連して示される以下の詳細な説明を参照することによって、より容易に理解され得る。本開示は、本明細書で説明される及び/又は示される特定の装置、方法、アプリケーション、条件又はパラメータに限定されるものではないこと、本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を例として説明する目的のためのものであり、本開示の範囲を限定することを意図されたものではないことは、理解されるべきである。また、添付の請求項を含む本明細書で使用される、単数形「a」、「an」及び「the」は複数形を含み、特定の数値への言及は、文脈が明らかにそうでないことを示さない限り、少なくともその特定の値を含む。
【0011】
本明細書で使用される用語「複数」は、1つよりも多いことを意味する。値の範囲が表現される場合、別の実施形態は、ある特定の値から及び/又はその他の特定の値までを含む。同様に、値が近似値として表現される場合、先行詞「約」を使用することによって、特定の値は別の実施形態を形成することが理解されるであろう。全ての範囲は、包括的であり、組み合わせ可能である。
【0012】
寸法、角度、比率及びその他の幾何学的形状に関して本明細書で使用される用語「およそ」、「約」及び「実質的に」は、製造公差を考慮に入れている。更に、用語「およそ」、「約」及び「実質的に」は、記載された寸法、比率又は角度より10%大きい又は小さいものを含み得る。更に、用語「およそ」、「約」及び「実質的に」は、記載された特定の値に等しく適用することができる。
【0013】
本明細書で使用される用語「薬剤」は、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、低分子、又はそれらの任意の組み合わせを意味する。薬剤は、抗体、そのフラグメント、その変異型、又はそれらの組み合わせをエンコードする組換え核酸シーケンスであってもよい。薬剤は、ポリペプチド又はタンパク質をエンコードする組換え核酸シーケンスであってもよい。薬剤は、非限定的な例として、水又は生理食塩水-クエン酸ナトリウム(SSC)若しくはリン酸緩衝生理食塩水(PBS)のような緩衝液中に配合されてもよい。
【0014】
本明細書で使用される用語「皮内」は、表皮(すなわち角質層から基底層までの表皮層)及び真皮(すなわち真皮層)を含む皮膚の層内を意味する。
【0015】
本明細書で使用される用語「筋肉内」は、骨格筋組織及び平滑筋組織を含む筋組織内を意味する。
【0016】
本明細書で使用される用語「脂肪」は、皮下層に存在する脂肪細胞(すなわち脂肪細胞)を含む層を意味する。
【0017】
本明細書で使用される用語「電気穿孔」は、組織内の細胞の細胞膜の透過性及び/又は多孔性を一時的かつ可逆的に増大させ、それにより、例えば、薬剤が細胞内に導入されることを可能にする、組織内の電場を利用することを意味する。本明細書で開示される電気穿孔の種類は、電気穿孔後に電気穿孔された細胞膜(又はその少なくとも大部分)が実質的に不透過性及び/又は非多孔性の状態に戻ることを意味する、可逆的電気穿孔(「可逆的穿孔」とも称される)を指すことが認識されるべきである。
【0018】
本明細書で使用される用語「電気穿孔場」は、細胞を電気穿孔することが可能な電場を意味する。電場が、細胞を電気穿孔することが可能な部分と、細胞を電気穿孔することが可能ではない別の部分とを含む例においては、「電気穿孔場」は特に、細胞を電気穿孔することが可能な電場の部分を指す。したがって、電気穿孔場は、電場のサブセットであり得る。
【0019】
本明細書で開示される実施形態は、開窓送達針、及び1つ以上のかかる開窓送達針を用いる電気穿孔デバイスに関する。かかる送達針は、針本体の側面に画定された少なくとも1つの、好ましくは複数の開口を含む。本明細書では「サイドポート」とも称されるこれらの開口は、針の管腔と流体連通している。先行技術の開窓送達針は、概ね円形のサイドポートを含む。本明細書に記載のサイドポート送達針は、特に、送達針の遠位端部から遠位にとは対照的に、送達針から半径方向外向きに延在する1つ以上の方向に沿って流体分散を増加させることによって、筋組織などの組織内の注射液流体分散を強化するように適合されている。これは、送達針と平行に延在する1つ以上の細長い針電極によって生み出される電気穿孔場など、組織内の電気穿孔場内に注射液を局在化させるために特に有益である。半径方向の分散を増加させ、注射液の遠位方向の分散を低減することにより、本明細書に記載のサイドポート送達針は、注射液を組織内で電気穿孔場とより良く整列又は共局在化させて、組織の細胞内への注射液によって運ばれる薬剤の増加したトランスフェクションをもたらすことができる。本明細書に開示される実施形態の多くは、筋組織における特に強化された流体分散特性を示している。任意の特定の理論に拘束されることを望むものではないが、本明細書の実施形態が筋組織内でかかる好ましい流体分散特性を示すと本発明者らが考えている1つの理由は、サイドポートが、筋線維が延在する方向に対して平行に延びる方向に沿って排出された流体を方向付けるようにより良く適合されているためである。
【0020】
図1A~
図1Bを参照すると、本開示の例示的な実施形態による電気穿孔システム2が、ハウジング6を含む手持ち式電気穿孔デバイス4を含む。手持ち式電気穿孔デバイス4は、「アプリケータ」4とも称され得る。電気穿孔デバイス4は、ハンドル8と、ハンドル8から遠位に延在する装着部分10(本明細書では「装着ヘッド」又は「アプリケータヘッド」10とも称される)とを含む。ハンドル8及びアプリケータヘッド10は、ハウジング6によって画定され得る。アプリケータヘッド10は、空間配置において複数の電極14などの1つ以上の電極14を含むアレイアセンブリ12を担持することができ、この配置は、「電極アレイ」15と称され得る。電極14は、支持部材16から遠位方向Dに延在する。この実施形態の電極14は、特に皮膚組織を通して筋組織内に貫通するために組織を貫通するように構成された遠位先端18を有する貫通電極である。遠位先端18のうちの1つ以上及び最大で全ては、非限定的な例として、電極14の遠位端部19の点に収束する平面的な表面を有するトロカール先端であり得る。
【0021】
電極14は、具体的には、細胞を可逆的に電気穿孔するために、1つ以上の電気エネルギーのパルスを標的組織の細胞に送達するように構成されている。デバイス4は、電極14とエネルギー源110との間の電気的連通を提供するための回路を含む。図示されるように、回路は、発電機などの、手持ち式電気穿孔デバイス4から離れて位置するエネルギー源110と結合するように構成された1つ以上のケーブル109と接続するように構成され得る。追加的又は代替的に、回路は、ハウジング6内に配設された電池ユニットなどの搭載エネルギー源に接続するように構成され得る。
【0022】
エネルギー源110は、組織内の細胞を電気穿孔するために、特定の電気的パラメータを有する1つ以上の電気パルスの形態の電気信号を生成して、電極14に送信するための、波形生成器のようなパルス生成器112と電気的に連通することができる。かかる電気的パラメータは、電位(電圧)、電流タイプ(交流(AC)又は直流(DC))、電流の大きさ(アンペア数)、パルス継続時間、パルス量(すなわち送達されるパルスの数)、及びパルス間の時間間隔又は「遅延」(複数パルス送達の場合)を含む。パルス生成器112は、送達されたパルス(複数可)の電気的パラメータを記録するための波形ロガーを含むことができる。パルス生成器112は、パルス生成器112の動作を含む電気穿孔システム2の動作を制御するように構成されたプロセッサ116を含むことができる、制御ユニット114(本明細書では「コントローラ」とも称される)と電気的に連通することができる。プロセッサ116は、コンピュータメモリ118と電子的に連通することができ、システム2の動作を制御するための1つ以上のアルゴリズムを含むソフトウェア及び/又はファームウェアを実行するように構成することができる。
【0023】
プロセッサ116は、デバイス4上に位置することができるか、又はデバイス4から離れて位置することができるユーザインタフェースと電気的に連通することができる。ユーザインタフェースは、システム2の動作に関連する情報と、医師がシステム2の動作に関連するコマンドなどの情報を入力することを可能にするキーパッド又はタッチスクリーンのような入力部とを提示するためのディスプレイを含むことができる。インタフェースは、テーブルトップコンピュータ若しくはラップトップコンピュータのようなコンピュータインタフェース、又はスマートフォンのような手持ち式電子デバイスなどであり得ることが認識されるべきである。
【0024】
アプリケータヘッド10は、細長い管状部材を含む流体送達デバイスを含み、細長い管状部材は、本明細書の実施形態の開示では、組織の標的領域に注射液を送達するように構成された注射針20である。
図1Bに図示されるように、注射針20は、長手方向Xに沿って延在する管腔22と、管腔22と流体連通する少なくとも1つの開口又は「サイドポート」24とを有する。図示されるように、注射針20は、サイドポートパターン又は「アレイ」25で配置された複数のサイドポート24を含み得る。注射針20の遠位端部23が、好ましくは、注射中に、注射された薬剤の実質的に全てがサイドポート24から管腔22を出るように閉塞されている。サイドポート24は、様々な幾何学的形状を有し得、以下でより詳細に記載されるように、様々なポートアレイ25パターンに従って配置され得る。サイドポートアレイ25は、本明細書では、「ポートアレイ」25とも称される。注射針20は、図示されるように、電極アレイ15の中央に位置し得る。この配置は、サイドポート24と組み合わせて、電極14によって組織内に生み出された電気穿孔場と共局在化される注射流体分散を容易にすることができる。他の実施形態では、注射針20は、電極アレイ15の中央に位置する必要はないことが認識されるべきである。かかる他の実施形態では、注射流体分散の共局在化は、以下により詳細に議論されるように、他のパラメータによって達成され得る。
【0025】
ここで
図1C~
図1Dを参照すると、アレイアセンブリ12は、電極アレイ15をアプリケータヘッド10に装着するための1つ以上の装着部材を含み得る。例えば、アレイアセンブリ12は、アプリケータヘッド10の相補的な遠位装着構成物28と連動して結合するように構成された遠位装着部材26を含むことができる。したがって、遠位装着部材26は、アレイロック部材26とも称され得る。遠位装着部材26は、電極14が延在する中央開口30を画定することができる。支持部材16は、電極14がそれぞれ延在し得る複数の電極開口34を画定し得るハブ32を含み得る。このようにして、ハブ32内の電極開口34の間隔は、電極アレイ15のパターンを画定することができる。支持部材16は、注射針20が延在することができる注射チャネル36を画定する。注射チャネル36は、電極開口34に対して中央に位置し得るが、他の配置も本開示の範囲内である。支持部材16はまた、注射チャネル36を、ハブ32から遠位方向Dとは反対の近位方向Pに延在する細長い近位部分38(本明細書では「煙突」又は「ライザー」とも称される)を含むことができる。近位方向P及び遠位方向Dは各々単方向であり、双方向である長手方向Xに沿って延在することが認識されるべきである。支持部材16はまた、長手方向Xに沿ってハブ32及び煙突38の中間に位置するフランジ40を含み得る。フランジ40は、アレイアセンブリ12が組み立てられた構成にあり、アプリケータヘッド10に結合されている(
図1D)ときに、遠位装着部材26の近位表面に当接するように構成され得る。
【0026】
アレイアセンブリ12は、支持部材16の電極開口34と対応して配置された複数のソケット44を画定する中間装着部材42を含むことができる。ソケット44は、電極14の近位端部17を受容するように構成されている。ソケット44は、パルス生成器112と電極14との間の電気的な連通を提供するように構成されている。例えば、ソケット44は、電極14の近位端部17とパルス生成器112との間に延在する電気リードの通過を可能にする、中間装着部材42のそれぞれの開口部46と開放的に連通することができる。本実施形態の中間装着部材42はまた、支持部材16の注射チャネル36と整列し、煙突38が延在し得る注射チャネル48を画定する。
【0027】
アレイアセンブリ12は、好ましくは、ソケット44を覆うように、中間装着部材42と結合するように構成された近位装着部材50又は「キャップ」を含み得る。キャップ50はまた、アプリケータヘッド10の相補的な近位装着構成物52と結合するように構成され得る。キャップ50はまた、アレイアセンブリ12が組み立てられた構成にあるときに、注射チャネル36及び48と整列するように構成された注射チャネル54を画定する。キャップ50の注射チャネル54は、好ましくは、煙突38がそこを通って延在することができるように構成されている。
図1Dに図示されるように、煙突38は、組み立てられた構成にあるときに、アプリケータヘッド10から近位に突出することができる。煙突38の遠位端部56が、注射針20に取り付けられた接続部材58(本明細書では「コネクタ」とも称される)と装着されるように構成され得る。コネクタ58は、注射器、単回投与カートリッジなどのような注射液のリザーバと結合するように構成されている。図示されるように、コネクタ58は、ルアー型コネクタであり得るが、他のコネクタの種類及び設計も本実施形態の範囲内である。
【0028】
いくつかの実施形態では、電気穿孔システム2は、手持ち式電気穿孔デバイス4(すなわち、CELLECTRA(登録商標)5P-IMアプリケータ)にケーブルを介して接続される外部の電池給電式パルス生成器112(すなわち、CELLECTRA(登録商標)パルス生成器)を有するCELLECTRA(登録商標)2000システムを採用することができる。電気穿孔デバイス4のアプリケータヘッド10は、5つのステンレス鋼針電極14を有する滅菌使い捨てアレイアセンブリ12であるCELLECTRA(登録商標)5P-IMアレイと結合するように構成されている。サイドポート注射針20は、CELLECTRA(登録商標)5P-IMアレイとともに予め梱包することができる。上述のCELLECTRA(登録商標)製品及び構成要素は、米国ペンシルベニア州プリマスミーティングに本社を置くInovio Pharmaceuticals,Inc.によって製造されることが認識されるべきである。
【0029】
ここで
図1D~
図1Eを参照すると、アプリケータヘッド10及び/又はアレイアセンブリ12は、好ましくは、電極14が対象の皮膚の表面を貫通する最大深さL1を制御するように構成されている。本明細書では「貫通深さ」又は「電極針深さ」とも称されるこの深さL1は、対象の皮膚に当接し、電極14の組織内への更なる前進を停止するように構成されたアレイアセンブリ12の接触又は「停止」表面60によって調節され得る。図示されるように、停止表面60は、非限定的な例として、支持部材16の遠位表面によって画定され得る。
図1Eに図示されるように、注射針20は、ポートアレイ25の近位端部からポートアレイ25の遠位端部まで測定される注入長さL2を画定する。アレイアセンブリ12はまた、停止表面60からポートアレイ25の近位端部まで測定される注入深さL3、及び停止表面60からポートアレイ25の遠位端部まで測定される遠位注入深さL4を画定する。注射針20はまた、ポートアレイ25の遠位端部と注射針20の遠位端部23との間で測定される遠位スタンドオフ距離L5を画定する。電極14及び注射針20は、好ましくは、注射液を標的組織内に電気穿孔場と共局在化させるように協働するよう構成されている。図示されるように、電極貫通深さL1は、以下でより詳細に記載されるように、例えば、ポートアレイ25の遠位端部が、注入電極オフセット距離L6において電極14の遠位端部19から近位に離間されるように設定され得る。
【0030】
ここで
図2A~
図2Fを参照して、サイドポート24の幾何学的形状及びアレイ25(パターン)の例をここで説明する。アレイ25のサイドポート24は、各々から長手方向に離間された(すなわち、長手方向Xに沿って互いから離間された)行70に配置され得る。この示された例では、ポートアレイ25は、互いから長手方向にオフセットされた5つの行70を有し、各行70は、4つのサイドポート24を有し、ポートアレイ25に合計20のサイドポート24を与える。示されたポートアレイ25は、「5×4」アレイ25として特徴付けられ得る(すなわち、5行×4ポート/行)。
図2Bに図示されるように、第1の行70a及び隣接する第2の行70bのような隣接する行70は、行オフセット距離L7で互いから離間され得る。ポートアレイ25はまた、隣接する行70の間で測定される行間距離L8を画定し得る。アレイ25の行70は、行オフセット距離L7及び行間距離L8のうちの一方又は両方に従って、長手方向Xに沿って均等に離間され得る。他の実施形態では、行70は、長手方向Xに沿って互いから均等に離間される必要はない。
【0031】
行70のうちの1つ以上はまた、注射針20の中心軸27の周りで少なくとも1つの他の行70から角度的にオフセットされ得る。例えば、隣接する行70内のサイドポート24は、長手方向Xに沿って角度的にずらされるようになど、互いから角度的にオフセットされ得る。
図2C~
図2Dに図示されるように、各行70は、中心軸27の周りで測定されるように、この例では約90度である均一な間隔の角度A1で互いから離間され得る4つのサイドポート24を含み得る。描写された第3の行70c及び第2の行70bのような隣接する行70のサイドポート24は、オフセット角度A2で互いから角度的にオフセットされ得る。示された例では、オフセット角度A2は、約45度である。
【0032】
上記で述べたように、行70は、交互の行(例えば、第1の行70a及び第3の行70c)のサイドポート24が角度的に整列され、他の交互の行(例えば、第2の行70b及び第4の行)のサイドポート24が角度的に整列され、一方、互いに隣接する行70は、非限定的な例として、角度A2において角度的にオフセットされるように、角度的にずらされ得る。前述の例は、「2レベルの」角度のずれと称され得る。他の実施形態では、サイドポート24の行70は、第1及び第4の行70が角度的に整列することができ、第2及び第5の行70が角度的に整列することができ、第3及び第6の行が角度的に整列することができるといったように、3レベルの角度に従って配置することができる。更なる実施形態では、サイドポート24の行70は、4レベル、5レベル、6レベル、7レベル、又は7レベルを超えるずれを用いることができることが認識されるべきである。更に他の実施形態では、サイドポート24の行70は、各行70が全ての他の行70から角度的にオフセットされるように配置され得る。図示されるように、ポートアレイ25は、注射針20の実質的に全周にわたることができる。他の実施形態では、ポートアレイ25は、注射針20の全周未満にわたることができ、その例は以下でより詳細に記載される。
【0033】
ここで
図2E~
図2Fを参照すると、サイドポート24のうちの1つ以上及び最大で全ては、例えば長手方向Xに沿って細長くすることができる。例えば、サイドポート24のいずれも、第1のポート端部72と対向する第2のポート端部74との間で細長くすることができる。かかる細長いサイドポート24はまた、第1の側面76及び対向する第2の側面78を画定し得る。サイドポート24の長さL9が、第1のポート端部72と第2のポート端部74との間で測定される。サイドポート24の幅W1が、長手方向Xに実質的に垂直な横方向Yに沿って測定される。かかる細長いサイドポート24の場合、長さL9は、幅W1よりも、約1.00~約100の範囲内、より具体的には約20~約60の範囲内、より具体的には約35~約40の範囲内であり得るポート伸長係数(すなわち、L9/W1)だけ、大きい。本明細書に記載される細長いサイドポート24は、スロット状の幾何学的形状を有すると特徴付けられ得る。したがって、各細長いサイドポート24は、「スロット」とも称され得る。
【0034】
各サイドポート24は、ポート軸85に沿って、内側開口部80から外側開口部82に延在する。内側開口部80は、管腔22を画定する注射針20の内部表面84とインタフェースする。外側開口部82は、注射針20の外側表面86とインタフェースする。サイドポート24は、内部表面84から外側表面86まで、ポート軸85に沿って配向されたポート流れ方向88に沿って測定され得る中央流れ距離T1を画定する。図示された例では、ポート軸85(したがって、ポート流れ方向88)は、注射針20の中心軸27から垂直に延在する半径方向Rに沿って延在する。
【0035】
サイドポート24の幾何学的形状は、それぞれ第1及び第2のポート端部72、74における第1及び第2の端部壁90、92、並びにそれぞれ第1及び第2の側面76、78における第1及び第2の側壁によって更に画定され得る。図示されるように、端部壁90、92及び側壁94、96は各々、ポート流れ方向88に沿って注射針20の内部表面84と外側表面86との間に延在し得、これは示される例では、半径方向Rに沿うものである(すなわち、中心軸27に垂直である)。しかしながら、他の端部壁90、92及び/又は側壁94、96の幾何学的形状も本開示の範囲内であることが認識されるべきである。例えば、端部壁90、92及び/又は側壁94、96のいずれかは、半径方向Rに対して斜めに配向され得る。同様に、ポート軸85及びポート流れ方向88は、非限定的な例として、また以下でより詳細に記載されるように、長手方向Xに沿った方向成分を有するようになど、半径方向Rから角度的にオフセットされ得る。その上、端部壁90、92及び/又は側壁94、96のいずれかは、ベベル、面取り部などのような1つ以上のリリーフ表面を画定することができ、これらは、内部表面84及び/又は外側表面86とのインタフェースに位置することができ、それぞれのサイドポート24を通って進む注射液の好ましい流れ特性を提供するように構成することができる。
【0036】
図2Eに図示されるように、サイドポート24の端部72、74は、側面76、78に実質的に垂直であり得、サイドポート24に長方形の幾何学的形状を提供する。他の実施形態では、端部72、74のうちの一方又は両方は、丸みを帯びることができる。更なる実施形態では、サイドポート24は、他の幾何学的形状に従って、楕円形に細長い、螺旋形に細長い、又は細長いことができる。追加的又は代替的に、サイドポート24は、それらの側面74、76の中間部分よりも、それらの端部72、74でより大きい幅W1を有することができる(すなわち、「犬の骨」形状などに類似する)。
【0037】
ここで
図2Gを参照すると、注射針20の遠位端部は、好ましくは、上記で述べたように閉塞されるため、注射液は、サイドポート24を通って管腔22から押し出される。図示されるように、閉塞は、注射針20の遠位開口部に挿入され、その中で密封されたプラグ95によって提供され得る。プラグ95は、ベベル97の近位の位置で管腔22内に密封され得る。プラグ95は、非限定的な例として、皮下注射針に見られるステンレス鋼又は同様の生体適合性材料で構成され得る。プラグ95は、例えば、レーザ溶接などによって内部表面84の遠位領域に溶接され得る。代替的に、プラグ95は、ポリマー材料で構成され得、接着剤によって管腔22内に結合され得る。更に他の実施形態では、
図2Hに図示されるように、ベベル97は、プラグ95上に形成され得、プラグ95は、ステンレス鋼などで構成され得、管腔22の遠位端部に挿入及び溶接され得る。
【0038】
サイドポート24は、様々な幾何学的形状を有し得、様々なポートアレイ25のパターンに従って配置され得ることが認識されるべきである。例えば、サイドポート24は、長方形に細長く、
図1A~
図1Dに示される3×4アレイ25、
図2A~
図2Eに示される5×4アレイ、又は他のそのようなアレイパターンのように、角度を付けてずらした行に配置され得る。アレイ25の構成は、非限定的な例として、1×1(すなわち、単一のサイドポート24からなるアレイ25)、1×2、1×3、1×4、1×5、1×6、1×7、1×8、1×9、1×10、1×11、1×12、1×12+(すなわち、12を超えるサイドポート24を有する1つの行)、2×1、2×2、2×3、2×4、2×5、2×6、2×7、2×8、2×9、2×10、2×11、2×12、2×12+、3×1、3×2、3×3、3×4、3×5、3×6、3×7、3×8、3×9、3×10、3×11、3×12、3×12+、4×1、4×2、4×3、4×4、4×5、4×6、4×7、4×8、4×9、4×10、4×11、4×12、4×12+、5×1、5×2、5×3、5×4、5×5、5×6、5×7、5×8、5×9、5×10、5×11、5×12、5×12+、6×1、6×2、6×3、6×4、6×5、6×6、6×7、6×8、6×9、6×10、6×11、6×12、6×12+、7×1、7×2、7×3、7×4、7×5、7×6、7×7、7×8、7×9、7×10、7×11、7×12、7×12+、8×1、8×2、8×3、8×4、8×5、8×6、8×7、8×8、8×9、8×10、8×11、8×12、8×12+、9×1、9×2、9×3、9×4、9×5、9×6、9×7、9×8、9×9、9×10、9×11、9×12、9×12+、10×1、10×2、10×3、10×4、10×5、10×6、10×7、10×8、10×9、10×10、10×11、10×12、10×12+、11×1、11×2、11×3、11×4、11×5、11×6、11×7、11×8、11×9、11×10、11×11、11×12、11×12+、12×1、12×2、12×3、12×4、12×5、12×6、12×7、12×8、12×9、12×10、12×11、12×12、12×12+、12+×1(すなわち、各々が1つのサイドポート24を有する12を超える行70)、12+×2、12+×3、12+×4、12+×5、12+×6、12+×7、12+×8、12+×9、12+×10、12+×11、12+×12、及び12+×12+に及び得ることが認識されるべきである。また、アレイ25の構成は、少なくとも1つの他の行70のものとは異なる量のサイドポート24を有する1つ以上の行70を有し得ることが認識されるべきである。更に、アレイ25内のサイドポート24は、異なる幾何学的形状を有し得ることが認識されるべきである。
【0039】
ここで
図3~
図9Fを参照して、追加の例示的なサイドポート24の構成を説明する。
【0040】
図3に図示されるように、注射針20は、単一の長手方向に細長いサイドポート24を有し得、これは、
図2E~
図2Fを参照して上述したものと同様の幾何学的形状を有し得る。
【0041】
図4A~
図4Bに図示されるように、注射針20は、長手方向Xからオフセットされる方向に沿って細長い単一のサイドポート24を有することができる。図示されるように、本実施形態の単一のサイドポート24は、横方向Yに沿って細長いことができるが、他のオフセット伸長方向も本開示の範囲内である。本例のサイドポート24は、約5度~約200度の範囲内、より具体的には約40度~約190度の範囲内、より具体的には約150度~約180度の範囲内の角度スパンA3を画定し得る。サイドポート24は、
図2Eを参照して上述した範囲内の、長手方向Xに沿って測定された幅W1を画定することができる。
【0042】
図5A~
図5Bに図示されるように、注射針20は、この例では円形の形状を有する、単一のサイドポート124を有し得る。サイドポート124は、注射針20の中心軸27に対して傾斜角度A4で配向されたポート軸85に沿って、管腔22から(すなわち、内部表面84から)延在し得る。このようにして、サイドポート124は、長手方向成分を有するポート流れ方向88を提供する。この特定の例では、ポート流れ方向88は、近位方向Pの方向成分を有する。したがって、示されるサイドポート124は、組織内に流体を「上向きに」又はより浅い深さに向かって排出するように構成されており、これは、いくつかの実施形態では、注射液流体分散を電気穿孔場と共局在化するのに有益であり得る。他の実施形態では、サイドポート124は、遠位方向Dに方向成分を有する流れ方向88を提供するように角度を付けることができることが認識されるべきである。更なる実施形態では、ポートアレイ25は、近位及び/若しくは遠位方向P、Dの方向成分、並びに/又は実質的に半径方向Rに沿って配向された方向成分を有するものを含む、様々な流れ方向88を提供する様々なサイドポート24、124を有することができる。
【0043】
図6に図示されるように、注射針20は、サイドポート124の複数の群100を含むポートアレイ25を有することができ、それによって、各群100内のサイドポート124は、
図1A~
図2Fを参照して上述した細長いスロットタイプのサイドポート24に概ね近似する方法で整列されている。例えば、各群100は、細長いサイドポート24の長さL9(
図2E)について上述した範囲内にある群長L9eを画定することができる。本実施形態の個々のサイドポート124は、円形であり得、約0.020mm~約0.100mmの範囲内、より具体的には約0.025mm~約0.075mmの範囲内、より具体的には約0.045mm~約0.055mmの範囲内の半径を有し得る。図示されるように、各群100は、3つのサイドポート124を含み得るが、他の実施形態では、各群100は、2つ~8つのサイドポート124を含み得る。サイドポート124の群100は、
図1A~
図2Fを参照して上述したアレイ25のパターンと同様に、角度を付けてずらされ得る行70を有するアレイ25のパターンに配置され得る。したがって、同様の様式で、本実施形態の隣接する行70は、有効な行オフセット距離L7eで互いに対して離間することができ、ポートアレイ25は、隣接する行70間で測定された有効な行間距離L8eを用いることができる。群100はまた、間隔の角度A1を用いることができ、行70は、上述したオフセット角度A2を用いることができることが認識されるべきである。描写された特定のアレイは、5×4×3のアレイ(すなわち、各行が4つの群を有し、各群が3つのポートを有する5つの行)として特徴付けられ得る。本実施形態は、1×1×1~12×12×12以上の範囲の様々なアレイパターンを有し得ることが認識されるべきである。本実施形態のポートアレイ25は、上述した範囲内の注入長さL2を画定することができる。
【0044】
ここで
図7A~
図7Bを参照すると、注射針20は、
図1A~
図2Fを参照して上述したポートアレイ25と同様に、細長いスロット状のサイドポート24を有するポートアレイ25を有することができる。しかしながら、本実施形態では、ポートアレイ25は、注射針20の全周未満にわたることができる。例えば、ポートアレイ25は、第1及び第3の行70a、cが各々2つのサイドポート24を有し、第2及び第4の行70b、dが各々単一のサイドポート24を有するように、4つの行70a~dを有し得る。第1及び第3の行70a、cを互いに角度的に整列させることができ、第2及び第4の行70b、dを互いに角度的に整列させることができる。このようにして、
図7Bに図示されるように、ポートアレイ25は、注射針20の全周未満の角度スパンA5を画定することができる。かかる実施形態の角度スパンA5は、約5度~約270度の範囲内、より具体的には約180度~約30度の範囲内、より具体的には約60度~約120度の範囲内であり得る。本明細書に示されるポートアレイ25の角度スパンA5は、第1及び第3の行70a、cのサイドポート24間の角度間隔とほぼ等しくすることができることが認識されるべきである。本実施形態のポートアレイ25、及び制限された角度スパンA5を有する同様のポートアレイ25は、標的組織における方向制御された注射液流体分散を提供するために特に有益であり得る。したがって、かかるポートアレイ25は、「指向性」ポートアレイ25と称され得る。
【0045】
ここで
図8Aを参照すると、指向性アレイ注射針20の別の例は、サイドポート124の全てが互いに長手方向に整列されるように、単一のシリーズに配置された複数のサイドポート124を含むポートアレイ25を有する。図示されるように、本実施形態のサイドポート124は、円形のサイドポート124であり得るが、他の実施形態では、上述した他のサイドポートの形状及び幾何学的形状のいずれも、同様の単一シリーズの様式で用いられ得る。
【0046】
図7A~
図8Aに図示されるもののような指向性アレイ注射針20は、指向性アレイ注射針20の中間の標的体積のような、組織の標的体積内でそれらの角度スパンA5が重なるように配向された複数のかかる指向性アレイ注射針20を有する注射アセンブリにおいて用いられる場合に、特に有用であり得ることが認識されるべきである。かかる複数の注射針20の実施形態では、注射針20は、注射針20の各々への同時流体流を含め、注射アセンブリにおける注射針20の各々への流体流を制御するためのマニホルドに接続するように構成され得る。かかる実施形態(及び更に他の実施形態)では、注射アセンブリにおける注射針20のうちの1つ以上及び最大で全ては、
図7A及び
図8Aに図示されるように、任意選択で、ポートアレイ25から近位に(すなわち、上流に)位置する流体注射サイドポート102を含み得る。
【0047】
ここで
図8Bを参照すると、サイド部分注射針20の別の例は、非限定的な例として、単回投与注射カートリッジのような薬物カートリッジとともに使用するように構成され得る。かかる実施形態では、注射針20の近位端部57が、薬物カートリッジの遠位隔壁を貫通するように構成された近位ベベル115のような貫通構造物を画定することができ、それによって、注射針20の管腔22を薬物カートリッジ内に収容された注射液と流体連通させる。サイドポート注射針20はまた、注射中など、サイドポート注射針を露出させるように後退するよう構成され、単回使用注射の後など、使用後に注射針20を覆うように所定の位置に延在してロックするように更に構成された、後退可能なシュラウドとともに使用するように構成され得る。例えば、ここで
図8Cを参照すると、サイドポート注射針20は、Inovio Pharmaceuticals,Inc.によって製造され、その全体の開示は参照により本明細書に組み込まれる、「ELECTROPORATION DEVICE WITH DETACHABLE NEEDLE ARRAY WITH LOCK-OUT SYSTEM」と題された2019年1月10日に公開された米国特許公開第2019/0009084号に更に記載されている、CELLECTRA(登録商標)5PSP電気穿孔デバイスのハンドセット104とともに使用するように構成することができる。本明細書に記載されるサイドポート注射針20は、多数のタイプの電気穿孔デバイスとともに使用するように構成され得ることが認識されるべきである。更に、本明細書に記載される特定の電気穿孔デバイスは、サイドポート注射針20を用いることができる電気穿孔デバイスの非限定的な例として提供される。
【0048】
ここで
図9A~
図9Fを参照して、ポートアレイ25の追加の非限定的な例をここで説明する。
【0049】
図9Aに図示されるように、例示的なポートアレイ25は、3つの行70に配置された細長いサイドポート24を含み、行70ごとに4つのポート(すなわち、合計12のサイドポートを有する3×4アレイ)があり、360度の角度スパン(すなわち、注射針20の全周)を提供する。各行70は、約90度の間隔の角度A1を有し、中央の行70は、約45度の角度A2で角度的にオフセットされている。各サイドポート24は、約0.8mmの長さL9及び約0.02mmの幅W1を有する。ポートアレイ25は、約5.8mmの注入長さL2を有し、約144.14mm
2の総注入面積及び約0.192mm
2の組み合わせた総ポート面積を提供する。
【0050】
図9Bに図示されるように、例示的なポートアレイ25は、合計12の群100に配置された円形のサイドポート124を含み、各群100は、3つのポート124を有する。各ポート124は、約0.05mmの半径を有する。群100は、行70ごとに4つの群を有する3つの行70に配置される(すなわち、合計36のサイドポートを有する3×4×3アレイ)。このポートアレイ25は、360度の角度スパンを提供する。各行70は、約90度の間隔の角度A1を有し、中央の行70は、約45度の角度A2で角度的にオフセットされている。アレイ25は、約5.8mmの注入長さL2を有し、約144.05mm
2の総注入面積及び約0.283mm
2の組み合わせた総ポート面積を提供する。
【0051】
図9Cに図示されるように、例示的なポートアレイ25は、360度の角度スパンを提供する、行70ごとに4つのポートを有する31の行70に配置された円形のサイドポート124を含む(すなわち、合計124のサイドポートを有する31×4アレイ)。各ポート124は、約0.03mmの半径を有する。隣接する行は、約0.2mmの行間距離L8で互いから離間されている。各行70は、約90度の間隔の角度A1を有し、隣接する行は、約45度の角度A2で互いから角度的にオフセットされている。ポートアレイ25は、約6.06mmの注入長さL2を有し、約143.98mm
2の総注入面積及び約0.350mm
2の組み合わせた総ポート面積を提供する。
【0052】
図9Dに図示されるように、例示的なポートアレイ25は、360度の角度スパンを提供する、行70ごとに4つのポートを有する7つの行70に配置された円形のサイドポート124を含む(すなわち、合計28のサイドポートを有する7×4アレイ)。各ポート124は、約0.06mmの半径を有する。隣接する行は、約0.2mmの行間距離L8で互いから離間されている。各行70は、約90度の間隔の角度A1を有し、隣接する行は、約45度の角度A2で互いから角度的にオフセットされている。ポートアレイ25は、約6.12mmの注入長さL2を有し、約144.01mm
2の総注入面積及び約0.317mm
2の組み合わせた総ポート面積を提供する。
【0053】
図9Eに図示されるように、例示的なポートアレイ25は、360度の角度スパンを提供する、行70ごとに3つのポートを有する2つの行70に配置された円形のサイドポート124を含む(すなわち、合計6つのサイドポートを有する2×3アレイ)。各ポート124は、約0.10mmの半径を有する。各行70は、約120度の間隔の角度A1を有し、行は、互いに角度的に整列されている。ポートアレイ25は、約6.0mmの注入長さL2を有し、約144.14mm
2の総注入面積及び約0.188mm
2の組み合わせたポート面積を提供する。
【0054】
図9Fに図示されるように、例示的なポートアレイ25は、360度の角度スパンを提供する、行70ごとに4つのポートを有する14の行70に配置された細長いサイドポート24を含む(すなわち、合計56のサイドポートを有する14×4アレイ)。各行70は、約90度の間隔の角度A1を有し、隣接する行は、約45度の角度A2で互いから角度的にオフセットされている。各サイドポート24は、約0.3mmの長さL9及び約0.02mmの幅W1を有する。ポートアレイ25は、約6.15mmの注入長さL2を有し、約144.0mm
2の総注入面積及び約0.336mm
2の組み合わせたポート面積を提供する。
【0055】
ここで、試験結果が、標準的な遠位注射(すなわち、
図10A~
図10Bに図示されるボーラス注射)対サイドポート注射(
図10C~
図10D)からの比較による流体分散を示す、
図10A~
図10Dを参照する。各注射は、流体撮像によって観察された、エクスビボのブタ筋肉への1mLの注射液量を用いた。流体画像を、各々約5~30分で完了する高解像度マイクロCTスキャンから再構築した。参照目的のために、電極アレイ15を、これらの流体画像に重ね合わせた(具体的には、例示的な目的のために、CELLECTRA 5P-IMアレイ)。描写されたアレイ15は、10mmのパターン直径を有する円形電極パターンを用いることに留意されたい。流体画像の各対(すなわち、
図10A~
図10B及び
図10C~
図10D)は、互いに垂直な視点で撮影され、
図10A及び
図10Cは、筋線維伸展の方向に垂直に撮影され(すなわち、筋線維がページの内外に直接延在する)、
図10B及び
図10Dは、筋線維伸展の方向に沿って撮影された(すなわち、筋線維が左から右に延在する)。ボーラス注射(
図10A~
図10B)は、管腔の端部に単一の遠位開口部を有する標準の21ゲージ(21G)注射針を使用して実施された。
図10C~
図10Dに図示されるサイドポート注射は、
図2A~
図2Fに図示されるものと同様に構成され、また具体的には、360度にわたる6×4アレイに配置された細長いサイドポート24を含み、90度の間隔の角度A1を有し、以下の表1に概説されるように以下の追加のポートアレイパラメータを有するポートアレイ25を有する注射針20を用いて実施された。
【表1】
表1において、「ポートSA」という用語は、個々のポート表面積を指し、「合計SA」は、組み合わせた又は合計のポート表面積を指すことに留意されたい。画像は、ボーラス注射(
図10A~
図10B)が概ね標準注射針の遠位先端の周りにプールされ、そのプールが両方の可視平面(すなわち、筋線維伸展に沿って及び垂直に両方)で発生したことを示す。その上、ボーラス注射は、注射液の大部分が電極アレイ15の5つの電極14の下に位置したままになるように分散した。比較して、サイドポート注射(
図10C~
図10D)は、ボーラス注射と比較して両方の平面でより鉛直な柱状に分散し、電極アレイ15の5つの電極14に対してより良い鉛直な局在化を提供する。本発明者らは、
図10A~
図10Dに図示される流体画像を生成するために用いられるその時間スパン(約5~30分)の間に、流体分散に最小限の拡散変化しかないことを観察した。その上、対象の組織がエクスビボ組織であったため、対流変化はなかった(又は最大でも最小限の対流変化のみ)。したがって、これらの流体画像は、注射直後の注射された流体の状態を正確に表すはずである。
【0056】
ここで
図11A~
図11Dを参照すると、追加の試験結果は、
図10C~
図10Dに図示される結果に用いられた同じ流体撮像技術、重ね合わせた電極アレイ、及びポートアレイパラメータを使用して、1mL注射(
図11A~
図11B)及び2mL注射(
図11C~
図11D)からのサイドポート流体分散を比較する流体画像を示す。上記のように、両方の注射は、鉛直の柱状に好ましく分散する。しかしながら、筋線維伸展の方向に沿って撮影された図(
図11B及び
図11D)では、2mLの注射のより大きな割合が、電極アレイ15の間の容積の外側に位置するように見える。これは、1mLのサイドポート注射が、電極間の注射液の送達においてより効率的であり得ることを示唆する。ここで
図11Eを参照すると、同じポートアレイパラメータ(CELLECTRA 5P-IMアレイ)を使用してウサギで同様の研究を実施し、1mL及び2mLのサイドポート注射に続いて、同等のEPパラメータ(1.0アンペア)で電気穿孔を行い、dMAb発現に対する注射量の影響を評価した。2mLの注射では、流体的又はdMAb発現の利益は観察されず、これは、1mLのサイドポート注射が、本開示の長方形のサイドポートによって提供される利益を活用するのに十分であることを示唆している。
【0057】
ここで
図12A~
図12Bを参照すると、追加の試験結果は、
図10C~
図10Dに図示される試験で用いられた同じ注射針20設計からのサイドポート流体分散を図示する。この注射は、密な筋肉内脂肪沈着物を有するエクスビボのブタ筋肉への2mLであった。
図12Bに図示されるように、流体は、電極14に対して好ましい鉛直な局在化を伴って、この場合も同様に鉛直な柱状に分散したことが分かる。また、注射液分散は、筋肉内脂肪沈着物を克服し、注射液をサイドポートと接触する全ての組織内に分配することが可能であったことが分かる。
【0058】
上述したサイドポート注射針20は、筋組織などの標的組織内の電気穿孔場との注射液の共局在化を強化するように構成されている。電気穿孔場は、電極アレイ15を通じて電気エネルギーの1つ以上の電気穿孔パルスを組織に送達することによって生み出される。上述した手持ち式電気穿孔デバイス4(
図1A~
図1Dを参照)を参照すると、パルス生成器112は、1つ以上の電気穿孔パルスの形態の電気穿孔信号を電極14に送達するように構成されており、電極14は、次いで、電極14と接触する組織に1つ以上の電気穿孔パルスを送達し、それにより、組織(例えば、筋肉内組織)内に電気穿孔場を生み出す。電気穿孔場は、電気穿孔場内の細胞(例えば、筋細胞)の細胞膜に可逆的な多孔化を実質的に生じさせるように調整され、一時的に多孔化された細胞への注射液(及び内部の薬剤(複数可))のトランスフェクションを引き起こす。このようにして、電気穿孔場は、標的組織内にトランスフェクションゾーンを生み出すと言える。
【0059】
電極14によって送達される1つ以上の電気穿孔パルスは、約5V~約1000V(1kV)の範囲内の電位(電圧)を有し得る。
【0060】
1つ以上の電気穿孔パルスは、約0.01Amp~約2.0Ampの範囲内の電流(アンペア数)、及び約100マイクロ秒~約500ミリ秒の範囲内のパルス継続時間を有し得る。電気穿孔パルスの量は、1パルス~約10パルスの範囲内、より具体的には約3パルス~約5パルスの範囲内であり得る。複数パルス送達の場合には、各電気穿孔パルスは、約1ミリ秒~約1秒の範囲内のパルス遅延によって、隣接するパルスから時間的に分離され得る。
【0061】
ここで
図13Aを参照すると、電極アレイ15の電極14は、「発射パターン」とも称される1つ以上の特定のパルスシーケンスに従ってパルス化又は「発射」され得る。図示されるように、本例による電極アレイ15は、支持部材16によって担持され、円形パターンで均等に離間された5つの電極を含む。この実施形態では、支持部材16の注射チャネル36は、好ましくは、電極アレイ15の中心に位置し、それによって、注射針20をアレイ15の各電極14から実質的に等距離に離間させる。電極アレイ15によって採用される例示的なパルスパターンを説明する目的のために、その電極14は、電極位置E1~E5によって参照され得る。ここで
図13Bを参照すると、第1の例示的なパルスパターンは、3つのパルスを含み、そのうちのパルス1及びパルス2は、1つの活性電極から2つの戻り電極に送達され(したがって、2つの電極間で電流を分割する)、パルス3は、1つの活性電極から1つの戻り電極に送達される。例えば、パルス1は、E1からE3及びE4に送達され、パルス2は、E2からE4及びE5に送達され、パルス3は、E3からE5に送達される。ここで
図13Cを参照すると、「スター」パターンとも称される第2の例示的なパルスパターンは、5つのパルスを含み、各々が1つの活性電極から1つの戻り電極に送達され、したがって、より集束された電流経路を提供する。例えば、パルス1は、E1からE3に送達され、パルス2は、E2からE5に送達され、パルス3は、E4からE1に送達され、パルス4は、E5からE3に送達され、パルス5は、E2からE4に送達される。ここで
図13Dを参照すると、「境界」パターンとも称される第3の例示的なパルスパターンは、5つのパルスを含み、各々が1つの活性電極から1つの隣接する戻り電極に送達される。例えば、パルス1は、E1からE2に送達され、パルス2は、E3からE4に送達され、パルス3は、E5からE1に送達され、パルス4は、E2からE3に送達され、パルス5は、E4からE5に送達される。前述の3つのパルスパターンは、電極アレイ15とともに用いることができる非限定的な例を表すことが認識されるべきである。これらの例示的なパルスパターンのうちのいくつかを、以下に記載される試験において用いた。その上、電極アレイ15は、多数の他のパルスパターンを用いることができる。
【0062】
ここで
図14A~
図14Bを参照すると、筋組織における細胞浸潤に対するサイドポート流体注射及び電気穿孔の影響の比較研究を、ウサギに対して実施した。緑色蛍光タンパク質(GFP)の遺伝子をエンコードするプラスミドを、標準注射針及びサイドポート注射針20を備えたCELLECTRA(登録商標)5P-IMアプリケータを使用して、筋組織内に注射した。両方の群について、注射に続いて、1.0アンペアでCELLECTRA(登録商標)5P-IMアレイを使用して、注射部位で電気穿孔(EP)を行った。GFP発現(ここでは青色蛍光として見える)の比較のために、処置の3日後に、処置部位において組織学的切片を採取した(非特異的自己蛍光は、ここでは緑色蛍光とし見える)。図示されるように、GFP発現(青色)は、標準注射群(
図14A)及びサイドポート注射群(
図14B)の両方において検出可能である。ここで
図15を参照すると、ウサギにおけるIM注射を伴う同様の研究において、標準注射群を0.5Ampで電気穿孔した場合、サイドポート注射群の1.0Ampと比較して、GFP発現は、サイドポート注射/1.0Amp群について約10倍(10×)高かった。両方の群は、ベースライン(ナイーブ)組織よりも1000倍を超える蛍光の増加を示した。この研究で使用したサイドポート注射針20は、360度にわたる5×4アレイに配置され、90度の間隔の角度A1を有し、以下の表2に概説される以下の追加のポートアレイパラメータを有する20の長方形ポート24を用いた。
【表2】
【0063】
ここで
図16A~
図16Eを参照すると、示された試験結果は、pGX3024(HPV6及びHPV11の両方のSynCon(登録商標)E6及びE7抗原を含むヒトパピローマウイルス(HPV)抗原をエンコードするDNAプラスミド)の送達によって誘発される免疫応答のレベルを、標準注射針(21G、単一の遠位ポート)を備えたCELLECTRA(登録商標)5P-IMアプリケータ対、サイドポート注射針20、具体的には
図9Aを参照して上述した注射針20を備えたCELLECTRA(登録商標)5P-IMアプリケータを用いて比較する。DNAプラスミドpGX3024は、pGX3024をpGX6010(後者は、ヒトワクチンアジュバントIL-12をエンコードするDNAプラスミドである)と組み合わせる免疫学的組成物INO-3107に含まれていた。両方の注射タイプについて、注射の後に、針アレイ15を使用した電気穿孔(EP)を行った。電気穿孔パルスは、アプリケータヘッド10に結合されたCELLECTRA(登録商標)5P-IMアレイ(針アレイ15)を用いる、CELLECTRA(登録商標)2000電気穿孔システムによって制御された。針アレイ15は、19mmの長さL5を有する電極14を用いた。標準注射針及びサイドポート注射針の両方が16mmの貫通深さL1を有していた。
【0064】
この研究では、ニュージーランド白ウサギを5つの群に無作為化し、標準注射針を用いた筋肉内(IM)注射対、サイドポート注射針20を用いた筋肉内(IM)注射によって、6mg又は1mgのpGX3024を1mLの1XSSC中に配合したINO-3107を3週間間隔で3回免疫化した。上述したように、サイドポートは、電気穿孔場内の注射液の局在化を可能にする。EPによる標準IM免疫化(サイドポート針なし)を、0.5アンペア(Amp)で実施した。サイドポート針IM免疫化を、1.0Ampの電気穿孔パルスを用いて実施した。細胞性免疫応答を、免疫化前(
図16Bに図示される第0週目)並びに各免疫化の2週間後(それぞれ
図16C、
図16D、及び
図16Eに図示される第2週目、第5週目及び第8週目)にIFNγ ELISpotによって評価した。ワクチン接種後の全てのウサギにおいて、HPV6-及びHPV11-特異的T細胞応答を検出した。サイドポート針と結合したIM注射の使用は、5週目までにIFNγ ELISpotデータで用量節約応答を示し、8週目までに、いずれかの用量でのサイドポート送達は、両方の用量において標準針送達よりも優れていた。全ての群は、2週目に同様の応答を示したが、5週目には、1mg用量のサイドポート針及び1.0AmpEPを用いたIM注射は、6mg用量のIM注射単独又はサイドポート針の使用と同様の応答を示し、用量節約効果を示唆し、8週目には、両方のサイドポート群が、いずれの標準IM送達群よりも全体的に強い応答を有していた(
図16A)。全体として、標準IM送達と比較して、サイドポートを伴うIMによるワクチンの送達は、両方の用量群において、8週目までにより高いHPV応答を傾向付けたが、統計的に有意ではなかった(
図16A)。データはまた、免疫応答が、IM又はサイドポート針送達を伴うIM後のHPV6及びHPV11の各々についてE6及びE7抗原の両方に特異的であったことを示す(
図16B~
図16E)。
【0065】
ここで
図17A~
図17Dを参照すると、ウサギ(
図17A)、アカゲザル(
図17B)、及びブタ(
図17C~
図17D)における、標準注射及び0.5Ampでの電気穿孔対、サイドポート注射及び1.0Ampでの電気穿孔後のdMAb発現を比較した研究である。サイドポート注射、1.0AmpのEP群は、種全体で標準注射、0.5AmpのEP群と比較して優れたdMAb発現を示した(ウサギにおいて3.5倍の増加、ブタにおいて5倍の増加、及びアカゲザルにおいて4倍の増加)。
【0066】
ここで
図18Aを参照すると、示された結果は、ウサギにおけるdMAb発現に対するサイドポート注入長さ(L2)の影響を比較する。3つの異なるサイドポート注射針20をそれぞれの群1、2、及び3で用いたが、これらの針は、以下の表3に概説されるポートアレイパラメータを有する。
【表3】
この研究は、注入長さL2を10.8mmから5.8mmに低減すると同時に、注射針の深さL1を22mmから16mmに減少させると、ウサギにおけるdMAb発現が増加することを示す。この増加は、標的エリアから出る(及び意図された電気穿孔場から離れる)より少ない流体の分散/漏出に起因すると考えられる。サイドポート注射針20の初期設計において、注入ゾーンの遠位端部は、電極14の遠位端部19と整列するものとした。しかしながら、本研究は、より短い注入長さ、及び電極14の遠位端部19から注入ゾーンの遠位端部への近位オフセットL6(
図1Eを参照)を提供することによる利点を示す。これらの結果は、
図18Bに図示されるものなどの画像によって更に裏付けられ、ここで、サイドポート流体分散は、電極端部19の下に遠位にかつ電気穿孔場の外にプールされていることが分かる。
図18Bで用いられた注入ゾーンの遠位端部は、電極14の遠位端部19と整列されており、近位オフセットL6が好ましいことを示したことに留意されたい。
【0067】
ここで
図19を参照すると、示された結果は、ウサギにおけるdMAb発現に対するサイドポート形状の影響を比較する。3つの異なるサイドポート注射針20を、以下の表4に概説されるポートアレイパラメータに従ってそれぞれの群1、2、及び3で用いた。
【表4】
この研究において、本発明者らは、驚くべきことに、また予想外にも、4×3アレイにおける12の細長い長方形のサイドポートのアレイ(群1、
図9Aも参照)が、長方形のサイドポートに概ね近似する方法で、三つ組で一緒に群化された36の円形のサイドポートのアレイよりも増加したdMAb発現を示し(群2、
図6も参照)、また、0.06mmの半径の28の均質な円形のポートのアレイよりもまた更に増加したdMAb発現を示した(群3、
図9Dも参照)ことを見出した。本発明者らは、以前は、増加した数のより小さい円形のポートを含むサイドポートアレイが、強化されたトランスフェクションを提供すると考えていた。したがって、より少ない、細長い長方形のサイドポートがトランスフェクションの増加をもたらすことは予想外であった。任意の特定の理論に拘束されることを望まないが、本発明者らは、多数の追加の試験及び研究を実施し、長方形のサイドポートが増加した発現を提供する1つの理由が、それらが複数の筋線維にわたることができ、サイドポートを出る流体が様々な筋線維に沿って最も抵抗の少ない経路をとることを効果的に可能にするためであると考えている。このようにして、本発明者らは、長方形のポートをそれらの長軸が筋線維にわたるように配向することが、円形のポートなどの他のポート形状よりもポート表面積のより効率的な使用であると考えている。
【0068】
ここで
図20を参照すると、示された結果は、総サイドポート面積を実質的に一定に更に維持する一方で、ウサギにおけるdMAb発現に対するサイドポート形状の影響を比較するものである。3つの異なるサイドポート注射針20を、以下の表5に概説されるポートアレイパラメータに従ってそれぞれの群1、2、及び3で用いた。
【表5】
結果は、小さい長方形のサイドポート(群3)がより大きい円形のポート(群2)よりも優れており、両方ともより小さい円形のポート(群1)よりも優れていたことを示す。上記と同様に、本発明者らは、より多くのより小さい円形のポートがより均一な流体分散を提供するという以前の概念に対立するものであるため、これらの結果を驚くべきものと見出した。更に、
図19に図示される研究からのより大きい長方形のサイドポートは、同じ比較群(群3対群2、
図20)を使用した小さい長方形のサイドポートよりも大きい大きさの改善(群1対群3、
図19)を提供することに留意すべきであり、これは、
図19に図示される研究からのより大きい長方形のサイドポート(群1)が、試験された全ての設計の中で最も好ましいことを示唆している。
【0069】
ここで
図21を参照すると、示された結果は、ウサギにおけるdMAb発現に対する長方形のサイドポートを通る注射速度の影響を比較する。この研究では、群1(中程度の速度)を、5秒/mLの速度で注射した。群2(ゆっくりとした注射)は、30秒/mLで注射した。群3(速い注射)は、1秒/mLの速度で注射した。この研究における群の各々は、以下の表6に概説されるポートアレイパラメータに従って、長方形のサイドポートの同等のアレイを使用した。
【表6】
この研究は、これらの長方形のサイドポートを通る注射速度が、dMAb発現に有意な影響を及ぼさなかったことを示す。
【0070】
本発明者らは、本明細書に記載されるサイドポートアレイとともに使用するための有益な電気穿孔パラメータを特定及び評価するために追加の研究を実施した。別段の定めのない限り、
図22~
図29を参照して説明される研究は、
図13Bを参照して上述したパルスパターンを利用した。
【0071】
ここで
図22を参照すると、この研究は、注射方法(サイドポート対標準針)と電気穿孔アンペア数(200ボルトの最大パルス電圧を有する0.5、0.8、又は1.0Ampのパルス電流)との間の相互作用を特定するように設計された。サイドポート送達は、電気穿孔パラメータとは関係なく標準針送達と比較してdMAb発現を強化すること、及び同様に、サイドポート及び標準針送達の両方について、電気穿孔アンペア数の増加がdMAb発現を強化させることが示された。1.0Ampのパルス電流及びサイドポート送達の組み合わせは、この研究において最も高く、最も一貫したdMAb発現を提供した。
【0072】
ここで
図23を参照すると、この研究は、ウサギにおけるサイドポート送達に対するプラスミド濃度の影響を評価するように設計された。0.25mg未満のプラスミド濃度は、dMAb発現を有意に低減させたが、0.5mg/mL及び1.0mg/mLの両方の濃度は、同等の発現レベルをもたらした。
【0073】
ここで
図24A~
図24Bを参照すると、この研究は、非ヒト霊長類における2つのdMAb送達方法を比較するように設計された。1.0AmpのEPアンペア数を伴うサイドポート送達は、0.5AmpのEPアンペア数を伴う標準針送達と比較して、優れたdMAb発現を生成した。この研究は、
図17A~
図17Dに図示された研究と組み合わせて、1.0AmpのEPを伴うサイドポート注射を利用する送達レジームが、0.5AmpのEPを伴う標準注射を利用する送達レジームよりも概して優れていることを示す。
【0074】
ここで
図25を参照すると、この研究は、ウサギにおけるサイドポート送達後のdMAb発現に対するパルス継続時間の影響を評価するように設計された。25ミリ秒及び52ミリ秒のパルス幅は、同等のdMAb発現を提供し、パルス幅を75ミリ秒又は100ミリ秒に増加させることは、漸進的により低い発現レベルを提供し、52ミリ秒を超えてパルス継続時間を増加させることが、このデバイス構成を使用する場合に潜在的に悪影響をもたらすことを示唆する。
【0075】
ここで
図26を参照すると、この研究は、ウサギにおけるサイドポート送達後のdMAb発現に対する異なるパルス発射パターン、特に上述した「スター」パルスパターン(
図13C)及び「境界」パルスパターン(
図13D)の影響を評価するように設計された。「スター」パルスパターンは、最も低い変動性で最も高い平均発現レベルを生成し、このパルスパターンが、このデバイス構成でのdMAb送達に有益であり得ることを示唆する。この研究は、この「境界」パルスパターンの追加が、dMAb発現に有益ではなかったことを示唆している。
【0076】
ここで
図27Aを参照すると、この研究は、サイドポート送達後のdMAb発現に対する1.0Ampを超えるパルスアンペア数の影響を評価するように設計された。パルスアンペア数を1.0Ampから1.7Ampまで増加させると、dMAb発現が増加し、一方、パルスアンペア数を2.0Ampに更に増加させると、dMAb発現が低減し、1.3Ampから1.7Ampの範囲のアンペア数が、この特定のデバイス構成に関しては他の試験されたアンペア数よりも好ましい可能性があることを示唆する。
図27Bに図示されるフォローアップ研究では、同様の範囲のパルスアンペア数をウサギにおいて評価し、この場合も同様に、1.7Ampが試験したものの中で好ましい電流であることが見出された。
【0077】
ここで
図28を参照すると、この研究は、ウサギにおけるdMAb送達後の「スター」パルスパターン(
図13C)に対するパルス継続時間の影響を評価するように設計された。ここで、「スター」パターンは、2.0Ampのパルスアンペア数を使用したが、「標準」パルスパターン(
図13B)は、1.0Ampのパルスアンペア数を使用した。「スター」パルスパターンのパルス継続時間を10ミリ秒から25ミリ秒に52ミリ秒へと増加させると、dMAb発現が漸進的に増加し、52ミリ秒未満のパルス継続時間が、このパルスパターンでのdMAb発現に悪影響を及ぼし得ることを示唆する。
【0078】
ここで
図29を参照すると、この研究は、ウサギにおけるサイドポートdMAb送達後の「スター」パルスパターン(
図13C)に対するパルスアンペア数の影響を評価するように設計された。対照として、1.0Ampの「標準」パルスパターン(
図13B)を使用した。パルスアンペア数を1.0Ampから1.5Ampに増加させることは、dMAb発現に測定可能な効果をもたらさなかったが、アンペア数を2.0Ampに増加させることは、dMAb発現の実質的な増加を提供した。本発明者らは、標準パルスパターンを使用して1.7AmpでdMAbがより良好に発現されることを示した
図27A~
図27Bに図示された結果を考慮すると、これらの結果が驚くべきものであることを見出した。
図29に図示された結果は、異なるパルスパターンが異なる好ましいパルスアンペア数を有し得ることを示唆する。
【0079】
ここで
図30A~
図30B、
図31A~
図32B、及び
図33を参照すると、アレイアセンブリ212の様々な実施形態は、それぞれの複数のサイドポート注射針20に対して複数の注射チャネルを用いることができる。かかるアレイアセンブリ212は、特に、より大きい電気穿孔場との強化された共局在化を伴って、増加した注射量を提供するように構成され得る。
【0080】
図30A~
図30Bに図示されるように、例示的なアレイアセンブリ212は、グリッド又は「マトリックス」パターンで配置された針電極14のアレイ215を担持する支持部材216を含む。示された実施形態は、電極14の5つの行217及び2つの列219を有するマトリックス(すなわち、各行が2つの電極を有し、各列が5つの電極を有する5×2電極アレイ215)を用いる。行217は、長手方向X1に沿って間隔を置いて離間しており、一方、列219は、長手方向X1に実質的に垂直である横方向Y1に沿って間隔を置いて離間している。このようにして、アレイ215は、長手方向X1に沿って細長くすることができる。各行217の電極14は、行217内の電極14の中心軸245と交差し得る行軸247に沿って整列され得ることが認識されるべきである。追加的に、各列219の電極14は、列219内の電極14の中心軸245と交差し得る列軸249に沿って整列され得る。アレイ215は、等距離の行及び列の間隔X2、Y2を用いることができるが、他の実施形態では、行の間隔X2は、列の間隔Y2とは異なり得る。行及び列の間隔X2、Y2は、好ましくは、それぞれ、隣接する行軸247と列軸249との間で測定される。電極14は、円形パターン電極アレイ15に関して上述したものと同様に構成され得るが、他の実施形態では、本アレイ215の電極14は、必要に応じて適合され得る。
【0081】
支持部材216は、長手方向X1に沿って互いに対向する第1及び第2の端部202、204を有し、横方向Y1に沿って互いに対向する、対向する第1及び第2の側面206、208を有する。支持部材の底部表面260は、患者の皮膚に接触し、電極14が組織を貫通する深さを制御するように構成された停止表面を効果的に画定することができる。支持部材216は、好ましくは、アレイ215を通って延在する複数の注射チャネル236を含む。図示されるように、支持部材216は、長手方向X1に沿って互いに整列され得、第1及び第2の列219の間で等距離に離間され得る、3つの注射チャネル236を含み得る。注射チャネル236の第1のものはまた、第1及び第2の行217の間に等距離に位置決めされ得、注射チャネル236の第2のものは、第3の行217内で横方向に整列され得、注射チャネル236の第3のものは、第5及び第6の行217の間に等距離に位置決めされ得る。注射チャネル236のうちの1つ以上及び最大で全ては、鉛直に細長い煙突238内に画定され得る。各煙突238は、それぞれのサイドポート注射針20を受容するように構成され得、これは、上述した実施形態のいずれかに従って構成され得る。
図30Bに図示されるように、電極14は、支持部材216から電極深さL1まで遠位に延在し得、煙突238は、支持部材216の上側表面262から近位に、鉛直方向Z1に沿ってL10の煙突高さまで延在し得、これは、注射針20の注入領域を、上述した好ましい電極オフセット距離L6など、電極14の遠位端部19に対して好ましい位置に配置するように構成され得る。
【0082】
図30Aに図示されるように、サイドポート注射は、隣接する針電極14に向かって半径方向外向きにそれらの注射液を各々分散させることができる。このようにして、アレイ215は、より多くの量の注射液をより大きい電気穿孔場内に分散させるように構成され得る。本実施形態の一例によれば、アレイ215は、特に注射針20当たり1mLで、注射針20から約3mLの総注射量を送達するように構成され得る。筋肉内(IM)電気穿孔のために使用されるとき、細長いアレイ215は、長手方向X1が筋線維伸展の方向と概ね整列するように、医師がアレイ215を配向することを可能にし、それによって患者の筋組織内の流体分散を更に強化することが認識されるべきである。ほとんどの場合、筋肉内組織において、注射された流体及び注射液の大部分の自然な流れ又は分散は、筋線維の方向に沿っていることが認識されるべきである。この1つの理由は、流体の流れに対する最も低いインピーダンスが線維の長手方向にあるためである。したがって、医師は、この自然な流体分布を利用して、より多くの筋細胞(myocyte cell)(すなわち、筋細胞(muscle cell))をトランスフェクトすることができるように、筋線維及び注射された流体を横切って垂直方向に電気穿孔場を適用することを選択することができる。
【0083】
ここで
図30Cを参照すると、上述した容積が増加したアレイ215を試験して、標準注射針及びサイド部分注射針20の両方を使用した1mLの上述した円形アレイ15と比較して、容積が増加した(3mL)サイドポートIM注射後のウサギにおけるdMAb発現を評価した。特に、アレイ215は、3つのサイドポート注射針20を使用し、各々が筋肉内に1mLを注射し、続いてアレイ215は、0.5AmpでEPを送達した(三角形のデータマーカ)。比較のために、円形アレイ15は、CELLECTRA(登録商標)5P-IMアレイとし、1mLの標準注射を使用し、続いて0.5AmpでEPを行い(円のデータマーカ)、また、1mLのサイドポート注射を使用し、続いて1.0Ampの注射でEPを行った(正方形のデータマーカ)。図示されるように、容積が増加したアレイ215は、他の群よりも実質的に即座に高いdMAb発現を提供し、これは他の群よりも更に増加し、研究の経過(14日)にわたってより高いままであった。この研究は、容積が増加したアレイ215が、より低いアンペア数であっても、遺伝子発現の有意な強化を提供することができることを示唆する。
【0084】
ここで
図31A~
図31Dを参照すると、別の例示的なアレイアセンブリ312は、6つの行317及び4つの列319を有するマトリックスに配置された針電極14のアレイ315(すなわち、6×4マトリックス電極アレイ315)を有する支持部材316を含む。上記のように、行317は、長手方向X1に沿って間隔を置いて離間しており、一方、列319は、横方向Y1に沿って間隔を置いて離間しており、その結果、アレイ315は、長手方向X1に沿って細長くなり得る。アレイ315は、等距離の行及び列の間隔を用いることができる。非限定的な例として、行317は、約10mmの距離X2で互いから離間することができ、列319は、約10mmの距離Y2で互いから離間することができる。かかる10mmの間隔は、参照のために
図31Cに図示されるように、CELLECTRA(登録商標)5P-IMアレイの円形電極アレイの直径を近似することが認識されるべきである。
【0085】
他の実施形態では、
図32A~
図32Bに図示されるように、行間隔は、列間隔とは異なることができる。この例において、列は、約10mmの距離X2において離間することができ、行は、約7.5mmの距離Y2において離間することができる。追加の間隔の距離が以下に説明される。
【0086】
図31A~
図32Bに図示されるアレイ315の支持部材316は、好ましくは、鉛直に細長い煙突338内に画定され得る複数の注射チャネル336を含む。図示されるように、複数の注射チャネル336は、電極14の第2の行及び第3の行319の間で等距離に離間したチャネル336の第1の行340、並びに電極14の第4の行及び第5の行319の間で等距離に離間したチャネル336の第2の行340のような、チャネルの2つの行340に沿って配置され得る6つの注射チャネル336を含むことができる。
図31Dに図示されるように、チャネル行340は、チャネル行340内の注射チャネル336の中心軸355と交差するそれぞれのチャネル行軸351の間で測定されるように、間隔距離X3で互いから離間され得る。示された実施形態では、間隔距離X3は、電極行間隔距離X2の2倍である。チャネル336はまた、チャネル336の第1、第2、及び第3の列342などのチャネル336の列342に配置され得る。チャネル列342は、チャネル列342内の注射チャネル336の中心軸355と交差するそれぞれのチャネル列軸353の間で測定されるように、間隔距離Y3で互いから離間され得る。示された実施形態では、間隔距離Y3は、電極列319の間隔距離と同等である。
【0087】
本実施形態の一例によれば、アレイ315は、特に注射針20当たり1mLで、注射針20から約6mLの総注射量を送達するように構成され得る。アレイ315は、6mL超及び6mL未満の注射量を送達するために使用され得ることが認識されるべきである。上述したアレイ215と同様に、本アレイ315は、筋線維伸展の方向に対して好ましく配向され得、それにより、筋組織内の流体分散を強化する。追加的に、煙突338は、注射針20の注入領域を電極14の遠位端部19に対して好ましい位置に配置するように構成され得る高さL10を有する。上述したマトリックスアレイ215、315の電極及びチャネル間隔距離X2、Y2、X3、Y3、電極深さL1、並びに/又は煙突高さL10は、必要に応じて変化させることができることが認識されるべきである。例えば、間隔距離X2、Y2、X3、Y3は、約2.5mm~約50mmの範囲内、より具体的には約4.0mm~約20mmの範囲内、より具体的には約5.0mm~約15.0mmの範囲内であり得る。筋線維伸展の方向に沿った電極間隔距離X2、Y2は、好ましくは、約10.0mm~約15.0mmの範囲内である。筋線維伸展の方向に垂直な方向に沿った電極間隔距離X2、Y2は、好ましくは、約5.0mm~約10.0mmの範囲内である。前述の間隔距離は、特に標的組織が異方性電気的及び流体的特性を有する場合、標的組織の解剖学的構造に特有であり得ることが認識されるべきである。
【0088】
ここで
図32Cを参照すると、コンピュータモデルが、
図32A~
図32Bに図示されるアレイ315によって生成される電場の例を示す。図示されるように、電場は、隣接する列間の長手方向X1に沿って、V/cmで示される実質的に均等な電場の大きさを有することができる。このようにして、アレイ315は、好ましい長手方向の流体分散(特に筋線維と整列された場合)、及び長手方向X1に沿った好ましい「平滑な」電気穿孔場の両方を提供することができる。
【0089】
更なる実施形態では、マトリックスアレイ215、315は、電極14及び/又はその注射チャネル236、336の選択的又は「モジュラー」使用のために更に構成され得る。ここで
図33Aを参照すると、非限定的な例として、均等な電極行417及び列419の間隔X2、Y2を有する6×4のマトリックスのようなマトリックスに配置された電極14を有する例示的なアレイ415が、各煙突438が電極14の隣接する列419及び行417の間で等距離で離間するように構成された、5×3の煙突アレイの行440及び列442に配置された合計15の煙突438(及びチャネル436)を含み得る。アレイ415は、パルス生成器112が電極14の任意のサブセットに電気穿孔パルスを送達することができるように、各電極14をパルス生成器112に個々に接続するための回路を含むことができる。同様に、煙突438の任意のサブセットは、それぞれのサイドポート注射針20を受容するために用いられ得る。このようにして、単一のマトリックスアレイ438は、多数のマトリックスアレイ438の機能を提供することができる。例えば、描写される6×4マトリックスアレイは、1×1、1×2、1×3、2×1、2×2、2×3、3×1、3×2、3×3、4×1、4×2、4×3、5×1、5×2、及び5×3煙突アレイのいずれか1つを利用して、1×1、1×2、1×3、1×4、2×1、2×2、2×3、2×4、3×1、3×2、3×3、3×4、4×1、4×2、4×3、4×4、5×1、5×2、5×3、5×4、6×1、6×2、6×3、及び6×4電極アレイのいずれかとして選択的に用いられることができる。
【0090】
ここで
図33Bを参照すると、6×4モジュラーアレイ415を試験して、ブタの2つの群における遺伝子発現を評価した。群1(円のデータマーカ)には、2行目及び4行目の煙突で(煙突の1列目及び2列目のみを使用して)サイドポート注射を介して4mLを注射し(煙突当たり1mLのサイドポート注射)、関連する5×3アレイサブセットを用いて電気穿孔した。群2(正方形のデータマーカ)には、2行目及び4行目の煙突でサイドポート注射を介して6mLを注射し(煙突当たり1mLのサイドポート注射)、6×4アレイ全体を用いて電気穿孔した。群2は、増加した遺伝子発現を示し、よりボリュームのあるEP場に沿ってより大きい注射量を分散させることが遺伝子発現を増加させることができることを示唆している。
【0091】
ここで
図33Cを参照すると、同様のモジュラーアレイ研究により、ウサギの3つの群における遺伝子発現を比較した。群1には、2行目及び4行目の煙突で(煙突の1列目のみを使用して)サイドポート注射を介して2mLを注入し(煙突当たり1mLのサイドポート注射)、関連する6×2アレイサブセットを用いて電気穿孔した。群2には、煙突列1内の3つの煙突の行で、サイドポート注射を介して4mLを注射し(煙突行2及び4で1mLのサイドポート注射、並びに煙突行3で2mLのサイドポート注射)、関連する6×2アレイを用いて電気穿孔した。群3には、2行目及び4行目の煙突、1列目及び2列目の煙突でサイドポート注射を介して4mLを注射し(煙突当たり1mLのサイドポート注射)、関連する6×3アレイを用いて電気穿孔した。処置後7日目に示されるように、群3は、群2のほぼ2倍の遺伝子発現を示したが、群2は、群1をわずかに上回っただけである。この研究は更に、増加した注射量が、より多くの組織体積をカバーするために空間的に分散され、よりボリュームのあるEP場と適切に組み合わされると、遺伝子発現を強化することを示している。
【0092】
上述した電極アレイ15、215、315、415は、1つ以上及び最大で全ての針電極がサイドポート注射針でもあるように適合され得ることが認識されるべきであり、この針は、流体送達及び電気穿孔パルス送達の両方を実施することができる。かかる二重目的の針は、「注射針電極」と称され得る。例えば、ここで
図34A~
図34Cを参照すると、電気穿孔システム502は、
図1A~
図1Eに図示されるものと同様に構成され、針電極の各々が二重目的のサイドポート注射針電極525であるようにまた更に適合された電極アレイアセンブリ512を用いる手持ち式電気穿孔デバイス4を含むことができる。この例示的な実施形態における注射針電極525の各々は、パルス生成器112と電気的に連通しており、注射液のリザーバとも流体連通している。この例示的な実施形態では、アレイアセンブリ512は、各サイドポート注射針電極525のそれぞれのシリンジ557を担持し、各シリンジ557を作動させて、ある量の注射液を標的組織内に注射するように構成された流体送達システム550に接続されている。かかる実施形態では、各シリンジ557は、送達される総薬物体積の5分の1を担持することができる。かかる実施形態では、サイドポート注射針電極525は、注射針電極525のアレイの中間の位置に注射液を協働して効果的に分布させることができ、それによって、組織内で所望の位置に拡散させるために注射液に頼る必要がないことが認識されるべきである。
【0093】
ここで
図35A~
図35Cを参照すると、
図30A~
図30B、
図31A~
図32B及び
図33を参照して上述した実施形態と概ね同様に、マトリックスアレイ615において行617及び列619に配置された複数の針電極625を有する電極アレイアセンブリ612を含む電気穿孔システム602の例が図示される。しかしながら、本実施形態では、マトリックスアレイ615内の針電極625の1つ以上及び最大で全ては、標的組織内に流体を注射すること、及び1つ以上の電気穿孔パルスを標的組織に送達することの両方も行うように構成された二重目的注射針電極625であり得る。
【0094】
図35Aに図示されるように、この実施形態の電気穿孔システム602は、流体注射液をマトリックスアレイ615内の各二重目的注射針電極625に送達するための管類659を含むことができる。管類659は、例えば、リザーバアセンブリのマニホルドを介して、及び/又は
図34Aに図示される流体送達システム550のものと同様であり得る複数の個々のリザーバを介して、二重目的注射針電極625の近位端部657をリザーバに接続することができる。アレイアセンブリ612は、手持ち式電気穿孔デバイス604のアプリケータヘッド610と結合するように構成され得る。例えば、アレイアセンブリ612は、
図1Bを参照して上述した様式と同様に、アプリケータヘッド610の1つ以上の相補的な装着部材と結合するように構成された支持部材616を含むことができる。二重目的電極625は、支持部材616を通して画定された二重目的チャネル636を通って延在し得る。支持部材616は、
図4を参照して上述した様式と同様に、モジュール方式で用いられ得ることが認識されるべきである。例えば、二重目的電極625は、利用可能な二重目的チャネル636の選択されたサブセット内に挿入され得、そのサブセットは、必要な流体送達及び電気穿孔場パラメータに基づいて選択され得、そのパラメータ(したがって、サブセット選択)は、標的組織に適合され得る。マトリックスアレイ615は、針電極14、サイドポート注射針20、標準注射針、及び二重目的注射針電極625(これは、サイドポート及び/又は標準注射タイプであり得る)の様々な組み合わせ及びパターンを用いることができることが認識されるべきである。また、マトリックスアレイ615がサイドポート注射針及び/又はサイドポート二重目的針電極625を用いる場合、それらのそれぞれのポートアレイ25は、標的組織内の流体分散機構を利用するようにマトリックスアレイ615内で配向され得ることが認識されるべきである。例えば、ポートアレイ25は、以下でより詳細に記載されるように、組織内の計画されたアレイ615の挿入の配向に基づいて、マトリックスアレイ615内で選択された方向に配向され得る。
【0095】
図35Cに図示されるように、マトリックスアレイ615は、二重目的注射針電極625が筋組織に対して、特に筋線維伸展M1の方向に対して所望のように配向されるように、筋組織675に対して配置することができる。例えば、マトリックスアレイ615は、破線で図示されるアレイ615の位置によって示されるように、アレイ615の長手方向X1が筋線維伸展M1の方向に沿って延在するように配向され得る。代替的に、医師は、長手方向X1が筋線維伸展M1の方向に実質的に垂直に配向されるように、アレイ615を配向させることを選択することができ、それにより提供することができる。そのような計画されたアレイ615の挿入配向では、サイドポート注射針20、625のポートアレイ25は、それらのサイドポート流れ方向88が筋線維伸展M1の方向に沿って配向されるように配向され得る。このようにして、アレイ615は、より多くの個々の筋線維の横紋にわたることができ、より多くの個々の筋線維の横紋に沿って注射液を方向付けることができる。アレイ615のかかる選択的な配向及び使用は、二重目的電極の特定のサブセットに関してパルスパターンを適用することによって更に調整することができ、このパルスパターンは、筋線維伸展M1の方向に沿ってEP場を集束させるように適合させることができる。これらの構成及び使用法はまた、EP電流の流れの間に、インピーダンスが筋線維と同じ方向に方向付けられたときに低減されるという事実を利用することができる。その上、注射針20、625からの流体排出の方向88は、筋線維の横紋に沿って配向されたとき、流体の流れに対するより少ない機械的インピーダンスを経験することも期待され得、これは、電気穿孔場に沿った有益な薬物の分布を可能にすることができる。
【0096】
ここで
図36A~
図36Bを参照すると、アレイアセンブリ712の例示的な実施形態が、支持部材716に結合されたマトリックス電極アレイ715を有して図示されている。この例示的な実施形態では、マトリックスアレイ715は、
図30A~
図30B、
図31A~
図32B、
図33、及び
図35A~
図35Cを参照して上述した実施形態と概ね同様に、行717及び列719に配置され、針電極14の間に位置する注射チャネル736を有する複数の針電極14を含む。しかしながら、本実施形態では、注射チャネル736の1つ以上及び最大で全ては、隣接する行717及び/又は隣接する列719から偏心オフセットされている。注射チャネル736並びに隣接する行717及び/又は隣接する列719に関して本明細書で使用される場合、「偏心オフセット」という語句は、注射チャネル736が、それぞれの方向に沿って、及び注射チャネル736と次の最も近い行717及び/又は列719との間のそれぞれの方向に沿った距離よりも小さいそれぞれのオフセット距離で、最も近い行717及び/又は列719から離間されることを意味する。
【0097】
示された実施形態では、注射チャネル736の各々は、長手方向X1に沿ってそれぞれの最も近い行717から偏心オフセットされている。特に、示された実施形態の各注射チャネル736は、注射チャネル736と次の最も近い行717との間の二次オフセット距離X5未満のオフセット距離X4で最も近い行717から長手方向に離間している。オフセット距離X4及び二次オフセット距離X5は、それぞれ、注射チャネル736の中心軸755と、最も近い電極行軸747及び次の最も近い電極行軸747との間で測定される。オフセット距離X4は、二次オフセット距離X5の係数(すなわち、倍数)として定量化され得る。例えば、オフセット距離X4は、二次オフセット距離X5の約0.001の係数から約0.999の係数までの範囲であり得る。
【0098】
示された実施形態の非限定的な例によれば、マトリックスアレイ715は、3×2マトリックス(すなわち、3つの行717及び2つの列719)に配置された6つの電極14を有し、等距離の行及び列間隔X2、Y2を有する。注射チャネル736は、各注射チャネル736が等距離のオフセット距離X4で電極14の最も近い行717から偏心オフセットされるように、3×1チャネルアレイ(すなわち、チャネル136の3つの行740及び1つの列742)に配置されている。この例において、各オフセット距離X4は、それぞれの二次オフセット距離X5の約0.25の係数である。特に、この例では、電極行間隔X2、電極列間隔Y2、及びチャネル行間隔X3は、各々約10mmであり、注射チャネルは、長手方向X1に沿って約2.5mmのオフセット距離X4で偏心オフセットされている。これらの間隔距離X2、Y2、及びオフセットX4、X5のいずれも、必要に応じて調整することができることが認識されるべきである。
【0099】
また、他の実施形態では、注射チャネル736は、横方向Y1に沿って電極列719のうちの1つから偏心オフセットされ得ることが認識されるべきである。また、マトリックスアレイ715における電極14及び/又は注射チャネル736の数は、非限定的な例として、標的処置位置、標的組織及び注射量のような様々な要因に基づいて、必要に応じて低減又は増加され得ることが更に認識されるべきである。例えば、マトリックスアレイ715は、注射チャネル736が電極行717から偏心オフセットされるように、電極14の1つ以上の追加の行717及び/又は列719、並びに/又は注射チャネル736の1つ以上の追加の行740及び/又は列742を含むように増加させることができる。更に、マトリックスアレイ715は、(それぞれの電極14の間に等間隔に位置することによって、又はそれぞれの電極行717と整列されることによってなど)偏心オフセットされた注射チャネル717、及び偏心オフセットされない注射チャネル717の組み合わせを用いることができることが認識されるべきである。
【0100】
本実施形態は、サイドポート注射と組み合わせた電気穿孔処置に大きい利点を提供する。1つの利点は、電極アレイ715内に複数の注射チャネル736を用いることによって、薬剤投与量を複数の注射部位間で分画することができ、標的組織内の流体分散が強化されることである。ここで
図37A~
図37Dを参照すると、サイドポート針注射を介して、3つの別個の注射チャネル736を通して3mL(すなわち、注射チャネル736ごとに1mL)の注射を等しく分画すること(
図37A~
図37B)は、サイドポート針注射を介した単一チャネル736、3mLの注射(
図37C~
図37D)と比較して、筋肉内に優れた流体分散を提供することが分かる。
図37A~
図37Dに図示される画像は、X2、Y2、及びX3について10mmの間隔、並びに2.5mmのオフセット距離X4を有する、
図36A~
図36Bに図示される構成を有するマトリックスアレイにおいて、サイドポート注射針を介して注射された放射線造影剤を視覚化するために蛍光透視法を使用して、生きたブタの大腿四頭筋において生成された。
図37C~
図37Dに図示される単一チャネル注射は、中央のチャネル736を通して実施された。これらの画像では、マトリックスアレイは、電極行717が筋線維伸展M1の方向に実質的に垂直に延在するように配向されている。
【0101】
ここで
図37Eを参照すると、比較結果は、アレイ内の複数の注射部位を利用し、それぞれの電気穿孔場でそれらの注射を標的化することが、単一注射送達と比較して、ウサギにおけるdMAb発現を強化したことを示す。このデータは、
図37A~
図37Bに図示されるように構成されたマトリックスアレイを使用して、大腿四頭筋への注射を介してウサギにおいて生成された。dMAb発現を、送達後7日目の血清中で測定した。同じ電気穿孔パラメータを、両方の群に適用した。
【0102】
ここで
図38A~
図38Bを参照すると、別の例示的な実施形態では、アレイアセンブリ812は、
図36A~
図36Bを参照して上述した実施形態と同様に構成されたマトリックスアレイ815を含む支持部材816を有する。前述の実施形態と同様に、マトリックスアレイ815は、等距離の電極の行及び列の間隔X2、Y2を有する、3×2のマトリックスに配置された6つの電極14と、3×1のチャネルアレイに配置された3つの注射チャネル836と、を有する。しかしながら、本実施形態では、注射チャネル836は、注射チャネル836がそれぞれの電極行軸847によって交差されるように、電極14の行817と整列されている。マトリックスアレイ815の1つの非限定的な例では、アレイ815は、各々約10mmである電極行間隔X2、電極列間隔Y2、及びチャネル行間隔X3を用いることができる。これらの間隔距離X2、Y2、X3のいずれも、必要に応じて調整することができることが認識されるべきである。
【0103】
本実施形態のマトリックスアレイ815は、サイドポート注射と組み合わせた場合、電気穿孔処置に大きい利点を提供する。上述したマトリックスアレイと同様に、アレイ815は、複数の注射部位間の薬剤投与量の分画を可能にする複数の注射チャネル836を用いる。その上、複数の注射部位において分散された注射液は、アレイ815内の電極14のそれぞれのサブセットによって送達されるそれぞれの電気穿孔場によって標的化することができる。別の利点は、マトリックスアレイ815が、電極行817と整列した注射チャネル836からのサイドポート送達流体分散との電気穿孔場の共局在化を強化するパルスパターンを用いることができることである。特に、マトリックスアレイ815は、各行817の電極対の間にパルスを送達するパルスパターンを用いることができ、それによって、注射チャネル836の下のエリアにわたってパルスを方向付ける。これは、以下でより詳細に記載されるように、注射チャネル836を通って延在するサイドポート注射針から放出される流体分散と電気穿孔場をより良好に共局在化させる。
【0104】
ここで
図39Aを参照すると、
図38A~
図38Bに図示されるマトリックスアレイ815について、例示的なパルスパターンが記載される。パルスパターンを説明する目的で、マトリックスアレイ815の電極14は、電極位置E1及びE2が第1の電極行817上にあり、電極位置E3及びE4が第2の電極行817上にあり、電極位置E5及びE6が第3の電極行817上にある電極位置E1~E6によって参照される。この例において、パルスパターンは、3つのパルスを含み、そのうちの第1のパルスP1は、E1とE2との間で送達され、第2のパルスP2は、E3とE4との間で送達され、第3のパルスP3は、E5とE6との間で送達される。別の例では、
図39Aに図示されるパルスパターンを反復することができ、2つの同一のパルストレインと合計6つのパルスとを有するパルスパターンを提供することができる。かかる反復パルスパターンは、電極対ごとに2つのパルスを提供し、これは、強化された電気穿孔結果を容易にすることができる。
【0105】
ここで
図39Bを参照すると、追加の例では、パルスパターンは、
図39Aに図示される3つのパルスP1~P3に加えて、隣接する電極行817と列819との間で斜めに送達される4つの追加のパルスP4~P7を用いることができる。この特定の例では、第4のパルスP4は、E1とE4との間で送達され、第5のパルスP5は、E4とE5との間で送達され、第6のパルスP6は、E2とE3との間で送達され、第7のパルスP7は、E3とE6との間で送達される。4つの斜めのパルスP4~P7は、長手方向X1に沿って電極行817の間で分散された任意の注射液と電気穿孔場を共局在化させるために有益であり得る。
【0106】
ここで
図39Cを参照すると、電極行817の間に長手方向に分散された注射液と電気穿孔場を共局在化させるための更なる例では、パルスパターンは、
図39Bに図示されるパルスP4~P7を、中心行817から第1及び第3の行817に電流を斜めに各々分割する2つの代替パルスP4~P5に効果的に置き換えることができる。特に、この例では、第4のパルスP5は、E3からE2及びD6の両方に送達され、第5のパルスP5は、E4からE1及びE5の両方に送達される。このパルスパターンは、
図39Bに図示されるパターンよりも少ない総パルスを使用して、電極行817間で分散された注射液を効果的に標的化することができる。
【0107】
図39A~
図39Cを参照して上述した例示的なパルスパターンは、マトリックスアレイ815とともに用いることができるパルスパターンの非限定的な例を表すことが認識されるべきである。また、前述のパルスパターンは、
図36A~
図36Bに図示されるマトリックスアレイ715とともに用いることもできることが認識されるべきである。更に、これらのパルスパターンは、関与する特定の因子に基づいて、必要に応じて調整することができる。
【0108】
ここで
図40A~
図40Cを参照すると、
図38A~
図38Bを参照して上述したマトリックスアレイ815の追加の利点は、特定の方向に沿った流体分散に影響を与える組織におけるその特定の有効性を伴う。1つのかかる組織は、筋組織675である。上述したように、筋肉内(IM)組織は、注射された流体7(例えば、注射液)に影響を与えて、主に筋線維伸展M1の方向に沿って分散させる傾向がある。マトリックスアレイ815の1つの特定の利点は、その設計が、筋線維伸展M1の方向に対するその配向に関係なく、好ましいIM電気穿孔結果を可能にすることである。このようにして、マトリックスアレイ815は、筋肉における誤配向に対してより堅牢であると言える。
【0109】
図40Aに図示されるように、マトリックスアレイ815は、電極行817が筋線維伸展M1の方向と整列する配向で筋組織675に挿入され得る。この配向は、「平行」又は「0度」の配向として特徴付けられ得る。この配向では、各電極行817及び関連する注射チャネル836は、概して、同じ筋線維677に沿って及び/又はその間に延在する。3つの流体注射(注射チャネル836を利用する)は、主に筋線維伸展M1の方向に沿って分散し、概して3つの並んだ流体分散7をもたらす。このようにして、電気穿孔パルスP1~P3の各々は、電気穿孔場の高い大きさの部分がそれぞれの流体分散7と共局在化するように、それぞれの流体分散7を効果的に標的化することができる。
【0110】
図40Bに図示されるように、マトリックスアレイ815は、代替的に、電極行817が筋線維伸展M1の方向に垂直に配向される配向で筋組織675に挿入され得る。この配向は、「垂直」又は「90度」の配向として特徴付けられ得る。この配向では、各電極行817は、複数の筋線維677を横断することができる。3つの流体注射(注射チャネル836を利用する)は、主に筋線維伸展M1の方向に沿って分散し、概して電極E3とE4との間に最大濃度を有する長手方向に重複する流体分散7をもたらす。このようにして、電気穿孔パルスP1~P3は、0度の配向におけるよりも多くの筋線維を効果的に標的化し、より多くの注射された流体を包含することができる。したがって、医師は、マトリックスアレイ815を90度の配向で用いて、より均質な電場でより多くの注射液を標的化することができ、これは、より多くの筋細胞をトランスフェクトすることにつながる可能性がある。
【0111】
ここで
図40Cを参照すると、各電極対(すなわち、単一の行817内の電極)は、筋線維伸展M1の方向に対するアレイ配向に関係なく、電気穿孔場及び流体分散の強い共局在化を示す。例えば、0度の配向では、電場の高い大きさの部分は、流体分散7の高濃度部分と整列する。この結果の1つの理由は、筋線維677が、筋線維伸展M1の方向に沿って最も高い異方性電気伝導率を示すためである。したがって、電気インピーダンスは、方向M1に沿って最小化される。追加的に、筋線維は、上記で説明したように、筋線維伸展M1の方向に沿ってより低い機械的流体インピーダンスを提供する。しかしながら、配向がより高い角度に向かって回転しても、注射液は依然として、筋線維伸展M1の方向に沿って分散し、一方、電場は(電気伝導率が異方性であり、線維軸に沿って最も高いことに起因して)多少一致するように変形する。90度の配向であっても、電場は方向M1に効果的に「延伸」され、その結果、注射液が位置する中央が膨らむ電場が生じる。したがって、筋線維に対するアレイ815の配向に関係なく、アレイ815は、電場を注射液と有益に共局在化させる。
【0112】
マトリックスアレイ815の他の実施形態では、電極行817及び/若しくは列819の数、並びに/又はマトリックスアレイ815の注射チャネル行840及び/若しくは列842の数は、非限定的な例として、標的処置位置、標的組織及び注射量のような様々な要因に基づいて、必要に応じて低減又は増加され得る。例えば、マトリックスアレイ815は、注射チャネル836の行840が電極14の行817と整列されるように、電極の1つ以上の追加の行817及び/若しくは列819、並びに/又は注射チャネル836の1つ以上の追加の行840及び/若しくは列842を含むように増加させることができる。また、マトリックスアレイ815は、それぞれの電極行817と整列された1つ以上の注射チャネル836と、それぞれの電極行817からオフセットされた(偏心オフセット又は等距離オフセットを含む)1つ以上の注射チャネル836との組み合わせを用いることができることが認識されるべきである。
【0113】
上述したサイドポート注射針20及び関連する電極アレイ15、215、315、415、515、615、715、815の様々なパラメータは、電気穿孔場内の注射液の共局在化を強化し、それによって電気穿孔性トランスフェクションを強化するためなどの例示的な特徴として提供されることが認識されるべきである。これらのパラメータは、本開示の範囲から逸脱することなく、必要に応じて調整することができる。
【0114】
数の前置詞(例えば、「第1の」、「第2の」、「第3の」)が要素、構成要素、寸法、又はその特徴を参照して本明細書で使用されるとき(例えば、「第1の」電極、「第2の」電極、「第3の」電極)、そのような数の前置詞は、上記要素、構成要素、寸法、及び/又は特徴を、別のかかる要素、構成要素、寸法及び/又は特徴から区別するために使用され、その例で使用される特定の数の前置詞に限定されるものではないことが理解されるべきである。例えば、「第1の」電極、方向、又は支持部材は、非限定的な例として、本開示の範囲から逸脱することなく、異なる文脈では「第2の」電極、方向、又は支持部材とも称され得る。ただし、上記要素、構成要素、寸法、及び/又は特徴は、数の前置詞が使用される文脈では適切に区別されたままである。
【0115】
本開示が詳細に説明されたが、添付の請求項によって定義される本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、様々な変更、置換及び代替が、本明細書でなされ得ることは、理解されるべきである。更に、本開示の範囲は、本明細書に記載された特定の実施形態に限定されることを意図されるものではない。特に、前述の実施形態からの特徴のうちの1つ以上は、本明細書の他の実施形態において用いることができる。このことから当業者は容易に理解するように、本明細書に記載された対応する実施形態と実質的に同じ機能を実行する又は実質的に同じ結果を達成する、現在存在する又は後に開発されるプロセス、機械、製造、物質の組成、手段、方法又はステップが、本開示に従って利用され得る。
【国際調査報告】